小説家になっていますけど

 2022年5月26日に「ノクターンノベルス」に特別書き下ろし小説の連載を始めました。のは、トップページで告知済みですが。
 6月26日に『06:パンツが体操服』を掲載したところ、このブログへの訪問者が2割程度増えました。
 最近は訪問者が微増傾向にはあったのですが、これはFC2のアダルト規制でブログが激減した影響だろうと思っていました。しかし、6月26日は偶然とも思えません。
 ので。《ネット上では18歳以上》の読者を勧誘するべく、「小説家になろう」の方にも投稿してみました。いちおうR15指定です。

 R15版:成層圏の飛燕~海女翔けるとき
 製品版のR18部分を【xxx文字削除】と表記したものです。DLsiteとFANZAで公開している体験版よりも削除マシマシです。

成層圏の飛燕:パッケージ画像

 これでブログへの来訪者が増えるか田舎。
 田舎であっても、下記タイトルは順次上げていく予定です。


 ・火竜ザラマンダーと駆けたアクメの空 R15版
 ・The Nightmare Rift (notissue edition) :戦闘詳報で公開中
 ・悲剣肌風「発動編」 R15版


右カラムの「リンク L I N K りんく」にも「ノクターン」と「なろう」のリンクがありますので、よろしければお越しください。
 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:昭和集団羞辱史:物売編(夜)

 今回は取っ掛かりが、いつもと違いました。
 マゾ堕ちにしてもハッピーエンドにしても、ドラスチックな終わり方ではあります。ドラスチックでなければドラマチックではないと思いはしますけれど。たまには、平凡エンド、のんべんだらりエンドも面白いかなと。実はドラスチックなエンディングを考え出せなかったという、それはあったりなかったりしますしません。

 戦闘詳報でも書きましたが、小説を書いてないと手持ち豚さんなのです。

 取っ掛かり云々は、暇とは関係ありません。
 今回は、何を書くかで最後まで迷いまして。

『An Amateur Assasine Arrested and Abused』は、PLOT出来てるけど、拷問オンパレードが『濡墨』と同工異曲で、意欲がイマイチ。
『XXYの悲劇』は気分じゃないし。
『スケバン有情』は、まだ膨らむように思うし(それで千枚とかなったら、どうすんだよ?)。
『十手小町淫乱変化』は『濡墨』と時代劇かぶりだし。
『昭和集団羞辱史:番外編』書くよりは、「物売編(昼)」とペアになる「物売編(夜)」が先だろうが。

 ということで、そうしたのですが。
 執筆間隔調整というか、モチベアップの儀式というか。今回は、先にBFから手掛けたのです。
 「秘写真」売りは、構図的にイマニくらい。全裸緊縛少女の横に同じ構図の写真が散らばってるなんて、芸が無い。
 しかし「花売娘」売りは、適当な参考写真が見当たりません。エロい格好をした娘が花籠抱えて紳士にまとわりついているとか。出来れば、ブラウス無しのアンミラ風。まあ、前が大きく開いたチョッキから乳房がぽろんなんて、アンミラよりはるか昔からありました。筆者の中学時代の体育祭の女子応援団の手作り制服が、それでした。もちろん、下は体操服着用ですが。
 高校時代は、男子の制服で男子応援団の振り付け。あのガクランは誰のを借りてるんだろ、どういう関係なんだろ、裸ガクランだったら素敵だなと、嫉妬も妄想竹も……こほん。Midship!
 で、太思いついて。アップスカート立ち姿に花束を絡ませて。ついでに……

集団羞辱物売編(夜)紹介図
 股間の花は椿です。最初は薔薇でしたが、なんたって マンコ椿は恋の花♪ですからね。


では、PLOTを一揆加勢に。


1965年(昭和40年)
証券不況は個人消費には関係ない

秘写真

大竹和子/私
大竹昭大(あきひろ)/俺
 昭和元年産れ
 昭和22年に復員後結婚

1:父を尋ねて
土曜日の夕刻。盛り場を徘徊。職務質問
もう社会人です。山菱電機の工場に、この春から。
2年前の正月の家族写真からの引き伸ばし。
父が同じ工場へ出稼ぎ。消息不明。
「こいつ、エロ写真……むにゃむにゃ」
渋る警官に案内してもらう。
取り繕ってもしょうがないので商売中を。
取り落とす見本写真。
元締に娘を見せたくない。深夜喫茶。いかがわしい光景。奥のボックス席へ。
出稼仲間の借金の連帯保証人。30万円。和子の給料の2年分。利子もある。
稼いでも借金が減らない。他のヤツと同じ写真では売れ行き悪い。
月の売上は和子の給料の5倍くらい。取分は、その1/3。
そうだ。和子がモデルになってくれ。

2:父を助けて
日曜日の午後。元締の手配でヌード撮影。父は外へ連れ出される。
元締の二代目(マネージャーと呼べ)が仕切る。最初から執着?
おとなしい(?)もろ出し。顔がひきつる。
設定変更。実は最初から目論む。
3対1の疑似レイフ゜。とは教えずに。
服を引きちぎってパンティ猿轡。2人で押さえ付け股間に勃起を突き付ける。ところまで。
「迫真の組写真ができる」
モデル料が2万円。手渡す。大卒初任給並み。半分は父親の借金。取り上げる。
他の奴にも売らせる。
話が違う。
独り占めしたら、恨まれるぞ。

3:父と一緒に
翌週の土曜日、夜。
工場へは父も挨拶を入れてある。
5枚組で1500円は従来の5割増。
父が酔客に売り付ける横で顔見世だけのはずが。
売春は父親もさすがに。モデルの証明にマン見せ。裏にサイン。マン拓(+500円)。
巡回に見咎められるが、路地裏なら目こぼし。土日で大商い。10セット×2日。
取分1万円のうち8千円を返済へ。マン拓分(6千円)はポッケに。
計算上1年半で完済?

4:父への失望
2か月後。売上落ちる。マン拓はサービスに。もっと過激な写真。処女喪失もの。
二代目がたしなめる。同じ商品を細く長く。タカマチとか。しかし、OKする。
夏休みの帰省は和子だけ。父は完済まで行方不明のまま。
別に身売りではない。撮影のときだけ。
今時、処女じゃないと嫁に行けないなんてナンセンス。学生運動、スエーデン。
憧れてた同級生、農業学校。盆踊りデート。子供っぽく見える。片想いの終わり。

5:父の目前で
8月下旬。撮影。レイフ゜の続き。より過激に。今度は父に見せつける。二代目の意向。
パンティ猿轡、後ろ手錠。二代目が一番槍。二番槍は疑似。
8ミリで撮影も。別ルートで売りさばく。モデル料は5万円。4万円を返済。
10枚組で2千円。マン拓はサービス。1か月で売り上げ低迷。
またぞろ、新商品を父親が提案。「えすえむ」とか。
二代目が和子を堂々とデートに誘う。おまえの親父は、どうしようもない。
今度の写真でも、サツがうるさい。スケープゴートが必要(さり気なく)。
バシタになれ。
後で聞いた父親は難色。しょせんはヤクザ。自分のことは on the shelf。

6:父との離別
9月中旬。摘発。
猥褻物頒布罪等(2年以下の懲役)
懲役1年6か月。執行猶予無し。敢えて面会しない。会えば甘えが出る(と、二代目)。
和子は被害者扱いで実家へ帰される。二代目が母親に談判で。結婚。
出所した父を家族3人で出迎え。


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花売娘

佐島華代(はなよ)/あたし
 中3の夏。元大地主現農協理事長の息子と。彼の仲間5人とも。
 サセ子の噂。就職斡旋もしてもらえない。
 卒業と同時に多恵を頼って。事前相談をして、断わられている。
宇佐美多恵:35(終戦時15)/うち[ら]
佐島家との確執。満州から引き揚げ。ロシア兵接待で故郷に居づらくなって都会へ。

1:不安な前途
花屋『椿姫』の前に立つ華代。裏通りの小さなビルに挟まれた2階建。
始発で出て、昼過ぎに着。店は閉まっている。うろうろしてると、多恵が出てくる。
ここで働きたい。
正月に多恵が故郷錦。
夜の神社で飲み屋の看板娘を口説いているのを立ち聞き。
「あたしを雇ってください」
「子供にはできない仕事」
自分のふしだらな評判のせいだと思い込む。
押し掛け。
2階の住居で。
懸命のアピール。

2:過激な過ち
ここでカットバック。
夏休み。農協理事長の息子に誘われて3カップルで海へ。
1泊2日。保護者として先輩の姉は、ナンパ受け。
「遊びだけど、いいね?」
夜に華代だけ結ばれる。ワンピ。海で全裸。
後日のデート。弟妹への土産、持ちきれずにアップスカート。
ついでに、ダウンパンティ。海の2人に見せびらかす。
その夜、1対3。全員と。
秋祭り。先輩の準備してくれた浴衣。姉の着付け。透けて、下着無し。
3カップル+男3人。この3人とも。
学校でもノーブラ基本。パンティは先輩プレゼント。月イチ帰省でやり目デート。
サセ子の噂。
正月に先輩がクラスメートを伴って。振られる。
就職斡旋は、してもらえない。学校の評判を落とす。

3:花売の裏側
「あんたも、ずいぶんね。あいつの娘がねえ」
「父を知ってるんですか」には答えず。
実際の商売を見せてあげる。
陽が落ちてから出勤してくる売娘。5人。
25~32。けばい。私服だがピンクのスカーフが目印。
この街にトルコやちょんの間はない。ピンサロのフェラまで。立ちんぼは多数。
ルックスと年齢厳選で、椿姫がダントツ。
多恵に案内されて、物陰から見学。
何軒かとは契約してるが、路上のを。
小さな公園が溜り場。5人は互いに見える距離。せいぜい3人連れまで。微酔い止まり。
その場で人数合わせして同数の売子で。商談成立したらカップルごとに分かれる。
その後については口頭説明。
「やれるなら、雇ってあげる」
花束は200円。取分は50円。
椿はホ別ショート千円。取分は700円。泊まりはホ別2500円/2千円。
ホは休憩800円、泊1500円。
※「ホ別」は使っちゃあかんよ。
「へえ、椿?」
「オペラで椿姫ってのがあるでしょ。女主人公は高級娼婦なの」
土方の日給が1000円。立ちんぼより高い。
立ちんぼは、40~50代が多い。
若くて美女は、大都会へ。
現代より売春は安い。

4:マンコ椿は
先輩とペアで。大人っぽいメイク。
若すぎると敬遠される。先輩はOK。他グループのひとりを入れる。あぶれ同士のペア。
4回目で商談成立。重度ロリコン。優しいから、いいけど。結局、そのひとりだけ。
翌日は坊主。
あれこれ考えて。表紙絵を実行(パンツダウンは膝上で絆創膏)。
長めのスカートだからパンツも見えない。
多恵も先輩も呆れる。
どうせならと、多恵のアイデアでマンコ椿。ノーパン。
まだ、意地悪モード。
「まあ、やってみな」
路上は公然猥褻、飲み屋は雑然。バーで。
「花束が持ち運びにくいなら椿一輪を買ってください」アップスカート。
注:「アンコ椿は恋の花」1964/10
その日は3軒で3人。ひとり客2+3人のうちのひとり。

5:斬新な衣装
「マンコ椿の子」で定着。ナンバーワン。
他の売子もコスチュームに工夫。
総勢8人中3人。比較的若い子。
すっぽんぽんにレインコート。
洋風花売娘。ノーブラ、チョッキで下乳を支える。要するにアンミラ。
10年前のセーラー服。胸当てなしでスカートはミニ(股下から膝までの半分)。
 ミニスカートは、ツイッギー以前からロンドンなどで流行っていた。
年輩からの反感も。あくまで売子、客とは一目惚れの自由恋愛。
「若い子って、奔放ね」で、深刻な対立にはならない。
ともかく、順調に8月。帰省はしないでボーナスの名目で仕送り。

