Interrupu Report 5:Snipe Ecstasy(承前)

Interrupt Report 4 →

 100枚前後のつもりでしたが、他の収容者への虐待とかシーケンスを挿入していって、140枚を突破して、まだまだ続く。といっても、250枚にはならないでしょう。
 今回は、その挿入部分とか。見た目は白人そっくりの混血少女(『1/16牝奴隷』が彷彿です)への磔です串刺しです。


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 3人は警察署内に拘置されることもなく、その日のうちに、今度は窓に鉄格子の嵌った護送車で、1時間以上の距離を運ばれた。幹線道路を走って、最後の20分ほどは間道を通ったらしい――としか、ジョティたちにはわからなかった。ずっと目隠しをされていたのだ。
 護送車から降ろされて。首から膝までを蔽っていた穀物の袋が頭から引き抜かれた。警察署内の廊下を歩かせるときに全裸は拙いということでかぶせられて、そのままになっていたのだ。チクチクする不快な肌触りが消えて、その代償は羞恥だった。
 目隠しがはずされて、3人は驚く。大きな建物の前の小さな庭。
 建物の正面にある装飾過多の大扉は閉ざされている。その左右に何本もの柱が地面から突き出ている。扉の左右にある一本柱には、全裸の女が後ろ手に柱を抱く形でひざまずいていた。手も足も柱の後ろで拘束されているらしい。下腹部は無毛で、ネハやニーシャと同じようにアルファベットと数字を入墨されている。PD71358の女性は35歳前後、D60935はジェティよりすこし年上だろう。ふたりとも薄い黄褐色の肌と濃い茶色の髪の毛。外見からはサハディ族かラハディ族か見分けがつかないが、こんな目に遭わされているのだから同胞に決まっている。
 右側の女の横には、金髪の白人少女が狭い間隔の2本柱にX字形に磔けられていた。少女、だろう。異人種の年齢は見定めにくいが、ジョティよりも年上ではなさそうだ。下腹部の管理番号は、SA40021。その股間には3本目の柱が突き刺さっている。
 むごい仕打ちにジョティは熱く怒りながらも――ここに収容されているのはラハディ族だけではないのかと訝しく思った。
 柱は、そのほかにも十字架の下に横棒を足したもの、Π(パイ)字形、Γ(ガンマ)字形など――誰も磔けられてはいないが、その目的としか思えない。Γ字形は、もしかすると縛り首に使うのかもしれない。それぞれの柱の下にライトらしい器具が幾つか置かれている。夜間にはライトアップするのだとしたら、悪趣味もきわまれりだ。
 庭には5人の、やはり全裸の女たちがたむろしている。ジョティたちに虚ろな視線を向けはするが、たいして関心はないようだった。離れているので文字は読み取れないが、恥丘に入墨をされているのは見てとれる。ジョティのような焼印は、ひとりもいない。
 ここは軍事施設なのだろうか。3人は国軍の制服を着た3人の男たちに引き渡された。
 ネハとニーシャが、1本の縄で首を数珠つなぎにされた。
 「おまえたちは、こっちへ来い」
 ひとりの兵士が縄を引いて、ネハとニーシャを連行する。
 ジョティは残る2人に両側から腕をつかまれて、柱の列へと引っ立てられた。
 ネハとニーシャを連行したのは階級章が横線だけの下級兵だったが、この2人の肩章はずっと上の階級を示している。若いほうは2本線の上に三角形――軍曹だったが。中年男は太い2本線の上に大きな金星――なんと、少佐だった。おそらくは、この施設の責任者だ。大物(ジョティ)には大物が応対するということなのだろう。
「あのふたりはGだからな。泣き喚いて夜を明かすことになるだろうぜ」
 若い軍曹が、ネハとニーシャの後ろ姿を見送って言うと。
「Xのおまえには、楽な思いはさせてやらんぞ。まずは、ちっとばかり血の気を抜いてからだ」
 偉いほうは、さらに物騒なことを言う。
