魔羅神様の男神子:1章
この小説は、股腿姦淫鞭縄などエロ&SMジャンルに必須の漢字を除いて、おおむね漢検4級レベルで書かれています。但し、表題と章題はこの限りではありません。
1.男女判別
進学して初めての夏休みに、初めてのひとり旅。電車と電車とバスとバスを乗り継いで。朝の七時に家を出て、終点の夕明村バス停に着いたときには、十一時を過ぎていた。朝昼夕に一本ずつしかないバスは、のんびりと時刻待ち。降りたのは僕だけで、乗ってくる人はいないみたいだ。
とりあえず、着いたよって電話。バス停からさらに一時間も歩く村は、大手のキャリアでも圏外だから、これが最後の連絡。ま、お祖母ちゃんちで固定電話を借りればいいだけの話だけどね。
「きみ、キヨシ君でしょ」
待合所から出てきた女の子に声をかけられて、ちょっとびっくりした。というか、いぶかしんだ。
だって、僕の名前は荘田清美。ふつうキヨミって読むし、戸席もそうなってる。だいいち、戸席上の性別は女だし、今だってサマーワンピースを着てる。どこから見ても女の子だぞ。ショートボブにしてるけど、胸のふくらみもないけど、それでもボーイッシュの範中だぞ。
僕が男の子で、本当はキヨシだって知ってるのは、僕の両親だけなのに。なんてのは、とりあえず後回し。
「はい……ソウダキヨシですけど?」
まだ声変わりしてないから、声でも男女の区別はつかないと思う。
「あたしはイチノミヤマソノ。迎えに来たんだけど……」
マソノと名乗った女の子――じゃないね。僕より頭ひとつばかり背が高い。そりゃまあ、僕はクラスの女子と比べても小柄なほうだけど。それを割り引いても、僕より二つ三つは年上かな。腰に届きそうなロングヘアーをさらりと流して、Tシャツにスリムなジーンズが、かえって女っぽさを強調してる。
マソノちゃん――じゃなくてマソノさんが、停まっているバスを指差した。
「あれに乗って、家へ帰りなさい。それが、君のためにも村のためにも、良いことなんだから」
「僕は……この村で生まれた男の子として、ちゃんと神事を済ませる義務があるんです」
と、ママに言われてる。パパは、なぜか無言でそっぽを向いてたけど。
マソノさんは、ふっと――ため息かな。
「後かいしても知らないよ。村まで案内してあげる」
言うなり、きびすを返して、バス停から続く山道を登り始めた。
なんなんだよ――と、「?」を三つくらい頭の中に浮かべながら、後を追いかける。
マソノさんはずんずん歩き続ける。山道を歩き慣れてる。僕は後を追いかけるのが、やっと。僕は荷物を持ってるし、マソノさんは手ぶら。でも、僕も一応は男子。女子に荷物を持ってもらうなんて、出来るもんか。
十五分(正確にじゃなくて、一時間の半分の半分くらいって意味)も歩くと、息が切れてくる。のに、マソノさんは余ゆうしゃくしゃくにさわる。
だけど、後ろからみてると、本当に女の子だなあって実感する。歩くときに腰から動き始めて、真ん丸なヒップが上下にくねって、ひざから下はその動きを追いかける――みたい。いくら僕が女の子の格好をして、学校でも女の子として通用してても、本物にはかなわないや。
マソノさんは、歩きながらひっきりなしにおしゃべりしてる。自分の名前は漢字だと真実に御苑のエンだとか。大昔は村じゅうが藤原とか立花って名字ばかりだったけど、明治時代に戸席制度が整備されたときに、家の格に従って一宮、二宮、三宮、世宮(シは縁起が悪い)ってふうに改名したとか。僕のママも旧姓は一宮だったとか。いろいろと教えてくれた。歩きながら後ろを振り返ったりもせずだから、独り言ぽい。僕には、相づちを打つ余ゆうもなかったよ。
