お気に入りの写真(ハーネス1)

  ハーネスは、単体ではあまり好きではありません。ここに挙げた画像も、電子出版の表紙BF(CG以前)用にストックしている中から、まあそれなりを抜粋したものです。
 以前にポニーガールで紹介したような「特定の目的のためのハーネス」は別です。裸牝馬よりは完全装備の牝馬のほうがそそられます。
 単体のハーネスでは、たとえば着用者がマゾ牝なのか女王様なのか、判然としないものもあります。

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 基本的に、
・女王様の場合は乳房と股間を包んでいる
・ピンヒールがマスト(とまでは言いきれませんが)
・鞭などをお持ちになっている
ですが、乳房も局部も露出してらっしゃる女王様もいらっしゃられりるお。
 マゾ牝の場合は、腕などの拘束が、筆者としては絶対条件です。どんなにガチガチに胴体を拘束していても手が自由では興醒めです。股間については、ディルドでもぶちこむか、何時でも「使える」ようにしておくか、これは果てしなき考察の深淵ですが。

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 興味が薄いので、おちゃらけぽくなってます。
 筆者としては、一般的なハーネスよりは物理的な責めに特化した装備のほうが好きです。代表的なのが、剣山ブラジャー&パンティです。ずっと以前に不二企画(濡木痴夢男)のビデオで、処女っぽい子に(本物の剣山2連)ブラを装着させる作品を見た記憶がありますが、現在は廃盤になっているみたいです。残念。


SM_釘付革パン装着直前

 剣山をそのまま二つ並べたブラなんかは、服を着ても装着がマレバレですが、ブラの中に画鋲を仕込んだりした商品もあります。それは、アフィリンクの『Family SM Triangle』を読んでいただくとして。
 画像としては、こんなところ(上記)です。




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 しかし。エロでないハーネスは、むしろ妄想竹の花が咲き誇ります。
 左は、スカートのサスペンダーですよね。胸回りにもうすこしXとかHとかが欲しいところです。
 右は、これは、なんといいますか、小さな子が迷子にならないよう車に轢かれないよう悪いオトナに連れ去られないようにという目的でしょうが。ほとんどペット用のハーネスと変わりがありません。これで裸の女の子を引き回したりすると……かなり問題でしょう。水着でも同じでしょう。
 水着+ハーネスは、昭和中期あたりまでなら成立したでしょうが、残念、当時はこんなハーネスがありませんでした。
 マインドコントロールだとかタイムスリップだとかファンタジー世界とかに逃避せず、基本的な部分は史実に基づいたSM小説を書くという筆者のスタンスとしては、中道具(小道具にしては大きいですよネ)に採用することは諦めざるを得ません。
 憲兵とか特高警察が電マを使うAVにはシラけまくりですが。こないだなんか、ヒロインを陵辱しているシーンを(アカである父親に見せつけるために)撮影するのに、なんとポラロイドカメラを使う作品を目にしました。オーストラリアの描かれた地球儀を織田信長が弄んでいるようなものです。
 

テーマ : 今夜のおかず
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:売姫三日晒

 結局100枚ちょうどで終わりました。
 やはり、少ない責めシーンを冗長に引き伸ばすのは、全体のバランスが悪くなります。
 今回は、「これが書きたかったから書いた」の紹介です。


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生恥磔刑

 一夜が明けて。陽も昇り切った辰の一点(午前八時頃)、女郎花は身体を折り曲げている縄だけは解かれて、後ろ手に縛されたまま仕置の場に引き出された。全裸である。どころか、股間から内腿にかけては破瓜の血はおろか白濁の残滓さえこびりついている。その無惨な姿を、何十人もの雑兵や武将、さらには人垣の奥からは妓たちにまで見られているのだった。
 仕置の場は、城に向かい合った陣前だった。山の中腹にある城とは隔たっているから、正面から寄せてくる気遣いは無いにしても――あるいは敵に見せつけることで、茂親は何かを目論んでいるのかもしれない。
 しかし、そのような詮索をしている心の裕りなど女郎花には無かった。いや、犯された(といえるかどうか)痕跡も明白な裸身を曝すことへの羞恥すら消し飛んでいた。
 仕置の場に置かれた刑具は、磔柱だった。それも十字架ではなく、脚を開かせるための横木が付け加えられたキの字架だ。女を素裸で開脚磔に掛けるとは、残虐を凌駕して淫虐だった。
 そして。磔に処すとは、槍で突き殺すか焚き殺すつもりなのだ。茂親の思わせ振りな言辞に生きる望みを見出だしていただけに、女郎花の絶望は深かった。
「御大将、秋元茂親殿」
 女郎花は茂親を振り返った。彼は、身分が三つも四つも下の者に命じるべき役割をみずからに任じている。すなわち、女郎花の腰縄を握っていた。
「繰り返しますが、一切の咎はわたくしに帰すること。如何様に御成敗されようと恨みませぬが、なにとぞ、余の妓どもにはお咎め無きよう、重ねてお願い申し上げます」
「くどい。さっさと生き恥を晒せ」
 茂親は短刀を抜くや、いちいちほどくのは面倒と、女郎花を縛っている縄を斬り落とした。