 ふたりが泣き喚いて夜を過ごすというのは……X字形に磔けられている少女を見れば想像がつく。全身が鞭痕におおわれている。とくに乳房と股間は赤黒く腫れた上を鋭い線刻が無数に走っていた。
 それが楽な思いとは? 血の気を抜くというのは……自らの身体で理解させられた。
 ジョティはΓ字形の柱の下に立たされた。後ろ手錠を前に掛け替えられた。柱の横棒の先には大小の滑車が取り付けられていて、それぞれから鎖が垂れている。その鎖のひとつが、手錠につながれた。別の1本が、両腕を絞って肘に巻きつけられた。さらに――柱の根元に植えられた鉄環から伸びる鎖も手錠につながれた。
 ずいぶんと手の込んだことをすると2人の軍人を内心であざけっていたジョティだったが。乳首と淫核にテグス糸を巻き付けられて、じわじわと恐怖が湧いてきた。
「痛い……」
 思わず呻くほどに、きつくテグス糸が引き絞られた。そのテグス糸が、滑車の反対側から垂れている2本の鎖に結びつけられた。
「あ……?!」
 今は腕を水平に突き出している。乳首も淫核もテグス糸に引っ張られていて上向いている。もしも腕を下げれば――乳首と淫核がさらに上へ引っ張られる。千切れるかもしれない。
 わずかに腕を動かしただけで、ジョティはこの複雑な仕掛を完全に理解してしまった。腕を水平に保っているのは、それだけでもつらい。手錠だけが鎖につながれているのなら、腕を身体に引きつければ楽になるのだが、そうすれば肘が下がって淫核を引っ張られる。腕を直角に曲げればすくなくとも乳首は楽になるが――下から伸びる鎖がそうさせてくれない。つまり、いつまでも両腕を前に突き出していなければならないのだ。
 しかも……
「こいつは30分くらいで勘弁してやるがな」
 レンガほどの大きさの鉄塊が、手錠に吊るされた。
「く……」
「豆を千切らないように頑張れよ。困るのはおまえだからな。俺たちは、ちっとも困らないぜ」
 淫核を失えば女の性感は大きく損なわれる。女を善がり狂わせて愉しむというフェミニスト(?)には面白くないだろうが、それでもかまわないという男が多いのも事実だ――ということまで考える余裕など、もちろんジョティにはない。
 これが仕上げたとでもいうように、焼印を保護していたフィルムがジョティの下腹部から引き剥がされて、黒く焦げてくぼんだ線刻が露出した。透明なリンパ液の滲出は見られるが、一見すると乾いた印象だった。この先何か月もかけて、火傷が治癒するにつれて赤く色づいた肉が盛り上がってきて焼印として永久に定着するのだが……それ以前に処刑されるのではないだろうか。
 少佐と軍曹とが立ち去って。しかし、庭でたむろしている女たちは磔柱に近寄ろうとはしない。
 ジョティは腕に力を入れて水平に保ちながら、それでも周囲を観察する。施設全体は高い壁で囲まれている。その壁から建物までの空間にはブルーシートが張り渡されていた。つまり、航空機からでも偵察衛星からでも、この庭で行なわれている残虐を窺い知ることはできないのだ。
 隣で柱を背中で抱いてひざまずいているPD71358は、ジョティにも無関心。疲れ切った表情で地面に虚ろな視線を落としている。扉を挟んだ向こう側のD60953は、ちらちらとジョティを振り返っているが、生気の失せた表情は同じ。白人少女だけが顔を上げて、虚空を睨んでいた。
 高い塀の一画、玄関に正対する部分には鉄製のゲートが設けられて、その横には小さな小屋が置かれている。そこからふたりの衛兵が出てきて立哨の位置に就いた。
 ゲートが左右にスライドして、1台のごつごつしたフォルムの乗用車が音もなく(ということは電気自動車だ)庭に滑り込んだ。庭の隅にある駐車場に停まって、きっちりスーツを着こなした40歳くらいの男がふたり、車から降り立った。
 男たちはX字磔にされている白人少女の前で足を止めて、ゲートの横で立哨している兵士を呼びつけた。
「この女のことですね」
 兵士は問われる前から、べらべらと説明を始める。
