Progress Report 4:赤い冊子と白い薔薇
チャイルス猖獗で、またまた在宅勤務ですが。
どうも、クビが危ない。3か月単位の契約更改が、今回は1か月。次の更改交渉は9月初旬頃ですが、かなり W Arrow です。
などという話は、サブブログ(→)にまかせて。
盆休みには脱稿するでしょうが、そうすると前後編に分けて9,10月公開ですからぎりぎり月刊維持ですが、盆休み中に新作に着手は難しいでしょう。まあ、10月からは時間がたっぷり……あると困るのです!
Progress Report 3 は、こちら→
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第三章六幕です。
濠門長恭初挑戦のマングリ返し緊縛連姦は、すでに終わっています。製品版の発売をお待ちください。
・肛姦と口姦と
さすがに署内の全員ということもなく、紗良への凌辱は二十人ほどで終わった。
連れて来られたときとは違って後ろ手枷を掛けられて、両側から支えられても立っていられないまでに消耗していたので、引きずられて取調室から引きずり出された。
弓子も狸縛りの吊りから下ろされて、やはり全裸に後ろ手枷という惨めな(しかし、すっかり慣らされてしまった)姿で連れ去られた。
恵ひとりだけが、四匹の淫虐鬼の中に取り残されていた。荒島、浜村、浅利、青谷――記録係を務める淀江が不在ということは、恵を自白に追い込むつもりがないからだろう。そうとでも考えなければ、淫虐鬼どもの打ち合わせに合点がいかない。
「こいつは、元から変態趣味があったわけですから……なまなかな責めでは心をへし折れんでしょう」
青谷が、いずれは自分の物にするはずの女を鬼どもの前に突き飛ばすようなことを言う。
「さて、どうですかね。こいつ、まだ媾合いの味を知らんのですよ。だから、平気で破廉恥な真似ができるのです」
「そんなものかな。まあ、女にかけてはピカイチの浅利クンが言うのだから、正しいのだろうが」
「では、色責めに掛けてみますか」
衆議一決。
恵にも、色責めの意味は薄々察せられる。昨日と今日で、察せられるようにされてしまった。だから、余計に戦慄する。
(こんな大怪我をしているところを、この人たちはまだ虐めるつもりなのだろうか)
目の前で見せつけられてさえも、怪我をしていない部位が残されていることに、恵は気づかない。そして――粘膜を切り裂かれての出血など、この男どもはかすり傷くらいにしか思っていないということにも。
「味を教え込むとなると、海老責めのままでは無理か」
浜村が恵の縄を解いた。
「…………」
滞っていた血行が甦って、全身がジインと痺れた。
「はあ、はあ、はあ……」
思い切り貪る空気を甘くさえ感じた。
が、安逸は一瞬。記録係用の小机が部屋の中央に引き出され、上体を直角に曲げられてうつ伏せに縛りつけられた。両手で左右の脚を握らされて手首を縛りつけられる。開脚させられて膝も縛りつけられた。小さな机なので、乗っているのは腹部だけ。乳房は机の向こう側に剥き出しに立っている。
(犬のような姿で犯される……)
恵は、自分の理解が三分の一しか正しくなかったと、すぐに思い知ることになる。
恵の目の前で、浜村が奇妙な作業を始めた。先革をはずして放置してあった竹刀の先端に大きなビー玉を乗せて、それをガーゼでくるむ。そのままガーゼを先端から二十センチあたりまで何重にも巻き付けた。
「よっこらせ」
浅利が恵の目の前にバケツを置いた。恵が失禁したときの始末に使われたものよりふた回りは大きい。水がいっぱいに張られている。
浜村がそこに竹刀を浸けて。ガーゼから水が滴って床を汚すのも気にせず、恵の後ろへまわった。
肛門に冷たい感触を押し付けられて、今さらに恵は狼狽した。ヤスリのつぎは竹刀。異物で陵辱する拷問だと直感した。
「力を抜いていろ。力むと痛いぞ」
力んでいるつもりはなかった。しかし、自然と括約筋だけでなく全身が硬直してしまう。
ずぐうううっと……一気に竹刀を押し込まれた。
「いぎゃああっ……熱いっ!」
激痛というよりも、狭い穴を無理矢理に抉じ開けられる不快きわまりない拡張感。そこに灼熱が重なっている。
「ぎひいい……」
竹刀が回転するのが肛門に感じられた。腸の奥まで突かれて、内臓が押し上げられるような圧迫を下腹部に感じた。
ズポッと、小さく音がして――灼熱が消えた。
鼻先に竹刀が突きつけられた。まだらに茶色く汚れている。小さな固形物もこびりついていた。悪臭が鼻の奥まで突き抜ける。
「可愛い顔していても、内側はこんなものだ」
浜村はバケツに竹刀を突っ込んで掻き回した。固形物が剥がれて、ガーゼの色もわずかに薄くなった。
ぞんざいに洗われた竹刀が、ふたたび恵を貫く。
「熱い……いやあああ」
同じ灼熱を繰り返されて、驚愕の無いぶんだけ悲鳴は抑制されていた。
「女の中には、しこたま貯めているやつも多いが、おまえは腸が綺麗だな」
恵は便秘とは無縁だった。どころか。昨日の朝に食べてからは米の一粒も口にしていないというのに、今朝も少量だがお通じがあった。逆さ吊りにされているときは、跡始末できなかった汚れに内心で悶絶していたのだが、今は汚物を見せつけられなくて済んだ。まさしく、不幸中の幸いではあった。
「青谷警部、こちらも口開けをなさいますね」
同じ階級の歳下を、丁寧な口調でけしかける浜村。
「口開けは、そこのやつで済んでいるでしょうに」
青谷が尋問用の椅子を目で指した。
「いやいや。陰間などは張形でさんざんに修練を重ねておきながら、水揚げと称しますからね」
異物挿入は数のうちにはいらないと、浅利が真面目くさって言う。
「玄人を相手にしているぶんには構わんが、善良な少年にまでは手を出すなよ」
荒島が苦笑を交える。つまり浅利は、善良な少女には手を出しているということなのだろう。
「なるほど。では、先達のお言葉に甘えるとしましょう」
青谷が立って、恵の後ろへ動いた。
事ここにいたっては、恵も自分の運命を悟らざるを得ない。二十四時間前までは、そのような行為が世の中に存在することすら知らなかった――不衛生で破廉恥な醜行。
他の男ではなく青谷だというのが、微かな救いのようにも思えたけれど。どうせなら、ヤスリで犯される前に……ぼんやり像(かたち)作られかけた言葉を、恵はあわてて打ち消した。
この男の奴隷妻になど、絶対にならない。あたしはユリお姉様を護って責め殺されるのだ。かすかに甘い味のする絶望だった。
ペッと唾を吐く音がして、すぼまった穴を指でこねくられた。そして……
竹刀とは違って灼けるように熱い感触が押し当てられて。閉ざされた穴が、ぐうううっと押し込まれて。ずぶりと貫かれた。
「いやああああっ……熱いッ!」
棒ヤスリや竹刀は、恵を一瞬で貫いた。けれど青谷は、じわじわと押し入ってくる。だからといって括約筋を拡張される熱痛感がやわらぐこともなく、苦悶の時間だけが長引く。
「きひいいい……くう……」
青谷の下腹部が尻に突き当たって、わずかに激痛が落ち着く。
「はああ……はあ、はあ」
口を開けて喘ぐだけの余裕を、恵は取り戻した。
青谷が抽挿を開始した。熱痛がうねって、息が自然と押し出される。
「はっ、はっ、はっ……痛い……もう、赦して……ください」
自分が哀願していると、恵は気づいていない。
「どうにも太平洋ですね。萎えてしまいますよ」
「腸には筋肉がありませんからね。そのかわり、括約筋の締まりは女穴の比ではないですよ。雁首を入口でしごくようにするのが、肛姦の極意です」
浅利が指南すると、青谷が早速に実践する。
「ぎひいっ……痛い痛い痛い……やめて……」
雁首に拡張されては、すぼまると内側から『返し』の部分で抉じ開けられる。ただ淫茎を突き挿れられるよりも、痛みは大きい。しかも、激しく律動する。
不意に熱痛が抜去された。
(終わったんだ……)
惨めに安堵した恵だったが。お下げを頭の後ろで束ねて引き上げられた。
(…………!?)