「あの……出来ましたら、磔に掛けられる前に身を清めたいのですが」
「儂は生き恥を晒せと申したぞ」
「…………」
 女郎花は唇を噛んで、地に伏せられたキの字架の横に跪いた。たちまちに、足軽よりも身分の低い人夫どもが、女郎花をキの字架の上に仰臥させた。手首と二の腕に太い縄を巻き結んでから真横に広げさせ、上の段の横木に縛り付ける。
 すでにこのとき、女郎花は違和を感じていた。下の横木が、ほとんど腰の高さにきていた。
 しかし疑念は、すぐ恥辱に変じた。人夫どもは、足首と膝下と太腿の三か所に縄を掛けてから、横木の高さまで女郎花の両脚を力ずくに開かせたのだった。
 女郎花は大の字どころか土の字の形で磔けられた。
「くう……このような……」
 限度を超えて開かされた股関節が、びきびきと軋んだ。その苦痛以上に……これでは、真っ二つに引き開けられた淫唇の奥底まで覗かれてしまう。乙女ではなくなったとはいえ、うら若い娘に耐えられる恥辱ではなかった。
 茂親が「生き恥を晒せ」と言った意味を、女郎花は痛切に理解した――と思った。
 いよいよ、磔柱が押し立てられた。柱の根元は穴に深く埋められて、女郎花の裸身は四尺ほど持ち上げられただけ。つまり――並の背丈の男が真下に立って手を伸ばせば、容易に股間まで届く。長槍で胸を突くには、やや低い。
 女郎花の横に捨札が立てられた。文字の読めない者のために、茂親が直々に読み聞かせる。
「推参女郎どもの長、女郎花。右の者、乱破を引き入れ戦の大事を敵方に知らしめた咎により、三日間の懲らしめ磔に処するものなり。三日後の日没まで永らえれば、解き放ちと為す」
 懲らしめに磔を使うなど、女郎花には意想外だった。しかし考えてみれば、路傍で樹に縛り付けるなどして晒し者にする例は幾らでもある。それよりも一段と厳しい処罰と考えれば、奇想天外でもなんでもない。
「三日間のうちは、この者に何を仕掛けようと構わぬ」
 茂親が声を張り上げた。
 二人の人夫が女郎花を挟んで捨札の反対側に木の台を据えた。足軽が、これも二人。台の上に様々な小道具を並べ、横に四本の槍を立て掛けた。
 槍の一本は、鋼の穂を備えた真槍。しかし残りの三本は――槍穂ではなく男根を模した木彫りの大小と、羽毛を束ねたハタキだった。突き殺すも構わず、生きたまま死なせるも善しという趣だった。
 台の上の小間物も、同じこと。鞭や笞や杖もあれば、太い筆に細い針、ヤットコや短刀まであった。
「これには限らぬ。好きな得物を使え。魔羅でも許すぞ――届くならばな」
 雑兵どもが下卑た嗤い声をあげた。
 人垣の後ろにいた妓たちの顔色が変わった。薊、椿、桜の三人が陣所の向こう側、槍小屋へと駆け出した。
 男どもの視線に耐え切れず目を固く閉じている女郎花は、その動きに気づかない。茂親をはじめとする武将たちが去り、磔柱の間近まで男どもが押し寄せてきたのは、気配で感じている。
 その気配が、大きくざわついた。
「どきなさい。長から離れなさい」
 薊の声に女郎花は目を開けた。三人が薙刀を掻い込んで、他の妓は素手で、磔柱を中心に円陣を作ろうとしていた。
「おやめなさい!」
 女郎花は声を張って叱りつけた。
「わたくしのことは捨て置きなさい。御大将の措置を妨げてはなりません」
「これは、したり」
 桜も娼売妓の分限を忘れて昔の言葉遣いに戻っている。それほどに逆上していた。
「ひめ……長には誰がどのようにしても構わぬというのが、御大将の下知のはず。我らが薙刀構えて取り囲んでも、下知に背いてはおりませぬ」
「それは詭弁と申すものです」
 女郎花は妓たちの忠義をありがたいと同時に、心苦しく思った。用心棒だ扇の要だと言われようと、この妓たちに養われている身ではないか。
 それは確かに――男どもに命運を握られず、女だけで乱世を生き抜けようと最初に覚悟を決めたのは女郎花ではあったが。これ以上に、己れの我儘に臣(おみ)や民(たみ)を巻き込んでよいものか。
「わたくしに危害を加える者など、ここにはいません。皆、あなたたちの上得意様ではないですか」
 辱しめる者はいるだろうけれど。心の中でつぶやいて、ふっと妙案を思いついた。
「それよりも、あなた方は娼売に精を出しなさい。男は、精を放った後は女を遠ざけます。とって返してわたくしに悪戯を仕掛けようとはしないでしょう」
 妓たちを相手にせず女郎花を苛めようとする男を、一人だけは知っているけれど。
 桜は女郎花の真意を計るように、その目を(股間は見ないようにしながら)見上げていたが。ついと薙刀を引いた。
「御意のままに」
 桜はあたりを見回して、雑兵どもに呼び掛けた。
「今日は朝から口開けだよ。これから三日、五十文を十文にまけてあげる」
 思ってもいなかった口上に、雑兵どもがざわめく。
「ただし……長にちょっかいを出したやつは、総好かんを食らわせるからね!」
 桜の思惑は、薊と椿には即座に伝わった。二人は他の女郎を引き連れて、槍小屋へと向かう。その後ろから、集まっていた雑兵の半数以上がぞろぞろと続いた。桜はひとり残って、女郎花の斜め後ろに立った。
 仕置の場に残った雑兵どもも、磔柱を遠巻きにして見物するばかり。棒杭でも持って数人で掛かれば、女の細腕が振るう薙刀など恐くはないが――顔を見覚えられて女郎から総好かんとなれば、割に合わない。御大将の言ったごとく、女郎花の女淫に魔羅は届かないのだから。
「里乃……妾が空木の見極めを誤ったばかりに、皆に迷惑を掛けて申し訳なく思います」
「なんのことぞ、ありましょう。姫様こそ……お痛わしい」
 二人の声は、雑兵どもにまでは届いていない。
 そのまま黙り込む二人。生き恥を晒した姿で、話の接ぎ穂があろうはずもなかった。

