Progress Report Final:裸族の性人儀式

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 終盤のあはーぶオシオキが、意外と盛り上がらずに終わってしまいました。
 途中でヒロインが「ヤラセ」に気づいてしまって、あまりジタバタらなかったのです。プロットでは、最後までヒロインが
あはーぶオシオキを本物と思い込んでいる予定でしたが、書いているうちにそうなったのです。これも、まあ、登場人物がプロットにない行動に出た例ではありますが……必ずしも盛り上がる方向へは発展しないという勉強になりました。

裸族(fake)

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8.処刑

 まだ夜が明けきらないうちから、広場に人が集まり始めた。
「スリーガールズ、エグゼキュート! カムアンドルーック!」
 カタコト英語をしゃべれる数人が、コテージのドアをノックしてまわる。寝ぼけまなこをこすりながらのそのそと姿を現わす客もいれば、とっくに着替えていてスマホと百ドル札を握って飛び出してきた者もいた。気乗り薄な一夜妻を(部族の者に見咎められない範囲で)強引に同伴させる客も。ただ性人儀式を見物するだけが目的だった観光客は昨日のうちに引き上げているから、残っているのは二十人ほどに過ぎない。しかし、彼らを押し包むようにニャノミの男女(老と幼は見当たらない)が五十人は集まっている。
 一昨日と同じように、三人から五メートルほど離れた位置に槍でバリケードが張られて、今日はAV撮影チームも向こう側へ押し戻された。
 梢恵と美咲の前に、それぞれ丸太が運ばれた。直径は五十センチより大きいくらいで長さは二メートルほど。
 二人は磔から下ろされ、両手両足で丸太を背中に抱える形で縛り付けられた。肩と尻と内腿が樹皮にこすられてチクチク痛いけれど、縛られている手首に体重が掛からないので、磔よりはずっと楽だった。
“Two girls commit Taboo first time.”
 例によって、長老が観客に説明をする。
“Taboo clean into water. ”
 水で清められるという意味だろうと、梢恵は推測した。聖水プレイなんて言葉を連想したのは、AVチームのカメラを意識しているせいだろうか。
“Twice commit gilr no mercy. She will execute. ”
 長老がフロルを指差して、重々しい声で宣告した。
 何を実行するんだろう―― executeが死刑を意味するとは知らない梢恵だった。
 フロルも磔から下ろされて。両手を頭の上で縛られた。地面にあお向けに寝かされて。
 フロルを磔にしていた二本の樹に青年たちがよじ登って、てっぺんに太い蔓を縛り付けた。数人がかりで蔓を引っ張ると、樹が弓状にしなる。
 左右の樹から伸びる二本の蔓の端が、フロルの足首に結びつけられた。地面に太い杭が打ち込まれて、杭とフロルの手首とが蔓でつながれた。
 ニャノミの青年ふたりが蔓の張力を矯めながら、ゆっくりと手を放した。弓状に曲げられていた樹が元の姿に戻ろうとして――フロルを宙に吊り上げた。手首と杭とをつないでいる蔓が、ピインと張った。蔓とフロルの脚は一直線になって、深いV字形を描いている。もしも手首を縛っている蔓がほどけるなり切れるなりしたら――二本の樹はフロルを左右に引き裂くだろう。
 それまではおとなしくあはーぶ(オシオキ)を受け容れていたフロルの顔が、恐怖に引き攣った。
“No...”
 叫びの形に口を開けて、しかし悲鳴は呑み込んだ。頭をねじって、見物客を見回す。その視線が、ぴたっと止まった先には――サマースーツをきちんと着こなした屈強な四人の男たちの姿があった。杖を突いた老人が、その中心にいる。
 フロルが、ひたと老人を見詰める。
 老人もフロルを見詰めて目をそらさない。
 フロルの表情がぎこちなく動いた。微笑とも絶望とも、梢恵には判別がつかない。もしも梢恵がフロルの全身をくまなく観察していたら……股間のかすかな絖りに気づいていたかもしれない。気づいたとしても、それが祖父への献身だとは想像もできなかっただろうけれど。
 フロルにとっては、この処刑は――格闘術に長けた年配のドミナに半殺しにされることと変わりは無いのだ。そして、ぎりぎりのところで安全が保障されていると、それを信じて疑わない。
いや、この話においてフロルは、梢恵と美咲のダブルヒロインを高山社長のシナリオに沿って、当人たちが心の奥底に秘めている被虐願望を満たしてやる案内人であった。
フロルについて詳しく知りたい読者は
『SMツアーEpisod 4:プライベート・リョナファイト』を購読願いたい。
 フロルを地上につなぎとめている蔓の横に、ニャノミの青年が手斧を持ってひざまずいた。
 長老が右手を高く掲げた。
