Progress Report 5:未通海女哭虐~裸の昼と縄の夜



 まあ、ぼちぼちと書き進めております。
 前編9万文字を終わって後編です。
 冒頭は1ページかそこらで次の小見出とか、アンバランスです。
 今回は、後編の今現在書いているところまで全公開。


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学校でも屈辱

・恥ずかしい夏休み

 学校が夏休みのあいだ、久美子はこれまで以上に恥ずかしい思いをしなければならなかった。朝から夕方まで、海岸のいたるところで子供たちが遊んでいる。親からは、かかわり合いになってはいけないと注意されているようだが、それでも男の子たちは久美子を取り囲んではやし立てたりする。
「やーい、裸ん坊。いんらんおんなのふしだらむすめ」
「せっかんビシビシ、おまたヒリヒリ」
 久美子の母がしたとされていること、久美子が現にしているされていることが、子供にまで筒抜けだった。女将や花江が御用聞きにちょっと(悪意を込めて)漏らすだけで、その日のうちに島じゅうに噂が尾鰭をつけて広まるのだ。
 いちばん恥ずかしいのは、久美子と同じ年頃の少年少女が舟溜まりで親の手伝いをしていることだった。少女はあわてて目をそらすか何かしらの用事を見つけて逃げていくが、少年はかたわらにいる親の目を気にしながらも、久美子の裸身を穴のあくほど見詰める。ほかの海女には目もくれない。法被を着ているいないの差ではなく、彼女たちはおっかないオバサンであり、久美子は性欲の対象なのだった。
 親に厳しく言われているのだろう。時間がいくらでもある夏休みになっても、娘小屋に近づく少年はいなかった。秀一を除いては。四、五日に一度は久美子に肛姦を強いる。久美子が整理して積み上げたガラクタの陰に隠れての行為だから、女将の目を盗んでのことだろう。けれど、露見して折檻されるのは久美子なのだ。秀一を拒んで、女将に告げ口されても同じ結果になる。
 たいていの男は、後ろを犯すときは前も指でくじったりするのだが、秀一だけはそこに触れようとしなかった。父親(ではないらしいが)の性器が突っ込まれた部位をさわりたくないのかもしれない。
 漁に出ない日は、昼間から物々交換の売春をもちかけられる。これも、久美子に断わる権利は無い。娘小屋に生活必需品が足りてくると、男たちはしわくなった。もっとたくさんやるから抱かせろ――とはならなかった。女将が糸を引いているのか、男たちが談合して順番を決めているのかまではわからないが、男たちの数は昼間に三人から五人、夜這いも同じくらいに収まっていた。
 夜に外から施錠させることもなくなった。それでも、夜這いの男たちはいちいち久美子に鍵を見せる。いわば、女将が発行する夜這いの許可証みたいなものだった。
 夜這いにもすっかり馴れてしまって、なんの感動もなく淡々と仕事(ヽヽ)をこなすようになっている久美子だったが、心に余裕ができた分だけ、妊娠への恐怖を現実のものとして考えるようになっていた。
 もっとも。今のところ久美子は妊娠していない(らしい)。若かりし頃の女将の妊娠は、当人が自覚するよりも早く同僚の海女に気づかれていたそうだ。裸で接しているのだから、同じ女として微妙な変化でも察知するのだ。
「まだ、大丈夫だよ」
 それでも、八月の初旬に二度目の生理がきたときは、ほっとした。

・二学期からは通学

 八月三十一日。明日から二学期が始まるという日。久美子は屋敷に呼び出された。
 勝手口から声をかけると、女将と見知らぬ男が現われた。都会の人間のように、きちんとネクタイを締めている。ぶよぶよした身体は、農業や漁業のような肉体労働者でないことを語っている。
「校長先生だよ、ご挨拶しな」
 事前に女将から事情を聴いていたのだろう。生徒と同じ年齢の少女の裸身に驚いた様子もなく、貪るように眺めている。
 性欲の対象にされている――それがわかるようになっている久美子だった。それでも、女将に命じられたことには無条件に服従する。
「白石久美子です。よろしくお願いします」
「うん、よろしくしてあげましょう」
 なんだか漫才みたいな返事だったが。
 久美子の前に風呂敷包みと音頭靴が放られた。
「明日からは、学校に通いな」
 え……と、久美子は女将の顔を見た。
「校長先生はお堅くてね。ちゃんと制服を着なけりゃ駄目だとさ」
 久美子は風呂敷包みを開けてみた。取り上げられていた制服だった。
「あ……ありがとうございます」
 久美子は深々と頭を下げた。女将さんに本心からのお礼を言うのは、これが初めてだった。
 しかし、感謝の気持ちは次の言葉で砕け散った。
「なにしろ、ふしだらな盗人の娘ですからね。うんと厳しく躾けてやってください。もげちゃあ困りますが、手足の一本くらい折れたって文句は言いませんよ」

