Progress Report 5:昭和集団羞辱史『売春編:女護ヶ島』

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注記:表題は『売春島』から『女護ヶ島』に変更しました。


 やはり、6尾も鯛が降る(フルタイム)と墓が進みます。
 ということで、冒頭は破瓜シーンです。
 いやはや。初体験でアクメなんて、エソラシドは固く戒めておりましたが。やらかしました。
 ニンフォマニアは不感症という仮説があります。男からエクスタシーを与えてもらえなくて、「あっちが駄目ならこっちかな」とつぎつぎと試すのだとか。
 そういう少女をヒロインにしてしまったので。
 初体験でアクメ体験して、その男とは二度と逢えなくなって。次の体験がまるきりエクス足りずで。アクメを求めて三千里。売春島に就職するという展開です。
 もちろん、ヒロインは単純に快楽を求めての行動ではありません。100万円あれば、廃業する隣家の田圃を購入して、足りないマンパワー(卑猥な意味はありません)は耕運機などの農機具を購入して。
 そういう設定を……原稿用紙数枚でケリをつけるやり方もあるんでしょうけどね。延々と45枚も書くとは。
 女にとって一生一度の晴れ舞台ですから、書き流すのは可哀そうです。妄想の赴くままに書いちまいました。



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  夏祭の夜


 公民館前の広場でラジオ体操が終わって、北野ユキは五百メートル先に見えている我が家に向かって歩き出した。弟の興一と隆二は反対方向へ。昨日はセミ採りだったが、今日はカブトムシだという。一昨日はバッタだった。早朝から一家総出で草取りをして、さらにラジオ体操。男の子の無尽蔵の活力には感心してしまう。
 隣家の庭先で足を止める。古ぼけた家とも青々とした田圃ともそぐわないスポーツカーが停まっている。庄内家の長男、友則のものだ。ペチャンコに見えるのは屋根が無いせいだ。こんな車は洋画でしか見たことがない。村でしょっちゅう見かける車は乗合バスか、軽トラックぐらいのもの。このスポーツカーは軽トラックの四、五台分の値段だそうだ。
 まだ学生なのに高価なスポーツカーを乗り回しているのは、家が裕福だからではない。友則は岩戸景気に乗って株の売買で大金を稼いだそうだ。株なんて博奕だと村の誰もが言っているが、友則の偉いところは引き時を知っていたことだ。儲けたお金で都会に土地を買って賃貸アパートを建てたという。まだ建築中なのに入居希望者が殺到して、空きは三戸だけ。そのうちの一戸には友則が住んで、いちばん大きな一戸には両親と妹が住む。そして残る一戸は、妹が結婚したときの新居に充てるという。なんとも豪勢な話だが、所詮は他家の話――では、すまない。
 一家が引っ越したら、隣は空き家になる。空き家はどうでもいいが、空き田圃がもったいない。北野家としては是非にも買い取りたいところだった。そうすれば、将来は兄弟二人がそれぞれに独立できる。しかし、資金がまったく足りない。田圃が倍になっても一家五人は同じ(ユキたちが小さかった頃は祖父母が健在だったから、一家四人)だから、人手も足りない。耕運機と草刈機と稲刈機を買えば二倍が三倍でも余裕だが、結局はお金に行きつく。
(この車、二百万円したっていうけど)
 その半分の百万円があれば、田圃も農業機械も買える。百万円といえば、家の年収の二倍以上。その中から種苗や肥料、農薬の代金、農協の会費も払っているから、『実入り』で考えれば四年分にも匹敵するだろうか。
 結局は戦前まで大地主だった小島家が買い取って、農業機械で処理できない雑用を周囲の家が雀の涙で請け負わされるんだろうなあ。なにも悪いことは起きていないというのに、なんとなく気が滅入る朝になってしまった。
「おや、ユキちゃん。おはよう」
 スポーツカーの持ち主が家から出てきて、ユキに声をかけた。
「あ、おはようございます」
 ぺこんとお辞儀をして頭を上げると。友則は、なんだか眩しそうにユキを見詰めている。
「あの……どうかしましたか?」
 友則の目が泳いだ。
「いや……ずいぶんおとなびたな、と。トモ兄(にい)、トモ兄ってちょこまかついてきた子とは、まるで見違えたよ」
 歳は離れているが隣家でもあり、ヤンチャな餓鬼(弟)二人の面倒も見てくれたりするうちに、ユキも弟と一緒になってまとわりついていたのだった。もっとも、友則の妹の静子とは友則を取り合って小さな火花を飛ばし合ったこともあったが。
 けれど、おとなびたのは、むしろトモ兄だとユキは思う。去年は盆も正月も帰省しなかったから、顔を合わせたのは二年ぶり。坊主頭のお兄さんではなく、ポマードの匂いを漂わす好青年に大変身。作業ズボンにランニングシャツという、ごくふつうの身なりでも、なんとなく洗練された印象を受ける。
「ずいぶん熱心に見ていたね。乗ってみる?」
「いえ、いいです」
 反射的に答えて、ちょっぴり後悔した。高級なスポーツカーに乗れる二度とないチャンスを逃したというのではなく、せっかくトモ兄を独り占めできたのにという後悔。だけど、乗ったら乗ったで照れ臭いかなと、そこまで先回りして考えてしまう。
「そう。乗りたくなったら、いつでも言ってね。定員は四人だけど、スポーツカーの後部座席は狭いから二人乗りがくつろげるよ」
「はい、ありがとうございます」
 ぺこんとお辞儀をして逃げるように立ち去って。家に帰ってから、最後の言葉が気になりだした。あれって、乗るときには弟を連れてくるなって意味だろうか。
「それは、そうだよね」
 ズックなんか、いつも泥だらけ。車の中が汚れる。たぶんそういう理由じゃないとわかってるけれど、そういう理由にしておく。

