Progress Report 2 『いじめられっ娘二重唱』
やはり、「いちばん書きたいもの」は速度が違います。
昨夜は確定申告(さすがに、雑所得は20万円を超えています)の下準備とか、今日の土曜日も身内の入院見舞いとかゴチャゴチャしてましたが。この1週間で90枚突破。
最近はカットバックを使わず時系列に沿って物語を進める手法がメインです。長編となると、本格的なエロシーンまで30枚以上かかります。ので、読者サービスというより、筆者の筆者による筆者の為のサービスとして、2学期初日に強引な理由付けで身体測定(医師が診ないので健診ではない)を入れて、サブヒロインに下着代りの逆日焼けを披露させたり、体育は見学で野ションをさせたり。
表紙には使わないだろう画像でアイキャッチしておいてから、最初の『本格エロシーン』のお披露目。本文38枚目から61枚目までです。
Progress Report 1は、こちらへ→

でも、やっぱり。わたしには関係のないことだと、はっきり確かめておきたいと思う。ので、月曜日。思い切って、石山京香さんを教室移動のとき、ちょこっと脇道へ引っ張った。
「あのね……本郷」
「やめて!」
もっのすごい剣幕で怒鳴られちゃった。移動中の三年生だけじゃなく、たまたま廊下を通りかかってた人(先生を含む)まで振り返ったほど。
石山さん、今度は逆にわたしの腕を引っ張って、物陰へ引きずり込んだ。
「いいわよ、教えてあげる。みんな知ってて、みんな黙ってるんだから。あなたも、そうして。混ぜっ返しても、ややこしくなるだけなんだから」
早口にまくし立てて。一回二回と深呼吸。
「あの子はね、シチブなの」
それ、初日にも聞いた。
「元々はハチブだったの。あの子のお父さん、とんでもないことをしたんだから」
また、マシンガンみたいな早口で、事情を三倍速くらいで語ってくれた。
香純ちゃんの父親は、村の実力者の奥さんと駆け落ちしたんだそうだ。それも、村役場で出納係とかしてたから、逃走資金に公金横領しちゃったとか。その実力者って人がスキャンダルを嫌って、村長さんとか説得して、警察には届けていない。そのかわり、奥さん(つまり香純ちゃんの母親)が、被害金額を弁償するって示談になった。役場の偉い人のほかは、その金額が一千万円以上だとしか知らされていない。奥さんは出稼ぎに出て、そのあいだ、香純ちゃんは人質みたいなもの。
そういったいきさつで、香純ちゃんはハチブにされた。学校でのハチブじゃなくて、ほんとうの村八分。が、どんなものか、わたしには想像できないけど。
これだけでも、いつの時代の話かってほどだけど。そこからが、悲惨。
奥さんに逃げられた村の実力者が、香純ちゃんに奥さんの代役を引き受けさせた。代役ったって、お料理とかお掃除のことじゃない。つまり、夫婦生活の代役。十二歳(当時)の女の子にだよ。これって、たこえ合意があったとしても強制性交罪が成立するはず。今だって、淫行条例とかで逮捕されるんじゃないかな。
でも、村の実力者って人は、村全体の税金の半分以上をひとりで納めてて、お祭りとかのイベントにも、それがないと開催できないってくらいの寄付をしている。つまり、村全体でその人のすることには、目をつむってる。
その人の次男が、じきに父親のすることを真似るようになった。これって、親子丼とかいうんだっけ。しかも、その次男がここの生徒で、悪友にまで香純ちゃんを貸したりするようになって。
「だからハチブからそのイチブを引いて、シチブってわけ」
石山さんが話し終わった。百メートルを全力疾走したみたいな荒い息を吐いてる。
わたし、ただぼう然と……涙を流してる。
香純ちゃん、やっぱり、好きであんなことしてるんじゃなかったんだ。親の不祥事の尻ぬぐい。
「よそもんが同情したって、どうにもならないのよ。カスのことは、きれいさっぱり忘れてちょうだい」
言い捨てて、石山さんは立ち去った。
