Progress Report 2:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜
海女さんのエロ画像は、健康的なものか淫乱的なものが多いですね。
業を煮やして「女、裸、ふんどし、折檻」なんてキーワードで検索すると、どこぞで見たようなBF(CG以前)が引っ掛かったりします。
というわけで、今回はアイキャッチャーに詰まりました。
実は大見出しの「折檻と輪姦と」にこれから書き進むのですが、画像とマッチしているということで、手前の章を公開しましょう。強制されて破瓜なんてのより、よほどインパクトがあるかもしれません。
見習海女は裸
・鬼伯母の棲まう島
・便所も風呂も浜辺
・食事の作法も屈辱
・十五年ぶりの見習
・実核を括る色付紐
・漁師へのお披露目
・苛酷な素潜り訓練
・強いられた裸生活
・亡母の遺骨が人質
・理不尽な折檻甘受
・折檻肌で海女練習
・ひとりきりで買物
========================================
疲れ果てた身体を引きずって坂道を上がっている途中で、定期船の汽笛が聞こえた。十一時だ。休み休み帰っても十一時半には間に合うが、ぎりぎりになってしまうと、時刻を過ぎたと言われるかもしれない。時計を見ればわかることだが。
「わしの言葉を信用できないのかい」
そう言われて、また躾けられるに決まっている。
自分では精も根も尽き果てていると思っていた久美子だが、飢餓が身体を衝き動かしてくれた。裏木戸を開けて、十メートル先の勝手口に食事を乗せたお盆を見たときには、嬉しさに目まいがしたほどだった。けれど、我を忘れはしなかった。
「主様、女将さん。穀つぶしの私に食事を恵んでくださって、ありがとうございます。花江さん、京子さん。お手数をかけて申し訳ありません。若主様、お嬢様にも感謝します。いただきます」
思いつくかぎりに卑屈な礼を、閉ざされた勝手口の奥へ呼ばわった。一人称もふだんの「あたし」ではなく、よそ行きの「わたくし」を使った。それでも難癖をつけられないかとびくびくしながら、大急ぎでお盆を小屋へ運んだ。
「いただきます」
これは母親に躾けられたとおりに、いろんな人たちとお日様、そして命を恵んでくれた植物や動物に感謝の念を奉げてから。十一時半になったら薬缶を引っ込められるかもしれないと気づいて、あわてて取りに行った。
「薬缶もお借りします。ありがとうございます」
最初のひと口は咀嚼もせず飲み込んで、喉につかえて。飢餓状態で急に食物を摂ると命にかかわるという知識を思い出して、つぎのひと口はいつもの半分にしていつもの倍くらいはゆっくり噛んだ。久美子の知識は海難を扱った実話本から得たもので、「極端にお腹が空いている」のではなく「餓死寸前」の場合なのだが、その違いには思い至らなかった。なんにせよ、よく噛んで食べるのは身体に良いことではあった。
食べ終わって、満ち足りた気分でお盆と薬缶を沓脱石の上に戻して。
「ごちそうさまでした。ありがとうございました」
待ちかねていたように勝手口が開いて、花江がお盆と薬缶を引っ込めた。
「おまえ、食べるのまでグズだねえ」
女将さんそっくりの口調だった。
学校に行かせてもらえないのだから、せめて独習で皆についていかなければ卒業できない。そうは思っても、腹がくちくなったのと疲労とで、久美子は藁山の上に倒れ込んだ。塩がこいりついた身体を洗わず、実核の色紐も結んだまま、すとんと眠りに落ちた。
――そして、また蹴り起こさされた。伯母ではなく、花江だった。
「お使いに行ってくれるんだってね。買い物を頼むよ」
学生鞄くらいの大きさの竹籠を、久美子の前に放り投げる。背負い紐がついている。
「ちゃんと背負うんだよ。手に持って歩いてたりしたら、女将さんに言いつけるからね」
絶対に前を隠すなという意味だった。
籠の中には、買う物を書いた紙片だけがはいっていた。
婦人月報 一冊
パンの耳 一袋
亀の子束子 一個
「あの……お買い物だったら、お金が要ります」