そうか。僕が訪ねて行く先はママの実家で、一宮だけど。真苑さんに改めて言われるまでは、ひょっとして親せきかなとは思ってなかった。なんてことを考えられたくらいだから、真苑さんは、僕の歩く速度には合わせてくれてたんだろうな。それは、次の言葉ではっきりした。
「はあ、やっと着いた。五十分の道のりが一時間以上かかったけどね」
足腰の弱い都会者ってバカにしてるんじゃなくて、出来の悪い年下の子をあわれむみたいな口調だった。
四歳のときに村を出た僕には、初めて訪れた地も同然。人口は四百人ちょっとらしいけど、都会ならてい宅規模の家がずらっと並んでるから、けっこう大規模に見える。ひとつの箱の中に何十世帯も詰め込まれてるマンションとは大違いだ。
汗をふく暇もなく、百年前から建ってたと言われても納得しそうな、古びた大きな御屋敷へ案内されて。ろう下をずずずずずいと奥へ進んだ座敷に通されて。すずしさどころかうすら寒さを感じた。
そこには、床の間を背にして、大ばば様みたいなおばあさん(僕の祖母の民江さんかな)と、僕の年齢の倍以上はありそうな、でも神社で見かける巫女さんの衣装を身に付けた女性が三人と。壁に沿って七人の男性がコの字形に並んで――僕を見つめていた。
気圧されて、座敷に入ってすぐの所で、ぺたんと正座。
「おまえは、本当に初美の息子なのかね?」
大ばば様から、御下問って感じ。
「はい。こんな格好をしていますけど、男です」
「なにゆえに女装をしておるのじゃ」
巫女さんの一人。この人だけは、小さな金色のかんむりを頭に載せている。
「こうしていないと、この土地の神様にのろわれるって、母から聞かされています」
迷信とかいう言葉を口に出来るようなふん囲気じゃなかった。
「ふん。どんな形をしようが、のろいからは逃れられぬぞ。しかし、おまえが真に男であると確かめた者は、この村に居らぬ」
「しかし、見れば見るほど女子じゃのう。間違いがあってはいかん。服を脱いでみなさい」
大ばば様をはさんでかんむり巫女の反対側に座っている巫女さんが、さらりと言った。
村では、何を言われても何をされても、逆らってはいけないと――ママから厳しく言われてる。十日間だけの我慢。それでのろいから解放されるんだからと。
僕としては。男の娘でいることが自然になってる。そりゃまあ、将来もこれじゃあいやだし。性別適合手術を受けて女性になりたいかというと、それもいやだ。むくつけき男に可愛がられるなんて、ぞっとする。きゃしゃで柔らかくて良いにおいのする女の子を、僕が可愛がりたいんだ。
というのは、ずううっと横へ押しのけて。
僕は立ち上がって、素直に服を脱いだ。下着も(女の子らしく、両手をクロスさせて)脱いで、ショーツ一枚。ここまでは、身体測定でも体育の着替えでも慣れてる。
「何をしている。パンツも脱ぎなさい」
大ばば様にしかられて、心臓が三十センチは跳び上がった。修学旅行のときだって、ほんとにドキドキしたんだから。
全身が火照るのを感じながら、ショーツを脱いで。恥ずかしいので、両手で胸と股間を隠した――ら、やっぱりしかられた。
「手を下ろすのじゃ」
見て驚くだろうな――と、恥ずかしさの中にも、やけっぱちな期待を交えて、手を下ろした。
おおっと、座がどよめいた。胸にふくらみが無いのは当然だけど。男の付属品が股間に付いてないのには、驚いたろうね。まるきりの一本筋だもの。まるきりのツルペタだもの。
「おまえ……まさか、女子なのか?」