 これから始まろうとしている惨劇を、買春客もニャノミの野次馬も、固唾を呑んで見守っている。制止の声は聞こえない。まさかという思いもあるし、少女の無残な死を期待する鬼畜変態も買春客の中には混じっているだろう。
 梢恵と美咲も、首をいっぱいにねじってフロルを見詰めている。ふたりは、これが『股裂きの刑』だと理解できていない。それでも……
“Execute!”
 長老が手を振り下ろすと同時に、手斧が杭に叩きつけられた。
 ぶっ……蔓が切断されて。
 ばさささっ……と、葉が風に鳴って二本の樹が跳ね上がる。
“Cyawahhh....!!”
 逆さ吊りのまま、甲高い悲鳴とともにフロルの裸身が空中高く舞い上がって……
「も゙お゙お゙お゙お゙っ……!」
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!」
 梢恵と美咲が、フロルよりも大きな声で叫んだ。
 一瞬でフロルの両脚は百二十度以上に引き裂かれて。そこで止まった。蔓がピインと張りつめて、しかし、それ以上には樹が起き上がらない。フロルの両足首は一メートルほどの蔓でつながれていた。正確には、フロルの足首と樹をつなぐ蔓に、一メートルほどの太い蔓の両端が固く結びつけられていた。これでは、どんなに樹の反発力が強くても、フロルを引き裂くのは不可能だ。最悪でも、フロルの片足が蔓からすっぽ抜けるだけだろう。
“Wohhh...!”
“Fuuuh...!”
 見物している群衆から安堵の息が吐かれた。
 フロルの逆さ吊りの裸身は、一直線になった蔓の張力と樹幹の弾力とのはざまで、まだ上下に揺れている。
 そうか。これも求愛のダンスと同じなんだ――梢恵は、そんなふうに理解した。
 ふだんはジャングルのあちこちに分かれて棲むニャノミが、儀式のための広場に集まって、近親婚を避けてカップルを作る。その儀式が、観光客を受け容れるようになって、だんだんと買売春の場に変わってきたように。もしかしたら、昔は本当に厳罰に処していたかもしれないむいこ(タブー)へのあはーぶ(ショバツ)も、今ではショーに堕しているのだろう。
 自分たちも、そんなにひどい(すくなくとも命にかかわるような)ことはされないだろうと安心して――梢恵は、内腿の生温かい感触に気づいた。処刑の瞬間の恐怖か、その直後の安堵か、そのせいで失禁していた。
“At last. Two shame into walter.”
 宙吊りのフロルに背を向けて、長老は梢恵と美咲を指差した。
 ニャノミの男たちが二人一組になって、丸太を持ち上げた。
「んぶううう……」
 これから何をされるかよりも、粗相を見られる羞恥が先に立った。
 しかし男たちは太腿を伝う雫には目もくれず、丸太を肩に担ぎ上げた。長老の先導で広場を出て、河へ向かう。
(あ……?!)
 梢恵は、長老が“into walter.”と言っていたのを思い出した。水……丸太に縛り付けられている理由が分かってきた。フロルの両足をつないでいた蔓と同じなのだ。河へ投げ入れられても浮かんでいられるように……。
 梢恵は、わずかに安心した。自分がバラストになって、丸太の反対側が水面に浮かぶのではないかとまでは心配しない。もっとも、梢恵よりはニャノミのほうが心得ている。丸太は熱帯雨林特有のとくに軽い樹種が選ばれていて、水に浸かる側には鉄骨が巧妙に埋め込まれている。したがって、全体の重心は(梢恵を含めても)丸太の中心よりも下側になっていた。
 四人のニャノミが担ぐ二本の丸太のすぐ後ろにAVのカメラが続き、その後から買春客を主体とした三十人ばかりがぞろぞろとついてきている。///1st
 梢恵と美咲が運ばれたのは、観光客を乗せたモーターボートが発着する桟橋だった。早朝なので、まだ迎えの船は来ていない。
 河に突き出した桟橋に、梢恵と美咲を縛り付けた丸太が並べられた。ビデオカメラが寄ってきて、ふたりを順にクローズアップしていった。カメラの向こう側の顔は、まるきり無表情。梢恵もラナも赤の他人。そう言っているように感じられた。被写体としてだけ見られている。それが、なんとはなしの安心につながってくる。
 けれど。ニャノミの男たちが腰をかがめて横から丸太に手を掛けて。ずずっと桟橋から押し出し始めると、一気に恐怖があふれてきた。
(ピラニアとかワニとか……)
 河にひそんでいるんじゃないだろうか。
 おおいかぶさっている男たちの顔がぐらっと揺れて、見上げている空がくるんと回って。
 ざっばああん……!
 丸太の下敷きになる形で水面にぶつかった。とっさに息を止めて……薄茶色の水に包まれて。このままの姿勢だと溺れてしまう――そう考えたときには、顔が水面から出ていた。
「ぶふう……げふっ」
 蔓で口を割られているので、口の中は水であふれている。それを吹き出して、鼻からも息を吹いて、ゆっくりと深呼吸。
 顔を起こしてあたりを見回すと。もう、桟橋は五メートルくらい遠ざかっていた。桟橋がゆっくりと回っている――のではなく、丸太のほうが動いている。すぐ後ろに、美咲の丸太が見えた。梢恵とは反対向きに回転している。
