Progress Report 4:幼な妻甘々調教



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 娘が妖精になったおかげで、Petti Chobit Rich(遊休です)な数日がありました。大学卒業して院生になったら、即シフトで現在は散歩と居眠り代わりのスマホ入力はPCの1/4くらいのスピードですが、まあまあ、銭もらって妄想小説を書けるのですから、いい御身分なわけでしょうね。
 前回の『鞭打折檻』につづいて『酒席接待』の全文紹介です。


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酒席接待

 菊枝のアドリブも手伝って、新婚二か月目からは本格的な調教が始まった。といっても、鞭やスパンキングの苦痛系は、せいぜい週に一回。懲罰にしても、若干の不服従には気づかぬ振りをしたり、料理が不味いなどは元から対象外だ。毎日の調教は、もっぱら羞恥や恥辱だった。といっても、羞恥に狎れさせてはいけない。内心では羞恥に悶えつつ、恥辱を受け容れる。ある意味では、男にとって理想的な、日本古来の大和撫子を育成しているようなものだ。
 日本古来の美風には(地方によっては)客人に女房を差し出すといった習俗もある。睦菜にも、これは引き継がせる。つまり、銀行にとっては神様にも等しい大蔵省(MOF)の役人を接待する席に侍らせて、気に入っていただければ同衾する――ということだ。
 どんなに厳しい罰を受けてもいいから、それだけは赦してほしいと、睦菜は泣いて拒んだ。しかし、事はプライベートな問題では収まらない。どれだけ清廉潔白に運営している銀行にでも、如何様にでも難癖はつけられる。まして、ヤクザを利用したりされたり、交際費とか付替えとかが常態となれば、地方銀行などMOFの課長あたりの一存でどうにでもできる。
「どうしても出来ないとなれば、きみを離縁したうえで、僕も職を辞すしかなくなる」
 筋論でいくなら、辞職すれば離婚の必要まではないが、そこまでして睦菜を庇うのは、僕のサディストとしてのプライドが許さない――などと、力み返るまでもなかった。夫の窮状を救うためならば、一肌脱ぐのも股を開くのも厭わない。前妻にはとうてい望むべくもない献身であり果断だった。
 言い訳めいて聞こえるだろうから睦菜には言わなかったが。コンドームを着けたペニスを膣に挿入する行為を、僕は真正の媾合いとは思っていない。二十年前の映画『また逢う日まで』で有名になった、ガラス越しのキスと本質的には変わらない。そしてMOFと来た日には、妊娠させれば厄介だし病気をもらえば出世に響くとばかりに、絶対に抜き身では事に及ばない。そのくせ、フェラチオはゴム無しを当然と心得ているのだが、それはともかく。
 僕はMOF担ではないが、彼らのための裏仕事は最重要任務のひとつだ。今回の宴席は課長とその部下二人の合計三名。対する肉弾特攻隊員は、主贄(という言葉はないだろうが)が睦菜で、部下に侍るのは特命女子行員が二人。それは僕が手配するまでもないのだが、宴席での演し物は、ぎりぎり表街道を歩いている連中の手には余る。妙齢の妖女と清楚な十代の美少女とが演じるシロシロ・ショーと、この道十数年(でも、二十代だが)の花電車嬢は、副頭取に美少年をあてがったときと同じ人物の伝手を頼った。

 九月末。東京の老舗にはかなわないが、県内にこれ以上の店はないという高級料亭を借り切っての接待。三十二畳の座敷には床の間を背に松木というMOF課長と二人の部下がふんぞり返り、入口に近い壁際に副頭取とMOF担課長と僕が畏まっている。
 睦菜は素肌に水色のジャンパースカートと臙脂色のリボンタイだけを身に着けて、松木の左側に侍っている。結婚式のときよりも、よほど表情が硬い。
「打掛やウェディングドレスのときも愛らしかったが――こうしていると、学生そのものだねえ」
 ジャンパースカートは、実際に学校の制服だった。
「ともかくも結婚してしまえば、立派に成人だからね。ええと……片岡クンだったかね。まったく羨ましいねえ」
 接待ズレして、並みの遊びでは満足しなくなっている男だが、法に抵触するような行為は厳に慎んでいる。大衆週刊誌のスキャンダルはいくらでも握り潰せるが、省内での足の引っ張り合いや、政局に利用されることを警戒している。
 しかし、彼が青い果実を好むことは、すくなくとも各銀行のMOF担には広く知られている。キャバレーなどでは、いちばん若く見えるホステスを指名して、お持ち帰りしたときには、実の娘が使っていたセーラー服などを(わざわざホテルまで持ち込んで)着せて悦んでいるそうだ。だから睦菜に食指を動かすなど百も承知で、主賓として結婚式に招待したのだ。けっして私利のためではない。私欲のためではあるが。
 この課長に比べれば、部下の二人など可愛いものだ。銀行の制服(にしては、スカート丈がふだんの睦菜に負けず劣らずだが)に身を包んだ短大卒の娘にしなだれかかられているのに、堂々と太腿を撫でまわす度胸がなくて、左手の置き場に困っている。

 男の人数分だけ料理が運ばれて、すぐに女中は退席する。
「皆様にビールをお注ぎしなさい」
 女子行員は、ホステス顔負けの慣れた手つきでコップを満たす。睦菜は、形だけは即席で教えたとおりに(必要以上に身体を密着させるとか)振る舞っているが、瓶の口がコップに触れて、カチカチと鳴っている。そんな様子に、MOF課長の松木はご満悦。睦菜が注ぎ終わるとビール瓶を取り上げ、肩を抱きながら睦菜のコップをなみなみと満たす。
「本日の御役目、ご苦労様でした」
 副頭取が型通りの挨拶をして、乾杯。
「乾杯とは、杯を乾すのだからね。さ、ぐいーっといきなさい」
 松木に強いられて、睦菜がコップ一杯のビールを一気に飲んだ。初めての経験ではないだろうか。
 松木も部下も、食い意地が張っている。八寸を一品ずつ一口で平らげ、その間に中瓶一本ほどを流し込む。
「なかなかの珍味だよ。キミも食べなさい」
 松木は睦菜の左腋に手を差し入れて抱き締めたまま、端に摘まんで半分かじった料理を、睦菜の口へ運ぶ。
「ほら、あーん」
 睦菜が助けを求めて目を僕に向ける。
「せっかくのご好意だ。遠慮なくいただきなさい」
 睦菜に恥辱を味わわせる愉快と、掌中の珠を弄ばれる嫉妬との板挟みは、嫉妬が圧倒している。
 睦菜は、僕のペニスを咥えるよりはよほど嫌そうな顔で、料理を口に入れた。口を漱ぐつもりか、すぐにビールをひと口飲む。
「お、いけるね」
 あまり減っていないコップに、松木がビールを注ぎ足した。
「睦菜。お酒は控えておきなさい。最後まで、きちんとお世話をしなくちゃならないだろ」
 松木にも釘を差しておく。
「こいつは、アルコールに免疫がありませんから。俎板の上でピチピチ跳ねる鯉がお好きでしたら、そっと釣り上げてやってください」
 わははははと、松木がわざとらしく嗤う。箸を置いて、その手でスカートの裾をめくった。ひさしぶりに人目から逃れていた睦菜の太腿が、その付け根まで白熱電球の下に曝される。
「ん……? おいおい?」
 松木が、さらにスカートの裾を持ち上げる。睦菜は自由な左手を宙に浮かせかけて、ぱたんと畳に落とした。
「清楚な女学生がノーパンとは、恐れ入ったね」
「女学生なんてものは、男子の見ている前でも下敷きでスカートの中を扇いだりしますからね。パンティを禁止すれば、すこしはお淑やかに振る舞うというものです」
 新婚旅行で下着禁止を言い渡したときの屁理屈に、睦菜が不服そうな表情を(ちらっとだけ)浮かべた。亭主の好きなノーパンティ、とでも言ってほしかったのか。
「いやいや、なるほどなるほど。お淑やかなら、こんなことをされても、羞じらうだけで抗いはしないだろうね」
 松木の指がスカートの中に隠れた。
「おや? まだ生えていないのかな?」
睦菜が頬を染めて腰をもじつかせる。嫌悪の表情を浮かべまいと努めているのが、僕には分かる。
「ところで、片岡クン」
 副頭取が、助け舟を出したつもりだろうか、唐突に言う。
「今夜は、色々と趣向を凝らしているのだろう。出し惜しみをせずに、お目に掛けなさい」
 僕は障子を開けて、廊下で出番待ちをしている花電車芸人を招き入れた。

