Progress Report 1:特別娼学性奴

 初っ端から、あれこれ変更です。
 Sadistin は、長くなってきたので、2章に分割。Spiteful と Substitute です。スクールメイドの処女を興味本位で(substitute=代用品)で破るのを独立させました。
 次に名前。
  スクールメイル(下僕)ラック・ワンブス→チャーリイ・アクティ
  虐められるアメリカ娘 ケイティ・アーズ→キャティ・ストック
 元の名前がアングロ・サクソンぽくないので。ワンブスについては、そのままにして、有色人種のクォーターあたりにすれば、ますますクラスメートから孤立するかと思ってもみましたが。メイスレッド学園はパパ上のマイティ・フッドとママ上のメリー・レパルス(旧姓)の母校です。たとえ娘の下僕とはいえ、有色人種を入学させるなんて、とんでもない。
 まあ、チャンティクリアはブラックスワンの姉妹艦だから、いいか。


 ここで、豆知識。
 その昔。大英帝国海軍では、戦列艦>フリゲイト>スループ(3檣はシップ・スループ、2檣をブリッグ・スループ)でしたが。フリゲイトが大型化してスループとの間に空隙ができたので、そこを埋めるためにフランスあたりで採用されていた名称のコルベットを入れたのです。コルベット・スティングレイとの関係は知りません。
 ところが。第2次大戦中だっけ。駆逐艦の下位バージョンとしてスループの名称が復活し、さらに日本でいうところの駆潜艇相当としてコルベットも復活しました。この場合は、帆船時代と逆で、コルベットのほうが小さいです。
 さらに蛇の後足。江戸時代末期の開陽丸(新選組が蝦夷地脱出に使った船)は甲鉄コルベット、舷側に鉄(鋼ではない)を張ったコルベットでした。
 相変わらず遊んでいます。

