Progress Report 4:悦虐へのエチュード~スケバンにリンチをねだる未通マゾ
タリホー! アフターバーナー全開!
といったところです。
書きかけの章を仕上げました。この24時間(平日=ジェダイの騎士)で、6400文字です20枚です。
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さまざまな激痛
素股で中途半端に押し上げられたり、三重苦(短小包茎早漏)の相手をさせられたり、不完全燃焼のまま日が暮れた希美だったが、楚葉の真骨頂はここからだった。
希美を除く八人はTシャツにミニスカートかホットパンツかスラックスといった気楽な服装に着替えて、夕食は定番のカレー(くらいはスケバンでも作れる)をわいわいきゃいきゃい食べて。希美は平ゴム二本の水着姿で開脚正座をし続けて、夕食はカレー鍋にぶち込まれた残飯を犬食いさせられて。
約束どおりにアルバイトの学生たちが、大量の花火とアルコールを含む清涼飲料を携えてバンガローを訪れた。
希美の身体をちょっとだけ味見した海の家の二人と、貸しボート屋で割りを食った二人と、見知らぬ三人と。七人はキャンパスの先輩後輩友人の関係だそうだ。さすがに、こちらの人数に合わせるのは無理だったようだ。
八人だけでも女の子が一人余るというのに、希美も参加させられた。過剰露出の水着をTシャツ(だけ)に着替えさせられたのだから、全員で希美を嬲るという趣向ではなさそうだった。
バンガローの近くでは他の小屋に泊まっている人たちに迷惑を掛けるから、五十メートルほど離れた広場へ移動した。簡単なバーベキューの設備があるので、そこのテーブルで、まずは乾杯。
大所帯なので三つに分かれた。二年生の薬世、詠子、綺麗が同じテーブルで、男性も三人。希美は二年生の麻紀と向かい合って左右に海の家の二人。麻紀には見知らぬ三人組のうちの一人。三年生は四人がひとかたまりになって、男性は一人だけ。
幹部の三年生が後輩に花を持たせた形だなと、希美は思った。
乾杯は缶ビール。二十歳未満だからと遠慮するものなんかいない。希美も楚葉に命令されれば、拒めない。
「へえ。百合香学園なんだ、お嬢様なんだね」
「御令嬢が多いのは確かだけど、おれらはスケバンだぜ。ああ、そこのパンツ穿いてないやつはウリ専な」
続きをしようと言っていた二人を楚葉が仕切って希美の両側に座らせたときから、そんな予感はしていたし覚悟もできていたけれど、何もけしかけるようなことは言わなくていいのに。これから、もっともっと辱しめられるんだなと、期待する諦める希美だったのだが。
「またまたあ。こんな可愛い子がスケバンなら、是非ともタイマンをお願いしたいね」
「おまえな。酔ってもいないうちから、そういうアブナイ発言はやめとけ」
男性陣が最初からアクセル全開なのに対して、色恋には免疫のないスケバンはブレーキに足を掛けて戸惑い気味――だったのだが。全員が輪になって花火を始めると、空気も次第に溶け合ってくる。
楚葉が人差し指をくいくいと曲げて地面を示したので、希美はしゃがみ込んで見物する。Tシャツの裾は股下五センチとないから、立っている者でも正面からは股間を覗けてしまう――のに、まったくとは言わないけど、見てくれない。テーブルで隣り合った子を口説くか、いい雰囲気になろうと懸命になっている。そして、希美についた二人は。
「花火なんてガキの遊びだよ。僕らは、もっと楽しい火遊びをするぜ」
早々に希美をグループから引っ張り出そうとする。
「おれも飽きたな。先に帰ってるぜ。希美も用事が済んだら、早く帰って来いよ」
楚葉は希美の股間に視線を注いで、言外に意味を含ませる。三人の三年生も、リーダーと行動を共にして。バーベキュー広場は、希美を含めて五人の女の子と七人の男になった。さらに。
「おいら、どうも男は苦手だ。五お、抜けたっと」
麻紀まで逃げてしまった。
希美は二人の相手をするが、それでも男が二人余ってしまう。麻紀とカップルになる予定だった青年は、俺も仲間に入れろと、希美のグループに割り込んできて。三年生四人の世話係みたいになっていた青年は、明日は早番だからとか口実を設けて自分たちの宿舎へと引き上げて行った。
こうして、三組のカップルと一組のカルテットが成立する。
すぐに希美はバーベキュー広場の奥へ連れ込まれる。ヘアバンドに一万円札二枚を挟んで、替わりにコンドームを取り出す。
目の前で別の火遊びを始められたカップルは、刺激されたのか辟易したのか、思い思いの方角へと消えて行った。
希美は順番待ちの二人に見物されながら、最初の相手に抱かれた。昼間の三重苦の中年男との青姦よりも、ずっと興奮した。三十分ほどで海の家の二人を片付けて、最後の一人はとあたりを見回したのだが、どこにも居なかった。
「ゴムを着けてても、他人の後には違いないものな」
「一万円が惜しくなったのかな。日当の二日分だし」
「あの人、彼女持ちかもな」
二人は勝手に納得して、精液の切れ目が縁の切れ目とばかり(多分、円も切れたのだろう)、それでも希美をバンガローまで送り届けてから、帰って行った。昼間の様子も見ているから、楚葉たちがほんとうにスケバンだと信じて、危ない橋は引き返したといったところが案外と真実かもしれない。
バンガローには火遊びをしなかった五人だけが居た。三人は朝帰りになるかもしれない。
「それじゃ、おれらも火遊びのやり直しといこうか」
希美の顔を見ると、すぐに楚葉が立ち上がった。紙袋を希美に持たせる。
ビニール電線やスプレー缶、他にもごちゃごちゃと入っている。もしかすると、あたしを可愛がってくれる小道具だろうか。かき氷と身体との物々交換よりも、乗るために乗せたときよりも、さっきのウリよりも――希美の胸は妖しくときめいた。
火遊びに付き合うのは、市代と二年生の麻紀。市代は昼休みの旧校舎でも、楚葉に次いで希美を甚振っていたから分かるが、麻紀は以外だった。年上の青年との一夜のロマンスより年下の女の子を虐めるほうを選ぶなんて、この人もサディスチンなんだろうか。
月明りに照らされたバーベキュー広場には、一時間ほど前の花火のゴミが散らかっているだけで、誰も居なかった。楚葉は黙ってゴミを集め始めた。リーダーにならって全員で手伝ったから、すぐ綺麗になったのはいいけれど。ゴミを希美が持っている紙袋に入れられた。集めたゴミの中には、まだ使っていない花火も混じっていた。
希美に花火のゴミと希美への責め道具を持たせたまま、楚葉は広場の奥へ行って。
「どうせだから、まだ残っている花火を遊ばんじまおうぜ」
子供の遊びなんて、どうでもいいのに。もどかしく思う希美だったが、とんだ勘違いだった。希美は楚葉の命令で、たったひとつ身体を隠しているTシャツを脱いで、地面に大の字になった。
希美の裸体の上に、楚葉がネズミ花火を乗せた。双つの乳首にひとつずつ、腹の上にも二つ。最後の一つを縦にして淫裂にあてがったが。
「まあ、ここは勘弁しといてやらあ」
希美の脚を閉じさせて、淫埠の上に置いた。
柄付ライターは二つあったので、楚葉と麻紀が点火係。
「…………」
希美は純粋の恐怖につかまれていた。肌の上で花火を燃やされたら、火傷をするに決まっている。なのに、じっと我慢していなければならない。
カチッ……楚葉がライターを点火する。麻紀もリーダーにならう。
「熱っ……」
ライターの炎が肌を舐めるのは一瞬だが、それでも熱いのに。
シュウウ、シュシュシュシュッ……
ネズミ花火が小さな炎を吐いて回り始めた。
「きゃあああっ……熱い!」
チリチリチリッと、腹の上で鋭い熱痛が奔り回った。乳房に激痛が渦巻く。希美は全身を突っ張って耐えるしかなかった。払い落とすなんて、考えなかった。
腹の上のネズミ花火はすぐに転げ落ちたのだが、乳房の二つは乳首に絡みついて、外れるまでに数秒は回っていた。
パン、パンッ! パン、パパン!
