Making of 娘女敵討:4

 いよいよ本編執筆開始――は、実は8月18日からですが。
 全体で100枚くらいのペースで進行しています。
 まあ、考えてみれば。裸の娘を柱に縛りつけて薄皮一枚を斬り刻むという、それがメインディッシュです。一か月ほどの褌一本家事がお口直しで、デザートが婚礼討入。エピソードが少ないのですから当然ですわな。

 このシリーズは、WORD直書きからのコピペで御紹介。
 [[rb:流尾>ルビ]]で書いて "[[rb:"→"<ruby>"のような作業はしていません。
 冒頭の看板の文字も、実際はHG行書体16ptです。



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  神崎外流
   剣術指南、よみかきそろばん
   用心棒、助人、人探、猫探
   其他諸々承候
       道場主 柴里兵之輔


 その娘は看板の前に立ち尽くして、何度も一文字ずつを目で辿っていた。百姓娘らしい粗末な身なり。不相応に大きな葛籠を背負い、三尺近い長さの細い菰包みを胸の前に抱いている。
 やがて、踏ん切りがついたのか。大きく息を吸い込むと、古びた板塀に囲まれた門をくぐった。殺風景な庭を進み、破屋(あばらや)とまではいわぬが、どことなく荒涼とした屋敷の玄関口に立った。


