Progress Report Final:売姫三日晒
結局100枚ちょうどで終わりました。
やはり、少ない責めシーンを冗長に引き伸ばすのは、全体のバランスが悪くなります。
今回は、「これが書きたかったから書いた」の紹介です。
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生恥磔刑
一夜が明けて。陽も昇り切った辰の一点(午前八時頃)、女郎花は身体を折り曲げている縄だけは解かれて、後ろ手に縛されたまま仕置の場に引き出された。全裸である。どころか、股間から内腿にかけては破瓜の血はおろか白濁の残滓さえこびりついている。その無惨な姿を、何十人もの雑兵や武将、さらには人垣の奥からは妓たちにまで見られているのだった。
仕置の場は、城に向かい合った陣前だった。山の中腹にある城とは隔たっているから、正面から寄せてくる気遣いは無いにしても――あるいは敵に見せつけることで、茂親は何かを目論んでいるのかもしれない。
しかし、そのような詮索をしている心の裕りなど女郎花には無かった。いや、犯された(といえるかどうか)痕跡も明白な裸身を曝すことへの羞恥すら消し飛んでいた。
仕置の場に置かれた刑具は、磔柱だった。それも十字架ではなく、脚を開かせるための横木が付け加えられたキの字架だ。女を素裸で開脚磔に掛けるとは、残虐を凌駕して淫虐だった。
そして。磔に処すとは、槍で突き殺すか焚き殺すつもりなのだ。茂親の思わせ振りな言辞に生きる望みを見出だしていただけに、女郎花の絶望は深かった。
「御大将、秋元茂親殿」
女郎花は茂親を振り返った。彼は、身分が三つも四つも下の者に命じるべき役割をみずからに任じている。すなわち、女郎花の腰縄を握っていた。
「繰り返しますが、一切の咎はわたくしに帰すること。如何様に御成敗されようと恨みませぬが、なにとぞ、余の妓どもにはお咎め無きよう、重ねてお願い申し上げます」
「くどい。さっさと生き恥を晒せ」
茂親は短刀を抜くや、いちいちほどくのは面倒と、女郎花を縛っている縄を斬り落とした。
「あの……出来ましたら、磔に掛けられる前に身を清めたいのですが」
「儂は生き恥を晒せと申したぞ」
「…………」
女郎花は唇を噛んで、地に伏せられたキの字架の横に跪いた。たちまちに、足軽よりも身分の低い人夫どもが、女郎花をキの字架の上に仰臥させた。手首と二の腕に太い縄を巻き結んでから真横に広げさせ、上の段の横木に縛り付ける。
すでにこのとき、女郎花は違和を感じていた。下の横木が、ほとんど腰の高さにきていた。
しかし疑念は、すぐ恥辱に変じた。人夫どもは、足首と膝下と太腿の三か所に縄を掛けてから、横木の高さまで女郎花の両脚を力ずくに開かせたのだった。
女郎花は大の字どころか土の字の形で磔けられた。
「くう……このような……」
限度を超えて開かされた股関節が、びきびきと軋んだ。その苦痛以上に……これでは、真っ二つに引き開けられた淫唇の奥底まで覗かれてしまう。乙女ではなくなったとはいえ、うら若い娘に耐えられる恥辱ではなかった。
茂親が「生き恥を晒せ」と言った意味を、女郎花は痛切に理解した――と思った。
いよいよ、磔柱が押し立てられた。柱の根元は穴に深く埋められて、女郎花の裸身は四尺ほど持ち上げられただけ。つまり――並の背丈の男が真下に立って手を伸ばせば、容易に股間まで届く。長槍で胸を突くには、やや低い。
女郎花の横に捨札が立てられた。文字の読めない者のために、茂親が直々に読み聞かせる。
「推参女郎どもの長、女郎花。右の者、乱破を引き入れ戦の大事を敵方に知らしめた咎により、三日間の懲らしめ磔に処するものなり。三日後の日没まで永らえれば、解き放ちと為す」
懲らしめに磔を使うなど、女郎花には意想外だった。しかし考えてみれば、路傍で樹に縛り付けるなどして晒し者にする例は幾らでもある。それよりも一段と厳しい処罰と考えれば、奇想天外でもなんでもない。
「三日間のうちは、この者に何を仕掛けようと構わぬ」
茂親が声を張り上げた。
二人の人夫が女郎花を挟んで捨札の反対側に木の台を据えた。足軽が、これも二人。台の上に様々な小道具を並べ、横に四本の槍を立て掛けた。
槍の一本は、鋼の穂を備えた真槍。しかし残りの三本は――槍穂ではなく男根を模した木彫りの大小と、羽毛を束ねたハタキだった。突き殺すも構わず、生きたまま死なせるも善しという趣だった。
台の上の小間物も、同じこと。鞭や笞や杖もあれば、太い筆に細い針、ヤットコや短刀まであった。
