Progress Report 2:『特別娼学性奴』
どうも、平日というやつはいけません。勤務中にぼけっとしてると(出来る環境なのです)、どんどん妄想が膨らんでいって……
まあ、ゲームと一緒ですけどね。立ち上がりが、もっとも楽しめて(ゲームと違ってS/Lはしませんけど)。後半は作業ゲーになっていく。小説だと、序盤あたりを書き込んで、途中からどんどん走り出す。頭デッカチ尻スボミ。いや、読者を最終ページに向けて疾走させるベクトル感覚(Ⓒ平井和正)とも言えるかもしれないのではないかと思わぬこともないのであろうか。
ええと。
Spiteful (意地悪な)は、紹介済み。
Substitute (代用品)で、ドライバーの柄でスクールメイドの処女膜を破って。でも、陰茎を挿入したのではないから(太いタンポンと同じだから)処女を奪ったのではありませんことよ。労働者階級の娘の処女にはなんの価値もありませんけれど。
Subsidence (没落は意訳だな)で、パパは行方不明、ママはジャマゆきさん。
裁判所に申し立てて死亡宣告をしてもらうと、嗣子(直系男子のみ)無き子爵家は廃絶。破産宣告しても同じ。というわけで、家屋敷からパンティ一枚に至るまで処分しても残る50万ポンド(話の都合で増減します)を、親切な人物から借りて、その返済方法も親切な人物から斡旋してもらって。さらに、娘が学ぶメイスレッド学園の新理事長の好意で、新しく設けられた奨学制度の第1号。実は、親切な人物と新理事長は同一人物で、かつて伯爵家令嬢メリーをフッド子爵と競ったドレッド・ノートン子爵。ママはノートンに騙されたのか、ママが娘を(ノートンの名を伏せることで)騙したのかは、書き進むうちに決まるでしょう。作者が決めるのではなく、話の流れで決まるのです。
この章で、ヒロインはパパの顧問弁護士にパンティ一枚まで没収されて、特別奨学生契約を結ぶしかなくなって。股下ゼロcmの裸ジャンスカ制服(制服は貸与するが下着は契約範囲外)で、そんな格好でうろつけば襲われるぞと貞操鎖を装着させられて。SchoolMale、SchoolMaidともども物置小屋を新しい宿舎に与えられて。二人からの仕返しが、じわじわと始まって。
画像は、ちょっと違うけれど、鎖貞操帯のイメージです。

ようやく1日が終わって。次の日が
Shame(恥辱)です。
その途中までを御紹介。書き立てのほやほや。
========================================
Shame
環境が激変して。チャーリイとジニアも、熟睡できるはずがありません。二人とも夜明け前には目を覚ましました。けれど、すぐには手錠を外してくれません。高い所から見下ろしているくらいなら、まだしも。
チャーリイは床まで下りてきてわたくしの横にしゃがみ込みました。ばかりか。不届きにも、わたくしの乳房を撫でたりつかんだりし始めました。
「やめなさい、チャーリイ」
たしなめましたけれど、彼の手は止まりません。わたくしは、重ねて叱ったりはしません。絶対に従わないだろうと、予測できたからです。叱れば叱るほど、主人としての威厳が損なわれます。
今のチャーリイは、小さな子供と同じです。珍しい物をあれこれいじっているのです。
「ひゃんっ……」
乳首をつままれて、不快な電撃が走りました。ええ、不快なのです。
「へえ。こんなちっこい胸でも感じてるんだ」
チャーリイは調子に乗って、指の腹で乳頭をくすぐったり、あるいは半割りのオレンジを胸板から引き剥がすみたいにつかんだり。
そのたびに、細く鋭い不快感や、乳房全体に染み通るような不快感に襲われます。うっかり声を漏らした結果がこれなのですから――わたくしは声を出すまいと、懸命に堪えました。
ぼぐっ……お腹に重たい衝撃を受けました。
「ぐぶふっ……」
また、バッグを落とされたのです。それも、昨夜よりずっと高い位置から。
「そんな平らな胸が、あなたの好みなの? それじゃ、わたしのは二度と触らせてやらないからね」
女同士です。声に含まれている嫉妬の響きは、容易に聞き分けられます。なんとしたことでしょう。あれだけ厳しく管理していたのに、いつの間にか二人は(どこまでかは分かりませんが)通じていたのです。
「怒らないでくれよ。ちょっと、お嬢様をしつけていただけさ」
「そんなのは、先生方に任せておけばいいのよ。そんな平原で遊んでいないで、わたしの丘で遊んでよ。なんだったら、密林を探検……あ、そうか。出来ないんだっけ」
「勘弁してくれよ。前が突っ張らかるのは痛いんだから」
状況が状況ですから、そんな換喩(metonimy)だらけの会話も、およそは分かります。わたくしの胸が平原ですって? 平原にオレンジは生りません――この修辞はねじれています。
