Progress Report 6:『特別娼学性奴』
7月のシフトが、ようやく決まりました。3,7が休みなので、ここらで脱稿すれば、校訂もBFも余裕。。
今はSodomy中盤で、床屋に行ったりなんかしてると、明日に持ち越し。
その後が、クライマックス Showtime です。以後は、2年間の点描 Sequel と、5~10枚ずつの SatisficEND と SadisticEND 。ラストは改題しました。Sに拘り韻にこだわっています。
ま、レポートはさっさと片付けて、本日執筆枚数18を25くらいにしておきますか。平日15とか行くくせに、休日はブログ更新したりちょこまかゲームしたり(;^_^A
ちなみに、本章(Skill)終わりで480枚。現在は505枚目を執筆中です。
========================================
Skill
午前中は各教室で見世物になって、午後はせいぜいY6までの学習内容を、わたくしとチャーリイとジニアが手分けして、二期生の四人にほとんどマンツーマンです。四人の成績がかんばしくないときに責任者として半分の罰を受けるのは、わたくしだけですけれど。
放課後は、SS生徒としての課外活動です。ずいぶんとポルノビデオ(ほとんどは国内では非合法の代物だと思います)を鑑賞して、わたくしの実用的な知識も二期生に負けないくらい豊富になってきました。でも、知識だけです。
特別奨学生契約書の4項に書かれてある『就職に必要な技能を習得する為の講習』が始まったのは、十月の中旬からでした。
外部から講師が招かれました。チャーパンでソープランドのコンパニオンをしているカガリ・アカギ嬢です。ランドといっても国家とか大規模な遊園地のことではなく、ビルの一画くらいです。それでも国(land)という名前がついているからでしょうか、コンパニオン嬢のことは泡姫(soap princess)と呼ぶのだそうです。
その国では入浴と特殊なマッサージを提供して、ほとんど百パーセントの確率でお客とお姫様は電撃の恋に落ちて――SS生徒が来賓と『歓談』するようなものですね。違うのは、コンパニオン嬢はお客から個人的に(現金の)プレゼントをもらうことくらいでしょうか。
入浴してリラックスする習慣の無い西欧社会では定着しそうもないサービスですが、ソープランドで行なわれる特殊マッサージは、あまりにも特殊で、『就職に必要』というよりも『きわめて有利な』技能ではないかと、学園つまり理事長は考えたのでしょう。だから、最初から広すぎるシャワールームに大きなバスタブまで設置されていたのです。
講習は、全員が首輪だけの完全な全裸で受けました。『完全な全裸』は、重言ではありません。鎖の貞操帯も外してもらって――という意味です。
実技講習の最初の段階では、SS生徒同士がペアを組みました。チャーリイとジニア、ヌビアンとアビリア。ウラニアとフュリーは、女の子同士です。わたくしは、カガリ嬢の相手役に指名されました。最初だけです。途中からペアの組み合わせは変わりましたし、最終段階では教師や延長教育生徒にお客役を務めていただきました。
「さいしょにいっておきますが、おとこもおんなも、えろちっくなきもちよさをかんじるばしょは、おなじなのです――さおとくりとりす、たまとらびあがにているというだけでなく、ゆびさきとか、みみとかもふくめて、です」
だから、女性が女性を練習台にして身に着けたテクニックは、そのまま男性にも応用できるのだと――初耳です。わたくしは、陰茎と陰核が発生学的には同一部位だという知識を持っていましたけれど、あらためて指摘されるまで、そんなふうに考えたことがなかったので、目からうろこが落ちる思いでした。カガリ嬢のレッスンをマスターして、セキスパートとして他の六人に抜きん出てみせましょうと、心に誓いました。
性奴隷も売春婦も、つまりはSEXを商品にすることに変わりはないです。そして、わたくしは不覚にも、そういう契約を(半ばだまされてとはいえ)結んでしまったのです。逃れられない運命ならば、前向きになりましょう。常に学年主席を争っていたわたくしです。この道でもトップになってみせます。処女を喪失してから、そういうふうに考えるようになってきました。