・口開けは校長先生

 翌朝。久美子はほとんど三か月ぶりに、裸ではない姿で道を歩いていた。下着までは返してもらえなかったので、海女褌だけの素肌に制服を着ている。それでも、外見はふつうの女学生と、ほとんど変わらない。違いは胸当てを剥ぎ取られていることと、もはや乙女とはいえない色香が全身からにじみ出ていることくらいだろうか。顔が赤銅色なのは、漁師村の少年少女なら誰も同じだ。
 海女仕事で身体を鍛えられて、とくに肺活量が増えているのだろう。胸がきついし、一歩ごとに乳首が服の生地に擦れて、少し痛い。乳首をつねられたり叩かれるのとはまるきり違う、ごく軽い痛さでしかないのだが、それがかえってうっとうしかった。
 入学のときに(母が大奮発して)誂えてもらったスカートは、丈をいっぱいに伸ばしても裾は膝小僧から三センチほども上だが、それでも褌で外を歩くよりは、よほどみっとも良い。
 午前七時に校長室へ来るよう、命じられている。転校初日だから、事前の手続とかがあるのだろうと、久美子は簡単に考えている。
 商店街を突っ切って、以前に引き回された農村へ折れる道を通り過ぎてから、島の裏側にある漁村と中間のあたりで右に折れて――十五分ほども山道を登って、ようやく学校に着く。片道に一時間ちかくもかかる。もっとも、五時過ぎに起きるなんて、今の久美子の感覚ではちっとも早起きではない。カンジという男からもらった中古の目覚ましが鳴るよりも早く目が覚めた。この目覚ましには、忌まわしい記憶がともなっている。棕櫚縄を巻きつけて極端に太くなった、男の……。
 久美子が校門をくぐったとき、木造二階建ての校舎の壁に掛かった大時計は、七時十分を指していた。じゅうぶんに余裕を見込んで出てきたつもりだったが、海女仕事で鍛えた体力も、坂道を上る役には立たないらしい。それとも、汽笛に時計を合わせたから、ずれていたのだろうか。
 久美子は急いで(廊下は走らずに)二階にある校長室へ行った。
「遅刻だね。夕べは仕事に励み過ぎたのかな」
 校長の言う仕事が海女のことではないと、久美子にもわかる。たしかに、昨夜も三人の相手をさせられた。でも漁師は朝が早いから、午後十時には寝ている。
「その仕事のことで話があるのです」
 校長が、いやにていねいな言葉づかいになった。
「学校の中でも外でも、生徒を相手に娼売をしてはいけません」
 なにを馬鹿なことを――と久美子は思ったが、校長はからかっているのではないらしい。
「とくに学校の中では、絶対に淫らな真似をしてはいけません。外でなら、さわらせたり抜いてあげるくらいは大目に見ますが、それでも性行為だけは駄目です。不純異性交遊になります」
 久美子は二重の意味でぽかんとしていた。
 抜くという言葉の意味がわからなかった。たぶん、淫らなことなのだろうけど。
 それよりも、学校の外でなら級友に身体をさわらせてもかまわないだなんて、学校の先生の言うことだろうか。
「あまり時間がありませんね。ちゃっちゃと服を脱ぎなさい」
 久美子は聞き間違いかと思った。しかし、駄目押しともいえる言葉が続いた。
「裸になって、そこのソファに寝なさい」
 校長先生は、あたしを犯そうとしている。と、そこまで頭に浮かんでも、信じられなかった。
「でも、ここ……学校じゃないですか」
「学内で禁止したのは、生徒との性行為です。先生を相手ならかまいません」
 無茶苦茶だとは思ったけれど。校長先生の横に立っていた女将さんの姿を思い出すと、なにも言えなくなった。
 服を着ているぶんだけ羞恥心が甦って。制服を脱ぐときには指が震えた。けれど、海女褌姿になると覚悟も座った。二か月前までは外で平然と(ではなかったかれど)大勢の目にさらしていた部分だ。部屋の中で一人を相手に、今さら恥ずかしくなんかない。そうは思ったのだけれど。
「ほほう。つるつるだね。まさか、まだ生えてないってことはないね?」
「……自分で剃っています」
 二、三ミリも伸びると、男たちから苦情が出る。久美子にはさんざん痛いことや不快なことをするくせに、自分がチクチクするのは厭なのだ。
 もちろん、それは言わなかったが、好悪長は事情を察したようだ。
「ふんふん。なかなかに商売熱心なことだね」
 校長はズボンと開襟シャツを脱がずにソファに座って、まだ褌を持って突っ立っている久美子を自分の膝に座らせた。
「もうじゅうぶんにオトナの身体だね」
 左手で肩を抱いて、右手で乳房を揉む。
 校長の言葉のとおり。この三か月足らずで、久美子の身体つきはずいぶんと変わってきた。上半分がえぐれ気味だった乳房の膨らみも、すっかり球形になってきた。尻にも丸みと厚みが増した。その一方で、腰は以前よりも細くなったくらいだ。そして淫裂からは一センチばかり貝の脚のような肉片がのぞいている。つまり、性熟したのだ。
 校長の手つきは、ほかの男の誰とも違って、緩やかで繊細だった。指が丸みをなぞるだけで、久美子の背筋にさざ波が走った。
「ひゃんん……」
 乳首を指の腹で転がされて、悲鳴が鼻に抜けた。
 校長が久美子の顎をつかんで振り返らせて、唇を重ねようとした。
 久美子は、反射的に顔をそむけた。
「駄目です。あたし、汚れてるから……」
 ほかの男たちは、久美子にキスをしようとはしなかった。誰が、男の排泄器官を咥えた口を吸おうとするだろうか。
「久美ちゃんは、どこもかしこも綺麗だよ」
 強引に唇を奪われても、久美子は逆らわなかった。人間の女性として扱われているようで、ちょっぴり嬉しく感じた。舌を挿れられて、口の中を歯の裏側まで舐められ、舌を絡め取られても、されるがままになっていた。女将の折檻が怖いのはたしかだが、女の本能として受け身になっている部分もあった。