6:縄張の書換
「出てけ。売るわけないわよ」
説明。他県から進出のヤクザ。
地元の親分は満州帰りのつながりで娘同然愛人関係。
上部のアレコレで、この街はあっちのシマに。
土地と建物を買い上げて、多恵は雇われマダムにしてやる。
女の子の取分は75%→33%
冗談じゃない。
風紀粛清の腕章を付けた組員の営業妨害。
店も、いざこざはお断わりで出禁。
一時金を渡して、女の子は解雇(雇用はしてないけど)。
華代は引き続き住まわせて本業(?)の手伝い。花輪などは他店の既得権。

7:肉体的説得
店舗営業は閑古鳥変わらず。
地味な服装でピンクスカーフ無し花売り娘。1晩に3つでは売上額で日当いかない)。
店に帰ると、ヤクザ来ている。
目の前で多恵をまわす。
「うちら、露助を一晩20人だって相手してるんだ。これくらい屁の河童だい」
ならばと、華代を吊るして引ん剝いて。
「うちには関係無い。故郷で虐めてくれた先棒担ぎの娘」
「そうかい」
多恵はイスに縛り付けて。
バンドで全身20発くらい。
「権利書を渡しちゃ駄目。これくらい平気」
左右から脚を引っ張って開かせて、打ち込み。
権利書を渡す。必要な書類に署名捺印。


8:売春労働者
売子10人。前の8人のうち4人と華代。新人(すべて20代)5人は半強制。
制服。ブラウス無しで乳出しチョッキ、サーキュラースカート。
新人のうち2人と華代が、マンコ椿3人娘。
実は……店舗が再開発に引っ掛かる。ごねて補償を釣り上げ。売上を証拠に。
連れ込み宿も直営で、総額は
ショート千円+5百円、泊3千円+千円。
手取は33%どころか25%。
チップも身体検査。取分は50%
ただし会社員扱い。健康保険証と住民票と。
逃亡防止の寮は無料。組員のただ乗り。
金曜日と生理4日間が休み。
ショートは3回転がノルマ。
女工よりすこしはましな生活。
しかし、病気とかしたときは安心。
そんなに悪くない。
工場とかでも、事務部門など。流通に係わる人間も。
小売価格で考えると、女工の給料は1割かそこら。
それを考えれば、25%でも悪くはない?
貧乏くじはお姉さんだけ。


DLsite Affiliate キーワードは「花売」






お気に入りの写真(芸当1)

 この方面での芸当というと、常識的なところではストリップ・ショーでしょーか。駄洒落。
 しかし、あまりにまとも過ぎます。
 SM小説としては、なんといっても「見せるが乗せない花電車」ですね。偏見と独断。
 習字/バナナ切り/産卵/ラッパ吹き/吹き矢/火炎放射器(!)
 最初の三つは膣圧を使ったもの。産卵がいちばん難しいでしょうか。
 後の三つは、いわゆるマンペ(チナラ)の応用ですね。これは相当な訓練が必要です。
 素人でもすぐにできるのが牽引車(『ママと歩む Slave Road』参照)。濠門長恭作品では膣で曳くなんてことはせずに、クリ縛りで曳かせます。訓練は必要ありませんが、追い鞭が必要な場合もあります。


花電車芸
火炎放射器の画像は「ファイヤー・ヨーコ」さんのHPから拝借しています。



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 つぎに面白いのが、犬芸ですね。
 「伏せ」「お座り」「チンチン」「待て」「よし」「取って来い」などなど。
 牝犬専用のコマンドに「マンマン」「クパア」「ゴロン」「ヘコヘコ」などもあります。汎用コマンドでも「メスワリ」とか「チンチンペロペロ」と応用も利きます。
 個人的にツボるのが、クラシックの全裸演奏です。白眉はバイオリンです。昔々のSM小説で、イラストは笠間しろう氏だったか。いろんな肌のいろんな背丈の女をずらっと並べて、淫毛は同じ形に揃えさせて――というのを読んだ記憶があります。
 ポールダンスも素晴らしいです。右の画像なんて、あなた、公共放送でオンエアされたんですよ。自動ポルノだとか咽喉だとかかまびすしいですが、この国もまだまだ捨てたものじゃありません。
 ていうか。こんなブログ、お隣の大陸国家でやらかそうものなら良くて強制収容所、下手すりゃ対空機関砲で銃殺です。おっと、これは38度線以北か。
 政治ネタはウルトラ・ギャラクティカ・マグナム・コークスクリュー・キイイイック!


 芸術香るバレエなど如何でしょう。
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 いやあ。筆者のバレエの知識ときたら、クラシック・チュチュのほうがモダン・チュチュよりエロい。アルマジロはアラベスクを踊れない。この二つしかなかったのですから。ヌードダンサーに本格バレエ(の入門編)を躍らせるなんて、だいそれたことをしたものです。


 もっと簡単な芸としては、逆立ちがあります。
 全裸デフォルトの筆者も、これだけはスカート推薦ですね。もちろん、ノーパンで。
 スカートで逆立ちの古典的なシーンは、少年漫画の『愛と誠』ですね。ヒロインの早乙女愛が誠(男の名字なんか忘れた)にセーラー服で逆立ちしろと無理難題を押しつけられて――スパッと実行。スパッツなんて駄洒落は言いません。膝でぴったりスカートを押さえて、パンツは見せない。当時の少年漫画の限界ですな。それを破った永井豪極大大明神大権現はエロい。いや、エライ。


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 こほん。平常運転に戻って。
 こちらは、ヒロインに芸を仕込む必要はありません。おとなしく悲鳴をあげるか喘いでいれば、それでOK。
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 最後は。これは「芸当」なのか「特訓・シゴキ」なのか「懲罰」なのか曖昧ですが。
 全裸ブリッジに鞭とかバイブとかコチョコチョをトッピングしたものです。これも筆者の大好物です。


SM_開脚ブリッジ鞭甘受

テーマ : 今夜のおかず
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:濡衣を着せられた娘

 脱稿しました。きっちり400枚。校訂して数枚は上下するでしょう。

濡墨構図
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最終幕 処刑場

 文政八年。筋彫お蝶が世を騒がせた寛政五年から下ること三十一年。処刑を前に病死したはずの筋彫お蝶が、突如として城下奉行所に自訴して出た。
 誰もが、かの者を狂女と決めつけたのだが。諸肌脱いだ背中には、調書(しらべがき)と寸分違わぬ蝶と楓と糸の筋彫があった。しかも、腰巻まで取ると。世人は知らず調書にのみ記されている揚羽蝶の文様までも鮮やかに。
 いったいにどうしたものかと奉行所は上を下への大騒動。これを抑えて冷静に仕切ったのは、先代吟味方惣与力、残谷郷門の四十九日が明けて跡を嗣いだばかりの強門(つよかど)だった。
 そもそも、千代の自訴の段取を付けたのが強門だった。
 元服してから五年ほどの間、強門は拷問の要諦を父から文字通り身体に敲き込まれている。筋彫お蝶の濡衣ならぬ濡墨を入れられた年増女の目の前で。
 お蝶を甚振の稽古台に使ったこともあったし、そもそも強門に男女の営みの手解きをしたのもお蝶だった。
 しかし。父の魔羅では悶え狂うお蝶も、強門にはどのように弄ばれようとも歔欷の声ひとつ上げなかった。拷問にしても然り。歯を食い縛って耐えるのみで、ついぞ音を上げた験が無かった。
 お蝶が父に責められる場面は、一度しか見ていない。
「この女は尋常一様ではない。されど、邪教の狂信者などは、しばしばこのようになる」
 そのときの参考にせよと念押されて……生涯忘れることがないだろう、凄まじい光景であった。
 それはともかくとして。
 素裸で市中引回のうえ磔刑。それがお蝶の心底からの憧れであり、父の(母も知らぬ)遺言でもあった。
 無論、そのような真実はおくびにも出さず。
 牢の掛医師まで抱き込んでの計略を見抜けず、病死であれば致し方無しとして獄門晒にも掛けず筋彫お蝶の遺骸を投込寺に捨てさせたのは父の手落であった。当時の医師も鬼籍に入り、今の牢掛医師は別門の人物であれば罪の遡及も叶わぬ。父の無念を些かでも雪ぐには、前例の無い秋霜苛烈な処刑であるべし。
 強門の強硬な主張には城代家老も折れざるを得なかった。筋彫お蝶に絡めて貫目屋を闕所にした際の裏の裏まで、残谷郷門ひいては強門が知悉しているからであり、貫目屋からの金煎餅を一件の始末に投じたのも郷門だけだったからである。
 牢破りの詳細とか、三十年もの間どこに身を隠していたかなどは、ほとんど追求されなかった。昔のことをほじくり返しても、墓に鞭打つ結果になるだけであろうし、経緯を詮索すれば、さらに罪人を作るだけである。
 奉行所としては、三十年遅れて刑を執行するだけという名分を貫くのが、もっとも波風立てぬやり方ではあろう。
 こうして、筋彫お蝶の死出の花道は整えられたのだった。