「これには限らぬ。好きな得物を使え。魔羅でも許すぞ――届くならばな」
雑兵どもが下卑た嗤い声をあげた。
人垣の後ろにいた妓たちの顔色が変わった。薊、椿、桜の三人が陣所の向こう側、槍小屋へと駆け出した。
男どもの視線に耐え切れず目を固く閉じている女郎花は、その動きに気づかない。茂親をはじめとする武将たちが去り、磔柱の間近まで男どもが押し寄せてきたのは、気配で感じている。
その気配が、大きくざわついた。
「どきなさい。長から離れなさい」
薊の声に女郎花は目を開けた。三人が薙刀を掻い込んで、他の妓は素手で、磔柱を中心に円陣を作ろうとしていた。
「おやめなさい!」
女郎花は声を張って叱りつけた。
「わたくしのことは捨て置きなさい。御大将の措置を妨げてはなりません」
「これは、したり」
桜も娼売妓の分限を忘れて昔の言葉遣いに戻っている。それほどに逆上していた。
「ひめ……長には誰がどのようにしても構わぬというのが、御大将の下知のはず。我らが薙刀構えて取り囲んでも、下知に背いてはおりませぬ」
「それは詭弁と申すものです」
女郎花は妓たちの忠義をありがたいと同時に、心苦しく思った。用心棒だ扇の要だと言われようと、この妓たちに養われている身ではないか。
それは確かに――男どもに命運を握られず、女だけで乱世を生き抜けようと最初に覚悟を決めたのは女郎花ではあったが。これ以上に、己れの我儘に臣(おみ)や民(たみ)を巻き込んでよいものか。
「わたくしに危害を加える者など、ここにはいません。皆、あなたたちの上得意様ではないですか」
辱しめる者はいるだろうけれど。心の中でつぶやいて、ふっと妙案を思いついた。
「それよりも、あなた方は娼売に精を出しなさい。男は、精を放った後は女を遠ざけます。とって返してわたくしに悪戯を仕掛けようとはしないでしょう」
妓たちを相手にせず女郎花を苛めようとする男を、一人だけは知っているけれど。
桜は女郎花の真意を計るように、その目を(股間は見ないようにしながら)見上げていたが。ついと薙刀を引いた。
「御意のままに」
桜はあたりを見回して、雑兵どもに呼び掛けた。
「今日は朝から口開けだよ。これから三日、五十文を十文にまけてあげる」
思ってもいなかった口上に、雑兵どもがざわめく。
「ただし……長にちょっかいを出したやつは、総好かんを食らわせるからね!」
桜の思惑は、薊と椿には即座に伝わった。二人は他の女郎を引き連れて、槍小屋へと向かう。その後ろから、集まっていた雑兵の半数以上がぞろぞろと続いた。桜はひとり残って、女郎花の斜め後ろに立った。
仕置の場に残った雑兵どもも、磔柱を遠巻きにして見物するばかり。棒杭でも持って数人で掛かれば、女の細腕が振るう薙刀など恐くはないが――顔を見覚えられて女郎から総好かんとなれば、割に合わない。御大将の言ったごとく、女郎花の女淫に魔羅は届かないのだから。
「里乃……妾が空木の見極めを誤ったばかりに、皆に迷惑を掛けて申し訳なく思います」
「なんのことぞ、ありましょう。姫様こそ……お痛わしい」
二人の声は、雑兵どもにまでは届いていない。
そのまま黙り込む二人。生き恥を晒した姿で、話の接ぎ穂があろうはずもなかった。
陽は移ろい、天を沖し西に傾く。すでに、野次馬の姿はまばら。五十文は無理でも十文ならば融通できる。絵に描いた餅よりは食える団子が良いと、槍小屋は門前市を成す賑わいなのだろう。
身動きもならず磔けられていれば、思いを巡らすくらいしかできぬ。
ややもすれば、昔のことばかり頭に浮かぶ。ずっと昔の幸せだった頃の思い出は、父母と兄弟の死に連なる。他家に嫁いだ姉は、後ろ盾を失って追放されたのか端女に落とされたのか消息は聞かぬ。
男どもが勝手に始める戦には二度と巻き込まれまいと、桜、薊、椿と語らって女郎の一座を旗揚げして。それからは辛い日々の中にぽつんぽつんと楽しい思い出。先輩女房に仕込まれ殿方に手をつけられて磨き込まれた桜の手で初めて絶頂へ追い込まれたときの思い出は、しかし、茂親に自ら跨った破瓜の生々しい記憶の前に儚くなりつつある。
生き延びて解き放たれても。しかし、一座を続けてゆくことは叶わぬかもしれぬ。茂親に囲われるか、それを拒めば囚われて――同じことになるだろう。
それはそれで、女として諦めねばならぬ事訳(ことわけ)ではあろう。今は三万石に過ぎぬが。十年前には二千石、三年前には一万石だったと聞く。嫡男の茂親が陣頭に立つようになってより、一気に三万石まで増えたという。ならば。三年後には五万石にも十万石にもなっているのではないか。攻め亡ぼされる懸念は、それだけ遠のく。
