Progress Report 1:SMX358
いよいよ執筆開始(過去完了形)!
9/8、9、10、11(うち休日1、紙飛行機1)で、わずか40枚です。今日(12)の休日でバンカイできればカンパイですが。
この記事(小説冒頭)と小説終結部は残しますが、あとは漏らさず掲載しては、次の記事のときに消していきます。途中も少しは残すかもしれませんが。進捗状況と尺によっては、ひとつの章の掲載期間が二、三日ということもあるかもしれません。あると、いいな。
この小説は『なろう』形式で書いています。[[rb:根菜勘治>こんなかんじ]]ですね。なので、html形式にするのは一括置換です。
> → <rt>[[rb: → <ruby> ]] → </rt></ruby>
出来上がりは……根菜勘治
WORDでルビ検索しなくていいから楽です。でも、PDF化のためにword形式にするには[[を検索してはルビに置き換えていくので、ちょい手間です。
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自涜と反省
神様はお眠りにはならないと思いますが、人の子は眠ります。ですから、朝のお祈りは目覚めの挨拶から始めます。聖壇の前に跪いて、声に出してきちんと唱えます。
「神様、おはようございます。安らかな眠りから満ち足りた目覚めを迎えられたことを感謝します……」
かすかな足音が背後に聞こえました。珍しく私より先に起きて外へ出ていると思ったら、礼拝堂に隠れていたのですね。
「今日も一日、精一杯に働いて……」
すぐ後ろまで気配が迫りました。
「こらっ!」
振り返りざま、叱りつけました。
「わっ……?!」
跪いている私に合わせて腰をかがめていたのでしょう。ジャックは見事に尻餅をつきました。
「礼拝堂でふざけてはいけないって、何度も言ってるでしょう」
クリームたっぷりのコーヒーにうんと砂糖を入れたみたいな顔が、はにかんだように笑っています。
「ごめんなさい……」
しおらしく謝って立ち上がると……
ぺちん。私のお尻を(かなり強く)叩いて、そのまま掌を上へずり上げました。私にしてみれば、強い力で撫でられた感じです。
「へっへーん。姉ちゃんのおけつ、いい音がするね」
憎まれ口を叩きながら礼拝堂から駆け出て行きました。礼拝堂で走るな騒ぐな――注意する暇もありませんでした。
ジャックの悪戯には手を焼きます。でも、私より二つ年下――ようやく十二星座をめぐり終えようとしている弟には、男の子が女の子のお尻とか胸を触るのは淫らな行為だという自覚はないのです。お姉ちゃんがうろたえるから面白がっているだけなのです。
私? もちろん、淫らな行為だと分かっているから、ジャックを叱るのです。
そういう行為が性的な意味を持つとはっきり知ったのは――半年前にお股から血が出て父様に相談したら、雑貨屋のスーザン小母さんが代わりに教えてくださって、そのときにあからさまなことも少し教わりました。
神様の目の前で淫らなことを考えるのは不敬です。もうお祈りを続ける気分ではありません。
「アーメン」
お祈りは端折って、朝の日課に向かいます。今日は月曜ですから、助手のボブさんは来ません。食事の用意は三人分だけです。
支度が出来たら、フライパンをレイドルで打ち鳴らして合図をします。三人で食卓に就いて、神様に感謝の祈りを捧げてから、私と父様は食事を始めます。弟は、食事を終えかけるところ――といいたいぐらい、ぱくつきます。
これまで、父様とか弟と紹介してきましたけれど、実の家族ではありません。
父様はオットー・ヒュンケル。ここコッパーベルタウンの牧師様です。三十五歳です。カウボーイたちと喧嘩をしても(しませんけれど)二人くらいならまとめて相手に出来そうなくらいに頑丈です。年上の人に説法をしてもなめられないようにと、髭もじゃです。髪も髭も赤茶色です。生涯独身の誓いを立てておられます。
父様は法律的には養父(Adoptive father)なのでしょうが、私としては義父(Fathe in law)をもじって心父(Fathe in heart)がふさわしいと思っています。
弟はジャック・ヒュンケル。教会の前に捨てられていた黒人との混血です。黒い縮れ毛を短く刈っています。甘ったるい顔つきだと思うのは白人の美的基準からだけらしいです。
そして私、ジュリア・コバーニ。父様とも弟とも違って、銀髪です。瞳も碧いので、北欧系かもしれません。でも、母様の姓はコバーニですから、ラテン系かもしれません。出自が分からないのは、母様はロマの民で、事情は知りませんが仲間からはぐれたか追い出されたかして、やはり教会の前で行き倒れたからです。身の上を語る暇もなく私を産み落として、すぐに亡くなりました。私の名前は、母様に付けていただきました。
私は生粋の白人なので出自がロマの民でも、町の人たちからあまり差別は受けていません。
ああ、ジャックだって表立った差別は受けていませんよ。なにしろ、父様が牧師様なのですから。元奴隷の子供たちからは半分白人と思われています。友達と呼べる子はひとりもいなくて、だから私に甘えたり悪戯を仕掛けたりするのです。
ジャックは、将来のことを考えるのは早すぎますが、私には確固たる目標があります。ほんとうは父様の後を継いで牧師になりたいのですが、世間の人たちは女がしゃしゃり出ることを望みません。聖書にもはっきりと、女は男に劣ると書かれています。ですから、私は将来は修道女となって、神様に一生を捧げるつもりです。父様も賛成してくれています。でも、まだ見習修道女にもなれない年齢ですから、今は教会のお仕事を出来るだけ手伝いながら、生活態度だけでも修道女と同じように、敬虔に清く勤勉であろうとしています。
ちらっと触れたボブさんは、教会の助手です。専属ではなく、週末だけに来て下さるボランティアです。二十二歳ですから、じゅうぶんに私と釣り合う年齢です。もっとも、向こうは私のことを……せめて、妹くらいには思ってくれると嬉しいのですけど。
