Inturrupt Reoprt Final:檻の中の野生児(仮題)
ううううう……どこで教育を間違ったんだろう。
お父さんは、おまえをそんな娘に育てた覚えはないぞ?!
これまでのマゾ堕ちには、悲劇の匂いがありました。身体に悦虐が沁み込んで、悲しく諦めながら堕ちていくとか。逃れられない運命に抗うのを焉めて、心に引っ張られて身体も悦虐に染まっていくとか。いや、最後の最後まで受虐に逆らって凄絶な未来へ突き進んでいくとか。
しかし、今回はどうでしょう。誇りも羞恥も投げ棄てて、ひたすら快楽に堕ちて逝くという。
気高さが、まるきりありません。悲劇の欠片もありません。ハゼッイイよ、ズンナックの誇りはそんなにも脆いものだったのか。たとえ部族と訣別しても、それは仲間を虐殺から掬う苦渋の選択ではなかったのか??
とまあ。作者が取り乱すほどに、脳天気にマゾ堕ち、いや快楽堕ちしちゃいました。
終章のタイトルは『悲しい幸せ』を予定していたのに、『明日も幸せ』に変えざるを得ませんでした。
前章で、ヒロイン姉妹は『亜人動物園』に売り払われて。牧場近くの街で3日間だけ動物園が開かれて。
町長だの保安官だのに、姉妹で突っ込まれて。町長の提案で、「一目で姉妹と分かるように」下腹部を同じにされるわけです。ところが、ハゼッイイ(ビッチ)は無毛にこそなれ下腹部が火傷だらけ。これでは不均衡だと、無毛のハスビッディ(プチビッチ)まで煙草で焼かれて。
その火傷が、次の都会までの長い道中で「男がその気になってくれる」ところまで治った。
以上、前章の粗筋でした。
========================================
明日も幸せ
そんなこんなで、トカイとかいう大きな街に着いたときには、薄皮も剥げ落ちて、やけに白っぽい痕が残るだけになってた。これなら、男が遊んでくれるよな。
今度は街外れじゃなくて、大きな街のど真ん中にある広場に大仕掛が広げられた。広場っていっても、花畑があったり、曲がりくねった道に沿って腰掛が並べられたり。コウエンという場所らしい。
大仕掛が出来上がるまでは、見物されるおれたちの出番はない。小さい三兄弟だけは、派手な色遣いの服を着て太鼓や喇叭を持って、人寄せに出かける。
白人たちがばたばた立ち働いている中で、エンチョウだけはぼけっとしている。ほんとはぼけっとしてるんじゃなくて、全体を見渡して、過不足なく物事が進んでるのを見張ってるんだ。これは族長と同じだ。暇そうに見えて、実はいちばん忙しい。
その忙しいはずのエンチョウが、にやにやしながらおれたちの檻に近づいて来た。
『素晴らしい物をプレゼントしてやろう』
そういって、二本の棒を真ん中で交差させた、白人のモジでいえば“X”に似た形の木細工を俺たちの前に放った。詳しく言うと、それぞれの棒は、ダブル・ディルドそっくりだ。金玉にあたる部分はなくて、棒の真ん中を凹に削って組み合わせ、そこに鉄の軸が通してある。だから、二本の棒の開き加減は変えられる。ダブル・ディルドそっくりだけど、片側はたいていの男棒よりすこし太くて、反対側は細い。
『これをどう使うかは、説明しなくても分かるな』
分からなかったけど、今の言葉で分かっちまった。つまり、太い側をおれの女穴に挿れて細い側をプチビッチの尻穴に挿れるんだ。そして、もう一本の棒は細い側がおれの尻穴で、太い側がプチビッチの女穴。どうやっても、四つの穴と二本の棒は向きがずれる。それだけ強くこねくられる。
エンチョウは黙っておれたちを見ている。すぐに使ってみろということだろう。
プチビッチが仰向けに寝そべって脚を開いた。こいつも期待してるんだ。女穴はもう濡れてきてる。でも、尻穴は勝手に濡れてくれない。ので、細い側をプチビッチの口に入れてやった。
ちゅばちゅばと、わざと音を立てながら舐める。おれたちが淫らに振る舞えば、外から来る見物人が喜ぶ。嘲笑うんだけどな。嘲笑いながら、コイン――いろんな物と交換できる銅の円板を放り投げてくれることもある。するとエンチョウは後で、キャンディーやチョコレートといった、頬っぺたも舌も溶け崩れてしまいそうなお菓子をくれるんだ。だからプチビッチは、淫らに振る舞う練習をしてる。
おれだって負けないぞ。もう一本の細いほうを、プチビッチと向かい合って舐める。このまま顔を近づけてくと接吻に――は、ならないな。二本が交差してるとこで止まっちまう。この道具をしゃぶりながら接吻する方法を、後で工夫してみようかな。
でも、今は――おれは顔を離して、二本の棒を股ぐらにあてがった。一本ずつを挿れるのは、二本目が難しいだろうから、女穴と尻穴へ同時に突き刺した。
「あっ……すごいぞ」
開き具合をうまく合わせたつもりでも、挿れていくにつれて二つの穴が引き寄せられる。ごりごりぐりぐり……本物の男棒が二本より、刺激が強い。
「はふう……」
奥まで挿れると、心地好さに溜息が出た。
「ねえ、あたしにも挿れてよ」
プチビッチが腰を浮かして催促する。
おれはプチビッチの脚の間に尻を落として。脚を脚を交差させて、にじり寄る。女穴に先っぽが挿入ったことろで、穴をちょっと締めつけて棒の開きをプチビッチの尻穴に合わせた――やってみて初めて、こういうことが出来るんだと知ったぞ。
尻を浮かし気味にして、踵と肘を使って、じわっと前へ動く。細い側の先っぽがプチビッチの尻穴に嵌まると、おれの女穴がぐにゅんと押された。
「ひゃんんっ……ちもき、いいよおお」
プチビッチの声が蕩けてる。
「おれも……すごいや……」
挿れて、ちょっと押し合っただけで、腰を熱風が吹き抜ける。でも、困ったな。こいつは握って動かす部分がないぞ。さらに尻を浮かせて、身体全体を前後に揺すってみた。おれの中で二本の棒が出挿りする。でも、プチビッチのほうでは動いていない感じだ。
穴をぎゅうっと精一杯まで締め付けた。
「やらっ……それ、きついよお」
プチビッチの声が、さらに甲高くなった。
穴を締めつけたまま身体を揺すると、今度はおれの中では動かなくて、プチビッチのほうが出挿りする。ので、すこしだけ緩めると――両方が同時に動き始めた。
そのうち、プチビッチも腰を揺すり始めた。
動きが合うと、ぐわららら……と、雷鳴が轟き始める。でも、おれが押すときにプチビッチが引いたりすると、ずっどーんは遠ざかってしまう。
もどかしい。ので、いっそう激しく身体を揺する。
揺すりながら……靄が濃く立ち込める頭で、ふと考えた。
もしも、白人に捕まっていなかったら。今も、[[rb:木の精霊>チジッディ・アブレ]]と戯れてたんだろうな。同じぐわららずっどーんでも、本物の男棒やダブル・ディルドのほうが、ずっと凄いのに。
そして……季節が、あと幾つか巡ったら、ズンナックの若い男の誰かから羽根をもらって、たぶん、おれはその男と[[rb:夫婦>めおと]]になって、子供を産んで……
そうだ、思い出した。おれは、この日あたりに来るなというときに、ちゃんと血を流している。あれだけ男と番って赤ん坊が宿らないのは、もしかしたら、女穴の中でコルクの団栗を破裂させられたせいかもしれない。穴は使えても(メイキになったぞ)、子袋が傷ついてそのままになってるのかもしれない。
プチビッチのほうは、最初の[[rb:徴>しるし]]があっただけで、あれから夏が過ぎても次の血を見ない。初めのうちは、間が長かったり短かったりするから、それだとは思うけど。もしかしたら、もしかしてるかもしれないぞ。
秋が深まったら、きっとはっきりすると思う。今のうちから、あれこれ悩んでもしょうがない。だいいち、プチビッチ自身は気にしていないらしいし。
そんな遠い先の日のことよりも。今は、ぐわららずっどーんだけを考えよう。こんな凄い、恐ろしいとさえ思ってしまう快感を教え込んでくれたのは白人だ。チリコンカンとかいう旨辛い食べ物も、キャンディーもチョコレートも、白人に捕まらなかったら、たぶん一生口にすることはなかったよな。
だから、今は――今だけは、白人に捕まって良かったと思っている。
そして、きっと。明日も、そう思うだろう。
「あああああっ……くる! くるよ……おねえちゃあん!」
プチビッチが稚ない(とは、もう言えないよな)絶頂を訴える。
「おれも……ビッチも逝くから……いっしょに、逝こう!」
きっと後で腰が抜けると思いながら、おれはいっそう激しく動いて、妹を追い掛ける。
[完]
========================================

いまさら、そんな格好つけたって駄目です。お父さんは赦しません!
こほん。
そうとう後の方まで誇り高く振る舞っていたヒロインです。それだけに、反動が大きかった。うん、そういうことなのでしょう。
さて。本日は脱稿祝いで飲んだくれて。
本作品の校訂のかたわら、ノクターンノベルス連載中のをひとつ書いて。
うだうだしてると、5月リリース予定の『女王様と女神様と従弟の(下)僕』が間に合わなくなるかもしれませんので、こっちの最終校訂&増補をやっつけて。
それでも、4月中旬には『生贄王女と簒奪侍女(後編)』に着手したいものです。
お父さんは、おまえをそんな娘に育てた覚えはないぞ?!
これまでのマゾ堕ちには、悲劇の匂いがありました。身体に悦虐が沁み込んで、悲しく諦めながら堕ちていくとか。逃れられない運命に抗うのを焉めて、心に引っ張られて身体も悦虐に染まっていくとか。いや、最後の最後まで受虐に逆らって凄絶な未来へ突き進んでいくとか。
しかし、今回はどうでしょう。誇りも羞恥も投げ棄てて、ひたすら快楽に堕ちて逝くという。
気高さが、まるきりありません。悲劇の欠片もありません。ハゼッイイよ、ズンナックの誇りはそんなにも脆いものだったのか。たとえ部族と訣別しても、それは仲間を虐殺から掬う苦渋の選択ではなかったのか??
とまあ。作者が取り乱すほどに、脳天気にマゾ堕ち、いや快楽堕ちしちゃいました。
終章のタイトルは『悲しい幸せ』を予定していたのに、『明日も幸せ』に変えざるを得ませんでした。
前章で、ヒロイン姉妹は『亜人動物園』に売り払われて。牧場近くの街で3日間だけ動物園が開かれて。
町長だの保安官だのに、姉妹で突っ込まれて。町長の提案で、「一目で姉妹と分かるように」下腹部を同じにされるわけです。ところが、ハゼッイイ(ビッチ)は無毛にこそなれ下腹部が火傷だらけ。これでは不均衡だと、無毛のハスビッディ(プチビッチ)まで煙草で焼かれて。
その火傷が、次の都会までの長い道中で「男がその気になってくれる」ところまで治った。
以上、前章の粗筋でした。
========================================
明日も幸せ
そんなこんなで、トカイとかいう大きな街に着いたときには、薄皮も剥げ落ちて、やけに白っぽい痕が残るだけになってた。これなら、男が遊んでくれるよな。
今度は街外れじゃなくて、大きな街のど真ん中にある広場に大仕掛が広げられた。広場っていっても、花畑があったり、曲がりくねった道に沿って腰掛が並べられたり。コウエンという場所らしい。
大仕掛が出来上がるまでは、見物されるおれたちの出番はない。小さい三兄弟だけは、派手な色遣いの服を着て太鼓や喇叭を持って、人寄せに出かける。
白人たちがばたばた立ち働いている中で、エンチョウだけはぼけっとしている。ほんとはぼけっとしてるんじゃなくて、全体を見渡して、過不足なく物事が進んでるのを見張ってるんだ。これは族長と同じだ。暇そうに見えて、実はいちばん忙しい。
その忙しいはずのエンチョウが、にやにやしながらおれたちの檻に近づいて来た。
『素晴らしい物をプレゼントしてやろう』
そういって、二本の棒を真ん中で交差させた、白人のモジでいえば“X”に似た形の木細工を俺たちの前に放った。詳しく言うと、それぞれの棒は、ダブル・ディルドそっくりだ。金玉にあたる部分はなくて、棒の真ん中を凹に削って組み合わせ、そこに鉄の軸が通してある。だから、二本の棒の開き加減は変えられる。ダブル・ディルドそっくりだけど、片側はたいていの男棒よりすこし太くて、反対側は細い。
『これをどう使うかは、説明しなくても分かるな』
分からなかったけど、今の言葉で分かっちまった。つまり、太い側をおれの女穴に挿れて細い側をプチビッチの尻穴に挿れるんだ。そして、もう一本の棒は細い側がおれの尻穴で、太い側がプチビッチの女穴。どうやっても、四つの穴と二本の棒は向きがずれる。それだけ強くこねくられる。
エンチョウは黙っておれたちを見ている。すぐに使ってみろということだろう。
プチビッチが仰向けに寝そべって脚を開いた。こいつも期待してるんだ。女穴はもう濡れてきてる。でも、尻穴は勝手に濡れてくれない。ので、細い側をプチビッチの口に入れてやった。
ちゅばちゅばと、わざと音を立てながら舐める。おれたちが淫らに振る舞えば、外から来る見物人が喜ぶ。嘲笑うんだけどな。嘲笑いながら、コイン――いろんな物と交換できる銅の円板を放り投げてくれることもある。するとエンチョウは後で、キャンディーやチョコレートといった、頬っぺたも舌も溶け崩れてしまいそうなお菓子をくれるんだ。だからプチビッチは、淫らに振る舞う練習をしてる。
おれだって負けないぞ。もう一本の細いほうを、プチビッチと向かい合って舐める。このまま顔を近づけてくと接吻に――は、ならないな。二本が交差してるとこで止まっちまう。この道具をしゃぶりながら接吻する方法を、後で工夫してみようかな。
でも、今は――おれは顔を離して、二本の棒を股ぐらにあてがった。一本ずつを挿れるのは、二本目が難しいだろうから、女穴と尻穴へ同時に突き刺した。
「あっ……すごいぞ」
開き具合をうまく合わせたつもりでも、挿れていくにつれて二つの穴が引き寄せられる。ごりごりぐりぐり……本物の男棒が二本より、刺激が強い。
「はふう……」
奥まで挿れると、心地好さに溜息が出た。
「ねえ、あたしにも挿れてよ」
プチビッチが腰を浮かして催促する。
おれはプチビッチの脚の間に尻を落として。脚を脚を交差させて、にじり寄る。女穴に先っぽが挿入ったことろで、穴をちょっと締めつけて棒の開きをプチビッチの尻穴に合わせた――やってみて初めて、こういうことが出来るんだと知ったぞ。
尻を浮かし気味にして、踵と肘を使って、じわっと前へ動く。細い側の先っぽがプチビッチの尻穴に嵌まると、おれの女穴がぐにゅんと押された。
「ひゃんんっ……ちもき、いいよおお」
プチビッチの声が蕩けてる。
「おれも……すごいや……」
挿れて、ちょっと押し合っただけで、腰を熱風が吹き抜ける。でも、困ったな。こいつは握って動かす部分がないぞ。さらに尻を浮かせて、身体全体を前後に揺すってみた。おれの中で二本の棒が出挿りする。でも、プチビッチのほうでは動いていない感じだ。
穴をぎゅうっと精一杯まで締め付けた。
「やらっ……それ、きついよお」
プチビッチの声が、さらに甲高くなった。
穴を締めつけたまま身体を揺すると、今度はおれの中では動かなくて、プチビッチのほうが出挿りする。ので、すこしだけ緩めると――両方が同時に動き始めた。
そのうち、プチビッチも腰を揺すり始めた。
動きが合うと、ぐわららら……と、雷鳴が轟き始める。でも、おれが押すときにプチビッチが引いたりすると、ずっどーんは遠ざかってしまう。
もどかしい。ので、いっそう激しく身体を揺する。
揺すりながら……靄が濃く立ち込める頭で、ふと考えた。
もしも、白人に捕まっていなかったら。今も、[[rb:木の精霊>チジッディ・アブレ]]と戯れてたんだろうな。同じぐわららずっどーんでも、本物の男棒やダブル・ディルドのほうが、ずっと凄いのに。
そして……季節が、あと幾つか巡ったら、ズンナックの若い男の誰かから羽根をもらって、たぶん、おれはその男と[[rb:夫婦>めおと]]になって、子供を産んで……
そうだ、思い出した。おれは、この日あたりに来るなというときに、ちゃんと血を流している。あれだけ男と番って赤ん坊が宿らないのは、もしかしたら、女穴の中でコルクの団栗を破裂させられたせいかもしれない。穴は使えても(メイキになったぞ)、子袋が傷ついてそのままになってるのかもしれない。
プチビッチのほうは、最初の[[rb:徴>しるし]]があっただけで、あれから夏が過ぎても次の血を見ない。初めのうちは、間が長かったり短かったりするから、それだとは思うけど。もしかしたら、もしかしてるかもしれないぞ。
秋が深まったら、きっとはっきりすると思う。今のうちから、あれこれ悩んでもしょうがない。だいいち、プチビッチ自身は気にしていないらしいし。
そんな遠い先の日のことよりも。今は、ぐわららずっどーんだけを考えよう。こんな凄い、恐ろしいとさえ思ってしまう快感を教え込んでくれたのは白人だ。チリコンカンとかいう旨辛い食べ物も、キャンディーもチョコレートも、白人に捕まらなかったら、たぶん一生口にすることはなかったよな。
だから、今は――今だけは、白人に捕まって良かったと思っている。
そして、きっと。明日も、そう思うだろう。
「あああああっ……くる! くるよ……おねえちゃあん!」
プチビッチが稚ない(とは、もう言えないよな)絶頂を訴える。
「おれも……ビッチも逝くから……いっしょに、逝こう!」
きっと後で腰が抜けると思いながら、おれはいっそう激しく動いて、妹を追い掛ける。
[完]
========================================

いまさら、そんな格好つけたって駄目です。お父さんは赦しません!
こほん。
そうとう後の方まで誇り高く振る舞っていたヒロインです。それだけに、反動が大きかった。うん、そういうことなのでしょう。
さて。本日は脱稿祝いで飲んだくれて。
本作品の校訂のかたわら、ノクターンノベルス連載中のをひとつ書いて。
うだうだしてると、5月リリース予定の『女王様と女神様と従弟の(下)僕』が間に合わなくなるかもしれませんので、こっちの最終校訂&増補をやっつけて。
それでも、4月中旬には『生贄王女と簒奪侍女(後編)』に着手したいものです。
Inturrupt Reoprt 5:檻の中の野生児(仮題)
どんどん長くなっています。最初の予定では「部族と訣別」のすぐ後が「人間動物園」でしたが、「玩具の日々」を突っ込んじゃいました。
オジョウサンたちの遊びを書いて、オボッチャンたちの遊びを書いて、このパートだけで9千文字。これからカウボーイたちの遊びを書きます。
ということで、出来立て熱々の部分を御紹介。
ルビ部分はPIXIV仕様をtxt( [[rb:本文>ルビ]] )にしていますので、おみぐゆしいかと。
========================================
玩具の日々
次の日から、ビッチとプチビッチの、玩具の日々が始まった。そんなに酷い暮らしじゃなかった。
カウボーイが十人で寄ってたかっておれたちを犯すってことが、なくなった。毎晩、二人か三人、せいぜい四人が小屋へ来て、おれのメイキを使うやつが多いけどプチビッチを犯す物好きも四人にひとりはいたな。ああ、白人には、やつらの言葉でそう言ってるうちに、頭の中で考えるときもハスビッディではなくなっちまった。それは、プチビッチも同じだ。だいたい、おれたちはズンナックを捨てたんだ。いつまでもハゼッイイとハスビッディじゃ、そっちのほうがおかしいや。
そんなことは(とても大切なことのような気がするけど)どうだっていいや。
カウボーイたちの数が減ったから、ひとりずつがじっくり可愛がってくれた。乳首やメシベも、がさつなやり方だったけど弄ってくれたし。ハスビッディはあまり使われなかったから、ぐわららずっどーんにもふわふわぱちんにもなれない夜が多かったから、そんなときは、おれが続きをしてやった。
それを見つかって。しばらくの間は、姉妹レズビアンていうんだな、それを無理強い(でもなかったけど)にやらされて、セイバーまで見物したっけ。まあ、十日としないうちに飽きられたけど。当然だよな。おれたちだけが無我夢中になってる――玩具同士が愉しんでて、白人どもは男棒の始末がつかないんだから。
ま、大人どもに遊ばれるのは、じきに厭じゃなくなった。
厭だったのは、餓鬼どもの遊び。これは男と女で分かれていて、イッシュウカンに男が二日と女が一日だった。
この遊びがどんなだったかを言う前にイッシュウカンがどんなふうに過ぎたかに触れておこうか。
最初の日には、街からカテイキョウシという、お婆さんにちかい女性がやって来る。餓鬼どもは男も女も、四角い石を積み上げた大きな家にこもって、この女性からいろんなことを学ぶらしい。男が女から何を習うってんだろう。狩りの仕方も戦い方も教わらずに、裁縫とか料理とかを習うんだろうか。とにかく、このカテイキョウシはボクジョウに泊まって、次の日も餓鬼どもに教える。カテイキョウシが居るあいだは、おれたちは小屋に閉じ込められて、カウボーイも寄り付かない。カテイキョウシが昼過ぎに街へ帰って、夕方からはカウボーイどもが、おれたちを可愛がりに小屋を訪れる。
そして、次の日からの三日間が、餓鬼どもの玩具にされる。その次の日は、セイバーに虐められるときもあるし、何もされないときもある。おれたちに落ち度があったわけじゃなく、ミガワリコショウでもなく、まったくの気紛れ――でもないな。鞭痕が薄れたのを見定めてたもの。八巡り前に殺された妻の復讐だとしたら、ずいぶんと陰険なやつだ。
餓鬼どもの遊びは鞭打ちほどずたぼろにはされなかったけど、じゅうぶんにつらかったし、捨てたはずの誇りを無理強いに引きずり出して、改めて踏みにじるような残酷なところがあった。それがイッシュウカンに三日だぞ。
男の餓鬼は、ボビーの子分みんなが街から遊びに来るってこともなく、みそっかすのエディが仲間外れにされることもあって、だいたい五六人のときが多かった。最初に比べたら、あっちの人数が半分になって、こっちは倍になったけど。遊びはだんだん残酷になっていったから、痛くてつらくて惨めなのは変わらなかった。
男の餓鬼どもの遊びで多かったのは、おれたちを一方的に殴る蹴るってやつ。さすがに、プチビッチにまではハンディを付けたりはしなかったけど。そして、プチビッチをぶちのめすよりは、両肘を縛られ鎖で足の動きも妨げられているおれをプチビッチがぶちのめすのを見物するのを好んだ。真面目にやらなきゃ親父に言いつけて二人とも懲罰の鞭打ちだなんて脅かされるから、プチビッチは泣きながらおれを殴る。股ぐらを蹴れと言われたら従う。でも、どうしても手加減が入ってしまうから。まだ鞭痕が鮮やかな肌に新しい鞭傷が重なることも少なくなかった。
二度と繰り返されなかったのが、おれたちを四つん這いに縛って野に放つ狩猟ごっこ。もし逃げおおせたにしても、おれたちは部族に戻れない。下手に遠くまで逃げて犬に捕まったら、本物の牝犬にされちまう。だから逃げないって、鞭打ちも餌抜きも覚悟で逆らった。これにはジェスも味方してくれた。驚くほどのことじゃない。
『犬と穴兄弟にはなりたくないですぜ』
でも、せっかく猟犬を借りて来たんだからと、ボビーでなく次男坊のチャールズが考えついたのが、例の柵で囲われた場所での、牝犬狩り。
おれたちを囲いの中に入れて出入り口を閉じ、その外側に猟犬を放つ。柵は跳び越えられない高さだけど、よじ登ることはできる。さっさと柵の中に入れば、それで終わりなのに、よじ登ってる間におれたちが逃げると思うんだろうな。ぐるっと柵を回って、おれたちのすぐ近くに来てから、柵を越えようとする。
おれたちがよちよちと逃げると、犬は柵から下りて追い掛けてくる。あまり柵から離れたり、逃げるのが遅いと、その場で柵を越えようとするから、柵に沿って逃げ回らなければならない。
くそ。草原じゃなくて剥き出しの地べただぞ。肘も膝もすぐに擦り剥けた。おれたちも犬も動きが単調だから、餓鬼どもはすぐに飽きてくれたから、たいした怪我にならなかったけど。
柵の中での遊びは、他にもある。射撃鬼ごっこも、そのひとつだ。これはふたり一緒じゃなくて、かわりばんこに遊ばれる。虐められると言っても同じだけどな。
的にされる者といっても、ビッチかプチビッチのどちらかに決まってるけど。後ろ手に縛られて、両足とも鉄の球をつながれる。そして、光る薄い鉄の板で作られたキャンていう小さな中が空っぽの容れ物を何個も鉄の球のまわりに括りつけられる。鉄の球を引きずって歩けば、からんからんと音が鳴る仕組だ。そして、鬼になるやつは目隠しをして、柵の外から火を噴く長い棒で、的を射つんだ!
コルクじゃないぞ。当たったら死ぬやつだ。
鬼の後ろから見物してる餓鬼どもが『左だ。もっと上。行き過ぎた、右へちょい戻せ』なんて教える。こっちだって、長い棒がどこを向いてるか見えるから、射たれそうになったら逃げる。でも、キャンがけたたましい音を立てるから、鬼は目隠しをされててもだいたいの方角が分かる。狙いを定められないよう、柵の中を逃げ回らなきゃならない。
馬鹿げた(おれたちだけが)命懸けの遊びに付き合ってられない。本当に団栗が当たるのは、長い棒が見えなくなって、端っこに明いてる穴が真ん丸に見えるときだから、その寸前に上体だけを横へかわせば、キャンも鳴らないから、狙いはそれる。
でも、そんなずる(じゃねえよ)は、させてくれない。じっとしてると、見物にまわってる餓鬼どもが、短い棒でキャンを狙い射つ。うまく当たればまだしも、近くの地面に当たったら団栗が跳ねて、身体に当たりかねない。そうじゃなくても、足元で団栗が爆ぜたら、足が勝手に動いちまう。そしたらキャンが音を立てるから、逃げなくちゃならない。でも、慌てて転んだら命取りだ。後ろ手に縛られて足に鉄の球をつながれてたら、立ち上がるのにひと苦労だ。動かない的になっちまう。
物騒な遊びだけど、男の餓鬼どもは、まだあっけらかんとしてる。げらげら嗤いながら、陽気っちゃ陽気だ。そこへいくと、女の餓鬼どもは、くすりと嗤いもせずに、眼だけをやたらとぎらぎらさせて、陰湿なことをしやがる。ポニーガールは、まあ……ちっとも良くはないけど、セイバーの発案らしいから、陽気な残酷かな。
だけど、白人の言葉は不思議だ。カウボーイてのは牛の面倒を見る男のことなのに、ポニーガールとなると馬の真似をさせられる女って意味になるんだから。ま、そんなことはどうだっていいや。
ポニーガール用の橇は、曳く馬が二頭になったのでタンデムに作り変えられた。曳き棒が長くなって、橇から突き出てすぐに鎌首をもたげてプチビッチの股ぐらと同じ高さになる。その先でまた鎌首をもたげて、おれの股ぐら。それぞれの股ぐらを通るところに鉄の棒が上向きに突き出ているのは前と同じ――じゃなくて、二本ずつになった。無茶もいいところだよな。女穴と尻穴は、それぞれすこしずつ斜めになってるのに、鉄棒は二本が真上を向いてるんだから。
これをそれぞれの穴に挿れるだけでも、きつくて痛いってのに。鉄棒が抜けないように曳き棒と身体をつなぐ革帯の留金が、斜め後ろじゃなくて尻を割るくらいの真下に変えられた。前は、うんと身体を前に倒せば腰で橇を引っ張れたのに、それができなくなった。ほんとうに二つの穴(プチビッチとの二頭立てだから四つか)で引っ張らなきゃならなくなった。橇と、そこに乗った二人の女の餓鬼をだぜ。三人になることもあった。ボビーみたいに大勢じゃないけど、アンナにも子分ていうより親友か。ステファニーていう同じ巡りくらいの娘が、たまに遊びに来る。そうなると、二人が腰掛に座って、小っちゃなデイジーは橇の後ろに立つ。
それを、最初のうちはおれひとりで曳いていた。だって、プチビッチは非力だし。ほとんど平らな胸に縛りつけられた二つの鳥籠と、三つの突起に咬みついた木の嘴、そこから吊るされた鉄の花とか箱。そういった責め具に虐められて、歩くのがやっとだものな。ああ、曳き棒の途中にもちゃんと上向きに突き出た二股があって、その下は環になっているから、後ろにいるプチビッチにも鉄の箱を吊るせるんだ。
さいわいに、餓鬼どもが乗った橇を曳かされるのはボクジョウの中だけだったから、疲れ果て動けなくなっても、おれたちがまたセイバーに鞭打たれるってことを除けば、(三人の餓鬼どもにとっては)たいした問題にはならなかった。じゃあ、遠乗りはしなかったかというと、とんでもない。川まで行かされて、さらにずっと下流まで追い立てられたときもあった。三人の餓鬼どもは橇に乗らず、おれたちと並んで歩いて――これはこれで、厭だったな。三人が好き勝手におれたちを鞭打つんだから。しかも、後ろからだけじゃない。前に回って、わざと鉄の花とか箱を叩いたりもする。乳首もメシベも悲鳴を上げるぜ。
アンナが目指す場所へ着いて、そこでひと休みするかというと、とんでもない。それから、その日の遊びが始まるんだ。
『{魔女}狩りって知ってるでしょ』
おれは知らないぞ。
『この前、街で凄い本を見つけたの。[{魔女}に与える鉄槌]という昔に書かれた本なの。この二匹は人間の形をした獣だから、実は{魔女}なのかもしれない。それを確かめたいの』
おれたちは曳き棒から外されて、身体に着けられていたあれこれも取っ払われた。
『濡れたら困るでしょ』
羽根飾まで取り上げられた。羽根飾がないと、ほんとうに素っ裸にされた気分になる。も何も、元から素っ裸だけどな。
おれとプチビッチは、別々に縛られた。といっても、白人の男どもみたいに、女を縛り慣れてるわけじゃない。部族の名誉のために付け加えとくけど、ズンナックには、女を縛り慣れた男なんていないぞ。
つまり、身体じゅうぐるぐる巻きにされたんだ。そして、腋の下を通して別に長い縄を付けられた。
『{魔女}は水に浮かぶのよ』
『ふうん? 確かに、私たちは水に浸かったら沈んでしまいますわね』
それじゃ、試してみましょうよってんで。おれたちは丸太のように転がされて、川に落とされた。このあたりは川幅が変わらないのにうんと深くなっている――のが、落とされてから分かった。
川底まで沈んで、見上げたら光はずっと上。立てば頭は川面から出そうだけど、身体を曲げることもできない。もがけばもがくほど息が苦しくなって――ごぽっと、泡を吐いて。胸を締めつけている縄のせいで、それきり息を吸うことも吐くこともできなくなった。目の前が赤くなって、それがすうっと暗くなっていって。ぐいっと腰を引かれて、おれは俯せに寝た形で水面に引き上げられていた。最後の力を振り絞ってあがいて仰向けになって、息を貪った。そうだ、ハスビッディは――妹は軽いので、オジョウサンたちの手で川岸まで引き上げられていた。咳き込んでいる。
くそお。ついオジョウサンなんて考えちまったもんだから、そっちが頭にこびりついて、「女の餓鬼」なんて長ったらしくは考えられなくなった。ま、いいか。白人どもの言葉だ。ビッチと同じ意味だと思えば腹も立たない。
『沈んだわ。インディアンは{魔女}じゃないのね』
『まだ分からないわよ。溺れたふりをしたのかもしれないわ。{魔女}は悪賢いんだから』
それじゃ、もっと長いこと沈めてみようってなった。
『さっきは百まで数えたから、次は百五十ね』
二百、二百五十と増やされていって。とうとう、ほんとうにプチビッチが溺れちまった。
『殺してしまった。どうしましょ、パパに叱られるわ』
『私は知らないわよ。{魔女裁判}をやろうって言ったのはアンナだから』
こいつら、ハスビッディの命を気にもせずに、自分のちっぽけな心配ばかりしてやがる。
『ビッチを、ひきあげろ、ください。なわをほどけ、ください。ビッチが、たすける!』
それで二人(と、みそっかす)は我に還って、インディアン娘の生意気な指図に従ってくれた。
心臓に耳を当てたら、しっかりしてた。これなら、助かる。おれが小っちゃかった頃、友達が溺れて、お守りをしてた小母さんが息を吹き返させるのを見てたから、それを思い出しながら――膝の上で俯せにして、背中を何度も叩いて、それから口に口をかぶせて息を吹き込んで。目を覚ましたハスビッディは、泣きもしなかった。
ハスビッディは、まだぐるぐる巻きのままだったから、縄をほどいてやったけど、勝手なことをしたと叱られたりはしなかった。帰り道は、変な装具を着けられもせず、橇は手で曳いた。
それくらいオジョウサンたちはしょげ返ってたんだけど。ポニーガールが人間の格好で戻って来たんだから、セイバーに見咎められて、オジョウサンたちが白状して、理不尽にも、おれたちが鞭打たれた。
そして、オジョウサンたちはちっとも懲りなかった。
次の遊びのときも三人で、マジョサイバンの続きをやらされた。
マジョというのは[[rb:悪魔>ティンディ]]に憑かれた女の人のことだそうだ。おれたちがマジョだってなったら、困るのは白人じゃないかな。だって、インディアンは獣じゃなく人間だってことになる。でも、オジョウサンの話を聞いてると、マジョは焼き殺すそうだから、またパパに叱られるぞ。おれたちは焼き殺されるんだから、身代わりに鞭打たれる者はいないぞ。
なんてことも弁えず、どうしても、おれたちをマジョに仕立て上げたいらしい。
『魔女の身体には、痛みを感じない場所があるの。全身を針で刺して、それを調べるの』
そんなことでは分からないと思うぞ。だって、痛いふりをするのは簡単じゃないか。
この遊びには男の餓鬼ども――じゃないや。オボッチャンどもやカウボーイ、挙げ句にセイバーまで加わりやがった。子供の遊びに大人が混ざるなよって思うけど、半分くらいはありがたい。セイバーなんか、お門違いの復讐で残酷な虐め方をするけど、ぎりぎりの限度を弁えてる。それが、鞭打ちで分かった。あの鞭なら肉を切り裂いて骨まで剥き出しにできるだろう。でもセイバーは、そこまでしない。イッシュウカンか、せいぜいニシュウカンで傷が治るくらいに手加減している。だから、餓鬼どもの限度知らずの無茶苦茶は止めてくれる(かもしれない)。
といっても、虐められる側の思う限度と、虐める側の考える限度は、まったく違う。セイバーが止めたのは、針を目玉に突き刺そうとしたときだけだった。
なんか、先走ったな。話をすこし戻そう。
針刺しマジョサイバンが行なわれたのは、例の柵の中だった。小屋の中じゃ人があふれちまうからな。
すこし離れて、地面に杭が四本ずつ打ち込まれて、おれとプチビッチは、手足を広げた形で杭に縛りつけられた。そしてオジョウサンの三人はプチビッチ、三人のオボッチャンたちはおれのまわりに、それぞれ針を片手にしゃがみ込んだ。オジョウサンたちが遊ぶ日だから、ボビーの子分たちが来てなくて良かったぜ。
最初のうちは手当たり次第。腕とか脇腹とか太腿とか。せいぜい胸のまわり(プチビッチの場合は乳房とは言えない)くらいだった。それでも、プチビッチは痛い痛いって泣いてた。鞭打ちだったら、泣く余裕さえなくて悲鳴の上げっぱなしになるから、それよりはずっと穏やかな子供の遊びといえるかな。
おれがほんとうに絶叫したのは――握りしめていた手をカウボーイが手伝って開かされて、爪の下に針を突き刺されたときだった。乳房を刺されるより、ずっと痛い。鋭い針のような(じゃねえよ。針そのものだよ)激痛が脳天まで突き抜けた。
こんな調子で終わってたら、おれは自分の本性に気づかずに済んでいたかもしれない。
オジョウサンたちは、プチビッチの指先を刺そうとはしなかった。自分の指にうっかり突き刺した痛みを思い出すからじゃないかと思う。代わりに目玉を刺そうとしてセイバーに叱られたのは、もう言ったよな。
ここでしゃしゃり出たのがジェスだった。こいつはセイバーと違って、女(手当たり次第なのか、若いインディアン娘だけなのかは知らないが)を虐めるのが趣味なんだと思う。まったく、とんでもないやつに捕まっちまったぜ。
『魔女ってのは、必ず淫乱ですからね。正体を暴くにゃ、女の部分を責めるのがいちばんですぜ』
オボッチャンどもはきょとんとして、オジョウサンたちは顔を赤らめて俯く。女の部分てのは、つまり番うことに係わるから、こうなると男は積極的になる。しかも、どことどこが女の急所かをジェスが教えるもんだから。たちまち、三点の突起に三本の針が突き刺さった。
「ぎびい゙い゙い゙い゙い゙っ……!!」
おれは身体を反り返らせて絶叫した。その動きで、針にいっそう抉られる。
爪先に刺されるよりも、もっと奥の方が痛い。細い針のくせに、太い杭のような激痛。それが脳天へは突き抜けないで身体の裏側で跳ね返って、乳房と腰の奥で大きな塊になって、そこにわだかまる。そのわだかまりの中で、微かに何かが蠢いている……
『こりゃ驚いた。感じてやがるぜ』
ジェスが、まるきりからかって[[rb:いない>・・・]]声で言った。
『見ろよ……いや、こっちが分かりやすいか』
ジェスの指が割れ目に押し入ってきて、中を抉った。その指を高くかざす。
おれからも見えた。陽を照り返して、きらきらぬめぬめと光っている。激痛に負けて漏らしたおしこなんかじゃない。
大人たちからは感嘆したようなどよめきが湧いて、餓鬼どもはぽかんとしている。
でも、いちばん驚いてるのは、おれだ。
そりゃ、痛いことをされてても、女穴に男棒でも鉄棒でも玉蜀黍でも、突っ込まれれば濡れるさ。突っ込まれなくても、ぐわららずっどーんとかふわふわぱちんでも、ぐじゅぐじゅに濡れる。
だけど。いくら女の敏感な部分だからって、敏感な部分だからこそ、針に刺されて、ぐわららずっどーんもふふふわぱちんも、なるわけないだろ。
痛くて痛くて、泣きそうなんだぞ。
でも……どうせ何を訴えても赦してもらえないんだって諦めて、だから、二度三度と同じことをされるだろうと覚悟はしてるけど。そして、そう考えると、頭に靄がかかって胸が締めつけられて腰が疼いて……なんだって、女穴の奥まで熱くなるんだよッ?!
だけど……その理由も、前から薄々感づいてた。
弱い者は強い者に(いろんな意味で)組み敷かれて当然だって思ってた。その代わり、強い者は弱い者を護ってやる。それも当然だと考えてたけど……それは、弱い者が強い者に懐いたときだけじゃないだろうか。隙を見て反撃して殺してやろうなんて考えが、どこかで態度に表われて……どこかじゃないな。おれは敵意を剥き出しにしてた。そんなんじゃいけないって、女の部分が教えてくれたのかもしれない。でも、ここまで誇りを踏みにじったやつらに懐けるわけがない。
激痛と、その奥の妖しい感覚とで、そのときはそれ以上考えられなかった。
今だって、考えられない。考えると――おれは虐められて、それを、心はともかく身体では悦んでいるなんて、とんでもない話になってくる。
そりゃまあ……おれって、変わったところがあるとは分かってたぜ。森の中で裸になって、いけないことをしてるって思いにぞくぞくして。[[rb:木の精霊>チジッディ・アブレ]]と戯れて、ぐわらららずっどーんだもんな。こんなこと、他の娘はしない。
もう、おれのことはやめとく。
プチビッチは、乳首や蕾を針で刺されて濡らしたりしなかった。
『いたい。ゆるて。おじょさま、ごめない。いたい!』
すこしは覚えた白人の言葉で必死に訴えたけど、もちろん聞いちゃもらえない。乳首も蕾も血まみれになってさえ、針の傷なんて目立たないけど、痛みに悶えて暴れたから、縛られている縄が手足に食い込んで擦れて、血は翌日まで止まらなかったし、プチビッチの手首と足首には飾り環みたいな傷跡が後々まで残った。
針を刺されて濡らしちまったおれは、ジェスの言い分だとマジョのはずだけど、それはうやむやのままに終わった。オジョウサンたちも、オボッチャンやカウボーイと同じで、インディアン娘を虐めるのを面白がってるだけってことさ!
餓鬼どもがいろんな遊びを考え出すものだから、カウボーイどもも、残酷な遊びをするようになった。でも、餓鬼どもとすこし違うのは、割れ目と乳房と尻ばかりを虐めたことだ。セイバーが娘たちのために誂えてやったポニーガール用の円盤付き橇も、そのひとつだな。
他には、綱渡りとか荒馬乗りとか。
========================================
ここまでで9万3千文字(275枚)です。「人間動物園」も長くなりますから……まあ、WILL様リクエストで最長だった『女王様と女神様と従弟の(下)僕』375枚には届かないとは思いますが、さて?

画像は、白人に捕まらずに成長したハゼッイイの雄姿――てことにしといてくださいな。
今日は紙飛行機行って、確定申告出し直して、酒食らって19時には寝て、明日は2時くらいに起きて、「人間動物園」に突入しますか。
「人間動物園」も、実際には複数パートがあります。
・巡回動物園の一座が、牧場の空き地を借りて宿泊。ここで、ヒロイン姉妹に目をつける。
・購入交渉とか、檻に入れられた亜人の裏側紹介とか
・街で小屋掛けして興業。ヒロイン姉妹も晒されて。
・街の有力者とかに夜の興業は、牧場近くの街だからヒロインの素性は知られているから、本番だけかな。
・もっと見栄えのする形にと、X字ディルドを仕込まれるとか。AとVにそれぞれぶっ込むレズ御用達です。
・別の街まで移動させるか(道中を描けば、どんどん尺が……)
で、X字形ディルドでつながりながら「悲しい幸せ」を噛み締めてENDです。
というわけで。次のReportがFinalになればいいんだけどなあ。
オジョウサンたちの遊びを書いて、オボッチャンたちの遊びを書いて、このパートだけで9千文字。これからカウボーイたちの遊びを書きます。
ということで、出来立て熱々の部分を御紹介。
ルビ部分はPIXIV仕様をtxt( [[rb:本文>ルビ]] )にしていますので、おみぐゆしいかと。
========================================
玩具の日々
次の日から、ビッチとプチビッチの、玩具の日々が始まった。そんなに酷い暮らしじゃなかった。
カウボーイが十人で寄ってたかっておれたちを犯すってことが、なくなった。毎晩、二人か三人、せいぜい四人が小屋へ来て、おれのメイキを使うやつが多いけどプチビッチを犯す物好きも四人にひとりはいたな。ああ、白人には、やつらの言葉でそう言ってるうちに、頭の中で考えるときもハスビッディではなくなっちまった。それは、プチビッチも同じだ。だいたい、おれたちはズンナックを捨てたんだ。いつまでもハゼッイイとハスビッディじゃ、そっちのほうがおかしいや。
そんなことは(とても大切なことのような気がするけど)どうだっていいや。
カウボーイたちの数が減ったから、ひとりずつがじっくり可愛がってくれた。乳首やメシベも、がさつなやり方だったけど弄ってくれたし。ハスビッディはあまり使われなかったから、ぐわららずっどーんにもふわふわぱちんにもなれない夜が多かったから、そんなときは、おれが続きをしてやった。
それを見つかって。しばらくの間は、姉妹レズビアンていうんだな、それを無理強い(でもなかったけど)にやらされて、セイバーまで見物したっけ。まあ、十日としないうちに飽きられたけど。当然だよな。おれたちだけが無我夢中になってる――玩具同士が愉しんでて、白人どもは男棒の始末がつかないんだから。
ま、大人どもに遊ばれるのは、じきに厭じゃなくなった。
厭だったのは、餓鬼どもの遊び。これは男と女で分かれていて、イッシュウカンに男が二日と女が一日だった。
この遊びがどんなだったかを言う前にイッシュウカンがどんなふうに過ぎたかに触れておこうか。
最初の日には、街からカテイキョウシという、お婆さんにちかい女性がやって来る。餓鬼どもは男も女も、四角い石を積み上げた大きな家にこもって、この女性からいろんなことを学ぶらしい。男が女から何を習うってんだろう。狩りの仕方も戦い方も教わらずに、裁縫とか料理とかを習うんだろうか。とにかく、このカテイキョウシはボクジョウに泊まって、次の日も餓鬼どもに教える。カテイキョウシが居るあいだは、おれたちは小屋に閉じ込められて、カウボーイも寄り付かない。カテイキョウシが昼過ぎに街へ帰って、夕方からはカウボーイどもが、おれたちを可愛がりに小屋を訪れる。
そして、次の日からの三日間が、餓鬼どもの玩具にされる。その次の日は、セイバーに虐められるときもあるし、何もされないときもある。おれたちに落ち度があったわけじゃなく、ミガワリコショウでもなく、まったくの気紛れ――でもないな。鞭痕が薄れたのを見定めてたもの。八巡り前に殺された妻の復讐だとしたら、ずいぶんと陰険なやつだ。
餓鬼どもの遊びは鞭打ちほどずたぼろにはされなかったけど、じゅうぶんにつらかったし、捨てたはずの誇りを無理強いに引きずり出して、改めて踏みにじるような残酷なところがあった。それがイッシュウカンに三日だぞ。
男の餓鬼は、ボビーの子分みんなが街から遊びに来るってこともなく、みそっかすのエディが仲間外れにされることもあって、だいたい五六人のときが多かった。最初に比べたら、あっちの人数が半分になって、こっちは倍になったけど。遊びはだんだん残酷になっていったから、痛くてつらくて惨めなのは変わらなかった。
男の餓鬼どもの遊びで多かったのは、おれたちを一方的に殴る蹴るってやつ。さすがに、プチビッチにまではハンディを付けたりはしなかったけど。そして、プチビッチをぶちのめすよりは、両肘を縛られ鎖で足の動きも妨げられているおれをプチビッチがぶちのめすのを見物するのを好んだ。真面目にやらなきゃ親父に言いつけて二人とも懲罰の鞭打ちだなんて脅かされるから、プチビッチは泣きながらおれを殴る。股ぐらを蹴れと言われたら従う。でも、どうしても手加減が入ってしまうから。まだ鞭痕が鮮やかな肌に新しい鞭傷が重なることも少なくなかった。
二度と繰り返されなかったのが、おれたちを四つん這いに縛って野に放つ狩猟ごっこ。もし逃げおおせたにしても、おれたちは部族に戻れない。下手に遠くまで逃げて犬に捕まったら、本物の牝犬にされちまう。だから逃げないって、鞭打ちも餌抜きも覚悟で逆らった。これにはジェスも味方してくれた。驚くほどのことじゃない。
『犬と穴兄弟にはなりたくないですぜ』
でも、せっかく猟犬を借りて来たんだからと、ボビーでなく次男坊のチャールズが考えついたのが、例の柵で囲われた場所での、牝犬狩り。
おれたちを囲いの中に入れて出入り口を閉じ、その外側に猟犬を放つ。柵は跳び越えられない高さだけど、よじ登ることはできる。さっさと柵の中に入れば、それで終わりなのに、よじ登ってる間におれたちが逃げると思うんだろうな。ぐるっと柵を回って、おれたちのすぐ近くに来てから、柵を越えようとする。
おれたちがよちよちと逃げると、犬は柵から下りて追い掛けてくる。あまり柵から離れたり、逃げるのが遅いと、その場で柵を越えようとするから、柵に沿って逃げ回らなければならない。
くそ。草原じゃなくて剥き出しの地べただぞ。肘も膝もすぐに擦り剥けた。おれたちも犬も動きが単調だから、餓鬼どもはすぐに飽きてくれたから、たいした怪我にならなかったけど。
柵の中での遊びは、他にもある。射撃鬼ごっこも、そのひとつだ。これはふたり一緒じゃなくて、かわりばんこに遊ばれる。虐められると言っても同じだけどな。
的にされる者といっても、ビッチかプチビッチのどちらかに決まってるけど。後ろ手に縛られて、両足とも鉄の球をつながれる。そして、光る薄い鉄の板で作られたキャンていう小さな中が空っぽの容れ物を何個も鉄の球のまわりに括りつけられる。鉄の球を引きずって歩けば、からんからんと音が鳴る仕組だ。そして、鬼になるやつは目隠しをして、柵の外から火を噴く長い棒で、的を射つんだ!
コルクじゃないぞ。当たったら死ぬやつだ。
鬼の後ろから見物してる餓鬼どもが『左だ。もっと上。行き過ぎた、右へちょい戻せ』なんて教える。こっちだって、長い棒がどこを向いてるか見えるから、射たれそうになったら逃げる。でも、キャンがけたたましい音を立てるから、鬼は目隠しをされててもだいたいの方角が分かる。狙いを定められないよう、柵の中を逃げ回らなきゃならない。
馬鹿げた(おれたちだけが)命懸けの遊びに付き合ってられない。本当に団栗が当たるのは、長い棒が見えなくなって、端っこに明いてる穴が真ん丸に見えるときだから、その寸前に上体だけを横へかわせば、キャンも鳴らないから、狙いはそれる。
でも、そんなずる(じゃねえよ)は、させてくれない。じっとしてると、見物にまわってる餓鬼どもが、短い棒でキャンを狙い射つ。うまく当たればまだしも、近くの地面に当たったら団栗が跳ねて、身体に当たりかねない。そうじゃなくても、足元で団栗が爆ぜたら、足が勝手に動いちまう。そしたらキャンが音を立てるから、逃げなくちゃならない。でも、慌てて転んだら命取りだ。後ろ手に縛られて足に鉄の球をつながれてたら、立ち上がるのにひと苦労だ。動かない的になっちまう。
物騒な遊びだけど、男の餓鬼どもは、まだあっけらかんとしてる。げらげら嗤いながら、陽気っちゃ陽気だ。そこへいくと、女の餓鬼どもは、くすりと嗤いもせずに、眼だけをやたらとぎらぎらさせて、陰湿なことをしやがる。ポニーガールは、まあ……ちっとも良くはないけど、セイバーの発案らしいから、陽気な残酷かな。
だけど、白人の言葉は不思議だ。カウボーイてのは牛の面倒を見る男のことなのに、ポニーガールとなると馬の真似をさせられる女って意味になるんだから。ま、そんなことはどうだっていいや。
ポニーガール用の橇は、曳く馬が二頭になったのでタンデムに作り変えられた。曳き棒が長くなって、橇から突き出てすぐに鎌首をもたげてプチビッチの股ぐらと同じ高さになる。その先でまた鎌首をもたげて、おれの股ぐら。それぞれの股ぐらを通るところに鉄の棒が上向きに突き出ているのは前と同じ――じゃなくて、二本ずつになった。無茶もいいところだよな。女穴と尻穴は、それぞれすこしずつ斜めになってるのに、鉄棒は二本が真上を向いてるんだから。
これをそれぞれの穴に挿れるだけでも、きつくて痛いってのに。鉄棒が抜けないように曳き棒と身体をつなぐ革帯の留金が、斜め後ろじゃなくて尻を割るくらいの真下に変えられた。前は、うんと身体を前に倒せば腰で橇を引っ張れたのに、それができなくなった。ほんとうに二つの穴(プチビッチとの二頭立てだから四つか)で引っ張らなきゃならなくなった。橇と、そこに乗った二人の女の餓鬼をだぜ。三人になることもあった。ボビーみたいに大勢じゃないけど、アンナにも子分ていうより親友か。ステファニーていう同じ巡りくらいの娘が、たまに遊びに来る。そうなると、二人が腰掛に座って、小っちゃなデイジーは橇の後ろに立つ。
それを、最初のうちはおれひとりで曳いていた。だって、プチビッチは非力だし。ほとんど平らな胸に縛りつけられた二つの鳥籠と、三つの突起に咬みついた木の嘴、そこから吊るされた鉄の花とか箱。そういった責め具に虐められて、歩くのがやっとだものな。ああ、曳き棒の途中にもちゃんと上向きに突き出た二股があって、その下は環になっているから、後ろにいるプチビッチにも鉄の箱を吊るせるんだ。
さいわいに、餓鬼どもが乗った橇を曳かされるのはボクジョウの中だけだったから、疲れ果て動けなくなっても、おれたちがまたセイバーに鞭打たれるってことを除けば、(三人の餓鬼どもにとっては)たいした問題にはならなかった。じゃあ、遠乗りはしなかったかというと、とんでもない。川まで行かされて、さらにずっと下流まで追い立てられたときもあった。三人の餓鬼どもは橇に乗らず、おれたちと並んで歩いて――これはこれで、厭だったな。三人が好き勝手におれたちを鞭打つんだから。しかも、後ろからだけじゃない。前に回って、わざと鉄の花とか箱を叩いたりもする。乳首もメシベも悲鳴を上げるぜ。
アンナが目指す場所へ着いて、そこでひと休みするかというと、とんでもない。それから、その日の遊びが始まるんだ。
『{魔女}狩りって知ってるでしょ』
おれは知らないぞ。
『この前、街で凄い本を見つけたの。[{魔女}に与える鉄槌]という昔に書かれた本なの。この二匹は人間の形をした獣だから、実は{魔女}なのかもしれない。それを確かめたいの』
おれたちは曳き棒から外されて、身体に着けられていたあれこれも取っ払われた。
『濡れたら困るでしょ』
羽根飾まで取り上げられた。羽根飾がないと、ほんとうに素っ裸にされた気分になる。も何も、元から素っ裸だけどな。
おれとプチビッチは、別々に縛られた。といっても、白人の男どもみたいに、女を縛り慣れてるわけじゃない。部族の名誉のために付け加えとくけど、ズンナックには、女を縛り慣れた男なんていないぞ。
つまり、身体じゅうぐるぐる巻きにされたんだ。そして、腋の下を通して別に長い縄を付けられた。
『{魔女}は水に浮かぶのよ』
『ふうん? 確かに、私たちは水に浸かったら沈んでしまいますわね』
それじゃ、試してみましょうよってんで。おれたちは丸太のように転がされて、川に落とされた。このあたりは川幅が変わらないのにうんと深くなっている――のが、落とされてから分かった。
川底まで沈んで、見上げたら光はずっと上。立てば頭は川面から出そうだけど、身体を曲げることもできない。もがけばもがくほど息が苦しくなって――ごぽっと、泡を吐いて。胸を締めつけている縄のせいで、それきり息を吸うことも吐くこともできなくなった。目の前が赤くなって、それがすうっと暗くなっていって。ぐいっと腰を引かれて、おれは俯せに寝た形で水面に引き上げられていた。最後の力を振り絞ってあがいて仰向けになって、息を貪った。そうだ、ハスビッディは――妹は軽いので、オジョウサンたちの手で川岸まで引き上げられていた。咳き込んでいる。
くそお。ついオジョウサンなんて考えちまったもんだから、そっちが頭にこびりついて、「女の餓鬼」なんて長ったらしくは考えられなくなった。ま、いいか。白人どもの言葉だ。ビッチと同じ意味だと思えば腹も立たない。
『沈んだわ。インディアンは{魔女}じゃないのね』
『まだ分からないわよ。溺れたふりをしたのかもしれないわ。{魔女}は悪賢いんだから』
それじゃ、もっと長いこと沈めてみようってなった。
『さっきは百まで数えたから、次は百五十ね』
二百、二百五十と増やされていって。とうとう、ほんとうにプチビッチが溺れちまった。
『殺してしまった。どうしましょ、パパに叱られるわ』
『私は知らないわよ。{魔女裁判}をやろうって言ったのはアンナだから』
こいつら、ハスビッディの命を気にもせずに、自分のちっぽけな心配ばかりしてやがる。
『ビッチを、ひきあげろ、ください。なわをほどけ、ください。ビッチが、たすける!』
それで二人(と、みそっかす)は我に還って、インディアン娘の生意気な指図に従ってくれた。
心臓に耳を当てたら、しっかりしてた。これなら、助かる。おれが小っちゃかった頃、友達が溺れて、お守りをしてた小母さんが息を吹き返させるのを見てたから、それを思い出しながら――膝の上で俯せにして、背中を何度も叩いて、それから口に口をかぶせて息を吹き込んで。目を覚ましたハスビッディは、泣きもしなかった。
ハスビッディは、まだぐるぐる巻きのままだったから、縄をほどいてやったけど、勝手なことをしたと叱られたりはしなかった。帰り道は、変な装具を着けられもせず、橇は手で曳いた。
それくらいオジョウサンたちはしょげ返ってたんだけど。ポニーガールが人間の格好で戻って来たんだから、セイバーに見咎められて、オジョウサンたちが白状して、理不尽にも、おれたちが鞭打たれた。
そして、オジョウサンたちはちっとも懲りなかった。
次の遊びのときも三人で、マジョサイバンの続きをやらされた。
マジョというのは[[rb:悪魔>ティンディ]]に憑かれた女の人のことだそうだ。おれたちがマジョだってなったら、困るのは白人じゃないかな。だって、インディアンは獣じゃなく人間だってことになる。でも、オジョウサンの話を聞いてると、マジョは焼き殺すそうだから、またパパに叱られるぞ。おれたちは焼き殺されるんだから、身代わりに鞭打たれる者はいないぞ。
なんてことも弁えず、どうしても、おれたちをマジョに仕立て上げたいらしい。
『魔女の身体には、痛みを感じない場所があるの。全身を針で刺して、それを調べるの』
そんなことでは分からないと思うぞ。だって、痛いふりをするのは簡単じゃないか。
この遊びには男の餓鬼ども――じゃないや。オボッチャンどもやカウボーイ、挙げ句にセイバーまで加わりやがった。子供の遊びに大人が混ざるなよって思うけど、半分くらいはありがたい。セイバーなんか、お門違いの復讐で残酷な虐め方をするけど、ぎりぎりの限度を弁えてる。それが、鞭打ちで分かった。あの鞭なら肉を切り裂いて骨まで剥き出しにできるだろう。でもセイバーは、そこまでしない。イッシュウカンか、せいぜいニシュウカンで傷が治るくらいに手加減している。だから、餓鬼どもの限度知らずの無茶苦茶は止めてくれる(かもしれない)。
といっても、虐められる側の思う限度と、虐める側の考える限度は、まったく違う。セイバーが止めたのは、針を目玉に突き刺そうとしたときだけだった。
なんか、先走ったな。話をすこし戻そう。
針刺しマジョサイバンが行なわれたのは、例の柵の中だった。小屋の中じゃ人があふれちまうからな。
すこし離れて、地面に杭が四本ずつ打ち込まれて、おれとプチビッチは、手足を広げた形で杭に縛りつけられた。そしてオジョウサンの三人はプチビッチ、三人のオボッチャンたちはおれのまわりに、それぞれ針を片手にしゃがみ込んだ。オジョウサンたちが遊ぶ日だから、ボビーの子分たちが来てなくて良かったぜ。
最初のうちは手当たり次第。腕とか脇腹とか太腿とか。せいぜい胸のまわり(プチビッチの場合は乳房とは言えない)くらいだった。それでも、プチビッチは痛い痛いって泣いてた。鞭打ちだったら、泣く余裕さえなくて悲鳴の上げっぱなしになるから、それよりはずっと穏やかな子供の遊びといえるかな。
おれがほんとうに絶叫したのは――握りしめていた手をカウボーイが手伝って開かされて、爪の下に針を突き刺されたときだった。乳房を刺されるより、ずっと痛い。鋭い針のような(じゃねえよ。針そのものだよ)激痛が脳天まで突き抜けた。
こんな調子で終わってたら、おれは自分の本性に気づかずに済んでいたかもしれない。
オジョウサンたちは、プチビッチの指先を刺そうとはしなかった。自分の指にうっかり突き刺した痛みを思い出すからじゃないかと思う。代わりに目玉を刺そうとしてセイバーに叱られたのは、もう言ったよな。
ここでしゃしゃり出たのがジェスだった。こいつはセイバーと違って、女(手当たり次第なのか、若いインディアン娘だけなのかは知らないが)を虐めるのが趣味なんだと思う。まったく、とんでもないやつに捕まっちまったぜ。
『魔女ってのは、必ず淫乱ですからね。正体を暴くにゃ、女の部分を責めるのがいちばんですぜ』
オボッチャンどもはきょとんとして、オジョウサンたちは顔を赤らめて俯く。女の部分てのは、つまり番うことに係わるから、こうなると男は積極的になる。しかも、どことどこが女の急所かをジェスが教えるもんだから。たちまち、三点の突起に三本の針が突き刺さった。
「ぎびい゙い゙い゙い゙い゙っ……!!」
おれは身体を反り返らせて絶叫した。その動きで、針にいっそう抉られる。
爪先に刺されるよりも、もっと奥の方が痛い。細い針のくせに、太い杭のような激痛。それが脳天へは突き抜けないで身体の裏側で跳ね返って、乳房と腰の奥で大きな塊になって、そこにわだかまる。そのわだかまりの中で、微かに何かが蠢いている……
『こりゃ驚いた。感じてやがるぜ』
ジェスが、まるきりからかって[[rb:いない>・・・]]声で言った。
『見ろよ……いや、こっちが分かりやすいか』
ジェスの指が割れ目に押し入ってきて、中を抉った。その指を高くかざす。
おれからも見えた。陽を照り返して、きらきらぬめぬめと光っている。激痛に負けて漏らしたおしこなんかじゃない。
大人たちからは感嘆したようなどよめきが湧いて、餓鬼どもはぽかんとしている。
でも、いちばん驚いてるのは、おれだ。
そりゃ、痛いことをされてても、女穴に男棒でも鉄棒でも玉蜀黍でも、突っ込まれれば濡れるさ。突っ込まれなくても、ぐわららずっどーんとかふわふわぱちんでも、ぐじゅぐじゅに濡れる。
だけど。いくら女の敏感な部分だからって、敏感な部分だからこそ、針に刺されて、ぐわららずっどーんもふふふわぱちんも、なるわけないだろ。
痛くて痛くて、泣きそうなんだぞ。
でも……どうせ何を訴えても赦してもらえないんだって諦めて、だから、二度三度と同じことをされるだろうと覚悟はしてるけど。そして、そう考えると、頭に靄がかかって胸が締めつけられて腰が疼いて……なんだって、女穴の奥まで熱くなるんだよッ?!
だけど……その理由も、前から薄々感づいてた。
弱い者は強い者に(いろんな意味で)組み敷かれて当然だって思ってた。その代わり、強い者は弱い者を護ってやる。それも当然だと考えてたけど……それは、弱い者が強い者に懐いたときだけじゃないだろうか。隙を見て反撃して殺してやろうなんて考えが、どこかで態度に表われて……どこかじゃないな。おれは敵意を剥き出しにしてた。そんなんじゃいけないって、女の部分が教えてくれたのかもしれない。でも、ここまで誇りを踏みにじったやつらに懐けるわけがない。
激痛と、その奥の妖しい感覚とで、そのときはそれ以上考えられなかった。
今だって、考えられない。考えると――おれは虐められて、それを、心はともかく身体では悦んでいるなんて、とんでもない話になってくる。
そりゃまあ……おれって、変わったところがあるとは分かってたぜ。森の中で裸になって、いけないことをしてるって思いにぞくぞくして。[[rb:木の精霊>チジッディ・アブレ]]と戯れて、ぐわらららずっどーんだもんな。こんなこと、他の娘はしない。
もう、おれのことはやめとく。
プチビッチは、乳首や蕾を針で刺されて濡らしたりしなかった。
『いたい。ゆるて。おじょさま、ごめない。いたい!』
すこしは覚えた白人の言葉で必死に訴えたけど、もちろん聞いちゃもらえない。乳首も蕾も血まみれになってさえ、針の傷なんて目立たないけど、痛みに悶えて暴れたから、縛られている縄が手足に食い込んで擦れて、血は翌日まで止まらなかったし、プチビッチの手首と足首には飾り環みたいな傷跡が後々まで残った。
針を刺されて濡らしちまったおれは、ジェスの言い分だとマジョのはずだけど、それはうやむやのままに終わった。オジョウサンたちも、オボッチャンやカウボーイと同じで、インディアン娘を虐めるのを面白がってるだけってことさ!
餓鬼どもがいろんな遊びを考え出すものだから、カウボーイどもも、残酷な遊びをするようになった。でも、餓鬼どもとすこし違うのは、割れ目と乳房と尻ばかりを虐めたことだ。セイバーが娘たちのために誂えてやったポニーガール用の円盤付き橇も、そのひとつだな。
他には、綱渡りとか荒馬乗りとか。
========================================
ここまでで9万3千文字(275枚)です。「人間動物園」も長くなりますから……まあ、WILL様リクエストで最長だった『女王様と女神様と従弟の(下)僕』375枚には届かないとは思いますが、さて?

画像は、白人に捕まらずに成長したハゼッイイの雄姿――てことにしといてくださいな。
今日は紙飛行機行って、確定申告出し直して、酒食らって19時には寝て、明日は2時くらいに起きて、「人間動物園」に突入しますか。
「人間動物園」も、実際には複数パートがあります。
・巡回動物園の一座が、牧場の空き地を借りて宿泊。ここで、ヒロイン姉妹に目をつける。
・購入交渉とか、檻に入れられた亜人の裏側紹介とか
・街で小屋掛けして興業。ヒロイン姉妹も晒されて。
・街の有力者とかに夜の興業は、牧場近くの街だからヒロインの素性は知られているから、本番だけかな。
・もっと見栄えのする形にと、X字ディルドを仕込まれるとか。AとVにそれぞれぶっ込むレズ御用達です。
・別の街まで移動させるか(道中を描けば、どんどん尺が……)
で、X字形ディルドでつながりながら「悲しい幸せ」を噛み締めてENDです。
というわけで。次のReportがFinalになればいいんだけどなあ。
Inturrupt Reoprt 4:檻の中の野生児(仮題)
着々と進行していますが。
通勤途上とか勤務中の休憩時間とかにスマホで書く分量が増えています。そして休日には何をしているかというと、こういうことをしていたりして。

左のくすんだ機体は、かれこれ15年以上前。タバコ燻製です。
2009年に引退して、昨年後半あたりから再燃です。その新しい機体は、右の白いやつ。
1.2mm□×50cm(をループにして25cm)のゴムで垂直に射ち上げて、30m上昇して30秒滞空すれば、まあまあのレベル。左下のは40秒クラス。デッドエアーでコンスタントに50秒あたりまでいけば、SSSです。
視認性であるとか、「飛び過ぎ」を抑制とかで、筆者が休止した頃には、翼長165mm以上のレギュレーションが180mm以上になって。それまで3.5g前後だった機体が5gちかくになります。いっとくけど、WhiteWingsなんかは、「競技用」と名乗っても8gくらいはあります。重ければ、それだけ上昇高度が減ります。
で。現行レギュレーションで4gを切れないかと、紙厚を薄くして。通常180~210Kgを、135Kgケント紙は漫画の原稿用紙で挑戦中。
いや、このブログにはふさわしくない話題ですな。
前回紹介した内容の続きを書いとくと。
ハゼッイイは、銃殺されます。ただし、コルク弾なので、死にません。けれど、穴に突っ込まれて一発撃たれて。火傷も含めて全治10日以上です。もっとも、下の本文紹介で書いているように、そのおかげで内部の傷が絶妙に癒着して、「心臓が百くらい拍つと」誰も彼もが暴発させる名器となります。書いてて、キーボードの勢いでそうなりました。
ちなみに奴隷少年のほうは、ほんとに縛り首です。ただし、手を前で縛られたハゼッイイが馬になって、彼をひと晩じゅう支えます。二日も水一滴与えられずに弱っている身で奮闘するのです。
そして。
========================================
子供の玩具
捕まって八日目だったか九日目だったか(だんだん、怪しくなってきた)。おれはようやく吊りから下ろされて、手も縛られずに小屋から引き出された。
うわ……?!
白人の男の子が、十人ちかく集まってる。セイバーの息子は三人で、ヒップさんはシツジって人にも息子がいるって言ってたけど。三と一を足しても十にはならないぞ?
いちばん季節を巡ってそうなのが、セイバーのいちばん上の息子だ。嘘の処刑をされたときに見物してたな。ボビーだっけ。こいつは、おれよりも季節を巡っている。その横もセイバーの息子でチャールスだっけ。もひとり、ずっとちっこいのがエディ。三人ひとかたまりになってる。あとひとり、見掛けたことのある顔が混じってる。こいつが、シツジの息子のオリバーかな。
なんて、いちいち区別しなくても、セイバーの子供と他の子たちの見分けは簡単だ。おれを見る目つきだ。セイバーの子は、おれの裸を見慣れてるけど、他の子たちは目がまん丸。男に裸を見られるのは、そりゃあ羞ずかしいけど、こんなに熱心に見詰められると、くすぐったくて気持ちい好いかな。
『おまえたちは、{いつも喧嘩や悪戯ばかりしている}』
セイバーが、子供たちに向かって何か言った。
『{こんな辺鄙な地には、ろくに楽しみがないから、分からんでもない。}そこで、今日はこのインディアンを{貸してやる。好きなだけ痛めつけて}遊べ』
おれは、例の柵で囲った場所へ追い立てられた。子供たちも付いて来る。
『おまえたちも男だ。{大勢で若い}牝を{嬲るのはいかん。一対一でやれ}』
子供たちは顔を見合わせて、もじもじしている。
『僕が{お手本を見せてやる}』
ボビーが、おれの前に立った。
なにをするつもりか(どうせ、ろくなことじゃないだろう)と戸惑っているおれに、いきなり殴りかかってきた。
「うわっ……?!」
とっさにかわして、おれは戦いの形に構えた。戦わずに殴られるほうが、かえって無難かなと思ったけど――いくら女だからって、おれはズンナックだ。戦いを挑まれて逃げたりするもんか。
ボビーの顔色が変わった。
『インディアンが白人に逆らうってのか』
こいつ。おれが木偶の棒のように突っ立ってて、何もせずに殴られると思ってたんかな。だとしたら、見当違いだって教えてやるぜ。
ボビーが、また正面から殴りかかってきた。余裕を持って横に跳ん……だつもりだったけど。おれは十日ちかくも手足を縛られて吊るされてたんだぞ。足がもつれて、無様に転んじまった。ところを、脇腹に蹴りを入れられた。
「かはっ……!」
痛みよりも怒りが込み上げてきた。転がって逃げて、素早く立ち上がった。怒りが、手足の痺れを消していた。
また、なんの工夫もせずに殴りかかってくる。今度は身を屈めてかわして、横っ腹に拳を叩き込んでやった。地べたに崩れ落ちるのは、やつの番だった。
『ストップ!』
セイバーが止めた。
『{猛獣と}人間が{素手で戦うなら、ハンディを付けねばな}』
柵の外でセイバーと並んで見物していたジェスが縄を持って近づいて来て――おれを縛った。
「なにするんだ。おれと白人の子を戦わせるんじゃないのかよ?!」
腕力が違いすぎる。背中に渡した短い縄で、両肘を縛られちまった。これじゃ、肘から先しか動かせない。
ジェスは、おれを縛り終えると柵の外へ出て行って――またボビーが目の前に立った。
『{思い知らせてやる}』
殴りかかると思ったら、さらに踏み込んできて、おれの足を踏んづけた。こっちは裸足、相手はごつい革靴。すごく痛い――よりも、動きを封じられた。
腹を殴られるのを、かわしようもなかった。
「ぐふっ……!」
身体を折って苦しむ――間もなく、顔を殴られた。目の前に星が飛び散って、鼻の奥が熱くきな臭くなった。
『{顔はやめておけ。商品価値が下がる}』
セイバーが息子を叱ったけど。おれをかばってくれたんじゃないってことくらいは分かる。
ボビーは肩をすくめると。おれの足を踏んづけたまま、立て続けに腹を殴った。じゅうぶんに腕を尽き出せないから、たいして効いてないぞ。
『よーし、そこまでだ』
セイバーが止めた。でも、それは――次の子におれを痛めつけさせるためだった、
二番手はセイバーの次男坊、チャールズだった。ブーブさんの話だと、おれよりひと巡り若い。そんなやつに、たとえ手が使えなくても、負けるもんか。そういうことをしたら、どんな仕返しをされるかなんて考えずに、こっちから間合いを詰めて――足を高く上げて、脇腹を蹴ってやった。たとえきちんと服を着て(もちろん下帯も着けて)いても、女の子なら絶対にしない仕種だ。
恥をかなぐり捨てた効果は絶大。すっ転んで泣き出しやがった。
ばあん!
足元で砂が爆ぜた。射ち殺すって脅されたときのとは、音が違う。これは、食らったら死ぬ団栗だ。
『インディアンの{分際で}白人に{危害を加えるとは、いい度胸だ。}ジェス、足にもハンディを付けてやれ』
足首にも一歩分の長さで縄が巻かれた。歩けても、さっきみたいに蹴ることはできない。
『インディアンめ、{覚悟しろよ}!』
チャールズが、おれの横にまわって――背が低いから脇腹には届かず、太腿を蹴った。へん、ちっとも痛くないぞ。
見くびったのが、やつにも分かったんだろう。
『くそっ!』
正面からぐっと近づいて、兄貴を真似ておれの足を踏んづけておいて――膝頭で股間を突き上げやがった。
がつんと、股ぐらに衝撃を受けて、重たい痛みが突き抜けた。
「うぐっ……卑怯者。親父に助けてもらって、縛られた女の子を虐めて。それでも男かッ!」
チャールズが柵の外を振り返って肩をすくめた。おれが何を言ってるか分からないって仕種だろう。でも、罵倒されたってことは、直感してるな。
おれに向き直るなり、肩からぶつかって来て、よけられずに転ぶと、思い切り足を上げて腹を踏んやがっけた。
「げぶふっ……!」
背中が地面に押されて逃げられないから、大人に殴られるよりも痛かった。腹を抱えて転げまわる。
『よくやったぞ』
ぱんぱんぱんと、セイバーが拍手した。見物してる餓鬼どもも、指笛を吹いたり、歓声を上げたり。
『次はエディだ。兄貴に負けるんじゃないぞ』
季節を両手の指だけも巡ってないちびが、柵の中に入って来た。生意気にも五歩くらいの距離に立って、おれが立つのを待っている。
わざわざ笑い物になるために立ち上がったりするもんか。踏んづけようと蹴飛ばそうと、好きにしやがれ。おれは地面に転がったまま、手足を大きく広げた。
餓鬼どもが、ぶうぶう喚く。臆病者とか弱虫とか罵ってるんだろうな。へっ、卑怯者に何を言われたって平気だ――けど、セイバーがでしゃばってくると、身構えちまう。
右手には火を噴く棒じゃなくて、小さな桶を持っている。
『立って戦え。{さもないと}水を飲ませてやらんぞ』
桶を傾けると水がこぼれた。それを、ぐりぐりと踏みにじった。意味は、分かりたくもない。
こいつは、どこまで残忍なんだ。殴られるのは、その瞬間がいちばん痛くて、あとはだんだん薄れていく。穴に突っ込まれるのだって、ずいぶん長く感じられるけど、実際には太陽がちょこっと動くだけだ。でも渇きは、いつまでもつづく。どんどんつらくなる。吊られたり枷も似たようなものだけど、無理に身体を動かせば痛みが強くなって、それが薄れるときに、まやかしでも、ほっとする。丸一日水を飲ませないのと三日間吊るされているのと、どちらかを選ばなくちゃならないんだったら――吊るされてるほうが、まだましだ。
「くそ……おまえだけは、必ず殺してやるぞ、セイバー」
痛い……!
大人の男の重みをのし掛けられて、乳房を踏みにじられた。名前を呼ぶなってことか。ドレイと同じに『旦那様』とでも呼ばせたいんかよ。
セイバーが、こつこつと足を蹴った。早く立てって意味だろう。
ちくしょう。惨めだ。水が欲しいばっかりに、餓鬼どもにぶちのめされるために……自分の意思で立たなきゃならないなんて。
おれが立ち上がると。
『ヤアアアアッ!』
ちびのエディが、頭から突進してきた。かわしたら、こいつは転ぶ。転んだら、おれがセイバーに痛めつけられる。腹に食らうしかないだろ。
「ぶふっ……」
受け止め切れずに尻餅をついた。エディが馬乗りになって、おれの乳房を、ぱちんぱちんと平手で叩いた。殴るんじゃなくて、柔らかい感触を面白がってるみたいだ。
その気になれば、肘から先しか使えなくても、引っぺがすことも振り落とすことも、殴りつけることだって、できた。でも、されるがままになっていた。セイバーも、立てとか戦えとは、もう言わなかった。
ちびは、ひとりで勝手に腕を振り回してひとりで勝手に疲れて、引き下がってくれた。
けど、他のやつは、そんなに甘くなかった。
おれはさんざっぱら、殴られ蹴られ突き倒されて――ついに立ち上がれなくなった。
『もう戦わんのか。明日の朝まで、水も飯もやらん』
さんざっぱら甚振っといて、それかよ。でも、明日の朝になったら水をもらえるって安心したんだから、情けない。野生の動物が飼い慣らされていくのと同じに、おれも調教されてってる。ますます惨めで悔しい。
翌日は、また一日じゅう小屋に監禁されてた。もう枷とか吊るされたりとかはせず、右足にごつい鉄の環を嵌められて、短い鎖で鉄の球をつながれた。これじゃ、逃げようとしたってろくに歩けないし、鉄の球を引きずった跡を簡単に追跡される。
閉じ込められてるよりは、ひどい目に遭わされてもいいから外に出してほしい。そんな気持ちも、半分くらいある。
女の子ではおれくらいなもんだけど、ひとりで遠出して、太陽が三回くらい沈んでから戻ってくる者も珍しくはない。だから、おれが居なくなったと仲間が気づいて探しに掛かったときには、おれは小屋の中に吊るされていて、見つけられなかったはずだ。白人の縄張には近づかないようにしてるから、おれがしょっちゅう外に出てないと、見つけてもらえないだろう。でも、見つけてくれて、それからが……
こっそり救けに来てくれるならいいんだけど。正面から堂々と掛け合ったりしたら――八年前の虐殺の再現だ。だから、見つけて救けて欲しいって気持ちも半分だけなんだ。
……セイバーのやつ、おれをどうするつもりなんだろ。ミックなんか、縛首を赦されたその日のうちから働かされてたのに。おれは傷が治り切ってないから休ませてくれてるんだったら、いいけど。昼は子供の玩具がわりにされて、夜は男どもの慰み物にされる――なんてのは、絶対に厭だぞ。
と思ったところで。セイバーのやつがそう決めたら、おれはそれに甘んじるか――さもなきゃ殴られたり、ドレイみたいに鞭打たれたり(音と悲鳴が、小屋の中まで届く)、食事も水も与えられずに、それでも屈せずに頑張ったところで、夜は力ずくで穴を使われるに決まってる。そりゃまあ……ジェスがしてくれたみたいに、乳首やメシベをくすぐられて、身体が破裂……なんでもないぞ。
小屋に監禁されて。朝に一回だけ、ヒップさんが水と食事(というより、餌だな)を運んでくれて。その一回きりだった。昼過ぎには、これまで見掛けたことのない男が来て、うずくまっていたおれを立たせて、身体にあちこち紐を巻きつけたり短い棒をあてがったりしたけど、縛ったり叩いたりじゃなかったので、好きにさせといた。縛ったり叩いたりだって、好きにさせるしかないんだけどな。
夜になってからは、ジェスがひとりだけで小屋に来た。
『もう使えるようになったんじゃねえかって、皆に{せっつかれてな。具合を確かめるのも、亭主の務めってわけだ}』
いそいそと、袴と下穿きを脱ぎやがる。男棒も仕上がってる。簡単に組み敷かれちまった。
こいつは、いちばん最初におれを虐めた白人なんだ。おれの初めてを捧げた男なんかじゃない。羽根だって、火を噴く棒で射ち砕かれてるんだぞ。それなのに――押し返す腕から力が抜けてく。ちょっと割れ目を触られただけで、女穴の奥が、じゅんってなっちまう。
くりくりっと乳首を転がして、メシベをつまんでおれの腰をぴくんと跳ねさせると、それ以上はそよ風を吹かしてくれずに、あっさり押し挿ってきた。
痛い……最初のときほどじゃないし、引き裂かれるってより、抉じ開けられるみたいな痛み。女穴を嘘の火を噴く棒で射たれた傷のせいだ。
『うおおっ……なんだ、こりゃあ?!』
ジェスが素っ頓狂な声を上げやがった。
『{絡みついてきやがる。ヴァージンのときより狭いんじゃねえかよ。}くそお、たまらねえ!』
へこへこと数回腰を動かしたら、すぐに子種を出しちまったらしい。憮然とした顔で身仕度を整えた。
『{具合が良すぎて、愉しむ暇もありゃしねえ。もしかして、中で発砲したせいか。傷が妙な具合に癒着して。だったら、感謝してもらいてえな。どこへ売られても大切に扱われる道具になったんだぜ、おい}』
思い切り馬鹿にしてるような、でも思い切り優しい声で、わけの分からないことを言うと、ジェスは出て行った。
さっさと済ませてくれたおかげで、たっぷり眠れるんだから、それでいいや。
翌日は、また子供たちの玩具にされた。今度は女の子の番だった。男の子みたいに友達が街から遊びに来たりしないので、ボビーよりふた巡り上のアンナとエディのひとつ上のデイジー、この二人だけを相手にすれば良かったし、女の子は殴り合いなんかしないから、楽ちんなはずだったのに――終わってみたら、一昨日どころか、嘘の処刑よりもひどい怪我をさせられていた。悪いのは姉妹じゃなくてセイバーとダニーなんだけど。
やっぱり、朝だけ水と食事を与えられて。尾錠の付いた革の帯で後ろ手に縛られて外へ引き出されたときには、太陽が頭上を過ぎていた。
足の環と鉄の球をはずされて、代わりに妙ちきりんな装具を――男と女で違う部分にばかり着けられた。
鳥籠みたいな物を乳房のそれぞれにかぶせられて、革帯で胸を締め付けられた。巻いた鉄の線の力できつく噛み合う木の嘴に乳首を咬まれて、その嘴から伸びる紐が鳥籠の天辺から引き出されて、鉄で作られた小さなすぼんだ花を下向きに吊るされた。花の芯には仕掛があって、軽く振るだけで、からんころんと音が鳴る。のはともかく……乳首が痛い。これまで、さんざっぱらあれこれ痛いことされてるから、千切れそうなくらいとまでは言わないけどよ。
両側に円盤がひとつずつ付いて二人分の腰掛を備えた橇が、おれの後ろに置かれた。橇からは、途中で鎌首をもたげた鉄の柄が一本だけ突き出ている。柄の先からひと握り手前には、鉄の棒が上向きに作りつけられていた。柄がおれの足の間に通されて引き上げられて――上向きの鉄棒が、女穴に押し込まれた。男棒よりきつい。腰に革帯が巻かれて、柄の途中にある金具につながれた。セイバーがおれの股間をまさぐって……
「あんっ……」
声が出ちまった。だって、メシベの皮をにゅるんて剥かれたんだぜ。いきなり熱風に吹き付けられた。
木の嘴が股間に隠れて……
「きひいいいっ……」
鋭い痛みが、メシベから腰の奥へ向かって突き抜けた。木の嘴はぎざぎざになっている。そいつに花弁を剥かれた花芯を咬まれたんだ。こんなこと、おまえの娘にやってみろ、涙を流して泣き叫ぶぞ。
この嘴に結ばれている紐は、鉄の柄の先端が二股に分かれているところを通されて、小さな鉄の箱をぶらさげられた。中は空っぽで、鉄の花と同じような仕掛があって、こいつは、がらんがらんと鳴る。
最後に、短い鉄の棒を口に噛まされて紐で頭に縛りつけられた。棒の両端からは別に革紐が伸びている。
くそお、分かってきたぞ。セイバーは、おれに橇を曳かせるつもりなんだ。じゃあ、この棒は馬銜だ。革紐が手綱だ。
案の定、アンナとデイジーが橇に乗り込んだ。アンナが手綱を左手に握って、右手にはおれまで届く鞭を持っている。
『ハイヨー』
びしっと、鞭で尻を叩かれた。男の子と喧嘩して棒で叩かれたことはあるけど、鞭だなんて生まれて初めての屈辱だ。でも、いちいち逆らってセイバーに懲らしめられるのは厭だから、馬鹿々々しいと思いながら前に進もうとして――これが、簡単じゃなかった。
橇の重みが全部、女穴に掛かってくる。後ろへ引っ張られて、突っ込まれるのとは違う鈍重な痛みが腰を引き戻す。前へ進もうと足を踏ん張るのは、自分で自分を虐めてるのと同じだ。
『こら、進め。ハイヨー』
びしっ、びしっと、鞭が尻を叩く。男の子に殴られるのよりも痛くはないけど、悔しい。馬の真似をさせられるのも惨めだ。でも、これっぽちの重みに音を上げたなんて思われるのは、もっと悔しいぞ。
「くそおっ……」
ぐっと足を踏み込んだら、思い切り女穴を抉られて腰が引けた。なのに、橇がちょっとだけ動いた。
そうか。柄から突き出た棒にこだわってたんだ。むしろ、身体を倒してやれば――腰に巻かれた革紐で橇を引っ張れる。
身体をうんと倒して、橇が動いて前へ倒れそうになるのを、足を運んで支える。そのこつを体得すると、わりと楽に(でも、女穴は痛いぞ)進み始めた。
からんころん、がらんがらんと、花と箱が鳴って。
「あっ……?」
三点を熱いそよ風が吹き抜けた。音が紐を伝わって、木の嘴を震わせてるんだ。これって、指でつままれて揺すぶられるのと同じだ。痛みは増すけれど、そよ風のほうが強い。
からんころん、がらんがらん……花と箱を鳴らしながら、おれは橇を引っ張り続ける。
『右!』
手綱を引っ張られて、かくんと顔が右へねじられた。向きを変えろって意味だ。後ろに橇を引っ張っているから、歩いてて向きを変えるのとは勝手が違うけれど、なんとか曲がれた。
『おもしろそう。あたしにもやらせてよ』
ちびデイジーが手綱と鞭を持った。
『ハイヨー』
ぺちぺちと、立て続けに鞭でおれの尻を叩く。ちっとも痛くないぞ。でも、セイバーが見てる。おれは素直に橇を曳いて歩いた。
柵で囲まれた中を一周すると、アンナが面倒なことを言い出した。
『この中を{巡るだけじゃ}面白くないわ。{牧場の}外へ出たい』
こんな鬼畜野郎でも父親なんだな。娘には甘い。
『オーケイ。{だが、用心棒はいるな。}おおい、ダニー』
ジェスの弟分(かな)のダニーを呼びつけて、何事かを命じた。ダニーは引き返して、馬に乗ってすぐ戻って来た。誰も乗っていない馬を一頭曳いている。そっちの鞍には、火を噴く長い棒が二本も備えてあった。
ここら辺って、そんなに物騒なんかなと不思議に思って、白人にとって物騒なのはおれたちズンナックだと気づいた。部族の若い娘が裸で橇を曳かされてるなんて、見つけたら問答無用で救けにかかるよな。
『何かあったら、こいつで{連れ帰ります}』
そうだ。牧場の外なら、戦士はダニーだけだ。隙を見つけて逆襲してやる。絶対に負けないぞ。そして、この二人を人質に取れば、有利な条件で和平に持ち込める。
『ハイヨー』
また鞭で尻を叩かれて。そんなのはちっとも気にならず、おれは勇んで橇を引っ張った。
からんころん、がらんがらん……たてつづけに熱いそよ風にくすぐられるうちに、女穴を後ろへ引っ張られる痛みが、だんだん痛みでなくなってくる。そよ風と絡みあって、全身に強い風が吹き荒れ始める。頭が、ぼうっとしてくる。もっと風を強くしたい――なんて、思ってないのに。勝手に足が速くなっていく。倒していた上体を起こして、腰の革紐ではなく女穴の鉄棒で橇を曳くみたいになっていく。
『お嬢さん。馬の勝手にさせちゃいけませんぜ』
『ドウドウ』
手綱がぐっと引かれて、おれは我に還った。
『馬も奴隷も、主人の意のままに操らなけりゃ、思い上がります。ミスタ・セイバーは、それを教えたくて、わざわざ{仔馬}でなくインディアンに曳かせてるんです。{まあ、そのハーネスは、どうかと思いますがね}』
『でも、インディアンは奴隷じゃないわ』
『そう、家畜じゃありません。{野生の猛獣}です。だから、いっそう厳しく調教しなくちゃならんのです』
ややこしいことを言ってるけど、要するにおれたちインディアンはドレイよりも劣っているという意味だろう。
ふざけるなよ。メックは老人だから数えないとしても、マックとミックとモックとムック――それと同じ数だけ、ズンナックの戦士が居てみろ。セイバーと十人の手下なんか、みんなぶっ殺してやる。シツジの一家は白人だけどドレイと似たようなものらしいから、命は取らないけどな。でも、セイバーの三人の息子は、殺す。アンナとデイジーは……妹のほうは幼いから見逃してやるけど、姉には、おれが受けたのと同じ屈辱を味わわせてやるとも。
『あら、もう{川の}近くまで来てるわ。せっかくだから、{水遊び}していきましょうよ』
おれの内心の怒りを知るはずもなく、アンナがのんきなこと(に決まってる)を言う。
『わあい。遊ぼう』
デイジーがはしゃぐ。
『駄目ですぜ。水の近くは危険だと、ミスタ・セイバーもおっしゃってるでしょう』
アンナはダニーの言葉が聞こえないふりをして、おれに鞭をくれた。
おれは、迷うことなく川へ向かって進んだ。おれを操ってる(とは、絶対に認めないぞ)のはアンナとデイジーだし、ダニーが困ることなら、喜んで白人娘の悪戯に付き合ってやるさ。
川のほとりに着くと、アンナは真っ先におれのハーネスを外しに掛かった。
『お嬢さん。何をなさるんで?』
『このインディアンを洗ってやるのよ。{垢}だらけで、おまけに臭いわ。{レディの乗り物}を曳くのにふさわしくないでしょ』
『勘弁してください。俺が叱られます』
『そんなこと、あるもんですか。馬を洗ってやれば、{褒めて}もらえるに決まってるじゃない。あ、そうだ。逃げられないように、投げ縄を首に掛けといてね』
おれは橇から解き放たれて、乳首もメシベも女穴も、すっかり軽くなった。物足りなくなんか、ないぞ。
おれを水に浸ける仕度が終わると、自分たちが服を脱ぎ始めた。
『ちょ、ちょっと……』
ダニーが姉妹に向けて腕を突き出し顔をそむけた。
『見ないでよ。あ、インディアンの縄は、しっかり持っていてちょうだいよ』
勝手なことを言って、二人とも下穿きひとつの姿になった。白人って、そういう体質なのか、食い物が良いからなのか。まだ季節を両手の指だけも巡ってないくせに、デイジーの胸は乳房ってほどじゃないけど、膨らんでる。あと幾つも季節を巡らないうちに、おれに追いつくんじゃないかな。姉のほうは……川面に太陽の光が照り返して、きらきら輝いてるなあ。
『さっさと川に入るのよ』
デイジーが鞭でおれを叩いて、川へ追いやる。アンナは橇の腰掛の下から篭を引き出して、束子を持って来た。おれたちのと違って、棍棒に棘を植えたような形をしてる。こんな物を用意してたってことは、この場での思いつきじゃないな。
川は浅くて、せいぜいデイジーの膝あたりまで。おれは言われるままに四つん這いになって、背中まで水中に沈めた。
姉妹が両側から、束子でおれの身体をこする。草の茎を束ねたおれたちの束子と違って、無数の針で肌を引っ掛かれる。痛いけど、おれより弱っちいやつに泣かされるなんて面子にかかわるから、平気な顔をしてやる。
『ここは、特に良く洗わないとね』
アンナの持つ束子が股間にまわって、割れ目を強く擦った。鋭い毛羽が突き刺さる。
「きひいっ……」
びくんっと、腰を引いた。ぱちんと尻を叩かれる。痛くはないのに悔しい。
『じっとしてなさい。{綺麗に}してやってるのが分からないの? インディアンって、馬よりもお馬鹿さんなのね』
殴ってやりたい。でも、喧嘩にはならずに、首縄で引き寄せられてダニーに殴り倒されるだけだ。そして牧場へ連れ帰られて、また残酷な懲罰に掛けられる。
おれは、ちくちくひりひり痛いのを我慢して、アンナの好き勝手にさせた。背中や腹をこするよりもずっと強くしつこく、アンナはおれの股ぐらを洗った――んじゃないな。虐めたんだ。捕らわれた最初の夜に、おれが牧場の男どもに犯されたのを知っているんだな――と、直感した。そんなおれを、ただインディアン、白人じゃないってだけでなく、女として穢れてると思ってるんだ。おれだって――というよりズンナックは、誰彼かまわず抱かれる女は軽蔑する。でもおれは、自分の意思で股を開いたんじゃないぞ。
気が済むまで(男の子十人に比べたら、すぐに飽きてくれた)おれを虐めてから、おれはダニーに任せて、二人で遊び始めた。水の掛けっこをしたり、流れの中に寝そべってみたり、それで下穿きが濡れたから素っ裸になって、川原で小石を積み上げてみたり。
妹のほうは無邪気に遊んでるけど、アンナは――裸になってはいけない場所で裸になる後ろめたさを愉しんでいる。それが、おれにはよく分かる。だからって、親近感なんか感じない。妹もダニーもいなかったら、割れ目も悪戯したかもしれない。何をしようと、この十日あまりにおれがされたことに比べたら、赤ん坊の指しゃぶりと変わらないけどな。
二人が水遊びに飽きるまで、おれはずっと苦痛に耐えていなけりゃならなかった。ダニーに引き渡されてすぐ、ハーネスを着けさせられたんだけど、鬱憤晴らしに革紐を前よりもきつく締めつけられ、木の嘴の上にも細い紐を巻き重ねられて痛さが倍になった。しかも、鉄の花にも箱にも小石を詰め込みやがって、痛さは倍の倍に跳ね上がった。ジェスの子分みたいなやつに虐められたって、泣くもんか。歯を食い縛って耐え抜いたさ。
帰り道では余計な重石は勘弁してくれたから、倍になっただけの痛みなら――頭がぼうっとしなくて、泣きたいくらいにつらかった。
========================================
アメリカ西部です。
男の子の遊びは喧嘩です。
女の子の遊びはお馬さんです。

実は猿動画を観て以来、ポニーガールは膣牽引が必須になっちゃいました。
「SMツアー」シリーズの『ドンキーガール』以来の登場です。前作は、デブス熟女ですが、今回はU15。
まあ、実際の牝馬は。人間で言うならSの頃から裸で(あたりまえか)鞍を乗せられたり鞭で追い回されたり、Cにもなると観客の面前で裸に(あたりまえか)ハーネスを装着させられ騎手を乗せて走らされるのですから――これはこれで、書いてみたいですけど。人間と馬を入れ替えればSF。馬に転生すればラノベ。大富豪が金で買うなり拉致してきた少女をとなれば、ありふれちゃいますな。
========================================
屈服の兆し
あまり太陽が傾かないうちにボクジョウへ帰り着いて――それからが、おれのほんとうに痛くて苦しくて惨めな一日の始まりだった。
草原の一画を勝手に柵で囲んだ、森よりも広い内側。それが、白人どものいうボクジョウだ。その柵の出入口のところに、セイバーが一人で立っていた。不機嫌と心配がごっちゃの顔をしている。
『{ずいぶんと遅かったな。}何かあったのか?』
『いえ、それがですね……』
ダニーが、オジョウサンたちが何をしていたかを告げ口した。
『おまえたちは、わしの言いつけを守らなかったんだな』
『ごめんなさい、パパ。だって、お天気が良かったし、{夏みたいに暑かったし……}』
『いくら、わしが娘に甘いといっても、{限度がある。}今日は、厳しくお仕置をするぞ』
『ごめんなさい。これからは、決してパパの言いつけに{そむきません}』
『いいや、駄目だ。鞭で懲らしめてやる』
アンナもデイジーも震え上がったんだろう。おれからは見えないけど。
『とはいえ、わしも可愛い娘を泣かせたくはない。そこで、{[[rb身代わり小姓>Whipping-boy]]に倣うとしよう}』
『……?』
鞭打たれなくてすみそうだと、ふたりは父親の次の言葉を待っている。
『{旧大陸の王宮で行われていた制度だ。王子が悪いことをしても、玉体を傷付けるなど、家臣として畏れ多い。そこで、小姓を代わりに罰する}』
セイバーが、おれに目を向けた。
『このインディアンを、おまえたちの{身代わりにする。}おまえたちのせいで、こいつが鞭打たれるのだ。こいつが無様に泣き叫ぶのを見て、反省しなさい』
『はあい、パパ』
こいつら、絶対にぺろっと舌を出してやがるぞ。
ふざけるなと言いたいところだけど、言えば鞭打ちだけで済まなくなるってのが分かりきってるから……くそお、ドレイみたいにおとなしく虐められるしかできないのかよ。
おれはハーネスを外されて、そのまま、剥き出しの地面を柵で囲ったところへ連れて行かれた。ここは、まだ人に馴れていない馬を調教したり、男どもが力比べや遊びの取っ組み合いをしたり、十日前におれとミックがされたように、ドレイやインディアンを虐めるのに使われてる。
おれは十日前と同じように二本の柱の間に、手足を広げて磔にされた。違っているのは、両足が地面に着いているのと、馬橇遊びの間ずっと木の嘴に咬まれていた乳首とメシベに血が滲んでいるのと、その代わり割れ目と尻穴は(そんなに)傷ついてないってことかな。
セイバーが鞭を握って、おれの前に立った。馬橇遊びの鞭とは全然違う。棒の先に革の帯紐がつながってるんじゃなくて、全体が先細りの編み上げになっている。根本は手斧の柄くらいも太くて、先っぽは指よりも細いけど膠で固めたみたいに黒光りしている。巻いて持っていた鞭を伸ばすと、長さはおれの背丈の倍ほどにもなった。これは……コルクの弾と鉛弾ほどにも違うぞ。
ひゅううん、ぱっしいん!
空中で鞭先を撥ねる音からして、恐ろしい。
『わしは優しい男だ。今夜のことを考えて、背中と尻は傷つけないでおいてやる』
セイバーがわけの分からないことを言う。つまり、身体の正面を鞭打つんだろ。尻より、よほど痛いに決まっている。見物に集まった男どもが一斉に嗤ったのも、意味が分からない。のは、おれとデイジーだけらしい。姉のほうは、顔を赤くして俯いた。
いよいよセイバーが、おれに向かって鞭をかまえた。腕を後ろへ引いて、身体までねじって。
ひゅうううん、ずばっぢいん!
「きゃああああっ……!」
意地でも泣き叫んだりするもんかと心に誓っていたのに、最初の一撃で粉砕されてしまった。乳房を刃物で切り裂かれると同時に棍棒で殴られたような、鋭くて重たい激痛だった。
ひゅうううん、ずばっぢいん!
二発目も乳房に打ち込まれた。乳房が胸までめり込んでから、掌からこぼれない大きさしかないのに、アンナの[[rb:たわわ>・・・]]みたいにぶるるんって爆ぜた。
たった二発で、乳房全体が赤黒く腫れ上がった。鞭が直接当たったところは、肌が裂けて血が滲んでる。
セイバーが一歩踏み込んで、低い位置から鞭を繰り出した。狙いが外れた――と思ったのは一瞬。脇腹に叩きつけられた鞭は、おれの胴をひと巻きしてから、鞭先が背中を軽く叩いた。それはたいして痛くなかったけど、鞭が引き戻されるときに肌を切り裂いて、まるで赤い帯を巻いているみたいになっちまった。
四発目と五発目は臍の下を打たれて、乳房のときほどじゃないけど、悲鳴を堪えられなかった。
くそ……悲鳴はしょうがないけど。絶対に泣いたりなんかしないぞ。
ひゅうううん、ばちいん!
今度は脇腹を打たれて、背中を巻いた鞭先が乳首を直撃した。
「きひいいっ……!」
そこからは五六発ばかり、身体の正面を滅多打ちにされた。
膝が砕けて、両腕で吊られた形になった。
セイバーが鞭を引きずりながら、おれに近づいた。唾を吐き掛ければ届く近さだ。でも、やめておく。仕返しが怖い。
『赦してほしいか?』
虫を網に絡め取った蜘蛛みたいにねちっこい口調。
『お赦しください、御主人様――こんなふうに懇願するなら、考えてやらんでもないぞ?』
セイバーへの呼び掛け方は、いくつかある。ドレイやシツジは、たいていダンナサマと言う。雇われている男どもはミスタ・セイバーだ。たまにボスと呼ばれると機嫌が悪くなると、ミックが言ってたっけ。逆にジェスはチーフと呼ばれるのを好むそうだ。は、ともかく。ゴシュジンサマというのは、最もていねいな呼び掛けらしい。誰が言うもんか。
『どうした。言葉は分かっとるはずだぞ。それとも、ここにも鞭を食らいたいのか?』
セイバーが鞭をおれの股ぐらに通した。前後を握って引き上げて、割れ目に食い込ませる。
『強情を張ると悲鳴だけでは済まなくなるぞ』
鞭を前後にしごく。ますます割れ目に食い込んできて、女穴の入口まで擦られる。
「ぐうう、うううう……」
編んだ革の縁が、柔肉を切り刻む。血が流れて鞭が滑り始めるのが分かった。
『そうか。そんなに鞭を食らいたいんだな』
セイバーが後ろに下がった。鞭を地面に這わせたまま、腕を真後ろに引いて……
ずしゅうううん、ばっちいん!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
おれは大声で吠えた。鋭いとか重たいとかじゃない。豹の爪で切り裂かれたような、ぎざぎざの激痛で割れ目を真っ二つにされた。
ちくしょう。なんだって、こんな目に遭わされなけりゃならないんだよ。勝手に柵で囲って、その中に入ったからといって捕まえて犯して……自分の娘が言いつけにそむいたからって、れを鞭打って。何もかも、悪いのは白人じゃないか。
戦士がいたらなんて、情けないことを考えるな。おれが受けた[[rb:仇>あだ]]じゃないか。おれが仇を討たないでどうするんだ。
決めた。セイバーはおれの手で殺す。セイバーだけじゃない。ジェスとダニーもだ。
『まだ強情を張るつもりか!』
ずばっぢいいん!
「がわ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」
くそお。このままじゃ……殺されはしないだろうけど、まともに動けるようになるまで、また何日も掛かっちまう。
今このとき、この場での名誉を捨ててでも――大きな名誉をつかみとるんだ。
『……ゆるして、ください。ゴ、ゴシュジンサマ』
これは言葉じゃないぞ。白人が囀ずってるのを真似しただけだ。
そんな誤魔化しは、すぐに打ち砕かれた。
『そうだな。では、こう言え――素直に股を開きますから、女として可愛がってください』
くっ……言うだけじゃ済まない。言った通りのことをさせられるんだ。
縛られたり押さえつけられたりして、男棒を突っ込まれるのは、おれが弱っちいから、悔しいけど仕方のないことだ。だけど、自分から男を誘うみたいな真似は、絶対に厭だ。
そうは思っても。力比べと同じだった。一歩だけでも押し込まれたら、ずるずると押されてしまう。
ちっぽけな名誉なんか投げ捨てて、おれは必ず復讐を果たす。強く心に念じながら、おれはセイバーの言葉を繰り返した。目を伏せてしまったのは、心の中で荒れ狂っている炎を見抜かれないためだ。気後れしたわけじゃないぞ。
『ふふん。いいだろう。赦してやる』
ジェスが縄をほどいてくれた。
『言ったことはちゃんと守って、いい子にしてろよ』
どういうつもりか、血のにじんでる股ぐらをぽんぽんと掌で叩いた。それから、足首に鉄の球をつなぎやがった。
『おまえたちは、家へ戻れ』
二人の娘を追い返して、セイバーは――くそ、手を引っ張るとか、遣りようは幾らでもあるだろ。おれの乳首をつまんで、小屋のほうへ引っ張りやがる。ジェスとダニー、他にも三人くらいがついて来る。
男どもは小屋の隅から藁を持ち出して地面に敷いた。その間に、セイバーは下半身を裸になっていた。男棒は水平くらいまで鎌首をもたげてる。
『どうした、インディアンのビッチ。何をすると言ったか、覚えているな?』
すなおに、またを、ひらきますから、おんなとして、かわいがってください。
くそお。おれは両手をきつく握って――反抗的だと思われたら、また処刑場へ引き出されるかもしれないので、すぐに力を緩めた。
股を開くためには、仰向けにならなくちゃいけない。いやだいやだ悔しい悔しい……心の中で何十回と繰り返しながら、おれは藁の上に寝転がった。恥辱に耐えて、脚を開いた。
『それじゃ、嵌めにくいだろ。膝を立てて腰を浮かせよ』
セイバーの御機嫌取りのつもりか。ジェスがおれに指図する。
やりゃ、いいんだろ。これも、力比べと同じだ。押し込まれだすと、どこまでも押されちまう。挙句に、こんな台詞まで言わされた。
『ゴシュジンサマ、ビッチのマンコに、チンポをはめて、ください』
『そこまでねだられては、叶えてやるのが{慈悲}だろうな』
セイバーがのしかかってきやがった。おれを組み敷いて、まだ硬くなり切っていない男棒を割れ目に擦りつける。さっきジェスが掌で拭っているから、血はそんなに付かない。
すぐに、突っ込めるくらいまで硬くなって。
痛い……火を噴く棒の怪我は治ってる感じだけど、ジェスも言ってたように傷が変な具合にくっついてるんだろう。ちょっとこじ開けられては男棒が入ってきて、そこでまた別の場所を抉じ開けられてるような。ぐに、じゅぐ、ぐに――みたいな感じだ。その都度に痛みが奔る。
『なるほど……これは、すごい。{襞がうねっている}ような感触だ』
ジェスほど呆気なくはなかったけど、せいぜい心臓が百拍つくらいで、セイバーも終わってくれた。
セイバーは、とっとと小屋から出て行って。これで(すくなくとも今日は)もう虐められずに済む――なんて安心したおれが馬鹿だったぜ。ついて来た連中は出て行かない。
『十日も待たされたんだ。今日は金玉が空っぽになるまで可愛がってやるぜ』
くそお。すごく悔しい。でも、あまり腹は立たなかった。おれが弱っちいのが悪いんだ。弱いやつは強いやつに組み敷かれて当然だ。だけど、こいつらは、弱い者に優しくしてくれない。護ってくれない。まったくの、やらずぶったくりだ。それが、白人のドレイやインディアンに対する遣り口なんだ。
おれは諦めた。せいぜい素直にして、早いとこ全員の金玉を空っぽにするように務めるしかない。
おれは仰向けに寝転がったまま、誰か(ジェスだったらいいのに――なんて、これっぽっちも考えてないぞ)がのしかかって来るのを待った。
でも、こいつらはそんな優しさ(?)すらもなかった。
『{宣教師の}真似なんか、してんじゃねえよ。とっとと四つん這いになりやがれ』
『ビッチにゃ犬の格好が似合ってる』
四つん這いにさせられた。そういう形で[[rb:番>つが]]ってるのも覗き見したことあるから、あまり気にしなかった。ビッチてのが牝犬を意味する悪い言葉だとは、もう知ってる。けど、おれにそんな格好をさせたのは、もっとちゃんとした(?)理由があった。仰向けに寝転がってちゃ、口が使えないっていう。
だけど、口に一本を咥えさせられてる間に、女穴には取っ替え引っ替え三本が突っ込まれた。
『こいつは、すげえ!』
『下の口にも舌が付いてて、それで舐めまわされてるみてえだ』
別に、おれは気持ち好くなんかねえけどな。まあ、ジェスが横から手を突っ込んでメシベを弄ってくれたから、それでいいや。
女穴に突っ込んで、心臓が百か二百拍つくらいで満足してくれるから、途中で新手が増えても、最初の日に比べたら、ずっと楽だった。
『こうなると、上の口がもの足りねえな。どうだ、こっちにも一発ぶっ放してみるか』
火を噴く短い棒を口に突っ込まれたときは、そいつが冗談を言ってるのは分かってたけど、団栗を破裂させる鈎が起きてたから、やっぱり怖かった。しゃべっても首を振っても暴発するかもしれないから……固まっちまった。十日前のおれだったら、暴発するかしないかは祖霊に委ねてぶん殴ってただろうけど。白人の言いなりになっちまってるおれに、加護は望めない。
でも、ジェスが助けてくれた。
『殺しちまったら、洒落にならんだろうが。歯を抜けば具合は良くなるが、せっかくの可愛い顔が台無しになるししな』
うわ、白人に可愛いなんて言われたのは初めてだ。実は、仲間からも言われたことがないんだよな。男の子みたいにきつい顔立ちだから。部族の子たちは、おれの顔について言うときには、決まって「胸と同じで」なんて余計なことを付け足す。だから、まともに可愛いなんて……言われたって、ちっとも嬉しくなんかないぞ。おれの初めてを無理矢理に奪った男になんか言われたんんだ。腹を立てなくちゃならない。
『けっ。こんな赤っ茶けた顔が、おまえの好みかよ』
『高慢ちきだったり甘ったるかったりするよりは、これくらい男前なほうが、味があらあ』
やっぱり、ジェスも殺してやる。
そうだ。いっそのこと、ジェスにだけは従順になって、甘えてみるかな。もしも、縛られてないときに抱いてくれたりしたら――いつも腰に吊るしてる火を噴く棒を奪えるかもしれない。射ち方は、見て覚えた。できたら、鉄の球を足に付けられてないときがいい。ジェスを射ち殺して、セイバーを追いかけて……
『{フェラチオ}は、どうでもいいや。それより、もうちっと仕込んでやろうぜ』
そう言った男――ゴードンだっけ、ジョージだっけ。こいつら、あまり名前を呼び合わないから、なかなか覚えられない。覚えるつもりなんか、ないけどな。
とにかく、そいつはおれを突きのけて、藁の上に仰向けに寝転がった。男棒は天を指している。
『いつまでもビッチばかりじゃつまんねえだろ。馬の乗り方も覚えろや』
つまり、おれが上になれってことだろ。兄ちゃんと[[rb:煌めく朝露>ディニスクォス・ダァトッオ]]さんがしてるのを見たことがある。だけど……自分から男に、それも白人の男に嵌めにいくなんて、絶対に厭だ。力ずくで犯されるのは、おれが弱っちいんだから仕方がないけど。だから、さっきみたいに仰向けにされて押さえ込まれるほうが、四つん這いよりも悔しさは小さい。でも、こいつらは口と女穴の両方を使わないと満足しないみたいだから。
『ビッチ、ビッチだから、ビッチがいい』
もうちょっと、気の利いた言い方をしたかった。最初のビッチはおれのこと。白人みたいにオレとかワタシって言うと、生意気だって殴られるんだ。別に自分のことを[[rb:牝犬>アスツァッハ・セッツァエ]]て言うんじゃないから、ビッチて言えば殴られないんなら、それでいいや。
『さっきまで{ポニー}だったくせに、何言ってやがる』
男が半身を起こして、おれの股ぐらに手を伸ばす。逃げようとしたら、他のやつに肩を押さえられた。
メシベをつままれて、引き寄せられる。痛いのを我慢すれば名誉を保てるのなら、そうするけど。もっと痛くされて屈服させられるのは分かってるから――男の腰をまたいで、膝を突いちまった。
『ほら、こっちだ。もうちょい奥かな』
メシベで引っ張られて、割れ目に男棒を挟んじまった。簡単に降参しちまう自分が情けないけど、でも、これって――無理強いされてることに変わりはないよな。じゃあ、仕方ないか。おれは諦めて、腰をさらに落とした。
ずぶっと、簡単に嵌まっちまった。
『おら。嵌めたら動け』
ベンてやつ(だと思う)が、背後から肩越しに、おれの乳首をふたつともつまんだ。つまんで、上に引っ張った。痛いので腰を浮かすと、今度は下へ引っ張られた。
『ワン、ツウ、ワン、ツウ……』
痛いから、痛くないように逃げてるだけだ。男の上で腰を振ってるんじゃないぞ。でも、女穴の中で男棒が、ぐにぐにずぶずぶ動いて……。
『なるほど。こりゃあ{名器}だ。チーフが惚れ込むのも無理はねえや』
『馬鹿野郎。誰がインディアンなんぞに惚れるか。だいいち、こいつはミスタ・セイバーの持物だ。ボーナスをもらったからには、そうなるだろ』
ボーナスてのは、こいつらがいろんな物と交換するのに使うマネーのことだろう。つまり、おれは仇から仇に譲り渡されたんだ。へん、気にするもんか。どうせ、二人とも殺してやるんだから。そのためにも、今は従順な振りをしておくほうがいい。なんか、だんだん、振りが振りでなくなってきてるような……ことなんて、絶対にないぞ。
――結局。陽が落ちるまでに、セイバーが雇っている十人のカウボーイ(シツジではなくて、ボクジョウの世話をしてる荒くれども)の全員に犯されて。晩飯の後も、また十人掛りで。多いやつは三回も四回も。金玉の中には、すごい量の子種が貯められてるんだと、呆れちまった。一回ずつは短かったけど、それでも三十回だぞ。せっかく治りかけてた傷口が開いて……血まみれになったから、やる気が失せてくれたんだろうけど。
========================================
今頃になって容姿の描写かよ。最近、ヒロインの顔立ちとかは/好意的に前向きに表現するなら/読者の想像にゆだねる傾向が顕著です。ちょっと反省。
ともかくも。反発一本槍だったヒロインが「弱者は強者に(いろんな意味で)組み敷かれて当然」と、これは最初の章でも触れていますが、この考えに縋って、マゾ堕ちしていくわけです。
通勤途上とか勤務中の休憩時間とかにスマホで書く分量が増えています。そして休日には何をしているかというと、こういうことをしていたりして。

左のくすんだ機体は、かれこれ15年以上前。タバコ燻製です。
2009年に引退して、昨年後半あたりから再燃です。その新しい機体は、右の白いやつ。
1.2mm□×50cm(をループにして25cm)のゴムで垂直に射ち上げて、30m上昇して30秒滞空すれば、まあまあのレベル。左下のは40秒クラス。デッドエアーでコンスタントに50秒あたりまでいけば、SSSです。
視認性であるとか、「飛び過ぎ」を抑制とかで、筆者が休止した頃には、翼長165mm以上のレギュレーションが180mm以上になって。それまで3.5g前後だった機体が5gちかくになります。いっとくけど、WhiteWingsなんかは、「競技用」と名乗っても8gくらいはあります。重ければ、それだけ上昇高度が減ります。
で。現行レギュレーションで4gを切れないかと、紙厚を薄くして。通常180~210Kgを、135Kgケント紙は漫画の原稿用紙で挑戦中。
いや、このブログにはふさわしくない話題ですな。
前回紹介した内容の続きを書いとくと。
ハゼッイイは、銃殺されます。ただし、コルク弾なので、死にません。けれど、穴に突っ込まれて一発撃たれて。火傷も含めて全治10日以上です。もっとも、下の本文紹介で書いているように、そのおかげで内部の傷が絶妙に癒着して、「心臓が百くらい拍つと」誰も彼もが暴発させる名器となります。書いてて、キーボードの勢いでそうなりました。
ちなみに奴隷少年のほうは、ほんとに縛り首です。ただし、手を前で縛られたハゼッイイが馬になって、彼をひと晩じゅう支えます。二日も水一滴与えられずに弱っている身で奮闘するのです。
そして。
========================================
子供の玩具
捕まって八日目だったか九日目だったか(だんだん、怪しくなってきた)。おれはようやく吊りから下ろされて、手も縛られずに小屋から引き出された。
うわ……?!
白人の男の子が、十人ちかく集まってる。セイバーの息子は三人で、ヒップさんはシツジって人にも息子がいるって言ってたけど。三と一を足しても十にはならないぞ?
いちばん季節を巡ってそうなのが、セイバーのいちばん上の息子だ。嘘の処刑をされたときに見物してたな。ボビーだっけ。こいつは、おれよりも季節を巡っている。その横もセイバーの息子でチャールスだっけ。もひとり、ずっとちっこいのがエディ。三人ひとかたまりになってる。あとひとり、見掛けたことのある顔が混じってる。こいつが、シツジの息子のオリバーかな。
なんて、いちいち区別しなくても、セイバーの子供と他の子たちの見分けは簡単だ。おれを見る目つきだ。セイバーの子は、おれの裸を見慣れてるけど、他の子たちは目がまん丸。男に裸を見られるのは、そりゃあ羞ずかしいけど、こんなに熱心に見詰められると、くすぐったくて気持ちい好いかな。
『おまえたちは、{いつも喧嘩や悪戯ばかりしている}』
セイバーが、子供たちに向かって何か言った。
『{こんな辺鄙な地には、ろくに楽しみがないから、分からんでもない。}そこで、今日はこのインディアンを{貸してやる。好きなだけ痛めつけて}遊べ』
おれは、例の柵で囲った場所へ追い立てられた。子供たちも付いて来る。
『おまえたちも男だ。{大勢で若い}牝を{嬲るのはいかん。一対一でやれ}』
子供たちは顔を見合わせて、もじもじしている。
『僕が{お手本を見せてやる}』
ボビーが、おれの前に立った。
なにをするつもりか(どうせ、ろくなことじゃないだろう)と戸惑っているおれに、いきなり殴りかかってきた。
「うわっ……?!」
とっさにかわして、おれは戦いの形に構えた。戦わずに殴られるほうが、かえって無難かなと思ったけど――いくら女だからって、おれはズンナックだ。戦いを挑まれて逃げたりするもんか。
ボビーの顔色が変わった。
『インディアンが白人に逆らうってのか』
こいつ。おれが木偶の棒のように突っ立ってて、何もせずに殴られると思ってたんかな。だとしたら、見当違いだって教えてやるぜ。
ボビーが、また正面から殴りかかってきた。余裕を持って横に跳ん……だつもりだったけど。おれは十日ちかくも手足を縛られて吊るされてたんだぞ。足がもつれて、無様に転んじまった。ところを、脇腹に蹴りを入れられた。
「かはっ……!」
痛みよりも怒りが込み上げてきた。転がって逃げて、素早く立ち上がった。怒りが、手足の痺れを消していた。
また、なんの工夫もせずに殴りかかってくる。今度は身を屈めてかわして、横っ腹に拳を叩き込んでやった。地べたに崩れ落ちるのは、やつの番だった。
『ストップ!』
セイバーが止めた。
『{猛獣と}人間が{素手で戦うなら、ハンディを付けねばな}』
柵の外でセイバーと並んで見物していたジェスが縄を持って近づいて来て――おれを縛った。
「なにするんだ。おれと白人の子を戦わせるんじゃないのかよ?!」
腕力が違いすぎる。背中に渡した短い縄で、両肘を縛られちまった。これじゃ、肘から先しか動かせない。
ジェスは、おれを縛り終えると柵の外へ出て行って――またボビーが目の前に立った。
『{思い知らせてやる}』
殴りかかると思ったら、さらに踏み込んできて、おれの足を踏んづけた。こっちは裸足、相手はごつい革靴。すごく痛い――よりも、動きを封じられた。
腹を殴られるのを、かわしようもなかった。
「ぐふっ……!」
身体を折って苦しむ――間もなく、顔を殴られた。目の前に星が飛び散って、鼻の奥が熱くきな臭くなった。
『{顔はやめておけ。商品価値が下がる}』
セイバーが息子を叱ったけど。おれをかばってくれたんじゃないってことくらいは分かる。
ボビーは肩をすくめると。おれの足を踏んづけたまま、立て続けに腹を殴った。じゅうぶんに腕を尽き出せないから、たいして効いてないぞ。
『よーし、そこまでだ』
セイバーが止めた。でも、それは――次の子におれを痛めつけさせるためだった、
二番手はセイバーの次男坊、チャールズだった。ブーブさんの話だと、おれよりひと巡り若い。そんなやつに、たとえ手が使えなくても、負けるもんか。そういうことをしたら、どんな仕返しをされるかなんて考えずに、こっちから間合いを詰めて――足を高く上げて、脇腹を蹴ってやった。たとえきちんと服を着て(もちろん下帯も着けて)いても、女の子なら絶対にしない仕種だ。
恥をかなぐり捨てた効果は絶大。すっ転んで泣き出しやがった。
ばあん!
足元で砂が爆ぜた。射ち殺すって脅されたときのとは、音が違う。これは、食らったら死ぬ団栗だ。
『インディアンの{分際で}白人に{危害を加えるとは、いい度胸だ。}ジェス、足にもハンディを付けてやれ』
足首にも一歩分の長さで縄が巻かれた。歩けても、さっきみたいに蹴ることはできない。
『インディアンめ、{覚悟しろよ}!』
チャールズが、おれの横にまわって――背が低いから脇腹には届かず、太腿を蹴った。へん、ちっとも痛くないぞ。
見くびったのが、やつにも分かったんだろう。
『くそっ!』
正面からぐっと近づいて、兄貴を真似ておれの足を踏んづけておいて――膝頭で股間を突き上げやがった。
がつんと、股ぐらに衝撃を受けて、重たい痛みが突き抜けた。
「うぐっ……卑怯者。親父に助けてもらって、縛られた女の子を虐めて。それでも男かッ!」
チャールズが柵の外を振り返って肩をすくめた。おれが何を言ってるか分からないって仕種だろう。でも、罵倒されたってことは、直感してるな。
おれに向き直るなり、肩からぶつかって来て、よけられずに転ぶと、思い切り足を上げて腹を踏んやがっけた。
「げぶふっ……!」
背中が地面に押されて逃げられないから、大人に殴られるよりも痛かった。腹を抱えて転げまわる。
『よくやったぞ』
ぱんぱんぱんと、セイバーが拍手した。見物してる餓鬼どもも、指笛を吹いたり、歓声を上げたり。
『次はエディだ。兄貴に負けるんじゃないぞ』
季節を両手の指だけも巡ってないちびが、柵の中に入って来た。生意気にも五歩くらいの距離に立って、おれが立つのを待っている。
わざわざ笑い物になるために立ち上がったりするもんか。踏んづけようと蹴飛ばそうと、好きにしやがれ。おれは地面に転がったまま、手足を大きく広げた。
餓鬼どもが、ぶうぶう喚く。臆病者とか弱虫とか罵ってるんだろうな。へっ、卑怯者に何を言われたって平気だ――けど、セイバーがでしゃばってくると、身構えちまう。
右手には火を噴く棒じゃなくて、小さな桶を持っている。
『立って戦え。{さもないと}水を飲ませてやらんぞ』
桶を傾けると水がこぼれた。それを、ぐりぐりと踏みにじった。意味は、分かりたくもない。
こいつは、どこまで残忍なんだ。殴られるのは、その瞬間がいちばん痛くて、あとはだんだん薄れていく。穴に突っ込まれるのだって、ずいぶん長く感じられるけど、実際には太陽がちょこっと動くだけだ。でも渇きは、いつまでもつづく。どんどんつらくなる。吊られたり枷も似たようなものだけど、無理に身体を動かせば痛みが強くなって、それが薄れるときに、まやかしでも、ほっとする。丸一日水を飲ませないのと三日間吊るされているのと、どちらかを選ばなくちゃならないんだったら――吊るされてるほうが、まだましだ。
「くそ……おまえだけは、必ず殺してやるぞ、セイバー」
痛い……!
大人の男の重みをのし掛けられて、乳房を踏みにじられた。名前を呼ぶなってことか。ドレイと同じに『旦那様』とでも呼ばせたいんかよ。
セイバーが、こつこつと足を蹴った。早く立てって意味だろう。
ちくしょう。惨めだ。水が欲しいばっかりに、餓鬼どもにぶちのめされるために……自分の意思で立たなきゃならないなんて。
おれが立ち上がると。
『ヤアアアアッ!』
ちびのエディが、頭から突進してきた。かわしたら、こいつは転ぶ。転んだら、おれがセイバーに痛めつけられる。腹に食らうしかないだろ。
「ぶふっ……」
受け止め切れずに尻餅をついた。エディが馬乗りになって、おれの乳房を、ぱちんぱちんと平手で叩いた。殴るんじゃなくて、柔らかい感触を面白がってるみたいだ。
その気になれば、肘から先しか使えなくても、引っぺがすことも振り落とすことも、殴りつけることだって、できた。でも、されるがままになっていた。セイバーも、立てとか戦えとは、もう言わなかった。
ちびは、ひとりで勝手に腕を振り回してひとりで勝手に疲れて、引き下がってくれた。
けど、他のやつは、そんなに甘くなかった。
おれはさんざっぱら、殴られ蹴られ突き倒されて――ついに立ち上がれなくなった。
『もう戦わんのか。明日の朝まで、水も飯もやらん』
さんざっぱら甚振っといて、それかよ。でも、明日の朝になったら水をもらえるって安心したんだから、情けない。野生の動物が飼い慣らされていくのと同じに、おれも調教されてってる。ますます惨めで悔しい。
翌日は、また一日じゅう小屋に監禁されてた。もう枷とか吊るされたりとかはせず、右足にごつい鉄の環を嵌められて、短い鎖で鉄の球をつながれた。これじゃ、逃げようとしたってろくに歩けないし、鉄の球を引きずった跡を簡単に追跡される。
閉じ込められてるよりは、ひどい目に遭わされてもいいから外に出してほしい。そんな気持ちも、半分くらいある。
女の子ではおれくらいなもんだけど、ひとりで遠出して、太陽が三回くらい沈んでから戻ってくる者も珍しくはない。だから、おれが居なくなったと仲間が気づいて探しに掛かったときには、おれは小屋の中に吊るされていて、見つけられなかったはずだ。白人の縄張には近づかないようにしてるから、おれがしょっちゅう外に出てないと、見つけてもらえないだろう。でも、見つけてくれて、それからが……
こっそり救けに来てくれるならいいんだけど。正面から堂々と掛け合ったりしたら――八年前の虐殺の再現だ。だから、見つけて救けて欲しいって気持ちも半分だけなんだ。
……セイバーのやつ、おれをどうするつもりなんだろ。ミックなんか、縛首を赦されたその日のうちから働かされてたのに。おれは傷が治り切ってないから休ませてくれてるんだったら、いいけど。昼は子供の玩具がわりにされて、夜は男どもの慰み物にされる――なんてのは、絶対に厭だぞ。
と思ったところで。セイバーのやつがそう決めたら、おれはそれに甘んじるか――さもなきゃ殴られたり、ドレイみたいに鞭打たれたり(音と悲鳴が、小屋の中まで届く)、食事も水も与えられずに、それでも屈せずに頑張ったところで、夜は力ずくで穴を使われるに決まってる。そりゃまあ……ジェスがしてくれたみたいに、乳首やメシベをくすぐられて、身体が破裂……なんでもないぞ。
小屋に監禁されて。朝に一回だけ、ヒップさんが水と食事(というより、餌だな)を運んでくれて。その一回きりだった。昼過ぎには、これまで見掛けたことのない男が来て、うずくまっていたおれを立たせて、身体にあちこち紐を巻きつけたり短い棒をあてがったりしたけど、縛ったり叩いたりじゃなかったので、好きにさせといた。縛ったり叩いたりだって、好きにさせるしかないんだけどな。
夜になってからは、ジェスがひとりだけで小屋に来た。
『もう使えるようになったんじゃねえかって、皆に{せっつかれてな。具合を確かめるのも、亭主の務めってわけだ}』
いそいそと、袴と下穿きを脱ぎやがる。男棒も仕上がってる。簡単に組み敷かれちまった。
こいつは、いちばん最初におれを虐めた白人なんだ。おれの初めてを捧げた男なんかじゃない。羽根だって、火を噴く棒で射ち砕かれてるんだぞ。それなのに――押し返す腕から力が抜けてく。ちょっと割れ目を触られただけで、女穴の奥が、じゅんってなっちまう。
くりくりっと乳首を転がして、メシベをつまんでおれの腰をぴくんと跳ねさせると、それ以上はそよ風を吹かしてくれずに、あっさり押し挿ってきた。
痛い……最初のときほどじゃないし、引き裂かれるってより、抉じ開けられるみたいな痛み。女穴を嘘の火を噴く棒で射たれた傷のせいだ。
『うおおっ……なんだ、こりゃあ?!』
ジェスが素っ頓狂な声を上げやがった。
『{絡みついてきやがる。ヴァージンのときより狭いんじゃねえかよ。}くそお、たまらねえ!』
へこへこと数回腰を動かしたら、すぐに子種を出しちまったらしい。憮然とした顔で身仕度を整えた。
『{具合が良すぎて、愉しむ暇もありゃしねえ。もしかして、中で発砲したせいか。傷が妙な具合に癒着して。だったら、感謝してもらいてえな。どこへ売られても大切に扱われる道具になったんだぜ、おい}』
思い切り馬鹿にしてるような、でも思い切り優しい声で、わけの分からないことを言うと、ジェスは出て行った。
さっさと済ませてくれたおかげで、たっぷり眠れるんだから、それでいいや。
翌日は、また子供たちの玩具にされた。今度は女の子の番だった。男の子みたいに友達が街から遊びに来たりしないので、ボビーよりふた巡り上のアンナとエディのひとつ上のデイジー、この二人だけを相手にすれば良かったし、女の子は殴り合いなんかしないから、楽ちんなはずだったのに――終わってみたら、一昨日どころか、嘘の処刑よりもひどい怪我をさせられていた。悪いのは姉妹じゃなくてセイバーとダニーなんだけど。
やっぱり、朝だけ水と食事を与えられて。尾錠の付いた革の帯で後ろ手に縛られて外へ引き出されたときには、太陽が頭上を過ぎていた。
足の環と鉄の球をはずされて、代わりに妙ちきりんな装具を――男と女で違う部分にばかり着けられた。
鳥籠みたいな物を乳房のそれぞれにかぶせられて、革帯で胸を締め付けられた。巻いた鉄の線の力できつく噛み合う木の嘴に乳首を咬まれて、その嘴から伸びる紐が鳥籠の天辺から引き出されて、鉄で作られた小さなすぼんだ花を下向きに吊るされた。花の芯には仕掛があって、軽く振るだけで、からんころんと音が鳴る。のはともかく……乳首が痛い。これまで、さんざっぱらあれこれ痛いことされてるから、千切れそうなくらいとまでは言わないけどよ。
両側に円盤がひとつずつ付いて二人分の腰掛を備えた橇が、おれの後ろに置かれた。橇からは、途中で鎌首をもたげた鉄の柄が一本だけ突き出ている。柄の先からひと握り手前には、鉄の棒が上向きに作りつけられていた。柄がおれの足の間に通されて引き上げられて――上向きの鉄棒が、女穴に押し込まれた。男棒よりきつい。腰に革帯が巻かれて、柄の途中にある金具につながれた。セイバーがおれの股間をまさぐって……
「あんっ……」
声が出ちまった。だって、メシベの皮をにゅるんて剥かれたんだぜ。いきなり熱風に吹き付けられた。
木の嘴が股間に隠れて……
「きひいいいっ……」
鋭い痛みが、メシベから腰の奥へ向かって突き抜けた。木の嘴はぎざぎざになっている。そいつに花弁を剥かれた花芯を咬まれたんだ。こんなこと、おまえの娘にやってみろ、涙を流して泣き叫ぶぞ。
この嘴に結ばれている紐は、鉄の柄の先端が二股に分かれているところを通されて、小さな鉄の箱をぶらさげられた。中は空っぽで、鉄の花と同じような仕掛があって、こいつは、がらんがらんと鳴る。
最後に、短い鉄の棒を口に噛まされて紐で頭に縛りつけられた。棒の両端からは別に革紐が伸びている。
くそお、分かってきたぞ。セイバーは、おれに橇を曳かせるつもりなんだ。じゃあ、この棒は馬銜だ。革紐が手綱だ。
案の定、アンナとデイジーが橇に乗り込んだ。アンナが手綱を左手に握って、右手にはおれまで届く鞭を持っている。
『ハイヨー』
びしっと、鞭で尻を叩かれた。男の子と喧嘩して棒で叩かれたことはあるけど、鞭だなんて生まれて初めての屈辱だ。でも、いちいち逆らってセイバーに懲らしめられるのは厭だから、馬鹿々々しいと思いながら前に進もうとして――これが、簡単じゃなかった。
橇の重みが全部、女穴に掛かってくる。後ろへ引っ張られて、突っ込まれるのとは違う鈍重な痛みが腰を引き戻す。前へ進もうと足を踏ん張るのは、自分で自分を虐めてるのと同じだ。
『こら、進め。ハイヨー』
びしっ、びしっと、鞭が尻を叩く。男の子に殴られるのよりも痛くはないけど、悔しい。馬の真似をさせられるのも惨めだ。でも、これっぽちの重みに音を上げたなんて思われるのは、もっと悔しいぞ。
「くそおっ……」
ぐっと足を踏み込んだら、思い切り女穴を抉られて腰が引けた。なのに、橇がちょっとだけ動いた。
そうか。柄から突き出た棒にこだわってたんだ。むしろ、身体を倒してやれば――腰に巻かれた革紐で橇を引っ張れる。
身体をうんと倒して、橇が動いて前へ倒れそうになるのを、足を運んで支える。そのこつを体得すると、わりと楽に(でも、女穴は痛いぞ)進み始めた。
からんころん、がらんがらんと、花と箱が鳴って。
「あっ……?」
三点を熱いそよ風が吹き抜けた。音が紐を伝わって、木の嘴を震わせてるんだ。これって、指でつままれて揺すぶられるのと同じだ。痛みは増すけれど、そよ風のほうが強い。
からんころん、がらんがらん……花と箱を鳴らしながら、おれは橇を引っ張り続ける。
『右!』
手綱を引っ張られて、かくんと顔が右へねじられた。向きを変えろって意味だ。後ろに橇を引っ張っているから、歩いてて向きを変えるのとは勝手が違うけれど、なんとか曲がれた。
『おもしろそう。あたしにもやらせてよ』
ちびデイジーが手綱と鞭を持った。
『ハイヨー』
ぺちぺちと、立て続けに鞭でおれの尻を叩く。ちっとも痛くないぞ。でも、セイバーが見てる。おれは素直に橇を曳いて歩いた。
柵で囲まれた中を一周すると、アンナが面倒なことを言い出した。
『この中を{巡るだけじゃ}面白くないわ。{牧場の}外へ出たい』
こんな鬼畜野郎でも父親なんだな。娘には甘い。
『オーケイ。{だが、用心棒はいるな。}おおい、ダニー』
ジェスの弟分(かな)のダニーを呼びつけて、何事かを命じた。ダニーは引き返して、馬に乗ってすぐ戻って来た。誰も乗っていない馬を一頭曳いている。そっちの鞍には、火を噴く長い棒が二本も備えてあった。
ここら辺って、そんなに物騒なんかなと不思議に思って、白人にとって物騒なのはおれたちズンナックだと気づいた。部族の若い娘が裸で橇を曳かされてるなんて、見つけたら問答無用で救けにかかるよな。
『何かあったら、こいつで{連れ帰ります}』
そうだ。牧場の外なら、戦士はダニーだけだ。隙を見つけて逆襲してやる。絶対に負けないぞ。そして、この二人を人質に取れば、有利な条件で和平に持ち込める。
『ハイヨー』
また鞭で尻を叩かれて。そんなのはちっとも気にならず、おれは勇んで橇を引っ張った。
からんころん、がらんがらん……たてつづけに熱いそよ風にくすぐられるうちに、女穴を後ろへ引っ張られる痛みが、だんだん痛みでなくなってくる。そよ風と絡みあって、全身に強い風が吹き荒れ始める。頭が、ぼうっとしてくる。もっと風を強くしたい――なんて、思ってないのに。勝手に足が速くなっていく。倒していた上体を起こして、腰の革紐ではなく女穴の鉄棒で橇を曳くみたいになっていく。
『お嬢さん。馬の勝手にさせちゃいけませんぜ』
『ドウドウ』
手綱がぐっと引かれて、おれは我に還った。
『馬も奴隷も、主人の意のままに操らなけりゃ、思い上がります。ミスタ・セイバーは、それを教えたくて、わざわざ{仔馬}でなくインディアンに曳かせてるんです。{まあ、そのハーネスは、どうかと思いますがね}』
『でも、インディアンは奴隷じゃないわ』
『そう、家畜じゃありません。{野生の猛獣}です。だから、いっそう厳しく調教しなくちゃならんのです』
ややこしいことを言ってるけど、要するにおれたちインディアンはドレイよりも劣っているという意味だろう。
ふざけるなよ。メックは老人だから数えないとしても、マックとミックとモックとムック――それと同じ数だけ、ズンナックの戦士が居てみろ。セイバーと十人の手下なんか、みんなぶっ殺してやる。シツジの一家は白人だけどドレイと似たようなものらしいから、命は取らないけどな。でも、セイバーの三人の息子は、殺す。アンナとデイジーは……妹のほうは幼いから見逃してやるけど、姉には、おれが受けたのと同じ屈辱を味わわせてやるとも。
『あら、もう{川の}近くまで来てるわ。せっかくだから、{水遊び}していきましょうよ』
おれの内心の怒りを知るはずもなく、アンナがのんきなこと(に決まってる)を言う。
『わあい。遊ぼう』
デイジーがはしゃぐ。
『駄目ですぜ。水の近くは危険だと、ミスタ・セイバーもおっしゃってるでしょう』
アンナはダニーの言葉が聞こえないふりをして、おれに鞭をくれた。
おれは、迷うことなく川へ向かって進んだ。おれを操ってる(とは、絶対に認めないぞ)のはアンナとデイジーだし、ダニーが困ることなら、喜んで白人娘の悪戯に付き合ってやるさ。
川のほとりに着くと、アンナは真っ先におれのハーネスを外しに掛かった。
『お嬢さん。何をなさるんで?』
『このインディアンを洗ってやるのよ。{垢}だらけで、おまけに臭いわ。{レディの乗り物}を曳くのにふさわしくないでしょ』
『勘弁してください。俺が叱られます』
『そんなこと、あるもんですか。馬を洗ってやれば、{褒めて}もらえるに決まってるじゃない。あ、そうだ。逃げられないように、投げ縄を首に掛けといてね』
おれは橇から解き放たれて、乳首もメシベも女穴も、すっかり軽くなった。物足りなくなんか、ないぞ。
おれを水に浸ける仕度が終わると、自分たちが服を脱ぎ始めた。
『ちょ、ちょっと……』
ダニーが姉妹に向けて腕を突き出し顔をそむけた。
『見ないでよ。あ、インディアンの縄は、しっかり持っていてちょうだいよ』
勝手なことを言って、二人とも下穿きひとつの姿になった。白人って、そういう体質なのか、食い物が良いからなのか。まだ季節を両手の指だけも巡ってないくせに、デイジーの胸は乳房ってほどじゃないけど、膨らんでる。あと幾つも季節を巡らないうちに、おれに追いつくんじゃないかな。姉のほうは……川面に太陽の光が照り返して、きらきら輝いてるなあ。
『さっさと川に入るのよ』
デイジーが鞭でおれを叩いて、川へ追いやる。アンナは橇の腰掛の下から篭を引き出して、束子を持って来た。おれたちのと違って、棍棒に棘を植えたような形をしてる。こんな物を用意してたってことは、この場での思いつきじゃないな。
川は浅くて、せいぜいデイジーの膝あたりまで。おれは言われるままに四つん這いになって、背中まで水中に沈めた。
姉妹が両側から、束子でおれの身体をこする。草の茎を束ねたおれたちの束子と違って、無数の針で肌を引っ掛かれる。痛いけど、おれより弱っちいやつに泣かされるなんて面子にかかわるから、平気な顔をしてやる。
『ここは、特に良く洗わないとね』
アンナの持つ束子が股間にまわって、割れ目を強く擦った。鋭い毛羽が突き刺さる。
「きひいっ……」
びくんっと、腰を引いた。ぱちんと尻を叩かれる。痛くはないのに悔しい。
『じっとしてなさい。{綺麗に}してやってるのが分からないの? インディアンって、馬よりもお馬鹿さんなのね』
殴ってやりたい。でも、喧嘩にはならずに、首縄で引き寄せられてダニーに殴り倒されるだけだ。そして牧場へ連れ帰られて、また残酷な懲罰に掛けられる。
おれは、ちくちくひりひり痛いのを我慢して、アンナの好き勝手にさせた。背中や腹をこするよりもずっと強くしつこく、アンナはおれの股ぐらを洗った――んじゃないな。虐めたんだ。捕らわれた最初の夜に、おれが牧場の男どもに犯されたのを知っているんだな――と、直感した。そんなおれを、ただインディアン、白人じゃないってだけでなく、女として穢れてると思ってるんだ。おれだって――というよりズンナックは、誰彼かまわず抱かれる女は軽蔑する。でもおれは、自分の意思で股を開いたんじゃないぞ。
気が済むまで(男の子十人に比べたら、すぐに飽きてくれた)おれを虐めてから、おれはダニーに任せて、二人で遊び始めた。水の掛けっこをしたり、流れの中に寝そべってみたり、それで下穿きが濡れたから素っ裸になって、川原で小石を積み上げてみたり。
妹のほうは無邪気に遊んでるけど、アンナは――裸になってはいけない場所で裸になる後ろめたさを愉しんでいる。それが、おれにはよく分かる。だからって、親近感なんか感じない。妹もダニーもいなかったら、割れ目も悪戯したかもしれない。何をしようと、この十日あまりにおれがされたことに比べたら、赤ん坊の指しゃぶりと変わらないけどな。
二人が水遊びに飽きるまで、おれはずっと苦痛に耐えていなけりゃならなかった。ダニーに引き渡されてすぐ、ハーネスを着けさせられたんだけど、鬱憤晴らしに革紐を前よりもきつく締めつけられ、木の嘴の上にも細い紐を巻き重ねられて痛さが倍になった。しかも、鉄の花にも箱にも小石を詰め込みやがって、痛さは倍の倍に跳ね上がった。ジェスの子分みたいなやつに虐められたって、泣くもんか。歯を食い縛って耐え抜いたさ。
帰り道では余計な重石は勘弁してくれたから、倍になっただけの痛みなら――頭がぼうっとしなくて、泣きたいくらいにつらかった。
========================================
アメリカ西部です。
男の子の遊びは喧嘩です。
女の子の遊びはお馬さんです。

実は猿動画を観て以来、ポニーガールは膣牽引が必須になっちゃいました。
「SMツアー」シリーズの『ドンキーガール』以来の登場です。前作は、デブス熟女ですが、今回はU15。
まあ、実際の牝馬は。人間で言うならSの頃から裸で(あたりまえか)鞍を乗せられたり鞭で追い回されたり、Cにもなると観客の面前で裸に(あたりまえか)ハーネスを装着させられ騎手を乗せて走らされるのですから――これはこれで、書いてみたいですけど。人間と馬を入れ替えればSF。馬に転生すればラノベ。大富豪が金で買うなり拉致してきた少女をとなれば、ありふれちゃいますな。
========================================
屈服の兆し
あまり太陽が傾かないうちにボクジョウへ帰り着いて――それからが、おれのほんとうに痛くて苦しくて惨めな一日の始まりだった。
草原の一画を勝手に柵で囲んだ、森よりも広い内側。それが、白人どものいうボクジョウだ。その柵の出入口のところに、セイバーが一人で立っていた。不機嫌と心配がごっちゃの顔をしている。
『{ずいぶんと遅かったな。}何かあったのか?』
『いえ、それがですね……』
ダニーが、オジョウサンたちが何をしていたかを告げ口した。
『おまえたちは、わしの言いつけを守らなかったんだな』
『ごめんなさい、パパ。だって、お天気が良かったし、{夏みたいに暑かったし……}』
『いくら、わしが娘に甘いといっても、{限度がある。}今日は、厳しくお仕置をするぞ』
『ごめんなさい。これからは、決してパパの言いつけに{そむきません}』
『いいや、駄目だ。鞭で懲らしめてやる』
アンナもデイジーも震え上がったんだろう。おれからは見えないけど。
『とはいえ、わしも可愛い娘を泣かせたくはない。そこで、{[[rb身代わり小姓>Whipping-boy]]に倣うとしよう}』
『……?』
鞭打たれなくてすみそうだと、ふたりは父親の次の言葉を待っている。
『{旧大陸の王宮で行われていた制度だ。王子が悪いことをしても、玉体を傷付けるなど、家臣として畏れ多い。そこで、小姓を代わりに罰する}』
セイバーが、おれに目を向けた。
『このインディアンを、おまえたちの{身代わりにする。}おまえたちのせいで、こいつが鞭打たれるのだ。こいつが無様に泣き叫ぶのを見て、反省しなさい』
『はあい、パパ』
こいつら、絶対にぺろっと舌を出してやがるぞ。
ふざけるなと言いたいところだけど、言えば鞭打ちだけで済まなくなるってのが分かりきってるから……くそお、ドレイみたいにおとなしく虐められるしかできないのかよ。
おれはハーネスを外されて、そのまま、剥き出しの地面を柵で囲ったところへ連れて行かれた。ここは、まだ人に馴れていない馬を調教したり、男どもが力比べや遊びの取っ組み合いをしたり、十日前におれとミックがされたように、ドレイやインディアンを虐めるのに使われてる。
おれは十日前と同じように二本の柱の間に、手足を広げて磔にされた。違っているのは、両足が地面に着いているのと、馬橇遊びの間ずっと木の嘴に咬まれていた乳首とメシベに血が滲んでいるのと、その代わり割れ目と尻穴は(そんなに)傷ついてないってことかな。
セイバーが鞭を握って、おれの前に立った。馬橇遊びの鞭とは全然違う。棒の先に革の帯紐がつながってるんじゃなくて、全体が先細りの編み上げになっている。根本は手斧の柄くらいも太くて、先っぽは指よりも細いけど膠で固めたみたいに黒光りしている。巻いて持っていた鞭を伸ばすと、長さはおれの背丈の倍ほどにもなった。これは……コルクの弾と鉛弾ほどにも違うぞ。
ひゅううん、ぱっしいん!
空中で鞭先を撥ねる音からして、恐ろしい。
『わしは優しい男だ。今夜のことを考えて、背中と尻は傷つけないでおいてやる』
セイバーがわけの分からないことを言う。つまり、身体の正面を鞭打つんだろ。尻より、よほど痛いに決まっている。見物に集まった男どもが一斉に嗤ったのも、意味が分からない。のは、おれとデイジーだけらしい。姉のほうは、顔を赤くして俯いた。
いよいよセイバーが、おれに向かって鞭をかまえた。腕を後ろへ引いて、身体までねじって。
ひゅうううん、ずばっぢいん!
「きゃああああっ……!」
意地でも泣き叫んだりするもんかと心に誓っていたのに、最初の一撃で粉砕されてしまった。乳房を刃物で切り裂かれると同時に棍棒で殴られたような、鋭くて重たい激痛だった。
ひゅうううん、ずばっぢいん!
二発目も乳房に打ち込まれた。乳房が胸までめり込んでから、掌からこぼれない大きさしかないのに、アンナの[[rb:たわわ>・・・]]みたいにぶるるんって爆ぜた。
たった二発で、乳房全体が赤黒く腫れ上がった。鞭が直接当たったところは、肌が裂けて血が滲んでる。
セイバーが一歩踏み込んで、低い位置から鞭を繰り出した。狙いが外れた――と思ったのは一瞬。脇腹に叩きつけられた鞭は、おれの胴をひと巻きしてから、鞭先が背中を軽く叩いた。それはたいして痛くなかったけど、鞭が引き戻されるときに肌を切り裂いて、まるで赤い帯を巻いているみたいになっちまった。
四発目と五発目は臍の下を打たれて、乳房のときほどじゃないけど、悲鳴を堪えられなかった。
くそ……悲鳴はしょうがないけど。絶対に泣いたりなんかしないぞ。
ひゅうううん、ばちいん!
今度は脇腹を打たれて、背中を巻いた鞭先が乳首を直撃した。
「きひいいっ……!」
そこからは五六発ばかり、身体の正面を滅多打ちにされた。
膝が砕けて、両腕で吊られた形になった。
セイバーが鞭を引きずりながら、おれに近づいた。唾を吐き掛ければ届く近さだ。でも、やめておく。仕返しが怖い。
『赦してほしいか?』
虫を網に絡め取った蜘蛛みたいにねちっこい口調。
『お赦しください、御主人様――こんなふうに懇願するなら、考えてやらんでもないぞ?』
セイバーへの呼び掛け方は、いくつかある。ドレイやシツジは、たいていダンナサマと言う。雇われている男どもはミスタ・セイバーだ。たまにボスと呼ばれると機嫌が悪くなると、ミックが言ってたっけ。逆にジェスはチーフと呼ばれるのを好むそうだ。は、ともかく。ゴシュジンサマというのは、最もていねいな呼び掛けらしい。誰が言うもんか。
『どうした。言葉は分かっとるはずだぞ。それとも、ここにも鞭を食らいたいのか?』
セイバーが鞭をおれの股ぐらに通した。前後を握って引き上げて、割れ目に食い込ませる。
『強情を張ると悲鳴だけでは済まなくなるぞ』
鞭を前後にしごく。ますます割れ目に食い込んできて、女穴の入口まで擦られる。
「ぐうう、うううう……」
編んだ革の縁が、柔肉を切り刻む。血が流れて鞭が滑り始めるのが分かった。
『そうか。そんなに鞭を食らいたいんだな』
セイバーが後ろに下がった。鞭を地面に這わせたまま、腕を真後ろに引いて……
ずしゅうううん、ばっちいん!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
おれは大声で吠えた。鋭いとか重たいとかじゃない。豹の爪で切り裂かれたような、ぎざぎざの激痛で割れ目を真っ二つにされた。
ちくしょう。なんだって、こんな目に遭わされなけりゃならないんだよ。勝手に柵で囲って、その中に入ったからといって捕まえて犯して……自分の娘が言いつけにそむいたからって、れを鞭打って。何もかも、悪いのは白人じゃないか。
戦士がいたらなんて、情けないことを考えるな。おれが受けた[[rb:仇>あだ]]じゃないか。おれが仇を討たないでどうするんだ。
決めた。セイバーはおれの手で殺す。セイバーだけじゃない。ジェスとダニーもだ。
『まだ強情を張るつもりか!』
ずばっぢいいん!
「がわ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」
くそお。このままじゃ……殺されはしないだろうけど、まともに動けるようになるまで、また何日も掛かっちまう。
今このとき、この場での名誉を捨ててでも――大きな名誉をつかみとるんだ。
『……ゆるして、ください。ゴ、ゴシュジンサマ』
これは言葉じゃないぞ。白人が囀ずってるのを真似しただけだ。
そんな誤魔化しは、すぐに打ち砕かれた。
『そうだな。では、こう言え――素直に股を開きますから、女として可愛がってください』
くっ……言うだけじゃ済まない。言った通りのことをさせられるんだ。
縛られたり押さえつけられたりして、男棒を突っ込まれるのは、おれが弱っちいから、悔しいけど仕方のないことだ。だけど、自分から男を誘うみたいな真似は、絶対に厭だ。
そうは思っても。力比べと同じだった。一歩だけでも押し込まれたら、ずるずると押されてしまう。
ちっぽけな名誉なんか投げ捨てて、おれは必ず復讐を果たす。強く心に念じながら、おれはセイバーの言葉を繰り返した。目を伏せてしまったのは、心の中で荒れ狂っている炎を見抜かれないためだ。気後れしたわけじゃないぞ。
『ふふん。いいだろう。赦してやる』
ジェスが縄をほどいてくれた。
『言ったことはちゃんと守って、いい子にしてろよ』
どういうつもりか、血のにじんでる股ぐらをぽんぽんと掌で叩いた。それから、足首に鉄の球をつなぎやがった。
『おまえたちは、家へ戻れ』
二人の娘を追い返して、セイバーは――くそ、手を引っ張るとか、遣りようは幾らでもあるだろ。おれの乳首をつまんで、小屋のほうへ引っ張りやがる。ジェスとダニー、他にも三人くらいがついて来る。
男どもは小屋の隅から藁を持ち出して地面に敷いた。その間に、セイバーは下半身を裸になっていた。男棒は水平くらいまで鎌首をもたげてる。
『どうした、インディアンのビッチ。何をすると言ったか、覚えているな?』
すなおに、またを、ひらきますから、おんなとして、かわいがってください。
くそお。おれは両手をきつく握って――反抗的だと思われたら、また処刑場へ引き出されるかもしれないので、すぐに力を緩めた。
股を開くためには、仰向けにならなくちゃいけない。いやだいやだ悔しい悔しい……心の中で何十回と繰り返しながら、おれは藁の上に寝転がった。恥辱に耐えて、脚を開いた。
『それじゃ、嵌めにくいだろ。膝を立てて腰を浮かせよ』
セイバーの御機嫌取りのつもりか。ジェスがおれに指図する。
やりゃ、いいんだろ。これも、力比べと同じだ。押し込まれだすと、どこまでも押されちまう。挙句に、こんな台詞まで言わされた。
『ゴシュジンサマ、ビッチのマンコに、チンポをはめて、ください』
『そこまでねだられては、叶えてやるのが{慈悲}だろうな』
セイバーがのしかかってきやがった。おれを組み敷いて、まだ硬くなり切っていない男棒を割れ目に擦りつける。さっきジェスが掌で拭っているから、血はそんなに付かない。
すぐに、突っ込めるくらいまで硬くなって。
痛い……火を噴く棒の怪我は治ってる感じだけど、ジェスも言ってたように傷が変な具合にくっついてるんだろう。ちょっとこじ開けられては男棒が入ってきて、そこでまた別の場所を抉じ開けられてるような。ぐに、じゅぐ、ぐに――みたいな感じだ。その都度に痛みが奔る。
『なるほど……これは、すごい。{襞がうねっている}ような感触だ』
ジェスほど呆気なくはなかったけど、せいぜい心臓が百拍つくらいで、セイバーも終わってくれた。
セイバーは、とっとと小屋から出て行って。これで(すくなくとも今日は)もう虐められずに済む――なんて安心したおれが馬鹿だったぜ。ついて来た連中は出て行かない。
『十日も待たされたんだ。今日は金玉が空っぽになるまで可愛がってやるぜ』
くそお。すごく悔しい。でも、あまり腹は立たなかった。おれが弱っちいのが悪いんだ。弱いやつは強いやつに組み敷かれて当然だ。だけど、こいつらは、弱い者に優しくしてくれない。護ってくれない。まったくの、やらずぶったくりだ。それが、白人のドレイやインディアンに対する遣り口なんだ。
おれは諦めた。せいぜい素直にして、早いとこ全員の金玉を空っぽにするように務めるしかない。
おれは仰向けに寝転がったまま、誰か(ジェスだったらいいのに――なんて、これっぽっちも考えてないぞ)がのしかかって来るのを待った。
でも、こいつらはそんな優しさ(?)すらもなかった。
『{宣教師の}真似なんか、してんじゃねえよ。とっとと四つん這いになりやがれ』
『ビッチにゃ犬の格好が似合ってる』
四つん這いにさせられた。そういう形で[[rb:番>つが]]ってるのも覗き見したことあるから、あまり気にしなかった。ビッチてのが牝犬を意味する悪い言葉だとは、もう知ってる。けど、おれにそんな格好をさせたのは、もっとちゃんとした(?)理由があった。仰向けに寝転がってちゃ、口が使えないっていう。
だけど、口に一本を咥えさせられてる間に、女穴には取っ替え引っ替え三本が突っ込まれた。
『こいつは、すげえ!』
『下の口にも舌が付いてて、それで舐めまわされてるみてえだ』
別に、おれは気持ち好くなんかねえけどな。まあ、ジェスが横から手を突っ込んでメシベを弄ってくれたから、それでいいや。
女穴に突っ込んで、心臓が百か二百拍つくらいで満足してくれるから、途中で新手が増えても、最初の日に比べたら、ずっと楽だった。
『こうなると、上の口がもの足りねえな。どうだ、こっちにも一発ぶっ放してみるか』
火を噴く短い棒を口に突っ込まれたときは、そいつが冗談を言ってるのは分かってたけど、団栗を破裂させる鈎が起きてたから、やっぱり怖かった。しゃべっても首を振っても暴発するかもしれないから……固まっちまった。十日前のおれだったら、暴発するかしないかは祖霊に委ねてぶん殴ってただろうけど。白人の言いなりになっちまってるおれに、加護は望めない。
でも、ジェスが助けてくれた。
『殺しちまったら、洒落にならんだろうが。歯を抜けば具合は良くなるが、せっかくの可愛い顔が台無しになるししな』
うわ、白人に可愛いなんて言われたのは初めてだ。実は、仲間からも言われたことがないんだよな。男の子みたいにきつい顔立ちだから。部族の子たちは、おれの顔について言うときには、決まって「胸と同じで」なんて余計なことを付け足す。だから、まともに可愛いなんて……言われたって、ちっとも嬉しくなんかないぞ。おれの初めてを無理矢理に奪った男になんか言われたんんだ。腹を立てなくちゃならない。
『けっ。こんな赤っ茶けた顔が、おまえの好みかよ』
『高慢ちきだったり甘ったるかったりするよりは、これくらい男前なほうが、味があらあ』
やっぱり、ジェスも殺してやる。
そうだ。いっそのこと、ジェスにだけは従順になって、甘えてみるかな。もしも、縛られてないときに抱いてくれたりしたら――いつも腰に吊るしてる火を噴く棒を奪えるかもしれない。射ち方は、見て覚えた。できたら、鉄の球を足に付けられてないときがいい。ジェスを射ち殺して、セイバーを追いかけて……
『{フェラチオ}は、どうでもいいや。それより、もうちっと仕込んでやろうぜ』
そう言った男――ゴードンだっけ、ジョージだっけ。こいつら、あまり名前を呼び合わないから、なかなか覚えられない。覚えるつもりなんか、ないけどな。
とにかく、そいつはおれを突きのけて、藁の上に仰向けに寝転がった。男棒は天を指している。
『いつまでもビッチばかりじゃつまんねえだろ。馬の乗り方も覚えろや』
つまり、おれが上になれってことだろ。兄ちゃんと[[rb:煌めく朝露>ディニスクォス・ダァトッオ]]さんがしてるのを見たことがある。だけど……自分から男に、それも白人の男に嵌めにいくなんて、絶対に厭だ。力ずくで犯されるのは、おれが弱っちいんだから仕方がないけど。だから、さっきみたいに仰向けにされて押さえ込まれるほうが、四つん這いよりも悔しさは小さい。でも、こいつらは口と女穴の両方を使わないと満足しないみたいだから。
『ビッチ、ビッチだから、ビッチがいい』
もうちょっと、気の利いた言い方をしたかった。最初のビッチはおれのこと。白人みたいにオレとかワタシって言うと、生意気だって殴られるんだ。別に自分のことを[[rb:牝犬>アスツァッハ・セッツァエ]]て言うんじゃないから、ビッチて言えば殴られないんなら、それでいいや。
『さっきまで{ポニー}だったくせに、何言ってやがる』
男が半身を起こして、おれの股ぐらに手を伸ばす。逃げようとしたら、他のやつに肩を押さえられた。
メシベをつままれて、引き寄せられる。痛いのを我慢すれば名誉を保てるのなら、そうするけど。もっと痛くされて屈服させられるのは分かってるから――男の腰をまたいで、膝を突いちまった。
『ほら、こっちだ。もうちょい奥かな』
メシベで引っ張られて、割れ目に男棒を挟んじまった。簡単に降参しちまう自分が情けないけど、でも、これって――無理強いされてることに変わりはないよな。じゃあ、仕方ないか。おれは諦めて、腰をさらに落とした。
ずぶっと、簡単に嵌まっちまった。
『おら。嵌めたら動け』
ベンてやつ(だと思う)が、背後から肩越しに、おれの乳首をふたつともつまんだ。つまんで、上に引っ張った。痛いので腰を浮かすと、今度は下へ引っ張られた。
『ワン、ツウ、ワン、ツウ……』
痛いから、痛くないように逃げてるだけだ。男の上で腰を振ってるんじゃないぞ。でも、女穴の中で男棒が、ぐにぐにずぶずぶ動いて……。
『なるほど。こりゃあ{名器}だ。チーフが惚れ込むのも無理はねえや』
『馬鹿野郎。誰がインディアンなんぞに惚れるか。だいいち、こいつはミスタ・セイバーの持物だ。ボーナスをもらったからには、そうなるだろ』
ボーナスてのは、こいつらがいろんな物と交換するのに使うマネーのことだろう。つまり、おれは仇から仇に譲り渡されたんだ。へん、気にするもんか。どうせ、二人とも殺してやるんだから。そのためにも、今は従順な振りをしておくほうがいい。なんか、だんだん、振りが振りでなくなってきてるような……ことなんて、絶対にないぞ。
――結局。陽が落ちるまでに、セイバーが雇っている十人のカウボーイ(シツジではなくて、ボクジョウの世話をしてる荒くれども)の全員に犯されて。晩飯の後も、また十人掛りで。多いやつは三回も四回も。金玉の中には、すごい量の子種が貯められてるんだと、呆れちまった。一回ずつは短かったけど、それでも三十回だぞ。せっかく治りかけてた傷口が開いて……血まみれになったから、やる気が失せてくれたんだろうけど。
========================================
今頃になって容姿の描写かよ。最近、ヒロインの顔立ちとかは/好意的に前向きに表現するなら/読者の想像にゆだねる傾向が顕著です。ちょっと反省。
ともかくも。反発一本槍だったヒロインが「弱者は強者に(いろんな意味で)組み敷かれて当然」と、これは最初の章でも触れていますが、この考えに縋って、マゾ堕ちしていくわけです。
Inturrupt Reoprt 3:檻の中の野生児(仮題)
ええ、まずはこちらをご覧ください。
表記に関する注意
この小説では、先住民族であるヒロインが使う言語と侵略者である開拓民が使う言語を、共に日本語で表記します。両者の区別をつけるために、原稿ではWORDのフォント機能を利用しています。
・先住民族の言語は、明朝体を使います。台詞は「鍵括弧」でくくります。
・開拓民の言語は、ゴシックを使います。台詞は『二重鍵括弧』にします。
・開拓民の台詞でヒロインが理解できない部分は、文字を薄く表示します。
PIXIV小説では再現できないので、以下のように簡略化(複雑化?)します。
・フォントの使い分けはしません。
・文字を薄くする代わりに、その部分の前後を{半角波括弧}で閉じます。
========================================
森の中の罠
森の手前には見渡すかぎり杭が立てられて、杭と杭の間には棘の生えた鉄の線が張り巡らされている。東の方で牛をたくさん飼っている白い人たちが、精霊の住まう森を自分達のものだと言って、勝手に囲ったんだ。ところどころに木の板が掛けてあって
“Keep Out”なんて大きな模様が描かれてる。
おれたちズンナック族の大人が白い人達と掛け合ったんだけど、火を噴く棒で脅されて引き下がった。森はここだけじゃないし、白い人達はどんどん増えているから、森の分け前もたくさん入り用なんだろうって、大人は白い人達の言い分を受け入れてしまったけど。
おれは、この森じゃなきゃ駄目なんだ。
白い人達は、森を囲っただけで、木の枝を拾いにも来ない。もちろん、手入れもしない。森の精霊は悲しむだろうけど、おれには都合が良い。
大人の腰の高さしかない囲いなんて、簡単に跳び越えられる。
森に入ると、さっそく兄弟を見つけた。木の枝にちょこんと座って、団栗をかじってる。
「見るなよ、恥ずかしいじゃないか」
もちろん、おれの言うことなんか分かっちゃないけど、声を掛けられてびっくりしたんかな。すささっと隠れやがんの。そんなにはっきりと見分ける自信はないけど、たぶん初めての顔合わせだ。兄弟だなのに初めて会うなんて――なんだか笑っちゃうな。なんて、後ろめたさをごまかしてる。
あ。栗鼠と兄弟ってのは、おれの名前も栗鼠だから。女の徴が訪れて一本目の赤い羽根飾をもらったのがこないだの冬だから、まだ二つ目の名前はもらってない。けど、生まれが近い男の子たちは、おれのことを平原の栗鼠なんて呼ぶんだぜ。平原てのは、山や丘と違って真っ平らだろ。
まったく失礼なやつらだ。一巡り前の夏だって、低い丘くらいにはなってたし、生まれてから十五回も夏を迎えた(全部は覚えてないけど)今じゃ、手を丸めても掌の底で乳首を押し潰せるんだぞ。そりゃまあ、ひと巡り後に生まれた女の子たちと比べても……いいや、他人と比べても意味はないさ。同じ数だけ季節を巡った仲間のうちで、いちばん背が低いってことも、意味はない。おれはひと巡り先に生まれた男の子よりも速く走れるし、高く跳べる。これは男の子なら、すごく意味があるんだけどなあ。女は狩もしないし、外敵とも戦わない。男の子みたいに筋肉が引き締まってても、女の子らしくないなんて、からかわれるし。それでも、おれはおれだ。煌めく朝露さんをうらやましく思ったりしない。
なんて、どうでもいい(よくない!)ことを考えながら歩いてたけど。木の精霊が見えてくると、他のことは頭から消え失せた。
見通しの悪い森の中で、じっくりと辺りを見回して耳を澄まして。うん、人の気配はない。
「今日も、おれと遊んでくれよな」
倒れている大きな樹にお願いをしてから。おれは着ているものを全部脱いで下帯まで取り去り、靴も脱いで裸になった。頭の羽根飾だけは、魂みたいなものだから着けたまま。
服を着てなきゃいけない場所で、男なら狩をしたり、女なら木の実を採ったり枯れ枝を集めたり、仕事をする場所で真っ裸になるなんて、すごくいけないことをしてるんだから――胸がどきどきして、腰の奥がきゅうんとねじれてくる。木の精霊が目の前に居るもんだから、この春に春を迎えた(生えてきたなんて、羞ずかしくて口にできない)おれの割れ目が、じゅんって粘ついてくる。
樹が裂けたちょっと上には、大人の男棒と同じくらいの太さと長さの枝が突き出ている。縮かんでるときのじゃなくて、女の人と番うときのやつ。おれだって、見たことくらいあるし、季節が幾つも巡らないうちに、三つか四つくらい季節をたくさん巡ってる素敵な男の人に求められて、割れ目の奥の女穴に挿れてもらって、彼から二本目の羽根をもらうんだ。
男とそんなことをするなんて絶対に厭だって言う娘もいるけれど。おれはちっちゃい頃から、その日がくるのを待ち遠しく思ってる。だって、男は強くて女は弱い。強い者が弱い者を(いろんな意味で)組み敷いて当然だ。その代わり、弱い者は強い者に甘えて、護ってもらう。
だから、その日のために今のところは、こっちの枝は我慢しとく。チジッディ・アブレは羽根をくれないもんな。
その太い枝から一歩半離れたところに、瘤が盛り上がってて指一本より少し長くて倍くらいに太い枝が立っている。瘤も枝も、ちょこっと樹皮が剥がれてきたけど、そのささくれが凄いんだから。
おれはチジッディ・アブレに跨がった。さすがに、組み敷いてくれないもんな。男と女でも、こういう形があるのも知ってるから、それは不満じゃない。
跨がると割れ目が自然と開く。その内側を瘤のところに押しつけた。割れ目からはみ出たちっちゃいびらびらが樹皮にこすれて。
「あんんっ……」
腰がびくんっと震えた。その動きが、さらにびらびらと樹皮をこすり合わせて、ちょっとくすぐったくて、ちょっと痛くて、滅茶苦茶に気持ち好い。尻から脳天まで、鋭いそよ風が駆け昇る。
おれは腰を前へ突き出した。割れ目の端っこにある小さな肉の蕾が枝に押しつけられて、そよ風が強い風に変わる。
「あああっ……いいよお」
熱い強風が、おれの全身を揺すぶる。だけど、もっともっと風を強く煽れるんだ。枝にこすり付けたまま、くいっと腰を浮かすと――肉の蕾がきゅるんと綻びて、中に隠れてた芽が剥き出しになって、それが樹皮に触れると――もう、強風でも疾風でも颶風でもない。夏の暑い日に大雨を呼ぶ激しい雷。
ぐわららら、ずっどーん! 頭が真っ白になって、身体が砕け散るような、わけの分からない感覚が、おれを吹っ飛ばした。
「ふわああああ……」
ばらばらになった身体を、後ろへ倒して――人影に気づいて、幹から転げ落ちた。
「誰だ?! 今の……見てたのか?!」
うろたえて、分かりきったことを尋ねちまった。見れば、白い人だって分かるし。二人の男は、にやにや嗤ってる。
『{言っただろ。集落に警告なんかせずに、こっそり見回ろうぜって}」
「{さすがにジェスは策士だな。面白い獲物が掛かったもんだ}』
白い人たちの言葉を言い交わしながら、おれに近づいてきた。ひとりは片手で持てる短い火を噴く棒を、もうひとりは縄束を持っている。
『{オーケイ。おまえは私有地に無断侵入した。州法第三十五条を適用して、私人による現行犯逮捕を執行する。これでよかったっけな}?』
『{いいんじゃねえか}』
縄束を持ってるほうのやつが腰を曲げて、おれに向かって手を差し伸べた。親切で引き起こしてくれるんじゃないくらい、羽根飾のない子供だって分かる。それに、白い人とは関わるなって言われてるし。なんてことよりも――おれ、男の前で真っ裸なんだぜ!
なんて、一瞬のうちに考えるよりも早く身を起こして、脱ぎ捨てた服に向かって突進した。服を拾い上げようとしたとき。
だあん!
目の前で、服から生地の破片と土煙が飛び散った。
『{動くな。次は脚を射つ}』
もうひとりのやつが、火を噴く短い棒をおれに向けている。火だけじゃなく小さな硬い団栗が飛び出て、それは矢と同じくらいに人や物を傷つける。言葉は分からなくても、動けば二発目がおれに向かって火を噴くだろうとは分かる。
おれに手を差し伸べた男が、目の前に立って。
『{せっかく裸になってくれてるんだ。何もせずに連れてくってのは、ビッチに失礼じゃねえかな}』
『{違いねえ。ダニー、背中を頼むぜ}』
『{やっぱりかよ}』
目の前の男が何歩か下がり、火を噴く短い棒を腰の鞘から抜いて、おれに向けた。それまで火を噴く短い棒を構えていたやつは、それを腰の鞘に納めて。帯と鞘を、おれのチジッディ・アブレの上に置いた。そして、股の部分が大きく開いている革の袴も脱いでから、おれの前に立った。
『{おとなしくしてりゃ、ちっとは優しくしてやるぜ}』
おれたちのと似た袴を脱いで――へえ、袴を重ねて着てる。おい、ちょっと待てよ。それも脱いじまうのかよ。脱がなきゃおしッこもできないんて……うわわ、むくむく大きくなった。
冗談じゃない。こいつ、おれと番う気なんだ。やだよ。まだ(ほんのちょっぴり)早いってだけじゃない。こいつの羽根なんか、もらいたくない。おれは、ズンナックから出るつもりはない。
逃げるために、おれは横に跳んで火を噴く棒の狙いを外した……つもりだったけど。下半身丸出しの男が横に蹴り出した足につまずいて、無様につんのめっちまった。ふだんなら絶対にしない失態だ。おれ、動転してる。
男は、俯せに転がったおれを馬乗りになって押さえ込んで、両手を背中にねじ上げた。
『{ダニー、縄をくれ}』
こいつら、飼っている牛を投げた縄で捕まえて、牛が厭がっても囲いの中へ引きずり込む。だから、いつも縄を携えている。
「やめろ! おれは家畜じゃないぞ!」
文句を言ったけど、通じない。しかも、こいつはおれより重たいし力も強い。ろくに抵抗もできず、後ろ手に縛られちまった。
『{いい子にしてたら、すぐ終わらせてやる。それとも、じっくり可愛がってほしいか}?』
見物してるほうが、げらげら嗤う。くそ、何がおもしろいんだよ?!
馬乗りになっているやつが、おれを仰向けにひっくり返して、おおいかぶさってくる。
くそ。やめろったら。おれは、思い切り膝を蹴り上げた。
がしんと、骨と骨とがぶつかり合う硬い衝撃の中に、軟らかい何かが潰れるような感触が混じった。
馬乗りになってたやつが、もんどり転げる。
おれは跳ね起きて、森の奥へ逃げ込もうとした――けれど、手が使えないと身体の平衡が取りづらいし、顔に当たりそうになる木の枝は身体全体でかわさないといけない。栗鼠ともあろうものが、あっさり屍肉啖いに捕まっちまた。
引きずり戻されると。両手で股ぐらを押さえてぴょんぴょん跳びはねていた男が、ものすごい形相で詰めよってきた。
『{このくそビッチが}!』
がしん!
拳骨で頬桁を殴られた。目の前が真っ赤に染まって黄色い星が飛び交った。
『{チンポの代わりに鉛玉を食らわせてやってもいいんだぞ}』
もう一発頬桁を殴られ、腹にも拳骨を突き入れられた。身をかわそうにも、後ろから二の腕をつかまれているから、動けないどころか、ぶっ倒れることすらできない。
「うぶっ……ぐええええ」
二発三発と腹を殴られて、激痛といっしょに苦い水が口にあふれる。
それでも男の怒りは治まらずに――仕返しとばかりに、股ぐらに膝頭を蹴り込まれた。
二の腕をつかんでいる手を放されると、おれは自分の重みを足で支えられなくて、地面に崩折れた。
『{くそ、手間をかけさせやがって}』
男はおれを見下ろしながら、男棒を手でしごいた。なかなか大きくならない。ちっと舌打ちして、おれの胸に靴をこじ入れて仰向けに転がした。靴の裏でおれの太腿を蹴って、脚を開かせる。手で隠そうとしたら、その手を踏んづけられた。
『{まだ餓鬼だな。乳は薄いし、毛もろくに生えちゃいねえや}』
目の動きと声の調子で、おれがぼろくそにけなされているのが分かった。くそ、ぺったんこでもつるつるでもないぞ。季節があと一巡りもしてみろ。大人の女と同じくらいになる……かもしれないじゃないか。
さんざんけなしたくせに、ちゃん男棒がおっ勃ちやがった。また、おれにのしかかってくる。
「やめろ! やめろったら……」
また蹴ってやろうとしたけど、今度は足首をつかまれた。
「くそ! 手を放せよ!」
もがいても、つかまれている足をひねりそうになって、激痛が走る。それでも、おれは諦めない。こんなやつに、他部族どころか肌の色が違う連中の仲間になんか、なりたくない。
『{これじゃ埒が明かねえ。}ダニー、{ちょっと押さえといてくれ}』
ダニーってのは、名前らしい。おれのことはビッチていうみたいだ。二人が入れ替わって。ダニーじゃないやつは、おれの服を拾い上げると、おれの小刀で切り裂いた。
おれは、また裏返しにされて。縄をほどかれて、服の切れっ端で縛り直された。また仰向けにされて、両足をうんと広げられてから、片足を縄で縛られた。縄尻がそばの木の幹に巻きつけられ、背丈の倍くらい離れている木の幹を通してから、もう片方の足首に巻かれた。
ダニーが手を放しても、おれは脚を閉じられないばかりか、縄が頭の高さくらいで張られているので、おれの足も宙に浮いてる。
その脚の間に、ダニーじゃないやつが立った。
「くそお……見るな! 見るなったら……!」
見られるのを羞ずかしがってるどころじゃ済まない。
そいつは、掌に唾を吐いて、それを男棒にまぶして。おれの割れ目に先っぽを押し当てて。
うわわわ……男棒が入ってきた。腰が浮いてるので、自分でもよく見えてしまう。
割れ目の縁と中のびらびらが男棒の先っぽに擦られて、ちょっとくすぐったい。と思ったのは、心臓が二つか三つ拍つ間だけだった。
割れ目の奥をぐうっと押されて、次の瞬間――身体が縦に割られるような凄まじい痛みが、股間を奔った。初めてのときは痛いって聞かされてたけど……こんなに鋭く激しい痛みとは思ってなかった。
「ひいいいっ……痛い! やめてくれ。抜いてよおお!」
抜いてくれるどころか。さらに、めりめりと押し挿ってくる。
『{血まみれだ。脱いでおいて正解だったな}』
『{へえ。インディアンなんて、餓鬼のうちから親兄弟も見境なく交尾してるもんだと思ってたけどな}』
『{いやいや。けっこう貞操観念てやつだ。ことに初めてとなると……}』
『{初めてとなると、何だってんだよ}』
『{そのうち分かるさ。それよりも……さんざ手こずらせてくれたんだ。たっぷり泣かせてやらんけりゃな}』
二人がしゃべっている間に、だんだん痛みは小さく(はないけど、我慢できるくらいに)なってたのに。話が終わると、ものすごい勢いで腰を前後に動かし始めた。
激痛が跳ね上がる。ずん、ずん、ずん……穴の奥に突き当たる。
「痛い痛い痛い……動くな。お願いだから、動かないでくれよお!」
『{何て言ってるんだよ}?』
『{知るか。母音が撥ねまわる言葉なんざ、聞いてるだけで頭が痛くならあ。おい。ちったあ静かにしろ}』
『{だけど、インディアンのことに、やけに詳しいじゃねえか}』
『{手懐けたビッチが、おれたちの言葉を覚えたんだよ。ポーカーで負けて、持ってかれちまったがな。だから、こいつを二匹目にしてやる}』
『{そいつは、どうかな。ミスタ・セイバーが、所有権を主張するんじゃないかな。ミスタ・セイバーの所有地に侵入したんだから]]』
『{乗りこなせるなら、乗りこなしてみろってんだ}』
おれの訴えなんか無視して、この男は荒馬を乗りこなすみたいに、おれの股ぐらの上で腰を跳ね続けた。
男が動きを止めて抜いてくれたときには、おれは半分気を失っていた。
だけど、陵辱は半分も終わっていなかった。
========================================
わかりにくいですね。
前回のレポートでも書いたように、実はPIXIV仕様はルビを打つつもりでした。
『知るか。母音が撥ねまわる言葉なんざ、聞いてるだけで頭が痛くならあ。おい。ちったあ静かにしろ』
しかし、英文と和文の分かち書き機能かなにかで、和文にやたら空白が生じたりします。PIXIVでちょこっと試して、投げ出しました。
まあ、pdfでもepubでも、WORDを忠実に再現しますから。製品版/ギフト版では、こんなふうになります。
黄色の文字と下の部分との隙間調整の画像です。
========================================
銃殺と縛首
身体を揺すぶられて、おれは目を覚ました。目の前にミックの顔があった。ちゃんと(襤褸っちいけど)服を着ている。
ジェスたちの姿は――と、あたりを見回したけど、誰もいなかった。と思うけど、まだ夜が明けきっていないんだろう。閉じ込められたときよりも、もっと薄暗い。
『これを、飲め』
水を容れた椀を、ミックが口に近づけた。
『昨夜は、ごめん。親まで殺すと、言われたら、逆らえなかった。きみを、殺さないという、言葉を、信じるしかなかった』
不思議だ。ひとつずつの言葉は分からないのに、ミックの言いたいことは何となくわかる。味方だからだろうか。
『おまえ、わるい、ない。ジェス、わるい』
けっして恨んでいなって伝えたくて、聞き覚えたばかりの言葉を、なんとか並べてみた。
『水を、飲め。僕には、これくらいしか、してあげられない』
「ありがとう」
自分では飲めないので、口を開けた。ミックが椀を口にあてがおうとしてくれるけど、枷につっかえてしまう。無理に椀を傾けると水がこぼれてしまう。
ミックが首をかしげて。
『いやらしい、気持ちじゃない。こうしないと、飲ませられない』
ミックが水を口にふくんで顔を近づけた。
うわ、接吻だ。なんてうろたえかけて、もうすこしで笑うところだった。接吻よりも何百倍も淫らなことを、さんざんされてるんだものな。
おれは(首枷が痛いけど)頷いて顔を上向けて――接吻にふさわしく、わずかに唇を開いた。ミックが横ざまに唇を重ねてきて。
口の中に流し込まれた水は、山羊の乳よりも苺よりも甘かった。ごくごくごくと、一滴ごとに喉が鳴る。
ミックは何度も接吻をしてくれて、あっという間に椀が空になった。
生まれて初めてって思うくらいに、幸せな気分になった。もしかしたら、水のせいだけじゃないかもしれない。
ばあん。
扉が蹴り開けられて、幸せな気分は一瞬で恐怖に変わった。見知らぬ(どうせ、昨夜におれを虐めたやつのひとりだ)男が近づいて来て――ミックを蹴り飛ばした。ミックはわずかに身を護る動きをしただけで、抵抗もせず地面に転がった。
『おおい、ジェス! 来てくれ!』
そいつが呼ばわると、待ち構えていたみたいに、ジェスともうひとりの男が駆け付けた。
『この餓鬼。ミスタ・セイバーの言いつけを破ってビッチに水を飲ませてたぜ』
ジェスが、おれとミックを交互に睨みつける。なぜか薄嗤いを浮かべてる。
『こいつも素っ裸にして、ビッチと並べておけ。痛めつけなくていいぞ。活きのいいほうがミスタ・セイバーのお気に召すだろうからな』
ミックもたちまち服を脱がされる。手足を背中でひとまとめにされて縛られ、天井の横木から俯せに吊るされた。
『こいつら、キスをしてやがったぜ』
『けっ。アンナお嬢様の件といい、色気づきやがって。それじゃ、同じように懲らしめてやるか』
ジェスが手下(だと思う)に指図して、ミックの男棒と玉袋をひとまとめに縄で括らせた。横長の箱から角が突き出たような鉄の塊が、そこに吊るされる。ミックの顔が苦痛に歪んだ。
背中をうんと反らせて吊るされているだけでも、ずいぶんきついだろう。そこに鉄の重みが加わっただけじゃない。玉袋が引き伸ばされて、縄から先はぱんぱんに膨らんでる。おれは男じゃないから、それがどれくらい痛いかは分からないけど。すぐに脂汗が滲み出るくらいだから、もしかしたら、尻穴を男棒に抉られるよりもつらいんじゃないだろうか。
『おまえには水を飲ませるなと言われているからな』
ジェスがおれの斜め前に立って、片足を腹に当てた。その足が後ろへ引かれて。
「ぐぶふっ……!」
靴のつま先を腹に蹴り入れられた。内臓が口から飛び出そうな激痛。二発三発と蹴り込まれて――せっかく飲ませてもらった水を吐き出しちまった。だけでは足りずに、腹の中の苦い水まで、口からあふれた。
『なんだ、その目つきは。水を飲ましてほしければ、どう言えばいいか、教えてやっただろ。言ってみな。チンポをなめさせてくださいって』
言うもんか。おれはジェスを睨みつけてやった――つもりだけど。こいつに二本目の羽根をもらった(押しつけられた)んだと思っちまって。すぐに目を伏せてしまった。
『けっ。揃いもそろって、強情な餓鬼どもだ。ミスタ・セイバーにたっぷり懲らしめてもらうがいいぜ』
おれとミックを閉じ込めて、三人の白人どもは小屋から出て行った。
========================================
ミック君は、ハゼッイイが森から牧場へ、全裸緊縛股縄連行(マンネリ的濠門長恭仕様)されて、そのまま納屋に監禁されたとき、
『チンポを見せろって言ったのはアンナお嬢様なのによ。奥様が部屋に入って来るなり悲鳴を上げて、僕が悪戯を仕掛けたって、嘘の告げ口をなさったんだ』
という事情でstrappado(当ブログでは既出。分からなければ erotic を添えて画像検索してください)されて、玉と竿を紐で縛られて煉瓦を吊るされている少年です。彼との対話で、いくらかは言葉を覚えます。その過程で、だんだんと薄字が減っていくとか、楽しんでますけど――手間が倍以上です。楽しい時間が倍になったと、前向きに駐車しときます。
ちなみに、ミック少年は所詮味付けです。『銃殺と縛首』の章が終わると、せいぜい遠景扱いになる予定です。チョイス・ヤックナンです。ハヤック・ソノーチです。エキス・トーランです。
今回は、味方とか淡い恋心など皆無の、徹頭徹尾、はあどぼいどど、だど?
表記に関する注意
この小説では、先住民族であるヒロインが使う言語と侵略者である開拓民が使う言語を、共に日本語で表記します。両者の区別をつけるために、原稿ではWORDのフォント機能を利用しています。
・先住民族の言語は、明朝体を使います。台詞は「鍵括弧」でくくります。
・開拓民の言語は、ゴシックを使います。台詞は『二重鍵括弧』にします。
・開拓民の台詞でヒロインが理解できない部分は、文字を薄く表示します。
PIXIV小説では再現できないので、以下のように簡略化(複雑化?)します。
・フォントの使い分けはしません。
・文字を薄くする代わりに、その部分の前後を{半角波括弧}で閉じます。
========================================
森の中の罠
森の手前には見渡すかぎり杭が立てられて、杭と杭の間には棘の生えた鉄の線が張り巡らされている。東の方で牛をたくさん飼っている白い人たちが、精霊の住まう森を自分達のものだと言って、勝手に囲ったんだ。ところどころに木の板が掛けてあって
“Keep Out”なんて大きな模様が描かれてる。
おれたちズンナック族の大人が白い人達と掛け合ったんだけど、火を噴く棒で脅されて引き下がった。森はここだけじゃないし、白い人達はどんどん増えているから、森の分け前もたくさん入り用なんだろうって、大人は白い人達の言い分を受け入れてしまったけど。
おれは、この森じゃなきゃ駄目なんだ。
白い人達は、森を囲っただけで、木の枝を拾いにも来ない。もちろん、手入れもしない。森の精霊は悲しむだろうけど、おれには都合が良い。
大人の腰の高さしかない囲いなんて、簡単に跳び越えられる。
森に入ると、さっそく兄弟を見つけた。木の枝にちょこんと座って、団栗をかじってる。
「見るなよ、恥ずかしいじゃないか」
もちろん、おれの言うことなんか分かっちゃないけど、声を掛けられてびっくりしたんかな。すささっと隠れやがんの。そんなにはっきりと見分ける自信はないけど、たぶん初めての顔合わせだ。兄弟だなのに初めて会うなんて――なんだか笑っちゃうな。なんて、後ろめたさをごまかしてる。
あ。栗鼠と兄弟ってのは、おれの名前も栗鼠だから。女の徴が訪れて一本目の赤い羽根飾をもらったのがこないだの冬だから、まだ二つ目の名前はもらってない。けど、生まれが近い男の子たちは、おれのことを平原の栗鼠なんて呼ぶんだぜ。平原てのは、山や丘と違って真っ平らだろ。
まったく失礼なやつらだ。一巡り前の夏だって、低い丘くらいにはなってたし、生まれてから十五回も夏を迎えた(全部は覚えてないけど)今じゃ、手を丸めても掌の底で乳首を押し潰せるんだぞ。そりゃまあ、ひと巡り後に生まれた女の子たちと比べても……いいや、他人と比べても意味はないさ。同じ数だけ季節を巡った仲間のうちで、いちばん背が低いってことも、意味はない。おれはひと巡り先に生まれた男の子よりも速く走れるし、高く跳べる。これは男の子なら、すごく意味があるんだけどなあ。女は狩もしないし、外敵とも戦わない。男の子みたいに筋肉が引き締まってても、女の子らしくないなんて、からかわれるし。それでも、おれはおれだ。煌めく朝露さんをうらやましく思ったりしない。
なんて、どうでもいい(よくない!)ことを考えながら歩いてたけど。木の精霊が見えてくると、他のことは頭から消え失せた。
見通しの悪い森の中で、じっくりと辺りを見回して耳を澄まして。うん、人の気配はない。
「今日も、おれと遊んでくれよな」
倒れている大きな樹にお願いをしてから。おれは着ているものを全部脱いで下帯まで取り去り、靴も脱いで裸になった。頭の羽根飾だけは、魂みたいなものだから着けたまま。
服を着てなきゃいけない場所で、男なら狩をしたり、女なら木の実を採ったり枯れ枝を集めたり、仕事をする場所で真っ裸になるなんて、すごくいけないことをしてるんだから――胸がどきどきして、腰の奥がきゅうんとねじれてくる。木の精霊が目の前に居るもんだから、この春に春を迎えた(生えてきたなんて、羞ずかしくて口にできない)おれの割れ目が、じゅんって粘ついてくる。
樹が裂けたちょっと上には、大人の男棒と同じくらいの太さと長さの枝が突き出ている。縮かんでるときのじゃなくて、女の人と番うときのやつ。おれだって、見たことくらいあるし、季節が幾つも巡らないうちに、三つか四つくらい季節をたくさん巡ってる素敵な男の人に求められて、割れ目の奥の女穴に挿れてもらって、彼から二本目の羽根をもらうんだ。
男とそんなことをするなんて絶対に厭だって言う娘もいるけれど。おれはちっちゃい頃から、その日がくるのを待ち遠しく思ってる。だって、男は強くて女は弱い。強い者が弱い者を(いろんな意味で)組み敷いて当然だ。その代わり、弱い者は強い者に甘えて、護ってもらう。
だから、その日のために今のところは、こっちの枝は我慢しとく。チジッディ・アブレは羽根をくれないもんな。
その太い枝から一歩半離れたところに、瘤が盛り上がってて指一本より少し長くて倍くらいに太い枝が立っている。瘤も枝も、ちょこっと樹皮が剥がれてきたけど、そのささくれが凄いんだから。
おれはチジッディ・アブレに跨がった。さすがに、組み敷いてくれないもんな。男と女でも、こういう形があるのも知ってるから、それは不満じゃない。
跨がると割れ目が自然と開く。その内側を瘤のところに押しつけた。割れ目からはみ出たちっちゃいびらびらが樹皮にこすれて。
「あんんっ……」
腰がびくんっと震えた。その動きが、さらにびらびらと樹皮をこすり合わせて、ちょっとくすぐったくて、ちょっと痛くて、滅茶苦茶に気持ち好い。尻から脳天まで、鋭いそよ風が駆け昇る。
おれは腰を前へ突き出した。割れ目の端っこにある小さな肉の蕾が枝に押しつけられて、そよ風が強い風に変わる。
「あああっ……いいよお」
熱い強風が、おれの全身を揺すぶる。だけど、もっともっと風を強く煽れるんだ。枝にこすり付けたまま、くいっと腰を浮かすと――肉の蕾がきゅるんと綻びて、中に隠れてた芽が剥き出しになって、それが樹皮に触れると――もう、強風でも疾風でも颶風でもない。夏の暑い日に大雨を呼ぶ激しい雷。
ぐわららら、ずっどーん! 頭が真っ白になって、身体が砕け散るような、わけの分からない感覚が、おれを吹っ飛ばした。
「ふわああああ……」
ばらばらになった身体を、後ろへ倒して――人影に気づいて、幹から転げ落ちた。
「誰だ?! 今の……見てたのか?!」
うろたえて、分かりきったことを尋ねちまった。見れば、白い人だって分かるし。二人の男は、にやにや嗤ってる。
『{言っただろ。集落に警告なんかせずに、こっそり見回ろうぜって}」
「{さすがにジェスは策士だな。面白い獲物が掛かったもんだ}』
白い人たちの言葉を言い交わしながら、おれに近づいてきた。ひとりは片手で持てる短い火を噴く棒を、もうひとりは縄束を持っている。
『{オーケイ。おまえは私有地に無断侵入した。州法第三十五条を適用して、私人による現行犯逮捕を執行する。これでよかったっけな}?』
『{いいんじゃねえか}』
縄束を持ってるほうのやつが腰を曲げて、おれに向かって手を差し伸べた。親切で引き起こしてくれるんじゃないくらい、羽根飾のない子供だって分かる。それに、白い人とは関わるなって言われてるし。なんてことよりも――おれ、男の前で真っ裸なんだぜ!
なんて、一瞬のうちに考えるよりも早く身を起こして、脱ぎ捨てた服に向かって突進した。服を拾い上げようとしたとき。
だあん!
目の前で、服から生地の破片と土煙が飛び散った。
『{動くな。次は脚を射つ}』
もうひとりのやつが、火を噴く短い棒をおれに向けている。火だけじゃなく小さな硬い団栗が飛び出て、それは矢と同じくらいに人や物を傷つける。言葉は分からなくても、動けば二発目がおれに向かって火を噴くだろうとは分かる。
おれに手を差し伸べた男が、目の前に立って。
『{せっかく裸になってくれてるんだ。何もせずに連れてくってのは、ビッチに失礼じゃねえかな}』
『{違いねえ。ダニー、背中を頼むぜ}』
『{やっぱりかよ}』
目の前の男が何歩か下がり、火を噴く短い棒を腰の鞘から抜いて、おれに向けた。それまで火を噴く短い棒を構えていたやつは、それを腰の鞘に納めて。帯と鞘を、おれのチジッディ・アブレの上に置いた。そして、股の部分が大きく開いている革の袴も脱いでから、おれの前に立った。
『{おとなしくしてりゃ、ちっとは優しくしてやるぜ}』
おれたちのと似た袴を脱いで――へえ、袴を重ねて着てる。おい、ちょっと待てよ。それも脱いじまうのかよ。脱がなきゃおしッこもできないんて……うわわ、むくむく大きくなった。
冗談じゃない。こいつ、おれと番う気なんだ。やだよ。まだ(ほんのちょっぴり)早いってだけじゃない。こいつの羽根なんか、もらいたくない。おれは、ズンナックから出るつもりはない。
逃げるために、おれは横に跳んで火を噴く棒の狙いを外した……つもりだったけど。下半身丸出しの男が横に蹴り出した足につまずいて、無様につんのめっちまった。ふだんなら絶対にしない失態だ。おれ、動転してる。
男は、俯せに転がったおれを馬乗りになって押さえ込んで、両手を背中にねじ上げた。
『{ダニー、縄をくれ}』
こいつら、飼っている牛を投げた縄で捕まえて、牛が厭がっても囲いの中へ引きずり込む。だから、いつも縄を携えている。
「やめろ! おれは家畜じゃないぞ!」
文句を言ったけど、通じない。しかも、こいつはおれより重たいし力も強い。ろくに抵抗もできず、後ろ手に縛られちまった。
『{いい子にしてたら、すぐ終わらせてやる。それとも、じっくり可愛がってほしいか}?』
見物してるほうが、げらげら嗤う。くそ、何がおもしろいんだよ?!
馬乗りになっているやつが、おれを仰向けにひっくり返して、おおいかぶさってくる。
くそ。やめろったら。おれは、思い切り膝を蹴り上げた。
がしんと、骨と骨とがぶつかり合う硬い衝撃の中に、軟らかい何かが潰れるような感触が混じった。
馬乗りになってたやつが、もんどり転げる。
おれは跳ね起きて、森の奥へ逃げ込もうとした――けれど、手が使えないと身体の平衡が取りづらいし、顔に当たりそうになる木の枝は身体全体でかわさないといけない。栗鼠ともあろうものが、あっさり屍肉啖いに捕まっちまた。
引きずり戻されると。両手で股ぐらを押さえてぴょんぴょん跳びはねていた男が、ものすごい形相で詰めよってきた。
『{このくそビッチが}!』
がしん!
拳骨で頬桁を殴られた。目の前が真っ赤に染まって黄色い星が飛び交った。
『{チンポの代わりに鉛玉を食らわせてやってもいいんだぞ}』
もう一発頬桁を殴られ、腹にも拳骨を突き入れられた。身をかわそうにも、後ろから二の腕をつかまれているから、動けないどころか、ぶっ倒れることすらできない。
「うぶっ……ぐええええ」
二発三発と腹を殴られて、激痛といっしょに苦い水が口にあふれる。
それでも男の怒りは治まらずに――仕返しとばかりに、股ぐらに膝頭を蹴り込まれた。
二の腕をつかんでいる手を放されると、おれは自分の重みを足で支えられなくて、地面に崩折れた。
『{くそ、手間をかけさせやがって}』
男はおれを見下ろしながら、男棒を手でしごいた。なかなか大きくならない。ちっと舌打ちして、おれの胸に靴をこじ入れて仰向けに転がした。靴の裏でおれの太腿を蹴って、脚を開かせる。手で隠そうとしたら、その手を踏んづけられた。
『{まだ餓鬼だな。乳は薄いし、毛もろくに生えちゃいねえや}』
目の動きと声の調子で、おれがぼろくそにけなされているのが分かった。くそ、ぺったんこでもつるつるでもないぞ。季節があと一巡りもしてみろ。大人の女と同じくらいになる……かもしれないじゃないか。
さんざんけなしたくせに、ちゃん男棒がおっ勃ちやがった。また、おれにのしかかってくる。
「やめろ! やめろったら……」
また蹴ってやろうとしたけど、今度は足首をつかまれた。
「くそ! 手を放せよ!」
もがいても、つかまれている足をひねりそうになって、激痛が走る。それでも、おれは諦めない。こんなやつに、他部族どころか肌の色が違う連中の仲間になんか、なりたくない。
『{これじゃ埒が明かねえ。}ダニー、{ちょっと押さえといてくれ}』
ダニーってのは、名前らしい。おれのことはビッチていうみたいだ。二人が入れ替わって。ダニーじゃないやつは、おれの服を拾い上げると、おれの小刀で切り裂いた。
おれは、また裏返しにされて。縄をほどかれて、服の切れっ端で縛り直された。また仰向けにされて、両足をうんと広げられてから、片足を縄で縛られた。縄尻がそばの木の幹に巻きつけられ、背丈の倍くらい離れている木の幹を通してから、もう片方の足首に巻かれた。
ダニーが手を放しても、おれは脚を閉じられないばかりか、縄が頭の高さくらいで張られているので、おれの足も宙に浮いてる。
その脚の間に、ダニーじゃないやつが立った。
「くそお……見るな! 見るなったら……!」
見られるのを羞ずかしがってるどころじゃ済まない。
そいつは、掌に唾を吐いて、それを男棒にまぶして。おれの割れ目に先っぽを押し当てて。
うわわわ……男棒が入ってきた。腰が浮いてるので、自分でもよく見えてしまう。
割れ目の縁と中のびらびらが男棒の先っぽに擦られて、ちょっとくすぐったい。と思ったのは、心臓が二つか三つ拍つ間だけだった。
割れ目の奥をぐうっと押されて、次の瞬間――身体が縦に割られるような凄まじい痛みが、股間を奔った。初めてのときは痛いって聞かされてたけど……こんなに鋭く激しい痛みとは思ってなかった。
「ひいいいっ……痛い! やめてくれ。抜いてよおお!」
抜いてくれるどころか。さらに、めりめりと押し挿ってくる。
『{血まみれだ。脱いでおいて正解だったな}』
『{へえ。インディアンなんて、餓鬼のうちから親兄弟も見境なく交尾してるもんだと思ってたけどな}』
『{いやいや。けっこう貞操観念てやつだ。ことに初めてとなると……}』
『{初めてとなると、何だってんだよ}』
『{そのうち分かるさ。それよりも……さんざ手こずらせてくれたんだ。たっぷり泣かせてやらんけりゃな}』
二人がしゃべっている間に、だんだん痛みは小さく(はないけど、我慢できるくらいに)なってたのに。話が終わると、ものすごい勢いで腰を前後に動かし始めた。
激痛が跳ね上がる。ずん、ずん、ずん……穴の奥に突き当たる。
「痛い痛い痛い……動くな。お願いだから、動かないでくれよお!」
『{何て言ってるんだよ}?』
『{知るか。母音が撥ねまわる言葉なんざ、聞いてるだけで頭が痛くならあ。おい。ちったあ静かにしろ}』
『{だけど、インディアンのことに、やけに詳しいじゃねえか}』
『{手懐けたビッチが、おれたちの言葉を覚えたんだよ。ポーカーで負けて、持ってかれちまったがな。だから、こいつを二匹目にしてやる}』
『{そいつは、どうかな。ミスタ・セイバーが、所有権を主張するんじゃないかな。ミスタ・セイバーの所有地に侵入したんだから]]』
『{乗りこなせるなら、乗りこなしてみろってんだ}』
おれの訴えなんか無視して、この男は荒馬を乗りこなすみたいに、おれの股ぐらの上で腰を跳ね続けた。
男が動きを止めて抜いてくれたときには、おれは半分気を失っていた。
だけど、陵辱は半分も終わっていなかった。
========================================
わかりにくいですね。
前回のレポートでも書いたように、実はPIXIV仕様はルビを打つつもりでした。
『知るか。母音が撥ねまわる言葉なんざ、聞いてるだけで頭が痛くならあ。おい。ちったあ静かにしろ』
しかし、英文と和文の分かち書き機能かなにかで、和文にやたら空白が生じたりします。PIXIVでちょこっと試して、投げ出しました。
まあ、pdfでもepubでも、WORDを忠実に再現しますから。製品版/ギフト版では、こんなふうになります。

