Progress Report 0:昭和集団羞辱史:物売編(夜)

 今回は取っ掛かりが、いつもと違いました。
 マゾ堕ちにしてもハッピーエンドにしても、ドラスチックな終わり方ではあります。ドラスチックでなければドラマチックではないと思いはしますけれど。たまには、平凡エンド、のんべんだらりエンドも面白いかなと。実はドラスチックなエンディングを考え出せなかったという、それはあったりなかったりしますしません。

 戦闘詳報でも書きましたが、小説を書いてないと手持ち豚さんなのです。

 取っ掛かり云々は、暇とは関係ありません。
 今回は、何を書くかで最後まで迷いまして。

『An Amateur Assasine Arrested and Abused』は、PLOT出来てるけど、拷問オンパレードが『濡墨』と同工異曲で、意欲がイマイチ。
『XXYの悲劇』は気分じゃないし。
『スケバン有情』は、まだ膨らむように思うし(それで千枚とかなったら、どうすんだよ?)。
『十手小町淫乱変化』は『濡墨』と時代劇かぶりだし。
『昭和集団羞辱史:番外編』書くよりは、「物売編(昼)」とペアになる「物売編(夜)」が先だろうが。

 ということで、そうしたのですが。
 執筆間隔調整というか、モチベアップの儀式というか。今回は、先にBFから手掛けたのです。
 「秘写真」売りは、構図的にイマニくらい。全裸緊縛少女の横に同じ構図の写真が散らばってるなんて、芸が無い。
 しかし「花売娘」売りは、適当な参考写真が見当たりません。エロい格好をした娘が花籠抱えて紳士にまとわりついているとか。出来れば、ブラウス無しのアンミラ風。まあ、前が大きく開いたチョッキから乳房がぽろんなんて、アンミラよりはるか昔からありました。筆者の中学時代の体育祭の女子応援団の手作り制服が、それでした。もちろん、下は体操服着用ですが。
 高校時代は、男子の制服で男子応援団の振り付け。あのガクランは誰のを借りてるんだろ、どういう関係なんだろ、裸ガクランだったら素敵だなと、嫉妬も妄想竹も……こほん。Midship!
 で、太思いついて。アップスカート立ち姿に花束を絡ませて。ついでに……

集団羞辱物売編(夜)紹介図
 股間の花は椿です。最初は薔薇でしたが、なんたって マンコ椿は恋の花♪ですからね。


では、PLOTを一揆加勢に。


1965年(昭和40年)
証券不況は個人消費には関係ない

秘写真

大竹和子/私
大竹昭大(あきひろ)/俺
 昭和元年産れ
 昭和22年に復員後結婚

1:父を尋ねて
土曜日の夕刻。盛り場を徘徊。職務質問
もう社会人です。山菱電機の工場に、この春から。
2年前の正月の家族写真からの引き伸ばし。
父が同じ工場へ出稼ぎ。消息不明。
「こいつ、エロ写真……むにゃむにゃ」
渋る警官に案内してもらう。
取り繕ってもしょうがないので商売中を。
取り落とす見本写真。
元締に娘を見せたくない。深夜喫茶。いかがわしい光景。奥のボックス席へ。
出稼仲間の借金の連帯保証人。30万円。和子の給料の2年分。利子もある。
稼いでも借金が減らない。他のヤツと同じ写真では売れ行き悪い。
月の売上は和子の給料の5倍くらい。取分は、その1/3。
そうだ。和子がモデルになってくれ。

2:父を助けて
日曜日の午後。元締の手配でヌード撮影。父は外へ連れ出される。
元締の二代目(マネージャーと呼べ)が仕切る。最初から執着?
おとなしい(?)もろ出し。顔がひきつる。
設定変更。実は最初から目論む。
3対1の疑似レイフ゜。とは教えずに。
服を引きちぎってパンティ猿轡。2人で押さえ付け股間に勃起を突き付ける。ところまで。
「迫真の組写真ができる」
モデル料が2万円。手渡す。大卒初任給並み。半分は父親の借金。取り上げる。
他の奴にも売らせる。
話が違う。
独り占めしたら、恨まれるぞ。

3:父と一緒に
翌週の土曜日、夜。
工場へは父も挨拶を入れてある。
5枚組で1500円は従来の5割増。
父が酔客に売り付ける横で顔見世だけのはずが。
売春は父親もさすがに。モデルの証明にマン見せ。裏にサイン。マン拓(+500円)。
巡回に見咎められるが、路地裏なら目こぼし。土日で大商い。10セット×2日。
取分1万円のうち8千円を返済へ。マン拓分(6千円)はポッケに。
計算上1年半で完済?

4:父への失望
2か月後。売上落ちる。マン拓はサービスに。もっと過激な写真。処女喪失もの。
二代目がたしなめる。同じ商品を細く長く。タカマチとか。しかし、OKする。
夏休みの帰省は和子だけ。父は完済まで行方不明のまま。
別に身売りではない。撮影のときだけ。
今時、処女じゃないと嫁に行けないなんてナンセンス。学生運動、スエーデン。
憧れてた同級生、農業学校。盆踊りデート。子供っぽく見える。片想いの終わり。

5:父の目前で
8月下旬。撮影。レイフ゜の続き。より過激に。今度は父に見せつける。二代目の意向。
パンティ猿轡、後ろ手錠。二代目が一番槍。二番槍は疑似。
8ミリで撮影も。別ルートで売りさばく。モデル料は5万円。4万円を返済。
10枚組で2千円。マン拓はサービス。1か月で売り上げ低迷。
またぞろ、新商品を父親が提案。「えすえむ」とか。
二代目が和子を堂々とデートに誘う。おまえの親父は、どうしようもない。
今度の写真でも、サツがうるさい。スケープゴートが必要(さり気なく)。
バシタになれ。
後で聞いた父親は難色。しょせんはヤクザ。自分のことは on the shelf。

6:父との離別
9月中旬。摘発。
猥褻物頒布罪等(2年以下の懲役)
懲役1年6か月。執行猶予無し。敢えて面会しない。会えば甘えが出る(と、二代目)。
和子は被害者扱いで実家へ帰される。二代目が母親に談判で。結婚。
出所した父を家族3人で出迎え。


****************************************

花売娘

佐島華代(はなよ)/あたし
 中3の夏。元大地主現農協理事長の息子と。彼の仲間5人とも。
 サセ子の噂。就職斡旋もしてもらえない。
 卒業と同時に多恵を頼って。事前相談をして、断わられている。
宇佐美多恵:35(終戦時15)/うち[ら]
佐島家との確執。満州から引き揚げ。ロシア兵接待で故郷に居づらくなって都会へ。

1:不安な前途
花屋『椿姫』の前に立つ華代。裏通りの小さなビルに挟まれた2階建。
始発で出て、昼過ぎに着。店は閉まっている。うろうろしてると、多恵が出てくる。
ここで働きたい。
正月に多恵が故郷錦。
夜の神社で飲み屋の看板娘を口説いているのを立ち聞き。
「あたしを雇ってください」
「子供にはできない仕事」
自分のふしだらな評判のせいだと思い込む。
押し掛け。
2階の住居で。
懸命のアピール。

2:過激な過ち
ここでカットバック。
夏休み。農協理事長の息子に誘われて3カップルで海へ。
1泊2日。保護者として先輩の姉は、ナンパ受け。
「遊びだけど、いいね?」
夜に華代だけ結ばれる。ワンピ。海で全裸。
後日のデート。弟妹への土産、持ちきれずにアップスカート。
ついでに、ダウンパンティ。海の2人に見せびらかす。
その夜、1対3。全員と。
秋祭り。先輩の準備してくれた浴衣。姉の着付け。透けて、下着無し。
3カップル+男3人。この3人とも。
学校でもノーブラ基本。パンティは先輩プレゼント。月イチ帰省でやり目デート。
サセ子の噂。
正月に先輩がクラスメートを伴って。振られる。
就職斡旋は、してもらえない。学校の評判を落とす。

3:花売の裏側
「あんたも、ずいぶんね。あいつの娘がねえ」
「父を知ってるんですか」には答えず。
実際の商売を見せてあげる。
陽が落ちてから出勤してくる売娘。5人。
25~32。けばい。私服だがピンクのスカーフが目印。
この街にトルコやちょんの間はない。ピンサロのフェラまで。立ちんぼは多数。
ルックスと年齢厳選で、椿姫がダントツ。
多恵に案内されて、物陰から見学。
何軒かとは契約してるが、路上のを。
小さな公園が溜り場。5人は互いに見える距離。せいぜい3人連れまで。微酔い止まり。
その場で人数合わせして同数の売子で。商談成立したらカップルごとに分かれる。
その後については口頭説明。
「やれるなら、雇ってあげる」
花束は200円。取分は50円。
椿はホ別ショート千円。取分は700円。泊まりはホ別2500円/2千円。
ホは休憩800円、泊1500円。
※「ホ別」は使っちゃあかんよ。
「へえ、椿?」
「オペラで椿姫ってのがあるでしょ。女主人公は高級娼婦なの」
土方の日給が1000円。立ちんぼより高い。
立ちんぼは、40~50代が多い。
若くて美女は、大都会へ。
現代より売春は安い。

4:マンコ椿は
先輩とペアで。大人っぽいメイク。
若すぎると敬遠される。先輩はOK。他グループのひとりを入れる。あぶれ同士のペア。
4回目で商談成立。重度ロリコン。優しいから、いいけど。結局、そのひとりだけ。
翌日は坊主。
あれこれ考えて。表紙絵を実行(パンツダウンは膝上で絆創膏)。
長めのスカートだからパンツも見えない。
多恵も先輩も呆れる。
どうせならと、多恵のアイデアでマンコ椿。ノーパン。
まだ、意地悪モード。
「まあ、やってみな」
路上は公然猥褻、飲み屋は雑然。バーで。
「花束が持ち運びにくいなら椿一輪を買ってください」アップスカート。
注:「アンコ椿は恋の花」1964/10
その日は3軒で3人。ひとり客2+3人のうちのひとり。

5:斬新な衣装
「マンコ椿の子」で定着。ナンバーワン。
他の売子もコスチュームに工夫。
総勢8人中3人。比較的若い子。
すっぽんぽんにレインコート。
洋風花売娘。ノーブラ、チョッキで下乳を支える。要するにアンミラ。
10年前のセーラー服。胸当てなしでスカートはミニ(股下から膝までの半分)。
 ミニスカートは、ツイッギー以前からロンドンなどで流行っていた。
年輩からの反感も。あくまで売子、客とは一目惚れの自由恋愛。
「若い子って、奔放ね」で、深刻な対立にはならない。
ともかく、順調に8月。帰省はしないでボーナスの名目で仕送り。

6:縄張の書換
「出てけ。売るわけないわよ」
説明。他県から進出のヤクザ。
地元の親分は満州帰りのつながりで娘同然愛人関係。
上部のアレコレで、この街はあっちのシマに。
土地と建物を買い上げて、多恵は雇われマダムにしてやる。
女の子の取分は75%→33%
冗談じゃない。
風紀粛清の腕章を付けた組員の営業妨害。
店も、いざこざはお断わりで出禁。
一時金を渡して、女の子は解雇(雇用はしてないけど)。
華代は引き続き住まわせて本業(?)の手伝い。花輪などは他店の既得権。

7:肉体的説得
店舗営業は閑古鳥変わらず。
地味な服装でピンクスカーフ無し花売り娘。1晩に3つでは売上額で日当いかない)。
店に帰ると、ヤクザ来ている。
目の前で多恵をまわす。
「うちら、露助を一晩20人だって相手してるんだ。これくらい屁の河童だい」
ならばと、華代を吊るして引ん剝いて。
「うちには関係無い。故郷で虐めてくれた先棒担ぎの娘」
「そうかい」
多恵はイスに縛り付けて。
バンドで全身20発くらい。
「権利書を渡しちゃ駄目。これくらい平気」
左右から脚を引っ張って開かせて、打ち込み。
権利書を渡す。必要な書類に署名捺印。


8:売春労働者
売子10人。前の8人のうち4人と華代。新人(すべて20代)5人は半強制。
制服。ブラウス無しで乳出しチョッキ、サーキュラースカート。
新人のうち2人と華代が、マンコ椿3人娘。
実は……店舗が再開発に引っ掛かる。ごねて補償を釣り上げ。売上を証拠に。
連れ込み宿も直営で、総額は
ショート千円+5百円、泊3千円+千円。
手取は33%どころか25%。
チップも身体検査。取分は50%
ただし会社員扱い。健康保険証と住民票と。
逃亡防止の寮は無料。組員のただ乗り。
金曜日と生理4日間が休み。
ショートは3回転がノルマ。
女工よりすこしはましな生活。
しかし、病気とかしたときは安心。
そんなに悪くない。
工場とかでも、事務部門など。流通に係わる人間も。
小売価格で考えると、女工の給料は1割かそこら。
それを考えれば、25%でも悪くはない?
貧乏くじはお姉さんだけ。


DLsite Affiliate キーワードは「花売」






Progress Report Final:濡衣を着せられた娘

 脱稿しました。きっちり400枚。校訂して数枚は上下するでしょう。

濡墨構図
========================================

最終幕 処刑場

 文政八年。筋彫お蝶が世を騒がせた寛政五年から下ること三十一年。処刑を前に病死したはずの筋彫お蝶が、突如として城下奉行所に自訴して出た。
 誰もが、かの者を狂女と決めつけたのだが。諸肌脱いだ背中には、調書(しらべがき)と寸分違わぬ蝶と楓と糸の筋彫があった。しかも、腰巻まで取ると。世人は知らず調書にのみ記されている揚羽蝶の文様までも鮮やかに。
 いったいにどうしたものかと奉行所は上を下への大騒動。これを抑えて冷静に仕切ったのは、先代吟味方惣与力、残谷郷門の四十九日が明けて跡を嗣いだばかりの強門(つよかど)だった。
 そもそも、千代の自訴の段取を付けたのが強門だった。
 元服してから五年ほどの間、強門は拷問の要諦を父から文字通り身体に敲き込まれている。筋彫お蝶の濡衣ならぬ濡墨を入れられた年増女の目の前で。
 お蝶を甚振の稽古台に使ったこともあったし、そもそも強門に男女の営みの手解きをしたのもお蝶だった。
 しかし。父の魔羅では悶え狂うお蝶も、強門にはどのように弄ばれようとも歔欷の声ひとつ上げなかった。拷問にしても然り。歯を食い縛って耐えるのみで、ついぞ音を上げた験が無かった。
 お蝶が父に責められる場面は、一度しか見ていない。
「この女は尋常一様ではない。されど、邪教の狂信者などは、しばしばこのようになる」
 そのときの参考にせよと念押されて……生涯忘れることがないだろう、凄まじい光景であった。
 それはともかくとして。
 素裸で市中引回のうえ磔刑。それがお蝶の心底からの憧れであり、父の(母も知らぬ)遺言でもあった。
 無論、そのような真実はおくびにも出さず。
 牢の掛医師まで抱き込んでの計略を見抜けず、病死であれば致し方無しとして獄門晒にも掛けず筋彫お蝶の遺骸を投込寺に捨てさせたのは父の手落であった。当時の医師も鬼籍に入り、今の牢掛医師は別門の人物であれば罪の遡及も叶わぬ。父の無念を些かでも雪ぐには、前例の無い秋霜苛烈な処刑であるべし。
 強門の強硬な主張には城代家老も折れざるを得なかった。筋彫お蝶に絡めて貫目屋を闕所にした際の裏の裏まで、残谷郷門ひいては強門が知悉しているからであり、貫目屋からの金煎餅を一件の始末に投じたのも郷門だけだったからである。
 牢破りの詳細とか、三十年もの間どこに身を隠していたかなどは、ほとんど追求されなかった。昔のことをほじくり返しても、墓に鞭打つ結果になるだけであろうし、経緯を詮索すれば、さらに罪人を作るだけである。
 奉行所としては、三十年遅れて刑を執行するだけという名分を貫くのが、もっとも波風立てぬやり方ではあろう。
 こうして、筋彫お蝶の死出の花道は整えられたのだった。

 筋彫お蝶が自訴して出て旬日を経ずして、刑は執行された。
 定法通りに縛っては背中の刺青が見えにくい。庶民に、この女が紛れも無く筋彫お蝶であると知らしめるため、首の後ろに渡した径七寸の丸太に両手を広げて縛り付けた。五日間を牢で過ごしたというのに、腋窩はつるつるで一本の毛も無いことに、お蝶を縛した小役人は驚いていたが。
 腰巻を剥ぎ取ってみれば、こちらも無毛。かつてハナが丹精した結果だ。
 しかし、揚羽蝶は花畠の中を舞っているように見えた。というのも、下腹部から太腿にかけて、無数の傷痕がちりばめられていたからだった。
 傷痕は、脇腹から乳房にかけても夥しい。ただ、背中と内腿だけは、刺青を損なわぬように配慮されていた。もっとも、揚羽蝶の胴にあたる淫唇はその限りではない。というより、喧嘩で敗れた雄鶏の鶏冠のように綻び傷付いていた。
「こ、これは如何に……」
「へっ。三十年前、先代の惣与力の旦那に、さんざん痛め付けられたからねえ」
 訝しがる小役人に、ふてぶてしく答えるお蝶。三十年前の古傷か、せいぜい一年前の傷痕かを見分けられるのは、金創医か吟味方の古株くらいであろう。古株は、惣与力の足を掬うようなことを言う筈も無い。
 牢屋敷を抜けて、城下奉行所の不浄門から外へ引き出される。
 高札は前日に立てられたというのに、道は人で埋まっていた。それを六尺棒で押し戻して保たれている小さな場所に、検視の役人と下人が三人。
「筋彫お蝶こと、貫目屋喜平が娘、千代。癸丑(みずのとうし)に四件の押込を働き、御縄になり死罪申し付けられしに破牢せしものなり。このたび自訴いたしたること真に神妙なれど、その罪軽からず減刑には及ばず。よって本日、市中引回のうえ磔獄門に処するもの也」
 みずから検視役を願い出た残谷強門が、音吐朗々と御仕置書を読み終えると。二人の下人が千代の裸身を抱え上げて裸馬に乗せた。余計な丸太を背負っているから釣合の勝手は違うは、丸太が邪魔になるはで、すくなからずもたついたのだが。おかげで野次馬どもは、筋彫の紋白蝶だけでなく極彩色揚羽の御開帳まで、たっぷりと見物出来た。
 城下町を隅から隅まで引き回される間、千代は馬上で陶然と目を閉じていた。この世の見納めなど、している暇は無い。馬の背にかぶせられた筵が淫唇をチクチクと刺激して、馬の歩みがそれを倍加する。今生最後の愛撫だった。
 大木戸をくぐって街の外へ出て。お蝶は馬から降ろされた。刑場までの半里は、おのれの足で歩かされる。これが、全裸に続く秋霜苛烈の二つ目だった。
 奉行所前の出立を見ていない野次馬は、ここで初めて太腿の揚羽蝶に気づく。
「うへえ、こりゃまた」
「筋彫の二つ名は返上しなくちゃならねえな」
「しかし、まあ……ぎりぎりってとこだね」
「なんだよ、そのぎりぎりというのは」
「考えてもみろよ。しわくちゃの婆が刺青じゃあ、興醒めもいいとこだ。ところが、どうだ。五十と聞いちゃいるが、姥桜のちょい手前。まだまだ見応えがあるじゃねえか」
「そう言やそうだ。そんなに乳も垂れちゃいないし、尻だってまん丸だな」
 女は灰になるまで女だと喝破したのは、大岡越前守忠助の御母堂であったが。千代がせいぜい四十を出るや出ずの肢体を保っているのは、これは郷門の丹精の結果ではあっただろう。前の甚振の傷が乾けばすぐに次の甚振。そのときの郷門は、決まって越中褌ひとつであった。甚振の最中か直後かには、必ず三穴のいずれかを貫いた。女は、女として使われることで、女を保ち続けるのである。
 しかし、それにしても。死の床に就く直前、古希の歳まで男であり続けた郷門も、たいしたものではあったが。話を、今に戻そう。
「歩きませい」
 びしり。六尺棒に尻を敲かれて、お蝶は蹌踉と歩み始める。
 大勢の見知らぬ人たちにまで素裸を見られている。首から下は無毛の裸身に蝶の入墨を纏わり付かせて。有るべきものが無く、無い筈のものが有る。その倒錯を思うと、早くも薄桃色の靄が微かに千代を包み始める。
 歩みが滞るごとに六尺棒で尻を敲かれるのも心地好い。
 一刻ちかくを掛けて刑場に到着したとき、お蝶の股間はしとどに濡れていた。遠目にも、それが失禁でないことくらいは分かる。いったいに、これはどういうことなのかと首を傾げる野次馬も少なくないが、しかし、裸を見られて興奮する女がいることくらいは知らぬでもない。さすがは筋彫お蝶、土壇場に臨んでも淫乱至極。三十年のうちには、諸肌脱ぎの急ぎ働きに尾鰭が付いて、さまざまな伝説と化していた。手下の三人が総掛かりとか。それはそれで、内実は真反対でも、その通りでもあるのだが。
 千代は野次馬の声など聞いていない。薄桃色の雲を踏んで最後の道を進み。縄を解かれて磔柱の上に身を横たえる。手足を大の字に展げられて横木に確りと縛り付けられ、肩から脇の下にも斜め十文字に縄を掛けられて腰も柱に固縛された。
 いよいよ、磔柱が押し立てられる。
 処刑掛の下人が二人、槍を構えてお蝶と向かい合う。検視役の残谷強門が、斜め正面に立って。
「筋彫お蝶、何か申し残すことは無いか」
 作法通りに声を掛けた、そのとき。
 お蝶は目を見開き天に向かって、歌うように叫んだ。
「みそとせの、せめらくもつき、あとにゆく……ほとぬれそぼち、やりをまちわぶううう」
 辞世の句、であった。
 さらに一度、繰り返す。
 わああああっと、竹矢来の向こうから歓声が湧いた。直ちには意味を解せぬ者も多かったが、そんなことはどうでもよい。如何にも強かな女賊らしく、死に臨んで音吐朗々と辞世の句を詠んだ。それでじゅうぶんなのであった。
 検視役の強門だけは、物心ついてこの方、お蝶が拷問蔵に囚われていることを知っていたし、元服してからは先に述べた通りの深い仲といえば仲であってみれば。辞世の句の意味は、取り違えようもなかった。
 強門は深く頷いてから、下人に向かって短く指図を下す。
「やれ」
 ぎゃりん。お蝶の目の前で槍が交差されて。引かれた槍が、左右からお蝶の脇腹を突き刺した。
 ぶしゅ……
「いぎゃああああっ……」
 お蝶が苦悶を絶叫した。
「ありゃありゃありゃ」
 穂先を腹中に留めたまま、ぐりぐりと槍が捻じられる。
「ぐああああ……あああっ……いいいいいい」
 絶叫の音色が妖しく変じたのが、野次馬にも聞き取れた。
 下人が槍を押し上げると、音も無く穂先が肩口に突き抜けた。
 槍が引き抜かれ、すぐにまた脇腹を差した。
「うああああ……さとかどさまああああ」
「それまで」
 強門が大音声でお蝶の叫びを掻き消した。
「止めの槍は、我が手でくれてやる」
 お蝶が感極まって余計なことを口走ってくれては拙いという思いと。意識が確かなうちに女淫を槍で貫いてやろうという、悦虐の千代にとってはむしろ温情と。
 小役人が差し出す新たな槍を脇に掻い込んで、強門がお蝶の正面に立った。
 お蝶は陶酔から醒めた目で強門を見下ろして。目は口よりも多くを語るのであるが、生まれ落ちてすぐに残谷家の養子となった強門は、それをどのように受け止めたのであろうか。
 強門が槍を構えて、お蝶の股間を見上げる。
「参る」
 短く言ったのは、剣術の稽古で身に着いた習い性ではあったろう。
 ずぶしゅっ……
 槍は吸い込まれるように女淫を貫いた。
「あ゙あ゙あ゙っ……い゙い゙、い゙い゙い゙い゙……い゙い゙い゙い゙」
 長々と雌叫びを放って。がくりとお蝶の頭が垂れた。
 それを見留めて、強門は槍を突き上げて喉まで貫いた。

 御定法通りに、お蝶の首は斬り落とされて獄門台に載せられ、骸は磔柱に掛けられたまま野晒にされた。お蝶の係累は既に亡く、白骨はそのまま捨て去られたのだが。強門の手によって、お蝶の喉仏の骨だけは、残谷家累代の墓の脇にひっそりと埋められたのであった。

三十年の責め楽も尽き後に逝く
      女淫濡れそぼち 槍を待ちわぶ
            筋彫お蝶こと千代 享年五十

          [ 完 ]

========================================

 最後の最後で衝撃の新事実が明かされましたね。筆者も「まさか」でした。
 これくらい、読者諸氏におかれましても読み取れますよね?
 作者の意識としては「暗示」ではなく「明示」も同然なのですが。ラノベ慣れしてると、どうなんでしょうか。


 閑話働題というんですかしら。「休」の反対語は「働」らしいので。
 6/20,21は個人的連休ですので。ここで、BFもPDFもepubも仕上げて。7/15リリースで各販売サイトにぶっ込んで。最近の流れですと、即座に自作に着手でしたが。
 ちょい、インターバルを取りましょう。まさか紙飛行機の新作まではしないでしょうが、クリア回数ン十回のヤリコミゲーをまたぞろ「弱くてニューゲーム」するか。そのあいだに自作の構想を航走して、二つくらいが抗争するかもしれませんが、気分一新で好走といきたいものです。

DLSite affiliate キーワードは「磔 処刑」

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 4:濡衣を着せられた娘

 いよいよ、第三幕に突入。
 第二幕より拷問の種類は多いですが、ストーリイはすでに語られ尽くして。あとは、ひたすら責めシーンの連続。SM小説を書く醍醐味ではありますが。
 短めなので、第三幕の冒頭から、昨日書いたところまでを一挙公開。

========================================

第三幕 拷問蔵

 千代の処刑まで三日を残すだけとなった、その日。残谷郷門は城下奉行から火急の呼び出しを受けた。
「間に合ったか」
 郷門は不敵につぶやいて、直ちに奉行の許へ参じた。
「これを見よ」
 奉行が格式張って郷門に手渡した書状は、隣国の家老から当家の城代家老へ宛てた公文書の写しだった。郷門は作法通りに書状を展げて、一瞥しただけで思っていた通りの内容であると知った。が、畏まって隅から隅まで目を通してはおく。
 横っ飛びの銀次と称する破落戸が商家に押し入って、直ちに捕縛され、吟味の末に余罪を白状した経緯が記されていた。人相風体から目を逸らさせようとして、諸肌脱ぎに墨で刺青を模した紋様を描いての急ぎ働きではあったが、間抜けなことに丁稚に逃げられ、もたついているうちに捕方に囲まれて捕まった。こうなると、目晦ましもへったくれもあったものではない。
 吟味が進むうちに、他国での同様の犯行を密告する者があり(とは、書状に記されていなかったが)、さらに厳しく追及したところ、筋彫お蝶の一件を白状するに至った。
国境を越えての凶行なれば貴国に御報せすると倶に御公儀にも届出たる次第
右御承知置き願い度
「実に容易ならざる仕儀じゃ」
 三井が頭を抱えるのは、事が御公儀にまで達したという、そのことだった。
 銀次の自白にようと、筋彫お蝶には刺青など無く、刺青を模した肉襦袢を着込んでの所業である。千代の申し立てとぴたり一致する。即ち、千代は無罪。しかし、すでに死罪の沙汰を下してしまった。取り消そうものなら、御上の権威に係わる。とはいえ死罪を強行すれば、隣国からの報せを蔑(ないがし)ろにしただけならともかく、万一にも御公儀から照会があったときに申し開きのし様も無くなる。
「処刑を繰り延べれば宜しいかと」
 郷門は、あっさりと言ってのけた。
「さいわい、処刑の期日は公にされておりませぬ」
「じゃが、裁きを下してから一月を越えて処刑しなかった先例が無い」
「そこで、この書状が役に立つのでござる。筋彫お蝶一味が奪った金は三百五十余両。しかるに、銀次どもは捕らえられたときに、三人併せて五両しか持っておらなんだと書かれております。これは、お蝶が独り占めしたと考えるべきでしょう。ならば、金をどこに隠したか、是非にも白状させて取り返し、盗まれた者に返してやるのが、御政道に携わる者の務めではありましょう」
「ふむ……」
 三井はしばし考える。貫目屋は娘への連座ではなく別途に処分されたのだから、もはや千代を是非にも処刑する名分は失せた。後は、御家大事、我身大事だけ。
「本物のお蝶が他国で捕らわれたときは、どうする。辻褄が合わなくなるぞ」
「千代を生かしておけば、何とでも取り返しがつきましょう。すくなくとも、無実の者を処刑したよりは、御政道に付く傷も瑕瑾に留まります」
 楓が捕らえられる懸念など微塵も無いとは、手の内を明かさぬ郷門だった。楓が死んでいると三井が知れば、死人に口無しとばかりに処刑を強行しかねないと読んでいる。
 一旦は諦めたものの、うまうまと掌中に転がり込んだ、いや実のところは扇之介や街道の親分筋に借を作ってまで強引に転げ込ませた珠。砕かれては、たまったものではない。
「しかし、いつまでも牢に留め置くのも拙い。ことに、吟味もせず無駄飯を食わせておくなど、いずれは外にも聞こえよう」
「あの娘は、数々の拷問にも屈しなかった強か者。斯くなる上は、拙者が身柄を預かって、弾正一流の拷問で厳しく責めて白状させる。という筋書は如何でござろうか」
「その方で預かる、とな……」
 三井とて阿呆でもなければ耳が聞こえぬでもない。残谷の嗜癖も些かは知っている。しかし、厄介事がおのれの管掌から消えてくれれば、それで良い。いざとなれば、こやつに腹を切らせれば済む。
「よかろう。お主に任せる」
 こうして、千代の運命はまたしても大きく捻じ曲げられたのだった。


 第一場 盗金所在

 吟味を受けていた者も牢へ戻され、囚人どもは夕食までの退屈な時をもて余すだけという刻限になって。
「筋彫お蝶こと千代。牢替えじゃ」
 不意のことに、女囚どもがざわめく。いよいよ明日にでも処刑の運びとなって、最後の一夜くらいは静かに過ごさせてやろうというのか。前例の無いことだったが、そうとしか考えられない。
 着た切り雀の黄八丈の上から縄打たれて、牢屋敷の中を引き回され、ついには裏庭へと連れ出された。そこには役人の姿は見えず、尻を絡げた荷運び人足が二人と大八車。
 千代は二人の顔に見覚えがあった。掛同心八戸様の上役で、拷問に立ち会って御定書に無い制外の残虐な責めの陣頭指揮を執っていた残谷様。その手下の人たち。
 千代は厭な胸騒ぎに襲われたが。どうせ生を諦めた身。女淫を槍で貫かれるより酷いこともされまいと、おのれに言い聞かせて。大八車に積まれた細長い箱の中へ、大菱縄を掛けられたままおとなしく押し込まれたのだった。
 箱に蓋がかぶせられ縄で荷造りされ(たのだろう)、ガラガラと大八車が動き出した。
 もう大昔のように思えるけれど。すべての発端。拐わかされて棺桶に押し込まれて鬼と夜叉の巣へ運ばれたときを思い出した。あれに比べれば、身体を伸ばしているだけ楽だった。揺れがガタゴト身体に伝わって痛いけれど。
 それに、あのときは。何をされるかと生きた心地も無かったけれど。今は何をされても構わないと一切を捨ててかかっているから、何も怖くない。おのれに、そう言い聞かせる千代だった。

     毛粧焼

 並の荷運びと違って、大八車は歩くのと変わらぬくらいにゆっくりと動いて、それでも小半刻とかからず目的地へ着いたようだった。箱に入れられたまま担がれて、何十歩かを運ばれた。
 そうして箱の蓋が開けられて。石畳の床に転げ落とされて。千代は最初、また牢屋敷へ、それも吟味部屋へ戻されたのかと思った。しかしすぐに、そうではないと悟った。
 間口奥行ともに、吟味部屋より五割は広い。一角には狭い牢屋まで設けられている。そして、拷問の道具立としか思えない奇怪な調度が、壁の三面を埋めてびっしり並んでいた。
 キの字形をした磔柱、水平に寝かせて宙に支えられた梯子、三角の胴をした首の無い大きな木馬、大きな箱に下半分を隠されている水車、人の背丈ほどもある桶。仕置柱もあれば、ずっと細い竹まで何本も床に植えてある。天井には滑車が四つも吊られていて、そのひとつは複雑な組滑車だった。
 千代の前に立ったのは、これは予期していた通りに残谷郷門だった。背後に二人の女性(にょしょう)が控えているが、もちろん千代の知らない顔だった。
「御取調に手落ちがあった。よって、処刑を延期して再吟味いたす。盗んだ三百五十両もの大金を何処(いずこ)に隠したか。素直に申さば、格別の慈悲をもって、苦しまずに死ねるよう計らってやる。吐かねば、磔よりもよほど恐ろしい生き地獄を味わわせてくれるぞ」
 あっと思った。
 これまでは濡衣を認めるか認めないか、その一点を巡る吟味であり拷問だった。両親に連座が及ばないと知って虚偽の白状をして、それで楽になれた。
 けれど。はい、いいえではなく。知らないことを白状しろと迫られては、答えに窮する。道具立を見るからに、吟味部屋よりも格段に恐ろしい拷問。それから逃れる術(すべ)は、無さそうだった。
 そうだ……咄嗟に閃くものがあった。
 千代も牢獄の中で、ただおのれの悲運を嘆き悲しんで日を過ごすばかりではなかった。ことに、拷問の傷に呻吟していないときは。ふとした出来心で罪を犯した堅気の女(ひと)の身の上話に同情したり、男を手玉に取った遊び女の手練手管に感心したり、男顔負けの荒事をしてのけた女渡世人の武勇伝に聞き惚れたり。この一月ほどの間に、貸本の百冊を読んでも得られないほどの世間知、大方は悪知恵が身に付いた。
「申し上げます」
 千代は縛られた身を起こして、郷門に向かって正座した。
「盗ったお金はすべて、銀次たちに持ち逃げされました。ですから、わたしはしょうこと無しに、お父っつあんの寮へ逃げ込んでいたのです」
「なるほどのお」
 物分かり良さそうに、郷門は頷いた。
「では、明朝にもう一度尋ねるとしよう」
 今日のところは身綺麗にしてゆっくり休めと。労るような言葉を口にして。
「この二人に逆らうでないぞ」
 と、二人の女を振り返る。
 郷門は名前すら千代には教えなかったが。三十になるやならずに見えて、その実三十七の太り肉の女は源氏名を芳之、屋敷内ではヨシと呼ばれている、元散茶女郎。残谷に雇われて普段は下女、こういったときには弥助や梅松と同じ役どころをこなしている。
 五十の坂を越えたのはいつの昔かといった細身の女というか老婆は、華扇楼の現役遣手婆の、昔は国松を名乗っていたクニ。郷門が扇之介に頼んで、明日まで借り受けている。
「おまえたちも手伝ってやれ」
 とは、千代をここまで運んできた弥助と梅吉へ。郷門は土蔵の隅へ引っ込んで、愛用の床几に腰を据えた。
 梅吉が千代の背後へまわって大菱縄の縄尻を引くと、ぱらりと解ける。
「羞ずかしいだろうが、おべべを脱いどくれ」
「羞ずかしいものか。この一月あまり、牢の中でも外でも、素っ裸がお仕着せだったようなものだ」
 郷門は、ただ千代を辱しめるためだけに言わでものことまで口にしたのではない。死罪を言い渡された囚人は、往々にしてこの世の一切に関心を持たなくなる。あるいは、見苦しいまでに生に執着するか。そこを見極めようとしたのであるが。郷門の見るところ、千代は前者であるらしかった。
 切支丹も死は怖れぬが、生を捨てはしない。生を捨てた者を責めても、拷問の参考にはならない。郷門自身の嗜癖にも合わない。
(三日五日と責め続け生かし続けてやれば、さて、どうなるかな)
 そのためにも、まずは羞恥心を甦らせてやるべき。クニに処置をさせるのは正解だったであろうと、郷門は自惚れたのだった。
 千代は郷門の言葉が聞こえたのかどうか。言われた通りに淡々と帯を解き黄八丈を脱ぎ、たいしてためらうふうもなく腰巻までもみずからの手で剥ぎ取った。前を隠しもしない。
 遣手婆のクニが、ちょっと呆れ顔。は、すぐ能面の下に隠して。
「ここに寝ておくれでないかい」
 両端を台に支えられて宙に浮いた梯子を手で叩く。
 千代は無表情に片足を高く上げて梯子に乗り、身を横たえた。
 ヨシがてきぱきと立ち働いて、千代を万歳の形にして梯子に縛り付けた。
 千代は表情を動かさない。
 梯子の脇に季節外れの火鉢が据えられて、赤々と炭が熾された。火を囲むようにして、長い針が何十本も並べられるのを横目に見て、初めて千代の表情が動いた。
 かつての千代なら知らず。我が身を様々に甚振られていれば、熱した針がどのように使われるか想像に難くなかった。
「今日は休ませていただけるのではなかったのですか」
 郷門に向けられた千代の言葉には、諦めが滲んでいる。
「身綺麗にせよと言ったぞ。女の身で無精髭なぞ見苦しいわ」
「…………」
 言葉の意味が分からなかったが、重ねて問う気力もない。されてみれば分かることだった。
「一度に全部はとても無理だからね。明日からは、おまえ様がしてやるんですよ」
 遣手婆のクニが、郷門家の下女に言い含めて。毛抜きを左手に持ち、右手の指を唾で湿してから、先端が真っ赤に焼けた針を摘まみ上げた。
 千代の下草は入牢に際しての素肌検で奪衣婆に剃られて、今も二分ほどにしか萌え出でていない。クニはその一本に毛抜きの先を押し付けて根元ぎりぎりを摘まむと、ぴっと引き抜いた。毛根まで抜けて、ぽつんと開いた毛穴に灼熱した針先を差し込んだ。
「きゃあっ……」
 千代が悲鳴を上げたときには、すでに針は引き抜かれていた。
「隣の毛は抜くんじゃないよ。五分くらい離すんだ。そうしないと、火傷がくっついて痕が残るからね」
 使った針は火鉢に戻して、新しい針を摘まみ上げるクニ。
 二本目の毛を同じようにされて、今度は千代は呻き声すら上げなかった。最初は驚いたが、これまでに受けてきた拷問に比べれば、児戯にも等しい甚振りだった。
 郷門としても、これを拷問とは考えていない。亀女が全身剥き身の茹で卵のように無毛なのを見て、思い立ったことだった。女郎の中には、手入れをして五日もすると黒ずんでくるのを嫌って、このように毛根まで焼き尽くす者もいる。
 焼けた針を毛穴に突き刺すといっても、浅ければ一月か二月もすると生えてくるし、深過ぎると肌に痘痕(あばた)が残ったままになりかねない。
 五本、十本、二十本……五十本も処置をしたところで、クニは手を休めた。
「弾正の旦那さん。腋の下もやっつけるんですね」
「うむ」
 淫毛を剃る、一気に燃やす、あるいは、かつて千代が楓からされたように熱蝋を垂らして冷えたところで引き剥がす。こういった羞恥責めを、郷門は幾度か女囚に試みたことはあった。名目としては毛虱退治とか花柳病の検とかだが、実際には、証拠が乏しくて牢問に掛けられない場合の苦肉の策だった。初心な生娘でも、これくらいで白状はしない。だが、羞恥の極みにあるときに尋問すれば、ぽろりと真実を漏らすことがある。それは、ともかく。
 郷門も腋毛を無くすという発想は無かった。亀女を見て、如何にも生き人形に相応しい形だと思った次第だった。
 下腹部よりも腋窩のほうが、肌は敏感である。左右ともに二十本ずつも抜かれて焼かれる間、さすがに千代も苦しそうに呻いていた。
「それじゃ、見ててあげるからヨシさんもやってごらんな」
 ヨシもクニの半分ほどは処置をしたのだが。真っ直ぐに突き刺せなかったり、引き抜くのにもたついて肉を焼き過ぎたりして、何度かは千代に悲鳴を上げさせた。
(それにしても、俺も気の長い男だな)
 郷門は内心で苦笑した。肌を損なわないためには、一日か二日を空けて、一度に焼く量はせいぜい百本までと、クニは言っている。下草は毛の濃い者では五千本以上もあるという。千代は薄いほうだが、それでも千本やそこらはあるだろう。剥き身の茹で卵に仕上がるまで、千代を手元に置いておけるかどうか。しかし、事を急いで、千代の股間に棲む揚羽蝶を損なうつもりはなかった。
「今日は、こんなところさね。後は剃っちまうよ。一厘かそこら伸びてきたら、ヨシさんの出番だよ」
 仕上がるより先に、千代は三尺高い木の上で晒されることになるだろう。

     木馬責

 土蔵の角には、一間四方の牢が設けられている。二面は土蔵の壁、残る二面が木格子。素裸のままで、千代はそこへ押し込まれた。
「そこに把手があるだろ。引き出してみな」
 ヨシに言われて動かしてみると、幅一尺ほどの箱が現われた。砂が敷き詰めてある。奥は仕切られていて朽ち縄が何本か。
「そこが、ええと御牢では詰の神様だっけね」
 つまり厠だった。朽ち縄は跡始末に使うのだと、かつて銀次たちから受けた仕打ちを思い出す。この時代、町方の貧乏長屋でも落とし紙が使われるようになっていたが、農村部ではまだまだ朽ち縄や藁、あるいは木の箆などが使われていた。だから、ことさらに囚人を辱めようという意図は……いや、郷門ならあったかもしれないが。
 しかし、これまでは畳一枚の上で寝起きしていた(それでも平囚人ではなく客分扱いであったが)千代にしてみれば、存分に手足を伸ばせる別天地であった。しかも、煎餅布団まであった。一枚きりだからくるまって寝なければならないが、それでも十二分にありがたい。という感謝の念は、その布団にどす黒くこびり付いている血の痕を見て消し飛んだ。ここは、牢屋敷に勝るとも劣らない地獄なのだった。
 それでも。その日は、白米に鯵の開きに沢庵と味噌汁という、牢内とは比べ物にならない夕餉を出されて、また千代は、ここはほんとうに地獄かと戸惑ったりもしたのだが。

 翌朝は、夜が明けきらぬ内から叩き起こされた。
「出すものは出しときな。木馬の上で粗相されちゃ、こっちがたまったものじゃあないからさ」
 七分粥に梅干ひとつという、前夜にくらべれば質素な、けれど雑穀が混じっていないから牢内よりは贅沢な朝餉を格子の中へ差し入れて、すぐにヨシは立ち去った。
 千代は素直に粥を平らげると、雪隠箱を引き出して用を済ませた。これまでの残谷様の遣り口を思えば、きっとここも甚振られるのだろうと、朽ち縄はほぐして入念に跡始末をした。のは、羞じらいの心が甦った証ではあっただろう。
 半刻もしないうちに、牛頭馬頭を一身に体現した郷門が、三匹の小鬼を従えて地獄に舞い戻って来た。いつもの与力装束ではなく、褌一本の姿だった。
 起きてすぐに身を濯いだままなのかと訝った千代だが、そうではないと気づいた。武家は絶対にといっていいほど、下帯は越中だった。戦場(いくさば)で素早く緩めて用を足すためである。しかるに、郷門が締めているのは六尺だった。
 みずからが大汗を掻くほどにわたしを痛め付ける御積りなのかと、千代は怯えた。死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが。拷問をされずに留め置かれること二十日に及んでいる。三日と空けずに甚振られていた頃とは、覚悟の持ち様も違っていた。
 けれど、三匹の小鬼どもはいたって普通の身形、二人の男は尻絡げで、下女のヨシは単衣を襷掛け。それはそれで、残谷様に淫らな思惑があるのかと、これは期待してしまう。埒を明けてくだされば、甚振りも終わるのではないかという……とっくに操とは縁の切れた身の上、女淫でも口でも尻穴でも、それで済めばありがたい。そこまで堕ちている千代だった。
 千代は牢から引き出されて、高手小手に縄を掛けられた。ことに胸縄は厳しく、左右と谷間とで上下を絞られて、縄の中に乳房をつかんで引き出され、さらに根元を締め付けられた。
 四本の脚を二本の橇に乗せた三角胴の首無し木馬が中央に引き出されて。千代は滑車で吊り上げられて、その上に乗せられた。嫌でも三角の稜線を跨がねばならず、稜線は淫裂に食い込んで、鋭い痛みを千代に送り付ける。とはいえ、未だ箒尻を敲きつけられるほどの激痛ではなかった。頂部を取り換えられるこの木馬に郷門が取り付けていたのは、なんの変哲もない三角形の楔だった。それはそれで、じゅうぶんに股間を切り裂くが、鋸刃ほどは凶悪でない。
「では、改めて尋ねるぞ。急ぎ働きで奪った三百五十両は、どこに隠した」
 この御役人様は、まったくわたしの申し立てを信じてくださらない。千代は絶望するとともに、それも当然かと納得してしまった。
 背中に入墨という明白な証拠を背負いながら、筋金入りの極悪人でさえ泣いて白状するという苛烈な拷問に耐えた、強かな女賊。御役人様には、そう思われている。
 その強かな女賊が仲間に裏切られ、盗み金を洗いざらい持ち逃げされたなど、誰が聞いても嘘だと思うだろう。けれど。一晩ずっと考えてみても、これ以上に巧みな言い逃れは思いつかなかった。
「昨日、申し上げた通りです。銀次たちに持って行かれたんです」
 郷門は、千代の言葉は聞き流して。
「長丁場だ。一枚でよかろう」
 弥助と梅吉には、それだけで通じる。十露盤責に使う石板が、長手方向が木馬の橇を跨ぐ形に置かれた。
「ひ……」
 吊責のときに脚を開いて石板を吊るされているから、これから何をされるかは明白だった。
 石板の端に縄が巻かれて、まず片足をつながれた。
「きひいいい……」
 さらに、もう片足も。
「いやあああっ……痛い、痛い」
 石板一枚で千代の目方ほどもある。股間の一筋に掛かる重みが倍になったという、それだけでは済まない。それまでは渾身の力で腿を閉じて、木馬の斜面で幾らかの目方を支えられた。しかし両脚を三尺も開かされては、二人分に匹敵する目方が、鋭い稜線が、女淫に食い込んで柔肉を切り裂こうとする。
 激痛に、千代は身悶えすら出来ない。わずかでも身じろぎすれば、女淫の奥で激痛が暴れる。逆刃に立てた包丁の上で大根を転がすのと同じ結果になりかねない。
 郷門は無言で、食い入るように千代の表情を凝視めている。
 千代はのけぞり、口を悲鳴の形に凍りつかせ、目尻に涙を湛えて。ひたすらに苦悶している。恍惚の色など微塵も無い。
 郷門が、千代を打擲する得物を手にした。箒尻などではなく、先端に鎖の小さな鉄環を編み込んだ縄束だった。しかし、すぐには使わず。
「思い切り揺らしてやれ」
 弥助と梅吉が木馬の前後に取り付いて、足は橇に掛け手は三角の胴体を持って、橇の端が床に触れるまで後ろへ傾けた。石板が振子の錘となって千代の脚が後ろへ流れ、上体は自然と前へ倒れて釣り合いを保とうとする。
「ぎひいい、痛い……お赦しくださいいっ」
 郷門は無言。弥助と梅吉は目配せを交わして。
「せえのっ」
 勢いをつけて木馬を押し出した。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 千代が絶叫した。
 ぎし、ぎし、ぎし……木馬が前後に大きく揺れ続け、さながら悍馬を巧みに乗りこなしているかに見える千代は、絶叫を吐き続けたのだが。
「揺すれ」
 郷門に命じられて、二匹の小鬼が揺れの小さくなりかけていた木馬を大きく揺すったとき。
「ぎびひいい……」
 悲鳴が細くなってゆき、
「ああああ、あああっ……」
 両親の媾合いを覗き見た子供が、母ちゃんが虐められていると思い込むほどに、絶頂の声と表情は苦悶のそれと酷似している。しかし、郷門は見誤らなかった。にんまりと形容するにはあまりに生真面目な表情で、ひとり頷いた。
 このとき。たしかに千代は、恍惚の中にあった。薄桃色の靄の中に浮かんで、頭にも身体にも靄が沁み込んでいた。淫裂の奥深くには凄絶な快感の楔が打ち込まれていた。淫核と女穴にも楔が欲しくなって、木馬に揺すられるよりも激しく腰を揺すっていた。
 すでに女穴の前後は木馬の稜線に切り裂かれて、股間は血まみれ。太腿にも伝っている。
「うぐ……」
 郷門の残酷な拷問を何年も手伝っているヨシが、袂で口を押さえて土蔵の外へ逃げ去った。
 しかし、郷門は満足しない。手桶の水に浸けて、ずしりと重くなった縄束を、千代の尻に敲きつけた。
 バヂャン。
「おおおおーっ」
 千代は木馬の上で激しく背をのけ反らせて、はっきりと喜悦の表情を浮かべた。
 薄桃色の靄に包まれて宙に浮いているところへ強烈な愛撫を加えられ、尻が熱く疼いた。
 バヂャン。バヂャン。バヂャン。
 二十日ちかい養生とまではいわぬにしても、拷問を受けることなく傷が癒えていた白い肌がたちまち切り裂かれ、太い痣が刻み付けられていった。
 しかし千代は、肩を敲かれ乳房を敲かれるにつれて全身が蕩けていく。痛くされればされるほど、それを濃密な愛撫に感じてしまう。もう一息で、全身が微塵に砕け散るような快感が訪れる。本能が、そう教えていた。千代は愛撫をねだって全身をくねらせた。
 しかし。
「そろそろ出仕の刻限か。おい、ヨシ。戻って来い」
 下女を呼び戻して。郷門が戻るまで千代を見張っているように命じる。
「教えた通りであろう。こやつ、かほどに責められながら法悦境を彷徨っておる。じきに正気づくのか気を失うのか、はたまた苦しみ始めるのか。その移ろいを、確(しか)と見定めよ。おまえから働きかけるには及ばぬが、水を所望すれば飲ませてやれ。口移しでも許すぞ」
「あい、分かりました」
 稀には男も甚振るが、この拷問蔵へ連れ込まれる者の九分九厘は女である。悦んで主人の手伝いをする女であれば、そういった性癖を持っていても不思議ではない。というよりも、そこに目を付けて雇っているというのが実情だった。もっとも。拷問蔵であまりに閑古鳥が鳴くときなど、この女が、血を見ない程度に甚振られることもあった。そして女も、それはそれで愉しんでいるのではあったが。本筋には関係の無い話であるので、ここらへんで焉めておく。
 千代とヨシを残して、土蔵の戸が閉められる。
 ――強烈な縄鞭の愛撫からは解放されても、股間への刺激は続いている。おのれの目方が倍になって、それを股間の一線で支え続けるという、まともな女なら泣き叫ぶ激痛。しかし、過去に受けた拷問で苦痛に狎らされている千代には、木馬が揺れていない限りは、かろうじて正気を失わないでいられる責めでしかなかった。
 それ故に。千代を取り巻いていた薄桃色の靄は次第に薄れていく……
「く……くうう」
 股間を切り裂かれる痛みに、千代は呻く。快楽すなわち激痛を求めてみずから腰を揺すった報いではあった。法悦境にあっても、千代はおのれの所業を覚えていた。だから。激痛に苦しみながらも、郷門を骨の髄まで恨む気にはなれなかった。郷門が千代を筋彫お蝶と信じて疑わないのであれば、吟味役人として当然のことをしているまでのこと。そうも思ってしまう。それは千代のまったくの思い違いではあったのだが。
 郷門が(牢屋敷を内に抱える)奉行所で勤めを終えて帰宅するまで、正確にいえば自宅内での所用も終えて拷問蔵に舞い戻るまでの三刻余を、千代は三角木馬の鞍上で苦しみ続けなければならなかった。
 まもなくの入梅を控えて、土蔵の中は蒸し暑くさえあったが、喉の渇きを覚える裕りなどなく、ヨシにはつまらない思いをさせたのではあったが。
 それはともかく。郷門がまた六尺褌一本の姿で千代の前に立ったとき、いっそう過酷な、あるいは甘美な拷問が再開されるのだった。

     股張紐(承前)

「下ろせ」
 千代は石板を解かれて、木馬から吊り下ろされた。吊っている縄が緩むと、とても立っていられず床に倒れ付した。高手小手の緊縛も解かれて、しかしすぐに、両手を揃えて頭上で縛られた。開脚させられて、石板も元のように足につながれた。
 滑車から垂れる綱で再び吊り上げられる千代。石板の重みでおのれの目方の倍が肩に掛かるとはいえ、これしきなら千代にとっては甚振りには当たらないのだが。
 壁際の箱から、弥助が長い紐を引き出した。太さ一分ほどの細引。ただし、縄鞭の先端に編み込んであるよりもひとまわり大きな鉄環が、一尺置きに結わえ付けられている。
 土蔵の端に植えられている太い竹竿の先に、細引の一端が括り付けられた。石板が肩の高さに来るまで吊り上げられた千代の足の間に細引が通されて、反対側の壁際に植えられている竹竿に巻き付けられて。
「せえのお」
 弥助と梅吉の二人掛りで細引の端が引かれると、向かい合った二本の竹竿が内側へ大きく撓った。細引がぴいんと張って、千代の股間に埋没した。
「…………」
 千代はわずかに顔をしかめただけで耐える。三角木馬に比べれば、苦痛は有っても無いようなもの。そして千代は羞恥には鈍磨している。しかし……
 千代の身体が、ゆっくりと吊り下ろされていく。細引はますますきつく張って淫裂を深々と割り、淫核から尻穴にまで食い込んでいく。細引に引かれて、竹竿が折れんばかりに撓る。
「く……」
 これでもまだ、この土蔵の中では色責としても生ぬるいものでしかないが。弥助が千代を後ろ向きに押し始めると、途端に淫にして虐な責へと変貌する。
 弥助ひとりの力では、撓った竹竿の先から一尺を残して、それ以上は押せなくなった。が、それでじゅうぶん。
「やりますぜ」
 千代を一方へ捻るようにして前へ突き放した。
 石板と千代の重み。そこに、竹竿が元へ復そうと細引を斜め上へ引っ張る力も加わって。千代の裸身が凄まじい勢いで前へ突進した。
「ぎびい゙い゙い゙っ……」
 千代が喚く。
 ぶじゅじゅじゅじゅっ……
 細引に括り付けられた鉄環が、立て続けに淫裂を抉る。太さ一分しかない細引が、三角木馬の稜線に切り裂かれた柔肉の傷をさらに広げる。
 たちまちに、白かった細引が朱に染まった。血しぶきさえ飛んでいる。
 千代の正面では、郷門が箒尻を手に待ち構えている。竹竿の手前、振子の頂点で千代が止まる刹那を狙って。
 バシイン。
 箒尻が乳房に叩きつけられた。
「がはっ……」
 息を詰まらせる千代。が、すぐに凄絶な悲鳴が続く。
「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 後ろまで振り切って、また前へ揺り戻して。
 ずぐぶっ……
 箒尻が縦に、千代の下腹部に突き立った。
「げふっ……」
 ぐうんと突き戻されて。腹の奥から吐き出されるような勢いで、鉄環が後ろから前へ股間を抉る。
 三度目。郷門は箒尻を使わなかった。代わりに、石板の一端を力いっぱいに蹴った。
 千代の裸身がねじれながら揺れる。その分、股間は奥底だけでなく左右の肉襞までが抉られる。
「ひいい、いい……いいっ」
 女淫への責であってみれば、初手からそういった刺激を受けている。たちまちに千代の意識は濃密な桃色の靄の中へ溶けていって。四度目に、肋骨が折れそうなほど強く乳房を敲かれたとき。
「うああああ、あああーっ」
 聞き誤りようのない雌叫びを放って、千代は悶絶したのだった。
========================================
女囚永代吟味を流用

 実はシフトの関係で、6/10,12,14と飛び石連休なのです。この間に仕上げるのは無理でも、手前までは持っていきたいものです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:濡墨を着せられた娘

 なんだ神田で280枚で進行中です。
 章題を若干変更したり(黄色)、第三幕を増やしたり()。

第一幕 破れ寺
 第一場 拐わかし
   三穴姦/蝶乱舞
 第二場 全裸捕縛
   裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
 第一場 吟味前夜
   素肌検/牢問答
 第二場 苛烈牢問
   裸敲問/石抱問
 廻舞台 若侍苦楽責
   牢内掟/吊敲責/海老責/弓張棒
 廻舞台 新妓夢現責
   駿河問
 第三場 虚偽自白
   父母流罪/磔刑申渡
 廻舞台 熟娘揺木馬 ←Written
第三幕 拷問蔵
 第一場 盗金所在
   毛粧焼/木馬責/股張縄/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
 第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場




 今回は、第二幕第二場之五【弓張棒】を御紹介。
 (承前)とあるのは、海老責に続いて同日中の責めだからです。
========================================

弓張棒(承前)

 午(ひる)を告げる拍子木を、海老責に呻吟している千代も微かに聞いた。その直後に、数人の足音。郷門と八戸だが、手伝いの二人は午前の下人ではなく、郷門が屋敷で飼っている男たちだった。きちんと人別もある。ふだんは下男の仕事をしながら、こういうときには汚れ仕事もする。といって、余分な手当は得ていない。汚れのうちには、ときとして魔羅の汚れもあって、それが手当の代わり。つまりは、身分の差こそあれ郷門の仲間(なかま)ともいえた。ちなみに、下女の中にもこの手の者がいるのだが、それは彼女たちが登場するときに詳述しよう。
 千代はいったん縄を解かれて、いっそう淫らな形に縛り直された。縄を掛けられずに身体を二つに曲げられて、両脚で頭を挟む形にして手首と足首とをひとつに括り合わされた。屈曲の角度としては海老責よりも深いくらいだが、脚をそんなに開かされていないから、苦痛は少ない。もちろん比較の問題で、身体の硬い男なら小半刻とは耐えられないだろう。そして。腰を高々と突き上げて二穴を天井に向かって曝すのだから、娼婦でさえも羞恥に悶えるだろう。
 しかし千代は、海老責よりも鮮やかに全身を朱に染めたが、表情はほとんど動かさなかった。どんなに責められようと無実の罪を認めるわけにはいかないし、認めない限り拷問は続く。となれば、責め殺されるのが親孝行と、性根を決めていた。
 郷門が、奇妙な棒を何本も床に並べた。一見して男根を模した物、即ち張形だが。竿の部分に陣笠のような形状をした鋲が三段、螺旋状に埋め込まれている。これは女泣かせの瘤と解せなくもないが。張形の根元は細い棒になっていて、本体よりも太い角柱を貫いて、末端は滑車で終わっていた。
 張形の太さは竿の部分で、一寸丁度、一寸三分、一寸六分、そして二寸の四種類。長さはどれも八寸。それが二本ずつ。雁首はいちだんと張り出しているし、鋲の先端から先端までの差し渡しは、さらに大きい。
「これは、尻穴未通女でもなんとか挿(は)いる太さじゃ」
 初めて実見する八戸に説明してやって。郷門は一寸丁度の張形を取り上げて、金創軟膏をまぶした。亀頭の部分で尻穴をこねくって、そろりと押し込んで。
「これは……ずいぶんとこなれている。おまえは、尻穴で媾合ったことがあるのか」
 千代は逡巡したが。阿婆擦と思われてはたまらない。
「捕らえられて、十日間ほど掛けて入墨をされている間、三人の男どもに……何度も何度も」
「聞いておいてやろう」
 とは、千代の言葉を信じてはいないが嘘と決めつけてもいないという意味。
「ならば、これでも呑み込むのでないかな」
 次を飛び越して、一寸六分を試みる。
「きひいいい……」
 ほとんどふた月ぶりの、尻穴への強貫。忘れようと努めていた、灼熱の激痛が甦った。いや、一寸六分といえば魔羅としても逸物(いつぶつ)だが、そこに鋲の突起が加わる。初めて尻穴を犯されたときよりも、よほど痛かった。
 それでも、肉襞が裂けることもなく、千代の尻穴に太さ一寸六分の張形が突き刺さった。
「これで腹一杯といったところだが、それでは甚振りにならぬ」
 尻穴の一寸六分に圧迫されてひしゃげた女穴には実に二寸が試みられたが、さすがに無理だった。激しく痛がるとかではなく、押し込めないとは手応えだけで知れた。
「ふうむ……」
 一寸六分だと挿入は出来たが、千代が絶叫した。それでは後段の目論見に差し障るとして、前に一寸六分、後には一寸三分で落ち着いた。張形は根元まで埋没させず、前は二寸、腸は膣よりも奥行きがあるので一寸のみを残した。
 挿入されるときこそ、千代は唇を噛んで苦痛と恥辱とに耐えたが、郷門が手を放すと、股間から二本の角を生やした姿で、それほど苦しそうにも見えない。
仕置柱から厚さ一寸の板が水平に突き出されて、角柱に宛がわれた。板は仕置柱に釘で打ちつけられ、そこに鎹(かすがい)で角柱が固定された。
 最後に、二張(ふたはり)の半弓が持ち出された。それぞれの弦が千代の上を横切って、角柱から突き出ている滑車に巻き付けられた。
 郷門の下男二人が千代を挟んで向かい合って座り、両手に弓の端を握った。
「まずは、ゆっくりと同じ向きに動かせ。そおれ」
 郷門の合図で下男のひとりが両手を突き出し上体を前へ倒し、一方は引きながらのけ反る。
「あ、ああっ……」
 突然に生じた異変に、千代が当惑の声をこぼした。
 弓が動くと滑車が張形を回転させる。螺旋状に植えられた鋲が柔肉を抉ると同時に、螺子の作用であたかも張が抽挿されているような錯覚を与える。
「い、痛い……くうう……」
 痛いとは言うものの千代の声は、敲問や石抱に掛けられているときの悲鳴絶叫ではなく、ごくささやかな訴えでしかない。
 弓は鏡像のように向かい合っているから、前後の張形は互いに逆向きに回転している。女穴の螺子が抜去される向きに回れば、尻穴は貫入の向きに回る。
 二十往復ほども続けさせて。千代に格段の変化が起きないと見ると、郷門は二つの弓を逆向きに動かすように命じた。
 二本の張形が同じ向きに抽挿され、肉壁が擂り潰されるような感覚が千代を襲った。
「あ……や……」
 やめてと言いかけて、千代は言葉を呑んだ。言えば、おまえは筋彫お蝶であろうと問われ、押込の罪を認めろと迫られる。いちいち打ち消すよりも、この程度であるなら、黙って甚振られているほうが、まだしもだった。
 さらに二十往復ほど様子を見て。郷門は弓を止めさせた。
「前も後ろも相当にこなれておるのに、まるきり感じておらんな」
 郷門が首を傾げた。
 千代は耳年増であってみれば、その意味は分かる。と同時に、当たり前だと悔しくもある。十日以上に亘って、多いときはひと晩に十回以上も犯されている。未通女の固さが残っているはずもない。そのすべてが蹂躙だったのだから、媾合いを心地好いものと思う筈もない。
「では、生娘殺しに掛けてみるか」
 郷門が懐から小筆を二本、取り出した。過日、筧三郎を馴致した小道具だった。
「落とすのが目論見ではないから、こちらは不要か」
 郷門が、乳首に目を落としてつぶやいた。
「さりながら、まるで紅を引いたように、鮮やかというはあまりに毒々しい。このような所に朱墨を入れるとは、ふうむ……」
「入れられたのです。肉襦袢に描いた色と同じにするとかで……」
「淫豆を蝶の頭に見立てるとは、また思い切ったものよ。これも肉襦袢に描いてあったと申すのか」
「…………」
 このお役人も、私の言い分をまともに取り合ってくださらない。千代は悔しさの中に押し黙った。
「ふん。黙(だんま)りか。泣かぬなら、泣かしてしまえ女淫(ほと)と淫豆(まめ)」
 うそぶいて。郷門が二本の小筆を動かし始めた。乳首へは向かわず、張形で引き裂かれんばかりに広げられている二つの穴の縁を、筆先のほとんど一点でくすぐる。
 張形で引き伸ばされた柔肉に、蟻が張っているような感触が生じて、千代は惑乱した。
「あ……くうう……いやあああ」
 生まれて初めて感じる、奇妙な感触だった。くすぐったくて、おのずと腰をくねらせてしまう。すると、宙に固定されている張形が内側から肉穴を抉る。痛みは生じるが、くすぐったさと併さって。快不快で区切るなら、快感が強い。
 さわさわさわ……さわさわさわ。
「きひいいい……やめ……やめてください」
 しかし言葉とは裏腹に。腰の蠢きは筆から逃れるというよりも、筆を求めて押し付けているようにも見えた。
 二本の筆は女穴と尻穴の周囲を緩やかにくすぐるかと思えば、二本の張形で押し縮められた会淫を強く責める。
「あああ……いやあああ」
 千代の訴える声が、さらに甘く蕩けてゆく。
 尻穴をくすぐっていた筆が前へ動いて、二本の筆が左右の鼠蹊部をくすぐり、大陰唇へ移り、張形の鋲で掻き出されている小淫唇へと移って。しかし、小淫唇が合わさっている所にはっきりと膨れている実核だけは避けていた。
「あああんん……いやあ……何、これ」
 うわごとのように呟きながら千代は、これが草子で読んだ善がるということだと、なんとなくは理解していた。思い描いていたよりも、ずっと強烈な快感だった。しかし千代の理解は、まだ真実に到達していない。
 頃は良しと見て取った郷門が、左手の筆を捨てて淫核を摘まんだ。すでに顔を覗かせている実核を皮で包むように扱くと。
「ひゃああっ……あんんんん」
 甲高い悲鳴と、嫋々と続く鼻声。
 千代は、その一点が大きく爆ぜるのを感じた。爆ぜた衝撃が腰を突き抜け背骨を翔け上がって、脳天を痺れさせた。
 二度三度と千代に悲鳴を上げさせてから。郷門は包皮を剥き下げて、露わになった実核を右手の筆先でつついた。
「うわあああっ……ああああああ」
 いそうの嬌声が、千代の口から迸る。張形に縫い付けられているはずの腰が、二寸ほども跳ねて。穴から突き出ていた根元までも呑み込んで。腰が落ちるときには張形の端で穴縁を抉られて、さらに悲鳴が重なった。
「倍の速さで弓の端から端までを引き切れ。そおれ」
 郷門の合図で、弓が激しく動き出す。張形が互いに逆方向へ回りながら、二穴を掻き回す。
 郷門は弓の動きを邪魔しないように幾分のけぞった姿勢になって、筆を動かし続ける。淫豆がじゅうぶんに膨らんで、手を放しても包皮に潜り込まないと見定めると、左手にも筆を持つ。右手の筆で淫豆をくすぐりながら、左手の筆は女穴を責める張形に沿えて、外から淫唇を強くくすぐった。
「わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 千代の悲鳴が凄絶味を帯びてくる。いつ息を継いでいるのかというほどに、悲鳴は絶え間ない。さながら千代は、三人掛りで弾かれている巨大な胡弓だった。まさに今。千代は女でしか味わえない絶頂へ向かって押し上げられようとしている。
 郷門は責めの手を緩めることなく、千代を追い上げてゆく。
 千代は、おのれの身体が濃密な桃色の雲と化して、四方八方へ飛び散ってゆく心地に陥っていた。それは、一言で表わすなら桃源郷だった。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、い゙や゙っ……い゙や゙あ゙あ゙あ゙」
 何もかもが無に帰すような感覚に恐怖して、しかしそれは喜悦そのものでもあり。絶叫とともに、千代の意識は薄れていった。

 千代が失神すると、郷門はすぐに責めを取り焉めた。寸止めを繰り返して、色責で千代に自白させるのが目的ではない。苦痛が法悦境へ転じるのなら、初手から快楽で追い込めばどうなるか。それを見極めるための色責なのだった。
 そして郷門は。千代の荒唐無稽な申し立てが、あるいは真実かもしれないと疑い始めはているのだが。無実を明かす証拠も無い。
 なによりも。筋彫お蝶については濡衣であったとしても、千代にまったく罪が無いわけでもないと、郷門は考えていた。貫目屋の苛斂誅求に哭いた者は両手両足の指では足りない。店を奪われた者、女房も娘も売らされた者、一家そろって首を吊った者もいる。袖の下を使わなかったら、とっくに島送り山送り、下手人にもなっていただろう。となれば、貫目屋の女房も娘の千代も連座している。千代に連座して貫目屋が断罪されるのは、因果が入れ替わっているが、結果としては同じことだ。
 どうせ死ぬ身であるのなら。生きているうちにせいぜい役に立ててやる。どのようなときに苦痛が法悦境にすり替わるのか、その機序(しくみ)が分かれば。そのような責め方を避けることで拷問の実が上がる。
 切支丹については、信心がそうさせるのではないかと、郷門は考えていた。戦国の昔に、一向一揆の例がある。宗門のために死ねば極楽へ行けると信じて、女子供までが着の身着のまま鎌や鍬を手に鎧具足に身を固めた大軍勢に突っ込んでいった。
一向衆なら念仏、切支丹ならおらしょ。大声で繰り返し唱和するうちに、法悦境に達するともいう。
 しかし、千代にはあてはまらない。父母への孝心がそうさせるのなら、連座が適用される罪科ではかなりの者が頑強に抵抗する筈である。実際には、出来心の付け火や盗みで捕まった者で、敲問すらに耐え抜く者は稀有の例にとどまっている。敲問、石抱で始末がつかないのは、筋金入りの悪党だけだった。
 千代は吟味法度を越えた敲問に耐え、石抱では乳房まで潰され、ついに拷問に掛けられて、なお海老責でも自白に至らなかった。この上は吊責でも法悦境に達するものか、見極めたいというのが、郷門の本心だった。
 千代は縄を解かれ、一刻ほども吟味部屋の片隅に放置されて。意識を取り戻してから牢へ戻された。戸板に載せられることなく、初めて自分の足で吟味部屋を出たのだった。牢から全裸で引き出されたのであってみれば、牢へ戻されるときも全裸なのは、当然だった。

========================================

 海老責に続けて座禅転がしてえのは、手垢がついてますので、新しい絡繰なぞやらかしてみました。
 文章で説明しきらないといけないのですが、まあ、簡単に図解など。
 これで前後2穴をグリグリグリグリとグラ
 2本の弦を同方向に動かすか、互い違いにするかでも効果が違ってきます。


弓張棒

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:濡墨を着せられた娘

  A意C筆中です。現在は『回舞台 新妓夢幻責』230枚突破。
 ですが、今回は【第二幕第二場之二、石抱問】を御紹介。
 ちなみに、小伝馬町の牢では、【牢問】として「敲き」と「石抱き」があり、尚も囚人が白状しない場合は老中の裁可を得て【拷問】即ち「海老責め」と「吊り責め」に掛けていたそうです。これ以外の責めは禁止。ただし火盗改は制外にあったとか。いちおう、あちこちのサイトを調べてはいますが、信憑性は85%くらいですかね。
 各国(藩)の状況は、ほとんど検索に引っかかりません。まあ、御公儀に右へ倣えだったか、と。

女囚吟味
====================

石抱問

 その日は深夜まで昏々と眠り続けた千代だったが、十九歳の若さと、ひと月半に亘る寮での静養が健康を取り戻させていてくれたことと相俟って、翌朝には自力で起き上がり食事を摂れるまでに恢復していた。
 一度の牢問でここまで痛めつけることは稀だし、少なくとも次の牢問までは中二日を空けるのが通例だが。千代に限っては吟味法度も慣例も無いに等しかった。気力体力が消耗しているときに責めれば、命の危険はあるにしても効き目が著しいのも道理ではある。
 巳の刻を告げる牢内の拍子木が鳴り已まぬうちに、千代は牢から引きずり出された。せめて腰巻を着けさせてくださいとの嘆願も虚しく、傷だらけの裸身に縄を打たれて吟味部屋へ追い込まれた。
 千代が引き据えられたのは、吟味部屋の中ほどに並ぶ二本の柱の前だった。柱というよりは、天井まで届く杭。屋根の重みを支えてはおらず、もっぱら牢問に掛ける科人を縛り付けるのに使う。名付けて仕置柱という。
 その仕置柱の前の床には分厚い簀子(すのこ)のようなものが置かれている。低い枕木の上に幅三寸五分、高さ二寸の三角木材が五分の隙間を空けて五本並べられたそれは、十露盤と呼ばれる責め具だった。その上に脚を開いて座らされ、後ろの仕置柱を背中で抱く形に縛り付けられた。
「く……」
 千代自身の重みで、三角木材の稜線が脛に食い込む。木材は鉋でわずかに丸みを付けられているので、切り裂かれるような痛みではなく鋭い鈍痛といったところ。それでも、小半刻とは座り続けていられないだろう。
 十露盤の横には、長さ三尺、幅一尺、厚さ三寸の石板が積まれている。それを三枚まとめて、ふたりの下人が持ち上げた。
「この伊豆石は一枚で十二貫の重さじゃ。およそ、おまえの重みと同じくらいかな」
 三枚で三十六貫。実に千代の目方の三倍。それが一気に、膝の上に載せられた。
「かはっ……」
 あまりの激痛に、千代は息を詰まらせた。みしみしと、脛の骨が軋む。
 石が崩れないように下人が両側で支えているが、それも下からではなく横から押さえているだけ。八戸が千代の正面に立って、片足を石の上に乗せた。
「きひいい……」
「石抱の味は、どうじゃ。素直に吐かねば、脛が砕けるぞ」
 さすがに体重を乗せ掛けまではしないが、ぐりぐりと躙る。
「いぎゃああっ……赦して……お慈悲を」
 おのれが筋彫お蝶だと認めるまでは責め続けられると分かっていても、訴えずにはいられなかった。
「御上にも慈悲はある」
 意外にも、千代の膝から石板が降ろされた。
「もう一度、石を抱かせてやろうか」
「……お赦しください」
 叶わぬ願いと知りながら、哀願する千代。
「ならば、認めるのじゃな、筋彫お蝶。如月十日に小野屋に仲間三人と共に押し込んで三十両余りを奪ったのを皮切りに、今月八日までのひと月になんと四件もの押込を働いたこと、相違無いな」
「違います」
 その言葉がどういう結果を招くか承知のうえ。千代は血を吐く思いで、きっぱりと否定した。
 八戸は後ろに下がって、短く下人に命じた。
「まず、一枚」
 ずしっと、膝に石板が一枚だけ乗せられた。
「く……」
 三枚と比べれば、何ほどのこともない。千代は、むしろ安堵する思いで重みに耐えた。
 石板に縄が巻かれて、手を放してもずり落ちないように、後ろの杭に結びつけられた。下人が部屋の隅へ引っ込み、八戸は十露盤の脇に積み上げられている石板に腰を落とした。
「おや、まだ若い娘ではないですか」
 三十幾つ、八戸と同年配くらいの同心が、二十歳をそれほどは過ぎていまいと思われる男を引っ立てて、吟味部屋へ入ってきた。
「番茶の出花をちょっと過ぎてはいますがね。こやつが巷で評判の筋彫お蝶です。赤金様のお手柄です」
「違います。濡衣です」
 八戸が、積石に腰掛けたまま退屈そうに下知する。
「さっきの今で済まんがな。二枚目を載せてやれ」
「へい」
 たちまちに、最初の石板の縄が解かれて二枚目が積み増された。
「ぐうう……くうう」
 千代は歯を食い縛って耐えた。泣き叫びたかったが、すると三枚目を載せられるのではないかと恐れた。無実の罪を白状しないかぎり、いずれは三枚目、もしかすると四枚五枚と重ねられるのだろうが、出来る限りは先延ばしにしたかった。
 八戸は煙管など取り出して、のんびりと構えている。一刻あるいは二刻いっぱいを使って、じわじわと責める手口なのだろう。
 一方、後から連れて来られた男のほうは。褌一本にされて後ろ手に縛られ、千代と二間を隔てたもうひとつの仕置柱の前で胡坐に座らされているところだった。
重ねた足首も縛られて。八戸の掛とは別の下人が、これも二人掛りで男の身体を折り曲げていく。背中に尻を落として、ぐいぐいと、ついには顎が足首に接した。後ろ手に縛った縄尻で肩越しに脛を巻き、足首の縄は首の後ろまで回された。そうしておいて身体を起こし、仕置柱に縛り付けた。
「このままにしておくと、じきに血が滞って死ぬことになるぞ」
 同心が男を威す声を遠くに聞く千代だったが。男の脛の肉が何段にも横に裂けて白い骨が見えているのに気づいて戦慄した。それは、まさにおのれが受けている責めの傷痕というはあまりに生々しい光景だった。
 もしも石抱の責めに耐え抜いたとしても、さらに苛酷な拷問が待っている。そうと分かって、千代は失神しかけたのだが。寸時も途絶えぬ痛みが、安逸へ逃げさせてくれない。この石抱や男の受けている拷問に比べれば、昨日の敲きなどは序の口だったのだと思い知った。続けざまに敲かれようと、痛みと痛みとの間には一瞬の休みがある。その間隙に失神が忍び込んでくれる。しかし石抱は、悶死するまで安逸は訪れないのだろう。
 吟味部屋に明り取りの窓はあっても、直接に陽が差し込むことはない。影の移ろいで時を推し量ることもできない。じりじりと時が過ぎて、それが小半刻なのか一刻なのかも見当がつかなくなってくる。
 千代の全身は脂汗にまみれ、鼻から垂れているのは汗か涙か。
「くうう……痛い。苦しい……私は無実です。そうだ、思い出しました。楓という女の人の連れ合いは……銀次といっていました。その乾分が……たしか、ヤスとタツです。銀次は、三十なるやならずの、強面の二枚目です」
 八戸が積石から下りて、千代の前にしゃがみ込んだ。
 訴えを取り上げてもらえると思って、千代は必死に記憶の糸を辿る。
「タツという人は大男で、ヤスは銀次と同じくらいの背丈。この二人は、楓より頭半分大きいくらいですから、男の人としては小柄なほうです」
「なるほどなあ。情夫(まぶ)が銀次で、手下がヤスとタツか。よく喋ってくれたな」
 八戸は満足げに頷いたのだが。
「それで、楓ってえのが、おまえの通名(とおりな)か。背中に背負(しょ)ってるのは紅葉でなくて楓ってえわけだ」
「違います。楓という人は、ほんとにいるんです。その人が私の父を恨んで……私に入墨をさせて……自分は下絵を描いた肌襦袢を着て……」
「とぼけるな」
 八戸が恫喝した。憤然と立ち上がって、下人に命じる。
「おい。三枚目を載せてやれ」
「御役人様。ほんとのことなんです。どうか……あの人たちを探し出してください。南総寺をお調べください……ぎゃはあああっ」
 必死の訴えは、三枚目の石板で封じられた。
 二枚と三枚。五割増しの重みは、天と地ほどの差があった。
 鋭い痛みが脛を噛み、足の甲まで貫く。
「うああああ……痛い、痛い。お願いです、信じてください。私は女賊なんかではありません。お赦しを……」
 涙と鼻水と涎を滴らせながら、千代は泣き叫んだ。必死に訴えた。
「まだ言うか。堪忍ならぬ。おい……」
 本来なら、一枚載せるごとに小半刻は様子を見て、それでも駄目なら次の一枚を載せるのが効果的なのだが。千代に男の嗜虐を誘う風情があるのか、しかし女の色香に惑わされては女囚を吟味できるはずもないのだから、三井に急かされた焦りの故ではあっただろう。八戸は四枚目を命じ掛けたのだが。
「ふむ……」
 涙を湛えた目で見上げる千代を見下ろして、昏い笑みを口の端に浮かべた。
「こやつの乳では、ちと不足だが……」
 太腿の上に九寸を三枚重ねられて、千代の下乳は石板の縁に押し上げられている。
 八戸は箒尻を持ってきて、補修の用として根元に巻き付けてある余分の凧糸をほぐした。それで小さな輪を作って、千代の乳首を締め上げる。
「お赦しを……お慈悲を……せめて、一枚だけでも下ろしてください」
 乳首へのささやかな弄虐など意に介するどころではなく、ひたすら石抱の寛恕を冀う千代。凧糸をぴいんと張られて乳房を引き伸ばされても、その痛みも恥辱も物の数ではないのだが。
「よし、石を載せろ」
 ごとり。三枚目の石板の上で紡錘のように引き伸ばされている乳房の上に、四枚目が積み重ねられた。
「うぎゃわあああああっ……」
 楓たちに囚われているあいだ、乳もずいぶんと弄ばれ捏ねくられ握りつぶされもした。乳首に爪を立てられもした。その都度に千代は悲鳴を上げ恥辱に悶えたのだが。そんな弄虐の一切は嫋やかな愛撫でしかなかったと思い知るまでに、十二貫の石板に双つの乳房を圧し潰される激痛は凄絶だった。
 千代はのけぞって絶叫した。その動きが、いっそう乳房を痛めつける。
「ぎいいいい……痛い……お父っつぁんおっ母さん……助けて……」
 わずかでも身体を動かせば、おのれでおのれを責め苛むことになるのだから、千代は身じろぎもままならない。天を仰いで顎を震わせながら、虚しく救けを求めるしかなかった。
 こういった吟味法度に違背した責めも、これが初めてではないのだろう。ふたりの下人は、四枚の石を縄で巻いて、要領良くぎりぎりと絞り上げていった。
「ぎびいいい……」
 千代は胸元に目を落として、すぐに顔を背けた。石からはみ出た乳房の麓が青紫色に変じていた。石に挟まれている部分はどうなっているか、考えるだに恐ろしかった。
「ひいい……痛い……く、苦しい……」
 脛から足の甲にかけては、まるで鋸に挽かれているよう。胸は大きな矢床(ヤットコ)に噛み付かれて食い千切られるよう。
 何も考えられなくなり、目が霞んで、千代自身が薄墨の中に溶け込んでいくような絶望の底へと沈み込む。泣き叫ぶ声が次第に弱々しくなっていき、ついには絶え間ない呻き声だけとなった。
「くうう、うう……」
 薄墨色の中に何もかも、激痛さえもが溶け込んでいく。
 乳房を押し潰し太腿にのし掛かる石の重み。脛に食い込む木材の稜線。手首と喉を締め付ける縄までも、はっきりと感じながら、それらが混然となって、身体の形そのものになっていくような不思議な感覚に、千代は引きずり込まれていった。
 バシン。肩に焼けるような衝撃が奔った。柔らかな悪夢の中から引きずり出されるような感覚があって、次第に意識がはっきりしてくる。
「うああ……」
 半開きの口からこぼれた微かな呻きは、すくなくとも苦痛に彩られてはいなかった。なぜかこの刹那、痛みをそれほどに感じていない。全身が薄桃色の霧に包まれているような、不可思議な感覚があった。
「そう簡単には眠らせてやらんぞ。もう一枚、味わってみるか。女の細骨では、脛が砕けて二度と歩けなくなるかもしれんぞ。それでもよいのか」
 言葉は聞こえている。しかし、意味が分からなかった。分かろうとも思わない。意味を理解したら、直ちに激痛が甦る。なぜか、そんなふうに思った。
 千代の反応が薄いと見て、八戸は気付けの松葉燻を試したのだが、わずかに咳き込むだけで、正気を取り戻す気配は無かった。
 ならばと五枚目を積ませてみたが、千代は低く呻くのみだった。
 チッ。八戸が舌打ちした。
「もはや前後不覚か。石を下ろしてやれ」
 千代は縄を解かれて十露盤からも降ろされた。
「ひいいい……痛い」
 血流が戻ったせいか、脛と乳房に激痛が蘇った。
 八戸は、突っ伏している千代の脇に膝を突くと、十手で向こう脛をガシンと叩いた。
「ぎゃあっ、痛い」
「なにを大仰な。骨は折れておらんな。されど、音が鈍かったから、ひびくらいは入っておるやも知れんぞ」
 実のところ、これは脅しだった。千代の隣で海老責めに掛けられている若い男は脛の肉が破れて白い骨が見えているのに比べて、千代の脛には深い窪みが刻まれて血は滲んでいるものの、とても骨までは達していない。屈強な男なら八枚以上を積まなければ骨は折れないのだから、女でも六枚くらいまでは持ち堪えるだろうと見込んでいたのが、わずか四枚で取り止めにしなければならなかったのだから、腹も立とうというものだった。
 十露盤は中央のあたりが濡れていた。下人が目敏く見つけて、手桶の水をぶっ掛ける。水は十露盤の隙間から垂れて、壁の一画に穿たれた穴へと、石畳の上を流れた。石板も千代の涎やら汗で汚れているので、同様に水で洗って。最後が千代の始末だった。
 とてもに立って歩けないので、昨日と同じに戸板で牢へ運ばれた。
 千代を着物を敷いた畳の上に寝かせて、八戸の厳命もあることゆえ、後は知らぬ顔の半兵衛を決め込む女囚一同だったが。千代が落ち着いた頃合いを見計らって、牢名主のトラが声を掛けてきた。
「その様子じゃ、落ちなかったようだね。女の身で石抱きに耐えた者なんて、わっちの知る限りはいねえよ。筋彫の二つ名は伊達じゃなかったね」
 落ちるという言葉の使い方に戸惑った千代だが、言っている意味は分かった。当然に反発した。
「違います。ほんとに濡衣なんです。私は女賊なんかじゃありません」
「おっと、そうだったね」
 軽く受け流したのは、信じていないのか。
「それならそれで、ますますたいしたもんさね。大店のお嬢様が、素っ裸に剥かれて縛られて敲かれて、挙げ句に石まで抱かされて、それでも落ちねえんだものね」
 誉められているのか莫迦にされているのか。気力体力の萎えているところに惑乱が交錯して、千代は悲痛な声で叫んでいた。
「甚振られずに済むんだったら、濡衣を認めたって構わないんです」
 わああっと泣き伏して。しゃくり上げながら、切れ切れに言葉を吐き出す。
「どうせ…お嫁にいけない身体に…されたんです。磔になって死恥をさらしたって…構やしないんです。でも、でも…ふた親を巻き添えにするなんて……」
 絶対に出来ない。それくらいなら、責め殺されたほうが、ずっとずっとましだ。誤って責め殺しても爪書を捏造できるとは知らない千代の、虚しくも悲壮な決意だった。
 トラが鼻白んだ顔になって、溜め息を吐いた。
「まあね。そんなに悪い方にゃ転ばないだろうけどね。貫目屋は、殿様にまで貸しがあるそうだから……んん」
 心底不思議そうに千代を見つめる。
「考えてみりゃあ、何万両って分限(ぶげん)だあね。そのひとり娘が百や二百を盗むってのも、平仄が合わないねえ」
「そうかしら。あたいだって、親にねだりゃあ鼈甲の櫛だって買ってもらえたというのに、百文かそこらのビタ銭を切った張ったの一天地六だぜ」
「おまえ様のは、血の道のこじれじゃわい」
 鉄火のエンが混ぜっ返すのを中條の松尾がたしなめるというか、掛け合い漫才というか。
 この人たちは命の瀬戸際を歩いてないから、こんなに暢気に構えていられるんだ。千代は、そう思う。罪を認めれば我が身は磔獄門、親は下手人か山送り。
 同じ女囚とはいえ、まるきり境遇も先行きも隔たっている千代なのだった。

 その日も、夕刻遅くになって医師が来て手当てをしてくれた。傷を焼酎で洗って軟膏を塗り込めて、乳房はそれだけだったが、脛には油紙を巻いてくれただけは、昨日よりも手厚かった。
 翌日は吟味部屋へ引っ立てられることもなく、千代は着物を敷布代わりにした畳の上で一日を傷の痛みに呻吟しながら過ごした。どんなに苛烈に責められようと、無実の罪を認めたりはしない。責め殺されるのが、むしろ親孝行。そう考えると、嫁に行けないなど枝葉末節に過ぎない。ある意味、楓たちに拉致されてからこの方、もっとも心(だけは)穏やかな一日を過ごしたのだった。
 翌日も吟味は無かった。
 捕まえた当日に爪書を取れと急かしていた城下奉行からの再度の督促は無く、八戸は定法に従って女囚を養生させていたのではあるが。実のところ千代を持て余してもいた。上役の長井八久を通じて、吟味方惣与力の残谷郷門に己の非力を訴えていたのだった。
====================

 ついに、拷問中にドパミンドパドパとなりました。エンドルフィンだという説もありますが、語呂が悪いので。
 
 しかし、まあ。
 今回は「書きながら考える」シーンが多くて。
 新妓夢幻責の最中に、サド役の三国郷門改め残谷郷門クンが、「そういえば、十年前にも強情な新妓を調教したな」と思い出して、本名「糸」しか知らないが、ヒロインの腰のあたりの刺青が川ではなく三本の糸ではないか。で、子分を妓楼に走らせ……なくても、いいじゃんか。目の前に妓楼の主人が立ち会ってるじゃないか。あちこち調査に走り回らせなくても、亡八どもの情報網があるじゃないかと。有機的に連環した次第。
 ではありますが。こういうのを考えてるのは頭の中の1/4くらい。
 海賊に拐われたお姫様と侍女が、入れ替わって云々。のストーリイ展開を練るのが1/4で。
 
「玩具時々奴隷」の元ネタの電車内イチャツキの本日の目撃に基づいてあれこれ妄想が1/4で。
 すでに弁当で昼食は確定しているので、今晩は何を食べよかなが1/4。
 なのでありましたとさ。


