Progress Report 6:昭和集団羞辱史『売春編:女護ヶ島』

Progress Report 5 →

 今回はピンク宴会のシーンです。
 ネタは色々考えていましたが、あまり盛り込むと長くなりすぎるので絞り込みました。
 現在のエロゲーム定番はツイスターですが、これは1965年に米国で発売されたので、1961年を舞台とする本作品には出せません。

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 酌婦の控室に使われている広間に三十人以上がひしめくと、羞恥心なんか消し飛んでしまう。白粉の匂いと若い女性の体臭とで、学校の更衣室よりも女臭い。透け透けの露出衣装の集団。名札は着けていないから、食堂で挨拶したときより厚化粧の顔と覚えたばかりの名前とが結びつかない人が多い。
 四人だけ、バスガイドみたいな服装の女性が混じっている。といっても、絶対にバスガイドではない。紺色のスカートはパンツが見えるあたりまでスリットがはいっているし、上に着ているのは素肌に紺色のチョッキだけ。昼に食堂で挨拶をした人の中にはいなかったように思う。
 皆でわいわいがやがやする中で、美冬は隅っこでぽつねんとしていた。
 じきに女将が背広姿の男性を従えて、姿を現わした。社長ではない。胸に『副支配人』の名札を付けている。
「今日は二十名様と十四名様の宴会があります。それと、お座敷は五名様が一組と三名様が二組です。二十名様と十四名様は、置屋からの派遣さんに仕切ってもらいます。エロい恰好のバスガイドが二人ずつにわかれて女将の両側にたった。
「まず、二十名様の担当は――千夏さん、百美さん、百花さん、百菜さん、夢路さん、夢香さん……美秋さん、美冬さん。以上の十人でお願いします」
「はいっ」
 名前を呼ばれたので、つい学校の習慣で元気よく返事をして、くすくす笑いに包まれた。
「おかしくなんか、ないですよ。皆さんも美冬さんを見習いなさい」
 たしなめる女将自身が、袂で口を隠している。
「皆さんも御承知のように、美冬さんは今日が初仕事けです。いろいろと教えてあげてくださいね」
 そこで、美冬に目を向ける。
「無理はしなくていいですからね。さっきも言いましたけれど、お客様と肌が合わなければ、今夜のところは自由恋愛はしなくてもいいですから」
「……はい」
 とは答えたけれど。もしかして試されているのかなとも思った。それに――肌が合うかどうかは、それこそ肌を合わさなければわからないだろう。
 女将は従業員の割り当てに戻って。十四名の宴席には七人、五名のお座敷は三人、三名の二組には二人と一人。
 十人と七人は、それこそバスガイドに引率された観光客さながらに、ぞろぞろと広間から出て行って。いよいよ、美冬の初仕事だった。
 ――最初にガイド嬢が宴会場にはいって。短い口上の後で。
「では、皆さまお待ちかねの桃色酌婦さんの登場です。隣に迷惑にならない程度の拍手でお迎えください」
 上座からはいって、コの字型に膳を並べている客の前に一列で座る。
「あの左端の子、ずいぶんと若いな」
「まさか処女じゃないだろうな」
 客の視線が美冬に集まった。
「本日のお相手をさせていただく千夏です」
 三つ指を突いて挨拶。頭を下げたまま。
「百美です」
「百花です」
 ますます視線が美冬に集中する。
「美秋です」
「美冬です」
 最後に美冬が平伏すると、一瞬、ざわめきが途絶える。
「では皆様、籤を引いてください。ちょっとルールがややこしいのですが、青い箱と白い箱、一人おきになるように引いてください」