黄色の文字と下の部分との隙間調整の画像です。
========================================
銃殺と縛首
身体を揺すぶられて、おれは目を覚ました。目の前にミックの顔があった。ちゃんと(襤褸っちいけど)服を着ている。
ジェスたちの姿は――と、あたりを見回したけど、誰もいなかった。と思うけど、まだ夜が明けきっていないんだろう。閉じ込められたときよりも、もっと薄暗い。
『これを、飲め』
水を容れた椀を、ミックが口に近づけた。
『昨夜は、ごめん。親まで殺すと、言われたら、逆らえなかった。きみを、殺さないという、言葉を、信じるしかなかった』
不思議だ。ひとつずつの言葉は分からないのに、ミックの言いたいことは何となくわかる。味方だからだろうか。
『おまえ、わるい、ない。ジェス、わるい』
けっして恨んでいなって伝えたくて、聞き覚えたばかりの言葉を、なんとか並べてみた。
『水を、飲め。僕には、これくらいしか、してあげられない』
「ありがとう」
自分では飲めないので、口を開けた。ミックが椀を口にあてがおうとしてくれるけど、枷につっかえてしまう。無理に椀を傾けると水がこぼれてしまう。
ミックが首をかしげて。
『いやらしい、気持ちじゃない。こうしないと、飲ませられない』
ミックが水を口にふくんで顔を近づけた。
うわ、接吻だ。なんてうろたえかけて、もうすこしで笑うところだった。接吻よりも何百倍も淫らなことを、さんざんされてるんだものな。
おれは(首枷が痛いけど)頷いて顔を上向けて――接吻にふさわしく、わずかに唇を開いた。ミックが横ざまに唇を重ねてきて。
口の中に流し込まれた水は、山羊の乳よりも苺よりも甘かった。ごくごくごくと、一滴ごとに喉が鳴る。
ミックは何度も接吻をしてくれて、あっという間に椀が空になった。
生まれて初めてって思うくらいに、幸せな気分になった。もしかしたら、水のせいだけじゃないかもしれない。
ばあん。
扉が蹴り開けられて、幸せな気分は一瞬で恐怖に変わった。見知らぬ(どうせ、昨夜におれを虐めたやつのひとりだ)男が近づいて来て――ミックを蹴り飛ばした。ミックはわずかに身を護る動きをしただけで、抵抗もせず地面に転がった。
『おおい、ジェス! 来てくれ!』
そいつが呼ばわると、待ち構えていたみたいに、ジェスともうひとりの男が駆け付けた。
『この餓鬼。ミスタ・セイバーの言いつけを破ってビッチに水を飲ませてたぜ』
ジェスが、おれとミックを交互に睨みつける。なぜか薄嗤いを浮かべてる。
『こいつも素っ裸にして、ビッチと並べておけ。痛めつけなくていいぞ。活きのいいほうがミスタ・セイバーのお気に召すだろうからな』
ミックもたちまち服を脱がされる。手足を背中でひとまとめにされて縛られ、天井の横木から俯せに吊るされた。
『こいつら、キスをしてやがったぜ』
『けっ。アンナお嬢様の件といい、色気づきやがって。それじゃ、同じように懲らしめてやるか』
ジェスが手下(だと思う)に指図して、ミックの男棒と玉袋をひとまとめに縄で括らせた。横長の箱から角が突き出たような鉄の塊が、そこに吊るされる。ミックの顔が苦痛に歪んだ。
背中をうんと反らせて吊るされているだけでも、ずいぶんきついだろう。そこに鉄の重みが加わっただけじゃない。玉袋が引き伸ばされて、縄から先はぱんぱんに膨らんでる。おれは男じゃないから、それがどれくらい痛いかは分からないけど。すぐに脂汗が滲み出るくらいだから、もしかしたら、尻穴を男棒に抉られるよりもつらいんじゃないだろうか。
『おまえには水を飲ませるなと言われているからな』
ジェスがおれの斜め前に立って、片足を腹に当てた。その足が後ろへ引かれて。
「ぐぶふっ……!」
靴のつま先を腹に蹴り入れられた。内臓が口から飛び出そうな激痛。二発三発と蹴り込まれて――せっかく飲ませてもらった水を吐き出しちまった。だけでは足りずに、腹の中の苦い水まで、口からあふれた。
『なんだ、その目つきは。水を飲ましてほしければ、どう言えばいいか、教えてやっただろ。言ってみな。チンポをなめさせてくださいって』
言うもんか。おれはジェスを睨みつけてやった――つもりだけど。こいつに二本目の羽根をもらった(押しつけられた)んだと思っちまって。すぐに目を伏せてしまった。
『けっ。揃いもそろって、強情な餓鬼どもだ。ミスタ・セイバーにたっぷり懲らしめてもらうがいいぜ』
おれとミックを閉じ込めて、三人の白人どもは小屋から出て行った。
========================================
ミック君は、ハゼッイイが森から牧場へ、全裸緊縛股縄連行(マンネリ的濠門長恭仕様)されて、そのまま納屋に監禁されたとき、
『チンポを見せろって言ったのはアンナお嬢様なのによ。奥様が部屋に入って来るなり悲鳴を上げて、僕が悪戯を仕掛けたって、嘘の告げ口をなさったんだ』
という事情でstrappado(当ブログでは既出。分からなければ erotic を添えて画像検索してください)されて、玉と竿を紐で縛られて煉瓦を吊るされている少年です。彼との対話で、いくらかは言葉を覚えます。その過程で、だんだんと薄字が減っていくとか、楽しんでますけど――手間が倍以上です。楽しい時間が倍になったと、前向きに駐車しときます。
ちなみに、ミック少年は所詮味付けです。『銃殺と縛首』の章が終わると、せいぜい遠景扱いになる予定です。チョイス・ヤックナンです。ハヤック・ソノーチです。エキス・トーランです。
今回は、味方とか淡い恋心など皆無の、徹頭徹尾、はあどぼいどど、だど?
Interrupt Report 2:檻の中の野生児(仮題)
ようやく、プロットの御紹介です。ふだんは、これが「Report 0:」です。もったいぶってるんじゃなくて、いや、まあ、記事を水増しして頻繁に更新しようという下心と下作りが……むにゃむにゃ。
それだけ、あれこれ意気込んでいると、出庫しやすいように前向きに駐車してください。
ブログ用に編集せず、生のプロットです。
登場人物など、プロットを築いていく途中で書き足したりしています。
========================================
檻の中の野生児
ゴールドラッシュ以前
奴隷制健在
ガトリング銃まだ
マルキ・ド・サドは死去/毛皮のビーナスはまだ
羽飾 一本目は親から(初潮)/精通
二本目は破瓜の相手から/女性から
二本目は、結婚で差し替え
英語:ゴシックで灰色、理解できる部分だけ前後に半角空白で黒字/pixivでは、理解部分に傍点。後半では理解不能にルビ「?」。
カタカナは、すべて英語。ガン、シャツ、ビッチ、ロコモーティヴ
擬音は平仮名、動植物は漢字
一人称:内言「おれ」 英語「ビッチ」、妹は「プチビッチ」 母語「ハゼッイイ」、妹「ハスビッディ」
母語:明朝体。漢語は避ける。白い人、奪う者、トマホークではなく手斧
季節は初夏。
ヒロイン 栗鼠hazéí(仇名:平原の栗鼠)halgai hazéí
ハルガイ・ハゼッイイ
14歳。春に生まれた。
強者には征服されて当然。武器は人間の叡知。
妹 鳩 ハスビッディ 12歳。あたし
黒人少年 ミック 16歳(逞しい)
・森の中の罠
新しく作られた柵。看板読めない。
森の中へ。秘密の場所。横に倒れた樹。太い枝は、いずれそのうち。樹皮にマンコ、小枝でクリトリス。
白人男二人組。ジェイムス(ジェス)ミラー、リチャード(リック)コバーン
不法侵入で拘束。抵抗して威嚇射撃に竦み上がる。全裸は好都合。あっさり破瓜。待ちきれなくてイラマ。
初めてを奪われた。服従。
名前はビッチ?
全裸緊縛連行。
街外れの牧場。
牧場主 エドモンド・セイバー
妻
息子 エディ8、チャールズ13、ボビー15
娘 デイジー10、アンナ17
ボビーが餓鬼大将で街から子分が遊びに来る。
カウボーイ 独身ばかり10人。ジェス、ダニー。ボブ、ジョージ、
家宰 ポール&リリアン・スミス夫婦、息子オリバー
奴隷 マック&ヒップ/ミック16+ティティ14(主人専用)、メック&ティティ(老人:中古)、モック、ムック。
・監禁と虐待
縛り直されて、納屋に監禁。両手を吊り上げて座らされている。両足は広げて5穴の枷。無理をすれば立てる?
水も食事も無し。
弱いから仕方ない。でも、部族の名誉。
ジェスが鵞鳥の白い羽根(間に合わせ)。同意無しに鉢巻に。それでも、従属させられた気分。
食事を餌に和姦の試み。拒絶。
屈曲で手足を枷。乳房を台に乗せて、(A or V)+O。
縛首でA+Vは両方締まる。腹パン。←2/16日現在進行形
ズタボロ放置。外の穴で開脚、内の穴で二の腕、中の穴で頭。手首は縛って吊るす。
藁の上に垂れ流し。
・銃殺と縛首
翌日の昼。ミックが水と干し肉。
見つかって。ミックを庇う。
牧場で、子供たちによる公開銃殺。実はコルク弾。
ムックは隣で縛首。四つん這いに重たい踏み台で支える。24時間で赦免。さらに飲まず食わず垂れ流しで頑張る。少年からのシャワーも。
・子供の玩具
昼は納屋に放置。
もったいないから、子供の玩具。
両肘鎖、歩幅1フィート。素手で格闘。
勝てたら食事。子供に怪我させたら、今度は実弾。無抵抗でいると、鞭打ち。
コルク弾も。
・妹も捕まる
連夜の輪姦。昼は子供の玩具。
女の子が、馬車ごっこ。ハーネスは牧場主みずから。
男の子は狩猟ごっこ。四肢拘束の四つん這い。仲間の許へ逃げようと必死。猟犬に襲われて、あわやはカウボーイのひとりに助けられる。本物の牝犬じゃ、姦る気がしねえぞ。
インディアン少女を引っ立てて仲間。妹。姉を探して、例の場所で。
妹も四つん這い拘束。追われて牧場へ。
・妹の初体験
牧場主の発案で、姉による破瓜。嫌なら、いきなり3穴。玉蜀黍埋込みで。濡らすために濃厚。
その夜。姉妹揃って。妹にはいきなり2本の羽(出血しただろ)。
・部族と訣別
仲間が来て、変換要求。
チイッルゴ・チイッイ(早い馬)、イリッジニィ・ギニィ(高い隼)、リチッイ・ナシュドイ(赤い豹)
不法侵入の罰。勝手な言い分。衝突寸前。
おれは、こいつらに女を奪われた。部族の掟で、こいつらの仲間になる。妹も。みずからの手で救いを断ち切る。
・人間動物園
2週間後。
見慣れない馬車10台ほども。
移動動物園。姉妹レズの話で、食指。
小屋掛
人魚 南洋の海女
蛇女 白人全盲(生きるため)知的
狼少女&少年 少女壊疽で膝下切断、少年はアキレス腱断裂(片足後、無理して両方)。
侏儒兄弟3人(13、11、8)
高額で売られる。別の少女を捕まえれば済む。
・悲しい幸せ
無毛の妹とお揃い←淫毛タバコ焼き。火傷が出来たので、妹にも。
興業主三兄弟による味見。
デビュー。ミックと視線が合って、悲哀と諦念。悲しませないために、積極レズ。
夜は、町長とか銀行支配人。女5人。
終わって後に、酒の余興に狼の交合と姉妹レズ。69で火傷舐め合い。
これからずっと、こういう生活。生きていける。妹と一緒。不幸せじゃない。
========================================
初期設定の補足。
ガトリング銃が登場すると、あまりに戦力差が拡大します。
マゾという言葉は使えません。ので、サドも使わないでしょう。
羽根飾りの意味は丁稚揚げです。
先住民の言葉は、WEB上のナバホ語辞書をちょこっと参考にしていますが、発音記号などは……WEBサイトでちらっと見掛けたけど、再検索で引っ掛からない。
ともかく、ナマホ語とでもお考えください。
それをいえば、開拓民の言葉だって、今の英語とは違っているでしょう。なので、䇦語です。
リクエスト第五弾に至って、ようやくリクエストと筆者の感覚に齟齬が生じました。
ていうか、ニルチッイの印象が強烈過ぎるのか。誇り高き野生児が最初からマゾというのは、巨岩感です。
そりゃまあ。女はすべからく(誤用)マゾである。サディスチンは女の幸せに目覚めていない不幸な人。ただし、少女を虐めて、その少女に自己を投影している女は屈折した変態。
というのが、中の人は知りませんけど濠門長恭クンの立ち位置ですけど。
潜在マゾであっても、それを顕在化するには――という目論見で登場させたのではないです。
なんとなく、キャストに物足りなさを感じて、主要人物を追加して。あとで、
!!そうだ。妹を不幸せにしないためにも(この悲惨な境遇を受け容れさせるために)、性的に虐げられることに悦びを見い出す演技をしなければならない――と、ハゼッイイに決心させて。いずれ、演技が演技でなくなっていくのは、潜在的に悦虐体質だったからだ。
という筋書きを着床しました。あら、タイプミスだけど、面白い。
あらためて、自身の本能/基礎体力に己惚れる次第です。

てなわけで。今回のアイキャッチ画像は、知る人ぞ知る。画像検索しこたまなれど、筆者は今回「インディアン エロ」検索で初めて知った次第です。百年以上昔の写真家が、先住民に溶け込んで信頼を得て――数々の写真(ヤラセもあるらしい)をモノした。その中でも有名な『夢見る乙女』です。
DLsite affiliate です。ちゃんと『修羅の刻:四巻』が入ってますな。
それだけ、あれこれ意気込んでいると、出庫しやすいように前向きに駐車してください。
ブログ用に編集せず、生のプロットです。
登場人物など、プロットを築いていく途中で書き足したりしています。
========================================
檻の中の野生児
ゴールドラッシュ以前
奴隷制健在
ガトリング銃まだ
マルキ・ド・サドは死去/毛皮のビーナスはまだ
羽飾 一本目は親から(初潮)/精通
二本目は破瓜の相手から/女性から
二本目は、結婚で差し替え
英語:ゴシックで灰色、理解できる部分だけ前後に半角空白で黒字/pixivでは、理解部分に傍点。後半では理解不能にルビ「?」。
カタカナは、すべて英語。ガン、シャツ、ビッチ、ロコモーティヴ
擬音は平仮名、動植物は漢字
一人称:内言「おれ」 英語「ビッチ」、妹は「プチビッチ」 母語「ハゼッイイ」、妹「ハスビッディ」
母語:明朝体。漢語は避ける。白い人、奪う者、トマホークではなく手斧
季節は初夏。
ヒロイン 栗鼠hazéí(仇名:平原の栗鼠)halgai hazéí
ハルガイ・ハゼッイイ
14歳。春に生まれた。
強者には征服されて当然。武器は人間の叡知。
妹 鳩 ハスビッディ 12歳。あたし
黒人少年 ミック 16歳(逞しい)
・森の中の罠
新しく作られた柵。看板読めない。
森の中へ。秘密の場所。横に倒れた樹。太い枝は、いずれそのうち。樹皮にマンコ、小枝でクリトリス。
白人男二人組。ジェイムス(ジェス)ミラー、リチャード(リック)コバーン
不法侵入で拘束。抵抗して威嚇射撃に竦み上がる。全裸は好都合。あっさり破瓜。待ちきれなくてイラマ。
初めてを奪われた。服従。
名前はビッチ?
全裸緊縛連行。
街外れの牧場。
牧場主 エドモンド・セイバー
妻
息子 エディ8、チャールズ13、ボビー15
娘 デイジー10、アンナ17
ボビーが餓鬼大将で街から子分が遊びに来る。
カウボーイ 独身ばかり10人。ジェス、ダニー。ボブ、ジョージ、
家宰 ポール&リリアン・スミス夫婦、息子オリバー
奴隷 マック&ヒップ/ミック16+ティティ14(主人専用)、メック&ティティ(老人:中古)、モック、ムック。
・監禁と虐待
縛り直されて、納屋に監禁。両手を吊り上げて座らされている。両足は広げて5穴の枷。無理をすれば立てる?
水も食事も無し。
弱いから仕方ない。でも、部族の名誉。
ジェスが鵞鳥の白い羽根(間に合わせ)。同意無しに鉢巻に。それでも、従属させられた気分。
食事を餌に和姦の試み。拒絶。
屈曲で手足を枷。乳房を台に乗せて、(A or V)+O。
縛首でA+Vは両方締まる。腹パン。←2/16日現在進行形
ズタボロ放置。外の穴で開脚、内の穴で二の腕、中の穴で頭。手首は縛って吊るす。
藁の上に垂れ流し。
・銃殺と縛首
翌日の昼。ミックが水と干し肉。
見つかって。ミックを庇う。
牧場で、子供たちによる公開銃殺。実はコルク弾。
ムックは隣で縛首。四つん這いに重たい踏み台で支える。24時間で赦免。さらに飲まず食わず垂れ流しで頑張る。少年からのシャワーも。
・子供の玩具
昼は納屋に放置。
もったいないから、子供の玩具。
両肘鎖、歩幅1フィート。素手で格闘。
勝てたら食事。子供に怪我させたら、今度は実弾。無抵抗でいると、鞭打ち。
コルク弾も。
・妹も捕まる
連夜の輪姦。昼は子供の玩具。
女の子が、馬車ごっこ。ハーネスは牧場主みずから。
男の子は狩猟ごっこ。四肢拘束の四つん這い。仲間の許へ逃げようと必死。猟犬に襲われて、あわやはカウボーイのひとりに助けられる。本物の牝犬じゃ、姦る気がしねえぞ。
インディアン少女を引っ立てて仲間。妹。姉を探して、例の場所で。
妹も四つん這い拘束。追われて牧場へ。
・妹の初体験
牧場主の発案で、姉による破瓜。嫌なら、いきなり3穴。玉蜀黍埋込みで。濡らすために濃厚。
その夜。姉妹揃って。妹にはいきなり2本の羽(出血しただろ)。
・部族と訣別
仲間が来て、変換要求。
チイッルゴ・チイッイ(早い馬)、イリッジニィ・ギニィ(高い隼)、リチッイ・ナシュドイ(赤い豹)
不法侵入の罰。勝手な言い分。衝突寸前。
おれは、こいつらに女を奪われた。部族の掟で、こいつらの仲間になる。妹も。みずからの手で救いを断ち切る。
・人間動物園
2週間後。
見慣れない馬車10台ほども。
移動動物園。姉妹レズの話で、食指。
小屋掛
人魚 南洋の海女
蛇女 白人全盲(生きるため)知的
狼少女&少年 少女壊疽で膝下切断、少年はアキレス腱断裂(片足後、無理して両方)。
侏儒兄弟3人(13、11、8)
高額で売られる。別の少女を捕まえれば済む。
・悲しい幸せ
無毛の妹とお揃い←淫毛タバコ焼き。火傷が出来たので、妹にも。
興業主三兄弟による味見。
デビュー。ミックと視線が合って、悲哀と諦念。悲しませないために、積極レズ。
夜は、町長とか銀行支配人。女5人。
終わって後に、酒の余興に狼の交合と姉妹レズ。69で火傷舐め合い。
これからずっと、こういう生活。生きていける。妹と一緒。不幸せじゃない。
========================================
初期設定の補足。
ガトリング銃が登場すると、あまりに戦力差が拡大します。
マゾという言葉は使えません。ので、サドも使わないでしょう。
羽根飾りの意味は丁稚揚げです。
先住民の言葉は、WEB上のナバホ語辞書をちょこっと参考にしていますが、発音記号などは……WEBサイトでちらっと見掛けたけど、再検索で引っ掛からない。
ともかく、ナマホ語とでもお考えください。
それをいえば、開拓民の言葉だって、今の英語とは違っているでしょう。なので、䇦語です。
リクエスト第五弾に至って、ようやくリクエストと筆者の感覚に齟齬が生じました。
ていうか、ニルチッイの印象が強烈過ぎるのか。誇り高き野生児が最初からマゾというのは、巨岩感です。
そりゃまあ。女はすべからく(誤用)マゾである。サディスチンは女の幸せに目覚めていない不幸な人。ただし、少女を虐めて、その少女に自己を投影している女は屈折した変態。
というのが、中の人は知りませんけど濠門長恭クンの立ち位置ですけど。
潜在マゾであっても、それを顕在化するには――という目論見で登場させたのではないです。
なんとなく、キャストに物足りなさを感じて、主要人物を追加して。あとで、
!!そうだ。妹を不幸せにしないためにも(この悲惨な境遇を受け容れさせるために)、性的に虐げられることに悦びを見い出す演技をしなければならない――と、ハゼッイイに決心させて。いずれ、演技が演技でなくなっていくのは、潜在的に悦虐体質だったからだ。
という筋書きを着床しました。あら、タイプミスだけど、面白い。
あらためて、自身の本能/基礎体力に己惚れる次第です。

てなわけで。今回のアイキャッチ画像は、知る人ぞ知る。画像検索しこたまなれど、筆者は今回「インディアン エロ」検索で初めて知った次第です。百年以上昔の写真家が、先住民に溶け込んで信頼を得て――数々の写真(ヤラセもあるらしい)をモノした。その中でも有名な『夢見る乙女』です。
DLsite affiliate です。ちゃんと『修羅の刻:四巻』が入ってますな。
Interrupt Report 1:檻の中の野生児(仮題)
『生贄王女と簒奪侍女(前編)』jは、昨日脱稿しました。
約12万32千文字/282枚。
返すキーボードで、リクエストの執筆に着手!
今回は内容紹介とかの前に総論を。
WILL様はリクエストの中で
「今回の内容は以前のものよりセンシティブな内容と思いますので、もし問題があるようであれば異世界の設定としていただくか(後略)」と、書いておられますが。
センシティヴでなければエロじゃないやい。パリコレも知ったことか。パリもポリも似たようなもんじゃい。
そういう意味で、昨今のLGBTQがどうとかってもの、個人的には黒犬です。
秘すれば華の悩ましさ。です。白眼視されるから萌えるのです。
少数者=選ばれたる者の恍惚、です。
誤解の無いように誤解を招くことを書いちゃいますが。ビキニ水着でアッケラカンよりも、
「こ、このような身体の線が出る着物で水に浸かれというのか……?!」
と、ワンピース水着を握り締めて羞恥に悶えるお姫様のほうが、エロっぽいです。
Midship easy! という号令は無い。
弱者が迫害されるというのは、被虐の定番です。ていうか、強者が虐められるなんて設定はあり得ません。
金持ちのお嬢様が転落するのは、父親の破算とか。高慢ちきな姫君が拷問されるのは、クーデターとか。つまり、その時点では弱者になっているのです。
強大な敵でも分散させて各個撃破するという戦略と通底しています。
戦争に負けたからこそ、婦女子がパンパンになったり戦争花嫁になったりするのです。独断と偏見と妄想。
東京という大都会で生まれ育った少女が、因習に満ちた村へ来るからこそ、虐められるのです。
バイリンガルで高度な教育を受けたハーフの女の子が母の国へ来て学校に編入されて、「その金髪を黒く染めてこい」と言われたり、大和魂を叩き込まれたりするのです。この場合、一般的には少女の母国のほうがメジャーで強大ですが、学校という閉鎖社会の中では、圧倒的なマイノリティ/弱者になるのです。
とはいえ、まあ。妄想と現実の区別がつかない輩に刺されたり物理的に燃やされたりしては困りますから。
実は『女囚性務所』は、元々は、フェリーでも行ける国が舞台で、「おまえの祖父や父親が、この国の娘にしたことを仕返してやる」という設定でしたが、さすがにフェリー定期便が無く38度とも関係のない国の話にしました。『生贄王女と簒奪侍女』でも、「回」とか「イ」とか祈りの定型句とかは一切出していません。
まあ、今回は出します。だいたい、ネイテイブをくっつければいいってもんじゃないです。だいいち、西インド諸島はどうなんだ。名前が変わってないじゃないか。
それと。作品中でも小説の前書き後書でも書かないと思いますが。筆者のインディアンに関する知識は、『ソルジャーブルー』以前でしかありません。
「トント、善いインデアン」レベルです。ハイヨー・シルバーで止まっています。

唐突の画像は、お口直し。
さて。前回に騎士役の少年を2案出しましたが。金髪のソバカス少年は無しです。こんなのを出すと、下手すると純愛になります。純愛SMも面白い切り口ですが。しかし、これは言語問題に関する逃げになってしまいます。少年との交流を通じて、ヒロインが片言を喋れるようになっているという。ありきたりすぎる設定になります。
『生贄王女と簒奪侍女』では、ヒロインは後宮に入ると覚悟して、家庭教師からあちらの言葉や習俗を学んで。きちんと毛を剃って旅立ったほどです。
「わたしは、くんしゅさまのおきさきになるために、きたのではありません」
宰相が制止するのを無視して、エクスターシャは続ける。
「わたしは、そのしかくをなくしました。わたしが、おめどおりをねがったのは……」
「そなたは傷物なのか?!」
セセインが鋭くエクスターシャを指差した。
「かいぞくにさらわれて、よごされました」
「この女を捕らえよ!」
くらいに話せるのです。
リクエスト第4弾では、残虐米軍人を出しましたが、こやつも日本語を話せます。
ので。今回は。ヒロインは、まったく白人の言葉を解さないという、ゼロからのスタートに挑戦です。
前書きを御紹介。
========================================
この小説では、先住民族であるヒロインが使う言語と侵略者である開拓民が使う言語を、共に日本語で表記します。両者の区別をつけるために、WORDのフォント機能を利用しています。
・先住民族の言語は、明朝体を使います。
・開拓民の言語は、ゴシック体を使います。
・開拓民の台詞でヒロインが理解できない部分は、文字を薄く表示します。
・助詞や語尾については弾力的に運用します。
以上の表示はPIXIVでは無理なので、以下のように簡略化(複雑化?)します。
・フォントの使い分けはできません。
・文字を薄くする代わりに、「?」をルビ表示します。こんな具合です。
[[rb:史実ではない歴史>????????]]と存在しなかった人物。しかし、[[rb:虚数と虚数の積が負の実数と>?????????????]]なる如く、この物語からも[[rb:否定的な真実が>???????]]立ち現われてくるかもしれない。
目チカチカの読者様は、EpubかPdfの製品版をご購読ください。
筆者軽薄
========================================
[[rb:>]]は、PIXIVのルビフォーマットです。
このブログのフォーマットで記述した結果は、PIXIVではこうなります。
史実ではない歴史と存在しなかった人物。しかし、虚数と虚数の積が負の実数となる如く、この物語からも否定的な真実が立ち現われてくるかもしれない。
上記のための、一般的な"<ruby> </ruby>"への置換も……まあ、順序良く一括置換は犯罪ではありません。
WORDでは、こうします。
史実ではない歴史と存在しなかった人物。しかし、虚数と虚数の積が負の実数となる如く、この物語からも否定的な真実が立ち現われてくるかもしれない。
うわあああ。下手すると、本文執筆よりも、ルビだ文字色だの調整のほうが手間を食いかねません。
漫画はいいですよね。日本語の台詞は縦書きで英語は横書き。『修羅の刻:アメリカ西部編』では、英語とナヴァホ語どっちも横書きだけど、フォントを変えています。いざとなれば、吹き出しの形で区別するってやり方もできます。
まあ、白人少年は出しませんから、尺も短くなるでしょうし。物語が進むにつれてヒロインも言葉を覚えて、台詞の細工も少なくなっていきます。
でもなあ。これまでは、設定/人物が多岐にわたって、リクエストをこなすだけで100枚目処が200枚突破してたけど。今度は絞り込んで下さったので……ヒロインの妹まで丁稚揚げちゃったよ。
「おまえが妹の初めてを姦ってやらないってのなら、このぶっとい玉蜀黍をぶちこんでやるぜ」
てなもんで。

こんな具合になるのです。
しかも、人間動物園では朝から晩まで姉妹レズショーですしねえ。
やっぱ、200枚突破ですかしら。
追伸:今回は本文が長いので、全体をsmallフォントにしました。
約12万32千文字/282枚。
返すキーボードで、リクエストの執筆に着手!
今回は内容紹介とかの前に総論を。
WILL様はリクエストの中で
「今回の内容は以前のものよりセンシティブな内容と思いますので、もし問題があるようであれば異世界の設定としていただくか(後略)」と、書いておられますが。
センシティヴでなければエロじゃないやい。パリコレも知ったことか。パリもポリも似たようなもんじゃい。
そういう意味で、昨今のLGBTQがどうとかってもの、個人的には黒犬です。
秘すれば華の悩ましさ。です。白眼視されるから萌えるのです。
少数者=選ばれたる者の恍惚、です。
誤解の無いように誤解を招くことを書いちゃいますが。ビキニ水着でアッケラカンよりも、
「こ、このような身体の線が出る着物で水に浸かれというのか……?!」
と、ワンピース水着を握り締めて羞恥に悶えるお姫様のほうが、エロっぽいです。
Midship easy! という号令は無い。
弱者が迫害されるというのは、被虐の定番です。ていうか、強者が虐められるなんて設定はあり得ません。
金持ちのお嬢様が転落するのは、父親の破算とか。高慢ちきな姫君が拷問されるのは、クーデターとか。つまり、その時点では弱者になっているのです。
強大な敵でも分散させて各個撃破するという戦略と通底しています。
戦争に負けたからこそ、婦女子がパンパンになったり戦争花嫁になったりするのです。独断と偏見と妄想。
東京という大都会で生まれ育った少女が、因習に満ちた村へ来るからこそ、虐められるのです。
バイリンガルで高度な教育を受けたハーフの女の子が母の国へ来て学校に編入されて、「その金髪を黒く染めてこい」と言われたり、大和魂を叩き込まれたりするのです。この場合、一般的には少女の母国のほうがメジャーで強大ですが、学校という閉鎖社会の中では、圧倒的なマイノリティ/弱者になるのです。
とはいえ、まあ。妄想と現実の区別がつかない輩に刺されたり物理的に燃やされたりしては困りますから。
実は『女囚性務所』は、元々は、フェリーでも行ける国が舞台で、「おまえの祖父や父親が、この国の娘にしたことを仕返してやる」という設定でしたが、さすがにフェリー定期便が無く38度とも関係のない国の話にしました。『生贄王女と簒奪侍女』でも、「回」とか「イ」とか祈りの定型句とかは一切出していません。
まあ、今回は出します。だいたい、ネイテイブをくっつければいいってもんじゃないです。だいいち、西インド諸島はどうなんだ。名前が変わってないじゃないか。
それと。作品中でも小説の前書き後書でも書かないと思いますが。筆者のインディアンに関する知識は、『ソルジャーブルー』以前でしかありません。
「トント、善いインデアン」レベルです。ハイヨー・シルバーで止まっています。

唐突の画像は、お口直し。
さて。前回に騎士役の少年を2案出しましたが。金髪のソバカス少年は無しです。こんなのを出すと、下手すると純愛になります。純愛SMも面白い切り口ですが。しかし、これは言語問題に関する逃げになってしまいます。少年との交流を通じて、ヒロインが片言を喋れるようになっているという。ありきたりすぎる設定になります。
『生贄王女と簒奪侍女』では、ヒロインは後宮に入ると覚悟して、家庭教師からあちらの言葉や習俗を学んで。きちんと毛を剃って旅立ったほどです。
「わたしは、くんしゅさまのおきさきになるために、きたのではありません」
宰相が制止するのを無視して、エクスターシャは続ける。
「わたしは、そのしかくをなくしました。わたしが、おめどおりをねがったのは……」
「そなたは傷物なのか?!」
セセインが鋭くエクスターシャを指差した。
「かいぞくにさらわれて、よごされました」
「この女を捕らえよ!」
くらいに話せるのです。
リクエスト第4弾では、残虐米軍人を出しましたが、こやつも日本語を話せます。
ので。今回は。ヒロインは、まったく白人の言葉を解さないという、ゼロからのスタートに挑戦です。
前書きを御紹介。
========================================
この小説では、先住民族であるヒロインが使う言語と侵略者である開拓民が使う言語を、共に日本語で表記します。両者の区別をつけるために、WORDのフォント機能を利用しています。
・先住民族の言語は、明朝体を使います。
・開拓民の言語は、ゴシック体を使います。
・開拓民の台詞でヒロインが理解できない部分は、文字を薄く表示します。
・助詞や語尾については弾力的に運用します。
以上の表示はPIXIVでは無理なので、以下のように簡略化(複雑化?)します。
・フォントの使い分けはできません。
・文字を薄くする代わりに、「?」をルビ表示します。こんな具合です。
[[rb:史実ではない歴史>????????]]と存在しなかった人物。しかし、[[rb:虚数と虚数の積が負の実数と>?????????????]]なる如く、この物語からも[[rb:否定的な真実が>???????]]立ち現われてくるかもしれない。
目チカチカの読者様は、EpubかPdfの製品版をご購読ください。
筆者軽薄
========================================
[[rb:>]]は、PIXIVのルビフォーマットです。
このブログのフォーマットで記述した結果は、PIXIVではこうなります。
史実ではない歴史と存在しなかった人物。しかし、虚数と虚数の積が負の実数となる如く、この物語からも否定的な真実が立ち現われてくるかもしれない。
上記のための、一般的な"<ruby> </ruby>"への置換も……まあ、順序良く一括置換は犯罪ではありません。
WORDでは、こうします。
史実ではない歴史と存在しなかった人物。しかし、虚数と虚数の積が負の実数となる如く、この物語からも否定的な真実が立ち現われてくるかもしれない。
うわあああ。下手すると、本文執筆よりも、ルビだ文字色だの調整のほうが手間を食いかねません。
漫画はいいですよね。日本語の台詞は縦書きで英語は横書き。『修羅の刻:アメリカ西部編』では、英語とナヴァホ語どっちも横書きだけど、フォントを変えています。いざとなれば、吹き出しの形で区別するってやり方もできます。
まあ、白人少年は出しませんから、尺も短くなるでしょうし。物語が進むにつれてヒロインも言葉を覚えて、台詞の細工も少なくなっていきます。
でもなあ。これまでは、設定/人物が多岐にわたって、リクエストをこなすだけで100枚目処が200枚突破してたけど。今度は絞り込んで下さったので……ヒロインの妹まで丁稚揚げちゃったよ。
「おまえが妹の初めてを姦ってやらないってのなら、このぶっとい玉蜀黍をぶちこんでやるぜ」
てなもんで。

こんな具合になるのです。
しかも、人間動物園では朝から晩まで姉妹レズショーですしねえ。
やっぱ、200枚突破ですかしら。
追伸:今回は本文が長いので、全体をsmallフォントにしました。
Inturrupt Report 0:リクエスト第5弾
来ました。WILL様からのリクエスト第5弾!
PIXIVメッセージで「執筆中作品の目処が1月末につくので、2月初っ端あたりでリクエストを」というお願いをしていましたが。
『生贄王女と簒奪侍女(前編)』は、目処はついても脱稿までは、もうちょいですが。
リクエストの〆切は4月2日ですので、これまで4作(各200枚以上)の実績値は1か月脱稿ですので、無問題。
あ。リクエストは2月1日に来て即刻受注しましたけど、前の記事と日にちを開けるために本日付け公開です。
まずは、リクエストの概要(個人的メッセージなど割愛)です。
========================================
*ストーリイのリクエスト
→アメリカ先住民と白人入植者の抗争が激化するなか、先住民の少女が開拓民の一団に捕まり人間動物園で晒される
*時代設定のリクエスト
→19世紀のアメリカ
*シチュエーションのリクエスト
→物のように扱われたり晒し者となり辱められる少女がマゾに目覚めていく
*キャラ設定(外見、性格)
・少女
アメリカ先住民の小さな部族に属する14歳位の少女。黒髪褐色で明朗快活、体を動かすのが好きで、陸上選手のような引き締まった肢体を持つ。
同年代の少女に比べ、やや小柄で貧乳気味なのが悩み。屋外で全裸オナニーをするのが密かな趣味。ボクっ娘で生えかけ。
※属性を盛りすぎたので、適宜取捨選択していただいて構いません。(ボクっ娘とか)
*人間関係のリクエスト
→少女と先住民に敵意・悪意を持つ白人入植者達
*特定の責めのリクエスト
・野外全裸オナニーの最中に、白人達の荒くれの開拓民に捕まってしまう少女。開拓民の男たちの性処理道具となり物のように扱われるが、
少女はその扱いにどこか充実感をおぼえる。
※可能であれば、「生えかけの陰毛をタバコで焼かれる少女」や「娯楽の少ない開拓民の子どもたちのおもちゃになる少女」をお願いします
・白人の好事家に売られる少女。昼は「色情狂の原住民」として全裸で人間動物園に「展示」され痴態を晒し来園者たちの蔑みと嘲笑を受け、
夜は好事家や出資者たちの慰みものとなる。だが少女は今までにない快楽を感じていく。
========================================
一読、脳裡に広がったのは『修羅の刻:アメリカ西部編』です。
主人公(日本男児)など、どうでもよろしい。ヒロインのNative Americanです。悪い白人に取っ捕まって、縛られて、健全青少年コミックですから、脱がされたりはしません。まったく惜しい。柵で囲った中で、足に鉄球とかつながれて、後ろから拳銃で足元を射たれて逃げ回るとか。何故か(全年齢だからだよ!)着衣のまま吊るされて、下手くそな牧場主の拳銃の的にされるとか。
あああああああ! R18Editoinが読みたいよおおお! でした。
それが、自分の手で、書けるのです。あまりにステレオタイプで、オリジナリティが無いので、書いてみようとは思っていませんでしたけど。不明を愧じますな。「子供たちのおもちゃ」とか「人間動物園」とか、切り口は幾らでもあるじゃありますか。

中央画像は悪い白人が初心(でも、潜在マゾ)なインデアン娘を嬲るところ。左は、これも面白い責め。右は、ずばりニルチッイもといヒロインのイメージ。
ヒロインは死を覚悟して……射たれたら激痛ですけど
「あれ? おれ、生きてる??」
なんてね。あ、ヒロインの環境からして、「僕っ子」は合わないかな、と。←未定
さて。これで明日からの騎士勤めが楽しくなります。休憩に相当する時間が、8時間拘束中2時間半ありますが、これは『生贄王女と簒奪侍女』をスマホで書き進めて。スマホの無料WORDは機能が制約されているので/ これが[試しボウテン]だとは、エクスターシャも /みたいに、後で手を入れますが。Midship!
ライトセーバーを振っている時間には、リクエストのプロットを練れます。
今回のリクエストは、これまでより少ない枚数で納められます。けれど。
たとえば、人間動物園の設定がありますな。とうぜん、真っ黒とか、1/16の牝奴隷とか、黄金の国ジパングの貴族クイツメローニンのお姫様とか、フェイクの蛇女とか人魚とか、まあリアル達磨は出しませんが、四肢を折り畳んで固縛した犬娘あたりは。彼女たちを点描するだけで50枚かしら。
考えているうちに、騎士役の男の子も配してみたくなりました。
A案:野外オナニーを目撃されて、なんだかんだで仲良くなった白人ソバカス少年。開拓民の村に拉致されたヒロインを庇いながらも、皆の手前、虐めなくちゃならないとか。
B案:黒人奴隷少年。二日間飲まず食わず(ニルッチイ)のヒロインに、こっそり食べ物を与えて、ばれて、半殺しにされかけるのを、「わるい、おれ。おれ、なぐれ」とか。
あ、言葉の問題がありますが。これは続報にて。
B案だと、それでコルク射殺(?)につながります。ついでに、黒人少年は縛り首で。ヒロインが四つん這いになって支えてやって。24時間放置。いかん。右手がキーボードから離脱したがってやがる。
コホン。
嗜好の赴くままに書き散らかすと、とんでもない長さになりかねません。結局は200~300に収束させるでしょう。
あと。筆者の原点のひとつには『ソルジャーブルー』があります。竹宮恵子ぢゃないですよ。

観てはいません。今さら見ようとも思いません。街角の立て看板で見たインデアン娘が後ろ手に縛られているポスターから受けた衝撃を大切にしたいと思います。どうせ、中身はヒューマンドラマなんでしょうから。衝撃シーンがワンカットでも出てくるかどうかも怪しいし。
PIXIVメッセージで「執筆中作品の目処が1月末につくので、2月初っ端あたりでリクエストを」というお願いをしていましたが。
『生贄王女と簒奪侍女(前編)』は、目処はついても脱稿までは、もうちょいですが。
リクエストの〆切は4月2日ですので、これまで4作(各200枚以上)の実績値は1か月脱稿ですので、無問題。
あ。リクエストは2月1日に来て即刻受注しましたけど、前の記事と日にちを開けるために本日付け公開です。
まずは、リクエストの概要(個人的メッセージなど割愛)です。
========================================
*ストーリイのリクエスト
→アメリカ先住民と白人入植者の抗争が激化するなか、先住民の少女が開拓民の一団に捕まり人間動物園で晒される
*時代設定のリクエスト
→19世紀のアメリカ
*シチュエーションのリクエスト
→物のように扱われたり晒し者となり辱められる少女がマゾに目覚めていく
*キャラ設定(外見、性格)
・少女
アメリカ先住民の小さな部族に属する14歳位の少女。黒髪褐色で明朗快活、体を動かすのが好きで、陸上選手のような引き締まった肢体を持つ。
同年代の少女に比べ、やや小柄で貧乳気味なのが悩み。屋外で全裸オナニーをするのが密かな趣味。ボクっ娘で生えかけ。
※属性を盛りすぎたので、適宜取捨選択していただいて構いません。(ボクっ娘とか)
*人間関係のリクエスト
→少女と先住民に敵意・悪意を持つ白人入植者達
*特定の責めのリクエスト
・野外全裸オナニーの最中に、白人達の荒くれの開拓民に捕まってしまう少女。開拓民の男たちの性処理道具となり物のように扱われるが、
少女はその扱いにどこか充実感をおぼえる。
※可能であれば、「生えかけの陰毛をタバコで焼かれる少女」や「娯楽の少ない開拓民の子どもたちのおもちゃになる少女」をお願いします
・白人の好事家に売られる少女。昼は「色情狂の原住民」として全裸で人間動物園に「展示」され痴態を晒し来園者たちの蔑みと嘲笑を受け、
夜は好事家や出資者たちの慰みものとなる。だが少女は今までにない快楽を感じていく。
========================================
一読、脳裡に広がったのは『修羅の刻:アメリカ西部編』です。
主人公(日本男児)など、どうでもよろしい。ヒロインのNative Americanです。悪い白人に取っ捕まって、縛られて、健全青少年コミックですから、脱がされたりはしません。まったく惜しい。柵で囲った中で、足に鉄球とかつながれて、後ろから拳銃で足元を射たれて逃げ回るとか。何故か(全年齢だからだよ!)着衣のまま吊るされて、下手くそな牧場主の拳銃の的にされるとか。
あああああああ! R18Editoinが読みたいよおおお! でした。
それが、自分の手で、書けるのです。あまりにステレオタイプで、オリジナリティが無いので、書いてみようとは思っていませんでしたけど。不明を愧じますな。「子供たちのおもちゃ」とか「人間動物園」とか、切り口は幾らでもあるじゃありますか。

中央画像は悪い白人が初心(でも、潜在マゾ)なインデアン娘を嬲るところ。左は、これも面白い責め。右は、ずばりニルチッイもといヒロインのイメージ。
いや、中央画像はシチュエーションが逆って、分かってますけどね。
吊るして射的の的ってのは、是非書かなくては。弾丸をコルクにして弱装弾で。ヒロインは死を覚悟して……射たれたら激痛ですけど
「あれ? おれ、生きてる??」
なんてね。あ、ヒロインの環境からして、「僕っ子」は合わないかな、と。←未定
さて。これで明日からの騎士勤めが楽しくなります。休憩に相当する時間が、8時間拘束中2時間半ありますが、これは『生贄王女と簒奪侍女』をスマホで書き進めて。スマホの無料WORDは機能が制約されているので/ これが[試しボウテン]だとは、エクスターシャも /みたいに、後で手を入れますが。Midship!
ライトセーバーを振っている時間には、リクエストのプロットを練れます。
今回のリクエストは、これまでより少ない枚数で納められます。けれど。
たとえば、人間動物園の設定がありますな。とうぜん、真っ黒とか、1/16の牝奴隷とか、黄金の国ジパングの貴族クイツメローニンのお姫様とか、フェイクの蛇女とか人魚とか、まあリアル達磨は出しませんが、四肢を折り畳んで固縛した犬娘あたりは。彼女たちを点描するだけで50枚かしら。
考えているうちに、騎士役の男の子も配してみたくなりました。
A案:野外オナニーを目撃されて、なんだかんだで仲良くなった白人ソバカス少年。開拓民の村に拉致されたヒロインを庇いながらも、皆の手前、虐めなくちゃならないとか。
B案:黒人奴隷少年。二日間飲まず食わず(ニルッチイ)のヒロインに、こっそり食べ物を与えて、ばれて、半殺しにされかけるのを、「わるい、おれ。おれ、なぐれ」とか。
あ、言葉の問題がありますが。これは続報にて。
B案だと、それでコルク射殺(?)につながります。ついでに、黒人少年は縛り首で。ヒロインが四つん這いになって支えてやって。24時間放置。いかん。右手がキーボードから離脱したがってやがる。
コホン。
嗜好の赴くままに書き散らかすと、とんでもない長さになりかねません。結局は200~300に収束させるでしょう。
あと。筆者の原点のひとつには『ソルジャーブルー』があります。竹宮恵子ぢゃないですよ。

観てはいません。今さら見ようとも思いません。街角の立て看板で見たインデアン娘が後ろ手に縛られているポスターから受けた衝撃を大切にしたいと思います。どうせ、中身はヒューマンドラマなんでしょうから。衝撃シーンがワンカットでも出てくるかどうかも怪しいし。
Progress Report 3:生贄王女と簒奪侍女
今回は、すでに書いてある部分の紹介ではなく、まさに書いている部分です。
========================================
試練の四:後宮鎮静
世話係(?)の娘に後宮へ連れ帰られて、その日だけでなく次の日も、エクスターシャは引見されることなく、あてがわれた狭い部屋に引き籠って過ごさなければならなかった。女の園に興味はあった。修道院とは絶対に違う。アルイェットの寄宿舎をうんと豪奢にしたようなものだろうか。女たちは仲良くしているのだろうか。
部屋から出ることは禁じられていない。けれど、黄金の(拷問器具付)貞操帯だけを身に着けた裸身を如何に同性とはいえ、他人の目に晒す恥辱には耐えられない。いや、今のエクスターシャには、同性だからこそという意識が強かった。たいていの場合、男性の目に裸身を晒せば、ほとんど必然に次の事象が生起して――いや、けっしてそれを望むのではないけれど。からかわれるにしろ呆れられるにしろ、あら探しや侮蔑の視線はない。
食事は、タマーシャナが運んでくれる。何度も顔を合わす(二度はふたりきりで馬車にも乗った)うちに、名前を教え合い短い雑談を交わすくらいには親しくなっていた。
だから、食事は問題ない。問題は、飲食に伴なう結果のほうだった。食事どきの他にも様子を見に来てくれるタマーシャナに頼らなければならない。そのために設けられている床下水洗の部屋へは、羞恥を堪えて往還できるけれど。いちいち腰から下の沐浴を準備するには、タマーシャナから下女に指図してもらわなければならなかった。
下女の様子を見ていると、タマーシャナは高い身分の娘らしい。寵姫付きの侍女かもしれない。尋ねてはみたけれど、含み笑いでかわされてしまった。それで、彼女への詮索は打ち切った。それどころではない。
アクメリンが査問団に逮捕されて、今日で十六日。一週間前には、査問団はマライボに滞在していたという。アルイェットからデチカンまでの道程のおよそ三分の一。まだ猶予はありそうだが、急げばマライボからデチカンまで二週間とは掛からないはず。セセイン陛下がどのような手立てを講じてくれるか見当もつかないが、そのための準備に要する期間を考慮すると――アクメリンの命が風前の灯である事実は微塵も揺らがない。
フィションクからの旅路よりも、アルイェットでの寄宿舎暮らしよりも、長く感じられた二日間だった。その間には、ひと月前には夢想すらできなかった自身の変貌ぶりとか、これからの行く末についても、あれこれと考えるところはあったが。
最初の無理難題を見事(だろうか)に解決して三日目の今日、ついにエクスターシャは、首長に引見するを得た。
その日の午後、後宮内にもかかわらず、エクスターシャは『女の封印』を抜去してもらい、入念に沐浴した。股間を自由にされた意味は言われずとも分かるので、剃刀も当てた。そうして。ただの女官よりはずっと豪奢な衣装を与えられて――セセインの前に額づいたのだった。
後宮の中だから宰相の姿はなく、手前には三人の女性が侍っている。この場に居る男性は『夫』だけであるし室内だから、面紗は着けていない。
セセインの左にいる、西方の数え方なら二十代後半か。エクスターシャと並べば頭ひとつは高いだろう女性が、第一寵姫のサナンドオだろう。右側の、冷たい感じのする異国情緒豊かな美女が、第二寵姫のハイビシャナ。サナンドオの横で小さくなっているのが第三寵姫のクリシナットか。
ちなみに、妃でも夫人でもなく寵姫なのは、メスマンが地方の一部族だった頃の屈辱に由来する。当時の正妃が敵の部族に囚われて、敵族長の慰み物にされたり裸で宴席に侍らされたり――今のエクスターシャにしてみれば大したことではないだろうが、妃よりも族長が大いに面目を失して。以来、妃は置かないことにしたという。寵姫は実質的には妃であっても、名目上は愛玩奴隷に過ぎない。奪われようが辱しめられようが処刑されようが、致命的な不面目には至らない。
かつては、この制度を有効悪用した首長もいたという。飽きた使い古しを臣下に賜って、空いた座に若く美しい処女を迎えるという。聖典の定めるところによれば、夫が一方的に宣言するだけで離婚は成立するが、元妻の側から復縁を迫ることも可能だ。臣下の妻にしてしまえば、後顧の憂いがない。
今はその歯止めも設けられていて、正式の寵姫になれるのは、男児を出産した女だけとされている。だから、エクスターシャは第四寵姫候補でしかなかった。
もちろん、エクスターシャはそういった仕組を知っていた。だから、第三寵姫の若さというよりは稚さに驚く。異郷人の正確な年齢は推し測りにくいが、この国でいう人と成ってから三年とは経っていないと見た。エクスターシャよりも若い。ということは、女となってすぐに孕んだのではないだろうか。
そんな想いは、セセインが言葉を発すると同時に掻き消される。
「そなたが如何にして難題を果たしたかは、余の耳にも達しておる。が、その是非を今は問わぬ」
言葉は遠回しな非難だったが、面白がっているように聞こえた。
「次は遥かに困難ぞ。ここにおる女どもは、極めて仲が悪い。余の前では取り澄ましておるが、三人だけにしてみろ。侍女や女官を巻き込んで三つ巴の取っ組み合いをしかねん」
サナンドオは苦笑し、ハイビシャナは表情を動かさず、クリシナットだけが俯いて申し訳なさそうにしている。
「余がそなたに与える次なる難題は、この三人を仲睦まじき間柄にせよ――というものじゃ。どうだ?」
どうだも何もない。せめて、この三人が居ない場で申し付けてほしかった。などとは、おくびにも出せない。
「およばずながら、がんばります。これには、ひにちのくぎりがあるのでしょうか?」
「一か月。ただし、そなたの侍女はリュブリナに到着したそうな。デチカンまでの行程の半ばじゃな」
一か月も経てば、アクメリンは処刑されているだろう。
「どのようなこんなんでも、かならずはたします。できないときは、どのようなばつでも、うけます。ですから、どうか、じじょをたすけるてだてを、いますぐに……」
非処女の身で謁見を願うという、首長への侮辱でも、あの程度の鞭打ちで許された。まさか、命までは取られないだろうという楽観はあった。けれど、命と引き換えてもアクメリンを救うという決意ではあった。
「余は、後払いの商売はせぬ。そなたの国の第一王女が輿入れせぬうちは、正式な同盟を結ばぬのを見ても、分からぬのか」
「おゆるしください。さかあはでした」
引き下がるしかなかった。
「では、三人を融和させること、しかと申し付けたぞ。そのためであれば、三人の居室に自由に立ち入ることを許す」
セセインが退座し、後に三人が続く。すべてを思いのままにする専制君主も、寵姫間の不和を大っぴらに認めるのを厭って、謁見の間に余人の姿はない。ひとり取り残されて、エクスターシャは途方に暮れながら居室へ引き下がった。
とはいえ、日暮れまで途方に暮れているわけにもいかない。不和の原因でもつかめないかと――せっかく人がましいお仕着せも頂いたことだし。まずは、身分の低い者の溜り場、厨房とか洗濯場とか裏庭とかを、渉猟した。
異教徒の人間ゆえに警戒されるかという懸念は、真反対だった。非処女の身でありながら入宮して、しかもいきなり主人直々に言葉を賜る、特別な娘――と思うのが当然だ。恩を売っておいて損はない。
とはいえ、重要な情報の過半はタマーシャナから得られた。
以前はサナンドオとハイビシャナが、それぞれに独立した女主人のように振る舞って、火花を散らすことはあるものの、夫に愛想を尽かされたら、男児の母君とはいえ、後宮から追い出されかねない。それは、セセインにとって不都合ではない。
寵姫は実質的に妃である。いくら君主といえど、君主だからこそ、妻は四人までという戒律は破れない。四人目は、フィションク王女のために残されている。
つまり、どちらを離婚すれば、席が空く。セセインはクリシナットより若い娘を寵姫に据えることも可能となる。
母親が寵姫でなければ、その息子が父の後を襲うことは、まず不可能だ。太子とそれ以外の息子とでは、雲泥の差がある。片や一国の君主と、その御母堂。片や臣下に降って要職に就くことも禁じられた年金生活者と、生涯の寡婦。
今のところは、首長の歳の離れた従弟が太子ということになっているが、実子がそれなりの年齢に達すれば、継承権は移るだろう。長子相続とは限らない。父親である首長の専権とはいえ、息子の資質もさることながら、母親の実家や後宮での勢力も無視はできない。
クリシナットは君主自らが見初めた娘というだけで、家柄は先の二人とは格が違う。息子も幼な過ぎる。将来に生まれる(はずの)フィションク王女の息子にしても、異国の血が混じっていれば、クリシナットよりも目はない。実際問題として、サナンドオとハイビシャナの争いである。これまでは拮抗していた。しかし、夫の寵愛篤いクリシナットを味方に着ければ――勝負は決まったも同然。
つまりは三つ巴ではなく二者の対立で、第三寵姫は被害者あるいは賞品という図式になる。
と、ここまでが見えたときにエクスターシャが思ったのは――サナンドオとハイビシャナが仲良くして、クリシナットを二人の味方にすればいいのに――だった。いずれはモジョリンをめぐって同じ奪い合いが繰り返されるだろうが、ことごとに自分を蔑んできた姉姫の去就など知ったことか。仮に第四寵姫の座を得られなかったとしても、同盟は揺るがない(だろう)。
二人が仲良くすれば、クリシナットもどちらにつくか悩まずに済む。しかし、異教徒の年下の娘の言葉に二人が耳を貸すとも思えない。夫の面前で不仲を暴露されていれば、なおさらだ。言葉が駄目なら身体で――すぐそういう思案が浮かぶのも、寄宿舎で鍛えられたせいではあった。
その線で考えるなら、二人がクリシナットを味方に付ける手段も、そうなるのではないだろうか。となると……まずは攻略される側を攻略しなければならない。
つまり。まずは人参を手に入れて、それを二頭の驢馬の前に放ってやる。二頭が争うようなら、人参を取り上げる。そのためには、人参に紐を着けなければならない。そのやり方は――寄宿舎でカッサンドラに言い寄られた経験が参考になった。あるいは、男たちに指で弄られたり口で舐められた経験も。女に男根はないが、手も口もある。
思い立つやすぐさま、エクスターシャは行動に移った。
その夜。最後の礼拝が終わってから、エクスターシャはクリシナットの居室を訪れた。事前に訪問を告げる必要もないと、君主の御墨付だ。
エクスターシャにあてがわれたのと同じ広さくらいの部屋が四つ、中央の柱と薄い帷幕で仕切られている。そのひとつは湯浴みの場になっている。さすがは寵姫の居室だった。
クリシナットは奥の部屋から出て来て、歓談用の設えられているらしい部屋でエクスターシャを迎えた。
居室にはクリシナットひとりきりで、彼女の息子は居なかった。乳母が面倒を見て、母親は短時間の『面会』しか許されないという。それぞれに背景のある母親の影響を排して、幼時から帝王学を学ばせるためだとは、似たような境遇だったエクスターシャには察しがつく。ともかく、これで、母親ではなく年下の娘と女同士の話ができる。
「あなたは、ほかのふたりから、ねたまれているのですか?」
クリシナットはきょとんとしていたが、三人の妻に注ぐ夫の寵愛の濃淡を尋ねられていると知って、淋しそうに笑った。
「戒律は、すべての妻に同じ愛情を注ぐように定めています。夫は敬虔な信者です」
その言葉と淋しそうな表情とから、寵愛は濃淡ではなく一様に淡いのかと疑った。
「夫は、メスマンの国のすべてを仕切っています。ひとつの部族をまとめるだけでも大変ですのに、今は十を超える部族に命令しなければならないのです」
そのために宰相が置かれているのだし、役人もいる。とはいえ、そういった連中に任せきりにしていては、メスマンが周辺の小国を併呑して覇王の道を歩めるはずがないと――フィションクを反面教師として、理解できた。
「では、よるになっても、へいかは、ここにきてはくださらないのですね」
「誰の寝所も、夫は訪れません。夫が、妻を寝所へ呼ぶのです」
「ごめんなさい。わたしは、このくにのしきたりを、あまりしりません」
セセインが三人の妻の誰も寝所に呼ばない夜が多いとは、見当がついた。
「では、おわかいのに、へいかのてでひらかされたはなを、めでてはもらえないのですね」
精一杯に言葉を飾りながら――エクスターシャは、自分にあてがわれた椅子から立って、クリシナットの座る長椅子に並んで腰掛けた。
クリシナットは無礼を咎めなかった。気を許しているというより、エクスターシャの立ち位置を見極められないのだろう。公衆の面前で素裸を鞭打たれ、しかし破天荒な姿で引見を許され、後宮に部屋を賜りながら女を封印されて。今また、三人の妻の不和を宥める役目をおおせつかっている。
嗜虐という視座に立てば容易に理解できるのだが、それはクリシナットにはない。エクスターシャは、セセインを理解しようとはせず利用することしか考えていない。
エクスターシャはクリシナットの太腿に手を伸ばした。
「おんなのわたしからみても、あなたはかわいらしくて、ついさわってみたくもなるというのに」
なにか気の利いた口説き文句はないものかと、これまでに身体で知った男たちの言葉を思い返してみたが――そもそも、まともに口説かれたことなどないのだった。力ずくで押さえ込まれるか、初手から諦めて脚を開くか。男は本能の赴くままに振る舞い、エクスターシャは男の機嫌を損ねないように演技する。官能の演技は、次第に不要になっていったけれど。ともかく、男たちとエクスターシャとの関係を、異教徒の娘と寵姫との関係に当てはめるのは無理だった。
クリシナットは戸惑いながら、とりあえずはエクスターシャの愛撫(とは、自覚していないだろう)を受け容れている。どこまでおとなしくしていてくれるか危ぶみながら、エクスターシャは裳裾の上からクリシナットへの愛撫を続ける。
「あなたは夫のようなことをなさるのね?」
まったく性感を刺激されていないのか、クリシナットが不思議そうに尋ねる。
子供まで産んでいるはずなのに、性的にはまったく未熟なのかと、エクスターシャは疑って。それはおおいにありそうなことだと、考え直した。エクスターシャでも、海賊どもに犯されるまでは性にまったく無知だった。そのままの状態で、ただひとりだけの男に、せいぜい三日に一度(四十を過ぎた男が三人の妻を平等に扱おうとすれば、それがせいぜいだろう)抱かれているだけだったら、肉の悦びなど知らずに生涯を終えていたかもしれない。
それなら、私が教えてあげなければ。エクスターシャは、使命感のようなものに燃えた。どんなおいしい料理を食べようとも、春のそよ風に肌をくすぐられようとも、昔物語に時が経つのも忘れて聞き入ろうとも――身体に刻まれる屈辱すれすれの快楽には遠く及ばない。あの快感を知らずに生涯を終えるなんて、女として生まれてきた甲斐がない。
基督教においても、同性愛は姦淫よりも厳しく禁じられているが、「恥ずべき情欲」とか「自然の関係を自然にもとるものに変えて」とか、抽象的に過ぎて、何をすべきではないのか、エクスターシャには理解できない。
女同士で手をつなぐのは? 抱き合うのは? 接吻は? 肌をまさぐるのは? 淫裂に口づけるのは? 男女共通の穴に指を挿れるのは?
どこからが神の怒りに触れるのだろうか。
エクスターシャが理解しているのは、クリシナットを手なずけなければ先に進めず、身代わりとなってくれたアクメリンが処刑されてしまうという、それだけが鮮明だった。
エクスターシャはクリシナットの肩を抱いて(逃げられないようにして)、顔を近づけて唇を重ねた。もちろん、舌を差し挿れて貪ったりはしない。
「むうう……?」
クリシナットはエクスターシャを突き放そうとしたが、何も知らずに戸惑っている娘が、命懸けの娘に抗えるはずもない。
エクスターシャは左手でクリシナットを二の腕ごと抱き締めながら、右手を乳房に這わせた。布地越しに鷲掴んで、思っていたよりもずっと豊満なのに驚いた。掌に湿りを感じて、思い当たる。子供を産んでしばらくは(何か月なのか数年なのかまでは知らないが)乳が出る。だから大きいのだ。
クリシナットの襯衣が、はっきりと濡れて。甘い匂いに蒸れる。
「あ……気持ち良い……」
乳が張るとつらいと聞いたことがある。出す物を出す気持ち良さだなと、エクスターシャは不謹慎なことを考えてしまう。でも。尻穴に抽挿される快感も、それと似ているところがある。
性的な後ろめたさを考えずに済む快感を羨ましく思いながら、エクスターシャはクリシナットの前をはだけて乳房を露出させ、そこを自分の脱いだ襯衣で包む。
「こうすればいいのですか?」
赤ん坊への授乳も乳牛の乳搾りも見たことはないけれど、女の本能に従って乳房を根元から先端へと向かって強くしごいた。たちまち、襯衣が濡れていく。
この快感では駄目だ。性的な後ろめたさがあってこそ、他人ではなくエクスターシャを頼るようになる。
エクスターシャは乳房から手を放して、クリシナットの脚を割って裳裾の中に手を滑らせた。
さすがに、クリシナットも抵抗する。
「やめてください。そこに触れていいのはセセイン様だけ……」
抗議の声を口でふさいで。エクスターシャの指が、強引に下穿きの奥へと潜り込む。こういう強引なやり方しか、エクスターシャは知らない。カッサンドラの誘いに乗って、女同士のやり方を学んでおけば良かったと――後悔したところで、気後れするだけだ。
「むううう……む゙ゔゔ」
はっきりと、クリシナットが拒む。しかし、今さら後へは引けない。無理強いにでも快感を教え込んで――そう、男が女を征服するように。
エクスターシャが知っている快感は、女穴の中にはない。淫裂の上端に淫核を探った。
……ない。
エクスターシャは自身のそこしか知らないが、それとはずいぶん様子が違っている。淫裂の合わせ目は、ふだんは小さな肉の塊みたいな感触が指にあるだけだが、気持ち良くなってくると、固く尖ってくる。しかしクリシナットは、むしろ浅くくぼんでいるように感じられた。
それが割礼によるものだとは、エクスターシャは知らない。異教徒の習俗を学んだとき、慎み深い家庭教師も、この問題は避けて通れないと判断して、最小限のことだけは教えてくれている。それによると、包皮をわずかに切除して実核を露出させるというものだった。男性も同じようにして、赤ん坊のときから亀頭を露出させるのだと、もっとずっと婉曲的な言い回しで教わった。長じてから改宗した者は免除されることもあるというが、エクスターシャは、もしもササインが望むなら受け容れるしかないと、国を発つときから覚悟を決めていた。
しかし、まさか――淫核その物を切除するやり方もあるどころか、淫唇を縫い合わせて、初夜に男性が刃物で切り裂いて使えるようにする習俗も一部地域にはあるなど、知るはずもなかった。
だから単純に、生まれつきか怪我による欠損だと思った。生まれつきであろうと怪我であろうと。では、どうやって肉の快感を教え込むか。
エクスターシャにとって、それは自明だった。
指を下にして淫裂を撫で下ろし、身体をひねって上体を押し付ける体勢でクリシナットの腰を浮かし、右手をさらに深く差し入れて会淫の向こうを指でまさぐる。尻の谷間の小さな窪みに指先が達した。
「ひゃあ゙っ……?!」
すっとんきょうな悲鳴を上げて、クリシナットが立ち上がろうとする。それを予期していたエクスターシャは、余裕たっぷりに押さえ込んで。さらに手を尻の奥へとまわす。クリシナットは、エクスターシャの掌の上に尻を落とした形となった。
「やめてください……汚いです」
「あなたに、きたないころなんか、ないです」
自分なら、たとえばモシュタル船長に、こんなふうに言われたい――と思うことを、クリシナットの耳元に囁く。
「それに……きもちいいでしょ?」
囁きながら、尻穴をくすぐる。
「気持ち良くなんか、ない。すぐにやめてください」
クリシナットの声は硬い。本気で厭がっている。それでも、エクスターシャは責め続けるしかない。ここで引けば敵に防御を固めさせて、二度と責める隙を見出だせなくなる。王女としての嗜みを越えて、姉だけでなく兄にも負けまいとして、軍学の初歩までも齧っている第二王女だった。もっとも、軍略に照らせば、余りに準備不足で短兵急な決戦ではあった。
それでも。事ここに至らば突貫あるのみ。エクスターシャは中指の腹を穴に押し付けて、ぐりぐりとくじった。
唾で湿してもいない指は、相手が緊張していれば、たとえ一本でも挿入は不可能に近い。結果、穴の周囲の皺ばかりを刺激する。しかし、結果としてはそれが良かった。実のところ、内部の感覚は鈍いのだ。
「あっ……やめて……いやああああ」
クリシナットは拒絶の言葉を繰り返しながら、その響きは次第に蕩けていく。
いける――と、エクスターシャは判断した。長椅子から降りて、クリシナットを俯せに押し倒す。力は入れず形だけ背中を押し付けている左手から、クリシナットは逃れようとしない。
「あっ……?!」
裳裾を捲り上げるとさすがに両手を突っ張って起き上がろうとしたが、左手に上体の重みを乗せて封じた。手早く下穿きを膝までずらして。エクスターシャは床に膝立ちになって、両手でクリシナットの腰を抱えながら、その尻に顔をうずめた。
男に、尻穴を舐められた記憶はない。けれど、使い方は女穴も尻穴も同じだ。ならば、舐めれば指よりも感じるはず。
初めて見る他人の(でも自分のでも)尻穴は、赤紫のくぼんだ花弁だった。微かな臭いは苦にならない。どころか、芳香にさえ感じられる――のは、エクスターシャも、これからする行為に性的な興奮を禁じ得ないからだろう。
「なにをなさるのですか……ねえ?」
言葉ではなく舌で、クリシナットの問に答えた。かすかに、ぴりっとした苦みを感じたが、それもエクスターシャの興奮を高める。クリシナットのほうは。
「ああっ……なめてらっしゃるの? やめてください。いやあ……あああっ……」
こんなときには拒否の言葉を真に受けたらぶち壊しになる。とは、エクスターシャ自身が身に沁みて知っている。舌で丹念に皺を舐めて。唾を溜めては、くぼみの中心に塗りつける。舌を尖らせてつつくと、そこは柔らかくなっていた。
エクスターシャは顔を上げて、舌のあった箇所に指を突き立てた。今度はたいした抵抗もなく、ずぶずぶと中指が挿入(はい)っていく。
「あああああっ……やめて。ほんとうに、やめてください。人を呼びます!」
いきなり大声を出さなかったことが、クリシナットの心の底の想いを伝えている。同性として、それがエクスターシャにも分かる。エクスターシャは左手でクリシナットの口をふさぎ、右手は下穿きを膝から抜き取って。それを口に詰めた。そして、乳に濡れて重くなった襯衣の袖で、クリシナットを後ろ手に縛った。
絶対専制君主の寵姫に、このような乱暴を働いたとあっては、打ち首は免れない。もしも、クリシナットが訴えれば。
しかし、エクスターシャには分かっている。言葉を封じられ手の自由を奪われては、クリシナットはエクスターシャの乱暴を受け容れるしかない。それを望んだからこそ、「人を呼びます」などと告げたのだ。
果たして。クリシナットは無駄な抵抗をやめた。あらためてエクスターシャが尻穴に指を挿れても、ぴくっと腰を震わせただけで、おとなしく――次は何をされるのかと、期待に胸を震わせている。その証拠に――女穴の縁に、透明な煌めきが滲んでいる。
エクスターシャは、尻穴を指で念入りにくじられた経験はない。男ときたら、すぐに伝家の宝刀を突き立ててくる。エクスターシャを花開かせるにあたってもっとも功績のあったミズン・モシュタル提督といえど、例外ではなかった。
だから、エクスターシャの愛撫は、文字通りに手探りだった。深々と突き挿れ、中で指を曲げて女穴の裏側をつついてみたり。淫核があったはずのあたりを、左手で揉んでみたり。クリシナットの努力は、着実に実を結んでいく。
下穿きを口に捻じ込むときに、つい手加減していたのだろう。クリシナットは簡単に詰め物を吐き出して――しかし、大声は挙げなかった。
「あっ、あああ……いやです。やめて……お願い。虐めないで……」
まるで処女のように可憐に喘ぐクリシナットを、さらに追い上げながら、その声の奥に不満を敏感に聞き取った。
寄宿舎での体験こそなかったが、黄金の貞操帯が、不満の解消に手懸りを与えてくれた。男根の代わりになる物を使えば良い。
そこで、エクスターシャは、もうひとつの戒律に突き当たった。偶像の禁止である。これは、ただ偶像を拝むのを禁じるという緩やかなものではない。彫刻も、肖像画でさえ禁止されている。だからこそ、アクメリンが身代わりとして輿入れする案には成算があったのだが。
模造男根など、どこにも存在しないだろう。みずから木を削って作っても――そんな経験は皆無という問題はさておいても、発覚すれば処罰されるに決まっている。たとえ後宮内にセセインの目と耳が配されていても(いるに決まっている)、この部屋には二人以外の誰も居ないのだから、直接には見聞できない。告げ口は推測によるものとなる。しかし、証拠の品が残れば、そうもいかない。
そんなことをこの場で考えていては、指の動きもおろそかになる。エクスターシャは、この問題をしっかり頭に留めておいて――とにかく、クリシナットを出来るだけ追い上げることに全力を尽くした。
もう、身体を押さえつけなくても、逃げられる懸念はない。クリシナットを長椅子に俯せに寝かせたまま、エクスターシャは位置をずらして、右手で尻穴を激しく愛撫しながら、身体の下に左手を差し込んで、乳房をこちらは優しく揉んだ。
「お願いだから……やめて。なんだか、変……宙に浮かんでるみたい。お尻からおっぱいまで、稲妻が奔り抜けてるみたい。こんなの……初めて」
では、セセインは。寵姫だけで三人。どうせ、他にも手を付けているだろうに。いや、だからこそ。ひとりの少女を女として開花させることなく、蕾を食い散らかしているのだろう。海賊に拐われてほんとうに良かったと――そんなことを考えてしまう。
「もうやめて……おかしいの。まるで……身体が透き通っていくみたいで……」
自分の感じ方とは違うんだなと、エクスターシャは不思議に思った。男は、快感の絶頂で精を放つとき、誰も彼も同じような反応をするというのに。
「だめ、だめ、だめ! 身体が……なくなっちゃうううううう!」
クリシナットが長椅子の上で反り返って――数瞬、塑像のように凝固した。
逝った。けれど、まだ大きな山の中腹にある峠に達しただけに過ぎない。エクスターシャは自身の経験と照らし合わせて、そう判断した。頂上まで追い上げるには、指では無理だろう。なにか、模造男性器に代わる物を、戒律に触れない物を考えよう。
エクスターシャ自身は、セセインを怒らせないという観点からしか、戒律を考えていなけれど。クリシナットには、性感を帳消しにするくらいの重大事だろう。エクスターシャとて、十字架の前で男と媾合うなんて、絶対に出来ない。
半裸のまま長椅子に突っ伏したクリシナットの背中と尻を撫でながら、エクスターシャは、十五分ほどもその場にとどまった。埒を明けるとすぐに部屋を出ていく男に不満をかこっていたから、逝った後の穏やかな戯れはクリシナットの心に沁みるだろう。
やがて、クリシナットが正気を取り戻す。エクスターシャは、彼女の身繕いを助ける。
「あなたの襯衣を汚してしまいました」
クリシナットが、持ち衣装の中から、襯衣だけでなく(ひと揃いになっているからと言って)下着を含めて一式を貸してくれた。ほんとうは譲ってくれると言ったのだが、エクスターシャが断わった。
「きれいにあらってから、かえしにきます」
再訪の口実になる。クリシナットも、嬉しそうに頷いた。
部屋へ戻って落ち着いて考えると、男根の代わりになる物はいくらでもあった。となると、後でセセインに知られても難癖をつけられない品が良い。後宮内で『棒状』の品を容易に入手できる場所は厨房だろう。しかし、人参や胡瓜のような食材はやめておくべきだ。どの宗教でも、食べ物を粗末にすることを禁じている。上の口で食べるよりも下の口で食すほうが、よほど有意義だとは思うが、それを認めてくれる聖職者――こっちの宗教では神学者などいない。
となると、擂粉木か麺棒。使い古して捨てるような物があれば好都合だ。
翌日になって早速、エクスターシャは厨房へ赴いた。寵姫や侍女など身分のある女は寄り付かないから、エクスターシャの訪問は迷惑だったに違いない。
「それは、まだつかえるのですか。すてないのですか?」
仕事の邪魔をされたくないし、機嫌を損じたら罰せられるかもしれないので。じゅうぶん使用に耐える品でも譲ってくれた。エクスターシャはクリシナットの馴致だけでなく、三人の融和についても、考えがまとまりつつあった。ので、擂粉木を二本と麺棒を一本、譲り受けたというか、召し上げた。ついでに、腰掛けるには幅が小さすぎる木箱もひとつ。
この木箱は、大工に細工を頼まなければならない。後宮の外へ出してもらえるか不安はあったが、寵姫でさえ貞操帯と護衛兼見張が付けば許されるのだから、正式な後宮の女ではない自分なら大丈夫だろうと――心配の先取りはやめておいた。
クリシナットに使おうと考えたのは、麺棒だった。ただし、一方的に責めるのではない。自分も少しは愉しみたいという想いはあるけれど、それが主目的ではなく、三つ巴を念頭においてのことだった。
厨房では包丁も借りようとしたが、刃物の持ち出しは厳禁と断わられた。けれど、エクスターシャは困らなかった。世話係ではないものの、頻繁に居室を訪れるタマーシャナに頼むと、すぐに持って来てくれた。この娘も、エクスターシャとは別の意味で、後宮内における特別な存在らしい。なにしろ、君主の間近に侍り、直々に命を受けて動くのだから。もしかすると、セセインの目と耳だろうか。
そんな物騒な人物に刃物だの紐だのを堂々とねだるエクスターシャは、常軌を逸しているのだが。彼女には、彼女なりの覚悟がある。教養を修めているとはいっても、エクスターシャは、しょせん世間知らずの箱入娘である。このひと月ばかりでずいぶんと荒砥に掛けられたけれど、きちんとした刃にはほど遠い。何もかも開けっ広げにしておいたほうが、いっそ、セセインのお目こぼしに与れるかもしれない。それに。事が成らねばアクメリンの命はない。彼女が死ぬときは、エクスターシャも死ぬ。自害は神様がお許しにはならなけれど、最後の最後には、自分の命と引き換えにアクメリンの救出を嘆願する。二人の娘を生かすか、二人とも殺すかを、セセインに選ばせる。
命を棄ててかかれば、怖いものなどない。だからエクスターシャは、タマーシャナの見ている前で堂々と、麺棒の細工に取り掛かった。
エクスターシャが調達して麺棒は、三種類の太さがあったうちのもっとも細い物で、怒張した男根よりはひとまわり細い。握り柄は付いていない。完全な円筒になっている両端の角を丸めて。端から指幅三本分くらいのところを浅く削り込んで、縒った紐を巻きつけた。
ここまでの作業で指に三か所、掌に二か所の切り傷を創ってしまった。さらに、中央には深い溝を彫って、長い紐を二本巻き付けて両端を伸ばす。
「ふふん。なるほどね」
ずっと見ていたタマーシャナは、エクスターシャの目論見を見破って、いつもの嘲笑めいた微笑を浮かべる。
「いちおう忠告してあげるけど。肌と肌とが触れ合うのは、好ましいことじゃないよ」
性的接触のことを言っているのだと、エクスターシャは理解した。
「ありがとうございます。なにか、くふうをしてみます」
また厨房へ行って、小さな壺の木蓋をもらった。これに穴を明けて、麺棒の真ん中に縛り付けた。
その夜。やはり夜の礼拝の時刻が過ぎてから、エクスターシャはクリシナットの居室を訪れた。やはり、クリシナットはひとりだった。
「これを、おかえしします。ありがとうございました」
自分で洗って干して畳んだ衣類を入れた籠をクリシナットの前に置いて。まとめて取り出して。その下には、細工したばかりの麺棒が隠してあった――のは、そのままにしておいた。
昨夜と同じように、クリシナットと並んで長椅子に腰掛けて。もはや言葉は不要。肩を抱きよせて接吻をした。思っていたよりも、クリシナットの身体が固くなっている。彼女にとって、尻穴と姦淫とは結びつかないけれど、接吻はその最初の段階――そういう認識があるのだろうと、エクスターシャは推測した。
ならばと、接吻は早々に切り上げた。クリシナットの襯衣をはだけ、今日はちゃんと用意してきた手拭を乳房にあてがって乳を搾ってやった。クリシナットは心地よさそうに、乳房をエクスターシャの手に委ねている。
「あ、はああ……んん」
ただの気持ち良さではなく、性的な官能の響きが混じっていた。それでも、エクスターシャに身を委ねきっている。日常的な快感と性的な官能の区別がついていないのではなかろうか。
エクスターシャは乳を搾り終えると、みずからも襯衣を脱ぎ胸当も取り去って、上半身裸になった。クリシナットの乳房を軽く愛撫しながら、襯衣を脱がす。
抱き合って、乳首と乳首を擦れ合わせた。男女だったら、こういうことはしない。だから、これは姦淫とは結びつかない女同士の戯れだ。などと説得はしないけれど。クリシナットも行為を素直に受け容れ――ぴくんぴくんと背筋を震わせて、官能の高まりを表出している。
軽く乳首を擦れ合わせる。あるいは、エクスターシャのささやかな乳房で、クリシナットの豊満な乳房を押し潰す。両者の柔らかさと変形の度合いからすると、そういう表現になる。
クリシナットの吐息が甘く蕩けてくると。エクスターシャは戯れを中断して裳裾を脱いだ。さらに下穿きも脱ぐと、素裸を飾る黄金の貞操帯。
「まあ……」
後宮の中庭で百人からの女の見世物にされながら、エクスターシャが女を封じられた場には、寵姫はひとりも立ち会っていなかった。クリシナットが貞操帯を目にするのは、これが初めてだろう。それとも。エクスターシャが身に着けているのは初めて見たとしても、自身が外出するときには、同じような貞操帯を装着された経験はある……のだろう。クリシナットは、すぐに目を逸らした。その自然な目の動きは、羞恥とか嫌悪ではなく気遣いだと、エクスターシャは感じ取った。小さな嘆声は、タマーシャナが馬車の中で言った通り、装着する必要のない場で装着させられていることへの、違和かもしれない。
エクスターシャは、貞操帯などまったく気にしていない振りをしながら、クリシナットも素裸に剥いた。やはり、抵抗はなかった。
エクスターシャに、ふと疑問が生じる。ほんとうに、この行為が姦淫とは無関係だと、この稚い寵姫は思っているのだろうか。それとも。空閨の淋しさを埋めるために、ある程度までは戒律を破る覚悟で臨んでいるのか。
どちらにせよ、今のところはエクスターシャの思惑通りに事が運んでいる。この流れを妨げないことだけを考えよう。
昨夜と同じ手順で、まずは並んで座った体勢で指による尻穴への愛撫。口をふさいだり手を縛る必要はなかった。じゅうぶんに揉みほぐしてから、クリシナットを俯せにして、舌による愛撫と乳房への刺激。
「ああ……お姉様。わらわは……もう」
おや、とエクスターシャは思った。たしかに、エクスターシャのほうが年上だろう。しかしクリシナットは、絶対的支配者の寵姫という、この国の女たちの頂点に立っている。それなのに、エクスターシャをお姉様と(うっかり)呼んでしまう。そこに、この(子を成したとはいえ印象としては)少女の本質が透けているのではないか。エクスターシャは、三人の寵姫が仲睦まじく交わる絵図に若干の修正を加えた。
舌でほぐして潤滑も与えて。指一本を尻穴に挿れて。刺激を与えると同時に、意図して内側の汚れをこそぎ取っては、用意しておいた襤褸布で指を拭う。そのあいだにも、クリシナットの喘ぎ声は高まっていくのだが。
エクスターシャは、ついと立ち上がった。
「ああっ……まだ……」
逝っていないのにという言葉までは、羞ずかしくて口に出せない初心な少女。
エクスターシャが籠から奇妙な道具を取り出すのを、俯せの身をよじって眺めている。
エクスターシャは、麺棒の一端(を巻く紐)に、用意しておいた脂を塗った。室温でも軟らかく、じゅうぶんに潤滑の役を果たす――のは、確かめてある。
あまり無様な姿は(クリシナットが気後れするだろうから)見せたくないけれど、これから何をするかは理解して、出来れば納得して、欲張れば期待してもらいたい。
エクスターシャは後ろ向きになって、しゃがんだ。麺棒を床に立てて片手で支え、そこへ向けて腰を落としていく。
「まあ……?!」
指でくじられるのは二度目でも、そこに男根と同じ大きさの『物』を挿れるなど、考えつきもしなかったのだろう。クリシナットは興味津々の目つき。しかし、そこに羞恥の感情はない――と、見られているエクスターシャには分かる。
うろたえ騒がれるよりは良い。
「はあああああ」
お手本を見せるという意識から、ことさらに大きく長く息を吐いて全身を弛緩させて。麺棒の丸くした先端が尻穴にぴったりの位置で突き当たると、一気に膝の力を抜いた。
めりめりと肉を引き裂く勢いで、麺棒が押し入ってくる。雁首の代わりにと、彫った筋に巻いた紐が、穴の縁を掻き毟って、鋭い(けれど軽い)痛みと、それに十倍する快感と。
「はあああ……んんん」
クリシナットを意識しての喘ぎだったが、演技ではない。男に突っ込まれて手放しの快感を得られるのは、この穴だけだった。口は、自分で唇に触れても何も感じないし、男根を咥えさせられると、如何にも凌辱されている、欲情処理に使われているという惨めさが――それはそれで、胸がきゅんっと締め付けられるような感情も嫌いではないけれど、心の問題であって、肉体的な快感はない。
つまりは、エクスターシャはまだ悦辱のきざはしに足を掛けているだけで、本格的な、あるいは牝としての法悦境である悦虐からは遠いのだが、もちろん当人には分からないことだ。まして――この頃、アクメリン・リョナルデは過酷な拷問のさなかに絶頂を覚えるようになっていたなど、知る由もない。先を急ぎすぎた。アクメリンの物語は後編を待とう。
話を戻す。エクスターシャが、他のこなれた女のように本来の部分で、乱れ悶えるほどの快感に達さないのは、妊娠への不安があるからだと自覚している。イレッテが不妊の方策を施してはくれたけれど、それが迷信に基づくものでないという証拠はない。銀の匙を咥えて生まれる赤ん坊だっているのだから、小さな銅貨にどれほどの御利益があるか、知れたものではない。
それが証拠に……今も女穴に埋め込まれ施錠されている貞操帯の留め金具は、妊娠の心配など皆無だから、全く動かないというのに、今にも引き裂かれそうな痛みよりも、それだけ圧迫される快感のほうが強い。もしも封印されていなければ、この麺棒を挿入するだけでなく抽挿もして、大きな快楽を得られるものか試していただろう。
しかし、麺棒は尻穴でしか試せなかった。その結果は。少なくともエクスターシャにとっては、これしきの太さでは苦痛もなく、それだけ快感も淡かったけれど。クリシナットには、生まれて初めての……苦痛よりも快楽が勝ってくれればいいのだけど。
麺棒の真ん中に取り付けた木蓋が尻につかえて、物足りない深さで麺棒が止まった。エクスターシャには物足りなくても、クリシナットにはじゅうぶんに過ぎるだろう。
尻から硬く短い尻尾を生やした珍妙な姿でクリシナットに近づいて。手を引いて床に誘なった。言葉を添えようとすると「よつんばい」とか「いぬのように」など、相手に惨めさを感じさせてしまうので、無言で身体に触れて――長椅子上体を乗せて膝を突き、尻を突き出した格好にさせる。
そうしておいて。後ろ向きになって四つん這いでクリシナットに近づく。脚を開いて、クリシナットの両脚を間に挟む。さらに後ずさると麺棒が尻に突き当たる。エクスターシャは指先でクリシナットの尻穴を探り当て、そこに麺棒の先を導いた。
「ゆっくりと、いきをすって、はいて、くりかえしてください。すこしだけいたいですが、がまんしてください。きもちよくなります」
クリシナットが深呼吸を始めると、吐き出す瞬間に合わせて尻を突き出した。ぐうっと、柔らかな反発。仕切にしている小壺の木蓋が尻を押し返す。クリシナットは前へ逃れようとしてもがくが、長椅子の背凭れに突き当たって、動けない。
エクスターシャが麺棒の先を握ってわずかにこねくりながら、さらに尻を突き出す。ぐぼっと嵌まり込む感触が、エクスターシャの尻穴に伝わった。
「きゃあっ……」
クリシナットは悲鳴を上げかけて、みずから手を口に当てた。
「痛い……」
居室の外まで声が漏れるのを恐れて、囁くように訴える。
「いれおわったから、いたみは、ちいさくなったでしょう?」
クリシナットは無言。消極的な肯定と、エクスターシャは都合良く解釈する。とはいえ、いきなり抽挿するのは逆効果と考えて。
「こんどは、できるだけ、おしりにちからをいれてください」
ぴくんと麺棒が跳ね(ようとし)て、クリシナットがエクスターシャの言葉に従ったのが伝わった。
エクスターシャは逆に尻穴をできるだけ(物足りない思いに締め付けそうになるのを堪えて)くつろげる。そして、膝を使って身体を前後に揺すった。麺棒はクリシナットに固定されて、エクスターシャの尻穴を深く浅く抉り始めた。
「ああっ……あんんんん」
雁首に相当する溝と紐を、実物より奥に設けたのが良かった。紐が穴の縁を擦るまで尻を引いても、抜け落ちる懸念がない。紐の部分が出入するたびに、毛羽が縁を刺激する。わずかな拡張感が、物足りなさを埋めてくれる。
「あん、あん、あん……いい。逝っちゃいそう」
これまでと同様、演技ではなく誇張だ。
しばらくは、小腹を満たす間食くらいに味わってから。
「こんどは、おしりのちからを、ぬいてください」
男根がわずかに萎えたような感触が、エクスターシャに伝わった。そうしたときにしていたのと同じに。エクスターシャは尻穴をうんとすぼめた。麺棒が膨らんだような錯覚。
尻を前後に揺すっても、麺棒は中で動かない。つまり、クリシナットの中で動いている。
「ああっ……いたい。やめて……」
訴える声の中に、微かな甘美が混じっている。
エクスターシャは麺棒に指をあてがって、尻穴に感じるわずかな引っ掛かりが、まさに紐が出入りする瞬間だと確かめてから。そこを狙って、小刻みに尻を振った。
「あっ……?! あっ……あっ、あっ、あっ……」
クリシナットの喘ぎ声から苦痛の色が薄れて、知り初めた官能が濃くなっていく。
これは……?
目論んでいた通りに事が運んでいるとはいえ、あまりに順調だった。女穴より尻穴が感じる稀有な女として、海賊の間では名を馳せた(?)エクスターシャでも、はっきりとした快感を得たのは、数度の陵辱を経た後だった(と、本人は思っている)。
クリシナットには、自分よりも素質があったのか。
盲目になった者は聴覚が常人より鋭くなる。女として最大の快楽を得られる器官を切除されたクリシナットにも、それと同じような代償作用が生じているとは、エクスターシャの知識と経験では理解できない。しかし、理解できなくても、クリシナットを絶頂へ導くことはできる。
エクスターシャは、自分がどうされたときに感じたかを思い返して、男の動きを現在の体勢に置き換えて――頭は混乱しても、身体は本能に従って動いた。膝を伸ばし気味にして尻を突き上げ、そのまま木蓋に押し返されるまで後ずさった。腸の内側を背中に向かって押されて、内蔵を抉られる感触はエクスターシャの快感とつながらないけれど。クリシナットは女穴の裏側を圧迫されて、そこには快感の塊がひそんでいるはず。
「だめえええっ……なに、これ?!」
はたして。クリシナットの声が稚く裏返った。
正鵠を射たと――エクスターシャの動きが、男の荒腰さながらに激しくなった。こんなに乱暴に突かれては自分でさえも辟易するだろうとは、思い至らない。
しかしさいわいなことに、クリシナットにはエクスターシャを上回る素質があったのだろう。苦痛と恥辱の中に愉悦を見出だしていく。
「あああっ、だめえ! 身体が……消えちゃう! はじけちゃう……!」
外に嬌声が漏れるのも忘れて、クリシナットは絶叫しながら官能の頂きに達した。そのまま、ぐったりと虚空を漂う。
エクスターシャは、男にそんなふうに扱ってほしいと思いながら、ついに今までそうしてもらえなかったことを、クリシナットにしてやった。麺棒はクリシナットから抜去しただけで自分のことは放置して、突っ伏しているクリシナットの背中におおいかぶさって、肩を愛撫して髪を指で梳いてやる。必ずしも姦淫とは結び付かないけれど、ほんのりと官能を掻き立てられる部分への愛撫は、宙たかく砕け散った魂を優しく地上へ降ろしてやる大切な儀式だ。女であれば、誰に教わらずともされずとも、本能的に知っている。
そうやって、エクスターシャは。二度目の総攻撃で絶対君主の第三寵姫を陥落させたのだった。
次は第一寵姫、サナンドオの番だった。セセインが寵姫の不和をあけすけに語ったとき、ハイビシャナがまったく表情を動かさなかったのに比べて、彼女のほうには攻略の取っ掛かりがありそうに思えたからだった。そしてエクスターシャは、ほんの数分のお目通りではあったが、サナンドオはクリシナットとは正反対の性格であるように感じている。
後宮の誰に尋ねても、第一寵姫の内面を窺わせるような打ち明け話はしてくれない。タマーシャナでさえ。となれば、己れの直感に従って――当たって砕けるしかない。砕け散る結末にならぬことを祈りながら。
エクスターシャがサナンドオの居室を訪れたのは、クリシナットを落とした翌日。アクメリンが査問団に連れ去られてから十九日目の夜だった。クリシナットとは違って、侍女が二人も付いていた。人払いを願っても。
「この者たちは、わらわの腹心じゃ。口性無(くちさがな)い雀とは心構えが違う」
その上で。
「なにゆえに、わらわを訪(おとの)うたえ? 口上を聞こうか」
詰問口調に、エクスターシャは逡巡した。心積もりが、ことごとく外れている。しかし。言ってみれば、軍勢は城門に攻め寄せている。兵を引くに引けない。
「はい。クリシナットさまにうかがいましたところ、さんにんのもとに、わがきみは……」
「セセイン陛下は、そなたの夫(つま)ではない。言葉に気を付けよ」
揚げ足取りもいいところだが、異教徒の穢れた女が、寵姫に逆らえるはずもない。
「ごめんなさい。このくにのことばに、なれていません」
やはり、兵を引くしかない。全滅しては再起できない。もしも、これが戦争なら、エクスターシャは判断の遅滞を糾弾されて、処刑されていただろう。しかし、女同士の戦いでは、長っ尻が幸運の女神の後ろ髪を掴むことだってある。
「それで……何を持参したのじゃ?」
「は、はい……」
サナンドオが指摘した通り、エクスターシャは昨晩と同じ籠を提げていた。下着に至るまで貸し与えられているエクスターシャに、寵姫に献上できる品などない。昨夜の小道具に加えて擂粉木も一本。その上に布を掛けているに過ぎない。まさか、寵姫ともあろう高貴な女性が、物欲しげに籠の中身を尋ねるとは、これもエクスターシャの予想外だった。所詮は小娘の浅知恵と無鉄砲。
エクスターシャが返答に窮していると。サナンドオが、アルイェットの寄宿舎で男どもを手玉に取っている女さながらに、パチンと指を鳴らした。
侍女のひとりが優雅な身ごなしで、しかし素早く近づいて来て、エクスターシャが慌てるより先に籠を取り上げてしまった。
「ほほほほほ。これかえ? クリシナットを鳴かせた道具は」
麺棒の真ん中に巻かれた紐の端を摘まんで持ち上げ、サナンドオが意地悪く尋ねる。
「昨夜は、この紐を使わなかったようじゃな。何のための紐じゃ?」
この場で使って見せろと――行なうはたやすいが、屈辱きわまりない行為を命じる。おそらく、使い方は分かっているのだろう。蛇のような冷たい眼差しを向けながら、唇は嘲笑に歪んでいる。
「ごめんなさい。よるおそくに、おとれずましたとこを、おわびもうすあげまし」
エクスターシャはしどろもどろに、この場から逃げ去ろうとしたが、侍女に二人掛りで取り押さえられてしまった。
「断わりもなしに退散しようとは、不届きなやつじゃな。女の園と思うて侮るでないぞ。女の衛兵もおれば、この二人のように武芸者もおる」
衛兵の姿は、折りにつけ見掛けている。外へ通じる門の向こう側は普通に男の兵士が護り、こちら側には低い身分の服装だが腰に短剣を帯びた女が立っている。そして、考えてみれば。この国でもっとも高い身分の女性の身近に警護があるのは当然だった。
「もう一度だけ、尋ねるぞよ。この棒に結んである紐は、どのように使うのじゃ。教えてくれぬとあらば、勝手にあれこれ試してみるまで。その後は、金の腰飾りだけで暮らす破目になるぞえ」
侍女のひとりがエクスターシャから離れて、鋏を持って来た。もうひとりの侍女も手を離したが、エクスターシャは身動きできない。
「おおせのとおりに、します」
サナンドオの命令に従うしかなかった。クリシナットを手玉に取ったエクスターシャだが、彼女が生まれた頃にはすでに人と成っていた女を相手では、ひと月やそこらの付け焼刃は無論のこと、若さ故の無謀すらも通じなかった。
紐の使い方を示すだけなら下を脱ぐだけで良いのに、エクスターシャは潔く全裸になった。そのほうがサナンドオを満足させるだろうという、したたかな計算も無くはなかったが、あるいは――人前で素裸を晒すという行為に、昏い愉悦が心の底に芽生えていたのかもしれない。
エクスターシャは侍女から麺棒を受け取ると。
「はしたないまねを、おゆるしください」
この場合は背中を向けるほうが、まだしも無礼の度合が小さいだろうかと迷いながらも、正面を向けてしゃがんで――床に立てた麺棒の上に尻を落とした。
「きひいいっ……」
まったく潤滑をしていなかったと思い出したときには、木蓋が尻に突き当たっていた。それくらいには、度重なる経験で尻穴はこなれていた。
床に垂れている紐の二本を、エクスターシャは腰に巻いて前で結んだ。残りの二本は一本ずつを股の付け根をひと巻きしてから、腰の紐と合わせて結んだ。抜けたり刺さり過ぎを防ぐつもりで付けたのだが、木蓋があればそれ以上は深く挿入(はい)らないし、紐はかえって抽挿の妨げになる。強いて効能を見出だすとすれば、立って歩けることくらいか。
「ほほほ。なんと他愛のない」
はっきりと嘲りの笑いだった。
「このような子供騙しで善がるクリシナットも、子供じゃな。まあ、封鎖割礼が残っている地の出身であれば、処女に許された遊びすら知らずに育ったのであろうな」
話の流れからすれば、『処女に許された遊び』とは尻穴のことだろうと推測できるのだが、エクスターシャは気づかなかった。しかし。すぐに、思い知ることになった。
サナンドオが、握った右手から親指と人差し指を立てた。
侍女が隣の部屋から、大きな宝石箱(と見紛うほどに華美な)を捧げ持って来た。箱を開けると中には――木の枝が転がっていた。良く見ると、大雑把な細工が施されている。L字形に曲がっていて、太さも長さも男根そのもの。先端は丸く削られ、雁首まで刻まれている。一見して木の枝と分かるくらいに樹皮が残されているが、磨かれたように滑らかだった。木肌の部分は先端ほど色が濃い。使い込まれている――と、エクスターシャは正しく見て取った。
「支度をしてくる。帰ってはならぬぞ」
サナンドオは侍女を従えて隣の部屋へ消えた。あらためて引かれた分厚い帷幕が、気配を遮る。
サナンドオの言い付けを無視して、逃げ出すことは出来ただろう。逃げ帰れば、二度目はない。これが試しだとは、エクスターシャも気づいている。けれど。猛獣から逃げれば、噛みつかれない代わりに(肉に)噛みつけない。食うか食われるか。アクメリンと共に生きるか死ぬか。
麺棒を挿れたままなので座ることもできず、ひたすらに佇立してサナンドオを待つ。帷幕が開かれるまでに、せいぜい十分とはかからなかっただろうが、エクスターシャには三十分くらいに感じられた。
「まあ……」
驚きの声を漏らしたほどに、サナンドオの装いが変わっていた。乳房の半ばを包むのがやっとの、細い胸当と、下穿きを着けていないのが一目瞭然の、腰ではなく尻の膨らみに引っ掛かっている紗袴。西方社会の人間が東方の後宮と聞いて想起する女性の姿そのものだった。いや、ひとつだけ大きく異なっている部分があった。股間である。そこには、先程の木の枝が勃起した男根さながらに生えていた。正確には――本物よりも下から生えていて、その上に淫裂が見えている。尻穴に挿入しているのだ。
「剪定した中からこれを探すのに三日、戒律に触れぬ範囲で形を造らせるのに金貨一枚を使ったわえ。厨房の有り合わせで間に合わせようとは、片腹痛い」
エクスターシャの肩を強く押さえ付けて、跪かせるのではなく、床に仰臥させた。
麺棒に尻穴をこじられて、引き攣れる痛みが奔った――のを、エクスターシャは顔に出さないように努めた。
「脚を引き付けて、己れで抱えておれ」
いっそう羞ずかしい姿になるが、尻が浮くので楽になった。
この形は、忘れもしない――処女を奪われた直後に尻穴まで犯されたときの形だった。
エクスターシャの腰に巻かれた紐をサナンドオがほどく。
やはり、そのつもりなのかと、エクスターシャは――自身のことは棚に上げて、歳降った寵姫の淫乱に呆れる。だけで、今さらに恐怖はない。肉棒よりも硬い木の枝に肉のときめきさえ感じる。
とにかくも。思い描いていた構図とはまるきり違うけれど、サナンドオの無聊を慰め肉の繋がりを持つというところまでは目論見の通りになりそうだ。それで懐柔できるかは、かなり悲観的だけれど。
いや、楽観の要素もあるかもしれない。サナンドオは麺棒を一気に引き抜かず――しつこく抜き差ししたりこねくったり、エクスターシャの反応をうかがっている気配。
エクスターシャは、我慢も誇張もしないと決めた。天宮ひと巡り分よりも多く経験を積んだ女には、見破られて機嫌を損ねるだけだ。
しかし、演技するまでもなく。サナンドオは巧みだった。エクスターシャの見様見真似の『男役』どころか、本物の男よりも。サナンドオは女であるから、自身が感じる部分をがそのままエクスターシャの急所となる。麺棒が細いのも、無理をせずともいろんな角度から責められるという長所になる。
たちまちにエクスターシャは官能を燃え上がらせて、本来の目的を――さすがに、忘れたりはしなかったのだが。
「ああっ……もっと、もっと太いのを。お姉さまの、その……」
不意にサナンドオが身を引いた。自分の脚を抱えていたエクスターシャの手を強く払う。
「え……?」
さらに足首を引っ張って横へ投げ出させてから。
ばしん!
二の腕まで使って頬をひっぱたいた。
一瞬にして、エクスターシャは淡い夢心地から引き戻された。
「そのように呼ぶことを、許した覚えはない」
しまったと、思った。クリシナットを思い出して真似をしてみたのだが、サナンドオの矜持はエクスターシャよりよほど高かったのだ。
「この痴れ者めが」
ばしん、ばしんと、両手を使ってエクスターシャの頬をひっぱたいて。馬乗りになって、乳首をつねり上げた。
「いたい……ごめんなさい。ごぶれいを、おゆるしください」
「許さぬ」
生まれて初めて海賊に叩かれたとき以上の衝撃を、エクスターシャは受けた。淫らな要求を拒んだときには、強烈な『躾』を受けた。乳房を握り潰されたり、今のように乳首に爪を立てられたり、もっと敏感な突起まで虐められた。けれど抵抗をやめれば、素直に口(でも股でも)を開けば、許してもらえた。
我を殺して謝って、それでも許してもらえないのなら、どうすれば良いのだろうか。
「そなたのような蛮人には、言うて聞かせても無駄じゃ。穢れた豚には、身体に教え込んでやる」
そんなふうに罵られるのは、たいした屈辱ではない。異なる神を信じている東方の人間は、その戒律に従って、豚を穢れた存在と考えている。彼らにしてみれば、豚肉を平気で(喜んで)食べる西方の人間は救いようのない野蛮人ということになる。
そんなことよりも。「身体に教え込む」ということばに、怯えながらも期待してしまう。男たちがこの台詞を吐くときは、必ず性的な(それほど残虐でもない)折檻が後に続いた。そういう意味では、エクスターシャの目論見から逸脱していない。快楽は諦めて苦痛を甘受しなければならないとしても。
「縄を持て」
奥のへやから、侍女が注文の品を捧げ持ってくる。こちらは、さっき見たと同じ侍女のお仕着せ。
「クリシナットを襯衣で縛ったとか。まったく不調法よのう」
人を縛る縄を居室に用意しているほうが、おかしい。などと反論すれば、猿轡まで持ち出されかねない。
男根そっくりの枝といい、この縄といい――サナンドオ様は、側仕えの女を甚振って孤閨を慰めているのだろうか。そう考えたエクスターシャは、すでにサナンドオに支配されつつあった。内心でも『様』を付けている。しかも、非はセセインにあるとばかりに、孤閨と決めつけている。
だから、俯せにされ背中を膝頭で押さえられ、両腕を背中にねじ上げられても、一切逆らわなかった。相手のほうが頭ひとつ分長身とはいえ、縛られるのを拒もうと思えば、どうにでも抵抗はできたのに。もっとも、サナンドオから逃れても、武芸者の侍女に取り押さえられるだけだが。
「ふむ……きちんと躾をしてやるとなるとのう。ハイビシャナも呼ばずばなるまいの」
不倶戴天の敵の名を、むしろ親しそうにつぶやくサナンドオ。
「ここへお呼びせい。閨の正装でお待ちしておりますと、な」
侍女のひとりが黙って膝を折り、そそくさと出て行った。
「これは、どういうことなのでしょうか?」
「どう、とは?」
「あなたさまと、にばんめのおきさきさまとは、なかがわるかったはずです。なぜ、おまねきになるのでしょうか?」
自分がこれから何をされるかを心配している場合ではない。この二人が不仲ではないとしたら――問題は最初から解決しているではないか。
「そなた、我が夫(つま)の言葉を真に受けておったのか」
「はい。このくにで、もっともいだいなかたのおことばをうたがうなど、できません」
お世辞もなかなかじゃなと、嘲笑するサナンドオ。
「たしかに、わらわとあやつとは、時として取っ組み合いもする。つまり、深い仲違いではないという証しではないか」
言われて、はっとするエクスターシャ。
姉姫の自分に対する態度に思い当たった。淫奔な女の血を引く娘。同じ父を持つとはいえ、まったくの他人。蔑みの目で見られることはあっても、叩かれたりしたことはなかった。まったくの無視。心底嫌い抜いている相手には、そうするだろう。///1st
========================================
最後の『///1st』は、ここまで(書きながら)最初の校訂をしたという意味。目次ジャンプとかENDまでジャンプが使えないスマホ用無料Wordでも、検索で飛べます。のは、まあTipsかいな。
にしても。
2万4千文字。原稿用紙展開だと、だいたい1枚330文字です(実績値)ので、72枚。
9万8千文字書いてきて、ここまで8章のうちの1章(しかも進行中)が、全体の1/4。アンバランスですな。
長さもMonkeyThings, But……(猿事、乍ら)
実は、とんでもないシノプシス変更の真っ最中。ていうか、プロット段階で、このあたりのシーケンスを決めてなかった報いです。
プロットでは……
========================================
試練の四:後宮鎮静
非処女を後宮に入れる→男でも女でもない(宦官に同じ)形に。錠前付き内部拡張ディルド。
第三寵姫は、女子割礼でクリトリス欠損。アナル性感。
試練の三と同じ理屈。
スター結線(?)はSEXでない。擂粉木はペニスでも偶像でもない。
サナ、シャビの順に攻略。3P後に、総掛かりでレネを調教。
========================================
これだけでした。
プロットを忘れて(?)いきなりレネムズコエを攻略したのが逸脱の原因かしら。
あ、登場人物の名前は『名は体を表わす』方針で、いろいろ変えました。
レネムズコエ→クリシナット(クリット無し)
エクスターシャ・コイタンス→エクスターシャ・コモニレル(肛門に入れる)
オルガ・スムーザンヌ→アクメリン・リョナルデ(リョナで)
さらに、さらに。プロットでは想定していなかったタマーシャナが登場しました。最初は名前もない、「侍女よりも低い身分の」「エクスターシャの面倒を見る」娘でしたが。どんどんどんどん役目を押し付けているうちに、重要キャラに成長しました。
実は、男色王子の愛人なのです。男の娘なのです。こやつを後宮に入れておけば、王子も足繁く通ううちに、女にも興味を示すのではないかと。それゆえか、王子が愛人の「少年→青年」を厭ってなのか。ともかく、タマーナシヤなのです。で、縫合手術なのか施錠ピアスなのか、半永久タックです。あやふやな設定部分は、書きながら決めます。
とにかく。エクスターシャがサド女と高ビー女の二人掛りで責められるシーケンスは書いているうちに出てきたというか、展開にあぐねて、筆者の勃つパターンに持ち込んだというか。
しかもしかも。最後でサナンドオが言う通り、二人の間は険悪ではないのです。
あ。この世界というか、メスマン首長国では、代替わりに伴う兄弟殺しは起きない設定です。
ので。実は、サナンドオもハイビシャナも太后になどなりたがってないのです。太后様ともなれば、ハレムで下女をビシバシも顰蹙ですし、再婚もできませんものね。
「しょせん、タマーシャナも男じゃのう。権力からしかものを見ておらぬわ」とか、サナンドオに言わせる予定です。
となると。
母親が寵姫でなければ、その息子が父の後を襲うことは、まず不可能だ。太子とそれ以外の息子とでは、雲泥の差がある。片や一国の君主と、その御母堂。片や臣下に降って要職に就くことも禁じられた年金生活者と、生涯の寡婦。
今のところは、首長の歳の離れた従弟が太子ということになっているが、実子がそれなりの年齢に達すれば、継承権は移るだろう。長子相続とは限らない。父親である首長の専権とはいえ、息子の資質もさることながら、母親の実家や後宮での勢力も無視はできない。
必死に考えたコジツケはなんだったんだと。
「つまりは、クリシナットをどちらが躾けるか可愛がるかという、その争いじゃ」
エクスターシャもタマーシャナもササインも、さらには筆者も、ケチョンケチョンにされちゃいます。
まあ。そこで。
「それなら、いま、おふたりがわたしにされているように、ふたりでクリシナットさまをちょうきょうすればよろしいのでは?」
と、強引にプロットに準拠させます。
今回は、筆者の手の内を明かすというか、創作講座というか。
「なんだ、こいつも右往左往してんのか」と、同病相哀れんでくださるも良し。
「こんなE加減で小説が書けるのか」と、一念勃起してくださるも良し。
本日はシフトOFF。天気そこそこにして風穏やかなり。
作りためた、本格競技用紙飛行機プロトタイプ各種を飛ばしまくってきます。明日もOFFで、水曜はさいわいに飛行場が閉園ですので、この章を締めくくって、次章突入予定。
ま、2月上旬には前編がTake a Kickです。ケリがつくでしょう。
あ、本人の名誉のために言っときますけど。紙飛行機の大規模な全国大会には二度(一度は地元開催)しか出場経験がありませんが、それは東京だの九州だの北海道まで遠征する(金はともかく)気力が無かったのです。息子も娘も予選突破できなかったし。筆者自身は、各地で行なわれる予選では1位も何度か。最後は、息子が予選通過したので、ジュニア部門最後の年だったので、東京まで遠征しました。
とはいえ、まあ。筆者が専攻(?)している自由機体(=市販キットでなくオリジナル設計)のゴムカタパルト部門で、トップエースは40m上昇50秒滞空@dead airくらいに対して、筆者は30m上昇35秒滞空と、準B級くらいですかしら。
========================================
試練の四:後宮鎮静

