5周年セール終了

BOOTH,DLsite,FANZAで開催した
SMX工房五周年記念セール
実に総DL数275!! も、ヤケクソでビックラメーション付けときます。
これで、平常時の10倍てんだから、まあ、零細ではございますな。


ともあれ、今後とも御愛顧賜りますよう御願い申し上げ奉りますです。

Result.jpg

すでに、トップページ右カラムにもリンクを張っていますけど。
ノクターンノベルズでも、ちまちま投稿していきます。

オリジナル・オムニバス
「宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。」

昭和集団羞辱史の2話構成中体験版として読める1話(完結)
などなどなどです。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

創作メモ:玩具時々奴隷

白昼堂々  白昼堂々公衆の面前でイチャラブ。
 R18レベルの現場には、これまで4回ぐらいしか遭遇していませんね。
 最初のは、17歳の少年が14歳の少女との初デート。少女が気合を入れてミニスカで。ボートに乗って、上の画像みたいな次第に相成って。その後、ベンチでファーストキスから当時でいうところのBまで。後で愛の往復書簡に赤裸々に書いて、向こうの親にバレて。まあ、青春の佳き思い出ではありました。

 二回目は、ぐっと時代が下がって。郊外のデパートというよりはスーパーマーケット豪華版みたいなとこのエントランスのベンチで。ふたりのU15少女が下の画像状態で。
 三回目は詳細を忘れましたが、二回目とほぼ同じシチュエーション。


 そして、四回目は現在進行形。
 ある路線のある時刻に、U18青年が電車の中で壁にもたれて立っていて。ある駅で制服少女が乗って来るなり抱き着いて。下の動画状態です。
 ただ抱き合うなんて可愛いもんじゃなくて。青年は少女の尻を撫でたり、腋の下(厳密には、もうすこし下の脇腹の上あたり:参考になります)を愛撫したり。はなはだしきは、尻の割れ目に手を這わして、さすがにこれは少女と無言の攻防を繰り広げたり。
 同じ時刻の同じ車両の同じ位置での待ち合わせですから、当方は始発駅から乗るので、真向いの座席に陣取って。目の保養です。ン十年の昔をほろ苦く思い出したり。嗚呼、何故にもっと積極的にならなかったんだろうとヘソ噛んでみたり。

ケツ揉み

 で、まあ。眺めてるうちにインスピレったのです。なんか軍艦みたい。それはイントレピッド。
 青年は、とんでもプレイボーイで。いろんな都合で青年実業家にしますが。彼には恋人もセフレも性奴隷もいるのです。
 で、初心なヒロインが告白して。
「今のところ、伴侶も恋人もセフレも性奴隷も間に合ってるんだよなあ。まあ、玩具にならしてやってもいいけど」
 というわけで『玩具時々奴隷』の境遇を悦んで受け容れるという。
 朝の電車で待ち受けている彼に積極的に抱き着いて。何をされても無抵抗。
 そのうち。彼ではなく、彼がプロデュースした見知らぬ他人に、抱きついてアレコレされるのを承諾させられて。


 まあ、Zero Sum Short Storiesの1本ですかね。
 シーンは、いくらでも増やせますね。ノーパンミニスカで公園デートで空中自転車とか。見知らぬ数人との集団デート/凌辱で、ちゃんと務めを果たしたご褒美に、彼とデートでいっそう羞ずかしいことをされるとか。
 ある意味鬼畜で、ある意味ほのぼの純愛。


 オチについても腹案はありますが、それはまたいずれかのときに。



追伸
 今日は、青年がジュースの紙パック(プラスチックの蓋があるやつ)を持っていて。どうするんだろうと見ていると。少女のブラウスのボタンを二つ外して、谷間の上に置きましたね。パイパイ・カップホルダー。おいしい小ネタをいただきました。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 1:濡墨を着せられた娘

 現在は140枚まで進行しています。

第一幕 破れ寺
 第一場 拐わかし
   三穴姦/蝶乱舞
 第二場 全裸捕縛
   裸縄掛/刺青晒
第二幕 女囚牢
 第一場 吟味前夜
   素肌検/牢問答
 第二場 苛烈牢問
   裸敲問/石抱問 ←裸敲責まで執筆済
 廻舞台 若侍苦楽責
   牢内掟/吊敲責/海老責/坐禅転
 廻舞台 新妓夢現責
   駿河問
 第三場 虚偽自白
   父母流罪/磔刑申渡
 廻舞台 熟娘揺木馬
第三幕 拷問蔵
 第一場 盗金所在
   木馬責/逆吊責/水樽責/男牢入/釘打責/首吊責
 第二場 濡衣問答
最終幕 処刑場

 過去に何度も描いた責めが多いですが、だって好きなんだもん♡ です。
 起承転結はありますが、序破急はなく、ひたすら責め場のヒッパレーです。「引っ張れ」ではなく Hit Paradeです。

では、入墨のシーンを御紹介。

あっと。は規制文字回避です。
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蝶乱舞

 早朝。下腹部の不快に、千代は覚束ない微睡(まどろみ)から引きずり出された。夕刻に拐わかされてこの方、用を足していない。意は差し迫っていた。
 あたりを見回して。男三人と女一人が、枕を並べて寝ている。枕と、布団。千代がふだん使っている夜具に比べれば貧相な物だが、とにかく寒さは凌げる。筵一枚とは大違いだ。
 声を掛けようかと迷ったが、鬼を起こすようなものだ。まだ半刻やそこらは我慢できるだろう。
 千代は、さらにあたりを見回す。ここは破れ寺だと男のひとりが言っていたが、その通りだった。脇侍は無くなっており、持ち出すには手間の掛かる大きな本尊の千手観音は残っているものの腕がほとんど取れてしまっている。障子の破れに継ぎが当ててあるのは、この者たちの仕業だろうか。とすると、ここは一時凌ぎの場ではなく、根城なのかもしれない。
 隠れ家を知った者を、おいそれと解き放ってくれるだろうか。死んでしまいたいと思いながらも、やはり不安は募ってゆく。
「なんだい。もう起きてんのかえ。まあね。あんな目に遭わされてこんな格好にされて、まさかに白河夜船でもあるまいが……おお、寒い」
 起き上がった楓は外へ出ようとしかけて、千代を振り返った。
「もしかして、厠へ行きたいんじゃないのかえ」
「はい、お願いします」
 何も考えずに返事をした千代だったが、楓の意地悪そうな笑みを見て、嫌な予感を覚えた。果たして。
「銀さん。こいつ、小イ更がしたいとさ。面倒、見てやっとくれな」
 男たちは動かない。
「ええい、寝穢いお人だね」
 楓が取って帰して銀次を足蹴にした。
「あの……縄を解いてください。場所を教えてもらえば」
「逃げようたって、そうはさせないよ」
「逃げたりはしません」
 男に追われて逃げおおせるはずもないのだが。楓は耳も貸さずに銀次を蹴り起こした。
 寝惚け眼(まなこ)の銀次が楓の言葉を聞いて、苦笑いする。
「どうせなら、端の二枚にも手伝わせたいんだろ」
「ふふん。男三人に見物されながらの放(ゆばり)かい。出るもんも出ないんじゃないかね」
「そんときゃ、三人掛かりのときみたいに、抱っこしてシートトトってな」
 銀次は二人の乾分を叩き起こして、趣向を説明した。
「へへえ、こりゃいいや。蹴転(けころ)にだって、そんなことすりゃあ、袋叩きにされちまわあ」
 三人が千代を取り囲んだ。
「いや……赦してください」
筵を剥ぎ取られて、千代は荒縄で縛られて身動きできない裸身を縮こませる。
「いやあっ、やめて」
 肌に手を掛けられて、悲鳴をあげた。
「いいよ、やめておやりな」
 楓の言葉に、男たちのみならず千代までが、ぽかんとした。
「そんなに嫌なら、放っとくさ。罰当たりにも、御仏の目の前でお漏らしをしな」
 千代は愕然とした。男たちの見世物になりながらの放を拒んでこのまま放置されれば、いっそう羞ずかしい結果を招いてしまう。
「さあ、どうするんだい」
「…………」
 迷いは当然だが、答えも必然だった。
「厠へ……つ、連れて行って……ください」
 楓が銀次に目配せすると、たちまちにタツとヤスが千代の身体に取り付いて。乳房をつかみ尻を撫で股間にさえ手を差し入れながら、荒縄を解いた。が、すぐに楓がしゃしゃり出て、千代を改めて後ろ手に縛った。手首を引き上げて縄尻を胸乳の上下にも巻く。
「いつ見ても、鮮やかな腕だな」
「門前の女郎、縛られた縄を覚えるってね。あちきに引導を渡してくれた役人の直伝さ」
 へっと口を歪めて。銀次が縄尻を取った。
「そら、立てよ」
 千代は立ち上がろうとしたが尻餅を搗いてしまった。目眩がするほどに羞恥を感じていたせいもあるが、腕を使えないので身体の釣り合いを取りにくい。腰を打ちつけたはずみに、あやうくちびりかけた。片膝を立てて、股が開くのを羞じながらもゆっくりと立ち上がった。
「どうも、危なっかしいな。引っ張ってやるぜ」
 銀次はさらに荒縄を持ってきて、千代の腰を縛った。後ろで結んで、縄尻を脚の間に通して前へ引き上げ、腰縄に絡めた。
「歩けよ」
 つんつんと縄尻を引っ張る。
「あっ……」
 歩くどころか、千代は股をすぼめ腰を引いて、たたらを踏んだ。股間を通る荒縄が女淫に食い込んで、無数の針でつつかれるような刺激に困惑したのだ。鋭い痛みは、ある。しかし、それ以上に。くすぐったい疼きがあった。まったく未知の感覚だった。強いていえば、実核を自分でくじったときの甘い疼きに似ていなくもなかった。それほどには尖った疼きではない。女淫全体に広がる疼きだった。
「歩けと言ってるんだぜ」
 にやつきながら、銀次は縄をぐいと引っ張った。
「あっ……」
 くすぐったい疼きが消えて、無数の針が女淫に突き刺さる激しい痛み。それでも、縄に引かれて千代は足を前へ運んだ。その動きが縄をこねくって、痛みは減らずに、また妖しい疼きが女淫を苛む。
「おおい、転んじまうぜ」
 後ろからヤスが千代の肩を支えたが。
「タツ。おまえが尻を押してやれ」
 自分は千代の斜め前に立つと、腕を伸ばして乳首をつまんだ。
「俺も引っ張ってやるよ」
 乳首を前へ引っ張る。
「やめてください……歩きますから」
 訴えに耳を貸す者はいない。千代は股縄を引かれ乳首を引っ張られ尻を押されながら、痛いのかくすぐったいのかも判然としない心地で、本堂の外へ連れ出された。
 楓が先に立って、本堂の裏手へ千代を引きずり込んだ。
「厠までは歩けそうもないね。ここで出しちまいな」
「歩きます。お願いですから……」
「ここで小イ更しちまいなって、言ってんだよ。出来ないなら、このまま連れ戻すよ」
 銀次が股間の縄を引き抜いて、そのまま縄尻を持った。
「あの……」
「目を放しちゃあ、逃げないとも限らねえ。ちゃんと見ててやるから、さっさと小イ更しちまいな。なんだったら、大のほうもひり出すか」
 銀次に言いつけられて、タツが千代の肩を押さえてしゃがませる。
 男三人が千代を取り囲み、楓は二間ほど離れて見物している。
 千代は観念せざるを得なかった。出さないまま連れ戻されれば、遅かれ早かれ粗相をしてしまう。破れ寺とはいえ御仏の前で粗相をするなど、羞ずかしいだけでなく畏れ多い。
 千代は目を閉じて、小水を放とうとした。が……出ない。意は差し迫っている。なのに、ちょろっと漏れ出る気配すらなかった。朝の冷気に曝された千代の裸身に、いつしか脂汗が滲んでいた。
「しょうがないねえ。手伝ってやるよ」
 楓が千代の前にしゃがみ込んで、崩れた髷から簪を抜き取った。逆手に握って、軸の先で千代の女淫をつつく。千代は立って逃げようとしたが、タツに押さえ込まれた。
 女淫の上のあたり、小水の出る穴に尖った軸先を突き挿れられて掻き回されて。焼けるようなむず痒さを感じると同時に。頑なに水を堰き止めていた堤にひび割れが走った。
 ぷしゃああああ……
「おっと」
 楓が飛び退く。破れた堤は、あふれんばかりだった水を勢い良く迸らせて止まらない。
「あああ……」
 千代が切なげに呻く。それはこらえていた意を解き放った安堵か、見物されている羞恥か。
 出し終えても、千代はしゃがんだままだった。
「あの……落とし紙を」
 銀次がせせら嗤う。
「紙があったところで、手を使えなきゃどうにもなるめえ。俺っちが始末してやるよ」
 腰縄の縄尻を最前のように後ろから前へ股間を通した。
「あっ……」
 腰を浮かしかけた千代だったが、またタツに押さえ込まれた。
「きひいいいっ……痛い。やめて……」
 銀次が縄を前後にしごく。引き回されていたときの何倍もの力で女淫の内側をこすられて、千代は甲高い悲鳴をあげた。
 小水で湿った縄でそのまま、銀次は股間を縛った。
「さあ、戻ろうぜ」
 縄尻を真上に引っ張って、千代をごぼう抜きに立ち上がらせた。
「ちょいとお待ち」
 楓が小水に濡れた簪を千代の髪に巻き付けて、簡単な垂れ髪(今でいうポニーテール)に結った。
 これも自分への辱めのひとつだと千代は受け止めたが、いっそうの深謀遠慮があるとは気づくはずもなかった。
 股間の痛みと疼きとむず痒さとに惑乱されながら本堂へ連れ戻されて。腰縄と股縄は解いてもらえたものの、後ろ手に縛られた縄尻を柱につながれた。他に身の置き様も無いので、千代は柱に向かって身をくっつけるようにして正座した。
 やがて、楓と銀次が連れ立って出て行き、かえって千代は心細さを覚えた。頭目格の二人がいなくなって、乾分二人が図に乗って悪戯を仕掛けてこないかと怯えたのだ。そんな自分を、これほどまでに穢されて今さらと自嘲してもみたが、百の危害を加えられたからといって、新たな一が怖くないはずもなかった。
 しかし、千代の不安は杞憂に終わった。ヤスとタツは、膝が当たるほどに近寄って座り込み、しげしげと千代の裸身を眺めたりはするが、手は出してこなかった。野良犬は野良犬なりに、躾けられているらしい。
 楓と銀次は半刻ほどで戻ってきた。握り飯やら干物やら、今夜の飲み料らしい一升徳利やらを持ち帰っている。つまりは、ここで煮炊きするほどには住み込んでいないのだが、千代にはどうでもいいことだった。
「おまえも食いなよ」
 千代の前に八ツ手の葉が広げられて握り飯が置かれた。水を入れた木の椀も添えられている。
 千代は楓を見上げて、憎しみのこもった眼差しを浴びてすぐに目を伏せた。
 昨日の昼に軽く湯漬を食したきり、男の精汁の他は一切飲み食いしていないにも関わらず、 飢(かつ)えは感じていない。けれど渇(かわ)きに喉がひりついている。千代は正座したまま上体を折り曲げて、口を椀に近づけた。が、どうにも届かない。
 思案した挙げ句、椀を倒さないよう後ろへ下がって、羞じらいを投げ捨てて胡座に座り、椀へにじり寄った。今度は、どうにか椀の縁にかじりつけた。
 ずじゅううう。音を立てて水を啜った。甘酒よりも冷やし飴よりも甘露な、干天の慈雨だった。
 楓が、ふんと鼻で嗤って、からかってやろうと口を開きかけたが、結局は何も言わなかった。
 千代が食べようとしなかった握り飯は、小半時もすると取り上げられて、ヤスとタツが食べてしまった。
 ――陽はまだ高いから未(み)の刻前か。身なりを整え大きな手提げ箱を携えた男が、案内を乞うこともなく本堂に入ってきた。楓が丁重に出迎える。
「先生、お待ちしておりました。早速に支度を致しますので」
 ヤスとタツが、大きな戸板を運び込んで床に置いた。四隅と長手の中程には太い鎹(かすがい)が打ち込まれている。銀次が千代の後ろ手を解いて、戸板の上に俯せにさせた。
「何をするんですか……」
 無駄と分かっていても、問い質さずにはいられない。
「ちっとばかし痛い目に遭わすから、暴れない用心さ」
 男三人掛かりで、千代の手足を大の字に引き伸ばして、四隅の鎹に縛りつけてゆく。腰にも縄を巻いて、身動きできないようにしてしまった。
 新参の男が道具箱と共に、千代の横に座り込んで。顔をしかめた。
「縄の跡が残ってるではないか。あれほど、肌を傷付けるなと言っておいたのに」
「そんなにきつく縛っちゃいませんよ。あちきより五つも六つも若くて肌に張りがあるから、一刻もせずに消えますさ」
 着物を脱ぎながら楓が言い返した。腰巻ひとつになって、肌色をした襦袢を着込む。ぴたりと肌に吸い付いて、ちょっと見には裸と変わらない。役者が舞台の上で肌を曝すとき身に着ける肉襦袢だった。
 楓が千代の前に立って、背中を見せつけた。
 一面に紺色の線で絵が描かれていた。大きな蝶々が翅を広げた図を紅葉の葉が取り巻いて、「乙」の字の角を丸めて横に引き伸ばしたような線が何本か腰のあたりを走っている。川の意匠のように見えるが、線の右端は小さな鼓に繋がっている。
「これと同じ絵柄をおまえの背中に彫ってやるよ」
 言葉の意味が分からず戸惑っていた千代だが、肉襦袢を着た役者が諸肌脱ぐと、決まって文身(いれずみ)が露わになるのを思い出した。
「まさか……入墨……」
 震える声で尋ねた。
 楓が邪悪に微笑んだ。
「その、まさかさ。残念だが、彩(いろ)までは入れないけどね」
「なぜ、そんなことを……」
「さあね。仇討ちに欠かせない手順だってことだけは、教えといてやるよ」
「…………」
 昼日中というのに、目の前が真っ暗になった。
 操を穢されて嫁にいけなくなったとはいえ、知らん顔をして日々を過ごすことも出来なくはない。しかし入墨などされては、湯屋へ行けないのはもちろん、内風呂さえ使えない。親に見られるのも困るなどという生易しいものではないが、万一にも使用人に気付かれて世間に言い触らされでもしたら、首を括っても追いつかない。
 いや、死ぬことすら出来ない。湯灌のときに見つかってしまう。
「いやああああっ……」
 千代は声の限りに叫んだ。縄を引き千切ってでも逃れようと、渾身の力でもがいた。
「おとなしくしねえか。銀さん、やっとくれ」
 おいきたと、ヤスとタツとで両肩と二の腕を押さえつけ、銀次が馬乗りになる。昨夜から散らかりっぱなしになっている布切れを楓がかき集めに掛かったのだが。
「悲鳴がまったく聞こえないのも風情が無い。縄を噛ますくらいにしてくれ」
 この彫師も相当なタマではあった。
 荒縄の結び瘤が千代の口に押し込まれ、跳ね上げた垂れ髪とひとまとめに頬を縊った。猿轡と同時に、背中に髪が散るのを防ぐ一石二鳥だった。
「むうう……」
 千代は半ば観念して、それでも呻きを漏らしてしまう。
「では、仕事に掛かるか」
 彫師が道具箱を広げて矢立を取り出した。楓を千代の向こう側に寝そべらせて、蝶の下絵を千代の背中に写し取っていく。肉襦袢の絵もこの男が描いたものであってみれば、まったくの瓜二つだった。
 そして、いよいよ入墨。四本の針先を斜めに揃えた針棒に墨を含ませて、肌に突き刺す。突き刺して、ピチッと刎ねる。
「ひいっ」
 嫋やかな悲鳴。指先を針で突いたほうが痛いくらいだと、絶望の中にも微かな安堵を見出した千代だったが。
 ピチッ、ピチッ、ピチッ、ピチッ……
 何十回と繰り返されるうちに痛みが積み重なっていく。
「くっ、くっ、ひいい……きひいいい」
 呻き声が次第に甲高く、悲鳴に変わってゆく。背中は脂汗に濡れて、墨を入れられたところには血が滲んでいる。
 彫師も根を詰めている。ひとしきり彫り進めると、手を止めて額の汗を拭う。
 その間も、針に傷付けられた肌は痛みを千代に送り続ける。熱を帯びて、背中一面が薄桃色に染まる。
 薄桃色の肌に刻み付けられてゆく紺色の太い輪郭。見る者の目を愉しませるが、当人にとっては生き地獄の苦しみ。後に千代が墜とされる真性の生き地獄に比べれば、極楽の安逸といっても足りないくらいなのだが、蝶よ花よと乳母日傘で育てられた箱入り娘にとっては、生まれて初めて直面させられた責め苦だった。
 一刻もすると、押さえつけられなくとも身じろぎひとつしなくなって呻き声も途絶え、虚ろに見開かれた目から光は失せて。それでも、さらに一刻の余も入墨は続けられて、ついに大きな蝶が千代の背中に取り憑いたのだった。
「今日は、ここまで。明日はまわりの飾りを彫って、それから三日もすれば傷も落ちつくだろう。暈(ぼか)しも彩(いろ)も無しとは、なんとも勿体無いが」
 彫師が千代の背中を拭って、血止めの油を薄く塗っていく。
「夜目にも見分けがつきやすいのは筋彫だとおっしゃったのは、先生じゃないですか」
「む、それはそうだが。ところで、わしはもうひと働きせねばならんかったな」
「ひと遊びの間違いじゃねえですかい」
 銀次が、千代の縄を解きに掛かったのだが。
「傷が落ち着くまでは、その娘は縛っておくのが無難だろう。とはいえ、背中には触れぬようにせぬといかん。そこで、こういう趣向は如何かな」
 彫師が自分から縄を取って、無抵抗の千代を縛り上げた。俯せのまま脚を正座の形に折り曲げて尻を高く突き出させ、腕を引っ張って手首と足首とをひとまとめに括った。四十八手には無い形だが、名付けるとすれば、理非知らずの裏返し、あるいは緊縛鵯越か。
 これなら彫り上げたばかりの絵柄を愛でながら思う存分に腰を遣えると、彫師は自慢して。早速に千代の尻を抱え込んで、いきり勃った魔羅を突き立てた。
 千代はわずかに尻を揺すって逃げるような動きをしたが、まだ意識は定かでない。十九とはいえ熟れた女に比べれば人形のような小娘を好き勝手に弄んで、彫師は埒を明けた。
 例によって、楓が酢で壺の奥まで洗って子種を始末する。
「このままじゃあ、一人ずつっきゃ出来ないね。銀さんは、どこにするんだい」
「おめえの望みで、ひと通りは突っ込んだが、俺にも間夫(まぶ)の操立てってのがあらあ。とはいえ、お釜は御免だ。食ってねえといっても、溜まるもんは溜まるからな」
 三つのうち二つが駄目なら残りは一つだとうそぶいて、銀次は千代の猿轡を解いて身体を立てた。開いた脚をいっそう開かせて、その間に割り込み、口に魔羅をねじ込んだ。
「むぶ……ううう……」
 ようやくに千代は正気づいて。無理矢理に奉仕を強いられる。といっても、舐めろしゃぶれとうるさい注文はつかない。女淫と同様、ただ肉穴として魔羅を突き立てられ、中を遮二無二抉られるだけだった。
 しかし、喉の奥に精汁を叩きつけられて、それを飲めと強いられたのは、昨日と同じだった。
 ヤスは銀次に倣って口唇を使い、タツのほうはごく普通に女穴に突っ込んだ。
 昨日まで未通女(おぼこ)だったとはいえ、一日のうちに四人から延べ六回も犯されている。弄られてぬかるんでもいた。多少の違和感があるだけで、タツの図体に似つかわしい逸物をすんなりと受け挿入れてしまう千代だった。
 昨日のように入れ替わり立ち替わり、あるいは三人総掛かりといった陵辱にまでは至らず、三人が一回ずつ埒を明けただけで、千代は放置された。手首だけを括られて座った姿で、破れ天井の梁から腕を吊るされたのは、わざと寝転がったり背中を掻いたりして、彫ったばかりの入墨を台無しにされない用心だった。
 今度は銀次を見張りに残して、楓と乾文二人が外出(そとで)する。銀次は、まさかに千代を憐れんでのことでもなかろうが、悪戯を仕掛けるどころか視姦にも及ばず、居眠りを決め込む。
 千代は、まだ荒縄の猿轡を噛まされたまま、虚ろに床を見つめている。死にたいという想いさえ、とうに涸れ果てていた。
 楓たちが戻ってきたのは、陽が没して小半時も過ぎた頃だった。男どもはさっそくに貧相な酒盛りを始めたのだが。
 楓が千代の猿轡を解いて、冷めたふかし芋を口に押しつけた。千代はただ口を開けないのではなく、唇を引き結んで、拒絶の意志を露わにした。縛られていようと、飲み食いしなければいずれは死ねる。口をこじ開けて食べ物をねじ込まれようと吐き出してやる。
「そうかい。それじゃあねえ」
 楓が短い竹筒を持ってきた。匕首の鞘を突っ込んで、竹の節を突き破る。
「銀さん、手伝っとくれ」
 楓が不意打ちに腹を殴り付け、苦悶の形に開いた口に銀次が竹筒を押し込んだ。そのまま仰向かせる。楓が水の入った木椀を片手にふかし芋を齧り、くちゃくちゃと音を立てて咀嚼して飲み込んでみせてから、千代を脅かす。
「口移しに食べさせてやるよ。水を流し込めば、嫌でも飲み下さずにはいられないよ」
 千代は怖気(おぞけ)を震った。いきり勃った魔羅を見せつけられたときのそれではなく、蛆虫や蜈蚣が肌を這うときのような、それ。
「それとも、お上品に食べるかえ」
 一も二も無く、千代は首を縦に振るしかなかった。
「そうかい。それじゃあ、お食べ」
 目の前にふかし芋が転がされた。しかし、腕を吊られている。口から竹筒が引き抜かれ、銀次の腕から解き放たれても、芋には手が届かない。
「ちっと緩めてやるよ」
 縄がすこしだけ緩められて、手を臍のあたりまで下ろせるようになった。
「さっさと食えよ。食わねえと、口移しだぜ」
「でも、手が届きません。もっと縄を伸ばしてください」
「甘ったれるんじゃねえよ。どうやって水を飲んだか思い出しな」
 あのときは、胡坐に座って身体を折り曲げて。
 同じようにして見たが、あと一寸かそこらが届かなかった。
 思い余って、千代は床に身を投げた。吊られた腕を、これまでとは逆に出来るだけ上へ突っ張って。芋虫のように這って、芋にかぶりついた。
「お嬢様の作法は、あちきら下衆とは違って優雅なものだねえ」
 楓が高笑いした。
 千代は、齧り取った芋をろくに噛まずに、屈辱と共に飲み下したのだが。空っぽだった胃の腑に食べ物が落ちると、浅ましいまでに空腹を感じた。死にたい想いも、裸身を男どもの目に曝していることも忘れて、がつがつと貪り食い、ようやくに人心地の欠片を取り戻したときには、ふかし芋は跡形も無くなっていた。
「そんなにがっついちゃあ、胸焼けを起こすぜ」
 水を湛えた木椀を与えられて、それも貪り飲んだ。
 千代は改めて腕を高々と吊り上げられて、そのまま捨て置かれた。
 その形では眠れないだろうと、仕留められた獣のように手足をひとまとめに括られて板の間に転がされたのは、酒盛りが終わってからだった。親切心からではなく、凍え死なれては困るからと、正絹の襦袢と羽二重の布団しか知らぬ裸身に筵一枚が被せられた。
 そのせいよりは入墨の傷が発する高熱で、千代は一晩中悪寒に苦しめられながらも、心労の果てに泥のような惨めな安息へと引きずり込まれていくのだった。