 ガイド嬢の二人がそれぞれに箱を持って、客の前を巡った。
「これから酌婦さんも籤を引きます。前半は、青い籤の方の番号と一致したところに酌婦さんが座ります。後半は、白い籤の方と入れ替わります。捨てずに持っていてくださいね。念のために申し上げておきますが、籤は宴会のあいだだけの約束事です。宴会後の自由時間には関係ありませんからね」
 自由恋愛の組み合わせを決めるものではないという意味だ。
 酌婦はひとりずつガイド嬢の前に進んで、赤い箱から籤を引く。
「はい、三番です。青の三番の方は、どちらですか」
「ここだよ……」
 声がしょげているのは、千夏がどう見ても三十を過ぎているからだろう。百美と百花にも、似たような反応だった。二十代の夢香になって、俄然返事の声が弾みだす。
「おお、こっちこっち。夢香ちゃんだっけ」
 そして、美秋でトーンダウンして。
「美冬ちゃーん、ここ、ここ!」
 空席はひとつなのだから、番号を合わせるまでもない。
「いやあ。残り物には福があるってのは、ほんとうだなあ」
 先輩を差し置いての人気は、後で妬まれる元になる。それくらいはわきまえているので。
「あの……今日が初めてのお仕事なんです。粗相をするかもしれませんが、赦してくださいね」
「赦す赦す。なんでも赦しちゃうぞ。そのかわり、美冬ちゃんもアレコレ許してくれよ」
 ガイド嬢の合図で、それぞれに酌婦がビールを注いで。酌婦も客に注いでもらう。
「では、乾杯の音頭をお願いします」
 コの字形の中央に座っていた年輩の男性が、コップを持って立ち上がる。
「諸君。日頃とは逆に、今夜は大いに燃え上がってくれ。乾杯!」
 こんな場所で一席ぶつ愚を知っている男だった。
 それでも、客はあまり燃え上がる様子もなく、おとなしく飲み食いしている。ビールを持って、先輩だか上司だかにお酌巡りをする若手もいる。
 美冬は胸元と腰のあたりを舐め回す視線に全身を火照らせながら座っている。コップが空になるとビールを注ぐのだが、両手でビール瓶を捧げ持っている間はうっすら(以上に)透けて見える股間が無防備になるので、催促されるまで気がつかないこともしばしばだった。
 まともな着物を着た仲居が三人、清酒の二合瓶を運んできた。それぞれの膳に置くと、すぐに逃げ去る。
 ちなみに。この島ではどこでもそうだが、会席の作法に則って料理を順番に出したりはしない。前菜も刺身も揚げ物も御飯も少なめにして、大きな膳にひとまとめにする。乱痴気騒ぎをたびたび中断されては客がしらけるし、ホテルとしても客に大食泥酔されては困る。なんといっても、主菜は宴席後の女体なのだから。
 とはいえ、この宴席のように職場の堅苦しい雰囲気を引きずっていられても困る。それゆえの二合瓶だった。
 ガイド嬢が声を張り上げた。
「どうも皆様、お行儀が良過ぎますね。ワカメ酒でも呑んで酔っ払っていただきましょう。酌婦さん、よろしくお願いします」
 美冬を除く九人が一斉に動いた。帯を解いて前をはだけて――仰臥する者、後ろに手を突いて上体をのけぞらす者。さっさと全裸になった者もいた。
 ガイド嬢の一人が、美冬の横に座った。
「美冬さんも、皆さんと同じようにして。腿はぴったりと閉じていてね」
 透け透けの服なんか、着て居ようと脱いでしまおうと一緒だ。そう自分に言い聞かせて、美冬は前をはだけて上体を反らせた。
 ワカメ酒の意味を知っている男は、さっそくに二合瓶を酌婦の股間に流し込む。男が動かないときは、酌婦みずからが自分の股間に酒を注ぐ。
 呆気に取られているうちに、美冬にはガイド嬢が酒を満たした。
 客たちは照れた表情を浮かべながら、酒に顔を近づける。
(まあ……?!)