 筋彫お蝶が自訴して出て旬日を経ずして、刑は執行された。
 定法通りに縛っては背中の刺青が見えにくい。庶民に、この女が紛れも無く筋彫お蝶であると知らしめるため、首の後ろに渡した径七寸の丸太に両手を広げて縛り付けた。五日間を牢で過ごしたというのに、腋窩はつるつるで一本の毛も無いことに、お蝶を縛した小役人は驚いていたが。
 腰巻を剥ぎ取ってみれば、こちらも無毛。かつてハナが丹精した結果だ。
 しかし、揚羽蝶は花畠の中を舞っているように見えた。というのも、下腹部から太腿にかけて、無数の傷痕がちりばめられていたからだった。
 傷痕は、脇腹から乳房にかけても夥しい。ただ、背中と内腿だけは、刺青を損なわぬように配慮されていた。もっとも、揚羽蝶の胴にあたる淫唇はその限りではない。というより、喧嘩で敗れた雄鶏の鶏冠のように綻び傷付いていた。
「こ、これは如何に……」
「へっ。三十年前、先代の惣与力の旦那に、さんざん痛め付けられたからねえ」
 訝しがる小役人に、ふてぶてしく答えるお蝶。三十年前の古傷か、せいぜい一年前の傷痕かを見分けられるのは、金創医か吟味方の古株くらいであろう。古株は、惣与力の足を掬うようなことを言う筈も無い。
 牢屋敷を抜けて、城下奉行所の不浄門から外へ引き出される。
 高札は前日に立てられたというのに、道は人で埋まっていた。それを六尺棒で押し戻して保たれている小さな場所に、検視の役人と下人が三人。
「筋彫お蝶こと、貫目屋喜平が娘、千代。癸丑(みずのとうし)に四件の押込を働き、御縄になり死罪申し付けられしに破牢せしものなり。このたび自訴いたしたること真に神妙なれど、その罪軽からず減刑には及ばず。よって本日、市中引回のうえ磔獄門に処するもの也」
 みずから検視役を願い出た残谷強門が、音吐朗々と御仕置書を読み終えると。二人の下人が千代の裸身を抱え上げて裸馬に乗せた。余計な丸太を背負っているから釣合の勝手は違うは、丸太が邪魔になるはで、すくなからずもたついたのだが。おかげで野次馬どもは、筋彫の紋白蝶だけでなく極彩色揚羽の御開帳まで、たっぷりと見物出来た。
 城下町を隅から隅まで引き回される間、千代は馬上で陶然と目を閉じていた。この世の見納めなど、している暇は無い。馬の背にかぶせられた筵が淫唇をチクチクと刺激して、馬の歩みがそれを倍加する。今生最後の愛撫だった。
 大木戸をくぐって街の外へ出て。お蝶は馬から降ろされた。刑場までの半里は、おのれの足で歩かされる。これが、全裸に続く秋霜苛烈の二つ目だった。
 奉行所前の出立を見ていない野次馬は、ここで初めて太腿の揚羽蝶に気づく。
「うへえ、こりゃまた」
「筋彫の二つ名は返上しなくちゃならねえな」
「しかし、まあ……ぎりぎりってとこだね」
「なんだよ、そのぎりぎりというのは」
「考えてもみろよ。しわくちゃの婆が刺青じゃあ、興醒めもいいとこだ。ところが、どうだ。五十と聞いちゃいるが、姥桜のちょい手前。まだまだ見応えがあるじゃねえか」
「そう言やそうだ。そんなに乳も垂れちゃいないし、尻だってまん丸だな」
 女は灰になるまで女だと喝破したのは、大岡越前守忠助の御母堂であったが。千代がせいぜい四十を出るや出ずの肢体を保っているのは、これは郷門の丹精の結果ではあっただろう。前の甚振の傷が乾けばすぐに次の甚振。そのときの郷門は、決まって越中褌ひとつであった。甚振の最中か直後かには、必ず三穴のいずれかを貫いた。女は、女として使われることで、女を保ち続けるのである。
 しかし、それにしても。死の床に就く直前、古希の歳まで男であり続けた郷門も、たいしたものではあったが。話を、今に戻そう。
「歩きませい」
 びしり。六尺棒に尻を敲かれて、お蝶は蹌踉と歩み始める。
 大勢の見知らぬ人たちにまで素裸を見られている。首から下は無毛の裸身に蝶の入墨を纏わり付かせて。有るべきものが無く、無い筈のものが有る。その倒錯を思うと、早くも薄桃色の靄が微かに千代を包み始める。
 歩みが滞るごとに六尺棒で尻を敲かれるのも心地好い。
 一刻ちかくを掛けて刑場に到着したとき、お蝶の股間はしとどに濡れていた。遠目にも、それが失禁でないことくらいは分かる。いったいに、これはどういうことなのかと首を傾げる野次馬も少なくないが、しかし、裸を見られて興奮する女がいることくらいは知らぬでもない。さすがは筋彫お蝶、土壇場に臨んでも淫乱至極。三十年のうちには、諸肌脱ぎの急ぎ働きに尾鰭が付いて、さまざまな伝説と化していた。手下の三人が総掛かりとか。それはそれで、内実は真反対でも、その通りでもあるのだが。
 千代は野次馬の声など聞いていない。薄桃色の雲を踏んで最後の道を進み。縄を解かれて磔柱の上に身を横たえる。手足を大の字に展げられて横木に確りと縛り付けられ、肩から脇の下にも斜め十文字に縄を掛けられて腰も柱に固縛された。
 いよいよ、磔柱が押し立てられる。
 処刑掛の下人が二人、槍を構えてお蝶と向かい合う。検視役の残谷強門が、斜め正面に立って。
「筋彫お蝶、何か申し残すことは無いか」
 作法通りに声を掛けた、そのとき。
 お蝶は目を見開き天に向かって、歌うように叫んだ。
「みそとせの、せめらくもつき、あとにゆく……ほとぬれそぼち、やりをまちわぶううう」
 辞世の句、であった。
 さらに一度、繰り返す。
 わああああっと、竹矢来の向こうから歓声が湧いた。直ちには意味を解せぬ者も多かったが、そんなことはどうでもよい。如何にも強かな女賊らしく、死に臨んで音吐朗々と辞世の句を詠んだ。それでじゅうぶんなのであった。
 検視役の強門だけは、物心ついてこの方、お蝶が拷問蔵に囚われていることを知っていたし、元服してからは先に述べた通りの深い仲といえば仲であってみれば。辞世の句の意味は、取り違えようもなかった。
 強門は深く頷いてから、下人に向かって短く指図を下す。
「やれ」
 ぎゃりん。お蝶の目の前で槍が交差されて。引かれた槍が、左右からお蝶の脇腹を突き刺した。
 ぶしゅ……
「いぎゃああああっ……」
 お蝶が苦悶を絶叫した。
「ありゃありゃありゃ」
 穂先を腹中に留めたまま、ぐりぐりと槍が捻じられる。
「ぐああああ……あああっ……いいいいいい」
 絶叫の音色が妖しく変じたのが、野次馬にも聞き取れた。
 下人が槍を押し上げると、音も無く穂先が肩口に突き抜けた。
 槍が引き抜かれ、すぐにまた脇腹を差した。
「うああああ……さとかどさまああああ」
「それまで」
 強門が大音声でお蝶の叫びを掻き消した。
「止めの槍は、我が手でくれてやる」
 お蝶が感極まって余計なことを口走ってくれては拙いという思いと。意識が確かなうちに女淫を槍で貫いてやろうという、悦虐の千代にとってはむしろ温情と。
 小役人が差し出す新たな槍を脇に掻い込んで、強門がお蝶の正面に立った。
 お蝶は陶酔から醒めた目で強門を見下ろして。目は口よりも多くを語るのであるが、生まれ落ちてすぐに残谷家の養子となった強門は、それをどのように受け止めたのであろうか。
 強門が槍を構えて、お蝶の股間を見上げる。
「参る」
 短く言ったのは、剣術の稽古で身に着いた習い性ではあったろう。
 ずぶしゅっ……
 槍は吸い込まれるように女淫を貫いた。
「あ゙あ゙あ゙っ……い゙い゙、い゙い゙い゙い゙……い゙い゙い゙い゙」
 長々と雌叫びを放って。がくりとお蝶の頭が垂れた。
 それを見留めて、強門は槍を突き上げて喉まで貫いた。

 御定法通りに、お蝶の首は斬り落とされて獄門台に載せられ、骸は磔柱に掛けられたまま野晒にされた。お蝶の係累は既に亡く、白骨はそのまま捨て去られたのだが。強門の手によって、お蝶の喉仏の骨だけは、残谷家累代の墓の脇にひっそりと埋められたのであった。

三十年の責め楽も尽き後に逝く
      女淫濡れそぼち 槍を待ちわぶ
            筋彫お蝶こと千代 享年五十

          [ 完 ]

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 最後の最後で衝撃の新事実が明かされましたね。筆者も「まさか」でした。
 これくらい、読者諸氏におかれましても読み取れますよね?
 作者の意識としては「暗示」ではなく「明示」も同然なのですが。ラノベ慣れしてると、どうなんでしょうか。


 閑話働題というんですかしら。「休」の反対語は「働」らしいので。
 6/20,21は個人的連休ですので。ここで、BFもPDFもepubも仕上げて。7/15リリースで各販売サイトにぶっ込んで。最近の流れですと、即座に自作に着手でしたが。
 ちょい、インターバルを取りましょう。まさか紙飛行機の新作まではしないでしょうが、クリア回数ン十回のヤリコミゲーをまたぞろ「弱くてニューゲーム」するか。そのあいだに自作の構想を航走して、二つくらいが抗争するかもしれませんが、気分一新で好走といきたいものです。

DLSite affiliate キーワードは「磔 処刑」

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 4:濡衣を着せられた娘

 いよいよ、第三幕に突入。
 第二幕より拷問の種類は多いですが、ストーリイはすでに語られ尽くして。あとは、ひたすら責めシーンの連続。SM小説を書く醍醐味ではありますが。
 短めなので、第三幕の冒頭から、昨日書いたところまでを一挙公開。

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第三幕 拷問蔵

 千代の処刑まで三日を残すだけとなった、その日。残谷郷門は城下奉行から火急の呼び出しを受けた。
「間に合ったか」
 郷門は不敵につぶやいて、直ちに奉行の許へ参じた。
「これを見よ」
 奉行が格式張って郷門に手渡した書状は、隣国の家老から当家の城代家老へ宛てた公文書の写しだった。郷門は作法通りに書状を展げて、一瞥しただけで思っていた通りの内容であると知った。が、畏まって隅から隅まで目を通してはおく。
 横っ飛びの銀次と称する破落戸が商家に押し入って、直ちに捕縛され、吟味の末に余罪を白状した経緯が記されていた。人相風体から目を逸らさせようとして、諸肌脱ぎに墨で刺青を模した紋様を描いての急ぎ働きではあったが、間抜けなことに丁稚に逃げられ、もたついているうちに捕方に囲まれて捕まった。こうなると、目晦ましもへったくれもあったものではない。
 吟味が進むうちに、他国での同様の犯行を密告する者があり(とは、書状に記されていなかったが)、さらに厳しく追及したところ、筋彫お蝶の一件を白状するに至った。
国境を越えての凶行なれば貴国に御報せすると倶に御公儀にも届出たる次第
右御承知置き願い度
「実に容易ならざる仕儀じゃ」
 三井が頭を抱えるのは、事が御公儀にまで達したという、そのことだった。
 銀次の自白にようと、筋彫お蝶には刺青など無く、刺青を模した肉襦袢を着込んでの所業である。千代の申し立てとぴたり一致する。即ち、千代は無罪。しかし、すでに死罪の沙汰を下してしまった。取り消そうものなら、御上の権威に係わる。とはいえ死罪を強行すれば、隣国からの報せを蔑(ないがし)ろにしただけならともかく、万一にも御公儀から照会があったときに申し開きのし様も無くなる。
「処刑を繰り延べれば宜しいかと」
 郷門は、あっさりと言ってのけた。
「さいわい、処刑の期日は公にされておりませぬ」
「じゃが、裁きを下してから一月を越えて処刑しなかった先例が無い」
「そこで、この書状が役に立つのでござる。筋彫お蝶一味が奪った金は三百五十余両。しかるに、銀次どもは捕らえられたときに、三人併せて五両しか持っておらなんだと書かれております。これは、お蝶が独り占めしたと考えるべきでしょう。ならば、金をどこに隠したか、是非にも白状させて取り返し、盗まれた者に返してやるのが、御政道に携わる者の務めではありましょう」
「ふむ……」
 三井はしばし考える。貫目屋は娘への連座ではなく別途に処分されたのだから、もはや千代を是非にも処刑する名分は失せた。後は、御家大事、我身大事だけ。
「本物のお蝶が他国で捕らわれたときは、どうする。辻褄が合わなくなるぞ」
「千代を生かしておけば、何とでも取り返しがつきましょう。すくなくとも、無実の者を処刑したよりは、御政道に付く傷も瑕瑾に留まります」
 楓が捕らえられる懸念など微塵も無いとは、手の内を明かさぬ郷門だった。楓が死んでいると三井が知れば、死人に口無しとばかりに処刑を強行しかねないと読んでいる。
 一旦は諦めたものの、うまうまと掌中に転がり込んだ、いや実のところは扇之介や街道の親分筋に借を作ってまで強引に転げ込ませた珠。砕かれては、たまったものではない。
「しかし、いつまでも牢に留め置くのも拙い。ことに、吟味もせず無駄飯を食わせておくなど、いずれは外にも聞こえよう」
「あの娘は、数々の拷問にも屈しなかった強か者。斯くなる上は、拙者が身柄を預かって、弾正一流の拷問で厳しく責めて白状させる。という筋書は如何でござろうか」
「その方で預かる、とな……」
 三井とて阿呆でもなければ耳が聞こえぬでもない。残谷の嗜癖も些かは知っている。しかし、厄介事がおのれの管掌から消えてくれれば、それで良い。いざとなれば、こやつに腹を切らせれば済む。
「よかろう。お主に任せる」
 こうして、千代の運命はまたしても大きく捻じ曲げられたのだった。