それにしても、なんて卑わいな『マッサージ』なのでしょう。最初にお客の指を洗うのですが、それには膣を使うのです。指を一本ずつ入れていただいて。それから、女性器をお客の腕や太腿に擦りつけて、女性器をブラシ代わりにするのです。
もっとも、このテクニックを教えてくれるとき、カガリ嬢は苦笑していました。
「ほんとうは、けのブラシであらうのですが、みなさんはパイパンですね」
パイパンというのはチャーパンの言葉で、絵柄が印刷されていないゲーム札という意味だそうです。だから『ブラシ洗い』ではなく『スポンジ洗い』だと、名付けてくれました。
卑わいといえば。お客の身体を洗うための椅子も、想像を絶して卑わいです。分厚いアクリル板を長方形に曲げて、両端は六インチ開いています。隙間のある側が座面です。殿方が腰掛けると、男性器は隙間から下に垂れます。だから、ていねいに洗えるのです。応用技としては、コンパニオン嬢があお向けになって長方形の中に頭を突っ込んで――洗った後ですから、パンツを脱いだばかりの陰茎をくわえるよりは、ずっと衛生的です。肛門までなめるのが常識だそうです。
この特殊な椅子を使うよりも、さらに桁違いに卑わいな洗い方もあります。それには、大きなエアマットを使うのです。プールに浮かべたら三人くらいは乗って遊べそうな大きさです。お客はマットに寝ていただいて――全身を石けんの泡まみれにしたコンパニオン嬢が抱き着いて、身体をくねらせて全身を洗うのです。泡踊り(bubble dance)というそうです。
最初にカガリ嬢がわたくしをお客に見立てて模範演技を披露したのですけれど。わたくしのほうが小柄なので、勝手が違って苦労しているようでした。それでも、ダンスの神髄を余すところなく体験させていただきました。
ひと言でいえば、くすぐったいです。でも、乳房や股間を背中に押しつけられても、ちっともエロチックには感じませんでした。実のところ、身体の背面は(お尻も含めて)神経の分布が疎らなので、性感には乏しいのだそうです。そうかしらと、疑う気持ちはあります。背中をそっとなでられると、ぞわあっとします。くすぐったいです。お尻については言を待ちません。もしかすると、やはり、男性と女性とでは性感帯が違うのではないでしょうか。
ですけれど。カガリ嬢は月に(自身の手取で)五千ポンド以上を稼いでいる売れっ子だそうです。一流の専門家の言葉を素人が疑うのは間違っています。彼女に劣らないだけのテクニックを身に着けて、それから自身の経験に基づいて判断すべきだと思います。
彼女の言によると、男性が泡踊りを喜ぶのは、そこまで女性に奉仕をさせているという――支配欲が満たされるからだそうです。これは、俗説の言い換えに過ぎません――男は女を支配したがる存在であるという。ですけれど、真実でもあると思います。女は男に支配されたがる存在であるという対偶命題と共に。
理屈は、ベッドに張り付けられているときでも考えられます。今は、とにかく実践です。
攻守所を入れ替えて、カガリ嬢をステージにして、わたくしが踊る番になりました。男の人に比べれば狭いステージですが、それでもわたくしよりは広いです。
そのステージに乗っているだけでも、テクニックを要求されるのだと思い知りました。とにかく、石けんの泡のせいで、背中から滑り落ちそうになります。といって、ステージにしがみついては、お客を不快にさせるだけです。うまくバランスを取って、身体をくねらせて、意識して乳房を背中に押しつけなければなりません。マーコットでは難しいです。カガリ嬢のメロンまでは望みませんけれど、ジニアのリンゴは欲しいです。ないものねだり(cry for the moon)はやめます。