DLsite affiliate キーワードは「女囚、拷問」

 

Progress Report 1:濡墨を着せられた娘

 現在は140枚まで進行しています。

第一幕 破れ寺
 第一場 拐わかし
   三穴姦/蝶乱舞
 第二場 全裸捕縛
   裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
 第一場 吟味前夜
   素肌検/牢問答
 第二場 苛烈牢問
   裸敲問/石抱問 ←裸敲責まで執筆済
 廻舞台 若侍苦楽責
   牢内掟/吊敲責/海老責/坐禅転
 廻舞台 新妓夢現責
   駿河問
 第三場 虚偽自白
   父母流罪/磔刑申渡
 廻舞台 熟娘揺木馬
第三幕 拷問蔵
 第一場 盗金所在
   木馬責/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
 第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場

 過去に何度も描いた責めが多いですが、だって好きなんだもん♡ です。
 起承転結はありますが、序破急はなく、ひたすら責め場のヒッパレーです。「引っ張れ」ではなく Hit Paradeです。

では、入墨のシーンを御紹介。

あっと。は規制文字回避です。
========================================

蝶乱舞

 早朝。下腹部の不快に、千代は覚束ない微睡(まどろみ)から引きずり出された。夕刻に拐わかされてこの方、用を足していない。意は差し迫っていた。
 あたりを見回して。男三人と女一人が、枕を並べて寝ている。枕と、布団。千代がふだん使っている夜具に比べれば貧相な物だが、とにかく寒さは凌げる。筵一枚とは大違いだ。
 声を掛けようかと迷ったが、鬼を起こすようなものだ。まだ半刻やそこらは我慢できるだろう。
 千代は、さらにあたりを見回す。ここは破れ寺だと男のひとりが言っていたが、その通りだった。脇侍は無くなっており、持ち出すには手間の掛かる大きな本尊の千手観音は残っているものの腕がほとんど取れてしまっている。障子の破れに継ぎが当ててあるのは、この者たちの仕業だろうか。とすると、ここは一時凌ぎの場ではなく、根城なのかもしれない。
 隠れ家を知った者を、おいそれと解き放ってくれるだろうか。死んでしまいたいと思いながらも、やはり不安は募ってゆく。
「なんだい。もう起きてんのかえ。まあね。あんな目に遭わされてこんな格好にされて、まさかに白河夜船でもあるまいが……おお、寒い」
 起き上がった楓は外へ出ようとしかけて、千代を振り返った。
「もしかして、厠へ行きたいんじゃないのかえ」
「はい、お願いします」
 何も考えずに返事をした千代だったが、楓の意地悪そうな笑みを見て、嫌な予感を覚えた。果たして。
「銀さん。こいつ、小イ更がしたいとさ。面倒、見てやっとくれな」
 男たちは動かない。
「ええい、寝穢いお人だね」
 楓が取って帰して銀次を足蹴にした。
「あの……縄を解いてください。場所を教えてもらえば」
「逃げようたって、そうはさせないよ」
「逃げたりはしません」
 男に追われて逃げおおせるはずもないのだが。楓は耳も貸さずに銀次を蹴り起こした。
 寝惚け眼(まなこ)の銀次が楓の言葉を聞いて、苦笑いする。
「どうせなら、端の二枚にも手伝わせたいんだろ」
「ふふん。男三人に見物されながらの放(ゆばり)かい。出るもんも出ないんじゃないかね」
「そんときゃ、三人掛かりのときみたいに、抱っこしてシートトトってな」
 銀次は二人の乾分を叩き起こして、趣向を説明した。
「へへえ、こりゃいいや。蹴転(けころ)にだって、そんなことすりゃあ、袋叩きにされちまわあ」
 三人が千代を取り囲んだ。
「いや……赦してください」
筵を剥ぎ取られて、千代は荒縄で縛られて身動きできない裸身を縮こませる。
「いやあっ、やめて」
 肌に手を掛けられて、悲鳴をあげた。
「いいよ、やめておやりな」
 楓の言葉に、男たちのみならず千代までが、ぽかんとした。
「そんなに嫌なら、放っとくさ。罰当たりにも、御仏の目の前でお漏らしをしな」
 千代は愕然とした。男たちの見世物になりながらの放を拒んでこのまま放置されれば、いっそう羞ずかしい結果を招いてしまう。
「さあ、どうするんだい」
「…………」
 迷いは当然だが、答えも必然だった。
「厠へ……つ、連れて行って……ください」
 楓が銀次に目配せすると、たちまちにタツとヤスが千代の身体に取り付いて。乳房をつかみ尻を撫で股間にさえ手を差し入れながら、荒縄を解いた。が、すぐに楓がしゃしゃり出て、千代を改めて後ろ手に縛った。手首を引き上げて縄尻を胸乳の上下にも巻く。
「いつ見ても、鮮やかな腕だな」
「門前の女郎、縛られた縄を覚えるってね。あちきに引導を渡してくれた役人の直伝さ」
 へっと口を歪めて。銀次が縄尻を取った。
「そら、立てよ」
 千代は立ち上がろうとしたが尻餅を搗いてしまった。目眩がするほどに羞恥を感じていたせいもあるが、腕を使えないので身体の釣り合いを取りにくい。腰を打ちつけたはずみに、あやうくちびりかけた。片膝を立てて、股が開くのを羞じながらもゆっくりと立ち上がった。
「どうも、危なっかしいな。引っ張ってやるぜ」
 銀次はさらに荒縄を持ってきて、千代の腰を縛った。後ろで結んで、縄尻を脚の間に通して前へ引き上げ、腰縄に絡めた。
「歩けよ」
 つんつんと縄尻を引っ張る。
「あっ……」
 歩くどころか、千代は股をすぼめ腰を引いて、たたらを踏んだ。股間を通る荒縄が女淫に食い込んで、無数の針でつつかれるような刺激に困惑したのだ。鋭い痛みは、ある。しかし、それ以上に。くすぐったい疼きがあった。まったく未知の感覚だった。強いていえば、実核を自分でくじったときの甘い疼きに似ていなくもなかった。それほどには尖った疼きではない。女淫全体に広がる疼きだった。
「歩けと言ってるんだぜ」
 にやつきながら、銀次は縄をぐいと引っ張った。
「あっ……」
 くすぐったい疼きが消えて、無数の針が女淫に突き刺さる激しい痛み。それでも、縄に引かれて千代は足を前へ運んだ。その動きが縄をこねくって、痛みは減らずに、また妖しい疼きが女淫を苛む。
「おおい、転んじまうぜ」
 後ろからヤスが千代の肩を支えたが。
「タツ。おまえが尻を押してやれ」
 自分は千代の斜め前に立つと、腕を伸ばして乳首をつまんだ。
「俺も引っ張ってやるよ」
 乳首を前へ引っ張る。
「やめてください……歩きますから」
 訴えに耳を貸す者はいない。千代は股縄を引かれ乳首を引っ張られ尻を押されながら、痛いのかくすぐったいのかも判然としない心地で、本堂の外へ連れ出された。
 楓が先に立って、本堂の裏手へ千代を引きずり込んだ。
「厠までは歩けそうもないね。ここで出しちまいな」
「歩きます。お願いですから……」
「ここで小イ更しちまいなって、言ってんだよ。出来ないなら、このまま連れ戻すよ」
 銀次が股間の縄を引き抜いて、そのまま縄尻を持った。
「あの……」
「目を放しちゃあ、逃げないとも限らねえ。ちゃんと見ててやるから、さっさと小イ更しちまいな。なんだったら、大のほうもひり出すか」
 銀次に言いつけられて、タツが千代の肩を押さえてしゃがませる。
 男三人が千代を取り囲み、楓は二間ほど離れて見物している。
 千代は観念せざるを得なかった。出さないまま連れ戻されれば、遅かれ早かれ粗相をしてしまう。破れ寺とはいえ御仏の前で粗相をするなど、羞ずかしいだけでなく畏れ多い。
 千代は目を閉じて、小水を放とうとした。が……出ない。意は差し迫っている。なのに、ちょろっと漏れ出る気配すらなかった。朝の冷気に曝された千代の裸身に、いつしか脂汗が滲んでいた。
「しょうがないねえ。手伝ってやるよ」
 楓が千代の前にしゃがみ込んで、崩れた髷から簪を抜き取った。逆手に握って、軸の先で千代の女淫をつつく。千代は立って逃げようとしたが、タツに押さえ込まれた。
 女淫の上のあたり、小水の出る穴に尖った軸先を突き挿れられて掻き回されて。焼けるようなむず痒さを感じると同時に。頑なに水を堰き止めていた堤にひび割れが走った。
 ぷしゃああああ……
「おっと」
 楓が飛び退く。破れた堤は、あふれんばかりだった水を勢い良く迸らせて止まらない。
「あああ……」
 千代が切なげに呻く。それはこらえていた意を解き放った安堵か、見物されている羞恥か。
 出し終えても、千代はしゃがんだままだった。
「あの……落とし紙を」
 銀次がせせら嗤う。
「紙があったところで、手を使えなきゃどうにもなるめえ。俺っちが始末してやるよ」
 腰縄の縄尻を最前のように後ろから前へ股間を通した。
「あっ……」
 腰を浮かしかけた千代だったが、またタツに押さえ込まれた。
「きひいいいっ……痛い。やめて……」
 銀次が縄を前後にしごく。引き回されていたときの何倍もの力で女淫の内側をこすられて、千代は甲高い悲鳴をあげた。
 小水で湿った縄でそのまま、銀次は股間を縛った。
「さあ、戻ろうぜ」
 縄尻を真上に引っ張って、千代をごぼう抜きに立ち上がらせた。
「ちょいとお待ち」
 楓が小水に濡れた簪を千代の髪に巻き付けて、簡単な垂れ髪(今でいうポニーテール)に結った。
 これも自分への辱めのひとつだと千代は受け止めたが、いっそうの深謀遠慮があるとは気づくはずもなかった。
 股間の痛みと疼きとむず痒さとに惑乱されながら本堂へ連れ戻されて。腰縄と股縄は解いてもらえたものの、後ろ手に縛られた縄尻を柱につながれた。他に身の置き様も無いので、千代は柱に向かって身をくっつけるようにして正座した。
 やがて、楓と銀次が連れ立って出て行き、かえって千代は心細さを覚えた。頭目格の二人がいなくなって、乾分二人が図に乗って悪戯を仕掛けてこないかと怯えたのだ。そんな自分を、これほどまでに穢されて今さらと自嘲してもみたが、百の危害を加えられたからといって、新たな一が怖くないはずもなかった。
 しかし、千代の不安は杞憂に終わった。ヤスとタツは、膝が当たるほどに近寄って座り込み、しげしげと千代の裸身を眺めたりはするが、手は出してこなかった。野良犬は野良犬なりに、躾けられているらしい。
 楓と銀次は半刻ほどで戻ってきた。握り飯やら干物やら、今夜の飲み料らしい一升徳利やらを持ち帰っている。つまりは、ここで煮炊きするほどには住み込んでいないのだが、千代にはどうでもいいことだった。
「おまえも食いなよ」
 千代の前に八ツ手の葉が広げられて握り飯が置かれた。水を入れた木の椀も添えられている。
 千代は楓を見上げて、憎しみのこもった眼差しを浴びてすぐに目を伏せた。
 昨日の昼に軽く湯漬を食したきり、男の精汁の他は一切飲み食いしていないにも関わらず、 飢(かつ)えは感じていない。けれど渇(かわ)きに喉がひりついている。千代は正座したまま上体を折り曲げて、口を椀に近づけた。が、どうにも届かない。
 思案した挙げ句、椀を倒さないよう後ろへ下がって、羞じらいを投げ捨てて胡座に座り、椀へにじり寄った。今度は、どうにか椀の縁にかじりつけた。
 ずじゅううう。音を立てて水を啜った。甘酒よりも冷やし飴よりも甘露な、干天の慈雨だった。
 楓が、ふんと鼻で嗤って、からかってやろうと口を開きかけたが、結局は何も言わなかった。
 千代が食べようとしなかった握り飯は、小半時もすると取り上げられて、ヤスとタツが食べてしまった。
 ――陽はまだ高いから未(み)の刻前か。身なりを整え大きな手提げ箱を携えた男が、案内を乞うこともなく本堂に入ってきた。楓が丁重に出迎える。
「先生、お待ちしておりました。早速に支度を致しますので」
 ヤスとタツが、大きな戸板を運び込んで床に置いた。四隅と長手の中程には太い鎹(かすがい)が打ち込まれている。銀次が千代の後ろ手を解いて、戸板の上に俯せにさせた。
「何をするんですか……」
 無駄と分かっていても、問い質さずにはいられない。
「ちっとばかし痛い目に遭わすから、暴れない用心さ」
 男三人掛かりで、千代の手足を大の字に引き伸ばして、四隅の鎹に縛りつけてゆく。腰にも縄を巻いて、身動きできないようにしてしまった。
 新参の男が道具箱と共に、千代の横に座り込んで。顔をしかめた。
「縄の跡が残ってるではないか。あれほど、肌を傷付けるなと言っておいたのに」
「そんなにきつく縛っちゃいませんよ。あちきより五つも六つも若くて肌に張りがあるから、一刻もせずに消えますさ」
 着物を脱ぎながら楓が言い返した。腰巻ひとつになって、肌色をした襦袢を着込む。ぴたりと肌に吸い付いて、ちょっと見には裸と変わらない。役者が舞台の上で肌を曝すとき身に着ける肉襦袢だった。
 楓が千代の前に立って、背中を見せつけた。
 一面に紺色の線で絵が描かれていた。大きな蝶々が翅を広げた図を紅葉の葉が取り巻いて、「乙」の字の角を丸めて横に引き伸ばしたような線が何本か腰のあたりを走っている。川の意匠のように見えるが、線の右端は小さな鼓に繋がっている。
「これと同じ絵柄をおまえの背中に彫ってやるよ」
 言葉の意味が分からず戸惑っていた千代だが、肉襦袢を着た役者が諸肌脱ぐと、決まって文身(いれずみ)が露わになるのを思い出した。
「まさか……入墨……」
 震える声で尋ねた。
 楓が邪悪に微笑んだ。
「その、まさかさ。残念だが、彩(いろ)までは入れないけどね」
「なぜ、そんなことを……」
「さあね。仇討ちに欠かせない手順だってことだけは、教えといてやるよ」
「…………」
 昼日中というのに、目の前が真っ暗になった。
 操を穢されて嫁にいけなくなったとはいえ、知らん顔をして日々を過ごすことも出来なくはない。しかし入墨などされては、湯屋へ行けないのはもちろん、内風呂さえ使えない。親に見られるのも困るなどという生易しいものではないが、万一にも使用人に気付かれて世間に言い触らされでもしたら、首を括っても追いつかない。
 いや、死ぬことすら出来ない。湯灌のときに見つかってしまう。
「いやああああっ……」
 千代は声の限りに叫んだ。縄を引き千切ってでも逃れようと、渾身の力でもがいた。
「おとなしくしねえか。銀さん、やっとくれ」
 おいきたと、ヤスとタツとで両肩と二の腕を押さえつけ、銀次が馬乗りになる。昨夜から散らかりっぱなしになっている布切れを楓がかき集めに掛かったのだが。
「悲鳴がまったく聞こえないのも風情が無い。縄を噛ますくらいにしてくれ」
 この彫師も相当なタマではあった。
 荒縄の結び瘤が千代の口に押し込まれ、跳ね上げた垂れ髪とひとまとめに頬を縊った。猿轡と同時に、背中に髪が散るのを防ぐ一石二鳥だった。
「むうう……」
 千代は半ば観念して、それでも呻きを漏らしてしまう。
「では、仕事に掛かるか」
 彫師が道具箱を広げて矢立を取り出した。楓を千代の向こう側に寝そべらせて、蝶の下絵を千代の背中に写し取っていく。肉襦袢の絵もこの男が描いたものであってみれば、まったくの瓜二つだった。
 そして、いよいよ入墨。四本の針先を斜めに揃えた針棒に墨を含ませて、肌に突き刺す。突き刺して、ピチッと刎ねる。
「ひいっ」
 嫋やかな悲鳴。指先を針で突いたほうが痛いくらいだと、絶望の中にも微かな安堵を見出した千代だったが。
 ピチッ、ピチッ、ピチッ、ピチッ……
 何十回と繰り返されるうちに痛みが積み重なっていく。
「くっ、くっ、ひいい……きひいいい」
 呻き声が次第に甲高く、悲鳴に変わってゆく。背中は脂汗に濡れて、墨を入れられたところには血が滲んでいる。
 彫師も根を詰めている。ひとしきり彫り進めると、手を止めて額の汗を拭う。
 その間も、針に傷付けられた肌は痛みを千代に送り続ける。熱を帯びて、背中一面が薄桃色に染まる。
 薄桃色の肌に刻み付けられてゆく紺色の太い輪郭。見る者の目を愉しませるが、当人にとっては生き地獄の苦しみ。後に千代が墜とされる真性の生き地獄に比べれば、極楽の安逸といっても足りないくらいなのだが、蝶よ花よと乳母日傘で育てられた箱入り娘にとっては、生まれて初めて直面させられた責め苦だった。
 一刻もすると、押さえつけられなくとも身じろぎひとつしなくなって呻き声も途絶え、虚ろに見開かれた目から光は失せて。それでも、さらに一刻の余も入墨は続けられて、ついに大きな蝶が千代の背中に取り憑いたのだった。
「今日は、ここまで。明日はまわりの飾りを彫って、それから三日もすれば傷も落ちつくだろう。暈(ぼか)しも彩(いろ)も無しとは、なんとも勿体無いが」
 彫師が千代の背中を拭って、血止めの油を薄く塗っていく。
「夜目にも見分けがつきやすいのは筋彫だとおっしゃったのは、先生じゃないですか」
「む、それはそうだが。ところで、わしはもうひと働きせねばならんかったな」
「ひと遊びの間違いじゃねえですかい」
 銀次が、千代の縄を解きに掛かったのだが。
「傷が落ち着くまでは、その娘は縛っておくのが無難だろう。とはいえ、背中には触れぬようにせぬといかん。そこで、こういう趣向は如何かな」
 彫師が自分から縄を取って、無抵抗の千代を縛り上げた。俯せのまま脚を正座の形に折り曲げて尻を高く突き出させ、腕を引っ張って手首と足首とをひとまとめに括った。四十八手には無い形だが、名付けるとすれば、理非知らずの裏返し、あるいは緊縛鵯越か。
 これなら彫り上げたばかりの絵柄を愛でながら思う存分に腰を遣えると、彫師は自慢して。早速に千代の尻を抱え込んで、いきり勃った魔羅を突き立てた。
 千代はわずかに尻を揺すって逃げるような動きをしたが、まだ意識は定かでない。十九とはいえ熟れた女に比べれば人形のような小娘を好き勝手に弄んで、彫師は埒を明けた。
 例によって、楓が酢で壺の奥まで洗って子種を始末する。
「このままじゃあ、一人ずつっきゃ出来ないね。銀さんは、どこにするんだい」
「おめえの望みで、ひと通りは突っ込んだが、俺にも間夫(まぶ)の操立てってのがあらあ。とはいえ、お釜は御免だ。食ってねえといっても、溜まるもんは溜まるからな」
 三つのうち二つが駄目なら残りは一つだとうそぶいて、銀次は千代の猿轡を解いて身体を立てた。開いた脚をいっそう開かせて、その間に割り込み、口に魔羅をねじ込んだ。
「むぶ……ううう……」
 ようやくに千代は正気づいて。無理矢理に奉仕を強いられる。といっても、舐めろしゃぶれとうるさい注文はつかない。女淫と同様、ただ肉穴として魔羅を突き立てられ、中を遮二無二抉られるだけだった。
 しかし、喉の奥に精汁を叩きつけられて、それを飲めと強いられたのは、昨日と同じだった。
 ヤスは銀次に倣って口唇を使い、タツのほうはごく普通に女穴に突っ込んだ。
 昨日まで未通女(おぼこ)だったとはいえ、一日のうちに四人から延べ六回も犯されている。弄られてぬかるんでもいた。多少の違和感があるだけで、タツの図体に似つかわしい逸物をすんなりと受け挿入れてしまう千代だった。
 昨日のように入れ替わり立ち替わり、あるいは三人総掛かりといった陵辱にまでは至らず、三人が一回ずつ埒を明けただけで、千代は放置された。手首だけを括られて座った姿で、破れ天井の梁から腕を吊るされたのは、わざと寝転がったり背中を掻いたりして、彫ったばかりの入墨を台無しにされない用心だった。
 今度は銀次を見張りに残して、楓と乾文二人が外出(そとで)する。銀次は、まさかに千代を憐れんでのことでもなかろうが、悪戯を仕掛けるどころか視姦にも及ばず、居眠りを決め込む。
 千代は、まだ荒縄の猿轡を噛まされたまま、虚ろに床を見つめている。死にたいという想いさえ、とうに涸れ果てていた。
 楓たちが戻ってきたのは、陽が没して小半時も過ぎた頃だった。男どもはさっそくに貧相な酒盛りを始めたのだが。
 楓が千代の猿轡を解いて、冷めたふかし芋を口に押しつけた。千代はただ口を開けないのではなく、唇を引き結んで、拒絶の意志を露わにした。縛られていようと、飲み食いしなければいずれは死ねる。口をこじ開けて食べ物をねじ込まれようと吐き出してやる。
「そうかい。それじゃあねえ」
 楓が短い竹筒を持ってきた。匕首の鞘を突っ込んで、竹の節を突き破る。
「銀さん、手伝っとくれ」
 楓が不意打ちに腹を殴り付け、苦悶の形に開いた口に銀次が竹筒を押し込んだ。そのまま仰向かせる。楓が水の入った木椀を片手にふかし芋を齧り、くちゃくちゃと音を立てて咀嚼して飲み込んでみせてから、千代を脅かす。
「口移しに食べさせてやるよ。水を流し込めば、嫌でも飲み下さずにはいられないよ」
 千代は怖気(おぞけ)を震った。いきり勃った魔羅を見せつけられたときのそれではなく、蛆虫や蜈蚣が肌を這うときのような、それ。
「それとも、お上品に食べるかえ」
 一も二も無く、千代は首を縦に振るしかなかった。
「そうかい。それじゃあ、お食べ」
 目の前にふかし芋が転がされた。しかし、腕を吊られている。口から竹筒が引き抜かれ、銀次の腕から解き放たれても、芋には手が届かない。
「ちっと緩めてやるよ」
 縄がすこしだけ緩められて、手を臍のあたりまで下ろせるようになった。
「さっさと食えよ。食わねえと、口移しだぜ」
「でも、手が届きません。もっと縄を伸ばしてください」
「甘ったれるんじゃねえよ。どうやって水を飲んだか思い出しな」
 あのときは、胡坐に座って身体を折り曲げて。
 同じようにして見たが、あと一寸かそこらが届かなかった。
 思い余って、千代は床に身を投げた。吊られた腕を、これまでとは逆に出来るだけ上へ突っ張って。芋虫のように這って、芋にかぶりついた。
「お嬢様の作法は、あちきら下衆とは違って優雅なものだねえ」
 楓が高笑いした。
 千代は、齧り取った芋をろくに噛まずに、屈辱と共に飲み下したのだが。空っぽだった胃の腑に食べ物が落ちると、浅ましいまでに空腹を感じた。死にたい想いも、裸身を男どもの目に曝していることも忘れて、がつがつと貪り食い、ようやくに人心地の欠片を取り戻したときには、ふかし芋は跡形も無くなっていた。
「そんなにがっついちゃあ、胸焼けを起こすぜ」
 水を湛えた木椀を与えられて、それも貪り飲んだ。
 千代は改めて腕を高々と吊り上げられて、そのまま捨て置かれた。
 その形では眠れないだろうと、仕留められた獣のように手足をひとまとめに括られて板の間に転がされたのは、酒盛りが終わってからだった。親切心からではなく、凍え死なれては困るからと、正絹の襦袢と羽二重の布団しか知らぬ裸身に筵一枚が被せられた。
 そのせいよりは入墨の傷が発する高熱で、千代は一晩中悪寒に苦しめられながらも、心労の果てに泥のような惨めな安息へと引きずり込まれていくのだった。

 翌朝には、意に加えて便意にまで促されて目を覚ました。両手は前で縛られて、けれど昨朝と同じに股縄に引きずられて裏手へ連れ出されて。
「屎(ばば)を放(ほ)り出しとくと臭うからね」
 排便のための穴を、自らの手で掘らされた。壊れてしまった堤は、そう簡単には修復されない。千代は簪にくじられずとも小水を迸らせ、あまつさえ掘らされた穴もきちんと役立てたのだった。さすがに、後始末に使った縄を股間に通されたときには、嫌悪に顔をゆがませ恥辱の涙をこぼしたのだが。それでも抗いはしなかった。付け加えとおくと、縄の汚れた部分は、もっと縄尻に近いところだった。後で使うときの都合を考えたのだろう。
 この日も、午(ひる)過ぎから千代は戸板に大の字に縛り付けられて、蝶を取り囲む五つ葉と腰のあたりを流れる川を彫り込まれたのだが。
「ねえ、先生。あちきの乳首、あざと過ぎませんかね」
 肌にぴたりと貼り付いている肉襦袢には深紅の乳首が描かれているのだが、生身のそれに比べると鮮やか過ぎた。
「肌の下に入れる墨だからな」
「でも、これじゃあ夜目にも違いが分かっちまいますよ。同じ色にしちゃあもらえませんか」
「布地に暈しを入れるのは無理だ」
「じゃあ、生身のほうに朱を入れたら、同じ彩になるんじゃありませんか」
 彫師が、くくっと嗤った。
「女の憎しみは、とんでもないことを考えつかせるものだな」
「とんでもついでですけどさ。実核にも朱を入れてやっておくんなさいな」
「まさか、女淫まで曝すつもりか」
「まさかですよ。見えないからこそ、色が違ってても構わないんじゃありませんか」
「ほう……」
「どれだけ痛い目に遭わしてやったところで、あちきの受けた痛みの万分の一にも届きませんのさ」
 千代は戸板から引き剥がされ、手首足首を縛られて、空中に大の字に磔けられた。ヤスとタツが、両脇に立って腋の下を押さえ込む。
 筋彫よりも細いものを三本束ねた針が、千代の乳首に突き立てられた。
「ゔあ゙あ゙っ……い゙あ゙い゙い゙」
 くぐもった絶叫が広い本堂に響き渡った。
 彫師はちょっと眉をしかめたが、ピチッと針を刎ねた。
 倍する絶叫。
 ピチッ、ピチッ、ピチッ。彫師は非情に乳首を深紅に染めていく。
「いぎゃあっ……ゆういえ……いお、おおいええ」
 いっそ殺して。泣き叫ぶ千代を、楓は食い入るように凝視(みつめ)ている。五つも六つも年下の同性の苦悶に、復仇の念だけではない昏い愉悦を見出だしているのかもしれなかった。
 小さな乳首への朱入れは、双つ合わせても半時とはかからなかった。千代は全身汗みずく。叫び過ぎて喉が破れたのか、頬を縊る荒縄に血が滲んでいた。
 しかし、これまでの激痛は露払いにしか過ぎない。凄惨な阿鼻叫喚は、これから始まる。
 ずっと押さえつけているのは腕が疲れるからと、千代の後ろに戸板が横ざまに立てられて、足首と腰が縛り付けられた。だけでは不足と、膝の上にも縄が巻かれて、隅の鎹に繋がれて。上体を如何によじろうとも腰から下は微動だにしなくなった千代の股間に、針を持たない彫師の手が伸びた。
「皮を被ってちゃ、やりづらいな。痛くすればするほど、良かったんだな」
 とは、もちろん楓への問い掛け。
「それじゃ、こうしようかい」
 彫師は無雑作に包皮を剥くと、二本の針で大淫唇の上縁に縫い付けた。
「ひい……」
 一昨日だったら魂消(たまぎ)るような悲鳴を引き出していただろう残虐に、千代は微かに啼いただけだった。
 いよいよ、彫針が剥き出しの実核に向かう。
 千代は顔を背けて目蓋を固く閉じ、荒縄の猿轡をきつく噛み締めている。
 ぷつっと針が突き立った瞬間。
「ま゙あ゙も゙お゙お゙っ」
 血しぶきと共に絶叫を吐き出し、全身を硬直させた。
 ピッ、ピッ、ピッと。小豆の半分もない小さな肉蕾に朱の針が突き立っては柔肉を刎ねていく。
「かはっ…………」
 悲鳴を上げようにも、千代は息を吸うことすら出来ず、四肢を震わすばかり。虚空を掻き毟る手が縄をつかむと、渾身の力で我が身を引き上げて針から逃れようとする。
 実核は乳首よりも小さく、ひとつしかない。小半時のさらに半分も掛からずに朱入れは終わった。と同時に千代は気を失っていた。遅すぎた安息だった。
「おのれでしたこととはいえ、月の障りさながらでは、興も殺がれる。このまま帰らせてもらうよ」
 彫師はもうひと働きをせずに帰って行った。
「違えねえ。俺も願い下げだ。それよりも、お糸。おめえを可愛がってやろうじゃねえか」
 腰巻に肉襦袢姿の楓を押し倒しに掛かる銀次。
「待っとくれよ。あっちの二人は、どうするんだい」
 嫌とは言わないが、乾分の目を気にする楓。
「姐さん、お気遣いなく。俺らは、月の障りだろうが金山寺味噌だろうが、屁の河童でさあ」
 二人は千代から戸板を引っ剥(ぺ)がして、宙で大の字に磔けられている血まみれの裸身に、前門のタツ後門のヤスとばかりに取りついたのだが。
「ちゃんと起こしてからにしな。木偶人形じゃ面白くないだろ」
 面白くないのはヤスとタツではなく楓なのだが。それでも言いつけには従って。頬をビンタしたり乳房をつねったり。それでも目を覚まさないとなると、煙管を持ち出して鼻から煙を吹き込んで。
 咳き込みながら意識を取り戻した千代に、二人係りで裏表の立ち鼎(たちかなえ)。楓には面白くなかったろうが、目を覚ましても心は死んだまま。千代はまったくの木偶人形だった。

 拐わかされて四日目。この日の千代は、腕を吊り上げられて座ったまま、一日を過ごした。たまに縄を緩められたと思えば時雨茶臼の三人掛りで犯され、あるいは鵯越の理非知らずや立ち鼎に縛り直されての二人掛り。楓には駒掛けや茶臼での花菱を三度ばかり。蹴り転がして抱く意から転じた蹴転(けころ)女郎も斯(か)くやという数を、千代は強いられたのだった。
 そして五日目。楓はヤスを使いに遣って、午後から傷の様子見に訪れるはずだった彫師を巳の刻過ぎには呼び出した。すでに千代は、戸板に大の字磔。肩と尻に木魚やら銅鑼置台やらを宛がわれて、背中の彫物が触れないようにされている。
「まだ彫物を増やしたいと聞いたのだが」
「立たせて大の字にしてるときに思い付きましたのさ。まるで、名前のまんまに蝶が翅を展げているように見えましてね」
 言いながら楓は、ヤスに買って来させた百目蝋燭に煙草盆から切り出した火を移した。
「あちきは、毛抜きやら線香やらでほとんどかわらけになっちまいましたけど」
 両手に百目蝋燭を持って、千代の腰のあたりにかざして。熔けた蝋をじゅうぶんに溜めてから、狙い澄まして傾ける。
「ぎびいいいっ」
 昨日針に痛めつけられた実核に熱蝋を垂らされて、千代は海老反りになって悲鳴を上げた。
「まだ声が嗄れてるね。ガラガラ声になられちゃあ困る。口をふさいどくれな」
 詰め物にしていた布切れはどこへやったっけと、銀次が探しに掛かるのを、楓が止めた。
「前のは、あらかた反故(ほうぐ)にしちまったじゃないか。褌でも詰めてやんなよ」
 へっと、銀次がふり返って。
「俺のは今朝がたに替えたばっかだ。できるだけ汚れてるほうが面白えんだろ。ヤス、タツ。おめえらのはどうだ」
 三日も着けっ放しのタツに決まって。汚れた部分を結び瘤にして、千代の口にねじ込んだ。抗っても殴られて言うことを聞かされるだけと骨身に沁みている千代は、涙を浮かべながらも素直に猿轡をされてしまう。
 男の獣じみた臭い、据えた屎小イ更の汚臭に噎せて、千代はくぐもった嗚咽をこぼした。
 それを小気味よく眺めながら、楓は盛大に蝋をこぼし始めた。
「ん゙い゙っ……んん……ん……」
 千代の悲鳴は次第に小さくなり、腰も動かさなくなっていったのは、肌に蝋が積み重なって熱さが減じたからだった。じきに、千代の股間は白蝋で埋め尽くされる。
 固まりかけている蝋を掌で押さえつけて肌に密着させて。じゅうぶんに冷えてから、一気に引き剥がした。
「んいいいっ……」
 千代の腰が跳ねた。熱蝋を垂らされるのとは違う、まさしく生皮を剥がされるような激痛が股間全体に広がった。
 蝋を剥がされた後の股間には、淫毛がほとんど残っていなかった。
「ここにも彫物をして欲しいのさ。たっぷり彩(いろ)を着けてやっとくれ」
「おまえさんは脱がないから、どれだけ違っていても構わんという寸法だな」
 彫師は、千代に彫物を背負わせる理由を弁えているようだった。
「それで、何の図柄にするんだ」
「決まってるじゃないですか。背中が、チヨとカエデとイトなんだから。ここにも蝶を彫っとくれな」
 実核を頭に淫唇を胴体に見立てて、鼠蹊部から内腿にかけて翅を展げた図柄を楓は所望した。
「なんだったら、胴体に彩を入れてくれてもいいんだよ」
「他人の肌だと思って好き勝手を。まあ、こういう趣向も彫師冥利に尽きるってものだが」
 善ならぬ悪巧みは急げとばかりに、さっそくに道具箱を広げる彫師。
 千代はまたしても、全身を脂汗にまみれさせながら、声にならない悲鳴を褌の猿轡に吐き出す羽目になった。筋彫から彩入まで一気に仕上げたので、千代の苦悶は午(ひる)前から戌(いぬ)の刻近くまで四刻にも及んだ。
 せめてもの救いは、いちばん肝心の道具が今夜は使えなくされたせいで、娘としての辱めだけは受けずに済んだことだけだった。

 それからさらに六日間、千代は監禁されていた。いっそうの恥辱を与えるためではなく、入墨の養生である。最初の三日ほどは痒みに苛まれた。背中一面もさることながら、後追いで墨を入れられたところは、どこも女の急所である。掻痒の中に妖しい感覚まで忍び入って、これくらいなら、まだしも針を刺されたほうが手放しで泣き叫べるものをと、喉元過ぎれば何とやらに、千代はもどかしさを募らせもした。
 その間も日毎に一度は男どもに三つの穴を貪られていた。もちろん、妖しい官能に弄ばれていようとも、それと陵辱とが混淆することなどなかった。
 背中の瘡蓋(かさぶた)が剥げ、乳首と実核にどぎつい紅が染み込み、股間の色鮮やかな蝶は瘡蓋が貼り付いたままに傷が落ち着いてきた、拐わかされてから十二日目に、楓たちは姿を消した。
 といっても、千代が家まで送り届けられたわけでもない。胡座の間に柱を抱きかかえる形に縛られて、そのまま置き去りにされたのだった。
 誰にも見つけられず、このまま飢え死にしても構わない。いや、こんな浅ましい姿を見られるくらいなら、死んでしまいたい。そうは思っても猿轡を噛まされていては、舌を噛むことも出来ない。
 ――陽も沖天を過ぎた頃。境内に人の気配が動いた。
(お願い、入って来ないで)
 一瞬に羞恥が甦ったが、生き恥を忍んででも救けてもらいたい気持ちがなかったといえば嘘になる。
 足音がまっすぐ近づいて来て。様子を伺うように戸が引き開けられた。千代は後ろ向きに縛られている。振り向いて相手の顔を確かめる度胸はない。
 数瞬、ぴいんと緊張が漲って。
「千代……なのか」
(お父っつぁん……)
 世に男は数多(あまた)居れど、今はもっとも会いたくない人だった。
「いあいええ……」
 見ないで、来ないで。
 しかし。千代の心の叫びが通じる筈もなく。声から我が娘と分かって、駆け寄る喜右衛門。
 彼がこの場を探り当てたのは、偶然でも何でもない。
 誰にも行方を告げずに娘が姿を消した、その夕刻には貫目屋ではひっそりと大騒ぎになっていた。人目を忍んでの逢引とまでは喜右衛門はともかく、母の妙(たえ)あたりは勘繰りもしたが、まさかに朝帰りするとも思わなかったのだが。翌日に街の木戸が開いても帰って来ない。
 自身番への届出はもちろん、月々の付届けを欠かさない同心手伝の親分の手も煩わせ、それでも二日三日経っても消息がつかめず、ついには同心直々の出馬を願った。千代の拉致された先が分からなかったのも道理。貫目屋から十町(約一キロ)ばかり離れた清安寺で姿を見掛けた者がいたばかりに、城下町から静安寺とは真反対の方角へ一里半(約六キロ)も離れた、この南総寺はよもやとさえも思われていなかったのだ。
 それが、今日の午の刻すこし前に、童が文を貫目屋に持ってきて、喜右衛門は半信半疑ながらも手代と丁稚にまで駕籠を誂えて駆け付けたという次第だった。
「おまえたちは、外で待っていなさい。戸を閉めるのです」
 動転しながらも、娘の無惨な姿を人目に晒すまいとする親心。
 何はともあれ、汚れ褌の(とまでは気づかなかったが)猿轡を口から引き出してやり、手首の縄を解いてやろうと身体の位置を変えたとき。
「これは……」
 絶句する喜右衛門。真昼の外の明るさに眩んでいた目が本堂の薄暗がりに慣れて、娘の背中一面に刻み込まれた濃紺の紋紋に気づいたのだった。
 しかし今は、事の次第を問い質している場合ではない。とにもかくにも、あたふたと縛めを解いて。
 小さな両替屋を御家御用達にまで広げた、悪賢くも機転が利き度胸もある喜右衛門。娘に羽織を着せ掛けると、内縁へ駕籠をひとつ上げさせて、後はおのれの手だけで四苦八苦して板の間へ引き込んだ。
 羞恥に身を縮込ませている娘を、赤子をあやすようにしながら駕籠へ押し込み、両側の垂れを下ろしてから、駕籠舁き人足を呼び入れた。
 手代と丁稚に駕籠脇を固めさせ、自分は先に立って周囲を伺いながら。人目の多い街中を店とくっついた本宅へ連れ帰るのは憚って、城下からすこし離れた寮へ匿った。
 それからも、喜右衛門の手配りは抜かりなかった。娘の裸身を見られてはいないが、人足には法外な酒手をはずんで口止めをして帰らせ、自分は娘に付き添い、手代は医者へ、丁稚は女房へと走らせた。
「ともかくも五体満足で戻れたのだ。何をされていようと、命あっての物種です。おまえが幸せになれるよう、わしが万事取り仕切ってやる。決して早まった真似をするんじゃないよ」
 傷物にされ肌に消せない烙印を刻まれた娘でも、人並みとはいわないまでもそれなりに女として幸せにしてやる方策を、すでに喜右衛門は考えついていたのかもしれない。しかしそれは、大きな錯誤を前提としていた。
 これほどの恨みを買う因がおのれにあるとは、自明だった。そして喜右衛門にとっては、自身を殺されるよりも店を潰されるよりも、娘をこんなふうにされたほうが、はるかに痛恨だった。それだけに、害を為した相手が、復讐は成れりとして、これ以上のことを仕掛けて来ようとは夢にも思っていなかった。
 千代を解き放ったのが何よりの証拠だと、喜右衛門は判断したのだった。
========================================
緊縛強制刺青

 おそらく500枚くらいにはなるでしょう。第三幕は定められた吟味の手順(敲問→石抱→釣り→海老)など関係なく、三国弾正郷門クンが「こやつはどこまで耐えらるか。何故、責問で恍惚となるのか」と探求していくわけですから、濠門長恭クンの気紛れでどんな責めになるか、指先三寸です。第二幕に匹敵する分量(責めの種類と枚数)になるかもしれません。
 お楽しみに!
 ですけど。600枚とかいったら、前後編に分けてリリースするかもです。


DLsite キーワードは、強制 刺青or入墨

Progress Report 0:濡墨を着せられた娘

Pre Progress Report (PLOT着想)→

 いや、とっくに執筆中なのですが。投稿間隔の調整で干を持していました。満を持してまではいません。(干潮⇔満潮)
 着想してからストトン拍子で執筆に至りましたまうえまよこ。

SM(japan)刺青女竹背負い縛り尻責め
 ずっと前から持っていた、この画像がインスピレーションBであり、テーマでありモチーフでありBFネタでもあります。
 ※Aレーションはアメリカ軍によって使用される、生鮮、冷蔵、冷凍食品によって構成されるレーションである。Aレーションは生鮮、冷蔵、冷凍食品を使用する一方、Bレーションは十分な冷凍・冷蔵施設がなくとも保存できるよう缶詰や保存料を用いる。(Wikipedia)
 なぜか、『戦闘詳報』みたいなノリになってます永谷園。


 とにかく、無実の女囚への陰惨/淫残な拷問を書きたいという、それだけです。Wordでいうところの「見出し1」「見出し2」「見出し3」まで使うという、SMX工房初の試みです。
 くだらないところに趣向を凝らすのが筆者の悪い癖です。今回は、全体を舞台仕立てにしています。
 PLOT中【隅付き括弧】が「場」です。その中をさらに[角括弧]で責めごとに分割。
 さて、困ったのが「お話変わって」の部分です。「幕間劇」ではないです。ヤケのヤンパチで「※回り舞台」としました。本舞台で役者がストップモーションして、それまで背景か何かだった部分が反転して、板付きで別の芝居が展開するという。
 PLOT中「書きながら考える」という注記がやたらあります。ストーリイは恙無く進行中で、とにかく拷問なのです。まあ、こういったシーケンスで、凝った(読者には迷惑な?)設定とか思いついて、ワープロの利便性で前の部分を改訂2万リーグということもあるかもしれませんが。


 おっと。今回の通奏低音を忘れてました。こういう場合にツーソーテイオンを使っていいのか疑問ですが、じれったいジレッタントです。
 苦痛の極限で快楽を得るというのは、実は脳内麻薬のせいである。どこまで具体的に書くかは、指先(かつては筆先と称していた)次第ですが。ランナーズハイとか、集団詠唱による宗教的法悦とか。なので、PLOT中で切支丹にちょこまか言及しているのです。


 ということで、PLOTの御紹介。登場人物の読みでカタカナ表記の部分は、お遊びです。

========================================
寛政5年(1793年) 1/1=新暦2/11 閏月無し
寛政の改革末期

千代(ちよ) わたし
 霜月生まれ 19の早春に物語は始まる
 実質17というのはマル秘
 ※ハードな拷問の連続なので、U16あたりでは耐えられない?
 ※数えで19にしとけば、よもやU18とは気づかれめえ
 跡継ぎにふさわしい婿をという父親
 貫目屋の悪評と相まって行かず後家
 貸本で目年増(艶本、指南本)
 貸本屋留三にお熱

貫目喜右衛門(貫目屋喜三郎)
 因馬藩の両替商
 先代に見込まれて入婿となる
 藩主(松尾家)や侍への貸し金で権力。苗字帯刀
 商家への短期融通で実利を得ている。苛斂誅求。
 庶民には評判悪くない。祭への寄付など
 一両を百人へ貸すより、百両をひとりへ

妙(たえ)
 喜三郎の妻 先代の娘

糸(いと)源氏名は楓 24 あちき
 貫目屋に借金をして破産した古着屋の娘
 15で遊郭に売られ、喜三郎に水揚げされた
 侍が戯れに衣装を切ろうとして脇腹に傷
 傷隠しの肉襦袢がヒントになった 
 後に銀次の手引きで足抜
 古着屋だったから、盗賊への伝手もある
横っ飛びの銀次
桂馬のタツ
香車のヤス
彫師の先生

三国弾正郷門(みくにだんじょうさとかど/ザンコクダンジョゴウモン) 41
 吟味方惣与力
 彼の手に掛かれば無実の者まで自白するので、責めは行なわない
 父親が切支丹を転ばせなかったのを強く覚えている
 自宅に拷問蔵
 なびかぬ女(男は高額)をなびかせて謝礼を稼いでいる
 プレイの場としても提供(十両以上)
弥助
 弾正の子飼
梅吉
 弾正の子飼
赤金文太雄(あかがねぶんだゆう/シャッキンフミタオス)
 探索方与力
間入有通(はざいりありとお/マニュアルドオリ)
 最初の吟味同心
八戸藪理(はちのへやぶみち/ハットヤブリ)
 二番手の吟味同心。弾正の手下同然

三俵のトラ 27 牢名主
 米俵を背負って両手にも
 女人足の頭(男より低賃金)
 男衆との出入りで殴り殺す
 山送りが決まっているが、牢名主として留め置かれる
河童のムメ 41 二番役
 農民。池で潜り漁。ご禁制の鯉を密漁
中條の松尾 38 三番役
 島送り待ち(生活基盤を築かせるため、初夏にのみ。翌年から自活)
鉄火のエン 22 詰め役
 博奕打ち。元は店持商人の娘
タキ 17
 継父を突き飛ばして怪我をさせた
 実母の訴えで
 後から入牢。型通りのリンチ

三井満足(みついみちたり/サンイマンゾク=銅でもいい)
 城下奉行(町奉行、寺社奉行)



第一幕 破れ寺

【拐わかし】
留三をかたった付け文で川原の小屋へ
雁字搦めで猿轡。棺桶へ入れられる
もがくのを諦めてから、破れ寺へ運ばれる
 本尊が残っているのが記憶に(重注)
まずは素裸に引ん剥いて処女蹂躙
酢で洗う。沁みる。肛門も中まで
四つん這いでアナルとイラマ
全裸緊縛放置
小半時後。強制騎乗位(楓介添え)三穴。
「あちきが15の歳にされたことに比べたら」
翌朝。縄をほどかれ、用足しは銀次が首縄
握り飯。近在の農家。千代には分からない
柱に膝立ち後ろ手。身体には縄を掛けない
彫師の先生
楓の肉襦袢に下絵
 蝶々の下に川(糸巻から流線)、左に楓
戸板に千代をうつ伏せ大の字
スジ彫り。悲鳴は猿轡
 1回4時間。2日で筋彫、2日でぼかし
施術後に彫師が一発。毎晩、3人×2回。楓の強制クンニ
肉襦袢の乳首のほうが赤い。千代の乳首も入墨。ついでに実核にも。
完成後
「自害なんてするんじゃないよ。これを見な」
脇腹の大きな刀創

【全裸捕縛】
本堂に緊縛放置して撤収
簪に結んで投げ文
半信半疑で番頭。籠の手配など
「刺青を父親に見せてみな」
紅葉……楓……川でなく糸……?!
喜三郎、絶句悶絶
寮に匿う。彫師も医者も、刺青は消せない
じきに、筋彫女賊お蝶の噂
喜三郎、寮に駆け付ける
厩番頭の菊田光太夫の妾に
 おまえに罪をなすりつける企み
時すでに遅し
 探索方与力が踏み込む。
 肌検め、全裸緊縛引き回し。自害封じ
 実は借財で青色吐息恨み骨髄
 証文を巻く。この場で。喜三郎が籠で往復
 胡座縛り、π乙もみもみ。賄賂指南
 腰巻姿で。女賊を捕らえたと喧伝
 倹約令違反の娘で過去に例有り
 城下町を引き回して牢獄へ
 父親は次の手を打つために別行動
 番頭と手代が駆け付けるが、追い払われる


第二幕 女囚牢

【吟味前夜】

[素肌検]
 裸検は、菓子折が届いているので手心
 新しい囚衣 手首縄だけで牢屋へ(手心)

[牢問答]
 前代未聞の菓子折で、待遇は良い
 奇天烈な言い分ゆえに信じてもらえる
 動かぬ証拠ならぬ動く証
 連座と、親の躾と
 罪一等を免じられても島送りは免れない
 山送りよりは、まし

【苛烈牢問】

[裸敲問]
 囚衣緊縛で罪状認否。否認
 上半身脱がして、大桶の水鏡
 敲き問。定法外して乳房敲き
 素っ裸にして、股間
 左右から手足を引っ張って大の字立ち
 滅多打ち。気絶するまで
 囚衣を掛けて、半幅戸板で牢へ放り込む
 医師が呼ばれる。菓子折の見返り
 早く自白させないと、手を回される懸念

[石抱問]
 書きながら考える

※回り舞台 若侍苦楽責
 弾正も菓子折り。受けても義理は無視
 元服前の武家の次男坊あたり
 水責め&ドライオーガズム寸前。
 依頼主の商人にアナル責めを与力が指南
 自発(?)フェラ。まで
 刺青誇示の不可解
 次の吟味からは立ち会う

[牢内掟]
 新入り。タキ
 重敲きのうえ線引き外所払いが相場
 案外と実母の取り計らい
 同情はするが、掟は掟。ツル無し
 全裸極め板敲き。女陰仕置は五本指
 一番手が小さいのはチヨ……
 自分が優遇されていると実感

[吊敲責]
 書きながら考える

[海老問]
 同心が八戸に変わる 
 書きながら考える

[坐禅転](承前)
 脳内麻薬のところに性的刺激で初絶頂

※回り舞台 新妓夢現責
 楼主の依頼で、強情な新妓を大麻調教
 思い出す。弥助を妓楼へ走らせる
 脇腹の傷など、千代の申し立てに一致
 楓を探すよう弥助と梅吉に
 吟味役を替えておいて良かった

[駿河問]
 敲責で悶絶の寸前に法悦境

【父母生別】
 娘が入墨をしたのは監督不行き届き
 島送りを見送りたければ白状しろ
 牢問ではないので、弾正は立ち会っていない

【裁きの場】
 弾正が苦々しい顔で陪席
 金の卵を産む鳥を/おそらく無実の娘を
 楓が隣国へ抜けたらしいという風聞
 弥助を走らせた(手形は独断)
 間に合わなかった
 独房で千代は、槍で貫かれる恍惚を想う
 最初の時、全裸引き回しされていたら


※回り舞台 熟娘揺木馬
 プレイの監視と指南
 色責め木馬(生温過ぎる)
 父親の時代の切支丹責を回想
 千代だったら、どこまで耐えられるか

第三幕 拷問蔵

【金の所在】
 処刑を三日後に控えて
 奉行から呼び出し
 真犯人は隣国で獄門
 偶然か、弥助の働きかけか
 裁きは覆せない(御政道の権威)
 盗金の所在を追求ということにして延期
 弾正の拷問蔵へ、こっそり移す
 全裸引き回しは、またも叶わず

[木馬責]
 書きながら考える

[逆吊責]
 書きながら考える

[水樽責](承前)
 水没で張形で絶頂

[男牢入]
  責めが伴わないと、つらいだけ

[釘打責]
  首に角材、小淫唇丸太挟んでクリ乗せ

[首吊責]
 懸垂首吊

【濡衣問答】
 処刑は1か月延期が限度
 隣国からの書状が、今届いたとして
 千代に手を突いて謝る弾正
 ・予定通り死罪
 ・罪一等を減じ山送り
 ・文身を彩色して放免/投込寺の死体
 ・永代吟味(新しい拷問の実験台)
 彩色後の死罪を渇望するも……


最終幕 処刑場
 全裸引回しを望むが、腰布
 磔柱も同じ(男柱)

みそとせの せめらくもつき あとにゆく
     ほとぬれそぼち やりをまちわぶ
三十年の 責め楽も尽き 後に逝く
     女陰濡れそぼち 槍を待ちわぶ
========================================

 最後はヒロインの処刑で終わっています。濠門長恭作品としては珍しい結末ですが、ヒロイン自身が望んでのことです。先に逝った弾正の後追いです。しかも、槍に貫かれる瞬間のエクスタシーを求めてのことです。そういう意味ではハッピーエンドです。

 女賊が諸肌脱いで刺青を誇示するというのは、巧妙なカモフラージュでもあります。被害者は刺青に目を奪われて、顔なんか覚えていません。夜目ですから極彩色はかえって見えづらい。ので、筋彫。
 いや、まあ。本当に刺青をしてしまうと、風呂とか困るわけです。裏庭で行水でも、覗き見られる危険があります。そこらへんを穿った推理でアレコレするのが、弾正郷門の面目が躍如として申し分ないところです。
 しかも「※回り舞台 新妓夢現責」で、楼主に依頼されて強情な娘を大麻で快楽責めしているときに、そういえば十年まえに糸とかいう娘を……あやつかッ! と、なるわけです。
 回る因果の糸車。俺のせいで千代は……弾正クンが反省するか田舎は、筆者も今のところは分かりません。


DLsite Affiliate キーワードは「刺青or入墨orイレズミ and 拷問」

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Fimal:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 ふわあ。やっと、終わりました。思えば、構想3か月/執筆3か月。
 1月下旬にPIXIV小説でリクエスト(有料)をもらって、一旦は辞退して、でも4月に再リクエストしてもらう予定で他の作品を書きながらPLOTを練って、3月末に再リクエスト/受注して書き始めて、5月2日に脱稿して。3日と4日が休日の予定だったのに勤務先都合で5日も休みになって。推敲3回+BF丁稚揚げして、たった今(2022/05/05 13:50)PIXIVに投降を終えたところです。
 3月末に書き始めて5月初頭に脱稿。足掛け3か月。嘘は言っていませんね。

 少年がSMショーの初舞台でマゾに開眼する話ですが、実はその前の章(ストーリイ上では1か月前)では幼いサディスチン姉妹がマゾ役で同じ舞台に出演するのです。そして、こっちの方に力が入ってしまいました。(2万6千文字:1万8千文字)。

 そこで今回は姉妹がマゾ役の方を御紹介いたします。

========================================

SMショー

 2学期が始まった。僕のほうはすぐに実力テストがあって、美竹さんは前期の期末テスト。
 そして、結果の発表。僕の危具は的中して、美竹さんは目標にまったく届かなかった。目標の平均点460に対して430、へん差値65に対して58。未達成の罰はメコ筋への鞭打ち30発はともかく(じゃないけど)、クリトリスへのオキュウが7個。美竹さんは自分で自分に罰を言い渡しながら、泣きじゃくってた。
 なんだか甘えたような泣き方だった。もしかしたらメス穴を濡らしてるんじゃないかと疑るくらいには、僕も美竹さんのことを分かるようになっている。
 ほんとに濡らしていたかは(残念だけど)分からなかった。
「せんねんキュウは跡が残らないというが、それはふつうに使ってのことだ。小さなクリトリスへ立て続けに7個となると、焼け落ちてしまうかもしれん。美鈴は、どう思う?」
 伯父さんに尋ねられて、美鈴ちゃんは固まってしまった。こういうときにどんな返事を求められているかは、僕にも想像できる。美鈴ちゃんは30秒くらい黙っていたけど、それは考えているのではなくて決心に必要な時間だったろう。
「あたし……お姉ちゃんの罰を半分引き受けます。まだ皮をかむってるから……モグサでもいいです」
 顔は真っ青、声も震えていた。でも、美竹さんと同じで、なんとなく甘い響きがあった。
 伯父さんが満足そうにうなずいた。
「よかろう。姉思いの妹にめんじて、クリキュウは許してやっても良い。ただし、次のキンシツ会にはふたりそろってトリを務めるのが条件だ」
 ふたりそろって、伯父さんの前にひれふした。
「ありがとうございます。どんな厳しいショーでも、立派に務めて見せます」
「すこし、均くんを教育してやろうと思っての処置だ。彼にも感謝しなさい」
 いきなり話を振られて、僕はぽかんとするしか反応できない。
「ありがとうございます、均さま」
 W美姉妹に土下座されて、目を白黒赤青黄色。
「あの……どういうことですか??」
「そのときになれば分かるさ」
 答えてもらえなかった。
 メコ筋への鞭打ち30発は、その場で執行された。美竹さんは、やっぱりパンティをサルグツワにしたけど、うめき声までは止められなかった。数え役は、また僕が指名されたので、間違えないように注意を集中していたけど……うめき声が、やっぱり甘酸っぱく聞こえたので、わざと間違えてあげようかと、何度も考えてしまった。もちろん、実行はしなかった。

 訳が分からないまま、9月も下旬になった。それまでに一度、洋服屋に連れて行かれて採寸された。洋服屋といっても赤山とかじゃなくて、オーダーメード専門の高級店。1週間ほどで届けられたのは、タキシード。背広みたいなやつで、薄い生地のつりバンド付き腹巻(?)をして、ちょうネクタイを結ぶ。それをスーツケースに入れて、一家そろって東京へ行った。
 着いた先は、小ぢんまりとしたホテルだった。エントランスには、見落としてしまいそうなくらいひっそりと『錦瑟会様貸切』の看板が立ててあった。それを見たときは「へえ?」くらいにしか思わなかったけど、クロークというんだっけ、スーツを着た人が3人並んでる受付で、後ろにある料金表を見て驚いた。いちばん安い部屋(大人2人)で5万円。たしか、小学校5年のときに連れてってもらったドリームワールドの近くのホテルで、宿泊料金が親子3人の部屋で1万2千円だった。それだけのお金があれば新しいテレビゲーム機を買ってもらえるのにと思ったから、よく覚えている。その4倍以上。ウルトラ高級ホテルだ。
 ボーイさんに荷物を持ってもらって、案内されたのは2LDKくらいの部屋。ベッドルームだけじゃなくて、リビングみたいなスペースもついてる。それが、伯父さんと僕のツインルームだそうだ。伯母さんとW美姉妹は別の部屋。料金表にはファミリールームというのもあったけど、そちらは最低でも15万円だから2部屋に分けたほうが安上がりなのかな。
「まだ時間があるから、テレビでも観てなさい」
 これから何をするのか、まったく教えてくれずに、伯父さんは部屋から出て行った。伯母さんたちの部屋を訪れようとしたけど、追い返された。
「美竹たちは、いろいろと支度があるの。ごめんなさいね」
 なんだかなあ。別そうから帰ってからこっち、みんな微妙によそよそしいんだよなあ。仕方がないので、面白くもないテレビでも観るしかない――と思ったら、有線放送なのかな。洋画専門とかアニメばっかりとか、チャンネルが20以上もあったので、退屈はしなかった。どころか、まだ上映中のはずの『スター・ワーズ6』にかじりついていた。もう英語も習ってるんだからと、字幕版にしたけど、結局は字幕を読んでばかりだった。
 だけど、最後までは観れなかった。伯母さんが来て、僕の着替えを手伝ってくれた。
 ちょうネクタイは幼ち園の発表会で身に着けた記憶はあるけど、ワイシャツ(ほんとは違う名前らしい)の上に腹巻をかぶせてベルトでつるなんて、妙ちくりんなファッション。くつも光沢のある黒いのにはき替える。
 支度が出来上がると、W美姉妹を従えて伯父さんが迎えに来た。伯父さんもタキシード。伯母さんは、ノースリーブで胸元も広く開いてる薄青のワンピース。上半身がぴっしりしてるけどスカート部分はふんわり。カクテルドレスといって、タキシードと同格の礼装だとか。なのにW美姉妹は……マントというかポンチョというか、首からふくらはぎまで、ふくろをかぶってるみたいな服装。腕もふくろの中に隠れてる。そして、裸足。しかも、長い鎖のついた首輪をしていた。
「あの……?」
「美竹は、きみが連れてきなさい」
 僕が質問しかけるのに言葉をかぶせて伯父さんは、美竹さんの首輪から延びてる鎖を僕に押しつけた。
「……! ……?」
 何がどうなってるのか見当もつかないけど、伯父さんについてくしかない。
 伯父さんは僕を左側に並ばせて歩き始める。その後ろに美鈴ちゃんと美竹さん。伯母さんはふたりの後ろ。まるで、連行される犯罪人(でも奴隷でも家蓄でも)を見張ってるみたいだと思ったのは、鎖からの連想だ。
 エレベーターのところにボーイさんが立っている。僕たちの姿を見ると、うやうやしくおじぎをして、ボタンを押してくれた。W美姉妹の奇妙な格好を見ても、まるきり無表情で無言。
 2階で降りると、広いパーティー会場だった。
 入口のところに、なぜか塩田先生がぽつんと立っていた。
「わざわざお呼び立てして申し訳ない」
 伯父さんが声をかける。先生は伯父さんと僕を見比べて、きまり悪そうにうつむいた。
「いえいえ。乗車券まで手配していただいては、お断わりするのも失礼ですから。ですが、これは一体どういう集まりなのですか?」
「百聞は一見にしかずと言いますから。ともかく、こちらへどうぞ」
 伯父さんと僕とで先生をはさむ形になって、会場へ入った。
 小さなテーブルがたくさん、ちょっと見には不規則に並べられている。ひとりや5人以上のテーブルもあるけど、半数はカップルで残りは子供連れかな。私立の制服ぽいのを着た小さな子もいるし、中年のカップルと若夫婦みたいなテーブルもあった。
 ここでも伯父さんは偉いんだろう。最前列中央のテーブルに案内された。でも、イスは4脚だけ。正面の幕に向かって並べられている。僕と塩田先生が真ん中に座って、僕の右が伯父さん。塩田先生の左が伯母さん。
 W美姉妹の席が無いなと思ってたら……テーブルの両端に分かれて、のろのろぎくしゃくと(その理由は後で分かった)床に座り込んじゃった。体育座り。たくれ上がったポンチョは、案内したボーイさんが直してくれた。すそが床まで広がって、まるでてるてる坊主。
 床に座ってる人なんて、他のテーブルにはいない。ますますナゾが深まる。
 ぱらぱら残っていた空席も10分ほどでうまった。部屋の照明がすこし暗くなって、テーブルにキャンドルが灯される。そして、幕の下りた舞台にバニーガールのお姉さんが登場した。タイトルは忘れたけど、テレビで観た洋画を思い出した。カジノでもお客は正装してて、ウェイトレスはバニーガールだった。
「皆様、遠路はるばるお越しいただき恐縮です。これより、錦瑟会昭和58年度9月例会を開さいいたします。本日は会長の土幸様は御欠席ですが、常任理事であらせられる沢渡様が御臨席です」
 バニーガールさんが、白手ぶくろの指をそろえて伯父さんを指した。伯父さんと伯母さんが、ゆっくり立ち上がる。僕も、伯父さんにつつかれて、あたふたと。塩田先生も、きょろきょろしながら立ち上がった。
「お若いお連れ様は甥御の沢渡均様です」
「回れ右、礼」
 耳元でささやかれて、またあたふた。
「もうおひと方は、均様の担任教師でいらっしゃいます。会員様ではございませんが、沢渡様のお計らいで臨席いたしております」
 塩田先生はガチガチに最敬礼。そうか、位負けしてるんだ。みんなタキシードとかイブニングの正装。学校の制服も正装として扱われるそうだし。先生だけが、たぶんとっておきのよそ行きだろうけど、サラリーマンみたいな背広とネクタイ。
「本日は、おじょう様の美竹様と美鈴様もお見えです」
 W美姉妹も、妙ちくりんな格好が許す限りの優雅な動作で立ち上がり、参加者に向き直って――片足を後ろに引いて背をのばしたまま身体を沈めた。西洋のお姫様みたい。女神様と王女様にふさわしい仕草だけど、これってレディーズマナー講座で学んだのかな。
「なお、本日のショーにて、おふた方はトリを務められます」
 盛大な拍手が起こって、ふたりはもう一礼。
 思い出した。期末テストの成績が(とんでもない)目標に達さなかった罰として、そんな約束をしてたっけ。
 ふたりが座ると、またボーイさんが音も無く飛んで来て、ポンチョのすそを直した。
 しばらくはクラシックの静かな曲が流される中を、ボーイさんが料理とお酒を配っていった。ラスクみたいなやつの上に、クリームとかサラダとかフルーツを盛り付けたのが、ちんまりとみっつ。これってフルコース料理の前菜かな。
 僕の前にもワイングラスが置かれた。他の3人の(は、赤ワインかな)と違って鮮やかな青色であわが立っている。
「きみも飲みなさい。ごく薄いアルコールだから、だいじょうぶだ」
 そりゃ、父さんのビールをオチョコで飲んだことくらいはあるけど。アルコールがどうこう以前に、テーブルマナーを知らない。のは、塩田先生も同じみたい。伯父さんがワインをひと口飲むと、同じようにひと口。ぼくも伯父さんを真似した。
 お皿の両側にフォークとナイフが3本ずつ。さらに大きなスプーン。お皿の向こう側にも小さいのが1組。は、使わずに。伯父さんはケーキみたいなラスクみたいなやつを手でつまんで食べた。そして、ひざの上に広げたナプキンの端で手をふいた。ので、僕と塩田先生も。なんか、こういうの落語にあったね。
 そうだ、W美姉妹はどうなってるんだろうと振り返って見ると。お行儀よく座って正面の舞台を見つめてる――だけ。料理もワインも無かった。
「伯父さん。美竹さんたちは食べないんですか?」
「ショーをひかえているからね。きみは若いから知らんだろうが、戦闘機は燃料満載では動きが鈍って、まともに空戦機動を行なえない」
 分かったような分からないような返事だった。
 伯父さんが(ということは、僕と先生も)半分くらい食べたところで、お皿が下げられて、スープが運ばれてきた。会場に流れていた静かなクラシックが、テンポの速い(サンバかコンガか知らないけど、なんとなくラテンっぽい)音楽に替わった。音量は小さい。
 またバニーガールのお姉さんが登場。
「前座を務めていただきますのは、仮会員になられました村社様です。御年48。奥様は41歳でございます。なお、出場される娘さんも、けい法第176条および第177条に定める性的同意年令に達しておりますことを申し添えておきます」
「錦瑟会のメンバーは、社会的ステータスの高い者ばかりだ。身代わりを立てられぬような違法行為は犯さぬように慎んでおる」
 あ、それでか。次の誕生日に美鈴ちゃんは伯父さんにバージンをささげるとか言ってたのは――バニーさんが言った性的同意年令ってやつだ。身代わりを立てられるような違法行為は犯すのかなって疑問が浮かんだけど、深く考えないことにした。僕の感覚では、父と娘でセックスすることのほうが、万引きよりずっと不道徳だ。そして僕も、その不道徳をなしくずし的に受け入れてしまってる。
 バニーさんが引っ込むと幕が左右に分かれて。舞台には大きなベッドがひとつきり。三方と天井には大きな鏡が張られていて、ベッドをいろんな角度からながめられるようになっている。
 舞台の上手から中年の夫婦が、下手から3人兄妹が登場。背丈や顔つきから判断すると、兄妹弟の順だと思う。真ん中の妹は美竹さんくらいで、末っ子の弟が僕と同じくらいかな。くやしいけど、3人ともちゃんと毛が生えてる。
 みんな、全裸。全員に注目されて、男3人のチンチンは委縮している。
 ベッドの前に立って、夫婦が抱き合ってキスを始めた。お母さんは身体を密着させながら背のびをして、股間をお父さんのチンチンにすりつけてる。
 お兄さんが客席に横を向けて仁王立ち。弟は正面を向いてる。妹がお兄さんに向かい合ってひざまずいて、フェラチオを始めた。右手で弟のチンチンをしごいてる。
 1分もすると『主砲発射用意ヨシ』の体勢になった。夏休みの終わりにノンフィクションの海戦記を読んだので、現国の暗ゆを復習してみた。
 お母さんと兄弟がベッドに上がった。お母さんが四つんばいになって、お兄さんが後ろから入れて。うわわ……弟は奥さんの正面でひざ立ちをして、フェラチオをしてもらってる。そしてお父さんは小さな娘を抱き上げて……下から突き上げるようにしてクシ刺し。
 お兄さんが後ろから突くたびにお母さんが前後にゆれて、弟のチンチンは自然にピストンされる。お父さんは中腰になってひざで上下にゆっさゆっさ。
 ぱんぱんぱんぱん……
 じゅっぷじゅずず……
「あん、あん、あん……パパ、ちもちいいおお」
 妹は舌足らずに快感を訴えている。
「見とれていないで、すこしは食べなさい」
 伯父さんにうながされて、テーブルに視線をもどしてスプーンでスープを飲んだ。音を立てないように飲むのがマナーだってことくらいは知ってる。セックスでは、音も声も出すのがマナーなんだろうな。
「いったい……これは、どういうことですか?!」
 塩田先生も我に返って、伯父さんに詰問口調。
「うるわしい家族愛の一幕ですよ。血縁のきずなに安住することなく、男女の――とは限りませんが、肉体のきずなを重ねる。それでこそ、終生の変わらぬアイジョウ、愛をもって縄で縛りつける関係が築けるというものです。まあ、縄に象徴される支配と被支配の関係を持ち込んだのは、ほかならぬこのワシだがね」
「バカな……近親相かんではないですか」
「法律では近親かんは禁止されておらんよ、すくなくとも日本ではね」
 ほんとに伯父さんは――法律に違反しなければ、なんでもOKなんだな。
「塩田さんは、キンシツ相和すという言葉を知っておるかね。キンもシツも楽器のコトだが。大きなチャイニーズハープすなわちキンと小さなチャイニーズハープすなわちシツの合奏は妙なる調べを生み出す。そしてニシキのようにうるわしい家族愛。このふたつからキンシツ会は生まれたのだよ」
 最初はていねいだった伯父さんの口調が、僕たちに話すときと同じに変わってきた。
「ここにいる会員を、どう思うね?」
「まさか、みんな近親相かんを……?」
「そういうことを聞いておるのではない。年収がきみの20倍以下の者など、ここにはひとりとしておらんよ。ワシらは、見ず知らずの親せきやら銀行証券会社やらユスリタカリやら――背信と裏切りに取り囲まれておる。真(まこと)に心を許せるのは血族でしかない。あるいは、絶対の忠誠をちかった女房か……順子、この人に見せてやりなさい」
「はい、御主人様」
 伯母さんはイスに座ったまま、するするとドレスを脱いでパンティをずり下げた。横長のハート形の焼き印と ”Tuyosi”のイレズミが現われて、塩田先生の目はそこに吸い寄せられた。
 伯母さんがいきなりストリップを演じても、ざわめきすら起きなかった。
「いい機会だ。均くんにも教えておこう。ワシは、もともとサディストだった。強い者が弱い者を支配する。これは、野生の動物もかくミサイルのボタンを持つ物も、まったく同じだ。父親から継いだ会社を守るためだけにも、ワシはサディストにならざるを得なかった。夫婦生活だけは別物という器用な真似は、ワシには出来ん」
 ほおおっという小さなどよめきが上がった。舞台を見上げると――お父さんに妹が向かい合ってまたがっていて、弟がお尻の後ろでお父さんをまたいで中腰。あれって、アナルセックスをしてる。そして、お兄さんはひざ立ちになって、妹の頭を両手でつかんでゆすぶってる。フェラチオだ。ということはメス穴、アナル、口。すべての穴にチンチンを突っ込んでることになる。自分より大きな男性3人に囲まれて、妹は嵐の中の小舟みたいにほんろうされている。
お母さんはというと――娘の横に座って、お兄さんの金玉がお父さんの顔に当たらないよう片手で支えながら、もう一方の手で娘のクリトリスをいじっていた。
 ずっちゅずっちゅずっちゅ……
 ずうっぷずうっぷずうっぷ……
 ぬぷにゅぬぷにゅぬぷにゅ……
「もお゙お゙お゙、お゙おお゙お゙……!」
 大きなハープと小さなハープにボーカルまで加わった、激しいセッションが繰り広げられている。
「取引先といえば聞こえはいいが、丸木商会がコバンザメのように食らい付いていた大きな会社の専務が、当時のキンシツ会の世話役でな。ワシは可愛がられて、養女の順子をもらい受けた。ワシもキンシツ会へ加入させてもらって――ただの男女関係もまた、裏切りや不ていが付き物だからな。サドマゾによる女の支配を持ち込んだというわけだ。なに、養女とはいえ娘に焼き印を押すような人物だったからな。鞭と縄へのきょ否反応は無かったよ」
 カチャン。塩田先生がナイフを取り落とした音。
「あっ、これは失礼を」
 イスを引いて立ち上がったけど、床に手をのばす前にボーイさんが音も無く飛んできて、テーブルに新しいナイフを置いた。
「こちらを、どうぞ」
 ドリブルでディフェンスをかわすよりも素早い身ごなしでフォークを拾い上げて、ボーイさんは音も無く立ち去った。
「失敗しても大然自若、軽く手を挙げてギャルソンを呼び、後始末をまかせる。マナーの基本として覚えておきなさい」
 僕に教えてくれているようで、その実、先生をあざ笑っている。
 パチパチパチ……
 拍手の音で、また舞台に目を向けると――5人のくんずほぐれつは終わって、まるで演劇のフィナーレみたいに横一列に並んでお辞儀をしていた。
「村社様御一家のうるわしい家族愛を拝見させていただきました。村社様を正式の会員としてお迎えくださる方は、今一度の拍手をお願いします」
 バニーさんの言葉で、みんなが立ち上がって、ひときわ盛大な拍手を送り始めた。伯父さんと伯母さんも。僕も腰を浮かしかけたけど。
「座っていなさい。きみは会員ではない」
 塩田先生が、バツの悪そうな顔で腰を下ろした。W美姉妹は、ずっと座ったままで拍手もしていない。
「それでは、次の演目まで母と娘のほのぼのとしたじゃれ合いをご鑑賞ください」
 バニーさんが、小さなバスケットをベッドに置いた。お父さんと兄弟は舞台から去って――お母さんと娘は、またベッドへ。お母さんが、バスケットから奇妙な形をした物を取り出した。50センチくらいの一直線の棒。2本のチンチンを根元で接着したような形をしてる。真ん中には丸いグリップみたいのがあるけど、そう思ってみると玉ぶくろそっくりだった。
 まあね。半年もの間、あれこれエッチなことを体験してきたし、美竹さんが美鈴ちゃんにピンクローターを入れるところも見ちゃってるし。その道具をどう使うかは、簡単に想像がついた。
 想像通り。ふたりはベッドに向かい合って座り、まず母さんが模型チンチンの半分を自分に入れてから、互いに交差させた足を絡め合って下腹部を近づけて、娘に反対側のチンチンを突っ込んだ。そして、玉ぶくろを握ってピストン運動を始めた。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
「いいわあ……カズミ、もっともっと泣いてちょうだい」
 ふたりとも、すごく感じてる。
 天井の鏡を見上げると、押し引きのたびに玉ぶくろがクリトリスに当たっている。
 また口(とフォークとナイフ)を動かすのを忘れてながめているうちに、幕が左右からゆっくりと閉じた。
 音楽のボリュームが上がったのは、舞台裏で大道具(といってもベッドしかなかったけど)を片付ける物音を消すためだと思う。
 しばらくの間、幕は下りたままだった。
 魚の切り身にシチューをかけて、宝石みたいにカットした色とりどりの野菜が添えられてるのを伯父さんと同じペースで食べて、半分くらいになったとき、音楽が消えた。
 同時に、幕がするするっと左右に開いて。演劇の背景が現われた。ビル街の夜景。天井からミラーボールが降りてきて、カラフルな光の粒を床一面にまき散らす。
 ジャンジャジャ、ジャンジャジャ♪
 ヒットチャート急上しょう中の3人組アイドルの新曲のイントロ。
 背景を突き破って、3人の女の子が登場。ものすごくセクシーというかエッチな衣装。完全にはだが透けて見えるピンクのミニスカートとチョッキ。チョッキは胸元が大きくえぐられてて、形の良い乳房が丸出し。しかもノーパン。
 そんな格好で3人が激しく踊り出した。
「I love you, I love you ほれたの♪」
 歌いながら踊ってる。まさか……本物?
 別にファンってわけじゃないので3人の顔はぼんやりとしか覚えてないけど、その限りではそっくりだ。ダンスの振り付けもそっくり。
 3分ほどで歌と踊りは終わって、3人が並んで観客にお辞儀。でも、ショーは終わりじゃなかった。
 タンタンタンタン、ターンタカタカタンタン♪
 これは題名を思い出せないけど、ときどき耳にする曲。に合わせて、3人が横並びで同じ振り付けで踊り出した。ラインダンスのカンカン踊りってやつ。
 乳房を手で持ち上げてゆらしながらステップを踏んで、足を大きく振り上げて――うわ、真横に振り回す。縦スジがカパッと割れるのが丸見え。そのまま後ろ向きになって、足を開いて立って、お尻を突き出す。これも丸見え。お尻をぷるぷる震わせてから、両手を床に。丸見えが二重丸見えになっちゃう。
 こんなのをファンが目撃したら、泣き出すか鼻血ブーかの、どちらかだ。僕はどっちでもなく、わりかし平然と見物してた。縦スジなんて見慣れてる。
 といっても。他の人たちはどんな顔して見物してるか観察する余ゆうなんかなくて、ダンスが終わるまで目がクギ付けになってたのも事実。
 最後はデングリ返りして割れ目を見せつけるポーズで――幕が閉じた。
 バニーさんが現われて、手にさり気なくレコードジャケットを持って舞台を横切った。会員限定の場でも、はっきり名前を出すのはまずいんだろうなと、僕は推察した。
 魚料理が下げられて、ワイングラスを平べったくしたような金属容器に盛られたアイスクリームが出てきた。これは、奥の方に置いてある小さなスプーンで食べる。これでデザートか。全然物足りないな――というのは、僕の早とちり。
 アイスクリームはすぐに下げられて、わりかしボリュームのあるビフテキが出された。これがメインディッシュてやつかな。だけど、伯父さんも伯母さんもナイフとフォークを置いたままにしているので、僕も落語の熊さん(だっけ、与太郎だっけ?)。
 今度はバニーさんが登場する前に幕が開いた。背景なんかはなくて、すごく殺風景。舞台の奥に、奇妙な格好をした大道具が置かれている。ゆりかごみたいな弓形の脚で水平に支えられている大きな三角柱とか、女性のマネキン人形とか、人間がすっぽり入れるくらいの大きな額縁とか、垂直に立てられた木の板とか。木の板には、何種類かの鞭が並べられていた。舞台の手前には何かよくわからない小道具を乗せたワゴン(車輪付きの台)が置いてある。
 ひとつずつスポットライトが当てられて。観客の興味と恐怖とをあおってから、バニーさんの登場。
「皆様。ただ今より本日のメインイベントでございます。主演は、沢渡様のビチクとビレイ…失礼いたしました、ミタケ様とミスズ様です。
 W美姉妹が、すっと立ち上がった。伯父さんと伯母さんがふたりの横に立って、ポンチョをはぎ取った。
 ほおおっと、ため息が会場にもれた。僕は、ため息なんてもんじゃない。ふたりとも全裸だった。そして両手を背中にまわして手じょうをかけられていた。手を使わないで体育座りをするんだから、動きが不自然だったはずだよ。
 バニーさんが舞台から下りて伯父さんから鎖を受け取ると、ふたりを舞台に引き上げた。
 W美姉妹は、ほとんど無表情。こういう状況だから、さっきのアイドル3人組みたいに作り笑いを浮かべるのは不自然だけど。そんなにおびえているようにも見えない。
「承ったところによりますと、美竹様はテストで悪い点を取りましたので、厳しいお仕置きを受ける代わりに、本日の残ぎゃくショーに出演することを志願されたそうです。妹さんは、お姉さんの負担を減らしてあげようとしての姉妹愛出演だそうです」
 紹介が終わると、舞台の端から男の人が登場した。黒いタイツをはいて、上半身は裸。身長は180センチくらいある。筋肉質で、なぜか坊主頭だった。
「佐渡様は、衆人環視の中で実の子を鞭打つのはしのびないとして、プロフェッショナルに処けいを委ねられました。アダルトビデオで御活躍中の責め師、シマイチヒカル殿です」
 バニーさんが、ふたりの鎖と小さなカギをシマイチさんに引き渡した。
 大男を前にして、美竹さんは表情を変えない。美鈴ちゃんは……シマイチさんを見上げて、ひとみがキラキラしてる。のは、ミラーボールのせいだろう。
 シマイチさんはふたりの手じょうを右手だけ外して、それを首輪の後ろに留めた。ふたりの左腕が不自然にねじられる。それから、首輪の鎖をつなぎ合わせた。
 シマイチさんが車輪付きの台から、クリスマスツリーの飾り付けに使うような球を取り上げて、それを小さなクリップでふたりの乳首とクリトリスに着けていった。文房具の目玉クリップ。バネが強いし金属だし。敏感な突起は、ふつうの子だったら泣いちゃうくらいに痛いはず。でも、クリトリスを鞭で(優しく、だったけど)打たれて喜ぶようなマゾだから、今も感じてるのかな。
 それぞれの身体にみっつの球を取り付け終えると、シマイチさんはふたりの右手に長い鞭を握らせた。
 ずっと横で見守っていたバニーさんから、シマイチさんがマイクを受け取った。バニーさんは、マネキン人形を舞台の中央へ押し出して、クリスマスツリーの飾り球をひとつ、ブラウスのボタンに引っかけた。
「ふたりのおじょうさんには、鞭による決闘をしてもらいます」
 シマイチさんは、W美姉妹に持たせたのと同じ鞭を手にすると、その先っぽをつまんで観客に向けてかざした。
「御覧のように、鞭の先端は小さなラグビーボールのようになっています。成人男性が力いっぱい鞭打っても、はだがさけたりはしません」
 ひゅん、バチイン!
 シマイチさんがマネキンに向かって鞭を振るった。音は大きいけど、ブラウスは破れなかった。
「10円玉と同じ重さの鉛を仕込んであるので、痛みは大きいでしょうが」
 その鞭で相手の飾り球を割るのだと、シマイチさんは説明した。
「ふたりは鎖でつながれているので、逃げ隠れは出来ません。左手は使えないので、身体をかばうことも出来ません。それでも、そのような行為を試みると、相応のペナルティを与えます。なお、鎖より上で鞭を振ると、即座に負けとします。顔、とくに目を保護するためです」
 飾り球は薄い強化ガラスで作られていて、割れても丸い破片となるので危険は無いそうだ。それをシマイチさんが実演した。
 ひゅん、ガシャ!
 ガラス球が割れた瞬間、赤い煙が噴き出した。煙が薄れて――マネキンの白いブラウスは、白いままだった。
「染料などを仕込むと、血みどろのイメージを演出できるのですが、今回は高圧ガスとしました。その理由は……」
 シマイチさんがパチンと指を鳴らすと、照明がすべて消えた。そして、舞台がほのかに青白く光って。
 ふたりの下腹部のハート形がピンク色にくっきりと浮かび上がった。美竹さんは、乳首と(包皮を切除した)クリトリスも真っ赤に光っている。河原で水遊びしたときなんかは、クリトリスはビラビラの中に隠れてた。ということは――今は性的に興奮してるんだ。
 ふたりはじっと立ってるはずなのに、タトゥがふわふわとくねっているように見えるのは、最初に飲んだお酒のせいかもしれない。
「おおお……」
 いくつかのテーブル(だけ)から、どよめきが起きた。その数が少ないということはつまり、大半のお客は、W美姉妹にUVタトゥが入れられているのを知っていたんだ。そこから得られる結論は――ふたりにとって、こんなショーに出演するのは、これが初めてじゃないってことだ。
 もしかすると。レディーズマナー講座とかモデルとか、いろんな理由で不在だったとき、実はキンシツ会に出演していたのかもしれない。
 会場が、すこしだけ明るくなった。でも、舞台の上は暗く沈んで、ふたりの裸身がうっすらと青白く浮かび上がっている。そして、鮮やかなUVタトゥ。
「みっつとも割られたほうの負け。負けた者には、厳しい鞭打ちが待っています。勝者には、会合が終わるまで、たとえ失神しても休むことなく快感が与えられ続けます。なお、戦意そう失や、片八百長、鎖より上での鞭などの違反行為があった場合は、ペナルティとしてあの木馬に乗せます」
 スポットライトが、ソリで支えられた三角柱を照らし出す。言われてみると、木馬のようにも見えた。
「金属の頂点はギザギザにとがっています。あれをまたがせて木馬をゆすれば……」
 シマイチさんは肩をすくめた。
「二度と使い物にならなくなるかもしれません。実は、あまりに凶悪なので、これまで使った試しがないのです。どうかな、おじょうさん方。あれのコケラ落としをしてみないか?」
 ふたりは身を寄せ合って、恐ろしそうに木馬を見つめるだけで、返事はしなかった。のが、雄弁な返事だ。
「勝負が始まる前からおどかしても、よくありませんね。では……」
 シマイチさんが、バニーさんの位置まで下がった。
「3本勝負、始め!」
 舞台の中央に取り残された美竹さんと美鈴ちゃん。互いに顔を見合わせてから、鎖がいっぱいに張るまで左右に離れた。といっても、3メートルかそこら。
「お姉ちゃんだからって、容しゃしないんだから。だいたい、お姉ちゃんがテストで悪い点を取ったのが、いけないんだからね」
「罰を半分こしたいって、お父様におねだりしたくせに。このマゾっ子。バージンのくせに、生意気なのよ」
 ふだんの美竹さんからは想像できない、悪口雑言。でもないか。僕に口止めリンチをしたときや夜の散歩でも、こんな口調だったし。てことは、(本気半分の)演出かな。
「やああっ!」
 美鈴ちゃんの奇襲攻撃。でも、鎖は鞭が届く距離よりはわずかに長くて、空振りに終わった。
「く……」
「下手くそね。一本鞭の使い方を教えてあげる」
 鞭を引きもどそうとしてもたついてる美鈴ちゃんに向かって2歩踏み込んでから、美竹さんが水平に鞭を振るった。
 バチイイン!
 鞭は腰に当たって絡み付き、先端がお尻をたたいた。
「痛いっ……」
 美鈴ちゃんの悲鳴は、そんなに痛そうじゃなかった。観客へのサービスかな。
 だけど。美竹さんは、鞭の先が美鈴ちゃんのはだをこするにまかせて振り抜いて、すかさずバックハンドで打ち込む。
 バチイン!
「……」
 美鈴ちゃんが、無言で後ろに下がろうとする。のを、美竹さんは上体を後ろへ反らせて引きもどした。
「きゃっ……!」
 もんどりうって、あお向けに転がる美鈴ちゃん。あわてて起き上がろうとする背後に美竹さんが回り込んで。
 バチイン、バチイン!
 お尻へ2連撃。
 今の攻撃、まったく球をねらっていない。ネズミを持て遊ぶネコを連想した。
 アワ踊りを仕込まれたのは、たしか美竹さんが4年前で美鈴ちゃんは1年。愛縄、セッカン――つまりサドマゾの調教そのものが、そのころから始まっていたんだとすると、鞭の扱いもそれだけのキャリアの違いがあるんだろう。
「美竹!」
 シマイチさんが、美竹さんを呼び捨て。あの人がサド役で美竹さんはマゾ役だから当然――とは、割りきれない。W美姉妹は、僕をいじめるときだって、呼び捨てにはしなかった。
「遊ぶんじゃない。真面目にやれ」
 美竹さんは、黙って1歩下がった。鎖で美鈴ちゃんとつながれてるから、それだけしか下がれない。鞭をだらんと垂らして、美鈴ちゃんが起き上がるのを待った。
 お尻への鞭だから、そんなにダメージはない。と、思う。僕は細い鎖で軽くたたかれた経験しかないから断言できないけど。
 美鈴ちゃんは鞭を握りしめて、美竹さんの動きをうかがいながら、用心深く立ち上がった。鞭をサイドスローのフォームに構え――た瞬間、美竹さんの鞭が鎖の高さぎりぎりを水平に走った。
 パパンッ!
 鋭い破れつ音がして、赤いガスが美鈴ちゃんの上半身をかくした。
「きゃああっ……!」
 乳首の球をふたつとも割られた美鈴ちゃんは鞭を取り落とすと、胸をかばってうずくまった。
「美鈴、勝負を捨てるのか。三角木馬に乗りたいのか?」
 シマイチさんの声で、美鈴ちゃんがあわてて立ち上がった。
 残るひとつ、股間の球を守るためか、へっぴり腰になって姿勢を低くして。鞭が届く間合いを見定めて、鞭を繰り出した。
 美竹さんは鞭に向かって踏み込んで。アンダースローで鞭を跳ね上げた。
 パン!
 パン!
「痛いっ……!」
 美竹さんの左胸からガスが噴き出たと同時に、美鈴ちゃんの股間も赤いガスで包まれて。美鈴ちゃんは鞭を取り落として、手で股間を押さえながらぺたんと座り込んだ。
 相討ちだけど、美竹さんにはまだふたつ残っているのに対して、美鈴ちゃんはゼロ。
「勝負あった」
 シマイチさんが宣言した。ふたりの手じょうをはずし、鎖はそのままにして首輪のほうをはずした。美竹さんは、バニーさんに手を引かれて舞台のすみへ。
 まだうずくまっている美鈴ちゃんの前に、シマイチさんが大きな額縁を舞台の奥から引き出してきた。額縁は小さな車輪のついた台形の板で支えられている。
 シマイチさんは美鈴ちゃんの腕をつかんで台形の上に立たせると、額縁のすみから鎖で垂れている革手じょうに、両手をバンザイの形でつないだ。そして、片足ずつ宙に浮かせて、両足にも革手じょうを着けた。美鈴ちゃんは、額縁の中でX字形にハリツケられた。
 舞台が明るくなって、バニーさんがマネキン人形を観客のほうへ押し出した。シマイチさんはふたつの鞭を持って、マネキンの横に立つ。
「敗者への罰は鞭打ちですが、使う鞭は敗者自身に選ばせてやります」
 観客に向かって説明する。
「このふたつの鞭のうちのいずれかです。こちらの鞭は……」
 1mくらいの細いベルトが3本束ねられていた。
「バラ鞭に見えますが、完全に重なってはだに当たるので一本鞭と同じです。薄いからしなやかで、3本分の重さがあるから打撃力は大きいのです。とはいえ……」
 シマイチさんは身体をひねりながら腕を後ろに引いた。
 しゅうん、バチチイン!
 全力の一撃がマネキン人形の乳房に当たった。美竹さんが伯父さんからお尻を鞭打たれたときよりも、ずっと大きな音だった。
「このように、あまりはだを傷つけません」
 しゅうん、バチチイン!
 しゅうん、バチチイン!
 同じ部分に3発の鞭を受けても、マネキン人形のブラウスはボタンが飛んだだけで、破れたりはしなかった。
 シマイチさんが別の鞭に持ち替えた。前のよりすこし短くて1本だけ。幅は2倍くらい。
「離れて見るとわかりにくいでしょうが、表面に短いトゲを植えてあります」
 黒い皮革の表面に銀色の点が無数に散らばっている。あれがトゲなんだろう。
 シマイチさんは、さっきよりも小さなスイングでマネキン人形を鞭打った。
 ひゅ、バヂッ!
 ブラウスが引き千切られた。マネキン人形のはだにも、灰色の筋が残った。
「トゲにはいやらしい細工などほどこしていませんから、適切な治療を受ければ3か月ほどで傷は消えます。今回のぎせい者は若いですから、もっと早く治るでしょうね」
 シマイチさんが、額縁の中にハリツケられている美鈴ちゃんに向き直った。
「最初の鞭なら50発、トゲ付きの鞭ならたったの20発。どちらで処罰されたいかね?」
「最初のでお願いします」
 美鈴ちゃんは即答した。当然だと思う。トゲ付きの鞭で20発だなんて、全身の皮膚がはぎ取られる。同じ所を何度も打たれたら、筋肉だって千切れてしまうかもしれない。
「よろしい。では、鞭打ちの回数はぎせい者自身に数えてもらいましょう。もしも数え間違えたら、最初からやり直しとします」
「美鈴。何をされても……」
「黙らせろ」
「カウント……むぶうう」
 バニーさんに口を押さえられて、美竹さんはしゃべれなくなった。
「言っておくが、くだらんアドバイスを言うごとに鞭の数を10ずつ増やすぞ」
 美竹さんにクギを指してから、シマイチさんはバニーさんにうなずきかけた。
 バニーさんが額縁を150度くらい回して、美鈴ちゃんの背中が観客から斜めに見えるようにした。シマイチさんが美鈴ちゃんの後ろに立っても、じゃまにならない。
「では、処罰を始めます」
 宣言してから。シマイチさんは、マネキン人形をたたいたときと同じ動作で美鈴ちゃんのお尻を鞭打った。
 しゅうん、バッチイン!
 マネキン人形より柔らかで弾力のある人体を鞭打つ音は、なんとなくしめった感じだった。
「数えろ。数えないと、最初からやり直しになるぞ」
「ひとつ!」
 美鈴ちゃんがあわてて、さけぶように数えた。中間テストの目標に届かなった罰と似てる。でも、冷静(じゃなかったけど)な第三者が数えるより、鞭打たれる本人が数えるほうがつらいと思う。おちおち悲鳴もあげていられない。
 しゅうん、バッチイン!
「ふたつ!」
 しゅうん、バッチイン!
「みっつ!」
 しゅうん、バッチイン!
「よっつ!」
 数える声がそのまま悲鳴になっているように、僕には聞こえた。
 8発目でシマイチさんは立ち位置をすこし変えた。
 しゅうん、バッチイン!
「ここのつ!」
 これまでは右のお尻に当たってから左へ流れていた鞭が、最初から左のお尻に当たった。
 14発目で左右のお尻の鞭跡が、均等になった。モモのようだったお尻が、熟したカキみたいになってる。
 しゅうん、バッチイン!
「きゃあっ……じゅうご!」
 しゅうん、バッチイン!
「じゅうろく!」
 シマイチさんが斜めに振るった鞭は、美鈴ちゃんの背中に大きなバッテン(X)を刻み付けた。
 背中のほうが、お尻よりずっと痛いんだ。
 バニーさんが額縁を半回転させた。舞台は50センチくらい高くなってるし観客は座っているから――最前列の特等席からだと、割れ目の裏に隠れている小さなビラビラも、その内側のピンク色の肉も、縁が柔らかくデコボコしてるメス穴も、何もかもが見えてしまう。メス穴の回りが片くり粉を溶いたみたいな露で濡れているのも。
 美鈴ちゃん、鞭打たれながら感じてるんだ。やっぱり、美鈴ちゃんの本性はマゾなんだ。僕が強く出れば、服従してくれるかな。子ネコちゃんを夜の散歩に連れ出せるかな。喜んでくれるならいいけど、いやだって泣かれたりしたら……それがウソ泣きだとしても、僕には無理強いなんて出来そうもない。
 シマイチさんが鞭を構えた。思い切り身体をひねって腕を後ろへ引いて。
 しゅうんん、ズバッシインン!
 ささやかな乳房が胸にめり込んだように見えた。
「ぎゃああーっ!」
 男の人が叫んでいるような悲鳴だった。
 しゅんっ、バシイン!
 悲鳴が終わらないうちに、バックハンドで鞭が乳房を逆方向になぎ払った。
「きひいいい……」
 シマイチさんが手首のスナップで鞭を跳ね上げ、丸めて手に持った。ゆっくりと美鈴ちゃんに近づく。
「数えなかったな」
 楽しそうに残こくに、ニタリと笑った。
「あ……じゅうしち、じゅうはち」
「遅い。イチからやり直しだ」
「……はい」
 美鈴ちゃんのことだから、向こう見ずに文句を言うんじゃないかと、僕はヒヤヒヤしてたけど、ビックリするくらい素直でしおらしかった。マゾだからというよりも、こういうショーとかで伯父さん以外のサドに責められて、どう振る舞えばいいか学習してる?
「しゅしょうな心がけだな」
 シマイチさんは鞭を左手に持ち替えて、美鈴ちゃんの割れ目を中指でくすぐった。突き立てたりしないのは、美鈴ちゃんが処女だと知っているからだろう。でも、容しゃはなかった。それとも、優しかったと言うべきだろうか。
 割れ目を下から上へ掘じくってクリトリスを探り当てると、中指を小刻みに震わせた。
「あんん……くうう、んんん」
 美鈴ちゃんが甘くうめく。
『今泣いたカラスがもう笑った』というコトワザを思い出した。いや……鞭打たれても興奮してたんだから、むしろ『追い風にホを上げる』かな。
しゅしょうな心がけへの短いごほうびタイムが終わって、残こくショーが再開された。
 シマイチさんが距離を測って美鈴ちゃんの正面に立った。でも、鞭は垂らしたまま。と思った次の瞬間――鞭がヘビのように床すれすれを走って、美鈴ちゃんの足元で激しく跳ね上がった。
 バチイインン!
 反射的に美鈴ちゃんは腰を引こうとしたけど、空中にハリツケられている。ガチャッと鎖が鳴っただけだった。もしも幅の広い革手じょうでなくて金属の手じょうとか縄だったら、アザになるくらい深く手足に食い込んでいただろう。
 美鈴ちゃんは口を開けたまま全身を突っ張っていた。
「……ひとつ!」
 叫ぶと同時に全身から力が抜けて、足をつないでいる鎖がすこしゆるんだ。
 シマイチさんが、満足そうにうなづいた。そして、数え間違いをさせようという意図なのか、続けざまに鞭を浴びせ始めた。
 しゅううん、ズバッシインン!
「ふたつ!」
 ひゅんんっ、パチイン!
「みっつ!」
 ぶゅうんん、バヂイインン!
「よっつ!」
 もう額縁を回転させたりせず、シマイチさんが前後左右に動き回って、休むことなく鞭を浴びせ続ける。
 鞭の強弱も当たる部位も、ばらばら。フォアハンドとバックハンドとを交互というわけでもない。横8字形に鞭を振り回してお腹にバッテンを刻んだり、フォアハンドで乳房をなぎ払うとそのままくるりと身体を回転させて連打なんて曲芸もひろうした。
 変則的な打ち方も、美鈴ちゃんは正しく数えた。鞭の動きではなく、たたかれた数に注意を集中すれば、そんなに難しいことじゃないと思う。だけど……
 31発目が軽く太ももに当たって。
「さんじゅうに!」
 次の鞭も太ももに向かって水平に飛んだけど、途中で向きを変えた。
しゅんん、パシ、バジイイン!
 床をたたいて跳ね上がり、鞭の先から20センチくらいが割れ目に食い込んだ。
「かはっ……!」
 息が詰まって悲鳴をあげることすらできず、空中で固まってしまった美鈴ちゃん。
 息を整える余ゆうを与えずに、パシンパシンと太ももに鞭が飛んだ。大して痛くないだろうけど、致命的な2発だった。
「また、イチからやり直しだな」
 シマイチさんはサドってだけでなく意地悪だ(両者は違うと思う)。最初が18発でミスをさせて、今度は32発。足せば最初に宣告した50発だもの。ぐう然じゃない。
「やだあああああっ!!」
 美鈴ちゃんが絶叫して、それまでこらえていた涙がほほを伝う。
「もう、やめてよお……いつまでたってもおわんない。みすず、しんじゃうよお……」
 わがまま王女様の片りんもない……んじゃなくて、そのまま退行したみたいな印象を受けた。いたいけな子供を鞭打つなんて、サドでもためらうんじゃないだろうか。なんてのは、僕が甘ちゃんだから思うことだろう。赤ちゃんを宙に投げ上げて、きゃっきゃと喜んでいるところをじゅう剣でクシ刺し。なんてソ連兵の話を聞いたことがある。
「許してほしいのか?」
 シバイチさんがネコなで声で美鈴ちゃんに尋ねた。
「ゆるして……ください」
「もうひとつの鞭だと20発だが、これまでの努力にめんじて10発ですませてやる。数えなくてもいい。どうするかな?」
 1発ではだがさける鞭を10発。すこしでも判断力が残っていたら、絶対に選ばない。でも、美鈴ちゃんは選んでしまった。
「はい、そうしてください」
 シバイチさんは黙って美鈴ちゃんから離れ、バニーさんから凶悪な鞭を受け取った。
 ひゅん、バッヂイン!
 マネキン人形に向かって一撃。ブラウスがちぎれ飛び、人形の素材がえぐり取られて破片が宙に飛び散った。
「…………!!」
 美鈴ちゃんが目を真ん丸にして、その光景を見つめている。けれど、選たくを取り消す機会は与えられなかった。
「10回も絶叫したら、のどが破れますから――声を出せないようにしてやります」
 シマイチさんはボールギャグで、美鈴ちゃんの口をふさいでしまった。
「んんん……んん、んんん!」
 美鈴ちゃんが頭をぶんぶん振るのを気にも留めず、シマイチさんが舞台の左寄りに立った。バニーさんが、美鈴ちゃんの背中をそちらへ向けた。
 ひゅん、バヂイン!
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっ!!」
 ボールギャグのすき間から、猛獣がほえるような悲鳴がもれた。
 背中に無数の引っかき傷が斜めに走った。ぷつぷつと、血玉が浮かぶ。
 ひゅん、バヂイン!
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっ!!」
 シマイチさんは鞭を左手に持ち替えて、背中に血文字のXを描いた。
 同じようにして、お尻にも左右2発ずつ。熟したカキのようになっていたのが、つぶれたカキに変わってしまった。
 だけど……マネキン人形のダメージから予想していたよりも、傷は浅い。
 不思議がっているひまもなく、額縁が半回転させられた。これからは、もっと無惨な光景が繰り広げられる。
 僕はこれまで、美鈴ちゃんに同情しながら、でも食い入るように見つめてきた。他の人たちは、どうなんだろう。ふと気になって、あたりをこっそりうかがうと。
 僕と同じように(それ以上に熱心に)食事の手を止めて舞台を見つめている人が半分くらい。舞台をながめながら平然と食事をしている人も何人かいた。逆に、料理とにらめっこをしている人もいた。熱心に見つめている人は、男ならサドだろう。女の人はもしかしたら、自分が鞭打たれるところを空想しているマゾもいるかもしれない。そして、平然としているのは(もっと残こくなことも体験している)筋金入りのサドかもしれない。
 シマイチさんが鞭を構えた。
「んんん、んんーっ!」
 美鈴ちゃんが、激しく頭を横に振る。むだなあがきをして、鎖がジャラジャラ鳴った。
 ひゅん、バヂイン!
 ひゅん、バヂイン!
 乳房が右に吹っ飛び左に吹っ飛んだ。乳首をさけて、その上下に幅の広い鞭(とトゲ)跡が刻まれた。
「ま゙も゙お゙っ!!」
 美鈴ちゃんがわめいて、がくんと頭を垂れた。
 シマイチさんは肩をすくめて。意識の無い美鈴ちゃんの太ももを鞭打った。
 ひゅん、バヂイン!
 太ももにも無数の引っかき傷と血玉が浮かんだ。
 ばぢん……バックハンドで、ずっと軽く、反対側の太ももへ鞭。なのに今度は、ずっと深い引っかき傷がついて、そこから血が滴り始めた。
 シマイチさんが舞台の手前ぎりぎりまで出て来て、鞭を横一線にしてパチンと鳴らした。そして、鞭の両面を何度も裏返す。
「ああーっ!」
 僕は、思わず大声を出していた。
「お分かりになられましたね。後ろのほうで観ていらっしゃる方のために、説明してあげてください」
 僕は安心をみんなにも知ってほしくて、イスを倒しそうな勢いで立ち上がった。
「トゲは、鞭の片面にしか生えていません。裏側にもトゲがあるように見えるけれど、ええと……寝ています」
「正確には、植えたトゲが抜けないように折り曲げて圧着してるのです。もちろん、並の一本鞭よりは破壊力がありますが……」
 シマイチさんは、鞭の裏側でマネキン人形を鞭打った。
 ひゅんん、バヂイン!
 力いっぱいでも、ブラウスはちょっと破れただけだった。
「このおじょうさんは1週間も休めば、クラスメートの前で着替えをできるようになるでしょう」
 良かった……へなへなと、僕はイスに座り(ほとんど倒れ)込んだ。
 なんで、こんなトリックを使うんだろうと疑問に思ったと同時に、答えも見つけていた。演出だ。観客に、実際以上の残こくさをさっ覚させるため。そして、美鈴ちゃんに恐怖を与えるため。もしかすると、この恐怖を乗り越えて、美鈴ちゃんはマゾとして成長するのかもしれない。それが良いことか悪いことかは、ともかくとして。
「敗者への処罰は、これで終わります」
 舞台のソデから、シマイチさんと同じ(ボウズ頭じゃないけど)上半身はだかで黒タイツの男の人が2人現われて、美鈴ちゃんを額縁から下ろした(引きはがしたというほうが正しいかな)。二の腕をつかんで、美鈴ちゃんを引きずりながら退場。こういうのも演出だと思う。
「では、勝者にほうびを与えてやりましょう」
 舞台の奥にスポットライトが当てられた。すっかり忘れてたけど、美竹さんはそこでずっと、妹への処罰を見物させられてたんだ。
 美竹さんは、にこやかは言い過ぎだけど、柔らかい表情でシマイチさんの前に立った。鞭のトリックを見て、この人には(そんなに)ひどいとこはされないって安心したんだろう。
 美竹さんは美鈴ちゃんと同じように、額縁にハリツケにされた。
「お姉さんは妹さんと異なり、すでにお父上のごちょう愛を受け、会員様のみならず各方面のしん士しゅく女にも可愛がっていただいていると聞き及びます」
 伯父さんとの付き合いも半年になるから、とんでもハプニング驚がくの事実がさらりと暴露されるのにも慣れてはきたけど。乱交とかってのは、しかも『しん士しゅく女』だから不特定多数とのレズもってのは、もうクリビッテンギョーなんて茶化す気力もない。
 女神様のぐう像が、音を立ててくずれてく。
「したがって、バイブもデンマも心置きなく使い放題で責められます」
 しばらく舞台のすみに放置されていた台を、バニーさんが押し出してきた。巨大サイズのコケシを、シマイチさんが取り上げた。その形状とこの場の性質から、それがどう使われるかは予測できるけど……僕よりずっと大きな塩田先生の5割増しの伯父さんより、ふた回りくらいも巨大なコケシが、美竹さんの『中』に入るんだろうか。
 シマイチさんが、また僕を見た。コケシから延びている電気コードを、バニーさんが引っ張ってきたコンセントにつなぐ。
 ブブブブブ……コケシの頭が、激しく振動し始めた。これ、ピンクローターの親玉だ。
「デンマは、上から局部に当てるのが正しい使い方ですが……」
 シマイチさんが額縁に近づいて、美竹さんの割れ目を指でうがった。
「妹がひどい目に合わされて興奮するなんて、いけないお姉ちゃんですね」
 シマイチさんがかざした指は、スポットライトをぬらぬらと照り返していた。
「これなら、ローションも要らないでしょう」
 シマイチさんは左手で割れ目を広げると、デンマの頭を押しつけた。ぐりぐりとえぐりながら、押し込んでいく。
「きひいいいっ……痛い。さけてしまいます!」
 理路整然としゃべれるんだから、ほんとは余ゆうがある。激痛の極限では悲鳴すら発せられなくなるのは、美鈴ちゃんで見たばかりだ。
 デンマが、胴体の半分くらいまで美竹さんの中にうまった。割れ目の縁に、スイッチの部分が見えている。シマイチさんはデンマが細くなっている部分にヒモを巻いて、美竹さんの太ももに縛りつけた。手を放しても抜け落ちない。
 シマイチさんは、次にデンマよりは小さなチンチンの模型を取り上げた。これって、バイブってやつかな。使い道は(メス穴がふさがってるんだから)確定してるんだけど。やっぱり「入るのかな」って疑問がある。まあ、僕だっていきなり塩田先生のチンチンを入れられたんだから、4年も調教を受けてる美竹さんなら……だいじょうぶだった。
 美竹さんは低くうめきながらお尻をくねらせ(たのは、入れやすくなるように協力したんだろう)ながら、根本まで飲み込んでしまった。これもヒモで太ももにつながれた。
 シマイチさんは手品師みたいに、次から次へと小道具を取り出す。ガラスの小さなツリガネ。中にバネじかけの弁みたいなのがあって、ツリガネの天辺からは短いゴム管と長い電線が出ている。それがふたつと、同じような仕かけのある小さな試験管がひとつ。
 ツリガネのひとつが、乳首にかぶせられた。大きな注射器がゴム管につながれて、ピストンが引かれるとツリガネの中が真空になるから、乳首がふくらんで長く引き延ばされた。乳首が弁を押し返す。ゴム管のつなぎ目に細工がしてあるんだろう。ゴム管を引き抜いても、乳首は元にもどらなかった。
 両方の乳首にツリガネを吸い付かせると、試験管は当然のようにクリトリスへ向かった。
「あああ、あん……」
 美竹さんが甘くうめいた。チンチンを吸われるのを想像すれば、美竹さんの声は当然だと納得出来る。
 さらに――銀色をした5センチ平方くらいのテープが両わきの下にはられて、ソケイ部には2センチ幅くらいのがはられた。これにも細い電線がつながれてる。
 最後に、シマイチさんはプラモデルのリモコンボックスみたいのをみっつ、額縁に引っかけた。
「電源容量的にはひとつで間に合うのですが、それぞれがばらばらのリズムで、ことに左右の乳首が異なるビートを刻むと、男でさえも、もだえ狂います。電流経路は心臓を通りませんから安全です」
 ツリガネと銀テープの電線をペアにして、リモコンにつないでいった。
 シマイチさんが美竹さんの身体にあれこれ細工をしてるうちに、フルコースの最後に出されたケーキとコーヒーも片付けられていった。
「皆様、お待たせ致しました。いよいよ、クイズ・タイムショーック、失礼、電気ショックのお時間です」
 ギャグのつもりらしいけど、受けは良くなかった。でも、シマイチさんは平然と先へ話を進める。
「時間も押して参りましたので、出題と同時に解答も明かしてまいります。電気マッサージ器、電動アナルバイブ、低周波マッサージ器。このうち、最も女が喜ぶのは、どれでしょうというのが問題ですが……」
 シマイチさんが身をかがめて、デンマのスイッチを入れた。
 そうか。電気マッサージ器だから、電マなんだ。なんてことは、どうでもいい。
 美竹さんは、鎖の許す限りへっぴり腰になって、電マの刺激からのがれようとしている。つらそうに顔をゆがめている。
「そこそこ出来上がっていても、女体は強すぎる刺激にはきょ否反応を示します」
 シマイチさんは電マを止めた。後ろへ回って――たぶん、アナルバイブのスイッチを入れたんだろう。
 三竹さんが、お尻をもじもじさせ始めた。さっきとは逆に、足の鎖が垂れ下がるくらいまで全身を突っ張ってる。
「アナルも、他への刺激との相乗効果で感じる女が大半です。では、他の部位とはどこか。皆さんは、もうお分かりでしょうね」
 シマイチさんがアナルバイブを止めて、表へもどってきた。
「乳首とクリトリス。これは処女だろうと第二次性徴前だろうと、女に共通のスイートスポットです」
 シマイチさんが、みっつのリモコンを次々に操作した。
 とたんに――美竹さんの身体が、ぴくぴくとけいれんし始めた。
「ああああ、いやあああ……こんなの……」
 全身をくねらせながらけいれんしてる。乳房をぷるぷる震わせ、腰を前後にゆすってる。
「低周波マッサージ器は、皮膚の下の筋肉に電気刺激を与える道具ですから、性感帯には強すぎます。最弱でじゅうぶん。最強になどすれば、むしろ強い苦痛を与えます。実験してみたいところですが、罰ではなく、ほうびですので……」
 シマイチさんが、リモコンにさわった。
「うああああ、ああっ……いやあ。やめてくださいいい」
 美竹さんのけいれんが激しくなった。やめてと訴える声にビブラートがかかっている。そして、切なさそう。もしも美竹さんの訴えを聞き入れたら絶対にうらまれる。それくらいは、僕でも分かる。
「この程度でも、経験の少ない女は、アクメに達したと思い込むでしょうが……このおじょうさんは、愛ぶだけでは物足りないようです」
 シマイチさんが、また電マのスイッチを入れた。今度は反応が違っていた。全身が反りかえった。そして絶叫。
「ぎびひいいいっ……いっちゃいますううう!」
「いいや、まだまだ」
シマイチさんはアナルバイブのスイッチも入れた。
「だめだめだめ……お父様、ごめんなさい。美竹、オマンコもおしりもサネも……ぜんぶ、いっちゃいますううう!」
 ふくらはぎがキュウッと引き閉まり、足の指が直角に曲がってつま先が縮んだように見えた。
「うあああ、いいいいい……」
 うめきながら、ぴくんぴくんと、けいれんを繰り返してる。シマイチさんも伯父さんも他の観客も、美竹さんの発作を静かにながめてる。から、危険なことは起きていないんだろう。
「余いんに浸らせてやるのが情けというものでしょうが、このマゾメス――失礼、お父上がいらっしゃるのでしたね」
「構わん。美竹をいん乱なマゾメスに仕込んだのは、父親のワシだからな。情けをかけてもうらまれるだけだぞ」
「恐縮です。では、このマゾメスは放置しておきます。すこしでも正気づけば、またアクメじごくにたたき込まれるといういうわけです」
「じごくを突き抜ければ天国だな」
「おっしゃる通りです」
 シマイチさんは深々と一礼すると、美竹さんを額縁の中に残したまま、舞台から立ち去った。
 それが合図だったのか、何人ものバニーさんがフロアに入ってきた。ワゴンを押したバニーさんが、真っ先に僕たちのテーブルに来た。
「スコッチモルトなら何でも構わん。スリーフィンガーで。この子には、そうだな……ピンクレディーを。塩田さん、何か飲みますかな」
「え、恐縮です。では……ええと?」
 バニーさんからメニューを渡されて、シドドモロロ。あてずっぽうみたいにしてソルティドッグというのを頼んだ。
 バニーさんが伯父さんの前に背の低いコップを置いて、透き通った茶色のお酒を注いだ。ウイスキーかな。それから、銀色のツボみたいのにいろんな液体(表現としては間違ってない)を入れて、シャカシャカ空中で振り回して、逆三角形を高い脚で支えたカクテルグラス(というんだっけ?)に注いで僕の前に置いてくれた。ピンク色のすごくきれいなお酒(だよね)。最後に、伯父さんのと同じ形でもっと大きいコップの縁に白い粉をまぶしてから、大きな氷と透明な液体と黄色い液体とを入れて長いスプーンでかき回して、塩田先生の前に置いた。
 その間に、別のバニーさんが伯父さんの指図で、チーズとクラッカーとナッツをテーブルに並べる。
「では……」
 伯父さんがコップを目の高さにかかげて、軽くうなずいた。飲むというよりなめるような感じで、コップを傾けた。
 塩田先生も真似をして――でも、ごくごくと飲んだ。
「均くん。きみも飲みなさい」
 僕は落語をせずに、持ち上げたコップをそのまま口に運んだ。甘いけど、ポマードみたいなにおいがした。UFOの味はしなかった。
「さて……塩田先生。本日のショーをご覧になって、どのように思われましたかな」
 伯父さんが、さり気なく切り出した。
 もしかしたら、これは『試験』なのかもしれない。最初の公開セックス・ショーで、仮入会した人が正会員に認めてもらったのと同じような。
「ええ、そうですね。他人様の趣味をどうこう言うつもりは、ありませんが……」
「趣味ではない」
 伯父さんが先生をしかりつけた。
「The way of lifeだ。生き様などという浮わついた言葉は好かん」
「……」
 塩田先生は黙り込んだ。反感を表情に隠そうともしない。
「最も深い人間の交わりを趣味などと言うところから察するに、均との関係も、きみにとっては遊びに過ぎんようだな」
「……サッカーに全力で打ち込んでいる子も」
「とぼけてもムダだ。部室やプールで行なっている、マンツーマンの特訓のことを、ワシは言っておる」
 コツン……塩田先生がコップを置いた音。ガチャンでもおかしくなかった。
「どうして、それを……?」
「取引先の会社の課長、同県のキンシツ会員のまた従兄弟の友人。手繰る糸は、何本もある。金があれば、糸はいくらでも太くできる。夜の散歩は楽しかったかね、均くん」
 塩田先生も僕も、真っ青。先生とのホモは、だれかスパイが告げ口したとしても、夜の散歩は……伯父さんのおひざ元でのことだもの、感づかれても不思議じゃないな。
「この子の将来にまで、きみは責任を引き受けられるかね。そうでないなら、サッカーの領分からはみ出るような真似は慎んでいただこう」
 塩田先生は青ざめていた顔を今は真っ赤にして、うつむいている。
「あああっ……いやあ! もうゆるして……とめて。だめだめだめ……お父様、ごめんなさい。いく……美竹、いっちゃいますううう!」
 正気づいて、またすぐアクメに追い上げられて、美竹さんが悲鳴をあげた。いや、『喜鳴』というべきだ。
「さて、均くん……」
「え、あ……はい!」
「ワシは、きみを責めるつもりなどない」
 W美姉妹とのエッチな遊びをしかられるんじゃなさそうだ。まあ、あれは僕が被害者みたいなものだから、しかられるとしたら、ふたりのほうだと思うけど。
「ふたりを見ていて、どう思ったかね」
「どうって……」
 いろんな思いがこんがらがって、言葉に出来ない。落ち着こうと思って、ピンクレディーを(コップが小さいので)ひと息に飲んだ。のどごしは冷たくて甘いのに、お腹の中がカアッと熱くなった。そうだ、これはお酒だった。
「さんざんきみをからかって、生意気にもサディスチンを気取っていた美鈴が、手放しで泣きわめいておったな。セクシー衣装で年下のきみをからかっていた澄まし屋の美竹が、アクメに見も世もなくよがり狂う様子を見て、きみはどう思ったのかな」
 いっそう具体的に尋ねられて、でも思考は、ますますこんがらがる。ざまを見ろなんて、これっぽっちも思わなかった。でも、かわいそうだとも思わなかった。ハートのタトゥが躍動するのを美しいと思った。額縁にハリツケられたふたりは、そのまま絵画だった。そして……苦痛に泣き叫ぶ美鈴ちゃんも、強制された快感にホンロウされる美竹さんも、美しくて素敵で……うらやましい!
 ふたりとも、ものすごくつらそうなのに……伯父さんはじごくを突き抜けたら天国だって言ったけど、それは真実だと思う。
 そして美竹さんは女神様なんかじゃなくて、美鈴ちゃんも王女様ではなくて……ふたりとも、天使だったんだ。黒い羽根と尻尾を持った、エッチでサドでマゾな天使。
「あああっ……ほんとに、もうダメ。いやよいやよいやよ……またいっちゃううう」
 額縁の中でもだえる美竹さんは、ほんとに尻尾を生やしてる。そして僕には……羽毛をまき散らしながら羽ばたく羽根まで見えるような気がした。お酒が僕の頭をゆすっている。
「きみも、美鈴を泣きわめかせてみたいとは思わないかね。美竹をきみのペニスでアクメに追い上げてやりたいとは思わないかね」
 コンプレックス(チンチン)に触れられて、ちょっと頭が冷めた。
 まったく全然ちっとも、そんなことを思わないというとウソになる。でも……実際問題として、僕には無理だと思う。サドがマゾをいじめるのは、したい放題にしているように見えて、すごく相手のことも考えているし、事故にならないような工夫もしている。トゲを植えたベルトのトリックがそうだし、夜の散歩の前に、どこの家でだれが起きているか、ちゃんと調べてあったのもそうだ。それに、伯父さんやシマイチさんみたいにうまく鞭を扱えそうにない。
 マゾは、痛かったり恥ずかしかったりはするけど、気楽だな。気楽という言い方は、サドにもマゾにも失礼だ。マゾは、ひたすらサドを信頼して身も心も委ねていればいい。
 そう思った瞬間に……額縁の中にハリツケられて、W美姉妹にいじめられている僕自身の姿が頭の中に浮かんだ。美鈴ちゃんに鞭打たれて泣いている僕。それを見ているお客さんたちが、「男のくせに」とか言ってあざ笑ってる。美竹さんにチンチンをいじめられてボッキさせちゃって、みんなが僕のそこを指差して「小さい」とか「ブタの尻尾」なんてゲラゲラ笑ってる。
 伯父さんに厳しくセッカンされるシーンも想像した。塩田先生より大きなチンチンでアナルを犯されるのも、痛いけど気持ち良さそうだ。
 そうだ、マゾは気持ちいいんだ。サドは……女の子を鞭でたたいて、面白いかもしれないけど、気持ち良くはならないよね。
 こんがらかっていた思考が、ひとつの大きなうずになっていく。ピンク色のお酒のうずに飲み込まれていく……
「まったく、おまえには失望させられた」
 伯父さんの悲しそうな声で、うず巻きは飛び散った。うずにおぼれながら、僕は心の中の言葉を声に出していたんだろうか。
「日常で女の尻に敷かれるのは、男の度量だ。しかし、愛縄で女に支配されたいと願うようなやつに、戦場は任せられん」
 戦場って……仕事のことだろう。男は外に出たら7人の敵がいるってコトワザがある。
 伯父さんも、あまり減っていないお酒をぐいと飲み干した。
「とは言え……SMクラブでは、新人にはマゾをさせてプレイの要領を覚えさせてから女王様に仕込むというからな。とことんマゾを体験するのも、均くんの肥やしになるかもしらんな」
『おまえ』がまた『均くん』にもどった。
「いいだろう。来月の例会では、均くんと美竹たちがステージに上がれるよう、手配してやろう」
========================================
女神様と王女様