それ以上の悪戯はされずに、張り付けから解放してもらえました。わずか十秒で制服を着て、隣のブースで恥辱をかみ締めながら用を足して、校舎の裏伝いにガレージへ行き、もう目覚めて男子寮の窓から外を眺めている顔が無いのを確かめてから大急ぎで股間を洗いました。
物置小屋まで戻って、ずいぶんと迷いましたが、中に入りました。使用人が中でのんびり過ごして主人が外で待つなんて不自然ですし、さっきの会話から察するに、二人だけにしておくと良からぬことをしでかしそうです。使用人の不始末は主人の責任でもあるのですから、きちんと監督しなければなりません。分かっています。もはや、二人ともわたくしの言うことなんか聞く耳をもたないのでしょう。けれど、だからといって責任を放棄するわけにはいきません。それに、彼らがわたくしを主人と思わないにしても、『第三者』の目の前で不純異性交遊(illicit sexual relations)に耽ったりはしないでしょう。
はなはだしく居心地の悪い二時間が過ぎて、朝食の時間になりました。また、二人について行く形でカフェテリアの裏手へ行って、昨日と同じコックから朝食を恵んでもらいました。
「え……?」
思わず疑問の声を漏らしたのは、二人に比べて明らかに食事の量が少なかったからです。絶対的な量の不足が不満だったのではありません。差異をつけられたことに納得がいかなかったのです。
「おまえさんは食が細いから、それでじゅうぶんだろ」
昨夜は半分くらいを残した、そのことを言っているのです。
たかだか食事の量くらいのことで、労働者といさかいを起こすなんて、わたくしの誇りが許しません。
「ありがとうございます(Thank you,sir)」
昨夜よりは滑らかに、感謝の言葉を言えました。誇りを失ったのではありません。事務的手続き、あるいは呪文みたいなものだと、割り切っただけです。
食事の途中で、わたくしたちのグループの担任(advisor)であるレイカー氏が来て、教室ではなくフッド記念講堂へ行くようにと告げました。二人は心得顔。何事だろうといぶかしく思ったのは、わたくしだけのようです。
フッド記念小講堂へ行くと、担任に関係者通用口へ案内されました。通用口から控室を通って袖へ行き、そこで待機です。
袖からは座席が見えませんが、収容人数と聞こえてくる私語から推察すると、セカンダリーの生徒が集められているようです。
一時限目のチャイムが鳴ると、わたくしたちとは反対側の袖から、校長が姿を現わしました。
「おはよう、生徒諸君。本日は、当学園で初めて試みる奨学制度(Scholarship System)について説明します」
生徒の皆さんはお行儀よく校長の話を聞いていますが、きっと何の関心も持っていないでしょう。学費の心配なんて無縁ですものね――わたくしたち三人を除いては。
「近世までは学僕という制度がありました」
校長が後ろの黒板に大きく“Scool Servant”と書きました。
「学校の雑役夫として働きながら、その合間に無償で授業を受ける生徒のことです。新しく設ける奨学制度も、この仕組みと似ています。在学中の生徒で、学費を工面できなくなった三人に、この新しい制度を適用することにしました」
レイカー氏に引率されて、わたくしたちは演壇の中央へ進みます。進みたくなくても、進まざるを得ません。生徒たちと向かい合って立っても、ひとりひとりの顔なんか見分けがつきません。とにかく、スカートの裾が気になって仕方がありません。下から見上げられているのです。
「奨学生の三人も、こちらを向きなさい」
ほっとした気分になって、まわれ右をします。股間を見上げられるよりは、お尻を見られるほうが、まだしもです。もっとも、六つと半ダースの違いですけれど。
「新しい奨学制度は、公式には特別奨学制度と称します」
最初に書いた文字の下に“Special Scholarship Sysytem”の文字が加わりました。
「しかし、生徒も教師も心得ておいてもらいたいのは、その制度の運用形態です」
校長が三行目に“expert Scholarship Student”と書きました。何かの分野の専門家を養成する目的の奨学金制度という意味でしょう。だから、学園が就職先を世話してくれるのだと、理解しました。
ところが。校長は三行目の左端に“S”の文字を書き加えて、最初の三文字にアンダーラインを引きました。“Sexpert”
「あっ……」
わたくしは息を飲みました。昨日の校長の発音は、聞き違いではなかったのです。こんな単語は初めて見ましたけれど、容易に想像がつきました。SEXのエキスパート。
娼婦です!