「うちは網元だよ。節季払いに決まってるじゃないか」
ツケにしておいて、盆と年末に清算するという意味である。どこの誰とも知れぬ客を相手にできる商売ではないが――だから、あちこち引き回されたのだと、久美子は理解した。顔は覚えてもらえなくても。素裸で出歩く年頃の少女は、日本じゅう探しても、浜崎の網元の世話になっている久美子しかいないだろう。そう思うと、ますます屈辱が深まる。
花江は、すぐに小屋から出て行った。
久美子は籠を背負って、そのままの姿で出掛けようとしたが、ふと気になって手鏡で自分の顔を見た。髪がごわごわになっている。
井戸へ行って、手桶いっぱいの水で髪を洗った。もう一杯を使って身体を拭いた。そして小屋へ戻って戸をきっちり閉めてから、箪笥代わりのミカン箱から櫛を取り出して髪を梳いた。使ったのは、自分の櫛だ。母の形見の櫛は――見つかったら取り上げられるかもしれないと気がついて、チリ紙に包んで小屋の梁の上に隠した。机を勉強に使わず踏み台にすることに、ちょっぴり後ろめたさを感じたけれど。
グズグズしていては叱られる。その先には躾と折檻がある。籠を背負い直して。桟橋へ向かった。色付き紐は身分の証し(裸身のほうが、よほど明白な証だけれど)だから、結んだままだ。
最初に雑貨屋へ行った。割烹着を着た三十歳くらいの小ぎれいな婦人が店番をしていた。まるでガラスの壁を隔てて遠くにいるように見えた。店にはいっても、そこはガラスの壁の手前だった。
「亀の子束子をひとつください。浜崎の家の者です。節季払いでお願いします」
恥ずかしさで顔を上げられなかった。けれど、言うべきことはきちんと言った。
「ちょっと待っててね」
目の前に商品はあるのに、夫人は奥へ引っ込んだ。
けがらわしいと思われたのだろうか。そんなふうにひがんでしまう。
婦人はすぐに戻って来て、束子をひとつ新聞紙に包んだ。
「はい。これもあげる」
割烹着のポケットからキャラメルの箱を取り出して、握らせてくれた。
「あの……これ?」
婦人は小さく首を横に振った。
「可哀そうだと思うけれど、私にはこれくらいしかしてあげられない。これからも街に来たら、立ち寄ってね」
不意に感情が込み上げてきて。久美子の目に、大粒の涙が湧いた。いたんだ、この島にもあたしに味方してくれる人がいたんだ。
婦人はあわてた様子で外をうかがって。久美子を店の隅へ引き入れた。
「ここにしゃがんでいれば、誰にも見られないから。さあ、甘い物を食べたら、気も落ち着くわよ」
婦人は久美子の手からキャラメルの箱を取り上げて、封を切って一粒を口元に寄せてくれた。
「……ありがとうございます」
そっと口を開けて、夫人の指を舐めないよう気をつけて、久美子はキャラメルを歯で咥えた。口を閉じると、安らぎが口いっぱいに広がった。泣き出しそうになったけれど、夫人に迷惑を掛けるんじゃないかと、嗚咽は飲み込んだ。久美子は涙をぼろぼろこぼしながら、キャラメルを舐めた。
口の中のキャラメルが溶けて無くなると、久美子は涙を手の甲で拭って立ち上がった。
「長いこと、お邪魔しました。ほんとうに……ほんとうにありがとうございました」
深々と頭を下げて、久美子は店を出た。
そんなふうに親切にしてくれたのは、その婦人だけだった。
三軒先が、パン屋だった。チョコレートやクッキーのような洋菓子も一手に商っている。店先の一段低くなった棚に、パンの耳を盛った小さな笊が、『五円』の値札を立てて並べられている。店先に人影は無い。
「ごめんください。浜崎の家の者です」
白い前掛けを着けた四十歳くらいの婦人が奥から出てきた。
久美子が用件を言うあいだ、夫人はそっぽを向いていた。
「おかしいね。これまで、そんな物を買っていただいたことはないよ。節季払いをいいことに、ちょろまかそうってんじゃないだろうね?」
「あの……どういうことでしょうか?」
「あれだけのお金持ちが、貧乏人たらしくパンの耳を食べるはずがないだろ。カツレツを作るときだって、わざわざパン粉を使ってるそうじゃないか」
「でも、ほんとに言いつかったんです」