「A分類は御存知ですね。血量が25%以下――この牝は祖母がラハディで、母親は合弁企業の幹部の愛人に収まっていましたが……」
「ブリティッシュペダリオン・スキャンダルの、あの娘か。こんなところにいたのか」
 男のひとりが、少女の乳房を無雑作につかんだ。
「いや……やめて……痛いっ!」
 乳房を握りつぶされて、少女が悲鳴をあげた。男は眉ひとつ動かさず、兵士に問いかける。
「これは、なにかの懲罰かね?」
「そういうことです。なにしろ、昨日の身元引受人懇談会をぶち壊してくれましたからね」
「ふむ……?」
 男は手を下に滑らせて、入墨をなぞった。
「たしか、Sは不妊処置を意味していたな。それで、早々と商品化したんだな」
「身元引受人を募集したのですが、躾が行き届いていなかったようです」
「だって……ひど過ぎます」
 少女がすすり泣き始めた。
「わたくし……とっくに、身の程はわきまえています。でも、でも……スクールの校長や、わたくしにおべっかを使っていた会社の重役までが……」
「聞かなかったことにしてやるよ」
 兵士が少女の言葉を遮った。股間に突っ込まれた太い柱で押し出されている淫核を指でつまんで、爪を立ててつねった。可憐な悲鳴を絞り出す。
「篤志の慰問者を不快にさせたとあっちゃ、こっちまで叱られる。おまえだって、もう鞭は懲り懲りだろ?」
 はっと、少女が息を呑む。そして、卑屈な言葉を切れ切れに紡いだ。
「おお……お耳を穢して申し訳ありません。旦那さま方、よろしければ……わたくしをベッドへお連れください。ここで教えてもらったテクニックのかぎりを尽くして……御奉仕いたします」
 ふんと鼻を鳴らして、男が身を引いた。
「なかなかどうして、よく躾けてあるじゃないか。しかし、つまらん。せっかく白人そっくりなんだ。もっと驕慢に振る舞ってほしいものだな。そうでないと、甚振り甲斐がない」
 男は白人少女に興味を失って――玄関を素通りしてジョティの前に立った。助手席に乗っていたほうの男も、それに倣う。
「これは……Xか。払い下げ不可物件だったな」
 男はジョティを――いや、ラハディ族を人間扱いしていない。政府のプロパガンダを推進する側に属していれば、当然の態度だった。
「いずれはとびきりの死刑になるでしょうが、なにしろ殺人容疑だけで20件以上もあります。証拠調べが終わるまで何か月もかかるでしょう」
「それまでは、たっぷり愉しめるわけだな」
「念のために申し上げておきますと、この牝は一般分類ではDになります」
 奴隷競売を身元引受人懇談会、収容者を慰み者にしにきた連中を慰問者と言い換えたり、政府による少数民族虐待の言質を与えないように、兵士も教育されている。
「生粋のラハディか。つまらんな。我々との混血、できれば血量50%くらいのCが、背徳的で面白いのだが」
「どうも、きみの倒錯趣味はいただけんな」
 車を運転してきたほうの男が、初めて口を開いた。こちらのほうが格上らしい。
「背徳は、いかんよ。生粋のラハディだからこそ……」
 その男は、ジョティの手首を握って、ぐっと押し下げた。
「ぎひいいいっ……! やめろ!」
 男はジョティの悲鳴を無視して、それでも乳首を引き千切らないくらいには手加減して、ジョティの腕を揺すった。
「多少は人がましくなれるように躾けてやらねばならんのだ」
「お言葉、痛み入ります。では、私もいささかお手伝いを」
 諭されたほうは、淫核を吊り上げているテグス糸に指を絡める。
「ぐううう……」
 ジョティは歯を食い縛って鋭い激痛に――耐えられなくても、どうにもできない。知らず爪先立ちになっていたが、それだけ余計に引っ張られるのだから、いささかも激痛は緩和されない。もしも、白人少女のように卑屈に懇願したら赦してもらえるかもしれないと、ちらっと考えて、そんな自分をジョティは軽蔑した。
「寄り道はこれくらいにしておくか」
 格上のほうが、先に興味を失った。