などと、朝っぱらから浮ついたことを考えてはいけません。
台所の後片付けが終わったら、私も農作業です。信徒の皆様からの浄財は、出来る限り教会の維持と修繕にまわします。小麦も野菜も牛乳も、教会の小さな農場で賄います。
朝の私の仕事は乳搾りです。雌牛の横に座って、子供のペニス(という単語も、スーザン小母さんに教わりました)くらいもある乳首を両手にひとつずつ握って、左右交互に搾っていきます。
ふう。また、ジャックが忍び足で近づいて来ました。叱っても叱っても懲りないので、今日は作戦を変更します。
むぎゅっと、背後から左右の乳房をつかまれました。私は、平然を装います。
「姉ちゃんのお乳は、僕が搾ってあげるよ」
無視していると、ぎゅううっと強くつかんで、私が雌牛の乳を搾るリズムに合わせて、もぎゅもぎゅと指を食い込ませてきます。
私は背丈では二つくらい下の年齢に見間違われますけど、そんな人も私の乳房に気づくとレディに対する口調に改めます。改めすぎます。若い男性には、じゅうぶんに恋愛の対象に見えるのでしょう。それが厭だから、私は(寝るときを除いて)胸にきつく布を巻いています。
その布を越えてジャックの指が食い込んできます。痛いのですけど、意地になって無視を決め込みます。
「お姉ちゃん、平気なの?」
「いくら私の乳房を搾っても、お乳は出ないわよ」
わざと見当はずれな答えを返してやりました。
「ちぇええ……」
私が取り合わないと分かると、ジャックは逃げて行きました。
私は乳を搾りながら、なんとなく落ち着かない気分です。ジャックの指は痛かったけれど、まだ残っている疼きが、だんだん熱を帯びてきたような……錯覚ですね。
牛の世話を終えると、すぐに昼ご飯の支度に取り掛かります。
午後からは、乾燥させておいた麻から糸を作ります。繊維が長いので、綿のように紡ぐ必要がありません。来週あたりからは麻糸を使って亜麻布を織る予定です。女の子ひとりだけの手ではたいした量を作れませんが、シーツや家族の普段着を作る分には足りています。
父様と弟か野良仕事から帰って来ました。まず父様が身体を洗って、私が出しておいた清潔な下着に着替えてから私の部屋をちょっと覗きます。
「おお。ずいぶんと捗っているね。関心、関心。それでは、ちょっと出てくるからね」
町の反対側にあるサロンへ通うのが日課になっています。カウボーイや職人さんたちと、世間話をしながら遊ぶのです。サロンでの遊びといえば、ポーカーのような賭け事が真っ先に浮かびますが、父様は神様に仕える身ですから、チェッカーです。市長のディーラーさんとか銀行頭取のギャレットさんがいらっしゃれば、チェスをすることもあります。
父様が出て行かれて十五分もした頃です。
「姉ちゃん……助けてよお」
半べその声が聞こえてきました。あわてて裏庭へ出てみると、弟が行水桶の中にうずくまって両手で股間を押さえていました。
「チンチンが……変になっちゃったよお」
どんなになっているのか、見ないことには始まりません。いやがるのを叱って、手をどかせました。
「まあ……?!」
ふだんは私の小指くらいなのに、父様のペニスの半分くらいにまで大きくなっています。父様のは垂れていますが、今のジャックのは、お腹にくっつくくらいに上向いています。これが、勃起という現象なのでしょう。しかも、普段とは違って、薬莢から飛び出たスラッグ弾みたいになっています。
こういうときには、エロチックなことからうんと遠くてややこしい事柄を考えれば良い――というのは、スーザン小母さんではなく、去年から酒場で働き始めたマリーから聞きました。エロチックからいちばん遠いのは、お祈りだと思います。でも、不謹慎ですし、ややこしくもありません……そうだ。
「いいこと。落ち着いて聞くのよ。塀で隠れた向こう側には、鶏と牛が合わせて五匹隠れているの。そして、塀の下から十四本の足が見えているわ。鶏と牛とは、それぞれ何匹いるか分かる?」
註記:数助詞(人、匹、頭、個、本)の
問題は無視してください。
「何言ってんだよ。赤ちゃんだって、牛の足と鶏の足を見間違えるはずがないぞ」
それは、まあ、そうですけど。でも、見る見るうちにペニスがうなだれて縮んで、先端まで薬莢の中に引っ込みました。
「ジャック、正直におっしゃい。チンチンをいじってたんでしょ?」
「違うよ」
弟は怒ったように答えました。
「お姉ちゃんのおっぱいをつかんだときのことを考えただけだよ」
そちらのほうが、罪は重いです。でも、どう言ってたしなめたら良いのか分からなかったので。
「元に戻って良かったじゃないの」
適当にごまかして家の中へ引き返しました。
夕食が終わって。居間に三人が寄り集まって。私は繕い物をしたり趣味のレース編みを進めたり。弟は小さな黒板を使って二桁の足し算の勉強。父様は新聞です。面白い記事があると、読んで聞かせてくれます。
電気代がもったいないので、午後九時には寝ます。それでも、十年くらい前までは明かりはランプしか無くて、午後七時には眠りに就いていたのですから、ずいぶんと夜更かしになったものです。その分、朝は遅くなりましたけれど。
ひとり闇の中に身を横たえて。なかなか寝付けません。ジャックの勃起したペニスが、瞼の裏に浮かんできます。あれが、女の子のヴァギナに挿入されるのです。いえ、あれではありません。大人の男性でしたら、父様のペニスと同じくらいです。それが、倍くらいにも大きくなって……私のヴァギナに、本当に入るのでしょうか。ジャックのですら怪しいと思います。
それから……ジャックにつかまれた乳房が、また疼き始めました。強い力。あれが、男性の片鱗なのでしょう。
あれとこれとを考えると、腰のあたりが熱くなってきます。胸が苦しくなってきます。
私は背丈が発育不良で胸が発育過剰です。では、ヴァギナは?