 ちなみに。BF丁稚揚げで、少女(に見えるネエチャン)が、女神様とか王女様のコスプレをしている実写エロ画像を探したのですが、見事に見つかりませんでした。そこで、女神様や王女様に見えているのは少年だけで、その本質は小悪魔だよ――というコンセプトのBFにしちゃいましたまうえ。

 さて。
 今年の出来高は、5月5日までに1,253枚。 このペースでいけば、年末までに3,600枚いけそうです。
=1,253/(VALUE(2022/05/05)-VALUE(2021/12/31)*365=3,658


 なお、この作品を電子書籍としてリリースするのは、2023年5月以降です。

DLS affiliate キーワード:小悪魔,少年

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 まるきり進みませんでした。というのも、本日(4/22)は執筆もお休み。な何をしてたかというと……これ()のリベンジマッチですた。
 純金未満(金の純度は24を母数にします)では指1本がやっとで、こちら()くらいの硬度がないとむちゅくわしいわけです。ので、本日は+10あたりを集めている箱へ行ってきたわけです。指2本をチョキにしてクリグリできます。
 さすがは年の功。自分で動いて(ついでに握って)くれて、「男は突っ込んでナンボ」までは到達いたしましたですた。しかし、いわゆるところの In-Out-In-Outでふにゃって、「出してナンボ」には、とほほ李白杜甫。
 駄菓子案山子。男でも女のアクメを書くし、行ったことも見たこともないトランター帝国も描写できるし、それにつけても転生物がステータスでキャラ説明をする安易さはねえ。
 しかも、モモキュンソードPart2で1/200を30回転くらいで2度引いて、でもRushに突っ込めずに(トラウマが痛い……)、まあ、5千円で切り上げて。明日は5時(以前)起きですので、さっさと飲んで寝ます。


 現在は「SMショー」の章の大詰めです。うん、「SM章」ですね。しょうむない。
 は、置いといて。もっと手前、折り返し点あたりを紹介しときます。


========================================

口封じの夜

 僕が塩田先生の愛人(?)になってることは、サッカー部のみんなに知られている。僕も塩田先生もみんなの前では知らんぷりしてても、かえってそれが演技ぽくなってしまうし。時間差をつけていても、プールに出入りしてるところを見られたり。
 だけど、だれも僕をからかったりしない。塩田先生の私情でメンバーから外される(補欠の予備のひかえだって、お情けで練習試合に出してもらえるから、同じこと)ってのもあるだろうけど、僕がちゃんと頭角を現わしてきたから。ハーフいっぱい走り回ってもスタミナ切れしないし、ごつい先輩にも(3回に1回くらいは)当たり負けしなくなった。自主トレと先生の下半身(チンチンじゃなくて真面目な部分)へのマッサージの成果だ。成長期真っ盛りてのも大きいかな。この1か月で身長が1センチちょっとのびたし、体重も2キロ増えた。
 もっとも、成長期は僕だけじゃない。美鈴ちゃんのおっぱいが、乳房と言えるくらいにしっかりふくらんできたし、週に2度はおフロの中で乗っけてるお尻もますます丸みを帯びてきた。おフロの中で美鈴ちゃんのお腹を抱っこしてる手を、上か下へ動かしたくなったりもする。でも、頭の中で英単語の復習とかしてれば、チンチンは(かろうじて)無反応を保っていられる。
 美竹さんのセクシー衣装やチンチンタッチも、わりかし平然と受け流せるようになってきた。だって、中間テストの成績が目標に達さなかった罰を見せつけられてるから、あれに比べたら、たとえオールヌードでも『高が知れてる』というものだ。
 だけど。伯父さんとふたりの関係がクリビッテンギョーだったと同じに、いやそれ以上に姉妹の関係もイタオドローだと知ることになる。そして、今度は僕も巻き込まれてしまった。

 美鈴ちゃんは1学期の通知表を理科算数国語音楽体育は5で、その他も4。カンチョウの罰は受けずにすんだ。音楽と体育が目標値(4)を上回ったごほうびに、小さな箱をプレゼントされた。
 美鈴ちゃんもお姉さんに似て、ずいぶんと優しゅうなんだ。僕の部屋に居座ってる時間よりは自分の部屋にいる時間のほうが長いのは当然だけど、その間は真面目に勉強してるんだな。
「美鈴も、もう最高学年だ。自分で使うことを許してあげよう。もちろん、入れてはダメだぞ」
 その言葉だけで、中身が分かったらしい。
「うわあ。ありがとうございます、お父様」
 きれいにラッピングされリボンをかけられた小箱をきゅっと胸に抱きしめて、それからちろっと僕に顔を向けて、いたずらっぽく舌を出した。
 意味不明だったけど、無じゃ気に喜んでるんだから、まあいいか。
 その週末も、僕は塩田先生の特訓《アナルセックス》を受けて、やっぱり精通出来なくて。だから、僕は欲求不満になっていたのかもしれない。
 伯父さんと伯母さんは、財界のパーティーにとまりがけで東京へ行ってて、僕とW美姉妹とでお留守番。
 ベッドに入っても、なかなか寝つけなかった。子供部屋はたがいに行き来できるようにつながっている。そして、隣は美鈴ちゃんだ。なので。勉強してるときでもノックもしないで飛び込んでくる。両親の不在をいいことに、まさか夜ばいをかけたりはしないだろうな、と――迷わくばかりじゃないから、困る戸まどう。1日ごとに、美鈴ちゃんがエッチの対象に近づいてる。
 トイレに行って、それから暖かい(真夏だけど)物でも飲めば寝つけるかな。
 ろう下へ出たら――美鈴ちゃんの部屋のドアが半開きになってた。イタズラ心もエッチ心も無いよ。僕の部屋が奥だから、美鈴ちゃんの部屋の前を通らなくちゃならない。それだけのこと。なんだけど。
 ドアの下のゆかが、ごくかすかに青白く光ってる。豆電球の明かりじゃない。
 それよりも……
「あんん……やだ……おかしくなっちゃうよお」
 苦しそうなうめき声(に、聞こえた)。
「ふうん。それじゃ、やめてあげようか?」
 美竹さんの声だ。妹を看病してあげてる感じでもないし?
「やだ! やめちゃ、やだああ……あっ、あんんん」
 僕は本能的に足音をしのばせて、ドアに近づいた。こっそりと、中をのぞき込んだ。
 ベッドの上で、美鈴ちゃんにしては大きな、かすかに青白いかたまりが動くめいているとしか見えなかったけど。暗がりに目が慣れてくると……
(…………!!!!!)
 びっくりマークをいくつ並べても、おどろきを表現しきれない。
 青白いかたまりは、美鈴ちゃんと美竹さんだった。ふたりともスッポンポンで、美竹さんが美鈴ちゃんにおおいかぶさって、両手で美鈴ちゃんの身体をま探っている。正確には右手で縦スジのあたり、左手で乳房を。
美竹さんは、左手に卵形をした物を握っている。
ジジジジジジ……耳を澄ますと、ごくかすかに機械的な音が聞こえた。まさかと思うけど、(エッチな雑誌の広告で見かける)ピンクローターじゃないよね?
 右手は、ふたりの密着した腰の間に差し込まれてるので、何か持ってるとしても分からない。
「お姉ちゃん、もうがまん出来ないよお。それ、入れてよお」
「ダメよ。バージンは、来年のお誕生日に、お父様にささげるんでしょ」
(…………!!!!!)
 この後も飛び切り大ショックの連続なので、僕の心理びょう写はこれで打ち切る。
「だいじょうぶだよお。オチンポ様を入れなきゃバージンだもん」
「そういう問題じゃないでしょ」
「そんな細いのじゃ、処女まくは破れない。タンポンといっしょだもん」
「タンポンだって、入れたこと無いくせに」
「お願い、入れてよお。どしても入れてくんないなら、自分でやっちゃう。それか……均お兄ちゃんに、おフロで本物をお願いするもん」
 それって、僕にセックスをせまるって意味?
 もちろん、僕はこばむ……つもりだけど。結こんも出来る間がらだし。この1か月でけっこう『女体』ぽくなってきた美鈴ちゃんにスッポンポンで抱き着かれて、縦スジでチンチンをはさまれてグリグリされたりしたら……
「お兄ちゃんのオチンポ様は、このローターと同じくらいだから、処女まくはだいじょうぶだよ」
 いくら僕でも、そのピンクローターよりは(ボッキすれば)大きいよ。
 ふう……美竹さんが、大きなため息をついた。
「しょうがないわね。ばれたら、わたしまでというか、わたしが主犯で罰を受けるに決まってるけど……そう簡単には、均くんをあげるつもりは無いから」
 え……また、僕?
 疑問は、直後の本日最大のショックで忘れてしまった。
 美竹さんが身体を起こして、ベッドに腰かけた。
 数秒、僕は目の当たりにしている光景を理解出来なかった。
 美竹さんの下腹部に、横長の大きなハートの輪かくがうかび上がっていた。どぎついピンク色。輪かくには、短いカラクサ模様がからんでいる。そして……乳首があざやかな赤に光っている。同じ色が、毛のないし縦スジのはしっこでも光っている。クリトリスだ。
「お姉ちゃん……」
 ベッドの上で、美鈴ちゃんが美竹さんのほうへ寝返りを打った。美鈴ちゃんの下腹部にも、同じハート形の輪かくがえがかれていた。乳首とクリトリスは、光っていない。
「ちょっと待って。いたくないように、ローションを使ってあげる」
「いらない。もうびしょびしょだもん。それに……いたいほうが、そう入の実感を味わえるよ」
 美竹さんが、またため息をついた。
「まったく……わたしが美鈴の年だったときは、縛られるのも鞭打たれるのもいやで、泣きさけんではサルグツワをかまされていたっていうのに。ほんとに美鈴は生まれつきのインランマゾね」
「違うもん。お父様の英才教育の玉物だもん」
 もう完全に、僕の思考はマヒしてる。ああ、そうかと――美鈴ちゃんの言葉を無批判に事実として受け入れただけだった。ちょっぴり、うらやましくも思った。そんなことをされた美竹さんや美鈴ちゃんがうらやましいのか、そんなことをした伯父さんなのか、そんなことを認めていた伯母さんをふくめた家族関係がうらやましいのか……マヒした頭では分からなかった。
 美竹さんがベッドに上がった。美鈴ちゃんの足を開かせた間にあぐらをかいて座って、前へにじり寄って、美鈴ちゃんのお尻を足の間に落とし込んだ。
「ほんと、ぬらぬらだわ。小インシンまでひくつかせちゃって。それじゃ、うんといたくなるようにつっ込んであげる」
 美竹さんは、ずっと握っていた右手のピンクローターを美鈴ちゃんのまたにつきつけた。卵形じゃなくて、ウインナソーセージを太くしたような形だった。あれなら、ボッキした僕のチンチンに勝っているかもしれない。
 美竹さんがローターの先で縦スジをつついた。正確には縦スジじゃない。ローターくらい飲み込んでしまいそうにぱっくり開いているのが、暗がりに慣れた目には見て取れた。
 でも、なぜ下腹部の模様(と、美竹さんの乳首とクリトリス)は光ってるんだろう。夜光と料かな。そんなものをぬる理由が分からない。今見ている何もかもが、分からないことばかりだけど。
 美竹さんは美鈴ちゃんに声をかけたりはせず、モリで魚をつくような動作で、ローターを割れ目につき立てた。
「ぎびいいいっ……いたいいっ!」
 ぴいんと、美鈴ちゃんの全身がつっ張った。
「いたい、いたいよお……」
 泣き声でうったえながら、背中を反らして腰をつき上げる。そんなことをしたら、ますますローターを深くつっ込んでしまうのに。
「いたいよおお……本物のオチンポ様は、もっといたいんだよね。お姉ちゃんだけ……ずるいよお」
「それ以上は入れちゃダメよ。飲み込んでしまってチツ口が閉じては、いたいのも気持ちいいのも減ってしまうから」
 美竹さんは左手でベッドの上を探って、平べったい小箱を引き寄せた。その箱に付いてるツマミをいじると……
「うああああ……」
 美鈴ちゃんが、かん高くさけんだ。
「すごいい……でも、こんなのダメ。クリちゃんブルブルしてよおお!」 
 もどかしそうにさけぶ。
「いきなりのチツイキは、いくらインランでも無理よ。ほら、これも使いなさい」
 美竹さんが美鈴ちゃんの手にピンクローターを持たせた。割れ目にいれてるウインナソーセージじゃなくて、乳首に当ててた卵形のやつ。落ち着いて観察すると、太さは同じで、長さだけが違っている。
 美鈴ちゃんは、それを――割れ目の上はしに当てた。
「あああああ、あーっっ!!」
 これまでより半オクターブくらい高い声でさけんだ。
 美竹さんが美鈴ちゃんの空いているほうの手を取って、チツ口に入れているローターのはしを持たせた。
「自分で動かすのよ。でも、こねてはダメ。破れるかもしれないから」
 美鈴ちゃんはローターをゆっくりと出し入れし始めた。塩田先生が僕のアヌスにしていることと(いろんなちがいはあるけど)基本的には同じだ。
 美竹さんがベッドから下りた。
「アクメまで自分で遊んでなさい」
 美竹さんが視界から消えた。
 僕は美鈴ちゃんから目がはなせない。
 美鈴ちゃんは、だんだんピストン運動を激しくしていく。ひざを立てたまま足をつっ張って、腰が宙にういている。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
 ぴストン運動に合わせて激しく息をして、それが声になっている。だんだん声が大きくせわしなくなっていって……
「ああああっ……いくうう、いきますううううっ!!」
 弓なりになった全身が、びくびくびくっとケイレンして――不意に、どさっとくずれた。
 そのまま、ピクリとも動かない。興奮が激し過ぎて心臓マヒを起こしたんじゃないかと心配に……いや、肩がゆっくり動いてるから、息をしている。
 ジジジジジ……ピンクローターの音だけが、暗やみを満たしていく。
「のぞき見をしてたの?」
 背中に声をかけられて、あやうく心臓マヒを起こすところだった。美竹さんの声。
「あ、ええと……ごめんなさい」
 弁解のしようもないので、とにかく謝った。
 あれ……?
 美竹さんの下腹部にあったハート形の絵が消えている。乳首も光っていない。
「とにかく、入りなさい」
 肩をつかれて足をもつらせながら、美鈴ちゃんの部屋に転げ込んだ。
「均お兄ちゃん……?」
 美鈴ちゃんが身を起こして、僕を見た。ちっともおどろいているように見えない――のは、興奮の余いんで思考停止してるんだろうか。
「まずいところをみられちゃったね」
 美竹さんが後ろ手にドアを閉めてから、部屋の奥へ僕を追いつめる。
「お父様に告げ口されたら、わたしたちお仕置きされる」
「僕……告げ口なんか、しません」
「その代わりエッチなことをさせろなんて、おどすつもりかな?」
「そんなひきょうな真似はしません」
 美竹さんとエッチなことをするなんて、おそれ多い。そりゃまあ、してみかくないこともないけど。美鈴ちゃんは子供だから対象外……と言えなくなってきてる。
「口約束なんか、あてにならないわ」
 じゃあ、どうしろっていうんだよ。
「あたしたち、すっぱだかなのよ。恥ずかしいじゃないの。均くんも脱ぎなさい」
 どうして、そうなるかな。もしかして強引にエッチなことをさせて、それで口ふうじとか?
 頭の片すみでそんなことを考えながら、僕の手はパジャマのボタンを外しにかかっていた。エッチな期待からじゃない。美竹さんの言葉には、文句をいわせないひびきがこもっていた。伯父さんが命令するときと同じひびきが。
「それも脱ぐのよ」
 ブリーフにも容しゃなかった。
 両手を腰に当てて仁王立ちの美竹さんの前でチンチンを手でかくすのは、かえってみっともないかな。判断に迷う以前につき飛ばされて、僕はベッドにあお向けにころがっていた。
「美鈴、押さえといて」
 それまでの放心がウソのように美鈴ちゃんがはね起きて、僕におおいかぶさってきた。
 押しのけようと思えば出来なくはないけど、何をされるんだろうって(エッチ方面をふくめた)好奇心もあったので、僕はじっとしていた。
 美竹さんが僕の腕を頭上へ引っ張って、幅の広いベルトを巻きつけて金具で留めた。足も同じようにされて――僕は大の字にハリツケられてしまった。
「……ワナだったんだね」
 さすがに気づいた。
「なんのことかしら?」
「こんなしかけを準備して……最初から、僕をこうするつもりだったんでしょ」
「ちがうわ。こう束具は、元からあったものなの。わたしたちへのお仕置きとかごほうびのためにね」
「…………?」
 美竹さんの言い方だと、伯父さんの仕業に聞こえる。
「そうね。最初はごほうび……とは、ちがうけど。楽しい秘密を共有しましょうか」
 美竹さんも(はだかのまま)ベッドに上がってきた。また、お腹のハート形が鮮やかにかがやいて、乳首とクリトリスが光っている。
 僕の視線に気づいて、美竹さんがふくみ笑いをした。
「これ、きれいでしょ。し外線で光るタトゥなの。美鈴、ブラックライトを消して」
 美鈴ちゃんがかべ際へ行スイッチを操作すると――部屋が真っ暗になった。ので、これまでは家具の輪かくが判別できる程度の青白い照明が点いていたんだと分かった。家具が暗やみに沈むと同時に、美竹さんの身体も黒い影だけになった。
 天井のシーリングライトに豆球が点灯して、僕をまたいで立ちはだかっている美竹さんのヌードが、はっきり見えるようになった。ハートだけが見えない。何かぬっているようにも見えないし、傷なんかも無かった。
 豆球が消えて、またかすかな青白い光がどこからともなく差すと、美竹さんのヌードが色彩の無いシルエットになって、ハートとみっつの点があざやかにうかび上がった。
「なんで、そんな模様を……もしかして、伯父さんが?」
 タトゥってイレズミのことだよね。難しい技術がいるんだから、美竹さんが自分でほどこしたとは考えにくい。
「そうよ。UVタトゥなら目に見えないから、体育の着替えも修学旅行も問題ないの」
 前半の質問には答えてくれてない。重ねてたずねようとしたけど……。
 美竹さんが腰を落として、僕の太ももの間にお尻を落とした。
「美鈴から聞いていたけど……小さいのね」
 くくくっと、笑われた。ますます縮かんじゃう。
「しかも、まだ出ないんですってね」
「…………」
 屈じょく。サッカー部の1年生には、まだのやつもいるから、先輩にからかわれても平気だ(と、自分に言い聞かせられる)し、美鈴ちゃんに言われたときはショックだったけど、元々口が悪いし意地悪を言ったんだと後で思い返して立ち直れた。でも、美竹さんに男として認めてもらえないってのは……
「でも、その分長く遊べるかな?」
 美竹さんが手をのばして――チンチンをにぎった。くにくにと、皮ごと先っぽをこねくる。細くてやわらかい指は、塩田先生とは大違い。温かい綿菓子にくるまれて、その綿菓子がくにゅくにゅ動いてる。そんな感じ。オシコをちびるみたいな感覚が、チンチンの先に向かって走る。
 なのに、ちっとも固くならない。女神様の前にチンチンがひざまずいちゃってる。
「美鈴にイタズラされてもボッキするくせに……わたしって、そんなにみ力が無いのかな」
 逆です。あり過ぎて、おそれ多いんです。
「これなら、どうかな?」
 玉をくすぐられた。こっちは、くすぐったいだけ。
「あたしも手伝う」
 美鈴ちゃんが、僕の胸に後ろ向きに乗っかった。
 目の前で小さなお尻がふにゃっとつぶれて――鏡モチみたい。
 美鈴ちゃんが上体を倒して……うわわ!
 チンチンが熱くなった。にょるんにょるんと……なめまわされてる。だけじゃない。
 美鈴ちゃんの背中が上下に動き始めた。それに合わせて、にょるんにょるんが激しく動めく。フェラチオなんて、だれに教わったんだろう。
 ちゅぱじゅぷ、ずちゅううう……なめるだけじゃなく、すすったりもしてる。塩田先生より、ずっと上手だ。
 まさか、伯父さんが教えたんじゃないよね。この家族、お仕置きに鞭とか、サドマゾみたいなことをしてるけど……思い出した。美鈴ちゃんのバージンを誕生日に伯父さんにささげるとか、そんなことを言ってたっけ。
 思い出したとたんにボッキした。
「やっと大きくなったわね。でも……ふうん?」
 鼻で笑われた。のど、また縮かんでしまう。
「美女がふたりがかりでサービスしてるのに、これってぶじょくよね」
 美鈴ちゃんにまで愛想をつかされた。
「こんなブタのシッポみたいなの、オチンポ様って呼びたくないな」
「あら。適性サイズだって言ってなかった?」
「うぐ……遊ぶのに都合がいいって思っただけ。こんなのじゃ、あたしのご主人様になってほしくない……かな?」
 美鈴ちゃんがベッドから下りた。
「こんなの、せいぜいペットとして飼うくらいのものよ。それならそれで、厳しく仕付けしてやらなくちゃ」
「そうかもね。わたしたちを支配するより、支配されるほうがふさわしいかな」
 話の流れがよく理解できないけど。ボロクソに言われてるのは分かる。
「あら……大きくなった?」
 美竹さんの言う通り。女の子ふたりにバカにされて、僕のプライドは傷ついたのに、チンチンが(すこしだけ)固くなった。
「もしかして、この子、マゾかな」
 美竹さんが、デコピンの形にした指をチンチンに近づけて――ピシッと弾いた。
「いたい……」
 たいしていたくなかったけど、そう言わなきゃ申し訳ないような気がした。
「いたくても気持ちいいでしょ?」
「気持ち良くないよ。僕はマゾなんかじゃない」
「そうかな?」
「ねえ、これ使ってみる?」
 美鈴ちゃんが学習机の引き出しを開けて、小さめのスプレーを持ってきた。暗がりの中でも、カンの形でエアーサロンバスだと分かった。運動部御用達の筋肉消えんつう痛材。
「くふふ……美鈴て、意外と残こくね」
「そうかなあ。あたしは、これ好きだけどな」
「なに言ってるの。ひと晩じゅう泣きわめいていたくせに」
「わめいたりはしないよ。ボールギャグで口をふさがれてたもん」
 なんだかすごいことを、楽しそうに話してる。
「まあ、いいか。実験してみましょう」
 美竹さんの許しを(僕のは?)得て、美鈴ちゃんが僕のチンチンにスプレーを近づけた。
 プシュウウウ……
「皮をむいてキトウにもかけてあげなさい」
「うわあ。お姉ちゃんこそ残こくだ」
「じゃあ、クリトリスの包皮だけで美鈴は満足できるの?」
「それも、そうだね」
 美鈴ちゃんは無雑作に(慣れた手つきで)チンチンの皮をむき下げると、そこにまたスプレーをふきかけた。
 ひんやりして気持ちいいかな。気持ち良すぎて、チンチンがリラックスしちゃう。
 なんてノンキに構えてられたのは数十秒だけ。チンチンの表面はすずしいんだけど、内側からじんわり熱くなってきた。熱いだけじゃなくて、無数の針をつきさされるみたいないたみがあった。
「美竹さん……これ、いたい。ふき取ってください」
 いつもよりていねいな言葉使いになってる。お願いするんだから、当然だね。
「もう手おくれね。中まで染み通ってる。クリトリスよりは鈍感だから、数時間で楽になる……と思うわ」
 熱いのといたいのが、どんどん激しくなってくる。そして……
「あらら。美鈴がフェラしてたときより大きいんじゃない?」
 ガチガチにボッキして、ドクンドクンと……熱いのといたいのも脈打ってる。
「いたくされてボッキさせるなんて、やっぱり均くんはマゾだったのね」
「ちがう。美竹さんだって、寒いと乳首が飛び出すでしょ。同じ原理です」
「へええ。どうして、そんなことを知ってるの?」
「まだブラジャーを着けてない子も多かったから、冬の体育で」
「ふうん。そんなに、女の子のお乳ばかり見詰めてたんだ。均くんて、エッチなんだ」
「…………」
 墓穴をほってしまった。
「ごめんなさい。もう許してください」
「なにが、ごめんなさいなの?」
「美竹さんと美鈴さんが、ええと……エッチな遊びをしてるところを、のぞき見しちゃって……伯父さんに言いつけたりはしないから、もう許してください」
「そうよね。スプレーされて、ものすごくいたいのに、チンチンを大きくしましたなんて、とても言えないわよね?」
「…………」
 とつぜんにアマノジャクな考えがうかんできて、僕はだまり込んだ。
 美竹さんの言うことなら、なんでも聞いちゃう。というのが、僕の本心だけど。こんなことをしないで、単純にお願いしてくれたんだったら絶対に秘密は守ってあげるけど。僕の弱みをにぎって、それと引き換えに――なんてのは、不純だ。
 もしも、僕がイエスって言わなかったら、美竹さんはどうするんだろう。もっとエッチなことか、いたいことをしてくれるんだろうか。
 じゃない、じゃない。「してくれる」じゃない。「される」のまちがいだ。
 おしとやかで優がなのに、セクシーな衣装で僕をからかったり、こんなふうにいじめたり、伯父さんにメコ筋を鞭でたたかれて泣いたり、ほんのちょっと位置をずらしたクリトリスではアクメに達したり、妹とエッチな遊びをしたり――美竹さんがどういう人なのか、さっぱり分からなくなった。美竹さんを困らせたら、奥底にかくしている正体を見せてくれるんじゃないだろうか。
 それに。美竹さんにだったら、どんなにいたいことをされてもがまんできる。それどころか、もっとボッキしてしまうかもしれない。
 あわわ。上の文章は取消!
 そうじゃなくて、好きな人になら何をされてもうれしい……というのも、マゾなのかな。つまりやっぱり、僕って変態なんだろうか。
「どうして返事をしないの?」
 美竹さんに問いつめられて、僕は決心した。
「やっぱり……こんなのって、いけないことだと思います。伯父さんに何もかも打ち明けたほうがいいんじゃないかな。僕もいっしょに罰を受けます」
 もちろん、言ってみただけ。伯父さんに言いつけたりはしない。
「そう。それじゃ、しかたないわね」
 美竹さんは、びっくりするくらいあっさりとあきらめた――んじゃなかった。ベッドのすみにまるめてあるパジャマの中からパンティを取り出して、手の中で小さく丸めた。
「最初はサービス。はい、お口をアーンしてちょうだい」
 伯父さんのセッカンを見ているから、美竹さんの意図はすぐに分かった。美竹さんのパンティを口に詰め込まれるなんて……光栄てのとは、ちょっとちがうけど。うれしくないこともないなんて思っちゃいけないんだろうけど。
「…………」
 どうせなら、とことんアマノジャクになってやれ。歯を食いしばるくらい強く、口を閉じた。
「おバカさんね」
 ぼすん……お腹にエルボーを落とされた。
「うぐっ……」
 半開きになった口にパンティを押し込まれた。
「はい、お姉ちゃん」
 美鈴ちゃんも自分のパンティを丸めて美竹さんに手渡して――それもおし込まれた。
 はき出そうとしても、舌をうまく動かせない。もたついてるうちに、口にガムテープをはられてしまった。鼻で息はできるけど、まったく声を出せなくなった。
 美竹さんは、さらにガムテープを30センチくらいに切って――僕の目の上にはりつけた。念には念を入れて、おでこから鼻の上まで3枚をはり重ねた。
 何をされるのかが、まったく分からない。すごくこわい。だけど、いとこ同士だよね。大ケガをさせられたりはしないよね。だったら、僕も男だ。いくら年上だからって、女の子のするイタズラ(それともゴウモン?)くらい、たえてみせる。
 ……………………
 ………………
 …………
 ……いつまで経っても、ふたりとも僕にさわろうともしない。
 部屋から出て行った気配は無かったから、僕の反応を観察してるんだろうか。それとも、足音をしのばせて――にしても、ドアの音も聞こえなかったし。
 30分くらいも経っただろうか。いきなり耳元にささやかれた。
「ほんとは耳も聞こえなくするんだけど。見えないだけでも、時間感覚が変になるでしょ。まだ5分しか経ってないのよ」
 まさか、このまま朝までほっとくつもりなのかな。それくらいなら、鞭でもビンタでもいいから、ボロボロにしてくれたほうが楽かもしれない。
 さわわわわっと、何かが足の裏をくすぐった。腰のあたりまで、くすぐったさが走った。
「んんんっ……?!」
 大の字にされて無防備になっている脇の下を、左右同時にくすぐられた。びくんびくんと背中がけいれんするほどのくすぐったさだった。
「んんん、んんーっ!」
 身体をよじってのがれようとしたけど、ムダなあがきだった。
 脇の下に加えて乳首までくすぐられる。もだえ死んでしまいそう。
 これ、絶対に指じゃない。もっとやわらかくて、くすぐられる範囲も大きくて……ペンキぬりの刷毛とか、もしかしたらホウキかもしれない。正体が分からないから、よけいにくすぐったい。
 乳首への攻げきがなくなったと思ったら、今度は内ももをくすぐられる。そこからさかのぼって、ソケイ部も。でも、チンチンと玉とアヌスは、なぜかくすぐられない。
 くすぐり攻めは何時間(実際には数分かもしれない)も続いて。ようやく許してもらったときには、くすぐられていないのにピクピクと全身のケイレンが止まらなくなっていた。
「んんっ……?」
 チンチンの皮をむき下げられて。
 プシュウウウ……またスプレーをふきかけられた。チンチンだけじゃなくて、玉ぶくろにもアヌスにも。身体の下側になっている部分には、どうやってスプレーしてるんだろう。害虫く除のスプレーに付属してるような細いストローでも使ったんだろうか。どうでもいい疑問。
 またくすぐられるのかと思って身構えていたけど、いつまで経っても始まらない。
 チンチンも玉ぶくろも、熱いしいたいし。アヌスがそれほどでもないのが、わずかな救いかな。チンチンに比べたらというだけで、アナルバージンを塩田先生にうばわれた(のか、ささげたのか)ときよりもつらい。
 さっきのはウソです。告げ口なんかしません。だから許して――そう言いたくても、声を出せない。もしかしたら、これは残こくなじ悲なのかもしれない。朝まで許さないという残こくと、わめき続けてのどが破れないようにという慈ひと。
 完全な暗やみの中に放置されて。いたくて熱いのに、だんだん意識があいまいになっていく。
 ……
 …………
 ………………
 ……………………
「む゙ゔゔゔゔーっ?!」
 一気に目が覚めた。またくすぐられている。しかも今度は、チンチンへの集中攻げき。いたいのも熱いのも消し飛んで、とにかくくすぐったい。腰が勝手にびくんびくんとはねる――のだけど、強い力でおさえ込まれている。美鈴ちゃんがくすぐって、美竹さんが馬乗りになっている?
 鼻だけで息をしても追いつかないくらいに呼吸が荒くなって、酸欠で頭がかすんでくる。
 それが(僕の時間感覚では)何十分も続いてから。
 プシュウウウ……スプレーをふきかけられて、また一切の物音が消えた。
 こんなことを夜通し続けるつもりなんだろうか。明日の朝は寝ボウするよ――なんて、ふたりのことを心配してる場合じゃないのに。

 ガムテープの目かくしをはがされたときは、ほんとうに朝になっていた。人生でいちばん不快な目覚めだった。
「さあ、何か言うことはあるかしら?」
 大の字ハリツケからも解放されて、でも大の字のままベッドの上で気息エンエンの僕を見下ろして、美竹さんがほほ笑んだ。
 僕はベッドから下りようとして、足をもつらせてゆかに転がり落ちて。そのまま土下座してしまった。二度と、こんな目にあいたくなかった。
「ごめんなさい。伯父さんにも伯母さんにも、絶対に何も言いません。だから許してください」
「へへん。分かればいいのよ」
「こら、美鈴。年上の男性に向かって、その言い方はないでしょう。ニチジョウとアイジョウのけじめは、ちゃんとつけなさい」
 日常と愛情かな。昨夜のゴウモンは愛情だった……なんて、ことはないと思う。
「それじゃ、昨日のことは、おたがいに何もかも忘れましょうね。もう、あんなひどいことは二度としないから」
「均お兄ちゃんが素直にしていてくれたらね」
「こら。そういうのはダメだって言ったばかりでしょ。美鈴はもちろん、わたしだって二十四時間のアイジョウ生活は早すぎるんだから」
 何がなんだかわからないけれど、次の日にはとりあえず日常がもどってきた。なぜ、その日のうちじゃないかというと――夕方までチンチンがいたかったから。夜にシャワーを浴びたときは、皮をむいた白いオカラみたいのがぼろぼろこぼれた。こんなのって、小学校低学年のときに一度経験しただけ。それ以来、ちゃんと洗うようにしてる。1日で数週間分のアカ。きっと、表面のねんまくが、まるまるはがれたんだろう。ひと皮むけたってとこかな。でもヘビとちがって、脱皮しても本体は成長してなかった(しょぼん)。
 いちおう日常はもどってきたけど。美竹さんが言うアイジョウってやつも、それからも何度か繰り返された。約束通り、二度と『あんなひどいこと』はされなかった。『こんなひどいこと』や『そんなひどいこと』は、されたんだけど。
========================================

 この作品で何をいちばん苦労してるかというと、実にBFです。原図です。
 女神様も王女様も、エロいコスプレがありません。
 伸長さのあるロリドル2人の水着画像もありません。
 考えるに。W美姉妹を女神様と王女様だと思っているのは、(下)僕クンだけです。本質は……こんなじゃないでしょうかしら。


ざんていすぎる

DLsite アフィリエイト キーワードは「女神」です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 順調に進んでいます。とはいえ、3/31~4/16で6万文字=180枚。第1稿執筆だけで1日10枚。校訂や装丁を考えると、年間3600枚の目標を下回っています。チンチンに鞭100発(本文参照)。死にます。

 あらためて全体の章立てを書きますと。

伯父の家に  - 2 -
従妹と入浴  - 6 -
入部の儀式 - 12 -
従姉の悪戯 - 16 -
土曜の特訓 - 21 -
メコ筋に鞭 - 31 -
アナル快感 - 46 -
口封じの夜 - 55 -
夜のお散歩 - 73 -
真夏の幻想 - 80 -
SMショー
僕の初舞台


 数字は、40字×25行での出来高です。
 前半の各章が少なく、後半で盛り上がっています。良い傾向です。


 本文中では「僕」の期末テストが終わった時期に、美竹&美鈴の中間テスト結果が判明しています。これは、二人が2学期制の私学に通っているからです。いや、PLOTを固めた後で、テスト時期の矛盾に気がついて、あわててそういう設定にしたのです。書きながら設定を付け加えていくということをやっていくと、どこかで破綻が生じます。創作を志す方は他山の石です。

========================================

メコ筋に鞭

ばすたおる    僕のほうの期末テストが終わった日。夕食のときから、なんとなく重苦しいふん囲気だった。とくに美竹さん。相づちを打ったり機転の利いた受け答えはするけど自分から話題を振ったりはせず、少量ずつ口に運んではていねいにモグモグ――は、いつもと同じだけど。今日はおしとやかて感じじゃなくて、何かにおびえてるみたいな印象だった。
 伯父さん&伯母さん、僕、W美姉妹の順におフロを使って。
 蒸し暑いので、僕はパジャマのズボンとTシャツ。伯父さんはパジャマの上を着ずにバスローブ、伯母さんはバスローブをきっちり身体に巻き付けて――ネグリジェがまったく見えていないから、もしかするとパンティだけかもしれない。なんて、フラチな想像もチラチラ。
 だって、漢字で書くから伯母さんだけど、小母さんでもオバサンでもなくてオネエサマあたりがふさわしい。とても母さんと同い年には見えない。フィットネスで引きしめてエステでみがいてる玉物だ。
 それを言うと。伯父さんは8才も父さん(母さんの1コ上)と離れてて、見た目もそれくらいだけど、伯父さんのほうがパワフルに感じられる。体格とかじゃなくて、何て言えばいいのかな。僕たちの祖父の後を次いで、当時は小さな会社を切り盛りしながら、まだ大学生だった父さんを卒業まで面倒見てくれた生活力かな。会社の名前は創業当時をしのんで変わっていないけど、雑貨品の輸入会社を総合商社まで発展させたのも、伯父さんの力量――と、父さんも伯父さんを尊敬している。
 なんて、必死に伯母さんの胸元から目をそらせてると。W美姉妹も、おフロから上がってきた。
(…………?)
 美鈴ちゃんは、いつも通りに可愛いネグリジェだけど。美竹さんは素はだにバスタオルを巻いただけのアラレもセンベイもない(ショックをギャグで和らげてる)姿。美鈴ちゃんがポニテをほどいて長い黒髪を垂らしているのとは対照的に、髪はきっちりツインテにまとめている。
 いつもの、僕をからかうセクシー衣装(?)かなと疑ったけど、やっぱりふん囲気が違う。との様の前にかしこまる家来みたいにきちんと、2人がけのソファーの前に正座した。
 美鈴ちゃんはいつも通りに、3人がけのソファーで僕の横。いつもと違うのは、30センチほど身体を離してるとこ。
「さて、中間試験の結果について、報告を聞こうか」
 うわあ、厳しい。僕も……1週間後には、ひ告席に座らされるのかな?
「現代国語は97点、古文は93点、数学は75点……」
 美竹さんて優等生なんだ。理系が、ちょっと弱いかな。といっても、平均値上下の僕とはダンチ。さすがは女神様。なのに、美竹さんの声は震えてる。
「主要5教科の合計で415点。お父様と約束した450点には届きませんでした」
 90点平均が目標!
「へん差値は55でしたから、60には5ポイント足りていません」
「すると、罰はどうなるのだったかな」
 美竹さんの返事は、『入部儀式』でフルチンを命じられたときの百万倍もショックだった。
「お尻に35発の鞭と……メ、メコ筋に5発です」
 鞭だって……?!
 メコ筋って、つまり、女の子の縦スジだよね。初めて聞く言い方だけど、すごくエッチだ。美竹さんがそんな言葉を使うなんて……でも、恥ずかしそうに口ごもってた。そういう言い方をするように言いつけられてるのかもしれない。
 だけど、女の子だって急所のはず。金けりとどっちが痛いんだろう。
「罰を受ける準備をしなさい」
「……はい」
 僕がまん丸に見開いている目の前で、美竹さんが立ち上がった。こんなときでも優がな仕草でバスタオルをはぎ取って、また正座してからたたんだ。改めて立ち上がると、伯父さんたちに正面を向けたままパンティまで脱いだ!
 美竹さんのヌードを見るのも5年ぶり。美鈴ちゃんとの5年ぶりは平気だったけど、美竹さんとの5年ぶりは、ひと目見たしゅん間から心臓がドギマギ。そして、いきなりの展開に、僕は固まってしまった――から、視線も動かせなくなった。ということにしとく。
 グラビアアイドルのオールヌード(なんて見たことないけど)。形良く半球形に盛り上がった乳房も、白い下腹部も――何もかもが、シャンデリアのきらめきの下にさらされた。下腹部に黒い陰りは無かった。そういう体質なのか、オシャレで手入れしてるのかは分からない。
「はしたない声を出せないようにしてもよろしいですか?」
「ふん。均くんに聞かれるのは、恥ずかしいか」
 いきなり名前が出てきて、僕は我にかえった。
「あ、あの……僕、部屋へもどります」
「ここに居なさい」
 美竹さんに対するよりもずっと厳しい声で言われて、うかしかけていた腰が、ストンと落ちた。
 ななめ横であたふたしてる僕は無視して、美竹さんは脱いだばかりのパンティを丸めて口につっ込んだ。声を出せなくするそく席のサルグツワだ。
 それから。部屋のはしまで行ってから後ろ向きになって、両手を頭の後ろで組んだ。そのまま動かない。
 伯父さんが立ち上がった。不意の動作にビクッとしたのは僕だけだった。伯父さんは広いリビングを横断して。これまで(すくなくとも僕は)開けたことのない戸だなから鞭を取り出した。サーカスでライオンやトラをおどすときとか、洋画の時代劇で奴隷に使う、細長い鞭。何重にも巻かれているのを延ばすと、2メートル以上になった。
 美竹さんの2メートルくらい後ろに伯父さんが立った。
「均くん」
「は、はいいっ」
 名指しされて、返事の声が裏返ってしまった。
「鞭打ちの数を数えてやりなさい」
「え……あ、はい」
 人に命令するのに慣れた声。僕は逆らえなかった。ふたりが立っているのに僕だけが座っているのは横着に思えたので、僕も立ち上がった。
しん判みたいな位置取りがいいかなと考えて、ふたりの中間に、鞭が振るわれる空間をさけて立った。そして……伯父さんをななめ前から見て、気づいてしまった。伯父さんのバスローブが、はっきりと盛り上がっている。実の娘のはだかを見て、エッチな意味で興奮してるんだ。
「始めるぞ」
 ひゅんっ……バチイン!
 思っていたよりも大きな、お尻をたたく音。びくっと、身体がすくんでしまった。
「早く数えてやりなさい」
 うながされて、我に返った。
「あ、ひとつ……です」
「しっかり数えなさい。きみが間違えると、最初からやり直しになるよ」
「ええっ……はい」
 ひゅんっ……バチイン!
「ふたつ!」
 さけんでいた。僕がオタオタビクビクドギマギしているのに比べて、美竹さんは平然と(ではないと思うけど)たえている。うめき声ひとつもらさない。
 ひゅんっ……バチイン!
「みっつ」
 ひゅんっ……バチイン!
「よっつ」
 ひゅんっ……バチイン!
「いつつ」
 美竹さんのお尻に、真っ赤な筋が刻まれていく。鞭の先がドングリみたいにふくらんでいるから、はだを切りさかれることはない。その代わり、痛みは大きいんじゃないだろうか。
 ひゅんっ……バチイン!
「にじゅうさん」
 ひゅんっ……バチイン!
「にじゅうよん」
 伯父さんはフォアハンドとバックハンドを使い分けて、左右のお尻を均等に鞭打っている。上下にも意図的に散らしている。ダメージの集中をさける配りょだろう。
 美竹さんのお尻は全体が真っ赤に染まっている。
 ひゅんっ……バチイン!
「さんじゅうご!」
 全身から力が抜けて、へたり込みそうになった。のを、ふん張ってこらえた。鞭打たれた美竹さんがしゃんと立っているのに、みっともない真似は出来ない。
 これで罰は終わり――じゃなかった。
「次はへん差値の罰だな。正面を向きなさい」
 ぐらっと美竹さんの身体がゆれた。のろのろと向きを変える。頭の後ろで手を組んでひじを張り、背筋をのばして両足を50センチほども開いた――のは、メコ筋を打たれ易くするためだろう。でも、全身が小刻みに震えている。
「伯父さん……」
 他人の家の教育方針にコドモの僕が口出しするのは生意気だけど、だまってられなくなった。
「テストの成績が悪かったからって、女の子のいちばん大切なところを鞭でたたくなんて、ひど過ぎると思います」
 美竹さんが心配そうな目で僕を見た。けど、伯父さんは怒ったりしなかった。
「均くんは感違いをしているね。第一に、このペナルティは美竹自身が申し出たものだ。試験の目標もね」
 特効隊員は自発的な志願を強制されたって、何かで読んだことがある。
「そしてもっとも覚えておいてもらいたいのは、美竹がこのペナルティを喜んで受け入れているということだ」
「……喜んで?」
 伯父さんが美竹さんに(キスできるくらいまで)近寄った。鞭を左手に持ち変えて、右手を美竹さんの割れ目にのばした。美竹さんのは美鈴ちゃんみたいな一本スジではなくて、貝の足のようなものが……今は、そんなびょう写をしてる場合じゃない。
 美竹さんはにげない。伯父さんの指が、陰りの無い割れ目につき立てられた。だけでなく、ぐりぐりと中をかき回した。
 伯父さんは指を抜いて、僕の鼻先につきつけた。ねばっと濡れていた。
「これがどういう意味なのか、均くんでも知っているんじゃないかな」
 知らない。傷口をいじったら、こんなジュクジュクした液が出る。伯父さんの指で(たぶんツメ先で)中が傷ついたんだ。
「知らないみたいだな。まあ、いい。本人の口から聞いてごらん」
 伯父さんは美竹さんの口に(メコ筋に入れたと同じ)指を入れて、パンティを引っ張り出した。
「父親にセッカンされて、美竹はどう思っている?」
 美竹さんはチラッと僕を見て、すぐに目をふせた。
「喜んではいません。でも、自分で決めた目標を達成できなかったのですから、自分で自分に罰をあたえないといけません。お父様の手をわずらわせて、申し訳なく思っています」
 ほんとは違うことを言いたいけど、伯父さんに(それとも僕に?)えんりょしてる。そんな印象を受けた。
「メス穴をいやらしく濡らしているのは、なぜだ?」
 メスあな……すごくヒワイ(エッチとは違う)な言い方だ。父親が娘に向かって言う言葉じゃないと思う。
「それは……メコ筋に鞭をいただくのはとてもつらいので、すこしでも痛みをやわらげようとして、自然と身体が反応しています。条件反射です」
「語るに落ちたな。メコ筋打ちにヨダレをこぼすまでに条件付けされていると認めたのだぞ」
「…………」
 美竹さんは、きみょうな目つきで伯父さんを見上げた。うらめしそうな眼差し――という表現が当たっているかもしれない。
「均くんへのレクチャーは、ここまでだ。メスあなが熱いうちに鞭をくれてやる」
「はい……ありがとうございます」
 美竹さんは口を引き結んで、ぐっと腰をつき出した。
 伯父さんが右手に鞭を持ち変えて後ろへ下がった。ひゅんっと鞭をゆかにはわせて――真重にきょりを調整している。
 娘が父親に残こくなセッカンをされて、母親は平気なんだろうか。2人がけのソファーを振り返って、僕はまたおどろいた。なんてもんじゃない。クリビッテンギョーだ。しつこいけど、ショックをギャグで和らげてる。
 いつの間にか美鈴ちゃんが伯母さんの横に座っていた。顔を伯母さんの胸にうずめている。お姉さんがひどい目に合っているのを正視できない――んだろうけど。伯母さんの手が美鈴ちゃんのネグリジェのすそを割って、かぼちゃパンツみたいなズボンの中に差し入れられていた。またのあたりで、もごもごと動いてる。これって、スジをいじってる――エッチな言い方をすると、愛ぶしてる。
 美鈴ちゃんは、いやがってない。どころか、伯母さんのバスローブの中に手を入れて、やっぱり下半身をま探っている。
 いったい、父親といい、母親といい……
「きひいいいっ……!」
 かん高い悲鳴で思考がくだけ散って。美竹さんに視線をもどすと――腰を引いてももを閉じ合わせていた。僕が目をはなしているうちにセッカンが始まっていたんだ。
 伯父さんは鞭を垂らしたまま、美竹さんがもだえるのを無表情にながめている。
 美竹さんが姿勢を立て直した。両足を開いて腰をつき出して――ゆかに垂れている鞭を見つめた。
 鞭がゆっくりと後ろへ引かれて。美竹さんがくちびるをきゅっと引き結んだ。
 伯父さんの右うでが動いて……ヒュンッ、パシン!
「きひいいっ!」
 鞭の先がメコ筋に食い込んだしゅん間、美竹さんの口から可愛い悲鳴がほとばしった。反射的に腰を引いて、ももを閉じ合わせて、いたみにもだえている。
 5秒ほどで、美竹さんが姿勢を立て直して。すかさず3発目が打ち込まれる。
「くううっ……」
 今度は低くうめいただけで、姿勢もくずさなかった。
 4発目も同じくらいに軽い。伯父さんもかわいそうに思って手加減したのかな――なんて、とんでもなかった。
 しゅんんっ、バチイン!
 お尻をたたいていたときと同じくらいの大きな音。
「ぎゃああっ……!」
 美竹さんがさけんだ。がくっとひざがくだけて……でも、ふん張った。頭の後ろで組んだ手も、そのままだった。
 たっぷり10秒くらいは中腰の不自然なポーズでもだえていたけれど。ついに、元の姿勢にもどった。
「ありがとうございました、お父様」
 そう言うように仕付けられているんだろうけど、不本意にではなくて、ほんとにそう思っているように聞こえた。
「良くがんばったな。均くんに無様な姿は見せられんといったところか」
 え? それって、どいう……?
「だがワシとしては、均くんにメスの本性を見せつけて、男は女をいかにあつかうべきか教えてやる義務がある」
 また僕が引き合いに出されたけど――伯父さんの言っている意味が、さっぱり分からない。
「わずか5発とはいえ、最後まできちんと罰を受けたのだから、ホウビをやろう。クリ打ちも5発だ」
「いやです!」
 初めて美竹さんが取り乱した。
「均くんに見られるのは、いやです。均くんを部屋へ帰してください」
「ダメだ。いつからおまえは、ワシの命令に逆らえる身分になったんだ?」
「……ごめんなさい。お父様の思うようになさってください」
 美竹さんが、いっそうピシッと背筋をのばした。
 ひゅうん、バッシイイン!
 それまでより1歩くらい近い位置から伯父さんが水平に振るった鞭は、美竹さんの左右の乳房を同時になぎはらった。
「きゃああっ……」
 お尻に刻まれていたよりも太い筋が乳房に走った。鞭の中間あたりから先までが当たったんだ。
 ひゅうん、バッシイイン!
 ひゅうん、バッシイイン!
 ひゅうん、バッシイイン!
 それからの立て続けの3発には、美竹さんは無言だった。最初の悲鳴は、不意打ちへのおどろきだったんだろう。イスに画ビョウがあるのを知らないで座ったら飛び上がるけど、ずっといたいはずの注射はやせがまんできる。
「今のは、ワシに逆らおうとした罰だ」
 おじさんがまた鞭をゆかにはわせて、メコ筋打ちのとき以上に真重に間合いを決めた。
 そうか、『クリ打ち』だ。クリというのはクリトリスのことだろう。女の子のスジの上はしには小さなチンチンみたいな出っ張りがかくれていて、そこをさわるとすごく気持ちいいらしい――悪友から聞いたウワサはガセネタじゃなかったみたいだ。
 え……あれ?
 美竹さんの縦スジからちょこっとはみ出ていた貝の足みたいなビラビラが、大きくなってる。それと……ビラビラのはしっこに、真っ赤な宝石みたいなイボが見えている。もしかして、あれがクリトリスかな。ビラビラが貝の足みたいに見えるせいで、マテ貝を連想しちゃった。
「いくぞ……」
 伯父さんが、ソフトボールの投球みたいな感じでうでを動かした。風切り音も無く鞭がゆっくりとゆかすれすれを走って、美竹さんの足元で上にはねた。
 空振り……と、思ったけど。
「ひいいいいっ……」
 かん高い悲鳴。これまでのようなばく発的にはき出す悲鳴ではなくて、鼻に抜けるような後を引く鳴き声だった。
「あああっ……」
 これまでの激しい鞭打ちに気然と立ち続けていた美竹さんが、両手でまたを押さえて、ゆかにひざを着いた。
「まだアクメには達しておらんはずだ。立たなくていいから、手をどけろ」
 美竹さんが、おずおずと両手を広げて、頭を反らせた。
 音も無く鞭がゆかをはって、正確にクリトリスを打った(んだろう)。前屈みになっているお腹をこすって、最後は鞭の先がゆう導ミサイルみたいに左へ曲がり、乳首をはじいてななめ上へ抜けた。ねらった通りの動きだとしたら、すごいテクニックだ。
 それだけ年季が入ってる。ということは……美竹さんは何年も前から、鞭打たれてきた?
「あうう……」
 美竹さんは、またを押さえていない。両手で乳房を……もぎ取るみたいに激しくこねくっている。
 しゅうんん、バチイン!
 鞭がメコ筋に食い込んだ。そのままはね上がって、鞭の先のドングリが真っ赤な宝石を打ちすえた。
「ぎゃはあっ……!」
 美竹さんが、のけぞった。尻もちをついて、かべにもたれかかった。快感のさ中に激痛をあたえられた反応だと、僕にも分かった。
 美竹さんは尻もちをついたまま、足を開いている。
 そこをねらって鞭が、上からたたきつけられる。最初に見たときの3倍くらいに大きくなっていたクリトリスがひしゃげて……
「ぎゃわああっ……いいいい、もっと……ください」
 僕は自分の耳も目も信じられなかった。優がで清そな(セクシー衣装のイタズラで、最近は印象が割り引かれてるけど)美竹さんが、女の子のいちばんびん感なところを鞭打たれて、快感にもだえている。美竹さんって、マゾだったんだ。
 サドマゾって、ホモ以上にアブノーマルだよね。変態だよね。
 違う。美竹さんはマゾの変態なんかじゃない。きっと、伯父さんがサドなんだ。実の娘を調教するキチクなんだ。でも、マゾに調教された美竹さんは、やっぱり変態……じゃない。ほんとはイヤでたまらなくても、母親まで加担してるから、だれにも救けを求められなくて……僕が救出してあげなくちゃ。
「ああああっ……いいいいい!」
 僕をいっそう混乱させるように、アルトのフォルテッシモが、広い部屋にひびきわたった。

 10分間くらい、美竹さんはゆかにつっぷして快感(?)の余員にひたっていた。美鈴ちゃんは伯母さんのひざの上で抱きすくめられて、指でメコ筋(と、クリトリス?)をいじられていた。
「あんん……ダメえ。みすず、おかしくなっちゃうう」
 舌っ足らずにあえいでるけど、美竹さんみたいにすさまじいもだえ方はしない。まだ性感が未熟なんだ。それとも、伯母さんがコントロールしてるのかな。
 伯父さんは僕と並んで3人がけのソファーで、タバコをくゆらせていた。
「女は、こういうふうにあつかうものだ。家族といえども、いや、家族だからこそだな」
「…………」
 頭のなかがグチャグチャで、相づちも打てない。相づちを打ったら伯父さんの言葉を受け入れたことになる。
「だけど、男女は平等だって習っています」
 なぜ平等かといえば、人間はみんな平等だからだ。
「戦争は絶対的に悪いとだれもが言いながら、現実にはあちこちで戦争が起きている。きれいごとではなく、現実を見なさい」
「…………」
「社会の現実は、強い者が弱い者を支配している。肉体的にも経済的にも弱い立場にある女が男に支配されるのは自然の説理だ。その分、男は女を護り養ってやらねばならん」
 伯父さんは、灰皿にタバコをねじ捨てた。
「二つばかり年上の美竹に手も足も出ず、美鈴にはほんろうされっぱなし。見ていて歯がゆくなってくる。美竹を妻に従えて、美鈴は愛人として飼う。それぐらいのかい性を持ってもらいたいね」
 なんだか、とんでもないことをけしかけられてる。じょう談だろうと思うけど、さっきのセッカンを見てると、じょう談とばかりも言ってられない。
 美竹さんが起き上がった。伯父さんに向かって、きちんと(はだかのまま)正座した。ので、話は立ち消えた。
「お仕置きしてくださって、ありがとうございました」
 三ツ指をついて、頭を下げた。
「うむ。それで、期末テストの目標は、どうするかな」
「はい。今度こそ、5教科450点、へん差値60を目指します」
「達成出来るまで目標はすえ置きか。佐渡家の者が、そんな志しが低くて良いと思っているのか?」
「いえ……」
 美竹さんはうつむいてだまり込んだけど、すぐに頭を上げた。
「460点、へん差値62を目標にします」
「62とは中と半ぱだな」
「……65を目指します」
 これ、美竹さんが自主的に決めた目標っていえるんだろうか。60でも65でも5発しか違わないって、ヤケクソになったんじゃないかな。だけど、メコ筋に鞭だよ。5発と10発の差は大きいと思う。
「罰も同じでは、だれてしまうな。美竹は、そう思わないか?」
 美竹さん、今度はうつむいたまま、いつまでも動かなかった。
「4年生にもなってオモラシをしたことがあったな。あのときは、どんなセッカンをしてやったかな」
「……クリトリスにオキュウしてください!」
 美竹さんは顔をふせたまま、さけぶように答えて――ぶるぶるっと身を振るわせた。チンチンにオキュウをすえられると考えたら、背筋が寒くなった。のに、なぜだろう、チンチンんがすこし固くなった。
「いさぎよいな。しかし、おまえはもう包皮切除をしているからな。本体にケロイドを残してはかわいそうだ。せんねんキュウでかんべんしてやろう」
「ありがとうございます。かん大な処置に感謝いたします」
 美竹さんは額をゆかにすり付けた。
「おいおい……今からセッカン確定みたいにふるまうんじゃない。セッカンをのがれられるよう、死に物ぐるいでがんばりなさい」
 なんて、簡単に言うけど。へん差値65って、上位5パーセントくらい。クラスのトップか次席。だけど、現国が97点。理数系を克服できたら、美竹さんなら届くかもしれない。ちょっとだけ美竹さんがみじめに見えていたけど、やっぱり僕のあこがれの人だ。
「ところで……美鈴の目標は、どうだったかな?」
 いきなりホコ先を向けられて、美鈴ちゃんが伯母さんのひざからずり落ちた。そのまま正座して、ハキハキと答える。
「はい。オール4以上。理科算数国語は5です。自信はあります」
「未達成の罰は?」
美鈴ちゃんが、ちろっと僕を見た。
「おかんちょうを1時間のがまんで、1点につき100㏄です。3教科を落としたら、1点につき1時間の延長です」
 これは、厳しいのかどうか僕には分からない。でも、もしも半数が3で音楽が2だったりしたら(だれのことだったか忘れたよ)、600㏄以上になる。それだけの水を飲むのだってつらいから、お尻から入れるなんて……相当に厳しいのかな。
「アヌスストッパーの世話にならないよう、がんばれよ」
「はあい」
 脳天気な返事で、僕も気が抜けちゃった。でも、アヌスストッパーて何のことだろう?
「よし。美竹への仕置きは、これで終わりだ。夜もふけた。子供は早く寝なさい」
「はあい。おやすみなさい」
「お休みなさいませ、お父様お母様、均くん」
 美竹さんは何事もなかったみたいに、バスタオルを身体に巻いて(パンティは手に持って)リビングから出て行った。いつものように美鈴ちゃんが後を追う。
「どうした。均くんは、まだ寝ないのか」
「あの……僕は?」
 さっきから引っかかっていた疑問を、思い切ってたずねた。
「僕には、目標とか罰とかは、無いんでしょうか?」
 イソウロウというかゲストだから、別あつかいなのかな。
 伯父さんが、大きくため息をついた。
「分かっていないようだな。きみは男だ。支配する立場だ。支配者は独立独歩、目標を他人に強制されたり罰をあたえられたりはしない。もっとも、ふたりにバカにされるような成績では話にならんがね」
 ぐううう。実は僕へのプレッシャーが、いちばんきつかったりして。
 でも、いいや。成績って、勉強だけじゃない。ふたりとも帰宅部だ。僕はサッカー部で……県大会優勝は、オール5より難しいかな。
========================================

 本日(4/17)はQ日。4/18に2時間スマホ執筆できて。19,20もQ日。ここらで一機火星に仕上げますか。その後も22がQなので。うん、4月いっぱいでBFも含めて終わりますかしら。
 とはいえ、Q日のどこかで再演習(『戦闘詳報』参照)を予定していますので、まあ、いざとなれば平日に勤務地の夙川から高速神戸まで阪急電車で行ってしまう(そこから徒歩10分で福原)という時間の有効活用もアリナミン。
 とはいえ。またしてもツーコンだったりすると意気消沈して執筆意欲消滅なんて事態……んいなって、たまるもんかあ!
 ボストーク以前から、SFでは人類は銀河帝国を築いてたんじゃ。エロ小説では男が女のアクメをマコトシヤカに描写しとるんじゃ。などと予防線を張るあたり……?


