Making of 娘女敵討:1
今回は、ちと趣向を変えて。着想から執筆~脱稿に到るまでを(後追い)リアルタイムで追い掛けてみましょう。
過去数十度のあれこれ応募も、フランス大量爆撃の戦略的要因で全コケを除けば、まさかに1次を落ちるはずもなく、とはいえ2次突破はむにゃむにゃで、『第12回ハヤカワ・SFコンテスト』参考作が一度きりで、ちょいと片手間に連載してる『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』が、1年ちょっとで3万5千PVしかないという。それでも、馬鈴薯を重ね切りしたくらいのナニガシカは、これから書こう/書いても行き詰ってる後進の役に立つか厄になるか。
早い話が自己顕示欲。といってしまっては、実も蓋も容器もありませんがな。
さて。初見時から、「ふうむ、これは」と思っていたのですが。
池波正太郎「剣客商売」文庫本2巻「辻斬り」に収録されている『悪い虫』です。粗筋とかは、検索するなりchotGTPに尋ねるなりしてください。
ここに記述された即席修行。十年以上かかる剣の道を十日で究めさせられるはずもないけど、まあ、「悪い奴」に負けないだけの気力を身に着けさせるという。ところで、気力は精神力だから、「身に着ける」は間違いかな。「心に着ける」かしら。と、気にする程度には、言葉の使い方に注意致しましょう。
Midship!
修行する者を柱に後ろ手で縛りつけて、上半身を裸にして。目の前で白刃をきらめかせて、薄皮一枚を斬ってゆく。そういう修行です。
作中では、又六という青年ですが。
はい、脳内置換。
半裸→全裸。青年→少女。たちまちにして、濠門長恭ワールドです。
これをハイライトシーンとして、短編を作ってみようと、細、思い座りました。
性根が座るといいます。思い立つのは、なにかの拍子にふらふらと、ですが。思い座るとなると、波々ならぬ決意?
で、まあ。あれこれと、このハイライトに結びつく設定とか考えていって。
こういう修業を堂々と行なえるとなると。この道場はさびれているかな。でも、ある程度の銭金がないと、主人公の動きがままならぬ。
このあたりで。いつものヒロイン視点でなく、ヒロインに稽古(かなあ)をつける男を主人公にしようと。はい、ひとつ決まりましたね。
道場主で、門人が「つばなれ」せず、それでいて……よし、こうだ。
神崎外流
剣術指南つかまつる
用心棒、助っ人、猫探し、その他諸々
承り候
こんな怪しげな道場に、わざわざ教えを乞いに来る娘ねえ。
しかも、主人公に「そういう」修業を思い切らせるだけの必死さが娘にある。

BFは『悲剣肌風 巻之一:発動編』表紙絵です。
女+裸+チャンバラです。
で、ああでもない、いいではある、ううううう、えええ? おお!
実際にはライトセーバーを遣いながら半日ばかり、練っていました。
娘が敵と狙う相手の力量を、主人公が知っていないといけない。お江戸は広すぎるし、筆者に知識が無い。
江島橋をへだてた向うは、深川の木場で、縦横にながれる堀川にかこまれた……などとは描写できません(太字部分は『悪い虫』から引用)。
筆者はこれまで、地方の架空の「そこそこ大きな」城下町あたりを舞台にしてきました。今回もこの伝でいきますか。そこそこ(20世紀末頃の)地理に詳しい広島を使う手もあるかな。江戸時代では屈指の人口であるし。後で決めよう。
ヒロインの事情設定を進めます。
やはり、犯されて、その復讐。だけでは弱い。
貧乏藩士のひとり娘。婿養子の話が以前からまとまっていて。ところが相手の男が、もっと裕福な家に婿として望まれて。ヒロインとの縁を一方的に断われる口実に……無頼漢を雇って(あるいは、悪い遊びの仲間に頼んで)ヒロインを犯させて。それを理由に破談。
ヒロインは、許婚者の企みと知って……これで、いこう。
その場で自害しなかったのも、恨みを晴らすため。悲願成就の暁には、潔く自害しましょう。女を犯した男を殺し、心ならずもとはいえ犯された女も死ぬ。これは、相対死にか。いや、女敵討ともいえないか。敵を討つのが犯された女という、変則ではあるが。
あ、これ、いいね――タイトルも決まりました。
娘女敵討
それまでは、肌を切るという部分にこだわって、「女人肌傷修行」とかを考えていましたが。