 翌朝には、意に加えて便意にまで促されて目を覚ました。両手は前で縛られて、けれど昨朝と同じに股縄に引きずられて裏手へ連れ出されて。
「屎(ばば)を放(ほ)り出しとくと臭うからね」
 排便のための穴を、自らの手で掘らされた。壊れてしまった堤は、そう簡単には修復されない。千代は簪にくじられずとも小水を迸らせ、あまつさえ掘らされた穴もきちんと役立てたのだった。さすがに、後始末に使った縄を股間に通されたときには、嫌悪に顔をゆがませ恥辱の涙をこぼしたのだが。それでも抗いはしなかった。付け加えとおくと、縄の汚れた部分は、もっと縄尻に近いところだった。後で使うときの都合を考えたのだろう。
 この日も、午(ひる)過ぎから千代は戸板に大の字に縛り付けられて、蝶を取り囲む五つ葉と腰のあたりを流れる川を彫り込まれたのだが。
「ねえ、先生。あちきの乳首、あざと過ぎませんかね」
 肌にぴたりと貼り付いている肉襦袢には深紅の乳首が描かれているのだが、生身のそれに比べると鮮やか過ぎた。
「肌の下に入れる墨だからな」
「でも、これじゃあ夜目にも違いが分かっちまいますよ。同じ色にしちゃあもらえませんか」
「布地に暈しを入れるのは無理だ」
「じゃあ、生身のほうに朱を入れたら、同じ彩になるんじゃありませんか」
 彫師が、くくっと嗤った。
「女の憎しみは、とんでもないことを考えつかせるものだな」
「とんでもついでですけどさ。実核にも朱を入れてやっておくんなさいな」
「まさか、女淫まで曝すつもりか」
「まさかですよ。見えないからこそ、色が違ってても構わないんじゃありませんか」
「ほう……」
「どれだけ痛い目に遭わしてやったところで、あちきの受けた痛みの万分の一にも届きませんのさ」
 千代は戸板から引き剥がされ、手首足首を縛られて、空中に大の字に磔けられた。ヤスとタツが、両脇に立って腋の下を押さえ込む。
 筋彫よりも細いものを三本束ねた針が、千代の乳首に突き立てられた。
「ゔあ゙あ゙っ……い゙あ゙い゙い゙」
 くぐもった絶叫が広い本堂に響き渡った。
 彫師はちょっと眉をしかめたが、ピチッと針を刎ねた。
 倍する絶叫。
 ピチッ、ピチッ、ピチッ。彫師は非情に乳首を深紅に染めていく。
「いぎゃあっ……ゆういえ……いお、おおいええ」
 いっそ殺して。泣き叫ぶ千代を、楓は食い入るように凝視(みつめ)ている。五つも六つも年下の同性の苦悶に、復仇の念だけではない昏い愉悦を見出だしているのかもしれなかった。
 小さな乳首への朱入れは、双つ合わせても半時とはかからなかった。千代は全身汗みずく。叫び過ぎて喉が破れたのか、頬を縊る荒縄に血が滲んでいた。
 しかし、これまでの激痛は露払いにしか過ぎない。凄惨な阿鼻叫喚は、これから始まる。
 ずっと押さえつけているのは腕が疲れるからと、千代の後ろに戸板が横ざまに立てられて、足首と腰が縛り付けられた。だけでは不足と、膝の上にも縄が巻かれて、隅の鎹に繋がれて。上体を如何によじろうとも腰から下は微動だにしなくなった千代の股間に、針を持たない彫師の手が伸びた。
「皮を被ってちゃ、やりづらいな。痛くすればするほど、良かったんだな」
 とは、もちろん楓への問い掛け。
「それじゃ、こうしようかい」
 彫師は無雑作に包皮を剥くと、二本の針で大淫唇の上縁に縫い付けた。
「ひい……」
 一昨日だったら魂消(たまぎ)るような悲鳴を引き出していただろう残虐に、千代は微かに啼いただけだった。
 いよいよ、彫針が剥き出しの実核に向かう。
 千代は顔を背けて目蓋を固く閉じ、荒縄の猿轡をきつく噛み締めている。
 ぷつっと針が突き立った瞬間。
「ま゙あ゙も゙お゙お゙っ」
 血しぶきと共に絶叫を吐き出し、全身を硬直させた。
 ピッ、ピッ、ピッと。小豆の半分もない小さな肉蕾に朱の針が突き立っては柔肉を刎ねていく。
「かはっ…………」
 悲鳴を上げようにも、千代は息を吸うことすら出来ず、四肢を震わすばかり。虚空を掻き毟る手が縄をつかむと、渾身の力で我が身を引き上げて針から逃れようとする。
 実核は乳首よりも小さく、ひとつしかない。小半時のさらに半分も掛からずに朱入れは終わった。と同時に千代は気を失っていた。遅すぎた安息だった。
「おのれでしたこととはいえ、月の障りさながらでは、興も殺がれる。このまま帰らせてもらうよ」
 彫師はもうひと働きをせずに帰って行った。
「違えねえ。俺も願い下げだ。それよりも、お糸。おめえを可愛がってやろうじゃねえか」
 腰巻に肉襦袢姿の楓を押し倒しに掛かる銀次。
「待っとくれよ。あっちの二人は、どうするんだい」
 嫌とは言わないが、乾分の目を気にする楓。
「姐さん、お気遣いなく。俺らは、月の障りだろうが金山寺味噌だろうが、屁の河童でさあ」
 二人は千代から戸板を引っ剥(ぺ)がして、宙で大の字に磔けられている血まみれの裸身に、前門のタツ後門のヤスとばかりに取りついたのだが。
「ちゃんと起こしてからにしな。木偶人形じゃ面白くないだろ」
 面白くないのはヤスとタツではなく楓なのだが。それでも言いつけには従って。頬をビンタしたり乳房をつねったり。それでも目を覚まさないとなると、煙管を持ち出して鼻から煙を吹き込んで。
 咳き込みながら意識を取り戻した千代に、二人係りで裏表の立ち鼎(たちかなえ)。楓には面白くなかったろうが、目を覚ましても心は死んだまま。千代はまったくの木偶人形だった。