それで、この破廉恥極まりない制服の意味が明白になりました。娼婦は客を引くために、ずいぶんと露出的な服装をするのだと、男性向けのいかがわしい雑誌に書いて……あると、噂に聞いたことがあります。こんな超ミニスカートとか、裸身に毛皮のコートだけをまとうとか。
わたくしは、この場から逃げ出そうかと考えました。大声で校長に抗議しようかとも考えました。けれど、どちらも危うく思いとどまりました。
ひとつには、学園を逃げ出しても、身を寄せる所が無いのです。こんな破廉恥な服装で外を歩かなければならないという事実は無視するとしても。
二つ目には、他の二人が平然としているのに、わたくしひとりが取り乱すことへの羞じらいです。
この二つは、実際的な困難と個人的な見栄の問題です。けれど、それ以上にわたくしを縛るものがあります。契約書への署名です。うかつに署名してしまったとはいえ、契約が成立したことに変わりはありません。契約をやぶるなど、ならず者のすることです。貴族の名誉に懸けて、そんな真似は出来ません。
それに、セキスパートが娼婦だというのは、わたくしの勘違いでしょう。伝統と格式を誇るメイスレッド学園が娼婦を養成するはずがありませんもの。
「……さて、ここで諸君に覚えておいてもらいたいのは、アイリス・フッドと他の二人は明確に事情が異なっているということです」
自分の考えにかまけて、校長の話を聞いていませんでした。
「チャーリイ・アクティとジニア・コルベットには、労働者階級とはいえ両親が健在です。親元から若干の金銭的援助を受けられます。しかし、アイリス・フッドは事実上の孤児となり、まったくの無一文となったのです。彼女は、学園の慈悲と生徒諸君の善意とによってのみ生きていけるのです。したがって、彼女に対してその見返りを求める権利が学園と生徒諸君にはあるのです」
酷い言われようです。けれど、ここまでの長広舌は、わたくしにとどめの一撃を加えるための前準備に過ぎなかったのだと、思い知らされました。
「したがって……」
校長は、チャーリイとジニアに、袖へ引っ込むように命じました。わたくしひとりが壇上に立たされています。
校長はチョークでわたくしを指し示してから黒板に向き直り――四行目に、それまでより大きな文字で、すべてを大文字で書き記しました。
“SEX SLAVE STUDENT”
講堂全体がどよめきました。
わたくしは――立ったまま卒倒したのでしょう。気がついてみると、グループが集まる教室に居たのです。
========================================
尺が伸びてきたので、最後の一行で、Warpします。
まあ、ゲームと一緒ですけどね。立ち上がりが、もっとも楽しめて(ゲームと違ってS/Lはしませんけど)。後半は作業ゲーになっていく。小説だと、序盤あたりを書き込んで、途中からどんどん走り出す。頭デッカチ尻スボミ。いや、読者を最終ページに向けて疾走させるベクトル感覚(Ⓒ平井和正)とも言えるかもしれないのではないかと思わぬこともないのであろうか。
ええと。
Spiteful (意地悪な)は、紹介済み。
Substitute (代用品)で、ドライバーの柄でスクールメイドの処女膜を破って。でも、陰茎を挿入したのではないから(太いタンポンと同じだから)処女を奪ったのではありませんことよ。労働者階級の娘の処女にはなんの価値もありませんけれど。
Subsidence (没落は意訳だな)で、パパは行方不明、ママはジャマゆきさん。
裁判所に申し立てて死亡宣告をしてもらうと、嗣子(直系男子のみ)無き子爵家は廃絶。破産宣告しても同じ。というわけで、家屋敷からパンティ一枚に至るまで処分しても残る50万ポンド(話の都合で増減します)を、親切な人物から借りて、その返済方法も親切な人物から斡旋してもらって。さらに、娘が学ぶメイスレッド学園の新理事長の好意で、新しく設けられた奨学制度の第1号。実は、親切な人物と新理事長は同一人物で、かつて伯爵家令嬢メリーをフッド子爵と競ったドレッド・ノートン子爵。ママはノートンに騙されたのか、ママが娘を(ノートンの名を伏せることで)騙したのかは、書き進むうちに決まるでしょう。作者が決めるのではなく、話の流れで決まるのです。