・仄かな官能の兆し

 校長は久美子を膝の上から下ろして、ソファに寝かせた。その横にひざまずいて、あらためてキスをしてから。久美子の乳房に肌を這わせた。
「あ……」
 痛くもくすぐったくもなかったが。カタツムリに這われているような気色の悪さがあった。
 校長が乳首を咥えた。
「ひゃんんっ……んん」
 舐められて。鼻に抜けた悲鳴が吐息になった。指で摘ままれたり転がされたりしたときとは違って、ピリピリする電気ショックではなく、くすぐったさの混じった心地良い刺激だった。
 校長の舌が右の乳首を離れて左へ移った。今度は左の乳首にくすぐったい心地良さが生じた。そして、右の乳首に物足りなさを感じた。
 校長はさらに顔をずらして、久美子の肌を舐めていく。
 へその穴を舌先でつつかれて、久美子はくすぐったさに身悶えした。舌はさらに肌を舐め進んで。
「やっ……」
 久美子は顔から両手を放して半身を起こし、校長の肩を突き飛ばそうとした。
「そこ、ほんとに駄目だです」
 校長が上体を起こす。
「いいから、おとなしくしていなさい。きみの着ている制服はうちのとは違うね。没収してもいいんだよ」
 裸で授業を受けるか、通学を諦めるか。どちらも厭だった。久美子はソファにあお向けになって、また両手で顔をおおった。
「聞き分けのいい娘だね」
 固く閉ざされた腿を、校長の手が押し開く。鼻息が淫埠をくすぐって……
「あ……」
 予期してはいたが。淫裂からはみ出ている肉襞を舐められて、おぞましさとくすぐったさが腰をぴくりと震わせた。
 考えてみたら。逆のことは、しょっちゅう男に求められてきた。そこからほとばしる精汁さえ飲まされてきた。その男とたちに代わって、校長先生が罪滅ぼししてくれている。そんな気分になった。のも、束の間。
 淫裂の中にまで舌が到達すると。くすぐったさが、さざ波のように揺れて、それが心地よく感じられてきた。
 校長はいったん顔をはなして。両手で淫唇をかき分けると、その頂点にある突起をすすった。
 ずちゅうううう……
「ひゃあっ……あああ、ああんん」
 電気が走るというよりも、甘く鋭い感覚が立て続けに跳ねた。
「ああっ……なに、これ? あああっ……」
 朝にまみれた肌を風に吹かれて気持ちが良い。凍えた手をストーブにかざして気持ちが良い。そういった気持ちの良さとはまるで違っているけれど……腰が震えるような、気持ち良さの塊りだった。久美子の中で、電気とかくすぐったさが、ついに性感として目覚めたのだった。
 久美子の反応に呼応して、校長もいっそう久美子を刺激する。肉芽をすすりながら、左手で乳房をさっきよりも強く揉み、右手は尻を抱きかかえて撫でた。
「うああああ……身体、どうかなっちゃう」
 もしも校長が女体についてもっと知り尽くしていれば、そのまま刺激を続けて、久美子をいっそう登り詰めさせただろうが。彼はおのれの欲望を優先した。いや、若い娘にとっては挿入よりも淫芽への刺激のほうが逝かせやすいとは知らなかったのかもしれない。
「あ……やめないで……」
 久美子が思わず口走った淫らな訴えには応えず、校長はズボンと猿股を脱いだ。
「まってなさい。もっと気持ち良くしてあげるから」
 まだ半勃ちの肉棒をみずからの手でしごいて猛り勃たせると、久美子におおいかぶさった。久美子の右脚をソファの背もたれに掛けて、その開脚した中芯に老木(とまでいっては、彼がかわいそうだが)を突き挿れた。
「ああ……」
 久美子の吐息は――せっかく芽生えて急速に成長しつつあった性感を取り上げられた嘆きだった。挿入と抽挿とに快感を得るところまで、まだ久美子は達していない。いつもの我慢の時間が始まっただけだった。
 校長は五分ほどでおのれの欲望を吐き出してしまった。生徒を犯しているという背徳感と、、若い娘から性の悦びを引き出したことで、挿入前から畳分の極にあったのだ。
 事を終えると、校長もほかの男たちと同じように、久美子の身体に興味を失った。
 服装を整えて、腕時計を見て。
「きみも、はやく服を着なさい。行動へは先生が引率するから、それまで外で待っていなさい」
 机に座ると、何枚かの書類を引き出しから取り出して、事務仕事を始めた。
 久美子は制服だけを着て、褌は折りたたんで鞄に入れた。
「失礼します」
 当てつけとかは意識せず、ふつうに挨拶をして校長室を出た。便所を探して、股間を清めてから、スカートは脱いで上着の裾をたくし上げて、褌を締めた。そして、校長室の扉の前へ引き返した。