頭を無理強いに引き起こされた鼻先に、まったく衰えていない剛直が突きつけられた。、牛熱い部屋の中でも湯気を立てている。はっきりと異臭をはなっていた。
「口を開けろ」
恵は青谷の顔を見上げて、固く唇を引き結んだ。言葉に従えば、腸内の汚れにまみれた怒張を頬張らされるに決まっている。
「強情ですね」
青谷が荒島を振り返って、わざとらしい苦笑を浮かべた。
浜村が立ち上がって、棚から有刺鉄線の束を取り出した。淫虐鬼どもが『鉄鞭』と称している凶器。それを手にして、恵の横に立った。
「躾は最初が肝心ですよ」
右手を上げて、鞭の根元を乳房に押しつけた。 有刺鉄線の棘が柔肌に突き刺さる。
「くっ……」
口を開けるわけにはいかない。恵は意識して悲鳴を封じた。
「浜村さん。それは、さすがに可哀そうです。僕も大岩警部補の顰(ひそみ)に倣うとしましょう」
青谷がズボンのベルトを抜いて浜村に渡した。
「そうですか。赤ん坊に乳をやれなくなっては拙いですね」
昨日は乃木も華江を相手にそんなことを言っていた。一発や二発、有刺鉄線で乳房を敲いたところで、そこまで酷いことにはならないのだが――母性本能への恫喝としては大きな効果がある。
浜村は鉄鞭のときのような威嚇はせずに、いきなり右手を撥ね上げた。
バシイン!
「きゃああっ……!」
乳房が爆発したような衝撃と、一瞬遅れての重たい激痛。
悲鳴を吐き終えても半開きになっている口に、青谷が怒張を近づける。
すでにそれを拒む気力は粉砕されていたが――自身の汚れを口に入れることへの嫌悪感が、無意識のうちに口を閉じさせていたのだろう。
バシイン!
「きゃああっ……ごめんなさい」
不本意な謝罪を口にして、恵は目を伏せた。醜悪な怒張が、ふたたび近づいてくる。
「口を開けろとは言ったが……ちゃんと咥えろ」
屈辱に頭をクラクラさせながら、恵は言葉に従った。
口を閉ざすと、臭気が鼻腔の奥を突いた。硬いけれど笛(くらいしか、口に咥えたことはなかった)なんかとは違って、柔らかさで上塗りされている――キュロンとした舌触りだった。
「聞き分けがよくなったな。しゃぶれ。舐めるんだ」
言葉の意味は理解できても、すぐには実行できなかった。嫌悪があったし、要求を受け容れればつけ込まれて、いっそう淫らな仕種(それがなんであるか、想像は出来なかったけれど)をしいられるのではないかという駆け引きめいた気持ちもはたらいていた。
恵の横で、浜村と浅利が入れ替わった。浅利は恵に横合いから腕をまわして、両手でバンドを握って乳房に押し当てた。バックルに先端を通してベルトを引き絞っていく。乳房がつぶれて、胸全体も圧迫されて息苦しくなってくる。
「んぶ……?」
ベルトが横に滑って、乳房をしたたかにこすった。灼けるような痛み。乳首には激痛が奔った――のだが、ベルトで敲かれる爆発的な痛みではなく、チリチリする感覚の奥には、不快とは断じられないくすぐったさが潜んでいた。
浅利の掌が恵の尻を撫でた。
「警部殿のおっしゃる通りにしろ」
ペチンと叩かれた。先輩への苛酷な拷問を見せられ、自身も逆さ吊りにされたり拷問椅子に座らされたりワニグチクリップやベルト鞭の洗礼を受けている恵には、わずかな恥辱を与える以上の効き目はない。怒張を咥えさせられている少女に激痛を与えれば、加虐者の側に不測の事態を生じかねないゆえの配慮――とまでは気づかない。不服従を続けるともっと痛い目に遭わせるぞという脅しだと思ってしまう。
その思い込みを裏付けるように――胸を巻くベルトが左右に滑った。灼けるような痛みと、鋭く繊細な感触と。
恵は嫌悪をねじ伏せて、口中の異物に舌を這わせた。いざ、そうしてみると――感触も大きさもまるきり異なってはいるものの、ユリとの舌の戯れで覚えた要領を無意識に応用して、まったく純粋無垢な少女とは思えない淫靡な蠢かし方をしてしまう。
「おお、うまいぞ。これなら立ちん坊でじゅうぶんに稼げるな」
立ちん坊というのは街娼の謂である。遊郭が公認されていても、籠の鳥を嫌って、多大の危険(性病、地回り、強盗など)を承知で街に立って客を引く。浮浪罪で逮捕されることもあるが、数日間慰み物にされて放逐されるくらいで済む。そういった事情までは知らない恵だが、青谷の言葉が侮辱だとは、声の調子で察せられた。
しかし、しゃぶり始めてしまっては、いまさらにやめるには、かえって意志の力が必要になる。
「裏筋もなめろ。雁首の裏に、縦に筋があるのはわかるな――そう、そこだ」
「鈴口――小便の出る穴だ。そこを舌先で突っつけ。まわりを舐めろ」
次々と押しつけられる要求にも素直に応じてしまう。
胸の圧迫が減った。ベルトが緩められて――まだ左右に滑り始めた。が、痛みはなかった。乳首だけが刺激されて、チリチリする感覚が鮮明になる。くすぐったさが快感に変じた。
青谷が、お下げをつかんだまま腰を前後に揺すり始めた。
「頑張れ、頑張れ」
浅利が囃し立てながら、ベルトをいっそう激しく滑らせる。
荒々しい快感がさざ波になって、だんだんと大きくうねり始めた。
「んぐ……むぶう……んくっ、んんっ……」
喉を突かれて込み上げる吐き気をこらえる呻きに、快感の喘ぎが重なった。しかし快感は、ユリから与えられるそれの四半分にも満たない。それでも、だんだんと快感が苦しさや屈辱を上まわり始めて――
「んむっ……」
力むようなうなり声とともに、熱い滾りが恵の喉奥にぶち撒けられた。
「げふっ……」
咳き込みかけると、いっそう強く腰を押し付けられた。
「吐き出すな。飲み込め。命の源だ。一滴残らず飲み干せ」
無理に吐き出せば、乳房を敲かれるか拷問椅子か、それともワイヤーを跨がされるか、もっと残虐な拷問か。恵は喉の痙攣にさからって、口中の汚濁を嚥下した。
「だいぶん素直になってきたな」
犬の頭を撫でるようにぽんぽんと恵の頭を叩いてから、青谷が抜去した。
「ふううう……」
今度こそ終わったと、安堵の吐息。しかし。
「初めてにしては上出来だった。褒美をやろう」
浜村が白熱電球を恵に見せつけた。ソケットに嵌められていて、スイッチをひねると眩く点灯する。家庭用の電球に比べると頭部の膨らみが小さく、フィラメントが細いバネで浮いているのだが、そんな些細な違いに気づくゆとりなど恵にはない。
「…………?」
昼行燈――そんな諺が頭に浮かんだ。浜村の意図がわからなかった。
浜村の姿が背後に消えて。股間を指でこねくられた。傷口を抉られて、鋭い痛みが奔る。
「淫汁ではなく血がにじんできたか。潤滑にはなるだろう」
指が引き抜かれて――冷たい感触を押し付けられて、ようやく恵は、これから咥えられようとしている淫虐を悟った。
「おとなしくしていろ。電球が割れると大怪我をするぞ」
しかし電球は、張り裂けるのではないかと思った擂粉木よりも、さらに太い。とても挿入(はい)るとは思えない。
「無理です! やめてください」
電球の頭部が、ぐりぐりと淫唇をこねくりながら――侵入してくる。血で潤滑されていても、膣口がキシキシと軋む。
「痛い……無理! やめてください……ひいいいいっ!」
限界を超えて拡張されて――不意に、グポンと大きな塊りが下腹部を圧迫した。膣口の痛みが軽くなった。
「ぽこんと膨れているな」
淫埠を撫でられて、それが自分にも感じられた。
「夜だったら蛍見物の風流が愉しめるところだが……」
腰の奥が、ぽうっと温かくなった。いや、だんだんと熱くなってくる。電球を灯されたのだと、恵にもわかった。
「三十分も放置すれば、子を産めない身体になる」
「それは困ります。勘弁してやってください」
青谷がとりなす――のは台本どおりなのだが、もちろん恵にはわからない。
「そうですか。では、使用中には電気を消すことにしますか」
「話が逆のような気もするぞ」
荒島が恵の前に立った。ズボンを下げて越中褌を緩め、萎えた淫茎を露出した。
「勃たせてみろ」
(…………?!)