 さて、肝心の本文紹介。冒頭からいきましょう。

==============================

Spiteful

 チッ……
 目覚まし時計の針が重なる音で目を覚まして、ベルが鳴り始める前にスヌーズしました。
 春の朝の柔らかな陽光が満ちるベッドルーム。快適な目覚めです。わたくしはすぐにベッドを出て、隣の寮室へ行きました。
 わたくしの部屋と違って、ベッドが二つと机も二つ。それだけでも狭いのに、ベッドとベッドの間にはカラーボックスが並べられています。寝るときまでお互いの顔を見るのが恥ずかしいとかで、三か月前にチャーリイ・アクティが買って来たのですけれど。四つのボックスを足元へ寄せて、顔が見交わせる配置で落ち着きました。考え無しですね。
「おはようございます、お嬢様(My lady)」
 ベッドの中からわたくしを見上げて、チャーリイが挨拶をします。致し方のないことです。だって、彼の右手と右足は手錠でベッドの脚につないであるのですから。
「おはようございます、お嬢様」
 ジニア・コルベットも挨拶を寄越します。彼女は、左手と左足をベッドにつないであいます。
「おはよう」
 挨拶を返してやりながら、二人の手錠を外してやりました。朝晩面倒な儀式ですけど、これも高貴な者の務(Noblesse oblige)めです。だいいち、使用人が間違いをしでかしたら、わたくしの落ち度になります。
 あら。使用人ではありませんでした。二人はわたくしの学友――スクールメイルとスクールメイドです。同じY7ですけど、実はチャーリイは二つ年上。レディの護衛ですから、たくましくなくてはなりませんものね。
 だから、チャーリイには性的欲求が兆していると思います。ジニアも、ぼつぼつそういう年頃でしょう。三年ちかくも一緒の部屋に住んでいながら、今さらのようにパーティションを欲しがったりするのは、そのせいだと思います。
 もっとも、間違いなんて起きるはずがありません。二人を拘束するのは就寝のときだけですけれど、廊下への出入口はドアを取り払ってあります。男女が二人きりで同室のときはドアを開けておくのがマナーですから、いちいち開閉する手間を省いてあるのです。廊下のいちばん奥とはいえ、いつ他人にのぞき込まれるかわかったものではない環境で、いやらしいことなんか出来っこないですね。女子寮に男子を住まわせる特例を認めてもらうには、これくらい徹底する必要があるのです。
 わたくしはベッドルームへ戻って、仕切りのドアを閉めました。それから、元は廊下だった部分に通じるドアを出て、向かい側のセクションにあるサニタリールームへ行きます。そうです。わたくしの寮室には、専用のリビングルームとサニタリールームがあるのです。男女合わせて七百八十名の生徒の中で、わたくしひとりだけの特権です。
 当然のことですわ。学園には男爵を親に持つ生徒が三人と、準男爵や騎士は二十何人かおりますけれど、子爵はわたくしだけ。しかも、この学園はわたくしの父母の母校ということもあり、有象無象の成金連中など足元にも及ばないほど多額の寄付をしているのです。フッド記念講堂もありますの。別に自慢するつもりはございませんけれど。
 わたくしは朝の生理的欲求を満たしてから、シャワーを浴びました。腰まで届くブルネットは、ざっと水気を拭っただけで、バスタオル一枚でベッドルームへ戻ります。
「ジニア」
 声を掛けると、ジニアが礼儀正しく部屋へ入って来ます。わたくしが猶予をあげている間に、自身の身支度は整えています。
 ジニアはわたくしの髪をドライヤーで乾かしながらブラッシングをして、ていねいに編み下ろしてくれます。
「これでよろしいでしょうか」
 ブルネットに映えて、かつ学生らしく清そな白のリボンを差し出します。
「よろしいわ。あなたのセンスも、洗練されてきたわね」
 使用人を褒めてやるのも、主人の心得です。
 わたくしが立ち上がると、ジニアはかいがいしく着替えを手伝います。子供っぽくはないけれどけっしてセクシーではない、おそろいのブラジャーとパンティ。淑女のたしなみのスリップ。ハイソックス。きれいに洗って、ふわっとした感じにアイロンを掛けたブラウス。校章を左胸に刺しゅうした水色のジャンパースカート。真っ赤な紐ネクタイ。
 身支度が調うと、ドレッサーの小さな鏡ではなく、壁にはめてある姿見で全身をチェックします――けれど、着付けの具合よりも身体の輪郭に目が行ってしまいます。
 チビってほどではないですが、わたくしは同級生の中では小柄なほうです。でも、胸の膨らみはY8の先輩にだって負けていません。目下の悩みは、バストよりもヒップの数字が(少しだけです)大きいことですけれど。母様みたいにほっそりしていると、結婚してから苦労することになります。なにしろ、二人目を授かるために、スポーツジムに通って体質改善に励んでいるんですもの。
 でもまあ。私の後ろに控えているジニアを鏡の隅っこに見ると、わたくしの自慢も悩みもぺちゃんこになってしまいます。わたくしより頭半分背が高くて(女性で長身は如何なものかと思いますけど)、わたくしとジニアが並ぶと、クラスの男子の視線はわたくしの顔ではなくジニアのバストとヒップに集中するんですから。将来はきっと、殿方を悩殺するような下司な女性になることでしょうよ。
 あら、いけない。朝ご飯を食べている時間がなくなります。カフェテリアでは皆さんが順番を譲ってくださるから、長い行列に並ぶ必要はありませんし、そんなにたくさん食べるわけでもないです。けれど、淑女のマナーを守ってお食事をするには、相応の時間がかかるものなのです。
「学校へ行きます」
 ジニアに声を掛けて、わたくしは廊下へ出ました。ジニアは、わたくしのバッグを持って、自分のバッグを取りに、あたふたと自分の部屋へ戻ります。わたくしの斜め後ろには、ちゃんとチャーリイがついています。
「おはようございます、ミス・フッド」
 部屋から出てきた上級生が、立ち止まって挨拶をします。身分を弁えて、なれなれしくアイリスなんて呼び掛けたりはしません。
「おはようございます。良い朝ですわね」
 この人はY12のネリッサ・グラフトン。ほとんど毎朝、出会います。顔なじみの方には、それなりの言葉を掛けて差し上げるべきでしょう。
 挨拶を交わしている間に、ジニアも追いついて来ました。三人で階段を下ります。この様子を『お姫様の出陣』なんておっしゃる方々も、何人かはいらっしゃいます。Y7以上の女子だけで百四十人もいるのですから、わたくしを良く思っていない方だっていないことはないでしょう。身分高き者を崇拝せず富める者を嫉妬する輩は、どこにだっているものです。もちろん、下級生は皆さん、わたくしの崇拝者に決まっていますけれど。

