お気に入りの写真(体罰1)



  「体罰」といえば、学園物です。家庭でのそれは「折檻」ですし、軍隊なら「懲罰」です。会社とかは……今のところ、濠門長恭ワールドの外側です。高慢痴気な美人上司[を] or [から]、どちらもありふれていますが、筆者は書きません。女子(新入)社員は Targetに含まれますが、まだoutsightです。
 会社絡みなら『性社淫凄奴』とかの構想もありますが、外部環境(法律、社会通念)との整合を考えなければなりません。こんなところでアッサリ異世界を持ち出すほど、濠門長恭クンはご都合主義じゃありません。たとえ濠門長恭クンがその気になっても、野波恒夫の亡霊が許さないでしょう。それはともかく。『性社淫凄奴』では、社内システムも問題があります。会社員として優秀なマゾ男の処遇に苦慮しています。


 ついでに、戦時中の軍隊なら単純に「慰安」という形もあります。
 ここらで、学園における体罰に舵を固定しましょう。


体罰&立たされ
 授業中に騒いだ(男子に悪戯されて悲鳴をあげた場合を含む)女子性徒には、当然その場で厳しい体罰が加えられます。
 ところで、体罰は「与える」ものでしょうか「加える」ものでしょうか。それとも、心を鬼にして(股間は高射砲にして)性徒の為に「下す」ものでしょうか。言語学的考察はさておき。
 その場での体罰だけでは許せない女子性徒は、もっとも穏便なところで廊下バケツですね。


バケツ
 スカート捲り上げ、あるいはスカート剥奪は、de facto standardでしょう。全裸にまでは引ん剝かない教師の優しさを、女子性徒は股間に(汁を滲ませて)銘じなければなりません。
 それでも、淫毛が見えて羞ずかしいという性徒には、淫毛を「見えなく」してやりましょう。その場の応急処置ですから、燃やしてしまうのが手っ取り早いでしょうね。淫裂が見えるのまで羞ずかしがるようなら、隠してやりましょう。瘤付荒縄が基本です。しかしそれでは、教師が監視していない時に男子生徒が悪戯できないので、痛し痒しです。女子性徒も別の意味で痛し痒しですが、それ以上の官能に身悶えたときは――追い込んであげるか、それを口実に体罰を重罰化するかは、お好み次第、PLOT次第、ヒロインの性格次第です。
 右の写真は、上級生によるリンチでしょうか。風紀委員の指導でしょうか。妄想竹が繁茂します。



恥辱立たされ
 場合によっては、放課後の教室でさらに立たせておくという厳罰も必要です。この場合は全裸緊縛が必須でしょう。
 教室でなくてもかまいません。左の写真は@校長室でしょうか。それくらい強引に妄想します。
 右の写真は着衣ですが、ここまでスカート丈が短いと、それがはそれで風情があります。淫毛の仄見えるのも、いとをかしです。しかし、この写真には「惜しい!」が幾つかあります。
 第一に、何ゆえにバケツが手前にあるのでしょう。水をたっぷり張ったバケツは、絶対に跨がせねばなりません。正面に立って見下ろせば、バッチリなのです。罰を受けている女子性徒の前に身を屈する必要がなくなります。『非国民の烙印』では、当然そうさせました。
 第二には、ひっくり返った机です。掃除のときにこうするなんて、聞いたことがありません。となると、体罰の為の処置でしょう。しかし、四本の脚をつないでいる棒が邪魔です。それとも、この性徒はまだ処女なのでしょうか。処女膜の商品価値を護るために、あえて深く突っ込めないようにしてあるのなら、これも教師の慈愛ですね。


SM(japan)女子高生保健室で腕上げ縛り
 体罰に限らず、学園物の定番に保健室があります。写真は、立たされの続きでしょうか。
 保健室にはベッドがあります。ので、濠門長恭クンもしばしば利用しています。『淫乱処女のエロエロ・デビュー』では、自発縄褌で体育の授業を受けて、当然ながらアヘ倒れたヒロインが担ぎ込まれて、サディスチン養護教諭に医療器具(ゴムチューブや添え木)でベッドに全裸拘束されます。


体育倉庫
 そして、それ以上に使い勝手の良いのが体育倉庫でしょう。校庭の片隅に設けられた密室です。SM道具も豊富です。縄跳び、ハードル、跳び箱、ボールを入れる籠。バットもあるでしょうし、体育授業で武道必須になってからは、竹刀も? しかも、くんずほぐれつのマットまで甘美完備。『縄と鞭の体育補習』です。
 筆者も色々と利用しました。もっとも、母校は用具倉庫が体育館の一画に設けられていて、演壇の下のトンネルに続いていて、潜り込めば地下牢めいた雰囲気もあり、裸で縄をまとって……コホン。このシーンは『僕の痛セクスアリス』には出てきません。もっと過激な、電気工事会社の倉庫のエピソードも、この事実の変形ではなく、昼間は無人のおそらく寺男の小屋で……
 しかし、左の画像は不満タラタラです。と、突然の話題転換。いえ、本論に戻っただけです。
 ハードルを二つ、ただ重ねているだけです。これはこれで、淫唇を挟むとか、ひと味違うのかもしれませんが。脚はT字形にしないと安定しませんが、板は是非とも一枚にするべきです。適宜にカンナも掛けましょう。
 右のは、緊縛立たされ放置のところで文句をつけた机の有効利用方法ですね。叩くに良し、突っ込むに良し。もっとも、この体勢では「前門の校長先生、後門の体育教諭」というわけにはいきません。あ、「バイブ添え」くらいは可能でしょうか。しかし、イラマも困難です。この形は実用ではなく鑑賞用でしょうね。金曜の放課後に、この形にして。
「月曜の朝には解放してやる」なんて、素敵な脅しですね。実際には、せいぜい土曜の朝まででしょうか。それでも、お漏らしをせずに耐えられるかしら。
 そうそう。さり気なく述べたボール入れの篭ですが。円筒形状のやつに、二つ折りにした裸身(濠門長恭デファクトスタンダード)を尻から突っ込むと自力での脱出は困難です。膝を抱く形で手を縛っておけば完璧でしょう。『いじめられっ娘二重唱』の子は、精神退行という設定ですから、そもそも脱け出そうともしません。これは、読むうちに容易に推測のつくドンデン返しがありますが、自作品の宣伝はこれくらいにしておきましょう。



 随分と長い記事になりました。それだけ思い入れもあるし、材料も豊富ということですね。

 



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Interruption Report 9:裸囚姫牢虐譚(脱稿)