「それじゃ、僕も美冬ちゃんをいただくよ」
 青籤の客が膳を脇によけて、美冬ににじり寄った。美冬に向かって土下座するようにして――ずずずっと、酒をすする。
 まわりでも同じことをしているから驚きはしなかったが。羞ずかしいのと馬鹿々々しいのとが一緒くたになって、なんとも形容しがたい気分だった。
 青籤の客が下がると、美冬を白籤で引き当てた客が中央の列の端から移動してきて、同じようにワカメ酒をすすり始めたのだが。
「きゃあっ……!」
 股間にぬめっとした感触が奔って、反射的に美冬は後ずさった。と同時に、まだ残っていた酒が座布団にこぼれた。
「え……?」
 きょとんとしている客に向かって、ガイド嬢がたしなめ……なかった。
「お客様。この子は今日がほんとうに初体験ですから……色々と教えてやってくださいね」
 けしかけている。
「そういうことなら、仕切り直しだ」
 青籤の客が、今度は立って美冬の後ろにまわった。
「身体を起こしていると、酒がこぼれやすいんじゃないかな。寝てごらんよ」
 客の要求を拒んでもいいのか、美冬は聞いていない。それに、ここまで羞ずかしいことをして後には引けないという思いもある。美冬は濡れた座布団を尻に敷いて仰臥した。
 客が逆さに覆いかぶさってきて、両手で太腿を挟んだ。
「こぼれないように押さえていてあげよう」
 絶対に親切心からではないと美冬は判断した。だって、客の浴衣がはだけて、盛り上がったパンツが目の前にあった。
(これが勃起したときの大きさなら、たいしたことはないな)
 美冬は美冬で、そんなことを考えている。
「皆様、ガソリンを補給してだんだん燃え上がってまいりましたね」
「おう。じゃんじゃん水をぶっ掛けろ」
「……水をですか?」
「おう。油脂火災に水を掛けると派手に燃え上がるんだぞ」
「あ、はあ?」
「専門家が言ってるんだ、間違いはない」
「柴田副士長、わしらは元永様御一行だ。消防署とはなんの関係もないぞ」
 この男もじゅうぶんにガソリンを補給しているのだろう。率先して素性をばらしている。
「では、さっそくに水を掛けさせていただきます。白籤をお持ちの方にお願いします。酌婦さんとアベックになって、中央に立ってください」
 広間の中央に十組が進み出る。その間にも、ガイド嬢二人はポンプを使って風船を膨らませている。
「ああ、風船割りか。浴衣は脱いでもかまわないかな」
 公務員でも(だからというべきか)エロチックな遊びに詳しい者もいる。
「はあい、どうぞ。酌婦の皆さんも裸になってください」
 美冬はまわりに倣って、ワカメ酒で乱れたままになっている薄物を脱いだ。
 目の前に立っている客はパンツ一枚。中年に足を踏み入れた年頃だが、裸身は引き締まっている。
(消防士さんは、逞しい身体でないと務まらないんだな)
 美冬の感想は、宴席後を考えてのものだった。
「それではアベックで、風船を挟んで抱き合ってください」
 風船を胸で挟んで抱き合う。
「酌婦さんは男性の背中にしがみついて、男性は酌婦さんのお尻を支えてください。絶対に男性が抱きすくめては駄目ですよ」
 男性は力が強いからすぐに風船が割れて競争にならないなどと、まことしやかな理屈をつけているが、つまりは……
「きゃ、いやあ……」
「やだあ、エッチ!」
 あちこちで嬌声があがる。尻を支えるどころか、その奥まで手を伸ばしている客がほとんどだ。
「合図をしたら、酌婦さんは男性を力いっぱい、風船が割れるまで抱き締めてください。最初に風船を割った酌婦さんには、男性からフルーツ盛り合わせを奢ってあげてください。ビリの酌婦さんは罰として、俎板になってもらいます。フルーツ盛り合わせの件、よろしいですね、元永様」
 フルーツ盛り合わせの値段は八百円。一流レストランのディナーよりも高額だから、事前の了解を取り付けておかないと、後で揉めるかもしれない。
「俎板の一番箸は儂だぞ」
 公金かポケットマネーかは知らないが、ここまでくれば騎虎の勢いなのだろう。
「では、ヨーイ、ドン!」
 ビリにはなりたくないが、一等になって目立つのも厭なので、美冬は軽く抱きついたまま様子をうかがっていた。
 パアン!
「きゃあっ……」
 誰の声かは聴き分けられなかったが、面白がっている悲鳴だった。
 バン!
 パアン!
 つぎつぎに割れていく。
 置いてきぼりを食うまいと、美冬は両腕にぐっと力を入れたのだが――男の指が会淫を越えて淫裂を穿った。
「あ……」
 指に侵入されて、腰が砕けそうになった。
「やだ……やめてください。力が脱けちゃう」
「いろいろと許してくれるんだろ」
 耳元で囁かれて、熱い息に耳たぶが火照った。
 パアン!