 稲が穂を孕んだら草刈りも間遠になる。ここぞとばかりにユキは宿題に取り組み、友則は連日のように同窓生と飲み歩いていた。
 二人が顔を合わせたのは、村祭りの夜だった。他県からもタカマチ(屋台)が押し寄せて、両隣の村と併せての盛大な盆踊り大会。盆踊りは最初がいちばん人数が多くて、だんだん櫛の歯が欠けていく傾向がある。そのぶん、近くの林の中や不届きにも境内の裏手がなにやらゴソゴソとざわつきだす。祭りの無礼講はなにも酒に限らないという伝統が、今も脈々と受け継がれている。当然、実りの秋は稲穂に限ったことではなく、初雪の頃にはあちこちで三々九度が交わされる運びとなる。
 こんなときでも、友則の手際は洗練されていた。野合ではなく、ガールハントといったほうがぴったりだった。
 盆踊りは男女が交互に並んで三重の輪になって踊る。女はほぼ全員が浴衣だが、男は浴衣が半数くらい。最新流行のTシャツや、まったくの普段着姿も少なくない。
 友則はアロハシャツに膝丈ズボンの太陽族ファッションで、盆踊りの輪に――加わらなかった。広い境内で家族が散り散りに分かれるとすぐに、ユキの手を引いて囁きかける。
「これから、夜の国道を突っ走らないか」
 ドキン。
 祭りの夜に男性から声を掛けられるのがどういうことか、わきまえていない娘はいない。清い身体で学校を卒業して清いままでお嫁に行く子も多いけれど――五人に一人くらいは、最後の夏に思い出を作る。去年卒業した先輩が、そんなことを言っていた。
 ずっと可愛がってくれたトモ兄。この秋には一家挙げて都会へ引っ越して、もう二度と会えない。そう思ったときには、心が決まっていた。
「十時には家に帰らないと、親が心配するから」
 友則が横に並びかけてきて、そのまま腰を抱いた。自然と、ユキも彼の腕にしなだれかかる形になった。
 人の流れに逆らって歩くアベックを呼び止める野暮はいない。せいぜい、成金に油揚げをさらわれたやっかみの視線を投げかけるくらい。
 寺のすぐ近くまで友則はスポーツカーを持ってきていた。助手席にユキを乗せて、タカマチの並んでいない間道を通って国道へ出た。
「ちょっとスピードを出すよ」
 グオンとエンジンが吼えて、背中がシートに押しつけられた。頭の上を猛烈な風が吹き抜けて、三つ編みに結んだ大きなリボンが引き千切られそうになる。
 幹線道路とはいえすでに日が暮れて、交通量は少ない。それでも数分おきに正面から眩しいヘッドライトが見る見る迫ってきて、轟音とともに横を掠め去る。遠くに見えていた先行車のテールランプがだんだん近づくと。
 プワン。
 クラクションの直後にテールランプが左へ流れて、後ろへ置いてきぼりにする。
 交通事故なんてよその国の出来事くらいにしか思っていないユキは、スピードとスリルだけを楽しんでいた。なぜか腰の奥が熱くざわついてくる。とろりとした感触を股間に感じて、うろたえる。そういった経験はこれまでにもあったし、どういうときにそうなるかも、およそは察している。
 前方にけばけばしいピンクの電飾看板が現われた。『モーテル77』
 友則をスピードを落として車を左に寄せる。今さら口説く必要は無いとわかっているのだろう。無言のまま左折して、電飾看板をくぐった。
 地面すれすれまで垂れている分厚い暖簾(?)を車の鼻先で押し分けると、そこが屋内の駐車場。友則は素早く車の後ろを回って助手席のドアを開ける。
 まるで洋画を観ているような錯覚にユキはとらわれて、ますます腰の奥がざわつく。車から降りようとして足がもつれ、友則にしがみついた。
「おっと。それじゃ、せっかくだから」
 ひょいとユキを横抱き(お姫様抱っこという言葉が広まったのは21世紀になってからである)にして、開けっ放しになっている入口をくぐった。
「休憩で」
 フロアわきの小さな窓に話しかけると、四角い棒につながれた鍵が窓口に現われた。
「二階の二三号室へどうぞ」
 階段はフロアの奥にあった。当然だが、受付の窓口からよく見える位置だ。
 階段の手前でユキは身をよじった。
「歩いて上がります」
 おろしてもらって、まだ足元がふわふわしているので、二の腕にしがみついて階段を上がる。豆電球が点滅しているドアの部屋を友則が開けて、そこでまたユキを横抱きにして敷居をまたいだ。狭い部屋の半分以上を大きなベッドが占有している。
「シャワーがあるから、汗を流しておいで」