Interruption Report 8 →

 脱稿しました。引き続いて校訂中です。
 最後は、エロ小説としては、まったくの蛇足になりました。そのアカルイミニマム(クライマックスの反対)を長々と御紹介。




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九 復仇

 先触れも無しに訪れた主君を前に、牢役人は困惑していた。
「こやつが、志穂の落ちぶれた姿を是非に見物したいと申しての」
 権十郎は困り顔を作りながら、瞳に宿る嗜虐の色を隠せない。さすがに近臣にまで見せるのをはばかってか、供は近侍の二人と、半日の出陣をねだった亀乃きりだった。
「ははあ」
 いちおうは畏まって相槌を打ち、我が身に火の粉の掛かる話ではなさそうだと安堵して、牢役人は一行を牢獄へ案内した。
 その寸前まで志穂は昼日中から二人掛かりで弄ばれていたのだが、さすがに牢番が取り繕って、木格子の前に座らされている。
「ほほほほほ。垢にまみれ男汁にまみれ、四千石の姫君どころか、蹴転(けころ)でもこうまで惨めではなかろうに」
 蹴転とは、蹴り転がして抱くという――最下級の娼売女を蔑んで謂う言葉である。木枷につながれ竹轡で言葉を封じられ腰巻一枚すら許されずに、日々二十人を超える男どもに二穴を(銭ももらえず)犯されている志穂は、娼売女どころか奴婢よりも惨めな境遇にあった。
「聞くところによると、とっくに天岩戸はこじ開けられたそうな。おお、そうじゃ。権十郎様、この女を慰んではみませぬか」
 権十郎が顔をしかめる。
「蹴転にも劣る女を、われに抱かせるつもりか」
「とはいえ、権十郎様が滅ぼした家の最後のひとりではありませぬか。引導を渡してやるのが筋でありましょう。それとも、天岩戸が怖いのですか」
 いかに愛妾とはいえ、いやそうであるだけに、女に侮られては男が立たぬ。権十郎は亀乃の挑発に乗った。
「さすがに、このままでは権十郎様の鼻が曲がりましょう。お役人殿、風呂はあるのですか」
 屋敷とは名ばかりの役宅にある小さな風呂を至急に立てさせた。
「わらわが、せめても人がましく磨いてやりましょうほどに」
 もはや抵抗も自害も懸念はあるまいと、志穂の裸身から手枷と竹轡が取り除かれた。まさしく。志穂は竹轡に形作られたとでもいうように口を半開きにして、両手を持て余すふうにだらりと垂らして今さらに秘所を隠そうともしなかった。
 そんな志穂を亀乃は湯殿に引きずり込んで、肌にこびりついた垢を、生傷にも容赦せずに竹箆で掻き落としていく。
「囚人どもに嬲られ放題。権十郎様の寵愛を受けていれば、こうまで惨めに堕ちずにすんでいたでしょうに」
 同情を装いながら、言葉の節々に険がある。
 志穂の虚ろな瞳に、熾火がかすかに揺れた。ひと月の余も封じられていた口から、いくらか呂律の回らぬ言葉がこぼれた。
「夫の仇にかららを開いえまれ安逸を求めようとは思いません」
 父の仇と言うべきところを夫の仇と言い換えることで、継母であった女性を真っ向から断罪したのだった。
「獣どもに骨の髄までしゃぶられるほうが良いとでも言うのかえ」
 志穂の瞳に点じられた熾火が、焔(ほむら)となって燃える。
「獣ではありません。皆、柴田の領民です。仇敵に辱しめられるよりは、あの者どもに身を貪られるほうが、はるかにまし……いえ、父の力不足への詫びというものです」
 投げ遣り、ではなかった。その言葉には、はっきりと志穂の意志が示されていた――のを、亀乃は聞き逃さなかった。
「ほほほ。いまだに姫君のつもりでおるのかえ。ならば、野上に抱かれるくらいなら……」
 亀乃は言葉を切り、正面から志穂の目を覗き込んだ。
「かなわぬまでも一太刀浴びせようとは考えぬのですか」
 ぎくり、と。志穂も亀乃を見詰めた。いまのひと言には、志穂への嘲笑がなかった。ただならぬ気迫がこもっていた。それにつられるように、志穂も咄嗟に心の中に湧き出た言葉で応えた。
「浴びせなどはしませぬ。刺し貫くのみ!」
 小太刀にかぎらず武芸の修練を積んだ者であれば当然の、必殺の気構えである。後年の話になるが。浅野内匠頭が切腹を申し付けられた理由は、殿中での刃傷沙汰の故ではない。刺さずに斬り付けたことを『士道不覚悟』と咎められたのである。刃傷沙汰を理由にすれば喧嘩両成敗で吉良上野介にも処罰が及ぶのを回避する口実ではあったろうが。
 ひと呼吸ふた呼吸と、亀乃が志穂を凝視する。
 いきなり、亀乃が志穂の前に這いつくばった。
「敵を欺くには味方から。これまでの仕打ち、赦せとは申しませぬ。されど、わらわの言葉を信じてくだされ」
 それは、仮初めにも母たる者が子に向けるべき言葉づかいではなかった。
「野上から引き離しておいて救い出す機会を謀ろうとしたが仇となって、かえって志穂殿を辱しめる結果となってしまいました。女の浅知恵でした。されど、此度は用意周到。志穂殿が野上を刺し貫く千載一遇の機会でもあります」
 ここには、牢役人の役宅しかまともな家はない。とはいえ、大台所を別にすればわずかに三部屋。権十郎が志穂を抱くときには、必ずや家そのものから人払いをするであろう。権十郎は豪胆に見えて、おのれの房事を余人に気取られるのを潔しとしない小心なところがある。宿直(とのい)でさえ、一部屋を隔てさせているほどだ。もちろん玄関にも裏口にも警護の者は配するだろうが、それも手薄。権十郎を討ったのちに逃げ出す手はずも整えてある。
 思いもよらなかった言葉を立て続けに浴びせかけられて、志穂は茫然としていた。しかし、心は固まっていた。亀乃を疑う理由がない。我が息子の男を絶たれ、それを逆恨みしているのなら、このまま志穂を牢獄に放置して陵辱の日々を過ごさせれば、まさしく斬首や磔よりも残酷な報復であろう。もしも、志穂には想像も及ばぬ奸計がめぐらされていたところで――父と同じ場所へ行くだけのことだ。それも、今の境遇に比べれば極楽でさえあろう。
 志穂が、強張った顔でうなずく。
「わかりました。継母上(ははうえ)のお計らいに、志穂の命運をお預けします」
 ひさしぶりに、父の後妻を母と呼んだのだった。
 亀乃も顔を上げた。蒼白だった。それを無理に、微笑に変える。
「では、仕上げに取り掛かりましょう。毛筋一本も素振りを見せてはなりませぬゆえ」
 亀乃は湯を汲んで志穂の髪を梳りにかかった。
 実のところ、志穂はまだ戸惑っている。なるほど。権十郎から引き離して救出の機会を探るというのは理に適っている。志穂が男牢に投獄されたのは権十郎の残忍な気まぐれ、亀乃の誤算だったろう。このような手薄な場所に言葉巧みに権十郎を誘い込んだのも計略であろう。しかし。手薄とはいえ、七人もの男に取り囲まれて、どのようにして逃げ出せるというのか。いや、亀乃に言った言葉の半ばは本心であったけれども。何十人もの男に穢された身を生きさらばえられようか。

 半時ちかくもかけて湯浴みというよりも垢落としを終えて。かつてのような肌が透ける襦袢も身にまとわず、志穂は亀乃の手で権十郎の前に引き具された。
 志穂は目を伏せて、傍目にもわかるほどに身を固くしている。いかに何十人もの男に穢されてきたとはいえ、父の仇に蹂躙されるとなると話は別、なのではあるが。志穂の緊張は、そのことではない。隙を見い出して父の仇を討つ。その決意がもたらす緊張だった。若い志穂には、亀乃のような腹芸はできない。
 権十郎に正対して座った志穂の横に、さり気なく亀乃が居座っている。
「志穂……」
 厳しい声で呼びかけて。志穂の目を捉えると、床の間に立て掛けられている脇差に目線を引っ張る。口からは、まったく別の言葉が発せられた。
「きちんと、権十郎様にご挨拶なさい」
「…………」
 どうすればよいのかと、志穂は目で問いかけたが、亀乃は床の間をぼんやりと眺めたきり。仕方なく平伏して、成り行きにまかせる。
「まったく。あれほど言い含めたのに、しようのない娘ですこと」
 何を思ったか亀乃は小袖を脱いで板の間に敷いた。
「あお向けに寝なさい」
「…………?」
 わけもわからず、亀乃の指図に従う。
 亀乃がにじり寄って。権十郎が言葉をはさむ隙を与えずに、指で秘所を穿った。
「あっ……?」
 思いもかけない仕儀に、志穂はいっそう身を固くする。
 亀乃はぐりぐりと女穴を指でえぐり、引き抜くとその指を宙にかざして見詰める。
「天岩戸はだいぶにこなれていますが、まだまだ。唾で湿したくらいではおぼつきませぬ」
 亀乃が襦袢を脱いで、そのうえに身を横たえた。
「まずは、わらわで存分にお湿りをつけなされ」
「こやつめ……」
 権十郎が苦笑した。
「はなから、これが狙いであったな。志穂は当て馬にされたわけか」
「だって、そうではありませぬか……あ、ああん」
 はしたなくも亀乃は、みずからの指で慰めにかかった。
「お館では御正室様の目をはばかって、ちっとも可愛がってくれぬではありませぬか」
 このひと月で館は倍にも広げられ、周辺には重臣の仮住まいまで建てられた。当分はここを拠点にするべく、権十郎は妻子を館に呼び寄せたのである。同じ屋根の下に正室を住まわせながら愛妾をかまいつけるほどに、彼は磊落ではない。つまり。志穂を嘲笑うと称して亀乃が権十郎を微行に誘い出したのは、そういうことだったのだ――と、権十郎は合点したのだった。
「権十郎様に可愛がっていただけねば、わらわは身を持て余してしまいます」
 脚を開いて腰を浮かし、ぴちゃぴちゃと音を立てるほどの指遣いを権十郎に見せつける。
 ここまでせがまれて腰を上げねば男ではない。権十郎は、それでも焦らすように衣服を脱いで、ゆるゆると亀乃にのしかかった。
 志穂に刺すとどめを残すべく、ゆるゆると腰を動かす権十郎。
 亀乃は下から腰を突き上げ、ひとりで勝手に登り詰めていく。
「あっ、あああ……もっと。もっと激しく、もっと深く突いてくだされ」
「たいがいにせい。柴田の生き残りに引導を渡さねば、ここまで来た甲斐がなかろう」
 立ち上がろうとする権十郎に亀乃が抱きついた。脚を上げて腰に絡める。
「いますこしだけ……あああっ……お乳を……お乳も吸ってくだされ」
 左手は権十郎の背中に巻きつけたまま、右手で頭を乳房に押さえつけた。
 権十郎は苦笑しつつ、亀乃の豊満な乳房に顔を埋ずめた。
 亀乃の顔が権十郎の下から現われて――脇で呆気に取られている志穂に強い眼差しを送った。
 ハッと、我に還る志穂。咄嗟に腰を浮かして床の間に駆け寄る。脇差を手に取って抜き放つ。
 ただならぬ気配に身を起こそうとする権十郎。を、亀乃が渾身の力で絡め取る。両手で頭をいっそう乳房に押さえ込む。
「父の仇!」
 叫んで志穂は脇差を振りかざし、仇敵の首筋に突き立てた。
「ぐおっ……」
 延髄を貫かれた権十郎は乳房にくぐもった呻きを吐いて、ほとんど即座に絶命した。
 無我夢中の中にも志穂は修練の業を忘れず、脇差の切先は亀乃の乳房を一寸ほど貫いたところでピタリと止まっていた。
「あらあら。そのように手荒なことをされずとも……」
 亀乃が声高に叫ぶ。笑いを交えている。
「もそっと優しゅうに扱ってやりなされ」
 外で警護をしている者に聞かせる芝居だった。
 亀乃が死骸の下から這い出す。
「この場でお待ちなさい。けして自害などされますな。必ず救け出します。柴田の家の再興は、おまえ様の……」
 亀乃は惚けたように脇差の突き立った死骸を見下ろす志穂に寄り添って、下腹部を撫でた。
「ここにかかっているのです」
 ぴくんと志穂は身を震わせて、その場に膝を落とした。
「わらわの小袖を着ておきなされ」
 亀乃みずからは襦袢をまとって、奥へと駆け去った。
 ほどなくして戻ってくると。
「おほほほほ……どうじゃ、父の仇に天岩戸をこじ開けられて、なにやら苦しそうじゃわえのお」
 声高な芝居を続けて、志穂にささやく。
「志穂殿も……はしたない声をあげてくだされ」
 わけがわからぬままに。亀乃の気迫に圧されて、声を作った。
「あああっ……悔しい。このような、このような……ああああああっ」
 二穴を犯される屈辱の中で覚えてしまった悦辱。それを思い出して、おのずと声に切ない響きがこもる。
 芝居を続けるうちに、遠くから呼ばわる声がかすかに聞こえてきた。
「牢破りだあ! みいんな逃散しおったぞお! 谷へ逃げたあ! 捕まえてくれえ!」
 亀乃が大きくうなずいた。
「小林様も、うまく事を運んでくれています」
 亀乃の言葉を聞いて、またしても志穂が驚愕する。いったいに、今日は何度驚いたことだろうか。
「小林……勇壮様のことですか?」
「ここに潜り込めたは彼の者だけですが。亡き殿に、ひいては志穂殿に忠誠を誓う者ども十数人が竹川村に隠れております」
 志穂は、もはや驚愕を忘れている。権十郎に身体で取り入った裏で、継母上はこのような権謀術数を巡らせていたのか――と、目まいさえしてきた。
 外でひとしきりあわただしい気配が起こって、それもすぐに消えた。警護に就いていた者の何人かが、囚人の追捕に加わったのだろう。
「では、最後の仕上げです」
 亀乃は志穂をうながして大台所へ向かった。なにしろ役人と五人の牢番雑役に加えて男女三十人ちかい囚人の食を賄うのだから、竈は四つもある。そのひとつで、湿った薪がくすぶっている。薪にしては奇妙な臭いがかすかに漂っていた。
 亀乃は乾いた柴を竈に放り込んで盛大に火を熾し、松明に火を点じた。
「これで、あちこちに付け火をするのです。その騒ぎに乗じて、小林様が飛び込んで来てくれます」
 謀り事の全容がわからぬままに、もはや一蓮托生。志穂は亀乃の指図に従う。障子を燃え上がらせ、茣蓙に油をぶちまけて火を点ける。
「火事だっ……!」
「殿をお救い申せ!」
 扉が蹴破られる物音。
「曲者っ!」
「なれが仕業かッ!?」
 怒号が湧いて、断末魔の絶叫がそれに続く。
「こちらへ!」
 声のした方角――裏口へと、亀乃が志穂を導く。
 返り血を浴びて赤夜叉と化した男が短刀を握って、今しも屋敷へ踏み込もうとしていた。「姫様、ご無事でしたかッ」
 若者は短刀を背後に隠して膝を突いた。
「旬日前には、大変な狼藉をはたらき、誠に申し訳なく……」
 土下座する小林勇壮を、亀乃が叱り飛ばした。
「今は、かようなことをしているときではありませぬ。一刻も早く、姫を村へ落としなされ」
 はじかれたように立ち上がった勇壮に、亀乃は志穂を押しつけた。
「あとは、よろしくお頼み申しますぞえ」
「継母上……?」
 亀乃は義娘の疑問に先回りして答える。
「わらわは、権十郎の配下に救い出してもらいます。こちらに留まれば、なにかと細工もできましょうほどに」
 敵地に留まって、さらに裏工作をはたらくという意味だった。
「でも……」
「押し問答の暇はありませぬ。ささ……早う落ちなされよ」
 言うなり、亀乃は身を翻して火の只中に飛び込んで行った。いや、火を踏み越えて玄関へと向かった。その先には、権十郎の近侍があたふたしているはずだ。
「姫様。おいでなされ」
 勇壮が志穂の手を引っ張って裏口から連れ出した。外には牢役人と近侍のひとりが斃れていた。その屍を踏み越え、勇壮は志穂姫を連れて山道を逆に登り始めるのだった。