「こういうのはどうかな」
 客が上体を左右に揺すった。風船がむにゅっと乳房をこねくって、ますます力が脱けてしまう。
 パアン。
 とうとう、九つ目の破裂音が響いた。
「勝負あった。ビリは美冬さんですね」
 まあ、いいか。新米なんだから。そうは思ったのだけど。
 広間のまん中に十枚の座布団が二列に並べられた。美冬はそこに仰臥させられた。ワカメ酒とは違い、両足は開いて座布団の外。
「美冬さんは俎板ですからね。ぴくりとも動いては駄目ですよ。動いたら追加の罰で開脚兎跳びをしてもらいます」
 どうせ裸でさせられるんだろう。今はまだ上から見下ろされているだけだからまだしも(と、思うしかない)二十人もの男性に真正面から見詰められながら大股開きだなんて、絶対に厭だ――どころではなかった。
「兎跳びは、あお向けに寝たお客様の上でしてもらいますからね。お客様がお子様を寝かしつけているかいきり立たせているかは……さあ、どうでしょうね」
 おおおっと、客がどよめく。もったいぶった説明だが、つまりは対面騎乗位を演じさせるという意味なのだ。
 美冬としても。密室で男女二人きりになって身体を開くのと、十九人の異性と十一人の同性とに見物されるのとでは、羞ずかしさの質が違う。髪の毛ひと筋だって動かさないと――本気で思った。
 あらかじめ準備されてあったのか、すぐにフルーツ盛り合わせが運び込まれた。直径三十センチほどの大皿に、パイナップル、メロン、バナナ、ミカン、イチゴ、ブドウ、リンゴなどが山盛りになっている。それが美冬の脇に置かれてガイド嬢二人が素手で美冬の身体に、肩から膝まで飾り付けていく。
 これをお客が食べるんだなと、美冬にもわかってきた。身体じゅうをくすぐられて、はたして我慢しとおせるだろうか。
 乳房にはパイナップルの輪切り。まん中の穴からは乳首が顔を出している。
「やはり、これはここでしょうね」
 ガイド嬢が一本丸ごとのバナナをかざして、美冬の股間に突き立てた。
「やだあ……羞ずかしい」
 冷たくヌメッとした感触が不快だったが、これまでのことと比べれば五十歩百歩の気がしないでもない。けれど、手で顔を隠せないので羞恥がつのった。
 美冬の両腕と脛にフォークが並べられる。
「では、皆様。お口直しをお召し上がりください。ただし、手づかみとか犬食いのようなお行儀の悪い食べ方はお慎みください。必ずフォークを使ってくださいね」
 手で触れられたり舐められたりしないのなら、なんとかなりそう――とは、まったくの見当違いだったと、すぐに美冬は思い知った。
 二十人全員では押し合いへし合いになるので、元永(仮名)は脚の間に座ってもらい、一着とビリの客が乳房の左右。同じ番号の白籤を持った二人が、その横。元永(仮名)と同じ白籤が美冬の頭を膝の間に挟む形で座った。
「あとはジャンケンで勝った順に四人が腰と太腿のところにお座りください」
 一分ほどジャンケンポン、アイコデショが続いて、総勢十人が美冬を取り巻いた。負けた者には、それぞれ酌婦が絡みついて膳の前に引き戻していく。美冬が抜けて一人足りないのは、ガイド嬢が代役を務めている。そちらはそちらで、おとなしいところで「はい、あーん」、口移しで酒を飲まされている者、おざなりのガードをかいくぐって酌婦の肌をまさぐる者、それぞれだった。俎板の様子も気になるのだろうが、むさ苦しい背中に遮られていては見物する気にもなれないらしい。
「五分で交替していただきます。では、どうぞ」
 まずは元永(仮名)が、バナナの向こう側にあるメロンをそっと突き刺して口に放り込む。
「では、いただきます」
 残る九本のフォークがフルーツに襲いかかる。
 そっとフルーツを取ってくれる優しい客もいるが、わざと美冬の肌まで突き刺す不届き者も少なくない。
「痛いっ……」
「ああ、ごめんごめん。これなら、いいかな?」
 チョンチョンと乳首をつつく奴もいる。
 それを眺めていた元永が、やおらバナナにフォークをずぶりと突き刺して。
「このまま食べては面白くない」
 左右にこねくり、これ見よがしに抽挿する。
「く……」
 悔しいことに、腰の奥で熔岩が騒いだ。しかし、快感には程遠い。