「隠してるんです。チン、だんせ……ペニスも見せないとダメですか?」
ものすごく恥ずかしいのと、ちょっぴり得意なのとが混ざり合った複雑な気分。
「インターネットで見たことがあるぞ。それ、タックとかいうやつだな」
七人の中でいちばん若いぽい(といっても、三十過ぎの小父さんだ)男性が、得意そうに言った。そして、大ばば様に向かって言い訳めいて。
「もちろん、サーバー経由のVPNでアドミン権限の情報収集の一環としてですよ」
自分でも理解出来てないIT用語を並べてるぽいな。
「隠しておるのなら、出しなさい」
「はい」
畳の上に正座して。バッグのポケットから、瞬間接着剤の「はがし液」と小筆を取り出した。後、ティッシュ。
ひざを開いて、股間の一本筋に「はがし液」をぬって染み込ませる。毎朝タックをして女の子になって、家へ帰ったら男の子にもどる。三年前からはひとりで出来るようになってる。
瞬間接着剤がふやけるまでの数分。液が垂れないように上体を反らせて畳に両手を突いて、股を開きっ放し。初対面のオトナに三方から囲まれて、とんでもないことをしてるなって……だんだん恥ずかしさがつのってくる。正気を取りもどしたっていうほうが当たってるな。
神事って、具体的に何をするのか、ママも教えてくれなかった。実は知らないんじゃないかと疑ってるけど。そして、見知らぬ場所で見知らぬオトナたちに囲まれて。しかも、恥ずかしいことを要求されて。正気を保てるはずが無いだろ。
正気を取りもどしたといっても、三十パーセントくらいかな。だから、恥ずかしい作業を続けられたんだと思う。
左右のタマタマふくろをはり合わせて縦筋になってる部分をそっと引きはがすと、チンチンがぽろっと出てくる。
「おおおっ」
「まあ……」
「ふうむ?」
そりゃ驚くよね。「女の子」の中から「男の子」が現われるんだから。
「妙にしなびた金玉だな?」
タマタマはくくろから押し出して、下腹部に押し込んである。言葉で説明するのは面倒だし恥ずかしいから。畳の上ではクッションになるので。ろう下へ出て、ケンケン跳び。にょむ゙んって感じで、玉が片方ずつふくろの中に下りてくる。
「ええと……こんなです」
まさか「おそまつ様」なんてあいさつもおかしいし、口の中でもぐもぐつぶやいてから、元の位置に座った。もう必要が無いから、ひざをぴったりそろえて正座。でも、みんなきちんと服を着てるのに、ぼくだけ裸。すごく居心地が悪い。
「しかし、実になんというか……短小包径もいいところですわね」
三人の中で圧倒的に若い(僕とひと回り違うくらいかな)巫女さんが、口に手を当てて笑った。
女の子として通してるから、クラスメイトのチンチンは見たことがない。ネットで見かけるサイズはオトナ基準だから、それに比べたらずっと小さいけど、起っきしてるときに四センチ以上あればSEXに問題は無いそうだけど、僕は縮んでるときでもそれくらいはあるぞ。包径だって仮性だから、多数派だぞ。
でも……
「確かに。年齢を割り引いても小さいな」
「俺がこいつくらいのときには、倍はあったぞ」
「こいつに合うサイズなんて、あったっけ」
そんなふうに言われると、泣きたくなってくる。
「大きさは問題ではないわえ」
大ばば様は僕の味方――じゃなかった。
「かんじんなのは働きじゃ。キヨシよ、精通はしておろうの?」
むぐ……学校ではほとんど教えてくれなくても、ネットで調べれば、精通でも初潮でもオナニーでもSEXでもニンシンでも中絶でも、何だって分かる。そして僕は……何ひとつ経験が無い!