十 脱出

 時を戻して。
 牢役人に命じられて風呂を立てた勇壮は、大台所へ行って二本の二合徳利に酒を注ぐと、帯を裂いて薬包を取り出し、その中身を混じた。手早く干物と漬物も見繕い、それらを携えて牢屋へと向かった。
「殿様からの下され物じゃ。おのれひとりが良い目を見るのは可哀そうじゃとの思し召しじゃて」
「あんな使い古しの腐れ女(め)にご執心とは、うちの殿様も変わっておるのう」
「じゃが、ひとり宛て二合とは太っ腹なことよ」
 殿様の思し召しなら仕事のさ中に酔っ払ってもお咎めはあるまいと、牢番ふたりは競い合うように徳利に口をつけたのだが。
「……なんじゃ、こりゃあ?」
 ひとりが、ぺっと酒を吐き出した。
「腐っておるのか?」
 しまったと、勇壮がほぞを噛む。痺れ薬は生薬の臭いがきつい。騙して飲ますにはそれなりの工夫が要る。手落ちだった。
 勇壮は迷うことなく、腰の後ろに差していた短刀を抜いて二人に襲いかかった。
「うおおっ……!」
「なにをするッ?!」
 百人組の大将まで務めた男にとって、鎧も身に着けていない雑兵を仕留めるなど雑作もないことだった。斃した牢番から鍵を奪い取り、まだ何が起きたかわかっていない囚人たちに向かって叫ぶ。
「牢から出してやるぞ。じゃが、それぞれの村へ逃げ帰れば、すぐに捕まり一家眷属にまで禍が及ぶぞ。散り散りになって山へ逃げ込め。峠を越えたら、竹川村を目指せ。柴田の手勢が百も二百も集まっておる。おのれらも加勢せよ」
 わあああっと狭い牢獄が揺れた。百も二百もというのは法螺であるが――志穂姫が匿われていると知れば、それくらいの人数はすぐにでも馳せ参じるだろう。
 勇壮はまず女牢を解き放ち、彼女らを護るよう男衆に言い含めた。
「けして狼藉をはたらくでないぞ。さすれば、志穂姫様もこの場で起きた何も彼もを忘れてくださる。よいな!」
 男衆がシュンとなった。
 勇壮は男牢を開け放ち、皆を追い立てた。それから、役宅への道を半ば引き返して、手頃な岩に腰を据え、屋根を見詰める。
 ――半時の余も過ぎて、薄紫色の煙が立ち昇った。志穂姫が野上権十郎を討ち果たしたという合図だった。勇壮は立ち上がって、両手を筒にしてあらんかぎりの声でおらんだ。
「牢破りだあ! みいんな逃散しおったぞお! 谷へ逃げたあ! 捕まえてくれえ!」
 それから、三町(約三百メートル)の細道を一気に駈けた。
 屋敷の裏手へまわって、またしても計略との齟齬に直面した。総勢は近侍の二人と牢役人と手空きの牢番が二人。牢役人と牢番は牢破りを追って、警護は表と裏にひとりずつになると読んでいたのだが――牢役人も留まっていた。牢番二人よりは、はるかに手ごわい。
 勇壮は物陰に潜んだ。待つほどもなく、小さな屋敷のあちこちから煙が噴き上げた。
 先に牢役人が気づいて叫ぶ。
「火事だっ……!」
 近侍が、玄関口にまで届けと大声を張り上げる。
「殿をお救い申せ!」
 叫びながら裏口を蹴破った瞬間。
 勇壮は短刀を構えて、近侍に突進した。
「曲者っ!」
 牢役人の叫びをかいくぐって、近侍に肉薄する。
「なれが仕業かッ!?」
 振り返りざま、すばやく抜刀しかけた近侍の胸を短刀が貫く。
「ぐおおおっ……!」
 体当たりの反動で向きを変えた勇壮が、牢役人の首を横ざまに薙いだ。
「ぬあああっ……!」
 首筋から太い血潮を迸らせて、牢役人が絶命する。
 全身を朱に染めて、勇壮が裏口から中へ踏み込もうとしたとき。ふたりの女人が、たちこめる煙の向こうから姿を現わした。襦袢だけを身にまとった亀乃と、亀乃に譲られた小袖を羽織って太腿までを剥き出しにした志穂姫と。
 ――その後の場面はすでに記してある。

 竹川村に落ち延びた志穂姫が馳せ参じた旧臣に奉じられ、扇の要を失ったうえに亀乃の暗躍で紛糾を重ねる野上一族を所領から追い返したばかりでなく、ついには三万石を奪い取って姫御前と呼ばれようになり、さらには(おそらくでっち上げた系図ではあろうが)曽祖父の代に柴田家と分かれた小林勇壮を婿に迎えて、戦乱の世に確固とした地盤を築くのであるが、それは十余年も先の物語である。
 さらに星霜を経て身罷るとき、志穂の脳裏に去来したのは、後半生の戦いの日々であったろうか、幼少時の父母との楽しかった日々であったろうか。あるいは、振り返ってみればわずかに一か月余の凌辱地獄であったかもしれない。
 いずれにしても、関ヶ原の合戦のはるか以前に消滅した一族の歴史を今日に伝える資料は残されていない。
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裸囚姫

 まあ。物語として結構をつけるにはやむを得ぬ仕儀ではありまする。
 結局。この話では実用新案特許『十文字竹轡』半永久的装着可能(食餌可)を描きたかったわけです。
 カミカミグチャグチャした食べ物を口移しというのは、ラブラブカップルでは微笑ましい(かなあ?)光景かもしれませんが。ウェディングドレス姿の花嫁にカレーうどんを食べさせる以上のサディスチックな責めではありましょう。まして、竹筒に注ぎ込めるのは餌とは限らないとなればです。もっとも。同時3穴拷貫できないという致命的欠陥を併せ持ってはいるのです。


 さてさて。さっさと校訂を済ませて3/1発売登録して。
 いよいよ。『筍の悦虐』ショタマゾ大長編に着手しましょう。これまた、実用新案特許許可局局長不許可の責めネタがあります。ていうか、前回の中断以後に思いつきました。


追記
 十章では、痺れ薬を失敗したり、目論見と違って見張りが2人だったりしていますが。計画に齟齬をきたしても、そう簡単に破綻はしないということを示したかったのです。
 野田昌弘宇宙軍大元帥の「新版 スペース・オペラの書き方」でスペオペ的展開の見本として挙げられている柴田錬三郎の「われら九人の戦鬼」で、肝心要の爆薬を持った人物が脱落して、それで計画がオジャンになったという危機管理の粗雑さへのアンチです。
 ほんとうは、もっと派手に齟齬を生じさせて、それでも最初から用意されていた代替案で乗り切った――としたかったのですが。蛇足部分に凝っても詮無いので、チョコフレークひと欠片に留めました。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