青谷以外の男から淫らな行ないを求められるとは、まるで思っていなかった。華江は乃木、弓子は大谷――組み合わせは決まっていた。紗良だけは誰からかまわず犯されていたが、彼女は誰かの奴隷妻に目されているのではなく、肉人形として弄ばれ、いずれは責め殺される運命だと、いつか恵も思い込んでいる。自分も、そうなのだろうか。
「青谷さん……」
処女を奪い、排泄器官も摂食器官も――すべての穴を蹂躙した男に、恵は縋るしかなかった。
「あたしを……他の男の人たちに穢されても、平気なのですか?」
青谷は答えずに――浜村と場所を替わって、電球を引き抜いた。が、すぐに挿れ直して。二度三度と抜き差しした。
「性行為とは、ここに魔羅を突き立てることだ。他の穴は関係ないね」
それは正論だった。この時代から八十余年が経過した現在でさえ、『性交類似行為』はすくなくとも売春防止法の規制を受けていない。
「非道い……」
そう怨じるのが、やっとだった。
「サックを着けていれば、この穴だって同じだ。もちろん、僕の許しを得ないで勝手な真似はさせないがね」
つまり。もしも青谷の妻になったところで、彼の命じるがままに売春婦の真似事をさせられかねない。いや、肉の賄賂、あるいは内偵捜査の生餌にされる。女だけに、そういった方向への想像は容易にはたらいた。
しかし、そんな将来のことを考えているどころではない。ふたたび、腰の奥で灼熱が膨れあがってきた。
いっそ、ここが使いものにならなくなれば、青谷の奴隷妻にされる悲惨だけは免れる。けれど、その咄嗟の思いつきを実行に移す蛮勇は持ち合わせていなかった。
恵はみずからの意志で顔を上げて口を開いた。首を伸ばして、目の前の萎びた肉棒を口に咥えた。
灼熱の膨張が止まって、わずかずつ冷え始めた。
「舐めろ。すすれ。青谷クンに仕込まれたとおりにやれ」
荒島は頭をつかんだり腰をつかったりせず、恵の一方的な奉仕を強いる。
恵は、おずおずと舌を絡めた。まるで麩菓子を舐めているような舌触りだった。もちろん、唾液で溶けたりはしない。逆に、次第に太く硬くなっていく。
(馴れというのは恐ろしい……)
機械的に舌を動かしながら、ふっと思った。わずか十分前にはあんなに嫌悪していた行為を、吐き気を覚えることもなく実行している自分が、やりきれなくなってしまう。
もちろん、好き好んでしているわけではない。電球に膣を焼かれる恐怖から逃れるための、不本意きわまりない強いられた行為ではあるのだけれど。涙がにじむ気配すらないのも事実だった。それどころか――男というものは、射精するとすぐには勃起しないのだと、わずか二日の見分と体験とで、恵はじゅうぶんに学んでいる。年齢が関係しているらしいとも。射精して一時間と経っていない五十男が、自分の口の中で自分の舌遣いで勃起している。屈辱の中に誇らしさが紛れ込んでいた。
「本官もお相伴させていただきます」
荒島に断わってから、浅利は下半身を丸出しにしたばかりか開襟シャツまで脱いで、ランニングシャツ一枚になった。この男は紗良への輪姦には加わっていない。若い巡査が『遠距離砲撃』と形容した状態になっている。
唾で自身を湿してから、恵の背中におおいかぶさった。
「くっ……」
括約筋を押し広げられる、熱い激痛。しかし、悲鳴にまでは至らなかった。
ズブズブと肛門を貫かれて、内臓を押し上げられる鈍重な不快と――下腹部が押し破られそうな圧迫と。
「ケツ穴にマンコが引っ越してきたかと思うほどの締まりですな」
膣を電球で膨満させられて、腸も圧迫されている。
「おまえも気持ちいいんじゃないか?」
恵が苦痛しか感じていないと承知のうえでの問いかけだった。
恵は、答えられる状況にはない。口はふさがれているし、首を振って歯が怒張をこすったりすれば叱られる。
「では、気持ち良くしてやろう」
体重をのし掛けられて、乳房をつかまれた。
また虐められると身構えた恵だったが――指は食い込んでこなかった。五本の指が、軽やかに乳房を撫でる。掌のくぼみが、乳首をこする。
「んんっ……んふう」
女の穴に電球を突っ込まれて発声器官も排泄器官も肉棒に犯されているという激痛と圧迫と恥辱の極致にあって、乳房にだけは甘いさざ波が生じて――浅利の手の動きにだんだんと波が煽られていく。相反する感覚に翻弄されて、恵は混乱していた。
「こら、ちゃんと舐めろ。しゃぶれ。啜れ」
荒島に叱咤されても、言葉は意味を形成せずに頭を素通りしていく。
浅利の片手が乳房からはなれた。電球のソケットを摘まんで、浅い抽挿を与える。
「きひっ……んぶうう」
電球の膨らみに膣口を拡張させられ、浅利が力を緩めると収縮が電球を奥へと咥え込む。繰り返されるうちに、激痛が鈍痛へと麻痺していく。電球の角度が変わって、ますます腸壁への圧迫が強くなって……
「ああっ……んん!」
にょるんと肉蕾を摘ままれて、恵は不本意な甘い悲鳴をあげたのだが。
「痛っ……噛みつきおった」
荒島が腰を引いた。恵が悲鳴の直後に歯をくいしばったのだった。もっとも、まだまだ快感が浅いぶん、顎を閉じる力も知れていた。荒島が怒張を維持しているのが、その証拠だった。
「逆らうとどうなるか、思い知らせてやる」
恵にしてみれば、まったくの言いがかり――荒島としては、いっそうの屈辱を与える恰好の口実だった。
荒島が棚から竹筒を取り出して、怒張に装着した。気を失っている紗良の口を犯したときに使った道具だった。
「もっと口を開けろ」
荒島の声に含まれている(あるいは芝居がかった)怒気に怯えて、恵は大きく口をあけて竹筒の蹂躙にまかせた。怒張とはまったく異質の無機質な硬さに歯先をこすられて、生理的な不快があった。
俄然、荒島が腰を激しく突き動かし始めた。紗良を犯したときはみずから腰の高さを調節していたが、その手間も省いて、お下げの根元を両手でつかんで顔の向きを上下に変えさせる。そのたびに、亀頭を口蓋におしつけられたり舌を押さえ込まれたり――顔が正面を向いたときには喉の奥まで抉られる。
「んぶ……ぶふっ……んんんっ……」
浅利は上体を起こし気味に直して、荒島の動きに合わせて腰を使いながら、両手で恵の肉蕾を刺激にかかった。剥き下げては戻し、戻しては剥き下げる。あるいは実核を摘まんで先端を強くこする。愛撫というには乱暴に過ぎるが、弄虐と呼ぶのもためらわれる動きだった。すくなくとも、昨日までは生娘だった未開発の少女には拷問にちかい扱いのはずだが――ワニグチクリップの咬虐に比べれば、じゅうぶんに受け容れられる刺激ではあったのだろう。
「んぶうう……んん……くううう」
息苦しさを訴える呻きが、だんだんと甘く蕩けてきた。
「快感が腰全体に広がっていくのがわかるか?」
耳元でささやかれてみると――快感はともかく、肛門の熱痛はずいぶんと薄らいでいるのに気づく。淫核に発する快感が、二穴の苦痛を押し返している。そんな感じがした。
「課長殿。こいつ、しっかり感じています。褒美を与えてやってください。噛みつかれる心配はありません」
口中の異物が引き抜かれて、竹筒のかぶさっていない――すでに馴染みかけている弾力に富んだ温かい肉棒が押し込まれた。それが、『褒美』という言葉に重なった。
つまりは、暗示効果と条件付けだった。恵は淫虐鬼どもの快感調教に馴致される第一歩を踏み出したのだった。