部屋から出ることは禁じられていない。けれど、黄金の(拷問器具付)貞操帯だけを身に着けた裸身を如何に同性とはいえ、他人の目に晒す恥辱には耐えられない。いや、今のエクスターシャには、同性だからこそという意識が強かった。たいていの場合、男性の目に裸身を晒せば、ほとんど必然に次の事象が生起して――いや、けっしてそれを望むのではないけれど。からかわれるにしろ呆れられるにしろ、あら探しや侮蔑の視線はない。
食事は、タマーシャナが運んでくれる。何度も顔を合わす(二度はふたりきりで馬車にも乗った)うちに、名前を教え合い短い雑談を交わすくらいには親しくなっていた。
だから、食事は問題ない。問題は、飲食に伴なう結果のほうだった。食事どきの他にも様子を見に来てくれるタマーシャナに頼らなければならない。そのために設けられている床下水洗の部屋へは、羞恥を堪えて往還できるけれど。いちいち腰から下の沐浴を準備するには、タマーシャナから下女に指図してもらわなければならなかった。
下女の様子を見ていると、タマーシャナは高い身分の娘らしい。寵姫付きの侍女かもしれない。尋ねてはみたけれど、含み笑いでかわされてしまった。それで、彼女への詮索は打ち切った。それどころではない。
アクメリンが査問団に逮捕されて、今日で十六日。一週間前には、査問団はマライボに滞在していたという。アルイェットからデチカンまでの道程のおよそ三分の一。まだ猶予はありそうだが、急げばマライボからデチカンまで二週間とは掛からないはず。セセイン陛下がどのような手立てを講じてくれるか見当もつかないが、そのための準備に要する期間を考慮すると――アクメリンの命が風前の灯である事実は微塵も揺らがない。
フィションクからの旅路よりも、アルイェットでの寄宿舎暮らしよりも、長く感じられた二日間だった。その間には、ひと月前には夢想すらできなかった自身の変貌ぶりとか、これからの行く末についても、あれこれと考えるところはあったが。
最初の無理難題を見事(だろうか)に解決して三日目の今日、ついにエクスターシャは、首長に引見するを得た。
その日の午後、後宮内にもかかわらず、エクスターシャは『女の封印』を抜去してもらい、入念に沐浴した。股間を自由にされた意味は言われずとも分かるので、剃刀も当てた。そうして。ただの女官よりはずっと豪奢な衣装を与えられて――セセインの前に額づいたのだった。
後宮の中だから宰相の姿はなく、手前には三人の女性が侍っている。この場に居る男性は『夫』だけであるし室内だから、面紗は着けていない。
セセインの左にいる、西方の数え方なら二十代後半か。エクスターシャと並べば頭ひとつは高いだろう女性が、第一寵姫のサナンドオだろう。右側の、冷たい感じのする異国情緒豊かな美女が、第二寵姫のハイビシャナ。サナンドオの横で小さくなっているのが第三寵姫のクリシナットか。
ちなみに、妃でも夫人でもなく寵姫なのは、メスマンが地方の一部族だった頃の屈辱に由来する。当時の正妃が敵の部族に囚われて、敵族長の慰み物にされたり裸で宴席に侍らされたり――今のエクスターシャにしてみれば大したことではないだろうが、妃よりも族長が大いに面目を失して。以来、妃は置かないことにしたという。寵姫は実質的には妃であっても、名目上は愛玩奴隷に過ぎない。奪われようが辱しめられようが処刑されようが、致命的な不面目には至らない。
かつては、この制度を有効悪用した首長もいたという。飽きた使い古しを臣下に賜って、空いた座に若く美しい処女を迎えるという。聖典の定めるところによれば、夫が一方的に宣言するだけで離婚は成立するが、元妻の側から復縁を迫ることも可能だ。臣下の妻にしてしまえば、後顧の憂いがない。
今はその歯止めも設けられていて、正式の寵姫になれるのは、男児を出産した女だけとされている。だから、エクスターシャは第四寵姫候補でしかなかった。
もちろん、エクスターシャはそういった仕組を知っていた。だから、第三寵姫の若さというよりは稚さに驚く。異郷人の正確な年齢は推し測りにくいが、この国でいう人と成ってから三年とは経っていないと見た。エクスターシャよりも若い。ということは、女となってすぐに孕んだのではないだろうか。
そんな想いは、セセインが言葉を発すると同時に掻き消される。
「そなたが如何にして難題を果たしたかは、余の耳にも達しておる。が、その是非を今は問わぬ」
言葉は遠回しな非難だったが、面白がっているように聞こえた。
「次は遥かに困難ぞ。ここにおる女どもは、極めて仲が悪い。余の前では取り澄ましておるが、三人だけにしてみろ。侍女や女官を巻き込んで三つ巴の取っ組み合いをしかねん」
サナンドオは苦笑し、ハイビシャナは表情を動かさず、クリシナットだけが俯いて申し訳なさそうにしている。
「余がそなたに与える次なる難題は、この三人を仲睦まじき間柄にせよ――というものじゃ。どうだ?」
どうだも何もない。せめて、この三人が居ない場で申し付けてほしかった。などとは、おくびにも出せない。
「およばずながら、がんばります。これには、ひにちのくぎりがあるのでしょうか?」
「一か月。ただし、そなたの侍女はリュブリナに到着したそうな。デチカンまでの行程の半ばじゃな」
一か月も経てば、アクメリンは処刑されているだろう。
「どのようなこんなんでも、かならずはたします。できないときは、どのようなばつでも、うけます。ですから、どうか、じじょをたすけるてだてを、いますぐに……」
非処女の身で謁見を願うという、首長への侮辱でも、あの程度の鞭打ちで許された。まさか、命までは取られないだろうという楽観はあった。けれど、命と引き換えてもアクメリンを救うという決意ではあった。
「余は、後払いの商売はせぬ。そなたの国の第一王女が輿入れせぬうちは、正式な同盟を結ばぬのを見ても、分からぬのか」
「おゆるしください。さかあはでした」
引き下がるしかなかった。
「では、三人を融和させること、しかと申し付けたぞ。そのためであれば、三人の居室に自由に立ち入ることを許す」
セセインが退座し、後に三人が続く。すべてを思いのままにする専制君主も、寵姫間の不和を大っぴらに認めるのを厭って、謁見の間に余人の姿はない。ひとり取り残されて、エクスターシャは途方に暮れながら居室へ引き下がった。
とはいえ、日暮れまで途方に暮れているわけにもいかない。不和の原因でもつかめないかと――せっかく人がましいお仕着せも頂いたことだし。まずは、身分の低い者の溜り場、厨房とか洗濯場とか裏庭とかを、渉猟した。
異教徒の人間ゆえに警戒されるかという懸念は、真反対だった。非処女の身でありながら入宮して、しかもいきなり主人直々に言葉を賜る、特別な娘――と思うのが当然だ。恩を売っておいて損はない。
とはいえ、重要な情報の過半はタマーシャナから得られた。
以前はサナンドオとハイビシャナが、それぞれに独立した女主人のように振る舞って、火花を散らすことはあるものの、夫に愛想を尽かされたら、男児の母君とはいえ、後宮から追い出されかねない。それは、セセインにとって不都合ではない。
寵姫は実質的に妃である。いくら君主といえど、君主だからこそ、妻は四人までという戒律は破れない。四人目は、フィションク王女のために残されている。
つまり、どちらを離婚すれば、席が空く。セセインはクリシナットより若い娘を寵姫に据えることも可能となる。
母親が寵姫でなければ、その息子が父の後を襲うことは、まず不可能だ。太子とそれ以外の息子とでは、雲泥の差がある。片や一国の君主と、その御母堂。片や臣下に降って要職に就くことも禁じられた年金生活者と、生涯の寡婦。
今のところは、首長の歳の離れた従弟が太子ということになっているが、実子がそれなりの年齢に達すれば、継承権は移るだろう。長子相続とは限らない。父親である首長の専権とはいえ、息子の資質もさることながら、母親の実家や後宮での勢力も無視はできない。
クリシナットは君主自らが見初めた娘というだけで、家柄は先の二人とは格が違う。息子も幼な過ぎる。将来に生まれる(はずの)フィションク王女の息子にしても、異国の血が混じっていれば、クリシナットよりも目はない。実際問題として、サナンドオとハイビシャナの争いである。これまでは拮抗していた。しかし、夫の寵愛篤いクリシナットを味方に着ければ――勝負は決まったも同然。
つまりは三つ巴ではなく二者の対立で、第三寵姫は被害者あるいは賞品という図式になる。
と、ここまでが見えたときにエクスターシャが思ったのは――サナンドオとハイビシャナが仲良くして、クリシナットを二人の味方にすればいいのに――だった。いずれはモジョリンをめぐって同じ奪い合いが繰り返されるだろうが、ことごとに自分を蔑んできた姉姫の去就など知ったことか。仮に第四寵姫の座を得られなかったとしても、同盟は揺るがない(だろう)。
二人が仲良くすれば、クリシナットもどちらにつくか悩まずに済む。しかし、異教徒の年下の娘の言葉に二人が耳を貸すとも思えない。夫の面前で不仲を暴露されていれば、なおさらだ。言葉が駄目なら身体で――すぐそういう思案が浮かぶのも、寄宿舎で鍛えられたせいではあった。
その線で考えるなら、二人がクリシナットを味方に付ける手段も、そうなるのではないだろうか。となると……まずは攻略される側を攻略しなければならない。
つまり。まずは人参を手に入れて、それを二頭の驢馬の前に放ってやる。二頭が争うようなら、人参を取り上げる。そのためには、人参に紐を着けなければならない。そのやり方は――寄宿舎でカッサンドラに言い寄られた経験が参考になった。あるいは、男たちに指で弄られたり口で舐められた経験も。女に男根はないが、手も口もある。
思い立つやすぐさま、エクスターシャは行動に移った。
その夜。最後の礼拝が終わってから、エクスターシャはクリシナットの居室を訪れた。事前に訪問を告げる必要もないと、君主の御墨付だ。
エクスターシャにあてがわれたのと同じ広さくらいの部屋が四つ、中央の柱と薄い帷幕で仕切られている。そのひとつは湯浴みの場になっている。さすがは寵姫の居室だった。
クリシナットは奥の部屋から出て来て、歓談用の設えられているらしい部屋でエクスターシャを迎えた。
居室にはクリシナットひとりきりで、彼女の息子は居なかった。乳母が面倒を見て、母親は短時間の『面会』しか許されないという。それぞれに背景のある母親の影響を排して、幼時から帝王学を学ばせるためだとは、似たような境遇だったエクスターシャには察しがつく。ともかく、これで、母親ではなく年下の娘と女同士の話ができる。
「あなたは、ほかのふたりから、ねたまれているのですか?」
クリシナットはきょとんとしていたが、三人の妻に注ぐ夫の寵愛の濃淡を尋ねられていると知って、淋しそうに笑った。
「戒律は、すべての妻に同じ愛情を注ぐように定めています。夫は敬虔な信者です」
その言葉と淋しそうな表情とから、寵愛は濃淡ではなく一様に淡いのかと疑った。
「夫は、メスマンの国のすべてを仕切っています。ひとつの部族をまとめるだけでも大変ですのに、今は十を超える部族に命令しなければならないのです」
そのために宰相が置かれているのだし、役人もいる。とはいえ、そういった連中に任せきりにしていては、メスマンが周辺の小国を併呑して覇王の道を歩めるはずがないと――フィションクを反面教師として、理解できた。
「では、よるになっても、へいかは、ここにきてはくださらないのですね」
「誰の寝所も、夫は訪れません。夫が、妻を寝所へ呼ぶのです」
「ごめんなさい。わたしは、このくにのしきたりを、あまりしりません」
セセインが三人の妻の誰も寝所に呼ばない夜が多いとは、見当がついた。
「では、おわかいのに、へいかのてでひらかされたはなを、めでてはもらえないのですね」
精一杯に言葉を飾りながら――エクスターシャは、自分にあてがわれた椅子から立って、クリシナットの座る長椅子に並んで腰掛けた。
クリシナットは無礼を咎めなかった。気を許しているというより、エクスターシャの立ち位置を見極められないのだろう。公衆の面前で素裸を鞭打たれ、しかし破天荒な姿で引見を許され、後宮に部屋を賜りながら女を封印されて。今また、三人の妻の不和を宥める役目をおおせつかっている。
嗜虐という視座に立てば容易に理解できるのだが、それはクリシナットにはない。エクスターシャは、セセインを理解しようとはせず利用することしか考えていない。
エクスターシャはクリシナットの太腿に手を伸ばした。
「おんなのわたしからみても、あなたはかわいらしくて、ついさわってみたくもなるというのに」
なにか気の利いた口説き文句はないものかと、これまでに身体で知った男たちの言葉を思い返してみたが――そもそも、まともに口説かれたことなどないのだった。力ずくで押さえ込まれるか、初手から諦めて脚を開くか。男は本能の赴くままに振る舞い、エクスターシャは男の機嫌を損ねないように演技する。官能の演技は、次第に不要になっていったけれど。ともかく、男たちとエクスターシャとの関係を、異教徒の娘と寵姫との関係に当てはめるのは無理だった。
クリシナットは戸惑いながら、とりあえずはエクスターシャの愛撫(とは、自覚していないだろう)を受け容れている。どこまでおとなしくしていてくれるか危ぶみながら、エクスターシャは裳裾の上からクリシナットへの愛撫を続ける。
「あなたは夫のようなことをなさるのね?」
まったく性感を刺激されていないのか、クリシナットが不思議そうに尋ねる。
子供まで産んでいるはずなのに、性的にはまったく未熟なのかと、エクスターシャは疑って。それはおおいにありそうなことだと、考え直した。エクスターシャでも、海賊どもに犯されるまでは性にまったく無知だった。そのままの状態で、ただひとりだけの男に、せいぜい三日に一度(四十を過ぎた男が三人の妻を平等に扱おうとすれば、それがせいぜいだろう)抱かれているだけだったら、肉の悦びなど知らずに生涯を終えていたかもしれない。
それなら、私が教えてあげなければ。エクスターシャは、使命感のようなものに燃えた。どんなおいしい料理を食べようとも、春のそよ風に肌をくすぐられようとも、昔物語に時が経つのも忘れて聞き入ろうとも――身体に刻まれる屈辱すれすれの快楽には遠く及ばない。あの快感を知らずに生涯を終えるなんて、女として生まれてきた甲斐がない。
基督教においても、同性愛は姦淫よりも厳しく禁じられているが、「恥ずべき情欲」とか「自然の関係を自然にもとるものに変えて」とか、抽象的に過ぎて、何をすべきではないのか、エクスターシャには理解できない。
女同士で手をつなぐのは? 抱き合うのは? 接吻は? 肌をまさぐるのは? 淫裂に口づけるのは? 男女共通の穴に指を挿れるのは?
どこからが神の怒りに触れるのだろうか。
エクスターシャが理解しているのは、クリシナットを手なずけなければ先に進めず、身代わりとなってくれたアクメリンが処刑されてしまうという、それだけが鮮明だった。
エクスターシャはクリシナットの肩を抱いて(逃げられないようにして)、顔を近づけて唇を重ねた。もちろん、舌を差し挿れて貪ったりはしない。
「むうう……?」
クリシナットはエクスターシャを突き放そうとしたが、何も知らずに戸惑っている娘が、命懸けの娘に抗えるはずもない。
エクスターシャは左手でクリシナットを二の腕ごと抱き締めながら、右手を乳房に這わせた。布地越しに鷲掴んで、思っていたよりもずっと豊満なのに驚いた。掌に湿りを感じて、思い当たる。子供を産んでしばらくは(何か月なのか数年なのかまでは知らないが)乳が出る。だから大きいのだ。
クリシナットの襯衣が、はっきりと濡れて。甘い匂いに蒸れる。
「あ……気持ち良い……」
乳が張るとつらいと聞いたことがある。出す物を出す気持ち良さだなと、エクスターシャは不謹慎なことを考えてしまう。でも。尻穴に抽挿される快感も、それと似ているところがある。
性的な後ろめたさを考えずに済む快感を羨ましく思いながら、エクスターシャはクリシナットの前をはだけて乳房を露出させ、そこを自分の脱いだ襯衣で包む。
「こうすればいいのですか?」
赤ん坊への授乳も乳牛の乳搾りも見たことはないけれど、女の本能に従って乳房を根元から先端へと向かって強くしごいた。たちまち、襯衣が濡れていく。
この快感では駄目だ。性的な後ろめたさがあってこそ、他人ではなくエクスターシャを頼るようになる。
エクスターシャは乳房から手を放して、クリシナットの脚を割って裳裾の中に手を滑らせた。
さすがに、クリシナットも抵抗する。
「やめてください。そこに触れていいのはセセイン様だけ……」
抗議の声を口でふさいで。エクスターシャの指が、強引に下穿きの奥へと潜り込む。こういう強引なやり方しか、エクスターシャは知らない。カッサンドラの誘いに乗って、女同士のやり方を学んでおけば良かったと――後悔したところで、気後れするだけだ。
「むううう……む゙ゔゔ」
はっきりと、クリシナットが拒む。しかし、今さら後へは引けない。無理強いにでも快感を教え込んで――そう、男が女を征服するように。
エクスターシャが知っている快感は、女穴の中にはない。淫裂の上端に淫核を探った。
……ない。
エクスターシャは自身のそこしか知らないが、それとはずいぶん様子が違っている。淫裂の合わせ目は、ふだんは小さな肉の塊みたいな感触が指にあるだけだが、気持ち良くなってくると、固く尖ってくる。しかしクリシナットは、むしろ浅くくぼんでいるように感じられた。
それが割礼によるものだとは、エクスターシャは知らない。異教徒の習俗を学んだとき、慎み深い家庭教師も、この問題は避けて通れないと判断して、最小限のことだけは教えてくれている。それによると、包皮をわずかに切除して実核を露出させるというものだった。男性も同じようにして、赤ん坊のときから亀頭を露出させるのだと、もっとずっと婉曲的な言い回しで教わった。長じてから改宗した者は免除されることもあるというが、エクスターシャは、もしもササインが望むなら受け容れるしかないと、国を発つときから覚悟を決めていた。
しかし、まさか――淫核その物を切除するやり方もあるどころか、淫唇を縫い合わせて、初夜に男性が刃物で切り裂いて使えるようにする習俗も一部地域にはあるなど、知るはずもなかった。
だから単純に、生まれつきか怪我による欠損だと思った。生まれつきであろうと怪我であろうと。では、どうやって肉の快感を教え込むか。
エクスターシャにとって、それは自明だった。
指を下にして淫裂を撫で下ろし、身体をひねって上体を押し付ける体勢でクリシナットの腰を浮かし、右手をさらに深く差し入れて会淫の向こうを指でまさぐる。尻の谷間の小さな窪みに指先が達した。
「ひゃあ゙っ……?!」
すっとんきょうな悲鳴を上げて、クリシナットが立ち上がろうとする。それを予期していたエクスターシャは、余裕たっぷりに押さえ込んで。さらに手を尻の奥へとまわす。クリシナットは、エクスターシャの掌の上に尻を落とした形となった。
「やめてください……汚いです」
「あなたに、きたないころなんか、ないです」
自分なら、たとえばモシュタル船長に、こんなふうに言われたい――と思うことを、クリシナットの耳元に囁く。
「それに……きもちいいでしょ?」
囁きながら、尻穴をくすぐる。
「気持ち良くなんか、ない。すぐにやめてください」
クリシナットの声は硬い。本気で厭がっている。それでも、エクスターシャは責め続けるしかない。ここで引けば敵に防御を固めさせて、二度と責める隙を見出だせなくなる。王女としての嗜みを越えて、姉だけでなく兄にも負けまいとして、軍学の初歩までも齧っている第二王女だった。もっとも、軍略に照らせば、余りに準備不足で短兵急な決戦ではあった。
それでも。事ここに至らば突貫あるのみ。エクスターシャは中指の腹を穴に押し付けて、ぐりぐりとくじった。
唾で湿してもいない指は、相手が緊張していれば、たとえ一本でも挿入は不可能に近い。結果、穴の周囲の皺ばかりを刺激する。しかし、結果としてはそれが良かった。実のところ、内部の感覚は鈍いのだ。
「あっ……やめて……いやああああ」
クリシナットは拒絶の言葉を繰り返しながら、その響きは次第に蕩けていく。
いける――と、エクスターシャは判断した。長椅子から降りて、クリシナットを俯せに押し倒す。力は入れず形だけ背中を押し付けている左手から、クリシナットは逃れようとしない。
「あっ……?!」
裳裾を捲り上げるとさすがに両手を突っ張って起き上がろうとしたが、左手に上体の重みを乗せて封じた。手早く下穿きを膝までずらして。エクスターシャは床に膝立ちになって、両手でクリシナットの腰を抱えながら、その尻に顔をうずめた。
男に、尻穴を舐められた記憶はない。けれど、使い方は女穴も尻穴も同じだ。ならば、舐めれば指よりも感じるはず。
初めて見る他人の(でも自分のでも)尻穴は、赤紫のくぼんだ花弁だった。微かな臭いは苦にならない。どころか、芳香にさえ感じられる――のは、エクスターシャも、これからする行為に性的な興奮を禁じ得ないからだろう。
「なにをなさるのですか……ねえ?」
言葉ではなく舌で、クリシナットの問に答えた。かすかに、ぴりっとした苦みを感じたが、それもエクスターシャの興奮を高める。クリシナットのほうは。
「ああっ……なめてらっしゃるの? やめてください。いやあ……あああっ……」
こんなときには拒否の言葉を真に受けたらぶち壊しになる。とは、エクスターシャ自身が身に沁みて知っている。舌で丹念に皺を舐めて。唾を溜めては、くぼみの中心に塗りつける。舌を尖らせてつつくと、そこは柔らかくなっていた。
エクスターシャは顔を上げて、舌のあった箇所に指を突き立てた。今度はたいした抵抗もなく、ずぶずぶと中指が挿入(はい)っていく。
「あああああっ……やめて。ほんとうに、やめてください。人を呼びます!」
いきなり大声を出さなかったことが、クリシナットの心の底の想いを伝えている。同性として、それがエクスターシャにも分かる。エクスターシャは左手でクリシナットの口をふさぎ、右手は下穿きを膝から抜き取って。それを口に詰めた。そして、乳に濡れて重くなった襯衣の袖で、クリシナットを後ろ手に縛った。
絶対専制君主の寵姫に、このような乱暴を働いたとあっては、打ち首は免れない。もしも、クリシナットが訴えれば。
しかし、エクスターシャには分かっている。言葉を封じられ手の自由を奪われては、クリシナットはエクスターシャの乱暴を受け容れるしかない。それを望んだからこそ、「人を呼びます」などと告げたのだ。
果たして。クリシナットは無駄な抵抗をやめた。あらためてエクスターシャが尻穴に指を挿れても、ぴくっと腰を震わせただけで、おとなしく――次は何をされるのかと、期待に胸を震わせている。その証拠に――女穴の縁に、透明な煌めきが滲んでいる。
エクスターシャは、尻穴を指で念入りにくじられた経験はない。男ときたら、すぐに伝家の宝刀を突き立ててくる。エクスターシャを花開かせるにあたってもっとも功績のあったミズン・モシュタル提督といえど、例外ではなかった。
だから、エクスターシャの愛撫は、文字通りに手探りだった。深々と突き挿れ、中で指を曲げて女穴の裏側をつついてみたり。淫核があったはずのあたりを、左手で揉んでみたり。クリシナットの努力は、着実に実を結んでいく。
下穿きを口に捻じ込むときに、つい手加減していたのだろう。クリシナットは簡単に詰め物を吐き出して――しかし、大声は挙げなかった。
「あっ、あああ……いやです。やめて……お願い。虐めないで……」
まるで処女のように可憐に喘ぐクリシナットを、さらに追い上げながら、その声の奥に不満を敏感に聞き取った。
寄宿舎での体験こそなかったが、黄金の貞操帯が、不満の解消に手懸りを与えてくれた。男根の代わりになる物を使えば良い。
そこで、エクスターシャは、もうひとつの戒律に突き当たった。偶像の禁止である。これは、ただ偶像を拝むのを禁じるという緩やかなものではない。彫刻も、肖像画でさえ禁止されている。だからこそ、アクメリンが身代わりとして輿入れする案には成算があったのだが。
模造男根など、どこにも存在しないだろう。みずから木を削って作っても――そんな経験は皆無という問題はさておいても、発覚すれば処罰されるに決まっている。たとえ後宮内にセセインの目と耳が配されていても(いるに決まっている)、この部屋には二人以外の誰も居ないのだから、直接には見聞できない。告げ口は推測によるものとなる。しかし、証拠の品が残れば、そうもいかない。
そんなことをこの場で考えていては、指の動きもおろそかになる。エクスターシャは、この問題をしっかり頭に留めておいて――とにかく、クリシナットを出来るだけ追い上げることに全力を尽くした。
もう、身体を押さえつけなくても、逃げられる懸念はない。クリシナットを長椅子に俯せに寝かせたまま、エクスターシャは位置をずらして、右手で尻穴を激しく愛撫しながら、身体の下に左手を差し込んで、乳房をこちらは優しく揉んだ。
「お願いだから……やめて。なんだか、変……宙に浮かんでるみたい。お尻からおっぱいまで、稲妻が奔り抜けてるみたい。こんなの……初めて」
では、セセインは。寵姫だけで三人。どうせ、他にも手を付けているだろうに。いや、だからこそ。ひとりの少女を女として開花させることなく、蕾を食い散らかしているのだろう。海賊に拐われてほんとうに良かったと――そんなことを考えてしまう。
「もうやめて……おかしいの。まるで……身体が透き通っていくみたいで……」
自分の感じ方とは違うんだなと、エクスターシャは不思議に思った。男は、快感の絶頂で精を放つとき、誰も彼も同じような反応をするというのに。
「だめ、だめ、だめ! 身体が……なくなっちゃうううううう!」
クリシナットが長椅子の上で反り返って――数瞬、塑像のように凝固した。
逝った。けれど、まだ大きな山の中腹にある峠に達しただけに過ぎない。エクスターシャは自身の経験と照らし合わせて、そう判断した。頂上まで追い上げるには、指では無理だろう。なにか、模造男性器に代わる物を、戒律に触れない物を考えよう。
エクスターシャ自身は、セセインを怒らせないという観点からしか、戒律を考えていなけれど。クリシナットには、性感を帳消しにするくらいの重大事だろう。エクスターシャとて、十字架の前で男と媾合うなんて、絶対に出来ない。
半裸のまま長椅子に突っ伏したクリシナットの背中と尻を撫でながら、エクスターシャは、十五分ほどもその場にとどまった。埒を明けるとすぐに部屋を出ていく男に不満をかこっていたから、逝った後の穏やかな戯れはクリシナットの心に沁みるだろう。
やがて、クリシナットが正気を取り戻す。エクスターシャは、彼女の身繕いを助ける。
「あなたの襯衣を汚してしまいました」
クリシナットが、持ち衣装の中から、襯衣だけでなく(ひと揃いになっているからと言って)下着を含めて一式を貸してくれた。ほんとうは譲ってくれると言ったのだが、エクスターシャが断わった。
「きれいにあらってから、かえしにきます」
再訪の口実になる。クリシナットも、嬉しそうに頷いた。
部屋へ戻って落ち着いて考えると、男根の代わりになる物はいくらでもあった。となると、後でセセインに知られても難癖をつけられない品が良い。後宮内で『棒状』の品を容易に入手できる場所は厨房だろう。しかし、人参や胡瓜のような食材はやめておくべきだ。どの宗教でも、食べ物を粗末にすることを禁じている。上の口で食べるよりも下の口で食すほうが、よほど有意義だとは思うが、それを認めてくれる聖職者――こっちの宗教では神学者などいない。
となると、擂粉木か麺棒。使い古して捨てるような物があれば好都合だ。
翌日になって早速、エクスターシャは厨房へ赴いた。寵姫や侍女など身分のある女は寄り付かないから、エクスターシャの訪問は迷惑だったに違いない。
「それは、まだつかえるのですか。すてないのですか?」
仕事の邪魔をされたくないし、機嫌を損じたら罰せられるかもしれないので。じゅうぶん使用に耐える品でも譲ってくれた。エクスターシャはクリシナットの馴致だけでなく、三人の融和についても、考えがまとまりつつあった。ので、擂粉木を二本と麺棒を一本、譲り受けたというか、召し上げた。ついでに、腰掛けるには幅が小さすぎる木箱もひとつ。
この木箱は、大工に細工を頼まなければならない。後宮の外へ出してもらえるか不安はあったが、寵姫でさえ貞操帯と護衛兼見張が付けば許されるのだから、正式な後宮の女ではない自分なら大丈夫だろうと――心配の先取りはやめておいた。
クリシナットに使おうと考えたのは、麺棒だった。ただし、一方的に責めるのではない。自分も少しは愉しみたいという想いはあるけれど、それが主目的ではなく、三つ巴を念頭においてのことだった。
厨房では包丁も借りようとしたが、刃物の持ち出しは厳禁と断わられた。けれど、エクスターシャは困らなかった。世話係ではないものの、頻繁に居室を訪れるタマーシャナに頼むと、すぐに持って来てくれた。この娘も、エクスターシャとは別の意味で、後宮内における特別な存在らしい。なにしろ、君主の間近に侍り、直々に命を受けて動くのだから。もしかすると、セセインの目と耳だろうか。
そんな物騒な人物に刃物だの紐だのを堂々とねだるエクスターシャは、常軌を逸しているのだが。彼女には、彼女なりの覚悟がある。教養を修めているとはいっても、エクスターシャは、しょせん世間知らずの箱入娘である。このひと月ばかりでずいぶんと荒砥に掛けられたけれど、きちんとした刃にはほど遠い。何もかも開けっ広げにしておいたほうが、いっそ、セセインのお目こぼしに与れるかもしれない。それに。事が成らねばアクメリンの命はない。彼女が死ぬときは、エクスターシャも死ぬ。自害は神様がお許しにはならなけれど、最後の最後には、自分の命と引き換えにアクメリンの救出を嘆願する。二人の娘を生かすか、二人とも殺すかを、セセインに選ばせる。
命を棄ててかかれば、怖いものなどない。だからエクスターシャは、タマーシャナの見ている前で堂々と、麺棒の細工に取り掛かった。
エクスターシャが調達して麺棒は、三種類の太さがあったうちのもっとも細い物で、怒張した男根よりはひとまわり細い。握り柄は付いていない。完全な円筒になっている両端の角を丸めて。端から指幅三本分くらいのところを浅く削り込んで、縒った紐を巻きつけた。
ここまでの作業で指に三か所、掌に二か所の切り傷を創ってしまった。さらに、中央には深い溝を彫って、長い紐を二本巻き付けて両端を伸ばす。
「ふふん。なるほどね」
ずっと見ていたタマーシャナは、エクスターシャの目論見を見破って、いつもの嘲笑めいた微笑を浮かべる。
「いちおう忠告してあげるけど。肌と肌とが触れ合うのは、好ましいことじゃないよ」
性的接触のことを言っているのだと、エクスターシャは理解した。
「ありがとうございます。なにか、くふうをしてみます」
また厨房へ行って、小さな壺の木蓋をもらった。これに穴を明けて、麺棒の真ん中に縛り付けた。
その夜。やはり夜の礼拝の時刻が過ぎてから、エクスターシャはクリシナットの居室を訪れた。やはり、クリシナットはひとりだった。
「これを、おかえしします。ありがとうございました」
自分で洗って干して畳んだ衣類を入れた籠をクリシナットの前に置いて。まとめて取り出して。その下には、細工したばかりの麺棒が隠してあった――のは、そのままにしておいた。
昨夜と同じように、クリシナットと並んで長椅子に腰掛けて。もはや言葉は不要。肩を抱きよせて接吻をした。思っていたよりも、クリシナットの身体が固くなっている。彼女にとって、尻穴と姦淫とは結びつかないけれど、接吻はその最初の段階――そういう認識があるのだろうと、エクスターシャは推測した。
ならばと、接吻は早々に切り上げた。クリシナットの襯衣をはだけ、今日はちゃんと用意してきた手拭を乳房にあてがって乳を搾ってやった。クリシナットは心地よさそうに、乳房をエクスターシャの手に委ねている。
「あ、はああ……んん」
ただの気持ち良さではなく、性的な官能の響きが混じっていた。それでも、エクスターシャに身を委ねきっている。日常的な快感と性的な官能の区別がついていないのではなかろうか。
エクスターシャは乳を搾り終えると、みずからも襯衣を脱ぎ胸当も取り去って、上半身裸になった。クリシナットの乳房を軽く愛撫しながら、襯衣を脱がす。
抱き合って、乳首と乳首を擦れ合わせた。男女だったら、こういうことはしない。だから、これは姦淫とは結びつかない女同士の戯れだ。などと説得はしないけれど。クリシナットも行為を素直に受け容れ――ぴくんぴくんと背筋を震わせて、官能の高まりを表出している。
軽く乳首を擦れ合わせる。あるいは、エクスターシャのささやかな乳房で、クリシナットの豊満な乳房を押し潰す。両者の柔らかさと変形の度合いからすると、そういう表現になる。
クリシナットの吐息が甘く蕩けてくると。エクスターシャは戯れを中断して裳裾を脱いだ。さらに下穿きも脱ぐと、素裸を飾る黄金の貞操帯。
「まあ……」
後宮の中庭で百人からの女の見世物にされながら、エクスターシャが女を封じられた場には、寵姫はひとりも立ち会っていなかった。クリシナットが貞操帯を目にするのは、これが初めてだろう。それとも。エクスターシャが身に着けているのは初めて見たとしても、自身が外出するときには、同じような貞操帯を装着された経験はある……のだろう。クリシナットは、すぐに目を逸らした。その自然な目の動きは、羞恥とか嫌悪ではなく気遣いだと、エクスターシャは感じ取った。小さな嘆声は、タマーシャナが馬車の中で言った通り、装着する必要のない場で装着させられていることへの、違和かもしれない。
エクスターシャは、貞操帯などまったく気にしていない振りをしながら、クリシナットも素裸に剥いた。やはり、抵抗はなかった。
エクスターシャに、ふと疑問が生じる。ほんとうに、この行為が姦淫とは無関係だと、この稚い寵姫は思っているのだろうか。それとも。空閨の淋しさを埋めるために、ある程度までは戒律を破る覚悟で臨んでいるのか。
どちらにせよ、今のところはエクスターシャの思惑通りに事が運んでいる。この流れを妨げないことだけを考えよう。
昨夜と同じ手順で、まずは並んで座った体勢で指による尻穴への愛撫。口をふさいだり手を縛る必要はなかった。じゅうぶんに揉みほぐしてから、クリシナットを俯せにして、舌による愛撫と乳房への刺激。
「ああ……お姉様。わらわは……もう」
おや、とエクスターシャは思った。たしかに、エクスターシャのほうが年上だろう。しかしクリシナットは、絶対的支配者の寵姫という、この国の女たちの頂点に立っている。それなのに、エクスターシャをお姉様と(うっかり)呼んでしまう。そこに、この(子を成したとはいえ印象としては)少女の本質が透けているのではないか。エクスターシャは、三人の寵姫が仲睦まじく交わる絵図に若干の修正を加えた。
舌でほぐして潤滑も与えて。指一本を尻穴に挿れて。刺激を与えると同時に、意図して内側の汚れをこそぎ取っては、用意しておいた襤褸布で指を拭う。そのあいだにも、クリシナットの喘ぎ声は高まっていくのだが。
エクスターシャは、ついと立ち上がった。
「ああっ……まだ……」
逝っていないのにという言葉までは、羞ずかしくて口に出せない初心な少女。
エクスターシャが籠から奇妙な道具を取り出すのを、俯せの身をよじって眺めている。
エクスターシャは、麺棒の一端(を巻く紐)に、用意しておいた脂を塗った。室温でも軟らかく、じゅうぶんに潤滑の役を果たす――のは、確かめてある。
あまり無様な姿は(クリシナットが気後れするだろうから)見せたくないけれど、これから何をするかは理解して、出来れば納得して、欲張れば期待してもらいたい。
エクスターシャは後ろ向きになって、しゃがんだ。麺棒を床に立てて片手で支え、そこへ向けて腰を落としていく。
「まあ……?!」
指でくじられるのは二度目でも、そこに男根と同じ大きさの『物』を挿れるなど、考えつきもしなかったのだろう。クリシナットは興味津々の目つき。しかし、そこに羞恥の感情はない――と、見られているエクスターシャには分かる。
うろたえ騒がれるよりは良い。
「はあああああ」
お手本を見せるという意識から、ことさらに大きく長く息を吐いて全身を弛緩させて。麺棒の丸くした先端が尻穴にぴったりの位置で突き当たると、一気に膝の力を抜いた。
めりめりと肉を引き裂く勢いで、麺棒が押し入ってくる。雁首の代わりにと、彫った筋に巻いた紐が、穴の縁を掻き毟って、鋭い(けれど軽い)痛みと、それに十倍する快感と。
「はあああ……んんん」
クリシナットを意識しての喘ぎだったが、演技ではない。男に突っ込まれて手放しの快感を得られるのは、この穴だけだった。口は、自分で唇に触れても何も感じないし、男根を咥えさせられると、如何にも凌辱されている、欲情処理に使われているという惨めさが――それはそれで、胸がきゅんっと締め付けられるような感情も嫌いではないけれど、心の問題であって、肉体的な快感はない。
つまりは、エクスターシャはまだ悦辱のきざはしに足を掛けているだけで、本格的な、あるいは牝としての法悦境である悦虐からは遠いのだが、もちろん当人には分からないことだ。まして――この頃、アクメリン・リョナルデは過酷な拷問のさなかに絶頂を覚えるようになっていたなど、知る由もない。先を急ぎすぎた。アクメリンの物語は後編を待とう。
話を戻す。エクスターシャが、他のこなれた女のように本来の部分で、乱れ悶えるほどの快感に達さないのは、妊娠への不安があるからだと自覚している。イレッテが不妊の方策を施してはくれたけれど、それが迷信に基づくものでないという証拠はない。銀の匙を咥えて生まれる赤ん坊だっているのだから、小さな銅貨にどれほどの御利益があるか、知れたものではない。
それが証拠に……今も女穴に埋め込まれ施錠されている貞操帯の留め金具は、妊娠の心配など皆無だから、全く動かないというのに、今にも引き裂かれそうな痛みよりも、それだけ圧迫される快感のほうが強い。もしも封印されていなければ、この麺棒を挿入するだけでなく抽挿もして、大きな快楽を得られるものか試していただろう。
しかし、麺棒は尻穴でしか試せなかった。その結果は。少なくともエクスターシャにとっては、これしきの太さでは苦痛もなく、それだけ快感も淡かったけれど。クリシナットには、生まれて初めての……苦痛よりも快楽が勝ってくれればいいのだけど。
麺棒の真ん中に取り付けた木蓋が尻につかえて、物足りない深さで麺棒が止まった。エクスターシャには物足りなくても、クリシナットにはじゅうぶんに過ぎるだろう。
尻から硬く短い尻尾を生やした珍妙な姿でクリシナットに近づいて。手を引いて床に誘なった。言葉を添えようとすると「よつんばい」とか「いぬのように」など、相手に惨めさを感じさせてしまうので、無言で身体に触れて――長椅子上体を乗せて膝を突き、尻を突き出した格好にさせる。
そうしておいて。後ろ向きになって四つん這いでクリシナットに近づく。脚を開いて、クリシナットの両脚を間に挟む。さらに後ずさると麺棒が尻に突き当たる。エクスターシャは指先でクリシナットの尻穴を探り当て、そこに麺棒の先を導いた。
「ゆっくりと、いきをすって、はいて、くりかえしてください。すこしだけいたいですが、がまんしてください。きもちよくなります」
クリシナットが深呼吸を始めると、吐き出す瞬間に合わせて尻を突き出した。ぐうっと、柔らかな反発。仕切にしている小壺の木蓋が尻を押し返す。クリシナットは前へ逃れようとしてもがくが、長椅子の背凭れに突き当たって、動けない。
エクスターシャが麺棒の先を握ってわずかにこねくりながら、さらに尻を突き出す。ぐぼっと嵌まり込む感触が、エクスターシャの尻穴に伝わった。
「きゃあっ……」
クリシナットは悲鳴を上げかけて、みずから手を口に当てた。
「痛い……」
居室の外まで声が漏れるのを恐れて、囁くように訴える。
「いれおわったから、いたみは、ちいさくなったでしょう?」
クリシナットは無言。消極的な肯定と、エクスターシャは都合良く解釈する。とはいえ、いきなり抽挿するのは逆効果と考えて。
「こんどは、できるだけ、おしりにちからをいれてください」
ぴくんと麺棒が跳ね(ようとし)て、クリシナットがエクスターシャの言葉に従ったのが伝わった。
エクスターシャは逆に尻穴をできるだけ(物足りない思いに締め付けそうになるのを堪えて)くつろげる。そして、膝を使って身体を前後に揺すった。麺棒はクリシナットに固定されて、エクスターシャの尻穴を深く浅く抉り始めた。
「ああっ……あんんんん」
雁首に相当する溝と紐を、実物より奥に設けたのが良かった。紐が穴の縁を擦るまで尻を引いても、抜け落ちる懸念がない。紐の部分が出入するたびに、毛羽が縁を刺激する。わずかな拡張感が、物足りなさを埋めてくれる。
「あん、あん、あん……いい。逝っちゃいそう」
これまでと同様、演技ではなく誇張だ。
しばらくは、小腹を満たす間食くらいに味わってから。
「こんどは、おしりのちからを、ぬいてください」
男根がわずかに萎えたような感触が、エクスターシャに伝わった。そうしたときにしていたのと同じに。エクスターシャは尻穴をうんとすぼめた。麺棒が膨らんだような錯覚。
尻を前後に揺すっても、麺棒は中で動かない。つまり、クリシナットの中で動いている。
「ああっ……いたい。やめて……」
訴える声の中に、微かな甘美が混じっている。
エクスターシャは麺棒に指をあてがって、尻穴に感じるわずかな引っ掛かりが、まさに紐が出入りする瞬間だと確かめてから。そこを狙って、小刻みに尻を振った。
「あっ……?! あっ……あっ、あっ、あっ……」
クリシナットの喘ぎ声から苦痛の色が薄れて、知り初めた官能が濃くなっていく。
これは……?
目論んでいた通りに事が運んでいるとはいえ、あまりに順調だった。女穴より尻穴が感じる稀有な女として、海賊の間では名を馳せた(?)エクスターシャでも、はっきりとした快感を得たのは、数度の陵辱を経た後だった(と、本人は思っている)。
クリシナットには、自分よりも素質があったのか。
盲目になった者は聴覚が常人より鋭くなる。女として最大の快楽を得られる器官を切除されたクリシナットにも、それと同じような代償作用が生じているとは、エクスターシャの知識と経験では理解できない。しかし、理解できなくても、クリシナットを絶頂へ導くことはできる。
エクスターシャは、自分がどうされたときに感じたかを思い返して、男の動きを現在の体勢に置き換えて――頭は混乱しても、身体は本能に従って動いた。膝を伸ばし気味にして尻を突き上げ、そのまま木蓋に押し返されるまで後ずさった。腸の内側を背中に向かって押されて、内蔵を抉られる感触はエクスターシャの快感とつながらないけれど。クリシナットは女穴の裏側を圧迫されて、そこには快感の塊がひそんでいるはず。
「だめえええっ……なに、これ?!」
はたして。クリシナットの声が稚く裏返った。
正鵠を射たと――エクスターシャの動きが、男の荒腰さながらに激しくなった。こんなに乱暴に突かれては自分でさえも辟易するだろうとは、思い至らない。
しかしさいわいなことに、クリシナットにはエクスターシャを上回る素質があったのだろう。苦痛と恥辱の中に愉悦を見出だしていく。
「あああっ、だめえ! 身体が……消えちゃう! はじけちゃう……!」
外に嬌声が漏れるのも忘れて、クリシナットは絶叫しながら官能の頂きに達した。そのまま、ぐったりと虚空を漂う。
エクスターシャは、男にそんなふうに扱ってほしいと思いながら、ついに今までそうしてもらえなかったことを、クリシナットにしてやった。麺棒はクリシナットから抜去しただけで自分のことは放置して、突っ伏しているクリシナットの背中におおいかぶさって、肩を愛撫して髪を指で梳いてやる。必ずしも姦淫とは結び付かないけれど、ほんのりと官能を掻き立てられる部分への愛撫は、宙たかく砕け散った魂を優しく地上へ降ろしてやる大切な儀式だ。女であれば、誰に教わらずともされずとも、本能的に知っている。
そうやって、エクスターシャは。二度目の総攻撃で絶対君主の第三寵姫を陥落させたのだった。
次は第一寵姫、サナンドオの番だった。セセインが寵姫の不和をあけすけに語ったとき、ハイビシャナがまったく表情を動かさなかったのに比べて、彼女のほうには攻略の取っ掛かりがありそうに思えたからだった。そしてエクスターシャは、ほんの数分のお目通りではあったが、サナンドオはクリシナットとは正反対の性格であるように感じている。
後宮の誰に尋ねても、第一寵姫の内面を窺わせるような打ち明け話はしてくれない。タマーシャナでさえ。となれば、己れの直感に従って――当たって砕けるしかない。砕け散る結末にならぬことを祈りながら。
エクスターシャがサナンドオの居室を訪れたのは、クリシナットを落とした翌日。アクメリンが査問団に連れ去られてから十九日目の夜だった。クリシナットとは違って、侍女が二人も付いていた。人払いを願っても。
「この者たちは、わらわの腹心じゃ。口性無(くちさがな)い雀とは心構えが違う」
その上で。
「なにゆえに、わらわを訪(おとの)うたえ? 口上を聞こうか」
詰問口調に、エクスターシャは逡巡した。心積もりが、ことごとく外れている。しかし。言ってみれば、軍勢は城門に攻め寄せている。兵を引くに引けない。
「はい。クリシナットさまにうかがいましたところ、さんにんのもとに、わがきみは……」
「セセイン陛下は、そなたの夫(つま)ではない。言葉に気を付けよ」
揚げ足取りもいいところだが、異教徒の穢れた女が、寵姫に逆らえるはずもない。
「ごめんなさい。このくにのことばに、なれていません」
やはり、兵を引くしかない。全滅しては再起できない。もしも、これが戦争なら、エクスターシャは判断の遅滞を糾弾されて、処刑されていただろう。しかし、女同士の戦いでは、長っ尻が幸運の女神の後ろ髪を掴むことだってある。
「それで……何を持参したのじゃ?」
「は、はい……」
サナンドオが指摘した通り、エクスターシャは昨晩と同じ籠を提げていた。下着に至るまで貸し与えられているエクスターシャに、寵姫に献上できる品などない。昨夜の小道具に加えて擂粉木も一本。その上に布を掛けているに過ぎない。まさか、寵姫ともあろう高貴な女性が、物欲しげに籠の中身を尋ねるとは、これもエクスターシャの予想外だった。所詮は小娘の浅知恵と無鉄砲。
エクスターシャが返答に窮していると。サナンドオが、アルイェットの寄宿舎で男どもを手玉に取っている女さながらに、パチンと指を鳴らした。
侍女のひとりが優雅な身ごなしで、しかし素早く近づいて来て、エクスターシャが慌てるより先に籠を取り上げてしまった。
「ほほほほほ。これかえ? クリシナットを鳴かせた道具は」
麺棒の真ん中に巻かれた紐の端を摘まんで持ち上げ、サナンドオが意地悪く尋ねる。
「昨夜は、この紐を使わなかったようじゃな。何のための紐じゃ?」
この場で使って見せろと――行なうはたやすいが、屈辱きわまりない行為を命じる。おそらく、使い方は分かっているのだろう。蛇のような冷たい眼差しを向けながら、唇は嘲笑に歪んでいる。
「ごめんなさい。よるおそくに、おとれずましたとこを、おわびもうすあげまし」
エクスターシャはしどろもどろに、この場から逃げ去ろうとしたが、侍女に二人掛りで取り押さえられてしまった。
「断わりもなしに退散しようとは、不届きなやつじゃな。女の園と思うて侮るでないぞ。女の衛兵もおれば、この二人のように武芸者もおる」
衛兵の姿は、折りにつけ見掛けている。外へ通じる門の向こう側は普通に男の兵士が護り、こちら側には低い身分の服装だが腰に短剣を帯びた女が立っている。そして、考えてみれば。この国でもっとも高い身分の女性の身近に警護があるのは当然だった。
「もう一度だけ、尋ねるぞよ。この棒に結んである紐は、どのように使うのじゃ。教えてくれぬとあらば、勝手にあれこれ試してみるまで。その後は、金の腰飾りだけで暮らす破目になるぞえ」
侍女のひとりがエクスターシャから離れて、鋏を持って来た。もうひとりの侍女も手を離したが、エクスターシャは身動きできない。
「おおせのとおりに、します」
サナンドオの命令に従うしかなかった。クリシナットを手玉に取ったエクスターシャだが、彼女が生まれた頃にはすでに人と成っていた女を相手では、ひと月やそこらの付け焼刃は無論のこと、若さ故の無謀すらも通じなかった。
紐の使い方を示すだけなら下を脱ぐだけで良いのに、エクスターシャは潔く全裸になった。そのほうがサナンドオを満足させるだろうという、したたかな計算も無くはなかったが、あるいは――人前で素裸を晒すという行為に、昏い愉悦が心の底に芽生えていたのかもしれない。
エクスターシャは侍女から麺棒を受け取ると。
「はしたないまねを、おゆるしください」
この場合は背中を向けるほうが、まだしも無礼の度合が小さいだろうかと迷いながらも、正面を向けてしゃがんで――床に立てた麺棒の上に尻を落とした。
「きひいいっ……」
まったく潤滑をしていなかったと思い出したときには、木蓋が尻に突き当たっていた。それくらいには、度重なる経験で尻穴はこなれていた。
床に垂れている紐の二本を、エクスターシャは腰に巻いて前で結んだ。残りの二本は一本ずつを股の付け根をひと巻きしてから、腰の紐と合わせて結んだ。抜けたり刺さり過ぎを防ぐつもりで付けたのだが、木蓋があればそれ以上は深く挿入(はい)らないし、紐はかえって抽挿の妨げになる。強いて効能を見出だすとすれば、立って歩けることくらいか。
「ほほほ。なんと他愛のない」
はっきりと嘲りの笑いだった。
「このような子供騙しで善がるクリシナットも、子供じゃな。まあ、封鎖割礼が残っている地の出身であれば、処女に許された遊びすら知らずに育ったのであろうな」
話の流れからすれば、『処女に許された遊び』とは尻穴のことだろうと推測できるのだが、エクスターシャは気づかなかった。しかし。すぐに、思い知ることになった。
サナンドオが、握った右手から親指と人差し指を立てた。
侍女が隣の部屋から、大きな宝石箱(と見紛うほどに華美な)を捧げ持って来た。箱を開けると中には――木の枝が転がっていた。良く見ると、大雑把な細工が施されている。L字形に曲がっていて、太さも長さも男根そのもの。先端は丸く削られ、雁首まで刻まれている。一見して木の枝と分かるくらいに樹皮が残されているが、磨かれたように滑らかだった。木肌の部分は先端ほど色が濃い。使い込まれている――と、エクスターシャは正しく見て取った。
「支度をしてくる。帰ってはならぬぞ」
サナンドオは侍女を従えて隣の部屋へ消えた。あらためて引かれた分厚い帷幕が、気配を遮る。
サナンドオの言い付けを無視して、逃げ出すことは出来ただろう。逃げ帰れば、二度目はない。これが試しだとは、エクスターシャも気づいている。けれど。猛獣から逃げれば、噛みつかれない代わりに(肉に)噛みつけない。食うか食われるか。アクメリンと共に生きるか死ぬか。
麺棒を挿れたままなので座ることもできず、ひたすらに佇立してサナンドオを待つ。帷幕が開かれるまでに、せいぜい十分とはかからなかっただろうが、エクスターシャには三十分くらいに感じられた。
「まあ……」
驚きの声を漏らしたほどに、サナンドオの装いが変わっていた。乳房の半ばを包むのがやっとの、細い胸当と、下穿きを着けていないのが一目瞭然の、腰ではなく尻の膨らみに引っ掛かっている紗袴。西方社会の人間が東方の後宮と聞いて想起する女性の姿そのものだった。いや、ひとつだけ大きく異なっている部分があった。股間である。そこには、先程の木の枝が勃起した男根さながらに生えていた。正確には――本物よりも下から生えていて、その上に淫裂が見えている。尻穴に挿入しているのだ。
「剪定した中からこれを探すのに三日、戒律に触れぬ範囲で形を造らせるのに金貨一枚を使ったわえ。厨房の有り合わせで間に合わせようとは、片腹痛い」
エクスターシャの肩を強く押さえ付けて、跪かせるのではなく、床に仰臥させた。
麺棒に尻穴をこじられて、引き攣れる痛みが奔った――のを、エクスターシャは顔に出さないように努めた。
「脚を引き付けて、己れで抱えておれ」
いっそう羞ずかしい姿になるが、尻が浮くので楽になった。
この形は、忘れもしない――処女を奪われた直後に尻穴まで犯されたときの形だった。
エクスターシャの腰に巻かれた紐をサナンドオがほどく。
やはり、そのつもりなのかと、エクスターシャは――自身のことは棚に上げて、歳降った寵姫の淫乱に呆れる。だけで、今さらに恐怖はない。肉棒よりも硬い木の枝に肉のときめきさえ感じる。
とにかくも。思い描いていた構図とはまるきり違うけれど、サナンドオの無聊を慰め肉の繋がりを持つというところまでは目論見の通りになりそうだ。それで懐柔できるかは、かなり悲観的だけれど。
いや、楽観の要素もあるかもしれない。サナンドオは麺棒を一気に引き抜かず――しつこく抜き差ししたりこねくったり、エクスターシャの反応をうかがっている気配。
エクスターシャは、我慢も誇張もしないと決めた。天宮ひと巡り分よりも多く経験を積んだ女には、見破られて機嫌を損ねるだけだ。
しかし、演技するまでもなく。サナンドオは巧みだった。エクスターシャの見様見真似の『男役』どころか、本物の男よりも。サナンドオは女であるから、自身が感じる部分をがそのままエクスターシャの急所となる。麺棒が細いのも、無理をせずともいろんな角度から責められるという長所になる。
たちまちにエクスターシャは官能を燃え上がらせて、本来の目的を――さすがに、忘れたりはしなかったのだが。
「ああっ……もっと、もっと太いのを。お姉さまの、その……」
不意にサナンドオが身を引いた。自分の脚を抱えていたエクスターシャの手を強く払う。
「え……?」
さらに足首を引っ張って横へ投げ出させてから。
ばしん!
二の腕まで使って頬をひっぱたいた。
一瞬にして、エクスターシャは淡い夢心地から引き戻された。
「そのように呼ぶことを、許した覚えはない」
しまったと、思った。クリシナットを思い出して真似をしてみたのだが、サナンドオの矜持はエクスターシャよりよほど高かったのだ。
「この痴れ者めが」
ばしん、ばしんと、両手を使ってエクスターシャの頬をひっぱたいて。馬乗りになって、乳首をつねり上げた。
「いたい……ごめんなさい。ごぶれいを、おゆるしください」
「許さぬ」
生まれて初めて海賊に叩かれたとき以上の衝撃を、エクスターシャは受けた。淫らな要求を拒んだときには、強烈な『躾』を受けた。乳房を握り潰されたり、今のように乳首に爪を立てられたり、もっと敏感な突起まで虐められた。けれど抵抗をやめれば、素直に口(でも股でも)を開けば、許してもらえた。
我を殺して謝って、それでも許してもらえないのなら、どうすれば良いのだろうか。
「そなたのような蛮人には、言うて聞かせても無駄じゃ。穢れた豚には、身体に教え込んでやる」
そんなふうに罵られるのは、たいした屈辱ではない。異なる神を信じている東方の人間は、その戒律に従って、豚を穢れた存在と考えている。彼らにしてみれば、豚肉を平気で(喜んで)食べる西方の人間は救いようのない野蛮人ということになる。
そんなことよりも。「身体に教え込む」ということばに、怯えながらも期待してしまう。男たちがこの台詞を吐くときは、必ず性的な(それほど残虐でもない)折檻が後に続いた。そういう意味では、エクスターシャの目論見から逸脱していない。快楽は諦めて苦痛を甘受しなければならないとしても。
「縄を持て」
奥のへやから、侍女が注文の品を捧げ持ってくる。こちらは、さっき見たと同じ侍女のお仕着せ。
「クリシナットを襯衣で縛ったとか。まったく不調法よのう」
人を縛る縄を居室に用意しているほうが、おかしい。などと反論すれば、猿轡まで持ち出されかねない。
男根そっくりの枝といい、この縄といい――サナンドオ様は、側仕えの女を甚振って孤閨を慰めているのだろうか。そう考えたエクスターシャは、すでにサナンドオに支配されつつあった。内心でも『様』を付けている。しかも、非はセセインにあるとばかりに、孤閨と決めつけている。
だから、俯せにされ背中を膝頭で押さえられ、両腕を背中にねじ上げられても、一切逆らわなかった。相手のほうが頭ひとつ分長身とはいえ、縛られるのを拒もうと思えば、どうにでも抵抗はできたのに。もっとも、サナンドオから逃れても、武芸者の侍女に取り押さえられるだけだが。
「ふむ……きちんと躾をしてやるとなるとのう。ハイビシャナも呼ばずばなるまいの」
不倶戴天の敵の名を、むしろ親しそうにつぶやくサナンドオ。
「ここへお呼びせい。閨の正装でお待ちしておりますと、な」
侍女のひとりが黙って膝を折り、そそくさと出て行った。
「これは、どういうことなのでしょうか?」
「どう、とは?」
「あなたさまと、にばんめのおきさきさまとは、なかがわるかったはずです。なぜ、おまねきになるのでしょうか?」
自分がこれから何をされるかを心配している場合ではない。この二人が不仲ではないとしたら――問題は最初から解決しているではないか。
「そなた、我が夫(つま)の言葉を真に受けておったのか」
「はい。このくにで、もっともいだいなかたのおことばをうたがうなど、できません」
お世辞もなかなかじゃなと、嘲笑するサナンドオ。
「たしかに、わらわとあやつとは、時として取っ組み合いもする。つまり、深い仲違いではないという証しではないか」
言われて、はっとするエクスターシャ。
姉姫の自分に対する態度に思い当たった。淫奔な女の血を引く娘。同じ父を持つとはいえ、まったくの他人。蔑みの目で見られることはあっても、叩かれたりしたことはなかった。まったくの無視。心底嫌い抜いている相手には、そうするだろう。///1st
========================================
最後の『///1st』は、ここまで(書きながら)最初の校訂をしたという意味。目次ジャンプとかENDまでジャンプが使えないスマホ用無料Wordでも、検索で飛べます。のは、まあTipsかいな。
にしても。
2万4千文字。原稿用紙展開だと、だいたい1枚330文字です(実績値)ので、72枚。
9万8千文字書いてきて、ここまで8章のうちの1章(しかも進行中)が、全体の1/4。アンバランスですな。
長さもMonkeyThings, But……(猿事、乍ら)
実は、とんでもないシノプシス変更の真っ最中。ていうか、プロット段階で、このあたりのシーケンスを決めてなかった報いです。
プロットでは……
========================================
試練の四:後宮鎮静
非処女を後宮に入れる→男でも女でもない(宦官に同じ)形に。錠前付き内部拡張ディルド。
第三寵姫は、女子割礼でクリトリス欠損。アナル性感。
試練の三と同じ理屈。
スター結線(?)はSEXでない。擂粉木はペニスでも偶像でもない。
サナ、シャビの順に攻略。3P後に、総掛かりでレネを調教。
========================================
これだけでした。
プロットを忘れて(?)いきなりレネムズコエを攻略したのが逸脱の原因かしら。
あ、登場人物の名前は『名は体を表わす』方針で、いろいろ変えました。
レネムズコエ→クリシナット(クリット無し)
エクスターシャ・コイタンス→エクスターシャ・コモニレル(肛門に入れる)
オルガ・スムーザンヌ→アクメリン・リョナルデ(リョナで)
さらに、さらに。プロットでは想定していなかったタマーシャナが登場しました。最初は名前もない、「侍女よりも低い身分の」「エクスターシャの面倒を見る」娘でしたが。どんどんどんどん役目を押し付けているうちに、重要キャラに成長しました。
実は、男色王子の愛人なのです。男の娘なのです。こやつを後宮に入れておけば、王子も足繁く通ううちに、女にも興味を示すのではないかと。それゆえか、王子が愛人の「少年→青年」を厭ってなのか。ともかく、タマーナシヤなのです。で、縫合手術なのか施錠ピアスなのか、半永久タックです。あやふやな設定部分は、書きながら決めます。
とにかく。エクスターシャがサド女と高ビー女の二人掛りで責められるシーケンスは書いているうちに出てきたというか、展開にあぐねて、筆者の勃つパターンに持ち込んだというか。
しかもしかも。最後でサナンドオが言う通り、二人の間は険悪ではないのです。
あ。この世界というか、メスマン首長国では、代替わりに伴う兄弟殺しは起きない設定です。
ので。実は、サナンドオもハイビシャナも太后になどなりたがってないのです。太后様ともなれば、ハレムで下女をビシバシも顰蹙ですし、再婚もできませんものね。
「しょせん、タマーシャナも男じゃのう。権力からしかものを見ておらぬわ」とか、サナンドオに言わせる予定です。
となると。
母親が寵姫でなければ、その息子が父の後を襲うことは、まず不可能だ。太子とそれ以外の息子とでは、雲泥の差がある。片や一国の君主と、その御母堂。片や臣下に降って要職に就くことも禁じられた年金生活者と、生涯の寡婦。
今のところは、首長の歳の離れた従弟が太子ということになっているが、実子がそれなりの年齢に達すれば、継承権は移るだろう。長子相続とは限らない。父親である首長の専権とはいえ、息子の資質もさることながら、母親の実家や後宮での勢力も無視はできない。
必死に考えたコジツケはなんだったんだと。
「つまりは、クリシナットをどちらが躾けるか可愛がるかという、その争いじゃ」
エクスターシャもタマーシャナもササインも、さらには筆者も、ケチョンケチョンにされちゃいます。
まあ。そこで。
「それなら、いま、おふたりがわたしにされているように、ふたりでクリシナットさまをちょうきょうすればよろしいのでは?」
と、強引にプロットに準拠させます。
今回は、筆者の手の内を明かすというか、創作講座というか。
「なんだ、こいつも右往左往してんのか」と、同病相哀れんでくださるも良し。
「こんなE加減で小説が書けるのか」と、一念勃起してくださるも良し。
本日はシフトOFF。天気そこそこにして風穏やかなり。
作りためた、本格競技用紙飛行機プロトタイプ各種を飛ばしまくってきます。明日もOFFで、水曜はさいわいに飛行場が閉園ですので、この章を締めくくって、次章突入予定。
ま、2月上旬には前編がTake a Kickです。ケリがつくでしょう。
あ、本人の名誉のために言っときますけど。紙飛行機の大規模な全国大会には二度(一度は地元開催)しか出場経験がありませんが、それは東京だの九州だの北海道まで遠征する(金はともかく)気力が無かったのです。息子も娘も予選突破できなかったし。筆者自身は、各地で行なわれる予選では1位も何度か。最後は、息子が予選通過したので、ジュニア部門最後の年だったので、東京まで遠征しました。
とはいえ、まあ。筆者が専攻(?)している自由機体(=市販キットでなくオリジナル設計)のゴムカタパルト部門で、トップエースは40m上昇50秒滞空@dead airくらいに対して、筆者は30m上昇35秒滞空と、準B級くらいですかしら。
Progress Report 2:生贄王女と簒奪侍女
実は前編(生贄王女を馴致する七つの暴虐と試練)には、本格的被虐シーンはあまり出てこないのです。せいぜいが、前回レポートで御紹介した「人身御供」と異教徒の地に渡って、非処女の身でありながら専制君主(その名もスルタン・セセイン・シュンク)に引見を賜った罪に問われて、磔柱を背負わされて市中全裸引き回しのうえで、X字磔にされて鞭打たれる「公開鞭打」の章くらいです。
あとは、抵抗を諦めての米国第16代大統領とか、ハーレムで寵姫をアナル馴致したりスター結線したり。
こういうシーンは父として進まず母です。エロを書いていて(あまり)楽しくない。いよいよSM作家として熟成してきたのか枯れてきたのか。
むしろ、こんなシーンを愉しんだりしています。
お話はProgress Report 1より遡って、海賊に拐われた当日の夜です。
========================================
広場の中央の卓で二人の女を侍らせていたというか言い寄られていた提督が立ち上がって、三人の娘が据えられている檀に上がった。
「獲物の分配を始めるぞお!」
長剣と酒杯を高く掲げて呼ばわる。
「お宝が欲しいやつは、ここに集まれ」
たちまち、二百人ほどが檀の下に集まる。年配の者が目立つ。集まった男たちは、さらに五人ずつの小さな輪に分かれた。
「ヴィーダー、コルセールン!」
喚声とも掛け声ともつかない唱和が、それぞれの輪で沸き起こった。
「ヴィーダー、コルセールン! コルセールン!」
コルセールンの声と同時に、左手に持っている酒杯を突き出したり、右手で短剣を抜いて身構えたり。笑い声や歓声や嘆声が交錯する。
勝負事らしい。五人の中で勝者が一人か二人の場合だけ、その者が檀に上がって長机に積まれている小皿を取り、それに財宝を山盛りにして壇を降りて見物にまわる。残された三人か四人が、またコルセールンを勝負して、今度は一人勝ちすると財宝を小皿に取る。それが終わっても、まだ財宝が残っているので、あらためて五人組を作って勝負を繰り返す。財宝の減り方を見ていると、よほど運が悪くなければ分け前に与れそうだった。
眺めているうちに、規則が分かってきた。
短剣と酒杯の他に、短剣の柄に掛けていた手を胸へずらして身体をよじる仕草もあった。これは人それぞれに少しずつ形が違っている。女性の仕種を真似ているらしい。
掛け声も「俺たちゃ海賊だ」ではなく「酒だ女だ海賊だ」に聞こえてくる。
酒と女と短剣(海賊)。いかにも荒くれ男どもにふさわしい。短剣は酒に勝ち女に負ける。酒は短剣に負けて女に勝つ。女は短剣より強いが酒には弱い。短剣すなわち海賊を男に見立てると、なかなか含蓄に富んだ三竦みだった。
五人の出す手が二つに偏り、しかも勝者が一人か二人に限られるのだから、なかなか勝負がつかない。分け前の分配は二の次で、コルセールン自体を勝負する者も見物する者も愉しんでいる趣だった。それでも、ついには壇上の財宝がなくなった。
空になった長机は片付けられたが、壇上にはまだ獲物が残っている。
「次は分けねえぞ。三人まとめて十人ぎりだ」
「おおい。穴ぼこは三つずつあるんだぜ」
誰かが叫んで、広場がどっと沸いた。
提督が、ちらっとエクスターシャたちを振り返った。正確に描写するなら、エクスターシャを一瞥してから、ミァーナとイレッテに意味深な視線を注いだ。エクスターシャは、まるきり野次の意味を分かっていない。他の二人はじゅうぶんに理解して、怯えることなく諦めている――と、読み取ったのかどうか。
「三人掛りは、かえって手間取るぞ。二十人で手を打て」
それぞれの卓上の蝋燭の炎が揺れるほどの口笛と拍手。
「お嬢さん方を待たせちゃ悪い。三人ずつの勝ち抜き戦でいくぞ」
提督が壇から飛び降りて、自身も勝負の輪に加わった。
「ヴィーダー、コルセールン!」
三人だと一発で勝負が決まる場合が多い。一回戦の敗者が広場の外側へ寄って、勝ち残った者同士が三人組を作って――財宝の分配の十分の一ほどの時間で二十人が決まった。提督も髭面も海坊主も敗退している。
「よーし、これで宴会はおしまいだ。続きは寄宿舎でやれ!」
提督の一声で、二十人の勝者が壇上に群がった。
事ここに至ってようやく、エクスターシャは身に危険が迫っていると気づいた。あまりに迂闊といえばそれまでだが――王宮での生活からは隔絶した状況ではあった。
「わらわに近づくな。下がれ!」
エクスターシャは王女の威厳をこめて下賤の者を退けようとしたが、金切り声にしかならなかった。
裳裾の隠しから紙包みを取り出して、指輪を目の前にかざした。
「これは王族の証しの指輪。わらわこそ、フィションク準王国第二王女、エクスターシャ・コモニレルです。下がりなさい!」
壇上の男どもが、あっけに取られて動きを止めた。広場の群衆も、エクスターシャの豹変に戸惑う――というよりも、どこか余興を見物するような雰囲気だ。
広場の中央あたりで主だった連中と立ち話をしていた提督が引き返して来て、心得顔で壇に上がった。
「おまえの気持ちも分からないではないけどよ。出自もへったくれも、つまりは王の血を引いているのが王女なのさ。諦めな」
当人はアクメリンに言い含めているつもりなのだろうが、エクスターシャにしてみれば何を言われているのか理解不能だった。提督は戸惑っているエクスターシャに向かってすいと手を伸ばして指輪を取り上げた。
「こいつは生娘らしい。取り乱してもしょうがねえさ。丁重に扱ってやれ。まかり間違っても、いきなり三人掛りなんぞやらかすなよ」
ざわめきとどよめき。は、一瞬のこと。壇上の男どもは元の勢いを取り戻して、三人の娘に群がった。
「やめよ! わらわを犯せば、人質の価値はなくなる。身代金が取れぬぞ。それでもよいのか」
もはや、聞く耳を持つ者はいなかった。船から船へ渡板の上を運ばれたときと同じに、エクスターシャは羽交い絞めにされ両足を抱えられた。
「やめよ! やめて……いやああああっ!」
最後は、貢物としての価値を護ろうとする王女ではなく、貞操の危機に瀕した乙女の悲鳴だった。
他の二人は、まったく男どもの手を煩わせなかった。抱え上げた男の首っ玉にしがみついて、元娼婦のイレッテにいたっては男の頬に接吻さえする媚び様だった。輪姦されるのであれば、抵抗するより受容したほうが優しく扱われるに決まっている。
エクスターシャひとりが喚き、身をもがきながら寄宿舎へと運ばれていった。
========================================
このシーンのために、”世界のジャンケン”を検索したり。
ちなみに。この小説では、各国の言語に公平を期するため、すべて純粋日本語で記述しています。
マスト→檣 シャツ→襯衣 パンティ→下穿
あまりに和風な褌などは下帯とか。
西方諸国の言語の違いは無視、せいぜい方言扱い。
ヒロインは異教徒の言葉を事前に学んでいるので、小さな子供が難しい言葉を喋るような感覚で、
「はい。くんしゅさまに、いっしょうをささげるつもりでいましたから、とうぜんとかんがえました。おそばにはべることができないからだとなって、わたしは、たいへんにかなしいです」
てな具合です。
さてさて。あまりエロくなくてSMでもなくて、でも街中での露出という。グリム童話焼き直しの部分が、今回の画像付き紹介です。
========================================
試練の二:無理難題
処罰の翌日に、首長から(フィションクの大使宛にではなく)エクスターシャに引見の許可が伝えられた。その文面は、次の如きものだった。
余に目通りしたくば、衣服を着ず裸でもなく隠さず曝さず、乗らず歩かず道を通らず道から離れず、独りで来るべし。
一読して、これは西方諸国で知られている民話に基づいている謎掛けだと分かった。案外と、異教徒のほうが起源で、それが西へ伝わったのかもしれない。
いずれにせよ、エクスターシャは謎掛けの答を知っていた。しかし、内陸の街でおいそれと漁網など調達できない。驢馬を操った経験もない。
それに……首長も答を知っているだろう。民話そのままを再現して、それで首長は満足するだろうか。謁見が目的ではない。首長の心を動かして、アクメリン救出の手段を講じてもらうための、唯一残されている手段なのだ。
療養の三日間で、エクスターシャはあれこれ考えて。まったく別の答ではなく、それを残忍で好色な(と、エクスターシャは決めつけている。そうでなければ、乙女を素裸で男の群に放りこんだりはしないだろう)首長の嗜癖に阿る形に改編することにした。
クレジワルドを通じて、というより彼の親善大使という身分を利用してエクスターシャは通訳を装い、実際には彼女の手配で必要な品々を入手した。種々の太さの縄と、驢馬と、人参と。
受刑の日から四日後。アクメリンが逮捕されてからちょうど二週間が経っている。
エクスターシャは、首長に謁見する身支度を整えた。
全裸になって、まだ残っている鞭傷を、侍女の手がない不便をかこちながら化粧で隠す。背中も手鏡に映しながら、手の届くところは遍(あまね)く。
それから、身体じゅうに縄を巻きつける。地面を引きずられるのだから、尻のまわりは太い縄を粗く巻き重ねる。縄は漁網の代用である。これを纏うことで、衣服は着ていないが裸でもなくなった。そして、漁網よりは首長の嗜癖に適うはず。
しかし、隠すべき所を隠さないにもかかわらず曝してもいけない。エクスターシャは細めの縄を二重にして、中ほどに幾つもの結び目を作った。それを、淫裂に埋め込む。縄尻を腰に巻いて引き締めると、下帯といえなくもない。しかし、女性器でもっとも目立つ大淫唇は隠していない。念のために、淫核を二本の縄の間から引き出して、実核のくびれている部分に糸を巻いて縄に留めた。ここも隠してはいないが、左右を縄に挟まれているから曝してもいないといえるだろう。
「あっ……んんん……」
その作業の間、エクスターシャは妖しい感覚に苛まれ続けた。作業の間どころか、この装いを解くまでずっと、苛まれ続けるだろう。状況が異なっていれば、苛まれるのではなく愉しめていたかもしれない。それくらいには、性感を開発されている。
同じようにして、乳房を巻いた縄の間から乳首も露出させる。
最後に生地が透けた面紗を着けた。これも、顔を隠していないが曝してもいないことになる。
実は面紗で胸も腰も覆う案を最初に考えたのだが。縄を選んだのは、首長の嗜癖を慮ってのことだった――のではあるが、エクスターシャの裡に潜む何かが、そそのかしたのかもしれない。
エクスターシャは何本もの人参を容れた籠と長い縄を持って、全裸も同然の姿で、宿舎の庭に出た。メスマンのわずかな警備兵と、通りすがりの庶民と、手配した驢馬を連れている男が、呆気に取られている。
エクスターシャは好奇と好色の視線を意に介さず、両足を揃えて縛り、五歩長を隔てて驢馬の鞍に結び付けた。
騒ぎを聞きつけて、クレジワルドが飛び出して来た。
「姫様、何をなさっておいでですか?!」
正式な敬称の『殿下』ではなく『姫様』という呼び掛けに、エクスターシャは伯爵の心底を見透かした。
「セセイン陛下に御目通りするのです。この姿こそ、陛下が示された条件に適うのです」
「いや、しかし……余りと言えば余りな……」
「素裸で街中を引き回され、刑場で鞭打たれたわらわです。今はこの通り、女の羞恥の源は曝していません。なんの羞ずかしいことなどありましょう」
絶句するクレジワルドに、エクスターシャは毅然と命じる。
「陛下の思し召しは、わらわ独りでの参上です。同行されるのでしたら、十歩を離れて着いて来なさい」
それ以上は相手にせず。エクスターシャは縄を引いて驢馬を近寄せた。人参をかざしてやると、さらに寄って来て臭いを嗅いでからかぶりつく。
一口だけ齧らせてから取り上げ、細い縄に人参を結び付けて、少し向こうへ投げた。驢馬が人参を追って歩く。エクスターシャは驢馬に引きずられる。地面に尻を擦られるが、太い縄が緩衝材となって、肌はそんなに傷つかない。
驢馬が歩んで人参を齧ると、エクスターシャが縄を手繰って取り戻し、さらに遠くへ投げる。
人参の一本がなくなったところで、宿舎の外へ出た。エクスターシャは両手で這って道の脇へ出た。片手だけ道に伸ばしていれば、道を通らず道を離れていないという理屈だ。
籠には、人参の山を驢馬に見せないよう、布を掛けてある。その中から二本目を取り出して縄に結んで、前方へ投げてやる。
エクスターシャは驢馬に(乗らず)引きずられて王宮へ向かって進み始めた。周りには人だかりができ、あれこれ尋ねかけてくる者もいたが、言葉が分からない振りをして、まったくの無言でも騒ぎが大きくなるだろうから「セセインへいか。おめどおり」とだけ繰り返した。その言葉を聞いた者は、あわてて人混みの中に逃げ込む。絶対君主の名を口にするのは禁忌らしいと気づいたが。他国の王女の立場としては、そう呼ぶべきだし、相手がそれ以上の詮索をしないので、台詞は変えなかった。
街の中心部は道の両側に建物が密集しているので、道を通らずには進めない。防壁に沿ってぐるりと回って王宮の門前まで来た。道は石畳だが、両側は土が剥き出しで芝生のようになっているところも多かったので、地面に擦られている尻は、そんなにひどくは擦り剥けなかった。
門番はエクスターシャの姿が見える前に騒ぎを知って上司に報告し、上司はさらに上へと――エクスターシャが到着したときには、君主の絶対命令で、奇妙奇天烈な来訪者を宮廷前の庭まで案内した。
実質的な裸、しかも非処女を宮廷内に入れることはできない。セセインは庭で輿に乗ったまま、エクスターシャを引見した。
エクスターシャは案内してきた門番に驢馬を託し、足の縄をほどいて額ずいた。主君の娘の指示を守って十歩を隔ててついてきた追(つ)いてきたクレジワルドは、今もその距離を守っている。
「さて、フィションク準王国の第二王女よ。重ね重ねに恥を晒してまで余に目通りを願うとは、如何なる所存であるか?」
ついに、ここまで辿り着いた。エクスターシャは、大きく息を吸い込んだ。
「わたしが、こうして、このくににやってくることができたのは、わたしのじじょが、みがわりとなってくれたからです。かのじょは、わたしのかわりに、しょけいされようとしています」
「それが、我が君と何の係わりがあるのだ。第一王女殿の輿入れで、同盟は揺るぎないものとなるのだぞ」
宰相を介しての御下問ではあるが、エクスターシャはセセインを直視して答える。
「へいかのおちからで、このじじょをすくっていただきたいのです。みがわりとはいえ、きょうかいは、わがきみのはなよめとしんじて、たいほしたのです。これをすておかれましては、へいかのいげんがいちぢるしくそこなわれましょう」
「姫様! そのような些末事で同盟を危うくしてはなりませんぞ」
「あのものにことばをかけることを、おゆるしねがいます」
勝手な発言が咎められる前に、エクスターシャが宰相に声を掛けた。セセインが頷き、宰相がエクスターシャに発言を許す。エクスターシャは、絶対君主に正対したまま声を張った。
「わらわは女の身。国を代表して謁見を賜るほど思い上がってはおりませぬ。同盟の儀はクレジワルド伯爵の専権事項です。わらわが容喙するはずもありません。わらわは、犠牲となってくれた侍女を救わんがために、ひとりのか弱い女子(おなご)としてこの場に罷り出ているのです」
「いや、しかし……たったひとりの女のために、他国に戦(いくさ)をけしかけるなど、王族としても国民としても、許されることではない」
「たったひとりの女を救えずして、なんの国家でありましょう。能う限りの力を持って、国民を護るべし――わらわは、そのように教えられてきました」
「それくらいでよろしかろう」
宰相が不毛の論議を止めた。二人は、まったく異なる地平に立っている。国家を代表する立場と、ひとりの人間としての立場と。王女の言葉が間違っているのは、政治(まつりごと)に携わる宰相にとってもクレジワルドにとっても明白である。いや、一個人としても、ひとりの命と何十万の命とを比べれば明らかだ。もしも、命を天秤に載せることが出来るとすれば――だが。
「女よ」
セセインが声を発した。王女ではなく、あえて『女』と呼ぶことで、この出来事は同盟とは無関係であるという意思表示であろう。
「余は、目通りを許したに過ぎぬ。願いの儀があるならば、それにふさわしい功績を上げてから物申せ」
エクスターシャは、がくりと項垂れた。拒絶と受け取ったのだ。
しかし、この絶対君主は、そんなに親切ではなかった。
「これから、余は三つの難題をそなたに与える。見事解決できた暁には、願いを聞いてやらぬでもないぞ」
「は、はいっ……」
絶望から歓喜へ。エクスターシャは、上体を床に投げ出して感謝を表わした。
「さて。大使殿と姫君とは、まったく意見を異にしておるな」
「恐れながら。この問題は、王女みずからが申しておりますように、まったく一個人としての我儘です。なにとぞ、お耳を貸さぬように願います」
「同じ宿舎で角突き合わしていては、互いに気まずかろう」
宰相、つまりセセインは、クレジワルドの言葉を無視してエクスターシャに語り掛ける。
「おまえには、後宮の片隅に寓居を与える」
「はい、ありがとうございます……?」
後宮に新たに迎え入れられるのは処女のみと聞いているエクスターシャだが。小間使いや、一時的に出入りする女商人などは別なのだろうか。そこまでの知識はなかった。
「されど、おまえは穢れた身である。後宮に住まう間は、女を封印せねばならぬ。それでも良いかな?」
女を封印するとはどういう意味か。良いも悪いも分からない。しかし、セセインの指示に逆らうとどうなるかは、容易に想像できた。
「はい。いかようにもしてくださいませ」
「うむ。では、ついて来るが良い」
これは、陛下直々のお言葉。
輿が動き出す。エクスターシャはクレジワルドを置き去りにして、まったくの単身、数百人の処女(と、お手の付いた数十人の寵姫と)が犇めく後宮へと歩いた。立って歩くと、下帯の代わりとして淫裂に埋め込んだ縄の結び瘤が微妙どころではない刺激を伝え、三つの突起が糸に縊られ縄に擦られて、今にも腰が砕けそうになるのを堪えながら。
========================================
前回も書きましたが、御幼少の砌に読んだ童話で強烈な印象に残っているエピソードです。
添付画像をいろいろ検索しましたが。有馬温泉草津の湯別府湯布院城崎にて。
Wikipediaのイラストとかを添えてオチャニゴシ博士です。

下の実写画像は、全年齢の限界ですかしら。でもって、アダルト画像にするにはストーリイのインパクトが無いんですかしら。それとも、拙の志向がニッチ過ぎて二進も三進もなんでしょうか。
自動車で/馬で引き回すというのは、いくつかありますが、女は歩かされています。倒れてそのまま引きずられているのは、いや、ダークウェブは知りませんけどね。
あと。単純に驢馬の鼻先に人参をぶらさげて歩かせられるのかは、ちょこっと調べて。駄目らしいと分かったので、上記のようなややこしい手順にした次第。これくらいには、リアリティを追求しているのです。爺が自慰さん。
うううむ。これだけしか作品が無いです。てことは、「穴場」なのか「需要が無い」のか……
あとは、抵抗を諦めての米国第16代大統領とか、ハーレムで寵姫をアナル馴致したりスター結線したり。
こういうシーンは父として進まず母です。エロを書いていて(あまり)楽しくない。いよいよSM作家として熟成してきたのか枯れてきたのか。
むしろ、こんなシーンを愉しんだりしています。
お話はProgress Report 1より遡って、海賊に拐われた当日の夜です。
========================================
広場の中央の卓で二人の女を侍らせていたというか言い寄られていた提督が立ち上がって、三人の娘が据えられている檀に上がった。
「獲物の分配を始めるぞお!」
長剣と酒杯を高く掲げて呼ばわる。
「お宝が欲しいやつは、ここに集まれ」
たちまち、二百人ほどが檀の下に集まる。年配の者が目立つ。集まった男たちは、さらに五人ずつの小さな輪に分かれた。
「ヴィーダー、コルセールン!」
喚声とも掛け声ともつかない唱和が、それぞれの輪で沸き起こった。
「ヴィーダー、コルセールン! コルセールン!」
コルセールンの声と同時に、左手に持っている酒杯を突き出したり、右手で短剣を抜いて身構えたり。笑い声や歓声や嘆声が交錯する。
勝負事らしい。五人の中で勝者が一人か二人の場合だけ、その者が檀に上がって長机に積まれている小皿を取り、それに財宝を山盛りにして壇を降りて見物にまわる。残された三人か四人が、またコルセールンを勝負して、今度は一人勝ちすると財宝を小皿に取る。それが終わっても、まだ財宝が残っているので、あらためて五人組を作って勝負を繰り返す。財宝の減り方を見ていると、よほど運が悪くなければ分け前に与れそうだった。
眺めているうちに、規則が分かってきた。
短剣と酒杯の他に、短剣の柄に掛けていた手を胸へずらして身体をよじる仕草もあった。これは人それぞれに少しずつ形が違っている。女性の仕種を真似ているらしい。
掛け声も「俺たちゃ海賊だ」ではなく「酒だ女だ海賊だ」に聞こえてくる。
酒と女と短剣(海賊)。いかにも荒くれ男どもにふさわしい。短剣は酒に勝ち女に負ける。酒は短剣に負けて女に勝つ。女は短剣より強いが酒には弱い。短剣すなわち海賊を男に見立てると、なかなか含蓄に富んだ三竦みだった。
五人の出す手が二つに偏り、しかも勝者が一人か二人に限られるのだから、なかなか勝負がつかない。分け前の分配は二の次で、コルセールン自体を勝負する者も見物する者も愉しんでいる趣だった。それでも、ついには壇上の財宝がなくなった。
空になった長机は片付けられたが、壇上にはまだ獲物が残っている。
「次は分けねえぞ。三人まとめて十人ぎりだ」
「おおい。穴ぼこは三つずつあるんだぜ」
誰かが叫んで、広場がどっと沸いた。
提督が、ちらっとエクスターシャたちを振り返った。正確に描写するなら、エクスターシャを一瞥してから、ミァーナとイレッテに意味深な視線を注いだ。エクスターシャは、まるきり野次の意味を分かっていない。他の二人はじゅうぶんに理解して、怯えることなく諦めている――と、読み取ったのかどうか。
「三人掛りは、かえって手間取るぞ。二十人で手を打て」
それぞれの卓上の蝋燭の炎が揺れるほどの口笛と拍手。
「お嬢さん方を待たせちゃ悪い。三人ずつの勝ち抜き戦でいくぞ」
提督が壇から飛び降りて、自身も勝負の輪に加わった。
「ヴィーダー、コルセールン!」
三人だと一発で勝負が決まる場合が多い。一回戦の敗者が広場の外側へ寄って、勝ち残った者同士が三人組を作って――財宝の分配の十分の一ほどの時間で二十人が決まった。提督も髭面も海坊主も敗退している。
「よーし、これで宴会はおしまいだ。続きは寄宿舎でやれ!」
提督の一声で、二十人の勝者が壇上に群がった。
事ここに至ってようやく、エクスターシャは身に危険が迫っていると気づいた。あまりに迂闊といえばそれまでだが――王宮での生活からは隔絶した状況ではあった。
「わらわに近づくな。下がれ!」
エクスターシャは王女の威厳をこめて下賤の者を退けようとしたが、金切り声にしかならなかった。
裳裾の隠しから紙包みを取り出して、指輪を目の前にかざした。
「これは王族の証しの指輪。わらわこそ、フィションク準王国第二王女、エクスターシャ・コモニレルです。下がりなさい!」
壇上の男どもが、あっけに取られて動きを止めた。広場の群衆も、エクスターシャの豹変に戸惑う――というよりも、どこか余興を見物するような雰囲気だ。
広場の中央あたりで主だった連中と立ち話をしていた提督が引き返して来て、心得顔で壇に上がった。
「おまえの気持ちも分からないではないけどよ。出自もへったくれも、つまりは王の血を引いているのが王女なのさ。諦めな」
当人はアクメリンに言い含めているつもりなのだろうが、エクスターシャにしてみれば何を言われているのか理解不能だった。提督は戸惑っているエクスターシャに向かってすいと手を伸ばして指輪を取り上げた。
「こいつは生娘らしい。取り乱してもしょうがねえさ。丁重に扱ってやれ。まかり間違っても、いきなり三人掛りなんぞやらかすなよ」
ざわめきとどよめき。は、一瞬のこと。壇上の男どもは元の勢いを取り戻して、三人の娘に群がった。
「やめよ! わらわを犯せば、人質の価値はなくなる。身代金が取れぬぞ。それでもよいのか」
もはや、聞く耳を持つ者はいなかった。船から船へ渡板の上を運ばれたときと同じに、エクスターシャは羽交い絞めにされ両足を抱えられた。
「やめよ! やめて……いやああああっ!」
最後は、貢物としての価値を護ろうとする王女ではなく、貞操の危機に瀕した乙女の悲鳴だった。
他の二人は、まったく男どもの手を煩わせなかった。抱え上げた男の首っ玉にしがみついて、元娼婦のイレッテにいたっては男の頬に接吻さえする媚び様だった。輪姦されるのであれば、抵抗するより受容したほうが優しく扱われるに決まっている。
エクスターシャひとりが喚き、身をもがきながら寄宿舎へと運ばれていった。
========================================
このシーンのために、”世界のジャンケン”を検索したり。
ちなみに。この小説では、各国の言語に公平を期するため、すべて純粋日本語で記述しています。
マスト→檣 シャツ→襯衣 パンティ→下穿
あまりに和風な褌などは下帯とか。
西方諸国の言語の違いは無視、せいぜい方言扱い。
ヒロインは異教徒の言葉を事前に学んでいるので、小さな子供が難しい言葉を喋るような感覚で、
「はい。くんしゅさまに、いっしょうをささげるつもりでいましたから、とうぜんとかんがえました。おそばにはべることができないからだとなって、わたしは、たいへんにかなしいです」
てな具合です。
さてさて。あまりエロくなくてSMでもなくて、でも街中での露出という。グリム童話焼き直しの部分が、今回の画像付き紹介です。
========================================
試練の二:無理難題
処罰の翌日に、首長から(フィションクの大使宛にではなく)エクスターシャに引見の許可が伝えられた。その文面は、次の如きものだった。
余に目通りしたくば、衣服を着ず裸でもなく隠さず曝さず、乗らず歩かず道を通らず道から離れず、独りで来るべし。
一読して、これは西方諸国で知られている民話に基づいている謎掛けだと分かった。案外と、異教徒のほうが起源で、それが西へ伝わったのかもしれない。
いずれにせよ、エクスターシャは謎掛けの答を知っていた。しかし、内陸の街でおいそれと漁網など調達できない。驢馬を操った経験もない。
それに……首長も答を知っているだろう。民話そのままを再現して、それで首長は満足するだろうか。謁見が目的ではない。首長の心を動かして、アクメリン救出の手段を講じてもらうための、唯一残されている手段なのだ。
療養の三日間で、エクスターシャはあれこれ考えて。まったく別の答ではなく、それを残忍で好色な(と、エクスターシャは決めつけている。そうでなければ、乙女を素裸で男の群に放りこんだりはしないだろう)首長の嗜癖に阿る形に改編することにした。
クレジワルドを通じて、というより彼の親善大使という身分を利用してエクスターシャは通訳を装い、実際には彼女の手配で必要な品々を入手した。種々の太さの縄と、驢馬と、人参と。
受刑の日から四日後。アクメリンが逮捕されてからちょうど二週間が経っている。
エクスターシャは、首長に謁見する身支度を整えた。
全裸になって、まだ残っている鞭傷を、侍女の手がない不便をかこちながら化粧で隠す。背中も手鏡に映しながら、手の届くところは遍(あまね)く。
それから、身体じゅうに縄を巻きつける。地面を引きずられるのだから、尻のまわりは太い縄を粗く巻き重ねる。縄は漁網の代用である。これを纏うことで、衣服は着ていないが裸でもなくなった。そして、漁網よりは首長の嗜癖に適うはず。
しかし、隠すべき所を隠さないにもかかわらず曝してもいけない。エクスターシャは細めの縄を二重にして、中ほどに幾つもの結び目を作った。それを、淫裂に埋め込む。縄尻を腰に巻いて引き締めると、下帯といえなくもない。しかし、女性器でもっとも目立つ大淫唇は隠していない。念のために、淫核を二本の縄の間から引き出して、実核のくびれている部分に糸を巻いて縄に留めた。ここも隠してはいないが、左右を縄に挟まれているから曝してもいないといえるだろう。
「あっ……んんん……」
その作業の間、エクスターシャは妖しい感覚に苛まれ続けた。作業の間どころか、この装いを解くまでずっと、苛まれ続けるだろう。状況が異なっていれば、苛まれるのではなく愉しめていたかもしれない。それくらいには、性感を開発されている。
同じようにして、乳房を巻いた縄の間から乳首も露出させる。
最後に生地が透けた面紗を着けた。これも、顔を隠していないが曝してもいないことになる。
実は面紗で胸も腰も覆う案を最初に考えたのだが。縄を選んだのは、首長の嗜癖を慮ってのことだった――のではあるが、エクスターシャの裡に潜む何かが、そそのかしたのかもしれない。
エクスターシャは何本もの人参を容れた籠と長い縄を持って、全裸も同然の姿で、宿舎の庭に出た。メスマンのわずかな警備兵と、通りすがりの庶民と、手配した驢馬を連れている男が、呆気に取られている。
エクスターシャは好奇と好色の視線を意に介さず、両足を揃えて縛り、五歩長を隔てて驢馬の鞍に結び付けた。
騒ぎを聞きつけて、クレジワルドが飛び出して来た。
「姫様、何をなさっておいでですか?!」
正式な敬称の『殿下』ではなく『姫様』という呼び掛けに、エクスターシャは伯爵の心底を見透かした。
「セセイン陛下に御目通りするのです。この姿こそ、陛下が示された条件に適うのです」
「いや、しかし……余りと言えば余りな……」
「素裸で街中を引き回され、刑場で鞭打たれたわらわです。今はこの通り、女の羞恥の源は曝していません。なんの羞ずかしいことなどありましょう」
絶句するクレジワルドに、エクスターシャは毅然と命じる。
「陛下の思し召しは、わらわ独りでの参上です。同行されるのでしたら、十歩を離れて着いて来なさい」
それ以上は相手にせず。エクスターシャは縄を引いて驢馬を近寄せた。人参をかざしてやると、さらに寄って来て臭いを嗅いでからかぶりつく。
一口だけ齧らせてから取り上げ、細い縄に人参を結び付けて、少し向こうへ投げた。驢馬が人参を追って歩く。エクスターシャは驢馬に引きずられる。地面に尻を擦られるが、太い縄が緩衝材となって、肌はそんなに傷つかない。
驢馬が歩んで人参を齧ると、エクスターシャが縄を手繰って取り戻し、さらに遠くへ投げる。
人参の一本がなくなったところで、宿舎の外へ出た。エクスターシャは両手で這って道の脇へ出た。片手だけ道に伸ばしていれば、道を通らず道を離れていないという理屈だ。
籠には、人参の山を驢馬に見せないよう、布を掛けてある。その中から二本目を取り出して縄に結んで、前方へ投げてやる。
エクスターシャは驢馬に(乗らず)引きずられて王宮へ向かって進み始めた。周りには人だかりができ、あれこれ尋ねかけてくる者もいたが、言葉が分からない振りをして、まったくの無言でも騒ぎが大きくなるだろうから「セセインへいか。おめどおり」とだけ繰り返した。その言葉を聞いた者は、あわてて人混みの中に逃げ込む。絶対君主の名を口にするのは禁忌らしいと気づいたが。他国の王女の立場としては、そう呼ぶべきだし、相手がそれ以上の詮索をしないので、台詞は変えなかった。
街の中心部は道の両側に建物が密集しているので、道を通らずには進めない。防壁に沿ってぐるりと回って王宮の門前まで来た。道は石畳だが、両側は土が剥き出しで芝生のようになっているところも多かったので、地面に擦られている尻は、そんなにひどくは擦り剥けなかった。
門番はエクスターシャの姿が見える前に騒ぎを知って上司に報告し、上司はさらに上へと――エクスターシャが到着したときには、君主の絶対命令で、奇妙奇天烈な来訪者を宮廷前の庭まで案内した。
実質的な裸、しかも非処女を宮廷内に入れることはできない。セセインは庭で輿に乗ったまま、エクスターシャを引見した。
エクスターシャは案内してきた門番に驢馬を託し、足の縄をほどいて額ずいた。主君の娘の指示を守って十歩を隔ててついてきた追(つ)いてきたクレジワルドは、今もその距離を守っている。
「さて、フィションク準王国の第二王女よ。重ね重ねに恥を晒してまで余に目通りを願うとは、如何なる所存であるか?」
ついに、ここまで辿り着いた。エクスターシャは、大きく息を吸い込んだ。
「わたしが、こうして、このくににやってくることができたのは、わたしのじじょが、みがわりとなってくれたからです。かのじょは、わたしのかわりに、しょけいされようとしています」
「それが、我が君と何の係わりがあるのだ。第一王女殿の輿入れで、同盟は揺るぎないものとなるのだぞ」
宰相を介しての御下問ではあるが、エクスターシャはセセインを直視して答える。
「へいかのおちからで、このじじょをすくっていただきたいのです。みがわりとはいえ、きょうかいは、わがきみのはなよめとしんじて、たいほしたのです。これをすておかれましては、へいかのいげんがいちぢるしくそこなわれましょう」
「姫様! そのような些末事で同盟を危うくしてはなりませんぞ」
「あのものにことばをかけることを、おゆるしねがいます」
勝手な発言が咎められる前に、エクスターシャが宰相に声を掛けた。セセインが頷き、宰相がエクスターシャに発言を許す。エクスターシャは、絶対君主に正対したまま声を張った。
「わらわは女の身。国を代表して謁見を賜るほど思い上がってはおりませぬ。同盟の儀はクレジワルド伯爵の専権事項です。わらわが容喙するはずもありません。わらわは、犠牲となってくれた侍女を救わんがために、ひとりのか弱い女子(おなご)としてこの場に罷り出ているのです」
「いや、しかし……たったひとりの女のために、他国に戦(いくさ)をけしかけるなど、王族としても国民としても、許されることではない」
「たったひとりの女を救えずして、なんの国家でありましょう。能う限りの力を持って、国民を護るべし――わらわは、そのように教えられてきました」
「それくらいでよろしかろう」
宰相が不毛の論議を止めた。二人は、まったく異なる地平に立っている。国家を代表する立場と、ひとりの人間としての立場と。王女の言葉が間違っているのは、政治(まつりごと)に携わる宰相にとってもクレジワルドにとっても明白である。いや、一個人としても、ひとりの命と何十万の命とを比べれば明らかだ。もしも、命を天秤に載せることが出来るとすれば――だが。
「女よ」
セセインが声を発した。王女ではなく、あえて『女』と呼ぶことで、この出来事は同盟とは無関係であるという意思表示であろう。
「余は、目通りを許したに過ぎぬ。願いの儀があるならば、それにふさわしい功績を上げてから物申せ」
エクスターシャは、がくりと項垂れた。拒絶と受け取ったのだ。
しかし、この絶対君主は、そんなに親切ではなかった。
「これから、余は三つの難題をそなたに与える。見事解決できた暁には、願いを聞いてやらぬでもないぞ」
「は、はいっ……」
絶望から歓喜へ。エクスターシャは、上体を床に投げ出して感謝を表わした。
「さて。大使殿と姫君とは、まったく意見を異にしておるな」
「恐れながら。この問題は、王女みずからが申しておりますように、まったく一個人としての我儘です。なにとぞ、お耳を貸さぬように願います」
「同じ宿舎で角突き合わしていては、互いに気まずかろう」
宰相、つまりセセインは、クレジワルドの言葉を無視してエクスターシャに語り掛ける。
「おまえには、後宮の片隅に寓居を与える」
「はい、ありがとうございます……?」
後宮に新たに迎え入れられるのは処女のみと聞いているエクスターシャだが。小間使いや、一時的に出入りする女商人などは別なのだろうか。そこまでの知識はなかった。
「されど、おまえは穢れた身である。後宮に住まう間は、女を封印せねばならぬ。それでも良いかな?」
女を封印するとはどういう意味か。良いも悪いも分からない。しかし、セセインの指示に逆らうとどうなるかは、容易に想像できた。
「はい。いかようにもしてくださいませ」
「うむ。では、ついて来るが良い」
これは、陛下直々のお言葉。
輿が動き出す。エクスターシャはクレジワルドを置き去りにして、まったくの単身、数百人の処女(と、お手の付いた数十人の寵姫と)が犇めく後宮へと歩いた。立って歩くと、下帯の代わりとして淫裂に埋め込んだ縄の結び瘤が微妙どころではない刺激を伝え、三つの突起が糸に縊られ縄に擦られて、今にも腰が砕けそうになるのを堪えながら。
========================================
前回も書きましたが、御幼少の砌に読んだ童話で強烈な印象に残っているエピソードです。
添付画像をいろいろ検索しましたが。有馬温泉草津の湯別府湯布院城崎にて。
Wikipediaのイラストとかを添えてオチャニゴシ博士です。

下の実写画像は、全年齢の限界ですかしら。でもって、アダルト画像にするにはストーリイのインパクトが無いんですかしら。それとも、拙の志向がニッチ過ぎて二進も三進もなんでしょうか。
自動車で/馬で引き回すというのは、いくつかありますが、女は歩かされています。倒れてそのまま引きずられているのは、いや、ダークウェブは知りませんけどね。
あと。単純に驢馬の鼻先に人参をぶらさげて歩かせられるのかは、ちょこっと調べて。駄目らしいと分かったので、上記のようなややこしい手順にした次第。これくらいには、リアリティを追求しているのです。爺が自慰さん。
うううむ。これだけしか作品が無いです。てことは、「穴場」なのか「需要が無い」のか……
Progress Report 1:生贄王女と簒奪侍女
タイトルは上記の通りとして、前編、(後編+終章)に長ったらしいのを採用します。暫定方針です。
生贄王女を馴致する七つの暴虐と試練
簒奪侍女に悦虐を刻み込む七つの拷問
競売奴隷に堕ちる生贄王女と簒奪侍女
今回は王女編の「始りの章」から抜粋。冒頭はエロでないのでスルー。
========================================
帆を下ろして停止している商船のすぐ脇に海賊船が並び合わせて、こちらは二本の檣(ほばしら)に上げた三角帆に風をはらみ、船首からほぼ水平に突き出た檣にも帆を張っているというのに、ぴたりと静止している。それが漂躊(ひょうちゅう)という操帆法だとは、エクスターシャが知る由もない。そんなことよりも。
「全滅だわね」
接舷されているのとは反対側を指差して、イレッテがつぶやいた。他の二隻の商船も帆を下ろして停止しており、それぞれに海賊船が接舷している。
為す術もなく見守るうちに、一方の商船がひとつだけ小さな帆を上げて、ゆっくりと動き出した。副大使の座船だ。そちらの船でも乗組員たちは甲板に集められていて、帆に就いている小人数の男たちは海賊の仲間らしい。
商船が海賊船とは反対側に接近して舫綱(もやいづな)で二隻をつなぎ、接舷させた。
「さて、お嬢さん方。あちらに移っていただこうか」
素肌に分厚い腹帯を巻いて長剣をぶっ違いに差した上に、まだ夏の名残も漂う季節だというのに分厚い外套を羽織った男が、海賊にしては慇懃な口調で、しかし有無を言わさぬ迫力があった。頭髪と揉み上げと顎髭とが渾然一体となった(体格まで)熊のような男だった。
二隻の間に渡板が架けられたが、とても歩けそうにない。それ以前に、立っている甲板から渡板に上がるには、裳裾をたくし上げて足を高く踏み出すか、芋虫のように這い上がるしかない。淑女といわず娼婦でも、白昼に殿方の前で出来る所作ではなかった。
それよりも。別の船に移されては、オルガと別れ別れになるのではないか。
「エクスターシャ王女は、どちらにいらっしゃるのですか?」
恐怖を抑えてエクスターシャは、頭目らしい髭面に問うた。
「あちらにいらっしゃられろるぜ」
髭面が海面の遠くを指差した。正大使の座船(か、それに接舷している海賊船か)に向かっているらしい六人漕ぎの短艇が見えた。艫の隅に、色艶やかな衣服を着た女性がこちらに背中を向けて座っていた。亜麻色の髪を見ずとも、その女性がオルガであるのは明白だった。
「王女様を下賤の者どもに突っ込ませる訳にはいかねえからな」
髭面の言葉の意味が今ひとつ理解できなかったが、下賤の者とは海賊の子分だろう。そういった野卑な連中から隔離されるのであれば、それに越したことはない。ひるがえって自分は――というところにまでは、考えが及ばないエクスターシャだった。
「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさとあっちの船へ乗り移れ」
そんなことを言われても。三人とも動けないでいる。女の慎みは措くとしても、半歩幅もない板の上を渡るなんて恐ろしい。もし足を踏み外したら五歩長以上を転落して、そこは海なのだ。この時代、海を生業としている者でさえ泳げないのが普通だった。
「ええい、まだるっこしい。おまえら、お嬢さん方を担いで運んでやれ」
待ってましたとばかりに、手下どもが三人の乙女に群がる。
「何をする?! やめよ!」
背中に太い腕をあてがわれ足をすくわれかけて、エクスターシャはもがきながら、それでも気品を保つ努力をしながら悲鳴を上げた。侍女でさえ、王女の身体に触れねばならぬときは、おずおずと恭しく羽毛の繊細さを心掛ける。それをいきなり、許しも得ずに、見知らぬ粗野な男に抱き上げられようとしたのだから、狼狽と羞恥と憤りは筆舌に尽くし難い。もっとも、この先に彼女を待ち受けている運命に比べれば、これは最上級の丁重で慇懃な扱いなのではあった。
「うるせえな。暴れるんじゃねえ」
パチンと尻を叩かれて、エクスターシャは驚愕のあまり言葉を失った。
そんな様子を面白く思ったのだろう。その男は、いっそうの辱しめを愉しむ。エクスターシャを羽交い締めにして。
「暴れられて落っことしちゃいけねえ。誰か手伝ってくれ」
さっそくに一人が出しゃばって、エクスターシャの脚を――わざわざ開脚させて両脇に掻い込んだ。
仰向けに持ち上げられて、しかしエクスターシャは逆らわなかった。聡明な娘ではある。淫奔女の血を引くと陰で蔑まれながらも王女として毅然と振る舞ってきた、気丈な娘でもある。抗えばしっぺ返しを受けるだけと、すでに悟っていた。とはいえ。
「そのままじゃ裾を踏んづけちまうぜ」
三人目の男がしゃしゃり出ると、甲板に垂れている裳裾を(下穿が露出するまで)下着ごと捲り上げて裾を結び絞った。
「いやあああっ!」
金切り声を上げて当然だった。
エクスターシャは好色の嗤いに囲まれて、渡板の上を運ばれた。
移乗させられた船の甲板に集められている乗組員を掻き分けて、ひと目で貴族と知れる肥った男が海賊どもの前に立った。
「貴様ら、なんということを。そのお方をすぐに下ろせ」
まずい。エクスターシャは、狼狽した。ここで正体をばらされたら、事態がどう転ぶか分からない。少なくとも、良い方向へ動かないのは明らかだ。
「ヤックナン男爵殿!」
エクスターシャは声を張った。突然の、しかも威厳さえ漂う声に、彼女を抱えている手の力が弛んだ。エクスターシャは素早く甲板に立って。裾を元に戻すのも忘れて、なんとか取り繕おうとする。
「エクスターシャ・コイタンス王女殿下は、別の船に連れ去られました。私、オルガ・スムーザンヌは部下の侍女二人と共に、この船に乗せられる運びとなった模様です」
分かってくださいと、目で訴える。
ヤックナンにどのような思惑が働いたのかは分からない。が、詳しい事情を知らないまま、主君の娘の目論見に異議を唱えるべきではないと判断したのだろう。
「そうですか。王女殿下にはお痛わしいかぎりですが、侍女の取りまとめをよろしくお願い致す。オルガ殿」
そんな寸劇の間に、アヘーリアとイレッテも、こちらへ運ばれて来た。彼女たちは無駄に抗ったりはせず――どころか、横抱きにされただけでは不安だとばかりに、抱き上げた男の首根っ子に両手で抱き着いて。余禄とばかりに尻を撫でられても、挑発するように身をくねらせたりした。さすがは、元が娼婦と奴隷女。取り成してくれるはずのオルガが連れ去られたからには、己れの身は己れで守らねばならない。こういった女の自己防衛とは、すなわち男に媚びることだった。
もしも男に逆らえば、どうなるか。
三人と入れ違いに、ヤックナンが向こうの船に乗せ替えられた。
それを見送って、エクスターシャがいっそう恐怖と心細さを募らせながら。ようやく太腿が潮風に曝されているのに気づいた。慌てて裾を元に戻そうとしたのだが、男の手で固く結ばれているので、なかなかほどけない。
悪戦苦闘しているエクスターシャの前に、髭面と同じくらいの巨躯が立ちはだかった。ただし、首から上は髭面と真反対。頭のてっぺんまで禿げているのか剃っているのか。まるきりの海坊主だった。
「さっきからの暴れっぷりといい、貴族様を顎で使うような物言いといい、ちっとばかし灰汁(あく)抜きが要るな」
海坊主はエクスターシャの両手をつかんで頭上に引き抜き、短い縄で手首を重ねて縛った。
「なにを……?!」
抗議する間もあらばこそ。
「おまえら。こいつを袋にして、帆桁に吊ってやれ」
たちまち前後左右から男どもが群がり集まって。羽交い締めにされて。裾の結び目をほどいてくれたのはいいが、そのまま、頭上で縛られているよりも高く捲り上げられてしまった。
さっそく身に付けた処世術で、エクスターシャは羞恥を堪えて抗わない。
裾は頭上でひとまとめに絞られて縄で括られ、その縄が帆桁に投げ上げられて、そこに結び付けられた。
エクスターシャは視界を奪われ、そこに立ち尽くしているしかない。動こうと思えば動ける。座り込むことも出来る。しかしそうすれば――すでに腰まで捲り上げられている衣服がさらにずり上がって、いっそう肌を曝す破目になる。
袋にしろという言葉だけで、手際良く狼藉をしてのけた男ども。拐った女が抵抗すれば、このようにして灰汁抜きをしてきたのだろう。
素直な女は、それなりに優しく扱われる。
「そっちのお嬢さんたちは船室へ案内してやれ」
海坊主の声だった。
「手ぐらいは出しても構わねえが、魔羅までは出すんじゃねえぞ」
どっと、哄笑と歓声が沸いた。優しく扱われるのも、それなりに屈辱が伴う。もっとも、この二人の娘は屈辱と思わないかもしれないのだが。
アヘーリアとイレッテは、海賊どもとさながら恋人同士のように、腰を抱かれ(別の男に)尻を撫でられ胸を揉まれながら、船倉へと下りて行った――のまでは、エクスターシャはには分からなかったが。
船はなおも止まったままで、こちらの乗組員をあちらの商船へ追いやっている――のが、海賊どもの声と人の動く気配とでわかった。
なぜ、こんなことをするのか。エクスターシャも、じきに知ることになるが。正使と副使をメスマンとフィションクへ向かわせるためだった。人質を取っても、それが相手に伝わらなければ金にはならない。海賊どもにとっては、フィションク王が愛娘を救おうとしようが、メスマンの首長が花嫁を購おうとしようが、同じことだった。
そして、この商船には貢ぎ物が積まれている。洋上で海賊船に積み替えるよりは、船ごと港まで運ぶほうが手っ取り早いし手持ちの船も増える。機動力に富んだ海賊船には仕立てられないが、手持ちの駒が増えて悪いわけがない。
――船が揺れ帆桁が軋んで風向きが変わり、船が動き始めたようだった。
周囲から人の気配が消えて、エクスタターシャはわずかに安堵した。海賊船から乗り移って来た人数は知れている。全員が操船で手一杯なのだろう。
揺れる船の上で足を踏み替えて平衡を保ちながら立ち尽くすエクスターシャは、この先に待ち受けている様々な受難と試練を、まだ知らない。そして、悲惨な結末をも。
========================================
この作品舞台では、さまざまな言語が登場しているはずです。ヨーロッパの各国語、アラビア語(とペルシャ語がどう違うか知りませんが、とにかく蚯蚓がうねくった文字で表記されるやつ)。ヨーロッパ系に関しては、方言扱いにします。
問題はアラビア文字で表記される言語の取り扱い。開き直って、ふつうに日本語表記とします。ただし、第一ヒロインは(後宮に入って一生を過ごすはずですから)国に居るうちから一生懸命に言葉や習俗を学習して(だから、首から下はツルツル)います。ので
「わたしは、エクスターシャいいます。どぞ、かわいがってくださいませぞなもし」
いえ、そこまでふざけませんけど。基本、ひらかな表記です。これに対して、君主セセインは
「うむ。愛い奴じゃ。存分に甚振ってくれようぞ」
いえ、どちらの台詞も本文には登場しません。
この方針でいくと、特定の外国語を依怙贔屓できません。ので、すべて漢字表記です。何が言いたいかというと。
シャツ 襯衣
ズボン 男袴
ハーレムパンツ 女紗袴
タイツ 細袴
スカート 裳裾
ベール 面紗
ブラジャー 胸当
パンティ 下穿、下帯
こういうことです。
とはいえ。「茶巾縛り」とは書けません。洋物です。「駿河問」「座禅転がし」「十露盤責」と同じです。このあたりの感覚は、人それぞれでしょうが、筆者はそうなのです。そして、この書き方でそれなりの雰囲気を出せていると爺が自慰さん。
現在は「人身御供」の章が終わって、今日は紙飛行機とか医者通いとか酒盛り(は、年間365.2422日じゃん)とか。明日から「異教徒の地での冒険」です。
生贄王女を馴致する七つの暴虐と試練
簒奪侍女に悦虐を刻み込む七つの拷問
競売奴隷に堕ちる生贄王女と簒奪侍女
今回は王女編の「始りの章」から抜粋。冒頭はエロでないのでスルー。
========================================
帆を下ろして停止している商船のすぐ脇に海賊船が並び合わせて、こちらは二本の檣(ほばしら)に上げた三角帆に風をはらみ、船首からほぼ水平に突き出た檣にも帆を張っているというのに、ぴたりと静止している。それが漂躊(ひょうちゅう)という操帆法だとは、エクスターシャが知る由もない。そんなことよりも。
「全滅だわね」
接舷されているのとは反対側を指差して、イレッテがつぶやいた。他の二隻の商船も帆を下ろして停止しており、それぞれに海賊船が接舷している。
為す術もなく見守るうちに、一方の商船がひとつだけ小さな帆を上げて、ゆっくりと動き出した。副大使の座船だ。そちらの船でも乗組員たちは甲板に集められていて、帆に就いている小人数の男たちは海賊の仲間らしい。
商船が海賊船とは反対側に接近して舫綱(もやいづな)で二隻をつなぎ、接舷させた。
「さて、お嬢さん方。あちらに移っていただこうか」
素肌に分厚い腹帯を巻いて長剣をぶっ違いに差した上に、まだ夏の名残も漂う季節だというのに分厚い外套を羽織った男が、海賊にしては慇懃な口調で、しかし有無を言わさぬ迫力があった。頭髪と揉み上げと顎髭とが渾然一体となった(体格まで)熊のような男だった。
二隻の間に渡板が架けられたが、とても歩けそうにない。それ以前に、立っている甲板から渡板に上がるには、裳裾をたくし上げて足を高く踏み出すか、芋虫のように這い上がるしかない。淑女といわず娼婦でも、白昼に殿方の前で出来る所作ではなかった。
それよりも。別の船に移されては、オルガと別れ別れになるのではないか。
「エクスターシャ王女は、どちらにいらっしゃるのですか?」
恐怖を抑えてエクスターシャは、頭目らしい髭面に問うた。
「あちらにいらっしゃられろるぜ」
髭面が海面の遠くを指差した。正大使の座船(か、それに接舷している海賊船か)に向かっているらしい六人漕ぎの短艇が見えた。艫の隅に、色艶やかな衣服を着た女性がこちらに背中を向けて座っていた。亜麻色の髪を見ずとも、その女性がオルガであるのは明白だった。
「王女様を下賤の者どもに突っ込ませる訳にはいかねえからな」
髭面の言葉の意味が今ひとつ理解できなかったが、下賤の者とは海賊の子分だろう。そういった野卑な連中から隔離されるのであれば、それに越したことはない。ひるがえって自分は――というところにまでは、考えが及ばないエクスターシャだった。
「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさとあっちの船へ乗り移れ」
そんなことを言われても。三人とも動けないでいる。女の慎みは措くとしても、半歩幅もない板の上を渡るなんて恐ろしい。もし足を踏み外したら五歩長以上を転落して、そこは海なのだ。この時代、海を生業としている者でさえ泳げないのが普通だった。
「ええい、まだるっこしい。おまえら、お嬢さん方を担いで運んでやれ」
待ってましたとばかりに、手下どもが三人の乙女に群がる。
「何をする?! やめよ!」
背中に太い腕をあてがわれ足をすくわれかけて、エクスターシャはもがきながら、それでも気品を保つ努力をしながら悲鳴を上げた。侍女でさえ、王女の身体に触れねばならぬときは、おずおずと恭しく羽毛の繊細さを心掛ける。それをいきなり、許しも得ずに、見知らぬ粗野な男に抱き上げられようとしたのだから、狼狽と羞恥と憤りは筆舌に尽くし難い。もっとも、この先に彼女を待ち受けている運命に比べれば、これは最上級の丁重で慇懃な扱いなのではあった。
「うるせえな。暴れるんじゃねえ」
パチンと尻を叩かれて、エクスターシャは驚愕のあまり言葉を失った。
そんな様子を面白く思ったのだろう。その男は、いっそうの辱しめを愉しむ。エクスターシャを羽交い締めにして。
「暴れられて落っことしちゃいけねえ。誰か手伝ってくれ」
さっそくに一人が出しゃばって、エクスターシャの脚を――わざわざ開脚させて両脇に掻い込んだ。
仰向けに持ち上げられて、しかしエクスターシャは逆らわなかった。聡明な娘ではある。淫奔女の血を引くと陰で蔑まれながらも王女として毅然と振る舞ってきた、気丈な娘でもある。抗えばしっぺ返しを受けるだけと、すでに悟っていた。とはいえ。
「そのままじゃ裾を踏んづけちまうぜ」
三人目の男がしゃしゃり出ると、甲板に垂れている裳裾を(下穿が露出するまで)下着ごと捲り上げて裾を結び絞った。
「いやあああっ!」
金切り声を上げて当然だった。
エクスターシャは好色の嗤いに囲まれて、渡板の上を運ばれた。
移乗させられた船の甲板に集められている乗組員を掻き分けて、ひと目で貴族と知れる肥った男が海賊どもの前に立った。
「貴様ら、なんということを。そのお方をすぐに下ろせ」
まずい。エクスターシャは、狼狽した。ここで正体をばらされたら、事態がどう転ぶか分からない。少なくとも、良い方向へ動かないのは明らかだ。
「ヤックナン男爵殿!」
エクスターシャは声を張った。突然の、しかも威厳さえ漂う声に、彼女を抱えている手の力が弛んだ。エクスターシャは素早く甲板に立って。裾を元に戻すのも忘れて、なんとか取り繕おうとする。
「エクスターシャ・コイタンス王女殿下は、別の船に連れ去られました。私、オルガ・スムーザンヌは部下の侍女二人と共に、この船に乗せられる運びとなった模様です」
分かってくださいと、目で訴える。
ヤックナンにどのような思惑が働いたのかは分からない。が、詳しい事情を知らないまま、主君の娘の目論見に異議を唱えるべきではないと判断したのだろう。
「そうですか。王女殿下にはお痛わしいかぎりですが、侍女の取りまとめをよろしくお願い致す。オルガ殿」
そんな寸劇の間に、アヘーリアとイレッテも、こちらへ運ばれて来た。彼女たちは無駄に抗ったりはせず――どころか、横抱きにされただけでは不安だとばかりに、抱き上げた男の首根っ子に両手で抱き着いて。余禄とばかりに尻を撫でられても、挑発するように身をくねらせたりした。さすがは、元が娼婦と奴隷女。取り成してくれるはずのオルガが連れ去られたからには、己れの身は己れで守らねばならない。こういった女の自己防衛とは、すなわち男に媚びることだった。
もしも男に逆らえば、どうなるか。
三人と入れ違いに、ヤックナンが向こうの船に乗せ替えられた。
それを見送って、エクスターシャがいっそう恐怖と心細さを募らせながら。ようやく太腿が潮風に曝されているのに気づいた。慌てて裾を元に戻そうとしたのだが、男の手で固く結ばれているので、なかなかほどけない。
悪戦苦闘しているエクスターシャの前に、髭面と同じくらいの巨躯が立ちはだかった。ただし、首から上は髭面と真反対。頭のてっぺんまで禿げているのか剃っているのか。まるきりの海坊主だった。
「さっきからの暴れっぷりといい、貴族様を顎で使うような物言いといい、ちっとばかし灰汁(あく)抜きが要るな」

「なにを……?!」
抗議する間もあらばこそ。
「おまえら。こいつを袋にして、帆桁に吊ってやれ」
たちまち前後左右から男どもが群がり集まって。羽交い締めにされて。裾の結び目をほどいてくれたのはいいが、そのまま、頭上で縛られているよりも高く捲り上げられてしまった。
さっそく身に付けた処世術で、エクスターシャは羞恥を堪えて抗わない。
裾は頭上でひとまとめに絞られて縄で括られ、その縄が帆桁に投げ上げられて、そこに結び付けられた。
エクスターシャは視界を奪われ、そこに立ち尽くしているしかない。動こうと思えば動ける。座り込むことも出来る。しかしそうすれば――すでに腰まで捲り上げられている衣服がさらにずり上がって、いっそう肌を曝す破目になる。
袋にしろという言葉だけで、手際良く狼藉をしてのけた男ども。拐った女が抵抗すれば、このようにして灰汁抜きをしてきたのだろう。
素直な女は、それなりに優しく扱われる。
「そっちのお嬢さんたちは船室へ案内してやれ」
海坊主の声だった。
「手ぐらいは出しても構わねえが、魔羅までは出すんじゃねえぞ」
どっと、哄笑と歓声が沸いた。優しく扱われるのも、それなりに屈辱が伴う。もっとも、この二人の娘は屈辱と思わないかもしれないのだが。
アヘーリアとイレッテは、海賊どもとさながら恋人同士のように、腰を抱かれ(別の男に)尻を撫でられ胸を揉まれながら、船倉へと下りて行った――のまでは、エクスターシャはには分からなかったが。
船はなおも止まったままで、こちらの乗組員をあちらの商船へ追いやっている――のが、海賊どもの声と人の動く気配とでわかった。
なぜ、こんなことをするのか。エクスターシャも、じきに知ることになるが。正使と副使をメスマンとフィションクへ向かわせるためだった。人質を取っても、それが相手に伝わらなければ金にはならない。海賊どもにとっては、フィションク王が愛娘を救おうとしようが、メスマンの首長が花嫁を購おうとしようが、同じことだった。
そして、この商船には貢ぎ物が積まれている。洋上で海賊船に積み替えるよりは、船ごと港まで運ぶほうが手っ取り早いし手持ちの船も増える。機動力に富んだ海賊船には仕立てられないが、手持ちの駒が増えて悪いわけがない。
――船が揺れ帆桁が軋んで風向きが変わり、船が動き始めたようだった。
周囲から人の気配が消えて、エクスタターシャはわずかに安堵した。海賊船から乗り移って来た人数は知れている。全員が操船で手一杯なのだろう。
揺れる船の上で足を踏み替えて平衡を保ちながら立ち尽くすエクスターシャは、この先に待ち受けている様々な受難と試練を、まだ知らない。そして、悲惨な結末をも。
========================================
この作品舞台では、さまざまな言語が登場しているはずです。ヨーロッパの各国語、アラビア語(とペルシャ語がどう違うか知りませんが、とにかく蚯蚓がうねくった文字で表記されるやつ)。ヨーロッパ系に関しては、方言扱いにします。
問題はアラビア文字で表記される言語の取り扱い。開き直って、ふつうに日本語表記とします。ただし、第一ヒロインは(後宮に入って一生を過ごすはずですから)国に居るうちから一生懸命に言葉や習俗を学習して(だから、首から下はツルツル)います。ので
「わたしは、エクスターシャいいます。どぞ、かわいがってくださいませぞなもし」
いえ、そこまでふざけませんけど。基本、ひらかな表記です。これに対して、君主セセインは
「うむ。愛い奴じゃ。存分に甚振ってくれようぞ」
いえ、どちらの台詞も本文には登場しません。
この方針でいくと、特定の外国語を依怙贔屓できません。ので、すべて漢字表記です。何が言いたいかというと。
シャツ 襯衣
ズボン 男袴
ハーレムパンツ 女紗袴
タイツ 細袴
スカート 裳裾
ベール 面紗
ブラジャー 胸当
パンティ 下穿、下帯
こういうことです。
とはいえ。「茶巾縛り」とは書けません。洋物です。「駿河問」「座禅転がし」「十露盤責」と同じです。このあたりの感覚は、人それぞれでしょうが、筆者はそうなのです。そして、この書き方でそれなりの雰囲気を出せていると爺が自慰さん。
現在は「人身御供」の章が終わって、今日は紙飛行機とか医者通いとか酒盛り(は、年間365.2422日じゃん)とか。明日から「異教徒の地での冒険」です。
Progress Report 0:生贄王女と簒奪侍女
生贄王女への二つの暴辱と五つの試練
簒奪侍女に科される七つの拷問と懲罰
いよいよ執筆開始です。
今回はプロット詳細は割愛して、章題のみを御紹介。章題を決められる程度には構想していても具体的なシノプシスには至っていない部分も多々あります。最近は、これが多い。シノプシスを煮詰めていくと、新しいアイデアも出てくるし、個々の出来事の水面下での連関も生じてくるのですが。まあ、今回もテーマがエロ(王女)と拷問(侍女)で、モチーフがエロと拷問で、コンセプトがエロと拷問で、ディテールがエロと拷問で、通奏低音がエロと拷問で……石を投げないでください。
ま、いつものパターンです。
ちなみに、この小説のそもそもは。
貴族の従姉妹二人が海賊に拐われ、一人は身代金と引き換えに解放されて後にナポレオンの妻となり、もう一人はイスラム圏のハーレムに売られて後にスルタンの母后となった――という、伝説勘違いうろ覚えが発想の根元です。
史実では、ジョセフィーヌは拐われていません。

========================================
生贄王女編
始りの章
受難の一:破瓜輪姦
受難の二:人身御供 →今回の画像
異教徒の地での冒険
試練の一:公開鞭打
試練の二:無理難題 →『賢い百姓の娘』エロバージョン
試練の三:穀物蔵入
試練の四:後宮鎮静 →スター結線
試練の五:男色王子
試練の果ての命乞い
簒奪侍女編
始りの章
拷虐の一:徒歩連行
拷虐の二:人定拷問
拷虐の三:色責馬車
拷虐の四:異教徒問
拷虐の五:重鎖押送
拷虐の六:拷問三度
拷虐の七:公開拷問
処刑執行寸前の救出
競売奴隷編
========================================
『賢い百姓の娘』は、グリム童話です。
筆者が『世界名作童話全集』で読んだときは、娘でなく少年でした。エロ自粛忖度でしょうね。
スター結線というのは、三相交流の結線方法でまあ、『人』の字形です。この作品でいう異教徒は、結婚以外の性交を禁じていますし、ましてや同性愛など死刑です。偶像も禁止ですからディルドも駄目です。しかし、スタンドに擂粉木を3本放射状に取り付けて、これで3人がアナル・ズコバコをしても――「性交」ではないし、3人は性的接触をしていないし、擂粉木は偶像ではなく実用品。という屁理屈で、賢い百姓の娘モトイ海賊に(文字通り)揉まれて賢く図太くエロくなった生贄王女はハーレム3寵姫のいがみ合いを鎮めるのです。いきなり詳細を語っても読者の皆様には珍文漢文でしょうが。追ってのレポートなり製品版なりをお待ちください。
今回も、『悦虐へのエチュード(発売中)』、『幼なマゾの契り(2023/11発売予定)』に続いて、MOBにいたるまで名前を遊び倒しています。シリアスでハードな作品でこういうことをすると、作品まで倒れかねないのですが。だって……
好きなんだもの、私は今、書いているう♪
16歳の南沙織は『17歳』でデビュー。おちゃらけてるようでいて鮮烈なキャッチフレーズでした。のは、38万光年のフリーキック。
ネーミングをば、ちょっと、御紹介。小説中ではフルネームで書かない人物もいます(当然、読者にはお遊びが分からない)し、MOB要員の中には実際には登場させない人物もいます。
フィションク準王国
先后 ジョイーティ(旧姓メジマキンヌ)
前后 メソビア(旧姓インランド)
王女 エクスターシャ・コイタンス
侍女 オルガ・スムーザンヌ
御供 イレッテ・ズコバック
アヘーリア・インライン
正使 ロテイト・クレジワルド クレイジーワード=狂言
副使 チョイス・ヤックナン
海賊団アルイェット 無敵艦隊は『アルマダ』未だ→yet
ヴァギナン船長 ミズン・モシュタル
パイオーツ船長 ヒゲン・モテワッコ
オシリーヌ船長 ボーズ・アバレン
手下ども シダッシュ、チョデイン、エキグス、ブーモ、ストラキエ、バダッケ、カトワン
メスマン王国/首都アリエザラム
王様 サルタン・セセイン・シュンク・ギャボック
宰相 オザーリカ
王子 リルエイビバ
第一寵姫 サナンドオ
第二寵姫 シャビイーハナ
第三寵姫 レネムズコエ
奴隷小頭 ニンサコ、イシラガ、ンレド
審問官 キャゴッテ・ゼメキンス
モンク イッカード、ゴドアン どちらも「5門」です。ヒッチコック気取り?
兵隊長 コーワ・モテイン
その他端役候補
ミッジ・カスギール、オライナ・ケッカネン、エキス・トーラン、ハヤック・ソノーチ
ツィヤック、モシモーシュ
アンナ・ハインライン、ニアーナ・ヨガリンヌ、ミャーナ・オッケイン、キュリアン・エピック、セツィーナ・ギーシュ、カッサンドラ・モデオイン、マイラ・テネシー、ノーノ・コマチオ、ルアーナ、パパイン、モデリード、プカーディ
簒奪侍女に科される七つの拷問と懲罰
いよいよ執筆開始です。
今回はプロット詳細は割愛して、章題のみを御紹介。章題を決められる程度には構想していても具体的なシノプシスには至っていない部分も多々あります。最近は、これが多い。シノプシスを煮詰めていくと、新しいアイデアも出てくるし、個々の出来事の水面下での連関も生じてくるのですが。まあ、今回もテーマがエロ(王女)と拷問(侍女)で、モチーフがエロと拷問で、コンセプトがエロと拷問で、ディテールがエロと拷問で、通奏低音がエロと拷問で……石を投げないでください。
ま、いつものパターンです。
ちなみに、この小説のそもそもは。
貴族の従姉妹二人が海賊に拐われ、一人は身代金と引き換えに解放されて後にナポレオンの妻となり、もう一人はイスラム圏のハーレムに売られて後にスルタンの母后となった――という、伝説勘違いうろ覚えが発想の根元です。
史実では、ジョセフィーヌは拐われていません。

========================================
生贄王女編
始りの章
受難の一:破瓜輪姦
受難の二:人身御供 →今回の画像
異教徒の地での冒険
試練の一:公開鞭打
試練の二:無理難題 →『賢い百姓の娘』エロバージョン
試練の三:穀物蔵入
試練の四:後宮鎮静 →スター結線
試練の五:男色王子
試練の果ての命乞い
簒奪侍女編
始りの章
拷虐の一:徒歩連行
拷虐の二:人定拷問
拷虐の三:色責馬車
拷虐の四:異教徒問
拷虐の五:重鎖押送
拷虐の六:拷問三度
拷虐の七:公開拷問
処刑執行寸前の救出
競売奴隷編
========================================
『賢い百姓の娘』は、グリム童話です。
筆者が『世界名作童話全集』で読んだときは、娘でなく少年でした。エロ自粛忖度でしょうね。
スター結線というのは、三相交流の結線方法でまあ、『人』の字形です。この作品でいう異教徒は、結婚以外の性交を禁じていますし、ましてや同性愛など死刑です。偶像も禁止ですからディルドも駄目です。しかし、スタンドに擂粉木を3本放射状に取り付けて、これで3人がアナル・ズコバコをしても――「性交」ではないし、3人は性的接触をしていないし、擂粉木は偶像ではなく実用品。という屁理屈で、賢い百姓の娘モトイ海賊に(文字通り)揉まれて賢く図太くエロくなった生贄王女はハーレム3寵姫のいがみ合いを鎮めるのです。いきなり詳細を語っても読者の皆様には珍文漢文でしょうが。追ってのレポートなり製品版なりをお待ちください。
今回も、『悦虐へのエチュード(発売中)』、『幼なマゾの契り(2023/11発売予定)』に続いて、MOBにいたるまで名前を遊び倒しています。シリアスでハードな作品でこういうことをすると、作品まで倒れかねないのですが。だって……
好きなんだもの、私は今、書いているう♪
16歳の南沙織は『17歳』でデビュー。おちゃらけてるようでいて鮮烈なキャッチフレーズでした。のは、38万光年のフリーキック。
ネーミングをば、ちょっと、御紹介。小説中ではフルネームで書かない人物もいます(当然、読者にはお遊びが分からない)し、MOB要員の中には実際には登場させない人物もいます。
フィションク準王国
先后 ジョイーティ(旧姓メジマキンヌ)
前后 メソビア(旧姓インランド)
王女 エクスターシャ・コイタンス
侍女 オルガ・スムーザンヌ
御供 イレッテ・ズコバック
アヘーリア・インライン
正使 ロテイト・クレジワルド クレイジーワード=狂言
副使 チョイス・ヤックナン
海賊団アルイェット 無敵艦隊は『アルマダ』未だ→yet
ヴァギナン船長 ミズン・モシュタル
パイオーツ船長 ヒゲン・モテワッコ
オシリーヌ船長 ボーズ・アバレン
手下ども シダッシュ、チョデイン、エキグス、ブーモ、ストラキエ、バダッケ、カトワン
メスマン王国/首都アリエザラム
王様 サルタン・セセイン・シュンク・ギャボック
宰相 オザーリカ
王子 リルエイビバ
第一寵姫 サナンドオ
第二寵姫 シャビイーハナ
第三寵姫 レネムズコエ
奴隷小頭 ニンサコ、イシラガ、ンレド
審問官 キャゴッテ・ゼメキンス
モンク イッカード、ゴドアン どちらも「5門」です。ヒッチコック気取り?
兵隊長 コーワ・モテイン
その他端役候補
ミッジ・カスギール、オライナ・ケッカネン、エキス・トーラン、ハヤック・ソノーチ
ツィヤック、モシモーシュ
アンナ・ハインライン、ニアーナ・ヨガリンヌ、ミャーナ・オッケイン、キュリアン・エピック、セツィーナ・ギーシュ、カッサンドラ・モデオイン、マイラ・テネシー、ノーノ・コマチオ、ルアーナ、パパイン、モデリード、プカーディ
Progress Report Final:心中切支丹
とっとと脱稿しました。169枚です。ラストへ強引に持って行き過ぎて、まあ、破綻まではしていないと思いたいのですが。
それは、2023年1月にリリースしますので、製品版で読者各位にてご確認ください。PR、PR。
ひさしぶりに、縛りも敲きも辱めもない、ノーマルな濡れ場を書きました。筆者の経験不足が躍如として面目ございませんです。
========================================
絶頂指南
早くも翌日には二十五両を携えて、里弥は『縁妓楼』を訪れた。売った刀は三十二両になった。七両余る。麻女を転ばせて嫁に迎えるときの諸掛に充てようなどと、考えるのは勝手だ。
「お早いお越しで」
楼主は、時刻ではなく日にちのことを言っている。ただの挨拶といった趣で、揶揄の響きはなかった。
「つかぬことを伺いますが、最後に精を放ってから何日になりましょうか」
「女と媾合ったのではなく、精を――だな。七日になるか」
「つまり、引き回しの水責めがあった夜に、ですな」
里弥は動揺を表に出すまいと表情を引き締めた。
あの、疲労困憊しながらも裸身を誇らしげに晒して恍惚と歩む麻女の姿。水車に磔けられてゆっくりと回る麻女の裸身。獲られた狸でさえも、もっと丁寧に扱われる開帳押送のむごたらしさ。それらを瞼の裏に甦らせながら激しく己れを扱いた――と、楼主に見透かされたのではないか。
「男なれば誰しも、女人を辱めたい甚振りたいという想いを心の裡に秘めております。それに呼応するように女人も亦、男に辱められ甚振られることに悦びを見い出すもの」
言われてみれば、女のことは知らず。確かに己れの裡にはそういった衝動がある。拷責の場で、それが噴出したことも――顧みれば、確かに何度もあった。
「昨日のお話を伺うに、本庄様はともかく、麻女殿にはその性が濃いように思えます。殉難とやらへの法悦境も、そこと深く結びついておりましょう」
それだけに、常法の閨事で気を遣らせるのは難しいでしょう。しかし、適度の堪振りを交えれば――いや、この先は口伝など畳水練、実地に体得していただきましょう。
「実地にとは、つまり拙者が、実際にこの場で……楼主殿の指南を受けながら……」
「剣術も道場で稽古なさるでしょう」
何を当たり前のことを――という口振り。
「もっとも、この座敷は道場ではありませんし、稽古をつけるのも師範代ですが。ともかく、お支度ください」
支度とは何をすれば良いのか分からぬままに、遣手婆にしては若すぎ娼妓にしてはずい分な女に湯殿へ案内された。当然のように素裸にされる。掛け湯をして湯には浸からず、湯船の縁に腰掛けさせられる里弥。の前に、湯文字ひとつになった女が跪き、脚の間に身を割り入れた。手には鋏と櫛を持っている。
「失礼致しますね」
淫毛を櫛で梳いて鋏を当てる。
「お……」
おい、何をする――という言葉を、里弥は呑んだ。剣術でも、そうではないか。理屈抜きで、まず木刀を振らされて、それから脇の締めとか指の絞りを教えられていくのだ。
いざ覚悟を決めると。なにしろ、色っぽい年増女に触れられているどころか妖し気なことをされているのだ。たちまちにいきり勃ってしまう。
「あらま。元気のよろしいですこと」
さすがにこういった場所の女だけあって、余裕綽々にくすりと笑って。てきぱきと、里弥の下腹部を稲刈りが終わった田圃のようにしてしまった。
「小半時ほどお待ちください。支度が調いましたら、お迎えに参ります」
女が去って、里弥は手持ち無沙汰に湯へ浸かるしかなかった。
用意されていた新しい褌を締めて、小袖を着る。二日目の無精髭みたいな短い淫毛が褌の布地に引っ掛かって、歩くとチクチクくすぐったい。元服前後の少年なら、それだけで鎌首をもたげているだろう。
案内されたのは、二階の客座敷。膳などは出ておらず、若い娘が年嵩の牛太郎に引き据えられる形で横向きに座り、上座には楼主が居るばかり。里弥は下座に、娘と向かい合って座らされた。
「この娘は四日前にうちで買い取った、まったくの生娘で地女です。名前はスエ」
固い表情で座っている娘が、わずかに頭を下げた。およそ、娼妓の仕種ではない。楼主が敢えて地女というのだから、まだ閨の所作はおろか、廓の仕来りも教えていないのではなかろうか。
「今宵ひと晩、本庄様のお相手をして気を遣らなければ、借金を棒引きにして親元まで送り届けてやると、約束しました。気を遣るとはどういうことか、口で教えるのには苦労しましたがね」
娘の借金は二十両。里弥の持参した二十五両を充てる。差額の五両だけが、座敷代と束脩だと言う。もっとも、里弥が上首尾に終われば、五両が二十五両に跳ね上がる。
「野暮な話は、これまでと致しまして――豪太、後は頼んだよ」
牛太郎に仕切を任せて、楼主は座敷を出て行った。豪太と呼ばれた男が、いっそうの下座、二人の中間に座を移した。
膳などは出ていないと書いたが、正確に云えば座敷の隅に大きな盆があって、そこに五合徳利と三つの平盃、そして小皿に味噌が盛られていた。
豪太が三人の真ん中に味噌を置き、まわりに平盃を配して酒を注いだ。
「この手の話は、素面じゃあ耳がくすぐったいでしょうからね」
耳がくすぐったければ、言葉が頭に染み込まないという意味だろう。
「スエちゃんは酔っ払っちまってもいいけど、旦那は駄目ですぜ。勃つ物が眠りこけちゃあ、指南もへったくれもありやせんからね」
豪太が、一気に盃を空けた。里弥とて、酒豪ではないが人並みには呑める。一気に干して二杯目を受ける。スエだけは、おっかなびっくりに盃を舐める。
「さて……何からお話していいものやら。女が、アレアレイイワとかアアモウシニソウとか言うのは、小高い丘に登ったようなものでしてね。そこで勘違いなさっちゃいけません。九浅一深も『の』字もへったくれもなく、優しく激しく――ここらが、言葉で説明出来ねえ、スエで会得できたとしても、麻女ってえお人に通じるかも実は分からないんですがね。万事を尽くして天命を待つって言えばもっともらしいが、出たとこ勝負。それでも、勝負勘を磨かないことには、どうにもなりませんから」
百聞は一見に如かず、百見は一験に如かず。とにもかくにも、スエを抱いてごらんなさい――となった。
隣の続き間には、手回し良く布団が延べてある。もちろん一床。
遊廓の作法には拘らず、同心が女囚を犯す場合に近づけてみようとなって。まずは芝居でいうなら幕開け前の仕込み。里弥は小袖を着たまま、隅に控えて。スエが着物を脱ぐ。娼妓としての躾を受けていない割には平然と素裸になる――と、里弥は訝しんだが、すぐに思い当たる。親の許に居たときだって肌を晒して女衒に値踏みされ、こちらへ来てからも同じようにされているはずだった。
スエが湯文字を落として。きちんと畳む心の裕りも無く、里弥に正面を向ける。手で隠しもしない。
おや、と里弥はまた訝しんだ。楼主はまったくの地女と言っていたが、股間が無毛だった。
「麻女さんを抱くときも、毛はすっぱり剃ってやっておくんなさい。なに、火傷さえさせなきゃ燃やしちまっても構いませんがね」
旦那も今の無精髭で接してくださいと、豪太は言い添えた。
まったく無毛の肌に無精髭を擦り付ければ、かなりの刺激になる。そういうことだろうと里弥は推測して、楼主も豪太も事情を弁えているのかと不安になった。麻女は、その部分を折弓や縄鞭で敲かれ、淫裂は三角木馬に痛め付けられている。今さら無精髭など、チクリとも感じまい。
それでも。早呑込みに極め付けてはいかぬと、豪太の指南に従う。
「御存じとは思いますが。女の一番の急所はここ――淫核です」
六尺褌一本になった豪太が、スエの脚を割って淫裂の上端を左右にめくる。
「この小さな出っ張りは、まあ、皮をかぶった魔羅のようなもので、剥けば亀頭にあたる実核が出てきます」
淡い鮭肉色に絖る小豆よりも小さな突起。
「魔羅の百倍も敏感で、そっと触るだけで――男にゃ女の真の感じ具合なぞ分かりませんが、身も世もあらぬ風情になる女も珍しくありません。その分、痛みにも敏感です。女郎への折檻の一番きついのは何だと思いますか。吊って敲く『ぶりぶり』でも水責めでもなく、ここへお灸を据えるんでさ」
たいていの男は穴さえあれば満足するから、折檻の直後に客を取らせるのも――きつい仕置になると、豪太は付け加えた。
「もっとも、淫核は御城にたとえるなら本丸。出城を落とし堀を埋め城郭を崩し、それからでなきゃあいけません。まあ、ちょいちょい物見を出す手間も惜しんじゃいけませんがね」
女体の二の丸にあたるのが乳首。乳房はその石垣。尻穴さえも三の丸か物見櫓。女によっては文字通りに搦手門ということもある。では堀とは――身体のすべてだという。ことに――指の股、腋、首筋、耳の裏、臍、脚の付け根は言うに及ばず、腿も脹脛も、あまねく攻めねば本丸を力押しに責めても、女は落とせない。。
では、肝心の女穴はというと。
「穴の奥から発する善がりは、実のところ実核に倍する凄まじさがありますが――一朝一夕で攻略できるものではありません。同じ男と何度も媾合い、じわじわとそうなっていくもの。旦那は、それでは間に合わないのでしょう」
その代わり。麻女さんは拷責で恍惚となる。
「そういった女は稀に居ります。信心とは関係ありません。主人も申していたと思いますが、女は男に辱められ甚振られたいという想いを――当人が気づいているかいないかはありますが、秘めております。だいたい、穴に魔羅を突っ込まれることが辱めであり甚振りですから。それが穴だけではなく魔羅だけではない。そういう女です」
なるほどと、里弥は合点する。麻女も――乳房を敲かれ女淫を甚振られたときこそ、恍惚となっていた。急所だから痛みが甚だしい、ただそれだけが理由と思っていたのだが。そういう見方もあるのか。
「スエに、そういった素質があれば手っ取り早いですが、おそらくは、真剣勝負の場で手探りで試みるしかないでしょう」
そのためにも、まずは稽古で。生娘を善がらせることから始めましょうと――いよいよ里弥も素裸になって、スエと向かい合った。
豪太が長広舌を振るう間は所在無げに突っ立っていたスエの肩に手を掛けて。それだけで、スエは小刻みに全身を震わせる。肩を押して布団へ導こうとして。
「肩よりも腰です。それで柔らかく動くようなら、尻もいいでしょう。それも拒まないようなら、指で谷底をくすぐっても良ござんす。尻穴は時期尚早ですが」
左手を腰に添えてみたが、スエの震えは増すばかり。尻は無理と、里弥は判断した。
スエを布団に仰臥させて。
「好きおうた男女なら、おおいかぶさって抱き締めてやるのがよろしいが、頑な心を鎖している女子には逆効果。口を吸うておやんなさい。これからそういうことをされるのだと、悟らせるのです」
口吸い、接吻。里弥は愕然とした。女淫を異物で抉り尻穴に魔羅を突き立て、乳房など幾度も捏ねくり回してはきたが、口に触れるのは猿轡を噛ますときだけ。それを云えば、肌に触れていた時よりも肌を敲いていた時のほうがずっと多い。
それを想ったとき。萎縮していた魔羅が鎌首をもたげた。麻女を想ったからか、嗜虐を想起したからかは――多分、どちらもだろう。
思いをこの場へ引き戻して。里弥はスエに唇を重ねた。豪太の指南で、唇を割って舌を挿し込み中を舐めスエの舌を絡め取る。
左手で支えて身体の重みをスエに掛けぬようにしながら、右手で肌を撫でる。掌を浮かして五本の指でくすぐり、ときにはべったりと掌で擦る。乳房の裾野から肩、肩から乳房に戻って、乳首に物見を出す。
スエが無言のまま、ぴくんと身体を震わせた。
無理攻めはせず、上体を起こして両手で腋の下から腰をくすぐり、尻の下に掌を差し入れてあわあわと揉み、返す手刀で膝の裏から股の付け根へ攻め登り、女淫の唇をなぞってから、本丸にこれも物見。
「ひゃあっ……」
初めて出したスエの声は裏返っていた。しかし、まだまだ。正中線をなぞって臍の穴をくじり、麻女の半分くらいしかない稚い乳房の谷間から左右に軍勢を分ける。
再びおおいかぶさって。左の肘で上体を支えながら、手は首の裏をくすぐり、耳たぶを経て口唇を指でなぞる。
ここまでで、線香一本が燃え尽きるほどの時間が経っている。スエの息がせわしなくなってきた。
身体を起こして、両手で乳房の本攻めに取り掛かる。麓からじわじわと攻め登って、いよいよとスエが身を固くすると手前で引き返す。それを幾度も繰り返して、ついに乳首に達すると、もはや抵抗はない。
指で摘まみ転がし、口に含んで舌先でつつく。
「あっ……そんな……」
生まれて初めて知る異様な感覚に、スエが翻弄される。
ここも執拗に、しかし手を滑らせて他への愛撫も交えながら。滑らせる動きを次第に股間へ集中させていき、主攻を鼠径部から淫唇へと移す。
「いやっ……そこは……」
拒絶の響きが交じると口で口をふさぎ、ついでに中を弄ぶ。
そうして。ついに本丸の攻略に取り掛かる。包皮の上から、そおっと摘まんで、きゅるんと実核を滑らせる。
「きゃああっ……」
甲高い悲鳴に苦痛の響きはない。
「なにしたんですか。こんなの……ひゃんんっ、やめてくだんせ」
訴えは口でふさいで。何度もしごいて悲鳴を上げさせるうちに――それが、次第に鼻へ甘く抜けていく。
「旦那は、そのまま続けていておくんなさい」
里弥は左手でスエの裸身をあちこち愛撫しくすぐりながら、右手は強弱をつけて淫核を攻め続ける。
その横で豪太が足元のほうから、淫裂に指を挿入した。
「中は洪水ですぜ。旦那は中々に筋が良ござんすね」
それを確かめるのが豪太の目的ではない。
「未通でも、小さな穴は開いてるんでさ。そうじゃないと、月毎の血が下りてきませんや」
今は指一本よりも小さな穴だが、蕩けて柔らかくなっているときなら、だんだんと広げて――魔羅を受け挿れられるようになる。新鉢を割らずに生娘を女に出来るのだという。破瓜の痛みがなければ、それだけ絶頂を究めさせ易い。
「麻女さんにゃ必要のないことですがね」
だから指南はせずに助るという理屈だ。
里弥は生娘を追い上げる困難に全神経を集中させる。
「そろそろ頃合いですかね」
豪太がそう言ったのは、スエを布団に押し倒してから一時を過ぎた時分だった。
「けど、まあちょっと、曲舞もやっときましょうか。いえ、扇子は要りやせんがね」
指ではなく舌を使って女淫を攻めろという。
「もし、お厭でなければ――ですが」
仮にも武士。身分の低い、しかも女子の不浄の箇所を舐めるなど、真っ当な男なら激怒していただろう。しかし、溺れていれば藁をもつかむ。
「こ、こうか……」
後ろに下がって、顔を女淫に近づけて。ぺろっと淫唇を舐めた。
「ひゃうっ……」
指と舌と。感触の違いにスエは気づき、そこを見て。
「いやあああ。やめてください、お武家様」
正気づかせてしまった。これでは逆効果と顔を上げかける里弥を豪太が制する。
「そこでやめちゃあ、意味がありやせん。毒を食らわば皿まで。実核も女淫の中も、ねぶりつくしてやっておくんなさい。吸ってもよござんす。そうっと噛んでやるのも効きますぜ」
言いながら豪太は、身体を起こそうとするスエを押さえつけている。脚を閉じさせないようにしている。
里弥は、師範代の言葉をなぞって――固く尖がっている淫核を吸い、必然に顔を覗かせる実核を甘噛みして。
「いやあああっ……やめ、やめて。怖い……怖いよおおお」
怖いというのが気持ち好いだとは、里弥にも分かった。それほどに、スエの声は蕩けていた。
「山でいえば七合目あたりです。いよいよ、スエを女にしてやっておくんなさい。おっと、その前に」
隣の座敷から五合徳利を持ってくる。
「女が気を遣っても、旦那は精を漏らしちゃいけやせんぜ。ちっと、坊やを宥めてください」
里弥は二十三。大人の分別も着いてはきたが、まだまだ坊やは利かん気である。怒張は腹にへばり付いて、先走り汁も滲んでいる。
里弥は徳利に直に口を付けて、一合ばかりを一気に呷った。空きっ腹が、かあっと熱くなって、そのすぐ下はいささかの落ち着きを取り戻した――のは、気の持ちようか。瞬時に酔いの回るはずがない。
ともかくも。里弥はスエの脚の間に位置を占めて。スエにのし掛かって。左手で上体を支えながら、右手は怒張の付け根を握って淫裂に導いて――ずぐうっと、はっきり突き抜ける感触があった。
「ひいいっ、痛い……」
スエが小さく悲鳴を上げた。可憐な声音だった。駿河問に吊られたまま魔羅の倍ほどもあるマリア像で新鉢を砕かれた麻女の絶叫に比ぶべくもない。
しかし。豪太の指で拡げられていたにも係わらず、なんという締め付けであることか。もしも酒で感覚を麻痺させていなければ、おそらく貫通の瞬間に精を放っていたのではないだろうか。
返すがえすも、我が手で為したこととはいえ、異国の邪神像などに麻女の純潔を奪われたことに痛恨を思うのだった。
いかん。今は、この女をあの恍惚よりも高く深く追い詰めることに没頭せねば。里弥は己れを叱咤する。それに――麻女が他の男に穢されたのは尻穴だけだ。生身では、俺が一番槍を突くのだ。
豪太が何も言わないので、里弥は己れの流儀で腰を遣い始めた。初めてなら荒腰は苦痛を与えるだけと、ゆっくり抜き差しする。
スエは――麻女に比べれば取るに足りない痛みに耐えているのか、それとも女になった悲哀と感慨を噛み締めているのか。いずれにしても、先ほどまでの稚い喘ぎは消えて、木偶人形のように仰臥している。
「女の道具にゃ、上付きと下付きがありやす。スエは上付きと覚えておいてください」
言われてみれば。仰臥していても淫裂がはっきり見えていた。麻女はどうだったか。大の字磔とか海老責めの股間とかばかりが思い出されて、きちんと脚を揃えて仰臥している姿など――そもそも、目にした覚えがなかった。
「本手のままじゃあ、旦那の毬栗も利きません。スエを押し潰しても構わねえ。下腹を押し付けてやってください」
押し潰しては可哀想というよりも、ますます冷めるだろうと。反り身になって下腹部を押し付けた。
「身体の下に手を入れて腰を持ち上げれば、もっと効きます」
その形で、抜き差しというより腰をスエの身体に沿って上下に揺する。無精髭が、ざりざりとスエの無毛の肌を擦る。
「ひゃああっ……」
スエの裏返った悲鳴。
「やだ……痛い……くすうったい……や、やめ……なに、これ……」
スエの狼狽ぶりに動きを止めると、豪太が叱咤する。
「続けなせえ。本丸は目の前。鳴き声を聞き分けて緩急を付けて、追い込んでやんなさい」
そうか。これが並の女の普通の気持ち好がり様なのかと、里弥も察して。冷静にスエの顔を見下ろせば、苦しそうに眉根を寄せて必死に何かを耐えている風情。麻女の恍惚とは、まるきり違う。この表情を麻女と同じに出来るのかと、不安に思いつつも腰を動かす。
こういうときにも、腰で文字を書くのは効くだろうと――単純な上下の動きに『の』の字や『○』や『一』を加える。そのたびに、毛先が淫核を引っ掻く手応えが変わって。
「ひいっ……やめ……おかしく……こわい……ああっ……やああっ」
鳴き声も千変万化する。
そうして、ついに。
「もう、遠慮は要りやせん。がんがん突いてやっておくんなさい。毬栗を擦り付けるのも忘れずに。それと、精を漏らしちゃいけませんぜ」
無理な注文というものだ。荒腰を遣えば、どうしても下腹部が離れる。これだけの締め付けに抗して激しく抽挿すれば暴発してしまう。
それでも。腰をぐいと押し付けながら左右へも動かして淫核を刺激しながら、腰を引いた倍ほども強く押し付ける。気を逸らそうとして、イロハの逆順など頭の中で追うのは不可能事まで里弥も切迫しているので。
かんじーざいぼさつ(突き挿れながら横一文字に)
「いやあっ……」
ぎょうじんはんにゃー(奥まで突いて、さらに突く)
「あんんっ……」
はらみったーじー(突いてから円を描く)
「ああああっ……」
スエが大きく口をあけてのけぞった。
しょーけんごーうんかいくうっ
ここぞと里弥にも分かったので、子袋を突き破る勢いで腰を打ち付け、そのままぐりぐりと下腹部で淫核を蹂躙した。
「だめえええっ……こわい、こわいよおおっ」
大声で叫びながら、スエの裸身が弓反りになった。そのまま、数瞬。どさっとスエが崩れた。蕩け切った静謐な満足の笑みが顔に浮かんでいる。
「やりなさったね」
我が事のように豪太が微笑んでいる。ずいぶん遠くに離れているなと思ったのは一瞬。スエは里弥の腰に押されて布団からずり落ち、里弥もそれを追って、ふたりして寝間の端まで動いていたのだった。
里弥は放心しているスエを抱き上げて、布団に寝かせてやった。
「旦那は優しいね」
豪太に揶揄の色は無い。
「ですが、女の躾はこういうときが大事でさ」
スエを引き起こして、里弥の腰と正対させる。
「ちゃんと旦那の跡始末をしな」
どうやれば――と、スエが振り返るのへ。
「口に咥えて、おまえの淫ら汁を舐め取るんだよ。中に男汁が残ってるかも知れねえから、それは吸い出せ。どっちも吐き出すんじゃねえぞ。呑み込め」
スエは里弥の腰を透かして遠くを眺める目付きで。まだ精を放っていない怒張を口にふくんだ。愛おしそうに里弥の腰にしがみついて、言われた通りに舐め啜った。
「厭がらずにしゃぶってくりゃあ、つまりは本気で惚れちまったてえことです」
里弥には、スエへの慕情など無い。己が魔羅で女にして初めての絶頂まで究めさせたのだから、それなりに愛おしいとは思うが。所詮は二十五両の稽古台である。
「女郎の作法じゃ枕紙を使いますが、麻女さんにはこれを試すのも一法かと思いやしてね」
しかし、女に魔羅を舐めさせるのは――如何にもこの女を支配しているという愉悦があった。排泄の部位に口付けるのも、男と女とでは自ずから意味合いが違うのだと、感得する里弥だった。
「主さんは、まだ元気です。もう一度、可愛がってくださんせ」
跡始末を終えたスエが、怒張に頬擦りした。
へええっと、豪太が驚く。
「女郎を張ってくと、覚悟を決めたようです。聞きかじりの里言葉まで使っておねだりたあ、旦那も罪なお人ですぜ」
溜まったまま真剣勝負に臨めば思わぬ不覚を取るかも知れません。スエに今一度のお情けを掛けてやっておくんなさいと、豪太にも言葉を添えられて。
まだ絶頂の余韻にたゆたっているスエを、今度は小半時も掛けずに二の舞を舞わせて、己れも精を放ったのだった。
濃密な情事の跡形を風呂で洗い流して。里弥は楼主と対面した。末座には、スエと豪太も控えている。スエの里弥に注ぐ眼差しが熱い。
「此度は、お世話になりました。これで、麻女をデウスから取り返す自信がつきました」
楼主は黙って頷いて。袱紗包みを里弥の前に置いた。
「二十両をお返し致します」
突然のことに戸惑っていると。
「これは、スエの前借分です。賭けに負けて女郎として勤めると本人も得心したのですから、不要になりました」
「いや、それでは……」
「刀屋には三月の猶予を約させました。利鞘は三両。つまり、手前どもが頂戴した五両に加えてもう三両を三月のうちに都合できれば、お刀を買い戻せます」
八両なら、他に金策の手立ても無くはない。それよりも。家宝の刀を売って金子を工面したと、あっさり突き止められたところに、里弥は『縁妓楼』といわず遊廓あるいは裏世界の恐ろしさを知った。のは、瑣末事。
生涯ただ一度の決断を今さらひっくり返すなど、武士として、いや男、否人として、出来るはずもなかった。
「左様ですか。では、ご厚意を有り難くお受けする」
里弥は袱紗を懐に納めて。すぐに取り出した。包みをほどいて、まず五両を楼主の前に押し出した。
「これは揚がり代とは別に、楼主殿への祝儀です」
楼主が何か言いかけるのにかぶせるようにして、左右にも五両ずつを並べた。
「こちらは、スエ殿と豪太殿へ」
五両を手許に残すのだから、楼主の行為を無碍にする訳でもない。
結局、楼主は口を閉ざして五両を押し頂いた。豪太も膝行して頂戴し、スエは楼主に促されて頂戴した後は里弥に向かって平伏した頭をなかなか上げようとしなかった。
「世話になりました。では」
立ち上がって座敷から下がろうとする里弥。その背中に、豪太が声を掛けた。
「御無礼を承知でひと言だけ申し上げておきやす。貴方様みたいに、女に一途な御方は店から用心されやす。いつ何時、女郎と心中するか知れたもんじゃありやせんから」
「心に留めておきます」
里弥は止めていた足を座敷の外へ踏み出した。
========================================

ここで稽古をつけてもらって、麻女をノーマルな絶頂に導いて、デウスから取り戻そうという試みです。
無駄な試みと知っているのは、筆者と読者です。なんたって、麻女=マゾですもの。
実は。この作品を150枚以上で仕上がれば年間最多執筆枚数を更新と書きましたが、間違っていました。まだ20枚ほど足りません。まあ、返す刀で『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』の第11話を書きますから、年末までにはクリアできるはずですが。
それにしても。通算執筆枚数は2万2千枚を超えています。よくぞ書いてきたなと思う反面、『グインサーガ』の半分にも達していないと。「書いたSMゴマン枚♪」は無理かなあ。まあ、フルタイム・サラリーマンをやりながらでしたし、今現在も月に20日はジェダイの騎士をやっておりますもの。
少しは実入りのある趣味――と、自分を納得させるしかないでしょうね。
たまにはFANZAのAffiliate キーワードは「女囚 拷問」です。
それは、2023年1月にリリースしますので、製品版で読者各位にてご確認ください。PR、PR。
ひさしぶりに、縛りも敲きも辱めもない、ノーマルな濡れ場を書きました。筆者の経験不足が躍如として面目ございませんです。
========================================
絶頂指南
早くも翌日には二十五両を携えて、里弥は『縁妓楼』を訪れた。売った刀は三十二両になった。七両余る。麻女を転ばせて嫁に迎えるときの諸掛に充てようなどと、考えるのは勝手だ。
「お早いお越しで」
楼主は、時刻ではなく日にちのことを言っている。ただの挨拶といった趣で、揶揄の響きはなかった。
「つかぬことを伺いますが、最後に精を放ってから何日になりましょうか」
「女と媾合ったのではなく、精を――だな。七日になるか」
「つまり、引き回しの水責めがあった夜に、ですな」
里弥は動揺を表に出すまいと表情を引き締めた。
あの、疲労困憊しながらも裸身を誇らしげに晒して恍惚と歩む麻女の姿。水車に磔けられてゆっくりと回る麻女の裸身。獲られた狸でさえも、もっと丁寧に扱われる開帳押送のむごたらしさ。それらを瞼の裏に甦らせながら激しく己れを扱いた――と、楼主に見透かされたのではないか。
「男なれば誰しも、女人を辱めたい甚振りたいという想いを心の裡に秘めております。それに呼応するように女人も亦、男に辱められ甚振られることに悦びを見い出すもの」
言われてみれば、女のことは知らず。確かに己れの裡にはそういった衝動がある。拷責の場で、それが噴出したことも――顧みれば、確かに何度もあった。
「昨日のお話を伺うに、本庄様はともかく、麻女殿にはその性が濃いように思えます。殉難とやらへの法悦境も、そこと深く結びついておりましょう」
それだけに、常法の閨事で気を遣らせるのは難しいでしょう。しかし、適度の堪振りを交えれば――いや、この先は口伝など畳水練、実地に体得していただきましょう。
「実地にとは、つまり拙者が、実際にこの場で……楼主殿の指南を受けながら……」
「剣術も道場で稽古なさるでしょう」
何を当たり前のことを――という口振り。
「もっとも、この座敷は道場ではありませんし、稽古をつけるのも師範代ですが。ともかく、お支度ください」
支度とは何をすれば良いのか分からぬままに、遣手婆にしては若すぎ娼妓にしてはずい分な女に湯殿へ案内された。当然のように素裸にされる。掛け湯をして湯には浸からず、湯船の縁に腰掛けさせられる里弥。の前に、湯文字ひとつになった女が跪き、脚の間に身を割り入れた。手には鋏と櫛を持っている。
「失礼致しますね」
淫毛を櫛で梳いて鋏を当てる。
「お……」
おい、何をする――という言葉を、里弥は呑んだ。剣術でも、そうではないか。理屈抜きで、まず木刀を振らされて、それから脇の締めとか指の絞りを教えられていくのだ。
いざ覚悟を決めると。なにしろ、色っぽい年増女に触れられているどころか妖し気なことをされているのだ。たちまちにいきり勃ってしまう。
「あらま。元気のよろしいですこと」
さすがにこういった場所の女だけあって、余裕綽々にくすりと笑って。てきぱきと、里弥の下腹部を稲刈りが終わった田圃のようにしてしまった。
「小半時ほどお待ちください。支度が調いましたら、お迎えに参ります」
女が去って、里弥は手持ち無沙汰に湯へ浸かるしかなかった。
用意されていた新しい褌を締めて、小袖を着る。二日目の無精髭みたいな短い淫毛が褌の布地に引っ掛かって、歩くとチクチクくすぐったい。元服前後の少年なら、それだけで鎌首をもたげているだろう。
案内されたのは、二階の客座敷。膳などは出ておらず、若い娘が年嵩の牛太郎に引き据えられる形で横向きに座り、上座には楼主が居るばかり。里弥は下座に、娘と向かい合って座らされた。
「この娘は四日前にうちで買い取った、まったくの生娘で地女です。名前はスエ」
固い表情で座っている娘が、わずかに頭を下げた。およそ、娼妓の仕種ではない。楼主が敢えて地女というのだから、まだ閨の所作はおろか、廓の仕来りも教えていないのではなかろうか。
「今宵ひと晩、本庄様のお相手をして気を遣らなければ、借金を棒引きにして親元まで送り届けてやると、約束しました。気を遣るとはどういうことか、口で教えるのには苦労しましたがね」
娘の借金は二十両。里弥の持参した二十五両を充てる。差額の五両だけが、座敷代と束脩だと言う。もっとも、里弥が上首尾に終われば、五両が二十五両に跳ね上がる。
「野暮な話は、これまでと致しまして――豪太、後は頼んだよ」
牛太郎に仕切を任せて、楼主は座敷を出て行った。豪太と呼ばれた男が、いっそうの下座、二人の中間に座を移した。
膳などは出ていないと書いたが、正確に云えば座敷の隅に大きな盆があって、そこに五合徳利と三つの平盃、そして小皿に味噌が盛られていた。
豪太が三人の真ん中に味噌を置き、まわりに平盃を配して酒を注いだ。
「この手の話は、素面じゃあ耳がくすぐったいでしょうからね」
耳がくすぐったければ、言葉が頭に染み込まないという意味だろう。
「スエちゃんは酔っ払っちまってもいいけど、旦那は駄目ですぜ。勃つ物が眠りこけちゃあ、指南もへったくれもありやせんからね」
豪太が、一気に盃を空けた。里弥とて、酒豪ではないが人並みには呑める。一気に干して二杯目を受ける。スエだけは、おっかなびっくりに盃を舐める。
「さて……何からお話していいものやら。女が、アレアレイイワとかアアモウシニソウとか言うのは、小高い丘に登ったようなものでしてね。そこで勘違いなさっちゃいけません。九浅一深も『の』字もへったくれもなく、優しく激しく――ここらが、言葉で説明出来ねえ、スエで会得できたとしても、麻女ってえお人に通じるかも実は分からないんですがね。万事を尽くして天命を待つって言えばもっともらしいが、出たとこ勝負。それでも、勝負勘を磨かないことには、どうにもなりませんから」
百聞は一見に如かず、百見は一験に如かず。とにもかくにも、スエを抱いてごらんなさい――となった。
隣の続き間には、手回し良く布団が延べてある。もちろん一床。
遊廓の作法には拘らず、同心が女囚を犯す場合に近づけてみようとなって。まずは芝居でいうなら幕開け前の仕込み。里弥は小袖を着たまま、隅に控えて。スエが着物を脱ぐ。娼妓としての躾を受けていない割には平然と素裸になる――と、里弥は訝しんだが、すぐに思い当たる。親の許に居たときだって肌を晒して女衒に値踏みされ、こちらへ来てからも同じようにされているはずだった。
スエが湯文字を落として。きちんと畳む心の裕りも無く、里弥に正面を向ける。手で隠しもしない。
おや、と里弥はまた訝しんだ。楼主はまったくの地女と言っていたが、股間が無毛だった。
「麻女さんを抱くときも、毛はすっぱり剃ってやっておくんなさい。なに、火傷さえさせなきゃ燃やしちまっても構いませんがね」
旦那も今の無精髭で接してくださいと、豪太は言い添えた。
まったく無毛の肌に無精髭を擦り付ければ、かなりの刺激になる。そういうことだろうと里弥は推測して、楼主も豪太も事情を弁えているのかと不安になった。麻女は、その部分を折弓や縄鞭で敲かれ、淫裂は三角木馬に痛め付けられている。今さら無精髭など、チクリとも感じまい。
それでも。早呑込みに極め付けてはいかぬと、豪太の指南に従う。
「御存じとは思いますが。女の一番の急所はここ――淫核です」
六尺褌一本になった豪太が、スエの脚を割って淫裂の上端を左右にめくる。
「この小さな出っ張りは、まあ、皮をかぶった魔羅のようなもので、剥けば亀頭にあたる実核が出てきます」
淡い鮭肉色に絖る小豆よりも小さな突起。
「魔羅の百倍も敏感で、そっと触るだけで――男にゃ女の真の感じ具合なぞ分かりませんが、身も世もあらぬ風情になる女も珍しくありません。その分、痛みにも敏感です。女郎への折檻の一番きついのは何だと思いますか。吊って敲く『ぶりぶり』でも水責めでもなく、ここへお灸を据えるんでさ」
たいていの男は穴さえあれば満足するから、折檻の直後に客を取らせるのも――きつい仕置になると、豪太は付け加えた。
「もっとも、淫核は御城にたとえるなら本丸。出城を落とし堀を埋め城郭を崩し、それからでなきゃあいけません。まあ、ちょいちょい物見を出す手間も惜しんじゃいけませんがね」
女体の二の丸にあたるのが乳首。乳房はその石垣。尻穴さえも三の丸か物見櫓。女によっては文字通りに搦手門ということもある。では堀とは――身体のすべてだという。ことに――指の股、腋、首筋、耳の裏、臍、脚の付け根は言うに及ばず、腿も脹脛も、あまねく攻めねば本丸を力押しに責めても、女は落とせない。。
では、肝心の女穴はというと。
「穴の奥から発する善がりは、実のところ実核に倍する凄まじさがありますが――一朝一夕で攻略できるものではありません。同じ男と何度も媾合い、じわじわとそうなっていくもの。旦那は、それでは間に合わないのでしょう」
その代わり。麻女さんは拷責で恍惚となる。
「そういった女は稀に居ります。信心とは関係ありません。主人も申していたと思いますが、女は男に辱められ甚振られたいという想いを――当人が気づいているかいないかはありますが、秘めております。だいたい、穴に魔羅を突っ込まれることが辱めであり甚振りですから。それが穴だけではなく魔羅だけではない。そういう女です」
なるほどと、里弥は合点する。麻女も――乳房を敲かれ女淫を甚振られたときこそ、恍惚となっていた。急所だから痛みが甚だしい、ただそれだけが理由と思っていたのだが。そういう見方もあるのか。
「スエに、そういった素質があれば手っ取り早いですが、おそらくは、真剣勝負の場で手探りで試みるしかないでしょう」
そのためにも、まずは稽古で。生娘を善がらせることから始めましょうと――いよいよ里弥も素裸になって、スエと向かい合った。
豪太が長広舌を振るう間は所在無げに突っ立っていたスエの肩に手を掛けて。それだけで、スエは小刻みに全身を震わせる。肩を押して布団へ導こうとして。
「肩よりも腰です。それで柔らかく動くようなら、尻もいいでしょう。それも拒まないようなら、指で谷底をくすぐっても良ござんす。尻穴は時期尚早ですが」
左手を腰に添えてみたが、スエの震えは増すばかり。尻は無理と、里弥は判断した。
スエを布団に仰臥させて。
「好きおうた男女なら、おおいかぶさって抱き締めてやるのがよろしいが、頑な心を鎖している女子には逆効果。口を吸うておやんなさい。これからそういうことをされるのだと、悟らせるのです」
口吸い、接吻。里弥は愕然とした。女淫を異物で抉り尻穴に魔羅を突き立て、乳房など幾度も捏ねくり回してはきたが、口に触れるのは猿轡を噛ますときだけ。それを云えば、肌に触れていた時よりも肌を敲いていた時のほうがずっと多い。
それを想ったとき。萎縮していた魔羅が鎌首をもたげた。麻女を想ったからか、嗜虐を想起したからかは――多分、どちらもだろう。
思いをこの場へ引き戻して。里弥はスエに唇を重ねた。豪太の指南で、唇を割って舌を挿し込み中を舐めスエの舌を絡め取る。
左手で支えて身体の重みをスエに掛けぬようにしながら、右手で肌を撫でる。掌を浮かして五本の指でくすぐり、ときにはべったりと掌で擦る。乳房の裾野から肩、肩から乳房に戻って、乳首に物見を出す。
スエが無言のまま、ぴくんと身体を震わせた。
無理攻めはせず、上体を起こして両手で腋の下から腰をくすぐり、尻の下に掌を差し入れてあわあわと揉み、返す手刀で膝の裏から股の付け根へ攻め登り、女淫の唇をなぞってから、本丸にこれも物見。
「ひゃあっ……」
初めて出したスエの声は裏返っていた。しかし、まだまだ。正中線をなぞって臍の穴をくじり、麻女の半分くらいしかない稚い乳房の谷間から左右に軍勢を分ける。
再びおおいかぶさって。左の肘で上体を支えながら、手は首の裏をくすぐり、耳たぶを経て口唇を指でなぞる。
ここまでで、線香一本が燃え尽きるほどの時間が経っている。スエの息がせわしなくなってきた。
身体を起こして、両手で乳房の本攻めに取り掛かる。麓からじわじわと攻め登って、いよいよとスエが身を固くすると手前で引き返す。それを幾度も繰り返して、ついに乳首に達すると、もはや抵抗はない。
指で摘まみ転がし、口に含んで舌先でつつく。
「あっ……そんな……」
生まれて初めて知る異様な感覚に、スエが翻弄される。
ここも執拗に、しかし手を滑らせて他への愛撫も交えながら。滑らせる動きを次第に股間へ集中させていき、主攻を鼠径部から淫唇へと移す。
「いやっ……そこは……」
拒絶の響きが交じると口で口をふさぎ、ついでに中を弄ぶ。
そうして。ついに本丸の攻略に取り掛かる。包皮の上から、そおっと摘まんで、きゅるんと実核を滑らせる。
「きゃああっ……」
甲高い悲鳴に苦痛の響きはない。
「なにしたんですか。こんなの……ひゃんんっ、やめてくだんせ」
訴えは口でふさいで。何度もしごいて悲鳴を上げさせるうちに――それが、次第に鼻へ甘く抜けていく。
「旦那は、そのまま続けていておくんなさい」
里弥は左手でスエの裸身をあちこち愛撫しくすぐりながら、右手は強弱をつけて淫核を攻め続ける。
その横で豪太が足元のほうから、淫裂に指を挿入した。
「中は洪水ですぜ。旦那は中々に筋が良ござんすね」
それを確かめるのが豪太の目的ではない。
「未通でも、小さな穴は開いてるんでさ。そうじゃないと、月毎の血が下りてきませんや」
今は指一本よりも小さな穴だが、蕩けて柔らかくなっているときなら、だんだんと広げて――魔羅を受け挿れられるようになる。新鉢を割らずに生娘を女に出来るのだという。破瓜の痛みがなければ、それだけ絶頂を究めさせ易い。
「麻女さんにゃ必要のないことですがね」
だから指南はせずに助るという理屈だ。
里弥は生娘を追い上げる困難に全神経を集中させる。
「そろそろ頃合いですかね」
豪太がそう言ったのは、スエを布団に押し倒してから一時を過ぎた時分だった。
「けど、まあちょっと、曲舞もやっときましょうか。いえ、扇子は要りやせんがね」
指ではなく舌を使って女淫を攻めろという。
「もし、お厭でなければ――ですが」
仮にも武士。身分の低い、しかも女子の不浄の箇所を舐めるなど、真っ当な男なら激怒していただろう。しかし、溺れていれば藁をもつかむ。
「こ、こうか……」
後ろに下がって、顔を女淫に近づけて。ぺろっと淫唇を舐めた。
「ひゃうっ……」
指と舌と。感触の違いにスエは気づき、そこを見て。
「いやあああ。やめてください、お武家様」
正気づかせてしまった。これでは逆効果と顔を上げかける里弥を豪太が制する。
「そこでやめちゃあ、意味がありやせん。毒を食らわば皿まで。実核も女淫の中も、ねぶりつくしてやっておくんなさい。吸ってもよござんす。そうっと噛んでやるのも効きますぜ」
言いながら豪太は、身体を起こそうとするスエを押さえつけている。脚を閉じさせないようにしている。
里弥は、師範代の言葉をなぞって――固く尖がっている淫核を吸い、必然に顔を覗かせる実核を甘噛みして。
「いやあああっ……やめ、やめて。怖い……怖いよおおお」
怖いというのが気持ち好いだとは、里弥にも分かった。それほどに、スエの声は蕩けていた。
「山でいえば七合目あたりです。いよいよ、スエを女にしてやっておくんなさい。おっと、その前に」
隣の座敷から五合徳利を持ってくる。
「女が気を遣っても、旦那は精を漏らしちゃいけやせんぜ。ちっと、坊やを宥めてください」
里弥は二十三。大人の分別も着いてはきたが、まだまだ坊やは利かん気である。怒張は腹にへばり付いて、先走り汁も滲んでいる。
里弥は徳利に直に口を付けて、一合ばかりを一気に呷った。空きっ腹が、かあっと熱くなって、そのすぐ下はいささかの落ち着きを取り戻した――のは、気の持ちようか。瞬時に酔いの回るはずがない。
ともかくも。里弥はスエの脚の間に位置を占めて。スエにのし掛かって。左手で上体を支えながら、右手は怒張の付け根を握って淫裂に導いて――ずぐうっと、はっきり突き抜ける感触があった。
「ひいいっ、痛い……」
スエが小さく悲鳴を上げた。可憐な声音だった。駿河問に吊られたまま魔羅の倍ほどもあるマリア像で新鉢を砕かれた麻女の絶叫に比ぶべくもない。
しかし。豪太の指で拡げられていたにも係わらず、なんという締め付けであることか。もしも酒で感覚を麻痺させていなければ、おそらく貫通の瞬間に精を放っていたのではないだろうか。
返すがえすも、我が手で為したこととはいえ、異国の邪神像などに麻女の純潔を奪われたことに痛恨を思うのだった。
いかん。今は、この女をあの恍惚よりも高く深く追い詰めることに没頭せねば。里弥は己れを叱咤する。それに――麻女が他の男に穢されたのは尻穴だけだ。生身では、俺が一番槍を突くのだ。
豪太が何も言わないので、里弥は己れの流儀で腰を遣い始めた。初めてなら荒腰は苦痛を与えるだけと、ゆっくり抜き差しする。
スエは――麻女に比べれば取るに足りない痛みに耐えているのか、それとも女になった悲哀と感慨を噛み締めているのか。いずれにしても、先ほどまでの稚い喘ぎは消えて、木偶人形のように仰臥している。
「女の道具にゃ、上付きと下付きがありやす。スエは上付きと覚えておいてください」
言われてみれば。仰臥していても淫裂がはっきり見えていた。麻女はどうだったか。大の字磔とか海老責めの股間とかばかりが思い出されて、きちんと脚を揃えて仰臥している姿など――そもそも、目にした覚えがなかった。
「本手のままじゃあ、旦那の毬栗も利きません。スエを押し潰しても構わねえ。下腹を押し付けてやってください」
押し潰しては可哀想というよりも、ますます冷めるだろうと。反り身になって下腹部を押し付けた。
「身体の下に手を入れて腰を持ち上げれば、もっと効きます」
その形で、抜き差しというより腰をスエの身体に沿って上下に揺する。無精髭が、ざりざりとスエの無毛の肌を擦る。
「ひゃああっ……」
スエの裏返った悲鳴。
「やだ……痛い……くすうったい……や、やめ……なに、これ……」
スエの狼狽ぶりに動きを止めると、豪太が叱咤する。
「続けなせえ。本丸は目の前。鳴き声を聞き分けて緩急を付けて、追い込んでやんなさい」
そうか。これが並の女の普通の気持ち好がり様なのかと、里弥も察して。冷静にスエの顔を見下ろせば、苦しそうに眉根を寄せて必死に何かを耐えている風情。麻女の恍惚とは、まるきり違う。この表情を麻女と同じに出来るのかと、不安に思いつつも腰を動かす。
こういうときにも、腰で文字を書くのは効くだろうと――単純な上下の動きに『の』の字や『○』や『一』を加える。そのたびに、毛先が淫核を引っ掻く手応えが変わって。
「ひいっ……やめ……おかしく……こわい……ああっ……やああっ」
鳴き声も千変万化する。
そうして、ついに。
「もう、遠慮は要りやせん。がんがん突いてやっておくんなさい。毬栗を擦り付けるのも忘れずに。それと、精を漏らしちゃいけませんぜ」
無理な注文というものだ。荒腰を遣えば、どうしても下腹部が離れる。これだけの締め付けに抗して激しく抽挿すれば暴発してしまう。
それでも。腰をぐいと押し付けながら左右へも動かして淫核を刺激しながら、腰を引いた倍ほども強く押し付ける。気を逸らそうとして、イロハの逆順など頭の中で追うのは不可能事まで里弥も切迫しているので。
かんじーざいぼさつ(突き挿れながら横一文字に)
「いやあっ……」
ぎょうじんはんにゃー(奥まで突いて、さらに突く)
「あんんっ……」
はらみったーじー(突いてから円を描く)
「ああああっ……」
スエが大きく口をあけてのけぞった。
しょーけんごーうんかいくうっ
ここぞと里弥にも分かったので、子袋を突き破る勢いで腰を打ち付け、そのままぐりぐりと下腹部で淫核を蹂躙した。
「だめえええっ……こわい、こわいよおおっ」
大声で叫びながら、スエの裸身が弓反りになった。そのまま、数瞬。どさっとスエが崩れた。蕩け切った静謐な満足の笑みが顔に浮かんでいる。
「やりなさったね」
我が事のように豪太が微笑んでいる。ずいぶん遠くに離れているなと思ったのは一瞬。スエは里弥の腰に押されて布団からずり落ち、里弥もそれを追って、ふたりして寝間の端まで動いていたのだった。
里弥は放心しているスエを抱き上げて、布団に寝かせてやった。
「旦那は優しいね」
豪太に揶揄の色は無い。
「ですが、女の躾はこういうときが大事でさ」
スエを引き起こして、里弥の腰と正対させる。
「ちゃんと旦那の跡始末をしな」
どうやれば――と、スエが振り返るのへ。
「口に咥えて、おまえの淫ら汁を舐め取るんだよ。中に男汁が残ってるかも知れねえから、それは吸い出せ。どっちも吐き出すんじゃねえぞ。呑み込め」
スエは里弥の腰を透かして遠くを眺める目付きで。まだ精を放っていない怒張を口にふくんだ。愛おしそうに里弥の腰にしがみついて、言われた通りに舐め啜った。
「厭がらずにしゃぶってくりゃあ、つまりは本気で惚れちまったてえことです」
里弥には、スエへの慕情など無い。己が魔羅で女にして初めての絶頂まで究めさせたのだから、それなりに愛おしいとは思うが。所詮は二十五両の稽古台である。
「女郎の作法じゃ枕紙を使いますが、麻女さんにはこれを試すのも一法かと思いやしてね」
しかし、女に魔羅を舐めさせるのは――如何にもこの女を支配しているという愉悦があった。排泄の部位に口付けるのも、男と女とでは自ずから意味合いが違うのだと、感得する里弥だった。
「主さんは、まだ元気です。もう一度、可愛がってくださんせ」
跡始末を終えたスエが、怒張に頬擦りした。
へええっと、豪太が驚く。
「女郎を張ってくと、覚悟を決めたようです。聞きかじりの里言葉まで使っておねだりたあ、旦那も罪なお人ですぜ」
溜まったまま真剣勝負に臨めば思わぬ不覚を取るかも知れません。スエに今一度のお情けを掛けてやっておくんなさいと、豪太にも言葉を添えられて。
まだ絶頂の余韻にたゆたっているスエを、今度は小半時も掛けずに二の舞を舞わせて、己れも精を放ったのだった。
濃密な情事の跡形を風呂で洗い流して。里弥は楼主と対面した。末座には、スエと豪太も控えている。スエの里弥に注ぐ眼差しが熱い。
「此度は、お世話になりました。これで、麻女をデウスから取り返す自信がつきました」
楼主は黙って頷いて。袱紗包みを里弥の前に置いた。
「二十両をお返し致します」
突然のことに戸惑っていると。
「これは、スエの前借分です。賭けに負けて女郎として勤めると本人も得心したのですから、不要になりました」
「いや、それでは……」
「刀屋には三月の猶予を約させました。利鞘は三両。つまり、手前どもが頂戴した五両に加えてもう三両を三月のうちに都合できれば、お刀を買い戻せます」
八両なら、他に金策の手立ても無くはない。それよりも。家宝の刀を売って金子を工面したと、あっさり突き止められたところに、里弥は『縁妓楼』といわず遊廓あるいは裏世界の恐ろしさを知った。のは、瑣末事。
生涯ただ一度の決断を今さらひっくり返すなど、武士として、いや男、否人として、出来るはずもなかった。
「左様ですか。では、ご厚意を有り難くお受けする」
里弥は袱紗を懐に納めて。すぐに取り出した。包みをほどいて、まず五両を楼主の前に押し出した。
「これは揚がり代とは別に、楼主殿への祝儀です」
楼主が何か言いかけるのにかぶせるようにして、左右にも五両ずつを並べた。
「こちらは、スエ殿と豪太殿へ」
五両を手許に残すのだから、楼主の行為を無碍にする訳でもない。
結局、楼主は口を閉ざして五両を押し頂いた。豪太も膝行して頂戴し、スエは楼主に促されて頂戴した後は里弥に向かって平伏した頭をなかなか上げようとしなかった。
「世話になりました。では」
立ち上がって座敷から下がろうとする里弥。その背中に、豪太が声を掛けた。
「御無礼を承知でひと言だけ申し上げておきやす。貴方様みたいに、女に一途な御方は店から用心されやす。いつ何時、女郎と心中するか知れたもんじゃありやせんから」
「心に留めておきます」
里弥は止めていた足を座敷の外へ踏み出した。
========================================

ここで稽古をつけてもらって、麻女をノーマルな絶頂に導いて、デウスから取り戻そうという試みです。
無駄な試みと知っているのは、筆者と読者です。なんたって、麻女=マゾですもの。
実は。この作品を150枚以上で仕上がれば年間最多執筆枚数を更新と書きましたが、間違っていました。まだ20枚ほど足りません。まあ、返す刀で『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』の第11話を書きますから、年末までにはクリアできるはずですが。
それにしても。通算執筆枚数は2万2千枚を超えています。よくぞ書いてきたなと思う反面、『グインサーガ』の半分にも達していないと。「書いたSMゴマン枚♪」は無理かなあ。まあ、フルタイム・サラリーマンをやりながらでしたし、今現在も月に20日はジェダイの騎士をやっておりますもの。
少しは実入りのある趣味――と、自分を納得させるしかないでしょうね。
たまにはFANZAのAffiliate キーワードは「女囚 拷問」です。
Progress Report 1:心中切支丹
ちょうど150枚で終章突入。の前に、息抜きでこの記事を書いています。
秋津国の時代劇は何本も書いてきましたが、女囚物が圧倒的多数――という印象を持っていたのですが。
ビブリオグラフィを整理してみると。
NOT女囚物は
槍姫千本突き
全裸縄付道中/縄禿初潮水揚/陰間寺出世菊 :「非情と淫虐の上意」4作中の3本
真剣裸勝負
売姫三日晒
これに対し女囚物は
偽りの殉難~香世裸責め
女囚双虐
女囚永代吟味 :「非情と淫虐の上意」4作中の1本
裸囚姫弄虐譚
濡墨
くノ半試し
見事に6対6のイーブンでした。「裸囚姫淫虐譚」は罪人ではないのですが、投獄されるので女囚扱いです。
その他、PIXIVリクエストでロリくノ一が捕らえられて拷問されるのも、女囚扱いでいいかな。未発表だから数えてませんが。
以上は、これまでの創作を振り返ると見せかけて、販売サイトへのリンクを張ったPRだったりします。
さて、本題。
時代劇中の拷問となると、筆者の浅学故にバリエーションが限られてきます。今回の目玉は、重たい鎖で緊縛しての市中引き回しですが、これは製品版をお読みください――などと、しつこくPR。
今回ご紹介する章では、女信者八人のうち三人は棄教して。残りの五人をひとまとめにして、さまざまな拷問に掛けようという趣向です。五人を同じ拷問に掛けないのは、穿鑿所にはいろんな拷問器具があるけれど、すべて一点物だからです。ということにしてあります。決して読者サービスではありません。しかし、本人の愉しみではあります。
========================================
拷問絵巻
麻女を牢へ入れてすぐに医師の手配をしたが、特別に金創医を呼ぶのは難しく、夕刻になってやって来たのは、いつもの藪。とはいえ、縫うほどの傷でもないので傷口を焼酎で洗って、あとは蝦蟇の脂か鼠のフンか分かったものではない膏薬を塗り油紙を乗せて晒布を巻くだけだから、藪で事足りるといえば足りる。
まず半月は牢問を控えるべきというのが藪の見立だったが、なに、万々一を恐れての鯖読み。実のところ半分でも多いくらいだろう、とはいえ大事を取って中五日は養生させると、菱橋が決めた。
その間ずっと押込牢へ入れっ放しにはしなかった。いよいよ説伏は苛烈を増して、その場を穿鑿所すなわち拷問部屋へ移した。ここで責められるのは、敲責めに屈しなかった強情者を責めるときのみ。目下のところ、切支丹しかいない。その様子を隣の小部屋から麻女に覗かせるのである。傷の上に縄を掛けるのは治りを遅くしかねないので後ろ手に手鎖を嵌め、正座した足首と手鎖を縄でつないで動けなくする。説伏されている者に励ましの言葉など掛けられぬよう口をふさぐのは、二日目の吊敲責めで使った褌。都度に水で洗ってやるのは、里弥の心尽くしではあった。
麻女は目の前で仲間が厳しく責められるのを見て、憐憫を抱くか殉難を羨望するか。責めに屈して棄教した者には同情か軽蔑か。
そう。すでに男は六人中四人、女は八人中三人が、説伏を受け容れて改心していた。残るは、座主の惣兵衛と、里弥の掛である佐吉、静乃と糸乃の母娘、小間物屋三五郎妻の栄、そして里弥が掛の清と麻女だった。ちなみに、惣兵衛の孫の万太と栄の亭主は改心した四人の男に含まれている。昔に比べて信仰心が薄れているのか、あるいは太平の世に狎れて心がひ弱になっているのか、八年前と比べてもずいぶんとはかが行っている。
しかし、残る七人は手古摺りそうな気配だった。
そして、穿鑿所での拷責の六日目。新たな試みがはじまろうとしている。
穿鑿所へ引き出されたのは五人。惣兵衛、佐吉、静乃と糸乃、そして、傷が落ち着いてきた麻女。これまでは一人ずつを説伏してきたが、今回はこの五人を一時(いちどき)に責めてみようという試みだった。信者同志が互いに励まし合うから宜しくないとは考えられてきたが、果たしてほんとうにそうなのか。ことに母娘はどうなるか。あってはならぬことだが、この先に切支丹が見つかったときの説伏への道標ともなろう。
五人のうち、庄兵衛と母娘の掛が久寺、佐吉と麻女は里弥であるが、井路が佐吉を引き受け、ふだんは手を下さぬ与力の菱橋も加わって母娘を受け持つ。どう見ても役得だ。
下人も今日は四人。穿鑿所は石畳三間四方と大牢並みの広さがあるが、さまざまな拷問具が置かれていれば、十三人では狭い感さえあった。
ちなみに役人は着流しに羽織、下人は六尺褌に腹掛けと法被、囚人はいうまでもなく全裸である。
それぞれが拷責に取り掛かる。
庄兵衛は、水を張った大桶の上で逆さ吊りにされる。佐吉は、三角の材木を並べた十路盤の上に正座させられて、後の柱に上体を縛り付けられる。静乃は結跏趺坐を組まされ、背中にのしかかる下人の尻で顎と足首がくっつくまで上体を折り曲げられて、首と足、肩と膝を縄で緊縛されてから仰向けに転がされた。通常の海老責めとは裏表が逆である。そして静乃の娘の糸乃は、四本の脚で支えられた幅一尺二寸高さ一尺五寸長さ三尺の木材、いわゆる三角木馬に乗せられた。
この四人は後ろ手に縛られ男縄と女縄を掛けられている。麻女だけは縄を解かれて穿鑿所の中央で俯せに捻じ伏せられた。腰を踏んづけられ手足を引っ張られて逆海老に反らされ、手首と足首を一括りにして天井の梁から吊られた。不自然に捻じられた肩と股関節に己れの目方すべてが掛る。これだけでもじゅうぶんに苛烈な拷責、いわゆる駿河問である。
がららら……滑車で吊られている庄兵衛が、胸のあたりまで水に浸けられた。
「ぐうう……デウス様、我に勇気を与えてください……」
佐吉は一枚目の石板を載せられて、早くも顔を歪ませている。
「ひいいい……痛い、痛い……キリエレイソン、クリステイソン……」
三角形の稜線に深々と淫裂を割られて、糸乃が歯を食いしばってオラショを唱えている。
「この女にも伊豆石を載せるぞ」
里弥は勇造に手伝わせて、十路盤責めに使う石板を麻女の背中に乗せた。長さ三尺幅一尺厚み九寸。石板の重さは十貫を超える。小柄な女にとっては、己れの目方が倍になったにも等しい。
「あううう……キリシト様……御降臨くださいませ……」
それを聞いて里弥は、石板がずり落ちぬように縄で裸身に縛り付けながら、内心で首を傾げる。バイブルによれば、古には神が人の前に顕現したというが、信者がそれを求めたという記述は、調書にも書留にも見当たらない。
「麻女。まだまだ責めは厳しくなるぞ。転んでくれ、教えを棄ててくれ。おまえを我が手で苦しめねばならぬなど、俺には耐え難い」
麻女は驚いた色を一瞬浮かべたが、きっぱりとかぶりを振った。
「この強情者め。勇造、ゆっくりと回せ」
勇造が麻女の股間と乳房に手を掛けて回す。吊り縄は二重になっているから、見る見る撚りが懸って、次第に吊り上がっていく。
「よし、ぶん回せ」
それまでとは反対の向きに、勇造が麻女の裸身を突き放した。縄の撚りが解ける力に助けられて、吊り敲きのときよりもずっと凄まじい速さで回りだした。
「ああああっ……」
悲鳴が起こって、すぐに途絶える。頭に血が上って正気を保っていられないのだろう。
里弥の目の隅に、菱橋が切支丹の道具を持って静乃の横にしゃがむ姿が映じた。
「これは、隠し拝み所にあった、マリアという女神の像とクルスじゃ。斯様に責められても転ばぬほどに信心が篤ければ、御神体と一体になるのは法悦であろうな」
菱橋がクルスの頂部を握って、静乃の尻穴にあてがった。
「おやめくださいっ」
静乃が驚愕を叫んだ。
「クルスを穢すなど、あまりに畏れ多いことです。すぐにやめないと、あなたは雷に打たれることでしょう」
「そうか。では、腹巻をしておくんだったな」
薄嗤いを浮かべながら、菱橋がぐいとクルスを押し込んだ。
「いやあああっ……痛い、痛い……お願い……やめてください」
哀訴には耳を貸さず、胡麻を擦るようにクルスを捏ねくりながら、十字架の横木がつかえるまで深々と押し込んで――そのままにした。
「母上っ……」
四人はそれぞれ穿鑿所の四隅で責められているから、互いの様子がつぶさに見て取れる。母へのあまりな狼藉に、糸乃が声を上げた。
それを聞きとがめて菱橋が立ち上がる。
「おまえは、おまえの心配をしておれ。木馬を跨ぐだけでは不足かな」
糸乃の腰をつかんで、ぐいぐいと揺する。
「ぎゃあああっ……やめて、やめて……母様、助けてええ」
木馬の木肌に鮮血が伝う。オラショを唱える裕りも失せ、神にではなく母親に助けを求める。それも母上ではなく、子供に還ったかのように母様と。
「銀太。餓鬼の敲きは、おまえに任せるぞ。折弓なぞ使わんでも良い」
さすが与力の旦那は話せる御人だと、下人の勇造は素手で糸乃の横に立った。
「転びたくなったら、いつでも申し出なよ」
いちおうは説伏の言葉を掛けはするが。
「出来れば、転ばずにいてくれよな」
バチン、バチンと平手で頬を張ってから。斜め後ろへ動いて、パアン、パアンと尻を叩く。
「ひぎっ……痛いっ……」
尻を叩かれるのが痛いのではない。叩かれる衝撃で身体が揺れて、そのたびに三角木馬の稜線が淫裂の奥まで切り裂く。腰をつかんで揺すられるよりもましとはいえ、跨がされているだけでも耐え難い激痛に、さらに痛みが上乗せされるのだから、堪ったものではないだろう。
勇造は木馬を回り込んで反対側の尻臀(しりたぶ)も叩き。双丘ともに真っ赤に腫らさせてから、狙いを乳房に変えた。ただ平手を張るだけでなく、両手を打ち合わせて双つの乳房をひしゃげさせ、ついでに捏ねくってみたりもする。
「いやっ……汚い。下賤の身で私を辱めるつもりですか」
「糸乃」
母親が叱りつけた。
「キリシト様の下では、誰もが同じなのです。その人もデウス様に作られた人間なのですよ」
「ずいぶんと余裕があるな。やはり尻穴だけでは物足りぬか」
菱橋がマリア像を静乃の淫裂に擦り付ける。
「これなら亭主の魔羅よりも大きかろう。たっぷりと善がらせてやるぞ」
「後生ですから、斯様なことはおやめください。娘の代わりに、私をあの三角の台に乗せてください」
切支丹として聖なるイコンを穢すことを畏れ、母として娘を救いたいと願っての懇願だったが、宗門改方役人にさらなる残酷な責めを思いつかせる役にしか立たなかった。
「ほう。では、二人を入れ替えてやろうか。娘はまだ未通女ではなかったかな。マリア様に新鉢を割られれば、喜びに泣き叫ぶであろうな。それとも、おまえの女淫(ほと)に台座を挿れて、娘には頭を挿れるか。我が子に身を以て媾合いの所作を教えてやれるぞ」
静乃が絶句する。
「拙い、引き上げろ」
久寺の狼狽した声に菱橋が顔を上げた。
庄兵衛への水責めを差配していた久寺が、どうせ女が甚振られるのに気を取られていたのだろう。水に沈めたまま目を離して、溺れる寸前に引き上げるその時期を失したらしい。
さいわいに――庄兵衛にとっては残念なことだったかもしれないが、石畳の上に降ろされた庄兵衛は、平助が背後から腹を抱きかかえて活を入れると息を吹き返した。激しく咳き込みながら水を吐いて。転べ転ばぬの問答の後に、ふたたび逆吊りにされた。水責めが再開される。
里弥も静乃と糸乃の様子に幾分は気を取られているが、麻女への責めを忘れてはいない。
用意しておいた一間半の荒縄を水に浸してから四重にする。端を握れば長さ二尺余の縄鞭となる。麻女の身体を静止させてから、あらためてゆっくりと回す。
背中には石板を載せているから敲いても効き目はない。ほとんど傷ついていない四肢を狙う。
ぶうん、バヂャアン。
ぶうん、バヂャアン。
重い打擲の音は、しかし母娘の悲鳴に掻き消されがちになった。
佐吉は三枚目の石板を積み上げられ、全身は脂汗にまみれ、顔は蒼褪めている。身を藻掻けば、いっそう脛の激痛が増す。痛みに耐えかねてのけぞり、もごもごとオラショを呟くのみ。
庄兵衛は息があるのか無いのかさえ、里弥の目には定かではない。短い間隔で水に突っ込まれては引き揚げられている。
糸乃は銀太に左手で乳房をつかまれて上体を動けなくされたうえで、腹を拳で突かれていた。殴りつけるほどではないが、じゅうぶんに痛いだろう。
母親の静乃は、ついにマリア像を女淫深くまで抉り挿れられ、クルス共々抽挿されて、身裡に湧く必ずしも激痛ではない感覚に歯を食い縛って耐えている。しかし、その表情に殉難の法悦など欠片も窺えない。
そして麻女は。駿河問が苦しいのだろう、オラショを唱えるでもなく低く呻き続け、縄鞭で打たれる度にしゃっくりのように引き攣った息を吐いている。これも、六日前に見せた恍惚からは程遠かった。責めが厳しすぎて法悦境どころではないのか、生ぬるくてそこまで達していないのか――里弥には判別できない。
「二人を入れ替えるぞ」
菱橋が、先ほどの思い付きを実行に移そうとして、静乃からマリア像とクルスを抜き取ったのだが。
「異国の邪神に新鉢を割らせるのも癪にさわるな。儂が引導を渡してやろう」
里弥を呼び寄せて二品を渡した。
「これは、あちらの女に使ってやれ。それとも、自前の道具を使うか」
咄嗟のことに、里弥は返答に詰まった。
なろうことなら、麻女を最初に貫くのは己れでありたかった。しかし。どれほど酸鼻を極めた場面であろうと、これは宗門改方としての役儀である。女淫を責めるのも、棄教を促す手立てのひとつであらねばならぬ。己れが麻女を抱けば、公私混同も甚だしい。菱橋様は糸乃に懸想してはおらぬ故に、かろうじて役儀――いや、役得ではあろうが、役人の本分から大きくは逸脱していない。強いてそう考えることで、里弥は上役への反発とも羨望ともつかぬ感情を抑えた。
「己れが信じる神に純潔を奪われた娘がどう振る舞うか、糸乃と比べてみるのも、向後の役に立ちましょう」
断腸の想いで、里弥は二品を受け取った。縄を浸した手桶で汚れを洗い落としたのが、麻女へのせめてもの誠意であった。
クルスは勇造に渡し、マリア像を持って麻女の前に立った。
「聞いておったであろう。不憫ではあるが、教えを棄ててくれぬ限りは、このマリア像でおまえの新鉢を割らねばならぬ。どういうことかは、菱橋様の静乃へのなさり様を見ていて分かったであろう」
良家の娘であれば、男と女の営みがどのようなものであるか知るのは、祝言を間近に控えて母親から内々に渡される絵草子の類を見てのことになる。麻女もまるきり知らないのではないかと、懸念しての言葉だった。いたわりではあるが、知らないものは怖がりようがないという、責め手としての計算も無くはなかった。
「イコンに神は宿っておりません。祈りをデウス様にお伝えする拠り所に過ぎません」
偶像を拝むべからずというバイブルの教えは、里弥も知っている。なのに、なぜ切支丹はクルスに祈るのか釈然としなかったのだが――麻女の言葉を聞いて、その矛盾が解けたように思った。では、クルスやマリア像は、神社でいえば鈴にでも当たるのかと。神社では必ず鈴を鳴らしてから拝むが、鈴に神が宿っているとは誰も考えていない。
「もしも、里弥様がそのイコンで私を犯すのでしたら……それは、貴方様に犯されたも同じことです」
つまりは俺を憎むということか。そのように、里弥は解した。どれほど恨まれようと憎まれようと構わぬ。どれほど恥辱を与え苦痛を与えようとも、迷妄を棄てさせてやることが麻女のためになるのだ。非情の拷責吏に徹しようと、里弥はあらためて決意する。
「申しておくが。これは並の男の魔羅よりずっと大きいぞ。それが、身体の内からおまえを引き裂くのだぞ」
駿河問に掛けられている麻女は、顔をのけぞらせて里弥を見詰めた。
「何事もデウス様の御計画です。里弥様は、与力様の命を受けてご自分のお考えで私に危害を加えていると思っていらっしゃるでしょうが、それは大きな誤りです。デウス様、大いなる試練をお与えくださることに感謝いたします」
恍惚の兆しを顔に浮かべて、麻女は目を閉じた。
一瞬、里弥は迷った。このまま、マリア像を使って麻女を辱めても、それがデウスの意図したことだという信念を覆すことはできない。しかし、やめれば――デウスに護られているからだと考えるだろう。マリア像を己れの魔羅に替えても同じことだ。
しかし、そのような衒学的な想念に沈潜する男ではなかった。殴られれば痛い。それが理不尽な仕打であれば、殴り返すまでだ。腹が減れば飯を喰う。父に詰め腹を切らせたお情けで同心に取り立てていただけるのなら、つべこべ言わずに有り難くお受けする。そのようにして二十二年間を過ごしてきたのだ。
殉難に恍惚となるのであれば、それを上まわる苦痛を与えるまでのことだ。
里弥は意を決して、麻女の身体を半回転させた。逆海老に吊られて自然と開いている脚をさらに押し広げて、太腿の間に身体を割り込ませた。マリア像の頭部を麻女の淫裂に押し当てた。せめて唾で濡らしてやろうかと考え、いささかも仏心を起こしてはならぬと己れを戒めたのだが。
なんとしたことか。すでに女淫は絖っているではないか。信心で病が治ることもあるのだから、女淫が潤うくらい不思議ではない。そうとでも考えるしかない。
ならば――せいぜい痛くしてくれるわとばかりに。里弥は一気にマリア像を押し込んだ。ぐうっと押し返されて、いっそう力を込めて。
「ぎゃあああああっ……」
麻女が吠えた。しかし、それがすぐに譫言に変じる。
「あああ……デウス様、キリシト様……麻女は幸せです。里弥様の手で……道を付けていただけました」
ずぐん……心の臓が引き付けを起こした感があった。俺の手で、だと……。それはつまり……俺のことを憎からず思っているという、女としての則(のり)を越えたあからさまな恋慕の告白ではないだろうか。そうとしか考えられない。
好かれた女を痛めつけている。女はそれを受け容れている。
全身がかあっと熱くなる想いだった。そして、その熱は腰のまわりに集まってきて――拷責に臨んで初めて、里弥は勃起したのだった。同時に、凶暴が芽生えた。
いっそう強く、マリア像を押し込む。あまりにきつく、マリア像に突かれて麻女の裸身が前へ動いて、ずぐっと突き進んだ瞬間に後ろへ戻る。それを二度繰り返すと、奥に突き当たる手応えがあった。
気づけば。大きく拡げられた淫裂にぎっちりとマリア像が嵌まり込んで、その境目から血が滴っている。麻女の股間は朱に染まり、灰色の石畳には鮮血が花びらのように散っていた。
「まだまだ、こんなものでは済まんのだぞ」
それは、己れをさらに凶暴に駆り立てるための台詞だった。
マリア像から手を離しても抜け落ちないのを確かめてから、里弥は尻臀を両手で割り広げた。谷底にひっそりと息づく菫色の蕾。尻穴というものを、里弥は生まれて初めて目の当たりにした。己れの穴も似たようなものであろう。この小さく閉じたところからあのように太い物がひり出されるとは、信じがたい思いだった。
いや、そんな感慨はどうでもいい。このままでは、両手がふさがっている。くそ、こやつを麻女の肌に触れさせねばならんのか。歯噛みする思いで、横合いから勇造に尻臀を広げさせた。
クルスを小さな蕾に押し付けて。とうてい挿入できなさそうに見える。しかし、静乃という先例がある。里弥はクルスを左右にねじりながら圧迫を強める。今度は勇造に尻を抑えられているから、前へ揺れない。ぐぽっと突き抜けた。
「い゙ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっっ」
マリア像よりも切迫した咆哮。しかし、それでもなお……
「あああ、ああ……里弥様、麻女は幸せです」
蕩けきった声に、里弥は耳を疑った。デウス様ではなく里弥様だと。いったいに、この女は何を考えているのか。いや、考える余裕などなかろう。思わず出た本心か。とすれば、それはいったいどういう本心なのだろう。単純に考えれば。切支丹にとって、殉難は殉教に次ぐ法悦であるから――それを与えてくれた者に感謝を捧げるということだろう。あるいは。デウスにせよキリシトにせよマリアにせよ、それでは己れの穢れた部分に突っ込まれている物に呼び掛ける行為になりかねないから、無意識裡にも忌避したと考えられなくもない。しかし、この推察には途轍もなく大きな穴があるような気がする……。
拷責吏に斟酌など不要。転ぶ兆しを見逃さず、転ばないと分かればいっそう厳しく責めるだけのこと。里弥は疑念を振り捨てて。両手を使って、マリア像とクルスを交互に(同時だと手の動きがぎこちない)抽挿し始めた。
「ひいいっ……痛い痛い……もっと、もっと痛くしてください。ああ……パライソが目の前に……」
里弥は徒労を感じながらも、魔羅だけはいっそう怒張激しく、絡繰人形さながらに単調な動作を続けるのだった。
正巳の刻から始められた拷責は、昼の中休みを挟んで責め口を変え、未の下刻まで続けられた。もっとも、庄兵衛だけは初老に加え水責めで何度も溺れたので、午後の責めは赦されたのだが。
麻女は三角木馬に乗せられ、里弥に揺すぶられ縄鞭で体幹を打擲されて、瘡蓋になっていた傷口がまた裂けた。全身血みどろになりながら、それでも殉難の恍惚から醒めることはなかった。
糸乃の悲惨は麻女を上まわっていた。午前中だけでそれぞれ半分ずつの時間だったとはいえ、三角木馬と海老責めに掛けられ、しかも菱橋の手ではなく魔羅で新鉢を割られたばかりか、下人の銀太に尻穴まで犯された。そして、午後からは駿河問。三角木馬とは相容れないので麻女から抜かれたクルスを、まだ未通の尻穴に使われた。
静乃は麻女よりも軽かったと評して差し支えなかろう。海老責めと三角木馬に加えて午後からはもっとも苛酷な水責めに掛けられたのだが、人の妻であってみれば、新鉢を割られるという女にとって致命的な辱めは受けずに済んだのだから。水責めの最中にもマリア像で不本意な感覚を呼び起こされて、そのせいもあって庄兵衛よりも消耗させられたのだが、それはつまり――麻女には遠く及ばないにしても、殉難の恍惚を垣間見たのではないだろうか。
蛇足の感もあるが、佐吉は午後から海老責めに掛けられた。しかし男であるから、裏返しにされて陵辱を追加されることもなく、一時ほど真っ当に苦しんでいただけであってみれば、女三人の地獄絵図とは比ぶべくもない。
========================================