創作メモ:男性用Gストリング




  ひとつのアイテムからネタが閃くこともあります。最近では、こんなの。
メンズGスト  
 このアイテムは、今は通販で簡単に入手可能ですが。その昔、水泳用サポーターとして、こんなのがデパートで売られていました。さすがに黒ではなく、両サイドの紐部分はもうすこし太くてゴムが編みこまれていました。
bizf-105-4.jpg
 これの後ろを切り離してまん中にまとめて縫い付けたアイテムを、それなりにTPOをわきまえて着用していたものです。紐に幅があるので、大きなサイコロなどを凹に半分埋没させて紐で押さえ込んでみたり。いや、まあ……それは、ともかく。
 太(ふと)思うほどでもなく、細(ほそ)思ったのですが。前袋の裏側をベルクロ(マジックテープ)にしたら、どうだろうと。そして、それを着用するのが刺激に過敏な少年っだったら――と。
 たぶん、先走り汁でヌチョグチョになるでしょうね。
 それを、うっかり(それとも確信犯)体育のときに着用していて。教師に見抜かれて。
「用具を片付けるのを手伝ってくれ」とか体育用具倉庫に連れ込まれて。
 そこから先は『淫乱処女のエロエロ・デビュー』とか『縄と鞭の体育補習』のショタ版です。
 今回は私立でなく公立で、体育教師が理事長の親戚とかでなく、やがて噂が立って、あっさり転任させられてチョン――になるか、少年が家出してまで教師に追いすがるか。

 しかし、この設定は蟻が来りて芋虫です。
 そうこうするうちに、これも黄金パターンの親の再婚と連れ子。少年の母親が裕福な金持ちとの再婚話で。相手には歳上の息子がいて。

「金目当てで結婚するんだろう。俺が厭だっていえば、この話はなかったことにできるんだぞ」
 少年をアレコレする。結婚してからも、少年はずっと義兄の性奴隷。そういう展開もあるなあと。
 いや……この展開は、アイテムが活きませんね。少年が実はショタマゾだとしても、まさか、母親の(自分にも)一世一代の場に破廉恥な下着で臨むとも考えがたいし。そうすると、ベルクロ裏地Gストリングは義兄からの強制プレゼントとなって、モチーフたりえません。

 やはり「なんだ、この変態的な下着は」って、教師から足コキぐりぐりされて……「ああっ……なに、これ?」で空砲の未精通。あたりが萌えです。
 そのまんま書いても妄想竹爆発ですが。やはり読者の存在を考えると、三番煎じは流石に躊躇します。
 もうすこし寝かせておきましょう。


 ……いや、寝かせずに書き掛けましたけどね。挫折中です。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Interruption Report 8:裸囚姫牢虐譚

 タイトルを変更しました。裸で囚われている姫が牢で虐待されるお話ですから、そのものズバリでいいじゃないかと。
 処女姦通直後の膣痙攣、最初のハイライトシーンです。章題も「竿折」から「竿噛」とそのものズバリに変更です。


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二 竿噛

 志穂姫――いや、すでに『姫』ではなく虜囚である。これからは、たんに『志穂』と記そう。
 志穂と亀乃は、素裸のまま引見の場から追い立てられた。これも、旧主の係累の権威を地に堕とそうという深謀遠慮なのか。あるいは権十郎の悪趣味なのか。奥座敷に連れ戻されてからは着衣を返してもらえたが、志穂の襦袢は帯が無いままだった。
 気恥ずかしさが先に立って、ふたりは背を向け合ったまま、いつまでもじっと座っていた。閨の手管どころか、言葉そのものを交わすこともなかった。
 二人が並んで座ったのは、夕刻になって、その日の最初の食事が与えられたときだけだった。玄米の飯と鮒の焼き物、山菜のお浸しと味噌汁。ふだんよりはみすぼらしい食事だったが、虜囚の身には贅沢ともいえた。
 そんなことよりも、味噌汁がいつもと同じ味だと亀乃が指摘した。志穂にはその意味がわからなかったが。
「下働きの女たちも、殺されたり連れ去られたりはせずに、この御館で働いているようですね」
 そう聞かされて、わずかに心が安らいだ。もちろん、すぐに『切り取り御免』の言葉を思い出して胸ふさがったのだけれど。