初潮とかニンシンじゃなくて、精通の話だよ。チンチンを指でつまんでしごくと(特にカリクビのところが)すごく気持ち良くなって、ビクビクッと腰がけいれんするんだけど、それだけ。空砲ってやつ? それでもけん者タイムの自己けん悪に突入するんだから、なんだか損をした気分になる。
こういうときは、黙っているのが返事になってしまう。
「ふうん。まだ毛も生えてないし、声も子供だし……でも、本当に出ないのかな?」
若い巫女さんが、ふわりと立ち上がった――次の瞬間には、赤いはかまが僕に向かって押し寄せて来て。
「あっ……?!」
チンチンを握られてた。
「やめてください」
カマトトじゃないよ。知らないよオトナに囲まれて裸ってだけで、恥ずかしくて頭がでんぐり返ってるのに、いちばん恥ずかしいところを、それも若い女の人に握られて。
なんとか押し返そうと、じたばたあがいたら。
「おとなしくしろ。おまえのケガレをはらえるかどうかのせとぎわだぞ」
男の人に、羽交いじめにされた。ものすごい力。身をもがくことすら出来ない。
恥ずかしいことをされてるけど、危害を加えられてるんじゃない。そんなふうに自分を納得させて、抵抗をやめた。
巫女さんが、チンチンをもにゅもにゅとしごく。目いっぱいに縮かんでたのが、たちまち起っきする。ものすごく気持ち良い。自分でするのが木綿豆腐なら、これは絹ごし。よりも柔らかくて甘い――プリンだ。
切ない思いが腰に込み上げてきて。
「ああっ……!」
自分でするときには声なんか出ないのに。ぴくぴくじゃなくて、がくがくと腰が震えた。
「あら、ま。本当に煙だけね。でも、先走りは出てるから、明日は無理でも一週間後くらいなら、どうかしら」
「では、お清めはそれからじゃな」
「それまでにほう納と修験は済ませておきましょう」
さっぱり意味が分からないけど、僕に関する事柄が、僕を抜きにして決められていく。
「あの……もう、放してください。それと、どういうことなのか、神事ってしか聞かされてないんですけど、具体的に何をどうするのかも教えてください。それから……もう、服を着ていいですか?」
「ダメじゃ。おまえは、お清めが済むまでは裸で暮らすのじゃ」
「…………」
とんでもないことを言われて、しばらくは頭がエンストしてた。
「そんなのって、人権無視です!」
自分の思いをうまく表現できなくて、学校で習った言葉をそのまま使ったんだけど。
「この村で生まれた男に、人権なぞ無いわえ。昔じゃったら、赤子のときに間引かれているところぞ。命があるだけ幸せに思え」
大ばば様の声は、ぞっとするほど冷たかった。この人、絶対に僕の祖母じゃない。
「真苑。チンコジを持って来なさい」
僕を座敷に案内した後はどこかへ引っ込んでいた真苑さんが、大きな四角いお盆を持って現われた。
これから何が始まるんだろうという疑問は、すぐに答を与えられた。僕は座敷の真ん中に引き出されて、あお向けに押し倒されて、男の人に手足を押さえつけられた。
お盆が僕の顔のすぐ横に置かれた。厚さ一センチ以上の鉄板から切り出したような輪っかとか、それを半割にしたのとか、C形で薄い(といっても五ミリはある)輪っかは内側が凸凹になってる。直径一センチそこそこから四センチ以上のまで、何個も並べられている。
「これは小さすぎるわね」
「昔は、赤ん坊のころから着けさせたっていうから……ああ、これくらいかしら」
頭にかんむりを載せてない(平の?)巫女さんが二人で相談して、ついでに僕のチンチンを握ったりしながら、円を半割にしたような鉄の輪っかをお盆から選び出した。一人がチンチンを引っ張りながら、もう一人が輪っかを根元にあてがった。
「あっ……何を?」