 汗はともかく、土ぼこりが肌にへばりついている感じだった。
 シャワー室を開けて戸惑う。タイル張りの狭い小部屋。脱衣場が見当たらない。
「ここで脱いでいくんだよ」
 後ろから抱きすくめられて、ますます立っていられなくなる。しゅるしゅるっと衣擦れの音がして、帯がほどかれる。戸惑うことなく帯をほどけるなんて、ずいぶんと遊び慣れている――半年後のユキならそう思っただろう。
 頭に霧がかかってきて、いつのまにか浴衣も脱がされていた。下には腰巻も着けていないから、生まれたままの姿になった。
「これも濡れるといけないね」
 お下げのリボンまで取って。ユキをシャワー室に押し込んで磨りガラスの引き戸を閉めた。
 寝室は薄暗いから、シャワー室の明かりを点けたら向こうから丸見えになってしまう。そんなことにも気づかず、ユキはシャワーを浴び始めた。
 カララッと引き戸が開いて、全裸の友則が闖入してきた。
「きゃ……」
 シャワーを握ったまま背中を向けて両手で胸を抱えて、しゃがもうとしたところを抱きすくめられた。
「すごくきれいな裸だ。もっとよく見せてほしいな」
 友則は片手でシャワーを止めて、その手が乳房を揉んだ。
 乳房がじいんと痺れて、その痺れが甘く疼いた。乳首に触れられると、そこから心臓に向かって小さな矢のようなさざ波が奔る。
(キューピッドの矢に貫かれたみたい)
 どくんどくんどくんと心臓が激しく拍って、鼓動が背筋を伝って腰の奥を揺すぶる。
 腰に手を掛けられて、友則と向かい合った。
 友則が身をのけぞらせて、ほんとうにユキの裸身をまざまざと眺める。
「綺麗だ。可愛いよ」
 顔を近づけられて、ユキは顎を突き出して目を閉じた。
 生温かくて柔らかな感触が唇に触れて。そのまま動かない。
 腰にまわされていた手が背筋を下から上に撫でる。背中が総毛立った。といっても、悪寒ではない。逆。熱風で吹き上げられているみたい。
 強く抱きしめられて。今度は手が下へ滑って、尻の丸みを撫でる。腰の奥のさざ波が熱く滾った。
「…………」
 唇を重ねたまま、ユキは友則に抱きついた。いや、しがみついた。背筋を撫で上げられ、円を描くように尻を撫でられる。それを何度も繰り返されると、身体全体が飴のように溶けていく。そして……ふわっと身体が浮いた。のは、また横抱きにされたからだった。
「待って。身体が濡れてる」
「かまわないよ」
 そのままシャワー室から抱え出されて、大きなベッドに横たえられた。部屋の中は、さっきよりも薄暗い。それでも、友則の顔がはっきりと見える。
「怖い……」
 つぶやいて、ユキは右腕を横にして目の上に乗せた。左手は股間を隠している。
 ぎし。ベッドが軋んで、友則の存在が間近に感じられた。
 双つの乳房に、同時に掌が触れた。指が乳房の根元を円く撫でる。その円がだんだんと小さくなって、固く尖っていると自分でもわかる突起に指の腹が滑った。
「あ……」
 乳首がマッチの頭になって燃え上がったような錯覚。炎は乳房全体に広がっていく。
 友則の一方の手が腹を撫でおろす。臍をちょんっとつついてユキにちいさく悲鳴をあげさせてから、さらに股間へと滑り落ちていく。
 ユキの左手を友則が払いのけたのか、それとも自分で防壁を崩したのか。
「いやあ……」
 淫裂を撫で上げられて、心とは反対の言葉をユキの口が紡いだ。
「ひゃっ……」
 淫裂の頂点に隠れている肉芽に触れられて、驚きでも拒絶でもない甲高い悲鳴を小さく漏らすユキ。そこに不思議な突起があることは、知っていた。うっかり机の角に押しつけたりすると、腰が砕けそうになるほどの甘い衝撃が腰を貫くことも。その正体を本能的に察知していたから、敢えて触れないようにしていた、そこ。そこを友則はつまんだ。つまんで、圧迫する。
 にょるんとなにかが動いて。
「ひゃああっ……ん!」
 腰がビクンと跳ねた。腰が爆発した。厚い滾りが粘っこい熔岩にみたいに迸る。
 にょるん、にょるん……
 肉芽は敏感な本体が莢に包まれていて、それが圧迫を受けて滑っているらしいと、ユキは気づいた。いや、そんな理解はどうでもよかった。これまでも幾度か垣間見ていた快感の蜃気楼。その実態を始めて知って。どこまで快感に没入したい誘惑と、快感に没入する恐怖とが、ひとつにもつれ合っている。
 指がすこし下に動いて。
 ずぶうっと、股間を穿たれた。
「い……」