上の画像は表紙絵イラストの構図です。
背景はいろんな女囚の拷問シーンで、手前のイラストは『女囚双虐』からの使い回し。どうもクロール(抜き手)ですね。
さて、今夜は早々に脱稿プレ祝賀会として、明日は気を逸さない(逸機)ように、一気に終章を書きましょう。
DLsite Affiliate キーワードは「女囚、拷問」
秋津国の時代劇は何本も書いてきましたが、女囚物が圧倒的多数――という印象を持っていたのですが。
ビブリオグラフィを整理してみると。
NOT女囚物は
槍姫千本突き
全裸縄付道中/縄禿初潮水揚/陰間寺出世菊 :「非情と淫虐の上意」4作中の3本
真剣裸勝負
売姫三日晒
これに対し女囚物は
偽りの殉難~香世裸責め
女囚双虐
女囚永代吟味 :「非情と淫虐の上意」4作中の1本
裸囚姫弄虐譚
濡墨
くノ半試し
見事に6対6のイーブンでした。「裸囚姫淫虐譚」は罪人ではないのですが、投獄されるので女囚扱いです。
その他、PIXIVリクエストでロリくノ一が捕らえられて拷問されるのも、女囚扱いでいいかな。未発表だから数えてませんが。
以上は、これまでの創作を振り返ると見せかけて、販売サイトへのリンクを張ったPRだったりします。
さて、本題。
時代劇中の拷問となると、筆者の浅学故にバリエーションが限られてきます。今回の目玉は、重たい鎖で緊縛しての市中引き回しですが、これは製品版をお読みください――などと、しつこくPR。
今回ご紹介する章では、女信者八人のうち三人は棄教して。残りの五人をひとまとめにして、さまざまな拷問に掛けようという趣向です。五人を同じ拷問に掛けないのは、穿鑿所にはいろんな拷問器具があるけれど、すべて一点物だからです。ということにしてあります。決して読者サービスではありません。しかし、本人の愉しみではあります。
========================================
拷問絵巻
麻女を牢へ入れてすぐに医師の手配をしたが、特別に金創医を呼ぶのは難しく、夕刻になってやって来たのは、いつもの藪。とはいえ、縫うほどの傷でもないので傷口を焼酎で洗って、あとは蝦蟇の脂か鼠のフンか分かったものではない膏薬を塗り油紙を乗せて晒布を巻くだけだから、藪で事足りるといえば足りる。
まず半月は牢問を控えるべきというのが藪の見立だったが、なに、万々一を恐れての鯖読み。実のところ半分でも多いくらいだろう、とはいえ大事を取って中五日は養生させると、菱橋が決めた。
その間ずっと押込牢へ入れっ放しにはしなかった。いよいよ説伏は苛烈を増して、その場を穿鑿所すなわち拷問部屋へ移した。ここで責められるのは、敲責めに屈しなかった強情者を責めるときのみ。目下のところ、切支丹しかいない。その様子を隣の小部屋から麻女に覗かせるのである。傷の上に縄を掛けるのは治りを遅くしかねないので後ろ手に手鎖を嵌め、正座した足首と手鎖を縄でつないで動けなくする。説伏されている者に励ましの言葉など掛けられぬよう口をふさぐのは、二日目の吊敲責めで使った褌。都度に水で洗ってやるのは、里弥の心尽くしではあった。
麻女は目の前で仲間が厳しく責められるのを見て、憐憫を抱くか殉難を羨望するか。責めに屈して棄教した者には同情か軽蔑か。
そう。すでに男は六人中四人、女は八人中三人が、説伏を受け容れて改心していた。残るは、座主の惣兵衛と、里弥の掛である佐吉、静乃と糸乃の母娘、小間物屋三五郎妻の栄、そして里弥が掛の清と麻女だった。ちなみに、惣兵衛の孫の万太と栄の亭主は改心した四人の男に含まれている。昔に比べて信仰心が薄れているのか、あるいは太平の世に狎れて心がひ弱になっているのか、八年前と比べてもずいぶんとはかが行っている。
しかし、残る七人は手古摺りそうな気配だった。
そして、穿鑿所での拷責の六日目。新たな試みがはじまろうとしている。
穿鑿所へ引き出されたのは五人。惣兵衛、佐吉、静乃と糸乃、そして、傷が落ち着いてきた麻女。これまでは一人ずつを説伏してきたが、今回はこの五人を一時(いちどき)に責めてみようという試みだった。信者同志が互いに励まし合うから宜しくないとは考えられてきたが、果たしてほんとうにそうなのか。ことに母娘はどうなるか。あってはならぬことだが、この先に切支丹が見つかったときの説伏への道標ともなろう。
五人のうち、庄兵衛と母娘の掛が久寺、佐吉と麻女は里弥であるが、井路が佐吉を引き受け、ふだんは手を下さぬ与力の菱橋も加わって母娘を受け持つ。どう見ても役得だ。
下人も今日は四人。穿鑿所は石畳三間四方と大牢並みの広さがあるが、さまざまな拷問具が置かれていれば、十三人では狭い感さえあった。
ちなみに役人は着流しに羽織、下人は六尺褌に腹掛けと法被、囚人はいうまでもなく全裸である。
それぞれが拷責に取り掛かる。
庄兵衛は、水を張った大桶の上で逆さ吊りにされる。佐吉は、三角の材木を並べた十路盤の上に正座させられて、後の柱に上体を縛り付けられる。静乃は結跏趺坐を組まされ、背中にのしかかる下人の尻で顎と足首がくっつくまで上体を折り曲げられて、首と足、肩と膝を縄で緊縛されてから仰向けに転がされた。通常の海老責めとは裏表が逆である。そして静乃の娘の糸乃は、四本の脚で支えられた幅一尺二寸高さ一尺五寸長さ三尺の木材、いわゆる三角木馬に乗せられた。
この四人は後ろ手に縛られ男縄と女縄を掛けられている。麻女だけは縄を解かれて穿鑿所の中央で俯せに捻じ伏せられた。腰を踏んづけられ手足を引っ張られて逆海老に反らされ、手首と足首を一括りにして天井の梁から吊られた。不自然に捻じられた肩と股関節に己れの目方すべてが掛る。これだけでもじゅうぶんに苛烈な拷責、いわゆる駿河問である。
がららら……滑車で吊られている庄兵衛が、胸のあたりまで水に浸けられた。
「ぐうう……デウス様、我に勇気を与えてください……」
佐吉は一枚目の石板を載せられて、早くも顔を歪ませている。
「ひいいい……痛い、痛い……キリエレイソン、クリステイソン……」
三角形の稜線に深々と淫裂を割られて、糸乃が歯を食いしばってオラショを唱えている。
「この女にも伊豆石を載せるぞ」
里弥は勇造に手伝わせて、十路盤責めに使う石板を麻女の背中に乗せた。長さ三尺幅一尺厚み九寸。石板の重さは十貫を超える。小柄な女にとっては、己れの目方が倍になったにも等しい。
「あううう……キリシト様……御降臨くださいませ……」
それを聞いて里弥は、石板がずり落ちぬように縄で裸身に縛り付けながら、内心で首を傾げる。バイブルによれば、古には神が人の前に顕現したというが、信者がそれを求めたという記述は、調書にも書留にも見当たらない。
「麻女。まだまだ責めは厳しくなるぞ。転んでくれ、教えを棄ててくれ。おまえを我が手で苦しめねばならぬなど、俺には耐え難い」
麻女は驚いた色を一瞬浮かべたが、きっぱりとかぶりを振った。
「この強情者め。勇造、ゆっくりと回せ」
勇造が麻女の股間と乳房に手を掛けて回す。吊り縄は二重になっているから、見る見る撚りが懸って、次第に吊り上がっていく。
「よし、ぶん回せ」
それまでとは反対の向きに、勇造が麻女の裸身を突き放した。縄の撚りが解ける力に助けられて、吊り敲きのときよりもずっと凄まじい速さで回りだした。
「ああああっ……」
悲鳴が起こって、すぐに途絶える。頭に血が上って正気を保っていられないのだろう。
里弥の目の隅に、菱橋が切支丹の道具を持って静乃の横にしゃがむ姿が映じた。
「これは、隠し拝み所にあった、マリアという女神の像とクルスじゃ。斯様に責められても転ばぬほどに信心が篤ければ、御神体と一体になるのは法悦であろうな」
菱橋がクルスの頂部を握って、静乃の尻穴にあてがった。
「おやめくださいっ」
静乃が驚愕を叫んだ。
「クルスを穢すなど、あまりに畏れ多いことです。すぐにやめないと、あなたは雷に打たれることでしょう」
「そうか。では、腹巻をしておくんだったな」
薄嗤いを浮かべながら、菱橋がぐいとクルスを押し込んだ。
「いやあああっ……痛い、痛い……お願い……やめてください」
哀訴には耳を貸さず、胡麻を擦るようにクルスを捏ねくりながら、十字架の横木がつかえるまで深々と押し込んで――そのままにした。
「母上っ……」
四人はそれぞれ穿鑿所の四隅で責められているから、互いの様子がつぶさに見て取れる。母へのあまりな狼藉に、糸乃が声を上げた。
それを聞きとがめて菱橋が立ち上がる。
「おまえは、おまえの心配をしておれ。木馬を跨ぐだけでは不足かな」
糸乃の腰をつかんで、ぐいぐいと揺する。
「ぎゃあああっ……やめて、やめて……母様、助けてええ」
木馬の木肌に鮮血が伝う。オラショを唱える裕りも失せ、神にではなく母親に助けを求める。それも母上ではなく、子供に還ったかのように母様と。
「銀太。餓鬼の敲きは、おまえに任せるぞ。折弓なぞ使わんでも良い」
さすが与力の旦那は話せる御人だと、下人の勇造は素手で糸乃の横に立った。
「転びたくなったら、いつでも申し出なよ」
いちおうは説伏の言葉を掛けはするが。
「出来れば、転ばずにいてくれよな」
バチン、バチンと平手で頬を張ってから。斜め後ろへ動いて、パアン、パアンと尻を叩く。
「ひぎっ……痛いっ……」
尻を叩かれるのが痛いのではない。叩かれる衝撃で身体が揺れて、そのたびに三角木馬の稜線が淫裂の奥まで切り裂く。腰をつかんで揺すられるよりもましとはいえ、跨がされているだけでも耐え難い激痛に、さらに痛みが上乗せされるのだから、堪ったものではないだろう。
勇造は木馬を回り込んで反対側の尻臀(しりたぶ)も叩き。双丘ともに真っ赤に腫らさせてから、狙いを乳房に変えた。ただ平手を張るだけでなく、両手を打ち合わせて双つの乳房をひしゃげさせ、ついでに捏ねくってみたりもする。
「いやっ……汚い。下賤の身で私を辱めるつもりですか」
「糸乃」
母親が叱りつけた。
「キリシト様の下では、誰もが同じなのです。その人もデウス様に作られた人間なのですよ」
「ずいぶんと余裕があるな。やはり尻穴だけでは物足りぬか」
菱橋がマリア像を静乃の淫裂に擦り付ける。
「これなら亭主の魔羅よりも大きかろう。たっぷりと善がらせてやるぞ」
「後生ですから、斯様なことはおやめください。娘の代わりに、私をあの三角の台に乗せてください」
切支丹として聖なるイコンを穢すことを畏れ、母として娘を救いたいと願っての懇願だったが、宗門改方役人にさらなる残酷な責めを思いつかせる役にしか立たなかった。
「ほう。では、二人を入れ替えてやろうか。娘はまだ未通女ではなかったかな。マリア様に新鉢を割られれば、喜びに泣き叫ぶであろうな。それとも、おまえの女淫(ほと)に台座を挿れて、娘には頭を挿れるか。我が子に身を以て媾合いの所作を教えてやれるぞ」
静乃が絶句する。
「拙い、引き上げろ」
久寺の狼狽した声に菱橋が顔を上げた。
庄兵衛への水責めを差配していた久寺が、どうせ女が甚振られるのに気を取られていたのだろう。水に沈めたまま目を離して、溺れる寸前に引き上げるその時期を失したらしい。
さいわいに――庄兵衛にとっては残念なことだったかもしれないが、石畳の上に降ろされた庄兵衛は、平助が背後から腹を抱きかかえて活を入れると息を吹き返した。激しく咳き込みながら水を吐いて。転べ転ばぬの問答の後に、ふたたび逆吊りにされた。水責めが再開される。
里弥も静乃と糸乃の様子に幾分は気を取られているが、麻女への責めを忘れてはいない。
用意しておいた一間半の荒縄を水に浸してから四重にする。端を握れば長さ二尺余の縄鞭となる。麻女の身体を静止させてから、あらためてゆっくりと回す。
背中には石板を載せているから敲いても効き目はない。ほとんど傷ついていない四肢を狙う。
ぶうん、バヂャアン。
ぶうん、バヂャアン。
重い打擲の音は、しかし母娘の悲鳴に掻き消されがちになった。
佐吉は三枚目の石板を積み上げられ、全身は脂汗にまみれ、顔は蒼褪めている。身を藻掻けば、いっそう脛の激痛が増す。痛みに耐えかねてのけぞり、もごもごとオラショを呟くのみ。
庄兵衛は息があるのか無いのかさえ、里弥の目には定かではない。短い間隔で水に突っ込まれては引き揚げられている。
糸乃は銀太に左手で乳房をつかまれて上体を動けなくされたうえで、腹を拳で突かれていた。殴りつけるほどではないが、じゅうぶんに痛いだろう。
母親の静乃は、ついにマリア像を女淫深くまで抉り挿れられ、クルス共々抽挿されて、身裡に湧く必ずしも激痛ではない感覚に歯を食い縛って耐えている。しかし、その表情に殉難の法悦など欠片も窺えない。
そして麻女は。駿河問が苦しいのだろう、オラショを唱えるでもなく低く呻き続け、縄鞭で打たれる度にしゃっくりのように引き攣った息を吐いている。これも、六日前に見せた恍惚からは程遠かった。責めが厳しすぎて法悦境どころではないのか、生ぬるくてそこまで達していないのか――里弥には判別できない。
「二人を入れ替えるぞ」
菱橋が、先ほどの思い付きを実行に移そうとして、静乃からマリア像とクルスを抜き取ったのだが。
「異国の邪神に新鉢を割らせるのも癪にさわるな。儂が引導を渡してやろう」
里弥を呼び寄せて二品を渡した。
「これは、あちらの女に使ってやれ。それとも、自前の道具を使うか」
咄嗟のことに、里弥は返答に詰まった。
なろうことなら、麻女を最初に貫くのは己れでありたかった。しかし。どれほど酸鼻を極めた場面であろうと、これは宗門改方としての役儀である。女淫を責めるのも、棄教を促す手立てのひとつであらねばならぬ。己れが麻女を抱けば、公私混同も甚だしい。菱橋様は糸乃に懸想してはおらぬ故に、かろうじて役儀――いや、役得ではあろうが、役人の本分から大きくは逸脱していない。強いてそう考えることで、里弥は上役への反発とも羨望ともつかぬ感情を抑えた。
「己れが信じる神に純潔を奪われた娘がどう振る舞うか、糸乃と比べてみるのも、向後の役に立ちましょう」
断腸の想いで、里弥は二品を受け取った。縄を浸した手桶で汚れを洗い落としたのが、麻女へのせめてもの誠意であった。
クルスは勇造に渡し、マリア像を持って麻女の前に立った。
「聞いておったであろう。不憫ではあるが、教えを棄ててくれぬ限りは、このマリア像でおまえの新鉢を割らねばならぬ。どういうことかは、菱橋様の静乃へのなさり様を見ていて分かったであろう」
良家の娘であれば、男と女の営みがどのようなものであるか知るのは、祝言を間近に控えて母親から内々に渡される絵草子の類を見てのことになる。麻女もまるきり知らないのではないかと、懸念しての言葉だった。いたわりではあるが、知らないものは怖がりようがないという、責め手としての計算も無くはなかった。
「イコンに神は宿っておりません。祈りをデウス様にお伝えする拠り所に過ぎません」
偶像を拝むべからずというバイブルの教えは、里弥も知っている。なのに、なぜ切支丹はクルスに祈るのか釈然としなかったのだが――麻女の言葉を聞いて、その矛盾が解けたように思った。では、クルスやマリア像は、神社でいえば鈴にでも当たるのかと。神社では必ず鈴を鳴らしてから拝むが、鈴に神が宿っているとは誰も考えていない。
「もしも、里弥様がそのイコンで私を犯すのでしたら……それは、貴方様に犯されたも同じことです」
つまりは俺を憎むということか。そのように、里弥は解した。どれほど恨まれようと憎まれようと構わぬ。どれほど恥辱を与え苦痛を与えようとも、迷妄を棄てさせてやることが麻女のためになるのだ。非情の拷責吏に徹しようと、里弥はあらためて決意する。
「申しておくが。これは並の男の魔羅よりずっと大きいぞ。それが、身体の内からおまえを引き裂くのだぞ」
駿河問に掛けられている麻女は、顔をのけぞらせて里弥を見詰めた。
「何事もデウス様の御計画です。里弥様は、与力様の命を受けてご自分のお考えで私に危害を加えていると思っていらっしゃるでしょうが、それは大きな誤りです。デウス様、大いなる試練をお与えくださることに感謝いたします」
恍惚の兆しを顔に浮かべて、麻女は目を閉じた。
一瞬、里弥は迷った。このまま、マリア像を使って麻女を辱めても、それがデウスの意図したことだという信念を覆すことはできない。しかし、やめれば――デウスに護られているからだと考えるだろう。マリア像を己れの魔羅に替えても同じことだ。
しかし、そのような衒学的な想念に沈潜する男ではなかった。殴られれば痛い。それが理不尽な仕打であれば、殴り返すまでだ。腹が減れば飯を喰う。父に詰め腹を切らせたお情けで同心に取り立てていただけるのなら、つべこべ言わずに有り難くお受けする。そのようにして二十二年間を過ごしてきたのだ。
殉難に恍惚となるのであれば、それを上まわる苦痛を与えるまでのことだ。
里弥は意を決して、麻女の身体を半回転させた。逆海老に吊られて自然と開いている脚をさらに押し広げて、太腿の間に身体を割り込ませた。マリア像の頭部を麻女の淫裂に押し当てた。せめて唾で濡らしてやろうかと考え、いささかも仏心を起こしてはならぬと己れを戒めたのだが。
なんとしたことか。すでに女淫は絖っているではないか。信心で病が治ることもあるのだから、女淫が潤うくらい不思議ではない。そうとでも考えるしかない。
ならば――せいぜい痛くしてくれるわとばかりに。里弥は一気にマリア像を押し込んだ。ぐうっと押し返されて、いっそう力を込めて。
「ぎゃあああああっ……」
麻女が吠えた。しかし、それがすぐに譫言に変じる。
「あああ……デウス様、キリシト様……麻女は幸せです。里弥様の手で……道を付けていただけました」
ずぐん……心の臓が引き付けを起こした感があった。俺の手で、だと……。それはつまり……俺のことを憎からず思っているという、女としての則(のり)を越えたあからさまな恋慕の告白ではないだろうか。そうとしか考えられない。
好かれた女を痛めつけている。女はそれを受け容れている。
全身がかあっと熱くなる想いだった。そして、その熱は腰のまわりに集まってきて――拷責に臨んで初めて、里弥は勃起したのだった。同時に、凶暴が芽生えた。
いっそう強く、マリア像を押し込む。あまりにきつく、マリア像に突かれて麻女の裸身が前へ動いて、ずぐっと突き進んだ瞬間に後ろへ戻る。それを二度繰り返すと、奥に突き当たる手応えがあった。
気づけば。大きく拡げられた淫裂にぎっちりとマリア像が嵌まり込んで、その境目から血が滴っている。麻女の股間は朱に染まり、灰色の石畳には鮮血が花びらのように散っていた。
「まだまだ、こんなものでは済まんのだぞ」
それは、己れをさらに凶暴に駆り立てるための台詞だった。
マリア像から手を離しても抜け落ちないのを確かめてから、里弥は尻臀を両手で割り広げた。谷底にひっそりと息づく菫色の蕾。尻穴というものを、里弥は生まれて初めて目の当たりにした。己れの穴も似たようなものであろう。この小さく閉じたところからあのように太い物がひり出されるとは、信じがたい思いだった。
いや、そんな感慨はどうでもいい。このままでは、両手がふさがっている。くそ、こやつを麻女の肌に触れさせねばならんのか。歯噛みする思いで、横合いから勇造に尻臀を広げさせた。
クルスを小さな蕾に押し付けて。とうてい挿入できなさそうに見える。しかし、静乃という先例がある。里弥はクルスを左右にねじりながら圧迫を強める。今度は勇造に尻を抑えられているから、前へ揺れない。ぐぽっと突き抜けた。
「い゙ぎゃあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっっ」
マリア像よりも切迫した咆哮。しかし、それでもなお……
「あああ、ああ……里弥様、麻女は幸せです」
蕩けきった声に、里弥は耳を疑った。デウス様ではなく里弥様だと。いったいに、この女は何を考えているのか。いや、考える余裕などなかろう。思わず出た本心か。とすれば、それはいったいどういう本心なのだろう。単純に考えれば。切支丹にとって、殉難は殉教に次ぐ法悦であるから――それを与えてくれた者に感謝を捧げるということだろう。あるいは。デウスにせよキリシトにせよマリアにせよ、それでは己れの穢れた部分に突っ込まれている物に呼び掛ける行為になりかねないから、無意識裡にも忌避したと考えられなくもない。しかし、この推察には途轍もなく大きな穴があるような気がする……。
拷責吏に斟酌など不要。転ぶ兆しを見逃さず、転ばないと分かればいっそう厳しく責めるだけのこと。里弥は疑念を振り捨てて。両手を使って、マリア像とクルスを交互に(同時だと手の動きがぎこちない)抽挿し始めた。
「ひいいっ……痛い痛い……もっと、もっと痛くしてください。ああ……パライソが目の前に……」
里弥は徒労を感じながらも、魔羅だけはいっそう怒張激しく、絡繰人形さながらに単調な動作を続けるのだった。
正巳の刻から始められた拷責は、昼の中休みを挟んで責め口を変え、未の下刻まで続けられた。もっとも、庄兵衛だけは初老に加え水責めで何度も溺れたので、午後の責めは赦されたのだが。
麻女は三角木馬に乗せられ、里弥に揺すぶられ縄鞭で体幹を打擲されて、瘡蓋になっていた傷口がまた裂けた。全身血みどろになりながら、それでも殉難の恍惚から醒めることはなかった。
糸乃の悲惨は麻女を上まわっていた。午前中だけでそれぞれ半分ずつの時間だったとはいえ、三角木馬と海老責めに掛けられ、しかも菱橋の手ではなく魔羅で新鉢を割られたばかりか、下人の銀太に尻穴まで犯された。そして、午後からは駿河問。三角木馬とは相容れないので麻女から抜かれたクルスを、まだ未通の尻穴に使われた。
静乃は麻女よりも軽かったと評して差し支えなかろう。海老責めと三角木馬に加えて午後からはもっとも苛酷な水責めに掛けられたのだが、人の妻であってみれば、新鉢を割られるという女にとって致命的な辱めは受けずに済んだのだから。水責めの最中にもマリア像で不本意な感覚を呼び起こされて、そのせいもあって庄兵衛よりも消耗させられたのだが、それはつまり――麻女には遠く及ばないにしても、殉難の恍惚を垣間見たのではないだろうか。
蛇足の感もあるが、佐吉は午後から海老責めに掛けられた。しかし男であるから、裏返しにされて陵辱を追加されることもなく、一時ほど真っ当に苦しんでいただけであってみれば、女三人の地獄絵図とは比ぶべくもない。
========================================

上の画像は表紙絵イラストの構図です。
背景はいろんな女囚の拷問シーンで、手前のイラストは『女囚双虐』からの使い回し。どうもクロール(抜き手)ですね。
さて、今夜は早々に脱稿プレ祝賀会として、明日は気を逸さない(逸機)ように、一気に終章を書きましょう。
DLsite Affiliate キーワードは「女囚、拷問」
Progress Report 0:心中切支丹
混沌とした妄想の大海に一粒の触媒が投ぜられて、たちまちに「お話」として結晶化しました。
こういう生成過程を経た作品のひとつに、『The Nightmare Rift』があります。該当記事→
今回はもっとすさまじく、絵としてはわずか1コマです。普通に衣服を着た娘が手首だけを後ろ手に縛られて椅子に腰掛けさせられて尋問を受けているという――それだけ。しかし、設定が秀逸でした。
七歳のときに両親を亡くした侯爵家令嬢が、王家に庇護される。形式的には幼い王子の側室として。時は巡って。王子を毒殺しようとしたという嫌疑を掛けられて、捕縛となるのですが。すぐに嫌疑は晴れて……裸に剥かれることも拷問されることもないというクソ展開です。
しかし。虚数ベクトルも交えて妄想が膨らんで。幼馴染が幼馴染を心ならずも責めるというストーリイになりましたとさ。
まあ、練っているうちに、最初から男には「その気」もあったという展開になりましたが。なにせ、男の名前が本庄里弥(ほんしょうサドや)ですもの。
この着想の元ネタ、いちおう明記しときましょう。
『私、愛しの王太子様の側室辞めたいんです』原作・天織みお、作画・悦若えつこ
皮肉にも(というより、最近は金を払ってコミックなんか買わないから必然ですが)金$の無料コミックです。
そして。小説中でもやたら接続詞を使う癖があると自覚しとりますが。
そして。濠門長恭作品には珍しく、男性視点の三人称です。
ということで、例によってPLOTを御紹介。
すでに70枚ほど書き進めていて、途中で追加した記述もあります。
OJMです。On the Job Memo
========================================
幼なじみの許婚。互いに好き合う。
男みずからが拷問。他者には手出しさせない。
最後は全裸抱擁緊縛。このまま身投げ。
キリシタンの教えでは二人とも地獄、御仏の教えでは蓮の台座。
ついに転ぶ。
「貴方様は家柄に釣り合った女性を娶ってください。私は物置にでも閉じ込めて、これまでの罪滅ぼしにもっともっと虐めてください」
城下奉行>与力>手代
本庄里弥 23
城下奉行配下 宗門改方同心
父母は健在
父の代で与力から左遷 早期隠居
麻女 18
母方の従姉の娘 従姪(じゅうてつ)
名前は麻だが「昼なのにアサが来た」とからかわれるのがイヤ
長じてからは婿取りの宿命に甘んじて疎遠に
菱橋師興(ビシバシ仕置) 宗門改方与力
井路好太(色好きだ) 先輩同心 30
久寺豪次(九時五時) 先輩手同心 47
平助/好三/勇造/銀太 牢下人
女信者
麻女(マジョじゃありません、マゾです)
藤 /商家下女 (捕縛初日に棄教)
トヨ/権蔵の妻(三日目に棄教)
松 /梅干婆(六日目以降)
栄 /三五郎の妻(六日目以降)
静乃/浪人の妻、糸乃/浪人の娘
清 /娼妓あがり商家後妻、
男信者
万太/庄兵衛の孫13歳(穿鑿所初日に棄教)
小助/中野屋奉公人(二日目に棄教)、三五郎/小間物屋主人(二日目に棄教)
権蔵/大工(三日目に棄教)
庄兵衛58歳/座主/紫波屋隠居、佐吉/左官見習(里弥掛)
>>>>>>>>>>以下PLOT<<<<<<<<<<
※筒井筒歎
隠れ礼拝を一網打尽で、指導者(男)、男信者五、女信者八。
菱橋は、麻女が里弥の幼なじみと知って敢えて担当させる。試し。
※全裸吊敲
穿鑿所
「転ばねば、死罪。連座」
財産はパライソへの重荷。
「拷問に掛けるぞ」
着衣正座で肩を敲く。
菱橋が業を煮やして、吟味法度の掣肘無用。
全裸吊り責めで敲かせる。尻、乳房。
下使に開脚させて。
※懐柔説得
仕置牢(独房)
仲間から切り離す。説得。
思い出話で懐柔。まだ独り身。嫁に迎えたい。
悔い改めれば一切を水に流す見本。
上役は説得する。今は勘繰られる。
※殉難恍惚
清への仕打ちを反芻しながら麻女を。
乳房嬲り、股間責め←破らないようにね。
※拷問絵巻
穿鑿所
四人が拷問中。
男:石抱き、座主:逆さ吊り水責、女:海老責+2穴十字架️、女:木馬責+敲き️
中央で駿河問。恍惚。菱橋指図で十字架破瓜。
自ら手を下して、初めて勃起。
※市中引回
休養を与えて。
すでに男全員と女四人が転向。
女四人を一人ずつ羞恥責め。布令を出してある。
太い鎖で緊縛、足も。持って歩くと、男でもつらい。麻女が一番手。
追い鞭で引回し。水車小屋で大の字水責め。
※二十五両
遊郭
亡八に相談
手篭めにされた生娘を善がらせたい。
事情を問われて打ち明ける。
何も聞かずにと頭を下げる奴はいるが。
まして侍。
本物の絶頂(中逝き)は無理。実核逝き。
男はハサミで五厘の長さ、女は全身剃。
マングリ返しで下腹部押し付け。
女は、まず心で感じる。これが無理な状況。
心の壁を破るまで持続。
罪人でも幼なじみと添い遂げたい心意気。
口伝では心許ない。演練指南は切餅ひとつ。
毛の手入れは指南の場で。
※絶頂指南
約して翌日。
先祖伝来の差料を売って。代わりはなまくら。
まず剃毛。櫛ですきながら。
若い女。三日前に隣の妓楼が買ったのを借りた。
生娘。躾ていない。
最後まで気を遣らなければ前借棒引き。
逝ってしまえば、素直に働け。
一刻掛けて全身ほぐして拡張して。
破瓜痛軽微。さらに一刻。善がらせ追い込む。
二十五両返金。女の身請け代だった。
女も感得して、賭けに負けたのだから。
十両ずつで、指南五両。
女、御本懐を(おいおい……)
亡八、侍を張っちゃいけないね。
あなた様みたいのが、女の情に引かれて心中。
※思慕絶頂
菱橋に土下座で揚座敷。切支丹は常時全裸。
縄を解いても隠すそぶりも無し。
身体を拭いてやって。
同じ手順で。一刻と掛からずに。
それが、麻女の里弥への思慕の証。
しかし、落ちない。
※無理心中
菱橋に無断で衣服を着せて連れ出す。
断崖絶壁。
クライマックス。
========================================

尺は短めで200枚以内に納まる予定ですが……
『拷問絵巻』途中で70枚ですから。どうなりますか。
ちなみに、この作品を年内に150枚以上で脱稿すれば、これまでの年間最多執筆枚数3,229枚を更新します。
DLsite Affiliate キーワードは「切支丹 or クリスチャン」
こういう生成過程を経た作品のひとつに、『The Nightmare Rift』があります。該当記事→
今回はもっとすさまじく、絵としてはわずか1コマです。普通に衣服を着た娘が手首だけを後ろ手に縛られて椅子に腰掛けさせられて尋問を受けているという――それだけ。しかし、設定が秀逸でした。
七歳のときに両親を亡くした侯爵家令嬢が、王家に庇護される。形式的には幼い王子の側室として。時は巡って。王子を毒殺しようとしたという嫌疑を掛けられて、捕縛となるのですが。すぐに嫌疑は晴れて……裸に剥かれることも拷問されることもないというクソ展開です。
しかし。虚数ベクトルも交えて妄想が膨らんで。幼馴染が幼馴染を心ならずも責めるというストーリイになりましたとさ。
まあ、練っているうちに、最初から男には「その気」もあったという展開になりましたが。なにせ、男の名前が本庄里弥(ほんしょうサドや)ですもの。
この着想の元ネタ、いちおう明記しときましょう。
『私、愛しの王太子様の側室辞めたいんです』原作・天織みお、作画・悦若えつこ
皮肉にも(というより、最近は金を払ってコミックなんか買わないから必然ですが)金$の無料コミックです。
そして。小説中でもやたら接続詞を使う癖があると自覚しとりますが。
そして。濠門長恭作品には珍しく、男性視点の三人称です。
ということで、例によってPLOTを御紹介。
すでに70枚ほど書き進めていて、途中で追加した記述もあります。
OJMです。On the Job Memo
========================================
幼なじみの許婚。互いに好き合う。
男みずからが拷問。他者には手出しさせない。
最後は全裸抱擁緊縛。このまま身投げ。
キリシタンの教えでは二人とも地獄、御仏の教えでは蓮の台座。
ついに転ぶ。
「貴方様は家柄に釣り合った女性を娶ってください。私は物置にでも閉じ込めて、これまでの罪滅ぼしにもっともっと虐めてください」
城下奉行>与力>手代
本庄里弥 23
城下奉行配下 宗門改方同心
父母は健在
父の代で与力から左遷 早期隠居
麻女 18
母方の従姉の娘 従姪(じゅうてつ)
名前は麻だが「昼なのにアサが来た」とからかわれるのがイヤ
長じてからは婿取りの宿命に甘んじて疎遠に
菱橋師興(ビシバシ仕置) 宗門改方与力
井路好太(色好きだ) 先輩同心 30
久寺豪次(九時五時) 先輩手同心 47
平助/好三/勇造/銀太 牢下人
女信者
麻女(マジョじゃありません、マゾです)
藤 /商家下女 (捕縛初日に棄教)
トヨ/権蔵の妻(三日目に棄教)
松 /梅干婆(六日目以降)
栄 /三五郎の妻(六日目以降)
静乃/浪人の妻、糸乃/浪人の娘
清 /娼妓あがり商家後妻、
男信者
万太/庄兵衛の孫13歳(穿鑿所初日に棄教)
小助/中野屋奉公人(二日目に棄教)、三五郎/小間物屋主人(二日目に棄教)
権蔵/大工(三日目に棄教)
庄兵衛58歳/座主/紫波屋隠居、佐吉/左官見習(里弥掛)
>>>>>>>>>>以下PLOT<<<<<<<<<<
※筒井筒歎
隠れ礼拝を一網打尽で、指導者(男)、男信者五、女信者八。
菱橋は、麻女が里弥の幼なじみと知って敢えて担当させる。試し。
※全裸吊敲
穿鑿所
「転ばねば、死罪。連座」
財産はパライソへの重荷。
「拷問に掛けるぞ」
着衣正座で肩を敲く。
菱橋が業を煮やして、吟味法度の掣肘無用。
全裸吊り責めで敲かせる。尻、乳房。
下使に開脚させて。
※懐柔説得
仕置牢(独房)
仲間から切り離す。説得。
思い出話で懐柔。まだ独り身。嫁に迎えたい。
悔い改めれば一切を水に流す見本。
上役は説得する。今は勘繰られる。
※殉難恍惚
清への仕打ちを反芻しながら麻女を。
乳房嬲り、股間責め←破らないようにね。
※拷問絵巻
穿鑿所
四人が拷問中。
男:石抱き、座主:逆さ吊り水責、女:海老責+2穴十字架️、女:木馬責+敲き️
中央で駿河問。恍惚。菱橋指図で十字架破瓜。
自ら手を下して、初めて勃起。
※市中引回
休養を与えて。
すでに男全員と女四人が転向。
女四人を一人ずつ羞恥責め。布令を出してある。
太い鎖で緊縛、足も。持って歩くと、男でもつらい。麻女が一番手。
追い鞭で引回し。水車小屋で大の字水責め。
※二十五両
遊郭
亡八に相談
手篭めにされた生娘を善がらせたい。
事情を問われて打ち明ける。
何も聞かずにと頭を下げる奴はいるが。
まして侍。
本物の絶頂(中逝き)は無理。実核逝き。
男はハサミで五厘の長さ、女は全身剃。
マングリ返しで下腹部押し付け。
女は、まず心で感じる。これが無理な状況。
心の壁を破るまで持続。
罪人でも幼なじみと添い遂げたい心意気。
口伝では心許ない。演練指南は切餅ひとつ。
毛の手入れは指南の場で。
※絶頂指南
約して翌日。
先祖伝来の差料を売って。代わりはなまくら。
まず剃毛。櫛ですきながら。
若い女。三日前に隣の妓楼が買ったのを借りた。
生娘。躾ていない。
最後まで気を遣らなければ前借棒引き。
逝ってしまえば、素直に働け。
一刻掛けて全身ほぐして拡張して。
破瓜痛軽微。さらに一刻。善がらせ追い込む。
二十五両返金。女の身請け代だった。
女も感得して、賭けに負けたのだから。
十両ずつで、指南五両。
女、御本懐を(おいおい……)
亡八、侍を張っちゃいけないね。
あなた様みたいのが、女の情に引かれて心中。
※思慕絶頂
菱橋に土下座で揚座敷。切支丹は常時全裸。
縄を解いても隠すそぶりも無し。
身体を拭いてやって。
同じ手順で。一刻と掛からずに。
それが、麻女の里弥への思慕の証。
しかし、落ちない。
※無理心中
菱橋に無断で衣服を着せて連れ出す。
断崖絶壁。
クライマックス。
========================================

尺は短めで200枚以内に納まる予定ですが……
『拷問絵巻』途中で70枚ですから。どうなりますか。
ちなみに、この作品を年内に150枚以上で脱稿すれば、これまでの年間最多執筆枚数3,229枚を更新します。
DLsite Affiliate キーワードは「切支丹 or クリスチャン」
Progress Report Final:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
昨日脱稿しました。本文560枚/18万8千文字です。全82作品中8番目の長さです(前後編は合わせて1作品)。
『前奏』147枚/『独奏』258枚/『連奏』+α154枚の配分です。『独奏』が5月から年末のエピソード点描なのに対して『連奏』+αは一昼夜の細密描写です。まあ、こんな配分でしょう。
========================================
甘い絶望の彼方
一夜が明けた。
「こいつらに飯を食わせてやれ」
寝袋から引き出され、真冬の朝の寒さをしのぐというよりも不安から、自然と抱き合っているふたりの前に、菓子パンとパック牛乳が放られた。ふたりとも夜は何も食べさせてもらえず水も与えられず、飽食の時代にあって飢渇といえる状態にあった。それでも、すぐには手を伸ばそうとしない。
「おまえたちは箱詰めにして運ぶ。島へ着くのは夜になるぞ。後で泣きを見るぜ」
脅されてようやくふたりは、コンクリの床に落ちている牛乳パックを拾い上げた。喉を湿らせると猛烈に空腹を自覚して、菓子パンを貪り食らった。楚葉はまだプライドを残しているが、希美にいたっては喉に詰まらせて牛乳で流し込む始末。
「おまえたちは食わないのかよ」
「けっ。野宿した上に冷たいみすぼらしい朝飯なんざ、願い下げだ」
途中でサービスエリアにでも寄って、温かいモーニングでも食うさと、こんな場面でもふたりに辱めを与えることを忘れない。
辱めは、言葉だけではない。といっても、楚葉も希美も甘受するしかない恥辱だったが。排泄だった。七人は――倉庫の外へ出て、立ちションをするか離れた場所にある公衆便所まで通よっていたが、二人を外へ出すわけにはいかない。倉庫の隅にしゃがまされた。後始末もさせてもらえなかったが、昨夜みたいに立ちションを強要されなかっただけ、ましというものだった。
もちろん洗顔などさせてもらえるはずもなく、すぐに箱詰めが始まった。二人を詰める箱までワゴンに準備されていた。といっても――リンゴの木箱よりひとまわり大きいだけで、棺桶のサイズにも遠かった。ワゴンに棺桶を積むスペースはない。
いっそアメ車のトランクのほうが広いのだが、検問に引っ掛かってトランクを開けさせられたら終わりだ。
倉庫に転がっている箱は大きすぎる。結局ふたりは――寝袋の暖房にされたときと同じに胸を抱えて肘をつかむような形に腕を縛られ、正座して上体を折り畳まれて、向かい合って頭と足をぶっ違いにして横向きに、箱の中に並べられた。
全裸ではなく、生理上の配慮が払われていた。漏らしても箱から染み出ないようにオムツ代わりの襤褸布を股間に巻かれて、大声を出せないように口はガムテープで――ふさごうとするフトシを若頭が制止した。完全にふさぐと、鼻がつまったときに窒息の恐れがある。前例があったと言う。
「どっちみち生き埋めにするつもりだったから、手間が省けたけどな」
「けっ。これだから暴力団ってやつはよ」
聞いていた楚葉が、聞こえよがしに吐き捨てた。ヤクザと暴力団は違うと、楚葉は考えている。それを希美も知っている。
暴力団の構成員にしても、面と向かってそう呼ばれるのは嫌う。若頭は箱に手を突っ込んで乳房をわしづかみにして爪を立ててねじり上げて、それを楚葉に思い出させた。
結局、口にも襤褸布を詰め込まれて、その上からビニール電線で縛られた。
木箱の蓋が閉じられ、ふたりはワゴンに詰め込まれて――楚葉と希美、ふたりの地獄への道行きが始まった。
ふたりとも、しばらくは身じろぎひとつしなかったが。やがて楚葉が、頭を動かし始めた。希美の脛に押し付けて、左右に大きくゆっくりずらしたり、上下に小さく強く振ったり。
くすぐったいけれど、希美は不快に思わない。むしろ嬉しい。窮屈な闇の中で、自分もお姉様も確かに生きているんだという実感があった。
動きが十分ほども続いて。
「ぷはっ……やっと、取れた」
猿轡を外していたのだった。
「希美も取っちまえよ」
楚葉にコツを教わりながらだったので、五分もかからずしゃべれるようになった。
助けを求めて、大声で叫んだりはしない。フトシよサジに聞き付けられて、ガムテープを貼られるだけだ。奴らが朝食のために車を離れているときだって、無駄だろう。ふつうでも窓を閉じていたら、大声も外まで届かない。まして、木箱の中。積み込まれてしばらく、物を動かす音がしていた。木箱のまわりに荷物を積み上げてカムフラージュしたんだろう。ますます望み薄だ。
「希美……ほんとうに、ごめんよ」
その声が微かに震えているのを、希美は聞き取った。お姉様、今にも泣きそうな顔をしているんじゃないかな――と、希美は思った。どんな顔か、想像できないけれど。
希美は、返す言葉を見つけられない。ありきたりな物言いでは、自分の想いを伝えられない。楚葉の脛に頬を押し付けてゆっくりと何度も何度も首を振った。
「お袋は、まあいろいろあるんだけど……おれは父上を尊敬してた、好きだった。強い奴にぶちのめされたいってのも嘘じゃないけど、娘としてじゃなく漢(おとこ)として認められたかったてのもあったかな。任侠映画じゃあるまいし、跡目を継げるわけでもねえのにな」
まだ続きがあるような気がして、希美は黙って聞いている。
「おれが堅気の娘らしく――組に顔を出したりせず、お袋とおとなしくしてりゃ、こんなことにはならなかったかもしれねえ。おれの身勝手に希美を巻き込んで、詫びの入れようもない」
「あたしだって……!」
希美は小さく叫んだ。
「あたしだって、お姉様にリンチをおねだりしたときから、覚悟していました。こんな怖い人のオモチャにされて……まともな学生生活を送れるはずがないし、いずれはひどい目、サドマゾって意味じゃなくてスキャンダルとか、そういうの……」
ほんとうだろうかと、希美は自分の言葉を疑った。そんなに深くは考えてなかったと思う。小さな頃から胸に秘めていた妄想が現実になる。それが嬉しくて怖くて、後先のことなんか、考えていなかった。
「今も、おれが怖いのか。後悔してるのか」
答を知っているくせに……お姉様の意地悪。
希美はもう一度、脛に頬を擦り付けた。だけでは足りない気持ちになって、舌を伸ばして脹ら脛の内側を舐めた。
楚葉も、同じように希美を舐めた。
そのささやかな舌の動きを希美は、どんな愛撫よりも優しく感じた。それだけで、エクスタシーに達しそうなほどだった。
お姉様の下のお口にキスできないのが、もどかしい。ペニスバンドを(ヴァギナでもアナルでも、ううん両方とも)突っ込んでもらえないのが、物足りない。
どうせ売春島へ売られたら、毎晩のようにショーを演らされるんだろう。でも、それは強制されてのことだ。そういうのもマゾ牝にはふさわしいと想うけれど。自発的な戯れはこれが最後だと思うと、こんなもどかしいものでは、あまりに悲しい。
車の小刻みな振動が消えて。コトン……コトン……と、間延びした微かなショックが伝わってきた。
舗装の完備した自動車専用道に乗ったんだろうと、希美は推測した。
甘い絶望を噛み締める二匹のマゾ牝を積んで、ワゴンは男の天国女の地獄へ向かって走り続けている。
筆者としては、凄絶なマゾ堕ちと以後の苛酷な境遇を暗示して終わるのが好みです。ヒロインにとっても一種のハッピーエンドだと思いますし、立派なマゾ牝に成長(?)しているから、小説としても結構が整っています。
それでも。こんなのは後味が悪い――という読者もおられることでしょうから。一般的なハッピーエンドを取って着けておきます。
真のサディストは次頁以下を読まず、売春島に軟禁されるWヒロインが辿るであろう凄絶な未来を(お好きなように)想像してください。
Do not go to next page...
========================================
この後に”+α”が続きます。
さて。11月も下旬で、3,012枚書きました。最高記録は2019年の2,229枚ですから。あと200枚ちょっとで記録更新できますが……
『生贄王女への二つの暴辱と五つの試練/簒奪侍女に科される七つの拷問と懲罰』は大長編で、着手すれば年越し。
ぼつぼつ『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』も続きを書かねば。2話を一揆加勢しても200枚はいきませんし。
『昭和集団羞辱史:物売編(夜)』を仕切り直すのは、その気が足りないし。
なんと、知る人ぞ知る(たぶん数人?)SF短編『追憶を始めるとき』の続編(でもない)『追憶を終えるとき』も書きたいという、鬱勃たるロゴスにパトスに蓄音器ですけど。こやつはおそらく畢生の力作『生が二人を分かつとも』に準ずる作品でもあり、短編といえど構成を練り込みたいという想いと、ロゴスにパトスで疾走すべきという想いとが菱縄モトイ拮抗中です。たぶん年明けかな。
校訂も済まないうちから思案吊首じゃあ死んでまうがな。
あ、表紙絵だけは決まっています。これを例によって件の如くBFにします。

DLsite Affiliate 今回は同業他者さんを御紹介
この作家さんは、濠門長恭クンが「小説SMセレクト」に最後の作品(PN:藤間慎三)を掲載された同じ号でデビューした後輩といえば後輩、電子出版ではずっと早くから活躍していた先輩といえば先輩です。
ハードSMという点では共通しています。テーマとかモチーフは……購読して読者各位にて比較してみてください。
『前奏』147枚/『独奏』258枚/『連奏』+α154枚の配分です。『独奏』が5月から年末のエピソード点描なのに対して『連奏』+αは一昼夜の細密描写です。まあ、こんな配分でしょう。
========================================
甘い絶望の彼方
一夜が明けた。
「こいつらに飯を食わせてやれ」
寝袋から引き出され、真冬の朝の寒さをしのぐというよりも不安から、自然と抱き合っているふたりの前に、菓子パンとパック牛乳が放られた。ふたりとも夜は何も食べさせてもらえず水も与えられず、飽食の時代にあって飢渇といえる状態にあった。それでも、すぐには手を伸ばそうとしない。
「おまえたちは箱詰めにして運ぶ。島へ着くのは夜になるぞ。後で泣きを見るぜ」
脅されてようやくふたりは、コンクリの床に落ちている牛乳パックを拾い上げた。喉を湿らせると猛烈に空腹を自覚して、菓子パンを貪り食らった。楚葉はまだプライドを残しているが、希美にいたっては喉に詰まらせて牛乳で流し込む始末。
「おまえたちは食わないのかよ」
「けっ。野宿した上に冷たいみすぼらしい朝飯なんざ、願い下げだ」
途中でサービスエリアにでも寄って、温かいモーニングでも食うさと、こんな場面でもふたりに辱めを与えることを忘れない。
辱めは、言葉だけではない。といっても、楚葉も希美も甘受するしかない恥辱だったが。排泄だった。七人は――倉庫の外へ出て、立ちションをするか離れた場所にある公衆便所まで通よっていたが、二人を外へ出すわけにはいかない。倉庫の隅にしゃがまされた。後始末もさせてもらえなかったが、昨夜みたいに立ちションを強要されなかっただけ、ましというものだった。
もちろん洗顔などさせてもらえるはずもなく、すぐに箱詰めが始まった。二人を詰める箱までワゴンに準備されていた。といっても――リンゴの木箱よりひとまわり大きいだけで、棺桶のサイズにも遠かった。ワゴンに棺桶を積むスペースはない。
いっそアメ車のトランクのほうが広いのだが、検問に引っ掛かってトランクを開けさせられたら終わりだ。
倉庫に転がっている箱は大きすぎる。結局ふたりは――寝袋の暖房にされたときと同じに胸を抱えて肘をつかむような形に腕を縛られ、正座して上体を折り畳まれて、向かい合って頭と足をぶっ違いにして横向きに、箱の中に並べられた。
全裸ではなく、生理上の配慮が払われていた。漏らしても箱から染み出ないようにオムツ代わりの襤褸布を股間に巻かれて、大声を出せないように口はガムテープで――ふさごうとするフトシを若頭が制止した。完全にふさぐと、鼻がつまったときに窒息の恐れがある。前例があったと言う。
「どっちみち生き埋めにするつもりだったから、手間が省けたけどな」
「けっ。これだから暴力団ってやつはよ」
聞いていた楚葉が、聞こえよがしに吐き捨てた。ヤクザと暴力団は違うと、楚葉は考えている。それを希美も知っている。
暴力団の構成員にしても、面と向かってそう呼ばれるのは嫌う。若頭は箱に手を突っ込んで乳房をわしづかみにして爪を立ててねじり上げて、それを楚葉に思い出させた。
結局、口にも襤褸布を詰め込まれて、その上からビニール電線で縛られた。
木箱の蓋が閉じられ、ふたりはワゴンに詰め込まれて――楚葉と希美、ふたりの地獄への道行きが始まった。
ふたりとも、しばらくは身じろぎひとつしなかったが。やがて楚葉が、頭を動かし始めた。希美の脛に押し付けて、左右に大きくゆっくりずらしたり、上下に小さく強く振ったり。
くすぐったいけれど、希美は不快に思わない。むしろ嬉しい。窮屈な闇の中で、自分もお姉様も確かに生きているんだという実感があった。
動きが十分ほども続いて。
「ぷはっ……やっと、取れた」
猿轡を外していたのだった。
「希美も取っちまえよ」
楚葉にコツを教わりながらだったので、五分もかからずしゃべれるようになった。
助けを求めて、大声で叫んだりはしない。フトシよサジに聞き付けられて、ガムテープを貼られるだけだ。奴らが朝食のために車を離れているときだって、無駄だろう。ふつうでも窓を閉じていたら、大声も外まで届かない。まして、木箱の中。積み込まれてしばらく、物を動かす音がしていた。木箱のまわりに荷物を積み上げてカムフラージュしたんだろう。ますます望み薄だ。
「希美……ほんとうに、ごめんよ」
その声が微かに震えているのを、希美は聞き取った。お姉様、今にも泣きそうな顔をしているんじゃないかな――と、希美は思った。どんな顔か、想像できないけれど。
希美は、返す言葉を見つけられない。ありきたりな物言いでは、自分の想いを伝えられない。楚葉の脛に頬を押し付けてゆっくりと何度も何度も首を振った。
「お袋は、まあいろいろあるんだけど……おれは父上を尊敬してた、好きだった。強い奴にぶちのめされたいってのも嘘じゃないけど、娘としてじゃなく漢(おとこ)として認められたかったてのもあったかな。任侠映画じゃあるまいし、跡目を継げるわけでもねえのにな」
まだ続きがあるような気がして、希美は黙って聞いている。
「おれが堅気の娘らしく――組に顔を出したりせず、お袋とおとなしくしてりゃ、こんなことにはならなかったかもしれねえ。おれの身勝手に希美を巻き込んで、詫びの入れようもない」
「あたしだって……!」
希美は小さく叫んだ。
「あたしだって、お姉様にリンチをおねだりしたときから、覚悟していました。こんな怖い人のオモチャにされて……まともな学生生活を送れるはずがないし、いずれはひどい目、サドマゾって意味じゃなくてスキャンダルとか、そういうの……」
ほんとうだろうかと、希美は自分の言葉を疑った。そんなに深くは考えてなかったと思う。小さな頃から胸に秘めていた妄想が現実になる。それが嬉しくて怖くて、後先のことなんか、考えていなかった。
「今も、おれが怖いのか。後悔してるのか」
答を知っているくせに……お姉様の意地悪。
希美はもう一度、脛に頬を擦り付けた。だけでは足りない気持ちになって、舌を伸ばして脹ら脛の内側を舐めた。
楚葉も、同じように希美を舐めた。
そのささやかな舌の動きを希美は、どんな愛撫よりも優しく感じた。それだけで、エクスタシーに達しそうなほどだった。
お姉様の下のお口にキスできないのが、もどかしい。ペニスバンドを(ヴァギナでもアナルでも、ううん両方とも)突っ込んでもらえないのが、物足りない。
どうせ売春島へ売られたら、毎晩のようにショーを演らされるんだろう。でも、それは強制されてのことだ。そういうのもマゾ牝にはふさわしいと想うけれど。自発的な戯れはこれが最後だと思うと、こんなもどかしいものでは、あまりに悲しい。
車の小刻みな振動が消えて。コトン……コトン……と、間延びした微かなショックが伝わってきた。
舗装の完備した自動車専用道に乗ったんだろうと、希美は推測した。
甘い絶望を噛み締める二匹のマゾ牝を積んで、ワゴンは男の天国女の地獄へ向かって走り続けている。
[未完]
筆者としては、凄絶なマゾ堕ちと以後の苛酷な境遇を暗示して終わるのが好みです。ヒロインにとっても一種のハッピーエンドだと思いますし、立派なマゾ牝に成長(?)しているから、小説としても結構が整っています。
それでも。こんなのは後味が悪い――という読者もおられることでしょうから。一般的なハッピーエンドを取って着けておきます。
真のサディストは次頁以下を読まず、売春島に軟禁されるWヒロインが辿るであろう凄絶な未来を(お好きなように)想像してください。
Do not go to next page...
========================================
この後に”+α”が続きます。
さて。11月も下旬で、3,012枚書きました。最高記録は2019年の2,229枚ですから。あと200枚ちょっとで記録更新できますが……
『生贄王女への二つの暴辱と五つの試練/簒奪侍女に科される七つの拷問と懲罰』は大長編で、着手すれば年越し。
ぼつぼつ『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』も続きを書かねば。2話を一揆加勢しても200枚はいきませんし。
『昭和集団羞辱史:物売編(夜)』を仕切り直すのは、その気が足りないし。
なんと、知る人ぞ知る(たぶん数人?)SF短編『追憶を始めるとき』の続編(でもない)『追憶を終えるとき』も書きたいという、鬱勃たるロゴスにパトスに蓄音器ですけど。こやつはおそらく畢生の力作『生が二人を分かつとも』に準ずる作品でもあり、短編といえど構成を練り込みたいという想いと、ロゴスにパトスで疾走すべきという想いとが菱縄モトイ拮抗中です。たぶん年明けかな。
注記:『追憶を始めるとき』は短編集『生が二人を分かつとも』に収録。
いっそ『男性社員』を書くか、ふと思いついた『心中切支丹』をまとめてみるか。校訂も済まないうちから思案吊首じゃあ死んでまうがな。
あ、表紙絵だけは決まっています。これを例によって件の如くBFにします。

DLsite Affiliate 今回は同業他者さんを御紹介
この作家さんは、濠門長恭クンが「小説SMセレクト」に最後の作品(PN:藤間慎三)を掲載された同じ号でデビューした後輩といえば後輩、電子出版ではずっと早くから活躍していた先輩といえば先輩です。
ハードSMという点では共通しています。テーマとかモチーフは……購読して読者各位にて比較してみてください。
Progress Report 6:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
『前奏』『独奏』に続いて、ヒロインが囮にされてスケバンが捕まり、実は角島楚葉だったと暴かれて……
『連奏』パートも佳境です。
キーボードが走って滑って、情景描写も心理描写も素っ飛ばして(も、いないつもりだけどなあ)クライマックス明るいミニマムに向かって一車千里一基火星です。もうすぐ500枚。
で、ちょいとレブリミットを掛けてオーバーヒートに水を差して。
========================================
サドの中のマゾ
サジは二人の足首を縛り合せて、また開脚を強いた。吊り上げるのではなく、さらに天秤を下げる。鞄を抱えて楚葉の開かされた脚の間に座りこんで、股間が目の高さ。
「あーあ。ひでえことになってら。未来の旦那様の為にも、ちょいと手直ししといてやるぜ」
鞄からアルコールの小瓶と得体の知れない小さなチューブを取り出した。脱脂綿にアルコールを染ませて、楚葉の股間を丹念に拭う。千切れかけている小淫唇は特に念入りに。
アルコールが沁みる苦痛を、楚葉はわずかに顔をゆがませるだけで耐えた。小淫唇の傷口にチューブから液体を垂らされても、そこを下目遣いに眺めているだけ。
サジが両手を使って小淫唇の傷口を貼り合せる。
「熱い……」
ひと言だけ、楚葉がつぶやいた。
三十秒ほどで、サジが手を放すと――小淫唇は本来の形に復元していた。
「すげえだろ。瞬間接着剤てのは、外科手術の縫合にも使えるんだ。前にやり過ぎて内代の乳首をもいじまったことがあるけど、ちゃんとくっついたし乳も出るんだぜ」
初めて聞く女性の名前は、この男のバシタだろうと――あえてヤクザ言葉で考える希美。何をどうやり過ぎれば乳首がもけるのかは、考えたくない。けれど、想像がついてしまうだけの体験を、希美は重ねている。さっきのピンボールを使った避妊法といい、この男は常人とは違った角度から女体に興味を持っているようだ。葛島組のコマシ屋さんより、ずっと凶暴に女性を弄ぶんだ。
「ついで、ボロボロのおっぱいも治しといてなるよ」
ぽたぽたぽたと、広範囲に瞬間接着剤を滴下させて、楚葉の顔をいっそうゆがませる。サジは薄いビニール手袋を嵌めた手で剥げた皮膚を乳房に押し当て、やはり一分もしないうちに傷を目立たなくさせた。目立たないというのは、皮膚が垂れ下がっているよりもという意味で、無残極まりない傷には違いないのだが。
「突っ張らかって感じるだろうけど、じきに慣れるさ」
吊り上げられた肩をしきりにもじもじさている楚葉にサジが、優しくなくもない言葉を掛ける。
「さて、つぎは希美ちゃんだっけ。きみの番だ」
同じように小淫唇と乳房を整形(?)される希美。
瞬間接着剤を滴らされたところは、待ち針ほでどでないけれど針を突き刺されたように痛くなって、炎で炙られたように熱くなる。普通の子だったら泣き叫んでるところだろうなと思いながら、希美はかすかな呻き声だけで耐えた。それだけ苦痛に耐性がついているし、痛そうにしたらお姉様を苦しめる。
「ふんん……」
サジが手の中でピンボールを弄ぶ。
「気を利かして処置をしておくと、若頭に叱られるな。嫁さんにするなら孕ませるかもしれないし」
楚葉の顔が引き攣って――しかし、何も言わなかった。チンピラを相手に恫喝も哀願も見苦しいだけ。そんな思いを、楚葉は表情から読み取った。
「こっちは……」
トランジスターラジオのような小箱を取り出して、ちらっと二人に見せてから鞄に戻した。
「いよいよ若頭が手詰まりになったら、出番があるかな。備え有れば憂い無しってな」
サジが鞄は手近な木箱の上に置いて、ワゴンへ引き返した。ダッシュボードやラゲッジスペースをごそごそと漁り回って。
「ちぇえ。こっちは備え無しかよ」
大声でぼやくと、助手席に乗ってばたんとドアを閉めた。空きっ腹を満たす糧をみつけられず、ふてくされたのだろう。
二人は地獄のど真ん中で顔を見合わせて、くすっと笑ってしまった。
やがて、ラジオ番組が聞こえてきた。おしゃべりと楽曲のディスクジョッキ―らしいが、かすかな音なので曲名すら分からない。
「ごめんな……」
ぽつんと、楚葉がつぶやいた。
「…………」
希美は黙っている。事の起こりは自分が誘拐されたからなのだけど。その理由はお姉様に可愛がられていたからだ。そして自分は元よりお姉様だって、こんな悪企みに狙われているなんて、思ってもいなかっただろう。
「悪いやつに捕まって、リンチされたりレイブされたり……そんなのに憧れてたんだ」
「…………?!」
突然の告白に、希美は驚くと同時に、深まりつつあった疑念が、すとんと胸の底に落ち着いたのを感じた。
「でも、おれより弱いやつに姦(や)られるなんて真っ平だ。強いやつを求めて喧嘩(ゴロ)巻いてるうちにスケバンの頭にまでなっちまった」
希美は、ちろっと楚葉の横顔を窺った。パッチワークのように貼り合わされた乳房に視線が落ちて――乳首の傷に気づいた。すでに治っている、かすかな痕跡。針にしては太い物が突き抜けたような。もしかして、それは釘付き洗濯バサミの痕ではないだろうか。
いろんな責め道具を試したようなことを、お姉様は言っていた。木ネジを埋め込んだ擂粉木は試したことがない――とも。
リンチの相手か、ふつうの子を脅して実験したんだろうと思っていたけれど、実験台にはお姉様自身も含まれたいたんじゃないだろうか。
希美の沈黙を、どう受け取ったのか。楚葉は告白を続ける。
「リンチのときは、される相手に……ええと、感情移入ってのか。学校をサボッてるから言葉も知らねえな。ルビーや黒今浄子になり切って、悪役の角島楚葉を眺めてる――そんな気分だった」
楚葉の告白は視点がごっちゃになっているけれど、その意味は痛いくらいに分かった。
「だから……おまえが羨ましかったよ。あんなに正直に『虐めてください』って言えるんだからな」
「恥ずかしいです。でも……」
もしも役割を入れ替えようなんて提案されても、絶対に受け容れなかっただろうと、希美は楚葉の言葉の先を勝手に想像した。けれど、すこし外れていた。
「まあ、おれは……おまえみたいなマゾ一辺倒じゃなかったけどな。おれより弱いやつを虐めて、ぞくぞくしてたのもほんとうだ。言っとくけど、おまえが五月にクラスで受けていたような、じめついたイジメじゃないぞ。力で圧倒して、ええと……マンコ絡みで虐めるようなやつだ」
「じゃあ、あたしが濡らしたのは……お厭だったんですか?」
お姉様もあけすけな告白につられて、希美はついに禁断の領域に踏み込んでいた。
「いいや。それも羨ましかった。けど……実際にそうされてみて。思ってたのとまったく違ったから……失望かな、戸惑いかな」
「あたしだって……聡音さんに虐められて、悔しいばかりでちっとも濡れたりしませんでした。濡らすのは、お姉様に遊んでいただくときだけです。あ……男の人に姦られるときは、どうしても濡れて……アクメに追い込まれたりするけど……それは、誰にくすぐられてもくすぐったいのと同じです」
アクメとエクスタシーは違うと言いたかったけれど、実のところ自分でもよく分かっていなかったし。マゾに目覚めたばかりのお姉様を混乱させると考えて、黙っておいた。
「それも……おれには分からないけど。おまえの盾になってたときは、叩かれるたんびにマンコまで痺れてた。クリトリスを挟んだときよりも、ずっとだった……」
うっとりと、楚葉は口を閉ざした。
その洗濯バサミも釘付きだったんじゃないかなと、想像してみる希美。もちろん。お姉様の妄想の中で、その洗濯バサミを握っていたのはお姉様自身じゃなく、お姉様に服従している希美でもなく、ジョルゴ17とかゲシュタポの将校だったはずだ。
そうだ。聡音さんも若頭も嘉良という人も――ゲシュタポだと思い当たった。パルチザンを匿って居所を自白しなかった姉弟。あたしをかばってくれたお姉様。お姉様をかばおうとした、あたし。
ゲシュタポの犠牲者は、みんな殺されている。殺されなかったのはあの姉弟を含めて、戦争が終わって連合軍の兵隊に助け出された人たちだけ。
お姉様とあたしは、どうなるんだろう。殺されはしないだろうけど。お姉様は若頭のお飾りの妻にされて、あたしは売春窟へ売り飛ばされて――そんなのは厭だ。若頭のオモチャにされるのは、お姉様と一緒にいられるから、それでもいいけれど。でも、あいつに嬲られるのは虫唾が走る。いっそ、ふたり揃って売春窟へ……どこまでが実際の恐怖で、どこからがただの妄想か、希美は区別がつかなくなってきた。
希美の妄想からは、重要な展開が抜けている。連合軍による救出。現実に即していえば、葛島組の動きだ。それが明らかになるのは、数章先の展開を待たねばならない。
========================================
冒頭で「ひでえことになってる」のは、股間をスケバン御用達チェーンで打たれて、小淫唇が三枚に卸されているのです。
文中の「黒今浄子」「ジョルゴ17」「ゲシュタポ」とかは、Report 5を参照してください→

仲間をかばって自らが責められるというのは、定番の展開ですが、マゾ的要素ですが、マゾそのものとは違うのではないでしょうか――などと思いながらも、マゾの真淵に至る経過とし書いています。
しかし。歩いていて電信柱にぶつかって快感を得る人間など、ほんとうにいないのかしら。
歯医者さんでゴリゴリ痛くされるのが好きっていう『告白』は、どこぞで御目にかかりました。その場合は「歯医者さん」という加虐者が介在するわけで。
異性の上司に叱責されて濡らすなんてのも「実話告白」系で御目に引っ掛かりますが。
日常とは異なる空間のみでマゾ性感を得られる筆者など、まだまだノーマル過ぎて未熟なのでしょうか。
どれだけ書こうと実践を積み重ねようと、SMの神髄には38万光年の筆者なのであります。
DLsite Affiliate キーワードは「連縛」
『連奏』パートも佳境です。
キーボードが走って滑って、情景描写も心理描写も素っ飛ばして(も、いないつもりだけどなあ)クライマックス明るいミニマムに向かって一車千里一基火星です。もうすぐ500枚。
で、ちょいとレブリミットを掛けてオーバーヒートに水を差して。
========================================
サドの中のマゾ
サジは二人の足首を縛り合せて、また開脚を強いた。吊り上げるのではなく、さらに天秤を下げる。鞄を抱えて楚葉の開かされた脚の間に座りこんで、股間が目の高さ。
「あーあ。ひでえことになってら。未来の旦那様の為にも、ちょいと手直ししといてやるぜ」
鞄からアルコールの小瓶と得体の知れない小さなチューブを取り出した。脱脂綿にアルコールを染ませて、楚葉の股間を丹念に拭う。千切れかけている小淫唇は特に念入りに。
アルコールが沁みる苦痛を、楚葉はわずかに顔をゆがませるだけで耐えた。小淫唇の傷口にチューブから液体を垂らされても、そこを下目遣いに眺めているだけ。
サジが両手を使って小淫唇の傷口を貼り合せる。
「熱い……」
ひと言だけ、楚葉がつぶやいた。
三十秒ほどで、サジが手を放すと――小淫唇は本来の形に復元していた。
「すげえだろ。瞬間接着剤てのは、外科手術の縫合にも使えるんだ。前にやり過ぎて内代の乳首をもいじまったことがあるけど、ちゃんとくっついたし乳も出るんだぜ」
初めて聞く女性の名前は、この男のバシタだろうと――あえてヤクザ言葉で考える希美。何をどうやり過ぎれば乳首がもけるのかは、考えたくない。けれど、想像がついてしまうだけの体験を、希美は重ねている。さっきのピンボールを使った避妊法といい、この男は常人とは違った角度から女体に興味を持っているようだ。葛島組のコマシ屋さんより、ずっと凶暴に女性を弄ぶんだ。
「ついで、ボロボロのおっぱいも治しといてなるよ」
ぽたぽたぽたと、広範囲に瞬間接着剤を滴下させて、楚葉の顔をいっそうゆがませる。サジは薄いビニール手袋を嵌めた手で剥げた皮膚を乳房に押し当て、やはり一分もしないうちに傷を目立たなくさせた。目立たないというのは、皮膚が垂れ下がっているよりもという意味で、無残極まりない傷には違いないのだが。
「突っ張らかって感じるだろうけど、じきに慣れるさ」
吊り上げられた肩をしきりにもじもじさている楚葉にサジが、優しくなくもない言葉を掛ける。
「さて、つぎは希美ちゃんだっけ。きみの番だ」
同じように小淫唇と乳房を整形(?)される希美。
瞬間接着剤を滴らされたところは、待ち針ほでどでないけれど針を突き刺されたように痛くなって、炎で炙られたように熱くなる。普通の子だったら泣き叫んでるところだろうなと思いながら、希美はかすかな呻き声だけで耐えた。それだけ苦痛に耐性がついているし、痛そうにしたらお姉様を苦しめる。
「ふんん……」
サジが手の中でピンボールを弄ぶ。
「気を利かして処置をしておくと、若頭に叱られるな。嫁さんにするなら孕ませるかもしれないし」
楚葉の顔が引き攣って――しかし、何も言わなかった。チンピラを相手に恫喝も哀願も見苦しいだけ。そんな思いを、楚葉は表情から読み取った。
「こっちは……」
トランジスターラジオのような小箱を取り出して、ちらっと二人に見せてから鞄に戻した。
「いよいよ若頭が手詰まりになったら、出番があるかな。備え有れば憂い無しってな」
サジが鞄は手近な木箱の上に置いて、ワゴンへ引き返した。ダッシュボードやラゲッジスペースをごそごそと漁り回って。
「ちぇえ。こっちは備え無しかよ」
大声でぼやくと、助手席に乗ってばたんとドアを閉めた。空きっ腹を満たす糧をみつけられず、ふてくされたのだろう。
二人は地獄のど真ん中で顔を見合わせて、くすっと笑ってしまった。
やがて、ラジオ番組が聞こえてきた。おしゃべりと楽曲のディスクジョッキ―らしいが、かすかな音なので曲名すら分からない。
「ごめんな……」
ぽつんと、楚葉がつぶやいた。
「…………」
希美は黙っている。事の起こりは自分が誘拐されたからなのだけど。その理由はお姉様に可愛がられていたからだ。そして自分は元よりお姉様だって、こんな悪企みに狙われているなんて、思ってもいなかっただろう。
「悪いやつに捕まって、リンチされたりレイブされたり……そんなのに憧れてたんだ」
「…………?!」
突然の告白に、希美は驚くと同時に、深まりつつあった疑念が、すとんと胸の底に落ち着いたのを感じた。
「でも、おれより弱いやつに姦(や)られるなんて真っ平だ。強いやつを求めて喧嘩(ゴロ)巻いてるうちにスケバンの頭にまでなっちまった」
希美は、ちろっと楚葉の横顔を窺った。パッチワークのように貼り合わされた乳房に視線が落ちて――乳首の傷に気づいた。すでに治っている、かすかな痕跡。針にしては太い物が突き抜けたような。もしかして、それは釘付き洗濯バサミの痕ではないだろうか。
いろんな責め道具を試したようなことを、お姉様は言っていた。木ネジを埋め込んだ擂粉木は試したことがない――とも。
リンチの相手か、ふつうの子を脅して実験したんだろうと思っていたけれど、実験台にはお姉様自身も含まれたいたんじゃないだろうか。
希美の沈黙を、どう受け取ったのか。楚葉は告白を続ける。
「リンチのときは、される相手に……ええと、感情移入ってのか。学校をサボッてるから言葉も知らねえな。ルビーや黒今浄子になり切って、悪役の角島楚葉を眺めてる――そんな気分だった」
楚葉の告白は視点がごっちゃになっているけれど、その意味は痛いくらいに分かった。
「だから……おまえが羨ましかったよ。あんなに正直に『虐めてください』って言えるんだからな」
「恥ずかしいです。でも……」
もしも役割を入れ替えようなんて提案されても、絶対に受け容れなかっただろうと、希美は楚葉の言葉の先を勝手に想像した。けれど、すこし外れていた。
「まあ、おれは……おまえみたいなマゾ一辺倒じゃなかったけどな。おれより弱いやつを虐めて、ぞくぞくしてたのもほんとうだ。言っとくけど、おまえが五月にクラスで受けていたような、じめついたイジメじゃないぞ。力で圧倒して、ええと……マンコ絡みで虐めるようなやつだ」
「じゃあ、あたしが濡らしたのは……お厭だったんですか?」
お姉様もあけすけな告白につられて、希美はついに禁断の領域に踏み込んでいた。
「いいや。それも羨ましかった。けど……実際にそうされてみて。思ってたのとまったく違ったから……失望かな、戸惑いかな」
「あたしだって……聡音さんに虐められて、悔しいばかりでちっとも濡れたりしませんでした。濡らすのは、お姉様に遊んでいただくときだけです。あ……男の人に姦られるときは、どうしても濡れて……アクメに追い込まれたりするけど……それは、誰にくすぐられてもくすぐったいのと同じです」
アクメとエクスタシーは違うと言いたかったけれど、実のところ自分でもよく分かっていなかったし。マゾに目覚めたばかりのお姉様を混乱させると考えて、黙っておいた。
「それも……おれには分からないけど。おまえの盾になってたときは、叩かれるたんびにマンコまで痺れてた。クリトリスを挟んだときよりも、ずっとだった……」
うっとりと、楚葉は口を閉ざした。
その洗濯バサミも釘付きだったんじゃないかなと、想像してみる希美。もちろん。お姉様の妄想の中で、その洗濯バサミを握っていたのはお姉様自身じゃなく、お姉様に服従している希美でもなく、ジョルゴ17とかゲシュタポの将校だったはずだ。
そうだ。聡音さんも若頭も嘉良という人も――ゲシュタポだと思い当たった。パルチザンを匿って居所を自白しなかった姉弟。あたしをかばってくれたお姉様。お姉様をかばおうとした、あたし。
ゲシュタポの犠牲者は、みんな殺されている。殺されなかったのはあの姉弟を含めて、戦争が終わって連合軍の兵隊に助け出された人たちだけ。
お姉様とあたしは、どうなるんだろう。殺されはしないだろうけど。お姉様は若頭のお飾りの妻にされて、あたしは売春窟へ売り飛ばされて――そんなのは厭だ。若頭のオモチャにされるのは、お姉様と一緒にいられるから、それでもいいけれど。でも、あいつに嬲られるのは虫唾が走る。いっそ、ふたり揃って売春窟へ……どこまでが実際の恐怖で、どこからがただの妄想か、希美は区別がつかなくなってきた。
希美の妄想からは、重要な展開が抜けている。連合軍による救出。現実に即していえば、葛島組の動きだ。それが明らかになるのは、数章先の展開を待たねばならない。
========================================
冒頭で「ひでえことになってる」のは、股間をスケバン御用達チェーンで打たれて、小淫唇が三枚に卸されているのです。
文中の「黒今浄子」「ジョルゴ17」「ゲシュタポ」とかは、Report 5を参照してください→

仲間をかばって自らが責められるというのは、定番の展開ですが、マゾ的要素ですが、マゾそのものとは違うのではないでしょうか――などと思いながらも、マゾの真淵に至る経過とし書いています。
しかし。歩いていて電信柱にぶつかって快感を得る人間など、ほんとうにいないのかしら。
歯医者さんでゴリゴリ痛くされるのが好きっていう『告白』は、どこぞで御目にかかりました。その場合は「歯医者さん」という加虐者が介在するわけで。
異性の上司に叱責されて濡らすなんてのも「実話告白」系で御目に引っ掛かりますが。
日常とは異なる空間のみでマゾ性感を得られる筆者など、まだまだノーマル過ぎて未熟なのでしょうか。
どれだけ書こうと実践を積み重ねようと、SMの神髄には38万光年の筆者なのであります。
DLsite Affiliate キーワードは「連縛」
Progress Report 5:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
Progress Report 4 →
リクエスト作品『幼なマゾの契り~闇に葬られた戦災孤児の淫虐体験』を、270枚で仕上げて。
こちらの再開です。
突っ走ってます。オーバーランしてます。『前奏』、『独奏』、『協奏』のうち『独奏』パートが終わった時点で407枚。『独奏』はモジュール方式で、いろんな責めシーンを詰め合わせているので長くなりました。『協奏』パートは単体で200枚を割り込むでしょう。としても、600枚クラスですから、長い部類に入ります。
ちなみに、過去最長は『いじめられっ娘二重唱(前後編)』の929枚です。
次点が『大正弄瞞』613枚、僅差で『縄と鞭の体育補習』と『昭和集団羞辱史:売春編』が609」枚。
では、今回はストーリイの節目である章です。ここで、ヒロインは悪役令嬢(激違)が真性のサディスチンとは違うのではないかと疑問を持ち――『協奏』パートへとつながります。まあ、この後も『独奏』パート最終章「冬山では雪遊び」で、疑念を深めますが。
========================================
お姉様の大秘密
ハイキングの後は、ハイヤーでまっすぐ家まで送ってもらった。いちばん苛酷だった待ち針の傷なんか三日もすれば治って――希美は淋しい想いをしたものだった。
学校では、水曜日に一度呼び出されただけ。一学期の間は昼休みごとに旧校舎へ駆け付けて、楚葉にオモチャとして遊んでもらうか、そうでない日は番犬としてフェンスにつながれていたのだから、今さら教室でひとりぽつねんと過ごすのはつら過ぎた。図書室へ行けば、他クラスや上級生の好奇の目。校庭の片隅で人目につかないようにして、時間をつぶすしかなかった。良かったことといえば、お昼ご飯を食べられるようになったことくらい。
冬用の制服は、とうとう上着も下乳ぎりぎり(腕を上げれば確実に見えてしまう)まで切り詰められた。スカートも、さらに二センチ。そんな露出過剰な制服で購買の列に並んで晒し者になるのは、羞ずかしいよりも恥ずかしいが圧倒的でためらってしまう。今さら、またお弁当を作ってと母親に頼むのも気が引けて――登校中に駅の売店やコンビニで買っていた。お小遣いから捻出するのは、問題なかった。アクセサリーとか化粧品は、今の希美には縁がない。休日は、いつ楚葉から呼び出しがあってもいいように、ずっと家にいるのだから。コミックや雑誌は、自分の体験のほうが圧倒的に強烈だから、浮ついた絵空事を読む気にもなれない。レディース雑誌のエッチな記事も同じだ。
いわば悶々と暇を持て余していた。だから、翌週の火曜日に登校するなり、
「今日はおれの家で遊んでやるよ」
そう言われたときには舞い上がってしまった。可愛がってもらえるという喜びは当然だが、楚葉はスケバングループの誰ひとりとして、自宅へ招いたことがないというのを知っていたからだ。「おれたちとは真反対」という言い方で、希美は特別扱いされている。それは希美がスケバンの仲間ではなく、楚葉のオモチャだという意味だが――真反対だからこそ、家へ上げてもらえるという嬉しさだった。
希美は授業なんかほっぽり出して、楚葉について行った。校門を出るとき、風紀指導の箕内先生はもちろん見ない振り。
「おまえ、そのジャージ結構だぶついてんな。下は脱いじまえよ」
もう、楚葉の遊びは始まっていた。
希美はためらうことなく(でも、羞ずかしそうにしながら)登校中の生徒が見ている中でズボンを脱いで学生鞄に詰め込んだ。下はもちろん素っ裸だけれど、ジャケットの裾でヒップは隠れている。知らない人が見たら、当然ブルマを穿いていると思うだろう。
ズボンを脱ぐと、クリトリスのクリップに付いているガラス玉の飾りが大きく揺れて、かすかだけれど絶え間ない刺激を受け続ける。どんなふうに遊ばれるんだろうという期待とあいまって、裾よりも下まで蜜が内腿を伝う。
バスで視姦されながら十五分。立っていたから、座っている乗客からは股間のガラス玉が見えていたかもしれない。見知らぬ人ばかりだから、恥ずかしさは小さくて羞ずかしさだけだった。
楚葉の住居は、最近ぽつぽつと見掛けるようになったワンルームマンションだった。狭いけれど、キッチン、バストイレが完備している。学生には高値(ママ)の花で、入居者は独身のサラリーマンがほとんど。なので、平日の昼間は無人に近い。
部屋に入って。予想していたのとはまったく違うインテリアに、希美は驚くよりもおかしみを感じた。だって――まっ白なレースのカーテン、パステルカラーの整理棚の上にはぬいぐるみとか飾られていたりする。けっこう乙女チックだ。それはまあ……神棚とか刀剣の飾りとかが置かれているとも思ってはいなかったけれど。
「ぼさっと突っ立ってないで、くつろげよ」
ええと……希美は部屋を見回した。くつろぐといっても、応接セットがあるわけじゃなし、勉強机とベッドだけ。友達同士だって、いきなりベッドに腰掛けるのはお行儀が悪い。
あたしが特別扱いされているのは、お姉様のオモチャでマゾ牝奴隷だからだ。希美はジャケットを脱いで靴下と三点クリップだけの全裸になり、床に正座した。オモチャの正座は、脚を直角に開く。
そんな希美を見下ろしながら、楚葉も制服を脱いだ――下は、ブラジャーとパンティだけ。きちんとシュミーズを着ける子なんて少数派だし、真冬でもブラウスを着ない子は、さすがにお嬢様学校の百合香学園には少ないけれど。部屋着を着ないのは楚葉くらいだろう。希美だって、家ではまともな格好を取り繕っている。
「ちょっと待ってな」
楚葉が腹這いになって、ベッドの下に腕を突っ込んだ。だいぶん追い付いてきたとはいえ、まだ桃と無花果くらいはボリュームの違う楚葉のヒップが、希美の目の前でもこもこと動く。肌にぴっちり貼り付いたパンティは、硬派のスケバンにふさわしく白無地の木綿。
あまり見つめていてはお姉様に失礼と、部屋の中を見回すと――カラーボックスのひとつに、コミックの単行本がぎっしり詰まっていた。『ズボンの騎士』、『メコメコ・アザアス』、『ジョルゴ17』……希美はどきんとした。シリーズ物のコレクションが一致していたからだ。
『ズボンの騎士』は、お姫様が男装して騎士になっているお話。悪大臣に囚われて、縛られて地下牢に監禁されたり、下着姿にされて女とばれそうになったり。鞭打ちの拷問シーンもある。
『メコメコ・アザアス』は男の子向けのコミックで、主人公は現代の世界で活躍する黒魔法使い少女。薄気味悪いとか虐められて教室でストリップショーをさせられたり、連続少女誘拐犯に捕まってあわやのシーンとか。どちらも最後は黒魔法で逆転するけど、その部分には興味がない。
『ジョルゴ17』は青年向け。世界を股に掛けて活躍する暗殺者。女スパイの拷問、被差別民族の少女へのレイフ、冷徹な女性将校がジョルゴに抱かれようとして娼婦に成りきったり。
どのコミックも、希美の妄想を掻き立てるストーリーが満載。
お姉様はサディスチンなんだから、女性を虐待する男の側に感情移入して読んでいると考えれば、不思議はないのだけれど……コミックとは別の棚に一冊だけぽつんと置かれている古い学習雑誌に気づいて、希美は心臓が止まりそうになった。
戦争の悲劇の特集号だ。その中に、パルチザンを匿ってゲシュタポに捕まった姉弟のエピソードがある。下着だけにされて(というのは、子供向けの配慮に決まっている)監禁されて、毎日のように拷問されて……古本屋でこの本を発見したときは、その場にへたり込んでしまった。
この本が発行されたとき、お姉様は(ええと……)まだ少学校低学年だったはず。先輩のお下がりだろうか。だとしても、それを大切に残してあるということは……?
お姉様はほんとうにサドだろうかと疑ったことが、これまでにも二三度あった。まさか、まさか、もしかして、お姉様は、ほんとうは……
「よし、これで全部だ」
どさっと二つの(わりと小さな)段ボールの箱を目の前に置かれて、希美は我に還った。
「どれで遊んでほしい? 好きなのを幾つでも選べよ」
箱の中身は、いろんな種類の縄、大小の擂粉木、希美の初娼売のお金で買った手錠、首輪と鎖、釘を植えた洗濯バサミ。レディース雑誌でもたまに特集号があったり、楚葉に引きずり込まれたオトナの玩具屋でも売っていた、バイブとかピンクローターとか。短い鎖でつながれた小さな四つの首輪は手と足に嵌めるのだろうか。イチジク浣腸とか、ものすごく太い蝋燭とかも。
呆然と眺めているうちに、希美はあることに気づいた。手錠と木ネジを貫通させた擂粉木と釘洗濯バサミは新しいけれど、ずいぶんと使い込んだ物も交ざっている。あの綿ロープなんて、くたびれているし薄汚れている。
サディスチンのお姉様が、あたしみたいなマゾ娘でなくても、無理強いに女の子を可愛がったとか、リンチに使ったとか考えれば、おかしなところは何もないのだけれど。あんなにたくさん遊んでくれたのに、なぜあたしには一部しか使ってくれなかったんだろう。他の子に使ったお古は避けてくれたのかな。でも、釈然としない……
「まさか、全部遊びたいなんて欲張ったことを言うんじゃないだろうな」
楚葉にからかわれ、希美は真剣になって、遊んでもらうための小道具を選びにかかった。
十分ほども迷った挙げ句に選んだのは。多分拘束に使うんだろう革ベルトがこんがらかった衣装(?)と、四つの環と鎖の組み合わせと、釘を植えていない普通の洗濯バサミを小箱ひとつ分と、大小のバイブと、もしかして道に使うのかなと期待して極細のと、洗濯バサミと二者択一になるのかなと迷いながら大きなスポイトとローターを組み合わせたやつと、四角い箱にノートサイズのパッドと四本のハンドルが付いた強力マッサージ機と、蝋燭と……
「そこらへんでやめとけ」
楚葉に止められなかったら、段ボール箱を二つとも空にしていたかもしれなかった。
「まったく欲張りやがって」
楚葉がうんざりしたように言うのは演技だと、希美には分かる。
「それじゃ、おれも欲張って、これ全部一度に使ってやる」
「はい、ありがとうございますッ」
今の希美の「ありがとうございます」は強いられてではなく、心の底からのものになっている。恐怖と不安は残っているけれど、悦虐への期待がはるかに強い。
「まずはケツ穴を綺麗にして来い」
そう言って楚葉はイチヂク浣腸を二つ、希美に放って寄越した。
「シャワーヘッドは、ねじれば取り外せるからな」
希美はイチヂク浣腸を胸に抱いてバスルームへ行った。都合の好いことに、トイレもあるユニットバスだった。
三点のクリップは外して洗面台に置いて。バスタブの中にしゃがんでイチヂク浣腸を二つとも注入したのは、万一に粗相してもすぐに流せるからだった。
便意が募ってきても、説明書にある通り十分は我慢する。時計がないので、ゆっくり六百まで数えた。
汚しては申し訳ないので便座を上げて、尻を便器に嵌め込んで。思いっ切り排出して、綺麗に洗って。
お姉様はシャワーを分解しろとおっしゃってたのだから。ホースの先をアヌスに押し付けて湯をたっぷり、腹を手で触って膨れたのが分かるまで注入した。これは我慢なんかできない。大急ぎで便器に座った。
洗濯バサミにしてもスポイトにしても邪魔になるので、三点クリップは置き去りにして、まったく生まれたまま(に、性器の入墨を飾って)の姿で、バスルームを出た。
楚葉も準備を調えて待っていた。黒いビニールレザーのホットパンツとフルカップブラ。どちらもいちばん盛り上がっている部分に縦のジッパーが付いている。今は閉じているけど、開ければマゾ牝用のコスチュームにもなるんだろう。
「直立不動ッ」
楚葉の軍隊調の掛け声で、希美は足を真横に開いて背筋を伸ばし肘を張って両手を後ろで腰の高さに組んだ。何をされても姿勢を崩してはいけない。スケバン流の直立不動だと教わっているが、七人集の誰も、こんな姿勢で立っているのを見たことがない。自分を辱しめるために考え出されたんじゃないかと、希美は疑っている。
それにしても――と希美は、お姉様への不遜な疑念を別の感心で上塗りする。オトナの玩具は暴利だ。それをこんなに揃えるんだから、あたしとは桁違いのお小遣いなんだわ。
楚葉が最初に手にしたのは、革ベルトのこんがらかったやつだった。ほぐすと大きな網目になっている。網目のひとつを希美の首に通して全体を引き下げ、そこから先は太めのベルトが二本重なっている部分を股間にくぐらせて背中へ引き上げ、首の後ろの金具に留めた。背中側のベルトは三つの中空パイプに通されている。網目の両端から垂れているベルトは背中へ回して、縦のベルトに絡めて折り返し、網目の両端に三つずつある金具に留める。
それを上から下へ繰り返される度に、胴は締め付けられ乳房は絞り出され、股間に食い込んでくる。網目からは肉がはみ出て、まるでボンレスハムのようになった。希美は肥っていないから、あまり食べ出はなさそうだが。
ハーネス(と、楚葉が言った)が終わると、四つの環と鎖で手足の拘束。希美を膝立ちにさせて手首と足首に革の環を巻いて金具で閉じる。そのまま後ろへ倒されると、起き上がれなくなった。縛られてはいないのだから、ある程度は四肢を動かせるが、それはまさしく無駄な足掻きにしかならず、サディストの目を愉しませるだけだ。
楚葉は希美をあお向けにしてから、三番目の小道具に取りかかった。大小と極細のバイブ。足首を鎖で引き付けられているから、希美は嫌でも膝を立てていなければならない。足を開かせるのは簡単だ。
すでに希美のヴァギナは濡れそぼっている。楚葉は股間を鎖(とざ)しているベルトを緩めもせずに、二本を左右に掻き分けて大きいほうのバイブを突っ込んだ。
「ああああッ……」
悲鳴ではなく、愉悦の叫び。
同じようにして、小さいほうはアナルへ。
「い、痛いッ……」
あお向けのまま手探りで突っ込まれたので、角度が合わなかったのだろう。それでもやすやすと咥え込んだ。
「こっちは初めてだったよな」
太いバイブで左右に割られている縦ベルトの隙間に、最後の極細バイブを、楚葉が差し込んだ。上下左右にこねくって※道口を探る。
おし●こが出る穴が正確にはどこにあるか、希美は自覚したことがない。それでも……つぷっと凸と凹とが嵌まり合うのは分かった――と同時に。
「ひゃああっ……」
チリチリッと焼けるような痛みを感じて、希美は反射的に腰を引いた――が、床に押し返されてずり上がってしまい、※道に入りかけていたバイブを自らこねくる結果になった。灼熱の激痛。鞭や針とは違って、軟らかな体内を引っ掻かれるような不快な痛みだった。
「痛い、赦してくださいい……」
「動くからだ。じっとしてりゃ、たいしたことはない。むしろ、ケツマンコより早く味を覚えるぜ」
誰かをそういうふうに調教した経験があるような口ぶりだった。
「まだ洗濯バサミも蝋燭も業務用マッサージャーも残ってるんだぜ。これしきで騒ぐんじゃねえ」
「だって……おし●この穴を虐められるの、初めてだから」
これまでだったら謝るか黙ってなすがままにされていたところを、甘えるような響きで口ごたえしたのは――漫画の趣味が完全といっていいほどに一致していた親近感の故(ゆえ)だったろうか。
「今日は、あれもこれも初めてにしてやるぜ。そういうふうに、おまえが道具を選んだんだからな」
一方的に宣言して。楚葉は一気に極細バイブを※道の奥まで押し込んだ。
「痛ッ……」
いきなりのことで緊張する暇(いとま)がなかったせいか、痛くすぐったいだけで、さっきのはなんだったんだろうかと首を傾げるくらいに、痛みは少なかった。
三本のバイブを挿入し終わると、楚葉は改めてハーネスを引き絞って、ベルトを陰裂の奥深くまで食い込ませた。
「くううっ……んんん」
バイブがこねくられて下半身の三つの穴が側面から刺激され、違和感と官能を掻き立てた。
「こいつは、まあ、こんなところかな」
洗濯バサミは、ハーネスにくびられた乳房の麓に放射状に飾られていった。ちっとも痛くなかったのだが。
「おれにゃ、美術のセンスはねえや」あ
鏡で見せられて、希美も同意せざるを得ない。乳房は外へ向かって引っ張られて、ぺしゃんこ。ボンレスハムから巨大なヒラタケが生えているみたいな惨状あだった。
「まあ、画竜点睛があるからよ」
大きなスポイトを乳首とクリトリスに吸着させた。
真空に吸い出されて、乳首もクリトリスも痛い。どんどん充血してくるのが、疼きで分かる。
「さて……いよいよだぜ」
何がいよいよなのかと疑問に思ったときには。
ヴヴヴヴヴッ……
ウィイイイイ……
ニュオンニュオン
三つのバイブが一斉に振動し始めた。
「えっ……やあああああああッ……!」
これまで、中をこねくられたり出し挿れされたことはあっても、激しい振動を受けた経験はない。一瞬で思考が消し飛ぶほどの……快感だった。
さらに――スポイトまでが小刻みに振動し始めた。
ブルルルル……
「きゃああああっ……?!」
軽く触れられただけで全身にさざ波が立ち、つねられれば絶叫する敏感な部位。そこに加えられる、終わることのない微妙な高速の刺激。
「いやあああっ……なに、これ?!」
ほとんど垂直に屹立した急坂を、ロケットのように翔け昇っていく。
「いよいよ、真打の登場だぜ」
のけぞり返り、鎖を引き千切らんばかりに手足を突っ張って悶える希美の下腹部に、業務用マッサージャーの大きく四角いパッドが押し当てられた。
「逝っちまいなッ!」
ハンドルにのしかかるようにしてマッサージャーを保持しながら――パチッ、楚葉がスイッチを入れた。
ドゴゴゴゴゴゴ……何かの工事が始まったかのような大きな音とともに、本体がぶれて見えるほどの圧倒的な振動。
「ぎびひいいっ……や、やめ……死んじゃう、死んじゃうよおおお!!」
すでに弓なりになっている希美の裸身が、いっそう深く反り返って、びくんびくんと腰が跳ねて。野太い咆哮が、か細い喉から吐き出された。
「ふいいい……」
どさっと横ざまに崩折れて、ぴくぴくと全身を痙攣させている希美を見下ろして、楚葉が長々と溜め息をついた。
「これが、本物のアクメってやつか」
羨ましいと、呟いて。希美を元のブリッジの姿勢に起こした。バイブもスポイトも、まだスイッチを入れっぱなしにしている。
「ここをさらに責めたら、どうなるんだろ」
楚葉は、希美が選んだ最後の小道具――百目蝋燭に火を点けた。
失神している希美の臍を狙って、炎が肌に触れそうなくらいまで、蝋燭を傾けた。つぷっと熱蝋が臍の穴を埋める。
「熱いッ……」
一発で希美は目を覚ました。
ぽつん、ぽつん、ぽつんと、蝋滴がゆっくりと股間に近づいていく。希美がもがく。しかし、その動きは――まだ蝋に覆われていない新しい肌を炎の下に曝す結果となる。
クリトリスはスポイトに、淫裂はバイブに保護されている。楚葉は外淫唇が埋没するまで蝋を垂らし続けた。
希美にしてみれば。耐えられないほど熱かったのは最初だけで、冷えた蝋の上に熱蝋が重なっても、じんわりと適度に熱くなるだけで、中途半端に気持ち好いだけだった。
蝋燭が左右に揺れながら乳房に向かう。新しい肌に垂れる熱蝋は、突き刺さるような熱痛を希美に与えてくれるが――それでも、皮膚のすぐ下で止まってしまう。
さっきの絶頂と同じだと、希美は思った。
ものすごい、これまで経験したことのなかった、苦痛を伴うほどの快感だったけれど。皮膚をすっぽり包んで締め付けられるような感じで、身体の奥までは届かなかった。
鞭打ちや針の苦痛は違う。背骨にまで突き抜けるような苦痛と、その奥から滲み出てくる凶暴な快感があった。
さっきのバイブとスポイトで得られた絶頂と、綱渡りで達した絶頂と、どちらかひとつを選べと言われたら――希美はためらいなく後者を選ぶだろう。
「ひいいっ……熱い」
洗濯バサミで引き広げられた乳房の上に熱蝋を垂らされて希美は叫んだが、ずいぶんと可愛らしい、余裕のある悲鳴でしかなかった。
それは楚葉にも分かった。
「もうちっと正気づいてから責めるんだったな。おれも、ここまでの経験はないから……勝手が分かんねえや」
蝋燭の炎を消して、バイブとスポイトのスイッチも切った。
まだ絶頂の余韻にたゆたっている希美のブリッジを眺めながら、楚葉は煙草を吸った。いつもになく煙を肺まで吸い込んで、だらしなくも噎せてしまった。
三十分ばかり放置してから、楚葉は希美を拘束から解放した。バスルームに連れ込んで、手ずから洗ってやる。洗いながら、指で希美を優しく可愛がる。乳首を転がしクリトリスを刺激し、ヴァギナをくすぐる。反応が鈍いので、いつもの流儀に変えた。乳首に爪を立てて引っ張りクリトリスをつねりヴァギナとアヌスをこねくった。
希美は苦痛を訴えながら――下の口は正直だった。
さらに、楚葉はオモチャをベッドまで持ち込んだ。
「たっぷり愉しませてやったんだから、お返しをしてもらうぜ」
膝を立てて股を開いた。
「フェラチオは上達したようだが、クンニはしたことがないだろ」
練習台になってやるからおれを逝かせてみろと、初心者には無理難題に近いことを言う。
それでも希美は、喜び勇んで楚葉の股間に顔を埋めた。
お姉様の大切なところを舐めさせていただけるなんて――希美は感激していた。舐めるだけじゃなくて、舌を挿入するとかもしなくちゃいけないんだろうな。
レズビアンのテクニックなんて、レディース雑誌にも書いてない。少女漫画にはそれらしい描写もあるけれど、キスと薔薇と白い光線だけ。
オナニーをするときの指の動きを舌に置き換えればいいんだろう。処女だった頃と今では、ずいぶんと違ってきたけど――お姉様は、当然絶対に経験済みよね。
希美は、自分よりも小さく色も薄く縁が滑らか(希美のは、綱渡りでぎざぎざになってしまった)な小淫唇を舐めながら、舌をだんだんと上へずらして、包皮にくるまれたクリトリスに口づけしてから、実核を吸い出した。
ぴくんと楚葉の身体が跳ねたのに気を良くして――ずぢゅうううっと啜ってみた。
「あっ……うまいじゃねえか」
立て続けに楚葉の裸身が跳ねる。ずいぶんと初心(うぶ)っぽい反応だった。
「舐めるばかりで手を遊ばせてるんじゃねえよ」
乳房も愛撫しろという意味だろう。希美は回教徒が礼拝するような這いつくばった姿勢で両手を上へ伸ばして、小さな両手には余る乳房を下から押し上げるようにして愛撫した。
自分の乳房とは違って、柔らかい餅をこねるような感触だった。
反応が薄いので、乳首まで指を伸ばして摘まんだ。ぴくんと胸が動いたが、クリトリスよりは効いていない。
どうしようかと戸惑う。本物のペニスでも擂粉木でも、それ以上に毎日のペニスバンドで鍛えられている自分でさえ、まだクリトリスの快感のほうが好きだ。お手軽って意味もある。ほんとうに追い込まれたときのヴァギナ感覚は、ずっと重厚だけど。
それでも。お留守にしては失礼よねと考えて。希美は舌先で膣口を探り当てると、中へ挿れようとした。浅い位置で柔らかな壁に突き当たった――と感じたときには、腰を引かれていた。
「おまえと違って、おれは中が苦手なんだ。もうちょい上の小さな穴のほうが好きなくらいだ」
うわあ。※道口が好きだなんて、お姉様もずいぶんと変態だわ。スケバンらしくないな――としか、希美は考えなかった。まさか処女かもしれないとは、疑わない。
それから延々三十分も、舌が動かなくなるまで奉仕を続けたけれど。希美はお姉様を逝かせることはできなかった。
これも、楚葉には珍しく。遊びが終わっても希美を追い出そうとはしなかった。
自分は下着を着けて、希美には全裸に三点クリップを付けさせて。
「おまえな、新体操部に戻ってちゃんと練習しろな。顧問と部長にはナシをつけてやるから」
「お姉様……」
希美は、泣き声になった。捨てられると思ったのだ。
「今度の文化祭でよ、ちょいとばかし学校に貢献しようと思ってよ」
最悪の予想とは、まるで方向が違う話になってきた。
「こないだの体育祭で分かっただろ」
と言われても。希美は素肌に体操シャツとブルマを着て、教室から見学していた。ペニスバンドを着けたまま激しい運動をするのは、それほどの苦にも感じなくなっていたけれど。そんな希美と肌触れ合わんばかりに座るのは厭だと、学年全体の無言の圧力。体調不良を申し出て、教師もほっとしたというのが実情だった。両親は希美を見放しているから、見学には来てくれていないので、安心してサボれた。
「父兄証を入手したり偽造したり、助平親父もナンパ野郎も、わんさか押し寄せたんだぜ。文化祭は生徒との触れ合いが体育祭より簡単だからな。毎年、先公どもは頭痛を抱える羽目になる。まあ、一部の生徒は喜んでるんだけどな」
今年は、そういう不逞の輩を一般生徒から遠ざけるのだと、楚葉が言った時点で――不逞の輩は特殊生徒に近づけるつもりなんだと、それくらいにはお姉様の意地悪さ(と優しさ?)を理解している希美だった。
希美が未経験の新体操を目指したのは、あられもない衣装で観客の前で、大股開きだのそそるような仕草だのを披露する種目だからだ。不逞の輩を惹き付けるにはうってつけだった。
そうして翌日から、希美は部活を再開したのだった。
基本の身体作りとかは素っ飛ばして。特定の演技だけを、なんとかサマになるまで指導してもらう。このときだけは、ペニスバンドを抜いても良かった。いよいよ文化祭が近づくころには、自発的にわざと挿れたままにして快感を愉しんだりもしたけれど。
部活が終わっても下校せずに――体育館で、ペニスバンドもクリップも無しで待機。スケバン流直立不動だったり、開脚正座だったり、足の親指とクリトリスを長いゴムでつないで頭に水バケツを乗せたり――日替わりメニューは、楚葉の指示だった。
午後十時ごろに、市内のパトロールを早めに切り上げて戻って来た楚葉から、本番演技の特訓を一時間ほど受けて。それでようやく、希美の一日は……終わらない。三点クリップで装飾して、下脱ぎジャージでヒップと股間を気にしながらバスと電車を乗り継いて帰宅するのも、楽しく羞ずかしい日課だった。
いきおい、遅刻どころか午後登校なんて日もあった。
========================================

ここで出てくる学習誌は、筆者の実体験に基づいています。こういう記事が、かつては学習誌に載っていたりしたのです。
それは、ともかく。PLOTよりも責めが過激になってきています。
三穴同時なんて『協奏』パートで予定していたのに、すでに全裸ハイキングでやらかしちゃいました。予定部分をどう変えるかは、まあ腹案はあるものの、書きながら考え直すかもしれません。
恒例 DLsite Affiliate キーワードは、「レズ、拘束、快楽」 漠然としています。
リクエスト作品『幼なマゾの契り~闇に葬られた戦災孤児の淫虐体験』を、270枚で仕上げて。
こちらの再開です。
突っ走ってます。オーバーランしてます。『前奏』、『独奏』、『協奏』のうち『独奏』パートが終わった時点で407枚。『独奏』はモジュール方式で、いろんな責めシーンを詰め合わせているので長くなりました。『協奏』パートは単体で200枚を割り込むでしょう。としても、600枚クラスですから、長い部類に入ります。
ちなみに、過去最長は『いじめられっ娘二重唱(前後編)』の929枚です。
次点が『大正弄瞞』613枚、僅差で『縄と鞭の体育補習』と『昭和集団羞辱史:売春編』が609」枚。
では、今回はストーリイの節目である章です。ここで、ヒロインは悪役令嬢(激違)が真性のサディスチンとは違うのではないかと疑問を持ち――『協奏』パートへとつながります。まあ、この後も『独奏』パート最終章「冬山では雪遊び」で、疑念を深めますが。
========================================
お姉様の大秘密
ハイキングの後は、ハイヤーでまっすぐ家まで送ってもらった。いちばん苛酷だった待ち針の傷なんか三日もすれば治って――希美は淋しい想いをしたものだった。
学校では、水曜日に一度呼び出されただけ。一学期の間は昼休みごとに旧校舎へ駆け付けて、楚葉にオモチャとして遊んでもらうか、そうでない日は番犬としてフェンスにつながれていたのだから、今さら教室でひとりぽつねんと過ごすのはつら過ぎた。図書室へ行けば、他クラスや上級生の好奇の目。校庭の片隅で人目につかないようにして、時間をつぶすしかなかった。良かったことといえば、お昼ご飯を食べられるようになったことくらい。
冬用の制服は、とうとう上着も下乳ぎりぎり(腕を上げれば確実に見えてしまう)まで切り詰められた。スカートも、さらに二センチ。そんな露出過剰な制服で購買の列に並んで晒し者になるのは、羞ずかしいよりも恥ずかしいが圧倒的でためらってしまう。今さら、またお弁当を作ってと母親に頼むのも気が引けて――登校中に駅の売店やコンビニで買っていた。お小遣いから捻出するのは、問題なかった。アクセサリーとか化粧品は、今の希美には縁がない。休日は、いつ楚葉から呼び出しがあってもいいように、ずっと家にいるのだから。コミックや雑誌は、自分の体験のほうが圧倒的に強烈だから、浮ついた絵空事を読む気にもなれない。レディース雑誌のエッチな記事も同じだ。
いわば悶々と暇を持て余していた。だから、翌週の火曜日に登校するなり、
「今日はおれの家で遊んでやるよ」
そう言われたときには舞い上がってしまった。可愛がってもらえるという喜びは当然だが、楚葉はスケバングループの誰ひとりとして、自宅へ招いたことがないというのを知っていたからだ。「おれたちとは真反対」という言い方で、希美は特別扱いされている。それは希美がスケバンの仲間ではなく、楚葉のオモチャだという意味だが――真反対だからこそ、家へ上げてもらえるという嬉しさだった。
希美は授業なんかほっぽり出して、楚葉について行った。校門を出るとき、風紀指導の箕内先生はもちろん見ない振り。
「おまえ、そのジャージ結構だぶついてんな。下は脱いじまえよ」
もう、楚葉の遊びは始まっていた。
希美はためらうことなく(でも、羞ずかしそうにしながら)登校中の生徒が見ている中でズボンを脱いで学生鞄に詰め込んだ。下はもちろん素っ裸だけれど、ジャケットの裾でヒップは隠れている。知らない人が見たら、当然ブルマを穿いていると思うだろう。
ズボンを脱ぐと、クリトリスのクリップに付いているガラス玉の飾りが大きく揺れて、かすかだけれど絶え間ない刺激を受け続ける。どんなふうに遊ばれるんだろうという期待とあいまって、裾よりも下まで蜜が内腿を伝う。
バスで視姦されながら十五分。立っていたから、座っている乗客からは股間のガラス玉が見えていたかもしれない。見知らぬ人ばかりだから、恥ずかしさは小さくて羞ずかしさだけだった。
楚葉の住居は、最近ぽつぽつと見掛けるようになったワンルームマンションだった。狭いけれど、キッチン、バストイレが完備している。学生には高値(ママ)の花で、入居者は独身のサラリーマンがほとんど。なので、平日の昼間は無人に近い。
部屋に入って。予想していたのとはまったく違うインテリアに、希美は驚くよりもおかしみを感じた。だって――まっ白なレースのカーテン、パステルカラーの整理棚の上にはぬいぐるみとか飾られていたりする。けっこう乙女チックだ。それはまあ……神棚とか刀剣の飾りとかが置かれているとも思ってはいなかったけれど。
「ぼさっと突っ立ってないで、くつろげよ」
ええと……希美は部屋を見回した。くつろぐといっても、応接セットがあるわけじゃなし、勉強机とベッドだけ。友達同士だって、いきなりベッドに腰掛けるのはお行儀が悪い。
あたしが特別扱いされているのは、お姉様のオモチャでマゾ牝奴隷だからだ。希美はジャケットを脱いで靴下と三点クリップだけの全裸になり、床に正座した。オモチャの正座は、脚を直角に開く。
そんな希美を見下ろしながら、楚葉も制服を脱いだ――下は、ブラジャーとパンティだけ。きちんとシュミーズを着ける子なんて少数派だし、真冬でもブラウスを着ない子は、さすがにお嬢様学校の百合香学園には少ないけれど。部屋着を着ないのは楚葉くらいだろう。希美だって、家ではまともな格好を取り繕っている。
「ちょっと待ってな」
楚葉が腹這いになって、ベッドの下に腕を突っ込んだ。だいぶん追い付いてきたとはいえ、まだ桃と無花果くらいはボリュームの違う楚葉のヒップが、希美の目の前でもこもこと動く。肌にぴっちり貼り付いたパンティは、硬派のスケバンにふさわしく白無地の木綿。
あまり見つめていてはお姉様に失礼と、部屋の中を見回すと――カラーボックスのひとつに、コミックの単行本がぎっしり詰まっていた。『ズボンの騎士』、『メコメコ・アザアス』、『ジョルゴ17』……希美はどきんとした。シリーズ物のコレクションが一致していたからだ。
『ズボンの騎士』は、お姫様が男装して騎士になっているお話。悪大臣に囚われて、縛られて地下牢に監禁されたり、下着姿にされて女とばれそうになったり。鞭打ちの拷問シーンもある。
『メコメコ・アザアス』は男の子向けのコミックで、主人公は現代の世界で活躍する黒魔法使い少女。薄気味悪いとか虐められて教室でストリップショーをさせられたり、連続少女誘拐犯に捕まってあわやのシーンとか。どちらも最後は黒魔法で逆転するけど、その部分には興味がない。
『ジョルゴ17』は青年向け。世界を股に掛けて活躍する暗殺者。女スパイの拷問、被差別民族の少女へのレイフ、冷徹な女性将校がジョルゴに抱かれようとして娼婦に成りきったり。
どのコミックも、希美の妄想を掻き立てるストーリーが満載。
お姉様はサディスチンなんだから、女性を虐待する男の側に感情移入して読んでいると考えれば、不思議はないのだけれど……コミックとは別の棚に一冊だけぽつんと置かれている古い学習雑誌に気づいて、希美は心臓が止まりそうになった。
戦争の悲劇の特集号だ。その中に、パルチザンを匿ってゲシュタポに捕まった姉弟のエピソードがある。下着だけにされて(というのは、子供向けの配慮に決まっている)監禁されて、毎日のように拷問されて……古本屋でこの本を発見したときは、その場にへたり込んでしまった。
この本が発行されたとき、お姉様は(ええと……)まだ少学校低学年だったはず。先輩のお下がりだろうか。だとしても、それを大切に残してあるということは……?
お姉様はほんとうにサドだろうかと疑ったことが、これまでにも二三度あった。まさか、まさか、もしかして、お姉様は、ほんとうは……
「よし、これで全部だ」
どさっと二つの(わりと小さな)段ボールの箱を目の前に置かれて、希美は我に還った。
「どれで遊んでほしい? 好きなのを幾つでも選べよ」
箱の中身は、いろんな種類の縄、大小の擂粉木、希美の初娼売のお金で買った手錠、首輪と鎖、釘を植えた洗濯バサミ。レディース雑誌でもたまに特集号があったり、楚葉に引きずり込まれたオトナの玩具屋でも売っていた、バイブとかピンクローターとか。短い鎖でつながれた小さな四つの首輪は手と足に嵌めるのだろうか。イチジク浣腸とか、ものすごく太い蝋燭とかも。
呆然と眺めているうちに、希美はあることに気づいた。手錠と木ネジを貫通させた擂粉木と釘洗濯バサミは新しいけれど、ずいぶんと使い込んだ物も交ざっている。あの綿ロープなんて、くたびれているし薄汚れている。
サディスチンのお姉様が、あたしみたいなマゾ娘でなくても、無理強いに女の子を可愛がったとか、リンチに使ったとか考えれば、おかしなところは何もないのだけれど。あんなにたくさん遊んでくれたのに、なぜあたしには一部しか使ってくれなかったんだろう。他の子に使ったお古は避けてくれたのかな。でも、釈然としない……
「まさか、全部遊びたいなんて欲張ったことを言うんじゃないだろうな」
楚葉にからかわれ、希美は真剣になって、遊んでもらうための小道具を選びにかかった。
十分ほども迷った挙げ句に選んだのは。多分拘束に使うんだろう革ベルトがこんがらかった衣装(?)と、四つの環と鎖の組み合わせと、釘を植えていない普通の洗濯バサミを小箱ひとつ分と、大小のバイブと、もしかして道に使うのかなと期待して極細のと、洗濯バサミと二者択一になるのかなと迷いながら大きなスポイトとローターを組み合わせたやつと、四角い箱にノートサイズのパッドと四本のハンドルが付いた強力マッサージ機と、蝋燭と……
「そこらへんでやめとけ」
楚葉に止められなかったら、段ボール箱を二つとも空にしていたかもしれなかった。
「まったく欲張りやがって」
楚葉がうんざりしたように言うのは演技だと、希美には分かる。
「それじゃ、おれも欲張って、これ全部一度に使ってやる」
「はい、ありがとうございますッ」
今の希美の「ありがとうございます」は強いられてではなく、心の底からのものになっている。恐怖と不安は残っているけれど、悦虐への期待がはるかに強い。
「まずはケツ穴を綺麗にして来い」
そう言って楚葉はイチヂク浣腸を二つ、希美に放って寄越した。
「シャワーヘッドは、ねじれば取り外せるからな」
希美はイチヂク浣腸を胸に抱いてバスルームへ行った。都合の好いことに、トイレもあるユニットバスだった。
三点のクリップは外して洗面台に置いて。バスタブの中にしゃがんでイチヂク浣腸を二つとも注入したのは、万一に粗相してもすぐに流せるからだった。
便意が募ってきても、説明書にある通り十分は我慢する。時計がないので、ゆっくり六百まで数えた。
汚しては申し訳ないので便座を上げて、尻を便器に嵌め込んで。思いっ切り排出して、綺麗に洗って。
お姉様はシャワーを分解しろとおっしゃってたのだから。ホースの先をアヌスに押し付けて湯をたっぷり、腹を手で触って膨れたのが分かるまで注入した。これは我慢なんかできない。大急ぎで便器に座った。
洗濯バサミにしてもスポイトにしても邪魔になるので、三点クリップは置き去りにして、まったく生まれたまま(に、性器の入墨を飾って)の姿で、バスルームを出た。
楚葉も準備を調えて待っていた。黒いビニールレザーのホットパンツとフルカップブラ。どちらもいちばん盛り上がっている部分に縦のジッパーが付いている。今は閉じているけど、開ければマゾ牝用のコスチュームにもなるんだろう。
「直立不動ッ」
楚葉の軍隊調の掛け声で、希美は足を真横に開いて背筋を伸ばし肘を張って両手を後ろで腰の高さに組んだ。何をされても姿勢を崩してはいけない。スケバン流の直立不動だと教わっているが、七人集の誰も、こんな姿勢で立っているのを見たことがない。自分を辱しめるために考え出されたんじゃないかと、希美は疑っている。
それにしても――と希美は、お姉様への不遜な疑念を別の感心で上塗りする。オトナの玩具は暴利だ。それをこんなに揃えるんだから、あたしとは桁違いのお小遣いなんだわ。
楚葉が最初に手にしたのは、革ベルトのこんがらかったやつだった。ほぐすと大きな網目になっている。網目のひとつを希美の首に通して全体を引き下げ、そこから先は太めのベルトが二本重なっている部分を股間にくぐらせて背中へ引き上げ、首の後ろの金具に留めた。背中側のベルトは三つの中空パイプに通されている。網目の両端から垂れているベルトは背中へ回して、縦のベルトに絡めて折り返し、網目の両端に三つずつある金具に留める。
それを上から下へ繰り返される度に、胴は締め付けられ乳房は絞り出され、股間に食い込んでくる。網目からは肉がはみ出て、まるでボンレスハムのようになった。希美は肥っていないから、あまり食べ出はなさそうだが。
ハーネス(と、楚葉が言った)が終わると、四つの環と鎖で手足の拘束。希美を膝立ちにさせて手首と足首に革の環を巻いて金具で閉じる。そのまま後ろへ倒されると、起き上がれなくなった。縛られてはいないのだから、ある程度は四肢を動かせるが、それはまさしく無駄な足掻きにしかならず、サディストの目を愉しませるだけだ。
楚葉は希美をあお向けにしてから、三番目の小道具に取りかかった。大小と極細のバイブ。足首を鎖で引き付けられているから、希美は嫌でも膝を立てていなければならない。足を開かせるのは簡単だ。
すでに希美のヴァギナは濡れそぼっている。楚葉は股間を鎖(とざ)しているベルトを緩めもせずに、二本を左右に掻き分けて大きいほうのバイブを突っ込んだ。
「ああああッ……」
悲鳴ではなく、愉悦の叫び。
同じようにして、小さいほうはアナルへ。
「い、痛いッ……」
あお向けのまま手探りで突っ込まれたので、角度が合わなかったのだろう。それでもやすやすと咥え込んだ。
「こっちは初めてだったよな」
太いバイブで左右に割られている縦ベルトの隙間に、最後の極細バイブを、楚葉が差し込んだ。上下左右にこねくって※道口を探る。
おし●こが出る穴が正確にはどこにあるか、希美は自覚したことがない。それでも……つぷっと凸と凹とが嵌まり合うのは分かった――と同時に。
「ひゃああっ……」
チリチリッと焼けるような痛みを感じて、希美は反射的に腰を引いた――が、床に押し返されてずり上がってしまい、※道に入りかけていたバイブを自らこねくる結果になった。灼熱の激痛。鞭や針とは違って、軟らかな体内を引っ掻かれるような不快な痛みだった。
「痛い、赦してくださいい……」
「動くからだ。じっとしてりゃ、たいしたことはない。むしろ、ケツマンコより早く味を覚えるぜ」
誰かをそういうふうに調教した経験があるような口ぶりだった。
「まだ洗濯バサミも蝋燭も業務用マッサージャーも残ってるんだぜ。これしきで騒ぐんじゃねえ」
「だって……おし●この穴を虐められるの、初めてだから」
これまでだったら謝るか黙ってなすがままにされていたところを、甘えるような響きで口ごたえしたのは――漫画の趣味が完全といっていいほどに一致していた親近感の故(ゆえ)だったろうか。
「今日は、あれもこれも初めてにしてやるぜ。そういうふうに、おまえが道具を選んだんだからな」
一方的に宣言して。楚葉は一気に極細バイブを※道の奥まで押し込んだ。
「痛ッ……」
いきなりのことで緊張する暇(いとま)がなかったせいか、痛くすぐったいだけで、さっきのはなんだったんだろうかと首を傾げるくらいに、痛みは少なかった。
三本のバイブを挿入し終わると、楚葉は改めてハーネスを引き絞って、ベルトを陰裂の奥深くまで食い込ませた。
「くううっ……んんん」
バイブがこねくられて下半身の三つの穴が側面から刺激され、違和感と官能を掻き立てた。
「こいつは、まあ、こんなところかな」
洗濯バサミは、ハーネスにくびられた乳房の麓に放射状に飾られていった。ちっとも痛くなかったのだが。
「おれにゃ、美術のセンスはねえや」あ
鏡で見せられて、希美も同意せざるを得ない。乳房は外へ向かって引っ張られて、ぺしゃんこ。ボンレスハムから巨大なヒラタケが生えているみたいな惨状あだった。
「まあ、画竜点睛があるからよ」
大きなスポイトを乳首とクリトリスに吸着させた。
真空に吸い出されて、乳首もクリトリスも痛い。どんどん充血してくるのが、疼きで分かる。
「さて……いよいよだぜ」
何がいよいよなのかと疑問に思ったときには。
ヴヴヴヴヴッ……
ウィイイイイ……
ニュオンニュオン
三つのバイブが一斉に振動し始めた。
「えっ……やあああああああッ……!」
これまで、中をこねくられたり出し挿れされたことはあっても、激しい振動を受けた経験はない。一瞬で思考が消し飛ぶほどの……快感だった。
さらに――スポイトまでが小刻みに振動し始めた。
ブルルルル……
「きゃああああっ……?!」
軽く触れられただけで全身にさざ波が立ち、つねられれば絶叫する敏感な部位。そこに加えられる、終わることのない微妙な高速の刺激。
「いやあああっ……なに、これ?!」
ほとんど垂直に屹立した急坂を、ロケットのように翔け昇っていく。
「いよいよ、真打の登場だぜ」
のけぞり返り、鎖を引き千切らんばかりに手足を突っ張って悶える希美の下腹部に、業務用マッサージャーの大きく四角いパッドが押し当てられた。
「逝っちまいなッ!」
ハンドルにのしかかるようにしてマッサージャーを保持しながら――パチッ、楚葉がスイッチを入れた。
ドゴゴゴゴゴゴ……何かの工事が始まったかのような大きな音とともに、本体がぶれて見えるほどの圧倒的な振動。
「ぎびひいいっ……や、やめ……死んじゃう、死んじゃうよおおお!!」
すでに弓なりになっている希美の裸身が、いっそう深く反り返って、びくんびくんと腰が跳ねて。野太い咆哮が、か細い喉から吐き出された。
「ふいいい……」
どさっと横ざまに崩折れて、ぴくぴくと全身を痙攣させている希美を見下ろして、楚葉が長々と溜め息をついた。
「これが、本物のアクメってやつか」
羨ましいと、呟いて。希美を元のブリッジの姿勢に起こした。バイブもスポイトも、まだスイッチを入れっぱなしにしている。
「ここをさらに責めたら、どうなるんだろ」
楚葉は、希美が選んだ最後の小道具――百目蝋燭に火を点けた。
失神している希美の臍を狙って、炎が肌に触れそうなくらいまで、蝋燭を傾けた。つぷっと熱蝋が臍の穴を埋める。
「熱いッ……」
一発で希美は目を覚ました。
ぽつん、ぽつん、ぽつんと、蝋滴がゆっくりと股間に近づいていく。希美がもがく。しかし、その動きは――まだ蝋に覆われていない新しい肌を炎の下に曝す結果となる。
クリトリスはスポイトに、淫裂はバイブに保護されている。楚葉は外淫唇が埋没するまで蝋を垂らし続けた。
希美にしてみれば。耐えられないほど熱かったのは最初だけで、冷えた蝋の上に熱蝋が重なっても、じんわりと適度に熱くなるだけで、中途半端に気持ち好いだけだった。
蝋燭が左右に揺れながら乳房に向かう。新しい肌に垂れる熱蝋は、突き刺さるような熱痛を希美に与えてくれるが――それでも、皮膚のすぐ下で止まってしまう。
さっきの絶頂と同じだと、希美は思った。
ものすごい、これまで経験したことのなかった、苦痛を伴うほどの快感だったけれど。皮膚をすっぽり包んで締め付けられるような感じで、身体の奥までは届かなかった。
鞭打ちや針の苦痛は違う。背骨にまで突き抜けるような苦痛と、その奥から滲み出てくる凶暴な快感があった。
さっきのバイブとスポイトで得られた絶頂と、綱渡りで達した絶頂と、どちらかひとつを選べと言われたら――希美はためらいなく後者を選ぶだろう。
「ひいいっ……熱い」
洗濯バサミで引き広げられた乳房の上に熱蝋を垂らされて希美は叫んだが、ずいぶんと可愛らしい、余裕のある悲鳴でしかなかった。
それは楚葉にも分かった。
「もうちっと正気づいてから責めるんだったな。おれも、ここまでの経験はないから……勝手が分かんねえや」
蝋燭の炎を消して、バイブとスポイトのスイッチも切った。
まだ絶頂の余韻にたゆたっている希美のブリッジを眺めながら、楚葉は煙草を吸った。いつもになく煙を肺まで吸い込んで、だらしなくも噎せてしまった。
三十分ばかり放置してから、楚葉は希美を拘束から解放した。バスルームに連れ込んで、手ずから洗ってやる。洗いながら、指で希美を優しく可愛がる。乳首を転がしクリトリスを刺激し、ヴァギナをくすぐる。反応が鈍いので、いつもの流儀に変えた。乳首に爪を立てて引っ張りクリトリスをつねりヴァギナとアヌスをこねくった。
希美は苦痛を訴えながら――下の口は正直だった。
さらに、楚葉はオモチャをベッドまで持ち込んだ。
「たっぷり愉しませてやったんだから、お返しをしてもらうぜ」
膝を立てて股を開いた。
「フェラチオは上達したようだが、クンニはしたことがないだろ」
練習台になってやるからおれを逝かせてみろと、初心者には無理難題に近いことを言う。
それでも希美は、喜び勇んで楚葉の股間に顔を埋めた。
お姉様の大切なところを舐めさせていただけるなんて――希美は感激していた。舐めるだけじゃなくて、舌を挿入するとかもしなくちゃいけないんだろうな。
レズビアンのテクニックなんて、レディース雑誌にも書いてない。少女漫画にはそれらしい描写もあるけれど、キスと薔薇と白い光線だけ。
オナニーをするときの指の動きを舌に置き換えればいいんだろう。処女だった頃と今では、ずいぶんと違ってきたけど――お姉様は、当然絶対に経験済みよね。
希美は、自分よりも小さく色も薄く縁が滑らか(希美のは、綱渡りでぎざぎざになってしまった)な小淫唇を舐めながら、舌をだんだんと上へずらして、包皮にくるまれたクリトリスに口づけしてから、実核を吸い出した。
ぴくんと楚葉の身体が跳ねたのに気を良くして――ずぢゅうううっと啜ってみた。
「あっ……うまいじゃねえか」
立て続けに楚葉の裸身が跳ねる。ずいぶんと初心(うぶ)っぽい反応だった。
「舐めるばかりで手を遊ばせてるんじゃねえよ」
乳房も愛撫しろという意味だろう。希美は回教徒が礼拝するような這いつくばった姿勢で両手を上へ伸ばして、小さな両手には余る乳房を下から押し上げるようにして愛撫した。
自分の乳房とは違って、柔らかい餅をこねるような感触だった。
反応が薄いので、乳首まで指を伸ばして摘まんだ。ぴくんと胸が動いたが、クリトリスよりは効いていない。
どうしようかと戸惑う。本物のペニスでも擂粉木でも、それ以上に毎日のペニスバンドで鍛えられている自分でさえ、まだクリトリスの快感のほうが好きだ。お手軽って意味もある。ほんとうに追い込まれたときのヴァギナ感覚は、ずっと重厚だけど。
それでも。お留守にしては失礼よねと考えて。希美は舌先で膣口を探り当てると、中へ挿れようとした。浅い位置で柔らかな壁に突き当たった――と感じたときには、腰を引かれていた。
「おまえと違って、おれは中が苦手なんだ。もうちょい上の小さな穴のほうが好きなくらいだ」
うわあ。※道口が好きだなんて、お姉様もずいぶんと変態だわ。スケバンらしくないな――としか、希美は考えなかった。まさか処女かもしれないとは、疑わない。
それから延々三十分も、舌が動かなくなるまで奉仕を続けたけれど。希美はお姉様を逝かせることはできなかった。
これも、楚葉には珍しく。遊びが終わっても希美を追い出そうとはしなかった。
自分は下着を着けて、希美には全裸に三点クリップを付けさせて。
「おまえな、新体操部に戻ってちゃんと練習しろな。顧問と部長にはナシをつけてやるから」
「お姉様……」
希美は、泣き声になった。捨てられると思ったのだ。
「今度の文化祭でよ、ちょいとばかし学校に貢献しようと思ってよ」
最悪の予想とは、まるで方向が違う話になってきた。
「こないだの体育祭で分かっただろ」
と言われても。希美は素肌に体操シャツとブルマを着て、教室から見学していた。ペニスバンドを着けたまま激しい運動をするのは、それほどの苦にも感じなくなっていたけれど。そんな希美と肌触れ合わんばかりに座るのは厭だと、学年全体の無言の圧力。体調不良を申し出て、教師もほっとしたというのが実情だった。両親は希美を見放しているから、見学には来てくれていないので、安心してサボれた。
「父兄証を入手したり偽造したり、助平親父もナンパ野郎も、わんさか押し寄せたんだぜ。文化祭は生徒との触れ合いが体育祭より簡単だからな。毎年、先公どもは頭痛を抱える羽目になる。まあ、一部の生徒は喜んでるんだけどな」
今年は、そういう不逞の輩を一般生徒から遠ざけるのだと、楚葉が言った時点で――不逞の輩は特殊生徒に近づけるつもりなんだと、それくらいにはお姉様の意地悪さ(と優しさ?)を理解している希美だった。
希美が未経験の新体操を目指したのは、あられもない衣装で観客の前で、大股開きだのそそるような仕草だのを披露する種目だからだ。不逞の輩を惹き付けるにはうってつけだった。
そうして翌日から、希美は部活を再開したのだった。
基本の身体作りとかは素っ飛ばして。特定の演技だけを、なんとかサマになるまで指導してもらう。このときだけは、ペニスバンドを抜いても良かった。いよいよ文化祭が近づくころには、自発的にわざと挿れたままにして快感を愉しんだりもしたけれど。
部活が終わっても下校せずに――体育館で、ペニスバンドもクリップも無しで待機。スケバン流直立不動だったり、開脚正座だったり、足の親指とクリトリスを長いゴムでつないで頭に水バケツを乗せたり――日替わりメニューは、楚葉の指示だった。
午後十時ごろに、市内のパトロールを早めに切り上げて戻って来た楚葉から、本番演技の特訓を一時間ほど受けて。それでようやく、希美の一日は……終わらない。三点クリップで装飾して、下脱ぎジャージでヒップと股間を気にしながらバスと電車を乗り継いて帰宅するのも、楽しく羞ずかしい日課だった。
いきおい、遅刻どころか午後登校なんて日もあった。
========================================

ここで出てくる学習誌は、筆者の実体験に基づいています。こういう記事が、かつては学習誌に載っていたりしたのです。
それは、ともかく。PLOTよりも責めが過激になってきています。
三穴同時なんて『協奏』パートで予定していたのに、すでに全裸ハイキングでやらかしちゃいました。予定部分をどう変えるかは、まあ腹案はあるものの、書きながら考え直すかもしれません。
恒例 DLsite Affiliate キーワードは、「レズ、拘束、快楽」 漠然としています。
Interrupt Report Final:幼なマゾの契り
目標に1日遅れて11/1に脱稿しました。その後の3日間で第三次(最終)校訂まで。8万9千文字/270枚です。
最初は短めの尺で進んでいましたが、本格的な責めが始まると、10時間どん兵衛どころではない伸び方でした。いつものことですね。
筆者はこれまで、少なくともヒロインには「回復不可能な損害(処女膜と永久脱毛と刺青と焼印は除く)は与えない」ポリシーで書いてきましたが。
ついに禁を破りました。
========================================
封印と焼印
事前の連らくなしで少佐が訪れたのは三日後だった。今度は、少佐より若い男と、もっと若い(ように見える)女を連れていた。
おれとソノは庭でも広間でもなく、ろうごくカマボコ舎のはしにある保健室へ呼び出された。例によって、所長とコンクリと通訳の帆針もいた。保健室を仕切っている若ババはいなかったけど、八人も入るとぎゅうづめだ。
「二人とも喜べ。おまえたちは少佐どのが番として引き取ってくださる」
悲しめの間ちがいだろ。
「今日は、おまえたちをアメリカへ輸出するのに必要な処置をしていただく」
連れて帰るじゃなくて、輸出。そのための処置。いやな予感しかしない。
それでは早速とばかりに、おれはベッドへがんじがらめに縛り付けられた。チンぶくろを外されたので、縮かんだチンチンを若い外人の女にも見られている。日本男児の名折れだ。
若い男が、拳銃みたいな器具を取り出した。
スコスコスコ……遊底を何度も前後に動かす。空気銃かな。
最後に遊底を引いて、ホッチキスの針の親玉みたいなのを装てんした。金属製のヘラを机におさえて、三日月のようにくぼんだ面に銃口をおし付けた。
プシュッ、カン!
射ち出されたコの字形の針は、両はしが内側へ曲がっていた。やっぱりホッチキスだ。
男はさらにカバンから薬のビンやピンセットやらを取り出して机に並べた。そして軍服をぬいでうでまくり、肌がすけて見えるうすい手ぶくろを着けた。女も同じようにした。
もしかして、所長の言ってた処置ってのは、手術のようなものだろうか。
「アフタオール、ウィザウッエノシーザ?」
「オフコース。メイキッハーアズマッチャズポッシブ」
「アハン」
男が、おれの股の付け根を指でぐりぐりと、しょくしんってやつかな。
にゅるっと指が腹の中までめりこむような感覚があった。男がうなずいて――おれの金玉を、そこへおしこんだ。
「いてえっ……」
金玉をけられたときと同じような、もっと軽い痛みだった。
左右ともおしこむと、女がピンセットでふくろの皮を外へ引っ張った。男が、そこを紙切れでこする。
ざりざりと痛い。紙ヤスリだ。
「何をするつもりなんだよ?!」
ばしん。少佐にほっぺをたたかれた。
「シャベルナイゾ。ナクサケブシロゾ」
くそ。意地でも泣きさけんだりするもんか。でも、ひりひりと痛い。
女が、やっぱりピンセットでつまんだガーゼで、紙ヤスリがこすったところをぬぐった。ガーゼが真っ赤になった。
こいつら、医者と看護婦かな。看護婦のほうは、手ぶくろごしでも有色人種にふれるのなんかけがらわしいって顔をしてる。それとも、チンチンだからなのかな。
医者が縮かんでいるチンチンの皮をむいて、看護婦が……痛いッ。ピンセットの先をおしxこの穴につっこんで先っぽをはさむと、下へ引きのばした。その上に、医者が金属のヘラをおし付けた。
こないだ少佐がしたみたいに、医者が玉ぶくろの皮を左右から寄せて、チンチンとヘラをひとまとめにつつむ。合わせ目をばん創こうではり合わせると、空気銃式ホッチキスを手にした。
コンクリが看護婦の反対側から、おれの腰をおさえ付けた。
お、おい。ちょっと待てよ。まさか、それをおれに……使うんだろうな。
ソノは、まだ何が起きようとしているか、理解してないみたいだ。でも、危害がおれに加えられようとしてることだけは分かってる。所長に羽交いじめにされながら、両手で口をおおって、器械を見つめている。
「レディ……」
ヘラが、チンチンんをぐっとおし下げる。
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
玉ぶくろをかみ千切られたような激痛。反射的に身を丸めようとして、身体じゅうに縄が食いこんだ。
「アバレルオモシロイゾ。バッ、オペレイションジャマゾ」
少佐がおれの腹をわざとふんづけながら、馬乗りになった。びくとも動けやしない。
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
ヘラが引きぬかれて。合わせ目のいちばん下あたりに銃口があてがわれた。
プシュッ……
おれは、もう悲鳴を上げなかった。気絶してしまった。
――コンクリにカツを入れられて、おれは意識を取りもどした。ベッドから下ろされていて、代わりにソノが縛り付けられていた。
おれと同じように少佐におしつぶされながら、泣きじゃくっている。でも、あきらめているんだろう。言葉は発していなかった。
「ヘイ、バスタード。ビッチワイフ、オーマンコ、デキルナイナルゾ。ヨクミルシロゾ」
もしかしたら、それはソノにとって救いになるんじゃないかなって、バカな考えが頭をかすめた。割れ目があるから、女は男にねらわれるんだ。二つの穴に同時につっこまれたりもする。いじめられるためにだけある穴がなくなってしまえば……やっぱりダメだ。その分、こう門に入れられたり口を使われる。鞭も増えるかもしれない。
いよいよ銃口がソノの股間におし当てられた。
「おにいちゃああん!」
「ソノオオオッ……!」
他に何を言ってやれる。おれでさえ絶きょうして気を失ったんだ。がんばれなんて言えない。
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
「シンパイナイゾ。バスターズチンチン、オナジ。クリット、サワルノコスゾ」
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
ソノはおれより一発少ない三発で終わった。最後まで下じきのヘラがぬかれなかったから、おれよりはマシだったろう。新高山と富士山くらいのちがいしかないけど。
ソノは泣きつかれさけびつかれてぐったりしてるけど、意識はあるみたいだった。股間が真っ赤にそまっている――のは、おれも同じだ。
おれへの最後の一本はチンチンにもつき差さっていたみたいで、これ以上はないってくらいに縮かんでるのに、むけた先っぽがちょこっとだけ合わせ目から顔を出している。
これから、おれたちは広間のベッドへ連れこまれて、こう門か口、それとも両方をいじめられる――ソノは可愛がられると感じているかもしれないけど。そうされるんだと思ってたら、裏庭へ連れ出された。
新入生に焼印をおすときのミカン箱が並べられて、そばの大きなバケツでは石炭が真っ赤に燃えていた。
尻におされた丸囲いに木の字の焼印が完治して肉が盛り上がるまでに三週間はかかった。また同じことをされるかと思うと、ぎゃく待に悪慣れしちまったおれでも、腹綿がにえくり返ってくる。
焼印は二つあった。どちらも平べったい二等辺三角形のわくで、大きさがちょっとだけちがっている。わくに囲まれた文字は、どちらも同じ三文字で、JAP。
「チャイニーズマチガウ、センソーカッタクニ、シツレイ」
少佐が得意気に説明した。そうか、これは少佐の特注品なんだ。
戦争に負けると、ほんとうにみじめだ。くやしさをかみしめながら、それでも、焼印がソノとおそろいなのが、ちょっぴりだけなぐさめだった。
丸木の焼印とはちがって、最初がおれだった。西洋はレディファーストだと聞いたことがある。何でもかんでも女が先というんじゃなくて、危険なことには男が率先して立ち向かう。船に乗るのは男が先で、安全な地上へ下船するのは女が先。だから、さっきの手術も焼印もおれが先だったのか。
あれ……やっぱり少佐は、ほんとのところは、おれたちを人間だと思ってるのかな。動物をあつかうのにレディファーストもへったくれもないものな。ソノの言ってたことが、なんとなく分かったような気がした。
ミカン箱の上であお向けにおさえ付けられて、おれは迷った。焼印なんて、さっきの手術に比べたら、たいしたことはない。きっと、悲鳴は我まんできる。でも、それがソノに負担をかけはしないだろうか。おれが我まんしたら、ソノもおれに習おうとするだろう。女の子なんだから、泣いたってかまわないのに。
おれが悲鳴を上げたら、ソノも安心して泣きさけべるんじゃないかな。
少佐が小さなほうの焼印を火にくべた。おれのほうがちょびっと背は高いけど、腰の張りや尻の大きさはソノが勝ってる。あの焼印は形と文字の上下から考えると、下腹部におされるんだろう。三角形の角度は股の付け根の角度と同じだ。
五分ほどで、少佐が焼印を引きぬいた。三角形のはしをミカン箱に当てると、
ジュッ……木がこげて、けむりが立ちのぼった。あんなのを肌におし付けるなんて、やっぱり少佐もおれたちを人間あつかいしていない。
おれは両かたをコンクリにおさえ付けられてるだけで、足は自由に動かせる。けど、筋肉をつっ張ってじっとしている。動いたら焼印の形がくずれる。どうせなら、きれいなほうがいい。
角度の浅い頂点を下にして、焼印が下腹部に近づく。おれが予想していたとおりだ。
ちりちりっと肌に熱気を感じたとほとんど同時に。
ジュウウッ……
「うああっ、熱いッ……!」
さけび終わったときには、焼印は引きはがされていた。少佐は、所長みたいに不必要に長時間(といっても、二秒が五秒になるくらいだけど)おし付けたりはしなかった。
短い時間だったけど面積が丸木よりずっと広いから、感じる痛みは大きい。まだおし付けられたままのような痛みだ。
おれの次は、ソノの番。
「ひいいっ……!」
ソノの悲鳴のほうが、ずっとおしとやかだった。
男のおれのほうが悲鳴が大きくたって、はずかしくなんかないぞ。ソノが余計な我まんをしないですむようにしてやったんだから。
「ニシューカン、ムカエクル。シーリンオアブランディン、ツブスナイゾ。キャプテン・マックアイゾン、ワッコーポラル・ジョーサマーズ、シューニカーイ、チリョウスルゾ」
少佐たちは、ベッドでの遊びはしないで引き上げて行った。
それからの二週間は、まさしく下にも置かずベッドに縛り付けられて過ごさなくちゃならなかった。大部屋でのでんぐり返りみたいな縛られ方ではなくて、保健室のベッドにふたりまとめて大の字ハリツケ。おれとソノがくっついてる側の手足はまっすぐのばしてひとつにくくられたから、ふたり合わせて水の字ハリツケかな。ホッチキスと火傷が痛かろうとかゆかろうと、手が届かないし、ね返りしてこすりつけられもしない。ベッドから解放されるのは、一日四回の便所と、後ろ手に縛られて年長の生徒たちに庭を引き回される散歩のときだけだった。
食事はベッドの上で手だけをほどかれて上体を起こし、足をまたぐコの字形のテーブルで食べた。おかゆじゃなくて、教官と同じ白米ご飯に肉や魚のおかず付き。これも、上げゼン末ゼンっていうのかな。
生まれて初めてのぜいたくで退くつな日々だった。これが生がい最後のぜいたくになるだろうとは、口にこそ出さないが、おれもソノも覚ごはしていた。
退くつな日々の中での変化は、少佐が言ったとおりに週二回往しんに来た軍医と看護婦だった。傷口を見て、消毒したり注射をしてくれたり。人間の子供を治りょうするってより、家畜の手当てくらいにしか思ってないのは、ぞんざいな(余分に痛い)手つきやそっぽを向きっぱなしの目でよーくわかったけど。
退くつだから、二人でいろんな話をした。
ソノが遠えんの人だと言っていた医者は、やっぱり赤の他人だった。ソノがまだ女の子の格好をしてたころ、お腹が空いたらいつでも家へおいでと、ツバナレしてない子供でも分かるくらいに下心丸出しで声をかけられたんだそうだ。
そういうのは、医者が初めてじゃなかった。そもそも、ソノはほんとに遠えんの家に引き取られていたんだ。ひるはオサンドンでこき使われ、夜はフロで小父さんの背中を流す――だけじゃすまなくなってきたのでにげ出したんだ。
おれも、小さいころの思い出とか、戦死した兄さんのこととか、焼けてしまった家と両親とか。取出間サダへのちかいも打ち明けた。
そんなおれたちが絶対に口にしなかった話題は、たったひとつ。将来のことだ。
聞かなくても、ソノの想いは分かってる――と、思う。少佐は心の底では、おれたちのことを人間だと思っていて、だからチンチンを大きくしながら、おれたちをいじめる。ソノはそれを、所長どもにぎゃく待されるよりはマシだと考えている。マシというよりも。おれといっしょにいじめられると、ぬらしてしまう。おれといっしょに居られるってのが、何よりもうれしいんだ。
そして、おれは……いててて。チンチンを固くするのも、ままならないや。
十日目におれもソノも、ホッチキスの針をラジオペンチで二つに切断してからぬいてもらったんだけど、ぬい合わされたところはゆ着して、二度と左右に開けなくなった。
ソノは、上はしから女の子の小さなチンチン(英語ではクリトリスという)が顔を出している。下はしには、おしxこを出す穴も開いてる。
おれは下はしからチンチンの先っぽが出てるんだけど、最後にヘラなしで打たれた一本がチンチンと玉ぶくろの皮をぬい合わせたらしくて、固くなっても玉ぶくろの合わせ目から先へはのびない。ゆ着してるところを根元にして、腹の中にめりこんでくる感じ。そのゆ着してる所がすごく痛いんだ。痛いとますます大きくなろうとするから始末が悪い。
約束どおりに少佐は二週間後に、今度は二人の黒人兵を連れてトラックでやって来た。運転手は別に居たらしいけど、おれもソノも顔を見ていない。
少佐はホッチキスでぬい合わせた股間を指でなぞって、ぴったり閉じているのを確かめると満足そうにうなずいた。ホッチキスの針をぬいた穴は、もうふさがりかけている。
「オーケイ。ショチョー、アタマ、スキンヘッドシロゾ」
ぼう主頭は月に一度、バリカンで根こそぎにされるんだけど、少佐はそれでも足りずにカミソリでそれと言う。たちまち、おれもソノもおぼうさんの頭みたいにされてしまった。ソノはふつうの丸ぼう主より、ずっと可愛く見えた。
おれたちは外へ連れ出されて、消火ポンプの高圧水で全身を洗われてから――かんおけみたいな箱に二人まとめてつめこまれた。
上下逆さにされて、たがいに相手の股間にかぶりつく形にされ、だき合ったまま縛られた。そのまま足をおりたたまれてしまったので、太腿に顔をはさまれて、首を左右にひねるのも難しい。あごを上げれば、どうにか股間から口を外せるけど、首が痛くなるので長時間は無理だった。
「ステイツ、ハコブゾ。ジェネラル・マッカーサー、オナジヒコウキ。コウエイオモウシロゾ」
飛行機でアメリカまで運ばれるんだ。飛行機に乗ってみたいってのは、男の子みんなの夢だったけど――こんな形で乗せられるなんて、ちっとも喜べない。
「テンサウザンフィー、トブゾ。サムイゾ。ションベンコオル。ノムスル、アタタカイゾ」
こごえ死ぬのがいやなら、たがいに小便を飲めってことか。まあ、ソノの小便なら男の精液をゴックンさせられるよりは、いいかな。そして、ソノもおれの小便を……いてててて、チンチンがつっ張らかりやがる。
かんおけのフタが閉じられ、ごていねいにもクギ打ちされた。
そうして、二人の黒人兵に担ぎ上げられトラックの荷台に乗せられて。おれたちは強制収容所から運び出された。
生徒たちはカマボコろうごくから出るのを禁じられただけでなく、トラックが来る前から窓のひさしはつっかい棒を外されて閉じていたから、おれたちの運命はだれも知らない。うすうす感づいてはいただろうけど。
========================================
まあ、切開手術をすれば、ヒロインは妊娠可能になるでしょう。
ショタイン(ショタ+ヒロイン)は……
成人のオタフク風を例に引いて、睾丸を腹腔内の高体温に曝し続けると機能を喪失するとかいわれていますが、これはどうも都市伝説のようです。だって、インフルエンザで男性不妊になりませんもの。実はムンプス・ウィルスによる精巣炎が原因らしいです。とすると、だいじょうぶかな。
しかし、高温状態では精巣の機能が低下するのは事実のようですから、第二次性徴真っ盛りで24時間強制タックが続けば、竿有り玉有りのニューハーフになる??
けど、まあ。「突っ込める」ようになるなら――禁を破ったことにはならないでしょう。
さて。この小説で何が苦労したかというと、実は表紙絵です。
少年と少女が抱き合って縛られていて、ひとつのボールギャグを両側から咥えさせられている――なんて構図を考えたりしましたが、どうにも素材が有馬温泉草津の湯別府湯布院城崎にて。
もろ結合シーンとかは、サイトによっては矢倍と思いますし。
でまあ、考えあぐねた素材あぐねた結果……下の画像が、主な素材になります。
どう仕上がるかは、出来てからのお目汚し。あっ……「御目汚し」にコを挿入すると、まったく別の意味になりますな。

DLsite Affiliate キーワードは、ずばり「ショタイン」です。
ううむ。「ショタインキュバス」かあ。「ショタ 淫魔」とか「ショタ インテリア」とか……
WEB検索すると、「シュタインズゲート」ばかり引っ掛かるし。
では、ショタインは作者の東京都特許許可局局長許可許可証ということで。
最初は短めの尺で進んでいましたが、本格的な責めが始まると、10時間どん兵衛どころではない伸び方でした。いつものことですね。
筆者はこれまで、少なくともヒロインには「回復不可能な損害(処女膜と永久脱毛と刺青と焼印は除く)は与えない」ポリシーで書いてきましたが。
ついに禁を破りました。
========================================
封印と焼印
事前の連らくなしで少佐が訪れたのは三日後だった。今度は、少佐より若い男と、もっと若い(ように見える)女を連れていた。
おれとソノは庭でも広間でもなく、ろうごくカマボコ舎のはしにある保健室へ呼び出された。例によって、所長とコンクリと通訳の帆針もいた。保健室を仕切っている若ババはいなかったけど、八人も入るとぎゅうづめだ。
「二人とも喜べ。おまえたちは少佐どのが番として引き取ってくださる」
悲しめの間ちがいだろ。
「今日は、おまえたちをアメリカへ輸出するのに必要な処置をしていただく」
連れて帰るじゃなくて、輸出。そのための処置。いやな予感しかしない。
それでは早速とばかりに、おれはベッドへがんじがらめに縛り付けられた。チンぶくろを外されたので、縮かんだチンチンを若い外人の女にも見られている。日本男児の名折れだ。
若い男が、拳銃みたいな器具を取り出した。
スコスコスコ……遊底を何度も前後に動かす。空気銃かな。
最後に遊底を引いて、ホッチキスの針の親玉みたいなのを装てんした。金属製のヘラを机におさえて、三日月のようにくぼんだ面に銃口をおし付けた。
プシュッ、カン!
射ち出されたコの字形の針は、両はしが内側へ曲がっていた。やっぱりホッチキスだ。
男はさらにカバンから薬のビンやピンセットやらを取り出して机に並べた。そして軍服をぬいでうでまくり、肌がすけて見えるうすい手ぶくろを着けた。女も同じようにした。
もしかして、所長の言ってた処置ってのは、手術のようなものだろうか。
「アフタオール、ウィザウッエノシーザ?」
「オフコース。メイキッハーアズマッチャズポッシブ」
「アハン」
男が、おれの股の付け根を指でぐりぐりと、しょくしんってやつかな。
にゅるっと指が腹の中までめりこむような感覚があった。男がうなずいて――おれの金玉を、そこへおしこんだ。
「いてえっ……」
金玉をけられたときと同じような、もっと軽い痛みだった。
左右ともおしこむと、女がピンセットでふくろの皮を外へ引っ張った。男が、そこを紙切れでこする。
ざりざりと痛い。紙ヤスリだ。
「何をするつもりなんだよ?!」
ばしん。少佐にほっぺをたたかれた。
「シャベルナイゾ。ナクサケブシロゾ」
くそ。意地でも泣きさけんだりするもんか。でも、ひりひりと痛い。
女が、やっぱりピンセットでつまんだガーゼで、紙ヤスリがこすったところをぬぐった。ガーゼが真っ赤になった。
こいつら、医者と看護婦かな。看護婦のほうは、手ぶくろごしでも有色人種にふれるのなんかけがらわしいって顔をしてる。それとも、チンチンだからなのかな。
医者が縮かんでいるチンチンの皮をむいて、看護婦が……痛いッ。ピンセットの先をおしxこの穴につっこんで先っぽをはさむと、下へ引きのばした。その上に、医者が金属のヘラをおし付けた。
こないだ少佐がしたみたいに、医者が玉ぶくろの皮を左右から寄せて、チンチンとヘラをひとまとめにつつむ。合わせ目をばん創こうではり合わせると、空気銃式ホッチキスを手にした。
コンクリが看護婦の反対側から、おれの腰をおさえ付けた。
お、おい。ちょっと待てよ。まさか、それをおれに……使うんだろうな。
ソノは、まだ何が起きようとしているか、理解してないみたいだ。でも、危害がおれに加えられようとしてることだけは分かってる。所長に羽交いじめにされながら、両手で口をおおって、器械を見つめている。
「レディ……」
ヘラが、チンチンんをぐっとおし下げる。
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
玉ぶくろをかみ千切られたような激痛。反射的に身を丸めようとして、身体じゅうに縄が食いこんだ。
「アバレルオモシロイゾ。バッ、オペレイションジャマゾ」
少佐がおれの腹をわざとふんづけながら、馬乗りになった。びくとも動けやしない。
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
プシュッ……
「うがあ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
ヘラが引きぬかれて。合わせ目のいちばん下あたりに銃口があてがわれた。
プシュッ……
おれは、もう悲鳴を上げなかった。気絶してしまった。
――コンクリにカツを入れられて、おれは意識を取りもどした。ベッドから下ろされていて、代わりにソノが縛り付けられていた。
おれと同じように少佐におしつぶされながら、泣きじゃくっている。でも、あきらめているんだろう。言葉は発していなかった。
「ヘイ、バスタード。ビッチワイフ、オーマンコ、デキルナイナルゾ。ヨクミルシロゾ」
もしかしたら、それはソノにとって救いになるんじゃないかなって、バカな考えが頭をかすめた。割れ目があるから、女は男にねらわれるんだ。二つの穴に同時につっこまれたりもする。いじめられるためにだけある穴がなくなってしまえば……やっぱりダメだ。その分、こう門に入れられたり口を使われる。鞭も増えるかもしれない。
いよいよ銃口がソノの股間におし当てられた。
「おにいちゃああん!」
「ソノオオオッ……!」
他に何を言ってやれる。おれでさえ絶きょうして気を失ったんだ。がんばれなんて言えない。
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
「シンパイナイゾ。バスターズチンチン、オナジ。クリット、サワルノコスゾ」
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
プシュッ……
「きゃああああああああああっ……!!」
ソノはおれより一発少ない三発で終わった。最後まで下じきのヘラがぬかれなかったから、おれよりはマシだったろう。新高山と富士山くらいのちがいしかないけど。
ソノは泣きつかれさけびつかれてぐったりしてるけど、意識はあるみたいだった。股間が真っ赤にそまっている――のは、おれも同じだ。
おれへの最後の一本はチンチンにもつき差さっていたみたいで、これ以上はないってくらいに縮かんでるのに、むけた先っぽがちょこっとだけ合わせ目から顔を出している。
これから、おれたちは広間のベッドへ連れこまれて、こう門か口、それとも両方をいじめられる――ソノは可愛がられると感じているかもしれないけど。そうされるんだと思ってたら、裏庭へ連れ出された。
新入生に焼印をおすときのミカン箱が並べられて、そばの大きなバケツでは石炭が真っ赤に燃えていた。
尻におされた丸囲いに木の字の焼印が完治して肉が盛り上がるまでに三週間はかかった。また同じことをされるかと思うと、ぎゃく待に悪慣れしちまったおれでも、腹綿がにえくり返ってくる。
焼印は二つあった。どちらも平べったい二等辺三角形のわくで、大きさがちょっとだけちがっている。わくに囲まれた文字は、どちらも同じ三文字で、JAP。
「チャイニーズマチガウ、センソーカッタクニ、シツレイ」
少佐が得意気に説明した。そうか、これは少佐の特注品なんだ。
戦争に負けると、ほんとうにみじめだ。くやしさをかみしめながら、それでも、焼印がソノとおそろいなのが、ちょっぴりだけなぐさめだった。
丸木の焼印とはちがって、最初がおれだった。西洋はレディファーストだと聞いたことがある。何でもかんでも女が先というんじゃなくて、危険なことには男が率先して立ち向かう。船に乗るのは男が先で、安全な地上へ下船するのは女が先。だから、さっきの手術も焼印もおれが先だったのか。
あれ……やっぱり少佐は、ほんとのところは、おれたちを人間だと思ってるのかな。動物をあつかうのにレディファーストもへったくれもないものな。ソノの言ってたことが、なんとなく分かったような気がした。
ミカン箱の上であお向けにおさえ付けられて、おれは迷った。焼印なんて、さっきの手術に比べたら、たいしたことはない。きっと、悲鳴は我まんできる。でも、それがソノに負担をかけはしないだろうか。おれが我まんしたら、ソノもおれに習おうとするだろう。女の子なんだから、泣いたってかまわないのに。
おれが悲鳴を上げたら、ソノも安心して泣きさけべるんじゃないかな。
少佐が小さなほうの焼印を火にくべた。おれのほうがちょびっと背は高いけど、腰の張りや尻の大きさはソノが勝ってる。あの焼印は形と文字の上下から考えると、下腹部におされるんだろう。三角形の角度は股の付け根の角度と同じだ。
五分ほどで、少佐が焼印を引きぬいた。三角形のはしをミカン箱に当てると、
ジュッ……木がこげて、けむりが立ちのぼった。あんなのを肌におし付けるなんて、やっぱり少佐もおれたちを人間あつかいしていない。
おれは両かたをコンクリにおさえ付けられてるだけで、足は自由に動かせる。けど、筋肉をつっ張ってじっとしている。動いたら焼印の形がくずれる。どうせなら、きれいなほうがいい。
角度の浅い頂点を下にして、焼印が下腹部に近づく。おれが予想していたとおりだ。
ちりちりっと肌に熱気を感じたとほとんど同時に。
ジュウウッ……
「うああっ、熱いッ……!」
さけび終わったときには、焼印は引きはがされていた。少佐は、所長みたいに不必要に長時間(といっても、二秒が五秒になるくらいだけど)おし付けたりはしなかった。
短い時間だったけど面積が丸木よりずっと広いから、感じる痛みは大きい。まだおし付けられたままのような痛みだ。
おれの次は、ソノの番。
「ひいいっ……!」
ソノの悲鳴のほうが、ずっとおしとやかだった。
男のおれのほうが悲鳴が大きくたって、はずかしくなんかないぞ。ソノが余計な我まんをしないですむようにしてやったんだから。
「ニシューカン、ムカエクル。シーリンオアブランディン、ツブスナイゾ。キャプテン・マックアイゾン、ワッコーポラル・ジョーサマーズ、シューニカーイ、チリョウスルゾ」
少佐たちは、ベッドでの遊びはしないで引き上げて行った。
それからの二週間は、まさしく下にも置かずベッドに縛り付けられて過ごさなくちゃならなかった。大部屋でのでんぐり返りみたいな縛られ方ではなくて、保健室のベッドにふたりまとめて大の字ハリツケ。おれとソノがくっついてる側の手足はまっすぐのばしてひとつにくくられたから、ふたり合わせて水の字ハリツケかな。ホッチキスと火傷が痛かろうとかゆかろうと、手が届かないし、ね返りしてこすりつけられもしない。ベッドから解放されるのは、一日四回の便所と、後ろ手に縛られて年長の生徒たちに庭を引き回される散歩のときだけだった。
食事はベッドの上で手だけをほどかれて上体を起こし、足をまたぐコの字形のテーブルで食べた。おかゆじゃなくて、教官と同じ白米ご飯に肉や魚のおかず付き。これも、上げゼン末ゼンっていうのかな。
生まれて初めてのぜいたくで退くつな日々だった。これが生がい最後のぜいたくになるだろうとは、口にこそ出さないが、おれもソノも覚ごはしていた。
退くつな日々の中での変化は、少佐が言ったとおりに週二回往しんに来た軍医と看護婦だった。傷口を見て、消毒したり注射をしてくれたり。人間の子供を治りょうするってより、家畜の手当てくらいにしか思ってないのは、ぞんざいな(余分に痛い)手つきやそっぽを向きっぱなしの目でよーくわかったけど。
退くつだから、二人でいろんな話をした。
ソノが遠えんの人だと言っていた医者は、やっぱり赤の他人だった。ソノがまだ女の子の格好をしてたころ、お腹が空いたらいつでも家へおいでと、ツバナレしてない子供でも分かるくらいに下心丸出しで声をかけられたんだそうだ。
そういうのは、医者が初めてじゃなかった。そもそも、ソノはほんとに遠えんの家に引き取られていたんだ。ひるはオサンドンでこき使われ、夜はフロで小父さんの背中を流す――だけじゃすまなくなってきたのでにげ出したんだ。
おれも、小さいころの思い出とか、戦死した兄さんのこととか、焼けてしまった家と両親とか。取出間サダへのちかいも打ち明けた。
そんなおれたちが絶対に口にしなかった話題は、たったひとつ。将来のことだ。
聞かなくても、ソノの想いは分かってる――と、思う。少佐は心の底では、おれたちのことを人間だと思っていて、だからチンチンを大きくしながら、おれたちをいじめる。ソノはそれを、所長どもにぎゃく待されるよりはマシだと考えている。マシというよりも。おれといっしょにいじめられると、ぬらしてしまう。おれといっしょに居られるってのが、何よりもうれしいんだ。
そして、おれは……いててて。チンチンを固くするのも、ままならないや。
十日目におれもソノも、ホッチキスの針をラジオペンチで二つに切断してからぬいてもらったんだけど、ぬい合わされたところはゆ着して、二度と左右に開けなくなった。
ソノは、上はしから女の子の小さなチンチン(英語ではクリトリスという)が顔を出している。下はしには、おしxこを出す穴も開いてる。
おれは下はしからチンチンの先っぽが出てるんだけど、最後にヘラなしで打たれた一本がチンチンと玉ぶくろの皮をぬい合わせたらしくて、固くなっても玉ぶくろの合わせ目から先へはのびない。ゆ着してるところを根元にして、腹の中にめりこんでくる感じ。そのゆ着してる所がすごく痛いんだ。痛いとますます大きくなろうとするから始末が悪い。
約束どおりに少佐は二週間後に、今度は二人の黒人兵を連れてトラックでやって来た。運転手は別に居たらしいけど、おれもソノも顔を見ていない。
少佐はホッチキスでぬい合わせた股間を指でなぞって、ぴったり閉じているのを確かめると満足そうにうなずいた。ホッチキスの針をぬいた穴は、もうふさがりかけている。
「オーケイ。ショチョー、アタマ、スキンヘッドシロゾ」
ぼう主頭は月に一度、バリカンで根こそぎにされるんだけど、少佐はそれでも足りずにカミソリでそれと言う。たちまち、おれもソノもおぼうさんの頭みたいにされてしまった。ソノはふつうの丸ぼう主より、ずっと可愛く見えた。
おれたちは外へ連れ出されて、消火ポンプの高圧水で全身を洗われてから――かんおけみたいな箱に二人まとめてつめこまれた。
上下逆さにされて、たがいに相手の股間にかぶりつく形にされ、だき合ったまま縛られた。そのまま足をおりたたまれてしまったので、太腿に顔をはさまれて、首を左右にひねるのも難しい。あごを上げれば、どうにか股間から口を外せるけど、首が痛くなるので長時間は無理だった。
「ステイツ、ハコブゾ。ジェネラル・マッカーサー、オナジヒコウキ。コウエイオモウシロゾ」
飛行機でアメリカまで運ばれるんだ。飛行機に乗ってみたいってのは、男の子みんなの夢だったけど――こんな形で乗せられるなんて、ちっとも喜べない。
「テンサウザンフィー、トブゾ。サムイゾ。ションベンコオル。ノムスル、アタタカイゾ」
こごえ死ぬのがいやなら、たがいに小便を飲めってことか。まあ、ソノの小便なら男の精液をゴックンさせられるよりは、いいかな。そして、ソノもおれの小便を……いてててて、チンチンがつっ張らかりやがる。
かんおけのフタが閉じられ、ごていねいにもクギ打ちされた。
そうして、二人の黒人兵に担ぎ上げられトラックの荷台に乗せられて。おれたちは強制収容所から運び出された。
生徒たちはカマボコろうごくから出るのを禁じられただけでなく、トラックが来る前から窓のひさしはつっかい棒を外されて閉じていたから、おれたちの運命はだれも知らない。うすうす感づいてはいただろうけど。
========================================
まあ、切開手術をすれば、ヒロインは妊娠可能になるでしょう。
ショタイン(ショタ+ヒロイン)は……
成人のオタフク風を例に引いて、睾丸を腹腔内の高体温に曝し続けると機能を喪失するとかいわれていますが、これはどうも都市伝説のようです。だって、インフルエンザで男性不妊になりませんもの。実はムンプス・ウィルスによる精巣炎が原因らしいです。とすると、だいじょうぶかな。
しかし、高温状態では精巣の機能が低下するのは事実のようですから、第二次性徴真っ盛りで24時間強制タックが続けば、竿有り玉有りのニューハーフになる??
けど、まあ。「突っ込める」ようになるなら――禁を破ったことにはならないでしょう。
さて。この小説で何が苦労したかというと、実は表紙絵です。
少年と少女が抱き合って縛られていて、ひとつのボールギャグを両側から咥えさせられている――なんて構図を考えたりしましたが、どうにも素材が有馬温泉草津の湯別府湯布院城崎にて。
もろ結合シーンとかは、サイトによっては矢倍と思いますし。
でまあ、考えあぐねた素材あぐねた結果……下の画像が、主な素材になります。
どう仕上がるかは、出来てからのお目汚し。あっ……「御目汚し」にコを挿入すると、まったく別の意味になりますな。