しかし。この場の主導権を握っている浅利には、無垢な少女を単なる淫乱娘に仕立てる意図はなかったのか――あるいは、自白を引き出す駆け引きの手段に残しておこうと考えたのか。荒島が動きを早めて、そのぶん恵を苦しめながら早急に埒を明けようとするのを抑えはしなかった。そしてみずからも、荒島の放出に呼応して射精に至ったのだった。
ただし、それで恵への凌辱が終わったのではない。
再び、恵の中の電球が点された。じわじわと腰の奥に熱が溜まっていく。
「く……熱い……」
呻いても、男どもは無関心を装っている。荒島など、取調官が座る革張りの椅子にふんぞり返って、のんびりと煙草をくゆらせていた。
「青谷さん、助けてください」
屈辱は打ち捨てて、またも恵は『初めての男』に哀願した。どんなに淫虐なやり方だったにしても、処女を奪った男には嫌悪一色ではない感情が揺れる。
「僕は、もう堪能した。浜村警部あたりに頼むんだね」
使用中には電気を消す――浜村の言葉を思い出した。ここにいる四人の中で、まだ恵を使っていないのは浜村だけだった。
「そんなはしたないこと、口にできません。お願いです……あたしが石女(うまずめ)になっても、いいのですか?」
恵としては、屈辱に恥辱を重ねて理に訴えたつもりだったが。
「勘違いするなよ。僕は荒島課長殿の好意を無碍にしたくないから、あえておまえに救いの手を伸べてやってもいいと考えているだけだ。その気になれば、嫁の一人や二人、どうにでも見繕えるんだからな」
「孤児院とか女衒とか――良家の子女ってわけにはいきませんですがね」
浜村に半畳を入れられて、青谷の端正な顔がわずかにゆがんだ。
「縛られて濡らしたり敲かれて気を遣るような女を娶るなんて、僕にはできませんね」
高文組と叩き上げの反目。あるいは、権力で女を自由にすれば満足できる比較的に真っ当な男と、権力で女を甚振ることに愉悦を感じる変態との確執なのかもしれない。
しかし、恵はそんな微妙な齟齬には気づかない。身体を内側から灼かれる痛みよりも恐怖が、口にできないはずの言葉を吐かせていた。
「浜村さん。お願いですから、電気を消してあたしを使ってください」
浜村は、ちろっと青谷を振り返ってから。
「被疑者のくせに、サン付けとは狎れ狎れしい。それに、どこをどういうふうに使うのか、サッパリわからんぞ」
「浜村警部殿……」
バチンと尻を叩かれた。二日前の恵だったら大仰な悲鳴をあげていただろうが、今となっては痛みも羞ずかしさもほとんど感じなかった。
「浜村様。ケツの穴にオチンポ様を嵌めてください――それくらいは言ってみろ」
屈辱を噛み締めている暇はなかった。
「はまむらさま……け、けつの穴に、お、お……おちんぽさまを……はめてください!」
卑猥な言葉をつっかえつっかえ、口にして、最後には叫んでいた。
「まあ、いいだろう」
パチンとソケットのスイッチがひねられて、突き刺さるような熱痛が薄れた。
ほうっと安堵の息を吐いた直後。尻を灼熱が貫いた。
「ぎゃわああああっ……!」
腰をつかまれるような予告もなく、不意打ちの突貫だった。凸と凹とがきっちり合っていないのを無理矢理に押し込まれたのだから、激痛も著しかった。しかし……
浅利が横に来て、恵の股間に片手を差し入れた。三本の指で肉蕾を剥き下げて、人差し指と中指とで実核をしごく。荒々しい、しかし愛撫だった。
肛門は灼けるような痛みに苛まれ、膣は怒張した魔羅よりも太い電球で裂けそうなまでに押し広げられて――苦痛の渦の端で一点だけが、甘い稲妻に翻弄されている。
「くうう……いやあ……痛い……もっと……」
痛みに比べれば、ごくささやかな快感。ユリに与えられる極上の甘美と比べれば、惨めで残酷な快感。しかし、そこにしがみついていれば、苦痛がやわらぐのも事実だった。激痛と快感に引き裂かれながら、恵は無意識に愛撫をねだっていた。
「もっと、どうして欲しいんだ。はっきり言え」
「……もっと、お豆を……虐めてください」
なぜか、可愛がってというのをためらって、そんなふうに言ってしまった。
「なるほど。さすがは……だな。まさに慧眼というべきか。青谷警部殿では持て余すかもしれませんな」
浅利が不得要領な言葉をつぶやく。それが聞こえたのか、青谷が眉をしかめた。
「では、気を合わせて虐めてやりましょう」
浜村が恵の腰を両手でつかんで、荒腰を使い始めた。一往復ごとに抜去しては、激しい勢いで突き立てる。
浅利は真横に位置して、右手で淫核に乱暴な愛撫を加えながら、左手は掌底で乳房を押し上げながら指を大きく広げて双つの乳首を同時に転がす。
甘い稲妻に三点を翻弄されて――快感が苦痛をうわまわっていく。
「んあああ……逝く……ごめんなさい、ユリお姉様」
ユリ以外の――それも男の乱暴な愛撫で浮揚させられる後ろめたさが、恵に禁断の名前を口走らせていた。浜村は行為に夢中だったとしても、冷徹に恵を追い上げている浅利も、黙って淫劇を鑑賞している荒島と青谷も、その名を糺そうとしなかった。
――浜村が恵の腹腔に精を放ったとき、恵はまだ頂点からは程遠い高さにしか浮かんでいなかった。浅利の手もあっさりと逃げ去って、恵は地面に叩きつけられた思いだった。ズルズルと電球が抜き去られて、その刺激に官能を追い求める始末だった。
恵は机から解き放たれて、すぐに後ろ手に緊縛された。乳房を絞りあげられて、腰の奥に残っていた埋み火がじんわりと熾きた。
「あ、ああん……」
喘いでしまって。縄に愉悦を感じた自分に戸惑いを覚える恵だった。
「さすがに日曜日は早仕舞いとするか。明日からは覚悟しておけと言いたいところだが――そうそう小娘の相手ばかりもしておれん」
それとも――荒島が、青谷に目を向けた。
「若い連中に息抜きをさせてやるか?」
わざわざ青谷に断わりを入れるのは、息抜き云々は自分と関わりのあることだと、恵にもわかる。ついさっきまで自分の受けていた仕打ち。その前の、いっそう無惨な紗良への輪姦。荒島の言葉の意味は、わかりたくなくてもわかってしまう。
「他人の種を孕まさない予防をしていただけるなら、僕は構いませんよ」
浜村や浅利よりも青谷のほうがよほど残酷だと、恵は痛感した。またワイヤーを跨がされようと、紗良さんみたいに灼けた針を突き刺されようと――いいえ、殺されたって、こんな男に傅いてなるものか。その決意が運命をさらにねじ曲げるとは、知る由もない恵だった。
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つまり、こういう形ですね。このポーズの画像、ほとんど無いです。蟻が来りて芋虫なのかしら。
300枚を超えたのに、逮捕されてまだ2日目。
女穴は1回だけ、発声器官と排泄器官が、それぞれ2回ずつ。拷問椅子の凸凹極太擂粉木と棒ヤスリはカウントに入れません。
でも、本文中にも書きましたが、ゴムを装着していれば胡瓜と変わりはないんだからノーカンになるんでしょうかね。法的には、そうなっていませんけど。
どうも、クビが危ない。3か月単位の契約更改が、今回は1か月。次の更改交渉は9月初旬頃ですが、かなり W Arrow です。
などという話は、サブブログ(→)にまかせて。
盆休みには脱稿するでしょうが、そうすると前後編に分けて9,10月公開ですからぎりぎり月刊維持ですが、盆休み中に新作に着手は難しいでしょう。まあ、10月からは時間がたっぷり……あると困るのです!