ネズミ花火が激しく回転しながら乳首から飛び上がった直後に、五つのネズミ花火が爆発した。小さな爆発だから、もし乳首に絡まったままでも、そんなにひどい火傷まではしなかったかもしれないが――恐怖のどん底で経過した数秒だったのはたしかだ。
「さすがはパイパンの御加護だな。けがねえな」
楚葉が紙袋から取り出したビニール電線で、希美の肌にこびり付いている燃え滓をはたき落とした。
ああ、次はこれが鞭になるんだなと、火傷にひりひり痛む肌よりも、希美はそちらが気になった。しかし、ビニール電線の出番は、まだだった。
バーベキュー広場の奥は雑木林になっている。その立ち木を指差して、楚葉が命令する。
「そこで逆立ちをしな。脚を開いて二本の木で支えるんだよ」
足を付ける倒立ならできる。開脚ということは――まさか股間を打ち下ろされるんだろうか。いつものように、恐怖が八割と二割のときめきと。
楚葉が紙袋を漁って取り出したのは、円筒形の花火だった。打ち上げ花火らしい太いのもあれば、手に持って星の連発を楽しむ細長いのもある。それを楚葉は、開脚して上向きに開いている二つの穴に挿し込んだ。
「…………」
打ち上げ花火は高く上がるし、連発花火は手で持つ代わりに股間で支えるだけだから、派手かもしれないけどネズミ花火よりも安全だ――希美は強く自分に言い聞かせた。本格的に痛い責めは、売春を承知させられたときの緊縛と針責めから二か月ちかく、してもらっていない。これは、あたしが心の中で望んでいたことなんだ。そうも自分を説得してみる。それでも、飛び散る火花への恐怖は――ネズミ花火を体験した直後だけに大きかった。
ヴァギナには太い打ち上げ花火、アヌスには細い連発花火を三本。
いよいよ点火――となったところで、楚葉が舌打ちした。
「こりゃあ駄目だ。打ち上げ花火は、根元に導火線があるんだっけ」
すでにヴァギナの中に埋もれている。外で点火して素早く突っ込めば――燃えている火薬が粘膜に押し付けられるのだから、ネズミ花火の火傷くらいでは済まない。
結局、連発花火をヴァギナに二本とアヌスに一本の配分になった。
「物足りないだろうが、我慢しな」
「はい……」
希美が返事をしたのは、沈黙を続けると不貞腐れていると難癖をつけられるかもしれないと、楚葉におもねったからだった。花火を突っ込まれること自体が物足り過ぎている。
アヌスの一本は、マッチ箱の紙ヤスリで頭を擦って着火させるタイプ。ヴァギナの二本は紙縒りを燃やすタイプ。三本同時に火を点けられて。
シュウウ……ポンッ、ポポン。まずアヌスの花火が噴火し始めて、紙縒りの二本が数秒遅れで燃え出す。
ボボボボボウウッ。股間から火の噴水が噴き上がった。
樹に寄りかかって逆立ちしているから、身体はわずかに後ろへ傾いている。剥き出しの腹と乳房に、まだ熱い火薬の燃え滓が降り注ぐ。
「ひいいいっ……」
希美はぎゅっと目を閉じた。目に入ったら、失明するかもしれない。
五秒か十秒か。ヴァギナとアヌスが熱くなってくる。突っ込まれている紙の筒の中では火薬が燃えているのだから当然だった
「たあまや~」
「かぎやあ~」
けらけら嗤っているのは市代と麻紀だけで、楚葉は花火の燃え具合と希美の反応を注意深く観察している。
楚葉の判断では、それほどの危険は無かったのだろう。花火は無事に燃え尽きた。
「お遊びは終わりだ」
倒立を赦されて地べたにぺたんと座り込み、肌をあちこちさすっている希美を見下ろして、楚葉が愉しそうに意地悪い笑みを浮かべた。
「痛いことをしてもらえないとか、親父に愚痴ってたよな。今夜は、たっぷり可愛がってやるぜ」
何日も全身に傷が残っても差し障りのない夏休みになるのを、おれも待っていたんだ。そう言って、楚葉はトラロープを取り出す。
「手を出しな」
両手を揃えて前で縛られた。ロープが太い枝に投げ掛けられて、希美は両手を引き上げられる。手首は引っ張られるが、ロープが食い込むほどではなく、希美は自分の足で立っている。
いよいよ本番と、楚葉がビニール電線を取り出したとき。
「姐さーん」
サブリーダーの妙子が広場に駆け込んで来た。
「綺麗が輪姦(まわ)されました。泣きながら帰って来て、怪我は……マンコが血まみれってだけですが、いきなり三人にやられたんだ。今、亜香里が手当てしてやってます」
「よし、すぐに戻る」
楚葉は吊られている希美はそのままに捨て置いて、バンガローへ続く道に向かった。
「希美は、おれらが戻って来るまで放置プレイを愉しんでろ」
ずいぶんな扱いだけど、手下とオモチャなら、手下を大切にするよね。虐められるときの、ときめきが綯い混ざった悲哀ではなく、悔しさの滲む悲哀を希美は噛み締めた。
けれど、感傷に浸っていられる状況ではなかった。花火の煙が消えたせいか、薮蚊が肌にたかってくる。手を縛られているから、叩き潰すことも払い除けることもできない。身体を揺すり足を跳ね上げ頭を振って、必死に追い払った。
希美の主観では二時間くらいだが、頭上の満月がそんなに位置を変えないうちに、楚葉は戻って来た。市代と麻紀だけではなく、綺麗も引き連れていた。
綺麗は瞼を泣き腫らしているのと、花火をしていたときと服装が替わっている二点を除けば、とくに変わった様子は見られない。輪姦されただけで、縛られたり殴られたりしたのでなければ、当然ではあるが。
「おまえがちゃんと三人を相手にしてれば、綺麗が姦(や)られることはなかったんだ」
きつい口調で楚葉に詰られて、希美は何のことか分からなかった。
「綺麗も百合枝会の一員だ。男の一人や二人、金玉を蹴飛ばして逃げるくらいはできるさ。けど、三人掛かりで押さえ込まれちゃ、おれだってどうにもならねえ」
言い掛かりもいいところだった。けれど、楚葉に言い返すなんて、希美にはできない。
「気が済むまで、こいつに詫びを入れさせな」
楚葉がビニール電線を綺麗の手に握らせた。
綺麗は戸惑っているようだったが、楚葉の屁理屈に納得したのか、ただの鬱憤晴らしか。ビニール電線を二つ折りにして握り直した。長さは一メートル余。
「待ってください。あたしにも責任があるとしても、悪いのは三人組じゃないですか」
いくらなんでも理不尽だ。ほんとうは希美に責任は無いけれど、そこまでは言えなかった。
「他人の頭の蝿を追える身分じゃねえだろが」
楚葉が決めつける。綺麗には、優しく声を掛ける。
「もちろん、三人には落とし前をつけさせるさ。出陣前の血祭りってやつだ。遠慮するこたあねえ。希美をぶちのめしてやりな」
綺麗が頷いて、ビニール電線を振りかぶった。
反射的に、希美は後ろ向きになった。
ひゅんんっ、パッシイン!