娘女敵討。普通では有り得ない字面です。
ちなみに「娘女敵討」で検索してみましたが。無かったです。ホッ。
「娘 敵討」だと、ゲームとか小説とか、いっぱい出てきました。
ところで。小説にもサイドクエストにもある「娘の敵討」。これ、どういう『の』なのですかな。
娘が敵討をするというのが、正しいのかしら。殺された娘のかたきを親が討つというは、敵討の定義から外れています。目上の者が殺された報復が敵討の本来の意味です。だから、女敵討は女敵を夫が討つというわけで、本来の敵討ではないのです。
この設定だと、短期間で修業を全うしたい理由も簡単に丁稚揚げられます。
寝返った男の婚儀が一月後。その前に討ち果たしたい。それで、あの男に騙されて不幸になる女人が救われる。
実は、これも、そういう設定にするかしないか。したところで、主人公の胸ひとつに収めてヒロインには教えないか。男を操っているのが、新たな結婚相手で。だから、貧乏武士の次男坊が破落戸を雇う金を工面できたのだとか。これは、後回し。
などなど考えるに。小説中の重大なワンシーンが出来ました。
「(修業を望む)訳を教えてもらいたい」
「女敵討にございます」
主人公は絶句した。女の身で女敵討とは、意味を成さない。
推測を重ねて――この娘、敵を討った後で自害する気だという結論に達するのです。
そういう結論に至るには「事件」を知っていなければならない。また、「事件」が公になったからこそ、無条件即座の破談が成立するのです。
どういう「事件」かというと。GANGBANGの後、破落戸どもがヒロインを全裸緊縛放置して。翌朝に発見した者が目明しを呼んで。
「同心の旦那に見分していただくまで、現状保存する必要がある」と、縄をほどかず、筵で隠してやる配慮も無い――のは、黒幕男に銭をつかまされているからですな。そこまで過激にするか要検討ですが。
そだ。過激エロシーケンスと無難シーケンスの二本立て(所要部分を差し替え)にして、無難シーケンスは……募集中のところがねえや。この案はボツ。
しかしなあ。なんで、そう易々と、ヒロインは男が黒幕と気づくかなあ。だいち、男がGANGBANGの現場に立ち会うのは不自然でご都合主義。まだヒロインを抱いてないなら、ともかく。こういう男だから。少なくとも乗り換えを決めた時点で、せっかくだから味見をしておこうと思うのではないかしら。
では、こういうのはどうだ。男はヒロインを「いずれ夫婦になるのだから」と、言葉巧みにムードも演出して、やらかすのです。そして、ヒロインが生来のパイパンであると知る。もちろん、パイパンは昭和(でしょう)の麻雀用語からきてますから。土器ですな。
そでもって。GANGBANGの現場で
「なるほど。聞いた通りのパイパンだわい」
「しっ!」
で、ヒロインは、わたくしのハイジニーナ(激違)を知るは、母上を除けば、あのお方のみ?!
うん。これで決まりました。
濠門長恭クンは、SM=パイパンのインプリンティングですが、剃毛脱毛の養殖物ばかりで、未だ天然産を扱ったことがありません(未発毛は除く)。初物です。バンザイ三唱です。
だいたい筋は定まって来ました。
つぎに。獲物の問題。絵面的には大刀一択ですが。
女人なら小太刀とか懐剣もあるけど。これは、リーチの問題で除外出来ます。では、槍とか(江戸時代では)女人専用ともいうべき薙刀は……そんな物騒な物を抱えてうろうろしてては、職務質問で現行犯逮捕です。女が刀袋に収めた大刀を抱えていても、どこかの御女中がなにがしかのお使いを言いつかっていると思われるでしょう。まして、主人公が同道します。のは、次の考察。
ああ。主人公はヒロインの(剣術の)素質を見極めるため、半分本気半分助平で、全裸で太刀を振るわせたりします。いや、この時点で全裸はまずい。大殿筋などの動きを見る必要があるから、フンドシですな。もっこフンドシみたいな「お馬さん」は生理用品ですから、別室で一人で準備させられます。手取り足取りでフンドシを締めてやるのも、まだ早い。
それはともかく。娘の身体、娘の気迫……などなどから、修業をつけてやっているうちに惚れ込んでしまい、なんとしてでも生き延びさせてやりたいと。
そこで、いざ討ち入りの場合も下準備。