ばしん。僕の横に座りこんでいた男の人にビンタを張られた。
「黙っておれ。何をどうするかは、順番に教えてやる」
こんなことをされるって、ママは承知していたんだろうか。だから、何をされても逆らってはいけないなんてしつこく言ってたんだろうか。
抵抗をやめた僕のチンチンに、鉄の輪っかがはめられて、他にも変てこな器具を取りつけられた。

これで5,990文字。400字詰原稿用紙1枚の実績平均値は335文字ですから、18枚。
今のところ8章の予定ですから、150枚内外で仕上がるかな。SMシーンは書き込みますから、200枚かも。まかり間違っても400とか600なんてインフレは起こさないでしょう。
1.男女判別
進学して初めての夏休みに、初めてのひとり旅。電車と電車とバスとバスを乗り継いで。朝の七時に家を出て、終点の夕明村バス停に着いたときには、十一時を過ぎていた。朝昼夕に一本ずつしかないバスは、のんびりと時刻待ち。降りたのは僕だけで、乗ってくる人はいないみたいだ。
とりあえず、着いたよって電話。バス停からさらに一時間も歩く村は、大手のキャリアでも圏外だから、これが最後の連絡。ま、お祖母ちゃんちで固定電話を借りればいいだけの話だけどね。
「きみ、キヨシ君でしょ」
待合所から出てきた女の子に声をかけられて、ちょっとびっくりした。というか、いぶかしんだ。
だって、僕の名前は荘田清美。ふつうキヨミって読むし、戸席もそうなってる。だいいち、戸席上の性別は女だし、今だってサマーワンピースを着てる。どこから見ても女の子だぞ。ショートボブにしてるけど、胸のふくらみもないけど、それでもボーイッシュの範中だぞ。
僕が男の子で、本当はキヨシだって知ってるのは、僕の両親だけなのに。なんてのは、とりあえず後回し。
「はい……ソウダキヨシですけど?」
まだ声変わりしてないから、声でも男女の区別はつかないと思う。
「あたしはイチノミヤマソノ。迎えに来たんだけど……」
マソノと名乗った女の子――じゃないね。僕より頭ひとつばかり背が高い。そりゃまあ、僕はクラスの女子と比べても小柄なほうだけど。それを割り引いても、僕より二つ三つは年上かな。腰に届きそうなロングヘアーをさらりと流して、Tシャツにスリムなジーンズが、かえって女っぽさを強調してる。
マソノちゃん――じゃなくてマソノさんが、停まっているバスを指差した。
「あれに乗って、家へ帰りなさい。それが、君のためにも村のためにも、良いことなんだから」
「僕は……この村で生まれた男の子として、ちゃんと神事を済ませる義務があるんです」
と、ママに言われてる。パパは、なぜか無言でそっぽを向いてたけど。
マソノさんは、ふっと――ため息かな。
「後かいしても知らないよ。村まで案内してあげる」
言うなり、きびすを返して、バス停から続く山道を登り始めた。
なんなんだよ――と、「?」を三つくらい頭の中に浮かべながら、後を追いかける。
マソノさんはずんずん歩き続ける。山道を歩き慣れてる。僕は後を追いかけるのが、やっと。僕は荷物を持ってるし、マソノさんは手ぶら。でも、僕も一応は男子。女子に荷物を持ってもらうなんて、出来るもんか。
十五分(正確にじゃなくて、一時間の半分の半分くらいって意味)も歩くと、息が切れてくる。のに、マソノさんは余ゆうしゃくしゃくにさわる。
だけど、後ろからみてると、本当に女の子だなあって実感する。歩くときに腰から動き始めて、真ん丸なヒップが上下にくねって、ひざから下はその動きを追いかける――みたい。いくら僕が女の子の格好をして、学校でも女の子として通用してても、本物にはかなわないや。