指くらいなら入るかな?
布団の中で手を動かして、お股に触れてみました。なんだか、ぬるぬるしています。もう三年くらい前から……淫らなことを考えると、こうなるのです。
指くらいなら入るかな?
その考えが頭を去りません。人差し指をラビアの中へ滑らせました。穴は、すぐに探り当てました。縁に触れると、くすぐったいです。腋をくすぐられたときとは、ちょっと違います。心臓がドキドキしています。
つぷっと……簡単に指が入りました。でも、赤ちゃんに指を吸われているみたいな感じ。とても二本三本は入りそうにありません。大人の勃起したペニスはもちろん、ジャックのすら無理でしょう。
ああ、そうか。それでも無理にこじ入れるから、マリーが言っていたように「最初はすごく痛い」のでしょう。
そこでやめておけば良かったとは、後になって思ったことです。ヴァギナから指を引き抜いたものの、なんだか満たされない気分のままに、ラビアをなぞっていました。
「あっ……?!」
びびっと電気が走ったみたいな感覚がありました。町に来た『科学サーカス』の興行で感電を体験したことがありますが、そのときみたいな痛みはありません。甘い感電とでもいうべき感覚です。
たしか、ラビアの上端あたりを……
「ああっ……」
また感電しました。そして、はっきりと『電極』が分かりました。左右のラビアが合わさっているあたりに、小さな疣があるのです。そこに指が振れると、疣から腰の奥へ向かって、途中でヴァギナも通りながら、電気が奔るのです。それが、とても甘い――なんて言葉では追いつきません。じいんと腰が痺れて、頭に淡い霞がかかります。
その霞は、はっきりとピンクに染まっています。だから、これは淫らなこと、いけないことだと悟ってしまいました。オナンの罪という言葉が自然と浮かびました。オナンは、妻を孕ませることなく男女の営みに及びました。
「でも、今ではそういう意味じゃあなくなってるのよ」
またも、マリーの言葉を思い出しました。
「そのうち、自分で覚えるわ。そうならないうちは、まだまだネンネってことだわよ」
ああ、マリーの言葉に隠されていた真実に目覚めてしまいました。そうなってしまったのです。
いけないことだと分かっていながら、指は身体は、また感電を欲しがります。
ただ疣に触れるだけでなく。この疣には『芯』があって、それを皮が包んでいます。その皮をくにゅくにゅとつまむと芯まで刺激されて、いっそう強い電気が奔ります。
股間に触れていいのは、最も汚らしい排泄の後始末と、最も崇高な子作りのときだけです。神様が、そうお定めになったのです。こんな、自分の快楽のためにだけ刺激するのは涜神です。悪魔の誘惑に負けているのです。
それが分かっているのに、指の動きを止められません。だんだんと速くなっていきます。でも、ジャックに乳房をつかまれたみたいに(そう思った瞬間、胸にきゅうんと熱い感情が込み上げてきました)強くつまむと――痛いだけです。嘘です。痛いのだけど、その奥に甘い感覚があります。むしろ……お菓子を作るとき、生地に少量の塩を混ぜるといっそう甘みが引き立つみたいに。痛いのと気持ち良いのとが混じり合って……
「あああっ……(何か来る)?!」
叫びかけて、あわてて片手で口を押えました。もう一方の手は、股間から放すことが出来ません。片手だけでは物足りないので、シーツを引き寄せて丸めて口に入れて。右手で疣を刺激しながら、左手でヴァギナに指を挿れてみました。
「…………!」
ぶわあっとヴァギナが爆発したような感覚。頭の中のピンク色の霞が、部屋いっぱいに拡がって……
「ふわああああ」
口からシーツを吐き出して、幸せな溜息を吐きました。そのまま、ピンク色がだんだん暗くなっていって……
罪の意識とともに目を覚ましました。
我を忘れて、悪魔の誘惑に負けてしまったのです。私は、なんという罪深い行為をしてしまったのでしょう。子作りのためにのみ使う器官を、一時の快楽の道具にするなんて。
ロザリオを繰る想いで三つ編みを結い直しました。それをスカーフで包みます。修道女の被り物を真似て、起きている間はずっと髪を隠しているのです。
朝のお祈りでは、神様にお赦しを願いました。そして、贖罪のためにも昨日より頑張って仕事をしようと自分に誓いました。
昨夜に気づいた疣のこともジャックの勃起したペニスのことも考えないようにしました。でも、ジャックが台無しにしてくれました。
乳搾りのときも、考えないということばかり考えていたので、ジャックの気配に気づきませんでした。不意に乳房をつかまれました。どうにか、驚かずに済みました。
「しつこいわよ。お乳は出ないんだったら亅
「僕も算数の問題を考えたんだよ亅
昨日よりは優しい力で乳房を揉みながら、身体を密着させて耳元に囁きます。
「雌牛と人間と、合わせて七頭。おっぱいは十二個。それぞれ何頭だ?亅
全部人間とすると乳房は十四個……暗算が間違っているのでしょうか。背中に押しつけられたジャックの身体の一部が、すごく硬くて、考えがまとまりません。
「降参、分からないわ。手を放して」
「雌牛が三頭と男の人が四人だよ。男には、おっぱいが無いからね」
種明かしはしてくれましたが、手は放してくれません。
「いい加減にしないと、あなただけ牛乳抜きにするわよ」
