Progress Report 2:寒中座禅(転がし)修業



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 今さらですが。書き進めるうちに難しい問題が出てきました。
 筆者の基本パターンは、「被虐願望/素質」のある少女が「不本意に虐待されて」「ついには悦虐に目覚める」というものです。
 被虐願望を自覚どころか実践までしている女性というのは、『SMツアー』が初めてじゃないでしょうか。
 『ロリマゾ』は、ヒロイン年齢が若いし、一人称なので、処女ゆえの妄想暴走で(筆者の内部では)整合性に問題が無かったのですが。
 『女囚性務所』では一般服役囚が被虐願望濃度を薄めてくれたし、『ドンキーガール』はヒロイン1人に焦点を当てていたし『海女と鮑と褌』とにも、ただの援交金好女もいましたが。
 今回はSMツアー客4人と裏添乗員2人、一般参加者2人。合計8人が筋金入りのマゾ女です。約1名だけ、妄想暴走処女も混入していますが。被虐願望濃度がK点超えです。
 書くうちに、マゾ女同士がマゾ度を競い合うような展開になってきました。
 第3章『滝行』からの抜粋です。

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「きみには、特別の修業をさせてあげよう」
 妙覚が、菜穂子の修業衣を引き剥がした。後ろ手にねじり上げて、手練の早業で縄を掛けていく。胡坐を組ませて足首を縛り、前へ倒す。
「ちょっと面白い玩具を見つけましてね」
 妙覚がたもとからフィギュアのような物を取り出した。手の平に乗るサイズで、サソリのような恰好をしている。
「幻児向けの玩具ですが、水に浸けると五倍くらいに膨れるのですよ」
 男たちに見せて。もうひとつ、蛇のフィギュアも取り出した。
「こちらは比較用です。試してみましたがね。いったん膨張してしまうと、軽く握ったくらいでは吸収した水を絞り出せません」
 上向きに晒されている菜穂子の股間をゴム長靴の爪先でつついたり、靴底で踏みにじる。
「ひどい……それを、わたしの中に挿れるんですね」
 菜穂子の口調からは、非難ではなく被虐への期待が聞き取れた。
「最初から圧力をかけていれば、そこまでは膨張しないと思う。実験はしていないがね」
 じゅうぶんに潤った淫穴に、妙覚がサソリのフィギュアをねじ込む。あふれた淫汁を指で掬って後穴になすりつけて、こちらにはアナルディルドを押し込んだ。長いコードが延びて、家庭用血圧計みたいなディスプレイにつながっている。上段の数字は107、下段は38.2。
 座禅転がしに掛けたまま、股縄も施す。フィギュアが抜け落ちないように尻尾を両側から挟んだが、それほど厳しく締め付けなかったのは、膨張を妨げないためだろう。
「お手数ですが、こいつ水に沈めてください」
 菜穂子は両側から抱え上げられて、善学と遊学、二十代の二人の手で川へ運ばれた。ゴム長靴が水没しないぎりぎりの深さまで運ばれて、滝壺に向かって放り投げられた。
 大きな水しぶきがあがって、菜穂子の全身が水中に没した。
 釈覚が水中から引き起こして、そこに、これも褌一本の姿になった妙覚が加わる。修業壇の水中に没しているあたりに植えられているフックからロープを伸ばして、水に流されないように菜穂子をつなぎ留め、首縄の長さを調節して、喉まで水に浸かる角度に固定した。
「なんじは、皆の滝行が終わるまで、そこで座禅を組んでおれ」
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 菜穂子は第1話「ドンキーガール』のデブス大年増です。ポニー牧場で使役ロバとして重労働に明け暮れ、栄養バランスのとれた「餌」のおかげもあって、ウエストのくびれも形成されて、ぽっちゃり系の熟女グラマーにまで変身しています。本作品でも、修業尼としてだけでなく、使役奴隷/下女としてこき使われることを本人が希望した――という設定です。