この章で、ヒロインはパパの顧問弁護士にパンティ一枚まで没収されて、特別奨学生契約を結ぶしかなくなって。股下ゼロcmの裸ジャンスカ制服(制服は貸与するが下着は契約範囲外)で、そんな格好でうろつけば襲われるぞと貞操鎖を装着させられて。SchoolMale、SchoolMaidともども物置小屋を新しい宿舎に与えられて。二人からの仕返しが、じわじわと始まって。
画像は、ちょっと違うけれど、鎖貞操帯のイメージです。

ようやく1日が終わって。次の日が
Shame(恥辱)です。
その途中までを御紹介。書き立てのほやほや。
========================================
Shame
環境が激変して。チャーリイとジニアも、熟睡できるはずがありません。二人とも夜明け前には目を覚ましました。けれど、すぐには手錠を外してくれません。高い所から見下ろしているくらいなら、まだしも。
チャーリイは床まで下りてきてわたくしの横にしゃがみ込みました。ばかりか。不届きにも、わたくしの乳房を撫でたりつかんだりし始めました。
「やめなさい、チャーリイ」
たしなめましたけれど、彼の手は止まりません。わたくしは、重ねて叱ったりはしません。絶対に従わないだろうと、予測できたからです。叱れば叱るほど、主人としての威厳が損なわれます。
今のチャーリイは、小さな子供と同じです。珍しい物をあれこれいじっているのです。
「ひゃんっ……」
乳首をつままれて、不快な電撃が走りました。ええ、不快なのです。
「へえ。こんなちっこい胸でも感じてるんだ」
チャーリイは調子に乗って、指の腹で乳頭をくすぐったり、あるいは半割りのオレンジを胸板から引き剥がすみたいにつかんだり。
そのたびに、細く鋭い不快感や、乳房全体に染み通るような不快感に襲われます。うっかり声を漏らした結果がこれなのですから――わたくしは声を出すまいと、懸命に堪えました。
ぼぐっ……お腹に重たい衝撃を受けました。
「ぐぶふっ……」
また、バッグを落とされたのです。それも、昨夜よりずっと高い位置から。
「そんな平らな胸が、あなたの好みなの? それじゃ、わたしのは二度と触らせてやらないからね」
女同士です。声に含まれている嫉妬の響きは、容易に聞き分けられます。なんとしたことでしょう。あれだけ厳しく管理していたのに、いつの間にか二人は(どこまでかは分かりませんが)通じていたのです。
「怒らないでくれよ。ちょっと、お嬢様をしつけていただけさ」
「そんなのは、先生方に任せておけばいいのよ。そんな平原で遊んでいないで、わたしの丘で遊んでよ。なんだったら、密林を探検……あ、そうか。出来ないんだっけ」
「勘弁してくれよ。前が突っ張らかるのは痛いんだから」
状況が状況ですから、そんな換喩(metonimy)だらけの会話も、およそは分かります。わたくしの胸が平原ですって? 平原にオレンジは生りません――この修辞はねじれています。
それ以上の悪戯はされずに、張り付けから解放してもらえました。わずか十秒で制服を着て、隣のブースで恥辱をかみ締めながら用を足して、校舎の裏伝いにガレージへ行き、もう目覚めて男子寮の窓から外を眺めている顔が無いのを確かめてから大急ぎで股間を洗いました。
物置小屋まで戻って、ずいぶんと迷いましたが、中に入りました。使用人が中でのんびり過ごして主人が外で待つなんて不自然ですし、さっきの会話から察するに、二人だけにしておくと良からぬことをしでかしそうです。使用人の不始末は主人の責任でもあるのですから、きちんと監督しなければなりません。分かっています。もはや、二人ともわたくしの言うことなんか聞く耳をもたないのでしょう。けれど、だからといって責任を放棄するわけにはいきません。それに、彼らがわたくしを主人と思わないにしても、『第三者』の目の前で不純異性交遊(illicit sexual relations)に耽ったりはしないでしょう。