 痛いと言い切るほどには痛くなかった。むしろ。熔岩の煮え滾る中心をずぶずぶと貫かれているみたいで、肉芽を刺激されたときとは違う、もっと微かだが、くすぐったさの混じった重厚な快感が生じた。
 指が穴を掻き回す。かすかな鈍い痛みと、くすぐったさと、深く沈み込むような快感と。
 またベッドが軋んで。顔に友則の息を感じた。
「ユキちゃんの初めてをもらうよ。いいね」
「いや……」
 本心ではないけれど、「はい」だなんて、羞ずかしくて言えない。
「ユキちゃんだなんて、子ども扱いしないでください。ユキって呼んでください」
 本心だけれど、先の言葉の否定でもあった。
「……ユキ。おまえを僕の女にする」
 脚を左右に割り開かれて。
「え……?」
 腰の下に手を差し込まれて尻を持ち上げられた。
 あおむけのまま上体反らしのような形にされて、高く浮いた股間に――指よりも圧倒的に太いものが触れたと感じた直後。
 指に穿たれていた部分に、引き攣れるような痛みが生じた。ぐううううっと、太いものが押し挿ってくる。
「きひいいい……」
 はっきりと痛い。と同時に。くすぐったさはなく、重厚な快感も指よりは強い。
 ずぬうううっと、逆向きの感触が生じた。
(え……? これで終わったの?)
 腕をずらして友則の様子をうかがうと。さっきまで結合していた部分を眺めている。
 手を伸ばして桜紙を取ると、股間を拭った。その紙を広げて。ふうんといった表情。そこで、ユキの視線に気づく。
 ユキの腕を横へ引っ張って、目の前に桜紙を広げた。染みの広がった紙のまん中が、いびつな楕円形に赤く染まっていた。
「初めての証しだよ。あまり痛そうになかったから、心配になったんだ」
「そんなこと、ありません。痛かったです」
「ふうん。人それぞれなんだ。雑誌なんかだと、あまりの痛さに初夜はできなかったとか、あれこれ書いてあったから」
 後半は、なんだか言い訳めいて聞こえた。きっと、この人は他の女性の初めても奪っているんだ。けれど、それを男の不誠実とは思わなかった。そんな過去の女性よりも、あたしを選んでくれた。誇らしくさえ思った。が、友則がふたたび動き始めると、それどころではなくなった。
「今度は挿れるだけでなく、中で動くよ」
 挿入は、さっきよりも痛くなかった。そして、快感は強まっていた。
 友則は膝立ち気味になって上体を立て、ユキの腰を抱え込んで前後にピストン運動を始めた。
 ずぐうう、ずにゅ。ずぐうう、ずにゅ。ゆっくりと繰り返す。
 明美は両肩を布団につけて、腰を友則に抱えられている。両手は左右に垂らしているが、どうにも無様な気がする。ので、手を差し伸べて友則の腕に絡めてみた。
 友則はそれをユキの余裕と受け取ったらしい。両手を腰から離してユキをベッドの上に平らに寝かせて。自分はユキにのしかかり、ユキの両肩のわきに手を突いて上体を支える。そして。
 ズンズン、ズンズン……
 深く激しく突き挿れる。
「あ……」
 下腹部が密着して。友則の剛毛が肉芽をこすり上げる。
「ひゃあん、んんん……」
 指での刺激よりもずっと鋭い。小さな爆発が休むことなく繰り返される。
「うああああ……落ちる。落ちちゃう……」
 急速に膨れていく快感に意識が集中して、ベッドに押しつけられている背中の感覚が薄れていく。自然、宙に浮いて――どこまでも落下していくような錯覚にとらわれる。
 ユキは友則にしがみついた。ますます下腹部が密着して、肉芽への刺激が強まる。
 ズンズン、ズンズン、ズンズン……
「いやああ、怖い……落ちる、落ちる……」
 無意識のうちにユキは両脚を浮かして、友則の腰に絡めていた。いや、本人としては全身で男にしがみついている。
 挿入の角度が代わり、いっそう深くまで突き挿れられて。穿たれている穴のどこかで、どしりと重たいくせに鋭い大きな爆発が生じた。それが、肉芽の爆発とひとつに溶け合って。
「うああああああ! 落ちる! 落ちるうううう!」
 ユキは絶叫していた。両脚をピンと伸ばして天井に向けて突き上げ、両腕は男をきつく抱きしめて。
「わあああああっ! お゙ぢる゙ゔゔゔゔ!」
 足の指があり得ない角度にそり返って、脹脛が激しく痙攣する。
 既婚者でも生涯達し得ない女性が珍しくない高みにまで、ユキは初体験の裡に到達したのだった。
 絶頂の中でユキは無意識に全身の筋肉を緊張させていた。処女の狭隘にさらなる締め付けが加わって――ユキが達するとほとんど同時に、友則も若い精を迸らせていた。