わたしは……十分かそこらは、その場に突っ立っていた。授業に出れる気分じゃなかったので、ホームルームに戻って、つぎの授業まで自分の席にへたり込んでた。そして次の授業も、教科がなんだったかすら覚えていない。頭の中をグルグルしてるのは香純ちゃんのことばかり。
そして、とんでもない可能性に気づいた。
お昼休み。三年男子は、全員が教室から出て行って、入れ替わりに香純ちゃんを除く二年女子がやってくる。ということは……まさか、教室の中で変なことをしてるなんて思いたくはないけど。
わたしはお弁当をカバンにしまったまま、購買部へ行った。あれこれ迷わず、パンを二つと牛乳を買って、ぐるっと回り道をした。
校舎には出入口が三つある。真ん中は来賓用とかで、生徒の使用は禁止。校門に近い端に下足箱が並んでいる。購買部は、いちばん奥の出入口近く。なので、そこから上履きのまま外へ出て、手前の出入口から校舎へ入った。
一年生は、きちんとそれぞれの席(だと思う)で、購買部組が二人とあとはお弁当。女子だけでなく男子もけっこうおしゃべりしてて、たった十一人でもわたしがいた学校の一クラス三十五人よりかまびすしい。
そして、空の教室を二つおいて、二年生の教室。の手前で立ちすくんだ。
席に就いてお弁当を食べているのは四人だけ。あとの六人は、教室の後ろで香純ちゃんを取り囲んでる。お弁当箱を持ってるのが二人と、あとはパンを食べながら。
「ほら、オアズケ」
香純ちゃんの目の前で、食べかけのパンをぶらぶら振っている。
香純ちゃんは、下着に見える逆日焼けの肌をさらしてる。つまり全裸で、両脚を開いて正座して、両手を前についてる。締まりのない顔で、じっとパンを見上げてる。
「チンチン」
香純ちゃんが身体を起こして両手を胸の前に垂らして、犬のチンチンの真似。
「ハッハッハッ」
舌を出して、まるっきりの犬。
「マンマン」
香純ちゃん、羞恥心とかないんだろうか。チンチンのポーズのまんま、腰を浮かして脚を直角くらいに開いた。
香純ちゃん、まだ毛が生えてない。まさか、初潮前かなと疑う。それなら、避妊の心配はしなくて……じゃなくて! そんな子を何人もで性的に虐待するなんて、絶対に許せない。
「クパア」
やだ。両手を股間にもってって、そこを左右に開いた。濃いピンク色の奥までのぞき込めてしまう。
もう、見てられない。わたしは、それでも足音を忍ばせて、急いで引き返して、校舎の外を回って、奥の出入口から三年生の教室へ戻った。
戻って、自分の席に座って。ようやく、心臓がバクバクしてるのに気づいた。顔がすごく火照ってる。てか、血が逆流してる。
香純ちゃん、毎日毎日、昼休みはエッチな遊びをさせられて、放課後はSEXさせられてるんだろうか。
そう、『させられて』るんだと思う。
でも、それだけじゃない。石山さんの話だと、夜は村の実力者って人に夫婦生活の代用品にされてるんだ。SEX地獄。そんな言葉が頭をよぎった。
結局。買ったパンも持ってきたお弁当も食べないまま、午後の授業を(頭が空回りしてるまま)受けることになった。だって、あんなの目撃した直後だよ。食欲なんて、吹っ飛んでしまった。
このまま、見て見ぬふりをしてて、いいんだろうか。先生に訴える――のは、無駄だろう。石山さんや千葉さんの態度を見れば、それはすぐにわかる。真鈴ちゃんがイジメられてたときの、クラスのみんなの様子と一緒だ。
ううん、もっとひどい。真鈴ちゃんは、***されなかった。服を脱がされて男子に裸を撮影されて、拡散するって脅されて、パシリとか寄付金とか。殴られたりもしたけど、せいぜい、それくらいだった。
香純ちゃんのは、次元が違う。だから、わたしが香純ちゃんを助けようとしたら……村の実力者なんて、本物の悪人が元凶なんだから。そいつが村を支えてるそうだから。わたし、絶対に追い出される。七白学園に進学できなくなる。わたしの人生を棒に振ってまで、他人を助けなくちゃいけないなんて、そんなこと……ないよね?