速習切望

「御頼み申します。弟子入り志願の者にございます」
 若い娘の声に、兵之輔(ひょうのすけ)は小首を傾げた。「お願いします」ならば、月に一度や二度はある「其他諸々」であろうが、わざわざ「弟子入り志願」とは――それも、女人が。当道場の門弟は近在の農民が五人、それだけである。最後の入門者は二年前。
 玄関で娘を迎えて、武家の子女だろうとひと目で見て取ったのは流石ではあった。
 年の頃は笄を挿し初(そ)めて二年あたりか。番茶ではなく、玉露とまではいかぬにしても煎茶といったところ。その美しく整った顔は陽に焼けておらず、しかし指は家事で幾らか荒れている。
「切紙の腕を持つ男に、せめて一太刀を浴びせられるだけの技を、ひと月の内に御教授願えぬものでしょうか」
 逡巡は門前でたっぷりと済ませてきたとでもいうように、座敷で兵之輔と向かい合うなり、娘は単刀直入に突っ込んできた。
「む……」
 これほどまでに明確な、そして曖昧な目的を持つとは、この娘は何者であろうか。兵之輔の関心はそこに向かった。
「一太刀とは穏やかでない。たとえ返り討ちに遭わずとも、無事には済まぬぞ」
「元より。敵(かたき)を討って、なおも生き恥を晒すつもりなどございませぬ」
 訳が分からなくなった。敵討は武家の誉れ。それを生き恥とは。
 兵之輔の困惑を察したのだろう。娘は顔を伏せて、硬い声でつぶやいた。
「私は徒士頭、小森重太夫が娘、美代にございます」
 そんな下っ端侍など知らぬ――と、口の端に出かけたところで思い当たった。
「まさか、か……」
 カワラケホトサラシなどと口走らぬだけの分別はあった。
 破落戸(ごろつき)どもに手篭めにされたばかりか、朱に染まった無毛の女陰も露わに、河原で晒し者にされた娘。夜が明けて最初に美代を見つけたのは、地回りの十手持ちだった。本役の旦那にも検分していただかねばならねえからと、全裸で大岩に縛りつけられた美代をそのまま晒し続けて、集まってきた野次馬を追い払いもしなかった。美代が舌を噛まなかったのが不思議なくらいの追い恥であった。そのあれやこれやを瓦版にまで書かれて、まだ人の噂の七十五日も経ってはいない。
「敵(かたき)とは……破落戸どもをつきとめたということですかな」
 咄嗟に取り繕ったまで。破落戸風情が剣術の切紙でもあるまいに。
「敵討です」
 美代は顔を上げて、きっぱりと言い切った。
「遺恨だけではありません。小森の家に婿を迎えるなど叶わなくなりました。家を滅ぼした敵を討つのです」
 なるほどと、兵之輔は一応の納得はする。傷物にされたばかりか世間に生き恥を晒した娘の婿になろう者など――居るとすれば、百石の扶持に釣られた打算の輩。小森の当主が武士であるなら、そのような男に家督を継がせるわけにはいかぬであろう。
「女の敵を討つのです。いわば女敵討(めがたきうち)です」
「ふうむ」
 もちろん。美代の言葉は正しくない。女敵討とは、妻と通じた間男を私怨で討ち果たすことであり、本来の敵討とはまったく別物である。
 敵討とは、目上の肉親を殺されての復讐である。遺された者の義務であり名誉でもある。しかし私怨に基づく報復は、逆縁(子の敵、弟妹の敵)を含めて公には許されていない。
 美代が本懐を遂げたところで、当人の雪辱はともかく小森家の不名誉は拭われない。いささかでも汚名を雪ぐには、理不尽ながら、操を穢された娘が自害するしかないだろう。
「しかし、破落戸を手ずから成敗なさらずとも。町方に任せておけばよろしいのではありませぬか」
 女の恨みの骨髄など分からぬとは思いながら、兵之輔は分別めいた物言いをしてみた。
「私を辱しめた者どもなど、気違い狗のようなものです」
 そういった難儀に遭わされた娘に「犬に噛まれたと思って」などと、慰めにもならない言葉を掛ける阿呆も少なくないが、当人が口にするとは――などと苦笑する間もあらばこそ。
「敵(かたき)は、かつての許婚者(いいなずけ)、田上忠則です」
 兵之輔は意表を衝かれて、美代の次の言葉を待つしかなかった。
「彼の者が破落戸どもをけしかけ、いやでも人の噂に立つようにしてのけて、それを口実に破談としたのです。そして、何食わぬ……」
 美代は言い淀み、なぜか蒼白の顔に羞恥の血色を浮かべた。のは、一瞬。
「ひと月後には、立花家に婿入りします。二百石に鞍替えしたのです」
 兵之輔は、田上忠則という男を知らない。これまでの美代の話から推測するに、小さな家の冷や飯食いであろう。何流か知らぬが、切紙程度なら武を買われてではあるまい。よほどに才覚があるのだろう。次男坊、三男坊はたいていの家に居るが、婿養子を取ろうという家は、そうそうありはしない。
「ひと月のうちにとおっしゃいましたな。まさかに、婚礼の場に討入を掛けるおつもりか」
 美代の表情に思い詰めた色を見て取っての軽口だったが、返ってきた言葉には絶句するしかなかった。
「その通りです」
 兵之輔は、美代の言い分を吟味してみた。
 操を奪われたばかりか、その無惨な姿を衆目に晒されたとなれば、破談は当然である。しかし田上忠則が、路傍に転がっている石を拾うように短時日で婿養子の鞍替えを出来たというのは、あまりに不自然ではある。二百石の話がまとまるので百石の話を無理矢理に壊した――そう勘繰って当然ではあろう。勘繰るだけならば。
「田上が裏で糸を引いていたという手証はお有りでしょうね」
「ございます」
「それは、どのような」
 今度は羞恥の色どころではなかった。美代の顔が紅潮した。
「それを……申し上げねばなりませぬか」
「他人に害を為そうとして、その技を教えよと言われる。得心できぬ限りは、お断わり致す」
 よほどに羞ずかしいことなのであろうが、美代の逡巡は短かった。顎を引き兵之輔の目を見据えて。
「私に乱暴を働いた者どもは、私が娘ではないことも、かわらけであることも、知っておりました」
「…………」
 手証とは、誰もが手に取って確かめられる確かな証拠という意味である。破落戸どもが知っていたという美代の言葉は、不確かな証拠ですらない。それを知っていたというのが事実としても、それが田上と、どう結びつくのか。
「かわらけのことを知っているのは、父母の他には一人しかおりませぬ。もうひとつについては、その一人のみです」
 謎解きか――兵之輔はしかし、女の深い羞じらいの中に、およその答を察したのだった。田上某は、「いずれは夫婦になるのだから」などと言い含めて、すでに美代を抱いていたのだろう。ならば、彼女がかわらけであると知っているのも当然。
 とはいえ、推察で進めて良い話ではない。兵之輔は、そのように己れを言いくるめて、残酷な質問を放った。
「破落戸どもが知っていたというのは、彼奴らが明言したのでしょうな。うろ覚えでもよろしい。どのように話していたか、それをお聞かせ願いたい」
「ダンナノイッテタトオリダゼ。アナガトオッテヤガル。最初の男が、確かにそう言いました」
 美代の顔から羞恥が消えて、氷のように冷たい怒気に覆われていた。
「ウマレツイテノカワラケダッテンダカラナ。ミセニデリャア、サゾウレッコニナルダロウゼ。そうも言いました」
 これは――兵之輔は瞠目した。修羅場のさ中に、これほどまではっきりと加害者の言葉を覚えているとは。十五のときに逢引中を与太者に絡まれ、相手が匕首を抜いたので、その手首を斬り落とした――などというのは数えずに、二十八の今日(こんにち)までに、兵之輔は死地を三度経験して四人を斬っている。そのうち二人は、必殺の斬撃を放つしかない強敵であった。彼らがどのように動き己れがどのように対処したかは、すべて克明に覚えている。しかし、戦いの最中に発した言葉など、己れのも相手のも、およその内容すら怪しい。
 この一事をもってしても美代には天稟があると、兵之輔は断じた。日常の場においてはまったく不要な天稟が。
「如何にも、敵が切紙であろうと目録であろうと、一太刀を浴びせる技くらいは伝授して差し上げること、不可能ではない」
 兵之輔が熟考の末に放った言葉に、美代は顔を引き締めた。眉に唾を付けたというほうが当たっているかもしれない。
 おそらく。城下にある道場の門を敲いて回って、門前払いを食わされた挙げ句に、御城から一里も離れた横河村にぽつんと佇む、剣術道場だか万屋だか分からないここまで流れてきた。大方はそういうことだろうと、兵之輔は見当を付けている。安請合いをされて、疑心が先立ったとしても無理はない。
 兵之輔には、十分な成算があった。と同時に十二分でも足りない邪心もあった。
「改めて尋ねるが、武技の心得はあるかな」
 訪なった女人にではなく、師が弟子に対する言葉遣いに、すでになっている。
「貫魂流の懐剣術を幾らかは。一両切紙には勝てると自惚れています」
 美代が習っていた流派では、型さえ覚えれば一両の免許料で切紙を頂戴できる。御嬢様切紙とも嫁入切紙とも揶揄されている。腕にいささかの覚えはあるが、家計を逼迫させてまで紙切など不要――寡黙にして雄弁な娘ではあった。
「まずは腕前を見極める。道場へ来られよ」
 立って、さっさと道場へ向かう兵之輔。美代は葛籠を胸に抱き、その上に細長い菰包みを載せて兵之輔を追う。
 兵之輔は一段高くなった見所(けんぞ)に座して、目の前に正座した娘にとんでもない言葉を放った。
「着物を脱いで素裸になりなさい」
「え……」
 言葉の意味までは解しても、それが己れとどう関わってくるのかが分かりかねている、ぽかんとした表情。
「身体全体の動きや筋肉の使い方を見るためです」
 直に見なくても衣服の上からでも、末端の動きを見れば根本も粗方は分かる。それを敢えて脱がそうとするのは、九分までは邪心、さらに言うなら嗜虐であった。そして残りの一分は、『肌風』であった。
 素肌に太刀風を三寸どころか尺余に感じて、一寸ではなく皮一枚で見切るという、肌の鋭敏な女人にしか為し得ないという秘剣。父が興した神埼外流の祖となった神埼古流で、すでに父の若き頃には術者も絶えて伝説となっていた。
 そのような秘術を、御嬢様切紙ちょぼちょぼの娘が短時日で体得できるはずもない。兵之輔の成算は別辺にある。ただ、幾らかは心の疚しさを誤魔化せた。
 これまでは決心の早さに兵之輔を瞠目させていた美代が、心の臓が百を拍つほどにも逡巡した。困惑から羞恥、羞恥から遺恨、そして決意へと――それは兵之輔の推測であって、うつむけた表情は能面のように硬く静かだった。
 やがて、美代が立ち上がった。
「お目を汚します」
 硬い表情で帯を解き、対丈の着物を脱げば、下は膝丈の赤い腰巻のみ。襦袢などは身に着けていなかった。本気で水呑百姓の娘に扮していたのである。
 その一事をもってしても、美代の決意は本物であると、兵之輔は感じ入った――以上に、嗜色心を刺激された。
 現代の読者に理解しやすくたとえるなら。清楚な御嬢様学校に通っている彼女が、セーラー服の下にインナーを着けていないと知ったときの興奮――では、作者のレトロ感覚を暴露するだけであろうか。
「この姿で型を御覧に入れれば、よろしいのですか」
「うむ……」
 みずから仕掛けた悪戯に怯みながらも、なんとか道場主の威厳を取り繕う兵之輔。
 美代は携えてきた葛籠から懐剣を取り出して左手に持ち、兵之輔の前に右半身(はんみ)を曝して立った。
「鋭ッ」
 可憐な気合声と共に懐剣を逆手に抜いて、迫りくる刃を受け流す型を演じた。順手に持ち替えて正眼に構える。袈裟懸けに斬ってくる見えない刃を受け、上段からの斬撃を防ぐ。
 それなりに洗練された動きではあったが、実戦なら最初の一撃で懐剣は弾き飛ばされ、そのまま斬られていたか、押し倒されて若い娘に相応しい扱いをされていたか。
 兵之輔はわずかに顔をしかめ、それから鼻翼を広げて太い息を吐いた。剣術の心得がある男に対して一太刀を浴びせられるところまで仕込む前途遼遠を憂い、しかし、未熟を口実に非常の手段を講じる愉悦を思ってのことだった。
「衣服を改めさせていただきます」
 型を演じ終えると、当然だが美代は肌を隠す。
 もったいないと思いながら、とりあえずは止める口実も無い。
「そこの菰包みは大刀と見受けるが」
 再び向かい合って座して、答を知りながらも兵之輔が尋ねる。
「はい。懐剣では切っ先が届かぬと思います」
「うむ。理に敵った考えである」
 重々しく頷いたが腹の底では――理詰めで納得させればかなりのことまで受け容れるだろうとほくそ笑んでいる兵之輔だった。
「では、ひと月限りの入門を認める」
 ひと月で業を修めたいと願うのだから、それを叶えてやるという意味であり、同時に、それ以降に何をしようと当道場は与り知らぬという逃げでもあった。二百石の跡取りに大怪我を負わせたとばっちりなど真っ平御免だ。
 などという思惑を知ってか知らずか、美代は畳に両手を突いて深々と頭を下げた。
「さて……仮初にも入門となると、束脩であるが」
 兵之輔がもったいをつけて言葉を切った隙に、美代が葛籠から切餅を取り出した。一分銀百枚。小判にして二十五両である。
 束脩が酒や白扇であったのは百年以上も昔の話だが。地獄の沙汰も金次第の世であるとはいえ、束脩に加えて盆暮の付け届け十年分でも釣りがくる。
「これは多すぎる」
 兵之輔としては、内弟子の形にして束脩無用の代わりに家事一切を任せ、成り行きによっては夜這いなどと目論んでいたのだから、へどもどしてしまった。
「是非とも、お納めください。これは、田上の家から投げられた金子です。これで我が家を潤すなど、我が身を女郎に売るよりも浅ましいことです」
 手切れ金ということだろう。
 身売りも親孝行のひとつではあろうし、草をかじらず白米が食えるのだが――貧乏とはいえ武家の娘にそこまで考えよと求めるのも無理だろう。兵之輔は、黙って金子を受け取って――神棚に奉じたのは、すぐにも稽古をつけてやる所存だったので、邪魔になるからだった。
 とはいえ、その前に。
「わずかひと月で、それなりに大刀を扱えるようになり、かつ、剣術の心得がある男に一太刀を浴びせられる技前と気構えを練る。非常極まりない修行になるぞ。婿を取れず嫁にも行けぬ身体になる。それは覚悟していただく」
 兵之輔の言葉を受け止めて。それまでは硬い決意を覆っていた能面に、嘲りの色が滲んだ。
「元より穢された身なれば、それが束脩の足しになると思し召しでしたら、如何様にも」
 やはり、そのように受け取るかと、それは予期してのこと。その覚悟に肩透かしを食わせ、まったく別の方角から嬲る。それも嗜虐のあり方だ。
 などと、その道の通ぶってみたところで。実際に女を(ただ抱くのではなく)堪振り嬲ったことなど、五指もあれば足りる。百姓弟子からの付け届けで食うに困りはしないが、用心棒といえば隠居連が維尽島詣する折の世話役だったり、猫探しなど瓦版の隅に書いてもらえば足が出る。傷が治るまでの花代に色を付けて蹴転(けころ)女郎を折檻するだけの金も工面できない。近在の素人娘に手を出したりすれば、おんぼろ道場など文字通りに潰されてしまう。
 もっとも、それだけに。いろいろとこじらせているのではあるが。
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y18_g_00-1.jpg
 筆者はヒロイン視点でばかり書いています。このとき、サディスト役の男はCo-staringであっても、デウス・エキス・サクシャです。そして、緊縛も鞭打ちも手慣れたもの。ヒロインの精神が追い込まれていく様も掌の上。
 しかし、今回は。サディストながら経験はごくわずか。最底辺の娼婦を餌食にしようにも、傷が癒えるまでの生活保障をしてやらねばならず、農民門弟5人しかおらず、老人会の慰安旅行のツアコンとか子供から持ち込まれる猫探しで生計を立てているとなれば、その金もままならない。
 いえ。けっして作者のアレコレを投影してるのではありません。わざわざ改行して書くなよ。
 これに似た男主人公は『初心妻志願奴隷』くらいですか。でも、こやつは金だけはあったっけ。