DLsite affiliate キーワード:父 & 娘 & (折檻 or おしおき)

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 最近、ジェダイの騎士の勤務シフトが偏ってきました。朝一番に2時間半ほど独りでほとんどボケラ~としてればよくて。スマホの入力はもどかしいですが、4千字くらいはGoing grave。まあ、漢字遣いのチェック(義務教育+α)は、帰宅後にPCですが。
 今回はいつもと逆で、前半の各章が短く後半で盛り上がります。素晴らしいことです(前半で読者にブン投げられなければ)。
 まあ、前半もアレコレ。というか、エロ小説では複雑な設定でも難解なストーリーでも、刺身のツマ程度で要領良く片付けねばなりませんが。自戒です。次回はうまくやろうと反省しつつ幾星霜。
 というわけで。12章構成のうちの第2章です。


========================================

従妹と入浴

741472.jpg
 LDK――前の家と比かくするとLLLLDDKK(部屋の中に柱がある)くらいの部屋で一家4人プラス僕。ちんまりと夕食をすませた。ビーフシチューにコブサラダにデザートのアイス付きのごうかメニューだけど、部屋がだだっ広いので『ちんまり』と形容しちゃう。とにかく夕食をすませて。一家団らんでテレビ(26インチの大画面!)を観てるとき。
「今夜は、パパとママは後でゆっくり入るから、おまえたちが先におフロを使いなさい」
 この家は、長幼の序とか家長(戦前の言葉だよ)とかがうるさい。おとついは、伯父さん>伯母さん>僕>美竹さん&美鈴ちゃんの順番だった。ので、今夜は僕がトップバッターか。なんだか申し訳ないな。
「それじゃ、お先に入ります」
 自分の部屋へ着変えを取りにもどってから1階へ下りたら――だつ衣室で美鈴ちゃんが待っていた。
「いっしょに入ろうよ」
 言葉だけじゃなくて、もうパンツ一丁になってる。前に赤いリボンが付いててレースのふち取りがしてある、グラビアアイドルが着るみたいな小さな――パンツというよりパンティ。美竹さんが着たら、すごくセクシーだろうけど、美鈴ちゃんには似合わない。
「もう、そんな年ごろじゃないだろ」
 美鈴ちゃんは、バスルームの前から動かない。「にげられないよ?」って、こういう意味だったんだ。
「伯父さんにしかられるぞ」
「どうして?」
「伯父さんも言ってただろ。僕たちは結こんもできるあいだがらなんだ。兄と妹じゃない」
「うわあ。あたしをオンナとして見てくれてたんだ。うれしいな」
「いや、そうじゃなくて……」
「お父様には言ってあるよ。そしたら、ちゃんと背中を流してあげなさいって」
 伯父さん、ムジュンしてない?
 結局、年下の女の子におしきられてしまった。
「5年ぶりだね。あのときは、ぬぐのを手伝ってくれたけど、今日はあたしが手伝ったげる」
 5年ぶりというのは。今の(正確には今朝までの)マンションに入居するとき、引っこしとかごたついて、1週間ほど住む所がなくなって、一家そろって、このてい宅に間借りさせてもらった――そのときのこと。美竹さんもいっしょに3人でおフロに入って。美鈴ちゃんが、ヒモのいっぱい付いた服を持て余して、美竹さんがぬがしてあげようとしたら、「ひとしおにいちゃん、ぬがせてよお」。あのころから、王女様だったな。なんて、過去をなつかしがってる場合じゃない。
 美鈴ちゃんが僕のパンツに手をのばしてきたので、あわてて自分でぬいだ。その直後のひと言が、僕の生がいのトラウマになった。
っちゃ……」
 年下の女の子に言われたんだよ。伯父さんと比べてだったら平気だけど、もしも美鈴ちゃんの同級生と比べられたんだったら……立ち直れない。
 そりゃ、たしかに……修学旅行のときとか臨海学習とかで、クラスメートに負けてるなってのは、痛切に思い知ってる。しかも、早熟な子は黒いポヤポヤまで生やしてるのに、僕はツルツル。
 そんな僕の内心のジクジクは知らんぷりに、美鈴ちゃんもパンツをぬいだ。あわてて目をそらす一しゅん前に、はっきりとそこを見てしまった。ツルツルだったので、ほっとした。
「早く入ろうよ」
 美鈴ちゃんはタオル(こしに巻いたりもせず)片手に、僕のうでを引っ張る。
 しかたがないので、僕もタオルを持ってバスルームへ入った。
 子供部屋以外の部屋がやたらと広いのは、バスルームも同じ。銭湯の3分の1くらいはある。トン単位の水が必要なバスタブと、エアマットが4枚は広げられそうな洗い場。じっさいに、エアマットが二つかべに立てかけてある。
 どうしていいか分からず、僕はぼけっとつっ立ってた。
 美鈴ちゃんはテキパキ動く。バカでかいバスタブから湯をくんで、片ひざ立ててかけ湯をして。スモウのソンキョみたいな座り方をして、二はい目の湯でスジを洗った。向きを変えて正面を僕に見せつけたのは、わざとだろうか。
「お兄ちゃんも、そこに座って。お湯をかけにくい」
「いや……自分でする」
 かけ湯をして、そしたら次は湯につかるしかない。
 美鈴ちゃんも入ってきた。サッカーチームが敵味方同時に入れるくらい広いのに、わざわざ僕の前へ来て――後ろ向きになって湯につかる。
「足を広げてよ。5年前みたいに、だっこして」
 足の上におしりを乗せてきた。それでも僕がじっとしていると、おしりを左右にくねらせる。
 美鈴ちゃんの意図は分かってたけど、あきらめて足を開いた。とたんに、足の間におしりを割りこませて――さらに近寄ってきた。美鈴ちゃんの背中が胸に密着した。
 女の子のやわらかい身体をだくみたいな形になって、心臓がきゅうっとねじられた。エッチな気分も少しはあるけど、後ろめたさのほうが百倍も強い。
「先に出るよ」
 ふり切れるとは思わなかった。当然みたいに、美鈴ちゃんもバスタブから出て――エアマットのひとつを、洗い場に延べた。
「ここにねて。背中を流してあげる」
「いいよ。自分で洗うから」
「ダメよ。お父様にも言いつかってるんだから」
 洗うのにね転がる必要なんてあるのかなと疑問に思いながら、郷に入りては郷に従え(ちがうと思う)。どんなふうに洗うのかなと好奇心も手伝って、マットの上でうつぶせになった。まさか、あお向けにはなれない。
 美鈴ちゃんは洗面器に湯をくむと、ボディシャンプーを混ぜてバシャバシャとかき回し始めた。ちっちゃい子のお遊ぎに『カイグリカイグリ♪』てうでをぐるぐるさせるのがあるけど、そんな動き。たちまち、洗面器にあわが盛り上がる。美鈴ちゃんはそれを両手にすくって――自分の身体にぬり始めた。かたからひざまで、真っ白のあわまみれ。
「じっとしててね」
 僕におおいかぶさってくる。
「え……ちょ、ちょっと。何するんだ……?」
「だから、洗ってあげるんだってば。おまたにタワシがあったら理想的なんだけど、スポンジのおはだで我まんしてね」
 身体を密着以上におしつけてきて、うねうねくにくにと動かし始めた。
 これって……ものすごくエッチなことをしてるんじゃないだろうか。
「美鈴ちゃん……こんな洗い方、だれに教わったんだ?」
「お母様がお父様にしてあげてるんだよ」
 つまりそれって……伯父さんと伯母さんは日常生活は至極真面目なのに、夫婦ふたりきりになると、すごいエッチなことをしてるってこと?
 伯父さんは父さんよりずっと年上だけど、伯母さんは母さんと同い年だっけ。精力がおとろえてきた伯父さんをこんなふうにちょう発して、ええと、つまり、夫婦の営みにさそってるんだろうか。
「ひゃっ……」
 裏返った声を出しちゃった。というのも。美鈴ちゃんが僕の身体とマットの間に手をつっこんできて――もろにチンチンをさわったから。
「えええ? こんなにしてあげてるのに、立ってないの? あたしって、そんなにみ力無いのかな……」
 とんでもないことを言う。
「こうなったら、意地だよ」
 強引に僕を転がそうとする。ていこうしたけど、ツルツルしたエアマットの上で、あわまみれの僕は簡単にあお向けにされてしまった。美鈴ちゃんがだきついてくる。
 さっきは背中だったけど、今度は正面に、女の子のはだが密着する。胸のささやかなふくらみが、ずいぶん大きく感じられた。
 さらに美鈴ちゃんは僕の足をこじ開けて腰をおしつけてきて……うわわわ! 美鈴ちゃんのスジに、チンチンがはさみこまれた。僕だって、男と女がどんなふうにセックスをするかくらい知っている。ほとんど、そんな状態――と考えてしまったら。
 ドクンドクンドクン。チンチンが大きくなってしまった。それを美鈴ちゃんがにぎった。
「あ、良かった。カセイなんだ。これなら、ダイジョウブだね」
 もしかして、仮性ホウケイのことを言ってる? それがダイジョウブってことは。まさか……セックスをするつもりじゃないよね?
「これだけ固かったら、処女マクを破れるかな?」
「ダメだよ。結こんしてもいないのにセックスなんて……いや、そういう問題じゃない。とにかく、やめなさい」
 できるだけ年上ぽく言い聞かせた。
「じょう談よ。あたしの年では、本番はしちゃいけないくらい知ってるもん」
 言いながら、美鈴ちゃがこしをくねらせた。
 く……チンチンがすごく気持ちいい。自分で皮をこするより何倍も……
「あっ……?!」
 ズクン……気持ちいい感覚が最高に達して、こしのおくがけいれんした。びくびくっとチンチンがふるえる。
「なあんだ。あたしと同じで、まだなんだ」
 美鈴ちゃんが立ち上がった。洗面器に湯をくみ直して――立ったまま、僕の顔にぶちまけた。
「うわっ……ぷ! こら!」
 あわてて起き上がろうとしたら、マットからすべり落ちてしまった。
 美鈴ちゃんはシャワーのところへ行って、さっさと自分のあわを洗い落とすと――アカンベエをしてから、とっととにげて行った。
「いったい、なんだったんだよ」
 頭の中がグチャグチャのまま、僕はかけ湯であわを流した。もう湯につかる気分じゃない。美鈴ちゃんがいなくなってるのを確認してから、僕もバスルームを出た。だつ衣室には、美鈴ちゃんのパンツが落ちていた。素っぱだかで自分の部屋まで行ったみたいだ。ちょっと考えてから、パンツは洗たくカゴの上に放りこんだ。
 下着を変えてパジャマを着て、今のエッチなハプニングを伯父さんにでも伯母さんにでも知られたら、しかられるのは僕かな、美鈴ちゃんかな。それよりも、美竹さんに軽べつされたくない。
 リビングにはもどりたくなかったけど、お休みなさいのあいさつだけはちゃんと言って、自分の部屋へにげ帰った。

 翌朝には美鈴ちゃんは、バスルームでのエッチなイタズラなんか忘れたみたいに、これまで通りに(ということは、僕に対してじゅうぶん我がままに)ふるまっていた。伯父さんも伯母さんも美竹さんも、バスルームでのことは何も言わなかった。
 僕も新しい学生生活が始まって、美鈴ちゃんのことばかりかまってられなくなった。美竹さんにはかまってほしいんだけど、美鈴ちゃんが僕をあれこれかまうのを、一歩はなれた所からながめてるって感じで――れん愛て、思うようには進まないもんだね。
 美鈴ちゃんのほうは、思うように進んでるんじゃないかな。しばらくはおとなしく、ひとりか美竹さんといっしょにおフロを使っていたけど、翌週にはまた乱入してきて。エアマットとかは使わず、僕に背中をもたせかけるだけで満足してくれた。僕もそれを受け容れて、週に一度は美鈴ちゃんといっしょにバスタイムというのが、新しい習慣になっていった。
 最初に美鈴ちゃんが言った「っちゃ……」が、だれと比べてなのかは、おそろしくて追きゅうできないままだった。
========================================

 女の子の入浴中にパパとか義兄とかが乱入するシーンは書いていますが、女の子が乱入してくるのは初めてです。逆乱入とでもいうんですかね。

DLsight アフィリエイト:キーワードは「妹 入浴」


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 さあて。いよいよ糸に釣っておいた作品を手繰り寄せるときが来ました。こういうのを『テグス糸引いて待つ』というのかな。
 PIXIVリクエスト第1弾はWILL様からの『
名札のピアスはどれいの証し』でしたが。第2弾も同じくWILL様からです。

 以下、リクエスト内容
========================================
*ストーリイのリクエスト
 →伯父の家に預けられた少年が、従姉妹の姉妹にマゾ豚として調教される
*時代設定のリクエスト
 →1980年代前後の日本
*シチュエーションのリクエスト
 →少女たちに肉体・精神を責められ、普通の少年がマゾへと堕ちていく
*キャラ設定
 →少年
  やや小柄な熱血サッカー少年。12歳。親の仕事の都合で、伯父の家に預けられる。
  体格に比例して小さめなちんちんとまだ毛が生えていないのが悩みのタネ
 →従姉妹(姉)
  14~15歳の清楚で大人びた美少女。両親にマゾとして調教されており、会員制の非合法地下SMショーに出演している
  サドにしてマゾ
 →従姉妹(妹)
  10~11歳の快活で生意気な美少女。姉同様にマゾとして調教されており、SMショーにも出演している
  やはりサドにしてマゾ
*人間関係のリクエスト
 →少年は従姉妹(姉)に淡い恋心を抱いている、従姉妹(姉)はそれが可愛くていじめてしまう
 →従姉妹(妹)は少年を慕って積極的にひっつくが、姉にデレデレしているのでついいじめてしまう
 →姉妹仲は良好
*特定の責めのリクエスト
 →全裸でベッドに拘束された少年が従姉妹たちから責められるうちに快楽に目覚め、「自分は変態なのか」と自問する
 →地下SMショーに出演する少年。姉妹の責めを受け、会員達の笑い声を聞きながら絶頂に達する

  可能であれば以下をお願いできますでしょうか
  →姉妹によって、深夜に全裸の四つん這いで散歩させられる少年。人影に怯えるうちに、縮こまっていたちんちんが勃起しているのに気づく
  →伯父に連れられ、地下SMショーを見る少年。清楚な姉が乱れ、生意気な妹が泣き叫ぶショーを見て、自分も責められたいと思ってしまう
========================================

 リクエストがあったのは第1弾納品直後でしたので、いったんは辞退しました。中断していた『昭和集団羞辱史:物売編(昼)』を仕上げ、短編『売姫三日晒し』と中編『性少年包弄記(怨辱編)』をものして。満を持してリクエストを(再発注してもらって)受注したのです。
 再発注だと、価格が20%アップします。WILL様、ごめんなさい。
 まあ――リクエストの内容を「可能であれば」まで満たすと、300枚くらいになると踏んでいます。
 上記の諸作品を執筆しながら、実はPLOTを練り込んでいました。「SMショーを見て」のシーケンスが、少年のマゾ堕ちに不可欠なものとなりました。



∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

女神様と王女様と、いとこの(下)僕


時代設定:1983年(キャプテン翼)

財産目当ての女ばかり。無償の愛は近親者だけ。
錦瑟会:資産家。全国。会合は東京。
    シロクロ、母娘、SM(を持ち込んだのは剛)。

1983年4月時点での年齢
佐渡学 (まなぶ) Feb.1947=36
 丸木商会(株)専務 ヨーロッパ拠点作りに、夫婦で長期滞在
  洋子(ようこ) Sep.1947=35
均   (ひとし) Dec.1970=12/ぼく、伯父さん→伯父様(ラストの章)
 小学校にはクラブが無いので、地元のサッカー少年団で活躍。
 中学のサッカー部には、少年団で知り合った他チームの者もいない。

佐渡剛 (つよし) Aug.1938=44/わし
 丸木商会(株)社長
  順子(よりこ) Jun.1948=35/わたくし
美竹  (みたけ) May 1968=14/わたし、パパ&ママ
美鈴  (みすず) Jul.1971=11/あたし、パパ&ママ

塩田好男 28歳。
 元大学サッカー選手。卒業後、最初の中学で3年。赴任して3年目。
 サッカー部は5年前に創設。転任時にサッカー部のある学校を希望。
 
背景
佐渡剛は、戦後に父が起こした丸木商会を引き継ぎ、強引な手法で総合商社へ成長させた。
彼の人生訓は「強きを援け弱きを挫く」。
彼を見込んだ取引先(石崎興産社長)の紹介で錦瑟会を知り、石崎の養女である順子(御手付き済み)を娶る。
剛のサディスト傾向が近親者に発揮されることとなった。
剛は二女を得た後、精子検査でY精子の欠如が判明。
娘に婿を取って継がせたい。どうせなら……甥の均を婿養子にして。
ツバナレしないうちは愛情たっぷり。手を上げない。羞恥心を植え付ける。
10歳からは、ニチジョウとアイジョウの峻別。
昼は貞淑、夜は娼婦。羞恥心は24時間。
クリトリス包皮切除
UVタトゥー(ブラックライトで浮き上がる)
乳首とクリは、第二次性徴後。
13歳までは、フェラ&アナルのみ。

佐渡学には、父亡き後、当時は小さな会社を切り盛りして学資を捻出してくれた兄への負い目がある。

========================================

伯父の家に:3月
 伯父が勧めた私学でなく公立。
 生活費も入れる父親の律儀さ/負い目
 私学にはサッカー部が無い。
 5年ぶりに訪れた。
 三階建ての豪邸。三階が子供部屋。
 階段から奥へ:美竹、美鈴。廊下を挟んで美鈴に向かい合って均。
 二階が生活空間。
 一階は、玄関、応接室、客間。
 裏庭に面する広い物置は施錠。窓も少ない。
 当日に美鈴と風呂。美鈴は姉も誘うが拒否。
 「5年前とは違う」←調教が始まる前。

従妹と入浴:3月(承前)
 @風呂
 チンコ見せて。手をひっぺがす。
 「ちっちゃ」
 無毛も言及。クラスの男子と同じくらい。
 勃起してない。女の子への侮辱。くぱぁ。
 しごく。さすがに勃起。
 「これくらいなら、挿入るかな?」
 たじたじ。洗わずに逃げ出す。

 入浴は、土日と火木の週4回。シャワー随時。
 週に一度は従妹と。たいていは姉妹二人。
 ペニスをオモチャにされる。デコピンも。


入部の儀式:4月下旬
 部活は野球部優先(火木土日)
 サッカー部は月水金。
 仮入部から正式に。塩田先生の鑑定。
 新入部員。下脱ぎ。ひとりだけ勃起。
 秘蔵ピンナップを壁に。駄目ならしごけ。
 一番小さくて無毛で仮性。
 オナニー。
 大きいが空砲→大器晩成
 それなりで実弾→即戦力
 均は……成長に期待


従姉の悪戯:5月
 夕方、リビング。
 美竹がホットパンツ、長袖裾結び。
 家族は褒める。セクシー。
 目の遣り場。
 「おっきくなってない。魅力無いの?」
 触れられて、ますます萎縮。
 思春期少年は、恋愛感情と性欲の不一致
 (聞きかじり)←バックデータを
 おとなしい従姉は女神様みたいに気高い。
 我がまま放題の従妹は、さながら王女様。
 伯母は微苦笑。伯父は鋭い目つき実は観察。
 その日の従妹との入浴で、からかわれる。
 以後、従姉は(自分が)露出でからかう。


ホモの監督:5月
 練習後に居残り。
 先輩連は意味ありげにニヤニヤ。
 知っているが、名コーチなので。
 「お前は、十分にレギュラーの実力。しかし、身体が小さいからスタミナ不足。特別に鍛えてやる」
 土曜日。校庭の片隅。
 タイヤ引き。負荷の分散。下脱ぎで鼠径部に縄。力むと脱肛するので、結び瘤アナル。縄で汚れるから、ブリーフ脱ぎでショーパン。
 部室でマッサージから。
 感づいても、されるがまま。イラマまで。


賞も罰も鞭:6月初旬
 リビング。全員。
 美竹の中間試験結果。
 目標偏差値 60 実績55
 主要5教科450 実績415
  罰は教鞭でメコ筋5発/尻35発
  下脱ぎ、裾結び。パイパン(初見)。
  悲鳴封じに自分でパンツを咥える。剛が褒める。
 あらためて、期末試験の目標。
 美鈴には、通知表の再確認。
 均はゲストだから、対象外。


アナル快感:6月中旬(期末試験前向き)
 まだ閉鎖されているプール。
 シャワー室で水浣腸。すぐトイレ。
 更衣室。リノリウムの床。
 バックで初体験。
 トコロテン感覚だが未射精。虚脱。
 いちゃいちゃされて、しんどい。


口封じの夜:7月
 期末試験を美竹クリア。
 夫婦は揃って東京で宿泊。
 色々と寝付けない。コーヒーのせいもあって、トイレ。
 ブラックライトの下で姉妹レズ。
 UVタトゥーの淫紋。姉はクリと乳首も。
 姉妹の部屋はつながっている。
 姉の余韻オナニーを覗いている間に、妹に回り込まれてしまった。均は逃げられない。
 「パパとママに言わないで」
 せっかく期末をクリアしたのに。
 あなたにも羞ずかしい秘密を持ってもらう。
 均をベッドに磔拘束。
 ふたりがかりの全身リップ。
 勃起しても小さい。豚の尻尾みたい。
 一転して、鞭。の方が、反応良好。
 「か弱い女の子に虐められて喜んでる」
 自分でも呆れて変態かと。
 ポラロイド。


夜のお散歩:7月
 1学期の成績。美鈴への罰。
 両親が不在。夫婦同伴のパーティー。
 美竹の鬱憤晴らし。美鈴もお目付け役(妹がやり過ぎないように)
 ビニールレザーのブラ&パンティ(局部ジッパー)、太腿までのピンヒールブーツ。
 夜の散歩に誘われる。
 全裸。玉袋の根本に子猫の首輪=玉輪。
 玉輪の鎖を引かれて庭へ。
 豚らしく四つん這い。
 腕も脚も折り曲げて縛られる。前傾。黒板消しの靴。


真夏の幻想:8月
 両親は多忙/均はサッカー部
 盆休み中は、菩提寺近くの別荘。夏冬に滞在。
 実は特別接待施設。
 着いてすぐ、女3人の着替え。
 姉妹はノーブラ透けTシャツ裾絞り&極小ホットパンツ。伯母は極薄チューブトップミニワンピ。
 本宅より広い風呂。家族全員が習慣。
 伯母もパイパン。焼き印ハートの中に Tuyosiのタトゥー。
 先に均と伯母がバスタブ。
 美竹が、いきなりツボ洗い。
 究極の愛情表現と、伯母。
 姉妹が父親に川の字泡踊り。
 均は伯母から泡踊り。錦瑟会のことも、匂わす。
 呆然。
 ベッドルーム。キングサイズダブル。
 姉がブリッジ、妹はワンワン。ウグイスの谷渡り。その横で騎乗位筆下ろし空砲。
 翌日は、地元の子供たちと川遊び。日焼け跡を考慮してスク水。
 風呂は夫婦の後で、3人。
 こんな関係だったら姉妹レズを隠さなくたって。
 子供だけの勝手な行為は禁止されている。
 夜の散歩も、内緒。
 5日間の滞在中、宿題に打ち込む。 
 日常に戻っても、父娘の真の関係がチラ見え。
 悶々と過ぎる日々。
 伯母は、何事も無かったかの如く。
 姉妹も、昼のちょっかいだけで、夜は疎遠。
 塩田先生とは数回。SMぽいことを婉曲にねだっても、たしなめられる。かえって欲求不満。


SMショー:9月
 東京都内。一流ホテルのレセプションルーム。
 紳士淑女(おおむね紳士)。
 タキシード、イブニングドレス。小学校の制服少女も。
 均もお仕着せのダブルスーツ。
 特に呼ばれた塩田は背広(まあ、礼装)で居心地悪そう。
 最初は母(41)娘(18,15)が父に奉仕。ノーマル。45分。
 人気のアイドル歌手。衣装は超セクシー。
 振り付けもエロエロ。
  アイラブユー、アイラブユー、惚れたの♪
 トリが、美竹&美鈴。
 決闘ショー。全裸。ブラックライトで淫紋。
 ハートの中は空白。将来、持ち主の名前。
 「どちらかに、君の名前を入れることもあるかな。両方でもいいぞ」
 首輪に後ろ手錠左だけ。右足はチェーンで連結。
 3点にガラス球。先端錘一本鞭で割る。
 全部割られたら負け。
 ガラス球は薄い強化ガラス。砕けても粒になる。中に高圧ガスと色素。
 わざと負けたり、戦意喪失したらペナルティ。
 ペナルティの紹介。
 鋸刃(鋭角の金属三角柱)になっている木馬。
 クリキャプとの間で通電。
 整形手術が必要になるほどの怪我をする。
 これまで、誰にも使ったことがない。杮落し。
 ブラックライトにタトゥを浮かび上がらせて、決闘開始。
 ちょっと当たったくらいでは割れない。
 切傷でなく痣だらけ。
 乳首2点を美鈴が連取。
 本気になった美竹の鞭。一撃で乳首2点。
 痛撃にうずくまる美鈴。
 アドバンスとして美竹にアナルビーズ+ガラス球。
 股間へも美竹の痛撃。
 負けた美鈴は鞭打ち。
  鞭を選ばされる。
  平鞭。細い革ベルトの三枚重ね。音は派手。これは50発。
  マネキンでデモンストレーション。二打目でブラウスのボタンが飛ぶ。
  棘笞。一撃でブラウスが千切れ、マネキンにも傷。これなら10発。
  平鞭を選ぶ。数え打ち。姉のアドバイスは封じられる。
  誘導されて、28でリセット。
  22で泣きわめく。ここで丁度50。
  これ(棘笞)なら数えなくていい。あと5発で赦す。
  承諾する。嬉しそう?
  悲鳴がすさまじいのでボールギャグ。
  実はトリック。棘がびっしりは半面だけ。裏面は(すこし)優しい。
  それでも深紅の傷跡から血が滴る。
 勝った美竹は、空中磔快感責め。
  目隠し、吸引低周波、ピストンマシン。
  逝き地獄。
  途中で、詰め物猿轡。
 2人とも静かになったところで本格ディナー。
 塩田に引導。
 均の希望を聞いて。
 「失望したよ。おまえにふさわしい舞台を用意してやる」


僕の初舞台:10月
 ここで、後継者の詳細
 後を継がせるのは諦めて、娘に婿を。
 夜の散歩スタイルで引き出される。黒板消しは無し。姉妹の衣装もグレードアップ。
 拘束を解いて、リム状の磔架に大の字。
 最初に美竹がペニスを弄ぶ。
 胸に妖しい感情が込み上げるのに勃起しない。
 美竹が怒り狂って。ペニス乱打。
 玉袋の根本を縛ってから金的。玉が釣り上がらず悶絶。
 美鈴にチェンジ。
 ペンチで弄ばれて勃起。
 「皮をちょん切っちゃおうか」
 尿道に金属パイプ。
 磔台を裏返して、尻と背中を二人で。玉打ちも。
 中空アナルプラグで浣腸。
 尿道パイプはビニール管で口へ。
 排泄は大小同時。飲ニョ。
 美鈴がイボ軍手で手コキ。空砲。
 上下逆転。アナルから前立腺。
 ついに精通。セルフ顔射。
 いつもより激しい虚脱。
 「本格的な責めは、これからよ」
 いろんな責め具が手押しワゴンで登場。

     -END-
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞

 実は、4/1&4/2が連休だったので、エイプリルフール・スタートしています。
 『売姫三日晒し』の発売告知があったので、この記事は今日まで寝かせていました。


 4月中に脱稿して校訂して表紙絵まで丁稚揚げれば、2022年目標年間3600枚ペースを維持できますが。さて?
 まあ、頭の中では、この作品は出来ていて、表紙絵に悩んでいるところです。
 C3とS6の姉妹が背伸びしたボンデージルックで、C1の少年を従えている――そんな都合の良い画像は有馬温泉。少年は割愛して、姉妹(疑似)の画像とか……いっそ、こんなのをブッ込んでしまえとか?


SM(japan)ツルマンコスプレデビルウーマン

 あ、タイトルもちょっとパープルじゃなくてシアン中です。というのも『お嬢様の僕』というコミックがありました。「しもべ」です。『(下)僕』が、野暮ったく思えてきました。どうするかは、校了までに考えておきます。


DLsiteアフィリエイト キーワードは「姉妹、SM」です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:性少年包弄記(怨辱編)

 まるまる後書きを掲載して、お茶を濁しときます。
/20171127060624e25

 ううううううううむうう。
 今回は『悦辱編』以上の尻切れトンボになってしまいました。
 7.をもうすこしエピソードで膨らませて、8.で腰を据えて戸坂先生と薫とのアレコレを書き込めば――バランスが良くなったはずですが。詳細シノプシスになっちゃいました。
 まあ、読者としても。物語の結構とかテーマを求めているのではなく、ひたすら責めシーンを求めているはずです。ていうか、そういう嗜好の読者を対象にしています。ので、前半でそれなりに楽しんでいただけたかと思います。
 で。極太(ふと、の究極形)思ったのですが。
 現在の執筆体勢がよろしくないのではと。今回で言えば。
 執筆開始時には、次作『女神様と王女様と、いとこの(下)僕』のPLOTを練り込み中でした。すでにほぼ完成して4千文字以上になっています。さらに、突発的に思いついた(計画的に思いつく、なんて言葉は存在しませんけど)『濡墨を着せられた箱入娘』も大筋を考えていたり。すでに25の小見出しまで出来てます。ついでにぶっちゃけると、『A6(An Amateur Assasine Arrested And Assaulted)』も即執筆可能状態で『男正社員(おとこ・せいしゃいん)』も骨組みまで完成(エピソード不足)。
 つまり、目線が先へ先へと進んで手元がお留守になるんですね。
 月に何本も連載を抱えている売れっ子作家じゃあるまいし。
 とはいえ。好きなものを好きなように書くというポリシーでは、やはり鬱勃たるロゴスにパトスに蓄音機を衣冠束帯しがたいわけです。
 それに、アルバイトでジェダイの騎士をしているのもよろしくない。実はよろしくあるけれど図面ミスで何百万もの損害を出すこともないし。ぼけら~(度が過ぎると、車がぶつかったりする)と突っ立ってて、スマホもいじれないとなると、脳内創作活動しかできないわけです。書けずに練ってばかりです。
 しかし、まあ。ここはひとつもふたつも我慢して。次作を書くときは、それ以上先のことは敢えて考えないように……出来るかな? 努力してみましょう。

 この作品のリリースは5月1日(予定)ですが、その後にPIXIVリクエスト作品(募集要項100枚以上で、おそらく出来高300枚)を控えています。これは、少なくとも今年いっぱいはリクエストしていただいた発注者に独占してもらって、一般公開は来年になります。
 したがって、次作『濡墨を着せられた箱入娘』のリリースは、早くても7月でしょう。突如として別物を書くかもしれませんが。

追伸
 対象読者を男女に分けているサイトでは『悦辱編』を腐女子向けとしましたので、今回もそちらのジャンルで登録します。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:性少年包弄記(怨辱編)

 着々と執筆中。ということにしておきます。反省点などは、次回に。
 しかし。「悦辱編」はDサイトで腐女子向けBLとして登録しましたが。今回は、どうでしょうか。ヒロイン(少年)が責められるシーンはSMではなく、ただの虐待です。そういう趣旨で書いたのですから当然ですが。


========================================
6.恐怖の総括反省会

 3日目になると、だんだん要領も分かってきた。
 ビンタや得物(竹刀とか折れたオール)での尻たたきが日常茶飯になっているこの世界では、自分の考えなんか持たないで、教官の命令にも先輩の指図にも「ハイッ」と従っていれば、そんなに痛い目には合わずに済む。教官の命令と先輩の指図とが相反したときは、告げ口なんかせずに、先輩から気合を入れてもらうか仕付けてもらうしかない。
 とくに僕は、翔子さんと共に教官から目の敵にされているから、生き延びることを第一目標にするくらいの心構えでいなければならないと、自分に言い聞かせた。
 だけど、僕と翔子さんよりももっと虐められている生徒がいた。それが分かったのは、4日目。日曜日の総括反省会のときだった。
 総括反省会では、生徒が自己申告するのではなく、エンマ帳を基にして(たぶん、気まぐれや主観も交えて)小塚校長が、1週間の成績を言い渡す。
 男子は2名、女子は1名の成績上位者は、成績下位者の食事を半分徴発する権利を与えられる。男女とも最下位者は、フンドシをさらして1週間を過ごさなければならない。これだけでも人権無視の虐待だけど、食事や服装より、もっとひどい処遇が待っている――というのを、総括反省会のときに知った。

 男女に分かれて正座している21人の生徒と、後ろに2人と左右に1人ずつたっている教官。全員がそろって5分ほどしてから、校長と下村教官が教室に入ってきた。
 校長は、校舎の横に建てられたプレハブに住んでいる。プレハブの屋根にはテレビのアンテナも立っている。電話も、ここにしかない。そして、一室が下村教官に割り当てられている。その一室に、男性教官のと同じベッドが置かれているのか、別の部屋にダブルベッドがあるのかは、教官も含めて誰も知らない。
 ふたりは並んでぼくたちの前に立って。小塚校長がわざとらしくせき払いをしてから、『判決』を言い渡す。
「薫は3日分だけでも、他の誰よりも減点が多いし加点はゼロだから最下位確定だが、初回なので特別に番外としてやる」
 女子6人の顔が険しくなった。そしてなぜか、男子の大半がうれしそうにしている。
「しかし、無罪放免ではないぞ。おまえは毎晩、自主練習を女子に手伝ってもらっているのに、なんの返礼もしておらんな」
 自主練習というのは、腹筋運動と腕立て伏せのことだろう。手伝ってもらうどころか、オモチャにされて虐めらている。でも、腹筋は100回を50回、腕立て伏せは100枚を10回にまけてもらっているから、やっぱりお礼はしないと駄目なのかな。
「はいっ。忘れていました。これまでの分も含めて、ちゃんとお礼をします」
「どうやって返礼するつもりだ。『男の子のお願い』など認めんぞ」
 男女双方から忍び笑いが漏れた。
「はいっ。女子みんなと相談します」
「つまり、女の言いなりになるということか?」
 一本道の追及が、わだかまった感じを受けた。でも、何も答えないのがいちばん印象を悪くする。
「はい。言いなりではありませんが、できるだけ希望に沿えるように努力します」
「せいぜい女の機嫌を取っておいて、ここぞという場面ではガツンと決める。それが男だ。おまえも、すこしは男らしくなってきたかな」
「はいっ。ありがとうございます」
 なんだか、台風の進路がそれたような気分――になるのは、早すぎた。
「それに免じて、罰直は軽いものにしてやる。昼飯抜きと、午後から鉄棒懸垂1時間だ」
「はいっ、ありがとうございます」
 1時間連続で懸垂はできないから、竹刀でたたかれたりはするだろうけど、運動部のシゴキと比べても、そんなに無茶苦茶じゃないと思う。
「薫が番外となると――最下位は、僅差で寿美香だ」
 男子が、またざわめいた。今度のざわめきは陽気な感じ。
「友美は5位だ。せっかく最下位を免れたのだから、気を抜かずに精進しろ」
「はい、ありがとうございます」
 寿美香さんは、うつむいて床をにらみつけている。
「成績最上位は、京子と綾子の争いになったが、綾子の返り咲きだ」
「ありがとうございます」
 小塚校長が、エンマ帳をめくった。
「男子の成績最下位は、情状酌量の余地無く翔子だ」
 翔子さんも無言。
「先々週もその前も最下位だったな。パイパンくらいでは済まされんぞ。追加の罰として、来週はフンドシの着用も認めない」
「待ってください」
 声をあげたのは、翔子さんではなく拓馬さんだった。
「そんなルールは、無かったはずです」
「あたりまえだ。たった今、決めた」
「それは、おかしいです。後で決めた罰を前の罪に適用するのは、不遡及の原則に反しています」
「なにい……!」
 校長の目が釣り上がった。
「小賢しい理屈を言うな。東京裁判を見ろ。ジャンケン後出しのごとき『平和に対する罪』だの『人道に対する罪』だので、何人もが死刑にされて、それを独立後の日本も受け容れているではないか」
「それは違います。国際法上の明文規定はありませんでしたが、概念としては……」
「黙れ。きさまのようなアカが日本を亡ぼすのだ。ホモやレズより、よほど始末が悪い」
「僕は共産主義者じゃありません。むしろ、保守本流に近いと自分では……」
「親の金を何百万も盗んだやつが、したり顔をするんじゃない。国に逆らうやつ、ここでワシに逆らうやつは、みなアカだ」
 難しい論争だけど、拓馬さんの正論を校長が『力』でねじ伏せようとしているとしか聞こえない。だけど、拓馬さんて親の金を盗むような人だったのか。
 もうひとつ、疑問があった。拓馬さんは、僕がフンドシを取り上げられたときも、その場にいた。でも、不遡及とかの指摘はしなかった。僕が新入生で面識がなかったからだとしたら、この人の正義感も薄っぺらい。それとも、拓馬さんにとって翔子さんは特別な存在なのかな。それならなっとくするしかないけど。
 そんなことをちらっと考えているうちにも。
「きさまの根性を、今度こそたたき直してやる。厳重反省を命じる」
 校長が議論をぶった切って『判決』を言い渡した。ぎくっと凍りついたのは、生徒ではなくて教官たちだった。
「校長。季節が季節ですから……」
「今夜は冷え込むと、天気予報が言っています」
「だからこそ、厳重な反省が意味を持つ」
 校長は教官たちの反対意見に取り合わない。
「いや、こいつには真冬の厳重反省でも生ぬるいくらいです」
 山口教官だけが、校長に賛意を示した。
「自分も厳重反省のおかげで、ひと晩で生まれ変われました」
 この人も、かつてはスクールの生徒だったんだと、初めて知った。生まれ変わってこんな人間になるのなら、僕は『矯正』なんかされたくない。
 山口教官の賛成もあったし、そもそもスクールの運営は多数決ではなく『力が正義』で『目上が正義』だった。どんな罰かは知らないけれど、拓馬さんは厳重反省に決まりかけて……
「鈴永さんは、私をかばおうとして言い過ぎただけです。赦してあげてください」
 翔子さんが手を挙げて、名指しする前に立ち上がって発言した。
 校長が奇妙な目つきで翔子さんを見つめた。
「おまえが男をかばうとはな。すこしは女の自覚が芽生えたか。それとも、拓馬に感化されてアカに染まったか」
 アカというのは共産主義のことだけど。戦時中は国策に反する人間は主義主張に関係なくアカ呼ばわりされて、特高警察に捕まって拷問されていたと聞いたことがある。
 翔子さんを見つめる校長の目に、残酷な色が浮かんだ。サディストたちの目を見てきた僕だけにしか分からない色だと思う。だけど、その色が絶対零度の冷たさを伴なっている。サディストたちの残酷の色は、炎が吹き出すほどに熱いのだけれど。
「よかろう。おまえにも厳重反省をさせてやる」
「校長。深夜の気温は氷点下に達します。せめて、昼間にしてやるべきだと思います」
 林副校長は、気温ばかりを気にしている。
「ふたり抱き合わせで処罰してやれば、互いの肌で温め合う。それで翔子が女に目覚めれば、一石二鳥だ」
 林副校長も、それ以上の反対はしなかった。
「ふたりへの処罰は、規則通り午後6時から始める。本題に戻るぞ」
 校長が、男子の成績上位者2名を発表した。柴野淳一さんと河野寛太くんだった。男子は下位者が拓馬さんと翔子さんでほぼ固定していて、上位者は毎週入れ替わっているらしい。
「これで、今週の講評を終える。打ち上げの準備にかかれ」
 拓馬さんと翔子さんは全裸にされて、教壇に並んで膝の裏に竹刀を挟んで開脚正座をさせられた。動けなくするために、右手首と左足首、左手首と右足首に手錠を掛けられた。股間までさらし物にされる恥辱と。このままひと晩放置されるのだとしたら、外気温が氷点下になるというから、けっこう厳しい罰だ。
 僕がふたりに気を取られているうちに、教室の隅に重ねられていたマットが引き出された。寿美香さんが全裸になって、マットの上であお向けになった。男子の成績上位者2人(と、拓馬さんと翔子さん)を除く生徒全員が、寿美香さんを囲んで三角座り。並び順はいつもと違って、男子の間に女子がひとりずつ配置された。僕の両側は男子だから、やっぱり僕は女子扱い。
「よし、淳一からかかれ」
 輪の外にいた淳一さんも全裸になった。みんなに見られていても、ペニスは完全に勃起している。
「お久しぶり、寿美香の姉御」
「うざい。やること、とっととやりなさいよ」
「こら。いくら元売春婦とはいえ、もすこしは羞じらう風情を見せなさい」
 下村教官の言葉に驚いてたら、寿美香さんの返事に二度びっくりした。
「売春じゃないです。愛人です。契約した人としか、セックスはしないです」
「同じことよ。世間様に威張れることじゃないでしょ」
「あんたなんか、うちのクラブじゃ不採用なんだから」
「なんですって……」
「まあまあ。まともな結婚を諦めた娘には、これもひとつの生き方でしょうから。日陰の花も、また可愛いからずや、です」
 林副校長が取りなした(の、かな?)。
 下村教官がそっぽを向いて。マットの上では、とっととやることが始まった。
 あお向けに寝ている寿美香さんの右側に淳一さんがひざまずいて、両手で乳房をもむ。もぎゅもぎゅとこねくっていると表現したほうが、実態に近い。マゾ女性なら、苦痛を訴えて嫌がりながら悦ぶだろうけど、ノーマル(これまでの印象だと、寿美香さんはサド寄りに思う)な女性には、どうかな。乳首もお義理に転がして、右手はすぐに股間へ向かった。
 中指を折り曲げて、淫裂をうがつ。最初は浅く、指先で円を描きながら、徐々に深く挿入していく。乾いている泉を強引に掘り進んでいるような印象を受けた。
 淳一さんが指を抜くと、寿美香さんが脚を開いて膝を立てた。男を受け挿れる体勢だけど。ほんとに準備できてるのかなと、僕が心配することじゃないけど。
 女の人は、寿美香さんよりずっと年上(だと思う)のアヤネさんしか知らないけど。アヤネさんがオチンポ様を受け挿れるときのとろけた顔と違って、寿美香さんは醒め切っている。
 淳一さんは、そんなことまで考えていないんだろう。小袋を千切ってコンドームを取り出して、あたふたと装着して。寿美香さんに、のしかかった。
 寿美香さんが醒めた表情のまま、ちょっと腰をひねって、ペニスの挿入を助けた。とっとと済まそうって魂胆が見え見えの仕種だった。
 淳一さんも、がつがつと腰を振って――掛け時計の秒針が3周しないうちに終わってしまった。セックスを愉しむとか女を責めるとかじゃなくて、ひたすら一直線に射精するだけの行為だった。オナニーだって、逝く寸前で我慢して快感を長引かせるとか工夫するんだから、オナニー以下だ。
 教官や仲間に見物されて羞ずかしいから急いだのかな。まさか、セックスの目的は子作りなのだから、快楽を求めるのは不道徳だなんて考えてるわけじゃないだろう。それなら、コンドームなんか使わないはずだ。
 小塚校長は打ち上げとか言ってたし、男子の成績上位者と女子のビリとの組み合わせだから、ご褒美と罰の意味合いもあるんだろう。とすると、淳一さんは御馳走をガツガツ貪ったようなものかな。
 そんな疑問を考えているうちに、寛太くんが寿美香さんに挿入した。コンドームを使うと、挿入される側の後始末を省けるから、効率的だよね。でも、僕が映画館で何人も相手をさせられたのと違って、たったふたり。10年前の交通標語じゃないけど。「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く」だよ。
 連れて来られた日にあった、翔子さんへの『特別補習』で誰もズボンの前を膨らませていなかったのを思い出して、みんなの様子を観察してみると。たしかに、教官たちは平然としている。きっと、六尺フンドシの下でも勃起していない。でも、男子生徒のほうは。さり気なく股間を押さえてたり、正座している脚をもぞもずと揺すったり。こっちのほうが正常な反応だと思う。
 ちなみに(翔子さんを除く)女子は。羞ずかしそうにうつむいているのは由紀恵さんと百合さんだけで。あとの3人は、真剣かつ熱心に見学してた。友美さんは、男子以上にお尻をもじもじしてた。
 僕がそんなことを考えているあいだに、寛太くんは――終わったりしなかった。正常位でいきなり挿入して、浜辺で翔子さんを犯したときと同じくらいに激しく荒腰を使ったけれど、30秒ほどでひと休みした。身体を起こして、両手で乳房をもみ始めた。淳一さんと同じように、女性に快感を与えることなんか考えないで、わしづかみにしてこねくっている。
 痛いに決まってるけど、寿美香さんは天井を見上げて無表情。愛人契約とか言ってたから、女は男の欲望のはけ口だと割り切っているんだろうか。
 寛太くんは30秒から1分くらい荒腰を使って、射精しそうになるとひと休みして乳房を虐める。ワンパターンの繰り返しを何度か続けて、自分なりに満足したんだろう。始めてから7分ちょっとで射精した。
 これで、総括反省会は終わりになった。

 昼食時間は、食堂にしている教室で教壇に上がって正座。みんながおいしそうに(実際にはかなり不味いけど、空腹は最高の調味料だ)食べているのを見せつけられるのは、匂いまで漂ってくるから、ちょっとつらかった。
 食事が終ると、僕への罰直。全員が校庭に出て、処罰を見学させられる。
 廃校でも、鉄棒やブランコやウンテイは、そんなにさび付いていない。この3日間では誰も使っていなかったけれど……もしかして、罰直用の責め具になっているのかなと、不吉な想像をしてしまった。不吉な想像は、だいたい当たってしまうんだよな。
 またしても、ワンピースを脱がされた。つまり全裸。
 鉄棒の下に立つと、投げ縄みたいにした輪を首に巻かれた。その縄が鉄棒に掛けられて。
「懸垂、始め。身体を引き上げて、そこで保持しろ」
 首に掛けられた縄の端が引っ張られて、浅いU字形を描いた。そこで、縄が鉄棒に巻きつけられた。
「1時間、懸垂を続けろ。死にたくなったら、腕を伸ばしてもいいぞ」
 縛り首だ。ほんとうに死んじゃう。
 解散の号令が掛かって、全員が三々五々散っていった。教官も、誰ひとり監視に残ってくれなかった。
 首を吊ると、窒息死する前に頸動脈の血流が途絶えて脳死する。速やかに苦痛無く死ぬから、絞首刑は残虐な刑罰には当たらないって判決が最高裁で出されたというのを新聞で読んだ記憶がある。
 速やかにというのが、大問題だ。もし僕が鉄棒から手を放したら――すぐに誰かが気づいて救けに駆けつけてくれても間に合わないかもしれない。1時間も腕を曲げて体重を支えていられるとは思えない。こんな所で、こんな惨めな姿で、僕は死ななければならないんだろうか。
 悲しみよりも怒りが込み上げてきた。小塚をはじめとする教官ども、僕の『処刑』を黙って見物していた生徒たち――僕をこんな所へ放り込んだパパ。僕が死んだら怨霊になって、みんな呪い殺してやる。
 なんて、信じてもいない死後の世界のことを考えてもしょうがない。死んでたまるもんか。1時間、耐えきってやる!
 ……………………
 ………………
 …………
 ……
 校舎の掛け時計は、午後1時35分。懸垂を始めて、やっと15分。腕がしびれてきた。自然と腕が伸びて――首吊りの縄がぴんと張って、投げ縄の結び目が喉に食い込んでくる。息が苦しい。けれど、意識はしっかりしている。
 頸動脈が圧迫される前に、結び目で喉をつぶして窒息するように仕組まれてる。ということは……首吊り状態になるのを見届けてから救けに来てくれて、それで間に合うのかもしれない。もちろん、命を張って実験するつもりはない。でも……。
 最後の力を振り絞って身体を引き上げて、大急ぎで深呼吸を繰り返してから。腕の力を緩めてみた。だんだん喉が圧迫されて。縄が体重の一部を支えてくれるから、腕が楽になった。そうやって腕を休めておいて……目の前が暗くなってきたので、渾身の力で身体を引き上げる。すうっと視界が明るくなった。
 また深呼吸を繰り返して、腕の力を緩めていって。窒息死する前に身体を引き上げる。
 命がけの綱渡りだけど、すこしだけ希望が見えてきた。
 ……………………
 ………………
 …………
 ……
 それでも、20分が限度だった。視界が暗くなって、午後1時55分を指している掛け時計だけがぼんやり見えるだけになった。腕に力を入れているつもりだけど、喉元に食い込む結び目の圧迫がすこしも緩まない。息が出来ない……
 がくんと、背中を重たい衝撃が貫いた。
「ふうっ……」
 息が出来た。と同時に、視界が徐々に明るくなってきた。
 ばしんばしんとビンタを張られた。痛い。けれど、生きているから痛みを感じる。
「わずか1時間の懸垂も出来んのか。毎晩の腕立て伏せをごまかすから、こういうことになる。今夜からは、ちゃんと100回やっておけ」
「……はい。ちゃんとやります」
 まだ意識がぼんやりしてるのに、条件反射で返事をしてしまった。わずか3日で、ずいぶんと染まってしまった。
 そして、これも染まった結果だろうか。教官への怒りが薄れて、救けていただいたという感謝の気持ちすら芽生えている。SMプレイでどんな無茶をされても、実際には安全を確保してくれているという信頼にも、ちょっと似ていた。
 懸垂をしていた時間は40分にも満たなかったけれど、残りをやれとは言われなかった。これもうれしかった。感謝した。次はクリアしてみせるなんて、ちょびっとだけど思ったりして。僕って、意外と簡単に『矯正』されてしまうのかな。
 というのは、命を拾った(というのが実感)直後の気迷いにしか過ぎなかった。
 午後5時から始まった『厳重反省』で、僕はここの恐ろしさを再認識させられた。

 竹刀正座で足がしびれてるふたりは、拓馬さんが山口教官と川上教官、翔子さんは男子生徒の高草壮太さんと元田肇さんに両脇を抱えられて、校庭の真ん中に引きずり出された。
 体が密着するほど接近して向かい合わせ。僕たちは男女が入り混じった並び順でふたりを囲んだ。
「せっかく翔子が女に目覚めかけていることでもありますし、番(つが)わせてやっては如何でしょうか」
「それはいい。身体の内側からも暖めてやれますな」
 大田原教官の提案に林副校長が賛成して、小塚校長もうなずいた。
「拓馬。その姿勢で翔子とセックスをしろ」
 この施設、完全に狂っている。そんな命令をする教官も、平然と見学している生徒たちも。
「出来ません」
 きっぱりと拓馬さんが断わった。その意志を表わして、ペニスは(表現としては矛盾しているけど)力強くうなだれている。だけど、本人の意志なんか無視されるのが、このスクール。
 百合さんが名指しされて、ふたりの横にしゃがみ込んだ。
「ごめんなさい」
 小さい声で拓馬さんに謝ってから、両手を使ってペニスをしごき始めた。なかなか勃起しない。百合さんの後ろで、小塚校長が竹刀をぱしんぱしんと手の平に打ちつけた。びくっと身をすくめて――百合さんはフェラチオを始めた。
「くそ……翔子さん、ごめん。百合さんまで罰を受けさせたくない」
 百合さんのフェラテクは拙かったけれど、拓馬さんの意志がくじけたんだろう。挿入可能なまで怒張した。でも拓馬さんは、垂らした両手を握りしめて突っ立ったまま。
 翔子さんは両手で股間を隠して、やっぱり無言の拒絶。
「壮太、肇。拓馬を押さえておけ。山口教官と川上教官は、翔子を手伝ってやりなさい」
 拓馬さんはふたりに両側から肩と腰をつかまれて、身動きできなくされた。
 翔子さんは校庭へ引きずり出されたときと同じ形で、30センチほど持ち上げられた。
 下村教官がペニスを握って角度を調節したところへ、翔子さんが下ろされていった。たぶん翔子さんは乾いていただろうけど、唾でぬらされたペニスは、簡単に翔子さんを貫いた。a
「しまった。コンドームを忘れていました」
「そのままで構わん。妊娠すれば、翔子も母性に目覚めるだろう」
 小塚校長がとんでもなくないことを言うのを、僕は聞いた覚えがない。こんな虐待を繰り返して、これまで訴えられたことがないんだろうか。それとも、この虐待を当然の仕付けと思うようになるまで、僕たちは『矯正』されていくんだろうか。
 拓馬さんと翔子さんは、立位でセックスしたまま、互いに抱き合う形にされて、縄でぐるぐる巻きにされてしまった。拓馬さんのほうが背が高いので、足を開かせて性器の高さを合わせている。その足の間にも縄を通して、ふたりの腰も縛り合わされた。
「これでは、水を掛けられても結合したままですね」
 犬の交尾じゃあるまいし。
「試してみよう。薫、裏から水をくんでこい。バケツに2杯だ」
 突然に言いつけられて。寒空に全裸で立たされているだけでも、厳しい責めなのに。水を掛けられたら凍え死ぬんじゃないかと――それでも、とぼとぼと裏庭へ向かった。
「チンタラするな。駆け足!」
 しかりつけられて、駆け出す。物置小屋からバケツを取り出して、貯水槽から水をくんだ。天びん棒を使おうかと思ったけど、それでふたりが殴られたら可哀そうだから、両手に30リットルずつ持って運んだ。
「よし、では試してみよう」
 横幅だけでなく背丈もプロレスラー並みの山口教官が、ふたりの頭上からバケツの水を浴びせた。
 ふたりとも目を固くつむり歯を食い縛って、無言で耐えた。
 もうひとつのバケツは、ふたりの足元に置かれた。乾いてから、また掛けるんだろう。
「よし。明日の朝まで、たっぷりと反省しろ。反省できなければ、死んでも構わんぞ。アカもレズも、社会の害毒だ。おまえらが居なくなれば、それだけ日本が良くなるというものだ」
 まさか、ほんとうに殺したりはしないと――僕は、まだ甘っちょろいことを考えていた。
 それよりも、僕はふたりが生理的欲求をどうするのだろうと、そちらが気にかかっていた。こんなに寒ければ、とても朝まで我慢できない。拓馬さんは引っかけられるだけで済むけど、翔子さんは膣内にされることになる。
 ものすごい屈辱だろうけど、全裸に水を浴びせられて真冬の屋外に放置されることに比べれば、たいしたことじゃない――と思うのは、僕が戸坂先生のオチンポ様から直飲みをした経験があるからだろうか。もちろん、僕のSMプレイでの経験と、ここで行なわれていることは……似ている部分もあるけど、本質的にはまったく別物だ。どこが違うのかうまく説明できないけど、直感で確信している。
========================================

怨辱FC2

 さて。現在の(フルタイム)勤務シフトは変則週休2日というか、月休8日。来月からは月休10日ですが。
 25日は休日なので、この日に脱稿するでしょう。もしかしたら(現在のシフトだと勤務中も1時間半くらい、こっそり書けるので)少し早まるかもです。
 で、校訂とかアレコレして、3月末までに各サイトに登録申請のスケジュール。
 気分転換に『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』を少し進めて。
 それからPIXIVリクエストに取り掛かるとしましょう。


 DLsiteアフィリエイトは「乙女向け:キーワード「少年」「虐待」です。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:性少年包弄記(怨辱編)

来訪者様4万人到達です。カウンター設置後4年3か月目にして、ようやくです。
昨日は10数年ぶりに紙飛行機MAXを記録しましたし。
縁起が良い。ということにしておきます。


さてさて。執筆のほうは、130枚ほどです。章立てでは、全11章(また増えました)のうち、3章が終わったところです。拉致された1日が終わって、明日からはSM的だがSMでないシゴキとイジメの日々が始まります。



========================================
1.不適合者の矯正所

手錠拉致  戸坂先生がスキャンダル新聞で僕との関係を暴かれそうになって、僕をかばって――というより、政治家の父親を巻き込まないためで、僕は付け足しだろうとひがんじゃうけど。とにかく、辞職してしまって。マゾに調教されちゃった僕は被虐願望を抑えきれなくて、見つかったら言い訳できないような服装でハッテンバをうろついて。うまく男の人をキャッチできたところを、巡回中の刑事さんだか補導員だかに捕まって。学校に通報されて親にも連絡されて。警察はお説教だけで済んだけど、パパは大激怒。自主謹慎を申し渡されてしまった、学校でもあれこれウワサになってるんだろうけど、クラスメートは誰も会いに来てくれないから、分からない。
 家の中でだって、自分の部屋から出るのは食事とトイレとお風呂のときだけ。テレビも平日にひとりで観るのは禁止で、夕食の後に1時間だけ。他の子が学校へ行ってるあいだは、自習と自習と自習。自主謹慎てよりも、座敷ろうだよ。
 座敷ろうの中でクリスマスを(イベント無しで)過ごして、1984年のお正月も無しで。座敷ろうの外では3学期が始まった。
 そんなある日の朝。僕の部屋にいきなり、知らない人が2人訪れた。小柄な小父さんと、プロレスラーみたいにでかいお兄さん。後ろにはパパもいる。
「畑山薫クンだね。きみはこれから親元を離れて、全寮制のスクールで暮らすことになった。私たちと一緒に来なさい」
「息子をよろしくお願いします」
 パパが、小柄な小父さんに頭を下げている。当事者の僕には何の相談もなく、転校を決めたんだ。たぶん、僕には文句を言う権利もないんだろうけど。でも、いちおうは言っとかなきゃ。
「そんなの、聞いていません。ちゃんと説明してください」
「来れば分かる」
 プロレスラーみたいなお兄さんが僕の腕をつかんで、椅子から(立ち上がらせたってよりも)ぶっこ抜いた。
 そんなことをされたら「はい、行きます」なんて言えない。
「イヤです。ちゃんと説明してください。それに、行くとしても支度をしなくちゃならないし」
 お兄さんが問答無用で僕の腕を背中にねじ上げた。
 カチャ……聞き慣れた音と、知り尽くしてる金属の冷たい感触。手錠を掛けられた。
 先生やサディストの人たちに手錠を掛けられたら、胸がきゅうんと切なくなって、粗チンも硬くなってくるんだけど、もちろん今は、そんなふうにはならない。
 なにかとんでもないことをされるんじゃないかって不安だけ。
「やめてください! こんなことしなくたって、きちんと説明してもらって納得したら、言うことをききます」
 小柄な小父さんがボールギャグを取り出した。
 僕は口を固く閉じて、そっぽを向いた。
「これが何か、分かっているようですな。それだけ、変態に染まっているということです。矯正はなかなかに手間取りそうですな」
 小父さんがパパに向かって、僕のことをボロクソに言う。そして、ボールギャグを僕の口に突きつける。
 僕はさらに顔をそむけたのだけど。
 ぼふっ……プロレスラーにお腹を殴られた。
「あう……」
 半開きにした口にボールギャグを押し込まれた。バンドがほっぺたをくびる。
「あの……手荒なことは……」
「息子さんの教育については一任していただいたはずです。口出しなさるなら、御引き受けできませんよ」
 パパは黙り込んじゃった。
 口をマスクでおおわれた。覆面じゃなくて、風邪引きとかで着けるやつ。
「おとなしくしていれば、手荒なことはしない。ついて来なさい」
 もうじゅうぶんに手荒なことをされてるし、ついて行くもなにも、二の腕をさらにねじ上げられて、引っ立てられた。裸足のまま玄関から引きずり出されて、運転席以外の窓は真っ黒なフィルムで隠されたバンの荷物室へ押し込まれた。
 パパは玄関口に立って、僕がされることを眺めていただけ。声も掛けてくれなかった。でも、見送りに来てくれただけましなのかな。後妻さんは、ずっと姿を現わさなかった。
 車が走り始めて10分も経ったかな。やっと、いろんなことを考えられるだけ、動転が治まってきた。
 全寮制のスクールとか言ってたけど、これまでの様子だと、私設の刑務所みたいなところじゃないだろうか。パパとしても、ホモ(自分では違うと思ってるけど)でマゾの息子がいるなんて世間体が悪い。それに、後妻さんとのあいだに出来た子供がいれば、僕なんかいなくても平気なんだろう。
 だけど、スクールに閉じ込められて……出してもらえるんだろうか。そんな不安まで湧いてくる。
 まるきり事情が分かってないんだから、あれこれ考えても無駄なんだけど。サディストさんたちに調教部屋へ連れ込まれるのとは、次元が違う。あれは――エッチなことやSMをされるんだって分かってる。どんなひどいことをされても、大怪我は(たぶん)しないし、最後は家に帰れるって分かってる。けど、今は……まさか、殺されたりはしないだろうけど。
 車は高速道路を何時間も走って、僕が車から降ろされたときには、お昼に近かったんじゃないかな。でも、そこが目的地じゃなかった。
 潮の香りがした。のも当然で、そこは小さな漁港だった。また二の腕をつかまれて、波止場へ引きずって行かれる。
「んんんんん……」
 僕は身体を揺すって、言いたいことがあると訴えた。
「なんだ、小便か?」
 僕はコクコクとうなずいた。
「もうちょっと我慢しろ。船に乗ったら、させてやる」
 しゃべるのは小父さんだけで、プロレスラーのお兄さんは、ずっと無口。なことは、どうでもいい。船に乗るってことは、僕を魚の餌にするんじゃないとしたら、全寮制のスクールというのは、どこかの島にある。ますます脱走不可能な刑務所を連想してしまう。
 ぼろっちいコートを肩に掛けられて、後ろ手錠を隠した姿で歩かされた。ボールギャグもマスクで隠されている。他人に見られるとまずいってことだ。隙を見て逃げ出せば……それから、どうすればいいんだろ。世間向けの言い訳なんか、オトナはちゃんと考えている。だから、公園の砂場にペニスを突っ込んで腕立て伏せをしてるとこをお巡りさんに見つかっても、戸坂先生は平然と応対してた。
 もしも、この人たちの言うことより僕の言葉を信じてくれる人がいたとしても、警察に連絡してくれて……家へ連れ戻されるだけじゃないだろうか。そしたら、またこの人たちがやって来る。今度は、後ろ手錠よりもずっと厳しく拘束されて(もしかしたら箱詰めとか)連れて行かれるだけだ。
 そんなことを考えているうちに、波止場の隅っこに泊まっている小さな漁船に乗せられた。漁船は、おじいさんがひとりで動かしてるぽい。
 小さな漁船には操船室だけで、客室なんて無いので、船の後ろに座らされてた。
 港を出たら、立たされた。風で飛ぶといけないからだろうか、コートをはぎ取られた。
「小便がしたかったんだな?」
 小父さんの質問に、うなずいて答える。
「この船にはトイレなんか無い。そこから立小便をしろ」
 と言われても。後ろ手錠を掛けられてるんだよ。
「脱がしてやれ」
 ごつい体格のお兄さんが僕の後ろへまわって、ズボンに手を掛けた。
「んぶうう……」
 腰をひねって抵抗したら、また腹を殴られた。
「んびっ……」
 胃のあたりを鈍い痛みが突き抜けて……ちびってしまった。
 ズボンもブリーフも、脚から引き抜かれた。船の後ろぎりぎりまで押し出される。真冬の風が吹きつけて、足が震える。玉もサオも縮み上がる。
「すこしくらい船にかかってもかまわんから、さっさと済ませろ」
 オシコはしたい。これまでの調教で、他人に見られてもわりかし平気で出せるようになってた。でも、出したくない。抵抗できないように拘束されて、強い男の人に命令されるのは調教と同じだけど。なにかが根本的に違っていると思う。命令されて、こんなに腹が立ったのは初めてだ。
「さっそく反抗するのか。山口、手助けしてやれ」
 後ろに立っていたお兄さんが、僕のペニスを摘まんだ。ペニスだ。チンポとか粗チンなんて表現する気分じゃない。
「そら。さっさと出しちまえ」
 寒さで縮かんでるのを、ぎゅっと引っ張られた。僕は出そうと努力した。だって、出さないでいると……
 ぼぐっと、お腹を殴られた。胃よりもずっと下だったから、そんなに痛くなかったけど――それが刺激になって、またちびった。そのまま、ちょろちょろと出続ける。
 風が巻いているので、脚にもかかった。
 出し終えると、突き飛ばされた。手を拘束されたときの身ごなしは、じゅうぶんに慣れている。無理に踏ん張らずに、倒れて頭を打たないように、すとんと尻餅をついた。
 お兄さんは船から身を乗り出して海水で手を洗って、僕のズボンで拭いた。オシコが船べりに掛かったところも拭いて。ズボンもブリーフも海へ投げ捨てた。
「んんっ……?」
 文句を言いたいけれど、ボールギャグで封じられてる。
「スクールに着いたら、制服を着せてやる。それまで……」
 小父さんは言葉を途切らせて、僕を見下ろした。
「着くまでには、まだ時間があるな。先に、スパルタン・カッタースクールの理念と教育方針について、オリエンテーリングしてやろう」
 僕は船底に正座させられた。
 訳の分からないところへ、もっと訳の分からないことを言われて、僕はこの人に反発していた。具体的にいうとムカついていた。のが、態度にも表われていたんだと思う。
「生意気な目つきだな。目上の者に逆らうと、どうなるか。追々に教えてやるが。まずは形からだ」
 ごついお兄さんが操船室へ行って、大きなハサミを持って戻って来た。それで、僕の服を切り裂いた。刃物が怖いし、無駄な抵抗をしても殴られるだけだろうから、だまって裸にされた。こんなサディスチックなことをされても、反発を覚えるだけで、ちっともときめかない。
 寒い……。真冬の海の上で、全裸で風に吹かれて。ボールギャグをガチガチと、かみ締めてしまう。
「ワシは、スパルタン・カッタースクールの校長、小塚宏だ。こいつは、教官の山口」
 お兄さんが、うなずく。
「これから、おまえは社会に適合できるまでスパルタン・カッタースクールで暮らす。早ければ数か月で卒業できるし、不適合が続けば何年も矯正教育を受けることになる」
 不適合というのは、ホモとかマゾのことだろう。
「スクールの校訓は、『力が正義』だ。それに、『目上は正義』と『世間は正義』が続く」
 世の中、そんなに単純じゃないと思うけれど。別の状況で言われたら、根本的にはそうなるんだろうなと、思うかもしれない。でも、今は反発が先に立つ。
「自分が正しいと思うことでも、力のある者が違うと言えば違うのだ」
 クラスメートのあいだでは、そういった力関係が成り立つかな。
「力とは腕力だけではない。金の力もあれば、権力もある」
 そこで『目上』が『力』の上にくるのだと、小塚は言う。『目上』は権力を持っているから、結局は『力』だ。会社なら上司、学校なら先生。けれど『目上』の者がどう言おうと、『世間』には逆らえない。『世間』には法律とかも含まれる。
 実際には『世間』が権力なわけだから、突き詰めれば『力』になる。だから、三つの校訓のうち『力』の格助詞だけが『が』になっている。
 なんて、もっともらしい説明を聞かされたけど。要約すれば――ワシの言うことに逆らうな。そういうことなんだろう。
 ボールギャグが外された。
「ここまでは、分かったな」
「分かります。でも……」
「デモもストもない!」
 大声で押さえつけられた。
「質問への返事は、ハイかイイエだけだ。そして、命令にはハイだけだ」
 これも……SMの調教で言われそうな台詞。でも、内心での反応は正反対になる。
「もう一度聞くぞ。『力が正義』。分かったな」
「……はい」
 そう答えるしかないじゃないか。
「よろしい。それでは、スクールでの生活について、大雑把に説明しておこう」
 社会的に不適合な性格の矯正は、集団作業を通じて行われる。自給自足の農作業と、チームワークが要求されるカッターで身体も鍛える。
 カッターというのは、左右に何本もあるオールをひとりずつがこぐ――遊園地のボートを五倍くらいに大きくしたやつ。元々は大きな船に積まれていたボートで、マストを立てれば帆で走ることもできるし、大時化でも(正しく操れば)転覆しない。チームワークが取れていないと、オールとオールがぶつかってしまうし、荒海では遭難する。
 学校での勉強に相当する部分は、午前と午後に1時間ずつの自習で行なう。朝は農作業だし、夜は反省会があるので、勉強している時間もない。ただし、潮目や天候でカッターを出せないときは、その時間も自習に充てられる。
 教科指導の先生もひとりだけいる。のが、プロレスラーみたいな山口だと聞かされて、げんなり。この人はスクールの第一期卒業生で、成績(勉強のことじゃないと思う)優秀だったので教官として残ったそうだ。
 学校に比べたら圧倒的に少ない時間しかないうえに、先生もひとりだけ。でも、テストは学校と同じか、もっと厳しい。赤点を取ったら、いろんな罰を受けるそうだ。
「どんな罰かは、いずれ身をもって知るだろう。先輩に聞いたら、たっぷり怖がらせてくれるぞ」
 そういう言い方って、教育者じゃないと思う。
 その先輩というのは、男子が13人と女子が7人。年齢は僕と同い年から、上は20代前半くらいまで、まちまち。
「細かい部分はスクールに着いてから、あらためて説明してやる」
 見えてきたぞと、小塚が船の前方を指差した。振り返っただけじゃ船べりが邪魔なので、風がもろに吹き付けて寒いけど膝立ちして、指の示す方角を見た。小さな島だけど、波止場があって漁船も何隻か見えた。
 けど、船は波止場へは行かずに、島の裏側へ回り込んだ。島の裏側のずっと向こうはアメリカ大陸。なんて馬鹿なことを考える余裕は、やっぱり――裸で手錠を掛けられてるという状況に、免疫ができているせいだろうか。こんなに寒いのも、まるきり胸がときめかないのも初めてだけど。
 島のすぐ近くにボートが見えた。何本ものオールでこいでいる。あれが、小塚の言っていたカッターだろう。カッターは2隻。
 大きいのは片側にオールが6本。後ろ向きに座ってこいでいるのは、坊主頭ばかり。僕も丸坊主にされるんだろうか。後ろで前向きに立っている2人は、艇長とか監督だろう。遠いから断言できないけど、スポーツ刈りぽい。
 小さいほうは、オールが3本。後ろに立っている2人は男だけど、こいでいるのは女の子らしい。
 漁船はカッターを遠くに回り込んで、なだらかな斜面になっている砂浜から突き出した小さな桟橋に船を着けた。
 桟橋で僕たちを出迎えたのは、意外にも女の人だった。小母さんて言うとビンタされそうだけど、お姉さんと呼ぶのはちょっと――くらいの、ナイスバディで短髪で美人だけど、きつい感じ。会ったことはないけど、SMの女王様というのが第一印象。なのは、服装のせいもある。ボディコンていうんだっけ。身体の線がくっきり出てるミニスカートのワンピース。生足にハイヒール。寒くないんだろうか――なんて、全裸にされてる僕が心配することじゃない。
 漁船は僕たちを降ろすと、さっさと帰って行った。小塚と年増お姉さんとが並んで、僕はその後ろから山口に追われる形で、歩き始める。靴下だけは履いているけど、それが砂に滑って歩きにくい。転んでも手を突けないので、おっかなびっくり。
 すぐ間近に迫っている山をすこし上がったところに、木造オンボロ二階建ての横長の建物が、桟橋から見えている。そこが、スクールという強制収容施設だった。
 思っていた通り、廃校だった。あちこちが改修されているのは、廊下を歩いているときに気づいた。
 階段のところで小塚と山口は別れて、僕と年増お姉さんだけが2階へ。階段の隣の教室には十幾つかのベッドが横向きの3列に並べられていた。出入口は外から鍵が掛かるようになっていて、窓は鉄格子でふさがれている。その次の教室にはベッドが六つだけで、整理ダンスとか机とかポータブルテレビなんかも置かれていて、窓に鉄格子がない。その次は最初の教室と同じで、ベッドが少なかった。これって、それぞれが男子生徒、先生とか看守、女子生徒の部屋かな。
 三つの教室は素通りして、いちばん奥の、殺風景ながらんとした教室へ入れられた。あるのはパイプ椅子が1脚だけ。そこに年増お姉さんが座った。
「なに突っ立ってるの。ここに正座しなさい」
 年増お姉さんが、自分の前の床を指差した。
 こういうのは、SMの調教だと……いちいち比較するのは、やめよう。調教と違って、ペニスはぴくんとも反応しないし、胸がときめくどころかムカつくだけ。
 そして。いちいち逆らっても、どうにもならない。ので、素直に正座した。
「あたくしは、下村友美。下村先生と呼びなさい。家政科の指導教官です」
 下村先生(心の中で呼び捨てにしてると、ぽろっと口に出ることがあるので、ちゃんと敬称を付けるようにしている。これも、SM調教で覚えた心得だ)が立ち上がって、黒板に向かった。
「それぞれの部屋にも貼り出してあるけど、いちおう説明しておくわね」
 黒板に、一日のスケジュールが書かれていった。
 月曜~土曜
 5:00 起床
 5:30 農作業、一部女子は家事
 8:00 朝食
 8:30 自習
 9:30 カッター訓練
12:00 昼食
13:00 カッター訓練
15:30 自習
17:00 農作業、一部女子は家事
18:30 夕食
20:00 反省会
21:00 罰直者以外は自由時間
22:00 就寝
 日曜日
 5:00 起床
 5:30 農作業、一部女子は家事
 8:00 朝食
 9:00 総括反省会
12:00 昼食
13:00 罰直者以外は自由時間
18:30 夕食
20:00 厳重処罰者以外は自由時間
22:00 就寝
 5時起きはきついかな。なんて思ってたら、恐ろしいことを言われた。
「反省会というのはね。ゴメンナサイ、ボクガワルカッタデス。なんて生易しいものじゃないからね。日曜の総括反省会まで持ち越せないような重大規律違反への仮処罰です」
 処罰ってのは、つまり体罰だろう。仮処罰というからには、総括反省会で本番の処罰をされるんだろう。
「細かいことは、先輩たちのする通りにして、教官と先輩の命令に素直に従っていれば、じきに分かってくるわ」
 下村先生がパイプ椅子に戻ってきて、ごく自然な動作で座ったんだけど。ミニスカートの裾がめくれて、パンティで直に座ってる。のが、脚を組んでるから見えてしまう。
「きみはホモだってね。それじゃ、女性には興味が無いのかな?」
 わざと大きな動作で足を組み替えた。一瞬だけど、赤いパンティのサイドがヒモになってて蝶結びなのも丸見えになった。
「そんなこと、ないです」
 ホモの少年に女性への興味を持たせようという『教育』なんだろうか。
「そうかしら?」
 先生が、また立ち上がって。ハイヒールの爪先を僕の膝頭の間に割り込ませて、左右にこねくった。
「口で言われる前に動きなさい」
 膝を開けという意味なんだと解釈して、そうすると、股の間に隠しているペニスが露出してしまうけど、とっくに見られているんだし。口で言われる前に動いた。
「ふうん……?」
 先生が、ますます近づく。スカートの裾は、僕の頭より上にある。
「これを見ても、エッチな気分にはならないの?」
 スカートの裾を持ち上げながら、爪先でペニスをつついた。
 アカネさんとは裸でセックスまでしたけれど、あれはSM調教の一環だった。日常生活……これ、日常じゃないと思うけど、とにかく。非SMの場面で、こんなことをされるのは初めてだった。真っ赤なエッチぽいパンティと、目の前で動めく白い太もも。自宅謹慎中は、さすがにオナニーも控えていたし。訳の分からない状況へのおびえと怒りとはあるけれど。完全じゃないけれど勃起してしまう。
 そしたら、金玉を蹴られた。
「痛い……!」
 前へ倒れかけて、先生の脚に顔をすりつけるみたいになった。もっと激しく蹴られた。
「ぐううっ……」
 横へ倒れて。起き上がろうとしたら、顔を踏んづけられた。
「目上の人間に非礼をはたらくと、こうなるのよ。覚えておきなさい」
 ひどいよ。自分で挑発しておいて。
「もっと罰されないと分からないの?」
「……分かりました。ごめんなさい」
 脂汗がにじむのを感じながら、そう答えるしかなかった。
 だけど、ほんと。どうすれば良かったんだろう。もしも(最大に意志の力を働かせて、暗算でもして)勃起させなかったら、「やっぱり女性には興味が無いのね」なんて言われて、もっと挑発されていたんじゃないかな。これって、SM調教の手口と同じだ。調教だと、どう反応してもそれぞれに別の罰が待ってるんだけど……ここも同じなのかもしれない。でも、これが日常になるなんて我慢できない。
「僕……どうすれば良かったんですか?」
 また何か罰を受けるかもしれないけど、質問してしまった。
「目上は正義。あたくしが満足するまで、罰を甘受してればいいの」
 なんとなく予測していた答が返ってきた。でも、罰の追加はされなかった。きっと、先生は満足したんだろう。
 満足した先生は、やっと手錠をはずしてくれた。そして、ここでの制服を床に放ってくれた。黒い小さな布と、女の子が着るようなセーラー襟のついたワンピースと、白いズック。
 黒い布は、着け方が分からなかった。三角ビキニみたいな(もっと細長い)形をしているけど、頂点からヒモが1本出ているだけ。
「反対側の端が丸く折り返して袋状になっているでしょ。そこにヒモを通しなさい」
 そうやって出来た輪の中に片足を通して引き上げて、逆三角形の布で股間を包んでヒモを引っ張って輪を縮めてお尻の割れ目に食い込ませて、そこに、布の反対側から出ているヒモの端を絡めて折り返して、引っ張りながらヒモが腰を巻くように調節して、ヒモの端を絡めて止める。言葉にするとややこしいけど、実際には簡単に出来た。これ、黒猫フンドシというんだそうだ。
 ええと……簡単に出来たといったけど、それは締め方のこと。収め方は苦労した。平常時(よりも縮かんでる)のペニスを下向きに包もうとすると、布の両側から玉がはみ出してしまった。ペニスを上向きにして玉も引っ張り上げて、布は引き下げて、ぎりぎりで収まった。腰ヒモが一直線にならず浅いV字形になって、すごくきわどいエッチな形。だけど、エッチ気分は皆無。
 それから、ワンピースを着た。ほんとに女子用だ。膝上30センチくらいの超ミニスカート。お飾りのベルトが背中に縫い付けられていて、前で締める。ワンピースの襟と袖には青い2本のラインが入ってる。どこかの私立女子校の夏服ぽいけど……今は真冬。それと、バンドと裾に小さなスナップボタンが付けられている。
「そのままにしておきなさい。すぐに、使い方はわかるから」だそうだ。
 最後に靴下を脱いだ。生徒は冬でも素足。学校の上履きにしか見えないズックを与えられたけど、これは外でしか履けない。足の甲を締めるゴムバンドが赤いからワンピースの青ラインと色違いで、なかなかおシャレぽい。もちろん、女の子が着るときの話だけど。
 女装させられて。もうわかっていたけど、ちっともエッチ気分にもならないし、フンドシの中で上向きに収めてるペニスも縮かんだまま。
「もうぼつぼつカッター訓練が終わるわね。みんなに紹介してあげるから、ついて来なさい」
 ついて来るのが当然みたいに、先生はさっさと教室を出て行った。仕方ないので、後を追いかける。
 校舎から出て、短い山道を下りる。薄っぺらいワンピース一枚でも、全裸に比べればずっと暖かい。その対比で、下半身がスウスウして冷たい。女の子って大変なんだなと、思ったりする――くらいに、人心地を取り戻してた。のは、束の間だった。
 まだ沖合にいた2隻のカッターは僕たちの姿を見ると、海岸へ向きを変えて、オールから波しぶきが飛ぶほどの勢いで、こぎ始めた。
========================================

DLsiteアフィリエイト キーワード「少年,手錠」

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:性少年包弄記(怨辱編)

 4月にPIXIVでリクエストを受けて、おそらく300枚くらいを書き始める予定です。
 この1か月。『An Amateur Assasine Arrested And Assaulted』短編では、時間が余る。はずですが、〆切があると、それに引きずられてダラダラしちゃいますので。むしろ追い込んでやれと。尺の長いこちらを書き始めました。

 今回は(も?)、整理していない本当のメモを公開。



1984年2月~

畑山 薫  14歳:僕 公立中学2年3組
 実父は後妻の子ばかりをかわいがる。
 継母からは邪魔者扱い。

戸坂 知臣 29歳:先生/俺 中学校教師。薫の担任。独身。国会議員の三男坊。


[あれこれのメモ]

罰はビンタ(女は乳)<生尻竹刀/鞭<夜間戸外放置(夏は林+焼酎、冬はグラウンド+水、春秋は水中磔(浮き桟橋)

あいつらは、正しいと信じて義務感でやってる。
先生は変態だと自覚して、自分の楽しみのためにやってる。僕が「ほんとに」嫌がることはしない。

女子クラス。「Hなことができない」ように、手を縛って……解剖、チンチン嬲り。

女は貞操を守るために、いざとなったら口で処理しろ。
男には譲れぬ一線がある? Pending

レズ娘は、輪姦されても、自発フェラを拒み続けている。

初期の卒業生。全裸焼酎放置第一号。今では立派に……
接待の相手にレズ娘を指名。噛まれる。
水中磔。
翌日も拒む。追加鞭打ち。
敢然と立ちはだかる彼。両親に主義者と決めつけられたボンボン大学生。
ズタボロ。

[シーケンスのメモ]
強制入所
タイマン
教育的輪
竹刀正座
廊下バケツ
対面ビンタ
負け残り
吊り懸垂
洋上制裁
永久当番
保護入院

ここまでは、PLOT確定前のメモ書きの一部です。PLOTに取り込んだ(明記した)メモは順次消しています。
上記は残り滓ですが、本編執筆中に取り込むかもしれません。

実写:怨辱編



ここからがPLOTです。
========================================

怨辱編(1984年3月~)

小塚 宏 45歳
 スパルタン・カッタースクール創始者
 男子研修生14名 女子研修生7名 教官5名(1名は交替で本土側の出張所)
 島に常駐。

小塚 学  41歳 副所長:出張所常駐
 
林 康夫  57歳:営農指導
大田原 幸雄35歳:漕艇指導
山口 和弘 26歳:教科指導。元スクール生
下村 友美 32歳:家政科指導。所長の愛人的存在
有島 大悟 29歳:教科指導。現在は出張所

スパルタン・カッタースクール
週1便だけの島。漁船で2時間。
波止場周辺の村落。島の裏側の廃校を改修。
男子9mカッター 漕ぎ手14人(2人漕ぎ2丁)、教官1人、助手1人。陸での労働作業6名。翔子も漕ぎ手。
女子6mカッター 漕ぎ手6人(生理中も)、教官1人、男子助手1人
寮は教室に粗末なベッド。暖流のおかげで真冬も暖房無し。男子教室/教官/女子教室。所長は校務員小屋を豪華に改造。
雑用水は海水(女子が水汲み)。トイレも直接放流。
畑作と養鶏で自給自足。米は本土から。動物性蛋白は島の漁村から直接(漁業権)。
簡易水道は圧が低いので、坂を下って水汲み。修練だから自動車などは使わず、天秤棒で女子。
女子内の自治で薫に押しつけられる。

「男なら根性を見せてみろ」相撲?
負けてから、負け残りを宣告されて。
最後はギブアップで女扱い続行。

制服
男子:六尺褌、菜っ葉服上下。農作業時は褌一本。薫(女扱い)以外は丸坊主。
女子:黒猫褌、セーラーワンピ(ミニ)。ノーブラ。Cカップ以上は晒し。

・世の中は弱肉強食。虐められるやつが悪い。
・力が正義<目上は正義<世間は正義
・男と女は役割が違って当然。
・SEXは子作りの為(タテマエ)。男が女を支配する象徴。
・男女ともオナ禁。
・矯正陵辱、強制射精は教官監督下で。

05:00 起床
05:30 農作業(男)、家事(女)
08:00 朝食
09:00 自習/漕艇:潮加減による。
12:00 昼食
13:00 自習/漕艇:潮加減による。
16:30 農作業(男)、家事(女)
18:30 夕食
20:00 反省会(重大違反のみ即罰)
22:00 就寝
日曜午前は週間反省会。各種の罰(その場の体罰、翌週の食事減量など)が言い渡される。
上位者はお菓子など。最下位は下脱ぎ3日。
午後からは自由時間という名の本格虐めタイム。
雨天は午前午後とも自習。農作業はあり(半裸)。


鈴永 拓馬 19歳
 社長の長男。労災隠しの犠牲者を家の金を持ち出して救済。

河野 寛太 16歳
 イジメで登校拒否。「引っ込み思案」矯正に。『模範的に性格改善』。

高草 壮太

深田 勝吾

柴野 淳一

中野 凛太朗


正木 翔子 18歳
 レズビアン(元々男装) 下級生と双頭張形で同時破瓜。ばれて悪者にされて。
 丸坊主。

中川 京子 16歳
 スケバン。

島田 寿美香17歳
 愛人クラブの幹部。不起訴になったが。

森 友美  14歳。
 継父をたらしこんだと、母が。実は強

島村 綾子 23歳
 最年長。公認の女ボス。

杉本 由紀恵20歳
 何も言わない。新入。


1:不適合者の矯正所
自宅謹慎中。午前9時。強制連行(バン)。手錠。
変態性癖の矯正でカッタースクールへ強制入所。本土側の波止場に連絡事務所。
正午に小さな港から漁船で午後2時着。
週1便だけの島。漁船で半日。
波止場周辺の村落。島の裏側の廃校(海岸間近)を改修。
漕艇訓練中。
男子9mカッター 漕ぎ手14人(2人漕ぎ2丁)、教官1人、助手1人。陸での労働作業6名。翔子も漕ぎ手。
女子6mカッター 漕ぎ手6人(生理中も)、教官1人、男子助手1人
がらんとした教室でオリエンテーリング。
寮は教室に粗末なベッド。暖流のおかげで真冬も暖房無し。男子教室/教官/女子教室。所長は校務員小屋を豪華に改造。

2:おとこ女おんな男
午後4時。カッター接岸。白い作業服(セーラー襟)。救命胴衣はもちろん無し。
翔子が呼ばれて前へ。脱衣を命じられて、ビンタで服従。ノーブラ/六尺褌(前もっこり=女としての自覚を持たせる)。女?!
薫もブリーフ一枚。
「翔子は女の癖に男のなりをして、下級生の処女を破った不届き者」
「薫は男のくせに男に虐められて犯されたいという翔子以上の変態」
二人で喧嘩をしろ。勝ったほうを男として認めてやる。
「僕……(ビンタ)わたしは、そんなことを望んでいません」
けしかけられて、不本意に殴り合い。
どっちも本気でないが、体格差で薫が負ける。
「おまえは今日から、女として扱ってやる。本望だろう」
「翔子。年下に勝ったからっていい気になるな。本当の男と喧嘩してみろ」
同い年の寛太。あっさりねじ伏せる。
「自分が女だと教えてやれ」
数人で公開順姦。
薫は京子と戦わされて、ぶちのめされる。
「お前は女にも負ける出来損ないだ」ワンピの腰から下を切り取られる。素足にズックは皆同じ。
女子教室へ。下村友美の監督下で、6人のオモチャにされる。足コキなど。
「生意気に汁を出すんだ」煙が出るまで搾り取られる。

3:弱肉強食適者生存
翔子と共に、イジメの対象。
「イジメが悪いのではない。イジメられるやつが弱いのだ」
暴行、意味の無い長時間正座
誰かがスケープゴートになって、まとまっている不穏調和。
誰も虐めたくない。
「マゾなんだろ」と虐められて、まったく悦びは無い。なぜなんだろう?
(↓もっと前で記述?)
過去に自殺者が3人。退所ということになっているが、研修生が誰も見送らなかった者も何人か。

4:地獄で仏か鬼か?
4月中旬。
戸坂が新教官として加わる。知らん顔。
初日から対立する戸坂と先輩教官。
戸坂にも暴行と辱めを受ける。
悔しい……股間グリグリが、わざと勃起を誘う踏みにじり方。その意味は?
単に僕のクセを知っている? 昔通りの関係だとういメッセージ?
夜遅くに、教官執務室で戸坂が大量コピー。
初潮との会話を盗み聞き。
「先輩方の指導を学ぼうと思いまして。原簿に赤線とかは拙いでしょう」
「勉強熱心は結構。しかし、まずは実践だよ」
「はい、お教えありがとうございます」

5:強制捜査と解放劇
5月中旬。
戸坂が姿を消す。
1か月後。10人の警察官(本土側の漁船に分乗)が家宅捜索。緊急保護。
戸坂が混じっている。薫と翔子を「保護」の列から引き出して、別のモーターボート。
警察にコピー提出。父親の人脈を使った。戸坂、薫、翔子の書類は処分。
レズビアンだから、翔子もほっとけなかった。
「拓馬さんも、助けて(報道されないようにして)ほしい」
薫、ちょっぴり失恋?