ああ。筆者の性格ですが、仇討は寸前でやめます。
クライマックスシーンは、まさに祝言の場。
目出度い場ですから、太平の世ですから、警備なんて有馬温泉テルマエロマ。羽織袴で堂々と押し入ってしまうのです。
花嫁を主人公が人質に取って、男にヒロインとの果し合いを強いる。よもや女に後れは取るまいと、居合わせた面々も、むしろ果し合いを期待する。
ここで、ヒロインが主人公の思ってもみなかった挙に出ます。襷に白鉢巻――ではなく、褌一本、それとも超ミニ腰巻。女ごとき、何程のことやあると見くびっている男の度肝を抜くのです。いや、これを書かずして、濠門長恭クンの剣戟小説は有馬温泉(以下略)。
正眼に(おたおたと)構える男に対して、大上段に構えるヒロイン。男は間合いが計れない。そうでなくても、真剣での立ち合いでは(恐怖心から)相手との間合いが近く見え過ぎてしまう。「鍔で相手の眉間を叩き割るつもりで、ようやく切っ先が届く」のです。
案の定というか筆者の意図の通り、はるか手前の地べたに剣を叩きつけてしまう男。その肩口を目がけて、ヒロインの必殺の一撃が……べしんと、叩くのです。咄嗟に峰を返そうとして、そんな技量は無いので、側面が肩に打ち当たるという。
ここで、主人公が花嫁を突き飛ばす(解放する)。
おのれとばかりに取り囲む、披露宴出席の面々。
「まだ、誰一人傷ついてすらおらぬ」主人公は、ヒロインが男を斬り殺した場合も想定はしていますけど。
「人の噂に戸は立てられぬというが、ここには雨戸が二枚ある」
「雨戸を閉じるも蹴破るもお手前方次第」
おもむろに呼子を取り出して。
ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
すると、遠くのあちこちから
びいいい、びいっ、びいいい!
ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
ここで我らが殺されれば、男の所業も含めて一切が瓦版になるぞと脅して。
<余談>一般的な呼子は、中に小球が入っているので、ホイッスルと同じに断続的に鳴ります。「ピー」と単調に鳴るのは、盲人などの注意喚起用の笛です。名和弓雄『間違いだらけの時代劇』より。</余談>
で、無事に退散致しまして。
「私の敵討は、まだ半分しか済んでおりませぬ」
「身体じゅうを刃傷だらけにして、お嫁に行けない身体になさったのは貴方様です。責任を取ってください」
Mayday+です。
さて、次回は以上をまとめて、きっちりPLOTを作りましょう。
過去数十度のあれこれ応募も、フランス大量爆撃の戦略的要因で全コケを除けば、まさかに1次を落ちるはずもなく、とはいえ2次突破はむにゃむにゃで、『第12回ハヤカワ・SFコンテスト』参考作が一度きりで、ちょいと片手間に連載してる『宿題を忘れたらお尻たたき、水着を忘れたら裸で泳ぐと、HRの多数決で決めました。』が、1年ちょっとで3万5千PVしかないという。それでも、馬鈴薯を重ね切りしたくらいのナニガシカは、これから書こう/書いても行き詰ってる後進の役に立つか厄になるか。
早い話が自己顕示欲。といってしまっては、実も蓋も容器もありませんがな。
さて。初見時から、「ふうむ、これは」と思っていたのですが。
池波正太郎「剣客商売」文庫本2巻「辻斬り」に収録されている『悪い虫』です。粗筋とかは、検索するなりchotGTPに尋ねるなりしてください。
ここに記述された即席修行。十年以上かかる剣の道を十日で究めさせられるはずもないけど、まあ、「悪い奴」に負けないだけの気力を身に着けさせるという。ところで、気力は精神力だから、「身に着ける」は間違いかな。「心に着ける」かしら。と、気にする程度には、言葉の使い方に注意致しましょう。
Midship!
修行する者を柱に後ろ手で縛りつけて、上半身を裸にして。目の前で白刃をきらめかせて、薄皮一枚を斬ってゆく。そういう修行です。
作中では、又六という青年ですが。
はい、脳内置換。
半裸→全裸。青年→少女。たちまちにして、濠門長恭ワールドです。
これをハイライトシーンとして、短編を作ってみようと、細、思い座りました。
性根が座るといいます。思い立つのは、なにかの拍子にふらふらと、ですが。思い座るとなると、波々ならぬ決意?
