皇帝宣言
毎日「かいて」いられたら幸せなのですが。
校訂という工程が必要なのです。
しかもこんなことをしているし →
ちょいと展開に行き詰って回天が必要にもなりましたので、『集団羞辱』はアボーンします。
で何をするかというとタイトルの通りです。
これは裸の皇帝ではなくて、裸の女王様ですね。
とりあえず『未通海女哭虐』約500枚を校訂して印字します。
昨日は『非国民の烙淫』を印刷中、紙詰まりを起こして、復旧にヒイヒイでした。
早めにアレもコレも印刷して、プリンター不調なら有料サービス頼むか最悪買い替え。電子出版数か月分が吹っ飛びます。
今後の予定としては。
『Family SM Triangle』三部作(原稿用紙770枚/A4で200枚!)
『非情と淫虐の上意』四部作(1100枚/A4で280枚!!)
『僕の痛セクスアリス』(わずかに390枚/A4で100枚弱)
あたりは、やっつけましょう。
余力があれば(プリンターが壊れなければ)
『SMツアー』から『女囚性務所』『ドンキーガール』『プライベート・リョナファイト』あたりを詰め合わせましょうか。
とにかく。宅配便は駄目で「郵送に限ります」という応募規定ですので、勇壮に小包でドカーンとブチ込みます。
個々の作品は微妙でも、「これだけ書けるのなら、後が続くだろうね」とか。
ちょいと昔の「受賞記念号」でインタビュー記事とか読み返してたら、受賞したときは4本(各々はささやかに100枚程度)ブチ込んで1次に2本残って、4→2→1! でした。
さて。今度は烏賊が鮎魚女ますか??
校訂という工程が必要なのです。
しかもこんなことをしているし →
ちょいと展開に行き詰って回天が必要にもなりましたので、『集団羞辱』はアボーンします。
で何をするかというとタイトルの通りです。
これは裸の皇帝ではなくて、裸の女王様ですね。

昨日は『非国民の烙淫』を印刷中、紙詰まりを起こして、復旧にヒイヒイでした。
早めにアレもコレも印刷して、プリンター不調なら有料サービス頼むか最悪買い替え。電子出版数か月分が吹っ飛びます。
今後の予定としては。
『Family SM Triangle』三部作(原稿用紙770枚/A4で200枚!)
『非情と淫虐の上意』四部作(1100枚/A4で280枚!!)
『僕の痛セクスアリス』(わずかに390枚/A4で100枚弱)
あたりは、やっつけましょう。
余力があれば(プリンターが壊れなければ)
『SMツアー』から『女囚性務所』『ドンキーガール』『プライベート・リョナファイト』あたりを詰め合わせましょうか。
とにかく。宅配便は駄目で「郵送に限ります」という応募規定ですので、勇壮に小包でドカーンとブチ込みます。
個々の作品は微妙でも、「これだけ書けるのなら、後が続くだろうね」とか。
ちょいと昔の「受賞記念号」でインタビュー記事とか読み返してたら、受賞したときは4本(各々はささやかに100枚程度)ブチ込んで1次に2本残って、4→2→1! でした。
さて。今度は烏賊が鮎魚女ますか??
Progress Report 2:昭和集団羞辱/ストリップ嬢
しかし、まあ……とんでもないことを始めたものです。
元は裕福な家族が借金で都落ちして、親を援けるために昔習っていたバレエを活かしてストリップ嬢になる。
筆者のバレエの知識は、チュチュとアラベスクだけです。基礎知識が無いのでネット検索の付け焼刃もボロボロ欠けてしまいます。
でも、まあ……小さい頃に習ってただけだから専門用語は知らないとか、アドバイスする側も、
「ほら、両手を水平にしてヒラヒラさせるやつ」とか、しのぎ切ってみせましょうぞ。
現在は、Monkey Purposeであれこれの作品の校訂を進めています。
『未通海女哭虐』2回目完。あと1回。
『公女両辱』2回目に着手
『非国民の烙淫』A4版(40字×40行:右側綴代)に着手。
何度校訂しても、ポロポロラルフローレンです。

まずは(ヒロインの)初日。見学の様子から。
五十鈴が本名でっ華が芸名です。
いよいよストリップ嬢としての覚悟が定まってくると、地の分でも麗華と表記します。
========================================
ちょうど最初の演目が終わって、舞台には幕が下りていた。満席の客席は、当然だが男性ばかりだった。
「とりあえず、通しでステージを見学してみな。それから麗華ちゃんの演出を練って、練習して――舞台に立つのは明後日からだな」
不意に急テンポのジャズ(と、五十鈴は思った)が劇場いっぱいに流れ始めた。幕が左右に開いて。舞台の中央にリリー塚本が立っていた。客席に横向き。両脚を大きく前後に開いて膝を曲げ、両手を腰に当てて顎を反らしている。
「うわ……」
思わず叫んで、自分で口を押えた。裏方の存在を観客に気づかれてはならないことくらい、バレエの発表会で学校の学芸会でも、教わっている。
五十鈴が驚いたのは、リリーの舞台衣装だった。ブラウスの裾を胸元で蝶結びにして、そこから腰まで肌が見えている。そして、男物の海水パンツ(肌に密着しているので、ブルマの連想は働かなかった)みたいなものを穿いていた。足回りは膝下まで、踵の高い長靴。
その長靴が高々と蹴り上げられて――リリーが踊り始めた。五十鈴が(洋画を含めて)見たことのない激しい動きだった。足を左右に蹴り出したかと思えば、腰を前後左右に大きく振って、ついにはその場でくるりと回転する。一見して滅茶苦茶な動きだが、急テンポの曲にぴたりと合っているのが、五十鈴にはわかった。半裸にちかい若い女性が腰をくねらすエロチックさは、理解の外だった。
五分ほども踊ると、曲が替わった。やはり急テンポだが音量が抑えられている。リリーが踊りながら、ブラウスの裾をほどいた。ブラウスを脱いで、舞台の奥へ放った。ブラジャーは着けていなかった。ひとしきり踊ってから、今度はショートパンツを脱いだ。腰をくねらせながら落としていって、最後は足で蹴り飛ばした。残るは、絶対にズロースとは呼べない小さなパンティ一枚。
正視できなくて、五十鈴は目をそらして。ベニヤ板で作った背景の書割はアメリカの摩天楼だと、気づいた。本格的なバレエの舞台に比べると、ずいぶんと安っぽい。
踊りながら、ついにリリーは最後のパンティまで脱ぎ捨てた。全裸で、これまでと同じように大きく開脚したり腰を振ったり。
そのときになって。五十鈴は、あることに気づいた。
「笑ってる……?」
すくなくとも、羞ずかしそうな表情ではない。
「いいとこに気づいたな」
本郷が耳元でささやいた。
「厭だけど金のために仕方なく裸を見せてるなんて風情じゃあ、客だって面白くねえわな。まあ、芸術ですって取り澄ました顔をずっと続けるって演出も『有り』だけどな」
リリーの踊りが緩やかになった。舞台の袖から若い男が二人、ベンチを運んできて、舞台の凸型に出っ張っている部分に置いた。よく見ると、そこは円形になっていた、十センチほど高くなっていた。
踊り疲れたといった演技で、リリーがベンチに腰掛ける。音楽はスローテンポなものに切り替わっていた。
「ま……」
五十鈴が、また口を押えた。
リリーは両手を広げて背もたれに掛け、うんと浅く腰かけて……両脚を直角以上に開いたのだった。
客席の後ろのほうから何人もが舞台に近寄ってしゃがみ込んだ。円形の部分がゆっくりと回り始めた。舞台の回転につれて、男たちの頭もゆっくりと動く。
(あんな羞ずかしいこと……わたしに出来るだろうか?)