 拐わかされて四日目。この日の千代は、腕を吊り上げられて座ったまま、一日を過ごした。たまに縄を緩められたと思えば時雨茶臼の三人掛りで犯され、あるいは鵯越の理非知らずや立ち鼎に縛り直されての二人掛り。楓には駒掛けや茶臼での花菱を三度ばかり。蹴り転がして抱く意から転じた蹴転(けころ)女郎も斯(か)くやという数を、千代は強いられたのだった。
 そして五日目。楓はヤスを使いに遣って、午後から傷の様子見に訪れるはずだった彫師を巳の刻過ぎには呼び出した。すでに千代は、戸板に大の字磔。肩と尻に木魚やら銅鑼置台やらを宛がわれて、背中の彫物が触れないようにされている。
「まだ彫物を増やしたいと聞いたのだが」
「立たせて大の字にしてるときに思い付きましたのさ。まるで、名前のまんまに蝶が翅を展げているように見えましてね」
 言いながら楓は、ヤスに買って来させた百目蝋燭に煙草盆から切り出した火を移した。
「あちきは、毛抜きやら線香やらでほとんどかわらけになっちまいましたけど」
 両手に百目蝋燭を持って、千代の腰のあたりにかざして。熔けた蝋をじゅうぶんに溜めてから、狙い澄まして傾ける。
「ぎびいいいっ」
 昨日針に痛めつけられた実核に熱蝋を垂らされて、千代は海老反りになって悲鳴を上げた。
「まだ声が嗄れてるね。ガラガラ声になられちゃあ困る。口をふさいどくれな」
 詰め物にしていた布切れはどこへやったっけと、銀次が探しに掛かるのを、楓が止めた。
「前のは、あらかた反故(ほうぐ)にしちまったじゃないか。褌でも詰めてやんなよ」
 へっと、銀次がふり返って。
「俺のは今朝がたに替えたばっかだ。できるだけ汚れてるほうが面白えんだろ。ヤス、タツ。おめえらのはどうだ」
 三日も着けっ放しのタツに決まって。汚れた部分を結び瘤にして、千代の口にねじ込んだ。抗っても殴られて言うことを聞かされるだけと骨身に沁みている千代は、涙を浮かべながらも素直に猿轡をされてしまう。
 男の獣じみた臭い、据えた屎小イ更の汚臭に噎せて、千代はくぐもった嗚咽をこぼした。
 それを小気味よく眺めながら、楓は盛大に蝋をこぼし始めた。
「ん゙い゙っ……んん……ん……」
 千代の悲鳴は次第に小さくなり、腰も動かさなくなっていったのは、肌に蝋が積み重なって熱さが減じたからだった。じきに、千代の股間は白蝋で埋め尽くされる。
 固まりかけている蝋を掌で押さえつけて肌に密着させて。じゅうぶんに冷えてから、一気に引き剥がした。
「んいいいっ……」
 千代の腰が跳ねた。熱蝋を垂らされるのとは違う、まさしく生皮を剥がされるような激痛が股間全体に広がった。
 蝋を剥がされた後の股間には、淫毛がほとんど残っていなかった。
「ここにも彫物をして欲しいのさ。たっぷり彩(いろ)を着けてやっとくれ」
「おまえさんは脱がないから、どれだけ違っていても構わんという寸法だな」
 彫師は、千代に彫物を背負わせる理由を弁えているようだった。
「それで、何の図柄にするんだ」
「決まってるじゃないですか。背中が、チヨとカエデとイトなんだから。ここにも蝶を彫っとくれな」
 実核を頭に淫唇を胴体に見立てて、鼠蹊部から内腿にかけて翅を展げた図柄を楓は所望した。
「なんだったら、胴体に彩を入れてくれてもいいんだよ」
「他人の肌だと思って好き勝手を。まあ、こういう趣向も彫師冥利に尽きるってものだが」
 善ならぬ悪巧みは急げとばかりに、さっそくに道具箱を広げる彫師。
 千代はまたしても、全身を脂汗にまみれさせながら、声にならない悲鳴を褌の猿轡に吐き出す羽目になった。筋彫から彩入まで一気に仕上げたので、千代の苦悶は午(ひる)前から戌(いぬ)の刻近くまで四刻にも及んだ。
 せめてもの救いは、いちばん肝心の道具が今夜は使えなくされたせいで、娘としての辱めだけは受けずに済んだことだけだった。

 それからさらに六日間、千代は監禁されていた。いっそうの恥辱を与えるためではなく、入墨の養生である。最初の三日ほどは痒みに苛まれた。背中一面もさることながら、後追いで墨を入れられたところは、どこも女の急所である。掻痒の中に妖しい感覚まで忍び入って、これくらいなら、まだしも針を刺されたほうが手放しで泣き叫べるものをと、喉元過ぎれば何とやらに、千代はもどかしさを募らせもした。
 その間も日毎に一度は男どもに三つの穴を貪られていた。もちろん、妖しい官能に弄ばれていようとも、それと陵辱とが混淆することなどなかった。
 背中の瘡蓋(かさぶた)が剥げ、乳首と実核にどぎつい紅が染み込み、股間の色鮮やかな蝶は瘡蓋が貼り付いたままに傷が落ち着いてきた、拐わかされてから十二日目に、楓たちは姿を消した。
 といっても、千代が家まで送り届けられたわけでもない。胡座の間に柱を抱きかかえる形に縛られて、そのまま置き去りにされたのだった。
 誰にも見つけられず、このまま飢え死にしても構わない。いや、こんな浅ましい姿を見られるくらいなら、死んでしまいたい。そうは思っても猿轡を噛まされていては、舌を噛むことも出来ない。
 ――陽も沖天を過ぎた頃。境内に人の気配が動いた。
(お願い、入って来ないで)
 一瞬に羞恥が甦ったが、生き恥を忍んででも救けてもらいたい気持ちがなかったといえば嘘になる。
 足音がまっすぐ近づいて来て。様子を伺うように戸が引き開けられた。千代は後ろ向きに縛られている。振り向いて相手の顔を確かめる度胸はない。
 数瞬、ぴいんと緊張が漲って。
「千代……なのか」
(お父っつぁん……)
 世に男は数多(あまた)居れど、今はもっとも会いたくない人だった。
「いあいええ……」
 見ないで、来ないで。
 しかし。千代の心の叫びが通じる筈もなく。声から我が娘と分かって、駆け寄る喜右衛門。
 彼がこの場を探り当てたのは、偶然でも何でもない。
 誰にも行方を告げずに娘が姿を消した、その夕刻には貫目屋ではひっそりと大騒ぎになっていた。人目を忍んでの逢引とまでは喜右衛門はともかく、母の妙(たえ)あたりは勘繰りもしたが、まさかに朝帰りするとも思わなかったのだが。翌日に街の木戸が開いても帰って来ない。
 自身番への届出はもちろん、月々の付届けを欠かさない同心手伝の親分の手も煩わせ、それでも二日三日経っても消息がつかめず、ついには同心直々の出馬を願った。千代の拉致された先が分からなかったのも道理。貫目屋から十町(約一キロ)ばかり離れた清安寺で姿を見掛けた者がいたばかりに、城下町から静安寺とは真反対の方角へ一里半(約六キロ)も離れた、この南総寺はよもやとさえも思われていなかったのだ。
 それが、今日の午の刻すこし前に、童が文を貫目屋に持ってきて、喜右衛門は半信半疑ながらも手代と丁稚にまで駕籠を誂えて駆け付けたという次第だった。
「おまえたちは、外で待っていなさい。戸を閉めるのです」
 動転しながらも、娘の無惨な姿を人目に晒すまいとする親心。
 何はともあれ、汚れ褌の(とまでは気づかなかったが)猿轡を口から引き出してやり、手首の縄を解いてやろうと身体の位置を変えたとき。
「これは……」
 絶句する喜右衛門。真昼の外の明るさに眩んでいた目が本堂の薄暗がりに慣れて、娘の背中一面に刻み込まれた濃紺の紋紋に気づいたのだった。
 しかし今は、事の次第を問い質している場合ではない。とにもかくにも、あたふたと縛めを解いて。
 小さな両替屋を御家御用達にまで広げた、悪賢くも機転が利き度胸もある喜右衛門。娘に羽織を着せ掛けると、内縁へ駕籠をひとつ上げさせて、後はおのれの手だけで四苦八苦して板の間へ引き込んだ。
 羞恥に身を縮込ませている娘を、赤子をあやすようにしながら駕籠へ押し込み、両側の垂れを下ろしてから、駕籠舁き人足を呼び入れた。
 手代と丁稚に駕籠脇を固めさせ、自分は先に立って周囲を伺いながら。人目の多い街中を店とくっついた本宅へ連れ帰るのは憚って、城下からすこし離れた寮へ匿った。
 それからも、喜右衛門の手配りは抜かりなかった。娘の裸身を見られてはいないが、人足には法外な酒手をはずんで口止めをして帰らせ、自分は娘に付き添い、手代は医者へ、丁稚は女房へと走らせた。
「ともかくも五体満足で戻れたのだ。何をされていようと、命あっての物種です。おまえが幸せになれるよう、わしが万事取り仕切ってやる。決して早まった真似をするんじゃないよ」
 傷物にされ肌に消せない烙印を刻まれた娘でも、人並みとはいわないまでもそれなりに女として幸せにしてやる方策を、すでに喜右衛門は考えついていたのかもしれない。しかしそれは、大きな錯誤を前提としていた。
 これほどの恨みを買う因がおのれにあるとは、自明だった。そして喜右衛門にとっては、自身を殺されるよりも店を潰されるよりも、娘をこんなふうにされたほうが、はるかに痛恨だった。それだけに、害を為した相手が、復讐は成れりとして、これ以上のことを仕掛けて来ようとは夢にも思っていなかった。
 千代を解き放ったのが何よりの証拠だと、喜右衛門は判断したのだった。
========================================
緊縛強制刺青

 おそらく500枚くらいにはなるでしょう。第三幕は定められた吟味の手順(敲問→石抱→釣り→海老)など関係なく、三国弾正郷門クンが「こやつはどこまで耐えらるか。何故、責問で恍惚となるのか」と探求していくわけですから、濠門長恭クンの気紛れでどんな責めになるか、指先三寸です。第二幕に匹敵する分量(責めの種類と枚数)になるかもしれません。
 お楽しみに!
 ですけど。600枚とかいったら、前後編に分けてリリースするかもです。


DLsite キーワードは、強制 刺青or入墨

ノクターンノベルズ(なろうR18)始めました

 有料ダウンロードでチマチマやっているわけですが。
 無料にしたら、どれだけPVあるかなと。おっ始めてみました。
 こんなのです。


宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。
JRSS_01.jpg
 どうせなら、絶対Rでアウトでその他でもヤバそうなネタを突っ込んじまえ。ということです。
 20~40枚の短編のオムニバスです。
 よろしければ、こちらから→


 月刊濠門長恭を目指して執筆の合間にちょこまかですので、2021年12月から書き溜めて、2022年5月16日現在で100枚ちょっと。とりあえず、完成分だけをリリースしました。
「04:エッチなリング」までです。
現在鋭意執筆中の『濡墨を着せられた娘』を脱稿するまでには
「05:割れ目に教べん」もアップします。こちらは恣意的に微意執筆中。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report 0:濡墨を着せられた娘

Pre Progress Report (PLOT着想)→

 いや、とっくに執筆中なのですが。投稿間隔の調整で干を持していました。満を持してまではいません。(干潮⇔満潮)
 着想してからストトン拍子で執筆に至りましたまうえまよこ。

SM(japan)刺青女竹背負い縛り尻責め
 ずっと前から持っていた、この画像がインスピレーションBであり、テーマでありモチーフでありBFネタでもあります。
 ※Aレーションはアメリカ軍によって使用される、生鮮、冷蔵、冷凍食品によって構成されるレーションである。Aレーションは生鮮、冷蔵、冷凍食品を使用する一方、Bレーションは十分な冷凍・冷蔵施設がなくとも保存できるよう缶詰や保存料を用いる。(Wikipedia)
 なぜか、『戦闘詳報』みたいなノリになってます永谷園。


 とにかく、無実の女囚への陰惨/淫残な拷問を書きたいという、それだけです。Wordでいうところの「見出し1」「見出し2」「見出し3」まで使うという、SMX工房初の試みです。
 くだらないところに趣向を凝らすのが筆者の悪い癖です。今回は、全体を舞台仕立てにしています。
 PLOT中【隅付き括弧】が「場」です。その中をさらに[角括弧]で責めごとに分割。
 さて、困ったのが「お話変わって」の部分です。「幕間劇」ではないです。ヤケのヤンパチで「※回り舞台」としました。本舞台で役者がストップモーションして、それまで背景か何かだった部分が反転して、板付きで別の芝居が展開するという。
 PLOT中「書きながら考える」という注記がやたらあります。ストーリイは恙無く進行中で、とにかく拷問なのです。まあ、こういったシーケンスで、凝った(読者には迷惑な?)設定とか思いついて、ワープロの利便性で前の部分を改訂2万リーグということもあるかもしれませんが。


 おっと。今回の通奏低音を忘れてました。こういう場合にツーソーテイオンを使っていいのか疑問ですが、じれったいジレッタントです。
 苦痛の極限で快楽を得るというのは、実は脳内麻薬のせいである。どこまで具体的に書くかは、指先(かつては筆先と称していた)次第ですが。ランナーズハイとか、集団詠唱による宗教的法悦とか。なので、PLOT中で切支丹にちょこまか言及しているのです。


 ということで、PLOTの御紹介。登場人物の読みでカタカナ表記の部分は、お遊びです。

========================================
寛政5年(1793年) 1/1=新暦2/11 閏月無し
寛政の改革末期

千代(ちよ) わたし
 霜月生まれ 19の早春に物語は始まる
 実質17というのはマル秘
 ※ハードな拷問の連続なので、U16あたりでは耐えられない?
 ※数えで19にしとけば、よもやU18とは気づかれめえ
 跡継ぎにふさわしい婿をという父親
 貫目屋の悪評と相まって行かず後家
 貸本で目年増(艶本、指南本)
 貸本屋留三にお熱

貫目喜右衛門(貫目屋喜三郎)
 因馬藩の両替商
 先代に見込まれて入婿となる
 藩主(松尾家)や侍への貸し金で権力。苗字帯刀
 商家への短期融通で実利を得ている。苛斂誅求。
 庶民には評判悪くない。祭への寄付など
 一両を百人へ貸すより、百両をひとりへ

妙(たえ)
 喜三郎の妻 先代の娘

糸(いと)源氏名は楓 24 あちき
 貫目屋に借金をして破産した古着屋の娘
 15で遊郭に売られ、喜三郎に水揚げされた
 侍が戯れに衣装を切ろうとして脇腹に傷
 傷隠しの肉襦袢がヒントになった 
 後に銀次の手引きで足抜
 古着屋だったから、盗賊への伝手もある
横っ飛びの銀次
桂馬のタツ
香車のヤス
彫師の先生

三国弾正郷門(みくにだんじょうさとかど/ザンコクダンジョゴウモン) 41
 吟味方惣与力
 彼の手に掛かれば無実の者まで自白するので、責めは行なわない
 父親が切支丹を転ばせなかったのを強く覚えている
 自宅に拷問蔵
 なびかぬ女(男は高額)をなびかせて謝礼を稼いでいる
 プレイの場としても提供(十両以上)
弥助
 弾正の子飼
梅吉
 弾正の子飼
赤金文太雄(あかがねぶんだゆう/シャッキンフミタオス)
 探索方与力
間入有通(はざいりありとお/マニュアルドオリ)
 最初の吟味同心
八戸藪理(はちのへやぶみち/ハットヤブリ)
 二番手の吟味同心。弾正の手下同然

三俵のトラ 27 牢名主
 米俵を背負って両手にも
 女人足の頭(男より低賃金)
 男衆との出入りで殴り殺す
 山送りが決まっているが、牢名主として留め置かれる
河童のムメ 41 二番役
 農民。池で潜り漁。ご禁制の鯉を密漁
中條の松尾 38 三番役
 島送り待ち(生活基盤を築かせるため、初夏にのみ。翌年から自活)
鉄火のエン 22 詰め役
 博奕打ち。元は店持商人の娘
タキ 17
 継父を突き飛ばして怪我をさせた
 実母の訴えで
 後から入牢。型通りのリンチ

三井満足(みついみちたり/サンイマンゾク=銅でもいい)
 城下奉行(町奉行、寺社奉行)