「とにかく、売れないよ。ほんとに要るんなら、昔からの女中さんに来てもらいな」
手ぶらで帰ればどうなるか考えると、恐ろしくなった。晩ご飯を抜かれるか、折檻されるか。
「商売の邪魔だよ。とっとと帰りな」
婦人は奥から塩を持ってて、久美子に投げつけた。
「けがらわしい。二度と来るんじゃないよ」
そこまで言われては、引き下がるしかない。土下座をしてでもお願いをする――ところまでは、卑屈になれない。なったところで、足蹴にされるだけかもしれないけれど。
久美子は商店街の端にある本屋へ足を向けた。
小学校高学年くらいの男の子が店番をしていた。
「うわあ、裸だあ」
久美子を見るなり、大声で叫んだ。
「ねえ、どうして裸なの? 強盗に盗られたの? 駐在さんに叱られないの?」
好奇心丸出しで矢継ぎ早の質問を繰り出しながら、丸くした目は久美子の裸身に吸いつけられている。
子供を相手に伯母の非道を訴えても始まらない。いや、大人に訴えても同じか、告げ口されて――行きつく先は折檻だ。
「あたしね、海女さんになるの。修業中は裸で暮らすのが、この島の仕来りなのよ」
みずから進んで裸をさらしている。そう振る舞うしかない。
「ふううううん。海女さんて、小母ちゃんばかりだと思ってたけど、違うんだあ」
「おっ。網元さんとこの……」
後ろから声を掛けられた。聞き覚えのある声だった。振り向くと、もやい結びを教えてくれた青年だった。あのときは全裸で肉棒に目印の赤い紐を巻いていたけれど――今は、都会のファッションに比べればずっと野暮ったいけれど、とにかく洋服を着ていた。
「海女仕事が終わっても裸かよ。まるで戦前だな」
見知らぬ人に裸を見られるのは恥ずかしいが、すこしでも言葉を交わした相手、それも若い男性に見られるのは、もっと恥ずかしい。
「まあ、女将さんのなさることに、どうこうは言えねえけどな」
棒立ちに固まっている久美子の横で、青年は週遅れの週刊誌を買った。
「また、色々と教えてやるからよ」
「ひゃあっ……!」
久美子が素っ頓狂な声で返事したのは、尻を撫でられたからだった。折檻の竹尺と違って、それが性的な悪戯だくらいは、初心な久美子でもわかる。自分が男に性的な関心を持たれるくらいには成熟していると思うと、ますます羞恥がつのるのだった。
とにかく本屋での用事はすませて。重い足取りで坂道を上っていると。
「網元んとこの嬢ちゃん……」
林の中から声を掛けられた。白い前掛けを腰に巻いた中年の男が立っていた。紙袋を両手に持っている。
「これを持って帰らないとしかられるんだろ?」
男が紙袋からパンの耳を取り出した。
「さっきは、女房が邪険なことをして、ごめんな。ほら、取りにおいで」
まだ男を疑うことを知らない久美子だった。パンの耳につられて、林に踏み込んだ。
「はいよ。籠に入れてあげるよ」
男が後ろへまわった。
「それにしても、ひどく折檻されたんだねえ」
紙袋を籠に入れて空になって手で、すばやく久美子の乳房を撫でた。
「ひゃっ……」
久美子は逃げようとしたが、腕ごと羽交い絞めにされてしまった。
「また、うちで買い物をすることもあるんだろ。小父さんを怒らせると、困ったことになるよ」
その言葉が、久美子の抵抗を封じた。男の手が乳房を弄ぶのを、身を硬くして耐えた。しかし。強く握られて、反射的に身を振りほどいた。
「痛いっ……やめてください」
竹尺に打ち叩かれて腫れているところをわしづかみにされては、たまらない。
男は、久美子を追おうとはしなかった。その代わり、左手に持っているほうの紙袋を開けて見せた。
「ちょっとだけ我慢してくれれば、これもあげるよ。陸(おか)から来た子にゃ珍しくないかもしれないかな」
不覚にも、腹の虫がグキュルウと鳴った。コッペパンに焼きそばが挟んであった。たまに見たことはあったが、太りそうなので食べたことはない。母との貧乏暮らしでも、女の子として体重を気にかけるくらいのゆとりはあったのだ。けれど、今は――すごく食べたい。でも、食べ物の代償に身体をさわらせるなんて。そんなの、娼婦以下だ。でも、つぎにパン屋さんへのお使いを言いつけられたとき、売ってもらえないと。久美子の考えは、つまるところ折檻という言葉に行き当たる。