疑問は、しかし決意に替わる。
(やらなくちゃ。パパを助けてあげる……だけじゃなく、わたし自身のためにも)
実家の田畑を取られるにしても、五十鈴自身が身売りを余儀なくされるにしても、どちらにしても家庭は崩壊する。即日採用社の林課長が闇金融と交渉してくれたおかげで、月に一万円ずつ、七年間で借金は三分の一になる。それくらいは、実家でも生活を切り詰めればなんとかなる――はずだけど。本郷の話を聞いた限りでは、月に一万円は不可能のように思えてきた。
その不安は、目の前で展開された光景で半減した。
「リリーっ!」
「ダンスの女王」
掛け声とともに、円形舞台に向かって白い小さな物がいくつか放られた。
「あれが『おひねり』だ。たいがいは十円玉だが、豪儀に五十円てのもある。あれ全部で百円は固いな」
ほんとうは、まだ早い。舞台の終わりになって腰を抜かすなよと――本郷。
その前に、五十鈴は腰を抜かした。
音楽が止まると同時に円形舞台の回転も止まった。リリーがすっと立ち上がって。舞台の前ぎりぎりでしゃがみ込んだのだ。こちらを見ているから、詳細な仕種まで見て取れた。大きく開脚して、右手を後ろから股間に持っていって――淫裂に添えるとV字形に開いたのだった。当然に淫唇が左右にめくれて、照明室からでも、濃い鮭肉色の内側が覗き込めた。
顔をそむけたら、本郷に肩をつかまれた。
「麗華ちゃんも、同じことをしなくちゃならないんだよ。しっかりと見学しておきな」
ものの三十秒もすると、リリーが立ち上がった。しかし『御開帳』が終わったのではない。三歩ほど横へ動いて、またしゃがみ込む。目の前の客たちが大きく拍手して――身を乗り出して股間を覗き込む。
ひとりの客が舞台に上がった。
ふつうの芝居や舞踊の公演ではあり得ないことだった。しかも、その男は――茶色くくすんだ造花で作った花輪をリリーの首に掛けた。
リリーが、その男を抱き締めて――頬にキスをした。
「しけてやがる。一円札かよ」
すでに新券は発行されていないが、まだまだ流通している。紙幣で作った首飾りなのだった。
「あれで、せいぜいが百円か。まあ、十円札は座長だけだがな」
リリーが舞台の奥に下がって脱ぎ捨てた衣装を集めにかかると、さっきよりはずっと多くの『おひねり』が舞台に投げ込まれた。リリーがそれらを拾い集めてブラウスにくるんで、観客席に向かって投げキスを繰り返しながら裾へ引っ込んだ。
「な。出演料なんざ目じゃないだろ」
皆が皆、『おひねり』をもらえるものでもない。リリーの場合は、若さとエロチックなダンスで人気を集めている。遠くから汽車で駆けつけるファンまでいた。
「エロけりゃいいかというと、そうでもない」
下りた幕の裏では、アメリカっぽい書割が片付けられて、富士山と松の背景に替えられた。二人の男だけでは手が足りず、踊り子までが手伝っている。
五分ほどで幕が開いた。音楽の掛からないまま、下手から武士の扮装をした着流し姿の男がゆっくりと表われた。男が舞台の三分の一ほどを歩いたとき。
「みつけたぞ、市川電蔵!」
上手から女性の声。スポットライトの中に、振袖に袴を着けた一見して小姓のような人物が飛び込む。長髪を頭の上で結んで後ろに垂らしている。それで、小姓が女性の男装だと観客にもわかる。
「親の仇、覚悟!」
カッポーン! 小鼓の音とともに、邦楽にしては賑やかで急テンポな曲が鳴り始めた。
小姓が抜刀して男に斬りかかる。男も抜刀して迎え撃つ。二人の動きは速いが、そういう目で見ているせいか、まるで踊っているようだった。刀と刀が噛み合い、あるいは身体すれすれを掠める。
男の斬撃が――実際に斬ったのではなく仕掛けがあったのだろう、小姓の振袖を切り裂いた。乳房がこぼれ出た。
男が驚いた顔を作って、それからドンと歌舞伎の六法みたいな所作をした。相手を女と知って助平心が起きたという演出かなと、五十鈴にも見当がついた。
さらに数合チャンバラが続いて。小姓は動きの邪魔になるとばかりに、切り裂かれた小袖から順繰りに腕を抜いた。
上半身裸で斬り合って、袴まで切り落とされる。
「ええっ……?!」
五十鈴は、また口を押えた。袴の下は腰巻でもパンティでもなく、丁字帯だった。田舎では、生理のときに使っている子もいる。女としては裸よりも羞ずかしいのではないだろうかと思ってから――もしかすると、越中褌ではないかとも思った。チャンバラ映画では、主役の着物が乱れたときに白い垂れ布がちらっと見えて、女性ファンから黄色い歓声があがったりする。
紐を腰に巻いて布の端を押さえているだけだから、激しい動きで緩んでいき――ついには、前が落ちて白い尻尾みたいになった。
舞台の前端を左右に移動しながら斬り結ぶ男女。女性が大きく足を踏み出して斬りかかるたびに、客席から拍手が湧いた。
カッポーン。楽曲が途切れた。
それを合図に、女性が円形ステージに押し倒された。男が組み敷いて。スローテンポの方角が低く流れ始めた。
男が女性に馬乗りになったまま、あわただしく着物を脱いだ。男は肌色の六尺褌を締めている。その姿のままで――女性の片脚を高々と持ち上げた。円形ステージが回り始める。
男が腰を突き上げて、女性の股間に打ち当てた。それが性交を模した動きだと、五十鈴にも(なんとなく)わかった。すぐに女性を裏返して、今度はプロレス技みたいに両脚を背中へ折り曲げた。開脚の中心をたっぷりと客に見せつけてから、四つんばいにさせて背後からのしかかり、また腰を動かした。
やがて、男が立ち上がって。自分の着物と二人の刀を拾って袖に引っ込んだ。女性は身を起こして『御開帳』を始める。
「剣劇が中途半端だって、座長はいい顔をしないけど――賑やかしだな。とにかく、この商売。ただ裸を見せればいいってもんじゃない。それじゃ額縁ショーになっちまう」
「……?」
五十鈴がぽかんとしているのを見て、本郷が説明を足した。
額縁ショーというのは、戦後すぐに始まった、本邦最初のストリップショーである。大きな額縁の中で全裸の女性が名画のポーズを真似る。ただ、それだけ。それも最初は髪の毛や小道具で股間を隠して、わずか数秒間だけのショー。それでも大入り満員で劇場の前には長蛇の列ができたという。たちまち、全国で同じようなショーが雨後の筍さながら。競合が激しくなって、演出が工夫されるようになった。女性が衣服を脱いで風呂に浸かるという入浴ショーが現われたりするうちに、踊りながら服を脱いでいくというアメリカ渡来のストリップティーズが和風にアレンジされ、さらには『御開帳』とか『オープンショー』と呼ばれる観客サービスが定着していった。
「ほかにも花電車とかシロクロショーとかもあるが、こいつはさすがにコレ(と言って、本郷が指で作った丸印を額に当てた)も見逃しちゃあくれねえな」
その二つがどういうものかまでは、本郷も説明しなかった。
二人の剣劇と手籠め演技には、二つ三つの『おひねり』が飛んだだけだった。
そして。トリの舞台が始まった。
座長の演し物はストリップショーの定番、日本舞踊だった。
(うわあ……)
五十鈴は、これまでとは違った意味で驚いた。本格的な舞台を観たことはないが、友達の『おさらい会』には何度かつきっている。そのときに見た流派の師匠の踊りよりも、もっと所作に優雅さと切れ味が渾然一体となっていた。プロ(というものが日本舞踊にあるかどうかは知らないけれど)で通用すると思った。バレエにたとえるなら、大劇場でプリマドンナを張れるんじゃないだろうか。
舞台の最後が、驚きの打ち止めだった。十円札の首飾りこそ出現しなかったが、『おひねり』を拾い集めるのに手が足りず、花園美絵とリリー塚本までが手伝った。まさか一円玉ではないだろうから、控えめに百個と見積もっても五百円以上だ。全部十円玉なら千円――後で数えたら五十円硬貨や百円銀貨も幾つかあって、さらに五十鈴は驚きを重ねるのだが。
御礼の意味だろう。美蝶は上手から下手まで全裸で舞いながら、袖に姿を消した。
「とまあ、これが一日に四回だ。楽といえば楽、厳しいといえば厳しい商売だ。やれそうかな?」
「やります」
五十鈴は即答した。洋舞、剣劇、日舞。みんな凄い。そして、裸で笑顔を浮かべられるくらいに強い。自分のバレエなんて、学芸会もいいところ。裸になったら、とくに『御開帳』なんて、顔が引きつるに決まっている。でも、やらなければ――無一文になるのも厭だし、売り飛ばされるのはもっと厭だった。
「それじゃ、親父さんとこへ仁義を――つまり、この劇場の親分に挨拶をしとこう」
劇場主は、五十鈴がずいぶんと若いことに驚いたようだった。しかし、それについては何も言わなかった。劇場が契約したのは花園美蝶一座だから、なにか問題が起きたら座長が事に当たる。後で本郷から、そう聞かされた。
「頑張りなさいよ。事情はあるんだろうが、金で解決できる事情なら、ここはまっとうな稼ぎ場だからね」
どうとでも取れる言葉が劇場主から返ってきた。
========================================
元は裕福な家族が借金で都落ちして、親を援けるために昔習っていたバレエを活かしてストリップ嬢になる。
筆者のバレエの知識は、チュチュとアラベスクだけです。基礎知識が無いのでネット検索の付け焼刃もボロボロ欠けてしまいます。
でも、まあ……小さい頃に習ってただけだから専門用語は知らないとか、アドバイスする側も、
「ほら、両手を水平にしてヒラヒラさせるやつ」とか、しのぎ切ってみせましょうぞ。
現在は、Monkey Purposeであれこれの作品の校訂を進めています。
『未通海女哭虐』2回目完。あと1回。
『公女両辱』2回目に着手
『非国民の烙淫』A4版(40字×40行:右側綴代)に着手。
何度校訂しても、ポロポロラルフローレンです。

まずは(ヒロインの)初日。見学の様子から。
五十鈴が本名でっ華が芸名です。
いよいよストリップ嬢としての覚悟が定まってくると、地の分でも麗華と表記します。
========================================
ちょうど最初の演目が終わって、舞台には幕が下りていた。満席の客席は、当然だが男性ばかりだった。
「とりあえず、通しでステージを見学してみな。それから麗華ちゃんの演出を練って、練習して――舞台に立つのは明後日からだな」
不意に急テンポのジャズ(と、五十鈴は思った)が劇場いっぱいに流れ始めた。幕が左右に開いて。舞台の中央にリリー塚本が立っていた。客席に横向き。両脚を大きく前後に開いて膝を曲げ、両手を腰に当てて顎を反らしている。
「うわ……」
思わず叫んで、自分で口を押えた。裏方の存在を観客に気づかれてはならないことくらい、バレエの発表会で学校の学芸会でも、教わっている。
五十鈴が驚いたのは、リリーの舞台衣装だった。ブラウスの裾を胸元で蝶結びにして、そこから腰まで肌が見えている。そして、男物の海水パンツ(肌に密着しているので、ブルマの連想は働かなかった)みたいなものを穿いていた。足回りは膝下まで、踵の高い長靴。
その長靴が高々と蹴り上げられて――リリーが踊り始めた。五十鈴が(洋画を含めて)見たことのない激しい動きだった。足を左右に蹴り出したかと思えば、腰を前後左右に大きく振って、ついにはその場でくるりと回転する。一見して滅茶苦茶な動きだが、急テンポの曲にぴたりと合っているのが、五十鈴にはわかった。半裸にちかい若い女性が腰をくねらすエロチックさは、理解の外だった。
五分ほども踊ると、曲が替わった。やはり急テンポだが音量が抑えられている。リリーが踊りながら、ブラウスの裾をほどいた。ブラウスを脱いで、舞台の奥へ放った。ブラジャーは着けていなかった。ひとしきり踊ってから、今度はショートパンツを脱いだ。腰をくねらせながら落としていって、最後は足で蹴り飛ばした。残るは、絶対にズロースとは呼べない小さなパンティ一枚。
正視できなくて、五十鈴は目をそらして。ベニヤ板で作った背景の書割はアメリカの摩天楼だと、気づいた。本格的なバレエの舞台に比べると、ずいぶんと安っぽい。
踊りながら、ついにリリーは最後のパンティまで脱ぎ捨てた。全裸で、これまでと同じように大きく開脚したり腰を振ったり。
そのときになって。五十鈴は、あることに気づいた。
「笑ってる……?」
すくなくとも、羞ずかしそうな表情ではない。
「いいとこに気づいたな」
本郷が耳元でささやいた。
「厭だけど金のために仕方なく裸を見せてるなんて風情じゃあ、客だって面白くねえわな。まあ、芸術ですって取り澄ました顔をずっと続けるって演出も『有り』だけどな」
リリーの踊りが緩やかになった。舞台の袖から若い男が二人、ベンチを運んできて、舞台の凸型に出っ張っている部分に置いた。よく見ると、そこは円形になっていた、十センチほど高くなっていた。
踊り疲れたといった演技で、リリーがベンチに腰掛ける。音楽はスローテンポなものに切り替わっていた。
「ま……」
五十鈴が、また口を押えた。
リリーは両手を広げて背もたれに掛け、うんと浅く腰かけて……両脚を直角以上に開いたのだった。
客席の後ろのほうから何人もが舞台に近寄ってしゃがみ込んだ。円形の部分がゆっくりと回り始めた。舞台の回転につれて、男たちの頭もゆっくりと動く。
(あんな羞ずかしいこと……わたしに出来るだろうか?)
