Progress Report(third) 1:昭和集団羞辱史/物売編(夜)

 困ったものです。今日は休日だというのに、紙飛行機だなんだで2枚ぽっきり。
 ところがπの牌ノギッチョンチョンで、木金土の出勤日は計53枚。
 4時に起きて、家を出るのが8時過ぎだから、4時間あります。朝風呂入ったりフリーセル連勝記録を5つばかり伸ばしたり(現在1955連勝中/過去最高2246連勝)、気分によっては弁当作ったり、前日の分を1次校訂したり。うん、2時間は書けます。
 これまで公称時速3枚でしたが、4~5枚はいけてます。それだけ杜撰とかはイワノビッチ。2時間ですから9枚ね。
 通勤片道1時間15分のうち、電車内で40分。これはスマホで1~2枚。
 勤務は拘束9時間の休憩1時間ですが、『待機』タイムが1時間半とかあって、執筆に2時間は充てられます。同じスマホでも、じっくり書けるので時速2枚は4枚。
 以上合計で15枚。だいたい辻褄ってますな。
 あ。帰宅は20時半で、即シャクもとい即晩シャク。うだうだしてても22時に就眠。22→04睡眠です。
 なんてセンスの無いウチワ話はやめますか。


 『昭和集団羞辱史』シリーズは中編2本ワンセットで、前半の1本を「体験版」として無償公開するパターンです。ので、ブログでも校訂前の原稿を賞味期限無しで全公開してみましょう。

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秘写真

 エロ本の自販機もビニ本も無かった当時、この手の写真の入手先は通俗雑誌の通販広告か、いかがわしい場所での(今日でいうならヤクのように)個人販売くらいしかルートが無かった。通販も『美麗カタログ』の送料に当時で千円程度は「切手代用可」で要求される例が多かった。たしかにカタログはそれらしい品を掲載しているが、送られてくるブツについては、街頭での怪しげな販売と大同小異の場合も少なくはなかった。
 本編で取り上げる、街頭での個別販売ともなると。酔客を狙って。
「旦那。いい写真がありますぜ。裸と裸で肉弾相打つガップリ四ツの四十八手……」
 大枚叩いて買った封筒の中身は……相撲四十八手の写真だったりしたとか。
 しかし、詐欺は世につれ世は詐欺につれ。今でも。まっとうに見える通販サイトでもトンデモ商品は多い。ダイオードとキャパシタを組み合わせただけで、電気代が半額になる装置とか、吸気経路に特殊形状のベンチュリーを挿入するとパワーアップするとか。どちらも物理法則に反している(と見抜ける素養に欠ける消費者も多い)。
最近で筆者が噴いたのは、『TBは型番です』という外付SSDですね。10TBという型番のメモリの容量は320GBだそうです。
 その点、本編に登場する『秘写真』は正真正銘ですから、実に良心的ではあるのです。