・若主さまの玩弄物

 校長に引率されて講堂へ入ると、前の学校よりも狭い講堂に生徒があふれていた。久美子は別の先生に案内されて、最前列でほかの生徒からすこし離れた席に着いた。さっそくに、男子生徒の視線が集中する。
 校長先生が、前の学校でも聞いたような挨拶を長々として。それから転校生である久美子の紹介。
 壇上に立つと、生徒たちがいっせいにざわめいた。前の学校で久美子が転校生を迎える立場だったときとは、明らかに雰囲気が違っていた。
「へええ。ちゃんと制服を着てるんだ」
「よく学校へ来れたものね」
「真っ黒けだけど、けっこう可愛いじゃん」
「一発米一合って、ほんとか?」
 久美子は、できるだけ平静を装って、挨拶の言葉を述べた。
「浜崎様のところでお世話になっている白石久美子です。卒業までの短いあいだですが、皆さんと一緒に楽しく勉強していきたいと思います」
「なんの勉強だよ。俺にも教えてな」
 そんな野次は無視して、ぺこりとお辞儀をして、久美子は壇上から逃げた。
 椅子に戻ってからも、皆から離れている久美子は晒し者状態だった。身じろぎひとつせず壇上を中止する久美子の耳に、先生方の話は素通りだった。
 教室へ戻って。始業式とは逆に、久美子の机は教室のいちばん後ろになった。横の列には誰もいない。隔離されたと感じたのは、けっしてひがみではないだろy。さすがに授業中に久美子を振り返って眺める生徒もいないだろうから、そういう意味ではありがたいのだけれど。
 初日の授業はロング・ホームルームだけ。学級委員をはじめとする各委員の選挙があったが、もちろん久美子は立候補しなかったし、転校生をわざわざ推薦する生徒もいない。
 午前十時半にはホームルームも終わって。久美子は遠慮して、最後に教室を出ようとしたのだが、男子の五人が席に着いたままだった。そこへ、隣のクラスから、秀一が五人の男子を引き連れて教室にはいってきた。
「おまえの仕事着を見せてやれよ」
 机で固まっている久美子に、秀一が命令口調で言った。
 秀一を除く十人が、久美子の机を取り囲んだ。
 久美子は動かない。どう対処しようか考えても、頭は空回りする。
 秀一が背後に回り込んで、久美子の肩に手を置いた。馴れ馴れしく耳元に口を寄せてささやく。
「お・か・み・さん」
 秀一は母親に面と向かっては『かあちゃん』と呼んでいる。久美子や級友に使う三人称は『お袋』だ。それをこの場で『女将さん』と言う理由は、ひとつしか考えられない。久美子への脅しなのだ。
 久美子は黙って立ち上がった。せっかく来ているのに脱ぐのは惜しい。思ったのはそれくらいで、羞恥の感情は折檻への恐怖に圧しつぶされている。
「うおおっ……」
「フンドシだ」
「おれ、同級生の裸を見たのは初めてだよ」
 興奮の声が教室に響く。
「仕事着って言ったぞ。その恰好で海に潜るんか?」
 今度は、全員に聞こえる声で秀一が言った。言っただけでなく、上着の裾から両手を突っ込んで、乳房を揉んだ。
「やめ……」
 やめてくださいと言いかけた声が、か細く立ち消えた。逆らってはいけない校長先生の言葉もよみがえったけれど。学校の中で淫らな真似をしても(事実は、されているのだけれど)、素肌で縛られた急所を縄で叩かれたりはしない。
「手をはなしてくれないと、脱げません」
 同じ制止の言葉でも、まりきる逆の意味になった。
 秀一が後ろに下がって。久美子は淡々と、褌一本の姿になった。
 教室に雄叫びが轟いた。
 それをあおるように、秀逸が後ろから抱きついて、級友に見せびらかすように双つの乳房をわしづかみにした。
「く……」
 その程度は、今の久美子にとってはちょっと痛いだけの仕打ちになっている。
 久美子は(すくなくとも表面上は)嫌がっていない。そうなると、ほかの男子も指を咥えて見ているだけではなくなる。
「ぼ、ぼくもさわっていいかな」
「どんどんさわってやれよ。ほら」
 久美子に代わって秀一が答える。当人は場所をゆずって、久美子の正面にしゃがみ込んだ。
 二人が後ろで押し合いへし合いしながら、乳房の根元をつかみ、別の二人が秀一を挟む格好で乳首のあたりを摘まんだ。
 こんなにたくさんの手で嬲られるのは初めての体験だが、意図的に虐めるつもりはないらしく、乳房を握る手の力はそんなに強くない。
 秀一が久美子の股間に顔を押しつけて両手を尻にまわすと、褌をほどき始めた。
 久美子は、諦めの溜め息すら吐かない。
 褌をほどくと、秀一は股間を間近に眺めて。それだけでは満足せず、右手の人差し指を挿れてきた。
「うわ……ぬるぬるしてる」
「濡れるのは感じてる証拠だって聞いたこと、あるよ」
「ぼくにも見せてくれ」
 あぶれていた六人のうちの二人が、乳房を弄んでいる生徒と秀一とのあいだに割り込んできた。さらに二人が、横合いから尻を撫でる。
「いつまでやってんだ。交替しろよ」
 佐藤に群がる蟻そのものの光景だった。砂糖のほうが黒くて、群がっている蟻は白いシャツを着ているのだが。