お客にあお向けになっていただいたら、勃起した陰茎に淫裂をこすりつけます。けれど、この段階では挿入してはいけないのです。それでいて、じゅうぶんに『女性』をアピールするのです。乳首と乳首を擦り合わせたり、上下逆さになって、いわゆる69の体勢で口を使っての奉仕もします。この部分は、必要なポールがステージに備わっていないので、省略しました。ただし、さり気なく石けんを洗い流してから出ないと、自身の健康にも良くないし、求められてディープキスをするときに、お客に不快な思いをさせます。
カガリ嬢に及第点をもらうまでに、一時間以上も踊り続けて、腕も足も腰も痛くなりました。社交ダンスより、よほど難しく体力も要求されます。
ちなみに、その日の講習で及第点に達したのは、わたくしの他にはフュリーだけでした。
実際の接客では、たとえば四十五分とか百八十分といった時間の制約があります。短いのは大衆向けのお店で、カガリ嬢が勤めているお店では百二十分が最短だそうです。いずれにしても、最後は電撃の恋を成就させるのですが、それまでには時間の長短によって、いろんなプレイが組み込まれます。ああ、タフな男性ですと二ラウンドまれに三ラウンドということもあるのですけれど、それは事前にお客の希望を確かめておく必要があります。
わたくしとしては、そういう打ち合わせはしたくないです。お客に自由に振る舞っていただきたいと思います。けれど、ことにこの国ではなじみのないスタイルですから、プロフェッショナルとしてわたくしがリードしなければならないでしょう。今から気が重いです。
それはともかく。最初の講習で教わった応用プレイは、ひとつだけでした。潜望鏡といいます。お客にバスタブに浸かっていただいて、腰を浮かせて、勃起した陰茎を湯面から突き出してもらうのです。それを潜水艦の潜望鏡に見立てて――真上からくわえてフェラチオをするという理屈が分かりません。潜望鏡を発見したら爆弾をたたきつけるか爆雷を放り込むのが常識だと思います。これは、他の六人も同意見でした。
夕食までみっちり三時間の講習を受けて。全身が湯でふやけ切った感じになりました。身体の節々が悲鳴を上げています。みんな疲れ切って早めに就寝したのですが、チャーリイとジニアは、わたくしをX字形に拘束する手間だけは惜しみませんでした。
連日の講習。週末なんか、午前中に三時間、午後からは二期生へのマンツーマン補習、それが終わってから、また泡姫の実技講習が三時間。凄まじいハードスケジュールですが、これ以上をカガリ嬢は月に十五日も繰り返しているのだそうです。尊敬します。
売春婦なんて、股を開いてベッドに寝ていればいい――なんて、心の奥では見くびっていた自分が恥ずかしいです。もっとも、わたくしだけは性奴隷ですから、サディストにいろいろ痛めつけられるんだろうなと、それは覚悟していましたけれど。それだって、男に好き勝手されるだけのことです。能動的に振る舞って、持ち時間の配分まで考えなければならないなんて、肉体労働者であると同時に管理職でもあるのです。
わたくしには務まりません。泡姫としての技能は身に着けても、それを主体的に発揮するのは間違っていると――講習が進むにつれて、思い直すようになりました。というよりも。驚異的なテクニックを見せつけられて、思考停止に陥っていたのでしょう。
魂を高潔に保つということと、みずから進んで男に身体を売るという行為は、両立するはずがないのです。契約に縛られて、命令されて、心ならずも男に(とは限りませんけれど)犯される――それが、青い血をおとしめない唯一の身の処し方です。そして、たとえ命令されたって譲れない部分は……苛酷な懲罰に甘んじるしかありません。
もちろん、そういった決意は言葉にも態度にも表わしませんでした。カガリ嬢に同情されたくなかったからです。わたくしたちセキスパート奨学生は、将来の高収入のためにみずから進んで特殊技能を学んでいると、カガリ嬢は信じているようです。わたくしの事情については、かなり詳しく知っているようでしたけれど、それも。父の借金を返済しながら、貴族令嬢にふさわしい名門学園を卒業するために、この道を選んだ。そんなふうに校長から聞かされて、それを信じているようでした。ええ、大筋は間違っていませんとも!