「……我慢します。でも、乱暴なことはしないでください」
久美子はその場にじっと立って、自然と両手で顔をおおった。
男が背後から近づく。
「これ、邪魔だな。ちょっと手をどけておくれ」
背負い籠を下ろして、背後から久美子を抱いた。
男の手が、さっきよりは優しく双つの乳房を揉み、乳首を指で転がした。
「あ…………」
淫核の皮を剥くときと似たような、甘い電撃があった。乳首が固くしこってくる。ばかりでなく、淫核が紐に締めつけられた。初めての感覚に久美子は戸惑ったが――これが男と女の秘め事に関係しているらしいとは、本能的にわかった。
男の片手が乳房からはなれて、股間に触れた。淫裂をなぞって、指を挿れてくる。
「そこは、やめてください」
意外にも、あっさりと男は久美子から身を引いた。
「つぎは、もっとたくさんあげてもいいよ」
男が小走りに立ち去った。
籠を背負おうとしたら、紙袋はふたつあった。
「こんなもの……」
焼きそばパンの袋を投げ捨てようとしたが、できなかった。食べたいからではない。食べ物を粗末にしてはいけない。といって、持ち帰ったりしたら理由をきかれる。悪戯された見返りだなんて知れたら、絶対に折檻だ。盗んだと思われても折檻。
仕方なく、久美子は焼きそばパンを食べた。ものすごくおいしかった。
両手で口のまわりを丹念に拭ってから、籠を背負って鬼伯母たちの住まう屋敷へ向かって歩き始めた。
キャラメルも同じだと、あらためて気づいた。籠を持ったまま小屋へ行くのは不自然だ。伯母か花江が裏庭にいないとも限らないし。屋敷の手前にお地蔵さんがあったのを思い出した。焼きそばパンの袋でキャラメルの箱をくるんで、お地蔵さんの後ろに隠した。これなら、お供え泥棒にも見つからないだろう。
「ずいぶん遅かったね。どこで油を売ってたんだい」
もっと早く帰っていても同じように叱られただろう。この家の者にとっては、久美子を虐めるのが面白いらしい――そんなふうに考えてしまうのだった。
その晩はちゃんとご飯をもらえた。
「一日に三十分くらい潮目は遅れていくから、明日はもすこしゆっくりできるよ。朝ご飯を準備しといてやるから、わしが行く前に支度をすませときな」
言葉の順序から考えると、伯母に蹴り起こされたら朝ご飯はもらえないということだろう。
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・厳しさを増す特訓
・初潮は新たな恥辱
・海女漁鑑札の代償
折檻と輪姦と
・従弟を誘惑した罰 ←
・従弟従姉は釜の味
・独りだけの娘小屋
・Y字バランスの鞭
・緊縛放置集団夜這
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強
学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐
妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻
遥かな後日譚
・令和に継がれた命
歳とともに好みが変わってきたのかもしれません。
悦虐から哭虐。
ヒロインの設定年齢も、以前はR18前後だったのに、今ではU15。
一方、電子出版業界の自主規制値は上昇傾向にあります。Rくらいは気にしませんが、Aもその気配が。価格改定を目論んだら、半分くらいは……でも、『未性熟処女の強制足入れ婚』14も、『縄禿初潮水揚』U13もパスしたんだから。ジョウホウガタリマセン。カイセキフノウデス。
話を本筋に戻して。けっこう長くなりそうです。でも、年内には出版登録して、2020年2月発売は余裕です。章ごとのバランスが良ければ、前後編にわけて3月号までキープできるかも。
どこまで続くか[月刊濠門長恭]
下記のアフィリエイトのキーワードは[ふんどし 拷問]です。筆者の趣味が如何に偏っているかの証明?