第一幕 破れ寺

【拐わかし】
留三をかたった付け文で川原の小屋へ
雁字搦めで猿轡。棺桶へ入れられる
もがくのを諦めてから、破れ寺へ運ばれる
 本尊が残っているのが記憶に(重注)
まずは素裸に引ん剥いて処女蹂躙
酢で洗う。沁みる。肛門も中まで
四つん這いでアナルとイラマ
全裸緊縛放置
小半時後。強制騎乗位(楓介添え)三穴。
「あちきが15の歳にされたことに比べたら」
翌朝。縄をほどかれ、用足しは銀次が首縄
握り飯。近在の農家。千代には分からない
柱に膝立ち後ろ手。身体には縄を掛けない
彫師の先生
楓の肉襦袢に下絵
 蝶々の下に川(糸巻から流線)、左に楓
戸板に千代をうつ伏せ大の字
スジ彫り。悲鳴は猿轡
 1回4時間。2日で筋彫、2日でぼかし
施術後に彫師が一発。毎晩、3人×2回。楓の強制クンニ
肉襦袢の乳首のほうが赤い。千代の乳首も入墨。ついでに実核にも。
完成後
「自害なんてするんじゃないよ。これを見な」
脇腹の大きな刀創

【全裸捕縛】
本堂に緊縛放置して撤収
簪に結んで投げ文
半信半疑で番頭。籠の手配など
「刺青を父親に見せてみな」
紅葉……楓……川でなく糸……?!
喜三郎、絶句悶絶
寮に匿う。彫師も医者も、刺青は消せない
じきに、筋彫女賊お蝶の噂
喜三郎、寮に駆け付ける
厩番頭の菊田光太夫の妾に
 おまえに罪をなすりつける企み
時すでに遅し
 探索方与力が踏み込む。
 肌検め、全裸緊縛引き回し。自害封じ
 実は借財で青色吐息恨み骨髄
 証文を巻く。この場で。喜三郎が籠で往復
 胡座縛り、π乙もみもみ。賄賂指南
 腰巻姿で。女賊を捕らえたと喧伝
 倹約令違反の娘で過去に例有り
 城下町を引き回して牢獄へ
 父親は次の手を打つために別行動
 番頭と手代が駆け付けるが、追い払われる


第二幕 女囚牢

【吟味前夜】

[素肌検]
 裸検は、菓子折が届いているので手心
 新しい囚衣 手首縄だけで牢屋へ(手心)

[牢問答]
 前代未聞の菓子折で、待遇は良い
 奇天烈な言い分ゆえに信じてもらえる
 動かぬ証拠ならぬ動く証
 連座と、親の躾と
 罪一等を免じられても島送りは免れない
 山送りよりは、まし

【苛烈牢問】

[裸敲問]
 囚衣緊縛で罪状認否。否認
 上半身脱がして、大桶の水鏡
 敲き問。定法外して乳房敲き
 素っ裸にして、股間
 左右から手足を引っ張って大の字立ち
 滅多打ち。気絶するまで
 囚衣を掛けて、半幅戸板で牢へ放り込む
 医師が呼ばれる。菓子折の見返り
 早く自白させないと、手を回される懸念

[石抱問]
 書きながら考える

※回り舞台 若侍苦楽責
 弾正も菓子折り。受けても義理は無視
 元服前の武家の次男坊あたり
 水責め&ドライオーガズム寸前。
 依頼主の商人にアナル責めを与力が指南
 自発(?)フェラ。まで
 刺青誇示の不可解
 次の吟味からは立ち会う

[牢内掟]
 新入り。タキ
 重敲きのうえ線引き外所払いが相場
 案外と実母の取り計らい
 同情はするが、掟は掟。ツル無し
 全裸極め板敲き。女陰仕置は五本指
 一番手が小さいのはチヨ……
 自分が優遇されていると実感

[吊敲責]
 書きながら考える

[海老問]
 同心が八戸に変わる 
 書きながら考える

[坐禅転](承前)
 脳内麻薬のところに性的刺激で初絶頂

※回り舞台 新妓夢現責
 楼主の依頼で、強情な新妓を大麻調教
 思い出す。弥助を妓楼へ走らせる
 脇腹の傷など、千代の申し立てに一致
 楓を探すよう弥助と梅吉に
 吟味役を替えておいて良かった

[駿河問]
 敲責で悶絶の寸前に法悦境

【父母生別】
 娘が入墨をしたのは監督不行き届き
 島送りを見送りたければ白状しろ
 牢問ではないので、弾正は立ち会っていない

【裁きの場】
 弾正が苦々しい顔で陪席
 金の卵を産む鳥を/おそらく無実の娘を
 楓が隣国へ抜けたらしいという風聞
 弥助を走らせた(手形は独断)
 間に合わなかった
 独房で千代は、槍で貫かれる恍惚を想う
 最初の時、全裸引き回しされていたら


※回り舞台 熟娘揺木馬
 プレイの監視と指南
 色責め木馬(生温過ぎる)
 父親の時代の切支丹責を回想
 千代だったら、どこまで耐えられるか

第三幕 拷問蔵

【金の所在】
 処刑を三日後に控えて
 奉行から呼び出し
 真犯人は隣国で獄門
 偶然か、弥助の働きかけか
 裁きは覆せない(御政道の権威)
 盗金の所在を追求ということにして延期
 弾正の拷問蔵へ、こっそり移す
 全裸引き回しは、またも叶わず

[木馬責]
 書きながら考える

[逆吊責]
 書きながら考える

[水樽責](承前)
 水没で張形で絶頂

[男牢入]
  責めが伴わないと、つらいだけ

[釘打責]
  首に角材、小淫唇丸太挟んでクリ乗せ

[首吊責]
 懸垂首吊

【濡衣問答】
 処刑は1か月延期が限度
 隣国からの書状が、今届いたとして
 千代に手を突いて謝る弾正
 ・予定通り死罪
 ・罪一等を減じ山送り
 ・文身を彩色して放免/投込寺の死体
 ・永代吟味(新しい拷問の実験台)
 彩色後の死罪を渇望するも……


最終幕 処刑場
 全裸引回しを望むが、腰布
 磔柱も同じ(男柱)

みそとせの せめらくもつき あとにゆく
     ほとぬれそぼち やりをまちわぶ
三十年の 責め楽も尽き 後に逝く
     女陰濡れそぼち 槍を待ちわぶ
========================================

 最後はヒロインの処刑で終わっています。濠門長恭作品としては珍しい結末ですが、ヒロイン自身が望んでのことです。先に逝った弾正の後追いです。しかも、槍に貫かれる瞬間のエクスタシーを求めてのことです。そういう意味ではハッピーエンドです。

 女賊が諸肌脱いで刺青を誇示するというのは、巧妙なカモフラージュでもあります。被害者は刺青に目を奪われて、顔なんか覚えていません。夜目ですから極彩色はかえって見えづらい。ので、筋彫。
 いや、まあ。本当に刺青をしてしまうと、風呂とか困るわけです。裏庭で行水でも、覗き見られる危険があります。そこらへんを穿った推理でアレコレするのが、弾正郷門の面目が躍如として申し分ないところです。
 しかも「※回り舞台 新妓夢現責」で、楼主に依頼されて強情な娘を大麻で快楽責めしているときに、そういえば十年まえに糸とかいう娘を……あやつかッ! と、なるわけです。
 回る因果の糸車。俺のせいで千代は……弾正クンが反省するか田舎は、筆者も今のところは分かりません。


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テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

PLOT着想:濡墨(ぬれずみ)女賊と同じ文身を着せられた箱入娘

 ぼけらっと突っ立てるだけで(では交通事故を誘発しますが)時給千円ですと、あれこれ妄想竹の花が咲き誇ります。
刺青イマジネーション
 これらの画像が、その種子です。
 前々から。刺青を妄想はしていたのです。
 ・刺青のある女を責める。
 ・強制的に刺青をさせる。
 ただそれだけでG線上のオカズにはなりますが、小説のモチーフとしては弱い。必然性ですね。
 で、まあ。ライトセーバーを振っているうちにダークサイドが深化しまして。
 タイトルのごとくなったわけです。
 『濡墨』です。入墨と濡衣の語呂合わせです。


 悪徳商人の箱入娘。純情可憐です。
 悪徳商人の犠牲になった一家の娘。元純情可憐です。
 復讐をしたいが、悪徳商人は用心棒とか抱えているので、敵わない。
 そこで、思い立つのです。
 箱入娘を拐わかして。GangBangくらいでは腹の虫が治まりません。ので、箱入娘に全身入墨です。時間の制約とか、装填念書くでは※でそっくりに出来ないとかで、筋彫です。
 完成するまで監禁して、日毎夜毎に凌辱はもちろんですが。
 入墨完成後に箱入娘は家に帰してやって。
 同じ倶利伽羅紋々を描いた襦袢(※)を着て、諸肌脱ぎになって、押し込みをやらかすのです。襲われたほうは、入墨にばかり気を取られて、人相など覚えていません。
 じゅうぶんに評判になったところで、投げ文あたりで、箱入娘を捕らえさせます。
 肌に刻まれた入墨が動く証拠です。しかし、箱入娘は無実を訴えます。
 過酷な拷問が始まります。
 牢内でも。「たいした女だよ」と思っていたのに「あたしは無実です。うえええん」と泣き叫ぶ娘にアイソスタシー。過酷な牢内仕置が始まります。
 これだけでもイケますが。
 切支丹取締方の役人が。なぜに、切支丹は拷問されても「おら、パライソさゆくだ」と恍惚るのか。
 史実としては。弾圧への抗議として、みずからを縛し、仲間に鞭打ってもらいながら町中を練り歩いた宗派の記録もあります。
 濠門長恭クンとしては初めて。苦痛の極限における脳内麻薬の放出を明文で取り上げます。
 切支丹取締方の役人が(『偽りの殉難』における前田数馬ですな)、責められても頑として罪を認めぬヒロインに興味を持って。切支丹と相通ずるものがあると看て。自分で責めてみたいと。
 で。ヒロインの父が、娘の捕縛を契機にあれこれ齟齬ったりして、妻ともども首を括ったりして。
 気落ちしたヒロインが、ついに無実の罪を認めて。当然ながら、御裁きは死罪。
 そこで、かねてよりヒロインの訴えに基づいて探索していたサド役人が、真犯人を暴き。都合よくベッケンバウワーで死んでいるか、まあ、適宜処理。
 一度下った裁きを覆すのは御政道を揺るがす不祥事。しかし無実の娘を殺すのも性技にモトイ正義に悖る。
 ので、盗んだ金の隠し場所を白状するまで処刑を先延ばし。
 サド役人が「真相をモリモトすればGreat thingでっせブッセ」と、強引に自分の掛かりにして。
 切支丹拷問専用の御法度拷問器具シコタマの拷問蔵にヒロインを移して(移動は、もちろん全裸引き回し)。


 今のところで揚がっているPLOTをご紹介。

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第一部 破れ寺/悲虐
拐わかし
刺青筋彫
 乳首赤、ついでにクリも
解き放ち

第二部 女囚牢/哭虐
素肌検め
吟味前夜
裸敲問
幕間劇乃一 刺青誇示の不可解
石抱問
海老問
坐禅転(承前)
幕間劇乃二 切支丹責を回想
駿河問
父母の死
裁きの場


第三部 拷問蔵/悦虐
幕間劇乃三 真犯人は別件で獄門(御政道の権威)
金の所在
引き回し
木馬責
逆吊責
水樽責(承前)
男牢入
首吊責
濡衣問答
 ・予定通り死罪
 ・罪一等を減じ山送り
 ・文身を彩色して放免
 ・永代吟味(新しい拷問の実験台)

 彩色後の死罪を渇望するも……

後日譚 処刑場


みそとせの せめらくもつき あとにゆく
ほとぬれそぼち やりをまちわぶ
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『濡衣問答』のところで、サド役人がヒロインに真犯人判明と告げて。
「おまえはどうされたい?」
 苦痛の極限&死の恐怖で放出される脳内麻薬中毒になっているヒロインは、入墨を彩色してもらった上での死罪を願いますが、それでは黒犬尾も白くないと、永代吟味+入墨彩色です。
「では、十年二十年先までも、拷問してくださるのですか」
「儂が死ぬまで、甚振り抜いてくれるわ」


 で、後日譚です。30年後にサド役人が死んでから、ヒロインが自首して。
 本人のたっての願いで、全裸引き回し磔獄門です。
 もう、辞世の句まで出来ています。「責め苦」を「責め楽」と洒落てますなあ。

 
 第一部のところで「乳首赤、ついでにクリも」は、さらなる妄想竹の花。
 襦袢に描いた乳首と生乳首の色が違うので、じゃあ生乳首に同じ色を入れてしまえです。
 ついでに「もっと苦しませてやるよ」と、いちばん敏感なクリにも入墨です。
 実はこのあたり。『女神様と王女様と、いとこの(下)僕』のシーンから持ってきてたりします。
 このストック原稿の発表と『女神様~』のProgress Reportと、どちらが先というは、あまりに愚かなり。


 やはり小説には「旬」があります。あまり長く構想を寝かせていると「弄っているうちに大きくなり過ぎちゃった♡」とか、書いた気分になってしまったりとか、『突撃!戦車娘』の続編なんかが、そうですね。

 なので。2022年中にも書き始めるかもしれません。

追記
 と、この記事を仕込んだのが4月上旬(だっけ?)で。
 現在(2022/05/09)は執筆中です。
 だいぶん膨らみましたね。牢内仕置は、やめました。父親が狂乱奔走して、牢名主にまで『菓子折』を届けたのです。
 箱入娘は純情可憐ですが、すでに19です。霜月生まれで、物語は早春に始まりますから満年齢では17そこそこ、いくいく、です。Kobo対策でもありますが。あまり若いと過酷拷問に耐えられないので。まあ、そういうわけで。貸本とかに興味津々、目年増耳年増です。ナニをされているかも理解します。ので、心理描写が楽です。
 佐渡役(金山勤番??)は自前の拷問蔵とか持っていて、十年の昔に、どうしても客を取りたくないとハンストする新妓を(楼主の依頼で)色責めで落として。実は、その娘が今の女賊で。回る因果の糸車。
 妄想→構想→稿草が一機火星なのは、『The Nightmare Rift』もそうでしたっけ。

 Progress Reportは、こちら→

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Progress Report Fimal:女神様と王女様と、いとこの(下)僕

 ふわあ。やっと、終わりました。思えば、構想3か月/執筆3か月。
 1月下旬にPIXIV小説でリクエスト(有料)をもらって、一旦は辞退して、でも4月に再リクエストしてもらう予定で他の作品を書きながらPLOTを練って、3月末に再リクエスト/受注して書き始めて、5月2日に脱稿して。3日と4日が休日の予定だったのに勤務先都合で5日も休みになって。推敲3回+BF丁稚揚げして、たった今(2022/05/05 13:50)PIXIVに投降を終えたところです。
 3月末に書き始めて5月初頭に脱稿。足掛け3か月。嘘は言っていませんね。

 少年がSMショーの初舞台でマゾに開眼する話ですが、実はその前の章(ストーリイ上では1か月前)では幼いサディスチン姉妹がマゾ役で同じ舞台に出演するのです。そして、こっちの方に力が入ってしまいました。(2万6千文字:1万8千文字)。

 そこで今回は姉妹がマゾ役の方を御紹介いたします。

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SMショー

 2学期が始まった。僕のほうはすぐに実力テストがあって、美竹さんは前期の期末テスト。
 そして、結果の発表。僕の危具は的中して、美竹さんは目標にまったく届かなかった。目標の平均点460に対して430、へん差値65に対して58。未達成の罰はメコ筋への鞭打ち30発はともかく(じゃないけど)、クリトリスへのオキュウが7個。美竹さんは自分で自分に罰を言い渡しながら、泣きじゃくってた。
 なんだか甘えたような泣き方だった。もしかしたらメス穴を濡らしてるんじゃないかと疑るくらいには、僕も美竹さんのことを分かるようになっている。
 ほんとに濡らしていたかは(残念だけど)分からなかった。
「せんねんキュウは跡が残らないというが、それはふつうに使ってのことだ。小さなクリトリスへ立て続けに7個となると、焼け落ちてしまうかもしれん。美鈴は、どう思う?」
 伯父さんに尋ねられて、美鈴ちゃんは固まってしまった。こういうときにどんな返事を求められているかは、僕にも想像できる。美鈴ちゃんは30秒くらい黙っていたけど、それは考えているのではなくて決心に必要な時間だったろう。
「あたし……お姉ちゃんの罰を半分引き受けます。まだ皮をかむってるから……モグサでもいいです」
 顔は真っ青、声も震えていた。でも、美竹さんと同じで、なんとなく甘い響きがあった。
 伯父さんが満足そうにうなずいた。
「よかろう。姉思いの妹にめんじて、クリキュウは許してやっても良い。ただし、次のキンシツ会にはふたりそろってトリを務めるのが条件だ」
 ふたりそろって、伯父さんの前にひれふした。
「ありがとうございます。どんな厳しいショーでも、立派に務めて見せます」
「すこし、均くんを教育してやろうと思っての処置だ。彼にも感謝しなさい」
 いきなり話を振られて、僕はぽかんとするしか反応できない。
「ありがとうございます、均さま」
 W美姉妹に土下座されて、目を白黒赤青黄色。
「あの……どういうことですか??」
「そのときになれば分かるさ」
 答えてもらえなかった。
 メコ筋への鞭打ち30発は、その場で執行された。美竹さんは、やっぱりパンティをサルグツワにしたけど、うめき声までは止められなかった。数え役は、また僕が指名されたので、間違えないように注意を集中していたけど……うめき声が、やっぱり甘酸っぱく聞こえたので、わざと間違えてあげようかと、何度も考えてしまった。もちろん、実行はしなかった。