なんて思ってても。
また、香純ちゃんが体育用具倉庫へ連れ込まれてるのを目撃してしまうと、見捨ててはおけない。
かかわっちゃいけない、わたしにはわたしの人生があるんだから。心の中で繰り返しながら。でも、どんなひどいことされるのか、気になって。
ええい、正直に告白する。『興味』があったのは、事実。わたしだって、女性ホルモンに支配されてる思春期の女の子だもの。エッチなことには興味津々。
だから、またのぞき見をしたの!
先週より、もっとひどいことをされてる。
縄跳びで後ろ手に縛られて目隠しされて、膝立ち。それを三年男子が五人と四年男子が一人とで取り囲んでる。みんな、ズボンとパンツを膝までずり下ろして。みんな、ペニスを勃起させてる。そして、なぜか右手にベルトを持ってる。
香純ちゃんは、そのうちの一人にフェラチオしてて。
今日は、誰かが閉め忘れたんだろう。窓がすこし開いてて、声が筒抜け。
「わかった、がくとさまだあ」
香純ちゃんがペニスから顔をはなして、得意げに言った。
「おお、正解。さすが、毎晩くわえてるだけあるな」
「ちゃうよ。どようびはおにいちゃんだよ」
「おれだって、せいぜい一日おきだよ」
「馬鹿に言い返しても、しょうがねえだろ。ほい、つぎだ、つぎ」
蒲田君の隣の男子が、香純ちゃんの頭を引き寄せて、口にペニスを突きつける。香純ちゃんは、嫌がるそぶりも見せずに(うれしそうに、とはさすがに形容したくない)くわええた。AVみたいな熱心でエッチなフェラチオじゃなくて、もごもごと味わってるみたいな感じ。
※いよいよライトSMシーンです。その前にコマーシャル



「うーんとねえ。おおがきうちくん?」
「はーずーれー♪」
かすみちゃんの 真後ろにいた男子がベルトを振り上げて。
パシイン!
香純ちゃんのお尻をぶった。
「きゃああ! いたい。カスちゃんをいじめないでよお」
「虐めちゃいない。罰ゲームだろ」
「はいはい、つぎ」
香純ちゃんに向きを変えさせて、隣の男子がペニスを口に突っ込む。
香純ちゃんも、同じことを繰り返して。
「がくとさまかなあ?」
ぎゃははははと、男子全員が笑った。
「そりゃ、さっき言ったろ」
「これはスペシャル罰ゲームだな」
香純ちゃんが立たされて。六人の男子はズボンをはき直して、でもベルトは手に持ったまま、一歩後ろに下がった。
まさか、全員で香純ちゃんをたたくつもり?
だった。
「せえの」
ひとり置きに三人がベルトを振った。
パシイン!
パシイン!
パシイン!
コンマ何秒かの時間差で、背中をクロスにたたいて、最後の一人はおなかを水平に。
「きゃああっ!」
香純ちゃん、おなかを抱えてうずくまった。
わたし、脳天に血が逆流した。これって、もうイジメなんてものじゃない。純然たる虐待だ。
「まだ半分残ってる。さっさと立てよ」
男子が二人がかりで、両脇に手を差し入れて立ち上がらせた。そのまま、手首を握って腕を水平に引っ張る。足を絡ませて、五十センチほども開脚させた。まるで大の字張付け。
「ねえ、いじめないでよお。いたいの、やだよお」
香純ちゃんは泣き声になってる。でも、男子は容赦ない。
パパパッシイイン!
今度は、ほとんど同時に。胸とお尻と股間をたたいた。それも、股間は下からすくいあげるようにして!