 夜の帳が降りて。いよいよ夜伽の刻がちかづいたとき。いきなり亀乃が志穂の前に額ずいた。
「何事も柴田の家のためです。どうぞ、耐えてください」
「頭を上げてください。芳若は、わたしにとってもただ一人の弟です。姉として、弟を庇うのは当然です」
 そう受けるしかなかったが、志穂の言葉は本心だった。
 亀乃が身を起こして、さらにささやく。
「男のうちには、閨で女子(おなご)に無道な振る舞いをする者もいます」
 そして、微笑んで見せたのだった。
「されど、そんな男もやがては尻の下に敷くのが女子というものです。いえ、わらわは柴田を尻になぞ敷きませんでしたけれどね」
 継母の意図がわからぬままに、志穂は曖昧にうなずいた。
 さらに小半時が過ぎて。廊下からの声にうながされて、志穂は湯殿に向かった。わずか四千石。元より、侍女にかしずかれて身体まで洗わせるような身分ではない。三日前と変わらぬ入浴の在り方ではあった。しかし、まるきり違っていた。
 仇敵に献上するために身体を清める屈辱よりも前に。
 湯がひどく濁っていた。おそらく野上権十郎が使い、さらに何人もの家臣が、あるいは野党の頭目までもが浸かっていたのだろう。湯は継ぎ足したのだろうけれど、そやつらの垢が消え去ったわけではない。
 志穂は湯に浸からず、生ぬるくなっている上がり湯だけで身体を拭いた。女として恥を掻かぬようにと、隠し所にも手拭いを這わせたが、荒い生地の肌触りに鳥肌が立つ思いだった。
 垢を落として、あらためて水鏡でおのれの顔を見た。明け方の乱闘で髪が乱れて、髷がほとんど崩れかけている。これも、やはり女の恥。思い切って髪をほどき、頭の後ろを飾り紐で括った。それはそれで、いかにも虜囚といった風情になってしまったが、いまさら結い直している暇はなかった。
「志穂殿」
 湯殿の外で漏れた小さな声は継母のものだった。
「着替えを置いておきます。羞ずかしいでしょうけれど、どうか耐えてください」
 逃げるように走り去る小さな足音。
 言葉の意味は、着替えを手に取ってわかった。肌襦袢が一枚、それきりだった。腰巻すら見当たらない。しかも肌襦袢は薄い絹でできていた。身にまとってみると、濡れた肌にへばりついて、肌の色が透けて見えた。
(いったいに、これは……?)
 亀乃が疲れた夫を励ますために閨で着用していたものとは、志穂には想像もつかなかった。もし、その事実を知っていたとしたら――かえって継母の魂胆を疑っていたこと必定ではあっただろう。
 髪を垂らして薄物一枚の身を、みずからの足で生贄の場に運ぶ。恥辱と羞恥、そしてどこで聞きかじったのか覚えていないが、新鉢を割るときの文字通りに身を裂かれる痛みへの恐怖。心の臓は喉元までせり上がり、足は雲を踏んでいるようだった。
 昨日までは父の寝所だった部屋にはいり、掻巻を尻に敷いて居座っている権十郎の前に――ふだんの立膝座りも恥ずかしく、膝を揃えて正座する。
「よ、よ、よとぎに……参りました」
 喉の奥から声を絞り出して、あとは目を閉じて身を固くする。
 ずんんっと気が動いた――ように、志穂は感じた。赤みを帯びた闇が桎梏に変じて、目の前に男が迫ったと知る。
「これはまた……敷物にもならぬものを」
 この時代に布団は高貴な人々のうちのさらに一部でしか使われていない。農民などは藁の中にもぐり、裕福な者は衣服を大きくして綿を詰め込んだような掻巻を着こんで寝る。男女が交わるときなどは、これが敷物となる。ちなみに、男女が衣服を重ねて並べて一夜を過ごし、朝になって互いの残り香が移った衣服(きぬ)を着て別れるというのが、『後朝(きぬぎぬ)の別れ』の語源である。
 志穂がまとっている薄物では、その役にも立たないと権十郎は文句をつけたのである。情趣を解さない男ではあったものだ。
 それでも権十郎は襦袢の帯をほどき、前をくつろげて、志穂を床に押し倒した。わざわざ灯明台を持ってきて、赤々と裸身を照らす。
「乳は小さいし、毛も疎ら。満足に子を産めそうもない尻じゃ」
 昼間に裸身を見たときからわかっていたことを、わざわざ口にする。
「とはいえ。旧主の娘を見逃すわけにもいかぬでな」
 好き勝手なことをほざいて。志穂におおいかぶさり、無雑作に股間を指で穿った。
「ひ……」
 芋虫の化け物が隠し所に飛び込んできた。そんなふうに感じた直後。股間に刻まれた割れ目をぐりっとえぐられて、鋭い痛みが腰を貫いた。
「くううう……」
 誰に教わったのでもないが、農民の野合をたまたま目にすることもあれば――男女が媾合うとはどういうものであるか、漠然とした知識はあった。最初は痛みを伴うものだとも聞きかじっている。だから、志穂は抗うことなく痛みに耐えた。
 志穂の忍耐を知ってか知らずか。権十郎はグリグリと割れ目をこねくった。さすがに、奥深くまでは突き挿れない。
「くうう……うう」
 次第に痛みが薄れていく。なにやら、割れ目の中で指が滑っているようにも感じられた。それが男を受け挿れるための身体の準備であるとは、志穂にはわからない。
「生娘も年増も、女は女か。弄れば濡らしおるわ」
 それが心からの言葉であるとすれば――この男の性的な経験の浅さを露呈している。ここでいう経験とは数の問題ではなく、男女双方のいわば琴瑟相和す愉悦の深さのことである。
 権十郎には、志穂がじゅうぶんに男を受け挿れる体勢にあると思えたのだろう。襦袢を脱ぎ捨て、褌をほどく。なんだかんだと文句を言いながら、すでに怒張天を衝いている。
 志穂の足首をつかんで左右に割り開き、膝を立てさせた。
(あ……)
 ふだんは禁忌の奥にひそめている記憶の底から、この形が浮かび上がってきた。そうだった。こんな羞ずかしい恰好の女に、男の人がのしかかってきて……
 さっきのが芋虫の化け物なら、これは生温かい大根ほどにも感じられる太い物が、割れ目を押し広げた――つぎの瞬間。めりめりっと、身体をまっぷたつに引き裂かれるような重たくて鋭い衝撃。
「ぎひいいいっ……痛い! 痛い、痛い……」
 とても耐えられる痛みではなかった。幼少時から仕込まれてきた女の嗜みも、武芸で練ってきた心胆も忘れて、志穂は悲鳴を噴きこぼしていた。
 が、それは権十郎も同じだった。
「ぐおおおおおっ!」
 大きく吼えて上体をのけぞらせた。立ち上がろうとするが、腰の一点がびくとも動かない。
「こ、これは……ええい、どけい!」
 片膝を立てて腰を上げようとして、すぐにうずくまる。
「痛い……どうなっておるんじゃ?!」
 志穂も同じように痛みを訴えているが、権十郎の怒声に掻き消される。
 両手を突いて上体を倒し、そうするとすこしは楽になったのか、肩で大きく息をする権十郎。
「誰か……誰かおらぬか!」
 襖を開けて飛び込んできたのは亀乃だった。ひと呼吸遅れて、近侍の者どもが駆けつける。
 権十郎は腕に頼みがあるのか、閨の痴態に含羞を覚えるのか、寝所のまわりから人を払っている。この場合は、これが幸いした。近侍の者どもが先にこの有様を目にしていたら――亀乃は追い払われるか、あるいは問答無用で志穂が刺し殺されていたかもしれない。
「うろたえるでない。志穂姫を上にしてくだされ」
 凛とした物言いに気圧されて近侍は何も訊ねず、亀乃の言葉に従った。志穂も、裸身をあからさまにする羞恥を表に出せない。
「志穂殿、ご免」
 亀乃が志穂の首筋に手刀を叩き入れた。志穂が気絶する。
「もう大丈夫でしょう。ゆるゆるとお離れください」
 魔羅の激痛が消失して――権十郎は志穂を抱いたまま寝返りを打ち、それから恐る恐る身を起こす。
「女子は、ひどく驚いたり痛みがあったりすると、ときとして天岩戸のように女淫(ほと)を閉ざします。本人にそのつもりは無くとも、身体がそうなるのです。悪くすれば魔羅を食い千切りかねません。野上様は、よほど性急に女子を扱われましたな」
 亀乃の言葉には、からかうような響きが含まれていた。
 おぼろげにも事の次第をわかって、近侍の者どもにも苦笑いに似た表情が浮かぶ。
(まったく、うちの殿様ときたら短兵急だからなあ)
 そんな声が聞こえてくるようだった。まったくの艶笑話だが、権十郎にとってはそれどこれではない。まだ股間を押さえて唸っている。それを見た亀乃が、大仰に叫ぶ。
「おお、これは大変。御大事所をお見せくだされ」
 権十郎の前に座り込むと、その手をつかんで引き剥がす。委縮しきった魔羅の付け根がくびれて紫色になっていた。
「これはいけませぬ。このままでは血が通わずに腐り落ちます。ともあれ、暖めねば」
 言うなり、身を投げ出すようにして権十郎の股間に顔を埋ずめた。
「お、おい……?」
 権十郎にとって女とは、突っ込んで埒を明ける道具であり、あるいは(縁組などによる)勢力拡大のための手段でしかない。どちらにしても、女を悦ばすとか女に奉仕させるといった発想はなかった。女に魔羅を咥えられしゃぶられるなど、生まれて初めて、驚天動地の体験であった。
 そしてそれは――脳天が痺れるほどに心地よかった。天岩戸に挟まれた痛みなど、たちどころに蕩けて消えていった。
「楽になった。もうよいぞ」
 しかし、亀乃は顔を上げない。ばかりか、舌先で先端を舐めたり、半ばまで引き抜いで雁首を甘噛みしたりと、技巧を尽くし始めた。
「おおお。おおおおお……」
 権十郎は喜悦に喚(おめ)き、それからふっと我に返った。
「おまえら。もはや大事無い。下がれ」
 目を丸くしている侍臣らに向かって手を振った。
 侍臣らも、この場で何が起きているかは理解して。にやついたような羨ましそうな表情で、こそこそと退出していった。
 志穂は、まだ気を失ったまま。
 俄然、亀乃の独擅場となった。ちゅぱちゅぱずじゅううと、音を立てて魔羅をしゃぶり、しごき――たちまちに、怒張天を衝く。
「ああ、よかった。魔羅がいきり勃つのは、血脈が甦った徴(しるし)です。されど……」
 亀乃は身を起こして、胡座の権十郎を跨いだ。裾が大きく割れて、肉置(ししお)き豊かな太腿までが露わになる。
「このままでは、収まりがつきますまい」
 左手で権十郎の首を抱いて腰を沈めながら、右手は魔羅を握る。
「わらわにお納めくだされ」
 魔羅を女淫へ導いて、すっぽりと納めた。
「ふむ……?」
 女から積極的に動くという体験も、権十郎にはなかった。興味津々といった顔つきだが、色ごとの真っ只中の割には醒めた色だった。
 それは、そうかもしれない。亀乃は十五年にわたって柴田嘉門の寵愛を欲しいままにしていた。それも「朝までわしの精を絞り取りおっての」と惚気させるほどに。加えて、子も産んでいる。中はこなれ過ぎているほどにこなれている。
 しかし、すっかり怒張を呑み込んだ亀乃が権十郎の上で腰をくねらせ始めると。
「な、なにい……??」
 きゅうっと先端を締めつけられる。肉茎に柔らかな襞が絡みつくような感触。それが、亀乃の動きに合わせて上下左右に蠢く。これも、権十郎には未知の感覚、いや肉の愉悦であった。
「くそ……柴田め。夜毎にかような思いをしておったのか」
 知らず、本音を漏らした権十郎だった。
 愉悦に身を任せていれば、権十郎はたちまちに埒を明けてしまっただろう。だが、亀乃がそうさせなかった。いよいよ切羽詰まってくると、腰を浮かして馬の手綱を絞るごとくに淫嚢(ふぐり)を握ったり。女から口を吸いにいって関心をそちらへ逸らせたり。
 手管を尽くして、延々と権十郎の愉悦を長引かせる。
 いつか志穂も意識を取り戻して――二人の痴態を呆然と見物する始末だった。
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 表紙絵は全裸緊縛竹轡に決定ですが。前回の画像では着衣が引き下ろされていて、肘のあたりが隠れています。輪郭処理して描きかえればいいのですが、そのスケッチをする自信が無い。ので、フォトコラを試行中。
 雑な切貼でごめんちゃい。

合成6枚

 で、これを輪郭処理すると……
合成6枚-rinkaku00

 部分的にコントラストを上げた輪郭を貼り足す必要がありそうです。

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Interrupt Report 7:繋囚姫牢虐譚(PLOT)

  今回は趣向を変えて。
 まずは、PLOTの元になったメモを御紹介。


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PLOT-37
人質姫牢虐譚


概  要:父と兄を切腹させられ、側室とともに人質となった姫。
     総大将の息子を拒み、刺殺しようとした姫は、男牢へ放りこまれる。
     太い竹筒を咥えさせられているので、自害も絶食もできない。
     囚人どもにボロボロにされ衰弱した姫を見て嘲笑する側室。
     側室の指技で強制的に女の悦びを教えられる姫。
     やがて、囚人に犯されて喜悦の声を上げるようになる。
     皮肉なことに、姫は体力を回復していく。
     ――側室の仕打ちは擬態だった。
     総大将の近習を手なずけて寝首を掻き、姫を救出する。
     総大将の息子と牢内で鉢合わせする母娘。
     屋内で長刀を持て余す相手を、姫が討ち取る。
     自害しようとする姫を諭す側室。
     「血脈を継ぐ者は、あなたしかいないのです」
     「あなたが旗を上げれば、はせ参じる旧臣もいるでしょう」
     後の世に語り伝えられる姫大将が、今ここに誕生した。


ヒロイン:志穂 前妻の娘。細身の美乳。小太刀の切紙(初歩の免許)。
     亀乃 32歳。
        お手つきの下女から側室に。肉置き豊かな巨乳。世故に長けている。

目玉 H:男囚の寄ってたかっての2穴連続レイフ゜。快感無し。
     SEX以外での徹底的な凌辱。
     舌を噛まぬよう常時、口に竹筒を咥えさせられている。
     男囚が噛み砕いた食物を竹筒から流し込まれて、無理やり嚥下させられる。
     水だけでなく小水さえも飲まされる。
     鬱血をさけるために、日替わりで縛り方を替え、たまに首枷・手枷。
     (両手を自由にさせると自害の恐れがある)
     側室の指による性感強制開発。
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 どうもね。側室の動きがご都合主義ます。敵方の息子は不要でしょう。
 ので、あれこれ弄くりまわしてると、必然的に
「まあ、こんなに大きく……!」ですね。