その誤解を訂正するつもりはありません。込み入った内容を理解するほど、彼女の語学力は高くないでしょうし。有色人種に同情されるなんて、それだけでプライドがずたずたに引き裂かれます。いえ、カガリ嬢本人を見下しているのではありません。ただ、彼女が属する人種がコーカソイドに劣っているという、普遍的な真実を言っているだけです。白人奴隷は、それでも有色人種よりは身分が上なのです。
――講習の最終段階の、教師や上級生を相手にした実習については、語りたくありません。どうせ、来賓を相手にした本番のお話をしなければならないのですから。
ただ、本番の『接待』をするにあたって、わたくしはじゅうぶんな自信を持っていました。二週間の集中講習を終えてイングルを去る(のか、しばらくは観光をしてまわるのかまでは知りませんけれど)にあたって、カガリ嬢は全員にトリプルAの評価をくれたのです。
「みんな、ソープランドではたらけば、すぐにナンバーワンになれます。チャーリイとヌビアンにも、しょくばはあります。でも、いますぐはだめです。Y13をそつぎょうしてからですね」
カガリ嬢の言葉は法律面での無知を露呈しています。売春婦に就労ビザは発給されませんから、それでもチャーパンで働こうとするなら、非合法な手段しかありません。それなら、Y13だろうとY8だろうと関係はないのです。
もっとも、わたくしはそういったことを考える必要はありません。特別奨学生契約書の3項に従って、わたくしは学園を卒業したら売り飛ばされるのですから。もしかしたら、母様が借金を返済し終えて、なおかつわたくしを買い戻せる(契約書1項の但し書きです)だけの資金を蓄えて卒業までに迎えに来てくださるかもしれませんけれど――無駄な希望は抱かないようにします。
========================================

ま、さらっと流しました。
実技講習は、他にも花電車、カーマスートラ、ポールダンスなどなどありますが、これは Sequelで数行ずつ(で済むかなあ?)触れるくらいにしておきます。
今はSodomy中盤で、床屋に行ったりなんかしてると、明日に持ち越し。
その後が、クライマックス Showtime です。以後は、2年間の点描 Sequel と、5~10枚ずつの SatisficEND と SadisticEND 。ラストは改題しました。Sに拘り韻にこだわっています。
ま、レポートはさっさと片付けて、本日執筆枚数18を25くらいにしておきますか。平日15とか行くくせに、休日はブログ更新したりちょこまかゲームしたり(;^_^A
ちなみに、本章(Skill)終わりで480枚。現在は505枚目を執筆中です。
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Skill
午前中は各教室で見世物になって、午後はせいぜいY6までの学習内容を、わたくしとチャーリイとジニアが手分けして、二期生の四人にほとんどマンツーマンです。四人の成績がかんばしくないときに責任者として半分の罰を受けるのは、わたくしだけですけれど。
放課後は、SS生徒としての課外活動です。ずいぶんとポルノビデオ(ほとんどは国内では非合法の代物だと思います)を鑑賞して、わたくしの実用的な知識も二期生に負けないくらい豊富になってきました。でも、知識だけです。
特別奨学生契約書の4項に書かれてある『就職に必要な技能を習得する為の講習』が始まったのは、十月の中旬からでした。
外部から講師が招かれました。チャーパンでソープランドのコンパニオンをしているカガリ・アカギ嬢です。ランドといっても国家とか大規模な遊園地のことではなく、ビルの一画くらいです。それでも国(land)という名前がついているからでしょうか、コンパニオン嬢のことは泡姫(soap princess)と呼ぶのだそうです。
その国では入浴と特殊なマッサージを提供して、ほとんど百パーセントの確率でお客とお姫様は電撃の恋に落ちて――SS生徒が来賓と『歓談』するようなものですね。違うのは、コンパニオン嬢はお客から個人的に(現金の)プレゼントをもらうことくらいでしょうか。
入浴してリラックスする習慣の無い西欧社会では定着しそうもないサービスですが、ソープランドで行なわれる特殊マッサージは、あまりにも特殊で、『就職に必要』というよりも『きわめて有利な』技能ではないかと、学園つまり理事長は考えたのでしょう。だから、最初から広すぎるシャワールームに大きなバスタブまで設置されていたのです。
講習は、全員が首輪だけの完全な全裸で受けました。『完全な全裸』は、重言ではありません。鎖の貞操帯も外してもらって――という意味です。