 第一場 盗金所在

 吟味を受けていた者も牢へ戻され、囚人どもは夕食までの退屈な時をもて余すだけという刻限になって。
「筋彫お蝶こと千代。牢替えじゃ」
 不意のことに、女囚どもがざわめく。いよいよ明日にでも処刑の運びとなって、最後の一夜くらいは静かに過ごさせてやろうというのか。前例の無いことだったが、そうとしか考えられない。
 着た切り雀の黄八丈の上から縄打たれて、牢屋敷の中を引き回され、ついには裏庭へと連れ出された。そこには役人の姿は見えず、尻を絡げた荷運び人足が二人と大八車。
 千代は二人の顔に見覚えがあった。掛同心八戸様の上役で、拷問に立ち会って御定書に無い制外の残虐な責めの陣頭指揮を執っていた残谷様。その手下の人たち。
 千代は厭な胸騒ぎに襲われたが。どうせ生を諦めた身。女淫を槍で貫かれるより酷いこともされまいと、おのれに言い聞かせて。大八車に積まれた細長い箱の中へ、大菱縄を掛けられたままおとなしく押し込まれたのだった。
 箱に蓋がかぶせられ縄で荷造りされ(たのだろう)、ガラガラと大八車が動き出した。
 もう大昔のように思えるけれど。すべての発端。拐わかされて棺桶に押し込まれて鬼と夜叉の巣へ運ばれたときを思い出した。あれに比べれば、身体を伸ばしているだけ楽だった。揺れがガタゴト身体に伝わって痛いけれど。
 それに、あのときは。何をされるかと生きた心地も無かったけれど。今は何をされても構わないと一切を捨ててかかっているから、何も怖くない。おのれに、そう言い聞かせる千代だった。

     毛粧焼

 並の荷運びと違って、大八車は歩くのと変わらぬくらいにゆっくりと動いて、それでも小半刻とかからず目的地へ着いたようだった。箱に入れられたまま担がれて、何十歩かを運ばれた。
 そうして箱の蓋が開けられて。石畳の床に転げ落とされて。千代は最初、また牢屋敷へ、それも吟味部屋へ戻されたのかと思った。しかしすぐに、そうではないと悟った。
 間口奥行ともに、吟味部屋より五割は広い。一角には狭い牢屋まで設けられている。そして、拷問の道具立としか思えない奇怪な調度が、壁の三面を埋めてびっしり並んでいた。
 キの字形をした磔柱、水平に寝かせて宙に支えられた梯子、三角の胴をした首の無い大きな木馬、大きな箱に下半分を隠されている水車、人の背丈ほどもある桶。仕置柱もあれば、ずっと細い竹まで何本も床に植えてある。天井には滑車が四つも吊られていて、そのひとつは複雑な組滑車だった。
 千代の前に立ったのは、これは予期していた通りに残谷郷門だった。背後に二人の女性(にょしょう)が控えているが、もちろん千代の知らない顔だった。
「御取調に手落ちがあった。よって、処刑を延期して再吟味いたす。盗んだ三百五十両もの大金を何処(いずこ)に隠したか。素直に申さば、格別の慈悲をもって、苦しまずに死ねるよう計らってやる。吐かねば、磔よりもよほど恐ろしい生き地獄を味わわせてくれるぞ」
 あっと思った。
 これまでは濡衣を認めるか認めないか、その一点を巡る吟味であり拷問だった。両親に連座が及ばないと知って虚偽の白状をして、それで楽になれた。
 けれど。はい、いいえではなく。知らないことを白状しろと迫られては、答えに窮する。道具立を見るからに、吟味部屋よりも格段に恐ろしい拷問。それから逃れる術(すべ)は、無さそうだった。
 そうだ……咄嗟に閃くものがあった。
 千代も牢獄の中で、ただおのれの悲運を嘆き悲しんで日を過ごすばかりではなかった。ことに、拷問の傷に呻吟していないときは。ふとした出来心で罪を犯した堅気の女(ひと)の身の上話に同情したり、男を手玉に取った遊び女の手練手管に感心したり、男顔負けの荒事をしてのけた女渡世人の武勇伝に聞き惚れたり。この一月ほどの間に、貸本の百冊を読んでも得られないほどの世間知、大方は悪知恵が身に付いた。
「申し上げます」
 千代は縛られた身を起こして、郷門に向かって正座した。
「盗ったお金はすべて、銀次たちに持ち逃げされました。ですから、わたしはしょうこと無しに、お父っつあんの寮へ逃げ込んでいたのです」
「なるほどのお」
 物分かり良さそうに、郷門は頷いた。
「では、明朝にもう一度尋ねるとしよう」
 今日のところは身綺麗にしてゆっくり休めと。労るような言葉を口にして。
「この二人に逆らうでないぞ」
 と、二人の女を振り返る。
 郷門は名前すら千代には教えなかったが。三十になるやならずに見えて、その実三十七の太り肉の女は源氏名を芳之、屋敷内ではヨシと呼ばれている、元散茶女郎。残谷に雇われて普段は下女、こういったときには弥助や梅松と同じ役どころをこなしている。
 五十の坂を越えたのはいつの昔かといった細身の女というか老婆は、華扇楼の現役遣手婆の、昔は国松を名乗っていたクニ。郷門が扇之介に頼んで、明日まで借り受けている。
「おまえたちも手伝ってやれ」
 とは、千代をここまで運んできた弥助と梅吉へ。郷門は土蔵の隅へ引っ込んで、愛用の床几に腰を据えた。
 梅吉が千代の背後へまわって大菱縄の縄尻を引くと、ぱらりと解ける。
「羞ずかしいだろうが、おべべを脱いどくれ」
「羞ずかしいものか。この一月あまり、牢の中でも外でも、素っ裸がお仕着せだったようなものだ」
 郷門は、ただ千代を辱しめるためだけに言わでものことまで口にしたのではない。死罪を言い渡された囚人は、往々にしてこの世の一切に関心を持たなくなる。あるいは、見苦しいまでに生に執着するか。そこを見極めようとしたのであるが。郷門の見るところ、千代は前者であるらしかった。
 切支丹も死は怖れぬが、生を捨てはしない。生を捨てた者を責めても、拷問の参考にはならない。郷門自身の嗜癖にも合わない。
(三日五日と責め続け生かし続けてやれば、さて、どうなるかな)
 そのためにも、まずは羞恥心を甦らせてやるべき。クニに処置をさせるのは正解だったであろうと、郷門は自惚れたのだった。
 千代は郷門の言葉が聞こえたのかどうか。言われた通りに淡々と帯を解き黄八丈を脱ぎ、たいしてためらうふうもなく腰巻までもみずからの手で剥ぎ取った。前を隠しもしない。
 遣手婆のクニが、ちょっと呆れ顔。は、すぐ能面の下に隠して。
「ここに寝ておくれでないかい」
 両端を台に支えられて宙に浮いた梯子を手で叩く。
 千代は無表情に片足を高く上げて梯子に乗り、身を横たえた。
 ヨシがてきぱきと立ち働いて、千代を万歳の形にして梯子に縛り付けた。
 千代は表情を動かさない。
 梯子の脇に季節外れの火鉢が据えられて、赤々と炭が熾された。火を囲むようにして、長い針が何十本も並べられるのを横目に見て、初めて千代の表情が動いた。
 かつての千代なら知らず。我が身を様々に甚振られていれば、熱した針がどのように使われるか想像に難くなかった。
「今日は休ませていただけるのではなかったのですか」
 郷門に向けられた千代の言葉には、諦めが滲んでいる。
「身綺麗にせよと言ったぞ。女の身で無精髭なぞ見苦しいわ」
「…………」
 言葉の意味が分からなかったが、重ねて問う気力もない。されてみれば分かることだった。
「一度に全部はとても無理だからね。明日からは、おまえ様がしてやるんですよ」
 遣手婆のクニが、郷門家の下女に言い含めて。毛抜きを左手に持ち、右手の指を唾で湿してから、先端が真っ赤に焼けた針を摘まみ上げた。
 千代の下草は入牢に際しての素肌検で奪衣婆に剃られて、今も二分ほどにしか萌え出でていない。クニはその一本に毛抜きの先を押し付けて根元ぎりぎりを摘まむと、ぴっと引き抜いた。毛根まで抜けて、ぽつんと開いた毛穴に灼熱した針先を差し込んだ。
「きゃあっ……」
 千代が悲鳴を上げたときには、すでに針は引き抜かれていた。
「隣の毛は抜くんじゃないよ。五分くらい離すんだ。そうしないと、火傷がくっついて痕が残るからね」
 使った針は火鉢に戻して、新しい針を摘まみ上げるクニ。
 二本目の毛を同じようにされて、今度は千代は呻き声すら上げなかった。最初は驚いたが、これまでに受けてきた拷問に比べれば、児戯にも等しい甚振りだった。
 郷門としても、これを拷問とは考えていない。亀女が全身剥き身の茹で卵のように無毛なのを見て、思い立ったことだった。女郎の中には、手入れをして五日もすると黒ずんでくるのを嫌って、このように毛根まで焼き尽くす者もいる。
 焼けた針を毛穴に突き刺すといっても、浅ければ一月か二月もすると生えてくるし、深過ぎると肌に痘痕(あばた)が残ったままになりかねない。
 五本、十本、二十本……五十本も処置をしたところで、クニは手を休めた。
「弾正の旦那さん。腋の下もやっつけるんですね」
「うむ」
 淫毛を剃る、一気に燃やす、あるいは、かつて千代が楓からされたように熱蝋を垂らして冷えたところで引き剥がす。こういった羞恥責めを、郷門は幾度か女囚に試みたことはあった。名目としては毛虱退治とか花柳病の検とかだが、実際には、証拠が乏しくて牢問に掛けられない場合の苦肉の策だった。初心な生娘でも、これくらいで白状はしない。だが、羞恥の極みにあるときに尋問すれば、ぽろりと真実を漏らすことがある。それは、ともかく。
 郷門も腋毛を無くすという発想は無かった。亀女を見て、如何にも生き人形に相応しい形だと思った次第だった。
 下腹部よりも腋窩のほうが、肌は敏感である。左右ともに二十本ずつも抜かれて焼かれる間、さすがに千代も苦しそうに呻いていた。
「それじゃ、見ててあげるからヨシさんもやってごらんな」
 ヨシもクニの半分ほどは処置をしたのだが。真っ直ぐに突き刺せなかったり、引き抜くのにもたついて肉を焼き過ぎたりして、何度かは千代に悲鳴を上げさせた。
(それにしても、俺も気の長い男だな)
 郷門は内心で苦笑した。肌を損なわないためには、一日か二日を空けて、一度に焼く量はせいぜい百本までと、クニは言っている。下草は毛の濃い者では五千本以上もあるという。千代は薄いほうだが、それでも千本やそこらはあるだろう。剥き身の茹で卵に仕上がるまで、千代を手元に置いておけるかどうか。しかし、事を急いで、千代の股間に棲む揚羽蝶を損なうつもりはなかった。
「今日は、こんなところさね。後は剃っちまうよ。一厘かそこら伸びてきたら、ヨシさんの出番だよ」
 仕上がるより先に、千代は三尺高い木の上で晒されることになるだろう。

     木馬責

 土蔵の角には、一間四方の牢が設けられている。二面は土蔵の壁、残る二面が木格子。素裸のままで、千代はそこへ押し込まれた。
「そこに把手があるだろ。引き出してみな」
 ヨシに言われて動かしてみると、幅一尺ほどの箱が現われた。砂が敷き詰めてある。奥は仕切られていて朽ち縄が何本か。
「そこが、ええと御牢では詰の神様だっけね」
 つまり厠だった。朽ち縄は跡始末に使うのだと、かつて銀次たちから受けた仕打ちを思い出す。この時代、町方の貧乏長屋でも落とし紙が使われるようになっていたが、農村部ではまだまだ朽ち縄や藁、あるいは木の箆などが使われていた。だから、ことさらに囚人を辱めようという意図は……いや、郷門ならあったかもしれないが。
 しかし、これまでは畳一枚の上で寝起きしていた(それでも平囚人ではなく客分扱いであったが)千代にしてみれば、存分に手足を伸ばせる別天地であった。しかも、煎餅布団まであった。一枚きりだからくるまって寝なければならないが、それでも十二分にありがたい。という感謝の念は、その布団にどす黒くこびり付いている血の痕を見て消し飛んだ。ここは、牢屋敷に勝るとも劣らない地獄なのだった。
 それでも。その日は、白米に鯵の開きに沢庵と味噌汁という、牢内とは比べ物にならない夕餉を出されて、また千代は、ここはほんとうに地獄かと戸惑ったりもしたのだが。