「痛いっ……!」
尻に叩きつけられたビニール電線は、肌を切られるような激痛だった。しかし、軽い。ピッチャーの投げる球を重いとか軽いという、その軽さだった。トラロープ四本の鞭は、骨にまで響く重たさがあった。
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
軽いから、楚葉に比べれば非力な綺麗でも立て続けに鞭を振るえる。
日焼けしてヒリヒリしている肌への激痛に悲鳴を上げた希美だったが、二発目からは「うっ」と息を詰めるような小さい呻き声を漏らすだけで耐えている。鋭いU字形に始まる細長い鞭痕が尻に何条も刻まれていった。
楚葉が綺麗を止めて、希美に非情の命令を下す。
「おれたちにケツを向けるんじゃねえ。こっちを向け」
やっぱり、おっぱいも叩かれるんだ。希美は、のろのろと向きを変えた。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きゃああっ……!」
尻とは痛みが桁違いだ。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きひいいっ……!」
希美は乳房を震わせながら、一打ちごとに悲鳴を噴きこぼした。
乳房も赤い線条で埋め尽くされた。
「ぼつぼつ仕上げといこう。希美、がばっと股を開きな」
いずれはその命令が来ると、希美は覚悟していたが。いざ実行しようとすると、膝が震える。
「あああ、あ……」
希美は目に涙を浮かべながら、じりじりと脚を左右に開いていった。
麻紀が電線をアンダースローに構えた。そのまま、ちろっと楚葉をふり返って。
「ええいっ」
掛け声とは裏腹に、ソフトボールだったらキャッチャーまで届きそうにない勢いで腕を振り上げた。
パチン……
「あぐっ……?」
痛いことは痛いが、期待覚悟していた激痛ではなかった。
「僕、もういいです。こいつを虐めたところで、憂さ晴らしにもなりゃしない」
麻紀が電線を楚葉に返した。
「そうかい。それじゃ、市代と先に帰ってな。おれは、こいつの欲求不満を解消してやってから戻る」
二人を追い返して。楚葉が、あらためて希美と向かい合う。
「これで、おまえが望む以上に可愛がってやれるぜ。子分の中にゃ、おれの遊びを良く思わないやつもいるからな」
敵対しない者をリンチに掛けるのは百合枝会のポリシーに反するし、どれほど過激でもSMプレイは性的遊戯に過ぎないから硬派が耽る行為ではない――といったところか。
楚葉がポケットから剃刀を取り出した。ビニール電線の両端をライターで炙ってから、剃刀で被覆を切り取って、銅線を五センチほども露出させた。極細の銅線を数本ずつ撚り合わせる。
綺麗と同じようにビニール電線を二重にして、しかし端ではなく曲げた部分を手に握った。鞭の先端は、針のように尖った銅線の束。
「そんなに怯えた顔をするなよ。せいぜい二週間もすれば治るくらいの傷で勘弁してやるよ」
銅線をべろりと舌で舐めて、サディスチンの笑みを浮かべる楚葉。
「おれも女だが、女っやつは身勝手でいけねえや。返す金は無ねえのに、死んだって風呂に入るのが厭って女を説得するときに、こいつを使うんだそうだ。まあ、一年に一人、いるかいないかだが」
裸商売だから、傷は残さない。ただし、治療費で借金は百万ばかり増えるがな――と、希美を怖がらせるんだか安心させるんだか、分からないようなことを言ってから。一転して凄みの利いた声で叱りつける。
「誰が足を閉じていいと言った。おれは麻紀のピンチヒッターだからな。同じ場面からプレイボールだぜ」
さっきよりずっと凶悪になった鞭で、女の子のいちばんの急所を、たぶん麻紀の何倍もの強さで打ち据えられる。希美は、頭がくらくらするほどの恐怖に捕らわれた。けれど、そのくらくらの一パーセントくらいには、胸がねじれ腰が熱くなる妖しいときめきが紛れ込んでいた。
全身を震わせながら脚を左右に開く希美。
楚葉は腕を大きく後ろへ引いて……
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
股間で火の玉が爆発したような激痛。希美は野獣のように吼えた。
「うあああ、ああ……」
膝が砕けて、全体重が吊られている手首に掛かった。その痛みを、希美はほとんど感じていない。股間を見下ろすと、無毛の丘に何本もの細い切り傷が刻まれていた。
「しゃんと立て。一発や二発で終わると思うなよ」
言いながら、肘から先だけで希美の乳房を水平に薙ぎ払った。
しゅっ、パシン。
「きひいいっ……」
軽い一撃でも、麻紀に同じところを叩かれたときよりも痛いくらいだった。軽いが、ずっと鋭い。
しゅっ、パシン。
しゅっ、パシン。
希美は乳房に鞭の往復ビンタを食らいながら、膝に力を入れて懸命に脚を開いた。残酷な一撃を股間に受けるために。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
反射的に希美は身をよじり片脚を引き付けて股間を庇った――ときには、股間を抉った鞭先がそのまま上に振り抜かれて、下腹部から胸の谷間まで深紅の線条を刻み、顔の手前で後へ跳ねた。さらに斜め下に振り下ろされて、乳房から脇腹を切り裂く。
「ぎびい゙い゙い゙っ……!」
激痛に身悶えしながらも、希美は足を踏ん張って、鞭を受ける姿勢に戻った。
さらにもう三回。下から上、斜め上から下へと鞭先が希美の肌を切り刻む。麻紀が付けた細い線刻が、滲んだ血で隠される。
「これくらいで勘弁しといてやる――マンコはな。後ろを向け」
お尻なら耐えられるだろうと、ほっとした思いで希美は後ろ向きになった。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……!」
股間よりはましだったが。背中を鞭打たれて、やはり希美は悲鳴を上げた。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎひいっ……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きひい……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……」
立て続けに背中を斜めに切り裂かれて、希美は悲鳴を抑えられない。叫んでいるうちに、頭に霞が掛かってきて――腰の奥に痺れがわだかまっていく。もう赦してほしいという願いと、もっと虐めてくださいという悦虐とが拮抗する。
尻にも五発の鞭を与えて、ようやく楚葉は手を止めた。
「今日は二か月分の遊び道具をいろいろ持って来てるんだぜ」
楚葉が次に取り出した責め具は洗濯バサミだった。決して楽な責めではないが、銅線剥き出しのビニール電線に比べれば、どうってことはない――という希美の楽観は、目の前で洗濯バサミの嘴を開閉させられて吹っ飛んだ。先端から五ミリのあたりに、釘が打ち込まれていた。反対側の嘴には小さな穴が空いていて、斜めに切り落とした釘先が突き抜けている。
「洗濯バサミなんて生ぬるいし、針がほんとに痛いのは突き刺すときだけだからな。ちょいと工夫してみたんだ」
これなら、洗濯バサミと針の両方を同時に味わえるんだぜと、とことん希美に恐怖を与える。
「釘をペンチで斜めに切ってあるんだ。待ち針より痛いぜ。とは言っても……」
半日くらいは着けっ放しにしても大丈夫なのは実証済みだと、安心させながら言外に長時間の責めを匂わせる。
「順番としては、こっちからだな」
楚葉は希美の乳首を摘まんで引き伸ばして、くわっと嘴を開けた洗濯バサミを近づける。いっぱいに洗濯バサミを開いて乳首を挟み込んだ。
パチン!
楚葉は指を滑らせて洗濯バサミを手から放した。
ブツッ……と、釘が乳首を突き抜ける音を、希美は身体で聞いた。
「びぎひいいいっ……!」
激痛が脳天まで突き抜けて。甲高い悲鳴。希美は今日一日だけで、これまでの三か月分以上の絶叫を絞り出されているのではないだろうか。
反対側の乳首にも着けられて、再びの悲鳴。洗濯バサミの圧痛と釘の貫痛との区別なんか、つかない。両者が絡み合って、ネズミ花火のほうが百倍ましに思えた。
楚葉が三つ目の洗濯バサミを手に取った。
「あ、あああ……それだけは……赦してくださいい」
唇をわななかせながら懇願する希美。このときばかりは、無理強いに虐められたいとは、さすがに一欠片も思っていなかった。股はきつく閉じ合わされて、つま先立ちするほどに腰は後ろへ引かれている。
「打ち上げ花火を上下逆さに突っ込まれたいのか。子宮目掛けてドッカーンだぜ」
脚を閉じていれば、並みのペニスよりも太い花火を挿入などできないのだが――ヴァギナの中で火薬が(比喩表現ではなく)爆発する恐怖に、希美は打ちのめされた。
お姉様は、ほんとはそんな大怪我をさせるようなことはしない。心の底では信頼している。それを裏返せば――クリトリスを釘付き洗濯バサミで挟まれても、想像を絶する激痛だろうけど、大怪我はしないのだろうと、責めを受け容れる覚悟につながる。
「怖い……」
希美はしゃくり上げながら、さすがに腰は引いたまま、おずおずと脚を開いた。