 ともかくも。異色の短編になりそうです。R18シーンも少ない。コミカライズすれば、じゅうぶん全年齢でいけますな。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Making of 娘女敵討:3

『魔羅神様の男神子』を納品して。
 返す刀で、『娘女敵討』の執筆に着手しました。
 結局。何か書いていないと落ち着かないという、これはもう、立派な中毒患者ですなあ。
 前作を書いている期間中の勤務時間に、PLOTを固めてしまいました。
 Makingの趣旨からすれば、その経緯を詳らかに述べる必要があるのでしょうけれど。
 出来ちゃったものはしょうがないじゃないの。
 というわけで、執筆開始時のPLOTをいきなり御紹介。


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1:速修切望
 長月十日。
 村娘の身なり。

 看板に顔をしかめる。
 瓦版で尋ね猫とかの伏線。
 名乗った時点で「なんと、あの娘か」
 懐剣の御嬢様切紙。ひと月で、剣術切紙の男に一太刀浴びせられる腕に。
 女敵討です。私の遺恨だけでなく、婿を取れずに家が潰れる。
 「かわらけほと晒しの女」
 その者が確かに首魁という手証は?
 暴漢どもは、かわらけを知っていた。

(2:許嫁無惨)
 どうせ夫婦になるのだからと。
 その旬日後。玩具蛮愚。全裸晒し。証拠保全で同心到着まで。
 噂千里。婚約破棄。
 この段階では、どうして知っていたかと疑念のみ。立花家への婿入を知って。電光石火過ぎる。
 カットフォワードして。
 束脩25両。包み紙には田上の名前が。つまりは手切金。
 80石風情で出せる金額ではない。あるいは立花家から――と、主人公は勘繰る。
 ならば、裏の裏には立花家も?
 悪役令嬢が絡んでるかどうかは、書きながら考えましょう。
 そういうことをするから、空冷から液冷に、だんだん良く鳴るフォッケのウルフはFw190D

3:斬肉断骨
 腕前拝見。越中褌。
 緊縛肌切。
 二尺三寸五分を素振。過負荷鍛えは短期では無理。
 看板に「年内の御用引受間敷候」偽装。
 自分も褌。数日後には六尺。
syuu

4:緊褌坐臥
 翌朝。変なのがうろついてたと、村人から聞いて。
 常時褌。
 肌風か、主人公の嗜虐か。方向性。嗜虐でいくぞ!
 村人は「また悪い癖が出た」。村娘には手を出さないくらいの分別があるから、放置。
 探索してる奴にも、主人公がヒロインを嬲っているとしか思われない。

(5:執着粉砕)
 前夜あたりで。敵にこどわりすぎているのをほぐしてやると、自身に言い訳。
 問答無用で襲い掛かる。
 信頼しきっているヒロインは、戸惑いながらも合意。
 つまらん展開だな。縄も無い……
 町へ出て瓦版屋デンデンは、さらっと。

6:婚礼討入
 夕刻からの婚礼。あれこれ運び入れる人夫あたりに化けて潜入。
 いちおう仇討らしく白装束。わずか布切れ一枚でも身を護られているという安心感。
 褌一本にする必然性が無いもんなあ。全年齢じゃねえか。
 庭と塀の外で呼子の応酬。
 人の口に戸は立てられぬというが。我らを戸にするか口にするかは、御手前方次第。


(7:傷肌嫁入)
 あとひとり、私を手篭めにした御方が。
 忠則殿は祝言の先取りと言いましたなれど。
 これからも縛り稽古や裸稽古を致したく。 
 三日目から六尺褌にされた意味が分からぬほど初心ではありませぬ。
 押し込まれてタジタジの主人公。
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暫定



 前記事で紹介したような詳細ではなく、まさしく骨格のみ。前記事で固めた部分は、そのまま執筆に活かしますが。
 今回は100枚ちょっとの短編を目指します。となると、7章は多すぎます。ので、括弧で括ったセクションは、前後のセクションに1行明けで合体させるかも。ていうか、すでに(2:許婚無残)は、1:で短いカットバック処理しました。
 「3:斬肉断骨」は「肌傷修行」に改題済。
 それと。『悲剣肌風』は絡めることにしました。といっても、兵之輔も三信七疑の伝説扱い。ただ、ヒロインが『修行』に疑いを持ったときに言いくるめる材料にはなります。そういうシーケンスが出てくるかは、未定。
 次回からは、上記程度のPLOTが、どう受肉していくかの検証ですね。


テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Making of 娘女敵討:2

 まず、舞台。広島を念頭におきつつ、「瀬戸の海に面した城下町」にしましょう。詳細な古地図は見つからなかった。所詮は「歴史小説」じゃなくて「時代SM小説」です。

・安云(あくも)の国、広鳥城下――でいいや。

ヒロイン
徒士頭(100石):小森重太夫の娘、美代。笄をすぐること二年。
「破瓜」は16歳を意味するけど、現代人の連想は別方向なので。
ちなみに『逝かされたって口は割らない』で、ヒロインの年齢を「辻髪を置いてから二年」と書いて、DもFもクリアしました。元からRは販売申請していない。

主人公
神崎外流二代目:柴里兵之輔
『悲剣肌風』の時代から下ること50年。父の柴里好之輔が神崎古流から分かれて立てた流派。
西へ西へと流れて、安云の国で道場を拓いた。
肌風については、伝説くらいにしか思っていない。
肌を浅く斬られて胆力を養う修業を父から受けている。

敵役
馬廻役(80石):田上家の次男坊、田上忠則(26)

乗換先
御納戸役(2000石+余禄):立花兼光の長女、菊江(番茶も出花というが、なかなかの立花……)

あとはMOBで、必要に応じて。

肌風の3

さて。章題は後回しで、大筋を決めていきましょ。

1:
 道場の外観(ぼろい)。ぐっと近づいて看板のアップ。
    神崎外流
    剣術指南つかまつる
     用心棒、助っ人、猫探し、その他諸々
     承り候
 ヒロインが溜息を吐いて。「どなたかいらっしゃいませぬか」
 剣術を教えてください。相手に一撃を与えるだけでよいので、手ほどきを。
「女敵討にございます」
「……?」
「先月、稲荷橋の袂で生き恥を曝した娘にございます」
 主人公視点のショートカットバック。
「敵は分かっておるのですね」
「ひと月後には、某家との婚儀が。それまでに成敗致したく」
 無茶振りもいいとこ。
 ヒロインは、武家娘の嗜みとして懐剣術をわずかだけ。
 こんな馬鹿げた入門志願者を受け容れる道場は無い。追い返せば、最悪暴発しかねない。
 決心。
「腕前を拝見せぬことには」
 筋肉の動き云々。黒猫褌を貸す。締め方は言葉と動作で。
 奥の部屋(寝間)で支度をさせる。
 ほんまに黒猫褌一丁で出てくる。全身羞恥に染まっている。
 懐剣の形を披露。このあたりで、羞恥が薄れる?
 木刀を(手本を示してから)振らせてみる。筋は悪くない。
 着衣させてから。
「形を教えたところで、どうにもならぬ。もしも本懐を遂げたくば、一切を委ねていただく」
「ただし、修行の後は嫁入り出来ぬ身体となる。それを承知なさるか」
「人の妻になるなど、当に諦めております。先払いを致さねばなりませぬか?」
「いや。そういう意味ではない。束脩は、型通りにいただく」
 切餅を差し出すヒロイン。多すぎる。
「父の手文庫からくすねた金子です。けれど、私がもらって構わないいわくがあります。是非とも、この金子で」
 貧乏藩士に25両は大金。包み紙には田上の名前が。

で、まあ。ここまで予定原稿を仕込んだところでPIXVの新規リクエストがあって、そちらへシフトしました。

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

Making of 娘女敵討:1

 今回は、ちと趣向を変えて。着想から執筆~脱稿に到るまでを(後追い)リアルタイムで追い掛けてみましょう。
 過去数十度のあれこれ応募も、フランス大量爆撃の戦略的要因で全コケを除けば、まさかに1次を落ちるはずもなく、とはいえ2次突破はむにゃむにゃで、『第12回ハヤカワ・SFコンテスト』参考作が一度きりで、ちょいと片手間に連載してる『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』が、1年ちょっとで3万5千PVしかないという。それでも、馬鈴薯を重ね切りしたくらいのナニガシカは、これから書こう/書いても行き詰ってる後進の役に立つか厄になるか。
 早い話が自己顕示欲。といってしまっては、実も蓋も容器もありませんがな。