「反抗的なラハディを躾けるのは義務だが、ここに来てまで公務と取り組むこともあるまい。従順な牝どもに奉仕されてハーレム気分を味わおうじゃないか」
 玄関に向かって歩きかけて、ふと足を止める。
「こいつもSかPにして生き長らえさせる可能性はあるのかな」
「それは、一兵卒の身ではわかりかねます。こいつが望まないだろうとは思いますが」
 Pは妊娠を意味する。一時的な状態であるから、柱に膝立ち磔にされている女の下腹部に刻まれた文字のPだけは、数週間ごとに染色し直す必要のあるフェイクタトゥだ。
 それはともかく――妊娠した女は、出産まではこの収容所に留め置かれる。そして、赤ん坊と込みで身元引受人に払い下げられる。生まれたのが女児であれば、身元引受人は十年後の(あるいは、より早期の)見返りを期待できるが、男児となるとそうもいかない。しかも、牝に比べて牡は交配管理が難しい。D分類のラハディ女に血量50%の男児を生ませても、その子が将来ラハディ女を妊娠させれば、血量は75%まで復活してしまう。結局は根本的な対策が必要となる。殺すのでなければ不妊化しかない。たいていの場合は単純な不妊化ではなく、男性器の切除が行なわれる。そして、男児を込みで身元引受人にとなった者は、個人的に特殊な見返りを期待するか娼売に使うか、どちらにしても女性ホルモンの投与と造膣手術を施すことになる。さいわいに(政府としては残念なことに)、ラハディ浄化政策が施行されてまだ3年。今のところは、東南アジアの某国のようにニューハーフで外貨を稼ぐには至っていない。しかし、おぞましいことに――富裕な国から臓器移植を求めて訪れる人間の数は、すこしずつ増えている。
 ――ジョティは、かろうじて引き千切られずにすんだ3点の疼きに悶えながら、男どもの言葉の幾つかを反芻していた。
 とびきりの死刑……ゲリラへの処刑は銃殺だが、一般民衆に公開されることもあった。それだけではすまされないのだろう。今のように全裸を晒されるのか。それとも、銃殺よりも残酷な方法なのか。
 でも、希望はわずかに残っている。すべての狙撃を立件するつもりらしい。ジョティの供述調書などいくらでも捏造できるにしても、ある程度の客観的な証拠は必要だ。捜査には何か月もかかるのではないだろうか。それまでに、傭兵会社の介入という形で大規模な動乱が始まれば……救出される可能性もある。それとも、証拠隠滅のために収容所ごと全員が処分されるだろうか。
 わずかな希望にすがって数か月を生き延びるのは、しかし耐えられるだろうか。こんなふうに吊るされたり、(4分の3は)白人少女のような目に遭わされたり……X分類の自分は、もっと残虐な処遇を受けるだろう。
「くううう……」
 腕が下がりかけて、乳首と淫核に凄まじい痛みが奔った。腕を上げようとしても、わずかに筋肉が痙攣するだけで、1ミリも上がらない。自然と爪先立ちになっている。
(いっそ、引き千切ってしまえば……)
 その瞬間の激痛は、今とは比べものにならないだろうけれど……一瞬で終わる。この3点の突起を失えば、性的な恍惚は永久に失われる。けれど。さっきの男たちの話では、ここは強制売春館ではないのか。サハディ族の男たちに犯されて……快感なんか、感じたくない。みずから求める男との交わりこそが、愉悦なのだ。
(レイブされてるときは、痛くて怖くて……そうだよね、マラティ)
 もっとも。この4年間でジョティの性感は十全に開発されている。レイブされてすら、感じてしまうかもしれない。そんなのは厭だ。好悪の問題ではない。犯されて殺されたマラティや多くの同胞女性への裏切りだ。
 ジョティが取り返しのつかない決断に至る前に、建物の横からふたりの兵士が姿を現わした。ひとりはジョティを磔に掛けた軍曹、もうひとりは伍長の階級章をつけている。
「頑張り通したな。偉いぞ」
 軍曹が鎖を揺すってジョティを呻かせる。
「まあ、これで実際に乳首が千切れたやつは3人しかないが……」
 レンガ大の鉄塊を持ち上げて、不意に手を離す。