 側室が、最初は我が子(嗣子)の助命に必死になります。
 側室のほうが奥方より若いから、殿さまとの間にできた子はヒロインの弟が自然です。
 ところが。寺に放り込まれるどころか玉抜きされて、子供を作れなくされます。これでは、長じてから旧臣を集めて決起したところで、後継者を作れません。
 武家にとっては「家」が大切ですから、養子を取ればいいようなものの。実は側室が殿様に惚れ抜いていて、なんとしても血の継承を――と。そうなると、血を継ぐ者はヒロインのみ。
 まあ。この時代は、女は子種を育てる畠ですから、DNAなんか知りませんから、娘が産む子供が父親の血を継承していると考えるかどうか、ちょっと怪しいですが。そこは、下に展開した最終PLOTの中で補強しています。
 女の子は父親に似る。男の子は母親に似る。したがって、ヒロインは父親の面影が濃い。ヒロインが男児を産めば母親に似るのだから、お祖父ちゃんの面影を受け継ぐだろう。三段論法です。


 というわけで。最終PLOT(On the Job Changeは、ある)です。


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繋囚姫牢虐譚

志穂(17)
亀乃(32)
芳若(13)未精通。

柴中嘉門(48)
  柴田郷一体の支配者。4000石/500人
野上権十郎(44)
  3万石/6千人


・助命
大軍の侵攻を迎撃すべく総力出兵中の館を急襲されて捕囚。
 小太刀の一場面を挿入:伏線
拠点を占拠されて、柴中嘉門が投降=自刃。軍勢はほとんど無傷で敵の手に。
 兵力拡大と柴田郷を外征拠点とする目論見。
志穂たちの目の前で、嘉門の首実検。
「さて、嗣子の始末だが」
芳若の助命嘆願。「妾は如何様にされようとも」
全裸土下座を強いられる。
志穂もやむなく倣う。腹は違えど、可愛い弟の為。
「命だけは助けてやる」寺への永代預かりと勝手に解釈。

・竿折
志穂が夜伽を命じられて。岩女淫(いわほと:岩戸女陰の短縮形)=膣痙攣。
叫び声で駆け付けた(隣室での近侍は無し:伏線)家臣おろおろ。
亀乃が志穂の首筋殴打で気絶させて。
「これは大変」
紫に変色してくびれくっきりの男根を口で暖めて、ついでにれろれろ。
3人の幽閉は続く。

・玉抜
5日後。国元から呼び寄せた唐人医者。
芳若の公開断種。玉抜き。縫合タック。
亀乃と志穂は全裸緊縛晒しで立ち会わされる。
秋霜烈日、武威をあまねく示す。

・金鈴 [レズだ! 折檻だ!]
亀乃による志穂の調教。
淫核喜悦を教え込むと同時に、金の鈴を子袋に。
「これで子を孕む心配がなくなり、心安らかに寵愛を受けられようぞ」
「竹川村のウメという産婆に習った秘術じゃ。彼の者なれば、易々と鈴を取り出せようぞ」:伏線。
それでも痙攣が起こって、挿入不可。
野上、怒り狂って手討ちに。
様子をうかがっていた亀乃が飛び込んできて。
「我が子は生きながらの恥辱。この娘だけ浄土へ行かせてなるものか」
牢への幽閉を求める。牢は館から遠い。
しぶる野上。
亀乃による折檻。
庭の木に吊るしてビシバシ。
野上みずからも。嗜虐に目覚める。

・男牢 [ネチネチシコシコ書きましょう!]
牢へ送られる志穂。亀乃が同行。
牢役人3、使役人6、飯炊女2(大年増)
囚人は大幅に増えて、男40(2間)、女15。すし詰め。
男牢へ入れるとわかって、自害防止を提案。十文字の竹筒を突っ込まれる。手鎖。
最初に牢役人。必死で股間をかばう志穂。後ろに嵌め替えられる。
ついに破瓜。膣痙攣は起きない。亀乃がそれをからかう。
牢番どもにも。ほどなくして後門も。
男牢へ放り込まれる。元姫様への遠慮。
「おまえら、まだ柴田家への忠義を残しておるのか」
牢役人に叱責されて、襲いかかる。鬱憤晴らしも交えて、群狼化。
囚人環視で用足し強制。食事は、カミカミグチャグチャ口移し。

・悦辱 [ここも長尺]
三日後。新たな下働き(厩番)。志穂の幼馴染の小林勇壮(幼名:勇吉)。
亀乃も見物に来ている。
「腰巻祝いからこっち、俺を見下しやがって。昔の約束どおり、夫婦になってやるぜ」
手鎖をはずさせて、押し車。すでに気力尽きている志穂は言いなり。勇壮、眉をくもらせる。
「このぶんでは、竹轡も要りませぬね」

・忠臣 [実際には脱兎さん]
さらに五日後。すっかり木偶人形と化して嬲られている志穂。日替わりで牢を移されて20人ずつ。
野上の来臨。亀乃とともに嘲笑う。
「もはや側室にもできますまい。されど、ひと情けくらいは掛けてやってくださいませ」
役人用の湯殿で志穂を洗ってやる亀乃。
「情けない。囚人どもに唯々諾々と弄ばれて、姫の気位なぞ、欠片も残っておらぬわえ」
「あの者どものほとんどは、野上に虐げられた民草です。どうして憎めましょう」
志穂の気力を見て取って。
「千載一遇の機会を作ってみせましょう。果断に出るかは、あなたの心ひとつです」
牢代官の屋敷。亀乃が強引に割り込んで介添え。
床の間の刀掛けに小刀(のみ)を置いて、褌一本になるも。
野上、岩戸女淫を怖れて委縮。亀乃が口唇督戦。
「この娘、ちっとも濡れておりません。前轍を踏まぬよう、まずは妾で湿してから」
「こやつ、はなからそれが狙いか」
「月の障りが終わったというに、ちっとも可愛がってくれぬではありませんか」
柴田郷を拠点化するため(本妻と子は城に残して)側妾を呼び寄せている。
野上、亀乃でたっぷり潤滑して抜去しようとする。
「あれ。今しばらくのお情けを」
手足を絡めて野上を抱きすくめる。
そっぽを向いている志穂。
「志穂殿!」
鋭い声に、意図を察する。床の間の刀掛け。
小刀を引き抜くや、首筋にずぶり。小太刀の業の冴え。亀乃の喉元で切先が止まる。
「おの……!」どしんばたん。
「あれ。女子はもちっと優しく可愛がってくださいませ」と、声を張って糊塗する亀乃。
喉を突こうとする志穂を制止。
「女児は父に、男児は母に似るといいますが、志穂殿には嘉門様の面影が。きっと、志穂殿がお生みになる男児は嘉門様そっくりでしょう」
亀乃の低く呼ばわる声で、裏庭に勇吉。平伏。
「あのおりには、とんだ御無礼を。それもこれも、姫様を援け出すための……」
「時が無い。竹川村には、柴田家に忠義を誓う者たちが隠れています。野上家の混乱に乗じて復仇を果たすは今こそ」
勇吉に伴われて脱出する志穂。厩に火を放って、他の馬は逸走。

志穂は後世に岩戸御前として名を残すが、その謂れまで伝えられることはなかった。

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 まず、タイトルに苦労しました。「○×姫牢虐譚』は確定ですが。
 『人質』ではないですね。
 一度は『亡国』にしましたが、ちょっとニュアンスが違う。有名な映画とタイトルがかぶるというのは、気にしませんが。亡国は、国を失いっぱなしで、再興の気概がありません。いや、それは『亡命』ですか。とにかく、筆者的にボツリヌス。
 つぎに『虜囚』を検討。ありふれていて、気に食いませんね。
 ほぼ『敗残』に決めかけましたが。これは……戦って敗れたというニュアンスです。筆者的には、そうなのです。
 で。類義語辞典とか漁って、あまり見かけない『繋囚』にしました。『虜囚』と同義ですが、斬新です。「虜(とりこ)」になっているより、「繋」がれているほうが、被虐的です。
 というわけで、『繋囚姫牢虐譚』に決定です。


 今回の新規アイデアは、2点。
 玉抜きした男の子。竿を包み込んで袋を縫合します。永久タックです。唐人の医師というのが味付けで、「宦官の一部にはこのような」とかなんとか。大豆発酵食品(イソフラボン)とか柘榴(エストロゲン)とかをたくさん食べさせて女体化させて……『玉抜嗣弄虐譚』を書くかもですね。だから、わざわざ未精通にしときます。タックのまま射精は出来ないという記事を見かけますが、溜まりに溜まれば、出るんじゃないですかね。いずれにしても、悶々と悶えるシーンを描けます。
 それと、十字形状の竹轡。竹の筒を縦に突っ込むだけでは、ストッパーがないので、喉の奥を突くかもしれません。


十文字竹轡 
 こんなふうにしておけば、安全です。「絵」としても、サマになります。
 しかし、まったく。筆者はヘソ曲がりというか。メジャーに与したくないのです。マイナーこそ、選ばれたる者の恍惚です。だから、某コミックで竹轡が有名になって、複雑な気分です。もっとも。横咥えでは、飲食のたびに外さなければなりません。縦に突っ込んでおけば、半永久的に装着させられます。しかも、筒に「なにを」流し込まれても拒めません。リョナです、スカです。


 さて。100枚を目途にするつもりでしたが、200枚くらいになるかもしれません。
 とにもかくにもひしゃにも。着手しましょう。


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Interrupt Report 6:Snipe Ecstacy(脱稿)