もちろん。雑兵どもの前に生き恥を晒した身。後ろ盾もない。茂親は強大な他国から正室を迎え、我は良くて側室、あるいは身の回りの世話をする端女として扱われるかもしれぬ。
けれども。そういった先の話は、この仕置を生き延びてからのこと。槍で突き殺されるのは免れても。たかだか三日くらい飲み食いできずとも生き死にの沙汰にまでは及ばぬとしても。このように無理強いな姿で磔けられて、血の巡りが滞り手足が腐ってしまわないだろうか。すでに指先どころか肘や膝も、どこにあるかさえ分からぬまでに痺れている。肩はたえずめきめきと痛み、股関節は今にもはずれてしまいそう。
女郎花に付き添っている妓は、ひとつ文字の三人がほぼ二刻おきに交替している。顔を上気させ着付けもそこそこに立ち現われるところを見ると、五百文を百文にまけているのか、まさかに十文ではないだろうが、武将や物頭だけでなく足軽にまで身を張ってくれているのだろう。薊の頬には白いものがこびりついていたが、あるいは二人掛りまで請け合っているのか。
そうして、申の刻も過ぎ。じきに暮れ六つ(午後六時頃)。茂親が単身で姿を見せた。単身とは、側近を伴なっていないという意味である。縄やら梯子やらをもった人夫が四人付き従っているし、御大将が何をなさるのかと、野次馬もぞろぞろ。
茂親は、血の気の引いた女郎花の頬が赤く染まるまで、真正面から女淫を見上げる。それから地面に目を落とし、足で土を掻いて。
「昨晩からずいぶんと経っておるに、まだ小水を堪えておるのか」
言われて、忘れようとしていた■意がたちまちに甦る女郎花。昨夜から一滴の水も喉を潤していない。まだ日中は暑く汗もにじむ。だから、どうにか今まで持ちこたえられた。
「夜明けまで楽にさせてやる。その前に済ませておけ」
などと言われても、まさかに他人の見ている前で用は足せぬ。しかも、土の字に磔けられていては、どれほどの醜態になるか見当もつかない。
「……お赦しください」
女郎花は羞恥と■意と共に責められながら哀願した。しかし、茂親に憐憫の情など無い。
「許す。見事に小水を噴いて見せろ」
「…………」
女郎花は唇を噛んで、いっそう■門を引き締めた。
茂親は何を思ったか、朝からひとつも使われていない責め道具を載せた台に近づき、槍を手にした。鋼の穂を着けた真槍を。
茂親は懐から木賊(とくさ)を取り出して、刃を磨いた。さらに小さな砥石を取り出す。砥石は、人を斬り脂を巻いた刃を甦らせるに必需な品である。その場を動かず敵を迎え討つなら、太刀といわず槍といわず、何本も地に突き刺しておく手もあるが。しかし茂親は、常とは直角に砥石を使った。すなわち、刃を挽いた。
そして、女郎花の女淫に向けて槍を構えた。
チイン……
薊が駆け寄って槍を薙刀で打ち払おうとしたが、茂親はびくともしない。
「おやめください。敵わぬまでも手向かい致します」
磔柱と茂親との間に割ってはいろうとするが、これもあっさりと突き飛ばされてしまった。
「心配するな。殺しはせん。いや、傷つけもせぬわ」
茂親が女淫に向かって、探るように槍をゆっくりと繰り出した。
真槍といっても、戦場で鎧を突けばたちまち折れてしまいそうなほどに穂は細い。しかも刃挽きしてある。女淫を傷つけることなく、鋒先(きっさき)が挿入(はい)ってゆく。
一寸の余も鋒先を突き挿れると、茂親は柄を握る右手を腰に固定し、左腕を伸ばして穂に近いあたりを人差し指に乗せ、かすかな手応えを探りながら一厘(約〇・三ミリ)刻みに動かして……
「あっ……ああっ」
ぷしゃああああ。淫裂からか細い滝が迸った。
茂親は槍を引いたが、みずからは後ろへ逃げなかった。滝の飛沫が顔に降りかかる。
「うわははは。干天の慈雨じゃ」
ぺろりと口のまわりを嘗めて。
「甘露、甘露」
見物の雑兵どもが、わああっと囃し立てる。女に小水を浴びせられた大将を蔑むどころか褒め称えている。
衆人環視の中での放■という辱めに加えての仕打ち。女郎花は身の置き所も無く、慟哭すら忘れて羞恥に悶えるしかなかった。
「さて、余興はここまでじゃ。ゆっくり眠れるよう、縄を緩めてやろう」
茂親が淫残に嗤った。人夫が差し出す鉄棒を受け取る。鉄棒は径がわずかに五分(十五ミリ)、長さは三尺に及んだ。
磔柱には、下の横木のすぐ下に鉄棒と同じくらいの穴が明けられている。そこに鉄棒が通されて、裏表から小さな楔で固く止められた。