業を煮やして「女、裸、ふんどし、折檻」なんてキーワードで検索すると、どこぞで見たようなBF(CG以前)が引っ掛かったりします。
というわけで、今回はアイキャッチャーに詰まりました。
実は大見出しの「折檻と輪姦と」にこれから書き進むのですが、画像とマッチしているということで、手前の章を公開しましょう。強制されて破瓜なんてのより、よほどインパクトがあるかもしれません。

見習海女は裸
・鬼伯母の棲まう島
・便所も風呂も浜辺
・食事の作法も屈辱
・十五年ぶりの見習
・実核を括る色付紐
・漁師へのお披露目
・苛酷な素潜り訓練
・強いられた裸生活
・亡母の遺骨が人質
・理不尽な折檻甘受
・折檻肌で海女練習
・ひとりきりで買物
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疲れ果てた身体を引きずって坂道を上がっている途中で、定期船の汽笛が聞こえた。十一時だ。休み休み帰っても十一時半には間に合うが、ぎりぎりになってしまうと、時刻を過ぎたと言われるかもしれない。時計を見ればわかることだが。
「わしの言葉を信用できないのかい」
そう言われて、また躾けられるに決まっている。
自分では精も根も尽き果てていると思っていた久美子だが、飢餓が身体を衝き動かしてくれた。裏木戸を開けて、十メートル先の勝手口に食事を乗せたお盆を見たときには、嬉しさに目まいがしたほどだった。けれど、我を忘れはしなかった。
「主様、女将さん。穀つぶしの私に食事を恵んでくださって、ありがとうございます。花江さん、京子さん。お手数をかけて申し訳ありません。若主様、お嬢様にも感謝します。いただきます」
思いつくかぎりに卑屈な礼を、閉ざされた勝手口の奥へ呼ばわった。一人称もふだんの「あたし」ではなく、よそ行きの「わたくし」を使った。それでも難癖をつけられないかとびくびくしながら、大急ぎでお盆を小屋へ運んだ。
「いただきます」
これは母親に躾けられたとおりに、いろんな人たちとお日様、そして命を恵んでくれた植物や動物に感謝の念を奉げてから。十一時半になったら薬缶を引っ込められるかもしれないと気づいて、あわてて取りに行った。
「薬缶もお借りします。ありがとうございます」
最初のひと口は咀嚼もせず飲み込んで、喉につかえて。飢餓状態で急に食物を摂ると命にかかわるという知識を思い出して、つぎのひと口はいつもの半分にしていつもの倍くらいはゆっくり噛んだ。久美子の知識は海難を扱った実話本から得たもので、「極端にお腹が空いている」のではなく「餓死寸前」の場合なのだが、その違いには思い至らなかった。なんにせよ、よく噛んで食べるのは身体に良いことではあった。
食べ終わって、満ち足りた気分でお盆と薬缶を沓脱石の上に戻して。
「ごちそうさまでした。ありがとうございました」
待ちかねていたように勝手口が開いて、花江がお盆と薬缶を引っ込めた。
「おまえ、食べるのまでグズだねえ」
女将さんそっくりの口調だった。
学校に行かせてもらえないのだから、せめて独習で皆についていかなければ卒業できない。そうは思っても、腹がくちくなったのと疲労とで、久美子は藁山の上に倒れ込んだ。塩がこいりついた身体を洗わず、実核の色紐も結んだまま、すとんと眠りに落ちた。
――そして、また蹴り起こさされた。伯母ではなく、花江だった。
「お使いに行ってくれるんだってね。買い物を頼むよ」
学生鞄くらいの大きさの竹籠を、久美子の前に放り投げる。背負い紐がついている。
「ちゃんと背負うんだよ。手に持って歩いてたりしたら、女将さんに言いつけるからね」
絶対に前を隠すなという意味だった。
籠の中には、買う物を書いた紙片だけがはいっていた。
婦人月報 一冊
パンの耳 一袋
亀の子束子 一個
「あの……お買い物だったら、お金が要ります」
「うちは網元だよ。節季払いに決まってるじゃないか」