「分かったよ。それじゃ、バイバイ」
声に合わせて強くモギュモギュと揉んでから、駆け去りました。
ムウウウ~
雌牛に乳搾りを催促されて、我に還りました。乳房を揉まれたのと背中の感触とにぼうっとしていたようです。
結局、一日中あれこれ考えるというか思い出すというか。ジャックのペニス。昨日は半年ぶりくらいに見たのです。発起していないときでも、私が覚えているよりも成長しているのかもしれません。もしそうなら、少し安心です。大人のペニスがあんな倍率で膨張するのだったらヴァギナに拳骨を突っ込まれるようなものですから。
だから、これはちっとも淫らな真似じゃない――と、自分に言い訳をして。ジャックが行水を使っているときに、わざわざ玄関から出て裏庭へまわって、忍び足で後ろから近づいて覗き込みました。
「わっ……どしたんだよ、姉ちゃん?!」
「後ろからそっと近づかれると、びっくりするでしょ。仕返しよ」
一瞬ですけど、きっちり目撃出来ました。不安が募りました。ジャックの平常時のペニスは、半年前から変わっていなかったのです。
でも、本当に? 見間違いはなかったかしら。
「今日は、チンチンは腫れてないの?」
「なんともないよ」
「それでも心配だわ。お姉ちゃんに見せてごらん」
我ながらうまい口実です。
「平気だよ。もう、あっちへ行ってよ」
「お姉ちゃんが頼んでも、ジャックはやめてくれないでしょ。見せなさいったら」
前を隠している手をつかんで、ひっぺがします。ジャックも本気では逆らいません。
「ふうん?」
スラッグ弾ではなく、マスケット銃の薬包みたいです。マスケット銃の薬包は、火薬と弾丸がひとまとめに紙の筒に収まっています。
ジャックのは、実際には薬包よりも小さいです。でも、眺めているうちに大きくなってきました。遠距離射撃の角度になるのは薬包ではなく銃身のほうですが、つまりそういうことです。
「もう、いいだろ。あっちへ行ってよ」
手で水を掬って顔に掛けられました。完全なスラッグ弾になるのを見届けたかったのですが、あまり騒ぐと父様が様子を見に来るかもしれません。退散します。
食事の支度をしているときも食事中も後片付けも上の空でした。レースの編み物は何度も間違えて、ほどいてはやり直し。
今日見たジャックの平常時のペニスと昨日の勃起したときの大きさと。その比率を、ただひとりだけ見知っている大人のペニスに当てはめて。私の指を五本まとめてつぼめたよりもずっと太いでしょうから、とてもヴァギナへの挿入は不可能だと思ったり。でも先端は丸まっているから、鈍い楔を打ち込むようにして……引き裂かれるとしたら、想像を絶する痛みだろうと恐怖に捕らわれたり。それなのに、腰の奥がキュンキュンして、淫らな汁がにじみ出るのです。
「よし。そろそろ寝る時刻だな」
お父様がそう言ったときには、ほっとしました。と同時に……今夜も寝付けない。だけではなく、きっと、悪魔の囁きに耳を貸してしまうのではないかと恐れました。
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リクエストでアメリカと指定されていますから、やはりプロテスタントです。典型的なキリスト教といえば(服装とか儀式とか)カソリックのほうが書きやすいですが。それでは中世旧大陸の話『公女巡虐』と似通ってくるし。
19世紀末乃至20世紀初頭の設定は、これは便利です。サディスト見習の牧師様(養父)が、百マイル離れた大きな街にいる筋金入りサディスト教区長に相談するのに電話が使えます。教区長が馬無し馬車で駆けつけることもできます。
いえ、これはお話が進んでから先の展開ですが。
今、もっとも苦慮しているのがBFの元ネタです。ヒロインはまだ修道女見習にもなっていないので、あの被り物はしていませんが、それは無視して。
全裸で跪いて正面の十字架に祈る修道女。の背中に刻まれた鞭痕。
なんて図柄を想定していますが、なかなか適当なのがありません。それらは追々紹介していくとして。
ウィンプルの代わりに髪をスカーフで覆ったヒロイン――のイメージです。

元ネタはイスラム系少女らしいですが、まあ、いいや。
9/8、9、10、11(うち休日1、紙飛行機1)で、わずか40枚です。今日(12)の休日でバンカイできればカンパイですが。
この記事(小説冒頭)と小説終結部は残しますが、あとは漏らさず掲載しては、次の記事のときに消していきます。途中も少しは残すかもしれませんが。進捗状況と尺によっては、ひとつの章の掲載期間が二、三日ということもあるかもしれません。あると、いいな。
この小説は『なろう』形式で書いています。[[rb:根菜勘治>こんなかんじ]]ですね。なので、html形式にするのは一括置換です。
> → <rt>[[rb: → <ruby> ]] → </rt></ruby>
出来上がりは……根菜勘治
WORDでルビ検索しなくていいから楽です。でも、PDF化のためにword形式にするには[[を検索してはルビに置き換えていくので、ちょい手間です。
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自涜と反省
神様はお眠りにはならないと思いますが、人の子は眠ります。ですから、朝のお祈りは目覚めの挨拶から始めます。聖壇の前に跪いて、声に出してきちんと唱えます。