磔柱の左右に人夫が四つん這いになり、その上に一人ずつが乗って、女郎花の足の縄をほどいた。
女郎花は半日ぶりに足を下ろせたが、太腿の付け根で鉄棒を挟み込む形になった。
さらに人夫は磔柱に後ろから梯子を立て掛けて――二の腕の縄もほどいた。己れの重みで、女郎花の身体がずり下がる。
「あ……痛い」
磔柱から突き出る鉄棒が淫裂に深々と食い込んで、女郎花が遠慮がちな苦鳴を漏らした。
「鉄棒ではなく刀を突き立ててやってもよかったのだがな。まあ、それは明日の楽しみにしておこう」
茂親は床几を持ってこさせて、女郎花の前に腰を据えた。
「魔羅と鉄棒と、どちらの咥え心地が良いかな――俵藤三郎が次女、小夜姫殿」
すでに半ばは生気の失せていた女郎花の顔に、赤みが差した。我から進んで身を投じた境遇ではあるが、身をやつしたという忸怩も皆無ではない。
「今さらに、詮も無きことを」
女郎花、いや小夜姫は虚しい想いに身を置きながらつぶやいた。
「それにしても、何故にお知りになられましたのか?」
女郎花の素性を知るのは、ひとつ文字の三人のみ。彼女らは俵家のそれぞれ重臣に仕える女中だった。言葉を換えれば手掛(てかけ)だった。この三人が漏らすはずはない。
けれども。ふたつ文字のうち五人は俵領内の者どもであってみれば、女郎花が領主の娘とまでは夢想だにしなくとも、お城の女中くらいには思っているし、女郎花より年長の三人の接し方を見ていれば、女中のうちでもかなりに身分が上の者だろうと察してもいるだろう。
しかし、茂親から帰ってきた答は小夜姫の意想を衝いていた。
「知れたこと。小太刀を良くする娘など滅多におらぬ。なにがしの身分を持つ娘となると、さて日の本を総ても五本の指で足りよう。まして、おまえたちは西国から流れてきたというではないか」
飛耳長目とはいうけれど。この男は、百里も西で起きた些細な豪族の争いを、一年半も経ってから、今の時にこの地で、春をひさぐ女の寄り集まりと結び付けて思い出したというのだろうか。小夜姫は、秋元茂親という男を見誤っていたと知った。
「それで……妾の素性をお知りになって、どうなさるおつもりですか」
「取るに足らん素性だ、儂にとってはな。そこの捨札にある通りになさってやろうとも」
茂親は床几から立ち上がって、小夜姫に近づいた。両手で腰をつかんで、ぐいと押し下げた。鉄棒が、ますます小夜姫の股間を抉る。
「くうう……まだ嬲り足りぬと思し召しなのですか」
「丸い棒では面白くないな。刀とまでは言わぬが、明晩はせめて角棒くらいは跨がせてやろう」
小夜姫から手を放して、床几へ戻った。
「明日も慈雨を降らせてもらおうか。それには、元手を仕込まねばな」
茂親の指図で、まだ磔柱に立て掛けられたままになっていた柱を人夫が登って。後ろから手をまわして柄杓を小夜姫の口元へ近づけた。
「たんと飲め。上から注げば下から出る道理じゃ」
小夜姫は茂親を見た。おや、と思った。目の色が和らかだった。辱める支度ではなく、まさかに我が身を案じてくれているのか。
小夜姫は唇に柄杓を受けて、素直に水を啜った。乾き切った体の隅々まで潤される思いがした。二杯三倍と飲み干して、ようやくに、我は今まで人心地を失っていたのだと気づく。
「ありがとうござります」
小夜姫は素直に、心の底から礼を述べた。
ふんと鼻を鳴らして、茂親が床几から立ち上がった。
「おまえが悶え苦しむ様を眺めようとて思っていたが、これではな。明晩を楽しみにしておれ」
小夜に背を向けて陣へ戻りかけ、ふと立ち止まって振り返る。
「儂にしてみれば、おまえは小夜姫ではなく女郎花じゃ。されど、人によっては滅びた俵家の忘れ形見ではあろうな」
謎めいた言葉を残して、茂親は立ち去った
股間に深々と鉄棒が食い込んでいるとはいえ、丸みを帯びていれば苦痛にも限りがある。鉄棒に身体の重みの過半を支えられて、肩の痛みも消えた。喉の渇きも癒されれば、空腹など物の数ではない。昨夜から一睡もしていなかった小夜姫は、いつか――決して安らかとはいえないにしても泥のような眠りへと落ちていった。
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さてさて。表紙絵もこんな感じでしょう。
元図をグルグル検索しても、元ネタがひっかからずに、コピーが1件だけと、オリジナリティの侵犯がちょっと怖いのですが。輪郭抽出で彩色ですから、まあ、許してくださいね。です。