 さて。初見時から、「ふうむ、これは」と思っていたのですが。
 池波正太郎「剣客商売」文庫本2巻「辻斬り」に収録されている『悪い虫』です。粗筋とかは、検索するなりchotGTPに尋ねるなりしてください。
 ここに記述された即席修行。十年以上かかる剣の道を十日で究めさせられるはずもないけど、まあ、「悪い奴」に負けないだけの気力を身に着けさせるという。ところで、気力は精神力だから、「身に着ける」は間違いかな。「心に着ける」かしら。と、気にする程度には、言葉の使い方に注意致しましょう。
 Midship!
 修行する者を柱に後ろ手で縛りつけて、上半身を裸にして。目の前で白刃をきらめかせて、薄皮一枚を斬ってゆく。そういう修行です。
 作中では、又六という青年ですが。
 はい、脳内置換。
 半裸→全裸。青年→少女。たちまちにして、濠門長恭ワールドです。

 これをハイライトシーンとして、短編を作ってみようと、細、思い座りました。
 性根が座るといいます。思い立つのは、なにかの拍子にふらふらと、ですが。思い座るとなると、波々ならぬ決意?

 で、まあ。あれこれと、このハイライトに結びつく設定とか考えていって。
 こういう修業を堂々と行なえるとなると。この道場はさびれているかな。でも、ある程度の銭金がないと、主人公の動きがままならぬ。
 このあたりで。いつものヒロイン視点でなく、ヒロインに稽古(かなあ)をつける男を主人公にしようと。はい、ひとつ決まりましたね。
 道場主で、門人が「つばなれ」せず、それでいて……よし、こうだ。
    神崎外流
    剣術指南つかまつる
     用心棒、助っ人、猫探し、その他諸々
     承り候
 こんな怪しげな道場に、わざわざ教えを乞いに来る娘ねえ。
 しかも、主人公に「そういう」修業を思い切らせるだけの必死さが娘にある。

肌風の1
 BFは『悲剣肌風 巻之一:発動編』表紙絵です。
 女+裸+チャンバラです。

 で、ああでもない、いいではある、ううううう、えええ? おお!
 実際にはライトセーバーを遣いながら半日ばかり、練っていました。
 娘が敵と狙う相手の力量を、主人公が知っていないといけない。お江戸は広すぎるし、筆者に知識が無い。
 江島橋をへだてた向うは、深川の木場で、縦横にながれる堀川にかこまれた……などとは描写できません(太字部分は『悪い虫』から引用)。
 筆者はこれまで、地方の架空の「そこそこ大きな」城下町あたりを舞台にしてきました。今回もこの伝でいきますか。そこそこ(20世紀末頃の)地理に詳しい広島を使う手もあるかな。江戸時代では屈指の人口であるし。後で決めよう。

 ヒロインの事情設定を進めます。
 やはり、犯されて、その復讐。だけでは弱い。
 貧乏藩士のひとり娘。婿養子の話が以前からまとまっていて。ところが相手の男が、もっと裕福な家に婿として望まれて。ヒロインとの縁を一方的に断われる口実に……無頼漢を雇って(あるいは、悪い遊びの仲間に頼んで)ヒロインを犯させて。それを理由に破談。
 ヒロインは、許婚者の企みと知って……これで、いこう。
 その場で自害しなかったのも、恨みを晴らすため。悲願成就の暁には、潔く自害しましょう。女を犯した男を殺し、心ならずもとはいえ犯された女も死ぬ。これは、相対死にか。いや、女敵討ともいえないか。敵を討つのが犯された女という、変則ではあるが。
 あ、これ、いいね――タイトルも決まりました。
 むすめ女敵討
 それまでは、肌を切るという部分にこだわって、「女人肌傷修行」とかを考えていましたが。
 娘女敵討。普通では有り得ない字面です。
 ちなみに「娘女敵討」で検索してみましたが。無かったです。ホッ。
 「娘 敵討」だと、ゲームとか小説とか、いっぱい出てきました。
 ところで。小説にもサイドクエストにもある「娘の敵討」。これ、どういう『の』なのですかな。
 娘が敵討をするというのが、正しいのかしら。殺された娘のかたきを親が討つというは、敵討の定義から外れています。目上の者が殺された報復が敵討の本来の意味です。だから、女敵討は女敵めがたきを夫が討つというわけで、本来の敵討ではないのです。

 この設定だと、短期間で修業を全うしたい理由も簡単に丁稚揚げられます。
 寝返った男の婚儀が一月後。その前に討ち果たしたい。それで、あの男に騙されて不幸になる女人が救われる。
 実は、これも、そういう設定にするかしないか。したところで、主人公の胸ひとつに収めてヒロインには教えないか。男を操っているのが、新たな結婚相手で。だから、貧乏武士の次男坊が破落戸を雇う金を工面できたのだとか。これは、後回し。

 などなど考えるに。小説中の重大なワンシーンが出来ました。
「(修業を望む)訳を教えてもらいたい」
「女敵討にございます」
 主人公は絶句した。女の身で女敵討とは、意味を成さない。
 推測を重ねて――この娘、敵を討った後で自害する気だという結論に達するのです。

 そういう結論に至るには「事件」を知っていなければならない。また、「事件」が公になったからこそ、無条件即座の破談が成立するのです。
 どういう「事件」かというと。GANGBANGの後、破落戸どもがヒロインを全裸緊縛放置して。翌朝に発見した者が目明しを呼んで。
「同心の旦那に見分していただくまで、現状保存する必要がある」と、縄をほどかず、筵で隠してやる配慮も無い――のは、黒幕男に銭をつかまされているからですな。そこまで過激にするか要検討ですが。

 そだ。過激エロシーケンスと無難シーケンスの二本立て(所要部分を差し替え)にして、無難シーケンスは……募集中のところがねえや。この案はボツ。

 しかしなあ。なんで、そう易々と、ヒロインは男が黒幕と気づくかなあ。だいち、男がGANGBANGの現場に立ち会うのは不自然でご都合主義。まだヒロインを抱いてないなら、ともかく。こういう男だから。少なくとも乗り換えを決めた時点で、せっかくだから味見をしておこうと思うのではないかしら。

 では、こういうのはどうだ。男はヒロインを「いずれ夫婦になるのだから」と、言葉巧みにムードも演出して、やらかすのです。そして、ヒロインが生来のパイパンであると知る。もちろん、パイパンは昭和(でしょう)の麻雀用語からきてますから。土器かわらけですな。
 そでもって。GANGBANGの現場で
「なるほど。聞いた通りのパイパンだわい」
「しっ!」
 で、ヒロインは、わたくしのハイジニーナ(激違)を知るは、母上を除けば、あのお方のみ?!
 うん。これで決まりました。
 濠門長恭クンは、SM=パイパンのインプリンティングですが、剃毛脱毛の養殖物ばかりで、未だ天然産を扱ったことがありません(未発毛は除く)。初物です。バンザイ三唱です。

 だいたい筋は定まって来ました。
 つぎに。獲物の問題。絵面的には大刀一択ですが。
 女人なら小太刀とか懐剣もあるけど。これは、リーチの問題で除外出来ます。では、槍とか(江戸時代では)女人専用ともいうべき薙刀は……そんな物騒な物を抱えてうろうろしてては、職務質問で現行犯逮捕です。女が刀袋に収めた大刀を抱えていても、どこかの御女中がなにがしかのお使いを言いつかっていると思われるでしょう。まして、主人公が同道します。のは、次の考察。

 ああ。主人公はヒロインの(剣術の)素質を見極めるため、半分本気半分助平で、全裸で太刀を振るわせたりします。いや、この時点で全裸はまずい。大殿筋などの動きを見る必要があるから、フンドシですな。もっこフンドシみたいな「お馬さん」は生理用品ですから、別室で一人で準備させられます。手取り足取りでフンドシを締めてやるのも、まだ早い。
 それはともかく。娘の身体、娘の気迫……などなどから、修業をつけてやっているうちに惚れ込んでしまい、なんとしてでも生き延びさせてやりたいと。