ツケにしておいて、盆と年末に清算するという意味である。どこの誰とも知れぬ客を相手にできる商売ではないが――だから、あちこち引き回されたのだと、久美子は理解した。顔は覚えてもらえなくても。素裸で出歩く年頃の少女は、日本じゅう探しても、浜崎の網元の世話になっている久美子しかいないだろう。そう思うと、ますます屈辱が深まる。
花江は、すぐに小屋から出て行った。
久美子は籠を背負って、そのままの姿で出掛けようとしたが、ふと気になって手鏡で自分の顔を見た。髪がごわごわになっている。
井戸へ行って、手桶いっぱいの水で髪を洗った。もう一杯を使って身体を拭いた。そして小屋へ戻って戸をきっちり閉めてから、箪笥代わりのミカン箱から櫛を取り出して髪を梳いた。使ったのは、自分の櫛だ。母の形見の櫛は――見つかったら取り上げられるかもしれないと気がついて、チリ紙に包んで小屋の梁の上に隠した。机を勉強に使わず踏み台にすることに、ちょっぴり後ろめたさを感じたけれど。
グズグズしていては叱られる。その先には躾と折檻がある。籠を背負い直して。桟橋へ向かった。色付き紐は身分の証し(裸身のほうが、よほど明白な証だけれど)だから、結んだままだ。
最初に雑貨屋へ行った。割烹着を着た三十歳くらいの小ぎれいな婦人が店番をしていた。まるでガラスの壁を隔てて遠くにいるように見えた。店にはいっても、そこはガラスの壁の手前だった。
「亀の子束子をひとつください。浜崎の家の者です。節季払いでお願いします」
恥ずかしさで顔を上げられなかった。けれど、言うべきことはきちんと言った。
「ちょっと待っててね」
目の前に商品はあるのに、夫人は奥へ引っ込んだ。
けがらわしいと思われたのだろうか。そんなふうにひがんでしまう。
婦人はすぐに戻って来て、束子をひとつ新聞紙に包んだ。
「はい。これもあげる」
割烹着のポケットからキャラメルの箱を取り出して、握らせてくれた。
「あの……これ?」
婦人は小さく首を横に振った。
「可哀そうだと思うけれど、私にはこれくらいしかしてあげられない。これからも街に来たら、立ち寄ってね」
不意に感情が込み上げてきて。久美子の目に、大粒の涙が湧いた。いたんだ、この島にもあたしに味方してくれる人がいたんだ。
婦人はあわてた様子で外をうかがって。久美子を店の隅へ引き入れた。
「ここにしゃがんでいれば、誰にも見られないから。さあ、甘い物を食べたら、気も落ち着くわよ」
婦人は久美子の手からキャラメルの箱を取り上げて、封を切って一粒を口元に寄せてくれた。
「……ありがとうございます」
そっと口を開けて、夫人の指を舐めないよう気をつけて、久美子はキャラメルを歯で咥えた。口を閉じると、安らぎが口いっぱいに広がった。泣き出しそうになったけれど、夫人に迷惑を掛けるんじゃないかと、嗚咽は飲み込んだ。久美子は涙をぼろぼろこぼしながら、キャラメルを舐めた。
口の中のキャラメルが溶けて無くなると、久美子は涙を手の甲で拭って立ち上がった。
「長いこと、お邪魔しました。ほんとうに……ほんとうにありがとうございました」
深々と頭を下げて、久美子は店を出た。
そんなふうに親切にしてくれたのは、その婦人だけだった。
三軒先が、パン屋だった。チョコレートやクッキーのような洋菓子も一手に商っている。店先の一段低くなった棚に、パンの耳を盛った小さな笊が、『五円』の値札を立てて並べられている。店先に人影は無い。
「ごめんください。浜崎の家の者です」
白い前掛けを着けた四十歳くらいの婦人が奥から出てきた。
久美子が用件を言うあいだ、夫人はそっぽを向いていた。
「おかしいね。これまで、そんな物を買っていただいたことはないよ。節季払いをいいことに、ちょろまかそうってんじゃないだろうね?」
「あの……どういうことでしょうか?」
「あれだけのお金持ちが、貧乏人たらしくパンの耳を食べるはずがないだろ。カツレツを作るときだって、わざわざパン粉を使ってるそうじゃないか」
「でも、ほんとに言いつかったんです」
「とにかく、売れないよ。ほんとに要るんなら、昔からの女中さんに来てもらいな」
手ぶらで帰ればどうなるか考えると、恐ろしくなった。晩ご飯を抜かれるか、折檻されるか。