6:別施設でマゾ馴致
戸坂が3人の親に談判。
薫は、養子として預かる。両親、否やのあろうはずもなく。
翔子は戸坂が就職口を紹介。両親は「とにかく消えていてくれれば」。
拓馬の父親は戸坂の父から圧力で。
実は、薫の動静はずっと知っていた。とはいえ救出に乗り込んだのではない。
戸坂も同好の士と同じような施設を考えていた。
参考になるかと潜入。反面教師になった。
SMクリニック(強制入院マゾ馴致)の前身。政財界の有力者を巻き込んでいるから、スクールのようなヘマはしない。
正しい嫌虐症治療施設にする。すでに竣工間近。
翔子は無資格看護婦、拓馬は看護助手、薫は入院患者第3号(1,2号は決まっている:女)

========================================

 この記事は、ぶっちゃけると2月25日(休)に書いていて、すぐに本編執筆に着手する予定です。
 「お気に入りの写真」とか、3月1日発売開始の『昭和集団羞辱史:物売編(昼)』の宣伝記事とかがあるので、この記事の公開を遅らせました。
 すでに100枚くらいは進んでいるかな、未来の濠門長恭クン?

 ↓
 この記事の公開時点で76枚。
 まあ、今日じゅう(3月4日)に80枚はいかせます。



アフィリエイトは腐女子向けでキーワードは「男の娘&イジメ」です。

続きを読む

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:売姫三日晒

 結局100枚ちょうどで終わりました。
 やはり、少ない責めシーンを冗長に引き伸ばすのは、全体のバランスが悪くなります。
 今回は、「これが書きたかったから書いた」の紹介です。


========================================

生恥磔刑

 一夜が明けて。陽も昇り切った辰の一点(午前八時頃)、女郎花は身体を折り曲げている縄だけは解かれて、後ろ手に縛されたまま仕置の場に引き出された。全裸である。どころか、股間から内腿にかけては破瓜の血はおろか白濁の残滓さえこびりついている。その無惨な姿を、何十人もの雑兵や武将、さらには人垣の奥からは妓たちにまで見られているのだった。
 仕置の場は、城に向かい合った陣前だった。山の中腹にある城とは隔たっているから、正面から寄せてくる気遣いは無いにしても――あるいは敵に見せつけることで、茂親は何かを目論んでいるのかもしれない。
 しかし、そのような詮索をしている心の裕りなど女郎花には無かった。いや、犯された(といえるかどうか)痕跡も明白な裸身を曝すことへの羞恥すら消し飛んでいた。
 仕置の場に置かれた刑具は、磔柱だった。それも十字架ではなく、脚を開かせるための横木が付け加えられたキの字架だ。女を素裸で開脚磔に掛けるとは、残虐を凌駕して淫虐だった。
 そして。磔に処すとは、槍で突き殺すか焚き殺すつもりなのだ。茂親の思わせ振りな言辞に生きる望みを見出だしていただけに、女郎花の絶望は深かった。
「御大将、秋元茂親殿」
 女郎花は茂親を振り返った。彼は、身分が三つも四つも下の者に命じるべき役割をみずからに任じている。すなわち、女郎花の腰縄を握っていた。
「繰り返しますが、一切の咎はわたくしに帰すること。如何様に御成敗されようと恨みませぬが、なにとぞ、余の妓どもにはお咎め無きよう、重ねてお願い申し上げます」
「くどい。さっさと生き恥を晒せ」
 茂親は短刀を抜くや、いちいちほどくのは面倒と、女郎花を縛っている縄を斬り落とした。
「あの……出来ましたら、磔に掛けられる前に身を清めたいのですが」
「儂は生き恥を晒せと申したぞ」
「…………」
 女郎花は唇を噛んで、地に伏せられたキの字架の横に跪いた。たちまちに、足軽よりも身分の低い人夫どもが、女郎花をキの字架の上に仰臥させた。手首と二の腕に太い縄を巻き結んでから真横に広げさせ、上の段の横木に縛り付ける。
 すでにこのとき、女郎花は違和を感じていた。下の横木が、ほとんど腰の高さにきていた。
 しかし疑念は、すぐ恥辱に変じた。人夫どもは、足首と膝下と太腿の三か所に縄を掛けてから、横木の高さまで女郎花の両脚を力ずくに開かせたのだった。
 女郎花は大の字どころか土の字の形で磔けられた。
「くう……このような……」
 限度を超えて開かされた股関節が、びきびきと軋んだ。その苦痛以上に……これでは、真っ二つに引き開けられた淫唇の奥底まで覗かれてしまう。乙女ではなくなったとはいえ、うら若い娘に耐えられる恥辱ではなかった。
 茂親が「生き恥を晒せ」と言った意味を、女郎花は痛切に理解した――と思った。
 いよいよ、磔柱が押し立てられた。柱の根元は穴に深く埋められて、女郎花の裸身は四尺ほど持ち上げられただけ。つまり――並の背丈の男が真下に立って手を伸ばせば、容易に股間まで届く。長槍で胸を突くには、やや低い。
 女郎花の横に捨札が立てられた。文字の読めない者のために、茂親が直々に読み聞かせる。
「推参女郎どもの長、女郎花。右の者、乱破を引き入れ戦の大事を敵方に知らしめた咎により、三日間の懲らしめ磔に処するものなり。三日後の日没まで永らえれば、解き放ちと為す」
 懲らしめに磔を使うなど、女郎花には意想外だった。しかし考えてみれば、路傍で樹に縛り付けるなどして晒し者にする例は幾らでもある。それよりも一段と厳しい処罰と考えれば、奇想天外でもなんでもない。
「三日間のうちは、この者に何を仕掛けようと構わぬ」
 茂親が声を張り上げた。
 二人の人夫が女郎花を挟んで捨札の反対側に木の台を据えた。足軽が、これも二人。台の上に様々な小道具を並べ、横に四本の槍を立て掛けた。
 槍の一本は、鋼の穂を備えた真槍。しかし残りの三本は――槍穂ではなく男根を模した木彫りの大小と、羽毛を束ねたハタキだった。突き殺すも構わず、生きたまま死なせるも善しという趣だった。
 台の上の小間物も、同じこと。鞭や笞や杖もあれば、太い筆に細い針、ヤットコや短刀まであった。
「これには限らぬ。好きな得物を使え。魔羅でも許すぞ――届くならばな」
 雑兵どもが下卑た嗤い声をあげた。
 人垣の後ろにいた妓たちの顔色が変わった。薊、椿、桜の三人が陣所の向こう側、槍小屋へと駆け出した。
 男どもの視線に耐え切れず目を固く閉じている女郎花は、その動きに気づかない。茂親をはじめとする武将たちが去り、磔柱の間近まで男どもが押し寄せてきたのは、気配で感じている。
 その気配が、大きくざわついた。
「どきなさい。長から離れなさい」
 薊の声に女郎花は目を開けた。三人が薙刀を掻い込んで、他の妓は素手で、磔柱を中心に円陣を作ろうとしていた。
「おやめなさい!」
 女郎花は声を張って叱りつけた。
「わたくしのことは捨て置きなさい。御大将の措置を妨げてはなりません」
「これは、したり」
 桜も娼売妓の分限を忘れて昔の言葉遣いに戻っている。それほどに逆上していた。
「ひめ……長には誰がどのようにしても構わぬというのが、御大将の下知のはず。我らが薙刀構えて取り囲んでも、下知に背いてはおりませぬ」
「それは詭弁と申すものです」
 女郎花は妓たちの忠義をありがたいと同時に、心苦しく思った。用心棒だ扇の要だと言われようと、この妓たちに養われている身ではないか。
 それは確かに――男どもに命運を握られず、女だけで乱世を生き抜けようと最初に覚悟を決めたのは女郎花ではあったが。これ以上に、己れの我儘に臣(おみ)や民(たみ)を巻き込んでよいものか。
「わたくしに危害を加える者など、ここにはいません。皆、あなたたちの上得意様ではないですか」
 辱しめる者はいるだろうけれど。心の中でつぶやいて、ふっと妙案を思いついた。
「それよりも、あなた方は娼売に精を出しなさい。男は、精を放った後は女を遠ざけます。とって返してわたくしに悪戯を仕掛けようとはしないでしょう」
 妓たちを相手にせず女郎花を苛めようとする男を、一人だけは知っているけれど。
 桜は女郎花の真意を計るように、その目を(股間は見ないようにしながら)見上げていたが。ついと薙刀を引いた。
「御意のままに」
 桜はあたりを見回して、雑兵どもに呼び掛けた。
「今日は朝から口開けだよ。これから三日、五十文を十文にまけてあげる」
 思ってもいなかった口上に、雑兵どもがざわめく。
「ただし……長にちょっかいを出したやつは、総好かんを食らわせるからね!」
 桜の思惑は、薊と椿には即座に伝わった。二人は他の女郎を引き連れて、槍小屋へと向かう。その後ろから、集まっていた雑兵の半数以上がぞろぞろと続いた。桜はひとり残って、女郎花の斜め後ろに立った。
 仕置の場に残った雑兵どもも、磔柱を遠巻きにして見物するばかり。棒杭でも持って数人で掛かれば、女の細腕が振るう薙刀など恐くはないが――顔を見覚えられて女郎から総好かんとなれば、割に合わない。御大将の言ったごとく、女郎花の女淫に魔羅は届かないのだから。
「里乃……妾が空木の見極めを誤ったばかりに、皆に迷惑を掛けて申し訳なく思います」
「なんのことぞ、ありましょう。姫様こそ……お痛わしい」
 二人の声は、雑兵どもにまでは届いていない。
 そのまま黙り込む二人。生き恥を晒した姿で、話の接ぎ穂があろうはずもなかった。

 陽は移ろい、天を沖し西に傾く。すでに、野次馬の姿はまばら。五十文は無理でも十文ならば融通できる。絵に描いた餅よりは食える団子が良いと、槍小屋は門前市を成す賑わいなのだろう。
 身動きもならず磔けられていれば、思いを巡らすくらいしかできぬ。
 ややもすれば、昔のことばかり頭に浮かぶ。ずっと昔の幸せだった頃の思い出は、父母と兄弟の死に連なる。他家に嫁いだ姉は、後ろ盾を失って追放されたのか端女に落とされたのか消息は聞かぬ。
 男どもが勝手に始める戦には二度と巻き込まれまいと、桜、薊、椿と語らって女郎の一座を旗揚げして。それからは辛い日々の中にぽつんぽつんと楽しい思い出。先輩女房に仕込まれ殿方に手をつけられて磨き込まれた桜の手で初めて絶頂へ追い込まれたときの思い出は、しかし、茂親に自ら跨った破瓜の生々しい記憶の前に儚くなりつつある。
 生き延びて解き放たれても。しかし、一座を続けてゆくことは叶わぬかもしれぬ。茂親に囲われるか、それを拒めば囚われて――同じことになるだろう。
 それはそれで、女として諦めねばならぬ事訳(ことわけ)ではあろう。今は三万石に過ぎぬが。十年前には二千石、三年前には一万石だったと聞く。嫡男の茂親が陣頭に立つようになってより、一気に三万石まで増えたという。ならば。三年後には五万石にも十万石にもなっているのではないか。攻め亡ぼされる懸念は、それだけ遠のく。
 もちろん。雑兵どもの前に生き恥を晒した身。後ろ盾もない。茂親は強大な他国から正室を迎え、我は良くて側室、あるいは身の回りの世話をする端女として扱われるかもしれぬ。
 けれども。そういった先の話は、この仕置を生き延びてからのこと。槍で突き殺されるのは免れても。たかだか三日くらい飲み食いできずとも生き死にの沙汰にまでは及ばぬとしても。このように無理強いな姿で磔けられて、血の巡りが滞り手足が腐ってしまわないだろうか。すでに指先どころか肘や膝も、どこにあるかさえ分からぬまでに痺れている。肩はたえずめきめきと痛み、股関節は今にもはずれてしまいそう。
 女郎花に付き添っている妓は、ひとつ文字の三人がほぼ二刻おきに交替している。顔を上気させ着付けもそこそこに立ち現われるところを見ると、五百文を百文にまけているのか、まさかに十文ではないだろうが、武将や物頭だけでなく足軽にまで身を張ってくれているのだろう。薊の頬には白いものがこびりついていたが、あるいは二人掛りまで請け合っているのか。
 そうして、申の刻も過ぎ。じきに暮れ六つ(午後六時頃)。茂親が単身で姿を見せた。単身とは、側近を伴なっていないという意味である。縄やら梯子やらをもった人夫が四人付き従っているし、御大将が何をなさるのかと、野次馬もぞろぞろ。
 茂親は、血の気の引いた女郎花の頬が赤く染まるまで、真正面から女淫を見上げる。それから地面に目を落とし、足で土を掻いて。
「昨晩からずいぶんと経っておるに、まだ小水を堪えておるのか」
 言われて、忘れようとしていた■意がたちまちに甦る女郎花。昨夜から一滴の水も喉を潤していない。まだ日中は暑く汗もにじむ。だから、どうにか今まで持ちこたえられた。
「夜明けまで楽にさせてやる。その前に済ませておけ」
 などと言われても、まさかに他人の見ている前で用は足せぬ。しかも、土の字に磔けられていては、どれほどの醜態になるか見当もつかない。
「……お赦しください」
 女郎花は羞恥と■意と共に責められながら哀願した。しかし、茂親に憐憫の情など無い。
「許す。見事に小水を噴いて見せろ」
「…………」
 女郎花は唇を噛んで、いっそう■門を引き締めた。
 茂親は何を思ったか、朝からひとつも使われていない責め道具を載せた台に近づき、槍を手にした。鋼の穂を着けた真槍を。
 茂親は懐から木賊(とくさ)を取り出して、刃を磨いた。さらに小さな砥石を取り出す。砥石は、人を斬り脂を巻いた刃を甦らせるに必需な品である。その場を動かず敵を迎え討つなら、太刀といわず槍といわず、何本も地に突き刺しておく手もあるが。しかし茂親は、常とは直角に砥石を使った。すなわち、刃を挽いた。
 そして、女郎花の女淫に向けて槍を構えた。
 チイン……
 薊が駆け寄って槍を薙刀で打ち払おうとしたが、茂親はびくともしない。
「おやめください。敵わぬまでも手向かい致します」
 磔柱と茂親との間に割ってはいろうとするが、これもあっさりと突き飛ばされてしまった。
「心配するな。殺しはせん。いや、傷つけもせぬわ」
 茂親が女淫に向かって、探るように槍をゆっくりと繰り出した。
 真槍といっても、戦場で鎧を突けばたちまち折れてしまいそうなほどに穂は細い。しかも刃挽きしてある。女淫を傷つけることなく、鋒先(きっさき)が挿入(はい)ってゆく。
 一寸の余も鋒先を突き挿れると、茂親は柄を握る右手を腰に固定し、左腕を伸ばして穂に近いあたりを人差し指に乗せ、かすかな手応えを探りながら一厘(約〇・三ミリ)刻みに動かして……
「あっ……ああっ」
 ぷしゃああああ。淫裂からか細い滝が迸った。
 茂親は槍を引いたが、みずからは後ろへ逃げなかった。滝の飛沫が顔に降りかかる。
「うわははは。干天の慈雨じゃ」
 ぺろりと口のまわりを嘗めて。
「甘露、甘露」
 見物の雑兵どもが、わああっと囃し立てる。女に小水を浴びせられた大将を蔑むどころか褒め称えている。
 衆人環視の中での放■という辱めに加えての仕打ち。女郎花は身の置き所も無く、慟哭すら忘れて羞恥に悶えるしかなかった。
「さて、余興はここまでじゃ。ゆっくり眠れるよう、縄を緩めてやろう」
 茂親が淫残に嗤った。人夫が差し出す鉄棒を受け取る。鉄棒は径がわずかに五分(十五ミリ)、長さは三尺に及んだ。
 磔柱には、下の横木のすぐ下に鉄棒と同じくらいの穴が明けられている。そこに鉄棒が通されて、裏表から小さな楔で固く止められた。
 磔柱の左右に人夫が四つん這いになり、その上に一人ずつが乗って、女郎花の足の縄をほどいた。
 女郎花は半日ぶりに足を下ろせたが、太腿の付け根で鉄棒を挟み込む形になった。
 さらに人夫は磔柱に後ろから梯子を立て掛けて――二の腕の縄もほどいた。己れの重みで、女郎花の身体がずり下がる。
「あ……痛い」
 磔柱から突き出る鉄棒が淫裂に深々と食い込んで、女郎花が遠慮がちな苦鳴を漏らした。
「鉄棒ではなく刀を突き立ててやってもよかったのだがな。まあ、それは明日の楽しみにしておこう」
 茂親は床几を持ってこさせて、女郎花の前に腰を据えた。
「魔羅と鉄棒と、どちらの咥え心地が良いかな――俵藤三郎が次女、小夜姫殿」
 すでに半ばは生気の失せていた女郎花の顔に、赤みが差した。我から進んで身を投じた境遇ではあるが、身をやつしたという忸怩も皆無ではない。
「今さらに、詮も無きことを」
 女郎花、いや小夜姫は虚しい想いに身を置きながらつぶやいた。
「それにしても、何故にお知りになられましたのか?」
 女郎花の素性を知るのは、ひとつ文字の三人のみ。彼女らは俵家のそれぞれ重臣に仕える女中だった。言葉を換えれば手掛(てかけ)だった。この三人が漏らすはずはない。
 けれども。ふたつ文字のうち五人は俵領内の者どもであってみれば、女郎花が領主の娘とまでは夢想だにしなくとも、お城の女中くらいには思っているし、女郎花より年長の三人の接し方を見ていれば、女中のうちでもかなりに身分が上の者だろうと察してもいるだろう。
 しかし、茂親から帰ってきた答は小夜姫の意想を衝いていた。
「知れたこと。小太刀を良くする娘など滅多におらぬ。なにがしの身分を持つ娘となると、さて日の本を総ても五本の指で足りよう。まして、おまえたちは西国から流れてきたというではないか」
 飛耳長目とはいうけれど。この男は、百里も西で起きた些細な豪族の争いを、一年半も経ってから、今の時にこの地で、春をひさぐ女の寄り集まりと結び付けて思い出したというのだろうか。小夜姫は、秋元茂親という男を見誤っていたと知った。
「それで……妾の素性をお知りになって、どうなさるおつもりですか」
「取るに足らん素性だ、儂にとってはな。そこの捨札にある通りになさってやろうとも」
 茂親は床几から立ち上がって、小夜姫に近づいた。両手で腰をつかんで、ぐいと押し下げた。鉄棒が、ますます小夜姫の股間を抉る。
「くうう……まだ嬲り足りぬと思し召しなのですか」
「丸い棒では面白くないな。刀とまでは言わぬが、明晩はせめて角棒くらいは跨がせてやろう」
 小夜姫から手を放して、床几へ戻った。
「明日も慈雨を降らせてもらおうか。それには、元手を仕込まねばな」
 茂親の指図で、まだ磔柱に立て掛けられたままになっていた柱を人夫が登って。後ろから手をまわして柄杓を小夜姫の口元へ近づけた。
「たんと飲め。上から注げば下から出る道理じゃ」
 小夜姫は茂親を見た。おや、と思った。目の色が和らかだった。辱める支度ではなく、まさかに我が身を案じてくれているのか。
 小夜姫は唇に柄杓を受けて、素直に水を啜った。乾き切った体の隅々まで潤される思いがした。二杯三倍と飲み干して、ようやくに、我は今まで人心地を失っていたのだと気づく。
「ありがとうござります」
 小夜姫は素直に、心の底から礼を述べた。
 ふんと鼻を鳴らして、茂親が床几から立ち上がった。
「おまえが悶え苦しむ様を眺めようとて思っていたが、これではな。明晩を楽しみにしておれ」
 小夜に背を向けて陣へ戻りかけ、ふと立ち止まって振り返る。
「儂にしてみれば、おまえは小夜姫ではなく女郎花じゃ。されど、人によっては滅びた俵家の忘れ形見ではあろうな」
 謎めいた言葉を残して、茂親は立ち去った

 股間に深々と鉄棒が食い込んでいるとはいえ、丸みを帯びていれば苦痛にも限りがある。鉄棒に身体の重みの過半を支えられて、肩の痛みも消えた。喉の渇きも癒されれば、空腹など物の数ではない。昨夜から一睡もしていなかった小夜姫は、いつか――決して安らかとはいえないにしても泥のような眠りへと落ちていった。
========================================

三日晒1

 さてさて。表紙絵もこんな感じでしょう。
 元図をグルグル検索しても、元ネタがひっかからずに、コピーが1件だけと、オリジナリティの侵犯がちょっと怖いのですが。輪郭抽出で彩色ですから、まあ、許してくださいね。です。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:売姫三日晒

 軽く百枚は突破するかなとみていましたが。やはり、「70枚を目処」にしたPLOTです。責めシーンが二つと、序盤のサービスがひとつと。そして、何故か「あっさり流す」傾向になってきて――早く次を書きたいという意欲が、悪い方向に流れてますね。

 今回は、序盤のサービスシーンを含む、「序破急」の「序」の部分。「起承転結」の「起承」あたり。わずかに1万文字です。
 この後は怒涛の責めシーンですが、それは次回ということで。

========================================


御陣女郎

 天文八年葉月。穂が実り初めた田圃を横に、異様な集団が道を進んでいる。
 色も艶やかな小袖に藍染の袴、薙刀を携えた若い女人が二人。左の女の小袖は薊の模様、右の女は桜。ともに、髷を結わず前髪をそろえた切禿。頭には二枚の櫛を左右に並べて差している。
 その後ろには、無地の小袖に足元を絞った軽杉(かるさん)袴、腰に小太刀一本を差した若衆姿だが、頭は高々と結った先を横へ広げた唐輪髷(からわまげ)に、櫛は差していない。先を歩く二人よりは明らかに稚い。色小姓とも春を売る妓とも見えるが、それにしては凛とし過ぎている。
 三人に続くのは、山ほどの荷物を背に乗せた牛が五頭と、空荷が二頭。曳いているのは、先頭の二人にも負けない色小袖が八人。二十歳(はたち)前から、せいぜい三十路すこしか。頭は、まちまち。女だてらに茶筅を結った者もいる。この者たちも櫛は二枚だった。
 殿(しんがり)は先頭と同じ切禿に二枚櫛、椿模様の小袖に薙刀と袴。
 数えて十二名の女ばかりだった。
 やがて田圃が切れて狭い荒れ野に出る。荒れ野の向こう端には薄い陣備えが小さな山城を取り囲んでいた。
 陣から三頭の騎馬と五人の足軽が駈け出て来て、たちまちに女人の一行を取り囲んだ。
「おまえら、かような所で何をしておる。いずこへ行く」
 侍大将の形(なり)をした若武者が、馬上から誰何する。女たちはひと目で流浪の民と知れるから、声は険しい。
「わたくしは、この者らの長(おさ)で女郎花(おみなえし)と申します。こたびの戦(いくさ)で秋元様に陣借りをお願い致したく推参いたしました」
 若衆姿が進み出て答えた。
「女の身で推参とな?」
 推参とは本来、助力を頼まれもしないのに戦場に押し掛けることを謂う。勲(いさお)しを挙げて家臣に取り立てられるのが目的である。
 若武者に騎馬を寄せて、胡麻塩を頭に抱いている、この時代であればすでに老骨が、何事かを耳にささやいた。
「なるほど」
 若武者が馬から降りて、女郎花と名乗った若い娘の一間(二メートル弱)ほど前に立った。
「春をひさぐとはいえ戦場(いくさば)に推参するとは、それなりの覚悟もできておろうなッ!」
 言うと同時に野太刀を抜いて、踏み込みながら上段に振りかぶり、真っ向から斬りつけた。
「……!」
 女郎花は逃げるのではなく、身体をひねりながら斜め前に踏み込んだ。
 若武者が肩の高さで野太刀を絞ったとき、女郎花の右手には小太刀が握られて若武者の喉元に突きつけられていた。これも寸止め。
「わははは。おのれの身は護れるようだな」
 若武者は笑いながら刀を納めた。が、次の瞬間。
「むんっ!」
 抜刀と同時に長大な野太刀を片手で水平に薙いだ。先に倍する太刀の速さだった。
 ガキイン!
 女郎花の小太刀は、脇腹の一寸手前で止まった大剣の峰を叩いた。受けが間に合わなかったのだ。つまり、若武者の最初の一撃は小手調べ。女郎花に刀の心得があると見た二撃目は本気だったというわけだ。
「推参を許すぞ」
 今度こそ太刀を鞘に納めながら、若武者が磊落に言った。
「そうだな――あの辺りに陣立てをするがよかろう」
 若武者が指差したのは、本陣の後方あたりだった。
「少なくとも二十間(四十メートル弱)は、陣から隔てろ。あまり近くだと、兵どもが落ち着かん」
「ありがとうございます」
 女郎花も小太刀を納めると、蒼白な顔で礼を述べた。
 そのとき。もうひとりの、これは豪傑を絵に描いたような騎馬武者が、まるでしなやかな虎のように――荷駄を運ぶ牛のそばに立っている茶筅髷の女に背後から忍び寄っていた。不意打ちに抱きすくめようとする。
 女は女郎花にも負けない素早さで身をかわしかけたが、牛に行く手をふさがれて立ちすくみ、そのまま捕らわれてしまった。襟元に手を差し入れられても抗わず、胸乳を揉まれるにまかせている。
「これよりは、御銭(おあし)をいただきますよ」
 言いながら手の甲を抓った。
「これしきで銭はやれぬが。そこの荷駄で小屋掛けをするのだろう。手隙の者を十人ほど貸してやっても良いぞ――構いませぬな」
 最後の言葉は、若武者に向けられていた。若武者は鷹揚に頷いた。
「兵どもには、それなりの謝礼をしてやれよ。それなりの、な」
 御陣女郎を知らなかったわりには、くだけた青年だった。

 足軽の手伝いもあって、午過ぎに始まった小屋掛けは夕刻には終わった。まずは、十人の足軽たちへの謝礼を済ませてから、三つの槍小屋の戸口に蚊遣りの焚火が置かれた。もうもうと上がる煙が『見世明け』の合図だった。と同時に、出入りする者の姿を曖昧にする働きもある。


未通女長

 ここで、この小規模な城攻めの概要を述べておこう。籠城する大野修理は、女子供を含めて二百ほど。兵の数はせいぜい百といったところか。責める秋元茂親は二百。古来、城を攻めるには三倍の兵が必要とされる。一気に力押しするなら六倍。二倍とあっては、総攻撃をかけても落城はおぼつかない。
 秋元家は三万石と、豪族としては大身である。その気になれば八百は兵を養える。それがわずかに二百なのは、刈り入れ時を真直に控えているからである。八百を動員すれば、稲の刈り手がいなくなる。
 だからこそ、無理押しに城を囲んだのだった。大野領の新米を奪ってしまえば、来年には兵糧に事欠く。そして秋元は肥える。つまり、この戦いは翌年の決戦に備えた前哨戦だった。だからこそ、総大将には当主ではなく、嫡男の茂親が据えられている。
 攻め入った側としては、稲が実り刈り入れが終わるまで居座らねばならない。だから、兵糧も軍資金も潤沢に用意されている。御陣女郎にとっては、宝の山に分け入る心地だったろう。

 敵を封じ込めるのが目的とあれば、兵は暇である。夜には城からの出入りに目を光らせる必要があるので、むしろ働かされる。そして遊女にしても、高価な明かりを灯したくはない。いきおい、申から酉にかけての二刻ほどが稼ぎ時となる。月の障りで休む者もいるから、遊女は十人ばかり。まさかに二百が押し掛けてはこないとしても、女日照りの中の慈雨とあれば、五十人から上は三つの戸口に分かれて並ぶ仕儀となる。
 男たちの中には、藁で編んだ大きな袋を担いでいたり、小さな壺を抱えている者もいた。米やら塩味噌が、ときとしては銭よりも重宝される。
 わいわいがやがや。男を送り出し次の男を迎え入れる遊女の姿を間近に見ながらの品定めをする連中もいる。
 ――雑兵どもが、一斉に固まった。御陣女郎の一行を誰何した三人の武者が、揃って出陣してきたからだった。
 雑兵を蹴散らして、三人が槍小屋の前に立った。出迎えたのは、先頭で薙刀を携えていたうちの一人だった。
「長は空いているか?」
 いるのかではなく、空いているか。女は問いの意味を正しく解した。
「お生憎様。長は商いをしないんだよ。あたしじゃ駄目かい?」
 女が上目遣いに若武者を見る。まさしく鼻毛を読んでいるのかもしれない。
「あたい、桜っていうんだ。ひとつ文字の名前は他に二人しかいないんだよ」
「そういえば、長は三文字の名だったな。意味があるのか?」
「長は格別さね。あたしらひとつ文字の妓(こ)は、色修行をたんと積んでる。蓮華とか文目ってふたつ文字の妓は、家を焼かれた娘とか逃散した百姓とか、地娘ってやつでさ。股をおっ広げて、はいどうぞしか取り柄がないんだね」
「では、柴田康永に絡まれた娘もひとつ文字か?」
「空木のことかい。あの妓は前からの娼売娘さ。けど、新参だからふたつ文字なんだね」
「ふうむ。女郎の寄り合い所帯にしては、仕来りがうるさそうだな」
「女郎だからさ。そんなことより、あたしを買わないのかい?」
「幾らだ?」
 桜は若武者の鼻毛を読みながら、甘える声で、しかしきっぱりと告げた。
「五百文」
「馬鹿な」
 若武者がのけぞった。
「儂は遊女屋を借り切るつもりなどないぞ」
 この当時、女の値段は極端に安かった。五百文はともかく、桜の言う二つ文字の妓は五十文。それも戦場だからこそで、平時の街角なら十文が相場だった。普請に雇われる人足の日当の二割である。
「火が消えるまで付きっ切りで、腰巻まで脱いで相対(あいたい)してあげるんだけど?」
 平安時代あたりのやんごとなき方面は格別として。この時代に限らず江戸時代でも、娼売妓といわず、性交は着衣で手早く済ますのが普通だった。女がみずから全裸になるなど、破廉恥とか卑猥で言い表わせる行為ではなかったのである。そうまで無茶をしなければ断ち切れない過去が、女郎花を含めて、この娘たちにあったとは――いずれ物語られるであろう。
 五百文どころか五十文も惜しんだのか。女郎花でなければ沽券にかかわると思ったのか。若武者は御供の二人を引き連れて陣所へ引き揚げて行った。
 槍小屋の前に活気が戻った。

 三つの槍小屋のうちの二つは屏風でそれぞれ四つに区切られて、八人いるふたつ文字の妓が一本五十文の線香を立てて、小半時刻みの商売に励んでいた。月の障りになっている妓も、子種塞ぎの草を詰めれば男に分かりはしないと、しんどい身体に鞭打っている。残るひとつの小屋は、壁と同じ筵で三つに隔てられて、そのひとつでは、椿という女が五百文の客を相手に素裸になって奔放な性技を繰り広げている。
 そして、三つの槍小屋が弧を描いて並んだ奥の、いっそう小さな小屋では、長の女郎花と桜、薊の三人が憩っているのだが。
 周囲から筒抜けも同然に聞こえてくる妓たちの嬌声に、女郎花ひとりが頬を染めてうつむいている。四面楚歌ならぬ三面艶歌だった。そして。正座の習慣がない時代にあって、女郎花は行儀よく片膝を立てて座しているが、両側に侍る桜と薊は、長に身を添わすようにして、裾を乱し脚を投げ出した横座り。三人とも袴は脱いでいるから、小屋の中もそれなりに妖しい光景ではあった。
 やがて、女郎花が腰をもじつかせて。小さな声を漏らす。
「桜、薊……妾(わらわ)は、もう、もう……」
 みなまでは言わさず。薊が横ざまに女郎花の口を吸い、胸元に手を差し入れる。立膝の裾を桜が割って、白い太腿を剥き出しにする。
「ああ……」
 薊はすがりついてくる女郎花を筵の上に仰臥させて、帯に手を掛ける。前をはだけて胸乳を夕暮れの薄明に晒す。さらに下まではだけると、女郎花は腰巻を着けていなかった。代わりに、幅六寸ほどの布の両端に紐を縫い付けた、もっこ褌を着用している。これは、袴を穿かずに激しく動いたときも隠し所が露わにならぬための心得――では、ない。いずれは子を成すという女の生き方を捨てた覚悟であった。だからこそ、男ではなく女を相手に夜を過ごしている。しかし、女の生き方を捨てはしても男に成りおおすつもりもない。だから、年長の女に対しては受け身の一方だった。
 薊と桜は立ち上がると、もっこ褌一丁の女郎花に背を向けて、手早く素裸になった。女郎花を挟んで左右に側臥して薊が女郎花と抱き合い、互いに唇を貪り胸をまさぐる。たとえ双児を生んでも余裕に乳を飲ませられるだろうという豊満な薊の乳房に比して、女郎花のそれは晒布を巻けば容易に美青年に化けられるだろうくらいに小ぶりだった。薊の手が乳房から離れて背中を抱きしめ、乳房で乳房を押し潰しこねくる。小城に攻め寄せる大軍の風情だった。
 桜は体の上下を入れ替え、女郎花の片膝を腰に乗せる形となって、開かれた太腿の間に後ろから顔を突っ込み、股間に舌を這わせた。
「ひゃうんっ……」
 すでに綻んでいる蕾の雌蕊(めしべ)をくすぐられて、女郎花がしゃっくりのような悲鳴、いや嬌声をこぼした。桜は蕾を啄ばみ、さらには音を立てて啜り、熟れた木通(あけび)のように口を開いている女その物にかぶりついた。
「ああっ……里乃……いえ、桜。腰が、腰が……切ない」
「遠慮はいりませぬ。もっと乱れてよろしいのですよ、小夜姫様」
 こういった妓であれば源氏名を使うのは常套であるが、それにしても諱名に『姫』を付けるとは――この者たちの素性の曰因縁(いわくいんねん)がうかがわれる。しかし、しばらくは当人たちが名乗る源氏名で物語を進めていこう。
 二人掛りで攻められて、しかし女郎花も防戦一方ではない。下になっている手を薊の股間へ伸ばし、もう一方の手で桜の尻を抱き寄せ下腹部を自分の上に乗せると、顔をねじって股間にむしゃぶりついた。
「あんんっ……いちだんと上達なされました。もし粗相をしましても、お赦しを」
 たちまちに桜の淫唇が、唾にしては粘っこい汁にまみれてゆく。
 しかし股間だけを見ると、三人の年齢が逆転している。薊と桜の秘所は無毛。目を近づけて仔細に見れば、剃っていると分かる。
 食うに困って街角に立つ地娘はともかく。これを生業と定めた遊女は、股間の手入れに余念が無い。無毛にする者、形よく整える者。娼売道具に香を焚き込める者もいる。
 しかし女郎花は、早春の萌え初める風情ではあるが、これといった手入れをしていない。その萌え初めた春草も、今はしとどに濡れている。
 小屋の戸口に垂らした筵が、遠慮がちに持ち上げられた。
「五百のお客が、ひとり」
 鼠地に黄色い蝶を古風な飛び模様に散らした小袖の前をはだけて乳房を半ばこぼした女が、言葉短く声を掛けて、すぐに引っ込んだ。
「あらま。五百文とあっちゃ、行かなくちゃね」
 急に蓮っ葉な口調になって、薊が三つ巴の輪から抜けて立ち上がった。どうせ脱ぐのだからと素肌に小袖を引っ掛け、帯を締めるのではなく巻き付けただけで、小屋から出て行った。
 二人に翻弄され、乱れに乱れていた女郎花も、うっそりと身を起こす。
「今宵は、もうやめにしておきましょう。銭も稼がず痴れ事にうつつを抜かしていては、皆に申し訳が立ちませぬ」
「それは料簡違いですよ」
 桜も身を起こして、素裸のまま筵の上に座り直す。もっこ褌を締めて小袖を着付けにかかっている女郎花を、痴情の余韻も留めぬまっすぐな目で見つめる。
「昔のことは申しませぬが、あなたという要がおられてこそ、扇も開くというものです。それでも心苦しいのであれば、女郎花殿は一座の用心棒とでも思し召せ」
 女郎花は、かえって顔を曇らせた。
「あの武者には、まるきり太刀打ちできませなんだ」
「まさか、荒武者と一騎打ちするわけでもありますまい」
 桜、薊、椿の三人は薙刀の心得があるとはいえ、振り回してもおのれが怪我をしないというくらいの腕でしかない。しかし女郎花の小太刀なら、付け焼刃の調練を受けただけの雑兵など束にして軽くあしらえる。
「それは、そうですが。あれだけの器量に、あれだけの腕前となると……」
「おや。珍しくも殿方に気を惹かれましたか」
 桜が、半分はからかう。
「まさかに。けれど、あの御仁。拵えから見ても、もしや総大将の秋元茂親ではありますまいか」
「ああ、それなら話は分かります」
 桜は、先刻の素見(ひやかし)の一件を伝えた。寄せ手の総大将なら、女郎の総大将とでなければ一戦を交える気にならぬでしょうと――もちろん軽口であった。


女忍遁走

 秋山勢が陣掛けをしてから半月。御陣女郎が小屋掛けをしてからでも六日が過ぎた。
 槍小屋には口開けの二日目までは五十人ほどが押し寄せたが、以後は午の刻あたりから蚊遣りを焚いても、せいぜい二十人から三十人。雑兵がそうそう銭を持っているはずもないし、兵糧から何やかやをくすねるにしても、つまりは盗みである。上の立場の者は兵への示しもあって、やはり足しげくは通えないから、素裸で付きっ切りの客はせいぜい一人が来るか来ないか。それでも、一日の水揚げはおおむね銭で数えて千五百文。女郎一人頭で百二十文なら腕の良い大工を凌ぐから、不満はない。もっとも、淋の病をもらったり、子流しを繰り返して身体を痛めることを考えれば、割りの良い商売ではないのだが。貧乏農民とくっついて雨の日も炎天下も地べたを這いずり回ったり、小商人(あきんど)の女房に
納まったはいいが亭主の顔色をうかがい、挙句は押し込みに怯えて暮らすよりは、よほど気儘に生きられるのだった。
 それは、戦に狩り出された雑兵も同じかもしれない。国へ戻れば元の小百姓(の次男坊か三男坊か)だが、陣中にあるうちは米の飯にありつけるし、組頭なり侍大将なりが手柄を立てれば、おこぼれの銭をいただける。鄙(ひな)には稀な美女で埒を明けるという、夢のような一夜まで降って湧いた。
 城方は知らず。寄せ手の中で苦衷を託(かこ)っているのは、帷幕の中だけであった。
 ただ糧道を断ち、敵領内の米を奪えば良いのであるが、つまりは城を囲んで守勢にまわっているようなものだった。いっそ焼き払ってしまえば――この地を切り取っても、領民が服従(まつろ)わぬ。
 二百人で城に通じるすべての道を間道まで封じるのは、どうにも数が足りない。もちろん、小人数の出入りがあろうと、米の一俵や二俵が運び込まれようと、それくらいは大勢を傾けるには至らないのだが。
 この数日、寄せ手の側が夜討ちに悩まされていた。手薄な箇所ばかりを狙って、若干の手柄を得るとさっさと城へ引き揚げる。手足ではなくせいぜいが指先だが、それをじわりじわりともぎ取られているようなものだった。ならば、城方の人数も減らしてくれようとこちらが夜討ちを仕掛けると、巧妙に待ち伏せされて、またしても指の何本かをへし折られてしまう。

 初日に素見に来ただけの若武者が、今度はひとりで槍小屋を訪れた。前と同じに女郎花を所望したのだが、様子が違っていた。
「儂は秋山茂親じゃ。長と話がしたい」
 買いに来たのなら追い返しもできるが、総大将として女郎の長と相対したいというのだから、これは無碍にはできない。槍小屋に三方を護られた、いわば本丸へと案内する。
 椿が戸口の筵を持ち上げると茂親が先に入って、戸口をふさぐように陣取った。
「あの……」
 茂親が椿を振り返る。
「儂はひとりじゃ。まさか、介添えが居らねば閨の所作もままならぬ未通女の姫君でもあるまいに」
 女郎花が軽くうなずいて、目で椿をうながした。椿は茂親の背に黙礼をして筵を下ろした。
 女郎花は総大将と向かい合って、心を落ち着けようとしている。物の喩えとはいえ、あまりに自分の昔を言い当てられた思いだったのだ。
 心が落ち着かぬうちに、茂親がずけりと核心を衝いてくる。
「おまえたちが小屋掛けをしてからこっち、どうも我らの手の内が城方に漏れておる気来(きらい)がある」
 自分の持ち場しか見ていない雑兵は、まだ気づいていないが。あちこちの組に属する何十人という雑兵から聞かされる寝物語は、女郎花の耳にも届いている。それらを少しく高所から望見すれば、茂親の気来は取り越し苦労ではないように思えてくる。
「とはいえ、今さらにおまえたちを追い出すわけにもいかぬわ。兵どもが悄気(しょげ)て、ますます分が悪くなる」
 女郎花は頭を横にも縦にも動かさず、黙って茂親の話を聴いている。何を求められているか見当がつかないのだから、首肯も反駁もできない。
「これからは、小屋の五間先に昼夜を問わず兵を立てる。この輪から外へ出るときは必ず、組頭かそれに準ずる者を同道させる」
 そこで女郎花の固い顔をじろりと見て、つけ加える。
「厠であろうと野合であろうと、だぞ」
 女郎花は能面をわずかに頷かせた。
「もとより、蚊に食われながら致すのを好む妓はおりません」
 軽口に皮肉で返したのだが、通じたかどうか。
「寄せ手方総大将から女郎の長への申し渡しは、ここまでじゃ」
 茂親は胡坐を掻いたまま、ずいと一尺余りを詰めた。
「ここからは、男と女の話じゃ。おまえは取り分けて若いし見目麗しい。五百とは言わん。一貫文でどうじゃ。見世仕舞まで付きっ切りで腰巻も取るというのを所望するぞ」
「私は身体は売りません」
 女郎花は冷たい声を返した。
「私は剣の腕を妓たちに売っています。でも、秋元様の御陣では、鈍(なまく)らの腕など要らぬでしょう」
「ますます気に入ったぞ」
 糠に釘もいいとこだった。
「そのつんとした鼻っ柱をへし折って、華奢な身体を組み敷いて、あれこれと啼かせてみたいものだが――どうも、女郎どもに総スカンどころか逃散されかねんな」
 いちいち出向くのは面倒だから、気が変わったら昼でも夜でも本陣へ来いと言い置いて――茂親は小屋から立ち去った。
 女郎花は見張の件を、すぐ全員へ伝えた。さらに付け加える。
「足軽の輪から外へ出るときは、ふたり、できれば三人から上に固まりなさい。我らの中に乱破が紛れているなど噂が立てば、今後はどこの御陣に近づくこともかなわぬようになりましょう」
 女郎花は、あえて宙を見据えながら申し渡した。顔を見れば、どうしても空木に目が向いてしまう。
 ひとつ文字の三人は言うに及ばず、ふたつ文字の八人のうち蓮華、文目、小紫、藤袴、青木の五人は一年半前に、女同士助け合い男に翻弄されずに生きようと、一座を結んだときからの仲間であるし、木蓮と菖蒲の二人は加わってから半年が経つ。空木だけはひと月前、河原に小屋掛けして、線香一本十文、付きっ切りなら百文で娼売をしていたとき。強欲な楼主から逃げてきた妓だ。
 乱破が紛れているならおそらくは空木と、女郎花は見ている。空木が騎馬武者に抱きつかれたときの様子を、女郎花も真直に見ている。牛に行く手を遮られる前の身の躱し方は、地娘のそれではない。あるいは、咄嗟に体が動いたものの、怪しまれないために、わざと牛のいる方へ逃げたのではないかと――それは、うがち過ぎであろうが。

 翌朝。またも茂親が小屋を訪れた。自堕落な妓には朝駈けもいいところだったが、さすがに女郎花は衣服をあらためていた。
「今日は蚊遣りをくべるな。焚き火も狼煙もまかりならぬ」
 はっと、表情を引き締める女郎花。蚊遣りの煙に細工をすれば狼煙になる。陣の手薄な方面くらいは伝えられるだろう。そのことにまったく思い至らなかったおのれの不明を慚じたのだった。
 ――その日は、午どころか巳の刻あたりから雑兵どもが門前に市を成す大商いになった。聞けば、五十からの手勢で夜討ちを掛けるという。総勢の四半分である。英気を養っておけと、夜討ちに選ばれた者には百文が下された。下手をすると(上手く行けば)百人からの客が押し寄せる。
 手薬煉(てぐすね)引いて女淫(ほと)に子種塞ぎの草を詰めての大童。薊、桜、椿にも客が着いたが、まさかに店仕舞いまで居座る豪傑はおらず、一刻足らずで五百文は濡れ女淫に粟の大儲け。
「もう、たくさん。下の口からげっぷが出るよ」とは、二つ文字名の十一人打ち揃っての感想だった。ついつい本気を遣ってしまう青木と藤袴は腰を抜かす有り様だった。

(これは一体に……?)
 妓たちの戦い済んで日が暮れて。槍小屋の内からは、早々と寝息すら聞こえてくる。しかし男どもの戦は、まだ四刻も先の寅の一点。本陣の中に動きはないが、槍小屋の回りは十人の足軽に取り囲まれている。その人配りに女郎花は、明らかな手抜かりを見ていた。
 小屋から五間を隔てて囲んでいるのだから、兵の間隔は四間もある。一人おきに内と外を向いている。しかも、こちらを向いている兵の傍には篝火が置かれていた。これでは明かりに眩惑されて、闇を見透かせない。神出鬼没の乱破といわず女郎花でさえも、包囲をすり抜けるのは容易だろう。
 やはり、我が手で乱破を捕まえねばならぬ。いや、捕まえても寄り手へ引き渡してはならない。乱破は絶対に口を割らぬと聞いている。となると、凄まじい拷問。そして処刑。乱破が女であれば、色責めとやらいうおぞましい仕置も加わる。
(そのような目に遭わされるくらいなら――わたくしなら自害する)
 樹の根元に身を潜めた女郎花は、密かに決意を固めたのだった。
 ――星辰が動いて。亥の刻に掛かろうかというとき。
 槍小屋のひとつに、筵がかすかに動いた。
 おぼろな影が忍び出る。くすんだ赤茶色の塊は、おぼろな物の怪にも見紛う。色小袖を裏返して、柿渋で染めた裏地を表に出し、白い顔と手足に灰をなすりつけた――とまでは、女郎花の潜む場所からは見て取れなかったが。
 女郎花が立ち上がった。
 その気配を感じて、ぎくりとふり返るくすんだ影。
「空木……ですね」
 女郎花は瞬息に間合いを詰めた。腰の小太刀は抜刀している。
 殺すしかない。たとえ短い間でも仲間であった者に、いや誰にせよ、業苦の死を遂げさせたくない。けれど、空木を見逃せば一座が成り立たぬ。ならば――苦しまぬようひと思いに、我が手で。
 女郎花は、空木の首筋を狙って必殺の斬撃を放った。首筋の血脈を断ち切れば、苦しむことなく即座に絶命するという。
 しかし空木は身を沈めて刃を躱し、そのまま転がって横へ逃げた。
 空木の忍び装束と違って、女郎花の無地とはいえ色小袖は、篝火に照らされれば闇夜に目立つ。しかも、大きな動き。さすがに見張の足軽も異変に気づく。内を向いていた五人が、駆け寄ろうとする。
 空木が、女郎花にじゅうぶんな間合いを取って立ち上がる。懐から小さな玉を取り出した。
(焙烙弾!)
 導火線に火を点じられぬうちにと、女郎花は地を蹴った。
 不意に空木が微笑んだ。
「ありがとうね」
 女郎花の殺意と真意とを読み取っての言葉だった。
 空木は玉から伸びている短い紐を引き抜いた。即座に、地面に放り出す。玉はころころと転がって。
 パアン。
 拍子抜けするほど小さな爆発音と同時に。
「あっ……?!」
 いきなり真昼になったかと思ったほどの閃光が闇を切り裂いた。
 閃光が消えたとき、空木の姿も消えていた。
「な、なんだ……」
「曲者だあ!」
 事態を理解できぬままに足軽が喚き交わす。
 桜、薊、椿の三人が、押っ取り薙刀で駆けつける。
「あなたたちは戻りなさい」
 小太刀を納めて、女郎花が三人に命じた。
「乱破を取り逃がしました。御大将へ言上に参ります。道を開けてください」
 これは、女郎花を取り囲んだ足軽に向けて。
 女郎花が陣所へ向かって歩むと、気圧されたように足軽は左右へ引いた。
 篝火に照らし出された女郎花の顔は蒼白に変じている。

========================================
てきとうなの11

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Pregress Report 0:売姫三日晒

  さあて。満を持しての執筆開始です。
 そもそも。この作品の構想は10年昔にさかのぼります。KTCに幾つか企画を出して、GOになったのが『
槍姫千本突き』でした。で、まあ。これが好評で似たようなのを続けてとなったらなりませんでしたが。○○姫△△△を、いろいろ考えて。プロットになりそうな候補のひとつが、これだったのです。その他には、贄姫恥辱舞とか鬼姫淫核責とか遊姫三穴刺とか縄姫鞭修行とか偽姫駿河問トカトカトカレフ。

 そういう次第で、今回は構想十年のPLOTです。
 磔晒しがアペリティフでオードブルでメインディッシュですので、表紙絵は……ううむ。開脚キの架磔の正面画像て、あるようでないんですね。


磔ネタ探し



========================================
晒刑の真相
女郎花の素性を疑う大将。凄腕の忍者を張り込ませる。
LAST:素性露見も、大将の恋慕で見逃す。

女郎花(小夜姫)
楓 小夜姫の元侍女
桜  々
薊  々

蓮華/文目/菖蒲/木蓮/小紫/藤袴/青木/柘植
最初期からの遊女。いくらかの所縁

空木 新参の遊女 実は城方の乱破
水引/木通 新参の遊女 空木の朋輩だが庶民


※御陣女郎
秋の林を行く15人の女。
先頭は薙刀をたずさえた2人。その後ろに若衆姿の少女。殿も薙刀の女性1人。
5人の巡察隊に誰何される。
「こたびの戦で、秋元様に陣借りを」
「女子の身で陣借りとな?」
かたわらの武者に耳打ちされてニヤリとする武将。御陣女郎。
「腕試しをしてやろう」
女郎花の腕をつかもうとする武将。するりと躱す女郎花。
すぐ後ろにいた空木。
若い侍に抱きかかえられそうになり、はっと身を引くが、途中で動作が緩慢になり捕まる。
女郎花の身ごなしにただならぬものを感じて問答無用の抜き打ち。
瞬息の入身で小太刀を抜く女郎花。
武将、驚きながらも豪傑笑い。
「望むなら侍大将にしてやってもよいぞ」
直後、再度の抜き打ち。勢いが違う。寸止め。
「足軽頭がせいぜいか」

※未通女長
陣の後方に仮小屋を葺く女たち。
 小さな槍小屋(宿所兼用)が三つと、それに囲まれた、より小さな長小屋。槍小屋の戸口は内向き。
出来上がると、それぞれの戸口で蚊遣の焚き火。煙もうもう。出入りの姿を隠す。
日が落ちる前から列をなす雑兵。将の姿もちらほら。
昼間の武将も。
「あの娘は、どこだ」
「お生憎様。長は身体を売らないんだよ。あたいじゃ駄目かい?」
桜が袖を引く。値段を耳打ちされて目玉を剥く武将。
「遊女屋を借り切るつもりはないぞ!」それでも仮小屋へはいる。
雑兵相手の遊女も同じこと。作事方の日当の半値の50文。女の値段が安いこの当日、相場の5倍。武将は全裸ロングで500文。
それでも、明日を知れぬ身の男どもは群がる。
仮小屋のひとつにいる女郎花。四方から聞こえてくる嬌声。もぞもぞ。
「薊……」
濃厚レズプレイ。
女郎花は未通女だった。3人が交替で相手。
楓がタチながら主従関係をうかがわせる台詞。

※間諜嫌疑
城を攻めあぐねている秋山元親。
警護の手薄な方面から夜襲をかけられて、被害甚大。国許へ援軍を仰ぐ始末。
例の武将に呼び出される女郎花。武将の名は秋山茂親。総大将の甥。
「お前たちが来てから、城方の手口が巧妙になった。まさか、陣備を漏らしてはいまいな?」
敢然と否定する女郎花。しかし、陣備を知られているとしか思えない(小夜には軍略の知識もある)。
仮小屋に戻って妓たちを集める。単独行動の禁止。外歩きは3人以上で。

※女忍遁走
昼間から足軽が客。
今夜に夜襲。鋭気を養う。
女郎花、陣立を遠望。おかしい。
東声撃西の声。乱波を前提か。
父上はさらに軍略の才があっても滅びた。
蚊遣の禁止。女郎花、狼煙に思い至る。
小屋を遠巻きにする足軽(精鋭)。一人おきに内外。数か所に篝火。
穴だらけ。篝火で、夜目が利かない。
深夜。
逃げ出そうとする空木。袷の裏は柿渋。顔と手足に灰。
戸口の糸に引っ掛かる。鈴の音。
女郎花、飛び出す。側近二人が、それぞれ槍小屋から。取り囲む。
「やはり、あなただったのね」
鍛えた身のこなしを隠そうとするそぶりに気づいていた。
足軽も異変に気づいている。
すでに女郎花の心は固まっている。
秋山勢に味方するわけではない。しかし、逃がせば城方への加担。秋山勢に引き渡すのが筋。
引き渡せば、拷問の末に処刑。斬首なら、まだいい。磔、火あぶり、四つ裂き、鋸曳き
 ……戦陣で見てきた数々のフラッシュバック。
慈悲の殺意。小太刀を抜く。読み取る空木。
「ありがとう。でも、死ぬわけにはいかないの」
爆裂弾で遁走。

※一身拷責
そのまま茂親の陣所へ引き立てられる。
女郎の一斉処刑を命じる茂親。
「そのようなことをすれば、兵の恨みを買いますよ」
「妓の不始末は、長であるわたしの責任。わたしを処罰すればよいでしょう」
覚悟を見せてもらおうか。懐剣など忍ばせていられては怖い。
素裸。手を首の後ろで組まされる。
最後まで立っていられたら、女郎どもは見逃してやる。
乗馬鞭で折檻。茂親を睨みつけて気丈に耐える女郎花。
縛られる。
「なにをされようとも抗いませぬ」武家言葉になっている。
ちと人払いをするでな。素手でも恐ろしい女子じゃからの。
後ろ手に縛られ、乳房にかけられた縄を引き絞られたとたん、力が抜ける女郎花。
ほう……縄が好みか?
「馬鹿な……」
「これまでは、我が心で抗いを封じていただけのこと」
「このように縛られては……なにをされても抗えぬ。口惜しい……」
女郎花の被虐性を見抜いて猛り狂う茂親。
脚を座禅に組ませて。荒々しく嬲り抜く。
楓たちに開発されていた肉体。乱暴な愛撫さえ新鮮な刺激。
尻穴を嬲られてさえ艶めかしい声を漏らしてしまう。
ここも知っておるのか。とんだ淫乱未通女じゃな。
座禅転がしにかけようとして、ふと気を変える茂親。座禅を解いてやり。
自分で貫いてみよ。寝転がる。
やらねば、連れの女も処刑するぞ。
初体験は(縛られているので)腰探りの騎乗位。
命じられるままに腰を使い――いつしか自分から。
儂の側室にしてやる。
「誰が、そのような。さっさと仕置なさいませ」

※見世締磔
翌朝。
全裸開脚土の字磔。
捨て札。
女乱破を引き入れし罪により3日の磔。科人になにをしようと不問。
投石、竹槍突による私刑の黙認。
野次馬で黒山の人だかり。危害を加える雑兵はいない。
そんなことをすれば、遊女にケンドンを食わされる。
夕刻。茂親の巡察。腹を槍の石突で小突かれて放水。
行儀の悪い娘じゃな。側室にしたら、きちんと躾けてやるぞ。
縄を掛け変える。壊死予防。楽な姿勢に。

※姫君有情
大規模な夜襲。空木と若武者。
小夜姫、お助けに参りました。
城方は遠縁の筋。
「無用じゃ」
「妾が逃げれば妓たちが仕置きされる」
「城にはいって討ち死にせよと申すか」
「落城の憂き目を見るのは、いちどでたくさんじゃ」
引き上げる城方。
茂親のことだ。小夜が3日を生き延びれば、妓たちを人質にして、強引に自分のものにする。
茂親の言っていた『躾け』とは、なにをされるのだろうか。
縛られて笞打たれて犯されて。もっと酷いこともされるのだろうか。
恐怖に震えながら、小夜は股間から熱い蜜を滴らせていた。


活劇シーン
  巡察隊とのやりとり
  逃げようとする空木との死闘

メインディッシュ
  薊とのレズプレイ
  茂親によるリンチとレイフ゜
  磔での放水

女郎花(小夜姫) 数えで18歳。
   唐輪髷(髪を頭の上で束ねて、いくつかの輪にして、あまりの髪で根元を巻く。前髪は両側に分ける)
   恥毛の手入れはしていない。薄め。
   無地の小袖に軽杉袴。小太刀を手挟む。

楓、桜、薊 20歳前後。切り禿。手入れしてパイパン
       名前の花(葉)をあしらった小袖。必要に応じて薙刀。
空木 25歳くらいか。茶筅髷。背中に忍刀(直刀)を隠して脱走。手裏剣など。
遊女一般は短めの流し髪が主流。手入れはさまざま。パイパン、逆三角、実核のまわりだけ。などなど。

1539年(天文8年)鉄砲伝来のすこし前。閏月は、無い。

========================================

継ぎ足していったので、重複もあるし、とっ散らかっています。
最後のほうで「活劇シーン」とあるのは、KTCで求められたからです。
女忍者の空木を小夜姫が殺す展開でした。
(捕らえて引き渡せば、拷問と残酷な処刑)。
頸動脈を掻き切られて、空木は(急激な血圧低下で)幸福感に包まれて死ぬ予定でした。
最終PLOTでは、殺す決心をしたものの、あっさりと逃げられています。
だから、オーラスで(小夜姫の慈悲の殺意に感じて)救けに来てくれるのですけど。



さて。何枚になりますか。
Zero Sum Short Storiesのひとつですが、まさか10年前にKTCに求められた70枚前後に収まるはずがありません。
まあ、最近になって再々々認識くらいしたのは、エロ/SM小説は、濡れ責め場を描写すれば際限なく長くなるということです。
「姫騎士は、三日に渡って辱められた」と、健全ラノベで流せるシーンを、300枚でも400枚でも書けますものね!


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:昭和集団羞辱史物売編(昼)

 今回は短くなりました。『淫毛の御守』と『寝室必需品』2本で、巻頭言や後書きを含めても256枚(1次校訂)。
 それでも、これまで同様税込み440円で売りますけど。
 しかし、なんと言いますか。今回はプロットからの逸脱が甚だしかったですね。なので、「後書き」なんかを紹介したりします。


========================================
 どうして、こうなった?!
 いえ、『寝室必需品』です。プロットでは、実演も試着も嫌がる成子を鞭と飴、義理の叔母のレズ調教で従わせる予定でした。それが、いきなり絶頂してセックスに夢中になって。挙句は自分から緊縛を体験してみたいと言い出すなんて。
 作者として、ヒロインの育て方を間違ったとしか、言いようがありません。ヒロインが作者の手を放れて勝手に動き回るのは、本来は喜ぶべきことなのですが……今回は、すこし違うような?
 だいたい。ノーマルなセックスに満足していた娘が悦虐に開眼しますかね。男を次から次へと乗り換える女は、実は快感を得てもエクスタシーに達せないから、別の男に期待しているのだとはいいますが。ヒロインは違いますし。
 もう、どうにもならん。なるようになれ。強引に御仕舞わせました。

 さて。人によっては、作品を発表せず手元に残して何度も推敲/改稿して、弄り倒すという例もあるようですが。筆者は、書きたい作品がフルヘッヘンド。死蔵してたら、文字通り死蔵になりかねません。
 鋭意ではなく微意執筆中が短編オムニバス『宿題をわすれたらおしりたたき、水着をわすれたらはだかで泳ぐ。クラスのみんなで決めました。』五年修了時学習済教育漢字。
 その他、プロット完成あるいは大筋確定だけで
集団羞辱史(物売編:夜)/集団羞辱史(番外編:少年)/十手小町淫乱変化/スケバン有情~悦虐へのエチュード/XYZの悲劇/A6(後述)/売姫三日晒/くの半試し/性少年包弄記(怨辱編)……
 さらに構想中や抗争中が未航走ですが
恥辱の特設姦視艇/反革命的少女矯正大隊/虐待される僕と溺愛される私/男性社員(おとこ・せいしゃいん)……

 なので、本作品はさっさと Take a kick. ケリをつけて。次の作品に着手します。An Amateur Assasine Arrested And Assaulted(こむすめあんさつしゃがつかまってひどいめにあわされるはなし)』Aの6連発です。短編(といっても二百枚弱)です。
 さらに『売姫三日晒』も短編で予定。
 ストック原稿を作ったところで、PIXIVで次のリクエストを受けます。百枚目処の短編と称していますが、最初のリクエスト『ピアスの名札はどれいの証し』で二百枚。次回は設定が入り組んでいるし責めシーンのリクエストも多いので、三百枚で収まるかどうか。タイトルは『女神様と王女様と、いとこの(下)僕』仮題です。

 さらに。私事で恐縮はしませんけど。この春から週休三日になる予定がパアです。「おお、むすめよ。りゅうねんするとはなさけない」です。完全週休二日でなく、月間十日の休みでいきます。
 それでも。2019年に達成した年産三千二百枚を更新してみせますとも!
========================================

※こうず1

 後書きでも書いていますが、Zero Sum Short Storiesを2本。もしかすると他にも何か書いてから。
 4月になったら、PIXIVでリクエストを受ける予定です。
 1月にWILL様からあったリクエストを2週間で納品したところ、折り返しで2本目のリクエストをいただいたのです。が、『集団羞辱史:物売編(昼)』を中断していたので、これを仕上げて。月刊はともかく隔月刊ペースくらいは維持したいので、いったんはリクエストを断わりました。
 ストック原稿を作って――それから、リクエストを受注する予定です。
 これは、そちらのProgress Reportで書きますが。前作より設定が入り組んでいます。ノン気少年がヒロイン(?)ですが、熱血サッカー少年というキャラ指定があります。本編のストーリイとは相容れないのです。
 女学校の修学旅行をバスジャックして、女学生全員が生理中ではないというので全員が凌辱されるという話を書いて、こういうフィクションは許容範囲とトンチンカンな事をおっしゃってる御中SM作家がいます。
 ※修学旅行に合わせて生理をずらすのが常識ですから、むしろ、生理中の女学生がいたら不自然ですわな。
 ※御中とは:実績はあるが御大には程遠い。ちなみに、団鬼六あたりは御大を突破して極大でしょう。
 で、この御中が、編集者から「次はゴスロリをヒロインにしてください」と注文されて。
 彼女はゴスロリだった。
 冒頭に一行書いただけで、あとは好き放題に書いたと豪語しておりますが、小生は未読ですが。まさか。
 彼は熱血サッカー少年だった。
 で、あとは……というのは、小生のプライドが許しません。サッカー(部活)に絡むエピソードを盛り込んで、本筋に不可欠な展開にしてみせますとも。
 というわけで。
 今日は校訂やらBF丁稚揚げやら。そして、明日にでも次作に着手です!

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:昭和集団羞辱史物売編(昼)

Progress Report 1 →

 リクエストを消化して(2週間で200枚)、戻ってきました。
 『淫毛の御守』は120枚で終わって、『寝室必需品』に取り掛かっています。
 今回の紹介は『淫毛の御守』終盤です。


========================================

   見せしめの磔

 秋競馬も終盤を迎える頃、美子の貯金額は五十万円に達していた。サラリーマンの年収を軽く超えている。安い物件なら、ほんとうに小さな花屋を開けるくらいだが――夢として勇次に語ったら、猛反対された。裏通りに小さな花屋を開いても、客がつかない。運転資金を食い潰して、すぐに立ち行かなくなる。
「まあ、別の花を売ろうってんなら、話は別だが。おめえなら店主よりも売り子のほうが稼げるぜ。巫女との兼業は無理だがな」
 言いながら勇次がいつもより下の部分、穴の入り口をくすぐったので、『別の花』の意味は分かった。そんなこと、絶対に嫌だった。美子が売っているのは、毛だけだ。彼女にしてみれば、後世のギャルが使用済みパンツを売るのと同じ感覚だったのかもしれない。
 なにも急がなくていい。秋競馬が終わったら、すぐに年末競馬、新春競馬が始まる。半年で五十万円だから、一年で百万円。二年で二百万円。目抜き通りに大きなお店を構えることも不可能じゃない。それとも、自分は資格を持っていないけれど、人を雇って美容院を開くのも素敵だ。
 でも――と、美子は悩む。お店を持ったら、それが勇次との訣かれになる。そんな予感がしていた。
 佳子は夏に先輩の男性と海へ行って、そこで結ばれたと自慢している。でも、話を聴く限りでは痛かっただけで、女性器にはキスさえされなかったそうだ。勇次の乾分たちともいくらかは話をするようになったのだけど。『ハモニカ』は勇次の特技で、キスはともかくビブラートなんて、誰にも真似はできないそうだ。
 それを考えると、お店なんかどうでもよくなってくる。元々、小さい子が抱く漠然とした夢と違いはなかったのだから。
 ――その日も、一日二回の興業で二万五千円を稼いで、連れ込み宿で何度も絶頂まで演奏されて、雲の上を歩くみたいな感覚は、電車を降りてからも続いていた。
 まだ火照りの残る肌を晩秋の夜風に吹かれながら、駅前の町を出て工場の寮へと田んぼに挟まれた道を歩く。後ろから車のヘッドライトが近づいて来たので、畦道へ避けた。
 荷台に幌を掛けたトラックがゆっくりと美子を追い越して――急停止した。
 荷台から二つの人影が飛び下りた。美子の前に立ちはだかって、顔を懐中電灯で照らした。
「きゃっ……?!」
「間違いない。こいつだ」
 声と同時に背後から抱き着かれて、口をふさがれた。
「む゙ゔゔ……!」
 前に立っていた男が身を屈めて美子の脚をつかみ、二人掛りで荷台に押し込んだ。二つの人影も荷台に飛び乗ると、トラックは急発進した。
「何をするんですか!」
 美子は恐怖に震えながらも、気丈に相手を詰った。返事は、手酷いビンタだった。
「おとなしくしてりゃ、命までは取らねえ。だが、二度と商売は……」
「余計なことはしゃべるな」
 訳が分からないままに、美子は身の危険を感じた。女性にだけ生じる危険だ。
 トラックから飛び降りようかと後ろを振り返ったが、大怪我をしそうだと諦めた。だいいち、幌が開いている荷台の後ろまでも辿り着けそうにない。
 美子は運転席側へ逃げて、荷台の隅に縮こまった。男たちは逃がさないように見張ってはいるが、すぐに襲い掛かってくる気配もない。
 トラックは山道へ折れて、数百メートルほど進んで止まった。
 美子は荷台から引きずり下ろされて、運転台にいた二人の男と合わせて四人に取り囲まれた。
「お金なら……すこしだけあります。誰にも言いませんから、ひどいことはしないでください」
 哀願はしてみたが、無駄だと悟っていた。わざわざ待ち伏せして、顔を確認したうえで誘拐したのだ。行きずりの暴姦魔なんかじゃない。でも、何が目的なのか、それが分からなかった。男の一人が「二度と商売は……」と言ったことも、恐怖で空回りしている頭ではヒントにすらならなかった。
「どうせだ。引ん剥いちまおうぜ」
 背後から羽交い絞めにされた。正面に立った男が美子のスカートを乱暴にずり下げた。ホックが弾け飛ぶ。パンティは引き千切られた。
「じっとしてろよ。動いたら殴るぞ」
 羽交い絞めから解放されると、美子は草むらに崩折れた。膝が震えて立っていられない。
 男の一人が肩に手を掛けて上体を引き起こす。別の一人がセーターの裾をつかんで、ブラウスごと頭から引き抜いた。スリップは肩紐を千切って下へ落とし、ブラジャーも毟り取った。一分もしないうちに、美子は靴下だけの全裸にされてしまった。
 腕をつかまれ引きずられて、トラックの正面へ連れて行かれた。処女の裸身がヘッドライトのビームに照らし出される。
「まずは売り物だな」
 草むらに押し倒されて。いよいよ犯されるんだと、悲しく覚悟を決めたのだが。様子が違っていた。男たちは二人掛りで美子の両手両足を押さえつけて、三人目が横に片膝を突いた。
 四人目の男からガムテープを受け取ると、それを長く引き伸ばして、美子の下腹部に掌でぎゅうぎゅう押しつけてから。
 ベリリリリッ……一気に引き剥がした。
「いやあああっ……痛いっ!」
 ヘッドライトに照らされたガムテープには、淫毛がびっしり貼り付いていた。
「あっ……?!」
 美子は、男たちの目的を悟った――と思った。
「乱暴はしないでください。御守が欲しいのでしたら、何本でもあげます」
 トラックの荷台に放り込まれた直後の問いへと同じ答えが返ってきた。ただし、今度は頬へではなく乳房へだった。
 バチイン!
「あうっ……」
 まだ少女の面影を色濃く残しているささやかな乳房は、真横からはたくには小さすぎた。斜め上から掌を叩きつけられて、美子は息が詰まった。
「当たりもしない御守なんざ、誰がいるかよ。インチキ商売ができねえように、懲らしめてやる」
 再びガムテープが下腹部に圧着されて、乱暴に引き剥がされた。三度四度と繰り返される。そのたびに美子は、小さな悲鳴をあげた。怯えきっていて、大声にならない。
 下腹部が丸坊主になり、毛根を引き抜かれた出血で薄赤く染まった。それでも『懲らしめ』は終わらない。大きく開脚させられて、蟻の戸渡までガムテープに食い荒らされた。
「さて、これで手間仕事は終わったな」
 男の言葉に、犯されずに赦してもらえるのかと、美子は安堵しかけた。もちろん、それも勘違いだった。
「いよいよ、お楽しみの時間だ」
 そう言った男がズボンを下ろしにかかった。
「……!!」
 美子は跳ね起きて、逃げようとした。が、別の男に立ちはだかられてしまった。
「素っ裸で、どこへ行こうってんだ」
 男は薄ら嗤いを浮かべて、美子を押し倒した。
「暴れられちゃ面倒だ。押さえとけ」
 下半身を剥き出しにした男の指示で、美子は両手をバンザイの形に押さえつけられた。
 男の股間には、凶々しい肉棒が屹立している。
「ひっ……?!」
 これまで数えきれないほど何度も勇次に肉体を演奏されてきたが、全裸になるのは美子だけで、勇次は一度もパンツを脱いだことがなかった。はち切れそうになったテントから想像はしていたが、初めて目にする怒張は美子を恐怖に陥れた。
(あんな大きな物……)
 指一本がやっとの穴に入るわけがない。
 男が、美子の足を蹴って開かせた。これまでに振るわれた暴力に萎縮して、美子は抗えなかった。男は美子の脚の間に膝を突くと、両肩に担ぎ上げた。美子の腰が宙に浮いた。
 すぐ目の前に男の顔が迫る。男が顔をうつむけて――美子は、股間に生暖かい異物が押しつけられるのを感じた。割れ目の奥を強く圧迫された直後、鋭い痛みがそこを引き裂いた。
「きひいいいっ……!」
 美子は全身を硬直させた。筋肉の緊縮が、いっそうの激痛をもたらす。
「いやああっ! 痛い、痛い……!」
 男は美子の訴えに構わず、むしろ興奮をあおられたかのように、腰を衝き動かし始めた。
 豊満には程遠い乳房がプリンか何かのように揺れるほど、美子の白い裸身が上下に激しく動く。
「ひいい、痛い、やめて……いやああ!」
 股間を抉られる激痛に、美子の悲鳴も揺れ続ける。
 元より、男には処女へのいたわりなど無い。いや、「懲らしめてやる」と言っていたように――おのれの欲望を満足させる以上に荒々しく抽挿を繰り返している。娼売女なら、男を突き退けるか男にしがみつくかのどちらかだったろう。
 処女に耐えられる行為ではなかった。しかし、身動きすらろくにできない少女は、強制的に耐えさせられるのだった。それも、この男だけでなく、この場にいる四人の暴漢全員が少女を穢し尽くすまで。
 最初の男が立ち上がると次の男が、投げ出された美子の脚の間に割り込んできたが――すぐには犯しにかからなかった。
「うへ……ぐちゃぐちゃじゃねえかよ」
 股間は破瓜の出血で赤く染まり、男の吐き出した白濁が混じっている。ガムテープに叢を毟り取られた下腹部にも血がこびりついている。
 二番手の男があたりを見回し、手を伸ばして、美子から剥ぎ取った下着を拾い上げた。それを使って雑に汚れを拭き取り、さらに――下着を丸めて淫裂にねじ挿れた。
「きひいい……」
 呆然と、男の為すがままにされていた美子が、弱々しい悲鳴を上げた。腰を突き上げるような動きをしたが、それだけだった。逃れようとして身体を動かせば動かすほど、男は乱暴になり痛みは強くなる。おとなしく嬲られていることだけが、今の美子にできる自衛の手段だった。
 美子の股間を(使用に堪える程度に)綺麗にすると、二番手の男も最初の男と同じ流儀で美子を犯した。
 美子は、もう悲鳴をあげなかった。涙を流しながら、覆いかぶさった男の顔を突き抜けて虚空に視線をさまよわせている。
「ひっ、ひっ、ひっ……」
 泣きじゃくっているのか、下腹部を突き上げられて息がこぼれているのか。
 三番手の男は、いっそうの暴辱を美子に強いた。露出した下半身に元気がなかったのだ。
「おまえな。こんなのは修羅場でもなんでもないぞ。金玉縮み上がらせて、どうするんだ」
 最初に美子を犯した男が揶揄した。こいつがリーダーらしい。
「くそ……おら、しゃぶれよ」
 美子の髪をつかんで上体を引き起こし、萎えた逸物を唇に押しつけた。
「んむむ……」
 女が男の物を咥えたりしゃぶったりすることもあるとは――勇次の乾分たちの猥談を小耳に挟んで聞きかじっていたが、そんなのは淫乱な擦れっ枯らしのすることだと思っていた。それはもちろん、勇次にはハモニカを吹いてもらってるのだから、お返しに尺八を吹いてあげてもいいかなと夢想したこともあるけれど。まさか、暴姦者にそれを強いられるとは、この瞬間までちらりとも頭に浮かばなかった。
 初めてを勇次さんにしてもらうことは叶わなくなったけど……ハモニカのお返しだけはしてあげたい。美子は、髪の毛が抜けそうな痛みをこらえて顔をそむけた。
「てめえ……この阿婆擦れが」
 男は毒づいて、美子の腹を殴りつけた。
「ぐえ……」
 呻いて半開きになった口に、でろんとした棒蒟蒻が押し込まれた。蒟蒻とは違って、獣じみた臭いが鼻の奥へ突き抜けた。
「んぐううう……!」
 男は両手で美子の頭を抱え込んで、前後に激しく揺すぶった。
「噛むんじゃねえぞ。歯をへし折るからな」
 言われるまでもなく、そんな気力は無かった。
 棒蒟蒻は上顎をこすり舌を蹂躙するうちに、次第に硬く太く長くなって、喉奥まで突き始めた。
「んぶ……むぶうう……」
 どんっと肩を突かれて、再び美子はあお向けに転がった。
 男が体勢を立て直して、のしかかってくる……。
 ――四人目の男は最後まで美子の口を使って、顔一面に白濁をなすりつけた。そんなことをされても、美子は壊れたマネキン人形のように手足をばらばらに投げ出して、ぴくりとも動かなかった。
 男どもの『懲らしめ』は、まだ終わったのではなかった。美子は、トラックの荷台に放り込まれた。トラックが来た道を引き返し始める。駅の手前で幹線道路へ折れて鉄道と平行に走って、神社に乗り入れた。
「罰当たりなことをしてるようで、どうにも気が引けるな」
「馬鹿野郎。インチキ神社にバチも太鼓もあるかよ」
 ふざけたことを言い合いながら、鳥居の貫(下側の横木)から二本の縄を垂らした。
 まだ放心している美子を連れてきて、左右の手首に縄を巻きつけて。
「せえのお」
 美子を鳥居に吊るした。
「いやあ……もう、虐めないでください」
 半分は正気を取り戻して、美子が訴えた。
「静かにしてろや」
 目の高さに来ている股間に、リーダー格の男が懐中電灯を突っ込んだ。
「ぎひい……」
 逸物より太い異物を挿入されて、しかし美子の悲鳴は控えめだった。叫ぶ気力などとっくに失せているせいだが、それだけ拡張されてしまったせいでもあった。
 男は懐中電灯を抜き取って。美子に一層の屈辱を与えた。両脚にも縄を巻いて左右の柱とつなぎ、開脚を強いたのだった。
 鳥居の中に大の字磔にされて。次はどんな酷い目に遭わされるのかと怯えていた美子だったが――『懲らしめ』は、そこまでだった。男たちは大ハンマーやらバールやらをトラックから持ち出して、境内へと向かった。
 バガアン!
 メキメキ!
 ドオン! ドオン!
 派手な音が聞こえてきた。神社を打ち壊しているのだろう。
「何をしている!」
「やめ……うわあっ!」
 怒号と悲鳴が湧いて、それはすぐに立ち消えた。元々は荒れ果てていて、三十を過ぎても嫁の来手もない貧乏神主が独りで守って(というよりも住み着いて)いた神社である。羽振りが良くなったとはいえ、何人もが夜番をしているはずもない。しかも、四人は荒事に慣れた連中だ。たちまち制圧されてしまったのだろう。
 その気になれば、あらためて解体の必要もないまでに本殿も拝殿も破壊できていただろうが、目立つ造作物を壊しただけで、男たちは引き揚げて行った。美子は鳥居へ空中磔に、神主と禰宜は宿舎の中で背中合わせに縛られたまま放置された。
 ――美子を最初に発見したのは、深夜の物音が気になって、夜明けとともに様子を見に来た近隣の住民だった。
 その老人は美子に駆け寄って、自分だけでは助け下ろせそうにないと見て取ると、応援を呼びに行った。しかし、――
「動かしちゃいけない。警察を呼べ。証拠保全というやつだ」
 などと言い出す者がいて、実にもっともな言い分に他の者も従った。その男は、警察が来る前に姿を消していたのだが、
 警察への伝え方が悪かったのか、火事も人死にも無いと軽視されたのか。駐在が来るまでに一時間、パトカーが到着したのは、さらに三十分後だった。それまでの長時間、集まった野次馬の視線に美子は曝され続けた。さすがに、誰かが腰のまわりにシーツを巻いてくれてはいたが。
 すでに意識を完全に取り戻していたが、美子は気絶したふりを続けた。何十人もの見知らぬ人たちに裸身を曝すだけでも、耐え難い恥辱だった。腰のまわりを隠されていても、暴行で流れた血が踝まで伝っている。口のまわりにまで白濁がこびりついている。そういった一切を知らずに気絶しているより他に、身の処し方はなかった。
 警官が証拠写真を撮影してから、ようやく美子は磔から下ろされて、直前に到着していた救急車に乗せられた。
「俺は、この娘の知り合いだ」
 パトカーにわずか遅れて駆けつけていた勇次が、強引に救急車に乗り込んで来る。勇次の顔を見た途端、美子は安堵のあまり、再び意識を失った。
========================================

 PLOT段階では、救出された美子が勇次に「残っている初めて」を奪われて。その後、姐御と竿姉妹の契りを交わす予定でしたが、アナルバージンを捧げたところでENDにしました。短編らしく、余韻を残してというか、尺を巻いたわけです。
 こういう終わり方にしたのは、『名札のピアスはどれいの証し』を書いた余韻かもしれません。なにしろ、『名札~』は、現在の学年だけでも丸々1年間。進学後を合わせると4年以上になるストーリイの最初の2週間だけですから。


鳥居磔

 さて、『寝室必需品』は、どうなりますか。200枚はいくと踏んでいますが。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Pressing Report Final:名札のピアスはどれいの証し

 先に『題未定』として書いた緊急(pressing)レポート
 本日受注リクエスト完了です。PIXIVの審査もクリアしました。
 100枚目標が219枚になりましたが、それでも後半は走っています。
 小6になってから、わずか2週間のあいだに、奴隷転落→アナルアクメ→マゾ堕ち。忙しいことです他人事。
 当面はPIXIVでURL限定公開。筆者かリクエスト主がアクションしない限り、作品掲載URLは非公開です。リクエスト主の特権を享受していただくために、少なくとも2022年内は電子書籍としての出版はしませんが。
 U12ですので、「●1歳」表記でもRはアウトです。BとBは通るでしょう。DとFは……どうでしょうか。


 この記事としても、本編は紹介せず、PLOTのみ公開しておきましょう。まあ、後半はかなり変わったのですが。こういうつもりで書き始めたってことです。
 
========================================

1960年代、ピアスはヒッピーなどアウトローのイメージが濃い。
「山持(やまじ)」広島県に集中している姓。

1970年(昭和45年)
半島の突端。山にはばまれて陸上交通の便が悪い。
かつての風待ち港。今ではさびれているが、山を切り崩して土砂を売っている。
将来性が無いので、土砂の貯留や搬出の設備は最小限。人力頼り。
山主の山持家に誰も逆らえない。
先見の明があり、宅地造成している。80年代に大儲け。

山持五郎 11歳/5月生まれ オレ/ご主人様
山持正雄 1920年生まれ  ワシ/大だんな様
山持昭江 母親:1935年生 ワタクシ/奥様
村井千世 通いの家政婦。28歳。ワタシ/お姉様

白江祥女(しらえさちめ)  11歳(小6)/1月生まれ オレ
白江正太(しらえしょうた)  8歳(小3)/6月生まれ ボク
白江美知(しらえみち)    7歳(小2)/2月生まれ みっちゃん
白江武  1918年生まれ 抑留されていて復員が遅れた。
     機帆船の一杯船主。土砂運搬に夫婦で従事中、時化で遭難。
白江和子 1932年生まれ

南井古男 担任
長野勉   同級生
林陽太   同級生 女の子のあこがれ
森本初美  同級生 女の子のチンチン
京田理香子 同級生 厨学生顔負けのグラマー

3月25日に遭難。確定は27日。死亡日。
4月10日。施設への引き取り話。仕切っているのは山持。
きょうだいばらばらになりたくない。
五郎が提案。
4月11日に貸家退去。4月12日に山持家へ。
(始業式は4/6、入学式は4/8)


※ヒロイン祥女(1970/3/5)
 女の子のチンチン。森本初美。

※どれいに転落(4/13:月)
 登校でランドセル持ち。担任からクラスに。
  回想
 放課後。自慢。憲法違反(増田勉)。どれいごっこだと言い訳。
 イヤならやめる。ごっこを続けるなら、裸になれ。
 パンツ没収。ノーパン下校。2年前のスカートだから、短い。
 夜。一緒に風呂。チンポ洗い強制。仮性包茎。触られまくる。

※名札のピアス(4/14:火)
 友人が寄ってこない。戸惑っている。
 放課後。男子40+女子10。
 名札は幼稚園以来。
 持ち物には名前。ピアスは欧米の最先端ファッション。
 消しゴムと錐。出血。アルコール。
 乳首に「しらえ」「さちめ」。女の子のチンチンに「山持五郎」
 割れ目が隠れる。
 血で服が汚れる。全裸で下校。
 五郎のランドセルを正太に持たそうとする。
 巻き込ませない。背負った上に乗せて腕を通す。
 手を下ろせない。正面が完全無防備。
 オトナたちは驚くが、後ろに坊っちゃん。見て見ぬふり。
 歩くとクリ痛い。乳首も。
 裏口からこっそり帰宅。
 翌日。腫れて膿んでいる。学校休ませて医者往診。
 リングがはずせない。
 五郎しこたま叱られる。
 「事前にワシに相談しろ」
 五郎、こっそりあかんべー。
 水木と休ませる。

※はだかで通学(4/17:金)
 家を出るときは着衣。学校への一本道で脱がされる。
 乳首2倍、クリ3倍。一時的か肥大か。
 学校でも全裸。見て見ぬふり。
 放課後、遊び。
 「教室で遊ばないで」掃除の邪魔。
 存在を否定された気分。
 校舎裏。ビー玉詰め。破瓜。アナルにも。尿道は綿棒。激痛。涙。
 帰路も裸で、広い道へ出る前に着衣。

※けい察公にん(4/18:土)
 土曜は体育倉庫。縄跳びグリップ前後。
 帰りは全裸引き回し遠征。通報。警官が駆けつけるが。
 毛も割れ目も見えていない。ぺたんこ乳房。猥褻ではない。
 祥女も安心して……見られる快感に気づく。

※生き埋め遊び(4/19:日)
 割れ目を隠せばOK。SMグラビアの股縄をそういう目的だと解釈して。
 クリピアスは2本の縄の間から引き出す。すれて凄絶快感。
 そのまま、採掘現場。
 後ろ手縛り。足も。生き埋めにして放置。午後3時ごろ、に父親が救出。

※正しい使い方(承前)
 夜(祥女は夕ご飯抜き)。父親が二人を叱る。
 穴の正しい使い方。
 初潮前と未精通なら妊娠の心配ない。
 父親の前では勃たない。フェラ。
 ロストバージン? 空砲。
 クリ弄られるのは初めての快感。
 一番風呂は当主。五郎も呼ぶ。
 先にうんちをしておけ。尻穴の使い方も教えてやる。
 言外に13歳未満は犯罪。
 水浣腸。シャンプー潤滑アナルファック。
 きついが、破瓜の鋭い痛みと違って鈍痛。
 本格クリ責めでさっきよりも快感。

※放課後の遊び(4/20:月~)
 月曜には早速、正しい遊び。マンコは五郎専用。
 すでにクラスから白眼視。
 水曜には増えて、時短2穴。
 木曜。もっと面白い遊びを。
 目隠しゴム銃射的。悲鳴をあげさせたやつにマンコ提供。
 最後まで頑張る。初めて五郎にほめられる。反発しながらも、嬉しい。
 褒美として股縄瘤綱渡り。縄跳び後ろ手縛り。アクメ。
 金曜。
 体育倉庫の隅からホッピング。グリップが取れている。折れているのではなく、雌ネジ。
 股間挿入手放しホッピング。10回出来たら、終わりにしてやる。
 いろんなことを思いつくと感心してしまう。
 オレはイジメられてればいいから、むしろ気楽?
 アヘる。できない。罰でキックボクシング。真空飛び膝蹴りをマンコへ(金的の復讐)。
 ズタボロにされて、なんだか充足感。

※マゾ落ち祥女(4/25:土)
 山持は親子三人で一泊二日の法事へ。
 弟妹たちと留守番。退屈。宿題なんか、どうでもいい。どうせ先生にも無視されている。
 弟妹も家に閉じこもり。クラスで無視されている。
 高校卒業するとき、妹はまだ厨学生。そんな先は考えられない。
 毛が生えたら裸は赦してもらえる? でも、剃れば……
 あれこれ考える。
 日曜日。夕方。もうじき三人が帰る。どんなふうにイジメられるんだろう。濡れている。
 両親を亡くして、まだ1か月。どこまで変わっていくんだろう。
========================================

名札ピアス:紹介

 しかし、まあ。
 1/7にリクエストを受けて。きっかり2週間で219枚を表紙絵付で納品。
 ほぼフルタイム勤務で平均日速15枚ですぜ。休日の昨日なんか45枚書いてます。『大正弄瞞』を書いていた頃のスピードが復活です。
 今年は年産3千枚をクリアせずにおくものか。

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Pressing Report 0:題未定

 嬉しい緊急事態が発生しました。『昭和集団羞辱史:物売編(昼)』は、1か月半程度中断します。
 ご存知の方もいらっしゃるでしょうが、PIXIVに小説のリクエスト募集(有料)を出していました。


R-18:蕾の悦虐(ロリマゾ)シリーズ短編
・3万5千文字(原稿用紙レイアウト100枚)程度以上
・ヒロイン一人称
・ヒロインは処女/被虐願望自認(ひとり遊び実践の有無は指定可能)
・教育漢字+α(縄、鞭、蝋燭など)で記述
  注:指定により若干の常用漢字混用OK(学習順に準拠は無理です)
・原則として回復不可能なダメージ(四肢切断、ケロイド、生殖機能破壊など)は不可
  注:膜の破損、ピアス、局所的な刺青・焼き印などはOK
・黄金不可/聖水OK
以上の縛りで、下記リクエストを募集します。
*ストーリイのリクエスト
*時代設定のリクエスト(未来、飛鳥~平安は不可)
  注:地域的には国内を想定していますが、海外でもOK。
    他星系は不可。平行世界、ファンタジー世界は稍不可。
*シチュエーションのリクエスト(学園物、孤島物、因習だらけの村などなど)
*キャラ設定(外見、性格)男の娘(受け)OK
*人間関係のリクエスト(実父と娘、姉妹、兄妹、先輩後輩、強制婚約、継母や継父などなど)
*特定の責めのリクエスト
後日、「ロリマゾ短編集」にまとめて電子出版の予定です。
そのときは「原案□□様」「キャラ設定△△様」「責めアイデア〇○様」などのクレジットを挿れます。
希望されない場合は、その旨ご指定ください。



これに対して、下記のリクエストがあったのです。

*ストーリイ
→親が死亡した少女が、幼い弟妹を守るために同級生の金持ちの子供に身売りし、肉奴隷として調教されマゾに目覚めていく
*時代設定
 →1970年ぐらいの日本の港町
*シチュエーション
 →クラスのガキ大将・リーダー的な位置にあった少女が、最下層の肉奴隷に堕ち、かつては慕ってくれていた同級生からも罵られ見下されるようになる
*キャラ設定
 →ボーイッシュで勝ち気な気風の良いオレっ娘、膨らみかけの11歳前後くらいの少女
*人間関係
 →学校の生徒や町の大人たち
*特定の責めのリクエスト
 →同級生の目の前で、肉奴隷の証として乳首とクリトリスにピアスをつけられる
 →肉奴隷の証のピアスを見せつけるように全裸で町を歩かされるが、大人たちは「まだ子供だから」という建前でそれを放置する
  屈辱に涙ぐむ少女だったが、やがてそれが快楽に結びついていく

R-18/ふくらみかけ/全裸/羞恥/調教/子供/ボーイッシュ/いじめ/晒し者/子供同士

リクエスト:WILL様

幼海女?