楚葉が手を伸ばしてクリトリスを摘まんで引っ張る。わずかな痛みだが、無自覚のうちに希美の腰が突き出される。楚葉は横に回り込んで身体を密着させて腰を動かせなくさせてから、親指と薬指でクリトリスの根本を摘まんだまま、残る二本の指で器用に包皮を剥き下げて、素早く洗濯バサミに実核を咬ませる。
パチン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」
喉から血しぶきが飛び散るような絶叫。
「ひいいいいいいい……」
吐き続ける悲鳴が、次第に弱々しくなって、希美は半失神状態に陥った。
しかし、楚葉は許さない。バチンバチンと、頭が激しく揺れるほど強く往復ビンタを張って、希美を束の間の安息から引きずり出す。
「乳首とクリトリスへの愛撫だけじゃあ、満足できねえよな。やっぱり、マンコに太いのを咥え込まなくちゃな」
希美は、目の前にかざされた物を見て、もはや絶望の吐息を吐くしかなかった。
それは擂粉木を短く切断したものだった。ただし、何本もの木ネジが埋め込まれていて――浅い円錐形の頭と鋭く尖った先端が数ミリずつ露出している。こんな物をヴァギナに突っ込まれたら……凄く痛いのは当然だけど、二度と使い物にならなくなってしまいはしないだろうか。
「こいつは、名器養成ギプスでもあるんだぜ。マンコの中の襞々が増えて、蚯蚓千匹か数の子天井か、そんな感じに……なるかもしれねえな。こいつは、さすがに試したことが無えからな」
お姉様は、あたしの心を読めるんだろうか。希美の疑問は、そちらへ向かった。銅線剥き出しの電気コードはヤクザが実際に使うと言っていたが、釘付き洗濯バサミもは楚葉自身が工夫したと言わなかっただろうか。それなら、いつ誰に試したのか――そこへは考えが及ばなかった。
楚葉が擂粉木を股間に近づける。もはや希美には、脚を閉じて抗う気力も無い。だいいち、クリトリスを咬む洗濯バサミをこねくって、自分でいっそう激痛を増す結果になる。
こんな苛酷な責めを受けて、希美はなおヴァギナを濡らしている――のではない。鞭傷から滴り釘に貫かれたクリトリスからも垂れている血が潤滑となって、擂粉木の頭部は容易に貫入した。
「痛い……」
擂粉木をじわじわと押し込まれて、希美は小さく呻いただけだった。数時間前の希美だったら絶叫していたかもしれないが、立て続けの想像を絶する激痛に馴致され、叫び過ぎて喉も涸れている。
楚葉は擂粉木を完全に埋没させた。小淫唇で擂粉木の後ろを包み込むようにして、大陰唇までぴっちり閉じ合わせた。そして、最後の責め道具を取り出す。幅が五センチ以上もある特大の目玉クリップだった。
目玉クリップで大淫唇を閉ざされても、希美はほとんど無反応だった。全身の激痛に比べれば、幅のある金属板で強く挟まれるくらい、どうということもないのだった。
「おれの遊びは、これでおしまい。おまえは、朝まで余韻を楽しんでいな」
楚葉の言葉は、このまま放置するという意味だ。
「と言っても、このままじゃ虫に刺されて、鞭よりも酷いことになるな。それは可哀相だから」
楚葉が紙袋からスプレーを取り出した。
「虫除けスプレーを噴いといてやるよ」
しゅううううっ……背中から尻へ噴き付ける。
「ひいい……沁みる……」
肌が冷感に包まれて、それが無数の針となって突き刺さるような感覚。
腕と脚にも噴き付けられたが、傷ついていないので、幾らかの冷感があっただけ。
希美を動かすより自分で動くほうが手っ取り早いと、楚葉が希美の正面へ回り込んで。
しゅううううっ……
「ぎひいいいっ……!」
乳房に噴霧されて、激痛に身悶える希美。
こうなると、目玉クリップで淫裂を閉ざされている――内奥にまで噴き込まれずに済むのだけが、わずかな救いだった。
全身の激痛にのたうつ希美を残して、楚葉はバーベキュー広場から立ち去った。
数分としないうちに、それまでの冷感が失せて、替わりに燃え上がるような熱感が襲ってきた。
冷感から熱感への転換。この感覚に、希美は心当たりがあった。臭いもそっくりだ。虫除けスプレーというのは嘘で、筋肉消炎剤だろう。もっとも、ハッカには虫除けの効果もあるから、そういう目的にも使える――としても。虫除けだろうと筋肉消炎剤だろうと、傷口に噴霧は厳禁だ。
鞭の余韻どころではない。洗濯バサミに咬まれた三つの突起が、絶え間ない激痛を送り込んでくる。封印された擂粉木がだんだん膨れてくるような錯覚。これからが、何時間も続くほんとうの責めだとさえ言えるのだった。
リンチされたいだなんて馬鹿なことを妄想したのが、間違いだった。妄想に留めておけば良かったのに、土壇場でも逃げられるチャンスをお姉様は与えてくださったのに……あたしって、救いようのない馬鹿だ。希美は激痛に身をよじり涙を流しながら、後悔した。その一方で……
馬鹿なんじゃない、マゾなんだ。この地獄のような苦しみも、明日とは言わないけど明後日くらいには、思い出しながらオナニーに耽るんだわ。そこまで想いが至ると――激痛はそのままに、甘い陶酔が頭を浸食し始める。
その一夜は希美にとって、それまでの生涯で(物心ついてからわずかに十年とちょっとではあるが)もっとも長い一夜だった。
激痛にも馴致され、筋肉消炎剤の効果も薄れてくると、物思いに耽る余裕さえ生まれる。
お姉様に、あたしは大きく変えられた――のではない。それまで心の奥で渦巻いていた妄想を、お姉様が現実のものにしてくださったんだ。悪い方向への変化だと、自分でも思う。素行も勉強も。けれど、誰かが言っていた。世の中には、言っていいことと、言ったら面白いことがあるって。
こんなに痛いのは、二度と御免だ。でも、卒業までずっと、二度とこんなことをしないってお姉様が約束してくださったら……それも淋しいかな。つまり、心の底では、こんなことやもっと非道いことを……されたいんだろうか。
鞭打ちの余韻と釘付き洗濯バサミの激痛とヴァギナの中の木ネジ擂粉木の圧倒的な違和感と筋肉消炎剤の刺激とに悶えながらも、夜が更けていくにつれて希美は睡魔に襲われていた。日焼けは肉体を消耗する。晴天下の露出が著しい興奮の反動をもたらしているし、二か月半ぶりの苛酷な責めは心身の両面にダメージを与え続けている。
希美は微睡んでは、吊られた手首に加わる体重の痛みで引き戻され、立っているうちにまた睡魔に襲われて――ついには浅い眠りの中へと漂い出ていった。
「ちょっと、きみ……大丈夫か?」
身体を揺すぶられて、希美はぼんやりと瞼を開けた。見知らぬ男性の顔が、目の前にあった。ひどく戸惑っている。男性の後ろ、かなり離れたところに、若い(といっても、希美より十は上だろう)女性も立っている。
「何をして……されたの? 誰かに乱暴されたのか?」
この人たちもバンガローに泊まっていたのか、それとも地元のアベックかもしれない。朝の散歩に出掛けて……裸で傷だらけで変な飾りを着けて木から吊られている女の子を発見して。あたしが、ロマンスをサスペンスにしちゃったんだ。
希美は、男性よりも激しくうろたえた。騒ぎになっては、自分も楚葉も困る。このまま静かに二人に立ち去ってもらうには……
「SMプレイなんです。あたしが望んで……ご主人様に調教してもらっているんです」
こう言うしかなかった。プレイなんて軽い気持ちではないけれど。自分にだってうまく説明できないことを、他人に理解してもらうのは不可能だ。その必要も無い。
「だから、言ったじゃない。放っとけばいいって」
静かな早朝の、希美とアベックしかいない広場。希美の声は後ろの女性にまで聞こえていた。
「まだ十五六でしょ。とんでもない変態だわ」
同性からの軽蔑しきった罵声は、何よりもつらい。売春をしているときに男性から投げ掛けられた言葉は、たとえ侮辱が含まれていても腰の奥に響いてきたが、今は胸を突き刺すだけだった。
「何を熱心に見てるのよ。いやらしい。あなただけ、そうしているといいわ」
女性が踵を返して、大股にずんずん歩き出した。男が、慌てて後を追って――希美は、また独り取り残される。
――楚葉が来て希美を解放したのは、午前七時過ぎだった。
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最後の目玉クリップでの大淫唇封鎖。これは、この画像がインスパイア元です。
短い動画もあります。細いビニール紐で下腹部をピシピシしています。縦でなく横に敲いているのが残念。合意プレイの限界ですかしら。
動画ではすぐにダブルクリップを外してしまいますが、蜜がとろ~りと垂れているのが映っています。画像も動画も、幾たびとなくG線上のアレヤコレヤに活用させていただきました。短い動画が切り出しなら、是非ともフルバージョンを有償で構わないので入手したいものです。
うん。ネットでは無料DLできるあれこれが氾濫しています。金を払ってまでとなると、よほどの余程です。
なので。よほどの余程を決断されたWILL様のリクエストに、ト連送です。
注記)
旧海軍の急降下爆撃手順(隊長からのモールス信号)。
・・-・・ ・--・ --- トツレ:突撃隊形作れ。
一列縦隊です。後に、第二突撃隊形が工夫されて、これは「トツレ2」
・・-・・ ・・-・・ ・・-・・ ト連送:突撃!