「谺(こだま)日花里(ひかり)です。つたない芸ですが、一所懸命に務めさせていただきます」
 日花里はノースリーブのワンピースを着ているのだが、睦菜の普段着どころではない。ウエストラインが臍のあたりで、そこからのスカート丈が十センチ足らず。つまり、まっすぐ立っていても股間が丸見え。平伏すれば、尻も丸出しになる。
「芸を披露いたします前に、ちょっと失礼を」
 日花里が立って、部屋の隅に三つの箱を並べた。平べったいのを真ん中に、左右に縦長の箱を置いて電線でつなぐ。ポータブル式のステレオ・カセットプレイヤーだった。礼儀に反して尻を主客に向けて立ち、足を伸ばしたまま上体を折り曲げての作業。足を広げているから、股間を覗き込むまでもなく丸見えになっている。手入れの行き届いた商売道具だ。淫裂のまわりは剃っていて、恥丘の上だけに小さなハート形を残している。
 スピーカーから、ゆったりとした曲が流れ始める。曲名は知らないが、ストリップ小屋で定番のやつだ。
 小道具を入れた手提げ篭を脇に置いて、日花里が座敷の真ん中に開脚して立つ。ピンポン球を五つ、畳の上に並べた。
 ゆっくりと膝を曲げて、尻が畳に着くまで腰を落とす。股座
が、ほとんどピンポン球に接する。
「はいっ!」
掛け声と同時にピンポン球が吸い寄せられて、つるっと淫裂に呑み込まれた。
「おわっ……」
「ふええ……」
 二人の部下が驚きの声を漏らした。
「まあ!」
睦菜も、しゃっくりを呑み込んだような顔をしている。
 日花里は腰をずらして、さらに一個を淫裂に吸い込んだ。が、それ以上はさすがに無理らしい。立ち上がって、今度は膝を伸ばし、上体を深く折ってピンポン球を拾い上げては、腰をくねらせながら淫裂に押し込んでいく。
唾で濡らしたりはしていない。けれど、淫唇は明かりを反射するほどに絖っている。とすると、この女は生活の為だけに、見世物になっているのではない。性癖と実益とを両立させているのだろう。
 五つのピンポン球をすべて呑み込むと、日花里は松木に野球のグローブを渡した。
「胸の前で構えていてくださいね」
 二メートルほど離れて仰臥する。膝を立てて腰を高く突き上げる。
「ピッチャー、第一球を投げます……ハイッ」
 つぽんという小さな音とともにピンポン球が飛び出して――グローブに命中した。頭取が捕球して、ピンポン球を指でつまんで膳の隅に置いた。スカートを捲り上げられて剥き出しになっている睦菜の腿で、その指を拭く。睦菜が唇を噛んだのに気づいたのは、僕だけだったろう。
「三連発でいきます……ハイイッ」
 つぽぽぽんと立て続けに飛び出して、三球ともグローブに命中。さすがに捕球しきれず、二つまでが畳に転がった。
「最後はホームランとなりますか、どうか」
 掛け声とともに日花里が足を蹴り上げてバック転した。逆立ちになる寸前にピンポン球が飛び出して、天井に当たって跳ね返り――松木が腕を伸ばして捕球する。
「あらあ、残念。外野フライを取られてしまいました」
 日花里は松木の前に立つと、くるりと回れ右をして、開いた足のあいだから手を伸ばして、膳の上のピンポン球を(手提げ篭の中に)回収した。
「続きましては、数当てゲームでございます」
 手提げ篭から一合升を取り出して、ビー玉を一杯に詰める。座敷の真ん中でデングリ返りをして、股間に大きな漏斗(じょうご)を突き刺した。
「どなたか、ビー玉を挿れてくださいませんか」
 MOF課長の様子をうかがったが、しゃしゃり出てくれる気配はなかった。
「あ、はーい。あたし、やります」
 川戸京子が、少学生みたいに勢いよく手を上げた。昨年に入行して、半年と経たずに上司と不倫をしでかし、不問に付す代償として特攻隊員を志願させられた娘だ。ちなみに相手の上司は、この件で雀の涙(ボーナス)を頂戴している。羨ましい話ではある。
「あの……入れますよ」
 京子がビー玉をつまんで、漏斗に落とす。
「遠慮しないで、いっぺんにぶちまけてくださいね」
 いいのかな? といった顔つきで、ジャララッと漏斗に流し込んだ。
「うわあ……吸い込まれてく」
 横から見ていると、下腹部がひくひくと動き、そのたびにビー玉が減っていくのが分かった。
 日花里が身を起こして、バスタオルを二つ折りにして敷いた上に立った。ビー玉は落ちてこない。
「おっしゃった数だけ、ビー玉を出してご覧にいれます」
「ほほう。では、七つだ」
 なかなかに意地が悪い――のは、役人の通例だが。ひとつだけ出すのも難しいだろうが、膣筋の訓練次第で自在になるとは思う。しかし七つとかになると、数え間違いとか勢いとかで、思い通りにならないのではないだろうか。
 しかし日花里の芸は、僕の想像を超えていた。
「ええっ……いきなり七つですか? できるかなあ」
 などとぼやきながら、腰をくねらせる。そして。
「ハイイッ!」
 ひとつずつではなく――ぼたたたたっと一気にビー玉を排出した。落ちてぶつかり合って遠くまで転がったのもあったが、数えてみると、きっちり七つだった。
「うわあ。すごいすごい」
 京子が手を拍って、場を盛り上げてくれた。
「うん、見事だ。つぎは――そうだな。ひとつ残らず一度に出せるかな」
 松木が、退屈そうに言う。あるいは、こういった芸も初見ではないのかもしれない。
 日花里も機嫌を読み取って、敗戦処理みたいな感じでビー玉を放出した。
「ほんとうに残っていないか、確かめてみろ」
 松木が睦菜を前に押しやった。
 それまで抱きすくめられていた睦菜は、ほっとした態で日花里に、にじり寄った。さすがに逡巡したが、おずおずと股間に指を伸ばす。
「ごめんなさい」
「遠慮しなくていいわよ」
 睦菜の人差し指が、淫裂に突き刺さる。
「そんなのじゃ分からんだろう。口をつけて吸い出してみろ」
 睦菜が、助けを求めて僕を振り返った。途方に暮れるというよりも、生理的な嫌悪感をにじませている。
 僕は苦々しい思いにとらわれた。いずれは菊枝とレズらせることも計画している。別に菊枝でなくてもかまわない。しかし、それはあくまでも僕が睦菜に強いる行為だ。こんな俗物に主導権を奪われて良いわけがない。とはいえ、こんな瑣末事でMOFの機嫌を損ねるのは馬鹿らしい以前の問題だ。
 ――苦境を救ってくれたのは、他ならぬ日花里だった。
「馬鹿ぁ言っちゃいけないよ」
 一歩下がって、睦菜の指を引き抜いた。
「こちとら、見せるが乗せない花電車だい。女の子の指挿れくらいはサービスするが、トイチハイチの岩清水とあっちゃあ、本番もいいとこ。お断わりだよっ」
 伝法な啖呵に、松木が目をパチクリさせている。最初の仰天が治まるにつれて、こめかみに青筋が浮いてくる。が、癇癪を爆発させたりはしなかった。
「わっはっは……」
 磊落を装って笑う。目は笑っていない。
「いや、キミの言うとおりだ。腰を折って済まなかった。つぎの演し物を見せてもらおうじゃないか」
 このまま続けても、白けた場は元に戻らない。ぼくは、副頭取に目配せした。副頭取もうなづく。
「まだ料理も後が控えていますし。仕切り直しといきませんか?」
 日花里には、いったん下がってもらった。
 汁物と刺身が運ばれて、ふたたびMOF三人衆の健啖ぶりが発揮される。あまり呑ませては二重に都合が悪いと考えたのか、女子行員がお酌を手控える。のに睦菜も気づいて真似た。
 ちなみに二重というのは。松木の酒癖が善くなさそうなのと、部下は若いにしても、やはり燃料満載では運動性能を発揮できない懸念とだ。男が自分を奮い勃たせる目的で激しく動くのは、女にとっては苦痛なだけだし、挙げ句不首尾に終わったりしては銀行の命運にかかわる。
 松木がすこしはお行儀が良くなって(?)、ジャンパースカートの脇から手を突っ込んで睦菜の乳房を弄ぶのを横目に見て座をはずし、祝儀を包み詫びも入れて、日花里にはお引き取りを願った。その分、シロシロ・ショーを本気で演じてもらえば時間はつなげる。
 会席料理が折り返し点を過ぎたところで、シロシロ・ショーの始まり。
 二十五歳以上四十歳未満としか外見からは判断できかねる妖女は、芸名をローズという。まとっていたバスローブを脱ぐと、全裸。淫毛は無いのだが、その部分にタトゥを入れている。刺青ではなく西洋の技法だろう、発色が鮮烈だ。クリトリスの上に大輪の薔薇が咲き誇り、淫唇の左右を葉が取り巻いている。
「ほほう……」
 松木が唸った。部下は、嘆声すら遠慮している。
 僕としても、こんな趣向までは斡旋してくれた人物から聞いていなかったので、万事心得た興行主の体面を保つのに苦労した。いずれは睦菜にも、こういったタトゥを入れてみたいと思い、しかしそれでは彼女を解放してやるときの重荷になると気づき、それなら若い主人を見繕ってやればかまわないかと――一瞬のうちに思いを巡らせたりもした。
 ローズは、僕たちに向かって正座した。主客には側面を見せる位置取りになる。全裸だが、西洋の小間使いが着けるような白いひらひらした布を頭に留めている。
 相方のチェリーという娘は、どうかすると睦菜よりも稚く見える。胸の膨らみは、まったくブラジャーの必要がない。股間にはごく淡い飾り毛が萌えているが、稚い一本筋は剥き出しになっている。そんな肢体に黒いストッキングを赤いガーターベルトで吊っている姿が、ひどく不釣り合いだった。
 チェリーが、ローズの膝をまたいで立った。ローズが、恭しい手つきでチェリーの腰を両手で抱えて――股間に口づけた。
 ぴくんっとチェリーの背中が震えたのは、演技かもしれない。
 ぴちゃぴちゃ、ずちゅううう。音を立てて稚い淫裂に舌を挿れて舐めまわし、ひと口に頬張るように啜る。
「あ……ああん」
 チェリーが積極的に腰をくねらせて、股間をローズの口にこすりつける。
 性的に早熟なお嬢様と、経験豊富な小間使いの淫戯。そういう設定なのだろう。
 チェリーがローズの膝を蹴って主客に向かって足を開かせ、その間に片足を入れた。僕の位置からはよく見えないが、爪先でローズの股間をくじっているらしい。
「お、お嬢様……お赦しください」
 小間使いは初心で、お嬢様に翻弄されているということか。年上の女が受け身のお嬢様に悪戯を仕掛けるのならありふれた設定だが、その逆というのは斬新かもしれない。まあ……世間一般では、レズビアンそのものが斬新でもあり背徳でもあるが。
「しゃべったら、奉仕がおろそかになるでしょ」
 お嬢様が、小間使いの股間を(かなり強く)蹴った。
「あうっ……」
 呻いたきり口を閉じて。いっそう激しくお嬢様に口淫奉仕をする小間使い。
「ああっ……いい、もっと……」
 お嬢様は立っていられなくなって、ずるずると畳の上に寝崩れた。小間使いが逆向きにおおいかぶさって、69に移行する。華奢な少女が年増女にのしかかられる構図は、絵柄としてはそそられるが、いかんせん少女の裸身が隠れてしまうので即物的な興奮からは遠ざかる。上座からは、よく見えているのかもしれないが。
 小間使いの頭が、縦に動いて。
「ひゃああっ……い、いいい!」
 クリトリスを噛んだのか舐めたのか。お嬢様が甲高く囀った。
「いい……ママ、もっとお……」
 なに……?!
 今のは、演技を忘れた叫びなのだろうか。そういえば、二人の顔は似ていなくもない。
 小間使いが腰をずらして、お嬢様の口を完全にふさいだ――ところをみると、ほんとうに二人は実の母娘らしい。
 ずきん、と。それまでは興行主めいた気分で冷静に眺めていたのだが、一気に硬くなった。
 実の母娘が、なぜこんなことをしているのか。生活ためか、母親の変態的欲望ゆえか。それとも二人して誰かに飼われて――ちょうど、僕が睦菜に露出的な服装を強いるのと同じように、強制されているのか。あるいは、身を売るよりは、まだしもと……いや、それはない。日花里はともかく、この二人は、夜伽の敵娼がお気に召さなかったときのピンチヒッターとして、MOF三人衆が止まるホテルに同宿させる手筈になっている。
 そんなことを考えているうちにも。二人は体を起こして向かい合っていた。両手を後ろに突いて身体を支え、互いに足を交差させて腰をにじり寄せ、股間を密着させた。小柄な娘が、むしろ積極的に股間を押しつけて、腰をくねらせる。
 ぶぽっ、ぶぽっ……二人の股間が密着して離れるたびに、滑稽だが卑猥な音がかすかに聞こえる。
「あああん……」
 娘が、これは感極まらずに、もどかしそうに嘆く。観客からは、69よりもずっと露骨に股間が見えているが、当人たちへの刺激は、それほどでもないようだ。つまりは、見せるための仕草か。
 一、二分で貝合わせは終わって。二人が並んで正座した。母親が、ぼくに目配せをする。
 その意味に気づいて、僕は廊下に顔を突き出して、つぎの料理を運ぶように呼ばわった。
 すぐに女中が現われて、全裸で正座する二人の女は存在しないかのような態度で、空の皿を下げ、新しい皿を膳に載せていく。新しいビール瓶も林立する。
 女中が退出して障子が閉まると、ショーの第二幕が上がった。
 母親がバスローブの下から、双頭の張形を取り出した。形も大きさもデフォルメされていない。まさしく、怒張した二本のペニスそのもの。それが一直線になっていて、中央には睾丸を模した膨らみがある。そこを持てば押し引き自在だし、ストッパーも兼ねているのだろう。
 娘が立ち上がって、足を開く。母親が優しいというよりも恭しい手つきで、娘の淫裂に張形を挿入する。早熟のお嬢様に仕える小間使いという設定を貫くつもりらしい。
「あはああん……効くううう」
 69のときに比べると、まったく棒読みの喘ぎ声。膣性感は未開発なのかもしれない。
「可愛がってあげる。寝んねしなさい」
 娘が扮するお嬢様に指差されて、母親が女主人に忠実な小間使いになりきって、あお向けに寝転がった。犬みたいに手足を引き付けている。
 娘が母親の腿をはさんで膝立ちになって。鮑のように性熟した淫裂へ張形をあてがい、ずぶずぶっと埋めていく。
「あああっ……きつい。でも、もっと強く……」
 母親にうながされて、腰を動かし始める。左手で上体を支え、右手で張形の睾丸の部分を押さえている。
 ずにゅ、ずにゅ、ずにゅ……ゆっくりと深く突き挿れている。
「あああっ……きつい、いいいいい」
 母親の呻き声が甘やかに響く。本気で感じているようだ。両腕を差し伸べて、娘を抱き絡めた。豊満な乳房が、ささやかな硬い膨らみに押しつぶされる。
 そのままごろんと転がって、主客が入れ替わった。母親が俄然激しく腰を使い始めた。娘は両手で睾丸を握って、張形が自分の中で動かないように固定している。つらそうに顔を歪めている。
「あああん、お嬢様あ。お嬢様も一緒に……」
 母親は肘で身体を支えて、自由になった両手で稚い膨らみを揉みしだく。背中を丸めて顔の位置を合わせ、唇を襲う。
 ぬちゃぬちゃぬちゃ……浅く激しいピストン運動に、湿った音が伴奏する。
 膣が駄目ならクリトリスを責めるべきなのに、そうしていない。母親には、娘を追い上げる意図はないらしい。
「あああっ……もう駄目。逝っちゃいますうううう!」
 娘を組み敷いて、母親は女子プロレスのヒップアタックさながらに荒れ狂って――短時間でアクメを究めた。のは、さすがに演技だろう。全体重をのし掛けられた娘が気息奄々になっているのは本物かもしれない。
「あら。わたしだけが気持ち良くなっちゃったみたいね。ごめんなさい。お嬢様も善がらせて差し上げますわ」
 母親が身を起こして、娘から双頭張形を抜き取った。自分も抜いて――アヌスに差し替える。
「ええっ……?!」
 睦菜が、驚きの声を小さく漏らした。僕がレズの絡み合いに気を取られていたあいだに――睦菜は膝の上に乗せられ、肩ホックをはずして剥き出しになった乳房を弄ばれ、腰まで捲り上げられて露出した淫裂に指を突き立てられ、こねくられている。チェリーに比べれば発達している淫唇は、赤く充血して淫汁に絖っている。それは激しい物理的な刺激によってもたらされた変化に過ぎず、当人は苦痛は感じていないまでも、恥辱に耐えているだけ。三か月も調教していれば、それくらいは分かる。接待が終わったら、存分に甘やかしてやろう。
 母親が娘の両足をつかんで高々と持ち上げる。リンボーダンスのように腰を突き上げた姿勢で、張形を娘のアヌスに押しつける。
「力を抜いているのよ」
 娘の返事を待たずに、ずぶううっと押し挿れた。
「あああっ……く、苦しい」
 小さな悲鳴には、はっきりと快感の響きが絡みついていた。
 未性熟で膣性交が困難でも肛門性交は可能な場合があるとは話に聞いていたが、今目撃しているのは、まさにそれに近いのではないだろうか。
「裏返すわよ」
 母親が娘の腰を両手で持って、ぐるんとひっくり返した。娘も膝を引きつけて協力する。
「きひいいい……んん」
 張形にアヌスをこじられて、娘が鼻に抜ける声で呻く。
 娘が両手を突っ張って四つん這いになるのを待ってから、母親もアクロバティックな動きで身体を裏返して四つん這いになった。
「痛い……やめてえ」
 やめたら恨まれるに決まっていると、朴念仁にも分かる甘い悲鳴。
 出来上がったポーズは、犬の交尾とそっくりになった。
「締めつけては駄目よ」
 肘と膝を支点にして、母親が身体を前後に揺すり始めた。睾丸の部分がアヌスに密着したまま、張形が娘のアヌスに抽挿される。
「あああああっ……ああんん」
 娘の悲鳴が甲高くなった。
「駄目……もう、いやあ。きつい……つらいよおおおお」
 しかし、「やめて」とも「痛い」とも訴えない。
「あん、あん、あん……」
 悲鳴がピストン運動に同調している。
 睦菜は身体を嬲られている不快に耐えながら、それでも妖女と少女の媾合いに気を奪われている。おそらく――僕と睦菜とでも同じことが出来るのだと、すでに理解しているだろう。
 教育する手間が省けて、僕はちょっと気落ちした。せめて、興味を持たないでいてくれることを願う。嫌がる行為を強いて、それに馴致させていくのが、サディストの愉悦なのだ。
「うああああっ……お尻、熱いよおおおおお!」
 アクメとはいわないまでも、ひとつの頂に達したらしい。ショーとしては、それでじゅうぶんだと、ローズも心得ている。十秒ほど動きを止めて、チェリーに束の間の余韻を味わわせてから、身ふたつに別れた。
 ぺしゃっと畳の上に崩れた娘の尻を割って口づけて――汚れを清めてやる。便秘をした赤ん坊に母親が施す処置を彷彿とする。サディストとしては、これを真似るわけにはいかない。たとえ、される側が幸せそうに身を委ねているとしても、だ。
 やがて、二人が起き上がって。
「お粗末様でした」
 MOF三人衆に向かって平伏し、それから僕たちへも同じように挨拶をして。バスローブに張形を包んで、素裸のままで退出した。
「実にもったいない話だな」
 松木が、憮然とした口調でつぶやいた。
「女同士でSごっこをして、なにが面白いのか、わしには分からん」
「そうはおっしゃいますが」
 MOF担が本来の役目を思い出して、お追従顔でとりなす。
「しかしですね。あのチェリーちゃんがシロクロ・ショーなどに出演したら、心中穏やかざるのではありませんか」
 わははははと、また作り嗤い。狐と狸の化かし合いが宴席にとどまっているうちは、実害が無いのだが。
 ショーが終わると、残りの料理が運び入れられて。僕は、ビールの追加を手真似で押し留めた。
 それが功を奏して、午後八時過ぎに宴席はお開きとなった。
 睦菜はぎこちなく、二人の女子行員はもっと狎れた様子で、それぞれの相手にしなだれかかって――三台のハイヤーでホテルへ向かった。僕も四台目のハイヤーに母娘を同乗させて、後を追う。日花里は、先にひとりでホテルへ戻っているはずだ。ピンチヒッターは務めないが、アンコールが掛かるかもしれない。今夜は途中打ち切りになったのだから、その可能性は大いにあった。
 副頭取とMOF担課長は、ここで御役目御免。呑み直しに街へ繰り出すのかもしれないが、僕の知ったことではない。
 僕はホテルのロビーの片隅で、終戦処理に待機する。事が終われば敵娼を追い返す薄情者が多い。彼女たちをねぎらいタクシーに乗せるまでが、僕の仕事なのだ。夜明けのコーヒーまでは面倒を見きれないが、睦菜がそうなれば、仮眠しながら待ってやるつもりでいる。
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 酒席となると、花電車とシロシロ・ショー。
 何回書いたでしょうかね。
ピンク海女』、『大正弄瞞』、『1/16の牝奴隷』、『ママと歩む Slave Road』……まだ、あったかしら?
 どこかしら工夫はしていますけどね。やはり、書いてて楽しいから書くわけです。