DLsite Affiliate キーワードは、ずばり「ショタイン」です。
ううむ。「ショタインキュバス」かあ。「ショタ 淫魔」とか「ショタ インテリア」とか……
WEB検索すると、「シュタインズゲート」ばかり引っ掛かるし。
では、ショタインは作者の東京都特許許可局局長許可許可証ということで。
Interrupt Report 2:幼なマゾの契り
どうも、今回はペースが遅いです。気が乗らないんじゃなくて機が乗っているからです。
どういうことかというと、リンク先の記事の末尾を参照→
それはさて措き。
今回の御紹介は前回の続きとなる章です。
========================================
訓練と調教
裏庭の一画に、細長い屋根が建っている。というのも、おかしな表現だけど。かべが無いんだから、小屋じゃない。その屋根の下にほられたミゾが、生徒の便所。教官の宿舎になってるカマボコのほうにはアメリカ式の立派なトイレがあるけど、生徒は使用禁止だ。
使用禁止といえば、フロもそうだ。古株の生徒の話だと、カマボコにはシャワー室というのもあったそうだ。だけど、水道も電気もガスもないんだから、宝の持ちぐされ。つぶして、しん室や広間を広げたそうだ。
じゃあ、フロはどうしてるかというと、裏庭のすみにドラムかんの五エ門ブロがある。入れるのは教官だけで、俺たちは残り湯で身体のアカをこすって落とすだけ。
さらに残った水が、ミゾに落ちた大きいやつを流すのに使われるんだ。だから、時間も回数も制限されてる。
年長の男子から十二三人がいっせいにしゃがんで用を足す。終わったやつはぬけて、そこを、年少者、女子の順でつめていく。
他の連中は女子も平然とシャアシャアブリブリやってるけど、おれたち新入りは悪戦苦とう。そりゃ、昨日も昼と夕方とねる前に使ってるけど、小のほうだけだったから。
その小も、おれ以外の三人は大変だったんだぞ。野ションはだれだって経験してるけど、オトナの男に見られながらってのは初めてだもんな。
コンクリに竹刀で下腹部をつつかれたり、ソノより年上の貞女なんか、割れ目の中にある(らしい)おし●この穴をコヨリでくすぐられて、ようやくだった。
おれはU字輪っかで針金をつっこまれてても、わりあい簡単に出来た。焼けるようなくすぐったいような痛みがあって、そのし激のせいで固くなって、そこからは簡単じゃなくなったけど。
大きいのは朝だけで、昼間は木の棒(おれだけスリコギ)でふさがれるから、うんと力んで、なんとか出せた。
それから、男子はチンぶくろ、女子は縄フンドシを自分の手で着けて。おれはU字輪っかも。これを自分で装着するのは、結構むずい。いじってるうちに固くなったりすると、必死に九九を唱えなきゃ。
教官が点検して、特に女子はフンドシがゆるかったりすると、結びこぶが割れ目に食いこむまでしめ上げられる。そうされると一日じゅう大変なんだと、これは後からソノに聞いた。ただ痛いだけじゃないらしいけど、それ以上の具体的なことは教えてくれなかった。
身支度(?)が整ったら、すい事係の女子三人を除く生徒全員が、鉄条もうの外にある畑で農作業。半裸で野良仕事はそ開先でさんざんやらされたことだけど、チンチンに太い針金をつっこまれて、こう門にはスリコギなんてのは、もちろん初めてのくつじょくだし痛いし。
おれは身体を動かしながら、ずっとソノを目で追いかけてた。あいつが女の子だったなんて、まだ信じられない。まして、イガグリ頭だもんな。でも、日本一可愛いイガグリ頭だと思うぞ。
そうそう。野良仕事で一番きついのが、野外便所で流した先にある肥ツボからの肥くみ。オケに入れて畑まで運んで、ヒシャクでまく。力仕事ってわくじゃなく、とにかくばっちい。裸で作業してるから、服は汚れないけどな(皮肉)。
きついと言えば、山水を引いた貯水そうから台所やドラムかんブロへの水運びのほうが重労働だけど、水が飲み放題だから、生徒には人気がある――わけ、ないだろ。バッ直制で、他のやつがのんびりしてるときまでこき使われるっていうのに。
農作業が終わったら、黄変米と食料えん助物資のオートミールとかいうやつとカボチャとそこら辺の雑草(としか思えない)と、ちょっぴりのニボシとを混ぜたおかゆ。
ほんとうに朝から夕方までふつうに学習だった。といっても、教師は帆針教官だけ。全員がひとつの教室で学年に応じた教科書をくり返し読んで、ノートなんて貴重品だからねん土を固めた石板に細いロウ石で書く。石板はノートよりすこし大きいだけだから、いっぱいになったらボロ布で消す。そ開前の学校と同じだ。
自習してて分からないことがあったら、帆針教官のところへいって教えてもらう。この人は、生徒をいじめたりはしない。他の教官からかばってもくれないけど。
昼に休けいが一時間あるけど、空きっ腹を抱えて外で遊ぶのは、年少者の一部だけ。勉強してるやつも少なくない。
みんな、すごく真けん。なのも当然だった。月末ごとにテストがあって、六十点以下だったらチョウバツを受ける。ふつうの学校だったら、チョウバツといってもビンタとかろう下バケツとか、厳しくてもホウキ正座(ひざの裏にホウキをはさむ)だけど、ここでは竹刀がいちばん軽くて、革ベルトだったり、チンチンにオキュウとか、樹にひと晩縛り付けるとか。冬だったらこごえるし、夏は全身を虫に射される。
だから、おれも必死に教科書をにらみつけるんだけど、そ開してるときはろくに授業を受けてないし、一年前からはまったく勉強してないから、チンプンカンプンだ。ふろう児になってから身に着けた世間知ってやつは、通用しない。
そうそう。ずっと気になってたスリコギを立てたイスだけど。すくなくともこの日は、だれも座らされなかったし、革バンドで縛り付けられることもなかった。これはチョウバツとか特別な場合にだけ使うんだそうだ。それを教えてくれたのは 織倍勝介って同い年のやつだけど、どういうのが特別かというのは「そのときなれば分かるよ」だとさ。
教室で半日を過ごせるのがどんなに幸せかというのを、翌日に思い知らされた。
収容所での三日目は、教室での自習じゃなくて、広い庭で職業訓練を受けさせられた。男子はほぼ全員だけど、女子は半数の七人だけ。かん別所から来た二人は除外されて、ソノは入っていた。
「ふろう児をやとってくれる所など、金のわらじでも見つからん。芸人になってサーカスや見世物小屋で客に笑われながら生きていくのが精いっぱいだ。だから、そういう芸を仕こんでやる」
親方にしぼり取られるクツみがきだって路上立売だって、これ以上増えたって客は増えないし、新聞配達なんかは身元保証人がいないとダメだし。女の子は夜の商売があるって聞くけど、どうやらオマンコと関係あるらしいと、おれにも分かってきた。やりたがらない子も多いよな。
でも、だからといって。おれたちが仕こまれた芸ってのは、大道で演じたら一発でけいさつにしょっ引かれるだろうくらいは、つばなれしてない子にだって分かるぞ。
おれたちは、チンぶくろや縄フンドシを外して、ほんとうの全裸にされた。U字輪っかもスリコギも無くなって、それは快適なんだけど。
最初に仕こまれたのは犬芸。チンチンとオテを裸の子供にやらせて、何が面白いんだろうって、最初は思ってたけど。とにかくヒワイでくつじょく的だというのが、次第に分かってきた。
基本姿勢はオスワリ。尻を地面に着けて、軽く開いた足の間に両手をついて。
それからチンチン。これも犬と同じ。口を半開きにして舌を出して、ハッハッハッとうれしそうに息をはかなきゃならない。中腰になって、しっぽの代わりに尻をふらされる。
その後が、人間犬にしか出来ないマンマン。オスワリと同じ姿勢になって、足は筋肉がけいれんしそうになるまで開く。そして、女子は両手で割れ目を左右に引っ張って、おくの院(というんだと、初めて知った)まで『ご開帳』しなきゃならない。
他の子は何回もやらされて手慣れたものだけど、それでもはずかしそうにしている。
ソノは、うすい乳房を竹刀の先でぐりぐりこじられて、泣きそうな顔になって、『ご開帳』した。
男子にはマンマンが無いけれど。マンマンをしてる女子とななめに向かい合って(正面は観客に開けておく)、両手を後ろについて腰をうかして――『ご開帳』を見ながら、チンチンを固く大きくしなくちゃならない。犬だから、手を使えない。女子は手を使わないとマンマンが出来ないんだから、こういうのをご都合主義というんだな。
チンチンなんて、自分の思い通りにならない。なるんだったら、九九を覚える必要が無い。とは思ったんだけど。西司照代のマンマンを見せつけられたら、これ以上はないってくらいになっちゃった。
割れ目の内側にビラビラがあって、そのおくのつき当たりに開いてる穴がチンチンを入れる所らしい。上のほうにある小さな穴からは、おし●こが出るんだろう。小さビラビラが上で合わさってるとこが盛り上がってて、小豆よりも小さいけれどチンチンの先っぽ見たいのが顔をのぞかせてる。何だろう、これ?
「なんだぁ……おまえ、ぬらしてるのか?」
コンクリのすっとんきょうな声。ソノの股間をのぞきこんでる。
しゃがみこんで、『ご開帳』に指をつき差した。
「動くな」
後ずさろうとするソノをしかりつけて、指を中で動かす。
「ますますぬれてくるな。いん乱なガキだ」
いん乱てのは、ヒワイでミダラなことが好きって意味だよな。ソノが、そんなこと、あるもんか。
「いや、いん乱というのは当たっておらんだろう」
所長の意見に賛成したのは、これが初めてだった。
「ろ出きょうか、あるいはマドかもしらん」
コンクリんが、きょとんとする。
「ガラスをはめた窓ですか?」
「いやいや。男に痛いことやはずかしいことをされて喜ぶ女のことをマドイストというのだ」
「へええ。そんな女がいるんですかね」
「物の本には、そう書いてあるがね。女をいたぶって興奮する男をサゾイストという。これはいくらでも実例がある。そうだろう、薄野教官」
「所長は男女を問わずじゃないですか」
コンクリの半じょうには取り合わずに、所長が持説を続ける。
「サゾイストが存在するのだから、マドイストだって居るだろうさ」
「そうですかねえ。こいつだって、ぶったたいたら、他のガキと同じ――いや、それ以上に泣きわめきますよ」
「女のいやよいやよは好きのうちというやつかもしらんな。表情や声にだまされず、マンコを良く観察することだな。舌の口は、うそをつかんよ」
こいつらの話はチンプンカンプンだけど、ソノがぶじょくされているのはわかった。でも、どう反論していいか分からないし、どんな悪口だって、竹刀でたたかれるよりはマシだから……ソノの目をじっと見つめてはげましてやるだけにしておいた。
ひとしきりサゾマド談議が終わって職業訓練の再開。訓練てよりも、調教だ。
ここからは、男子が二組に分けられた。女子といっしょに芸を覚える組と、教官の代理を務める連中と。
覚えさせられたのは、オアズケ、ヨシ、アムアム、ゴックン。胸くそ悪い。
教官の前にオスワリして、「クウン」とか鳴いて。ヨシと言われたら、目の前のチンチンをくわえる。射ち方用意ヨシのもあれば射ち方ヤメのもある。女子の前の大ホウは用意ヨシで、男子の前にあるのは、おおむね垂れてる。例外は、おれの前に立った所長くらい。
チンチンを口に入れるなんて、男としてがまんできないくつじょくだ。女だって同じだと思う。なのに。
「ますます下の口からよだれが垂れているな」
ソノの正面に立ったコンクリが片足を上げて、股間をつま先でつついてる。
自分がぶじょくされたみたいで腹が立ったんだけど――ソノには聞こえていないのか、目を閉じてひたすら頭を前後にゆすっている。コンクリのチンチンが口を出入りしている。腰をこんなふうに動かせと、おれが若ババに言われた通りの動き方を頭でしている。ソノは頭の動きに合わせるように、腰も左右にくねらせている。コンクリは足を動かしていないから、割れ目を自分からこすり付けているってことだ。
「よそ見するな」
所長に金玉を軽くけられて、おれは目の前の射ち方用意ヨシに向き直った。やればいいんだろ、やれば。
口を開けて顔を近づけ、ぱくんとくわえた。むわあっと、オトナの男の体しゅうが鼻にあふれた。なんだか、きゅろんとした歯ざわり、舌ざわり。
「かむんじゃない」
チンチンをふんづけられた。
「もっと舌をからませろ。ていねいにしゃぶれ。頭を前後にゆすれ。くちびるをすぼめて全体をすすりこめ」
あれこれ言われて、頭がこんぐらかる。とにかく、口の中の棒こんにゃくみたいなやつを、あむあむぺろぺろずぞぞぞ……。
「手は後ろで組んでおれ」
手を使ってしごいたり金玉をもんだりすると、白いおし●こ(精液というんだそうだ)が早く出るって――後でソノか言ってた。どうして、そんなことを知ってるんだ。そんなことまで、あのウソ親せきの医者に仕こまれてたのか。は、置いといて。
「ええい、下手くそめ」
所長は両手でおれの頭をおさえつけて、激しくゆすぶりながら自分でチンチンを出し入れしはじめた。鼻がめりこむほど激しく腰を打ちつけてくる。
「んぶぶぶぶ……」
脳しんとうを起こしそうだ。
棒こんにゃくがいっそう太く固くなって……びゅくびゅくっとふるえたと感じたと同時に、のどのおくに水鉄ぽうを射ちこまれたような感覚があった。
「うげ……うっぷ……」
「はき出すんじゃない。そら、ゴックン」
カルキとスルメを混ぜたようなにおいが鼻に広がる。こんなえぐいのを飲めっていうのかよ。でも、飲まないと何をされるか分からない。口の中につばをためて、のどのおくに引っかかっているやつを飲み下した。
これで、オアズケ、ヨシ、パックン、アムアム、ペロペロ、ガシガシ、ゴックンがひと通りは終わった。ふた通り目は無し。
犬芸の調教が終わっても、職業訓練は続けられる。次はブタ競争。
太い二またのつり針みたいのを鼻の穴に引っかけられて、頭に巻いたハチマキに輪ゴムでつながれた。ハチマキの後ろからもひとつだけつり針を付けた輪ゴムが左右に引きのばされて、鼻の穴に引っかけられた。鼻が上下左右にひしゃげて、たしかにブタ顔だ。
それから、四つんばいになって。手首を二の腕に、足首は太腿に縛り付けられた。ひじとひざでハイハイしなきゃならない。短い四つ足は、ますますブタそっくり。
太くて長い針金の付いた小さめのスリコギが、男女ともこう門につっこまれた。針金は視力検査の輪っかみたいに曲がっていて、反対のはしには先たんが丸められたパイプがかぶせてある。
男子は、それをチンチンにつき差さされた。要するに、おれが着けさせられていたスリコギとU字輪っかだ。
男子のパイプは直径が一センチくらいなのに対して、女子のはスリコギくらいに太い。それを割れ目のおくのチンチンを入れる穴におしこまれた。だれもそんなに痛がらなかった。
最後にひとりずつ、針金の底が地面をこするように曲げ具合を調節された。
庭一面に、レンガやら丸太やらが並べられた。それを乗りこえて庭のはしからはしまで四つんばいで進む障害レースだ。
女子は七人で一組。男子は二十六人もいるので、八人と九人で三組。それぞれの組の一等には、夕食に玉子焼きを追加してもらえる。逆に、ビリは夕食ぬき。そりゃあ、真けんになるよな。ただし、競争は一回じゃない。三回やって、その結果を紙に書いておく。全部の競争が終わってから、折り返されている紙のはしを開くと、どれが本番だったか分かるという、あみだクジみたいなやり方だ。
最初は女子の組からだったけど。
「おまえはぼう主頭だから、男子と競争しろ」
ソノが外されて、おれのいる組に入れられた。まあ、年下の子も混じってるから、そいつにはかわいそうだけど、ソノはビリをまぬがれるだろう。
「ヨーイ、ドン!」
六人の女子がいっせいにかけ出した――んじゃなく、よちよち進み始めた。
ブタ顔にされた女の子がブタみたいによたよた進むのはコッケイだけど、なぜかチンチンが固くなってきて、針金のせいですごく痛い。
並べられた丸太を乗りこえるところで、六人が同じように立ち止まった。顔をしかめたり息をつめたり。なかなか進まない。針金がつかえてるんだ。無理に進もうとすると、スリコギとパイプで二つの穴をこじられる。それがつらいみたいだ。
最初に通過したのは、木津芽子という、おれと同い年の子。二番手が、マンマンのときにおれに見せてくれた照代だった。この子、四つんばいになると、腹がぷっくりつき出ている。
「照代も、なかなかがんばるな」
「もう五か月でしょ。こういう遊びは、お腹の赤ちゃんに良くないですわ」
「なあに、これくらいで流れるひ弱な子は要らん」
所長と若ババの会話で、照代がにんしんしてるというきょうがくの事実が判明した。あいつだって、まだ子供だぞ。
おどろいたのは、おれとソノだけらしい。会話は聞こえてるはずなのに、だれも知らん顔をしている。
「ああああん……」
苦しそうなうめき声をあげたのは、 武水蘭子だった。照代と同じ最年長者だ。丸太に輪っかをのし上げて、腰を前後にゆすっている。そんなことをしたら、穴をこじられていっそう苦しくなるだろうに。
「いい、いいよおおお……きもちいいよおお」
ええっ……?!
気持ち好いって聞こえた。
今度は、おどろいてるのは、おれひとりみたいだ。ソノはうつむいて顔を赤くしている。ああいうふうにしたら、ほんとに気持ち好いんだろうか??
三分くらいで、蘭子をのぞく五人は丸太を乗りこえた。身体を横向きにして輪っかを丸太に沿わせて転げ落ちたり、後ろ向きに背中でずり上がったり。
散らばっているレンガはよけて通れるから、丸太みたいな苦労はなかった。
五人がゴールインしても、蘭子だけは丸太でつっかえている。
「いい加減にしろ。腹の子が流れるまでなぐられたいのか」
コンクリにどなられて、蘭子も丸太を乗りこえた。正面からのし上げて、わざと手足を宙にうかせて――針金が体重でひしゃげてしまった。ので、そこから先はレンガなんか無視して一直線に進めた。ううむ……その手があったか。でも、なんで最初からそうしなたったんだろう。気持ち好いってのは、負けおしみじゃなかったんだ。
ずいぶん時間がかかったけど、とにかく二組目の競争。ぼくとソノの組だ。
「ヨーイ、ドン」
スタートラインに並ぶまでに分かっていたけど、前へ進むだけなら針金もたいしたさまたげにはならない。チンチンにびみょうなしん動が伝わって痛くすぐったいけど、それだけのことだ。
でも、ソノはしん動がつらいらしい。丸太に取り付くのがひとりだけおくれた。
丸太だって、乗りこえるのが困難な障害というほどじゃない。いきなり、これをやらされていたら、ずいぶんと苦しんだかもしれないけれど。高圧放水を浴びせられたり、焼印をおされたり、ひと晩じゅう大股開きで二つ折りにされていたり、変ちくりんな装具を着けさせられたり、竹刀でたたかれ金玉をけられ……苦痛とかくつじょくには、ずいぶんとめんえきが出来ている。
男子八人が一団となってコースの半ばに差しかかったとき、ソノはやっと丸太をこえたことろだった。このままだと、確実にビリだ。今回が本番とは限らないけど、本番だったら食事ぬきだ。一回ぬかれたからって、命に係わることじゃないし。でも、ソノの目の前でおれだけが飯を食うのは……おれが、つらい。
なんて迷いながら、のろのろ進んでたら。前をよくみてなかったので、レンガの角に輪っかを引っかけちまった。ずにゅっと、チンチンから針金がぬけかけて……痛くすぐったい中に、はっきりと快感があった。
そうだ。蘭子の前例があることだし。おれは、すこしバックして、また輪っかをレンガに引っかけてみた。ずにゅ……気持ち好い。またバックして、姿勢を低くして針金をチンチンにおしこんで、またレンガに引っかけて。チンチンが固くなってくると、ますます気持ち好い。
「真三。おまえは、ベッドにこう束した後で竹刀を五発くれてやる。十発にされたくなかったら、さっさと進め」
コンクリにどなられて、我に返った。ソノの尻が三メートル先にあった。ので、真後ろからついて行った。
短くされた足がぴょこぴょこ動いて、そのたびに尻が左右にくねる。割れ目からのぞく太いパイプも、すごくエロチックだ。あまり見つめ過ぎるとチンチンが固く痛くなってくる。でも、見続けてしまった。
残り二組も競争が終わったところで、おれと蘭子は列外にされた。
「真面目に競争をしなかったから、残りの競争には関係なく飯ぬきだ」
「はい、ありがとうございます」
後出しジャンケンみたいなコンクリの宣告に、蘭子はすぐに返事をした。どんなひどいことを言われても、この返事しか許されていない。
おれも、何秒かおくれて同じ返事をした。三分の一の確率でしかないけど、ソノを護ってやれたというほこらしさが混じっていた。
蘭子は、さらに追加のチョウバツを課された。頭の後ろで手を組んで上体を垂直に保ったままでの、ひざのくっしん運動を百回。それだけでも厳しいと思うけど、丁字形のくいを両足でふんで、その上でやらされる。くいの垂直に立った部分は先細りになっていて、長さが五十センチで直径は四センチ。ひざをいっぱいに曲げると、こう門がくし差しになる。
「マンコはたん能しただろうから、ケツ穴でも遊ばせてやろうという親心だ」
「はい、ありがとうございます」
さっきの返事は不満たらたらが顔に出ていたけど、今度はほんとにうれしそうにも見えた。まあ、こいつは十四人の女子の中で飛び切りのブスだから、うれしそうな顔もオニがアカンベエをしてるみたいだけどな。
なんて、他人のことをどうこう言ってる場合じゃない。
「おまえは苑子と仲が良いから、二人には所長どのに特別の芸を仕こんでいただくとしよう」
結局、ソノまで巻きこんじまった。
おれとソノはブタ競争の列から引きはなされて、裏庭へ連れて行かれた。コンクリはその場で思いついたような言い方をしたけど、特別の芸のための準備は、すでに整っていた。バケツと火ばしと縄と赤いチャンチャンコと兵隊ぼうと鞭。鞭は細長い一本の革。六年くらい前に見たサーカスで、もうじゅう使いがふり回していたのとそっくりだった。
チャンチャンコはソノが着て、おれが兵隊ぼうを後ろ前にかぶる。長い縄はソノの首に巻いて、おれが反対のはしを持つ。鞭は使わないと知って、ひと安心。
そして、ひっくり返したバケツの底をおれが火ばしでたたきながら、所長から口移しで口上を述べる。
カンカンカンカン……
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい。サルまわしでござーい」
サルの仕種を真似ながら、ソノが飛んだりはねたり。
おれはアホらしいだけで済むけど、ソノがかわいそうだ。
「はい、ソノちゃん。でんぐり返り。今度は後ろ向き」
ソノは後ろでんぐり返しが出来なかった。
「ね転がったまま、足を開いて顔をかくせ」
所長は、とにかくヒワイな形にさせようとする。
「はーい。頭かくして尻かくさずならぬ、頭かくしてマンコかくさずでござーい」
かくした手の間から、ソノがくちびるをかみしめているのがうかがえた。
宙返りをしろだの、番がさの上でボールを回せだの、所長は次々と無理難題をふっかけてくる。おれだって出来ない。
「サルには、身体で芸を覚えさせるのだ」
所長が鞭をおれに持たせた。
「それで存分にたたいてやれ」
おれは鞭を投げ捨てた。
「仲間をたたくなんて、出来ない。たたくんだったら、おまえがおれをたたけよ」
「そうか」
所長のやつ、おこったふうでもなく鞭を拾い上げて――いきなり、ソノをたたいた。
ぶゅんん……バチイン!
「きゃああっ……!」
不意打ちに胸をたたかれて、ソノは胸をかかえてしゃがみこんだ。
「やめろ!」
所長はソノをけって転がして、背中をふんづけた。身動きできなくしておいて。
ぶんっ、バチイン!
ぶんっ、バチイン!
ぶんっ、バチイン!
立て続けにを尻を打ちすえる。
「くそっ……やめろ!」
所長の腰にしがみついて引きはなそうとしたけど、力でかなうはずがない。
おれをつき飛ばして、また鞭をふり上げる。
「お願い、兄ちゃん。あたしをたたいて!」
ソノがさけんだ。
「ええっ……?!」
いろいろと、おれはびっくりした。
ソノに『兄ちゃん』なんて呼ばれたのは初めて。しかも『ぼく』じゃなくて『あたし』。ほんっとに、ソノは女の子になっちまった。なんてのは、いろいろの付け足し部分。おれに自分をたたいてくれってのが、一番のびっくり。
だけど冷静に考えると――所長に目茶苦茶にたたかれるよりは、おれに手加減されながらのほうが、ずっといいかな。
「小ぞう、どうする? 好きな女の願いをかなえてやるか?」
「……はい、ありがとうございます」
所長は満足そうにうなずいて、おれに鞭をにぎらせた。
ソノは実は女の子だったけど、おれの弟分に変わりはない。好きな女なんかであるもんか。でも反論したって、おこらせるだけだ。それに、言われてみると……おれはソノが好きだし、ソノは女の子だ。
「何をしている。さっさとたたけ……いや、その前に」
所長はソノを立たせ、頭をかかえる姿勢を取らせた。
「よし、しょげているサルを存分にセッカンしろ」
ごめんよ。心の中で謝りながら、おれはソノの尻をたたいた。
ペチン。
「何をしておる。本気でたたかんか。これくらいだ」
ぶううん、バッヂイイン!
「あぐっ……」
所長のやつ、ズボンの革ベルトを鞭の代わりにして、おれの尻をたたきやがった。
ぶううん、バッヂイイン!
「まごまごしとると、こいつで愛しい女房をたたいてやるぞ」
ソノは女房なんかじゃないやい。けど、音から判断すると、鞭よりも革ベルトのほうが痛そうだ。なにより、わん力がちがう。
「ソノ、がまんしろよ!」
おれは力一ぱいに鞭をふるった。
しゅん、バチン!
「きゃあっ、痛い……」
ソノは悲鳴を上げたけど、ウソだとは思わないけど、余ゆうのある悲鳴だった。
「ガキは非力だから、しょうがないか。数を打て」
しゅん、バチン!
しゅん、バチン!
しゅん、バチン!
所長にたたかれた太く赤い筋の上に、ぼやけた細い筋が何本も重なっていく。所長は焼印の火傷をさけてたたいてたけど、おれにはそんな器用な真似はできない。火傷が治って肉が盛り上がったとき、形がくずれないだろうか。不名よ極まりない刻印だけど、ぐちゃぐちゃになってるよりはきれいなほうが、まだしもだと思う。
「よかろう。サルらしい真っ赤なケツになったな」
所長が満足そうに言ったのは、二十発ちかくもたたいてからだった。でも、まだ終わりじゃなかった。
「ついでだ。鞭打ちの指導をしておいてやろう」
さすがに、かんにんぶくろのオが切れた。
「ソノがちゃんと芸を出来ればいいんだろ。そっちを指導して……ください、所長どの」
最後は、切れたオをあわてて結び直した。
「メスザルが泣きさけぶのも芸のうちだ」
「そんなの、おれには出来ない!」
やっぱり切れちゃったぜ。
「では、こうしよう。わしがおまえを一発たたく。同じことを、おまえが女房に三回くり返すのだ」
「…………」
損得かん定で言えば、おれがたたかれるだけ損だ。でも、ソノが感じる痛みをおれも感じるとしたら、オアイコって考え方もできる。
「所長どの。お兄ちゃんをたたかなくても、お兄ちゃんはあたしをたたいてくれます」
「サルは口を利くな」
所長がソノに向かって鞭をふり上げたので、あわててソノの前に立った。
「おれをたたいてください。ソノは、おれがたたきます」
「ふふん。なかなか素直になったな。愛しい女房のためか。それとも、案外におまえもマドイストかな」
なんとでも言え。おれはたたかれるために、所長に尻を向けた。
「そうではない。こっちを向いて、鞭は置いておけ」
正面をたたかれると分かっても、命令に従うしかない。さらに、両手を頭の後ろで組んで、足も開かされた。すごく不きつな予感しかしない。
ぶううん、バッヂイイン!
「ぐっ……!」
胸を水平にたたかれて息がつまった。
ぶううん、バッヂイイン!
ぶううん、バッヂイイン!
立て続けに五発たたかれた。ということは、おれはソノを十五発もたたかなきゃならない。
「これからが本番だぞ」
所長が革ベルトを下に垂らした。
不きつな予感が当たった。ひざがガクガクふるえる。
ぶううん、バッヂイイン!
「うあああっ……!」
「お兄ちゃんっ……」
ベルトは太腿をかすめて股の付け根の右側に当たったけど、金玉にもすこし当たった。だけで、もん絶寸前。両手で股間をおさえて、おれはのたうち回った。
「情けないやつだ。直げきしたら玉が破れつして殺しかねないから、わざと外してやったのだぞ。さっさと立て。それともけりつぶされたいのか」
股間をかばっている手を後ろからつま先でつつかれて、おれは歯を食い縛って立ち上がった。でも、すぐに元の姿勢にはもどれず、何回かケンケンをして、やっと痛みはがまんできるくらいまで治まった。
ぶん、バチン!
「…………!!」
軽い打ち方だったけど、今度は直げきされた。おれは、また地面に転がった。
「女には金玉が無いから、手加減はするな」
おれは片手で金玉をおさえながら、片手はひざに当てて、よろよろと立ち上がった。あまりに痛くてケンケンもできない。
「ひとつ、大切なことを教えておいてやろう」
背中をたたくときは、背骨に当たらないように気をつけろ。せきずい神経を傷つけると、手足が動かなくなってカタワになる。下手をすると殺してしまう。しかし、それ以外は安全だし広い面積があるから、鞭を水平かななめにふるえば、たくさんたたいてもだいじょうぶだ――という、ぞっとする教えだった。
「なんなら、今から身体で体験してみるか。それとも、今すぐ女房をたたくか」
ソノをたたかなくて済むのなら、背中を百発たたかれたって平気だ。でも、そうしたらソノを三百発も鞭打たなければならない。
おれは腹綿をにえくらかしながら、鞭を拾い上げた。
「貧相な乳房に十五発、中古いん乱マンコに六発だぞ」
「…………」
ソノがおれに向かって、鞭を正面から受ける姿勢を取った。
「ソノ、ごめんよ……」
「余計なことは言うな。おまえは、出来の悪いメスザルをしつけている太夫だ。それらしい言動をしろ」
「うきいい……」
ソノがサルの鳴き真似をした。おれをかばってくれたんだろう。ソノの心配りに応えるためには……おれは、ソノを鞭打たなければならないんだ。
おれは心をオニにして鞭をふるった。
しゅん、バチン!
「うっきゃああっ……!」
サルの泣き声に似ているけど、たしかに悲鳴だった。この悲鳴を、あと二十回も聞かなきゃならないい。
しゅん、バチン!
「うっきゃああっ……!」
しゅん、バチン!
「きいい……」
しゅん、バチン!
「きひっ……」
だんだんとソノの悲鳴は小さくなって、五発目からは声を出さなくなった。
そのぶん、おれは罪悪感がうすれて、ソノのささやかな乳房を機械的に鞭打ち続けた。ささやかでも、鞭が当たるたびにぷるんとはずむ。
「ちょっと待て」
十三発目に制止された。
所長はソノの足をふんづけるんじゃないかってくらいに近づいて、曲げた中指をソノの割れ目に差し入れた。
「あ……」
ソノが、びくんと身をふるわせた。
所長はごにょごにょと手を動かしてから指を引きぬき、目の前にかざした。ねとっとぬれている。所長が親指と中指をくっつけてはなすと、糸を引いた。
「これだけ鞭打たれて、ぬらしておるとは。まさしくマドイストだな。そんなに痛いのが好きなのか」
「ちがいます!」
ソノがもう然と否定した。これまでは何を言われても悲しそうにうつむいてなみだをうかべるだけだったのに。
「痛いのはいやです。お兄ちゃんが、あたしのために受けなくてもいいセッカンをされて……うまく言えないけど、あたしと痛みを分かち合ってくれてるのが、うれしいんです」
「では、これはうれしなみだか」
所長は指を二本にして、またソノの割れ目をえぐった。親指で下腹をおさえるようにして、手全体をぐりぐりと動かした。
「くうう……」
ソノはまゆをぎゅっと寄せてたえている。チンチンをねじられたら痛いよな。それと同じなんだろう。
「おや……おまえはおっ立てているじゃないか」
えっ……?
下を見ると、チンチンが固くなって、腹にくっつきそうになってる。おれは、ソノがいじめられるのを見て、それともおれ自身がソノをいじめて、それで……興奮してるんだろうか。そんなばかな。
「さてはサゾか。いや……サゾとマドが一人の中に同居しているとも読んだ記おくがあるぞ。おまえは、まさしくそれだな」
決めつけるな。いじめるにしてもいじめられるにしても、それで興奮するなんて変態だ。おれもソノも変態なんかじゃない。
「よかろう。まだ乳房に二発、とっておきのマンコには六発が残っている。思い切りマド女房をなかせてやれ」
何度も女房なんて言われてると、心の中ですら反発する気力が失せてくる。さっさと終わらせないと、どんな無理難題をふっかけられるか分からない。
ソノ、ごめんよ。また心の中で謝って、おれは鞭を水平に構えた。
ソノは両手を頭の後ろで組んで足を開いて、しゃんと立っている。なみだでぬれているんだろう、きらきら光るひとみが、まっすぐおれを見ている。
しゅん、バチン!
「…………」
ソノは身体をゆるがせもせずに無言でたえてくれた。可愛い乳房だけが横にひしゃげて、ぷるんともどった。
しゅん、バチン!
ようやく十五発を打ち終えた。でも、まだ六発も残っている。胸とは比べものにならない激痛を、ソノにあたえなければならないんだ。
おれのためらいに気づいたんだろう。ソノが、ぐっと腰をつき出した。
「お兄ちゃん、ちょうだい。ソノのオマンコに鞭をちょうだい」
すこし開いた割れ目からは、あのとろっとした液が垂れている。だけど、おれも……チンチンが立ったままだ。
それぞれの心の中は、他人には分からない。仲の良い女の子を鞭打って興奮している男の子と、男の子に鞭打たれて喜んでいる女の子――他人の目には、そうとしか見えないだろう。
そんなこと、あるもんか。そう思いながら、おれは……下に垂らした鞭を手加減無しではね上げてしまった。
しゅんん、バヂイン!
「きゃああああっ……!」
胸を打たれていたときとはまったくちがう、はき出すような悲鳴だった。
背筋が、ぞくっとした。それは快感とか興奮じゃない。すりガラスをつめで引っかいたときのような気味の悪さだった。チンチンもしょげ返った。
そうか……胸を鞭打っていたときは、ソノに余ゆうがあるのが分かってたから、いけない遊びをしているようなさっ覚にとらわれていたんだ。でも、ここまでソノが痛がると、さっ覚はふっ飛んでしまう。
「さっきまでの勢いはどうした。ちょっと大声でさけばれただけで委縮しおって」
そういう所長も、ズボンの前はぺちゃんこ。サドイストなら、興奮してるんじゃないかな。それとも、大人が本気で子供をたたいたら大け我をさせてしまうから、冷静を保って限界を見極めようとしてるのかな。
だとしても、こいつにソノをたたかせたくなはい。だったら、おれがたたかなくちゃ。おれは二発目をソノの割れ目に打ちこんだ。
「いぎゃああああっ……!」
ごめん、ごめんよ……おれは、ぼろぼろなみだをこぼしながら、さらに三発を打った。打ち終えると同時に、その場にへたりこんだ。
ソノも頭の後ろで組んでいた手をほどいて、股間をおさえてひざをついている。
「すこし痛めつけすぎたかな。これでは芸を仕こむのは無理だろう」
ようやく、バカバカしい限りの残こくきわまりない調教が終わった。だけどソノには、まだ次の苦痛が残っていた。縄フンドシだ。鞭打たれてはれあがった割れ目に結びこぶを食いこませてしめ付けなければならない。痛いから自分ではきつく結べないのだろう。所長に不合格を食らい、ぎりぎりにしめ上げられて、また悲鳴をあげた。
おれは、もう平気だぞ。スリコギもU字輪っかも、慣れてしまった。だから、チンぶくろだって、チンチンと金玉をひとまとめにねじったらもげてしまいそうなくらい、ヒモをきつく結んだ。それでも、ソノの受けている苦しみの百分の一にもならないだろうけど。
========================================
現在は『鬼畜米軍人』を執筆中。ここは今日中に終わって。次の休日までに『東西獅子舞』をやっつければ、あとは一車千里日本縦断往復、かな?
恒例のDLsite Affiliate キーワードは「犬芸 or 猿回し」です。「豚芸」は無かった。
どういうことかというと、リンク先の記事の末尾を参照→
それはさて措き。
今回の御紹介は前回の続きとなる章です。
========================================
訓練と調教
裏庭の一画に、細長い屋根が建っている。というのも、おかしな表現だけど。かべが無いんだから、小屋じゃない。その屋根の下にほられたミゾが、生徒の便所。教官の宿舎になってるカマボコのほうにはアメリカ式の立派なトイレがあるけど、生徒は使用禁止だ。
使用禁止といえば、フロもそうだ。古株の生徒の話だと、カマボコにはシャワー室というのもあったそうだ。だけど、水道も電気もガスもないんだから、宝の持ちぐされ。つぶして、しん室や広間を広げたそうだ。
じゃあ、フロはどうしてるかというと、裏庭のすみにドラムかんの五エ門ブロがある。入れるのは教官だけで、俺たちは残り湯で身体のアカをこすって落とすだけ。
さらに残った水が、ミゾに落ちた大きいやつを流すのに使われるんだ。だから、時間も回数も制限されてる。
年長の男子から十二三人がいっせいにしゃがんで用を足す。終わったやつはぬけて、そこを、年少者、女子の順でつめていく。
他の連中は女子も平然とシャアシャアブリブリやってるけど、おれたち新入りは悪戦苦とう。そりゃ、昨日も昼と夕方とねる前に使ってるけど、小のほうだけだったから。
その小も、おれ以外の三人は大変だったんだぞ。野ションはだれだって経験してるけど、オトナの男に見られながらってのは初めてだもんな。
コンクリに竹刀で下腹部をつつかれたり、ソノより年上の貞女なんか、割れ目の中にある(らしい)おし●この穴をコヨリでくすぐられて、ようやくだった。
おれはU字輪っかで針金をつっこまれてても、わりあい簡単に出来た。焼けるようなくすぐったいような痛みがあって、そのし激のせいで固くなって、そこからは簡単じゃなくなったけど。
大きいのは朝だけで、昼間は木の棒(おれだけスリコギ)でふさがれるから、うんと力んで、なんとか出せた。
それから、男子はチンぶくろ、女子は縄フンドシを自分の手で着けて。おれはU字輪っかも。これを自分で装着するのは、結構むずい。いじってるうちに固くなったりすると、必死に九九を唱えなきゃ。
教官が点検して、特に女子はフンドシがゆるかったりすると、結びこぶが割れ目に食いこむまでしめ上げられる。そうされると一日じゅう大変なんだと、これは後からソノに聞いた。ただ痛いだけじゃないらしいけど、それ以上の具体的なことは教えてくれなかった。
身支度(?)が整ったら、すい事係の女子三人を除く生徒全員が、鉄条もうの外にある畑で農作業。半裸で野良仕事はそ開先でさんざんやらされたことだけど、チンチンに太い針金をつっこまれて、こう門にはスリコギなんてのは、もちろん初めてのくつじょくだし痛いし。
おれは身体を動かしながら、ずっとソノを目で追いかけてた。あいつが女の子だったなんて、まだ信じられない。まして、イガグリ頭だもんな。でも、日本一可愛いイガグリ頭だと思うぞ。
そうそう。野良仕事で一番きついのが、野外便所で流した先にある肥ツボからの肥くみ。オケに入れて畑まで運んで、ヒシャクでまく。力仕事ってわくじゃなく、とにかくばっちい。裸で作業してるから、服は汚れないけどな(皮肉)。
きついと言えば、山水を引いた貯水そうから台所やドラムかんブロへの水運びのほうが重労働だけど、水が飲み放題だから、生徒には人気がある――わけ、ないだろ。バッ直制で、他のやつがのんびりしてるときまでこき使われるっていうのに。
農作業が終わったら、黄変米と食料えん助物資のオートミールとかいうやつとカボチャとそこら辺の雑草(としか思えない)と、ちょっぴりのニボシとを混ぜたおかゆ。
ほんとうに朝から夕方までふつうに学習だった。といっても、教師は帆針教官だけ。全員がひとつの教室で学年に応じた教科書をくり返し読んで、ノートなんて貴重品だからねん土を固めた石板に細いロウ石で書く。石板はノートよりすこし大きいだけだから、いっぱいになったらボロ布で消す。そ開前の学校と同じだ。
自習してて分からないことがあったら、帆針教官のところへいって教えてもらう。この人は、生徒をいじめたりはしない。他の教官からかばってもくれないけど。
昼に休けいが一時間あるけど、空きっ腹を抱えて外で遊ぶのは、年少者の一部だけ。勉強してるやつも少なくない。
みんな、すごく真けん。なのも当然だった。月末ごとにテストがあって、六十点以下だったらチョウバツを受ける。ふつうの学校だったら、チョウバツといってもビンタとかろう下バケツとか、厳しくてもホウキ正座(ひざの裏にホウキをはさむ)だけど、ここでは竹刀がいちばん軽くて、革ベルトだったり、チンチンにオキュウとか、樹にひと晩縛り付けるとか。冬だったらこごえるし、夏は全身を虫に射される。
だから、おれも必死に教科書をにらみつけるんだけど、そ開してるときはろくに授業を受けてないし、一年前からはまったく勉強してないから、チンプンカンプンだ。ふろう児になってから身に着けた世間知ってやつは、通用しない。
そうそう。ずっと気になってたスリコギを立てたイスだけど。すくなくともこの日は、だれも座らされなかったし、革バンドで縛り付けられることもなかった。これはチョウバツとか特別な場合にだけ使うんだそうだ。それを教えてくれたのは 織倍勝介って同い年のやつだけど、どういうのが特別かというのは「そのときなれば分かるよ」だとさ。
教室で半日を過ごせるのがどんなに幸せかというのを、翌日に思い知らされた。
収容所での三日目は、教室での自習じゃなくて、広い庭で職業訓練を受けさせられた。男子はほぼ全員だけど、女子は半数の七人だけ。かん別所から来た二人は除外されて、ソノは入っていた。
「ふろう児をやとってくれる所など、金のわらじでも見つからん。芸人になってサーカスや見世物小屋で客に笑われながら生きていくのが精いっぱいだ。だから、そういう芸を仕こんでやる」
親方にしぼり取られるクツみがきだって路上立売だって、これ以上増えたって客は増えないし、新聞配達なんかは身元保証人がいないとダメだし。女の子は夜の商売があるって聞くけど、どうやらオマンコと関係あるらしいと、おれにも分かってきた。やりたがらない子も多いよな。
でも、だからといって。おれたちが仕こまれた芸ってのは、大道で演じたら一発でけいさつにしょっ引かれるだろうくらいは、つばなれしてない子にだって分かるぞ。
おれたちは、チンぶくろや縄フンドシを外して、ほんとうの全裸にされた。U字輪っかもスリコギも無くなって、それは快適なんだけど。
最初に仕こまれたのは犬芸。チンチンとオテを裸の子供にやらせて、何が面白いんだろうって、最初は思ってたけど。とにかくヒワイでくつじょく的だというのが、次第に分かってきた。
基本姿勢はオスワリ。尻を地面に着けて、軽く開いた足の間に両手をついて。
それからチンチン。これも犬と同じ。口を半開きにして舌を出して、ハッハッハッとうれしそうに息をはかなきゃならない。中腰になって、しっぽの代わりに尻をふらされる。
その後が、人間犬にしか出来ないマンマン。オスワリと同じ姿勢になって、足は筋肉がけいれんしそうになるまで開く。そして、女子は両手で割れ目を左右に引っ張って、おくの院(というんだと、初めて知った)まで『ご開帳』しなきゃならない。
他の子は何回もやらされて手慣れたものだけど、それでもはずかしそうにしている。
ソノは、うすい乳房を竹刀の先でぐりぐりこじられて、泣きそうな顔になって、『ご開帳』した。
男子にはマンマンが無いけれど。マンマンをしてる女子とななめに向かい合って(正面は観客に開けておく)、両手を後ろについて腰をうかして――『ご開帳』を見ながら、チンチンを固く大きくしなくちゃならない。犬だから、手を使えない。女子は手を使わないとマンマンが出来ないんだから、こういうのをご都合主義というんだな。
チンチンなんて、自分の思い通りにならない。なるんだったら、九九を覚える必要が無い。とは思ったんだけど。西司照代のマンマンを見せつけられたら、これ以上はないってくらいになっちゃった。
割れ目の内側にビラビラがあって、そのおくのつき当たりに開いてる穴がチンチンを入れる所らしい。上のほうにある小さな穴からは、おし●こが出るんだろう。小さビラビラが上で合わさってるとこが盛り上がってて、小豆よりも小さいけれどチンチンの先っぽ見たいのが顔をのぞかせてる。何だろう、これ?
「なんだぁ……おまえ、ぬらしてるのか?」
コンクリのすっとんきょうな声。ソノの股間をのぞきこんでる。
しゃがみこんで、『ご開帳』に指をつき差した。
「動くな」
後ずさろうとするソノをしかりつけて、指を中で動かす。
「ますますぬれてくるな。いん乱なガキだ」
いん乱てのは、ヒワイでミダラなことが好きって意味だよな。ソノが、そんなこと、あるもんか。
「いや、いん乱というのは当たっておらんだろう」
所長の意見に賛成したのは、これが初めてだった。
「ろ出きょうか、あるいはマドかもしらん」
コンクリんが、きょとんとする。
「ガラスをはめた窓ですか?」
「いやいや。男に痛いことやはずかしいことをされて喜ぶ女のことをマドイストというのだ」
「へええ。そんな女がいるんですかね」
「物の本には、そう書いてあるがね。女をいたぶって興奮する男をサゾイストという。これはいくらでも実例がある。そうだろう、薄野教官」
「所長は男女を問わずじゃないですか」
コンクリの半じょうには取り合わずに、所長が持説を続ける。
「サゾイストが存在するのだから、マドイストだって居るだろうさ」
「そうですかねえ。こいつだって、ぶったたいたら、他のガキと同じ――いや、それ以上に泣きわめきますよ」
「女のいやよいやよは好きのうちというやつかもしらんな。表情や声にだまされず、マンコを良く観察することだな。舌の口は、うそをつかんよ」
こいつらの話はチンプンカンプンだけど、ソノがぶじょくされているのはわかった。でも、どう反論していいか分からないし、どんな悪口だって、竹刀でたたかれるよりはマシだから……ソノの目をじっと見つめてはげましてやるだけにしておいた。
ひとしきりサゾマド談議が終わって職業訓練の再開。訓練てよりも、調教だ。
ここからは、男子が二組に分けられた。女子といっしょに芸を覚える組と、教官の代理を務める連中と。
覚えさせられたのは、オアズケ、ヨシ、アムアム、ゴックン。胸くそ悪い。
教官の前にオスワリして、「クウン」とか鳴いて。ヨシと言われたら、目の前のチンチンをくわえる。射ち方用意ヨシのもあれば射ち方ヤメのもある。女子の前の大ホウは用意ヨシで、男子の前にあるのは、おおむね垂れてる。例外は、おれの前に立った所長くらい。
チンチンを口に入れるなんて、男としてがまんできないくつじょくだ。女だって同じだと思う。なのに。
「ますます下の口からよだれが垂れているな」
ソノの正面に立ったコンクリが片足を上げて、股間をつま先でつついてる。
自分がぶじょくされたみたいで腹が立ったんだけど――ソノには聞こえていないのか、目を閉じてひたすら頭を前後にゆすっている。コンクリのチンチンが口を出入りしている。腰をこんなふうに動かせと、おれが若ババに言われた通りの動き方を頭でしている。ソノは頭の動きに合わせるように、腰も左右にくねらせている。コンクリは足を動かしていないから、割れ目を自分からこすり付けているってことだ。
「よそ見するな」
所長に金玉を軽くけられて、おれは目の前の射ち方用意ヨシに向き直った。やればいいんだろ、やれば。
口を開けて顔を近づけ、ぱくんとくわえた。むわあっと、オトナの男の体しゅうが鼻にあふれた。なんだか、きゅろんとした歯ざわり、舌ざわり。
「かむんじゃない」
チンチンをふんづけられた。
「もっと舌をからませろ。ていねいにしゃぶれ。頭を前後にゆすれ。くちびるをすぼめて全体をすすりこめ」
あれこれ言われて、頭がこんぐらかる。とにかく、口の中の棒こんにゃくみたいなやつを、あむあむぺろぺろずぞぞぞ……。
「手は後ろで組んでおれ」
手を使ってしごいたり金玉をもんだりすると、白いおし●こ(精液というんだそうだ)が早く出るって――後でソノか言ってた。どうして、そんなことを知ってるんだ。そんなことまで、あのウソ親せきの医者に仕こまれてたのか。は、置いといて。
「ええい、下手くそめ」
所長は両手でおれの頭をおさえつけて、激しくゆすぶりながら自分でチンチンを出し入れしはじめた。鼻がめりこむほど激しく腰を打ちつけてくる。
「んぶぶぶぶ……」
脳しんとうを起こしそうだ。
棒こんにゃくがいっそう太く固くなって……びゅくびゅくっとふるえたと感じたと同時に、のどのおくに水鉄ぽうを射ちこまれたような感覚があった。
「うげ……うっぷ……」
「はき出すんじゃない。そら、ゴックン」
カルキとスルメを混ぜたようなにおいが鼻に広がる。こんなえぐいのを飲めっていうのかよ。でも、飲まないと何をされるか分からない。口の中につばをためて、のどのおくに引っかかっているやつを飲み下した。
これで、オアズケ、ヨシ、パックン、アムアム、ペロペロ、ガシガシ、ゴックンがひと通りは終わった。ふた通り目は無し。
犬芸の調教が終わっても、職業訓練は続けられる。次はブタ競争。

それから、四つんばいになって。手首を二の腕に、足首は太腿に縛り付けられた。ひじとひざでハイハイしなきゃならない。短い四つ足は、ますますブタそっくり。
太くて長い針金の付いた小さめのスリコギが、男女ともこう門につっこまれた。針金は視力検査の輪っかみたいに曲がっていて、反対のはしには先たんが丸められたパイプがかぶせてある。
男子は、それをチンチンにつき差さされた。要するに、おれが着けさせられていたスリコギとU字輪っかだ。
男子のパイプは直径が一センチくらいなのに対して、女子のはスリコギくらいに太い。それを割れ目のおくのチンチンを入れる穴におしこまれた。だれもそんなに痛がらなかった。
最後にひとりずつ、針金の底が地面をこするように曲げ具合を調節された。
庭一面に、レンガやら丸太やらが並べられた。それを乗りこえて庭のはしからはしまで四つんばいで進む障害レースだ。
女子は七人で一組。男子は二十六人もいるので、八人と九人で三組。それぞれの組の一等には、夕食に玉子焼きを追加してもらえる。逆に、ビリは夕食ぬき。そりゃあ、真けんになるよな。ただし、競争は一回じゃない。三回やって、その結果を紙に書いておく。全部の競争が終わってから、折り返されている紙のはしを開くと、どれが本番だったか分かるという、あみだクジみたいなやり方だ。
最初は女子の組からだったけど。
「おまえはぼう主頭だから、男子と競争しろ」
ソノが外されて、おれのいる組に入れられた。まあ、年下の子も混じってるから、そいつにはかわいそうだけど、ソノはビリをまぬがれるだろう。
「ヨーイ、ドン!」
六人の女子がいっせいにかけ出した――んじゃなく、よちよち進み始めた。
ブタ顔にされた女の子がブタみたいによたよた進むのはコッケイだけど、なぜかチンチンが固くなってきて、針金のせいですごく痛い。
並べられた丸太を乗りこえるところで、六人が同じように立ち止まった。顔をしかめたり息をつめたり。なかなか進まない。針金がつかえてるんだ。無理に進もうとすると、スリコギとパイプで二つの穴をこじられる。それがつらいみたいだ。
最初に通過したのは、木津芽子という、おれと同い年の子。二番手が、マンマンのときにおれに見せてくれた照代だった。この子、四つんばいになると、腹がぷっくりつき出ている。
「照代も、なかなかがんばるな」
「もう五か月でしょ。こういう遊びは、お腹の赤ちゃんに良くないですわ」
「なあに、これくらいで流れるひ弱な子は要らん」
所長と若ババの会話で、照代がにんしんしてるというきょうがくの事実が判明した。あいつだって、まだ子供だぞ。
おどろいたのは、おれとソノだけらしい。会話は聞こえてるはずなのに、だれも知らん顔をしている。
「ああああん……」
苦しそうなうめき声をあげたのは、 武水蘭子だった。照代と同じ最年長者だ。丸太に輪っかをのし上げて、腰を前後にゆすっている。そんなことをしたら、穴をこじられていっそう苦しくなるだろうに。
「いい、いいよおおお……きもちいいよおお」
ええっ……?!
気持ち好いって聞こえた。
今度は、おどろいてるのは、おれひとりみたいだ。ソノはうつむいて顔を赤くしている。ああいうふうにしたら、ほんとに気持ち好いんだろうか??
三分くらいで、蘭子をのぞく五人は丸太を乗りこえた。身体を横向きにして輪っかを丸太に沿わせて転げ落ちたり、後ろ向きに背中でずり上がったり。
散らばっているレンガはよけて通れるから、丸太みたいな苦労はなかった。
五人がゴールインしても、蘭子だけは丸太でつっかえている。
「いい加減にしろ。腹の子が流れるまでなぐられたいのか」
コンクリにどなられて、蘭子も丸太を乗りこえた。正面からのし上げて、わざと手足を宙にうかせて――針金が体重でひしゃげてしまった。ので、そこから先はレンガなんか無視して一直線に進めた。ううむ……その手があったか。でも、なんで最初からそうしなたったんだろう。気持ち好いってのは、負けおしみじゃなかったんだ。
ずいぶん時間がかかったけど、とにかく二組目の競争。ぼくとソノの組だ。
「ヨーイ、ドン」
スタートラインに並ぶまでに分かっていたけど、前へ進むだけなら針金もたいしたさまたげにはならない。チンチンにびみょうなしん動が伝わって痛くすぐったいけど、それだけのことだ。
でも、ソノはしん動がつらいらしい。丸太に取り付くのがひとりだけおくれた。
丸太だって、乗りこえるのが困難な障害というほどじゃない。いきなり、これをやらされていたら、ずいぶんと苦しんだかもしれないけれど。高圧放水を浴びせられたり、焼印をおされたり、ひと晩じゅう大股開きで二つ折りにされていたり、変ちくりんな装具を着けさせられたり、竹刀でたたかれ金玉をけられ……苦痛とかくつじょくには、ずいぶんとめんえきが出来ている。
男子八人が一団となってコースの半ばに差しかかったとき、ソノはやっと丸太をこえたことろだった。このままだと、確実にビリだ。今回が本番とは限らないけど、本番だったら食事ぬきだ。一回ぬかれたからって、命に係わることじゃないし。でも、ソノの目の前でおれだけが飯を食うのは……おれが、つらい。
なんて迷いながら、のろのろ進んでたら。前をよくみてなかったので、レンガの角に輪っかを引っかけちまった。ずにゅっと、チンチンから針金がぬけかけて……痛くすぐったい中に、はっきりと快感があった。
そうだ。蘭子の前例があることだし。おれは、すこしバックして、また輪っかをレンガに引っかけてみた。ずにゅ……気持ち好い。またバックして、姿勢を低くして針金をチンチンにおしこんで、またレンガに引っかけて。チンチンが固くなってくると、ますます気持ち好い。
「真三。おまえは、ベッドにこう束した後で竹刀を五発くれてやる。十発にされたくなかったら、さっさと進め」
コンクリにどなられて、我に返った。ソノの尻が三メートル先にあった。ので、真後ろからついて行った。
短くされた足がぴょこぴょこ動いて、そのたびに尻が左右にくねる。割れ目からのぞく太いパイプも、すごくエロチックだ。あまり見つめ過ぎるとチンチンが固く痛くなってくる。でも、見続けてしまった。
残り二組も競争が終わったところで、おれと蘭子は列外にされた。
「真面目に競争をしなかったから、残りの競争には関係なく飯ぬきだ」
「はい、ありがとうございます」
後出しジャンケンみたいなコンクリの宣告に、蘭子はすぐに返事をした。どんなひどいことを言われても、この返事しか許されていない。
おれも、何秒かおくれて同じ返事をした。三分の一の確率でしかないけど、ソノを護ってやれたというほこらしさが混じっていた。
蘭子は、さらに追加のチョウバツを課された。頭の後ろで手を組んで上体を垂直に保ったままでの、ひざのくっしん運動を百回。それだけでも厳しいと思うけど、丁字形のくいを両足でふんで、その上でやらされる。くいの垂直に立った部分は先細りになっていて、長さが五十センチで直径は四センチ。ひざをいっぱいに曲げると、こう門がくし差しになる。
「マンコはたん能しただろうから、ケツ穴でも遊ばせてやろうという親心だ」
「はい、ありがとうございます」
さっきの返事は不満たらたらが顔に出ていたけど、今度はほんとにうれしそうにも見えた。まあ、こいつは十四人の女子の中で飛び切りのブスだから、うれしそうな顔もオニがアカンベエをしてるみたいだけどな。
なんて、他人のことをどうこう言ってる場合じゃない。
「おまえは苑子と仲が良いから、二人には所長どのに特別の芸を仕こんでいただくとしよう」
結局、ソノまで巻きこんじまった。
おれとソノはブタ競争の列から引きはなされて、裏庭へ連れて行かれた。コンクリはその場で思いついたような言い方をしたけど、特別の芸のための準備は、すでに整っていた。バケツと火ばしと縄と赤いチャンチャンコと兵隊ぼうと鞭。鞭は細長い一本の革。六年くらい前に見たサーカスで、もうじゅう使いがふり回していたのとそっくりだった。
チャンチャンコはソノが着て、おれが兵隊ぼうを後ろ前にかぶる。長い縄はソノの首に巻いて、おれが反対のはしを持つ。鞭は使わないと知って、ひと安心。
そして、ひっくり返したバケツの底をおれが火ばしでたたきながら、所長から口移しで口上を述べる。
カンカンカンカン……
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい。サルまわしでござーい」
サルの仕種を真似ながら、ソノが飛んだりはねたり。
おれはアホらしいだけで済むけど、ソノがかわいそうだ。
「はい、ソノちゃん。でんぐり返り。今度は後ろ向き」
ソノは後ろでんぐり返しが出来なかった。
「ね転がったまま、足を開いて顔をかくせ」
所長は、とにかくヒワイな形にさせようとする。
「はーい。頭かくして尻かくさずならぬ、頭かくしてマンコかくさずでござーい」
かくした手の間から、ソノがくちびるをかみしめているのがうかがえた。
宙返りをしろだの、番がさの上でボールを回せだの、所長は次々と無理難題をふっかけてくる。おれだって出来ない。
「サルには、身体で芸を覚えさせるのだ」
所長が鞭をおれに持たせた。
「それで存分にたたいてやれ」
おれは鞭を投げ捨てた。
「仲間をたたくなんて、出来ない。たたくんだったら、おまえがおれをたたけよ」
「そうか」
所長のやつ、おこったふうでもなく鞭を拾い上げて――いきなり、ソノをたたいた。
ぶゅんん……バチイン!
「きゃああっ……!」
不意打ちに胸をたたかれて、ソノは胸をかかえてしゃがみこんだ。
「やめろ!」
所長はソノをけって転がして、背中をふんづけた。身動きできなくしておいて。
ぶんっ、バチイン!
ぶんっ、バチイン!
ぶんっ、バチイン!
立て続けにを尻を打ちすえる。
「くそっ……やめろ!」
所長の腰にしがみついて引きはなそうとしたけど、力でかなうはずがない。
おれをつき飛ばして、また鞭をふり上げる。
「お願い、兄ちゃん。あたしをたたいて!」
ソノがさけんだ。
「ええっ……?!」
いろいろと、おれはびっくりした。
ソノに『兄ちゃん』なんて呼ばれたのは初めて。しかも『ぼく』じゃなくて『あたし』。ほんっとに、ソノは女の子になっちまった。なんてのは、いろいろの付け足し部分。おれに自分をたたいてくれってのが、一番のびっくり。
だけど冷静に考えると――所長に目茶苦茶にたたかれるよりは、おれに手加減されながらのほうが、ずっといいかな。
「小ぞう、どうする? 好きな女の願いをかなえてやるか?」
「……はい、ありがとうございます」
所長は満足そうにうなずいて、おれに鞭をにぎらせた。
ソノは実は女の子だったけど、おれの弟分に変わりはない。好きな女なんかであるもんか。でも反論したって、おこらせるだけだ。それに、言われてみると……おれはソノが好きだし、ソノは女の子だ。
「何をしている。さっさとたたけ……いや、その前に」
所長はソノを立たせ、頭をかかえる姿勢を取らせた。
「よし、しょげているサルを存分にセッカンしろ」
ごめんよ。心の中で謝りながら、おれはソノの尻をたたいた。
ペチン。
「何をしておる。本気でたたかんか。これくらいだ」
ぶううん、バッヂイイン!
「あぐっ……」
所長のやつ、ズボンの革ベルトを鞭の代わりにして、おれの尻をたたきやがった。
ぶううん、バッヂイイン!
「まごまごしとると、こいつで愛しい女房をたたいてやるぞ」
ソノは女房なんかじゃないやい。けど、音から判断すると、鞭よりも革ベルトのほうが痛そうだ。なにより、わん力がちがう。
「ソノ、がまんしろよ!」
おれは力一ぱいに鞭をふるった。
しゅん、バチン!
「きゃあっ、痛い……」
ソノは悲鳴を上げたけど、ウソだとは思わないけど、余ゆうのある悲鳴だった。
「ガキは非力だから、しょうがないか。数を打て」
しゅん、バチン!
しゅん、バチン!
しゅん、バチン!
所長にたたかれた太く赤い筋の上に、ぼやけた細い筋が何本も重なっていく。所長は焼印の火傷をさけてたたいてたけど、おれにはそんな器用な真似はできない。火傷が治って肉が盛り上がったとき、形がくずれないだろうか。不名よ極まりない刻印だけど、ぐちゃぐちゃになってるよりはきれいなほうが、まだしもだと思う。
「よかろう。サルらしい真っ赤なケツになったな」
所長が満足そうに言ったのは、二十発ちかくもたたいてからだった。でも、まだ終わりじゃなかった。
「ついでだ。鞭打ちの指導をしておいてやろう」
さすがに、かんにんぶくろのオが切れた。
「ソノがちゃんと芸を出来ればいいんだろ。そっちを指導して……ください、所長どの」
最後は、切れたオをあわてて結び直した。
「メスザルが泣きさけぶのも芸のうちだ」
「そんなの、おれには出来ない!」
やっぱり切れちゃったぜ。
「では、こうしよう。わしがおまえを一発たたく。同じことを、おまえが女房に三回くり返すのだ」
「…………」
損得かん定で言えば、おれがたたかれるだけ損だ。でも、ソノが感じる痛みをおれも感じるとしたら、オアイコって考え方もできる。
「所長どの。お兄ちゃんをたたかなくても、お兄ちゃんはあたしをたたいてくれます」
「サルは口を利くな」
所長がソノに向かって鞭をふり上げたので、あわててソノの前に立った。
「おれをたたいてください。ソノは、おれがたたきます」
「ふふん。なかなか素直になったな。愛しい女房のためか。それとも、案外におまえもマドイストかな」
なんとでも言え。おれはたたかれるために、所長に尻を向けた。
「そうではない。こっちを向いて、鞭は置いておけ」
正面をたたかれると分かっても、命令に従うしかない。さらに、両手を頭の後ろで組んで、足も開かされた。すごく不きつな予感しかしない。
ぶううん、バッヂイイン!
「ぐっ……!」
胸を水平にたたかれて息がつまった。
ぶううん、バッヂイイン!
ぶううん、バッヂイイン!
立て続けに五発たたかれた。ということは、おれはソノを十五発もたたかなきゃならない。
「これからが本番だぞ」
所長が革ベルトを下に垂らした。
不きつな予感が当たった。ひざがガクガクふるえる。
ぶううん、バッヂイイン!
「うあああっ……!」
「お兄ちゃんっ……」
ベルトは太腿をかすめて股の付け根の右側に当たったけど、金玉にもすこし当たった。だけで、もん絶寸前。両手で股間をおさえて、おれはのたうち回った。
「情けないやつだ。直げきしたら玉が破れつして殺しかねないから、わざと外してやったのだぞ。さっさと立て。それともけりつぶされたいのか」
股間をかばっている手を後ろからつま先でつつかれて、おれは歯を食い縛って立ち上がった。でも、すぐに元の姿勢にはもどれず、何回かケンケンをして、やっと痛みはがまんできるくらいまで治まった。
ぶん、バチン!
「…………!!」
軽い打ち方だったけど、今度は直げきされた。おれは、また地面に転がった。
「女には金玉が無いから、手加減はするな」
おれは片手で金玉をおさえながら、片手はひざに当てて、よろよろと立ち上がった。あまりに痛くてケンケンもできない。
「ひとつ、大切なことを教えておいてやろう」
背中をたたくときは、背骨に当たらないように気をつけろ。せきずい神経を傷つけると、手足が動かなくなってカタワになる。下手をすると殺してしまう。しかし、それ以外は安全だし広い面積があるから、鞭を水平かななめにふるえば、たくさんたたいてもだいじょうぶだ――という、ぞっとする教えだった。
「なんなら、今から身体で体験してみるか。それとも、今すぐ女房をたたくか」
ソノをたたかなくて済むのなら、背中を百発たたかれたって平気だ。でも、そうしたらソノを三百発も鞭打たなければならない。
おれは腹綿をにえくらかしながら、鞭を拾い上げた。
「貧相な乳房に十五発、中古いん乱マンコに六発だぞ」
「…………」
ソノがおれに向かって、鞭を正面から受ける姿勢を取った。
「ソノ、ごめんよ……」
「余計なことは言うな。おまえは、出来の悪いメスザルをしつけている太夫だ。それらしい言動をしろ」
「うきいい……」
ソノがサルの鳴き真似をした。おれをかばってくれたんだろう。ソノの心配りに応えるためには……おれは、ソノを鞭打たなければならないんだ。
おれは心をオニにして鞭をふるった。
しゅん、バチン!
「うっきゃああっ……!」
サルの泣き声に似ているけど、たしかに悲鳴だった。この悲鳴を、あと二十回も聞かなきゃならないい。
しゅん、バチン!
「うっきゃああっ……!」
しゅん、バチン!
「きいい……」
しゅん、バチン!
「きひっ……」
だんだんとソノの悲鳴は小さくなって、五発目からは声を出さなくなった。
そのぶん、おれは罪悪感がうすれて、ソノのささやかな乳房を機械的に鞭打ち続けた。ささやかでも、鞭が当たるたびにぷるんとはずむ。
「ちょっと待て」
十三発目に制止された。
所長はソノの足をふんづけるんじゃないかってくらいに近づいて、曲げた中指をソノの割れ目に差し入れた。
「あ……」
ソノが、びくんと身をふるわせた。
所長はごにょごにょと手を動かしてから指を引きぬき、目の前にかざした。ねとっとぬれている。所長が親指と中指をくっつけてはなすと、糸を引いた。
「これだけ鞭打たれて、ぬらしておるとは。まさしくマドイストだな。そんなに痛いのが好きなのか」
「ちがいます!」
ソノがもう然と否定した。これまでは何を言われても悲しそうにうつむいてなみだをうかべるだけだったのに。
「痛いのはいやです。お兄ちゃんが、あたしのために受けなくてもいいセッカンをされて……うまく言えないけど、あたしと痛みを分かち合ってくれてるのが、うれしいんです」
「では、これはうれしなみだか」
所長は指を二本にして、またソノの割れ目をえぐった。親指で下腹をおさえるようにして、手全体をぐりぐりと動かした。
「くうう……」
ソノはまゆをぎゅっと寄せてたえている。チンチンをねじられたら痛いよな。それと同じなんだろう。
「おや……おまえはおっ立てているじゃないか」
えっ……?
下を見ると、チンチンが固くなって、腹にくっつきそうになってる。おれは、ソノがいじめられるのを見て、それともおれ自身がソノをいじめて、それで……興奮してるんだろうか。そんなばかな。
「さてはサゾか。いや……サゾとマドが一人の中に同居しているとも読んだ記おくがあるぞ。おまえは、まさしくそれだな」
決めつけるな。いじめるにしてもいじめられるにしても、それで興奮するなんて変態だ。おれもソノも変態なんかじゃない。
「よかろう。まだ乳房に二発、とっておきのマンコには六発が残っている。思い切りマド女房をなかせてやれ」
何度も女房なんて言われてると、心の中ですら反発する気力が失せてくる。さっさと終わらせないと、どんな無理難題をふっかけられるか分からない。
ソノ、ごめんよ。また心の中で謝って、おれは鞭を水平に構えた。
ソノは両手を頭の後ろで組んで足を開いて、しゃんと立っている。なみだでぬれているんだろう、きらきら光るひとみが、まっすぐおれを見ている。
しゅん、バチン!
「…………」
ソノは身体をゆるがせもせずに無言でたえてくれた。可愛い乳房だけが横にひしゃげて、ぷるんともどった。
しゅん、バチン!
ようやく十五発を打ち終えた。でも、まだ六発も残っている。胸とは比べものにならない激痛を、ソノにあたえなければならないんだ。
おれのためらいに気づいたんだろう。ソノが、ぐっと腰をつき出した。
「お兄ちゃん、ちょうだい。ソノのオマンコに鞭をちょうだい」
すこし開いた割れ目からは、あのとろっとした液が垂れている。だけど、おれも……チンチンが立ったままだ。
それぞれの心の中は、他人には分からない。仲の良い女の子を鞭打って興奮している男の子と、男の子に鞭打たれて喜んでいる女の子――他人の目には、そうとしか見えないだろう。
そんなこと、あるもんか。そう思いながら、おれは……下に垂らした鞭を手加減無しではね上げてしまった。
しゅんん、バヂイン!
「きゃああああっ……!」
胸を打たれていたときとはまったくちがう、はき出すような悲鳴だった。
背筋が、ぞくっとした。それは快感とか興奮じゃない。すりガラスをつめで引っかいたときのような気味の悪さだった。チンチンもしょげ返った。
そうか……胸を鞭打っていたときは、ソノに余ゆうがあるのが分かってたから、いけない遊びをしているようなさっ覚にとらわれていたんだ。でも、ここまでソノが痛がると、さっ覚はふっ飛んでしまう。
「さっきまでの勢いはどうした。ちょっと大声でさけばれただけで委縮しおって」
そういう所長も、ズボンの前はぺちゃんこ。サドイストなら、興奮してるんじゃないかな。それとも、大人が本気で子供をたたいたら大け我をさせてしまうから、冷静を保って限界を見極めようとしてるのかな。
だとしても、こいつにソノをたたかせたくなはい。だったら、おれがたたかなくちゃ。おれは二発目をソノの割れ目に打ちこんだ。
「いぎゃああああっ……!」
ごめん、ごめんよ……おれは、ぼろぼろなみだをこぼしながら、さらに三発を打った。打ち終えると同時に、その場にへたりこんだ。
ソノも頭の後ろで組んでいた手をほどいて、股間をおさえてひざをついている。
「すこし痛めつけすぎたかな。これでは芸を仕こむのは無理だろう」
ようやく、バカバカしい限りの残こくきわまりない調教が終わった。だけどソノには、まだ次の苦痛が残っていた。縄フンドシだ。鞭打たれてはれあがった割れ目に結びこぶを食いこませてしめ付けなければならない。痛いから自分ではきつく結べないのだろう。所長に不合格を食らい、ぎりぎりにしめ上げられて、また悲鳴をあげた。
おれは、もう平気だぞ。スリコギもU字輪っかも、慣れてしまった。だから、チンぶくろだって、チンチンと金玉をひとまとめにねじったらもげてしまいそうなくらい、ヒモをきつく結んだ。それでも、ソノの受けている苦しみの百分の一にもならないだろうけど。
========================================
現在は『鬼畜米軍人』を執筆中。ここは今日中に終わって。次の休日までに『東西獅子舞』をやっつければ、あとは一車千里日本縦断往復、かな?
恒例のDLsite Affiliate キーワードは「犬芸 or 猿回し」です。「豚芸」は無かった。
Interrupt Report 1:幼なマゾの契り
やっぱり、予定枚数では納まりませんね。
予定/実績
その日暮し: 5枚/10枚
浮浪児狩込:10枚/ 5枚
弟分の正体: 5枚/15枚 (PLOTでは「弟は美少女)
全裸に焼印:15枚/ 8枚
空砲の恥辱: 無し/12枚 (追加シーケンス)
夜通し拘束: 無し/ 8枚 (追加シーケンス)
訓練と調教:20枚/30枚を超えて執筆中
「夜通し拘束」以後が本格的虐待のパートですから、以降も尺は伸び放題でしょう。
それは、さておき。今回は追加シーケンスの「夜通し拘束」を御紹介。
========================================
夜通し拘束
朝のおかゆに小さな干物が一枚加わったのが、夕食。おかゆってのは、あんまり腹持ちがしないんだよな。
夕食後は自由時間で、教室としん室は行き来できるけど、外へ出るドアは外からカギをかけられてるし、窓には鉄格子。二つの部屋で遊ぶしかない。おれもソノも、ここの連中とはまだ打ち解けてないし、勉強もおくれてるから、みんなのじゃまにならないよう、教室のすみっこで二人くっつきあって、うす暗がりの中で教科書を読んでた。
ソノが女の子だとわかってから、みょうに意識しちまう。しかも、おたがいに裸。いや、裸よりもはずかしい格好をさせられてる。胸がドギマギして、チンチンがピクピクしちまう。こいつの割れ目の中に、おれのチンチンをつっこめるんだよな。
もしかして、こういうのを初こいって……いうわけねえよな。
そんなあまったるいドギマギは、就しんの時刻が来たらふっ飛んじまった。
教室でチンぶくろと縄フンドシを外して、自分の席に置く。木の棒もぬいて、これは水を張ったバケツに放りこんどいて。しん室へ移動。
ベッドはカマボコ形のかべの両側から中央に向かって置かれ、左右は密着して大きなベニヤ板がしかれている。ベッドにはさまれた中央の通路に整列して、コンクリブロックに名前を呼ばれた順に、かべに頭を向けてあお向けにねる。男子と女子がとなり合うようにされた。
おれの右側がソノで、左側は梅屋楠美という最年長の女子。ソノとは二つしかちがわないのに、見た目は大ちがい。モジャモジャとツルツル、おわんとお皿。よくよく見たらソノの身体も女の子っぽい曲線をしてるけど、楠美はきれいなヒョウタン形だ。一番のちがいは、イガグリとオカッパだけど、それは本人の責任じゃない。
半分の者がねたら、両手を広げて頭の側にある鉄パイプのわくに革ベルトで、残り半分の者がつないでいく。ここまでは予測していたんだけど。
大章のやつ、おれの両足をつかんで開きながら持ち上げようとする。
「何するんだ。ふざけるなよ」
「そこ、うるさい」
バシン!
竹刀がゆかをたたく。しかられたのはおれのほうだった。
「やめろよ。やめろったら!」
ソノはおれより非力だから、男子の手で両足を開かれて百八十度に折り曲げられ、まくら元のパイプわくの下におしこまれた。別の革ベルトが足首を巻いた。
「いやだ、はずかしい。やめてよお……」
男言葉が弱々しい女言葉になってきた。
ソノはベッドの上で、深く折れ曲がった『く』の字にされてる。きっと、割れ目もこう門も丸見えだろう。おれからは見えないのが残念だなんて、これっぽっちも思ってないからな。
ソノはなんとか内股にして、すこしでもかくそうとしている。
ソノがもがくのに気を取られているうちに、おれも同じ姿にされちまった。
「くそお。なんだって、こんなことするんだよ。男のおれだってはずかしいぞ。ほどいてくれよお!」
おれだけなら、がまんしていいけど――ソノは女の子だぞ。
「やかましい!」
ぼぐっ……腹に垂直に竹刀をつき入れられた。
「うべええ……げふっ、ごふふっ!」
胃液がのどにこみ上げて、それが気管支に逆流して、おれはちっ息しかけた。
「おまえらは、だまって教官の命令にしたがっておれば良いのだ」
「まあまあ、薄野教官」
若ババが取りなして――くれてねえな。ベッドの上でおれのチンチンを見てたときと同じ目の色だ。
「きちんと教えてやれば、納得して素直に従うでしょうよ」
若ババが生徒たちってよりも、おれとソノを見下ろしながら長広舌をふるい始めた。
「年ごろの男女が同じ部屋でねるでしょ。しかも素裸で」
そうさせているのは、お前たちじゃないか。
「もし男女を分けても、同性同士でモモ色遊ぎにふけらないともかぎらないし……」
男同士でもヒワイなことをするって意味だろうか。どんなふうに……こう門にスリコギを入れるんだから、チンチンだって出来るよな。でも、割れ目とこう門は同じじゃないぞ。だいいち、女同士はどうするんだ?
「たとえ一人ずつにかくりしても、ジトクこういをする不道徳者も出るでしょうしね」
だから自分で股間をさわれないように、太腿をこすり合わせられないようにするんだってさ。めいわくってより、この姿勢をひと晩中なんてゴウ問だ。
身体を二つに折れば面積の節約になって、少ないベッドを大勢で使えるから合理的だと、自まんして、やっと若ババは説明を終えた。
分からないことだらけだけど。ジトクってのは自分だけが得をするって意味だろうから、人数分は無いベッドをみんなで使って他人にも得をさせてやろうってことかな。
納得は出来なかったけど、説得されたのかな。あきらめたと言うほうが適切だけど。ソノも文句は引っこめて、しくしく泣き出した。こいつ、女だってばれてから、どんどん女々しくなってきてるぞ。
おれたち十七人をベッドに縛り付けた(男子ばかり)十七人も八人が同じ要領で縛られて――最後の一人はコンクリが手を下した。
おれの向かい側は曽野太一って、つばなれしたばかりの子だ。あごを引けば、かぱっと開いた股間が丸見え。小さいチンチンと縮かんだ金玉。こう門も上向いてる。おれが見てるのに気づいて、そいつも頭を上げておれを見た。でも、無関心そうにすぐ目をそらした。
これ、女の子でもヒワイとかじゃなくてコッケイなだけだな。
毎晩こうされてると何も感じなくなるのか、左となりの楠美は静かに目を閉じている。右側のソノは顔が赤い。泣いてはいない。無表情なんだけど、ぼうっとしてるようにも見えた。
教官が出て行って電気が消されて、部屋が静まり返った。就しん中の私語は禁止されてる。教官がいないんだから、すこしくらい、いいじゃないか。
「なあ、ソノ……」
「…………」
「ひどい所へ来ちゃったな。なんとかしてにげ出そうぜ」
「はずかしいよお……」
ソノがつぶやいた。おれの声なんか耳に入ってないらしい。
女の子だもんな。まわりを男子に囲まれて、こんな格好をさせられたんじゃ、はずかしくて他のことなんか考えられないんだろう。
ソノ以外のやつに話しかける気にはなれなくて、おれは眼も口も閉じた。
にげる算段とか、若ババの部屋での出来事とか、高圧放水のうらみとか――そんなことを、あれこれ考えているうちに、いつの間にかねむりに落ちて行った。
翌朝はうす暗いうちからたたき起こされた。
昨夜の手順の巻きもどしでこう束を解かれた。腰が痛いし、手足がガチガチ。でも、すぐに全員整列で直立不動。
「教官どの!」
勝介が挙手をして、コンクリの発言許可を得ると。
「昨夜、塩田が実浜に話しかけていました。実浜はだまって答えませんでした」
おれは列外に引き出されて、尻を竹刀で六発たたかれた。それくらいは、への河童だけど。
「整列休メッ」
足を真横に三十センチ開いて、両手は腰の後ろで組む。竹刀が足の間に差しこまれて、金玉をぴたぴたたたかれても、姿勢はくずしちゃいけない――というのを、ビンタ二発で教えられた。そして……竹刀をはね挙げられて、もん絶。
常に全員が全員を看視してるんだって思い知らされた。
========================================
今回は、すべての人名を遊び倒す方針です。この章では以下の2名。
梅屋楠美(バイヤクズミ)、曽野太一(ソノタイチ)
あと、小山大章(オヤマタイショウ)、織倍勝介(オベッカツカイ)、西司照代(ニシシテルヨ)、武見水蘭子(ブスイラン)、会鉄和子(カイテツカズ)、木津芽子(キズメコ)、石関貞女(セッカンサダメ)などなど。

は、さておき。夜間拘束はこういう形ですね。
1946年には「マングリ返し」なんて便利な言葉はなかったから、説明が大変。
無かったといえば「エッチ」だって1960年代からです。「ヒワイ」とか「ビロウ」とかではニュアンスが違いますし。ツバナレして2年のガキが知っている言葉は限られますし。
まあ、出来上がってからのお楽しみということです。
DLS affiliate キーワードは「ベッドに拘束」
予定/実績
その日暮し: 5枚/10枚
浮浪児狩込:10枚/ 5枚
弟分の正体: 5枚/15枚 (PLOTでは「弟は美少女)
全裸に焼印:15枚/ 8枚
空砲の恥辱: 無し/12枚 (追加シーケンス)
夜通し拘束: 無し/ 8枚 (追加シーケンス)
訓練と調教:20枚/30枚を超えて執筆中
「夜通し拘束」以後が本格的虐待のパートですから、以降も尺は伸び放題でしょう。
それは、さておき。今回は追加シーケンスの「夜通し拘束」を御紹介。
========================================
夜通し拘束
朝のおかゆに小さな干物が一枚加わったのが、夕食。おかゆってのは、あんまり腹持ちがしないんだよな。
夕食後は自由時間で、教室としん室は行き来できるけど、外へ出るドアは外からカギをかけられてるし、窓には鉄格子。二つの部屋で遊ぶしかない。おれもソノも、ここの連中とはまだ打ち解けてないし、勉強もおくれてるから、みんなのじゃまにならないよう、教室のすみっこで二人くっつきあって、うす暗がりの中で教科書を読んでた。
ソノが女の子だとわかってから、みょうに意識しちまう。しかも、おたがいに裸。いや、裸よりもはずかしい格好をさせられてる。胸がドギマギして、チンチンがピクピクしちまう。こいつの割れ目の中に、おれのチンチンをつっこめるんだよな。
もしかして、こういうのを初こいって……いうわけねえよな。
そんなあまったるいドギマギは、就しんの時刻が来たらふっ飛んじまった。
教室でチンぶくろと縄フンドシを外して、自分の席に置く。木の棒もぬいて、これは水を張ったバケツに放りこんどいて。しん室へ移動。
ベッドはカマボコ形のかべの両側から中央に向かって置かれ、左右は密着して大きなベニヤ板がしかれている。ベッドにはさまれた中央の通路に整列して、コンクリブロックに名前を呼ばれた順に、かべに頭を向けてあお向けにねる。男子と女子がとなり合うようにされた。
おれの右側がソノで、左側は梅屋楠美という最年長の女子。ソノとは二つしかちがわないのに、見た目は大ちがい。モジャモジャとツルツル、おわんとお皿。よくよく見たらソノの身体も女の子っぽい曲線をしてるけど、楠美はきれいなヒョウタン形だ。一番のちがいは、イガグリとオカッパだけど、それは本人の責任じゃない。
半分の者がねたら、両手を広げて頭の側にある鉄パイプのわくに革ベルトで、残り半分の者がつないでいく。ここまでは予測していたんだけど。
大章のやつ、おれの両足をつかんで開きながら持ち上げようとする。
「何するんだ。ふざけるなよ」
「そこ、うるさい」
バシン!
竹刀がゆかをたたく。しかられたのはおれのほうだった。
「やめろよ。やめろったら!」
ソノはおれより非力だから、男子の手で両足を開かれて百八十度に折り曲げられ、まくら元のパイプわくの下におしこまれた。別の革ベルトが足首を巻いた。
「いやだ、はずかしい。やめてよお……」
男言葉が弱々しい女言葉になってきた。
ソノはベッドの上で、深く折れ曲がった『く』の字にされてる。きっと、割れ目もこう門も丸見えだろう。おれからは見えないのが残念だなんて、これっぽっちも思ってないからな。
ソノはなんとか内股にして、すこしでもかくそうとしている。
ソノがもがくのに気を取られているうちに、おれも同じ姿にされちまった。
「くそお。なんだって、こんなことするんだよ。男のおれだってはずかしいぞ。ほどいてくれよお!」
おれだけなら、がまんしていいけど――ソノは女の子だぞ。
「やかましい!」
ぼぐっ……腹に垂直に竹刀をつき入れられた。
「うべええ……げふっ、ごふふっ!」
胃液がのどにこみ上げて、それが気管支に逆流して、おれはちっ息しかけた。
「おまえらは、だまって教官の命令にしたがっておれば良いのだ」
「まあまあ、薄野教官」
若ババが取りなして――くれてねえな。ベッドの上でおれのチンチンを見てたときと同じ目の色だ。
「きちんと教えてやれば、納得して素直に従うでしょうよ」
若ババが生徒たちってよりも、おれとソノを見下ろしながら長広舌をふるい始めた。
「年ごろの男女が同じ部屋でねるでしょ。しかも素裸で」
そうさせているのは、お前たちじゃないか。
「もし男女を分けても、同性同士でモモ色遊ぎにふけらないともかぎらないし……」
男同士でもヒワイなことをするって意味だろうか。どんなふうに……こう門にスリコギを入れるんだから、チンチンだって出来るよな。でも、割れ目とこう門は同じじゃないぞ。だいいち、女同士はどうするんだ?
「たとえ一人ずつにかくりしても、ジトクこういをする不道徳者も出るでしょうしね」
だから自分で股間をさわれないように、太腿をこすり合わせられないようにするんだってさ。めいわくってより、この姿勢をひと晩中なんてゴウ問だ。
身体を二つに折れば面積の節約になって、少ないベッドを大勢で使えるから合理的だと、自まんして、やっと若ババは説明を終えた。
分からないことだらけだけど。ジトクってのは自分だけが得をするって意味だろうから、人数分は無いベッドをみんなで使って他人にも得をさせてやろうってことかな。
納得は出来なかったけど、説得されたのかな。あきらめたと言うほうが適切だけど。ソノも文句は引っこめて、しくしく泣き出した。こいつ、女だってばれてから、どんどん女々しくなってきてるぞ。
おれたち十七人をベッドに縛り付けた(男子ばかり)十七人も八人が同じ要領で縛られて――最後の一人はコンクリが手を下した。
おれの向かい側は曽野太一って、つばなれしたばかりの子だ。あごを引けば、かぱっと開いた股間が丸見え。小さいチンチンと縮かんだ金玉。こう門も上向いてる。おれが見てるのに気づいて、そいつも頭を上げておれを見た。でも、無関心そうにすぐ目をそらした。
これ、女の子でもヒワイとかじゃなくてコッケイなだけだな。
毎晩こうされてると何も感じなくなるのか、左となりの楠美は静かに目を閉じている。右側のソノは顔が赤い。泣いてはいない。無表情なんだけど、ぼうっとしてるようにも見えた。
教官が出て行って電気が消されて、部屋が静まり返った。就しん中の私語は禁止されてる。教官がいないんだから、すこしくらい、いいじゃないか。
「なあ、ソノ……」
「…………」
「ひどい所へ来ちゃったな。なんとかしてにげ出そうぜ」
「はずかしいよお……」
ソノがつぶやいた。おれの声なんか耳に入ってないらしい。
女の子だもんな。まわりを男子に囲まれて、こんな格好をさせられたんじゃ、はずかしくて他のことなんか考えられないんだろう。
ソノ以外のやつに話しかける気にはなれなくて、おれは眼も口も閉じた。
にげる算段とか、若ババの部屋での出来事とか、高圧放水のうらみとか――そんなことを、あれこれ考えているうちに、いつの間にかねむりに落ちて行った。
翌朝はうす暗いうちからたたき起こされた。
昨夜の手順の巻きもどしでこう束を解かれた。腰が痛いし、手足がガチガチ。でも、すぐに全員整列で直立不動。
「教官どの!」
勝介が挙手をして、コンクリの発言許可を得ると。
「昨夜、塩田が実浜に話しかけていました。実浜はだまって答えませんでした」
おれは列外に引き出されて、尻を竹刀で六発たたかれた。それくらいは、への河童だけど。
「整列休メッ」
足を真横に三十センチ開いて、両手は腰の後ろで組む。竹刀が足の間に差しこまれて、金玉をぴたぴたたたかれても、姿勢はくずしちゃいけない――というのを、ビンタ二発で教えられた。そして……竹刀をはね挙げられて、もん絶。
常に全員が全員を看視してるんだって思い知らされた。
========================================
今回は、すべての人名を遊び倒す方針です。この章では以下の2名。
梅屋楠美(バイヤクズミ)、曽野太一(ソノタイチ)
あと、小山大章(オヤマタイショウ)、織倍勝介(オベッカツカイ)、西司照代(ニシシテルヨ)、武見水蘭子(ブスイラン)、会鉄和子(カイテツカズ)、木津芽子(キズメコ)、石関貞女(セッカンサダメ)などなど。

は、さておき。夜間拘束はこういう形ですね。
1946年には「マングリ返し」なんて便利な言葉はなかったから、説明が大変。
無かったといえば「エッチ」だって1960年代からです。「ヒワイ」とか「ビロウ」とかではニュアンスが違いますし。ツバナレして2年のガキが知っている言葉は限られますし。
まあ、出来上がってからのお楽しみということです。
DLS affiliate キーワードは「ベッドに拘束」
Progress Report 4:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
タリホー! アフターバーナー全開!
といったところです。
書きかけの章を仕上げました。この24時間(平日=ジェダイの騎士)で、6400文字です20枚です。
========================================
さまざまな激痛
素股で中途半端に押し上げられたり、三重苦(短小包茎早漏)の相手をさせられたり、不完全燃焼のまま日が暮れた希美だったが、楚葉の真骨頂はここからだった。
希美を除く八人はTシャツにミニスカートかホットパンツかスラックスといった気楽な服装に着替えて、夕食は定番のカレー(くらいはスケバンでも作れる)をわいわいきゃいきゃい食べて。希美は平ゴム二本の水着姿で開脚正座をし続けて、夕食はカレー鍋にぶち込まれた残飯を犬食いさせられて。
約束どおりにアルバイトの学生たちが、大量の花火とアルコールを含む清涼飲料を携えてバンガローを訪れた。
希美の身体をちょっとだけ味見した海の家の二人と、貸しボート屋で割りを食った二人と、見知らぬ三人と。七人はキャンパスの先輩後輩友人の関係だそうだ。さすがに、こちらの人数に合わせるのは無理だったようだ。
八人だけでも女の子が一人余るというのに、希美も参加させられた。過剰露出の水着をTシャツ(だけ)に着替えさせられたのだから、全員で希美を嬲るという趣向ではなさそうだった。
バンガローの近くでは他の小屋に泊まっている人たちに迷惑を掛けるから、五十メートルほど離れた広場へ移動した。簡単なバーベキューの設備があるので、そこのテーブルで、まずは乾杯。
大所帯なので三つに分かれた。二年生の薬世、詠子、綺麗が同じテーブルで、男性も三人。希美は二年生の麻紀と向かい合って左右に海の家の二人。麻紀には見知らぬ三人組のうちの一人。三年生は四人がひとかたまりになって、男性は一人だけ。
幹部の三年生が後輩に花を持たせた形だなと、希美は思った。
乾杯は缶ビール。二十歳未満だからと遠慮するものなんかいない。希美も楚葉に命令されれば、拒めない。
「へえ。百合香学園なんだ、お嬢様なんだね」
「御令嬢が多いのは確かだけど、おれらはスケバンだぜ。ああ、そこのパンツ穿いてないやつはウリ専な」
続きをしようと言っていた二人を楚葉が仕切って希美の両側に座らせたときから、そんな予感はしていたし覚悟もできていたけれど、何もけしかけるようなことは言わなくていいのに。これから、もっともっと辱しめられるんだなと、期待する諦める希美だったのだが。
「またまたあ。こんな可愛い子がスケバンなら、是非ともタイマンをお願いしたいね」
「おまえな。酔ってもいないうちから、そういうアブナイ発言はやめとけ」
男性陣が最初からアクセル全開なのに対して、色恋には免疫のないスケバンはブレーキに足を掛けて戸惑い気味――だったのだが。全員が輪になって花火を始めると、空気も次第に溶け合ってくる。
楚葉が人差し指をくいくいと曲げて地面を示したので、希美はしゃがみ込んで見物する。Tシャツの裾は股下五センチとないから、立っている者でも正面からは股間を覗けてしまう――のに、まったくとは言わないけど、見てくれない。テーブルで隣り合った子を口説くか、いい雰囲気になろうと懸命になっている。そして、希美についた二人は。
「花火なんてガキの遊びだよ。僕らは、もっと楽しい火遊びをするぜ」
早々に希美をグループから引っ張り出そうとする。
「おれも飽きたな。先に帰ってるぜ。希美も用事が済んだら、早く帰って来いよ」
楚葉は希美の股間に視線を注いで、言外に意味を含ませる。三人の三年生も、リーダーと行動を共にして。バーベキュー広場は、希美を含めて五人の女の子と七人の男になった。さらに。
「おいら、どうも男は苦手だ。五お、抜けたっと」
麻紀まで逃げてしまった。
希美は二人の相手をするが、それでも男が二人余ってしまう。麻紀とカップルになる予定だった青年は、俺も仲間に入れろと、希美のグループに割り込んできて。三年生四人の世話係みたいになっていた青年は、明日は早番だからとか口実を設けて自分たちの宿舎へと引き上げて行った。
こうして、三組のカップルと一組のカルテットが成立する。
すぐに希美はバーベキュー広場の奥へ連れ込まれる。ヘアバンドに一万円札二枚を挟んで、替わりにコンドームを取り出す。
目の前で別の火遊びを始められたカップルは、刺激されたのか辟易したのか、思い思いの方角へと消えて行った。
希美は順番待ちの二人に見物されながら、最初の相手に抱かれた。昼間の三重苦の中年男との青姦よりも、ずっと興奮した。三十分ほどで海の家の二人を片付けて、最後の一人はとあたりを見回したのだが、どこにも居なかった。
「ゴムを着けてても、他人の後には違いないものな」
「一万円が惜しくなったのかな。日当の二日分だし」
「あの人、彼女持ちかもな」
二人は勝手に納得して、精液の切れ目が縁の切れ目とばかり(多分、円も切れたのだろう)、それでも希美をバンガローまで送り届けてから、帰って行った。昼間の様子も見ているから、楚葉たちがほんとうにスケバンだと信じて、危ない橋は引き返したといったところが案外と真実かもしれない。
バンガローには火遊びをしなかった五人だけが居た。三人は朝帰りになるかもしれない。
「それじゃ、おれらも火遊びのやり直しといこうか」
希美の顔を見ると、すぐに楚葉が立ち上がった。紙袋を希美に持たせる。
ビニール電線やスプレー缶、他にもごちゃごちゃと入っている。もしかすると、あたしを可愛がってくれる小道具だろうか。かき氷と身体との物々交換よりも、乗るために乗せたときよりも、さっきのウリよりも――希美の胸は妖しくときめいた。
火遊びに付き合うのは、市代と二年生の麻紀。市代は昼休みの旧校舎でも、楚葉に次いで希美を甚振っていたから分かるが、麻紀は以外だった。年上の青年との一夜のロマンスより年下の女の子を虐めるほうを選ぶなんて、この人もサディスチンなんだろうか。
月明りに照らされたバーベキュー広場には、一時間ほど前の花火のゴミが散らかっているだけで、誰も居なかった。楚葉は黙ってゴミを集め始めた。リーダーにならって全員で手伝ったから、すぐ綺麗になったのはいいけれど。ゴミを希美が持っている紙袋に入れられた。集めたゴミの中には、まだ使っていない花火も混じっていた。
希美に花火のゴミと希美への責め道具を持たせたまま、楚葉は広場の奥へ行って。
「どうせだから、まだ残っている花火を遊ばんじまおうぜ」
子供の遊びなんて、どうでもいいのに。もどかしく思う希美だったが、とんだ勘違いだった。希美は楚葉の命令で、たったひとつ身体を隠しているTシャツを脱いで、地面に大の字になった。
希美の裸体の上に、楚葉がネズミ花火を乗せた。双つの乳首にひとつずつ、腹の上にも二つ。最後の一つを縦にして淫裂にあてがったが。
「まあ、ここは勘弁しといてやらあ」
希美の脚を閉じさせて、淫埠の上に置いた。
柄付ライターは二つあったので、楚葉と麻紀が点火係。
「…………」
希美は純粋の恐怖につかまれていた。肌の上で花火を燃やされたら、火傷をするに決まっている。なのに、じっと我慢していなければならない。
カチッ……楚葉がライターを点火する。麻紀もリーダーにならう。
「熱っ……」
ライターの炎が肌を舐めるのは一瞬だが、それでも熱いのに。
シュウウ、シュシュシュシュッ……
ネズミ花火が小さな炎を吐いて回り始めた。
「きゃあああっ……熱い!」
チリチリチリッと、腹の上で鋭い熱痛が奔り回った。乳房に激痛が渦巻く。希美は全身を突っ張って耐えるしかなかった。払い落とすなんて、考えなかった。
腹の上のネズミ花火はすぐに転げ落ちたのだが、乳房の二つは乳首に絡みついて、外れるまでに数秒は回っていた。
パン、パンッ! パン、パパン!
ネズミ花火が激しく回転しながら乳首から飛び上がった直後に、五つのネズミ花火が爆発した。小さな爆発だから、もし乳首に絡まったままでも、そんなにひどい火傷まではしなかったかもしれないが――恐怖のどん底で経過した数秒だったのはたしかだ。
「さすがはパイパンの御加護だな。けがねえな」
楚葉が紙袋から取り出したビニール電線で、希美の肌にこびり付いている燃え滓をはたき落とした。
ああ、次はこれが鞭になるんだなと、火傷にひりひり痛む肌よりも、希美はそちらが気になった。しかし、ビニール電線の出番は、まだだった。
バーベキュー広場の奥は雑木林になっている。その立ち木を指差して、楚葉が命令する。
「そこで逆立ちをしな。脚を開いて二本の木で支えるんだよ」
足を付ける倒立ならできる。開脚ということは――まさか股間を打ち下ろされるんだろうか。いつものように、恐怖が八割と二割のときめきと。
楚葉が紙袋を漁って取り出したのは、円筒形の花火だった。打ち上げ花火らしい太いのもあれば、手に持って星の連発を楽しむ細長いのもある。それを楚葉は、開脚して上向きに開いている二つの穴に挿し込んだ。
「…………」
打ち上げ花火は高く上がるし、連発花火は手で持つ代わりに股間で支えるだけだから、派手かもしれないけどネズミ花火よりも安全だ――希美は強く自分に言い聞かせた。本格的に痛い責めは、売春を承知させられたときの緊縛と針責めから二か月ちかく、してもらっていない。これは、あたしが心の中で望んでいたことなんだ。そうも自分を説得してみる。それでも、飛び散る火花への恐怖は――ネズミ花火を体験した直後だけに大きかった。
ヴァギナには太い打ち上げ花火、アヌスには細い連発花火を三本。
いよいよ点火――となったところで、楚葉が舌打ちした。
「こりゃあ駄目だ。打ち上げ花火は、根元に導火線があるんだっけ」
すでにヴァギナの中に埋もれている。外で点火して素早く突っ込めば――燃えている火薬が粘膜に押し付けられるのだから、ネズミ花火の火傷くらいでは済まない。
結局、連発花火をヴァギナに二本とアヌスに一本の配分になった。
「物足りないだろうが、我慢しな」
「はい……」
希美が返事をしたのは、沈黙を続けると不貞腐れていると難癖をつけられるかもしれないと、楚葉におもねったからだった。花火を突っ込まれること自体が物足り過ぎている。
アヌスの一本は、マッチ箱の紙ヤスリで頭を擦って着火させるタイプ。ヴァギナの二本は紙縒りを燃やすタイプ。三本同時に火を点けられて。
シュウウ……ポンッ、ポポン。まずアヌスの花火が噴火し始めて、紙縒りの二本が数秒遅れで燃え出す。
ボボボボボウウッ。股間から火の噴水が噴き上がった。
樹に寄りかかって逆立ちしているから、身体はわずかに後ろへ傾いている。剥き出しの腹と乳房に、まだ熱い火薬の燃え滓が降り注ぐ。
「ひいいいっ……」
希美はぎゅっと目を閉じた。目に入ったら、失明するかもしれない。
五秒か十秒か。ヴァギナとアヌスが熱くなってくる。突っ込まれている紙の筒の中では火薬が燃えているのだから当然だった
「たあまや~」
「かぎやあ~」
けらけら嗤っているのは市代と麻紀だけで、楚葉は花火の燃え具合と希美の反応を注意深く観察している。
楚葉の判断では、それほどの危険は無かったのだろう。花火は無事に燃え尽きた。
「お遊びは終わりだ」
倒立を赦されて地べたにぺたんと座り込み、肌をあちこちさすっている希美を見下ろして、楚葉が愉しそうに意地悪い笑みを浮かべた。
「痛いことをしてもらえないとか、親父に愚痴ってたよな。今夜は、たっぷり可愛がってやるぜ」
何日も全身に傷が残っても差し障りのない夏休みになるのを、おれも待っていたんだ。そう言って、楚葉はトラロープを取り出す。
「手を出しな」
両手を揃えて前で縛られた。ロープが太い枝に投げ掛けられて、希美は両手を引き上げられる。手首は引っ張られるが、ロープが食い込むほどではなく、希美は自分の足で立っている。
いよいよ本番と、楚葉がビニール電線を取り出したとき。
「姐さーん」
サブリーダーの妙子が広場に駆け込んで来た。
「綺麗が輪姦(まわ)されました。泣きながら帰って来て、怪我は……マンコが血まみれってだけですが、いきなり三人にやられたんだ。今、亜香里が手当てしてやってます」
「よし、すぐに戻る」
楚葉は吊られている希美はそのままに捨て置いて、バンガローへ続く道に向かった。
「希美は、おれらが戻って来るまで放置プレイを愉しんでろ」
ずいぶんな扱いだけど、手下とオモチャなら、手下を大切にするよね。虐められるときの、ときめきが綯い混ざった悲哀ではなく、悔しさの滲む悲哀を希美は噛み締めた。
けれど、感傷に浸っていられる状況ではなかった。花火の煙が消えたせいか、薮蚊が肌にたかってくる。手を縛られているから、叩き潰すことも払い除けることもできない。身体を揺すり足を跳ね上げ頭を振って、必死に追い払った。
希美の主観では二時間くらいだが、頭上の満月がそんなに位置を変えないうちに、楚葉は戻って来た。市代と麻紀だけではなく、綺麗も引き連れていた。
綺麗は瞼を泣き腫らしているのと、花火をしていたときと服装が替わっている二点を除けば、とくに変わった様子は見られない。輪姦されただけで、縛られたり殴られたりしたのでなければ、当然ではあるが。
「おまえがちゃんと三人を相手にしてれば、綺麗が姦(や)られることはなかったんだ」
きつい口調で楚葉に詰られて、希美は何のことか分からなかった。
「綺麗も百合枝会の一員だ。男の一人や二人、金玉を蹴飛ばして逃げるくらいはできるさ。けど、三人掛かりで押さえ込まれちゃ、おれだってどうにもならねえ」
言い掛かりもいいところだった。けれど、楚葉に言い返すなんて、希美にはできない。
「気が済むまで、こいつに詫びを入れさせな」
楚葉がビニール電線を綺麗の手に握らせた。
綺麗は戸惑っているようだったが、楚葉の屁理屈に納得したのか、ただの鬱憤晴らしか。ビニール電線を二つ折りにして握り直した。長さは一メートル余。
「待ってください。あたしにも責任があるとしても、悪いのは三人組じゃないですか」
いくらなんでも理不尽だ。ほんとうは希美に責任は無いけれど、そこまでは言えなかった。
「他人の頭の蝿を追える身分じゃねえだろが」
楚葉が決めつける。綺麗には、優しく声を掛ける。
「もちろん、三人には落とし前をつけさせるさ。出陣前の血祭りってやつだ。遠慮するこたあねえ。希美をぶちのめしてやりな」
綺麗が頷いて、ビニール電線を振りかぶった。
反射的に、希美は後ろ向きになった。
ひゅんんっ、パッシイン!
「痛いっ……!」
尻に叩きつけられたビニール電線は、肌を切られるような激痛だった。しかし、軽い。ピッチャーの投げる球を重いとか軽いという、その軽さだった。トラロープ四本の鞭は、骨にまで響く重たさがあった。
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
軽いから、楚葉に比べれば非力な綺麗でも立て続けに鞭を振るえる。
日焼けしてヒリヒリしている肌への激痛に悲鳴を上げた希美だったが、二発目からは「うっ」と息を詰めるような小さい呻き声を漏らすだけで耐えている。鋭いU字形に始まる細長い鞭痕が尻に何条も刻まれていった。
楚葉が綺麗を止めて、希美に非情の命令を下す。
「おれたちにケツを向けるんじゃねえ。こっちを向け」
やっぱり、おっぱいも叩かれるんだ。希美は、のろのろと向きを変えた。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きゃああっ……!」
尻とは痛みが桁違いだ。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きひいいっ……!」
希美は乳房を震わせながら、一打ちごとに悲鳴を噴きこぼした。
乳房も赤い線条で埋め尽くされた。
「ぼつぼつ仕上げといこう。希美、がばっと股を開きな」
いずれはその命令が来ると、希美は覚悟していたが。いざ実行しようとすると、膝が震える。
「あああ、あ……」
希美は目に涙を浮かべながら、じりじりと脚を左右に開いていった。
麻紀が電線をアンダースローに構えた。そのまま、ちろっと楚葉をふり返って。
「ええいっ」
掛け声とは裏腹に、ソフトボールだったらキャッチャーまで届きそうにない勢いで腕を振り上げた。
パチン……
「あぐっ……?」
痛いことは痛いが、期待覚悟していた激痛ではなかった。
「僕、もういいです。こいつを虐めたところで、憂さ晴らしにもなりゃしない」
麻紀が電線を楚葉に返した。
「そうかい。それじゃ、市代と先に帰ってな。おれは、こいつの欲求不満を解消してやってから戻る」
二人を追い返して。楚葉が、あらためて希美と向かい合う。
「これで、おまえが望む以上に可愛がってやれるぜ。子分の中にゃ、おれの遊びを良く思わないやつもいるからな」
敵対しない者をリンチに掛けるのは百合枝会のポリシーに反するし、どれほど過激でもSMプレイは性的遊戯に過ぎないから硬派が耽る行為ではない――といったところか。
楚葉がポケットから剃刀を取り出した。ビニール電線の両端をライターで炙ってから、剃刀で被覆を切り取って、銅線を五センチほども露出させた。極細の銅線を数本ずつ撚り合わせる。
綺麗と同じようにビニール電線を二重にして、しかし端ではなく曲げた部分を手に握った。鞭の先端は、針のように尖った銅線の束。
「そんなに怯えた顔をするなよ。せいぜい二週間もすれば治るくらいの傷で勘弁してやるよ」
銅線をべろりと舌で舐めて、サディスチンの笑みを浮かべる楚葉。
「おれも女だが、女っやつは身勝手でいけねえや。返す金は無ねえのに、死んだって風呂に入るのが厭って女を説得するときに、こいつを使うんだそうだ。まあ、一年に一人、いるかいないかだが」
裸商売だから、傷は残さない。ただし、治療費で借金は百万ばかり増えるがな――と、希美を怖がらせるんだか安心させるんだか、分からないようなことを言ってから。一転して凄みの利いた声で叱りつける。
「誰が足を閉じていいと言った。おれは麻紀のピンチヒッターだからな。同じ場面からプレイボールだぜ」
さっきよりずっと凶悪になった鞭で、女の子のいちばんの急所を、たぶん麻紀の何倍もの強さで打ち据えられる。希美は、頭がくらくらするほどの恐怖に捕らわれた。けれど、そのくらくらの一パーセントくらいには、胸がねじれ腰が熱くなる妖しいときめきが紛れ込んでいた。
全身を震わせながら脚を左右に開く希美。
楚葉は腕を大きく後ろへ引いて……
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
股間で火の玉が爆発したような激痛。希美は野獣のように吼えた。
「うあああ、ああ……」
膝が砕けて、全体重が吊られている手首に掛かった。その痛みを、希美はほとんど感じていない。股間を見下ろすと、無毛の丘に何本もの細い切り傷が刻まれていた。
「しゃんと立て。一発や二発で終わると思うなよ」
言いながら、肘から先だけで希美の乳房を水平に薙ぎ払った。
しゅっ、パシン。
「きひいいっ……」
軽い一撃でも、麻紀に同じところを叩かれたときよりも痛いくらいだった。軽いが、ずっと鋭い。
しゅっ、パシン。
しゅっ、パシン。
希美は乳房に鞭の往復ビンタを食らいながら、膝に力を入れて懸命に脚を開いた。残酷な一撃を股間に受けるために。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
反射的に希美は身をよじり片脚を引き付けて股間を庇った――ときには、股間を抉った鞭先がそのまま上に振り抜かれて、下腹部から胸の谷間まで深紅の線条を刻み、顔の手前で後へ跳ねた。さらに斜め下に振り下ろされて、乳房から脇腹を切り裂く。
「ぎびい゙い゙い゙っ……!」
激痛に身悶えしながらも、希美は足を踏ん張って、鞭を受ける姿勢に戻った。
さらにもう三回。下から上、斜め上から下へと鞭先が希美の肌を切り刻む。麻紀が付けた細い線刻が、滲んだ血で隠される。
「これくらいで勘弁しといてやる――マンコはな。後ろを向け」
お尻なら耐えられるだろうと、ほっとした思いで希美は後ろ向きになった。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……!」
股間よりはましだったが。背中を鞭打たれて、やはり希美は悲鳴を上げた。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎひいっ……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きひい……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……」
立て続けに背中を斜めに切り裂かれて、希美は悲鳴を抑えられない。叫んでいるうちに、頭に霞が掛かってきて――腰の奥に痺れがわだかまっていく。もう赦してほしいという願いと、もっと虐めてくださいという悦虐とが拮抗する。
尻にも五発の鞭を与えて、ようやく楚葉は手を止めた。
「今日は二か月分の遊び道具をいろいろ持って来てるんだぜ」
楚葉が次に取り出した責め具は洗濯バサミだった。決して楽な責めではないが、銅線剥き出しのビニール電線に比べれば、どうってことはない――という希美の楽観は、目の前で洗濯バサミの嘴を開閉させられて吹っ飛んだ。先端から五ミリのあたりに、釘が打ち込まれていた。反対側の嘴には小さな穴が空いていて、斜めに切り落とした釘先が突き抜けている。
「洗濯バサミなんて生ぬるいし、針がほんとに痛いのは突き刺すときだけだからな。ちょいと工夫してみたんだ」
これなら、洗濯バサミと針の両方を同時に味わえるんだぜと、とことん希美に恐怖を与える。
「釘をペンチで斜めに切ってあるんだ。待ち針より痛いぜ。とは言っても……」
半日くらいは着けっ放しにしても大丈夫なのは実証済みだと、安心させながら言外に長時間の責めを匂わせる。
「順番としては、こっちからだな」
楚葉は希美の乳首を摘まんで引き伸ばして、くわっと嘴を開けた洗濯バサミを近づける。いっぱいに洗濯バサミを開いて乳首を挟み込んだ。
パチン!
楚葉は指を滑らせて洗濯バサミを手から放した。
ブツッ……と、釘が乳首を突き抜ける音を、希美は身体で聞いた。
「びぎひいいいっ……!」
激痛が脳天まで突き抜けて。甲高い悲鳴。希美は今日一日だけで、これまでの三か月分以上の絶叫を絞り出されているのではないだろうか。
反対側の乳首にも着けられて、再びの悲鳴。洗濯バサミの圧痛と釘の貫痛との区別なんか、つかない。両者が絡み合って、ネズミ花火のほうが百倍ましに思えた。
楚葉が三つ目の洗濯バサミを手に取った。
「あ、あああ……それだけは……赦してくださいい」
唇をわななかせながら懇願する希美。このときばかりは、無理強いに虐められたいとは、さすがに一欠片も思っていなかった。股はきつく閉じ合わされて、つま先立ちするほどに腰は後ろへ引かれている。
「打ち上げ花火を上下逆さに突っ込まれたいのか。子宮目掛けてドッカーンだぜ」
脚を閉じていれば、並みのペニスよりも太い花火を挿入などできないのだが――ヴァギナの中で火薬が(比喩表現ではなく)爆発する恐怖に、希美は打ちのめされた。
お姉様は、ほんとはそんな大怪我をさせるようなことはしない。心の底では信頼している。それを裏返せば――クリトリスを釘付き洗濯バサミで挟まれても、想像を絶する激痛だろうけど、大怪我はしないのだろうと、責めを受け容れる覚悟につながる。
「怖い……」
希美はしゃくり上げながら、さすがに腰は引いたまま、おずおずと脚を開いた。
楚葉が手を伸ばしてクリトリスを摘まんで引っ張る。わずかな痛みだが、無自覚のうちに希美の腰が突き出される。楚葉は横に回り込んで身体を密着させて腰を動かせなくさせてから、親指と薬指でクリトリスの根本を摘まんだまま、残る二本の指で器用に包皮を剥き下げて、素早く洗濯バサミに実核を咬ませる。
パチン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」
喉から血しぶきが飛び散るような絶叫。
「ひいいいいいいい……」
吐き続ける悲鳴が、次第に弱々しくなって、希美は半失神状態に陥った。
しかし、楚葉は許さない。バチンバチンと、頭が激しく揺れるほど強く往復ビンタを張って、希美を束の間の安息から引きずり出す。
「乳首とクリトリスへの愛撫だけじゃあ、満足できねえよな。やっぱり、マンコに太いのを咥え込まなくちゃな」
希美は、目の前にかざされた物を見て、もはや絶望の吐息を吐くしかなかった。
それは擂粉木を短く切断したものだった。ただし、何本もの木ネジが埋め込まれていて――浅い円錐形の頭と鋭く尖った先端が数ミリずつ露出している。こんな物をヴァギナに突っ込まれたら……凄く痛いのは当然だけど、二度と使い物にならなくなってしまいはしないだろうか。
「こいつは、名器養成ギプスでもあるんだぜ。マンコの中の襞々が増えて、蚯蚓千匹か数の子天井か、そんな感じに……なるかもしれねえな。こいつは、さすがに試したことが無えからな」
お姉様は、あたしの心を読めるんだろうか。希美の疑問は、そちらへ向かった。銅線剥き出しの電気コードはヤクザが実際に使うと言っていたが、釘付き洗濯バサミもは楚葉自身が工夫したと言わなかっただろうか。それなら、いつ誰に試したのか――そこへは考えが及ばなかった。
楚葉が擂粉木を股間に近づける。もはや希美には、脚を閉じて抗う気力も無い。だいいち、クリトリスを咬む洗濯バサミをこねくって、自分でいっそう激痛を増す結果になる。
こんな苛酷な責めを受けて、希美はなおヴァギナを濡らしている――のではない。鞭傷から滴り釘に貫かれたクリトリスからも垂れている血が潤滑となって、擂粉木の頭部は容易に貫入した。
「痛い……」
擂粉木をじわじわと押し込まれて、希美は小さく呻いただけだった。数時間前の希美だったら絶叫していたかもしれないが、立て続けの想像を絶する激痛に馴致され、叫び過ぎて喉も涸れている。
楚葉は擂粉木を完全に埋没させた。小淫唇で擂粉木の後ろを包み込むようにして、大陰唇までぴっちり閉じ合わせた。そして、最後の責め道具を取り出す。幅が五センチ以上もある特大の目玉クリップだった。
目玉クリップで大淫唇を閉ざされても、希美はほとんど無反応だった。全身の激痛に比べれば、幅のある金属板で強く挟まれるくらい、どうということもないのだった。
「おれの遊びは、これでおしまい。おまえは、朝まで余韻を楽しんでいな」
楚葉の言葉は、このまま放置するという意味だ。
「と言っても、このままじゃ虫に刺されて、鞭よりも酷いことになるな。それは可哀相だから」
楚葉が紙袋からスプレーを取り出した。
「虫除けスプレーを噴いといてやるよ」
しゅううううっ……背中から尻へ噴き付ける。
「ひいい……沁みる……」
肌が冷感に包まれて、それが無数の針となって突き刺さるような感覚。
腕と脚にも噴き付けられたが、傷ついていないので、幾らかの冷感があっただけ。
希美を動かすより自分で動くほうが手っ取り早いと、楚葉が希美の正面へ回り込んで。
しゅううううっ……
「ぎひいいいっ……!」
乳房に噴霧されて、激痛に身悶える希美。
こうなると、目玉クリップで淫裂を閉ざされている――内奥にまで噴き込まれずに済むのだけが、わずかな救いだった。
全身の激痛にのたうつ希美を残して、楚葉はバーベキュー広場から立ち去った。
数分としないうちに、それまでの冷感が失せて、替わりに燃え上がるような熱感が襲ってきた。
冷感から熱感への転換。この感覚に、希美は心当たりがあった。臭いもそっくりだ。虫除けスプレーというのは嘘で、筋肉消炎剤だろう。もっとも、ハッカには虫除けの効果もあるから、そういう目的にも使える――としても。虫除けだろうと筋肉消炎剤だろうと、傷口に噴霧は厳禁だ。
鞭の余韻どころではない。洗濯バサミに咬まれた三つの突起が、絶え間ない激痛を送り込んでくる。封印された擂粉木がだんだん膨れてくるような錯覚。これからが、何時間も続くほんとうの責めだとさえ言えるのだった。
リンチされたいだなんて馬鹿なことを妄想したのが、間違いだった。妄想に留めておけば良かったのに、土壇場でも逃げられるチャンスをお姉様は与えてくださったのに……あたしって、救いようのない馬鹿だ。希美は激痛に身をよじり涙を流しながら、後悔した。その一方で……
馬鹿なんじゃない、マゾなんだ。この地獄のような苦しみも、明日とは言わないけど明後日くらいには、思い出しながらオナニーに耽るんだわ。そこまで想いが至ると――激痛はそのままに、甘い陶酔が頭を浸食し始める。
その一夜は希美にとって、それまでの生涯で(物心ついてからわずかに十年とちょっとではあるが)もっとも長い一夜だった。
激痛にも馴致され、筋肉消炎剤の効果も薄れてくると、物思いに耽る余裕さえ生まれる。
お姉様に、あたしは大きく変えられた――のではない。それまで心の奥で渦巻いていた妄想を、お姉様が現実のものにしてくださったんだ。悪い方向への変化だと、自分でも思う。素行も勉強も。けれど、誰かが言っていた。世の中には、言っていいことと、言ったら面白いことがあるって。
こんなに痛いのは、二度と御免だ。でも、卒業までずっと、二度とこんなことをしないってお姉様が約束してくださったら……それも淋しいかな。つまり、心の底では、こんなことやもっと非道いことを……されたいんだろうか。
鞭打ちの余韻と釘付き洗濯バサミの激痛とヴァギナの中の木ネジ擂粉木の圧倒的な違和感と筋肉消炎剤の刺激とに悶えながらも、夜が更けていくにつれて希美は睡魔に襲われていた。日焼けは肉体を消耗する。晴天下の露出が著しい興奮の反動をもたらしているし、二か月半ぶりの苛酷な責めは心身の両面にダメージを与え続けている。
希美は微睡んでは、吊られた手首に加わる体重の痛みで引き戻され、立っているうちにまた睡魔に襲われて――ついには浅い眠りの中へと漂い出ていった。
「ちょっと、きみ……大丈夫か?」
身体を揺すぶられて、希美はぼんやりと瞼を開けた。見知らぬ男性の顔が、目の前にあった。ひどく戸惑っている。男性の後ろ、かなり離れたところに、若い(といっても、希美より十は上だろう)女性も立っている。
「何をして……されたの? 誰かに乱暴されたのか?」
この人たちもバンガローに泊まっていたのか、それとも地元のアベックかもしれない。朝の散歩に出掛けて……裸で傷だらけで変な飾りを着けて木から吊られている女の子を発見して。あたしが、ロマンスをサスペンスにしちゃったんだ。
希美は、男性よりも激しくうろたえた。騒ぎになっては、自分も楚葉も困る。このまま静かに二人に立ち去ってもらうには……
「SMプレイなんです。あたしが望んで……ご主人様に調教してもらっているんです」
こう言うしかなかった。プレイなんて軽い気持ちではないけれど。自分にだってうまく説明できないことを、他人に理解してもらうのは不可能だ。その必要も無い。
「だから、言ったじゃない。放っとけばいいって」
静かな早朝の、希美とアベックしかいない広場。希美の声は後ろの女性にまで聞こえていた。
「まだ十五六でしょ。とんでもない変態だわ」
同性からの軽蔑しきった罵声は、何よりもつらい。売春をしているときに男性から投げ掛けられた言葉は、たとえ侮辱が含まれていても腰の奥に響いてきたが、今は胸を突き刺すだけだった。
「何を熱心に見てるのよ。いやらしい。あなただけ、そうしているといいわ」
女性が踵を返して、大股にずんずん歩き出した。男が、慌てて後を追って――希美は、また独り取り残される。
――楚葉が来て希美を解放したのは、午前七時過ぎだった。
========================================

最後の目玉クリップでの大淫唇封鎖。これは、この画像がインスパイア元です。
短い動画もあります。細いビニール紐で下腹部をピシピシしています。縦でなく横に敲いているのが残念。合意プレイの限界ですかしら。
動画ではすぐにダブルクリップを外してしまいますが、蜜がとろ~りと垂れているのが映っています。画像も動画も、幾たびとなくG線上のアレヤコレヤに活用させていただきました。短い動画が切り出しなら、是非ともフルバージョンを有償で構わないので入手したいものです。
うん。ネットでは無料DLできるあれこれが氾濫しています。金を払ってまでとなると、よほどの余程です。
なので。よほどの余程を決断されたWILL様のリクエストに、ト連送です。
注記)
旧海軍の急降下爆撃手順(隊長からのモールス信号)。
・・-・・ ・--・ --- トツレ:突撃隊形作れ。
一列縦隊です。後に、第二突撃隊形が工夫されて、これは「トツレ2」
・・-・・ ・・-・・ ・・-・・ ト連送:突撃!
指揮官先頭で急降下に移ったポイントで、順次急降下。
真珠湾攻撃で奇襲成功して発信されたのが、この日の為に作られた、トラ連送です。
・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・
ト連送に簡単な符号(・・・)を付け加えたというのが、一目燎原の火。
ちなみに。特攻のときは各機がト連送の後で電鍵を押しっぱなしにして(――――――)、基地で受信した符号が長ければ突入成功、短ければ撃墜されたと判断していたそうです。合掌。
といったところです。
書きかけの章を仕上げました。この24時間(平日=ジェダイの騎士)で、6400文字です20枚です。
========================================
さまざまな激痛
素股で中途半端に押し上げられたり、三重苦(短小包茎早漏)の相手をさせられたり、不完全燃焼のまま日が暮れた希美だったが、楚葉の真骨頂はここからだった。
希美を除く八人はTシャツにミニスカートかホットパンツかスラックスといった気楽な服装に着替えて、夕食は定番のカレー(くらいはスケバンでも作れる)をわいわいきゃいきゃい食べて。希美は平ゴム二本の水着姿で開脚正座をし続けて、夕食はカレー鍋にぶち込まれた残飯を犬食いさせられて。
約束どおりにアルバイトの学生たちが、大量の花火とアルコールを含む清涼飲料を携えてバンガローを訪れた。
希美の身体をちょっとだけ味見した海の家の二人と、貸しボート屋で割りを食った二人と、見知らぬ三人と。七人はキャンパスの先輩後輩友人の関係だそうだ。さすがに、こちらの人数に合わせるのは無理だったようだ。
八人だけでも女の子が一人余るというのに、希美も参加させられた。過剰露出の水着をTシャツ(だけ)に着替えさせられたのだから、全員で希美を嬲るという趣向ではなさそうだった。
バンガローの近くでは他の小屋に泊まっている人たちに迷惑を掛けるから、五十メートルほど離れた広場へ移動した。簡単なバーベキューの設備があるので、そこのテーブルで、まずは乾杯。
大所帯なので三つに分かれた。二年生の薬世、詠子、綺麗が同じテーブルで、男性も三人。希美は二年生の麻紀と向かい合って左右に海の家の二人。麻紀には見知らぬ三人組のうちの一人。三年生は四人がひとかたまりになって、男性は一人だけ。
幹部の三年生が後輩に花を持たせた形だなと、希美は思った。
乾杯は缶ビール。二十歳未満だからと遠慮するものなんかいない。希美も楚葉に命令されれば、拒めない。
「へえ。百合香学園なんだ、お嬢様なんだね」
「御令嬢が多いのは確かだけど、おれらはスケバンだぜ。ああ、そこのパンツ穿いてないやつはウリ専な」
続きをしようと言っていた二人を楚葉が仕切って希美の両側に座らせたときから、そんな予感はしていたし覚悟もできていたけれど、何もけしかけるようなことは言わなくていいのに。これから、もっともっと辱しめられるんだなと、期待する諦める希美だったのだが。
「またまたあ。こんな可愛い子がスケバンなら、是非ともタイマンをお願いしたいね」
「おまえな。酔ってもいないうちから、そういうアブナイ発言はやめとけ」
男性陣が最初からアクセル全開なのに対して、色恋には免疫のないスケバンはブレーキに足を掛けて戸惑い気味――だったのだが。全員が輪になって花火を始めると、空気も次第に溶け合ってくる。
楚葉が人差し指をくいくいと曲げて地面を示したので、希美はしゃがみ込んで見物する。Tシャツの裾は股下五センチとないから、立っている者でも正面からは股間を覗けてしまう――のに、まったくとは言わないけど、見てくれない。テーブルで隣り合った子を口説くか、いい雰囲気になろうと懸命になっている。そして、希美についた二人は。
「花火なんてガキの遊びだよ。僕らは、もっと楽しい火遊びをするぜ」
早々に希美をグループから引っ張り出そうとする。
「おれも飽きたな。先に帰ってるぜ。希美も用事が済んだら、早く帰って来いよ」
楚葉は希美の股間に視線を注いで、言外に意味を含ませる。三人の三年生も、リーダーと行動を共にして。バーベキュー広場は、希美を含めて五人の女の子と七人の男になった。さらに。
「おいら、どうも男は苦手だ。五お、抜けたっと」
麻紀まで逃げてしまった。
希美は二人の相手をするが、それでも男が二人余ってしまう。麻紀とカップルになる予定だった青年は、俺も仲間に入れろと、希美のグループに割り込んできて。三年生四人の世話係みたいになっていた青年は、明日は早番だからとか口実を設けて自分たちの宿舎へと引き上げて行った。
こうして、三組のカップルと一組のカルテットが成立する。
すぐに希美はバーベキュー広場の奥へ連れ込まれる。ヘアバンドに一万円札二枚を挟んで、替わりにコンドームを取り出す。
目の前で別の火遊びを始められたカップルは、刺激されたのか辟易したのか、思い思いの方角へと消えて行った。
希美は順番待ちの二人に見物されながら、最初の相手に抱かれた。昼間の三重苦の中年男との青姦よりも、ずっと興奮した。三十分ほどで海の家の二人を片付けて、最後の一人はとあたりを見回したのだが、どこにも居なかった。
「ゴムを着けてても、他人の後には違いないものな」
「一万円が惜しくなったのかな。日当の二日分だし」
「あの人、彼女持ちかもな」
二人は勝手に納得して、精液の切れ目が縁の切れ目とばかり(多分、円も切れたのだろう)、それでも希美をバンガローまで送り届けてから、帰って行った。昼間の様子も見ているから、楚葉たちがほんとうにスケバンだと信じて、危ない橋は引き返したといったところが案外と真実かもしれない。
バンガローには火遊びをしなかった五人だけが居た。三人は朝帰りになるかもしれない。
「それじゃ、おれらも火遊びのやり直しといこうか」
希美の顔を見ると、すぐに楚葉が立ち上がった。紙袋を希美に持たせる。
ビニール電線やスプレー缶、他にもごちゃごちゃと入っている。もしかすると、あたしを可愛がってくれる小道具だろうか。かき氷と身体との物々交換よりも、乗るために乗せたときよりも、さっきのウリよりも――希美の胸は妖しくときめいた。
火遊びに付き合うのは、市代と二年生の麻紀。市代は昼休みの旧校舎でも、楚葉に次いで希美を甚振っていたから分かるが、麻紀は以外だった。年上の青年との一夜のロマンスより年下の女の子を虐めるほうを選ぶなんて、この人もサディスチンなんだろうか。
月明りに照らされたバーベキュー広場には、一時間ほど前の花火のゴミが散らかっているだけで、誰も居なかった。楚葉は黙ってゴミを集め始めた。リーダーにならって全員で手伝ったから、すぐ綺麗になったのはいいけれど。ゴミを希美が持っている紙袋に入れられた。集めたゴミの中には、まだ使っていない花火も混じっていた。
希美に花火のゴミと希美への責め道具を持たせたまま、楚葉は広場の奥へ行って。
「どうせだから、まだ残っている花火を遊ばんじまおうぜ」
子供の遊びなんて、どうでもいいのに。もどかしく思う希美だったが、とんだ勘違いだった。希美は楚葉の命令で、たったひとつ身体を隠しているTシャツを脱いで、地面に大の字になった。
希美の裸体の上に、楚葉がネズミ花火を乗せた。双つの乳首にひとつずつ、腹の上にも二つ。最後の一つを縦にして淫裂にあてがったが。
「まあ、ここは勘弁しといてやらあ」
希美の脚を閉じさせて、淫埠の上に置いた。
柄付ライターは二つあったので、楚葉と麻紀が点火係。
「…………」
希美は純粋の恐怖につかまれていた。肌の上で花火を燃やされたら、火傷をするに決まっている。なのに、じっと我慢していなければならない。
カチッ……楚葉がライターを点火する。麻紀もリーダーにならう。
「熱っ……」
ライターの炎が肌を舐めるのは一瞬だが、それでも熱いのに。
シュウウ、シュシュシュシュッ……
ネズミ花火が小さな炎を吐いて回り始めた。
「きゃあああっ……熱い!」
チリチリチリッと、腹の上で鋭い熱痛が奔り回った。乳房に激痛が渦巻く。希美は全身を突っ張って耐えるしかなかった。払い落とすなんて、考えなかった。
腹の上のネズミ花火はすぐに転げ落ちたのだが、乳房の二つは乳首に絡みついて、外れるまでに数秒は回っていた。
パン、パンッ! パン、パパン!
ネズミ花火が激しく回転しながら乳首から飛び上がった直後に、五つのネズミ花火が爆発した。小さな爆発だから、もし乳首に絡まったままでも、そんなにひどい火傷まではしなかったかもしれないが――恐怖のどん底で経過した数秒だったのはたしかだ。
「さすがはパイパンの御加護だな。けがねえな」
楚葉が紙袋から取り出したビニール電線で、希美の肌にこびり付いている燃え滓をはたき落とした。
ああ、次はこれが鞭になるんだなと、火傷にひりひり痛む肌よりも、希美はそちらが気になった。しかし、ビニール電線の出番は、まだだった。
バーベキュー広場の奥は雑木林になっている。その立ち木を指差して、楚葉が命令する。
「そこで逆立ちをしな。脚を開いて二本の木で支えるんだよ」
足を付ける倒立ならできる。開脚ということは――まさか股間を打ち下ろされるんだろうか。いつものように、恐怖が八割と二割のときめきと。
楚葉が紙袋を漁って取り出したのは、円筒形の花火だった。打ち上げ花火らしい太いのもあれば、手に持って星の連発を楽しむ細長いのもある。それを楚葉は、開脚して上向きに開いている二つの穴に挿し込んだ。
「…………」
打ち上げ花火は高く上がるし、連発花火は手で持つ代わりに股間で支えるだけだから、派手かもしれないけどネズミ花火よりも安全だ――希美は強く自分に言い聞かせた。本格的に痛い責めは、売春を承知させられたときの緊縛と針責めから二か月ちかく、してもらっていない。これは、あたしが心の中で望んでいたことなんだ。そうも自分を説得してみる。それでも、飛び散る火花への恐怖は――ネズミ花火を体験した直後だけに大きかった。
ヴァギナには太い打ち上げ花火、アヌスには細い連発花火を三本。
いよいよ点火――となったところで、楚葉が舌打ちした。
「こりゃあ駄目だ。打ち上げ花火は、根元に導火線があるんだっけ」
すでにヴァギナの中に埋もれている。外で点火して素早く突っ込めば――燃えている火薬が粘膜に押し付けられるのだから、ネズミ花火の火傷くらいでは済まない。
結局、連発花火をヴァギナに二本とアヌスに一本の配分になった。
「物足りないだろうが、我慢しな」
「はい……」
希美が返事をしたのは、沈黙を続けると不貞腐れていると難癖をつけられるかもしれないと、楚葉におもねったからだった。花火を突っ込まれること自体が物足り過ぎている。
アヌスの一本は、マッチ箱の紙ヤスリで頭を擦って着火させるタイプ。ヴァギナの二本は紙縒りを燃やすタイプ。三本同時に火を点けられて。
シュウウ……ポンッ、ポポン。まずアヌスの花火が噴火し始めて、紙縒りの二本が数秒遅れで燃え出す。
ボボボボボウウッ。股間から火の噴水が噴き上がった。
樹に寄りかかって逆立ちしているから、身体はわずかに後ろへ傾いている。剥き出しの腹と乳房に、まだ熱い火薬の燃え滓が降り注ぐ。
「ひいいいっ……」
希美はぎゅっと目を閉じた。目に入ったら、失明するかもしれない。
五秒か十秒か。ヴァギナとアヌスが熱くなってくる。突っ込まれている紙の筒の中では火薬が燃えているのだから当然だった
「たあまや~」
「かぎやあ~」
けらけら嗤っているのは市代と麻紀だけで、楚葉は花火の燃え具合と希美の反応を注意深く観察している。
楚葉の判断では、それほどの危険は無かったのだろう。花火は無事に燃え尽きた。
「お遊びは終わりだ」
倒立を赦されて地べたにぺたんと座り込み、肌をあちこちさすっている希美を見下ろして、楚葉が愉しそうに意地悪い笑みを浮かべた。
「痛いことをしてもらえないとか、親父に愚痴ってたよな。今夜は、たっぷり可愛がってやるぜ」
何日も全身に傷が残っても差し障りのない夏休みになるのを、おれも待っていたんだ。そう言って、楚葉はトラロープを取り出す。
「手を出しな」
両手を揃えて前で縛られた。ロープが太い枝に投げ掛けられて、希美は両手を引き上げられる。手首は引っ張られるが、ロープが食い込むほどではなく、希美は自分の足で立っている。
いよいよ本番と、楚葉がビニール電線を取り出したとき。
「姐さーん」
サブリーダーの妙子が広場に駆け込んで来た。
「綺麗が輪姦(まわ)されました。泣きながら帰って来て、怪我は……マンコが血まみれってだけですが、いきなり三人にやられたんだ。今、亜香里が手当てしてやってます」
「よし、すぐに戻る」
楚葉は吊られている希美はそのままに捨て置いて、バンガローへ続く道に向かった。
「希美は、おれらが戻って来るまで放置プレイを愉しんでろ」
ずいぶんな扱いだけど、手下とオモチャなら、手下を大切にするよね。虐められるときの、ときめきが綯い混ざった悲哀ではなく、悔しさの滲む悲哀を希美は噛み締めた。
けれど、感傷に浸っていられる状況ではなかった。花火の煙が消えたせいか、薮蚊が肌にたかってくる。手を縛られているから、叩き潰すことも払い除けることもできない。身体を揺すり足を跳ね上げ頭を振って、必死に追い払った。
希美の主観では二時間くらいだが、頭上の満月がそんなに位置を変えないうちに、楚葉は戻って来た。市代と麻紀だけではなく、綺麗も引き連れていた。
綺麗は瞼を泣き腫らしているのと、花火をしていたときと服装が替わっている二点を除けば、とくに変わった様子は見られない。輪姦されただけで、縛られたり殴られたりしたのでなければ、当然ではあるが。
「おまえがちゃんと三人を相手にしてれば、綺麗が姦(や)られることはなかったんだ」
きつい口調で楚葉に詰られて、希美は何のことか分からなかった。
「綺麗も百合枝会の一員だ。男の一人や二人、金玉を蹴飛ばして逃げるくらいはできるさ。けど、三人掛かりで押さえ込まれちゃ、おれだってどうにもならねえ」
言い掛かりもいいところだった。けれど、楚葉に言い返すなんて、希美にはできない。
「気が済むまで、こいつに詫びを入れさせな」
楚葉がビニール電線を綺麗の手に握らせた。
綺麗は戸惑っているようだったが、楚葉の屁理屈に納得したのか、ただの鬱憤晴らしか。ビニール電線を二つ折りにして握り直した。長さは一メートル余。
「待ってください。あたしにも責任があるとしても、悪いのは三人組じゃないですか」
いくらなんでも理不尽だ。ほんとうは希美に責任は無いけれど、そこまでは言えなかった。
「他人の頭の蝿を追える身分じゃねえだろが」
楚葉が決めつける。綺麗には、優しく声を掛ける。
「もちろん、三人には落とし前をつけさせるさ。出陣前の血祭りってやつだ。遠慮するこたあねえ。希美をぶちのめしてやりな」
綺麗が頷いて、ビニール電線を振りかぶった。
反射的に、希美は後ろ向きになった。
ひゅんんっ、パッシイン!
「痛いっ……!」
尻に叩きつけられたビニール電線は、肌を切られるような激痛だった。しかし、軽い。ピッチャーの投げる球を重いとか軽いという、その軽さだった。トラロープ四本の鞭は、骨にまで響く重たさがあった。
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
軽いから、楚葉に比べれば非力な綺麗でも立て続けに鞭を振るえる。
日焼けしてヒリヒリしている肌への激痛に悲鳴を上げた希美だったが、二発目からは「うっ」と息を詰めるような小さい呻き声を漏らすだけで耐えている。鋭いU字形に始まる細長い鞭痕が尻に何条も刻まれていった。
楚葉が綺麗を止めて、希美に非情の命令を下す。
「おれたちにケツを向けるんじゃねえ。こっちを向け」
やっぱり、おっぱいも叩かれるんだ。希美は、のろのろと向きを変えた。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きゃああっ……!」
尻とは痛みが桁違いだ。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きひいいっ……!」
希美は乳房を震わせながら、一打ちごとに悲鳴を噴きこぼした。
乳房も赤い線条で埋め尽くされた。
「ぼつぼつ仕上げといこう。希美、がばっと股を開きな」
いずれはその命令が来ると、希美は覚悟していたが。いざ実行しようとすると、膝が震える。
「あああ、あ……」
希美は目に涙を浮かべながら、じりじりと脚を左右に開いていった。
麻紀が電線をアンダースローに構えた。そのまま、ちろっと楚葉をふり返って。
「ええいっ」
掛け声とは裏腹に、ソフトボールだったらキャッチャーまで届きそうにない勢いで腕を振り上げた。
パチン……
「あぐっ……?」
痛いことは痛いが、期待覚悟していた激痛ではなかった。
「僕、もういいです。こいつを虐めたところで、憂さ晴らしにもなりゃしない」
麻紀が電線を楚葉に返した。
「そうかい。それじゃ、市代と先に帰ってな。おれは、こいつの欲求不満を解消してやってから戻る」
二人を追い返して。楚葉が、あらためて希美と向かい合う。
「これで、おまえが望む以上に可愛がってやれるぜ。子分の中にゃ、おれの遊びを良く思わないやつもいるからな」
敵対しない者をリンチに掛けるのは百合枝会のポリシーに反するし、どれほど過激でもSMプレイは性的遊戯に過ぎないから硬派が耽る行為ではない――といったところか。
楚葉がポケットから剃刀を取り出した。ビニール電線の両端をライターで炙ってから、剃刀で被覆を切り取って、銅線を五センチほども露出させた。極細の銅線を数本ずつ撚り合わせる。
綺麗と同じようにビニール電線を二重にして、しかし端ではなく曲げた部分を手に握った。鞭の先端は、針のように尖った銅線の束。
「そんなに怯えた顔をするなよ。せいぜい二週間もすれば治るくらいの傷で勘弁してやるよ」
銅線をべろりと舌で舐めて、サディスチンの笑みを浮かべる楚葉。
「おれも女だが、女っやつは身勝手でいけねえや。返す金は無ねえのに、死んだって風呂に入るのが厭って女を説得するときに、こいつを使うんだそうだ。まあ、一年に一人、いるかいないかだが」
裸商売だから、傷は残さない。ただし、治療費で借金は百万ばかり増えるがな――と、希美を怖がらせるんだか安心させるんだか、分からないようなことを言ってから。一転して凄みの利いた声で叱りつける。
「誰が足を閉じていいと言った。おれは麻紀のピンチヒッターだからな。同じ場面からプレイボールだぜ」
さっきよりずっと凶悪になった鞭で、女の子のいちばんの急所を、たぶん麻紀の何倍もの強さで打ち据えられる。希美は、頭がくらくらするほどの恐怖に捕らわれた。けれど、そのくらくらの一パーセントくらいには、胸がねじれ腰が熱くなる妖しいときめきが紛れ込んでいた。
全身を震わせながら脚を左右に開く希美。
楚葉は腕を大きく後ろへ引いて……
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
股間で火の玉が爆発したような激痛。希美は野獣のように吼えた。
「うあああ、ああ……」
膝が砕けて、全体重が吊られている手首に掛かった。その痛みを、希美はほとんど感じていない。股間を見下ろすと、無毛の丘に何本もの細い切り傷が刻まれていた。
「しゃんと立て。一発や二発で終わると思うなよ」
言いながら、肘から先だけで希美の乳房を水平に薙ぎ払った。
しゅっ、パシン。
「きひいいっ……」
軽い一撃でも、麻紀に同じところを叩かれたときよりも痛いくらいだった。軽いが、ずっと鋭い。
しゅっ、パシン。
しゅっ、パシン。
希美は乳房に鞭の往復ビンタを食らいながら、膝に力を入れて懸命に脚を開いた。残酷な一撃を股間に受けるために。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
反射的に希美は身をよじり片脚を引き付けて股間を庇った――ときには、股間を抉った鞭先がそのまま上に振り抜かれて、下腹部から胸の谷間まで深紅の線条を刻み、顔の手前で後へ跳ねた。さらに斜め下に振り下ろされて、乳房から脇腹を切り裂く。
「ぎびい゙い゙い゙っ……!」
激痛に身悶えしながらも、希美は足を踏ん張って、鞭を受ける姿勢に戻った。
さらにもう三回。下から上、斜め上から下へと鞭先が希美の肌を切り刻む。麻紀が付けた細い線刻が、滲んだ血で隠される。
「これくらいで勘弁しといてやる――マンコはな。後ろを向け」
お尻なら耐えられるだろうと、ほっとした思いで希美は後ろ向きになった。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……!」
股間よりはましだったが。背中を鞭打たれて、やはり希美は悲鳴を上げた。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎひいっ……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きひい……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……」
立て続けに背中を斜めに切り裂かれて、希美は悲鳴を抑えられない。叫んでいるうちに、頭に霞が掛かってきて――腰の奥に痺れがわだかまっていく。もう赦してほしいという願いと、もっと虐めてくださいという悦虐とが拮抗する。
尻にも五発の鞭を与えて、ようやく楚葉は手を止めた。
「今日は二か月分の遊び道具をいろいろ持って来てるんだぜ」
楚葉が次に取り出した責め具は洗濯バサミだった。決して楽な責めではないが、銅線剥き出しのビニール電線に比べれば、どうってことはない――という希美の楽観は、目の前で洗濯バサミの嘴を開閉させられて吹っ飛んだ。先端から五ミリのあたりに、釘が打ち込まれていた。反対側の嘴には小さな穴が空いていて、斜めに切り落とした釘先が突き抜けている。
「洗濯バサミなんて生ぬるいし、針がほんとに痛いのは突き刺すときだけだからな。ちょいと工夫してみたんだ」
これなら、洗濯バサミと針の両方を同時に味わえるんだぜと、とことん希美に恐怖を与える。
「釘をペンチで斜めに切ってあるんだ。待ち針より痛いぜ。とは言っても……」
半日くらいは着けっ放しにしても大丈夫なのは実証済みだと、安心させながら言外に長時間の責めを匂わせる。
「順番としては、こっちからだな」
楚葉は希美の乳首を摘まんで引き伸ばして、くわっと嘴を開けた洗濯バサミを近づける。いっぱいに洗濯バサミを開いて乳首を挟み込んだ。
パチン!
楚葉は指を滑らせて洗濯バサミを手から放した。
ブツッ……と、釘が乳首を突き抜ける音を、希美は身体で聞いた。
「びぎひいいいっ……!」
激痛が脳天まで突き抜けて。甲高い悲鳴。希美は今日一日だけで、これまでの三か月分以上の絶叫を絞り出されているのではないだろうか。
反対側の乳首にも着けられて、再びの悲鳴。洗濯バサミの圧痛と釘の貫痛との区別なんか、つかない。両者が絡み合って、ネズミ花火のほうが百倍ましに思えた。
楚葉が三つ目の洗濯バサミを手に取った。
「あ、あああ……それだけは……赦してくださいい」
唇をわななかせながら懇願する希美。このときばかりは、無理強いに虐められたいとは、さすがに一欠片も思っていなかった。股はきつく閉じ合わされて、つま先立ちするほどに腰は後ろへ引かれている。
「打ち上げ花火を上下逆さに突っ込まれたいのか。子宮目掛けてドッカーンだぜ」
脚を閉じていれば、並みのペニスよりも太い花火を挿入などできないのだが――ヴァギナの中で火薬が(比喩表現ではなく)爆発する恐怖に、希美は打ちのめされた。
お姉様は、ほんとはそんな大怪我をさせるようなことはしない。心の底では信頼している。それを裏返せば――クリトリスを釘付き洗濯バサミで挟まれても、想像を絶する激痛だろうけど、大怪我はしないのだろうと、責めを受け容れる覚悟につながる。
「怖い……」
希美はしゃくり上げながら、さすがに腰は引いたまま、おずおずと脚を開いた。
楚葉が手を伸ばしてクリトリスを摘まんで引っ張る。わずかな痛みだが、無自覚のうちに希美の腰が突き出される。楚葉は横に回り込んで身体を密着させて腰を動かせなくさせてから、親指と薬指でクリトリスの根本を摘まんだまま、残る二本の指で器用に包皮を剥き下げて、素早く洗濯バサミに実核を咬ませる。
パチン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」
喉から血しぶきが飛び散るような絶叫。
「ひいいいいいいい……」
吐き続ける悲鳴が、次第に弱々しくなって、希美は半失神状態に陥った。
しかし、楚葉は許さない。バチンバチンと、頭が激しく揺れるほど強く往復ビンタを張って、希美を束の間の安息から引きずり出す。
「乳首とクリトリスへの愛撫だけじゃあ、満足できねえよな。やっぱり、マンコに太いのを咥え込まなくちゃな」
希美は、目の前にかざされた物を見て、もはや絶望の吐息を吐くしかなかった。
それは擂粉木を短く切断したものだった。ただし、何本もの木ネジが埋め込まれていて――浅い円錐形の頭と鋭く尖った先端が数ミリずつ露出している。こんな物をヴァギナに突っ込まれたら……凄く痛いのは当然だけど、二度と使い物にならなくなってしまいはしないだろうか。
「こいつは、名器養成ギプスでもあるんだぜ。マンコの中の襞々が増えて、蚯蚓千匹か数の子天井か、そんな感じに……なるかもしれねえな。こいつは、さすがに試したことが無えからな」
お姉様は、あたしの心を読めるんだろうか。希美の疑問は、そちらへ向かった。銅線剥き出しの電気コードはヤクザが実際に使うと言っていたが、釘付き洗濯バサミもは楚葉自身が工夫したと言わなかっただろうか。それなら、いつ誰に試したのか――そこへは考えが及ばなかった。
楚葉が擂粉木を股間に近づける。もはや希美には、脚を閉じて抗う気力も無い。だいいち、クリトリスを咬む洗濯バサミをこねくって、自分でいっそう激痛を増す結果になる。
こんな苛酷な責めを受けて、希美はなおヴァギナを濡らしている――のではない。鞭傷から滴り釘に貫かれたクリトリスからも垂れている血が潤滑となって、擂粉木の頭部は容易に貫入した。
「痛い……」
擂粉木をじわじわと押し込まれて、希美は小さく呻いただけだった。数時間前の希美だったら絶叫していたかもしれないが、立て続けの想像を絶する激痛に馴致され、叫び過ぎて喉も涸れている。
楚葉は擂粉木を完全に埋没させた。小淫唇で擂粉木の後ろを包み込むようにして、大陰唇までぴっちり閉じ合わせた。そして、最後の責め道具を取り出す。幅が五センチ以上もある特大の目玉クリップだった。
目玉クリップで大淫唇を閉ざされても、希美はほとんど無反応だった。全身の激痛に比べれば、幅のある金属板で強く挟まれるくらい、どうということもないのだった。
「おれの遊びは、これでおしまい。おまえは、朝まで余韻を楽しんでいな」
楚葉の言葉は、このまま放置するという意味だ。
「と言っても、このままじゃ虫に刺されて、鞭よりも酷いことになるな。それは可哀相だから」
楚葉が紙袋からスプレーを取り出した。
「虫除けスプレーを噴いといてやるよ」
しゅううううっ……背中から尻へ噴き付ける。
「ひいい……沁みる……」
肌が冷感に包まれて、それが無数の針となって突き刺さるような感覚。
腕と脚にも噴き付けられたが、傷ついていないので、幾らかの冷感があっただけ。
希美を動かすより自分で動くほうが手っ取り早いと、楚葉が希美の正面へ回り込んで。
しゅううううっ……
「ぎひいいいっ……!」
乳房に噴霧されて、激痛に身悶える希美。
こうなると、目玉クリップで淫裂を閉ざされている――内奥にまで噴き込まれずに済むのだけが、わずかな救いだった。
全身の激痛にのたうつ希美を残して、楚葉はバーベキュー広場から立ち去った。
数分としないうちに、それまでの冷感が失せて、替わりに燃え上がるような熱感が襲ってきた。
冷感から熱感への転換。この感覚に、希美は心当たりがあった。臭いもそっくりだ。虫除けスプレーというのは嘘で、筋肉消炎剤だろう。もっとも、ハッカには虫除けの効果もあるから、そういう目的にも使える――としても。虫除けだろうと筋肉消炎剤だろうと、傷口に噴霧は厳禁だ。
鞭の余韻どころではない。洗濯バサミに咬まれた三つの突起が、絶え間ない激痛を送り込んでくる。封印された擂粉木がだんだん膨れてくるような錯覚。これからが、何時間も続くほんとうの責めだとさえ言えるのだった。
リンチされたいだなんて馬鹿なことを妄想したのが、間違いだった。妄想に留めておけば良かったのに、土壇場でも逃げられるチャンスをお姉様は与えてくださったのに……あたしって、救いようのない馬鹿だ。希美は激痛に身をよじり涙を流しながら、後悔した。その一方で……
馬鹿なんじゃない、マゾなんだ。この地獄のような苦しみも、明日とは言わないけど明後日くらいには、思い出しながらオナニーに耽るんだわ。そこまで想いが至ると――激痛はそのままに、甘い陶酔が頭を浸食し始める。
その一夜は希美にとって、それまでの生涯で(物心ついてからわずかに十年とちょっとではあるが)もっとも長い一夜だった。
激痛にも馴致され、筋肉消炎剤の効果も薄れてくると、物思いに耽る余裕さえ生まれる。
お姉様に、あたしは大きく変えられた――のではない。それまで心の奥で渦巻いていた妄想を、お姉様が現実のものにしてくださったんだ。悪い方向への変化だと、自分でも思う。素行も勉強も。けれど、誰かが言っていた。世の中には、言っていいことと、言ったら面白いことがあるって。
筆者註:SF作家の鏡明がSFマガジン掲載の短編小説の中で、横田順彌に仮託した人物に言わせた台詞だったと記憶している。他の人物だったかもしれないし、作者が鏡明だったかすら自信が無い。しかし、埋もれさすにはもったいない名言であるので、紹介しておく。
なお、作中には不条理作家ではなくゴム草履作家だ、という迷言もあった。
悪い子になって、あたしは後悔していない。 だけど、今日のこれは……後悔してる。どうやったって、お姉様のオモチャなんだから、避けようは無かったけど。なお、作中には不条理作家ではなくゴム草履作家だ、という迷言もあった。
こんなに痛いのは、二度と御免だ。でも、卒業までずっと、二度とこんなことをしないってお姉様が約束してくださったら……それも淋しいかな。つまり、心の底では、こんなことやもっと非道いことを……されたいんだろうか。
鞭打ちの余韻と釘付き洗濯バサミの激痛とヴァギナの中の木ネジ擂粉木の圧倒的な違和感と筋肉消炎剤の刺激とに悶えながらも、夜が更けていくにつれて希美は睡魔に襲われていた。日焼けは肉体を消耗する。晴天下の露出が著しい興奮の反動をもたらしているし、二か月半ぶりの苛酷な責めは心身の両面にダメージを与え続けている。
希美は微睡んでは、吊られた手首に加わる体重の痛みで引き戻され、立っているうちにまた睡魔に襲われて――ついには浅い眠りの中へと漂い出ていった。
「ちょっと、きみ……大丈夫か?」
身体を揺すぶられて、希美はぼんやりと瞼を開けた。見知らぬ男性の顔が、目の前にあった。ひどく戸惑っている。男性の後ろ、かなり離れたところに、若い(といっても、希美より十は上だろう)女性も立っている。
「何をして……されたの? 誰かに乱暴されたのか?」
この人たちもバンガローに泊まっていたのか、それとも地元のアベックかもしれない。朝の散歩に出掛けて……裸で傷だらけで変な飾りを着けて木から吊られている女の子を発見して。あたしが、ロマンスをサスペンスにしちゃったんだ。
希美は、男性よりも激しくうろたえた。騒ぎになっては、自分も楚葉も困る。このまま静かに二人に立ち去ってもらうには……
「SMプレイなんです。あたしが望んで……ご主人様に調教してもらっているんです」
こう言うしかなかった。プレイなんて軽い気持ちではないけれど。自分にだってうまく説明できないことを、他人に理解してもらうのは不可能だ。その必要も無い。
「だから、言ったじゃない。放っとけばいいって」
静かな早朝の、希美とアベックしかいない広場。希美の声は後ろの女性にまで聞こえていた。
「まだ十五六でしょ。とんでもない変態だわ」
同性からの軽蔑しきった罵声は、何よりもつらい。売春をしているときに男性から投げ掛けられた言葉は、たとえ侮辱が含まれていても腰の奥に響いてきたが、今は胸を突き刺すだけだった。
「何を熱心に見てるのよ。いやらしい。あなただけ、そうしているといいわ」
女性が踵を返して、大股にずんずん歩き出した。男が、慌てて後を追って――希美は、また独り取り残される。
――楚葉が来て希美を解放したのは、午前七時過ぎだった。
========================================

最後の目玉クリップでの大淫唇封鎖。これは、この画像がインスパイア元です。
短い動画もあります。細いビニール紐で下腹部をピシピシしています。縦でなく横に敲いているのが残念。合意プレイの限界ですかしら。
動画ではすぐにダブルクリップを外してしまいますが、蜜がとろ~りと垂れているのが映っています。画像も動画も、幾たびとなくG線上のアレヤコレヤに活用させていただきました。短い動画が切り出しなら、是非ともフルバージョンを有償で構わないので入手したいものです。
うん。ネットでは無料DLできるあれこれが氾濫しています。金を払ってまでとなると、よほどの余程です。
なので。よほどの余程を決断されたWILL様のリクエストに、ト連送です。
注記)
旧海軍の急降下爆撃手順(隊長からのモールス信号)。
・・-・・ ・--・ --- トツレ:突撃隊形作れ。
一列縦隊です。後に、第二突撃隊形が工夫されて、これは「トツレ2」
・・-・・ ・・-・・ ・・-・・ ト連送:突撃!
指揮官先頭で急降下に移ったポイントで、順次急降下。
真珠湾攻撃で奇襲成功して発信されたのが、この日の為に作られた、トラ連送です。
・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・
ト連送に簡単な符号(・・・)を付け加えたというのが、一目燎原の火。
ちなみに。特攻のときは各機がト連送の後で電鍵を押しっぱなしにして(――――――)、基地で受信した符号が長ければ突入成功、短ければ撃墜されたと判断していたそうです。合掌。
Interrupt Report 0:(仮題)幼なマゾの契り
筆者の他作品の執筆ペースを考慮して、1月/4月/7月とPIXIVでリクエストをくださっていたWILL様。
次は10月かなと身構えていたら、10月123……と過ぎて、音沙汰無し。さすがに3食で満腹かしらと思っていたら。
来ましたねえ。こういうの。
========================================
*ストーリイのリクエスト
→戦災孤児となった少年少女が「刈り込み」により施設に入れられ、弄ばれ嬲られうちにマゾに目覚めていく
*時代設定のリクエスト
→終戦直後の日本
*シチュエーションのリクエスト
→時代や大人たちに翻弄される少年と少女
*キャラ設定(外見、性格)
・少年
11~12歳の戦災孤児達のリーダー。良い意味でのガキ大将気質で面倒みがよい
子供達(後述)に家族を重ねており、特に弟分(後述)のことは文句を言いながらも可愛がっている
未だに剥けておらず生えてないのが悩み
マゾの素質があり、嬲られる内に快楽を感じていく
・弟分
少年より1歳年下で、兄貴と慕う薄汚れた子供。孤児達のムードメーカー
実は身を守るために男装した美少女。やはりマゾであり、少年ともに快楽に落ちていく
・子供達
面倒を見ている孤児達。年上の二人を慕っている
・役人
施設の管理者。閑職に回された不満を孤児達をいたぶることで晴らしている
生意気な少年や美少女の弟分を嬲ることを気に入っている
・進駐軍の士官
施設にやってきた軍人。サディストのバイで、接待により孤児達を痛めつけ犯す
*人間関係のリクエスト
→少年と弟分はやがて男女として惹かれあう
*特定の責めのリクエスト
・収容施設に隔離された孤児達。脱走防止のために衣服をすべて剥ぎ取られ、さらに焼印まで押される。
・手に職をつける体で、犬芸や豚芸を強いられる孤児達。屈辱的な行為のはずが、少年と弟分は興奮していく
・進駐軍の士官にSMプレイを強要される少年と弟分。家族の仇から責められるという行為にさえ快楽を感じるようになった二人はマゾの雄雌として落ちていく
※可能であれば、戦災孤児をかばって責められる(そして快楽を感じてしまう)少年や弟分を描写していただけると嬉しいです
※歴史的におかしいと思われた箇所は修正していただいて構いません
#R-18 #SM #ロリ #ショタ #焼印 #恥辱
========================================
戦災孤児(浮浪児という、あたかも当人の非行のような呼称が使われるようになりましたが)の保護収容施設は、当時の経済事情もあって食事が不十分とか、戦前の感覚(人権意識の欠如)そのままで職員による虐待とかも横行していたようですが、さすがにこのリクエストほどは酷くなかったでしょう。
とはいえ、戦後の混乱期。「記録が無い」からといって「事実が無かった」とも限りません。
戦時中は、御国のために頑丈な身体を作るために、真冬の乾布摩擦、女児を含めて半裸での授業も、新聞で報道推奨されていたのですから。

それにしても。この時代設定は、盲点というより「宿題」でした。
大正時代は『大正弄瞞』があります。戦前は『赤い冊子と白い薔薇』ですし、戦時中は『非国民の烙淫』です。「ヒロイン戦記シリーズ」は別腹としても。
昭和20年代終わりごろから30年代初頭にかけて(不詳)が『少女博徒』
昭和35年から40年なら、『集団羞辱史』が4作。とか、シリーズではないけれど「昭和ノスタルジー」の『未通海女哭虐』、『幼な妻甘々調教』。
つまり、昭和20年代というか終戦直後の混乱は未踏だったのです。
そこへ投げ込まれた剛速球。
リクエストを読んで半日で。ジェダイの騎士を務めながら。ここまで出来ちまいました。
数字は予定原稿枚数です。まず納まらないと思っていますけど。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
幼なマゾの契り
塩田真造 しおだしんぞう/ショタマゾ
12歳
実浜園子(園生)みはまそのこ/ジツハマゾノコ
11歳
県立木竹(もくたけ/キチク)学園
濃閉宇佐治 のとじうさはる コイジメウサバラシ
薄野譲二 すすきのじょうじ ジョジスキ
道庭好子 みちにわよしこ ドウテイスキコ
帆針丈夫 ほはりたけお ホシンダケヨ
ペドフィル・ビサード Pedfil Bisaad ぺドフィリアでバイでサド
出会い(背景エピソード)
章立て
----------------------------------------
その日暮し/ 5
浮浪児狩込/10
弟は美少女/ 5
全裸に焼印/15
訓練と調教/20
接待穴奉仕/15
身代り折檻/10
残虐米軍人/20
絶望の日々/ 5
養子の焼印/ 5
新たな絶望/ 5
----------------------------------------
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
なんというか、『超光速の香織』後藤俊夫(星群)ですな。タイトルと作者は筆者ウロオボエス。違ってたらごめんちゃい。たしか、少年マガジンで単発コミカライズされてます。ネット検索で引っ掛からんけど。
余談はさておき。
WILL様の妄想が見事に屹立しているので、そのままPLOTにつながります。筆者のストライクゾーンと相当に重なっています。筆者のほうが、ちょっと年齢高めのゾーンです。U15かU13かはたまたU11か。わずか730日の違いでは有馬温泉。生理・精通の有無、微かな盛り上がりの差異。13は刑法における性交合意年齢という絶対分水嶺でもあるのです。
20度焼酎220ml+ほろよいサワー(3%)350mlなので、結論を急ぎます。
現在執筆中の、昭和ノスタルジー@1980年『悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ』は、現在執筆中の「さまざまな激痛」を明日くらいに終わらせてから中断。こっちに着手しましょう。
これまでの実績から考えてリクエストの納品期限12/7には、11月初頭から着手しても間に合いそうですが、夏休みの宿題を8/31から始める習慣はありませんでしたので。〆切のあるやつを最優先です。
次は10月かなと身構えていたら、10月123……と過ぎて、音沙汰無し。さすがに3食で満腹かしらと思っていたら。
来ましたねえ。こういうの。
========================================
*ストーリイのリクエスト
→戦災孤児となった少年少女が「刈り込み」により施設に入れられ、弄ばれ嬲られうちにマゾに目覚めていく
*時代設定のリクエスト
→終戦直後の日本
*シチュエーションのリクエスト
→時代や大人たちに翻弄される少年と少女
*キャラ設定(外見、性格)
・少年
11~12歳の戦災孤児達のリーダー。良い意味でのガキ大将気質で面倒みがよい
子供達(後述)に家族を重ねており、特に弟分(後述)のことは文句を言いながらも可愛がっている
未だに剥けておらず生えてないのが悩み
マゾの素質があり、嬲られる内に快楽を感じていく
・弟分
少年より1歳年下で、兄貴と慕う薄汚れた子供。孤児達のムードメーカー
実は身を守るために男装した美少女。やはりマゾであり、少年ともに快楽に落ちていく
・子供達
面倒を見ている孤児達。年上の二人を慕っている
・役人
施設の管理者。閑職に回された不満を孤児達をいたぶることで晴らしている
生意気な少年や美少女の弟分を嬲ることを気に入っている
・進駐軍の士官
施設にやってきた軍人。サディストのバイで、接待により孤児達を痛めつけ犯す
*人間関係のリクエスト
→少年と弟分はやがて男女として惹かれあう
*特定の責めのリクエスト
・収容施設に隔離された孤児達。脱走防止のために衣服をすべて剥ぎ取られ、さらに焼印まで押される。
・手に職をつける体で、犬芸や豚芸を強いられる孤児達。屈辱的な行為のはずが、少年と弟分は興奮していく
・進駐軍の士官にSMプレイを強要される少年と弟分。家族の仇から責められるという行為にさえ快楽を感じるようになった二人はマゾの雄雌として落ちていく
※可能であれば、戦災孤児をかばって責められる(そして快楽を感じてしまう)少年や弟分を描写していただけると嬉しいです
※歴史的におかしいと思われた箇所は修正していただいて構いません
#R-18 #SM #ロリ #ショタ #焼印 #恥辱
========================================
戦災孤児(浮浪児という、あたかも当人の非行のような呼称が使われるようになりましたが)の保護収容施設は、当時の経済事情もあって食事が不十分とか、戦前の感覚(人権意識の欠如)そのままで職員による虐待とかも横行していたようですが、さすがにこのリクエストほどは酷くなかったでしょう。
とはいえ、戦後の混乱期。「記録が無い」からといって「事実が無かった」とも限りません。
戦時中は、御国のために頑丈な身体を作るために、真冬の乾布摩擦、女児を含めて半裸での授業も、新聞で報道推奨されていたのですから。

それにしても。この時代設定は、盲点というより「宿題」でした。
大正時代は『大正弄瞞』があります。戦前は『赤い冊子と白い薔薇』ですし、戦時中は『非国民の烙淫』です。「ヒロイン戦記シリーズ」は別腹としても。
昭和20年代終わりごろから30年代初頭にかけて(不詳)が『少女博徒』
昭和35年から40年なら、『集団羞辱史』が4作。とか、シリーズではないけれど「昭和ノスタルジー」の『未通海女哭虐』、『幼な妻甘々調教』。
つまり、昭和20年代というか終戦直後の混乱は未踏だったのです。
そこへ投げ込まれた剛速球。
リクエストを読んで半日で。ジェダイの騎士を務めながら。ここまで出来ちまいました。
数字は予定原稿枚数です。まず納まらないと思っていますけど。
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
幼なマゾの契り
塩田真造 しおだしんぞう/ショタマゾ
12歳
実浜園子(園生)みはまそのこ/ジツハマゾノコ
11歳
県立木竹(もくたけ/キチク)学園
濃閉宇佐治 のとじうさはる コイジメウサバラシ
薄野譲二 すすきのじょうじ ジョジスキ
道庭好子 みちにわよしこ ドウテイスキコ
帆針丈夫 ほはりたけお ホシンダケヨ
ペドフィル・ビサード Pedfil Bisaad ぺドフィリアでバイでサド
出会い(背景エピソード)
章立て
----------------------------------------
その日暮し/ 5
浮浪児狩込/10
弟は美少女/ 5
全裸に焼印/15
訓練と調教/20
接待穴奉仕/15
身代り折檻/10
残虐米軍人/20
絶望の日々/ 5
養子の焼印/ 5
新たな絶望/ 5
----------------------------------------
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
なんというか、『超光速の香織』後藤俊夫(星群)ですな。タイトルと作者は筆者ウロオボエス。違ってたらごめんちゃい。たしか、少年マガジンで単発コミカライズされてます。ネット検索で引っ掛からんけど。
余談はさておき。
WILL様の妄想が見事に屹立しているので、そのままPLOTにつながります。筆者のストライクゾーンと相当に重なっています。筆者のほうが、ちょっと年齢高めのゾーンです。U15かU13かはたまたU11か。わずか730日の違いでは有馬温泉。生理・精通の有無、微かな盛り上がりの差異。13は刑法における性交合意年齢という絶対分水嶺でもあるのです。
20度焼酎220ml+ほろよいサワー(3%)350mlなので、結論を急ぎます。
現在執筆中の、昭和ノスタルジー@1980年『悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ』は、現在執筆中の「さまざまな激痛」を明日くらいに終わらせてから中断。こっちに着手しましょう。
これまでの実績から考えてリクエストの納品期限12/7には、11月初頭から着手しても間に合いそうですが、夏休みの宿題を8/31から始める習慣はありませんでしたので。〆切のあるやつを最優先です。
Progress Report 3:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
あわわわ。「爽」が名付けに使えるようになったのは、1990年からでした。
ので、悪役令嬢(ジャンルが違う)の名前を変更。楚葉にしますた。
爽子→苑子→爽香→楚葉
こんなにコロコロしたのは初めてです。
ついでに(ではないですが)タイトルも変更。副題部分が五七五になって座りがよろしい。
未通は「おぼこ」と読みます。『未通海女哭虐』でも使いましたね。
というわけ(記事冒頭)で、あわわわのシーンを御紹介。初期PLOTには無いエピソードです。「梅雨は濡れ透け」と「海水欲情荒らし」の間に入ります。
========================================
泡踊りと三輪車
外部入学の希美は内部進学組よりも成績優秀なはずだったのに、中間テストは軒並み平均点を下へ突き抜けて。ちらほらと赤点も取ってしまった。もしも期末テストで同じことを繰り返せば、一学期早々に進級が怪しくなってくる。楚葉に何をどう遊ばれようと、勉強を頑張らなくては。そう決心して、二週間前から復習に精を出していたのだけれど。楚葉はそんなことを斟酌してくれない。
「たまには息抜きも必要だぜ」
休日に朝から呼び出された。遠くの街へ遊びに行くから、いつもとは違う服装で来いと指示されて、あれこれ服を選んでコーディネイトするという女の子の愉しみを久しぶりに味わった希美だったが。あまりおとなしい服装では楚葉に気に入ってもらえないだろうと思うと、三か月前の希美だったら絶対にしないだろう装いになってしまった。
まだ処分していなかった古いデニムのミニスカートは、背が伸びているから膝上二十センチ。悩んだ末にノーパン。上はノーブラにノースリーブのサマーセーター。去年のだけど、BカップがCカップになっているので、胸の膨らみが強調される。さすがに三点責めのアクセサリーはやめたけれど、外出のときには必ずといっていいほど付けていたから物足りない――という想いは、強く打ち消した。
本物の変態になっちゃう。お嫁に行けなくなる。でも……もうじゅうぶんに変態じゃないのかしら。マゾ願望を隠しての結婚生活なんて、我慢できるんだろうか。そんな先のことより。お姉様は来年の三月には卒業する。内部進学ならキャンパスは隣り合っているけれど……スケバンも卒業して、もう構ってくれなくなるんじゃないだろうか。
考えだすとどんどん不安になってくる。けれど希美の年令では半年先は遥か未来でもある。来年になってから悩めばいいことだと、気持ちを切り替えて希美は家を出た。
待ち合わせ場所というか呼び出され場所へ行ってみると、今日の楚葉はひとりも子分を連れていなかった。いつものスケバン制服ではなくて、大人びたツーピースを着ている。紫色のアイシャドウとルージュも無し。長髪は元から染めていないので、大学生を通り越して清楚な美人OLといった趣だった。
「今日のおまえは、これだからな」
名刺大のプラスチックカードと三つ折りの紙を渡された。カードはどこかの会社の社員証で、三つ折りの紙はそこの健康保険証だった。社員証には、希美の顔写真が貼ってある。そして保険証に記された生年月日によると、希美は二十一歳ということになっていた。偽造だ。
「あたし小柄で童顔だから、●学生に間違えられたりするんです」
楚葉が希美の口真似をした。つまり、今日は二十一歳で押し通せということだ。
「にしても、娼売慣れした格好で来たもんだな。好都合だぜ」
楚葉が何を企んでいるか分からないままに、希美は電車に乗せられた。
降りたところは、隣接県の大都市だった。タクシーで(運転手へのサービスとかは無しで)歓楽街へ向かう。
「おまえはここのトルコ風呂で働く――ということにして、新人研修を受けるんだ」
トルコ風呂がどういう場所かくらいは、希美も知っている。ただ、楚葉の「ということにして」の意味が分からなかったのだが。これからも売春をさせるという楚葉の言葉は覚えていたから、例によってときめきと悲哀を同時に感じただけだった。
ずらっと並んだ店舗のひとつに、楚葉は迷わず裏口から入って行った。
「先日お話させていただいた角島楚葉です。働きたいって子を連れてきました」
事務室に通されて、店長という四十くらいの男の面接を受けた。店長と希美がデスクを挟んで向かい合って、楚葉は希美の斜め後ろ、付き添いといったところか。
「きみ、ほんとうに二十歳以上なの?」
法律では水商売で働けるのは十八歳以上だが、トルコだけは各地で自主規制をしている。地方によっては二十二歳以上とか二十五歳とかもある。この当時、十八歳でトルコ嬢になれるのは、札幌のすすき野だけだった。
希美は身分証明書を机に並べて、教えられた通りの言い訳をしたのだが、店長は納得しない。
「確かに間違いは無さそうだけど……通報されて痛くもない腹を探られないとも限らないしねえ。残念だが、うちで働いてもらうのは……」
「何が不服だってんだよ」
スケバンの地金を剥き出しにして、楚葉が凄んだ。身を乗り出して、右の襟を裏返した。
「ここらはシマリじゃねえが、これは知ってるだろ」
葛島組の金バッジを見せつける。
店長の顔色が変わった。
「それはもちろん……いったい、貴女はどういった……」
ヤクザは実力本位の世界ではあるが、同時に漢(おとこ)の世界でもあった。楚葉はどう見ても姐御(幹部の妻)という風格ではないし、だいいち女房(バシタ)が金バッジを持てるはずもない。
「銅じゃねえ、金だよ。で、下手に出てのお願いだけど。とにかく新人研修をさせてやって、今日すぐに客の二三人も付けてやっちゃくれねえか。ずっと働かせろとまでは言わねえからよ」
「は、はあ……そういうことでしたら」
身分証のコピーだけは取ったものの、システム(取り分)の説明もそこそこに、すぐに研修の運びとなった。葉桜というベテランのトルコ嬢と、三川というボーイが呼び出される。
「俺、いや私なんかが相手役でいいんですか?」
ボーイは助平顔で驚いている。新人研修の相手役は(よほどの年増かブスでない限り)店長が受け持ってきたのだ。
「こんなに若い子に、中年のおっさんでは可哀そうだろ」
というのは口実。得体の知れない娘と関わるのは願い下げ。しょっ引かれるにしろ指を詰めるにしろ、損な役回りは押し付けてしまえという腹積もりだった。
とは知らない三川は張り切って客の代役を務める。希美の倍以上の年齢で、今日はまだ客の付いていない葉桜も、楚葉にこっそりとチップ(ヤクザの世界に一万円未満の通貨は存在しない)をもらったのだから、手は抜かない。
「こっちから待合室へ出向くお店もあるけど、うちはお客様に来ていただくシステムね」
個室に入るなり、客に見立てたボーイの前に座って、葉桜は三つ指を突いた。ボーイの後ろには楚葉がくっついて来ているが、彼女は無視するというのが事前の取り決めだった。
「本日のお相手を務めます葉桜です」
筆者註:恋人感覚とかの接客が取り入れられるのは世紀末以降であり、この時代のトルコ嬢はプロ意識が強かった。
ついでに随所で述べるべき説明をひとまとめにしておくと――今日の高級店で常識の即尺即生は未開発で、生本番もまず無かった。そもそも、この物語の数年前までは手コキ(スペシャル)やせいぜい指挿れ(ダブル)までの店が大半だったのである。
なお、章題にもなっている泡踊りであるが、近年はローションを使って即物的にマットプレイと称している。筆者の個人的感想を述べれば、滑り過ぎて女体で遊んでいる気がしない。客の転倒事故もあるとか。やはり、適度の滑りで泡まみれになりながらのくんずほぐれつが、ヴィジュアル的にも(モザイク的にも)好ましい。こういうのをノスタル爺というのかもしれないが。
挨拶が終わると、まず客の衣服を世話女房みたいに付きっきりで脱がす。客をベッドに腰掛けさせておいて、事務的にならないよう適度の含羞を交えて自分も全裸になる。
脱いだのだが。葉桜と三川を呆れさせてしまった。
「うへえ。ノーパンノーブラか。それって……?」
「天然じゃないわよね。剃ってるんでしょ」
二人とも希美にではなく楚葉に目顔を向ける。
楚葉は、部屋の隅の形ばかりの応接セット(これは、最後に五分間だけ客をまったりさせるまで出番が無い)にちょこんと収まって、知らん顔。
葉桜も三川も、それぞれに希美と楚葉の関係を想像して、それで自分を納得させる。金バッジのことは知らないが、葉桜にとっては気前の良い一見の客だし、三川としても、現役生徒にしか見えない美少女に本番研修できるのだから、裏があろうとなかろうと気にはしない。二人とも、楚葉に見られる気恥ずかしさを感じながらも研修を進めていった。
衣服をハンガーに掛けてから、個室の半分を占める浴場へ客を案内して、座面が大きく窪んだ俗称スケベ椅子に座らせて。まずは股間というかペニスを素手で洗う。爛れていたり客が痛がったりしたら病気の疑いが濃厚なので、粘膜つまり唇とか性器を接触させないように注意する。できればその日のうちに医者に頼んで抗生物質を注射してもらう。
説明を聞いて、希美はぞっとした。売春で病気をもらわなかったのは、幸運以外の何物でもない。
希美の内心とは関係なく講習は進む。
ペニスを洗い終えたら、客はバスタブに放り込んでおいて、六十分コースまでなら即座にトルコの花、泡踊りの準備にかかる。ロングコースの場合は、客と一緒に入湯して、膝に乗ったり指挿れで愉しんでもらってから潜望鏡プレイ。
三川がバスタブに肩を預けて身体を水平に延べると――勃起したペニスが湯面から顔を出す。潜水艦の潜望鏡みたいなのを、真上から咥える。ゴムは着けない。
葉桜がお手本を示してから、希美も実習。フェラチオは売春のときに二回だけ客の求めに応じたが、きちんとテクニックを教わるのはこれが始めてだった。
面倒くさくて顎も舌も疲れるというのが、希美の感想だった。本番行為は、ただ脚を開いて寝転がっていればいい。
潜望鏡遊びで魚雷を発射させるのは、若い男性だけ。次発装填に時間がかかる(軍事用語を使って教えてくれたのは、ボーイの三川)三十歳以上は、暴発させないように嬢が適切に判断しなくてはならない。
潜望鏡遊びが一段落着いてからは、ショートコースと同じ。
壁に立て掛けてあるセミダブルベッドと同じくらいに大きなエアマットを洗い場に延べて。洗面器に湯を入れてたっぷりシャンプーを垂らして。小さい子の遊びの『カイグリカイグリ』みたいに(もっと早く)手を動かして、チョチチョチ泡泡にする。
エアマットをシャワーの湯で温めてから客を腹這いにさせて。その上におおいかぶさって。くねくねと身体を擦り付けて背中を洗う。脚を開いて股間を男の太腿に滑らせたり、もちろん乳房もスポンジ代わり。
見て聞くだけでは分かりにくいだろうと、希美が男と入れ替わって、葉桜のテクニックを身体で受けてみる。
「ひゃんっ……く、くすうったい」
のを我慢していると。全身が性感帯といわれる女体の性(さが)、乳首やクリトリスといった局部ではなく、背中も尻も太腿も、ぴくんぴくんと震えてくる。
さらに。仰向けになった希美に葉桜が馬乗りになって、股間を腹の上で往復させる。
「これが、タワシ洗いだけど。あなたはタワシが無いから、何て言えばいいのかしらね」
マンコ洗いでいいじゃないの――なんてはしたないことを、希美は思っても言わない。
「洗い方の体位にもひとつひとつ名前があるの。シャチホコとか鯉の滝登りとか。いきなりあれこれしても覚えられないだろうから、セックスの四十八手を応用するってことだけ知っておけばいいかな」
と言われても。正常位とワンワンしか経験は無いし、知識としても騎乗位と座禅転がし(時代劇画で覚えた)くらい。騎乗位は向かい合っての泡踊りで葉桜さんが実演してくれたけど、その他の体位はどう応用すればいいんだろう。
戸惑いながらも、三川を相手に基本技だけは習得した希美だった。
泡踊りの後は、いよいよ本番なのだが。
「ゴムをすぽっとかぶせちゃう娘(こ)も多いけど、とっておきのテクニックを教えてあげるね」
一万円へのサービスというより、三川に体感させてフリの客に自分を推薦させようという下心かもしれない。
ベッドに腰掛けた三川の前に跪くと、葉桜はコンドームの精液溜まりを唇で咥えて、垂直に聳え立つペニスに、ちょこんと乗っけた。そして口を開けて、輪ゴムのようになっている縁を唇であむあむあむと巻き下げていく。
「こういうサービスを男は悦ぶのよ」
葉桜の言葉どおり、すでに美川は一触即発の体勢になっている。それくらいは、希美も分かるようになっていた。
「ああっ……」
三川が情けない声を上げたのは、せっかく着けてもらったコンドームを巻き上げられたからだったが。希美が新しいコンドームを咥えて跪くと、葉桜のときよりも勢いを増して聳え立つ。
それから延々十五分。コンドームを三個、噛み破ったり唾液まみれで滑りが良くなり過ぎて巻き下げられなくなったりしながら、希美はどうにか技を習得したのだった。
そうして、いよいよ本番は。葉桜がベッドに上がったので、三川は期待外れの顔をしたが。
「店一番のテクニシャンが相手で、何が不満なのさ」
葉桜は希美に向き直って。
「さっき体位のことを言ったら、きょとんとしてたね。四十八手とは言わないけど二十手くらいは教えてあげるから、良く見といてよ」
正常位で三川を迎え挿れてから、葉桜はさまざまな変形を繰り広げた。腰を高く突き上げる、足を男の胴に絡ませる、逆に足を伸ばしてペニスを挟むように閉じ合わせる。男が足を肩に担げば深く挿入できるし、男は視覚的にも興奮する。
いったん結合を解いて。くるりと向きを変えて、指を組み合わせるようにして挿入する松葉崩しは、お口直しといった感じで快感は乏しいらしい。
もっとも、挿入による腟性感そのものは、希美はあまり開発が進んでいない。学校では常にペニスバンドを挿入しているけれど、「いけないことをお姉様に強いられている」というマゾとしての陶酔はあっても、抽挿も振動も身体の動きの反映だけなので、絶頂の体験はなかった。
松葉崩しの後は、男が下になって騎乗位。大まかに分ければ、対面騎乗位と背面騎乗位。男が仰臥して女が対面で抱きつくのが本茶臼、女がのけぞれば時雨茶臼。男が足を伸ばして上体を起こしているところに女が後ろ向きに腰を沈めるのが本駒掛け。これは座位になる。
後背位、いわゆるバック、あるいはワンワン・スタイルも、四つん這いだけではなく、体操の前屈みたいなのもあれば、女が俯せに寝る形もある。
さらに、男女ともに横向きに寝る形や立ったままの挿入。これも対面と背面がある。女の足を一本持ち上げるだけで結合感が違ってくる。
見ているうちに、希美はパースペクティブがおかしくなってきた。そして、げっぷが出そうになる。
あたしには関係が無いことだとも思った。女はセックスでは受け身でいるべきだと思う。男の人がいろんな体位を望むのなら、あたしを好きなように扱ってください――というのが、希美のマゾ願望だった。
あたしにはトルコ嬢は務まらない――と、希美は思ったけれど。お姉様の命令で、そのように振る舞わされるとしたら、それはそれで素敵かも知れないとも思い直す。
葉桜が体位を披露し終わった時点で、研修が始まってから二時間半が過ぎていた。最長のプレイコース百二十分を超えている。葉桜の提案でひと休みとなったのだが。楚葉がアンタッチャブルというのは、葉桜も三川も店長の態度から察していたし、希美も身の上話なんかしない。楚葉にいたっては、部屋に入ってから一言も喋っていなかった。
結局――三川が店の料金システムとかを説明して、葉桜は面倒な客のあしらい方のレクチャーなど。無難で(トルコ嬢として働くなら)有用な話に終始した。
一戦(プレイ時間と客の精力によっては二戦三戦)した後は、時間の五分前までまったり歓談したり。各種の銘柄を揃えてある煙草を勧めたり。客の煙草への火の点け方と、自分は勧められても吸うべきではないことも教わった。
最後は客の着付けをさりげなく手伝って、三つ指で送り出す――というのは口頭での説明だけで。
せめて騎乗位と立ちバックくらいは覚えておきなさいという葉桜のアドバイスで、希美は体位の講習も受けることに(楚葉に顎をしゃくられて)した。ディルドでない本物を挿入されるのは二か月ぶりだった。
三川は本気で逝かそうと張り切り、葉桜は逝く振りの演技指導――の最中に、壁の電話が鳴った。
葉桜がしばらく電話で話し込んで。
「いきなりだけど、三輪車のお客様よ」
三輪車というのは、一人の客を二人でサービスすることをいうのだと、葉桜が説明する。
「それでね、サービス料の分配で相談したいから、角島さんだけ事務室に戻ってほしいそうよ」
後輪は二つあってもハンドルは一つだから、どうしても二人の嬢は本指名とヘルプの関係になる。
「面倒だな。葉桜姐さんがみんな取ったって構やしないのに」
やはり楚葉の目的は金ではなく、希美を辱しめることにあったようだ。
「どっちみち、きっちり服を着た女の子に見物されるのを悦ぶ客は――いないこともないけどね」
楚葉は、やんわりと追い出された格好。三川は希美に未練たらたら接客の仕事に戻り、葉桜は希美に手伝わせて部屋の清掃に取り掛かった。バスルームをざっと湯で流し、バスタブの湯は張り替える。ベッドはシーツを交換。たいていの店は、一人の嬢に一つの個室を割り当てている。嬢は一日交代の一国一城の主というわけだが、その分、部屋の切り盛りをしなければならない。
清掃が終わると身なりを整える。この店には制服とかは無くて、カジュアル系なら何でもいい。葉桜は、素肌にノースリーブのジャケットと膝上十五センチくらいのフレアーミニ。十年以上前に流行ったファッションだ。葉桜よりも小柄な希美の膝上二十センチとノースリーブのニットセーターは、下着無しだとカジュアルではなくてビジュアルだが、セーラー服よりはTPOに敵っているだろう。
準備が整って、葉桜が事務室へ電話を入れる。楚葉が戻って来ないのは分かっているので、心細くなる希美だが――最初の売春だって独りだったんだ(覗き穴のことは忘れている)から、葉桜さんと一緒なんだからと、自分を落ち着かせる。
すぐに客が、三川ではないボーイに案内されて、個室の前に立った。希美は葉桜と並んで三つ指で出迎える。
迎えた客は四十半ばくらいか。アロハシャツの半袖から、ちらちらと模様が覗いている。二対一なんて贅沢で変態っぽい遊びをする人は、やっぱり堅気じゃないんだと思った希美だったが。アロハシャツの下には、背中一面に極彩色の模様。初めて接する本職のヤクザだった。
研修の続きなら希美に主要な仕事を任せるべきだが、粗相があっては一大事とばかりに、葉桜が正面を担当して、希美は背中を流す。それでも、肩越しに客の股間は覗けてしまう。
まだ垂れているというのに、すでに三川が最大に勃起しているくらいのサイズだった。しかも、雁首のまわりと竿の中間に幾つもの疣(いぼ)が浮かび上がっている。病気ではないかと希美は疑ったが、葉桜に握られても客は平然としている。
「真珠入りを知っているようだな」
「そりゃ、こういう娼売をしてますもの。私、腰が抜けるかもしれません。失礼があっても赦してくださいね。でも、ちゃんと逝かせてくれなきゃ恨みますよ」
二人の会話から、その疣は病気ではなく、女を哭かせるための人工的な細工だと分かって――希美は安心したり呆れたり。そんな凶器を体験してみたいとは思わなかった。
戦場をバスタブに移しての遊びは、指揮官が葉桜で戦闘員は希美。バスタブに身を沈めた葉桜が客を下から(乳房を背中に押し付けタワシを尻に擦り付けながら)支えて、浮上した望遠鏡に希美がアタック。
「んぶぶ……」
口いっぱいに頬張って、それで精いっぱい。最初から喉の奥につかえてしまって、舌を絡めたり上下運動をしたりの余裕が無い。
「手がお留守になってるわ。玉を揉んで差し上げなさい」
慌てて手を動かすと。
「痛いぞ。金玉は胡桃じゃねえんだ」
やんわりと叱られた。それが痩せ我慢だとは、希美には分からない。けれど、仕返しをされた。
「急速潜航」
客は希美の頭を両手で押さえて腰を沈めた。当然、希美の顔は水の中。客は片手を希美の乳房にまわして、乳首を抓る。爪を立てたり強く引っ張ったりはされなかったが、指の腹で押し潰されて、じゅうぶんに痛い。
希美はしばらくのあいだ、客のしたいようにさせていたが、息が苦しくなってくる。両手を客の太腿で突っ張ると――あっさり赦してもらえた。
「ぷはっ……はあ、はあ」
大袈裟にしたほうがいいだろうと考えて、わざと荒い息遣いをした。
「わしが初めての客と聞いているが――なかなか肝が据わっているな」
客が手を伸ばして股間をまさぐり、穴をくすぐった。
「ありがとうございます」
希美の返事も客を満足させたようだった。
バスタブの次は、いよいよ泡踊り。これも変則で、最初は客を側臥位にして前後からサンドイッチ。葉桜と希美が上下(寝ているから前後)に動いて、これはもう、身体を洗うとかではなく、女体密着プレイ。
これはすぐおしまいにして。本格的な踊りは希美が舞台になった。つまり、エアマットに仰臥する希美の上に客が寝て、その上で葉桜が動く。
「む……」
ぎゅううっと二人、体重の差を考えれば希美の三人分にのしかかられて、希美は息ができないくらいに圧し潰される。客としては、まさしく肉布団に寝て肉スポンジに擦られるのだから法悦境だろうが。
客は俯せになっているから、顔と顔とが向かい合う。目の焦点が合わない睨めっこなんかしててもしょうがないし。葉桜さんなら、きっとこうするだろうと――希美は頭をもたげて、客と唇を重ねた。それ以上は積極的になる必要もなく――客は舌を差し挿れてきて。希美の口中を貪りながら、両手で乳房を弄びにかかる。
客は肘をエアマットにめりこませて体重を支え、乳房をつかんで希美の乳首と自分のとを擦り合せる。
「あ……くすぐったいです……くううんん」
指で弄られるのとはまるきり違う触感だった。背筋が粟立つ。
「いい声で鳴くな。とても十五やそこらの小娘とは思えないぜ」
それどころではなかったから、客の言葉を希美は聞き流した。客も間違ったことは言っていない。希美はここでは二十一歳ということになっているのだから、十五歳に思えなくて当然だ。しかし、希美は実際の年齢を店長にも明かしていない。この客は誰から間違った年齢を聞き出したのか、疑問に思うべきだったろう。
客は、さらに手を下へずらして、トルコでいうところの壺洗いまでして、絶妙の指遣いで希美を蕩けさせた。プレイの手順を飛ばして、そのまま本番に突入してもおかしくない展開だったが――寸前で主導権を葉桜に返した。ので、さらに十分ほどの間、希美は二人分の体重に押し潰されていなければならなかった。
泡踊りが終わって、対一のプレイなら後で片付けるエアマットを葉桜が先に片付けている間に、希美が覚えたばかりのテクニックを駆使してコンドームを装着。
「こっちじゃないと無理かな」
Lサイズを葉桜から渡されて、コンドームにも各種サイズがあると、初めて知った希美だった。客の怒張は、これまでに希美が相手をした八人(売春の三日間と、今日の三川)のどれよりも大きかった。そのうえ竿の途中に疣まであるのだから、Lサイズでも苦労させられたのだった。
いよいよ本番となったとき。
「ガキの相手は御免だな。葉桜姐さんだったね、あんたに頼むとしよう」
客の求めを拒む理由は無い。こんな大物を相手にしなくて良かったと、希美はほっとしたのだが。この場を仕切っているのが楚葉お姉様だったら、絶対に体験させられていただろうなと、それを残念には思っていないと自分に言い聞かせなけれなならなかったのも事実だった。
本番が終わると、客はさっさと身繕いを始めた。
「まだ時間はありますわ。三人でお話でもしませんか」
時間前に客を帰すと、トルコ嬢の面目に係わる――よりも。あの嬢は時間いっぱいのサービスをしないとか、悪評につながりかねない。
「いや、ちょっと店長に話があるんでね。葉桜姐さんのことじゃない。こっちの、希美ちゃんのことだ。ああ、これじゃないから心配しなくていいぞ」
客は指で丸を作って額に当てた。警察ではないという意味だ。
年齢のことだろうかと、希美は不安になった。そういえば、パイパンを見て動じなかった人も初めてだ。けれど、あれこれ考えている暇は無かった。客に急かされて服を着て(すっぽんぽんにスカートとサマーセーターだから手っ取り早い)、客に連れられて個室を出た。
店長室に入ってというか押し込まれて。希美は目を疑った。部屋の隅で楚葉が正座していた。希美が仕込まれている屈辱的な開脚ではなく、両膝をきっちり揃えて、両手を太腿の上に置いている。
「少しは反省したか」
教師ほどにも威厳のない穏やかな声だったが、楚葉は両手を床に突いて土下座した。
「組のバッジを勝手に使ったこと、誠に申し訳ありませんでした。組とは関係の無いお店に迷惑を掛けたことも反省しています。ごめんなさい――親父様」
二重三重のショックで、希美は呆然自失。
こともあろうに、楚葉お姉様のお父様と……本番まではしていないから、ニアミスかしら。あのツッパリの怖いもの知らずのお姉様が土下座して謝るのも、考えられないことだった。こんなに早くお父様が現われたのは――すぐに店長が葛島組に電話して金バッジの真偽を問い合わせて、間髪を入れずに飛んで来たとすれば、時間的には不可能じゃないけれど。職員会議とか多数決とは無縁の社会だからこその疾風迅雷だ。
楚葉が顔を上げて、しかし目は伏せている。左右の頬がうっすらと赤いのに気づいて希美は、見てはいけないものを見てしまったように感じた。お姉様はビンタをする人で、される人じゃない。それにしても――ビンタを食らったのは一時間半よりも前のはず。それが、まだ痣が残っているなんて、よほど強くぶたれたんだ。
だけど――親父様だなんて、まるで時代劇。でも、ヤクザの父親にスケバンの娘が呼び掛けるとしたら、パパではおかしいしお父様では、どこかのお嬢様になっちゃう。父上だって時代劇だ。ヤクザ映画なら親父だろうけど、この場面にはそぐわない。
「二つも三つも年下の堅気の娘をオモチャにするのも、どうかと思うが――希美ちゃん、ほんとうにきみは楚葉に甚振られて悦んでいるのかね?」
突然に話を振られて、呆然自失どころではなくなった。
「あの……ええと……」
お姉様に迷惑を掛けないような返事をしなくちゃ。希美は、それしか考えなかった。だけど、咄嗟に話を作れるものでもない。数秒のためらいがあって、希美は自分に嘘をつかないと決めた。
「自分から望んでお姉様にリンチをしていただいたときは、すごく痛くて後悔しました。でも、そのときのことを思い出すと――オナニーしちゃうんです。あれから一度も本格的に虐めてくださらないのが、不満です。でも、羞ずかしいことはいろいろとご命令してくださるので、それは……悦んだりはしませんけど、死にそうなくらいにときめいちゃいます」
ふうう。楚葉の父親は、長い溜息を吐いた。
「野郎のサディストは珍しくもないが、本物のマゾ女てのは、初めてお目に掛かったな。楚葉に捨てられたら、わしを頼って来い。そういう特殊な店を紹介してやる。トルコより稼げるぞ」
「捨てるもんかよ」
楚葉が割って入った。
「希美は生涯、おれのオモチャだ」
希美は感動して、自分はまともな結婚なんかしなくていいとも思ったけれど。お姉様だって、いずれは結婚するんじゃないかしら。そうしたら、あたしはどうなるんだろうか。ふと心配にもなるけれど――卒業さえ遠い未来の話なのに、そのさらに先のことなど、実感を伴なうはずもなかった。
「まあ、スケ一人の人生をあれこれ考えてちゃヤクザは務まらねえわな」
男は海に沈め女は風呂に沈める。それくらいのことは平然としてのける男であれば、それは本音だろう。
「それじゃ、希美ちゃんよ。ふつつかな娘だが、よろしく頼むぜ」
こちらは冗談に決まっている。
========================================
「泡踊り」は石鹸(ボディシャンプー)を使います。洗面器で泡立てる仕草は、まさしく「カイグリカイグリ」です。これは現在のローションを使った「マットプレイ」にも引き継がれています。残念なことに、「ちょちちょちアワワ」にはなりませんけど。カイグリのシーンは『昭和集団羞辱史:浴場編』と『幼な妻甘々調教』でも書いています。