 ユキの記憶は、挿入したまま友則がおおいかぶさってきたあたりから薄い霧に包まれている。自分が絶叫したあたりは霧が最も濃くて、ほとんどなにも覚えていない。
 霧に包まれたまま、ユキは友則の手で身体を洗われて、浴衣は自分ひとりで着付けたのか手伝ってもらったのか、はっきりしない。霧の中をふらふら歩いて、ユキはスポーツカーに乗った。ただひとつ。
「布団をずいぶん汚しちゃった。これで勘弁してよ」
 小さな窓に友則が紙幣を差し入れたことだけは、鮮明に覚えていた。
「ええっ? こんなに……いいんですか?」
 そんな声がしていたから、あれは一万円札だったかもしれない。
 スポーツカーに乗って風に吹かれているうちに、霧は晴れていった。しかし、霧の晴れた後に明確な記憶は残っていなかった。幼馴染のトモ兄に抱かれて、この世のものとは思えない恐怖さえ感じるような快感とともに女になった――そのことだけしか、覚えていなかった。
「ただいま。遅くなってごめんなさい」
 両親は黙って――温かくでもなく冷たくでもなく無関心にでもなく、ユキを迎え入れた。スポーツカーの野太いエンジン音が聞こえて、消えて。その直後にユキが返ってきたのであれば、誰と何処で何をしていたかは、詰問するまでもない。父親も母親も、何年にもわたってそれぞれに夏祭りの夜を過ごしていたのだから、娘の行動は容認するしかないのだった。


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 しかも、次の章は『淫放少女』で2回目とそれ以後を書いて。
 就職斡旋シーンを経て、ようやく本題にはいるのですから。こりゃあ300枚は行くかな。『ちょんの間』245枚と合わせると……さすが3番バッターの貫禄です。

 さて。派遣契約満了の10/10までに上電の準備まで阿弥陀リキになって進めましょう。
 でもって、10/12からはハロワ通いかなあ。


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