 翌朝は、夜が明けきらぬ内から叩き起こされた。
「出すものは出しときな。木馬の上で粗相されちゃ、こっちがたまったものじゃあないからさ」
 七分粥に梅干ひとつという、前夜にくらべれば質素な、けれど雑穀が混じっていないから牢内よりは贅沢な朝餉を格子の中へ差し入れて、すぐにヨシは立ち去った。
 千代は素直に粥を平らげると、雪隠箱を引き出して用を済ませた。これまでの残谷様の遣り口を思えば、きっとここも甚振られるのだろうと、朽ち縄はほぐして入念に跡始末をした。のは、羞じらいの心が甦った証ではあっただろう。
 半刻もしないうちに、牛頭馬頭を一身に体現した郷門が、三匹の小鬼を従えて地獄に舞い戻って来た。いつもの与力装束ではなく、褌一本の姿だった。
 起きてすぐに身を濯いだままなのかと訝った千代だが、そうではないと気づいた。武家は絶対にといっていいほど、下帯は越中だった。戦場(いくさば)で素早く緩めて用を足すためである。しかるに、郷門が締めているのは六尺だった。
 みずからが大汗を掻くほどにわたしを痛め付ける御積りなのかと、千代は怯えた。死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが。拷問をされずに留め置かれること二十日に及んでいる。三日と空けずに甚振られていた頃とは、覚悟の持ち様も違っていた。
 けれど、三匹の小鬼どもはいたって普通の身形、二人の男は尻絡げで、下女のヨシは単衣を襷掛け。それはそれで、残谷様に淫らな思惑があるのかと、これは期待してしまう。埒を明けてくだされば、甚振りも終わるのではないかという……とっくに操とは縁の切れた身の上、女淫でも口でも尻穴でも、それで済めばありがたい。そこまで堕ちている千代だった。
 千代は牢から引き出されて、高手小手に縄を掛けられた。ことに胸縄は厳しく、左右と谷間とで上下を絞られて、縄の中に乳房をつかんで引き出され、さらに根元を締め付けられた。
 四本の脚を二本の橇に乗せた三角胴の首無し木馬が中央に引き出されて。千代は滑車で吊り上げられて、その上に乗せられた。嫌でも三角の稜線を跨がねばならず、稜線は淫裂に食い込んで、鋭い痛みを千代に送り付ける。とはいえ、未だ箒尻を敲きつけられるほどの激痛ではなかった。頂部を取り換えられるこの木馬に郷門が取り付けていたのは、なんの変哲もない三角形の楔だった。それはそれで、じゅうぶんに股間を切り裂くが、鋸刃ほどは凶悪でない。
「では、改めて尋ねるぞ。急ぎ働きで奪った三百五十両は、どこに隠した」
 この御役人様は、まったくわたしの申し立てを信じてくださらない。千代は絶望するとともに、それも当然かと納得してしまった。
 背中に入墨という明白な証拠を背負いながら、筋金入りの極悪人でさえ泣いて白状するという苛烈な拷問に耐えた、強かな女賊。御役人様には、そう思われている。
 その強かな女賊が仲間に裏切られ、盗み金を洗いざらい持ち逃げされたなど、誰が聞いても嘘だと思うだろう。けれど。一晩ずっと考えてみても、これ以上に巧みな言い逃れは思いつかなかった。
「昨日、申し上げた通りです。銀次たちに持って行かれたんです」
 郷門は、千代の言葉は聞き流して。
「長丁場だ。一枚でよかろう」
 弥助と梅吉には、それだけで通じる。十露盤責に使う石板が、長手方向が木馬の橇を跨ぐ形に置かれた。
「ひ……」
 吊責のときに脚を開いて石板を吊るされているから、これから何をされるかは明白だった。
 石板の端に縄が巻かれて、まず片足をつながれた。
「きひいいい……」
 さらに、もう片足も。
「いやあああっ……痛い、痛い」
 石板一枚で千代の目方ほどもある。股間の一筋に掛かる重みが倍になったという、それだけでは済まない。それまでは渾身の力で腿を閉じて、木馬の斜面で幾らかの目方を支えられた。しかし両脚を三尺も開かされては、二人分に匹敵する目方が、鋭い稜線が、女淫に食い込んで柔肉を切り裂こうとする。
 激痛に、千代は身悶えすら出来ない。わずかでも身じろぎすれば、女淫の奥で激痛が暴れる。逆刃に立てた包丁の上で大根を転がすのと同じ結果になりかねない。
 郷門は無言で、食い入るように千代の表情を凝視めている。
 千代はのけぞり、口を悲鳴の形に凍りつかせ、目尻に涙を湛えて。ひたすらに苦悶している。恍惚の色など微塵も無い。
 郷門が、千代を打擲する得物を手にした。箒尻などではなく、先端に鎖の小さな鉄環を編み込んだ縄束だった。しかし、すぐには使わず。
「思い切り揺らしてやれ」
 弥助と梅吉が木馬の前後に取り付いて、足は橇に掛け手は三角の胴体を持って、橇の端が床に触れるまで後ろへ傾けた。石板が振子の錘となって千代の脚が後ろへ流れ、上体は自然と前へ倒れて釣り合いを保とうとする。
「ぎひいい、痛い……お赦しくださいいっ」
 郷門は無言。弥助と梅吉は目配せを交わして。
「せえのっ」
 勢いをつけて木馬を押し出した。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 千代が絶叫した。
 ぎし、ぎし、ぎし……木馬が前後に大きく揺れ続け、さながら悍馬を巧みに乗りこなしているかに見える千代は、絶叫を吐き続けたのだが。
「揺すれ」
 郷門に命じられて、二匹の小鬼が揺れの小さくなりかけていた木馬を大きく揺すったとき。
「ぎびひいい……」
 悲鳴が細くなってゆき、
「ああああ、あああっ……」
 両親の媾合いを覗き見た子供が、母ちゃんが虐められていると思い込むほどに、絶頂の声と表情は苦悶のそれと酷似している。しかし、郷門は見誤らなかった。にんまりと形容するにはあまりに生真面目な表情で、ひとり頷いた。
 このとき。たしかに千代は、恍惚の中にあった。薄桃色の靄の中に浮かんで、頭にも身体にも靄が沁み込んでいた。淫裂の奥深くには凄絶な快感の楔が打ち込まれていた。淫核と女穴にも楔が欲しくなって、木馬に揺すられるよりも激しく腰を揺すっていた。
 すでに女穴の前後は木馬の稜線に切り裂かれて、股間は血まみれ。太腿にも伝っている。
「うぐ……」
 郷門の残酷な拷問を何年も手伝っているヨシが、袂で口を押さえて土蔵の外へ逃げ去った。
 しかし、郷門は満足しない。手桶の水に浸けて、ずしりと重くなった縄束を、千代の尻に敲きつけた。
 バヂャン。
「おおおおーっ」
 千代は木馬の上で激しく背をのけ反らせて、はっきりと喜悦の表情を浮かべた。
 薄桃色の靄に包まれて宙に浮いているところへ強烈な愛撫を加えられ、尻が熱く疼いた。
 バヂャン。バヂャン。バヂャン。
 二十日ちかい養生とまではいわぬにしても、拷問を受けることなく傷が癒えていた白い肌がたちまち切り裂かれ、太い痣が刻み付けられていった。
 しかし千代は、肩を敲かれ乳房を敲かれるにつれて全身が蕩けていく。痛くされればされるほど、それを濃密な愛撫に感じてしまう。もう一息で、全身が微塵に砕け散るような快感が訪れる。本能が、そう教えていた。千代は愛撫をねだって全身をくねらせた。
 しかし。
「そろそろ出仕の刻限か。おい、ヨシ。戻って来い」
 下女を呼び戻して。郷門が戻るまで千代を見張っているように命じる。
「教えた通りであろう。こやつ、かほどに責められながら法悦境を彷徨っておる。じきに正気づくのか気を失うのか、はたまた苦しみ始めるのか。その移ろいを、確(しか)と見定めよ。おまえから働きかけるには及ばぬが、水を所望すれば飲ませてやれ。口移しでも許すぞ」
「あい、分かりました」
 稀には男も甚振るが、この拷問蔵へ連れ込まれる者の九分九厘は女である。悦んで主人の手伝いをする女であれば、そういった性癖を持っていても不思議ではない。というよりも、そこに目を付けて雇っているというのが実情だった。もっとも。拷問蔵であまりに閑古鳥が鳴くときなど、この女が、血を見ない程度に甚振られることもあった。そして女も、それはそれで愉しんでいるのではあったが。本筋には関係の無い話であるので、ここらへんで焉めておく。
 千代とヨシを残して、土蔵の戸が閉められる。
 ――強烈な縄鞭の愛撫からは解放されても、股間への刺激は続いている。おのれの目方が倍になって、それを股間の一線で支え続けるという、まともな女なら泣き叫ぶ激痛。しかし、過去に受けた拷問で苦痛に狎らされている千代には、木馬が揺れていない限りは、かろうじて正気を失わないでいられる責めでしかなかった。
 それ故に。千代を取り巻いていた薄桃色の靄は次第に薄れていく……
「く……くうう」
 股間を切り裂かれる痛みに、千代は呻く。快楽すなわち激痛を求めてみずから腰を揺すった報いではあった。法悦境にあっても、千代はおのれの所業を覚えていた。だから。激痛に苦しみながらも、郷門を骨の髄まで恨む気にはなれなかった。郷門が千代を筋彫お蝶と信じて疑わないのであれば、吟味役人として当然のことをしているまでのこと。そうも思ってしまう。それは千代のまったくの思い違いではあったのだが。
 郷門が(牢屋敷を内に抱える)奉行所で勤めを終えて帰宅するまで、正確にいえば自宅内での所用も終えて拷問蔵に舞い戻るまでの三刻余を、千代は三角木馬の鞍上で苦しみ続けなければならなかった。
 まもなくの入梅を控えて、土蔵の中は蒸し暑くさえあったが、喉の渇きを覚える裕りなどなく、ヨシにはつまらない思いをさせたのではあったが。
 それはともかく。郷門がまた六尺褌一本の姿で千代の前に立ったとき、いっそう過酷な、あるいは甘美な拷問が再開されるのだった。

     股張紐(承前)

「下ろせ」
 千代は石板を解かれて、木馬から吊り下ろされた。吊っている縄が緩むと、とても立っていられず床に倒れ付した。高手小手の緊縛も解かれて、しかしすぐに、両手を揃えて頭上で縛られた。開脚させられて、石板も元のように足につながれた。
 滑車から垂れる綱で再び吊り上げられる千代。石板の重みでおのれの目方の倍が肩に掛かるとはいえ、これしきなら千代にとっては甚振りには当たらないのだが。
 壁際の箱から、弥助が長い紐を引き出した。太さ一分ほどの細引。ただし、縄鞭の先端に編み込んであるよりもひとまわり大きな鉄環が、一尺置きに結わえ付けられている。
 土蔵の端に植えられている太い竹竿の先に、細引の一端が括り付けられた。石板が肩の高さに来るまで吊り上げられた千代の足の間に細引が通されて、反対側の壁際に植えられている竹竿に巻き付けられて。
「せえのお」
 弥助と梅吉の二人掛りで細引の端が引かれると、向かい合った二本の竹竿が内側へ大きく撓った。細引がぴいんと張って、千代の股間に埋没した。
「…………」
 千代はわずかに顔をしかめただけで耐える。三角木馬に比べれば、苦痛は有っても無いようなもの。そして千代は羞恥には鈍磨している。しかし……
 千代の身体が、ゆっくりと吊り下ろされていく。細引はますますきつく張って淫裂を深々と割り、淫核から尻穴にまで食い込んでいく。細引に引かれて、竹竿が折れんばかりに撓る。
「く……」
 これでもまだ、この土蔵の中では色責としても生ぬるいものでしかないが。弥助が千代を後ろ向きに押し始めると、途端に淫にして虐な責へと変貌する。
 弥助ひとりの力では、撓った竹竿の先から一尺を残して、それ以上は押せなくなった。が、それでじゅうぶん。
「やりますぜ」
 千代を一方へ捻るようにして前へ突き放した。
 石板と千代の重み。そこに、竹竿が元へ復そうと細引を斜め上へ引っ張る力も加わって。千代の裸身が凄まじい勢いで前へ突進した。
「ぎびい゙い゙い゙っ……」
 千代が喚く。
 ぶじゅじゅじゅじゅっ……
 細引に括り付けられた鉄環が、立て続けに淫裂を抉る。太さ一分しかない細引が、三角木馬の稜線に切り裂かれた柔肉の傷をさらに広げる。
 たちまちに、白かった細引が朱に染まった。血しぶきさえ飛んでいる。
 千代の正面では、郷門が箒尻を手に待ち構えている。竹竿の手前、振子の頂点で千代が止まる刹那を狙って。
 バシイン。
 箒尻が乳房に叩きつけられた。
「がはっ……」
 息を詰まらせる千代。が、すぐに凄絶な悲鳴が続く。
「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 後ろまで振り切って、また前へ揺り戻して。
 ずぐぶっ……
 箒尻が縦に、千代の下腹部に突き立った。
「げふっ……」
 ぐうんと突き戻されて。腹の奥から吐き出されるような勢いで、鉄環が後ろから前へ股間を抉る。
 三度目。郷門は箒尻を使わなかった。代わりに、石板の一端を力いっぱいに蹴った。
 千代の裸身がねじれながら揺れる。その分、股間は奥底だけでなく左右の肉襞までが抉られる。
「ひいい、いい……いいっ」
 女淫への責であってみれば、初手からそういった刺激を受けている。たちまちに千代の意識は濃密な桃色の靄の中へ溶けていって。四度目に、肋骨が折れそうなほど強く乳房を敲かれたとき。
「うああああ、あああーっ」
 聞き誤りようのない雌叫びを放って、千代は悶絶したのだった。
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女囚永代吟味を流用