 余裕で耐えていたのだが。あお向けになった天井を見上げている美冬には、腰のまわりに群がった男たちの手の動きは見えない。だから、クリトリスへの刺激は不意打ちだった。しかも、指で撫でられたり摘ままれたりではない。鋭いフォークの先端で狙いすましてつつかれたのだ。
「きゃああっ……!」
 反射的に腰が跳ねて――フルーツが滑り落ちた。
「あらら、動いてしまいましたね。でも、追加の罰は俎板が終わってからです」
 まだ大皿に残っていたフルーツが盛り付け直されて、客が交替した。
 しかし、最初ほどには盛り上がらない。さっさと二番煎じは切り上げて追加の罰を見物したいと、気もそぞろなのだろう。
 五分が過ぎて、残っているフルーツはバケツに捨てられて。いよいよ開脚兎跳びとなったのだが、(美冬にとっては喜ばしいことに)困った問題が生じた。美冬を引き当てた青籤も白籤も、兎跳びの相手になるのを辞退したのだった。二人を差し置いて手を挙げる厚かましい者もいなかった。
 ガイド嬢はめげることなく、場を盛り上げる。
「仕方がありませんね。では、今度は団体ゲームとまいりましょう」
 今度は籤に関係なく、有志(若手ばかりが十五人)がジャンケンをして十人が選抜された。男女男女の順で縦並びの五列になる。
「まず、全員が裸になってください。パンツもですよ。どうしても嫌なら、選手交代してください」
 男たちは照れ臭そうにしながらも、言葉に従う。選手交代を申し出た者はいなかった。
「後ろの酌婦さんに意味のある四文字の言葉を、私から伝えます。それをカタカナで次の人の背中に書いて伝えていってください。ただし、指を使ってはいけません。男女とも、身体のもっとも出っ張っている部分を使ってください。男性は、大急ぎで出っ張らせてくださいね」
 適度に酔いがまわって(ときとしては女性よりもよほど強い)羞恥心も薄れているのか、四人が全裸の女体を間近に見ただけで出っ張らせていた。さらに三人が、自分でしごいて出っ張らせる。残りの三人は酌婦が手伝った。
「ビリのチームは優勝したチームの酌婦さんにドリンクを奢ってあげてください」
 酌婦は優勝した当人が三百円の二割をもらえるが、客のほうはどうせ御会計で一括請求される。当然に元永の許可を求めるはずが、ガイド嬢はそれを省いた。
 ガイド嬢が列の後ろの酌婦に耳打ちしてまわって、ヨーイドンでゲームが始まった。
 酌婦が片方の乳房を前の背中に押しつけて、身体をくねらせ始めた。
「ああん」
「んふうう」
 他人の喘ぎ声なんか聞いたことのない美冬でも、作り声とわかる。
「ううん……わからん。もう一度書いてくれよ」
「しゃべっては駄目ですよ。わからないときは首をかしげてください」
 参加者の私語はやんだが、あぶれた十人は勝手なことを言い合っている。
「横から眺めてると、百花って妓(こ)はずいぶんと出っ張ってるな」
「尻も出っ張ってますね。まさにトランジスタグラマーってやつです」
「美冬は別格として、夢路も若いですね」
「留守番の連中、話を聞いたら鼻血を噴くぜ」
「夢香ちゃん、ちょうどクリスマスじゃないかな」
「なんだ、そりゃ?」
「クリスマスは二十五日で、イブが二十四日。それくらいかな、と」
「うまいこと言うね。それじゃ千夏は三が日明けか」
「三十一に四を足す――ですか」
「あ、ひどおい。あたし二十八ですよ」
 噂された当人が抗議して。それに横の百美が突っ込む。
「あれ? 一昨年も二十八だったような?」
「満月の夜ばかりじゃないんだからね」
 不意に両肩を押し下げられた。その意味を理解して美冬は、できるだけ背筋を伸ばして中腰になった。背中に固い物がむにゅっと押しつけられる。何を押しつけられているかは考えないようにして、何を書かれるのかに注意を集中した。
 肩甲骨の下を横になぞられて、背筋を上から下に、そして右肩から左の脇腹へ。『オ』だと一発でわかったので、うなずく。次は左から右下へ二回なぞられて、最後に右上へ長く。『シ』だろう。
 そうやって解読した単語は『オシルコ』。
 美冬は両手で右の乳房を挟んで出っ張らせ、立って待っている前の背中に押しつけた。ぐいっと左から右へ上体をくねらせる。