 そこで、いざ討ち入りの場合も下準備。
 ああ。筆者の性格ですが、仇討は寸前でやめます。
 クライマックスシーンは、まさに祝言の場。
 目出度い場ですから、太平の世ですから、警備なんて有馬温泉テルマエロマ。羽織袴で堂々と押し入ってしまうのです。
 花嫁を主人公が人質に取って、男にヒロインとの果し合いを強いる。よもや女に後れは取るまいと、居合わせた面々も、むしろ果し合いを期待する。
 ここで、ヒロインが主人公の思ってもみなかった挙に出ます。襷に白鉢巻――ではなく、褌一本、それとも超ミニ腰巻。女ごとき、何程のことやあると見くびっている男の度肝を抜くのです。いや、これを書かずして、濠門長恭クンの剣戟小説は有馬温泉(以下略)。
 正眼に(おたおたと)構える男に対して、大上段に構えるヒロイン。男は間合いが計れない。そうでなくても、真剣での立ち合いでは(恐怖心から)相手との間合いが近く見え過ぎてしまう。「鍔で相手の眉間を叩き割るつもりで、ようやく切っ先が届く」のです。
 案の定というか筆者の意図の通り、はるか手前の地べたに剣を叩きつけてしまう男。その肩口を目がけて、ヒロインの必殺の一撃が……べしんと、叩くのです。咄嗟に峰を返そうとして、そんな技量は無いので、側面が肩に打ち当たるという。
 ここで、主人公が花嫁を突き飛ばす(解放する)。
 おのれとばかりに取り囲む、披露宴出席の面々。
「まだ、誰一人傷ついてすらおらぬ」主人公は、ヒロインが男を斬り殺した場合も想定はしていますけど。
「人の噂に戸は立てられぬというが、ここには雨戸が二枚ある」
「雨戸を閉じるも蹴破るもお手前方次第」
 おもむろに呼子を取り出して。
 ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
 すると、遠くのあちこちから
 びいいい、びいっ、びいいい!
 ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
 ここで我らが殺されれば、男の所業も含めて一切が瓦版になるぞと脅して。
 <余談>一般的な呼子は、中に小球が入っているので、ホイッスルと同じに断続的に鳴ります。「ピー」と単調に鳴るのは、盲人などの注意喚起用の笛です。名和弓雄『間違いだらけの時代劇』より。</余談>

 で、無事に退散致しまして。
「私の敵討は、まだ半分しか済んでおりませぬ」
「身体じゅうを刃傷だらけにして、お嫁に行けない身体になさったのは貴方様です。責任を取ってください」
 Mayday+メイデイ足しです。

 さて、次回は以上をまとめて、きっちりPLOTを作りましょう。
 





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『昭和集団羞辱史』ボツversion公開

 『昭和集団羞辱史』続編希望との熱烈なるファンレターを頂きました。
 2022/09/05の「Crash Report」で、頓挫したことを報告していますが。書き直すのは、まだまだ先になりそうです。とはいえ、せっかくの御要望に応えられないのも心苦しく。ボツVersionを公開することにしました。
 このブログでは近日中に次の「Progress Report」を始めるので、流れがもつれかねません。
 ちょっとした他流試合で、どれくらいPVを稼げるか腕試し――などと、スケベ根性もありますので。


 ノクターンノベルスで短期集中連載します。
 直リンク→

 2~3日おきに1章ずつ上げていく予定です。
 御用と御急ぎのある方も、ちょこっと寄り道してくださいな。
 画像は、まだ書いてない(実はちょこっと書いてる)のにBFだけは作っちゃってる『第2話:花売り娘』です。

集団羞辱物売編(夜)紹介図
 これを活かすためにも、ちゃんと書き直さなくちゃね。

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魔羅神様の男神子:7章~8章

 脱稿&校訂&PIXIV投稿しました。
 この章は消費期限無しです。6章までを非公開とするときには、あらためて1章を公開します。つまり、blogに残るのは1章&7~8章となります。


 8章が、ちょっとねえ、トートツになった感が否めません。伏線がじゅうぶんじゃなかったかなと。
 筆者は、書き上げた作品てアレコレ手を入れる
たちではないので、すでに次の作品に頭が向かっているので。まあ、一里塚です。
 一里塚ていうと、通過点の目安くらいのニュアンスなのに、その1.6/4のマイルストーンていうと、エポックメーキングなニュアンスになるのも、なかなか面白いですな。よだんだよん。


魔羅神/表紙50



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7.神事失敗

 退屈としか言いようのない五日間が過ぎて。いよいよ、神事の本番。前日は断食をさせられて、お腹ぺこぺこだから、日の出とともに始まったのは、ありがたいくらい。
 今度は巫女様たちにチンチン引き回しと川でのお清めをされて。鳥居に張り付けられてのミソギは男の人たちの手で――かなり手加減してもらえた。
 マラ神様のホコラの前。オフクロ様と真苑さんと三人の巫女様と男七人衆――に加えて、六人の女性と六人の女の子たち。紹介された訳じゃないけど、二宮、三宮、良宮、後宮、陸宮、波宮――各家の代表かな。この村に他の名字はない。一宮家は一軒しかないけど、二宮家は三軒、三宮家からはぐんと増えて十五軒、波宮家なんか三十軒ちかくあるそうだ。
 これはぼくの推測だけど、村の自治とか神事は、ひとつの名字について一票の権利があるんじゃないかな。それとも一宮家つまりオフクロ様が五十一パーセントを握っているのかも。
 村議会がどうなってるのかは知らないけど、役場とかは近在(十キロメートル単位)の数か村がひとつの行政単位になっていて、夕明村には形ばかりの出張所が置かれてる。
 明日には出て行って二度ともどらない村のことなんか、どうだっていいや。
 いつもの人数のちょうど二倍だけど。男の人を除いた見物人の数でいうと三倍以上。その大きな車座の真ん中、御神体の真正面に置かれた一メートル四方の三宝。
 その手前でチンチンの輪っかを外されて、すごい解放感。タックをはがしたときとは、全然違う。あれは、内側へおし込まれているきゅうくつさだけど、これはタマタマが下へ引っ張られている鈍い痛みからの解放。を、しみじみ味わう間もなく、三宝に乗る。倒されたときの配置を考えて、右端に座ってアグラを組んだ。
 自発的に後ろへまわした手を、先に縛られる。四つんばいのほうが、口とアナルの高さが同じになるから男の人も動きやすいと思うけど、生けにえとか人身御供は縄で縛ってお供えするのが作法だと言われれば、そういう仕来りなんだと納得するしかない。
 手(と腕)を縛られてから、ゆるく組んでいたアグラを、足のこうを太ももの上に載せる平たい形にされてすねを縛られて。前に倒されると、両肩と両ひざで四つんばいというか、尻を高く突き出した「おかしてください」ポーズ。
 だけど今日は、すぐにはチンチンを突っ込まれなかった。二巫女様がゴヘイを胸の前に立てて、御神体を背中にしてぼくの前に立ち、二人の平巫女様は、タワーケーキの輪かくに小さなスズをたくさん並べた巫女職専用装備(?)で、ぼくをはさんで二巫女様と向かい合った。
「たかまのはなになんとかかんとか。かけまくもかしこきおおまらがみさまになんたらかんたらまおさくたごさく」
 二巫女様がゴヘイをばさばさ振り回しながら祝詞じゅもんを唱え始めた。二人の平巫女様はシャンシャンシャランとスズを振りながら、ステージダンスみたいに激しい踊り……かな?
 そして。三人の動きが一瞬止まって。
「きえええっ!」
 雄叫おたけびじゃなくて雌叫めたけび。ゴヘイが下から跳ね上げられてチンチンをたたき、スズか口とアナルに突き刺さる――直前で止まった。三人が御神体に向き直って深々と御辞儀をしてから引き下がって。
 いよいよ本番の始まり。ミツオさんとタカシさんが、ぼくの前後に立った。のだけど。神様に供えられた生けにえとしては不禁慎だけど、吹き出しそうになった。だって、ふたりとも裸じゃない・・・・。腰にシメ縄を巻いてる。ひし形を並べたような紙が垂れているけど、そこからチンチンが突き出てる。これが女性だったら全裸よりエロチックかもしれないけど、ガチムチの男性だから、こっけいだよ。
 いけない。これから、二十人近い女の人に見物されながら、エッチでつらくて恥ずかしいことをされるんだという意識に切り替えなくちゃ。ちゃんとトコロテンしないと、家に帰してもらえないんだから。
 シメ縄のせいか、二人のチンチンがいつもより大きく見える。とくにタカシさんのは、ぼくをいじめてる女の子たちの腕くらいもありそうだ。もしかして、ぼくと同じに禁欲してたのかな。
 二人も御神体に向かって。かしわ手を打って御辞儀をして。まず、タカシさんがアヌスに入れた。
 むぐ……いつもより、ひともわり大きい。ミツオさんのは、いつもより大きくても、ほお張れないほどじゃない。
 パンパン。あらためてかしわ手を打たれたりすると、なんだかしらけた気分になって。エッチ気分から遠ざかってしまう。
 それと。三宝がいつもの板よりも十センチくらい高いので、ミツオさんには具合が良いらしいけれど、タカシさんのチンチンがアナルを突く角度が変わって、うまく前立線に当たってくれない。
 それはタカシさんにも分かっていて、すこしずつ腰の高さを変えて手探り(チン探り?)してる。けど、前立線に当たっても、いつもとは刺激が違って、ぼくのチンチンは寝ぼけまなこ。
 もどかしくなって、ぼくも腰を動かそうとするんだけど、ぎちぎちに縛られているから、思うようにならない。
 精通したばかりなのに、ぼくの年齢の二倍も三倍もあるオトナたちに、縛られて持て遊ばれて性的にいじめられている。そんなふうに思うと、これまでにないくらい激しく切なく、胸がきゅうんと閉めつけられる。
「あっ……?!」
 タカシさんのチンチンが、いつものトコロテンのポイントをわずかにずれて、突くんじゃなくてこすって。その瞬間に、腰がくだけるような何か・・が走った。
「おっ、ここか」
 タカシさんが同じ角度と深さでチンチンを動かす。
「あっ……違う……でも、すご……!」
 ポイントをこすられるたびに、腰がぶわあっとふくらんで、それが背筋から脳天まで突き抜けていく。
「本番だけに気合いが入っとるのお」
「そのままイカしてしまえ」
 男の人たちの野次。
 ものすごく気持ち良いけど、チンチンには何も込み上げてこない。むしろチンチンが溶けて無くなったというか、全身がチンチンになっちゃったみたいな――射精の瞬間よりも気持ち良いけど、まったく切羽詰まった感覚のともなわない、雲にふんわか包まれて、どこまでも高く飛んでいくような快感。
「なんじゃと。ちっとも立っておらんではないか?!」
 オフクロ様の、困惑したような声――を、聞いたんだろう。ふんわかした快感の雲が耳の穴をふさいでる。
「これって、メスイキじゃないですか」
 とっくに七人の声は聞き分けられるようになっているのに、分厚い雲の向こうから聞こえてくる声が、だれのだかわからない。
「なんじゃ、そりゃ」
「前立線への刺激を工夫すると、男でも女と同じような快感を得られるんだとか。射精をともなわないドライオーガズムというそうです」
「ぼっ起もせずに快感……?」
 ああ、そうなんだ――と、自分の状況を他人の言葉で理解するってのも変。じゃない。病気のときは、お医者さんのしん断が頼りだものね。でも、そんなことはどうでもいい。
 気持ち良い。とにかく気持ち良い……のが、ずっと続いてる。もしも、これが女の子がセックスで感じる快感なら、ぼくは女の子になりたい。男の娘でいたら、メスイキしやすいかな。
「いずれにせよ、お清めは失敗じゃ」
 オフクロ様の不気元そうな声。
「尻からマラ神様の依り代を注ぎ、口はマラ神様の形代かたしろでふさいで、手を触れることなくケガレを吐き出させる。これが、五十年の昔に定められたお清めの作法じゃ。ケガレを体内に留めたままで神子になれるはずもない」
 神事はやり直すと言われて、タカシさんとミツオさんはぼくから離れた。
「あっ……えっ……?」
 最初の声は、もっと続けて欲しいという本音。疑問の声は、チンチンが抜かれてもふんわかした快感が続いている驚き。チンチンが無くなって、すごく物足りない気分なんだけど、そのぽっかり空いた穴に快感の雲が流れ込んでくるような、不思議な感覚。
 ああ、そうか。女の人がセックスの後でいつまでも突っぷしているっていうアダルトビデオの描写、あれは演技じゃなかったんだと……実感したのだけれど。
「次の神事は二十一日後じゃ。十日間の修業と、今度は十日間の禁欲とする」
 その声で我に返った。じょう談じゃないよ。三週間後なんて、とっくに学校が始まってる。それに。もしも次の神事でもトコロテンじゃなくメスイキなんかしちゃったら……いつまでも村に閉じ込められて、重労働とレイブといじめがずうううううっと続く。
 十五日間の我慢だと思ったから、耐えてきたんだ。もう、いやだ!