 陽は移ろい、天を沖し西に傾く。すでに、野次馬の姿はまばら。五十文は無理でも十文ならば融通できる。絵に描いた餅よりは食える団子が良いと、槍小屋は門前市を成す賑わいなのだろう。
 身動きもならず磔けられていれば、思いを巡らすくらいしかできぬ。
 ややもすれば、昔のことばかり頭に浮かぶ。ずっと昔の幸せだった頃の思い出は、父母と兄弟の死に連なる。他家に嫁いだ姉は、後ろ盾を失って追放されたのか端女に落とされたのか消息は聞かぬ。
 男どもが勝手に始める戦には二度と巻き込まれまいと、桜、薊、椿と語らって女郎の一座を旗揚げして。それからは辛い日々の中にぽつんぽつんと楽しい思い出。先輩女房に仕込まれ殿方に手をつけられて磨き込まれた桜の手で初めて絶頂へ追い込まれたときの思い出は、しかし、茂親に自ら跨った破瓜の生々しい記憶の前に儚くなりつつある。
 生き延びて解き放たれても。しかし、一座を続けてゆくことは叶わぬかもしれぬ。茂親に囲われるか、それを拒めば囚われて――同じことになるだろう。
 それはそれで、女として諦めねばならぬ事訳(ことわけ)ではあろう。今は三万石に過ぎぬが。十年前には二千石、三年前には一万石だったと聞く。嫡男の茂親が陣頭に立つようになってより、一気に三万石まで増えたという。ならば。三年後には五万石にも十万石にもなっているのではないか。攻め亡ぼされる懸念は、それだけ遠のく。
 もちろん。雑兵どもの前に生き恥を晒した身。後ろ盾もない。茂親は強大な他国から正室を迎え、我は良くて側室、あるいは身の回りの世話をする端女として扱われるかもしれぬ。
 けれども。そういった先の話は、この仕置を生き延びてからのこと。槍で突き殺されるのは免れても。たかだか三日くらい飲み食いできずとも生き死にの沙汰にまでは及ばぬとしても。このように無理強いな姿で磔けられて、血の巡りが滞り手足が腐ってしまわないだろうか。すでに指先どころか肘や膝も、どこにあるかさえ分からぬまでに痺れている。肩はたえずめきめきと痛み、股関節は今にもはずれてしまいそう。
 女郎花に付き添っている妓は、ひとつ文字の三人がほぼ二刻おきに交替している。顔を上気させ着付けもそこそこに立ち現われるところを見ると、五百文を百文にまけているのか、まさかに十文ではないだろうが、武将や物頭だけでなく足軽にまで身を張ってくれているのだろう。薊の頬には白いものがこびりついていたが、あるいは二人掛りまで請け合っているのか。
 そうして、申の刻も過ぎ。じきに暮れ六つ(午後六時頃)。茂親が単身で姿を見せた。単身とは、側近を伴なっていないという意味である。縄やら梯子やらをもった人夫が四人付き従っているし、御大将が何をなさるのかと、野次馬もぞろぞろ。
 茂親は、血の気の引いた女郎花の頬が赤く染まるまで、真正面から女淫を見上げる。それから地面に目を落とし、足で土を掻いて。
「昨晩からずいぶんと経っておるに、まだ小水を堪えておるのか」
 言われて、忘れようとしていた■意がたちまちに甦る女郎花。昨夜から一滴の水も喉を潤していない。まだ日中は暑く汗もにじむ。だから、どうにか今まで持ちこたえられた。
「夜明けまで楽にさせてやる。その前に済ませておけ」
 などと言われても、まさかに他人の見ている前で用は足せぬ。しかも、土の字に磔けられていては、どれほどの醜態になるか見当もつかない。
「……お赦しください」
 女郎花は羞恥と■意と共に責められながら哀願した。しかし、茂親に憐憫の情など無い。
「許す。見事に小水を噴いて見せろ」
「…………」
 女郎花は唇を噛んで、いっそう■門を引き締めた。
 茂親は何を思ったか、朝からひとつも使われていない責め道具を載せた台に近づき、槍を手にした。鋼の穂を着けた真槍を。
 茂親は懐から木賊(とくさ)を取り出して、刃を磨いた。さらに小さな砥石を取り出す。砥石は、人を斬り脂を巻いた刃を甦らせるに必需な品である。その場を動かず敵を迎え討つなら、太刀といわず槍といわず、何本も地に突き刺しておく手もあるが。しかし茂親は、常とは直角に砥石を使った。すなわち、刃を挽いた。
 そして、女郎花の女淫に向けて槍を構えた。
 チイン……
 薊が駆け寄って槍を薙刀で打ち払おうとしたが、茂親はびくともしない。
「おやめください。敵わぬまでも手向かい致します」
 磔柱と茂親との間に割ってはいろうとするが、これもあっさりと突き飛ばされてしまった。
「心配するな。殺しはせん。いや、傷つけもせぬわ」
 茂親が女淫に向かって、探るように槍をゆっくりと繰り出した。
 真槍といっても、戦場で鎧を突けばたちまち折れてしまいそうなほどに穂は細い。しかも刃挽きしてある。女淫を傷つけることなく、鋒先(きっさき)が挿入(はい)ってゆく。
 一寸の余も鋒先を突き挿れると、茂親は柄を握る右手を腰に固定し、左腕を伸ばして穂に近いあたりを人差し指に乗せ、かすかな手応えを探りながら一厘(約〇・三ミリ)刻みに動かして……
「あっ……ああっ」
 ぷしゃああああ。淫裂からか細い滝が迸った。
 茂親は槍を引いたが、みずからは後ろへ逃げなかった。滝の飛沫が顔に降りかかる。
「うわははは。干天の慈雨じゃ」
 ぺろりと口のまわりを嘗めて。
「甘露、甘露」
 見物の雑兵どもが、わああっと囃し立てる。女に小水を浴びせられた大将を蔑むどころか褒め称えている。
 衆人環視の中での放■という辱めに加えての仕打ち。女郎花は身の置き所も無く、慟哭すら忘れて羞恥に悶えるしかなかった。
「さて、余興はここまでじゃ。ゆっくり眠れるよう、縄を緩めてやろう」
 茂親が淫残に嗤った。人夫が差し出す鉄棒を受け取る。鉄棒は径がわずかに五分(十五ミリ)、長さは三尺に及んだ。
 磔柱には、下の横木のすぐ下に鉄棒と同じくらいの穴が明けられている。そこに鉄棒が通されて、裏表から小さな楔で固く止められた。
 磔柱の左右に人夫が四つん這いになり、その上に一人ずつが乗って、女郎花の足の縄をほどいた。
 女郎花は半日ぶりに足を下ろせたが、太腿の付け根で鉄棒を挟み込む形になった。
 さらに人夫は磔柱に後ろから梯子を立て掛けて――二の腕の縄もほどいた。己れの重みで、女郎花の身体がずり下がる。
「あ……痛い」
 磔柱から突き出る鉄棒が淫裂に深々と食い込んで、女郎花が遠慮がちな苦鳴を漏らした。
「鉄棒ではなく刀を突き立ててやってもよかったのだがな。まあ、それは明日の楽しみにしておこう」
 茂親は床几を持ってこさせて、女郎花の前に腰を据えた。
「魔羅と鉄棒と、どちらの咥え心地が良いかな――俵藤三郎が次女、小夜姫殿」
 すでに半ばは生気の失せていた女郎花の顔に、赤みが差した。我から進んで身を投じた境遇ではあるが、身をやつしたという忸怩も皆無ではない。
「今さらに、詮も無きことを」
 女郎花、いや小夜姫は虚しい想いに身を置きながらつぶやいた。
「それにしても、何故にお知りになられましたのか?」
 女郎花の素性を知るのは、ひとつ文字の三人のみ。彼女らは俵家のそれぞれ重臣に仕える女中だった。言葉を換えれば手掛(てかけ)だった。この三人が漏らすはずはない。
 けれども。ふたつ文字のうち五人は俵領内の者どもであってみれば、女郎花が領主の娘とまでは夢想だにしなくとも、お城の女中くらいには思っているし、女郎花より年長の三人の接し方を見ていれば、女中のうちでもかなりに身分が上の者だろうと察してもいるだろう。
 しかし、茂親から帰ってきた答は小夜姫の意想を衝いていた。
「知れたこと。小太刀を良くする娘など滅多におらぬ。なにがしの身分を持つ娘となると、さて日の本を総ても五本の指で足りよう。まして、おまえたちは西国から流れてきたというではないか」
 飛耳長目とはいうけれど。この男は、百里も西で起きた些細な豪族の争いを、一年半も経ってから、今の時にこの地で、春をひさぐ女の寄り集まりと結び付けて思い出したというのだろうか。小夜姫は、秋元茂親という男を見誤っていたと知った。
「それで……妾の素性をお知りになって、どうなさるおつもりですか」
「取るに足らん素性だ、儂にとってはな。そこの捨札にある通りになさってやろうとも」
 茂親は床几から立ち上がって、小夜姫に近づいた。両手で腰をつかんで、ぐいと押し下げた。鉄棒が、ますます小夜姫の股間を抉る。
「くうう……まだ嬲り足りぬと思し召しなのですか」
「丸い棒では面白くないな。刀とまでは言わぬが、明晩はせめて角棒くらいは跨がせてやろう」
 小夜姫から手を放して、床几へ戻った。
「明日も慈雨を降らせてもらおうか。それには、元手を仕込まねばな」
 茂親の指図で、まだ磔柱に立て掛けられたままになっていた柱を人夫が登って。後ろから手をまわして柄杓を小夜姫の口元へ近づけた。
「たんと飲め。上から注げば下から出る道理じゃ」
 小夜姫は茂親を見た。おや、と思った。目の色が和らかだった。辱める支度ではなく、まさかに我が身を案じてくれているのか。
 小夜姫は唇に柄杓を受けて、素直に水を啜った。乾き切った体の隅々まで潤される思いがした。二杯三倍と飲み干して、ようやくに、我は今まで人心地を失っていたのだと気づく。
「ありがとうござります」
 小夜姫は素直に、心の底から礼を述べた。
 ふんと鼻を鳴らして、茂親が床几から立ち上がった。
「おまえが悶え苦しむ様を眺めようとて思っていたが、これではな。明晩を楽しみにしておれ」
 小夜に背を向けて陣へ戻りかけ、ふと立ち止まって振り返る。
「儂にしてみれば、おまえは小夜姫ではなく女郎花じゃ。されど、人によっては滅びた俵家の忘れ形見ではあろうな」
 謎めいた言葉を残して、茂親は立ち去った