 実はシフトの関係で、6/10,12,14と飛び石連休なのです。この間に仕上げるのは無理でも、手前までは持っていきたいものです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 3:濡墨を着せられた娘

 なんだ神田で280枚で進行中です。
 章題を若干変更したり(黄色)、第三幕を増やしたり()。

第一幕 破れ寺
 第一場 拐わかし
   三穴姦/蝶乱舞
 第二場 全裸捕縛
   裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
 第一場 吟味前夜
   素肌検/牢問答
 第二場 苛烈牢問
   裸敲問/石抱問
 廻舞台 若侍苦楽責
   牢内掟/吊敲責/海老責/弓張棒
 廻舞台 新妓夢現責
   駿河問
 第三場 虚偽自白
   父母流罪/磔刑申渡
 廻舞台 熟娘揺木馬 ←Written
第三幕 拷問蔵
 第一場 盗金所在
   毛粧焼/木馬責/股張縄/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
 第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場




 今回は、第二幕第二場之五【弓張棒】を御紹介。
 (承前)とあるのは、海老責に続いて同日中の責めだからです。
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弓張棒(承前)

 午(ひる)を告げる拍子木を、海老責に呻吟している千代も微かに聞いた。その直後に、数人の足音。郷門と八戸だが、手伝いの二人は午前の下人ではなく、郷門が屋敷で飼っている男たちだった。きちんと人別もある。ふだんは下男の仕事をしながら、こういうときには汚れ仕事もする。といって、余分な手当は得ていない。汚れのうちには、ときとして魔羅の汚れもあって、それが手当の代わり。つまりは、身分の差こそあれ郷門の仲間(なかま)ともいえた。ちなみに、下女の中にもこの手の者がいるのだが、それは彼女たちが登場するときに詳述しよう。
 千代はいったん縄を解かれて、いっそう淫らな形に縛り直された。縄を掛けられずに身体を二つに曲げられて、両脚で頭を挟む形にして手首と足首とをひとつに括り合わされた。屈曲の角度としては海老責よりも深いくらいだが、脚をそんなに開かされていないから、苦痛は少ない。もちろん比較の問題で、身体の硬い男なら小半刻とは耐えられないだろう。そして。腰を高々と突き上げて二穴を天井に向かって曝すのだから、娼婦でさえも羞恥に悶えるだろう。
 しかし千代は、海老責よりも鮮やかに全身を朱に染めたが、表情はほとんど動かさなかった。どんなに責められようと無実の罪を認めるわけにはいかないし、認めない限り拷問は続く。となれば、責め殺されるのが親孝行と、性根を決めていた。
 郷門が、奇妙な棒を何本も床に並べた。一見して男根を模した物、即ち張形だが。竿の部分に陣笠のような形状をした鋲が三段、螺旋状に埋め込まれている。これは女泣かせの瘤と解せなくもないが。張形の根元は細い棒になっていて、本体よりも太い角柱を貫いて、末端は滑車で終わっていた。
 張形の太さは竿の部分で、一寸丁度、一寸三分、一寸六分、そして二寸の四種類。長さはどれも八寸。それが二本ずつ。雁首はいちだんと張り出しているし、鋲の先端から先端までの差し渡しは、さらに大きい。
「これは、尻穴未通女でもなんとか挿(は)いる太さじゃ」
 初めて実見する八戸に説明してやって。郷門は一寸丁度の張形を取り上げて、金創軟膏をまぶした。亀頭の部分で尻穴をこねくって、そろりと押し込んで。
「これは……ずいぶんとこなれている。おまえは、尻穴で媾合ったことがあるのか」
 千代は逡巡したが。阿婆擦と思われてはたまらない。
「捕らえられて、十日間ほど掛けて入墨をされている間、三人の男どもに……何度も何度も」
「聞いておいてやろう」
 とは、千代の言葉を信じてはいないが嘘と決めつけてもいないという意味。
「ならば、これでも呑み込むのでないかな」
 次を飛び越して、一寸六分を試みる。
「きひいいい……」
 ほとんどふた月ぶりの、尻穴への強貫。忘れようと努めていた、灼熱の激痛が甦った。いや、一寸六分といえば魔羅としても逸物(いつぶつ)だが、そこに鋲の突起が加わる。初めて尻穴を犯されたときよりも、よほど痛かった。
 それでも、肉襞が裂けることもなく、千代の尻穴に太さ一寸六分の張形が突き刺さった。
「これで腹一杯といったところだが、それでは甚振りにならぬ」
 尻穴の一寸六分に圧迫されてひしゃげた女穴には実に二寸が試みられたが、さすがに無理だった。激しく痛がるとかではなく、押し込めないとは手応えだけで知れた。
「ふうむ……」
 一寸六分だと挿入は出来たが、千代が絶叫した。それでは後段の目論見に差し障るとして、前に一寸六分、後には一寸三分で落ち着いた。張形は根元まで埋没させず、前は二寸、腸は膣よりも奥行きがあるので一寸のみを残した。
 挿入されるときこそ、千代は唇を噛んで苦痛と恥辱とに耐えたが、郷門が手を放すと、股間から二本の角を生やした姿で、それほど苦しそうにも見えない。
仕置柱から厚さ一寸の板が水平に突き出されて、角柱に宛がわれた。板は仕置柱に釘で打ちつけられ、そこに鎹(かすがい)で角柱が固定された。
 最後に、二張(ふたはり)の半弓が持ち出された。それぞれの弦が千代の上を横切って、角柱から突き出ている滑車に巻き付けられた。
 郷門の下男二人が千代を挟んで向かい合って座り、両手に弓の端を握った。
「まずは、ゆっくりと同じ向きに動かせ。そおれ」
 郷門の合図で下男のひとりが両手を突き出し上体を前へ倒し、一方は引きながらのけ反る。
「あ、ああっ……」
 突然に生じた異変に、千代が当惑の声をこぼした。
 弓が動くと滑車が張形を回転させる。螺旋状に植えられた鋲が柔肉を抉ると同時に、螺子の作用であたかも張が抽挿されているような錯覚を与える。
「い、痛い……くうう……」
 痛いとは言うものの千代の声は、敲問や石抱に掛けられているときの悲鳴絶叫ではなく、ごくささやかな訴えでしかない。
 弓は鏡像のように向かい合っているから、前後の張形は互いに逆向きに回転している。女穴の螺子が抜去される向きに回れば、尻穴は貫入の向きに回る。
 二十往復ほども続けさせて。千代に格段の変化が起きないと見ると、郷門は二つの弓を逆向きに動かすように命じた。
 二本の張形が同じ向きに抽挿され、肉壁が擂り潰されるような感覚が千代を襲った。
「あ……や……」
 やめてと言いかけて、千代は言葉を呑んだ。言えば、おまえは筋彫お蝶であろうと問われ、押込の罪を認めろと迫られる。いちいち打ち消すよりも、この程度であるなら、黙って甚振られているほうが、まだしもだった。
 さらに二十往復ほど様子を見て。郷門は弓を止めさせた。
「前も後ろも相当にこなれておるのに、まるきり感じておらんな」
 郷門が首を傾げた。
 千代は耳年増であってみれば、その意味は分かる。と同時に、当たり前だと悔しくもある。十日以上に亘って、多いときはひと晩に十回以上も犯されている。未通女の固さが残っているはずもない。そのすべてが蹂躙だったのだから、媾合いを心地好いものと思う筈もない。
「では、生娘殺しに掛けてみるか」
 郷門が懐から小筆を二本、取り出した。過日、筧三郎を馴致した小道具だった。
「落とすのが目論見ではないから、こちらは不要か」
 郷門が、乳首に目を落としてつぶやいた。
「さりながら、まるで紅を引いたように、鮮やかというはあまりに毒々しい。このような所に朱墨を入れるとは、ふうむ……」
「入れられたのです。肉襦袢に描いた色と同じにするとかで……」
「淫豆を蝶の頭に見立てるとは、また思い切ったものよ。これも肉襦袢に描いてあったと申すのか」
「…………」
 このお役人も、私の言い分をまともに取り合ってくださらない。千代は悔しさの中に押し黙った。
「ふん。黙(だんま)りか。泣かぬなら、泣かしてしまえ女淫(ほと)と淫豆(まめ)」
 うそぶいて。郷門が二本の小筆を動かし始めた。乳首へは向かわず、張形で引き裂かれんばかりに広げられている二つの穴の縁を、筆先のほとんど一点でくすぐる。
 張形で引き伸ばされた柔肉に、蟻が張っているような感触が生じて、千代は惑乱した。
「あ……くうう……いやあああ」
 生まれて初めて感じる、奇妙な感触だった。くすぐったくて、おのずと腰をくねらせてしまう。すると、宙に固定されている張形が内側から肉穴を抉る。痛みは生じるが、くすぐったさと併さって。快不快で区切るなら、快感が強い。
 さわさわさわ……さわさわさわ。
「きひいいい……やめ……やめてください」
 しかし言葉とは裏腹に。腰の蠢きは筆から逃れるというよりも、筆を求めて押し付けているようにも見えた。
 二本の筆は女穴と尻穴の周囲を緩やかにくすぐるかと思えば、二本の張形で押し縮められた会淫を強く責める。
「あああ……いやあああ」
 千代の訴える声が、さらに甘く蕩けてゆく。
 尻穴をくすぐっていた筆が前へ動いて、二本の筆が左右の鼠蹊部をくすぐり、大陰唇へ移り、張形の鋲で掻き出されている小淫唇へと移って。しかし、小淫唇が合わさっている所にはっきりと膨れている実核だけは避けていた。
「あああんん……いやあ……何、これ」
 うわごとのように呟きながら千代は、これが草子で読んだ善がるということだと、なんとなくは理解していた。思い描いていたよりも、ずっと強烈な快感だった。しかし千代の理解は、まだ真実に到達していない。
 頃は良しと見て取った郷門が、左手の筆を捨てて淫核を摘まんだ。すでに顔を覗かせている実核を皮で包むように扱くと。
「ひゃああっ……あんんんん」
 甲高い悲鳴と、嫋々と続く鼻声。
 千代は、その一点が大きく爆ぜるのを感じた。爆ぜた衝撃が腰を突き抜け背骨を翔け上がって、脳天を痺れさせた。
 二度三度と千代に悲鳴を上げさせてから。郷門は包皮を剥き下げて、露わになった実核を右手の筆先でつついた。
「うわあああっ……ああああああ」
 いそうの嬌声が、千代の口から迸る。張形に縫い付けられているはずの腰が、二寸ほども跳ねて。穴から突き出ていた根元までも呑み込んで。腰が落ちるときには張形の端で穴縁を抉られて、さらに悲鳴が重なった。
「倍の速さで弓の端から端までを引き切れ。そおれ」
 郷門の合図で、弓が激しく動き出す。張形が互いに逆方向へ回りながら、二穴を掻き回す。
 郷門は弓の動きを邪魔しないように幾分のけぞった姿勢になって、筆を動かし続ける。淫豆がじゅうぶんに膨らんで、手を放しても包皮に潜り込まないと見定めると、左手にも筆を持つ。右手の筆で淫豆をくすぐりながら、左手の筆は女穴を責める張形に沿えて、外から淫唇を強くくすぐった。
「わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
 千代の悲鳴が凄絶味を帯びてくる。いつ息を継いでいるのかというほどに、悲鳴は絶え間ない。さながら千代は、三人掛りで弾かれている巨大な胡弓だった。まさに今。千代は女でしか味わえない絶頂へ向かって押し上げられようとしている。
 郷門は責めの手を緩めることなく、千代を追い上げてゆく。
 千代は、おのれの身体が濃密な桃色の雲と化して、四方八方へ飛び散ってゆく心地に陥っていた。それは、一言で表わすなら桃源郷だった。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、い゙や゙っ……い゙や゙あ゙あ゙あ゙」
 何もかもが無に帰すような感覚に恐怖して、しかしそれは喜悦そのものでもあり。絶叫とともに、千代の意識は薄れていった。