・輪ゴムとクリップ

いつ終わるとも知れない幼稚な戯れは、突如として中断された。
「こらあっ! なにをやってるんだ!」
 たちまち、白い蟻どもが逃げ散った。怒鳴った教師は腕組みをして前の入り口をふさいでいるが、男子生徒たちが後ろの扉のねじ錠を開けるあいだ、なにも言わなかった。
 久美子がひとり取り残されてから、教師がおもむろに動いた。
「学校では淫らなことはするなと、校長先生に注意されていたはずだぞ」
「ごめんなさい。でも、浜崎さんに命令されて……」
 バチン!
 頬を叩かれた。女将さんの拳骨と同じくらいに痛かった。
「言い訳をするな。ちょっと来い」
 トレパンに開襟シャツ姿の教師が、久美子の乳首を摘まんだ。強く摘まんで、前へ引っ張る。
「待ってください。服を着させてください」
 きっと、この先生も敵なんだ。自分の願いなんか無視されるだろう。すでに久美子は諦めていたが、その通りになった。
「どうせ、自分から脱いだんだろうに。無理矢理に脱がされたのなら、どこか破れているはずだ」
 当てずっぽうにしても、図星だった。
 久美子は乳首を引っ張られて教室から引きずり出され、廊下の突き当りにある小部屋へ連れ込まれた。備品置き場だろう。大きな教材や古ぼけた教科書を並べた本棚が雑然と並べられている。
 教師は久美子を部屋のまん中に立たせて、向かい合った。
「おまえの考えなど、お見通しだぞ。秀一に告げ口されて、浜崎の女将さんに折檻されるよりは、先生から罰を受けるほうが、ずっと甘っちょろい。そうだな」
 これは当てずっぽうではないだろう。女将の凄まじい折檻を話半分に聞いたとしても、誰もがそう考える。
「ふん、だんまりか。そういえば、淫売のときもよがり声ひとつあげないそうだな」
 これまでは、そうだった。でも、さっき校長先生に犯されたときは違っていた。いや、ちがわない。あれこれ弄られたときは、すごく気持ちが良くなったけど、『性行為』のときは、これまでとたいして違わなかった。数秒、そんなことを考えていたのを、教師はどう受け止めたのか。
「女将に折檻されたほうが、よっぽど楽だと思わせてやる」
「ご、ごめんなさい……」
 久美子は、反射的に土下座していた。そんな卑屈が身にも心にも浸みこんでいた。
「もう、絶対にしません。だから、虐めないでください」
「勘違いするんじゃないぞ。俺は、おまえに適した教育を施してやるだけだ」
 言葉は幾分かやわらいでいたが、女将と同じ冷酷で残忍な響きを久美子は聞き取った。
 おさげをつかんで立たされた。
 教師はトレパンの後ろポケットから紅白のハチマキを取り出した。そんな物を持っているし、この格好だから、この人は体育の先生かなと、久美子は見当をつけた。体育だろうと音楽だろうと、どうでもいいことだけど。
 体育教師はハチマキを、久美子が予想した通りに使った。後ろ手に縛ったのだ。
 久美子にしてみれば、手首をひねり上げられもせず、肌ざわりも荒縄よりずっとやわらかかった。
 つぎに教師は、本棚に置かれていた小箱から輪ゴムを幾つも取り出して、それを久美子の乳房に嵌めようとした。しかし手をはなすと、輪ゴムは肌を滑ってはずれてしまう。
 チッと舌打ちをして、教師は忌々し気に久美子の乳首を指で弾いた。
「おお、そうだ」
 何を思ったか、右の手首に数十本の輪ゴムを嵌めた。そして、久美子の左の乳房をわしづかみにした。左手を使って、輪ゴムの一本を乳房の付け根まで動かした。指が乳房に食い込んでいるので、輪ゴムはそこに留まっている。
 教師は、次々と輪ゴムを乳房に食い込ませていく。
「い、痛い……」
 わしづかみの何倍も強い力で乳房を圧迫されて、激痛に馴致された久美子が呻いた。
 教師が手をはなすと――乳房は野球のボールよりもひと回り大きな球形になっていた。
「ひねると、もげそうだな」
 九十度もひねられて、とうとう久美子は悲鳴をあげた。
「ひさしぶりに聞く音色だ」
 その言葉は、この教師がほかの女子生徒にも悲鳴をあげさせるような行為をしてきたことを暗示している。
 これは、生徒にまでは知られていないことなのだが。性的虐待混じりの体罰が、この時代にあっても行き過ぎた行為と咎められて、この教師は『島流し』にされているのだ。地元民の結束が強い田舎なら、そうも無茶はできないだろうという上層部の判断だった。
 その判断は正しかったのだが――久美子のような『生贄』が現われるとまでは予想していなかったのかもしれない。
 教師は右の乳房も、同じように輪ゴムで球形にくびった。
 これくらい、竹尺で叩かれるほども痛くない。と、見くびった久美子だが。教育は、まだ始まったばかりだった。
 教師は古びた机の引き出しから、六センチほどの大きさの目玉クリップを取り出した。その目玉に作文集を作るときの紐を結んだ。
「動くんじゃないぞ。おとなしくしていれば、昼休みが終わるまでには帰してやる」
 教師は久美子の乳房をつかんで固定して、クワッと口を開けた目玉クリップを近づけた。
 そこまでされて、やっと久美子は教師の意図を悟った。叩かれたりつねられたりはしょっちゅうだけど、こんなふうに道具を使われたことはなかった。それだけ痛いかは――すぐにわかった。
「きゃあああああっ……!」
 久美子は切迫した悲鳴をあげた。しかし、野獣の吠え声にまではなっていない。
 乳首を水平に噛んだ目玉クリップは、乳房の弾力に支えられて、まだ水平に立っている。
「敏子には五円玉十枚ずつで赦してやったが……さて」
 教師は独り言をいいながら、室内を物色した。
「おお。これは、ちょっと厳しいぞ」
 喜色満面の教師が手にしているのは、書道に使う文鎮だった。五つほどもあった。
「うまい具合に、ツマミがある」
 文鎮の中央にあるツマミに紐が結び付けられた。教師が手を放すと……