 股間に深々と鉄棒が食い込んでいるとはいえ、丸みを帯びていれば苦痛にも限りがある。鉄棒に身体の重みの過半を支えられて、肩の痛みも消えた。喉の渇きも癒されれば、空腹など物の数ではない。昨夜から一睡もしていなかった小夜姫は、いつか――決して安らかとはいえないにしても泥のような眠りへと落ちていった。
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三日晒1

 さてさて。表紙絵もこんな感じでしょう。
 元図をグルグル検索しても、元ネタがひっかからずに、コピーが1件だけと、オリジナリティの侵犯がちょっと怖いのですが。輪郭抽出で彩色ですから、まあ、許してくださいね。です。



テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:売姫三日晒

 軽く百枚は突破するかなとみていましたが。やはり、「70枚を目処」にしたPLOTです。責めシーンが二つと、序盤のサービスがひとつと。そして、何故か「あっさり流す」傾向になってきて――早く次を書きたいという意欲が、悪い方向に流れてますね。

 今回は、序盤のサービスシーンを含む、「序破急」の「序」の部分。「起承転結」の「起承」あたり。わずかに1万文字です。
 この後は怒涛の責めシーンですが、それは次回ということで。

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御陣女郎

 天文八年葉月。穂が実り初めた田圃を横に、異様な集団が道を進んでいる。
 色も艶やかな小袖に藍染の袴、薙刀を携えた若い女人が二人。左の女の小袖は薊の模様、右の女は桜。ともに、髷を結わず前髪をそろえた切禿。頭には二枚の櫛を左右に並べて差している。
 その後ろには、無地の小袖に足元を絞った軽杉(かるさん)袴、腰に小太刀一本を差した若衆姿だが、頭は高々と結った先を横へ広げた唐輪髷(からわまげ)に、櫛は差していない。先を歩く二人よりは明らかに稚い。色小姓とも春を売る妓とも見えるが、それにしては凛とし過ぎている。
 三人に続くのは、山ほどの荷物を背に乗せた牛が五頭と、空荷が二頭。曳いているのは、先頭の二人にも負けない色小袖が八人。二十歳(はたち)前から、せいぜい三十路すこしか。頭は、まちまち。女だてらに茶筅を結った者もいる。この者たちも櫛は二枚だった。
 殿(しんがり)は先頭と同じ切禿に二枚櫛、椿模様の小袖に薙刀と袴。
 数えて十二名の女ばかりだった。
 やがて田圃が切れて狭い荒れ野に出る。荒れ野の向こう端には薄い陣備えが小さな山城を取り囲んでいた。
 陣から三頭の騎馬と五人の足軽が駈け出て来て、たちまちに女人の一行を取り囲んだ。
「おまえら、かような所で何をしておる。いずこへ行く」
 侍大将の形(なり)をした若武者が、馬上から誰何する。女たちはひと目で流浪の民と知れるから、声は険しい。
「わたくしは、この者らの長(おさ)で女郎花(おみなえし)と申します。こたびの戦(いくさ)で秋元様に陣借りをお願い致したく推参いたしました」
 若衆姿が進み出て答えた。
「女の身で推参とな?」
 推参とは本来、助力を頼まれもしないのに戦場に押し掛けることを謂う。勲(いさお)しを挙げて家臣に取り立てられるのが目的である。
 若武者に騎馬を寄せて、胡麻塩を頭に抱いている、この時代であればすでに老骨が、何事かを耳にささやいた。
「なるほど」
 若武者が馬から降りて、女郎花と名乗った若い娘の一間(二メートル弱)ほど前に立った。
「春をひさぐとはいえ戦場(いくさば)に推参するとは、それなりの覚悟もできておろうなッ!」
 言うと同時に野太刀を抜いて、踏み込みながら上段に振りかぶり、真っ向から斬りつけた。
「……!」
 女郎花は逃げるのではなく、身体をひねりながら斜め前に踏み込んだ。
 若武者が肩の高さで野太刀を絞ったとき、女郎花の右手には小太刀が握られて若武者の喉元に突きつけられていた。これも寸止め。
「わははは。おのれの身は護れるようだな」
 若武者は笑いながら刀を納めた。が、次の瞬間。
「むんっ!」
 抜刀と同時に長大な野太刀を片手で水平に薙いだ。先に倍する太刀の速さだった。
 ガキイン!
 女郎花の小太刀は、脇腹の一寸手前で止まった大剣の峰を叩いた。受けが間に合わなかったのだ。つまり、若武者の最初の一撃は小手調べ。女郎花に刀の心得があると見た二撃目は本気だったというわけだ。
「推参を許すぞ」
 今度こそ太刀を鞘に納めながら、若武者が磊落に言った。
「そうだな――あの辺りに陣立てをするがよかろう」
 若武者が指差したのは、本陣の後方あたりだった。
「少なくとも二十間(四十メートル弱)は、陣から隔てろ。あまり近くだと、兵どもが落ち着かん」
「ありがとうございます」
 女郎花も小太刀を納めると、蒼白な顔で礼を述べた。
 そのとき。もうひとりの、これは豪傑を絵に描いたような騎馬武者が、まるでしなやかな虎のように――荷駄を運ぶ牛のそばに立っている茶筅髷の女に背後から忍び寄っていた。不意打ちに抱きすくめようとする。
 女は女郎花にも負けない素早さで身をかわしかけたが、牛に行く手をふさがれて立ちすくみ、そのまま捕らわれてしまった。襟元に手を差し入れられても抗わず、胸乳を揉まれるにまかせている。
「これよりは、御銭(おあし)をいただきますよ」
 言いながら手の甲を抓った。
「これしきで銭はやれぬが。そこの荷駄で小屋掛けをするのだろう。手隙の者を十人ほど貸してやっても良いぞ――構いませぬな」
 最後の言葉は、若武者に向けられていた。若武者は鷹揚に頷いた。
「兵どもには、それなりの謝礼をしてやれよ。それなりの、な」
 御陣女郎を知らなかったわりには、くだけた青年だった。

 足軽の手伝いもあって、午過ぎに始まった小屋掛けは夕刻には終わった。まずは、十人の足軽たちへの謝礼を済ませてから、三つの槍小屋の戸口に蚊遣りの焚火が置かれた。もうもうと上がる煙が『見世明け』の合図だった。と同時に、出入りする者の姿を曖昧にする働きもある。


未通女長

 ここで、この小規模な城攻めの概要を述べておこう。籠城する大野修理は、女子供を含めて二百ほど。兵の数はせいぜい百といったところか。責める秋元茂親は二百。古来、城を攻めるには三倍の兵が必要とされる。一気に力押しするなら六倍。二倍とあっては、総攻撃をかけても落城はおぼつかない。
 秋元家は三万石と、豪族としては大身である。その気になれば八百は兵を養える。それがわずかに二百なのは、刈り入れ時を真直に控えているからである。八百を動員すれば、稲の刈り手がいなくなる。
 だからこそ、無理押しに城を囲んだのだった。大野領の新米を奪ってしまえば、来年には兵糧に事欠く。そして秋元は肥える。つまり、この戦いは翌年の決戦に備えた前哨戦だった。だからこそ、総大将には当主ではなく、嫡男の茂親が据えられている。
 攻め入った側としては、稲が実り刈り入れが終わるまで居座らねばならない。だから、兵糧も軍資金も潤沢に用意されている。御陣女郎にとっては、宝の山に分け入る心地だったろう。

 敵を封じ込めるのが目的とあれば、兵は暇である。夜には城からの出入りに目を光らせる必要があるので、むしろ働かされる。そして遊女にしても、高価な明かりを灯したくはない。いきおい、申から酉にかけての二刻ほどが稼ぎ時となる。月の障りで休む者もいるから、遊女は十人ばかり。まさかに二百が押し掛けてはこないとしても、女日照りの中の慈雨とあれば、五十人から上は三つの戸口に分かれて並ぶ仕儀となる。
 男たちの中には、藁で編んだ大きな袋を担いでいたり、小さな壺を抱えている者もいた。米やら塩味噌が、ときとしては銭よりも重宝される。
 わいわいがやがや。男を送り出し次の男を迎え入れる遊女の姿を間近に見ながらの品定めをする連中もいる。
 ――雑兵どもが、一斉に固まった。御陣女郎の一行を誰何した三人の武者が、揃って出陣してきたからだった。
 雑兵を蹴散らして、三人が槍小屋の前に立った。出迎えたのは、先頭で薙刀を携えていたうちの一人だった。
「長は空いているか?」
 いるのかではなく、空いているか。女は問いの意味を正しく解した。
「お生憎様。長は商いをしないんだよ。あたしじゃ駄目かい?」
 女が上目遣いに若武者を見る。まさしく鼻毛を読んでいるのかもしれない。
「あたい、桜っていうんだ。ひとつ文字の名前は他に二人しかいないんだよ」
「そういえば、長は三文字の名だったな。意味があるのか?」
「長は格別さね。あたしらひとつ文字の妓(こ)は、色修行をたんと積んでる。蓮華とか文目ってふたつ文字の妓は、家を焼かれた娘とか逃散した百姓とか、地娘ってやつでさ。股をおっ広げて、はいどうぞしか取り柄がないんだね」
「では、柴田康永に絡まれた娘もひとつ文字か?」
「空木のことかい。あの妓は前からの娼売娘さ。けど、新参だからふたつ文字なんだね」
「ふうむ。女郎の寄り合い所帯にしては、仕来りがうるさそうだな」
「女郎だからさ。そんなことより、あたしを買わないのかい?」
「幾らだ?」
 桜は若武者の鼻毛を読みながら、甘える声で、しかしきっぱりと告げた。
「五百文」
「馬鹿な」
 若武者がのけぞった。
「儂は遊女屋を借り切るつもりなどないぞ」
 この当時、女の値段は極端に安かった。五百文はともかく、桜の言う二つ文字の妓は五十文。それも戦場だからこそで、平時の街角なら十文が相場だった。普請に雇われる人足の日当の二割である。
「火が消えるまで付きっ切りで、腰巻まで脱いで相対(あいたい)してあげるんだけど?」
 平安時代あたりのやんごとなき方面は格別として。この時代に限らず江戸時代でも、娼売妓といわず、性交は着衣で手早く済ますのが普通だった。女がみずから全裸になるなど、破廉恥とか卑猥で言い表わせる行為ではなかったのである。そうまで無茶をしなければ断ち切れない過去が、女郎花を含めて、この娘たちにあったとは――いずれ物語られるであろう。
 五百文どころか五十文も惜しんだのか。女郎花でなければ沽券にかかわると思ったのか。若武者は御供の二人を引き連れて陣所へ引き揚げて行った。
 槍小屋の前に活気が戻った。