「神様、おはようございます。安らかな眠りから満ち足りた目覚めを迎えられたことを感謝します……」
かすかな足音が背後に聞こえました。珍しく私より先に起きて外へ出ていると思ったら、礼拝堂に隠れていたのですね。
「今日も一日、精一杯に働いて……」
すぐ後ろまで気配が迫りました。
「こらっ!」
振り返りざま、叱りつけました。
「わっ……?!」
跪いている私に合わせて腰をかがめていたのでしょう。ジャックは見事に尻餅をつきました。
「礼拝堂でふざけてはいけないって、何度も言ってるでしょう」
クリームたっぷりのコーヒーにうんと砂糖を入れたみたいな顔が、はにかんだように笑っています。
「ごめんなさい……」
しおらしく謝って立ち上がると……
ぺちん。私のお尻を(かなり強く)叩いて、そのまま掌を上へずり上げました。私にしてみれば、強い力で撫でられた感じです。
「へっへーん。姉ちゃんのおけつ、いい音がするね」
憎まれ口を叩きながら礼拝堂から駆け出て行きました。礼拝堂で走るな騒ぐな――注意する暇もありませんでした。
ジャックの悪戯には手を焼きます。でも、私より二つ年下――ようやく十二星座をめぐり終えようとしている弟には、男の子が女の子のお尻とか胸を触るのは淫らな行為だという自覚はないのです。お姉ちゃんがうろたえるから面白がっているだけなのです。
私? もちろん、淫らな行為だと分かっているから、ジャックを叱るのです。
そういう行為が性的な意味を持つとはっきり知ったのは――半年前にお股から血が出て父様に相談したら、雑貨屋のスーザン小母さんが代わりに教えてくださって、そのときにあからさまなことも少し教わりました。
神様の目の前で淫らなことを考えるのは不敬です。もうお祈りを続ける気分ではありません。
「アーメン」
お祈りは端折って、朝の日課に向かいます。今日は月曜ですから、助手のボブさんは来ません。食事の用意は三人分だけです。
支度が出来たら、フライパンをレイドルで打ち鳴らして合図をします。三人で食卓に就いて、神様に感謝の祈りを捧げてから、私と父様は食事を始めます。弟は、食事を終えかけるところ――といいたいぐらい、ぱくつきます。
これまで、父様とか弟と紹介してきましたけれど、実の家族ではありません。
父様はオットー・ヒュンケル。ここコッパーベルタウンの牧師様です。三十五歳です。カウボーイたちと喧嘩をしても(しませんけれど)二人くらいならまとめて相手に出来そうなくらいに頑丈です。年上の人に説法をしてもなめられないようにと、髭もじゃです。髪も髭も赤茶色です。生涯独身の誓いを立てておられます。
父様は法律的には養父(Adoptive father)なのでしょうが、私としては義父(Fathe in law)をもじって心父(Fathe in heart)がふさわしいと思っています。
弟はジャック・ヒュンケル。教会の前に捨てられていた黒人との混血です。黒い縮れ毛を短く刈っています。甘ったるい顔つきだと思うのは白人の美的基準からだけらしいです。
そして私、ジュリア・コバーニ。父様とも弟とも違って、銀髪です。瞳も碧いので、北欧系かもしれません。でも、母様の姓はコバーニですから、ラテン系かもしれません。出自が分からないのは、母様はロマの民で、事情は知りませんが仲間からはぐれたか追い出されたかして、やはり教会の前で行き倒れたからです。身の上を語る暇もなく私を産み落として、すぐに亡くなりました。私の名前は、母様に付けていただきました。
私は生粋の白人なので出自がロマの民でも、町の人たちからあまり差別は受けていません。
ああ、ジャックだって表立った差別は受けていませんよ。なにしろ、父様が牧師様なのですから。元奴隷の子供たちからは半分白人と思われています。友達と呼べる子はひとりもいなくて、だから私に甘えたり悪戯を仕掛けたりするのです。
ジャックは、将来のことを考えるのは早すぎますが、私には確固たる目標があります。ほんとうは父様の後を継いで牧師になりたいのですが、世間の人たちは女がしゃしゃり出ることを望みません。聖書にもはっきりと、女は男に劣ると書かれています。ですから、私は将来は修道女となって、神様に一生を捧げるつもりです。父様も賛成してくれています。でも、まだ見習修道女にもなれない年齢ですから、今は教会のお仕事を出来るだけ手伝いながら、生活態度だけでも修道女と同じように、敬虔に清く勤勉であろうとしています。
ちらっと触れたボブさんは、教会の助手です。専属ではなく、週末だけに来て下さるボランティアです。二十二歳ですから、じゅうぶんに私と釣り合う年齢です。もっとも、向こうは私のことを……せめて、妹くらいには思ってくれると嬉しいのですけど。
などと、朝っぱらから浮ついたことを考えてはいけません。
台所の後片付けが終わったら、私も農作業です。信徒の皆様からの浄財は、出来る限り教会の維持と修繕にまわします。小麦も野菜も牛乳も、教会の小さな農場で賄います。
朝の私の仕事は乳搾りです。雌牛の横に座って、子供のペニス(という単語も、スーザン小母さんに教わりました)くらいもある乳首を両手にひとつずつ握って、左右交互に搾っていきます。