Progress Report 3 は、こちら→
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第三章六幕です。
濠門長恭初挑戦のマングリ返し緊縛連姦は、すでに終わっています。製品版の発売をお待ちください。
・肛姦と口姦と
さすがに署内の全員ということもなく、紗良への凌辱は二十人ほどで終わった。
連れて来られたときとは違って後ろ手枷を掛けられて、両側から支えられても立っていられないまでに消耗していたので、引きずられて取調室から引きずり出された。
弓子も狸縛りの吊りから下ろされて、やはり全裸に後ろ手枷という惨めな(しかし、すっかり慣らされてしまった)姿で連れ去られた。
恵ひとりだけが、四匹の淫虐鬼の中に取り残されていた。荒島、浜村、浅利、青谷――記録係を務める淀江が不在ということは、恵を自白に追い込むつもりがないからだろう。そうとでも考えなければ、淫虐鬼どもの打ち合わせに合点がいかない。
「こいつは、元から変態趣味があったわけですから……なまなかな責めでは心をへし折れんでしょう」
青谷が、いずれは自分の物にするはずの女を鬼どもの前に突き飛ばすようなことを言う。
「さて、どうですかね。こいつ、まだ媾合いの味を知らんのですよ。だから、平気で破廉恥な真似ができるのです」
「そんなものかな。まあ、女にかけてはピカイチの浅利クンが言うのだから、正しいのだろうが」
「では、色責めに掛けてみますか」
衆議一決。
恵にも、色責めの意味は薄々察せられる。昨日と今日で、察せられるようにされてしまった。だから、余計に戦慄する。
(こんな大怪我をしているところを、この人たちはまだ虐めるつもりなのだろうか)
目の前で見せつけられてさえも、怪我をしていない部位が残されていることに、恵は気づかない。そして――粘膜を切り裂かれての出血など、この男どもはかすり傷くらいにしか思っていないということにも。
「味を教え込むとなると、海老責めのままでは無理か」
浜村が恵の縄を解いた。
「…………」
滞っていた血行が甦って、全身がジインと痺れた。
「はあ、はあ、はあ……」
思い切り貪る空気を甘くさえ感じた。
が、安逸は一瞬。記録係用の小机が部屋の中央に引き出され、上体を直角に曲げられてうつ伏せに縛りつけられた。両手で左右の脚を握らされて手首を縛りつけられる。開脚させられて膝も縛りつけられた。小さな机なので、乗っているのは腹部だけ。乳房は机の向こう側に剥き出しに立っている。
(犬のような姿で犯される……)
恵は、自分の理解が三分の一しか正しくなかったと、すぐに思い知ることになる。
恵の目の前で、浜村が奇妙な作業を始めた。先革をはずして放置してあった竹刀の先端に大きなビー玉を乗せて、それをガーゼでくるむ。そのままガーゼを先端から二十センチあたりまで何重にも巻き付けた。
「よっこらせ」
浅利が恵の目の前にバケツを置いた。恵が失禁したときの始末に使われたものよりふた回りは大きい。水がいっぱいに張られている。
浜村がそこに竹刀を浸けて。ガーゼから水が滴って床を汚すのも気にせず、恵の後ろへまわった。
肛門に冷たい感触を押し付けられて、今さらに恵は狼狽した。ヤスリのつぎは竹刀。異物で陵辱する拷問だと直感した。
「力を抜いていろ。力むと痛いぞ」
力んでいるつもりはなかった。しかし、自然と括約筋だけでなく全身が硬直してしまう。
ずぐうううっと……一気に竹刀を押し込まれた。
「いぎゃああっ……熱いっ!」
激痛というよりも、狭い穴を無理矢理に抉じ開けられる不快きわまりない拡張感。そこに灼熱が重なっている。
「ぎひいい……」
竹刀が回転するのが肛門に感じられた。腸の奥まで突かれて、内臓が押し上げられるような圧迫を下腹部に感じた。
ズポッと、小さく音がして――灼熱が消えた。
鼻先に竹刀が突きつけられた。まだらに茶色く汚れている。小さな固形物もこびりついていた。悪臭が鼻の奥まで突き抜ける。
「可愛い顔していても、内側はこんなものだ」
浜村はバケツに竹刀を突っ込んで掻き回した。固形物が剥がれて、ガーゼの色もわずかに薄くなった。
ぞんざいに洗われた竹刀が、ふたたび恵を貫く。
「熱い……いやあああ」
同じ灼熱を繰り返されて、驚愕の無いぶんだけ悲鳴は抑制されていた。
「女の中には、しこたま貯めているやつも多いが、おまえは腸が綺麗だな」
恵は便秘とは無縁だった。どころか。昨日の朝に食べてからは米の一粒も口にしていないというのに、今朝も少量だがお通じがあった。逆さ吊りにされているときは、跡始末できなかった汚れに内心で悶絶していたのだが、今は汚物を見せつけられなくて済んだ。まさしく、不幸中の幸いではあった。
「青谷警部、こちらも口開けをなさいますね」
同じ階級の歳下を、丁寧な口調でけしかける浜村。
「口開けは、そこのやつで済んでいるでしょうに」
青谷が尋問用の椅子を目で指した。
「いやいや。陰間などは張形でさんざんに修練を重ねておきながら、水揚げと称しますからね」
異物挿入は数のうちにはいらないと、浅利が真面目くさって言う。
「玄人を相手にしているぶんには構わんが、善良な少年にまでは手を出すなよ」
荒島が苦笑を交える。つまり浅利は、善良な少女には手を出しているということなのだろう。
「なるほど。では、先達のお言葉に甘えるとしましょう」
青谷が立って、恵の後ろへ動いた。
事ここにいたっては、恵も自分の運命を悟らざるを得ない。二十四時間前までは、そのような行為が世の中に存在することすら知らなかった――不衛生で破廉恥な醜行。
他の男ではなく青谷だというのが、微かな救いのようにも思えたけれど。どうせなら、ヤスリで犯される前に……ぼんやり像(かたち)作られかけた言葉を、恵はあわてて打ち消した。
この男の奴隷妻になど、絶対にならない。あたしはユリお姉様を護って責め殺されるのだ。かすかに甘い味のする絶望だった。
ペッと唾を吐く音がして、すぼまった穴を指でこねくられた。そして……
竹刀とは違って灼けるように熱い感触が押し当てられて。閉ざされた穴が、ぐうううっと押し込まれて。ずぶりと貫かれた。
「いやああああっ……熱いッ!」
棒ヤスリや竹刀は、恵を一瞬で貫いた。けれど青谷は、じわじわと押し入ってくる。だからといって括約筋を拡張される熱痛感がやわらぐこともなく、苦悶の時間だけが長引く。
「きひいいい……くう……」
青谷の下腹部が尻に突き当たって、わずかに激痛が落ち着く。
「はああ……はあ、はあ」
口を開けて喘ぐだけの余裕を、恵は取り戻した。
青谷が抽挿を開始した。熱痛がうねって、息が自然と押し出される。
「はっ、はっ、はっ……痛い……もう、赦して……ください」
自分が哀願していると、恵は気づいていない。
「どうにも太平洋ですね。萎えてしまいますよ」
「腸には筋肉がありませんからね。そのかわり、括約筋の締まりは女穴の比ではないですよ。雁首を入口でしごくようにするのが、肛姦の極意です」
浅利が指南すると、青谷が早速に実践する。
「ぎひいっ……痛い痛い痛い……やめて……」
雁首に拡張されては、すぼまると内側から『返し』の部分で抉じ開けられる。ただ淫茎を突き挿れられるよりも、痛みは大きい。しかも、激しく律動する。
不意に熱痛が抜去された。
(終わったんだ……)
惨めに安堵した恵だったが。お下げを頭の後ろで束ねて引き上げられた。
(…………!?)