で、まあ。あれこれと、このハイライトに結びつく設定とか考えていって。
こういう修業を堂々と行なえるとなると。この道場はさびれているかな。でも、ある程度の銭金がないと、主人公の動きがままならぬ。
このあたりで。いつものヒロイン視点でなく、ヒロインに稽古(かなあ)をつける男を主人公にしようと。はい、ひとつ決まりましたね。
道場主で、門人が「つばなれ」せず、それでいて……よし、こうだ。
神崎外流
剣術指南つかまつる
用心棒、助っ人、猫探し、その他諸々
承り候
こんな怪しげな道場に、わざわざ教えを乞いに来る娘ねえ。
しかも、主人公に「そういう」修業を思い切らせるだけの必死さが娘にある。

BFは『悲剣肌風 巻之一:発動編』表紙絵です。
女+裸+チャンバラです。
で、ああでもない、いいではある、ううううう、えええ? おお!
実際にはライトセーバーを遣いながら半日ばかり、練っていました。
娘が敵と狙う相手の力量を、主人公が知っていないといけない。お江戸は広すぎるし、筆者に知識が無い。
江島橋をへだてた向うは、深川の木場で、縦横にながれる堀川にかこまれた……などとは描写できません(太字部分は『悪い虫』から引用)。
筆者はこれまで、地方の架空の「そこそこ大きな」城下町あたりを舞台にしてきました。今回もこの伝でいきますか。そこそこ(20世紀末頃の)地理に詳しい広島を使う手もあるかな。江戸時代では屈指の人口であるし。後で決めよう。
ヒロインの事情設定を進めます。
やはり、犯されて、その復讐。だけでは弱い。
貧乏藩士のひとり娘。婿養子の話が以前からまとまっていて。ところが相手の男が、もっと裕福な家に婿として望まれて。ヒロインとの縁を一方的に断われる口実に……無頼漢を雇って(あるいは、悪い遊びの仲間に頼んで)ヒロインを犯させて。それを理由に破談。
ヒロインは、許婚者の企みと知って……これで、いこう。
その場で自害しなかったのも、恨みを晴らすため。悲願成就の暁には、潔く自害しましょう。女を犯した男を殺し、心ならずもとはいえ犯された女も死ぬ。これは、相対死にか。いや、女敵討ともいえないか。敵を討つのが犯された女という、変則ではあるが。
あ、これ、いいね――タイトルも決まりました。
娘女敵討
それまでは、肌を切るという部分にこだわって、「女人肌傷修行」とかを考えていましたが。
娘女敵討。普通では有り得ない字面です。
ちなみに「娘女敵討」で検索してみましたが。無かったです。ホッ。
「娘 敵討」だと、ゲームとか小説とか、いっぱい出てきました。
ところで。小説にもサイドクエストにもある「娘の敵討」。これ、どういう『の』なのですかな。
娘が敵討をするというのが、正しいのかしら。殺された娘のかたきを親が討つというは、敵討の定義から外れています。目上の者が殺された報復が敵討の本来の意味です。だから、女敵討は女敵を夫が討つというわけで、本来の敵討ではないのです。
この設定だと、短期間で修業を全うしたい理由も簡単に丁稚揚げられます。
寝返った男の婚儀が一月後。その前に討ち果たしたい。それで、あの男に騙されて不幸になる女人が救われる。
実は、これも、そういう設定にするかしないか。したところで、主人公の胸ひとつに収めてヒロインには教えないか。男を操っているのが、新たな結婚相手で。だから、貧乏武士の次男坊が破落戸を雇う金を工面できたのだとか。これは、後回し。
などなど考えるに。小説中の重大なワンシーンが出来ました。
「(修業を望む)訳を教えてもらいたい」
「女敵討にございます」
主人公は絶句した。女の身で女敵討とは、意味を成さない。
推測を重ねて――この娘、敵を討った後で自害する気だという結論に達するのです。
そういう結論に至るには「事件」を知っていなければならない。また、「事件」が公になったからこそ、無条件即座の破談が成立するのです。
どういう「事件」かというと。GANGBANGの後、破落戸どもがヒロインを全裸緊縛放置して。翌朝に発見した者が目明しを呼んで。
「同心の旦那に見分していただくまで、現状保存する必要がある」と、縄をほどかず、筵で隠してやる配慮も無い――のは、黒幕男に銭をつかまされているからですな。そこまで過激にするか要検討ですが。
そだ。過激エロシーケンスと無難シーケンスの二本立て(所要部分を差し替え)にして、無難シーケンスは……募集中のところがねえや。この案はボツ。
しかしなあ。なんで、そう易々と、ヒロインは男が黒幕と気づくかなあ。だいち、男がGANGBANGの現場に立ち会うのは不自然でご都合主義。まだヒロインを抱いてないなら、ともかく。こういう男だから。少なくとも乗り換えを決めた時点で、せっかくだから味見をしておこうと思うのではないかしら。
では、こういうのはどうだ。男はヒロインを「いずれ夫婦になるのだから」と、言葉巧みにムードも演出して、やらかすのです。そして、ヒロインが生来のパイパンであると知る。もちろん、パイパンは昭和(でしょう)の麻雀用語からきてますから。土器ですな。
そでもって。GANGBANGの現場で
「なるほど。聞いた通りのパイパンだわい」
「しっ!」
で、ヒロインは、わたくしのハイジニーナ(激違)を知るは、母上を除けば、あのお方のみ?!