「あっ……」
 乳首にくすぐったくて鋭い電気が奔った。
 指先でそろっと肌を撫でればくすぐったいが、強く押しつければくすぐったさは消える。美冬はつま先立ちになって、乳房全体を客の背筋に押し当てた。ぐうっと身体を沈めてから乳房をはなした。同じ要領で三画目を書き終えても、客は頭を動かさない。
 四文字書き終えるのを待っているのだと考えて、文字と文字の切れ目にはひと呼吸を挟んで書き終えた。
 客は頭をかしげた。ほんとうにわからないのか、ゲームに負けても乳房の感触をもっと楽しみたいのか。
 三度目に、やっとうなづいてくれた。
 前の客もまわりを見て要領をわかっている。最終ランナーの百美を中腰にさせて、その背中に出っ張りの根元を握って押しつけた。
 美冬の前にいる百美が手を挙げたのは三番目だった。ガイド嬢から紙と鉛筆を借りて答えを封印する。
 じきに五チームすべてがゴールインして。
「では、結果を発表します。一着は美秋さんチームで答えは……やだあ、オマンコです」
 客のあいだから小さな笑いが起きた。
「二着は千夏さんチームで……スジコ? 濁点を一文字に数えたのでしょうか?」
 今度は爆笑。
「三着は百美さんチーム。答は……やだなあ、オシツコです」
 あとの二チームはオスネコとタクアン。
「まず、正解を発表します。それは。オ・シ・ン・コ、です。ええと……オマンコとオシツコが、どちらも一字違いですね。でも、意味からするとタクアンが正解ですし。どう致しましょうか、元永様?」
 間髪を入れずに元永が判定をくだした。
「引き分けだな。ただし、お嬢さんたちの奮闘を称えて、全員にドリンクを奢ってあげよう」
 わあああ、きゃああああっと、酌婦たちがはしゃいだ。ドリンク一杯の報酬は、たった六十円だが、松永(仮名)にしてみれば三千円、ロングの値段と同額である。お愛想にしても、太っ腹をヨイショすべき場面だった。
「これは別会計で頼む」
 後ろに置いていた小さな手持ち鞄から千円札を三枚抜き出してガイド嬢に手渡す。
「すっごーい」
「御大尽だわあ」
 今度は本心がこもっている。
「それでは、しばらく懇親タイムとまいりましょう。酌婦さんは、白籤の方のお相手をしてくださいね。あら、元永様は青籤でしたか。それでは、不肖わたくしが」
 ガイド嬢が二人そろってスカートを脱ぎ、乳房ではちきれそうなチョッキだけの姿で元永(仮名)の両側にはべった。ガイド嬢は特定のホテルに所属せず、置屋から派遣される桃色酌婦で、美冬たちよりはずっと高い時間給をもらっている。仕事にあぶれるときも少なくないが、ホテル側の接客仲居だけで対応できない場合はショートやロングを取ることもある。金蔓が太いと見てのサービスだろう。
 お色気ゲームがきっかけで、場は乱れに乱れている。美冬も客と差し向かいではなく、全裸のまま横にはべって、乳房も股間も客の蹂躙にまかせている。これでも、まだおとなしいほうだった。客の膝に座ってしなだれかかっている者もいれば、抱き合って口移しで料理を食べさせ合っている者もいた。
 そして――早々に宴席から退散するアベックも出始めた。
 まずは年配者の何人かが、大晦日前後の妓を選んで静かに姿を消す。
 両手に花の元永(仮名)もガイド嬢のひとりに篭絡されて姿を消したのだが、ガイド嬢同士でちょっとした悶着はあった。
「駄目よ。まだ専属さんたちが残っているんだから」
「だいじょうぶよ。残っているのは若い人たちばかりじゃない。だれひとりお茶なんか挽かないわよ。それじゃ、幕引きはお願いね」
「御亭さんに言いつけてやるんだから」
 上司や先輩の動静が定まると、若手同士で角突き合いが始まる。
「なあ、今夜は僕とつきあわないか」
「まだ宴会の途中だぞ。終わるまでは俺に権利がある」
「もう本部長も帰られたんだ。終わっているも同然さ」
 険悪になりかけたところで、粉を掛けられた夢乃が割って入る。
「そんじゃ、わだすとヘッペしたいやつは手え挙げろや」
 それがお国言葉なのか、熱を冷ますつもりなのか。ちなみに地方公務員は民間企業と違って地元出身者ばかりだから、同郷のよしみとか言い出す者はいない。そこらあたりも計算ずくだとしたら、たいしたものだが。
