Progess Report Retry 2:昭和集団羞辱/ストリップ嬢



 まさか、COVID-19がMM88になったりはしないと思いますが。
 注:88といっても、ドイツの高射砲兼対戦車砲ではないです。『復活の日』です。
 ともかくも、11月予定の大量爆撃戦果発表までは、死にたくないものです。いや、ずうううううううううううううううっと、生き続けたいですが。宇宙開闢以来の138億年にくらべたら、人生百年なんて須臾の刹那の一瞬間ではありますが。
 不景気な話はやめて、本題へ。


 ストリップ・デビューに失敗した白鳥麗華こと白川五十鈴は、マネージャーの手助けで『白鳥の湖』を演じて、猟師に射たれて羽毛(チュチュ)を毟られて、呪いが解けて全裸美女に変身。あれこれイタズラされて。瀕死の白鳥ですから、ふつうに『御開帳』できなくて。大股開きで舞台から足を垂らして気絶してるのを、観客のほうが行列して順繰りに見物。この様子を『月の石』か『パンダ』にたとえたかったのですが、1961年当時には未来の出来事なので、割愛。
 行列して拝観するのですから、人情としても『御賽銭』をはずみます。

 このマネージャー、作者も驚くアイデアマンでした。
 客演のコンビが不人気なのも、ピンチヒッターを買って出て、同じ設定同じ舞台装置で、大当たりを取ります。


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 五月十一日から拠点のモダン・ミュージックシアターでの公演が始まった。花園一座も四人になったし麗華がまだまだ珍しがられるので香盤に不足はないが、劇場側の横のつながりで客演を迎えることになっていた。共産主義革命で亡命してきたロシア人の孫娘ナターリャと、日本人の苦学生(と自称している)丈二。サドマゾ・ショーを演じるという。五十鈴は初めて聞く言葉だった。エログロの世界では一部の雑誌を通じて認知されつつあると、これも本郷の解説だった。
 前日のリハーサルで観た五十鈴の感想は――(女の人を虐める男なんて、最低!)という、当時としては至極まっとうなものだった。
 香盤を落語の寄席風にいうなら――食い付きが、仕掛けに時間のかかるナターリャと丈二のサドマゾ・ショー。つぎが美蝶で、麗華が膝前、膝代わりがリリーで、トリは姉妹レズビアン・ショーという順番だった。
 いつもは使われない舞台前の幕が客席の視線を遮って。二本の太い柱が舞台中央に立てられ、上下を横木が支える。そこに、ガターリングだけを太腿に巻いた全裸のナターリャが大の字に磔けられた。真ん中に結び玉を作った手拭いが、ナターリャの口をふさぐ。
「あれくらいはしないと、声は封じられないんだな」
 映画なんかでは、ただ口を布で巻くだけの演出が多いのを、リハーサルのときにリリーが指摘している。彼女は踊りに直接関係ないことまで貪欲に『勉強』して、芸の幅を広げようとしているのだと、五十鈴にもわかりかけている。
 詰襟服に肩章を貼り付けて腕に『憲兵』の腕章を巻いた丈二が、横に立って。音楽が始まらないままに、幕が開いた。
 観客が、ちょっとどよめいた。半面、どこかシラケた空気も漂っている。
 丈二が、手にしていた竹刀をナターリャの乳房に突きつけた。ナターリャが大袈裟にかぶりを振った。丈二が乳房を竹刀で叩いた。リリーよりも豊満な乳房が、はっきりとひしゃげて、ほんとうに叩いていると観客にもわかる。ナターリャが顔をのけぞらせ、全身を震わせて苦痛を身振りで訴える。
 もちろん、じゅうぶんに手加減している。リハーサルのあと、裸身には叩かれた痕がほとんど残っていなかった。手足の縄跡のほうがずっと痛々しかった。
 顎を持ち上げて顔を近づけて、尋問する芝居。ナターリャがかぶりを振って。また乳房を叩かれる。身体をくねらせて、痛みを訴える演技。
 丈二が背後にまわって、尻を叩く。
 叩かれるたびに、ナターリャが大袈裟に身悶える。
 五分ほどそれを繰り返してから。丈二が竹刀を投げ捨てた。ナターリャの背後から抱きつくようにして、乳房を愛撫ではなく弄んで虐める。ナターリャは正面を見据えて、恥辱に耐える風情でじっとしている。
 丈二の手が下へ滑って、股間を襲った。中指を曲げて、実際に穴を穿っている。それは舞台を見上げる形になる観客にも、見えているはずだった。ナターリャが腰をくねらせても、掌が下腹部に貼り付いているので指からは逃れられない。
 ナターリャがいっそう激しくかぶりを振るのだが。快感に悶えているのか性的拷問に恥辱を感じているのか、どちらにも受け取れる。
 丈二が指を三本にした。手の平で下腹部も揉みしだく。ナターリャが全身で身悶えして、やがて全身を弓なりにして一切の動きを止めた。
 十秒。丈二が指を引き抜くと、がくりと白い裸身が崩れた。
 丈二が足首の縄をほどき、手首も解放した。くてくてっと、ナターリャが床に突っ伏して。スローテンポの煽情的な音楽が流れ始めると、しゃきっと立ち上がった。右脚を軽く後ろに引いて、貴族令嬢風のお辞儀をした。
 パチパチパチとお義理の拍手。
 最初に本舞台の端から端まで『御開帳』をしてから花道に進んで、最後に回転舞台。チップはそれなりに差し出されたが、麗華よりはすこし多い程度。両手で上下に脚の手を包んで受け取る。
 『御開帳』をしていた手で握手するよりも、もっと客受けのする受け取り方を考えようと五十鈴は思った。
 ――その日の四回の公演は、ごくふつうに終わった。リリーが新しい振り付けを披露して、ファンからいつもの五割増しくらいのチップをもらったのが、いちばん大きな出来事だったろう。そして五十鈴は――処女膜の噂を聞いて見物に訪れたイチゲン客の注目を浴びてはいたが、常連客からの受けは良くなかった。色気、あるいは情緒に欠けると指摘されて、それなりに仕種を工夫してみたが、どうにもいけない。ストリップ・ショーを演じるという、いわばスタートラインからは本郷の手助けで走り出せたものの、ストリップ嬢としての最初の壁に突き当たって、なかなか乗り越えられないでいるのだった。
 いっそ、処女を捨てて――男女の交わりを体験すれば色気も自然と出るようになるかもしれないとは思うが、美蝶に言われるまでもなく、それが最大の武器なのだ。あいかわらず、美蝶もリリーも助言はしてくれない。