疑問は、しかし決意に替わる。
(やらなくちゃ。パパを助けてあげる……だけじゃなく、わたし自身のためにも)
実家の田畑を取られるにしても、五十鈴自身が身売りを余儀なくされるにしても、どちらにしても家庭は崩壊する。即日採用社の林課長が闇金融と交渉してくれたおかげで、月に一万円ずつ、七年間で借金は三分の一になる。それくらいは、実家でも生活を切り詰めればなんとかなる――はずだけど。本郷の話を聞いた限りでは、月に一万円は不可能のように思えてきた。
その不安は、目の前で展開された光景で半減した。
「リリーっ!」
「ダンスの女王」
掛け声とともに、円形舞台に向かって白い小さな物がいくつか放られた。
「あれが『おひねり』だ。たいがいは十円玉だが、豪儀に五十円てのもある。あれ全部で百円は固いな」
ほんとうは、まだ早い。舞台の終わりになって腰を抜かすなよと――本郷。
その前に、五十鈴は腰を抜かした。
音楽が止まると同時に円形舞台の回転も止まった。リリーがすっと立ち上がって。舞台の前ぎりぎりでしゃがみ込んだのだ。こちらを見ているから、詳細な仕種まで見て取れた。大きく開脚して、右手を後ろから股間に持っていって――淫裂に添えるとV字形に開いたのだった。当然に淫唇が左右にめくれて、照明室からでも、濃い鮭肉色の内側が覗き込めた。
顔をそむけたら、本郷に肩をつかまれた。
「麗華ちゃんも、同じことをしなくちゃならないんだよ。しっかりと見学しておきな」
ものの三十秒もすると、リリーが立ち上がった。しかし『御開帳』が終わったのではない。三歩ほど横へ動いて、またしゃがみ込む。目の前の客たちが大きく拍手して――身を乗り出して股間を覗き込む。
ひとりの客が舞台に上がった。
ふつうの芝居や舞踊の公演ではあり得ないことだった。しかも、その男は――茶色くくすんだ造花で作った花輪をリリーの首に掛けた。
リリーが、その男を抱き締めて――頬にキスをした。
「しけてやがる。一円札かよ」
すでに新券は発行されていないが、まだまだ流通している。紙幣で作った首飾りなのだった。
「あれで、せいぜいが百円か。まあ、十円札は座長だけだがな」
リリーが舞台の奥に下がって脱ぎ捨てた衣装を集めにかかると、さっきよりはずっと多くの『おひねり』が舞台に投げ込まれた。リリーがそれらを拾い集めてブラウスにくるんで、観客席に向かって投げキスを繰り返しながら裾へ引っ込んだ。
「な。出演料なんざ目じゃないだろ」
皆が皆、『おひねり』をもらえるものでもない。リリーの場合は、若さとエロチックなダンスで人気を集めている。遠くから汽車で駆けつけるファンまでいた。
「エロけりゃいいかというと、そうでもない」
下りた幕の裏では、アメリカっぽい書割が片付けられて、富士山と松の背景に替えられた。二人の男だけでは手が足りず、踊り子までが手伝っている。
五分ほどで幕が開いた。音楽の掛からないまま、下手から武士の扮装をした着流し姿の男がゆっくりと表われた。男が舞台の三分の一ほどを歩いたとき。
「みつけたぞ、市川電蔵!」
上手から女性の声。スポットライトの中に、振袖に袴を着けた一見して小姓のような人物が飛び込む。長髪を頭の上で結んで後ろに垂らしている。それで、小姓が女性の男装だと観客にもわかる。
「親の仇、覚悟!」
カッポーン! 小鼓の音とともに、邦楽にしては賑やかで急テンポな曲が鳴り始めた。
小姓が抜刀して男に斬りかかる。男も抜刀して迎え撃つ。二人の動きは速いが、そういう目で見ているせいか、まるで踊っているようだった。刀と刀が噛み合い、あるいは身体すれすれを掠める。
男の斬撃が――実際に斬ったのではなく仕掛けがあったのだろう、小姓の振袖を切り裂いた。乳房がこぼれ出た。
男が驚いた顔を作って、それからドンと歌舞伎の六法みたいな所作をした。相手を女と知って助平心が起きたという演出かなと、五十鈴にも見当がついた。
さらに数合チャンバラが続いて。小姓は動きの邪魔になるとばかりに、切り裂かれた小袖から順繰りに腕を抜いた。
上半身裸で斬り合って、袴まで切り落とされる。
「ええっ……?!」
五十鈴は、また口を押えた。袴の下は腰巻でもパンティでもなく、丁字帯だった。田舎では、生理のときに使っている子もいる。女としては裸よりも羞ずかしいのではないだろうかと思ってから――もしかすると、越中褌ではないかとも思った。チャンバラ映画では、主役の着物が乱れたときに白い垂れ布がちらっと見えて、女性ファンから黄色い歓声があがったりする。
紐を腰に巻いて布の端を押さえているだけだから、激しい動きで緩んでいき――ついには、前が落ちて白い尻尾みたいになった。
舞台の前端を左右に移動しながら斬り結ぶ男女。女性が大きく足を踏み出して斬りかかるたびに、客席から拍手が湧いた。
カッポーン。楽曲が途切れた。
それを合図に、女性が円形ステージに押し倒された。男が組み敷いて。スローテンポの方角が低く流れ始めた。
男が女性に馬乗りになったまま、あわただしく着物を脱いだ。男は肌色の六尺褌を締めている。その姿のままで――女性の片脚を高々と持ち上げた。円形ステージが回り始める。
男が腰を突き上げて、女性の股間に打ち当てた。それが性交を模した動きだと、五十鈴にも(なんとなく)わかった。すぐに女性を裏返して、今度はプロレス技みたいに両脚を背中へ折り曲げた。開脚の中心をたっぷりと客に見せつけてから、四つんばいにさせて背後からのしかかり、また腰を動かした。
やがて、男が立ち上がって。自分の着物と二人の刀を拾って袖に引っ込んだ。女性は身を起こして『御開帳』を始める。
「剣劇が中途半端だって、座長はいい顔をしないけど――賑やかしだな。とにかく、この商売。ただ裸を見せればいいってもんじゃない。それじゃ額縁ショーになっちまう」
「……?」
五十鈴がぽかんとしているのを見て、本郷が説明を足した。
額縁ショーというのは、戦後すぐに始まった、本邦最初のストリップショーである。大きな額縁の中で全裸の女性が名画のポーズを真似る。ただ、それだけ。それも最初は髪の毛や小道具で股間を隠して、わずか数秒間だけのショー。それでも大入り満員で劇場の前には長蛇の列ができたという。たちまち、全国で同じようなショーが雨後の筍さながら。競合が激しくなって、演出が工夫されるようになった。女性が衣服を脱いで風呂に浸かるという入浴ショーが現われたりするうちに、踊りながら服を脱いでいくというアメリカ渡来のストリップティーズが和風にアレンジされ、さらには『御開帳』とか『オープンショー』と呼ばれる観客サービスが定着していった。
「ほかにも花電車とかシロクロショーとかもあるが、こいつはさすがにコレ(と言って、本郷が指で作った丸印を額に当てた)も見逃しちゃあくれねえな」
その二つがどういうものかまでは、本郷も説明しなかった。
二人の剣劇と手籠め演技には、二つ三つの『おひねり』が飛んだだけだった。
そして。トリの舞台が始まった。
座長の演し物はストリップショーの定番、日本舞踊だった。
(うわあ……)
五十鈴は、これまでとは違った意味で驚いた。本格的な舞台を観たことはないが、友達の『おさらい会』には何度かつきっている。そのときに見た流派の師匠の踊りよりも、もっと所作に優雅さと切れ味が渾然一体となっていた。プロ(というものが日本舞踊にあるかどうかは知らないけれど)で通用すると思った。バレエにたとえるなら、大劇場でプリマドンナを張れるんじゃないだろうか。
舞台の最後が、驚きの打ち止めだった。十円札の首飾りこそ出現しなかったが、『おひねり』を拾い集めるのに手が足りず、花園美絵とリリー塚本までが手伝った。まさか一円玉ではないだろうから、控えめに百個と見積もっても五百円以上だ。全部十円玉なら千円――後で数えたら五十円硬貨や百円銀貨も幾つかあって、さらに五十鈴は驚きを重ねるのだが。
御礼の意味だろう。美蝶は上手から下手まで全裸で舞いながら、袖に姿を消した。
「とまあ、これが一日に四回だ。楽といえば楽、厳しいといえば厳しい商売だ。やれそうかな?」
「やります」
五十鈴は即答した。洋舞、剣劇、日舞。みんな凄い。そして、裸で笑顔を浮かべられるくらいに強い。自分のバレエなんて、学芸会もいいところ。裸になったら、とくに『御開帳』なんて、顔が引きつるに決まっている。でも、やらなければ――無一文になるのも厭だし、売り飛ばされるのはもっと厭だった。
「それじゃ、親父さんとこへ仁義を――つまり、この劇場の親分に挨拶をしとこう」
劇場主は、五十鈴がずいぶんと若いことに驚いたようだった。しかし、それについては何も言わなかった。劇場が契約したのは花園美蝶一座だから、なにか問題が起きたら座長が事に当たる。後で本郷から、そう聞かされた。
「頑張りなさいよ。事情はあるんだろうが、金で解決できる事情なら、ここはまっとうな稼ぎ場だからね」
どうとでも取れる言葉が劇場主から返ってきた。
========================================
Progress Report 1:昭和集団羞辱/ストリップ嬢
いよいよ、大河シリーズの膜開けです。
最近痛感しているのは、「書きたい書きたい」が先行して、ストーリイの肉付けとかほっぽってるなと。
やはり、書けば何がしかの副収入になって、駄目出しをしてくれる鬼編集者がいないというのは、文芸的堕落につながります。コンテスト狙い=自分で自分に駄目出しをする。というのが、すこしは有効ではないでしょうか。

========================================
1:花園一座
ストリップ小屋で仲間に引き合わされる。
『花園美蝶一座』
座長:花園美蝶(34)日本舞踊
花園美絵(32)日本舞踊
リリー塚本(27)西洋ダンス
白鳥麗華
マネージャー:本郷一雄(31)『菱口興行』組員。
共演者
右尾文子(31)亭主(市川電蔵)と組んだ剣劇
レイブの真似事
初日は見学。
(ストリップ15分+回転ステージ5分+御開帳5分=25分~30分)
今は人数が少ないのでストリップを工夫。
13-15 16-17 18-19 20-22
10日公演 5日休み/移動
月15~20日(60~80ステージ:1ステージ200円前後+チップ)で大卒初任給の3倍。交通費宿泊費すべて自腹。
手取は2/3。
木賃宿に泊まる。リリーと相部屋。マネージャーは劇場で。
何が踊れるかと聞かれて、キューピッドだけ
翌日
踊ってみせる。短すぎる。
チュチュ着て踊って、脱ぎながら踊って、ボディファンデーションだけで踊って、全裸で踊って。10分。
回転ステージで踊りの真似。最後は寝転がって。
2:アヒルの湖
到着2日後から
「処女バレリーナ白鳥麗華デビュー!」の看板。
全裸になれない。泣き伏す。観客は同情的。
逃げなかっただけ根性がある。
翌日
白鳥の湖もどき。ボディファンデになったところで、マネージャー。玩具の鉄砲と弓矢でボウガン。矢は新聞を丸めて(伸縮)。
倒れた麗華を引ん剝く。延々と回転ステージ。アナウンスで客を移動させる。おひねり多数。
迷惑を掛けたお詫びで分配。
3:初恋
つぎの巡業地。
がんばって一人でステージ。あまり受けない。御開帳がイヤイヤに見える。
マネージャーに共演を頼んで「甘ったれるな」。細かい指導。
8mm映写機とバレエのフィルム。ずいぶんと高いはず。
そこそこ受けるようになる。
恋愛感情に。告白して撥ねつけられる。
4:SM演技
つぎの巡業地。
そばかす外人嬢。いきなり全裸磔。ゲシュタポ扮装男の拷問劇。あまり受けない。座長不機嫌。芸じゃない。
マネージャー発案。外人嬢も麗華と同じくらいには踊れる。
デュエットから絡みの真似事。体格と年齢から外人嬢がタチ。大受け。
しばらく一座の準メンバーに。
5:開膜記念
外人嬢がヒモを切って座員になってる。
別の一座から座長を通して移籍の話。向こうは人手不足。
考えさせて。
マネージャーに夜這い。
最後の興行。
「バレリーナ白鳥麗華開膜記念!」
『立派なストリップ嬢』になる決意。
========================================
後半の展開は、変わるかもしれません。
100~150枚で、『ヌードモデル』と併せて1作品の予定です。
Progress Report Final:公女両辱
脱肛しました。初稿6万4千文字(194枚)。
不出来です。以下「後書」コピペ。
残虐に徹しようと志して書き始めましたが、どうにも凡作です。
ヒロインを前半と後半で入れ替えたのが、敗着でしょうか。
「二人の心理を並行して描写するのは難しい。まず人物の行動をあれこれメモして、効果的に配列してから書き始めるべし」とは師匠の教えですが。
本作品の場合、SとMの立場も入れ替わります。リディアーヌに引き付けて書いてしまうか、M側だけに焦点を当てて前半と後半で完全に視点を切り替えるか。
読者相手に小説作法を云々して、どうする?