マソノさんは、歩きながらひっきりなしにおしゃべりしてる。自分の名前は漢字だと真実に御苑のエンだとか。大昔は村じゅうが藤原とか立花って名字ばかりだったけど、明治時代に戸席制度が整備されたときに、家の格に従って一宮、二宮、三宮、世宮(シは縁起が悪い)ってふうに改名したとか。僕のママも旧姓は一宮だったとか。いろいろと教えてくれた。歩きながら後ろを振り返ったりもせずだから、独り言ぽい。僕には、相づちを打つ余ゆうもなかったよ。
そうか。僕が訪ねて行く先はママの実家で、一宮だけど。真苑さんに改めて言われるまでは、ひょっとして親せきかなとは思ってなかった。なんてことを考えられたくらいだから、真苑さんは、僕の歩く速度には合わせてくれてたんだろうな。それは、次の言葉ではっきりした。
「はあ、やっと着いた。五十分の道のりが一時間以上かかったけどね」
足腰の弱い都会者ってバカにしてるんじゃなくて、出来の悪い年下の子をあわれむみたいな口調だった。
四歳のときに村を出た僕には、初めて訪れた地も同然。人口は四百人ちょっとらしいけど、都会ならてい宅規模の家がずらっと並んでるから、けっこう大規模に見える。ひとつの箱の中に何十世帯も詰め込まれてるマンションとは大違いだ。
汗をふく暇もなく、百年前から建ってたと言われても納得しそうな、古びた大きな御屋敷へ案内されて。ろう下をずずずずずいと奥へ進んだ座敷に通されて。すずしさどころかうすら寒さを感じた。
そこには、床の間を背にして、大ばば様みたいなおばあさん(僕の祖母の民江さんかな)と、僕の年齢の倍以上はありそうな、でも神社で見かける巫女さんの衣装を身に付けた女性が三人と。壁に沿って七人の男性がコの字形に並んで――僕を見つめていた。
気圧されて、座敷に入ってすぐの所で、ぺたんと正座。
「おまえは、本当に初美の息子なのかね?」
大ばば様から、御下問って感じ。
「はい。こんな格好をしていますけど、男です」
「なにゆえに女装をしておるのじゃ」
巫女さんの一人。この人だけは、小さな金色のかんむりを頭に載せている。
「こうしていないと、この土地の神様にのろわれるって、母から聞かされています」
迷信とかいう言葉を口に出来るようなふん囲気じゃなかった。
「ふん。どんな形をしようが、のろいからは逃れられぬぞ。しかし、おまえが真に男であると確かめた者は、この村に居らぬ」
「しかし、見れば見るほど女子じゃのう。間違いがあってはいかん。服を脱いでみなさい」
大ばば様をはさんでかんむり巫女の反対側に座っている巫女さんが、さらりと言った。
村では、何を言われても何をされても、逆らってはいけないと――ママから厳しく言われてる。十日間だけの我慢。それでのろいから解放されるんだからと。
僕としては。男の娘でいることが自然になってる。そりゃまあ、将来もこれじゃあいやだし。性別適合手術を受けて女性になりたいかというと、それもいやだ。むくつけき男に可愛がられるなんて、ぞっとする。きゃしゃで柔らかくて良いにおいのする女の子を、僕が可愛がりたいんだ。
というのは、ずううっと横へ押しのけて。
僕は立ち上がって、素直に服を脱いだ。下着も(女の子らしく、両手をクロスさせて)脱いで、ショーツ一枚。ここまでは、身体測定でも体育の着替えでも慣れてる。
「何をしている。パンツも脱ぎなさい」
大ばば様にしかられて、心臓が三十センチは跳び上がった。修学旅行のときだって、ほんとにドキドキしたんだから。
全身が火照るのを感じながら、ショーツを脱いで。恥ずかしいので、両手で胸と股間を隠した――ら、やっぱりしかられた。
「手を下ろすのじゃ」
見て驚くだろうな――と、恥ずかしさの中にも、やけっぱちな期待を交えて、手を下ろした。