 三つの槍小屋のうちの二つは屏風でそれぞれ四つに区切られて、八人いるふたつ文字の妓が一本五十文の線香を立てて、小半時刻みの商売に励んでいた。月の障りになっている妓も、子種塞ぎの草を詰めれば男に分かりはしないと、しんどい身体に鞭打っている。残るひとつの小屋は、壁と同じ筵で三つに隔てられて、そのひとつでは、椿という女が五百文の客を相手に素裸になって奔放な性技を繰り広げている。
 そして、三つの槍小屋が弧を描いて並んだ奥の、いっそう小さな小屋では、長の女郎花と桜、薊の三人が憩っているのだが。
 周囲から筒抜けも同然に聞こえてくる妓たちの嬌声に、女郎花ひとりが頬を染めてうつむいている。四面楚歌ならぬ三面艶歌だった。そして。正座の習慣がない時代にあって、女郎花は行儀よく片膝を立てて座しているが、両側に侍る桜と薊は、長に身を添わすようにして、裾を乱し脚を投げ出した横座り。三人とも袴は脱いでいるから、小屋の中もそれなりに妖しい光景ではあった。
 やがて、女郎花が腰をもじつかせて。小さな声を漏らす。
「桜、薊……妾(わらわ)は、もう、もう……」
 みなまでは言わさず。薊が横ざまに女郎花の口を吸い、胸元に手を差し入れる。立膝の裾を桜が割って、白い太腿を剥き出しにする。
「ああ……」
 薊はすがりついてくる女郎花を筵の上に仰臥させて、帯に手を掛ける。前をはだけて胸乳を夕暮れの薄明に晒す。さらに下まではだけると、女郎花は腰巻を着けていなかった。代わりに、幅六寸ほどの布の両端に紐を縫い付けた、もっこ褌を着用している。これは、袴を穿かずに激しく動いたときも隠し所が露わにならぬための心得――では、ない。いずれは子を成すという女の生き方を捨てた覚悟であった。だからこそ、男ではなく女を相手に夜を過ごしている。しかし、女の生き方を捨てはしても男に成りおおすつもりもない。だから、年長の女に対しては受け身の一方だった。
 薊と桜は立ち上がると、もっこ褌一丁の女郎花に背を向けて、手早く素裸になった。女郎花を挟んで左右に側臥して薊が女郎花と抱き合い、互いに唇を貪り胸をまさぐる。たとえ双児を生んでも余裕に乳を飲ませられるだろうという豊満な薊の乳房に比して、女郎花のそれは晒布を巻けば容易に美青年に化けられるだろうくらいに小ぶりだった。薊の手が乳房から離れて背中を抱きしめ、乳房で乳房を押し潰しこねくる。小城に攻め寄せる大軍の風情だった。
 桜は体の上下を入れ替え、女郎花の片膝を腰に乗せる形となって、開かれた太腿の間に後ろから顔を突っ込み、股間に舌を這わせた。
「ひゃうんっ……」
 すでに綻んでいる蕾の雌蕊(めしべ)をくすぐられて、女郎花がしゃっくりのような悲鳴、いや嬌声をこぼした。桜は蕾を啄ばみ、さらには音を立てて啜り、熟れた木通(あけび)のように口を開いている女その物にかぶりついた。
「ああっ……里乃……いえ、桜。腰が、腰が……切ない」
「遠慮はいりませぬ。もっと乱れてよろしいのですよ、小夜姫様」
 こういった妓であれば源氏名を使うのは常套であるが、それにしても諱名に『姫』を付けるとは――この者たちの素性の曰因縁(いわくいんねん)がうかがわれる。しかし、しばらくは当人たちが名乗る源氏名で物語を進めていこう。
 二人掛りで攻められて、しかし女郎花も防戦一方ではない。下になっている手を薊の股間へ伸ばし、もう一方の手で桜の尻を抱き寄せ下腹部を自分の上に乗せると、顔をねじって股間にむしゃぶりついた。
「あんんっ……いちだんと上達なされました。もし粗相をしましても、お赦しを」
 たちまちに桜の淫唇が、唾にしては粘っこい汁にまみれてゆく。
 しかし股間だけを見ると、三人の年齢が逆転している。薊と桜の秘所は無毛。目を近づけて仔細に見れば、剃っていると分かる。
 食うに困って街角に立つ地娘はともかく。これを生業と定めた遊女は、股間の手入れに余念が無い。無毛にする者、形よく整える者。娼売道具に香を焚き込める者もいる。
 しかし女郎花は、早春の萌え初める風情ではあるが、これといった手入れをしていない。その萌え初めた春草も、今はしとどに濡れている。
 小屋の戸口に垂らした筵が、遠慮がちに持ち上げられた。
「五百のお客が、ひとり」
 鼠地に黄色い蝶を古風な飛び模様に散らした小袖の前をはだけて乳房を半ばこぼした女が、言葉短く声を掛けて、すぐに引っ込んだ。
「あらま。五百文とあっちゃ、行かなくちゃね」
 急に蓮っ葉な口調になって、薊が三つ巴の輪から抜けて立ち上がった。どうせ脱ぐのだからと素肌に小袖を引っ掛け、帯を締めるのではなく巻き付けただけで、小屋から出て行った。
 二人に翻弄され、乱れに乱れていた女郎花も、うっそりと身を起こす。
「今宵は、もうやめにしておきましょう。銭も稼がず痴れ事にうつつを抜かしていては、皆に申し訳が立ちませぬ」
「それは料簡違いですよ」
 桜も身を起こして、素裸のまま筵の上に座り直す。もっこ褌を締めて小袖を着付けにかかっている女郎花を、痴情の余韻も留めぬまっすぐな目で見つめる。
「昔のことは申しませぬが、あなたという要がおられてこそ、扇も開くというものです。それでも心苦しいのであれば、女郎花殿は一座の用心棒とでも思し召せ」
 女郎花は、かえって顔を曇らせた。
「あの武者には、まるきり太刀打ちできませなんだ」
「まさか、荒武者と一騎打ちするわけでもありますまい」
 桜、薊、椿の三人は薙刀の心得があるとはいえ、振り回してもおのれが怪我をしないというくらいの腕でしかない。しかし女郎花の小太刀なら、付け焼刃の調練を受けただけの雑兵など束にして軽くあしらえる。
「それは、そうですが。あれだけの器量に、あれだけの腕前となると……」
「おや。珍しくも殿方に気を惹かれましたか」
 桜が、半分はからかう。
「まさかに。けれど、あの御仁。拵えから見ても、もしや総大将の秋元茂親ではありますまいか」
「ああ、それなら話は分かります」
 桜は、先刻の素見(ひやかし)の一件を伝えた。寄せ手の総大将なら、女郎の総大将とでなければ一戦を交える気にならぬでしょうと――もちろん軽口であった。


女忍遁走

 秋山勢が陣掛けをしてから半月。御陣女郎が小屋掛けをしてからでも六日が過ぎた。
 槍小屋には口開けの二日目までは五十人ほどが押し寄せたが、以後は午の刻あたりから蚊遣りを焚いても、せいぜい二十人から三十人。雑兵がそうそう銭を持っているはずもないし、兵糧から何やかやをくすねるにしても、つまりは盗みである。上の立場の者は兵への示しもあって、やはり足しげくは通えないから、素裸で付きっ切りの客はせいぜい一人が来るか来ないか。それでも、一日の水揚げはおおむね銭で数えて千五百文。女郎一人頭で百二十文なら腕の良い大工を凌ぐから、不満はない。もっとも、淋の病をもらったり、子流しを繰り返して身体を痛めることを考えれば、割りの良い商売ではないのだが。貧乏農民とくっついて雨の日も炎天下も地べたを這いずり回ったり、小商人(あきんど)の女房に
納まったはいいが亭主の顔色をうかがい、挙句は押し込みに怯えて暮らすよりは、よほど気儘に生きられるのだった。
 それは、戦に狩り出された雑兵も同じかもしれない。国へ戻れば元の小百姓(の次男坊か三男坊か)だが、陣中にあるうちは米の飯にありつけるし、組頭なり侍大将なりが手柄を立てれば、おこぼれの銭をいただける。鄙(ひな)には稀な美女で埒を明けるという、夢のような一夜まで降って湧いた。
 城方は知らず。寄せ手の中で苦衷を託(かこ)っているのは、帷幕の中だけであった。
 ただ糧道を断ち、敵領内の米を奪えば良いのであるが、つまりは城を囲んで守勢にまわっているようなものだった。いっそ焼き払ってしまえば――この地を切り取っても、領民が服従(まつろ)わぬ。
 二百人で城に通じるすべての道を間道まで封じるのは、どうにも数が足りない。もちろん、小人数の出入りがあろうと、米の一俵や二俵が運び込まれようと、それくらいは大勢を傾けるには至らないのだが。
 この数日、寄せ手の側が夜討ちに悩まされていた。手薄な箇所ばかりを狙って、若干の手柄を得るとさっさと城へ引き揚げる。手足ではなくせいぜいが指先だが、それをじわりじわりともぎ取られているようなものだった。ならば、城方の人数も減らしてくれようとこちらが夜討ちを仕掛けると、巧妙に待ち伏せされて、またしても指の何本かをへし折られてしまう。