実技講習の最初の段階では、SS生徒同士がペアを組みました。チャーリイとジニア、ヌビアンとアビリア。ウラニアとフュリーは、女の子同士です。わたくしは、カガリ嬢の相手役に指名されました。最初だけです。途中からペアの組み合わせは変わりましたし、最終段階では教師や延長教育生徒にお客役を務めていただきました。
「さいしょにいっておきますが、おとこもおんなも、えろちっくなきもちよさをかんじるばしょは、おなじなのです――さおとくりとりす、たまとらびあがにているというだけでなく、ゆびさきとか、みみとかもふくめて、です」
だから、女性が女性を練習台にして身に着けたテクニックは、そのまま男性にも応用できるのだと――初耳です。わたくしは、陰茎と陰核が発生学的には同一部位だという知識を持っていましたけれど、あらためて指摘されるまで、そんなふうに考えたことがなかったので、目からうろこが落ちる思いでした。カガリ嬢のレッスンをマスターして、セキスパートとして他の六人に抜きん出てみせましょうと、心に誓いました。
性奴隷も売春婦も、つまりはSEXを商品にすることに変わりはないです。そして、わたくしは不覚にも、そういう契約を(半ばだまされてとはいえ)結んでしまったのです。逃れられない運命ならば、前向きになりましょう。常に学年主席を争っていたわたくしです。この道でもトップになってみせます。処女を喪失してから、そういうふうに考えるようになってきました。
それにしても、なんて卑わいな『マッサージ』なのでしょう。最初にお客の指を洗うのですが、それには膣を使うのです。指を一本ずつ入れていただいて。それから、女性器をお客の腕や太腿に擦りつけて、女性器をブラシ代わりにするのです。
もっとも、このテクニックを教えてくれるとき、カガリ嬢は苦笑していました。
「ほんとうは、けのブラシであらうのですが、みなさんはパイパンですね」
パイパンというのはチャーパンの言葉で、絵柄が印刷されていないゲーム札という意味だそうです。だから『ブラシ洗い』ではなく『スポンジ洗い』だと、名付けてくれました。
卑わいといえば。お客の身体を洗うための椅子も、想像を絶して卑わいです。分厚いアクリル板を長方形に曲げて、両端は六インチ開いています。隙間のある側が座面です。殿方が腰掛けると、男性器は隙間から下に垂れます。だから、ていねいに洗えるのです。応用技としては、コンパニオン嬢があお向けになって長方形の中に頭を突っ込んで――洗った後ですから、パンツを脱いだばかりの陰茎をくわえるよりは、ずっと衛生的です。肛門までなめるのが常識だそうです。
この特殊な椅子を使うよりも、さらに桁違いに卑わいな洗い方もあります。それには、大きなエアマットを使うのです。プールに浮かべたら三人くらいは乗って遊べそうな大きさです。お客はマットに寝ていただいて――全身を石けんの泡まみれにしたコンパニオン嬢が抱き着いて、身体をくねらせて全身を洗うのです。泡踊り(bubble dance)というそうです。
最初にカガリ嬢がわたくしをお客に見立てて模範演技を披露したのですけれど。わたくしのほうが小柄なので、勝手が違って苦労しているようでした。それでも、ダンスの神髄を余すところなく体験させていただきました。
ひと言でいえば、くすぐったいです。でも、乳房や股間を背中に押しつけられても、ちっともエロチックには感じませんでした。実のところ、身体の背面は(お尻も含めて)神経の分布が疎らなので、性感には乏しいのだそうです。そうかしらと、疑う気持ちはあります。背中をそっとなでられると、ぞわあっとします。くすぐったいです。お尻については言を待ちません。もしかすると、やはり、男性と女性とでは性感帯が違うのではないでしょうか。
ですけれど。カガリ嬢は月に(自身の手取で)五千ポンド以上を稼いでいる売れっ子だそうです。一流の専門家の言葉を素人が疑うのは間違っています。彼女に劣らないだけのテクニックを身に着けて、それから自身の経験に基づいて判断すべきだと思います。
彼女の言によると、男性が泡踊りを喜ぶのは、そこまで女性に奉仕をさせているという――支配欲が満たされるからだそうです。これは、俗説の言い換えに過ぎません――男は女を支配したがる存在であるという。ですけれど、真実でもあると思います。女は男に支配されたがる存在であるという対偶命題と共に。
理屈は、ベッドに張り付けられているときでも考えられます。今は、とにかく実践です。
攻守所を入れ替えて、カガリ嬢をステージにして、わたくしが踊る番になりました。男の人に比べれば狭いステージですが、それでもわたくしよりは広いです。