ともかく、この作品は。乳枷にボルト捻じ込みのリョナを書きたかっただけなのです。
この作品は、いろんな意味で『賑やかし』でしょうか。通年特売価格に設定します。
ひと呼吸おいて。『昭和集団羞辱』にとりかかります。物語ごとのプロットを作る前に、同じ斡旋屋が六人くらいまとめて引率して都会へ連れ出して、そこから手分けして売り飛ばしていくという、大筋を作ります。
秘湯の遊女、トルコ嬢、お嬢様ストリッパー、緊縛モデル、チョンの間、ヤクザの親分の情婦。そんなラインナップですかね。

まあ……月イチペースで傑作ばかりかけてりゃ、熱帯雨林にゴチャゴチャ言わせず、商業出版の取次やらせてるとこです。
メモ公開:40 車椅子とか
・車椅子/ポンチョの下は全裸緊縛/ボールギャグにはマスク添え
こんなのですね。

少々不審でも、ポンチョをめくって確かめたりはしないでしょう。下手したら、人権侵害とか障害者差別とか、極上の燃料になります。ネット社会\(^o^)/です。左の絵文字は「ばんざい」一発変換で出ました。かしいなあ、そんなふうに調教した覚えはないんだげど。それはともかく。
非露出(?)させられてる女の子は、内心ヒヤヒヤドキドキでしょう。ついでにバイブとか低周波とか添えておけば、たとえ口をふさがれてても、身悶えとかしたらバレると思って、必死に耐える。
けど。手間暇かかるわりには、リアルにしても小説にしても、いまひとつ迫力がないような?
・乳首クリップも良し。足首に錘も尚良し。安全装置をどうするか。
何のことかは、こちらからご覧ください→
これは、そのうち使ってみたい責めです。「安全装置」は濠門長恭クンの小説では必要です。乳首が千切れてしまっては可哀想です。瞬間接着剤で貼り付ければ治るなんて記事を読んだ記憶もありますが……
・逆さ吊り
乳首の糸、クリ糸でブランコ。挿入バイブでも?
同工異曲。そんなに力を加えなくても、共振の原理でだんだん振れ幅を大きくできます。
Progress Report 3:公女両辱
あらあ。いっちゃいましたよ。106枚。昨日が60枚だったから、一気に43枚です。
ただ、まあ。弾着予定地点がフランスじゃないもんで、エロイムエッスエム描写が控えめで。前半のヒロインがオリゲルドで後半がアルディス(鶴亀鶴亀)なので、ひとりに深く感情移入しない(できないのは、作者の力量の限界)ので、ひたすらストーリイを語るパターンになっちまいました。
Report 2の本文抜粋から、途中のヒロインがコソ泥を働いて鞭打ちされるとことかは飛ばして
========================================
五日もすると、リディアーヌの傷は『使用に耐える』くらいにまでは治癒していた。そして、新たな恥辱が裸身を飾ることになった。いわば、鞭打ちと引き換えに取り返した母の形見である。エマの希望どおり、それらの品はリディアーヌに返されて、リディアーヌもエマも想像していなかった形で使われたのだった。
金の首飾りには小さな留め金が付け加えられて、乳房の上下に巻かれた。上下の鎖は腋の下と乳房の谷間で留め金でつながれて、乳房をささやかな球形にくびり出した。腕輪はいったん切れ目を入れてから手首に嵌められ、二度と外せないように鍛冶職人の手で閉じ合わされた。小さな耳飾りは耳たぶでなく乳首に留められた。ネジで耳たぶを挟むように作られた留め金には細い針が植えられて、乳首を突き刺した。そうして、小さなカメオの指輪は、うんと直径を縮められて、少女の淫核を飾った。包皮をを剥き上げておいての処置だった。カメオには穴が開けられ、実核の先端だけがそこから顔をのぞかせるという、手の込んだ、しかし淫美であり淫残な趣向だった。
腕輪のほかはいつでも取り外せるのが、せめてもの慰めだった。もっとも、ジャン・ジャックに使われるとき以外は常時身に着けているよう厳命されはしたのだが。
いったんは牢獄の鎖につながれたリディアーヌだったが、さらなる恥辱を自ら申し出ることで、再び自由を取り戻した。
「なにかの偶然で、あたしの裸を他人に見られないともかぎりません。じゅうぶん日に焼いて肌の色を濃くすれば、異教徒と思ってもらえるでしょう」
つまり、一日のうち何時間かは戸外で裸を曝すということだ。この願いは格別の疑惑を持たれなかった。コソ泥もまともに出来ぬ小娘ひとり、裏庭に放り出しておいても問題あるまい。そんなふうに考えられたのかもしれない。
リディアーヌの目論見は、ただ鎖から逃れるだけではなかった。幼いときに盗み見た使用人たちの『愛の儀式』。いざというとき、ラウルの助けも間に合わないときには、あの物置小屋に隠れるつもりだった。それが今もあるかどうかを確認しておきたかった。さらには――逢引をしていた男女のうち、男の顔には見覚えがなかった。もちろん暗がりの中での出来事ではあるし、少女の注意のほとんどは二人の下半身に向けられていたのだから、まるきり不確かではあるけれど。もしかしたら、外の人間だったのかもしれない。とすれば、あの小屋の奥に抜け道でもあるのかもしれない。憶測に憶測と希望を何段も積み重ねた推測には過ぎないけれど、もしもほんとうに抜け道があるなら、『計画』の助けになる。そこまでの深謀遠慮があったのだ。
もっとも。異教徒を装うという提案は、リディアーヌが思ってもいなかった恥辱をともなっていた。沐浴の習慣である。異教徒の沐浴とは、ただ身体を洗って綺麗にするというだけではない。ことに女は、首から下の体毛をすべて剃り落とす。腋毛や淫毛を生やした異教徒はいない。
さすがにリディアーヌは羞恥に肌を染めたが、異を唱えること無くロイクの指摘を受け容れた。いざ体毛を失ってみると、彼女の裸身を飾る小道具は、いかにも異教徒らしく見えもしたのだった。
リディアーヌの変貌に使用人たちは驚き呆れ、露骨に軽蔑の眼差しを向ける者も少なくなかった。しかしナウラは、投獄された最初から世話人のような役割を負わされて、それだけリディアーヌと接する機会が多かったから、彼女の破廉恥な振る舞いの奥に何かが隠されていることを薄々感づているようだった。そして執事のラウルは、リディアーヌのそばを通るときはひっそりと腰の短剣に手を当てて、替わらぬ忠誠を無言で語りかけてくるのだった。
リディアーヌをもっとも軽蔑していたのは、この屋敷で唯一の処女であるエマかもしれない。彼女にしてみれば、リディアーヌの何もかもが穢らわしくおぞましかったに違いない。父を誘惑しているという事実が、なによりも許しがたかったろう。
男が浮気をしたとき、女の嫉妬は浮気相手に向けられるのがふつうである。最初はジャン・ジャックが『義理の』娘を陵辱したことなど忘れ、危うく殺されかけて心ならずも服従したのかもしれないなどとは、考えもしなかった。
それだけなら、リディアーヌも我が身と彼女とを置き換えて、自業自得と思わないでもないが。
庶民の出ゆえにこすっからいのか、元々の性格がそうなのか。偽善的に振る舞うのが、どうしても許せなかった。
肌を焼くために裏庭に出るようになってからは、ふとしたはずみでエマと出会うこともあった。エマは、決して逃げなかった。
「こんな境遇に墜ちて、ほんとうに同情しますわ。その装身具を投げ捨てたのは、ごめんなさいね。もし、わたくしに出来ることがあったら、なんでも言ってちょうだい。願いを叶えてあげるとは約束できないけれど、できるだけのことはしてあげるわ」
それなら、わたくしの名前を返してよ。母子ともども屋敷から出て行ってよ。そう叫びそうになるのをこらえるのが精一杯で、卑屈な感謝の言葉も痛烈な皮肉も、リディアーヌの口から発せられることはなかった。
リディアーヌは、週に一度か二度は母の仇に抱かれて媚びを売り、不本意ながらも性の交わりによる愉悦を身体にすり込まれながら――春を過ごし夏を過ごしていったのだった。
そうして、千載一遇の、そして唯一のチャンスが訪れたのだった。
凱旋である。
大国間の争いは、さいわいにして味方が勝利を収め――国を挙げての凱旋式が執り行なわれる運びとなった。リディアーヌの秘密のホクロを知るコルベール伯爵の消息はなお不明だったが、それを確認している余裕は無い。
執事も腹心の二人も連れて際しともども王都へ旅立ったジャン・ジャックは、さすがにリディアーヌを鎖につないだが、それはなんの役にも立たなかった。今も味方をしてくれている使用人たちが、簡単にはずしてくれた。
しかし、リディアーヌは、なおも屋敷に留まった。
彼女が向かったのは、ジャン・ジャックの居室だった。もしも祖父の遺言状が処分されていなかったら、それを示すことで王室の書庫でも本気で写しを探してくれるだろう。しかし、それよりも――ジャン・ジャックが母を謀殺した証拠を、なんとしてでも発見したかった。
リディアーヌが不義の子で、それゆえに奴隷に墜とされたとした理解していない使用人たちに、複雑な事情を説明するのは、最初から諦めている。そもそも『証拠』がどんなものかも――おそらくは書き付けだろうが、リディアーヌ自身にもわかっていない。居室にある品々をひとつずつ、あれこれと推理しながら探すしかない。
机の引き出しを開け、中の品を子細に見分して、元あった通りに戻す。
「デジレをどこそこで殺せ。報酬はしかじか」そんな決定的な証拠でもつかめば話は別だが。
薄弱な『証拠』を持ってリディアーヌが逃亡したと知れば、『証拠』を否定する『証拠』えお捏造されないとも限らない。リディアーヌが身の証しを立て、謀殺の証拠を出して捜査を初めてもらうまでには、おそらく何か月もかかるだろう。絶対に感づかれてはならない。
だからこそ、リディアーヌは杜撰極まりないコソ泥を働いたのだった。わずかに品物の位置が変わっていたくらいでは、リディアーヌの仕業とは疑わないだろう。
もちろん、そんな楽観は脇に置いて、能う限り痕跡を残さないようにしながら、リディアは探索を進めて行った。
金庫か、最初から探索からはずしていた。公文書や証文や金貨は執事が管理していたから、そこに秘密の書類を隠すはずがない。もちろん、ちゃんとした金庫の持ち主が携帯金庫を持っているはずもなかった。もし見つけたら――それは、そのときに考える。
机の探索が終わったら、次は書棚だった。紙きれ一枚なら、どうにでも隠せる。さすがに一ページずつ調べていては埒が明かないので、逆さにしてバサバサッと振って、何も落ちなければ元に戻した。
そうして、ついにリディアーヌは『証拠』を発見したのだった。それは本の後ろに隠されていた、薄っぺらな帳面だった。『奴隷慈悲院寄付帳』。表紙に、そう書かれていた。それは、母が強盗に襲われたとき、手提げ金庫とともに奪われたはずの帳面だった。
「母様、これで仇が討てるわ!」
廊下で見守っていた使用人が腰を抜かしかけたほどの大声の歓喜だった。
しかし、すぐに疑念が押し寄せる。なぜ、こんな決定的な証拠を、あの男は後生大事に残していたのだろうか。なにか、とんでもない見落としを自分はしているのではないだろうか。
そもそも。ほんとうにこれが決定的な証拠になるのだろうか。たとえば、念のために造られてあった写本だと主張されたら……?