やはり、少ない責めシーンを冗長に引き伸ばすのは、全体のバランスが悪くなります。
今回は、「これが書きたかったから書いた」の紹介です。
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生恥磔刑
一夜が明けて。陽も昇り切った辰の一点(午前八時頃)、女郎花は身体を折り曲げている縄だけは解かれて、後ろ手に縛されたまま仕置の場に引き出された。全裸である。どころか、股間から内腿にかけては破瓜の血はおろか白濁の残滓さえこびりついている。その無惨な姿を、何十人もの雑兵や武将、さらには人垣の奥からは妓たちにまで見られているのだった。
仕置の場は、城に向かい合った陣前だった。山の中腹にある城とは隔たっているから、正面から寄せてくる気遣いは無いにしても――あるいは敵に見せつけることで、茂親は何かを目論んでいるのかもしれない。
しかし、そのような詮索をしている心の裕りなど女郎花には無かった。いや、犯された(といえるかどうか)痕跡も明白な裸身を曝すことへの羞恥すら消し飛んでいた。
仕置の場に置かれた刑具は、磔柱だった。それも十字架ではなく、脚を開かせるための横木が付け加えられたキの字架だ。女を素裸で開脚磔に掛けるとは、残虐を凌駕して淫虐だった。
そして。磔に処すとは、槍で突き殺すか焚き殺すつもりなのだ。茂親の思わせ振りな言辞に生きる望みを見出だしていただけに、女郎花の絶望は深かった。
「御大将、秋元茂親殿」
女郎花は茂親を振り返った。彼は、身分が三つも四つも下の者に命じるべき役割をみずからに任じている。すなわち、女郎花の腰縄を握っていた。
「繰り返しますが、一切の咎はわたくしに帰すること。如何様に御成敗されようと恨みませぬが、なにとぞ、余の妓どもにはお咎め無きよう、重ねてお願い申し上げます」
「くどい。さっさと生き恥を晒せ」
茂親は短刀を抜くや、いちいちほどくのは面倒と、女郎花を縛っている縄を斬り落とした。
「あの……出来ましたら、磔に掛けられる前に身を清めたいのですが」
「儂は生き恥を晒せと申したぞ」
「…………」
女郎花は唇を噛んで、地に伏せられたキの字架の横に跪いた。たちまちに、足軽よりも身分の低い人夫どもが、女郎花をキの字架の上に仰臥させた。手首と二の腕に太い縄を巻き結んでから真横に広げさせ、上の段の横木に縛り付ける。
すでにこのとき、女郎花は違和を感じていた。下の横木が、ほとんど腰の高さにきていた。
しかし疑念は、すぐ恥辱に変じた。人夫どもは、足首と膝下と太腿の三か所に縄を掛けてから、横木の高さまで女郎花の両脚を力ずくに開かせたのだった。
女郎花は大の字どころか土の字の形で磔けられた。
「くう……このような……」
限度を超えて開かされた股関節が、びきびきと軋んだ。その苦痛以上に……これでは、真っ二つに引き開けられた淫唇の奥底まで覗かれてしまう。乙女ではなくなったとはいえ、うら若い娘に耐えられる恥辱ではなかった。
茂親が「生き恥を晒せ」と言った意味を、女郎花は痛切に理解した――と思った。
いよいよ、磔柱が押し立てられた。柱の根元は穴に深く埋められて、女郎花の裸身は四尺ほど持ち上げられただけ。つまり――並の背丈の男が真下に立って手を伸ばせば、容易に股間まで届く。長槍で胸を突くには、やや低い。
女郎花の横に捨札が立てられた。文字の読めない者のために、茂親が直々に読み聞かせる。
「推参女郎どもの長、女郎花。右の者、乱破を引き入れ戦の大事を敵方に知らしめた咎により、三日間の懲らしめ磔に処するものなり。三日後の日没まで永らえれば、解き放ちと為す」
懲らしめに磔を使うなど、女郎花には意想外だった。しかし考えてみれば、路傍で樹に縛り付けるなどして晒し者にする例は幾らでもある。それよりも一段と厳しい処罰と考えれば、奇想天外でもなんでもない。
「三日間のうちは、この者に何を仕掛けようと構わぬ」
茂親が声を張り上げた。
二人の人夫が女郎花を挟んで捨札の反対側に木の台を据えた。足軽が、これも二人。台の上に様々な小道具を並べ、横に四本の槍を立て掛けた。
槍の一本は、鋼の穂を備えた真槍。しかし残りの三本は――槍穂ではなく男根を模した木彫りの大小と、羽毛を束ねたハタキだった。突き殺すも構わず、生きたまま死なせるも善しという趣だった。
台の上の小間物も、同じこと。鞭や笞や杖もあれば、太い筆に細い針、ヤットコや短刀まであった。
「これには限らぬ。好きな得物を使え。魔羅でも許すぞ――届くならばな」