指揮官先頭で急降下に移ったポイントで、順次急降下。
真珠湾攻撃で奇襲成功して発信されたのが、この日の為に作られた、トラ連送です。
・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・
ト連送に簡単な符号(・・・)を付け加えたというのが、一目燎原の火。
ちなみに。特攻のときは各機がト連送の後で電鍵を押しっぱなしにして(――――――)、基地で受信した符号が長ければ突入成功、短ければ撃墜されたと判断していたそうです。合掌。
といったところです。
書きかけの章を仕上げました。この24時間(平日=ジェダイの騎士)で、6400文字です20枚です。
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さまざまな激痛
素股で中途半端に押し上げられたり、三重苦(短小包茎早漏)の相手をさせられたり、不完全燃焼のまま日が暮れた希美だったが、楚葉の真骨頂はここからだった。
希美を除く八人はTシャツにミニスカートかホットパンツかスラックスといった気楽な服装に着替えて、夕食は定番のカレー(くらいはスケバンでも作れる)をわいわいきゃいきゃい食べて。希美は平ゴム二本の水着姿で開脚正座をし続けて、夕食はカレー鍋にぶち込まれた残飯を犬食いさせられて。
約束どおりにアルバイトの学生たちが、大量の花火とアルコールを含む清涼飲料を携えてバンガローを訪れた。
希美の身体をちょっとだけ味見した海の家の二人と、貸しボート屋で割りを食った二人と、見知らぬ三人と。七人はキャンパスの先輩後輩友人の関係だそうだ。さすがに、こちらの人数に合わせるのは無理だったようだ。
八人だけでも女の子が一人余るというのに、希美も参加させられた。過剰露出の水着をTシャツ(だけ)に着替えさせられたのだから、全員で希美を嬲るという趣向ではなさそうだった。
バンガローの近くでは他の小屋に泊まっている人たちに迷惑を掛けるから、五十メートルほど離れた広場へ移動した。簡単なバーベキューの設備があるので、そこのテーブルで、まずは乾杯。
大所帯なので三つに分かれた。二年生の薬世、詠子、綺麗が同じテーブルで、男性も三人。希美は二年生の麻紀と向かい合って左右に海の家の二人。麻紀には見知らぬ三人組のうちの一人。三年生は四人がひとかたまりになって、男性は一人だけ。
幹部の三年生が後輩に花を持たせた形だなと、希美は思った。
乾杯は缶ビール。二十歳未満だからと遠慮するものなんかいない。希美も楚葉に命令されれば、拒めない。
「へえ。百合香学園なんだ、お嬢様なんだね」
「御令嬢が多いのは確かだけど、おれらはスケバンだぜ。ああ、そこのパンツ穿いてないやつはウリ専な」
続きをしようと言っていた二人を楚葉が仕切って希美の両側に座らせたときから、そんな予感はしていたし覚悟もできていたけれど、何もけしかけるようなことは言わなくていいのに。これから、もっともっと辱しめられるんだなと、期待する諦める希美だったのだが。
「またまたあ。こんな可愛い子がスケバンなら、是非ともタイマンをお願いしたいね」
「おまえな。酔ってもいないうちから、そういうアブナイ発言はやめとけ」
男性陣が最初からアクセル全開なのに対して、色恋には免疫のないスケバンはブレーキに足を掛けて戸惑い気味――だったのだが。全員が輪になって花火を始めると、空気も次第に溶け合ってくる。
楚葉が人差し指をくいくいと曲げて地面を示したので、希美はしゃがみ込んで見物する。Tシャツの裾は股下五センチとないから、立っている者でも正面からは股間を覗けてしまう――のに、まったくとは言わないけど、見てくれない。テーブルで隣り合った子を口説くか、いい雰囲気になろうと懸命になっている。そして、希美についた二人は。
「花火なんてガキの遊びだよ。僕らは、もっと楽しい火遊びをするぜ」
早々に希美をグループから引っ張り出そうとする。
「おれも飽きたな。先に帰ってるぜ。希美も用事が済んだら、早く帰って来いよ」
楚葉は希美の股間に視線を注いで、言外に意味を含ませる。三人の三年生も、リーダーと行動を共にして。バーベキュー広場は、希美を含めて五人の女の子と七人の男になった。さらに。
「おいら、どうも男は苦手だ。五お、抜けたっと」
麻紀まで逃げてしまった。
希美は二人の相手をするが、それでも男が二人余ってしまう。麻紀とカップルになる予定だった青年は、俺も仲間に入れろと、希美のグループに割り込んできて。三年生四人の世話係みたいになっていた青年は、明日は早番だからとか口実を設けて自分たちの宿舎へと引き上げて行った。
こうして、三組のカップルと一組のカルテットが成立する。
すぐに希美はバーベキュー広場の奥へ連れ込まれる。ヘアバンドに一万円札二枚を挟んで、替わりにコンドームを取り出す。
目の前で別の火遊びを始められたカップルは、刺激されたのか辟易したのか、思い思いの方角へと消えて行った。
希美は順番待ちの二人に見物されながら、最初の相手に抱かれた。昼間の三重苦の中年男との青姦よりも、ずっと興奮した。三十分ほどで海の家の二人を片付けて、最後の一人はとあたりを見回したのだが、どこにも居なかった。
「ゴムを着けてても、他人の後には違いないものな」
「一万円が惜しくなったのかな。日当の二日分だし」
「あの人、彼女持ちかもな」
二人は勝手に納得して、精液の切れ目が縁の切れ目とばかり(多分、円も切れたのだろう)、それでも希美をバンガローまで送り届けてから、帰って行った。昼間の様子も見ているから、楚葉たちがほんとうにスケバンだと信じて、危ない橋は引き返したといったところが案外と真実かもしれない。
バンガローには火遊びをしなかった五人だけが居た。三人は朝帰りになるかもしれない。
「それじゃ、おれらも火遊びのやり直しといこうか」
希美の顔を見ると、すぐに楚葉が立ち上がった。紙袋を希美に持たせる。
ビニール電線やスプレー缶、他にもごちゃごちゃと入っている。もしかすると、あたしを可愛がってくれる小道具だろうか。かき氷と身体との物々交換よりも、乗るために乗せたときよりも、さっきのウリよりも――希美の胸は妖しくときめいた。
火遊びに付き合うのは、市代と二年生の麻紀。市代は昼休みの旧校舎でも、楚葉に次いで希美を甚振っていたから分かるが、麻紀は以外だった。年上の青年との一夜のロマンスより年下の女の子を虐めるほうを選ぶなんて、この人もサディスチンなんだろうか。
月明りに照らされたバーベキュー広場には、一時間ほど前の花火のゴミが散らかっているだけで、誰も居なかった。楚葉は黙ってゴミを集め始めた。リーダーにならって全員で手伝ったから、すぐ綺麗になったのはいいけれど。ゴミを希美が持っている紙袋に入れられた。集めたゴミの中には、まだ使っていない花火も混じっていた。
希美に花火のゴミと希美への責め道具を持たせたまま、楚葉は広場の奥へ行って。
「どうせだから、まだ残っている花火を遊ばんじまおうぜ」
子供の遊びなんて、どうでもいいのに。もどかしく思う希美だったが、とんだ勘違いだった。希美は楚葉の命令で、たったひとつ身体を隠しているTシャツを脱いで、地面に大の字になった。
希美の裸体の上に、楚葉がネズミ花火を乗せた。双つの乳首にひとつずつ、腹の上にも二つ。最後の一つを縦にして淫裂にあてがったが。
「まあ、ここは勘弁しといてやらあ」
希美の脚を閉じさせて、淫埠の上に置いた。
柄付ライターは二つあったので、楚葉と麻紀が点火係。
「…………」
希美は純粋の恐怖につかまれていた。肌の上で花火を燃やされたら、火傷をするに決まっている。なのに、じっと我慢していなければならない。
カチッ……楚葉がライターを点火する。麻紀もリーダーにならう。
「熱っ……」
ライターの炎が肌を舐めるのは一瞬だが、それでも熱いのに。
シュウウ、シュシュシュシュッ……
ネズミ花火が小さな炎を吐いて回り始めた。
「きゃあああっ……熱い!」
チリチリチリッと、腹の上で鋭い熱痛が奔り回った。乳房に激痛が渦巻く。希美は全身を突っ張って耐えるしかなかった。払い落とすなんて、考えなかった。
腹の上のネズミ花火はすぐに転げ落ちたのだが、乳房の二つは乳首に絡みついて、外れるまでに数秒は回っていた。
パン、パンッ! パン、パパン!