8.禁身相姦

 逃げてやる。一宮家の裏庭につながれて、木陰でぐったりした振りを装いながら、ぼくは決心を固めていた。
 今すぐじゃない。また元通りに装着されたチンチンの輪っかは、鎖で松の木につながれているし。日中にうろついていたら、すぐ見つかるに決まってる。
 決行するのは夜だ。鎖は鉄クイにつながれるけど、なんとか引き抜けるだろう。チンチンに変な道具をはめられて鎖で鉄クイにつながれて、素っ裸。何もかもが逆待の証拠だ。
 十キロメートル以上も歩いて隣村にあるはずの交番に訴えても、多分ムダだろう。村へ連れもどされるに決まってる。
 でも、バスの運転手さんなら、どうかな。それか、ミニスーパーに毎日荷物を運んでくるトラック。あれが来るときには、引き回しやタクハツの途中でも裏道に引きずり込まれる。ドライバーは事情を知らされてないんだ。そんな当てずっぽうに頼らなくたって。コンテナの奥に隠れてターミナルで姿を現わせば。大騒ぎになること間違い無し。
 村の人たちはいろんな罪に問われるし、おそらくママもパパも無事じゃ済まない。ぼくだってSNSでえん上するかもしれないけど。ぼくは被害者なんだ。クラウドファンディングで助けてあげようなんて親切なお節介だって登場するかも。
 なんてウジウジ考えてたら、このじごくはいつまでも終わらない。
 逃げてやる。絶対に逃げてやる。
 失敗して捕まったら、これまでのミソギとは比べ物にならないくらいに厳しくセッカンされるだろうけど。大昔に比べたらずいぶんとおとなしいやり方になったって、真苑さんも言ってることだし。殺されてヤミからヤミなんてホラーにはならないだろう。
 殺されるよりずっと残こくな運命もあるってことなんか……考えないようにしてた。