そのステージに乗っているだけでも、テクニックを要求されるのだと思い知りました。とにかく、石けんの泡のせいで、背中から滑り落ちそうになります。といって、ステージにしがみついては、お客を不快にさせるだけです。うまくバランスを取って、身体をくねらせて、意識して乳房を背中に押しつけなければなりません。マーコットでは難しいです。カガリ嬢のメロンまでは望みませんけれど、ジニアのリンゴは欲しいです。ないものねだり(cry for the moon)はやめます。
お客にあお向けになっていただいたら、勃起した陰茎に淫裂をこすりつけます。けれど、この段階では挿入してはいけないのです。それでいて、じゅうぶんに『女性』をアピールするのです。乳首と乳首を擦り合わせたり、上下逆さになって、いわゆる69の体勢で口を使っての奉仕もします。この部分は、必要なポールがステージに備わっていないので、省略しました。ただし、さり気なく石けんを洗い流してから出ないと、自身の健康にも良くないし、求められてディープキスをするときに、お客に不快な思いをさせます。
カガリ嬢に及第点をもらうまでに、一時間以上も踊り続けて、腕も足も腰も痛くなりました。社交ダンスより、よほど難しく体力も要求されます。
ちなみに、その日の講習で及第点に達したのは、わたくしの他にはフュリーだけでした。
実際の接客では、たとえば四十五分とか百八十分といった時間の制約があります。短いのは大衆向けのお店で、カガリ嬢が勤めているお店では百二十分が最短だそうです。いずれにしても、最後は電撃の恋を成就させるのですが、それまでには時間の長短によって、いろんなプレイが組み込まれます。ああ、タフな男性ですと二ラウンドまれに三ラウンドということもあるのですけれど、それは事前にお客の希望を確かめておく必要があります。
わたくしとしては、そういう打ち合わせはしたくないです。お客に自由に振る舞っていただきたいと思います。けれど、ことにこの国ではなじみのないスタイルですから、プロフェッショナルとしてわたくしがリードしなければならないでしょう。今から気が重いです。
それはともかく。最初の講習で教わった応用プレイは、ひとつだけでした。潜望鏡といいます。お客にバスタブに浸かっていただいて、腰を浮かせて、勃起した陰茎を湯面から突き出してもらうのです。それを潜水艦の潜望鏡に見立てて――真上からくわえてフェラチオをするという理屈が分かりません。潜望鏡を発見したら爆弾をたたきつけるか爆雷を放り込むのが常識だと思います。これは、他の六人も同意見でした。
夕食までみっちり三時間の講習を受けて。全身が湯でふやけ切った感じになりました。身体の節々が悲鳴を上げています。みんな疲れ切って早めに就寝したのですが、チャーリイとジニアは、わたくしをX字形に拘束する手間だけは惜しみませんでした。
連日の講習。週末なんか、午前中に三時間、午後からは二期生へのマンツーマン補習、それが終わってから、また泡姫の実技講習が三時間。凄まじいハードスケジュールですが、これ以上をカガリ嬢は月に十五日も繰り返しているのだそうです。尊敬します。
売春婦なんて、股を開いてベッドに寝ていればいい――なんて、心の奥では見くびっていた自分が恥ずかしいです。もっとも、わたくしだけは性奴隷ですから、サディストにいろいろ痛めつけられるんだろうなと、それは覚悟していましたけれど。それだって、男に好き勝手されるだけのことです。能動的に振る舞って、持ち時間の配分まで考えなければならないなんて、肉体労働者であると同時に管理職でもあるのです。
わたくしには務まりません。泡姫としての技能は身に着けても、それを主体的に発揮するのは間違っていると――講習が進むにつれて、思い直すようになりました。というよりも。驚異的なテクニックを見せつけられて、思考停止に陥っていたのでしょう。
魂を高潔に保つということと、みずから進んで男に身体を売るという行為は、両立するはずがないのです。契約に縛られて、命令されて、心ならずも男に(とは限りませんけれど)犯される――それが、青い血をおとしめない唯一の身の処し方です。そして、たとえ命令されたって譲れない部分は……苛酷な懲罰に甘んじるしかありません。
もちろん、そういった決意は言葉にも態度にも表わしませんでした。カガリ嬢に同情されたくなかったからです。わたくしたちセキスパート奨学生は、将来の高収入のためにみずから進んで特殊技能を学んでいると、カガリ嬢は信じているようです。わたくしの事情については、かなり詳しく知っているようでしたけれど、それも。父の借金を返済しながら、貴族令嬢にふさわしい名門学園を卒業するために、この道を選んだ。そんなふうに校長から聞かされて、それを信じているようでした。ええ、大筋は間違っていませんとも!