 全体の進捗率は65%といったところです。現在はヒロインが花電車芸の特訓中。
 お師匠さんのとこまで、5年前に開通した新幹線にひとりで乗って通いますが、『僕』はけっして甘やかしません。ノーブラノーパンで股下3cmのミニスカートに、臍出し裾結びブラウス。道中で襲われてはいけないので、鎖の貞操帯です。
 隠すところは隠していますから問題はありませんが、未成年と「間違われて」補導されかねません。なにしろ、親の許しがあれば結婚できるぎりぎりの年齢ですから。なので、原付免許と戸籍謄本を持たせています。結婚してれば成年です。
 さて。花電車芸の特訓の成果は、年末にMOFの忘年会でお披露目して。
 年が明けたらトルコへ泡踊りの習得に通わせたり、タチのサディスチンの菊枝から濃厚なレズ技を教えさせたり。
 『僕』の勤務先の銀行が催す夏の親睦海水浴では、当時としては破廉恥きわまりない紐ビキニあたりで若手社員を悩殺させて、奥様連中から総スカンを食うものの、話題をSEXテクニックへ持っていかせて、別の日に「御無沙汰マダム」連を相手に秘伝を伝授させたり……そして、まあ。大団円は、『未性熟処女の強制足入れ婚』や『初心妻志願奴隷』の三番煎じですけど。
 それはそれで、先のお楽しみということで。


神田るみ

 BFネタを漁っていて、構図としては使えないし顔の向きも合成に適さないけれど。ど真ん中の剛速球がありました。
 手足の細さが未性熟を思わせます。あどけなくも妖艶です。
 ヒロイン睦菜のイメージにどんぴしゃ。
 睦菜は、結婚前は三つ編みお下げでしたが……読み返して、まだ髪を切っていなかったので。美容院へ行かせてセミロングのツインテにさせました。



 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interrupt Report more:Nightmare Rift

 120枚を超えて、長丁場(40~60枚)のラストスパートです。
 猿事情で、すくなくとも今週は出禁なので、校正して、Notissue versionまで突っ込めそうです。


 猿事情:PCRてやつです。筆者は定義上では農耕接触者ですが、実態は狩猟接触者なので、発熱もないので、シフトがひっ迫していることもあり、週明けには出禁解除になるでしょう。