 訳が分からないまま、9月も下旬になった。それまでに一度、洋服屋に連れて行かれて採寸された。洋服屋といっても赤山とかじゃなくて、オーダーメード専門の高級店。1週間ほどで届けられたのは、タキシード。背広みたいなやつで、薄い生地のつりバンド付き腹巻(?)をして、ちょうネクタイを結ぶ。それをスーツケースに入れて、一家そろって東京へ行った。
 着いた先は、小ぢんまりとしたホテルだった。エントランスには、見落としてしまいそうなくらいひっそりと『錦瑟会様貸切』の看板が立ててあった。それを見たときは「へえ?」くらいにしか思わなかったけど、クロークというんだっけ、スーツを着た人が3人並んでる受付で、後ろにある料金表を見て驚いた。いちばん安い部屋(大人2人)で5万円。たしか、小学校5年のときに連れてってもらったドリームワールドの近くのホテルで、宿泊料金が親子3人の部屋で1万2千円だった。それだけのお金があれば新しいテレビゲーム機を買ってもらえるのにと思ったから、よく覚えている。その4倍以上。ウルトラ高級ホテルだ。
 ボーイさんに荷物を持ってもらって、案内されたのは2LDKくらいの部屋。ベッドルームだけじゃなくて、リビングみたいなスペースもついてる。それが、伯父さんと僕のツインルームだそうだ。伯母さんとW美姉妹は別の部屋。料金表にはファミリールームというのもあったけど、そちらは最低でも15万円だから2部屋に分けたほうが安上がりなのかな。
「まだ時間があるから、テレビでも観てなさい」
 これから何をするのか、まったく教えてくれずに、伯父さんは部屋から出て行った。伯母さんたちの部屋を訪れようとしたけど、追い返された。
「美竹たちは、いろいろと支度があるの。ごめんなさいね」
 なんだかなあ。別そうから帰ってからこっち、みんな微妙によそよそしいんだよなあ。仕方がないので、面白くもないテレビでも観るしかない――と思ったら、有線放送なのかな。洋画専門とかアニメばっかりとか、チャンネルが20以上もあったので、退屈はしなかった。どころか、まだ上映中のはずの『スター・ワーズ6』にかじりついていた。もう英語も習ってるんだからと、字幕版にしたけど、結局は字幕を読んでばかりだった。
 だけど、最後までは観れなかった。伯母さんが来て、僕の着替えを手伝ってくれた。
 ちょうネクタイは幼ち園の発表会で身に着けた記憶はあるけど、ワイシャツ(ほんとは違う名前らしい)の上に腹巻をかぶせてベルトでつるなんて、妙ちくりんなファッション。くつも光沢のある黒いのにはき替える。
 支度が出来上がると、W美姉妹を従えて伯父さんが迎えに来た。伯父さんもタキシード。伯母さんは、ノースリーブで胸元も広く開いてる薄青のワンピース。上半身がぴっしりしてるけどスカート部分はふんわり。カクテルドレスといって、タキシードと同格の礼装だとか。なのにW美姉妹は……マントというかポンチョというか、首からふくらはぎまで、ふくろをかぶってるみたいな服装。腕もふくろの中に隠れてる。そして、裸足。しかも、長い鎖のついた首輪をしていた。
「あの……?」
「美竹は、きみが連れてきなさい」
 僕が質問しかけるのに言葉をかぶせて伯父さんは、美竹さんの首輪から延びてる鎖を僕に押しつけた。
「……! ……?」
 何がどうなってるのか見当もつかないけど、伯父さんについてくしかない。
 伯父さんは僕を左側に並ばせて歩き始める。その後ろに美鈴ちゃんと美竹さん。伯母さんはふたりの後ろ。まるで、連行される犯罪人(でも奴隷でも家蓄でも)を見張ってるみたいだと思ったのは、鎖からの連想だ。
 エレベーターのところにボーイさんが立っている。僕たちの姿を見ると、うやうやしくおじぎをして、ボタンを押してくれた。W美姉妹の奇妙な格好を見ても、まるきり無表情で無言。
 2階で降りると、広いパーティー会場だった。
 入口のところに、なぜか塩田先生がぽつんと立っていた。
「わざわざお呼び立てして申し訳ない」
 伯父さんが声をかける。先生は伯父さんと僕を見比べて、きまり悪そうにうつむいた。
「いえいえ。乗車券まで手配していただいては、お断わりするのも失礼ですから。ですが、これは一体どういう集まりなのですか?」
「百聞は一見にしかずと言いますから。ともかく、こちらへどうぞ」
 伯父さんと僕とで先生をはさむ形になって、会場へ入った。
 小さなテーブルがたくさん、ちょっと見には不規則に並べられている。ひとりや5人以上のテーブルもあるけど、半数はカップルで残りは子供連れかな。私立の制服ぽいのを着た小さな子もいるし、中年のカップルと若夫婦みたいなテーブルもあった。
 ここでも伯父さんは偉いんだろう。最前列中央のテーブルに案内された。でも、イスは4脚だけ。正面の幕に向かって並べられている。僕と塩田先生が真ん中に座って、僕の右が伯父さん。塩田先生の左が伯母さん。
 W美姉妹の席が無いなと思ってたら……テーブルの両端に分かれて、のろのろぎくしゃくと(その理由は後で分かった)床に座り込んじゃった。体育座り。たくれ上がったポンチョは、案内したボーイさんが直してくれた。すそが床まで広がって、まるでてるてる坊主。
 床に座ってる人なんて、他のテーブルにはいない。ますますナゾが深まる。
 ぱらぱら残っていた空席も10分ほどでうまった。部屋の照明がすこし暗くなって、テーブルにキャンドルが灯される。そして、幕の下りた舞台にバニーガールのお姉さんが登場した。タイトルは忘れたけど、テレビで観た洋画を思い出した。カジノでもお客は正装してて、ウェイトレスはバニーガールだった。
「皆様、遠路はるばるお越しいただき恐縮です。これより、錦瑟会昭和58年度9月例会を開さいいたします。本日は会長の土幸様は御欠席ですが、常任理事であらせられる沢渡様が御臨席です」
 バニーガールさんが、白手ぶくろの指をそろえて伯父さんを指した。伯父さんと伯母さんが、ゆっくり立ち上がる。僕も、伯父さんにつつかれて、あたふたと。塩田先生も、きょろきょろしながら立ち上がった。
「お若いお連れ様は甥御の沢渡均様です」
「回れ右、礼」
 耳元でささやかれて、またあたふた。
「もうおひと方は、均様の担任教師でいらっしゃいます。会員様ではございませんが、沢渡様のお計らいで臨席いたしております」
 塩田先生はガチガチに最敬礼。そうか、位負けしてるんだ。みんなタキシードとかイブニングの正装。学校の制服も正装として扱われるそうだし。先生だけが、たぶんとっておきのよそ行きだろうけど、サラリーマンみたいな背広とネクタイ。
「本日は、おじょう様の美竹様と美鈴様もお見えです」
 W美姉妹も、妙ちくりんな格好が許す限りの優雅な動作で立ち上がり、参加者に向き直って――片足を後ろに引いて背をのばしたまま身体を沈めた。西洋のお姫様みたい。女神様と王女様にふさわしい仕草だけど、これってレディーズマナー講座で学んだのかな。
「なお、本日のショーにて、おふた方はトリを務められます」
 盛大な拍手が起こって、ふたりはもう一礼。
 思い出した。期末テストの成績が(とんでもない)目標に達さなかった罰として、そんな約束をしてたっけ。
 ふたりが座ると、またボーイさんが音も無く飛んで来て、ポンチョのすそを直した。
 しばらくはクラシックの静かな曲が流される中を、ボーイさんが料理とお酒を配っていった。ラスクみたいなやつの上に、クリームとかサラダとかフルーツを盛り付けたのが、ちんまりとみっつ。これってフルコース料理の前菜かな。
 僕の前にもワイングラスが置かれた。他の3人の(は、赤ワインかな)と違って鮮やかな青色であわが立っている。
「きみも飲みなさい。ごく薄いアルコールだから、だいじょうぶだ」
 そりゃ、父さんのビールをオチョコで飲んだことくらいはあるけど。アルコールがどうこう以前に、テーブルマナーを知らない。のは、塩田先生も同じみたい。伯父さんがワインをひと口飲むと、同じようにひと口。ぼくも伯父さんを真似した。
 お皿の両側にフォークとナイフが3本ずつ。さらに大きなスプーン。お皿の向こう側にも小さいのが1組。は、使わずに。伯父さんはケーキみたいなラスクみたいなやつを手でつまんで食べた。そして、ひざの上に広げたナプキンの端で手をふいた。ので、僕と塩田先生も。なんか、こういうの落語にあったね。
 そうだ、W美姉妹はどうなってるんだろうと振り返って見ると。お行儀よく座って正面の舞台を見つめてる――だけ。料理もワインも無かった。
「伯父さん。美竹さんたちは食べないんですか?」
「ショーをひかえているからね。きみは若いから知らんだろうが、戦闘機は燃料満載では動きが鈍って、まともに空戦機動を行なえない」
 分かったような分からないような返事だった。
 伯父さんが(ということは、僕と先生も)半分くらい食べたところで、お皿が下げられて、スープが運ばれてきた。会場に流れていた静かなクラシックが、テンポの速い(サンバかコンガか知らないけど、なんとなくラテンっぽい)音楽に替わった。音量は小さい。
 またバニーガールのお姉さんが登場。
「前座を務めていただきますのは、仮会員になられました村社様です。御年48。奥様は41歳でございます。なお、出場される娘さんも、けい法第176条および第177条に定める性的同意年令に達しておりますことを申し添えておきます」
「錦瑟会のメンバーは、社会的ステータスの高い者ばかりだ。身代わりを立てられぬような違法行為は犯さぬように慎んでおる」
 あ、それでか。次の誕生日に美鈴ちゃんは伯父さんにバージンをささげるとか言ってたのは――バニーさんが言った性的同意年令ってやつだ。身代わりを立てられるような違法行為は犯すのかなって疑問が浮かんだけど、深く考えないことにした。僕の感覚では、父と娘でセックスすることのほうが、万引きよりずっと不道徳だ。そして僕も、その不道徳をなしくずし的に受け入れてしまってる。
 バニーさんが引っ込むと幕が左右に分かれて。舞台には大きなベッドがひとつきり。三方と天井には大きな鏡が張られていて、ベッドをいろんな角度からながめられるようになっている。
 舞台の上手から中年の夫婦が、下手から3人兄妹が登場。背丈や顔つきから判断すると、兄妹弟の順だと思う。真ん中の妹は美竹さんくらいで、末っ子の弟が僕と同じくらいかな。くやしいけど、3人ともちゃんと毛が生えてる。
 みんな、全裸。全員に注目されて、男3人のチンチンは委縮している。
 ベッドの前に立って、夫婦が抱き合ってキスを始めた。お母さんは身体を密着させながら背のびをして、股間をお父さんのチンチンにすりつけてる。
 お兄さんが客席に横を向けて仁王立ち。弟は正面を向いてる。妹がお兄さんに向かい合ってひざまずいて、フェラチオを始めた。右手で弟のチンチンをしごいてる。
 1分もすると『主砲発射用意ヨシ』の体勢になった。夏休みの終わりにノンフィクションの海戦記を読んだので、現国の暗ゆを復習してみた。
 お母さんと兄弟がベッドに上がった。お母さんが四つんばいになって、お兄さんが後ろから入れて。うわわ……弟は奥さんの正面でひざ立ちをして、フェラチオをしてもらってる。そしてお父さんは小さな娘を抱き上げて……下から突き上げるようにしてクシ刺し。
 お兄さんが後ろから突くたびにお母さんが前後にゆれて、弟のチンチンは自然にピストンされる。お父さんは中腰になってひざで上下にゆっさゆっさ。
 ぱんぱんぱんぱん……
 じゅっぷじゅずず……
「あん、あん、あん……パパ、ちもちいいおお」
 妹は舌足らずに快感を訴えている。
「見とれていないで、すこしは食べなさい」
 伯父さんにうながされて、テーブルに視線をもどしてスプーンでスープを飲んだ。音を立てないように飲むのがマナーだってことくらいは知ってる。セックスでは、音も声も出すのがマナーなんだろうな。
「いったい……これは、どういうことですか?!」
 塩田先生も我に返って、伯父さんに詰問口調。
「うるわしい家族愛の一幕ですよ。血縁のきずなに安住することなく、男女の――とは限りませんが、肉体のきずなを重ねる。それでこそ、終生の変わらぬアイジョウ、愛をもって縄で縛りつける関係が築けるというものです。まあ、縄に象徴される支配と被支配の関係を持ち込んだのは、ほかならぬこのワシだがね」
「バカな……近親相かんではないですか」
「法律では近親かんは禁止されておらんよ、すくなくとも日本ではね」
 ほんとに伯父さんは――法律に違反しなければ、なんでもOKなんだな。
「塩田さんは、キンシツ相和すという言葉を知っておるかね。キンもシツも楽器のコトだが。大きなチャイニーズハープすなわちキンと小さなチャイニーズハープすなわちシツの合奏は妙なる調べを生み出す。そしてニシキのようにうるわしい家族愛。このふたつからキンシツ会は生まれたのだよ」
 最初はていねいだった伯父さんの口調が、僕たちに話すときと同じに変わってきた。
「ここにいる会員を、どう思うね?」
「まさか、みんな近親相かんを……?」
「そういうことを聞いておるのではない。年収がきみの20倍以下の者など、ここにはひとりとしておらんよ。ワシらは、見ず知らずの親せきやら銀行証券会社やらユスリタカリやら――背信と裏切りに取り囲まれておる。真(まこと)に心を許せるのは血族でしかない。あるいは、絶対の忠誠をちかった女房か……順子、この人に見せてやりなさい」
「はい、御主人様」
 伯母さんはイスに座ったまま、するするとドレスを脱いでパンティをずり下げた。横長のハート形の焼き印と ”Tuyosi”のイレズミが現われて、塩田先生の目はそこに吸い寄せられた。
 伯母さんがいきなりストリップを演じても、ざわめきすら起きなかった。
「いい機会だ。均くんにも教えておこう。ワシは、もともとサディストだった。強い者が弱い者を支配する。これは、野生の動物もかくミサイルのボタンを持つ物も、まったく同じだ。父親から継いだ会社を守るためだけにも、ワシはサディストにならざるを得なかった。夫婦生活だけは別物という器用な真似は、ワシには出来ん」
 ほおおっという小さなどよめきが上がった。舞台を見上げると――お父さんに妹が向かい合ってまたがっていて、弟がお尻の後ろでお父さんをまたいで中腰。あれって、アナルセックスをしてる。そして、お兄さんはひざ立ちになって、妹の頭を両手でつかんでゆすぶってる。フェラチオだ。ということはメス穴、アナル、口。すべての穴にチンチンを突っ込んでることになる。自分より大きな男性3人に囲まれて、妹は嵐の中の小舟みたいにほんろうされている。
お母さんはというと――娘の横に座って、お兄さんの金玉がお父さんの顔に当たらないよう片手で支えながら、もう一方の手で娘のクリトリスをいじっていた。
 ずっちゅずっちゅずっちゅ……
 ずうっぷずうっぷずうっぷ……
 ぬぷにゅぬぷにゅぬぷにゅ……
「もお゙お゙お゙、お゙おお゙お゙……!」
 大きなハープと小さなハープにボーカルまで加わった、激しいセッションが繰り広げられている。
「取引先といえば聞こえはいいが、丸木商会がコバンザメのように食らい付いていた大きな会社の専務が、当時のキンシツ会の世話役でな。ワシは可愛がられて、養女の順子をもらい受けた。ワシもキンシツ会へ加入させてもらって――ただの男女関係もまた、裏切りや不ていが付き物だからな。サドマゾによる女の支配を持ち込んだというわけだ。なに、養女とはいえ娘に焼き印を押すような人物だったからな。鞭と縄へのきょ否反応は無かったよ」
 カチャン。塩田先生がナイフを取り落とした音。
「あっ、これは失礼を」
 イスを引いて立ち上がったけど、床に手をのばす前にボーイさんが音も無く飛んできて、テーブルに新しいナイフを置いた。
「こちらを、どうぞ」
 ドリブルでディフェンスをかわすよりも素早い身ごなしでフォークを拾い上げて、ボーイさんは音も無く立ち去った。
「失敗しても大然自若、軽く手を挙げてギャルソンを呼び、後始末をまかせる。マナーの基本として覚えておきなさい」
 僕に教えてくれているようで、その実、先生をあざ笑っている。
 パチパチパチ……
 拍手の音で、また舞台に目を向けると――5人のくんずほぐれつは終わって、まるで演劇のフィナーレみたいに横一列に並んでお辞儀をしていた。
「村社様御一家のうるわしい家族愛を拝見させていただきました。村社様を正式の会員としてお迎えくださる方は、今一度の拍手をお願いします」
 バニーさんの言葉で、みんなが立ち上がって、ひときわ盛大な拍手を送り始めた。伯父さんと伯母さんも。僕も腰を浮かしかけたけど。
「座っていなさい。きみは会員ではない」
 塩田先生が、バツの悪そうな顔で腰を下ろした。W美姉妹は、ずっと座ったままで拍手もしていない。
「それでは、次の演目まで母と娘のほのぼのとしたじゃれ合いをご鑑賞ください」
 バニーさんが、小さなバスケットをベッドに置いた。お父さんと兄弟は舞台から去って――お母さんと娘は、またベッドへ。お母さんが、バスケットから奇妙な形をした物を取り出した。50センチくらいの一直線の棒。2本のチンチンを根元で接着したような形をしてる。真ん中には丸いグリップみたいのがあるけど、そう思ってみると玉ぶくろそっくりだった。
 まあね。半年もの間、あれこれエッチなことを体験してきたし、美竹さんが美鈴ちゃんにピンクローターを入れるところも見ちゃってるし。その道具をどう使うかは、簡単に想像がついた。
 想像通り。ふたりはベッドに向かい合って座り、まず母さんが模型チンチンの半分を自分に入れてから、互いに交差させた足を絡め合って下腹部を近づけて、娘に反対側のチンチンを突っ込んだ。そして、玉ぶくろを握ってピストン運動を始めた。
「あっ、あっ、あっ、あっ……」
「いいわあ……カズミ、もっともっと泣いてちょうだい」
 ふたりとも、すごく感じてる。
 天井の鏡を見上げると、押し引きのたびに玉ぶくろがクリトリスに当たっている。
 また口(とフォークとナイフ)を動かすのを忘れてながめているうちに、幕が左右からゆっくりと閉じた。
 音楽のボリュームが上がったのは、舞台裏で大道具(といってもベッドしかなかったけど)を片付ける物音を消すためだと思う。
 しばらくの間、幕は下りたままだった。
 魚の切り身にシチューをかけて、宝石みたいにカットした色とりどりの野菜が添えられてるのを伯父さんと同じペースで食べて、半分くらいになったとき、音楽が消えた。
 同時に、幕がするするっと左右に開いて。演劇の背景が現われた。ビル街の夜景。天井からミラーボールが降りてきて、カラフルな光の粒を床一面にまき散らす。
 ジャンジャジャ、ジャンジャジャ♪
 ヒットチャート急上しょう中の3人組アイドルの新曲のイントロ。
 背景を突き破って、3人の女の子が登場。ものすごくセクシーというかエッチな衣装。完全にはだが透けて見えるピンクのミニスカートとチョッキ。チョッキは胸元が大きくえぐられてて、形の良い乳房が丸出し。しかもノーパン。
 そんな格好で3人が激しく踊り出した。
「I love you, I love you ほれたの♪」
 歌いながら踊ってる。まさか……本物?
 別にファンってわけじゃないので3人の顔はぼんやりとしか覚えてないけど、その限りではそっくりだ。ダンスの振り付けもそっくり。
 3分ほどで歌と踊りは終わって、3人が並んで観客にお辞儀。でも、ショーは終わりじゃなかった。
 タンタンタンタン、ターンタカタカタンタン♪
 これは題名を思い出せないけど、ときどき耳にする曲。に合わせて、3人が横並びで同じ振り付けで踊り出した。ラインダンスのカンカン踊りってやつ。
 乳房を手で持ち上げてゆらしながらステップを踏んで、足を大きく振り上げて――うわ、真横に振り回す。縦スジがカパッと割れるのが丸見え。そのまま後ろ向きになって、足を開いて立って、お尻を突き出す。これも丸見え。お尻をぷるぷる震わせてから、両手を床に。丸見えが二重丸見えになっちゃう。
 こんなのをファンが目撃したら、泣き出すか鼻血ブーかの、どちらかだ。僕はどっちでもなく、わりかし平然と見物してた。縦スジなんて見慣れてる。
 といっても。他の人たちはどんな顔して見物してるか観察する余ゆうなんかなくて、ダンスが終わるまで目がクギ付けになってたのも事実。
 最後はデングリ返りして割れ目を見せつけるポーズで――幕が閉じた。
 バニーさんが現われて、手にさり気なくレコードジャケットを持って舞台を横切った。会員限定の場でも、はっきり名前を出すのはまずいんだろうなと、僕は推察した。
 魚料理が下げられて、ワイングラスを平べったくしたような金属容器に盛られたアイスクリームが出てきた。これは、奥の方に置いてある小さなスプーンで食べる。これでデザートか。全然物足りないな――というのは、僕の早とちり。
 アイスクリームはすぐに下げられて、わりかしボリュームのあるビフテキが出された。これがメインディッシュてやつかな。だけど、伯父さんも伯母さんもナイフとフォークを置いたままにしているので、僕も落語の熊さん(だっけ、与太郎だっけ?)。