ふっとリディアーヌの頭に正しい答えが閃いた。
「右署名だわ!」
その叫びは、同時に二つの意味を持っていた。
右署名は筆跡がぶれない。署名している本人に確認してもらえば、写本か正本か判別できるはずだ。いくら筆跡を真似るとはいっても、十人を超える署名者のすべてを完璧に模倣できるはずがない。
もちろん。こちらが正本でデジレは写本を持ち歩いていた――言い抜けることはできなくもないけれど。母が訪問したのは格上のブロワ伯爵夫人だ。そんな失礼なことはしないに決まっている。
そしてリディアーヌは、この帳面が別の悪巧みの証拠にもなることに気づいていた。格下の者がおいそれと入手できない右署名。それをこんなに隠し持っているというのは、書類偽造の意図があったのではないか。
亡き妻の形見などとは言わせない。内輪の話であるだけに、執事や使用人たちの証言でも重きをなしてくる。
それでもリディアーヌは喜びに我を忘れることなく探索を最後まで続けたが、他にはめぼしい証拠は出てこなかった。つまり――書類偽造を目論んだがゆえに、配偶者謀殺、ひいては子爵家簒奪の重罪が明るみに引きずり出されることになったのだ。いや、正確にいえば、そうなろうとしている。
リディアーヌは使用人の協力を得て、念のために確保しておいた抜け道に頼らず、堂々と馬車で逃亡したのだった。
========================================
エロイムエッスエムの無い部分ばかりでごめんなさい。
関係のない画像ばかりでごめんなさい。

でも、現役のオカズです。
舞台が昭和10年代か20年代かで、妄想の中身(=ストーリイ)がまるで変って来る画像というのは、なかなかに貴重です。
ただ、まあ。弾着予定地点がフランスじゃないもんで、エロイムエッスエム描写が控えめで。前半のヒロインがオリゲルドで後半がアルディス(鶴亀鶴亀)なので、ひとりに深く感情移入しない(できないのは、作者の力量の限界)ので、ひたすらストーリイを語るパターンになっちまいました。
Report 2の本文抜粋から、途中のヒロインがコソ泥を働いて鞭打ちされるとことかは飛ばして
========================================
五日もすると、リディアーヌの傷は『使用に耐える』くらいにまでは治癒していた。そして、新たな恥辱が裸身を飾ることになった。いわば、鞭打ちと引き換えに取り返した母の形見である。エマの希望どおり、それらの品はリディアーヌに返されて、リディアーヌもエマも想像していなかった形で使われたのだった。
金の首飾りには小さな留め金が付け加えられて、乳房の上下に巻かれた。上下の鎖は腋の下と乳房の谷間で留め金でつながれて、乳房をささやかな球形にくびり出した。腕輪はいったん切れ目を入れてから手首に嵌められ、二度と外せないように鍛冶職人の手で閉じ合わされた。小さな耳飾りは耳たぶでなく乳首に留められた。ネジで耳たぶを挟むように作られた留め金には細い針が植えられて、乳首を突き刺した。そうして、小さなカメオの指輪は、うんと直径を縮められて、少女の淫核を飾った。包皮をを剥き上げておいての処置だった。カメオには穴が開けられ、実核の先端だけがそこから顔をのぞかせるという、手の込んだ、しかし淫美であり淫残な趣向だった。
腕輪のほかはいつでも取り外せるのが、せめてもの慰めだった。もっとも、ジャン・ジャックに使われるとき以外は常時身に着けているよう厳命されはしたのだが。
いったんは牢獄の鎖につながれたリディアーヌだったが、さらなる恥辱を自ら申し出ることで、再び自由を取り戻した。
「なにかの偶然で、あたしの裸を他人に見られないともかぎりません。じゅうぶん日に焼いて肌の色を濃くすれば、異教徒と思ってもらえるでしょう」
つまり、一日のうち何時間かは戸外で裸を曝すということだ。この願いは格別の疑惑を持たれなかった。コソ泥もまともに出来ぬ小娘ひとり、裏庭に放り出しておいても問題あるまい。そんなふうに考えられたのかもしれない。
リディアーヌの目論見は、ただ鎖から逃れるだけではなかった。幼いときに盗み見た使用人たちの『愛の儀式』。いざというとき、ラウルの助けも間に合わないときには、あの物置小屋に隠れるつもりだった。それが今もあるかどうかを確認しておきたかった。さらには――逢引をしていた男女のうち、男の顔には見覚えがなかった。もちろん暗がりの中での出来事ではあるし、少女の注意のほとんどは二人の下半身に向けられていたのだから、まるきり不確かではあるけれど。もしかしたら、外の人間だったのかもしれない。とすれば、あの小屋の奥に抜け道でもあるのかもしれない。憶測に憶測と希望を何段も積み重ねた推測には過ぎないけれど、もしもほんとうに抜け道があるなら、『計画』の助けになる。そこまでの深謀遠慮があったのだ。
もっとも。異教徒を装うという提案は、リディアーヌが思ってもいなかった恥辱をともなっていた。沐浴の習慣である。異教徒の沐浴とは、ただ身体を洗って綺麗にするというだけではない。ことに女は、首から下の体毛をすべて剃り落とす。腋毛や淫毛を生やした異教徒はいない。
さすがにリディアーヌは羞恥に肌を染めたが、異を唱えること無くロイクの指摘を受け容れた。いざ体毛を失ってみると、彼女の裸身を飾る小道具は、いかにも異教徒らしく見えもしたのだった。
リディアーヌの変貌に使用人たちは驚き呆れ、露骨に軽蔑の眼差しを向ける者も少なくなかった。しかしナウラは、投獄された最初から世話人のような役割を負わされて、それだけリディアーヌと接する機会が多かったから、彼女の破廉恥な振る舞いの奥に何かが隠されていることを薄々感づているようだった。そして執事のラウルは、リディアーヌのそばを通るときはひっそりと腰の短剣に手を当てて、替わらぬ忠誠を無言で語りかけてくるのだった。
リディアーヌをもっとも軽蔑していたのは、この屋敷で唯一の処女であるエマかもしれない。彼女にしてみれば、リディアーヌの何もかもが穢らわしくおぞましかったに違いない。父を誘惑しているという事実が、なによりも許しがたかったろう。
男が浮気をしたとき、女の嫉妬は浮気相手に向けられるのがふつうである。最初はジャン・ジャックが『義理の』娘を陵辱したことなど忘れ、危うく殺されかけて心ならずも服従したのかもしれないなどとは、考えもしなかった。
それだけなら、リディアーヌも我が身と彼女とを置き換えて、自業自得と思わないでもないが。
庶民の出ゆえにこすっからいのか、元々の性格がそうなのか。偽善的に振る舞うのが、どうしても許せなかった。
肌を焼くために裏庭に出るようになってからは、ふとしたはずみでエマと出会うこともあった。エマは、決して逃げなかった。
「こんな境遇に墜ちて、ほんとうに同情しますわ。その装身具を投げ捨てたのは、ごめんなさいね。もし、わたくしに出来ることがあったら、なんでも言ってちょうだい。願いを叶えてあげるとは約束できないけれど、できるだけのことはしてあげるわ」
それなら、わたくしの名前を返してよ。母子ともども屋敷から出て行ってよ。そう叫びそうになるのをこらえるのが精一杯で、卑屈な感謝の言葉も痛烈な皮肉も、リディアーヌの口から発せられることはなかった。
リディアーヌは、週に一度か二度は母の仇に抱かれて媚びを売り、不本意ながらも性の交わりによる愉悦を身体にすり込まれながら――春を過ごし夏を過ごしていったのだった。
そうして、千載一遇の、そして唯一のチャンスが訪れたのだった。
凱旋である。
大国間の争いは、さいわいにして味方が勝利を収め――国を挙げての凱旋式が執り行なわれる運びとなった。リディアーヌの秘密のホクロを知るコルベール伯爵の消息はなお不明だったが、それを確認している余裕は無い。
執事も腹心の二人も連れて際しともども王都へ旅立ったジャン・ジャックは、さすがにリディアーヌを鎖につないだが、それはなんの役にも立たなかった。今も味方をしてくれている使用人たちが、簡単にはずしてくれた。
しかし、リディアーヌは、なおも屋敷に留まった。
彼女が向かったのは、ジャン・ジャックの居室だった。もしも祖父の遺言状が処分されていなかったら、それを示すことで王室の書庫でも本気で写しを探してくれるだろう。しかし、それよりも――ジャン・ジャックが母を謀殺した証拠を、なんとしてでも発見したかった。
リディアーヌが不義の子で、それゆえに奴隷に墜とされたとした理解していない使用人たちに、複雑な事情を説明するのは、最初から諦めている。そもそも『証拠』がどんなものかも――おそらくは書き付けだろうが、リディアーヌ自身にもわかっていない。居室にある品々をひとつずつ、あれこれと推理しながら探すしかない。
机の引き出しを開け、中の品を子細に見分して、元あった通りに戻す。
「デジレをどこそこで殺せ。報酬はしかじか」そんな決定的な証拠でもつかめば話は別だが。
薄弱な『証拠』を持ってリディアーヌが逃亡したと知れば、『証拠』を否定する『証拠』えお捏造されないとも限らない。リディアーヌが身の証しを立て、謀殺の証拠を出して捜査を初めてもらうまでには、おそらく何か月もかかるだろう。絶対に感づかれてはならない。
だからこそ、リディアーヌは杜撰極まりないコソ泥を働いたのだった。わずかに品物の位置が変わっていたくらいでは、リディアーヌの仕業とは疑わないだろう。
もちろん、そんな楽観は脇に置いて、能う限り痕跡を残さないようにしながら、リディアは探索を進めて行った。
金庫か、最初から探索からはずしていた。公文書や証文や金貨は執事が管理していたから、そこに秘密の書類を隠すはずがない。もちろん、ちゃんとした金庫の持ち主が携帯金庫を持っているはずもなかった。もし見つけたら――それは、そのときに考える。
机の探索が終わったら、次は書棚だった。紙きれ一枚なら、どうにでも隠せる。さすがに一ページずつ調べていては埒が明かないので、逆さにしてバサバサッと振って、何も落ちなければ元に戻した。
そうして、ついにリディアーヌは『証拠』を発見したのだった。それは本の後ろに隠されていた、薄っぺらな帳面だった。『奴隷慈悲院寄付帳』。表紙に、そう書かれていた。それは、母が強盗に襲われたとき、手提げ金庫とともに奪われたはずの帳面だった。
「母様、これで仇が討てるわ!」
廊下で見守っていた使用人が腰を抜かしかけたほどの大声の歓喜だった。
しかし、すぐに疑念が押し寄せる。なぜ、こんな決定的な証拠を、あの男は後生大事に残していたのだろうか。なにか、とんでもない見落としを自分はしているのではないだろうか。
そもそも。ほんとうにこれが決定的な証拠になるのだろうか。たとえば、念のために造られてあった写本だと主張されたら……?