おおっと、座がどよめいた。胸にふくらみが無いのは当然だけど。男の付属品が股間に付いてないのには、驚いたろうね。まるきりの一本筋だもの。まるきりのツルペタだもの。
「おまえ……まさか、女子なのか?」
「隠してるんです。チン、だんせ……ペニスも見せないとダメですか?」
ものすごく恥ずかしいのと、ちょっぴり得意なのとが混ざり合った複雑な気分。
「インターネットで見たことがあるぞ。それ、タックとかいうやつだな」
七人の中でいちばん若いぽい(といっても、三十過ぎの小父さんだ)男性が、得意そうに言った。そして、大ばば様に向かって言い訳めいて。
「もちろん、サーバー経由のVPNでアドミン権限の情報収集の一環としてですよ」
自分でも理解出来てないIT用語を並べてるぽいな。
「隠しておるのなら、出しなさい」
「はい」
畳の上に正座して。バッグのポケットから、瞬間接着剤の「はがし液」と小筆を取り出した。後、ティッシュ。
ひざを開いて、股間の一本筋に「はがし液」をぬって染み込ませる。毎朝タックをして女の子になって、家へ帰ったら男の子にもどる。三年前からはひとりで出来るようになってる。
瞬間接着剤がふやけるまでの数分。液が垂れないように上体を反らせて畳に両手を突いて、股を開きっ放し。初対面のオトナに三方から囲まれて、とんでもないことをしてるなって……だんだん恥ずかしさがつのってくる。正気を取りもどしたっていうほうが当たってるな。
神事って、具体的に何をするのか、ママも教えてくれなかった。実は知らないんじゃないかと疑ってるけど。そして、見知らぬ場所で見知らぬオトナたちに囲まれて。しかも、恥ずかしいことを要求されて。正気を保てるはずが無いだろ。
正気を取りもどしたといっても、三十パーセントくらいかな。だから、恥ずかしい作業を続けられたんだと思う。
左右のタマタマふくろをはり合わせて縦筋になってる部分をそっと引きはがすと、チンチンがぽろっと出てくる。
「おおおっ」
「まあ……」
「ふうむ?」
そりゃ驚くよね。「女の子」の中から「男の子」が現われるんだから。
「妙にしなびた金玉だな?」
タマタマはくくろから押し出して、下腹部に押し込んである。言葉で説明するのは面倒だし恥ずかしいから。畳の上ではクッションになるので。ろう下へ出て、ケンケン跳び。にょむ゙んって感じで、玉が片方ずつふくろの中に下りてくる。
「ええと……こんなです」
まさか「おそまつ様」なんてあいさつもおかしいし、口の中でもぐもぐつぶやいてから、元の位置に座った。もう必要が無いから、ひざをぴったりそろえて正座。でも、みんなきちんと服を着てるのに、ぼくだけ裸。すごく居心地が悪い。
「しかし、実になんというか……短小包径もいいところですわね」
三人の中で圧倒的に若い(僕とひと回り違うくらいかな)巫女さんが、口に手を当てて笑った。
女の子として通してるから、クラスメイトのチンチンは見たことがない。ネットで見かけるサイズはオトナ基準だから、それに比べたらずっと小さいけど、起っきしてるときに四センチ以上あればSEXに問題は無いそうだけど、僕は縮んでるときでもそれくらいはあるぞ。包径だって仮性だから、多数派だぞ。
でも……
「確かに。年齢を割り引いても小さいな」
「俺がこいつくらいのときには、倍はあったぞ」
「こいつに合うサイズなんて、あったっけ」
そんなふうに言われると、泣きたくなってくる。
「大きさは問題ではないわえ」
大ばば様は僕の味方――じゃなかった。
「かんじんなのは働きじゃ。キヨシよ、精通はしておろうの?」
むぐ……学校ではほとんど教えてくれなくても、ネットで調べれば、精通でも初潮でもオナニーでもSEXでもニンシンでも中絶でも、何だって分かる。そして僕は……何ひとつ経験が無い!