 今度はバニーさんが登場する前に幕が開いた。背景なんかはなくて、すごく殺風景。舞台の奥に、奇妙な格好をした大道具が置かれている。ゆりかごみたいな弓形の脚で水平に支えられている大きな三角柱とか、女性のマネキン人形とか、人間がすっぽり入れるくらいの大きな額縁とか、垂直に立てられた木の板とか。木の板には、何種類かの鞭が並べられていた。舞台の手前には何かよくわからない小道具を乗せたワゴン(車輪付きの台)が置いてある。
 ひとつずつスポットライトが当てられて。観客の興味と恐怖とをあおってから、バニーさんの登場。
「皆様。ただ今より本日のメインイベントでございます。主演は、沢渡様のビチクとビレイ…失礼いたしました、ミタケ様とミスズ様です。
 W美姉妹が、すっと立ち上がった。伯父さんと伯母さんがふたりの横に立って、ポンチョをはぎ取った。
 ほおおっと、ため息が会場にもれた。僕は、ため息なんてもんじゃない。ふたりとも全裸だった。そして両手を背中にまわして手じょうをかけられていた。手を使わないで体育座りをするんだから、動きが不自然だったはずだよ。
 バニーさんが舞台から下りて伯父さんから鎖を受け取ると、ふたりを舞台に引き上げた。
 W美姉妹は、ほとんど無表情。こういう状況だから、さっきのアイドル3人組みたいに作り笑いを浮かべるのは不自然だけど。そんなにおびえているようにも見えない。
「承ったところによりますと、美竹様はテストで悪い点を取りましたので、厳しいお仕置きを受ける代わりに、本日の残ぎゃくショーに出演することを志願されたそうです。妹さんは、お姉さんの負担を減らしてあげようとしての姉妹愛出演だそうです」
 紹介が終わると、舞台の端から男の人が登場した。黒いタイツをはいて、上半身は裸。身長は180センチくらいある。筋肉質で、なぜか坊主頭だった。
「佐渡様は、衆人環視の中で実の子を鞭打つのはしのびないとして、プロフェッショナルに処けいを委ねられました。アダルトビデオで御活躍中の責め師、シマイチヒカル殿です」
 バニーさんが、ふたりの鎖と小さなカギをシマイチさんに引き渡した。
 大男を前にして、美竹さんは表情を変えない。美鈴ちゃんは……シマイチさんを見上げて、ひとみがキラキラしてる。のは、ミラーボールのせいだろう。
 シマイチさんはふたりの手じょうを右手だけ外して、それを首輪の後ろに留めた。ふたりの左腕が不自然にねじられる。それから、首輪の鎖をつなぎ合わせた。
 シマイチさんが車輪付きの台から、クリスマスツリーの飾り付けに使うような球を取り上げて、それを小さなクリップでふたりの乳首とクリトリスに着けていった。文房具の目玉クリップ。バネが強いし金属だし。敏感な突起は、ふつうの子だったら泣いちゃうくらいに痛いはず。でも、クリトリスを鞭で(優しく、だったけど)打たれて喜ぶようなマゾだから、今も感じてるのかな。
 それぞれの身体にみっつの球を取り付け終えると、シマイチさんはふたりの右手に長い鞭を握らせた。
 ずっと横で見守っていたバニーさんから、シマイチさんがマイクを受け取った。バニーさんは、マネキン人形を舞台の中央へ押し出して、クリスマスツリーの飾り球をひとつ、ブラウスのボタンに引っかけた。
「ふたりのおじょうさんには、鞭による決闘をしてもらいます」
 シマイチさんは、W美姉妹に持たせたのと同じ鞭を手にすると、その先っぽをつまんで観客に向けてかざした。
「御覧のように、鞭の先端は小さなラグビーボールのようになっています。成人男性が力いっぱい鞭打っても、はだがさけたりはしません」
 ひゅん、バチイン!
 シマイチさんがマネキンに向かって鞭を振るった。音は大きいけど、ブラウスは破れなかった。
「10円玉と同じ重さの鉛を仕込んであるので、痛みは大きいでしょうが」
 その鞭で相手の飾り球を割るのだと、シマイチさんは説明した。
「ふたりは鎖でつながれているので、逃げ隠れは出来ません。左手は使えないので、身体をかばうことも出来ません。それでも、そのような行為を試みると、相応のペナルティを与えます。なお、鎖より上で鞭を振ると、即座に負けとします。顔、とくに目を保護するためです」
 飾り球は薄い強化ガラスで作られていて、割れても丸い破片となるので危険は無いそうだ。それをシマイチさんが実演した。
 ひゅん、ガシャ!
 ガラス球が割れた瞬間、赤い煙が噴き出した。煙が薄れて――マネキンの白いブラウスは、白いままだった。
「染料などを仕込むと、血みどろのイメージを演出できるのですが、今回は高圧ガスとしました。その理由は……」
 シマイチさんがパチンと指を鳴らすと、照明がすべて消えた。そして、舞台がほのかに青白く光って。
 ふたりの下腹部のハート形がピンク色にくっきりと浮かび上がった。美竹さんは、乳首と(包皮を切除した)クリトリスも真っ赤に光っている。河原で水遊びしたときなんかは、クリトリスはビラビラの中に隠れてた。ということは――今は性的に興奮してるんだ。
 ふたりはじっと立ってるはずなのに、タトゥがふわふわとくねっているように見えるのは、最初に飲んだお酒のせいかもしれない。
「おおお……」
 いくつかのテーブル(だけ)から、どよめきが起きた。その数が少ないということはつまり、大半のお客は、W美姉妹にUVタトゥが入れられているのを知っていたんだ。そこから得られる結論は――ふたりにとって、こんなショーに出演するのは、これが初めてじゃないってことだ。
 もしかすると。レディーズマナー講座とかモデルとか、いろんな理由で不在だったとき、実はキンシツ会に出演していたのかもしれない。
 会場が、すこしだけ明るくなった。でも、舞台の上は暗く沈んで、ふたりの裸身がうっすらと青白く浮かび上がっている。そして、鮮やかなUVタトゥ。
「みっつとも割られたほうの負け。負けた者には、厳しい鞭打ちが待っています。勝者には、会合が終わるまで、たとえ失神しても休むことなく快感が与えられ続けます。なお、戦意そう失や、片八百長、鎖より上での鞭などの違反行為があった場合は、ペナルティとしてあの木馬に乗せます」
 スポットライトが、ソリで支えられた三角柱を照らし出す。言われてみると、木馬のようにも見えた。
「金属の頂点はギザギザにとがっています。あれをまたがせて木馬をゆすれば……」
 シマイチさんは肩をすくめた。
「二度と使い物にならなくなるかもしれません。実は、あまりに凶悪なので、これまで使った試しがないのです。どうかな、おじょうさん方。あれのコケラ落としをしてみないか?」
 ふたりは身を寄せ合って、恐ろしそうに木馬を見つめるだけで、返事はしなかった。のが、雄弁な返事だ。
「勝負が始まる前からおどかしても、よくありませんね。では……」
 シマイチさんが、バニーさんの位置まで下がった。
「3本勝負、始め!」
 舞台の中央に取り残された美竹さんと美鈴ちゃん。互いに顔を見合わせてから、鎖がいっぱいに張るまで左右に離れた。といっても、3メートルかそこら。
「お姉ちゃんだからって、容しゃしないんだから。だいたい、お姉ちゃんがテストで悪い点を取ったのが、いけないんだからね」
「罰を半分こしたいって、お父様におねだりしたくせに。このマゾっ子。バージンのくせに、生意気なのよ」
 ふだんの美竹さんからは想像できない、悪口雑言。でもないか。僕に口止めリンチをしたときや夜の散歩でも、こんな口調だったし。てことは、(本気半分の)演出かな。
「やああっ!」
 美鈴ちゃんの奇襲攻撃。でも、鎖は鞭が届く距離よりはわずかに長くて、空振りに終わった。
「く……」
「下手くそね。一本鞭の使い方を教えてあげる」
 鞭を引きもどそうとしてもたついてる美鈴ちゃんに向かって2歩踏み込んでから、美竹さんが水平に鞭を振るった。
 バチイイン!
 鞭は腰に当たって絡み付き、先端がお尻をたたいた。
「痛いっ……」
 美鈴ちゃんの悲鳴は、そんなに痛そうじゃなかった。観客へのサービスかな。
 だけど。美竹さんは、鞭の先が美鈴ちゃんのはだをこするにまかせて振り抜いて、すかさずバックハンドで打ち込む。
 バチイン!
「……」
 美鈴ちゃんが、無言で後ろに下がろうとする。のを、美竹さんは上体を後ろへ反らせて引きもどした。
「きゃっ……!」
 もんどりうって、あお向けに転がる美鈴ちゃん。あわてて起き上がろうとする背後に美竹さんが回り込んで。
 バチイン、バチイン!
 お尻へ2連撃。
 今の攻撃、まったく球をねらっていない。ネズミを持て遊ぶネコを連想した。
 アワ踊りを仕込まれたのは、たしか美竹さんが4年前で美鈴ちゃんは1年。愛縄、セッカン――つまりサドマゾの調教そのものが、そのころから始まっていたんだとすると、鞭の扱いもそれだけのキャリアの違いがあるんだろう。
「美竹!」
 シマイチさんが、美竹さんを呼び捨て。あの人がサド役で美竹さんはマゾ役だから当然――とは、割りきれない。W美姉妹は、僕をいじめるときだって、呼び捨てにはしなかった。
「遊ぶんじゃない。真面目にやれ」
 美竹さんは、黙って1歩下がった。鎖で美鈴ちゃんとつながれてるから、それだけしか下がれない。鞭をだらんと垂らして、美鈴ちゃんが起き上がるのを待った。
 お尻への鞭だから、そんなにダメージはない。と、思う。僕は細い鎖で軽くたたかれた経験しかないから断言できないけど。
 美鈴ちゃんは鞭を握りしめて、美竹さんの動きをうかがいながら、用心深く立ち上がった。鞭をサイドスローのフォームに構え――た瞬間、美竹さんの鞭が鎖の高さぎりぎりを水平に走った。
 パパンッ!
 鋭い破れつ音がして、赤いガスが美鈴ちゃんの上半身をかくした。
「きゃああっ……!」
 乳首の球をふたつとも割られた美鈴ちゃんは鞭を取り落とすと、胸をかばってうずくまった。
「美鈴、勝負を捨てるのか。三角木馬に乗りたいのか?」
 シマイチさんの声で、美鈴ちゃんがあわてて立ち上がった。
 残るひとつ、股間の球を守るためか、へっぴり腰になって姿勢を低くして。鞭が届く間合いを見定めて、鞭を繰り出した。
 美竹さんは鞭に向かって踏み込んで。アンダースローで鞭を跳ね上げた。
 パン!
 パン!
「痛いっ……!」
 美竹さんの左胸からガスが噴き出たと同時に、美鈴ちゃんの股間も赤いガスで包まれて。美鈴ちゃんは鞭を取り落として、手で股間を押さえながらぺたんと座り込んだ。
 相討ちだけど、美竹さんにはまだふたつ残っているのに対して、美鈴ちゃんはゼロ。
「勝負あった」
 シマイチさんが宣言した。ふたりの手じょうをはずし、鎖はそのままにして首輪のほうをはずした。美竹さんは、バニーさんに手を引かれて舞台のすみへ。
 まだうずくまっている美鈴ちゃんの前に、シマイチさんが大きな額縁を舞台の奥から引き出してきた。額縁は小さな車輪のついた台形の板で支えられている。
 シマイチさんは美鈴ちゃんの腕をつかんで台形の上に立たせると、額縁のすみから鎖で垂れている革手じょうに、両手をバンザイの形でつないだ。そして、片足ずつ宙に浮かせて、両足にも革手じょうを着けた。美鈴ちゃんは、額縁の中でX字形にハリツケられた。
 舞台が明るくなって、バニーさんがマネキン人形を観客のほうへ押し出した。シマイチさんはふたつの鞭を持って、マネキンの横に立つ。
「敗者への罰は鞭打ちですが、使う鞭は敗者自身に選ばせてやります」
 観客に向かって説明する。
「このふたつの鞭のうちのいずれかです。こちらの鞭は……」
 1mくらいの細いベルトが3本束ねられていた。
「バラ鞭に見えますが、完全に重なってはだに当たるので一本鞭と同じです。薄いからしなやかで、3本分の重さがあるから打撃力は大きいのです。とはいえ……」
 シマイチさんは身体をひねりながら腕を後ろに引いた。
 しゅうん、バチチイン!
 全力の一撃がマネキン人形の乳房に当たった。美竹さんが伯父さんからお尻を鞭打たれたときよりも、ずっと大きな音だった。
「このように、あまりはだを傷つけません」
 しゅうん、バチチイン!
 しゅうん、バチチイン!
 同じ部分に3発の鞭を受けても、マネキン人形のブラウスはボタンが飛んだだけで、破れたりはしなかった。
 シマイチさんが別の鞭に持ち替えた。前のよりすこし短くて1本だけ。幅は2倍くらい。
「離れて見るとわかりにくいでしょうが、表面に短いトゲを植えてあります」
 黒い皮革の表面に銀色の点が無数に散らばっている。あれがトゲなんだろう。
 シマイチさんは、さっきよりも小さなスイングでマネキン人形を鞭打った。
 ひゅ、バヂッ!
 ブラウスが引き千切られた。マネキン人形のはだにも、灰色の筋が残った。
「トゲにはいやらしい細工などほどこしていませんから、適切な治療を受ければ3か月ほどで傷は消えます。今回のぎせい者は若いですから、もっと早く治るでしょうね」
 シマイチさんが、額縁の中にハリツケられている美鈴ちゃんに向き直った。
「最初の鞭なら50発、トゲ付きの鞭ならたったの20発。どちらで処罰されたいかね?」
「最初のでお願いします」
 美鈴ちゃんは即答した。当然だと思う。トゲ付きの鞭で20発だなんて、全身の皮膚がはぎ取られる。同じ所を何度も打たれたら、筋肉だって千切れてしまうかもしれない。
「よろしい。では、鞭打ちの回数はぎせい者自身に数えてもらいましょう。もしも数え間違えたら、最初からやり直しとします」
「美鈴。何をされても……」
「黙らせろ」
「カウント……むぶうう」
 バニーさんに口を押さえられて、美竹さんはしゃべれなくなった。
「言っておくが、くだらんアドバイスを言うごとに鞭の数を10ずつ増やすぞ」
 美竹さんにクギを指してから、シマイチさんはバニーさんにうなずきかけた。
 バニーさんが額縁を150度くらい回して、美鈴ちゃんの背中が観客から斜めに見えるようにした。シマイチさんが美鈴ちゃんの後ろに立っても、じゃまにならない。
「では、処罰を始めます」
 宣言してから。シマイチさんは、マネキン人形をたたいたときと同じ動作で美鈴ちゃんのお尻を鞭打った。
 しゅうん、バッチイン!
 マネキン人形より柔らかで弾力のある人体を鞭打つ音は、なんとなくしめった感じだった。
「数えろ。数えないと、最初からやり直しになるぞ」
「ひとつ!」
 美鈴ちゃんがあわてて、さけぶように数えた。中間テストの目標に届かなった罰と似てる。でも、冷静(じゃなかったけど)な第三者が数えるより、鞭打たれる本人が数えるほうがつらいと思う。おちおち悲鳴もあげていられない。
 しゅうん、バッチイン!
「ふたつ!」
 しゅうん、バッチイン!
「みっつ!」
 しゅうん、バッチイン!
「よっつ!」
 数える声がそのまま悲鳴になっているように、僕には聞こえた。
 8発目でシマイチさんは立ち位置をすこし変えた。
 しゅうん、バッチイン!
「ここのつ!」
 これまでは右のお尻に当たってから左へ流れていた鞭が、最初から左のお尻に当たった。
 14発目で左右のお尻の鞭跡が、均等になった。モモのようだったお尻が、熟したカキみたいになってる。
 しゅうん、バッチイン!
「きゃあっ……じゅうご!」
 しゅうん、バッチイン!
「じゅうろく!」
 シマイチさんが斜めに振るった鞭は、美鈴ちゃんの背中に大きなバッテン(X)を刻み付けた。
 背中のほうが、お尻よりずっと痛いんだ。
 バニーさんが額縁を半回転させた。舞台は50センチくらい高くなってるし観客は座っているから――最前列の特等席からだと、割れ目の裏に隠れている小さなビラビラも、その内側のピンク色の肉も、縁が柔らかくデコボコしてるメス穴も、何もかもが見えてしまう。メス穴の回りが片くり粉を溶いたみたいな露で濡れているのも。
 美鈴ちゃん、鞭打たれながら感じてるんだ。やっぱり、美鈴ちゃんの本性はマゾなんだ。僕が強く出れば、服従してくれるかな。子ネコちゃんを夜の散歩に連れ出せるかな。喜んでくれるならいいけど、いやだって泣かれたりしたら……それがウソ泣きだとしても、僕には無理強いなんて出来そうもない。
 シマイチさんが鞭を構えた。思い切り身体をひねって腕を後ろへ引いて。
 しゅうんん、ズバッシインン!
 ささやかな乳房が胸にめり込んだように見えた。
「ぎゃああーっ!」
 男の人が叫んでいるような悲鳴だった。
 しゅんっ、バシイン!
 悲鳴が終わらないうちに、バックハンドで鞭が乳房を逆方向になぎ払った。
「きひいいい……」
 シマイチさんが手首のスナップで鞭を跳ね上げ、丸めて手に持った。ゆっくりと美鈴ちゃんに近づく。
「数えなかったな」
 楽しそうに残こくに、ニタリと笑った。
「あ……じゅうしち、じゅうはち」
「遅い。イチからやり直しだ」
「……はい」
 美鈴ちゃんのことだから、向こう見ずに文句を言うんじゃないかと、僕はヒヤヒヤしてたけど、ビックリするくらい素直でしおらしかった。マゾだからというよりも、こういうショーとかで伯父さん以外のサドに責められて、どう振る舞えばいいか学習してる?
「しゅしょうな心がけだな」
 シマイチさんは鞭を左手に持ち替えて、美鈴ちゃんの割れ目を中指でくすぐった。突き立てたりしないのは、美鈴ちゃんが処女だと知っているからだろう。でも、容しゃはなかった。それとも、優しかったと言うべきだろうか。
 割れ目を下から上へ掘じくってクリトリスを探り当てると、中指を小刻みに震わせた。
「あんん……くうう、んんん」
 美鈴ちゃんが甘くうめく。
『今泣いたカラスがもう笑った』というコトワザを思い出した。いや……鞭打たれても興奮してたんだから、むしろ『追い風にホを上げる』かな。
しゅしょうな心がけへの短いごほうびタイムが終わって、残こくショーが再開された。
 シマイチさんが距離を測って美鈴ちゃんの正面に立った。でも、鞭は垂らしたまま。と思った次の瞬間――鞭がヘビのように床すれすれを走って、美鈴ちゃんの足元で激しく跳ね上がった。
 バチイインン!
 反射的に美鈴ちゃんは腰を引こうとしたけど、空中にハリツケられている。ガチャッと鎖が鳴っただけだった。もしも幅の広い革手じょうでなくて金属の手じょうとか縄だったら、アザになるくらい深く手足に食い込んでいただろう。
 美鈴ちゃんは口を開けたまま全身を突っ張っていた。
「……ひとつ!」
 叫ぶと同時に全身から力が抜けて、足をつないでいる鎖がすこしゆるんだ。
 シマイチさんが、満足そうにうなづいた。そして、数え間違いをさせようという意図なのか、続けざまに鞭を浴びせ始めた。
 しゅううん、ズバッシインン!
「ふたつ!」
 ひゅんんっ、パチイン!
「みっつ!」
 ぶゅうんん、バヂイインン!
「よっつ!」
 もう額縁を回転させたりせず、シマイチさんが前後左右に動き回って、休むことなく鞭を浴びせ続ける。
 鞭の強弱も当たる部位も、ばらばら。フォアハンドとバックハンドとを交互というわけでもない。横8字形に鞭を振り回してお腹にバッテンを刻んだり、フォアハンドで乳房をなぎ払うとそのままくるりと身体を回転させて連打なんて曲芸もひろうした。
 変則的な打ち方も、美鈴ちゃんは正しく数えた。鞭の動きではなく、たたかれた数に注意を集中すれば、そんなに難しいことじゃないと思う。だけど……
 31発目が軽く太ももに当たって。
「さんじゅうに!」
 次の鞭も太ももに向かって水平に飛んだけど、途中で向きを変えた。
しゅんん、パシ、バジイイン!
 床をたたいて跳ね上がり、鞭の先から20センチくらいが割れ目に食い込んだ。
「かはっ……!」
 息が詰まって悲鳴をあげることすらできず、空中で固まってしまった美鈴ちゃん。
 息を整える余ゆうを与えずに、パシンパシンと太ももに鞭が飛んだ。大して痛くないだろうけど、致命的な2発だった。
「また、イチからやり直しだな」
 シマイチさんはサドってだけでなく意地悪だ(両者は違うと思う)。最初が18発でミスをさせて、今度は32発。足せば最初に宣告した50発だもの。ぐう然じゃない。
「やだあああああっ!!」
 美鈴ちゃんが絶叫して、それまでこらえていた涙がほほを伝う。
「もう、やめてよお……いつまでたってもおわんない。みすず、しんじゃうよお……」
 わがまま王女様の片りんもない……んじゃなくて、そのまま退行したみたいな印象を受けた。いたいけな子供を鞭打つなんて、サドでもためらうんじゃないだろうか。なんてのは、僕が甘ちゃんだから思うことだろう。赤ちゃんを宙に投げ上げて、きゃっきゃと喜んでいるところをじゅう剣でクシ刺し。なんてソ連兵の話を聞いたことがある。
「許してほしいのか?」
 シバイチさんがネコなで声で美鈴ちゃんに尋ねた。
「ゆるして……ください」
「もうひとつの鞭だと20発だが、これまでの努力にめんじて10発ですませてやる。数えなくてもいい。どうするかな?」
 1発ではだがさける鞭を10発。すこしでも判断力が残っていたら、絶対に選ばない。でも、美鈴ちゃんは選んでしまった。
「はい、そうしてください」
 シバイチさんは黙って美鈴ちゃんから離れ、バニーさんから凶悪な鞭を受け取った。
 ひゅん、バッヂイン!
 マネキン人形に向かって一撃。ブラウスがちぎれ飛び、人形の素材がえぐり取られて破片が宙に飛び散った。