締め切りは3月7日。2か月です。

 さあて、どうしましょうか。港町で漁港だと、海女は出さないとしても、三番煎じくらいになります。
 とはいえ、商業港だと、町の規模が大きくなって、その分、露出行為など難しくなります。
 これから数日を掛けて設定を練って。PLOTはリクエストを消化すれば自然と出来てきます。

 ここを Boy's Field とばかり、ねじりハチンポ巻で頑張りましょう。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:昭和集団羞辱史物売編(昼)

 年始年末の御挨拶やら新刊発売案内やらをしている間に、それなりに進んでいます。
 序盤は端折って、前半の山場をご紹介といきましょう。


========================================

   厳そかな淫事

「参拝に来駕くだされた皆様には、まずは厳しい現実を見詰めていただきたい」
 競輪場とは反対の方角にある地方競馬場。そこから二キロほど離れた地にある寂れた神社。衣冠に身を正した神主が、十三人の参拝客を前に、ものものしい口調で講話を垂れている。巫女装束に身を包んだ美子は、その横に佇立して虚空を見つめていた。稽古で何度も聞いている神主の言葉を、自然と心の中で繰り返している。それほど退屈だった。
 神主は言う。皆が違う勝ち馬に票を投じれば、当たるのは一人きりであろう。また、大欲を掻けば霊験はたちどころに消え失せる。『舌切り雀』で大きな葛籠を欲張った意地悪婆さんを見るがよろしい。
「では、なにゆえに御守を持つのであるか。心穏やかに頭涼やかに、立ち振る舞うためである」
 甲の馬が勝つか乙が勝つか。甲が勝っては利が薄いとして乙を買うのは大欲である。一着二着は甲乙と並ぶか、甲丙と来るか。そればかりを考えて、乙丙の並びを見落としてしまう。これは頭に血がのぼっているからである。このようなとき、御守を握り締め霊験を祈願すれば、心落ち着き頭冴え渡り、見落としていたものも見え、大欲を戒める心を取り戻すであろう。逆に、推理には自信があるのに、あまりに大胆な目なので土壇場で怖じ気づいて見送って、そういうときに限って予想通りになってしまう。こんなときは、御守の霊験を信じて少額でも買っておく。たとえ外れても自分に納得できるであろう。
「鰯の頭も信心からと申すが、節分会に鰯を軒先に飾って厄除けとするのも古人の知恵である」
 分かったような騙されているような――つまりは、逆恨みされないための予防線なのだが、神主さんに厳そかな口調で説教されると、なんだかありがたく聞こえてしまう。
 神主の講話が終わると、いよいよ神事というよりも淫事の始まりである。
 供え物をすべて取っ払った祭壇に美子が横たわる。へその上で手を組んで、動かない。
 この一か月、競馬の開催を待つ期間を利用してリハーサルを繰り返してきた。手順は、すっかり頭にはいっている。そもそも、美子は複雑な演技を求められていない。恭々しくおっとりと振る舞えば、それでいいのだ。
 神主が美子の上の空間を御幣で払って祝詞を唱え始めた。
「とおかえみたえとおかえみたえ。かけまくもかしこきいちきしまひめのみことのおおまえをおがみまつりてかしこみかしこみもうさく」
 ぼんやり聞いていると意味不明な呪文にしか聞こえない。けれど、ことさらに区切って発音するので容易に聞き分けられる部分もある。
「この穢れなき乙女を依り代となし、当地において当月に催される勝ち馬当てに御霊験を顕わし給え」
 最後に、御幣が大音声の掛け声とともに御幣で美子の下腹部を祓う。
「喝ーッ!」
 びくんっと、美子が跳ね起きる。
 神主が一礼して脇へ退くと、祭壇の両側に控えていた童女二人がしずしずと近寄り、左右から手を取って美子を祭壇から下ろした。虚空をぼんやりと見詰め参拝者に正対して立っている美子の前に跪くと、緋袴を脱がせ白衣の前をはだけた。白衣と緋袴の下は素肌だった。
 美子が自身で白衣の襟先を摘まんで左右に開いた。市杵島姫が宿っている部分は、童女の頭に隠れて参拝者からは(微妙に)見えない。
 神主が動いて、美子の足元に三宝を二つ並べた。童女二人が、紅白の紐緖で飾られた毛抜きを美子の下腹部にあてがい、慎重な手つきで一本ずつ引き抜いた。それを小さな美濃紙に包み、封じ目を糊付けして朱印を捺してから御守袋に納めた。三宝の上に十個の御守が並べられると、神主が三宝を取り替える。
 次は、美濃紙に三本ずつ包んで、一本のより大きくきらびやかな御守袋に納めた。
 童女二人が美子の装束を直す間に、祭壇に合計二十個の御守袋が並べられる。
 美子が、拝殿の一画を区切る簾の陰に隠れた。
「御守を求められるお方には千円もしくは三千円の御寄進をお願い申し上げる。額に応じて、一点のみ御守をお渡し致す」
 早くも財布を取り出す者もいる。
 神主が、もったいをつけて咳払い。
「おひとりずつお祓いをして、依り代たる巫女の霊璽、仏教で言う御本尊、それを拝観していただき、自身の手で内符を抜いていただく秘義も用意しておるが、こちらは三人様限りとして、一万円の御寄進をお願い申し上げる」
 一万円といえば、サラリーマンの給料の半月分にもなる。さすがに、財布を取り出した手も止まる。数秒の沈黙が流れて。
「よろしい、私はそっちだ」
 サラリーマンふうというよりも重役の風情を漂わせた中年の男が、長財布から一万円札をおもむろに抜き出した。
「俺もだ」
 張り合うように、こんな場所でも色鉛筆を耳に挟んでいる若い男も名乗りをあげた。
「では、秘事への御寄進はお二方と承ってよろしいか」
 神主が、参拝者を見回す。
「借用書では駄目でしょうか」
 返すあてがあるのかと疑ってしまうような、上着にもズボンにも継ぎを当てている初老の男が、駄目元といった口調で尋ねた。
「当社(やしろ)では、現銀しか御寄進を受け付けておりませぬ。しかしながら……八田金融殿、お出ましくだされ」
 拝殿の外扉が開いて、八田勇次と二人の乾分が入ってきた。
「トイチでよければ融通しますよ」
 トイチ。十日間で一割の利息という法外な金利である。しかし、ヤクザが仕切る鉄火場ではカラス金(がね)、カラスが夕方にカアと鳴くたびに一割というボッタクリが横行している。それに比べれば良心的な金利ではあった。
「貸してくれ」
 貧相な初老の男だけでなく、さらに二人が手を挙げた。
「いや、三人までと申したはず……」
 神主が困惑の表情を作った。
「では、お三方の熱意に敬意を表して、私は遠慮しよう」
 重役が、あっさりと降りた。
「俺ァ引かねえぜ。四人が定員オーバーてんなら、ジャンケンだ」
 鰯の頭を一万円で買おうという男たちだ。売られた勝負を逃げるはずもなく――三回のアイコの後もしつこくグウを出し続けた色鉛筆が敗退した。
 勝った三人は脇に待たせて、残る十人への御守の販売(寄進への返礼)は、数分で終わった。ひとり残らず三千円だった。一本と三本なら、有り難みも三倍。先の戦争でも、日本はアメリカの物量に敗北した。その記憶も、三十歳以上には生々しい。
 十人が拝殿を退出して、いよいよ淫事が始まる。といっても、美子が公衆便所の裏手でしていたことと、基本は同じである。
 祭壇に立った美子を童女ふたりが、今度は素裸まで脱がせる。
 さすがに、美子の全身が羞恥で淡いピンク色に染まった。勇次や乾分に見られながらのリハーサルで、平然と振る舞えるようにはなったのだけれど、困った問題も新たに生じた。指一本触れられていないのに、腰の奥がきゅうんとねじられるような感覚が湧いて、粘っこい汁が垂れてくるのだった。
「市杵嶋姫の神様が宿ったって、客はありがたがってくれるだろうよ」
 勇次はそんなふうにからかってから、しみじみと述懐したものだった。
「要は一人前の女になったってことさ。俺もずいぶんと場数を踏んじゃあいるが――生娘のまま女にしたのは、おめえが初めてだ」
 女にするに二つの意味があるとは気づかない美子だったが、格別の思い入れを持ってくれているのは、素直に嬉しかった。なんといっても、まったく未知の快感を教えてくれた男なのだから。
 もっとも、あの凄絶な体験を勇次は二度と与えてくれていない。
「最初の興業が上首尾にいけば、また弄ってやるよ」
 だから、今日は絶対にしくじれない。ぼうっとしていればいいようなものだけど、神憑りの演技なのだ。
 美子は祭壇に腰を下ろした。まさか神罰が下ったりしないよねと、ちょっぴり不安なのだが、実のところ、その恐れはないのだった。
 そもそも、この神社は稲荷大明神とも市杵嶋姫とも、所縁はない。賭事の神様としても知られる稲荷大明神を担ぎ出し、どうせなら女神が良いだろうと、八田勇次がでっち上げたのだ。狛犬に替えて稲荷狐の石像を据える凝り様だった。どこぞのガラクタ屋から引っ張ってきたのだが、幾らかは元手が掛かっている。
 その縁もゆかりもない神に向かって、神主が祝詞を唱えながら、御幣で太腿のすぐ上の空間を祓う。その都度に、美子は少しずつ脚を広げていった。
 やがて百五十度ほども開脚して、ようやく祝詞が終わった。ストリップ孃でも、おいそれとはここまで御開帳しない――とは、美子の知らないことだった。しかし、自分の指で広げず他人にも触れさせない(どちらも、神々しくない)となると、こうでもする他はない。
「それでは、お歳の順にひとりずつ拝観なされよ。御神体を頂戴するときのみ、巫女の肌に触れてもよろしい」
 最初に借用を申し出た初老の男が、美子の前に跪いた。神主は何も言わない。男はきちんと二礼二拍手一礼をしてから、顔をいっそう近づけて美子の股座(またぐら)を覗き込んで。
「おお……」
 感に堪えたようにつぶやいて、また柏手(かしわで)を打った。処女膜を見るのは、これが初めてなのかもしれない。
 単純な算術に基づく推定である。処女を何人も食う男がいるのだから、生涯処女を抱けない男もいる。また、瓜を破る行幸に恵まれたとしても、行為の前に処女膜を確認する者が何人いるだろうか。
 感激している男の左右に童女二人が座って、三宝を捧げる。右の三宝には毛抜き、左には御守袋の材料。
 男が毛抜きを手に取った。
「それじゃ、失礼いたしまして」
 演出に呑まれて、神妙な言葉遣いになっている。左手を遠慮がちに下腹部に這わせて逆撫でし、起き上がった淫毛の一本を抜いた。
 美子は、ぴくりとも動かなかった。神事としての演出。それが『客』を満足させるのだと勇次は言う。御神籤の大凶を引いたから、起工式で神事を執り行なったのに大事故が起きたからといって、誰が神社を責めるだろうか。
 男は淫毛を左の童女が差し出す美濃紙に載せると、二本目を同じ恭しさで抜く。赦されているのは三本。三千円の御守と同数だが、あちらが二十五番(二百五十瓩)爆弾三発なら、こっちは八十番(八百瓩)三発に匹敵する――とは、大勝負で三十倍配当を物した直後に上げた、元艦上爆撃機乗りのこの男の気焔であるが、それはさておき。
 三本の淫毛は童女の手で御守袋に封じられて、男に手渡された。神主の手を経ず、清らかな乙女しか手を触れていない。これも細部の演出だった。
 男は空になった三宝に千円札を載せた。寄進の一万円とは別口だった。
 男が元の座に戻って、二番手はそれなりに身だしなみの整った中年。彼は巫女の股間を覗き見て、おや――という顔をした。彼の知っている処女膜とは様子が違っていたのかもしれない。
注記
処女膜の形状が千差万別であることは、現在の読者には自明でしょうが、当時は専門的な医学書か密輸入した海外のポルノ雑誌くらいしか情報源はなかったのです。
 もちろん異議を申し立てたりはせず、中年男は最初の男と同じように、神妙に御守袋を押し頂き、二千円を供えた。同じ御守を持って異なる出目を買うのであれば、寄進の多いほうに神様は見方してくれるだろう。
 考えることは誰も同じで、三番手の若者は三千円を張り込んだ。
 こうして、初商いは上首尾に終わった。売上は三千円が十個と一万円が三つ。それに拝観料(?)が六千円。ただし、一万円を張り合って退いた二人はサクラなので、彼らが改めて購入した三千円の二個は差し引いて。合計六万円ちょうど。
サクラと四人の客引きへの手間賃が千円ずつと、童女へのお小遣いが百円ずつ。小遣いといえば十円玉が相場なのだから、日雇いの日当程度を貰う六人よりも喜びは大きい。
端数は御守袋の材料費や巫女衣装や、狛狐の減価償却に充てる。
残る五万三千円は、神社と八田組が四割ずつ。美子の取り分は二割だが、それでも一万円以上。ひとりでお客を物色したときの二倍半にもなった。
 もっとも、サクラも客引きも八田組の者だし、童女まで組員の子供なのだから、いちばん儲かるのが興業主なのは、世間にありふれた図式である。
「大仰な道具立ての割にゃあ、時化た稼ぎだな」
 勇次はぼやいたが、顔は笑っている。サラリーマンの月給くらいが半日で稼げて乾分にもボーナスをやれたのだから、直系は五十人そこそこの弱小ヤクザのシノギとしては悪くない。なにより、宗教法人が表に立っているから、警察も税務署も怖くなかった。
「毎日二回三回と興業を打ちたいところだが、それじゃ有り難みが薄れるってもんだ。とはいえ、せめて土曜日もやりてえな。開催の間だけでいい、休みは取れないのか」
 問われて、美子は即答した。
「はい、だいじょうぶです。有給休暇を取ります」
 病気でも身内の不幸でもないのに有給休暇を申請するのには勇気が要るけれど、勇次さんが言うのなら、無断欠勤も厭わない。快感の記憶は美子の裡で一途な恋愛感情へと変化していた。
「よし、いい子だ。たっぷり可愛がってやるぜ」
 狛狐を犬へ戻す力仕事も細々とした後始末も、神社と乾分に任せて、勇次は美子を連れ出した。

行き先はありふれた連れ込み宿だったが、壁の一面に張られた鏡のせいで、独身寮の相部屋よりも広く感じられ、布団はずっと豪華だった。
 さんざん羞ずかしい部分を見られているとはいえ、勇次と二人きりで一糸まとわぬ素裸になるのは、これが初めてだった。
 勇次もパンツひとつになって、一か月前に美子を説得したときよりもずっと長く激しく美子を爪弾き吹き鳴らした。
 ――一時間以上も演奏されて、幸せな疲労困憊にたゆたっていると、風呂を勧められた。各部屋に内風呂があるのだという。
 勇次が勧めてくれることは、なんであれ否やはない。勇次が甲斐甲斐しく風呂の支度をしてくれる間に、少しずつ人心地を取り戻し(たくなかった)、美子はひとりで湯船に浸かった。
 こんな仲になったのだから、もしかすると勇次さんも入ってくるかもしれない。期待しながら待っていたのだが、空振りに終わった。
「やはり美子も女だな。長風呂もいいとこだ」
 誰のせいだと思ってるんだろうと――でも、初めて名前で呼んでくれたので、機嫌を損ねたりはしなかった。

========================================

 この前の章で、ヒロインは『説得』されて、男の言いなりになっています。
 説得と言っても、阿佐田哲也式の

「勘ちがいするなよ。ドサ健から何をきいたかしらねえが、俺はお前を優しくは扱わねえぜ。ーー俺のやりかたは、此奴か、さもなきゃ、これだ」
達ははじめに拳固を見せ、それから拳固の中に親指を入れた形をして見せた。

なのですが。拳固の中に親指を入れてしまえば、商品価値が無くなります。
 ので、「ハモニカ勇次」の出番です。クリを咥えて「グル゙ル゙ル゙ル゙ル゙……」唇を震わせるという。
 これ、自分ではできません。1961年ですから、ピンクローターは存在したものの、純情無垢な乙女が購入できるシロモノではありません。つまり、首ったけになっちゃうわけです。


ol_gly0822_32.jpg
今回のアイキャッチは、PLOTでは書いていたものの、鉄火場へ心逸る男どもには、まどろっこしいだろうと端折った(ではなく、忘れていて書かなかった)水行で身を清めるシーン……ですかね、これ?


 ああ、サブタイトルですが、「おごそか」は普通「厳か」と書きます。それでは他のサブタイトルと文字数が合わなくなるので、余計に送ったわけです。
 筆者は基本、「多めに」送ります。標準の表記では二通りに読めて、まったく意味が変わってくる場合があるのです。
 私が行った東南アジアにおける売春の実態
 「おこなった」のは、調査なのか実践なのか、それはともかく。私が行為者です。
 「いった」だと、私は東南アジアへ行きました。(資料によりますと)かの地における売春の実態は――私は傍観者です。
 というわけで「行なった」と送るのです。




テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:昭和集団羞辱史物売編(昼)

 物売といっても、いろいろあるわけです。肉体を売るのは、これは売春ですので除外。臓器を売るのは守備範囲外です。
 近年なら、野球場のビールガールとかパチンコ屋のコーヒー娘というのもありますが。昭和中期ですので無し。
 花売りは、(夜)で取り上げる予定です。夜の繁華街で、花と一緒に股間の花(あるいは蕾)を売るという……春ではなくて花を売ります! と、力説せずとも。
 あとはマッチ売りの少女ですね。スカートをたくし上げて、その場でマッチを擦ってもらって、というやつ。
 忘れてならないのは、今は絶滅した「秘写真」。封筒に入れて、夜の路地でこっそりと。まあ、売人はむさくるしい中年男と相場が決まっていましたが。
「肉体と肉体のくんずほぐれつ四十八手」なんて言葉に騙されて買ってみたら。相撲四十八手の写真だったり。うん、嘘はついてないですね。
 「秘写真」は、国に残してきた娘のあられもない姿とかの口上で。出稼ぎに行ったまま帰らない父を尋ねて三千里。ヤクザのヒモ付きでは稼ぎが知れてるからと、本当に娘のヌード写真を売りさばいて。組織にばれて、哀れ娘は……というストーリイ。
 おっと、先走り汁です。(昼)に戻しましょう。

 昼の部は「淫毛の御守」と「寝室必需品」の二本立て。
 ただいま、「淫毛の御守」を鋭意か微意かはともかく執筆中です。今回は、PLOTのご紹介。


巫女淫毛 ========================================
淫毛の御守

神坂美子(かんざかよしこ)
1年前に集団就職で電器製作工場。

八田勇次(31)
菱田組傘下の八田組の「若」。

最上梓紗(美子の同期)
熊野佳子(最上の姉妹艦

踊り娘と女工
電器製作工場に就職して1年。つまらない。
同期3人で街へ遊び(ぶらぶら)に出る。
白鳥麗華のポスター。「処女バレリーナ衝撃のデビュー」
見ていると、後ろから声を掛けられる。からかわれる。
淫毛が話題。お嬢ちゃんたちので、いいや。売ってくれるか?
逃げ出す。が、気になってひとりで引き返して。別の男に同じようなことを言われて。ギャンブルの御守。
5百円(白鳥麗華の半分)。給料は15千円(寮費その他で手取りは1万円内外)
路地裏で。処女の証明。木箱に腰掛けて(葛藤の末)御開帳。持っていた裁縫セットの毛抜きで。

勇気を出して
翌終末。ポスターのそばで。からかわれても、応じる人はいない。物好きな奴がアドバイス。隣県の競輪場。
翌終末。行ってみる。帰る人でなくこれから行く人――くらいの機知はある。公衆便所の裏手。5百円×4人。
翌終末。競輪は開催無し。調べて、次の開催で。

ひとりは危険
次の開催。声を掛けた相手が、最初に売った客のひとり。大損。
公衆便所の裏手で――おまえのせいだ。悲鳴。助けを求める。
警備員が駆け付ける。事情を聴いて。男は適当な住所氏名で放免。
勝手な路上商売は禁止。詰所で取り調べ。休憩中の2人もいる。
処女かどうか調べる。非処女なら詐欺罪も加わる。そのまま犯られそうになる。
「若」の登場。美子を連れ込むところを手下が見ていて御注進。

女にはコレだ
アベック喫茶へ。警戒する美子。
「知っているのか。ここなら、誰にも聞かれない」
正直に言わないと、工場へ連絡。手の小さな火傷を見て鎌を掛けた。
観念して打ち明ける。
非常に危険だ。逆恨み。警察も。
「もうやめます」
いや、待て。名前から思いつく。シノギになる。
俺に仕切らせろ。
巫女のアイデア。
怖じ気づく。
「女に言うことをきかせるにゃ、コレかコレだが。おまえは、そうもいかない」
スカートの中に手を。抗うと、口をふさがれ力ずくで。クリ逝かせ(延々と描写)。
虚脱状態で承諾させられる。

厳粛な神頼み
地方競馬場の近くの寂れた神社。神主を抱き込む。競輪より客がおとなしい。土日開催が多いから、美子にも便利。
強引に江島神社(弁財天)の末社にでっちあげる。
1千円:一度に3~5人。1日に5人~最大20人。
5千円:一人ずつ。1日に0人~3人。相対して、処女膜拝観。毛抜きは祈願者。
経費は材料費、女児巫女の小遣い。案内人(場内整理)の日当千円×2。合計3千円。残り(1万円~)を、美子と神社と八田組で3当分。美子は最低保証2千円。案内人を増やせば八田組が潤う。
※神主の講話
 全員が的中するわけではない。
 祈願成就の御布施は不要。どうしてもなら、絵馬に的中馬券を貼り付けて奉納。
※美子が薄物で水垢離
 その場で巫女装束に着替える。
※神事(拝殿)
 外陣に参拝者。
 この乙女に降りたまえ、宿りたまえ
 以後は、女児巫女の先導でゆっくり動く。
※女児巫女が御守作り
 袴を脱がし、前をはだけて、毛抜きで。女児の頭で御本尊は見えない。
 千円の参拝者に御守を渡しておしまい。
※全裸になって、御本尊を神主が祓い清める。
 内陣に参拝者が上がって扉が閉ざされる。神主は退出。女児は介添え。
 終わると扉を開けて、全裸のまま神主が祓い清めて。
 以下、繰り返し。

女たちの来訪
盆休み帰省後。
初めての女性参拝客。淫毛を撚って一気に引き抜く。美子、耐えて巫女らしく振る舞う。
「いい根性をしてるわね。気に入ったよ」
後で、八田の姐さんと知って「わたし、そういう仲じゃないから、やましくない」内心複雑。
賑わう。工場をやめようとすると、八田にたしなめられる。いつまでも続く保証はない。サツに目をつけられたら、おしまい。
他の組も、あちこちで似たようなことを始めている。
日曜午後は、ご褒美クリクリ。自分では、逝けない。
貯金はしていても、どうしても羽振りが良い。同期の者に詰め寄られて「誰にも言っちゃ駄目」
志願者2名。八田に相談。見習巫女として最後まで見学させる。最初に3人並んで記念撮影(口止め)。
とても無理と、辞退する2人。八田が2人に3千円ずつ。まとまった金額だが、目の色が変わるほどではないと、美子が感心する。
妙な噂が立ったら2人が火種と判断する。美子と同じ巫女衣装を着た2人がね。暗に記念撮影をほのめかす。

見せしめの磔
年末。貯金は50万円を超えた。冬の水垢離はつらい。
日曜日。帰路(夕方)。寮の近くでトラックの3人組に拉致。山の中で犯される。フェラ後にマンコ。ガムテで血まみれパイパン。
深夜、神社へ連れ戻されて。夜明け前に大の字磔放置。注連縄とかで野次馬への結界。下手に係わると祟りが……
警察が来て、証拠写真撮影してから救出。八田も駆けつけて、警察に手を引かす。
なぜか、八田に申し訳ない気持ち。泣きじゃくる。

堅気との訣別
彼のヤサへ。姐さんもいる。風呂で身体を洗う(長時間)。八田が入って来てシャワー浣腸。トイレで排便。
厄落としに抱く。姐さんも見ている。義理を立てて、アヌスの初物。
嬉しさと姐さんへの申し訳なさと。
連中もわきまえている。商品を台無しにしてくれたが、神社には手をつけていない。祟りを怖れたか、警察の介入を怖れたか。
御守商売は、もうやらない。しかし、おまえには、まだまだ稼がせてやる。飲食店の看板娘。2階で……
結局、この人に食い物にされる。それでもいい。
承諾すると、姐さんが「姉妹の契り」。さらに、鶯の谷渡り。
八田が飼っている娘が何人もいると、じきに知ることになる。寵愛(稼ぎ)ナンバーワンから、その他大勢に転落。

========================================

 すでに、このシーケンスから細部が逸脱しかけていますが、説得の舞台がアベック喫茶でなく警備員に連れ込まれた詰所で、即尺即ハメじゃなくて、即クンニとか。
 こいつを1月中旬に仕上げて、数日(その間にJRSS=Junan no Randoseru SyounenSyoujoを1エピソード)おいて「寝室必需品」に着手して……ううむ。リリースは2月中旬以降ですね。
 しかし、月刊濠門長恭はかなわなくとも季刊濠門長恭にはしたくありません。まあ、4月からは週休3日の予定ですから、本年後半からは月刊復帰したいものです。いえ、今だってPCゲームとかやめれば可能ですが、内的衝動の儘に書いておりますので。←サボリの言い訳。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:復讐の雷跡果てるとき

 ふうううう。とにかく書き終えました。
 終章『処刑と生き地獄』5423文字。Wordの文字数の数え方は英語が基準で、「~語」と表示されます。
 「これは、括弧を除いて14単語」と数えられます。日本語が分からないんですね。「Shikasi, Rōmaji-hyouki wa korede 5tango」なのです。だから、実際には5423文字をかなりオーバーします。
 今回は日本語の会話をローマ字表記していますから、全116,550文字は、実際には12万文字を超えているでしょうが、正確に数える気にはなりません。
 それよりも、こんな構図をBFにして、校正をして、2023年1月中にリリースするほうが大事です。

構図2’

 そして、年内に詳細PLOTまで固めて。年明けからは『昭和集団羞辱史:物売編(昼)』です。
 それから『性少年包弄記(怨辱編)』です。
 合間合間に、どこかの投稿サイトに投げる予定の『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』をエピソード単位で書き進めていきましょう。これは、延々と息抜きに書き続けていきます。
 そして三作目は……いい加減、鬼も悪魔もサッキュバスも嗤っているでしょうね。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 4:復讐の雷跡果てるとき

ふうう。[終]まで書きました。
終盤は、エロもSMもそっちのけで、ひたすら戦争フィクション・海洋アクションです。


========================================

脱走から反撃へ

 唯一の惨めな安息も、見張が交代するたびに取り上げられる。見張は、また二名に増やされていた。アンナの逃亡や反抗を懸念してではなく、より多くの兵に慰安を与えるのが目的だったろう。二時間前に射精して、まだ満足できない強者も少なくはない。三穴同時は男にとって嗜虐欲を満足させる形ではあるが、当人の肉体的快感はそれほどでもない。このときの四人も、二人ずつ二組になってアンナを犯していた。
 軍紀など海の向こうに置いてきたような淫放にあっても最低限の軍規は順守して、すくなくとも一人は見張の真似事を続けている。上官に見咎められる(ことはないとしても、からかわれる)のを怖れてかもしれないが。
 犯されているアンナに背を向けて、立哨ともいえない崩れた態度で無聊をかこっている二人の前に、白い影が現われた。
「Konbanwa...」
 白い影はアンナと同じで全裸だった。しかしアンナとは違って、傷や痣で汚れてはいない。有刺鉄線の鞭痕は、もう治ったのだろうか。
「Omae...?」
 誰何(すいか)ではなく、呆気に取られている声。
「Rentaichō-dono meirei.」
 白い影が見張の一人に抱き着いた。
「Rentaichō ga?」
 もうひとりの見張が、裸身に歩み寄った――その瞬間、二人の背後に黒い影が駆け寄った。星明りの下に微かな煌きが奔って――二人の見張は、後ろから首筋をナイフで突き刺されて、声も無く白い影に抱き着くようにして地面に崩折れた。
「Nanda'''?」
「Kisa...ma'!」
 中腰になってアンナの口に怒張を突き立てていた兵は、茂みから飛び出した三つ目の黒い影に、同じように首筋を刺された。四つん這いにさせたアンナの背後から取りついていたいた兵は、見張の兵を刺殺した二つの黒い影に押し倒されて――口をふさがれ心臓を刺突されて、これも瞬時に殺された。
「アンナ、しっかりして!」
 白い影が駆け寄って、四つん這いのまま呆然としているアンナの身体を揺すぶった。
 白粉の場違いに艶めかしい香りが、アンナの鼻腔を刺激した。
「え、ああ……お姉さん?!」
 裏返った叫び声をあげて、口をふさがれた。
「助けに来た。すぐに逃げるぞ」
 ブキャナンの声が(裸身に遠慮して)すこし離れたところから降ってきた。
 朦朧としている意識にまばゆい光芒が差し込んだ。
「あ、あああ……」
 ふさがれていた口から手が離れても、アンナは言葉を発せなかった。地獄を突き抜けた破滅の世界に、突如として出現した守護者と……女神。
「これを着ていなさい」
 ブキャナンが、自分の上衣を脱いでアンナに差し出した。まだぼうっとしているアンナに代わって、セシリアが着せ掛ける。
「立てるか?」
 アンナは立ち上がろうとして――突っ伏してしまった。
「担架!」
 ブキャナンの背後に控えていた二つの黒い影が、鉄パイプとロープを組み合わせた即席の担架を地面に広げた。アンナはブキャナンに助けられて、担架に転げ込む。
 間髪を入れず二つの黒い影が担架を持ち上げ、病人を運ぶ慎重さなどうっちゃって小走りに駆け始めた。
 アンナは担架に横たわって頭をねじり、二つの黒い影に視線を向けた。トマス・ウィリアムズとイアン・フロレンス。魚雷艇に便乗してい(て、生き残っ)た整備兵だった。
 ブキャナンが先頭に立ち、素早く衣服を整えたセシリアが担架に付き添って、基地へ続く道へと踏み入った。その途中で二人の兵隊が倒れているのにアンナは気づかなかったが――それが、この救出劇に(鞭痕を白粉で隠してまで)セシリアが加わった理由だった。
 しかし、彼女はブキャナンたちと共に脱走するのではなかった。基地への道を三分の一ほど戻ったところで、一行は立ち止まった。
「ここで、お別れします。あなた方の上に神の祝福がありますように。精霊の御加護がありますように。御子の……」
「どういう意味なの?!」
 アンナが叫んだ。悲鳴の響きを帯びていたが、敵に聞かれないように声を抑える分別は取り戻していた。
「私は娼婦として、この地に留まります」
「そんな……駄目よ! 逃げなくちゃ!」
「私が逃げたら、残った者たちが罰せられるでしょう」
 セシリアの声は、対照的に澄明だった。
「それじゃ……アマルもビビアンも一緒に」
 セシリアが静かに首を横に振った。
「残された五人が罰せられます。全員が逃げたら――また、別の女性が連れて来られるだけです。彼女たちは、娼婦としてさえも遇せられないでしょう。逃亡を防ぐために、おそらく……」
 セシリアは黙して、アンナの目を覗き込んだ。おそらく、あなたと同じような目に遭わされる――セシリアの沈黙は、そう語っていた。
「でも、でも……戻って、見つかったら……」
「それは大丈夫だ」
 ブキャナンがセシリアの横からアンナを見下ろして断定した。
「俺たちもシスターも、バックドアから出てきた」
「バックドア……?」
「歩きながら説明する。時間が無い。成すべきことは幾つもある」
 セシリアがアンナの額に指を触れた。
「さようなら。そして……生きよ!」
 本物のシスターよりも気高く、セシリアはアンナに命じたのだった。
 アンナが気圧されているうちに、担架は道を折れてジャングルへと分け入った。
「俺がアンナに娼婦になれと言ったのも、バックドアがあるからだった」
 ブキャナンが先導して道なき道を駆け抜けながら、アンナに説明する。
 兵舎も倉庫も、量産されたフレームにパネルをネジで取り付けて建設する。フレームにネジ止めするのではなく貫通させてボルトで締めれば、内側から簡単にパネルを着脱できる。MIL規格には無い仕様だが――こっそり兵舎から脱け出して他愛ない悪徳に耽る目的で、兵隊が(嘆かわしいことに下士官まで)勝手に改造するのが、もはや暗黙のルールにさえなっていた。
 倉庫を改造した営倉までもが、然りだった――とまでは、ブキャナンは説明しなかった。何度か、アンナが木箱の檻で犯されている現場まで目撃していたとは、きっと棺桶の中まで持って行くだろう。
 アンナはアンアで、ところどころの樹木に小さな白い布が巻き付けられているのに気づいていた。救出に先立って、逃げ道の下調べがされていたのだろう。
 一時間以上を掛けて辿り着いたのは、5ヤードほどの断崖だった。
 ブキャナンが信号拳銃を取り出して、上空へ発射した。赤い閃光が闇を引き裂く。
 こんなことをしたら、逃げたのを教えるだけだ――アンナがブキャナンの正気を疑った直後。
 ドンドンドンドンドン……
 80エリコンの発射音が聞こえてきた。
「あれは……?」
「ピート、日本軍の飛行機だ。一昨日、もう日付が変わったから三日前か。整備棟の横でやけにでかいバラックを海の上に作ってると思ったら、掩蔽壕(bunker)だった。二度と飛ばしてなるものか」
 カタリナを迎撃した水上飛行機の格納庫だと、アンナは理解した。80エリコンは炸裂弾だ。木っ端微塵になるだろう。
 それ以上に大事なことに、アンナは思い至った。
「じゃあ、やっぱり……魚雷艇は、とっくに修理できていたのね。あたしが檻に閉じ込められていたから……」
 救出のチャンスを待っていた――のだろうか。敵を暗殺するのは、今夜はうまくいったけれど、リスクが大きい。こっそりバックドアから逃げ出せるのなら……
「そうではない」
 ブキャナンが即座に否定したが、これまでと違って断定の響きが失せていた。
「元々、あのベニヤ船はエンジンが不調だった。三基のうち二基しか動かない。それと、他のエンジンにも不具合があるとジャップどもを騙してやるつもりで……馬鹿なミスをしたもんだ。一基をほんとうに焼きつかせちまった」
 修理はしたが、運転できるのは短時間で、しかも半分の出力しか出せないと言う。それでも脱走に踏み切ったのは。
「これ以上長引かせるとアンナが死んでしまう――というのは、申し訳ないが副次的な理由でしかない。脱走を今日に決めたのは、あれだ」
 ブキャナンが沖合を指差した。海面が星明りを反射して、四隻のシルエットがくっきりと浮かび上がっていた。大きな二隻は停泊している。その手前と左の遠くを、小さなシルケットが波を蹴立てていた。輸送船と、哨戒中の駆逐艦だ。
「左側のでかいやつ。分かるか?」
 アンナはさらに目を凝らした。ふつうの輸送船は船腹が倉庫(や、兵員室)になっていて、甲板上の構造物は艦橋(bridge)と荷役マスト(derrick post)くらいのものだ。ところが、ブキャナンの指差した船は、甲板の上にアパートメントが横たわっている。そして、船首側からは長い腕が水平に突き出している。その腕の根元には……
「水上飛行機! あれは、いったい……?」
「水上機母艦(seaplane carriar)とでも呼ぶシロモノだ。あのカタパルトからピートが射ち出されるのを、EEが目撃している」
 さっきの銃撃で、掩蔽壕にある飛行機は破壊された。でも、あそこにまだ残っている。
「まさか、あのアパートメントは……?」
「水上機の格納庫だとしたら、半ダースじゃすまないな」
 いくら巨大な牛でも、六匹もの野犬に襲われたら……
「俺たちは、あいつを沈める」
 ブキャナンが、力強く言い切った。
「でも、どうやって……そうか、魚雷ね」
 分厚い装甲で鎧われた巡洋艦(さすがに戦艦は難しいけれど)を一発で撃沈する魚雷だ。ぺらぺらのブリキで造られた輸送船なんか問題じゃない。
 打ち砕かれていた魂が炎を上げて燃え始め、新たな生命を得て甦りつつあった。
「せっかく救い出したアンナを危険に曝すことになる。魚雷を射つ前に砲撃を食らうかもしれないし、今のPTでは駆逐艦から逃げ切れない」
 黙っていればアンナには分からないだろうことまで、ブキャナンは打ち明けた。馬鹿正直(もちろん敵は除く)が彼の性格だが――魚雷艇の二十倍も大きな駆逐艦よりもさらに巨大な船に向かって突進するとき、アンナに取り乱してほしくないという配慮だったのかもしれない。しかし、不要な配慮だった。
「かまわない!」
 アンナは叫んだ。
「あたし自身が魚雷に乗って、操縦したいくらいだわ」
 魚雷は(砲弾に比べて)速度が遅いし、調整が難しい。静止している目標を狙ってブキャナンさんが仕損じるとは思えないけれど、水雷長だったボブソンさんは戦死した。
 ブキャナンがアンナの頭に手を置いて、汚れ放題になっている髪を、いっそうくしゃくしゃにした。
「その必要はない。ゼロ・ゼロ雷撃だ。母艦に二発、駆逐艦に一発ずつ叩き込んでやる」
 ブキャナンの言葉に呼応するように、エンジンの響きが聞こえてきた。いつもの、三基の1350馬力が奏でる重厚なハーモニーではない。ドドドドドド……物悲しい響きにさえ聞こえた。
「一基だけだと、あんなものかな。それでも全開にすれば25ノットは出せる。ポンコツの一基を動かさえば短時間だが30ノットまでは大丈夫だ」
 アンナの不安を察知して、ブキャナンが(たぶん自分自身を含めて)力づける。
「25ノット? 三基のうちの一基だけで?」
 25ノットでは駆逐艦よりも遅いけれど、島陰に隠れながら進めば、容易には追いつかれないだろう。
「馬力と速度は単純な比例ではない」
 担架を分解したロープを、アンナの腋の下に通しながらブキャナンが説明を始めた。
「待って……どうして? あたしを崖から吊り下ろすためね。でも……もっと先まで行けば砂浜もあったはず」
「あっちの輸送船から運ばれた物資の集積所になっている」
 魚雷艇の基地(現在は日本軍の司令部)に運ばれたと思っていたのだが、そういえば、駆逐艦から基地へ連れ戻されたときにも、山積みの物資を見た記憶がなかった。島全体を防衛するのなら、物資もあちこちに分散させて揚陸するのが合理的だ。
「空気や水の抵抗が速度の二乗に比例するのは、学校で習っているかな」
 アンナがこの地点での乗艇に納得すると、ブキャナンは講義を再開した。
 抵抗と速度は二乗則だが、馬力とは力に単位時間あたりの移動量を掛け合わせた値になる。つまり二倍の速度で魚雷艇を走らせるには、速度の二乗に比例する抵抗力に打ち勝って、なおかつ二倍の距離を動かさなければならない。速度は馬力の三乗に比例する。
筆者注)
数万トンの戦艦は10万馬力程度のエンジンで25ノット超ですが、千トンの駆逐艦が35ノットで走るにはおよそ3万馬力を要します。形状による抵抗の差(細長い駆逐艦のほうが有利:速度に関係しない)があるし、造波抵抗による馬力ロス(高速の駆逐艦のほうが不利:速度に依存する)もあるから単純な三乗則ではありませんが、桁数としては大きく間違っていません。なお、排水型の戦艦や駆逐艦に比べて、滑走型の魚雷艇は造波抵抗が小さいので、馬力と速度はほぼ三乗則に従います。

「だから、三分の一の馬力でも七割ちかい速度が出せるのだ。分かったかな?」
 分らなかった。でも、ブキャナンさんが断言するのなら、正しい。それに、魚雷艇が目の前に迫っていた。
 艇尾に星条旗を翻した魚雷艇はエンジンを絞って惰性で接近して、直前にエンジンを吹かしたり舵を左右に振ったり後進をかけたり――すこし手こずったようだが、断崖に舷側をこすりつけるようにして停止した。
(ブキャナンさんだったら、一発で決めてるわね)
 ブキャナンへの信頼が、そんな感想をアンナにもたらした。
 アンナがロープで吊り下ろされ――最後は垂直の崖を蹴って、甲板で待ち構えていた甲板員のEEとジム・マイヤーの二人に抱き止められた。そのロープを伝って、二人の整備員とブキャナンも降りてくる。
「駆逐艦も気づいたみたいだな。急ぐぞ」
 二隻の駆逐艦から伸びる何本もの光芒が海面を走査している。それまでは二本煙突のうちの一本からしか出ていなかった煙が、二本に増えていた。
「まっすぐ水上機母艦に突っ込む。雷撃は二本。転舵して駆逐艦に一本ずつだ」
 それまで操船していたゴードンが本来の持ち場である機関室に戻り、機銃手のマイヤーが80エリコンに、整備兵のウィリアムズが連装50ブローニングに取りつく。甲板員のEEが魚雷を担当して、もうひとりの整備兵も臨時の雷撃手。
「危ないから下に隠れていなさい」
 キャビンに押し込まれかけて、アンナが抗議した。
「あたしにも手伝わせて。いいえ、復讐の機会を与えて。魚雷を射たせてください」
 複雑な調停なんかは手に負えないけれど、圧搾空気バルブの操作から発射くらいはできる。遊び半分で教わって、それでも訓練用魚雷を発射した経験も一度だけあった。まったく経験のない整備兵のフロレンスよりは上手に操作できる自信が――あろうとなかろうと、自分の手で日本軍に一矢報いてやりたかった。自分には、その権利がある。
 約一秒。ブキャナンはアンナを見詰めた。そして、うなずいた。
「右舷を任せる。第二と第四発射管だ。俺の命令と同時に射て。さっきも言ったが、ゼロ・ゼロだ。調停装置には絶対に触るなよ」
「はいっ!」
 臨時の雷撃手に予定されていた整備兵は機関砲の旋回手にまわって、全員が配置に就いた。不調のエンジンも稼働させて、魚雷艇はその時点で可能な最大速度で突進を始めた。
 たちまち、サーチライトが集中する。魚雷艇は不規則なジグザグ運動を繰り返しながら、沖合へ突進する。
「一番および右舷の二番魚雷、発射用意!」
 スピーカーを通さないブキャナンの肉声が、エンジンの轟音を圧してブリッジから降ってきた。
 アンナは圧搾空気のバルブを解放して、発射装置の安全弁を解除した。あとはボタンを押すだけ。
 本来の発射操作は、ずっと複雑である。目標が回避運動をしても一本は命中するように、複数本の魚雷に扇状の針路を設定する。さらに、馳走深度も調停する。深いところで爆発すれば、水圧が大きいので浸水量も増える。しかし、魚雷が船底よりも深く走れば、当然だが命中しない。ゼロ・ゼロ雷撃では、どちらも省略する。斜め前方に射出された魚雷は、内蔵のジャイロコンパスで制御されて、発射直前の魚雷艇と同じ針路に転舵する。馳奔深度はゼロ。実際には小型駆逐艦の喫水深さくらいに合わされている。
 静止している輸送船には、この射法でじゅうぶんだ。EEは本来の魚雷員ではないし、アンナにいたっては素人。下手に調停しても失敗する。
 ズバーン! ドーン!
 魚雷艇の前方に大きな水柱が立った。直後に、砲声。砲弾は音速より速いから、因果律が逆転したような現象になる。目標が小さいから距離の測定を誤っている。
 魚雷艇は回避運動を放擲して一直線に突進する。船影は遠い。シルエットだけからは判別が難しいが、まだ1マイルはあるだろう。しかし。
「一番発射! 二番発射!」
 兵士にとって必要なのは命令の即時実行である。なにも考えずに、アンナは発射装置のボタンに拳を叩きつけた。
 シューッ! ザンッッ!
 発射管から飛び出した魚雷が、魚雷艇の掻き起した波を跳び越えて水中に躍り込んだ。
「右回頭する、つまかっていろ!」
 飛行機のように艇体を傾けて、魚雷艇は右へループを描く。細長いループで距離を調節しながら三百度の急旋回。舵が中央(midship)に戻ったとき、右舷前方に駆逐艦のシルエットが見えた。
 アンナは自分の任務を思い出して、四番魚雷の発射準備を調えた。
 ズバドーンンッ!
 左舷後方に立った水柱と砲声が同時だった。それだけ、距離が近い。
 魚雷艇は細かく不規則なジグザグ運動を繰り返しながら、駆逐艦の右舷へと進出していく。
「魚雷命中まで5秒!」
 不意にスピーカーが叫んだ。
 アンナは右舷後方を振り返った。水上機母艦は、数秒後の死を知らずに眠りこけている。二条の白い雷跡が、その間近に迫っていた。
「3……2……1……命中!」
 しかし、何も起きなかった。
「……なんだと?!」
 スピーカーが当惑の叫び声を伝えた。
 二秒、三秒……計時の間違いではない。魚雷は二本とも不発だったのだ。
「くそ……! 駆逐艦なんか、知ったことか!」
 魚雷艇が左へ急旋回した。目の前の敵を顧みず、あくまでも水上機母艦を仕留めるつもりなのだ。
「ブキャナンさん!」
 アンナはエンジンの轟音に負けまいと声を張り上げて、ブリッジに向かって拳を突き上げた。駆逐艦なんか、知ったことじゃない。自分の命だって、知ったことじゃない。あいつを沈めなければ、カタリナが撃墜される。飛行場が完成する。そんなことよりも……アンナには、いちばん大きなシルエットが、そのまま、自分を迫害した敵そのものに見えていた。
 ふたたび、魚雷艇は大きなシルエットに向かって突進を開始した。
 艇の後方至近距離に水柱が噴き上げた。これが戦艦の主砲だったら、爆風と断片だけで魚雷艇は大破していただろう。しかし、駆逐艦の主砲はせいぜい5インチ。豆鉄砲だ。だからこそ、機敏な魚雷艇の動きを追いかけられるのだが。
 前よりもいっそう肉薄する。もはやシルエットではなく、はっきりと船の細部まで見分けられた。あと千ヤード……
「三番、四番、発射!」
 まだ遠いと思いながら、アンナはボタンを叩いた。
 ほとんど同時に二本が射出された。魚雷が水中に没すると同時に、魚雷艇は右へ転舵した。
 アンナは振り返って雷跡を探したが、見えるのは自艇のウェーキだけ。
「まだだ……」
 不意に肩に手を置かれて、アンナは身を硬くした。被虐の記憶が甦りかけた。
「発射直後の魚雷は深く沈む。まだ見えない」
 EEだった。魚雷を射ち尽くした後はブローニングの旋回手を務める予定になっていたが、駆逐艦相手に機関銃が役に立つ距離に接近するまでに、こっちは穴だらけにされているか木っ端微塵になっている。
「もうすぐだ……ほら、あそこ!」
 EEが指差したあたりに、白い気泡が筋を引いて浮かび上がってきて、魚雷が空中に飛び出た。が、すぐに着水して潜り――そこからは二条の雷跡が、一直線に伸びていった。
 魚雷艇が舵を戻して全速力で駆逐艦を引き離しにかかったとき……
「命中まで3秒……2……1……」
 エンジンの咆哮に紛れて、ごおんという鈍い音を聞いたのは、たぶん錯覚だろう。
「くそっ……またか!」
 二発の魚雷が、またも不発だったのは疑いようのない事実だった。
筆者注)
米軍のMk14魚雷は不発が多く、戦争中期まで改善されませんでした。
六本の魚雷を斉射して、全弾命中全弾不発という戦例があります。
潜水艦の艦長は航海日誌に
Hit......No effect!
Hit......No effect!
Hit......No effect!
Hit......No effect!
Hit......No effect!
Hit......No effect!
と、書き殴ったとか。
特設油送船『第三図南丸』は、12本の雷撃を受けるも10本が不発。船腹に魚雷を突き刺したまま生還して、その有様が髪に簪を刺した遊女のようだとして「花魁船」と仇名されたとか。
四発全弾不発なんて、有り得過ぎる偶然でしかありません。



絶望の最大戦速

「Fuck you!」
 女性が同乗していることも忘れて、ブキャナンの怒声がスピーカーから響いた。が、すぐに冷静に立ち返って。
「こうなったら、仕方ない。俺たちは、出来る限りの仕事をしたんだ――ずらかるぞ!」
 魚雷艇は水上機母艦を左舷にかわして、ジグザグ運動を続けながら沖へ逃げた。
 駆逐艦の一隻が艦首をこちらへ巡らすのが見えたが、2マイルは離れている。しかし、燃やした重油で水を加圧沸騰させるタービンエンジンだから、最大馬力を発揮するまでには何分もかかる。ぐんぐん引き離していく。
 島を大きく回り込んで――そこで、焼き付きを修理したほうのエンジンが息絶えた。これで、最大速度は25ノット。一直線に逃げれば、駆逐艦に追いつかれるのは時間の問題だった。
 ブキャナンは、わざと針路をオーストラリア本島へは取らず、大小の島が連なっている南西を目指した。
 この海域に他の魚雷艇部隊は存在せず、おそらく潜水艦もいない――という事実を、日本海軍が把握していなければ、海上戦力の半分までを割いて、たかが一隻の魚雷艇をしつこく追跡するとも考えにくい。魚雷艇は航続距離が短い。エンジン一基だけでは負担が苛酷でもある。島陰に潜んで敵をやり過ごすのが賢明だろう。
零式水観  しかし……
 不意に海面が煌々と照らされた。サーチライトではない。水平線に艦影は見えなかった。
 グワアアアンンン……
 頭上にエンジンの音が迫った。
 ひゅうんという微かな風切り音。直後に、艇首すれすれに水柱が立った。
 ドバアアン!
 水柱を飛び越える水上機のシルエットが見えた。
「くそ! 追ってきたか!」
 ブキャナンが怒鳴った。怒鳴る前に転舵している。
 水上機が急旋回して、まっすぐに突っ込んできた。
「物陰に隠れろ!」
 スピーカーの声にはじかれたようにEEがアンナに飛びついて、魚雷発射管の下に転げ込んだ。
 タタタタタ……
 50ブローニングに比べてさえも軽い発射音。それでもベニア合板が引き裂かれて、断片が四散する。
「闇夜に飛行機を飛ばすなんて……無茶苦茶だ」
 アンナを自分の身体で庇ったまま、EEがうなった。
 夜間飛行は珍しくないが、それは高空を飛ぶ場合に限られる。魚雷艇を攻撃するには低空飛行が要求される。星明りを反射するだけの海面は、高度の判定が難しい。引き起こしのタイミングを間違えれば、突っ込んでしまう。
 グワアアアンン……
 別の方角からのエンジン音。水上機母艦は二基のカタパルトを備えている。即時投入できる全戦力を注ぎ込んできたのだ。
 魚雷艇が、あえて飛行機に正面を向けた。追いかけられるよりは正対して突っ込んで、敵に見越し角を誤らせるほうが直撃を食らわない可能性が大きい。
 しかし、水上機のパイロットは歴戦のベテランだった。機首を引き起こして、魚雷艇の直上を飛び越すなり、急旋回して追尾に移った。
 ダダダダッ……
 ブローニング連装機銃の射撃音がはじけた。
 魚雷艇が転舵した。ブローニングは射ち続けている。
 ダダダダダダダダダ……
 魚雷発射管に遮られた視界に飛行機が映った。ブローニングの火箭は、はるか後方を追いかけているだけだった。
 いかに軽快な飛行機でも、旋回能力では魚雷艇にかなわない。ブキャナンは敵機を引き付けて、有効射程のわずか手前で、また急旋回した。
 EEもアンナも、魚雷発射管の下にうずくまったまま、身動きが取れない。下手に身を起こせば、銃撃されるより先に魚雷艇から振り落とされる。
 グワアアアンン……
 水上機は左へ流れて艇尾を掠めた。そのまま左旋回をして、魚雷艇の鼻先を押さえる形で回り込んでくる。
 魚雷艇は右に舵を取った。これでは、同じ場所で右往左往するばかりで、じきに駆逐艦に追いつかれる。
 タタタタタ……
 最初にかわした水上機からの銃撃。
 ガンガンガンと、不吉な金属音がして――魚雷艇のエンジンが咳き込むと、ぱたっと静かになった。
 万事休す。エンジンをやられたのだった。
 ボオオオオオオーッ
 汽笛が暗い海面をどよもした。水平線の向こうに、駆逐艦のブリッジが浮かび上がっていた。
 ブキャナンがブリッジから降りて来て、アンナの前に膝を突いて頭を垂れた。
「すまない。きみを巻き込んでしまった」
 ブキャナンは、そのまま動かなくなった。
 その心中を察して、アンナも言葉がなかった。
 敵は戦時国際法を無視して、捕虜にはアンナを人質にして利敵行為を強要し、そのアンナには性的虐待を含むあらゆる虐待を加えた。集団で脱走して敵対行動を取った捕虜には、どんな待遇が待ち受けているのだろうか。
 ブキャナンの頭にあるのは、自分への処遇どころか、部下への処遇でさえなかっただろう。これからアンナがどんな酷い目に遭わされるか、それを自分のことのように恐怖しているのだ。
 ブキャナンさんが想像するより、ずっと残酷な殺され方をするはずだ――そのことを、アンナは確信している。Λ形の木馬に乗せられて、身体がまっぷたつに裂けるまで足に錘を吊るされるかもしれない。倒したH形に吊るされて、ほんの1フィートも長い(丸棒ではなく尖った)棒の上でぶん回されれば、先端は心臓にまで達するだろう。あの有刺鉄線の鞭で息絶えるまで打ち叩かれるかもしれない。それとも、ギロチン磔にされたまま死ぬまで解放されずに犯され続けるのだろうか。
 ……恐怖に喚きそうになって。アンナは立ち上がって、大きく頭を振った。
「あたしは、後悔していません。最後にはスパイとして処刑すると、あいつらはあたしに保証してくれました。そうでなくても、あんな拷問を続けられたら、きっと心臓が止まっていたでしょう」
 アンナは、無理をして笑顔を作った。
「だから、あたしはブキャナンさんもゴードンさんも、EEもマイヤーもウィリアムズもフロレンスも……誰も恨みません。でも……」
 アンナは手すりにつかまって身を乗り出し、海に向かって叫んだ。
「くそったれな魚雷を作った馬鹿野郎ども! あなたたちは、絶対に赦さないんだからね。自分のチンポを噛み切って死にやがれえええええ!!」
 考えつく限りの卑猥な言葉で罵った。
 そして、ブキャナンに向かっておねだりをする。
「この軍服、ずっと貸していてくださいね。正式に任命されたわけじゃないですけど、アメリカ軍の兵士として死ぬのも悪くないかな――そう思います」
 すでに駆逐艦は200ヤードほどの距離で停止していた。アンナたちを捕らえるべく、兵士を乗せたカッターボートが海面に吊り下ろされようとしている。


          [終]

========================================

 え? これで終わり?
 はい、そうです。しかし、[完]ではありません。
 [終]に続けて、こんな一文があります。

 最終章には、残酷描写があふれています。リョナやグロを嫌悪される読者は、ここで読了してください。
 最終章は、後書きの次頁から始まります。

 ネタバラシすると。アンナを中央にして、左右に男どもが二人ずつ、樹に縛りつけられます。
 新兵の度胸付けに――銃剣突撃が繰り返されるのです。ただし、アンナだけは肉剣突撃。男たちが断末魔にのたうつ中、延々と凌辱されるのです。
 ただひとり生かされて……昼は連隊長の玩具、夜はロハマンコとして。まあ、1週間後か1年後かには息絶えるでしょうが、それは[完]の後のことです。
 具体的な描写は、製品版(2022年1月中旬発売予定)で、リョナ好きの読者はお愉しみください。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:復讐の雷跡果てるとき

Progress Report 2 →


 実は、こういうフォトコラを見つけて。
土の字磔


 ううむ、この形の磔は考えたことが無かった。ので、即採用しました。濠門長恭パコパコオハコの
    吊って「芯棒を挿入して」回転させて
   ロープの撚りで上昇して逆回転して下降して
  また吊り上がる(初出『偽りの殉難~香世裸責め』)

を付け加えました。

========================================
新たなる犠牲者

 翌日も、午前の早いうちから執務室へ連行された。二日続きの拷問だった。
 口実としての尋問など素っ飛ばして、アンナは磔に掛けられた。十字架などは使われず、ただ二本の材木に縛りつけられただけだった。だが、その縛り方が異様だった。
 アンナは、平行に置かれた材木に直交する形で仰向けに寝かされて、肩の下に敷いた材木に、二の腕と手首とを固縛された。腰の下に敷いた材木には、膝の上と足首とを。そして、腕を縛った材木の両端をロープで吊り上げられた。『H』の字を横に寝かせた形。頭が横木の上に飛び出しているから――もしもアンナが漢字を知っていたら『土』の形にそっくりだと思っただろう。
 そんな連想をはたらかせている余裕は、なかったかもしれない。百八十度の開脚を強いられた股間が痛みに軋む。6インチ×3インチで6フィート長の材木、30ポンドを超える重量が体重に加わって背骨と腹筋を引っ張る。身体が材木からずり落ちかけて、肩にも負担が掛かった。
「く……」
 これだけなら、首を吊られて立たされているよりはむしろ楽だった。股間の淫裂を、その内側まで曝しているのだが――羞恥に肉体的な苦痛は伴わない。
 しかし、この空中磔は拷問の準備の前半部だった。直径2インチほどの丸棒がアンナの股間に垂直に突きつけられた。角材から削り出したのだろう、あちこちが凸凹して、ささくれまで残っている。
 これまでの経験で、その丸棒がどんなふうに使われるか、アンナには容易に想像できた。先端がわずかに丸みを帯びているのが、暴風の大海に浮かぶ小舟くらいの安心を与えてくれる。
 アンナの想像通り、丸棒が女性器に挿入された。
「ひいいいっ……痛い! やめて……もう、押し込まないで!」
 受け挿れ難い太さであるよりも、表面の凹凸とささくれがアンナを苦しめた。丸棒が膣奥に突き当たったときには、すでに鮮血が木肌を染めていた。
 丸棒はわずかに床から浮いていたのだが――内側に煉瓦を詰めた木箱が両側に添えられて、U字形の釘で丸棒を固定した。
「回転ブランコ(rotating swing)という遊具を知っているかな」
 それまでは黙って連隊長と従卒の作業を見守っていた中尉が、初めてアンナに話しかけた。平板な口調はこれまでと変わりないが、不気味な微笑を浮かべている。連隊長の嗜虐に感化されたのだと、アンナは直感した。
「ちょうど、こんな形だな」
 脚を縛りつけている材木の両端に、中尉が空のバケツをロープで吊るした。
「この材木を回転させると、ブランコが勢いよく外へ振れる」
「まさか……」
 とは、恐怖の間投詞でしかなかった。
 連隊長が後ろへ下がって、従卒と憲兵伍長とが材木の両端に立った。
「待って……やめて……ぎひいいっ!」
 二人が材木を押して回し始めると同時に、鎮まりかけていた激痛が爆発した。限界ちかくまで拡張された膣を、材木のごつごつした表面が抉る。昨日のΛ形の木馬は女性器を外から内へ切り裂く拷問だったが、これは内側を切り裂く拷問だった。
「うああああ……痛い、痛い、痛い……赦してください。お願い……こんなことをしたら……使えなくなったら、あなたたちだって困るでしょう……」
 女性器を破壊されるくらいなら、犯されるほうがましだ。アンナは、本気でそう考えている。肉体の苦痛よりも精神の蹂躙を望むほどに、凄惨な激痛だった。
 ばしんと乳房を竹刀で打ち据えられて、さらにアンナは絶叫した。
「Ana no hitotsu ya hutatsu nakunattemo hei no shiki niwa eikyou sen. Jikini mada fueru yotei dasina.」
 激痛に呻吟しながらもアンナは、連隊長が英語を相当に理解していると確信した。中尉の翻訳を待たずに、アンナに追加の拷問を加えたこと。彼女への反論らしい長広舌。
「レンタイチョウドノ、あたしの言葉が分かっているのでしょう。お願いですから、もう赦してください!」
 連隊長はしばらくアンナ――というよりも、その頭上を眺めていたが、おもむろに右手を挙げた。
「Sorekurai de yoi. Tomero.」
 ぴたりと回転ブランコが止まった。
「あああ……ありがとうございます」
 媚びるつもりなど無いのに、安堵が追従(ついしょう)を口走らせた。しかし、それはまったくの総計だった。材木を吊るす二本のロープは、梁の一か所で結ばれている。回転に連れてロープはよじれて、その分、アンナの身体は――丸棒が膣から抜ける寸前まで、吊り上げられていた。
「Omoikiri bun-mawase. Yohhhi, Teeee!」
 掛け声とともに、材木が反対方向に振られた。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
 アンナは頭をのけ反らせて咆えた。
「ぐがっ……ぎひいいい……いいいいい!」
 ロープの撚りがほぐれるにつれて、アンナの身体が沈み、丸棒が膣を奥へ抉っていく。身体を垂直に吊られていても、膣穴は幾分か傾いている。回転の中心からもずれている。したがって、膣が丸棒を揺り動かし、丸棒はいっそう膣内をこじる。鮮血が、じわじわと丸棒を伝い落ちていく。
 撚りが完全に戻って丸棒の先端が膣奥に突き当たり、それでも回転は止まらない。勢いを減じながら、反対方向へロープをよじり……最初に吊り上げた半分ほどの高さまで戻ってから、ようやく止まった。が、それは数秒。二人の子分が材木に取り付いて、さらに同じ方向へと回して。
 また、連隊長の合図でアンナの身体をぶん回す。
「うああああ……赦して……お願い……ひいいい……」
 アンナの口から、もはや絶叫は迸らない。間断ない苦鳴と哀願。
 二度目の回転が止まると、今度はそのまま放置された。ロープの撚りがほどけてアンナの身体が自重で落下するにまかせられて――また上昇に転じるが、到達したのは最初の高さの四分の一くらいだった。回転の速度も、ずっと落ちていた。
 アンナも、かすかに呻くだけ。劇痛が和らいでいたのも事実だが、哀願の虚しさにうちのめされていたようが大きい。
 さらに緩やかな回転とわずかな上下動が繰り返されて、ついに回転ブランコが止まった。しかし、アンナへの拷問――ではなく純粋の加虐は、まだ終わらなかった。
 空のバケツに煉瓦が詰められていく。回転運動の両端に錘が加われば、それだけ勢いがつき減衰は小さくなる。
 またしてもアンナの身体が回され吊り上げられて――今度は四人がかりでぶん回された!
「ぎゃま゙わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
 拷問部屋に咆哮が充満した。
「Soredewa zanji shiturei shimasu.」
 この淫残な光景にはそぐわない折り目正しい敬礼をして、憲兵中尉が部下を引き連れて執務室から出て行った。
 回転ブランコは勢いよく回り続けている。
 それでも数分でアンナの身体は串刺しにされたまま宙で静止した。
 連隊長はデスクに寄りかかって、おもむろに葉巻を吹かす。
 ドアがノックされたときには、葉巻はまだ半分以上が残っていた。もっとも、ふつうのペースで吸えば三十分は保つ良品なのだが。
========================================

 星新一(どこが? ←ノックの音が)の後は、強制徴募されそうになった現地娘たちを庇って慰安婦を志願した教会のシスターが連れてこられて、
「彼女の代わりに私を責めなさい」となって。なのです。


 なお、非凡式ローマ字表記の部分は、ヒロインが耳で聞いた通りの日本語です。アルファベットには「ā ī ū ē ō」の長母音が無いので、米国人のヒロインだと「Chūi-dono」ではなく「Chewi-dono」と聞き取るわけです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:復讐の雷跡果てるとき



 Twitterで、突如凍結されました。
 最初は理由が分からなかったのですが、要するに自動性的搾取虐待は、妄想だろうと文章だろうと衣冠束帯という欧米基準ですね。
 ので、トップページで告知したように、Twitterは(すくなくとも当分は)やめます。
 タイムラインを閲覧してRTしたり、自作品広告記事ばかりでは矢場いかもしれないとアレコレ書いたり。けっこう時間を食います。仕事の休憩時間を活用するとギガを食います。自作品をTweetしても、閲覧数が百単位でリンク先のクリックがツバナレしないし、売り上げに反映している感じでもないし。
 そりゃまあ、何年もかけてフォロワーを増やすとかすれば、すこしは売り上げに結び付くかもですが。
 ヘッポコンテストの1次に落ちるようなラノベを「読んでくれたら読みます、感想くれたら感想します」なんて、落語の『花見酒』みたいな記事も、トンチンカンな創作講座も、あまりにひどいのは、つい返信したくなったり。

 とにかく。Twitter卒業(退学ともいう)。

 さて。
 『ベニヤ板の奇跡』がゼロ戦の20mm食らってボカチンされて、帝国海軍に救助されたはいいが、すぐに陸軍に引き渡されて。
 なにがなんでもヒロインにスパイだと自白させようというあたり。まあ、嘘の自白をしても、「昨日と今日とで言っていることが違う」と、あくまで拷問は続くのですが。
 いきなり素っ裸にされて、後ろ手錠のまま首吊りロープを掛けられて、腹パンだの帯角(ベルトの帝国陸軍用語)で鞭射たれたりして。
 そして……というところから抜粋です。


========================================
 ボス猿が中尉に命じて、アンナの右足首に巻かれたままになっているロープを天井の梁に掛けさせた。
「Gokaichoh to ikuzo.」
 ボス猿がロープの端を引っ張った。アンナの右足が吊り上げられる。
「ああっ……やめて! いやああ!」
 抵抗はできない。どころか、バランスを崩して転倒しないためには、自分から右脚を上げて小刻みにジャンプしながら上体を右へ倒すしかなかった。
「いやあ……痛い」
 直立したまま開脚して股間の奥まで曝け出す羞ずかしさと、限界を超えて股関節を広げられる痛みとに、アンナは涙をこぼした。
 いっそ、左脚で踏ん張るのをやめたらとも、考えた。片脚で宙吊りになってしまう。そのショックで脱臼するかもしれないし、頭を床に打ちつける危険もあった。
 迷っているうちに手錠を片方ずつはずされて、左右をつなぐ鎖を右足首のロープに絡められてしまった。上半身が右脚に密着して、まったく動けなくなった。左足を床から離したら、どうなるか分からない。
 アンナは脚をIの字形に百八十度開いて、上げた右脚に上体を添わせるポーズで固定されてしまった。
 ボス猿が身体を寄せてきて。股間を掌でぽんぽんと叩いた。
「…………!」
 ハンマーで殴られたような衝撃と、巨大なナメクジに這いまわられる感触とが、すくなくとも十年以上は親にも触られたことのない乙女の中芯を襲った。おぞましさに、アンナは身体を硬くするだけで、言葉を失ってしまう。
「Mekosuji ni shinai wo tatakikonde yaruzo.Tanoshimi ni matte ore.」
 日本語を幾らかでも知っていたら、アンナは恐怖に泣き叫んでいただろう。それとも、あくまで気丈にボス猿を睨みつけただろうか。

========================================

de65a557.jpg
 こんな形ですかね。借り物画像なので、セーラー服とかはご愛敬。

 昼飯休憩とか、PBYカタリナの偵察兼爆撃があったりして中断の後……

========================================
 竹刀を手に、I字バランスを強いられているアンナの正面に立つ。開脚の中芯にぴたぴたと竹刀を当てる。
「やめなさい」
 いろんな想念が渦巻くが、うまく言葉にできない。言葉にしたところで、ボス猿には通じないだろうが。
 これは取り調べなんかじゃない。通訳のチュウイがいないから、いやらしい責めに屈してスパイだと認めたとしても、こいつには通じない。だから、これは拷問でさえない。では、なにを……?
「Kimusume tonarto tsuki wa mottainaina.」
 ボス猿が後ろに下がって間合いを取った。右手一本で竹刀を握って、斜め下に構える。
「Mekoh!」
 気合声とともに、竹刀を斜め上に撥ね上げた。
 ぱしいん!
 竹刀の先端から三分の一あたりが淫裂を打ち据える。
「ぎゃはあああっ!」
 凄まじい衝撃が股間で爆発して、脊髄を通って脳天まで突き抜けた。
 反射的に股間をかばおうとして右脚を縮めて――アンナの裸身が宙に浮いた。わずかに右へ傾いたところで重心が安定して。まだ首に掛かったままになっているロープは緩んだままだった。アンナはいっそう脚を縮めて、必死に股間を護ろうとする。
 なにを思ったか、ボス猿が室内を見回す。
「Kodera. Baketsuto rengawo mottekoi.」
 ドアを開けて呼ばわる。
 一分としないうちにノックの音がして、中尉とその部下が姿を現わした。
「Jinmon wo saikai sareruno deshitara yonde itadakitai desu.」
 ボス猿は顎で「はいれ」とうながしただけだった。
 少し遅れて、従兵がバケツと数個の煉瓦を持ってきた。
 ボス猿が煉瓦を入れたバケツを、アンナの自由な右足にロープで結びつける。従兵に命じず自分で手を下すあたり、この男の嗜虐への執着がうかがえる。アンナをさらに吊り上げるのは、従兵と憲兵中尉の部下にやらせたが。
 煉瓦の重みで、アンナの右脚が伸び切った。力を入れれば縮められなくもないが、一分とは保てない。
 ボス猿に命じられて、渋々といった態で中尉が形ばかりの尋問を始める。
「おまえはスパイだな。否定するなら竹の刀(Bamboo sword)でおまえの女性器を叩くと、連隊長殿は言っておられる」
「…………」
 アンナは絶望の中で、しかし中尉を睨みつける。スパイと認めたら処刑される。認めなければ拷問される。いや……認めなければ、認めるまで拷問されて処刑されるだけではないだろうか。それくらいなら、いっそ……
 ボス猿は沈黙を否定と解釈したのだろう。
「Mekoh!」
 竹刀を正面に構えるなり、肩の高さまで吊り上げられたアンナの股間に振り下ろした。
 ぱっしいん!
 下から斬り上げるよりも強い打撃が、女芯を打ち据えた。
「ぎゃはっ……!」
 悲鳴が大きすぎて喉につかえる。アンナは大きく口を開けたまま息を詰まらせた。
「Mekoh!」
 二撃目がアンナを襲う。
「……あああああっ!」
 強引に悲鳴を吐かされた。
========================================

 7連勤のあとの2連休なのですが。Tショックもあるし。
 完全クリアしてる18RPGを、また最初から「理想の展開」で進めたくなったり。

 ※オープニング直後の姦られイベントまでに、スリープの石と追加ダメージ杖とHP/MP回復装備と……
 まあ、11月中の脱稿を目標に進めますか。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:復讐の雷跡果てるとき

フィリピン撤退

 フィリピン全土が日本軍の支配下に置かれたのは1942年6月であるが、その三か月前に司令官のダグラス・マッカーサーは魚雷艇部隊とともにフィリピンを脱出している。
 魚雷艇部隊のうち一区隊四隻は、遠距離哨戒の補給地であったバンダ海のタウェル島に常駐することとなった。ここをオーストラリア防衛の根拠地とするため、大型艦船の水路を確保すると同時に機雷原の設定が急がれていた。
 この物語は、まだ開発途上にあるデリケートな音響測深機(ソナー)の専門家であるピーター・オークリッジ(軍属)の一人娘、アンナに起きた悲劇を描いた架空戦記である。

 いうまでもないことだが、物語に登場する人物・組織・地名・年齢などは、すべて仮構である。また、物語に描写されている行為を平時において実行すれば、ほとんどの国家において犯罪として糾弾されるであろう。
 なお、西暦1942年を舞台としているため、当時はふつうに使われていた差別用語などは、そのまま表記している。

注記
日本語表記の会話は、実際には英語です。
日本語による会話は「Hiroinga kiitatohrino Rohmaji-hyoukito shimasu.」

========================================

 と、まあ。こんな出だしにしました。後半は、これまで後書きに書いていた魔除けの呪文です。

P15vietnam_aflo.jpg
画像は、小説と微妙に関連性があります……かな?

 それはそれとして。以前からふらついているのが、横書きの場合の数字の取り扱いです。「西暦一九四二年」「西暦千九百四十二年」などもあります。元号を使うときは、そんな表記を使ったこともあります。
 いっそ算用数字に統一というのもありますが。「3か月前」「1区隊4隻」……前者は、どうにも違和感があるのです。
 今回は、年月日、テクニカルな数字(1350馬力、20mmエリコン機関銃)は算用数字、それ以外は漢数字でいってみましょう。
 縦書きは漢数字に統一できそうですが、これまで、昭和年代以前の日本が舞台の話のみ縦書きで、あとは横書きを通してきたので、やはりなのです。それに「A6M5a」を縦書きでどうするかという問題もあるので、縦書き万能でもないですし。

 さて。本編を書き進めるとしましょう。




テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:復讐の雷跡果てるとき

さあて。今回は最後まできっちりPLOT(特に責めシーン)を固めて。
いよいよ、書き始めましょう。200枚はいくかな。責めシーンの密度次第です。

タイトルには苦慮しています現在進行形です。やはり、内容がズバリ分かるタイトルがいいです。これまでのヒロイン戦記は
1.突撃! 戦車娘
2.ウルフパック(群狼)
3.成層圏の飛燕~海女翔けるとき
4.陸軍女子三等兵強制全裸突撃
5.W.A.S.P. Woman Abused Sex Prisoner
6.火竜(ザラマンダー)と翔けたアクメの空

1.3.4.は無条件にわかります。2.5.6.も、ミリヲタなら一目燎原の火。6.は「翔けた空」があるから、パンピだって空戦記録だと分かるでしょう。

しかし、今回は……
魚雷艇です。難しいです。魚雷に注目して「雷跡」とか「雷撃」とかを挿れたいんですね。
そして、悪名高いMk14魚雷は……潜水艦の艦長が日誌に
Hit! No effect!
Hit! No effect!
Hit! No effect!
と、書き殴った逸話があります。Hit(命中)! No effect(効果無し=不発)!
しかし、「Hit! No effect!」をタイトルにしても、分かる人だって分からんでしょう。
実は、「雷跡」を使おうと思ったとき、真っ先に浮かんだのは『消滅の雷跡』です。畏れ多い鶴亀鶴亀。何が畏れ多いかは、分かるやつだけついて来い、です。
ということで。『復讐の雷跡果てるとき』は仮題です。

さて、PLOTをば。


========================================
アンナ・オークリッジ
 アメリカンスクール10年生/音波測深助手
 母は離婚。
ピーター・オークリッジ
 海軍軍属:測量技師 最新鋭の音波測深
マックス・ブキャナン
 艇長/大尉
エリック・エドワース(EE)
 最年少。二等兵。甲板員/水雷見習
ジェフ・ゴードン
 機関士/軍曹
セシリア(セス)ブラム アンナより二つ歳上。
 牧師の娘。母とは死別
アマルベルガ(アマル) セスと同い年
ビビアナ(ビビアン) アンナのひとつ下

及川久三
 連隊長/大佐
小寺 勇
 従兵/上等兵
丸山正介
 野戦憲兵分隊長/中尉/英語
大野勇次郎
 歩兵大隊長(800人)/中佐
林 正一
 工兵中隊長(200人)/大尉
田中義勝
 野砲中隊長(150人)/大尉
山辺勘治
 高射砲中隊(150人)/大尉
烹炊、鍛冶その他軍属 50人

現地の要請で、増援部隊輸送を神州丸に変更。
パラソル型の九一式戦闘機搭載、カタパルト。

合計1500人÷(3人×20人)=25日
生理休暇を考えると月イチ。
8人になってからはノルマ15人で2週間に1回。



※ベニヤ板の悲劇

1942年3月12日、マッカーサー脱出。2月16日バンカ島事件。2月3日にマニラ占領後の虐殺。
フィリピンから撤退後、魚雷艇部隊の一部はパブアニューギニアの補給地を拠点に。
かつては近海航路の中継地。白人系30人ほどが定住。原住民数百人。
機雷敷設のための測量など。
カタリナの偵察で侵攻を察知。
オーストラリアへ向けて総撤退。1コ戦隊4隻のうち3隻。1隻はエンジン不調で放棄。敵に感づかれるから、燃やさない。
整備員2コ分隊20人。民間人も。教会の父娘は残留。


[Openning]
アンナは船酔いするのでブリッジ。空ばかり見ていて発見。
戦爆連合の急襲。補給地が空なのに気づいて魚雷艇を襲撃。艦爆の一部は補給地も。
ブローニング50も無力。魚雷を換装(Mk8→Mk14)して巡洋艦くらいなら一発で沈められるのに、ちっぽけな飛行機に手も足も出ない。
2隻は轟沈。魚雷爆発とガソリン誘爆。
アンナの乗艇は20ミリでベニヤの艇体破壊。甲板の民間人は全滅。
生存者はアンナ、EE(他艇)、ブキャナン、ゴードン。整備兵2名。
負傷して漂流も5名ほど。溺死など。駆逐艦内で死亡も。漂流しているところを駆逐艦に。
上部構造物:15m=15Km 煙は30Km? 太く濃いのが3本。細く薄いのが2本。
船団は10Kntで、3時間で島に。
駆逐艦は増速して30Knt、30分~1時間で現場。
駆逐艦は親切。菜っ葉服貸与。暖かい飲み物。錨鎖庫に監禁。服が乾いて着替える。
兵員上陸後(翌日)に、大発で島へ。陸軍に引き渡される。
司令部は魚雷艇基地の建物利用。


※全裸尋問と凌辱

[1日目]
アンナだけ別室で取り調べ。後ろ手錠で連行。
連隊長直々。通訳の憲兵中尉、上等兵。
父の海底測量の手伝い。自分は民間人。
海図作りは軍事行為。私服ならスパイ行為だ。死刑だ。スパイ行為を否定する誘導尋問。
椅子から立たせて、首に縄。
服を引きちぎる。
こんな連中は猿と同じだ。虚勢。
羞恥責めは通用しない。
黄色い猿に嬲られて屈辱。アンナ、相手を睨み付ける。
「Kuunyann towa erai chigai.」
乳房、股間。
気丈に耐えていると、不意打ち腹パン。
竹刀で小手調べ。
あまり傷つけてもまずい。
途中で警報。まだ退避壕はできていない。偵察だけで引き返す。
一旦放置。片足吊り。床に着いてる。
報告に来る兵隊に目の保養。時々股間を嬲る。
夕刻。宿舎で見つけていた(実は自分の)服を与えられる。下着無し。手錠で縄跡隠し。
元々の営倉に監禁されている生存者たちに引き合わされる。
営倉は整備棟の倉庫の一角。
「余計なことは言うな。捕虜が反抗すれば射殺しても文句は言えない」
恥辱を訴えても激高させるだけ。黙っている。
アンナを前にして、魚雷艇の修理を再度命じる。
「私服で軍事行動をしていた。スパイとして処刑できるぞ」
ブキャナン折れる。アンナ「私のせいだ」
連れ戻されて。即全裸。机にあお向け磔。
歩兵大隊長と工兵中隊長、高射砲中隊長。
「Juuyouna sakusenkaigi. Daremo ireruna」
連隊長が一番槍。
心が折れているから抵抗弱い。
大隊長は脚をほどいて二つ折りアナル。高射砲がのけぞりイラマ(噛んだら歯をへし折る)中に工兵が2番マンコ。
座り込み後ろ手一本吊りで朝まで放置。上体を起こせないので立てない。
あれこれ考える。その気になれば、すぐにも処刑できるはず。噂に聞く南京。なぜ自白を強いるのか。魚雷艇修理まで生かしておく?
漏らす。


※終わらない拷問

[2日目]
お漏らしは従兵を呼んで始末させる。
目覚ましの拷問。ベルトで打ち据える。マンコしごき。
自白しなくても処刑、自白してもすぐには殺されない。スパイ行為を認める。言われるままに自筆。
本格緊縛座禅転がさずで放置。アルミ椀に盛られた味噌汁ぶっかけ飯。台に載せて目の前。
喉の渇き。惨めな姿で啜って、塩辛い。水を求めても、通じないのかわざと無視なのか。
午後から、憲兵中尉を交えて取り調べ。
水を訴える。無視される。
上申書の詳細、矛盾。嘘の自白だからボロボロ。戸惑う。
後ろ手のまま逆さV字吊り。すでに肌は鞭痕だらけ。
「水を飲みたいんだったな」
中尉の口ぶりから、読者には嗜虐への目覚めが分かる。
バケツ水責め。マンコに灼熱。悲鳴の泡。水を吸い込む。引き上げられて、大佐が煙草。咳き込んで水を吐いているところにマンコ焼き。
「Kokomade sarete zihi wo kowantowa. Itaburi-gai ga aru.」
失神するまで責められる。そのまま、司令部裏手の大きな木箱に。

[3日目]
気力尽きている。
箱に蓋をされているので立てない。トイレはバケツ。全裸、後ろ手錠。
すぐ近くで退避壕の構築。すでに穴はできている。
味噌汁ぶっかけ飯と水。見張だけでなく工兵にも見られながら犬食い。
PBY2。爆撃するが外れる。
夕方から尋問。
木箱に戻されて、見張り厳重なのに気づく。


※強制徴募慰安婦

全裸で引き出されたとき、4人の兵(ひとりはインテリ一等兵)に囲まれて私服で歩いている3人のシスター。
シスターが制止を振り切って近寄る。
ここで娼婦として働きます。教会に逃げ込んだ現地娘十数人を庇っての決断。
監視兵の注進で憲兵中尉。
シスターの抗議。彼女を拷問するなら、私も同じように。無視される。
「おまえも一緒に働くなら、待遇を良くしてやる」
拒絶。シスターたちは、すこし離れた兵舎へ連れて行かれる。
何を話していたと、尋問の趣旨が変わる。
シスターを巻き込まないように注意。
「Asu ga aru.Kizu wa tsukeruna.」
針山。マッチで炙る。
GANG-BANG無し。
夕方。兵舎へ連隊長、大隊長など6人が行くのが見える。さらに、中隊長など6人。
木箱に幽閉前に、見張たちに。合計6人。

[4日目]
PBY2が飛行場を爆撃。この時点で、戦闘機を要請。ゼロ戦の往復では常時哨戒不可能。空母の余裕も無い。だいたい、陸海は犬猿。
服を与えられて司令部。ブキャナンと面会。さすがに虐待を見抜く。
「処刑せずに生かしてある」
ブキャナン、強い抗議はしない。アンナ、裏切られた思い/自分のために利敵行為の負い目。
夕方。工事現場の林の向こうから兵士がぞろぞろ。兵舎に行列。その数を見ておぞけを震う。
GANG-BANGは、見張。交代ごとに。

[5日目]
尋問無し。木箱で無気力に寝て過ごす。
セスが訪れる。比較的自由に出歩ける。
「あのひとたちはサディストです」サドマゾの概念を初めて知る。
PBY2の爆撃。建設中の飛行場を狙う。


※新たなる犠牲者

[6日目]
上申書をネタに尋問。座禅仰向け転がしで性器責め。
即席三角木馬で長時間。乳房を棒で上下圧迫。当番兵を呼んで、乳首クリ歯ブラシ延々。苦痛アクメ。
PBY2。爆撃。
木箱の見張りが減る。
「Tasukeni konai tokorowo miruto,zantekiwa inaina.」
「Kishidou teiu yatsuka.Shikaisi,chambara demo seigino kenshiwa ohimesamawo tasukeni shichini tobikomuze.」
囮にされているとは分からないアンナ。

[7日目]
2人のシスターの勧誘で、さらに5人(25~30歳)。
尋問室。2本の丸太に「土」の字磔。腕を縛った丸太を天井から吊るす。
しばらく嬲られる。
セス(着衣)が連れてこられる。慰安婦が増えたので、セスを潰してもかまわない。
「代わりに自分を責めろ」と言っていたな。どうする?
セス、自発的に全裸。
「彼女を下ろしてあげてください」
「馬鹿なことはやめて。あなた、自分で言っていたでしょ。こいつらは、愉しみで女を責めているだけだって」
「神に与えられら試練です」
中尉が茶化す。
アンナ、処刑を懇願。
「いずれ殺してやる」
アンナは下ろされて、V字逆さ吊り。灰皿。
「やめてほしければ、そう言え。おまえは無罪放免してやる」
ベルト滅多打ち。
「こっちは使ったのか?」
十字架(携帯)と歩兵用スコップの柄(末端が休憩で直径4cm弱)
「どっちを突っ込まれたい?」
スコップを選ばざるを得ない。激痛。最後に汚物まみれのままマンコ突っ込み。
「こいつを責める代わりに、おまえは慰安婦だ」
兵舎に連れて行かれて、パイプ椅子の座面に上体を縛り付けるギロチン磔。前後同時。口はゴム無し。ゴムは兵士の性病予防。
深夜になってから木箱へ。セスもいる。後ろ手錠のまま身体を寄せ合って。
拷問がなくても大勢にGANG-BANG。どちらがマシなのか。
「猛獣に喰われるのは、自分が非力だから仕方ない。でも、自らの意思で身体を開くのはイヤ。まして、あんな猿どもに!」
「信者を守るために身体を投げ出したあなたを尊敬するけれど」
シスをかばっての台詞。

[8日]
シスは兵舎に戻される。
「Sugu Nakisakebu kuseni,naniwo saretemo kami ni inorudake.Tsumaran.」
アンナは木箱のままだが、食事改善。体力回復させてから甚振る。
従順でビッチに振る舞っているビビアンが、捕虜との伝書鳩。
兵の噂で増援が数日後。
営倉は抜け穴がある。
揚陸のどさくさに紛れて脱走する。


※強制労働集団姦

[9日]
運動をさせてやろうと飛行場へ。捕虜は整備棟だから見ていない。
全裸、足首にシャックルと鎖。前日の爆撃でできた穴を埋めさせる。
監督がたまに円匙で尻叩き。
午後から連隊長の視察。生ぬるい。
成績優秀者を各小隊から1人ずつ(900÷50=18)。乳ビンタ。
身体に心棒を挿れてやる。縄で張形。前後挿入縄褌。
刺激で初めて(はっきりと)感じてしまう。
夕食後。最優秀小隊50人。兵舎内の慰安所の一画で。3人掛かりを厳命。
(45人÷3人)×10分≒3時間。感じない、演技しない。
マンコ2本挿しも(男同士五分の契り)。アナルには昼間の縄張形。
面白がってイラマ+アナル+マンコ2本。