Interrupu Report 5:Snipe Ecstasy(承前)→

 強引に突っ走りました。
 脱稿は2020年12月31日ですが、年始年末のご挨拶があったので、本日公開とします。


Hung14.jpg 





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 ふわっと身体が宙に浮いたような感覚が生じて、ジョティは意識を取り戻した。朝焼けの雲が目の前に広がっていた。それが急速に流れて、大きな建物が視界に現われた直後に、ゴンッと軽い衝撃。十字架が倒されたのだと認識した。
 ぶじゃああああ……
 冷水を顔に浴びせられて、ジョティは完全に目を覚ました。
「ぶわっ……げほ、ごぼ……」
 むせながらも、本能的に水をむさぼった。喉の渇きは癒されたが、すぐに息苦しくなった。兵士は水を恵んでくれているのではなく、水責めにしているのだった。もっとも、からかい半分だったのだろう。水流は胸元へ移り、すぐに股間を叩き始める。傷を抉られて、通奏低音となっていた疼きが先鋭な痛みに移調する。
「盛大におもらししてくれたな。クソもたまってるんじゃないのか?」
 放水を止めて、兵士はジョティの鎖をほどきにかかった。
「出すのなら今のうちだぜ」
 ジョティをうつ伏せにして後ろ手錠を掛けた。すこし離れたところで、もうひとりの兵士が銃を保持している。よほどの危険人物だと思われているらしい。
「そら、行ってきな」
 兵士は植込みの一画にある、四角い鉄格子の枠を指差した。排水口だろう。
 ジョティは身を起こして兵士をにらみつけた。
「ほっといてちょうだい」
 銃を持っている兵士が近づいて、ジョティの頭に銃口を突きつけた。
「そうはいかない。今日はオーナメントになってもらう。小●は御愛嬌だが、大を玄関前にひり散らかされちゃ、こっちまでお叱りが来る」
 銃を持つ兵士がジョティの肩を蹴って、四つん這いにさせた。
「出せないってのなら、出させてやるぜ」
 もうひとりがジョティの後ろにまわって、ノズルを肛門に突っ込んだ。
 ぐるるるるる……凄まじい勢いで水流が腸に注がれる。ジョティの腹が妊婦のように膨れた。
「そらよ、行ってきな」
 パシンと尻を叩かれて。しかしジョティは、すぐには動かなかったのだが。ぴゅっと水が噴き出すのを感じて、あわてて括約筋を締めた。いっそ、この場でぶちまけて、こいつらを困らせてやれと思わないでもなかったが、さすがに羞恥が勝った。こんなくだらない意趣返しで余計に痛めつけられるのも割に合わない。
 ジョティは立ち上がろうとしてよろめき、脚に力を入れた。ひと晩じゅうの磔で、筋力が弱っている。よろめきながら歩き始めると、たぷんたぷんと腹の中の水が揺れる。
 排水口に辿りついて、ジョティは兵士たちに正面を向けて腰を落とした。尻を向ければ、排泄の様子をまともに目撃されると考えたのだ。椅子に腰かけている姿勢で、括約筋の力を緩めた。
 ぶじゃあああっ……激しい水音。固形物が通過するのが肛門の感触でわかった。
(くそう……)
 羞恥を圧し殺して気丈に兵士を睨みつける。
 10秒ほどで水音は途絶えたが。びち……ぶちゅちゅ……しばらくは水滴が滴り続けた。
 ホースを持っている兵士が近づいてきて。
「尻をこっちに向けろ」
 逆らっても意味がない。ジョティは立ち上がって後ろ向きになった。
 ぶしゅううううう……
 最大に絞ったノズルから噴出する水流が肛門をえぐった。
 水流が横から前へまわる。元の位置へ戻れという意味なのだろう。ジョティは水流に追われて磔柱の前まで歩いた。
 玄関の両脇で膝立ち磔にされていた2人が拘束を解かれて、そこにジョティがひざまずかされた。柱の後ろで、手首と足首にそれぞれ枷が嵌められた。手錠よりも動かせる範囲が少ない。
 兵士のひとりが、地面に置いていたバスケットから大きな肉団子を取り出した。野菜を混ぜて小麦粉で練り込んだ郷土料理だった。それを、ジョティの目の前の地面に放った。
「食え。一日分の餌だ」
 ジョティは肉団子に落していた視線を上げて、兵士を睨んだ。地面は湿っている。磔にされていた女性が漏らしたままになっている。
 昨日の朝に食べたきりだから、まる一日の絶食だった。今日はこのまま磔にされて、明日からも苛酷な扱いを受けるのだろう。食べて体力を維持して……それで、どうなるのか。まして、他人の小水にまみれた餌を口にするなど断じて拒絶する。
 兵士は嘲笑を浮かべて、腰の拳銃を引き抜いた。ベルトに吊るしている半割りの筒のような物を、遊底の上から銃身にかぶせた。海外に映像が流出する懸念がある場合には使われることもある、暴徒鎮圧用のゴム弾だ。それをジョティの腹に向ける。
「待て。撃つな。食べれば……」
 パアン!
 鈍くて重たい衝撃が腹で爆発した。ジョティは身を折って悶える。
 兵士が2発目の装填にかかった。
(くそ……)
 内心で罵って、ジョティはいっそう上体を深く倒した。柱に腕をつながれているので、口が届かない。足を後ろへ引いて、ほとんど倒れ込むような姿勢で肉団子に顔を寄せた。大きく口を開けて肉団子にかぶりついた。土も口にはいったが、そのまま数回咀嚼しただけで、丸呑みにした。味が薄く生臭みの残ったまるきりの餌だったが、不味いとは感じなかった。それだけ、ジョティの若い肉体は飢えきっていたのだった。
 悔し涙で視界がにじんだ。
 そんなジョティの感情には無関心に、兵士はジョティを膝立ちにさせた。太い鎖で腹と喉を柱に縛りつける。これでジョティは、柱を後ろ手に抱いて股を開いた姿で身動きできなくされた。
「明日の朝まで、いい子にしてるんだぜ」
 朝っぱらから面倒な仕事を押しつけられたもんだとかなんとか――ぼやきながら、兵士はジョティを置き去りにして建物の陰へ消えた。
 ――1時間もすると、もう一体のオーナメントが兵士に連行されて来た。ジョティと同年齢くらいの娘だった。下腹部にはC30635の入墨。数日前のものと思しい数条の鞭痕が乳房に刻まれている。数が少ないのは、軽い懲罰だったのか、嗜虐癖のある来訪客を相手の『業務』だったのか。
 娘は自分から膝立ち磔の姿勢をとった。懲罰が怖くて従順なのではなく、どこか喜んでいるようなところが見て取れた。
 そうかもしれないと、ジョティは思う。身体を動かせないのはつらいけれど、そんなに苦しい姿勢ではない。磔が明日の朝までの24時間だとすれば、すくなくとも今夜は憎いサハディの男に犯されなくてすむのだから。
 兵士が立ち去ると、その娘が話しかけてきた。詰所から見られてもわからなように顔は正面に向けたままで、つぶやき声だった。
「あんた、何者なんだい。シャルミラはXの焼印だけで、あんたを救世主のように崇めちまってるけど」
 シャルミラというのは、ジョティの身代わりに吊るされた少女のことだろう。言われてみれば――ゲリラ組織の中でこそジョティの名前は知れ渡っているが、彼女の顔を知っている者は少ない。まして、あの少女が、自分の正体を知っていたはずがない。
 楽な姿勢で拘束されているせいだろうか。ジョティは明晰な思考を取り戻していた。
 その思考は――すくなくともこの施設においては、末端の兵士までジョティの素性を知っていると告げていた。ならば、この女性を敵のスパイかと疑う必要はない。
「サハディの豚どもからは、飛び切りの危険人物だと思われていることは確かね。たった45人しか殺してはいないけど」
「それだけ殺ってれば、じゅうぶんだよ。きちんと数を把握してるってことは、暗殺とかだね」
「……あなたは、何もしらないほうがいいでしょう。知れば、口封じのために殺されるかもしれませんから」
「ニーシャとおんなじことを言うんだね。まあ、忠告は聞いておくけどさ」
 あっと思った。そうだった。ニーシャとネハのことを忘れていた。
「彼女とも話をしたんですね。どんな様子でしたか?」
「しっ……大声を出しちゃ駄目。こっちも見ないで」
「あ……ごめんなさい」
「あの人ねえ……あたいたちの忠告を聞かなくてね。自分から股を開くなんて、殺されたって嫌だって突っ張って、懲罰室へ入れられた。といっても、懲罰が始まるのはこれから――というか。所長から贔屓客に『活きのいいのが入荷しました』って連絡が行ってからのことだから、今夜か明日かはわからないけどね」
 昨日のサディスチンとの体験があったから、ジョティにも見当がついた。尋問を目的としない、嗜虐者の快楽のための拷問に掛けられるのだろう。
「そこへいくと、一緒に来たネハって人は賢いね。どんなサービスをしたか知らないけど、3人が3人とも満足して帰ったからね。今朝からは1等食だよ」
 収容されている者のあいだにも格差を設けて、団結をさせまいという策略なのだろう。もちろん、そのことでネハを責める気にはなれない。むしろ、ニーシャのほうが馬鹿で無鉄砲だと思う。もっとも。自分にはしおらしく振る舞うチャンスすら与えられなかったけれど、Xの焼印ではなくGの入墨だったとしても……やはり、ニーシャと同じように馬鹿で無鉄砲な真似をしていただろうとは思った。
 それきり密やかな会話は途絶えて。しばらくは静かな朝が続いた。ときおり玄関から泊り客が出てきて、すっかり性欲を満たされているのだろう、両脇の磔なんかには目もくれず、乗って来た車で帰って行く。運転手付きの車が迎えに来たVIPもいた。
 陽が少し高くなってくると、庭に活気が出てくる。胸の悪くなる活気だった。
 40人ほどの女が、ぞろぞろと庭に集まる。全裸で、肌になんらかの傷を負っている者も半数くらいはいるが、手錠とか首輪といった拘束はされていない。玄関に向かって3列横隊で並んだ。しかし、正面に位置する2柱の磔からは目をそらしている。
 短いサイレンが鳴って、全員が同じ姿勢になった。足を軽く開いて両手は腰の後ろで組む――軍隊式の『休め』だった。