 土曜日に、SMショーが急遽取りやめになった。明け方に丈二が激しい腹痛を起こして救急車で運ばれて――盲腸炎だった。生命がどうこうという病気ではなく、ナターリャも取り乱したりはしなかったが。責め役の男がいなければ休演するしかない。
 ここでも、本郷が男気を出した。というか、マネージャーとして頑張ったというべきか。代役を買って出たのだ。
 ナターリャと丈二は、実生活でもサドマゾ的な身体の関係を持っている。彼女にしてみれば、本郷との共演は『浮気』に思えたのかもしれない。
「入院費をどうするんだ。丈二に復学を諦めさせるのか?」
 二人とも親から縁を切られていた。丈二は昨年の後期から休学して、このさき二年分の生活費を稼ぐために、ナターリャを説得して性癖を実益につなげている。国民健康保険を切り替えていないので、全額負担になる。
 結局、ナターリャは承諾するしかなかったのだが。演出を本郷流儀に変えることを提案されて、それが彼女にしてみればとんでもない破廉恥に思えたのだろう。さらに二十分ほども小声で言い争っていた。
「これまでの三倍は稼がせてやる。俺にまかせとけ」
 丈二のように指でこねくったりはしない。金と貞操と、両面から説得されてナターリャが折れた。
 麗華に『仕留められた白鳥の湖』を演じさせたときと同じで、新しい演出の練習は要点だけが事前に一座の三人にも披露させた。それは、チップの受け取り方だった。
 五十鈴は度肝を抜かれた。キャシーは下の唇に客の手を挟んでいたが――本郷がナターリャに仕込んだやり方は、絶対に今の五十鈴には真似のできない、途方もなくエロチックというより淫らな仕種だったのだ。
 日曜日に座長とマネージャーが同伴して丈二を見舞い、本郷のとのコンビを承諾させた。本郷はひとりで市内を巡って小道具を買い付けてきた。赤い鉢巻を巻いて金色の星を付けたツバ付き帽子と、本物そっくりの拳銃と手錠。葉巻と犬の首輪と鎖。
 そして、百個ほどの駄菓子。小粒チョコレートだった。新発売のマーブルチョコレートよりひとまわり小さなプラスチック容器に、ずっと小さなチョコ粒が詰められている。ショーで必要なのは容器のほうだが、食べ物を捨てるなんて、とんでもない。飴玉なんかを入れる広口瓶に詰め替えた。
「この歳になってニキビなんか願い下げだからね。一雄、自分で始末しなよ」
「大丈夫です。小分けにして、同室の患者さんに差し入れます」
 早くも息の合ったコンビの片鱗をうかがわせるナターリャの言葉に、なぜか五十鈴の胸にチクッと棘が刺さった。
 ――新演出のショーは、大成功だった。
 二本の柱に大の字磔にして猿轡を噛ませておく、いわゆる『板付き』で始まるのは同じだが、ナターリャはパンティを穿いていた。その状態で、音楽無しで幕が開いた。
 詰襟服に肩章を貼り付けた本郷がおもむろに登場する。軍帽をかぶって、腰に拳銃のホルスターを吊っている。左手に大きな鞄と、右手には細い笞。これも手作りだった。ハタキの柄を縦に裂いて手元は茶色の布で巻き締め、途中の三か所をタコ糸で縛っている。そし先端には革バンドの端を切り取って薄く二枚に削いだ長方形が割った竹に挟まれている。
 ビュン!
 ナターシャの目の前で笞を素振りする。そして、大きく振りかぶって乳房を打ち据えた。
 パッシイン!
 音は派手だが、ビンタほどにも痛くない。簡単なリハーサルで体験して、ナターリャも本郷の言葉に同意はしていたが。女の急所を叩かれるのだから――手足を突っ張って頭をのけぞらせたのは、まったくの演技というわけでもなかった。