[10日目]
遊んでいる余裕がないので、木箱に放置。ばたついている。
見張によるGANG-BANGは恒例。


※脱走と反撃と…

[11日目]
船団到着。3隻+護衛駆逐艦2隻。
夜。GANG-BANG中に忍び寄って刺殺。
慰安婦たちは来ない。現地娘は残留希望。けっこう贅沢をさせてもらって喜んでいる。
シスターたちだけが逃げたら、残った娘も連帯責任を問われるかもしれない。
殺されないまでも、アンナのような拷問。
「神の試練です」
説得できない。
自分が行くというアンナを他が押しとどめる。整備棟へ半強制的に。

PTは3軸推進で40Knt。2軸なら35Kntまで出る。
エンジン始動ボタンを押しても3分間は換気装置の作動のみ。
日本兵は、これを故障と勘違い。
3基目のエンジンを修理するふりで時間稼ぎ。エンジン取り外し。分解。部品修理。再組付け。
艇長:マックス 補助:整備兵 機関室:ジェフ+整備兵 見張:アンナ+整備兵 
低速で脱出。大発などとすれ違う。
日の丸で偽装しているから、撃てない。交戦規定違反。
駆逐艦が哨戒している。
沖合に大型船。甲板にパラソル飛行機多数。大型カタパルト2基。
放置すれば、PBY2が墜とされる。
米国旗掲揚。20Knt。2本を航空機輸送艦。転舵して肉薄、2本を駆逐艦。
魚雷は深度固定(3m)
4本とも不発。
これも神様の思し召し……か。
駆逐艦から機銃応射。船尾(機関)破壊。見張1人は戦死。ジェフは重症。
立往生。降伏せざるを得ない。

※処刑と生き地獄

夜が明けてから、全員島へ戻される。
アンナ以外は、その場で処刑。銃剣刺突。
海岸の樹木。アンナ(のみ全裸)を大の字磔。その左右に、生き残り4人。
歩兵のみ。各分隊から1人で、80にん。5人ずつ。1人は小銃無しでフルチン。
仲間が銃剣で刺されるのを見ながらおかされる。勃起させるのが一苦労。挿入のみで『留め』は不要。
10人くらいで絶命。16完遂。
アンナは磔から解放されて連行。彼女の地獄は、これから始まるのだった。
========================================

コラ
この画像では日米が逆転しています。あくまでも構図/イメージですので。

 小説の書き始めは、最初の1行で読者を引きずり込むのがbestですが。
 いきなり、全裸磔鞭打ちとか、トースト咥え登校中鉢合わせとか、空中火災脱出とか、クライマックス倒叙とか……でなくても、いいのです。とはいえ。

 1942年3月。フィリピン最後の防衛拠点であるコレヒドール要塞の陥落を目前に控えて、マッカーサー司令官は魚雷艇でフィリピンを脱出した。8隻の魚雷艇うち区隊4隻は、これまでの補給地をオーストラリア防衛の最前線にするべく、バンダ海に浮かぶウェルタ島へと向かった。しかし、日本軍の進撃はとどまることを知らず……

 と、状況説明から始めて、それで読者を惹きつける力量……なんて、ないです。困っています。
 最後はアジの開き直りです。もともと、SM小説を書き始めたのは「読みたい作品が無いから俺が書く」でした。つまり、好きなように書きます。

追記
 まあ、架空戦記ですから。魚雷艇が1区隊4隻てのも、駆逐艦部隊からの連想にしか過ぎませんし。
 だから、日本軍の増援部隊に二式水上戦闘機があっても、かまわんのですが。史実では、二式水戦の量産開始は1942年7月だったはずですし。ゼロ戦と同じで、量産試作を実戦投入てのも、アリかもしれませんが。
 やはり、陸軍としては仇敵海軍の力を借りたくないでしょうし。ということで、信州丸と91式戦闘機にしました。こんな局地戦に虎の子を投入するかというと、これまた苦しいところですが。
 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:裸族の性人儀式

Progress Report 1 →


 終盤のあはーぶオシオキが、意外と盛り上がらずに終わってしまいました。
 途中でヒロインが「ヤラセ」に気づいてしまって、あまりジタバタらなかったのです。プロットでは、最後までヒロインが
あはーぶオシオキを本物と思い込んでいる予定でしたが、書いているうちにそうなったのです。これも、まあ、登場人物がプロットにない行動に出た例ではありますが……必ずしも盛り上がる方向へは発展しないという勉強になりました。

裸族(fake)

========================================

8.処刑

 まだ夜が明けきらないうちから、広場に人が集まり始めた。
「スリーガールズ、エグゼキュート! カムアンドルーック!」
 カタコト英語をしゃべれる数人が、コテージのドアをノックしてまわる。寝ぼけまなこをこすりながらのそのそと姿を現わす客もいれば、とっくに着替えていてスマホと百ドル札を握って飛び出してきた者もいた。気乗り薄な一夜妻を(部族の者に見咎められない範囲で)強引に同伴させる客も。ただ性人儀式を見物するだけが目的だった観光客は昨日のうちに引き上げているから、残っているのは二十人ほどに過ぎない。しかし、彼らを押し包むようにニャノミの男女(老と幼は見当たらない)が五十人は集まっている。
 一昨日と同じように、三人から五メートルほど離れた位置に槍でバリケードが張られて、今日はAV撮影チームも向こう側へ押し戻された。
 梢恵と美咲の前に、それぞれ丸太が運ばれた。直径は五十センチより大きいくらいで長さは二メートルほど。
 二人は磔から下ろされ、両手両足で丸太を背中に抱える形で縛り付けられた。肩と尻と内腿が樹皮にこすられてチクチク痛いけれど、縛られている手首に体重が掛からないので、磔よりはずっと楽だった。
“Two girls commit Taboo first time.”
 例によって、長老が観客に説明をする。
“Taboo clean into water. ”
 水で清められるという意味だろうと、梢恵は推測した。聖水プレイなんて言葉を連想したのは、AVチームのカメラを意識しているせいだろうか。
“Twice commit gilr no mercy. She will execute. ”
 長老がフロルを指差して、重々しい声で宣告した。
 何を実行するんだろう―― executeが死刑を意味するとは知らない梢恵だった。
 フロルも磔から下ろされて。両手を頭の上で縛られた。地面にあお向けに寝かされて。
 フロルを磔にしていた二本の樹に青年たちがよじ登って、てっぺんに太い蔓を縛り付けた。数人がかりで蔓を引っ張ると、樹が弓状にしなる。
 左右の樹から伸びる二本の蔓の端が、フロルの足首に結びつけられた。地面に太い杭が打ち込まれて、杭とフロルの手首とが蔓でつながれた。
 ニャノミの青年ふたりが蔓の張力を矯めながら、ゆっくりと手を放した。弓状に曲げられていた樹が元の姿に戻ろうとして――フロルを宙に吊り上げた。手首と杭とをつないでいる蔓が、ピインと張った。蔓とフロルの脚は一直線になって、深いV字形を描いている。もしも手首を縛っている蔓がほどけるなり切れるなりしたら――二本の樹はフロルを左右に引き裂くだろう。
 それまではおとなしくあはーぶ(オシオキ)を受け容れていたフロルの顔が、恐怖に引き攣った。
“No...”
 叫びの形に口を開けて、しかし悲鳴は呑み込んだ。頭をねじって、見物客を見回す。その視線が、ぴたっと止まった先には――サマースーツをきちんと着こなした屈強な四人の男たちの姿があった。杖を突いた老人が、その中心にいる。
 フロルが、ひたと老人を見詰める。
 老人もフロルを見詰めて目をそらさない。
 フロルの表情がぎこちなく動いた。微笑とも絶望とも、梢恵には判別がつかない。もしも梢恵がフロルの全身をくまなく観察していたら……股間のかすかな絖りに気づいていたかもしれない。気づいたとしても、それが祖父への献身だとは想像もできなかっただろうけれど。
 フロルにとっては、この処刑は――格闘術に長けた年配のドミナに半殺しにされることと変わりは無いのだ。そして、ぎりぎりのところで安全が保障されていると、それを信じて疑わない。
いや、この話においてフロルは、梢恵と美咲のダブルヒロインを高山社長のシナリオに沿って、当人たちが心の奥底に秘めている被虐願望を満たしてやる案内人であった。
フロルについて詳しく知りたい読者は
『SMツアーEpisod 4:プライベート・リョナファイト』を購読願いたい。
 フロルを地上につなぎとめている蔓の横に、ニャノミの青年が手斧を持ってひざまずいた。
 長老が右手を高く掲げた。
 これから始まろうとしている惨劇を、買春客もニャノミの野次馬も、固唾を呑んで見守っている。制止の声は聞こえない。まさかという思いもあるし、少女の無残な死を期待する鬼畜変態も買春客の中には混じっているだろう。
 梢恵と美咲も、首をいっぱいにねじってフロルを見詰めている。ふたりは、これが『股裂きの刑』だと理解できていない。それでも……
“Execute!”
 長老が手を振り下ろすと同時に、手斧が杭に叩きつけられた。
 ぶっ……蔓が切断されて。
 ばさささっ……と、葉が風に鳴って二本の樹が跳ね上がる。
“Cyawahhh....!!”
 逆さ吊りのまま、甲高い悲鳴とともにフロルの裸身が空中高く舞い上がって……
「も゙お゙お゙お゙お゙っ……!」
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!」
 梢恵と美咲が、フロルよりも大きな声で叫んだ。
 一瞬でフロルの両脚は百二十度以上に引き裂かれて。そこで止まった。蔓がピインと張りつめて、しかし、それ以上には樹が起き上がらない。フロルの両足首は一メートルほどの蔓でつながれていた。正確には、フロルの足首と樹をつなぐ蔓に、一メートルほどの太い蔓の両端が固く結びつけられていた。これでは、どんなに樹の反発力が強くても、フロルを引き裂くのは不可能だ。最悪でも、フロルの片足が蔓からすっぽ抜けるだけだろう。
“Wohhh...!”
“Fuuuh...!”
 見物している群衆から安堵の息が吐かれた。
 フロルの逆さ吊りの裸身は、一直線になった蔓の張力と樹幹の弾力とのはざまで、まだ上下に揺れている。
 そうか。これも求愛のダンスと同じなんだ――梢恵は、そんなふうに理解した。
 ふだんはジャングルのあちこちに分かれて棲むニャノミが、儀式のための広場に集まって、近親婚を避けてカップルを作る。その儀式が、観光客を受け容れるようになって、だんだんと買売春の場に変わってきたように。もしかしたら、昔は本当に厳罰に処していたかもしれないむいこ(タブー)へのあはーぶ(ショバツ)も、今ではショーに堕しているのだろう。
 自分たちも、そんなにひどい(すくなくとも命にかかわるような)ことはされないだろうと安心して――梢恵は、内腿の生温かい感触に気づいた。処刑の瞬間の恐怖か、その直後の安堵か、そのせいで失禁していた。
“At last. Two shame into walter.”
 宙吊りのフロルに背を向けて、長老は梢恵と美咲を指差した。
 ニャノミの男たちが二人一組になって、丸太を持ち上げた。
「んぶううう……」
 これから何をされるかよりも、粗相を見られる羞恥が先に立った。
 しかし男たちは太腿を伝う雫には目もくれず、丸太を肩に担ぎ上げた。長老の先導で広場を出て、河へ向かう。
(あ……?!)
 梢恵は、長老が“into walter.”と言っていたのを思い出した。水……丸太に縛り付けられている理由が分かってきた。フロルの両足をつないでいた蔓と同じなのだ。河へ投げ入れられても浮かんでいられるように……。
 梢恵は、わずかに安心した。自分がバラストになって、丸太の反対側が水面に浮かぶのではないかとまでは心配しない。もっとも、梢恵よりはニャノミのほうが心得ている。丸太は熱帯雨林特有のとくに軽い樹種が選ばれていて、水に浸かる側には鉄骨が巧妙に埋め込まれている。したがって、全体の重心は(梢恵を含めても)丸太の中心よりも下側になっていた。
 四人のニャノミが担ぐ二本の丸太のすぐ後ろにAVのカメラが続き、その後から買春客を主体とした三十人ばかりがぞろぞろとついてきている。///1st
 梢恵と美咲が運ばれたのは、観光客を乗せたモーターボートが発着する桟橋だった。早朝なので、まだ迎えの船は来ていない。
 河に突き出した桟橋に、梢恵と美咲を縛り付けた丸太が並べられた。ビデオカメラが寄ってきて、ふたりを順にクローズアップしていった。カメラの向こう側の顔は、まるきり無表情。梢恵もラナも赤の他人。そう言っているように感じられた。被写体としてだけ見られている。それが、なんとはなしの安心につながってくる。
 けれど。ニャノミの男たちが腰をかがめて横から丸太に手を掛けて。ずずっと桟橋から押し出し始めると、一気に恐怖があふれてきた。
(ピラニアとかワニとか……)
 河にひそんでいるんじゃないだろうか。
 おおいかぶさっている男たちの顔がぐらっと揺れて、見上げている空がくるんと回って。
 ざっばああん……!
 丸太の下敷きになる形で水面にぶつかった。とっさに息を止めて……薄茶色の水に包まれて。このままの姿勢だと溺れてしまう――そう考えたときには、顔が水面から出ていた。
「ぶふう……げふっ」
 蔓で口を割られているので、口の中は水であふれている。それを吹き出して、鼻からも息を吹いて、ゆっくりと深呼吸。
 顔を起こしてあたりを見回すと。もう、桟橋は五メートルくらい遠ざかっていた。桟橋がゆっくりと回っている――のではなく、丸太のほうが動いている。すぐ後ろに、美咲の丸太が見えた。梢恵とは反対向きに回転している。
 丸太は流れに沿った向きに落ち着く。足のほうを前にして、流されている。空が、やたらと青い。だけでなく。
(…………?!)
 いかついシルエットのヘリコプターが、頭上で音もなくホバリングしていた。たしか、桟橋に転がされていたときには、見掛けなかった。それとも、気が付かなかっただけだろうか。
 たしか、自分たちの安全を見張ってくれているんだった。けれど、ほんとうに見張りだけらしい。もっと低空まで下りてくるとか、丸太を吊り上げる準備をしているとかの動きは見えない。
 十分だろうか三十分だろうか。どこまでも流されていく。首をひねっても真後ろまでは見えないから、美咲が同じように流されているかも分からない。
「いあいいい!」
 叫んでみたらすぐに返事が返ってきた。
「おおい……!」
 おしゃべりでもしていたら不安も紛れるけれど、呻き声じゃ気休めにもならない。
 ぶおおおおおお……
 エンジンの音が急速に近づいてくる。波を蹴立ててこちらへ向かってくるモーターボートの姿が見えた。観光客をいっぺんに十人二十人と運ぶ大きなのではなく、梢恵たちを運んでくれた小さなやつだ。
 モーターボートは接近すると、丸太を避けて進路をすこし変えて。
 ぶおおおおお……
 あっという間に通り過ぎてしまった。乗っていたのは、日本語通訳のエリクだけだった。
 なぜ無視されたんだろう。不安が膨らみ始める。じわっと恐怖が忍び寄る。けれど、ヘリコプターが見えているから、パニックになったりはしない。
 モーターボートが通り過ぎた理由は、すぐに分かった。
 ぶおおおおおお……
 引き返してきて、エンジンを止めて、丸太と並んで漂い始めた。AVチーム全員を乗せている。カメラが、こっちを狙っている。そして。
 ドルル……ぶおおおおお……
 エンジンを掛けて、最初に来た方角へ走り去ってしまった。
 置き去りにされても、そんなに心細くならなかった。きっと、モーターボートは梢恵たち(も、観光客も)が出発した拠点まで戻ったのだ。このまま流されて行けば、梢恵たちもいずれはそこへ流れ着く。そこで救出してくれるのだろう。
 まったく安心しきっているわけではないけれど。冒険の旅もいよいよ終わりに近づいたのだと、それを信じたい気持ちで、さらに何十分かをながされて行った。
 心配していたワニは、河岸で寝そべっているのを見かけるけれど、わざわざ追いかけてこようとはしない。丸太が大きいから、手に余る獲物だと判断しているのかもしれない。ピラニアかどうかは分からないけれど、ときどき魚が水面で跳ねている。こちらも、近づいてくる気配はなかった。
「おおーい!」
 聞き覚えのある声で呼びかけられて、やっぱりという思いはあったけれど、最後までわだかまっていた不安が消えたのは事実だった。
 エンジンを絞ったモーターボートが近寄ってきて、梢恵を縛っている蔓に、長い竿に取り付けられたフックが掛けられて、桟橋ちかくの浅瀬へ運ばれた。AV男優のふたりが蔓をほどいてくれて、待合所のような建物へ連れて行かれた。
「お帰りなさい。ちょっとお肌が荒れたわね」
 出迎えてくれた菜穂子の挨拶に、ふたりは戸惑う。ちょっと荒れたくらいじゃない。全身鞭痕だらけ。何時間も縛られていた跡も、くっきり。
 もちろんふたりは、かつて菜穂子がポニーガール牧場で使役ロバとして虐待されていた経緯など知らない。菜穂子の基準では梢恵と美咲の受けたあはーぶ(オシオキ)なんか、ソフトプレイでしかないなんて、正面切って言われたとしても――菜穂子を尊敬する気にはならなかっただろう。
「それじゃ、最後の絡みを撮るぞ」
 男優二人と女優二人とが、梢恵と美咲を取り囲んだ。大型モーターボートの乗組員らしい三人の男たちがたむろしているのだが、そんなことはお構いなし。男たちも、事情を説明されているのだろう。カメラの邪魔にならない隅っこへ移動して――無料のライブショーが始まるのを待っている。
「まだ……するんですか?」
 美咲が、うんざりした声をあげた。
 どうにもできない状況だったとはいえ、この人たちには見捨てられた、災難を利用された――そんなわだかまりが、無くもない。それに。昨夜からの(ふたりにとっては)過酷なあはーぶ(オシオキ)の後で、雰囲気からすると六人入り乱れての乱交みたいだけれど、それでもフルコースで満腹しているところへお茶漬けを出されるようなものだ。
 そんなふたりの思いを無視して、監督がオチをつける。
「スタッフ一同でおいしく頂きましたってやつさ」
========================================

 さて、気を取り直して。表紙BF丁稚揚げて、校正をすませて。
 来週からは次作にとりかかりましょう。
 ヒロイン戦記(連合軍×海)の予定です。『雷跡果てるとき』(仮題)


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:SMツアー『裸族の性人儀式』



Progress Report 0 →


 執筆に専念(せいぜい充念くらいですが)するとブログの更新が遅れる。ブログを更新するには執筆してネタを作らねばならない。ホコタテです。『お気に入りの写真』とかのストック記事で穴埋め(きゃああ、エッチィ♡)したりするわけですが。

 執筆の方は、父母(チチとして進まず、ハハ……)でもがきながらも、後半に差し掛かりました。といっても全部で百数十枚予定ですから、分量は、まあ、その、あれじゃよ。

========================================
4.不浄

 一夜が明けて、いよいよ儀式の当日。儀式は午後からだが、狩猟や採取あるいは手仕事を休んで、広場は昨日よりずっと賑やかだった。小さな台の上に木彫りのペンダントや人形を並べて、観光客相手の商売をする者もいる。
 祭りを控えて浮かれた雰囲気というのは、文明も洋の東西も越えて人類共通だった。
 ところが。
「だむやくろ!」
 男の引きつったような叫び声が起こった。目の前にいる少女を指差している。
「おおお……」
「だむやくろ! なじじ!」
「きゃああ、だむやくろ」
 女の悲鳴も混じっている。
 たちまち少女のまわりに人が集まって、響きから推測して非難の言葉を浴びせる。
 梢恵と美咲も、騒ぎに巻き込まれてはいけないと思いながら、足を止めてそちらを見てしまう。
 フロルだった。立ちすくんで、股間に手を当てて、はっとした表情であたりを見回す。フロルの股間から内腿にかけて、赤く染まっていた。
 長老が老体に鞭打って駆けつける。
「いばばひょ・・・・・・」
 早口でまくしたて、フロルに指を突きつけた。
「あはーぶ!」
「さまはに、しくおな」
 フロルが謝罪する。が、両側から男に腕をつかまれて、広場の奥へ引きずられた。
 フロルの両手両足に太い蔓が巻きつけられ、三メートルほど離れて立つ二本の喬木に結びつけられた。フロルはX字の形で磔にされた。足は地面に着いている。
 フロルの腰を巻く帯が剥ぎ取られ、足飾りも取り去られる。フロルは抵抗せず、されるがままだった。
 突然の騒ぎに、観光客も集まってくる。その中には、杖を突いた老人も混じっていた。だけなら、老いて益々盛んなのか色惚けなのかはともかく、梢恵も美咲もあまり気にしなかっただろうが。サマージャケットのボタンをきっちり留めた男四人が老人を取り囲んでいるとなると、ひどく目立つ。
 しかし、注意がそれたのは一瞬のこと。
“Girl contaminate ceremony blood. Girl will be clean.”
 長老が声を張り上げて説明するのを聞いて、二人の関心はフロルに引き戻された。
 いつの間にか、大型のビデオカメラが人垣の前にしゃしゃり出て、フロルにレンズを向けている。その前に中年の男が立ちふさがった。昨夜は世話役を務めていたうちの一人だ。カメラの斜め後ろに立つ監督に向かって右手を突き出す。
「マネー、マネー。ワンサウザンド」
「ウィーハブ パーミッション トゥ テイク ムーヴィー」
「マネー、マネー。ワンサウザンド」
「ツーエクスペンシヴ」
 監督が負けず劣らずのブロークンで交渉を始めるが、言葉が通じなければどうしようもない。長老も首を横に振るだけで、取り合わない。結局、押し切られてしまった。
 ほかの世話役も観光客を見回して、カメラやスマホを見つけると『ワンハンドレッド』。商業的な撮影と個人的なそれとの区別がついているのか、それとも機材の大きさで判断しているのか。
 フロルの横に、水を張ったバケツが置かれた。若い男が、束にした蔓を持って、フロルの前に立った。蔓を水に浸して――フロルの股間を、掬い上げるように打った。
 バシイン!
「きゃああっ……!」
 赤い水しぶきが飛び散って、フロルが悲鳴をあげる。
「さまはに。にはて・・・・コテージ」
 哀願は無視されて、二発三発と蔓の束が股間に叩きつけられる。
 十発ほどで、経血はきれいに拭い去られた。股間から内腿にかけて、赤黒い線条が無数に走っている。フロルは頭を垂れ膝から力が抜けて、半ば宙吊りになっている。
“Girl is clean. But will be punish.”
 別のバケツがフロルの前に置かれた。ばしゃんばしゃんと水が跳ねている。
「あああ……さまはに、にさめへ」
 フロルが懇願する。しかし、諦めているのか言葉は弱い。
 肘まである分厚いゴム手袋を嵌めた男がバケツに手を突っ込んで、太い蛇のような生き物を取り出した。
“Electric eel.”
 AVのビデオカメラが、ぐっとフロルに近寄った。他の観光客は、ニャノミの男が水平に寝かせた槍に阻まれて、その場から動けない。これも、千ドルと百ドルの違いだろう。
 開脚した股間と電気鰻。これから何が始まるか、梢恵と美咲にも明確に予想できた。
「生理を不浄だと考えるなんて野蛮……」
 つぶやいて、梢恵は思い知る。裸族が野蛮なのは当たり前だ。
「でも……フロルさん、かわいそう」
 美咲も、それ以外に言葉がなかった。
 フロルはひきつった表情で、自分の股間に近づけられる電気鰻を凝視している。
 電気鰻の頭が、淫裂に隠れた。
「ぎゃああああっ……!」
 絶叫がフロルの喉から迸った。反射的に腰を引いたが、男の手が追いかけて、電気鰻は挿入されたまま。さらに、ずぶずぶと押し込まれていく。
「ぎひいっ……がはっ……ひいい……」
 フロルの腰が激しく痙攣する。悲鳴が短く途切れるのは、電気鰻が放電してから蓄電するまでに数秒の時間を要するからだろう。
 電気鰻が体長の半分ほども押し込まれたところで、フロルの頭がガクンと垂れた。
「さわ。びんてぃぶら・・・・」
 長老が右手を挙げて、重々しく宣した。
 電気鰻が抜き去られて、フロルは磔から解放された。膝から崩れ落ちかけるところを二人の男に抱き止められて。そのまま、森の奥へ引きずられて行った。
“Dirty girl arrested in cottage.”
 捨てられたりするのではなく、たぶん森の奥にある小屋に隔離されるだけらしいと分って、ふたりは――まるでずうっと呼吸を忘れていたみたいに、大きく息を吐いた。
========================================
こうず1紹介画像

 この段階では、ニャノミ語を平仮名表記していますが。二人のヒロイン(おおむね梢恵[=ラナ]視点になります)がカタコトを話せるようになると。
さわ。みみ、じまイエス ワタシ オトナ
みたいな表記にします。

アフィリエイトのキーワードは『裸族』です。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:SMツアー『裸族の性人儀式』

  SMツアーは2014年に着想したのですが、その時点で構想していたストーリイは、これで打ち止めです。
 『
誘拐と凌辱の全裸サンバ』だけは、2016年に追加しました。

 しかし、『全裸サンバ』のおかげで『性人儀式』のプロットを大幅に変更せざるを得なくなりました。
 だって、舞台が同じ南米ですよ。
 『
全裸サンバ』で、予期せぬアクシデントに見舞われたのですから、その対策もせずに『性人儀式』ツアーを出発させたりしたら危機管理もヘッタクレもあったものじゃありません。日本の外務省あたりは、やらかすでしょうけどね。
 そこで……デウス・エキス・マキナの登場です。作中固有名詞は「ブレイカー老」。
 『
プライベート・リョナファイト』の車椅子老人、実は裏社会の大物です。
 さらに、ブレイカー老の斜め上(別組織だが、格としては上下がある)には、「ドン・ガストーニ」がいます。
 この二人を絡めて、どういうふうになったかというと。


 まずは、初期設定当時のPLOTです。

========================================
裸族成人祭(8月)麻凛は海女体験、詩織は静養中

  高山
  田中梢恵(14):ラーナー/レズカップル
  宮田美咲(13):ラーニー
  AVスタッフ5名、女優2名
・昨年秋に申込。拒絶したが、熱心。他のツアーに参加して迷子になってやる。それくらいなら。
 エイズワクチン治験薬入手。グロブリンとの併用。子供ツアーの企画。15人に正規添乗員3人。
 プール授業に合わせて全身日焼け。生理調整。
 遺跡見学のとき、体調不良で2人がホテル待機に高山付き添い。
・ヘリとボートで。正規参加5人、二度目以降8人、+2人。合計15人。観客100人。
 AV撮影にぶつかる。むしろ逆手に。
・AV女優も加わってのダンス。正規参加者は部族の男性とペア。抜ける。AV女優は部族男性とペア。
 少女だけのダンス。観客が長老と交渉。成立するとパンツひとつで買った少女の横に。あるいは客の持ち物を借りた部族男性。
 高山の差し金で長老がスタッフを2人に。
・女優と部族男とのSEX。堂々の撮影。生唾の3人。
 2人の番。裏AV用。同時に。フェラチオから破瓜。痛いと叫んでばれる。
 シナリオ変更。なぜ、こんなことを? 尋問。緊縛してローター、電マ。
 名前を明かさないことを条件に。レズカップル。レズ撮影。
・翌朝、高山の迎え。AVクルーと目顔で挨拶。
 少女たちは恍惚から醒めていない。高山は満足。

12月に申込み。年開けて契約。
高山からAVに企画提案。アゴアシ付き。
裏AVは高山のルートで。

========================================

時期設定からして、辻褄っていません。
 『プライベート・リョナファイト』が8月あたりで、『誘拐と凌辱の全裸サンバ』が2月末頃です。
 ということで、卒業旅行に変更しました。
  作り変えたPLOTは……

とりあえず

========================================
時差 12時間

日本時間3月18日午前4時
 オフィス。入電。英語。
 ラナとラニ、現地着。
 ラナ:田中梢恵  ラニ:宮田美咲
 現地入りすれば、ひと安心。
 ミャノマ族のテリトリーには、ゲリラも立ち入らない。
 全裸サンバでの事件。SOS overseas 中止。
 裸族は実施が迫っていた。最年少案件だからこそ。
 南米なら、ドン・ガストーニのテリトリー。
 護衛依頼は、50万ドル吹っ掛けられて断念。
 翌日に、老から連絡。
 ツアーに孫娘を入れろ。無理を言うのだから、45万ドル。実質護衛費用5万ドル。
 利益を出すつもりだった裏AVで賄える。とんとん?

到着
 中南米古代文明探訪ジュニアツアー
 2日目から別行動。ツアコンは、木島菜穂子(39:元外資系企業の総合職)。
 空港→汽船(6時間)。午後4時。
 外国人観光客は、ヘリと高速ボートの乗り継ぎ。
 攻撃ヘリ2機が、着岸まで(こっそり)エスコート。
 部族の案内役に引渡し。ツアコンは、高速ボートでヘリ中継地へ戻る。攻撃ヘリの護衛。
 裸族の扮装。タンニング。
 処女は腰帯が白⇔赤。恋人いないので足飾りも白⇔青。顔の線刻化粧も違う。
 二人は、白白。現地少女ぽくボブ。
 ハーフ、クォーターもいる。
 ひときわ白人ぽくて髪の長い、幼い娘。フロル。赤青。
 車椅子老人、スーツ×3人。キャンピングトレーラー(どうやって搬入?)。衛星通信アンテナ。
 少女たちから言葉を教わるふたり。
 表記規則
 日本語:普通に明朝体で。
 英 語:Discript in English
 現地語:・・・ワカッタ・・コトバ・・・
 夜は、なにも起きない。

 ※白人ぽい娘というのが、ブレイカー老(車椅子老人)の実の孫娘にして愛奴のフロルです。
  詳しくは『プライベート・リョナファイト』を参照してください。

前日
 主として買春品定め客が到着。
 高額でコテージ。キャンプ持ち込みも。
 AVクルー7名は、最大コテージ。媾合の大部屋よりは狭い。
 監督(男優)、カメラ、アシ(男優)×3、メーク(女優)、女優
 言葉を習いながら、あまりうろつかない(人目を引かないよう)。禁忌も教わる。
 でも、露出願望は満たす。
 肌の色と顔の化粧で大丈夫。
 集落(300人)の娘15人、周辺集団から20人。初めて儀式に臨むのは9人+6人。
 フロル、ラニ、ラナは周辺集団扱い。

不浄
 フロル、太腿に血。部族の娘が騒ぐ。男どもも聞きつけて糾弾。
 清めの儀式。二本の樹の間でX字。
 乾燥させた蔓を割いて結んで縄にした束を水に浸して、メコ筋打ちで血を洗い流す。
 電気鰻の幼魚。数カ所に鎖で地面に。鎖を握って操作。挿入、縄で固定。鎖を引き抜く。絶叫。悶絶。
 新しい縄で褌。不浄小屋に軟禁は、陽が沈むまで。夜は縄褌で外を歩いてもよい。ふつうは出歩かない。

破瓜
 最初に、混血ぽい娘を除く26人と同数の青年とで、撮影用ダンス。本番は撮影禁止。
 第一陣は、処女ばかり17人(ラナ、ラニを含む)。
 少女一列。前から順にひとりずつ婿選び。同意なら、男の差し出す花を髪に挿す。
 立候補複数(少女の両側あるいは、さらに)なら少女が選ぶ。男同士の闘いもあり。
 一部の買春客も参加。相場は5千ドル。
 全員の婿が決まったら、腰を抱き合って二列縦隊で。
 第二陣は非処女20人。
 ダンスで買春交渉。基本は長老が割り当て(1千ドル)。
 少女が花を拒んだら第二候補。実際には起きない。
 買春客は13人だけ。あぶれた少女7人は、部族の男性(トウの立った奴も)。

 ラナとラニは、部族のイケメン若者。
 媾合は陽が落ちてから。
 買売春は、客のコテージで。テント組は、買春できない。
 裸族カップリングは、伝統様式の大部屋で。
 部族の男は、早い。前戯もろくになし。処女は泣き叫ぶ――のが、仕来り。
 生中出し(買春組も)。
 ラナもラニも夢破れて参加のみ。明日の客とのカプリングに望み?
 相手に抱かれて……寝付けない。

AV
 撮影隊。女優と部族青年の絡み。フェラ拒まれて、即ハメのみ。絵にならない。
 フロルが翻訳機を使って売り込み(500ドル)。カタコト英語⇔日本語。小学校教育を受けていると自己紹介。
 見つかったら厳罰。夜だから見て見ぬ振りもある(と、説明)。
 ホンバン不可。血まみれ性器接写。男優にフェラ。
 蛇を持参してスネーク・ショー。弱毒(嘘)だが、現地民は幼少時に咬まれて免疫。
 明日も(電気鰻持参で)来いと言われて。

禁忌
 儀式2日目。当然、全員が赤の腰帯。足飾りはマチマチ。少女は希望者のみラナ&ラニ含めて28人。
 ラナ&ラニには、男優が割り当てられる。イケメンはだけど、日本人。肥満狒々親爺よりは、いい?
 コテージにはフロルが先着している。生理は終わった。実は粘膜と同じ色の生理ディスク。
 ラナ&ラニ。フェラは拒む(掟)。ノーマルにねちっこくで、クリ逝き。
 スタッフが、わざと日本語で相談。絵柄が乏しい。電気鰻。
 ラナが先に。押さえつけられて、ゴム手袋で鰻。現地語もどきで通じない。
 直前に「イヤアッ! やめてえ!」
 「やっぱりな。おかしいと思っていた」
 電気鰻がイヤなら、フェラその他。
 フェラの後でレズ。フロルが興味を持った振りをして――△巴。
 長老が踏み込む。フロルの姿がずっと見えないので探していた。 


処罰
 3人とも厳しい鞭打ち。
 ラナとラニはバルサの丸太に縛り付けられる。下側には意志を数珠繋ぎ。
 フロルの処刑。2本の樹木を交差させてたわませて、足首にロープでつなぐ。
 人体引き裂きに見えるが、両足首を1mのロープでつなぐので。
 わざとっぽい命乞い。空中高く跳ね上げられて、本物の悲鳴。宙ぶらりん。
 ラナとラニは川へ放り込まれる。流されていく。
 しばらくするとボート。撮影ばかりで助けてくれない。船着き場で引き上げられる。菜穂子もいる。
 この後、スタッフ一がおいしく頂きました。いちおうの〆。


日本時間3月22日午前6時
 無事終了の連絡。
 あとは、傷の養生と、肌の色を戻して(4日くらい)。
 二人のスマホに、アリバイの画像(ツアーのみんなと記念撮影とか)を入れれば完全。
========================================

 場所は南米の北部としか書かないし、部族名も実在のヤノマミではなくミャノマンです。
 問題は、日本語(地の文、ヒロインとAV撮影隊)と英語(案内人とかフロル)と現地語の書き分けです。
 上記PLOT中の形にする予定です。


 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:幼な妻甘々調教

 ふわあ。やっと脱稿しました。
 9月1日発売「The Nightmare Rift」の記事も書かなきゃまらないし、出勤しなけりゃならないし。
 表紙絵のアップでお茶を濁しておきます。
 10月1日発売予定です。

紹介画像

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 5:幼な妻甘々調教

 なかなか進みません。
 (物語中で)新居に引っ越してから、せっかくプレハブの拷問蔵を作ったんだし、SM愛好会のメンバーにも新妻を貸し出す予定とか、最初のほうで書いていますし。急遽、そのシーケンスを追加したり。
 まあ、3/4は過ぎて、駆け足にならずに&だれずに&(濠門長恭作品全体で)新規な責めも案出して――8月いっぱいはかからないでしょう。
 今回は、花電車特訓のシーケンスなど。
 ほんと、筆者はこれが好きですね。『ピンク海女(海女被虐花)』でも、『大正弄瞞』でも、『ママと歩むSlave Road』でも、書いています。他にもあったかも。


rbd881-09.jpg

========================================

花電車芸

 週が明けると、睦菜の花電車芸の特訓が始まった。
 水曜の朝に家を出て、その日のうちに谺(こだま)日花里(ひかり)の巡業先まで行き、同じ宿に泊まって深夜に教わる。翌日は、十時から昼まで教わり、楽屋へもついて行って、ストリップ芸の見学をしながら、ストリップ嬢の使い走りにも使われる。日花里の気が向けば(というか、他のストリップ嬢がけしかければ)、楽屋でも特訓を受けて。小屋がはねた深夜に、また教わる。
 金曜は、朝の教授を受けてから帰途に就く。
 五年前に東京から新大阪まで新幹線が通って、日本もずいぶんと狭くなった。北陸や九州となると、旅客機だが。
 睦菜ひとりきりの旅路といえども、服装を甘やかしたりはしない。ノーブラノーパンで、素肌にまとうのは股下三センチまでのミニスカートか、パンティよりも面積の少ないショートパンツ。上は臍の上で裾を結んでボタンをはずたしたブラウス。秋だから長袖は許したが、破廉恥きわまりないファッションに変わりはない。しかし、隠すところは隠しているから、警官だろうが車掌だろうが、文句はつけられない。
 未成年と疑われて補導される懸念にも手は打ってある。簡単な筆記試験だけで取れる原付自転車の免許証と、戸籍謄本とを持たせてある。これで、外見がどんなに幼くても、睦菜は法律上の成年と証明できる。
 睦菜は、せめて菊枝の付き添いを懇願したが、可愛い子には旅をさせよ、だ。しかし、睦菜が不安がるのも無理はなかった。菊枝に付き添われて原付の試験を受けに行ったときなど、菊枝も似たような服装だったから、電車の中どころか試験場でさえもふたり揃って置換の餌食にされた。
「おまえに触らせるために尻を出してるんじゃねえよっ。アメリカはフロリダで流行中の最新モードでい。触りたけりゃ、金髪で青い目になってから出直しやがれ」
 まわりからたしなめられたのは菊枝のほうだったが、置換は退散したし、試験官も苦笑いしただけで済んだのだが。睦菜には、啖呵を切るだけの度胸は無い。
 とはいえ。サディズムやエキシビジョニズムの風雅を解さない馬の骨に睦菜を穢されるのも面白くない。そこで一計を案じた――というのは厳密には嘘で。とっくに、睦菜の独り歩きのための貞操帯を用意してあった。
 睦菜の趣味(レザークラフト)を活かして自身の拘束具を手作りさせる計画も実行に移しているところだが、財布やアクセサリーとは皮革の厚さが違うので手こずっている。金属環を備えた手枷と足枷とがあれば、鬱血や縄擦れの心配もなく、丸一日でもベッドに(でも、裏庭の地べたにでも)磔にしておけるのだが、それは早くても来春以降になりそうだった。
 だから、貞操帯は僕が作ってやった。
 腰のずっと下、恥丘を横切る高さで太い鎖を巻いて南京錠で閉じて、その鎖につないだ細めの鎖二本を後ろから前へ、胯間を通して南京錠でまとめる。こうしておけば、淫唇を触られるのがせいぜいで、指といえども挿入は不可能だ。小用くらいは足せるし、(下痢とかの)緊急事態にも、対応は不可能ではない。
 股の鎖を二本にしたのは、左右の負荷を均等にして、南京錠をまっすぐに落ち着かせるためだ。
 貞操帯の鍵は、僕と日花里だけが持っている。だから、鎖にどれだけ胯間を刺激されても、睦菜自身にはどうにもできない。列車のトイレにこもってクリトリスを自分で慰めるなり虐めるなりは出来るだろうが、睦菜は決してそんな真似はしないだろうと、僕は確信している。

 水曜の朝はいつもの通りに、超ミニスカートと裾結びブラウス姿の新妻に家の前の道路まで見送らせて、バス停へと向かった。いつもと違うのは、すでに鎖の貞操帯で胯間を締め付けていることだった。このままの姿で、睦菜はバスと電車と新幹線を乗り継ぎ最後だけはタクシーで、日花里が出演しているストリップ劇場へ向かうのだ。
 それと、もう一点。睦菜の髪形が変わっている。本人は菊枝のおとなっぽいショートヘアを真似たがっていたのだが、僕が許さなかった。睦菜が菊枝に懐くのを嫉妬したわけではない。それだけレズを仕込みやすくなるというものだ(ろうか?)。そうではなく、三つ編みお下げは、睦菜の年代でしか似合わないからだ。
 睦菜は昨日美容院へ行って、セミロングにしてきた。破廉恥な服装で、破廉恥な鎖を股間に食い込ませて、独りで無茶修行に出る勇気への褒美だ。ただし、幼い雰囲気を留めさせるために、お下げではないが、両側で髪を赤いリボンに括らせている。たしか、ツインテールとかいう、滅多に見かけない髪形だ。
――僕が夜に帰ってきたとき、家には誰もいない。菊枝も、三か月ぶりに羽根を伸ばしている。といっても、一夜だけのアバンチュールなど、男のナンパより遥かに難しいから、昔のネコを呼び出すか、あるいは男に対してはマゾだから、そちら方面の会員制バーを探訪して、ちやほや(と、びしばし)されるか。病気さえ持ち帰らなければ、僕の関知するところではない。
 そして僕はといえば。無任所課長というのは、帳簿に記載できないような費用が発生する場面のすべてに係わる役職でもある。ヤクザや総会屋との付き合いもあれば、闇ドル(三百六十円の公定レートに対して買四百以上、売三百以下)の仲介もある。不渡を出した経営者の細君や娘に高給の仕事を紹介することもある。睦菜のようなシンデレラ物語は盲亀の浮木もいいところだが。しかしヤクザの口利きよりは、銀行も本人も得をする。
 つまり、夜を独り寂しく持て余す暇などなかったということだ。というか。この三か月、睦菜にかまけていてドブが詰まり気味になっていたから、大車輪の力業を連発しなければならなかった。具体的な内容をここに書くのは――消されたくないので控えておくが。

 金曜日は、外で軽く食事をしてから帰宅した。団欒を挟まずに睦菜を絞りあげるためだ。
「お帰りなさいませ」
 睦菜と菊枝が玄関口で三つ指を突いて出迎える。菊枝は乳房を露出したブラジャーとバタフライを着けて、(割烹着は改めて)胸当付きエプロン。睦菜は素裸に短い腰エプロン。
 リビングで睦菜に手伝わせて、背広を脱いでネル生地のシャツと替えズボンに着替える。
「特訓の成果を見せてもらおうか」
 ソファに収まって、できるだけ楽しそうに命令する。実のところ、日花里から電話でつぶさに報告を受けているのだが、しかし百聞は一見に如かずというものだ。
「では……拙いながら、お目を穢させていただきます」
 口上も仕込まれている。
 睦菜はフローリングの上に新聞紙を敷いて、幅三十センチ強×長さ一メートル超の習字用の紙を広げた。横に長方形の刺身皿を置いて墨汁を注ぐ。
 なるほど――である。習字は、定番中の定番だ。綺麗な字を書くのは難しいが、むしろたどたどしいほうがエロいと僕は思う。
 睦菜が、大きな筆を刺身皿の横に並べた。
「まだまだ未熟で、ふつうの筆はうまく持てません。専用のお道具を使います」
 太い筆だ。軸は竹ではなく、木の棒を削って団子を連ねたような形になっている。これなら、抜ける心配がない。
 睦菜は立ち上がって脚を開くと、股間を僕に向かって突き出しながら筆を挿入した。和式便所にしゃがむ格好で筆に墨を含ませる。習字用紙を跨いで腰を落とす。腰を前後左右にくねらせて一文字を書き、後ろに下がって次の文字を書く。両手は腰に当てているが――文字通りに手持無沙汰だ。本番では、いっそ緊縛して、準備万端は僕が調えてやろうかと思案した。むしろそのほうが、僕がそばに付いていてやれば、睦菜も心強いのではないだろうか。
 演出を考えているうちにも、拙い文字が完成した。
 おまんこ
 これも定番。しかし、これだけでは一幕の演し物にはならない。観客からリクエストを受けて難しい漢字(薔薇とか鬱勃とか)を達筆で書けば、それはそれで見栄えするのだろうが。三か月で、そこまで到達するのは無理だろう。花電車とはいうが、睦菜は「どんな接待でも頑張る」と言った。いっそのこと『いっぱつ千円』とでも書かせてやろうか。チョンの間よりも安いが、それを睦菜に教えてやれば――ロハで抱かれるよりもいっそうの恥辱を味わうだろう。
「お粗末さまでした」
 睦菜が筆を抜いて正座した。
「見ている側としては、そういう卑猥な筆のほうが面白いな。細い筆はもっと難しいのだろうが……」
「来週は、漢字も練習します。それと……普通の筆にも、だんだんと慣れるようにします」
「うん。頑張れよ」
 なんだ、これだけか――というニュアンスを含んで、おざなりに励ましておく。いっそ、細い筆をアヌスに咥えさせての二刀流も面白そうだと、頭の中では考えている。
「それと……これは誰にでも出来るから芸とはいえないと、お師匠様もおっしゃっていたのですけれど」
 睦菜は書道の道具を片付けて、大きな木製の汽車をリビングの端に置いた。用事が乗ったり引いたりして遊ぶ玩具だ。後ろに二両の無蓋貨車を連結している。冷蔵庫からビール瓶を持って来て、貨車に載せる。もう一両のほうには、コップと栓抜。
 汽車の前につながれている引き紐に目玉クリップを結びつけて――それで、クリトリスを挟んだ。
「ポッポー。痛い痛い痛い……ポッポー」
 後ろ向きになって汽車を引っ張り始めたが、引き紐がピンと張っただけで、動き出さない。
「くうう……ポッポー」
 さすがに委縮しているクリトリスが、昂奮したときよりもずっと長く引き伸ばされて。ごろごろと、汽車が動き始めた。
「ポッポー、ポッポー」
 滑稽に振る舞っているが、これも日花里の仕込みだ。本格的な花電車芸が無理となれば、笑劇に仕立てようという目論見だ。しかし僕としては惨劇にするほうが好みだし、睦菜も安心して悦辱に浸れるのではないだろうか。
 リビングの中で大きく半円を描いて、汽車は僕の前で止まった。
「終点、終点です」
 睦菜は目玉クリップをクリトリスに挟んだまま、開脚して正座する。僕にコップを手渡して、ビール瓶と栓抜を手に持った。
「ほんとうは、栓抜を筆と同じように使うんですけど、まだ未熟ですので」
 普通に手を使って栓を開ける睦菜。酌を受けて、ビールを飲み干す。
「誰にでも出来るっていうけど、どうかしら」
 ソファの隅っこに、僕と並んで座っていた菊枝が首をかしげる。
「よほどのマゾじゃないと、できないんじゃないかしら」
「そんなことはないさ。縛りあげて乳に追い鞭をくれてやれば、どんな娘でも汽車を引っ張るに決まっている」
 その演出のほうが面白いと思った。ビール瓶を二両の貨車いっぱいに詰め込んで、宴会は畳の上だろうから――睦菜も「ポッポー」だなんて気楽なことを言ってられなくなるだろう。
「下の口で息をする練習もしているのですけど……」
 睦菜が遠慮がちに口をはさんだ。
「これは、まだ全然できないので……ビデオで観てください」
 妻が家事を取り仕切るのだから、ソファをテレビの前まで動かすのは睦菜(と菊枝)の仕事。そのあいだに、僕がビデオカセットをセットする。サイドテーブルにウイスキーと乾き物とさっきのビールを並べれば、妻の仕事は終わり。愛奴として縛ってやり、僕の足もとに侍らす。菊枝は僕の横に座って、睦菜の妬心を掻き立てるようにしなだれかかる。
 同性に対してはタチのサディスチンで、男に対しては従順なマゾ牝になるのだから――菊枝は重宝なだけでなく、使い勝手の良い女でもある。
 ビデオの最初のほうは、習字の練習。筆を咥えるまではすぐに出来たが、適量の隅を筆にふくませる腰の落とし加減を覚えるまでに十五分はかかっていた。文字を書くのは、さらに難しい。字がかすれたり、筆先を押しつけすぎて紙に皺を寄せたり。一文字を書いてから筆に墨汁を足して次の文字の位置にぴたりと腰を据えるのにもコツが要るらしい。『あいうえお』を一気に書き上げられるようになったときには、画面の端に映っている目覚まし時計で二時間が経過していた。
 汽車ポッポの芸は、最初からすんなり成功していた。
 その次が、下の口に空気を出し入れする練習。日花里のお手本は、たしかに芸だった。ラッパを鳴らすのはもちろん、ハーモニカを縦にあてがって『ひのまる』ドドレレミミレミミソソララソを(隣の穴の音が混じるのは仕方ないが)演奏してみせた。MOF接待の宴席での、ピンポン玉を吸い込んで飛ばす芸。吹き矢で三メートルほど離れた風船を割る芸。口上無しで淡々と披露されては、「へえ、凄いな」としか感想の述べ様がない。
 これらの芸の基本は、まさしく膣への空気の出し入れだ。
「腹式呼吸。胸でなく、お腹の筋肉を使って呼吸するの。男は自然としているのだけど、女は腰を締め付ける服装が多いから、どうしても胸式呼吸になるのよね」
 腹式呼吸で息を吐くときに膣の筋肉を連動させて空気を吸い込み、息を吸う勢いで膣から空気を吐き出すのだと、日花里が説明する。
「これができるようになると締まりも良くなって、それこそ『こだま』や『ひかり』くらいの乗り心地になるわよ。ま、若いあんたなら、素のままでじゅうぶんだろうけど」
 案外と、谺日花里も客を乗せることがありそうだなと――余計なことまで考えてしまう。
 それはともかく。そこらか先のビデオは、睦菜の下半身ではなく顔ばかりを見ていた。両手を後ろに突き、膝を立てて座り込んだ睦菜の股間すれすれに線香が立てられて。立ちのぼる煙を揺らそうと、あれこれ頑張るのだが。煙はまるきりたなびかない。睦菜は、大きく口を開けて息をしたり逆に口を引き結んでいきんでみたり、線香を見つめたり天井を仰いだり、太い眉を寄せたり。
 睦菜の眉は、手入れを禁じている。だから、化粧を知らない女子中高生にはよく見かける、濃く太い眉になっている。きちんと化粧をした美女も悪くないが、睦菜はあくまでも少女にとどめておきたい。人妻の色香など、睦菜の娼品価値を貶めるだけだ。いや(今のところは)、睦菜に淫売をさせるつもりなど毛頭無い。淫売の真似事は、いずれさせるだろうけれど。
 ――ビデオの記録も貴重なものだが、もっとありがたかったのは、局部のクローズアップを含む写真だった。その場でポジが得られるポラロイドというやつだ。
 今にして思えば返すがえすも無念なことに、処女のときの睦菜のヌード写真は一枚も撮っていない。そして。いずれはSMサークルでもお披露目をさせて、そのときには何十枚でも(自分も他の会員も)写真を撮れるのだからと――一回しか撮っていない。カメラを向けると、さすがに拒絶の色が濃く、その場の情感を損なってしまう。つまらない記録を残すよりは睦菜の調教を優先して、カメラはほとんどお蔵入りの状況だった。まあ、その一回で全裸の『縄無し』と『縄有り』、剃った直後の股間も(僕の指で割り開いた構図まで)撮影してはいるのだが。
 しかし、花電車芸の練習風景となると。その場にいない僕に見てもらうためだと割り切るのか張り切るのか、なかなか風情のある表情をしている。予定外の収穫だった。

 その夜は三日ぶりにやさしく(ベッドに大の字磔にして)睦菜を抱いてやり、土曜日は午前中に裏仕事を片付けて、夕方からは睦菜の罪を追及して、存分に罰を与えてやった。破廉恥な服装で旅をしたのだから、置換に遭わないほうがおかしいし、若い女の身空でストリップショーを覗き見るのも、積み荷値するはしたない所業だ。見なければ見なかったで、不勉強の罪になる。罪を罰するというのが責めの口実であるくらい、すでに睦菜も心得ている。そして、悦んで罰を受けるようにもなっている。まだ、責めそのものを悦ぶのではなく、僕に責められることを――だが。今後の課題は、クリトリスを刺激されなくても鞭打ちだけでアクメに達するようになることだが。これは、まだまだ先のことだろう。
========================================

 実はですね。途方もない間違いをやらかしてるのです。
 1969年には何があって何が無かったか、きちんと(ネット付け焼刃で)交渉してましたが。
 まさか、家庭用ビデオカムが登場したのは1976年以降でした!
 8mm映画に書き換えました。ビデオだと、カセットを持ち帰ってすぐ再生できますが、8mmフィルムだと現像の手間が。しかも、メーカーのラボなんかに出したら猥褻画像で没収されます(没収に同意を強制されます)。
 なので、どうしたか……は、製品版でご確認ください。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 4:幼な妻甘々調教



Progress Report 3 →

 娘が妖精になったおかげで、Petti Chobit Rich(遊休です)な数日がありました。大学卒業して院生になったら、即シフトで現在は散歩と居眠り代わりのスマホ入力はPCの1/4くらいのスピードですが、まあまあ、銭もらって妄想小説を書けるのですから、いい御身分なわけでしょうね。
 前回の『鞭打折檻』につづいて『酒席接待』の全文紹介です。


========================================
酒席接待

 菊枝のアドリブも手伝って、新婚二か月目からは本格的な調教が始まった。といっても、鞭やスパンキングの苦痛系は、せいぜい週に一回。懲罰にしても、若干の不服従には気づかぬ振りをしたり、料理が不味いなどは元から対象外だ。毎日の調教は、もっぱら羞恥や恥辱だった。といっても、羞恥に狎れさせてはいけない。内心では羞恥に悶えつつ、恥辱を受け容れる。ある意味では、男にとって理想的な、日本古来の大和撫子を育成しているようなものだ。
 日本古来の美風には(地方によっては)客人に女房を差し出すといった習俗もある。睦菜にも、これは引き継がせる。つまり、銀行にとっては神様にも等しい大蔵省(MOF)の役人を接待する席に侍らせて、気に入っていただければ同衾する――ということだ。
 どんなに厳しい罰を受けてもいいから、それだけは赦してほしいと、睦菜は泣いて拒んだ。しかし、事はプライベートな問題では収まらない。どれだけ清廉潔白に運営している銀行にでも、如何様にでも難癖はつけられる。まして、ヤクザを利用したりされたり、交際費とか付替えとかが常態となれば、地方銀行などMOFの課長あたりの一存でどうにでもできる。
「どうしても出来ないとなれば、きみを離縁したうえで、僕も職を辞すしかなくなる」
 筋論でいくなら、辞職すれば離婚の必要まではないが、そこまでして睦菜を庇うのは、僕のサディストとしてのプライドが許さない――などと、力み返るまでもなかった。夫の窮状を救うためならば、一肌脱ぐのも股を開くのも厭わない。前妻にはとうてい望むべくもない献身であり果断だった。
 言い訳めいて聞こえるだろうから睦菜には言わなかったが。コンドームを着けたペニスを膣に挿入する行為を、僕は真正の媾合いとは思っていない。二十年前の映画『また逢う日まで』で有名になった、ガラス越しのキスと本質的には変わらない。そしてMOFと来た日には、妊娠させれば厄介だし病気をもらえば出世に響くとばかりに、絶対に抜き身では事に及ばない。そのくせ、フェラチオはゴム無しを当然と心得ているのだが、それはともかく。
 僕はMOF担ではないが、彼らのための裏仕事は最重要任務のひとつだ。今回の宴席は課長とその部下二人の合計三名。対する肉弾特攻隊員は、主贄(という言葉はないだろうが)が睦菜で、部下に侍るのは特命女子行員が二人。それは僕が手配するまでもないのだが、宴席での演し物は、ぎりぎり表街道を歩いている連中の手には余る。妙齢の妖女と清楚な十代の美少女とが演じるシロシロ・ショーと、この道十数年(でも、二十代だが)の花電車嬢は、副頭取に美少年をあてがったときと同じ人物の伝手を頼った。

 九月末。東京の老舗にはかなわないが、県内にこれ以上の店はないという高級料亭を借り切っての接待。三十二畳の座敷には床の間を背に松木というMOF課長と二人の部下がふんぞり返り、入口に近い壁際に副頭取とMOF担課長と僕が畏まっている。
 睦菜は素肌に水色のジャンパースカートと臙脂色のリボンタイだけを身に着けて、松木の左側に侍っている。結婚式のときよりも、よほど表情が硬い。
「打掛やウェディングドレスのときも愛らしかったが――こうしていると、学生そのものだねえ」
 ジャンパースカートは、実際に学校の制服だった。
「ともかくも結婚してしまえば、立派に成人だからね。ええと……片岡クンだったかね。まったく羨ましいねえ」
 接待ズレして、並みの遊びでは満足しなくなっている男だが、法に抵触するような行為は厳に慎んでいる。大衆週刊誌のスキャンダルはいくらでも握り潰せるが、省内での足の引っ張り合いや、政局に利用されることを警戒している。
 しかし、彼が青い果実を好むことは、すくなくとも各銀行のMOF担には広く知られている。キャバレーなどでは、いちばん若く見えるホステスを指名して、お持ち帰りしたときには、実の娘が使っていたセーラー服などを(わざわざホテルまで持ち込んで)着せて悦んでいるそうだ。だから睦菜に食指を動かすなど百も承知で、主賓として結婚式に招待したのだ。けっして私利のためではない。私欲のためではあるが。
 この課長に比べれば、部下の二人など可愛いものだ。銀行の制服(にしては、スカート丈がふだんの睦菜に負けず劣らずだが)に身を包んだ短大卒の娘にしなだれかかられているのに、堂々と太腿を撫でまわす度胸がなくて、左手の置き場に困っている。

 男の人数分だけ料理が運ばれて、すぐに女中は退席する。
「皆様にビールをお注ぎしなさい」
 女子行員は、ホステス顔負けの慣れた手つきでコップを満たす。睦菜は、形だけは即席で教えたとおりに(必要以上に身体を密着させるとか)振る舞っているが、瓶の口がコップに触れて、カチカチと鳴っている。そんな様子に、MOF課長の松木はご満悦。睦菜が注ぎ終わるとビール瓶を取り上げ、肩を抱きながら睦菜のコップをなみなみと満たす。
「本日の御役目、ご苦労様でした」
 副頭取が型通りの挨拶をして、乾杯。
「乾杯とは、杯を乾すのだからね。さ、ぐいーっといきなさい」
 松木に強いられて、睦菜がコップ一杯のビールを一気に飲んだ。初めての経験ではないだろうか。
 松木も部下も、食い意地が張っている。八寸を一品ずつ一口で平らげ、その間に中瓶一本ほどを流し込む。
「なかなかの珍味だよ。キミも食べなさい」
 松木は睦菜の左腋に手を差し入れて抱き締めたまま、端に摘まんで半分かじった料理を、睦菜の口へ運ぶ。
「ほら、あーん」
 睦菜が助けを求めて目を僕に向ける。
「せっかくのご好意だ。遠慮なくいただきなさい」
 睦菜に恥辱を味わわせる愉快と、掌中の珠を弄ばれる嫉妬との板挟みは、嫉妬が圧倒している。
 睦菜は、僕のペニスを咥えるよりはよほど嫌そうな顔で、料理を口に入れた。口を漱ぐつもりか、すぐにビールをひと口飲む。
「お、いけるね」
 あまり減っていないコップに、松木がビールを注ぎ足した。
「睦菜。お酒は控えておきなさい。最後まで、きちんとお世話をしなくちゃならないだろ」
 松木にも釘を差しておく。
「こいつは、アルコールに免疫がありませんから。俎板の上でピチピチ跳ねる鯉がお好きでしたら、そっと釣り上げてやってください」
 わははははと、松木がわざとらしく嗤う。箸を置いて、その手でスカートの裾をめくった。ひさしぶりに人目から逃れていた睦菜の太腿が、その付け根まで白熱電球の下に曝される。
「ん……? おいおい?」
 松木が、さらにスカートの裾を持ち上げる。睦菜は自由な左手を宙に浮かせかけて、ぱたんと畳に落とした。
「清楚な女学生がノーパンとは、恐れ入ったね」
「女学生なんてものは、男子の見ている前でも下敷きでスカートの中を扇いだりしますからね。パンティを禁止すれば、すこしはお淑やかに振る舞うというものです」
 新婚旅行で下着禁止を言い渡したときの屁理屈に、睦菜が不服そうな表情を(ちらっとだけ)浮かべた。亭主の好きなノーパンティ、とでも言ってほしかったのか。
「いやいや、なるほどなるほど。お淑やかなら、こんなことをされても、羞じらうだけで抗いはしないだろうね」
 松木の指がスカートの中に隠れた。
「おや? まだ生えていないのかな?」
睦菜が頬を染めて腰をもじつかせる。嫌悪の表情を浮かべまいと努めているのが、僕には分かる。
「ところで、片岡クン」
 副頭取が、助け舟を出したつもりだろうか、唐突に言う。
「今夜は、色々と趣向を凝らしているのだろう。出し惜しみをせずに、お目に掛けなさい」
 僕は障子を開けて、廊下で出番待ちをしている花電車芸人を招き入れた。

「谺(こだま)日花里(ひかり)です。つたない芸ですが、一所懸命に務めさせていただきます」
 日花里はノースリーブのワンピースを着ているのだが、睦菜の普段着どころではない。ウエストラインが臍のあたりで、そこからのスカート丈が十センチ足らず。つまり、まっすぐ立っていても股間が丸見え。平伏すれば、尻も丸出しになる。
「芸を披露いたします前に、ちょっと失礼を」
 日花里が立って、部屋の隅に三つの箱を並べた。平べったいのを真ん中に、左右に縦長の箱を置いて電線でつなぐ。ポータブル式のステレオ・カセットプレイヤーだった。礼儀に反して尻を主客に向けて立ち、足を伸ばしたまま上体を折り曲げての作業。足を広げているから、股間を覗き込むまでもなく丸見えになっている。手入れの行き届いた商売道具だ。淫裂のまわりは剃っていて、恥丘の上だけに小さなハート形を残している。
 スピーカーから、ゆったりとした曲が流れ始める。曲名は知らないが、ストリップ小屋で定番のやつだ。
 小道具を入れた手提げ篭を脇に置いて、日花里が座敷の真ん中に開脚して立つ。ピンポン球を五つ、畳の上に並べた。
 ゆっくりと膝を曲げて、尻が畳に着くまで腰を落とす。股座
が、ほとんどピンポン球に接する。
「はいっ!」
掛け声と同時にピンポン球が吸い寄せられて、つるっと淫裂に呑み込まれた。
「おわっ……」
「ふええ……」
 二人の部下が驚きの声を漏らした。
「まあ!」
睦菜も、しゃっくりを呑み込んだような顔をしている。
 日花里は腰をずらして、さらに一個を淫裂に吸い込んだ。が、それ以上はさすがに無理らしい。立ち上がって、今度は膝を伸ばし、上体を深く折ってピンポン球を拾い上げては、腰をくねらせながら淫裂に押し込んでいく。
唾で濡らしたりはしていない。けれど、淫唇は明かりを反射するほどに絖っている。とすると、この女は生活の為だけに、見世物になっているのではない。性癖と実益とを両立させているのだろう。
 五つのピンポン球をすべて呑み込むと、日花里は松木に野球のグローブを渡した。
「胸の前で構えていてくださいね」
 二メートルほど離れて仰臥する。膝を立てて腰を高く突き上げる。
「ピッチャー、第一球を投げます……ハイッ」
 つぽんという小さな音とともにピンポン球が飛び出して――グローブに命中した。頭取が捕球して、ピンポン球を指でつまんで膳の隅に置いた。スカートを捲り上げられて剥き出しになっている睦菜の腿で、その指を拭く。睦菜が唇を噛んだのに気づいたのは、僕だけだったろう。
「三連発でいきます……ハイイッ」
 つぽぽぽんと立て続けに飛び出して、三球ともグローブに命中。さすがに捕球しきれず、二つまでが畳に転がった。
「最後はホームランとなりますか、どうか」
 掛け声とともに日花里が足を蹴り上げてバック転した。逆立ちになる寸前にピンポン球が飛び出して、天井に当たって跳ね返り――松木が腕を伸ばして捕球する。
「あらあ、残念。外野フライを取られてしまいました」
 日花里は松木の前に立つと、くるりと回れ右をして、開いた足のあいだから手を伸ばして、膳の上のピンポン球を(手提げ篭の中に)回収した。
「続きましては、数当てゲームでございます」
 手提げ篭から一合升を取り出して、ビー玉を一杯に詰める。座敷の真ん中でデングリ返りをして、股間に大きな漏斗(じょうご)を突き刺した。
「どなたか、ビー玉を挿れてくださいませんか」
 MOF課長の様子をうかがったが、しゃしゃり出てくれる気配はなかった。
「あ、はーい。あたし、やります」
 川戸京子が、少学生みたいに勢いよく手を上げた。昨年に入行して、半年と経たずに上司と不倫をしでかし、不問に付す代償として特攻隊員を志願させられた娘だ。ちなみに相手の上司は、この件で雀の涙(ボーナス)を頂戴している。羨ましい話ではある。
「あの……入れますよ」
 京子がビー玉をつまんで、漏斗に落とす。
「遠慮しないで、いっぺんにぶちまけてくださいね」
 いいのかな? といった顔つきで、ジャララッと漏斗に流し込んだ。
「うわあ……吸い込まれてく」
 横から見ていると、下腹部がひくひくと動き、そのたびにビー玉が減っていくのが分かった。
 日花里が身を起こして、バスタオルを二つ折りにして敷いた上に立った。ビー玉は落ちてこない。
「おっしゃった数だけ、ビー玉を出してご覧にいれます」
「ほほう。では、七つだ」
 なかなかに意地が悪い――のは、役人の通例だが。ひとつだけ出すのも難しいだろうが、膣筋の訓練次第で自在になるとは思う。しかし七つとかになると、数え間違いとか勢いとかで、思い通りにならないのではないだろうか。
 しかし日花里の芸は、僕の想像を超えていた。
「ええっ……いきなり七つですか? できるかなあ」
 などとぼやきながら、腰をくねらせる。そして。
「ハイイッ!」
 ひとつずつではなく――ぼたたたたっと一気にビー玉を排出した。落ちてぶつかり合って遠くまで転がったのもあったが、数えてみると、きっちり七つだった。
「うわあ。すごいすごい」
 京子が手を拍って、場を盛り上げてくれた。
「うん、見事だ。つぎは――そうだな。ひとつ残らず一度に出せるかな」
 松木が、退屈そうに言う。あるいは、こういった芸も初見ではないのかもしれない。
 日花里も機嫌を読み取って、敗戦処理みたいな感じでビー玉を放出した。
「ほんとうに残っていないか、確かめてみろ」
 松木が睦菜を前に押しやった。
 それまで抱きすくめられていた睦菜は、ほっとした態で日花里に、にじり寄った。さすがに逡巡したが、おずおずと股間に指を伸ばす。
「ごめんなさい」
「遠慮しなくていいわよ」
 睦菜の人差し指が、淫裂に突き刺さる。
「そんなのじゃ分からんだろう。口をつけて吸い出してみろ」
 睦菜が、助けを求めて僕を振り返った。途方に暮れるというよりも、生理的な嫌悪感をにじませている。
 僕は苦々しい思いにとらわれた。いずれは菊枝とレズらせることも計画している。別に菊枝でなくてもかまわない。しかし、それはあくまでも僕が睦菜に強いる行為だ。こんな俗物に主導権を奪われて良いわけがない。とはいえ、こんな瑣末事でMOFの機嫌を損ねるのは馬鹿らしい以前の問題だ。
 ――苦境を救ってくれたのは、他ならぬ日花里だった。
「馬鹿ぁ言っちゃいけないよ」
 一歩下がって、睦菜の指を引き抜いた。
「こちとら、見せるが乗せない花電車だい。女の子の指挿れくらいはサービスするが、トイチハイチの岩清水とあっちゃあ、本番もいいとこ。お断わりだよっ」
 伝法な啖呵に、松木が目をパチクリさせている。最初の仰天が治まるにつれて、こめかみに青筋が浮いてくる。が、癇癪を爆発させたりはしなかった。
「わっはっは……」
 磊落を装って笑う。目は笑っていない。
「いや、キミの言うとおりだ。腰を折って済まなかった。つぎの演し物を見せてもらおうじゃないか」
 このまま続けても、白けた場は元に戻らない。ぼくは、副頭取に目配せした。副頭取もうなづく。
「まだ料理も後が控えていますし。仕切り直しといきませんか?」
 日花里には、いったん下がってもらった。
 汁物と刺身が運ばれて、ふたたびMOF三人衆の健啖ぶりが発揮される。あまり呑ませては二重に都合が悪いと考えたのか、女子行員がお酌を手控える。のに睦菜も気づいて真似た。
 ちなみに二重というのは。松木の酒癖が善くなさそうなのと、部下は若いにしても、やはり燃料満載では運動性能を発揮できない懸念とだ。男が自分を奮い勃たせる目的で激しく動くのは、女にとっては苦痛なだけだし、挙げ句不首尾に終わったりしては銀行の命運にかかわる。
 松木がすこしはお行儀が良くなって(?)、ジャンパースカートの脇から手を突っ込んで睦菜の乳房を弄ぶのを横目に見て座をはずし、祝儀を包み詫びも入れて、日花里にはお引き取りを願った。その分、シロシロ・ショーを本気で演じてもらえば時間はつなげる。
 会席料理が折り返し点を過ぎたところで、シロシロ・ショーの始まり。
 二十五歳以上四十歳未満としか外見からは判断できかねる妖女は、芸名をローズという。まとっていたバスローブを脱ぐと、全裸。淫毛は無いのだが、その部分にタトゥを入れている。刺青ではなく西洋の技法だろう、発色が鮮烈だ。クリトリスの上に大輪の薔薇が咲き誇り、淫唇の左右を葉が取り巻いている。
「ほほう……」
 松木が唸った。部下は、嘆声すら遠慮している。
 僕としても、こんな趣向までは斡旋してくれた人物から聞いていなかったので、万事心得た興行主の体面を保つのに苦労した。いずれは睦菜にも、こういったタトゥを入れてみたいと思い、しかしそれでは彼女を解放してやるときの重荷になると気づき、それなら若い主人を見繕ってやればかまわないかと――一瞬のうちに思いを巡らせたりもした。
 ローズは、僕たちに向かって正座した。主客には側面を見せる位置取りになる。全裸だが、西洋の小間使いが着けるような白いひらひらした布を頭に留めている。
 相方のチェリーという娘は、どうかすると睦菜よりも稚く見える。胸の膨らみは、まったくブラジャーの必要がない。股間にはごく淡い飾り毛が萌えているが、稚い一本筋は剥き出しになっている。そんな肢体に黒いストッキングを赤いガーターベルトで吊っている姿が、ひどく不釣り合いだった。
 チェリーが、ローズの膝をまたいで立った。ローズが、恭しい手つきでチェリーの腰を両手で抱えて――股間に口づけた。
 ぴくんっとチェリーの背中が震えたのは、演技かもしれない。
 ぴちゃぴちゃ、ずちゅううう。音を立てて稚い淫裂に舌を挿れて舐めまわし、ひと口に頬張るように啜る。
「あ……ああん」
 チェリーが積極的に腰をくねらせて、股間をローズの口にこすりつける。
 性的に早熟なお嬢様と、経験豊富な小間使いの淫戯。そういう設定なのだろう。
 チェリーがローズの膝を蹴って主客に向かって足を開かせ、その間に片足を入れた。僕の位置からはよく見えないが、爪先でローズの股間をくじっているらしい。
「お、お嬢様……お赦しください」
 小間使いは初心で、お嬢様に翻弄されているということか。年上の女が受け身のお嬢様に悪戯を仕掛けるのならありふれた設定だが、その逆というのは斬新かもしれない。まあ……世間一般では、レズビアンそのものが斬新でもあり背徳でもあるが。
「しゃべったら、奉仕がおろそかになるでしょ」
 お嬢様が、小間使いの股間を(かなり強く)蹴った。
「あうっ……」
 呻いたきり口を閉じて。いっそう激しくお嬢様に口淫奉仕をする小間使い。
「ああっ……いい、もっと……」
 お嬢様は立っていられなくなって、ずるずると畳の上に寝崩れた。小間使いが逆向きにおおいかぶさって、69に移行する。華奢な少女が年増女にのしかかられる構図は、絵柄としてはそそられるが、いかんせん少女の裸身が隠れてしまうので即物的な興奮からは遠ざかる。上座からは、よく見えているのかもしれないが。
 小間使いの頭が、縦に動いて。
「ひゃああっ……い、いいい!」
 クリトリスを噛んだのか舐めたのか。お嬢様が甲高く囀った。
「いい……ママ、もっとお……」
 なに……?!
 今のは、演技を忘れた叫びなのだろうか。そういえば、二人の顔は似ていなくもない。
 小間使いが腰をずらして、お嬢様の口を完全にふさいだ――ところをみると、ほんとうに二人は実の母娘らしい。
 ずきん、と。それまでは興行主めいた気分で冷静に眺めていたのだが、一気に硬くなった。
 実の母娘が、なぜこんなことをしているのか。生活ためか、母親の変態的欲望ゆえか。それとも二人して誰かに飼われて――ちょうど、僕が睦菜に露出的な服装を強いるのと同じように、強制されているのか。あるいは、身を売るよりは、まだしもと……いや、それはない。日花里はともかく、この二人は、夜伽の敵娼がお気に召さなかったときのピンチヒッターとして、MOF三人衆が止まるホテルに同宿させる手筈になっている。
 そんなことを考えているうちにも。二人は体を起こして向かい合っていた。両手を後ろに突いて身体を支え、互いに足を交差させて腰をにじり寄せ、股間を密着させた。小柄な娘が、むしろ積極的に股間を押しつけて、腰をくねらせる。
 ぶぽっ、ぶぽっ……二人の股間が密着して離れるたびに、滑稽だが卑猥な音がかすかに聞こえる。
「あああん……」
 娘が、これは感極まらずに、もどかしそうに嘆く。観客からは、69よりもずっと露骨に股間が見えているが、当人たちへの刺激は、それほどでもないようだ。つまりは、見せるための仕草か。
 一、二分で貝合わせは終わって。二人が並んで正座した。母親が、ぼくに目配せをする。
 その意味に気づいて、僕は廊下に顔を突き出して、つぎの料理を運ぶように呼ばわった。
 すぐに女中が現われて、全裸で正座する二人の女は存在しないかのような態度で、空の皿を下げ、新しい皿を膳に載せていく。新しいビール瓶も林立する。
 女中が退出して障子が閉まると、ショーの第二幕が上がった。
 母親がバスローブの下から、双頭の張形を取り出した。形も大きさもデフォルメされていない。まさしく、怒張した二本のペニスそのもの。それが一直線になっていて、中央には睾丸を模した膨らみがある。そこを持てば押し引き自在だし、ストッパーも兼ねているのだろう。
 娘が立ち上がって、足を開く。母親が優しいというよりも恭しい手つきで、娘の淫裂に張形を挿入する。早熟のお嬢様に仕える小間使いという設定を貫くつもりらしい。
「あはああん……効くううう」
 69のときに比べると、まったく棒読みの喘ぎ声。膣性感は未開発なのかもしれない。
「可愛がってあげる。寝んねしなさい」
 娘が扮するお嬢様に指差されて、母親が女主人に忠実な小間使いになりきって、あお向けに寝転がった。犬みたいに手足を引き付けている。
 娘が母親の腿をはさんで膝立ちになって。鮑のように性熟した淫裂へ張形をあてがい、ずぶずぶっと埋めていく。
「あああっ……きつい。でも、もっと強く……」
 母親にうながされて、腰を動かし始める。左手で上体を支え、右手で張形の睾丸の部分を押さえている。
 ずにゅ、ずにゅ、ずにゅ……ゆっくりと深く突き挿れている。
「あああっ……きつい、いいいいい」
 母親の呻き声が甘やかに響く。本気で感じているようだ。両腕を差し伸べて、娘を抱き絡めた。豊満な乳房が、ささやかな硬い膨らみに押しつぶされる。
 そのままごろんと転がって、主客が入れ替わった。母親が俄然激しく腰を使い始めた。娘は両手で睾丸を握って、張形が自分の中で動かないように固定している。つらそうに顔を歪めている。
「あああん、お嬢様あ。お嬢様も一緒に……」
 母親は肘で身体を支えて、自由になった両手で稚い膨らみを揉みしだく。背中を丸めて顔の位置を合わせ、唇を襲う。
 ぬちゃぬちゃぬちゃ……浅く激しいピストン運動に、湿った音が伴奏する。
 膣が駄目ならクリトリスを責めるべきなのに、そうしていない。母親には、娘を追い上げる意図はないらしい。
「あああっ……もう駄目。逝っちゃいますうううう!」
 娘を組み敷いて、母親は女子プロレスのヒップアタックさながらに荒れ狂って――短時間でアクメを究めた。のは、さすがに演技だろう。全体重をのし掛けられた娘が気息奄々になっているのは本物かもしれない。
「あら。わたしだけが気持ち良くなっちゃったみたいね。ごめんなさい。お嬢様も善がらせて差し上げますわ」
 母親が身を起こして、娘から双頭張形を抜き取った。自分も抜いて――アヌスに差し替える。
「ええっ……?!」
 睦菜が、驚きの声を小さく漏らした。僕がレズの絡み合いに気を取られていたあいだに――睦菜は膝の上に乗せられ、肩ホックをはずして剥き出しになった乳房を弄ばれ、腰まで捲り上げられて露出した淫裂に指を突き立てられ、こねくられている。チェリーに比べれば発達している淫唇は、赤く充血して淫汁に絖っている。それは激しい物理的な刺激によってもたらされた変化に過ぎず、当人は苦痛は感じていないまでも、恥辱に耐えているだけ。三か月も調教していれば、それくらいは分かる。接待が終わったら、存分に甘やかしてやろう。
 母親が娘の両足をつかんで高々と持ち上げる。リンボーダンスのように腰を突き上げた姿勢で、張形を娘のアヌスに押しつける。
「力を抜いているのよ」
 娘の返事を待たずに、ずぶううっと押し挿れた。
「あああっ……く、苦しい」
 小さな悲鳴には、はっきりと快感の響きが絡みついていた。
 未性熟で膣性交が困難でも肛門性交は可能な場合があるとは話に聞いていたが、今目撃しているのは、まさにそれに近いのではないだろうか。
「裏返すわよ」
 母親が娘の腰を両手で持って、ぐるんとひっくり返した。娘も膝を引きつけて協力する。
「きひいいい……んん」
 張形にアヌスをこじられて、娘が鼻に抜ける声で呻く。
 娘が両手を突っ張って四つん這いになるのを待ってから、母親もアクロバティックな動きで身体を裏返して四つん這いになった。
「痛い……やめてえ」
 やめたら恨まれるに決まっていると、朴念仁にも分かる甘い悲鳴。
 出来上がったポーズは、犬の交尾とそっくりになった。
「締めつけては駄目よ」
 肘と膝を支点にして、母親が身体を前後に揺すり始めた。睾丸の部分がアヌスに密着したまま、張形が娘のアヌスに抽挿される。
「あああああっ……ああんん」
 娘の悲鳴が甲高くなった。
「駄目……もう、いやあ。きつい……つらいよおおおお」
 しかし、「やめて」とも「痛い」とも訴えない。
「あん、あん、あん……」
 悲鳴がピストン運動に同調している。
 睦菜は身体を嬲られている不快に耐えながら、それでも妖女と少女の媾合いに気を奪われている。おそらく――僕と睦菜とでも同じことが出来るのだと、すでに理解しているだろう。
 教育する手間が省けて、僕はちょっと気落ちした。せめて、興味を持たないでいてくれることを願う。嫌がる行為を強いて、それに馴致させていくのが、サディストの愉悦なのだ。
「うああああっ……お尻、熱いよおおおおお!」
 アクメとはいわないまでも、ひとつの頂に達したらしい。ショーとしては、それでじゅうぶんだと、ローズも心得ている。十秒ほど動きを止めて、チェリーに束の間の余韻を味わわせてから、身ふたつに別れた。
 ぺしゃっと畳の上に崩れた娘の尻を割って口づけて――汚れを清めてやる。便秘をした赤ん坊に母親が施す処置を彷彿とする。サディストとしては、これを真似るわけにはいかない。たとえ、される側が幸せそうに身を委ねているとしても、だ。
 やがて、二人が起き上がって。
「お粗末様でした」
 MOF三人衆に向かって平伏し、それから僕たちへも同じように挨拶をして。バスローブに張形を包んで、素裸のままで退出した。
「実にもったいない話だな」
 松木が、憮然とした口調でつぶやいた。
「女同士でSごっこをして、なにが面白いのか、わしには分からん」
「そうはおっしゃいますが」
 MOF担が本来の役目を思い出して、お追従顔でとりなす。
「しかしですね。あのチェリーちゃんがシロクロ・ショーなどに出演したら、心中穏やかざるのではありませんか」
 わははははと、また作り嗤い。狐と狸の化かし合いが宴席にとどまっているうちは、実害が無いのだが。
 ショーが終わると、残りの料理が運び入れられて。僕は、ビールの追加を手真似で押し留めた。
 それが功を奏して、午後八時過ぎに宴席はお開きとなった。
 睦菜はぎこちなく、二人の女子行員はもっと狎れた様子で、それぞれの相手にしなだれかかって――三台のハイヤーでホテルへ向かった。僕も四台目のハイヤーに母娘を同乗させて、後を追う。日花里は、先にひとりでホテルへ戻っているはずだ。ピンチヒッターは務めないが、アンコールが掛かるかもしれない。今夜は途中打ち切りになったのだから、その可能性は大いにあった。
 副頭取とMOF担課長は、ここで御役目御免。呑み直しに街へ繰り出すのかもしれないが、僕の知ったことではない。
 僕はホテルのロビーの片隅で、終戦処理に待機する。事が終われば敵娼を追い返す薄情者が多い。彼女たちをねぎらいタクシーに乗せるまでが、僕の仕事なのだ。夜明けのコーヒーまでは面倒を見きれないが、睦菜がそうなれば、仮眠しながら待ってやるつもりでいる。
========================================

 酒席となると、花電車とシロシロ・ショー。
 何回書いたでしょうかね。
ピンク海女』、『大正弄瞞』、『1/16の牝奴隷』、『ママと歩む Slave Road』……まだ、あったかしら?
 どこかしら工夫はしていますけどね。やはり、書いてて楽しいから書くわけです。


 全体の進捗率は65%といったところです。現在はヒロインが花電車芸の特訓中。
 お師匠さんのとこまで、5年前に開通した新幹線にひとりで乗って通いますが、『僕』はけっして甘やかしません。ノーブラノーパンで股下3cmのミニスカートに、臍出し裾結びブラウス。道中で襲われてはいけないので、鎖の貞操帯です。
 隠すところは隠していますから問題はありませんが、未成年と「間違われて」補導されかねません。なにしろ、親の許しがあれば結婚できるぎりぎりの年齢ですから。なので、原付免許と戸籍謄本を持たせています。結婚してれば成年です。
 さて。花電車芸の特訓の成果は、年末にMOFの忘年会でお披露目して。
 年が明けたらトルコへ泡踊りの習得に通わせたり、タチのサディスチンの菊枝から濃厚なレズ技を教えさせたり。
 『僕』の勤務先の銀行が催す夏の親睦海水浴では、当時としては破廉恥きわまりない紐ビキニあたりで若手社員を悩殺させて、奥様連中から総スカンを食うものの、話題をSEXテクニックへ持っていかせて、別の日に「御無沙汰マダム」連を相手に秘伝を伝授させたり……そして、まあ。大団円は、『未性熟処女の強制足入れ婚』や『初心妻志願奴隷』の三番煎じですけど。
 それはそれで、先のお楽しみということで。


神田るみ

 BFネタを漁っていて、構図としては使えないし顔の向きも合成に適さないけれど。ど真ん中の剛速球がありました。
 手足の細さが未性熟を思わせます。あどけなくも妖艶です。
 ヒロイン睦菜のイメージにどんぴしゃ。
 睦菜は、結婚前は三つ編みお下げでしたが……読み返して、まだ髪を切っていなかったので。美容院へ行かせてセミロングのツインテにさせました。



 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interrupt Report more:Nightmare Rift

 120枚を超えて、長丁場(40~60枚)のラストスパートです。
 猿事情で、すくなくとも今週は出禁なので、校正して、Notissue versionまで突っ込めそうです。


 猿事情:PCRてやつです。筆者は定義上では農耕接触者ですが、実態は狩猟接触者なので、発熱もないので、シフトがひっ迫していることもあり、週明けには出禁解除になるでしょう。