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循姦

 私たちが磔けられていたキの字架は分解されて、別の形に組み直されていた。鳥居のミニチュアというか、段違い鉄棒(木製だけど)というか――ギロチン磔台にしか見えないのがひとつと。
 キの字架の柱を2本、2m間隔で立てたのと。柱2本のほうは、蔓を撚り合わせた太いロープがてっぺんに張られて、ロープの中央から数本の蔓が垂れている。こちらはリンチの絞首刑を連想してしまう。
 ソフィが絞首刑の柱へ連れていかれた。ロープの真下に立たされ、両手を頭上で縛られてロープにつながれた。絞首刑じゃなかったけれど……。
「なにするの?!  やめて……こんなの、嫌あ!」
 強引に肩車をされた。裸だから、女性器が男の首筋に密着する。羞ずかしいだけじゃなくて、おぞましい。のは、まだ序の口だった。蛮族どもが群がって、両側から足首をつかんで股裂きにしようとする。
「やめて! やめてったら……」
 両足を蹴って抵抗するソフィ。男の力にはかなわない。それでも、手首をこねくって太いロープをつかみ、しがみついて肩車から逃れようとする。
「ウープ、ウープ」
 まわりから声が掛かって。肩車をしていた男が、急にしゃがんでソフィを投げ出した。
「きゃっ……!」
 ソフィは転びかけてロープにひき止められ、地面に膝を突いた。
 ソフィの足を引っ張っていた男のひとりが、ソフィを引き起こして羽交い締めにした。肩車の男が正面に回り込んで。警告も威しも無しで、ソフィの腹を殴った。
「ぐぶぇっ……!」
 ソフィの膝が、がくっと折れた。腋の下で男の腕に支えられているので、倒れて身をかばうこともできない。
 ぼすん、ぼすんと――拳が同じ場所に突き入れられる。
「うぶ……げえええ」
 ソフィの口からあふれたのは、人魚の真似をさせられたときに呑み込んでしまった海水だろう。
 私は、いきなりの暴力を恐怖に駆られながら眺めているしかなかった。蛮族どもを制止しようにも、適切な構文を組み立てられない。ただニョを連呼しても、彼らは嘲嗤うか、もっと凶暴になりかねない。
 蛮族が、ようやくソフィを脅迫する。拳を腹に押しつけながら目を覗き込む。
「ニョ、ゴン。ジェ? ジェ?」
 NO DO。OK? 逆らうな、分かったか?
「ジェ……ニョ、ゴン」
 ソフィが弱々しい声を震わせて返事をした。単語を理解していなくても、威しの意味は取り違えようがない。
 ソフィは肩車をされずに両足を持ち上げられて、身体が宙に浮いた。体重のほとんどは、手首につながれた太いロープで支えられている。V字形に開脚させられた足にも、水平に張られたロープから垂れている蔓がつながれて、頭の後ろに渡された木の枝の両端に膝を縛られた。
「オオオオオ! ゴンゴン!」
 数人の蛮族が左手でVサインを作って、右手の人差し指でV字を突き上げる。その意味は明白だった。いや、明白以上だ。ソフィは、屈辱きわまりない形で処女を奪われるのだ。
 ……他人の悲惨を憐れむ贅沢を、私は許されていない。私も数人の蛮族どもの手で、ギロチン磔台へと引っ立てられた。2本の横木に首を挟まれて、動かせないように蔓で縛られる。両手は左右に引っ張られて、手首から肘までを上の横木に縛りつけられた。そして両足も左右の柱につながれた。身体を折り曲げて尻を突き出した――犯してくださいと言わんばかりの姿勢。
「トンミ、トンゴン」
 族長が威張った感じで宣言して、腰を隠している巻貝を取り去った。すでにペニスは勃起している。ソフィの正面に近づいて。しゃがみ込んで、ぱっくりと開いた淫裂を覗き込む。
「いやあっ……見ないで! さわらないでえっ!」
 わずかにくすぶっている焚火の向こう側とこちら側で並んで磔けられているから、族長がソフィに仕掛けている悪戯が、つぶさに見て取れる。
 族長は、小淫唇をつまんで左右に引っ張って、さらに奥を覗き込んだり。淫裂の頂点に埋もれている肉蕾を見つけて、首をかしげながら指で転がしてみたり。
「ひゃうんっ……やだ! そこ、やめて……」
 女の身体の悲哀。男性は、激しいスポーツをしたり悲嘆に暮れているときは、ペニスを刺激されても勃起しないと聞いたことがあるけれど。女性は、そんなの関係ない。ソフィも、不本意な快感に翻弄されている。
「いやだ……やめて。くうう……んん」
 嫌悪と快感の板挟み。
「痛いっ……! 抜いて、指を抜いて!」
 バギナに指を突き挿れられて、ソフィアが純粋の苦痛を叫んだ。
「ジェニョ? ゴンゴンゴン」
 族長が根元まで指を突き立てて、こねくり始めた。
「お願い、赦して。痛い……!」
 ソフィの悲痛な訴えが、男の心に届いたのではないだろう。好奇心を満たされて満足しただけだ。
「ジョニェ、ワァ?」
 指を抜いて宙にかざして。にんまりと嗤った。
「ニョワァ、ジョドワ」
 取り囲んで見物していた連中が囃し立てる。
「ドワ、ドワ。ジェ、ニャドゥ」
 族長が立ち上がって。掌に唾を吐いて、ペニスにまぶした。
 ソフィの顔が、すうっと蒼褪めていく。これから何をされるのか、実感を伴って理解した――といったところだろう。私なんか、この身体とテクニックで蛮族どもを骨抜きにしてやろうと、腰タンタンでいる。まあ……テクニックといっても、3人のAVオタクに仕込まれただけで、プロの風俗嬢から見ればオママゴトだろうけど。
 戦意旺盛な私と違って、ソフィはバージン。人生の一大事だ。終わってしまえばエピソードだけど。
 族長が勃起の根本を右手で支えて、すれすれまで身体を寄せる。
「やめて! お願い……」
 腰を揺すって逃れようとする。
 族長が両手でソフィの腰をつかんで、動きを封じる。そして、拳を作って腹に押しつける。
「……殴らないで。おとなしくするから……」
 ソフィが敗北を口にした。
「ジェ、ゴンゴン。ニョムウ」
 蛮族でも女性をいたわることがあるんだと、認識を新たにした。けれど、することは容赦ない。
 族長が腰を沈めて。突き出すようにしながら膝を伸ばした。
「いやああああっ……!」
 びくんっとソフィの腰が跳ねた。けれど、宙吊りにされていては、わずかな動きにしかならない。ずぶずぶと、怒張が股間に埋没していく。
「ひどい。ひどいよ……痛い……」
 バギナにペニスを突き立てられたという事実にうちひしがれて、ソフィの嗚咽はくぐもっている。
「オオオオオ、ジェイジェイ。ゴンゴン、ゴンゴン」
 バギナの刺激が心地良いのか、征服の快感か。族長が鬨の声をあげながら、腰を前後に激しく振り立てる。
「ぎひいい、痛い! 動かさないで。抜いて……もう、赦して!」
 ソフィが泣きながら訴える。男がどちらへ心を動かすかは当人の性癖にもよるだろうけど、やはり蛮族には女性をいたわる心は希薄らしい。
「オオオオオ、ゴンゴン。ジェイジェイ、ゴンゴン」
 勝鬨の雄叫びあげながら腰を激しく突き上げて――数分で果ててしまったのが、ソフィにとってはせめてもの救い。にはならないだろう。
 族長にはソフィを独占するつもりが無いらしい。弛みきった表情でソフィから身を離すと、生け贄にわっと群がり寄る男どもを止めるどころか、両手を下から上に扇いでけしかける。
「ウープ、ウープ。ムウムウ、ゴンゴン!」
 私にも蛮族どもが押し寄せる。
「ミ、ゴンゴン、ゴンゴン」
 私に肉をくれた男が優先権を主張して、後ろから腰をつかんだ。
 まあ、いいか。3人目の男とは今も続いていて、SEXなんてデートの中の自然な流れになってるけど、そのときくらいにも緊張していない。ときめいていないのは当然だけど、怯えてもいないし、不貞腐れてもいない。
 これが転位とかじゃなくて、ただ未発見の蛮族に捕まっただけだとしても――これ以上はないってくらいの非日常だ。レイフ°なんて、食事と同じレベルの日常でしかない。
 いや、そうじゃない。こいつらを手なずけ支配するための重要なシーケンスだ。
 そういう意味では緊張している。入試のときと同じくらい。そして、うまくやれる自信もある。大学だって、第一志望に合格したんだから。
 ずぬ゙ゔっと、押し挿ってきた。唾で湿すくらいはしてるんだろうけど、ちっとも弄ってくれてないから――ちょっと痛い。でも、物理的な刺激ですぐに潤滑される。
「オオオ、ニャゴンゴン。トンジェイ、ジェジェジェ」
 意味は分からないけど、感激してるのは分かる。まるで厨坊の初体験みたい――いや、そういう犯罪的シチュエーションは、経験したことないけど。
 どんっと……目の前に勃起を突きつけられた。男は20人以上。女は2人。待ちきれなくて当然。
 フェラは、あまり自信がない。射精までいかせたこともない。けど、拒める状況じゃない。素直に口を開けたら、ぐぼっと突っ込まれた。両手で私の頭をかかえて、まさしくゴンゴン突いてくる。拙いフェラテクの出番はなかった。
 それでも、歯を立てないように気をつけて。喉の奥まで突っ込まれても吐き気を我慢して。男が腰を引くときには、裏筋あたりに舌を絡めようと努力する。さっさと射精してくれたら、それだけ早く楽になるという計算もあるけど。負けてたまるかという敵愾心もかった。何に負けたくないかというと。
 ソフィが犯されてるときに、ちょっと考えたんだけど。これまでの蛮族どもの態度を見ていると、女性という存在を知らなかったんじゃないかと思う。実際、これまでに見ていないし。それを言えば子供も老人もだけど、ややこしくなるからパス。この仮説が正しいとすると、ほんとにここは異世界だということになるけど、それもパス。
 女性の存在を知らない男性。でも、勃起とか射精は知ってる。じゃあ、どうやって性欲を処理してきたんだとなると、答えはひとつ(存在するとしたら、山羊とか鶏とか海鼠とかも候補にあがるけど)。
 つまり――むくつけき野郎のアヌスなんかに、バギナが負けてたまるかっていうこと。
 私の努力が報われたというよりも、男がまさしく独り善がりに荒腰を使いやがって。あっさりと埒を明けてくれた。喉の奥にホットソーダ(なんて飲み物があると知ったのは、つい最近)を叩きつけられた感じ。
 男が抜去すると、口中の汚濁をすぐに吐き出した。つぎの瞬間、強い力で頭を押しつけられた。首は平行な2本の枝に挟まれているから、喉が潰れる。息ができない。
「や゙め゙で……な゙に゙……」
 バシン、バシンとビンタを張られた。目の前に星が飛び交って、耳がキインと鳴った。
「ニョ、ニョドワ! ミ、ゴンゴン!」
 イマラチオを強いていた男が、萎え切っていないペニスを指し、地面を指し、地団太を踏む。吐き出した精液を下の土ごと掬い取って、私の口に押し込もうとする。
「んんん、んんっ……」
 口を引き結んで拒んだけれど。別の男に腹を膝蹴りされて。
「げふっ……!」
 口を半開きにして呻いた瞬間に、押し込まれてしまった。
「むうう……」
 吐き出したら、また同じ目に遭わされる。口の中のじゃりじゃりを、惨めな思いで苦労しながら飲み込んだ。喉が痛い。
「ジェジェ、ワァ、ゴン」
 和らげた言葉とともに、水の入った革袋の飲み口が突きつけられた。水をすすって口をすすいで。吐き出すのは怖くて、そのまま飲み込んだ。
「なに……目がまわる……」
 ソフィの声に、彼女の存在を思い出した。そちらを見ると。数人の男どもが、ソフィの身体を回していた。彼女を吊っている蔓がよじれていく。それにつれて、身体がすこしずつ吊り上がっていく。
 回転が止められると、ソフィの前に背の高い男が立った。丸太を半割りにした踏み台に乗って、さらに伸び上がるようにしてソフィを貫いた。
「ジェ、ゴンゴンゴン」
 男がソフィのV字形に開かされた両足をつかみ、自分はのけぞって、ソフィをぶん回した。
「きゃああっ……! 痛い! 止めて! 抜いて!」
 ソフィが絶叫する。
 見物している蛮族どもが、ソフィを指差してげらげら嗤う。ソフィを貫いている男だけは、嗤っていない。ゆっくり回っているソフィの足をかわしながら、回転が止まらないように両手で勢いを着けている。ソフィの身体が下がるにつれて膝を曲げ、踏み台から下りて、すれすれのところで両者の下腹部がぶつからないよう調整している。
 蔓のよじれがほどけきっても、男はソフィを回し続ける。またソフィの身体が吊り上がっていって。男が踏み台に乗って膝を伸ばしてもペニスが抜けそうになると、そこから逆向きに回し始める。
 こんなの、AVでも海外の(無料)動画サイトでも見たことがない。蛮族のくせに、とんでもない高等(?)テクニックを思いつくもんだ。
 でも、のんびり見物している暇はない。つぎの男が、私の口をふさいだ。バギナのほうにも、新手のペニスが襲いかかる。
 2本目のイラマチオは、素直にゴックンした。土を食べさせられるのは願い下げ。
「あああ……いやあ。赦して……痛いい……」
 ソフィの弱々しい声が、途切れ途切れに聞こえてくる。蛮族どもも歓声を忘れて、アクロバティックな暴行に見とれている。そのくせ、私のまわりにも、しっかりと順番待ちの列ができている。
 3本目(口と合算したら6本目)の男が、私の後ろに取りついた。
「もごっ……?!」
 アヌスをくじられて、ごく控えめにいっても、うろたえた。
 この連中にとっては、アヌスのほうがなじみ深いんだろうし。直前に使われて洗ってもいない(洗ってよ!)バギナよりは――と思っても不思議じゃない。
 でも。アヌスは未経験。初めてをレイフ°される悔しさ――を、感じている暇なんてなかった。
 ろくに潤滑も事前の拡張もされていない処女穴に、灼熱の激痛が襲いかかった。
「痛いっ! にょ、ごんごん!」