 朝食を終えて教室に入ると、十二人のクラスメートのうち一人を除いて、起立して朝の挨拶をしてくださいます。椅子に座ってそっぽを向いているのは、キャティ・ストックだけです。
 彼女の頭に飾られているヘアブローチが、わたくしの目を引きました。細長い花の形をした金色は、彼女の金髪に埋もれて、ちっとも見映えがしていません。
 わたくしはキャティの前に立ちました。彼女はわたくしを見上げただけで、何も言いません。わたくしから挨拶されるのを待っているのでしょう。
「素敵なヘアブローチね。もっと良く見せてくださらないかしら」
 キャティが立ち上がりました。ジニアと同じくらいに背が高いです。
「いやよ。髪が乱れるわ」
 けんか腰です。この人は、いつもこうなのです。石油のほうが青い血よりも貴いとでも思っているのでしょう。
「ジニア」
 キャティをにらみ返したまま、低いけれどしっかりした声で命じました。でも、他のクラスメートが素早く動きました。マリー・デストンが斜め後ろから、ヘアブローチを素早くむしり取ったのです。
「痛いっ、なにするのよ」
 マリーはキャティを無視して、ヘアブローチをわたくしに差し出します。
 手に取って見ると、やはり意匠はアイリスでした。
「返しなさいよ」
 キャティが右手を突き出しました。
 先程からの数々の無礼に、腹が立ちました。それよりも、このわたくしを髪飾りにするなんて。きっと、分かってやってて、得意満面なのでしょう。
 わたくしは、指の力を抜きました。
 カツン。ヘアブローチが床に落ちます。それを、靴のかかとで踏んづけてやります。
 ぐじゃっと潰れる感触が小気味良いです。
 バチイン!
 目から火花が飛び散りました。ほほが熱いです。
「なにするのよ。五百ドルもするのよ。パパからのプレゼントなのよ!」
 やはり成金の娘です。真っ先にお金のことを言います。しかも、アメリカドル。ポンドだと、二百五十くらいかしら。子供の玩具としては高価ですし、大人の装身具としては安物ですわ。
「赦さない!」
 キャティが、また手を振り上げます。
 わたくしは顔をかばいかけて、その手を止めました。わたくしは貴族の娘です。困難にも真正面から立ち向かいます。でも、取っ組み合いのけんかなんてはしたない真似は御免です。こういうときのために、チャーリイを学友にしてあるのです。
 ところが、チャーリイがキャティを取り押さえる前に、男子のオッター・デアリングがキャティを羽交い締めにしました。
「放してよ!」
「もう暴れるなよ」
「暴れてなんかない。先に手を出したのは、向こうでしょ」
 キャティは、オッターから逃れようと、もがきます。そうなると、オッターも意地になって、ますますキャティを――あら、背中から抱き締めるみたいな形になりました。わざとかしら。キャティも、発育が早いほうですから。
 もみ合って(もまれて、かしら)いるところに、ヴィクター・トリアス先生が来られました。
「これは、なんの騒ぎだ。オッター、女の子を虐めるんじゃない」
「違います。キャティが、ミス・フッドを殴ったので、オッターが止めていたところです」
 マリーが事情を説明します。
「なんと。淑女にあるまじき蛮行。しかも、貴族令嬢に暴力を――植民地の平民ごときが」
 そうです。たとえ世界一の軍事力と財力を誇ろうと、所詮は本国に反旗を翻した連中なのです。すくなくとも、上流社会の人たちは、腹の底ではそう思っています。
「手を出しなさい」
 トリアス先生 (Mr.Trious)が厳しい声でおっしゃって、脇に抱えていた教鞭を右手に持ち替えられました。手の平をたたくなんて、授業中に騒いだ子へのお仕置きと同じです。
「先生(Sir)。そんな罰じゃあ軽すぎると思います」
 マリーがわたくしの内心を代弁してくれました。
「ふむ……」
 トリアス先生はわたくしに視線を向けます。わたくしは、微妙にそっぽを向いて知らん顔。こういうときは、言葉で表わさない限り、どんな仕種でも肯定の意味になるでしょう。
 トリアス先生は、キャティに向き直って、いっそう厳しい声でおっしゃいました。
「教壇に上がって、黒板に向きなさい」