ふう。また、ジャックが忍び足で近づいて来ました。叱っても叱っても懲りないので、今日は作戦を変更します。
むぎゅっと、背後から左右の乳房をつかまれました。私は、平然を装います。
「姉ちゃんのお乳は、僕が搾ってあげるよ」
無視していると、ぎゅううっと強くつかんで、私が雌牛の乳を搾るリズムに合わせて、もぎゅもぎゅと指を食い込ませてきます。
私は背丈では二つくらい下の年齢に見間違われますけど、そんな人も私の乳房に気づくとレディに対する口調に改めます。改めすぎます。若い男性には、じゅうぶんに恋愛の対象に見えるのでしょう。それが厭だから、私は(寝るときを除いて)胸にきつく布を巻いています。
その布を越えてジャックの指が食い込んできます。痛いのですけど、意地になって無視を決め込みます。
「お姉ちゃん、平気なの?」
「いくら私の乳房を搾っても、お乳は出ないわよ」
わざと見当はずれな答えを返してやりました。
「ちぇええ……」
私が取り合わないと分かると、ジャックは逃げて行きました。
私は乳を搾りながら、なんとなく落ち着かない気分です。ジャックの指は痛かったけれど、まだ残っている疼きが、だんだん熱を帯びてきたような……錯覚ですね。
牛の世話を終えると、すぐに昼ご飯の支度に取り掛かります。
午後からは、乾燥させておいた麻から糸を作ります。繊維が長いので、綿のように紡ぐ必要がありません。来週あたりからは麻糸を使って亜麻布を織る予定です。女の子ひとりだけの手ではたいした量を作れませんが、シーツや家族の普段着を作る分には足りています。
父様と弟か野良仕事から帰って来ました。まず父様が身体を洗って、私が出しておいた清潔な下着に着替えてから私の部屋をちょっと覗きます。
「おお。ずいぶんと捗っているね。関心、関心。それでは、ちょっと出てくるからね」
町の反対側にあるサロンへ通うのが日課になっています。カウボーイや職人さんたちと、世間話をしながら遊ぶのです。サロンでの遊びといえば、ポーカーのような賭け事が真っ先に浮かびますが、父様は神様に仕える身ですから、チェッカーです。市長のディーラーさんとか銀行頭取のギャレットさんがいらっしゃれば、チェスをすることもあります。
父様が出て行かれて十五分もした頃です。
「姉ちゃん……助けてよお」
半べその声が聞こえてきました。あわてて裏庭へ出てみると、弟が行水桶の中にうずくまって両手で股間を押さえていました。
「チンチンが……変になっちゃったよお」
どんなになっているのか、見ないことには始まりません。いやがるのを叱って、手をどかせました。
「まあ……?!」
ふだんは私の小指くらいなのに、父様のペニスの半分くらいにまで大きくなっています。父様のは垂れていますが、今のジャックのは、お腹にくっつくくらいに上向いています。これが、勃起という現象なのでしょう。しかも、普段とは違って、薬莢から飛び出たスラッグ弾みたいになっています。
こういうときには、エロチックなことからうんと遠くてややこしい事柄を考えれば良い――というのは、スーザン小母さんではなく、去年から酒場で働き始めたマリーから聞きました。エロチックからいちばん遠いのは、お祈りだと思います。でも、不謹慎ですし、ややこしくもありません……そうだ。
「いいこと。落ち着いて聞くのよ。塀で隠れた向こう側には、鶏と牛が合わせて五匹隠れているの。そして、塀の下から十四本の足が見えているわ。鶏と牛とは、それぞれ何匹いるか分かる?」
註記:数助詞(人、匹、頭、個、本)の
問題は無視してください。
「何言ってんだよ。赤ちゃんだって、牛の足と鶏の足を見間違えるはずがないぞ」
それは、まあ、そうですけど。でも、見る見るうちにペニスがうなだれて縮んで、先端まで薬莢の中に引っ込みました。
「ジャック、正直におっしゃい。チンチンをいじってたんでしょ?」
「違うよ」
弟は怒ったように答えました。
「お姉ちゃんのおっぱいをつかんだときのことを考えただけだよ」
そちらのほうが、罪は重いです。でも、どう言ってたしなめたら良いのか分からなかったので。
「元に戻って良かったじゃないの」
適当にごまかして家の中へ引き返しました。
夕食が終わって。居間に三人が寄り集まって。私は繕い物をしたり趣味のレース編みを進めたり。弟は小さな黒板を使って二桁の足し算の勉強。父様は新聞です。面白い記事があると、読んで聞かせてくれます。
電気代がもったいないので、午後九時には寝ます。それでも、十年くらい前までは明かりはランプしか無くて、午後七時には眠りに就いていたのですから、ずいぶんと夜更かしになったものです。その分、朝は遅くなりましたけれど。
ひとり闇の中に身を横たえて。なかなか寝付けません。ジャックの勃起したペニスが、瞼の裏に浮かんできます。あれが、女の子のヴァギナに挿入されるのです。いえ、あれではありません。大人の男性でしたら、父様のペニスと同じくらいです。それが、倍くらいにも大きくなって……私のヴァギナに、本当に入るのでしょうか。ジャックのですら怪しいと思います。
それから……ジャックにつかまれた乳房が、また疼き始めました。強い力。あれが、男性の片鱗なのでしょう。
あれとこれとを考えると、腰のあたりが熱くなってきます。胸が苦しくなってきます。
私は背丈が発育不良で胸が発育過剰です。では、ヴァギナは?