「…………!!」
 美鈴ちゃんが目を真ん丸にして、その光景を見つめている。けれど、選たくを取り消す機会は与えられなかった。
「10回も絶叫したら、のどが破れますから――声を出せないようにしてやります」
 シマイチさんはボールギャグで、美鈴ちゃんの口をふさいでしまった。
「んんん……んん、んんん!」
 美鈴ちゃんが頭をぶんぶん振るのを気にも留めず、シマイチさんが舞台の左寄りに立った。バニーさんが、美鈴ちゃんの背中をそちらへ向けた。
 ひゅん、バヂイン!
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっ!!」
 ボールギャグのすき間から、猛獣がほえるような悲鳴がもれた。
 背中に無数の引っかき傷が斜めに走った。ぷつぷつと、血玉が浮かぶ。
 ひゅん、バヂイン!
「ま゙あ゙あ゙あ゙あ゙ーっ!!」
 シマイチさんは鞭を左手に持ち替えて、背中に血文字のXを描いた。
 同じようにして、お尻にも左右2発ずつ。熟したカキのようになっていたのが、つぶれたカキに変わってしまった。
 だけど……マネキン人形のダメージから予想していたよりも、傷は浅い。
 不思議がっているひまもなく、額縁が半回転させられた。これからは、もっと無惨な光景が繰り広げられる。
 僕はこれまで、美鈴ちゃんに同情しながら、でも食い入るように見つめてきた。他の人たちは、どうなんだろう。ふと気になって、あたりをこっそりうかがうと。
 僕と同じように(それ以上に熱心に)食事の手を止めて舞台を見つめている人が半分くらい。舞台をながめながら平然と食事をしている人も何人かいた。逆に、料理とにらめっこをしている人もいた。熱心に見つめている人は、男ならサドだろう。女の人はもしかしたら、自分が鞭打たれるところを空想しているマゾもいるかもしれない。そして、平然としているのは(もっと残こくなことも体験している)筋金入りのサドかもしれない。
 シマイチさんが鞭を構えた。
「んんん、んんーっ!」
 美鈴ちゃんが、激しく頭を横に振る。むだなあがきをして、鎖がジャラジャラ鳴った。
 ひゅん、バヂイン!
 ひゅん、バヂイン!
 乳房が右に吹っ飛び左に吹っ飛んだ。乳首をさけて、その上下に幅の広い鞭(とトゲ)跡が刻まれた。
「ま゙も゙お゙っ!!」
 美鈴ちゃんがわめいて、がくんと頭を垂れた。
 シマイチさんは肩をすくめて。意識の無い美鈴ちゃんの太ももを鞭打った。
 ひゅん、バヂイン!
 太ももにも無数の引っかき傷と血玉が浮かんだ。
 ばぢん……バックハンドで、ずっと軽く、反対側の太ももへ鞭。なのに今度は、ずっと深い引っかき傷がついて、そこから血が滴り始めた。
 シマイチさんが舞台の手前ぎりぎりまで出て来て、鞭を横一線にしてパチンと鳴らした。そして、鞭の両面を何度も裏返す。
「ああーっ!」
 僕は、思わず大声を出していた。
「お分かりになられましたね。後ろのほうで観ていらっしゃる方のために、説明してあげてください」
 僕は安心をみんなにも知ってほしくて、イスを倒しそうな勢いで立ち上がった。
「トゲは、鞭の片面にしか生えていません。裏側にもトゲがあるように見えるけれど、ええと……寝ています」
「正確には、植えたトゲが抜けないように折り曲げて圧着してるのです。もちろん、並の一本鞭よりは破壊力がありますが……」
 シマイチさんは、鞭の裏側でマネキン人形を鞭打った。
 ひゅんん、バヂイン!
 力いっぱいでも、ブラウスはちょっと破れただけだった。
「このおじょうさんは1週間も休めば、クラスメートの前で着替えをできるようになるでしょう」
 良かった……へなへなと、僕はイスに座り(ほとんど倒れ)込んだ。
 なんで、こんなトリックを使うんだろうと疑問に思ったと同時に、答えも見つけていた。演出だ。観客に、実際以上の残こくさをさっ覚させるため。そして、美鈴ちゃんに恐怖を与えるため。もしかすると、この恐怖を乗り越えて、美鈴ちゃんはマゾとして成長するのかもしれない。それが良いことか悪いことかは、ともかくとして。
「敗者への処罰は、これで終わります」
 舞台のソデから、シマイチさんと同じ(ボウズ頭じゃないけど)上半身はだかで黒タイツの男の人が2人現われて、美鈴ちゃんを額縁から下ろした(引きはがしたというほうが正しいかな)。二の腕をつかんで、美鈴ちゃんを引きずりながら退場。こういうのも演出だと思う。
「では、勝者にほうびを与えてやりましょう」
 舞台の奥にスポットライトが当てられた。すっかり忘れてたけど、美竹さんはそこでずっと、妹への処罰を見物させられてたんだ。
 美竹さんは、にこやかは言い過ぎだけど、柔らかい表情でシマイチさんの前に立った。鞭のトリックを見て、この人には(そんなに)ひどいとこはされないって安心したんだろう。
 美竹さんは美鈴ちゃんと同じように、額縁にハリツケにされた。
「お姉さんは妹さんと異なり、すでにお父上のごちょう愛を受け、会員様のみならず各方面のしん士しゅく女にも可愛がっていただいていると聞き及びます」
 伯父さんとの付き合いも半年になるから、とんでもハプニング驚がくの事実がさらりと暴露されるのにも慣れてはきたけど。乱交とかってのは、しかも『しん士しゅく女』だから不特定多数とのレズもってのは、もうクリビッテンギョーなんて茶化す気力もない。
 女神様のぐう像が、音を立ててくずれてく。
「したがって、バイブもデンマも心置きなく使い放題で責められます」
 しばらく舞台のすみに放置されていた台を、バニーさんが押し出してきた。巨大サイズのコケシを、シマイチさんが取り上げた。その形状とこの場の性質から、それがどう使われるかは予測できるけど……僕よりずっと大きな塩田先生の5割増しの伯父さんより、ふた回りくらいも巨大なコケシが、美竹さんの『中』に入るんだろうか。
 シマイチさんが、また僕を見た。コケシから延びている電気コードを、バニーさんが引っ張ってきたコンセントにつなぐ。
 ブブブブブ……コケシの頭が、激しく振動し始めた。これ、ピンクローターの親玉だ。
「デンマは、上から局部に当てるのが正しい使い方ですが……」
 シマイチさんが額縁に近づいて、美竹さんの割れ目を指でうがった。
「妹がひどい目に合わされて興奮するなんて、いけないお姉ちゃんですね」
 シマイチさんがかざした指は、スポットライトをぬらぬらと照り返していた。
「これなら、ローションも要らないでしょう」
 シマイチさんは左手で割れ目を広げると、デンマの頭を押しつけた。ぐりぐりとえぐりながら、押し込んでいく。
「きひいいいっ……痛い。さけてしまいます!」
 理路整然としゃべれるんだから、ほんとは余ゆうがある。激痛の極限では悲鳴すら発せられなくなるのは、美鈴ちゃんで見たばかりだ。
 デンマが、胴体の半分くらいまで美竹さんの中にうまった。割れ目の縁に、スイッチの部分が見えている。シマイチさんはデンマが細くなっている部分にヒモを巻いて、美竹さんの太ももに縛りつけた。手を放しても抜け落ちない。
 シマイチさんは、次にデンマよりは小さなチンチンの模型を取り上げた。これって、バイブってやつかな。使い道は(メス穴がふさがってるんだから)確定してるんだけど。やっぱり「入るのかな」って疑問がある。まあ、僕だっていきなり塩田先生のチンチンを入れられたんだから、4年も調教を受けてる美竹さんなら……だいじょうぶだった。
 美竹さんは低くうめきながらお尻をくねらせ(たのは、入れやすくなるように協力したんだろう)ながら、根本まで飲み込んでしまった。これもヒモで太ももにつながれた。
 シマイチさんは手品師みたいに、次から次へと小道具を取り出す。ガラスの小さなツリガネ。中にバネじかけの弁みたいなのがあって、ツリガネの天辺からは短いゴム管と長い電線が出ている。それがふたつと、同じような仕かけのある小さな試験管がひとつ。
 ツリガネのひとつが、乳首にかぶせられた。大きな注射器がゴム管につながれて、ピストンが引かれるとツリガネの中が真空になるから、乳首がふくらんで長く引き延ばされた。乳首が弁を押し返す。ゴム管のつなぎ目に細工がしてあるんだろう。ゴム管を引き抜いても、乳首は元にもどらなかった。
 両方の乳首にツリガネを吸い付かせると、試験管は当然のようにクリトリスへ向かった。
「あああ、あん……」
 美竹さんが甘くうめいた。チンチンを吸われるのを想像すれば、美竹さんの声は当然だと納得出来る。
 さらに――銀色をした5センチ平方くらいのテープが両わきの下にはられて、ソケイ部には2センチ幅くらいのがはられた。これにも細い電線がつながれてる。
 最後に、シマイチさんはプラモデルのリモコンボックスみたいのをみっつ、額縁に引っかけた。
「電源容量的にはひとつで間に合うのですが、それぞれがばらばらのリズムで、ことに左右の乳首が異なるビートを刻むと、男でさえも、もだえ狂います。電流経路は心臓を通りませんから安全です」
 ツリガネと銀テープの電線をペアにして、リモコンにつないでいった。
 シマイチさんが美竹さんの身体にあれこれ細工をしてるうちに、フルコースの最後に出されたケーキとコーヒーも片付けられていった。
「皆様、お待たせ致しました。いよいよ、クイズ・タイムショーック、失礼、電気ショックのお時間です」
 ギャグのつもりらしいけど、受けは良くなかった。でも、シマイチさんは平然と先へ話を進める。
「時間も押して参りましたので、出題と同時に解答も明かしてまいります。電気マッサージ器、電動アナルバイブ、低周波マッサージ器。このうち、最も女が喜ぶのは、どれでしょうというのが問題ですが……」
 シマイチさんが身をかがめて、デンマのスイッチを入れた。
 そうか。電気マッサージ器だから、電マなんだ。なんてことは、どうでもいい。
 美竹さんは、鎖の許す限りへっぴり腰になって、電マの刺激からのがれようとしている。つらそうに顔をゆがめている。
「そこそこ出来上がっていても、女体は強すぎる刺激にはきょ否反応を示します」
 シマイチさんは電マを止めた。後ろへ回って――たぶん、アナルバイブのスイッチを入れたんだろう。
 三竹さんが、お尻をもじもじさせ始めた。さっきとは逆に、足の鎖が垂れ下がるくらいまで全身を突っ張ってる。
「アナルも、他への刺激との相乗効果で感じる女が大半です。では、他の部位とはどこか。皆さんは、もうお分かりでしょうね」
 シマイチさんがアナルバイブを止めて、表へもどってきた。
「乳首とクリトリス。これは処女だろうと第二次性徴前だろうと、女に共通のスイートスポットです」
 シマイチさんが、みっつのリモコンを次々に操作した。
 とたんに――美竹さんの身体が、ぴくぴくとけいれんし始めた。
「ああああ、いやあああ……こんなの……」
 全身をくねらせながらけいれんしてる。乳房をぷるぷる震わせ、腰を前後にゆすってる。
「低周波マッサージ器は、皮膚の下の筋肉に電気刺激を与える道具ですから、性感帯には強すぎます。最弱でじゅうぶん。最強になどすれば、むしろ強い苦痛を与えます。実験してみたいところですが、罰ではなく、ほうびですので……」
 シマイチさんが、リモコンにさわった。
「うああああ、ああっ……いやあ。やめてくださいいい」
 美竹さんのけいれんが激しくなった。やめてと訴える声にビブラートがかかっている。そして、切なさそう。もしも美竹さんの訴えを聞き入れたら絶対にうらまれる。それくらいは、僕でも分かる。
「この程度でも、経験の少ない女は、アクメに達したと思い込むでしょうが……このおじょうさんは、愛ぶだけでは物足りないようです」
 シマイチさんが、また電マのスイッチを入れた。今度は反応が違っていた。全身が反りかえった。そして絶叫。
「ぎびひいいいっ……いっちゃいますううう!」
「いいや、まだまだ」
シマイチさんはアナルバイブのスイッチも入れた。
「だめだめだめ……お父様、ごめんなさい。美竹、オマンコもおしりもサネも……ぜんぶ、いっちゃいますううう!」
 ふくらはぎがキュウッと引き閉まり、足の指が直角に曲がってつま先が縮んだように見えた。
「うあああ、いいいいい……」
 うめきながら、ぴくんぴくんと、けいれんを繰り返してる。シマイチさんも伯父さんも他の観客も、美竹さんの発作を静かにながめてる。から、危険なことは起きていないんだろう。
「余いんに浸らせてやるのが情けというものでしょうが、このマゾメス――失礼、お父上がいらっしゃるのでしたね」
「構わん。美竹をいん乱なマゾメスに仕込んだのは、父親のワシだからな。情けをかけてもうらまれるだけだぞ」
「恐縮です。では、このマゾメスは放置しておきます。すこしでも正気づけば、またアクメじごくにたたき込まれるといういうわけです」
「じごくを突き抜ければ天国だな」
「おっしゃる通りです」
 シマイチさんは深々と一礼すると、美竹さんを額縁の中に残したまま、舞台から立ち去った。
 それが合図だったのか、何人ものバニーさんがフロアに入ってきた。ワゴンを押したバニーさんが、真っ先に僕たちのテーブルに来た。
「スコッチモルトなら何でも構わん。スリーフィンガーで。この子には、そうだな……ピンクレディーを。塩田さん、何か飲みますかな」
「え、恐縮です。では……ええと?」
 バニーさんからメニューを渡されて、シドドモロロ。あてずっぽうみたいにしてソルティドッグというのを頼んだ。
 バニーさんが伯父さんの前に背の低いコップを置いて、透き通った茶色のお酒を注いだ。ウイスキーかな。それから、銀色のツボみたいのにいろんな液体(表現としては間違ってない)を入れて、シャカシャカ空中で振り回して、逆三角形を高い脚で支えたカクテルグラス(というんだっけ?)に注いで僕の前に置いてくれた。ピンク色のすごくきれいなお酒(だよね)。最後に、伯父さんのと同じ形でもっと大きいコップの縁に白い粉をまぶしてから、大きな氷と透明な液体と黄色い液体とを入れて長いスプーンでかき回して、塩田先生の前に置いた。
 その間に、別のバニーさんが伯父さんの指図で、チーズとクラッカーとナッツをテーブルに並べる。
「では……」
 伯父さんがコップを目の高さにかかげて、軽くうなずいた。飲むというよりなめるような感じで、コップを傾けた。
 塩田先生も真似をして――でも、ごくごくと飲んだ。
「均くん。きみも飲みなさい」
 僕は落語をせずに、持ち上げたコップをそのまま口に運んだ。甘いけど、ポマードみたいなにおいがした。UFOの味はしなかった。
「さて……塩田先生。本日のショーをご覧になって、どのように思われましたかな」
 伯父さんが、さり気なく切り出した。
 もしかしたら、これは『試験』なのかもしれない。最初の公開セックス・ショーで、仮入会した人が正会員に認めてもらったのと同じような。
「ええ、そうですね。他人様の趣味をどうこう言うつもりは、ありませんが……」
「趣味ではない」
 伯父さんが先生をしかりつけた。
「The way of lifeだ。生き様などという浮わついた言葉は好かん」
「……」
 塩田先生は黙り込んだ。反感を表情に隠そうともしない。
「最も深い人間の交わりを趣味などと言うところから察するに、均との関係も、きみにとっては遊びに過ぎんようだな」
「……サッカーに全力で打ち込んでいる子も」
「とぼけてもムダだ。部室やプールで行なっている、マンツーマンの特訓のことを、ワシは言っておる」
 コツン……塩田先生がコップを置いた音。ガチャンでもおかしくなかった。
「どうして、それを……?」
「取引先の会社の課長、同県のキンシツ会員のまた従兄弟の友人。手繰る糸は、何本もある。金があれば、糸はいくらでも太くできる。夜の散歩は楽しかったかね、均くん」
 塩田先生も僕も、真っ青。先生とのホモは、だれかスパイが告げ口したとしても、夜の散歩は……伯父さんのおひざ元でのことだもの、感づかれても不思議じゃないな。
「この子の将来にまで、きみは責任を引き受けられるかね。そうでないなら、サッカーの領分からはみ出るような真似は慎んでいただこう」
 塩田先生は青ざめていた顔を今は真っ赤にして、うつむいている。
「あああっ……いやあ! もうゆるして……とめて。だめだめだめ……お父様、ごめんなさい。いく……美竹、いっちゃいますううう!」
 正気づいて、またすぐアクメに追い上げられて、美竹さんが悲鳴をあげた。いや、『喜鳴』というべきだ。
「さて、均くん……」
「え、あ……はい!」
「ワシは、きみを責めるつもりなどない」
 W美姉妹とのエッチな遊びをしかられるんじゃなさそうだ。まあ、あれは僕が被害者みたいなものだから、しかられるとしたら、ふたりのほうだと思うけど。
「ふたりを見ていて、どう思ったかね」
「どうって……」
 いろんな思いがこんがらがって、言葉に出来ない。落ち着こうと思って、ピンクレディーを(コップが小さいので)ひと息に飲んだ。のどごしは冷たくて甘いのに、お腹の中がカアッと熱くなった。そうだ、これはお酒だった。
「さんざんきみをからかって、生意気にもサディスチンを気取っていた美鈴が、手放しで泣きわめいておったな。セクシー衣装で年下のきみをからかっていた澄まし屋の美竹が、アクメに見も世もなくよがり狂う様子を見て、きみはどう思ったのかな」
 いっそう具体的に尋ねられて、でも思考は、ますますこんがらがる。ざまを見ろなんて、これっぽっちも思わなかった。でも、かわいそうだとも思わなかった。ハートのタトゥが躍動するのを美しいと思った。額縁にハリツケられたふたりは、そのまま絵画だった。そして……苦痛に泣き叫ぶ美鈴ちゃんも、強制された快感にホンロウされる美竹さんも、美しくて素敵で……うらやましい!
 ふたりとも、ものすごくつらそうなのに……伯父さんはじごくを突き抜けたら天国だって言ったけど、それは真実だと思う。
 そして美竹さんは女神様なんかじゃなくて、美鈴ちゃんも王女様ではなくて……ふたりとも、天使だったんだ。黒い羽根と尻尾を持った、エッチでサドでマゾな天使。
「あああっ……ほんとに、もうダメ。いやよいやよいやよ……またいっちゃううう」
 額縁の中でもだえる美竹さんは、ほんとに尻尾を生やしてる。そして僕には……羽毛をまき散らしながら羽ばたく羽根まで見えるような気がした。お酒が僕の頭をゆすっている。
「きみも、美鈴を泣きわめかせてみたいとは思わないかね。美竹をきみのペニスでアクメに追い上げてやりたいとは思わないかね」
 コンプレックス(チンチン)に触れられて、ちょっと頭が冷めた。
 まったく全然ちっとも、そんなことを思わないというとウソになる。でも……実際問題として、僕には無理だと思う。サドがマゾをいじめるのは、したい放題にしているように見えて、すごく相手のことも考えているし、事故にならないような工夫もしている。トゲを植えたベルトのトリックがそうだし、夜の散歩の前に、どこの家でだれが起きているか、ちゃんと調べてあったのもそうだ。それに、伯父さんやシマイチさんみたいにうまく鞭を扱えそうにない。
 マゾは、痛かったり恥ずかしかったりはするけど、気楽だな。気楽という言い方は、サドにもマゾにも失礼だ。マゾは、ひたすらサドを信頼して身も心も委ねていればいい。
 そう思った瞬間に……額縁の中にハリツケられて、W美姉妹にいじめられている僕自身の姿が頭の中に浮かんだ。美鈴ちゃんに鞭打たれて泣いている僕。それを見ているお客さんたちが、「男のくせに」とか言ってあざ笑ってる。美竹さんにチンチンをいじめられてボッキさせちゃって、みんなが僕のそこを指差して「小さい」とか「ブタの尻尾」なんてゲラゲラ笑ってる。
 伯父さんに厳しくセッカンされるシーンも想像した。塩田先生より大きなチンチンでアナルを犯されるのも、痛いけど気持ち良さそうだ。
 そうだ、マゾは気持ちいいんだ。サドは……女の子を鞭でたたいて、面白いかもしれないけど、気持ち良くはならないよね。
 こんがらかっていた思考が、ひとつの大きなうずになっていく。ピンク色のお酒のうずに飲み込まれていく……
「まったく、おまえには失望させられた」
 伯父さんの悲しそうな声で、うず巻きは飛び散った。うずにおぼれながら、僕は心の中の言葉を声に出していたんだろうか。
「日常で女の尻に敷かれるのは、男の度量だ。しかし、愛縄で女に支配されたいと願うようなやつに、戦場は任せられん」
 戦場って……仕事のことだろう。男は外に出たら7人の敵がいるってコトワザがある。
 伯父さんも、あまり減っていないお酒をぐいと飲み干した。
「とは言え……SMクラブでは、新人にはマゾをさせてプレイの要領を覚えさせてから女王様に仕込むというからな。とことんマゾを体験するのも、均くんの肥やしになるかもしらんな」
『おまえ』がまた『均くん』にもどった。
「いいだろう。来月の例会では、均くんと美竹たちがステージに上がれるよう、手配してやろう」
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女神様と王女様