 けげんな表情を浮かべて、それでも言われた通りにしたキャティは、次の言葉に驚いたようです。わたくしも、びっくりしました。
「スカートをまくって、尻を出しなさい」
 うわわわわ、です。お尻たたきなんて、せいぜいY3までです。それも、座っている先生の膝の上です。ズボンやスカートをめくったりはしません。立たせておいてお尻をじかにだなんて、このメイスレッド学園では、戦後初めてではないでしょうか。いえ、そんな大昔のことは知りませんけど。
 キャティはトリアス先生を振り返って。それから、なぜかわたくしをにらみつけてから。黒板に向き直ると、スカートをたくし上げました。裾を握る手が震えています。いい気味です。
 キャティは、学生にあるまじきひわいなパンティを身に着けています。浅い二等辺三角形で、ヒップの上半分が露出しています。
 トリアス先生は、教鞭を持っていないほうの手を伸ばして……
「きゃあっ……?!」
 キャティが両手でお尻を押さえてしゃがみ込みました。
「しゃんと立っていなさい」
 トリアス先生は落ち着き払っています。
「いやです。なぜ、パンティを脱がそうとするんですか」
「わたしは、尻を出せと言ったぞ」
 戦後初めてどころか、ウィンザー朝始まって以来かもしれません。
「いやですっ!」
 金切り声です。
「チャーリイ」
 トリアス先生は、わたくしのスクールメイルに声を掛けました。
「彼女を押さえておきなさい」
 右隣の席に座っているチャーリイが、目顔で問い掛けてきました。ちなみに、左隣はジニアです。わたくしが軽くうなずいて承認を与えると、しぶしぶといった感じで立ち上がって、教壇へ行きました。
 ジニアと同じくらいの背があるキャティも、ふたつ年上の男子と比べると、まるで大人と子供――というのは言い過ぎですが、肩を押さえ付けられると、身動き取れないようです。
 トリアス先生は、キャティの脇腹に手を差し込むと、ジャンパースカートの布ベルトを抜き取りました。両腕を背中へねじ上げて、そのベルトで手首を縛ります。
「いやああっ! なにするんですか?!」
「静かにしなさい。隣の教室に迷惑です」
 スカートをまくり上げて、手首を縛っている布ベルトに絡めました。
 ぎゃんぎゃん喚いているキャティのパンティをずり下げて、お尻を丸出しにしました。
「いい加減に黙らないと、この布を引き千切って口に詰めますよ」
 ひぐっと、しゃっくりを飲み込んで、キャティがおとなしくなりました。
 トリアス先生がチャーリイに命じて、キャティを立たせました。あらためて教鞭を手に取りました。
「お願いです。たたかないでください」
 キャティが、泣きながら訴えます。
「そんなに嫌なら、校長先生のところへ連れて行きましょう。直ちに退学の手続をしなさい」
「いやですっ!」
 またヒステリックが、ぶり返しました。
「いやです。絶対に辞めません!」
「ならば、素直に罰を受けるのです」
「いやです、絶対にいやですっ!」
 トリアス先生がため息をつきました。
 わたくしもあきれてしまいます。パンティを履いていてもお尻の半分は露出しているのに、残り半分をさらけ出すのは、なぜ嫌なのでしょうか。もっとも――どうしても退学したくないというほうは、理屈の上では理解できます。
 庶民にとっては、寄宿学校(Boarding school)に入るのは、大変に名誉なことです。あ、庶民といっても、労働者のことではないですよ。寄宿学校の学費は労働者の年収以上なのですから、子弟を入学させられるはずがありません。わたくしが言っている庶民とは、お金はたくさんあるけれど身分の無い――当人一代限りの騎士叙任すら賜っていない、キャティの父親みたいな人のことです。入学が大変な名誉であれば、退学なんて、それを上まわる不名誉です。
 わたくしなどは、有り得ないことですけれど、退学しても――父様に無理をしていただいて上位の学校へ転入するか、子爵令嬢の名前に傷が付くのに甘んじて下位の学校(大歓迎してくれるでしょうね)へ行くか、なんとでもなります。それも一時のこと。本当に大切なのは出身校の格ではなく、Y11とY13の学年末に行なわれる全国統一試験の成績なのです。