 夜になって。煙責めにされながら眠った振りを続けて。深夜になって三日月が出てから動き始める。
 まず、鉄クイを引き抜きにかかった。ゆるく縛られている両手は胸より下へは動かせないので、クイの上におおいかぶさるようにして。何度もゆすっているうちにぐらついてきて、後は簡単に引き抜けた。それから、足の縄。横倒しになって身体を丸めて、ひざを抱え込むようにして、手探りでなんとかほどいた。手を縛っている縄は、どうにもならない。
 裏庭を囲っているへいの通用口は簡単に開けて、外へ。クイを持ち上げていても、チンチンの輪っかにつながれた鎖が地面を引きずる。街路灯のないかすかな月明かりの中でさえ、その跡が見える。どっちへ逃げたか一目良然。クイに鎖を巻きつけて。それで名案を思い付いたので裏庭へもどって、足を縛っていた縄を取ってきた。
 バス停、つまり村の玄関口へ向かう道の途中に、その縄を捨てた。あまり露骨だと疑われるから、道端の草むらに丸めて隠して、縄の端だけをちょろっと見えるようにしておいた。夜が明けて脱走が発覚しても、追跡はバス停へ向かうだろう。
 ぼくは引き返して村の奥を通り抜け、マラ神様のホコラへ向かった。三日月の明りだけじゃ足元がよく見えないし裸足だし、つまずくよりも足のつめをはがすのが怖くて、つま先を浮かし気味にしたすり足で――ふつうに歩く半分くらいの遅さだ。
 鳥居の手前で、横へ分かれている細い道へ折れた。わずかな月明かりも林に吸い取られて、真っ黒なアイマスクで目をふさがれたみたいになった。クイと鎖を両手に抱えているので、目の前を手で払うこともできない。左右から張り出している枝が全身を引っかく。石の角を踏んづけて痛みを感じた瞬間にひざを曲げて体重を抜いて。
 たった一回だけ、女の子たちに引き回されて連れて来られた道を、真っ暗やみの中で、手探りもできずに進む。しかも、シメ縄の奥がどうなっているのか、道が真っ直ぐなのか曲がってるのかさえ知らない。まるきりの無理ゲーだ。
 引き返そうと、何度も思った。今からなら、夜明け前にお屋敷までもどれる。逃げようとしたのはばれるに決まってるけど、未すいだから、そんなに厳しくはセッカンされなくて済むんじゃないかな。
 学校のことなんか、どうだっていい。もう三週間だけ我慢して……それでも、次の神事でまた失敗したら、さらに三週間かな。それとも一か月とか二か月?
 だけど。あと五分だけ進んだら、娘小屋とかいうのにたどり着けるかもしれない。
 延々と同じことばかり考えながら――ちょっとばかり開けた空間に出て、そこにプレハブ小屋の姿が、わずかな三日月の明りの中にまぶしいくらいに浮かび上がったときには、その場にへたり込んじゃった。
 すぐに立ち上がったのは、すねから太ももにかけて、小さな虫がぞわぞわとはい回るのを感じたからだ。アルミのドアを開けて中へ入った。大きな窓の向こうに三日月が見えているから、部屋の中はわりと明るい。
「…………?」
 娘小屋という名前からばく然と考えていたより、ずっと殺風景だった。神だなとかは見当たらないし、机やイスもない。部屋の真ん中にダブルサイズのマットが置いてあって、まわりに座布団が幾つか。それと、壁際に小さな整理ダンス。を開けてみて。びっくりしたけど、ああそうかと思い当たった。タンスの中にあったのは、ピンクローターとかバイブとか、何本かの小ビン。ラベルまでは読めないから、何のビンかまでは分からないけど。
 マラ神様に処女をささげる訓練とポニテの子が言ってたのは、そういうこと・・・・・・だったんだ――と、それは簡単に察しがついた。じゃあ、女の子同士でセッサタクマてのは、レズセックスのことかもしれない。
 そういう『訓練』をしたら、その時点で処女じゃなくなるんじゃないかと、根本的な疑問も浮かんだけど。そんなことをのんびり考えてる場合じゃない。
 ミニスーパーへの配送トラックにもぐり込むにしても、イチかバチかバスに救けを求めるにしても、明るい中でどうやって村の人たちに見つからないようにして、そこまで行くか。実は、具体的な作戦を立てていない。
 逃げてすぐはそうさくが厳しいだろうから、明日はずっと小屋に隠れていて、人の気配がしたら林の中へ逃げ込むつもりでいる。そして明後日の早朝にミニスーパーかバス停まで移動して物陰に身をひそめるか。いっそ、隣村まで歩いて行くか。
 逃げ出すことばかり考えてて、その先までは考えが固まっていなかった――ということを今になって反省してる。
 ――具体的な案を思いつかないまま、やがて夜が明けて。予想に反して、こちらへもすぐにそうさくの手がのびてきた。
「おーい、清美きよしくん! 怒っていないから、出てきなさい」
 たぶんシメ縄の向こうからの大声が聞こえたけれど、こちらへ近づく気配は無かった。山狩りみたいな仕事は男まかせで、女の人は加わっていないのかもしれない。それなら、禁男のちに踏み込んでは来ないだろうから、当分は安全だ――と油断したつもりはないけど。声に気を取られて、人が近づく気配に気づかなかったのかもしれない。
 不意打ちに、ドアが開かれた。
「ああ、やっぱりここだったね」
 真苑さんが入ってきた。ひとりきりだった。
「チンコジを外してあげる。そこに寝なさい」
 マットを指差す。
「あの……連れもどしに来たんですよね?」
「ううん。私は、そんなことはしないわよ」
 予想外の返事。戸惑っていると。
「あまり時間がないんだから。そこに寝なさい」
 真苑さんの考えていることは分からないけれど、連れもどしに来たのでなければ脱出に手を貸してくれるのかもしれない。不安だけれど、おとなしく言うことを聞いておいたほうが良いかな。
 ぼくがマットの上であお向けになると。何を思ったか、真苑さんは服を脱ぎ始めた。Tシャツを脱いでジーンズをずり下げて――その下は裸だった。
 身を起こそうとしたぼくをおしとどめて、横に座って。真苑さんは南京じょうを開けて鎖から解放してくれた。それから、ラジオペンチのクチバシの動きを逆向きにしたような工具でカリクビのC形リングを外してくれた。細いL字形の工具で、チンチンの半割り輪っかも。結合が解ければ、タマぶくろの輪っかを抜き取るのは簡単だった。
 そして、ぼくが身を起こすより先に、真苑さんがおおいかぶさってきた。
「縮かんじゃってるのね」
 チンチンを握って、皮に指を突っ込むみたいにして亀頭をくすぐった。
「…………?!!」
 わけが分からないけど。五日間も射精を禁じられていたから、無条件反射で起っきする。
「男衆にさんざんカマを掘られてても、まだ女の子とセックスをしたことはないよね」
 くにくにと皮の上からしごかれて、ぼくの困惑なんかおかまいなしに、チンチンは暴発寸前。
「筆下ろしさせたげる」
 真苑さんが後ろ向きになって、ぼくにまたがた。
 女の子のお尻の重みと柔らかさを、ずしっとお腹に感じて、それで、止まっていた頭が働き始めた。
「真苑さんて、ぼくのお姉さんですよね?」
「そうね。近親相姦になるわね」
 二つ三つ先の質問にまで、一気に答えを出してしまう。
「どうして……?」
 どうして、いきなりこんなことをするんだろう。ぼくのオナニーを手伝おうとしただけでオフクロ様、ぼくたちのお祖母様に厳しくしかられてた。今度はしかられるだけじゃ済まないと思う。
「あら……縮んじゃったわね」
 真苑さんがお尻をずらして背中を丸めた。
「あっ……?!」
 チンチンが温かい感触に包まれて、柔らかい感覚がうねくった。
 うわ、うわ、うわわ。フェラチオされてる。
「ダメ……出ちゃう!」
起っきを通り越して、いきなり切羽詰まってさけんだ。
「……ん?」
 真苑さんが身を起こした。腰をうかして、ぼくのチンチンを握り閉めて、その上に腰を落とす。
 胸より下へ手を動かせないから、まるきり抵抗できなかった――というのは、半分ウソ。上体を起こせば、背中を突き飛ばすくらいは出来た。そうしなかったのは、セックスを体験してみたいという(エッ)知的好奇心が強くて――この人が実の姉だという実感はあまりなかったから。
 チンチンが柔らかい壁にうにゅんと押しつけられたと感じた次の瞬間。ぬぷっと何かを突き抜ける感触があって……温かくて柔らかくてコリコリした感触に包まれた。コリコリというのは、恥骨かな。
「はいっちゃった……」
 姉さんが、ほけっとつぶやいた。
 とうとうセックスをしてしまったという想いが、かえって、この人が姉だということを強く意識させる。
「動くね」
 真苑さんが、ぼくをまたいでスクワットを始めた。腰が上下する。
 チンチンが出入りする。うにゅんうにゅうん、ぐねりぐねり……巫女のエミ様にしていただいたフェラチオの十倍くらい、気持ち良いんだけれど……チンチンの先っぽ、亀頭のあたりに快感が集中してる。とんがった快感。腰全体に広がった、メスイキの快感に比べると物足りない。それに……射精しちゃったら、なにもかもが空しく感じるようになるけん者タイムだ。実の姉とセックス、実際には強女女じゃなくて強チンだけど。でも、しようと思えば出来た抵抗をしなかったんだから。強い自己けん悪に落ち入るだろうな。
「あまり気持ち良くないね」
 姉さんが動きを止めた。ぼくの心を見透かされたと思ったけど、そうじゃなかった。
「クリちゃんへの刺激がないとダメね。これなら、アヌスのほうがまし・・なくらい」
 また、ドキッとした。メスイキを知る前から、回数を重ねてアナルを犯される痛みが少なくなるにつれて――太いウンチをするときと似てると言ってしまうとそれまでだけど、ほんわかと快感を感じるときもあった。
 女の子には前立線が無いから、アナルでメスイキはしないと思う。それでも快感があるとしたら、そんな感じなんだろうか。
「なぜ、この村では男の子を忌子としてはい除してるか分かる?」
 こんなときに、村の歴史なんかどうでもいいよ。
「戦争ばかりしてるやばんな男は要らないっていうのも、その通りだけど。狭い村だからね。村で生まれた子供同士で夫婦になったりすると、どんどん血が濃ゆくなってしまって、村全体が近親相姦みたいになっちゃう。それが、一番の理由なの」
 まさか、この一回で姉さんをニンシンさせたりはしないよね。ていうか、まだ射精してない。
 姉さんが、今度はゆっくりとスクワットを始めた。頭を働かせた分だけチンチンが寝んねしかけたので、それを防ぐためだと分かる。だって、じゅうぶんに起っきしたら、動きを止めたもの。
「だから……姉と弟でセックスなんかしたら、忌子への仕打ちくらいじゃ済まないのよ」
 つまり、この状況が発覚したら――ということだ。こうなったら、姉さんもいっしょに村から逃げなきゃ。
「もう伝説みたいになってるけど、大昔に実例があるのよ」
 そのときは、兄と妹で。兄はその場で殺されたそうだ。そして妹は……
「穴も割れ目もぬわれてしまったそうよ。おしこと出血がもれる小さな穴を残してね」
 そんな悲惨な伝説(?)を、なぜか姉さんは楽しそうな口ぶりで話す。
「その女の子は、村で飼い殺しにされたの。犬チクショウにも劣るとされて――今の清美きよしと同じように、服を着るのは禁じられて、四つんばいでしか歩けないように、縄なんかじゃなくて永久に外せない鎖で縛られて」
 小型の牛や馬みたいに扱われ、荷車を引かされたり農作業をさせられたり。女の人に頭の上がらない種馬の男たちは、うっぷん晴らしにその女の子をいじめたそうだ。ミソギの名目でたたいたり、犬芸(チンチンとかオアズケってやつ)を仕込んだり、残っている二つの穴を夜毎に(昼でも)犯したり。
「私は一宮家の跡取りだけど、やっぱり同じ目に合わされるでしょうね。一宮家の血は、養子の形で二宮家にも受け継がれているし。その子孫は三宮家や良宮家にも流れているし。そこから養子を逆輸入すれば、血筋は絶えない。二宮家の思惑どおりになる。私を可愛がってくれてるお祖母様は悲しむでしょうけれど、オキテを曲げるわけにはいかないもの」
 そんなリスクを冒してまで、なぜ、姉さんはぼくを強チンしたんだろう。とっくにセックスを経験済みだって、ぼくにさえ分かる。相手に不自由はしないはずなのに。
 そんなことより、ぼくの運命だ。
 脱走が失敗する危険は、最初から覚ごしていた(と思う)。捕まっても、されることは高が知れてると、見くびってた。縛られて川へ投げ込まれても、おぼれ死ぬまで放置はされないだろうし。カンチョウされてアナルにせんをされても、二十分が二時間に延びるくらいだろうし。張り付けにされて、木の枝でなくベルトか縄でたたかれても、せいぜい半殺しまでだろう。
 だけど、これ・・がばれたら……現代でも殺される?
 恐怖が言葉になっていたのかもしれない。
「だいじょうぶ。清美も殺されたりはしないわ」
 タックでチンチンをふうじられて、瞬間接着剤でなく、タマぶくろをぬい合わされるだけだろうと、姉さんは言う。
「次の神事でもトコロテンに失敗したら、そんなふうにして追放しようかって、オフクロ様が言ってたもの」
 じょうだんじゃない。それじゃ、死ぬまで男の娘……男の小母さんになって、男のばあさんになるじゃないか。
「実際は、無罪放面とあまり違わないかな。だって、ぬった所を切開すれば元にもどるんだから」
 ほっとした。タマぶくろを針と糸でぬわれるなんて、ものすごく痛いだろうけど。切開はもっと痛いだろうけど。その瞬間だけを我慢すれば元の生活を取りもどせる。
「私は無期ちょう役だけどね」
「……え?」
「フウジコとして村の中で飼い殺しにされて、今の清美みたいに手を縛られてたら、自分で傷口を開けない」
「そんな……」
「だいじょうぶ。清美は外の人間だもの。村の力が及ばない警察の本署とか、ジャーナリストとか、ネット配信者とか……」
 姉さんが、スクワットのピッチを上げた。
「ぼくが通報する。そしたら、姉さんだって……」
「ダメよ」
 断ち切るような強い声。
「私のわがままで村に迷惑をかけるわけにはいかない。ここでの出来事は、忘れてちょうだい」
「…………」
 姉さんが何を考えてるのか、さっぱり分からない。自分から悲惨な運命に飛び込もうとしているとしか思えない。
 混乱とは関係なく。姉さんのスクワットで、チンチンは暴発寸前――のところで、また動きが止まって。チンチンが寝んねし始めるとスクワットの再開。
 ぼくが何を話しかけても質問しても、もう返事はしてくれなかった。スクワットを休んでるときには、ぼくの質問とは(あまり)関係ないことを独白する。
 巫女様になるためにはぼくのケガレを払わないといけないと、いちばん強く主張したのは姉さんだった。
「こういう形になるとは予想してなかったけど……何かが、私の身にも起きるかなと、それは期待してたの」
 ぼくは自覚していないかもしれないけど、心も身体もマゾに目覚めている。姉さんは、そう指摘した。
 言われてみれば……全裸で、チンチンに変な輪っかを着けられて、それを他人に見られて。チンチンを起っきさせるなんて、マゾかな。
 自分から四つんばいになるより、縛られて身動きできなくされてアナルを犯されるときのほうが、チンチンを起っきさせてたっけ。
 チンチンの輪っかに鎖をつながれて引き回されて、タクハツをさせられて。いやだいやだ恥ずかしいと思いながら、チンチンを固くしてたものね。
 他人の目には、ぼくがマゾだと見えただろうな。ぼく自身は……よく分からない。
「清美よりも、私のほうがマゾの根は深いんだわ」
 忌子としてしいたげられるぼくを見て、自分もあんなふうにされたいと――興奮してたそうだ。ときどき、ぼくをながめながら股を押えていたっけ。あれは、そういうことだったんだと、思い当たった。
 姉さんは言わなかったけど、近親相姦を犯して性器をぬい閉じられるというのを、最初から望んでいたのかもしれない。
 それを尋ねる勇気は、ぼくにはなかった。
 そうして。延々とスクワットと休止を繰り返しながら、夜が明けてしまった。
 いきなり戸が引き開けられて、巫女様と女の子たちがなだれ込んできて。
 それでも姉さんはぼくから離れようとしなかったので、ぼくが身を起こして突き飛ばして。もちろん、手遅れ。