 ちなみに。BF丁稚揚げで、少女(に見えるネエチャン)が、女神様とか王女様のコスプレをしている実写エロ画像を探したのですが、見事に見つかりませんでした。そこで、女神様や王女様に見えているのは少年だけで、その本質は小悪魔だよ――というコンセプトのBFにしちゃいましたまうえ。

 さて。
 今年の出来高は、5月5日までに1,253枚。 このペースでいけば、年末までに3,600枚いけそうです。
=1,253/(VALUE(2022/05/05)-VALUE(2021/12/31)*365=3,658


 なお、この作品を電子書籍としてリリースするのは、2023年5月以降です。

DLS affiliate キーワード:小悪魔,少年

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

性少年包弄記(怨辱編) 発売中!

おっとと魚サカナ
告知を忘れていました。



紹介画像(怨辱)




 やってることはハードSMなのですが、加虐の当事者たちは、それが社会から落伍した青少年を矯正する「正しいこと」であると信じているのです。実に不愉快です。
 SMと性的虐待をどこで線引きするかというと……実に難しい問題ではあります。
 双方合意のプレイ。これは、実世界においては必須ですが、仮構世界では関係ありません。
 被虐者の最低限の安全を考慮しているか否か。これは重要です。ので、筆者は回復不能な(膜の破損と局所刺青などは除く、女体化は程度と状況による)ダメージを与える話は原則として書きません。
 しかし、絶対的条件として。加虐者が性的に興奮しているか否かが、絶対の基準ではないかと考えております。もっとも、現実世界では、少数民族の弾圧あるいは戦争手段(いつ、どこ、は時事ネタになるので省略)として強
が行なわれるなど、これは加虐側が性的(物理的)に興奮していないと不可能なので……
 実に難しい問題ではあります。二度言っても、何の解決にもなりませんが。


 ともあれ。この作品はフィクションです。元ネタは有名な現実の事件ではありますが。

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