ふっとリディアーヌの頭に正しい答えが閃いた。
「右署名だわ!」
その叫びは、同時に二つの意味を持っていた。
右署名は筆跡がぶれない。署名している本人に確認してもらえば、写本か正本か判別できるはずだ。いくら筆跡を真似るとはいっても、十人を超える署名者のすべてを完璧に模倣できるはずがない。
もちろん。こちらが正本でデジレは写本を持ち歩いていた――言い抜けることはできなくもないけれど。母が訪問したのは格上のブロワ伯爵夫人だ。そんな失礼なことはしないに決まっている。
そしてリディアーヌは、この帳面が別の悪巧みの証拠にもなることに気づいていた。格下の者がおいそれと入手できない右署名。それをこんなに隠し持っているというのは、書類偽造の意図があったのではないか。
亡き妻の形見などとは言わせない。内輪の話であるだけに、執事や使用人たちの証言でも重きをなしてくる。
それでもリディアーヌは喜びに我を忘れることなく探索を最後まで続けたが、他にはめぼしい証拠は出てこなかった。つまり――書類偽造を目論んだがゆえに、配偶者謀殺、ひいては子爵家簒奪の重罪が明るみに引きずり出されることになったのだ。いや、正確にいえば、そうなろうとしている。
リディアーヌは使用人の協力を得て、念のために確保しておいた抜け道に頼らず、堂々と馬車で逃亡したのだった。
========================================
エロイムエッスエムの無い部分ばかりでごめんなさい。
関係のない画像ばかりでごめんなさい。

でも、現役のオカズです。
舞台が昭和10年代か20年代かで、妄想の中身(=ストーリイ)がまるで変って来る画像というのは、なかなかに貴重です。
Progress Report 2:公女両辱
ロケットスタートならず。正月三が日で60枚ほどしか進みませんでした。それで6章立てのうち2章まで書いたのですから、第1章はプロローグとしても、全部で200枚ちょっとでまとまりそうです。過去のSF短編なんかを校訂してて、文章が引き締まってきたのかしら?
まあ、第3章が『姦獄』で第5章が『拷虐』ですから、ここで延々と書き込むでしょうから、実際に何枚になるかはわかりません。
わからないといえば。第3章の冒頭。まるで予想していなかったシーンを挿入しちゃいました。この話、『グイン・サーガ』じゃねえっつうの。
========================================
3:奴隷妾の日々
まあ、第3章が『姦獄』で第5章が『拷虐』ですから、ここで延々と書き込むでしょうから、実際に何枚になるかはわかりません。
わからないといえば。第3章の冒頭。まるで予想していなかったシーンを挿入しちゃいました。この話、『グイン・サーガ』じゃねえっつうの。
========================================
3:奴隷妾の日々
「これ、ないしょ、さしいれ」
そう言って、木箱のベッドにナウラが置いた盆というにはあまりに粗末な木の板には、丸パンと薄いスープの横に干し肉と果物が並べられていた。
「ゴロツキ、みはりしない」
これまではリディアーヌに与える食事に目を光らせていた子爵腹心の二人が、気を緩めたということだろう。
「ありがとう。でも、無理はしないでね。見つかったら、あなたたちも罰を受けるでしょうから」
「むち、へいき」
ナウラがスカートをまくった。太腿には数条の赤く細い傷が刻まれていた。
「まあ……わたくしのせいなの。ごめんなさいね」
「ちがう。つまみぐい、しかられた。たべものへった、つまみぐい」
つまりは、リディアーヌへの差し入れをごまかすために、わざと見つかるようなつまみ食いをした。そういうことなのだろう。
リディアーヌはベッドから立ち上がって、裸身をナウラに向けて、その手を握った。
「ありがとう。ほんとうにありがとう」
「もったいない。おじょうさまにおつかえする、あたりまえ」
貴婦人が奴隷娘の手を取って感謝するなど、考えられないことだった。奴隷に慈悲深かった母でさえ、そんなことはしなかったとリディアーヌは記憶している。しかし、今の彼女は、そうすることにまったく抵抗を感じていなかった。
監禁されて六日目の夜。深更に再び執事が訪れた。
「脱出の手筈が整いました。今すぐお支度をしてください」
執事は相変わらず裸身から目をそむけながら、衣服をリディアーヌの脇に置いた。
「匿ってくださる先は見つかったのですか?」
「それは……」
執事が言いよどんだ。
「しかし、ここにいては、いつ殺されるかわかったものではありません。街の商人や農村の顔役など、何人か協力してくれる者がおります。頻繁に居場所を変えていれば、そう簡単には見つからぬでしょう」
リディアーヌは、失望の溜め息を吐いた。まったくの行き当たりばったりだ。各柄がを突き止められる恐れは減るかもしれないが(それも怪しいものだ)、移動中に見つかる危険が増える。
「わたくしは逃げません」
リディアーヌは決然と言い放った。
「お、お嬢様……?!」
執事がリディアーヌを振り返って、あわてて顔をそむける。
「いずれは逃げます。そのときには、助力してください。でも今は――しなければならないことがあるのです」
そこでリディアーヌは言葉を切って。執事の正面に回り込んだ。
「わたくしを見なさい。奴隷娘よりも恥ずかしい格好をさせられています。でも、魂まで辱められてはおりません。これから……わたくしは、聞くも穢らわしいような醜聞にまみれることでしょう。けれども、卑しい心根からそのような真似をしてのけるのではありません。わたくしは、リディアーヌ・ド・セギュールです。それだけは、ラウル、あなただけは信じてください」
執事は、ただリディアーヌの顔だけを見詰めている。けっして裸身に目は向けない。
息を詰めて令嬢の言葉を賜わっていた執事は、腰の短剣を抜いた。切っ先を胸にあてがって、柄をリディアーヌに向けた。
「我が主人はリディアーヌ様おひとりです。主人の決定に疑いを差しはさまず、如何なる御命令にも従います。もし、我の言葉にお疑いあれば、我が胸に短剣を突き立ててください」
それは――騎士から姫君に捧げる忠誠の儀礼ではなかった。恋愛感情の交じらぬ、君主に対する臣下の絶対の忠誠を意味していた。ラウルは令嬢の言葉に非常の決心を聞いたのだった。
リディアーヌは深い感動に包まれながら、正しい作法は知らなかったが、執事の手から短剣を受け取った。刃筋に――まるで恋人にするような深く長いキスをした。
「そなたの忠義、たしかに受けとりました」
頭(こうべ)を上げて執事に短剣を返すリディアーヌの裸身は、まさに姫君の気品をまとっていた。
そう言って、木箱のベッドにナウラが置いた盆というにはあまりに粗末な木の板には、丸パンと薄いスープの横に干し肉と果物が並べられていた。
「ゴロツキ、みはりしない」
これまではリディアーヌに与える食事に目を光らせていた子爵腹心の二人が、気を緩めたということだろう。
「ありがとう。でも、無理はしないでね。見つかったら、あなたたちも罰を受けるでしょうから」
「むち、へいき」
ナウラがスカートをまくった。太腿には数条の赤く細い傷が刻まれていた。
「まあ……わたくしのせいなの。ごめんなさいね」
「ちがう。つまみぐい、しかられた。たべものへった、つまみぐい」
つまりは、リディアーヌへの差し入れをごまかすために、わざと見つかるようなつまみ食いをした。そういうことなのだろう。
リディアーヌはベッドから立ち上がって、裸身をナウラに向けて、その手を握った。
「ありがとう。ほんとうにありがとう」
「もったいない。おじょうさまにおつかえする、あたりまえ」
貴婦人が奴隷娘の手を取って感謝するなど、考えられないことだった。奴隷に慈悲深かった母でさえ、そんなことはしなかったとリディアーヌは記憶している。しかし、今の彼女は、そうすることにまったく抵抗を感じていなかった。
監禁されて六日目の夜。深更に再び執事が訪れた。
「脱出の手筈が整いました。今すぐお支度をしてください」
執事は相変わらず裸身から目をそむけながら、衣服をリディアーヌの脇に置いた。
「匿ってくださる先は見つかったのですか?」
「それは……」