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 釈覚に向かって金切り声で叫んだ。
「あなたたちも滝に打たれてみなさいよ。女王様だって、限界を身体で学ぶために、最初はマゾ嬢で修業するんだから」
 わざわざサディストを挑発するような言い方をしている――と蕾が思ったのは、間違っていないだろう。円花は女囚性務所でも敢えて反抗的な態度をとって、懲罰を受けていた。
 釈覚と妙覚が、顔を見合わせた。困ったり怒ったりしている表情ではなかった。
「よかろう。なんじの修業は免除してやろう」
 言い分が通ってしまって、円花がぽかんとした。のは、一瞬。
「なんじには、師に逆らった懲罰を与えることにする。おい」
 朴念と訥念が、円花を焚火の前から引きずり出そうとする。
「厭だっ……!」
 正面に立った朴念の股間を、円花が蹴り上げた――が、弱々しい反撃は腕でブロックされた。
「懲罰の追加じゃな」
 力ずくでひざまずかされ毛布を剥ぎ取られた円花の背後に、妙覚が縄を手にして近づいた。菜穂子を縛ったと同じ荒縄だった。
「厭だ、縛らないで……やめて……くううん」
 妙覚の手練で、拒絶の声がじんわりと蕩けていく。
 あの人の縄に陥落しないマゾ女性なんて、いないのではないだろうか――と、蕾は思う。『試練の石段』を登るときに縛られた感触を思い出すだけで、腰の奥がじんわりと熱くなってくる。
 観念したのか縄に酔っているのか、円花は妙覚に引かれて素直に川へ足を踏み入れた。
「ううう……冷たい」
 その声までも、どこか艶めいていた。
「なんじらも、とくと入水せよ」
 釈覚は、ニュウスイではなくジュスイと言った。古風な言葉づかいにこだわっている男だ。水責めで逝けるくらいのマゾになれという意味だと、蕾は解釈した。
 修業壇に向かって水中を歩きながら、目の端に動きを感じて、そちらを見上げた。滝の左側から太い松の枝が伸びている。そこに朴念がとりついていた。妙覚が緊縛に使ったのよりも太い荒縄を二重にして、枝に巻いている。
 たいがいはペアで行動している相方の姿を求めてあたりを見回すと。対岸の松によじ登っていた。同じ荒縄を、こちらは幹に巻いて、端を滝壺へ投げ落とした。
 妙覚と釈覚が、円花を右の修業壇に押し上げた。妙覚が先に上がって。両側の松から垂れている荒縄を、足を投げ出す形に座らせた円花の左右の足首に何重にも巻き付けた。
 準備が整うと、釈覚も上がってくる。二人掛かりで円花の裸身を持ち上げて。
「いくぞ――せえのお」
 掛け声とともに、壇上の二人が円花を押し上げ、樹上の二人が縄を引っ張る。
「え……きゃああああああああっ!」
 開脚して逆さ吊りにされる円花。
 縄の張りが調節されて、円花の裸身は左右の修業壇の中間にきた。落下する水が股間を直撃する。
「ひいいいいい……痛いっ、ぶはああっ」
 水を吸い込んで口を閉じたが、水流は容赦なく鼻の穴から押し入ってくる。円花は咳き込みながら頭を左右に振り、もたげたりのけぞったり。窒息しないくらいには息ができているようだった。
「さあ。なんじらも修業を始めよ」
 蕾とゆかりが、左右に分かれてコンクリートの台座によじ上った。
「お願いがあります」
 ゆかりが坊主頭に向かって、声を張り上げた。
「あれでは円花……花淫さんが溺れてしまいます。お慈悲を掛けてやってください」
 釈覚に合わせて、古風な言葉づかいになっている。
「身分をわきまえぬ申し状じゃな。なんじも懲罰を受けたいか」
 ゆかりの返事は、蕾の予想もしていなかったものだっか。
「はい。うちも花淫さんと同じように――向かい合わせにして吊るしてくださ。そしたら、顔に掛かる水が減ります」
 スキンヘッドを志願したくらいだ。円花さんを思いやってというよりは、自分も同じように責められたいのだろうと、蕾は判断した。わたしも志願しなくちゃいけないかな――ちらっと考えたが、やめておいた。ふたりはじゅうぶんに被虐の道へ踏み込んでいるから、ガイドとして導いてあげる必要はない。それに、三人では向かい合わせに吊るせないから、かえって顔に水が掛かりそう。というのは、ほとんど言い訳だったが。
 いったん円花が下ろされて、あらためて二人一緒に縛り合わされた。
「ごめんなさいね」
「ええんよ。一緒にうんと厳しく罰してもろおうやん」
 水音に混じって聞こえてくる会話に、蕾まで腰が疼いてしまった。
 二人がY字型に吊り上げられて。その横で蕾が――二人に負けないくらいに開脚して、これは懲罰をうけるかなと、半分怯えて半分期待して。印を結ぶ代わりに両手で乳房を揉みしだいた。
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」
 宗派が違うと分かっていて、わざと念仏を唱えてみた。
 わたしって、自分で思ってるよりも被虐願望が強いのかな。そんなことを考えているうちに、蕾の二度目の滝行は終わった。
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 円花は、本文中にあるように頭抜けたハードマゾです。
 責めの内容は、いまのところPLOT通りですが。
 真園蕾の独白/心理描写が、予定外に増えています。
 彼女は、ハードのマゾの素質はじゅうぶんでも、本格的な調教を受けたのは、SMツアー社入社半年後に裏社員への配転適性試験を高山社長(アシスタント:西川麻凛)から受けた1回(数回にしようか?)きりです。
 筋金入りのマゾのお姉様方(彼女は20歳。年下は妄想暴走処女の芽美ひとりだけ)の薫陶を受けて一人前のドマゾに性長していくという、ビルドゥングス・ロマンになりそうな予感です。いや、ロマンでなくて弄瞞ですね。

 

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