 ペニスを吐き出して叫んで。またビンタを喰らった。だけじゃ済まなかった。脇から別の手が伸びて、乳房をつかまれた。
「ニョゴンゴン、ニョゴンゴン」
 片手で私の口をふさぎながら、ゴンゴンに合わせて乳房を引っ張る。
 痛い。クーパー靭帯が引き千切られるんじゃないかと、恐怖まで感じる。
「ジェイジェイ。ムウ、ゴンゴン」
 面白がっている口調だ。
「ムウ、ゴンゴン。ジェイジェイ」
 見物している蛮族ども唱和する。それに合わせて、ますます乳房を無茶苦茶される。
 引っ張れば伸びるし、握れば潰れる。頬っぺたよりもお腹の贅肉(私には無い!)よりも――人体の中で、乳房がいちばん変形するんじゃないだろうか。ペニスだって玉袋だって、勃起したり縮みあがったりはするけど、それは生理現象で、こねくっての結果じゃない。それを面白がっている。
 男が手を放しても、乳房はじんじん痛み続けている。
「ニョ、ニョゴンゴン?」
 クチバシのジェスチャーが加わっている。
 NO,ニョゴンゴン。ヤメテとは言うな?
「じぇ……」
 口を閉ざしてうなだれることで、屈服の意を伝えた(つもり)。
「ジェ、ジェジェ」
 イラマチオを中断された男が、あらためて勃起を突きつける。
 私は顔を上げて大きく口を開けて、縛られている首を動かせる範囲で突き出して、勃起を咥えた。そして、唇を閉じて舌を這わせる。
「ジェ、ジェ。ジェイ……」
 男は私の頭をつかんで、ゆっくりと腰を動かし始めた。射精へ向かってのピストン運動ではなく、私の尻に取りついている男が挿入を果たすまでの時間稼ぎ――だと思う。
 私の(アヌスにとって)初めての男が、あらためて陵辱にとりかかった。
 さっきは、貫通していなかったのだろう。もっと熱い、もっとするどい激痛が、アヌスを襲った。めりめりと引き裂かれる感触。内臓が押し上げられる不気味な不快感。
「ん゙む゙ゔゔゔっ……!」
 歯を食い縛らないでいるには、ありったけの気力が必要だった。
 べちゃっと、男の下腹部全体が尻に密着した。
「ムウ。ミ、ミ、ゴンゴン」
 イマラチオの男が声を掛けて。ふたりが同時にピストン運動を始めた。
「んぶ……も゙お゙っ、も゙お゙っ……んぶう……」
 後ろから突かれるたびに激痛が奔って、鼻から悲鳴が噴き出る。喉の奥を突かれて、吐き気がこみあげる。バギナを突かれていたときは、かすかな快感が無くもなかったけれど、アヌスは拷問に等しい。ロストバージンのときだって、これほどまでに男の射精を願ったことはなかった。
 さいわいに。男(と動物?)しか知らなかった蛮族どもにとって、女体は初めて味わう快楽だったのだろう。ノーマルな、合意のセックスだったら、不満を態度に表わさないように苦労するくらいの短時間で、前も後ろも果ててくれた。
 けれど、終わりではない。すぐに7本目と8本目とが、私をサンドイッチにした――のだけれど。
「ジャニェ? ニョイ? ニョイゴンゴン!」
 バシンと尻を叩かれた。
「ニョイ。ワァ、ゴン」
「ニョ。ワァ、ニョ。イ、ゴンゴン」
 欲望を放出して寛いでいる連中のひとりが、焚火にくべる枯葉を両手に抱えて、私の後ろに近づいた。
 がさごそと、枯葉で私の尻と、その奥をこすり始めた。
 私は、これまでとは異質の羞恥に悶えた。事前の処置をせずに、アヌスに異物を突っ込まれたら、どうなるか。分かりきったことだ。
「痛いっ……!」
 無理な挿入で傷ついているアヌスを、ティッシュペーパーよりもずっと硬い枯葉で拭かれては、たまったものではない。切り裂かれるような痛みに、悲鳴をこらえられない。
「ごおおおん、ごおおおん」
 DOを意味するゴンをゆっくり長く発音することで、「やさしくして」というニュアンスを伝えようとした。
 伝わらなかった。それとも、悲鳴を面白がっているのか。いっそう乱暴にこすられて、鋭い痛みが脳天まで突き抜けた。
「ドワ。ワァ、ゴンゴン」
 わたしの悲鳴を、さすがに哀れに思ってくれたのか。別の男が革袋を持ってきて、水を掛けてくれた。そして――やっぱり、枯葉でこする。でも、すこしは痛さが減った。
 ついでなのか、前も水で湿した枯葉で拭いてくれた。がさつな拭き方だけど、痛みはあったけど、ほんのちょっとだけ気持ち良かった。
「駄目えっ……! ごんごん、ごんごん!」
 ソフィが金切り声で叫んでいる。顔を上げて、そちらを見ると。
 V字形に開脚されて吊り下げられているソフィを、ふたりの男が前後からサンドイッチにしようとしていた。
 私は上体を倒してギロチン磔にされている。だから、同時にふたりが可能になるけれど、バギナとアヌスを一度に犯すのは不可能か、可能だとしてもアクロバティックな形になってしまう。
 逆にソフィは――顔が高い位置にあるから、イラマチオは不可能にちかい。しかし、バギナとアヌスを同時に犯すのは難しくない。そういうことだった。
 ソフィを前後からサンドイッチにして、ふたりで協力して持ち上げて。腰を突き出し、垂直に勃てた2本のペニスをふたつの穴にあてがって。ゆっくりと下ろしていく。
 まず、U字形に丸まっている尻のあいだに、後ろの男の亀頭が隠れる。
「痛いっ……無理! やめて……ごんごん! きひいいっ……ごんごん!」
 ソフィは尻を揺すって逃れようとしているのだろうけれど、腰をがっちりつかまれているから、いたずらに上体が揺れるだけ。足をばたつかせても、足首を吊られているのだから、効果は無い。手首を縛っている蔓を握って、すこしでも身体を引き上げようとするが、男ふたりの力で引き戻される。
「ごんごん、ごんごん……!」
 ソフィは文法を間違っている。ゴンはDOなのだから、もっとやってと言っていることになる。正しく「ニョ、ゴンゴン」と言っても、殴られるだけだろうけど。
「ぎい゙い゙っ……痛い、やめて!」
 男どもは手こずっている。アヌスに突き立てた怒張が『く』の字に折れ曲がりかけている。
「ムウ、ムウ。ゴンゴン」
 ふたりが息を合わせてソフィの腰を、小さな円を描くように揺すり始めた。
「いやあっ……いやあああっ!」
 ソフィが絶叫する。太い錐を揉みながら突っ込まれているようなものだ。それだけでも耐え難い激痛なのは、私自身も体験したばかりだ。それなのに……淫裂にも亀頭がめり込んで、じわじわと押し込まれていく。隣り合ったふたつの穴を同時に拡張される痛みを、私は想像すらできない。
「お゙お゙お゙っ……きひいいい」
 ソフィが泣きじゃくっている。けれど、それは――絶叫するほどの激痛が、すこしはやわらいできたことを意味しないだろうか。じゅうぶんに訓練すれば、握り拳や腕を挿入することも可能なのだから、バージンでも2本挿しくらいでは性器を破壊されたりはしないだろう。深刻な裂傷を負うかもしれないけれど。
 いずれにしても、ソフィには申し訳ないけど、自分で体験してみたいとは絶対に思わない。ギロチン磔にされて、ほんとうによかったと――不幸中の幸いに感謝してしまう。
 それ以上は、ソフィの惨劇を目撃しないですんだ。7本目と8本目が私の処置(汚れを拭き取るというよりも、尻や太腿になすりつけたも同然だったが)を終えて、本来の目的を遂げにかかった。目の前には、男の下腹部。ペニスを咥えていては、横を向くこともできない。ソフィの悲鳴を意識から締め出して、私は男を満足させる作業に没頭した。
 ――全員が私とソフィを犯し終えるまでに2時間とはかからなかったと思う。私は15人かそれ以上の相手をさせられたから、ソフィよりは多かったと思う。私のテクニックが功を奏したというよりは、体位の違いが大きい。振り子のように揺れる女体をつかまえて、しかも立位で下から突き上げるよりは、突っ込みやすい位置と角度で固定されている穴のほうが使い勝手が良い。ただ、それだけのことだ。
 蛮族どもは私とソフィをそのままにして、夕食の支度を始めた。昼食を作った後で取り壊した竈を、また作って。肉やら発酵していないパン生地やらを焼き始める。いちいち作り直すくらいなら壊さなければいいと思うが、なにか吸う狂的な理由があるのかもしれない。
 私はギロチン磔にされたまま首をうなだれて、地面に長く伸びて蠢く蛮族どもの影をぼんやりと追っていた。最初から最後まで男どもの好き勝手に身体を使われただけで、手玉に取ることなんかできなかった。状況全体に対する恐怖と絶望の中でも、その小さな敗北感がちくちくと心に突き刺さる。このまま性奴隷として異境の地で短い生涯を終えるのだろうか。それ以上に恐ろしいのは、妊娠だ。病院どころか、ここには産婆すらいないのだろう。無事に出産できるとは、とても思えない。それとも……
「見て……トモミ! あれは月ではない。別の……なにかだわ!」
 ソフィの声で、私は現実に引き戻された。
「右の空を見て。月に似てるけど、違う天体が浮かんでいる」
 頭を上げて、ソフィのほうへねじると――盛り土のずっと上のほうに月が浮かんでいた。いや、月ではなかった。うすぼんやりとした赤色で、マスクメロンのような模様に覆われている。
「やっぱり、異世界だったんだ……」
 ソフィのつぶやきは、そのまま私の結論だった。
 そんな馬鹿な――という思いは、まだ残っている。飛行機の墜落なんて、ありふれていてはたまらないけど、ありふれている。でも、何人かの遺体が発見されないことも珍しくない。山奥とか海の底ではなく、異世界に……?
 いや。あの事故には不自然なところがあると、ソフィは言っていた。突風とかエンジンの故障とかでなく、時空間の裂け目に突っ込んだのだとしたら――異世界に飛ばされて当然なのかもしれない。
「あ、流れ星」
 あんな最悪きわまるロストバージンの直後に、よくも脳天気なことを――と、呆れてしまう。まさか、『地球に戻れますように』と3回唱えるつもりじゃないでしょうね。
「ここでは、流れ星も違う地球と飛び方をするのね」
 え……?
「どこ? まだ見えるの?」
「月の左上の――空が黒くなっている境界のあたり。ゆっくり、滑るように動いている」
 月が浮かんでいるあたりは、まだ夕暮れの空だが、ずっと西は夜の帳が下りて、都会では絶対に見られない星の海になっている。その星の海の波打ち際のあたりに、きらきら光る、金属光沢を帯びた点が――たしかに、ゆっくりと滑っていた。
 いっそ、赤と緑の光点がペアだったら、飛行機の翼の光なのに。ジグザグに動いていたらUFOなのに。
 その小さな光点は一定の速度で天を滑って、広場を仕切る土盛りの向こうへ消えた。
 ――肉の焼ける荒々しい匂いと、穀物が蒸し焼きにされる香ばしい匂いとが、空腹を思い出させた。
 性欲を満たした野蛮人たちは、ずっと優しくなっていた。私とソフィは屈辱の形から解放されて――でも、囚われの身に変わりはなかった。ソフィを吊るしていた柱のひとつに、背中合わせに座らされて、互いに相手の腹を抱きかかえる形に手を縛られた。でも、それ以上の屈辱は与えられなかった。
 男たちは焚火と私たちを囲んで黙々と食べて、その合間には、肉もパンもどきも、私たちに恵んでくれた――のではない。
 東を指し、天を指し、左の指で作ったふたつの穴に右の人差し指と中指を出し入れして見せる。
「ジェ、ゴンゴン。ジェ、ゴンゴン」
 夜が明けたら(昼になったら?)、また2本まとめてゴンゴン。食べさせてやったのだから、当然だろう――そう言っている。
 ここぞとばかり、私は愛想よく笑ってみせた。
「じぇ、じぇ。ごんごん、ごんごん」
 手を使えないから、足を開いて膝を立てて、腰を揺すった。
「ジェ、ジェ、ジェ。ニャドゥ、ジェイジェイ」
 蛮族が歯を剥き出しにして嗤った。闇の中で白い歯が煌めいて、肉食獣を彷彿とさせた。
 ――食事が終わると、男たちはそれぞれのテントに引っ込んだ。夜が明けると起きて、日が沈むと眠る。原始的だけど健全なライフスタイルだ。もちろん、彼らの生活に共感なんて絶対にしないけれど。
 私もソフィも、疲れ果てていた。バギナもアヌスもずきずきひりひりしているし、ずっと縛られていて手足も痛いし身体の節々が強張っている。けれど、このまま眠り込んだら精神が粉微塵に砕けてしまいそうな、存在の根幹にかかわるような恐怖が、眠気を寄せ付けない。
 お腹も空いていたし、喉も乾いている。昼には、肉をひとかじりだけ。夕食だって、蛮族どもに身体を嬲られながら、肉の小さな塊をひとつと、ぺちゃんこのパンのようなのを掌一枚分くらい。水だけは、1リットルくらい飲めたけど――炎天下に裸で磔けられていたのだから、とても足りない。海水を飲んでしまったのも渇きを強めていた。
 私もソフィも黙りこくって、時間がこぼれ落ちていくのを無為に眺めている。
 火を熾すのは難しいのだろう。2人の男が焚火の前に座って、ときおり枯葉や小枝をくべている。闇をほんの数十cmだけ押し返す弱々しい炎。そして、ちっぽけな人間の行為とは無縁に、夜空を埋め尽くす星の群。
 星が瞬いている。昼に暖められた海水が蒸発して、大気をかき乱しているのだろう。 瞬くだけでなく、揺れているように見える。星だけを見ていると分からないのだけれど。月(?)のすぐそばにある星が月の縁に隠れて、しばらくするとまた姿を現わす。白い月ではなく暗赤色のマスクメロンだから、ホラーファンタジーの雰囲気だ。
 ――月の表面に薄い筋が刷かれた。雲だった。薄い筋が広がって、すぐに月全体を隠す。
 もう寝よう。眠れなくても、努力をしなければ。肉体の疲労が回復すれば、心も前向きになる。前向きになったところで、希望は見い出せそうにないのだけれど。
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Nightmare rift