この『独奏』パートはモジュール式と申しますか、エピソードの羅列です。その気になれば、なんぼでも増やせます。「梅雨は濡れ透け」の前にも「夏制服はスダレ」を入れました。
画像は「夏制服はスダレ」のイメージです。
今は「海水欲情荒らし」を昼の部と夜の部に分けて、後半は「さまざまな苦痛」として執筆中。
他の章題は具体的なのに、これだけは抽象的です(『協奏』パートでは抽象ぽいのもあります)。なんとかしたかったのですが。「花火と鞭打ち」では6文字「花火と鞭と洗濯挟み」では9文字。7文字に納まらないので苦衷の章題ではあります。
ともあれ。全31章のうち14章執筆途中段階で230枚/7万7千文字。このペースだと、やはり500枚ですな。
DLsite affiliate キーワードは「制服 切り裂き」
こちらはズバリ「泡踊り」
ので、悪役令嬢(ジャンルが違う)の名前を変更。楚葉にしますた。
爽子→苑子→爽香→楚葉
こんなにコロコロしたのは初めてです。
ついでに(ではないですが)タイトルも変更。副題部分が五七五になって座りがよろしい。
未通は「おぼこ」と読みます。『未通海女哭虐』でも使いましたね。
というわけ(記事冒頭)で、あわわわのシーンを御紹介。初期PLOTには無いエピソードです。「梅雨は濡れ透け」と「海水欲情荒らし」の間に入ります。
========================================
泡踊りと三輪車
外部入学の希美は内部進学組よりも成績優秀なはずだったのに、中間テストは軒並み平均点を下へ突き抜けて。ちらほらと赤点も取ってしまった。もしも期末テストで同じことを繰り返せば、一学期早々に進級が怪しくなってくる。楚葉に何をどう遊ばれようと、勉強を頑張らなくては。そう決心して、二週間前から復習に精を出していたのだけれど。楚葉はそんなことを斟酌してくれない。
「たまには息抜きも必要だぜ」
休日に朝から呼び出された。遠くの街へ遊びに行くから、いつもとは違う服装で来いと指示されて、あれこれ服を選んでコーディネイトするという女の子の愉しみを久しぶりに味わった希美だったが。あまりおとなしい服装では楚葉に気に入ってもらえないだろうと思うと、三か月前の希美だったら絶対にしないだろう装いになってしまった。
まだ処分していなかった古いデニムのミニスカートは、背が伸びているから膝上二十センチ。悩んだ末にノーパン。上はノーブラにノースリーブのサマーセーター。去年のだけど、BカップがCカップになっているので、胸の膨らみが強調される。さすがに三点責めのアクセサリーはやめたけれど、外出のときには必ずといっていいほど付けていたから物足りない――という想いは、強く打ち消した。
本物の変態になっちゃう。お嫁に行けなくなる。でも……もうじゅうぶんに変態じゃないのかしら。マゾ願望を隠しての結婚生活なんて、我慢できるんだろうか。そんな先のことより。お姉様は来年の三月には卒業する。内部進学ならキャンパスは隣り合っているけれど……スケバンも卒業して、もう構ってくれなくなるんじゃないだろうか。
考えだすとどんどん不安になってくる。けれど希美の年令では半年先は遥か未来でもある。来年になってから悩めばいいことだと、気持ちを切り替えて希美は家を出た。
待ち合わせ場所というか呼び出され場所へ行ってみると、今日の楚葉はひとりも子分を連れていなかった。いつものスケバン制服ではなくて、大人びたツーピースを着ている。紫色のアイシャドウとルージュも無し。長髪は元から染めていないので、大学生を通り越して清楚な美人OLといった趣だった。
「今日のおまえは、これだからな」
名刺大のプラスチックカードと三つ折りの紙を渡された。カードはどこかの会社の社員証で、三つ折りの紙はそこの健康保険証だった。社員証には、希美の顔写真が貼ってある。そして保険証に記された生年月日によると、希美は二十一歳ということになっていた。偽造だ。
「あたし小柄で童顔だから、●学生に間違えられたりするんです」
楚葉が希美の口真似をした。つまり、今日は二十一歳で押し通せということだ。
「にしても、娼売慣れした格好で来たもんだな。好都合だぜ」
楚葉が何を企んでいるか分からないままに、希美は電車に乗せられた。
降りたところは、隣接県の大都市だった。タクシーで(運転手へのサービスとかは無しで)歓楽街へ向かう。
「おまえはここのトルコ風呂で働く――ということにして、新人研修を受けるんだ」
トルコ風呂がどういう場所かくらいは、希美も知っている。ただ、楚葉の「ということにして」の意味が分からなかったのだが。これからも売春をさせるという楚葉の言葉は覚えていたから、例によってときめきと悲哀を同時に感じただけだった。
ずらっと並んだ店舗のひとつに、楚葉は迷わず裏口から入って行った。
「先日お話させていただいた角島楚葉です。働きたいって子を連れてきました」
事務室に通されて、店長という四十くらいの男の面接を受けた。店長と希美がデスクを挟んで向かい合って、楚葉は希美の斜め後ろ、付き添いといったところか。
「きみ、ほんとうに二十歳以上なの?」
法律では水商売で働けるのは十八歳以上だが、トルコだけは各地で自主規制をしている。地方によっては二十二歳以上とか二十五歳とかもある。この当時、十八歳でトルコ嬢になれるのは、札幌のすすき野だけだった。
希美は身分証明書を机に並べて、教えられた通りの言い訳をしたのだが、店長は納得しない。
「確かに間違いは無さそうだけど……通報されて痛くもない腹を探られないとも限らないしねえ。残念だが、うちで働いてもらうのは……」
「何が不服だってんだよ」
スケバンの地金を剥き出しにして、楚葉が凄んだ。身を乗り出して、右の襟を裏返した。
「ここらはシマリじゃねえが、これは知ってるだろ」
葛島組の金バッジを見せつける。
店長の顔色が変わった。
「それはもちろん……いったい、貴女はどういった……」
ヤクザは実力本位の世界ではあるが、同時に漢(おとこ)の世界でもあった。楚葉はどう見ても姐御(幹部の妻)という風格ではないし、だいいち女房(バシタ)が金バッジを持てるはずもない。
「銅じゃねえ、金だよ。で、下手に出てのお願いだけど。とにかく新人研修をさせてやって、今日すぐに客の二三人も付けてやっちゃくれねえか。ずっと働かせろとまでは言わねえからよ」
「は、はあ……そういうことでしたら」
身分証のコピーだけは取ったものの、システム(取り分)の説明もそこそこに、すぐに研修の運びとなった。葉桜というベテランのトルコ嬢と、三川というボーイが呼び出される。
「俺、いや私なんかが相手役でいいんですか?」
ボーイは助平顔で驚いている。新人研修の相手役は(よほどの年増かブスでない限り)店長が受け持ってきたのだ。
「こんなに若い子に、中年のおっさんでは可哀そうだろ」
というのは口実。得体の知れない娘と関わるのは願い下げ。しょっ引かれるにしろ指を詰めるにしろ、損な役回りは押し付けてしまえという腹積もりだった。
とは知らない三川は張り切って客の代役を務める。希美の倍以上の年齢で、今日はまだ客の付いていない葉桜も、楚葉にこっそりとチップ(ヤクザの世界に一万円未満の通貨は存在しない)をもらったのだから、手は抜かない。
「こっちから待合室へ出向くお店もあるけど、うちはお客様に来ていただくシステムね」
個室に入るなり、客に見立てたボーイの前に座って、葉桜は三つ指を突いた。ボーイの後ろには楚葉がくっついて来ているが、彼女は無視するというのが事前の取り決めだった。
「本日のお相手を務めます葉桜です」
筆者註:恋人感覚とかの接客が取り入れられるのは世紀末以降であり、この時代のトルコ嬢はプロ意識が強かった。
ついでに随所で述べるべき説明をひとまとめにしておくと――今日の高級店で常識の即尺即生は未開発で、生本番もまず無かった。そもそも、この物語の数年前までは手コキ(スペシャル)やせいぜい指挿れ(ダブル)までの店が大半だったのである。
なお、章題にもなっている泡踊りであるが、近年はローションを使って即物的にマットプレイと称している。筆者の個人的感想を述べれば、滑り過ぎて女体で遊んでいる気がしない。客の転倒事故もあるとか。やはり、適度の滑りで泡まみれになりながらのくんずほぐれつが、ヴィジュアル的にも(モザイク的にも)好ましい。こういうのをノスタル爺というのかもしれないが。
挨拶が終わると、まず客の衣服を世話女房みたいに付きっきりで脱がす。客をベッドに腰掛けさせておいて、事務的にならないよう適度の含羞を交えて自分も全裸になる。
脱いだのだが。葉桜と三川を呆れさせてしまった。
「うへえ。ノーパンノーブラか。それって……?」
「天然じゃないわよね。剃ってるんでしょ」
二人とも希美にではなく楚葉に目顔を向ける。
楚葉は、部屋の隅の形ばかりの応接セット(これは、最後に五分間だけ客をまったりさせるまで出番が無い)にちょこんと収まって、知らん顔。
葉桜も三川も、それぞれに希美と楚葉の関係を想像して、それで自分を納得させる。金バッジのことは知らないが、葉桜にとっては気前の良い一見の客だし、三川としても、現役生徒にしか見えない美少女に本番研修できるのだから、裏があろうとなかろうと気にはしない。二人とも、楚葉に見られる気恥ずかしさを感じながらも研修を進めていった。
衣服をハンガーに掛けてから、個室の半分を占める浴場へ客を案内して、座面が大きく窪んだ俗称スケベ椅子に座らせて。まずは股間というかペニスを素手で洗う。爛れていたり客が痛がったりしたら病気の疑いが濃厚なので、粘膜つまり唇とか性器を接触させないように注意する。できればその日のうちに医者に頼んで抗生物質を注射してもらう。
説明を聞いて、希美はぞっとした。売春で病気をもらわなかったのは、幸運以外の何物でもない。
希美の内心とは関係なく講習は進む。
ペニスを洗い終えたら、客はバスタブに放り込んでおいて、六十分コースまでなら即座にトルコの花、泡踊りの準備にかかる。ロングコースの場合は、客と一緒に入湯して、膝に乗ったり指挿れで愉しんでもらってから潜望鏡プレイ。
三川がバスタブに肩を預けて身体を水平に延べると――勃起したペニスが湯面から顔を出す。潜水艦の潜望鏡みたいなのを、真上から咥える。ゴムは着けない。
葉桜がお手本を示してから、希美も実習。フェラチオは売春のときに二回だけ客の求めに応じたが、きちんとテクニックを教わるのはこれが始めてだった。
面倒くさくて顎も舌も疲れるというのが、希美の感想だった。本番行為は、ただ脚を開いて寝転がっていればいい。
潜望鏡遊びで魚雷を発射させるのは、若い男性だけ。次発装填に時間がかかる(軍事用語を使って教えてくれたのは、ボーイの三川)三十歳以上は、暴発させないように嬢が適切に判断しなくてはならない。
潜望鏡遊びが一段落着いてからは、ショートコースと同じ。
壁に立て掛けてあるセミダブルベッドと同じくらいに大きなエアマットを洗い場に延べて。洗面器に湯を入れてたっぷりシャンプーを垂らして。小さい子の遊びの『カイグリカイグリ』みたいに(もっと早く)手を動かして、チョチチョチ泡泡にする。
エアマットをシャワーの湯で温めてから客を腹這いにさせて。その上におおいかぶさって。くねくねと身体を擦り付けて背中を洗う。脚を開いて股間を男の太腿に滑らせたり、もちろん乳房もスポンジ代わり。
見て聞くだけでは分かりにくいだろうと、希美が男と入れ替わって、葉桜のテクニックを身体で受けてみる。
「ひゃんっ……く、くすうったい」
のを我慢していると。全身が性感帯といわれる女体の性(さが)、乳首やクリトリスといった局部ではなく、背中も尻も太腿も、ぴくんぴくんと震えてくる。
さらに。仰向けになった希美に葉桜が馬乗りになって、股間を腹の上で往復させる。
「これが、タワシ洗いだけど。あなたはタワシが無いから、何て言えばいいのかしらね」
マンコ洗いでいいじゃないの――なんてはしたないことを、希美は思っても言わない。
「洗い方の体位にもひとつひとつ名前があるの。シャチホコとか鯉の滝登りとか。いきなりあれこれしても覚えられないだろうから、セックスの四十八手を応用するってことだけ知っておけばいいかな」
と言われても。正常位とワンワンしか経験は無いし、知識としても騎乗位と座禅転がし(時代劇画で覚えた)くらい。騎乗位は向かい合っての泡踊りで葉桜さんが実演してくれたけど、その他の体位はどう応用すればいいんだろう。
戸惑いながらも、三川を相手に基本技だけは習得した希美だった。
泡踊りの後は、いよいよ本番なのだが。
「ゴムをすぽっとかぶせちゃう娘(こ)も多いけど、とっておきのテクニックを教えてあげるね」
一万円へのサービスというより、三川に体感させてフリの客に自分を推薦させようという下心かもしれない。
ベッドに腰掛けた三川の前に跪くと、葉桜はコンドームの精液溜まりを唇で咥えて、垂直に聳え立つペニスに、ちょこんと乗っけた。そして口を開けて、輪ゴムのようになっている縁を唇であむあむあむと巻き下げていく。
「こういうサービスを男は悦ぶのよ」
葉桜の言葉どおり、すでに美川は一触即発の体勢になっている。それくらいは、希美も分かるようになっていた。
「ああっ……」
三川が情けない声を上げたのは、せっかく着けてもらったコンドームを巻き上げられたからだったが。希美が新しいコンドームを咥えて跪くと、葉桜のときよりも勢いを増して聳え立つ。
それから延々十五分。コンドームを三個、噛み破ったり唾液まみれで滑りが良くなり過ぎて巻き下げられなくなったりしながら、希美はどうにか技を習得したのだった。
そうして、いよいよ本番は。葉桜がベッドに上がったので、三川は期待外れの顔をしたが。
「店一番のテクニシャンが相手で、何が不満なのさ」
葉桜は希美に向き直って。
「さっき体位のことを言ったら、きょとんとしてたね。四十八手とは言わないけど二十手くらいは教えてあげるから、良く見といてよ」
正常位で三川を迎え挿れてから、葉桜はさまざまな変形を繰り広げた。腰を高く突き上げる、足を男の胴に絡ませる、逆に足を伸ばしてペニスを挟むように閉じ合わせる。男が足を肩に担げば深く挿入できるし、男は視覚的にも興奮する。
いったん結合を解いて。くるりと向きを変えて、指を組み合わせるようにして挿入する松葉崩しは、お口直しといった感じで快感は乏しいらしい。
もっとも、挿入による腟性感そのものは、希美はあまり開発が進んでいない。学校では常にペニスバンドを挿入しているけれど、「いけないことをお姉様に強いられている」というマゾとしての陶酔はあっても、抽挿も振動も身体の動きの反映だけなので、絶頂の体験はなかった。
松葉崩しの後は、男が下になって騎乗位。大まかに分ければ、対面騎乗位と背面騎乗位。男が仰臥して女が対面で抱きつくのが本茶臼、女がのけぞれば時雨茶臼。男が足を伸ばして上体を起こしているところに女が後ろ向きに腰を沈めるのが本駒掛け。これは座位になる。
後背位、いわゆるバック、あるいはワンワン・スタイルも、四つん這いだけではなく、体操の前屈みたいなのもあれば、女が俯せに寝る形もある。
さらに、男女ともに横向きに寝る形や立ったままの挿入。これも対面と背面がある。女の足を一本持ち上げるだけで結合感が違ってくる。
見ているうちに、希美はパースペクティブがおかしくなってきた。そして、げっぷが出そうになる。
あたしには関係が無いことだとも思った。女はセックスでは受け身でいるべきだと思う。男の人がいろんな体位を望むのなら、あたしを好きなように扱ってください――というのが、希美のマゾ願望だった。
あたしにはトルコ嬢は務まらない――と、希美は思ったけれど。お姉様の命令で、そのように振る舞わされるとしたら、それはそれで素敵かも知れないとも思い直す。
葉桜が体位を披露し終わった時点で、研修が始まってから二時間半が過ぎていた。最長のプレイコース百二十分を超えている。葉桜の提案でひと休みとなったのだが。楚葉がアンタッチャブルというのは、葉桜も三川も店長の態度から察していたし、希美も身の上話なんかしない。楚葉にいたっては、部屋に入ってから一言も喋っていなかった。
結局――三川が店の料金システムとかを説明して、葉桜は面倒な客のあしらい方のレクチャーなど。無難で(トルコ嬢として働くなら)有用な話に終始した。
一戦(プレイ時間と客の精力によっては二戦三戦)した後は、時間の五分前までまったり歓談したり。各種の銘柄を揃えてある煙草を勧めたり。客の煙草への火の点け方と、自分は勧められても吸うべきではないことも教わった。
最後は客の着付けをさりげなく手伝って、三つ指で送り出す――というのは口頭での説明だけで。
せめて騎乗位と立ちバックくらいは覚えておきなさいという葉桜のアドバイスで、希美は体位の講習も受けることに(楚葉に顎をしゃくられて)した。ディルドでない本物を挿入されるのは二か月ぶりだった。
三川は本気で逝かそうと張り切り、葉桜は逝く振りの演技指導――の最中に、壁の電話が鳴った。
葉桜がしばらく電話で話し込んで。
「いきなりだけど、三輪車のお客様よ」
三輪車というのは、一人の客を二人でサービスすることをいうのだと、葉桜が説明する。
「それでね、サービス料の分配で相談したいから、角島さんだけ事務室に戻ってほしいそうよ」
後輪は二つあってもハンドルは一つだから、どうしても二人の嬢は本指名とヘルプの関係になる。
「面倒だな。葉桜姐さんがみんな取ったって構やしないのに」
やはり楚葉の目的は金ではなく、希美を辱しめることにあったようだ。
「どっちみち、きっちり服を着た女の子に見物されるのを悦ぶ客は――いないこともないけどね」
楚葉は、やんわりと追い出された格好。三川は希美に未練たらたら接客の仕事に戻り、葉桜は希美に手伝わせて部屋の清掃に取り掛かった。バスルームをざっと湯で流し、バスタブの湯は張り替える。ベッドはシーツを交換。たいていの店は、一人の嬢に一つの個室を割り当てている。嬢は一日交代の一国一城の主というわけだが、その分、部屋の切り盛りをしなければならない。
清掃が終わると身なりを整える。この店には制服とかは無くて、カジュアル系なら何でもいい。葉桜は、素肌にノースリーブのジャケットと膝上十五センチくらいのフレアーミニ。十年以上前に流行ったファッションだ。葉桜よりも小柄な希美の膝上二十センチとノースリーブのニットセーターは、下着無しだとカジュアルではなくてビジュアルだが、セーラー服よりはTPOに敵っているだろう。
準備が整って、葉桜が事務室へ電話を入れる。楚葉が戻って来ないのは分かっているので、心細くなる希美だが――最初の売春だって独りだったんだ(覗き穴のことは忘れている)から、葉桜さんと一緒なんだからと、自分を落ち着かせる。
すぐに客が、三川ではないボーイに案内されて、個室の前に立った。希美は葉桜と並んで三つ指で出迎える。
迎えた客は四十半ばくらいか。アロハシャツの半袖から、ちらちらと模様が覗いている。二対一なんて贅沢で変態っぽい遊びをする人は、やっぱり堅気じゃないんだと思った希美だったが。アロハシャツの下には、背中一面に極彩色の模様。初めて接する本職のヤクザだった。
研修の続きなら希美に主要な仕事を任せるべきだが、粗相があっては一大事とばかりに、葉桜が正面を担当して、希美は背中を流す。それでも、肩越しに客の股間は覗けてしまう。
まだ垂れているというのに、すでに三川が最大に勃起しているくらいのサイズだった。しかも、雁首のまわりと竿の中間に幾つもの疣(いぼ)が浮かび上がっている。病気ではないかと希美は疑ったが、葉桜に握られても客は平然としている。
「真珠入りを知っているようだな」
「そりゃ、こういう娼売をしてますもの。私、腰が抜けるかもしれません。失礼があっても赦してくださいね。でも、ちゃんと逝かせてくれなきゃ恨みますよ」
二人の会話から、その疣は病気ではなく、女を哭かせるための人工的な細工だと分かって――希美は安心したり呆れたり。そんな凶器を体験してみたいとは思わなかった。
戦場をバスタブに移しての遊びは、指揮官が葉桜で戦闘員は希美。バスタブに身を沈めた葉桜が客を下から(乳房を背中に押し付けタワシを尻に擦り付けながら)支えて、浮上した望遠鏡に希美がアタック。
「んぶぶ……」
口いっぱいに頬張って、それで精いっぱい。最初から喉の奥につかえてしまって、舌を絡めたり上下運動をしたりの余裕が無い。
「手がお留守になってるわ。玉を揉んで差し上げなさい」
慌てて手を動かすと。
「痛いぞ。金玉は胡桃じゃねえんだ」
やんわりと叱られた。それが痩せ我慢だとは、希美には分からない。けれど、仕返しをされた。
「急速潜航」
客は希美の頭を両手で押さえて腰を沈めた。当然、希美の顔は水の中。客は片手を希美の乳房にまわして、乳首を抓る。爪を立てたり強く引っ張ったりはされなかったが、指の腹で押し潰されて、じゅうぶんに痛い。
希美はしばらくのあいだ、客のしたいようにさせていたが、息が苦しくなってくる。両手を客の太腿で突っ張ると――あっさり赦してもらえた。
「ぷはっ……はあ、はあ」
大袈裟にしたほうがいいだろうと考えて、わざと荒い息遣いをした。
「わしが初めての客と聞いているが――なかなか肝が据わっているな」
客が手を伸ばして股間をまさぐり、穴をくすぐった。
「ありがとうございます」
希美の返事も客を満足させたようだった。
バスタブの次は、いよいよ泡踊り。これも変則で、最初は客を側臥位にして前後からサンドイッチ。葉桜と希美が上下(寝ているから前後)に動いて、これはもう、身体を洗うとかではなく、女体密着プレイ。
これはすぐおしまいにして。本格的な踊りは希美が舞台になった。つまり、エアマットに仰臥する希美の上に客が寝て、その上で葉桜が動く。
「む……」
ぎゅううっと二人、体重の差を考えれば希美の三人分にのしかかられて、希美は息ができないくらいに圧し潰される。客としては、まさしく肉布団に寝て肉スポンジに擦られるのだから法悦境だろうが。
客は俯せになっているから、顔と顔とが向かい合う。目の焦点が合わない睨めっこなんかしててもしょうがないし。葉桜さんなら、きっとこうするだろうと――希美は頭をもたげて、客と唇を重ねた。それ以上は積極的になる必要もなく――客は舌を差し挿れてきて。希美の口中を貪りながら、両手で乳房を弄びにかかる。
客は肘をエアマットにめりこませて体重を支え、乳房をつかんで希美の乳首と自分のとを擦り合せる。
「あ……くすぐったいです……くううんん」
指で弄られるのとはまるきり違う触感だった。背筋が粟立つ。
「いい声で鳴くな。とても十五やそこらの小娘とは思えないぜ」
それどころではなかったから、客の言葉を希美は聞き流した。客も間違ったことは言っていない。希美はここでは二十一歳ということになっているのだから、十五歳に思えなくて当然だ。しかし、希美は実際の年齢を店長にも明かしていない。この客は誰から間違った年齢を聞き出したのか、疑問に思うべきだったろう。
客は、さらに手を下へずらして、トルコでいうところの壺洗いまでして、絶妙の指遣いで希美を蕩けさせた。プレイの手順を飛ばして、そのまま本番に突入してもおかしくない展開だったが――寸前で主導権を葉桜に返した。ので、さらに十分ほどの間、希美は二人分の体重に押し潰されていなければならなかった。
泡踊りが終わって、対一のプレイなら後で片付けるエアマットを葉桜が先に片付けている間に、希美が覚えたばかりのテクニックを駆使してコンドームを装着。
「こっちじゃないと無理かな」
Lサイズを葉桜から渡されて、コンドームにも各種サイズがあると、初めて知った希美だった。客の怒張は、これまでに希美が相手をした八人(売春の三日間と、今日の三川)のどれよりも大きかった。そのうえ竿の途中に疣まであるのだから、Lサイズでも苦労させられたのだった。
いよいよ本番となったとき。
「ガキの相手は御免だな。葉桜姐さんだったね、あんたに頼むとしよう」
客の求めを拒む理由は無い。こんな大物を相手にしなくて良かったと、希美はほっとしたのだが。この場を仕切っているのが楚葉お姉様だったら、絶対に体験させられていただろうなと、それを残念には思っていないと自分に言い聞かせなけれなならなかったのも事実だった。
本番が終わると、客はさっさと身繕いを始めた。
「まだ時間はありますわ。三人でお話でもしませんか」
時間前に客を帰すと、トルコ嬢の面目に係わる――よりも。あの嬢は時間いっぱいのサービスをしないとか、悪評につながりかねない。
「いや、ちょっと店長に話があるんでね。葉桜姐さんのことじゃない。こっちの、希美ちゃんのことだ。ああ、これじゃないから心配しなくていいぞ」
客は指で丸を作って額に当てた。警察ではないという意味だ。
年齢のことだろうかと、希美は不安になった。そういえば、パイパンを見て動じなかった人も初めてだ。けれど、あれこれ考えている暇は無かった。客に急かされて服を着て(すっぽんぽんにスカートとサマーセーターだから手っ取り早い)、客に連れられて個室を出た。
店長室に入ってというか押し込まれて。希美は目を疑った。部屋の隅で楚葉が正座していた。希美が仕込まれている屈辱的な開脚ではなく、両膝をきっちり揃えて、両手を太腿の上に置いている。
「少しは反省したか」
教師ほどにも威厳のない穏やかな声だったが、楚葉は両手を床に突いて土下座した。
「組のバッジを勝手に使ったこと、誠に申し訳ありませんでした。組とは関係の無いお店に迷惑を掛けたことも反省しています。ごめんなさい――親父様」
二重三重のショックで、希美は呆然自失。
こともあろうに、楚葉お姉様のお父様と……本番まではしていないから、ニアミスかしら。あのツッパリの怖いもの知らずのお姉様が土下座して謝るのも、考えられないことだった。こんなに早くお父様が現われたのは――すぐに店長が葛島組に電話して金バッジの真偽を問い合わせて、間髪を入れずに飛んで来たとすれば、時間的には不可能じゃないけれど。職員会議とか多数決とは無縁の社会だからこその疾風迅雷だ。
楚葉が顔を上げて、しかし目は伏せている。左右の頬がうっすらと赤いのに気づいて希美は、見てはいけないものを見てしまったように感じた。お姉様はビンタをする人で、される人じゃない。それにしても――ビンタを食らったのは一時間半よりも前のはず。それが、まだ痣が残っているなんて、よほど強くぶたれたんだ。
だけど――親父様だなんて、まるで時代劇。でも、ヤクザの父親にスケバンの娘が呼び掛けるとしたら、パパではおかしいしお父様では、どこかのお嬢様になっちゃう。父上だって時代劇だ。ヤクザ映画なら親父だろうけど、この場面にはそぐわない。
「二つも三つも年下の堅気の娘をオモチャにするのも、どうかと思うが――希美ちゃん、ほんとうにきみは楚葉に甚振られて悦んでいるのかね?」
突然に話を振られて、呆然自失どころではなくなった。
「あの……ええと……」
お姉様に迷惑を掛けないような返事をしなくちゃ。希美は、それしか考えなかった。だけど、咄嗟に話を作れるものでもない。数秒のためらいがあって、希美は自分に嘘をつかないと決めた。
「自分から望んでお姉様にリンチをしていただいたときは、すごく痛くて後悔しました。でも、そのときのことを思い出すと――オナニーしちゃうんです。あれから一度も本格的に虐めてくださらないのが、不満です。でも、羞ずかしいことはいろいろとご命令してくださるので、それは……悦んだりはしませんけど、死にそうなくらいにときめいちゃいます」
ふうう。楚葉の父親は、長い溜息を吐いた。
「野郎のサディストは珍しくもないが、本物のマゾ女てのは、初めてお目に掛かったな。楚葉に捨てられたら、わしを頼って来い。そういう特殊な店を紹介してやる。トルコより稼げるぞ」
「捨てるもんかよ」
楚葉が割って入った。
「希美は生涯、おれのオモチャだ」
希美は感動して、自分はまともな結婚なんかしなくていいとも思ったけれど。お姉様だって、いずれは結婚するんじゃないかしら。そうしたら、あたしはどうなるんだろうか。ふと心配にもなるけれど――卒業さえ遠い未来の話なのに、そのさらに先のことなど、実感を伴なうはずもなかった。
「まあ、スケ一人の人生をあれこれ考えてちゃヤクザは務まらねえわな」
男は海に沈め女は風呂に沈める。それくらいのことは平然としてのける男であれば、それは本音だろう。
「それじゃ、希美ちゃんよ。ふつつかな娘だが、よろしく頼むぜ」
こちらは冗談に決まっている。
========================================
「泡踊り」は石鹸(ボディシャンプー)を使います。洗面器で泡立てる仕草は、まさしく「カイグリカイグリ」です。これは現在のローションを使った「マットプレイ」にも引き継がれています。残念なことに、「ちょちちょちアワワ」にはなりませんけど。カイグリのシーンは『昭和集団羞辱史:浴場編』と『幼な妻甘々調教』でも書いています。

この『独奏』パートはモジュール式と申しますか、エピソードの羅列です。その気になれば、なんぼでも増やせます。「梅雨は濡れ透け」の前にも「夏制服はスダレ」を入れました。
画像は「夏制服はスダレ」のイメージです。
今は「海水欲情荒らし」を昼の部と夜の部に分けて、後半は「さまざまな苦痛」として執筆中。
他の章題は具体的なのに、これだけは抽象的です(『協奏』パートでは抽象ぽいのもあります)。なんとかしたかったのですが。「花火と鞭打ち」では6文字「花火と鞭と洗濯挟み」では9文字。7文字に納まらないので苦衷の章題ではあります。
ともあれ。全31章のうち14章執筆途中段階で230枚/7万7千文字。このペースだと、やはり500枚ですな。
DLsite affiliate キーワードは「制服 切り裂き」
こちらはズバリ「泡踊り」
Progress Report 2:スケバン リンチ志願~悦虐へのエチュード
妄想ど真ん中剛速球は、Keyboard is running.です。市役所に行ったり、紙飛行機ちょこっと作ったりしながら、7千文字いきました。
累計では、「前奏」「独奏」「協奏」のうち、「前奏」の8割あたりで107枚です。全体で400枚では納まりません。もしかすると500枚いくかもしれません。
今回は。念願のリンチを受けたものの、あまりの痛さに妄想と現実のギャップを知って愕然となった直後の部分です。まあ、喉元過ぎれば痛さを忘れて、リンチを思い浮かべながらピアノソナタに励むヒロインですけど。筆者の実体験ぢゃないですよ?
========================================
制服改造超ミニ
「え……?」
希美は苑子を見上げた。言葉の意味が分からなかった。
「市内じゃあおれらに逆らう学校も無くなった。シマリのパトロールばかりで退屈してたとこだ。いいオモチャが手に入ったもんだ。そうさ。おまえは、おれのオモチャとして傍に置いてやるよ」
きゅうんと心臓がねじれるような感覚があった。オモチャとして、立派なマゾになれるよう教育。それはつまり――今日のような酷い目に、これからもずっと遭わされるということを意味するはずだ。あんなに痛いだけのことをされるのは絶対に厭なはずなのに。
喉元過ぎれば熱さを忘れるとはいうけれど。鞭打たれた肌は今もずきずき疼き、チェーンの束を突っ込まれたアヌスにも鋭い痛みが残っているというのに。腰の奥がじわっと熱くなってくるのを、希美は感じている。もしも今、さっきみたいに股間を見下ろされるような姿勢を命じられたら、粘っこい蜜が滲んでいるのをからかわれるだろう。
「リーダー。こんな奴を仲間にいれるんですか?」
市代が文句を言った。
「仲間じゃねえよ。おれ専用のオモチャだ」
苑子が希美から視線を滑らせて、その先には希美の制服が散らばっている。
「オモチャだって誰にも分かるようにしてやるか。まずは服装だな。市代、おれらの制服の特徴はなんだ?」
「へ……そりゃあ、スカート丈でしょう」
スケバンのスカートは踝が隠れるくらいに長い。上履きだと、裾が廊下を引きずる。
「他の生徒とは違えて、おれらとも違えるとなると――こうするっきゃねえよな」
苑子は希美のスカートを拾い上げると、剃刀でばっさりと丈を詰めた――なんて生易しい物ではなく、三分の二以上を切り捨てた。
「今日から、おまえの制服はこれだ。ちょっと着てみろよ」
極端なミニスカートになった制服を希美に突きつける。
手を伸ばしても届かないので、希美は身を起こした。チェーンで掻き出された汚物が尻に押しつぶされて気持ち悪い。このまま服を着ると汚してしまう。希美は立ち上がってからスカートを受け取ると、ポケットからティッシュを取り出して汚れを拭った。ティッシュだけでは足りないと感じたので、ハンカチまで汚した。
「そういや、ポケットが裾から垂れてるのも見苦しいな」
そこまで極端に短くされているのだが。苑子は渡したばかりのスカートを取り返して、ポケットの内袋も切り取ってしまった。
もはや襤褸切(ぼろぎれ)にも等しいスカートを、希美は身に着けた。全裸でいたときよりも、もっと股がスウスウするようにさえ感じられらた。極端に短いミニスカートは膝上何センチではなく股下からの長さで表わすこともあるが、これはどう見ても股下ゼロセンチ。穿き方によっては『股上』になるかもしれない。
「こんなの、着れません」
当然の抗議だった。
「それもそうか」
意外と苑子はあっさりと頷いて――今度は上衣を手に取った。
「スカートだけが短くちゃ、バランスが悪いか。おまえ、案外とお洒落なんだな」
上衣にも剃刀を当てる。
「ああっ……」
希美は思わず手を伸ばしたが、苑子に睨みつけられて引っ込めた。
「ごめんなさい。上着だけは赦してください。このスカート、ちゃんと着れます」
「そうかい」
苑子は剃刀を引っ込めたが。ぶちぶちぶちっと胸当を引き剥がした。
「マンコを曝すだけじゃ物足りないってんなら、胸元も広げてやるぜ?」
薄嗤いを浮かべて、希美に上衣を放った。
希美は、それを着るしかない。
「なかなか似合ってるぜ。明日もそれを着て来いよ」
スケバングループは苑子を旧校舎に残して、彼女たちのいうパトロールへと、街へ繰り出して行った。
希美は、素肌にセーラー服を着て、しかも超ミニ。とても外へ出られない。とはいえ、いずれは下校しなければならない。腕時計(皮肉なことに、腕時計と靴下だけは全裸のときも身に着けていた)で時刻を見計らって、全員下校のチャイムが鳴る二十分前にホームルームへ駈け込み、鞄を回収して逃げ出した。鞄なんか放っておきたかったけれど、家の鍵が入れてあるから仕方がない。
ホームルームには、まだ何人か居残っていたが、それだ誰と誰だったかなんて、希美は見ていなかった。まさしく合わす顔が無い状態なのだ。クラスメートの側も、疾風怒濤のような希美の行動に呆れてしまって、露出狂的な格好の理由を尋ねる隙もなかった。
五年前に新築したマイホームまで、バスと電車を乗り継いで四十分。とても人に見せられる服装ではないので、交差点の手前でタクシーをつかまえた。そこに佇んでいる五分間を、羞恥に悶えながら。
マイホームのローン返済で、両親は共働きをしている。兄は遠くの(偏差値が比較的に低い公立の)大学に在学しているので下宿。いつもは淋しい思いをするのだが、今日ばかりは家に誰も居ないのがありがたかった。
自分の部屋に入ってすぐに、希美は姿見の前に立った。お嬢様校の清楚な制服の面影は微塵も残っていない。電車の中で見かけるスポーツ新聞には、エッチなキャバレーの広告も乗っている。そんな紙面をわざわざ見せつけてくる悪趣味な男性もいるけれど、それはともかく。その広告で見かけた『ピンク学園』とか『花ビラ女学院』とかいった、学校をパロディ化した店の制服(?)そっくりだった。股下から裾まで、わずかに数センチ。ウエストを下げたせいでヘソが露出して、胸元も谷間が正面から見えている。
ブラジャーとパンティを着けてブラウスも着るにしても。こんな制服を着て学校に行くなんて、とんでもない。けれど、替えの制服は持っていないし、あったとしても苑子が許さないだろう。いっそ、即刻退学しようかと思ったりもしたが、それには親を納得させなければならない。
ふたつの意味で、こんなことになっているなんて、親に知られたくはなかった。
ひとつは、単純に恥ずかしい。
もうひとつは、このことを知ったら、父がどうするか――それを懸念している。学校に訴えるとか、最悪なのは苑子の父親に捻じ込むこと。ヤクザの暴力も怖いけれど、本当に怖いのは葛島組が、この街どころか県全体に大きな影響力を持っていることだ。父の勤めている会社に圧力を掛けて、父をクビにさせることはじゅうぶんに考えられる。
家族に迷惑を掛けないためには、自分が我慢するしかない。
そう決心すると――妖しいときめきを感じてしまう。家族を守るために自分が辱められ甚振られる。妄想としては、この上もなく甘美だった。けれど、現実となると……ときめきは分厚い氷の壁に囲まれてしまう。
せめて、この制服をなんとかしなくちゃ。目の前の現実に注意を向けて、それ以外のことを少しの間でも忘れようとする希美だった。
剃刀で切られて裾はデコボコだし、放っておけばほつれてくる。希美は裁縫箱を取り出した。鋏でデコボコを切りそろえてから、同じ色の糸でスカートの裾をかがり縫いにしていった。仕上がってみると、直す前よりもさらに一センチは裾が短くなっていた。
ブラジャーを着けパンティを穿いてブラウスもまとって。制服を身に着けてみたけれど、ひどく不格好だった。目の高さから見下ろせばパンティは隠れているけれど、階段の昇り降りでは絶対に見えてしまう。それ以上にみっともないのは、上衣とスカートの間からブラウスが覗いていること。しかもウエストを極端に下げているので、ブラウスの裾が外にはみ出しかねない。
思い切って、ブラウスを脱いでみたら。スポーツ新聞の広告そっくりになってしまった。大きく開いた胸元から、これが自分のバストかと疑うくらいに大きく乳房が見えている。素肌のお腹が、バスト以上に卑猥に感じられた。
こんな格好で電車やバスに乗るなんて、とんでもないことだった。まさか毎日タクシーは使えない。自転車にするしかなさそうだ。それはそれで、ヒップを丸出しにしながらサドルを跨がなければならない。三十分は早く家を出なければならないから、両親が出勤してからこっそり着替えることも出来ない。
こっそり着替えたところで、外へ出れば近所の目というものもあった。
「もう、いやあ……」
希美は制服を脱ぎ捨てて、普段着に着替える気力も失せてしまい、裸のままでベッドに潜り込んだ。
十分、二十分……毛布が小さく蠢き始める。
「いやだ、いやだ……羞ずかしいよお……んっ、んんん……」
露出を強いられる自分を妄想(ではないのだが)するだけでは満足できない希美なのだった。
とはいえ、実際に行動に移すには羞恥心が強過ぎた。パジャマ姿のままで両親を送り出して。自転車だと遅刻するし、あんな破廉恥な姿で外を歩くこと自体、死んでしまいたいくらいに羞ずかしい。
結局、体調が悪いと学校に電話をしてズル休みをしてしまった。
翌日は日曜日。金曜日に受けたリンチのあれこれを思い出しながら、ずるずると一日を過ごした。鞭の激痛もアナルバージンをチェーンの棒で奪われた恥辱と苦痛も、薄い砂糖の衣に包まれて――指のささやかな悪戯は夥しい蜜を溢れさせたのだった。
========================================

こやつを10月末までに仕上げられれば、3年ぶりに年間3千枚突破いけそうです。
DLsite Affiliate キーワードは「股下0cm or マイクロミニ」
累計では、「前奏」「独奏」「協奏」のうち、「前奏」の8割あたりで107枚です。全体で400枚では納まりません。もしかすると500枚いくかもしれません。
今回は。念願のリンチを受けたものの、あまりの痛さに妄想と現実のギャップを知って愕然となった直後の部分です。まあ、喉元過ぎれば痛さを忘れて、リンチを思い浮かべながらピアノソナタに励むヒロインですけど。筆者の実体験ぢゃないですよ?
========================================
制服改造超ミニ
「え……?」
希美は苑子を見上げた。言葉の意味が分からなかった。
「市内じゃあおれらに逆らう学校も無くなった。シマリのパトロールばかりで退屈してたとこだ。いいオモチャが手に入ったもんだ。そうさ。おまえは、おれのオモチャとして傍に置いてやるよ」
きゅうんと心臓がねじれるような感覚があった。オモチャとして、立派なマゾになれるよう教育。それはつまり――今日のような酷い目に、これからもずっと遭わされるということを意味するはずだ。あんなに痛いだけのことをされるのは絶対に厭なはずなのに。
喉元過ぎれば熱さを忘れるとはいうけれど。鞭打たれた肌は今もずきずき疼き、チェーンの束を突っ込まれたアヌスにも鋭い痛みが残っているというのに。腰の奥がじわっと熱くなってくるのを、希美は感じている。もしも今、さっきみたいに股間を見下ろされるような姿勢を命じられたら、粘っこい蜜が滲んでいるのをからかわれるだろう。
「リーダー。こんな奴を仲間にいれるんですか?」
市代が文句を言った。
「仲間じゃねえよ。おれ専用のオモチャだ」
苑子が希美から視線を滑らせて、その先には希美の制服が散らばっている。
「オモチャだって誰にも分かるようにしてやるか。まずは服装だな。市代、おれらの制服の特徴はなんだ?」
「へ……そりゃあ、スカート丈でしょう」
スケバンのスカートは踝が隠れるくらいに長い。上履きだと、裾が廊下を引きずる。
「他の生徒とは違えて、おれらとも違えるとなると――こうするっきゃねえよな」
苑子は希美のスカートを拾い上げると、剃刀でばっさりと丈を詰めた――なんて生易しい物ではなく、三分の二以上を切り捨てた。
「今日から、おまえの制服はこれだ。ちょっと着てみろよ」
極端なミニスカートになった制服を希美に突きつける。
手を伸ばしても届かないので、希美は身を起こした。チェーンで掻き出された汚物が尻に押しつぶされて気持ち悪い。このまま服を着ると汚してしまう。希美は立ち上がってからスカートを受け取ると、ポケットからティッシュを取り出して汚れを拭った。ティッシュだけでは足りないと感じたので、ハンカチまで汚した。
「そういや、ポケットが裾から垂れてるのも見苦しいな」
そこまで極端に短くされているのだが。苑子は渡したばかりのスカートを取り返して、ポケットの内袋も切り取ってしまった。
もはや襤褸切(ぼろぎれ)にも等しいスカートを、希美は身に着けた。全裸でいたときよりも、もっと股がスウスウするようにさえ感じられらた。極端に短いミニスカートは膝上何センチではなく股下からの長さで表わすこともあるが、これはどう見ても股下ゼロセンチ。穿き方によっては『股上』になるかもしれない。
筆者註:この物語の五年後あたりで、いわゆるコギャルが登場し、年を追ってスカート丈は短くなってゆき、ついには股下ゼロセンチが当たり前になるのだが――一九八〇年当時、膝小僧が丸出しになるスカート丈すら制服としては「短過ぎる」と考えられていた。
希美はホックをひとつ緩め、ウエストに指を入れてスカートを押し下げてみた。股下五センチくらいになったけれど、尻の丸みがウエストからはみ出してしまった。「こんなの、着れません」
当然の抗議だった。
「それもそうか」
意外と苑子はあっさりと頷いて――今度は上衣を手に取った。
「スカートだけが短くちゃ、バランスが悪いか。おまえ、案外とお洒落なんだな」
上衣にも剃刀を当てる。
「ああっ……」
希美は思わず手を伸ばしたが、苑子に睨みつけられて引っ込めた。
「ごめんなさい。上着だけは赦してください。このスカート、ちゃんと着れます」
「そうかい」
苑子は剃刀を引っ込めたが。ぶちぶちぶちっと胸当を引き剥がした。
「マンコを曝すだけじゃ物足りないってんなら、胸元も広げてやるぜ?」
薄嗤いを浮かべて、希美に上衣を放った。
希美は、それを着るしかない。
「なかなか似合ってるぜ。明日もそれを着て来いよ」
スケバングループは苑子を旧校舎に残して、彼女たちのいうパトロールへと、街へ繰り出して行った。
希美は、素肌にセーラー服を着て、しかも超ミニ。とても外へ出られない。とはいえ、いずれは下校しなければならない。腕時計(皮肉なことに、腕時計と靴下だけは全裸のときも身に着けていた)で時刻を見計らって、全員下校のチャイムが鳴る二十分前にホームルームへ駈け込み、鞄を回収して逃げ出した。鞄なんか放っておきたかったけれど、家の鍵が入れてあるから仕方がない。
ホームルームには、まだ何人か居残っていたが、それだ誰と誰だったかなんて、希美は見ていなかった。まさしく合わす顔が無い状態なのだ。クラスメートの側も、疾風怒濤のような希美の行動に呆れてしまって、露出狂的な格好の理由を尋ねる隙もなかった。
五年前に新築したマイホームまで、バスと電車を乗り継いで四十分。とても人に見せられる服装ではないので、交差点の手前でタクシーをつかまえた。そこに佇んでいる五分間を、羞恥に悶えながら。
マイホームのローン返済で、両親は共働きをしている。兄は遠くの(偏差値が比較的に低い公立の)大学に在学しているので下宿。いつもは淋しい思いをするのだが、今日ばかりは家に誰も居ないのがありがたかった。
自分の部屋に入ってすぐに、希美は姿見の前に立った。お嬢様校の清楚な制服の面影は微塵も残っていない。電車の中で見かけるスポーツ新聞には、エッチなキャバレーの広告も乗っている。そんな紙面をわざわざ見せつけてくる悪趣味な男性もいるけれど、それはともかく。その広告で見かけた『ピンク学園』とか『花ビラ女学院』とかいった、学校をパロディ化した店の制服(?)そっくりだった。股下から裾まで、わずかに数センチ。ウエストを下げたせいでヘソが露出して、胸元も谷間が正面から見えている。
ブラジャーとパンティを着けてブラウスも着るにしても。こんな制服を着て学校に行くなんて、とんでもない。けれど、替えの制服は持っていないし、あったとしても苑子が許さないだろう。いっそ、即刻退学しようかと思ったりもしたが、それには親を納得させなければならない。
ふたつの意味で、こんなことになっているなんて、親に知られたくはなかった。
ひとつは、単純に恥ずかしい。
もうひとつは、このことを知ったら、父がどうするか――それを懸念している。学校に訴えるとか、最悪なのは苑子の父親に捻じ込むこと。ヤクザの暴力も怖いけれど、本当に怖いのは葛島組が、この街どころか県全体に大きな影響力を持っていることだ。父の勤めている会社に圧力を掛けて、父をクビにさせることはじゅうぶんに考えられる。
家族に迷惑を掛けないためには、自分が我慢するしかない。
そう決心すると――妖しいときめきを感じてしまう。家族を守るために自分が辱められ甚振られる。妄想としては、この上もなく甘美だった。けれど、現実となると……ときめきは分厚い氷の壁に囲まれてしまう。
せめて、この制服をなんとかしなくちゃ。目の前の現実に注意を向けて、それ以外のことを少しの間でも忘れようとする希美だった。
剃刀で切られて裾はデコボコだし、放っておけばほつれてくる。希美は裁縫箱を取り出した。鋏でデコボコを切りそろえてから、同じ色の糸でスカートの裾をかがり縫いにしていった。仕上がってみると、直す前よりもさらに一センチは裾が短くなっていた。
ブラジャーを着けパンティを穿いてブラウスもまとって。制服を身に着けてみたけれど、ひどく不格好だった。目の高さから見下ろせばパンティは隠れているけれど、階段の昇り降りでは絶対に見えてしまう。それ以上にみっともないのは、上衣とスカートの間からブラウスが覗いていること。しかもウエストを極端に下げているので、ブラウスの裾が外にはみ出しかねない。
思い切って、ブラウスを脱いでみたら。スポーツ新聞の広告そっくりになってしまった。大きく開いた胸元から、これが自分のバストかと疑うくらいに大きく乳房が見えている。素肌のお腹が、バスト以上に卑猥に感じられた。
こんな格好で電車やバスに乗るなんて、とんでもないことだった。まさか毎日タクシーは使えない。自転車にするしかなさそうだ。それはそれで、ヒップを丸出しにしながらサドルを跨がなければならない。三十分は早く家を出なければならないから、両親が出勤してからこっそり着替えることも出来ない。
こっそり着替えたところで、外へ出れば近所の目というものもあった。
「もう、いやあ……」
希美は制服を脱ぎ捨てて、普段着に着替える気力も失せてしまい、裸のままでベッドに潜り込んだ。
十分、二十分……毛布が小さく蠢き始める。
「いやだ、いやだ……羞ずかしいよお……んっ、んんん……」
露出を強いられる自分を妄想(ではないのだが)するだけでは満足できない希美なのだった。
とはいえ、実際に行動に移すには羞恥心が強過ぎた。パジャマ姿のままで両親を送り出して。自転車だと遅刻するし、あんな破廉恥な姿で外を歩くこと自体、死んでしまいたいくらいに羞ずかしい。
結局、体調が悪いと学校に電話をしてズル休みをしてしまった。
翌日は日曜日。金曜日に受けたリンチのあれこれを思い出しながら、ずるずると一日を過ごした。鞭の激痛もアナルバージンをチェーンの棒で奪われた恥辱と苦痛も、薄い砂糖の衣に包まれて――指のささやかな悪戯は夥しい蜜を溢れさせたのだった。
========================================

こやつを10月末までに仕上げられれば、3年ぶりに年間3千枚突破いけそうです。
DLsite Affiliate キーワードは「股下0cm or マイクロミニ」
Progress Report 1:スケバン リンチ志願~悦虐へのエチュード
まずは順調な滑り出し。冒頭にリンチのシーンを持って来たのは、話の順序がそうなっているからではありますが、多分に読者を「惹きつける」ということを意識してのことでもあります。
========================================
前 奏
リンチを覗き見
立入禁止になっている旧校舎の西端は、廃品倉庫になっている。古びた教室机セットや書棚とか、安全基準を満たさなくなった体育用品とか、座面からバネの飛び出たソファーやコマ跳びを起こす映写機などなど。修理すればまだまだ使える什器類をあっさりと廃棄するという、消費こそ美徳の風潮が、一九八〇年を迎えていよいよ顕著となりつつあるのは、ここ百合香女学院でも同じだった。
越逆希美は、その壊れかけのソファにぼんやりと座って、脚の錆び付いた陸上競技のハードルを眺めていた。
あれに跨がったら痛いだろうなと――空想、いや妄想してみる。誰も見ていなくても、そんなエッチなことをするのは羞ずかしい。エッチなこと、SMチックなことだと自覚してしまっている。
そのくせ。暴漢に襲われて、縛られて、鞭で追い立てられて、泣きながらハードルを跨ぐ。そんな妄想が浮かんでくると。首筋がやっと隠れるボブヘアをぶるるっと左右に振って、妄想を追い払った。
希美がここへ来るのは、週に一度。新体操部でビギナー抜きの練習がある金曜日だった。新入部員十人のうち、体操を含めてまったくの未経験者は希美の他には二人だけだった。三人には、基本的なストレッチ運動など他の部員とは異なるメニューが与えられていて、ユニフォームを購入することも許されていない。
希美は新体操に興味があったのではない。身体の線がくっきり浮かび上がるユニフォームを身に付けて、見知らぬ観客の前でのけ反ったり大股を開いたりする――その羞ずかしさに興味があったのだ。このままでは二年間頑張ったところで、ずっと先を行っている七人に追い付くことは出来そうにない。試合にも出してもらえない。それが分かると、熱心を装って練習を見学する気にはなれないのだった。かといって、運動部員のくせに放課後すぐに下校するのは、自分が入部早々の落ちこぼれだと周囲に宣伝しているようなもの。なので、誰も来ない場所で(淫らな妄想に抗いながら)暇を潰している。
遠くに人の気配が動いて、希美は妄想から醒めた。耳を澄ますと、多人数の足音。とうとう廃品回収の業者さんが来たんだろうか。それとも、取り壊し――は、三年前から中断されたまま。
立入禁止の場所にいるのを見つかってはまずいので、こっそりと廊下に出て――五、六人の男女が東端の教室に入って行く後ろ姿が見えた。踝が隠れるくらいのロングスカートのセーラー服と、背広を着崩した若い男と。
スケバングループ。旧校舎は、彼女たちの溜り場になってはいるが、それは授業が終わるまで。放課後は、とっとと盛り場へ繰り出していく。だから安心して、希美もここで妄想に耽っていたのだけれど。あと一時間もしないうちに全員下校のチャイムが鳴るこんな時刻に引き返して来るなんて変だ。若い男の人もいた。まさか、学校で乱交パーティー?
希美は好奇心を抑えられなくて、足音を忍ばせて教室の近くまで行った。廊下にしゃがんで、積み重ねられた段ボール箱の隙間から覗き見をする。
「てめえ、いい度胸してやがんな。おれらのシマでおれらの学校の生徒をカツアゲするたあ、きっちりオトシマエをつけてもらうぜ」
四人のスケバングループが、男女二人組を取り囲んでいる。希美の目にはスケバンの角島苑子よりもさらに年上――オトナに見える金髪の女は、革ジャンにジーパンという、一目でツッパリと分かる服装だった。
恫喝された女は、不敵にせせら嗤っている。
「お嬢ちゃんが粋がるんじゃねえよ。なにが『おれらのシマ』さ。あそこもここも、全部カツシマ組の縄張だよ。そんで、この人はカツシマ組の若頭なんだよ」
背広の若い男が、女を庇うように前へ出た。
苑子は臆せず、というよりも馬鹿にしたように。そっぽを向いて男の顔の前の空間をはたいた。
「へえ、あんたがカツシマ組の若頭さんねえ?」
「そうだ。今日からお前らは、俺の情婦の下に着いてもらおう。それで、この一件は水に流してやる」
「ふうん……?」
苑子は、ますます馬鹿にした目つきを男に向けた。
「あのな。葛って字に島と書いてカツシマと読むのは、組と付き合いのない素人ネスだぜ。ほんとうの読み方は、カドシマっていうんだ」
「……お前たちに分かり易く言っただけだ」
「そんでもって、ついでに教えといてやるけど。おれの名前は、角に島の角島かどしまっていうんだぜ。あり七光にゃ頼りたくないけど、平和に解決できるなら、その方がいいだろ」
女のほうは、まだぽかんとしていたが、男の顔には激しい動揺が浮かんだ。が、それも一瞬のこと。男は背広の内懐に手を突っ込むと、拳銃を取り出した。
「そうだな。平和的に解決させてもらおう。このまま帰らせてもらうぜ」
拳銃を突きつけられても、苑子は動じない。
「そいつはガバメントだね」
ヤクザの娘だからなのか、苑子は大型拳銃の種類を言い当てた。
「シングルアクションのオートマを、コッキングしないで射てるってのかよっ!」
言い終わったときには、スカートの中に隠し持っていたチェーンを引き抜いていた。踏み込みながらアンダースロー気味にチェーンを繰り出した。銀色に鈍く光る細いチェーンが、黒青色の拳銃に絡み付いて。
ギャィン、ガチャン……男が持っていた拳銃が吹っ飛ぶ。
苑子は踏み込んだ勢いで男に肩からぶちかまして、押し倒していた。
「手錠!」
手下がぺちゃんこの学生鞄から手錠を取り出して苑子に渡す。
拳銃を取り出してから十秒と立たないうちに、男は後ろ手錠を掛けられて床に転がされていた。
「うへえ。いちおう本物だよ」
拳銃を拾った少女が、弾倉を抜いて中の銃弾を見ると、感心したような声を上げた。
ちょっと見ただけでモデルガンとの見分けがつくなんて、この人たちって武闘派なんだな――と、希美は限られた知識と語彙を総動員した。
男はさらに、教室の隅で机に縛り付けられて。しかし、それで事態が収拾したわけではない。むしろこれからが――非平和的な解決の始まりだった。
「亜香里、組事務所に電話してこい。こないだから出没してた偽物らしいのを捕まえたってな」
希美と同じくらいに小柄な少女が教室から出てくる。さいわいに東端の通用口から校舎の外へ出たので、希美は見つからずにすんだ。
こんな所から覗き見していては、いずれ見つけられて――何をされるか分かったものじゃない。そうは思ったけれど、あの二人が何をされるか、どうしても見届けたかった。
「組の名を騙ってユスリタカリ。いたいけな乙女に向けてモノホンのチャカまで振り回しやがって。指の何本かと銭金でケリがつくか、ドラム缶にコンクリ詰めかは、親父たちに任せるとして……」
呆然と突っ立っている女へ、苑子が視線を転じた。
「おめえは、どうされたい情夫と心中立てするかい?」
「ごめんなさいっ……」
女が床に身を投げ、額を擦り付けて土下座した。
「二度とこの街には足を踏み入れません。益夫とも縁を切ります。だから……勘弁してください」
苑子がポケットからタバコを取り出して口に咥えると、子分がライターを差し出して火を点ける。苑子は吸った煙をすぐに吐き出して。
「おれらの流儀でケジメをつけるってんなら、親父に口を利いてやってもいいぜ」
相手の反応を待つ――までもなく。
「なんでもします。だから、赦してください」
床に擦り付けている頭を苑子が、ヒールの高い靴で踏みにじった。
「じゃあ、詫びを入れる姿になれよ」
「どうすれば……?」
すでに土下座している。
「生意気に服なんか着てるんじゃねえよ。素っ裸になれつってんだよ」
喉元に靴の爪先をねじ込まれ撥ね上げられて、女がのけぞった。そのまま身を起こして革ジャンとTシャツを脱ぎ、苑子を上目遣いにうかがってからブラジャーも外した。
二段階くらいは負けている。息を殺して成り行きを見詰めながら、希美は思った。その感想は控え目で――少なくとも三段階、見方によっては五段階も負けている。
衣服を脱がされているのは、西郷聡子。定時制の五年生だから、苑子よりも歳上。もちろん、希美が「負けている」と感じたのは年齢ではなく性熟度である。ボンキュッボンのボンが、希美はBなのに対して聡子はDである。ちなみに苑子もDであるが、彼女のヌードが登場するのは、前奏パートの終章である。
聡子が上半身裸になっても、苑子は腰に手を当てたまま冷ややかに見下ろして無言。聡子はのろのろと立ち上がった。ブーツを脱いでかさyらジーパンを下げ、最後にはためらいながら、パンティも足から抜き取った。
それを見届けてから。苑子が教室の隅からロープを引っ張り出した。建設現場なんかで立入禁止場所に張り巡らす黄色と黒の縞模様の、トラロープといえば「ああ、あれ」というやつだ。
二人の子分が(ロングスカートをめくり上げて)肩車をして、天井の破れ目から剥き出しになっている太い梁にロープを掛けた。
聡子の両手を前で縛って、ロープを引く。聡子は梁から吊られた格好になったが、梁とロープの摩擦に抗して吊り上げるのは手に余るのか、両足は床に着いている。
「さて……」
苑子がチェーンを二つ折にして、聡子の頬を撫でた。
「明日から、おまえは男の天国女の地獄で、何年か働くことになるが……」
「嘘つきっ!」
聡子が大声で苑子の言葉を遮った。
「赦してくれるって言ったじゃないか?!」
「指が無くなるよりゃいいだろ。それとも腎臓を片っ方売るか。そうならないよう、親父に口を利いてやるって言ったんだ」
聡子の目に憎悪の焔が宿ったが、苑子は無視した。
「明日からすぐに働きたいかい。それとも、半月ばかりは心の準備をしたいかい?」
「……少しでも先の方が」
たとえ縛られていなくても、たとえタイマンでも、苑子には勝てない。まして今は……どんなに理不尽な運命にでも甘んじるしかないと、聡子は諦めたのだった。
「そうかい」
チャラッと、苑子がチェーンを垂らした。
「じゃあ、こいつでヤキを入れてやるよ。傷が治るまでは、客を取らされないだろうね」
「やめて……そんなので叩かれたら、ダブルッパよりもひどいことになっちまう。お願いだから、赦して」
聡子が顔を引き攣らせて懇願する。
スケバン特有の武器に、指の間に剃刀の刃を挟むという、ドスに比べれば可愛らしい物がある。ただし、二枚の刃を硬貨でサンドイッチにすると傷の縫合が困難となり、生涯消えない傷痕になるという――女にとっては、ある意味ドスよりもチャカよりも残忍な凶器と化す。
「少しは手加減してやるよ。美容整形で元通りになる。治療費は、おまえの前借がちょっと増えるだけさ」
「くそっ……益夫、助けてよおおっ!」
聡子は愛人に助けを求めたが、男はそれどころではない。チンピラが本筋を騙って堅気の衆に実害を及ぼしたとなると、コンクリ詰はともかく、両手の小指だけだは済まないだろう。
「いい加減で観念しなっ!」
苑子がチェーンを水平に振るって、聡子の乳房に叩きつけた。
「いぎゃああっ……!」
凄まじい悲鳴に目を閉じる瞬前、乳房がひしゃげて横に吹っ飛ぶのを、希美ははっきりと見ていた。
ひゅんっとチェーンが風を切る音と、バヂインと肉を打つ音。そして悲鳴。
怖いもの見たさに希美が目を開けたとき、聡子の双つの乳房には、くっきりと赤い二本の線条が、乳首を上下から挟むように刻み付けられていた。
「見てくれをあまり傷つけちゃ可哀想だしね」
苑子が大きく踏み込んで、腹にチェーンを叩きつけた。先端がぐるっとひと巻して臍を打った。
「ぎひいいいっ……」
苑子が左手を添えてチェーンをほぐした。そのまま引けば、チェーンが腹を擦って傷を深くしていただろう。手加減をするという約束は、商品価値に配慮してのことかもしれないが、守ってはいるらしい。
お腹を傷つけられるのは困るな。生まれて初めて凄惨なリンチを目の当たりにしながら希美は、もしも自分があの女の人だったら――と、妄想にのめり込んでしまう。乳房ならブラジャーで隠せるけれど、お腹は着替えのときなんかに見られてしまいそう。だけど、理不尽なリンチを受けたのだとしたら、同情してもらえるかな。
バヂイン、バヂイン。
続けざまに肉を打つ音に、希美は妄想から引き戻された。
苑子が水平に8の字を描くようにチェーンを振り回して、聡子の尻を滅多打ちにしていた。
聡子は歯を食い縛って耐えている。尻は他の部位に比べれば鈍感だし、チェーンも軽く振り回しているだけなのだろう。
あれならリンチじゃなくて、お仕置とまでは言わないけれど折檻かな。希美の中では、それぞれが別の意味を持っていた。
リンチは、とにかく残酷で痛くて大怪我をさせられる。折檻はそこまでひどくないけれど、継子とか女中とか奴隷とか、身分の差が伴っている。お仕置は、教え子とか後輩とか、甘ったるい香りがする。
ついつい自分の妄想が目の前の光景と重なってしまうせいだろうか。聡子の背後に回り込んで、廊下に向かい合う形になっていた苑子が、教室の外に積み上げてある段ボール箱に一瞬の視線を留めたのに、希美は気づかなかった。
苑子が聡子の正面に戻って。
「念のために聞いとくけど。まさか、その歳でバージンってことはないだろうね」
「益夫を馬鹿にするな」
まだ男に未練があるのか、トンチンカンなようで的確な受け答えだった。
「そうかい」
苑子がチェーンをを二つ折にして、さらに四つに折り曲げた。チェーンは平面的にしか曲がらないから、Wを横から押し潰した形状になる。チェーンをひねって、その二つのVを重ね合わせて。四本を束にしたチェーンを、聡子の股間に突き付けた。
「それじゃ遠慮は要らねえな。職業訓練をしといてやるよ」
聡子が反射的に股をきつく閉じ合わせた。
「やめろ。そんなの、無理だ……」
苑子がせせら嗤う。
「せいぜい三センチだぜ。あの男のチンポは、これより小さいってのか」
スケバン御用達のチェーンは自転車用の品で、断面は一センチ角程度だから、四つを束ねたところで対角の寸法は三センチちょっと。ペニスの平均的な勃起サイズより小さい。しかし、ごつごつした形状は、如何にも威圧的だった。
「脚を開けよ。それとも、無理矢理ねじ挿れられるのが好みかい?」
チェーンの先端を、閉じ合わされたY字形の交点に、ぐりぐりとねじりながら押し込んでいく。先端が股間に埋没して――苑子は強引に突っ込もうとする。
「痛い、痛いってばよお……」
根負けして、聡子が脚を開いた。苑子は脚の間に拳を突っ込んで、握っているチェーンを一気に抉り挿れた
「ぐぎぎぎ……痛い。壊れちまうよう……」
ぴくりとも腰を動かすまいと、聡子は全身の筋肉を突っ張って耐えている。しかし、その悲鳴は――チェーンで叩かれていたときの切迫した叫びには遠かった。
希美は瞬きすら忘れて、妖しくも凄惨な光景を見詰めている。女性器に異物が挿入されるのを見たのは、これが初めてだった。
あの女の人が、あたしだったら。希美は、また妄想に囚われる。処女を破られる激痛に泣き叫んでいるだろう。気絶してしまうかもしれない。血もいっぱい出るんだろうな。
「ひいい……やめて……もう赦してくれよお」
大きなストロークでチェーンを抽挿されて、聡子が悶えている。
苑子はピストン運動に手首の捻りを加えているらしいのだが、希美からは苑子の身体の陰になっていて、よく見えない。見えたところで、膣内を角張った異物で掻き回される苦痛までは、妄想すら出来ないだろうが。
しかし。アダルトビデオも普及していないこの当時において。クリトリスへのささやかなオナニーで漏れるみずからの稚い喘ぎ声しか知らない希美でも、聡子の呻き声が次第に変わっていくのは、容易に聞き分けられた。
「くう……痛いったら……やめて……くれよおお」
なんてこと……感じてるんだわ。中にあんな物を突っ込まれて。膣性感という言葉は婦人雑誌で覚えたけれど、その片鱗も想像できない希美だった。
「これくらい感じるなら、職業訓練の必要もねえな」
苑子がつまらなさそうに言って、チェーンを引き抜いた。
「ああっ……いやあ……」
中途半端に放り出されるつらさも、希美はまだ知らない。
苑子たち三人のスケバングループは、机に縛り付けられている男と、天井の梁から吊られている女をそのままにして。思い思いの場所に座り込むと、煙草を吸い始めた。肺まで煙を吸い込まず、ただふかしているだけだが、硬派不良少女の貫禄十分な絵柄だった。
希美も妄想から完全に醒めて。段ボール箱の陰から這い出た。今は校舎の外に出たら、電話を掛けに行ってそのまま戻って来ていない亜香里という人と鉢合わせするかもしれないからと、無謀な行動を合理化して――西端の教室に隠れて様子を伺い続けた。
やがて自動車が校庭に乗り入れてきて。複数人の足音が廊下に響いて。もっと大勢の足音になって遠ざかり、最後は自動車の走り去る気配。
旧校舎に独り取り残されて三十分ばかり。希美は動けないでいた。またしても妄想に浸っていたのだった。
========================================

スケバンを「角島爽代」から「角島苑子」に変更したのは、シリアスな内容なのに名前で遊びすぎるのは銅かな銀かな金かな入賞しないんじゃないかなと、思い直した次第です。
でも、次章にチョイ役で出てくる道徳指導の教師が「箕内富利/みないふり」とか。まあ、フルネームは出しませんけど。
このペースで書いていけば、10月中に400枚くらいで完結しますが。
発作マグナ的に紙飛行機熱が、焼け棒杭に火が点いたりしてます。
こんなのとか、

こんなのとか

こっちは、こんなふうに仕上がります。
いや、作るのは(セメダインの乾燥時間を除けば)1機あたり数十分ですが。
完成機体を飛行場(原っぱともいう)へ持って行って調整するのが。最低でも100m四方の場所、実は200m×300mありますが、そこまでの往復時間が1時間ちょい。1機あたりの調整時間が15分。ちゃんと飛べばそれだけ遠くまで回収に行くのですから、半日掛けて調整できるのが6~8機。すぐには引き揚げずに、オニギラズあたりを肴にちょい呑みとかして。つまりは、丸一日費やします。
まあ。書くのも作るのも飛ばすのも、他人様に言わせれば趣味。本人様としては生き甲斐。歩きスマホで人生の時間を有効活用してらっしゃる御仁に言わせれば……時間の無駄遣いとがおっしゃらりるれろ。
さて。ブログの記事も時間の……いや、これはSMX工房ぷろだくつうの販促活動なのだ。
========================================
前 奏
リンチを覗き見
立入禁止になっている旧校舎の西端は、廃品倉庫になっている。古びた教室机セットや書棚とか、安全基準を満たさなくなった体育用品とか、座面からバネの飛び出たソファーやコマ跳びを起こす映写機などなど。修理すればまだまだ使える什器類をあっさりと廃棄するという、消費こそ美徳の風潮が、一九八〇年を迎えていよいよ顕著となりつつあるのは、ここ百合香女学院でも同じだった。
越逆希美は、その壊れかけのソファにぼんやりと座って、脚の錆び付いた陸上競技のハードルを眺めていた。
あれに跨がったら痛いだろうなと――空想、いや妄想してみる。誰も見ていなくても、そんなエッチなことをするのは羞ずかしい。エッチなこと、SMチックなことだと自覚してしまっている。
そのくせ。暴漢に襲われて、縛られて、鞭で追い立てられて、泣きながらハードルを跨ぐ。そんな妄想が浮かんでくると。首筋がやっと隠れるボブヘアをぶるるっと左右に振って、妄想を追い払った。
希美がここへ来るのは、週に一度。新体操部でビギナー抜きの練習がある金曜日だった。新入部員十人のうち、体操を含めてまったくの未経験者は希美の他には二人だけだった。三人には、基本的なストレッチ運動など他の部員とは異なるメニューが与えられていて、ユニフォームを購入することも許されていない。
希美は新体操に興味があったのではない。身体の線がくっきり浮かび上がるユニフォームを身に付けて、見知らぬ観客の前でのけ反ったり大股を開いたりする――その羞ずかしさに興味があったのだ。このままでは二年間頑張ったところで、ずっと先を行っている七人に追い付くことは出来そうにない。試合にも出してもらえない。それが分かると、熱心を装って練習を見学する気にはなれないのだった。かといって、運動部員のくせに放課後すぐに下校するのは、自分が入部早々の落ちこぼれだと周囲に宣伝しているようなもの。なので、誰も来ない場所で(淫らな妄想に抗いながら)暇を潰している。
遠くに人の気配が動いて、希美は妄想から醒めた。耳を澄ますと、多人数の足音。とうとう廃品回収の業者さんが来たんだろうか。それとも、取り壊し――は、三年前から中断されたまま。
立入禁止の場所にいるのを見つかってはまずいので、こっそりと廊下に出て――五、六人の男女が東端の教室に入って行く後ろ姿が見えた。踝が隠れるくらいのロングスカートのセーラー服と、背広を着崩した若い男と。
スケバングループ。旧校舎は、彼女たちの溜り場になってはいるが、それは授業が終わるまで。放課後は、とっとと盛り場へ繰り出していく。だから安心して、希美もここで妄想に耽っていたのだけれど。あと一時間もしないうちに全員下校のチャイムが鳴るこんな時刻に引き返して来るなんて変だ。若い男の人もいた。まさか、学校で乱交パーティー?
希美は好奇心を抑えられなくて、足音を忍ばせて教室の近くまで行った。廊下にしゃがんで、積み重ねられた段ボール箱の隙間から覗き見をする。
「てめえ、いい度胸してやがんな。おれらのシマでおれらの学校の生徒をカツアゲするたあ、きっちりオトシマエをつけてもらうぜ」
四人のスケバングループが、男女二人組を取り囲んでいる。希美の目にはスケバンの角島苑子よりもさらに年上――オトナに見える金髪の女は、革ジャンにジーパンという、一目でツッパリと分かる服装だった。
恫喝された女は、不敵にせせら嗤っている。
「お嬢ちゃんが粋がるんじゃねえよ。なにが『おれらのシマ』さ。あそこもここも、全部カツシマ組の縄張だよ。そんで、この人はカツシマ組の若頭なんだよ」
背広の若い男が、女を庇うように前へ出た。
苑子は臆せず、というよりも馬鹿にしたように。そっぽを向いて男の顔の前の空間をはたいた。
「へえ、あんたがカツシマ組の若頭さんねえ?」
「そうだ。今日からお前らは、俺の情婦の下に着いてもらおう。それで、この一件は水に流してやる」
「ふうん……?」
苑子は、ますます馬鹿にした目つきを男に向けた。
「あのな。葛って字に島と書いてカツシマと読むのは、組と付き合いのない素人ネスだぜ。ほんとうの読み方は、カドシマっていうんだ」
「……お前たちに分かり易く言っただけだ」
「そんでもって、ついでに教えといてやるけど。おれの名前は、角に島の角島かどしまっていうんだぜ。あり七光にゃ頼りたくないけど、平和に解決できるなら、その方がいいだろ」
女のほうは、まだぽかんとしていたが、男の顔には激しい動揺が浮かんだ。が、それも一瞬のこと。男は背広の内懐に手を突っ込むと、拳銃を取り出した。
「そうだな。平和的に解決させてもらおう。このまま帰らせてもらうぜ」
拳銃を突きつけられても、苑子は動じない。
「そいつはガバメントだね」
ヤクザの娘だからなのか、苑子は大型拳銃の種類を言い当てた。
「シングルアクションのオートマを、コッキングしないで射てるってのかよっ!」
言い終わったときには、スカートの中に隠し持っていたチェーンを引き抜いていた。踏み込みながらアンダースロー気味にチェーンを繰り出した。銀色に鈍く光る細いチェーンが、黒青色の拳銃に絡み付いて。
ギャィン、ガチャン……男が持っていた拳銃が吹っ飛ぶ。
苑子は踏み込んだ勢いで男に肩からぶちかまして、押し倒していた。
「手錠!」
手下がぺちゃんこの学生鞄から手錠を取り出して苑子に渡す。
拳銃を取り出してから十秒と立たないうちに、男は後ろ手錠を掛けられて床に転がされていた。
「うへえ。いちおう本物だよ」
拳銃を拾った少女が、弾倉を抜いて中の銃弾を見ると、感心したような声を上げた。
ちょっと見ただけでモデルガンとの見分けがつくなんて、この人たちって武闘派なんだな――と、希美は限られた知識と語彙を総動員した。
男はさらに、教室の隅で机に縛り付けられて。しかし、それで事態が収拾したわけではない。むしろこれからが――非平和的な解決の始まりだった。
「亜香里、組事務所に電話してこい。こないだから出没してた偽物らしいのを捕まえたってな」
希美と同じくらいに小柄な少女が教室から出てくる。さいわいに東端の通用口から校舎の外へ出たので、希美は見つからずにすんだ。
こんな所から覗き見していては、いずれ見つけられて――何をされるか分かったものじゃない。そうは思ったけれど、あの二人が何をされるか、どうしても見届けたかった。
「組の名を騙ってユスリタカリ。いたいけな乙女に向けてモノホンのチャカまで振り回しやがって。指の何本かと銭金でケリがつくか、ドラム缶にコンクリ詰めかは、親父たちに任せるとして……」
呆然と突っ立っている女へ、苑子が視線を転じた。
「おめえは、どうされたい情夫と心中立てするかい?」
「ごめんなさいっ……」
女が床に身を投げ、額を擦り付けて土下座した。
「二度とこの街には足を踏み入れません。益夫とも縁を切ります。だから……勘弁してください」
苑子がポケットからタバコを取り出して口に咥えると、子分がライターを差し出して火を点ける。苑子は吸った煙をすぐに吐き出して。
「おれらの流儀でケジメをつけるってんなら、親父に口を利いてやってもいいぜ」
相手の反応を待つ――までもなく。
「なんでもします。だから、赦してください」
床に擦り付けている頭を苑子が、ヒールの高い靴で踏みにじった。
「じゃあ、詫びを入れる姿になれよ」
「どうすれば……?」
すでに土下座している。
「生意気に服なんか着てるんじゃねえよ。素っ裸になれつってんだよ」
喉元に靴の爪先をねじ込まれ撥ね上げられて、女がのけぞった。そのまま身を起こして革ジャンとTシャツを脱ぎ、苑子を上目遣いにうかがってからブラジャーも外した。
二段階くらいは負けている。息を殺して成り行きを見詰めながら、希美は思った。その感想は控え目で――少なくとも三段階、見方によっては五段階も負けている。
衣服を脱がされているのは、西郷聡子。定時制の五年生だから、苑子よりも歳上。もちろん、希美が「負けている」と感じたのは年齢ではなく性熟度である。ボンキュッボンのボンが、希美はBなのに対して聡子はDである。ちなみに苑子もDであるが、彼女のヌードが登場するのは、前奏パートの終章である。
聡子が上半身裸になっても、苑子は腰に手を当てたまま冷ややかに見下ろして無言。聡子はのろのろと立ち上がった。ブーツを脱いでかさyらジーパンを下げ、最後にはためらいながら、パンティも足から抜き取った。
それを見届けてから。苑子が教室の隅からロープを引っ張り出した。建設現場なんかで立入禁止場所に張り巡らす黄色と黒の縞模様の、トラロープといえば「ああ、あれ」というやつだ。
二人の子分が(ロングスカートをめくり上げて)肩車をして、天井の破れ目から剥き出しになっている太い梁にロープを掛けた。
聡子の両手を前で縛って、ロープを引く。聡子は梁から吊られた格好になったが、梁とロープの摩擦に抗して吊り上げるのは手に余るのか、両足は床に着いている。
「さて……」
苑子がチェーンを二つ折にして、聡子の頬を撫でた。
「明日から、おまえは男の天国女の地獄で、何年か働くことになるが……」
「嘘つきっ!」
聡子が大声で苑子の言葉を遮った。
「赦してくれるって言ったじゃないか?!」
「指が無くなるよりゃいいだろ。それとも腎臓を片っ方売るか。そうならないよう、親父に口を利いてやるって言ったんだ」
聡子の目に憎悪の焔が宿ったが、苑子は無視した。
「明日からすぐに働きたいかい。それとも、半月ばかりは心の準備をしたいかい?」
「……少しでも先の方が」
たとえ縛られていなくても、たとえタイマンでも、苑子には勝てない。まして今は……どんなに理不尽な運命にでも甘んじるしかないと、聡子は諦めたのだった。
「そうかい」
チャラッと、苑子がチェーンを垂らした。
「じゃあ、こいつでヤキを入れてやるよ。傷が治るまでは、客を取らされないだろうね」
「やめて……そんなので叩かれたら、ダブルッパよりもひどいことになっちまう。お願いだから、赦して」
聡子が顔を引き攣らせて懇願する。
スケバン特有の武器に、指の間に剃刀の刃を挟むという、ドスに比べれば可愛らしい物がある。ただし、二枚の刃を硬貨でサンドイッチにすると傷の縫合が困難となり、生涯消えない傷痕になるという――女にとっては、ある意味ドスよりもチャカよりも残忍な凶器と化す。
「少しは手加減してやるよ。美容整形で元通りになる。治療費は、おまえの前借がちょっと増えるだけさ」
「くそっ……益夫、助けてよおおっ!」
聡子は愛人に助けを求めたが、男はそれどころではない。チンピラが本筋を騙って堅気の衆に実害を及ぼしたとなると、コンクリ詰はともかく、両手の小指だけだは済まないだろう。
「いい加減で観念しなっ!」
苑子がチェーンを水平に振るって、聡子の乳房に叩きつけた。
「いぎゃああっ……!」
凄まじい悲鳴に目を閉じる瞬前、乳房がひしゃげて横に吹っ飛ぶのを、希美ははっきりと見ていた。
ひゅんっとチェーンが風を切る音と、バヂインと肉を打つ音。そして悲鳴。
怖いもの見たさに希美が目を開けたとき、聡子の双つの乳房には、くっきりと赤い二本の線条が、乳首を上下から挟むように刻み付けられていた。
「見てくれをあまり傷つけちゃ可哀想だしね」
苑子が大きく踏み込んで、腹にチェーンを叩きつけた。先端がぐるっとひと巻して臍を打った。
「ぎひいいいっ……」
苑子が左手を添えてチェーンをほぐした。そのまま引けば、チェーンが腹を擦って傷を深くしていただろう。手加減をするという約束は、商品価値に配慮してのことかもしれないが、守ってはいるらしい。
お腹を傷つけられるのは困るな。生まれて初めて凄惨なリンチを目の当たりにしながら希美は、もしも自分があの女の人だったら――と、妄想にのめり込んでしまう。乳房ならブラジャーで隠せるけれど、お腹は着替えのときなんかに見られてしまいそう。だけど、理不尽なリンチを受けたのだとしたら、同情してもらえるかな。
バヂイン、バヂイン。
続けざまに肉を打つ音に、希美は妄想から引き戻された。
苑子が水平に8の字を描くようにチェーンを振り回して、聡子の尻を滅多打ちにしていた。
聡子は歯を食い縛って耐えている。尻は他の部位に比べれば鈍感だし、チェーンも軽く振り回しているだけなのだろう。
あれならリンチじゃなくて、お仕置とまでは言わないけれど折檻かな。希美の中では、それぞれが別の意味を持っていた。
リンチは、とにかく残酷で痛くて大怪我をさせられる。折檻はそこまでひどくないけれど、継子とか女中とか奴隷とか、身分の差が伴っている。お仕置は、教え子とか後輩とか、甘ったるい香りがする。
ついつい自分の妄想が目の前の光景と重なってしまうせいだろうか。聡子の背後に回り込んで、廊下に向かい合う形になっていた苑子が、教室の外に積み上げてある段ボール箱に一瞬の視線を留めたのに、希美は気づかなかった。
苑子が聡子の正面に戻って。
「念のために聞いとくけど。まさか、その歳でバージンってことはないだろうね」
「益夫を馬鹿にするな」
まだ男に未練があるのか、トンチンカンなようで的確な受け答えだった。
「そうかい」
苑子がチェーンをを二つ折にして、さらに四つに折り曲げた。チェーンは平面的にしか曲がらないから、Wを横から押し潰した形状になる。チェーンをひねって、その二つのVを重ね合わせて。四本を束にしたチェーンを、聡子の股間に突き付けた。
「それじゃ遠慮は要らねえな。職業訓練をしといてやるよ」
聡子が反射的に股をきつく閉じ合わせた。
「やめろ。そんなの、無理だ……」
苑子がせせら嗤う。
「せいぜい三センチだぜ。あの男のチンポは、これより小さいってのか」
スケバン御用達のチェーンは自転車用の品で、断面は一センチ角程度だから、四つを束ねたところで対角の寸法は三センチちょっと。ペニスの平均的な勃起サイズより小さい。しかし、ごつごつした形状は、如何にも威圧的だった。
「脚を開けよ。それとも、無理矢理ねじ挿れられるのが好みかい?」
チェーンの先端を、閉じ合わされたY字形の交点に、ぐりぐりとねじりながら押し込んでいく。先端が股間に埋没して――苑子は強引に突っ込もうとする。
「痛い、痛いってばよお……」
根負けして、聡子が脚を開いた。苑子は脚の間に拳を突っ込んで、握っているチェーンを一気に抉り挿れた
「ぐぎぎぎ……痛い。壊れちまうよう……」
ぴくりとも腰を動かすまいと、聡子は全身の筋肉を突っ張って耐えている。しかし、その悲鳴は――チェーンで叩かれていたときの切迫した叫びには遠かった。
希美は瞬きすら忘れて、妖しくも凄惨な光景を見詰めている。女性器に異物が挿入されるのを見たのは、これが初めてだった。
あの女の人が、あたしだったら。希美は、また妄想に囚われる。処女を破られる激痛に泣き叫んでいるだろう。気絶してしまうかもしれない。血もいっぱい出るんだろうな。
「ひいい……やめて……もう赦してくれよお」
大きなストロークでチェーンを抽挿されて、聡子が悶えている。
苑子はピストン運動に手首の捻りを加えているらしいのだが、希美からは苑子の身体の陰になっていて、よく見えない。見えたところで、膣内を角張った異物で掻き回される苦痛までは、妄想すら出来ないだろうが。
しかし。アダルトビデオも普及していないこの当時において。クリトリスへのささやかなオナニーで漏れるみずからの稚い喘ぎ声しか知らない希美でも、聡子の呻き声が次第に変わっていくのは、容易に聞き分けられた。
「くう……痛いったら……やめて……くれよおお」
なんてこと……感じてるんだわ。中にあんな物を突っ込まれて。膣性感という言葉は婦人雑誌で覚えたけれど、その片鱗も想像できない希美だった。
「これくらい感じるなら、職業訓練の必要もねえな」
苑子がつまらなさそうに言って、チェーンを引き抜いた。
「ああっ……いやあ……」
中途半端に放り出されるつらさも、希美はまだ知らない。
苑子たち三人のスケバングループは、机に縛り付けられている男と、天井の梁から吊られている女をそのままにして。思い思いの場所に座り込むと、煙草を吸い始めた。肺まで煙を吸い込まず、ただふかしているだけだが、硬派不良少女の貫禄十分な絵柄だった。
希美も妄想から完全に醒めて。段ボール箱の陰から這い出た。今は校舎の外に出たら、電話を掛けに行ってそのまま戻って来ていない亜香里という人と鉢合わせするかもしれないからと、無謀な行動を合理化して――西端の教室に隠れて様子を伺い続けた。
やがて自動車が校庭に乗り入れてきて。複数人の足音が廊下に響いて。もっと大勢の足音になって遠ざかり、最後は自動車の走り去る気配。
旧校舎に独り取り残されて三十分ばかり。希美は動けないでいた。またしても妄想に浸っていたのだった。
========================================

スケバンを「角島爽代」から「角島苑子」に変更したのは、シリアスな内容なのに名前で遊びすぎるのは銅かな銀かな金かな入賞しないんじゃないかなと、思い直した次第です。
でも、次章にチョイ役で出てくる道徳指導の教師が「箕内富利/みないふり」とか。まあ、フルネームは出しませんけど。
このペースで書いていけば、10月中に400枚くらいで完結しますが。
発作マグナ的に紙飛行機熱が、焼け棒杭に火が点いたりしてます。
こんなのとか、

こんなのとか

こっちは、こんなふうに仕上がります。

いや、作るのは(セメダインの乾燥時間を除けば)1機あたり数十分ですが。
完成機体を飛行場(原っぱともいう)へ持って行って調整するのが。最低でも100m四方の場所、実は200m×300mありますが、そこまでの往復時間が1時間ちょい。1機あたりの調整時間が15分。ちゃんと飛べばそれだけ遠くまで回収に行くのですから、半日掛けて調整できるのが6~8機。すぐには引き揚げずに、オニギラズあたりを肴にちょい呑みとかして。つまりは、丸一日費やします。
まあ。書くのも作るのも飛ばすのも、他人様に言わせれば趣味。本人様としては生き甲斐。歩きスマホで人生の時間を有効活用してらっしゃる御仁に言わせれば……時間の無駄遣いとがおっしゃらりるれろ。
さて。ブログの記事も時間の……いや、これはSMX工房ぷろだくつうの販促活動なのだ。
Progress Report 0:スケバン リンチ志願~悦虐へのエチュード
09/23 タイトルを変更しました。
「スケバンリンチ」と続くと区切が分からないので避けたのですが、しかし、名は体を表わすのです。ので、半角スペースを挿入しました。コロンは「Progress Report 0:スケバン:リンチ志願」で、ブログの表題が見栄え悪いです。
満を持して、です。
スケバンにリンチされたくて、タバコだのなんだの小さい「悪事」を先生にチクッて。スケバンに呼び出されて――というシチュエーションは、FACE2 振り返るに、少なくとも10年越しの構想もとい妄想です。
詳細に練り込んでいくと、アレもコレも詰め込んでしまいます。今回は、必要十分といったところでしょうか。

1980年
越逆希美/こえざかのぞみ/えつぎゃくのぞみ
3月25日(1週間早産)あたし
高等部から。
156cm/50kg Bカップ
ボブカットを伸ばしているところ。
新体操部。初心者なのでストレッチばかり。ユニフォームも不許可。
平凡なサラリーマン家庭のひとり娘。
地元の大抵の会社は葛島組と持ちつ持たれつ。
希美の破廉恥制服も、爽代の意向と知って黙認。
角島爽代/かどしまそよ/かくしまぞよ
4月4日(予定日5日超)おれ
高等部から。1か月で〆る。
163cm/54kg Dカップ
長髪(地毛)。紫のアイシャドウとルージュ。すっぴんは美少女。
運動のときは、くるりんぱ。
地元ヤクザ(葛島組)組長の娘。
七つ上の兄が他の組で修業中。
アパートでひとり暮らし。
父親は学園に寄付。腫物扱い。
親の七光は利用。転落の日を夢見つつ。
爽風七人衆
佐分利妙子 3年生 さぶりーだー
床田 市代 3年生 とっこうたいちょ
貝池亜香里 3年生 かいけいがかり
希美と同じくらいに小柄。丸っこい。長髪(地毛)。
鳥居 麻紀 2年生 とりまき
長井 薬世 2年生 ちょいやく
園田 詠子 2年生 そのたえーこ
来島 綺麗 2年生 くるしまぎれ
浦広員子 定時制5年生 うらひろいん
売春島へ売られるが、嘉良に気に入られて島抜け。
売春島は濃木組に蚕食されつつある。
矢霰益男 員子の情夫/消息不明に やられやく
濃木組 広域暴力団
嘉良哲夫 誘拐のリーダー/爽代をぶちのめす
百合香学園高等部
幼稚部 25人×2組( 50)×2年=100
初等部 35人×3組(105)×6年=630
中等部 40人×4組(160)×3年=480
―――――――――――――――――――――――
高等部 40人×5組(200)×3年=600
短 大 250人×2年 =500
短大へのエスカレーターは半数
食堂は高等部、短大共用。
爽代は、使わない。マナーが煩わしい。
希美は、元から弁当(自作)。共働き。
[前奏]
リンチを覗き見
立入禁止のフェンスで囲んだ旧校舎。2年前から解体中断。
南京錠を開けて入る6人。3年生が4人、他校生徒、若い男。
希美、後からそっと(見張とかはいない)。書かないが――監禁陵辱妄想に、ときどき来ている。
おれらのシマでカツアゲとは、いい度胸。
この人はカツシマ組の若頭なんだからね。
スケバン、せせら笑う。
おれの名字を知ってんのか。ツノって漢字のカドシマだ。そして、カツシマはトウシロ連中の読み方だ。正しくはカドシマだ。
亜香里、組事務所に電話しな。詐欺野郎を見つけたって。
若者、チャカを取り出してスケバンに。ガバメント。
馬鹿野郎。シングルアクションのオートマをコッキングしないで撃てると思ってんのか。
電光石火のチェーン殺法。叩き伏せて、後ろ手錠で剥き出しの柱に。
こいつの始末は組に任せる。銭カネと指の何本かで済むか、ドラム缶にコンクリ詰めか。
おまえは女だから。男の天国女の地獄で二三年、いや若いから七八年。そうなりたいか。
勘弁してください。土下座。
じゃあ、おれらでケジメを付けてやる。素っ裸になりな。綺麗なおべべで帰りたいだろ。
破れ天井の梁から吊って足は着いてる。チェーンで滅多打ち。肌が裂ける。
希美は物陰から覗きながら、両手で股間をスカートの上から。
ちらっと視線を向けられたのも気づかない。
まさかバージンじゃねえよな。チェーンを折り畳んでズブリグリグリ。
組の若頭補佐と若衆。後ろ手錠にレインコートで連れ出す。
愁嘆場も、おまえが身代りになるか。で、チョン。
男に殉じてみろよ。つうても、あいつは価値が無いか。
撤収。希美は、さらに30分、へたり込む。正気づいたら、真っ暗。
タバコを告げ口
翌週。スケ番グループの昼間に旧校舎たむろは、月~木
今、旧校舎横で喫煙中。風紀指導教官に2日連続。3日目は生徒会。
角島の父上は多額の寄付。恙無く進学してもらいたい。ヤクザには言及しない。
月曜に2年生が呼び出し。旧校舎内。
取巻連が憤ってる。ヤキを入れてやりましょう。
どういうつもりだ。寄付とかヤクザとか、そんなのに屈しません。
おまえ、先週のリンチを盗み見してた奴だな。爽代だけが気づいてた。
夢中でオナニーまでしてたっけ。カマ。
おまえ、まさか……ヤキを入れられたくて、チクッてたのか。
そんな馬鹿な。いや、そういうのをマゾという。気色悪い。
被虐願望を実現
違うのなら、なにもしないで返してやる。一大決心で告白。
縛り無し。捕虜のポーズで開脚。不満だが……
トラロープの鞭。尻、背中。不意打ちの背面から股間。乳房(ちっちぇえな)、脇腹。
泣き叫んでもいいんだぜ。自分から望んだのだからと、我慢。
バージンかい? チェーンをアヌス。絶叫。
制服改造超ミニ
明日から、昼休みはまっすぐここに来い。
仲間じゃねえおれの下女。一目で分かるようにしろ。鋏で股下ゼロcm、上着もヘソ出し。
家に帰って、かがり縫い。
格好悪いので、シュミーズもブラウスも着れない。
剃毛で下着禁止
パンティを気にしながら登校。校門チェック。角島さんの言い付けで。フリーパス。
ヤンキー座り強要。パンツが見えてる。恥ずかしくないのか。ノーパン強制力。
毛が見えてる。性器は、わざと言及しない。
綺麗にしてやる。シェービングフォームとT字剃刀、あらかじめ準備。
自分で泣きながら剃毛 with 御開帳。
クラスでイジメ
新体操部は完全幽霊。
昼休みには食事抜きで旧校舎へ駆けつけて。自分で首輪をフェンスにつなぐ。
後ろでウエストに指4本入れて、親指タコ糸。整列休めの不動姿勢。後ろはペロン。
先生が来たら、足でブザー。他学生は好奇の目。
朝、上履きにゴミ。机に落書き。淫乱、露出狂、スケベバン。
2年生からの注進。爽代がクラスに乗り込む。
イジメの中心人物(見せしめ)。チェーンで机ズタボロ。黙ってシンナー。
あたしだけじゃない。仲間2人の机にも一発ずつ。3人に拭かせる。
希美に爽代への思慕が芽生える。
目立つイジメは無くなった。クラスで孤立。
初めての縄と針
希美の思慕には気付いて。アンビバレント。
おれらが夜にショバ回り中、退屈だろ。おれらに貢献しろ。
お金なら、工面します。それじゃカツアゲと一緒。おまえが身体を張ることに意義。
旧校舎奥に連れ込んで。
全裸緊縛。グラビアと首っ引き。下手くそで痛い。
乳首に針。生理的に拒絶。
ウリをやります。そうじゃない。絶対服従。命に関わる無茶な命令はしない。
クリに針を耐えろ。無茶は言わない約束だから、泣くなとは言わない。
ウリも承諾。
自発的処女売春
立ちんぼの真似事。処女を買ってください。5万円。べらぼう。処女は面倒。
本職に囲まれてリンチ。ビンタ、衣服切り裂き程度。膜確認用クスコで覗かれる。
怖いだけでマゾ快感無し。
自力で考えて。服従したいのに自力更生は複雑な心境。
少女写真集見てる男。書店を出たところで。成功。
いざとなればヤクザルートを目論んでいた爽代は肩透かし。
クスコ。男は意馬心猿過ぎて半勃ちまで。イラマで。ごっくん。外線で女房に残業と。
自販機のオモチャ総動員で。ノーマルにあへるが、空虚。2時間後に除膜式。
ホテルで御褒美
すでに22時。ホテルの出口で待ち受けて全額没収。
オトナのオモチャ屋。品物指定して、独りで入店させる。
W凸ベルト。店員のからかいに、本当を答える。
同じホテルの隣の部屋。SMルーム。マジックミラー。見られて(見守られて)いたと悟る。
シャワー浣腸。ギロチン磔。マンコバイブも解禁。強制絶頂からの、アナル破瓜。
爽代もパイパン。欧米で最先端。永久脱毛(電気)。二の腕に『御意見無用』和彫り。
朝帰り。両親は爽代と一緒だったと聞かされて何も言わない。
[独奏]
梅雨は濡れ透け
輸入ピル服用中。梅雨時。
今日は遊んでやるよ。10m離れてついて来な。傘を取り上げて。ずぶ濡れ。下着禁止だから……
信号の変わり目とかでプチ放置。
組事務所へ連れて行って、内風呂を使わせる。事務所を通るときは若衆が目の保養(爽代がうながす)。
爽代も風呂に。身体を流させる。
海水欲情荒らし
七人衆と海の家に泊まる。希美だけ超過激水着。
人数多くて、ナンパの声が掛からない。2年生は不満で希美に八つ当たり。
パシリ(時代が早いよ)。2百円のソフトクリーム八つを千円で買ってこい。
男子学生アルバイトの店を選んで、お触りを代償に。ビニールボート。フェラで無料。
売春に比べて安売。プライドが傷付く。マゾの惨めさ甘美。
夜の花火。人間花火をやらされる。
お揃いのタトゥ
盆前。「お揃い」のタトゥ。極彩色のバタフライ。希美は剃毛淫埠に。爽代は腰骨の上。
旧校舎で綱渡り
夏休み最後。
ロングスパン綱。何をするかは言わないで。廊下に支柱とか、すべて希美にやらせる。
全裸緊縛、竹尺で追い回す。洗濯バサミで引っ張る。
秋山で全裸折檻
ヘソ出し切れ上がりホットパンツ。
荷物はすべて背負わされる。
若衆が拳銃の練習。山道で出会う。
お嬢のお友達で? マゾ牝奴隷だよ。
若衆に強制貸出。離れた場所でちょんの間。
性的よりも状況に興奮して戻ってきた希美に(嫉妬混じり)立腹。
樹間大の字磔鞭打ち放置。
お姉様の大秘密
初めて、一人住まいのアパートへ。
同じコミック。『ズボンの騎士』、『ジョルゴ13』
サディスチン目線でも読めるけれど……
オモチャをいろいろと見せられる。好きなのを使ってやるよ。
鞭とかは新品。手錠やバイブは使い込んでる。縄は自縛の工夫が残っている(希美はレディコミの知識)。
脱毛、タトゥの件と併せて……実はマゾ??
文化祭で荒稼ぎ
招待券を入手/偽造で潜り込む男子多数。爽風会が取締。
旧校舎の一画で裏企画。新体操部員でエロチック演技。目玉は希美。
ボディペでマット運動。開脚前転レベル。特出し有り。
映画館での置換
2人でSM(成人)映画を観に行く。爽代は顔パス。希美は露出服。
わざと離れて座って。希美にはすぐに左右から手が伸びる。
斜め後ろに座った爽代にも。途中で希美が気付く。抵抗していない。
お姉様も欲求不満だったのかな。でも……?
部屋で見かけたあれこれと結び付けて考えると?
[競奏]
白昼堂々の誘拐
火曜日。希美はまっすぐ帰宅。追い越した車が、いきなりバックしてきて後部座席のドアが開いて、掬い込むように。
車のまま倉庫に乗り入れ。もう1台、こっちはアメ車。バイクは嘉良。
車:員子、権次、雄太/倉庫:嘉良、濃木継雄(若頭)、富夫、作造
初体験の三穴姦
濃木V+嘉良A+権次O/雄太A+富夫A+作造O
低周波+バイブ+クリローターで放置。
員子が嘉良とバイクで爽代(繁華街)をおびき出しに。
悦虐の無い苦痛
爽代が戻って来て、いよいよ、天国から地獄へ。両手吊り。
自転車チェーンは濃木に制止されて。濃木から鰐革ベルトを借りる。
#80チェーン二つ折りをゴム無しでV,一本物でV。ピストンごりごり。
圧倒的な力の差
爽代が単身で乗り込む。
人質に取ったりはしないさ。希美は降ろして、襤褸切れになった服を羽織らせる。縛られない。
爽代(チェーン)と嘉良(素手)のタイマン。爽代がずたぼろにされる。
爽代はチェーンで滅多打ち。手加減無し。肌が裂ける。悲鳴はあげない。
お姉様を赦してあげて。あたしが身代わりに。
かばい合う悦び
出しゃばるな。これは、おれの問題だ。おれがケジメをつける。
爽代に抱き着き、身を挺してかばう。希美の尻にチェーン。ベルトとは異質の激痛。
爽代が身をひねって望みをかばう。
それじゃあ、一心同体にしてやろう。二人を抱き合わせで縛って、Aに#80両端。
見捨てられた娘
濃木が自動車電話で組事務所へ。
娘は預かっている。殺しはしない。売春島で働かせる。栄盛市から手を引け。決裂。
今度は、おまえが淫売になるんだよ。希美は返してやって。いやです、お姉様とどこまでも。
満身創痍のレズ
それじゃ、おまえが爽代を陥落させてみな。願いを叶えてやる。
チェーンでアヌス連結のまま。爽代は木箱に大の字磔。希美がタチ。
馬鹿野郎。おれなんかと心中しやがって。最後はくんずほぐれつ。
甘い絶望の彼方
こりゃあ、いい。あの島では20年も昔に、SMとレズを組み合わせた本番ショーがあった。
伝説の美央と美冬。5年くらいで消息不明になったとか。あの二代目といくか。
69で縛り合せて木箱に。数時間経過。尿意。互いに……
あたしに遠慮せずに出して。おまえこそ。同時に。
外にトラックが停まる音。運び出される。
変奏
微温湯的大団円
一斉検問。見のがしかけるが、水の垂れた木箱。
警官だけでなく、葛島組の若い衆も。「お嬢……」
DLsite Affiliate キーワードは[スケバン or スケ番, リンチ or リョナ]
「スケバンリンチ」と続くと区切が分からないので避けたのですが、しかし、名は体を表わすのです。ので、半角スペースを挿入しました。コロンは「Progress Report 0:スケバン:リンチ志願」で、ブログの表題が見栄え悪いです。
満を持して、です。
スケバンにリンチされたくて、タバコだのなんだの小さい「悪事」を先生にチクッて。スケバンに呼び出されて――というシチュエーションは、FACE2 振り返るに、少なくとも10年越しの構想もとい妄想です。
詳細に練り込んでいくと、アレもコレも詰め込んでしまいます。今回は、必要十分といったところでしょうか。

1980年
越逆希美/こえざかのぞみ/えつぎゃくのぞみ
3月25日(1週間早産)あたし
高等部から。
156cm/50kg Bカップ
ボブカットを伸ばしているところ。
新体操部。初心者なのでストレッチばかり。ユニフォームも不許可。
平凡なサラリーマン家庭のひとり娘。
地元の大抵の会社は葛島組と持ちつ持たれつ。
希美の破廉恥制服も、爽代の意向と知って黙認。
角島爽代/かどしまそよ/かくしまぞよ
4月4日(予定日5日超)おれ
高等部から。1か月で〆る。
163cm/54kg Dカップ
長髪(地毛)。紫のアイシャドウとルージュ。すっぴんは美少女。
運動のときは、くるりんぱ。
地元ヤクザ(葛島組)組長の娘。
七つ上の兄が他の組で修業中。
アパートでひとり暮らし。
父親は学園に寄付。腫物扱い。
親の七光は利用。転落の日を夢見つつ。
爽風七人衆
佐分利妙子 3年生 さぶりーだー
床田 市代 3年生 とっこうたいちょ
貝池亜香里 3年生 かいけいがかり
希美と同じくらいに小柄。丸っこい。長髪(地毛)。
鳥居 麻紀 2年生 とりまき
長井 薬世 2年生 ちょいやく
園田 詠子 2年生 そのたえーこ
来島 綺麗 2年生 くるしまぎれ
浦広員子 定時制5年生 うらひろいん
売春島へ売られるが、嘉良に気に入られて島抜け。
売春島は濃木組に蚕食されつつある。
矢霰益男 員子の情夫/消息不明に やられやく
濃木組 広域暴力団
嘉良哲夫 誘拐のリーダー/爽代をぶちのめす
百合香学園高等部
幼稚部 25人×2組( 50)×2年=100
初等部 35人×3組(105)×6年=630
中等部 40人×4組(160)×3年=480
―――――――――――――――――――――――
高等部 40人×5組(200)×3年=600
短 大 250人×2年 =500
短大へのエスカレーターは半数
食堂は高等部、短大共用。
爽代は、使わない。マナーが煩わしい。
希美は、元から弁当(自作)。共働き。
[前奏]
リンチを覗き見
立入禁止のフェンスで囲んだ旧校舎。2年前から解体中断。
南京錠を開けて入る6人。3年生が4人、他校生徒、若い男。
希美、後からそっと(見張とかはいない)。書かないが――監禁陵辱妄想に、ときどき来ている。
おれらのシマでカツアゲとは、いい度胸。
この人はカツシマ組の若頭なんだからね。
スケバン、せせら笑う。
おれの名字を知ってんのか。ツノって漢字のカドシマだ。そして、カツシマはトウシロ連中の読み方だ。正しくはカドシマだ。
亜香里、組事務所に電話しな。詐欺野郎を見つけたって。
若者、チャカを取り出してスケバンに。ガバメント。
馬鹿野郎。シングルアクションのオートマをコッキングしないで撃てると思ってんのか。
電光石火のチェーン殺法。叩き伏せて、後ろ手錠で剥き出しの柱に。
こいつの始末は組に任せる。銭カネと指の何本かで済むか、ドラム缶にコンクリ詰めか。
おまえは女だから。男の天国女の地獄で二三年、いや若いから七八年。そうなりたいか。
勘弁してください。土下座。
じゃあ、おれらでケジメを付けてやる。素っ裸になりな。綺麗なおべべで帰りたいだろ。
破れ天井の梁から吊って足は着いてる。チェーンで滅多打ち。肌が裂ける。
希美は物陰から覗きながら、両手で股間をスカートの上から。
ちらっと視線を向けられたのも気づかない。
まさかバージンじゃねえよな。チェーンを折り畳んでズブリグリグリ。
組の若頭補佐と若衆。後ろ手錠にレインコートで連れ出す。
愁嘆場も、おまえが身代りになるか。で、チョン。
男に殉じてみろよ。つうても、あいつは価値が無いか。
撤収。希美は、さらに30分、へたり込む。正気づいたら、真っ暗。
タバコを告げ口
翌週。スケ番グループの昼間に旧校舎たむろは、月~木
今、旧校舎横で喫煙中。風紀指導教官に2日連続。3日目は生徒会。
角島の父上は多額の寄付。恙無く進学してもらいたい。ヤクザには言及しない。
月曜に2年生が呼び出し。旧校舎内。
取巻連が憤ってる。ヤキを入れてやりましょう。
どういうつもりだ。寄付とかヤクザとか、そんなのに屈しません。
おまえ、先週のリンチを盗み見してた奴だな。爽代だけが気づいてた。
夢中でオナニーまでしてたっけ。カマ。
おまえ、まさか……ヤキを入れられたくて、チクッてたのか。
そんな馬鹿な。いや、そういうのをマゾという。気色悪い。
被虐願望を実現
違うのなら、なにもしないで返してやる。一大決心で告白。
縛り無し。捕虜のポーズで開脚。不満だが……
トラロープの鞭。尻、背中。不意打ちの背面から股間。乳房(ちっちぇえな)、脇腹。
泣き叫んでもいいんだぜ。自分から望んだのだからと、我慢。
バージンかい? チェーンをアヌス。絶叫。
制服改造超ミニ
明日から、昼休みはまっすぐここに来い。
仲間じゃねえおれの下女。一目で分かるようにしろ。鋏で股下ゼロcm、上着もヘソ出し。
家に帰って、かがり縫い。
格好悪いので、シュミーズもブラウスも着れない。
剃毛で下着禁止
パンティを気にしながら登校。校門チェック。角島さんの言い付けで。フリーパス。
ヤンキー座り強要。パンツが見えてる。恥ずかしくないのか。ノーパン強制力。
毛が見えてる。性器は、わざと言及しない。
綺麗にしてやる。シェービングフォームとT字剃刀、あらかじめ準備。
自分で泣きながら剃毛 with 御開帳。
クラスでイジメ
新体操部は完全幽霊。
昼休みには食事抜きで旧校舎へ駆けつけて。自分で首輪をフェンスにつなぐ。
後ろでウエストに指4本入れて、親指タコ糸。整列休めの不動姿勢。後ろはペロン。
先生が来たら、足でブザー。他学生は好奇の目。
朝、上履きにゴミ。机に落書き。淫乱、露出狂、スケベバン。
2年生からの注進。爽代がクラスに乗り込む。
イジメの中心人物(見せしめ)。チェーンで机ズタボロ。黙ってシンナー。
あたしだけじゃない。仲間2人の机にも一発ずつ。3人に拭かせる。
希美に爽代への思慕が芽生える。
目立つイジメは無くなった。クラスで孤立。
初めての縄と針
希美の思慕には気付いて。アンビバレント。
おれらが夜にショバ回り中、退屈だろ。おれらに貢献しろ。
お金なら、工面します。それじゃカツアゲと一緒。おまえが身体を張ることに意義。
旧校舎奥に連れ込んで。
全裸緊縛。グラビアと首っ引き。下手くそで痛い。
乳首に針。生理的に拒絶。
ウリをやります。そうじゃない。絶対服従。命に関わる無茶な命令はしない。
クリに針を耐えろ。無茶は言わない約束だから、泣くなとは言わない。
ウリも承諾。
自発的処女売春
立ちんぼの真似事。処女を買ってください。5万円。べらぼう。処女は面倒。
本職に囲まれてリンチ。ビンタ、衣服切り裂き程度。膜確認用クスコで覗かれる。
怖いだけでマゾ快感無し。
自力で考えて。服従したいのに自力更生は複雑な心境。
少女写真集見てる男。書店を出たところで。成功。
いざとなればヤクザルートを目論んでいた爽代は肩透かし。
クスコ。男は意馬心猿過ぎて半勃ちまで。イラマで。ごっくん。外線で女房に残業と。
自販機のオモチャ総動員で。ノーマルにあへるが、空虚。2時間後に除膜式。
ホテルで御褒美
すでに22時。ホテルの出口で待ち受けて全額没収。
オトナのオモチャ屋。品物指定して、独りで入店させる。
W凸ベルト。店員のからかいに、本当を答える。
同じホテルの隣の部屋。SMルーム。マジックミラー。見られて(見守られて)いたと悟る。
シャワー浣腸。ギロチン磔。マンコバイブも解禁。強制絶頂からの、アナル破瓜。
爽代もパイパン。欧米で最先端。永久脱毛(電気)。二の腕に『御意見無用』和彫り。
朝帰り。両親は爽代と一緒だったと聞かされて何も言わない。
[独奏]
梅雨は濡れ透け
輸入ピル服用中。梅雨時。
今日は遊んでやるよ。10m離れてついて来な。傘を取り上げて。ずぶ濡れ。下着禁止だから……
信号の変わり目とかでプチ放置。
組事務所へ連れて行って、内風呂を使わせる。事務所を通るときは若衆が目の保養(爽代がうながす)。
爽代も風呂に。身体を流させる。
海水欲情荒らし
七人衆と海の家に泊まる。希美だけ超過激水着。
人数多くて、ナンパの声が掛からない。2年生は不満で希美に八つ当たり。
パシリ(時代が早いよ)。2百円のソフトクリーム八つを千円で買ってこい。
男子学生アルバイトの店を選んで、お触りを代償に。ビニールボート。フェラで無料。
売春に比べて安売。プライドが傷付く。マゾの惨めさ甘美。
夜の花火。人間花火をやらされる。
お揃いのタトゥ
盆前。「お揃い」のタトゥ。極彩色のバタフライ。希美は剃毛淫埠に。爽代は腰骨の上。
旧校舎で綱渡り
夏休み最後。
ロングスパン綱。何をするかは言わないで。廊下に支柱とか、すべて希美にやらせる。
全裸緊縛、竹尺で追い回す。洗濯バサミで引っ張る。
秋山で全裸折檻
ヘソ出し切れ上がりホットパンツ。
荷物はすべて背負わされる。
若衆が拳銃の練習。山道で出会う。
お嬢のお友達で? マゾ牝奴隷だよ。
若衆に強制貸出。離れた場所でちょんの間。
性的よりも状況に興奮して戻ってきた希美に(嫉妬混じり)立腹。
樹間大の字磔鞭打ち放置。
お姉様の大秘密
初めて、一人住まいのアパートへ。
同じコミック。『ズボンの騎士』、『ジョルゴ13』
サディスチン目線でも読めるけれど……
オモチャをいろいろと見せられる。好きなのを使ってやるよ。
鞭とかは新品。手錠やバイブは使い込んでる。縄は自縛の工夫が残っている(希美はレディコミの知識)。
脱毛、タトゥの件と併せて……実はマゾ??
文化祭で荒稼ぎ
招待券を入手/偽造で潜り込む男子多数。爽風会が取締。
旧校舎の一画で裏企画。新体操部員でエロチック演技。目玉は希美。
ボディペでマット運動。開脚前転レベル。特出し有り。
映画館での置換
2人でSM(成人)映画を観に行く。爽代は顔パス。希美は露出服。
わざと離れて座って。希美にはすぐに左右から手が伸びる。
斜め後ろに座った爽代にも。途中で希美が気付く。抵抗していない。
お姉様も欲求不満だったのかな。でも……?
部屋で見かけたあれこれと結び付けて考えると?
[競奏]
白昼堂々の誘拐
火曜日。希美はまっすぐ帰宅。追い越した車が、いきなりバックしてきて後部座席のドアが開いて、掬い込むように。
車のまま倉庫に乗り入れ。もう1台、こっちはアメ車。バイクは嘉良。
車:員子、権次、雄太/倉庫:嘉良、濃木継雄(若頭)、富夫、作造
初体験の三穴姦
濃木V+嘉良A+権次O/雄太A+富夫A+作造O
低周波+バイブ+クリローターで放置。
員子が嘉良とバイクで爽代(繁華街)をおびき出しに。
悦虐の無い苦痛
爽代が戻って来て、いよいよ、天国から地獄へ。両手吊り。
自転車チェーンは濃木に制止されて。濃木から鰐革ベルトを借りる。
#80チェーン二つ折りをゴム無しでV,一本物でV。ピストンごりごり。
圧倒的な力の差
爽代が単身で乗り込む。
人質に取ったりはしないさ。希美は降ろして、襤褸切れになった服を羽織らせる。縛られない。
爽代(チェーン)と嘉良(素手)のタイマン。爽代がずたぼろにされる。
爽代はチェーンで滅多打ち。手加減無し。肌が裂ける。悲鳴はあげない。
お姉様を赦してあげて。あたしが身代わりに。
かばい合う悦び
出しゃばるな。これは、おれの問題だ。おれがケジメをつける。
爽代に抱き着き、身を挺してかばう。希美の尻にチェーン。ベルトとは異質の激痛。
爽代が身をひねって望みをかばう。
それじゃあ、一心同体にしてやろう。二人を抱き合わせで縛って、Aに#80両端。
見捨てられた娘
濃木が自動車電話で組事務所へ。
娘は預かっている。殺しはしない。売春島で働かせる。栄盛市から手を引け。決裂。
今度は、おまえが淫売になるんだよ。希美は返してやって。いやです、お姉様とどこまでも。
満身創痍のレズ
それじゃ、おまえが爽代を陥落させてみな。願いを叶えてやる。
チェーンでアヌス連結のまま。爽代は木箱に大の字磔。希美がタチ。
馬鹿野郎。おれなんかと心中しやがって。最後はくんずほぐれつ。
甘い絶望の彼方
こりゃあ、いい。あの島では20年も昔に、SMとレズを組み合わせた本番ショーがあった。
伝説の美央と美冬。5年くらいで消息不明になったとか。あの二代目といくか。
69で縛り合せて木箱に。数時間経過。尿意。互いに……
あたしに遠慮せずに出して。おまえこそ。同時に。
外にトラックが停まる音。運び出される。
変奏
微温湯的大団円
一斉検問。見のがしかけるが、水の垂れた木箱。
警官だけでなく、葛島組の若い衆も。「お嬢……」
DLsite Affiliate キーワードは[スケバン or スケ番, リンチ or リョナ]
Finish Report :くノ半試し
参考記事→
暗号問題(賞品有〼)→
短編ではありますが。一揆加勢に84枚(2万8千文字)を書き上げました。いや、9月1日から10日までですから、日産8枚強。通常ペースですな。
まずはプロット。
くノ半試し
鵆(ちどり)通名:せん
御庭番下請 山賀衆
側室:八重の方
柴里太拓しばさとたひろ (責問指図)
強盛剛直つよもりたけなお(色責め)
任務失敗
天井から下りて、文箱の中の小さな油紙の包み
「折鶴も持って行ってたもれ」爪よりも小さな金箔の折鶴。
油紙の封蝋を有明行灯で溶かして埋め込む。
鎖帷子は無し(かえって音がする)。女褌を緩めて女穴に。
侵入口の壁の穴(修復も公儀の許可)から。
鳴子に引っかかる。侵入時に見落とし?
即座に脱け出して堀に飛び込む。水中に網。絡まって逃げられない。
忍び袴をはだけ褌を緩めて密書を取り出し、折鶴だけは捨てる。
そこで引き上げられて、密書を奪われる。
縄脱け防止で(ついでに褌も)全裸緊縛
麻黄色責
誰に雇われたかは検討がついておる。「草」は誰じゃ。
水責敲問
この密書で正体は分かっておる。解読せよ。七色文(なないろふみ)。
基本は知っている。「いろは」は逆順も含めて完全暗記。しかし、実際には途中で解読できなくなる。
見て驚く。ふつうは一行に25文字か30文字なのに31文字。
行頭でのコード変更に気づく。
「あーっ?!」
詰問されて。「みそひと文字になってるので驚いただけ」誤魔化す。
逆さ吊りで顔だけ水に浸けて峰打ちで敲く。股間痛撃で悲鳴→水を吸い込んで。
それでも続行。気絶してから引き揚げて蘇生。
ユダの揺り籠に後ろ手縛り/両足自由で放置。
台座からの鎖で腰を巻いて、立ち上がれなくする。体重(の一部)は支えられる。
すでに深夜。翌朝まで。
側室灸責
八重が連れて来られる。襦袢で緊縛。
焼鏝仕置
ふたり並べて。
七色文の解き方を言え。内容を言え。
白状せぬと焼鏝。
顔に近付けられて、八重が落ちる。
鵆の脇腹に。
八重は暗号は解けないと。
「原文を強く頭に念じると、自然に浮かんでくる」
実演。密書は寸分違わず。
くノ米問
挿入部分は鉄菱。✕上端は凧糸で乳首。鵆は小さくて難儀。
鵆、なんとか抜け出せないかともがく。縄が緩む。この仮定で悦虐の萌芽。
表裏反転
翌朝。八重が陥落。
「イロハとアカネが……」
鵆、絶叫。火事場の馬鹿力。吊っている縄も切れる。
後ろ手緊縛のまま体当たりで刀を奪う。そのまま握って、八重を刺殺しようと。
阻まれて……
気がつくと手当されている。股間は布を当てて油紙。傷には燻した笹の葉。さすがに物置小屋。
霧、谺、鶫
男は上忍(中忍は無し)。裸で平伏。
講評。折鶴の処置は見事。分かりやすくはしてあったが、七色文を自力で読み解いたも見事。
機略縦横、気力横溢。
八重を刺し殺した後、どうするつもりだった?
自害しようと思った。
くノ二。鶫は方角が違うが、同じく。
鶫は使い勝手が悪い。まさかに、拷問されたさにわざと捕らえられたりはせぬであろうが。
ヒヤリとズキン……
暗号作成の実演とか、ラスト(一度気絶して手当てを受けてから種明かし)とかは、端折りましたが。
拷問シーンのオンパレードで、引き締まった構成になりました――と爺が自慰惨
今回は、某販売サイトの自主規制に業を煮やして、冒頭で悪戯しています。赤文字部分は某販売サイト向けにのみ追加する文言です。
========================================
任務失敗
天井隅の羽目板をずらして部屋の様子を窺うと、布団の中の女主人と目が合ってしまった。
八重の方が布団から小さく手を出して、手招きする。
千鳥が言いつかった務めは、八重の方の文箱から小さな包みを持ち帰るという、それだけで――内通しているとまでは聞かされていなかった。
これも試しのひとつなのかと、千鳥は訝った。
ちなみに、千鳥の本来の名は鵆である。七歳までに基本の鍛錬を終えて、素質ありと認められた者には鳥の名が与えられる。烏、鳩、鷹、鶸、鵯、鷁、鶯などである。この物語には一文字の鳥名は終盤まで他には出て来ないが、素読が困難なので、千鳥と表記する。
七歳の春に名前を与えられて九年。千鳥の技は忍び働きが勤まるまでに達していた。
しかし。
「女の徴を見てより一年、よう頑張った。男三人を相手取って、殺されるも返り討ちも自在となれば、すでに技はくノ一の域に達しておる。されど、修羅場を踏むまでは半人前、くノ半であると肝に命じよ」
江戸の地に幕府が設営されて幾星霜。滅多に修羅場の無い、楽天の下でのみ数年を更なる修行に明け暮れて、当時には無かった概念の満年齢で数えて十八歳を過ぎた。そして――
最初の修羅場として惣領直々に賜ったのが、此度の務めなのだった。
========================================
治安の行き届いた平和な「楽天」の時代です。明治時代までは誰も意識しなかったというか概念すらなかった満年齢とか。
脱線しますが。昔のコミックで、今も電子書籍で読める時代劇で、将軍の息子が毒見役をしていて剣の腕も立つという設定のお話で。抱いてくださいと懇願する少女に年齢を尋ねて
「十三歳になりました。昨日で」
誕生日に言及しているから満年齢ですな。現行法規の性交同意年令に休日(ゾンターク)してるんですかね。
線路復旧。
さてさて、この販売サイトでの審査結果がどうなることやら。
では、数ある拷問シーンから――ついに濠門長恭がヒロインに回復不能な損傷を与えた、画期的なシーンを御紹介。
========================================
焼鏝仕置
八重は戸板から下ろされ、千鳥は胡坐縛りを解かれて。ふたりは背中合わせに立たされて両手を括られ、爪先立ちになるまで吊り上げられた。
下人が石造りの大きな枡に炭を投じて火を点け、鞴で風を送り始めた。そこに柴里が鉄棒を差し込む。じきに炭は白熱して、径一寸ほどの鉄棒も真っ赤に灼けてくる。
濡れ雑巾で鉄棒の根元を握って、柴里がふたりを脅しにかかる。
「これまでの責めとは違うぞ。焼かれた肌は二度と元に戻らぬ」
どうせ、じきに殺されるんだ。火傷の痕なんか、知ったことじゃない。そう言い返したい気持ちが頭をもたげたが――八重を怖がらせるだろうと、千鳥は思い直した。どうすれば、八重に秘密を守らせることが出来るか、そんなことまで考えなければならない。
「これは言葉が足りなんだな。肌だけではないぞ。強く押し付ければ肌は焼けただれて内臓にまで及ぶ。いっそ、女穴に突っ込んでやろうか。太く硬く煮え滾っておるから、さぞ心地好かろうて」
言葉だけでなく。柴里は棒先を下げて、千鳥の股間に近づける。
肌がチリチリと引き攣る。棒の一端が和毛に触れて、ぱっと燃え上がった。
「く……」
八重に比べれば無いに等しい叢は、たちまちに燃え尽きてしまった。
柴里は矛先を八重に転じた。
「八重殿には、内臓を焼かれるよりも顔を焼かれるほうがつらいであろうな」
三寸ほどまで棒先を近づけられて、八重が顔を逸らした。
「その美貌が台無しとなれば、殿の御寵愛も移ろおうというもの。身共にとっては好都合。心置きなく強門に掛けられる。この女忍びと同じようにな」
柴里がさらに一寸ほども鉄棒を近づける。
「ま、待ってたもれ。言う、言うから……」
「言うな。殺されるぞ」
「おまえは黙っておれ」
脇腹をすうっと鉄棒で撫でられて……
「ひっ……」
微かに悲鳴を漏らす千鳥。それが、八重にいっそうの恐怖を与えたのだろう。
「国主と国家老に不穏有り。文には、こう書いてある」
柴里は七色文を取り出して眺めて。
「他には、なんと書いてある」
また鉄棒を八重の顔に近づけた。今にも押し付けんばかりに、頬すれすれ。
「喋るな。命を懸けて秘密を守れ。うわあああああああ」」
大声で叫べば八重の言葉が聞き取れないだろう。もはやそれくらいしか、千鳥は思いつかない。しかし、剛直に掌で口をふさがれた。
「と……遠町筒を幾つか作らせ、雑賀残党を秘かに養う。国主閨事に鷹狩と漏らす。時期は霜月と――これですべてじゃ。後は合言葉の類じゃ」
その合言葉まで吐かせて七色文の文字数と照らし合わせ、柴里は満足気に頷いた。
「八重殿には白状していただいたから、勘弁してやろう。じゃが、おまえはついに口を割らなんだ。しかも、邪魔をしくさりおって。褒美に馳走してやろう」
柴里は千鳥の前に立つと――まだ鈍色に焼けている鉄棒を脇腹に押し付けた。
じゅううっ……
「ぎびい゙っ……」
薄い煙が立ち昇って、肉の焼ける悪臭があたりに広がる。
「手当はしておいてやれ。血も涙も無い男と八重殿に思われとうはないからの」
剛直が醤油を含ませた雑巾で火傷を冷やす。そして、掌いっぱいに持った塩を擦り込む。
「ひいいい……」
武術の稽古で打ち叩かれるのとはまったく異なる激痛に、刃の下の心も砕かれてしまう。
「さて……」
柴里が、また八重の前に立った。
「隠し文にそのような事が書いてあったとなれば、まさに間一髪ではあった。殿にも睦言に気を配るよう諫言せねばな。されど、八重殿が白状してくださった文言が正しいか、いまだ確証が無い」
七色文の絡繰を明かせと、八重に迫る。
「知らぬ。天地神明に誓って、妾は七色文の作り方を知らぬのじゃ」
「これは異なことを。他にも仲間が居ると申すか」
「そうではない。七色文は、確かに妾が作った。じゃが、作り方を知らぬのじゃ」
まるで道理の通らない言い分ではあったが。
「七色文にしたい文言を一字一句間違えぬまで暗誦して、そのことだけを念じながら眠りに就くと、七色文を夢に見るのじゃ。起きるとすぐ、それを書き写す」
「通辞のようなものか。きゃつらは、ひとつずつの言葉を翻訳せずとも、ぽるとがるの言葉を聞いたらすぐに意味が頭に浮かぶというが……」
掛算の九九だってそうだと、千鳥は千鳥で八重の言い分を考えてみる。
「じゃが、そうなるまでにはずいぶんと修練せねばならぬというぞ。そのときには、一文字ずつを考えておるのであろう」
柴里は、すでに八重の言葉を信じかけているらしい。鉄棒はだらんと下げたまま、脅しに使おうとはしていない。
「修練などしておらぬ。御城に上がる前じゃ。忍びの者が五日ばかり夜な夜な通うて来て、妾を深い眠りに落としたのじゃ。朝まで昏々と眠って、それでも妙に頭が重たかった。それからじゃ、七色文を夢に見るようになったのは」
「ふうむ。あまりに荒唐無稽で、それ故に嘘とも思えぬが」
山賀の忍術に夢現貼合の秘法がある。話に聞くだけで、千鳥には到底使えぬが。
端が広がった筒先を寝ている者の耳元に当てて、その者にさせたいことを何夜にもわたって繰り返し吹き込む。術が成功すると、当人も訳が分からぬまま、突拍子もないことをしでかすという。明智光秀の謀反も、実は山賀衆の仕業と、古老に聞いた覚えがあった。
「斯くなる上は、やはり女忍びに尋ねるしかなかろうな」
柴里の合図で、ふたりの縄は解かれた。
「じゃが、怪かしの術は極度の苦痛を与えれば解けるときもあると聞く。ふたり並べて強問に掛けて、先に白状した者は生かしてやるとしよう」
========================================
さて。校訂して、BFを丁稚揚げて――ですが。参考記事の画像をモデルにはしないほうがよろしいでしょう。元ネタが一発で分かりますもの。ということで、「水責敲問」を使いますか。片足で逆さ吊りにして肩から頭まで水没させて、刃引きをした脇差であちこち敲くという拷問です。悲鳴をあげれば、たちどころに息が苦しくなるという、合わせ技です。
もちろん、吊られていないほうの足が開きでもしたら、於女子を真向から竹割にします。

さっさと仕上げて、さっさと販売登録して。箸休めに『宿題を忘れたらお尻たたき』の第9章「スカートまくり」をちょこっとやっつけて。さて、それから……PIXIVでリクエストとか来なければ、昭和ノスタルジーの『スケ番リンチ志願~悦虐へのエチュード』を大長編に仕立てましょう。これまでは『スケバン有情』と称していたやつです。
DLsite Affiliate キーワードは「逆さ吊り 水責」
暗号問題(賞品有〼)→
短編ではありますが。一揆加勢に84枚(2万8千文字)を書き上げました。いや、9月1日から10日までですから、日産8枚強。通常ペースですな。
まずはプロット。
くノ半試し
鵆(ちどり)通名:せん
御庭番下請 山賀衆
側室:八重の方
柴里太拓しばさとたひろ (責問指図)
強盛剛直つよもりたけなお(色責め)
任務失敗
天井から下りて、文箱の中の小さな油紙の包み
「折鶴も持って行ってたもれ」爪よりも小さな金箔の折鶴。
油紙の封蝋を有明行灯で溶かして埋め込む。
鎖帷子は無し(かえって音がする)。女褌を緩めて女穴に。
侵入口の壁の穴(修復も公儀の許可)から。
鳴子に引っかかる。侵入時に見落とし?
即座に脱け出して堀に飛び込む。水中に網。絡まって逃げられない。
忍び袴をはだけ褌を緩めて密書を取り出し、折鶴だけは捨てる。
そこで引き上げられて、密書を奪われる。
縄脱け防止で(ついでに褌も)全裸緊縛
麻黄色責
誰に雇われたかは検討がついておる。「草」は誰じゃ。
水責敲問
この密書で正体は分かっておる。解読せよ。七色文(なないろふみ)。
基本は知っている。「いろは」は逆順も含めて完全暗記。しかし、実際には途中で解読できなくなる。
見て驚く。ふつうは一行に25文字か30文字なのに31文字。
行頭でのコード変更に気づく。
「あーっ?!」
詰問されて。「みそひと文字になってるので驚いただけ」誤魔化す。
逆さ吊りで顔だけ水に浸けて峰打ちで敲く。股間痛撃で悲鳴→水を吸い込んで。
それでも続行。気絶してから引き揚げて蘇生。
ユダの揺り籠に後ろ手縛り/両足自由で放置。
台座からの鎖で腰を巻いて、立ち上がれなくする。体重(の一部)は支えられる。
すでに深夜。翌朝まで。
側室灸責
八重が連れて来られる。襦袢で緊縛。
焼鏝仕置
ふたり並べて。
七色文の解き方を言え。内容を言え。
白状せぬと焼鏝。
顔に近付けられて、八重が落ちる。
鵆の脇腹に。
八重は暗号は解けないと。
「原文を強く頭に念じると、自然に浮かんでくる」
実演。密書は寸分違わず。
くノ米問
挿入部分は鉄菱。✕上端は凧糸で乳首。鵆は小さくて難儀。
鵆、なんとか抜け出せないかともがく。縄が緩む。この仮定で悦虐の萌芽。
表裏反転
翌朝。八重が陥落。
「イロハとアカネが……」
鵆、絶叫。火事場の馬鹿力。吊っている縄も切れる。
後ろ手緊縛のまま体当たりで刀を奪う。そのまま握って、八重を刺殺しようと。
阻まれて……
気がつくと手当されている。股間は布を当てて油紙。傷には燻した笹の葉。さすがに物置小屋。
霧、谺、鶫
男は上忍(中忍は無し)。裸で平伏。
講評。折鶴の処置は見事。分かりやすくはしてあったが、七色文を自力で読み解いたも見事。
機略縦横、気力横溢。
八重を刺し殺した後、どうするつもりだった?
自害しようと思った。
くノ二。鶫は方角が違うが、同じく。
鶫は使い勝手が悪い。まさかに、拷問されたさにわざと捕らえられたりはせぬであろうが。
ヒヤリとズキン……
暗号作成の実演とか、ラスト(一度気絶して手当てを受けてから種明かし)とかは、端折りましたが。
拷問シーンのオンパレードで、引き締まった構成になりました――と爺が自慰惨
今回は、某販売サイトの自主規制に業を煮やして、冒頭で悪戯しています。赤文字部分は某販売サイト向けにのみ追加する文言です。
========================================
任務失敗
天井隅の羽目板をずらして部屋の様子を窺うと、布団の中の女主人と目が合ってしまった。
八重の方が布団から小さく手を出して、手招きする。
千鳥が言いつかった務めは、八重の方の文箱から小さな包みを持ち帰るという、それだけで――内通しているとまでは聞かされていなかった。
これも試しのひとつなのかと、千鳥は訝った。
ちなみに、千鳥の本来の名は鵆である。七歳までに基本の鍛錬を終えて、素質ありと認められた者には鳥の名が与えられる。烏、鳩、鷹、鶸、鵯、鷁、鶯などである。この物語には一文字の鳥名は終盤まで他には出て来ないが、素読が困難なので、千鳥と表記する。
七歳の春に名前を与えられて九年。千鳥の技は忍び働きが勤まるまでに達していた。
しかし。
「女の徴を見てより一年、よう頑張った。男三人を相手取って、殺されるも返り討ちも自在となれば、すでに技はくノ一の域に達しておる。されど、修羅場を踏むまでは半人前、くノ半であると肝に命じよ」
江戸の地に幕府が設営されて幾星霜。滅多に修羅場の無い、楽天の下でのみ数年を更なる修行に明け暮れて、当時には無かった概念の満年齢で数えて十八歳を過ぎた。そして――
最初の修羅場として惣領直々に賜ったのが、此度の務めなのだった。
========================================
治安の行き届いた平和な「楽天」の時代です。明治時代までは誰も意識しなかったというか概念すらなかった満年齢とか。
脱線しますが。昔のコミックで、今も電子書籍で読める時代劇で、将軍の息子が毒見役をしていて剣の腕も立つという設定のお話で。抱いてくださいと懇願する少女に年齢を尋ねて
「十三歳になりました。昨日で」
誕生日に言及しているから満年齢ですな。現行法規の性交同意年令に休日(ゾンターク)してるんですかね。
線路復旧。
さてさて、この販売サイトでの審査結果がどうなることやら。
では、数ある拷問シーンから――ついに濠門長恭がヒロインに回復不能な損傷を与えた、画期的なシーンを御紹介。
========================================
焼鏝仕置
八重は戸板から下ろされ、千鳥は胡坐縛りを解かれて。ふたりは背中合わせに立たされて両手を括られ、爪先立ちになるまで吊り上げられた。
下人が石造りの大きな枡に炭を投じて火を点け、鞴で風を送り始めた。そこに柴里が鉄棒を差し込む。じきに炭は白熱して、径一寸ほどの鉄棒も真っ赤に灼けてくる。
濡れ雑巾で鉄棒の根元を握って、柴里がふたりを脅しにかかる。
「これまでの責めとは違うぞ。焼かれた肌は二度と元に戻らぬ」
どうせ、じきに殺されるんだ。火傷の痕なんか、知ったことじゃない。そう言い返したい気持ちが頭をもたげたが――八重を怖がらせるだろうと、千鳥は思い直した。どうすれば、八重に秘密を守らせることが出来るか、そんなことまで考えなければならない。
「これは言葉が足りなんだな。肌だけではないぞ。強く押し付ければ肌は焼けただれて内臓にまで及ぶ。いっそ、女穴に突っ込んでやろうか。太く硬く煮え滾っておるから、さぞ心地好かろうて」
言葉だけでなく。柴里は棒先を下げて、千鳥の股間に近づける。
肌がチリチリと引き攣る。棒の一端が和毛に触れて、ぱっと燃え上がった。
「く……」
八重に比べれば無いに等しい叢は、たちまちに燃え尽きてしまった。
柴里は矛先を八重に転じた。
「八重殿には、内臓を焼かれるよりも顔を焼かれるほうがつらいであろうな」
三寸ほどまで棒先を近づけられて、八重が顔を逸らした。
「その美貌が台無しとなれば、殿の御寵愛も移ろおうというもの。身共にとっては好都合。心置きなく強門に掛けられる。この女忍びと同じようにな」
柴里がさらに一寸ほども鉄棒を近づける。
「ま、待ってたもれ。言う、言うから……」
「言うな。殺されるぞ」
「おまえは黙っておれ」
脇腹をすうっと鉄棒で撫でられて……
「ひっ……」
微かに悲鳴を漏らす千鳥。それが、八重にいっそうの恐怖を与えたのだろう。
「国主と国家老に不穏有り。文には、こう書いてある」
柴里は七色文を取り出して眺めて。
「他には、なんと書いてある」
また鉄棒を八重の顔に近づけた。今にも押し付けんばかりに、頬すれすれ。
「喋るな。命を懸けて秘密を守れ。うわあああああああ」」
大声で叫べば八重の言葉が聞き取れないだろう。もはやそれくらいしか、千鳥は思いつかない。しかし、剛直に掌で口をふさがれた。
「と……遠町筒を幾つか作らせ、雑賀残党を秘かに養う。国主閨事に鷹狩と漏らす。時期は霜月と――これですべてじゃ。後は合言葉の類じゃ」
その合言葉まで吐かせて七色文の文字数と照らし合わせ、柴里は満足気に頷いた。
「八重殿には白状していただいたから、勘弁してやろう。じゃが、おまえはついに口を割らなんだ。しかも、邪魔をしくさりおって。褒美に馳走してやろう」
柴里は千鳥の前に立つと――まだ鈍色に焼けている鉄棒を脇腹に押し付けた。
じゅううっ……
「ぎびい゙っ……」
薄い煙が立ち昇って、肉の焼ける悪臭があたりに広がる。
「手当はしておいてやれ。血も涙も無い男と八重殿に思われとうはないからの」
剛直が醤油を含ませた雑巾で火傷を冷やす。そして、掌いっぱいに持った塩を擦り込む。
「ひいいい……」
武術の稽古で打ち叩かれるのとはまったく異なる激痛に、刃の下の心も砕かれてしまう。
「さて……」
柴里が、また八重の前に立った。
「隠し文にそのような事が書いてあったとなれば、まさに間一髪ではあった。殿にも睦言に気を配るよう諫言せねばな。されど、八重殿が白状してくださった文言が正しいか、いまだ確証が無い」
七色文の絡繰を明かせと、八重に迫る。
「知らぬ。天地神明に誓って、妾は七色文の作り方を知らぬのじゃ」
「これは異なことを。他にも仲間が居ると申すか」
「そうではない。七色文は、確かに妾が作った。じゃが、作り方を知らぬのじゃ」
まるで道理の通らない言い分ではあったが。
「七色文にしたい文言を一字一句間違えぬまで暗誦して、そのことだけを念じながら眠りに就くと、七色文を夢に見るのじゃ。起きるとすぐ、それを書き写す」
「通辞のようなものか。きゃつらは、ひとつずつの言葉を翻訳せずとも、ぽるとがるの言葉を聞いたらすぐに意味が頭に浮かぶというが……」
掛算の九九だってそうだと、千鳥は千鳥で八重の言い分を考えてみる。
「じゃが、そうなるまでにはずいぶんと修練せねばならぬというぞ。そのときには、一文字ずつを考えておるのであろう」
柴里は、すでに八重の言葉を信じかけているらしい。鉄棒はだらんと下げたまま、脅しに使おうとはしていない。
「修練などしておらぬ。御城に上がる前じゃ。忍びの者が五日ばかり夜な夜な通うて来て、妾を深い眠りに落としたのじゃ。朝まで昏々と眠って、それでも妙に頭が重たかった。それからじゃ、七色文を夢に見るようになったのは」
「ふうむ。あまりに荒唐無稽で、それ故に嘘とも思えぬが」
山賀の忍術に夢現貼合の秘法がある。話に聞くだけで、千鳥には到底使えぬが。
端が広がった筒先を寝ている者の耳元に当てて、その者にさせたいことを何夜にもわたって繰り返し吹き込む。術が成功すると、当人も訳が分からぬまま、突拍子もないことをしでかすという。明智光秀の謀反も、実は山賀衆の仕業と、古老に聞いた覚えがあった。
「斯くなる上は、やはり女忍びに尋ねるしかなかろうな」
柴里の合図で、ふたりの縄は解かれた。
「じゃが、怪かしの術は極度の苦痛を与えれば解けるときもあると聞く。ふたり並べて強問に掛けて、先に白状した者は生かしてやるとしよう」
========================================
さて。校訂して、BFを丁稚揚げて――ですが。参考記事の画像をモデルにはしないほうがよろしいでしょう。元ネタが一発で分かりますもの。ということで、「水責敲問」を使いますか。片足で逆さ吊りにして肩から頭まで水没させて、刃引きをした脇差であちこち敲くという拷問です。悲鳴をあげれば、たちどころに息が苦しくなるという、合わせ技です。
もちろん、吊られていないほうの足が開きでもしたら、於女子を真向から竹割にします。

さっさと仕上げて、さっさと販売登録して。箸休めに『宿題を忘れたらお尻たたき』の第9章「スカートまくり」をちょこっとやっつけて。さて、それから……PIXIVでリクエストとか来なければ、昭和ノスタルジーの『スケ番リンチ志願~悦虐へのエチュード』を大長編に仕立てましょう。これまでは『スケバン有情』と称していたやつです。
DLsite Affiliate キーワードは「逆さ吊り 水責」
Crash Report:昭和集団羞辱史:物売編(夜)
「秘写真」は終わって「花売娘」を途中まで書いていましたが、ニッチもサッチモトランペット。中断ではなく、潔くabortしました。
思うに、接着剤の不具合です。本編のストーリイとSMシーンとが、うまくくっつかない。ストーリイに無理矢理SMシーンを押し込んでるのが、小説としての完成度(そんなの、あったっけ?)を損ねています。無理矢理押し込むのは小説の中だけにしましょう。現実にやったら犯罪です。何のこっちゃ。
ちなみに、無理矢理くっつけると、空中分解します。第二次大戦中の試作木製戦闘機のことです。どこの国のなんという機体だったかは、思い出せません。ヤフるのも面倒い。
というわけで。
放り投げた当日には、残念大盤振舞で一口サイズ4ケで850円のビフカツ(町の肉屋さんの手作り)を買い込んで、最近には珍しく焼酎25度×220ml=アルコール55mlで中酔(大酔にはいたらない)して。翌日からはZSSS『くノ半試し』にとりかかりましたとさ。
さて。『くノ半試し』には、「公開鍵暗号」ともいうべき複雑な暗号が登場しますさせます。こやつは、PIXIVリクエスト「ロリくのいち」で発明した暗号を複雑化したものです。解ける者なら解いてみやがれです。
『くノ半試し』本文中では、同じ暗号でも、もうすこし解読しやすくして、さらにはタネ明かしもしますが。
発売前に解けた読者がいらっしゃれば、メールなりコメントなりで御連絡下さい。
正解者先着3名様に、ご希望の濠門長恭作品DLsite準拠版(pdf)5本をプレゼントいたします。
ので、連絡用のメルアドも併記してください。

まあ、ここまで大見得を切ったからには、今度こそ脱稿させなきゃね。
思うに、接着剤の不具合です。本編のストーリイとSMシーンとが、うまくくっつかない。ストーリイに無理矢理SMシーンを押し込んでるのが、小説としての完成度(そんなの、あったっけ?)を損ねています。無理矢理押し込むのは小説の中だけにしましょう。現実にやったら犯罪です。何のこっちゃ。
ちなみに、無理矢理くっつけると、空中分解します。第二次大戦中の試作木製戦闘機のことです。どこの国のなんという機体だったかは、思い出せません。ヤフるのも面倒い。
というわけで。
放り投げた当日には、残念大盤振舞で一口サイズ4ケで850円のビフカツ(町の肉屋さんの手作り)を買い込んで、最近には珍しく焼酎25度×220ml=アルコール55mlで中酔(大酔にはいたらない)して。翌日からはZSSS『くノ半試し』にとりかかりましたとさ。
さて。『くノ半試し』には、「公開鍵暗号」ともいうべき複雑な暗号が登場しますさせます。こやつは、PIXIVリクエスト「ロリくのいち」で発明した暗号を複雑化したものです。解ける者なら解いてみやがれです。
『くノ半試し』本文中では、同じ暗号でも、もうすこし解読しやすくして、さらにはタネ明かしもしますが。
発売前に解けた読者がいらっしゃれば、メールなりコメントなりで御連絡下さい。
正解者先着3名様に、ご希望の濠門長恭作品DLsite準拠版(pdf)5本をプレゼントいたします。
ので、連絡用のメルアドも併記してください。

まあ、ここまで大見得を切ったからには、今度こそ脱稿させなきゃね。
Progress Report Final:An Amateur Assasine Arrested And Assaulted
脱稿しました。3万3千文字/82枚。まさしく短編です。
今回はエロもSMも無い最終章(ネタバラシ)を御紹介。
========================================
望遠撮影
郊外の、じゅうぶんに田舎(country)と呼べる地区に伸びる二車線の幹線道路(highway)。禿げっちょろけた草原とまばらな灌木。そんな殺風景の中、ハイウェイの傍らに、ぽつんと投げ捨てられている全裸の女。ぴくとも動かない。
女の肌には傷痕や打撲痕がちりばめられている。
やがて――黒い小さな点が水平線の彼方に現われ、近づくにつれて大型トラックだと分かってくる。トラックの運転手は、横たわる裸体に遠くから気づいていたのだろう。緩やかに減速して路肩に車を寄せ、裸体の横で停車した。車から降りた運転手は、爪先で裸体を蹴り、首を傾げながら跪いて、唾で湿した指を裸体の鼻先に近づける。それから胸に耳を押し当てて――小さく頷いた。
あらためてあたりを見回してから裸体を抱き上げ、助手席に乗せた。そして、何事もなかったかのように、トラックは走り去った。
「カーット!」
ハイウェイを見下ろす丘の上から声が響いた。ジーンズのジャケットを着て、サングラスも認識票も身に着けていないが、アンを拷問していた四人のリーダーだった。
「An Amateur Assasine Arrested And Assaulted クランクアップだ」
三脚を据えて撮影していたブルーが、カメラを止めて振り返る。
「わざわざこんなところまで出張(でば)って来てまで撮る必要があったんですかね?」
リーダーの後ろに控えていたブルーが疑問を口にした。
「残虐(curiel)ポルノ愛好者の中にも殺人(snuff)は忌避する者がいる。ことに、俺たちの客(カモ)には多い。偽善ってやつだ」
「ははあ……」
「とはいえ、安物ポルノみたいに女優が笑顔でインタビューに答えるなんてのはシラけてしまう。感動的なラストシーンが必要なのさ」
派手なドンパチに憧れて組織(シンジケート)に就職(?)したのにポルノ制作部門に配属されたばかりのイエローは、まだ釈然としない顔をしている。
「それに、このシーンは次作のオープニングにもつながるしな」
「あの娘を使うんですか?」
「当然だ。准看護婦としての年棒の四半期分の一万ドルと、今回のギャラの一万ドルと家族への三千ドル。まだまだ、こき使ってやるさ」
「次は数か月の密着ルポルタージュになる」
ブルーも話に加わってきた。
「そうですね?」
リーダーが頷く。
「ウェアラブルカメラは、ひと工夫をしないとな。サディストもレズビアンもインポテンツも――客がみんなサングラスをしていれば、さすがにあの娘も気づくだろう」
雑談をしながら三人は、岩陰に隠してある車へ向かって歩く。
「密着ルポルタージュですか。どんなテーマなんですか?」
「今回のフィルムも含めてのシリーズ物だ。タイトルは、もう決めてある」
リーダーが悪戯っぽく自慢した。
「今作がAだったからな。次は当然……」
Bitty Bitch Bought By Brutal Brothel
- Not to be continued -
========================================

さあて、さっさと校訂してBFを丁稚揚げて、ノクターンノベルスの連載もあまり間隔を空けるとよろしくない鴨なので、ちょこっと書いて(連載形式で1話は30枚くらいです)、さて。『昭和集団羞辱史:物売編(夜)』の第2話に着手しますか。しかし、第1話も端折り過ぎてるしオチ/大団円が唐突過ぎるから、ところどころにラブラブエピソード(ん?)を挿入するとか、手を入れないと阿寒かしら??
今回はエロもSMも無い最終章(ネタバラシ)を御紹介。
========================================
望遠撮影
郊外の、じゅうぶんに田舎(country)と呼べる地区に伸びる二車線の幹線道路(highway)。禿げっちょろけた草原とまばらな灌木。そんな殺風景の中、ハイウェイの傍らに、ぽつんと投げ捨てられている全裸の女。ぴくとも動かない。
女の肌には傷痕や打撲痕がちりばめられている。
やがて――黒い小さな点が水平線の彼方に現われ、近づくにつれて大型トラックだと分かってくる。トラックの運転手は、横たわる裸体に遠くから気づいていたのだろう。緩やかに減速して路肩に車を寄せ、裸体の横で停車した。車から降りた運転手は、爪先で裸体を蹴り、首を傾げながら跪いて、唾で湿した指を裸体の鼻先に近づける。それから胸に耳を押し当てて――小さく頷いた。
あらためてあたりを見回してから裸体を抱き上げ、助手席に乗せた。そして、何事もなかったかのように、トラックは走り去った。
「カーット!」
ハイウェイを見下ろす丘の上から声が響いた。ジーンズのジャケットを着て、サングラスも認識票も身に着けていないが、アンを拷問していた四人のリーダーだった。
「An Amateur Assasine Arrested And Assaulted クランクアップだ」
三脚を据えて撮影していたブルーが、カメラを止めて振り返る。
「わざわざこんなところまで出張(でば)って来てまで撮る必要があったんですかね?」
リーダーの後ろに控えていたブルーが疑問を口にした。
「残虐(curiel)ポルノ愛好者の中にも殺人(snuff)は忌避する者がいる。ことに、俺たちの客(カモ)には多い。偽善ってやつだ」
「ははあ……」
「とはいえ、安物ポルノみたいに女優が笑顔でインタビューに答えるなんてのはシラけてしまう。感動的なラストシーンが必要なのさ」
派手なドンパチに憧れて組織(シンジケート)に就職(?)したのにポルノ制作部門に配属されたばかりのイエローは、まだ釈然としない顔をしている。
「それに、このシーンは次作のオープニングにもつながるしな」
「あの娘を使うんですか?」
「当然だ。准看護婦としての年棒の四半期分の一万ドルと、今回のギャラの一万ドルと家族への三千ドル。まだまだ、こき使ってやるさ」
「次は数か月の密着ルポルタージュになる」
ブルーも話に加わってきた。
「そうですね?」
リーダーが頷く。
「ウェアラブルカメラは、ひと工夫をしないとな。サディストもレズビアンもインポテンツも――客がみんなサングラスをしていれば、さすがにあの娘も気づくだろう」
雑談をしながら三人は、岩陰に隠してある車へ向かって歩く。
「密着ルポルタージュですか。どんなテーマなんですか?」
「今回のフィルムも含めてのシリーズ物だ。タイトルは、もう決めてある」
リーダーが悪戯っぽく自慢した。
「今作がAだったからな。次は当然……」
Bitty Bitch Bought By Brutal Brothel
- Not to be continued -
========================================

さあて、さっさと校訂してBFを丁稚揚げて、ノクターンノベルスの連載もあまり間隔を空けるとよろしくない鴨なので、ちょこっと書いて(連載形式で1話は30枚くらいです)、さて。『昭和集団羞辱史:物売編(夜)』の第2話に着手しますか。しかし、第1話も端折り過ぎてるしオチ/大団円が唐突過ぎるから、ところどころにラブラブエピソード(ん?)を挿入するとか、手を入れないと阿寒かしら??
Progress Report 2:An Amateur Assasine Arrested And Assaulted
結局。INTRUDEL とか VIGILANRE のお遊びはやめて、単純にしました。表紙絵では、多分やらかしますが。
しかし。責めシーンだけで書くと、けっこう短くなります。ていうか、やはり Short Story を意識してるのかな。
ともあれ。最初の2章を一挙公開。例によって校訂前です。
========================================
連続凌辱
壁も床も天井も真っ白な部屋。照明器具は無く、壁面自体が発光している。
部屋の中央には、手術台を思わせる可動部を備えたベッドが設置されている。それが手術台で有り得ないのは、胴が乗る部分だけは幅がダブルベッドほどもあることと、四肢を拘束するための革バンドが至るところに取り付けられていることで明白だった。
部屋の調度は、それだけではない。X字形の柱、人体を水平にも垂直にも水没させられるだけの大きさがある全面アクリル板の水槽、さらには三角木馬や絞首台もある。天井には縦横に走行する小型のホイストクレーン。壁の一面には鞭や手錠やロープ、普通に大きいサイズのディルドから腕よりも太い物までが掛けられている。片隅の事務机には、電源ボックスと幾つもの電極。
そして監視カメラが十台以上も、これはひっそりとレンズだけを覗かせている。
そんなおどろおどろしい部屋に、今しも新しい生贄が連れ込まれてきたところだった。
膝上4インチのおとなしい白衣のワンピース、巻いた金髪の上にちょこんと載っているナースキャップ。彼女が真性の看護婦に見えないしとしたら、着衣の上からも分かる肉感派女優顔負けの極上ボディと、口をダクトテープ(ポリエチレンコーティングされた銀色ないし灰色のガムテープ:強靭)でふさがれていても、それが被虐美でしかない美貌のせいだろう。
後ろ手錠を掛けられて、男二人に両腋を掴まれ部屋に引きずり込まれた女は、そのままベッドへ追い上げられた。女――いや、娘といったほうが当たっているだろう。恐怖に歪んでいる美貌には、それでもなお、未性熟のあどけなさが漂っている。
娘はベッドの上で後ろ手錠を外され、後から部屋に入ってきた二人を加えて、四人がかりで仰向けに押さえ込まれた。上下に引き伸ばされた娘の手足を、革バンドがひとつずつ固縛していく。娘は、まったく抵抗しない。悲鳴すらあげない。
四人の男たちも無言。ただてきぱきと娘を磔けていく。そして、大ぶりのナイフの刃を上向きにして、切っ先をナース服の胸元に差し込むと。
ピイイイッ……真っ二つに裁ち裂いた。
「んんんーっ!」
初めて娘が反応を示した。
男はかまわず、ブラジャーとショーツもナイフで布切れに変えていった。それから、娘の口を封じているダクトテープを引き剥がした。
娘は、しかし引き攣った表情で男を見上げるだけで、言葉を発さない。
男はおもむろに右手を振り上げると。
バシン! バシン!
手加減のない往復ビンタを張った。
「きゃああっ……!」
凍りついていた娘の顔に表情が動いた。それは恐怖だったが――茫然自失から正気を取り戻した証拠ではあった。
ウイィィィ……微かなモーター音とともに、ベッドが動いた。脚を拘束している部分が大きくV字形に開き、さらに膝の部分でΛの形状に屈曲する。
そして、男の一人がズボンを脱いで、すでに猛り勃っているペニスを露出すれば、その意図は明白だった。
「…………」
レイブされそうになっている女性であれば当然の、拒否の訴えを娘は叫ばない。もちろん、受容しているのではない。両手を握り締め歯を食い縛って、目前に迫った暴辱に抗している。
「お願い……殺さないで」
いよいよペニスがヴァギナを貫こうとしたとき、娘の口から命乞いの言葉が漏れた。犯されるということは、すぐには殺されないと理解しての言葉だったかもしれない。
男が侮りの笑いをこぼした。
「少なくとも四回は殺してやるぜ」
「余計なことは言うな」
四人とも褐色の肌で筋骨逞しい。髪も一様にミリタリーカットで、年齢も三十前後。迷彩模様のズボンとカーキ色のタンクトップ。一人だけフレームがごついサングラスを掛けている男が、短くたしなめた。
「アイ、サー」
軍体調の、しかしおどけたイントネーションの返事と共に、娘におおいかぶさっている男は、腰をぐいと進めた。
「くうっ……」
娘はもちろん処女ではなかった。しかし、恐怖で干上がっているヴァギナへの挿入は、みずから望んで抱かれたロストバージンのときよりも、むしろ苦痛が著しかった。
男としても、乾いた粘膜同士の擦過に快楽は生まれないだろう。しかし、不快をこらえてピストン運動を続けるうちに、娘の粘膜は強制的に分泌させられる愛(など無い)液で潤ってくる。男の腰の動きがリズミカルになって。
ぱんぱんぱんぱん……
股間を打ち付ける音が静寂の部屋に響き始める。
娘は突き上げられるたびに、豊満な乳房を上下に揺すぶられる。
サングラスの男が腰をかがめて、いろんな角度から結合部を観察している。娘の(肉体的な)反応を見定めようとしているのか。しかし、実行者に指示を与えたりはしなかった。
そして。三者ともに無言のまま――実行者が動きを止めて引き下がる。怒張を失ったペニスの先端からは白い糸を引いている。
ウイィィィ……腕の部分が左右に開いて、脚は水平に伸ばされる。脚の革バンドが一時的に解かれて足が引き上げられ、手首とひと括りにされた。娘の身体は、浮き上がった尻を頂点にしたV字形。
二人目の男がズボンを脱いでペニスを露出する。体格も顔つきも最初の男と似通っているが、明白な違いが二点だけあった。最初の男は首にぴったりの鎖で黄色い認識票(ドッグタグ)を鎖骨の間にぶら下げていたが、この男の認識票は青色だった。
そういえば、サングラスの認識票は白、最後の一人は赤だった。これが、四人を識別する最も確実な目印になっている。
それはともかく。最初にリンダを犯した黄色よりも、この青色のほうが、ペニスが明白にひとまわり大きい。ポルノビデオの主演男優になれる。男はそれを、今しがた強貫された穴のすぐ上で、まだ固く閉じている肉蕾に押し付けた。
「……アヌスは赦してください」
四回は殺すという意味を理解して、本来の意味で殺されることはなさそうだと安堵したのだろう。娘はようやく、犯されている女に相応しい言葉を口にした。
しかし、男は変わらずに無言。犯されてまだ開いている穴に指を突っ込んで分泌物を掬い取り、それを菫色の蕾になすりつけた。そして、無慈悲にペニスを押し込んだ。
「きひいいっ……痛い! 赦して……」
娘の哀願を無視して、男はいきなり荒腰を使い始めた。
「痛い……あうっ……いやああ!」
一分ほどで、二人目の男も射精に至った。しかし、娘はまだ二回しか殺されていない。
娘はすべての革バンドを解かれて、ベッドから下ろされた。両手首を前で縛り合わされて、天井のホイストクレーンから垂れるフックにつながれた。
チャリリリリ……ホイストが巻き上げられて、娘は両手を頭上に吊られ、さらに足が床から離れた。
サングラスの男が、部屋の隅の水栓から引っ張ったホースの先を娘に向けた。
ぶしゃああああ……絞られたノズルから噴出する水流が、娘の下半身に叩きつけられる。
「ひいいっ……」
水流の当たった肌が凹むほどの水圧。正面からざっと水を浴びせておいて、男は後ろへまわった。ノズルを下げ斜め上向きにして、尻の谷間に水を浴びせる。アナルセックスで掻き出された汚れを洗っている。そのままノズルを尻に近づけ、ついには先端をアヌスに突っ込んだ。
「ぐぎいいい……」
見る見るうちに、娘の腹が膨らんでいく。事前の処置ならともかく、事後のこれは娘に苦痛を与えるだけの行為だった。
しかし、娘を執拗に責める意図はないらしく、臨月の妊婦には程遠いところでノズルを抜去した。
ぶしゃああああ……奔流が床を叩き、幾つかの小さな塊も転がる。床に落ちた水は部屋の隅へ自然に流れて、壁と床の間のわずかな隙間へ吸い込まれていった。
サングラスもズボンを下ろして、勃起したペニスを露出する。最後の一人も彼に倣う。
四番手の赤色が娘の背後から足首をつかんで引き上げ、今度は垂直のV字形に娘を曲げた。両手を真っ直ぐ上に伸ばしているから、下向きの矢印というべきか。
サングラスが娘の正面に、キスができそうなくらい身体を近づけ、右手でペニスを垂直に保ち、左手でヴァギナをくつろげる。
チャリ……チャリ……小刻みに娘の身体が下ろされていき、ペニスが娘の股間に突き刺さった。
サングラスが娘の足首をつかみ、背後の赤色は軽く膝を曲げて腰の高さを合わせ、伸び上がるようにして一気にアヌスを貫いた。
「ひいいい……」
娘の悲鳴はこれまでとは違って、幾分か艶めいていた。とはいえ……
ウィ、ウィ、ウィ、ウィ……二人の男は動かず、ホイストが娘の身体を小刻みに上下させ始めると、肩に掛かる負荷とあいまって、娘の顔が苦痛に歪んでいく。
足首をつかんでいるサングラスが、娘の身体を上下動に合わせて左右にひねる。二本のペニスで前後ともぎちぎちになっているところを、さらにこねくられて。
「ひいっ、痛い……ああん……裂けてしまうう」
苦痛を訴える声が、すこしずつ蕩けていく。
ホイストの上下動は、男が欲望のままに衝き動かす荒腰に比べれば緩慢なので――十分近くも娘は揺すぶられ続けた。
その途中で、五人目の男が部屋に入ってきた。裸体のあふれる中で、ひとりだけスーツを着ている。白人だった。
「ミスターZは蘇生した。処置が早かったので、後遺症の懸念も無い」
それを聞いて四人の男たちが頷く。
「では、この娘は処刑せずに……?」
「必要な情報を聞き出した後は『なんでも有り(anything OK)』の娼館で罪を償わせてやろう」
白人の男は事務的に答えて、部屋のドアを閉ざした。
「では、次のフェーズに移行しよう」
二人の男が、ホイストの上下動に合わせてみずからも腰を使い始めた。示し合わせて同時に射精して。これで少なくとも四回、娘は殺されたことになる。
そして、これからが――拷問の幕開けなのだった。
殴打尋問
男たちが娘の身体から離れると、娘は両手だけで天井から吊られた形になる。時すでに遅しの感はあるが、娘は片脚を曲げて内側へよじり、すこしでも股間を男たちの目から隠そうとした。
「おまえの名前は?」
サングラスが、初めて娘に質問をした。
「アン・アザウェイ」
娘は素直に答えた。偽造IDカードでこのビルに侵入したのだが、そこに書かれてある名前は本名だった。
「年齢は?」
「19歳」
「どこに住んでいる?
「グレンモアシティ、オークアベニュー五番、サンシャイン・アパート318号」
「看護婦資格は持っているのか」
「準看護婦です」
「勤め先は?」
「…………」
それまでは淀みなく答えていたアンが、ためらいを見せた。というよりも、答えを拒否した。
「この仕事を依頼したのは勤め先の誰かなのか?」
「違います!」
あまりに切迫した口調だったので、嘘なのは明白だった。しかし、尋問者はそれを指摘しなかった。
「もう一度だけ尋ねるぞ。勤め先を言え。その雇い主に、暗殺を命じられたのだな?」
「……違います」
あるいは、隠し通せないと観念しているのかもしれない。それでも、自白出来ない理由が、彼女にはあった。
「そうか。喋りたくないのなら、喋らなくていいぞ」
「……?」
予想外の言葉に、アンは戸惑った。
尋問者は後ろに一歩下がった。と同時に……
ボスン!
「ぐええっ……」
腹にストレートを叩きこまれて、アンは頭をうつむけて呻いた。立っていれば、両手で腹を抱えて倒れ込むところだが、吊るされていてはそれも出来ない。
ボスン! ボスン! ボスン!
「ぐべへっ……うええええ!」
腹筋を固める暇もなく立て続けにパンチを叩きこまれて、アンは口から黄色い液を噴きこぼした。必死に曲げていた片脚もだらんと垂れ下がる。
尋問者はボクシングのファイティングポーズに構えて。
バシン! バシン! バシン! バシン!
乳房にフックを打ち込んだ。乳房が横ざまに吹っ飛び、身体もねじれる。アンは悲鳴を上げる息さえ出来ない。
「勤め先を言え」
尋問者が後ろへ下がって、平板な声で質問を繰り返した。
「…………」
「おまえの顔写真を手掛かりに、ビッグデータを検索するか、昔ながらに足を使って調べるか――勤め先を割り出すくらいは簡単だ。どちらも手間だから、おまえに尋ねているだけだ。隠しても意味はない。おまえが痛い目に遭うだけだぞ」
「…………」
アンは顔を上げて、尋問者に焦点の合わない目を向けた。
「組織(シンジケート)からの報復を恐れて口を閉ざしているのか? 素直に白状すれば、こっちの組織で庇護してやるMr.ホワイトの言葉を聞いていただろう。おまえは組織で経営している娼館で働かせてやる。ギャングバング、サド、マゾ、メッシー、レズビアン、ベスティアリティ――なんでもOKの娼婦としてな」
アンが、ぶるっと怖気を震った。
「安楽死を望むなら、希望を叶えてやってもいいぞ。生きたまま皮を剥がれ、焼鏝を当てられ、手足をひとつずつ切り取られていくよりは、ずっと安らかな死を与えてやる」
そんな言葉を聞かされて、自白しようと考える者がいるだろうか。アンは頑なに口を閉ざすばかりだった。
「そうか。娼婦も厭、安楽死も厭か。せいぜい、生き地獄を味わうがいい」
尋問者は一歩下がった位置から、そのまま回し蹴りを放った。
どすん!
「うぐっ……!」
肝臓に足の甲を叩きこまれて、アンの顔が苦悶に歪んだ。蹴られた反動で、身体がゆっくりと回る。百八十度回ったところで、腎臓に蹴りを入れられた。
「ぐぶっ……!」
そこからは、まったくの人間サンドバッグだった。腹にストレートを突き入れられ、乳房を左右のフックでパンチングボールさながらに揺すぶられ、太腿をローキックで痛めつけられる。頭を垂れると、顔まで容赦なく殴られた。
アンは何度も胃液を噴きこぼし、全身を痣だらけにして、ついに意識を失った。
「しばらく休ませてやるか。体力を回復させて、今度こそたっぷりと悲鳴を絞り出してやろう」
四人の男たちが、部屋から出て行って。アンは吊るされたまま、白い部屋に放置された。
========================================
破瓜が逝くはずの拷問シーンの連続のわりに、時間当たりの文字数が伸びません。
実は、前回に紹介したサブタイトルだけで、具体的なシナリオは頭の中だけにあったのです。過去形でした。あちこち忘れている部分があって、思い出す/新しく練るのに手間取っています。
実は、男たちの識別をどうするかも、考えてなかったのです。で、紆余曲折七曲り半で、認識票にしました。部屋中に隠しカメラが仕込んであるとしても、ポルノビデオでは局部アップとかも必要だと、これも書き進めてから気がついて、サングラサブルカメラ(はぁ?)にして。これをリーダーが装着することにしました。
おっと、言い忘れてましたけど。この記事に限らず、WORDで書いてルビを振ったり傍点を打ったりしている部分は、記事の文章には反映されていません。ルビは(括弧)表記。傍点はスルーです。
校訂後のきちんとした文章は、各販売サイトの有料製品版(と、無料体験版)をお読みください(*- -)(*_ _)ペコリ
冒頭を読まれてお分かりのように。実は前回の記事で紹介した拷問の項目よりも、拷問部屋の道具立ての方が多いです。ので、「絞首処分」の章の前に軽く「追加拷問」を挿入します。それでも150枚前後で終わるでしょう。
DLsite Affiliate キーワードは「人間サンドバッグ」 M男も含まれています。
しかし。責めシーンだけで書くと、けっこう短くなります。ていうか、やはり Short Story を意識してるのかな。
ともあれ。最初の2章を一挙公開。例によって校訂前です。
========================================
連続凌辱
壁も床も天井も真っ白な部屋。照明器具は無く、壁面自体が発光している。
部屋の中央には、手術台を思わせる可動部を備えたベッドが設置されている。それが手術台で有り得ないのは、胴が乗る部分だけは幅がダブルベッドほどもあることと、四肢を拘束するための革バンドが至るところに取り付けられていることで明白だった。
部屋の調度は、それだけではない。X字形の柱、人体を水平にも垂直にも水没させられるだけの大きさがある全面アクリル板の水槽、さらには三角木馬や絞首台もある。天井には縦横に走行する小型のホイストクレーン。壁の一面には鞭や手錠やロープ、普通に大きいサイズのディルドから腕よりも太い物までが掛けられている。片隅の事務机には、電源ボックスと幾つもの電極。
そして監視カメラが十台以上も、これはひっそりとレンズだけを覗かせている。
そんなおどろおどろしい部屋に、今しも新しい生贄が連れ込まれてきたところだった。
膝上4インチのおとなしい白衣のワンピース、巻いた金髪の上にちょこんと載っているナースキャップ。彼女が真性の看護婦に見えないしとしたら、着衣の上からも分かる肉感派女優顔負けの極上ボディと、口をダクトテープ(ポリエチレンコーティングされた銀色ないし灰色のガムテープ:強靭)でふさがれていても、それが被虐美でしかない美貌のせいだろう。
後ろ手錠を掛けられて、男二人に両腋を掴まれ部屋に引きずり込まれた女は、そのままベッドへ追い上げられた。女――いや、娘といったほうが当たっているだろう。恐怖に歪んでいる美貌には、それでもなお、未性熟のあどけなさが漂っている。
娘はベッドの上で後ろ手錠を外され、後から部屋に入ってきた二人を加えて、四人がかりで仰向けに押さえ込まれた。上下に引き伸ばされた娘の手足を、革バンドがひとつずつ固縛していく。娘は、まったく抵抗しない。悲鳴すらあげない。
四人の男たちも無言。ただてきぱきと娘を磔けていく。そして、大ぶりのナイフの刃を上向きにして、切っ先をナース服の胸元に差し込むと。
ピイイイッ……真っ二つに裁ち裂いた。
「んんんーっ!」
初めて娘が反応を示した。
男はかまわず、ブラジャーとショーツもナイフで布切れに変えていった。それから、娘の口を封じているダクトテープを引き剥がした。
娘は、しかし引き攣った表情で男を見上げるだけで、言葉を発さない。
男はおもむろに右手を振り上げると。
バシン! バシン!
手加減のない往復ビンタを張った。
「きゃああっ……!」
凍りついていた娘の顔に表情が動いた。それは恐怖だったが――茫然自失から正気を取り戻した証拠ではあった。
ウイィィィ……微かなモーター音とともに、ベッドが動いた。脚を拘束している部分が大きくV字形に開き、さらに膝の部分でΛの形状に屈曲する。
そして、男の一人がズボンを脱いで、すでに猛り勃っているペニスを露出すれば、その意図は明白だった。
「…………」
レイブされそうになっている女性であれば当然の、拒否の訴えを娘は叫ばない。もちろん、受容しているのではない。両手を握り締め歯を食い縛って、目前に迫った暴辱に抗している。
「お願い……殺さないで」
いよいよペニスがヴァギナを貫こうとしたとき、娘の口から命乞いの言葉が漏れた。犯されるということは、すぐには殺されないと理解しての言葉だったかもしれない。
男が侮りの笑いをこぼした。
「少なくとも四回は殺してやるぜ」
「余計なことは言うな」
四人とも褐色の肌で筋骨逞しい。髪も一様にミリタリーカットで、年齢も三十前後。迷彩模様のズボンとカーキ色のタンクトップ。一人だけフレームがごついサングラスを掛けている男が、短くたしなめた。
「アイ、サー」
軍体調の、しかしおどけたイントネーションの返事と共に、娘におおいかぶさっている男は、腰をぐいと進めた。
「くうっ……」
娘はもちろん処女ではなかった。しかし、恐怖で干上がっているヴァギナへの挿入は、みずから望んで抱かれたロストバージンのときよりも、むしろ苦痛が著しかった。
男としても、乾いた粘膜同士の擦過に快楽は生まれないだろう。しかし、不快をこらえてピストン運動を続けるうちに、娘の粘膜は強制的に分泌させられる愛(など無い)液で潤ってくる。男の腰の動きがリズミカルになって。
ぱんぱんぱんぱん……
股間を打ち付ける音が静寂の部屋に響き始める。
娘は突き上げられるたびに、豊満な乳房を上下に揺すぶられる。
サングラスの男が腰をかがめて、いろんな角度から結合部を観察している。娘の(肉体的な)反応を見定めようとしているのか。しかし、実行者に指示を与えたりはしなかった。
そして。三者ともに無言のまま――実行者が動きを止めて引き下がる。怒張を失ったペニスの先端からは白い糸を引いている。
ウイィィィ……腕の部分が左右に開いて、脚は水平に伸ばされる。脚の革バンドが一時的に解かれて足が引き上げられ、手首とひと括りにされた。娘の身体は、浮き上がった尻を頂点にしたV字形。
二人目の男がズボンを脱いでペニスを露出する。体格も顔つきも最初の男と似通っているが、明白な違いが二点だけあった。最初の男は首にぴったりの鎖で黄色い認識票(ドッグタグ)を鎖骨の間にぶら下げていたが、この男の認識票は青色だった。
そういえば、サングラスの認識票は白、最後の一人は赤だった。これが、四人を識別する最も確実な目印になっている。
それはともかく。最初にリンダを犯した黄色よりも、この青色のほうが、ペニスが明白にひとまわり大きい。ポルノビデオの主演男優になれる。男はそれを、今しがた強貫された穴のすぐ上で、まだ固く閉じている肉蕾に押し付けた。
「……アヌスは赦してください」
四回は殺すという意味を理解して、本来の意味で殺されることはなさそうだと安堵したのだろう。娘はようやく、犯されている女に相応しい言葉を口にした。
しかし、男は変わらずに無言。犯されてまだ開いている穴に指を突っ込んで分泌物を掬い取り、それを菫色の蕾になすりつけた。そして、無慈悲にペニスを押し込んだ。
「きひいいっ……痛い! 赦して……」
娘の哀願を無視して、男はいきなり荒腰を使い始めた。
「痛い……あうっ……いやああ!」
一分ほどで、二人目の男も射精に至った。しかし、娘はまだ二回しか殺されていない。
娘はすべての革バンドを解かれて、ベッドから下ろされた。両手首を前で縛り合わされて、天井のホイストクレーンから垂れるフックにつながれた。
チャリリリリ……ホイストが巻き上げられて、娘は両手を頭上に吊られ、さらに足が床から離れた。
サングラスの男が、部屋の隅の水栓から引っ張ったホースの先を娘に向けた。
ぶしゃああああ……絞られたノズルから噴出する水流が、娘の下半身に叩きつけられる。
「ひいいっ……」
水流の当たった肌が凹むほどの水圧。正面からざっと水を浴びせておいて、男は後ろへまわった。ノズルを下げ斜め上向きにして、尻の谷間に水を浴びせる。アナルセックスで掻き出された汚れを洗っている。そのままノズルを尻に近づけ、ついには先端をアヌスに突っ込んだ。
「ぐぎいいい……」
見る見るうちに、娘の腹が膨らんでいく。事前の処置ならともかく、事後のこれは娘に苦痛を与えるだけの行為だった。
しかし、娘を執拗に責める意図はないらしく、臨月の妊婦には程遠いところでノズルを抜去した。
ぶしゃああああ……奔流が床を叩き、幾つかの小さな塊も転がる。床に落ちた水は部屋の隅へ自然に流れて、壁と床の間のわずかな隙間へ吸い込まれていった。
サングラスもズボンを下ろして、勃起したペニスを露出する。最後の一人も彼に倣う。
四番手の赤色が娘の背後から足首をつかんで引き上げ、今度は垂直のV字形に娘を曲げた。両手を真っ直ぐ上に伸ばしているから、下向きの矢印というべきか。
サングラスが娘の正面に、キスができそうなくらい身体を近づけ、右手でペニスを垂直に保ち、左手でヴァギナをくつろげる。
チャリ……チャリ……小刻みに娘の身体が下ろされていき、ペニスが娘の股間に突き刺さった。
サングラスが娘の足首をつかみ、背後の赤色は軽く膝を曲げて腰の高さを合わせ、伸び上がるようにして一気にアヌスを貫いた。
「ひいいい……」
娘の悲鳴はこれまでとは違って、幾分か艶めいていた。とはいえ……
ウィ、ウィ、ウィ、ウィ……二人の男は動かず、ホイストが娘の身体を小刻みに上下させ始めると、肩に掛かる負荷とあいまって、娘の顔が苦痛に歪んでいく。
足首をつかんでいるサングラスが、娘の身体を上下動に合わせて左右にひねる。二本のペニスで前後ともぎちぎちになっているところを、さらにこねくられて。
「ひいっ、痛い……ああん……裂けてしまうう」
苦痛を訴える声が、すこしずつ蕩けていく。
ホイストの上下動は、男が欲望のままに衝き動かす荒腰に比べれば緩慢なので――十分近くも娘は揺すぶられ続けた。
その途中で、五人目の男が部屋に入ってきた。裸体のあふれる中で、ひとりだけスーツを着ている。白人だった。
「ミスターZは蘇生した。処置が早かったので、後遺症の懸念も無い」
それを聞いて四人の男たちが頷く。
「では、この娘は処刑せずに……?」
「必要な情報を聞き出した後は『なんでも有り(anything OK)』の娼館で罪を償わせてやろう」
白人の男は事務的に答えて、部屋のドアを閉ざした。
「では、次のフェーズに移行しよう」
二人の男が、ホイストの上下動に合わせてみずからも腰を使い始めた。示し合わせて同時に射精して。これで少なくとも四回、娘は殺されたことになる。
そして、これからが――拷問の幕開けなのだった。
殴打尋問