「ぎゃああっ……!」
 ジョティは爪先立ちの背中を反らせて絶叫した。テグス糸が乳首に食い込んで血をにじませた。淫核は、1cmほども伸びた。
「俺たちの顔を見るなり赦してくれと喚かなかったのは、おまえが初めてだ」
 赦してほしくないのかと、伍長も顔を覗き込む。
 ジョティはそいつをにらみかけて――気弱に目を伏せた。
 反発すれば、さらに残酷な仕打ちを受けるだけだ。それでも自分の矜持を保てるならともかく、こいつらの嗜虐を満足させるだけではないだろうか。
「……お願いです。もう赦してください」
 哀願もまた嗜虐への追従(ついしょう)にしかならないのだと、それくらいはわかっていても、突っ張り通す気力はすでに失われていた。
「ふん。ちっとは血の気も抜けたかな?」
 鉄塊を弄んでいた軍曹が、ジョティの唇を指で撫でた。歯を割って口に突っ込む。
 ジョティは、それを舐めて積極的な服従の意志表示まではしなかったけれど、噛みついたりもしなかった。
 手錠から鉄塊を取り除かれて、ジョティは安堵の息を吐いた。
「言うことがあるんじゃないか?」
 鉄塊を吊るす短い鎖のフックで、カチャカチャと手錠を叩きながら軍曹が問う。
「あ……ありがとうございます。赦してくださって、ありがとうございます」
「もちろん、こっちまでは赦してやらん」
 肘から伸びている鎖を揺する。
「こっちは、明日の朝までだ。文句はないな?」
「……はい」
 ジョティは目を伏せたまま唇を噛んだが、顎の筋肉は弛緩していた。無駄な抗議を諦めて屈辱に耐えるというのではなく、従容と運命に身を任せる表情だった。局所での敗北が戦線全体の崩壊につながるという、その典型ではあった。
 ふたりの兵士はほくそ笑んで、攻略目標をジョティから白人少女に移した。
「おまえは、朝からずっと飲まず食わずだったな。喉が渇いていないか?」
「え……はい」
 少女もジョティと同じくらい、いやずっと卑屈な態度で答えた。
「先に言っておくが、俺たちにはおまえをどう扱うか裁量する権限を与えられている。言っている意味がわかるな」
 少女は顔を上げてぼんやりとふたりを見比べている。
「身の程知らずに振る舞ったことを反省しています。どうか、お赦しください」
 意図してか自然とか、哀れっぽい卑屈な口調で懇願する。
 軍曹は無言で、少女の手首を柱に縛りつけている鎖をはずした。
「ひざまずけ。水を飲ませてやる」
 言いながらズボンのチャックを下げて、半ばは怒張している男根を突き出した。
 少女の顔に赤みが差した。言葉の意味を正しく理解したのだ。しかし、両側の柱に拘束されている脚を不器用に折り曲げて――顔を上向けた。
「ありがとうございます……」
 まるきり感謝の表情ではなかったが、軍曹は少女の態度に満足したらしい。大きく開けられた口に向かって放屎を始めた。少女の口に屎があふれてこぼれだすと、そこで止める。少女の様子をじっと見つめている。
 少女は口を閉じて、大きく喉を動かした。
「もっと飲みたいか?」
 少女がためらったのは、どう答えればこの男を悦ばせられるか、それを考えていたのだろう。おそるおそるといった態で答えた。
「……はい。飲ませてください」
 少女がふたたび顔を上向けて口を開けた。
 軍曹が無言で放屎を再開する。今度は途中で止めなかった。少女の口から屎があふれて、傷だらけの裸身を濡らす。少女はあわてて口を閉じて汚水を飲み下したが、そのあいだも放屎は続いて、髪の毛もずぶ濡れにされた。
 放屎を終えると軍曹は、少女の足首を縛っている鎖もはずした。
「自分で跡始末をしたら、雑居房に戻っていいぞ」
 少女が、ごく自然な仕種で土下座をした。
「ありがとうございます。それから……ちょうだいした聖水は、とてもおいしかったです」
 自分をお嬢様扱いにしていた男に売り渡されるのを拒んだ少女は、その裸身に刻まれた鞭痕に見合う程度には躾け直されていたのだった。