 結局三人が名乗り出た。
「心付けを一枚はずむから」
「そういうのは、ダーメ。わたしが叱られちゃう」
 ということで、ジャンケン。権利を主張した籤の男が勝った。
「くそう。もう帰って来るな」
「あったりまえだろ。朝までしっぽり……うひひひ」
 そして、ついに。美冬にも誘いの声が掛かった。それも五人から。たがいに牽制し合っていて、一人が粉を掛けたのをきっかけに、乗り遅れまいと殺到したらしい。
 美冬は同じ年頃の少女にくらべてはるかに男性経験は多かったが、それはあくまで対一だったし、向こうがチヤホヤしてくれた。こんなオトナ同士の角突き合いを捌くなんて無理だった。
「美冬はまだ研修を受けていない新人なんですよ。今日は人手が足りなかったから出しましたけど、オトナの恋愛はまだ無理です」
 ガイド嬢がとりなそうとしてくれたのだが。さんざん弄られて中途半端に熔岩が疼きだしている。オトナの恋愛をしないことには、欲求不満に陥りそうだった。
「無理じゃないです。あたし、六人の男性と経験があります」
 五人が、へええといった顔になって美冬を見た。
 まじまじと見つめられて、美冬は羞恥を思い出した。薄物は羽織っていたが帯は締めずに、前がはだけたままだ。その狼狽が、とんでもないことを美冬に口走らせた。
「あの……ロングは無理ですけど、ショートなら五人で五時間ですよね。なんとかなるんじゃないかと……」
「ちょっと、美冬ちゃん」
 夢香に腕をつかまれて、廊下に引きずり出された。
「あのね……自由恋愛だから、そういうのも有りっちゃ有りだけどさ。あたいだって、女将さんに泣きつかれて、ひと晩に三人マワシをとったこともあるけど。五人なんて、腰が抜けるわよ。やめときなさい」
 化粧を教えてもらって親近感を持つようになった先輩の忠告だったが、その言葉がかえって美冬に火を点けた。客に勧められるたびに断わりながらも、チビチビとビールを舐めていて、頭がぽわんとしていたせいもあったかもしれない。
「腰が抜けるなんて……体験してみたいです。だって、これまでの男性、六人中五人までは自分勝手に終わっちゃって、いつも途中で放り出されてましたから。次の人が続きをしてくれるんなら、きっと逝けちゃうじゃないかなって」
 ふう……と、夢香が溜め息を吐いた。
「まったく。お姉さんたちが『今時の若いこは』って言うのが、よくわかったわ。でも、これは仕事だからね。火遊びとはわけが違う。あたいたちはプロなんだからね。ちゃんと最後まで接客する自信があるなら、やってごらん。泣きを入れたって知らないからね」
 突き放した言い方ではないと感じたのは、ビールのせいだろうか。
「はい、頑張ります」
 美冬は意気込んで返事をしたのだった。
 ――新人の仕事熱心(?)に感化されたのか、百花も三人のマワシを取った。しかし、ショート三回ではロングと同じ金額で旨味がない。先に二人をショートで相手してから、最後の一人とはロングというふうに話を持って行った。さらに夢香も。美冬を激励(?)した手前もあって、百花と同じくショート二本とロング一本のマワシを取った。二十人の客に対してガイド嬢を含めて十二人。そのうちの三人が余分に八本を取ったので、客は誰ひとりあぶれなかった。
「美冬ちゃんて、来た早々、とんでもないことするわね」
 呆れ顔の者もいたし。
「わたしの伯母なんか、戦時中は現地でひと晩に三十本とか言ってたよ。五本くらい、どうってことないよね――わたしは御免だけど」
 励ましながら貶すという器用な物言いをした者もいた。
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 文中の画像は、現在のピンクコンパニオン(スーパーコンパニオンともいう)の接待風景です。作品から60年を経て、「現実は小説よりもエロなり」になっていますねえ。

ピクコンパニオン,スーパーコンパニオンの関連作品です。
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