「きゃああああっ!」
香純ちゃんの悲鳴は、さっきよりずっと大きくて凄惨だった。
男子が手をはなすと、かおりちゃんは胸と股間を両手でおさえて、その場に膝を突いて。ふらあっと、前へ倒れた。
ドサッと身体が床にぶつかる音。
男子はニヤニヤ笑いながら眺めている。
「うあああ、いたいよ。うえええええん……」
香純ちゃんが泣きじゃくる。
「なあ。ちょっと、やり過ぎじゃないか?」
「おれ、Sってわけじゃねえし」
薄笑いを消して真顔に還った男子もいる。
「おれ、今日ははやめとくわ」
半数の三人が、倉庫から出て行った。
「だまされてやんの」
吐き出すように言ったのは、がくと――蒲田岳人くんだった。違う、蒲田岳人だ。こんなやつら、『くん』付けする必要はない。呼び捨てでも、もったいない。
「おれんちでの遊びは、こんなオママゴトじゃないんだよ。週末なんか、月曜まで傷が残るくらいに可愛がってるんだから」
蒲田が、とんでもないことをサラッと言った。
「おまえの親父さんはドSだかんな。おれらは、生オナホでじゅうぶんだ」
「ということで、さっさとやっちまおう」
「それじゃ、三人まとめようか」
蒲田が、まだ泣きじゃくってる香純ちゃんの手を引き剥がして、ちっちゃな乳首をつねった。
「いたいいたいいたいよお」
「つねられたくなけりゃ、さっさと動け。聞いてたろ。三穴同時だ」
「うん……わかった。ちゃんとするから、いじめないでね」
清水がズボンを脱いであお向けに寝て、その上に香純ちゃんが対面騎乗位でまたがった。
蒲田がイラマチオをさせて。
前かがみになった香純ちゃんの後ろから、大垣内が清水をまたいでおおいかぶさった。
うわ! アナルに挿入した。
こんなの……そりゃ、エロサイトで見たことくらいは、あるけど。まさか、リアル中●生がするなんて。
香純ちゃんは小柄だから、凶暴な男三人のなかに埋もれて、大嵐の中の難破船(そっちは、見たことない)みたいに翻弄されてる。
こういうのって、女性のほうはどうだか知らないけど、男は興奮するんだろうな。あっという間に三人とも射精しちゃった。
男は射精したら、たちまち醒めるっていうけど。でも、Sっ気は別らしい。
丸いボール籠から、わざわざバスケットボールを取り出して、代わりに香純ちゃんを折り曲げてお尻から突っ込んだ。
そして、倉庫から出て行った。
香純ちゃんは、もう泣きやんでいて。ぼう然というか、ぼけーっとしてる。
肩まですっぽりとはまり込んでる。自力では脱出できそうにない。そのうち、あいつらが戻って来るんだろうけど、忘れてしまうか、それとも故意に明日まで放置とか……まさか。
まさかとは思うけど。でも、助けてあげなくちゃ。これくらい、交通事故を目撃して通報するのと一緒だよね。かかわり合いになるってほどじゃないよね。
出入口へ回ろうとして。ショーツがぬめっているのに気づいた。
やだ……でも、虐待だとしても、性的にも凄まじいシーンを見せつけられたんだから、興奮しても仕方ない。わたしにMっ気があるとか、そういうことじゃないと思う。
出入口の手前であたりを見回して。陸上部は全員が(やる気の感じられない)スローペースのランニング中で、こっちに背中を向けている。ほかに、人影はない。
すささっと用具倉庫へはいって、急いで戸を閉める。
覚悟を決めて向き直って、香純ちゃんに対面。
「あ、てんこうせいのおねえちゃんだあ」
まるきり、状況にそぐわないのんきな声。は、このさい無視。
「助けてあげる」
後ろから脇の下に両手を差し入れて抱きかかえて。
「きゃはは、くすうったい」
駄目だ。腰を曲げた不自然な体勢なので、力がはいらない。
そうだ。もっかい前へ戻って、ボール籠を手前に傾けた。いきなり倒れないように、ゆっくりと倒していく。
「ころんじゃうよ。こあいよ」
そうならないように頑張ってるんだってば。四十五度くらい傾けて、あとはむしろ引っ張り起こすくらいの感じで、どうにか成功。しゃがんで、前に突き出している香純ちゃんの手を引っ張る。
「自分でも出ようとしちょうだい」
「うん。こう?」
香純ちゃんが膝を曲げて足を踏ん張って。ずるずるっと、身体がボール籠から抜けた。
香純ちゃんは裸のまま、ぼけっと突っ立ってる。わたしのほうに顔を向けてるんだけど、視線はわたしを突き抜けてる印象。
「香純ちゃん」
とにかく、きっちり確認しとかないと。
「さっきみたいに、いつも虐められてるの?」
「カスちゃん、いじめられてなんかないよ」
「え……?」
「じょしはあそんでくれないけど、だんしはカスちゃんとあそんでくれるの。ちもちいし、たのしいよ」
やっぱりだ。多分そうだとは思ってたけど。精神に障害のある無知な子を、男子全員でオモチャにしてるんだ。
「あのね。こういう遊びは、よくないのよ。先生に叱られるよ」
「ちゃうよ。せんせいだって、カスちゃんとあそんでくれるもん」
血流再沸騰。なんてこと!? 教師までが性的虐待に積極的にかかわってるの!?