ネズミ花火が激しく回転しながら乳首から飛び上がった直後に、五つのネズミ花火が爆発した。小さな爆発だから、もし乳首に絡まったままでも、そんなにひどい火傷まではしなかったかもしれないが――恐怖のどん底で経過した数秒だったのはたしかだ。
「さすがはパイパンの御加護だな。けがねえな」
楚葉が紙袋から取り出したビニール電線で、希美の肌にこびり付いている燃え滓をはたき落とした。
ああ、次はこれが鞭になるんだなと、火傷にひりひり痛む肌よりも、希美はそちらが気になった。しかし、ビニール電線の出番は、まだだった。
バーベキュー広場の奥は雑木林になっている。その立ち木を指差して、楚葉が命令する。
「そこで逆立ちをしな。脚を開いて二本の木で支えるんだよ」
足を付ける倒立ならできる。開脚ということは――まさか股間を打ち下ろされるんだろうか。いつものように、恐怖が八割と二割のときめきと。
楚葉が紙袋を漁って取り出したのは、円筒形の花火だった。打ち上げ花火らしい太いのもあれば、手に持って星の連発を楽しむ細長いのもある。それを楚葉は、開脚して上向きに開いている二つの穴に挿し込んだ。
「…………」
打ち上げ花火は高く上がるし、連発花火は手で持つ代わりに股間で支えるだけだから、派手かもしれないけどネズミ花火よりも安全だ――希美は強く自分に言い聞かせた。本格的に痛い責めは、売春を承知させられたときの緊縛と針責めから二か月ちかく、してもらっていない。これは、あたしが心の中で望んでいたことなんだ。そうも自分を説得してみる。それでも、飛び散る火花への恐怖は――ネズミ花火を体験した直後だけに大きかった。
ヴァギナには太い打ち上げ花火、アヌスには細い連発花火を三本。
いよいよ点火――となったところで、楚葉が舌打ちした。
「こりゃあ駄目だ。打ち上げ花火は、根元に導火線があるんだっけ」
すでにヴァギナの中に埋もれている。外で点火して素早く突っ込めば――燃えている火薬が粘膜に押し付けられるのだから、ネズミ花火の火傷くらいでは済まない。
結局、連発花火をヴァギナに二本とアヌスに一本の配分になった。
「物足りないだろうが、我慢しな」
「はい……」
希美が返事をしたのは、沈黙を続けると不貞腐れていると難癖をつけられるかもしれないと、楚葉におもねったからだった。花火を突っ込まれること自体が物足り過ぎている。
アヌスの一本は、マッチ箱の紙ヤスリで頭を擦って着火させるタイプ。ヴァギナの二本は紙縒りを燃やすタイプ。三本同時に火を点けられて。
シュウウ……ポンッ、ポポン。まずアヌスの花火が噴火し始めて、紙縒りの二本が数秒遅れで燃え出す。
ボボボボボウウッ。股間から火の噴水が噴き上がった。
樹に寄りかかって逆立ちしているから、身体はわずかに後ろへ傾いている。剥き出しの腹と乳房に、まだ熱い火薬の燃え滓が降り注ぐ。
「ひいいいっ……」
希美はぎゅっと目を閉じた。目に入ったら、失明するかもしれない。
五秒か十秒か。ヴァギナとアヌスが熱くなってくる。突っ込まれている紙の筒の中では火薬が燃えているのだから当然だった
「たあまや~」
「かぎやあ~」
けらけら嗤っているのは市代と麻紀だけで、楚葉は花火の燃え具合と希美の反応を注意深く観察している。
楚葉の判断では、それほどの危険は無かったのだろう。花火は無事に燃え尽きた。
「お遊びは終わりだ」
倒立を赦されて地べたにぺたんと座り込み、肌をあちこちさすっている希美を見下ろして、楚葉が愉しそうに意地悪い笑みを浮かべた。
「痛いことをしてもらえないとか、親父に愚痴ってたよな。今夜は、たっぷり可愛がってやるぜ」
何日も全身に傷が残っても差し障りのない夏休みになるのを、おれも待っていたんだ。そう言って、楚葉はトラロープを取り出す。
「手を出しな」
両手を揃えて前で縛られた。ロープが太い枝に投げ掛けられて、希美は両手を引き上げられる。手首は引っ張られるが、ロープが食い込むほどではなく、希美は自分の足で立っている。
いよいよ本番と、楚葉がビニール電線を取り出したとき。
「姐さーん」
サブリーダーの妙子が広場に駆け込んで来た。
「綺麗が輪姦(まわ)されました。泣きながら帰って来て、怪我は……マンコが血まみれってだけですが、いきなり三人にやられたんだ。今、亜香里が手当てしてやってます」
「よし、すぐに戻る」
楚葉は吊られている希美はそのままに捨て置いて、バンガローへ続く道に向かった。
「希美は、おれらが戻って来るまで放置プレイを愉しんでろ」
ずいぶんな扱いだけど、手下とオモチャなら、手下を大切にするよね。虐められるときの、ときめきが綯い混ざった悲哀ではなく、悔しさの滲む悲哀を希美は噛み締めた。
けれど、感傷に浸っていられる状況ではなかった。花火の煙が消えたせいか、薮蚊が肌にたかってくる。手を縛られているから、叩き潰すことも払い除けることもできない。身体を揺すり足を跳ね上げ頭を振って、必死に追い払った。
希美の主観では二時間くらいだが、頭上の満月がそんなに位置を変えないうちに、楚葉は戻って来た。市代と麻紀だけではなく、綺麗も引き連れていた。
綺麗は瞼を泣き腫らしているのと、花火をしていたときと服装が替わっている二点を除けば、とくに変わった様子は見られない。輪姦されただけで、縛られたり殴られたりしたのでなければ、当然ではあるが。
「おまえがちゃんと三人を相手にしてれば、綺麗が姦(や)られることはなかったんだ」
きつい口調で楚葉に詰られて、希美は何のことか分からなかった。
「綺麗も百合枝会の一員だ。男の一人や二人、金玉を蹴飛ばして逃げるくらいはできるさ。けど、三人掛かりで押さえ込まれちゃ、おれだってどうにもならねえ」
言い掛かりもいいところだった。けれど、楚葉に言い返すなんて、希美にはできない。
「気が済むまで、こいつに詫びを入れさせな」
楚葉がビニール電線を綺麗の手に握らせた。
綺麗は戸惑っているようだったが、楚葉の屁理屈に納得したのか、ただの鬱憤晴らしか。ビニール電線を二つ折りにして握り直した。長さは一メートル余。
「待ってください。あたしにも責任があるとしても、悪いのは三人組じゃないですか」
いくらなんでも理不尽だ。ほんとうは希美に責任は無いけれど、そこまでは言えなかった。
「他人の頭の蝿を追える身分じゃねえだろが」
楚葉が決めつける。綺麗には、優しく声を掛ける。
「もちろん、三人には落とし前をつけさせるさ。出陣前の血祭りってやつだ。遠慮するこたあねえ。希美をぶちのめしてやりな」
綺麗が頷いて、ビニール電線を振りかぶった。
反射的に、希美は後ろ向きになった。
ひゅんんっ、パッシイン!
「痛いっ……!」
尻に叩きつけられたビニール電線は、肌を切られるような激痛だった。しかし、軽い。ピッチャーの投げる球を重いとか軽いという、その軽さだった。トラロープ四本の鞭は、骨にまで響く重たさがあった。
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
ひゅんんっ、パッシイン!
軽いから、楚葉に比べれば非力な綺麗でも立て続けに鞭を振るえる。
日焼けしてヒリヒリしている肌への激痛に悲鳴を上げた希美だったが、二発目からは「うっ」と息を詰めるような小さい呻き声を漏らすだけで耐えている。鋭いU字形に始まる細長い鞭痕が尻に何条も刻まれていった。
楚葉が綺麗を止めて、希美に非情の命令を下す。
「おれたちにケツを向けるんじゃねえ。こっちを向け」
やっぱり、おっぱいも叩かれるんだ。希美は、のろのろと向きを変えた。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きゃああっ……!」
尻とは痛みが桁違いだ。
ひゅんんっ、パッシイン!