「おまえの名前は?」
サングラスが、初めて娘に質問をした。
「アン・アザウェイ」
娘は素直に答えた。偽造IDカードでこのビルに侵入したのだが、そこに書かれてある名前は本名だった。
「年齢は?」
「19歳」
「どこに住んでいる?
「グレンモアシティ、オークアベニュー五番、サンシャイン・アパート318号」
「看護婦資格は持っているのか」
「準看護婦です」
「勤め先は?」
「…………」
それまでは淀みなく答えていたアンが、ためらいを見せた。というよりも、答えを拒否した。
「この仕事を依頼したのは勤め先の誰かなのか?」
「違います!」
あまりに切迫した口調だったので、嘘なのは明白だった。しかし、尋問者はそれを指摘しなかった。
「もう一度だけ尋ねるぞ。勤め先を言え。その雇い主に、暗殺を命じられたのだな?」
「……違います」
あるいは、隠し通せないと観念しているのかもしれない。それでも、自白出来ない理由が、彼女にはあった。
「そうか。喋りたくないのなら、喋らなくていいぞ」
「……?」
予想外の言葉に、アンは戸惑った。
尋問者は後ろに一歩下がった。と同時に……
ボスン!
「ぐええっ……」
腹にストレートを叩きこまれて、アンは頭をうつむけて呻いた。立っていれば、両手で腹を抱えて倒れ込むところだが、吊るされていてはそれも出来ない。
ボスン! ボスン! ボスン!
「ぐべへっ……うええええ!」
腹筋を固める暇もなく立て続けにパンチを叩きこまれて、アンは口から黄色い液を噴きこぼした。必死に曲げていた片脚もだらんと垂れ下がる。
尋問者はボクシングのファイティングポーズに構えて。
バシン! バシン! バシン! バシン!
乳房にフックを打ち込んだ。乳房が横ざまに吹っ飛び、身体もねじれる。アンは悲鳴を上げる息さえ出来ない。
「勤め先を言え」
尋問者が後ろへ下がって、平板な声で質問を繰り返した。
「…………」
「おまえの顔写真を手掛かりに、ビッグデータを検索するか、昔ながらに足を使って調べるか――勤め先を割り出すくらいは簡単だ。どちらも手間だから、おまえに尋ねているだけだ。隠しても意味はない。おまえが痛い目に遭うだけだぞ」
「…………」
アンは顔を上げて、尋問者に焦点の合わない目を向けた。
「組織(シンジケート)からの報復を恐れて口を閉ざしているのか? 素直に白状すれば、こっちの組織で庇護してやるMr.ホワイトの言葉を聞いていただろう。おまえは組織で経営している娼館で働かせてやる。ギャングバング、サド、マゾ、メッシー、レズビアン、ベスティアリティ――なんでもOKの娼婦としてな」
アンが、ぶるっと怖気を震った。
「安楽死を望むなら、希望を叶えてやってもいいぞ。生きたまま皮を剥がれ、焼鏝を当てられ、手足をひとつずつ切り取られていくよりは、ずっと安らかな死を与えてやる」
そんな言葉を聞かされて、自白しようと考える者がいるだろうか。アンは頑なに口を閉ざすばかりだった。
「そうか。娼婦も厭、安楽死も厭か。せいぜい、生き地獄を味わうがいい」
尋問者は一歩下がった位置から、そのまま回し蹴りを放った。
どすん!
「うぐっ……!」
肝臓に足の甲を叩きこまれて、アンの顔が苦悶に歪んだ。蹴られた反動で、身体がゆっくりと回る。百八十度回ったところで、腎臓に蹴りを入れられた。
「ぐぶっ……!」
そこからは、まったくの人間サンドバッグだった。腹にストレートを突き入れられ、乳房を左右のフックでパンチングボールさながらに揺すぶられ、太腿をローキックで痛めつけられる。頭を垂れると、顔まで容赦なく殴られた。
アンは何度も胃液を噴きこぼし、全身を痣だらけにして、ついに意識を失った。
「しばらく休ませてやるか。体力を回復させて、今度こそたっぷりと悲鳴を絞り出してやろう」
四人の男たちが、部屋から出て行って。アンは吊るされたまま、白い部屋に放置された。
========================================
破瓜が逝くはずの拷問シーンの連続のわりに、時間当たりの文字数が伸びません。
実は、前回に紹介したサブタイトルだけで、具体的なシナリオは頭の中だけにあったのです。過去形でした。あちこち忘れている部分があって、思い出す/新しく練るのに手間取っています。
実は、男たちの識別をどうするかも、考えてなかったのです。で、紆余曲折七曲り半で、認識票にしました。部屋中に隠しカメラが仕込んであるとしても、ポルノビデオでは局部アップとかも必要だと、これも書き進めてから気がついて、サングラサブルカメラ(はぁ?)にして。これをリーダーが装着することにしました。
おっと、言い忘れてましたけど。この記事に限らず、WORDで書いてルビを振ったり傍点を打ったりしている部分は、記事の文章には反映されていません。ルビは(括弧)表記。傍点はスルーです。
校訂後のきちんとした文章は、各販売サイトの有料製品版(と、無料体験版)をお読みください(*- -)(*_ _)ペコリ
冒頭を読まれてお分かりのように。実は前回の記事で紹介した拷問の項目よりも、拷問部屋の道具立ての方が多いです。ので、「絞首処分」の章の前に軽く「追加拷問」を挿入します。それでも150枚前後で終わるでしょう。
DLsite Affiliate キーワードは「人間サンドバッグ」 M男も含まれています。
progress Report 1:A-5 VIGILANTE
A-6 INTRUDERでタイトル確定と書きましたが、
Amateur Assasine Arrested And Assaulted by VIGILANTE のほうがいいかなと。
実は、この作品の着想はコミック「無敵の人」でヒロインが看護師に変装して見ず知らずの他人を暗殺するというシーケンスに触発されました。

A-5のほうでは、暗殺に失敗して捕まって、背後関係を白状しろと、さまざまな拷問に掛けられるという――拷問がテーマでありモチーフでありプロットであります。
こんな構成です。
連続凌辱
殴打尋問
暗殺請負
鞭打拷問
電撃拷問
生物拷問
水没拷問
絞首処分
望遠撮影
いきなり陵辱シーン、小手調べの拷問と続けてから、状況説明(暗殺請負)にカットバックします。
最初の2章は客観叙述の三人称で、「暗殺請負」でヒロイン視点の三人称に切り替えて、以後もヒロイン視点。
最終章の客観三人称「望遠撮影」で種明かしをします。いちおうのハッピーエンド(ヒロインは死なない)です。
今日(8/12)は休日。明日は勤務で、8/14,15が休日。ここまでで70枚ばかり進めて、全体は150枚くらいにまとめたいものです。
DLS affiliate キーワードは「残虐 拷問」です。
Amateur Assasine Arrested And Assaulted by VIGILANTE のほうがいいかなと。
実は、この作品の着想はコミック「無敵の人」でヒロインが看護師に変装して見ず知らずの他人を暗殺するというシーケンスに触発されました。

A-5のほうでは、暗殺に失敗して捕まって、背後関係を白状しろと、さまざまな拷問に掛けられるという――拷問がテーマでありモチーフでありプロットであります。
こんな構成です。
連続凌辱
殴打尋問
暗殺請負
鞭打拷問
電撃拷問
生物拷問
水没拷問
絞首処分
望遠撮影
いきなり陵辱シーン、小手調べの拷問と続けてから、状況説明(暗殺請負)にカットバックします。
最初の2章は客観叙述の三人称で、「暗殺請負」でヒロイン視点の三人称に切り替えて、以後もヒロイン視点。
最終章の客観三人称「望遠撮影」で種明かしをします。いちおうのハッピーエンド(ヒロインは死なない)です。
今日(8/12)は休日。明日は勤務で、8/14,15が休日。ここまでで70枚ばかり進めて、全体は150枚くらいにまとめたいものです。
DLS affiliate キーワードは「残虐 拷問」です。
Progress Report 2:昭和集団羞辱史:物売編(夜)
2編で1冊の構成で『秘写真』と『花売娘』。
『秘写真』は103枚で強引に終わらせました。
ここで中断します。どうも、『濡墨』と「ロリくのいち」に引きずられて、方向が違う本編はモチベーションが萎えてしまいました。『花売娘』のほうは、それなりにハードな「説得」シーンがあるのですが。結構長くなりそうなので、短いのを書いてから再出発とします。
「短いの」つまり Zero Sum Shrot Storiesです。
これまでのラインナップは下記の通り
Hypnotic Spy (外国現代)
真剣裸勝負 (時代劇)
Snipe Ecstasy (外国現代)
裸囚姫弄虐譚 (時代劇)
修学旅行Mデビュー (日本現代)
The Nightmare Rift (外国現代)
売姫三日晒 (時代劇)
この順序で行けば、つぎは外国現代物です。
これはこれで、Progress Reportで詳述しますが。タイトルだけ予告しておきます。確定しています。
An Amateur Assasine Arrested And Assaulted for INTRUDER
邦訳:侵入者として捕らえられ陵辱される女素人暗殺者
ふりがな:こむすめあんさつしゃがつかまってひどいめにあうおはなし
いやはや。お遊び極まれりの原題です。なにがお遊びかというと……Aで始まる単語を6つ並べています。
短縮して表記すると A-6 INTRUDERです。

さて。『昭和集団羞辱史』ですが。今回は本編からの紹介は無し。
やっつけ仕事で終章まで持って行ったので、大幅改稿もあるかもしれません。
『秘写真』は103枚で強引に終わらせました。
ここで中断します。どうも、『濡墨』と「ロリくのいち」に引きずられて、方向が違う本編はモチベーションが萎えてしまいました。『花売娘』のほうは、それなりにハードな「説得」シーンがあるのですが。結構長くなりそうなので、短いのを書いてから再出発とします。
「短いの」つまり Zero Sum Shrot Storiesです。
これまでのラインナップは下記の通り
Hypnotic Spy (外国現代)
真剣裸勝負 (時代劇)
Snipe Ecstasy (外国現代)
裸囚姫弄虐譚 (時代劇)
修学旅行Mデビュー (日本現代)
The Nightmare Rift (外国現代)
売姫三日晒 (時代劇)
この順序で行けば、つぎは外国現代物です。
これはこれで、Progress Reportで詳述しますが。タイトルだけ予告しておきます。確定しています。
An Amateur Assasine Arrested And Assaulted for INTRUDER
邦訳:侵入者として捕らえられ陵辱される女素人暗殺者
ふりがな:こむすめあんさつしゃがつかまってひどいめにあうおはなし
いやはや。お遊び極まれりの原題です。なにがお遊びかというと……Aで始まる単語を6つ並べています。
短縮して表記すると A-6 INTRUDERです。

さて。『昭和集団羞辱史』ですが。今回は本編からの紹介は無し。
やっつけ仕事で終章まで持って行ったので、大幅改稿もあるかもしれません。
Progress Report 1:昭和集団羞辱史:物売編(夜)
Progress Report 0 →
さあて。『ロリくのいち』が終わりました。
作品としてのタイトルは『逝かされたって口は割らない』ですが、『ロリくのいち』のほうが内容ズバリで語呂もよろしい。しかし筆者としては、これをタイトルには出来ません。タイトルではなくジャンルだという問題もありますが。歴史的ミスマッチです。『万延元年のフットボール』はミスマッチをマッチングさせる荒業ですが。『信長のシェフ』は、タイトルからタイムスリップと見当がつきますが。
Midship!
そういう次第で、7月初っ端で中断していたこいつの再開です。
紹介するなら、やはりG線上でアレヤコレヤ出来るシーンがよろしいですな。
========================================
父を助けて
その夜は父と別れて寮へ戻った。翌日は朝から、門限破りの反省文を書いて、約束の午後一時には駅で待ち合わせて。
東西に並んだ繁華街というより夜の街の真ん中を突き抜けて、道幅で見れば二倍の商店街が南北に走っている。和代が連れられて行ったのは、商店街の北端に建っている五階建てのビルだった。
一階は『スーパー・マルタン』で、二階はその運営会社らしい『株式会社丸単』、三階には『中尾歯科』と『かまた小児科』、四階は『小田中総業』、五階には『有限会社富武土建』の看板が出ている。
エレベーターで五階へ。すぐ目の前に一面の壁と頑丈なドア。昭大が呼出ブザーを短く二度鳴らして、二秒ほど待ってから今度は長く押した。ドアの向こうに人の気配が立って、覗き穴で来客を見極めていたのだろう、ふた呼吸も置いてからドアが開いた。
小部屋のドアが左右に並ぶ通路の突き当たりが、また大きなドアで『社長室』の金文字。
部屋の奥には神棚が祀ってあり、右奥には鎧兜が飾られている。左のソファーの前には頭付き虎皮の敷物。そして、神棚の下の豪華なデスクには、和代の目から見ても『お兄さん』と呼べそうな若い男が座っていた。仕立の良さげな縦縞の背広を着て、けれどネクタイは締めていない。慎太郎刈りのハンサム。年齢といい風貌といい、社長室のイメージとは真反対だった。
「こちらは、富武組の二代目……」
「富武土建だ」
和代に紹介しようとした昭大を、若い男が遮った。
「失礼しました。富武土建の社長代行をなさっている、富武勝雄さんだ」
あっと……和代は心当たった。就職してからわずか三週間の間だけでも、何度か耳にしていた。本州の西半分を席巻しているのは菱口組というヤクザだが、この県では富武組が頑張っている。十年前の庄内工場の労働争議を力で抑え込んだのか富武組だったし、最近では工場長の愛人にされかけた女工を本社との談判で救けてくれたのも富武組だった――と、噂に聞いていた。
「これは、私の娘で和代といいます。こいつを写真のモデルに使ってやっちゃくれませんでしょうか」
ひと回りは年下の青年にへりくだる父を、和代としては見たくなかったのだが。この人にはそれだけの実力があるんだろうなと、そうも思うのだった。
「できましたら、こいつの写真は私の専売にさせていただきたいのですが」
「それなら、自分でカメラマンも相手役も手配して、焼き増しも自分でするんだな」
ぴしゃりと、男が撥ねつけた。
「ただし、モデル代は弾むぞ。三万出そう」
それだけあれば、借金の一割を返せる。月々の利払いが千五百円ずつも軽くなる。一年間で一万八千円。それだけ元金の返済にまわせるから……完済までどれくらい短くなるかは、咄嗟の暗算では解けなかった。けれど、三万円といえば給料の二か月分。
「それで、いいです。お願いします」
ためらっている父に代わって、和代が返事をした。
「気風のいいお嬢ちゃんだな。そうだ、親父さんの商売を手伝っちゃみないか。『私が写真のモデルです』って、横にくっついてれば売れ行きが違うぞ。いっそ、写真の裏にサインするとか……お嬢ちゃんに度胸があるなら、マン拓も面白いな。五百円くらい上乗せしても構わん。それは丸々取り分ってことにしてやるよ」
最後のほうは明らかに、昭大に向かって話していた。
「は、はあ……ありがとうございます」
「あのう……まんたくって、なんでしょうか?」
土日に父の仕事を手伝うくらいは構わないけれど。サインをするなんて、女優さんになったみたいで、いかがわしい写真だけど、ちょっぴりワクワクするけれど。それよりも度胸が要るまんたくって、なんだろう。とんとん拍子に話が進んでいくと不安になった。
「それは、撮影のときに教えてやるよ。それでいいな、大崎」
娘に余計なことを吹き込むんじゃないぞと、勝雄が釘を刺した。とまでは、和代には分からなかったのだが。
勝雄は子分――ではなく、社員を呼びつけて。てきぱきと撮影の段取りを付けた。カメラマンが呼び出されて、『絡み』の相手役はその場に居合わせた社員たち。スタジオは社内の一室。
「娘も父親に見られていちゃ羞ずかしいだろう。三時間ばかり、パチンコでもしていろ」
千円札を押し付けて、昭大をビルから追い出した。
「なにも取って食おうってわけじゃない。処女だったな。約束通り、真似事で済ましてやる。おまえは裸になって、ちょいと股を開いてくれりゃあ、それで終わるんだから」
女、それも若い生娘にとっては一大事を、勝雄は気軽に言ってくれるのだった。
場所を『応接室』に移して、いよいよ撮影が始まる。
和代は当番で工場の応接室を掃除したこともあったが。その何倍も広い。『応接室』とは名ばかりで、こういったことにも、リンチや拷問や強女女にも使う部屋だとは、和代の知るところではない。今は壁一面にピンクのカーテンが張り巡らされて、小ぢんまりとした応接セットは部屋の隅に片付けられて、床には二枚の敷布団が並べられている。
「まずは脱ぐところから撮っていこう」
和代をソファーに座らせて、カメラマンがごつい一眼レフを構える。その横にはレフ板を持った助手。なんだか本物のモデルになったみたいだと、敢えて和代はそっちへと思考を向けた。
それにしても、だだっ広い部屋が狭く感じられる。カメラマンと助手の他に、三人の若い男たち。そして、社長代行の富武勝男。三人の男たちは髪形も服装も違うが、いかにもヤクザっぽい雰囲気を漂わせている。勝雄は彼らよりもずっと上品で、それでいて噴火したら凄まじい休火山のように、和代には思えた。
ソファーに座ったまま、カメラマンの指示に従ってカーデガンを脱ぎ、ブラウスを脱いで。それだけで、和代は指をわななかせている。
立ち上がってスカートを脱ぎ、スリップを足元に落として。
カシャ、シャクン。カシャ、シャクン……シャッターが切られ、フィルムが巻き上げられて。
和代がブラジャーとパンティだけになったところで、カメラマンはフィルムを交換した――ふりをして、実は初めてフィルムを装填した。五枚組せいぜい十枚組のエロ写真で、脱衣の過程など不要なのだ。
カシャ、シャクン。下着姿で立つ和代の姿がフィルムに写し撮られたが、はたして商品になるのかは疑わしい。
「オッケー。それじゃブラジャーを外そうか」
和代は意を決して、手を背中にまわした。けれど、指先が震えてホックをつかめない。顔も緊張で強張っている。
「こりゃあ、駄目ですね。絵になりませんよ」
実は最初から打ち合わせている通りの台詞を、カメラマンが勝雄に向かって言う。
「では、企画を変えよう。和代ちゃんだったね。これを着なさい」
勝雄から渡されたのはセーラー服だった。この春まで和代が着ていたものより、どことなく垢抜けている。のも道理、有名な私立女学校の制服だった。少なくとも県内では、一目で見分けられる。
「これで三つ編みお下げだったら錦上花を添えるところだが、無い物ねだりをしてもしょうがないか」
二か月前だったら、和代は勝雄の言う錦上花なのだったが、電気機器の組立工場で働くには髪が長いと不便なので、会社の指示通りに短くしていた。
セーラー服に着替えた和代を、三人の男たちが取り囲んだ。
「ここからは、無理して笑顔を作る必要もない。和代ちゃんの思う通りに振る舞っていいぞ」
勝雄までコンパクトカメラを持って、カメラマンとは別のアングルから撮影するらしい。
「それじゃ。よーい、アクション!」
勝雄がおどけた口調で言うと。
ぱしん。正面に立っている男が、不意に和代の頬を張った。
「きゃっ……」
和代は頬を手で押さえて後ずさった。学校で先生に叩かれたほども痛くなかったが、まったく予期していなかっただけに衝撃は大きかった。
別の男が背後に回り込んで和代を羽交い絞めにして。頬を張った男がセーラー服の胸当を毟り取った。
「無言じゃ雰囲気が出ない。それらしい台詞を言え」
「それもそうですね」
頬を張った男が、手を止めて頭を掻いた。笑っている。
それを見て和代は、もしかしてこれはお芝居なのかと気づいた。暴漢に襲われている女 学生。それなら、無理に笑顔を作らなくてもいい。でも、ほんとうにお芝居で済むんだろうか。
「それじゃ、仕切り直して……」
照れ臭そうに男が言って、そこでドスの利いた口調に改めた。
「おとなしくしてれば、もう暴力は振るわない。分かったな」
「棒の力は、たっぷり振るわせてもらうけどな」
見物している三人目の男が半畳を入れた。
「真面目にやれ」
勝雄が苦笑しながら叱る。
「へい。それじゃ、俺っちはこっちを」
和代の横にしゃがみ込んでスカートをずり下げた。
「いやっ……」
お芝居でもなんでも、たとえ一度は下着姿まで晒していても、服を脱がされるのは乙女の本能が拒んだ。スカートを引き戻そうとして、またビンタを張られた。やっぱり、そんなに痛くなかったので、これはお芝居だと確信できたのだが。
スカートをずり下げられ、セーラー服の脇ファスナーを開けられて。羽交い絞めのままだから脱がされはしなかったが。スリップを引き千切られ、ブラジャーは胸の上にたくし上げられて。布団の上に押し倒された。羽交い絞めにしていた男が、和代の両手を頭上に引き上げて手首を押さえ込んだ。
お芝居だと自分に言い聞かせても、やっぱり怖い。和代は悲鳴を上げる余裕もない。
セーラー服を頭から引き抜かれたが完全には脱がされず、袖は腕に絡まったまま。
頬を張った男かお調子者の方かは分からないが、男の手がパンティを両手でつかんでビリビリと引き千切った。
「もっとセーラー服を上げろ。それでは顔が隠れる」
勝雄がのんびりとした口調で指示を出して、即座に実行される。完全に露出した顔に向けて、勝雄がシャッターを切る。
「絵面(えづら)が淋しいな。パンツを口に押し込め」
それも直ちに実行された。
「んんん……」
口に物を詰められるなんて、生まれて初めての体験だった。言葉を封じられて、言いようのない不安に襲われた。押し出そうと試みることすら思いつかない。
スカートを脱がしたお調子者が、和代の両足をつかんで左右に広げさせる。その中心を狙って、カメラマンが立て続けにシャッターを切る。
羞ずかしいところを見られている、写真に撮られている。かああっと全身が熱く火照った。
その一方で、男たちを失望させていないだろうかと、「絵にならない」と言われないかと恐れていた。和代の淫毛は薄い。ふっくらと盛り上がった土手の上半分に濃い目の産毛が生えているだけだ。さっき(ちらっと)見た写真のモデルとは大違いだった。
しかし、それを指摘する者は居なかった。どころか。
「すげえな。小っちゃいくせに、つんと盛り上がってやがる」
ビンタを張った男。いうならば彼が主演男優だろう。卑猥な言い方だが、誉め言葉に聞こえなくもなかった。誉めながら――和代の乳房をつかんだ。
「いあいっ……」
和代は反射的に叫んでいた。口に詰め込まれたパンティのせいで声はくぐもっていたが、相手には通じたようだ。
「痛いか……これでもか?」
男はいったん乳房から手を放すと、今度は膨らみの外から掌で包み込むようにして、親指の腹で乳首をこすった。
「あ……」
鋭い針に刺されたようなくすぐったさを感じて、和代は戸惑いの声を漏らした。痛いのだけれど、くすぐったい。くすぐったいのだけれど……乳房全体が粟立つような感覚が生じて、それが胸全体に広がっていく。
「へっ。いっちょ前に感じてやがる。おっ勃ってきたぜ」
和代自身、乳首が固くしこるのを自覚している。だけでなく、腰の奥がもどかしく疼き始めた。それは『エッチな事』を考えたときと同じだとも理解している。
「こいつは、ほんとにぶち込んでもいけそうだな」
勝雄がレンズ越しに股間を覗き込んでつぶやいた。
「へえ。もしかして……」
主演男優が乳房から手を放すと股間をまさぐって……
「も゙お゙お゙っ……!」
乳房をつかまれたときよりもずっと切迫した悲鳴を和代があげた。
「なるほど、濡れてますぜ。ひょっとして、今のは善がり声か、おい?」
後半は和代に向かって言いながら、股間に突き立てた指をぐりぐりと抉った。
「も゙お゙、も゙お゙お゙っ……あえええ」
「それくらいにしといてやれ。せっかくの処女膜だ。傷つけちゃあ、後々の値打ちが下がる」
向こうから飛び込んできた獲物をエロ写真の被写体にするだけでは飽き足らず、勝雄はその先のことまで考えているのかもしれない……などと、和代が気づくはずもなかった。
「前戯まではじゅうぶんに撮りましたよ。ぼつぼつ本番……おっと、疑似でしたね。疑似本番をお願いしますよ」
「ええっ、もうすこし……いや、はいです」
主演男優が不服そうな顔をしたが、勝雄に睨まれてしょげ返った。そのせいか。いったん和代から離れて着衣を上下ともに脱いで全裸になったのだが、『棒の力』がうなだれていた。
「ええと……」
主演男優が和代を見下ろして。扱かせるなり握らせるなりさせたかったのだろうが、いわゆる自力更生で準備を整えた。
「このシーンで最後だ。もうちょっとだけ辛抱してくれよ」
意外と優しい言葉を勝雄に掛けられて、和代はすこしだけ安心したのだが。
「むうう……?!」
開いて押さえつけられていた足を男の肩に担ぎ上げられて、和代は羞恥に身悶えた。これまでだって、開脚の中心をレンズに覗き込まれたり、さんざん羞ずかしい思いをしていたのだが、足を持ち上げられ腰を浮かされては、もろに股間の奥まで見られてしまう。おころか、肛門までレンズに捉えられているかもしれない。
カシャ、シャクン。カシャ、シャクン。立て続けにシャッターが切られる。
カメラアングルを考えて身体を引いていた男が、いよいよ和代にのしかかってきた。
股間の割れ目を固くて太くて熱い物がつつく。
「む う う っ……い゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」
犯される。狂乱した和代は腰を激しく揺すって逃れようとしたのだが。
「ついでに、他の体位もやっときますかい?」
「そうですね。バックとかフェラチオとか。それは他のお二人にお願いしましょうか」
強女女の現場だったら有り得ない、事務的で冷静な遣り取り。
和代の足は布団の上に戻されて、口に詰め込まれていたパンティも引っ張り出された。
主演男優は裸体のまま引き下がって、急いで服を脱いだ次の男が和代に向かい合った。和代を羽交い絞めにした男だった。
「そんじゃ、四つん這いになっちくれよ」
なにが「そんじゃ」なんだろうか。約束を守ってもらえると分かって心に裕りのできた和代は、男の身勝手な言葉を可笑しく思った。四つん這いになった後ろから写真を撮られると、それまでとは違った卑猥さが醸し出されるとまでは気づかずに、言われた通りのポーズを取った。
「やっぱり、強女女してるんだからな」
羽交い絞めの男は和代の右手をつかんで背中へねじ上げた。
「こっちのほうが、それらしく見えるぜ」
突っ張っている左手を払いのけられて、肩が布団に着くまで押し下げられた。
やはり、男が身体を離した位置で数枚撮影されてから――股間に怒張を押し当てられた。最初の時とは違って、淫唇を掻き分けて怒張が潜り込んでくる。けれど、多分ここが穴なんだと分かる位置で止まって、それ以上は押し挿れられなかった。
最後に男優がお調子者に替わって。今度は布団の上に正座させられた。
「脚を開いてくれよな」
膝の間に爪先を割り入れて開脚させ、その中に立って、男はさらに前へ進む。和代は直角近くまで脚を開かされた。
「こちょこちょ……」
男が足の指で和代の股間をくすぐる。
「ひどい……」
男性器を押し付けられるより、よほど屈辱的だった。それまでは堪えていた涙が、頬を伝った。のを、すかさずカメラが写し撮る。
「はい、あーん」
男は勃起を和代の唇に近づけた。
フェラチオという行為があることくらい、和代も知っている。でも、そんなのは男女が結ばれて、いっそう深い仲になって、そこから先のことだと思っていた。
「…………」
和代は顔をそむけて、縋りつくような眼差しで勝雄を見上げたのだが。
「口の中にゃ、処女膜なんてないからな。どうってこともないだろ」
この当時、性交とは男性器を女性器に挿入することのみに限定解釈されていた。それ以外の行為を男が女に強制しても、暴行とか強制猥褻は成立しても、少なくとも強女女罪には問われなかったのである。
「お願いです。これも真似事で済ませてください」
「マンコと違って、誤魔化しようがないぜ。せっかくここまで頑張ったんだ。覚悟を決めろ」
「でも、でも……」
和代にしてみれば。自分の体内に男性器を突っ込まれるという意味では、性器の結合も口淫も根本的な違いはなかった。いや、不潔な部位と不潔な部位とが交わる『せっくす』よりも、ずっと卑猥で淫らで背徳的な行為だった。
「てめえ、甘やかしてりゃあ、付け上がりやがって」
勝雄は持っていたコンパクトカメラを主演男優に手渡すと。和代の髪をつかんで牛蒡抜きに立ち上がらせた。右手を振り上げて。
ばしん、ばしん。部屋中に響く音を立てて往復ビンタを張った。髪の毛をつかまれていても、和代の顔が左右に大きく振れた。
「きゃあっ……!」
「おい、今のは撮ったか?」
「あ……うっかりしていました」
「てへへ。俺もです」
「ちっ、気が利かねえな。よし、もう一回だ」
「ごめんなさい。もう叩かないで!」
和代が金切り声を上げた。
「ちゃんとやります。赦してください」
無意識裡に両手を上げて交差させて顔をかばいながら、和代は赦しを乞うた。
「分かりゃあ、いいんだ」
勝雄は和代を布団の上に投げ出して、預けていたカメラを取り返した。
「それじゃ、撮り直しだ」
再び開脚正座をさせられ、半勃ちまで萎えた性器を口唇に押し当てられて。和代は泣きじゃくりながら口を開けて、それを受け容れた。
でろんとした生温かい蒟蒻のような棒を口中に含んで、息を止めていても男の獣じみた体臭が鼻腔を刺激する。一方、男性器そのものは、それほど味がしなかった。
なあんだ……たった、これだけのことだったんだ。拍子抜けする思いだったが。
「最初からあれこれは出来ないだろうし、したところでカメラには写らないからな。構わないから、ガシガシ突っ込んでやれ」
勝雄に促されて。男は和代の頭を両手でつかむと、怒張を口中深く突き挿れはじめた。
「む……ぶうう、んんんん……」
一突きごとに、口の中で怒張が固く太くなっていく。それで喉の奥を突かれて、吐き気が込み上げてきた。
「歯を立てるなよ。けど、もっとしっかり口を閉じていろ」
男は勝手なことを言いながら、和代の口をただの穴として乱暴に扱った。
「んんん……むぶっ……んんん」
激しく頭を揺すられて和代は、これまでに経験したもっとも酷い乗り物酔いの十倍は気分が悪くなった。耐えられずに目をつむると、もっとひどくなる。
吐いたりしたら、もっと厳しく折檻されると、本能的に悟って――和代は目の前で激しく動く男の腹と淫毛とを、見るともなしに眺めていることしかできなかった。
やがて、男の腰遣いがいっそう荒々しくなって。
口中の肉棒がびくびくっと痙攣するのを感じると同時に、熱い衝撃が上顎の奥に叩きつけられた。プールの塩素臭と魚のアラの生臭さとが混じったような異臭が脳天まで突き抜けた。
男が和代の頭を突きのけた。
「うげえええ……」
和代は口中に溜まっている汚物を吐き出して、ひとしきり嘔吐(えず)いた。
カメラが、引いた位置からその様までフィルムに写し撮った。
ぱさっと、バスタオルが肩に掛けられた。
「よく頑張ったな。迫真の写真になるぞ」
勝雄が猫撫で声で和代をいたわる。
迫真の写真とは、それだけ卑猥だという意味だろうとは、和代にも見当はつくのだが。なぜか屈辱には感じなかった。
たくさん売れて、早く借金を返せればいいな――と、それだけを考えるようにした。
勝雄のねぎらいは言葉だけではなかった。約束は三万円のモデル料だったが、さらに一万円をはずんでくれたのだった。とはいえ、実際に手渡されたのは一万円だけで、残りの三万円は借金と棒引きにされたのだから、勝雄としてはちっとも懐が痛まないのだが。
その一万円を和代は父に差し出したのだが、さすがに良心が咎めるのだろう、昭大は半分の五千円しか受け取らず、半分は和代の小遣いにさせたのだった。半分でも娘の恥辱の代償を我が物にしたというその行為は、客観的には非難されて然るべきものではあったろうが、和代としては一年半ぶりに父からお小遣いをもらったような気分になったのだから、脳天気といえば底無しの脳天気ではあった。
========================================

実は、ヒロイン(和子あらため和代)の性格が、再開後はいっそう奔放になってきました(上記は中断直前の部分です)。
『ロリくのいち』のヒロインの性格を引きずってる感じです。
ふう……。何本もの作品を併行執筆する売れっ子作家さんとか、何十年も後になって続編(たとえば『銀河帝国の興亡』とか『ガラスの仮面』とか)を書く作家さんは、端倪すべからず非ざる然るべき(つまり?)ですなあ。
恒例のDLsite Affiliate キーワードは「花売り」
さあて。『ロリくのいち』が終わりました。
作品としてのタイトルは『逝かされたって口は割らない』ですが、『ロリくのいち』のほうが内容ズバリで語呂もよろしい。しかし筆者としては、これをタイトルには出来ません。タイトルではなくジャンルだという問題もありますが。歴史的ミスマッチです。『万延元年のフットボール』はミスマッチをマッチングさせる荒業ですが。『信長のシェフ』は、タイトルからタイムスリップと見当がつきますが。
Midship!
そういう次第で、7月初っ端で中断していたこいつの再開です。
紹介するなら、やはりG線上でアレヤコレヤ出来るシーンがよろしいですな。
========================================
父を助けて
その夜は父と別れて寮へ戻った。翌日は朝から、門限破りの反省文を書いて、約束の午後一時には駅で待ち合わせて。
東西に並んだ繁華街というより夜の街の真ん中を突き抜けて、道幅で見れば二倍の商店街が南北に走っている。和代が連れられて行ったのは、商店街の北端に建っている五階建てのビルだった。
一階は『スーパー・マルタン』で、二階はその運営会社らしい『株式会社丸単』、三階には『中尾歯科』と『かまた小児科』、四階は『小田中総業』、五階には『有限会社富武土建』の看板が出ている。
エレベーターで五階へ。すぐ目の前に一面の壁と頑丈なドア。昭大が呼出ブザーを短く二度鳴らして、二秒ほど待ってから今度は長く押した。ドアの向こうに人の気配が立って、覗き穴で来客を見極めていたのだろう、ふた呼吸も置いてからドアが開いた。
小部屋のドアが左右に並ぶ通路の突き当たりが、また大きなドアで『社長室』の金文字。
部屋の奥には神棚が祀ってあり、右奥には鎧兜が飾られている。左のソファーの前には頭付き虎皮の敷物。そして、神棚の下の豪華なデスクには、和代の目から見ても『お兄さん』と呼べそうな若い男が座っていた。仕立の良さげな縦縞の背広を着て、けれどネクタイは締めていない。慎太郎刈りのハンサム。年齢といい風貌といい、社長室のイメージとは真反対だった。
「こちらは、富武組の二代目……」
「富武土建だ」
和代に紹介しようとした昭大を、若い男が遮った。
「失礼しました。富武土建の社長代行をなさっている、富武勝雄さんだ」
あっと……和代は心当たった。就職してからわずか三週間の間だけでも、何度か耳にしていた。本州の西半分を席巻しているのは菱口組というヤクザだが、この県では富武組が頑張っている。十年前の庄内工場の労働争議を力で抑え込んだのか富武組だったし、最近では工場長の愛人にされかけた女工を本社との談判で救けてくれたのも富武組だった――と、噂に聞いていた。
「これは、私の娘で和代といいます。こいつを写真のモデルに使ってやっちゃくれませんでしょうか」
ひと回りは年下の青年にへりくだる父を、和代としては見たくなかったのだが。この人にはそれだけの実力があるんだろうなと、そうも思うのだった。
「できましたら、こいつの写真は私の専売にさせていただきたいのですが」
「それなら、自分でカメラマンも相手役も手配して、焼き増しも自分でするんだな」
ぴしゃりと、男が撥ねつけた。
「ただし、モデル代は弾むぞ。三万出そう」
それだけあれば、借金の一割を返せる。月々の利払いが千五百円ずつも軽くなる。一年間で一万八千円。それだけ元金の返済にまわせるから……完済までどれくらい短くなるかは、咄嗟の暗算では解けなかった。けれど、三万円といえば給料の二か月分。
「それで、いいです。お願いします」
ためらっている父に代わって、和代が返事をした。
「気風のいいお嬢ちゃんだな。そうだ、親父さんの商売を手伝っちゃみないか。『私が写真のモデルです』って、横にくっついてれば売れ行きが違うぞ。いっそ、写真の裏にサインするとか……お嬢ちゃんに度胸があるなら、マン拓も面白いな。五百円くらい上乗せしても構わん。それは丸々取り分ってことにしてやるよ」
最後のほうは明らかに、昭大に向かって話していた。
「は、はあ……ありがとうございます」
「あのう……まんたくって、なんでしょうか?」
土日に父の仕事を手伝うくらいは構わないけれど。サインをするなんて、女優さんになったみたいで、いかがわしい写真だけど、ちょっぴりワクワクするけれど。それよりも度胸が要るまんたくって、なんだろう。とんとん拍子に話が進んでいくと不安になった。
「それは、撮影のときに教えてやるよ。それでいいな、大崎」
娘に余計なことを吹き込むんじゃないぞと、勝雄が釘を刺した。とまでは、和代には分からなかったのだが。
勝雄は子分――ではなく、社員を呼びつけて。てきぱきと撮影の段取りを付けた。カメラマンが呼び出されて、『絡み』の相手役はその場に居合わせた社員たち。スタジオは社内の一室。
「娘も父親に見られていちゃ羞ずかしいだろう。三時間ばかり、パチンコでもしていろ」
千円札を押し付けて、昭大をビルから追い出した。
「なにも取って食おうってわけじゃない。処女だったな。約束通り、真似事で済ましてやる。おまえは裸になって、ちょいと股を開いてくれりゃあ、それで終わるんだから」
女、それも若い生娘にとっては一大事を、勝雄は気軽に言ってくれるのだった。
場所を『応接室』に移して、いよいよ撮影が始まる。
和代は当番で工場の応接室を掃除したこともあったが。その何倍も広い。『応接室』とは名ばかりで、こういったことにも、リンチや拷問や強女女にも使う部屋だとは、和代の知るところではない。今は壁一面にピンクのカーテンが張り巡らされて、小ぢんまりとした応接セットは部屋の隅に片付けられて、床には二枚の敷布団が並べられている。
「まずは脱ぐところから撮っていこう」
和代をソファーに座らせて、カメラマンがごつい一眼レフを構える。その横にはレフ板を持った助手。なんだか本物のモデルになったみたいだと、敢えて和代はそっちへと思考を向けた。
それにしても、だだっ広い部屋が狭く感じられる。カメラマンと助手の他に、三人の若い男たち。そして、社長代行の富武勝男。三人の男たちは髪形も服装も違うが、いかにもヤクザっぽい雰囲気を漂わせている。勝雄は彼らよりもずっと上品で、それでいて噴火したら凄まじい休火山のように、和代には思えた。
ソファーに座ったまま、カメラマンの指示に従ってカーデガンを脱ぎ、ブラウスを脱いで。それだけで、和代は指をわななかせている。
立ち上がってスカートを脱ぎ、スリップを足元に落として。
カシャ、シャクン。カシャ、シャクン……シャッターが切られ、フィルムが巻き上げられて。
和代がブラジャーとパンティだけになったところで、カメラマンはフィルムを交換した――ふりをして、実は初めてフィルムを装填した。五枚組せいぜい十枚組のエロ写真で、脱衣の過程など不要なのだ。
カシャ、シャクン。下着姿で立つ和代の姿がフィルムに写し撮られたが、はたして商品になるのかは疑わしい。
「オッケー。それじゃブラジャーを外そうか」
和代は意を決して、手を背中にまわした。けれど、指先が震えてホックをつかめない。顔も緊張で強張っている。
「こりゃあ、駄目ですね。絵になりませんよ」
実は最初から打ち合わせている通りの台詞を、カメラマンが勝雄に向かって言う。
「では、企画を変えよう。和代ちゃんだったね。これを着なさい」
勝雄から渡されたのはセーラー服だった。この春まで和代が着ていたものより、どことなく垢抜けている。のも道理、有名な私立女学校の制服だった。少なくとも県内では、一目で見分けられる。
「これで三つ編みお下げだったら錦上花を添えるところだが、無い物ねだりをしてもしょうがないか」
二か月前だったら、和代は勝雄の言う錦上花なのだったが、電気機器の組立工場で働くには髪が長いと不便なので、会社の指示通りに短くしていた。
セーラー服に着替えた和代を、三人の男たちが取り囲んだ。
「ここからは、無理して笑顔を作る必要もない。和代ちゃんの思う通りに振る舞っていいぞ」
勝雄までコンパクトカメラを持って、カメラマンとは別のアングルから撮影するらしい。
「それじゃ。よーい、アクション!」
勝雄がおどけた口調で言うと。
ぱしん。正面に立っている男が、不意に和代の頬を張った。
「きゃっ……」
和代は頬を手で押さえて後ずさった。学校で先生に叩かれたほども痛くなかったが、まったく予期していなかっただけに衝撃は大きかった。
別の男が背後に回り込んで和代を羽交い絞めにして。頬を張った男がセーラー服の胸当を毟り取った。
「無言じゃ雰囲気が出ない。それらしい台詞を言え」
「それもそうですね」
頬を張った男が、手を止めて頭を掻いた。笑っている。
それを見て和代は、もしかしてこれはお芝居なのかと気づいた。暴漢に襲われている女 学生。それなら、無理に笑顔を作らなくてもいい。でも、ほんとうにお芝居で済むんだろうか。
「それじゃ、仕切り直して……」
照れ臭そうに男が言って、そこでドスの利いた口調に改めた。
「おとなしくしてれば、もう暴力は振るわない。分かったな」
「棒の力は、たっぷり振るわせてもらうけどな」
見物している三人目の男が半畳を入れた。
「真面目にやれ」
勝雄が苦笑しながら叱る。
「へい。それじゃ、俺っちはこっちを」
和代の横にしゃがみ込んでスカートをずり下げた。
「いやっ……」
お芝居でもなんでも、たとえ一度は下着姿まで晒していても、服を脱がされるのは乙女の本能が拒んだ。スカートを引き戻そうとして、またビンタを張られた。やっぱり、そんなに痛くなかったので、これはお芝居だと確信できたのだが。
スカートをずり下げられ、セーラー服の脇ファスナーを開けられて。羽交い絞めのままだから脱がされはしなかったが。スリップを引き千切られ、ブラジャーは胸の上にたくし上げられて。布団の上に押し倒された。羽交い絞めにしていた男が、和代の両手を頭上に引き上げて手首を押さえ込んだ。
お芝居だと自分に言い聞かせても、やっぱり怖い。和代は悲鳴を上げる余裕もない。
セーラー服を頭から引き抜かれたが完全には脱がされず、袖は腕に絡まったまま。
頬を張った男かお調子者の方かは分からないが、男の手がパンティを両手でつかんでビリビリと引き千切った。
「もっとセーラー服を上げろ。それでは顔が隠れる」
勝雄がのんびりとした口調で指示を出して、即座に実行される。完全に露出した顔に向けて、勝雄がシャッターを切る。
「絵面(えづら)が淋しいな。パンツを口に押し込め」
それも直ちに実行された。
「んんん……」
口に物を詰められるなんて、生まれて初めての体験だった。言葉を封じられて、言いようのない不安に襲われた。押し出そうと試みることすら思いつかない。
スカートを脱がしたお調子者が、和代の両足をつかんで左右に広げさせる。その中心を狙って、カメラマンが立て続けにシャッターを切る。
羞ずかしいところを見られている、写真に撮られている。かああっと全身が熱く火照った。
その一方で、男たちを失望させていないだろうかと、「絵にならない」と言われないかと恐れていた。和代の淫毛は薄い。ふっくらと盛り上がった土手の上半分に濃い目の産毛が生えているだけだ。さっき(ちらっと)見た写真のモデルとは大違いだった。
しかし、それを指摘する者は居なかった。どころか。
「すげえな。小っちゃいくせに、つんと盛り上がってやがる」
ビンタを張った男。いうならば彼が主演男優だろう。卑猥な言い方だが、誉め言葉に聞こえなくもなかった。誉めながら――和代の乳房をつかんだ。
「いあいっ……」
和代は反射的に叫んでいた。口に詰め込まれたパンティのせいで声はくぐもっていたが、相手には通じたようだ。
「痛いか……これでもか?」
男はいったん乳房から手を放すと、今度は膨らみの外から掌で包み込むようにして、親指の腹で乳首をこすった。
「あ……」
鋭い針に刺されたようなくすぐったさを感じて、和代は戸惑いの声を漏らした。痛いのだけれど、くすぐったい。くすぐったいのだけれど……乳房全体が粟立つような感覚が生じて、それが胸全体に広がっていく。
「へっ。いっちょ前に感じてやがる。おっ勃ってきたぜ」
和代自身、乳首が固くしこるのを自覚している。だけでなく、腰の奥がもどかしく疼き始めた。それは『エッチな事』を考えたときと同じだとも理解している。
「こいつは、ほんとにぶち込んでもいけそうだな」
勝雄がレンズ越しに股間を覗き込んでつぶやいた。
「へえ。もしかして……」
主演男優が乳房から手を放すと股間をまさぐって……
「も゙お゙お゙っ……!」
乳房をつかまれたときよりもずっと切迫した悲鳴を和代があげた。
「なるほど、濡れてますぜ。ひょっとして、今のは善がり声か、おい?」
後半は和代に向かって言いながら、股間に突き立てた指をぐりぐりと抉った。
「も゙お゙、も゙お゙お゙っ……あえええ」
「それくらいにしといてやれ。せっかくの処女膜だ。傷つけちゃあ、後々の値打ちが下がる」
向こうから飛び込んできた獲物をエロ写真の被写体にするだけでは飽き足らず、勝雄はその先のことまで考えているのかもしれない……などと、和代が気づくはずもなかった。
「前戯まではじゅうぶんに撮りましたよ。ぼつぼつ本番……おっと、疑似でしたね。疑似本番をお願いしますよ」
「ええっ、もうすこし……いや、はいです」
主演男優が不服そうな顔をしたが、勝雄に睨まれてしょげ返った。そのせいか。いったん和代から離れて着衣を上下ともに脱いで全裸になったのだが、『棒の力』がうなだれていた。
「ええと……」
主演男優が和代を見下ろして。扱かせるなり握らせるなりさせたかったのだろうが、いわゆる自力更生で準備を整えた。
「このシーンで最後だ。もうちょっとだけ辛抱してくれよ」
意外と優しい言葉を勝雄に掛けられて、和代はすこしだけ安心したのだが。
「むうう……?!」
開いて押さえつけられていた足を男の肩に担ぎ上げられて、和代は羞恥に身悶えた。これまでだって、開脚の中心をレンズに覗き込まれたり、さんざん羞ずかしい思いをしていたのだが、足を持ち上げられ腰を浮かされては、もろに股間の奥まで見られてしまう。おころか、肛門までレンズに捉えられているかもしれない。
カシャ、シャクン。カシャ、シャクン。立て続けにシャッターが切られる。
カメラアングルを考えて身体を引いていた男が、いよいよ和代にのしかかってきた。
股間の割れ目を固くて太くて熱い物がつつく。
「む う う っ……い゙あ゙あ゙あ゙あ゙!」
犯される。狂乱した和代は腰を激しく揺すって逃れようとしたのだが。
「ついでに、他の体位もやっときますかい?」
「そうですね。バックとかフェラチオとか。それは他のお二人にお願いしましょうか」
強女女の現場だったら有り得ない、事務的で冷静な遣り取り。
和代の足は布団の上に戻されて、口に詰め込まれていたパンティも引っ張り出された。
主演男優は裸体のまま引き下がって、急いで服を脱いだ次の男が和代に向かい合った。和代を羽交い絞めにした男だった。
「そんじゃ、四つん這いになっちくれよ」
なにが「そんじゃ」なんだろうか。約束を守ってもらえると分かって心に裕りのできた和代は、男の身勝手な言葉を可笑しく思った。四つん這いになった後ろから写真を撮られると、それまでとは違った卑猥さが醸し出されるとまでは気づかずに、言われた通りのポーズを取った。
「やっぱり、強女女してるんだからな」
羽交い絞めの男は和代の右手をつかんで背中へねじ上げた。
「こっちのほうが、それらしく見えるぜ」
突っ張っている左手を払いのけられて、肩が布団に着くまで押し下げられた。
やはり、男が身体を離した位置で数枚撮影されてから――股間に怒張を押し当てられた。最初の時とは違って、淫唇を掻き分けて怒張が潜り込んでくる。けれど、多分ここが穴なんだと分かる位置で止まって、それ以上は押し挿れられなかった。
最後に男優がお調子者に替わって。今度は布団の上に正座させられた。
「脚を開いてくれよな」
膝の間に爪先を割り入れて開脚させ、その中に立って、男はさらに前へ進む。和代は直角近くまで脚を開かされた。
「こちょこちょ……」
男が足の指で和代の股間をくすぐる。
「ひどい……」
男性器を押し付けられるより、よほど屈辱的だった。それまでは堪えていた涙が、頬を伝った。のを、すかさずカメラが写し撮る。
「はい、あーん」
男は勃起を和代の唇に近づけた。
フェラチオという行為があることくらい、和代も知っている。でも、そんなのは男女が結ばれて、いっそう深い仲になって、そこから先のことだと思っていた。
「…………」
和代は顔をそむけて、縋りつくような眼差しで勝雄を見上げたのだが。
「口の中にゃ、処女膜なんてないからな。どうってこともないだろ」
この当時、性交とは男性器を女性器に挿入することのみに限定解釈されていた。それ以外の行為を男が女に強制しても、暴行とか強制猥褻は成立しても、少なくとも強女女罪には問われなかったのである。
「お願いです。これも真似事で済ませてください」
「マンコと違って、誤魔化しようがないぜ。せっかくここまで頑張ったんだ。覚悟を決めろ」
「でも、でも……」
和代にしてみれば。自分の体内に男性器を突っ込まれるという意味では、性器の結合も口淫も根本的な違いはなかった。いや、不潔な部位と不潔な部位とが交わる『せっくす』よりも、ずっと卑猥で淫らで背徳的な行為だった。
「てめえ、甘やかしてりゃあ、付け上がりやがって」
勝雄は持っていたコンパクトカメラを主演男優に手渡すと。和代の髪をつかんで牛蒡抜きに立ち上がらせた。右手を振り上げて。
ばしん、ばしん。部屋中に響く音を立てて往復ビンタを張った。髪の毛をつかまれていても、和代の顔が左右に大きく振れた。
「きゃあっ……!」
「おい、今のは撮ったか?」
「あ……うっかりしていました」
「てへへ。俺もです」
「ちっ、気が利かねえな。よし、もう一回だ」
「ごめんなさい。もう叩かないで!」
和代が金切り声を上げた。
「ちゃんとやります。赦してください」
無意識裡に両手を上げて交差させて顔をかばいながら、和代は赦しを乞うた。
「分かりゃあ、いいんだ」
勝雄は和代を布団の上に投げ出して、預けていたカメラを取り返した。
「それじゃ、撮り直しだ」
再び開脚正座をさせられ、半勃ちまで萎えた性器を口唇に押し当てられて。和代は泣きじゃくりながら口を開けて、それを受け容れた。
でろんとした生温かい蒟蒻のような棒を口中に含んで、息を止めていても男の獣じみた体臭が鼻腔を刺激する。一方、男性器そのものは、それほど味がしなかった。
なあんだ……たった、これだけのことだったんだ。拍子抜けする思いだったが。
「最初からあれこれは出来ないだろうし、したところでカメラには写らないからな。構わないから、ガシガシ突っ込んでやれ」
勝雄に促されて。男は和代の頭を両手でつかむと、怒張を口中深く突き挿れはじめた。
「む……ぶうう、んんんん……」
一突きごとに、口の中で怒張が固く太くなっていく。それで喉の奥を突かれて、吐き気が込み上げてきた。
「歯を立てるなよ。けど、もっとしっかり口を閉じていろ」
男は勝手なことを言いながら、和代の口をただの穴として乱暴に扱った。
「んんん……むぶっ……んんん」
激しく頭を揺すられて和代は、これまでに経験したもっとも酷い乗り物酔いの十倍は気分が悪くなった。耐えられずに目をつむると、もっとひどくなる。
吐いたりしたら、もっと厳しく折檻されると、本能的に悟って――和代は目の前で激しく動く男の腹と淫毛とを、見るともなしに眺めていることしかできなかった。
やがて、男の腰遣いがいっそう荒々しくなって。
口中の肉棒がびくびくっと痙攣するのを感じると同時に、熱い衝撃が上顎の奥に叩きつけられた。プールの塩素臭と魚のアラの生臭さとが混じったような異臭が脳天まで突き抜けた。
男が和代の頭を突きのけた。
「うげえええ……」
和代は口中に溜まっている汚物を吐き出して、ひとしきり嘔吐(えず)いた。
カメラが、引いた位置からその様までフィルムに写し撮った。
ぱさっと、バスタオルが肩に掛けられた。
「よく頑張ったな。迫真の写真になるぞ」
勝雄が猫撫で声で和代をいたわる。
迫真の写真とは、それだけ卑猥だという意味だろうとは、和代にも見当はつくのだが。なぜか屈辱には感じなかった。
たくさん売れて、早く借金を返せればいいな――と、それだけを考えるようにした。
勝雄のねぎらいは言葉だけではなかった。約束は三万円のモデル料だったが、さらに一万円をはずんでくれたのだった。とはいえ、実際に手渡されたのは一万円だけで、残りの三万円は借金と棒引きにされたのだから、勝雄としてはちっとも懐が痛まないのだが。
その一万円を和代は父に差し出したのだが、さすがに良心が咎めるのだろう、昭大は半分の五千円しか受け取らず、半分は和代の小遣いにさせたのだった。半分でも娘の恥辱の代償を我が物にしたというその行為は、客観的には非難されて然るべきものではあったろうが、和代としては一年半ぶりに父からお小遣いをもらったような気分になったのだから、脳天気といえば底無しの脳天気ではあった。
========================================

実は、ヒロイン(和子あらため和代)の性格が、再開後はいっそう奔放になってきました(上記は中断直前の部分です)。
『ロリくのいち』のヒロインの性格を引きずってる感じです。
ふう……。何本もの作品を併行執筆する売れっ子作家さんとか、何十年も後になって続編(たとえば『銀河帝国の興亡』とか『ガラスの仮面』とか)を書く作家さんは、端倪すべからず非ざる然るべき(つまり?)ですなあ。
恒例のDLsite Affiliate キーワードは「花売り」
Pressing Report Final:逝かされたって口は割らない
脱稿しました。8万1千文字(247枚)。
最後のドンデンでは、上杉領で根絶やしにされた「草」の身内が、ハルの裏切りのせいだと思い込んで、報復の拷問をする――というシーンを考えていましたが、「憎悪」の要素は無くても、「事務的な拷問」でも悦虐には至らないシーンを描けばそれでマゾヒズムの精神性をじゅうぶんに描けると考え直して――ドンデン拷問はあっさり目にしました。いえ、尺があっさりなのであって、内容はえぐいですよ。『濡墨』で千代が後半唯一自害を望んだ責めの再現です。
「おや、それシカ考えつかなかったのかえ?」
創造力貧困ですまんこってす。
今回は本題休憩。本編前の注記と後書を紹介しときます。
========================================
注記
この小説はヒロイン一人称で書かれています。その為、本文中で時刻や度量衡の換算はしていません(ヒロインにそんな知識は無いですから)。なお、読者各位におかれまして単位換算をされるときは、有効数字の桁数に留意してください。
一寸は厳密には三・〇三センチですが、「一寸半」という表記は四・五四五センチではなく四・五プラスマイナス〇・三センチを意味します。
3.03×(1.4~1.6)=4.24~4.84
四センは素敵だけど五センチは裂けちゃうという問題は……知らんがな。
十間は十八・一八mではなく二十m弱です。
この単位換算てやつは、最近は改善されてるのかもしれませんが、昔はひどかったですね。
「高度33000フィート(10584m)」なんてのが、TVのキャプションにありました。
あほか。並のパイロットがメートル単位で高度を維持できるか。
33000フィートは「約11000m」と換算するのが正しいのです。ドンブリで1万メートルでもよろしい。
後書(抜粋)
まずお断わりしておくのが『女忍び』と『くノ一』の違いです。本作品中では『くノ一の術』として、女忍が女の武器を行使する、いわば房中術として扱っています。これが本来の意味だったとウロオボエスの神話です。太平の世が続いた江戸時代(それとも近年の講談本?)で、言葉の意味が色々と変遷しているのです。
その言葉ですが。実は『陰核』とは元々は金玉のことであったとか。ネット検索だけで元文献には当たっていませんから、不確実ですが。そういったわけで、戦国時代(中世末期)らしい単語をあれこれ、まあ大半は丁稚揚げですけどね。於女子とか雛先とか。
守備範囲の江戸時代よりも昔ですから、時代考証には留意しました。『バンザイ』なんて江戸時代でも使えません。興味ある読者はググるなりビングるなりヤフるなり。
単語はお遊び半分ですが。お遊びといえば、舞台設定もそうですかしら。
これまで(特に時代劇では)場所も登場人物も架空のものでしたが、今回はなんと、上杉謙信統治下の越後領です。最初は、それっぽい地名を丁稚揚げるつもりでしたが、なんとなく三権分立もとい三強鼎立の舞台設定にして、必然的に上杉vs武田vs北条になってきて。ロリコンサディスト武士を上杉謙信のお稚児さんにしてしまって。こういうお話になりました。上杉謙信ホモ説はおろか女人説まであるのですから、ついでに養子二人の前に、(弱冠に達して)寵愛を失いかけている美青年くらいは居ても可笑しくないでしょう。
衆道の青年ですから、体形が稚児に似ている(ツルペタ)ハルに欲情するのです。兼恐怖快。
実は忍者にしても、最初は漠然と考えていました。甲賀や伊賀じゃ面白くないし、得体のしれない忍者集団といえば風魔かなとは、設定の当初から考えてはいましたが。調べてみて、北条と風魔が結びついていると知って、まさに天啓は舞い降りた。
上杉には軒猿がいました。個人名らしいですけど集団にしました。
そして。オーラスの拷問です。ごちゃごちゃ甚振らずに、さっさと『裏切者』として処断すべきなのに、なぜ自白を強要するのか。ここで、第三の忍者集団が北条家に売り込みをかけていて――というのを、土壇場で丁稚揚げました。この忍者集団は、歴史で習う『部の民』です。影働きをする部の民ですから影部です。筆者がKGBを知ったのは『ゴルゴ13』ですが、そのときから暖めていたギャグです。チョイ役ですが、とうとう陽の目を見ました。
にしても。この作品の直前に仕上げたのが『濡墨』です。時代劇の拷問のマゾのと、設定がかぶりまくりです。ので、ついつい『濡墨』に引っ張られて、責めの内容もかぶり気味です。
あと。過激な拷問としては、目を潰すとか腕を叩き切るとかもありそうですが。それではハッピーエンドになりません。なによりも、筆者は(膜と淫毛と包皮以外の)欠損を忌避します。そこで、大慌てで歯止めを設定する羽目になりました。「窮鳥懐に入らば煮て食おうと焼いて食おうと」以下のシーケンスです。唐突ですし論旨が取っ散らかっています。奇異に感じる読者がおられましたら、右の事情を御賢察ください。
========================================
それにしても。本作品は小説ですから、問題はありませんが。画像/映像では、「全裸の女忍者」は表現が難しいのでしょうね。
どうしても、着エロに偏ります。

DLS affiliate キーワードは「つるぺた 拷問」
さて。これから表紙絵BFを丁稚揚げて。校訂は書きながら1回済ませてるので、あと2回。
PIXIVに準拠した書式なので、WORD標準のやつも作って。
PIXIVのルビ [[rb:紅玉>ルビー]]
FC2のルビ <ruby>紅玉<rt>ルビー</rt></ruby>
WORDのルビ 紅玉
WILL様は、納品まであと1週間(弱)お待ちください。
その他読者様は、各サイトで発売する1年後まで待っててくれると嬉しいな。
最後のドンデンでは、上杉領で根絶やしにされた「草」の身内が、ハルの裏切りのせいだと思い込んで、報復の拷問をする――というシーンを考えていましたが、「憎悪」の要素は無くても、「事務的な拷問」でも悦虐には至らないシーンを描けばそれでマゾヒズムの精神性をじゅうぶんに描けると考え直して――ドンデン拷問はあっさり目にしました。いえ、尺があっさりなのであって、内容はえぐいですよ。『濡墨』で千代が後半唯一自害を望んだ責めの再現です。
「おや、それシカ考えつかなかったのかえ?」
創造力貧困ですまんこってす。
今回は本題休憩。本編前の注記と後書を紹介しときます。
========================================
注記
この小説はヒロイン一人称で書かれています。その為、本文中で時刻や度量衡の換算はしていません(ヒロインにそんな知識は無いですから)。なお、読者各位におかれまして単位換算をされるときは、有効数字の桁数に留意してください。
一寸は厳密には三・〇三センチですが、「一寸半」という表記は四・五四五センチではなく四・五プラスマイナス〇・三センチを意味します。
3.03×(1.4~1.6)=4.24~4.84
四センは素敵だけど五センチは裂けちゃうという問題は……知らんがな。
十間は十八・一八mではなく二十m弱です。
この単位換算てやつは、最近は改善されてるのかもしれませんが、昔はひどかったですね。
「高度33000フィート(10584m)」なんてのが、TVのキャプションにありました。
あほか。並のパイロットがメートル単位で高度を維持できるか。
33000フィートは「約11000m」と換算するのが正しいのです。ドンブリで1万メートルでもよろしい。
後書(抜粋)
まずお断わりしておくのが『女忍び』と『くノ一』の違いです。本作品中では『くノ一の術』として、女忍が女の武器を行使する、いわば房中術として扱っています。これが本来の意味だったとウロオボエスの神話です。太平の世が続いた江戸時代(それとも近年の講談本?)で、言葉の意味が色々と変遷しているのです。
その言葉ですが。実は『陰核』とは元々は金玉のことであったとか。ネット検索だけで元文献には当たっていませんから、不確実ですが。そういったわけで、戦国時代(中世末期)らしい単語をあれこれ、まあ大半は丁稚揚げですけどね。於女子とか雛先とか。
守備範囲の江戸時代よりも昔ですから、時代考証には留意しました。『バンザイ』なんて江戸時代でも使えません。興味ある読者はググるなりビングるなりヤフるなり。
単語はお遊び半分ですが。お遊びといえば、舞台設定もそうですかしら。
これまで(特に時代劇では)場所も登場人物も架空のものでしたが、今回はなんと、上杉謙信統治下の越後領です。最初は、それっぽい地名を丁稚揚げるつもりでしたが、なんとなく三権分立もとい三強鼎立の舞台設定にして、必然的に上杉vs武田vs北条になってきて。ロリコンサディスト武士を上杉謙信のお稚児さんにしてしまって。こういうお話になりました。上杉謙信ホモ説はおろか女人説まであるのですから、ついでに養子二人の前に、(弱冠に達して)寵愛を失いかけている美青年くらいは居ても可笑しくないでしょう。
衆道の青年ですから、体形が稚児に似ている(ツルペタ)ハルに欲情するのです。兼恐怖快。
実は忍者にしても、最初は漠然と考えていました。甲賀や伊賀じゃ面白くないし、得体のしれない忍者集団といえば風魔かなとは、設定の当初から考えてはいましたが。調べてみて、北条と風魔が結びついていると知って、まさに天啓は舞い降りた。
上杉には軒猿がいました。個人名らしいですけど集団にしました。
そして。オーラスの拷問です。ごちゃごちゃ甚振らずに、さっさと『裏切者』として処断すべきなのに、なぜ自白を強要するのか。ここで、第三の忍者集団が北条家に売り込みをかけていて――というのを、土壇場で丁稚揚げました。この忍者集団は、歴史で習う『部の民』です。影働きをする部の民ですから影部です。筆者がKGBを知ったのは『ゴルゴ13』ですが、そのときから暖めていたギャグです。チョイ役ですが、とうとう陽の目を見ました。
にしても。この作品の直前に仕上げたのが『濡墨』です。時代劇の拷問のマゾのと、設定がかぶりまくりです。ので、ついつい『濡墨』に引っ張られて、責めの内容もかぶり気味です。
あと。過激な拷問としては、目を潰すとか腕を叩き切るとかもありそうですが。それではハッピーエンドになりません。なによりも、筆者は(膜と淫毛と包皮以外の)欠損を忌避します。そこで、大慌てで歯止めを設定する羽目になりました。「窮鳥懐に入らば煮て食おうと焼いて食おうと」以下のシーケンスです。唐突ですし論旨が取っ散らかっています。奇異に感じる読者がおられましたら、右の事情を御賢察ください。
========================================
それにしても。本作品は小説ですから、問題はありませんが。画像/映像では、「全裸の女忍者」は表現が難しいのでしょうね。
どうしても、着エロに偏ります。

額の鉢金と鎖帷子(実は全身網タイツ)は必須アイテムらしいです。
女子校生なら、こういう優れた画像があります。

リボンタイひとつで表現しきっております。
まあ。本作品の表紙絵も、女忍者の格好にはこだわりません。なにしろ、捕縛されたときに「縄脱け防止」の大義名分で、いきなり素っ裸にされますので。え? 腰巻とか褌? そんなもの、ヒロインは着けていません。女の子は初潮を迎えて「腰巻祝」をするまで、下はスッポンポンです。これは男の子にも当てはまりますが、「褌祝」と精通は関係ないみたいです。
女子校生なら、こういう優れた画像があります。

リボンタイひとつで表現しきっております。
まあ。本作品の表紙絵も、女忍者の格好にはこだわりません。なにしろ、捕縛されたときに「縄脱け防止」の大義名分で、いきなり素っ裸にされますので。え? 腰巻とか褌? そんなもの、ヒロインは着けていません。女の子は初潮を迎えて「腰巻祝」をするまで、下はスッポンポンです。これは男の子にも当てはまりますが、「褌祝」と精通は関係ないみたいです。
DLS affiliate キーワードは「つるぺた 拷問」
さて。これから表紙絵BFを丁稚揚げて。校訂は書きながら1回済ませてるので、あと2回。
PIXIVに準拠した書式なので、WORD標準のやつも作って。
PIXIVのルビ [[rb:紅玉>ルビー]]
FC2のルビ <ruby>紅玉<rt>ルビー</rt></ruby>
WORDのルビ 紅玉
WILL様は、納品まであと1週間(弱)お待ちください。
その他読者様は、各サイトで発売する1年後まで待っててくれると嬉しいな。
Pressing Report 2:逝かされたって口は割らない
15日間で195枚。休日が5日あったことを考えると、それほど速いペースでもないですね。
しかも、あとちょっと(200枚くらい)で、明示してあるPLOTが終わって、ドンデンドンデンデンデン、プワァー(というふうに聞こえるのです「ツァラトゥストラ斯く語りき』は)これが、さて50枚……未満か。
まあ、PLOTが長いせいもありますが、筆者はつくづく「長くて硬い(Hard)」ものが好きですな。しかも本人は骨太のつもりでいるし。
S学生時代が嘘のようです。文脈に関係なく禁止ワードが発動します。
「3枚以上の作文」が宿題に出たら、
『日曜に家ぞくでゆう園地に行きました。ボートにのってかんらん車にのって、しば生でおべん当を食べて……』
必ず3枚目の1行が『楽しかったです。』で終わってましたもの。
まあ、今でもSFの方では発作的に(1年に1本くらいは)ショートショートを書いてますし、『修学旅行Mデビュー』が86枚、『真剣裸勝負』が70枚ですから、短いのも書けるんでしょうね。
さて。今回ご紹介するのは、微リョナくらいですか。最後の拷問です。
ドンデンドンデンでは、味方からさらに苛酷な責めを受けるかもですが、実は拷問の内容は決めていません。明日以降に書きながら決めます。いや、決めながら書きます。
========================================
極虐
捕らえられてから七日間責められ続けて。気力体力ともに弱っていたと痛感したのは、檻の中で静養させられていた二日の間にめきめき恢復していくのが実感できたせいだった。山のてっぺんとはいわないけど中腹から麓を眺めて、うわあ、あんな遥か下でうろちょろしてたんだと驚く――そんな感じだった。指も於女子も尻穴も、まだ傷だらけのままだけど、くノ一の術はなんとか使えるぞ(と思う)。
けれど。中二日の安逸の後に待っていたのは、くノ一の術も使いようのない、おれを女として辱めるんじゃなくて、生きた昆虫の翅を毟り取るような残虐な責めだった。
檻から引き出されると、縄ではなく太い鎖で高手小手に縛られた。胸にも鎖が回されて――ずうんと身体が沈み込むと感じるくらいに、鎖が重たい。冷たい鉄が気色悪いし、身体を動かすと鎖と鎖が擦れ合って軋む。縄で緊縛されるのとは、まったく異なる。足首にも同じ鉄鎖が巻かれて、歩幅を一尺半ほどに狭められた。
ここまでは、元気を取り戻したおれの抵抗を封じる意味があるんだろうけど。
腰にも鎖をきつく巻かれて、後ろから前へ回した鎖に於女子を割られた。ぎりぎりと食い込ませて、腰の鎖と重ねて小さな楔で留められた。楔から先にも一間半は鎖が延びている。そうか。おれを引き回すつもりなんだな。
立っているだけでも痛いのに、鎖を引っ張られると、さらに於女子に食い込んでくる。
「さっさと歩け」
左内の采配で二人の下忍がおれを前後から挟んで、鎖を引っ張り尻を六尺棒で叩く。
じゃらん、がぢゃん、じゃらん。
一歩ごとに足の鎖が鳴って、於女子の肉襞が鎖に擦れる。女穴にまで食い込むと三角木馬に切り裂かれた傷が灼けるように痛むので、へっぴり腰になっちまう。
裏庭へ引き出されても、謙吾の姿はなかった。
鎖の重さが倍に増えた気分。左内は忍びだ。必要なら、どんな残虐なことだって平然としてのける。今日一日が終わったとき、おれは……殺されてはいないだろうが、半殺し(には、何度もされてる)どころか九分殺しにされてるだろう。
小さな通用門を潜って、牢屋敷の外まで引き出された。そこに謙吾が居た。
ふうっと安堵の息が漏れた。愛しいとか、こいつになら甚振られてもいいとか、そんなんじゃないぞ。謙吾なら、九分殺しじゃなくて七分殺しくらいに手加減してもらえそうだからだ。
謙吾は馬に乗っている。おれを見下ろして、降りようとはしない。
「狭い檻に籠りきりで陽にも当たらねば、気もふさぎ性根もひねくれよう」
閉じ込めてるのはてめえじゃねえか。
「今日は遠乗りの供をさせてやろう。素裸に陽と風を受けて存分に走り回れば、気分も晴れようぞ」
くそ。野晒じゃ飽き足らず、引き回そうってのか。野晒にされたときも、刑場までは股座を縄で縦に割られてたっけ。
おれの股座から延びてる鎖が、馬の尻尾に括り付けられた。おい、ちょっと待てよ。まさか……
「行くぞ。しっかり付いて来いよ。転んでも止まってはやらんぞ」
言うなり、謙吾は正面に向き直って馬腹を蹴った。
ぽくぽくと馬が歩き始めた。すぐに、鎖がぴいんと張って。
ぶふうう……不快げに鼻息を吹くと、馬はさらに歩を進めた。
「くっ……」
おれは慌てて歩き始めた。引き倒されたら、そのまま地べたを引きずられる。繰り返すけど、おれは素っ裸だぞ。たちまち肌を擦り剥く――なんて生易しいもんじゃない。今度こそ因幡の白兎にされちまう。
謙吾が、おれを振り返った。付いて来てるのを確かめたって感じじゃなくて。縛られたおれが鎖の重みによたよたしながら、一尺半に制限された歩幅でちょこちょこ歩いてるのを眺めて愉しんでやがる。
やつの瞳に情欲の陽炎が揺らめいてる。それを知った途端に――あの熱い痺れが女穴の奥で渦巻いた。だけでなく、心の臓が早鐘のように打ち始めた。
おれの惨めな姿が謙吾を悦ばせるのなら、もっと惨めにされてもいい。おれを甚振って欲情するのなら、もっと甚振ってくれ。
何を血迷ってるんだろう。やつがおれに執着するのは、分からないでもない。やつにとって、おれは初めての女(ちょっと穴が違うけどな)だ。でも、おれにとっては二番目でしかないんだぞ。まあ……幸兵衛小父とはくノ一の稽古だったから、真剣仕合としては、おれも謙吾が初めての相手だった。だけど、おれは……搦手門でも糧道でも、見事謙吾を討ち取ったんだぞ。そんな弱っちい男に虐められたいだなんて……そんなこと、おれが思うわけがねえだろ。
謙吾が、おれに笑顔を見せた。そして、前に向き直ると……
「はいっ……」
手綱を送って、足並を早くした。
うわわ……腰をがくんと引かれて(脳天まで突き抜けるほど、於女子に鎖が食い込んで)、たたらを踏みながら、おれは駈け足になった。
じゃらじゃらじゃらじゃら……足の鎖が宙を跳ねる。 馬は軽々と速足で進んでるけど、おれは全力疾走。そのまま一町ほど駈けたあたりで、謙吾のやつは馬の尻に鞭をいれた。
馬が、ぐんっと脚を速めた。蹄が四つとも宙を翔ぶ。軽装の(もちろん縛られていない)足軽でも追い付けない速さだ。
「うわわっ……」
一瞬にして、おれは引き倒された。そのまま、ざりざりと地面を引きずられる。
じゃらららら……おれの身体を縛っている鎖が鎧代わりになって、すこしは肌を護ってくれた。けど、腕もせなかも尻も腿も、たちまち肌が裂けて……くそ、こういう痛みだと熱い痺れが湧いてくれない。
なのに。謙吾がおれを甚振ってる。そう思うと、肌を切り裂く激痛が甘美に感じられる。
引きずられたのは、せいぜい二十間か三十間だろう。だから、馬が止まったときに、おれはどうにか立ち上がれた。また走り出されたら引き倒されるに決まってるのに。
何て言うのかな。これしきのことで降参してちゃ、謙吾をがっかりさせ……じゃない。風間忍びの沽券に係わるからに決まってる。
「ふむ。なかなか頑張りおるな」
謙吾に褒められて嬉しく……なんか、ないやい。
左内はいつの間にか馬で謙吾と並んで走っていたが、二人の下忍は徒歩で馬の駈け足に付いて来てる。
「では、もうひと走りするぞ」
謙吾は左内に声を掛けて、けれど並足で馬を進めた。おかげで、なんとか転ばずに歩けた。全身擦り傷だらけ。皮膚があちこち剥けて、痛くないとこが無いってくらいだけど。乳首は無事だった。いくらなんでも、むねのささやかな膨らみが鎖の厚みに負けてたわけじゃないぞ。転んだとき、仰向けになったからだ。尻は猿みたいになったけどな。
牢屋敷なんて剣呑で不浄な場所は、街はずれに追いやられてる。さすがに街道筋を引き回すのは憚ったらしく、畦道のようなところばかりだったが、それでも近在の農民の目に晒されてたんだろうけど。馬を追い掛けるのがやっとで、どんなやつと何人くらいすれ違ったかも、まったく覚えてない。
他人の目に気づいたのは――小川の畔で馬が止まったときだった。田圃に水を引く堰があって、そこで女子供を交えて十何人かで普請をしている。男どもは手を休めて見物を始めるし、女どもは子供をおれがみえない所まで連れ去った。
「今日は蒸し暑い。ちと水浴びなどしたいが、構わぬであろうな」///1st
堰から五間ばかり上流へ連れて行かれて、鎖で縛られたまま川の中へ追い立てられた。
謙吾は馬から降りて下帯ひとつになると、おれの鎖を持って、じゃぶじゃぶと川へ入って行った。
鎖を引っ張られて、おれも川へ足を踏み入れた。すぐ下流で堰き止められているので、幅が二間しかないくせに脚がすっぽり浸かるくらいに深い。冷たい水に傷が洗われて、ちょっぴり沁みるけど心地好い。
謙吾はおれを引き寄せると、一間半の鎖をおれの首に巻き付けた。そして……おれの足を払って肩を突いた。
うわわっ……ざぶんと、頭まで水に沈んだ。起き上がろうとしたけど、首に巻かれた鎖が重くて身体を起こせない。足の鎖に邪魔されて立ち上がれない。
くそっ。こんなところまで引き出して、また水責めかよ。
じゃなかったみたいだ。じたばた足掻いても息が苦しくなるだけだからじっとしてると、髪をつかんですぐに引き上げてくれた。
「今日は、ずいぶんとしおらしいな」
目が嗤ってやがる。
「煮て食おうと焼いて食おうと意のままなんだろ。好きにしろよ」
なんで、相手をけしかけるような返事をするかな。案の定。
「なるほど。では、こうしてくれよう」
首の鎖を引っ張られて、仰向けに沈められた。どすんと腹を踏んづけられて、大量の泡を吹いた。ぐりぐりと腹を踏みにじられる。そのたびに、ぼこぼこと泡を搾り出されて、ついに息を吐き切ってしまった。腹の皮が背中にくっつくほど踏みつけられているので、息を吸いたくても吸えない。そのおかげで肺腑に水を吸わなくて済んでいるけど……急速に目の前が暗くなっていく。びくんびくんと全身の痙攣が始まった――ところで、引き上げてもらえた。
「もう一度、溺れさせてやろうか」
「堪忍してくれよお……」
我ながら情けない、哀れっぽい声。半分は芝居だ。こいつなら、きっと赦してくれる。
「よかろう。では、息を整えろ」
何か企んでるのは分かってるが、それが分かったところで、おれには抗う術もない。あれこれ考えないで、深呼吸を続けた。
謙吾は水の中で下帯を解いてる。ということは……
「くノ一の術で、おれの精を絞り取ってみろ。出来たら赦してやる」
今度は頭を押さえて沈められた。目の前に、鉄槍どころか鉄杭がある。おれを甚振ることで、こんなにも興奮するんだ。なんか、胸がきゅうんとねじれてきたけど、女穴を痺れさせてるときじゃない。
おれは水中で跪くと、膝を開いて身体を安定させた。
ぱくんと鉄杭を咥えて、知っている限りのくノ一の術を駆使した。息が続くうちに吐精させるのは、謙吾がその気になってくれていても難しい。
あむあむもぐもぐ……息を吸って唇を震わす術は、水の中では使えないと分かった。ので、歯に唇をかぶせて強めに竿を噛んで。頭を前後に揺すった。これも、水の中では動かしにくい。
吐精の前には金玉が吊り上がって、いよいよになると亀頭がぐんと膨れてくる。その兆しも無いままに……頭が、がんがんして、目の前が薄暗くなってくる。
謙吾の手が、おれの頭をつかんだ。そして、激しく腰を遣い始めた。ばしゃばしゃと水面が激しく揺れる音が、水中のおれにまで聞こえた。これは、おれを虐めてるんじゃなくて助けてくれてるんだ。そう思ったから、気力を振り絞って……舌で裏筋を舐め、歯の先で雁首をしごいた。
口の中で於珍宝が、ぐぐっと膨れて……口の中の水が揺れた。直後に、髪をつかんで牛蒡抜きにされた。
「げふっ……」
水を吐き出して息を貪った。
ばしん! ばしん!
頬桁を張られて、痛いよりも呆然が先に立った。おれ、何か怒らせるようなことをしたかな。
「誰が吐き出して良いと言った。この莫迦者が」
飲めと言われたことも無いぞ。そりゃまあ、男の精を飲むのは(男が悦ぶから)くノ一の基本だけど。
弁解の余地も与えられず、また水に沈められた。どうすれば良いのか見当はついたので。まだ萎えていない於珍宝を咥え直して、強く息を吐いて口の中の水を追い出してから、竿の中に残っている精汁を吸い出した。
水から引き上げられると、口を開けて精汁が(わずかだけど)残っているのを見せてから、ごっくんと飲み下してみせた。
「これからは二度と吐き出したりしないから、堪忍してくれよお」
思いっ切りしおらしく謝ってやったんだけど。これって、忍びにあるまじき命乞いだと気づいた。「これからは二度と」ってことは、これからも、こういうことをさせてくれ。つまり殺さないでくれってことだ。
いや、違う。謙吾は篭絡しやすいから、芝居してやったんだ。左内が相手だったら、こんなこと言うもんか。
計算通り、謙吾は上機嫌になって、水浴びはおしまいにしてくれた。
「ずいぶんと参っておるようじゃな。帰りは馬で運んでやろう」
へっ。ちょろいもんだぜ……てのは、さすがに見くびり過ぎてた。
おれはすべての鎖を解かれて。馬の背に乗せられたんじゃなくて、下から馬の腹にしがみつく形にされて、手足を縛られた。腋の下と腰にも縄を巻かれたから、ちっとも苦しくはないんだけど。こいつは牡馬だった。おれが牝だって分かるんだろうな。人間とは桁違いにでかい竿が鎌首をもたげて、おれの股座をつつきながる。これだけでかけりゃ挿入っちまう心配はない……と、思うぞ。
馬が歩き始めると竿も揺れて――それが刺激になるんだろうな。ますます硬くして、先っぽが於女子にめりこみそうになる。
くすぐったいし、傷が痛いし。それよりも、畜生にまで犯されてるみたいで、羞ずかしいし惨めになってくる。なのに……これが、謙吾の意図したことだ。謙吾に嬲られてるの同じだと思うと。あの熱い痺れが沸き起こってきて、蜜まで垂れてくる。これじゃ、おれが馬の於珍宝につつかれて発情してるみたいじゃないか。
くそ……なんで、謙吾の乗馬に縛り付けてくれたんだよ。左内の馬だったら、謙吾も良く見えた……違うぞ。こんな惨めな姿を謙吾に見られたいなんて、断じて思ってなんかいないんだからな。
悶々としたまま、牢屋敷へ帰り着いて。
おれは、すべての鎖を解かれて、裏庭の松の木の枝から吊るされた。両足は縄で引っ張られて、人の字形。
「川で洗っても、まだ血がこびり付いておるな。綺麗にしてやろう」
穿鑿所に控えていた下人が、縄束と甕を持ってきた。謙吾が、縄束を甕に突っ込んで掻き回した。甕から取り出された縄束は白い粉にまみれていた。
謙吾がおれの正面に立って、縄束を振るった。
びちゃあん!
「ぎひいいっ……」
皮膚が剥けた肌を縄束で叩かれたら、激痛なんてもんじゃない。灼けた鉄線で切り裂かれるような衝撃だった。しかも、叩かれた後も無数の針に突き刺されるような痛みが残る。
びちゃあん! びちゃあん!
「ぎゃああああっ……」
叩かれたところに目を凝らすと、白い砂粒が散らばっていた。これ、塩だ。傷口に塩を塗るとはいうけれど、これは――傷口に塩を叩きつけられてる。
びちゃあん! びちゃあん! びちゃあん! びちゃあん!
謙吾はおれのまわりを右に左に動きながら、裏も表も全身隈なく縄束で打ち据えやがった。そして、これが仕上げだといわんばかりに、縄束にたっぷりと塩をまぶして。おれの正面に戻って、右手をだらんと垂らした。
「あわわわ……」
さすがのおれも、歯の根が合わない。なんとか腿を閉じ合わせようとしたけど、大股開きに縛られてるんだから、どうにもならない。
ぶゅんっ……謙吾が右手を撥ね上げて。
ばっぢゃあん!
「ぎゃわあああっ!」
於女子から脳天まで灼熱の激痛が突き抜けた。同時に、女穴の奥にも別の灼熱が噴き上げて……おれは悶絶した。
――激しく咳き込んで、おれは正気づいた。鼻先に小皿が突きつけられて、松葉を燻した煙が濛々と立ち昇っていた。
「ようやくに目を覚ましたか」
謙吾が真上からおれを覗き込んだ。
おれは梯子に縛り付けられていた。捕まった最初の日に、今にして思えばちゃちい色責に掛けられたときと同じ流儀だ。違うのは、両脚を蛙みたいに開かされて、足の裏をくっつけて縛られてるってところだ。
おれはくノ一の女忍びだから、於女子がくばあっと開いて羞ずかしいとは、ちっとも思わないけど。女穴に六尺棒を突っ込まれるか自然薯の張形を押し込まれるか、それとも本物で犯されるか。出来るなら、どれも赦してほしい。だって、三角木馬で傷つけられて、まだ治っていない。
「こうして見ると、まるで本物の鶏冠じゃな。縁がぎざぎざに切り刻まれておるわ」
これだけ脚を開かされると、於女子は熟れた木通みたいに、ぱっくりと口を開ける。そして、内側の肉襞が顔をのぞかせる。その縁が三角木馬で傷つけられてることを、謙吾は揶揄っている。こんなふうにしたのは、おまえじゃないか。
「あまり痛めつけても可哀そうじゃな」
なんてことを言いながら、指で女穴を穿ちながら雛先を掘り起こす。
くううっ……やめろ。気持ち好いじゃないか。
くりくりっと摘ままれて、細い稲妻が腰の奥まで突き抜けた。気持ち好いだけで痛くもないのに、熱い痺れがじんわりとわだかまってくる。
「きひいっ……」
不意打ちに爪を立てられて、悲鳴を上げちまった。
でも、それで謙吾は満足したんだろう(おれは満足してない)、於女子を弄ぶのはやめやがった。
二人の下忍が、おれの左右に立った。これ見よがしに下帯を抜き取って二つに畳んだ。それを、おれの口にかぶせる。幅が広いので、鼻から顎まですっぽり隠れた。下帯の紐が頭の後に通されて、反対側で布の折り返しを踏桟に結び付けた。
二本目の下帯が、紐が反対側にくるように重ねてかぶせられて、同じように紐で踏み桟に結び留められた。
水を張った手桶が横に置かれて。左内が二人の下忍と入れ替わった。手に柄杓を持っている。
「さて。憎まれ役は儂が引き受けるとしよう」
左内は手桶から水を柄杓に掬って、おれの顔にゆっくりと垂らし始めた。
おれは息を止めて様子をうかがっていたが、二杯三杯と水を垂らされるうちに、下帯の布が顔に張り付いてきた。息をしようにも、布に染みた水ばかりが鼻に入ってくる。
たまらずに大きく口を開けて。水を吸わないよう、ゆっくりと息を……
「げふっ……うぶうう」
口を狙って水をぶっ掛けられた。息を止める前に、したたかに水を吸い込んあ。咳をすると、いっそう吸い込む。口を閉じたけど、布も咥え込んじまって、かえって苦しい。口を半開きにして、舌で布を押し戻しながら……
「ぶはっ……げふ、げふふっ」
また水をぶっ掛けられた。
ぼぐっ……腹を殴られた。
「あぐっ……げふっ……ぶばわあああ!」
息を吐き出してしまい、反動で無意識に水混じりの息を吸い込んでしまった。しばらくは、吐き気と咳が止まらない。
考えようによっては、逆吊の水責よりも残酷だ。水を一緒に吸い込むとはいえ、まったく息が出来ないわけじゃない。だから、おいそれとは気絶させてもらえない。
しかも。上から覗き込む左内の顔が見えている。まるきり無表情で、おれが苦しむ様を冷酷に観察してやがる。こんなやつの顔なんか見ていたくない。
おれは顔を左右に巡らして(それくらいの動きじゃ、布は鼻と口にへばり付いたままだ)謙吾の顔を探した。梯子を挟んで左内の反対側、おれの腰のあたりから眺めている。左内とは対照的に、目をぎらつかせ口元に嗜虐の笑みを浮かべて――袴の前を突っ張らかせてる。
左内は、おれを白状させようとして拷問している。おれは敵方の忍びなんだから、当然だ。いうなら、仕事だ。
しかし謙吾は、拷問されて悶え苦しむおれを見て欲情している。やつ自身の嗜虐だ。敵も味方もない。おれが女で、しかも、やつの好みに合った稚児っぽい餓鬼だからだ。
憎むなら、左内よりも謙吾だ。なのに……謙吾に愉しまれていると思うと、女穴の奥が熱く痺れてくる。胸が苦しくなってくる。くそお。どうかしてるぞ、おれ。
左内が柄杓を手桶に戻すと、別の得物を下忍から受け取った。
それを見て、おれは全身から血の気が引いた。これまでに受けた拷問のすべてが遊びだったと思えるほどの凄絶な苦痛を想像して……背中に鳥肌を立てながら、女穴の奥を熱く痺れさせた。
それは本物の擂粉木だった。太さも長さも、大きめの於珍宝と変わりはない。けど、何本もの釘が打ち込まれている。擂粉木から丁字形の頭が突き出ている。尖った釘先が突き抜けている。こんなのを突っ込まれたら……二度と使い物にならなくされる。
「ぶぼぶじゅ……ぼぼびじょび……」
空いたほうの手で、左内が布をずらしてくれた。
「嘘つき。もう痛めつけないって言ったじゃないか」
仕返しに怯えながら、それでも謙吾を詰った。
「それは杉下殿の言葉じゃ。儂の知ったことではない」
左内は布を元に戻して。手桶を持ち上げて、中の水をおれの顔にぶっ掛けた。
「ぶはっ……げふっ……」
左内が、おれの太腿のあたりに位置を変えた。
「ちと痛いが、我慢せい。これで頭陀頭陀に引き裂いた痕が癒着すれば、数の子天井と蚯蚓千匹を兼ね備えた名器になるぞ」
声が嗤ってるから、絶対に嘘だ。
「謙吾……さま」
初めて敵の首魁の名を呼んだ。憐れんで欲しいからサマまで付けて。
「いいのかよお。おれの於女子、壊れちまうぜ」
ちっとも憐れんでくれなかった。
「不浄の血を流す穴なぞ、俺は使わん」
くそ……言うに事欠いて。おまえの使う穴なんか、毎日のように不浄をひり出すくせに。
「名器になれば、杉下殿も気が変わるやも知れぬぞ」
左内は冷徹な拷問吏の票所を保ったまま、擂粉木をおれの股間に突きつけて……
ずぐしゅ……そんな音が聞こえたように思った。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」
おれは息の続く限り絶叫した。
目の前が真っ赤になって白い星が無数に飛び交って……女穴の奥も真っ赤に痺れて。
おれは悶絶した。
========================================

前回のBFは、モデルが合法年令だったので、しかもBMIに難があったので、今回は首から下を横幅だけ85%に縮小しました。
DLsiteアフィリエイト キーワードは「ロリ 拷問」です。
しかも、あとちょっと(200枚くらい)で、明示してあるPLOTが終わって、ドンデンドンデンデンデン、プワァー(というふうに聞こえるのです「ツァラトゥストラ斯く語りき』は)これが、さて50枚……未満か。
まあ、PLOTが長いせいもありますが、筆者はつくづく「長くて硬い(Hard)」ものが好きですな。しかも本人は骨太のつもりでいるし。
S学生時代が嘘のようです。文脈に関係なく禁止ワードが発動します。
「3枚以上の作文」が宿題に出たら、
『日曜に家ぞくでゆう園地に行きました。ボートにのってかんらん車にのって、しば生でおべん当を食べて……』
必ず3枚目の1行が『楽しかったです。』で終わってましたもの。
まあ、今でもSFの方では発作的に(1年に1本くらいは)ショートショートを書いてますし、『修学旅行Mデビュー』が86枚、『真剣裸勝負』が70枚ですから、短いのも書けるんでしょうね。
さて。今回ご紹介するのは、微リョナくらいですか。最後の拷問です。
ドンデンドンデンでは、味方からさらに苛酷な責めを受けるかもですが、実は拷問の内容は決めていません。明日以降に書きながら決めます。いや、決めながら書きます。
========================================
極虐
捕らえられてから七日間責められ続けて。気力体力ともに弱っていたと痛感したのは、檻の中で静養させられていた二日の間にめきめき恢復していくのが実感できたせいだった。山のてっぺんとはいわないけど中腹から麓を眺めて、うわあ、あんな遥か下でうろちょろしてたんだと驚く――そんな感じだった。指も於女子も尻穴も、まだ傷だらけのままだけど、くノ一の術はなんとか使えるぞ(と思う)。
けれど。中二日の安逸の後に待っていたのは、くノ一の術も使いようのない、おれを女として辱めるんじゃなくて、生きた昆虫の翅を毟り取るような残虐な責めだった。
檻から引き出されると、縄ではなく太い鎖で高手小手に縛られた。胸にも鎖が回されて――ずうんと身体が沈み込むと感じるくらいに、鎖が重たい。冷たい鉄が気色悪いし、身体を動かすと鎖と鎖が擦れ合って軋む。縄で緊縛されるのとは、まったく異なる。足首にも同じ鉄鎖が巻かれて、歩幅を一尺半ほどに狭められた。
ここまでは、元気を取り戻したおれの抵抗を封じる意味があるんだろうけど。
腰にも鎖をきつく巻かれて、後ろから前へ回した鎖に於女子を割られた。ぎりぎりと食い込ませて、腰の鎖と重ねて小さな楔で留められた。楔から先にも一間半は鎖が延びている。そうか。おれを引き回すつもりなんだな。
立っているだけでも痛いのに、鎖を引っ張られると、さらに於女子に食い込んでくる。
「さっさと歩け」
左内の采配で二人の下忍がおれを前後から挟んで、鎖を引っ張り尻を六尺棒で叩く。
じゃらん、がぢゃん、じゃらん。
一歩ごとに足の鎖が鳴って、於女子の肉襞が鎖に擦れる。女穴にまで食い込むと三角木馬に切り裂かれた傷が灼けるように痛むので、へっぴり腰になっちまう。
裏庭へ引き出されても、謙吾の姿はなかった。
鎖の重さが倍に増えた気分。左内は忍びだ。必要なら、どんな残虐なことだって平然としてのける。今日一日が終わったとき、おれは……殺されてはいないだろうが、半殺し(には、何度もされてる)どころか九分殺しにされてるだろう。
小さな通用門を潜って、牢屋敷の外まで引き出された。そこに謙吾が居た。
ふうっと安堵の息が漏れた。愛しいとか、こいつになら甚振られてもいいとか、そんなんじゃないぞ。謙吾なら、九分殺しじゃなくて七分殺しくらいに手加減してもらえそうだからだ。
謙吾は馬に乗っている。おれを見下ろして、降りようとはしない。
「狭い檻に籠りきりで陽にも当たらねば、気もふさぎ性根もひねくれよう」
閉じ込めてるのはてめえじゃねえか。
「今日は遠乗りの供をさせてやろう。素裸に陽と風を受けて存分に走り回れば、気分も晴れようぞ」
くそ。野晒じゃ飽き足らず、引き回そうってのか。野晒にされたときも、刑場までは股座を縄で縦に割られてたっけ。
おれの股座から延びてる鎖が、馬の尻尾に括り付けられた。おい、ちょっと待てよ。まさか……
「行くぞ。しっかり付いて来いよ。転んでも止まってはやらんぞ」
言うなり、謙吾は正面に向き直って馬腹を蹴った。
ぽくぽくと馬が歩き始めた。すぐに、鎖がぴいんと張って。
ぶふうう……不快げに鼻息を吹くと、馬はさらに歩を進めた。
「くっ……」
おれは慌てて歩き始めた。引き倒されたら、そのまま地べたを引きずられる。繰り返すけど、おれは素っ裸だぞ。たちまち肌を擦り剥く――なんて生易しいもんじゃない。今度こそ因幡の白兎にされちまう。
謙吾が、おれを振り返った。付いて来てるのを確かめたって感じじゃなくて。縛られたおれが鎖の重みによたよたしながら、一尺半に制限された歩幅でちょこちょこ歩いてるのを眺めて愉しんでやがる。
やつの瞳に情欲の陽炎が揺らめいてる。それを知った途端に――あの熱い痺れが女穴の奥で渦巻いた。だけでなく、心の臓が早鐘のように打ち始めた。
おれの惨めな姿が謙吾を悦ばせるのなら、もっと惨めにされてもいい。おれを甚振って欲情するのなら、もっと甚振ってくれ。
何を血迷ってるんだろう。やつがおれに執着するのは、分からないでもない。やつにとって、おれは初めての女(ちょっと穴が違うけどな)だ。でも、おれにとっては二番目でしかないんだぞ。まあ……幸兵衛小父とはくノ一の稽古だったから、真剣仕合としては、おれも謙吾が初めての相手だった。だけど、おれは……搦手門でも糧道でも、見事謙吾を討ち取ったんだぞ。そんな弱っちい男に虐められたいだなんて……そんなこと、おれが思うわけがねえだろ。
謙吾が、おれに笑顔を見せた。そして、前に向き直ると……
「はいっ……」
手綱を送って、足並を早くした。
うわわ……腰をがくんと引かれて(脳天まで突き抜けるほど、於女子に鎖が食い込んで)、たたらを踏みながら、おれは駈け足になった。
じゃらじゃらじゃらじゃら……足の鎖が宙を跳ねる。 馬は軽々と速足で進んでるけど、おれは全力疾走。そのまま一町ほど駈けたあたりで、謙吾のやつは馬の尻に鞭をいれた。
馬が、ぐんっと脚を速めた。蹄が四つとも宙を翔ぶ。軽装の(もちろん縛られていない)足軽でも追い付けない速さだ。
「うわわっ……」
一瞬にして、おれは引き倒された。そのまま、ざりざりと地面を引きずられる。
じゃらららら……おれの身体を縛っている鎖が鎧代わりになって、すこしは肌を護ってくれた。けど、腕もせなかも尻も腿も、たちまち肌が裂けて……くそ、こういう痛みだと熱い痺れが湧いてくれない。
なのに。謙吾がおれを甚振ってる。そう思うと、肌を切り裂く激痛が甘美に感じられる。
引きずられたのは、せいぜい二十間か三十間だろう。だから、馬が止まったときに、おれはどうにか立ち上がれた。また走り出されたら引き倒されるに決まってるのに。
何て言うのかな。これしきのことで降参してちゃ、謙吾をがっかりさせ……じゃない。風間忍びの沽券に係わるからに決まってる。
「ふむ。なかなか頑張りおるな」
謙吾に褒められて嬉しく……なんか、ないやい。
左内はいつの間にか馬で謙吾と並んで走っていたが、二人の下忍は徒歩で馬の駈け足に付いて来てる。
「では、もうひと走りするぞ」
謙吾は左内に声を掛けて、けれど並足で馬を進めた。おかげで、なんとか転ばずに歩けた。全身擦り傷だらけ。皮膚があちこち剥けて、痛くないとこが無いってくらいだけど。乳首は無事だった。いくらなんでも、むねのささやかな膨らみが鎖の厚みに負けてたわけじゃないぞ。転んだとき、仰向けになったからだ。尻は猿みたいになったけどな。
牢屋敷なんて剣呑で不浄な場所は、街はずれに追いやられてる。さすがに街道筋を引き回すのは憚ったらしく、畦道のようなところばかりだったが、それでも近在の農民の目に晒されてたんだろうけど。馬を追い掛けるのがやっとで、どんなやつと何人くらいすれ違ったかも、まったく覚えてない。
他人の目に気づいたのは――小川の畔で馬が止まったときだった。田圃に水を引く堰があって、そこで女子供を交えて十何人かで普請をしている。男どもは手を休めて見物を始めるし、女どもは子供をおれがみえない所まで連れ去った。
「今日は蒸し暑い。ちと水浴びなどしたいが、構わぬであろうな」///1st
堰から五間ばかり上流へ連れて行かれて、鎖で縛られたまま川の中へ追い立てられた。
謙吾は馬から降りて下帯ひとつになると、おれの鎖を持って、じゃぶじゃぶと川へ入って行った。
鎖を引っ張られて、おれも川へ足を踏み入れた。すぐ下流で堰き止められているので、幅が二間しかないくせに脚がすっぽり浸かるくらいに深い。冷たい水に傷が洗われて、ちょっぴり沁みるけど心地好い。
謙吾はおれを引き寄せると、一間半の鎖をおれの首に巻き付けた。そして……おれの足を払って肩を突いた。
うわわっ……ざぶんと、頭まで水に沈んだ。起き上がろうとしたけど、首に巻かれた鎖が重くて身体を起こせない。足の鎖に邪魔されて立ち上がれない。
くそっ。こんなところまで引き出して、また水責めかよ。
じゃなかったみたいだ。じたばた足掻いても息が苦しくなるだけだからじっとしてると、髪をつかんですぐに引き上げてくれた。
「今日は、ずいぶんとしおらしいな」
目が嗤ってやがる。
「煮て食おうと焼いて食おうと意のままなんだろ。好きにしろよ」
なんで、相手をけしかけるような返事をするかな。案の定。
「なるほど。では、こうしてくれよう」
首の鎖を引っ張られて、仰向けに沈められた。どすんと腹を踏んづけられて、大量の泡を吹いた。ぐりぐりと腹を踏みにじられる。そのたびに、ぼこぼこと泡を搾り出されて、ついに息を吐き切ってしまった。腹の皮が背中にくっつくほど踏みつけられているので、息を吸いたくても吸えない。そのおかげで肺腑に水を吸わなくて済んでいるけど……急速に目の前が暗くなっていく。びくんびくんと全身の痙攣が始まった――ところで、引き上げてもらえた。
「もう一度、溺れさせてやろうか」
「堪忍してくれよお……」
我ながら情けない、哀れっぽい声。半分は芝居だ。こいつなら、きっと赦してくれる。
「よかろう。では、息を整えろ」
何か企んでるのは分かってるが、それが分かったところで、おれには抗う術もない。あれこれ考えないで、深呼吸を続けた。
謙吾は水の中で下帯を解いてる。ということは……
「くノ一の術で、おれの精を絞り取ってみろ。出来たら赦してやる」
今度は頭を押さえて沈められた。目の前に、鉄槍どころか鉄杭がある。おれを甚振ることで、こんなにも興奮するんだ。なんか、胸がきゅうんとねじれてきたけど、女穴を痺れさせてるときじゃない。
おれは水中で跪くと、膝を開いて身体を安定させた。
ぱくんと鉄杭を咥えて、知っている限りのくノ一の術を駆使した。息が続くうちに吐精させるのは、謙吾がその気になってくれていても難しい。
あむあむもぐもぐ……息を吸って唇を震わす術は、水の中では使えないと分かった。ので、歯に唇をかぶせて強めに竿を噛んで。頭を前後に揺すった。これも、水の中では動かしにくい。
吐精の前には金玉が吊り上がって、いよいよになると亀頭がぐんと膨れてくる。その兆しも無いままに……頭が、がんがんして、目の前が薄暗くなってくる。
謙吾の手が、おれの頭をつかんだ。そして、激しく腰を遣い始めた。ばしゃばしゃと水面が激しく揺れる音が、水中のおれにまで聞こえた。これは、おれを虐めてるんじゃなくて助けてくれてるんだ。そう思ったから、気力を振り絞って……舌で裏筋を舐め、歯の先で雁首をしごいた。
口の中で於珍宝が、ぐぐっと膨れて……口の中の水が揺れた。直後に、髪をつかんで牛蒡抜きにされた。
「げふっ……」
水を吐き出して息を貪った。
ばしん! ばしん!
頬桁を張られて、痛いよりも呆然が先に立った。おれ、何か怒らせるようなことをしたかな。
「誰が吐き出して良いと言った。この莫迦者が」
飲めと言われたことも無いぞ。そりゃまあ、男の精を飲むのは(男が悦ぶから)くノ一の基本だけど。
弁解の余地も与えられず、また水に沈められた。どうすれば良いのか見当はついたので。まだ萎えていない於珍宝を咥え直して、強く息を吐いて口の中の水を追い出してから、竿の中に残っている精汁を吸い出した。
水から引き上げられると、口を開けて精汁が(わずかだけど)残っているのを見せてから、ごっくんと飲み下してみせた。
「これからは二度と吐き出したりしないから、堪忍してくれよお」
思いっ切りしおらしく謝ってやったんだけど。これって、忍びにあるまじき命乞いだと気づいた。「これからは二度と」ってことは、これからも、こういうことをさせてくれ。つまり殺さないでくれってことだ。
いや、違う。謙吾は篭絡しやすいから、芝居してやったんだ。左内が相手だったら、こんなこと言うもんか。
計算通り、謙吾は上機嫌になって、水浴びはおしまいにしてくれた。
「ずいぶんと参っておるようじゃな。帰りは馬で運んでやろう」
へっ。ちょろいもんだぜ……てのは、さすがに見くびり過ぎてた。
おれはすべての鎖を解かれて。馬の背に乗せられたんじゃなくて、下から馬の腹にしがみつく形にされて、手足を縛られた。腋の下と腰にも縄を巻かれたから、ちっとも苦しくはないんだけど。こいつは牡馬だった。おれが牝だって分かるんだろうな。人間とは桁違いにでかい竿が鎌首をもたげて、おれの股座をつつきながる。これだけでかけりゃ挿入っちまう心配はない……と、思うぞ。
馬が歩き始めると竿も揺れて――それが刺激になるんだろうな。ますます硬くして、先っぽが於女子にめりこみそうになる。
くすぐったいし、傷が痛いし。それよりも、畜生にまで犯されてるみたいで、羞ずかしいし惨めになってくる。なのに……これが、謙吾の意図したことだ。謙吾に嬲られてるの同じだと思うと。あの熱い痺れが沸き起こってきて、蜜まで垂れてくる。これじゃ、おれが馬の於珍宝につつかれて発情してるみたいじゃないか。
くそ……なんで、謙吾の乗馬に縛り付けてくれたんだよ。左内の馬だったら、謙吾も良く見えた……違うぞ。こんな惨めな姿を謙吾に見られたいなんて、断じて思ってなんかいないんだからな。
悶々としたまま、牢屋敷へ帰り着いて。
おれは、すべての鎖を解かれて、裏庭の松の木の枝から吊るされた。両足は縄で引っ張られて、人の字形。
「川で洗っても、まだ血がこびり付いておるな。綺麗にしてやろう」
穿鑿所に控えていた下人が、縄束と甕を持ってきた。謙吾が、縄束を甕に突っ込んで掻き回した。甕から取り出された縄束は白い粉にまみれていた。
謙吾がおれの正面に立って、縄束を振るった。
びちゃあん!
「ぎひいいっ……」
皮膚が剥けた肌を縄束で叩かれたら、激痛なんてもんじゃない。灼けた鉄線で切り裂かれるような衝撃だった。しかも、叩かれた後も無数の針に突き刺されるような痛みが残る。
びちゃあん! びちゃあん!
「ぎゃああああっ……」
叩かれたところに目を凝らすと、白い砂粒が散らばっていた。これ、塩だ。傷口に塩を塗るとはいうけれど、これは――傷口に塩を叩きつけられてる。
びちゃあん! びちゃあん! びちゃあん! びちゃあん!
謙吾はおれのまわりを右に左に動きながら、裏も表も全身隈なく縄束で打ち据えやがった。そして、これが仕上げだといわんばかりに、縄束にたっぷりと塩をまぶして。おれの正面に戻って、右手をだらんと垂らした。
「あわわわ……」
さすがのおれも、歯の根が合わない。なんとか腿を閉じ合わせようとしたけど、大股開きに縛られてるんだから、どうにもならない。
ぶゅんっ……謙吾が右手を撥ね上げて。
ばっぢゃあん!
「ぎゃわあああっ!」
於女子から脳天まで灼熱の激痛が突き抜けた。同時に、女穴の奥にも別の灼熱が噴き上げて……おれは悶絶した。
――激しく咳き込んで、おれは正気づいた。鼻先に小皿が突きつけられて、松葉を燻した煙が濛々と立ち昇っていた。
「ようやくに目を覚ましたか」
謙吾が真上からおれを覗き込んだ。
おれは梯子に縛り付けられていた。捕まった最初の日に、今にして思えばちゃちい色責に掛けられたときと同じ流儀だ。違うのは、両脚を蛙みたいに開かされて、足の裏をくっつけて縛られてるってところだ。
おれはくノ一の女忍びだから、於女子がくばあっと開いて羞ずかしいとは、ちっとも思わないけど。女穴に六尺棒を突っ込まれるか自然薯の張形を押し込まれるか、それとも本物で犯されるか。出来るなら、どれも赦してほしい。だって、三角木馬で傷つけられて、まだ治っていない。
「こうして見ると、まるで本物の鶏冠じゃな。縁がぎざぎざに切り刻まれておるわ」
これだけ脚を開かされると、於女子は熟れた木通みたいに、ぱっくりと口を開ける。そして、内側の肉襞が顔をのぞかせる。その縁が三角木馬で傷つけられてることを、謙吾は揶揄っている。こんなふうにしたのは、おまえじゃないか。
「あまり痛めつけても可哀そうじゃな」
なんてことを言いながら、指で女穴を穿ちながら雛先を掘り起こす。
くううっ……やめろ。気持ち好いじゃないか。
くりくりっと摘ままれて、細い稲妻が腰の奥まで突き抜けた。気持ち好いだけで痛くもないのに、熱い痺れがじんわりとわだかまってくる。
「きひいっ……」
不意打ちに爪を立てられて、悲鳴を上げちまった。
でも、それで謙吾は満足したんだろう(おれは満足してない)、於女子を弄ぶのはやめやがった。
二人の下忍が、おれの左右に立った。これ見よがしに下帯を抜き取って二つに畳んだ。それを、おれの口にかぶせる。幅が広いので、鼻から顎まですっぽり隠れた。下帯の紐が頭の後に通されて、反対側で布の折り返しを踏桟に結び付けた。
二本目の下帯が、紐が反対側にくるように重ねてかぶせられて、同じように紐で踏み桟に結び留められた。
水を張った手桶が横に置かれて。左内が二人の下忍と入れ替わった。手に柄杓を持っている。
「さて。憎まれ役は儂が引き受けるとしよう」
左内は手桶から水を柄杓に掬って、おれの顔にゆっくりと垂らし始めた。
おれは息を止めて様子をうかがっていたが、二杯三杯と水を垂らされるうちに、下帯の布が顔に張り付いてきた。息をしようにも、布に染みた水ばかりが鼻に入ってくる。
たまらずに大きく口を開けて。水を吸わないよう、ゆっくりと息を……
「げふっ……うぶうう」
口を狙って水をぶっ掛けられた。息を止める前に、したたかに水を吸い込んあ。咳をすると、いっそう吸い込む。口を閉じたけど、布も咥え込んじまって、かえって苦しい。口を半開きにして、舌で布を押し戻しながら……
「ぶはっ……げふ、げふふっ」
また水をぶっ掛けられた。
ぼぐっ……腹を殴られた。
「あぐっ……げふっ……ぶばわあああ!」
息を吐き出してしまい、反動で無意識に水混じりの息を吸い込んでしまった。しばらくは、吐き気と咳が止まらない。
考えようによっては、逆吊の水責よりも残酷だ。水を一緒に吸い込むとはいえ、まったく息が出来ないわけじゃない。だから、おいそれとは気絶させてもらえない。
しかも。上から覗き込む左内の顔が見えている。まるきり無表情で、おれが苦しむ様を冷酷に観察してやがる。こんなやつの顔なんか見ていたくない。
おれは顔を左右に巡らして(それくらいの動きじゃ、布は鼻と口にへばり付いたままだ)謙吾の顔を探した。梯子を挟んで左内の反対側、おれの腰のあたりから眺めている。左内とは対照的に、目をぎらつかせ口元に嗜虐の笑みを浮かべて――袴の前を突っ張らかせてる。
左内は、おれを白状させようとして拷問している。おれは敵方の忍びなんだから、当然だ。いうなら、仕事だ。
しかし謙吾は、拷問されて悶え苦しむおれを見て欲情している。やつ自身の嗜虐だ。敵も味方もない。おれが女で、しかも、やつの好みに合った稚児っぽい餓鬼だからだ。
憎むなら、左内よりも謙吾だ。なのに……謙吾に愉しまれていると思うと、女穴の奥が熱く痺れてくる。胸が苦しくなってくる。くそお。どうかしてるぞ、おれ。
左内が柄杓を手桶に戻すと、別の得物を下忍から受け取った。
それを見て、おれは全身から血の気が引いた。これまでに受けた拷問のすべてが遊びだったと思えるほどの凄絶な苦痛を想像して……背中に鳥肌を立てながら、女穴の奥を熱く痺れさせた。
それは本物の擂粉木だった。太さも長さも、大きめの於珍宝と変わりはない。けど、何本もの釘が打ち込まれている。擂粉木から丁字形の頭が突き出ている。尖った釘先が突き抜けている。こんなのを突っ込まれたら……二度と使い物にならなくされる。
「ぶぼぶじゅ……ぼぼびじょび……」
空いたほうの手で、左内が布をずらしてくれた。
「嘘つき。もう痛めつけないって言ったじゃないか」
仕返しに怯えながら、それでも謙吾を詰った。
「それは杉下殿の言葉じゃ。儂の知ったことではない」
左内は布を元に戻して。手桶を持ち上げて、中の水をおれの顔にぶっ掛けた。
「ぶはっ……げふっ……」
左内が、おれの太腿のあたりに位置を変えた。
「ちと痛いが、我慢せい。これで頭陀頭陀に引き裂いた痕が癒着すれば、数の子天井と蚯蚓千匹を兼ね備えた名器になるぞ」
声が嗤ってるから、絶対に嘘だ。
「謙吾……さま」
初めて敵の首魁の名を呼んだ。憐れんで欲しいからサマまで付けて。
「いいのかよお。おれの於女子、壊れちまうぜ」
ちっとも憐れんでくれなかった。
「不浄の血を流す穴なぞ、俺は使わん」
くそ……言うに事欠いて。おまえの使う穴なんか、毎日のように不浄をひり出すくせに。
「名器になれば、杉下殿も気が変わるやも知れぬぞ」
左内は冷徹な拷問吏の票所を保ったまま、擂粉木をおれの股間に突きつけて……
ずぐしゅ……そんな音が聞こえたように思った。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」
おれは息の続く限り絶叫した。
目の前が真っ赤になって白い星が無数に飛び交って……女穴の奥も真っ赤に痺れて。
おれは悶絶した。
========================================

前回のBFは、モデルが合法年令だったので、しかもBMIに難があったので、今回は首から下を横幅だけ85%に縮小しました。
DLsiteアフィリエイト キーワードは「ロリ 拷問」です。
Pressing Report 1:逝かされたって口は割らない
7/3に書き始めて7/7現在で62枚。まずまずのペースです。やはり200枚はいきそうなので、脱稿は7/20頃でしょうか。
初手からヒロインが勝手に走っています。こいつ、こういう性格だったんかい? です。まあ、それだけノリノリで書いてるわけですけど。予定調和のラストへ持っていけるか、先行き不安でもあります。
責めのシーケンスとしては、Report 0で紹介したように。お子様向け拷問→お子様向け色責め→野晒→本格拷問と、エスカレートさせていくのですが。今回はお子様向け色責めを御紹介。
========================================
色責
望み通り(?)に一撃で悶絶したけど、それで拷問をやめてくれるほど敵はお人好しじゃなかった。
「ごほ……けふっ、けふん」
喉が灼けて鼻が痛くて目が沁みて……おれは安らかな眠りから拷問の場へ引きずり戻された。鼻の下の小さな皿から、もうもうと煙が立ち昇っている。松葉を燻してやがる。
「いやだ……もう赦して……」
誰だよ、すすり泣きながら敵に慈悲を願っている奴は。くそ、しゃんとしろ。お子様向けの拷問くらいで根を上げる玉じゃないだろ、風間忍びのハルは。
「いやだ……もう於女子は敲かないでよお」
まだ言ってやがる。でも、言ってみるもんだ。
「よしよし。もう痛いことはせぬぞ」
耳元に囁かれる猫撫で声。
騙されるもんかと思ったけど。おれは床に下ろされて、手首の縄もほどいてもらえた。
でもすぐに。壁に立てかけてある梯子に手足を伸ばした形で縛り付けられた。
「もうしないって言ったくせに……」
ネコ撫で声に、おれもついつい甘えちまった。
「武士に二言は無い。今日はもう痛いことはせぬ」
明日は、今日よりもっと痛いことをするんだ。おれは不貞腐れた気分になったんだけど。
「これからは愉しいことをしてやる」
雑兵の手で、おれを縛り付けた梯子が上下逆にひっくり返された。けど、緩い斜めにされたので、苦しいという感じは無かった。
「幸兵衛から何を言いつかったか、教えてくれぬか」
謙吾はおれの横に座り込んで耳元に囁きながら、胸に手を這わした。土をほじるように指を動かして、すぐに止めた。きっと乳の膨らみを悪戯しようとしたんだろう。残念だったな。おれの胸は掌で包めるほど膨らんでないぜ。なんて、威張れることじゃないや。
「あっ……」
びくんと身体が跳ねた。膨らんでないとは言ったけど、乳首のまわりは盃を伏せたくらいに盛り上がってる。そこを指で強く摘ままれて、小さな雷に打たれたみたいな痛みが走った。
「ふむ。男に比べると格段に敏感だな」
男なんかと比べるって――おれをわざと辱めてるんだろうか。
「ここも、そうかな」
わずかな膨らみの上を指が滑って……
「ひゃんっ……」
乳首を摘ままれた。びりびりっと、稲妻みたいなぎざぎざの鋭い、でも痛いんじゃなくてくすぐったい感じが胸を奔り抜けた。
くそ……乳をどうこうされたくらいで感じるんじゃない。心を鎮めて、餓鬼の乳を弄んで悦に入っている阿呆の顔を見詰めるんだ。嘲笑ってやれ。
もう片方の乳首も摘ままれた。
「ひゃ……」
駄目だ。くノ一の術を使えない。実の親(は知らないけど)みたいな小父さんや小母さんにされるのとは違って、相手が男だってことが、おれは女だってことが、心の真ん中に居座ってやがる。
「幸兵衛が探り当てたのは、武田からの縁組申し出であろう。どこまで知っておる?」
くそ、逆だぞ。女が男に色仕掛けで話を聞き出すのがくノ一だ。男が女に色仕掛けなんて……
「ひゃうんっ……」
乳首を親指と中指で摘ままれて、その天辺を人差し指の腹でくすぐられて、また不本意な声を漏らしてしまった。触られてるのは乳首なのに、於女子の奥が熱くなってくる。
「これでは足りぬか。では、こうしてくれるぞ」
左の乳首から謙吾の指が離れて、つううっと肌を下に滑った。於女子を指で割って――こういうとき、男は穴の中にまで指を挿れてくると教わってるけど、こいつは違った。割れ目の浅いところを下から上にほじくるようにして……
「あっ……」
割れ目の上端に隠れている雛先を簡単に探り当てやがった。やめろ。そこは弄らないでくれ……おれ、おかしくなっちゃう。
「話には聞いていたが、なるほど。これが女魔羅という物か。豆粒みたいだが、たしかに魔羅と似ておる。ならば、扱いも同じでよかろう」
雛先をつままれて、皮の中に隠れている実核をくにゅんと身体の中へ押し込まれた。
「いやっ……」
甘ったるい爆発が、雛先から腰の奥に向かって突き抜けた。
くにゅん、くりゅん、にゅろん……微妙に指遣いを変えて、何度も押し込まれる。
「いやっ……くうん……やめて……」
くそ。これも乳首と同じだ。小父さんにされるより、ずっと気持ち好い。女忍びがくノ一の術に翻弄されるなんて……じゃなくて。こいつのは衆道の術だ。殿様に弄られてるのか殿様に奉仕してるのか、それで覚えたんだろう。どっちにしても、おれは自分が情けない。でも、気持ち好いよお。
「武田との縁組など、どこに知られても構わぬ。もはや七分までは固まっておる……実に無念ではあるがな」
最後のほうは意味が分からなかったけど。考えてみたら、おれが何を言いつかったかを知られたところで、構わないんじゃないだろうか。捕らえられていては、どうせ務めを果たせない。
「言え。白状してしまえ。おまえは、まだ頑是ない子供。素直に吐けば、解き放ってやっても良いのだぞ」
騙されるもんかと思いながら、心が揺れる。
謙吾が雛先から指を放して、その指をぺろぺろ舐める。おれの不浄を触った指を、平気で舐めている。なんだか、おれがいけないことをしてるみたいな気分になっちまった。
たっぷりと唾をまぶした指が、また雛先に近づいて。
「ひゃんんっ……」
くるんと皮を剥かれて、実核をつままれた。濡れた指で実核をうにゅうにゅとしごかれて、立て続けに甘い爆発が起きる。
くそ。負けるもんか。くノ一の術を思い出せ。
かんじーざいぼーさーつ、ぎょうじんはんにゃーはーらみーたじー
心の中で御経を唱えて、お寺に祀られてる仏様の御尊顔を頭に描く。
「幸兵衛が探り当てたのは、武田からの縁組申し出であろう。違うか?」
しきそくぜーくう、くう、くうううう……たけだよりうえすぎに……ふーしょうふーめつ、えんぐみのー
「申し出有り。武田より上杉に縁組の申し出有り」
いつの間にか言葉にしちまってた。
「やはり、そうであったか」
耳が、わあんとなるほどの大声。雛先を責めていた指の動きが、ぴたっと止まった。
「何か証拠の書状は入手しておるのか。仲間に渡したのか」
また耳元に囁かれる。まだ雛先を摘まんでいた指が、あわあわと動き始める。
おれ、気持ち好いのに負けたわけじゃないぞ。何もかも白状したって、風間にも上杉の殿様にも迷惑は掛からないって、ちゃんと考えた上での判断だ。
「おれが言いつかったのは、さっきの伝言だけだ。仲間なんかいない」
「嘘をつくと容赦はせんぞ」
また乳首を摘ままれたと思った刹那。爪を立てられて、ぎちぎちと捻じられた。
「きひいいいっ……痛い。嘘じゃない。ほんとのことを言ったんだから、赦してくれよ。解き放ってくれよおお」
「北条にとって上杉は不倶戴天の敵。しょぼくれた夫婦と小童だけで探っているはずがなかろう」
謙吾の右手も胸に移ってきて、二つの手で双つの乳首を責められる。
「痛い……知らないんだよ。他に草が潜んでたとしても、そんなことまでは分からない仕組みになってるんだ」
「それでは、いざというときに助け合うことも出来まい。仲間を見分ける合言葉のようなものがあるはずだ」
くそ……鋭い。だけど、ほんとにこれだけは白状するわけにはいかない。たとえ殺されたって、仲間を売ることなんてできない。もしも仲間を売って、おれだけは見逃してもらえたとしても……裏切者は地の果てまでも追われて、一寸刻みの嬲り殺しにされる。里でおれを育ててくれた源爺とツル婆まで連座させられる。小頭もただではすまない。
「急にだんまりか。やはり、何かを隠しておるな」
「知らない。隠してない。武田より上杉に縁組の申し出有り。これを御館に注進する。おれが言いつかったのは、それだけだ」
「御館とは、どこの御館じゃ?」
それを白状しても、仲間を裏切ることになるんだろうか。くそ……もう、何も答えないぞ。
「言え。言わぬと……」
謙吾の右手が、また雛先に戻ってきた。すっかり縮こまってるのに無理繰に皮を剥いて実核に爪を立てた。
「女魔羅を抓られる痛さは乳首どころではないぞ」
たとえ拷問に耐える修練は積んでいなくても。おれだって風間忍びだ。これしきのことで音を上げてたまるもんか。
突き刺すような激痛。ぎりりっと捻じられて、悲鳴が喉の奥で膨れ上がった。風間の女忍び、くノ一の術に掛けて堪えようとしたけど、相手もおれが泣き叫ぶまで赦してくれない。
「左内殿、手伝ってくれい」
爺いが謙吾の反対側から、乳首を二つともに抓った。
「こうしてやりましょうぞ」
乳首でおれを吊り上げようとする。それを見て謙吾も雛先を引っ張る。
「痛い痛い……赦して。おれ、ほんとに何も……うぎゃああああっ!」
「ええくそ」
謙吾が根負けして指を放してくれた。爺いもチッと舌打ちして、身体を起こす。
激痛が去ると。乳首も雛先もじんじんと疼いて、くそ……なんだか甘く痺れちまってる。
「強情な小娘じゃな。小童と見くびっておったわい」
「このうえは、本格の責めに掛けてくれよう。窮鳥懐に入らば、煮て食おうと焼いて食おうと、意のままよ。目玉を刳り貫いてやろうか、鼻を削ぎ落としてやろうか」
「それはなりませぬぞ」
巌のように硬い声。おれがびっくりした。
「罪人の調べに当たっては、後に無実が判明する場合がござる。取り返しのつかぬ仕打ちは、きちんと裁きが下ってからのこと。裁き云々はこの者には当てはまりませぬが、それでも、寝返らせて我らの駒に使えるかもしれません。いずれにせよ、身体に欠損を生ぜしめるのは拷問としても非常の最後の手段でござる」
「四角四面じゃの。殿はいささか律儀にすぎる面があるが……他国でも、そうなのか」
「人の道に国の違いはありませんぞ」
「人ならざる大岡左内が、人の道を説くのか」
「戯言無用」
最後は、叱りつけるみたいな声色だった。こいつらの言ってることは難しくて分かりにくいけど、つまり、謙吾が言ったような取り返しのつかぬ仕打ちは、当面はされずに済むってことだ。
「では、煮て食うのはやめておくとして。女子には格別に効く責めがあったな」
「くノ一の術と称して、女忍びは、その修行も積んでおります。失礼だが、新鉢ならぬ新筆には荷が重いかと」
莫迦にしたような言い方をされても、謙吾は平気みたいだった。
「ふん。ならば、勝手知ったる方で責めてみるか。こっちには、男も女もあるまい」
縄を解かれて梯子から降ろされたけど、すぐに縛り直された。正座させられてから前に突き倒されて、右手と右足首、左手と左足首をひとまとめに括られた。膝と肩で身体を支えて、お尻をうんと高く突き出した……これ、かなり羞ずかしい形だ。後ろに立たれると、於女子も尻穴も丸見え。五つ六つならともかく、おれくらいの女の子ならじゅうぶんにそれを分かって、泣くか喚くか身悶えするか。でも、おれはくノ一の術を(せいぜい取っ掛かりくらいだけど)修めた女忍びだ。羞ずかしくても、それを押し殺せる。
謙吾のやつ、おれを見下ろしながら衣服を脱ぎ捨てた。下帯まで外して、素っ裸。うわ……於珍宝が擂粉木みたいに太くなってそっくり返ってやがる。餓鬼の裸を見て勃起させるなんて、とんだ変態野郎だ。
「ふむ。こうして見ると、稚児の裸とあまり変わらんな。尻が丸っこいから、こちらのほうがそそられるくらいだ」
そうか。こいつ、元々は上杉の殿様のお稚児さんで、今は逆に稚児を可愛がってるんだろう。おれ、まだまだ女の身体になってないから――股間さえ見なけりゃ、稚児とあまり変わりないってことか。
あ……もしかして。勝手知ったる方ってのは……しめた、くノ一の術が使えるぞ。於女子は未通女のほうが、奥向きに下女として潜り込むとか、偉い侍の側室になるとか、使い勝手が良いから手付かずだけど、尻穴と口は一通りの修練を積んでる。
謙吾は、すぐにはおれを犯そうとはせずに、小屋の中を見回していた。
「おや、これは?」
壁の一面には、鞭とか木刀とか八床とか鉄枷とか鎖とか――拷問に使う道具が並べられている。謙吾は、細い柄が突き出た竹筒を手に取った。
「竜吐水ではないか。なぜ、斯様な物が?」
「口を封じて鼻の穴から水を入れてやれば、大樽とはまた異なる水責になりますな。謙吾殿がお考えの使い道としても、五度十度と注いで栓をすれば、これも立派に拷問」
「なるほど。これは是非にでも、水責まで小娘に強情を張り通してもらいたいものだな」
謙吾が淫らっぽい薄笑いを浮かべる。美男子が一瞬、悪鬼羅刹に変貌した。
おれだって、竜吐水くらい知ってる。こっちじゃ見掛けないが、里では子供の玩具だった。竹筒に水を満たして後ろの柄を押すと、前から勢いよく水が吹き出る。南蛮渡来の鉄砲に似てるってんで、近頃じゃ水鉄砲とも言われてる。
この竜吐水は水の吹き出す側にも細い竹管が付けてある。左内が言っていた、鼻に突っ込むための工夫だろう。
「これがここにあるとは、まさしく天の配剤だな」
謙吾は大樽の水を竜吐水に満たして、おれの後ろで片膝を突いて……
「えっ……?!」
竹筒の先を尻穴にねじ込みやがった。
ずちゅうう……水が腹の中に押し入ってくる。
あ、そうか。これ、尻穴を使う前の掃除だ。おれが教わったのは、細い棒に布を巻き付けて汚れを掻き取るやり方だったけど、このほうが痛くないし綺麗になる……けれど。入れた水は出さなきゃならないぞ。おれ、こんな形で縛られてるってのに。これじゃ、おれ自身が生きた竜吐水になっちまうぜ。
「やめろ……粗相はしたくねえよ」
「心配するな。ちゃんと考えてある」
「…………」
そうだ。これも拷問だった。色責だけじゃなく羞恥責にもなる一石二鳥だ。窮鳥としては堪ったもんじゃないけど。
竜吐水の水を入れ終わって、でも終わりにならなかった。二回三回と入れられる。
お腹が重たい。ぎゅっと尻穴を引き締めていないと、漏らすっていうか噴き出しそうだ。
謙吾が手桶を持ってきて、おれの尻にあてがった。
「遠慮は要らんぞ。さっさとひり出してしまえ」
くそ。いくら女忍びだって、題とか小を見られるのは羞ずかしい。けど、同い年の娘っ子だったら、どうかな。羞ずかしくても我慢はしないんじゃないかな。
女忍びだってばれてるけど、ふつうの娘らしくしてたほうが、くノ一の術に掛けやすいかな。ばれてるからには無駄かな。矢傷なんかへっちゃらだし、敲かれた痛みも引いて、雛先を虐められた余韻も消えたけど……腹が苦しくて、考えがまとまらない。ので、考えないことにした。
ぶじゅうううう、ぱしゃしゃしゃ……
水音が羞ずかしいけど、すごく楽になった。ひと仕事やっつけたみたいな気分。でも、仕事はまだ始まってもいない。どころか。またすぐに水を入れられた。けど、今度は一回きりだった。
「清水になったな」
謙吾は、尻のまわりの汚れを藁屑で拭き取ってから。尻穴に指の腹を押し付けて、ぐねぐねと揉みほぐしにかかった。
「んん……意外とこなれておるな」
「くノ一であれば、三つの穴ともに鍛えておりましょうよ」
女穴だけはまだだぞって言い返してやりたいけど、そしたら他の二つを認めたことになっちまう。ので、黙って好き勝手にさせといた。ら……つぷっと指を突き立てて。
「あ……こら、やめろ」
指を二本にして、中でチョキみたいに広げやがった。さすがに、少し(だけ)痛いぞ。
「これだけこなれておれば、おまえもさぞや愉しめるであろうな」
勝手なことをほざいて、おれの腰を両手でつかむと、擂粉木みたいになった於珍宝を尻穴に押し付けてきて。
ずぶうっと、一気に突き挿れやがった。
「はああっ……」
痛くないように、尻穴の力を抜いて大きく息を吐いた。尻穴を鍛えてるって、ばれたも同然なんだから初心を装わなくてもいい。
どころか。奥まで挿入ってきたところで、尻穴をきゅっと締めてやった。
「お……なかなかに慣れておるな」
のは、謙吾も同じ。ずぬうっと引き抜きかけて、雁首のところで止めて、小刻みに突いてくる。これ、男もいちばん気持ち好いけれど、おれも穴の縁を刺激されて……くそ、幸兵衛小父より上手いぞ。
もっと激しく掻き回してほしい。そのもどかしさが尻穴よりも於女子の中にわだかまっていって、破裂したら凄いんだろうなという予感が、全身に満ちてくる。
くそ、負けるもんか。相手の突きに合わせて尻穴を締めたり、尻全体を上下左右に揺すって於珍宝全体をしごいてやったり。
「おおお、堪らんぞ」
なんて言ってるけど。やたらと下から突き上げるような動きで、於女子の裏側をこすってくる。その動きが、ちょこっとだけ雛先にまで伝わって、ちょっぴり気持ち好い。でも、もどかしい。
「うん……? ここは、どうだ」
ここもそこも、ちっとも違わない。
「股座だけではなく、腹の中も男女で異なっておるのか」
謙吾が分かりきったことを呟いた。当たり前だろ。女は於女子だって腹ん中だし、その奥には子袋だってあるんだ。男は……どうなってるか知らないけど。
そんな小競り合いが四半時ちかく続いた。
おれは、もどかしさがどんどん募ってくるけど、最後のひと突きが無くて。もどかしさの仕返しに、うんと激しく、つかんでいる手を振り切って、腰をぐにいんぐにいんと揺すって「い」の字や「ろ」の字を書いてやった。幸兵衛小父の口伝と、タヨ小母さんの腰相伝だい。
「うおお……こら、やめろ」
やめるもんか。風間忍法くノ一の術、杉下謙吾を討ち取ったりい。
おれも初めての闘いで舞い上がってたよな。くノ一の術で男を手玉に取ったところで、逃げられるわけじゃなし。
でも、男ってやつは精を放つと虚脱するから。これ以上の拷問は明日からということにしてくれたから、儲けものだったかな。明日が怖いけど。
「明日からは、子供だとて容赦はせんぞ。覚悟しておけよ」
子供に精を搾り取られた負け惜しみにしか聞こえない。
だけど、負け惜しみは口だけにしといてくれよ。おれは素っ裸のままで、小屋の隅に木格子で囲まれた狭い檻に閉じ込められた。天井から垂れた鎖に両手を鉄枷でつながれて、横になることも出来ない。座ったままで(子の刻過ぎまで責められてたから)半夜を過ごさなければならなかった。
========================================

「目玉を刳り貫いてやろうか、鼻を削ぎ落としてやろうか」という謙吾の脅し文句を左内が諫めるのは、ちょっと唐突な感があるのですが、実はドンデン返しに関係しています。ドンデンをばらすと、ハルちゃんは見事脱走して御館へ報告に参じるのですが。裏切り者と見做されて、拷問されるのです。『裏切者には死を』ですから、凄惨なリョナになりかねません。ここで、『回復不可能な』責めにブレーキが掛かって、ドンデンドンデン返しで、五体無事なハッピーエンドとなるのです。ネタばらしちった。
初手からヒロインが勝手に走っています。こいつ、こういう性格だったんかい? です。まあ、それだけノリノリで書いてるわけですけど。予定調和のラストへ持っていけるか、先行き不安でもあります。
責めのシーケンスとしては、Report 0で紹介したように。お子様向け拷問→お子様向け色責め→野晒→本格拷問と、エスカレートさせていくのですが。今回はお子様向け色責めを御紹介。
========================================
色責
望み通り(?)に一撃で悶絶したけど、それで拷問をやめてくれるほど敵はお人好しじゃなかった。
「ごほ……けふっ、けふん」
喉が灼けて鼻が痛くて目が沁みて……おれは安らかな眠りから拷問の場へ引きずり戻された。鼻の下の小さな皿から、もうもうと煙が立ち昇っている。松葉を燻してやがる。
「いやだ……もう赦して……」
誰だよ、すすり泣きながら敵に慈悲を願っている奴は。くそ、しゃんとしろ。お子様向けの拷問くらいで根を上げる玉じゃないだろ、風間忍びのハルは。
「いやだ……もう於女子は敲かないでよお」
まだ言ってやがる。でも、言ってみるもんだ。
「よしよし。もう痛いことはせぬぞ」
耳元に囁かれる猫撫で声。
騙されるもんかと思ったけど。おれは床に下ろされて、手首の縄もほどいてもらえた。
でもすぐに。壁に立てかけてある梯子に手足を伸ばした形で縛り付けられた。
「もうしないって言ったくせに……」
ネコ撫で声に、おれもついつい甘えちまった。
「武士に二言は無い。今日はもう痛いことはせぬ」
明日は、今日よりもっと痛いことをするんだ。おれは不貞腐れた気分になったんだけど。
「これからは愉しいことをしてやる」
雑兵の手で、おれを縛り付けた梯子が上下逆にひっくり返された。けど、緩い斜めにされたので、苦しいという感じは無かった。
「幸兵衛から何を言いつかったか、教えてくれぬか」
謙吾はおれの横に座り込んで耳元に囁きながら、胸に手を這わした。土をほじるように指を動かして、すぐに止めた。きっと乳の膨らみを悪戯しようとしたんだろう。残念だったな。おれの胸は掌で包めるほど膨らんでないぜ。なんて、威張れることじゃないや。
「あっ……」
びくんと身体が跳ねた。膨らんでないとは言ったけど、乳首のまわりは盃を伏せたくらいに盛り上がってる。そこを指で強く摘ままれて、小さな雷に打たれたみたいな痛みが走った。
「ふむ。男に比べると格段に敏感だな」
男なんかと比べるって――おれをわざと辱めてるんだろうか。
「ここも、そうかな」
わずかな膨らみの上を指が滑って……
「ひゃんっ……」
乳首を摘ままれた。びりびりっと、稲妻みたいなぎざぎざの鋭い、でも痛いんじゃなくてくすぐったい感じが胸を奔り抜けた。
くそ……乳をどうこうされたくらいで感じるんじゃない。心を鎮めて、餓鬼の乳を弄んで悦に入っている阿呆の顔を見詰めるんだ。嘲笑ってやれ。
もう片方の乳首も摘ままれた。
「ひゃ……」
駄目だ。くノ一の術を使えない。実の親(は知らないけど)みたいな小父さんや小母さんにされるのとは違って、相手が男だってことが、おれは女だってことが、心の真ん中に居座ってやがる。
「幸兵衛が探り当てたのは、武田からの縁組申し出であろう。どこまで知っておる?」
くそ、逆だぞ。女が男に色仕掛けで話を聞き出すのがくノ一だ。男が女に色仕掛けなんて……
「ひゃうんっ……」
乳首を親指と中指で摘ままれて、その天辺を人差し指の腹でくすぐられて、また不本意な声を漏らしてしまった。触られてるのは乳首なのに、於女子の奥が熱くなってくる。
「これでは足りぬか。では、こうしてくれるぞ」
左の乳首から謙吾の指が離れて、つううっと肌を下に滑った。於女子を指で割って――こういうとき、男は穴の中にまで指を挿れてくると教わってるけど、こいつは違った。割れ目の浅いところを下から上にほじくるようにして……
「あっ……」
割れ目の上端に隠れている雛先を簡単に探り当てやがった。やめろ。そこは弄らないでくれ……おれ、おかしくなっちゃう。
「話には聞いていたが、なるほど。これが女魔羅という物か。豆粒みたいだが、たしかに魔羅と似ておる。ならば、扱いも同じでよかろう」
雛先をつままれて、皮の中に隠れている実核をくにゅんと身体の中へ押し込まれた。
「いやっ……」
甘ったるい爆発が、雛先から腰の奥に向かって突き抜けた。
くにゅん、くりゅん、にゅろん……微妙に指遣いを変えて、何度も押し込まれる。
「いやっ……くうん……やめて……」
くそ。これも乳首と同じだ。小父さんにされるより、ずっと気持ち好い。女忍びがくノ一の術に翻弄されるなんて……じゃなくて。こいつのは衆道の術だ。殿様に弄られてるのか殿様に奉仕してるのか、それで覚えたんだろう。どっちにしても、おれは自分が情けない。でも、気持ち好いよお。
「武田との縁組など、どこに知られても構わぬ。もはや七分までは固まっておる……実に無念ではあるがな」
最後のほうは意味が分からなかったけど。考えてみたら、おれが何を言いつかったかを知られたところで、構わないんじゃないだろうか。捕らえられていては、どうせ務めを果たせない。
「言え。白状してしまえ。おまえは、まだ頑是ない子供。素直に吐けば、解き放ってやっても良いのだぞ」
騙されるもんかと思いながら、心が揺れる。
謙吾が雛先から指を放して、その指をぺろぺろ舐める。おれの不浄を触った指を、平気で舐めている。なんだか、おれがいけないことをしてるみたいな気分になっちまった。
たっぷりと唾をまぶした指が、また雛先に近づいて。
「ひゃんんっ……」
くるんと皮を剥かれて、実核をつままれた。濡れた指で実核をうにゅうにゅとしごかれて、立て続けに甘い爆発が起きる。
くそ。負けるもんか。くノ一の術を思い出せ。
かんじーざいぼーさーつ、ぎょうじんはんにゃーはーらみーたじー
心の中で御経を唱えて、お寺に祀られてる仏様の御尊顔を頭に描く。
「幸兵衛が探り当てたのは、武田からの縁組申し出であろう。違うか?」
しきそくぜーくう、くう、くうううう……たけだよりうえすぎに……ふーしょうふーめつ、えんぐみのー
「申し出有り。武田より上杉に縁組の申し出有り」
いつの間にか言葉にしちまってた。
「やはり、そうであったか」
耳が、わあんとなるほどの大声。雛先を責めていた指の動きが、ぴたっと止まった。
「何か証拠の書状は入手しておるのか。仲間に渡したのか」
また耳元に囁かれる。まだ雛先を摘まんでいた指が、あわあわと動き始める。
おれ、気持ち好いのに負けたわけじゃないぞ。何もかも白状したって、風間にも上杉の殿様にも迷惑は掛からないって、ちゃんと考えた上での判断だ。
「おれが言いつかったのは、さっきの伝言だけだ。仲間なんかいない」
「嘘をつくと容赦はせんぞ」
また乳首を摘ままれたと思った刹那。爪を立てられて、ぎちぎちと捻じられた。
「きひいいいっ……痛い。嘘じゃない。ほんとのことを言ったんだから、赦してくれよ。解き放ってくれよおお」
「北条にとって上杉は不倶戴天の敵。しょぼくれた夫婦と小童だけで探っているはずがなかろう」
謙吾の右手も胸に移ってきて、二つの手で双つの乳首を責められる。
「痛い……知らないんだよ。他に草が潜んでたとしても、そんなことまでは分からない仕組みになってるんだ」
「それでは、いざというときに助け合うことも出来まい。仲間を見分ける合言葉のようなものがあるはずだ」
くそ……鋭い。だけど、ほんとにこれだけは白状するわけにはいかない。たとえ殺されたって、仲間を売ることなんてできない。もしも仲間を売って、おれだけは見逃してもらえたとしても……裏切者は地の果てまでも追われて、一寸刻みの嬲り殺しにされる。里でおれを育ててくれた源爺とツル婆まで連座させられる。小頭もただではすまない。
「急にだんまりか。やはり、何かを隠しておるな」
「知らない。隠してない。武田より上杉に縁組の申し出有り。これを御館に注進する。おれが言いつかったのは、それだけだ」
「御館とは、どこの御館じゃ?」
それを白状しても、仲間を裏切ることになるんだろうか。くそ……もう、何も答えないぞ。
「言え。言わぬと……」
謙吾の右手が、また雛先に戻ってきた。すっかり縮こまってるのに無理繰に皮を剥いて実核に爪を立てた。
「女魔羅を抓られる痛さは乳首どころではないぞ」
たとえ拷問に耐える修練は積んでいなくても。おれだって風間忍びだ。これしきのことで音を上げてたまるもんか。
突き刺すような激痛。ぎりりっと捻じられて、悲鳴が喉の奥で膨れ上がった。風間の女忍び、くノ一の術に掛けて堪えようとしたけど、相手もおれが泣き叫ぶまで赦してくれない。
「左内殿、手伝ってくれい」
爺いが謙吾の反対側から、乳首を二つともに抓った。
「こうしてやりましょうぞ」
乳首でおれを吊り上げようとする。それを見て謙吾も雛先を引っ張る。
「痛い痛い……赦して。おれ、ほんとに何も……うぎゃああああっ!」
「ええくそ」
謙吾が根負けして指を放してくれた。爺いもチッと舌打ちして、身体を起こす。
激痛が去ると。乳首も雛先もじんじんと疼いて、くそ……なんだか甘く痺れちまってる。
「強情な小娘じゃな。小童と見くびっておったわい」
「このうえは、本格の責めに掛けてくれよう。窮鳥懐に入らば、煮て食おうと焼いて食おうと、意のままよ。目玉を刳り貫いてやろうか、鼻を削ぎ落としてやろうか」
「それはなりませぬぞ」
巌のように硬い声。おれがびっくりした。
「罪人の調べに当たっては、後に無実が判明する場合がござる。取り返しのつかぬ仕打ちは、きちんと裁きが下ってからのこと。裁き云々はこの者には当てはまりませぬが、それでも、寝返らせて我らの駒に使えるかもしれません。いずれにせよ、身体に欠損を生ぜしめるのは拷問としても非常の最後の手段でござる」
「四角四面じゃの。殿はいささか律儀にすぎる面があるが……他国でも、そうなのか」
「人の道に国の違いはありませんぞ」
「人ならざる大岡左内が、人の道を説くのか」
「戯言無用」
最後は、叱りつけるみたいな声色だった。こいつらの言ってることは難しくて分かりにくいけど、つまり、謙吾が言ったような取り返しのつかぬ仕打ちは、当面はされずに済むってことだ。
「では、煮て食うのはやめておくとして。女子には格別に効く責めがあったな」
「くノ一の術と称して、女忍びは、その修行も積んでおります。失礼だが、新鉢ならぬ新筆には荷が重いかと」
莫迦にしたような言い方をされても、謙吾は平気みたいだった。
「ふん。ならば、勝手知ったる方で責めてみるか。こっちには、男も女もあるまい」
縄を解かれて梯子から降ろされたけど、すぐに縛り直された。正座させられてから前に突き倒されて、右手と右足首、左手と左足首をひとまとめに括られた。膝と肩で身体を支えて、お尻をうんと高く突き出した……これ、かなり羞ずかしい形だ。後ろに立たれると、於女子も尻穴も丸見え。五つ六つならともかく、おれくらいの女の子ならじゅうぶんにそれを分かって、泣くか喚くか身悶えするか。でも、おれはくノ一の術を(せいぜい取っ掛かりくらいだけど)修めた女忍びだ。羞ずかしくても、それを押し殺せる。
謙吾のやつ、おれを見下ろしながら衣服を脱ぎ捨てた。下帯まで外して、素っ裸。うわ……於珍宝が擂粉木みたいに太くなってそっくり返ってやがる。餓鬼の裸を見て勃起させるなんて、とんだ変態野郎だ。
「ふむ。こうして見ると、稚児の裸とあまり変わらんな。尻が丸っこいから、こちらのほうがそそられるくらいだ」
そうか。こいつ、元々は上杉の殿様のお稚児さんで、今は逆に稚児を可愛がってるんだろう。おれ、まだまだ女の身体になってないから――股間さえ見なけりゃ、稚児とあまり変わりないってことか。
あ……もしかして。勝手知ったる方ってのは……しめた、くノ一の術が使えるぞ。於女子は未通女のほうが、奥向きに下女として潜り込むとか、偉い侍の側室になるとか、使い勝手が良いから手付かずだけど、尻穴と口は一通りの修練を積んでる。
謙吾は、すぐにはおれを犯そうとはせずに、小屋の中を見回していた。
「おや、これは?」
壁の一面には、鞭とか木刀とか八床とか鉄枷とか鎖とか――拷問に使う道具が並べられている。謙吾は、細い柄が突き出た竹筒を手に取った。
「竜吐水ではないか。なぜ、斯様な物が?」
「口を封じて鼻の穴から水を入れてやれば、大樽とはまた異なる水責になりますな。謙吾殿がお考えの使い道としても、五度十度と注いで栓をすれば、これも立派に拷問」
「なるほど。これは是非にでも、水責まで小娘に強情を張り通してもらいたいものだな」
謙吾が淫らっぽい薄笑いを浮かべる。美男子が一瞬、悪鬼羅刹に変貌した。
おれだって、竜吐水くらい知ってる。こっちじゃ見掛けないが、里では子供の玩具だった。竹筒に水を満たして後ろの柄を押すと、前から勢いよく水が吹き出る。南蛮渡来の鉄砲に似てるってんで、近頃じゃ水鉄砲とも言われてる。
この竜吐水は水の吹き出す側にも細い竹管が付けてある。左内が言っていた、鼻に突っ込むための工夫だろう。
「これがここにあるとは、まさしく天の配剤だな」
謙吾は大樽の水を竜吐水に満たして、おれの後ろで片膝を突いて……
「えっ……?!」
竹筒の先を尻穴にねじ込みやがった。
ずちゅうう……水が腹の中に押し入ってくる。
あ、そうか。これ、尻穴を使う前の掃除だ。おれが教わったのは、細い棒に布を巻き付けて汚れを掻き取るやり方だったけど、このほうが痛くないし綺麗になる……けれど。入れた水は出さなきゃならないぞ。おれ、こんな形で縛られてるってのに。これじゃ、おれ自身が生きた竜吐水になっちまうぜ。
「やめろ……粗相はしたくねえよ」
「心配するな。ちゃんと考えてある」
「…………」
そうだ。これも拷問だった。色責だけじゃなく羞恥責にもなる一石二鳥だ。窮鳥としては堪ったもんじゃないけど。
竜吐水の水を入れ終わって、でも終わりにならなかった。二回三回と入れられる。
お腹が重たい。ぎゅっと尻穴を引き締めていないと、漏らすっていうか噴き出しそうだ。
謙吾が手桶を持ってきて、おれの尻にあてがった。
「遠慮は要らんぞ。さっさとひり出してしまえ」
くそ。いくら女忍びだって、題とか小を見られるのは羞ずかしい。けど、同い年の娘っ子だったら、どうかな。羞ずかしくても我慢はしないんじゃないかな。
女忍びだってばれてるけど、ふつうの娘らしくしてたほうが、くノ一の術に掛けやすいかな。ばれてるからには無駄かな。矢傷なんかへっちゃらだし、敲かれた痛みも引いて、雛先を虐められた余韻も消えたけど……腹が苦しくて、考えがまとまらない。ので、考えないことにした。
ぶじゅうううう、ぱしゃしゃしゃ……
水音が羞ずかしいけど、すごく楽になった。ひと仕事やっつけたみたいな気分。でも、仕事はまだ始まってもいない。どころか。またすぐに水を入れられた。けど、今度は一回きりだった。
「清水になったな」
謙吾は、尻のまわりの汚れを藁屑で拭き取ってから。尻穴に指の腹を押し付けて、ぐねぐねと揉みほぐしにかかった。
「んん……意外とこなれておるな」
「くノ一であれば、三つの穴ともに鍛えておりましょうよ」
女穴だけはまだだぞって言い返してやりたいけど、そしたら他の二つを認めたことになっちまう。ので、黙って好き勝手にさせといた。ら……つぷっと指を突き立てて。
「あ……こら、やめろ」
指を二本にして、中でチョキみたいに広げやがった。さすがに、少し(だけ)痛いぞ。
「これだけこなれておれば、おまえもさぞや愉しめるであろうな」
勝手なことをほざいて、おれの腰を両手でつかむと、擂粉木みたいになった於珍宝を尻穴に押し付けてきて。
ずぶうっと、一気に突き挿れやがった。
「はああっ……」
痛くないように、尻穴の力を抜いて大きく息を吐いた。尻穴を鍛えてるって、ばれたも同然なんだから初心を装わなくてもいい。
どころか。奥まで挿入ってきたところで、尻穴をきゅっと締めてやった。
「お……なかなかに慣れておるな」
のは、謙吾も同じ。ずぬうっと引き抜きかけて、雁首のところで止めて、小刻みに突いてくる。これ、男もいちばん気持ち好いけれど、おれも穴の縁を刺激されて……くそ、幸兵衛小父より上手いぞ。
もっと激しく掻き回してほしい。そのもどかしさが尻穴よりも於女子の中にわだかまっていって、破裂したら凄いんだろうなという予感が、全身に満ちてくる。
くそ、負けるもんか。相手の突きに合わせて尻穴を締めたり、尻全体を上下左右に揺すって於珍宝全体をしごいてやったり。
「おおお、堪らんぞ」
なんて言ってるけど。やたらと下から突き上げるような動きで、於女子の裏側をこすってくる。その動きが、ちょこっとだけ雛先にまで伝わって、ちょっぴり気持ち好い。でも、もどかしい。
「うん……? ここは、どうだ」
ここもそこも、ちっとも違わない。
「股座だけではなく、腹の中も男女で異なっておるのか」
謙吾が分かりきったことを呟いた。当たり前だろ。女は於女子だって腹ん中だし、その奥には子袋だってあるんだ。男は……どうなってるか知らないけど。
そんな小競り合いが四半時ちかく続いた。
おれは、もどかしさがどんどん募ってくるけど、最後のひと突きが無くて。もどかしさの仕返しに、うんと激しく、つかんでいる手を振り切って、腰をぐにいんぐにいんと揺すって「い」の字や「ろ」の字を書いてやった。幸兵衛小父の口伝と、タヨ小母さんの腰相伝だい。
「うおお……こら、やめろ」
やめるもんか。風間忍法くノ一の術、杉下謙吾を討ち取ったりい。
おれも初めての闘いで舞い上がってたよな。くノ一の術で男を手玉に取ったところで、逃げられるわけじゃなし。
でも、男ってやつは精を放つと虚脱するから。これ以上の拷問は明日からということにしてくれたから、儲けものだったかな。明日が怖いけど。
「明日からは、子供だとて容赦はせんぞ。覚悟しておけよ」
子供に精を搾り取られた負け惜しみにしか聞こえない。
だけど、負け惜しみは口だけにしといてくれよ。おれは素っ裸のままで、小屋の隅に木格子で囲まれた狭い檻に閉じ込められた。天井から垂れた鎖に両手を鉄枷でつながれて、横になることも出来ない。座ったままで(子の刻過ぎまで責められてたから)半夜を過ごさなければならなかった。
========================================

「目玉を刳り貫いてやろうか、鼻を削ぎ落としてやろうか」という謙吾の脅し文句を左内が諫めるのは、ちょっと唐突な感があるのですが、実はドンデン返しに関係しています。ドンデンをばらすと、ハルちゃんは見事脱走して御館へ報告に参じるのですが。裏切り者と見做されて、拷問されるのです。『裏切者には死を』ですから、凄惨なリョナになりかねません。ここで、『回復不可能な』責めにブレーキが掛かって、ドンデンドンデン返しで、五体無事なハッピーエンドとなるのです。ネタばらしちった。
Pressing Report 0:逝かされたって口は割らない
またまたしても、PIXIVでWILL様からリクエストを頂きました。前々回同様『昭和集団羞辱史』に着手してすぐです。前回の納品時に「いずれ、またリクエスト」とおっしゃってたので、初回が1月で、即リピートは遠慮してもらって4月初旬が2回目となったので、こりゃあイースーチーの筋で7月に来るかなと予測していて、読み筋が当たりましたな。
では、リクエストの内容をば。WILL様、転載ごめんなさいね。
以前書いていただいた「名札のピアスはどれいの証し」を読み直していたところ、五郎が祥女ちゃんにやっていたプレイから濠門様のロリくのいちが見てみたいと思い、リクエストを出させていただきました。
*ストーリイのリクエスト
ロリマゾくのいちが尋問のため様々な拷問を受ける
*時代設定のリクエスト
戦国時代前後の日本
*シチュエーションのリクエスト
戦国時代を舞台とした忍者物
*キャラ設定
・少女
11~12歳ほどの少女。年の割に小柄だがはしっこく、機転が利くため、草として使われていた。
敵国で捕縛され拷問を受けるうちにマゾに目覚め、口を割らないために拷問に耐える、のではなく、拷問されるために口を割らないようになっていく。
・武士
少女を捕縛した男。情報収集のために少女を拷問していたが、やがて拷問という行為そのものに溺れていく。
(複数名、あるいはモブでも構いません)
*人間関係のリクエスト
ロリのマゾヒストと、ロリコンのサディストによる拷問
*特定の責めのリクエスト
濠門様の責めを堪能したいと思いますので内容は基本的におまかせしますが、以下はお願いできますでしょうか。
・乳首と陰核を抓りあげられ責められる少女
また、可能であれば以下もお願いします。
・全裸で市中を引き回される少女
(同情的な視線が多かった祥女ちゃんに対して、悪意や敵意を向けられる感じで)
以上、よろしければお願い致します。
R-18 ロリ 拷問 晒し者 CMNF ふくらみかけ 羞恥
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
一直線のシーケンスで場面も少なく、100~150枚で落ち着きそうです。
拷問されて悦虐というのは、7/15発売予定の『濡墨』とかぶりますが。あちらは、過激な拷問に耐えられる身体が必要ということで、公然のR対策もあって、ヒロインは19歳にしました。数えですから、満年齢なら18行く行かずとは、ちょっと考えれば分かりますが。
こちらは、満年齢で10~11です。WILL様は満年齢で考えてられるのかもしれませんが。
まあ、無難に数えで12としておきましょう。そんな子に拷問ですか。忍者ものですから『拷問ごっこ』では済みません。異端審問もグアンタナモ収容所も真っ青という過激拷問です。
で、まあ。最初はお子様乱痴で、それから女の子にはつらくて愉しい色責めで、それから野晒とかして、最後に大人様乱痴のフルコースにしちゃえ。
ということで。リクエストを見てわずか2日でPLOTを丁稚揚げました。