「あのね……」
言葉が続かない。と同時に、保身って嫌な単語が頭に浮かんだ。
こんな凄まじい性的虐待。やっぱり、証拠をそろえて警察に訴えるしかない。大騒ぎになる。それに。香純ちゃんは村の実力者の性奴隷にされてるっていうから、そいつからも仕返しがあるだろう。
もっともうまく事が運んでも、わたしは村を出て行くことになる。こんな村や学校からは、一日でも早く逃げ出したいけど。でも、AO進学が不可能になる。
ああ、もう!
ここでグチャグチャ考えてても、どうにもならない。ので、棚上げ。
「香純ちゃん、服を着ようよ」
「きてもいいの?」
「着なさい!」
「うああ、おこんないでよお。カスちゃん、いうこときくから」
脱ぎ散らかしてる制服を拾い上げて、素肌にセーラー服を着る香純ちゃん。
そのときになって、やっと気づいた。
「ストップ。お股が汚れてる。きれいにしようね」
自然と、楊枝に話しかける口調になってるわたし。
「へーきだよ。おうちにかえってから、しゃわーするもん」
平然とスカートをはいた。
あ、そうか。下着は着けてないんだ。こういうときは便利――じゃない!
「香純ちゃん、もう帰るんでしょ」
「うん、かえる」
「それじゃ、一緒に帰ろうね」
ボール籠から抜け出して勝手に帰っているところを男子に見つかったら、なにをされるかわからない。わたしがついててあげなくちゃ。
でも、そうすると、わたしが助けたと明白になっちゃう。
そのときは、そのとき。最悪、もう関与しないって約束してしまえば、こっちにまでトバッチリはこない……だろう。
だけど。そんなふうに香純ちゃんを見捨てられるだろうか。助けてから突き放すのは、最初から助けないよりも悪いって、そんなことを、どこかで読んだ気もする。
ええい。そんな先の先まで考えられないよ。とにかく、今日は。香純ちゃんを家まで送ってく。明日は――明日、考える。
香純ちゃんはカバンを持ってきてたけど、わたしは教室に置いてある。ので、香純ちゃんには校門で待っててもらって、わたしだけ教室へ引き返した。
このあいだに香純ちゃんが勝手に帰ってくれたら、それで終わるんだけどな。なんて、今さら自分勝手なことを考えてみたりもしたけど。廊下の窓越しからも、忠犬ハチ公みたいに、きっちり校門の横で待ってる香純ちゃんの姿が見え続けてた。
部活の生徒はまだ学校だし、帰宅部はとっくに帰ってるという中途半端な時間。おかげで、通学路には人影もない。
山道を下りながら、わたしの頭の中では警報が鳴りっぱなし。
やめておけ、手を引け。こんな子のために自分の人生を台無しにしていいのか。引き返せ。今なら、まだ間に合う。
だもんで。平地に下りてしばらく歩いて村が見えてきたところで。
「悪いけど、先に帰ってくれる? 足が痛いので、すこし休んでいく」
香純ちゃん、チロッとわたしを見上げた(香純ちゃんのほうが、五センチくらい背が低い)。突き刺すような視線――と感じたのは、わたしの内心のやましさの反映あろう。
「うん、わかった」
香純ちゃんはスキップしながら遠ざかっていった。その後ろ姿は――毎日のように性的虐待を受けている可哀想な女の子には、とても見えなかった。
文章量が膨大になったので、余計な能書きは省略します。
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