 星の光が揺れて、衛星の影に隠れたり現われたりする。
 これは、ヒロインが解釈を誤っています。星の光は揺れて、月や惑星の光は(ほとんど)揺れません。でも、星がかくれんぼをしたりはしません。
 実は。この薄赤いマスクメロンは、光学迷彩をほどこしたドローンです。本物の月を隠蔽して、ヒロインに異世界だと信じさせる大道具です。実際は雲よりも低いところに浮かんでいますが、背景をCCDで感知して、表面に雲の形を投影しているのです。
 ちなみに。ゆっくり滑っている流れ星は、ISSでしょう。天和であってたまるものか。


 さて。ISSはともかく。異世界衛星偽装ドローンの仕掛けを見破れる読者がいるでしょうかしら。終章で、もうちょいヒントを書くかもしれませんけど。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interrupt Report:Nightmare Rift (悪夢の裂け目)

『幼な妻甘々調教』は、月に300枚のペースで進行中ですが。
 最近読んだコミックにインスパイアされまして。こういう「ぽっちゃリアル」な絵柄も好きなので、鬱勃たるパトスです。


インスパイア



 コミックのタイトルは『鬼虫』柏木ハルコ(Big Spirits Comics)です。引用ですので、縮小もしていますので、許してね。
 絶海の孤島で暮らす裸族の元に、倭国?から漂着した娘。言葉も通じず、災厄の兆しと断定されて、海へ流されようとする――といったお話です。
 あ、倭国と書いたのは。このヒロイン、眉を剃っているぽいので。平安貴族あたりかなと、推測した次第。


 第1巻(は、某金$で無料)を読んで、速行でストーリイが出来上がりました。
 まずは、冒頭。


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墜落

 見渡すかぎりの青、青、青……と、ちょっとだけの白。パステルブルーの海と、その上に浮かぶ小さな白い雲。そのすべてを眼下に見ながら飛ぶ水上飛行機。
「どこからが空か、分からない。このファンタジックな景色だけでも、ツアーに参加した意義があるわ」
 ソフィが、エンジンの音に負けまいとトモミの耳元に口を寄せて――ついでに、トモミの太腿を大胆に撫でた。
 トモミもソフィの言葉に同意したが、手の動きには同意しかねている。
 ワールドワイド・マッチングアプリの『アドベンチャラスガーデン』が企画した『ランダムブーケ』に応募したトモミは、ソフィとのペアリングを提案された。費用はすべて主催者持ちで2週間をリゾート地で過ごし、毎日の様子を二人別々にリポートする。親密な関係に発展しても、喧嘩別れしてもかまわない。もちろん主催者としては、ペアリングに自信満々なわけだが。
 シスジェンダーでヘテロセクシャルを自認していたトモミとしては、意想外のペアリングだったが、それだけに興味も湧いた。南太平洋の観光ズレしていない小島というのも面白そうだし、大学の夏休み中というのも好都合だった。
 ジェット旅客機とプロペラ機の不定期便を乗り継いで、2週間を滞在する島に到着したのが昨日のこと。そこで初めて、リアルのソフィと会った。年齢は18歳。トモミの2コ下だが、二人が並ぶと、体格も顔つきもトモミのほうが幼く見える。ソフィはジュニアハイスクールの頃からドミナント(タチ)だったというから――ややこしい2週間になりそうだというのが、トモミのソフィに対する第一印象だった。
 そのややこしさが、いきなり頂点に達そうとしている。拠点の島から200マイル離れた無人島で、2泊3日のプチサバイバル。自分は確実に食べられてしまうんだろうなと、トモミは覚悟していた。
 ガクンと、飛行機が揺れた。雲が左前方からせり上がってきて、激しく震える。
「ダムン! しっかりつかまっていろ!」
 パイロットが叫ぶ。雲が正面でくるくる回っている。
「メーデー、メーデー、メーデー! ZKタンゴ・リマ・オスカー。エアタービュランス、ストーリング!」
 機首のエンジンから黒煙が噴き出して、その一部が床下から吹き込んでくる。目がまわっているところに煙を吸い込んで、気分が悪くなった。
「オオオ! ワーッツ?」
 真昼の明るさを圧倒する閃光が正面に広がって、ぱたっとエンジンの音が消えた。
 もしかして、これが死の瞬間なのだろうか。薄れる意識の中で、トモミはそんなことを考えていた。
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 はい。ラノベではありふれた異世界転移ですね。
 蛮族は言語体系も確立していず、ジェスチャーと混淆です。


おれ  「ミ」+右親指で胸を指す
おまえ 「ミ」+右人差指で相手を指す
彼ら  「ミ」+右手を伏せて水平
人間でないもの 「ニャ」+右手
イェス 「ジェ」
ノー  「ニョ」
疑問  「ジェニョ」:ジェスチャー伴わない
行動一般的 「ゴン」+両手
過去を指定 後ろを見る
未来を指定 上を見る
数は左手で1~5 グゥは「沢山」

※こいつは、俺たちとは違う。
ニャ(指差)、ニョミ(自分、対話者、全体を指差)。
※身体が違う。
ニョミ(乳房をつかむ、股間を叩く)
※化粧をしていなくても平然としている。
ミ(自分を指す)ゴン(自分の化粧をなぞる)、ジェ(女を指す)ニョゴン(女の身体をなぞる)、ゴンゴンゴン(そっくり反る)
※こいつは獣だ。
ニャ(女を指す)、ジェニョ(森を指す)
※働け
ウオオ! ゴンゴン(土を掘る仕草)、ゴンゴン(殴る仕草)

 などと、筆者が遊んでいます。


 さて。さんざ異世界転生などをクソミソにけなしていた筆者です。安っぽいSFモドキを書くわけがありません。
 も、ネタをばらしときますと。金力で好き放題しているが、スナッフとかには良心の呵責を感じる善良な(?)連中のお遊びです。
 二人のヒロインを弄んで循姦して。こいつらがいると、狩りも畑仕事もおろそかになってしまうと――焼き殺すのです。
 煙にむせて気を失って、墜落当時の服装のまま、拠点の海岸に打ち上げられている。蛮族につかまっていたのは数日のはずなのに、10日以上が経過している。
 実は、計算の合わない日数は(ウラシマ効果などではなく)、残虐に傷つけられた身体の修復にあてられているわけです。
 最後は、トモミの推理で真相が語られるわけですが。期限の2週間で帰国できたわけでもあるし、現地の警察でも相手にされなかったし。すべては、ひと夏の夢で泣き寝入りです。
 あ。数日間の中でも、種明かしの伏線は張りますよ。

※蛮族は成人男子ばかり。
  →小松左京の『お召し』のような異世界かもしれませんけど。
※日中の特定の時間になると、天をおおうばかりの煙を焚き上げて、大声で祈る。
  →ジェット旅客機をヒロインたちに見せないためです。
※夕方、ゆっくりと動く流れ星。
  →さすがに、宇宙ステーション(ISS?)までは想定していなかった。
※ヒロインは洞窟に閉じ込めておくか、磔にするか。村落の中を探索させたりはしません。
  →まして、森の向こう側に隠してある通信機器や燃料電池発電機においておやまあ。

 ともかく、ぶっつけで書き進めます。
 しかも。R18部分を大幅に削った健全バージョン(Notissue version)も予定しています。これは、某創作同人誌に掲載予定です。2022年刊行目標(2023年以降に遅れるほうへ、3500ガバス)。


追記:本作のタイトルは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『The Starly Rift』からのインスパイアです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:幼な妻甘々調教




Progress Report 2 →

 ペースが落ちてきて、7月中に脱稿するか田舎、怪しくなってきました。30枚ほど進んだと思ったら、半分くらい書き直したくなったり。書き直します。校訂後にさらにあれこれ弄って Fine Tuning する趣味はありません。チマチマ弄ったところで、90点が91点になるくらいのもの。それよりは、次を書きます。そうすれば、すくなくとも90+80=170点です。

 盆休みに、新妻を連れて帰省したら、嫁の破廉恥な格好(下着無し、ノースリーブ股下3cmワンピース)に父親が激怒したので、予定を早めて退散。ついでに東京へ寄って、SM用品店で本格的な鞭とかを買い込んで帰宅したところです。