頭を無理強いに引き起こされた鼻先に、まったく衰えていない剛直が突きつけられた。、牛熱い部屋の中でも湯気を立てている。はっきりと異臭をはなっていた。
「口を開けろ」
恵は青谷の顔を見上げて、固く唇を引き結んだ。言葉に従えば、腸内の汚れにまみれた怒張を頬張らされるに決まっている。
「強情ですね」
青谷が荒島を振り返って、わざとらしい苦笑を浮かべた。
浜村が立ち上がって、棚から有刺鉄線の束を取り出した。淫虐鬼どもが『鉄鞭』と称している凶器。それを手にして、恵の横に立った。
「躾は最初が肝心ですよ」
右手を上げて、鞭の根元を乳房に押しつけた。 有刺鉄線の棘が柔肌に突き刺さる。
「くっ……」
口を開けるわけにはいかない。恵は意識して悲鳴を封じた。
「浜村さん。それは、さすがに可哀そうです。僕も大岩警部補の顰(ひそみ)に倣うとしましょう」
青谷がズボンのベルトを抜いて浜村に渡した。
「そうですか。赤ん坊に乳をやれなくなっては拙いですね」
昨日は乃木も華江を相手にそんなことを言っていた。一発や二発、有刺鉄線で乳房を敲いたところで、そこまで酷いことにはならないのだが――母性本能への恫喝としては大きな効果がある。
浜村は鉄鞭のときのような威嚇はせずに、いきなり右手を撥ね上げた。
バシイン!
「きゃああっ……!」
乳房が爆発したような衝撃と、一瞬遅れての重たい激痛。
悲鳴を吐き終えても半開きになっている口に、青谷が怒張を近づける。
すでにそれを拒む気力は粉砕されていたが――自身の汚れを口に入れることへの嫌悪感が、無意識のうちに口を閉じさせていたのだろう。
バシイン!
「きゃああっ……ごめんなさい」
不本意な謝罪を口にして、恵は目を伏せた。醜悪な怒張が、ふたたび近づいてくる。
「口を開けろとは言ったが……ちゃんと咥えろ」
屈辱に頭をクラクラさせながら、恵は言葉に従った。
口を閉ざすと、臭気が鼻腔の奥を突いた。硬いけれど笛(くらいしか、口に咥えたことはなかった)なんかとは違って、柔らかさで上塗りされている――キュロンとした舌触りだった。
「聞き分けがよくなったな。しゃぶれ。舐めるんだ」
言葉の意味は理解できても、すぐには実行できなかった。嫌悪があったし、要求を受け容れればつけ込まれて、いっそう淫らな仕種(それがなんであるか、想像は出来なかったけれど)をしいられるのではないかという駆け引きめいた気持ちもはたらいていた。
恵の横で、浜村と浅利が入れ替わった。浅利は恵に横合いから腕をまわして、両手でバンドを握って乳房に押し当てた。バックルに先端を通してベルトを引き絞っていく。乳房がつぶれて、胸全体も圧迫されて息苦しくなってくる。
「んぶ……?」
ベルトが横に滑って、乳房をしたたかにこすった。灼けるような痛み。乳首には激痛が奔った――のだが、ベルトで敲かれる爆発的な痛みではなく、チリチリする感覚の奥には、不快とは断じられないくすぐったさが潜んでいた。
浅利の掌が恵の尻を撫でた。
「警部殿のおっしゃる通りにしろ」
ペチンと叩かれた。先輩への苛酷な拷問を見せられ、自身も逆さ吊りにされたり拷問椅子に座らされたりワニグチクリップやベルト鞭の洗礼を受けている恵には、わずかな恥辱を与える以上の効き目はない。怒張を咥えさせられている少女に激痛を与えれば、加虐者の側に不測の事態を生じかねないゆえの配慮――とまでは気づかない。不服従を続けるともっと痛い目に遭わせるぞという脅しだと思ってしまう。
その思い込みを裏付けるように――胸を巻くベルトが左右に滑った。灼けるような痛みと、鋭く繊細な感触と。
恵は嫌悪をねじ伏せて、口中の異物に舌を這わせた。いざ、そうしてみると――感触も大きさもまるきり異なってはいるものの、ユリとの舌の戯れで覚えた要領を無意識に応用して、まったく純粋無垢な少女とは思えない淫靡な蠢かし方をしてしまう。
「おお、うまいぞ。これなら立ちん坊でじゅうぶんに稼げるな」
立ちん坊というのは街娼の謂である。遊郭が公認されていても、籠の鳥を嫌って、多大の危険(性病、地回り、強盗など)を承知で街に立って客を引く。浮浪罪で逮捕されることもあるが、数日間慰み物にされて放逐されるくらいで済む。そういった事情までは知らない恵だが、青谷の言葉が侮辱だとは、声の調子で察せられた。
しかし、しゃぶり始めてしまっては、いまさらにやめるには、かえって意志の力が必要になる。
「裏筋もなめろ。雁首の裏に、縦に筋があるのはわかるな――そう、そこだ」
「鈴口――小便の出る穴だ。そこを舌先で突っつけ。まわりを舐めろ」
次々と押しつけられる要求にも素直に応じてしまう。
胸の圧迫が減った。ベルトが緩められて――まだ左右に滑り始めた。が、痛みはなかった。乳首だけが刺激されて、チリチリする感覚が鮮明になる。くすぐったさが快感に変じた。
青谷が、お下げをつかんだまま腰を前後に揺すり始めた。
「頑張れ、頑張れ」
浅利が囃し立てながら、ベルトをいっそう激しく滑らせる。
荒々しい快感がさざ波になって、だんだんと大きくうねり始めた。
「んぐ……むぶう……んくっ、んんっ……」
喉を突かれて込み上げる吐き気をこらえる呻きに、快感の喘ぎが重なった。しかし快感は、ユリから与えられるそれの四半分にも満たない。それでも、だんだんと快感が苦しさや屈辱を上まわり始めて――
「んむっ……」
力むようなうなり声とともに、熱い滾りが恵の喉奥にぶち撒けられた。
「げふっ……」
咳き込みかけると、いっそう強く腰を押し付けられた。
「吐き出すな。飲み込め。命の源だ。一滴残らず飲み干せ」
無理に吐き出せば、乳房を敲かれるか拷問椅子か、それともワイヤーを跨がされるか、もっと残虐な拷問か。恵は喉の痙攣にさからって、口中の汚濁を嚥下した。
「だいぶん素直になってきたな」
犬の頭を撫でるようにぽんぽんと恵の頭を叩いてから、青谷が抜去した。
「ふううう……」
今度こそ終わったと、安堵の吐息。しかし。
「初めてにしては上出来だった。褒美をやろう」
浜村が白熱電球を恵に見せつけた。ソケットに嵌められていて、スイッチをひねると眩く点灯する。家庭用の電球に比べると頭部の膨らみが小さく、フィラメントが細いバネで浮いているのだが、そんな些細な違いに気づくゆとりなど恵にはない。
「…………?」
昼行燈――そんな諺が頭に浮かんだ。浜村の意図がわからなかった。
浜村の姿が背後に消えて。股間を指でこねくられた。傷口を抉られて、鋭い痛みが奔る。
「淫汁ではなく血がにじんできたか。潤滑にはなるだろう」
指が引き抜かれて――冷たい感触を押し付けられて、ようやく恵は、これから咥えられようとしている淫虐を悟った。
「おとなしくしていろ。電球が割れると大怪我をするぞ」
しかし電球は、張り裂けるのではないかと思った擂粉木よりも、さらに太い。とても挿入(はい)るとは思えない。
「無理です! やめてください」
電球の頭部が、ぐりぐりと淫唇をこねくりながら――侵入してくる。血で潤滑されていても、膣口がキシキシと軋む。
「痛い……無理! やめてください……ひいいいいっ!」
限界を超えて拡張されて――不意に、グポンと大きな塊りが下腹部を圧迫した。膣口の痛みが軽くなった。
「ぽこんと膨れているな」
淫埠を撫でられて、それが自分にも感じられた。
「夜だったら蛍見物の風流が愉しめるところだが……」
腰の奥が、ぽうっと温かくなった。いや、だんだんと熱くなってくる。電球を灯されたのだと、恵にもわかった。
「三十分も放置すれば、子を産めない身体になる」
「それは困ります。勘弁してやってください」
青谷がとりなす――のは台本どおりなのだが、もちろん恵にはわからない。
「そうですか。では、使用中には電気を消すことにしますか」
「話が逆のような気もするぞ」
荒島が恵の前に立った。ズボンを下げて越中褌を緩め、萎えた淫茎を露出した。
「勃たせてみろ」
(…………?!)