WILL様は、少女が単独で草の任務に従事している状況を想定されたかも知れませんが。これは困難です。草のように敵地に根付いて、何代もそこで暮らすのです。何事も無ければ、たんなる一庶民として生を全うします。ので……あとはPLOTで。
[背景]
上杉謙信
1578年没(48)
1569年 景虎19 景勝15すでにホモホモ
舞台は1569年(永禄12年)
北条三郎(後の景虎)19歳。上杉家の養子になるのは翌年。
上杉景勝(謙信の姉の息子)15歳。すでに謙信の寵愛。
謙吾としては、ライバルが増えるような、三竦みに持ち込めるような……
==============================
逝かされたって口は割らない
上杉、武田、北条の三すくみ。
武田から上杉への縁組打診。北条攻略。
杉下謙吾(坂下正吾)20歳。小姓頭。
上杉謙信の稚児。14のときから。姓名ともに1字を賜る。
美丈夫。実に童貞!
ロストチェリーはハルの尻穴。後に前穴も。
養子に直って跡目を襲う芽もあったが、史実は……
ハルに耽溺
大岡左内 34。
上忍のひとり。尋問の手練。
上野屋幸兵衛、タヨ
ハル 12歳。満11。未潮。/おれ
8歳のときから、伯父夫婦の世話になっている(という触れ込み)。
実際は捨て子だったか、下忍の子供だったか。必然性が生じた時点で決める。
せいぜい10歳くらいの背丈。未発毛。
しかし、膨らんできている。利発。敏捷。
体術の基礎は里で修めている。
里には、神童と言われた年長の少年。
算術に秀で、漢籍も読み下す。
しかし、ハルの粉掛けに無頓着。
現在の子供は勉強で手一杯だから、世間智に疎いと――暗示。
※いくら利発でもオトナでも難しい任務を務められる理由付けです。
当時の子供は、鶴亀算も地球の大きさも塩水の濃度も勉強する必要はありませんでしたから、その分、世間知を勉強できたのです。
季節は梅雨時(農繁期は休戦期)
==============================
捕縛
深夜。裏庭から転がり込む伯父。重傷。
ハル、お前なら逃げられる。殿へ伝えよ。
「武田から上杉に縁組の申し出が内々にあった。用心されたし」
ハルの理解。仲の悪い三人のうち、二人が仲直りして、もう一人をやっつける。
自分たちの雇い主は、その『もう一人』の北条毛の後家来。
「たとえ捕らえられても自害するな。生きて逃げて、必ず殿に注進せよ」
伯母は目眩ましに全裸。二人とも背中に小葛籠。草は顔を潰す必然性がない。裏口と表とに分かれて飛び出す。
※たーちまーち起こる剣戟のー。
ハルは天井裏へ。忍具の袋と路銀だけを持って、明り取りから脱出。衣服は敷いて寝ている単衣。
龕灯に照らされ、裸で無数の投げ縄に絡め取られている伯母。
美しいとハル。伯母の自爆。思わず呆然。
見つかる。弓矢と目潰し。転げ落ちる。陣頭指揮の若武者が受け止める。軽い。
目潰しで涙とくしゃみ。太股に矢が刺さっている。
自害封じの竹轡。
「これも何かの縁じゃ。俺が直々に糾問してくれる」
歩かせるのは手間。槍に獣縛り。下半身露出。
※この時代、荷車は稀。
拷責
牢獄。穿鑿の間。床は踏み固めた土。
『謙吾殿』が尋問。尋問の手練れも助言役。
両手吊り。帯が緩んで前がはだけている。
「子供に手荒な真似はしたくない」
「舌を噛んだりしないと約束するなら竹轡を」
「何故、逃げようとした。幸兵衛から何か言いつけられたのか」
いずれもだんまり。
着物を切り裂いて全裸。
「小童に棒叩きは可哀想でしょう」
径1寸長さ2尺の竹を先から1尺ほど十文字に割って。
尻、肩、背中(は、斜めに)。悲鳴はあげない。
腹をぐりぐり。薄い乳房を痛撃。
「強情ですな。何かを隠しているのは確実」
(しまった)何も知りませんと、とぼけるべきだった?
左右の足首に縄で開脚。
左内。水に浸した縄束。つついたり、言葉で脅してから、軽く股間に。
睨み付けるハル。強烈な一撃で悶絶失禁。
色責
枯松葉燻しで意識回復。梯子に縛り付けて、頭を下に斜め。
「大方、当家と武田の縁組を嗅ぎ付けたのであろう。それをもっとも懸念するは北条。そうであろう」
「今さら、どこに知られても構わぬ。横槍は入れさせぬ。無念じゃが」
※「無念じゃが」は謙吾の立場を暗示と、ドンデンドンデンへの伏線
「子供でもあるし、素直に申さば解き放ってやっても良い」
説得しながら愛撫。胸は膨らみかけなので乳首を。
「男児と変わらぬな」侮辱だよ。
クリは極小チンチンの要領で。
※ホモホモ寵愛で、男の身体については慣れたもの
快感を覚えても、すぐに遮断。くノ一としての閨修行で攻めも受けも。
冷静に考えて、白状したほうが得策。
「申すか?」
頷いて。竹轡を外される。
「お見通しの通りです」
縁組の証拠の書状はあるか。仲間は他にいるか。
いずれも否定。同じ地に生えている草でも互いは知らない。
「ほんとうか。嘘をつくと非道いぞ」
乳首つねられる。否定を重ねてクリも。
※リクエストミッション達成です
悲鳴を上げながら、激痛が去ると甘い疼き。
「窮鳥懐に入らば、煮て食おうと焼いて食おうと。目玉をくり貫いてやろうか、鼻をそぎおとしてやろうか」
「それはなりませぬぞ」
拷問後に無実が判明する場合もある。
ハルには当てはまらないが、寝返らせるかも。
いずれにしても回復不能な欠損は刑罰としてのみ。
※できるだけ自然にさらっと、しかしきっちり書いておく。ドンデンで、そうされないための伏線。
「四角四面じゃな。他国でもそうなのか」
「人の道に、国の違いはござらぬ」
「人ならざる左内が人の道を説くか」
※忍びは人外の存在。
「戯れ言無用」叱り付ける感じ?
「おなごには格別に効く責めがあったな」
「くノ一は、その修行も積んでおります。失礼だが、新鉢ならぬ新筆には荷が重いかと」
「ふん。ならば、勝手知ったる方で」
ハルは(年齢相応)処女。しかし、他2穴は修行済。
謙吾の(受けで覚えた)テクであへるが、絶頂しない。謙吾も、ハルに前立腺が無いので勝手が狂う。入口近くが性感帯?
謙吾も、華奢で柔らかいロリ肌に満悦。
しかし、尋問としては謙吾の完敗。
裸晒
全裸緊縛股瘤縄乳首凧糸連行背中捨札。謙吾の発案。城下町引回し。
群衆の敵意に満ちた眼差し。印字打ち。これはさすがに規制。までに十発くらいは。役人は3間離れて側面がら空き。汚水、塵芥。
※リクエストミッション達成です
憎悪の視線がつらい。前で馬の上から乳首糸を引く謙吾が、時折振り返る。面白がっているのに。悔しさよりも安心。
伯父夫婦の獄門晒しの横に立て膝開脚串刺し。これで破瓜。
「腰を落とせば死ねるぞ」子袋を突き破って、腸が腐って、全身黒く変じて……
横の台に、折れ弓、荒縄、擂粉木など。
『首より下は勝手たるべし』
「仲間を売りたくなれば、そう言え」
下人が番をしている。
それでもイタズラする野次馬。
夕闇に紛れて若い女人。不自然。
もしやと思って、暗号で。
「れふれよむ、ひいやしおせゐゑあ、さぬ」
たけたから、えんくみのもうして、あり
番人から手ひどく叩かれる。
女人は小さく頷いて立ち去る。町人の作りをしているが足運びの違う二人がばらばらに後を追う。仲間かな。
痛いとか水を求めると、
「台の上の獲物を鋸とか玄翁に換えるぞ」
三日間野晒。梅雨の大雨。
※全裸緊縛の少女が雨に揺れそぼる風情でどんぶり飯三杯。
混淆
謙吾、左内、下人2人。下人が実は下忍と、ハルが見破る。
左内が上忍とは、まだ気づかない。が、下忍の存在で疑惑。
大人と同じ責めに掛けてくれるぞ。
責め手は謙吾。
後手緊縛材木開脚逆さ吊り。径1寸長さ4尺の棒(杖術)で打ち据える。尻、腹、二の腕、太腿。薄い乳房は突いてこねくる。股間は打ったり突っ込んで捏ねたり。
叩かれた瞬間は痛い。痛みの余韻に痺れが切れたような快感。乳房が殊に。股間は突っ込まれると、ぬかるんでくる。
「女淫を甚振れば濡れるものですが、ちと夥しい」
更に責められて、ついに喜悦。
「これでは責めにならぬ」
大樽に水。逆さ吊りで、ドブン。
息が苦しくなって、泡を吹いて。
ブラックアウトしながらピンクアウト。
※ピンクアウトは『濡墨』参照
背中を叩かれて腹を殴られて、蘇生。
謙吾は他用。
材木開脚のまま、土間に放置。
「もう一揉みしてくれよう」と、左内。
俯せ水平吊り3点鈎針錘。背中滅多打ち。痛みの真っ最中にも妖しい快感が3点に。指を突っ込まれて暴かれる。
「汗水滴して悦ばせてやっとるだけじゃ。どうせなら、お前らも愉しめ」
下忍2人に任せて退出。
仲間を呼んで「ははは。五人囃子じゃ」
前後2穴。威魔羅痴謳(書くなよ)は噛まれると怖いので。
倒錯
中1日は、海老責と逆海老。休養みたいなもの。
翌日は、さらに過激な責め。
「まだ、仲間の所在を吐かぬか」
「言いません」返事の変化。
※責めを求めています。自覚しているか無意識かは、書きながら決めましょう。
後手緊縛。鋭利な木馬。足に錘。大木槌。マゾ快感で絶頂。
「そうそう愉しませてはやらん」
後ろ手をほどいて。首から吊るした木の板に手首を鎹固定。
爪の肉に針刺し。10本。
マゾ快感雲散霧消だが。謙吾の目の輝きに気づいて、胸キュン。初めて本物の快感を与えてくれた男だから?
人差指、中指、薬指は長い。蝋燭で炙る。激痛だが局部なので気絶しない。
ますますぎらつく謙吾の瞳。このお方が悦ぶなら、何をされても殺されてもいい。
「もはや焦る必要は無い。日にちを掛けて嬲ってくれるわ」
「それは、そうと」
一昨日は、この者で遊んだようだな。これからも女として遊ぶのは構わぬが、後門は許さん。俺の穴だ。
針は抜いて。座禅転がしで手持竜吐水浣腸。木栓をして身体を起こせば抜けない。
「まだ上の口は使っておらぬそうだな、臆病者め」
「出したいか。俺のを出せたら、出させてやる」
強制合意笛裸痴音。謙吾は動かない。ハルが自発的にフェラテク発動。
「これが、くノ一の術か。俺よりもはるかに上手い」
一気ピストン10連激で暴発。自発ゴックン。
木栓のまま抱えられて裏庭へ。シーブリブリ。全身に井戸水、穴は擂粉木に布で。
「どうせじゃ。御天道様の下で可愛がってくれるわ」
射精直後でも隆々。
牢番も見物。謙吾に遠慮して神妙だが、陰口もヒソヒソ。
殿に可愛がられるよりは
あの娘なら、稚児と変わりはない
口も共用。
2連発で賢者タイム。「後は好きにせい」
凌辱を指図されたと受け止めて。
ギロチン磔台(鳥居形に杭を組んで)で2人ずつ、下忍だけでなく雑役夫など呼び寄せて20人で10連姦。
あのお方の命令で、おれは犯されている。絶頂しないが、快感にたゆたうもじきに辟易。
途中から出血。実に初潮。ハルの羞恥と、それでも誇らしさ。
ギロチン磔のまま翌日まで。気が向いたときに使われる。そのせいか、優しくされる。干物を口移しとか。
夜間に金創医。指だけは手当。男どもの小をぶっかけて味噌と灰を混ぜた物を塗りたくって油紙で包む。すでに傷は塞がっているから無意味というか無害。
極虐
足首に1尺半の鎖。太い鎖で後ろ手、胴体ぐるぐるは重たい。身動きすると鎖が肌に擦れて違和感。腰に巻いて股間にも通されて、馬の尻尾に繋がれる。遠乗り。
鎖が張ると、馬が気持ち悪がって、駆け出す。倒れて、そのまま引きずられる。むしろ鎖が肌を守ってくれるが、それでもズタボロ。一里の道を半刻で駆けさせられて、ピンクが訪れないまま気絶。お供の連中の小を浴びせられて意識を取り戻す。謙吾のは顔に。喉が乾いているので飲んでしまう。心理的に美味。
帰路は遠回りで川原へ。
「今日は蒸し暑い」
水遊び。ハルは鎖のまま追い立てられて溺れかける。
馬の腹に抱きつく形に縛られて帰還。メスと察知した馬の特大に股間をつつかれながら。その刺激もあって「謙吾様の玩具にされている」マゾ快感。
往路の傷で全身血まみれ。
「肌の汚れを落としてやる」
人の字に吊って、岩塩をまぶした縄束で滅多打ち。もはや、尋問などしない。
全身を切り刻まれるような激痛。心の中も肌も鮮やかな桃色に染めて失神。
松葉燻し。
梯子に縛り付ける。腕は頭上に伸ばして、足は折り曲げて足の裏を合わせて。股間無防備。逆さに立て掛けて、口は手拭で何重にも包んで。
水を流し掛ける。いきなり腹パン。呻いた反動で水を吸い込んで噎せて咳き込んでさらに吸う。完全には溺れないので、水に浸けられるより苦しいくらい。
気を紛らわしてやろうと、釘を何本も打ち込んだ径1寸半の擂粉木。少女の未熟な穴には本体だけでも無理なのに、丁字形の釘頭。先端も突き抜けている。
激痛に絶叫しながら、ピンクを突き抜けて深紅の絶頂へ。
逃走
拷問蔵に放置。
若い男。見覚えは無いが、穴を使った何十人をいちいち覚えていない。
「れんふあまを」
たすけてやる
はっと、意識がしっかりする。
仮死になる薬。
翌朝『死体』を発見して小騒ぎ。
実は。意識は微かに残っている。聞こえている。
「息をしておりませぬ。心の臓が破裂したかと」
「まだまだ愉しめそうだったのに、惜しいことをした」
「仲間の居所も吐かせられなんだ」
「なに。野晒でおびき寄せた連中で、あらかたでしょう」
あの怪しい町人は探索方だったのかと、痛恨。
「死骸はどうしましょう」
「街外れの無縁寺へ投げ込んでおけ。こういうときのために、捨て金を寄進しているのだ」
全裸のまま投げ込まれる。
老婆の死体から着物を借用して逃走。途中で泥棒もして……北条家忍者団の頭領、風間小太夫の元へ。
ドンデン返し<ブログ非公開>
ドンデンドンデン返し<ブログ非公開>
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
さて、このドンデン返しと、さらなるドンデンドンデン。ツアラトゥストラかく語りき。
如何なるドンデンかは、濠門長恭かく語りき(実作)までお待ちください。
これをくっつけると、200枚行くかもしれませんな。
DLsight Affiriate キーワードは「ロリ、くのいち」です。
では、リクエストの内容をば。WILL様、転載ごめんなさいね。
以前書いていただいた「名札のピアスはどれいの証し」を読み直していたところ、五郎が祥女ちゃんにやっていたプレイから濠門様のロリくのいちが見てみたいと思い、リクエストを出させていただきました。
*ストーリイのリクエスト
ロリマゾくのいちが尋問のため様々な拷問を受ける
*時代設定のリクエスト
戦国時代前後の日本
*シチュエーションのリクエスト
戦国時代を舞台とした忍者物
*キャラ設定
・少女
11~12歳ほどの少女。年の割に小柄だがはしっこく、機転が利くため、草として使われていた。
敵国で捕縛され拷問を受けるうちにマゾに目覚め、口を割らないために拷問に耐える、のではなく、拷問されるために口を割らないようになっていく。
・武士
少女を捕縛した男。情報収集のために少女を拷問していたが、やがて拷問という行為そのものに溺れていく。
(複数名、あるいはモブでも構いません)
*人間関係のリクエスト
ロリのマゾヒストと、ロリコンのサディストによる拷問
*特定の責めのリクエスト
濠門様の責めを堪能したいと思いますので内容は基本的におまかせしますが、以下はお願いできますでしょうか。
・乳首と陰核を抓りあげられ責められる少女
また、可能であれば以下もお願いします。
・全裸で市中を引き回される少女
(同情的な視線が多かった祥女ちゃんに対して、悪意や敵意を向けられる感じで)
以上、よろしければお願い致します。
R-18 ロリ 拷問 晒し者 CMNF ふくらみかけ 羞恥
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
一直線のシーケンスで場面も少なく、100~150枚で落ち着きそうです。
拷問されて悦虐というのは、7/15発売予定の『濡墨』とかぶりますが。あちらは、過激な拷問に耐えられる身体が必要ということで、公然のR対策もあって、ヒロインは19歳にしました。数えですから、満年齢なら18行く行かずとは、ちょっと考えれば分かりますが。
こちらは、満年齢で10~11です。WILL様は満年齢で考えてられるのかもしれませんが。
まあ、無難に数えで12としておきましょう。そんな子に拷問ですか。忍者ものですから『拷問ごっこ』では済みません。異端審問もグアンタナモ収容所も真っ青という過激拷問です。
で、まあ。最初はお子様乱痴で、それから女の子にはつらくて愉しい色責めで、それから野晒とかして、最後に大人様乱痴のフルコースにしちゃえ。
ということで。リクエストを見てわずか2日でPLOTを丁稚揚げました。

WILL様は、少女が単独で草の任務に従事している状況を想定されたかも知れませんが。これは困難です。草のように敵地に根付いて、何代もそこで暮らすのです。何事も無ければ、たんなる一庶民として生を全うします。ので……あとはPLOTで。
[背景]
上杉謙信
1578年没(48)
1569年 景虎19 景勝15すでにホモホモ
舞台は1569年(永禄12年)
北条三郎(後の景虎)19歳。上杉家の養子になるのは翌年。
上杉景勝(謙信の姉の息子)15歳。すでに謙信の寵愛。
謙吾としては、ライバルが増えるような、三竦みに持ち込めるような……
==============================
逝かされたって口は割らない
上杉、武田、北条の三すくみ。
武田から上杉への縁組打診。北条攻略。
杉下謙吾(坂下正吾)20歳。小姓頭。
上杉謙信の稚児。14のときから。姓名ともに1字を賜る。
美丈夫。実に童貞!
ロストチェリーはハルの尻穴。後に前穴も。
養子に直って跡目を襲う芽もあったが、史実は……
ハルに耽溺
大岡左内 34。
上忍のひとり。尋問の手練。
上野屋幸兵衛、タヨ
ハル 12歳。満11。未潮。/おれ
8歳のときから、伯父夫婦の世話になっている(という触れ込み)。
実際は捨て子だったか、下忍の子供だったか。必然性が生じた時点で決める。
せいぜい10歳くらいの背丈。未発毛。
しかし、膨らんできている。利発。敏捷。
体術の基礎は里で修めている。
里には、神童と言われた年長の少年。
算術に秀で、漢籍も読み下す。
しかし、ハルの粉掛けに無頓着。
現在の子供は勉強で手一杯だから、世間智に疎いと――暗示。
※いくら利発でもオトナでも難しい任務を務められる理由付けです。
当時の子供は、鶴亀算も地球の大きさも塩水の濃度も勉強する必要はありませんでしたから、その分、世間知を勉強できたのです。
季節は梅雨時(農繁期は休戦期)
==============================
捕縛
深夜。裏庭から転がり込む伯父。重傷。
ハル、お前なら逃げられる。殿へ伝えよ。
「武田から上杉に縁組の申し出が内々にあった。用心されたし」
ハルの理解。仲の悪い三人のうち、二人が仲直りして、もう一人をやっつける。
自分たちの雇い主は、その『もう一人』の北条毛の後家来。
「たとえ捕らえられても自害するな。生きて逃げて、必ず殿に注進せよ」
伯母は目眩ましに全裸。二人とも背中に小葛籠。草は顔を潰す必然性がない。裏口と表とに分かれて飛び出す。
※たーちまーち起こる剣戟のー。
ハルは天井裏へ。忍具の袋と路銀だけを持って、明り取りから脱出。衣服は敷いて寝ている単衣。
龕灯に照らされ、裸で無数の投げ縄に絡め取られている伯母。
美しいとハル。伯母の自爆。思わず呆然。
見つかる。弓矢と目潰し。転げ落ちる。陣頭指揮の若武者が受け止める。軽い。
目潰しで涙とくしゃみ。太股に矢が刺さっている。
自害封じの竹轡。
「これも何かの縁じゃ。俺が直々に糾問してくれる」
歩かせるのは手間。槍に獣縛り。下半身露出。
※この時代、荷車は稀。
拷責
牢獄。穿鑿の間。床は踏み固めた土。
『謙吾殿』が尋問。尋問の手練れも助言役。
両手吊り。帯が緩んで前がはだけている。
「子供に手荒な真似はしたくない」
「舌を噛んだりしないと約束するなら竹轡を」
「何故、逃げようとした。幸兵衛から何か言いつけられたのか」
いずれもだんまり。
着物を切り裂いて全裸。
「小童に棒叩きは可哀想でしょう」
径1寸長さ2尺の竹を先から1尺ほど十文字に割って。
尻、肩、背中(は、斜めに)。悲鳴はあげない。
腹をぐりぐり。薄い乳房を痛撃。
「強情ですな。何かを隠しているのは確実」
(しまった)何も知りませんと、とぼけるべきだった?
左右の足首に縄で開脚。
左内。水に浸した縄束。つついたり、言葉で脅してから、軽く股間に。
睨み付けるハル。強烈な一撃で悶絶失禁。
色責
枯松葉燻しで意識回復。梯子に縛り付けて、頭を下に斜め。
「大方、当家と武田の縁組を嗅ぎ付けたのであろう。それをもっとも懸念するは北条。そうであろう」
「今さら、どこに知られても構わぬ。横槍は入れさせぬ。無念じゃが」
※「無念じゃが」は謙吾の立場を暗示と、ドンデンドンデンへの伏線
「子供でもあるし、素直に申さば解き放ってやっても良い」
説得しながら愛撫。胸は膨らみかけなので乳首を。
「男児と変わらぬな」侮辱だよ。
クリは極小チンチンの要領で。
※ホモホモ寵愛で、男の身体については慣れたもの
快感を覚えても、すぐに遮断。くノ一としての閨修行で攻めも受けも。
冷静に考えて、白状したほうが得策。
「申すか?」
頷いて。竹轡を外される。
「お見通しの通りです」
縁組の証拠の書状はあるか。仲間は他にいるか。
いずれも否定。同じ地に生えている草でも互いは知らない。
「ほんとうか。嘘をつくと非道いぞ」
乳首つねられる。否定を重ねてクリも。
※リクエストミッション達成です
悲鳴を上げながら、激痛が去ると甘い疼き。
「窮鳥懐に入らば、煮て食おうと焼いて食おうと。目玉をくり貫いてやろうか、鼻をそぎおとしてやろうか」
「それはなりませぬぞ」
拷問後に無実が判明する場合もある。
ハルには当てはまらないが、寝返らせるかも。
いずれにしても回復不能な欠損は刑罰としてのみ。
※できるだけ自然にさらっと、しかしきっちり書いておく。ドンデンで、そうされないための伏線。
「四角四面じゃな。他国でもそうなのか」
「人の道に、国の違いはござらぬ」
「人ならざる左内が人の道を説くか」
※忍びは人外の存在。
「戯れ言無用」叱り付ける感じ?
「おなごには格別に効く責めがあったな」
「くノ一は、その修行も積んでおります。失礼だが、新鉢ならぬ新筆には荷が重いかと」
「ふん。ならば、勝手知ったる方で」
ハルは(年齢相応)処女。しかし、他2穴は修行済。
謙吾の(受けで覚えた)テクであへるが、絶頂しない。謙吾も、ハルに前立腺が無いので勝手が狂う。入口近くが性感帯?
謙吾も、華奢で柔らかいロリ肌に満悦。
しかし、尋問としては謙吾の完敗。
裸晒
全裸緊縛股瘤縄乳首凧糸連行背中捨札。謙吾の発案。城下町引回し。
群衆の敵意に満ちた眼差し。印字打ち。これはさすがに規制。までに十発くらいは。役人は3間離れて側面がら空き。汚水、塵芥。
※リクエストミッション達成です
憎悪の視線がつらい。前で馬の上から乳首糸を引く謙吾が、時折振り返る。面白がっているのに。悔しさよりも安心。
伯父夫婦の獄門晒しの横に立て膝開脚串刺し。これで破瓜。
「腰を落とせば死ねるぞ」子袋を突き破って、腸が腐って、全身黒く変じて……
横の台に、折れ弓、荒縄、擂粉木など。
『首より下は勝手たるべし』
「仲間を売りたくなれば、そう言え」
下人が番をしている。
それでもイタズラする野次馬。
夕闇に紛れて若い女人。不自然。
もしやと思って、暗号で。
「れふれよむ、ひいやしおせゐゑあ、さぬ」
たけたから、えんくみのもうして、あり
番人から手ひどく叩かれる。
女人は小さく頷いて立ち去る。町人の作りをしているが足運びの違う二人がばらばらに後を追う。仲間かな。
痛いとか水を求めると、
「台の上の獲物を鋸とか玄翁に換えるぞ」
三日間野晒。梅雨の大雨。
※全裸緊縛の少女が雨に揺れそぼる風情でどんぶり飯三杯。
混淆
謙吾、左内、下人2人。下人が実は下忍と、ハルが見破る。
左内が上忍とは、まだ気づかない。が、下忍の存在で疑惑。
大人と同じ責めに掛けてくれるぞ。
責め手は謙吾。
後手緊縛材木開脚逆さ吊り。径1寸長さ4尺の棒(杖術)で打ち据える。尻、腹、二の腕、太腿。薄い乳房は突いてこねくる。股間は打ったり突っ込んで捏ねたり。
叩かれた瞬間は痛い。痛みの余韻に痺れが切れたような快感。乳房が殊に。股間は突っ込まれると、ぬかるんでくる。
「女淫を甚振れば濡れるものですが、ちと夥しい」
更に責められて、ついに喜悦。
「これでは責めにならぬ」
大樽に水。逆さ吊りで、ドブン。
息が苦しくなって、泡を吹いて。
ブラックアウトしながらピンクアウト。
※ピンクアウトは『濡墨』参照
背中を叩かれて腹を殴られて、蘇生。
謙吾は他用。
材木開脚のまま、土間に放置。
「もう一揉みしてくれよう」と、左内。
俯せ水平吊り3点鈎針錘。背中滅多打ち。痛みの真っ最中にも妖しい快感が3点に。指を突っ込まれて暴かれる。
「汗水滴して悦ばせてやっとるだけじゃ。どうせなら、お前らも愉しめ」
下忍2人に任せて退出。
仲間を呼んで「ははは。五人囃子じゃ」
前後2穴。威魔羅痴謳(書くなよ)は噛まれると怖いので。
倒錯
中1日は、海老責と逆海老。休養みたいなもの。
翌日は、さらに過激な責め。
「まだ、仲間の所在を吐かぬか」
「言いません」返事の変化。
※責めを求めています。自覚しているか無意識かは、書きながら決めましょう。
後手緊縛。鋭利な木馬。足に錘。大木槌。マゾ快感で絶頂。
「そうそう愉しませてはやらん」
後ろ手をほどいて。首から吊るした木の板に手首を鎹固定。
爪の肉に針刺し。10本。
マゾ快感雲散霧消だが。謙吾の目の輝きに気づいて、胸キュン。初めて本物の快感を与えてくれた男だから?
人差指、中指、薬指は長い。蝋燭で炙る。激痛だが局部なので気絶しない。
ますますぎらつく謙吾の瞳。このお方が悦ぶなら、何をされても殺されてもいい。
「もはや焦る必要は無い。日にちを掛けて嬲ってくれるわ」
「それは、そうと」
一昨日は、この者で遊んだようだな。これからも女として遊ぶのは構わぬが、後門は許さん。俺の穴だ。
針は抜いて。座禅転がしで手持竜吐水浣腸。木栓をして身体を起こせば抜けない。
「まだ上の口は使っておらぬそうだな、臆病者め」
「出したいか。俺のを出せたら、出させてやる」
強制合意笛裸痴音。謙吾は動かない。ハルが自発的にフェラテク発動。
「これが、くノ一の術か。俺よりもはるかに上手い」
一気ピストン10連激で暴発。自発ゴックン。
木栓のまま抱えられて裏庭へ。シーブリブリ。全身に井戸水、穴は擂粉木に布で。
「どうせじゃ。御天道様の下で可愛がってくれるわ」
射精直後でも隆々。
牢番も見物。謙吾に遠慮して神妙だが、陰口もヒソヒソ。
殿に可愛がられるよりは
あの娘なら、稚児と変わりはない
口も共用。
2連発で賢者タイム。「後は好きにせい」
凌辱を指図されたと受け止めて。
ギロチン磔台(鳥居形に杭を組んで)で2人ずつ、下忍だけでなく雑役夫など呼び寄せて20人で10連姦。
あのお方の命令で、おれは犯されている。絶頂しないが、快感にたゆたうもじきに辟易。
途中から出血。実に初潮。ハルの羞恥と、それでも誇らしさ。
ギロチン磔のまま翌日まで。気が向いたときに使われる。そのせいか、優しくされる。干物を口移しとか。
夜間に金創医。指だけは手当。男どもの小をぶっかけて味噌と灰を混ぜた物を塗りたくって油紙で包む。すでに傷は塞がっているから無意味というか無害。
極虐
足首に1尺半の鎖。太い鎖で後ろ手、胴体ぐるぐるは重たい。身動きすると鎖が肌に擦れて違和感。腰に巻いて股間にも通されて、馬の尻尾に繋がれる。遠乗り。
鎖が張ると、馬が気持ち悪がって、駆け出す。倒れて、そのまま引きずられる。むしろ鎖が肌を守ってくれるが、それでもズタボロ。一里の道を半刻で駆けさせられて、ピンクが訪れないまま気絶。お供の連中の小を浴びせられて意識を取り戻す。謙吾のは顔に。喉が乾いているので飲んでしまう。心理的に美味。
帰路は遠回りで川原へ。
「今日は蒸し暑い」
水遊び。ハルは鎖のまま追い立てられて溺れかける。
馬の腹に抱きつく形に縛られて帰還。メスと察知した馬の特大に股間をつつかれながら。その刺激もあって「謙吾様の玩具にされている」マゾ快感。
往路の傷で全身血まみれ。
「肌の汚れを落としてやる」
人の字に吊って、岩塩をまぶした縄束で滅多打ち。もはや、尋問などしない。
全身を切り刻まれるような激痛。心の中も肌も鮮やかな桃色に染めて失神。
松葉燻し。

梯子に縛り付ける。腕は頭上に伸ばして、足は折り曲げて足の裏を合わせて。股間無防備。逆さに立て掛けて、口は手拭で何重にも包んで。
水を流し掛ける。いきなり腹パン。呻いた反動で水を吸い込んで噎せて咳き込んでさらに吸う。完全には溺れないので、水に浸けられるより苦しいくらい。
気を紛らわしてやろうと、釘を何本も打ち込んだ径1寸半の擂粉木。少女の未熟な穴には本体だけでも無理なのに、丁字形の釘頭。先端も突き抜けている。
激痛に絶叫しながら、ピンクを突き抜けて深紅の絶頂へ。
逃走
拷問蔵に放置。
若い男。見覚えは無いが、穴を使った何十人をいちいち覚えていない。
「れんふあまを」
たすけてやる
はっと、意識がしっかりする。
仮死になる薬。
翌朝『死体』を発見して小騒ぎ。
実は。意識は微かに残っている。聞こえている。
「息をしておりませぬ。心の臓が破裂したかと」
「まだまだ愉しめそうだったのに、惜しいことをした」
「仲間の居所も吐かせられなんだ」
「なに。野晒でおびき寄せた連中で、あらかたでしょう」
あの怪しい町人は探索方だったのかと、痛恨。
「死骸はどうしましょう」
「街外れの無縁寺へ投げ込んでおけ。こういうときのために、捨て金を寄進しているのだ」
全裸のまま投げ込まれる。
老婆の死体から着物を借用して逃走。途中で泥棒もして……北条家忍者団の頭領、風間小太夫の元へ。
ドンデン返し<ブログ非公開>
ドンデンドンデン返し<ブログ非公開>
∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞
さて、このドンデン返しと、さらなるドンデンドンデン。ツアラトゥストラかく語りき。
如何なるドンデンかは、濠門長恭かく語りき(実作)までお待ちください。
これをくっつけると、200枚行くかもしれませんな。
DLsight Affiriate キーワードは「ロリ、くのいち」です。
Progress Report 0:昭和集団羞辱史:物売編(夜)
今回は取っ掛かりが、いつもと違いました。
マゾ堕ちにしてもハッピーエンドにしても、ドラスチックな終わり方ではあります。ドラスチックでなければドラマチックではないと思いはしますけれど。たまには、平凡エンド、のんべんだらりエンドも面白いかなと。実はドラスチックなエンディングを考え出せなかったという、それはあったりなかったりしますしません。
戦闘詳報でも書きましたが、小説を書いてないと手持ち豚さんなのです。
取っ掛かり云々は、暇とは関係ありません。
今回は、何を書くかで最後まで迷いまして。
『An Amateur Assasine Arrested and Abused』は、PLOT出来てるけど、拷問オンパレードが『濡墨』と同工異曲で、意欲がイマイチ。
『XXYの悲劇』は気分じゃないし。
『スケバン有情』は、まだ膨らむように思うし(それで千枚とかなったら、どうすんだよ?)。
『十手小町淫乱変化』は『濡墨』と時代劇かぶりだし。
『昭和集団羞辱史:番外編』書くよりは、「物売編(昼)」とペアになる「物売編(夜)」が先だろうが。
ということで、そうしたのですが。
執筆間隔調整というか、モチベアップの儀式というか。今回は、先にBFから手掛けたのです。
「秘写真」売りは、構図的にイマニくらい。全裸緊縛少女の横に同じ構図の写真が散らばってるなんて、芸が無い。
しかし「花売娘」売りは、適当な参考写真が見当たりません。エロい格好をした娘が花籠抱えて紳士にまとわりついているとか。出来れば、ブラウス無しのアンミラ風。まあ、前が大きく開いたチョッキから乳房がぽろんなんて、アンミラよりはるか昔からありました。筆者の中学時代の体育祭の女子応援団の手作り制服が、それでした。もちろん、下は体操服着用ですが。
高校時代は、男子の制服で男子応援団の振り付け。あのガクランは誰のを借りてるんだろ、どういう関係なんだろ、裸ガクランだったら素敵だなと、嫉妬も妄想竹も……こほん。Midship!
で、太思いついて。アップスカート立ち姿に花束を絡ませて。ついでに……

股間の花は椿です。最初は薔薇でしたが、なんたって マンコ椿は恋の花♪ですからね。
では、PLOTを一揆加勢に。
1965年(昭和40年)
証券不況は個人消費には関係ない
秘写真
大竹和子/私
大竹昭大(あきひろ)/俺
昭和元年産れ
昭和22年に復員後結婚
1:父を尋ねて
土曜日の夕刻。盛り場を徘徊。職務質問
もう社会人です。山菱電機の工場に、この春から。
2年前の正月の家族写真からの引き伸ばし。
父が同じ工場へ出稼ぎ。消息不明。
「こいつ、エロ写真……むにゃむにゃ」
渋る警官に案内してもらう。
取り繕ってもしょうがないので商売中を。
取り落とす見本写真。
元締に娘を見せたくない。深夜喫茶。いかがわしい光景。奥のボックス席へ。
出稼仲間の借金の連帯保証人。30万円。和子の給料の2年分。利子もある。
稼いでも借金が減らない。他のヤツと同じ写真では売れ行き悪い。
月の売上は和子の給料の5倍くらい。取分は、その1/3。
そうだ。和子がモデルになってくれ。
2:父を助けて
日曜日の午後。元締の手配でヌード撮影。父は外へ連れ出される。
元締の二代目(マネージャーと呼べ)が仕切る。最初から執着?
おとなしい(?)もろ出し。顔がひきつる。
設定変更。実は最初から目論む。
3対1の疑似レイフ゜。とは教えずに。
服を引きちぎってパンティ猿轡。2人で押さえ付け股間に勃起を突き付ける。ところまで。
「迫真の組写真ができる」
モデル料が2万円。手渡す。大卒初任給並み。半分は父親の借金。取り上げる。
他の奴にも売らせる。
話が違う。
独り占めしたら、恨まれるぞ。
3:父と一緒に
翌週の土曜日、夜。
工場へは父も挨拶を入れてある。
5枚組で1500円は従来の5割増。
父が酔客に売り付ける横で顔見世だけのはずが。
売春は父親もさすがに。モデルの証明にマン見せ。裏にサイン。マン拓(+500円)。
巡回に見咎められるが、路地裏なら目こぼし。土日で大商い。10セット×2日。
取分1万円のうち8千円を返済へ。マン拓分(6千円)はポッケに。
計算上1年半で完済?
4:父への失望
2か月後。売上落ちる。マン拓はサービスに。もっと過激な写真。処女喪失もの。
二代目がたしなめる。同じ商品を細く長く。タカマチとか。しかし、OKする。
夏休みの帰省は和子だけ。父は完済まで行方不明のまま。
別に身売りではない。撮影のときだけ。
今時、処女じゃないと嫁に行けないなんてナンセンス。学生運動、スエーデン。
憧れてた同級生、農業学校。盆踊りデート。子供っぽく見える。片想いの終わり。
5:父の目前で
8月下旬。撮影。レイフ゜の続き。より過激に。今度は父に見せつける。二代目の意向。
パンティ猿轡、後ろ手錠。二代目が一番槍。二番槍は疑似。
8ミリで撮影も。別ルートで売りさばく。モデル料は5万円。4万円を返済。
10枚組で2千円。マン拓はサービス。1か月で売り上げ低迷。
またぞろ、新商品を父親が提案。「えすえむ」とか。
二代目が和子を堂々とデートに誘う。おまえの親父は、どうしようもない。
今度の写真でも、サツがうるさい。スケープゴートが必要(さり気なく)。
バシタになれ。
後で聞いた父親は難色。しょせんはヤクザ。自分のことは on the shelf。
6:父との離別
9月中旬。摘発。
猥褻物頒布罪等(2年以下の懲役)
懲役1年6か月。執行猶予無し。敢えて面会しない。会えば甘えが出る(と、二代目)。
和子は被害者扱いで実家へ帰される。二代目が母親に談判で。結婚。
出所した父を家族3人で出迎え。
****************************************
花売娘
佐島華代(はなよ)/あたし
中3の夏。元大地主現農協理事長の息子と。彼の仲間5人とも。
サセ子の噂。就職斡旋もしてもらえない。
卒業と同時に多恵を頼って。事前相談をして、断わられている。
宇佐美多恵:35(終戦時15)/うち[ら]
佐島家との確執。満州から引き揚げ。ロシア兵接待で故郷に居づらくなって都会へ。
1:不安な前途
花屋『椿姫』の前に立つ華代。裏通りの小さなビルに挟まれた2階建。
始発で出て、昼過ぎに着。店は閉まっている。うろうろしてると、多恵が出てくる。
ここで働きたい。
正月に多恵が故郷錦。
夜の神社で飲み屋の看板娘を口説いているのを立ち聞き。
「あたしを雇ってください」
「子供にはできない仕事」
自分のふしだらな評判のせいだと思い込む。
押し掛け。
2階の住居で。
懸命のアピール。
2:過激な過ち
ここでカットバック。
夏休み。農協理事長の息子に誘われて3カップルで海へ。
1泊2日。保護者として先輩の姉は、ナンパ受け。
「遊びだけど、いいね?」
夜に華代だけ結ばれる。ワンピ。海で全裸。
後日のデート。弟妹への土産、持ちきれずにアップスカート。
ついでに、ダウンパンティ。海の2人に見せびらかす。
その夜、1対3。全員と。
秋祭り。先輩の準備してくれた浴衣。姉の着付け。透けて、下着無し。
3カップル+男3人。この3人とも。
学校でもノーブラ基本。パンティは先輩プレゼント。月イチ帰省でやり目デート。
サセ子の噂。
正月に先輩がクラスメートを伴って。振られる。
就職斡旋は、してもらえない。学校の評判を落とす。
3:花売の裏側
「あんたも、ずいぶんね。あいつの娘がねえ」
「父を知ってるんですか」には答えず。
実際の商売を見せてあげる。
陽が落ちてから出勤してくる売娘。5人。
25~32。けばい。私服だがピンクのスカーフが目印。
この街にトルコやちょんの間はない。ピンサロのフェラまで。立ちんぼは多数。
ルックスと年齢厳選で、椿姫がダントツ。
多恵に案内されて、物陰から見学。
何軒かとは契約してるが、路上のを。
小さな公園が溜り場。5人は互いに見える距離。せいぜい3人連れまで。微酔い止まり。
その場で人数合わせして同数の売子で。商談成立したらカップルごとに分かれる。
その後については口頭説明。
「やれるなら、雇ってあげる」
花束は200円。取分は50円。
椿はホ別ショート千円。取分は700円。泊まりはホ別2500円/2千円。
ホは休憩800円、泊1500円。
※「ホ別」は使っちゃあかんよ。
「へえ、椿?」
「オペラで椿姫ってのがあるでしょ。女主人公は高級娼婦なの」
土方の日給が1000円。立ちんぼより高い。
立ちんぼは、40~50代が多い。
若くて美女は、大都会へ。
現代より売春は安い。
4:マンコ椿は
先輩とペアで。大人っぽいメイク。
若すぎると敬遠される。先輩はOK。他グループのひとりを入れる。あぶれ同士のペア。
4回目で商談成立。重度ロリコン。優しいから、いいけど。結局、そのひとりだけ。
翌日は坊主。
あれこれ考えて。表紙絵を実行(パンツダウンは膝上で絆創膏)。
長めのスカートだからパンツも見えない。
多恵も先輩も呆れる。
どうせならと、多恵のアイデアでマンコ椿。ノーパン。
まだ、意地悪モード。
「まあ、やってみな」
路上は公然猥褻、飲み屋は雑然。バーで。
「花束が持ち運びにくいなら椿一輪を買ってください」アップスカート。
注:「アンコ椿は恋の花」1964/10
その日は3軒で3人。ひとり客2+3人のうちのひとり。
5:斬新な衣装
「マンコ椿の子」で定着。ナンバーワン。
他の売子もコスチュームに工夫。
総勢8人中3人。比較的若い子。
すっぽんぽんにレインコート。
洋風花売娘。ノーブラ、チョッキで下乳を支える。要するにアンミラ。
10年前のセーラー服。胸当てなしでスカートはミニ(股下から膝までの半分)。
ミニスカートは、ツイッギー以前からロンドンなどで流行っていた。
年輩からの反感も。あくまで売子、客とは一目惚れの自由恋愛。
「若い子って、奔放ね」で、深刻な対立にはならない。
ともかく、順調に8月。帰省はしないでボーナスの名目で仕送り。
6:縄張の書換
「出てけ。売るわけないわよ」
説明。他県から進出のヤクザ。
地元の親分は満州帰りのつながりで娘同然愛人関係。
上部のアレコレで、この街はあっちのシマに。
土地と建物を買い上げて、多恵は雇われマダムにしてやる。
女の子の取分は75%→33%
冗談じゃない。
風紀粛清の腕章を付けた組員の営業妨害。
店も、いざこざはお断わりで出禁。
一時金を渡して、女の子は解雇(雇用はしてないけど)。
華代は引き続き住まわせて本業(?)の手伝い。花輪などは他店の既得権。
7:肉体的説得
店舗営業は閑古鳥変わらず。
地味な服装でピンクスカーフ無し花売り娘。1晩に3つでは売上額で日当いかない)。
店に帰ると、ヤクザ来ている。
目の前で多恵をまわす。
「うちら、露助を一晩20人だって相手してるんだ。これくらい屁の河童だい」
ならばと、華代を吊るして引ん剝いて。
「うちには関係無い。故郷で虐めてくれた先棒担ぎの娘」
「そうかい」
多恵はイスに縛り付けて。
バンドで全身20発くらい。
「権利書を渡しちゃ駄目。これくらい平気」
左右から脚を引っ張って開かせて、打ち込み。
権利書を渡す。必要な書類に署名捺印。
8:売春労働者
売子10人。前の8人のうち4人と華代。新人(すべて20代)5人は半強制。
制服。ブラウス無しで乳出しチョッキ、サーキュラースカート。
新人のうち2人と華代が、マンコ椿3人娘。
実は……店舗が再開発に引っ掛かる。ごねて補償を釣り上げ。売上を証拠に。
連れ込み宿も直営で、総額は
ショート千円+5百円、泊3千円+千円。
手取は33%どころか25%。
チップも身体検査。取分は50%
ただし会社員扱い。健康保険証と住民票と。
逃亡防止の寮は無料。組員のただ乗り。
金曜日と生理4日間が休み。
ショートは3回転がノルマ。
女工よりすこしはましな生活。
しかし、病気とかしたときは安心。
そんなに悪くない。
工場とかでも、事務部門など。流通に係わる人間も。
小売価格で考えると、女工の給料は1割かそこら。
それを考えれば、25%でも悪くはない?
貧乏くじはお姉さんだけ。
DLsite Affiliate キーワードは「花売」
マゾ堕ちにしてもハッピーエンドにしても、ドラスチックな終わり方ではあります。ドラスチックでなければドラマチックではないと思いはしますけれど。たまには、平凡エンド、のんべんだらりエンドも面白いかなと。実はドラスチックなエンディングを考え出せなかったという、それはあったりなかったりしますしません。
戦闘詳報でも書きましたが、小説を書いてないと手持ち豚さんなのです。
取っ掛かり云々は、暇とは関係ありません。
今回は、何を書くかで最後まで迷いまして。
『An Amateur Assasine Arrested and Abused』は、PLOT出来てるけど、拷問オンパレードが『濡墨』と同工異曲で、意欲がイマイチ。
『XXYの悲劇』は気分じゃないし。
『スケバン有情』は、まだ膨らむように思うし(それで千枚とかなったら、どうすんだよ?)。
『十手小町淫乱変化』は『濡墨』と時代劇かぶりだし。
『昭和集団羞辱史:番外編』書くよりは、「物売編(昼)」とペアになる「物売編(夜)」が先だろうが。
ということで、そうしたのですが。
執筆間隔調整というか、モチベアップの儀式というか。今回は、先にBFから手掛けたのです。
「秘写真」売りは、構図的にイマニくらい。全裸緊縛少女の横に同じ構図の写真が散らばってるなんて、芸が無い。
しかし「花売娘」売りは、適当な参考写真が見当たりません。エロい格好をした娘が花籠抱えて紳士にまとわりついているとか。出来れば、ブラウス無しのアンミラ風。まあ、前が大きく開いたチョッキから乳房がぽろんなんて、アンミラよりはるか昔からありました。筆者の中学時代の体育祭の女子応援団の手作り制服が、それでした。もちろん、下は体操服着用ですが。
高校時代は、男子の制服で男子応援団の振り付け。あのガクランは誰のを借りてるんだろ、どういう関係なんだろ、裸ガクランだったら素敵だなと、嫉妬も妄想竹も……こほん。Midship!
で、太思いついて。アップスカート立ち姿に花束を絡ませて。ついでに……

股間の花は椿です。最初は薔薇でしたが、なんたって マンコ椿は恋の花♪ですからね。
では、PLOTを一揆加勢に。
1965年(昭和40年)
証券不況は個人消費には関係ない
秘写真
大竹和子/私
大竹昭大(あきひろ)/俺
昭和元年産れ
昭和22年に復員後結婚
1:父を尋ねて
土曜日の夕刻。盛り場を徘徊。職務質問
もう社会人です。山菱電機の工場に、この春から。
2年前の正月の家族写真からの引き伸ばし。
父が同じ工場へ出稼ぎ。消息不明。
「こいつ、エロ写真……むにゃむにゃ」
渋る警官に案内してもらう。
取り繕ってもしょうがないので商売中を。
取り落とす見本写真。
元締に娘を見せたくない。深夜喫茶。いかがわしい光景。奥のボックス席へ。
出稼仲間の借金の連帯保証人。30万円。和子の給料の2年分。利子もある。
稼いでも借金が減らない。他のヤツと同じ写真では売れ行き悪い。
月の売上は和子の給料の5倍くらい。取分は、その1/3。
そうだ。和子がモデルになってくれ。
2:父を助けて
日曜日の午後。元締の手配でヌード撮影。父は外へ連れ出される。
元締の二代目(マネージャーと呼べ)が仕切る。最初から執着?
おとなしい(?)もろ出し。顔がひきつる。
設定変更。実は最初から目論む。
3対1の疑似レイフ゜。とは教えずに。
服を引きちぎってパンティ猿轡。2人で押さえ付け股間に勃起を突き付ける。ところまで。
「迫真の組写真ができる」
モデル料が2万円。手渡す。大卒初任給並み。半分は父親の借金。取り上げる。
他の奴にも売らせる。
話が違う。
独り占めしたら、恨まれるぞ。
3:父と一緒に
翌週の土曜日、夜。
工場へは父も挨拶を入れてある。
5枚組で1500円は従来の5割増。
父が酔客に売り付ける横で顔見世だけのはずが。
売春は父親もさすがに。モデルの証明にマン見せ。裏にサイン。マン拓(+500円)。
巡回に見咎められるが、路地裏なら目こぼし。土日で大商い。10セット×2日。
取分1万円のうち8千円を返済へ。マン拓分(6千円)はポッケに。
計算上1年半で完済?
4:父への失望
2か月後。売上落ちる。マン拓はサービスに。もっと過激な写真。処女喪失もの。
二代目がたしなめる。同じ商品を細く長く。タカマチとか。しかし、OKする。
夏休みの帰省は和子だけ。父は完済まで行方不明のまま。
別に身売りではない。撮影のときだけ。
今時、処女じゃないと嫁に行けないなんてナンセンス。学生運動、スエーデン。
憧れてた同級生、農業学校。盆踊りデート。子供っぽく見える。片想いの終わり。
5:父の目前で
8月下旬。撮影。レイフ゜の続き。より過激に。今度は父に見せつける。二代目の意向。
パンティ猿轡、後ろ手錠。二代目が一番槍。二番槍は疑似。
8ミリで撮影も。別ルートで売りさばく。モデル料は5万円。4万円を返済。
10枚組で2千円。マン拓はサービス。1か月で売り上げ低迷。
またぞろ、新商品を父親が提案。「えすえむ」とか。
二代目が和子を堂々とデートに誘う。おまえの親父は、どうしようもない。
今度の写真でも、サツがうるさい。スケープゴートが必要(さり気なく)。
バシタになれ。
後で聞いた父親は難色。しょせんはヤクザ。自分のことは on the shelf。
6:父との離別
9月中旬。摘発。
猥褻物頒布罪等(2年以下の懲役)
懲役1年6か月。執行猶予無し。敢えて面会しない。会えば甘えが出る(と、二代目)。
和子は被害者扱いで実家へ帰される。二代目が母親に談判で。結婚。
出所した父を家族3人で出迎え。
****************************************
花売娘
佐島華代(はなよ)/あたし
中3の夏。元大地主現農協理事長の息子と。彼の仲間5人とも。
サセ子の噂。就職斡旋もしてもらえない。
卒業と同時に多恵を頼って。事前相談をして、断わられている。
宇佐美多恵:35(終戦時15)/うち[ら]
佐島家との確執。満州から引き揚げ。ロシア兵接待で故郷に居づらくなって都会へ。
1:不安な前途
花屋『椿姫』の前に立つ華代。裏通りの小さなビルに挟まれた2階建。
始発で出て、昼過ぎに着。店は閉まっている。うろうろしてると、多恵が出てくる。
ここで働きたい。
正月に多恵が故郷錦。
夜の神社で飲み屋の看板娘を口説いているのを立ち聞き。
「あたしを雇ってください」
「子供にはできない仕事」
自分のふしだらな評判のせいだと思い込む。
押し掛け。
2階の住居で。
懸命のアピール。
2:過激な過ち
ここでカットバック。
夏休み。農協理事長の息子に誘われて3カップルで海へ。
1泊2日。保護者として先輩の姉は、ナンパ受け。
「遊びだけど、いいね?」
夜に華代だけ結ばれる。ワンピ。海で全裸。
後日のデート。弟妹への土産、持ちきれずにアップスカート。
ついでに、ダウンパンティ。海の2人に見せびらかす。
その夜、1対3。全員と。
秋祭り。先輩の準備してくれた浴衣。姉の着付け。透けて、下着無し。
3カップル+男3人。この3人とも。
学校でもノーブラ基本。パンティは先輩プレゼント。月イチ帰省でやり目デート。
サセ子の噂。
正月に先輩がクラスメートを伴って。振られる。
就職斡旋は、してもらえない。学校の評判を落とす。
3:花売の裏側
「あんたも、ずいぶんね。あいつの娘がねえ」
「父を知ってるんですか」には答えず。
実際の商売を見せてあげる。
陽が落ちてから出勤してくる売娘。5人。
25~32。けばい。私服だがピンクのスカーフが目印。
この街にトルコやちょんの間はない。ピンサロのフェラまで。立ちんぼは多数。
ルックスと年齢厳選で、椿姫がダントツ。
多恵に案内されて、物陰から見学。
何軒かとは契約してるが、路上のを。
小さな公園が溜り場。5人は互いに見える距離。せいぜい3人連れまで。微酔い止まり。
その場で人数合わせして同数の売子で。商談成立したらカップルごとに分かれる。
その後については口頭説明。
「やれるなら、雇ってあげる」
花束は200円。取分は50円。
椿はホ別ショート千円。取分は700円。泊まりはホ別2500円/2千円。
ホは休憩800円、泊1500円。
※「ホ別」は使っちゃあかんよ。
「へえ、椿?」
「オペラで椿姫ってのがあるでしょ。女主人公は高級娼婦なの」
土方の日給が1000円。立ちんぼより高い。
立ちんぼは、40~50代が多い。
若くて美女は、大都会へ。
現代より売春は安い。
4:マンコ椿は
先輩とペアで。大人っぽいメイク。
若すぎると敬遠される。先輩はOK。他グループのひとりを入れる。あぶれ同士のペア。
4回目で商談成立。重度ロリコン。優しいから、いいけど。結局、そのひとりだけ。
翌日は坊主。
あれこれ考えて。表紙絵を実行(パンツダウンは膝上で絆創膏)。
長めのスカートだからパンツも見えない。
多恵も先輩も呆れる。
どうせならと、多恵のアイデアでマンコ椿。ノーパン。
まだ、意地悪モード。
「まあ、やってみな」
路上は公然猥褻、飲み屋は雑然。バーで。
「花束が持ち運びにくいなら椿一輪を買ってください」アップスカート。
注:「アンコ椿は恋の花」1964/10
その日は3軒で3人。ひとり客2+3人のうちのひとり。
5:斬新な衣装
「マンコ椿の子」で定着。ナンバーワン。
他の売子もコスチュームに工夫。
総勢8人中3人。比較的若い子。
すっぽんぽんにレインコート。
洋風花売娘。ノーブラ、チョッキで下乳を支える。要するにアンミラ。
10年前のセーラー服。胸当てなしでスカートはミニ(股下から膝までの半分)。
ミニスカートは、ツイッギー以前からロンドンなどで流行っていた。
年輩からの反感も。あくまで売子、客とは一目惚れの自由恋愛。
「若い子って、奔放ね」で、深刻な対立にはならない。
ともかく、順調に8月。帰省はしないでボーナスの名目で仕送り。
6:縄張の書換
「出てけ。売るわけないわよ」
説明。他県から進出のヤクザ。
地元の親分は満州帰りのつながりで娘同然愛人関係。
上部のアレコレで、この街はあっちのシマに。
土地と建物を買い上げて、多恵は雇われマダムにしてやる。
女の子の取分は75%→33%
冗談じゃない。
風紀粛清の腕章を付けた組員の営業妨害。
店も、いざこざはお断わりで出禁。
一時金を渡して、女の子は解雇(雇用はしてないけど)。
華代は引き続き住まわせて本業(?)の手伝い。花輪などは他店の既得権。
7:肉体的説得
店舗営業は閑古鳥変わらず。
地味な服装でピンクスカーフ無し花売り娘。1晩に3つでは売上額で日当いかない)。
店に帰ると、ヤクザ来ている。
目の前で多恵をまわす。
「うちら、露助を一晩20人だって相手してるんだ。これくらい屁の河童だい」
ならばと、華代を吊るして引ん剝いて。
「うちには関係無い。故郷で虐めてくれた先棒担ぎの娘」
「そうかい」
多恵はイスに縛り付けて。
バンドで全身20発くらい。
「権利書を渡しちゃ駄目。これくらい平気」
左右から脚を引っ張って開かせて、打ち込み。
権利書を渡す。必要な書類に署名捺印。
8:売春労働者
売子10人。前の8人のうち4人と華代。新人(すべて20代)5人は半強制。
制服。ブラウス無しで乳出しチョッキ、サーキュラースカート。
新人のうち2人と華代が、マンコ椿3人娘。
実は……店舗が再開発に引っ掛かる。ごねて補償を釣り上げ。売上を証拠に。
連れ込み宿も直営で、総額は
ショート千円+5百円、泊3千円+千円。
手取は33%どころか25%。
チップも身体検査。取分は50%
ただし会社員扱い。健康保険証と住民票と。
逃亡防止の寮は無料。組員のただ乗り。
金曜日と生理4日間が休み。
ショートは3回転がノルマ。
女工よりすこしはましな生活。
しかし、病気とかしたときは安心。
そんなに悪くない。
工場とかでも、事務部門など。流通に係わる人間も。
小売価格で考えると、女工の給料は1割かそこら。
それを考えれば、25%でも悪くはない?
貧乏くじはお姉さんだけ。
DLsite Affiliate キーワードは「花売」
Progress Report Final:濡衣を着せられた娘
脱稿しました。きっちり400枚。校訂して数枚は上下するでしょう。

========================================
最終幕 処刑場
文政八年。筋彫お蝶が世を騒がせた寛政五年から下ること三十一年。処刑を前に病死したはずの筋彫お蝶が、突如として城下奉行所に自訴して出た。
誰もが、かの者を狂女と決めつけたのだが。諸肌脱いだ背中には、調書(しらべがき)と寸分違わぬ蝶と楓と糸の筋彫があった。しかも、腰巻まで取ると。世人は知らず調書にのみ記されている揚羽蝶の文様までも鮮やかに。
いったいにどうしたものかと奉行所は上を下への大騒動。これを抑えて冷静に仕切ったのは、先代吟味方惣与力、残谷郷門の四十九日が明けて跡を嗣いだばかりの強門(つよかど)だった。
そもそも、千代の自訴の段取を付けたのが強門だった。
元服してから五年ほどの間、強門は拷問の要諦を父から文字通り身体に敲き込まれている。筋彫お蝶の濡衣ならぬ濡墨を入れられた年増女の目の前で。
お蝶を甚振の稽古台に使ったこともあったし、そもそも強門に男女の営みの手解きをしたのもお蝶だった。
しかし。父の魔羅では悶え狂うお蝶も、強門にはどのように弄ばれようとも歔欷の声ひとつ上げなかった。拷問にしても然り。歯を食い縛って耐えるのみで、ついぞ音を上げた験が無かった。
お蝶が父に責められる場面は、一度しか見ていない。
「この女は尋常一様ではない。されど、邪教の狂信者などは、しばしばこのようになる」
そのときの参考にせよと念押されて……生涯忘れることがないだろう、凄まじい光景であった。
それはともかくとして。
素裸で市中引回のうえ磔刑。それがお蝶の心底からの憧れであり、父の(母も知らぬ)遺言でもあった。
無論、そのような真実はおくびにも出さず。
牢の掛医師まで抱き込んでの計略を見抜けず、病死であれば致し方無しとして獄門晒にも掛けず筋彫お蝶の遺骸を投込寺に捨てさせたのは父の手落であった。当時の医師も鬼籍に入り、今の牢掛医師は別門の人物であれば罪の遡及も叶わぬ。父の無念を些かでも雪ぐには、前例の無い秋霜苛烈な処刑であるべし。
強門の強硬な主張には城代家老も折れざるを得なかった。筋彫お蝶に絡めて貫目屋を闕所にした際の裏の裏まで、残谷郷門ひいては強門が知悉しているからであり、貫目屋からの金煎餅を一件の始末に投じたのも郷門だけだったからである。
牢破りの詳細とか、三十年もの間どこに身を隠していたかなどは、ほとんど追求されなかった。昔のことをほじくり返しても、墓に鞭打つ結果になるだけであろうし、経緯を詮索すれば、さらに罪人を作るだけである。
奉行所としては、三十年遅れて刑を執行するだけという名分を貫くのが、もっとも波風立てぬやり方ではあろう。
こうして、筋彫お蝶の死出の花道は整えられたのだった。
筋彫お蝶が自訴して出て旬日を経ずして、刑は執行された。
定法通りに縛っては背中の刺青が見えにくい。庶民に、この女が紛れも無く筋彫お蝶であると知らしめるため、首の後ろに渡した径七寸の丸太に両手を広げて縛り付けた。五日間を牢で過ごしたというのに、腋窩はつるつるで一本の毛も無いことに、お蝶を縛した小役人は驚いていたが。
腰巻を剥ぎ取ってみれば、こちらも無毛。かつてハナが丹精した結果だ。
しかし、揚羽蝶は花畠の中を舞っているように見えた。というのも、下腹部から太腿にかけて、無数の傷痕がちりばめられていたからだった。
傷痕は、脇腹から乳房にかけても夥しい。ただ、背中と内腿だけは、刺青を損なわぬように配慮されていた。もっとも、揚羽蝶の胴にあたる淫唇はその限りではない。というより、喧嘩で敗れた雄鶏の鶏冠のように綻び傷付いていた。
「こ、これは如何に……」
「へっ。三十年前、先代の惣与力の旦那に、さんざん痛め付けられたからねえ」
訝しがる小役人に、ふてぶてしく答えるお蝶。三十年前の古傷か、せいぜい一年前の傷痕かを見分けられるのは、金創医か吟味方の古株くらいであろう。古株は、惣与力の足を掬うようなことを言う筈も無い。
牢屋敷を抜けて、城下奉行所の不浄門から外へ引き出される。
高札は前日に立てられたというのに、道は人で埋まっていた。それを六尺棒で押し戻して保たれている小さな場所に、検視の役人と下人が三人。
「筋彫お蝶こと、貫目屋喜平が娘、千代。癸丑(みずのとうし)に四件の押込を働き、御縄になり死罪申し付けられしに破牢せしものなり。このたび自訴いたしたること真に神妙なれど、その罪軽からず減刑には及ばず。よって本日、市中引回のうえ磔獄門に処するもの也」
みずから検視役を願い出た残谷強門が、音吐朗々と御仕置書を読み終えると。二人の下人が千代の裸身を抱え上げて裸馬に乗せた。余計な丸太を背負っているから釣合の勝手は違うは、丸太が邪魔になるはで、すくなからずもたついたのだが。おかげで野次馬どもは、筋彫の紋白蝶だけでなく極彩色揚羽の御開帳まで、たっぷりと見物出来た。
城下町を隅から隅まで引き回される間、千代は馬上で陶然と目を閉じていた。この世の見納めなど、している暇は無い。馬の背にかぶせられた筵が淫唇をチクチクと刺激して、馬の歩みがそれを倍加する。今生最後の愛撫だった。
大木戸をくぐって街の外へ出て。お蝶は馬から降ろされた。刑場までの半里は、おのれの足で歩かされる。これが、全裸に続く秋霜苛烈の二つ目だった。
奉行所前の出立を見ていない野次馬は、ここで初めて太腿の揚羽蝶に気づく。
「うへえ、こりゃまた」
「筋彫の二つ名は返上しなくちゃならねえな」
「しかし、まあ……ぎりぎりってとこだね」
「なんだよ、そのぎりぎりというのは」
「考えてもみろよ。しわくちゃの婆が刺青じゃあ、興醒めもいいとこだ。ところが、どうだ。五十と聞いちゃいるが、姥桜のちょい手前。まだまだ見応えがあるじゃねえか」
「そう言やそうだ。そんなに乳も垂れちゃいないし、尻だってまん丸だな」
女は灰になるまで女だと喝破したのは、大岡越前守忠助の御母堂であったが。千代がせいぜい四十を出るや出ずの肢体を保っているのは、これは郷門の丹精の結果ではあっただろう。前の甚振の傷が乾けばすぐに次の甚振。そのときの郷門は、決まって越中褌ひとつであった。甚振の最中か直後かには、必ず三穴のいずれかを貫いた。女は、女として使われることで、女を保ち続けるのである。
しかし、それにしても。死の床に就く直前、古希の歳まで男であり続けた郷門も、たいしたものではあったが。話を、今に戻そう。
「歩きませい」
びしり。六尺棒に尻を敲かれて、お蝶は蹌踉と歩み始める。
大勢の見知らぬ人たちにまで素裸を見られている。首から下は無毛の裸身に蝶の入墨を纏わり付かせて。有るべきものが無く、無い筈のものが有る。その倒錯を思うと、早くも薄桃色の靄が微かに千代を包み始める。
歩みが滞るごとに六尺棒で尻を敲かれるのも心地好い。
一刻ちかくを掛けて刑場に到着したとき、お蝶の股間はしとどに濡れていた。遠目にも、それが失禁でないことくらいは分かる。いったいに、これはどういうことなのかと首を傾げる野次馬も少なくないが、しかし、裸を見られて興奮する女がいることくらいは知らぬでもない。さすがは筋彫お蝶、土壇場に臨んでも淫乱至極。三十年のうちには、諸肌脱ぎの急ぎ働きに尾鰭が付いて、さまざまな伝説と化していた。手下の三人が総掛かりとか。それはそれで、内実は真反対でも、その通りでもあるのだが。
千代は野次馬の声など聞いていない。薄桃色の雲を踏んで最後の道を進み。縄を解かれて磔柱の上に身を横たえる。手足を大の字に展げられて横木に確りと縛り付けられ、肩から脇の下にも斜め十文字に縄を掛けられて腰も柱に固縛された。
いよいよ、磔柱が押し立てられる。
処刑掛の下人が二人、槍を構えてお蝶と向かい合う。検視役の残谷強門が、斜め正面に立って。
「筋彫お蝶、何か申し残すことは無いか」
作法通りに声を掛けた、そのとき。
お蝶は目を見開き天に向かって、歌うように叫んだ。
「みそとせの、せめらくもつき、あとにゆく……ほとぬれそぼち、やりをまちわぶううう」
辞世の句、であった。
さらに一度、繰り返す。
わああああっと、竹矢来の向こうから歓声が湧いた。直ちには意味を解せぬ者も多かったが、そんなことはどうでもよい。如何にも強かな女賊らしく、死に臨んで音吐朗々と辞世の句を詠んだ。それでじゅうぶんなのであった。
検視役の強門だけは、物心ついてこの方、お蝶が拷問蔵に囚われていることを知っていたし、元服してからは先に述べた通りの深い仲といえば仲であってみれば。辞世の句の意味は、取り違えようもなかった。
強門は深く頷いてから、下人に向かって短く指図を下す。
「やれ」
ぎゃりん。お蝶の目の前で槍が交差されて。引かれた槍が、左右からお蝶の脇腹を突き刺した。
ぶしゅ……
「いぎゃああああっ……」
お蝶が苦悶を絶叫した。
「ありゃありゃありゃ」
穂先を腹中に留めたまま、ぐりぐりと槍が捻じられる。
「ぐああああ……あああっ……いいいいいい」
絶叫の音色が妖しく変じたのが、野次馬にも聞き取れた。
下人が槍を押し上げると、音も無く穂先が肩口に突き抜けた。
槍が引き抜かれ、すぐにまた脇腹を差した。
「うああああ……さとかどさまああああ」
「それまで」
強門が大音声でお蝶の叫びを掻き消した。
「止めの槍は、我が手でくれてやる」
お蝶が感極まって余計なことを口走ってくれては拙いという思いと。意識が確かなうちに女淫を槍で貫いてやろうという、悦虐の千代にとってはむしろ温情と。
小役人が差し出す新たな槍を脇に掻い込んで、強門がお蝶の正面に立った。
お蝶は陶酔から醒めた目で強門を見下ろして。目は口よりも多くを語るのであるが、生まれ落ちてすぐに残谷家の養子となった強門は、それをどのように受け止めたのであろうか。
強門が槍を構えて、お蝶の股間を見上げる。
「参る」
短く言ったのは、剣術の稽古で身に着いた習い性ではあったろう。
ずぶしゅっ……
槍は吸い込まれるように女淫を貫いた。
「あ゙あ゙あ゙っ……い゙い゙、い゙い゙い゙い゙……い゙い゙い゙い゙」
長々と雌叫びを放って。がくりとお蝶の頭が垂れた。
それを見留めて、強門は槍を突き上げて喉まで貫いた。
御定法通りに、お蝶の首は斬り落とされて獄門台に載せられ、骸は磔柱に掛けられたまま野晒にされた。お蝶の係累は既に亡く、白骨はそのまま捨て去られたのだが。強門の手によって、お蝶の喉仏の骨だけは、残谷家累代の墓の脇にひっそりと埋められたのであった。
三十年の責め楽も尽き後に逝く
女淫濡れそぼち 槍を待ちわぶ
筋彫お蝶こと千代 享年五十
[ 完 ]
========================================
最後の最後で衝撃の新事実が明かされましたね。筆者も「まさか」でした。
これくらい、読者諸氏におかれましても読み取れますよね?
作者の意識としては「暗示」ではなく「明示」も同然なのですが。ラノベ慣れしてると、どうなんでしょうか。
閑話働題というんですかしら。「休」の反対語は「働」らしいので。
6/20,21は個人的連休ですので。ここで、BFもPDFもepubも仕上げて。7/15リリースで各販売サイトにぶっ込んで。最近の流れですと、即座に自作に着手でしたが。
ちょい、インターバルを取りましょう。まさか紙飛行機の新作まではしないでしょうが、クリア回数ン十回のヤリコミゲーをまたぞろ「弱くてニューゲーム」するか。そのあいだに自作の構想を航走して、二つくらいが抗争するかもしれませんが、気分一新で好走といきたいものです。
DLSite affiliate キーワードは「磔 処刑」

========================================
最終幕 処刑場
文政八年。筋彫お蝶が世を騒がせた寛政五年から下ること三十一年。処刑を前に病死したはずの筋彫お蝶が、突如として城下奉行所に自訴して出た。
誰もが、かの者を狂女と決めつけたのだが。諸肌脱いだ背中には、調書(しらべがき)と寸分違わぬ蝶と楓と糸の筋彫があった。しかも、腰巻まで取ると。世人は知らず調書にのみ記されている揚羽蝶の文様までも鮮やかに。
いったいにどうしたものかと奉行所は上を下への大騒動。これを抑えて冷静に仕切ったのは、先代吟味方惣与力、残谷郷門の四十九日が明けて跡を嗣いだばかりの強門(つよかど)だった。
そもそも、千代の自訴の段取を付けたのが強門だった。
元服してから五年ほどの間、強門は拷問の要諦を父から文字通り身体に敲き込まれている。筋彫お蝶の濡衣ならぬ濡墨を入れられた年増女の目の前で。
お蝶を甚振の稽古台に使ったこともあったし、そもそも強門に男女の営みの手解きをしたのもお蝶だった。
しかし。父の魔羅では悶え狂うお蝶も、強門にはどのように弄ばれようとも歔欷の声ひとつ上げなかった。拷問にしても然り。歯を食い縛って耐えるのみで、ついぞ音を上げた験が無かった。
お蝶が父に責められる場面は、一度しか見ていない。
「この女は尋常一様ではない。されど、邪教の狂信者などは、しばしばこのようになる」
そのときの参考にせよと念押されて……生涯忘れることがないだろう、凄まじい光景であった。
それはともかくとして。
素裸で市中引回のうえ磔刑。それがお蝶の心底からの憧れであり、父の(母も知らぬ)遺言でもあった。
無論、そのような真実はおくびにも出さず。
牢の掛医師まで抱き込んでの計略を見抜けず、病死であれば致し方無しとして獄門晒にも掛けず筋彫お蝶の遺骸を投込寺に捨てさせたのは父の手落であった。当時の医師も鬼籍に入り、今の牢掛医師は別門の人物であれば罪の遡及も叶わぬ。父の無念を些かでも雪ぐには、前例の無い秋霜苛烈な処刑であるべし。
強門の強硬な主張には城代家老も折れざるを得なかった。筋彫お蝶に絡めて貫目屋を闕所にした際の裏の裏まで、残谷郷門ひいては強門が知悉しているからであり、貫目屋からの金煎餅を一件の始末に投じたのも郷門だけだったからである。
牢破りの詳細とか、三十年もの間どこに身を隠していたかなどは、ほとんど追求されなかった。昔のことをほじくり返しても、墓に鞭打つ結果になるだけであろうし、経緯を詮索すれば、さらに罪人を作るだけである。
奉行所としては、三十年遅れて刑を執行するだけという名分を貫くのが、もっとも波風立てぬやり方ではあろう。
こうして、筋彫お蝶の死出の花道は整えられたのだった。
筋彫お蝶が自訴して出て旬日を経ずして、刑は執行された。
定法通りに縛っては背中の刺青が見えにくい。庶民に、この女が紛れも無く筋彫お蝶であると知らしめるため、首の後ろに渡した径七寸の丸太に両手を広げて縛り付けた。五日間を牢で過ごしたというのに、腋窩はつるつるで一本の毛も無いことに、お蝶を縛した小役人は驚いていたが。
腰巻を剥ぎ取ってみれば、こちらも無毛。かつてハナが丹精した結果だ。
しかし、揚羽蝶は花畠の中を舞っているように見えた。というのも、下腹部から太腿にかけて、無数の傷痕がちりばめられていたからだった。
傷痕は、脇腹から乳房にかけても夥しい。ただ、背中と内腿だけは、刺青を損なわぬように配慮されていた。もっとも、揚羽蝶の胴にあたる淫唇はその限りではない。というより、喧嘩で敗れた雄鶏の鶏冠のように綻び傷付いていた。
「こ、これは如何に……」
「へっ。三十年前、先代の惣与力の旦那に、さんざん痛め付けられたからねえ」
訝しがる小役人に、ふてぶてしく答えるお蝶。三十年前の古傷か、せいぜい一年前の傷痕かを見分けられるのは、金創医か吟味方の古株くらいであろう。古株は、惣与力の足を掬うようなことを言う筈も無い。
牢屋敷を抜けて、城下奉行所の不浄門から外へ引き出される。
高札は前日に立てられたというのに、道は人で埋まっていた。それを六尺棒で押し戻して保たれている小さな場所に、検視の役人と下人が三人。
「筋彫お蝶こと、貫目屋喜平が娘、千代。癸丑(みずのとうし)に四件の押込を働き、御縄になり死罪申し付けられしに破牢せしものなり。このたび自訴いたしたること真に神妙なれど、その罪軽からず減刑には及ばず。よって本日、市中引回のうえ磔獄門に処するもの也」
みずから検視役を願い出た残谷強門が、音吐朗々と御仕置書を読み終えると。二人の下人が千代の裸身を抱え上げて裸馬に乗せた。余計な丸太を背負っているから釣合の勝手は違うは、丸太が邪魔になるはで、すくなからずもたついたのだが。おかげで野次馬どもは、筋彫の紋白蝶だけでなく極彩色揚羽の御開帳まで、たっぷりと見物出来た。
城下町を隅から隅まで引き回される間、千代は馬上で陶然と目を閉じていた。この世の見納めなど、している暇は無い。馬の背にかぶせられた筵が淫唇をチクチクと刺激して、馬の歩みがそれを倍加する。今生最後の愛撫だった。
大木戸をくぐって街の外へ出て。お蝶は馬から降ろされた。刑場までの半里は、おのれの足で歩かされる。これが、全裸に続く秋霜苛烈の二つ目だった。
奉行所前の出立を見ていない野次馬は、ここで初めて太腿の揚羽蝶に気づく。
「うへえ、こりゃまた」
「筋彫の二つ名は返上しなくちゃならねえな」
「しかし、まあ……ぎりぎりってとこだね」
「なんだよ、そのぎりぎりというのは」
「考えてもみろよ。しわくちゃの婆が刺青じゃあ、興醒めもいいとこだ。ところが、どうだ。五十と聞いちゃいるが、姥桜のちょい手前。まだまだ見応えがあるじゃねえか」
「そう言やそうだ。そんなに乳も垂れちゃいないし、尻だってまん丸だな」
女は灰になるまで女だと喝破したのは、大岡越前守忠助の御母堂であったが。千代がせいぜい四十を出るや出ずの肢体を保っているのは、これは郷門の丹精の結果ではあっただろう。前の甚振の傷が乾けばすぐに次の甚振。そのときの郷門は、決まって越中褌ひとつであった。甚振の最中か直後かには、必ず三穴のいずれかを貫いた。女は、女として使われることで、女を保ち続けるのである。
しかし、それにしても。死の床に就く直前、古希の歳まで男であり続けた郷門も、たいしたものではあったが。話を、今に戻そう。
「歩きませい」
びしり。六尺棒に尻を敲かれて、お蝶は蹌踉と歩み始める。
大勢の見知らぬ人たちにまで素裸を見られている。首から下は無毛の裸身に蝶の入墨を纏わり付かせて。有るべきものが無く、無い筈のものが有る。その倒錯を思うと、早くも薄桃色の靄が微かに千代を包み始める。
歩みが滞るごとに六尺棒で尻を敲かれるのも心地好い。
一刻ちかくを掛けて刑場に到着したとき、お蝶の股間はしとどに濡れていた。遠目にも、それが失禁でないことくらいは分かる。いったいに、これはどういうことなのかと首を傾げる野次馬も少なくないが、しかし、裸を見られて興奮する女がいることくらいは知らぬでもない。さすがは筋彫お蝶、土壇場に臨んでも淫乱至極。三十年のうちには、諸肌脱ぎの急ぎ働きに尾鰭が付いて、さまざまな伝説と化していた。手下の三人が総掛かりとか。それはそれで、内実は真反対でも、その通りでもあるのだが。
千代は野次馬の声など聞いていない。薄桃色の雲を踏んで最後の道を進み。縄を解かれて磔柱の上に身を横たえる。手足を大の字に展げられて横木に確りと縛り付けられ、肩から脇の下にも斜め十文字に縄を掛けられて腰も柱に固縛された。
いよいよ、磔柱が押し立てられる。
処刑掛の下人が二人、槍を構えてお蝶と向かい合う。検視役の残谷強門が、斜め正面に立って。
「筋彫お蝶、何か申し残すことは無いか」
作法通りに声を掛けた、そのとき。
お蝶は目を見開き天に向かって、歌うように叫んだ。
「みそとせの、せめらくもつき、あとにゆく……ほとぬれそぼち、やりをまちわぶううう」
辞世の句、であった。
さらに一度、繰り返す。
わああああっと、竹矢来の向こうから歓声が湧いた。直ちには意味を解せぬ者も多かったが、そんなことはどうでもよい。如何にも強かな女賊らしく、死に臨んで音吐朗々と辞世の句を詠んだ。それでじゅうぶんなのであった。
検視役の強門だけは、物心ついてこの方、お蝶が拷問蔵に囚われていることを知っていたし、元服してからは先に述べた通りの深い仲といえば仲であってみれば。辞世の句の意味は、取り違えようもなかった。
強門は深く頷いてから、下人に向かって短く指図を下す。
「やれ」
ぎゃりん。お蝶の目の前で槍が交差されて。引かれた槍が、左右からお蝶の脇腹を突き刺した。
ぶしゅ……
「いぎゃああああっ……」
お蝶が苦悶を絶叫した。
「ありゃありゃありゃ」
穂先を腹中に留めたまま、ぐりぐりと槍が捻じられる。
「ぐああああ……あああっ……いいいいいい」
絶叫の音色が妖しく変じたのが、野次馬にも聞き取れた。
下人が槍を押し上げると、音も無く穂先が肩口に突き抜けた。
槍が引き抜かれ、すぐにまた脇腹を差した。
「うああああ……さとかどさまああああ」
「それまで」
強門が大音声でお蝶の叫びを掻き消した。
「止めの槍は、我が手でくれてやる」
お蝶が感極まって余計なことを口走ってくれては拙いという思いと。意識が確かなうちに女淫を槍で貫いてやろうという、悦虐の千代にとってはむしろ温情と。
小役人が差し出す新たな槍を脇に掻い込んで、強門がお蝶の正面に立った。
お蝶は陶酔から醒めた目で強門を見下ろして。目は口よりも多くを語るのであるが、生まれ落ちてすぐに残谷家の養子となった強門は、それをどのように受け止めたのであろうか。
強門が槍を構えて、お蝶の股間を見上げる。
「参る」
短く言ったのは、剣術の稽古で身に着いた習い性ではあったろう。
ずぶしゅっ……
槍は吸い込まれるように女淫を貫いた。
「あ゙あ゙あ゙っ……い゙い゙、い゙い゙い゙い゙……い゙い゙い゙い゙」
長々と雌叫びを放って。がくりとお蝶の頭が垂れた。
それを見留めて、強門は槍を突き上げて喉まで貫いた。
御定法通りに、お蝶の首は斬り落とされて獄門台に載せられ、骸は磔柱に掛けられたまま野晒にされた。お蝶の係累は既に亡く、白骨はそのまま捨て去られたのだが。強門の手によって、お蝶の喉仏の骨だけは、残谷家累代の墓の脇にひっそりと埋められたのであった。
三十年の責め楽も尽き後に逝く
女淫濡れそぼち 槍を待ちわぶ
筋彫お蝶こと千代 享年五十
[ 完 ]
========================================
最後の最後で衝撃の新事実が明かされましたね。筆者も「まさか」でした。
これくらい、読者諸氏におかれましても読み取れますよね?
作者の意識としては「暗示」ではなく「明示」も同然なのですが。ラノベ慣れしてると、どうなんでしょうか。
閑話働題というんですかしら。「休」の反対語は「働」らしいので。
6/20,21は個人的連休ですので。ここで、BFもPDFもepubも仕上げて。7/15リリースで各販売サイトにぶっ込んで。最近の流れですと、即座に自作に着手でしたが。
ちょい、インターバルを取りましょう。まさか紙飛行機の新作まではしないでしょうが、クリア回数ン十回のヤリコミゲーをまたぞろ「弱くてニューゲーム」するか。そのあいだに自作の構想を航走して、二つくらいが抗争するかもしれませんが、気分一新で好走といきたいものです。
DLSite affiliate キーワードは「磔 処刑」
Progress Report 4:濡衣を着せられた娘
いよいよ、第三幕に突入。
第二幕より拷問の種類は多いですが、ストーリイはすでに語られ尽くして。あとは、ひたすら責めシーンの連続。SM小説を書く醍醐味ではありますが。
短めなので、第三幕の冒頭から、昨日書いたところまでを一挙公開。
========================================
第三幕 拷問蔵
千代の処刑まで三日を残すだけとなった、その日。残谷郷門は城下奉行から火急の呼び出しを受けた。
「間に合ったか」
郷門は不敵につぶやいて、直ちに奉行の許へ参じた。
「これを見よ」
奉行が格式張って郷門に手渡した書状は、隣国の家老から当家の城代家老へ宛てた公文書の写しだった。郷門は作法通りに書状を展げて、一瞥しただけで思っていた通りの内容であると知った。が、畏まって隅から隅まで目を通してはおく。
横っ飛びの銀次と称する破落戸が商家に押し入って、直ちに捕縛され、吟味の末に余罪を白状した経緯が記されていた。人相風体から目を逸らさせようとして、諸肌脱ぎに墨で刺青を模した紋様を描いての急ぎ働きではあったが、間抜けなことに丁稚に逃げられ、もたついているうちに捕方に囲まれて捕まった。こうなると、目晦ましもへったくれもあったものではない。
吟味が進むうちに、他国での同様の犯行を密告する者があり(とは、書状に記されていなかったが)、さらに厳しく追及したところ、筋彫お蝶の一件を白状するに至った。
国境を越えての凶行なれば貴国に御報せすると倶に御公儀にも届出たる次第
右御承知置き願い度
「実に容易ならざる仕儀じゃ」
三井が頭を抱えるのは、事が御公儀にまで達したという、そのことだった。
銀次の自白にようと、筋彫お蝶には刺青など無く、刺青を模した肉襦袢を着込んでの所業である。千代の申し立てとぴたり一致する。即ち、千代は無罪。しかし、すでに死罪の沙汰を下してしまった。取り消そうものなら、御上の権威に係わる。とはいえ死罪を強行すれば、隣国からの報せを蔑(ないがし)ろにしただけならともかく、万一にも御公儀から照会があったときに申し開きのし様も無くなる。
「処刑を繰り延べれば宜しいかと」
郷門は、あっさりと言ってのけた。
「さいわい、処刑の期日は公にされておりませぬ」
「じゃが、裁きを下してから一月を越えて処刑しなかった先例が無い」
「そこで、この書状が役に立つのでござる。筋彫お蝶一味が奪った金は三百五十余両。しかるに、銀次どもは捕らえられたときに、三人併せて五両しか持っておらなんだと書かれております。これは、お蝶が独り占めしたと考えるべきでしょう。ならば、金をどこに隠したか、是非にも白状させて取り返し、盗まれた者に返してやるのが、御政道に携わる者の務めではありましょう」
「ふむ……」
三井はしばし考える。貫目屋は娘への連座ではなく別途に処分されたのだから、もはや千代を是非にも処刑する名分は失せた。後は、御家大事、我身大事だけ。
「本物のお蝶が他国で捕らわれたときは、どうする。辻褄が合わなくなるぞ」
「千代を生かしておけば、何とでも取り返しがつきましょう。すくなくとも、無実の者を処刑したよりは、御政道に付く傷も瑕瑾に留まります」
楓が捕らえられる懸念など微塵も無いとは、手の内を明かさぬ郷門だった。楓が死んでいると三井が知れば、死人に口無しとばかりに処刑を強行しかねないと読んでいる。
一旦は諦めたものの、うまうまと掌中に転がり込んだ、いや実のところは扇之介や街道の親分筋に借を作ってまで強引に転げ込ませた珠。砕かれては、たまったものではない。
「しかし、いつまでも牢に留め置くのも拙い。ことに、吟味もせず無駄飯を食わせておくなど、いずれは外にも聞こえよう」
「あの娘は、数々の拷問にも屈しなかった強か者。斯くなる上は、拙者が身柄を預かって、弾正一流の拷問で厳しく責めて白状させる。という筋書は如何でござろうか」
「その方で預かる、とな……」
三井とて阿呆でもなければ耳が聞こえぬでもない。残谷の嗜癖も些かは知っている。しかし、厄介事がおのれの管掌から消えてくれれば、それで良い。いざとなれば、こやつに腹を切らせれば済む。
「よかろう。お主に任せる」
こうして、千代の運命はまたしても大きく捻じ曲げられたのだった。
第一場 盗金所在
吟味を受けていた者も牢へ戻され、囚人どもは夕食までの退屈な時をもて余すだけという刻限になって。
「筋彫お蝶こと千代。牢替えじゃ」
不意のことに、女囚どもがざわめく。いよいよ明日にでも処刑の運びとなって、最後の一夜くらいは静かに過ごさせてやろうというのか。前例の無いことだったが、そうとしか考えられない。
着た切り雀の黄八丈の上から縄打たれて、牢屋敷の中を引き回され、ついには裏庭へと連れ出された。そこには役人の姿は見えず、尻を絡げた荷運び人足が二人と大八車。
千代は二人の顔に見覚えがあった。掛同心八戸様の上役で、拷問に立ち会って御定書に無い制外の残虐な責めの陣頭指揮を執っていた残谷様。その手下の人たち。
千代は厭な胸騒ぎに襲われたが。どうせ生を諦めた身。女淫を槍で貫かれるより酷いこともされまいと、おのれに言い聞かせて。大八車に積まれた細長い箱の中へ、大菱縄を掛けられたままおとなしく押し込まれたのだった。
箱に蓋がかぶせられ縄で荷造りされ(たのだろう)、ガラガラと大八車が動き出した。
もう大昔のように思えるけれど。すべての発端。拐わかされて棺桶に押し込まれて鬼と夜叉の巣へ運ばれたときを思い出した。あれに比べれば、身体を伸ばしているだけ楽だった。揺れがガタゴト身体に伝わって痛いけれど。
それに、あのときは。何をされるかと生きた心地も無かったけれど。今は何をされても構わないと一切を捨ててかかっているから、何も怖くない。おのれに、そう言い聞かせる千代だった。
毛粧焼
並の荷運びと違って、大八車は歩くのと変わらぬくらいにゆっくりと動いて、それでも小半刻とかからず目的地へ着いたようだった。箱に入れられたまま担がれて、何十歩かを運ばれた。
そうして箱の蓋が開けられて。石畳の床に転げ落とされて。千代は最初、また牢屋敷へ、それも吟味部屋へ戻されたのかと思った。しかしすぐに、そうではないと悟った。
間口奥行ともに、吟味部屋より五割は広い。一角には狭い牢屋まで設けられている。そして、拷問の道具立としか思えない奇怪な調度が、壁の三面を埋めてびっしり並んでいた。
キの字形をした磔柱、水平に寝かせて宙に支えられた梯子、三角の胴をした首の無い大きな木馬、大きな箱に下半分を隠されている水車、人の背丈ほどもある桶。仕置柱もあれば、ずっと細い竹まで何本も床に植えてある。天井には滑車が四つも吊られていて、そのひとつは複雑な組滑車だった。
千代の前に立ったのは、これは予期していた通りに残谷郷門だった。背後に二人の女性(にょしょう)が控えているが、もちろん千代の知らない顔だった。
「御取調に手落ちがあった。よって、処刑を延期して再吟味いたす。盗んだ三百五十両もの大金を何処(いずこ)に隠したか。素直に申さば、格別の慈悲をもって、苦しまずに死ねるよう計らってやる。吐かねば、磔よりもよほど恐ろしい生き地獄を味わわせてくれるぞ」
あっと思った。
これまでは濡衣を認めるか認めないか、その一点を巡る吟味であり拷問だった。両親に連座が及ばないと知って虚偽の白状をして、それで楽になれた。
けれど。はい、いいえではなく。知らないことを白状しろと迫られては、答えに窮する。道具立を見るからに、吟味部屋よりも格段に恐ろしい拷問。それから逃れる術(すべ)は、無さそうだった。
そうだ……咄嗟に閃くものがあった。
千代も牢獄の中で、ただおのれの悲運を嘆き悲しんで日を過ごすばかりではなかった。ことに、拷問の傷に呻吟していないときは。ふとした出来心で罪を犯した堅気の女(ひと)の身の上話に同情したり、男を手玉に取った遊び女の手練手管に感心したり、男顔負けの荒事をしてのけた女渡世人の武勇伝に聞き惚れたり。この一月ほどの間に、貸本の百冊を読んでも得られないほどの世間知、大方は悪知恵が身に付いた。
「申し上げます」
千代は縛られた身を起こして、郷門に向かって正座した。
「盗ったお金はすべて、銀次たちに持ち逃げされました。ですから、わたしはしょうこと無しに、お父っつあんの寮へ逃げ込んでいたのです」
「なるほどのお」
物分かり良さそうに、郷門は頷いた。
「では、明朝にもう一度尋ねるとしよう」
今日のところは身綺麗にしてゆっくり休めと。労るような言葉を口にして。
「この二人に逆らうでないぞ」
と、二人の女を振り返る。
郷門は名前すら千代には教えなかったが。三十になるやならずに見えて、その実三十七の太り肉の女は源氏名を芳之、屋敷内ではヨシと呼ばれている、元散茶女郎。残谷に雇われて普段は下女、こういったときには弥助や梅松と同じ役どころをこなしている。
五十の坂を越えたのはいつの昔かといった細身の女というか老婆は、華扇楼の現役遣手婆の、昔は国松を名乗っていたクニ。郷門が扇之介に頼んで、明日まで借り受けている。
「おまえたちも手伝ってやれ」
とは、千代をここまで運んできた弥助と梅吉へ。郷門は土蔵の隅へ引っ込んで、愛用の床几に腰を据えた。
梅吉が千代の背後へまわって大菱縄の縄尻を引くと、ぱらりと解ける。
「羞ずかしいだろうが、おべべを脱いどくれ」
「羞ずかしいものか。この一月あまり、牢の中でも外でも、素っ裸がお仕着せだったようなものだ」
郷門は、ただ千代を辱しめるためだけに言わでものことまで口にしたのではない。死罪を言い渡された囚人は、往々にしてこの世の一切に関心を持たなくなる。あるいは、見苦しいまでに生に執着するか。そこを見極めようとしたのであるが。郷門の見るところ、千代は前者であるらしかった。
切支丹も死は怖れぬが、生を捨てはしない。生を捨てた者を責めても、拷問の参考にはならない。郷門自身の嗜癖にも合わない。
(三日五日と責め続け生かし続けてやれば、さて、どうなるかな)
そのためにも、まずは羞恥心を甦らせてやるべき。クニに処置をさせるのは正解だったであろうと、郷門は自惚れたのだった。
千代は郷門の言葉が聞こえたのかどうか。言われた通りに淡々と帯を解き黄八丈を脱ぎ、たいしてためらうふうもなく腰巻までもみずからの手で剥ぎ取った。前を隠しもしない。
遣手婆のクニが、ちょっと呆れ顔。は、すぐ能面の下に隠して。
「ここに寝ておくれでないかい」
両端を台に支えられて宙に浮いた梯子を手で叩く。
千代は無表情に片足を高く上げて梯子に乗り、身を横たえた。
ヨシがてきぱきと立ち働いて、千代を万歳の形にして梯子に縛り付けた。
千代は表情を動かさない。
梯子の脇に季節外れの火鉢が据えられて、赤々と炭が熾された。火を囲むようにして、長い針が何十本も並べられるのを横目に見て、初めて千代の表情が動いた。
かつての千代なら知らず。我が身を様々に甚振られていれば、熱した針がどのように使われるか想像に難くなかった。
「今日は休ませていただけるのではなかったのですか」
郷門に向けられた千代の言葉には、諦めが滲んでいる。
「身綺麗にせよと言ったぞ。女の身で無精髭なぞ見苦しいわ」
「…………」
言葉の意味が分からなかったが、重ねて問う気力もない。されてみれば分かることだった。
「一度に全部はとても無理だからね。明日からは、おまえ様がしてやるんですよ」
遣手婆のクニが、郷門家の下女に言い含めて。毛抜きを左手に持ち、右手の指を唾で湿してから、先端が真っ赤に焼けた針を摘まみ上げた。
千代の下草は入牢に際しての素肌検で奪衣婆に剃られて、今も二分ほどにしか萌え出でていない。クニはその一本に毛抜きの先を押し付けて根元ぎりぎりを摘まむと、ぴっと引き抜いた。毛根まで抜けて、ぽつんと開いた毛穴に灼熱した針先を差し込んだ。
「きゃあっ……」
千代が悲鳴を上げたときには、すでに針は引き抜かれていた。
「隣の毛は抜くんじゃないよ。五分くらい離すんだ。そうしないと、火傷がくっついて痕が残るからね」
使った針は火鉢に戻して、新しい針を摘まみ上げるクニ。
二本目の毛を同じようにされて、今度は千代は呻き声すら上げなかった。最初は驚いたが、これまでに受けてきた拷問に比べれば、児戯にも等しい甚振りだった。
郷門としても、これを拷問とは考えていない。亀女が全身剥き身の茹で卵のように無毛なのを見て、思い立ったことだった。女郎の中には、手入れをして五日もすると黒ずんでくるのを嫌って、このように毛根まで焼き尽くす者もいる。
焼けた針を毛穴に突き刺すといっても、浅ければ一月か二月もすると生えてくるし、深過ぎると肌に痘痕(あばた)が残ったままになりかねない。
五本、十本、二十本……五十本も処置をしたところで、クニは手を休めた。
「弾正の旦那さん。腋の下もやっつけるんですね」
「うむ」
淫毛を剃る、一気に燃やす、あるいは、かつて千代が楓からされたように熱蝋を垂らして冷えたところで引き剥がす。こういった羞恥責めを、郷門は幾度か女囚に試みたことはあった。名目としては毛虱退治とか花柳病の検とかだが、実際には、証拠が乏しくて牢問に掛けられない場合の苦肉の策だった。初心な生娘でも、これくらいで白状はしない。だが、羞恥の極みにあるときに尋問すれば、ぽろりと真実を漏らすことがある。それは、ともかく。
郷門も腋毛を無くすという発想は無かった。亀女を見て、如何にも生き人形に相応しい形だと思った次第だった。
下腹部よりも腋窩のほうが、肌は敏感である。左右ともに二十本ずつも抜かれて焼かれる間、さすがに千代も苦しそうに呻いていた。
「それじゃ、見ててあげるからヨシさんもやってごらんな」
ヨシもクニの半分ほどは処置をしたのだが。真っ直ぐに突き刺せなかったり、引き抜くのにもたついて肉を焼き過ぎたりして、何度かは千代に悲鳴を上げさせた。
(それにしても、俺も気の長い男だな)
郷門は内心で苦笑した。肌を損なわないためには、一日か二日を空けて、一度に焼く量はせいぜい百本までと、クニは言っている。下草は毛の濃い者では五千本以上もあるという。千代は薄いほうだが、それでも千本やそこらはあるだろう。剥き身の茹で卵に仕上がるまで、千代を手元に置いておけるかどうか。しかし、事を急いで、千代の股間に棲む揚羽蝶を損なうつもりはなかった。
「今日は、こんなところさね。後は剃っちまうよ。一厘かそこら伸びてきたら、ヨシさんの出番だよ」
仕上がるより先に、千代は三尺高い木の上で晒されることになるだろう。
木馬責
土蔵の角には、一間四方の牢が設けられている。二面は土蔵の壁、残る二面が木格子。素裸のままで、千代はそこへ押し込まれた。
「そこに把手があるだろ。引き出してみな」
ヨシに言われて動かしてみると、幅一尺ほどの箱が現われた。砂が敷き詰めてある。奥は仕切られていて朽ち縄が何本か。
「そこが、ええと御牢では詰の神様だっけね」
つまり厠だった。朽ち縄は跡始末に使うのだと、かつて銀次たちから受けた仕打ちを思い出す。この時代、町方の貧乏長屋でも落とし紙が使われるようになっていたが、農村部ではまだまだ朽ち縄や藁、あるいは木の箆などが使われていた。だから、ことさらに囚人を辱めようという意図は……いや、郷門ならあったかもしれないが。
しかし、これまでは畳一枚の上で寝起きしていた(それでも平囚人ではなく客分扱いであったが)千代にしてみれば、存分に手足を伸ばせる別天地であった。しかも、煎餅布団まであった。一枚きりだからくるまって寝なければならないが、それでも十二分にありがたい。という感謝の念は、その布団にどす黒くこびり付いている血の痕を見て消し飛んだ。ここは、牢屋敷に勝るとも劣らない地獄なのだった。
それでも。その日は、白米に鯵の開きに沢庵と味噌汁という、牢内とは比べ物にならない夕餉を出されて、また千代は、ここはほんとうに地獄かと戸惑ったりもしたのだが。
翌朝は、夜が明けきらぬ内から叩き起こされた。
「出すものは出しときな。木馬の上で粗相されちゃ、こっちがたまったものじゃあないからさ」
七分粥に梅干ひとつという、前夜にくらべれば質素な、けれど雑穀が混じっていないから牢内よりは贅沢な朝餉を格子の中へ差し入れて、すぐにヨシは立ち去った。
千代は素直に粥を平らげると、雪隠箱を引き出して用を済ませた。これまでの残谷様の遣り口を思えば、きっとここも甚振られるのだろうと、朽ち縄はほぐして入念に跡始末をした。のは、羞じらいの心が甦った証ではあっただろう。
半刻もしないうちに、牛頭馬頭を一身に体現した郷門が、三匹の小鬼を従えて地獄に舞い戻って来た。いつもの与力装束ではなく、褌一本の姿だった。
起きてすぐに身を濯いだままなのかと訝った千代だが、そうではないと気づいた。武家は絶対にといっていいほど、下帯は越中だった。戦場(いくさば)で素早く緩めて用を足すためである。しかるに、郷門が締めているのは六尺だった。
みずからが大汗を掻くほどにわたしを痛め付ける御積りなのかと、千代は怯えた。死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが。拷問をされずに留め置かれること二十日に及んでいる。三日と空けずに甚振られていた頃とは、覚悟の持ち様も違っていた。
けれど、三匹の小鬼どもはいたって普通の身形、二人の男は尻絡げで、下女のヨシは単衣を襷掛け。それはそれで、残谷様に淫らな思惑があるのかと、これは期待してしまう。埒を明けてくだされば、甚振りも終わるのではないかという……とっくに操とは縁の切れた身の上、女淫でも口でも尻穴でも、それで済めばありがたい。そこまで堕ちている千代だった。
千代は牢から引き出されて、高手小手に縄を掛けられた。ことに胸縄は厳しく、左右と谷間とで上下を絞られて、縄の中に乳房をつかんで引き出され、さらに根元を締め付けられた。
四本の脚を二本の橇に乗せた三角胴の首無し木馬が中央に引き出されて。千代は滑車で吊り上げられて、その上に乗せられた。嫌でも三角の稜線を跨がねばならず、稜線は淫裂に食い込んで、鋭い痛みを千代に送り付ける。とはいえ、未だ箒尻を敲きつけられるほどの激痛ではなかった。頂部を取り換えられるこの木馬に郷門が取り付けていたのは、なんの変哲もない三角形の楔だった。それはそれで、じゅうぶんに股間を切り裂くが、鋸刃ほどは凶悪でない。
「では、改めて尋ねるぞ。急ぎ働きで奪った三百五十両は、どこに隠した」
この御役人様は、まったくわたしの申し立てを信じてくださらない。千代は絶望するとともに、それも当然かと納得してしまった。
背中に入墨という明白な証拠を背負いながら、筋金入りの極悪人でさえ泣いて白状するという苛烈な拷問に耐えた、強かな女賊。御役人様には、そう思われている。
その強かな女賊が仲間に裏切られ、盗み金を洗いざらい持ち逃げされたなど、誰が聞いても嘘だと思うだろう。けれど。一晩ずっと考えてみても、これ以上に巧みな言い逃れは思いつかなかった。
「昨日、申し上げた通りです。銀次たちに持って行かれたんです」
郷門は、千代の言葉は聞き流して。
「長丁場だ。一枚でよかろう」
弥助と梅吉には、それだけで通じる。十露盤責に使う石板が、長手方向が木馬の橇を跨ぐ形に置かれた。
「ひ……」
吊責のときに脚を開いて石板を吊るされているから、これから何をされるかは明白だった。
石板の端に縄が巻かれて、まず片足をつながれた。
「きひいいい……」
さらに、もう片足も。
「いやあああっ……痛い、痛い」
石板一枚で千代の目方ほどもある。股間の一筋に掛かる重みが倍になったという、それだけでは済まない。それまでは渾身の力で腿を閉じて、木馬の斜面で幾らかの目方を支えられた。しかし両脚を三尺も開かされては、二人分に匹敵する目方が、鋭い稜線が、女淫に食い込んで柔肉を切り裂こうとする。
激痛に、千代は身悶えすら出来ない。わずかでも身じろぎすれば、女淫の奥で激痛が暴れる。逆刃に立てた包丁の上で大根を転がすのと同じ結果になりかねない。
郷門は無言で、食い入るように千代の表情を凝視めている。
千代はのけぞり、口を悲鳴の形に凍りつかせ、目尻に涙を湛えて。ひたすらに苦悶している。恍惚の色など微塵も無い。
郷門が、千代を打擲する得物を手にした。箒尻などではなく、先端に鎖の小さな鉄環を編み込んだ縄束だった。しかし、すぐには使わず。
「思い切り揺らしてやれ」
弥助と梅吉が木馬の前後に取り付いて、足は橇に掛け手は三角の胴体を持って、橇の端が床に触れるまで後ろへ傾けた。石板が振子の錘となって千代の脚が後ろへ流れ、上体は自然と前へ倒れて釣り合いを保とうとする。
「ぎひいい、痛い……お赦しくださいいっ」
郷門は無言。弥助と梅吉は目配せを交わして。
「せえのっ」
勢いをつけて木馬を押し出した。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
千代が絶叫した。
ぎし、ぎし、ぎし……木馬が前後に大きく揺れ続け、さながら悍馬を巧みに乗りこなしているかに見える千代は、絶叫を吐き続けたのだが。
「揺すれ」
郷門に命じられて、二匹の小鬼が揺れの小さくなりかけていた木馬を大きく揺すったとき。
「ぎびひいい……」
悲鳴が細くなってゆき、
「ああああ、あああっ……」
両親の媾合いを覗き見た子供が、母ちゃんが虐められていると思い込むほどに、絶頂の声と表情は苦悶のそれと酷似している。しかし、郷門は見誤らなかった。にんまりと形容するにはあまりに生真面目な表情で、ひとり頷いた。
このとき。たしかに千代は、恍惚の中にあった。薄桃色の靄の中に浮かんで、頭にも身体にも靄が沁み込んでいた。淫裂の奥深くには凄絶な快感の楔が打ち込まれていた。淫核と女穴にも楔が欲しくなって、木馬に揺すられるよりも激しく腰を揺すっていた。
すでに女穴の前後は木馬の稜線に切り裂かれて、股間は血まみれ。太腿にも伝っている。
「うぐ……」
郷門の残酷な拷問を何年も手伝っているヨシが、袂で口を押さえて土蔵の外へ逃げ去った。
しかし、郷門は満足しない。手桶の水に浸けて、ずしりと重くなった縄束を、千代の尻に敲きつけた。
バヂャン。
「おおおおーっ」
千代は木馬の上で激しく背をのけ反らせて、はっきりと喜悦の表情を浮かべた。
薄桃色の靄に包まれて宙に浮いているところへ強烈な愛撫を加えられ、尻が熱く疼いた。
バヂャン。バヂャン。バヂャン。
二十日ちかい養生とまではいわぬにしても、拷問を受けることなく傷が癒えていた白い肌がたちまち切り裂かれ、太い痣が刻み付けられていった。
しかし千代は、肩を敲かれ乳房を敲かれるにつれて全身が蕩けていく。痛くされればされるほど、それを濃密な愛撫に感じてしまう。もう一息で、全身が微塵に砕け散るような快感が訪れる。本能が、そう教えていた。千代は愛撫をねだって全身をくねらせた。
しかし。
「そろそろ出仕の刻限か。おい、ヨシ。戻って来い」
下女を呼び戻して。郷門が戻るまで千代を見張っているように命じる。
「教えた通りであろう。こやつ、かほどに責められながら法悦境を彷徨っておる。じきに正気づくのか気を失うのか、はたまた苦しみ始めるのか。その移ろいを、確(しか)と見定めよ。おまえから働きかけるには及ばぬが、水を所望すれば飲ませてやれ。口移しでも許すぞ」
「あい、分かりました」
稀には男も甚振るが、この拷問蔵へ連れ込まれる者の九分九厘は女である。悦んで主人の手伝いをする女であれば、そういった性癖を持っていても不思議ではない。というよりも、そこに目を付けて雇っているというのが実情だった。もっとも。拷問蔵であまりに閑古鳥が鳴くときなど、この女が、血を見ない程度に甚振られることもあった。そして女も、それはそれで愉しんでいるのではあったが。本筋には関係の無い話であるので、ここらへんで焉めておく。
千代とヨシを残して、土蔵の戸が閉められる。
――強烈な縄鞭の愛撫からは解放されても、股間への刺激は続いている。おのれの目方が倍になって、それを股間の一線で支え続けるという、まともな女なら泣き叫ぶ激痛。しかし、過去に受けた拷問で苦痛に狎らされている千代には、木馬が揺れていない限りは、かろうじて正気を失わないでいられる責めでしかなかった。
それ故に。千代を取り巻いていた薄桃色の靄は次第に薄れていく……
「く……くうう」
股間を切り裂かれる痛みに、千代は呻く。快楽すなわち激痛を求めてみずから腰を揺すった報いではあった。法悦境にあっても、千代はおのれの所業を覚えていた。だから。激痛に苦しみながらも、郷門を骨の髄まで恨む気にはなれなかった。郷門が千代を筋彫お蝶と信じて疑わないのであれば、吟味役人として当然のことをしているまでのこと。そうも思ってしまう。それは千代のまったくの思い違いではあったのだが。
郷門が(牢屋敷を内に抱える)奉行所で勤めを終えて帰宅するまで、正確にいえば自宅内での所用も終えて拷問蔵に舞い戻るまでの三刻余を、千代は三角木馬の鞍上で苦しみ続けなければならなかった。
まもなくの入梅を控えて、土蔵の中は蒸し暑くさえあったが、喉の渇きを覚える裕りなどなく、ヨシにはつまらない思いをさせたのではあったが。
それはともかく。郷門がまた六尺褌一本の姿で千代の前に立ったとき、いっそう過酷な、あるいは甘美な拷問が再開されるのだった。
股張紐(承前)
「下ろせ」
千代は石板を解かれて、木馬から吊り下ろされた。吊っている縄が緩むと、とても立っていられず床に倒れ付した。高手小手の緊縛も解かれて、しかしすぐに、両手を揃えて頭上で縛られた。開脚させられて、石板も元のように足につながれた。
滑車から垂れる綱で再び吊り上げられる千代。石板の重みでおのれの目方の倍が肩に掛かるとはいえ、これしきなら千代にとっては甚振りには当たらないのだが。
壁際の箱から、弥助が長い紐を引き出した。太さ一分ほどの細引。ただし、縄鞭の先端に編み込んであるよりもひとまわり大きな鉄環が、一尺置きに結わえ付けられている。
土蔵の端に植えられている太い竹竿の先に、細引の一端が括り付けられた。石板が肩の高さに来るまで吊り上げられた千代の足の間に細引が通されて、反対側の壁際に植えられている竹竿に巻き付けられて。
「せえのお」
弥助と梅吉の二人掛りで細引の端が引かれると、向かい合った二本の竹竿が内側へ大きく撓った。細引がぴいんと張って、千代の股間に埋没した。
「…………」
千代はわずかに顔をしかめただけで耐える。三角木馬に比べれば、苦痛は有っても無いようなもの。そして千代は羞恥には鈍磨している。しかし……
千代の身体が、ゆっくりと吊り下ろされていく。細引はますますきつく張って淫裂を深々と割り、淫核から尻穴にまで食い込んでいく。細引に引かれて、竹竿が折れんばかりに撓る。
「く……」
これでもまだ、この土蔵の中では色責としても生ぬるいものでしかないが。弥助が千代を後ろ向きに押し始めると、途端に淫にして虐な責へと変貌する。
弥助ひとりの力では、撓った竹竿の先から一尺を残して、それ以上は押せなくなった。が、それでじゅうぶん。
「やりますぜ」
千代を一方へ捻るようにして前へ突き放した。
石板と千代の重み。そこに、竹竿が元へ復そうと細引を斜め上へ引っ張る力も加わって。千代の裸身が凄まじい勢いで前へ突進した。
「ぎびい゙い゙い゙っ……」
千代が喚く。
ぶじゅじゅじゅじゅっ……
細引に括り付けられた鉄環が、立て続けに淫裂を抉る。太さ一分しかない細引が、三角木馬の稜線に切り裂かれた柔肉の傷をさらに広げる。
たちまちに、白かった細引が朱に染まった。血しぶきさえ飛んでいる。
千代の正面では、郷門が箒尻を手に待ち構えている。竹竿の手前、振子の頂点で千代が止まる刹那を狙って。
バシイン。
箒尻が乳房に叩きつけられた。
「がはっ……」
息を詰まらせる千代。が、すぐに凄絶な悲鳴が続く。
「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
後ろまで振り切って、また前へ揺り戻して。
ずぐぶっ……
箒尻が縦に、千代の下腹部に突き立った。
「げふっ……」
ぐうんと突き戻されて。腹の奥から吐き出されるような勢いで、鉄環が後ろから前へ股間を抉る。
三度目。郷門は箒尻を使わなかった。代わりに、石板の一端を力いっぱいに蹴った。
千代の裸身がねじれながら揺れる。その分、股間は奥底だけでなく左右の肉襞までが抉られる。
「ひいい、いい……いいっ」
女淫への責であってみれば、初手からそういった刺激を受けている。たちまちに千代の意識は濃密な桃色の靄の中へ溶けていって。四度目に、肋骨が折れそうなほど強く乳房を敲かれたとき。
「うああああ、あああーっ」
聞き誤りようのない雌叫びを放って、千代は悶絶したのだった。
========================================

実はシフトの関係で、6/10,12,14と飛び石連休なのです。この間に仕上げるのは無理でも、手前までは持っていきたいものです。
第二幕より拷問の種類は多いですが、ストーリイはすでに語られ尽くして。あとは、ひたすら責めシーンの連続。SM小説を書く醍醐味ではありますが。
短めなので、第三幕の冒頭から、昨日書いたところまでを一挙公開。
========================================
第三幕 拷問蔵
千代の処刑まで三日を残すだけとなった、その日。残谷郷門は城下奉行から火急の呼び出しを受けた。
「間に合ったか」
郷門は不敵につぶやいて、直ちに奉行の許へ参じた。
「これを見よ」
奉行が格式張って郷門に手渡した書状は、隣国の家老から当家の城代家老へ宛てた公文書の写しだった。郷門は作法通りに書状を展げて、一瞥しただけで思っていた通りの内容であると知った。が、畏まって隅から隅まで目を通してはおく。
横っ飛びの銀次と称する破落戸が商家に押し入って、直ちに捕縛され、吟味の末に余罪を白状した経緯が記されていた。人相風体から目を逸らさせようとして、諸肌脱ぎに墨で刺青を模した紋様を描いての急ぎ働きではあったが、間抜けなことに丁稚に逃げられ、もたついているうちに捕方に囲まれて捕まった。こうなると、目晦ましもへったくれもあったものではない。
吟味が進むうちに、他国での同様の犯行を密告する者があり(とは、書状に記されていなかったが)、さらに厳しく追及したところ、筋彫お蝶の一件を白状するに至った。
国境を越えての凶行なれば貴国に御報せすると倶に御公儀にも届出たる次第
右御承知置き願い度
「実に容易ならざる仕儀じゃ」
三井が頭を抱えるのは、事が御公儀にまで達したという、そのことだった。
銀次の自白にようと、筋彫お蝶には刺青など無く、刺青を模した肉襦袢を着込んでの所業である。千代の申し立てとぴたり一致する。即ち、千代は無罪。しかし、すでに死罪の沙汰を下してしまった。取り消そうものなら、御上の権威に係わる。とはいえ死罪を強行すれば、隣国からの報せを蔑(ないがし)ろにしただけならともかく、万一にも御公儀から照会があったときに申し開きのし様も無くなる。
「処刑を繰り延べれば宜しいかと」
郷門は、あっさりと言ってのけた。
「さいわい、処刑の期日は公にされておりませぬ」
「じゃが、裁きを下してから一月を越えて処刑しなかった先例が無い」
「そこで、この書状が役に立つのでござる。筋彫お蝶一味が奪った金は三百五十余両。しかるに、銀次どもは捕らえられたときに、三人併せて五両しか持っておらなんだと書かれております。これは、お蝶が独り占めしたと考えるべきでしょう。ならば、金をどこに隠したか、是非にも白状させて取り返し、盗まれた者に返してやるのが、御政道に携わる者の務めではありましょう」
「ふむ……」
三井はしばし考える。貫目屋は娘への連座ではなく別途に処分されたのだから、もはや千代を是非にも処刑する名分は失せた。後は、御家大事、我身大事だけ。
「本物のお蝶が他国で捕らわれたときは、どうする。辻褄が合わなくなるぞ」
「千代を生かしておけば、何とでも取り返しがつきましょう。すくなくとも、無実の者を処刑したよりは、御政道に付く傷も瑕瑾に留まります」
楓が捕らえられる懸念など微塵も無いとは、手の内を明かさぬ郷門だった。楓が死んでいると三井が知れば、死人に口無しとばかりに処刑を強行しかねないと読んでいる。
一旦は諦めたものの、うまうまと掌中に転がり込んだ、いや実のところは扇之介や街道の親分筋に借を作ってまで強引に転げ込ませた珠。砕かれては、たまったものではない。
「しかし、いつまでも牢に留め置くのも拙い。ことに、吟味もせず無駄飯を食わせておくなど、いずれは外にも聞こえよう」
「あの娘は、数々の拷問にも屈しなかった強か者。斯くなる上は、拙者が身柄を預かって、弾正一流の拷問で厳しく責めて白状させる。という筋書は如何でござろうか」
「その方で預かる、とな……」
三井とて阿呆でもなければ耳が聞こえぬでもない。残谷の嗜癖も些かは知っている。しかし、厄介事がおのれの管掌から消えてくれれば、それで良い。いざとなれば、こやつに腹を切らせれば済む。
「よかろう。お主に任せる」
こうして、千代の運命はまたしても大きく捻じ曲げられたのだった。
第一場 盗金所在
吟味を受けていた者も牢へ戻され、囚人どもは夕食までの退屈な時をもて余すだけという刻限になって。
「筋彫お蝶こと千代。牢替えじゃ」
不意のことに、女囚どもがざわめく。いよいよ明日にでも処刑の運びとなって、最後の一夜くらいは静かに過ごさせてやろうというのか。前例の無いことだったが、そうとしか考えられない。
着た切り雀の黄八丈の上から縄打たれて、牢屋敷の中を引き回され、ついには裏庭へと連れ出された。そこには役人の姿は見えず、尻を絡げた荷運び人足が二人と大八車。
千代は二人の顔に見覚えがあった。掛同心八戸様の上役で、拷問に立ち会って御定書に無い制外の残虐な責めの陣頭指揮を執っていた残谷様。その手下の人たち。
千代は厭な胸騒ぎに襲われたが。どうせ生を諦めた身。女淫を槍で貫かれるより酷いこともされまいと、おのれに言い聞かせて。大八車に積まれた細長い箱の中へ、大菱縄を掛けられたままおとなしく押し込まれたのだった。
箱に蓋がかぶせられ縄で荷造りされ(たのだろう)、ガラガラと大八車が動き出した。
もう大昔のように思えるけれど。すべての発端。拐わかされて棺桶に押し込まれて鬼と夜叉の巣へ運ばれたときを思い出した。あれに比べれば、身体を伸ばしているだけ楽だった。揺れがガタゴト身体に伝わって痛いけれど。
それに、あのときは。何をされるかと生きた心地も無かったけれど。今は何をされても構わないと一切を捨ててかかっているから、何も怖くない。おのれに、そう言い聞かせる千代だった。
毛粧焼
並の荷運びと違って、大八車は歩くのと変わらぬくらいにゆっくりと動いて、それでも小半刻とかからず目的地へ着いたようだった。箱に入れられたまま担がれて、何十歩かを運ばれた。
そうして箱の蓋が開けられて。石畳の床に転げ落とされて。千代は最初、また牢屋敷へ、それも吟味部屋へ戻されたのかと思った。しかしすぐに、そうではないと悟った。
間口奥行ともに、吟味部屋より五割は広い。一角には狭い牢屋まで設けられている。そして、拷問の道具立としか思えない奇怪な調度が、壁の三面を埋めてびっしり並んでいた。
キの字形をした磔柱、水平に寝かせて宙に支えられた梯子、三角の胴をした首の無い大きな木馬、大きな箱に下半分を隠されている水車、人の背丈ほどもある桶。仕置柱もあれば、ずっと細い竹まで何本も床に植えてある。天井には滑車が四つも吊られていて、そのひとつは複雑な組滑車だった。
千代の前に立ったのは、これは予期していた通りに残谷郷門だった。背後に二人の女性(にょしょう)が控えているが、もちろん千代の知らない顔だった。
「御取調に手落ちがあった。よって、処刑を延期して再吟味いたす。盗んだ三百五十両もの大金を何処(いずこ)に隠したか。素直に申さば、格別の慈悲をもって、苦しまずに死ねるよう計らってやる。吐かねば、磔よりもよほど恐ろしい生き地獄を味わわせてくれるぞ」
あっと思った。
これまでは濡衣を認めるか認めないか、その一点を巡る吟味であり拷問だった。両親に連座が及ばないと知って虚偽の白状をして、それで楽になれた。
けれど。はい、いいえではなく。知らないことを白状しろと迫られては、答えに窮する。道具立を見るからに、吟味部屋よりも格段に恐ろしい拷問。それから逃れる術(すべ)は、無さそうだった。
そうだ……咄嗟に閃くものがあった。
千代も牢獄の中で、ただおのれの悲運を嘆き悲しんで日を過ごすばかりではなかった。ことに、拷問の傷に呻吟していないときは。ふとした出来心で罪を犯した堅気の女(ひと)の身の上話に同情したり、男を手玉に取った遊び女の手練手管に感心したり、男顔負けの荒事をしてのけた女渡世人の武勇伝に聞き惚れたり。この一月ほどの間に、貸本の百冊を読んでも得られないほどの世間知、大方は悪知恵が身に付いた。
「申し上げます」
千代は縛られた身を起こして、郷門に向かって正座した。
「盗ったお金はすべて、銀次たちに持ち逃げされました。ですから、わたしはしょうこと無しに、お父っつあんの寮へ逃げ込んでいたのです」
「なるほどのお」
物分かり良さそうに、郷門は頷いた。
「では、明朝にもう一度尋ねるとしよう」
今日のところは身綺麗にしてゆっくり休めと。労るような言葉を口にして。
「この二人に逆らうでないぞ」
と、二人の女を振り返る。
郷門は名前すら千代には教えなかったが。三十になるやならずに見えて、その実三十七の太り肉の女は源氏名を芳之、屋敷内ではヨシと呼ばれている、元散茶女郎。残谷に雇われて普段は下女、こういったときには弥助や梅松と同じ役どころをこなしている。
五十の坂を越えたのはいつの昔かといった細身の女というか老婆は、華扇楼の現役遣手婆の、昔は国松を名乗っていたクニ。郷門が扇之介に頼んで、明日まで借り受けている。
「おまえたちも手伝ってやれ」
とは、千代をここまで運んできた弥助と梅吉へ。郷門は土蔵の隅へ引っ込んで、愛用の床几に腰を据えた。
梅吉が千代の背後へまわって大菱縄の縄尻を引くと、ぱらりと解ける。
「羞ずかしいだろうが、おべべを脱いどくれ」
「羞ずかしいものか。この一月あまり、牢の中でも外でも、素っ裸がお仕着せだったようなものだ」
郷門は、ただ千代を辱しめるためだけに言わでものことまで口にしたのではない。死罪を言い渡された囚人は、往々にしてこの世の一切に関心を持たなくなる。あるいは、見苦しいまでに生に執着するか。そこを見極めようとしたのであるが。郷門の見るところ、千代は前者であるらしかった。
切支丹も死は怖れぬが、生を捨てはしない。生を捨てた者を責めても、拷問の参考にはならない。郷門自身の嗜癖にも合わない。
(三日五日と責め続け生かし続けてやれば、さて、どうなるかな)
そのためにも、まずは羞恥心を甦らせてやるべき。クニに処置をさせるのは正解だったであろうと、郷門は自惚れたのだった。
千代は郷門の言葉が聞こえたのかどうか。言われた通りに淡々と帯を解き黄八丈を脱ぎ、たいしてためらうふうもなく腰巻までもみずからの手で剥ぎ取った。前を隠しもしない。
遣手婆のクニが、ちょっと呆れ顔。は、すぐ能面の下に隠して。
「ここに寝ておくれでないかい」
両端を台に支えられて宙に浮いた梯子を手で叩く。
千代は無表情に片足を高く上げて梯子に乗り、身を横たえた。
ヨシがてきぱきと立ち働いて、千代を万歳の形にして梯子に縛り付けた。
千代は表情を動かさない。
梯子の脇に季節外れの火鉢が据えられて、赤々と炭が熾された。火を囲むようにして、長い針が何十本も並べられるのを横目に見て、初めて千代の表情が動いた。
かつての千代なら知らず。我が身を様々に甚振られていれば、熱した針がどのように使われるか想像に難くなかった。
「今日は休ませていただけるのではなかったのですか」
郷門に向けられた千代の言葉には、諦めが滲んでいる。
「身綺麗にせよと言ったぞ。女の身で無精髭なぞ見苦しいわ」
「…………」
言葉の意味が分からなかったが、重ねて問う気力もない。されてみれば分かることだった。
「一度に全部はとても無理だからね。明日からは、おまえ様がしてやるんですよ」
遣手婆のクニが、郷門家の下女に言い含めて。毛抜きを左手に持ち、右手の指を唾で湿してから、先端が真っ赤に焼けた針を摘まみ上げた。
千代の下草は入牢に際しての素肌検で奪衣婆に剃られて、今も二分ほどにしか萌え出でていない。クニはその一本に毛抜きの先を押し付けて根元ぎりぎりを摘まむと、ぴっと引き抜いた。毛根まで抜けて、ぽつんと開いた毛穴に灼熱した針先を差し込んだ。
「きゃあっ……」
千代が悲鳴を上げたときには、すでに針は引き抜かれていた。
「隣の毛は抜くんじゃないよ。五分くらい離すんだ。そうしないと、火傷がくっついて痕が残るからね」
使った針は火鉢に戻して、新しい針を摘まみ上げるクニ。
二本目の毛を同じようにされて、今度は千代は呻き声すら上げなかった。最初は驚いたが、これまでに受けてきた拷問に比べれば、児戯にも等しい甚振りだった。
郷門としても、これを拷問とは考えていない。亀女が全身剥き身の茹で卵のように無毛なのを見て、思い立ったことだった。女郎の中には、手入れをして五日もすると黒ずんでくるのを嫌って、このように毛根まで焼き尽くす者もいる。
焼けた針を毛穴に突き刺すといっても、浅ければ一月か二月もすると生えてくるし、深過ぎると肌に痘痕(あばた)が残ったままになりかねない。
五本、十本、二十本……五十本も処置をしたところで、クニは手を休めた。
「弾正の旦那さん。腋の下もやっつけるんですね」
「うむ」
淫毛を剃る、一気に燃やす、あるいは、かつて千代が楓からされたように熱蝋を垂らして冷えたところで引き剥がす。こういった羞恥責めを、郷門は幾度か女囚に試みたことはあった。名目としては毛虱退治とか花柳病の検とかだが、実際には、証拠が乏しくて牢問に掛けられない場合の苦肉の策だった。初心な生娘でも、これくらいで白状はしない。だが、羞恥の極みにあるときに尋問すれば、ぽろりと真実を漏らすことがある。それは、ともかく。
郷門も腋毛を無くすという発想は無かった。亀女を見て、如何にも生き人形に相応しい形だと思った次第だった。
下腹部よりも腋窩のほうが、肌は敏感である。左右ともに二十本ずつも抜かれて焼かれる間、さすがに千代も苦しそうに呻いていた。
「それじゃ、見ててあげるからヨシさんもやってごらんな」
ヨシもクニの半分ほどは処置をしたのだが。真っ直ぐに突き刺せなかったり、引き抜くのにもたついて肉を焼き過ぎたりして、何度かは千代に悲鳴を上げさせた。
(それにしても、俺も気の長い男だな)
郷門は内心で苦笑した。肌を損なわないためには、一日か二日を空けて、一度に焼く量はせいぜい百本までと、クニは言っている。下草は毛の濃い者では五千本以上もあるという。千代は薄いほうだが、それでも千本やそこらはあるだろう。剥き身の茹で卵に仕上がるまで、千代を手元に置いておけるかどうか。しかし、事を急いで、千代の股間に棲む揚羽蝶を損なうつもりはなかった。
「今日は、こんなところさね。後は剃っちまうよ。一厘かそこら伸びてきたら、ヨシさんの出番だよ」
仕上がるより先に、千代は三尺高い木の上で晒されることになるだろう。
木馬責
土蔵の角には、一間四方の牢が設けられている。二面は土蔵の壁、残る二面が木格子。素裸のままで、千代はそこへ押し込まれた。
「そこに把手があるだろ。引き出してみな」
ヨシに言われて動かしてみると、幅一尺ほどの箱が現われた。砂が敷き詰めてある。奥は仕切られていて朽ち縄が何本か。
「そこが、ええと御牢では詰の神様だっけね」
つまり厠だった。朽ち縄は跡始末に使うのだと、かつて銀次たちから受けた仕打ちを思い出す。この時代、町方の貧乏長屋でも落とし紙が使われるようになっていたが、農村部ではまだまだ朽ち縄や藁、あるいは木の箆などが使われていた。だから、ことさらに囚人を辱めようという意図は……いや、郷門ならあったかもしれないが。
しかし、これまでは畳一枚の上で寝起きしていた(それでも平囚人ではなく客分扱いであったが)千代にしてみれば、存分に手足を伸ばせる別天地であった。しかも、煎餅布団まであった。一枚きりだからくるまって寝なければならないが、それでも十二分にありがたい。という感謝の念は、その布団にどす黒くこびり付いている血の痕を見て消し飛んだ。ここは、牢屋敷に勝るとも劣らない地獄なのだった。
それでも。その日は、白米に鯵の開きに沢庵と味噌汁という、牢内とは比べ物にならない夕餉を出されて、また千代は、ここはほんとうに地獄かと戸惑ったりもしたのだが。
翌朝は、夜が明けきらぬ内から叩き起こされた。
「出すものは出しときな。木馬の上で粗相されちゃ、こっちがたまったものじゃあないからさ」
七分粥に梅干ひとつという、前夜にくらべれば質素な、けれど雑穀が混じっていないから牢内よりは贅沢な朝餉を格子の中へ差し入れて、すぐにヨシは立ち去った。
千代は素直に粥を平らげると、雪隠箱を引き出して用を済ませた。これまでの残谷様の遣り口を思えば、きっとここも甚振られるのだろうと、朽ち縄はほぐして入念に跡始末をした。のは、羞じらいの心が甦った証ではあっただろう。
半刻もしないうちに、牛頭馬頭を一身に体現した郷門が、三匹の小鬼を従えて地獄に舞い戻って来た。いつもの与力装束ではなく、褌一本の姿だった。
起きてすぐに身を濯いだままなのかと訝った千代だが、そうではないと気づいた。武家は絶対にといっていいほど、下帯は越中だった。戦場(いくさば)で素早く緩めて用を足すためである。しかるに、郷門が締めているのは六尺だった。
みずからが大汗を掻くほどにわたしを痛め付ける御積りなのかと、千代は怯えた。死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが。拷問をされずに留め置かれること二十日に及んでいる。三日と空けずに甚振られていた頃とは、覚悟の持ち様も違っていた。
けれど、三匹の小鬼どもはいたって普通の身形、二人の男は尻絡げで、下女のヨシは単衣を襷掛け。それはそれで、残谷様に淫らな思惑があるのかと、これは期待してしまう。埒を明けてくだされば、甚振りも終わるのではないかという……とっくに操とは縁の切れた身の上、女淫でも口でも尻穴でも、それで済めばありがたい。そこまで堕ちている千代だった。
千代は牢から引き出されて、高手小手に縄を掛けられた。ことに胸縄は厳しく、左右と谷間とで上下を絞られて、縄の中に乳房をつかんで引き出され、さらに根元を締め付けられた。
四本の脚を二本の橇に乗せた三角胴の首無し木馬が中央に引き出されて。千代は滑車で吊り上げられて、その上に乗せられた。嫌でも三角の稜線を跨がねばならず、稜線は淫裂に食い込んで、鋭い痛みを千代に送り付ける。とはいえ、未だ箒尻を敲きつけられるほどの激痛ではなかった。頂部を取り換えられるこの木馬に郷門が取り付けていたのは、なんの変哲もない三角形の楔だった。それはそれで、じゅうぶんに股間を切り裂くが、鋸刃ほどは凶悪でない。
「では、改めて尋ねるぞ。急ぎ働きで奪った三百五十両は、どこに隠した」
この御役人様は、まったくわたしの申し立てを信じてくださらない。千代は絶望するとともに、それも当然かと納得してしまった。
背中に入墨という明白な証拠を背負いながら、筋金入りの極悪人でさえ泣いて白状するという苛烈な拷問に耐えた、強かな女賊。御役人様には、そう思われている。
その強かな女賊が仲間に裏切られ、盗み金を洗いざらい持ち逃げされたなど、誰が聞いても嘘だと思うだろう。けれど。一晩ずっと考えてみても、これ以上に巧みな言い逃れは思いつかなかった。
「昨日、申し上げた通りです。銀次たちに持って行かれたんです」
郷門は、千代の言葉は聞き流して。
「長丁場だ。一枚でよかろう」
弥助と梅吉には、それだけで通じる。十露盤責に使う石板が、長手方向が木馬の橇を跨ぐ形に置かれた。
「ひ……」
吊責のときに脚を開いて石板を吊るされているから、これから何をされるかは明白だった。
石板の端に縄が巻かれて、まず片足をつながれた。
「きひいいい……」
さらに、もう片足も。
「いやあああっ……痛い、痛い」
石板一枚で千代の目方ほどもある。股間の一筋に掛かる重みが倍になったという、それだけでは済まない。それまでは渾身の力で腿を閉じて、木馬の斜面で幾らかの目方を支えられた。しかし両脚を三尺も開かされては、二人分に匹敵する目方が、鋭い稜線が、女淫に食い込んで柔肉を切り裂こうとする。
激痛に、千代は身悶えすら出来ない。わずかでも身じろぎすれば、女淫の奥で激痛が暴れる。逆刃に立てた包丁の上で大根を転がすのと同じ結果になりかねない。
郷門は無言で、食い入るように千代の表情を凝視めている。
千代はのけぞり、口を悲鳴の形に凍りつかせ、目尻に涙を湛えて。ひたすらに苦悶している。恍惚の色など微塵も無い。
郷門が、千代を打擲する得物を手にした。箒尻などではなく、先端に鎖の小さな鉄環を編み込んだ縄束だった。しかし、すぐには使わず。
「思い切り揺らしてやれ」
弥助と梅吉が木馬の前後に取り付いて、足は橇に掛け手は三角の胴体を持って、橇の端が床に触れるまで後ろへ傾けた。石板が振子の錘となって千代の脚が後ろへ流れ、上体は自然と前へ倒れて釣り合いを保とうとする。
「ぎひいい、痛い……お赦しくださいいっ」
郷門は無言。弥助と梅吉は目配せを交わして。
「せえのっ」
勢いをつけて木馬を押し出した。
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
千代が絶叫した。
ぎし、ぎし、ぎし……木馬が前後に大きく揺れ続け、さながら悍馬を巧みに乗りこなしているかに見える千代は、絶叫を吐き続けたのだが。
「揺すれ」
郷門に命じられて、二匹の小鬼が揺れの小さくなりかけていた木馬を大きく揺すったとき。
「ぎびひいい……」
悲鳴が細くなってゆき、
「ああああ、あああっ……」
両親の媾合いを覗き見た子供が、母ちゃんが虐められていると思い込むほどに、絶頂の声と表情は苦悶のそれと酷似している。しかし、郷門は見誤らなかった。にんまりと形容するにはあまりに生真面目な表情で、ひとり頷いた。
このとき。たしかに千代は、恍惚の中にあった。薄桃色の靄の中に浮かんで、頭にも身体にも靄が沁み込んでいた。淫裂の奥深くには凄絶な快感の楔が打ち込まれていた。淫核と女穴にも楔が欲しくなって、木馬に揺すられるよりも激しく腰を揺すっていた。
すでに女穴の前後は木馬の稜線に切り裂かれて、股間は血まみれ。太腿にも伝っている。
「うぐ……」
郷門の残酷な拷問を何年も手伝っているヨシが、袂で口を押さえて土蔵の外へ逃げ去った。
しかし、郷門は満足しない。手桶の水に浸けて、ずしりと重くなった縄束を、千代の尻に敲きつけた。
バヂャン。
「おおおおーっ」
千代は木馬の上で激しく背をのけ反らせて、はっきりと喜悦の表情を浮かべた。
薄桃色の靄に包まれて宙に浮いているところへ強烈な愛撫を加えられ、尻が熱く疼いた。
バヂャン。バヂャン。バヂャン。
二十日ちかい養生とまではいわぬにしても、拷問を受けることなく傷が癒えていた白い肌がたちまち切り裂かれ、太い痣が刻み付けられていった。
しかし千代は、肩を敲かれ乳房を敲かれるにつれて全身が蕩けていく。痛くされればされるほど、それを濃密な愛撫に感じてしまう。もう一息で、全身が微塵に砕け散るような快感が訪れる。本能が、そう教えていた。千代は愛撫をねだって全身をくねらせた。
しかし。
「そろそろ出仕の刻限か。おい、ヨシ。戻って来い」
下女を呼び戻して。郷門が戻るまで千代を見張っているように命じる。
「教えた通りであろう。こやつ、かほどに責められながら法悦境を彷徨っておる。じきに正気づくのか気を失うのか、はたまた苦しみ始めるのか。その移ろいを、確(しか)と見定めよ。おまえから働きかけるには及ばぬが、水を所望すれば飲ませてやれ。口移しでも許すぞ」
「あい、分かりました」
稀には男も甚振るが、この拷問蔵へ連れ込まれる者の九分九厘は女である。悦んで主人の手伝いをする女であれば、そういった性癖を持っていても不思議ではない。というよりも、そこに目を付けて雇っているというのが実情だった。もっとも。拷問蔵であまりに閑古鳥が鳴くときなど、この女が、血を見ない程度に甚振られることもあった。そして女も、それはそれで愉しんでいるのではあったが。本筋には関係の無い話であるので、ここらへんで焉めておく。
千代とヨシを残して、土蔵の戸が閉められる。
――強烈な縄鞭の愛撫からは解放されても、股間への刺激は続いている。おのれの目方が倍になって、それを股間の一線で支え続けるという、まともな女なら泣き叫ぶ激痛。しかし、過去に受けた拷問で苦痛に狎らされている千代には、木馬が揺れていない限りは、かろうじて正気を失わないでいられる責めでしかなかった。
それ故に。千代を取り巻いていた薄桃色の靄は次第に薄れていく……
「く……くうう」
股間を切り裂かれる痛みに、千代は呻く。快楽すなわち激痛を求めてみずから腰を揺すった報いではあった。法悦境にあっても、千代はおのれの所業を覚えていた。だから。激痛に苦しみながらも、郷門を骨の髄まで恨む気にはなれなかった。郷門が千代を筋彫お蝶と信じて疑わないのであれば、吟味役人として当然のことをしているまでのこと。そうも思ってしまう。それは千代のまったくの思い違いではあったのだが。
郷門が(牢屋敷を内に抱える)奉行所で勤めを終えて帰宅するまで、正確にいえば自宅内での所用も終えて拷問蔵に舞い戻るまでの三刻余を、千代は三角木馬の鞍上で苦しみ続けなければならなかった。
まもなくの入梅を控えて、土蔵の中は蒸し暑くさえあったが、喉の渇きを覚える裕りなどなく、ヨシにはつまらない思いをさせたのではあったが。
それはともかく。郷門がまた六尺褌一本の姿で千代の前に立ったとき、いっそう過酷な、あるいは甘美な拷問が再開されるのだった。
股張紐(承前)
「下ろせ」
千代は石板を解かれて、木馬から吊り下ろされた。吊っている縄が緩むと、とても立っていられず床に倒れ付した。高手小手の緊縛も解かれて、しかしすぐに、両手を揃えて頭上で縛られた。開脚させられて、石板も元のように足につながれた。
滑車から垂れる綱で再び吊り上げられる千代。石板の重みでおのれの目方の倍が肩に掛かるとはいえ、これしきなら千代にとっては甚振りには当たらないのだが。
壁際の箱から、弥助が長い紐を引き出した。太さ一分ほどの細引。ただし、縄鞭の先端に編み込んであるよりもひとまわり大きな鉄環が、一尺置きに結わえ付けられている。
土蔵の端に植えられている太い竹竿の先に、細引の一端が括り付けられた。石板が肩の高さに来るまで吊り上げられた千代の足の間に細引が通されて、反対側の壁際に植えられている竹竿に巻き付けられて。
「せえのお」
弥助と梅吉の二人掛りで細引の端が引かれると、向かい合った二本の竹竿が内側へ大きく撓った。細引がぴいんと張って、千代の股間に埋没した。
「…………」
千代はわずかに顔をしかめただけで耐える。三角木馬に比べれば、苦痛は有っても無いようなもの。そして千代は羞恥には鈍磨している。しかし……
千代の身体が、ゆっくりと吊り下ろされていく。細引はますますきつく張って淫裂を深々と割り、淫核から尻穴にまで食い込んでいく。細引に引かれて、竹竿が折れんばかりに撓る。
「く……」
これでもまだ、この土蔵の中では色責としても生ぬるいものでしかないが。弥助が千代を後ろ向きに押し始めると、途端に淫にして虐な責へと変貌する。
弥助ひとりの力では、撓った竹竿の先から一尺を残して、それ以上は押せなくなった。が、それでじゅうぶん。
「やりますぜ」
千代を一方へ捻るようにして前へ突き放した。
石板と千代の重み。そこに、竹竿が元へ復そうと細引を斜め上へ引っ張る力も加わって。千代の裸身が凄まじい勢いで前へ突進した。
「ぎびい゙い゙い゙っ……」
千代が喚く。
ぶじゅじゅじゅじゅっ……
細引に括り付けられた鉄環が、立て続けに淫裂を抉る。太さ一分しかない細引が、三角木馬の稜線に切り裂かれた柔肉の傷をさらに広げる。
たちまちに、白かった細引が朱に染まった。血しぶきさえ飛んでいる。
千代の正面では、郷門が箒尻を手に待ち構えている。竹竿の手前、振子の頂点で千代が止まる刹那を狙って。
バシイン。
箒尻が乳房に叩きつけられた。
「がはっ……」
息を詰まらせる千代。が、すぐに凄絶な悲鳴が続く。
「ゔあ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
後ろまで振り切って、また前へ揺り戻して。
ずぐぶっ……
箒尻が縦に、千代の下腹部に突き立った。
「げふっ……」
ぐうんと突き戻されて。腹の奥から吐き出されるような勢いで、鉄環が後ろから前へ股間を抉る。
三度目。郷門は箒尻を使わなかった。代わりに、石板の一端を力いっぱいに蹴った。
千代の裸身がねじれながら揺れる。その分、股間は奥底だけでなく左右の肉襞までが抉られる。
「ひいい、いい……いいっ」
女淫への責であってみれば、初手からそういった刺激を受けている。たちまちに千代の意識は濃密な桃色の靄の中へ溶けていって。四度目に、肋骨が折れそうなほど強く乳房を敲かれたとき。
「うああああ、あああーっ」
聞き誤りようのない雌叫びを放って、千代は悶絶したのだった。
========================================

実はシフトの関係で、6/10,12,14と飛び石連休なのです。この間に仕上げるのは無理でも、手前までは持っていきたいものです。
Progress Report 3:濡墨を着せられた娘
なんだ神田で280枚で進行中です。
章題を若干変更したり(黄色)、第三幕を増やしたり(緑)。
第一幕 破れ寺
第一場 拐わかし
三穴姦/蝶乱舞
第二場 全裸捕縛
裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
第一場 吟味前夜
素肌検/牢問答
第二場 苛烈牢問
裸敲問/石抱問
廻舞台 若侍苦楽責
牢内掟/吊敲責/海老責/弓張棒
廻舞台 新妓夢現責
駿河問
第三場 虚偽自白
父母流罪/磔刑申渡
廻舞台 熟娘揺木馬 ←Written
第三幕 拷問蔵
第一場 盗金所在
毛粧焼/木馬責/股張縄/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場
今回は、第二幕第二場之五【弓張棒】を御紹介。
(承前)とあるのは、海老責に続いて同日中の責めだからです。
========================================
弓張棒(承前)
午(ひる)を告げる拍子木を、海老責に呻吟している千代も微かに聞いた。その直後に、数人の足音。郷門と八戸だが、手伝いの二人は午前の下人ではなく、郷門が屋敷で飼っている男たちだった。きちんと人別もある。ふだんは下男の仕事をしながら、こういうときには汚れ仕事もする。といって、余分な手当は得ていない。汚れのうちには、ときとして魔羅の汚れもあって、それが手当の代わり。つまりは、身分の差こそあれ郷門の仲間(なかま)ともいえた。ちなみに、下女の中にもこの手の者がいるのだが、それは彼女たちが登場するときに詳述しよう。
千代はいったん縄を解かれて、いっそう淫らな形に縛り直された。縄を掛けられずに身体を二つに曲げられて、両脚で頭を挟む形にして手首と足首とをひとつに括り合わされた。屈曲の角度としては海老責よりも深いくらいだが、脚をそんなに開かされていないから、苦痛は少ない。もちろん比較の問題で、身体の硬い男なら小半刻とは耐えられないだろう。そして。腰を高々と突き上げて二穴を天井に向かって曝すのだから、娼婦でさえも羞恥に悶えるだろう。
しかし千代は、海老責よりも鮮やかに全身を朱に染めたが、表情はほとんど動かさなかった。どんなに責められようと無実の罪を認めるわけにはいかないし、認めない限り拷問は続く。となれば、責め殺されるのが親孝行と、性根を決めていた。
郷門が、奇妙な棒を何本も床に並べた。一見して男根を模した物、即ち張形だが。竿の部分に陣笠のような形状をした鋲が三段、螺旋状に埋め込まれている。これは女泣かせの瘤と解せなくもないが。張形の根元は細い棒になっていて、本体よりも太い角柱を貫いて、末端は滑車で終わっていた。
張形の太さは竿の部分で、一寸丁度、一寸三分、一寸六分、そして二寸の四種類。長さはどれも八寸。それが二本ずつ。雁首はいちだんと張り出しているし、鋲の先端から先端までの差し渡しは、さらに大きい。
「これは、尻穴未通女でもなんとか挿(は)いる太さじゃ」
初めて実見する八戸に説明してやって。郷門は一寸丁度の張形を取り上げて、金創軟膏をまぶした。亀頭の部分で尻穴をこねくって、そろりと押し込んで。
「これは……ずいぶんとこなれている。おまえは、尻穴で媾合ったことがあるのか」
千代は逡巡したが。阿婆擦と思われてはたまらない。
「捕らえられて、十日間ほど掛けて入墨をされている間、三人の男どもに……何度も何度も」
「聞いておいてやろう」
とは、千代の言葉を信じてはいないが嘘と決めつけてもいないという意味。
「ならば、これでも呑み込むのでないかな」
次を飛び越して、一寸六分を試みる。
「きひいいい……」
ほとんどふた月ぶりの、尻穴への強貫。忘れようと努めていた、灼熱の激痛が甦った。いや、一寸六分といえば魔羅としても逸物(いつぶつ)だが、そこに鋲の突起が加わる。初めて尻穴を犯されたときよりも、よほど痛かった。
それでも、肉襞が裂けることもなく、千代の尻穴に太さ一寸六分の張形が突き刺さった。
「これで腹一杯といったところだが、それでは甚振りにならぬ」
尻穴の一寸六分に圧迫されてひしゃげた女穴には実に二寸が試みられたが、さすがに無理だった。激しく痛がるとかではなく、押し込めないとは手応えだけで知れた。
「ふうむ……」
一寸六分だと挿入は出来たが、千代が絶叫した。それでは後段の目論見に差し障るとして、前に一寸六分、後には一寸三分で落ち着いた。張形は根元まで埋没させず、前は二寸、腸は膣よりも奥行きがあるので一寸のみを残した。
挿入されるときこそ、千代は唇を噛んで苦痛と恥辱とに耐えたが、郷門が手を放すと、股間から二本の角を生やした姿で、それほど苦しそうにも見えない。
仕置柱から厚さ一寸の板が水平に突き出されて、角柱に宛がわれた。板は仕置柱に釘で打ちつけられ、そこに鎹(かすがい)で角柱が固定された。
最後に、二張(ふたはり)の半弓が持ち出された。それぞれの弦が千代の上を横切って、角柱から突き出ている滑車に巻き付けられた。
郷門の下男二人が千代を挟んで向かい合って座り、両手に弓の端を握った。
「まずは、ゆっくりと同じ向きに動かせ。そおれ」
郷門の合図で下男のひとりが両手を突き出し上体を前へ倒し、一方は引きながらのけ反る。
「あ、ああっ……」
突然に生じた異変に、千代が当惑の声をこぼした。
弓が動くと滑車が張形を回転させる。螺旋状に植えられた鋲が柔肉を抉ると同時に、螺子の作用であたかも張が抽挿されているような錯覚を与える。
「い、痛い……くうう……」
痛いとは言うものの千代の声は、敲問や石抱に掛けられているときの悲鳴絶叫ではなく、ごくささやかな訴えでしかない。
弓は鏡像のように向かい合っているから、前後の張形は互いに逆向きに回転している。女穴の螺子が抜去される向きに回れば、尻穴は貫入の向きに回る。
二十往復ほども続けさせて。千代に格段の変化が起きないと見ると、郷門は二つの弓を逆向きに動かすように命じた。
二本の張形が同じ向きに抽挿され、肉壁が擂り潰されるような感覚が千代を襲った。
「あ……や……」
やめてと言いかけて、千代は言葉を呑んだ。言えば、おまえは筋彫お蝶であろうと問われ、押込の罪を認めろと迫られる。いちいち打ち消すよりも、この程度であるなら、黙って甚振られているほうが、まだしもだった。
さらに二十往復ほど様子を見て。郷門は弓を止めさせた。
「前も後ろも相当にこなれておるのに、まるきり感じておらんな」
郷門が首を傾げた。
千代は耳年増であってみれば、その意味は分かる。と同時に、当たり前だと悔しくもある。十日以上に亘って、多いときはひと晩に十回以上も犯されている。未通女の固さが残っているはずもない。そのすべてが蹂躙だったのだから、媾合いを心地好いものと思う筈もない。
「では、生娘殺しに掛けてみるか」
郷門が懐から小筆を二本、取り出した。過日、筧三郎を馴致した小道具だった。
「落とすのが目論見ではないから、こちらは不要か」
郷門が、乳首に目を落としてつぶやいた。
「さりながら、まるで紅を引いたように、鮮やかというはあまりに毒々しい。このような所に朱墨を入れるとは、ふうむ……」
「入れられたのです。肉襦袢に描いた色と同じにするとかで……」
「淫豆を蝶の頭に見立てるとは、また思い切ったものよ。これも肉襦袢に描いてあったと申すのか」
「…………」
このお役人も、私の言い分をまともに取り合ってくださらない。千代は悔しさの中に押し黙った。
「ふん。黙(だんま)りか。泣かぬなら、泣かしてしまえ女淫(ほと)と淫豆(まめ)」
うそぶいて。郷門が二本の小筆を動かし始めた。乳首へは向かわず、張形で引き裂かれんばかりに広げられている二つの穴の縁を、筆先のほとんど一点でくすぐる。
張形で引き伸ばされた柔肉に、蟻が張っているような感触が生じて、千代は惑乱した。
「あ……くうう……いやあああ」
生まれて初めて感じる、奇妙な感触だった。くすぐったくて、おのずと腰をくねらせてしまう。すると、宙に固定されている張形が内側から肉穴を抉る。痛みは生じるが、くすぐったさと併さって。快不快で区切るなら、快感が強い。
さわさわさわ……さわさわさわ。
「きひいいい……やめ……やめてください」
しかし言葉とは裏腹に。腰の蠢きは筆から逃れるというよりも、筆を求めて押し付けているようにも見えた。
二本の筆は女穴と尻穴の周囲を緩やかにくすぐるかと思えば、二本の張形で押し縮められた会淫を強く責める。
「あああ……いやあああ」
千代の訴える声が、さらに甘く蕩けてゆく。
尻穴をくすぐっていた筆が前へ動いて、二本の筆が左右の鼠蹊部をくすぐり、大陰唇へ移り、張形の鋲で掻き出されている小淫唇へと移って。しかし、小淫唇が合わさっている所にはっきりと膨れている実核だけは避けていた。
「あああんん……いやあ……何、これ」
うわごとのように呟きながら千代は、これが草子で読んだ善がるということだと、なんとなくは理解していた。思い描いていたよりも、ずっと強烈な快感だった。しかし千代の理解は、まだ真実に到達していない。
頃は良しと見て取った郷門が、左手の筆を捨てて淫核を摘まんだ。すでに顔を覗かせている実核を皮で包むように扱くと。
「ひゃああっ……あんんんん」
甲高い悲鳴と、嫋々と続く鼻声。
千代は、その一点が大きく爆ぜるのを感じた。爆ぜた衝撃が腰を突き抜け背骨を翔け上がって、脳天を痺れさせた。
二度三度と千代に悲鳴を上げさせてから。郷門は包皮を剥き下げて、露わになった実核を右手の筆先でつついた。
「うわあああっ……ああああああ」
いそうの嬌声が、千代の口から迸る。張形に縫い付けられているはずの腰が、二寸ほども跳ねて。穴から突き出ていた根元までも呑み込んで。腰が落ちるときには張形の端で穴縁を抉られて、さらに悲鳴が重なった。
「倍の速さで弓の端から端までを引き切れ。そおれ」
郷門の合図で、弓が激しく動き出す。張形が互いに逆方向へ回りながら、二穴を掻き回す。
郷門は弓の動きを邪魔しないように幾分のけぞった姿勢になって、筆を動かし続ける。淫豆がじゅうぶんに膨らんで、手を放しても包皮に潜り込まないと見定めると、左手にも筆を持つ。右手の筆で淫豆をくすぐりながら、左手の筆は女穴を責める張形に沿えて、外から淫唇を強くくすぐった。
「わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
千代の悲鳴が凄絶味を帯びてくる。いつ息を継いでいるのかというほどに、悲鳴は絶え間ない。さながら千代は、三人掛りで弾かれている巨大な胡弓だった。まさに今。千代は女でしか味わえない絶頂へ向かって押し上げられようとしている。
郷門は責めの手を緩めることなく、千代を追い上げてゆく。
千代は、おのれの身体が濃密な桃色の雲と化して、四方八方へ飛び散ってゆく心地に陥っていた。それは、一言で表わすなら桃源郷だった。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、い゙や゙っ……い゙や゙あ゙あ゙あ゙」
何もかもが無に帰すような感覚に恐怖して、しかしそれは喜悦そのものでもあり。絶叫とともに、千代の意識は薄れていった。
千代が失神すると、郷門はすぐに責めを取り焉めた。寸止めを繰り返して、色責で千代に自白させるのが目的ではない。苦痛が法悦境へ転じるのなら、初手から快楽で追い込めばどうなるか。それを見極めるための色責なのだった。
そして郷門は。千代の荒唐無稽な申し立てが、あるいは真実かもしれないと疑い始めはているのだが。無実を明かす証拠も無い。
なによりも。筋彫お蝶については濡衣であったとしても、千代にまったく罪が無いわけでもないと、郷門は考えていた。貫目屋の苛斂誅求に哭いた者は両手両足の指では足りない。店を奪われた者、女房も娘も売らされた者、一家そろって首を吊った者もいる。袖の下を使わなかったら、とっくに島送り山送り、下手人にもなっていただろう。となれば、貫目屋の女房も娘の千代も連座している。千代に連座して貫目屋が断罪されるのは、因果が入れ替わっているが、結果としては同じことだ。
どうせ死ぬ身であるのなら。生きているうちにせいぜい役に立ててやる。どのようなときに苦痛が法悦境にすり替わるのか、その機序(しくみ)が分かれば。そのような責め方を避けることで拷問の実が上がる。
切支丹については、信心がそうさせるのではないかと、郷門は考えていた。戦国の昔に、一向一揆の例がある。宗門のために死ねば極楽へ行けると信じて、女子供までが着の身着のまま鎌や鍬を手に鎧具足に身を固めた大軍勢に突っ込んでいった。
一向衆なら念仏、切支丹ならおらしょ。大声で繰り返し唱和するうちに、法悦境に達するともいう。
しかし、千代にはあてはまらない。父母への孝心がそうさせるのなら、連座が適用される罪科ではかなりの者が頑強に抵抗する筈である。実際には、出来心の付け火や盗みで捕まった者で、敲問すらに耐え抜く者は稀有の例にとどまっている。敲問、石抱で始末がつかないのは、筋金入りの悪党だけだった。
千代は吟味法度を越えた敲問に耐え、石抱では乳房まで潰され、ついに拷問に掛けられて、なお海老責でも自白に至らなかった。この上は吊責でも法悦境に達するものか、見極めたいというのが、郷門の本心だった。
千代は縄を解かれ、一刻ほども吟味部屋の片隅に放置されて。意識を取り戻してから牢へ戻された。戸板に載せられることなく、初めて自分の足で吟味部屋を出たのだった。牢から全裸で引き出されたのであってみれば、牢へ戻されるときも全裸なのは、当然だった。
========================================
海老責に続けて座禅転がしてえのは、手垢がついてますので、新しい絡繰なぞやらかしてみました。
文章で説明しきらないといけないのですが、まあ、簡単に図解など。
これで前後2穴をグリグリグリグリとグラ。
2本の弦を同方向に動かすか、互い違いにするかでも効果が違ってきます。

章題を若干変更したり(黄色)、第三幕を増やしたり(緑)。
第一幕 破れ寺
第一場 拐わかし
三穴姦/蝶乱舞
第二場 全裸捕縛
裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
第一場 吟味前夜
素肌検/牢問答
第二場 苛烈牢問
裸敲問/石抱問
廻舞台 若侍苦楽責
牢内掟/吊敲責/海老責/弓張棒
廻舞台 新妓夢現責
駿河問
第三場 虚偽自白
父母流罪/磔刑申渡
廻舞台 熟娘揺木馬 ←Written
第三幕 拷問蔵
第一場 盗金所在
毛粧焼/木馬責/股張縄/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場
今回は、第二幕第二場之五【弓張棒】を御紹介。
(承前)とあるのは、海老責に続いて同日中の責めだからです。
========================================
弓張棒(承前)
午(ひる)を告げる拍子木を、海老責に呻吟している千代も微かに聞いた。その直後に、数人の足音。郷門と八戸だが、手伝いの二人は午前の下人ではなく、郷門が屋敷で飼っている男たちだった。きちんと人別もある。ふだんは下男の仕事をしながら、こういうときには汚れ仕事もする。といって、余分な手当は得ていない。汚れのうちには、ときとして魔羅の汚れもあって、それが手当の代わり。つまりは、身分の差こそあれ郷門の仲間(なかま)ともいえた。ちなみに、下女の中にもこの手の者がいるのだが、それは彼女たちが登場するときに詳述しよう。
千代はいったん縄を解かれて、いっそう淫らな形に縛り直された。縄を掛けられずに身体を二つに曲げられて、両脚で頭を挟む形にして手首と足首とをひとつに括り合わされた。屈曲の角度としては海老責よりも深いくらいだが、脚をそんなに開かされていないから、苦痛は少ない。もちろん比較の問題で、身体の硬い男なら小半刻とは耐えられないだろう。そして。腰を高々と突き上げて二穴を天井に向かって曝すのだから、娼婦でさえも羞恥に悶えるだろう。
しかし千代は、海老責よりも鮮やかに全身を朱に染めたが、表情はほとんど動かさなかった。どんなに責められようと無実の罪を認めるわけにはいかないし、認めない限り拷問は続く。となれば、責め殺されるのが親孝行と、性根を決めていた。
郷門が、奇妙な棒を何本も床に並べた。一見して男根を模した物、即ち張形だが。竿の部分に陣笠のような形状をした鋲が三段、螺旋状に埋め込まれている。これは女泣かせの瘤と解せなくもないが。張形の根元は細い棒になっていて、本体よりも太い角柱を貫いて、末端は滑車で終わっていた。
張形の太さは竿の部分で、一寸丁度、一寸三分、一寸六分、そして二寸の四種類。長さはどれも八寸。それが二本ずつ。雁首はいちだんと張り出しているし、鋲の先端から先端までの差し渡しは、さらに大きい。
「これは、尻穴未通女でもなんとか挿(は)いる太さじゃ」
初めて実見する八戸に説明してやって。郷門は一寸丁度の張形を取り上げて、金創軟膏をまぶした。亀頭の部分で尻穴をこねくって、そろりと押し込んで。
「これは……ずいぶんとこなれている。おまえは、尻穴で媾合ったことがあるのか」
千代は逡巡したが。阿婆擦と思われてはたまらない。
「捕らえられて、十日間ほど掛けて入墨をされている間、三人の男どもに……何度も何度も」
「聞いておいてやろう」
とは、千代の言葉を信じてはいないが嘘と決めつけてもいないという意味。
「ならば、これでも呑み込むのでないかな」
次を飛び越して、一寸六分を試みる。
「きひいいい……」
ほとんどふた月ぶりの、尻穴への強貫。忘れようと努めていた、灼熱の激痛が甦った。いや、一寸六分といえば魔羅としても逸物(いつぶつ)だが、そこに鋲の突起が加わる。初めて尻穴を犯されたときよりも、よほど痛かった。
それでも、肉襞が裂けることもなく、千代の尻穴に太さ一寸六分の張形が突き刺さった。
「これで腹一杯といったところだが、それでは甚振りにならぬ」
尻穴の一寸六分に圧迫されてひしゃげた女穴には実に二寸が試みられたが、さすがに無理だった。激しく痛がるとかではなく、押し込めないとは手応えだけで知れた。
「ふうむ……」
一寸六分だと挿入は出来たが、千代が絶叫した。それでは後段の目論見に差し障るとして、前に一寸六分、後には一寸三分で落ち着いた。張形は根元まで埋没させず、前は二寸、腸は膣よりも奥行きがあるので一寸のみを残した。
挿入されるときこそ、千代は唇を噛んで苦痛と恥辱とに耐えたが、郷門が手を放すと、股間から二本の角を生やした姿で、それほど苦しそうにも見えない。
仕置柱から厚さ一寸の板が水平に突き出されて、角柱に宛がわれた。板は仕置柱に釘で打ちつけられ、そこに鎹(かすがい)で角柱が固定された。
最後に、二張(ふたはり)の半弓が持ち出された。それぞれの弦が千代の上を横切って、角柱から突き出ている滑車に巻き付けられた。
郷門の下男二人が千代を挟んで向かい合って座り、両手に弓の端を握った。
「まずは、ゆっくりと同じ向きに動かせ。そおれ」
郷門の合図で下男のひとりが両手を突き出し上体を前へ倒し、一方は引きながらのけ反る。
「あ、ああっ……」
突然に生じた異変に、千代が当惑の声をこぼした。
弓が動くと滑車が張形を回転させる。螺旋状に植えられた鋲が柔肉を抉ると同時に、螺子の作用であたかも張が抽挿されているような錯覚を与える。
「い、痛い……くうう……」
痛いとは言うものの千代の声は、敲問や石抱に掛けられているときの悲鳴絶叫ではなく、ごくささやかな訴えでしかない。
弓は鏡像のように向かい合っているから、前後の張形は互いに逆向きに回転している。女穴の螺子が抜去される向きに回れば、尻穴は貫入の向きに回る。
二十往復ほども続けさせて。千代に格段の変化が起きないと見ると、郷門は二つの弓を逆向きに動かすように命じた。
二本の張形が同じ向きに抽挿され、肉壁が擂り潰されるような感覚が千代を襲った。
「あ……や……」
やめてと言いかけて、千代は言葉を呑んだ。言えば、おまえは筋彫お蝶であろうと問われ、押込の罪を認めろと迫られる。いちいち打ち消すよりも、この程度であるなら、黙って甚振られているほうが、まだしもだった。
さらに二十往復ほど様子を見て。郷門は弓を止めさせた。
「前も後ろも相当にこなれておるのに、まるきり感じておらんな」
郷門が首を傾げた。
千代は耳年増であってみれば、その意味は分かる。と同時に、当たり前だと悔しくもある。十日以上に亘って、多いときはひと晩に十回以上も犯されている。未通女の固さが残っているはずもない。そのすべてが蹂躙だったのだから、媾合いを心地好いものと思う筈もない。
「では、生娘殺しに掛けてみるか」
郷門が懐から小筆を二本、取り出した。過日、筧三郎を馴致した小道具だった。
「落とすのが目論見ではないから、こちらは不要か」
郷門が、乳首に目を落としてつぶやいた。
「さりながら、まるで紅を引いたように、鮮やかというはあまりに毒々しい。このような所に朱墨を入れるとは、ふうむ……」
「入れられたのです。肉襦袢に描いた色と同じにするとかで……」
「淫豆を蝶の頭に見立てるとは、また思い切ったものよ。これも肉襦袢に描いてあったと申すのか」
「…………」
このお役人も、私の言い分をまともに取り合ってくださらない。千代は悔しさの中に押し黙った。
「ふん。黙(だんま)りか。泣かぬなら、泣かしてしまえ女淫(ほと)と淫豆(まめ)」
うそぶいて。郷門が二本の小筆を動かし始めた。乳首へは向かわず、張形で引き裂かれんばかりに広げられている二つの穴の縁を、筆先のほとんど一点でくすぐる。
張形で引き伸ばされた柔肉に、蟻が張っているような感触が生じて、千代は惑乱した。
「あ……くうう……いやあああ」
生まれて初めて感じる、奇妙な感触だった。くすぐったくて、おのずと腰をくねらせてしまう。すると、宙に固定されている張形が内側から肉穴を抉る。痛みは生じるが、くすぐったさと併さって。快不快で区切るなら、快感が強い。
さわさわさわ……さわさわさわ。
「きひいいい……やめ……やめてください」
しかし言葉とは裏腹に。腰の蠢きは筆から逃れるというよりも、筆を求めて押し付けているようにも見えた。
二本の筆は女穴と尻穴の周囲を緩やかにくすぐるかと思えば、二本の張形で押し縮められた会淫を強く責める。
「あああ……いやあああ」
千代の訴える声が、さらに甘く蕩けてゆく。
尻穴をくすぐっていた筆が前へ動いて、二本の筆が左右の鼠蹊部をくすぐり、大陰唇へ移り、張形の鋲で掻き出されている小淫唇へと移って。しかし、小淫唇が合わさっている所にはっきりと膨れている実核だけは避けていた。
「あああんん……いやあ……何、これ」
うわごとのように呟きながら千代は、これが草子で読んだ善がるということだと、なんとなくは理解していた。思い描いていたよりも、ずっと強烈な快感だった。しかし千代の理解は、まだ真実に到達していない。
頃は良しと見て取った郷門が、左手の筆を捨てて淫核を摘まんだ。すでに顔を覗かせている実核を皮で包むように扱くと。
「ひゃああっ……あんんんん」
甲高い悲鳴と、嫋々と続く鼻声。
千代は、その一点が大きく爆ぜるのを感じた。爆ぜた衝撃が腰を突き抜け背骨を翔け上がって、脳天を痺れさせた。
二度三度と千代に悲鳴を上げさせてから。郷門は包皮を剥き下げて、露わになった実核を右手の筆先でつついた。
「うわあああっ……ああああああ」
いそうの嬌声が、千代の口から迸る。張形に縫い付けられているはずの腰が、二寸ほども跳ねて。穴から突き出ていた根元までも呑み込んで。腰が落ちるときには張形の端で穴縁を抉られて、さらに悲鳴が重なった。
「倍の速さで弓の端から端までを引き切れ。そおれ」
郷門の合図で、弓が激しく動き出す。張形が互いに逆方向へ回りながら、二穴を掻き回す。
郷門は弓の動きを邪魔しないように幾分のけぞった姿勢になって、筆を動かし続ける。淫豆がじゅうぶんに膨らんで、手を放しても包皮に潜り込まないと見定めると、左手にも筆を持つ。右手の筆で淫豆をくすぐりながら、左手の筆は女穴を責める張形に沿えて、外から淫唇を強くくすぐった。
「わ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、あ゙あ゙あ゙あ゙っ……」
千代の悲鳴が凄絶味を帯びてくる。いつ息を継いでいるのかというほどに、悲鳴は絶え間ない。さながら千代は、三人掛りで弾かれている巨大な胡弓だった。まさに今。千代は女でしか味わえない絶頂へ向かって押し上げられようとしている。
郷門は責めの手を緩めることなく、千代を追い上げてゆく。
千代は、おのれの身体が濃密な桃色の雲と化して、四方八方へ飛び散ってゆく心地に陥っていた。それは、一言で表わすなら桃源郷だった。
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙、い゙や゙っ……い゙や゙あ゙あ゙あ゙」
何もかもが無に帰すような感覚に恐怖して、しかしそれは喜悦そのものでもあり。絶叫とともに、千代の意識は薄れていった。
千代が失神すると、郷門はすぐに責めを取り焉めた。寸止めを繰り返して、色責で千代に自白させるのが目的ではない。苦痛が法悦境へ転じるのなら、初手から快楽で追い込めばどうなるか。それを見極めるための色責なのだった。
そして郷門は。千代の荒唐無稽な申し立てが、あるいは真実かもしれないと疑い始めはているのだが。無実を明かす証拠も無い。
なによりも。筋彫お蝶については濡衣であったとしても、千代にまったく罪が無いわけでもないと、郷門は考えていた。貫目屋の苛斂誅求に哭いた者は両手両足の指では足りない。店を奪われた者、女房も娘も売らされた者、一家そろって首を吊った者もいる。袖の下を使わなかったら、とっくに島送り山送り、下手人にもなっていただろう。となれば、貫目屋の女房も娘の千代も連座している。千代に連座して貫目屋が断罪されるのは、因果が入れ替わっているが、結果としては同じことだ。
どうせ死ぬ身であるのなら。生きているうちにせいぜい役に立ててやる。どのようなときに苦痛が法悦境にすり替わるのか、その機序(しくみ)が分かれば。そのような責め方を避けることで拷問の実が上がる。
切支丹については、信心がそうさせるのではないかと、郷門は考えていた。戦国の昔に、一向一揆の例がある。宗門のために死ねば極楽へ行けると信じて、女子供までが着の身着のまま鎌や鍬を手に鎧具足に身を固めた大軍勢に突っ込んでいった。
一向衆なら念仏、切支丹ならおらしょ。大声で繰り返し唱和するうちに、法悦境に達するともいう。
しかし、千代にはあてはまらない。父母への孝心がそうさせるのなら、連座が適用される罪科ではかなりの者が頑強に抵抗する筈である。実際には、出来心の付け火や盗みで捕まった者で、敲問すらに耐え抜く者は稀有の例にとどまっている。敲問、石抱で始末がつかないのは、筋金入りの悪党だけだった。
千代は吟味法度を越えた敲問に耐え、石抱では乳房まで潰され、ついに拷問に掛けられて、なお海老責でも自白に至らなかった。この上は吊責でも法悦境に達するものか、見極めたいというのが、郷門の本心だった。
千代は縄を解かれ、一刻ほども吟味部屋の片隅に放置されて。意識を取り戻してから牢へ戻された。戸板に載せられることなく、初めて自分の足で吟味部屋を出たのだった。牢から全裸で引き出されたのであってみれば、牢へ戻されるときも全裸なのは、当然だった。
========================================
海老責に続けて座禅転がしてえのは、手垢がついてますので、新しい絡繰なぞやらかしてみました。
文章で説明しきらないといけないのですが、まあ、簡単に図解など。
これで前後2穴をグリグリグリグリ
2本の弦を同方向に動かすか、互い違いにするかでも効果が違ってきます。

Progress Report 2:濡墨を着せられた娘
A意C筆中です。現在は『回舞台 新妓夢幻責』230枚突破。
ですが、今回は【第二幕第二場之二、石抱問】を御紹介。
ちなみに、小伝馬町の牢では、【牢問】として「敲き」と「石抱き」があり、尚も囚人が白状しない場合は老中の裁可を得て【拷問】即ち「海老責め」と「吊り責め」に掛けていたそうです。これ以外の責めは禁止。ただし火盗改は制外にあったとか。いちおう、あちこちのサイトを調べてはいますが、信憑性は85%くらいですかね。
各国(藩)の状況は、ほとんど検索に引っかかりません。まあ、御公儀に右へ倣えだったか、と。

====================
石抱問
その日は深夜まで昏々と眠り続けた千代だったが、十九歳の若さと、ひと月半に亘る寮での静養が健康を取り戻させていてくれたことと相俟って、翌朝には自力で起き上がり食事を摂れるまでに恢復していた。
一度の牢問でここまで痛めつけることは稀だし、少なくとも次の牢問までは中二日を空けるのが通例だが。千代に限っては吟味法度も慣例も無いに等しかった。気力体力が消耗しているときに責めれば、命の危険はあるにしても効き目が著しいのも道理ではある。
巳の刻を告げる牢内の拍子木が鳴り已まぬうちに、千代は牢から引きずり出された。せめて腰巻を着けさせてくださいとの嘆願も虚しく、傷だらけの裸身に縄を打たれて吟味部屋へ追い込まれた。
千代が引き据えられたのは、吟味部屋の中ほどに並ぶ二本の柱の前だった。柱というよりは、天井まで届く杭。屋根の重みを支えてはおらず、もっぱら牢問に掛ける科人を縛り付けるのに使う。名付けて仕置柱という。
その仕置柱の前の床には分厚い簀子(すのこ)のようなものが置かれている。低い枕木の上に幅三寸五分、高さ二寸の三角木材が五分の隙間を空けて五本並べられたそれは、十露盤と呼ばれる責め具だった。その上に脚を開いて座らされ、後ろの仕置柱を背中で抱く形に縛り付けられた。
「く……」
千代自身の重みで、三角木材の稜線が脛に食い込む。木材は鉋でわずかに丸みを付けられているので、切り裂かれるような痛みではなく鋭い鈍痛といったところ。それでも、小半刻とは座り続けていられないだろう。
十露盤の横には、長さ三尺、幅一尺、厚さ三寸の石板が積まれている。それを三枚まとめて、ふたりの下人が持ち上げた。
「この伊豆石は一枚で十二貫の重さじゃ。およそ、おまえの重みと同じくらいかな」
三枚で三十六貫。実に千代の目方の三倍。それが一気に、膝の上に載せられた。
「かはっ……」
あまりの激痛に、千代は息を詰まらせた。みしみしと、脛の骨が軋む。
石が崩れないように下人が両側で支えているが、それも下からではなく横から押さえているだけ。八戸が千代の正面に立って、片足を石の上に乗せた。
「きひいい……」
「石抱の味は、どうじゃ。素直に吐かねば、脛が砕けるぞ」
さすがに体重を乗せ掛けまではしないが、ぐりぐりと躙る。
「いぎゃああっ……赦して……お慈悲を」
おのれが筋彫お蝶だと認めるまでは責め続けられると分かっていても、訴えずにはいられなかった。
「御上にも慈悲はある」
意外にも、千代の膝から石板が降ろされた。
「もう一度、石を抱かせてやろうか」
「……お赦しください」
叶わぬ願いと知りながら、哀願する千代。
「ならば、認めるのじゃな、筋彫お蝶。如月十日に小野屋に仲間三人と共に押し込んで三十両余りを奪ったのを皮切りに、今月八日までのひと月になんと四件もの押込を働いたこと、相違無いな」
「違います」
その言葉がどういう結果を招くか承知のうえ。千代は血を吐く思いで、きっぱりと否定した。
八戸は後ろに下がって、短く下人に命じた。
「まず、一枚」
ずしっと、膝に石板が一枚だけ乗せられた。
「く……」
三枚と比べれば、何ほどのこともない。千代は、むしろ安堵する思いで重みに耐えた。
石板に縄が巻かれて、手を放してもずり落ちないように、後ろの杭に結びつけられた。下人が部屋の隅へ引っ込み、八戸は十露盤の脇に積み上げられている石板に腰を落とした。
「おや、まだ若い娘ではないですか」
三十幾つ、八戸と同年配くらいの同心が、二十歳をそれほどは過ぎていまいと思われる男を引っ立てて、吟味部屋へ入ってきた。
「番茶の出花をちょっと過ぎてはいますがね。こやつが巷で評判の筋彫お蝶です。赤金様のお手柄です」
「違います。濡衣です」
八戸が、積石に腰掛けたまま退屈そうに下知する。
「さっきの今で
ですが、今回は【第二幕第二場之二、石抱問】を御紹介。
ちなみに、小伝馬町の牢では、【牢問】として「敲き」と「石抱き」があり、尚も囚人が白状しない場合は老中の裁可を得て【拷問】即ち「海老責め」と「吊り責め」に掛けていたそうです。これ以外の責めは禁止。ただし火盗改は制外にあったとか。いちおう、あちこちのサイトを調べてはいますが、信憑性は85%くらいですかね。
各国(藩)の状況は、ほとんど検索に引っかかりません。まあ、御公儀に右へ倣えだったか、と。

====================
石抱問
その日は深夜まで昏々と眠り続けた千代だったが、十九歳の若さと、ひと月半に亘る寮での静養が健康を取り戻させていてくれたことと相俟って、翌朝には自力で起き上がり食事を摂れるまでに恢復していた。
一度の牢問でここまで痛めつけることは稀だし、少なくとも次の牢問までは中二日を空けるのが通例だが。千代に限っては吟味法度も慣例も無いに等しかった。気力体力が消耗しているときに責めれば、命の危険はあるにしても効き目が著しいのも道理ではある。
巳の刻を告げる牢内の拍子木が鳴り已まぬうちに、千代は牢から引きずり出された。せめて腰巻を着けさせてくださいとの嘆願も虚しく、傷だらけの裸身に縄を打たれて吟味部屋へ追い込まれた。
千代が引き据えられたのは、吟味部屋の中ほどに並ぶ二本の柱の前だった。柱というよりは、天井まで届く杭。屋根の重みを支えてはおらず、もっぱら牢問に掛ける科人を縛り付けるのに使う。名付けて仕置柱という。
その仕置柱の前の床には分厚い簀子(すのこ)のようなものが置かれている。低い枕木の上に幅三寸五分、高さ二寸の三角木材が五分の隙間を空けて五本並べられたそれは、十露盤と呼ばれる責め具だった。その上に脚を開いて座らされ、後ろの仕置柱を背中で抱く形に縛り付けられた。
「く……」
千代自身の重みで、三角木材の稜線が脛に食い込む。木材は鉋でわずかに丸みを付けられているので、切り裂かれるような痛みではなく鋭い鈍痛といったところ。それでも、小半刻とは座り続けていられないだろう。
十露盤の横には、長さ三尺、幅一尺、厚さ三寸の石板が積まれている。それを三枚まとめて、ふたりの下人が持ち上げた。
「この伊豆石は一枚で十二貫の重さじゃ。およそ、おまえの重みと同じくらいかな」
三枚で三十六貫。実に千代の目方の三倍。それが一気に、膝の上に載せられた。
「かはっ……」
あまりの激痛に、千代は息を詰まらせた。みしみしと、脛の骨が軋む。
石が崩れないように下人が両側で支えているが、それも下からではなく横から押さえているだけ。八戸が千代の正面に立って、片足を石の上に乗せた。
「きひいい……」
「石抱の味は、どうじゃ。素直に吐かねば、脛が砕けるぞ」
さすがに体重を乗せ掛けまではしないが、ぐりぐりと躙る。
「いぎゃああっ……赦して……お慈悲を」
おのれが筋彫お蝶だと認めるまでは責め続けられると分かっていても、訴えずにはいられなかった。
「御上にも慈悲はある」
意外にも、千代の膝から石板が降ろされた。
「もう一度、石を抱かせてやろうか」
「……お赦しください」
叶わぬ願いと知りながら、哀願する千代。
「ならば、認めるのじゃな、筋彫お蝶。如月十日に小野屋に仲間三人と共に押し込んで三十両余りを奪ったのを皮切りに、今月八日までのひと月になんと四件もの押込を働いたこと、相違無いな」
「違います」
その言葉がどういう結果を招くか承知のうえ。千代は血を吐く思いで、きっぱりと否定した。
八戸は後ろに下がって、短く下人に命じた。
「まず、一枚」
ずしっと、膝に石板が一枚だけ乗せられた。
「く……」
三枚と比べれば、何ほどのこともない。千代は、むしろ安堵する思いで重みに耐えた。
石板に縄が巻かれて、手を放してもずり落ちないように、後ろの杭に結びつけられた。下人が部屋の隅へ引っ込み、八戸は十露盤の脇に積み上げられている石板に腰を落とした。
「おや、まだ若い娘ではないですか」
三十幾つ、八戸と同年配くらいの同心が、二十歳をそれほどは過ぎていまいと思われる男を引っ立てて、吟味部屋へ入ってきた。
「番茶の出花をちょっと過ぎてはいますがね。こやつが巷で評判の筋彫お蝶です。赤金様のお手柄です」
「違います。濡衣です」
八戸が、積石に腰掛けたまま退屈そうに下知する。
「さっきの今で