執事が言いよどんだ。
「しかし、ここにいては、いつ殺されるかわかったものではありません。街の商人や農村の顔役など、何人か協力してくれる者がおります。頻繁に居場所を変えていれば、そう簡単には見つからぬでしょう」
リディアーヌは、失望の溜め息を吐いた。まったくの行き当たりばったりだ。各柄がを突き止められる恐れは減るかもしれないが(それも怪しいものだ)、移動中に見つかる危険が増える。
「わたくしは逃げません」
リディアーヌは決然と言い放った。
「お、お嬢様……?!」
執事がリディアーヌを振り返って、あわてて顔をそむける。
「いずれは逃げます。そのときには、助力してください。でも今は――しなければならないことがあるのです」
そこでリディアーヌは言葉を切って。執事の正面に回り込んだ。
「わたくしを見なさい。奴隷娘よりも恥ずかしい格好をさせられています。でも、魂まで辱められてはおりません。これから……わたくしは、聞くも穢らわしいような醜聞にまみれることでしょう。けれども、卑しい心根からそのような真似をしてのけるのではありません。わたくしは、リディアーヌ・ド・セギュールです。それだけは、ラウル、あなただけは信じてください」
執事は、ただリディアーヌの顔だけを見詰めている。けっして裸身に目は向けない。
息を詰めて令嬢の言葉を賜わっていた執事は、腰の短剣を抜いた。切っ先を胸にあてがって、柄をリディアーヌに向けた。
「我が主人はリディアーヌ様おひとりです。主人の決定に疑いを差しはさまず、如何なる御命令にも従います。もし、我の言葉にお疑いあれば、我が胸に短剣を突き立ててください」
それは――騎士から姫君に捧げる忠誠の儀礼ではなかった。恋愛感情の交じらぬ、君主に対する臣下の絶対の忠誠を意味していた。ラウルは令嬢の言葉に非常の決心を聞いたのだった。
リディアーヌは深い感動に包まれながら、正しい作法は知らなかったが、執事の手から短剣を受け取った。刃筋に――まるで恋人にするような深く長いキスをした。
「そなたの忠義、たしかに受けとりました」
頭(こうべ)を上げて執事に短剣を返すリディアーヌの裸身は、まさに姫君の気品をまとっていた。
Progress Report 1:公女両辱
年明けとともにスタート。
『未通海女哭虐(後編)』の校訂と、終盤が駆け足だったので加筆も必要かなと。
さらに、売れないと分かっている健全SF小説のOCR取り込みが終わって校訂とか。
目標もショットガンなら、さあ業もショットガンです。
まあ。『公女両辱』は2月下旬までに仕上げればいいし。
『未通海女哭虐』にいたっては5月下旬でOK。
とはいえ、さらに2本くらいは5月末までに仕上げておかないと、年末から月刊再開のめどが立ちません。
元々は脱サラの初段というか野望というか無謀でSFを書き始めて。ワープロ導入で生産効率10倍になったので小遣い稼ぎにSMに手を出したりしたのですが。それが20年以上も続くと、もはやレーゾンデートルでありライフワークです。たとえ年間1NSソープの実入りしかなくても。
今回はPLOTの紹介です。数枚書いた感じでは、意外と短くありそうですが。PLOTでは拷問の種類が少ないけれど、次々と増やしたりすると(章タイトルを「拷虐の二週間」としていますが、これが三週間とか四週間とかになったりして)、大長編に化ける可能性もありますね。とにかく。1月5日までに100枚以上は墓を逝かせて破瓜を取りたいものですなんのこっちゃ。
========================================
公女両辱
姦獄に泣く不義の娘と拷虐に哭く不実の娘
背景
奴隷制度(近世フランスに黒人奴隷はいた)
異教徒:人間ではない→奴隷(インディオは人間ではないから虐殺された)
奴隷は人間ではない。首枷(ボルトが主流)
セギュール家
祖父 アンリ・シャルル
父 ジャン・ジャック
母 デジレ
娘 リディアーヌ→エスク(Esclave)
後妻 フラヴィエ→フランシーヌ
連れ子 エマ→リディアーヌ→セミェ(牝豚)
祖父の遺言
デジレの血を引く子に爵位を継承させる。男児無き場合は、娘に婿を迎えるべし。
国王の印可をもらった書状。(デジレ謀殺後に処分)。
1:幸せの終わり
セギュール家
昼食後。サロンでノアイユ男爵夫妻と歓談。
非公式のアットホームな会合なので、社交界デビュー前のリディアーヌも混じっている。
ノアイユ夫妻とは初対面。
戦争など話題。大国間の領土争い。同盟を結んでいるので応援。
女奴隷がお茶を運んでくる。
セギュール家の奴隷は首輪がお洒落。
高齢奴隷の保護施設の建設計画。かたわらに金庫。
奉加帳。ノワイユが署名。
「右署名か」
「ブロワ伯爵をはじめ、皆さま右署名です。私ごとき軽輩が左署名などできましょうか」
左署名:略式の文書などに使う。いざとなれば「あれは儂の署名ではない」
右署名:重要文書、目下から目上へ。
セギュール子爵家に、侯爵や伯爵の右署名文書は与えられない。[伏線]
侯爵家へのデジレ単独訪問。半日の行程。一泊して戻る予定。
保護施設にジャンは不賛成。勝手にさせている。
貴婦人の単独行が珍しいことは言及。病弱の夫の名代など。
護衛の兵はつけている。騎士はいない。
デジレ:お父様は冷淡。
強盗団に襲われて母が行方不明との急報。すぐに全裸暴行死体発見。
護衛兵は逃散。罪に問われる可能性大だから、当然。
葬儀。
2:姦獄の始まり
一週間後に、後妻と連れ子。
「妻のフランシーヌ、娘のリディアーヌだ」
「私と同じ名前?」
「おまえはエスク――奴隷娘ではないか」
結婚のとき、デジレの腹は膨れていた。
衝撃の事実。
使用人雑居の部屋とは別の小部屋。
パニクっているエスクを(全裸に引ん剝いて)暴姦。足に鎖をつないで監禁。
まだ出血しているエスクを裏庭に引き出して、鍛冶屋の手で、武骨な首輪。焼き嵌めボルト。
暴姦の日々。排泄はバケツだが、美麗か武骨かの違いだけ。
同情して逃がしてくれようとする使用人も。
このまま逃げても、下手をすると奴隷として連れ戻される。
逃げおおせても泣き寝入りは悔しい。
子供時代のリディアーヌを見知っている(そして有力者の)ヴァロワ伯爵は遠征中。
もっとも、現在のリディアをそれと見分けられるか?
首絞めプレイ。あわてふためくジャン。
フランシーヌ。頸動脈で確認。
「殺してしまえばよかったのに」
聞こえている。
なぜ?
すり替え/簒奪の意図に気づく。幼時に聞かされている。
まさか、母様を殺したのも……?
護衛が傭兵ばかりだった不自然さ。
幼時の想い出で、もうひとつ。使用人の密会。フェラ。
3:奴隷妾の日々
ジャンに応用。感激。
「殺さないでください。どのような破廉恥なことでもします」
アヌスとか鞭打ちとか乳首クリ抓りとか。あまり残忍ではない。
警戒が緩む。
日に当たりたい。肌が濃くなれば、ふつうの奴隷(中近東)に近づける。
腰鎖。樹につないでおく。
リディが目撃して驚く。
「罰を受けてるの?」
「奴隷ですから。あまり肌が白いと誤解を招くので」
「そう?」
「不義の子でも奴隷でも、私は人間だと思うわ」
「私にできることがあったら、言ってちょうだいね」
家の中を歩き回れるようになって。
リディの部屋を乱雑に漁って、母にもらったブレスレット。
すぐばれる。罰として腕輪を追加。
「そんなに腕輪がほしければ、これをくれてやる」
二度としません。監禁は免れる。
以後、隙をみては慎重に書斎を漁る。遺言状の探索。
奉加帳発見。強盗団に持ち去られたはず。なぜ、ここに?
傭兵の誓約書「任務遂行後は国外へ逃亡」日付が母惨殺の一週間前。
首都で凱旋式。一家で出席。
証拠の品を掻き集めて、使用人の手引きで脱出。
4:一気転落の時
半年後。最初はエスクの身を案じていた偽リディアも、忘れている。
庭におびただしい馬蹄の響きと馬のいななき。
踏み込んでくる兵と騎士。
「アンリ・シャルル子爵の娘デジレ謀殺、ならびに孫娘リディアーヌへの陵辱、文書偽造未遂の罪で投獄する」
檻車で首都へ。3人別々に投獄。
片腕を吊られて、座るのがやっと。溝への排泄。
貴婦人然とした本物リディアーヌの登場。
「エスク……いえ、リディアーヌ様?」助けに来てくれた?