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鞭打折檻

 三つどころか、僕はさらに二点を加えて購入した。ひとつは分厚い皮革に鋲を埋め込んだスパンキングパッドと、プラスチック製の教鞭だ。
 この教鞭などは、教育用品を扱っている店で買えば半値以下だろう。なにしろ、SM用品は需要の少なさもあって、馬鹿高い。掛け針(和裁用品で、洗濯バサミとリンク機構を組み合わせたような、布を咥える小道具)に釣りの錘を吊るした代物を乳首責め具として二個二千円で売っている。市販品を別々に買って数分の作業で手作りすれば、百円以下だ。
 もっとも、他のSM用品を買わなかったのは、ケチったからではない。手枷や手錠は趣味ではないし、首輪も鎖も縄も、荒物屋のほうが品揃え豊富だ。ボディハーネスなどは海外から取り寄せたカタログの写真を手本にして睦菜に手作りさせる計画でいる。
 しかし……専門店で購入すれば、いよいよのっぴきならない領域に踏み込むのだと、睦菜に覚悟をうながす効能はある。その覚悟をいやが上にも決めさせる意味で、睦菜の肌を叩く道具はボストンバッグに詰めて、本人に持たせた。
 意気揚々(は僕だけで、睦菜は悄然)と帰宅したときには夕方になっていた。
 先に風呂を沸かさせてひとりではいり、リビングルームでくつろぐ。台所で立ち働く睦菜の裸エプロン姿を、食傷気味に鑑賞する。菊枝は自分に与えられた部屋にこもっている。主婦なら台所仕事をひとりで切りまわすのは当然だが、まさか家政婦がそばで手をこまねいているのも不自然だ。新婚生活も一か月を過ぎて睦菜も家事には慣れ、最近では菊枝の出番は、夜の性技指導と、買い物や井戸端会議のお目付け役がもっぱらとなっている。
 菊枝も交えて三人で夕食を済ませ、睦菜が入浴しているあいだに菊枝が後片付けをする。
 そして、いよいよ――懲罰、それも厳罰の幕が開く。
 応接セットを隅に押しやって広げた空間の真ん中に、全裸の睦菜を正座させる。
 菊枝は乳房を丸出しにした黒のブラジャーとパンティストッキング直穿きの女王様スタイルで、睦菜の後ろに立っている。僕は、あえて普段着でソファに座って睦菜と向き合う。二人のあいだの床には、今日買った五点のSM用品と、これまでに使っていた靴ベラ、布団叩き、革ベルト、縄束が並べてある。スリッパは、僕が履いている。
「今日は珍しく、睦菜のほうから懲罰をおねだりしたね」
 まずは、言葉で辱めにかかる。
「睦菜は、懲罰に値するどんな罪を犯したのかな?」
 睦菜は全身を薄く染めて(いまだに全裸は羞ずかしいらしい)うなだれ、その視線は、目の前に並べられた――自分の肌に叩きつけられる小道具類に落とされている。
「旦那様の言いつけに逆らいました」
「どんなふうに?」
「……お店の人が見ているところで、スカートを捲ってお尻を出せませんでした」
 か細い声で答えながら、ちらちらと後ろを気にしている。
「なぜ、僕がそんな命令をしたんだったかな」
「……いろんなムチを試すためです」
 静かな部屋の中で面と向かって、それでも聞き耳を立てなければ聞き取れないほどの声だった。
「家に帰ってからなら、試しても良かったんだね」
「はい」
 安堵の息とともに返事をした。言葉で嬲られるのが終わったと察したのだろう。僕としても、その推察を裏切ったりはしない。
「では、期待どおりに試し打ちを始めよう――立て。立って、懲罰を受ける姿勢を取れ」
 びくっと、睦菜の肩が震えた。いよいよ叩かれるという恐怖ではない。僕の言葉づかいに戸惑っている。これまでなら、「立ちなさい」と優しく言ってきた場面だ。
 それでも睦菜は素直に立って、両手を頭の後ろで組んだ。股間を叩かれるために両足を開き、ぐらつかないように踏ん張った。懲罰を受ける姿勢と今は言ったが、捕虜の姿勢と言う場合もある。罰を与えるのではなくメコ筋を可愛がってやるときなどだ。
「まずは、これまでに使ってきた道具の痛みを思い出させてやろう」
 スリッパを手にして立ち上がる。
「こっちにケツを向けろ」
 睦菜の全身が、またぴくりと震えた。
「今夜の旦那様……怖いです」
 睦菜が本気で怯えている。
 最近の睦菜は、懲罰のときにもあまり怯えを見せなくなっていた。覚悟とか狎れではなく、諦めている。今の睦菜は――痛みへの予感よりは、僕の豹変におののいている。
「今夜だけじゃない。これからもずっと、怖いぞ」
 にらみつけられて、睦菜はおずおずと後ろ向きになった。そのあいだも、頭の後ろで組んだ手は保っている。
「スリッパの痛みを思い出せ」
 パアン!
 力いっぱいに叩いたが、睦菜は微動だにしない。新婚旅行のときに比べたら、たいした進境だ。とはいえ、一か月でこれでは、先々のエスカレートが思いやられる。自重しなくては。
 スリッパを靴ベラに持ち替えて、手加減無しで尻に叩きつける。
 ぶんっ、パッシイン!
「きひいっ……」
 柄の長さだけスイングが加速されるし、打撃面積はスリッパの四半分。衝撃はスリッパの比ではない。
「つぎは布団叩きだ」
 ひゅん、パチイン!
「くうう……」
 柄は長いが、打撃面積が広いし肉もあまりひしゃげない。スリッパ以上靴ベラ以下だ。
 最後に、縄束。水で濡らせばかなりの威力だが、乾いたままだと意外に空気抵抗が大きくて威力が削がれる。
 ぶんっ、バシャアン!
「きゃあっ……!」
 しかし、手首のスナップを利かせると打撃の速度がぐんと上がる。
 しかし、しょせんは尻だ。痛みは高が知れている。そうでなくては比較が難しいのだが。
「さて、いよいよだぞ」
 今日買ったばかりのうちから、最初に選んだ板製のスパンキングボードを手に取った。小さなハート形を幾つも刳り抜いてあるやつだ。
 ぶゅゅん、バシン!
 思いっきり、尻がひしゃげた。
「…………」
 睦菜は表情を動かさなかったが、内心では拍子抜けしているはずだ。スリッパと比べても、痛さはあまり変わらない。
 しかしサディスト側には、スリッパでは味わえない愉しさがある。睦菜の尻がいっそう赤く腫れたが、白いハートが転写されている。それと、空気が穴を通り抜けて風切り音が微妙に震える。急降下爆撃機ユンカース87に装備されたサイレンと同じような威嚇効果がある。
 分厚い皮革に鋲を打ったスパンキングパッドに持ち替える。
 ぶゅん、バチイン!
 びくんと、尻が前方へ逃げた。鈍角とはいえ金属鋲が肌に食い込むし、皮革のしなりが痛みに粘っこさを与える。その分、打撃の瞬間の痛みは和らぐが。
「さて。尻を叩くときは、どっちを使ってほしいかな?」
 睦菜が僕を振り返りかけて、途中で思いとどまった。
「わたしが決めてもいいのですか?」
 何度も注意されて、最近は一人称が『睦菜』で定着している。それが人称代名詞に戻ったのは、驚きの表出だろう。
「叩かれるのはきみだからね。たまには希望をかなえてあげよう」
 数秒、睦菜は考え込んでいた。そして、意外な返事をした。
「……後のほうにしてください」
「へえ。わざわざ痛いほうを選ぶんだね?」
「だって……そうでないと、懲罰になりません」
 殊勝なことを言う。
 しかし、そういった態度はサディストの嗜虐を焚きつけてくれる。
「よし。皮革製のパッドを、尻叩き専用にしよう」
 しかし、せっかく買った品をお蔵入りにするのはもったいない。
「板製のほうは、乳房専用にしてやろう」
「あ……」
 睦菜が溜め息のような声を漏らした。驚きなのか諦めなのかまでは、判然としない。予想していなかった言葉だったのは確実だ。なにしろ僕自身、咄嗟の思いつきなのだから。
 睦菜は、嬲られるための姿勢を崩していない。僕の許可が出ていないのだから当然だが、同時に、これしきで懲罰が終わるはずもないと心得ている。事実、始まってもいない。
 僕は、つぎの品を手に取った。一本鞭だ。狭い室内で振り回せる長さだ。僕の技量では、二メートルも三メートルもある、家畜用鞭(ブルウィップ)を効果的には扱えないのも事実だが。
「これは、スパンキング用の板とは桁が違うぞ」
 ぶゅんっと、素振りをくれてやる。これまで耳にしたことのない鋭い風切り音に、睦菜の全身がぴくんと震えた。
 ゆっくりと鞭を振り上げて、軽く引きずる感覚で斜めに打ち下ろす。手首のスナップはじゅうぶんに利かせて。
 ぶゅんっ、パシイイン!
「痛いっ……!」
 切羽詰まった悲鳴ではなかった。
 薄赤く腫れた尻に、鮮やかな線条が刻まれた。一晩寝ても蒸しタオルでも消えない、禍々しくも美しい刻印。これを使うときは、TPOに気をつけねば。
「つぎはバラ鞭だ」
 びゅんっ、パアアン!
「く……」
 赤く腫れた尻に太い革紐の角が擦れて、数本の線条が刻まれる。一本鞭の痕に比べれば不鮮明だ。これくらいなら、ショートパンツの裾からはみ出ていても目立たない(と、睦菜を強引に言いくるめられる)。
 最後は教鞭。以前から、使ってみたいとは思っていた。笞(硬い一本形状の物は、この字を当てる)としては弱いが、先端にある団栗様の膨らみが、打撃を一点に集中させる。繊細な突起にピンポイントで当たれば、凄まじい威力を発揮するのではないかと――想像するまでもなく、じきに確かめられる。
 それにしても。教材には、SMに使えそうな小道具が多い。黒板で使う大きな三角定規は、先端でつつくのも良し、パンティの上から(もちろん直接にでも)食い込ませるのも、趣きがある。スパンキングでは、物差しやT定規に譲るが。コンパスは、クリトリス(あるいは膣)を中心にして双つの乳首に円を描ける。縄跳びは、緊縛はもちろん、グリップを双穴に突っ込むという使い方もできる。チョークを尿道に……いや、妄想が過ぎた。しかし睦菜が、つい数か月前まではそういう環境にいたと思うと、彼女の同級生は今もそうなのだと思うと、背徳の淫愉を禁じ得ない。
 妄想に終止符を打って――いや、妄想を具現化させて。
 しゅん、ビシイッ!
「痛いっ!」
 一本鞭に比べると、悲鳴には余裕があった。しかし僕としては、鞭よりも手応えが直に伝わってくるので愉しい。
「今の三つでは、どれがいちばん痛かったかな?」
 睦菜は迷わずに答えた。
「最初のが、特に痛かったです」
「では、いちばん楽だったのは?」
 これにも間髪を入れず返事をする。
「指示棒です」
 最近ではそういう言い方をするのかと、勉強になった。会社での会議にも使うことを考えれば『教』の文字は当てはまらないし、民主教育に『鞭』の字は不適切かもしれない。それはともかくとして。
「そうか。この三つは、どこ専用とはせず、罪の重さによって使い分けることとしよう」
 鞭と笞はダイニングテーブルに片付けて、部屋の隅に押しやってある応接テーブルから(叩くためではなく縛るための)縄束を手に取った。
「試し打ちは、これで終わりだ。お仕置きを始める。手を後ろにまわせ」
 懲罰を受けるのは罪人だから、縛られていて当たり前。そんな理屈を、睦菜は(内心はともかく)受け容れている。と同時に、同じ罰を与えられるのなら縛られていたほうが楽だと、身体で納得している。
 手の動かせるのに鞭打たれる部位を庇わずにいるのは、意志の力を要求される。メコ筋打ちは二度しかしていないが、最初のときはテーブルの上で逆海老に縛られるのを嫌がったので、床の上でブリッジをさせてやった。もちろんブリッジは一発で潰れて、二打罰の追加。捕虜の姿勢でも、すぐに両手で股間を押さえて崩折れた。
 腕をいっぱいにねじ上げて高手小手に縛り、胸縄で乳房を絞り出す。ダイニングの椅子を持って来て、後ろ向きにして背中にあてがい、椅子の脚に足首を縛りつけた。睦菜が足を開いたままでいる努力をしないですむように、膝を背もたれの両端につないでやる。
 それまでは羞恥が勝って薄桃色に染まっていた肌から血の気が引いていく。この姿勢で縛られるのは、(今のところは)もっとも厳しい罰であるメコ筋打ちを意味すると、察したのだろう。おおむねはその通りだが、今夜の主目標はメコ筋ではない。
「猿轡が必要かな?」
「お願いします。睦菜に猿轡を噛ませてください」
 ためらわずに、教え込んだ作法通りに返事をする睦菜。家の中とはいえ、大声で叫べば隣家にも聞かれる。だから悲鳴を封じられる安逸にも、睦菜は狎れてしまっている。言葉を発せないつらさも、今夜は教えてやるつもりだ――などとはおくびにも出さずに、手製のボールギャグを睦菜に噛ませた。
 スーパーボールという玩具が数年前に流行って、今も子供に大人気だが、実に使い勝手が良い。直径五センチほどのボールに穴を開けて(見た目を美しくするために)工事現場などで使うトラロープを通せば、関西(kinky)用品よりも、よほど優れたボールギャグになる。今日の店にもボールギャグは売られていたが、中空のプラスチック球に呼吸のための穴が幾つも開けられているから、(意味をなさないにしても)声が漏れるし、やたらと涎が垂れて跡始末が面倒だ。もっとも、開口が無いと窒息の危険を伴うから、たとえばひと晩放置する場合などには適さないのだが。
 小から大のスーパーボールを順番に金属棒で串団子にした物も、いずれは作るつもりでいる。唯一残された処女穴を拡張するときには、これを使う。その他にも――小さめの物を柔軟なロープで数珠つなぎにすれば、縄褌よりもはるかに刺激的だろう。
「んん、んんん……」
 睦菜の鼻声で我に還った。
 猿轡を噛まされると、睦菜は決まって小さな声で呻く。たしかに声を封じられたと、自分に言い聞かせているのかもしれない。諦めと甘えの綯い混ざった、媚びるような呻き声だ。
「人前で僕の言いつけに逆らったんだからね。僕やお菊さんだけがいる場所での反抗に比べたら、罪はずっと重い」
 僕は迷うことなく教鞭を懲罰の道具に選んだ。
「とはいえ、この一か月間はおおむね恭順だったし、第三者のいる場所で公然と逆らったのはこれが初めてだ。だから今日のところは、おまえがいちばん楽だと言った教鞭で赦してやろう」
 判決を言い渡しながら、教鞭の先端の膨らみで乳首をつつく。
「んん……」
 睦菜は僕を上目遣いに見上げて、こくんとうなずいた。寛大な処置(では、ないのだが)への感謝を表わそうとしたのかもしれない。そうでなくても、拒否の意図など無いということだ。
「左右交互に十発ずつだ」
 睦菜が安堵めいた表情を浮かべた。これまでも、乳ビンタが十発以下だったことはない。せいぜいその倍なら、革ベルトに比べて華奢に見える教鞭なのだから、たいしたことはないとでも勘違いしているのだろう。
 乳房の中ほどに先端を当てて、腕を伸ばした分だけ下がって。
「いくぞ」
 鞭を振りかぶって斜めに打ち下ろした。
 しゅん、ビシイッ!
「ん゙む゙ゔっ……?!」
 上体が大きく揺れて、ガタタッと椅子が動いた。予想していたより痛みが激しくて、たじろいだのだ。
「あら、せっかく縛っていただいたのに、じっとしてられないの?」
 菊枝が椅子に跨った。重しになるだけではなく、睦菜の両脇に手を差し入れて上体を押さえた。
「ありがとう。これで狙いをつけやすくなる」
 バックハンドで右の乳房を打ち据えた。
 しゅん、ビシイッ!
「む゙ゔゔっ……!」
 上体は微動だにせず、乳房だけがぷるるんと弾んだ。
 いっそう慎重に狙いをつけて。今度は打ち据えるのではなく、教鞭を右から左へ振り抜いた。
 しゅん、ピシイイッ!
 教鞭は乳暈のすぐ外側に当たって、乳首を薙ぎ払った。
「ん゙ま゙あ゙ーっ!」
 睦菜が、のけぞって絶叫する。
 これまでも革ベルトで乳首を狙って打ったことはある。しかしベルトの幅に打撃が分散するから、痛みも乳房全体に広がる。ピンポイントに激痛が集中するのは、睦菜にとって初めての体験だろう。
 僕はいっそう慎重に狙って、バックハンドで右の乳首も薙ぎ払った。
 しゅん、ピシイイッ!
「む゙も゙お゙お゙っ!」
 ふたたび睦菜がのけぞって、くぐもった悲鳴を噴いた。
 悲鳴の大きさを参考に力を加減しながら、十発を打ち終えた。乳房には短く薄い鞭痕が刻まれているだけだが、乳首は熟したグミの実のように赤黒く膨れている。指でつまむと、いつもの硬くしこった手触りではなく、熟しきった果実のようだった。
「頑張ったね」
 果実を潰してしまわないように、親指と人差し指の腹でやさしく転がしながら、いたわりの言葉を掛けてやる。
「じゅうぶんに罰せられたと思うかな?」
 はっと、睦美は顔を上げて。すぐに目を伏せた。こくんと小さくうなずく。
「黙っていては、わからない。じゅうぶんに反省しているのか?」
 こくこくと、睦美がうなずく。しかし、僕は重ねて問いかける。
「これ以上の罰は赦してほしいのなら、そう言いなさい。沈黙は反抗と同じだ」
「んんん、んん、んんん!」
 睦菜は激しくかぶりを振る。
「そうか。ちっとも反省していないのか。乳首だけで赦してやるわけにはいかないね」
「んんんっ、んんん!」
 睦菜はいっそう激しく呻いて、いっそう激しくかぶりを振る。
「それとも、お豆にも罰がほしくて、わざと反抗しているのかな?」
 睦菜は呻くのをやめて、僕をにらみつけた。頬が紅潮しているのは、理不尽への怒りだろう。この勁(つよ)い精神は尊重してやらねばならない。調教とは、理不尽を無批判に受け容れさせることではないと、僕は思っている。理不尽を押し通されることを怒り、しかし撥ね返せない自分の無力に打ちひしがれる。つまり、愛奴には人間であり続けてほしいということだ。もちろん、それは僕の哲学であり、睦菜にも菊枝にも打ち明けるつもりなどない。
「そうか。そんなにお豆を鞭打ってほしいのか。ずいぶんと淫乱になったものだね」
 事前には打ち合わせていなかったのだが、菊枝は僕の意図を察して。左手で睦菜の腰を抱え込み、右手を股間に這わせた。すっかり縮こまっているクリトリスをほじくり起こして、一か月前の睦菜だったら悲鳴をあげただろう激しさで――つまみ、こねくり、包皮をしごく。そんな乱暴な愛撫にも反応するまでに、睦菜は馴らされ開発されている。
「こんなに尖がってますわ。あ、そうだわ」
 菊枝は自分の髪を数本抜いて、僕に手渡した。
「これを巻きつけてやったら、いかがかしら」
 なるほどと思った。いったん教鞭をテーブルに戻して、髪の毛を実核の根元に縛りつけた。
「ん゙も゙お゙っ……む゙ゔゔゔ……!!」
 髪を振り乱して狂乱する睦菜。クリトリスをくびられるだけでも、相当な刺激だ。ますます充血して、ミニチュアサイズのペニスさながらになる。手を放しても、包皮は元に戻らない。
「ん゙む゙む゙む゙……も゙お゙お゙っ!」
「うるさいぞ」
 ぱちんと、軽くビンタを張ってやった。
「声を出すな。静かにしていれば、三発だけで赦してやる」
 ぴたりと、呻き声が止まった。
「んん……?」
 すがりつくような目つきというものを、僕は初めて見た。愛おしさが込み上げてくる。しかし始末の悪いことに、嗜虐の炎も激しく燃え上がる。
「悲鳴をあげるごとに、二発を追加するぞ」
 睦菜の返事を待たずに、僕は教鞭を下段に構えた。じゅうぶんに間合いを測る。
 重しとして椅子に座っている菊枝が、両手で睦菜の腰を支えた。睦菜は椅子に縛りつけられたまま、ウィリアム・テルの息子さながらに凝固する。
 しゅんっ、ブシッ!
「……!!」
 打たれた瞬間に、睦菜は爪先立った。わずかでも激痛から逃れようとしての、無意識の動きだろう。
 ふうっと、睦菜が大きく息を吐いた。耐えられたという安堵の思い。
 しかし、今の一発はクリーンヒットではない。空振りをしないよう、淫裂の中心を狙ったのだ。教鞭は淫裂をこすって勢いを削がれてから、クリトリスを叩くというよりもこすり上げた。とはいえ、巻きつけておいた髪の毛が吹き飛んだのだから、決してやわな一撃ではない。
 しかも、小指の先よりも小さな突起に、ペニスと同じ数の神経が密集している。睾丸を蹴られた痛みが女に理解できないのと同様、クリトリスを虐められる辛さは僕には想像もつかない。
※クリトリスにはペニスの二倍もの神経が集まっているという知見は、二十世紀末以降のものです。
 とはいえ、出産という原初の試練に耐えるように作られている女の身体だ。クリトリスへの責めなど、高が知れているだろう――というのは、男の身勝手な想像でしかないが。
 急速に萎えて皮をかむったクリトリスを直接狙うのは難しいので、二撃目も最初と同じところを狙った。
 しゅんっ、ピシッ!
 ドングリの先端が、かろうじてクリトリスを掠めた。しかし、当たってはいる。ピンポイントへのショックは、むしろ大きい。睦菜は反射的に爪先立って、それから前へ倒れかけた。が、菊枝に引き止められた。
「お菊さん、顔を引き起こしてくれ」
 睦菜をのけぞらせておいて。三撃目は上から打ち下ろした。
 しゅんっ、ビシイン!
 ドングリがクリトリスを直撃して、肉にめり込んだ。
「も゙っ……!!」
 睦菜の膝から力が抜けて、その場に崩折れかけるが――膝を巻く縄と菊枝がつかんでいる髪の毛で、宙ぶらりんめいた姿勢で止まった。
 ちょろちょろっと、股間から水が滴った。フローリングに水溜りができていく。男と違って、小便を途中で止めるのは難しい。今の睦菜には、その気力もないだろう。
 僕は着ていた服を脱いで、絨毯にかぶせた。
「んんっ、んんん、んっ……」
 これまでになく切迫した様子で、睦菜が呻く。顔を真っ赤にしている。ただならぬ様子に、ボールギャグを取ってやった。
「ごめんなさいっ……!」
 叫んで。泣きじゃくる。
「縄を……ほどいて。掃除、します……お願いです」
 言葉を封じたまま返事をしろと言われたときよりも、よほど取り乱している。僕の理不尽な仕打ちよりも、自身の失態を愧じている。
 もしかすると、睦菜は天性のマゾヒストではないだろうか。いや……たった一枚きり買った宝くじが一等に当たるような僥倖に恵まれるはずがないとすれば。女性が誰しも裡に秘めているマゾ性向が、この一か月の調教で引き出されたと考えるほうが、合理的だ。
 いずれにしても。睦菜への愛おしさが、ますます募る。睦菜への嗜虐に、いっそう執着する。
「お菊さん。睦菜に跡始末をさせてやってください」
 僕はソファに座って、煙草に火を点けた。
 菊枝が縄をほどいて、睦菜を椅子から解放してやった。しかし、後ろ手に縛った縄は残している。小水にまみれた僕のシャツをつまんでバスルームへ持って行く。そして、水を汲んだバケツと雑巾を持って来て、床に座り込んでいる睦菜の前に置いた。
「あの……?」
 睦菜が、僕と菊枝とを交互に見上げる。
 予想外の展開でも、すべては僕の掌の上といったふうを装って、紫煙をくゆらす。
「掃除をするんでしょ。いっそのこと、舐めて取ったら?」
 睦菜が顔を引き攣らせた。怒りに蒼褪めて……また、頬を紅潮させると。
 床に身を投げ出して、ほんとうに小水を舐め始めた。
「おいおい……」
 菊枝は、僕が思っていたよりもサディスチンだ。これまでに何人かマゾネコを放し飼い(同棲には至らない)にしていたが、三か月と続かなかったというのも、頷ける。
「お菊さんが、せっかく雑巾を持ってきてくれたんだぞ。ちゃんと使いなさい」
 聖水プレイもいずれはと考えていたが、それは僕の『聖水』だ。彼女自身の汚水を舐めさせることまでは考えていなかった。しかも、調教一か月目にして。
 睦菜は床に這いつくばったまま上体をもたげて。納得した顔つきになって、バケツの縁に掛けられている雑巾を口に咥えた。床に落として、雑巾の一端を咥えたまま頭を左右に動かしたが、ほとんど拭けていない。
 僕がサディスティックなアドバイスをする以前に、睦菜は雑巾に顔を押しつけて、雑巾で床を拭くとも顔を拭くとも判然としない動作を始めた。自分の小水を顔になすり付けているにも等しい。
 雑巾がじゅうぶんに小水を吸い取ると、また口に咥えてバケツに浸けた。そこで、途方に暮れる。上体を起こして床に座り直し、今にもバケツに顔を突っ込みそうな風情。さすがに菊枝がバケツから雑巾を拾い上げ、絞ってから床に投げた。睦菜が、いそいそと雑巾に顔を突っ込む。
 それを何度か繰り返して、床は綺麗になった――と言いたいところだが、薄い染みが大きく広がったに過ぎない。絨毯を敷いていたら、床は汚れずに絨毯だけを取り換えて済んでいたところだ。這い這いをする赤ん坊が絨毯から抜ける遊び毛を吸い込んだら喘息になると、婦人雑誌か何かから聞きかじった知識をふりかざして、前妻が撤去してくれたおかげで、まあ、フローリングの修繕代金くらい、かまいはしないが。
 最後に菊枝が雑巾をよく絞って、それで睦菜の顔を拭いてやった。タオルを使わないのだから、恥辱プレイだ。
「よく頑張ったね」
 僕はソファから立って、睦菜を抱き起こしてやった。そのまま唇を近づける。
 睦菜が、あわてて顔をそむけた。
「汚いです」
 短い婚約時代には何度かキスをしたが、結婚してからは一度もしていない。愛奴をそこまで甘やかすなど、とんでもない。
「たしかに、汚いね」
 僕の言葉に、緊縛された裸身が腕の中で強張った。
「自分の小便を舐めたり、僕のペニスを咥えたり。だから、これは飛び切りの褒美だよ」
 睦菜が僕を振り返った。小さく唇を開けて、目蓋を閉じている。
 僕は睦菜に口づけをしてやった。だけでなく、舌で口中を貪った。強張っていた睦菜の裸身が、軟らかく蕩けていく。
 鞭に対するバイブよりも、よっぽど効き目のある飴だった。
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 WORDでは、ポイントしてしたりフォントの色を薄くしたり
「恥ずかしがって、かろうじて聞き取れるような声で訴えている」
のを表現していますが。ブログ掲載時には、そこまで手を入れません。製品版をお楽しみに、です。