   父を探して

「お嬢ちゃん、ちょっといいかな」
 背後から声を掛けられて、またナンパかと、大崎和江はうんざりした。しかし、振り返った先に立っているのは制服を着た警官だった。四十歳くらいと二十歳そこそこの二人組。
「きみ、未成年でしょ。学校は、どこ?」
 おとなびたワンピースを着て、覚えたばかりの化粧をしていても、「大人の女性」に見られたためしがない。
 和江は、古ぼけたハンドバッグから真新しい社員証を出して警官に見せた。
「私、社会人です。ヨツボシ電機の女工です」
 就職して二か月ちょっと。手取の半分は仕送をしているから、ワンピースを月賦で買ったのが精一杯で、母からお下がりのハンドバッグを買い替えるのは、先になりそうだ。
 年配の警官が社員証を見て、苦笑いしながら頭を掻く。
「いや、失礼したね。でも、若い娘さんがこんな時間にこんな場所を独りで歩いていると危ないよ」
「私、父を探しているんです」
 どうせハズレだろうと思いながら、定期券ケースに入れた写真を見せる。
「二年半前に出稼ぎに行ったきり、帰って来ないんです。この街で父を見掛けたという人がいたので、工場が休みの日は探し歩いています」
 和江がヨツボシ電機に就職したのは、待遇が良いし郷里からもそんなに遠くないという理由ではあったが、父親とも無関係ではないのだった。
 若いほうの警官が「おや?」という顔をした。
「こいつは……もしかして、写真売の……」
 年配の警官に脇腹を小突かれて、語尾が立ち消えた。
「ご存じなんですか? やっぱり、ここに居るんですね?」
 年配の警官が、今度は難しい顔をして、また頭を掻いた。
「うーん。まあ……ふらふら歩きまわって、お嬢ちゃんが厄介ごとに巻き込まれるよりは、まだしもかな。よし、これからお父さんのところへ案内してあげよう」
 年配の警官が先に立って、客引や地回りの挨拶を受け流しながら、和江を案内したのは――場末の、立ち消えそうな赤提灯がしょぼしょぼと並んでいるあたりだった。ひとつずつ路地を覗き込みながら、ゆっくり進んで。不意に懐中電灯を点けて、奥を照らした。
「大崎よ、ちょっと出て来てくれんか」
 慌てて飛び出して来たのは、若い男だった。
「俺、関係無いっすから」
 警官の脇をすり抜けて一目散。警官は振り返りもしない。
「旦那、何か御用で?」
 肉体労働で鍛えた頑丈な身体つきの中年男が背中を丸めて、のそのそと近づく。後ろに控える若い警官の横に佇む娘に気づいて――手に持っていた紙片を、ばささっと取り落とした。
「和江……」
「あれこれ説明するより、これを見るほうが早いね」
 懐中電灯が、散乱した紙片を照らし出す。それは写真だった。
「……?」
 和江は写真に目を落とした。全体に白っぽい構図だった。数秒。
「きゃっ……?!」
 慌てて目をそらした。それはヌード写真だった。全裸の女性が大胆なポーズを取っていた。男性向け雑誌のグラビアなら、当然に花瓶とかの小物で隠されている局部まで、鮮明に写されていた。
「こういう猥褻写真を売ってシノギを立てているんだね。もちろん、君のお父さんの才覚ではない。元締から写真を卸してもらって、割り当てられた場所で酔っ払いを鴨にしている。出稼ぎと言っていたね。何としてでも連れて帰って、畑仕事に精出すように説得しなさい」
 警察は民事不介入だからと、二人の警官は父娘を路地に残してパトロールへ戻って行った。
 和江の父親――大崎昭大(あきひろ)は、写真を娘から隠すようにして拾い集め、封筒にまとめてから背広の内ポケットにしまった。
「ここではなんだから、落ち着ける所で話そう」
 路地で中年男と若い娘が立ち話をしていれば、場所が場所だけに誤解を招くのはさけられない。とっさにそこへ思い到るくらいには、昭大はすれているということだが、和江としては路地の奥が人目につくという父の思考が分からない。ただ、ずいぶんと父はみすぼらしくなったという印象は受けている。
 繁華街をすこし戻って。赤提灯の前で止めかけた足をひるがえすと、昭大は薄暗い電球で照らされた小さな看板しか出していない店のドアを開けた。
 和江は看板に書かれた店名も目に入らない。もちろん「アベック様歓迎」という小さな文字にも気づかない。ようやく探し当てた父に逃げられては困るとばかりに、腕にしがみついている。実に他人の誤解を招きやすい仕種ではあった。
 店の中は薄暗く、気怠いムードの洋楽が低く流れている。高い衝立で仕切られたテーブルには、アベックばかりが三組。テーブルの一方が衝立にくっついているので、必然的にアベックは並んで座っている。
 昭大は、どのアベックからも離れたテーブルを選んで、和江を奥へ座らせた。
 素早くウェイトレスがやって来る。
「アイスコーヒーを二つ。それと、ショートケーキをひとつ」
 ウェイトレスが去って、気まずい沈黙が流れる。数分でウェイトレスが戻って来て、注文の品をテーブルに並べる。ショートケーキは和江の前に。
「何から話して良いものか……父ちゃんは当分の間、この街を離れられない。三十万円の借金が残っている。今の仕事をするという条件で、利息を安くしてもらっている」
 三十万円。その金額に、和江は圧倒された。彼女の給料の二年分である。
「そんな……何に使ったの?」
 自分のために使ったのではない――と、昭大は口ごもりながら、経緯を打ち明けた。
 昭大はヨツボシ電機の孫請である町工場に雇われていた。工場が資金繰りに苦しんだとき、「決して迷惑は掛けない」という常套句で、街金の連帯保証人にされた。もちろん、たんなる保証人と連帯保証人との違いなど知らないままに。あとは、お決まりのコースである。工場は倒産して、街金の取立は昭大におよんで――この街の暴力団である生田組に身柄を引き渡された。こういった場合、女は夜の世界、男は海の世界へ流されるのが相場だったが、昭大はいささかトウが立ち過ぎていた。それで、生田組の下で『秘写真』の売子にさせられたのだった。
 シノギは、そう悪くない。月の売り上げは六万円の上を行って、昭大の取り分はその三分の一だった。生活費を差し引いても月に一万円は返済できる計算だが、借金がなかなか減らないのは、二つの理由があった。ひとつは、高利である。利息は「安くして」もらって、月に三分。これだけで月額九千円になる。そして二つ目の理由は――一攫千金を狙って競輪に無駄金を捨てているせいだった。さすがに昭大も、こういった内幕まで娘に打ち明けたりはしなかったが。
「おまえにも母ちゃんにも迷惑を掛けるが、もうしばらくは見逃してくれ」
 もうしばらくって……この二年間で、借金はちっとも減ってないじゃないの。
 和江は絶望というよりも虚しさを覚えた。
「私に、何か出来ることはない?」
 実家への仕送りをやめて、父の借金の穴埋め……いや、それでは弟が進学できない。跡取息子の洋平はまだしも、下の望夫は良い会社のホワイトカラーにしてやりたい。
「まさか、おまえを泣かせるわけには……」
 昭大は口ごもった。若い女なら、三十万円も返済は容易かもしれないが。娘の一生を犠牲にすることになる。とはいえ、このままでは借金は減らない。娘を不幸にせず、娘に助けてもらう。そんな虫のいいことでも考えているのだろう。
「そうだ。ヨツボシは半ドンだったな。土曜の夜だけでいいから、父ちゃんの商売を手伝ってくれないか」
 切羽詰まってというよりも、さも名案のように、昭大が言う。
「あんなエッチな写真を……」
「心配無い。父ちゃんの目の届く範囲でしかやらせない。身体が汚れるわけじゃないんだし」
 言葉の意味が分からないほど、和江も子供ではない。もちろん、身体を汚したことなどないが。しかし父親の物言いには、娘が身体を汚してくれるなら、むしろありがたいといった響きを聞き取ったのだった。
 とはいえ、父親の頼みを聞いてあげるより他に妙案もない。勤めてわずかに二か月半。まだ試用期間だ。三十万円はおろか、三万円でも前借を出来るはずがなかった。
 それに父ちゃんの商売を手伝っていれば、所在だけはつかんでいられる。
「いいよ。やってみる」
 男ならせいぜい煙草を一服するほどの迷いの後に、和江はそう答えていた。
 和江は転落への第一歩を、父親に手を引かれて踏み出したのだった。