「びぎいいいいっ……痛い! 痛い痛い……赦してください」
 痛みに身悶えすると文鎮が揺れて、さらに乳首が責められる。
「もう片方、残ってるぞ」
 両方の乳首に文鎮を吊るされた。わずかでも文鎮を揺らさないよう、久美子はじっと立っていることしかできない。涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにしながら。
「実はな、ここからが本式の教育なんだよ。先生も、一度はしていたかったんだ」
 つまり。他校の生徒にはできなかった残虐なことを目論んでいる。
 教師は同じ大きさの目玉クリップを二つ、今度は先に文鎮を結び付けた。
「もっと脚を開け」
 教師の狙いを知って、久美子は文鎮が揺れるのもかまわず、イヤイヤをした。
「お願いです。どうか赦してください。赦してくれるんだったら……」
 言葉に詰まって、とっさに頭に浮かんだのは。
「どんなサービスでもします。尺八でもオカマでも帆掛け船でも、あたしの身体を好きにしていいですから……」
 バチンとビンタを張られて、久美子は正気に還った。淫売を交換条件にするなんて……どうしようもなく惨めになった。と同時に。
「そういうふしだらな態度を直してやろうとしているんだぞ」
 閉じ合わせている久美子の腿に膝をねじ入れて、教師は強引に久美子を開脚させた。さっきの秀一と同じように、正面にしゃがんで。ずっとひどいことをした。
「ううう、うう……」
 淫裂から顔を出している肉襞に目玉クリップを噛まされて、乳首ほどには痛くなかった。
 しかし。教師がこれまでの倍ちかくあるクリップを取り出すのを見て、身体がぐらりと揺れた。
 文鎮を吊るした目玉クリップが、股間のど真ん中に近づく。教師は、淫核を剥く手間を惜しまなかった。
 目玉クリップが、縦に実核を咬んだ。
「がわああああああっ……」
 久美子は吠えた。息を吐き出し終えると、そのまま後ろへ倒れかけた。
 危ういところで、教師が抱き止めた。ほとんど気絶している久美子の無惨な裸身を窓際へ引きずっていった。カーテンを絞って、頭越しに手首に巻き付けた。それで、手をはなしても久美子は倒れなくなった。
 教師が備品置き場から出て行った。十分もしないうちに、縄束を持って戻って来た。
「ふん。やっぱりズルをしていたな」
 久美子は窓に頭を押しつけて、乳首の文鎮を窓枠に乗せていたのだ。
「ひさしぶりのことで、俺も気が急いていたな。最初から用意しておくべきだった」
 縄を久美子の腰に巻いて、引っ張った。
 久美子の腕が斜めに吊り上げられて、上体が傾ぐ。
「うああああ……赦して……赦してください」
 意識が朦朧としたまま哀願する久美子。そういった弱々しい訴えが嗜虐癖のある男を喜ばせると、久美子は知らない。もっとも、強情を張り通してもいっそうつよく責められるだけなのだが。
 教師は縄尻を本棚に結んだ。それだけなら、思い切り踏ん張れば本棚を引きずって、すこしは楽な姿勢になれたかもしれないが。さらに開脚させられて、両足を箒の柄に縛りつけられた。ますます身体が沈んで腕が引き上げられ、肩の付け根が軋んだ。
「さんざん手をやかせてくれたから、昼休みまでで勘弁してやるわけにはいかんな」
 まだ、四時限目が始まるチャイムも鳴っていない。これから二時間だって絶対に無理なのに――けれど、久美子は抗議しなかった。哀願でさえ、折檻を酷くする口実にされる。
「これから、お尻ペンペンするぞ。泣かずにじっといい子にしていたら、昼休みの終わりまでで勘弁してやる。声を出したり逃げようとしたら、六時限が終わるまでだ」
 ずっと黙っている久美子が面白くないのか、教師は丸くくびられて鬱血している乳房を、握りつぶした。男の本気の力だ。折檻に馴れた少女がで耐えられない痛さだった。
「ぎひいい……痛い!」
「返事は?」
「は、はい……わかりました。声を出さず動かず、いい子にしています」
「そうだ。素直になれば、先生だってやさしくしてやるぞ」
 言葉とは裏腹に、両手で久美子の腰をつかんで激しく揺すって、股間の三つの文鎮を暴れさせた。
「ぎゃああっ……素直になります。だから……」
 やめてくださいと訴えれば、もっとひどいことをされると、久美子の経験が教えていた。
「だから……早く、お尻ペンペンしてください!」
 そうねだるよりなかった。
「そうかそうか」
 教師は、やっと久美子の身体からはなれた。
「お尻ペンペンは、これでしてやる」
 久美子を開脚させているのと同じ、柄の長い箒を逆手に持って教師は、股間に垂れている三つの文鎮のうち、真ん中のをコンコンと叩いた。
「うああ……?」
 激痛が震えて、その奥に別の感覚がひそんでいた。校長にやさしく嬲られたときの官能に、似ていなくもなかった。
 教師が、おや?――という顔をした。何人もの女子生徒に『愛の鞭』を振るっててきた男は、他の少女にはない何かを、久美子に見たのだろうか。しかし、一年半にわたる、いわば禁欲生活は、まずおのれの劣情を満足させるほうを優先した。
「いくぞ。動いたり声を出したら、六時限の終了まで立たせておくぞ」
 教師は片手で持った箒を振り上げて、手加減無しで柄を黒褐色の尻に叩きつけた。
 バシン!
「…………」
 久美子は身じろぎひとつせずに、呻き声も漏らさなかった。耐えた――のではない。水を吸った荒縄の束に比べれば痛みは一瞬で鋭く、どこか爽快でさえあったのだ。
 バシン!
 バシン!
 バシン!
 尻を叩かれること自体は、今の久美子にとっては折檻の名に値しないほどだったが。叩かれた衝撃で文鎮が揺れて、乳首と実核とで激痛が震える。しかし、痛みの奥底からにじみ出てくる官能が、久美子を当惑させていた。そのかすかな官能があったから、どうにか耐えられていたのだが。