 今回は、別の表紙絵(構図案)でお茶を濁します。
※構図

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Extra Sensory Penetration 本日発売!

 といっても。BOOTHではフライングしていますし、BOOK☆WALKERは登録を忘れていて、さきほど申請したばかりですので、発売は明日以降ですが。

 過去に魔女狩りなどで迫害されてきた超能力者たちが、ひそかに自衛組織を作っていて、各国政府(一部独裁国家は除く)とも連携して、現在の科学力では防ぎ得ない災厄を未然に防止している。そういう設定です。
  過去の危機例:キューバ危機(フルシチョフへの遠隔マインドコントロール)
         水爆搭載機墜落(核爆弾の暴発を阻止)当時は、一発の暴発が即第三次世界大戦につながりました。
         小惑星の地球衝突
 突然の危機に、ESP(サイキック)に目覚めた女子大生。しかし、その潜在能力は[組織]の超能力者を火縄銃にたとえるなら、30mmバルカン砲にも匹敵する。しかも、自身で制御できていない。[組織]はやむなく、ヒロインのESPを消去する決定を下す。それは――快感と苦痛を同時に与えて、その極限における『対消滅』だった。


 という、お話です。(膣アクメ+クリアクメ)×(鞭アクメ+縄アクメ+針アクメ……)です。
 SF仕立ての、基本的には短いストーリーです。
 ここに、ヒロインが意識喪失しているあいだに、過去の悲劇を追体験させます。魔女狩り、ジャンヌ・ダルクなどです。この拷問シーンが、どうせ彼女たちが殺されるのは歴史的事実なのだからと、凄まじいのです。
 SFとしても、本格です。第12回ハヤカワ・SFコンテスト参考作受賞作家の野波恒夫が全面協力しています(^^ゞ
 SFとしてもSMとしても、是非読んでおく作品です
(かしら?)

紹介画像

販売ページ
DLsiteFANZA/BOOK☆WALKER/RakutenBOOTH

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