うん。これで決まりました。
濠門長恭クンは、SM=パイパンのインプリンティングですが、剃毛脱毛の養殖物ばかりで、未だ天然産を扱ったことがありません(未発毛は除く)。初物です。バンザイ三唱です。
だいたい筋は定まって来ました。
つぎに。獲物の問題。絵面的には大刀一択ですが。
女人なら小太刀とか懐剣もあるけど。これは、リーチの問題で除外出来ます。では、槍とか(江戸時代では)女人専用ともいうべき薙刀は……そんな物騒な物を抱えてうろうろしてては、職務質問で現行犯逮捕です。女が刀袋に収めた大刀を抱えていても、どこかの御女中がなにがしかのお使いを言いつかっていると思われるでしょう。まして、主人公が同道します。のは、次の考察。
ああ。主人公はヒロインの(剣術の)素質を見極めるため、半分本気半分助平で、全裸で太刀を振るわせたりします。いや、この時点で全裸はまずい。大殿筋などの動きを見る必要があるから、フンドシですな。もっこフンドシみたいな「お馬さん」は生理用品ですから、別室で一人で準備させられます。手取り足取りでフンドシを締めてやるのも、まだ早い。
それはともかく。娘の身体、娘の気迫……などなどから、修業をつけてやっているうちに惚れ込んでしまい、なんとしてでも生き延びさせてやりたいと。
そこで、いざ討ち入りの場合も下準備。
ああ。筆者の性格ですが、仇討は寸前でやめます。
クライマックスシーンは、まさに祝言の場。
目出度い場ですから、太平の世ですから、警備なんて有馬温泉テルマエロマ。羽織袴で堂々と押し入ってしまうのです。
花嫁を主人公が人質に取って、男にヒロインとの果し合いを強いる。よもや女に後れは取るまいと、居合わせた面々も、むしろ果し合いを期待する。
ここで、ヒロインが主人公の思ってもみなかった挙に出ます。襷に白鉢巻――ではなく、褌一本、それとも超ミニ腰巻。女ごとき、何程のことやあると見くびっている男の度肝を抜くのです。いや、これを書かずして、濠門長恭クンの剣戟小説は有馬温泉(以下略)。
正眼に(おたおたと)構える男に対して、大上段に構えるヒロイン。男は間合いが計れない。そうでなくても、真剣での立ち合いでは(恐怖心から)相手との間合いが近く見え過ぎてしまう。「鍔で相手の眉間を叩き割るつもりで、ようやく切っ先が届く」のです。
案の定というか筆者の意図の通り、はるか手前の地べたに剣を叩きつけてしまう男。その肩口を目がけて、ヒロインの必殺の一撃が……べしんと、叩くのです。咄嗟に峰を返そうとして、そんな技量は無いので、側面が肩に打ち当たるという。
ここで、主人公が花嫁を突き飛ばす(解放する)。
おのれとばかりに取り囲む、披露宴出席の面々。
「まだ、誰一人傷ついてすらおらぬ」主人公は、ヒロインが男を斬り殺した場合も想定はしていますけど。
「人の噂に戸は立てられぬというが、ここには雨戸が二枚ある」
「雨戸を閉じるも蹴破るもお手前方次第」
おもむろに呼子を取り出して。
ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
すると、遠くのあちこちから
びいいい、びいっ、びいいい!
ぴりりりり、ぴりっ、ぴりりりり!
ここで我らが殺されれば、男の所業も含めて一切が瓦版になるぞと脅して。
<余談>一般的な呼子は、中に小球が入っているので、ホイッスルと同じに断続的に鳴ります。「ピー」と単調に鳴るのは、盲人などの注意喚起用の笛です。名和弓雄『間違いだらけの時代劇』より。</余談>
で、無事に退散致しまして。
「私の敵討は、まだ半分しか済んでおりませぬ」
「身体じゅうを刃傷だらけにして、お嫁に行けない身体になさったのは貴方様です。責任を取ってください」
Mayday+です。
さて、次回は以上をまとめて、きっちりPLOTを作りましょう。
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