「なかなか頑張るじゃないか」
 手を休めた教師が、久美子の横にまわった。
(…………!?)
 トレパンの前が異様に膨らんでいるのに気づいて、久美子は不思議に思った。全裸になったときも、身体のあちこちに凶悪な仕掛けを施されていたときも、トレパンはこんなにも盛り上がってはいなかった。先生は、あたしを叩いて、それで性的に興奮しているんだろうか。
 そういう性癖の男がいる――いや、すべての男の心には嗜虐が潜んでいるとは、久美子に限らず、たいていの女は知らない。
 教師はトレパンをずり下げて、腹にくっつくほどの急角度に聳え立った巨木を露わにした。
「今度はこれで、お尻ペンペンしてやろうか?」
「お願いします。先生のマラで、お尻ペンペンしてください」
 即答だった。マラでお尻ペンペン(ズボズボだと、久美子は正しく理解している)して、樹液を吐き出してくれたら、それで赦してもらえる。これまでの淫惨な経験で、久美子はそう思った。
「さすがは淫売娘だな。恥ずかしがりもせずに、マラとはな」
 久美子を抱く男たちは、たいていその言葉を使う。久美子にしても、チ●コと言うよりは、よほど口にしやすい。
「まあ、いいだろう。先生も言葉遊びは好きじゃない」
 教師は、シャツの胸ポケットから小さな紙箱を取り出した。箱を開けて、輪ゴムの中に薄い膜が張ってあるような物を取り出して、それをマラの先に嵌めた。輪ゴムを巻き下げると、マラ全体が半透明の膜に包まれた。
 これが、ときどき耳にしているコンドームというものだろうと、久美子は思った。これなら、性行為をしても妊娠の恐れがない。でも、後ろで使うというのは――マラを汚さないためだろう。久美子への配慮でない。
 教師は、すぐに挿入しようとはしなかった。今度はトレパンのポケットから小さな平べったい缶を取り出して、中の軟膏を指で掬って肛門に塗り始めた。塗るだけでなく、指を挿れて内側からも揉みほぐす。
「あ……」
 肛門の縁を冷たい風が吹き抜けるような感覚に、久美子は戸惑った。その感覚には、覚えがあった。しかし爽快感は、すぐに浸み込むような熱を伴なう疼きに変わった。
「あ……はああ」
 指の動きが止まって、久美子はもどかしさに腰を揺すり……文鎮が揺れた。
「つうっ……」
 痛みに呻く声が艶を帯びていた。
「経験の差か……それとも?」
 教師が低い声でつぶやいた。彼がこれまでに『愛の鞭』を振るった生徒は、処女ばかりだった。『お股ペンペン』にまで至った獲物は、二人人だけだった。それも交わりとしては正常な行為しかしていない。肛門に刺激性の軟膏を塗ったことは(自身での実験を除けば)なかった。だから、久美子の反応が尋常のものか異常なのか、判断がつかなかった。
 教師は、疑問を追及しようとはしなかった。この生贄なら、いつでも教育を施せるのだ。
 教師は久美子の後ろにまわって、両手で腰をつかんだ。コンドームに包まれた魔羅の先を焦げ茶色の蕾に押しつけた。
「いくぞ」
 たぎる欲望にまかせて、ぐいっと腰を突き出した。
「ひいいっ……熱い!」
 可憐な悲鳴とともに、久美子の蕾は大きく広がって巨木を受け挿れた。
「はううう……」
 奥まで挿入されて、いったん教師が動きを止めると、久美子は安堵の息を吐いた。熱痛は去って、拡張される痛みというよりも違和感だけが残っていた。そのくらいには、肛姦にも馴らされている。
 教師が抽挿を始めた。軟膏のおかげで痛みはほとんど無かったが、全身を揺すられて文鎮が暴れまくる。
「きひいっ……痛い痛い……先生、早く終わってください」
 乳首も実核も引き千切られそうな激痛。官能が蠢く余地はなかった。
「お、おう……もうすこしの我慢だぞ」
 久美子は驚いた。折檻でも夜這いでも、哀願を聞き入れてもらえたのは、これが初めてだった。
「痛い……ひいい……」
 教師の動きが荒々しくなっても、久美子の悲鳴は弱々しく可憐だった。
 そうして。数分の嵐が去って。
 数多の男がそうであるように、教師は急にやさしくなった。なんと、目玉クリップを外して、カーテンの拘束まで解いてくれたのだ。
「素直になった褒美だ。今日は、これで赦してやる」
「ありがとうございます!」
 咄嗟に打算がはたらいて、久美子は土下座した。この人は、女将さんみたいな冷血じゃない。校長先生と同じくらいに慈悲深いのかもしれない。久美子は、とんでもなくずれた基準で教師を評価したのだった。
 教師も、犯した生徒に感謝されたのは初めてのことだったろう。戸惑った表情で久美子を見下ろしていたが。
「先生は先に出る。ひと休みしてから帰りなさい」
 言い残して、さっさと備品置き場から出て行ったのだった。
 久美子は裸のまま、しばらくうずくまっていた。乳首と淫核の痛み、軟膏のせいでいつまでも続く肛門の熱痛。そして、不自然な形に腕をねじ上げられていた肩の痛み。
 それでも、女将さんの残酷な折檻よりは、はるかにましだと久美子は思っている。股間を打ち据えられる激痛と、突起を咬まれて引き伸ばされる劇痛と。どちらが厳しいかは、甲乙つけがたい。瞬間的な痛さは、水に濡らした荒縄だ。けれど、目玉クリップの痛みは、延々と続く。先生が最初に言っていたように、午後の授業開始とか、まして六時限の終了まで放置されていたら、とても耐えられなかっただろう。いや、久美子が耐えられようと耐えられまいと、責める者が満足するまで赦してはもらえないのだが。
 ガラッと扉の開く音がして。顔を上げると、さっきの教師が立っていた。また虐められるんだろうか。怯えではなく物憂い気分で、そのままうずくまっていると。教師がはいってきて、久美子の前に鞄とくしゃくしゃの制服と三雑に折りたたまれた褌とを置いた。そして、無言で立ち去った。
 ただそれだけのことで。やさしい先生だなと思ってしまう久美子だった。