 けれど、植民地ではそうではないのでしょう。学校の格付けを重視するとなると――栄誉あるメイスレッド学園を追い出されたキャティを受け入れてくれる同格の寄宿学校なんて、ありますでしょうか。
 キャティはわがままを飲み込んでおとなしくなりました。トリアス先生が教鞭の先をお尻に当てると、ぴくっと全身を震わせました。
 トリアス先生が教鞭を後ろへ引いて。
 びしっ!
 豊満なヒップに教鞭の先が食い込みました。
「きゃああっ!」
 本当に両隣のクラスまで壁を突き抜けて届くような悲鳴です。教鞭は細いプラスチックの棒ですけど、先端が団栗のように膨らんでいます。きっと、団栗を投げつけられるよりも痛いことでしょう。
 びしっ!
「痛いっ!」
 びしっ!
「くっ……」
 だんだん痛みに慣れてきたみたいです。
 びしいっ!
 肉を打つ音が大きくなりました。
「きゃああっ!」
 悲鳴も一発目以上に大きいです。
 びしいいっ!
「いやああああっ!」
 悲鳴に泣き声が混じっています。最初の三発では、横長の丸い小さなあざが残っただけでしたが、この二発では、左右のお尻に一本ずつの赤い線が刻まれました。
 わたくしは、ちょっぴりだけ、キャティが可哀想になってきました。
「トリアス先生。早く授業を始めてください」
 彼は、教鞭を持つ手を止めました。キャティのスカートを下ろしてやり、手も解いてやりました。
「では、席に戻りなさい」
 キャティはパンティをずり上げてから正面に向き直って――泣き腫らした目で、またわたくしをにらみつけました。
 わたくしの心の中から、ちょっぴり可哀想が消えうせました。
「トリアス先生。わたくし、まだストックさんから謝罪を受けていません」
 先生が何か言う前に、キャティが言い返します。
「あなたに謝ることなんか、これっぽっちも無いわよ!」
 わたくしはトリアス先生に向かって、はっきりと首を横に振りました。
「キャティ、フッド嬢(Miss Hood)に謝りなさい」
「先生は事情を御存知ないから、あたしが悪いと決めつけてらっしゃいますけど……」
「フッド嬢は、きみをたたいたのかね?」
「それは……でも」
「反省していないのだね」
「だって、あたしのヘアブローチを……」
「授業が終わるまで、教壇の隅に立っていなさい」
 トリアス先生が彼女の背後へまわって、また手首を縛りに掛かります。
「やめてっ……」
 彼女は抵抗しましたけれど、トリアス先生の次の言葉でおとなしくなりました。
「では、校長室へ行きましょう」
 乾きかけていた彼女の目から、大粒の涙がこぼれます。
 トリアス先生は、手を縛っただけでなく、スカートをまくり上げ、パンティも膝まで引きずり下ろしました。そして、キャティにとっては屈辱きわまりない指導をします。
「きみも、そこで授業を受けるのです。黒板に向き直りなさい」
 つまり、むき出しのお尻をクラスメートの目にさらしていなさいという意味です。
 キャティは、もう文句を言いませんでした。わたくしを物凄い形相でにらみつけてから、後ろ向きになりました。
 涙を流しているのかは見えませんでしたが、授業中ずっと、キャティの全身が小刻みに震えていました。膝の震えを見ていると、よくもあれで立っていられるものだと、妙な関心をしたほどでした。
 ――授業が終わると、キャティは教室から逃げ出しました。
 お昼休みに、わたくしは父様に電話をしました。簡単な挨拶と近況報告(楽しく学んでおりますわ。クラスメートも教師の皆様も、本当に良くしてくれています)を済ませると、おねだりです。
「クラスメートのキャティ・ストックを御存知でしょうか。彼女にヘアブローチをプレゼントしたいの。生徒名鑑を見てください。長い金髪に映えるような、エメラルドがいいかしら。どんなのにするかは父様におまかせしますけど、一千ドルより高くても安くても困ります」
 五百ポンドなら、貴族令嬢のわたくしが身に着けても見劣りはしませんでしょう。それよりも大切なことは、わたくしが、うっかり壊してしまったキャティのヘアブローチの倍の値段だということです。
==============================