「なぜ、囚人がこのように着飾っているのです。この者にふさわしい姿にしてやりなさい」
金髪が生意気。短く切る。ついでに下も(焼く)。
「おまえの両親は、すべてを白状したぞえ」
「おまえも、簒奪の陰謀に与していたのであろう」
「あの淫乱女の娘が処女のはずもなかろう」
拷問吏の肉棒で処女検査。
「もはや、処女ではありませぬ」血まみれの肉棒を晒して報告。
「手ぬるい」
同時3穴。
5:拷虐の二週間
「素直に白状すれば、拷問はせぬ。処刑の日まで楽に過ごさせてやろうぞ」
「父母の犯した罪に連座することは厭いません。でも、私は潔白です」
初日は鞭打ち。吊るして放置。たまに逆さづりにして鬱血を防ぐ。
翌日。まだ鞭傷が癒えていない。ので水責め。当時、泳ぐどころか入浴の習慣もなかった。
さらに二日おいて。両親が連れて来られる。二人とも口枷。その目の前で。
拷問椅子。2凸+針。
乳枷ボルト責め。
エマへの尋問。否定するたびに両親が呻いて首を縦に振ったり横に振ったり。
翌日。股間は軽傷なので後ろ手一本吊りで木馬。何度も落とす。
リディアーヌ、翌朝まで放置を命じて退出。
松明の熱い脂で永久脱毛。淫毛と腋毛。
6:断罪と贖罪と
裁判。両親は死刑。エマは名前を剥奪して奴隷。
リディアーヌが、即座に引取りを願い出る。エマの感謝。
全裸のまま教会。受洗記録抹消。異教徒の姿そのまま。破門。
鍛冶屋。鍛接された首輪、手枷、足枷、腰枷。胸に「Gentes:ラテン語で異教徒」の焼き印
その姿で、両親の処刑を目撃させられる。
裸身を晒すが、隣の貴婦人に遠慮して投石はまばら。すぐ制止される。
両親も娘の無惨な姿に狂乱。
馬車の後ろにつながれて、領地まで徒歩。爪を剥がすと、足に袋だけ巻かれる。
領民の蔑み切った目。
========================================
じつは、この拷問(ナットには、先を尖らせたボルトを捻じ込みます)を書きたいばっかりに丁稚揚げた小説です。
こういうのは西洋中世でないと雰囲気が出ません。
殺しても構わないというスタンスで拷問しますから、なかなかに悲惨なことになるかもしれません。でも、生き地獄エンドですから、後半のヒロインの両親は、あっさり首チョンパですが、この2人はMOB扱いですから。
そういうことですどういうことだ。
『未通海女哭虐(後編)』の校訂と、終盤が駆け足だったので加筆も必要かなと。
さらに、売れないと分かっている健全SF小説のOCR取り込みが終わって校訂とか。
目標もショットガンなら、さあ業もショットガンです。
まあ。『公女両辱』は2月下旬までに仕上げればいいし。
『未通海女哭虐』にいたっては5月下旬でOK。
とはいえ、さらに2本くらいは5月末までに仕上げておかないと、年末から月刊再開のめどが立ちません。
元々は脱サラの初段というか野望というか無謀でSFを書き始めて。ワープロ導入で生産効率10倍になったので小遣い稼ぎにSMに手を出したりしたのですが。それが20年以上も続くと、もはやレーゾンデートルでありライフワークです。たとえ年間1NSソープの実入りしかなくても。
今回はPLOTの紹介です。数枚書いた感じでは、意外と短くありそうですが。PLOTでは拷問の種類が少ないけれど、次々と増やしたりすると(章タイトルを「拷虐の二週間」としていますが、これが三週間とか四週間とかになったりして)、大長編に化ける可能性もありますね。とにかく。1月5日までに100枚以上は墓を逝かせて破瓜を取りたいものですなんのこっちゃ。
========================================
公女両辱
姦獄に泣く不義の娘と拷虐に哭く不実の娘
背景
奴隷制度(近世フランスに黒人奴隷はいた)
異教徒:人間ではない→奴隷(インディオは人間ではないから虐殺された)
奴隷は人間ではない。首枷(ボルトが主流)
セギュール家
祖父 アンリ・シャルル
父 ジャン・ジャック
母 デジレ
娘 リディアーヌ→エスク(Esclave)
後妻 フラヴィエ→フランシーヌ
連れ子 エマ→リディアーヌ→セミェ(牝豚)
祖父の遺言
デジレの血を引く子に爵位を継承させる。男児無き場合は、娘に婿を迎えるべし。
国王の印可をもらった書状。(デジレ謀殺後に処分)。
1:幸せの終わり
セギュール家
昼食後。サロンでノアイユ男爵夫妻と歓談。
非公式のアットホームな会合なので、社交界デビュー前のリディアーヌも混じっている。
ノアイユ夫妻とは初対面。
戦争など話題。大国間の領土争い。同盟を結んでいるので応援。
女奴隷がお茶を運んでくる。
セギュール家の奴隷は首輪がお洒落。
高齢奴隷の保護施設の建設計画。かたわらに金庫。
奉加帳。ノワイユが署名。
「右署名か」
「ブロワ伯爵をはじめ、皆さま右署名です。私ごとき軽輩が左署名などできましょうか」
左署名:略式の文書などに使う。いざとなれば「あれは儂の署名ではない」
右署名:重要文書、目下から目上へ。
セギュール子爵家に、侯爵や伯爵の右署名文書は与えられない。[伏線]
侯爵家へのデジレ単独訪問。半日の行程。一泊して戻る予定。
保護施設にジャンは不賛成。勝手にさせている。
貴婦人の単独行が珍しいことは言及。病弱の夫の名代など。
護衛の兵はつけている。騎士はいない。
デジレ:お父様は冷淡。
強盗団に襲われて母が行方不明との急報。すぐに全裸暴行死体発見。
護衛兵は逃散。罪に問われる可能性大だから、当然。
葬儀。
2:姦獄の始まり
一週間後に、後妻と連れ子。
「妻のフランシーヌ、娘のリディアーヌだ」
「私と同じ名前?」
「おまえはエスク――奴隷娘ではないか」
結婚のとき、デジレの腹は膨れていた。
衝撃の事実。
使用人雑居の部屋とは別の小部屋。
パニクっているエスクを(全裸に引ん剝いて)暴姦。足に鎖をつないで監禁。
まだ出血しているエスクを裏庭に引き出して、鍛冶屋の手で、武骨な首輪。焼き嵌めボルト。
暴姦の日々。排泄はバケツだが、美麗か武骨かの違いだけ。
同情して逃がしてくれようとする使用人も。
このまま逃げても、下手をすると奴隷として連れ戻される。
逃げおおせても泣き寝入りは悔しい。
子供時代のリディアーヌを見知っている(そして有力者の)ヴァロワ伯爵は遠征中。
もっとも、現在のリディアをそれと見分けられるか?
首絞めプレイ。あわてふためくジャン。
フランシーヌ。頸動脈で確認。
「殺してしまえばよかったのに」
聞こえている。
なぜ?
すり替え/簒奪の意図に気づく。幼時に聞かされている。
まさか、母様を殺したのも……?
護衛が傭兵ばかりだった不自然さ。
幼時の想い出で、もうひとつ。使用人の密会。フェラ。
3:奴隷妾の日々
ジャンに応用。感激。
「殺さないでください。どのような破廉恥なことでもします」
アヌスとか鞭打ちとか乳首クリ抓りとか。あまり残忍ではない。
警戒が緩む。
日に当たりたい。肌が濃くなれば、ふつうの奴隷(中近東)に近づける。
腰鎖。樹につないでおく。
リディが目撃して驚く。
「罰を受けてるの?」
「奴隷ですから。あまり肌が白いと誤解を招くので」
「そう?」
「不義の子でも奴隷でも、私は人間だと思うわ」
「私にできることがあったら、言ってちょうだいね」
家の中を歩き回れるようになって。
リディの部屋を乱雑に漁って、母にもらったブレスレット。
すぐばれる。罰として腕輪を追加。
「そんなに腕輪がほしければ、これをくれてやる」
二度としません。監禁は免れる。
以後、隙をみては慎重に書斎を漁る。遺言状の探索。
奉加帳発見。強盗団に持ち去られたはず。なぜ、ここに?
傭兵の誓約書「任務遂行後は国外へ逃亡」日付が母惨殺の一週間前。
首都で凱旋式。一家で出席。
証拠の品を掻き集めて、使用人の手引きで脱出。
4:一気転落の時
半年後。最初はエスクの身を案じていた偽リディアも、忘れている。
庭におびただしい馬蹄の響きと馬のいななき。
踏み込んでくる兵と騎士。
「アンリ・シャルル子爵の娘デジレ謀殺、ならびに孫娘リディアーヌへの陵辱、文書偽造未遂の罪で投獄する」
檻車で首都へ。3人別々に投獄。
片腕を吊られて、座るのがやっと。溝への排泄。
貴婦人然とした本物リディアーヌの登場。
「エスク……いえ、リディアーヌ様?」助けに来てくれた?
「なぜ、囚人がこのように着飾っているのです。この者にふさわしい姿にしてやりなさい」
金髪が生意気。短く切る。ついでに下も(焼く)。
「おまえの両親は、すべてを白状したぞえ」
「おまえも、簒奪の陰謀に与していたのであろう」
「あの淫乱女の娘が処女のはずもなかろう」
拷問吏の肉棒で処女検査。
「もはや、処女ではありませぬ」血まみれの肉棒を晒して報告。
「手ぬるい」
同時3穴。
5:拷虐の二週間
「素直に白状すれば、拷問はせぬ。処刑の日まで楽に過ごさせてやろうぞ」
「父母の犯した罪に連座することは厭いません。でも、私は潔白です」
初日は鞭打ち。吊るして放置。たまに逆さづりにして鬱血を防ぐ。
翌日。まだ鞭傷が癒えていない。ので水責め。当時、泳ぐどころか入浴の習慣もなかった。
さらに二日おいて。両親が連れて来られる。二人とも口枷。その目の前で。
拷問椅子。2凸+針。
乳枷ボルト責め。
エマへの尋問。否定するたびに両親が呻いて首を縦に振ったり横に振ったり。
翌日。股間は軽傷なので後ろ手一本吊りで木馬。何度も落とす。
リディアーヌ、翌朝まで放置を命じて退出。
松明の熱い脂で永久脱毛。淫毛と腋毛。
6:断罪と贖罪と
裁判。両親は死刑。エマは名前を剥奪して奴隷。
リディアーヌが、即座に引取りを願い出る。エマの感謝。
全裸のまま教会。受洗記録抹消。異教徒の姿そのまま。破門。
鍛冶屋。鍛接された首輪、手枷、足枷、腰枷。胸に「Gentes:ラテン語で異教徒」の焼き印
その姿で、両親の処刑を目撃させられる。
裸身を晒すが、隣の貴婦人に遠慮して投石はまばら。すぐ制止される。
両親も娘の無惨な姿に狂乱。
馬車の後ろにつながれて、領地まで徒歩。爪を剥がすと、足に袋だけ巻かれる。
領民の蔑み切った目。
========================================

じつは、この拷問(ナットには、先を尖らせたボルトを捻じ込みます)を書きたいばっかりに丁稚揚げた小説です。
こういうのは西洋中世でないと雰囲気が出ません。
殺しても構わないというスタンスで拷問しますから、なかなかに悲惨なことになるかもしれません。でも、生き地獄エンドですから、後半のヒロインの両親は、あっさり首チョンパですが、この2人はMOB扱いですから。
そういうことですどういうことだ。
「寒中座禅(転がし)修行」発売中!
注意:本作品は濠門長恭作品中唯一密林で「ポルノ」と認定されました。読者に不快な思いをさせ徒に劣情を煽る反社会的な小説です。なんちゃってね。たんに密林から締め出す口実です。
でもまあ。密林で売られてる〈ほとんど〉のSM作品は、はるかにおとなしく、少なくとも小生にはG線上のアレヤコレヤのオカズにならないことも確かです。〈ほとんど〉ですから例外はありますよ。そのくせして、Rなら100%アウト、DでもFでも多量の修正/伏字がはいるような小中モノの平然と売ってます。どういう神経しとるんじゃ。いや、恥丘を呑みこもうとしている触手に神経も良識もホワイトな職場環境も、望むべくもありません。いかん、血圧が上がる。密林に殺されたかあねえや。ツラアテは健全SF作品の出版とかではなく(ほんま、売れ行きが3桁以上は違います)、商業出版社から堂々と濠門長恭作品をゴリ押し電子出版することですので、これくらいでやめときましょう。

紹介画像を取り囲む文字で、まあ内容は想像できるでしょう。
ヒロイン(マゾ女)8人 vs MOB(サド男)16人。こんなにたくさんの人物を登場させたのは、これが初めてです。まあ、サド男は主要人物3人+端役数人で、あとは通行人扱いですが。
難波友有れ、お買い上げくださいませ。体験版でも全8章のうち最初の2章が読めます。