雑兵どもが下卑た嗤い声をあげた。
人垣の後ろにいた妓たちの顔色が変わった。薊、椿、桜の三人が陣所の向こう側、槍小屋へと駆け出した。
男どもの視線に耐え切れず目を固く閉じている女郎花は、その動きに気づかない。茂親をはじめとする武将たちが去り、磔柱の間近まで男どもが押し寄せてきたのは、気配で感じている。
その気配が、大きくざわついた。
「どきなさい。長から離れなさい」
薊の声に女郎花は目を開けた。三人が薙刀を掻い込んで、他の妓は素手で、磔柱を中心に円陣を作ろうとしていた。
「おやめなさい!」
女郎花は声を張って叱りつけた。
「わたくしのことは捨て置きなさい。御大将の措置を妨げてはなりません」
「これは、したり」
桜も娼売妓の分限を忘れて昔の言葉遣いに戻っている。それほどに逆上していた。
「ひめ……長には誰がどのようにしても構わぬというのが、御大将の下知のはず。我らが薙刀構えて取り囲んでも、下知に背いてはおりませぬ」
「それは詭弁と申すものです」
女郎花は妓たちの忠義をありがたいと同時に、心苦しく思った。用心棒だ扇の要だと言われようと、この妓たちに養われている身ではないか。
それは確かに――男どもに命運を握られず、女だけで乱世を生き抜けようと最初に覚悟を決めたのは女郎花ではあったが。これ以上に、己れの我儘に臣(おみ)や民(たみ)を巻き込んでよいものか。
「わたくしに危害を加える者など、ここにはいません。皆、あなたたちの上得意様ではないですか」
辱しめる者はいるだろうけれど。心の中でつぶやいて、ふっと妙案を思いついた。
「それよりも、あなた方は娼売に精を出しなさい。男は、精を放った後は女を遠ざけます。とって返してわたくしに悪戯を仕掛けようとはしないでしょう」
妓たちを相手にせず女郎花を苛めようとする男を、一人だけは知っているけれど。
桜は女郎花の真意を計るように、その目を(股間は見ないようにしながら)見上げていたが。ついと薙刀を引いた。
「御意のままに」
桜はあたりを見回して、雑兵どもに呼び掛けた。
「今日は朝から口開けだよ。これから三日、五十文を十文にまけてあげる」
思ってもいなかった口上に、雑兵どもがざわめく。
「ただし……長にちょっかいを出したやつは、総好かんを食らわせるからね!」
桜の思惑は、薊と椿には即座に伝わった。二人は他の女郎を引き連れて、槍小屋へと向かう。その後ろから、集まっていた雑兵の半数以上がぞろぞろと続いた。桜はひとり残って、女郎花の斜め後ろに立った。
仕置の場に残った雑兵どもも、磔柱を遠巻きにして見物するばかり。棒杭でも持って数人で掛かれば、女の細腕が振るう薙刀など恐くはないが――顔を見覚えられて女郎から総好かんとなれば、割に合わない。御大将の言ったごとく、女郎花の女淫に魔羅は届かないのだから。
「里乃……妾が空木の見極めを誤ったばかりに、皆に迷惑を掛けて申し訳なく思います」
「なんのことぞ、ありましょう。姫様こそ……お痛わしい」
二人の声は、雑兵どもにまでは届いていない。
そのまま黙り込む二人。生き恥を晒した姿で、話の接ぎ穂があろうはずもなかった。
陽は移ろい、天を沖し西に傾く。すでに、野次馬の姿はまばら。五十文は無理でも十文ならば融通できる。絵に描いた餅よりは食える団子が良いと、槍小屋は門前市を成す賑わいなのだろう。
身動きもならず磔けられていれば、思いを巡らすくらいしかできぬ。
ややもすれば、昔のことばかり頭に浮かぶ。ずっと昔の幸せだった頃の思い出は、父母と兄弟の死に連なる。他家に嫁いだ姉は、後ろ盾を失って追放されたのか端女に落とされたのか消息は聞かぬ。
男どもが勝手に始める戦には二度と巻き込まれまいと、桜、薊、椿と語らって女郎の一座を旗揚げして。それからは辛い日々の中にぽつんぽつんと楽しい思い出。先輩女房に仕込まれ殿方に手をつけられて磨き込まれた桜の手で初めて絶頂へ追い込まれたときの思い出は、しかし、茂親に自ら跨った破瓜の生々しい記憶の前に儚くなりつつある。
生き延びて解き放たれても。しかし、一座を続けてゆくことは叶わぬかもしれぬ。茂親に囲われるか、それを拒めば囚われて――同じことになるだろう。
それはそれで、女として諦めねばならぬ事訳(ことわけ)ではあろう。今は三万石に過ぎぬが。十年前には二千石、三年前には一万石だったと聞く。嫡男の茂親が陣頭に立つようになってより、一気に三万石まで増えたという。ならば。三年後には五万石にも十万石にもなっているのではないか。攻め亡ぼされる懸念は、それだけ遠のく。