 玄関の扉が開いて、5人の軍服が姿を現わす。まん中の人物は、いうまでもなく所長の少佐だが、両端の2人は20代と40代の女性だった。軍服ではなく、首元から足までをすっぽりおおう黒いタイツを着用している。
「前後左右に開け」
 40人が2m間隔に開いた。タイツ姿の女がその前に立つ。
「背伸びと屈伸」
 ホイッスルの音に合わせてタイツ姿が両手を上に突き上げる。40人が、それを真似する。
 両手をぐるんと廻して水平で止めて、膝をいっぱいに屈伸させる。その運動を10回繰り返した。
「左右へのストレッチ」
 腰を落として片脚を曲げ、反対の脚をいっぱいに伸ばす。左右交互に5回ずつ繰り返す。
 マスゲーム、あるいは集団体操である。演技者が全裸であるという一点さえのぞけば、さわやかな朝の健全きわまりない行事かもしれない。
 集団体操のあとは、40人が一列になって庭の内周を駆け足。
 つまりは、収容者を運動不足にさせないための日課なのだろう。
 この40人ばかりが、ここに収容されている全員だとは思えない。白人にしか見えないSA40021の姿が見えなかった。ニーシャもいない。ネハは玄関前を駆け抜けるときに、ちらっとジョティに視線を走らせて、バツが悪そうに顔をそむけた。
 反抗的な者や傷がひどい者は除外されていると考えるべきだった。
 建物のほとんどが収容者に割り当てられているとすれば、管理者たちの居住区画を考慮しても、500人以上を収容できる。しかし、『お客』のための無駄に広くて豪奢で殺風景な部屋がすくなくとも5階建ての1フロアを占めていることを考えれば――収容者の数は最大でも300くらいではないだろうか。
 あるいは。昨日の訪問者の数は200人には達さなかっただろう。それで、ネハは3人を相手にさせられたという。あれやこれやを考えると、ここに収容されている者は100人を超える程度なのではないだろうか。不確かな数字を積み重ねて、ジョティはそんなふうに推測した。
 その一方で。入墨の数字は、通し番号の下4桁が(ジョティの見たかぎりで)最大で3千番台だった。最上位の1桁が所轄区域を示して、これが少なくとも8までは存在しているのだから、生粋のラハディだけで、入墨を施された女性は国全体で1万人以上になるのではないだろうか。とすると――ここと同じような施設が各地にたくさんあるのか、『業務』をさせるにふさわしくないと判定されて、別の処遇を受けているのか。まさか殺されたとは考えたくないけれど……
「駆け足やめえ!」
 号令で、ジョティの思考は中断された。
「全員、速やかに監房へ戻れ」
 40人ほどの全裸の女性がばらばらに、建物の横へと消えていった。
 半時間ちょっとのグロテスクな(見る者によっては卑猥で嗜虐的な)賑わいが終わると、庭には柔らかな朝の陽光が降り注ぐばかりとなった。
 午前中は施設のメンテナンスに割り当てられているのか、収容されている女性が雑役に駆り立てられている姿も散見された。庭を熊手のような単純な道具で清掃している者たち、命綱一本で屋上から吊り下げられて外壁をブラシでこすっている者たち。軍用トラックが到着すると、荷運びに従事する者たちもいる。全員が下腹部に入墨のある全裸の――ここに収容されているラハディ族の女性だった。彼女たちの顔に、労働の悦びは無い。しかし、差し迫った恐怖も感じていない。ひたすらの諦念だけが、そこにあった。
 1台の護送車が来て、2人の娘が兵士に連れられて建物へ引き込まれた。新たな収容者かもしれない。断定できないのは、2人ともに普通の格好つまり衣服を着ていたからだ。
 正午をまわると、だんだんとゲートの開閉が増えてくる。マイクロバスや兵員輸送トラックで乗り込んでくる大量の若者。この国ではステータスシンボルである乗用車で乗り付ける民間人と思しき男ども。夕暮れが近づくと、運転手付きのリムジンや将官旗をはためかせた小型軍用車両がちらほらと混ざる。
 たいていの男は玄関を入る前に、オーナメントにちょっかいを掛けてくる。
 玄関をはさんでジョティの反対側に飾り付けられているC30635の若い娘は、乳房を握りつぶされるとか股間を靴先でつつかれるとか、(ここの基準では)ごく軽い愛撫を受けるくらいのものだったが――X10004の焼印を持つジョティへの扱いは、まったく異なっていた。XはG(ゲリラ)よりも凶悪な人物であることを意味している。そういった重罪人には、当然の報いを受けさせるべきだった。
 乳房をサッカーボールのように蹴り上げる。胃液を吐きこぼすまで腹を蹴りつける。足を高く上げて靴底で顔を踏みにじる。わざわざ煙草を吸って、まだ傷も生々しい股間でねじ消す者もいた。
 しかしついに、ジョティは悲鳴をあげることなく暴虐を耐え抜いた。泣き叫べば、あるいはそれ以上の仕打ちを(つぎの一団が訪れるまでは)免れていたかもしれない。それとも、いっそうの嗜虐を誘っただろうか。どちらにしても、同胞からは同情されると同時に失望もされていただろう。いや、それ以上に――ジョティ自身が、サハディの豚どもに屈服したという自己嫌悪に陥っていただろう。
 日が暮れる頃には、ジョティの全身は痣まみれ泥まみれになり、切れた口角から滴る血と鼻血とで顔は赤く染まっていた。
 これでは、数週間後には始まるはずの裁判まで容疑者を生き長らえさせることも難しいと判断されたのだろう。3日目には横木の多い十字架への大の字磔に変更された。足を乗せる台が付け加えられたので、身体への負担もぐんと減った。高い位置からの放水は羞恥のきわみではあったが。
「これだけ派手なシャワーなら、むしろ跡始末に手が掛からなくていいやな」
 たまたま放水を目撃した衛兵がからかったように――切り刻まれて癒着しかけた小淫唇のせいで、小水は放物線を描くこともなくスプレー状に撒き散らされたのだった。
 4日目は早朝にいったん磔から解放されて、身体をほぐすための運動を強いられた。最初は立てなかったので、四つん這いで庭を一周。つぎに、呼び出された2人の収容者に両肩を担がれて一周。最後は自分の足で一周。銃剣とベルトで追い回されたので、尻には浅い刺し傷、背中には無数の鞭痕が新たに刻まれた。そして、ふたたび大の字磔。
 この2日間で、いっそうの残虐に耐えられる程度には回復したとみなされて、5日目には縛り首に掛けられた。Γ形の柱から吊るされた太い綱で首を括られて、50cm間隔に立てられたレンガの上に立たされた。レンガを踏み外したり倒したりすると宙吊りになる。両手は拘束されていないので、綱をつかんで身体を支えれば窒息は免れる。
 レンガの上に立ち続けるだけでも、むしろ(踏み台付きの)大の字磔にされるよりもつらいのだが――訪問客の中には、面白がってレンガを蹴飛ばす者もいた。そうなると、両腕だけが命綱となる。ゲリラとしての訓練でじゅうぶんに基礎体力を養っているジョティだが、連日の磔と少ない食事とで体力は弱っている。10分としないうちに体重を支えられなくなって、じわじわと首を絞められる。片手ずつ力を抜いてしのごうとしたが、首が締まってくると頸動脈が圧迫されて、窒息以前に意識が薄れかける。
 失神すれば、見張っている衛兵がすぐに助けて――レンガの上に立たせてはくれるが、都度、死の恐怖に曝される。
 さいわいに首吊りは夜になると赦されたが、片足だけの逆さ吊りにされた。といっても、やはり両手は自由で上体を支えることもできたので、翌朝までなんとか生き延びることもできた。
 6日目は、白人にちかい少女がされていたのと同じように、2本の柱の間に開脚磔にされて――1本の棒ではなく2本を、前後の穴に串刺しにされた。
 手足につながれた鎖はむしろ弛み気味で、股間を貫く2本の棒で身体を支えられている、心身ともに衰弱しきった少女を甚振る訪問客は、滅多にいなかった。とはいえ、いることは居たのだが。乳房には、さらに十数個の煙草の焦げ跡が追加され、多重の花弁のように変形した小淫唇や膣を拡張する棒杭に押し出された淫核も焼け焦げで無惨に彩られた。
 しかし、哀れな被虐者あるいは凶悪な大量殺人者への懲罰は、このあたりがピークとなった。
 8日目の昼前。Π字形の磔柱に手足をひと括りにされてV字形に吊るされているジョティの目の前で、30人ほどの女たちが兵員輸送車に乗せられて、いずことも知れぬ彼方へと連れ去られた。
 ジョティは担架に乗せられて建物の中へ運ばれた。医務室だか拷問部屋だか定かでない部屋で――傷の手当てを施されたのだから、やはり医務室なのだろう。その部屋の片隅にある木の床板に薄汚れたシーツを敷いただけのベッドで(傷口の化膿を防ぐためだろう)朝晩に裏表をひっくり返されながら、大の字磔の形で4日間を拘束されて過ごした。
 その間の栄養補給は点滴と流動食だった。流動食はスプーンや吸い飲みで与えられるのではない。誤嚥性肺炎を避けるために食道まで太いパイプを突っ込まれて、一気に流し込まれたのだった。そして排泄は、カテーテルによる吸引で管理された。
 ジョティにとっては、どんなに残酷な磔よりも恥辱の4日間だった。

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 中盤までネチネチと責めシーンを連ねて。物語の収束は、最終章でまとめて書き抜けました。
 200枚ちかくになって、『短編』ではなくなりましたが。


 さて。お次は『敗残姫牢虐譚』に着手です。100枚を予定。これくらい、1週間で書いてしまいたいものですが、さて?

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

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濠門長恭

Author:濠門長恭
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