 千代が失神すると、郷門はすぐに責めを取り焉めた。寸止めを繰り返して、色責で千代に自白させるのが目的ではない。苦痛が法悦境へ転じるのなら、初手から快楽で追い込めばどうなるか。それを見極めるための色責なのだった。
 そして郷門は。千代の荒唐無稽な申し立てが、あるいは真実かもしれないと疑い始めはているのだが。無実を明かす証拠も無い。
 なによりも。筋彫お蝶については濡衣であったとしても、千代にまったく罪が無いわけでもないと、郷門は考えていた。貫目屋の苛斂誅求に哭いた者は両手両足の指では足りない。店を奪われた者、女房も娘も売らされた者、一家そろって首を吊った者もいる。袖の下を使わなかったら、とっくに島送り山送り、下手人にもなっていただろう。となれば、貫目屋の女房も娘の千代も連座している。千代に連座して貫目屋が断罪されるのは、因果が入れ替わっているが、結果としては同じことだ。
 どうせ死ぬ身であるのなら。生きているうちにせいぜい役に立ててやる。どのようなときに苦痛が法悦境にすり替わるのか、その機序(しくみ)が分かれば。そのような責め方を避けることで拷問の実が上がる。
 切支丹については、信心がそうさせるのではないかと、郷門は考えていた。戦国の昔に、一向一揆の例がある。宗門のために死ねば極楽へ行けると信じて、女子供までが着の身着のまま鎌や鍬を手に鎧具足に身を固めた大軍勢に突っ込んでいった。
一向衆なら念仏、切支丹ならおらしょ。大声で繰り返し唱和するうちに、法悦境に達するともいう。
 しかし、千代にはあてはまらない。父母への孝心がそうさせるのなら、連座が適用される罪科ではかなりの者が頑強に抵抗する筈である。実際には、出来心の付け火や盗みで捕まった者で、敲問すらに耐え抜く者は稀有の例にとどまっている。敲問、石抱で始末がつかないのは、筋金入りの悪党だけだった。
 千代は吟味法度を越えた敲問に耐え、石抱では乳房まで潰され、ついに拷問に掛けられて、なお海老責でも自白に至らなかった。この上は吊責でも法悦境に達するものか、見極めたいというのが、郷門の本心だった。
 千代は縄を解かれ、一刻ほども吟味部屋の片隅に放置されて。意識を取り戻してから牢へ戻された。戸板に載せられることなく、初めて自分の足で吟味部屋を出たのだった。牢から全裸で引き出されたのであってみれば、牢へ戻されるときも全裸なのは、当然だった。

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 海老責に続けて座禅転がしてえのは、手垢がついてますので、新しい絡繰なぞやらかしてみました。
 文章で説明しきらないといけないのですが、まあ、簡単に図解など。
 これで前後2穴をグリグリグリグリとグラ
 2本の弦を同方向に動かすか、互い違いにするかでも効果が違ってきます。


弓張棒

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 2:濡墨を着せられた娘

  A意C筆中です。現在は『回舞台 新妓夢幻責』230枚突破。
 ですが、今回は【第二幕第二場之二、石抱問】を御紹介。
 ちなみに、小伝馬町の牢では、【牢問】として「敲き」と「石抱き」があり、尚も囚人が白状しない場合は老中の裁可を得て【拷問】即ち「海老責め」と「吊り責め」に掛けていたそうです。これ以外の責めは禁止。ただし火盗改は制外にあったとか。いちおう、あちこちのサイトを調べてはいますが、信憑性は85%くらいですかね。
 各国(藩)の状況は、ほとんど検索に引っかかりません。まあ、御公儀に右へ倣えだったか、と。