もちろん。雑兵どもの前に生き恥を晒した身。後ろ盾もない。茂親は強大な他国から正室を迎え、我は良くて側室、あるいは身の回りの世話をする端女として扱われるかもしれぬ。
けれども。そういった先の話は、この仕置を生き延びてからのこと。槍で突き殺されるのは免れても。たかだか三日くらい飲み食いできずとも生き死にの沙汰にまでは及ばぬとしても。このように無理強いな姿で磔けられて、血の巡りが滞り手足が腐ってしまわないだろうか。すでに指先どころか肘や膝も、どこにあるかさえ分からぬまでに痺れている。肩はたえずめきめきと痛み、股関節は今にもはずれてしまいそう。
女郎花に付き添っている妓は、ひとつ文字の三人がほぼ二刻おきに交替している。顔を上気させ着付けもそこそこに立ち現われるところを見ると、五百文を百文にまけているのか、まさかに十文ではないだろうが、武将や物頭だけでなく足軽にまで身を張ってくれているのだろう。薊の頬には白いものがこびりついていたが、あるいは二人掛りまで請け合っているのか。
そうして、申の刻も過ぎ。じきに暮れ六つ(午後六時頃)。茂親が単身で姿を見せた。単身とは、側近を伴なっていないという意味である。縄やら梯子やらをもった人夫が四人付き従っているし、御大将が何をなさるのかと、野次馬もぞろぞろ。
茂親は、血の気の引いた女郎花の頬が赤く染まるまで、真正面から女淫を見上げる。それから地面に目を落とし、足で土を掻いて。
「昨晩からずいぶんと経っておるに、まだ小水を堪えておるのか」
言われて、忘れようとしていた■意がたちまちに甦る女郎花。昨夜から一滴の水も喉を潤していない。まだ日中は暑く汗もにじむ。だから、どうにか今まで持ちこたえられた。
「夜明けまで楽にさせてやる。その前に済ませておけ」
などと言われても、まさかに他人の見ている前で用は足せぬ。しかも、土の字に磔けられていては、どれほどの醜態になるか見当もつかない。
「……お赦しください」
女郎花は羞恥と■意と共に責められながら哀願した。しかし、茂親に憐憫の情など無い。
「許す。見事に小水を噴いて見せろ」
「…………」
女郎花は唇を噛んで、いっそう■門を引き締めた。
茂親は何を思ったか、朝からひとつも使われていない責め道具を載せた台に近づき、槍を手にした。鋼の穂を着けた真槍を。
茂親は懐から木賊(とくさ)を取り出して、刃を磨いた。さらに小さな砥石を取り出す。砥石は、人を斬り脂を巻いた刃を甦らせるに必需な品である。その場を動かず敵を迎え討つなら、太刀といわず槍といわず、何本も地に突き刺しておく手もあるが。しかし茂親は、常とは直角に砥石を使った。すなわち、刃を挽いた。
そして、女郎花の女淫に向けて槍を構えた。
チイン……
薊が駆け寄って槍を薙刀で打ち払おうとしたが、茂親はびくともしない。
「おやめください。敵わぬまでも手向かい致します」
磔柱と茂親との間に割ってはいろうとするが、これもあっさりと突き飛ばされてしまった。
「心配するな。殺しはせん。いや、傷つけもせぬわ」
茂親が女淫に向かって、探るように槍をゆっくりと繰り出した。
真槍といっても、戦場で鎧を突けばたちまち折れてしまいそうなほどに穂は細い。しかも刃挽きしてある。女淫を傷つけることなく、鋒先(きっさき)が挿入(はい)ってゆく。
一寸の余も鋒先を突き挿れると、茂親は柄を握る右手を腰に固定し、左腕を伸ばして穂に近いあたりを人差し指に乗せ、かすかな手応えを探りながら一厘(約〇・三ミリ)刻みに動かして……
「あっ……ああっ」
ぷしゃああああ。淫裂からか細い滝が迸った。
茂親は槍を引いたが、みずからは後ろへ逃げなかった。滝の飛沫が顔に降りかかる。
「うわははは。干天の慈雨じゃ」
ぺろりと口のまわりを嘗めて。
「甘露、甘露」
見物の雑兵どもが、わああっと囃し立てる。女に小水を浴びせられた大将を蔑むどころか褒め称えている。
衆人環視の中での放■という辱めに加えての仕打ち。女郎花は身の置き所も無く、慟哭すら忘れて羞恥に悶えるしかなかった。
「さて、余興はここまでじゃ。ゆっくり眠れるよう、縄を緩めてやろう」
茂親が淫残に嗤った。人夫が差し出す鉄棒を受け取る。鉄棒は径がわずかに五分(十五ミリ)、長さは三尺に及んだ。
磔柱には、下の横木のすぐ下に鉄棒と同じくらいの穴が明けられている。そこに鉄棒が通されて、裏表から小さな楔で固く止められた。
磔柱の左右に人夫が四つん這いになり、その上に一人ずつが乗って、女郎花の足の縄をほどいた。