 ふたりの下士官が立ち去ると、少女は駐車場とは反対側の隅にある水栓のところまで歩こうとして――足をもつらせて転んだ。ゲート脇の歩哨詰所を振り返った。それから、ずっと様子を眺めていた5人の女たちにも目を向けてから。四つん這いになって庭を横切った。
 水栓をすこしだけ開けて、とぐろを巻いているホースのノズルから弱い勢いで流れ出る水で髪を洗い全身を洗った。途中で立ち上がって。全身を洗い終えると少女は、まだ筋肉が強張っている脚を引きずりながら歩き始めた。遠巻きにしている5人にも、まだ磔けられている3人にも目を向けることもなく、建物の横へ消えた。
 それで、庭から目立った動きがなくなった――わけではない。
 ゲートが開いて、マイクロバスがはいってくる。10人ほどの青年が降り立ち、きょろきょろと周囲を見回して――視線の先はじきに、3柱の磔に落ち着く。私服を着ているが、全員が同じ形に頭髪を短く刈っている。兵士、それもひととおりの訓練を終えた新兵といった雰囲気だった。最後に降りて来た30歳くらいの班長らしい男に率いられて、玄関に吸い込まれていく。三々五々に見えて足並みはきちんとそろっている。
 さらに15分ほどすると、リムジンが玄関に横付けする。運転手の開けたドアからふたりの中年男が降りて、最後に着飾った若い女がふたりにエスコートされて降り立つ。運転手はトランクから大きな鞄を取り出して、玄関口へ運ぶ。中から現われた兵士が、それを受け取った。
 女は3柱の全裸磔を見ても、驚いた様子はなかった。しかし、興味を惹かれたようだった。玄関への階段を上らず磔柱へ寄り道をした。中年男ふたりも女に従う。
「いつもいつも同じポーズ。もっと工夫して……ふうん、PDか。女の子だといいわね。おまえはどう思う?」
 下腹部にPD71358の入墨を施された年増女は、若い女の言葉が自分への質問だとは気づかずにうつむいている。
 若い女が片脚を上げて、ハイヒールのトップリフト(踵先)で入墨の下に露出している肉芽を踏みにじった。
「おまえはどう思うの。男の子がいいの? 女の子がいいの?」
「あうう……どちらでもかまいません。一緒に暮らせることを望みます。もしもお嬢様が身元引受人になってくださるなら、親子でいっしょうけんめいご奉仕します」
 若い女は、まだ好奇心だか嗜虐心だかを満たされずに、ジョティの前まで足を運ぶ。
「これは初めて見る趣向だわね。しかも焼印。小娘のくせにXとは恐れ入るわ。それにしては、ずいぶんと綺麗な肌をしてるじゃない」
 女はハンドバッグから細巻煙草を取り出した。男のひとりが、すかさずライターを差し出して火を点ける。女が深々と煙草を吸って火口を灼熱させる。すっとジョティの乳房に近づける。
 ジョティは微動だにしなかった。女の意図がわからなかったのではない。身を引けばいっそう乳首を傷つけられるのを怖れて――でもなかった。さっきは不本意にも卑屈な態度をとってしまったが、高慢な女にまで屈するのを潔しとしなかった。彼女にできる抵抗は、加虐を傲然と受け容れるくらいしかなかったのだ。
「く……」
 乳房で煙草を揉み消されて、ジョティは顎の筋肉を緊張させて歯を食い縛り、顔を上げて女をにらみつけた。
「ふうん?」
 女が、また細巻を取り出して。無傷なほうの乳房にも黒い焦げ跡を刻みつけた。
 ジョティは、女をにらみつけながら口の中に唾を溜めた――が、ふっと目をそらして、それを脇へ吐き捨てた。ほんとうは顔に吐き掛けてやりたかったのだが、その報復が怖くて……しかし唾を呑み込むのも自尊心が許さなかった。
「気に入ったわ。今日は、この娘で遊ぶ。いいでしょ?」
 最後の言葉はエスコート役のどちらにともなく向けた言葉だった。そうしてみると、彼女がふたりの主人というわけでもなさそうだった。
「どうかな。焼印を捺されたばかりということは、リナの見立て通りの未調教だろう。手に負えるのか?」
「まさか。こんな小娘ひとりを、あたくしが持て余すとでも? 野生の獣を調教する手並みを御披露いたしますわ」