指くらいなら入るかな?
布団の中で手を動かして、お股に触れてみました。なんだか、ぬるぬるしています。もう三年くらい前から……淫らなことを考えると、こうなるのです。
指くらいなら入るかな?
その考えが頭を去りません。人差し指をラビアの中へ滑らせました。穴は、すぐに探り当てました。縁に触れると、くすぐったいです。腋をくすぐられたときとは、ちょっと違います。心臓がドキドキしています。
つぷっと……簡単に指が入りました。でも、赤ちゃんに指を吸われているみたいな感じ。とても二本三本は入りそうにありません。大人の勃起したペニスはもちろん、ジャックのすら無理でしょう。
ああ、そうか。それでも無理にこじ入れるから、マリーが言っていたように「最初はすごく痛い」のでしょう。
そこでやめておけば良かったとは、後になって思ったことです。ヴァギナから指を引き抜いたものの、なんだか満たされない気分のままに、ラビアをなぞっていました。
「あっ……?!」
びびっと電気が走ったみたいな感覚がありました。町に来た『科学サーカス』の興行で感電を体験したことがありますが、そのときみたいな痛みはありません。甘い感電とでもいうべき感覚です。
たしか、ラビアの上端あたりを……
「ああっ……」
また感電しました。そして、はっきりと『電極』が分かりました。左右のラビアが合わさっているあたりに、小さな疣があるのです。そこに指が振れると、疣から腰の奥へ向かって、途中でヴァギナも通りながら、電気が奔るのです。それが、とても甘い――なんて言葉では追いつきません。じいんと腰が痺れて、頭に淡い霞がかかります。
その霞は、はっきりとピンクに染まっています。だから、これは淫らなこと、いけないことだと悟ってしまいました。オナンの罪という言葉が自然と浮かびました。オナンは、妻を孕ませることなく男女の営みに及びました。
「でも、今ではそういう意味じゃあなくなってるのよ」
またも、マリーの言葉を思い出しました。
「そのうち、自分で覚えるわ。そうならないうちは、まだまだネンネってことだわよ」
ああ、マリーの言葉に隠されていた真実に目覚めてしまいました。そうなってしまったのです。
いけないことだと分かっていながら、指は身体は、また感電を欲しがります。
ただ疣に触れるだけでなく。この疣には『芯』があって、それを皮が包んでいます。その皮をくにゅくにゅとつまむと芯まで刺激されて、いっそう強い電気が奔ります。
股間に触れていいのは、最も汚らしい排泄の後始末と、最も崇高な子作りのときだけです。神様が、そうお定めになったのです。こんな、自分の快楽のためにだけ刺激するのは涜神です。悪魔の誘惑に負けているのです。
それが分かっているのに、指の動きを止められません。だんだんと速くなっていきます。でも、ジャックに乳房をつかまれたみたいに(そう思った瞬間、胸にきゅうんと熱い感情が込み上げてきました)強くつまむと――痛いだけです。嘘です。痛いのだけど、その奥に甘い感覚があります。むしろ……お菓子を作るとき、生地に少量の塩を混ぜるといっそう甘みが引き立つみたいに。痛いのと気持ち良いのとが混じり合って……
「あああっ……(何か来る)?!」
叫びかけて、あわてて片手で口を押えました。もう一方の手は、股間から放すことが出来ません。片手だけでは物足りないので、シーツを引き寄せて丸めて口に入れて。右手で疣を刺激しながら、左手でヴァギナに指を挿れてみました。
「…………!」
ぶわあっとヴァギナが爆発したような感覚。頭の中のピンク色の霞が、部屋いっぱいに拡がって……
「ふわああああ」
口からシーツを吐き出して、幸せな溜息を吐きました。そのまま、ピンク色がだんだん暗くなっていって……
罪の意識とともに目を覚ましました。
我を忘れて、悪魔の誘惑に負けてしまったのです。私は、なんという罪深い行為をしてしまったのでしょう。子作りのためにのみ使う器官を、一時の快楽の道具にするなんて。
ロザリオを繰る想いで三つ編みを結い直しました。それをスカーフで包みます。修道女の被り物を真似て、起きている間はずっと髪を隠しているのです。
朝のお祈りでは、神様にお赦しを願いました。そして、贖罪のためにも昨日より頑張って仕事をしようと自分に誓いました。
昨夜に気づいた疣のこともジャックの勃起したペニスのことも考えないようにしました。でも、ジャックが台無しにしてくれました。
乳搾りのときも、考えないということばかり考えていたので、ジャックの気配に気づきませんでした。不意に乳房をつかまれました。どうにか、驚かずに済みました。
「しつこいわよ。お乳は出ないんだったら亅
「僕も算数の問題を考えたんだよ亅
昨日よりは優しい力で乳房を揉みながら、身体を密着させて耳元に囁きます。