 奥座敷ではなく、裏庭に引きすえられて。オフクロ様と三人の神子様と七人の男衆に取り囲まれて。村へ来て最初の日と同じ配置。違っているのは、姉さんがオフクロ様の横にではなく、ぼくの横に正座させられていることだけだった。
 即決裁判。
 裏庭に引き込まれて三十分後には、『処置』が始まった。
 最初は姉さん。ビニールシートも敷いてない地面に、男衆の手で大の字に押さえつけられて。穴と割れ目をぬい閉じられた。それも、はやく完全にふさがるようにと、密着する面を紙ヤスリでこすられてから。
 紙ヤスリでこすられたときには、ぬい合わされるときよりも大きな悲鳴を上げていた。
 そして。ぬい合わされるときには、ひかえ目な悲鳴がすすり泣きに変わっていった。
 最後まで、ねえさんは許しを願うような言葉を口にしなかった。すすり泣きに甘い調べが混じっていたように聞こえたのは――姉さんがマゾだと知ったぼくのもう想の産物だったかもしれない。
 ぼくのチンチンをつないでいた鎖が使われて、姉さんは四つんばいの形に固定された。鎖の端は南京じょうで留められたけど、カギ穴がつぶされて、二度と開けられなくされた。
 それから、ぼくの番。タマタマをお腹の中へ納めてタマぶくろを瞬間接着剤でくっつけろタックは、自分の手でしなくちゃならなかった。抵抗できるふんいきじゃなかった。
 それから、姉さんと同じように大の字に押さえつけられて、タマぶくろを張り合わせた上を針と糸でぬわれた。ものすごく痛かったけれど、泣き叫ぶほどじゃなかった。もちろん、甘くすすり泣いたりもしなかった。
 姉さんは、そのまま裏庭に縄でつながれて。
 ぼくは、生理用ナプキンを当てたショーツをはかされて、ワンピースも着せられて、もうバスの朝便は出発した後だったので、バスを乗り継いだ先にある駅まで、自動車で連れ去られた。
 電車を乗り継いで家に帰るまでに、ぼくはある決心を固めていた。
 姉さんひとりをつらい目に合わせたくないともいえるし。姉さんだけにマゾの快楽をむさぼられるのはくやしいともいえる。
 ぼくはマゾだと姉さんに指摘されて、すっかりマゾに目覚めてしまった。
 だから、村でされたことについて、両親には何も語らなかった。
 帰ったその日のうちに、ぼくは自分でカッターナイフを使って糸を切った。チンチンは正常にもどって。数日で生理用ナプキンも不要になった。
 そして、宿題をサボった反省文とかは大変だったけど、無事に二学期が始まって、一日ずつが過ぎて行った。
 そして、帰路で固めた決心を実行に移すタイミングを計っている。
 ちゃんと書置きをして、両親にあきらめてもらって――村へ帰る・・タイミングを。
 タックをはがしているのはすぐに見つかって、またぬい閉じられるだろう。今度は紙ヤスリでこすってもらう。
 そして、ねえさんといっしょに犬チクショウ以下の扱いをされて、いじめられて。男の人たちにアナルを犯されて――きっと、またメスイキをするだろう。あの快感を得られるなら、射精なんかしなくてもいい。ていうか。ドライオーガズムを得るためには何日もの射精禁止が必要らしい。
 これから秋になって冬になって。それでも、戸外で強いられる全裸生活は、すごくつらいだろう。川でおぼれさせられるのは、苦しいだけでなくこごえるほど冷たいだろう。姉さんといっしょに鳥居に張り付けられて、木の枝なんかじゃなくベルトでミソギをさせられて……もしかして、タックの中でチンチンが起っきしかけたら痛いだろうな。
 そんなことを夢想するたびに、チンチンをしごきかけて。でも、射精したら決心が鈍るのは分かり切ってるから……今日もタックをしたまま、眠りに就く。

[ 終 ]

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