 左右の乳房を一発ずつ叩いて観客を芝居に引きずり込むと、本郷は背後にまわって、尻を立て続けに叩いた。
 それから、丈二と同じように尋問の芝居。ナターリャもかぶりを振って、容疑を否認する。
 業を煮やしたといった演技で、本郷がパンティの中に手を突っ込んだ。
 ジャーンン!
 不意打ちのシンバル。引き抜かれた手には、細い銀色のパイプが握られていた。これも昨日仕入れた小道具。舶来品の高級葉巻のケースだった。キャップを開けて、中に隠されていた紙を引き出す。紙とナターリャの顔を交互に見比べると、激した様子で髪をつかんで顔を上げさせた。左手は垂らして、紙片が観客に見えるようにしている。赤丸や赤線が描き込まれた地図だった。ナターリャがスパイだと、わかり過ぎるほどにわかる。
 パンティが(脱がされるのではなく)引き千切られた。
 鞭の柄にコンドームがかぶせられて、それが股間を穿った。約束通り、指でこねくってはいない。
 ナターリャが恥辱に悶えているのは演技だが。本郷に引きずられて真に迫っていた。
 本郷が後ろにまわって。ぐいと肛門に鞭の柄を突き挿れた――のは、観客の死角になっているから真似だけだったが。
 やがて、本郷が拳銃を引き抜いた。一メートルほど離れて、銃口をナターリャに向けた。ナターリャが柱を揺らすほどに身悶えしながら、脳震とうを起こすんじゃないかと観客が心配するほどに頭を振り続ける。
 本郷が近寄って。こめかみに拳銃を押しつけたまま、何事かをささやく。実際には「オープンショーの時間だぜ」くらいのことを言っているのだろうが。
 ナターリャを磔から解放して、前で手錠を掛けた。首輪を巻きつけて、鎖の端を本郷が握った。舞台の端へ引きずっていく。
 鎖を引っ張ってナターリャをひざまずかせ、靴で腿を蹴って開脚させた。頭に拳銃を突きつけて、『御開帳』を強いる。
 紙幣が差し出される。すぐには受け取らず、本郷が客に駄菓子の空容器を手渡した。機密地図をどこに隠していたかを思い出して、客が紙幣丸めてを空容器に突っ込んだ。それを股間に押し込まれても、ナターリャは拳銃を突きつけられているので逆らえない。
 たちまち、まわりから何本も手が伸ばされる。鞄の仕切った片側に詰めてある空容器を渡す一方で、押し込まれたチップをつぎつぎと引き抜いては鞄の空いた側に放り込んでいく。
 ナターリャが移動すると追いかけてきて、二度三度とチップをくれる客も何人かいた。
 退出するときにも、ひと工夫があった。どんっとナターリャを袖に(転ばないように気をつけて)突き飛ばすと、おもむろに拳銃を射った。
 パアン!
 紙吹雪が飛び散って、観客の笑いを誘った。客の興奮を最後まで引っ張っておいて、不意打ちにリラックスさせる。後の出演者のことを考えた憎い演出だった。
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 実は、この『板付き』というか、初っ端から全裸大の字磔のSMぽいショーは、作者が学生時代に実際にストリップ劇場で観たものです。芸が無いなと、シラけたものです。でも、SMそのものが珍しかった当時、下半身は大興奮でした。

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