はなはだしく居心地の悪い二時間が過ぎて、朝食の時間になりました。また、二人について行く形でカフェテリアの裏手へ行って、昨日と同じコックから朝食を恵んでもらいました。
「え……?」
思わず疑問の声を漏らしたのは、二人に比べて明らかに食事の量が少なかったからです。絶対的な量の不足が不満だったのではありません。差異をつけられたことに納得がいかなかったのです。
「おまえさんは食が細いから、それでじゅうぶんだろ」
昨夜は半分くらいを残した、そのことを言っているのです。
たかだか食事の量くらいのことで、労働者といさかいを起こすなんて、わたくしの誇りが許しません。
「ありがとうございます(Thank you,sir)」
昨夜よりは滑らかに、感謝の言葉を言えました。誇りを失ったのではありません。事務的手続き、あるいは呪文みたいなものだと、割り切っただけです。
食事の途中で、わたくしたちのグループの担任(advisor)であるレイカー氏が来て、教室ではなくフッド記念講堂へ行くようにと告げました。二人は心得顔。何事だろうといぶかしく思ったのは、わたくしだけのようです。
フッド記念小講堂へ行くと、担任に関係者通用口へ案内されました。通用口から控室を通って袖へ行き、そこで待機です。
袖からは座席が見えませんが、収容人数と聞こえてくる私語から推察すると、セカンダリーの生徒が集められているようです。
一時限目のチャイムが鳴ると、わたくしたちとは反対側の袖から、校長が姿を現わしました。
「おはよう、生徒諸君。本日は、当学園で初めて試みる奨学制度(Scholarship System)について説明します」
生徒の皆さんはお行儀よく校長の話を聞いていますが、きっと何の関心も持っていないでしょう。学費の心配なんて無縁ですものね――わたくしたち三人を除いては。
「近世までは学僕という制度がありました」
校長が後ろの黒板に大きく“Scool Servant”と書きました。
「学校の雑役夫として働きながら、その合間に無償で授業を受ける生徒のことです。新しく設ける奨学制度も、この仕組みと似ています。在学中の生徒で、学費を工面できなくなった三人に、この新しい制度を適用することにしました」
レイカー氏に引率されて、わたくしたちは演壇の中央へ進みます。進みたくなくても、進まざるを得ません。生徒たちと向かい合って立っても、ひとりひとりの顔なんか見分けがつきません。とにかく、スカートの裾が気になって仕方がありません。下から見上げられているのです。
「奨学生の三人も、こちらを向きなさい」
ほっとした気分になって、まわれ右をします。股間を見上げられるよりは、お尻を見られるほうが、まだしもです。もっとも、六つと半ダースの違いですけれど。
「新しい奨学制度は、公式には特別奨学制度と称します」
最初に書いた文字の下に“Special Scholarship Sysytem”の文字が加わりました。
「しかし、生徒も教師も心得ておいてもらいたいのは、その制度の運用形態です」
校長が三行目に“expert Scholarship Student”と書きました。何かの分野の専門家を養成する目的の奨学金制度という意味でしょう。だから、学園が就職先を世話してくれるのだと、理解しました。
ところが。校長は三行目の左端に“S”の文字を書き加えて、最初の三文字にアンダーラインを引きました。“Sexpert”
「あっ……」
わたくしは息を飲みました。昨日の校長の発音は、聞き違いではなかったのです。こんな単語は初めて見ましたけれど、容易に想像がつきました。SEXのエキスパート。
娼婦です!