その誤解を訂正するつもりはありません。込み入った内容を理解するほど、彼女の語学力は高くないでしょうし。有色人種に同情されるなんて、それだけでプライドがずたずたに引き裂かれます。いえ、カガリ嬢本人を見下しているのではありません。ただ、彼女が属する人種がコーカソイドに劣っているという、普遍的な真実を言っているだけです。白人奴隷は、それでも有色人種よりは身分が上なのです。
――講習の最終段階の、教師や上級生を相手にした実習については、語りたくありません。どうせ、来賓を相手にした本番のお話をしなければならないのですから。
ただ、本番の『接待』をするにあたって、わたくしはじゅうぶんな自信を持っていました。二週間の集中講習を終えてイングルを去る(のか、しばらくは観光をしてまわるのかまでは知りませんけれど)にあたって、カガリ嬢は全員にトリプルAの評価をくれたのです。
「みんな、ソープランドではたらけば、すぐにナンバーワンになれます。チャーリイとヌビアンにも、しょくばはあります。でも、いますぐはだめです。Y13をそつぎょうしてからですね」
カガリ嬢の言葉は法律面での無知を露呈しています。売春婦に就労ビザは発給されませんから、それでもチャーパンで働こうとするなら、非合法な手段しかありません。それなら、Y13だろうとY8だろうと関係はないのです。
もっとも、わたくしはそういったことを考える必要はありません。特別奨学生契約書の3項に従って、わたくしは学園を卒業したら売り飛ばされるのですから。もしかしたら、母様が借金を返済し終えて、なおかつわたくしを買い戻せる(契約書1項の但し書きです)だけの資金を蓄えて卒業までに迎えに来てくださるかもしれませんけれど――無駄な希望は抱かないようにします。
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ま、さらっと流しました。
実技講習は、他にも花電車、カーマスートラ、ポールダンスなどなどありますが、これは Sequelで数行ずつ(で済むかなあ?)触れるくらいにしておきます。
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No title
なるほど、『クレオパトラDC』は未読なのですが、あの作者の女性キャラならメンタル強いのも納得ですね
No title
アイリスのモデルは新谷かおる『クレオパトラDC』の「リトル・サクスィーダー」ポーレット・ノーランことマリアン・プレスコットです。
知的早熟のあたりですね。まあ、彼女は10歳で。
雪の降りしきる真冬に ”下着だけで”荒野に放り出されたりします。ダブルクォーテーションあたりは、全年齢コミックですから。
それはともかく。このメンタルを如何にして崩壊させるか。
CLIMAXの『Showtime』で持て余しています。
知的早熟のあたりですね。まあ、彼女は10歳で。
雪の降りしきる真冬に ”下着だけで”荒野に放り出されたりします。ダブルクォーテーションあたりは、全年齢コミックですから。
それはともかく。このメンタルを如何にして崩壊させるか。
CLIMAXの『Showtime』で持て余しています。
No title
この子のメンタルの強さはすごいですね……これだけのことが起こってもある意味前向きに生きてるのは流石です。