「きひいいっ……!」
希美は乳房を震わせながら、一打ちごとに悲鳴を噴きこぼした。
乳房も赤い線条で埋め尽くされた。
「ぼつぼつ仕上げといこう。希美、がばっと股を開きな」
いずれはその命令が来ると、希美は覚悟していたが。いざ実行しようとすると、膝が震える。
「あああ、あ……」
希美は目に涙を浮かべながら、じりじりと脚を左右に開いていった。
麻紀が電線をアンダースローに構えた。そのまま、ちろっと楚葉をふり返って。
「ええいっ」
掛け声とは裏腹に、ソフトボールだったらキャッチャーまで届きそうにない勢いで腕を振り上げた。
パチン……
「あぐっ……?」
痛いことは痛いが、期待覚悟していた激痛ではなかった。
「僕、もういいです。こいつを虐めたところで、憂さ晴らしにもなりゃしない」
麻紀が電線を楚葉に返した。
「そうかい。それじゃ、市代と先に帰ってな。おれは、こいつの欲求不満を解消してやってから戻る」
二人を追い返して。楚葉が、あらためて希美と向かい合う。
「これで、おまえが望む以上に可愛がってやれるぜ。子分の中にゃ、おれの遊びを良く思わないやつもいるからな」
敵対しない者をリンチに掛けるのは百合枝会のポリシーに反するし、どれほど過激でもSMプレイは性的遊戯に過ぎないから硬派が耽る行為ではない――といったところか。
楚葉がポケットから剃刀を取り出した。ビニール電線の両端をライターで炙ってから、剃刀で被覆を切り取って、銅線を五センチほども露出させた。極細の銅線を数本ずつ撚り合わせる。
綺麗と同じようにビニール電線を二重にして、しかし端ではなく曲げた部分を手に握った。鞭の先端は、針のように尖った銅線の束。
「そんなに怯えた顔をするなよ。せいぜい二週間もすれば治るくらいの傷で勘弁してやるよ」
銅線をべろりと舌で舐めて、サディスチンの笑みを浮かべる楚葉。
「おれも女だが、女っやつは身勝手でいけねえや。返す金は無ねえのに、死んだって風呂に入るのが厭って女を説得するときに、こいつを使うんだそうだ。まあ、一年に一人、いるかいないかだが」
裸商売だから、傷は残さない。ただし、治療費で借金は百万ばかり増えるがな――と、希美を怖がらせるんだか安心させるんだか、分からないようなことを言ってから。一転して凄みの利いた声で叱りつける。
「誰が足を閉じていいと言った。おれは麻紀のピンチヒッターだからな。同じ場面からプレイボールだぜ」
さっきよりずっと凶悪になった鞭で、女の子のいちばんの急所を、たぶん麻紀の何倍もの強さで打ち据えられる。希美は、頭がくらくらするほどの恐怖に捕らわれた。けれど、そのくらくらの一パーセントくらいには、胸がねじれ腰が熱くなる妖しいときめきが紛れ込んでいた。
全身を震わせながら脚を左右に開く希美。
楚葉は腕を大きく後ろへ引いて……
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
股間で火の玉が爆発したような激痛。希美は野獣のように吼えた。
「うあああ、ああ……」
膝が砕けて、全体重が吊られている手首に掛かった。その痛みを、希美はほとんど感じていない。股間を見下ろすと、無毛の丘に何本もの細い切り傷が刻まれていた。
「しゃんと立て。一発や二発で終わると思うなよ」
言いながら、肘から先だけで希美の乳房を水平に薙ぎ払った。
しゅっ、パシン。
「きひいいっ……」
軽い一撃でも、麻紀に同じところを叩かれたときよりも痛いくらいだった。軽いが、ずっと鋭い。
しゅっ、パシン。
しゅっ、パシン。
希美は乳房に鞭の往復ビンタを食らいながら、膝に力を入れて懸命に脚を開いた。残酷な一撃を股間に受けるために。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!」
反射的に希美は身をよじり片脚を引き付けて股間を庇った――ときには、股間を抉った鞭先がそのまま上に振り抜かれて、下腹部から胸の谷間まで深紅の線条を刻み、顔の手前で後へ跳ねた。さらに斜め下に振り下ろされて、乳房から脇腹を切り裂く。
「ぎびい゙い゙い゙っ……!」
激痛に身悶えしながらも、希美は足を踏ん張って、鞭を受ける姿勢に戻った。
さらにもう三回。下から上、斜め上から下へと鞭先が希美の肌を切り刻む。麻紀が付けた細い線刻が、滲んだ血で隠される。
「これくらいで勘弁しといてやる――マンコはな。後ろを向け」
お尻なら耐えられるだろうと、ほっとした思いで希美は後ろ向きになった。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……!」
股間よりはましだったが。背中を鞭打たれて、やはり希美は悲鳴を上げた。
びゅんんんっ、バッジイイン!
「ぎひいっ……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きひい……」
びゅんんんっ、バッジイイン!
「きゃああっ……」
立て続けに背中を斜めに切り裂かれて、希美は悲鳴を抑えられない。叫んでいるうちに、頭に霞が掛かってきて――腰の奥に痺れがわだかまっていく。もう赦してほしいという願いと、もっと虐めてくださいという悦虐とが拮抗する。
尻にも五発の鞭を与えて、ようやく楚葉は手を止めた。
「今日は二か月分の遊び道具をいろいろ持って来てるんだぜ」
楚葉が次に取り出した責め具は洗濯バサミだった。決して楽な責めではないが、銅線剥き出しのビニール電線に比べれば、どうってことはない――という希美の楽観は、目の前で洗濯バサミの嘴を開閉させられて吹っ飛んだ。先端から五ミリのあたりに、釘が打ち込まれていた。反対側の嘴には小さな穴が空いていて、斜めに切り落とした釘先が突き抜けている。
「洗濯バサミなんて生ぬるいし、針がほんとに痛いのは突き刺すときだけだからな。ちょいと工夫してみたんだ」
これなら、洗濯バサミと針の両方を同時に味わえるんだぜと、とことん希美に恐怖を与える。
「釘をペンチで斜めに切ってあるんだ。待ち針より痛いぜ。とは言っても……」
半日くらいは着けっ放しにしても大丈夫なのは実証済みだと、安心させながら言外に長時間の責めを匂わせる。
「順番としては、こっちからだな」
楚葉は希美の乳首を摘まんで引き伸ばして、くわっと嘴を開けた洗濯バサミを近づける。いっぱいに洗濯バサミを開いて乳首を挟み込んだ。
パチン!
楚葉は指を滑らせて洗濯バサミを手から放した。
ブツッ……と、釘が乳首を突き抜ける音を、希美は身体で聞いた。
「びぎひいいいっ……!」
激痛が脳天まで突き抜けて。甲高い悲鳴。希美は今日一日だけで、これまでの三か月分以上の絶叫を絞り出されているのではないだろうか。
反対側の乳首にも着けられて、再びの悲鳴。洗濯バサミの圧痛と釘の貫痛との区別なんか、つかない。両者が絡み合って、ネズミ花火のほうが百倍ましに思えた。
楚葉が三つ目の洗濯バサミを手に取った。
「あ、あああ……それだけは……赦してくださいい」
唇をわななかせながら懇願する希美。このときばかりは、無理強いに虐められたいとは、さすがに一欠片も思っていなかった。股はきつく閉じ合わされて、つま先立ちするほどに腰は後ろへ引かれている。
「打ち上げ花火を上下逆さに突っ込まれたいのか。子宮目掛けてドッカーンだぜ」
脚を閉じていれば、並みのペニスよりも太い花火を挿入などできないのだが――ヴァギナの中で火薬が(比喩表現ではなく)爆発する恐怖に、希美は打ちのめされた。
お姉様は、ほんとはそんな大怪我をさせるようなことはしない。心の底では信頼している。それを裏返せば――クリトリスを釘付き洗濯バサミで挟まれても、想像を絶する激痛だろうけど、大怪我はしないのだろうと、責めを受け容れる覚悟につながる。
「怖い……」
希美はしゃくり上げながら、さすがに腰は引いたまま、おずおずと脚を開いた。
楚葉が手を伸ばしてクリトリスを摘まんで引っ張る。わずかな痛みだが、無自覚のうちに希美の腰が突き出される。楚葉は横に回り込んで身体を密着させて腰を動かせなくさせてから、親指と薬指でクリトリスの根本を摘まんだまま、残る二本の指で器用に包皮を剥き下げて、素早く洗濯バサミに実核を咬ませる。
パチン!