青谷以外の男から淫らな行ないを求められるとは、まるで思っていなかった。華江は乃木、弓子は大谷――組み合わせは決まっていた。紗良だけは誰からかまわず犯されていたが、彼女は誰かの奴隷妻に目されているのではなく、肉人形として弄ばれ、いずれは責め殺される運命だと、いつか恵も思い込んでいる。自分も、そうなのだろうか。
「青谷さん……」
処女を奪い、排泄器官も摂食器官も――すべての穴を蹂躙した男に、恵は縋るしかなかった。
「あたしを……他の男の人たちに穢されても、平気なのですか?」
青谷は答えずに――浜村と場所を替わって、電球を引き抜いた。が、すぐに挿れ直して。二度三度と抜き差しした。
「性行為とは、ここに魔羅を突き立てることだ。他の穴は関係ないね」
それは正論だった。この時代から八十余年が経過した現在でさえ、『性交類似行為』はすくなくとも売春防止法の規制を受けていない。
「非道い……」
そう怨じるのが、やっとだった。
「サックを着けていれば、この穴だって同じだ。もちろん、僕の許しを得ないで勝手な真似はさせないがね」
つまり。もしも青谷の妻になったところで、彼の命じるがままに売春婦の真似事をさせられかねない。いや、肉の賄賂、あるいは内偵捜査の生餌にされる。女だけに、そういった方向への想像は容易にはたらいた。
しかし、そんな将来のことを考えているどころではない。ふたたび、腰の奥で灼熱が膨れあがってきた。
いっそ、ここが使いものにならなくなれば、青谷の奴隷妻にされる悲惨だけは免れる。けれど、その咄嗟の思いつきを実行に移す蛮勇は持ち合わせていなかった。
恵はみずからの意志で顔を上げて口を開いた。首を伸ばして、目の前の萎びた肉棒を口に咥えた。
灼熱の膨張が止まって、わずかずつ冷え始めた。
「舐めろ。すすれ。青谷クンに仕込まれたとおりにやれ」
荒島は頭をつかんだり腰をつかったりせず、恵の一方的な奉仕を強いる。
恵は、おずおずと舌を絡めた。まるで麩菓子を舐めているような舌触りだった。もちろん、唾液で溶けたりはしない。逆に、次第に太く硬くなっていく。
(馴れというのは恐ろしい……)
機械的に舌を動かしながら、ふっと思った。わずか十分前にはあんなに嫌悪していた行為を、吐き気を覚えることもなく実行している自分が、やりきれなくなってしまう。
もちろん、好き好んでしているわけではない。電球に膣を焼かれる恐怖から逃れるための、不本意きわまりない強いられた行為ではあるのだけれど。涙がにじむ気配すらないのも事実だった。それどころか――男というものは、射精するとすぐには勃起しないのだと、わずか二日の見分と体験とで、恵はじゅうぶんに学んでいる。年齢が関係しているらしいとも。射精して一時間と経っていない五十男が、自分の口の中で自分の舌遣いで勃起している。屈辱の中に誇らしさが紛れ込んでいた。
「本官もお相伴させていただきます」
荒島に断わってから、浅利は下半身を丸出しにしたばかりか開襟シャツまで脱いで、ランニングシャツ一枚になった。この男は紗良への輪姦には加わっていない。若い巡査が『遠距離砲撃』と形容した状態になっている。
唾で自身を湿してから、恵の背中におおいかぶさった。
「くっ……」
括約筋を押し広げられる、熱い激痛。しかし、悲鳴にまでは至らなかった。
ズブズブと肛門を貫かれて、内臓を押し上げられる鈍重な不快と――下腹部が押し破られそうな圧迫と。
「ケツ穴にマンコが引っ越してきたかと思うほどの締まりですな」
膣を電球で膨満させられて、腸も圧迫されている。
「おまえも気持ちいいんじゃないか?」
恵が苦痛しか感じていないと承知のうえでの問いかけだった。
恵は、答えられる状況にはない。口はふさがれているし、首を振って歯が怒張をこすったりすれば叱られる。
「では、気持ち良くしてやろう」
体重をのし掛けられて、乳房をつかまれた。
また虐められると身構えた恵だったが――指は食い込んでこなかった。五本の指が、軽やかに乳房を撫でる。掌のくぼみが、乳首をこする。
「んんっ……んふう」
女の穴に電球を突っ込まれて発声器官も排泄器官も肉棒に犯されているという激痛と圧迫と恥辱の極致にあって、乳房にだけは甘いさざ波が生じて――浅利の手の動きにだんだんと波が煽られていく。相反する感覚に翻弄されて、恵は混乱していた。
「こら、ちゃんと舐めろ。しゃぶれ。啜れ」
荒島に叱咤されても、言葉は意味を形成せずに頭を素通りしていく。
浅利の片手が乳房からはなれた。電球のソケットを摘まんで、浅い抽挿を与える。
「きひっ……んぶうう」
電球の膨らみに膣口を拡張させられ、浅利が力を緩めると収縮が電球を奥へと咥え込む。繰り返されるうちに、激痛が鈍痛へと麻痺していく。電球の角度が変わって、ますます腸壁への圧迫が強くなって……
「ああっ……んん!」
にょるんと肉蕾を摘ままれて、恵は不本意な甘い悲鳴をあげたのだが。
「痛っ……噛みつきおった」
荒島が腰を引いた。恵が悲鳴の直後に歯をくいしばったのだった。もっとも、まだまだ快感が浅いぶん、顎を閉じる力も知れていた。荒島が怒張を維持しているのが、その証拠だった。
「逆らうとどうなるか、思い知らせてやる」
恵にしてみれば、まったくの言いがかり――荒島としては、いっそうの屈辱を与える恰好の口実だった。
荒島が棚から竹筒を取り出して、怒張に装着した。気を失っている紗良の口を犯したときに使った道具だった。
「もっと口を開けろ」
荒島の声に含まれている(あるいは芝居がかった)怒気に怯えて、恵は大きく口をあけて竹筒の蹂躙にまかせた。怒張とはまったく異質の無機質な硬さに歯先をこすられて、生理的な不快があった。
俄然、荒島が腰を激しく突き動かし始めた。紗良を犯したときはみずから腰の高さを調節していたが、その手間も省いて、お下げの根元を両手でつかんで顔の向きを上下に変えさせる。そのたびに、亀頭を口蓋におしつけられたり舌を押さえ込まれたり――顔が正面を向いたときには喉の奥まで抉られる。
「んぶ……ぶふっ……んんんっ……」
浅利は上体を起こし気味に直して、荒島の動きに合わせて腰を使いながら、両手で恵の肉蕾を刺激にかかった。剥き下げては戻し、戻しては剥き下げる。あるいは実核を摘まんで先端を強くこする。愛撫というには乱暴に過ぎるが、弄虐と呼ぶのもためらわれる動きだった。すくなくとも、昨日までは生娘だった未開発の少女には拷問にちかい扱いのはずだが――ワニグチクリップの咬虐に比べれば、じゅうぶんに受け容れられる刺激ではあったのだろう。
「んぶうう……んん……くううう」
息苦しさを訴える呻きが、だんだんと甘く蕩けてきた。
「快感が腰全体に広がっていくのがわかるか?」
耳元でささやかれてみると――快感はともかく、肛門の熱痛はずいぶんと薄らいでいるのに気づく。淫核に発する快感が、二穴の苦痛を押し返している。そんな感じがした。
「課長殿。こいつ、しっかり感じています。褒美を与えてやってください。噛みつかれる心配はありません」
口中の異物が引き抜かれて、竹筒のかぶさっていない――すでに馴染みかけている弾力に富んだ温かい肉棒が押し込まれた。それが、『褒美』という言葉に重なった。