初潮とかニンシンじゃなくて、精通の話だよ。チンチンを指でつまんでしごくと(特にカリクビのところが)すごく気持ち良くなって、ビクビクッと腰がけいれんするんだけど、それだけ。空砲ってやつ? それでもけん者タイムの自己けん悪に突入するんだから、なんだか損をした気分になる。
こういうときは、黙っているのが返事になってしまう。
「ふうん。まだ毛も生えてないし、声も子供だし……でも、本当に出ないのかな?」
若い巫女さんが、ふわりと立ち上がった――次の瞬間には、赤いはかまが僕に向かって押し寄せて来て。
「あっ……?!」
チンチンを握られてた。
「やめてください」
カマトトじゃないよ。知らないよオトナに囲まれて裸ってだけで、恥ずかしくて頭がでんぐり返ってるのに、いちばん恥ずかしいところを、それも若い女の人に握られて。
なんとか押し返そうと、じたばたあがいたら。
「おとなしくしろ。おまえのケガレをはらえるかどうかのせとぎわだぞ」
男の人に、羽交いじめにされた。ものすごい力。身をもがくことすら出来ない。
恥ずかしいことをされてるけど、危害を加えられてるんじゃない。そんなふうに自分を納得させて、抵抗をやめた。
巫女さんが、チンチンをもにゅもにゅとしごく。目いっぱいに縮かんでたのが、たちまち起っきする。ものすごく気持ち良い。自分でするのが木綿豆腐なら、これは絹ごし。よりも柔らかくて甘い――プリンだ。
切ない思いが腰に込み上げてきて。
「ああっ……!」
自分でするときには声なんか出ないのに。ぴくぴくじゃなくて、がくがくと腰が震えた。
「あら、ま。本当に煙だけね。でも、先走りは出てるから、明日は無理でも一週間後くらいなら、どうかしら」
「では、お清めはそれからじゃな」
「それまでにほう納と修験は済ませておきましょう」
さっぱり意味が分からないけど、僕に関する事柄が、僕を抜きにして決められていく。
「あの……もう、放してください。それと、どういうことなのか、神事ってしか聞かされてないんですけど、具体的に何をどうするのかも教えてください。それから……もう、服を着ていいですか?」
「ダメじゃ。おまえは、お清めが済むまでは裸で暮らすのじゃ」
「…………」
とんでもないことを言われて、しばらくは頭がエンストしてた。
「そんなのって、人権無視です!」
自分の思いをうまく表現できなくて、学校で習った言葉をそのまま使ったんだけど。
「この村で生まれた男に、人権なぞ無いわえ。昔じゃったら、赤子のときに間引かれているところぞ。命があるだけ幸せに思え」
大ばば様の声は、ぞっとするほど冷たかった。この人、絶対に僕の祖母じゃない。
「真苑。チンコジを持って来なさい」
僕を座敷に案内した後はどこかへ引っ込んでいた真苑さんが、大きな四角いお盆を持って現われた。
これから何が始まるんだろうという疑問は、すぐに答を与えられた。僕は座敷の真ん中に引き出されて、あお向けに押し倒されて、男の人に手足を押さえつけられた。
お盆が僕の顔のすぐ横に置かれた。厚さ一センチ以上の鉄板から切り出したような輪っかとか、それを半割にしたのとか、C形で薄い(といっても五ミリはある)輪っかは内側が凸凹になってる。直径一センチそこそこから四センチ以上のまで、何個も並べられている。
「これは小さすぎるわね」
「昔は、赤ん坊のころから着けさせたっていうから……ああ、これくらいかしら」
頭にかんむりを載せてない(平の?)巫女さんが二人で相談して、ついでに僕のチンチンを握ったりしながら、円を半割にしたような鉄の輪っかをお盆から選び出した。一人がチンチンを引っ張りながら、もう一人が輪っかを根元にあてがった。
「あっ……何を?」
ばしん。僕の横に座りこんでいた男の人にビンタを張られた。
「黙っておれ。何をどうするかは、順番に教えてやる」
こんなことをされるって、ママは承知していたんだろうか。だから、何をされても逆らってはいけないなんてしつこく言ってたんだろうか。
抵抗をやめた僕のチンチンに、鉄の輪っかがはめられて、他にも変てこな器具を取りつけられた。

これで5,990文字。400字詰原稿用紙1枚の実績平均値は335文字ですから、18枚。
今のところ8章の予定ですから、150枚内外で仕上がるかな。SMシーンは書き込みますから、200枚かも。まかり間違っても400とか600なんてインフレは起こさないでしょう。
- 関連記事
-
-
Making of 娘女敵討:3 2023/08/25
-
Making of 娘女敵討:2 2023/08/22
-
Making of 娘女敵討:1 2023/08/20
-
魔羅神様の男神子:7章~8章 2023/08/16
-
魔羅神様の男神子:1章 2023/07/24
-
Response to a new Request :3 2023/07/23
-
Response to a new request:2 2023/07/20
-
Response to a new request:1 2023/07/18
-
Progress Report Final :『特別娼学性奴』 2023/07/07
-