 初日に素見に来ただけの若武者が、今度はひとりで槍小屋を訪れた。前と同じに女郎花を所望したのだが、様子が違っていた。
「儂は秋山茂親じゃ。長と話がしたい」
 買いに来たのなら追い返しもできるが、総大将として女郎の長と相対したいというのだから、これは無碍にはできない。槍小屋に三方を護られた、いわば本丸へと案内する。
 椿が戸口の筵を持ち上げると茂親が先に入って、戸口をふさぐように陣取った。
「あの……」
 茂親が椿を振り返る。
「儂はひとりじゃ。まさか、介添えが居らねば閨の所作もままならぬ未通女の姫君でもあるまいに」
 女郎花が軽くうなずいて、目で椿をうながした。椿は茂親の背に黙礼をして筵を下ろした。
 女郎花は総大将と向かい合って、心を落ち着けようとしている。物の喩えとはいえ、あまりに自分の昔を言い当てられた思いだったのだ。
 心が落ち着かぬうちに、茂親がずけりと核心を衝いてくる。
「おまえたちが小屋掛けをしてからこっち、どうも我らの手の内が城方に漏れておる気来(きらい)がある」
 自分の持ち場しか見ていない雑兵は、まだ気づいていないが。あちこちの組に属する何十人という雑兵から聞かされる寝物語は、女郎花の耳にも届いている。それらを少しく高所から望見すれば、茂親の気来は取り越し苦労ではないように思えてくる。
「とはいえ、今さらにおまえたちを追い出すわけにもいかぬわ。兵どもが悄気(しょげ)て、ますます分が悪くなる」
 女郎花は頭を横にも縦にも動かさず、黙って茂親の話を聴いている。何を求められているか見当がつかないのだから、首肯も反駁もできない。
「これからは、小屋の五間先に昼夜を問わず兵を立てる。この輪から外へ出るときは必ず、組頭かそれに準ずる者を同道させる」
 そこで女郎花の固い顔をじろりと見て、つけ加える。
「厠であろうと野合であろうと、だぞ」
 女郎花は能面をわずかに頷かせた。
「もとより、蚊に食われながら致すのを好む妓はおりません」
 軽口に皮肉で返したのだが、通じたかどうか。
「寄せ手方総大将から女郎の長への申し渡しは、ここまでじゃ」
 茂親は胡坐を掻いたまま、ずいと一尺余りを詰めた。
「ここからは、男と女の話じゃ。おまえは取り分けて若いし見目麗しい。五百とは言わん。一貫文でどうじゃ。見世仕舞まで付きっ切りで腰巻も取るというのを所望するぞ」
「私は身体は売りません」
 女郎花は冷たい声を返した。
「私は剣の腕を妓たちに売っています。でも、秋元様の御陣では、鈍(なまく)らの腕など要らぬでしょう」
「ますます気に入ったぞ」
 糠に釘もいいとこだった。
「そのつんとした鼻っ柱をへし折って、華奢な身体を組み敷いて、あれこれと啼かせてみたいものだが――どうも、女郎どもに総スカンどころか逃散されかねんな」
 いちいち出向くのは面倒だから、気が変わったら昼でも夜でも本陣へ来いと言い置いて――茂親は小屋から立ち去った。
 女郎花は見張の件を、すぐ全員へ伝えた。さらに付け加える。
「足軽の輪から外へ出るときは、ふたり、できれば三人から上に固まりなさい。我らの中に乱破が紛れているなど噂が立てば、今後はどこの御陣に近づくこともかなわぬようになりましょう」
 女郎花は、あえて宙を見据えながら申し渡した。顔を見れば、どうしても空木に目が向いてしまう。
 ひとつ文字の三人は言うに及ばず、ふたつ文字の八人のうち蓮華、文目、小紫、藤袴、青木の五人は一年半前に、女同士助け合い男に翻弄されずに生きようと、一座を結んだときからの仲間であるし、木蓮と菖蒲の二人は加わってから半年が経つ。空木だけはひと月前、河原に小屋掛けして、線香一本十文、付きっ切りなら百文で娼売をしていたとき。強欲な楼主から逃げてきた妓だ。
 乱破が紛れているならおそらくは空木と、女郎花は見ている。空木が騎馬武者に抱きつかれたときの様子を、女郎花も真直に見ている。牛に行く手を遮られる前の身の躱し方は、地娘のそれではない。あるいは、咄嗟に体が動いたものの、怪しまれないために、わざと牛のいる方へ逃げたのではないかと――それは、うがち過ぎであろうが。

 翌朝。またも茂親が小屋を訪れた。自堕落な妓には朝駈けもいいところだったが、さすがに女郎花は衣服をあらためていた。
「今日は蚊遣りをくべるな。焚き火も狼煙もまかりならぬ」
 はっと、表情を引き締める女郎花。蚊遣りの煙に細工をすれば狼煙になる。陣の手薄な方面くらいは伝えられるだろう。そのことにまったく思い至らなかったおのれの不明を慚じたのだった。
 ――その日は、午どころか巳の刻あたりから雑兵どもが門前に市を成す大商いになった。聞けば、五十からの手勢で夜討ちを掛けるという。総勢の四半分である。英気を養っておけと、夜討ちに選ばれた者には百文が下された。下手をすると(上手く行けば)百人からの客が押し寄せる。
 手薬煉(てぐすね)引いて女淫(ほと)に子種塞ぎの草を詰めての大童。薊、桜、椿にも客が着いたが、まさかに店仕舞いまで居座る豪傑はおらず、一刻足らずで五百文は濡れ女淫に粟の大儲け。
「もう、たくさん。下の口からげっぷが出るよ」とは、二つ文字名の十一人打ち揃っての感想だった。ついつい本気を遣ってしまう青木と藤袴は腰を抜かす有り様だった。

(これは一体に……?)
 妓たちの戦い済んで日が暮れて。槍小屋の内からは、早々と寝息すら聞こえてくる。しかし男どもの戦は、まだ四刻も先の寅の一点。本陣の中に動きはないが、槍小屋の回りは十人の足軽に取り囲まれている。その人配りに女郎花は、明らかな手抜かりを見ていた。
 小屋から五間を隔てて囲んでいるのだから、兵の間隔は四間もある。一人おきに内と外を向いている。しかも、こちらを向いている兵の傍には篝火が置かれていた。これでは明かりに眩惑されて、闇を見透かせない。神出鬼没の乱破といわず女郎花でさえも、包囲をすり抜けるのは容易だろう。
 やはり、我が手で乱破を捕まえねばならぬ。いや、捕まえても寄り手へ引き渡してはならない。乱破は絶対に口を割らぬと聞いている。となると、凄まじい拷問。そして処刑。乱破が女であれば、色責めとやらいうおぞましい仕置も加わる。
(そのような目に遭わされるくらいなら――わたくしなら自害する)
 樹の根元に身を潜めた女郎花は、密かに決意を固めたのだった。
 ――星辰が動いて。亥の刻に掛かろうかというとき。
 槍小屋のひとつに、筵がかすかに動いた。
 おぼろな影が忍び出る。くすんだ赤茶色の塊は、おぼろな物の怪にも見紛う。色小袖を裏返して、柿渋で染めた裏地を表に出し、白い顔と手足に灰をなすりつけた――とまでは、女郎花の潜む場所からは見て取れなかったが。
 女郎花が立ち上がった。
 その気配を感じて、ぎくりとふり返るくすんだ影。
「空木……ですね」
 女郎花は瞬息に間合いを詰めた。腰の小太刀は抜刀している。
 殺すしかない。たとえ短い間でも仲間であった者に、いや誰にせよ、業苦の死を遂げさせたくない。けれど、空木を見逃せば一座が成り立たぬ。ならば――苦しまぬようひと思いに、我が手で。
 女郎花は、空木の首筋を狙って必殺の斬撃を放った。首筋の血脈を断ち切れば、苦しむことなく即座に絶命するという。
 しかし空木は身を沈めて刃を躱し、そのまま転がって横へ逃げた。
 空木の忍び装束と違って、女郎花の無地とはいえ色小袖は、篝火に照らされれば闇夜に目立つ。しかも、大きな動き。さすがに見張の足軽も異変に気づく。内を向いていた五人が、駆け寄ろうとする。
 空木が、女郎花にじゅうぶんな間合いを取って立ち上がる。懐から小さな玉を取り出した。
(焙烙弾!)
 導火線に火を点じられぬうちにと、女郎花は地を蹴った。
 不意に空木が微笑んだ。
「ありがとうね」
 女郎花の殺意と真意とを読み取っての言葉だった。
 空木は玉から伸びている短い紐を引き抜いた。即座に、地面に放り出す。玉はころころと転がって。
 パアン。
 拍子抜けするほど小さな爆発音と同時に。
「あっ……?!」
 いきなり真昼になったかと思ったほどの閃光が闇を切り裂いた。
 閃光が消えたとき、空木の姿も消えていた。
「な、なんだ……」
「曲者だあ!」
 事態を理解できぬままに足軽が喚き交わす。
 桜、薊、椿の三人が、押っ取り薙刀で駆けつける。
「あなたたちは戻りなさい」
 小太刀を納めて、女郎花が三人に命じた。
「乱破を取り逃がしました。御大将へ言上に参ります。道を開けてください」
 これは、女郎花を取り囲んだ足軽に向けて。
 女郎花が陣所へ向かって歩むと、気圧されたように足軽は左右へ引いた。
 篝火に照らし出された女郎花の顔は蒼白に変じている。