つまりは、暗示効果と条件付けだった。恵は淫虐鬼どもの快感調教に馴致される第一歩を踏み出したのだった。
しかし。この場の主導権を握っている浅利には、無垢な少女を単なる淫乱娘に仕立てる意図はなかったのか――あるいは、自白を引き出す駆け引きの手段に残しておこうと考えたのか。荒島が動きを早めて、そのぶん恵を苦しめながら早急に埒を明けようとするのを抑えはしなかった。そしてみずからも、荒島の放出に呼応して射精に至ったのだった。
ただし、それで恵への凌辱が終わったのではない。
再び、恵の中の電球が点された。じわじわと腰の奥に熱が溜まっていく。
「く……熱い……」
呻いても、男どもは無関心を装っている。荒島など、取調官が座る革張りの椅子にふんぞり返って、のんびりと煙草をくゆらせていた。
「青谷さん、助けてください」
屈辱は打ち捨てて、またも恵は『初めての男』に哀願した。どんなに淫虐なやり方だったにしても、処女を奪った男には嫌悪一色ではない感情が揺れる。
「僕は、もう堪能した。浜村警部あたりに頼むんだね」
使用中には電気を消す――浜村の言葉を思い出した。ここにいる四人の中で、まだ恵を使っていないのは浜村だけだった。
「そんなはしたないこと、口にできません。お願いです……あたしが石女(うまずめ)になっても、いいのですか?」
恵としては、屈辱に恥辱を重ねて理に訴えたつもりだったが。
「勘違いするなよ。僕は荒島課長殿の好意を無碍にしたくないから、あえておまえに救いの手を伸べてやってもいいと考えているだけだ。その気になれば、嫁の一人や二人、どうにでも見繕えるんだからな」
「孤児院とか女衒とか――良家の子女ってわけにはいきませんですがね」
浜村に半畳を入れられて、青谷の端正な顔がわずかにゆがんだ。
「縛られて濡らしたり敲かれて気を遣るような女を娶るなんて、僕にはできませんね」
高文組と叩き上げの反目。あるいは、権力で女を自由にすれば満足できる比較的に真っ当な男と、権力で女を甚振ることに愉悦を感じる変態との確執なのかもしれない。
しかし、恵はそんな微妙な齟齬には気づかない。身体を内側から灼かれる痛みよりも恐怖が、口にできないはずの言葉を吐かせていた。
「浜村さん。お願いですから、電気を消してあたしを使ってください」
浜村は、ちろっと青谷を振り返ってから。
「被疑者のくせに、サン付けとは狎れ狎れしい。それに、どこをどういうふうに使うのか、サッパリわからんぞ」
「浜村警部殿……」
バチンと尻を叩かれた。二日前の恵だったら大仰な悲鳴をあげていただろうが、今となっては痛みも羞ずかしさもほとんど感じなかった。
「浜村様。ケツの穴にオチンポ様を嵌めてください――それくらいは言ってみろ」
屈辱を噛み締めている暇はなかった。
「はまむらさま……け、けつの穴に、お、お……おちんぽさまを……はめてください!」
卑猥な言葉をつっかえつっかえ、口にして、最後には叫んでいた。
「まあ、いいだろう」
パチンとソケットのスイッチがひねられて、突き刺さるような熱痛が薄れた。
ほうっと安堵の息を吐いた直後。尻を灼熱が貫いた。
「ぎゃわああああっ……!」
腰をつかまれるような予告もなく、不意打ちの突貫だった。凸と凹とがきっちり合っていないのを無理矢理に押し込まれたのだから、激痛も著しかった。しかし……
浅利が横に来て、恵の股間に片手を差し入れた。三本の指で肉蕾を剥き下げて、人差し指と中指とで実核をしごく。荒々しい、しかし愛撫だった。
肛門は灼けるような痛みに苛まれ、膣は怒張した魔羅よりも太い電球で裂けそうなまでに押し広げられて――苦痛の渦の端で一点だけが、甘い稲妻に翻弄されている。
「くうう……いやあ……痛い……もっと……」
痛みに比べれば、ごくささやかな快感。ユリに与えられる極上の甘美と比べれば、惨めで残酷な快感。しかし、そこにしがみついていれば、苦痛がやわらぐのも事実だった。激痛と快感に引き裂かれながら、恵は無意識に愛撫をねだっていた。
「もっと、どうして欲しいんだ。はっきり言え」
「……もっと、お豆を……虐めてください」
なぜか、可愛がってというのをためらって、そんなふうに言ってしまった。
「なるほど。さすがは……だな。まさに慧眼というべきか。青谷警部殿では持て余すかもしれませんな」
浅利が不得要領な言葉をつぶやく。それが聞こえたのか、青谷が眉をしかめた。
「では、気を合わせて虐めてやりましょう」
浜村が恵の腰を両手でつかんで、荒腰を使い始めた。一往復ごとに抜去しては、激しい勢いで突き立てる。
浅利は真横に位置して、右手で淫核に乱暴な愛撫を加えながら、左手は掌底で乳房を押し上げながら指を大きく広げて双つの乳首を同時に転がす。
甘い稲妻に三点を翻弄されて――快感が苦痛をうわまわっていく。
「んあああ……逝く……ごめんなさい、ユリお姉様」
ユリ以外の――それも男の乱暴な愛撫で浮揚させられる後ろめたさが、恵に禁断の名前を口走らせていた。浜村は行為に夢中だったとしても、冷徹に恵を追い上げている浅利も、黙って淫劇を鑑賞している荒島と青谷も、その名を糺そうとしなかった。
――浜村が恵の腹腔に精を放ったとき、恵はまだ頂点からは程遠い高さにしか浮かんでいなかった。浅利の手もあっさりと逃げ去って、恵は地面に叩きつけられた思いだった。ズルズルと電球が抜き去られて、その刺激に官能を追い求める始末だった。
恵は机から解き放たれて、すぐに後ろ手に緊縛された。乳房を絞りあげられて、腰の奥に残っていた埋み火がじんわりと熾きた。
「あ、ああん……」
喘いでしまって。縄に愉悦を感じた自分に戸惑いを覚える恵だった。
「さすがに日曜日は早仕舞いとするか。明日からは覚悟しておけと言いたいところだが――そうそう小娘の相手ばかりもしておれん」
それとも――荒島が、青谷に目を向けた。
「若い連中に息抜きをさせてやるか?」
わざわざ青谷に断わりを入れるのは、息抜き云々は自分と関わりのあることだと、恵にもわかる。ついさっきまで自分の受けていた仕打ち。その前の、いっそう無惨な紗良への輪姦。荒島の言葉の意味は、わかりたくなくてもわかってしまう。
「他人の種を孕まさない予防をしていただけるなら、僕は構いませんよ」
浜村や浅利よりも青谷のほうがよほど残酷だと、恵は痛感した。またワイヤーを跨がされようと、紗良さんみたいに灼けた針を突き刺されようと――いいえ、殺されたって、こんな男に傅いてなるものか。その決意が運命をさらにねじ曲げるとは、知る由もない恵だった。
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つまり、こういう形ですね。このポーズの画像、ほとんど無いです。蟻が来りて芋虫なのかしら。
300枚を超えたのに、逮捕されてまだ2日目。
女穴は1回だけ、発声器官と排泄器官が、それぞれ2回ずつ。拷問椅子の凸凹極太擂粉木と棒ヤスリはカウントに入れません。
でも、本文中にも書きましたが、ゴムを装着していれば胡瓜と変わりはないんだからノーカンになるんでしょうかね。法的には、そうなっていませんけど。
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