「商売の邪魔だよ。とっとと帰りな」
婦人は奥から塩を持ってて、久美子に投げつけた。
「けがらわしい。二度と来るんじゃないよ」
そこまで言われては、引き下がるしかない。土下座をしてでもお願いをする――ところまでは、卑屈になれない。なったところで、足蹴にされるだけかもしれないけれど。
久美子は商店街の端にある本屋へ足を向けた。
小学校高学年くらいの男の子が店番をしていた。
「うわあ、裸だあ」
久美子を見るなり、大声で叫んだ。
「ねえ、どうして裸なの? 強盗に盗られたの? 駐在さんに叱られないの?」
好奇心丸出しで矢継ぎ早の質問を繰り出しながら、丸くした目は久美子の裸身に吸いつけられている。
子供を相手に伯母の非道を訴えても始まらない。いや、大人に訴えても同じか、告げ口されて――行きつく先は折檻だ。
「あたしね、海女さんになるの。修業中は裸で暮らすのが、この島の仕来りなのよ」
みずから進んで裸をさらしている。そう振る舞うしかない。
「ふううううん。海女さんて、小母ちゃんばかりだと思ってたけど、違うんだあ」
「おっ。網元さんとこの……」
後ろから声を掛けられた。聞き覚えのある声だった。振り向くと、もやい結びを教えてくれた青年だった。あのときは全裸で肉棒に目印の赤い紐を巻いていたけれど――今は、都会のファッションに比べればずっと野暮ったいけれど、とにかく洋服を着ていた。
「海女仕事が終わっても裸かよ。まるで戦前だな」
見知らぬ人に裸を見られるのは恥ずかしいが、すこしでも言葉を交わした相手、それも若い男性に見られるのは、もっと恥ずかしい。
「まあ、女将さんのなさることに、どうこうは言えねえけどな」
棒立ちに固まっている久美子の横で、青年は週遅れの週刊誌を買った。
「また、色々と教えてやるからよ」
「ひゃあっ……!」
久美子が素っ頓狂な声で返事したのは、尻を撫でられたからだった。折檻の竹尺と違って、それが性的な悪戯だくらいは、初心な久美子でもわかる。自分が男に性的な関心を持たれるくらいには成熟していると思うと、ますます羞恥がつのるのだった。
とにかく本屋での用事はすませて。重い足取りで坂道を上っていると。
「網元んとこの嬢ちゃん……」
林の中から声を掛けられた。白い前掛けを腰に巻いた中年の男が立っていた。紙袋を両手に持っている。
「これを持って帰らないとしかられるんだろ?」
男が紙袋からパンの耳を取り出した。
「さっきは、女房が邪険なことをして、ごめんな。ほら、取りにおいで」
まだ男を疑うことを知らない久美子だった。パンの耳につられて、林に踏み込んだ。
「はいよ。籠に入れてあげるよ」
男が後ろへまわった。
「それにしても、ひどく折檻されたんだねえ」
紙袋を籠に入れて空になって手で、すばやく久美子の乳房を撫でた。
「ひゃっ……」
久美子は逃げようとしたが、腕ごと羽交い絞めにされてしまった。
「また、うちで買い物をすることもあるんだろ。小父さんを怒らせると、困ったことになるよ」
その言葉が、久美子の抵抗を封じた。男の手が乳房を弄ぶのを、身を硬くして耐えた。しかし。強く握られて、反射的に身を振りほどいた。
「痛いっ……やめてください」
竹尺に打ち叩かれて腫れているところをわしづかみにされては、たまらない。
男は、久美子を追おうとはしなかった。その代わり、左手に持っているほうの紙袋を開けて見せた。
「ちょっとだけ我慢してくれれば、これもあげるよ。陸(おか)から来た子にゃ珍しくないかもしれないかな」
不覚にも、腹の虫がグキュルウと鳴った。コッペパンに焼きそばが挟んであった。たまに見たことはあったが、太りそうなので食べたことはない。母との貧乏暮らしでも、女の子として体重を気にかけるくらいのゆとりはあったのだ。けれど、今は――すごく食べたい。でも、食べ物の代償に身体をさわらせるなんて。そんなの、娼婦以下だ。でも、つぎにパン屋さんへのお使いを言いつけられたとき、売ってもらえないと。久美子の考えは、つまるところ折檻という言葉に行き当たる。
「……我慢します。でも、乱暴なことはしないでください」