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てきとうなの11

 

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Pregress Report 0:売姫三日晒

  さあて。満を持しての執筆開始です。
 そもそも。この作品の構想は10年昔にさかのぼります。KTCに幾つか企画を出して、GOになったのが『
槍姫千本突き』でした。で、まあ。これが好評で似たようなのを続けてとなったらなりませんでしたが。○○姫△△△を、いろいろ考えて。プロットになりそうな候補のひとつが、これだったのです。その他には、贄姫恥辱舞とか鬼姫淫核責とか遊姫三穴刺とか縄姫鞭修行とか偽姫駿河問トカトカトカレフ。

 そういう次第で、今回は構想十年のPLOTです。
 磔晒しがアペリティフでオードブルでメインディッシュですので、表紙絵は……ううむ。開脚キの架磔の正面画像て、あるようでないんですね。


磔ネタ探し



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晒刑の真相
女郎花の素性を疑う大将。凄腕の忍者を張り込ませる。
LAST:素性露見も、大将の恋慕で見逃す。

女郎花(小夜姫)
楓 小夜姫の元侍女
桜  々
薊  々

蓮華/文目/菖蒲/木蓮/小紫/藤袴/青木/柘植
最初期からの遊女。いくらかの所縁

空木 新参の遊女 実は城方の乱破
水引/木通 新参の遊女 空木の朋輩だが庶民


※御陣女郎
秋の林を行く15人の女。
先頭は薙刀をたずさえた2人。その後ろに若衆姿の少女。殿も薙刀の女性1人。
5人の巡察隊に誰何される。
「こたびの戦で、秋元様に陣借りを」
「女子の身で陣借りとな?」
かたわらの武者に耳打ちされてニヤリとする武将。御陣女郎。
「腕試しをしてやろう」
女郎花の腕をつかもうとする武将。するりと躱す女郎花。
すぐ後ろにいた空木。
若い侍に抱きかかえられそうになり、はっと身を引くが、途中で動作が緩慢になり捕まる。
女郎花の身ごなしにただならぬものを感じて問答無用の抜き打ち。
瞬息の入身で小太刀を抜く女郎花。
武将、驚きながらも豪傑笑い。
「望むなら侍大将にしてやってもよいぞ」
直後、再度の抜き打ち。勢いが違う。寸止め。
「足軽頭がせいぜいか」

※未通女長
陣の後方に仮小屋を葺く女たち。
 小さな槍小屋(宿所兼用)が三つと、それに囲まれた、より小さな長小屋。槍小屋の戸口は内向き。
出来上がると、それぞれの戸口で蚊遣の焚き火。煙もうもう。出入りの姿を隠す。
日が落ちる前から列をなす雑兵。将の姿もちらほら。
昼間の武将も。
「あの娘は、どこだ」
「お生憎様。長は身体を売らないんだよ。あたいじゃ駄目かい?」
桜が袖を引く。値段を耳打ちされて目玉を剥く武将。
「遊女屋を借り切るつもりはないぞ!」それでも仮小屋へはいる。
雑兵相手の遊女も同じこと。作事方の日当の半値の50文。女の値段が安いこの当日、相場の5倍。武将は全裸ロングで500文。
それでも、明日を知れぬ身の男どもは群がる。
仮小屋のひとつにいる女郎花。四方から聞こえてくる嬌声。もぞもぞ。
「薊……」
濃厚レズプレイ。
女郎花は未通女だった。3人が交替で相手。
楓がタチながら主従関係をうかがわせる台詞。

※間諜嫌疑
城を攻めあぐねている秋山元親。
警護の手薄な方面から夜襲をかけられて、被害甚大。国許へ援軍を仰ぐ始末。
例の武将に呼び出される女郎花。武将の名は秋山茂親。総大将の甥。
「お前たちが来てから、城方の手口が巧妙になった。まさか、陣備を漏らしてはいまいな?」
敢然と否定する女郎花。しかし、陣備を知られているとしか思えない(小夜には軍略の知識もある)。
仮小屋に戻って妓たちを集める。単独行動の禁止。外歩きは3人以上で。

※女忍遁走
昼間から足軽が客。
今夜に夜襲。鋭気を養う。
女郎花、陣立を遠望。おかしい。
東声撃西の声。乱波を前提か。
父上はさらに軍略の才があっても滅びた。
蚊遣の禁止。女郎花、狼煙に思い至る。
小屋を遠巻きにする足軽(精鋭)。一人おきに内外。数か所に篝火。
穴だらけ。篝火で、夜目が利かない。
深夜。
逃げ出そうとする空木。袷の裏は柿渋。顔と手足に灰。
戸口の糸に引っ掛かる。鈴の音。
女郎花、飛び出す。側近二人が、それぞれ槍小屋から。取り囲む。
「やはり、あなただったのね」
鍛えた身のこなしを隠そうとするそぶりに気づいていた。
足軽も異変に気づいている。
すでに女郎花の心は固まっている。
秋山勢に味方するわけではない。しかし、逃がせば城方への加担。秋山勢に引き渡すのが筋。
引き渡せば、拷問の末に処刑。斬首なら、まだいい。磔、火あぶり、四つ裂き、鋸曳き
 ……戦陣で見てきた数々のフラッシュバック。
慈悲の殺意。小太刀を抜く。読み取る空木。
「ありがとう。でも、死ぬわけにはいかないの」
爆裂弾で遁走。

※一身拷責
そのまま茂親の陣所へ引き立てられる。
女郎の一斉処刑を命じる茂親。
「そのようなことをすれば、兵の恨みを買いますよ」
「妓の不始末は、長であるわたしの責任。わたしを処罰すればよいでしょう」
覚悟を見せてもらおうか。懐剣など忍ばせていられては怖い。
素裸。手を首の後ろで組まされる。
最後まで立っていられたら、女郎どもは見逃してやる。
乗馬鞭で折檻。茂親を睨みつけて気丈に耐える女郎花。
縛られる。
「なにをされようとも抗いませぬ」武家言葉になっている。
ちと人払いをするでな。素手でも恐ろしい女子じゃからの。
後ろ手に縛られ、乳房にかけられた縄を引き絞られたとたん、力が抜ける女郎花。
ほう……縄が好みか?
「馬鹿な……」
「これまでは、我が心で抗いを封じていただけのこと」
「このように縛られては……なにをされても抗えぬ。口惜しい……」
女郎花の被虐性を見抜いて猛り狂う茂親。
脚を座禅に組ませて。荒々しく嬲り抜く。
楓たちに開発されていた肉体。乱暴な愛撫さえ新鮮な刺激。
尻穴を嬲られてさえ艶めかしい声を漏らしてしまう。
ここも知っておるのか。とんだ淫乱未通女じゃな。
座禅転がしにかけようとして、ふと気を変える茂親。座禅を解いてやり。
自分で貫いてみよ。寝転がる。
やらねば、連れの女も処刑するぞ。
初体験は(縛られているので)腰探りの騎乗位。
命じられるままに腰を使い――いつしか自分から。
儂の側室にしてやる。
「誰が、そのような。さっさと仕置なさいませ」