「ぎゃわ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」
喉から血しぶきが飛び散るような絶叫。
「ひいいいいいいい……」
吐き続ける悲鳴が、次第に弱々しくなって、希美は半失神状態に陥った。
しかし、楚葉は許さない。バチンバチンと、頭が激しく揺れるほど強く往復ビンタを張って、希美を束の間の安息から引きずり出す。
「乳首とクリトリスへの愛撫だけじゃあ、満足できねえよな。やっぱり、マンコに太いのを咥え込まなくちゃな」
希美は、目の前にかざされた物を見て、もはや絶望の吐息を吐くしかなかった。
それは擂粉木を短く切断したものだった。ただし、何本もの木ネジが埋め込まれていて――浅い円錐形の頭と鋭く尖った先端が数ミリずつ露出している。こんな物をヴァギナに突っ込まれたら……凄く痛いのは当然だけど、二度と使い物にならなくなってしまいはしないだろうか。
「こいつは、名器養成ギプスでもあるんだぜ。マンコの中の襞々が増えて、蚯蚓千匹か数の子天井か、そんな感じに……なるかもしれねえな。こいつは、さすがに試したことが無えからな」
お姉様は、あたしの心を読めるんだろうか。希美の疑問は、そちらへ向かった。銅線剥き出しの電気コードはヤクザが実際に使うと言っていたが、釘付き洗濯バサミもは楚葉自身が工夫したと言わなかっただろうか。それなら、いつ誰に試したのか――そこへは考えが及ばなかった。
楚葉が擂粉木を股間に近づける。もはや希美には、脚を閉じて抗う気力も無い。だいいち、クリトリスを咬む洗濯バサミをこねくって、自分でいっそう激痛を増す結果になる。
こんな苛酷な責めを受けて、希美はなおヴァギナを濡らしている――のではない。鞭傷から滴り釘に貫かれたクリトリスからも垂れている血が潤滑となって、擂粉木の頭部は容易に貫入した。
「痛い……」
擂粉木をじわじわと押し込まれて、希美は小さく呻いただけだった。数時間前の希美だったら絶叫していたかもしれないが、立て続けの想像を絶する激痛に馴致され、叫び過ぎて喉も涸れている。
楚葉は擂粉木を完全に埋没させた。小淫唇で擂粉木の後ろを包み込むようにして、大陰唇までぴっちり閉じ合わせた。そして、最後の責め道具を取り出す。幅が五センチ以上もある特大の目玉クリップだった。
目玉クリップで大淫唇を閉ざされても、希美はほとんど無反応だった。全身の激痛に比べれば、幅のある金属板で強く挟まれるくらい、どうということもないのだった。
「おれの遊びは、これでおしまい。おまえは、朝まで余韻を楽しんでいな」
楚葉の言葉は、このまま放置するという意味だ。
「と言っても、このままじゃ虫に刺されて、鞭よりも酷いことになるな。それは可哀相だから」
楚葉が紙袋からスプレーを取り出した。
「虫除けスプレーを噴いといてやるよ」
しゅううううっ……背中から尻へ噴き付ける。
「ひいい……沁みる……」
肌が冷感に包まれて、それが無数の針となって突き刺さるような感覚。
腕と脚にも噴き付けられたが、傷ついていないので、幾らかの冷感があっただけ。
希美を動かすより自分で動くほうが手っ取り早いと、楚葉が希美の正面へ回り込んで。
しゅううううっ……
「ぎひいいいっ……!」
乳房に噴霧されて、激痛に身悶える希美。
こうなると、目玉クリップで淫裂を閉ざされている――内奥にまで噴き込まれずに済むのだけが、わずかな救いだった。
全身の激痛にのたうつ希美を残して、楚葉はバーベキュー広場から立ち去った。
数分としないうちに、それまでの冷感が失せて、替わりに燃え上がるような熱感が襲ってきた。
冷感から熱感への転換。この感覚に、希美は心当たりがあった。臭いもそっくりだ。虫除けスプレーというのは嘘で、筋肉消炎剤だろう。もっとも、ハッカには虫除けの効果もあるから、そういう目的にも使える――としても。虫除けだろうと筋肉消炎剤だろうと、傷口に噴霧は厳禁だ。
鞭の余韻どころではない。洗濯バサミに咬まれた三つの突起が、絶え間ない激痛を送り込んでくる。封印された擂粉木がだんだん膨れてくるような錯覚。これからが、何時間も続くほんとうの責めだとさえ言えるのだった。
リンチされたいだなんて馬鹿なことを妄想したのが、間違いだった。妄想に留めておけば良かったのに、土壇場でも逃げられるチャンスをお姉様は与えてくださったのに……あたしって、救いようのない馬鹿だ。希美は激痛に身をよじり涙を流しながら、後悔した。その一方で……
馬鹿なんじゃない、マゾなんだ。この地獄のような苦しみも、明日とは言わないけど明後日くらいには、思い出しながらオナニーに耽るんだわ。そこまで想いが至ると――激痛はそのままに、甘い陶酔が頭を浸食し始める。
その一夜は希美にとって、それまでの生涯で(物心ついてからわずかに十年とちょっとではあるが)もっとも長い一夜だった。
激痛にも馴致され、筋肉消炎剤の効果も薄れてくると、物思いに耽る余裕さえ生まれる。
お姉様に、あたしは大きく変えられた――のではない。それまで心の奥で渦巻いていた妄想を、お姉様が現実のものにしてくださったんだ。悪い方向への変化だと、自分でも思う。素行も勉強も。けれど、誰かが言っていた。世の中には、言っていいことと、言ったら面白いことがあるって。
筆者註:SF作家の鏡明がSFマガジン掲載の短編小説の中で、横田順彌に仮託した人物に言わせた台詞だったと記憶している。他の人物だったかもしれないし、作者が鏡明だったかすら自信が無い。しかし、埋もれさすにはもったいない名言であるので、紹介しておく。
なお、作中には不条理作家ではなくゴム草履作家だ、という迷言もあった。
悪い子になって、あたしは後悔していない。 だけど、今日のこれは……後悔してる。どうやったって、お姉様のオモチャなんだから、避けようは無かったけど。なお、作中には不条理作家ではなくゴム草履作家だ、という迷言もあった。
こんなに痛いのは、二度と御免だ。でも、卒業までずっと、二度とこんなことをしないってお姉様が約束してくださったら……それも淋しいかな。つまり、心の底では、こんなことやもっと非道いことを……されたいんだろうか。
鞭打ちの余韻と釘付き洗濯バサミの激痛とヴァギナの中の木ネジ擂粉木の圧倒的な違和感と筋肉消炎剤の刺激とに悶えながらも、夜が更けていくにつれて希美は睡魔に襲われていた。日焼けは肉体を消耗する。晴天下の露出が著しい興奮の反動をもたらしているし、二か月半ぶりの苛酷な責めは心身の両面にダメージを与え続けている。
希美は微睡んでは、吊られた手首に加わる体重の痛みで引き戻され、立っているうちにまた睡魔に襲われて――ついには浅い眠りの中へと漂い出ていった。
「ちょっと、きみ……大丈夫か?」
身体を揺すぶられて、希美はぼんやりと瞼を開けた。見知らぬ男性の顔が、目の前にあった。ひどく戸惑っている。男性の後ろ、かなり離れたところに、若い(といっても、希美より十は上だろう)女性も立っている。
「何をして……されたの? 誰かに乱暴されたのか?」
この人たちもバンガローに泊まっていたのか、それとも地元のアベックかもしれない。朝の散歩に出掛けて……裸で傷だらけで変な飾りを着けて木から吊られている女の子を発見して。あたしが、ロマンスをサスペンスにしちゃったんだ。
希美は、男性よりも激しくうろたえた。騒ぎになっては、自分も楚葉も困る。このまま静かに二人に立ち去ってもらうには……
「SMプレイなんです。あたしが望んで……ご主人様に調教してもらっているんです」
こう言うしかなかった。プレイなんて軽い気持ちではないけれど。自分にだってうまく説明できないことを、他人に理解してもらうのは不可能だ。その必要も無い。
「だから、言ったじゃない。放っとけばいいって」
静かな早朝の、希美とアベックしかいない広場。希美の声は後ろの女性にまで聞こえていた。
「まだ十五六でしょ。とんでもない変態だわ」
同性からの軽蔑しきった罵声は、何よりもつらい。売春をしているときに男性から投げ掛けられた言葉は、たとえ侮辱が含まれていても腰の奥に響いてきたが、今は胸を突き刺すだけだった。
「何を熱心に見てるのよ。いやらしい。あなただけ、そうしているといいわ」
女性が踵を返して、大股にずんずん歩き出した。男が、慌てて後を追って――希美は、また独り取り残される。
――楚葉が来て希美を解放したのは、午前七時過ぎだった。
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最後の目玉クリップでの大淫唇封鎖。これは、この画像がインスパイア元です。
短い動画もあります。細いビニール紐で下腹部をピシピシしています。縦でなく横に敲いているのが残念。合意プレイの限界ですかしら。
動画ではすぐにダブルクリップを外してしまいますが、蜜がとろ~りと垂れているのが映っています。画像も動画も、幾たびとなくG線上のアレヤコレヤに活用させていただきました。短い動画が切り出しなら、是非ともフルバージョンを有償で構わないので入手したいものです。
うん。ネットでは無料DLできるあれこれが氾濫しています。金を払ってまでとなると、よほどの余程です。
なので。よほどの余程を決断されたWILL様のリクエストに、ト連送です。
注記)
旧海軍の急降下爆撃手順(隊長からのモールス信号)。
・・-・・ ・--・ --- トツレ:突撃隊形作れ。
一列縦隊です。後に、第二突撃隊形が工夫されて、これは「トツレ2」
・・-・・ ・・-・・ ・・-・・ ト連送:突撃!
指揮官先頭で急降下に移ったポイントで、順次急降下。
真珠湾攻撃で奇襲成功して発信されたのが、この日の為に作られた、トラ連送です。
・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・ ・・-・・ ・・・
ト連送に簡単な符号(・・・)を付け加えたというのが、一目燎原の火。
ちなみに。特攻のときは各機がト連送の後で電鍵を押しっぱなしにして(――――――)、基地で受信した符号が長ければ突入成功、短ければ撃墜されたと判断していたそうです。合掌。
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