 この後、寮へ戻って。チャーリイが護衛の役目を果たせなかった罰で、キャティと同じに下脱ぎさせて。キャティのお尻を盗み見してたときにはエベレストだったのに、いまはチョモランマ。
 とっくにY7履修範囲を済ませて先に進んでいるアイリスは、図書室でいろんな本を読んでいます。上の学年で習う性教育の副読本とか、家庭の医学百科とか、6th formの生徒向けの医学書とか。とうぜん、勃起現象も知っていて。直に触れるのは汚らわしいから、長い柄の靴ベラとかで、つんつん。
 そして。男の子は女の子より頑丈だから、お尻ペンペンでは足りない。
 男性って、睾丸をたたかれるとすごく痛がるそうだけど、どんなになるのかな?
 靴ベラでバチイン。
 ここまでが、Spitefulの章です。


お尻懲罰1

 実は、このシーンでアイリスが思ったあれこれが、後に彼女を呪縛するのです。
  縛られなくても、命じられた姿勢を崩したりしません。
  キャティみたいに無様に悲鳴をあげたりしないわよ。
  泣くもんですか。わたくしは、誇り高い貴族なのよ。
  などなどなど。
  いっそのこと、章題を Boomerang にしようかと思うくらいです。でも、Sで始まらないので。



 さて、今日(OFF)は Subsitituteくらいは書き上げましょう。


関連記事

テーマ : 18禁・官能小説
ジャンル : アダルト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

お嬢様の性格がとても良いですね、自分がリクエストを出したときは単純な悪役のつもりだったのですが、豪門様の作品からは、育ちの良さとそれに比例するかのようなプライドの高さ、あるいは高慢さがうかがえます。
この先の不幸を経てどのような感情を見せていくのか、とても楽しみです。
プロフィール

濠門長恭

Author:濠門長恭
S70%+M80%=150%
高々度の変態非行が可能です!

鬼畜と変態と物好きと暇人の合計 (2018.01.01~)
検索フォーム
コメント投稿の仕方
複数記事を表示したデフォルトの状態ではコメントを投稿できません。 投稿したい記事のタイトルをクリックして個別表示させると最下段に投稿欄が表示されます。
濠門長恭作品販売サイト
リンク L I N K りんく
カテゴリ
最新記事
最新コメント
濠門長恭への連絡はこちらへ

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
QRコード
QR