※見世締磔
翌朝。
全裸開脚土の字磔。
捨て札。
女乱破を引き入れし罪により3日の磔。科人になにをしようと不問。
投石、竹槍突による私刑の黙認。
野次馬で黒山の人だかり。危害を加える雑兵はいない。
そんなことをすれば、遊女にケンドンを食わされる。
夕刻。茂親の巡察。腹を槍の石突で小突かれて放水。
行儀の悪い娘じゃな。側室にしたら、きちんと躾けてやるぞ。
縄を掛け変える。壊死予防。楽な姿勢に。

※姫君有情
大規模な夜襲。空木と若武者。
小夜姫、お助けに参りました。
城方は遠縁の筋。
「無用じゃ」
「妾が逃げれば妓たちが仕置きされる」
「城にはいって討ち死にせよと申すか」
「落城の憂き目を見るのは、いちどでたくさんじゃ」
引き上げる城方。
茂親のことだ。小夜が3日を生き延びれば、妓たちを人質にして、強引に自分のものにする。
茂親の言っていた『躾け』とは、なにをされるのだろうか。
縛られて笞打たれて犯されて。もっと酷いこともされるのだろうか。
恐怖に震えながら、小夜は股間から熱い蜜を滴らせていた。


活劇シーン
  巡察隊とのやりとり
  逃げようとする空木との死闘

メインディッシュ
  薊とのレズプレイ
  茂親によるリンチとレイフ゜
  磔での放水

女郎花(小夜姫) 数えで18歳。
   唐輪髷(髪を頭の上で束ねて、いくつかの輪にして、あまりの髪で根元を巻く。前髪は両側に分ける)
   恥毛の手入れはしていない。薄め。
   無地の小袖に軽杉袴。小太刀を手挟む。

楓、桜、薊 20歳前後。切り禿。手入れしてパイパン
       名前の花(葉)をあしらった小袖。必要に応じて薙刀。
空木 25歳くらいか。茶筅髷。背中に忍刀(直刀)を隠して脱走。手裏剣など。
遊女一般は短めの流し髪が主流。手入れはさまざま。パイパン、逆三角、実核のまわりだけ。などなど。

1539年(天文8年)鉄砲伝来のすこし前。閏月は、無い。

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継ぎ足していったので、重複もあるし、とっ散らかっています。
最後のほうで「活劇シーン」とあるのは、KTCで求められたからです。
女忍者の空木を小夜姫が殺す展開でした。
(捕らえて引き渡せば、拷問と残酷な処刑)。
頸動脈を掻き切られて、空木は(急激な血圧低下で)幸福感に包まれて死ぬ予定でした。
最終PLOTでは、殺す決心をしたものの、あっさりと逃げられています。
だから、オーラスで(小夜姫の慈悲の殺意に感じて)救けに来てくれるのですけど。



さて。何枚になりますか。
Zero Sum Short Storiesのひとつですが、まさか10年前にKTCに求められた70枚前後に収まるはずがありません。
まあ、最近になって再々々認識くらいしたのは、エロ/SM小説は、濡れ責め場を描写すれば際限なく長くなるということです。
「姫騎士は、三日に渡って辱められた」と、健全ラノベで流せるシーンを、300枚でも400枚でも書けますものね!


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Final:昭和集団羞辱史物売編(昼)

 今回は短くなりました。『淫毛の御守』と『寝室必需品』2本で、巻頭言や後書きを含めても256枚(1次校訂)。
 それでも、これまで同様税込み440円で売りますけど。
 しかし、なんと言いますか。今回はプロットからの逸脱が甚だしかったですね。なので、「後書き」なんかを紹介したりします。


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 どうして、こうなった?!
 いえ、『寝室必需品』です。プロットでは、実演も試着も嫌がる成子を鞭と飴、義理の叔母のレズ調教で従わせる予定でした。それが、いきなり絶頂してセックスに夢中になって。挙句は自分から緊縛を体験してみたいと言い出すなんて。
 作者として、ヒロインの育て方を間違ったとしか、言いようがありません。ヒロインが作者の手を放れて勝手に動き回るのは、本来は喜ぶべきことなのですが……今回は、すこし違うような?
 だいたい。ノーマルなセックスに満足していた娘が悦虐に開眼しますかね。男を次から次へと乗り換える女は、実は快感を得てもエクスタシーに達せないから、別の男に期待しているのだとはいいますが。ヒロインは違いますし。
 もう、どうにもならん。なるようになれ。強引に御仕舞わせました。

 さて。人によっては、作品を発表せず手元に残して何度も推敲/改稿して、弄り倒すという例もあるようですが。筆者は、書きたい作品がフルヘッヘンド。死蔵してたら、文字通り死蔵になりかねません。
 鋭意ではなく微意執筆中が短編オムニバス『宿題をわすれたらおしりたたき、水着をわすれたらはだかで泳ぐ。クラスのみんなで決めました。』五年修了時学習済教育漢字。
 その他、プロット完成あるいは大筋確定だけで
集団羞辱史(物売編:夜)/集団羞辱史(番外編:少年)/十手小町淫乱変化/スケバン有情~悦虐へのエチュード/XYZの悲劇/A6(後述)/売姫三日晒/くの半試し/性少年包弄記(怨辱編)……
 さらに構想中や抗争中が未航走ですが
恥辱の特設姦視艇/反革命的少女矯正大隊/虐待される僕と溺愛される私/男性社員(おとこ・せいしゃいん)……

 なので、本作品はさっさと Take a kick. ケリをつけて。次の作品に着手します。An Amateur Assasine Arrested And Assaulted(こむすめあんさつしゃがつかまってひどいめにあわされるはなし)』Aの6連発です。短編(といっても二百枚弱)です。
 さらに『売姫三日晒』も短編で予定。
 ストック原稿を作ったところで、PIXIVで次のリクエストを受けます。百枚目処の短編と称していますが、最初のリクエスト『ピアスの名札はどれいの証し』で二百枚。次回は設定が入り組んでいるし責めシーンのリクエストも多いので、三百枚で収まるかどうか。タイトルは『女神様と王女様と、いとこの(下)僕』仮題です。

 さらに。私事で恐縮はしませんけど。この春から週休三日になる予定がパアです。「おお、むすめよ。りゅうねんするとはなさけない」です。完全週休二日でなく、月間十日の休みでいきます。
 それでも。2019年に達成した年産三千二百枚を更新してみせますとも!
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※こうず1

 後書きでも書いていますが、Zero Sum Short Storiesを2本。もしかすると他にも何か書いてから。
 4月になったら、PIXIVでリクエストを受ける予定です。
 1月にWILL様からあったリクエストを2週間で納品したところ、折り返しで2本目のリクエストをいただいたのです。が、『集団羞辱史:物売編(昼)』を中断していたので、これを仕上げて。月刊はともかく隔月刊ペースくらいは維持したいので、いったんはリクエストを断わりました。
 ストック原稿を作って――それから、リクエストを受注する予定です。
 これは、そちらのProgress Reportで書きますが。前作より設定が入り組んでいます。ノン気少年がヒロイン(?)ですが、熱血サッカー少年というキャラ指定があります。本編のストーリイとは相容れないのです。
 女学校の修学旅行をバスジャックして、女学生全員が生理中ではないというので全員が凌辱されるという話を書いて、こういうフィクションは許容範囲とトンチンカンな事をおっしゃってる御中SM作家がいます。
 ※修学旅行に合わせて生理をずらすのが常識ですから、むしろ、生理中の女学生がいたら不自然ですわな。
 ※御中とは:実績はあるが御大には程遠い。ちなみに、団鬼六あたりは御大を突破して極大でしょう。
 で、この御中が、編集者から「次はゴスロリをヒロインにしてください」と注文されて。
 彼女はゴスロリだった。
 冒頭に一行書いただけで、あとは好き放題に書いたと豪語しておりますが、小生は未読ですが。まさか。
 彼は熱血サッカー少年だった。
 で、あとは……というのは、小生のプライドが許しません。サッカー(部活)に絡むエピソードを盛り込んで、本筋に不可欠な展開にしてみせますとも。
 というわけで。
 今日は校訂やらBF丁稚揚げやら。そして、明日にでも次作に着手です!

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