「ふむ……」
 男のひとりが衛兵を呼びつけた。
「こちらの貴婦人は、このXレートの娘を御所望だ。手配をしてくれ」
 言いつけると、貴婦人とやらを伴なって玄関口へと踵を返した。衛兵は駆け足で建物の端まで行って、横手へ回り込んで姿を消した。
 ジョティは磔のまま放置されている。
 植込みの陰から様子をうかがっていたC42503の入墨をされた20代半ばほどの女が、歩哨詰所のほうを気にしながら、ジョティのすぐ近くまで歩み寄ってきた。
「あいつ、すくなくとも3回はここに来てる。相手に選ばれた3人とも、半月ばかりは業務を免除されたっけ。気をつけな――といっても、どう振る舞えばいいかわからないんだけどね」
 ジョティには理解できない忠告を与えて、そそくさと立ち去りかけて、思い出したようにつけ加えた。
「あんたはXだから、変に疑われたくないから、仲間外れにされると思う。でも、ほんとはみんな、心の中ではあんたを尊敬してる。Xだものね。Gより凄いんだよね」
 こちらは、まだ理解可能だった。ゲリラと関わりがあると疑われたら、あらためて尋問されるだろうし、日常的に虐待されている処遇がいっそうひどいものになるだろう。しかし、サハディ政府に反逆するゲリラは、ラハディ族の英雄でもある。ゲリラよりも悪質と政府から認定されたX分類のジョティは、Gよりもいっそうの尊敬を集めてしかるべき存在なのだろう。
「……ありがとう」
 そう答えはしたけれど。ジョティは戸惑っていた。もしも彼女がここに収容されている同胞から尊敬されているのだとしたら――自分の都合だけでサハディに屈服していいものだろうか。やはり、さっきの女には唾を吐き掛けるべきだったのだろうか。
 もしも自分がジャンヌ・ダルクとして振る舞うことを期待されているのなら、やはり最後は悲惨な最期を遂げるしかないのだろうけれども。
 ジャンヌ・ダルクが百年昔か千年昔の女性かは知らないけれど、神の声を聞いて、劣勢の自国軍の先頭に立って戦い、最後には敵の手で火刑に処せられた――という程度の知識はあった。
 自分は、サハディを代表して戦ってきたのではない。妹の復讐、それだけだ。
 だけど。自分がラハディどもにレイブされて泣き寝入りするしかない無力な小娘に過ぎなかったとしたら、敵を何十人も殺した女性が今の自分と同じ目に遭わされていたとしたら――その女性が最後まで英雄的に振る舞うことを期待するだろう。
 どうせ、最後には死刑に処せられる運命なのだ。それまでにわずかな安逸を求めようと、不必要な虐待をみずから招こうと、結局は同じではないだろうか。
 捏造の供述書への指紋押印を拒んだときや磔にされたときも、同じようなことを考えていたと――ジョティは思い返している。しかし、同じ文脈から導き出される結論は、まるで正反対になっていたのだった。
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串刺磔


 どうも進行が遅いです。
 GPの雇われ騎士になって、通勤(往復)時間が3時間→1時間弱になりました。もっとも、勤務開始前に義務付けられているルーティンが30分ほどあるので、実質的には1時間半の短縮です。勤務が終わって帰宅するのが18時前。即刻晩餐守酒盛(ばんさんのかみさかもり)で、就寝は20時。なのに、やはり4時まで寝て、起床時刻は30分ほど早まったものの、コロナ対策もあって朝風呂で体温アップの免疫強化。結局、打鍵に使える時間は変わらずですな。
 鹿も牛も、完全週休2日で、祝日も盆暮も無し。年間30日ほど休日が減ります。
 それと。短編ということは、比較的に密度が高いです。
   ひゅんっ……ビッジイン!
  「ぎゃわあああっ!」
 行稼ぎが減ります。
 という次第で、仕上がるのは年内ぎりぎりになりそうです。




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