それで、この破廉恥極まりない制服の意味が明白になりました。娼婦は客を引くために、ずいぶんと露出的な服装をするのだと、男性向けのいかがわしい雑誌に書いて……あると、噂に聞いたことがあります。こんな超ミニスカートとか、裸身に毛皮のコートだけをまとうとか。
わたくしは、この場から逃げ出そうかと考えました。大声で校長に抗議しようかとも考えました。けれど、どちらも危うく思いとどまりました。
ひとつには、学園を逃げ出しても、身を寄せる所が無いのです。こんな破廉恥な服装で外を歩かなければならないという事実は無視するとしても。
二つ目には、他の二人が平然としているのに、わたくしひとりが取り乱すことへの羞じらいです。
この二つは、実際的な困難と個人的な見栄の問題です。けれど、それ以上にわたくしを縛るものがあります。契約書への署名です。うかつに署名してしまったとはいえ、契約が成立したことに変わりはありません。契約をやぶるなど、ならず者のすることです。貴族の名誉に懸けて、そんな真似は出来ません。
それに、セキスパートが娼婦だというのは、わたくしの勘違いでしょう。伝統と格式を誇るメイスレッド学園が娼婦を養成するはずがありませんもの。
「……さて、ここで諸君に覚えておいてもらいたいのは、アイリス・フッドと他の二人は明確に事情が異なっているということです」
自分の考えにかまけて、校長の話を聞いていませんでした。
「チャーリイ・アクティとジニア・コルベットには、労働者階級とはいえ両親が健在です。親元から若干の金銭的援助を受けられます。しかし、アイリス・フッドは事実上の孤児となり、まったくの無一文となったのです。彼女は、学園の慈悲と生徒諸君の善意とによってのみ生きていけるのです。したがって、彼女に対してその見返りを求める権利が学園と生徒諸君にはあるのです」
酷い言われようです。けれど、ここまでの長広舌は、わたくしにとどめの一撃を加えるための前準備に過ぎなかったのだと、思い知らされました。
「したがって……」
校長は、チャーリイとジニアに、袖へ引っ込むように命じました。わたくしひとりが壇上に立たされています。
校長はチョークでわたくしを指し示してから黒板に向き直り――四行目に、それまでより大きな文字で、すべてを大文字で書き記しました。
“SEX SLAVE STUDENT”
講堂全体がどよめきました。
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ヒロインには感情移入
自分が感情移入できないヒロインは書きませんというか書けません。
まあ、純粋な悪役だって、主役に据えて掘り下げていけば「意外な一面」が出てくるというか、作ってしまうというか。見境なく喧嘩を吹っ掛ける番長が、棄てられた子犬にミルクをやるとか。
1行目の「書けません」に戻るわけですが、そういう設定しか出来ないのです。
北島マヤ(フィクションのほう)が、『二人の女王』で悪役姫を演じたようなもの(とは、違うか?)です。
追伸:結局Y7設定に戻しました。
よくよくPLOTを読み返してみると「7月に12になる」と書いてありました。破瓜は8月の夏休み中ですので、恋足≧12のナガヤスラインは守られています。それと……
「これから、チャーリイのことはお兄様と呼ぶのよ。わたしはお姉様」と、二人にいびられて肯ぜずに虐められるとか。早生まれの設定は捨てがたいので。
まあ、純粋な悪役だって、主役に据えて掘り下げていけば「意外な一面」が出てくるというか、作ってしまうというか。見境なく喧嘩を吹っ掛ける番長が、棄てられた子犬にミルクをやるとか。
1行目の「書けません」に戻るわけですが、そういう設定しか出来ないのです。
北島マヤ(フィクションのほう)が、『二人の女王』で悪役姫を演じたようなもの(とは、違うか?)です。
追伸:結局Y7設定に戻しました。
よくよくPLOTを読み返してみると「7月に12になる」と書いてありました。破瓜は8月の夏休み中ですので、恋足≧12のナガヤスラインは守られています。それと……
「これから、チャーリイのことはお兄様と呼ぶのよ。わたしはお姉様」と、二人にいびられて肯ぜずに虐められるとか。早生まれの設定は捨てがたいので。
No title
自分がリクエストを出したときに思い浮かべていたのは手がつけられないクソガキだったんですが、出来上がった作品では良い意味でも悪い意味でも高貴な生まれの少女でとても素晴らしいですね、今後の展開が非常に楽しみです。