========================================
循姦

 私たちが磔けられていたキの字架は分解されて、別の形に組み直されていた。鳥居のミニチュアというか、段違い鉄棒(木製だけど)というか――ギロチン磔台にしか見えないのがひとつと。
 キの字架の柱を2本、2m間隔で立てたのと。柱2本のほうは、蔓を撚り合わせた太いロープがてっぺんに張られて、ロープの中央から数本の蔓が垂れている。こちらはリンチの絞首刑を連想してしまう。
 ソフィが絞首刑の柱へ連れていかれた。ロープの真下に立たされ、両手を頭上で縛られてロープにつながれた。絞首刑じゃなかったけれど……。
「なにするの?!  やめて……こんなの、嫌あ!」
 強引に肩車をされた。裸だから、女性器が男の首筋に密着する。羞ずかしいだけじゃなくて、おぞましい。のは、まだ序の口だった。蛮族どもが群がって、両側から足首をつかんで股裂きにしようとする。
「やめて! やめてったら……」
 両足を蹴って抵抗するソフィ。男の力にはかなわない。それでも、手首をこねくって太いロープをつかみ、しがみついて肩車から逃れようとする。
「ウープ、ウープ」
 まわりから声が掛かって。肩車をしていた男が、急にしゃがんでソフィを投げ出した。
「きゃっ……!」
 ソフィは転びかけてロープにひき止められ、地面に膝を突いた。
 ソフィの足を引っ張っていた男のひとりが、ソフィを引き起こして羽交い締めにした。肩車の男が正面に回り込んで。警告も威しも無しで、ソフィの腹を殴った。
「ぐぶぇっ……!」
 ソフィの膝が、がくっと折れた。腋の下で男の腕に支えられているので、倒れて身をかばうこともできない。
 ぼすん、ぼすんと――拳が同じ場所に突き入れられる。
「うぶ……げえええ」
 ソフィの口からあふれたのは、人魚の真似をさせられたときに呑み込んでしまった海水だろう。
 私は、いきなりの暴力を恐怖に駆られながら眺めているしかなかった。蛮族どもを制止しようにも、適切な構文を組み立てられない。ただニョを連呼しても、彼らは嘲嗤うか、もっと凶暴になりかねない。
 蛮族が、ようやくソフィを脅迫する。拳を腹に押しつけながら目を覗き込む。
「ニョ、ゴン。ジェ? ジェ?」
 NO DO。OK? 逆らうな、分かったか?
「ジェ……ニョ、ゴン」
 ソフィが弱々しい声を震わせて返事をした。単語を理解していなくても、威しの意味は取り違えようがない。
 ソフィは肩車をされずに両足を持ち上げられて、身体が宙に浮いた。体重のほとんどは、手首につながれた太いロープで支えられている。V字形に開脚させられた足にも、水平に張られたロープから垂れている蔓がつながれて、頭の後ろに渡された木の枝の両端に膝を縛られた。
「オオオオオ! ゴンゴン!」
 数人の蛮族が左手でVサインを作って、右手の人差し指でV字を突き上げる。その意味は明白だった。いや、明白以上だ。ソフィは、屈辱きわまりない形で処女を奪われるのだ。
 ……他人の悲惨を憐れむ贅沢を、私は許されていない。私も数人の蛮族どもの手で、ギロチン磔台へと引っ立てられた。2本の横木に首を挟まれて、動かせないように蔓で縛られる。両手は左右に引っ張られて、手首から肘までを上の横木に縛りつけられた。そして両足も左右の柱につながれた。身体を折り曲げて尻を突き出した――犯してくださいと言わんばかりの姿勢。
「トンミ、トンゴン」
 族長が威張った感じで宣言して、腰を隠している巻貝を取り去った。すでにペニスは勃起している。ソフィの正面に近づいて。しゃがみ込んで、ぱっくりと開いた淫裂を覗き込む。
「いやあっ……見ないで! さわらないでえっ!」
 わずかにくすぶっている焚火の向こう側とこちら側で並んで磔けられているから、族長がソフィに仕掛けている悪戯が、つぶさに見て取れる。
 族長は、小淫唇をつまんで左右に引っ張って、さらに奥を覗き込んだり。淫裂の頂点に埋もれている肉蕾を見つけて、首をかしげながら指で転がしてみたり。
「ひゃうんっ……やだ! そこ、やめて……」
 女の身体の悲哀。男性は、激しいスポーツをしたり悲嘆に暮れているときは、ペニスを刺激されても勃起しないと聞いたことがあるけれど。女性は、そんなの関係ない。ソフィも、不本意な快感に翻弄されている。
「いやだ……やめて。くうう……んん」
 嫌悪と快感の板挟み。
「痛いっ……! 抜いて、指を抜いて!」
 バギナに指を突き挿れられて、ソフィアが純粋の苦痛を叫んだ。
「ジェニョ? ゴンゴンゴン」
 族長が根元まで指を突き立てて、こねくり始めた。
「お願い、赦して。痛い……!」
 ソフィの悲痛な訴えが、男の心に届いたのではないだろう。好奇心を満たされて満足しただけだ。
「ジョニェ、ワァ?」
 指を抜いて宙にかざして。にんまりと嗤った。
「ニョワァ、ジョドワ」
 取り囲んで見物していた連中が囃し立てる。
「ドワ、ドワ。ジェ、ニャドゥ」
 族長が立ち上がって。掌に唾を吐いて、ペニスにまぶした。
 ソフィの顔が、すうっと蒼褪めていく。これから何をされるのか、実感を伴って理解した――といったところだろう。私なんか、この身体とテクニックで蛮族どもを骨抜きにしてやろうと、腰タンタンでいる。まあ……テクニックといっても、3人のAVオタクに仕込まれただけで、プロの風俗嬢から見ればオママゴトだろうけど。
 戦意旺盛な私と違って、ソフィはバージン。人生の一大事だ。終わってしまえばエピソードだけど。
 族長が勃起の根本を右手で支えて、すれすれまで身体を寄せる。
「やめて! お願い……」
 腰を揺すって逃れようとする。
 族長が両手でソフィの腰をつかんで、動きを封じる。そして、拳を作って腹に押しつける。
「……殴らないで。おとなしくするから……」
 ソフィが敗北を口にした。
「ジェ、ゴンゴン。ニョムウ」
 蛮族でも女性をいたわることがあるんだと、認識を新たにした。けれど、することは容赦ない。
 族長が腰を沈めて。突き出すようにしながら膝を伸ばした。
「いやああああっ……!」
 びくんっとソフィの腰が跳ねた。けれど、宙吊りにされていては、わずかな動きにしかならない。ずぶずぶと、怒張が股間に埋没していく。
「ひどい。ひどいよ……痛い……」
 バギナにペニスを突き立てられたという事実にうちひしがれて、ソフィの嗚咽はくぐもっている。
「オオオオオ、ジェイジェイ。ゴンゴン、ゴンゴン」
 バギナの刺激が心地良いのか、征服の快感か。族長が鬨の声をあげながら、腰を前後に激しく振り立てる。
「ぎひいい、痛い! 動かさないで。抜いて……もう、赦して!」
 ソフィが泣きながら訴える。男がどちらへ心を動かすかは当人の性癖にもよるだろうけど、やはり蛮族には女性をいたわる心は希薄らしい。
「オオオオオ、ゴンゴン。ジェイジェイ、ゴンゴン」
 勝鬨の雄叫びあげながら腰を激しく突き上げて――数分で果ててしまったのが、ソフィにとってはせめてもの救い。にはならないだろう。
 族長にはソフィを独占するつもりが無いらしい。弛みきった表情でソフィから身を離すと、生け贄にわっと群がり寄る男どもを止めるどころか、両手を下から上に扇いでけしかける。
「ウープ、ウープ。ムウムウ、ゴンゴン!」
 私にも蛮族どもが押し寄せる。
「ミ、ゴンゴン、ゴンゴン」
 私に肉をくれた男が優先権を主張して、後ろから腰をつかんだ。
 まあ、いいか。3人目の男とは今も続いていて、SEXなんてデートの中の自然な流れになってるけど、そのときくらいにも緊張していない。ときめいていないのは当然だけど、怯えてもいないし、不貞腐れてもいない。
 これが転位とかじゃなくて、ただ未発見の蛮族に捕まっただけだとしても――これ以上はないってくらいの非日常だ。レイフ°なんて、食事と同じレベルの日常でしかない。
 いや、そうじゃない。こいつらを手なずけ支配するための重要なシーケンスだ。
 そういう意味では緊張している。入試のときと同じくらい。そして、うまくやれる自信もある。大学だって、第一志望に合格したんだから。
 ずぬ゙ゔっと、押し挿ってきた。唾で湿すくらいはしてるんだろうけど、ちっとも弄ってくれてないから――ちょっと痛い。でも、物理的な刺激ですぐに潤滑される。
「オオオ、ニャゴンゴン。トンジェイ、ジェジェジェ」
 意味は分からないけど、感激してるのは分かる。まるで厨坊の初体験みたい――いや、そういう犯罪的シチュエーションは、経験したことないけど。
 どんっと……目の前に勃起を突きつけられた。男は20人以上。女は2人。待ちきれなくて当然。
 フェラは、あまり自信がない。射精までいかせたこともない。けど、拒める状況じゃない。素直に口を開けたら、ぐぼっと突っ込まれた。両手で私の頭をかかえて、まさしくゴンゴン突いてくる。拙いフェラテクの出番はなかった。
 それでも、歯を立てないように気をつけて。喉の奥まで突っ込まれても吐き気を我慢して。男が腰を引くときには、裏筋あたりに舌を絡めようと努力する。さっさと射精してくれたら、それだけ早く楽になるという計算もあるけど。負けてたまるかという敵愾心もかった。何に負けたくないかというと。
 ソフィが犯されてるときに、ちょっと考えたんだけど。これまでの蛮族どもの態度を見ていると、女性という存在を知らなかったんじゃないかと思う。実際、これまでに見ていないし。それを言えば子供も老人もだけど、ややこしくなるからパス。この仮説が正しいとすると、ほんとにここは異世界だということになるけど、それもパス。
 女性の存在を知らない男性。でも、勃起とか射精は知ってる。じゃあ、どうやって性欲を処理してきたんだとなると、答えはひとつ(存在するとしたら、山羊とか鶏とか海鼠とかも候補にあがるけど)。
 つまり――むくつけき野郎のアヌスなんかに、バギナが負けてたまるかっていうこと。
 私の努力が報われたというよりも、男がまさしく独り善がりに荒腰を使いやがって。あっさりと埒を明けてくれた。喉の奥にホットソーダ(なんて飲み物があると知ったのは、つい最近)を叩きつけられた感じ。
 男が抜去すると、口中の汚濁をすぐに吐き出した。つぎの瞬間、強い力で頭を押しつけられた。首は平行な2本の枝に挟まれているから、喉が潰れる。息ができない。
「や゙め゙で……な゙に゙……」
 バシン、バシンとビンタを張られた。目の前に星が飛び交って、耳がキインと鳴った。
「ニョ、ニョドワ! ミ、ゴンゴン!」
 イマラチオを強いていた男が、萎え切っていないペニスを指し、地面を指し、地団太を踏む。吐き出した精液を下の土ごと掬い取って、私の口に押し込もうとする。
「んんん、んんっ……」
 口を引き結んで拒んだけれど。別の男に腹を膝蹴りされて。
「げふっ……!」
 口を半開きにして呻いた瞬間に、押し込まれてしまった。
「むうう……」
 吐き出したら、また同じ目に遭わされる。口の中のじゃりじゃりを、惨めな思いで苦労しながら飲み込んだ。喉が痛い。
「ジェジェ、ワァ、ゴン」
 和らげた言葉とともに、水の入った革袋の飲み口が突きつけられた。水をすすって口をすすいで。吐き出すのは怖くて、そのまま飲み込んだ。
「なに……目がまわる……」
 ソフィの声に、彼女の存在を思い出した。そちらを見ると。数人の男どもが、ソフィの身体を回していた。彼女を吊っている蔓がよじれていく。それにつれて、身体がすこしずつ吊り上がっていく。
 回転が止められると、ソフィの前に背の高い男が立った。丸太を半割りにした踏み台に乗って、さらに伸び上がるようにしてソフィを貫いた。
「ジェ、ゴンゴンゴン」
 男がソフィのV字形に開かされた両足をつかみ、自分はのけぞって、ソフィをぶん回した。
「きゃああっ……! 痛い! 止めて! 抜いて!」
 ソフィが絶叫する。
 見物している蛮族どもが、ソフィを指差してげらげら嗤う。ソフィを貫いている男だけは、嗤っていない。ゆっくり回っているソフィの足をかわしながら、回転が止まらないように両手で勢いを着けている。ソフィの身体が下がるにつれて膝を曲げ、踏み台から下りて、すれすれのところで両者の下腹部がぶつからないよう調整している。
 蔓のよじれがほどけきっても、男はソフィを回し続ける。またソフィの身体が吊り上がっていって。男が踏み台に乗って膝を伸ばしてもペニスが抜けそうになると、そこから逆向きに回し始める。
 こんなの、AVでも海外の(無料)動画サイトでも見たことがない。蛮族のくせに、とんでもない高等(?)テクニックを思いつくもんだ。
 でも、のんびり見物している暇はない。つぎの男が、私の口をふさいだ。バギナのほうにも、新手のペニスが襲いかかる。
 2本目のイラマチオは、素直にゴックンした。土を食べさせられるのは願い下げ。
「あああ……いやあ。赦して……痛いい……」
 ソフィの弱々しい声が、途切れ途切れに聞こえてくる。蛮族どもも歓声を忘れて、アクロバティックな暴行に見とれている。そのくせ、私のまわりにも、しっかりと順番待ちの列ができている。
 3本目(口と合算したら6本目)の男が、私の後ろに取りついた。
「もごっ……?!」
 アヌスをくじられて、ごく控えめにいっても、うろたえた。
 この連中にとっては、アヌスのほうがなじみ深いんだろうし。直前に使われて洗ってもいない(洗ってよ!)バギナよりは――と思っても不思議じゃない。
 でも。アヌスは未経験。初めてをレイフ°される悔しさ――を、感じている暇なんてなかった。
 ろくに潤滑も事前の拡張もされていない処女穴に、灼熱の激痛が襲いかかった。
「痛いっ! にょ、ごんごん!」
 ペニスを吐き出して叫んで。またビンタを喰らった。だけじゃ済まなかった。脇から別の手が伸びて、乳房をつかまれた。
「ニョゴンゴン、ニョゴンゴン」
 片手で私の口をふさぎながら、ゴンゴンに合わせて乳房を引っ張る。
 痛い。クーパー靭帯が引き千切られるんじゃないかと、恐怖まで感じる。
「ジェイジェイ。ムウ、ゴンゴン」
 面白がっている口調だ。
「ムウ、ゴンゴン。ジェイジェイ」
 見物している蛮族ども唱和する。それに合わせて、ますます乳房を無茶苦茶される。
 引っ張れば伸びるし、握れば潰れる。頬っぺたよりもお腹の贅肉(私には無い!)よりも――人体の中で、乳房がいちばん変形するんじゃないだろうか。ペニスだって玉袋だって、勃起したり縮みあがったりはするけど、それは生理現象で、こねくっての結果じゃない。それを面白がっている。
 男が手を放しても、乳房はじんじん痛み続けている。
「ニョ、ニョゴンゴン?」
 クチバシのジェスチャーが加わっている。
 NO,ニョゴンゴン。ヤメテとは言うな?
「じぇ……」
 口を閉ざしてうなだれることで、屈服の意を伝えた(つもり)。
「ジェ、ジェジェ」
 イラマチオを中断された男が、あらためて勃起を突きつける。
 私は顔を上げて大きく口を開けて、縛られている首を動かせる範囲で突き出して、勃起を咥えた。そして、唇を閉じて舌を這わせる。
「ジェ、ジェ。ジェイ……」
 男は私の頭をつかんで、ゆっくりと腰を動かし始めた。射精へ向かってのピストン運動ではなく、私の尻に取りついている男が挿入を果たすまでの時間稼ぎ――だと思う。
 私の(アヌスにとって)初めての男が、あらためて陵辱にとりかかった。
 さっきは、貫通していなかったのだろう。もっと熱い、もっとするどい激痛が、アヌスを襲った。めりめりと引き裂かれる感触。内臓が押し上げられる不気味な不快感。
「ん゙む゙ゔゔゔっ……!」
 歯を食い縛らないでいるには、ありったけの気力が必要だった。
 べちゃっと、男の下腹部全体が尻に密着した。
「ムウ。ミ、ミ、ゴンゴン」
 イマラチオの男が声を掛けて。ふたりが同時にピストン運動を始めた。
「んぶ……も゙お゙っ、も゙お゙っ……んぶう……」
 後ろから突かれるたびに激痛が奔って、鼻から悲鳴が噴き出る。喉の奥を突かれて、吐き気がこみあげる。バギナを突かれていたときは、かすかな快感が無くもなかったけれど、アヌスは拷問に等しい。ロストバージンのときだって、これほどまでに男の射精を願ったことはなかった。
 さいわいに。男(と動物?)しか知らなかった蛮族どもにとって、女体は初めて味わう快楽だったのだろう。ノーマルな、合意のセックスだったら、不満を態度に表わさないように苦労するくらいの短時間で、前も後ろも果ててくれた。
 けれど、終わりではない。すぐに7本目と8本目とが、私をサンドイッチにした――のだけれど。
「ジャニェ? ニョイ? ニョイゴンゴン!」
 バシンと尻を叩かれた。
「ニョイ。ワァ、ゴン」
「ニョ。ワァ、ニョ。イ、ゴンゴン」
 欲望を放出して寛いでいる連中のひとりが、焚火にくべる枯葉を両手に抱えて、私の後ろに近づいた。
 がさごそと、枯葉で私の尻と、その奥をこすり始めた。
 私は、これまでとは異質の羞恥に悶えた。事前の処置をせずに、アヌスに異物を突っ込まれたら、どうなるか。分かりきったことだ。
「痛いっ……!」
 無理な挿入で傷ついているアヌスを、ティッシュペーパーよりもずっと硬い枯葉で拭かれては、たまったものではない。切り裂かれるような痛みに、悲鳴をこらえられない。
「ごおおおん、ごおおおん」
 DOを意味するゴンをゆっくり長く発音することで、「やさしくして」というニュアンスを伝えようとした。
 伝わらなかった。それとも、悲鳴を面白がっているのか。いっそう乱暴にこすられて、鋭い痛みが脳天まで突き抜けた。
「ドワ。ワァ、ゴンゴン」
 わたしの悲鳴を、さすがに哀れに思ってくれたのか。別の男が革袋を持ってきて、水を掛けてくれた。そして――やっぱり、枯葉でこする。でも、すこしは痛さが減った。
 ついでなのか、前も水で湿した枯葉で拭いてくれた。がさつな拭き方だけど、痛みはあったけど、ほんのちょっとだけ気持ち良かった。
「駄目えっ……! ごんごん、ごんごん!」
 ソフィが金切り声で叫んでいる。顔を上げて、そちらを見ると。
 V字形に開脚されて吊り下げられているソフィを、ふたりの男が前後からサンドイッチにしようとしていた。
 私は上体を倒してギロチン磔にされている。だから、同時にふたりが可能になるけれど、バギナとアヌスを一度に犯すのは不可能か、可能だとしてもアクロバティックな形になってしまう。
 逆にソフィは――顔が高い位置にあるから、イラマチオは不可能にちかい。しかし、バギナとアヌスを同時に犯すのは難しくない。そういうことだった。
 ソフィを前後からサンドイッチにして、ふたりで協力して持ち上げて。腰を突き出し、垂直に勃てた2本のペニスをふたつの穴にあてがって。ゆっくりと下ろしていく。
 まず、U字形に丸まっている尻のあいだに、後ろの男の亀頭が隠れる。
「痛いっ……無理! やめて……ごんごん! きひいいっ……ごんごん!」
 ソフィは尻を揺すって逃れようとしているのだろうけれど、腰をがっちりつかまれているから、いたずらに上体が揺れるだけ。足をばたつかせても、足首を吊られているのだから、効果は無い。手首を縛っている蔓を握って、すこしでも身体を引き上げようとするが、男ふたりの力で引き戻される。
「ごんごん、ごんごん……!」
 ソフィは文法を間違っている。ゴンはDOなのだから、もっとやってと言っていることになる。正しく「ニョ、ゴンゴン」と言っても、殴られるだけだろうけど。
「ぎい゙い゙っ……痛い、やめて!」
 男どもは手こずっている。アヌスに突き立てた怒張が『く』の字に折れ曲がりかけている。
「ムウ、ムウ。ゴンゴン」
 ふたりが息を合わせてソフィの腰を、小さな円を描くように揺すり始めた。
「いやあっ……いやあああっ!」
 ソフィが絶叫する。太い錐を揉みながら突っ込まれているようなものだ。それだけでも耐え難い激痛なのは、私自身も体験したばかりだ。それなのに……淫裂にも亀頭がめり込んで、じわじわと押し込まれていく。隣り合ったふたつの穴を同時に拡張される痛みを、私は想像すらできない。
「お゙お゙お゙っ……きひいいい」
 ソフィが泣きじゃくっている。けれど、それは――絶叫するほどの激痛が、すこしはやわらいできたことを意味しないだろうか。じゅうぶんに訓練すれば、握り拳や腕を挿入することも可能なのだから、バージンでも2本挿しくらいでは性器を破壊されたりはしないだろう。深刻な裂傷を負うかもしれないけれど。
 いずれにしても、ソフィには申し訳ないけど、自分で体験してみたいとは絶対に思わない。ギロチン磔にされて、ほんとうによかったと――不幸中の幸いに感謝してしまう。
 それ以上は、ソフィの惨劇を目撃しないですんだ。7本目と8本目が私の処置(汚れを拭き取るというよりも、尻や太腿になすりつけたも同然だったが)を終えて、本来の目的を遂げにかかった。目の前には、男の下腹部。ペニスを咥えていては、横を向くこともできない。ソフィの悲鳴を意識から締め出して、私は男を満足させる作業に没頭した。
 ――全員が私とソフィを犯し終えるまでに2時間とはかからなかったと思う。私は15人かそれ以上の相手をさせられたから、ソフィよりは多かったと思う。私のテクニックが功を奏したというよりは、体位の違いが大きい。振り子のように揺れる女体をつかまえて、しかも立位で下から突き上げるよりは、突っ込みやすい位置と角度で固定されている穴のほうが使い勝手が良い。ただ、それだけのことだ。
 蛮族どもは私とソフィをそのままにして、夕食の支度を始めた。昼食を作った後で取り壊した竈を、また作って。肉やら発酵していないパン生地やらを焼き始める。いちいち作り直すくらいなら壊さなければいいと思うが、なにか吸う狂的な理由があるのかもしれない。
 私はギロチン磔にされたまま首をうなだれて、地面に長く伸びて蠢く蛮族どもの影をぼんやりと追っていた。最初から最後まで男どもの好き勝手に身体を使われただけで、手玉に取ることなんかできなかった。状況全体に対する恐怖と絶望の中でも、その小さな敗北感がちくちくと心に突き刺さる。このまま性奴隷として異境の地で短い生涯を終えるのだろうか。それ以上に恐ろしいのは、妊娠だ。病院どころか、ここには産婆すらいないのだろう。無事に出産できるとは、とても思えない。それとも……
「見て……トモミ! あれは月ではない。別の……なにかだわ!」
 ソフィの声で、私は現実に引き戻された。
「右の空を見て。月に似てるけど、違う天体が浮かんでいる」
 頭を上げて、ソフィのほうへねじると――盛り土のずっと上のほうに月が浮かんでいた。いや、月ではなかった。うすぼんやりとした赤色で、マスクメロンのような模様に覆われている。
「やっぱり、異世界だったんだ……」
 ソフィのつぶやきは、そのまま私の結論だった。
 そんな馬鹿な――という思いは、まだ残っている。飛行機の墜落なんて、ありふれていてはたまらないけど、ありふれている。でも、何人かの遺体が発見されないことも珍しくない。山奥とか海の底ではなく、異世界に……?
 いや。あの事故には不自然なところがあると、ソフィは言っていた。突風とかエンジンの故障とかでなく、時空間の裂け目に突っ込んだのだとしたら――異世界に飛ばされて当然なのかもしれない。
「あ、流れ星」
 あんな最悪きわまるロストバージンの直後に、よくも脳天気なことを――と、呆れてしまう。まさか、『地球に戻れますように』と3回唱えるつもりじゃないでしょうね。
「ここでは、流れ星も違う地球と飛び方をするのね」
 え……?
「どこ? まだ見えるの?」
「月の左上の――空が黒くなっている境界のあたり。ゆっくり、滑るように動いている」
 月が浮かんでいるあたりは、まだ夕暮れの空だが、ずっと西は夜の帳が下りて、都会では絶対に見られない星の海になっている。その星の海の波打ち際のあたりに、きらきら光る、金属光沢を帯びた点が――たしかに、ゆっくりと滑っていた。
 いっそ、赤と緑の光点がペアだったら、飛行機の翼の光なのに。ジグザグに動いていたらUFOなのに。
 その小さな光点は一定の速度で天を滑って、広場を仕切る土盛りの向こうへ消えた。
 ――肉の焼ける荒々しい匂いと、穀物が蒸し焼きにされる香ばしい匂いとが、空腹を思い出させた。
 性欲を満たした野蛮人たちは、ずっと優しくなっていた。私とソフィは屈辱の形から解放されて――でも、囚われの身に変わりはなかった。ソフィを吊るしていた柱のひとつに、背中合わせに座らされて、互いに相手の腹を抱きかかえる形に手を縛られた。でも、それ以上の屈辱は与えられなかった。
 男たちは焚火と私たちを囲んで黙々と食べて、その合間には、肉もパンもどきも、私たちに恵んでくれた――のではない。
 東を指し、天を指し、左の指で作ったふたつの穴に右の人差し指と中指を出し入れして見せる。
「ジェ、ゴンゴン。ジェ、ゴンゴン」
 夜が明けたら(昼になったら?)、また2本まとめてゴンゴン。食べさせてやったのだから、当然だろう――そう言っている。
 ここぞとばかり、私は愛想よく笑ってみせた。
「じぇ、じぇ。ごんごん、ごんごん」
 手を使えないから、足を開いて膝を立てて、腰を揺すった。
「ジェ、ジェ、ジェ。ニャドゥ、ジェイジェイ」
 蛮族が歯を剥き出しにして嗤った。闇の中で白い歯が煌めいて、肉食獣を彷彿とさせた。
 ――食事が終わると、男たちはそれぞれのテントに引っ込んだ。夜が明けると起きて、日が沈むと眠る。原始的だけど健全なライフスタイルだ。もちろん、彼らの生活に共感なんて絶対にしないけれど。
 私もソフィも、疲れ果てていた。バギナもアヌスもずきずきひりひりしているし、ずっと縛られていて手足も痛いし身体の節々が強張っている。けれど、このまま眠り込んだら精神が粉微塵に砕けてしまいそうな、存在の根幹にかかわるような恐怖が、眠気を寄せ付けない。
 お腹も空いていたし、喉も乾いている。昼には、肉をひとかじりだけ。夕食だって、蛮族どもに身体を嬲られながら、肉の小さな塊をひとつと、ぺちゃんこのパンのようなのを掌一枚分くらい。水だけは、1リットルくらい飲めたけど――炎天下に裸で磔けられていたのだから、とても足りない。海水を飲んでしまったのも渇きを強めていた。
 私もソフィも黙りこくって、時間がこぼれ落ちていくのを無為に眺めている。
 火を熾すのは難しいのだろう。2人の男が焚火の前に座って、ときおり枯葉や小枝をくべている。闇をほんの数十cmだけ押し返す弱々しい炎。そして、ちっぽけな人間の行為とは無縁に、夜空を埋め尽くす星の群。
 星が瞬いている。昼に暖められた海水が蒸発して、大気をかき乱しているのだろう。 瞬くだけでなく、揺れているように見える。星だけを見ていると分からないのだけれど。月(?)のすぐそばにある星が月の縁に隠れて、しばらくするとまた姿を現わす。白い月ではなく暗赤色のマスクメロンだから、ホラーファンタジーの雰囲気だ。
 ――月の表面に薄い筋が刷かれた。雲だった。薄い筋が広がって、すぐに月全体を隠す。
 もう寝よう。眠れなくても、努力をしなければ。肉体の疲労が回復すれば、心も前向きになる。前向きになったところで、希望は見い出せそうにないのだけれど。
========================================

Nightmare rift


 星の光が揺れて、衛星の影に隠れたり現われたりする。
 これは、ヒロインが解釈を誤っています。星の光は揺れて、月や惑星の光は(ほとんど)揺れません。でも、星がかくれんぼをしたりはしません。
 実は。この薄赤いマスクメロンは、光学迷彩をほどこしたドローンです。本物の月を隠蔽して、ヒロインに異世界だと信じさせる大道具です。実際は雲よりも低いところに浮かんでいますが、背景をCCDで感知して、表面に雲の形を投影しているのです。
 ちなみに。ゆっくり滑っている流れ星は、ISSでしょう。天和であってたまるものか。


 さて。ISSはともかく。異世界衛星偽装ドローンの仕掛けを見破れる読者がいるでしょうかしら。終章で、もうちょいヒントを書くかもしれませんけど。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interrupt Report:Nightmare Rift (悪夢の裂け目)

『幼な妻甘々調教』は、月に300枚のペースで進行中ですが。
 最近読んだコミックにインスパイアされまして。こういう「ぽっちゃリアル」な絵柄も好きなので、鬱勃たるパトスです。


インスパイア



 コミックのタイトルは『鬼虫』柏木ハルコ(Big Spirits Comics)です。引用ですので、縮小もしていますので、許してね。
 絶海の孤島で暮らす裸族の元に、倭国?から漂着した娘。言葉も通じず、災厄の兆しと断定されて、海へ流されようとする――といったお話です。
 あ、倭国と書いたのは。このヒロイン、眉を剃っているぽいので。平安貴族あたりかなと、推測した次第。


 第1巻(は、某金$で無料)を読んで、速行でストーリイが出来上がりました。
 まずは、冒頭。


========================================
墜落

 見渡すかぎりの青、青、青……と、ちょっとだけの白。パステルブルーの海と、その上に浮かぶ小さな白い雲。そのすべてを眼下に見ながら飛ぶ水上飛行機。
「どこからが空か、分からない。このファンタジックな景色だけでも、ツアーに参加した意義があるわ」
 ソフィが、エンジンの音に負けまいとトモミの耳元に口を寄せて――ついでに、トモミの太腿を大胆に撫でた。
 トモミもソフィの言葉に同意したが、手の動きには同意しかねている。
 ワールドワイド・マッチングアプリの『アドベンチャラスガーデン』が企画した『ランダムブーケ』に応募したトモミは、ソフィとのペアリングを提案された。費用はすべて主催者持ちで2週間をリゾート地で過ごし、毎日の様子を二人別々にリポートする。親密な関係に発展しても、喧嘩別れしてもかまわない。もちろん主催者としては、ペアリングに自信満々なわけだが。
 シスジェンダーでヘテロセクシャルを自認していたトモミとしては、意想外のペアリングだったが、それだけに興味も湧いた。南太平洋の観光ズレしていない小島というのも面白そうだし、大学の夏休み中というのも好都合だった。
 ジェット旅客機とプロペラ機の不定期便を乗り継いで、2週間を滞在する島に到着したのが昨日のこと。そこで初めて、リアルのソフィと会った。年齢は18歳。トモミの2コ下だが、二人が並ぶと、体格も顔つきもトモミのほうが幼く見える。ソフィはジュニアハイスクールの頃からドミナント(タチ)だったというから――ややこしい2週間になりそうだというのが、トモミのソフィに対する第一印象だった。
 そのややこしさが、いきなり頂点に達そうとしている。拠点の島から200マイル離れた無人島で、2泊3日のプチサバイバル。自分は確実に食べられてしまうんだろうなと、トモミは覚悟していた。
 ガクンと、飛行機が揺れた。雲が左前方からせり上がってきて、激しく震える。
「ダムン! しっかりつかまっていろ!」
 パイロットが叫ぶ。雲が正面でくるくる回っている。
「メーデー、メーデー、メーデー! ZKタンゴ・リマ・オスカー。エアタービュランス、ストーリング!」
 機首のエンジンから黒煙が噴き出して、その一部が床下から吹き込んでくる。目がまわっているところに煙を吸い込んで、気分が悪くなった。
「オオオ! ワーッツ?」
 真昼の明るさを圧倒する閃光が正面に広がって、ぱたっとエンジンの音が消えた。
 もしかして、これが死の瞬間なのだろうか。薄れる意識の中で、トモミはそんなことを考えていた。
========================================

 はい。ラノベではありふれた異世界転移ですね。
 蛮族は言語体系も確立していず、ジェスチャーと混淆です。


おれ  「ミ」+右親指で胸を指す
おまえ 「ミ」+右人差指で相手を指す
彼ら  「ミ」+右手を伏せて水平
人間でないもの 「ニャ」+右手
イェス 「ジェ」
ノー  「ニョ」
疑問  「ジェニョ」:ジェスチャー伴わない
行動一般的 「ゴン」+両手
過去を指定 後ろを見る
未来を指定 上を見る
数は左手で1~5 グゥは「沢山」

※こいつは、俺たちとは違う。
ニャ(指差)、ニョミ(自分、対話者、全体を指差)。
※身体が違う。
ニョミ(乳房をつかむ、股間を叩く)
※化粧をしていなくても平然としている。
ミ(自分を指す)ゴン(自分の化粧をなぞる)、ジェ(女を指す)ニョゴン(女の身体をなぞる)、ゴンゴンゴン(そっくり反る)
※こいつは獣だ。
ニャ(女を指す)、ジェニョ(森を指す)
※働け
ウオオ! ゴンゴン(土を掘る仕草)、ゴンゴン(殴る仕草)

 などと、筆者が遊んでいます。


 さて。さんざ異世界転生などをクソミソにけなしていた筆者です。安っぽいSFモドキを書くわけがありません。
 も、ネタをばらしときますと。金力で好き放題しているが、スナッフとかには良心の呵責を感じる善良な(?)連中のお遊びです。
 二人のヒロインを弄んで循姦して。こいつらがいると、狩りも畑仕事もおろそかになってしまうと――焼き殺すのです。
 煙にむせて気を失って、墜落当時の服装のまま、拠点の海岸に打ち上げられている。蛮族につかまっていたのは数日のはずなのに、10日以上が経過している。
 実は、計算の合わない日数は(ウラシマ効果などではなく)、残虐に傷つけられた身体の修復にあてられているわけです。
 最後は、トモミの推理で真相が語られるわけですが。期限の2週間で帰国できたわけでもあるし、現地の警察でも相手にされなかったし。すべては、ひと夏の夢で泣き寝入りです。
 あ。数日間の中でも、種明かしの伏線は張りますよ。

※蛮族は成人男子ばかり。
  →小松左京の『お召し』のような異世界かもしれませんけど。
※日中の特定の時間になると、天をおおうばかりの煙を焚き上げて、大声で祈る。
  →ジェット旅客機をヒロインたちに見せないためです。
※夕方、ゆっくりと動く流れ星。
  →さすがに、宇宙ステーション(ISS?)までは想定していなかった。
※ヒロインは洞窟に閉じ込めておくか、磔にするか。村落の中を探索させたりはしません。
  →まして、森の向こう側に隠してある通信機器や燃料電池発電機においておやまあ。

 ともかく、ぶっつけで書き進めます。
 しかも。R18部分を大幅に削った健全バージョン(Notissue version)も予定しています。これは、某創作同人誌に掲載予定です。2022年刊行目標(2023年以降に遅れるほうへ、3500ガバス)。


追記:本作のタイトルは、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの『The Starly Rift』からのインスパイアです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:幼な妻甘々調教




Progress Report 2 →

 ペースが落ちてきて、7月中に脱稿するか田舎、怪しくなってきました。30枚ほど進んだと思ったら、半分くらい書き直したくなったり。書き直します。校訂後にさらにあれこれ弄って Fine Tuning する趣味はありません。チマチマ弄ったところで、90点が91点になるくらいのもの。それよりは、次を書きます。そうすれば、すくなくとも90+80=170点です。

 盆休みに、新妻を連れて帰省したら、嫁の破廉恥な格好(下着無し、ノースリーブ股下3cmワンピース)に父親が激怒したので、予定を早めて退散。ついでに東京へ寄って、SM用品店で本格的な鞭とかを買い込んで帰宅したところです。

========================================
鞭打折檻

 三つどころか、僕はさらに二点を加えて購入した。ひとつは分厚い皮革に鋲を埋め込んだスパンキングパッドと、プラスチック製の教鞭だ。
 この教鞭などは、教育用品を扱っている店で買えば半値以下だろう。なにしろ、SM用品は需要の少なさもあって、馬鹿高い。掛け針(和裁用品で、洗濯バサミとリンク機構を組み合わせたような、布を咥える小道具)に釣りの錘を吊るした代物を乳首責め具として二個二千円で売っている。市販品を別々に買って数分の作業で手作りすれば、百円以下だ。
 もっとも、他のSM用品を買わなかったのは、ケチったからではない。手枷や手錠は趣味ではないし、首輪も鎖も縄も、荒物屋のほうが品揃え豊富だ。ボディハーネスなどは海外から取り寄せたカタログの写真を手本にして睦菜に手作りさせる計画でいる。
 しかし……専門店で購入すれば、いよいよのっぴきならない領域に踏み込むのだと、睦菜に覚悟をうながす効能はある。その覚悟をいやが上にも決めさせる意味で、睦菜の肌を叩く道具はボストンバッグに詰めて、本人に持たせた。
 意気揚々(は僕だけで、睦菜は悄然)と帰宅したときには夕方になっていた。
 先に風呂を沸かさせてひとりではいり、リビングルームでくつろぐ。台所で立ち働く睦菜の裸エプロン姿を、食傷気味に鑑賞する。菊枝は自分に与えられた部屋にこもっている。主婦なら台所仕事をひとりで切りまわすのは当然だが、まさか家政婦がそばで手をこまねいているのも不自然だ。新婚生活も一か月を過ぎて睦菜も家事には慣れ、最近では菊枝の出番は、夜の性技指導と、買い物や井戸端会議のお目付け役がもっぱらとなっている。
 菊枝も交えて三人で夕食を済ませ、睦菜が入浴しているあいだに菊枝が後片付けをする。
 そして、いよいよ――懲罰、それも厳罰の幕が開く。
 応接セットを隅に押しやって広げた空間の真ん中に、全裸の睦菜を正座させる。
 菊枝は乳房を丸出しにした黒のブラジャーとパンティストッキング直穿きの女王様スタイルで、睦菜の後ろに立っている。僕は、あえて普段着でソファに座って睦菜と向き合う。二人のあいだの床には、今日買った五点のSM用品と、これまでに使っていた靴ベラ、布団叩き、革ベルト、縄束が並べてある。スリッパは、僕が履いている。
「今日は珍しく、睦菜のほうから懲罰をおねだりしたね」
 まずは、言葉で辱めにかかる。
「睦菜は、懲罰に値するどんな罪を犯したのかな?」
 睦菜は全身を薄く染めて(いまだに全裸は羞ずかしいらしい)うなだれ、その視線は、目の前に並べられた――自分の肌に叩きつけられる小道具類に落とされている。
「旦那様の言いつけに逆らいました」
「どんなふうに?」
「……お店の人が見ているところで、スカートを捲ってお尻を出せませんでした」
 か細い声で答えながら、ちらちらと後ろを気にしている。
「なぜ、僕がそんな命令をしたんだったかな」
「……いろんなムチを試すためです」
 静かな部屋の中で面と向かって、それでも聞き耳を立てなければ聞き取れないほどの声だった。
「家に帰ってからなら、試しても良かったんだね」
「はい」
 安堵の息とともに返事をした。言葉で嬲られるのが終わったと察したのだろう。僕としても、その推察を裏切ったりはしない。
「では、期待どおりに試し打ちを始めよう――立て。立って、懲罰を受ける姿勢を取れ」
 びくっと、睦菜の肩が震えた。いよいよ叩かれるという恐怖ではない。僕の言葉づかいに戸惑っている。これまでなら、「立ちなさい」と優しく言ってきた場面だ。
 それでも睦菜は素直に立って、両手を頭の後ろで組んだ。股間を叩かれるために両足を開き、ぐらつかないように踏ん張った。懲罰を受ける姿勢と今は言ったが、捕虜の姿勢と言う場合もある。罰を与えるのではなくメコ筋を可愛がってやるときなどだ。
「まずは、これまでに使ってきた道具の痛みを思い出させてやろう」
 スリッパを手にして立ち上がる。
「こっちにケツを向けろ」
 睦菜の全身が、またぴくりと震えた。
「今夜の旦那様……怖いです」
 睦菜が本気で怯えている。
 最近の睦菜は、懲罰のときにもあまり怯えを見せなくなっていた。覚悟とか狎れではなく、諦めている。今の睦菜は――痛みへの予感よりは、僕の豹変におののいている。
「今夜だけじゃない。これからもずっと、怖いぞ」
 にらみつけられて、睦菜はおずおずと後ろ向きになった。そのあいだも、頭の後ろで組んだ手は保っている。
「スリッパの痛みを思い出せ」
 パアン!
 力いっぱいに叩いたが、睦菜は微動だにしない。新婚旅行のときに比べたら、たいした進境だ。とはいえ、一か月でこれでは、先々のエスカレートが思いやられる。自重しなくては。
 スリッパを靴ベラに持ち替えて、手加減無しで尻に叩きつける。
 ぶんっ、パッシイン!
「きひいっ……」
 柄の長さだけスイングが加速されるし、打撃面積はスリッパの四半分。衝撃はスリッパの比ではない。
「つぎは布団叩きだ」
 ひゅん、パチイン!
「くうう……」
 柄は長いが、打撃面積が広いし肉もあまりひしゃげない。スリッパ以上靴ベラ以下だ。
 最後に、縄束。水で濡らせばかなりの威力だが、乾いたままだと意外に空気抵抗が大きくて威力が削がれる。
 ぶんっ、バシャアン!
「きゃあっ……!」
 しかし、手首のスナップを利かせると打撃の速度がぐんと上がる。
 しかし、しょせんは尻だ。痛みは高が知れている。そうでなくては比較が難しいのだが。
「さて、いよいよだぞ」
 今日買ったばかりのうちから、最初に選んだ板製のスパンキングボードを手に取った。小さなハート形を幾つも刳り抜いてあるやつだ。
 ぶゅゅん、バシン!
 思いっきり、尻がひしゃげた。
「…………」
 睦菜は表情を動かさなかったが、内心では拍子抜けしているはずだ。スリッパと比べても、痛さはあまり変わらない。
 しかしサディスト側には、スリッパでは味わえない愉しさがある。睦菜の尻がいっそう赤く腫れたが、白いハートが転写されている。それと、空気が穴を通り抜けて風切り音が微妙に震える。急降下爆撃機ユンカース87に装備されたサイレンと同じような威嚇効果がある。
 分厚い皮革に鋲を打ったスパンキングパッドに持ち替える。
 ぶゅん、バチイン!
 びくんと、尻が前方へ逃げた。鈍角とはいえ金属鋲が肌に食い込むし、皮革のしなりが痛みに粘っこさを与える。その分、打撃の瞬間の痛みは和らぐが。
「さて。尻を叩くときは、どっちを使ってほしいかな?」
 睦菜が僕を振り返りかけて、途中で思いとどまった。
「わたしが決めてもいいのですか?」
 何度も注意されて、最近は一人称が『睦菜』で定着している。それが人称代名詞に戻ったのは、驚きの表出だろう。
「叩かれるのはきみだからね。たまには希望をかなえてあげよう」
 数秒、睦菜は考え込んでいた。そして、意外な返事をした。
「……後のほうにしてください」
「へえ。わざわざ痛いほうを選ぶんだね?」
「だって……そうでないと、懲罰になりません」
 殊勝なことを言う。
 しかし、そういった態度はサディストの嗜虐を焚きつけてくれる。
「よし。皮革製のパッドを、尻叩き専用にしよう」
 しかし、せっかく買った品をお蔵入りにするのはもったいない。
「板製のほうは、乳房専用にしてやろう」
「あ……」
 睦菜が溜め息のような声を漏らした。驚きなのか諦めなのかまでは、判然としない。予想していなかった言葉だったのは確実だ。なにしろ僕自身、咄嗟の思いつきなのだから。
 睦菜は、嬲られるための姿勢を崩していない。僕の許可が出ていないのだから当然だが、同時に、これしきで懲罰が終わるはずもないと心得ている。事実、始まってもいない。
 僕は、つぎの品を手に取った。一本鞭だ。狭い室内で振り回せる長さだ。僕の技量では、二メートルも三メートルもある、家畜用鞭(ブルウィップ)を効果的には扱えないのも事実だが。
「これは、スパンキング用の板とは桁が違うぞ」
 ぶゅんっと、素振りをくれてやる。これまで耳にしたことのない鋭い風切り音に、睦菜の全身がぴくんと震えた。
 ゆっくりと鞭を振り上げて、軽く引きずる感覚で斜めに打ち下ろす。手首のスナップはじゅうぶんに利かせて。
 ぶゅんっ、パシイイン!
「痛いっ……!」
 切羽詰まった悲鳴ではなかった。
 薄赤く腫れた尻に、鮮やかな線条が刻まれた。一晩寝ても蒸しタオルでも消えない、禍々しくも美しい刻印。これを使うときは、TPOに気をつけねば。
「つぎはバラ鞭だ」
 びゅんっ、パアアン!
「く……」
 赤く腫れた尻に太い革紐の角が擦れて、数本の線条が刻まれる。一本鞭の痕に比べれば不鮮明だ。これくらいなら、ショートパンツの裾からはみ出ていても目立たない(と、睦菜を強引に言いくるめられる)。
 最後は教鞭。以前から、使ってみたいとは思っていた。笞(硬い一本形状の物は、この字を当てる)としては弱いが、先端にある団栗様の膨らみが、打撃を一点に集中させる。繊細な突起にピンポイントで当たれば、凄まじい威力を発揮するのではないかと――想像するまでもなく、じきに確かめられる。
 それにしても。教材には、SMに使えそうな小道具が多い。黒板で使う大きな三角定規は、先端でつつくのも良し、パンティの上から(もちろん直接にでも)食い込ませるのも、趣きがある。スパンキングでは、物差しやT定規に譲るが。コンパスは、クリトリス(あるいは膣)を中心にして双つの乳首に円を描ける。縄跳びは、緊縛はもちろん、グリップを双穴に突っ込むという使い方もできる。チョークを尿道に……いや、妄想が過ぎた。しかし睦菜が、つい数か月前まではそういう環境にいたと思うと、彼女の同級生は今もそうなのだと思うと、背徳の淫愉を禁じ得ない。
 妄想に終止符を打って――いや、妄想を具現化させて。
 しゅん、ビシイッ!
「痛いっ!」
 一本鞭に比べると、悲鳴には余裕があった。しかし僕としては、鞭よりも手応えが直に伝わってくるので愉しい。
「今の三つでは、どれがいちばん痛かったかな?」
 睦菜は迷わずに答えた。
「最初のが、特に痛かったです」
「では、いちばん楽だったのは?」
 これにも間髪を入れず返事をする。
「指示棒です」
 最近ではそういう言い方をするのかと、勉強になった。会社での会議にも使うことを考えれば『教』の文字は当てはまらないし、民主教育に『鞭』の字は不適切かもしれない。それはともかくとして。
「そうか。この三つは、どこ専用とはせず、罪の重さによって使い分けることとしよう」
 鞭と笞はダイニングテーブルに片付けて、部屋の隅に押しやってある応接テーブルから(叩くためではなく縛るための)縄束を手に取った。
「試し打ちは、これで終わりだ。お仕置きを始める。手を後ろにまわせ」
 懲罰を受けるのは罪人だから、縛られていて当たり前。そんな理屈を、睦菜は(内心はともかく)受け容れている。と同時に、同じ罰を与えられるのなら縛られていたほうが楽だと、身体で納得している。
 手の動かせるのに鞭打たれる部位を庇わずにいるのは、意志の力を要求される。メコ筋打ちは二度しかしていないが、最初のときはテーブルの上で逆海老に縛られるのを嫌がったので、床の上でブリッジをさせてやった。もちろんブリッジは一発で潰れて、二打罰の追加。捕虜の姿勢でも、すぐに両手で股間を押さえて崩折れた。
 腕をいっぱいにねじ上げて高手小手に縛り、胸縄で乳房を絞り出す。ダイニングの椅子を持って来て、後ろ向きにして背中にあてがい、椅子の脚に足首を縛りつけた。睦菜が足を開いたままでいる努力をしないですむように、膝を背もたれの両端につないでやる。
 それまでは羞恥が勝って薄桃色に染まっていた肌から血の気が引いていく。この姿勢で縛られるのは、(今のところは)もっとも厳しい罰であるメコ筋打ちを意味すると、察したのだろう。おおむねはその通りだが、今夜の主目標はメコ筋ではない。
「猿轡が必要かな?」
「お願いします。睦菜に猿轡を噛ませてください」
 ためらわずに、教え込んだ作法通りに返事をする睦菜。家の中とはいえ、大声で叫べば隣家にも聞かれる。だから悲鳴を封じられる安逸にも、睦菜は狎れてしまっている。言葉を発せないつらさも、今夜は教えてやるつもりだ――などとはおくびにも出さずに、手製のボールギャグを睦菜に噛ませた。
 スーパーボールという玩具が数年前に流行って、今も子供に大人気だが、実に使い勝手が良い。直径五センチほどのボールに穴を開けて(見た目を美しくするために)工事現場などで使うトラロープを通せば、関西(kinky)用品よりも、よほど優れたボールギャグになる。今日の店にもボールギャグは売られていたが、中空のプラスチック球に呼吸のための穴が幾つも開けられているから、(意味をなさないにしても)声が漏れるし、やたらと涎が垂れて跡始末が面倒だ。もっとも、開口が無いと窒息の危険を伴うから、たとえばひと晩放置する場合などには適さないのだが。
 小から大のスーパーボールを順番に金属棒で串団子にした物も、いずれは作るつもりでいる。唯一残された処女穴を拡張するときには、これを使う。その他にも――小さめの物を柔軟なロープで数珠つなぎにすれば、縄褌よりもはるかに刺激的だろう。
「んん、んんん……」
 睦菜の鼻声で我に還った。
 猿轡を噛まされると、睦菜は決まって小さな声で呻く。たしかに声を封じられたと、自分に言い聞かせているのかもしれない。諦めと甘えの綯い混ざった、媚びるような呻き声だ。
「人前で僕の言いつけに逆らったんだからね。僕やお菊さんだけがいる場所での反抗に比べたら、罪はずっと重い」
 僕は迷うことなく教鞭を懲罰の道具に選んだ。
「とはいえ、この一か月間はおおむね恭順だったし、第三者のいる場所で公然と逆らったのはこれが初めてだ。だから今日のところは、おまえがいちばん楽だと言った教鞭で赦してやろう」
 判決を言い渡しながら、教鞭の先端の膨らみで乳首をつつく。
「んん……」
 睦菜は僕を上目遣いに見上げて、こくんとうなずいた。寛大な処置(では、ないのだが)への感謝を表わそうとしたのかもしれない。そうでなくても、拒否の意図など無いということだ。
「左右交互に十発ずつだ」
 睦菜が安堵めいた表情を浮かべた。これまでも、乳ビンタが十発以下だったことはない。せいぜいその倍なら、革ベルトに比べて華奢に見える教鞭なのだから、たいしたことはないとでも勘違いしているのだろう。
 乳房の中ほどに先端を当てて、腕を伸ばした分だけ下がって。
「いくぞ」
 鞭を振りかぶって斜めに打ち下ろした。
 しゅん、ビシイッ!
「ん゙む゙ゔっ……?!」
 上体が大きく揺れて、ガタタッと椅子が動いた。予想していたより痛みが激しくて、たじろいだのだ。
「あら、せっかく縛っていただいたのに、じっとしてられないの?」
 菊枝が椅子に跨った。重しになるだけではなく、睦菜の両脇に手を差し入れて上体を押さえた。
「ありがとう。これで狙いをつけやすくなる」
 バックハンドで右の乳房を打ち据えた。
 しゅん、ビシイッ!
「む゙ゔゔっ……!」
 上体は微動だにせず、乳房だけがぷるるんと弾んだ。
 いっそう慎重に狙いをつけて。今度は打ち据えるのではなく、教鞭を右から左へ振り抜いた。
 しゅん、ピシイイッ!
 教鞭は乳暈のすぐ外側に当たって、乳首を薙ぎ払った。
「ん゙ま゙あ゙ーっ!」
 睦菜が、のけぞって絶叫する。
 これまでも革ベルトで乳首を狙って打ったことはある。しかしベルトの幅に打撃が分散するから、痛みも乳房全体に広がる。ピンポイントに激痛が集中するのは、睦菜にとって初めての体験だろう。
 僕はいっそう慎重に狙って、バックハンドで右の乳首も薙ぎ払った。
 しゅん、ピシイイッ!
「む゙も゙お゙お゙っ!」
 ふたたび睦菜がのけぞって、くぐもった悲鳴を噴いた。
 悲鳴の大きさを参考に力を加減しながら、十発を打ち終えた。乳房には短く薄い鞭痕が刻まれているだけだが、乳首は熟したグミの実のように赤黒く膨れている。指でつまむと、いつもの硬くしこった手触りではなく、熟しきった果実のようだった。
「頑張ったね」
 果実を潰してしまわないように、親指と人差し指の腹でやさしく転がしながら、いたわりの言葉を掛けてやる。
「じゅうぶんに罰せられたと思うかな?」
 はっと、睦美は顔を上げて。すぐに目を伏せた。こくんと小さくうなずく。
「黙っていては、わからない。じゅうぶんに反省しているのか?」
 こくこくと、睦美がうなずく。しかし、僕は重ねて問いかける。
「これ以上の罰は赦してほしいのなら、そう言いなさい。沈黙は反抗と同じだ」
「んんん、んん、んんん!」
 睦菜は激しくかぶりを振る。
「そうか。ちっとも反省していないのか。乳首だけで赦してやるわけにはいかないね」
「んんんっ、んんん!」
 睦菜はいっそう激しく呻いて、いっそう激しくかぶりを振る。
「それとも、お豆にも罰がほしくて、わざと反抗しているのかな?」
 睦菜は呻くのをやめて、僕をにらみつけた。頬が紅潮しているのは、理不尽への怒りだろう。この勁(つよ)い精神は尊重してやらねばならない。調教とは、理不尽を無批判に受け容れさせることではないと、僕は思っている。理不尽を押し通されることを怒り、しかし撥ね返せない自分の無力に打ちひしがれる。つまり、愛奴には人間であり続けてほしいということだ。もちろん、それは僕の哲学であり、睦菜にも菊枝にも打ち明けるつもりなどない。
「そうか。そんなにお豆を鞭打ってほしいのか。ずいぶんと淫乱になったものだね」
 事前には打ち合わせていなかったのだが、菊枝は僕の意図を察して。左手で睦菜の腰を抱え込み、右手を股間に這わせた。すっかり縮こまっているクリトリスをほじくり起こして、一か月前の睦菜だったら悲鳴をあげただろう激しさで――つまみ、こねくり、包皮をしごく。そんな乱暴な愛撫にも反応するまでに、睦菜は馴らされ開発されている。
「こんなに尖がってますわ。あ、そうだわ」
 菊枝は自分の髪を数本抜いて、僕に手渡した。
「これを巻きつけてやったら、いかがかしら」
 なるほどと思った。いったん教鞭をテーブルに戻して、髪の毛を実核の根元に縛りつけた。
「ん゙も゙お゙っ……む゙ゔゔゔ……!!」
 髪を振り乱して狂乱する睦菜。クリトリスをくびられるだけでも、相当な刺激だ。ますます充血して、ミニチュアサイズのペニスさながらになる。手を放しても、包皮は元に戻らない。
「ん゙む゙む゙む゙……も゙お゙お゙っ!」
「うるさいぞ」
 ぱちんと、軽くビンタを張ってやった。
「声を出すな。静かにしていれば、三発だけで赦してやる」
 ぴたりと、呻き声が止まった。
「んん……?」
 すがりつくような目つきというものを、僕は初めて見た。愛おしさが込み上げてくる。しかし始末の悪いことに、嗜虐の炎も激しく燃え上がる。
「悲鳴をあげるごとに、二発を追加するぞ」
 睦菜の返事を待たずに、僕は教鞭を下段に構えた。じゅうぶんに間合いを測る。
 重しとして椅子に座っている菊枝が、両手で睦菜の腰を支えた。睦菜は椅子に縛りつけられたまま、ウィリアム・テルの息子さながらに凝固する。
 しゅんっ、ブシッ!
「……!!」
 打たれた瞬間に、睦菜は爪先立った。わずかでも激痛から逃れようとしての、無意識の動きだろう。
 ふうっと、睦菜が大きく息を吐いた。耐えられたという安堵の思い。
 しかし、今の一発はクリーンヒットではない。空振りをしないよう、淫裂の中心を狙ったのだ。教鞭は淫裂をこすって勢いを削がれてから、クリトリスを叩くというよりもこすり上げた。とはいえ、巻きつけておいた髪の毛が吹き飛んだのだから、決してやわな一撃ではない。
 しかも、小指の先よりも小さな突起に、ペニスと同じ数の神経が密集している。睾丸を蹴られた痛みが女に理解できないのと同様、クリトリスを虐められる辛さは僕には想像もつかない。
※クリトリスにはペニスの二倍もの神経が集まっているという知見は、二十世紀末以降のものです。
 とはいえ、出産という原初の試練に耐えるように作られている女の身体だ。クリトリスへの責めなど、高が知れているだろう――というのは、男の身勝手な想像でしかないが。
 急速に萎えて皮をかむったクリトリスを直接狙うのは難しいので、二撃目も最初と同じところを狙った。
 しゅんっ、ピシッ!
 ドングリの先端が、かろうじてクリトリスを掠めた。しかし、当たってはいる。ピンポイントへのショックは、むしろ大きい。睦菜は反射的に爪先立って、それから前へ倒れかけた。が、菊枝に引き止められた。
「お菊さん、顔を引き起こしてくれ」
 睦菜をのけぞらせておいて。三撃目は上から打ち下ろした。
 しゅんっ、ビシイン!
 ドングリがクリトリスを直撃して、肉にめり込んだ。
「も゙っ……!!」
 睦菜の膝から力が抜けて、その場に崩折れかけるが――膝を巻く縄と菊枝がつかんでいる髪の毛で、宙ぶらりんめいた姿勢で止まった。
 ちょろちょろっと、股間から水が滴った。フローリングに水溜りができていく。男と違って、小便を途中で止めるのは難しい。今の睦菜には、その気力もないだろう。
 僕は着ていた服を脱いで、絨毯にかぶせた。
「んんっ、んんん、んっ……」
 これまでになく切迫した様子で、睦菜が呻く。顔を真っ赤にしている。ただならぬ様子に、ボールギャグを取ってやった。
「ごめんなさいっ……!」
 叫んで。泣きじゃくる。
「縄を……ほどいて。掃除、します……お願いです」
 言葉を封じたまま返事をしろと言われたときよりも、よほど取り乱している。僕の理不尽な仕打ちよりも、自身の失態を愧じている。
 もしかすると、睦菜は天性のマゾヒストではないだろうか。いや……たった一枚きり買った宝くじが一等に当たるような僥倖に恵まれるはずがないとすれば。女性が誰しも裡に秘めているマゾ性向が、この一か月の調教で引き出されたと考えるほうが、合理的だ。
 いずれにしても。睦菜への愛おしさが、ますます募る。睦菜への嗜虐に、いっそう執着する。
「お菊さん。睦菜に跡始末をさせてやってください」
 僕はソファに座って、煙草に火を点けた。
 菊枝が縄をほどいて、睦菜を椅子から解放してやった。しかし、後ろ手に縛った縄は残している。小水にまみれた僕のシャツをつまんでバスルームへ持って行く。そして、水を汲んだバケツと雑巾を持って来て、床に座り込んでいる睦菜の前に置いた。
「あの……?」
 睦菜が、僕と菊枝とを交互に見上げる。
 予想外の展開でも、すべては僕の掌の上といったふうを装って、紫煙をくゆらす。
「掃除をするんでしょ。いっそのこと、舐めて取ったら?」
 睦菜が顔を引き攣らせた。怒りに蒼褪めて……また、頬を紅潮させると。
 床に身を投げ出して、ほんとうに小水を舐め始めた。
「おいおい……」
 菊枝は、僕が思っていたよりもサディスチンだ。これまでに何人かマゾネコを放し飼い(同棲には至らない)にしていたが、三か月と続かなかったというのも、頷ける。
「お菊さんが、せっかく雑巾を持ってきてくれたんだぞ。ちゃんと使いなさい」
 聖水プレイもいずれはと考えていたが、それは僕の『聖水』だ。彼女自身の汚水を舐めさせることまでは考えていなかった。しかも、調教一か月目にして。
 睦菜は床に這いつくばったまま上体をもたげて。納得した顔つきになって、バケツの縁に掛けられている雑巾を口に咥えた。床に落として、雑巾の一端を咥えたまま頭を左右に動かしたが、ほとんど拭けていない。
 僕がサディスティックなアドバイスをする以前に、睦菜は雑巾に顔を押しつけて、雑巾で床を拭くとも顔を拭くとも判然としない動作を始めた。自分の小水を顔になすり付けているにも等しい。
 雑巾がじゅうぶんに小水を吸い取ると、また口に咥えてバケツに浸けた。そこで、途方に暮れる。上体を起こして床に座り直し、今にもバケツに顔を突っ込みそうな風情。さすがに菊枝がバケツから雑巾を拾い上げ、絞ってから床に投げた。睦菜が、いそいそと雑巾に顔を突っ込む。
 それを何度か繰り返して、床は綺麗になった――と言いたいところだが、薄い染みが大きく広がったに過ぎない。絨毯を敷いていたら、床は汚れずに絨毯だけを取り換えて済んでいたところだ。這い這いをする赤ん坊が絨毯から抜ける遊び毛を吸い込んだら喘息になると、婦人雑誌か何かから聞きかじった知識をふりかざして、前妻が撤去してくれたおかげで、まあ、フローリングの修繕代金くらい、かまいはしないが。
 最後に菊枝が雑巾をよく絞って、それで睦菜の顔を拭いてやった。タオルを使わないのだから、恥辱プレイだ。
「よく頑張ったね」
 僕はソファから立って、睦菜を抱き起こしてやった。そのまま唇を近づける。
 睦菜が、あわてて顔をそむけた。
「汚いです」
 短い婚約時代には何度かキスをしたが、結婚してからは一度もしていない。愛奴をそこまで甘やかすなど、とんでもない。
「たしかに、汚いね」
 僕の言葉に、緊縛された裸身が腕の中で強張った。
「自分の小便を舐めたり、僕のペニスを咥えたり。だから、これは飛び切りの褒美だよ」
 睦菜が僕を振り返った。小さく唇を開けて、目蓋を閉じている。
 僕は睦菜に口づけをしてやった。だけでなく、舌で口中を貪った。強張っていた睦菜の裸身が、軟らかく蕩けていく。
 鞭に対するバイブよりも、よっぽど効き目のある飴だった。
========================================

 WORDでは、ポイントしてしたりフォントの色を薄くしたり
「恥ずかしがって、かろうじて聞き取れるような声で訴えている」
のを表現していますが。ブログ掲載時には、そこまで手を入れません。製品版をお楽しみに、です。

 今回は、別の表紙絵(構図案)でお茶を濁します。
※構図

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interrupt Report :修学旅行~性的イジメの夜

『幼な妻』のほうが長丁場になってきました(折り返し点で約200枚)ので、箸休めに短編を書いています。
 Reiwa Zero Sum Short Stories 6 『修学旅行~性的イジメの夜』

 某雑誌に提出してボツ喰らったシノプシスが、これです。

========================================
概  要:修学旅行で、寝相の悪さでまわりが被害を受けないためと称して縛られて、
     深夜に集団で嬲られる。イキまくる。
     次の夜は自分から縛られたがるようになってしまう。
ヒロイン:とくに目立たない女子校生だが、M性向に感づいている同級生もいる。
STORY
修学旅行が憂鬱なヒロイン。大声の寝言を臨海学習で指摘されている。
修学旅行の2日目。でっち上げの「大暴れ寝相、イビキ歯ぎしり」。
大の字で寝ている/他の子にクンニしようとしている/などなどの写メ。
(実は睡眠導入剤で熟睡させられてポーズをとらされていた)
他の子に迷惑をかけないためと称して、緊縛猿轡。
深夜に同室の子に襲われる。
最初はひとり。だんだん手が増えていく。
処女を奪われることはなかったが、アナルも含めてあれこれイタズラされて。
何度もイキまくる。揶揄の声。この頃になると、全員が参加しているとヒロインも気づく。
3日目の昼間は、ふさぎこむヒロイン。
周囲のひそひそ声。
「やり過ぎだよ」
「先生にチクられるかも」
「もっと苛めて、完全に調教しちゃおうよ」
3日目の夜。
「面倒だから、最初から素っ裸になっときな」
おずおずと従うヒロイン。小さな声で。真っ赤な顔で。
「……男子を呼んだりは、しないでくださいね」
========================================

構図

 ボツ喰らっただけあって、弱いです。補強しましょう。
 虐める動機づけに、恋の鞘当てとか。
 2日目は、最初こそ指とか小筆のイタズラですが、すぐに3点ローターでクリアクメ。
 さらにクリは電動歯ブラシに置換して、ローターの挿入。
 3日目は実際に男子が参加して、乳首&アナルローター+クリ電動歯ブラシで生身挿入、膣逝きとか。
 4日目を追加して、クラスメート相手に強制アルバイ春とか。
 さらにエピローグもつけます。

 2連休のはずがシフトが無くなって3連休で60枚弱、(物語の)3日目まで終りました。
 予定通り100枚前後の短編に仕上がりそうです。
 なので、これを8月号として、『幼な妻』は9月号になるでしょう。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:幼な妻甘々調教



 平日10枚、休日30枚のペースで進行中です。
 それでも、やっと新婚調教旅行から帰ってきたところ。
 御近所への御披露目とか調教Lv1あたりは叙述で走って、結婚してすぐの(新妻単独での)里帰りをさせて。
 ここからは、住込みの(実はレズでサディスチンで縄師で家事全般に優秀な)お手伝いさんからの性技伝授とか、MOF接待に肉弾特攻させて、マグロで不評で花電車芸を仕込んでのリベンジ接待とか、延々と展開していくわけです。
 叙述で走っている時点で150枚突破しましたから、さて400枚で収まるか600枚超えるか。作者の気紛れで好き勝手出来るのが、商業出版では不可能な長所です負け惜しみ。


 では、新婚旅行初日の様子をどうぞ
========================================
 空港からは旅館の送迎バスで一直線。旅館も新婚カップルだらけということになるから、やはりやりたい放題ができるわけだ。
 旅館宛てに小包で送っておいた衣類の整理は妻の役目。僕のは替えの下着と、万一に備えての着替えだけ。男なら二泊三日くらい、着た切り雀でかまわない。
 睦菜は、膝上というよりも股下五センチほどに短くされたワンピースを見て首をかしげ、裾をV字形に切り詰められたホットパンツで、自分の知らないうちに手直しされていることに気づいたみたいだった。けれど、なにも言わない。だから、僕もこじつけの説明なんかしない。
 片付け終わるタイミングを見計らって、切りだす。
「ここは混浴露天風呂があったな。夕食まで二時間以上はあるから、ひと風呂浴びよう」
 あったなもなにも。すべては下調べしてある。
 当然に、睦菜は困惑の表情を浮かべた。それでも、五秒くらいはためらってから。
「わたし、部屋のお風呂でいいです」
 僕は不機嫌そうな顔を作って睦菜をにらんだ。
「僕が、一緒に行こうと言っているんだよ」
「でも……羞ずかしいから」
「なにが? みんな、素っ裸なんだぞ」
「だから……」
 口ごもるのを、追い詰める。
「なにが、どう羞ずかしいんだい?」
「見られてはいけないところとか……」
「ああ、股座の毛のことを言ってるんだね」
 微妙に的外れな言葉を返すと、素直に返事をする。
「……はい」
 これなら、亭主の強権を発動しなくてもよさそうだ。
「それは、そうだね。それじゃ、剃ってしまおう」
「えっ……?!」
 口を開けて、睦菜が絶句する。
「自分では下のほうまでよく見えないね。僕が剃ってあげよう。素っ裸になりなさい。ついでに、腋の下も剃り残しが無いか確かめてあげよう」
「あの……困ります」
「なにを困るんだい? 女性は腋毛も脛毛も手入れをしてるじゃないか。股座だけほったらかしは、おかしいね」
「…………」
 泣きそうな顔になっている睦菜を置いて内風呂へ行き、水を張った洗面器と石鹸とT字剃刀と手拭いを取ってきた。座卓の隅に置いて、その横に胡座をかいた。
 睦菜は突っ立ったまま両手を胸の前で交差させて、唇を噛んでうつむいている。どんなふうに自分との折り合いをつけたのかは、分からない。法外な結納金の意味を、あらためて思い出したのかもしれない。
「あの……自分でします」
「駄目だ」
 厳しい声で断定してから、優しく言い添える。
「気が動転していたら手元が狂って、肌を切ってしまうよ」
 睦菜は後ろ向きになりかけて、昨夜を思い出したのだろう。僕に向き直って、服を脱ぎ始めた。
 僕は腕組みをして、睦菜の動作をじっと見つめる。勃起を鎮めようとして、アルファベット順に五つずつ単語を思い出しながら。
「ここに立って脚を開きなさい」
 若い娘には不可能に近い行為を命令する。
 睦菜は白い裸身に朱を浮かべながら、買い主でもある夫の命令に従った。
 僕は間近に、昨夜割られたばかりの新鉢を覗き込んだ。
 大淫唇には、まったく色素が沈着していない。開脚するとさすがに顔を出す小淫唇の縁も、鮏肉色だった。
 中指で淫裂をえぐりながら掌で小さな叢を撫で上げた。
「ひゃあっ……」
睦菜が悲鳴をあげて跳び退った。
「動いたら危ないよ」
 警告と同時に、手を伸ばして同じことを繰り返した。今度は叫ばなかったが、びくんっと腰が跳ねる。
「反射的な反応だから、どうしようもないね。そうだ……」
 床柱の手前にトランクを置いた。
「ここに座りなさい」
 不安げな顔で腰を落とす睦菜。
「身体を動かせないようにするからね」
 脱衣篭にたたまれている浴衣の帯を手に取った。
「…………」
 昨夜のことを思い出せば、僕の意図は明白だろう。睦菜はわずかに顔をそむけて、うつむいている。それが彼女の拒否と受諾、両方の意思表示だった。
 左の膝を縛って帯を引き上げ、途中で手首を縛り、さらに引っ張って、下地窓に通して床柱に巻き付けた。もう一本の帯で右も同じようにする。これで実用上の問題はないが、緊縛らしくするために、ズボンのベルトで手首をひとまとめにした。
 ベルトが無ければ文字通り締まらないので、僕も下着姿になった。
 睦菜の艶姿を撮影したい衝動に駆られたが、それは睦菜の羞恥の極限を超えるだろうから、断腸の思いで諦める。このときだけではない。新婚旅行のあいだは、まあまあ無難な記念写真をわずかに撮ったにとどまった。それはともかく。
「ふうん。腋の下は、綺麗にしているね」
 両腕を吊っていることを正当化する言い訳。
「それじゃ、見苦しい箇所の手入れを始めよう」
 睦菜は、すっかりまな板の上の鯉。僕の言葉にぴくりとも身体を動かさなかった――のだが。
 床の間の板敷きに剃毛の道具を並べ終えたところで(予期していたとおりに)邪魔がはいった。
「失礼いたします」
 女中の声。浴衣も引っ掛けずに襖を開けると、踏込(入口)手前の板敷に手を突いていた。
「早めにお布団を敷かせていただこうかと伺いましたが……そのほうが、よろしそうですわね」
 新婚だから夜を待たずにおっ始めるのではないかと見越してのサービスだろう。
「うん、頼むよ」
 客間へ続く襖を思い切り開け放してやった。
「では、失礼……ええっ?!」
「いやあああああっ……!!」
 驚愕と羞恥、悲鳴の二重唱。
「お取り込み中を失礼しましたあっ」
 慌てて逃げようとする女中の肩を捕まえて引き戻した。
「こういう趣味なんでね。なにとぞ、よしなに」
 あらかじめ準備しておいた心付けを、和服の胸元にねじ込んでやった。四十女の乳を揉んでやるサービスも忘れない。
 女中にそのまま布団を敷かせれば強制露出プレイだが、それでは明日のインパクトが薄れるので、やめておいた。
それでも、睦菜の受けたショックは大きかったようだ。
「わたしに恥を掻かせて、面白いんですか?!」
 目に涙を浮かべて、僕を詰った。初めての抗議だった。予想していたよりは一日遅い展開だった。
 僕は睦菜の前に膝を突いた。右手を振り上げる。
 睦菜は、怯まず僕をにらむのだが――その瞳に憎悪や敵意は浮かんでいないと見たのは、僕自分勝手な思い違いだろうか。
 僕は手加減無しの平手打ちを睦菜の乳房にくれてやった。
 バッチイン!
「きゃああっ……!」
 予想外の部位をビンタされた驚愕と、頬を叩かれるより何倍もの(男の僕には見当もつかない)激痛に、睦菜が絶叫した。といっても、まだまだ女の子っぽい可愛い悲鳴だったが。
 掌に残る柔らかい感触をちょっとの間だけ愉しんでから、右手で乳首を抓ってやった。
「妻の恥は、そのまま夫の恥だ。分かるな?」
「痛いです……」
 追い込まなくても、言い聞かせるだけでじゅうぶんだと思ったのは、判断ではなく憐憫だった。
「夫である僕が、一緒に恥を掻いているんだ。それでも不服なのか?」
左手も動員して、双つの乳首に親指の爪を食い込ませてやった。
「きひいいい……ごめんなさい! わたしが間違っていました」
 ただ痛みから逃れたい一心の言葉だろうが、それで赦してやることにした。
 石鹸を掌で泡立ててそれを下腹部になすりつけても、睦菜はじっとしていた。
 羞ずかしいことをされているという意識のせいか、掌と石鹸で性感を刺激されたせいか、クリトリスが少し隆起している。マゾの素質とは断定できないが、有望な反応だ。
 剃毛に取りかかる。繁みの上端に刃を直角に当てて、クリトリスを傷つけないようにそっと――淫裂の下端まで滑らせた。泡と共に淫毛が剃り取られて白い肌が現われた。逆モヒカン刈りだ。むしろこのままのほうが羞恥心を煽るかもしれないが……僕の好みではない。
 僕の嗜好は、実のところSM雑誌のグラビアで培われている。淫毛が見えなければ猥褻ではないという当局の見解に沿って、パイパンに縦縄をあしらうのが定番(?)だから、僕の頭もSMすなわちパイパンになってしまった。ノーマルなヌード写真集では、その部分を花束で隠すとかしている例が多い。その理由を考察してみたい気もするが、今ではない。
 四回も剃刀を滑らすと、おおむねパイパンになった。さらに下から上への逆剃りもすると、つるつるの肌になった。鼠蹊部や肛門まわりは処置の必要もなかった。
 帯をほどいてやる前に、僕は浴衣に着替えた。睦菜に正面を向けて全裸になり、あらかじめトランクから出しておいた晒し布で六尺褌を締めた。男性下着は昔からあった西洋猿股(トランクス)と、近年では女物のパンティみたいなブリーフがのさばっているが、まだまだ越中や六尺を愛好する者も多い。だから僕も――というわけではない。
 睦菜のぱっくり開いた股間を存分に鑑賞しながら着替え終わって、睦菜も解放してやる。
「きみも浴衣を着なさい」
 パンティを穿こうとするのを、厳しく叱りつける。
「浴衣は素肌に着るものだ。パンティの線が透けて見えるなんて、羞ずかしくないのか」
 褌は、このための伏線だった。六尺は尻に食い込むから線が出ない。越中でも晒し布一枚。パンティの縁は折り返して縫ってあるし、女の尻は出っ張っているから、分厚いスラックスでも、どうかするとラインが浮き彫りになる。生地の薄い浴衣では、みっともないこと、このうえもない。男性の視点では、みっとも良いともいえるが。
 男が褌なら女は腰巻。そういう理屈も成り立つが――睦菜は素直に、素裸の上に浴衣をまとった。
 内風呂には四つも五つも洗面器が置いてある。それに、備え付けの石鹸と手拭いとを入れて(睦菜は、他にも櫛とか歯ブラシとか、ごちゃごちゃ詰め込んだ)、部屋を出た。通りかかった女中に布団を延べておくように頼み、ついでといった軽い調子で浴衣と帯と手拭いを二つ三つ追加してくれるように心付けを渡してから、渡り廊下を通って露天風呂へ。
 脱衣場は、さすがに男女別になっている。僕は一分もかけなかったが、睦菜が浴場に出てくるまで五分以上も待たされた。女は衣服の着脱になにかと時間をかけるが、この場合は化粧を落とす手間に加えて、羞恥心を克服する時間も含まれていただろう。
「せっかく綺麗に手入れしたんだ。股座を隠すんじゃないぞ。乳もだ。昨日までは生娘だった若々しい裸を、みんなに見せつけてやれ」
 すでに薄く染まっていた睦菜の肌が、ますます紅潮する。
 僕自身も率先実行。洗面器は腰の横に抱えて、堂々と湯船に向かう。日本人の八割の御多分に漏れず僕も仮性包茎だが、睦菜のおかげで幾分か膨張しているから、半分くらいは露出している。なので、サイズ的にも見劣りはしない。
 掛け湯をして振り返ると――睦菜は、まだ洗面器で股間を隠して片手は乳房に当てている。
「睦菜。早くおいで」
 引き返して、強引に洗面器を奪い取り、乳房を隠している手を握って、湯船の前に引き据えた。
「きみも入りなさい」
 さっさと湯に浸かって、睦菜を見上げる。股間に視線を向けてやると、慌てたように掛け湯をして、手で下を隠しながらおずおずと足を湯に入れた。
「あそこからだと、景色が良く見えるかな」
 睦菜にというよりは、他の入浴客にも聞こえるように独り言して、浴槽の隅へ移動した。背中を壁にもたせかけて、海岸を眺めながら、露天風呂のあちこちも観察する。
 新婚カップルとひと目で分かるのが三組。二人くっついていちゃいちゃしていたり、かしこまっていたり。月曜日だから一般の観光客は少ない。
 睦菜が僕の横に来て、左側にちょこんと並んだ。腕と腕とが触れ合うまで、身体を寄せてくる。
 僕と一緒なら、裸も羞ずかしくない――と、思っているかどうかまでは分からないが。羞恥に猥れたら、よりいっそうの羞恥に猥らすという僕の目論見には、もちろん気づいてはいない。
 とりあえずは周囲のカップルを見習って(?)、水面下で睦菜の肌に手を這わせる。太腿を撫で上げて、股間に指を差し挿れて――睦菜はわずかに身をこわばらせたが、すぐに弛緩して、指を動かしやすいように脚を開いた。たった一日で、ずいぶんと変わるものだ。
 睦菜の期待(?)には応えず、股間から指を抜いて、逆に睦菜の手首を握って、僕の股座に導いた。
 指先がペニスに触れた瞬間、空焚きしたヤカン(でもフライパンでもいいが)に触ったみたいに、反射的に手を引っ込める――のを無理矢理に引き戻して、右手も使って握らせた。
 温かい湯の中で、睦菜の手が滾るように熱い。たちまちに怒張が極限に達して、全体がドクンドクンと脈打つ。
 睦菜の指を摘まんで動かして、輪郭をなぞらせる。
 表情を盗み見ると、顔を赤く染めながら、水面下を見つめている。
 おっと……
 僕は睦菜の手を放した。睦菜も、慌てたように手を引っ込めた。
 睦菜の初心さに惑わされて、余計な悪戯をしてしまった。人前で平然と痴戯を仕掛けるような女に育てるつもりは無い。
 しばらく待ったが、怒張は治まりそうもなかった。
 ええい、ままよ。旅の恥は掻き捨て。僕は睦菜の手をつかんで立ち上がった。わざと洗い場のど真ん中に陣取って。
「背中を洗っておくれ」
 どうしても、ていねいな物言いになってしまう。癖にならないうちに、厳然たる命令口調に改めようとは思っているのだが。
 睦菜が、僕の後ろにまわった。手拭いに石鹸を泡立てて、僕の背中を撫でる。
「もっと力を入れて、ごしごし洗ってくれ」
 腕を突っ張って、肩から腰まで何度も手拭いを往復させる睦菜。二の腕を片方ずつ上げると、腋の下もちゃんと擦る。
 頃合いを見計らって、くるりと向き直った。
 いきり勃っている股間を見て、睦菜が反射的に顔をそむける。
「前も洗っておくれよ」
 睦菜は固まっている。
「きみの中に挿入(はい)る大切な部分だよ。綺麗にしておかないと、困るのはきみじゃないか」
 露骨な言葉に、睦菜の裸身が濃い桃色に染まった。顔からは火を噴いている。
 睦菜が、不意に立ち上がった。
「ごめんなさいっ……」
 手拭いを落として、両手で前をかばいながら脱衣場へ逃げて行った。
「お兄さん。彼女が可哀そうだわよ。まだ、子供じゃないの」
 三人連れらしい御姉さん(小母さんなどといっては、僕自身にはね返ってくる)のひとりが、たしなめるというよりは興味津々に声をかけてきた。
「女房の躾は、最初が肝心ですからね」
「あら、ま……」
 三人連れが顔を見合わせた。上司と若い部下の不倫旅行とでも思っていたのだろう。
「ふたまわりほども歳が離れていますからね。まあ、それに見合うだけの結納は先方に渡していますけど」
 金で買ったと、あからさまに言ってやった。御姉さん連は無言絶句。
 御姉さんたちのおかげ(?)で勃起も治まったので、僕も退場する。
 部屋へ戻ると、睦菜は壁に向かって座ってうなだれていた。肩を震わせている。これがふつうの見合い結婚だったら、スーツに着替えて荷物をまとめているかもしれない。しかし睦菜は浴衣姿のまま。尻にパンティの線も浮き出ていない。
 憐憫の情にほだされかけるが――ここが勝負どころだ。せっかく縮まった心理的距離が、あるいは以前よりもさらに開くかもしれないが、それは後で埋め合わせてやろう。
「亭主の言いつけも守らず、挙句に逃げ出すとはどういう料簡だ」
 きつい声で叱りつけてやった。
「……ごめんなさい」
 反論も言い訳もせずに謝るのは、力関係だけなのか、睦菜の気質もあずかっているのか。
「ハネムーンだからと、甘やかしたのがいけなかったな。きっちり躾けてやる。すっ裸になって、そこで四つん這いになれ」
 びくんと、大きく肩が震えた。けれど――素直に立ち上がって、僕に向き直った。化粧を落とした頬に涙の筋が美しい。
 僕に正面を向けて浴衣を脱ぐと、のろのろした動作で四つん這いになった。内心の葛藤が、手に取るように分かる。
 僕は踏込からスリッパを持ってきた。睦菜に見せつけながら、濡れ手拭いでスリッパの裏をぬぐって、右手に持った。
「…………」
 僕の意図を悟って、しかし睦菜は文句を言わない。顔をうつ向けて、涙を畳に落とした。
 僕は睦菜の横に片膝を突いて、左手で乳房をつかんだ。握りつぶすほど強くはないが、身体を逃げようとすると、それなりに痛いだろう。
 僕は右手のスリッパを振り上げて、睦菜の尻に叩きつけた。
 バシイン!
「きゃあっ……」
 甲高い悲鳴。睦菜も子供時分にはお尻ペンペンくらいされたことはあるだろうが、平手とスリッパとでは威力が違う。しかも、親の慈愛ではなく主人の嗜虐がこもっている。
 僕自身も、予想外の手応えに感心している。与える痛みは、鞭よりも小さいかもしれない。しかし鞭はしやなかなだけに、肉を打つ手応えが直接には伝わってこない。マゾ女を物差しで叩いたことはあるが、それとも違っていた。物差しは柔肉に食い込むが、打撃面の広いスリッパには、その『溜め』が無い。
 バシイン!
「いやあっ……ごめんなさい。赦してください」
 手応えのわりに、睦菜に与える苦痛は小さい。だから、ちゃんと言葉を喋れる。それでも初心者にはじゅうぶんな痛みだろうし、足で踏む道具で叩かれるという屈辱が加わる。
「反省しているのか?」
 言葉責めを愉しむ。
「はい。これからは、言いつけを守ります」
「その言葉がほんとうか、確かめてやる。あと八発だ。絶対に声を出すな。隣の客や女中に聞かれてみろ。躾のできていない嫁をもらった僕までが恥を掻く」
「…………」
 睦菜が、こくんとうなずいた。さっそくに、言いつけを守っている。
 僕はスリッパを睦菜の尻にあてがい、愛撫するようにこすりつけてから、大きく振りかぶって力いっぱいに叩きつけた。
 バッチイン!
「く……」
 呻くというよりも、たまらず漏らした息が声になったような音色だった。
 バッチイン! バッチイン! バッチイン!
 五発目を叩いてから、左手を伸ばして乳房を持ち替えた。それまでは左の尻を叩いていたのも、右に狙いを替えて――さらに五発。
 合計十発を叩き終えたときには、睦菜の尻はまっ赤に腫れていた。
「よく頑張ったね」
 尻から手をまわして、淫裂をくじってやった。
「あ……」
 不本意な陵辱に耐えている吐息だった。これを褒美だと思うようになるには、そんなに時を要さない。なんとなくだが、そう思った。実際、今でも――クリトリスに触れずに膣口をこねくるだけでも、かすかに濡れてきた。
「いい加減で夕食の頃合いだが。もしかすると、女中さんが気を利かしてくれているのかな。帳場へ行って、催促してきなさい」
 睦菜は恨めし気に僕を見つめてから、手形の付いた乳房とまっ赤な尻を浴衣に包んで、部屋から出て行った。女中が気づいているとほのめかされたのだから、独りで部屋から出るのは羞ずかしいだろう。これも、調教の一環だ。
 睦菜が戻って五分もすると、女中が膳を運んできた。ちらちらと、僕と睦菜を見比べながら膳を並べる。それに気づいて睦菜は部屋の隅で小さくなって羞恥の色を浮かべ、僕は平然と構えていた。
 床の間を背にして並べられた膳は、天婦羅を主体にした会席料理。人手不足なのかカップルに配慮しているのか、ご飯はおひつに入れて、付き出しから水菓子までが、大小三つの膳に分けて一度に並べられた。
 そうしてみると、料理は豪華だし、きちんと着付けているぶんにはノーブラノーパンも分からないし。女中に頼んで、料理を前にふたり並んでいるところを撮ってもらった。田中家へのアリバイ写真の意味合いもある。
 女中がいなくなってふたりきりの食事は、どうにも間が持たなかった。
 昨夜と同じように、睦菜は(ノーパンに浴衣一枚ではさもありなんだが)心ここにあらずといった態で、三分の一も口に運ばない。僕はといえば、やはり空戦を控えた戦闘機。もっとも、酒はほろ酔いするくらいには呑んだ。睦菜にも半分くらいのペースで半量くらいは酌をしてやった。飲酒経験の無い少女を、性欲は掻き立てられるが性感を損なわない程度に酔わせるのは、僕としても初めての体験だった。
 一時間近くかかって少量の食事を終えて。微妙に腹が重たい。睦菜は、酒のせいでぽわんとしている。
 時計を見ると、まだ七時半。
「腹ごなしにひと風呂浴びよう。手拭いだけでいいよ」
 手拭いひとつを肩に掛けて、部屋を出た。睦菜も手ぶらで、素直に着いてきた。酔いで足元がおぼつかないのか、しがみついてくる。心理的距離は申し分ない。
 今度は三分ほどで合流して。睦菜の手拭いを取り上げて左側に立たせ、右手を僕の腰にまわさせて肘で押さえ込む。左手は背後で腰のあたりへ軽くねじ上げた。睦菜は抗わない。乳房を僕の二の腕に押しつけて右半身(と、股間)を隠す。
 さすがに、突き放すような非情はせずに、湯船まで連行した。掛け湯は、もちろん別々。
 混浴露天風呂は、二時間半前よりも混んでいた。団体客らしいのが十人ばかりと、さっきの御姉さん三人組が、まさか流連でもないだろうが。優雅に盆を浮かべて酒を嗜んでいる老人も。
 悪戯は仕掛けず、小一時間ばかりおとなしく浸かって、睦菜の酔いを醒まさせた。
 そして部屋へ戻って。新婚の熱烈な一夜が始まる。寝間のほうには二組の布団が延べられているが、そちらは使わない。
 座敷の真ん中に置かれている座卓に座布団を並べる。睦菜を全裸で座卓の上に座らせた。スリッパの尻叩きが堪えているのだろう。怪訝そうな羞じらいを顔に浮かべたが、黙って言われたとおりにした。
 しかし、浴衣の帯を手に取ってしごくと、硬い声で拒絶した。
「縛ったりしなくても、逃げたりはしません」
「自分から股を開いて男を誘うような淫らな女は嫌いだ」
 睦菜がそうであるように決め付ける。
「そんなつもりは……」
「力ずくで男女の交わりを強いられて、心ならずも肉欲の快感に溺れてしまう――そういった女に、睦菜を仕込んでやるよ」
「…………」
 睦菜は、まだ何か言いたそうだったが、言葉を見つけられない。数秒の沈黙の後にかろうじてつぶやいた。
「厭です……」
 睦菜の意志は無視して、手足をつかんで三角座りにさせた。手首と足首とを片側ずつ帯でひとまとめに縛り、肘と膝も括り合わせる。
「暴れると落ちるぞ」
 声を掛けるまでもなく、睦菜はされるがままになっている。あお向けに転がして、膝から垂れている左右の帯を座卓の下でつなぎ、じゅうぶんに脚が開くまで引き絞った。追加の帯を首に巻いて、輪が喉を縊らないように結び留めてから、座卓をくぐらせて固定した。
 乾いた手拭いの真ん中に大きな結び瘤を付くって、口に突き付けた。睦菜は口を閉ざしてかぶりを振った。
「昨夜は、ずいぶんと善がっていたろう。旅館はホテルよりも壁が薄い」
「よがる……?」
「気持ち良すぎて夢中で叫ぶことだよ」
じゅうぶんに心当たりのある睦菜の顔が赤くなった。
「女中さんにも隣の客にも、淫らではしたない声を聞かせたいと睦菜が望むなら、一緒に恥を掻いてやってもいいけどね」
 結び瘤を唇に押し付けると、睦菜は恨めしげに僕を見上げながら口を開けた。結び瘤を咥えさせて、手拭いで頬を縊った。
「んん、んんん……」
 睦菜が天井を見上げて呻く。言いたいことは分かっている。
「昨夜は、シャンデリアに煌々と照らされながら処女を捧げてくれたじゃないか。今さら羞ずかしがるのは、おかしいよ」
 僕も浴衣を脱いで六尺褌一本になった。セカンドバッグを取り出して、昨夜は使わなかった小筆とピンクローターを座卓に並べた。
「きみも気持ち良くしてあげると約束したからね」
 小筆を手に取って、睦菜に見せつける。
「こういうので肌をくすぐったことがあるかな?」
睦菜は激しくかぶりを振った。つまりYESだ。昨日初めて知った敏感な突起への刺激と重ね合わせて快感の予感に戦慄したのだろう。
 その期待に応えてあげよう。両手に一本ずつ小筆を持って、穂先が触れるか触れないかくらいに乳首をくすぐった。
「んんんーっ!」
 甲高く鼻に抜ける、ほとんど嬌声の呻き。胸がびくんっと激しく震えた。
「くすぐったいかな。じきに、凄まじい快感に変わるからね」
 さわさわさわ、こちょこちょと――睦菜の反応をうかがいながら筆を動かす。
「んんっ……ん゙びい゙っ……んん、んんん……」
 辛抱強くくすぐっているうちに、胸の震えがうねりに変わり、呻き声が甘く蕩けていく。
 筆の動きを止めると、睦菜はもどかしそうに乳房を揺すった。
「これは知っているかな?」
 コードをつまんで、ピンクローターを顔の上にかざした。
 睦菜は訝しそうに見つめる。婦人雑誌でもエログッズは滅多に取り上げない――とは、菊枝から教わった知識だ。
 座卓にじかに置いてリモコンのスイッチを入れると――ガガガガガガと大きな音を立てて振動する。あらためてコードで吊り上げて。左手を睦菜の股間に這わせて大淫唇をくつろげ、クリトリスを掘り起こす。そして、ローターをそっと蕾の先端に触れさせた。
 瞬間、睦菜の腰が激しく跳ねた。ローターが弾き飛ばされる。
「じっとしていなさい」
 無理な注文とは分かっている。掌を上向けて親指で膣口をえぐった。会淫に掌を当てて、左手で腰を固定してやった。ローターも本体の端をつまんで、クリトリスにあてがった。
「ん゙びい゙い゙い゙っ……!」
 跳ねる腰を左手で押さえつけて、右手のローターはクリトリスを追う。
「ん゙ん゙ん゙……びい゙い゙っ……」
 続けるうちに、呻き声が甘く切迫していく。昨日まではクリトリス性感など知識としても持たなかった少女が、その絶頂に向けて追い込まれている。ローターの振動は、座卓でのデモンストレーション後は最弱あたりまで落としてある。強い刺激は苦痛だと、これも菊枝のアドバイスだった。
 しかし、ここまで追い上げれば、苦痛も快感に溶け込んでいくのではないだろうか。左手を睦菜の腰から放して、リモコンのスライドを押し上げた。
「ああっ……ああああ!」
 ソプラノの悲鳴が手拭いの猿轡を突き抜けた。苦痛の絶叫とは違うと――女を絶頂まで導いた経験に乏しい僕にも、はっきりと分かった。平凡なセックスではあまり快感を与えない方針だが、緊縛しているのだから矛盾は無い。鞭の痛みを悦虐に昇華させるのは、緊縛イコール快感の条件反射が出来上がってからだ。
 睦菜は激しく腰を突き上げる。開脚して座卓に磔けられた裸身が、背中を支