「雌牛と人間と、合わせて七頭。おっぱいは十二個。それぞれ何頭だ?亅
全部人間とすると乳房は十四個……暗算が間違っているのでしょうか。背中に押しつけられたジャックの身体の一部が、すごく硬くて、考えがまとまりません。
「降参、分からないわ。手を放して」
「雌牛が三頭と男の人が四人だよ。男には、おっぱいが無いからね」
種明かしはしてくれましたが、手は放してくれません。
「いい加減にしないと、あなただけ牛乳抜きにするわよ」
「分かったよ。それじゃ、バイバイ」
声に合わせて強くモギュモギュと揉んでから、駆け去りました。
ムウウウ~
雌牛に乳搾りを催促されて、我に還りました。乳房を揉まれたのと背中の感触とにぼうっとしていたようです。
結局、一日中あれこれ考えるというか思い出すというか。ジャックのペニス。昨日は半年ぶりくらいに見たのです。発起していないときでも、私が覚えているよりも成長しているのかもしれません。もしそうなら、少し安心です。大人のペニスがあんな倍率で膨張するのだったらヴァギナに拳骨を突っ込まれるようなものですから。
だから、これはちっとも淫らな真似じゃない――と、自分に言い訳をして。ジャックが行水を使っているときに、わざわざ玄関から出て裏庭へまわって、忍び足で後ろから近づいて覗き込みました。
「わっ……どしたんだよ、姉ちゃん?!」
「後ろからそっと近づかれると、びっくりするでしょ。仕返しよ」
一瞬ですけど、きっちり目撃出来ました。不安が募りました。ジャックの平常時のペニスは、半年前から変わっていなかったのです。
でも、本当に? 見間違いはなかったかしら。
「今日は、チンチンは腫れてないの?」
「なんともないよ」
「それでも心配だわ。お姉ちゃんに見せてごらん」
我ながらうまい口実です。
「平気だよ。もう、あっちへ行ってよ」
「お姉ちゃんが頼んでも、ジャックはやめてくれないでしょ。見せなさいったら」
前を隠している手をつかんで、ひっぺがします。ジャックも本気では逆らいません。
「ふうん?」
スラッグ弾ではなく、マスケット銃の薬包みたいです。マスケット銃の薬包は、火薬と弾丸がひとまとめに紙の筒に収まっています。
ジャックのは、実際には薬包よりも小さいです。でも、眺めているうちに大きくなってきました。遠距離射撃の角度になるのは薬包ではなく銃身のほうですが、つまりそういうことです。
「もう、いいだろ。あっちへ行ってよ」
手で水を掬って顔に掛けられました。完全なスラッグ弾になるのを見届けたかったのですが、あまり騒ぐと父様が様子を見に来るかもしれません。退散します。
食事の支度をしているときも食事中も後片付けも上の空でした。レースの編み物は何度も間違えて、ほどいてはやり直し。
今日見たジャックの平常時のペニスと昨日の勃起したときの大きさと。その比率を、ただひとりだけ見知っている大人のペニスに当てはめて。私の指を五本まとめてつぼめたよりもずっと太いでしょうから、とてもヴァギナへの挿入は不可能だと思ったり。でも先端は丸まっているから、鈍い楔を打ち込むようにして……引き裂かれるとしたら、想像を絶する痛みだろうと恐怖に捕らわれたり。それなのに、腰の奥がキュンキュンして、淫らな汁がにじみ出るのです。
「よし。そろそろ寝る時刻だな」
お父様がそう言ったときには、ほっとしました。と同時に……今夜も寝付けない。だけではなく、きっと、悪魔の囁きに耳を貸してしまうのではないかと恐れました。
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リクエストでアメリカと指定されていますから、やはりプロテスタントです。典型的なキリスト教といえば(服装とか儀式とか)カソリックのほうが書きやすいですが。それでは中世旧大陸の話『公女巡虐』と似通ってくるし。
19世紀末乃至20世紀初頭の設定は、これは便利です。サディスト見習の牧師様(養父)が、百マイル離れた大きな街にいる筋金入りサディスト教区長に相談するのに電話が使えます。教区長が馬無し馬車で駆けつけることもできます。
いえ、これはお話が進んでから先の展開ですが。
今、もっとも苦慮しているのがBFの元ネタです。ヒロインはまだ修道女見習にもなっていないので、あの被り物はしていませんが、それは無視して。
全裸で跪いて正面の十字架に祈る修道女。の背中に刻まれた鞭痕。
なんて図柄を想定していますが、なかなか適当なのがありません。それらは追々紹介していくとして。
ウィンプルの代わりに髪をスカーフで覆ったヒロイン――のイメージです。

元ネタはイスラム系少女らしいですが、まあ、いいや。
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