・手の届かない電話

 昼休みの始まりを告げるチャイムを聞いてから、久美子は帰り支度を始めた。痛みはだいぶん引いていた。股を開く代償に男からもらったチリ紙を鞄から取り出して、犯された穴のまわりを丹念にぬぐって、汚れた紙は新しいチリ紙に包んで鞄に入れて。褌は締める気になれず、素裸の上に制服を着て、備品置き場から出た。
 ひとり山道をくだる足取りは重かったが、登校のときよりは早く、商店街まで来てしまった。
 小走りに通り過ぎようとして、煙草屋の店先にある赤い公衆電話がいまさらのように目にはいった。
 海底に通した電線で、島にも電話はつながっている。けれど加入権がとても高いし、工事まで半年以上も待たされるので、一般家庭に電話は無い。電話があるのは、駐在所と学校と浜崎家くらいだろう。商店街は共同の電話を、この公衆電話とは別に持っているが。
 電話で、陸の警察か役所に助けを求める――そんなことは無理と、久美子は最初から諦めている。
 一一〇番以外に連絡先を知らない。そして、駆け付けてくるのは駐在さんだ。
 いや、電話を掛けることすらできないだろう。手を伸ばしただけで、誰かに取り押さえられてしまうに決まっている。
 娘宿に戻って。久美子はすぐに裸になって海女褌を締めた。制服を着ていいのは通学のときだけと、女将に言われている。ときおり様子を見に来るけれど、それより怖いのは他人の目と口だった。

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この後の目次(予定)です。最初に比べて増えました。

・海女褌で体育授業
・特別補習は三穴姦
官能への階段
・折檻と体罰の選択
・保健室も地獄部屋
・喪哀妻の快楽地獄
・三穴の絶頂に哭悦
・淫乱娘への灸折檻
・哭虐と諦虐と悦虐
妊娠と流産と
・妊娠中は姦り放題
・厳冬の海女漁強制
・流産と新たな種付
・若過ぎるもやい妻
かな後日譚
・令和に継がれた命

 今回もアイキャッチに困りました。まったく無関係の画像でお茶を濁します。
逆手吊り
 脚で体重を支える形なら、何度か書いていますが。実経験の有無はノーコメント。
 まさか宙吊りできるとは、考えていませんでした。しかも、動画ではブランコみたいに振り回されています。
 脱臼しないのかしら??



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