久美子はその場にじっと立って、自然と両手で顔をおおった。
男が背後から近づく。
「これ、邪魔だな。ちょっと手をどけておくれ」
背負い籠を下ろして、背後から久美子を抱いた。
男の手が、さっきよりは優しく双つの乳房を揉み、乳首を指で転がした。
「あ…………」
淫核の皮を剥くときと似たような、甘い電撃があった。乳首が固くしこってくる。ばかりでなく、淫核が紐に締めつけられた。初めての感覚に久美子は戸惑ったが――これが男と女の秘め事に関係しているらしいとは、本能的にわかった。
男の片手が乳房からはなれて、股間に触れた。淫裂をなぞって、指を挿れてくる。
「そこは、やめてください」
意外にも、あっさりと男は久美子から身を引いた。
「つぎは、もっとたくさんあげてもいいよ」
男が小走りに立ち去った。
籠を背負おうとしたら、紙袋はふたつあった。
「こんなもの……」
焼きそばパンの袋を投げ捨てようとしたが、できなかった。食べたいからではない。食べ物を粗末にしてはいけない。といって、持ち帰ったりしたら理由をきかれる。悪戯された見返りだなんて知れたら、絶対に折檻だ。盗んだと思われても折檻。
仕方なく、久美子は焼きそばパンを食べた。ものすごくおいしかった。
両手で口のまわりを丹念に拭ってから、籠を背負って鬼伯母たちの住まう屋敷へ向かって歩き始めた。
キャラメルも同じだと、あらためて気づいた。籠を持ったまま小屋へ行くのは不自然だ。伯母か花江が裏庭にいないとも限らないし。屋敷の手前にお地蔵さんがあったのを思い出した。焼きそばパンの袋でキャラメルの箱をくるんで、お地蔵さんの後ろに隠した。これなら、お供え泥棒にも見つからないだろう。
「ずいぶん遅かったね。どこで油を売ってたんだい」
もっと早く帰っていても同じように叱られただろう。この家の者にとっては、久美子を虐めるのが面白いらしい――そんなふうに考えてしまうのだった。
その晩はちゃんとご飯をもらえた。
「一日に三十分くらい潮目は遅れていくから、明日はもすこしゆっくりできるよ。朝ご飯を準備しといてやるから、わしが行く前に支度をすませときな」
言葉の順序から考えると、伯母に蹴り起こされたら朝ご飯はもらえないということだろう。
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・厳しさを増す特訓
・初潮は新たな恥辱
・海女漁鑑札の代償
折檻と輪姦と
・従弟を誘惑した罰 ←
・従弟従姉は釜の味
・独りだけの娘小屋
・Y字バランスの鞭
・緊縛放置集団夜這
・娘ひとりに男三人
・不浄期間に猛勉強
学校でも屈辱
・恥辱のセーラー服
・校長室で特別授業
・海女褌で体育授業
・娘宿売春は大盛況
・仄かな官能の兆し
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭逆と諦虐と悦虐
妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻
遥かな後日譚
・令和に継がれた命
歳とともに好みが変わってきたのかもしれません。
悦虐から哭虐。
ヒロインの設定年齢も、以前はR18前後だったのに、今ではU15。
一方、電子出版業界の自主規制値は上昇傾向にあります。Rくらいは気にしませんが、Aもその気配が。価格改定を目論んだら、半分くらいは……でも、『未性熟処女の強制足入れ婚』14も、『縄禿初潮水揚』U13もパスしたんだから。ジョウホウガタリマセン。カイセキフノウデス。
話を本筋に戻して。けっこう長くなりそうです。でも、年内には出版登録して、2020年2月発売は余裕です。章ごとのバランスが良ければ、前後編にわけて3月号までキープできるかも。
どこまで続くか[月刊濠門長恭]
下記のアフィリエイトのキーワードは[ふんどし 拷問]です。筆者の趣味が如何に偏っているかの証明?
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