女郎花は半日ぶりに足を下ろせたが、太腿の付け根で鉄棒を挟み込む形になった。
さらに人夫は磔柱に後ろから梯子を立て掛けて――二の腕の縄もほどいた。己れの重みで、女郎花の身体がずり下がる。
「あ……痛い」
磔柱から突き出る鉄棒が淫裂に深々と食い込んで、女郎花が遠慮がちな苦鳴を漏らした。
「鉄棒ではなく刀を突き立ててやってもよかったのだがな。まあ、それは明日の楽しみにしておこう」
茂親は床几を持ってこさせて、女郎花の前に腰を据えた。
「魔羅と鉄棒と、どちらの咥え心地が良いかな――俵藤三郎が次女、小夜姫殿」
すでに半ばは生気の失せていた女郎花の顔に、赤みが差した。我から進んで身を投じた境遇ではあるが、身をやつしたという忸怩も皆無ではない。
「今さらに、詮も無きことを」
女郎花、いや小夜姫は虚しい想いに身を置きながらつぶやいた。
「それにしても、何故にお知りになられましたのか?」
女郎花の素性を知るのは、ひとつ文字の三人のみ。彼女らは俵家のそれぞれ重臣に仕える女中だった。言葉を換えれば手掛(てかけ)だった。この三人が漏らすはずはない。
けれども。ふたつ文字のうち五人は俵領内の者どもであってみれば、女郎花が領主の娘とまでは夢想だにしなくとも、お城の女中くらいには思っているし、女郎花より年長の三人の接し方を見ていれば、女中のうちでもかなりに身分が上の者だろうと察してもいるだろう。
しかし、茂親から帰ってきた答は小夜姫の意想を衝いていた。
「知れたこと。小太刀を良くする娘など滅多におらぬ。なにがしの身分を持つ娘となると、さて日の本を総ても五本の指で足りよう。まして、おまえたちは西国から流れてきたというではないか」
飛耳長目とはいうけれど。この男は、百里も西で起きた些細な豪族の争いを、一年半も経ってから、今の時にこの地で、春をひさぐ女の寄り集まりと結び付けて思い出したというのだろうか。小夜姫は、秋元茂親という男を見誤っていたと知った。
「それで……妾の素性をお知りになって、どうなさるおつもりですか」
「取るに足らん素性だ、儂にとってはな。そこの捨札にある通りになさってやろうとも」
茂親は床几から立ち上がって、小夜姫に近づいた。両手で腰をつかんで、ぐいと押し下げた。鉄棒が、ますます小夜姫の股間を抉る。
「くうう……まだ嬲り足りぬと思し召しなのですか」
「丸い棒では面白くないな。刀とまでは言わぬが、明晩はせめて角棒くらいは跨がせてやろう」
小夜姫から手を放して、床几へ戻った。
「明日も慈雨を降らせてもらおうか。それには、元手を仕込まねばな」
茂親の指図で、まだ磔柱に立て掛けられたままになっていた柱を人夫が登って。後ろから手をまわして柄杓を小夜姫の口元へ近づけた。
「たんと飲め。上から注げば下から出る道理じゃ」
小夜姫は茂親を見た。おや、と思った。目の色が和らかだった。辱める支度ではなく、まさかに我が身を案じてくれているのか。
小夜姫は唇に柄杓を受けて、素直に水を啜った。乾き切った体の隅々まで潤される思いがした。二杯三倍と飲み干して、ようやくに、我は今まで人心地を失っていたのだと気づく。
「ありがとうござります」
小夜姫は素直に、心の底から礼を述べた。
ふんと鼻を鳴らして、茂親が床几から立ち上がった。
「おまえが悶え苦しむ様を眺めようとて思っていたが、これではな。明晩を楽しみにしておれ」
小夜に背を向けて陣へ戻りかけ、ふと立ち止まって振り返る。
「儂にしてみれば、おまえは小夜姫ではなく女郎花じゃ。されど、人によっては滅びた俵家の忘れ形見ではあろうな」
謎めいた言葉を残して、茂親は立ち去った
股間に深々と鉄棒が食い込んでいるとはいえ、丸みを帯びていれば苦痛にも限りがある。鉄棒に身体の重みの過半を支えられて、肩の痛みも消えた。喉の渇きも癒されれば、空腹など物の数ではない。昨夜から一睡もしていなかった小夜姫は、いつか――決して安らかとはいえないにしても泥のような眠りへと落ちていった。
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さてさて。表紙絵もこんな感じでしょう。
元図をグルグル検索しても、元ネタがひっかからずに、コピーが1件だけと、オリジナリティの侵犯がちょっと怖いのですが。輪郭抽出で彩色ですから、まあ、許してくださいね。です。
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