 気が変わらないうちにとばかりに、昭大は娘を生田組の事務所へ連れて行った。仁義を通してかないと咎められる。その言い方にも、父親の変貌を垣間見る和江だった。
 生田組の事務所、実は総本部は、繁華街からビジネス街へ行く途中にある小さなビルだった。ビル丸ごとが組の所有だから、戦後の新興ヤクザとしては(この地方では)たいしたものだった。
 
代紋を掲げた玄関を避けて裏口から入って、組員が常駐している広間へ。若い衆が三人ばかり花札に興じている後ろの大きなデスク(の端)には、女盛りの姐御が腰を据えている。
「おや、大崎じゃねえか」
「えらい若い娘だな。コマしたのか。やるねえ」
 からかいの言葉にもいちいち会釈をして、女の前でかしこまる昭大。
「大姐御さんには、今夜もまた一段とご機嫌うるわしく……」
 媚びへつらう父親の姿に、いっそうの幻滅を重ねる和江。畑を耕す逞しい姿、たわわな収穫に満足の笑みを浮かべた顔。父は一日も早く田舎へ連れ帰らないといけない。
「こいつは私の娘でして、和江といいます」
 姐御の顔が険しくなった。
「まさか、実の娘を売ろうってんじゃないだろうね」
「滅相ですよ。そうじゃなくて、私の売(バイ)を手伝わそうと思いまして」
 姐御の顔から険しさは消えたが、不機嫌そうなことに変わりはない。
「そりゃ構わないけどね。写真じゃなくて現物を売れって言われて、あんた、きっちり庇ってやれるのかい?」
「もちろんです」
 と、きっぱり請け合ってから、トーンが下がる。
「……揉めたら、組の名前を出して良いですよね?」
「言い方には気をつけるんだよ。ケツは持たないからね」
 実際にトラブルが生じても、組員が出張ったりはしないという意味である。売上を強奪されたとかなら、話は違ってくるが。
「分かっておりますです」
 そこらのチンピラよりも押しが弱いのは、ヤクザに飼い馴らされた純朴な農民ゆえではあった。
 姐御が、表情を緩めて和会に声を掛ける。
「あたしゃ、組の経理を預かってる征子ってもんだけど」
「若頭の前の前の前の女将さんだぜ。若頭より怖い大姐御だ」
「真珠も入れられないへたれチンポが、茶々いれるんじゃないよッ」
 若い衆をあっけらかんと叱りつけて。
「親孝行で感心って褒めたげたいところだけど、写真売じゃあ焼石に水だよ。あんたさえ良けりゃ、日に五千は稼げる口を紹介したげるよ。お風呂と違って、年齢制限なんか無いからね」
 風呂と年齢制限については何のことか分からなかったが、大筋は和江にも理解できた。怯えて呆れて怒りも湧いたのだが、先に昭大が噛み付いた。
「娘をパンパンにだなんて、とんでもない。いくら大姐御さんだって、怒りますよ」
「そっちこそ、口を慎みな。今の言葉を公園の姉さんたちに聞かれてみな。袋にされちまうよ」
 鼻で嗤って。それから、なだめるように言う。
「ちょっと試したのさ。この嬢ちゃん、若頭の眼鏡に適いそうな、そういう雰囲気を持ってるんでね」
「とんでもないです……」
 若頭の性癖を噂くらいには聞いている昭大は怖気を振るったが、和江には何のことか分からない。

 読者は、ヒロインが若頭の性癖の生贄になることを期待しておられるだろうし、そうでなければSM小説にならない。とはいえ、きちんと舞台設定をしないと小説にならないこともないのだろうが、筆者はそうするのである。お急ぎの読者は次章を素っ飛ばしてください。
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 最後の青字の部分は、一度は書いたものの、すでに削除しました。が、まあ、そういうことです。


昭和の少女たち
 アイキャッチの画像は、過去記事の使い回しで Make the tea cloudy. と、グルグル・ホニャックさんが言ってます。


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