女囚吟味
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石抱問

 その日は深夜まで昏々と眠り続けた千代だったが、十九歳の若さと、ひと月半に亘る寮での静養が健康を取り戻させていてくれたことと相俟って、翌朝には自力で起き上がり食事を摂れるまでに恢復していた。
 一度の牢問でここまで痛めつけることは稀だし、少なくとも次の牢問までは中二日を空けるのが通例だが。千代に限っては吟味法度も慣例も無いに等しかった。気力体力が消耗しているときに責めれば、命の危険はあるにしても効き目が著しいのも道理ではある。
 巳の刻を告げる牢内の拍子木が鳴り已まぬうちに、千代は牢から引きずり出された。せめて腰巻を着けさせてくださいとの嘆願も虚しく、傷だらけの裸身に縄を打たれて吟味部屋へ追い込まれた。
 千代が引き据えられたのは、吟味部屋の中ほどに並ぶ二本の柱の前だった。柱というよりは、天井まで届く杭。屋根の重みを支えてはおらず、もっぱら牢問に掛ける科人を縛り付けるのに使う。名付けて仕置柱という。
 その仕置柱の前の床には分厚い簀子(すのこ)のようなものが置かれている。低い枕木の上に幅三寸五分、高さ二寸の三角木材が五分の隙間を空けて五本並べられたそれは、十露盤と呼ばれる責め具だった。その上に脚を開いて座らされ、後ろの仕置柱を背中で抱く形に縛り付けられた。
「く……」
 千代自身の重みで、三角木材の稜線が脛に食い込む。木材は鉋でわずかに丸みを付けられているので、切り裂かれるような痛みではなく鋭い鈍痛といったところ。それでも、小半刻とは座り続けていられないだろう。
 十露盤の横には、長さ三尺、幅一尺、厚さ三寸の石板が積まれている。それを三枚まとめて、ふたりの下人が持ち上げた。
「この伊豆石は一枚で十二貫の重さじゃ。およそ、おまえの重みと同じくらいかな」
 三枚で三十六貫。実に千代の目方の三倍。それが一気に、膝の上に載せられた。
「かはっ……」
 あまりの激痛に、千代は息を詰まらせた。みしみしと、脛の骨が軋む。
 石が崩れないように下人が両側で支えているが、それも下からではなく横から押さえているだけ。八戸が千代の正面に立って、片足を石の上に乗せた。
「きひいい……」
「石抱の味は、どうじゃ。素直に吐かねば、脛が砕けるぞ」
 さすがに体重を乗せ掛けまではしないが、ぐりぐりと躙る。
「いぎゃああっ……赦して……お慈悲を」
 おのれが筋彫お蝶だと認めるまでは責め続けられると分かっていても、訴えずにはいられなかった。
「御上にも慈悲はある」
 意外にも、千代の膝から石板が降ろされた。
「もう一度、石を抱かせてやろうか」
「……お赦しください」
 叶わぬ願いと知りながら、哀願する千代。
「ならば、認めるのじゃな、筋彫お蝶。如月十日に小野屋に仲間三人と共に押し込んで三十両余りを奪ったのを皮切りに、今月八日までのひと月になんと四件もの押込を働いたこと、相違無いな」
「違います」
 その言葉がどういう結果を招くか承知のうえ。千代は血を吐く思いで、きっぱりと否定した。
 八戸は後ろに下がって、短く下人に命じた。
「まず、一枚」
 ずしっと、膝に石板が一枚だけ乗せられた。
「く……」
 三枚と比べれば、何ほどのこともない。千代は、むしろ安堵する思いで重みに耐えた。
 石板に縄が巻かれて、手を放してもずり落ちないように、後ろの杭に結びつけられた。下人が部屋の隅へ引っ込み、八戸は十露盤の脇に積み上げられている石板に腰を落とした。
「おや、まだ若い娘ではないですか」
 三十幾つ、八戸と同年配くらいの同心が、二十歳をそれほどは過ぎていまいと思われる男を引っ立てて、吟味部屋へ入ってきた。
「番茶の出花をちょっと過ぎてはいますがね。こやつが巷で評判の筋彫お蝶です。赤金様のお手柄です」
「違います。濡衣です」
 八戸が、積石に腰掛けたまま退屈そうに下知する。
「さっきの今で済まんがな。二枚目を載せてやれ」
「へい」
 たちまちに、最初の石板の縄が解かれて二枚目が積み増された。
「ぐうう……くうう」
 千代は歯を食い縛って耐えた。泣き叫びたかったが、すると三枚目を載せられるのではないかと恐れた。無実の罪を白状しないかぎり、いずれは三枚目、もしかすると四枚五枚と重ねられるのだろうが、出来る限りは先延ばしにしたかった。
 八戸は煙管など取り出して、のんびりと構えている。一刻あるいは二刻いっぱいを使って、じわじわと責める手口なのだろう。
 一方、後から連れて来られた男のほうは。褌一本にされて後ろ手に縛られ、千代と二間を隔てたもうひとつの仕置柱の前で胡坐に座らされているところだった。
重ねた足首も縛られて。八戸の掛とは別の下人が、これも二人掛りで男の身体を折り曲げていく。背中に尻を落として、ぐいぐいと、ついには顎が足首に接した。後ろ手に縛った縄尻で肩越しに脛を巻き、足首の縄は首の後ろまで回された。そうしておいて身体を起こし、仕置柱に縛り付けた。
「このままにしておくと、じきに血が滞って死ぬことになるぞ」
 同心が男を威す声を遠くに聞く千代だったが。男の脛の肉が何段にも横に裂けて白い骨が見えているのに気づいて戦慄した。それは、まさにおのれが受けている責めの傷痕というはあまりに生々しい光景だった。
 もしも石抱の責めに耐え抜いたとしても、さらに苛酷な拷問が待っている。そうと分かって、千代は失神しかけたのだが。寸時も途絶えぬ痛みが、安逸へ逃げさせてくれない。この石抱や男の受けている拷問に比べれば、昨日の敲きなどは序の口だったのだと思い知った。続けざまに敲かれようと、痛みと痛みとの間には一瞬の休みがある。その間隙に失神が忍び込んでくれる。しかし石抱は、悶死するまで安逸は訪れないのだろう。
 吟味部屋に明り取りの窓はあっても、直接に陽が差し込むことはない。影の移ろいで時を推し量ることもできない。じりじりと時が過ぎて、それが小半刻なのか一刻なのかも見当がつかなくなってくる。
 千代の全身は脂汗にまみれ、鼻から垂れているのは汗か涙か。
「くうう……痛い。苦しい……私は無実です。そうだ、思い出しました。楓という女の人の連れ合いは……銀次といっていました。その乾分が……たしか、ヤスとタツです。銀次は、三十なるやならずの、強面の二枚目です」
 八戸が積石から下りて、千代の前にしゃがみ込んだ。
 訴えを取り上げてもらえると思って、千代は必死に記憶の糸を辿る。
「タツという人は大男で、ヤスは銀次と同じくらいの背丈。この二人は、楓より頭半分大きいくらいですから、男の人としては小柄なほうです」
「なるほどなあ。情夫(まぶ)が銀次で、手下がヤスとタツか。よく喋ってくれたな」
 八戸は満足げに頷いたのだが。
「それで、楓ってえのが、おまえの通名(とおりな)か。背中に背負(しょ)ってるのは紅葉でなくて楓ってえわけだ」
「違います。楓という人は、ほんとにいるんです。その人が私の父を恨んで……私に入墨をさせて……自分は下絵を描いた肌襦袢を着て……」
「とぼけるな」
 八戸が恫喝した。憤然と立ち上がって、下人に命じる。
「おい。三枚目を載せてやれ」
「御役人様。ほんとのことなんです。どうか……あの人たちを探し出してください。南総寺をお調べください……ぎゃはあああっ」
 必死の訴えは、三枚目の石板で封じられた。
 二枚と三枚。五割増しの重みは、天と地ほどの差があった。
 鋭い痛みが脛を噛み、足の甲まで貫く。
「うああああ……痛い、痛い。お願いです、信じてください。私は女賊なんかではありません。お赦しを……」
 涙と鼻水と涎を滴らせながら、千代は泣き叫んだ。必死に訴えた。
「まだ言うか。堪忍ならぬ。おい……」
 本来なら、一枚載せるごとに小半刻は様子を見て、それでも駄目なら次の一枚を載せるのが効果的なのだが。千代に男の嗜虐を誘う風情があるのか、しかし女の色香に惑わされては女囚を吟味できるはずもないのだから、三井に急かされた焦りの故ではあっただろう。八戸は四枚目を命じ掛けたのだが。
「ふむ……」
 涙を湛えた目で見上げる千代を見下ろして、昏い笑みを口の端に浮かべた。
「こやつの乳では、ちと不足だが……」
 太腿の上に九寸を三枚重ねられて、千代の下乳は石板の縁に押し上げられている。
 八戸は箒尻を持ってきて、補修の用として根元に巻き付けてある余分の凧糸をほぐした。それで小さな輪を作って、千代の乳首を締め上げる。
「お赦しを……お慈悲を……せめて、一枚だけでも下ろしてください」
 乳首へのささやかな弄虐など意に介するどころではなく、ひたすら石抱の寛恕を冀う千代。凧糸をぴいんと張られて乳房を引き伸ばされても、その痛みも恥辱も物の数ではないのだが。
「よし、石を載せろ」
 ごとり。三枚目の石板の上で紡錘のように引き伸ばされている乳房の上に、四枚目が積み重ねられた。
「うぎゃわあああああっ……」
 楓たちに囚われているあいだ、乳もずいぶんと弄ばれ捏ねくられ握りつぶされもした。乳首に爪を立てられもした。その都度に千代は悲鳴を上げ恥辱に悶えたのだが。そんな弄虐の一切は嫋やかな愛撫でしかなかったと思い知るまでに、十二貫の石板に双つの乳房を圧し潰される激痛は凄絶だった。
 千代はのけぞって絶叫した。その動きが、いっそう乳房を痛めつける。
「ぎいいいい……痛い……お父っつぁんおっ母さん……助けて……」
 わずかでも身体を動かせば、おのれでおのれを責め苛むことになるのだから、千代は身じろぎもままならない。天を仰いで顎を震わせながら、虚しく救けを求めるしかなかった。
 こういった吟味法度に違背した責めも、これが初めてではないのだろう。ふたりの下人は、四枚の石を縄で巻いて、要領良くぎりぎりと絞り上げていった。
「ぎびいいい……」
 千代は胸元に目を落として、すぐに顔を背けた。石からはみ出た乳房の麓が青紫色に変じていた。石に挟まれている部分はどうなっているか、考えるだに恐ろしかった。
「ひいい……痛い……く、苦しい……」
 脛から足の甲にかけては、まるで鋸に挽かれているよう。胸は大きな矢床(ヤットコ)に噛み付かれて食い千切られるよう。
 何も考えられなくなり、目が霞んで、千代自身が薄墨の中に溶け込んでいくような絶望の底へと沈み込む。泣き叫ぶ声が次第に弱々しくなっていき、ついには絶え間ない呻き声だけとなった。
「くうう、うう……」
 薄墨色の中に何もかも、激痛さえもが溶け込んでいく。
 乳房を押し潰し太腿にのし掛かる石の重み。脛に食い込む木材の稜線。手首と喉を締め付ける縄までも、はっきりと感じながら、それらが混然となって、身体の形そのものになっていくような不思議な感覚に、千代は引きずり込まれていった。
 バシン。肩に焼けるような衝撃が奔った。柔らかな悪夢の中から引きずり出されるような感覚があって、次第に意識がはっきりしてくる。
「うああ……」
 半開きの口からこぼれた微かな呻きは、すくなくとも苦痛に彩られてはいなかった。なぜかこの刹那、痛みをそれほどに感じていない。全身が薄桃色の霧に包まれているような、不可思議な感覚があった。
「そう簡単には眠らせてやらんぞ。もう一枚、味わってみるか。女の細骨では、脛が砕けて二度と歩けなくなるかもしれんぞ。それでもよいのか」
 言葉は聞こえている。しかし、意味が分からなかった。分かろうとも思わない。意味を理解したら、直ちに激痛が甦る。なぜか、そんなふうに思った。
 千代の反応が薄いと見て、八戸は気付けの松葉燻を試したのだが、わずかに咳き込むだけで、正気を取り戻す気配は無かった。
 ならばと五枚目を積ませてみたが、千代は低く呻くのみだった。
 チッ。八戸が舌打ちした。
「もはや前後不覚か。石を下ろしてやれ」
 千代は縄を解かれて十露盤からも降ろされた。
「ひいいい……痛い」
 血流が戻ったせいか、脛と乳房に激痛が蘇った。
 八戸は、突っ伏している千代の脇に膝を突くと、十手で向こう脛をガシンと叩いた。
「ぎゃあっ、痛い」
「なにを大仰な。骨は折れておらんな。されど、音が鈍かったから、ひびくらいは入っておるやも知れんぞ」
 実のところ、これは脅しだった。千代の隣で海老責めに掛けられている若い男は脛の肉が破れて白い骨が見えているのに比べて、千代の脛には深い窪みが刻まれて血は滲んでいるものの、とても骨までは達していない。屈強な男なら八枚以上を積まなければ骨は折れないのだから、女でも六枚くらいまでは持ち堪えるだろうと見込んでいたのが、わずか四枚で取り止めにしなければならなかったのだから、腹も立とうというものだった。
 十露盤は中央のあたりが濡れていた。下人が目敏く見つけて、手桶の水をぶっ掛ける。水は十露盤の隙間から垂れて、壁の一画に穿たれた穴へと、石畳の上を流れた。石板も千代の涎やら汗で汚れているので、同様に水で洗って。最後が千代の始末だった。
 とてもに立って歩けないので、昨日と同じに戸板で牢へ運ばれた。
 千代を着物を敷いた畳の上に寝かせて、八戸の厳命もあることゆえ、後は知らぬ顔の半兵衛を決め込む女囚一同だったが。千代が落ち着いた頃合いを見計らって、牢名主のトラが声を掛けてきた。
「その様子じゃ、落ちなかったようだね。女の身で石抱きに耐えた者なんて、わっちの知る限りはいねえよ。筋彫の二つ名は伊達じゃなかったね」
 落ちるという言葉の使い方に戸惑った千代だが、言っている意味は分かった。当然に反発した。
「違います。ほんとに濡衣なんです。私は女賊なんかじゃありません」
「おっと、そうだったね」
 軽く受け流したのは、信じていないのか。
「それならそれで、ますますたいしたもんさね。大店のお嬢様が、素っ裸に剥かれて縛られて敲かれて、挙げ句に石まで抱かされて、それでも落ちねえんだものね」
 誉められているのか莫迦にされているのか。気力体力の萎えているところに惑乱が交錯して、千代は悲痛な声で叫んでいた。
「甚振られずに済むんだったら、濡衣を認めたって構わないんです」
 わああっと泣き伏して。しゃくり上げながら、切れ切れに言葉を吐き出す。
「どうせ…お嫁にいけない身体に…されたんです。磔になって死恥をさらしたって…構やしないんです。でも、でも…ふた親を巻き添えにするなんて……」
 絶対に出来ない。それくらいなら、責め殺されたほうが、ずっとずっとましだ。誤って責め殺しても爪書を捏造できるとは知らない千代の、虚しくも悲壮な決意だった。
 トラが鼻白んだ顔になって、溜め息を吐いた。
「まあね。そんなに悪い方にゃ転ばないだろうけどね。貫目屋は、殿様にまで貸しがあるそうだから……んん」
 心底不思議そうに千代を見つめる。
「考えてみりゃあ、何万両って分限(ぶげん)だあね。そのひとり娘が百や二百を盗むってのも、平仄が合わないねえ」
「そうかしら。あたいだって、親にねだりゃあ鼈甲の櫛だって買ってもらえたというのに、百文かそこらのビタ銭を切った張ったの一天地六だぜ」
「おまえ様のは、血の道のこじれじゃわい」
 鉄火のエンが混ぜっ返すのを中條の松尾がたしなめるというか、掛け合い漫才というか。
 この人たちは命の瀬戸際を歩いてないから、こんなに暢気に構えていられるんだ。千代は、そう思う。罪を認めれば我が身は磔獄門、親は下手人か山送り。
 同じ女囚とはいえ、まるきり境遇も先行きも隔たっている千代なのだった。

 その日も、夕刻遅くになって医師が来て手当てをしてくれた。傷を焼酎で洗って軟膏を塗り込めて、乳房はそれだけだったが、脛には油紙を巻いてくれただけは、昨日よりも手厚かった。
 翌日は吟味部屋へ引っ立てられることもなく、千代は着物を敷布代わりにした畳の上で一日を傷の痛みに呻吟しながら過ごした。どんなに苛烈に責められようと、無実の罪を認めたりはしない。責め殺されるのが、むしろ親孝行。そう考えると、嫁に行けないなど枝葉末節に過ぎない。ある意味、楓たちに拉致されてからこの方、もっとも心(だけは)穏やかな一日を過ごしたのだった。
 翌日も吟味は無かった。
 捕まえた当日に爪書を取れと急かしていた城下奉行からの再度の督促は無く、八戸は定法に従って女囚を養生させていたのではあるが。実のところ千代を持て余してもいた。上役の長井八久を通じて、吟味方惣与力の残谷郷門に己の非力を訴えていたのだった。
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 ついに、拷問中にドパミンドパドパとなりました。エンドルフィンだという説もありますが、語呂が悪いので。
 
 しかし、まあ。
 今回は「書きながら考える」シーンが多くて。
 新妓夢幻責の最中に、サド役の三国郷門改め残谷郷門クンが、「そういえば、十年前にも強情な新妓を調教したな」と思い出して、本名「糸」しか知らないが、ヒロインの腰のあたりの刺青が川ではなく三本の糸ではないか。で、子分を妓楼に走らせ……なくても、いいじゃんか。目の前に妓楼の主人が立ち会ってるじゃないか。あちこち調査に走り回らせなくても、亡八どもの情報網があるじゃないかと。有機的に連環した次第。
 ではありますが。こういうのを考えてるのは頭の中の1/4くらい。
 海賊に拐われたお姫様と侍女が、入れ替わって云々。のストーリイ展開を練るのが1/4で。
 
「玩具時々奴隷」の元ネタの電車内イチャツキの本日の目撃に基づいてあれこれ妄想が1/4で。
 すでに弁当で昼食は確定しているので、今晩は何を食べよかなが1/4。
 なのでありましたとさ。


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