 丸太は流れに沿った向きに落ち着く。足のほうを前にして、流されている。空が、やたらと青い。だけでなく。
(…………?!)
 いかついシルエットのヘリコプターが、頭上で音もなくホバリングしていた。たしか、桟橋に転がされていたときには、見掛けなかった。それとも、気が付かなかっただけだろうか。
 たしか、自分たちの安全を見張ってくれているんだった。けれど、ほんとうに見張りだけらしい。もっと低空まで下りてくるとか、丸太を吊り上げる準備をしているとかの動きは見えない。
 十分だろうか三十分だろうか。どこまでも流されていく。首をひねっても真後ろまでは見えないから、美咲が同じように流されているかも分からない。
「いあいいい!」
 叫んでみたらすぐに返事が返ってきた。
「おおい……!」
 おしゃべりでもしていたら不安も紛れるけれど、呻き声じゃ気休めにもならない。
 ぶおおおおおお……
 エンジンの音が急速に近づいてくる。波を蹴立ててこちらへ向かってくるモーターボートの姿が見えた。観光客をいっぺんに十人二十人と運ぶ大きなのではなく、梢恵たちを運んでくれた小さなやつだ。
 モーターボートは接近すると、丸太を避けて進路をすこし変えて。
 ぶおおおおお……
 あっという間に通り過ぎてしまった。乗っていたのは、日本語通訳のエリクだけだった。
 なぜ無視されたんだろう。不安が膨らみ始める。じわっと恐怖が忍び寄る。けれど、ヘリコプターが見えているから、パニックになったりはしない。
 モーターボートが通り過ぎた理由は、すぐに分かった。
 ぶおおおおおお……
 引き返してきて、エンジンを止めて、丸太と並んで漂い始めた。AVチーム全員を乗せている。カメラが、こっちを狙っている。そして。
 ドルル……ぶおおおおお……
 エンジンを掛けて、最初に来た方角へ走り去ってしまった。
 置き去りにされても、そんなに心細くならなかった。きっと、モーターボートは梢恵たち(も、観光客も)が出発した拠点まで戻ったのだ。このまま流されて行けば、梢恵たちもいずれはそこへ流れ着く。そこで救出してくれるのだろう。
 まったく安心しきっているわけではないけれど。冒険の旅もいよいよ終わりに近づいたのだと、それを信じたい気持ちで、さらに何十分かをながされて行った。
 心配していたワニは、河岸で寝そべっているのを見かけるけれど、わざわざ追いかけてこようとはしない。丸太が大きいから、手に余る獲物だと判断しているのかもしれない。ピラニアかどうかは分からないけれど、ときどき魚が水面で跳ねている。こちらも、近づいてくる気配はなかった。
「おおーい!」
 聞き覚えのある声で呼びかけられて、やっぱりという思いはあったけれど、最後までわだかまっていた不安が消えたのは事実だった。
 エンジンを絞ったモーターボートが近寄ってきて、梢恵を縛っている蔓に、長い竿に取り付けられたフックが掛けられて、桟橋ちかくの浅瀬へ運ばれた。AV男優のふたりが蔓をほどいてくれて、待合所のような建物へ連れて行かれた。
「お帰りなさい。ちょっとお肌が荒れたわね」
 出迎えてくれた菜穂子の挨拶に、ふたりは戸惑う。ちょっと荒れたくらいじゃない。全身鞭痕だらけ。何時間も縛られていた跡も、くっきり。
 もちろんふたりは、かつて菜穂子がポニーガール牧場で使役ロバとして虐待されていた経緯など知らない。菜穂子の基準では梢恵と美咲の受けたあはーぶ(オシオキ)なんか、ソフトプレイでしかないなんて、正面切って言われたとしても――菜穂子を尊敬する気にはならなかっただろう。
「それじゃ、最後の絡みを撮るぞ」
 男優二人と女優二人とが、梢恵と美咲を取り囲んだ。大型モーターボートの乗組員らしい三人の男たちがたむろしているのだが、そんなことはお構いなし。男たちも、事情を説明されているのだろう。カメラの邪魔にならない隅っこへ移動して――無料のライブショーが始まるのを待っている。
「まだ……するんですか?」
 美咲が、うんざりした声をあげた。
 どうにもできない状況だったとはいえ、この人たちには見捨てられた、災難を利用された――そんなわだかまりが、無くもない。それに。昨夜からの(ふたりにとっては)過酷なあはーぶ(オシオキ)の後で、雰囲気からすると六人入り乱れての乱交みたいだけれど、それでもフルコースで満腹しているところへお茶漬けを出されるようなものだ。
 そんなふたりの思いを無視して、監督がオチをつける。
「スタッフ一同でおいしく頂きましたってやつさ」
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 さて、気を取り直して。表紙BF丁稚揚げて、校正をすませて。
 来週からは次作にとりかかりましょう。
 ヒロイン戦記(連合軍×海)の予定です。『雷跡果てるとき』(仮題)


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